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新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会 (第17回) 議事録

1.日時

令和2年10月29日(木曜日)<午前の部>10時00分~12時00分 <午後の部>14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省(WEB会議)
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

1.関係団体からのヒアリング
  【午前の部】
    ・日本教職員組合
    ・全国公立小中学校事務職員研究会
    ・全国連合小学校長会
    ・全日本中学校長会
    ・全国高等学校長協会
   【午後の部】
    ・全国市長会
    ・全国町村会
    ・日本教育大学協会
    ・日本教職大学院協会
    ・全日本教職員組合
2.その他

4.議事録

【荒瀬部会長】 皆さん,おはようございます。荒瀬でございます。定刻となりましたので,ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会第17回新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会の午前の部を開会いたします。本日は御多用の中,御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 もう毎回のようになりましたが,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,ウェブ会議方式にて開催させていただきます。
 では,まず本日の会議開催方式と資料につきまして,事務局の田中教育制度改革室長から御説明をよろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 教育制度改革室長の田中です。本日も,これまでの会議と同様に,Webexを用いたウェブ会議で行わせていただきます。会議を円滑に行う観点から,大変恐れ入りますが,御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
 それでは,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第にございますとおり,資料1から資料9-2まで,加えて参考資料となっております。このうち午前の部の資料は資料1から資料5までとなっております。御不明な点等ありましたら,お申しつけください。

【荒瀬部会長】 よろしいでしょうか。では本日,今,田中室長からもありましたように,午前の部と午後の部の2部構成,長時間にわたりますがよろしくお願いいたします。
 関係団体からのヒアリングの4回目になります。午前の部は,日本教職員組合,全国公立小中学校事務職員研究会,全国連合小学校長会,全日本中学校長会,全国高等学校長協会の5つの団体の代表の方から中間まとめについての御意見を伺い,その後,質疑応答,意見交換をいたします。途中で一旦切りまして,まとめて質疑応答,意見交換の時間を取りたいと思っております。
 本日も報道関係者の皆さんと一般の方向けに,この会議の模様をWebexで配信しておりますので,御承知おきいただきたいと思います。
 それでは,議事に入ります。まず前半といたしまして,日本教職員組合,全国公立小中学校事務職員研究会から御発表をお願いいたします。
 最初に,資料1に基づきまして,西原日本教職員組合書記次長から御発表をいただきます。
 西原書記次長,よろしくお願いいたします。

【西原日本教職員組合書記次長】 よろしくお願いいたします。御紹介いただきました日教組の西原でございます。本日は発言の機会を与えていただきましてありがとうございます。
 8ページにわたる資料でございますが,日教組の意見といたしまして,全ての項目に対応するように作らせていただきました。よろしくお願いいたします。
 教育格差,地域間格差など,子供を取り巻く状況というのは非常に厳しいものがございます。いじめや不登校も深刻な状況が続いております。新型コロナウイルス感染症に伴う学校一斉休業では,学校の重要性が再認識されるとともに,自治体間格差等の課題が顕在化いたしました。再開した学校においても,学校現場が授業時間の確保に追い立てられるような状況になっております。
 日本は,OECD諸国の中で教育にかける予算の割合が極めて低いと指摘されております。子供たちが平和で民主的な社会を築くために,教育の機会均等は喫緊の課題でございます。
 憲法,子どもの権利条約を基盤とする豊かな学びの創造によって,全ての子供たちがウェルビーイング,幸福である社会を実現すべきと考えております。日教組は,教育福祉という概念をお示しする中で,教育福祉社会を目指して活動しているところでございます。
 総論につきましては,1890年頃から,知・徳・体を一体で育む日本型学校教育が現在まで一貫しているように受け止められる記述がございます。令和の日本型学校教育は,日本国憲法の精神にのっとった教育であることを明確にすべきと考えております。
 子供は,現在の社会を構成する一員であります。教育は現在の子供の幸福につながるものでなければなりません。そのために,学校や社会はどうあるべきか,子供と共に考えることが大切です。
 教員の専門性は,子供の日常に関わり,寄り添うところから培われるものです。そのために,子供と向き合う時間や授業時間,授業の準備時間の確保は不可欠です。学校における働き方改革を進め,改正給特法第7条の趣旨にのっとった時間外勤務時間の上限規制遵守と,教員の持ち時間数の削減や部活動改革などによる大胆な業務削減が,そのために必要となっております。
 「個別最適な学び」がいわゆるエリート教育に結びつくことを懸念いたしております。今年度から小学校では新学習指導要領が実施されており,「主体的・対話的で深い学び」を進めるといったことが記されております。誰一人取り残さないとしていますSDGsを踏まえた,「主体的・対話的で深い学び」を進める必要があると考えます。
 また,義務教育段階におきます修得主義の記述が一部ございましたが,そちらにつきましては,義務教育段階については馴染まないと考えております。
 学校が全ての子供の学び合いを保障し,安心して育ち合える場であるためには,インクルーシブな学校づくりを進める必要もございます。
 各論についてです。幼児教育につきましては,幼児教育の重要性踏まえれば,全ての子供を幼児教育無償の対象とすべきと考えております。
 新型コロナウイルス感染症を通して,子供の命を守る体制づくりの重要性が認識されました。一人一人の子供の育ちを大切にした幼児教育を保障するため,施設の設置基準の見直しや教育環境整備,教職員の処遇改善が喫緊の課題となっております。
 9年間を見通した義務教育の在り方についてです。教育の目的は人格の完成を目指すものです。子供の思いを引き出し,子供の姿から学びを創り上げていくことが教職員の役割と言えます。
 教育課程の編成に関してですが,教育課程の編成権は学校にあることを確認する中で,学校や地域の実態に応じた編成が行われるべきと考えております。
 特定分野に特異な才能を持つ児童生徒に対する指導については,教育の公平性が求められ,また公教育がどこまで担うのかというのを考えるときに,義務教育段階の学校においては導入することは必要ないと考えます。
 学校や地域の実態に応じて責任を持って柔軟に教育課程を編成し,総合的な学習を行うことは理解できますが,特別の教育課程については慎重であるべきだと考えております。
 標準授業時数の設定の在り方とともに,履修内容の精選・見直しを行っていくことが必要かと考えております。
 小学校高学年の教科担任制につきましては,専科指導の制度構築の下,対象とする教科については,各学校の規模・状況等様々でございますので,各学校の判断で行えるようにしていただければと考えております。
 高等学校教育の在り方についてです。高等学校は,中学校を卒業した生徒の大部分が進学する教育機関であることから,入学者選抜において適格者主義に立たないことを,文部科学省が改めて周知し,是正すべきであります。
 したがって,高等学校に求めるスクール・ミッションやスクール・ポリシーは,インクルージョンを進めるものでなければなりません。また,多くの国で,実際に高校入試等が行われていない中で,入学者選抜についても学校の実態に合わせて柔軟に対応できるよう,省令改定を含めた検討を行う必要があると考えます。
 現在,全国各地の魅力ある高校づくりのために,様々な新規事業が立ち上げられて,高校改革が進んでいます。しかし,これは学校現場からの要請というわけでは必ずしもなく,自治体の予算確保のための新規事業と思われるものもあるかと思います。国が責任を持って,学校現場の声を受け,しっかりとそれを支援する予算確保の方策を進めていただければと思います。
 普通教育を主とする学科について,あるいは職業教育を主とする学科について,それぞれ再編のお話が出ております。ただ,現状ある中で,かなりの部分はできるのではないかと考えておりますし,今,現場で必要なのは教員の人員確保と,施設の老朽化に伴う施設整備,それから,やはり生徒の修学支援体制の充実が求められているところでございます。
 学習指導要領の下に設置された必履修科目が高校の場合は非常に多く,各学校ではカリキュラム編成にかなり苦労している状況がございます。学校設定科目など一定の要件の下で,必履修科目に読み替えることができるように,柔軟なカリキュラム編成を可能とするようにしていく必要があると考えます。
 特別支援教育につきましては,全体的に障害に対する捉え方が医学モデルになっていると考えます。学校教育法や学習指導要領の総則に書かれている,「障害による学習上または生活上の困難の克服」という考えを社会モデルに変えていく必要があるかと考えます。
 特別支援教室構想の導入につきましては,インクルーシブな学校づくりに向け,特別支援学級の児童生徒を通級,特別支援教室,普通学級に移行することが重要と考えます。
 特別支援学校の設置基準の策定が,現在の特別支援学校の児童生徒在籍数増加の状況を更に進めるものになると危惧しております。地域の学校に通えるような体制を作っていくことが必要かと考えております。
 看護師の法令上の位置づけに関しまして,その職務は今までの医療的ケアに関わることを前提とするということでお願いしたいと考えております。
 外国人児童生徒への対応につきましては,多文化共生を実現するために,地域間格差の是正に向けた財政的支援を含め,就学促進に関して,保護者に対する支援の具体を示す必要があります。また,日本語指導の体制づくりとともに,子供のアイデンティティを確立するために,母語・母文化の保障について,地域と連携しながら居場所づくりを支援することも必要かと思います。
 遠隔・オンライン教育を含むICTの活用でございますが,ICTの活用が子供たちの豊かな学びを補完するものとなります。ただし,個人IDが様々な場面で登録されている現在,個人情報保護の観点から,デジタル・アイデンティティの確立が重要です。そのためにも,1人1台端末の整備と併せて,ユネスコなどが推奨しますデジタル・シティズンシップ教育を推進し,基本的なデジタル・リテラシーを育んでいく必要があるかと考えております。
 また,高校生も対象とした上で,1人1台端末ということを,早期の配備が必要かと思っております。また,ソフトウェア,保守や機器の更新費用,光熱費などについても予算化して通信環境整備を図ることや,やはり社会インフラとして,自治体単位での様々な情報アクセス環境の整備などの取組が必要かと考えております。
 デジタル教科書につきましては,通常の紙の教科書と同様に,その環境整備とともに,無償制度の適用をする必要があるのではないかと考えております。もちろん,紙の教科書も引き続き残していく必要があると考えております。
 子供の学びを保障する観点から,地域間格差が生じないような方策が大変重要かと考えております。また,ICT支援員は指導に関する支援を行えるような体制を作っていただければと考えております。
 学習履歴の話が書かれておりました。スタディ・ログにつきましては,子供自身のものであります。個人情報の取扱いとなりますので,慎重に検討される必要があると考えております。
 新時代の学びを支える環境整備につきましては,新型コロナウイルス感染症対策だけでなく,新たな感染症への対策を含め,持続可能な学校教育を実現するために,教職員定数改善計画の作成と法改正の下,幼児教育から後期中等教育まで,20人以下学級への段階的な移行が推進される必要があると考えております。
 また,学校保健における健康診断目的は,学校生活を送るに当たって支障があるかどうかの疾病をスクリーニングするものであります。学校健康診断の電子化につきましては,その活用を学校保健に限定し,日本政府が推進しておりますPHRと学校保健を切り離す必要があると考えております。
 教師及び教員組織の在り方につきましては,教員免許制度につきましては,養成・採用・研修の一体的な改革を更に進めていく必要があると考えております。教職特別課程の年限を複数年とするなど,社会人が免許取得をしやすいような環境を整えていくことが重要かと考えております。このことは,特別免許状を授与するよりも有効な手段と考えております。
 また,教員免許の更新制につきましては,研修等の重複などの負担感がある,迅速な人的体制の確保が必要である,様々な課題,2回目あるいは定年退職後の免許更新の課題などがありますので,そうしたことを検証していただき,実質化ではなく廃止を検討する時期に来ているかと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 西原書記次長,ありがとうございました。
 では続きまして,全国公立小中学校事務職員研究会からの御発表をお願いいたします。
 阿部会長,よろしくお願いいたします。

【阿部全国公立小中学校事務職員研究会会長】 よろしくお願いします。お世話になります。全国公立小中学校事務職員研究会会長の阿部貴子と申します。このたびは貴重な機会をいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本会は,子供の豊かな育ちを支援することを学校事務のミッションとして掲げ,学校事務及び学校運営組織の在り方や,事務職員の役割を追求し,そのために必要となる事務職員の資質・能力の向上を目指して活動を行っている団体でございます。
 私たちは,子供の学びの環境の充実や,学校の教育活動を実現するための条件整備を中心的な業務として学校運営に携わっており,チームとしての学校の一員として,校長を補佐しながら,責任を持って主体的に学校運営に関わっていきたいと考えております。
 本日は,中間まとめがより実効性のあるものとなるよう,僭越ではございますが意見を申し述べさせていただきます。
 初めに,総論についてでございます。
 我が国の高い学力は,中間まとめにもございますように,高い意欲や能力を持った先生方によって支えられてきたことは言うまでもございません。このことを踏まえつつ,ICTの活用を取り入れながら,これまでの日本型学校教育の良さを受け継ぎ,更に発展させ,持続可能な社会の創り手の育成を目指す学校教育を,令和の日本型学校教育としました本中間まとめにおける基本的な考えに対し,学校運営に携わる一員として,本会は賛同いたします。
 その一方で,本中間まとめにもございますとおり,多様化・複雑化する学校を取り巻く課題の解決を図りながら,これまでの日本型学校教育を維持・発展させていくためには,多様な主体との連携・協働によって学校のマネジメント力を強化し,チームとしての学校の機能強化を図っていくことはとても重要なことと考えております。
 また,学校におけるICT活用によって,子供の学びの充実の可能性は計り知れないものになっていくとともに,学校におけるICTの利活用に向けた体制の確立は急務であると考えます。
 私たち事務職員は,これまで,中教審答申や文部科学省からの通知文書などにもありますように,学校組織のマネジメント力の強化を図るため,学校運営における事務職員に関する専門性を有する職員として,校長を補佐する役割を果たすことが求められております。
 現在,全国の事務職員がより良い学校づくりのために,チーム学校の一員として,日々業務に励んでおります。つきましては,本中間まとめの17ページ,「教職員の姿」,それから20ページの「連携・分担による学校マネジメントを実現する」の部分に,教師以外の教職員のあるべき姿や役割,必要性についても言及していただきたくお願い申し上げます。
 併せまして,子供たちの豊かな学びのために,学校への地域資源等のリソースの拡大や,ダイバーシティに対応した学校づくりなどを見据えると,学校運営協議会の推進は必須なのではないかと考えます。学校運営協議会の設置は努力義務にとどまることなく,より強く推進されることを御期待申し上げます。
 続きまして,各論につきまして,かいつまんで何点かお話しさせていただきます。
 初めに2の,9年間を見通した新時代の義務教育の在り方についての部分でございます。
 学校運営協議会や地域学校協働本部の整備によって,保護者や地域住民の学校運営への参画を得ながら,学校運営を行う体制の構築を図り,地域全体で子供の成長を支える環境を整えていくことは,とても重要なことと思います。
 一方で,その中心となって仕事をされている教頭先生方や担当の先生方の御負担も相当なものとなっているのも現実です。そのような観点からも,現在,主に中学校区単位で組織され,地教行法に位置づけられている共同学校事務室や,同等の役割を果たす共同実施組織が,学校運営協議会の事務局的機能を担うことにより,義務教育9年間のつながりを踏まえながら,より組織的に,地域との連携・協働の体制を構築できるのではないかと考えております。
 事務職員については,本年7月に標準的な職務の参考例が文部科学省から示されたわけですが,その中の1つに,カリキュラム・マネジメントの推進に必要な人的・物的資源等の整備・調達等というものがございます。そういったことからも,事務職員が地域連携の担当教職員の役割を担うことも可能と考えております。それについても触れていただけますと,学校での組織運営も円滑に行えるようになるのではないかと考えております。
 次に各論5,増加する外国人児童生徒等への教育の在り方についてですが,外国人児童生徒の中には,経済的に豊かでないことも見受けられることから,就学保障の観点から,給食費等の学校徴収金の保護者負担を軽減する行政的支援についても御検討いただきたく存じます。
 次に各論6,遠隔・オンライン教育含むICTを活用した学びの在り方についてです。ICTの活用については,ハード面とソフト面の充実はもちろんのこと,情報インフラの整備が最重要でありますが,今後,全児童生徒が1人1台の端末を効果的に活用していくためには,それを補完するスタッフの適切で迅速な対応が不可欠と考えており,本まとめにありますように,GIGAスクールサポーター等,ICT人材の確保について賛同するところでございます。
 私たち事務職員の役割としましては,「ICTを活用した教育活動に積極的に参加」と示されているとおり,先ほどもお話しさせていただいた標準的職務の参考例においても明示されているところであります。具体的には,ICTを活用したカリキュラム・マネジメントへの関わりや,そのための予算確保や調整,ICT機器購入計画の策定,GIGAスクールサポーターやICT支援員のマネジメント,ICT機器の評価・改善などで貢献できるものと考えております。また,そのために,中間まとめにございます「ICTに関する研修等の充実を図る」というところについては,大いに期待しているところでございます。
 次に各論7,新時代の学びを支える環境整備についての部分です。本文中に述べられているとおり,感染症や災害の発生等の緊急時における,全ての子供の学びを保障する環境の整備は必須であると考えております。情報端末や遠隔会議システムの導入とともに,それらに適した教室環境や教師のためのICT環境の整備についても,施設設備のマネジメントを推進する事務職員がその役割を担っていけると考えた次第です。
 次に各論9の,Society5.0時代における教師及び教員組織の在り方についてです。
 子供の豊かな学びのためには,より多様な知識・経験を持つ人材との連携を強化し,さらに,当該人材を組織内に取り入れることにより,社会のニーズに対応しつつ,高い教育力を持つ組織となることが必要であるという部分につきまして,賛同いたします。
 また,学校外部の人材を活用していくことも同意するところであり,このような多様性を確保するためには,学校やコミュニティ・スクール等が様々な人材を任用できるような財政面や人事面の制度,裁量権の拡大が必要ではないかと考えます。
 また,教師の人材確保のためには,学校の労働環境改善が必須であると考えます。学校における働き方改革の推進は,教師が学習指導や生徒指導に集中できるとともに,優秀な人材の確保にもつながると考えているところであり,事務職員としましても,働き方改革を一層推進してまいりたいと考えております。
 それから,少し話は変わりますが,教師が社会教育士の称号を取得することについて触れられておりましたが,地域の教育資源の有効活用は,人事や予算など,教育資源を扱う事務職員が専門性を発揮できる分野であることから,制度等の整備により,事務職員にも称号取得の可能性を導き出していただきたく存じます。
 最後になりますが,学校教育法により学校に置くこととされている職員は教員のみではないことから,この各論9のタイトルにおける「教員組織」を「教職員組織」としていただき,Society5.0時代における教職員組織の在り方について,改めて整理していただきたいと存じます。
 以上,本中間まとめに対する本会の意見とします。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 阿部会長,ありがとうございました。大変意欲的な,しかも大事な御発表をいただきましてありがとうございました。
 お二人から貴重な御発表をいただいたわけですが,ただいまの御発表につきまして,この後,20分程度になりますが,質疑応答,意見交換を行いたいと思います。いつものように,御発言のおありの方は挙手ボタンを押していただくようによろしくお願いいたします。御指名申し上げましたら,マイクをオンにしていただいて御発言をお願いいたします。
 では,御発言のおありの方はどうぞよろしくお願いいたします。
 加治佐委員,よろしくお願いいたします。

【加治佐委員】 大変ありがとうございました。私は,今御報告されました全事研の阿部さんにお伺いしたいと思うのですが,中身は大変よく分かりました。非常に前向きな御意見で,かつ事務職員の役割を高めたいという意向が大変よく伝わってまいりました。
 私も,書かれていることはいずれも賛同いたしますが,その前提として,事務職員は各学校1人ないし2人とはいえ,学校数はたくさんありますので,かなりの数になるわけです。もちろん,事務職員の方の中には,このような新しく求められている役割や,今後こういう役割を果たさなければいけないという,阿部さんが今おっしゃったことを自覚されている方もたくさんおられるとは思うのですが,全般的に見たときに,事務職員のこれから新たに引き受けようとする役割についての意識とか,あるいは,今おっしゃったような役割を担っていくためにはかなりの力量向上が必要だと思います。
 全体的に見たときに,意識がどういう現状にあって,かつ,その意識や力量を高めていくために,全事研ではどういうふうにされたらいいと思っておられるか,お教えいただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】 加治佐委員,ありがとうございました。お答えはまとめてお願いをすることにいたします。
 続きまして香山委員,お願いいたします。

【香山委員】 加治佐先生が全事研の阿部さんに御質問されましたので,まず阿部さんのほうに私からも御質問したいと思います。
 今,加治佐委員の質問とも関係するのですが,小中学校の事務職員の人数,人員が,私が知る限りでは,近隣の小中で,1人とか2人といったような現状があって,高等学校とは少し実情が異なるのかなと考えております。
 そういう点で,今,阿部さんが,積極的に事務職員として学校運営に関わっていくという,その内容が,現実の人員の数から考えると大変ではないかなと察しているのですが,その辺り,どんなふうに展望を持たれているのかということを教えていただきたいのが1点です。
 それからもう1点,私も本当に感激したのですが,今回,阿部さんがおっしゃっている,17ページの教職員の姿の中に,具体的な事務職員の役割を書き込んでほしいというお話があって,私も実は高等学校の校長をしていた経験の中で,地域連携の業務の一端を担っていただいたり,あるいはICT環境の整備,それから運営管理も含めて,事務職員に担っていただいたりしていましたので,それは是非,阿部さんがおっしゃるように書き込むべきだと感じているのですが,阿部さんとしては,さらにどういった具体的なイメージをお持ちなのかということについて,もう少し詳しく教えていただけたらと思います。文章全体から見れば,学校運営協議会のコーディネート役をするといったようなことも想定されているのかなと思うのですが,一つよろしくお願いいたします。
 続いて,日教組の西原さんにお尋ねしたいと思います。刺激的なお話だと思うのですが,1点,ちょっと腑に落ちないと言いますか,2Eのところについて,2Eの対応は特に必要ないといったような御発言があったと思うのですが,全体的に,日教組としてはインクルーシブな学校づくりを進めていくという方向で御発言されていましたので,3ページの下から3つ目の丸ですが,2Eについての対応につきましても必要ではないかと私は思うのですが,その辺り,いかがお考えでしょうか。もう少し詳しく教えていただけたらと思います。
 以上です。よろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。
 それでは,続きまして橋本委員,お願いいたします。

【橋本委員】 お二人の御報告ありがとうございます。特に阿部さんの報告は非常に具体的な内容が多くて,また書かれていることはそれぞれ納得のいくものばかりであったなと感じております。
 そうした中で質問は,これは日本教職員組合の西原さんにですが,8ページの資料2,少人数教育で20人以下学級への段階的移行の推進というのがあったのですが,私も少人数学級,少人数教育を進めていくこと自体は賛成なのですが,段階的移行としても,20人以下というその基準が本当に妥当なのかというところは若干疑問を感じております。
 もちろん,早い段階で申しますと,人材の確保や施設の確保,もちろん財源の問題もありますが,20人ということになりますと,仮に21人の場合は10人と11人という学級編成をするようなことになるのですが,果たしてそれが本当に子供たちの学びにとっても良いのかという疑問も少々感じているところです。こうしたことについて,どのようにお考えなのか,この1点だけお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 二見委員,お願いいたします。

【二見委員】 ありがとうございます。私も全事研の阿部さんに3つ質問をさせていただきたいと思います。
 大変すばらしい御提案,あるいは御指摘いただいたと思っています。事務職員の皆さんというのは多くの方が,それぞれの学校で1人職種という立場にあろうと思っています。そういう中で,学校の中でも,年齢や経験年数の差が大きく,管理職の立場の方から採用間もない方まで様々いるという中で,全ての事務職員の皆さんが学校経営に参画する。私は,これは経験・年齢に関係なく必要だと思っていますが,実際に阿部さんが把握している限りで,具体的に学校経営に参画ができている状況というのはどのようなのだろうかということを,もし分かれば教えていただきたいと思っています。
 それから,学校規模によって事務職員の定数が決まっています。特に3学級という極めて小さな学校では4分の3人という,非常に人間の数を分数で表すような状況,そういうところでは,学校に事務職員が配当されないという状況もあると思うのですが,それをカバーするのも共同事務室の役割は大きいと思いますが,そういう点で何か共同事務室の課題があれば教えてください。
 それから,皆さんが学校経営と教育課程,いわゆるカリキュラム・マネジメント等にも深く関わっていっていただかないと,特にこれからICTを活用した,また機器の購入や整備を含めて,学校経営へ参画するためには,学習指導要領,教育課程をしっかりと掴んでいただく,理解していただく必要があると思いますが,具体的な取組というものに対して,困難な点があれば御紹介いただければと思います。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では毛利委員,お願いいたします。

【毛利委員】 つくば市みどりの学園義務教育学校校長の毛利と申します。本日は,お忙しい中御発表をありがとうございました。
 全国公立小中学校事務職員研究会の阿部様の御発言をお聞きしまして,本校では,事務職員の係長は学校の運営委員会にも出席し,一緒に学校の運営に参画,御出席いただいておりますので,正に教員ではだけではなく教職員というのはそのとおりだなと思います。
 あと,質問ですが,日本教職員組合の西原様に御質問があります。御発表の中で,インクルーシブ教育を推進ということをお話しいただいておりまして,私もそれはとても大切なことで,例えば読み書き障害のある子供たちにとっては,デジタル教科書などの読み上げ機能を使うことで内容を理解し,探求学習に参加することができたりしています。これは,やはりICTがあったからこそだと思うのです。
 そこで西原様が,1人1台端末について,高校生も対象とした上で早期に配備というお話もありますので,1人1台端末におけるインクルーシブ教育をどのようにお考えなのかをお聞かせいただければと思います。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。ほかに御質問の手を挙げていらっしゃる方がいらっしゃらないようですので,この5人の委員の御質問にお答えいただきたいと思います。
 西原書記次長にも阿部会長にも複数の御質問がございました。それにつきましてまとめて順にお願いいたします。
 阿部会長,まずよろしくお願いいたします。

【阿部全国公立小中学校事務職員研究会会長】 よろしくお願いします。たくさん御質問をいただきましてありがとうございます。
 まず初めに,事務職員の意識・力量をどのように高めていくのかということで,全事研は何をしていくのかという御質問だったかと思います。
 本会としましては,研究会の団体でございますので,まずは全国組織の研究会として,それから,その全国組織の中にそれぞれ支部が都道府県に置かれておりますので,支部を通して,研究の中から力量を高めていく活動を積極的に行っていきたいというのがあります。
 それと併せまして,やはり制度面で,事務職員研修制度の確立というものが急がれるのではないかと考えております。自治体の中では,まだまだ事務職員の研修について準備がされていないところも多くありますので,そのようなところが改正され,また,事務職員の指導主事というものも配置されると,その辺りの状況が変わってくるのではないかと考えます。
 また,現場で仕事を行っていくためには,管理職の先生方のお力添え,御指導も必要になってまいりますので,校長先生方等の御理解もいただきながら進めていければいいのではないかと考えているところです。
 それから2つ目,実際の配置人数とのギャップといいますか,一人配置では課題等はないのかということで御質問いただいたかと思います。
 今後の展望ということでしたが,やはりマネジメントを行うということは組織で行っていく,事務に関しても校務運営の中での一員ではありますが,事務部というような組織の確立も必要ではないかと考えます。
 そういった意味で,加配というところも1つの方策として,ますますの拡充があればいいとも考えますし,マネジメントを行っていく上での効率の面で言いますと,事務職員が行う定型業務に関することについては,校務支援システムなど効率化が図られるようなシステム化といいますか,そういうものが整備されるといいのではないかと考えているところです。
 3つ目です。今後の事務職員の役割としての具体的なイメージということで,先ほど,コミュニティ・スクールのコーディネーター等の役割も想定しているのでしょうかというお話もいただきましたが,そこについても,本会の研究の中で,そういう役割を担っていきましょうということで研究を進めております。
 全国的にそれが普及していけばいいと考えておりますし,そのほか,カリキュラム・マネジメントにもどんどん関わっていき,資源調達をはじめ,カリキュラムの評価・改善のところで私たちの役割である資源投入というところをどんどん行っていき,先生方の授業改善に役立つような助言をできるような役割を担っていければと考えております。
 それから4つ目,もしかしたら順番が違っていたらすみません,一人職の中で年齢の幅があるわけですが,若い,経験年数の少ない事務職員の場合,どのようなマネジメントに関わることができるだろうかという御質問だったかと思います。もし解釈が間違ったら申し訳ございません。
 そういった中での具体例ですが,確かに年齢が違えばマネジメントというところに果たせる貢献度というのは差が出てくるかとは思うのですが,やはり若い方たちも,学校をより良くしていこうという意識を高く持った方たちもたくさんいらっしゃいます。決まった仕事だけではなくて,どうすればこれが良くなるだろうかということを日々,業務の中で提案しながら改善提案し,行っている事務職員もたくさんおります。そういった方々がたくさん増えることを,本会の活動である研究などを通して育てていきたいと考えているところであります。
 次に,小規模校への支援ということで,配置されていない場合なのですが,確かにお話しいただきましたとおり,共同学校事務室等でここはカバーできる部分と考えておりますが,課題等があるとすれば,やっぱり人員的な配置といいますか,それをカバーする人数というのも,やはり必要なのではないかなと思います。
 グループをまとめるリーダー的な役割を果たす方の負担が増えないよう,また逆に,その方がマネジメントをしっかりできるような形で人員配置がされることが望ましいのではないかと考えております。
 それからもう1つ,教育内容の理解が今後ますます必要になるというお話をいただき,その中で課題がありますかという御質問だったかと思います。ここにつきましても,やはり初めのほうでお話ししました研修制度といいますか,事務職員への研修の充実というものが大変重要になるのではないかと考えているところですので,事務職員が教育内容を理解するうえで課題があるとすればそこではないかと考えております。
 以上でよろしかったでしょうか。もし足りない部分があればよろしくお願いします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では続きまして西原書記次長,よろしくお願いいたします。

【西原日本教職員組合書記次長】 御質問ありがとうございます。それではお答えしていきます。
 まず香山委員からお話がありました2Eのお話でございますが,言葉足らずの部分と,それから文面上抜けている部分といいますか,公教育という言葉を文面上,入れておりませんで,誤解を招いたかと思います。
 特異な才能部分,突出した部分といったところを,公教育が担うのかどうなのかというところになります。もちろん,サポートしなければいけない部分はしっかりとサポートし,インクルーシブな学校づくりを図っていくという考えでございます。
 この,特定分野に特異な才能を持つ子供に対する指導については,様々な例示もされておりまして,どういうふうにつないでいくかということも書いてありました。公教育としての立場というところで,義務教育の共通性・公平性といったところで,最低ラインといいますか,必要なところをしっかりやっていくという趣旨でございます。
 もう1つは,毛利委員からございました,デジタル・インクルージョンといいますか,どこまでICTを活用していくのか,またインクルーシブ教育をどういうふうに日教組は考えるのかということですが,ICT機器のツールとしての活用は大変重要なのですが,ただそれは,例えば同じ教室の中で分けると,あなたはこっち,あなたはこの課題というふうに教育内容を分けたりすることについては,問題ではないかと考えております。
 実は先ほどお話をさせていただきましたが,デジタル・シティズンシップなのですが,その中でもデジタル・インクルージョンがキーワードで入ってきます。今後,様々な教育実践を私たちも集約しながら,しっかりと取り組めるように,現場と共にやっていきたいと考えております。
 橋本委員からございました少人数学級についてですが,20人以下学級というのはちょっと現実的ではないのではないかというような趣旨だったかとも思います。10人,11人,それを望むのかという話でありますが,全国の学校――私もそうなのですが,どうしても都市部の学校のイメージを持つ方,あるいは大規模校をイメージする方が多いのかと思います。そういった中で,どんどんクラスサイズを小さくしていくということを想定しての部分でございます。
 過疎地域といったところですと,既に2人とか3人といった学校もある状態ですし,この20人以下というのは総体の目標値という形で,今回は具体的にお示しをさせていただきました。
 また,20人以下学級が実現をしたときには,先ほど懸念されていました,じゃあ21人だったら10人,11人にするのかというところも,当然,その時にはいろいろな検討課題,そこに至るまでの過程で,その人数についてどうしていくのかというのが検討されることかと思っております。
 また,教員の確保の課題,様々な課題があると思います。最後にこちらの中間まとめでも書いていただいていますが,かなり踏み込んだ形で教員の採用に当たって書いていただいております。また,先ほど私も申しましたが,免許の更新制というのは1つの課題になっているかと思いますし,また受験年齢がどんどん緩和されていますが,まだ年齢制限があるところもあります。今回,中間まとめの72ページ,最後に積極的に書いていただいていますが,是非教職員の職というものが,学校という職場が魅力的なもので,多くの皆さんが希望して,なりたいと思えるような職場にしていかなければならないと考えております。
 まずは働き方改革も進めなければならないと思いますし,現場の声を聞きながら,是非また皆さんのお知恵もいただきながら,取組を進めていければと考えております。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 阿部会長,西原書記次長,ありがとうございました。今お答えいただきましたのでよろしいでしょうか。加えての御質問等がございます方もいらっしゃるかもしれませんが,時間の関係で,ここで次に進みたいと思います。
 西原書記次長と阿部会長におかれましては,お忙しい中,時間を取っていただきまして,丁寧な御説明,また御回答をいただきました。ありがとうございました。
 ではここで,後半の団体と入替えをさせていただきます。委員の皆様はしばらくお待ちください。お二人は本当にありがとうございました。

(ヒアリング団体入替え)

【荒瀬部会長】 それでは,続きまして,全国連合小学校長会,全日本中学校長会,全国高等学校長協会から御発表いただきます。
 まず全国連合小学校長会から資料3に基づきまして,喜名会長に御発表いただきます。よろしくお願いいたします。

【喜名全国連合小学校長会会長】 全国連合小学校長会の喜名でございます。初めに,これまでの中教審の熱心な御議論に敬意を表しますとともに,このような意見表明の場を設けていただいたことに感謝申し上げます。
 全連小からは,資料3に基づき4点申し上げます。資料の項番と逆の順にお話を申し上げますことを御了承いただきたいと思います。
 1点目は,学校教育の基本に立ち返ることでございます。デジタル化の議論が世の中を席巻しております。デジタルにすることだけが最善策で,アナログを否定するような流れがあることも危惧しているところであります。
 GIGAスクール構想によって,1人1台端末が整備されて,個別最適な学びが実現することは大変好ましいことだと思います。しかし,教科書も含めて,全てデジタルにすれば良い教育ができるというものではありません。中間まとめにも,デジタルか,アナログかという二項対立の陥穽に陥らないように留意するとありますが,全くそのとおりだと思います。Aか,Bかではなく,AもBもその良さを取り入れ,組み合わせることこそが大事だと思っております。その意味で,オンライン授業か,対面かという議論もナンセンスだと思います。教室に教師がおらず,子供たちだけで授業を受けることを推進するような動きは,家庭環境による影響が強くなるばかりでなく,学校教育そのものを否定するものだとも思います。到底,看過できるものではございません。
 コロナ禍にあって学校行事等の制限がございました。子供たち同士,特に異年齢の子供たち同士の関わりが減りました。教科学習の取り戻しは可能ですけれども,人との関わりの中でしか育むことのできない非認知能力の取り戻しは一朝一夕でできるものではございません。子供たち同士,子供たちと教職員の関わりの中で教育は行われています。そして,子供たちは育っていきます。Society5.0の時代だからこそ,この基本は変わらず,これまで以上に大切にされるべきだと思います。改めて,学校教育の基本に立ち返ることを強調したいと思います。
 2点目は,理念実現のための教育環境の整備であります。今回の中間まとめの理念の実現のためには,高速大容量通信基盤の整備も含めたGIGAスクール構想の完全実施が前提となることは言うまでもございません。それだけではなく,標準法の改正による30人以下の少人数学級の実現が必須です。個別最適な学びの実現,1人1台端末の時代にあって,1人の教師が対応できる範囲には限界があります。そして,何よりこのコロナ禍にあって,子供たちの健康安全を第一に,安心して学校生活を送ることができるようにするためにも少人数学級の実現が必要です。教室の広さが変わらない中で,子供たちの体格も机の規格も大きくなっており,密集が避けられない状況であります。
 今回の財政審や財務省の見解では,学力と学級の人数の相関を否定材料に用いていますけれども,学力向上の要因は,1学級当たりの人数だけではなく,集団や家庭の状況,教師の指導力や学校体制など,様々な要因があります。一つの要素で比較することは科学的ではありません。文科省も反論していただいておりますが,子供たちや教職員の健康,安全を確保することが教育環境整備の最優先事項だと考えます。その意味でも,学校における働き方改革の確実な推進も必須であります。給特法改正時の両院の附帯決議の確実な実現についても,是非言及していただきたいと思います。教育環境を整えることは,教育の人材確保にも直結します。そのことが深刻な人材不足の打開策にもなるのではないかと考えているところであります。
 3点目は,新学習指導要領との関係性の明確化です。小学校では新学習指導要領が全面実施となり,主体的・対話的で深い学びを視点とする授業改善が求められています。このコロナ禍にあって,指導計画の圧縮や指導の重点化に意識が向き,なかなか授業改善が進まないという現実もございます。一方,中間まとめでは,個別最適な学びと協働的な学びの往還や,履修主義・修得主義等を適切に組み合わせるといった新たな取組も求めています。どちらも教育課程や授業作りの根底をなす考え方であり,主体的・対話的で深い学びとの関係性を明確にしなければ,ダブルスタンダードになってしまいます。このことについて,先般の教育課程部会でも説明,議論がありましたが,やはり難しいという印象が強く残りました。改めて,本中間まとめと学習指導要領の理念の関係性を明確にされることを強く希望いたします。
 4点目は,これまでの教育改革の総括を行うことです。最後に,教育施策の根本的な部分についてお話をしたいと思います。それはなぜ教育改革は終わらないのかという素朴な疑問に集約できます。時代の流れが加速し,社会が大きく変化していく状況にあって,学校運営や教育の内容・方向についても,その流れに応じて変化していくべきものと考えます。しかし,これまでの教育課程や様々な教育施策の詳細な総括なしに教育改革が進んでいくことは,新たな理念が浸透しないだけでなく,ビルド・アンド・ビルドによって,学校はますます疲弊していくのではないかと思います。一方で,我々学校も一つのキーワードに飛びついてしまうという行動パターンから脱却しなければならないという反省もございます。
 本中間まとめにおいても,日本型教育の課題が整理されていますが,抜本的な解決策は示されていません。課題を残したまま,令和の日本型学校教育を進めていくことは,これまでと同じ轍を踏むことになり,時代が求める教育改革の前提として,改めてこれまでの教育改革を総括し,その反省に基づく施策を実現されることを強く希望いたします。
 全連小からは以上でございます。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,資料4に基づきまして,三田村全日本中学校長会会長から御発表をいただきます。三田村先生,よろしくお願いいたします。

【三田村全日本中学校長会会長】 それでは,全日本中学校長会の三田村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは,これまでの委員の皆様の御審議及び事務方の皆様の御労苦に敬意を表しますとともに,このたび,同まとめに対する意見表明の機会を頂戴しましたことを,この場をお借りして御礼申し上げます。我が国のこれまでの教育の成果の蓄積を礎とし,その上に,令和という新時代に相応の教育の方向性が具体的に描かれており,全日本中学校長会といたしまして,全体的には異論なく,賛同させていただくところでございます。
 しかし,答申を学校現場の実情を的確に踏まえたより良いものにするとの視点で,以下,意見を申し述べさせていただきます。
 第1は,個別最適な学びと協働的な学びを実現するための人的・物的環境についてです。GIGAスクール構想の実現に伴い,ICTの活用が急速に進み,全ての学校はそれを積極的に活用するようになります。しかし,どんなに技術が進歩・進化しようと,ICT機器は教材・教具の一つであり,子供たちに思考力・判断力・表現力や学びに向かう力・人間性を育むためには,ICTを効果的に活用する力を教師が身につけていることが何より重要であるとともに,教師の指導に基づく対面・集団での学びが欠かせないものであるということは揺るがぬことです。このことは,遠隔授業を進めるに当たっても変わるものではなく,つまずきへの支援や取組状況の見取り等,学習指導上の観点はもちろん,安全管理上の観点からも受信側の教室に教師の存在は欠かせないものです。このことを,答申を貫く理念としてより明確にしていただきたいと思っています。
 また,ICT機器の活用が増加するに伴い,電子黒板やタブレット保管庫を教室に設置する必要が生じる一方,教室の広さは従前のままで,スペースの確保が難しくなっております。また,生徒一人一人の机上も,教科用図書の大版化が進むとともに,タブレットの使用機会も増え,より窮屈になっています。
 そこで,これからの授業を見通した教室環境を考える必要がありますが,全国一斉の学校の増改築は不可能であり,学習集団の少人数化が必要です。しかし,一律の少人数化は学級数と教室数に不足が生じるため,当分の間は,学校の実情に応じ,臨機応変に少人数での指導が実施できるよう教職員を増配置することが,「全ての子供たちの可能性を引き出す」ための学びを実現する上でも不可欠のことです。
 第2は,教師の人材確保についてです。全体が約70ページある中で,この項目については約1ページ。また,提言も「効果的な情報発信」等,抽象的なことが3点掲げられているのみで,量的にも具体性においても,他とのバランスが取れていません。令和の日本型教育を担い,個別最適な学びと協働的な学びとを実現する者は教師であり,教師が質・量ともに十分であることが前提条件となります。
 しかし,量的な面では,教員不足は全国的に慢性化し,休職者や急な退職者が出た場合に補充する人材が見つからず,長期にわたって当該教科の授業ができないという事例は決して珍しくないというのが現状です。
 また,質的な面では,教員採用選考の低倍率化は全国的な傾向で,優秀な人材の確保が難しい状況となっています。教育委員会も危機感を抱いており,中間まとめで述べられた方策にはもう既に取り組んでいるところもございます。また,県外の都市部への人材流出という問題を抱えた自治体も少なくなく,これまでのように,都道府県がそれぞれ独自に人材確保を行うことの限界も見えてきています。
 教員の安定的な確保が最重要との認識の下,給与や諸手当の水準の向上,教員定数や授業の持ち時数の改善等の見直し,教員の採用から配置に至るまでを国が行う,あるいは,近隣都道府県が共同で実施するなどのシステムの構築はもとより,財政的基盤の確立,「教育は国家百年の大計」との国民的なコンセンサスの確立などの具体的な提案を行っていただきたいということを御要望申し上げます。
 第3は,学校を支援する外部人材の確保とそのシステムづくりについてです。「ICTの活用により空間的・時間的制約を緩和」,「学校教育に馴染めない子供に対して実質的に学びの機会を保障」,「校内の別室における相談・指導体制の充実」,「管理職や通級による指導の担当教師が日々の勤務の中で助言・支援」などということは,現在の教師の業務量では容易になし得ません。
 また,ICTを活用した学びの充実には,ICT関連機器のトラブル対応や,授業で生徒や教員が機器やソフトを使用する際のサポート等を行うICT支援員が各学校に常駐することが必要です。このように,個別最適な学びと協働的な学びを実現するためには,教育活動を支援する外部人材の確保,人材を効果的に活用するためのシステムづくりが不可欠と考えます。この点についても,今後,具体を検討していただく必要があると考えております。
 なお,その際には,学校が人材を確保するにはどうしても限界がありますことから,予算を配当するだけではなく,どのような地域においても確実に人材を確保できる仕組みを構築していただく必要があります。
 第4は,特別活動及びコミュニティ・スクールに関連する記述の薄いことです。特別活動はこれまでも日本型学校教育の特徴であり,今後の我が国の学校教育の基盤を支える教育活動として重視するとともに,その理解を深め,内容の充実を図るよう,大学の教職課程の在り方や教員の研修内容等を考察することが必要です。
 また,デジタル化の進行とともに,コロナ禍にあって,人との距離を置くことが必要となっていることから,今後,学校教育の中で発達段階に応じて,物との触れ合いから人との触れ合いまでを体系的に学ぶ特別活動等の充実を文言として入れ込む必要があると考えます。
 また,コミュニティ・スクールは,カリキュラム・マネジメントの面でも,また,令和の学校教育において,地域の人的資源を確保する上でも,地域との関係性はますます重要になりますし,何より国の推進施策でございます。これら2点について,より広範に言及すべきと考えております。
 内容に関しては以上でございますが,その他,細かな表現等に関して気になる点が4点ございますので,箇条書き的に以下申し述べます。
 1点目,これまで進めてきたものの検証が薄いと感じます。
 2点目,学校における福祉的な役割が「日本型学校教育の強み」と語られていますが,そのことに対する方策が十分ではないと感じます。
 3点目,「子供の学びや教職員を支える環境」,17ページになりますが,そのところで,「全国津々浦々の学校において指導・支援の充実,校務の効率化,教育政策の改善・充実がなされている」,「教職員配置の在り方を含め,新しい時代の学びを支える学校教育の環境が整備されている」と断言されていますが,現状は必ずしもそうではないというものです。
 最後,4点目,「平等性の面,全人教育という面,卓越性という面」,これは3ページにこういう表現がございますが,何が何に卓越しているのかというのが不明瞭だと感じました。
 全日本中学校長会からは以上でございます。

【荒瀬部会長】 三田村会長,ありがとうございました。
 では,続きまして,資料5に基づいて,萩原全国高等学校長協会会長から御発表をよろしくお願いします。

【萩原全国高等学校長協会会長】 全国高等学校長協会の萩原です。よろしくお願いいたします。
 本中間まとめの作成に当たり,これまで当たられました委員の皆様の御苦労に敬意をまずは表したいと思います。また,このような機会をいただきましたこと,大変有り難く思っております。本日はよろしくお願いいたします。
 私からは,資料として,資料5を提出させていただきました。まず全体としてということで,総論に関してということになりますが,中間まとめ全体を通して,令和の日本型学校教育では,GIGAスクール構想でICTを活用した教育について論じられていると思っております。これまで遅々として,教育活動のためのツールとしてのICT環境整備等が進展しなかっただけに,積極的に取り組むべき施策として評価できる点だと考えております。
 この実施に当たっては,校内環境の整備だけではなく,家庭内での環境整備はもとより,指導に当たる教職員の確保や研修の充実も不可欠であると考えております。教職員の働き方改革を踏まえ,システムを活用するためにICT支援員の全校配置等のバックアップ体制も必要となると考えます。物的環境整備に加え,教職員の業務内容や定数などについても更なる検討をお願いしたいと考えます。
 児童生徒たちを取り巻く家庭や地域社会の状況の変化等により,今まで以上に児童生徒たちは直接体験が少なくなっていると感じています。不確実な時代に人生を切り拓いていく資質・能力を生徒に育成するためには,ICTを活用した遠隔・オンライン指導の充実はもちろんのことですか。学校におけるリアルの触れ合いの中での切磋琢磨していく経験を積ませることも必要であると考えています。
 ICTの活用・充実と同時並行で学校における直接・協働の学びを充実させること(ハイブリッド型教育)というふうにも評価されているかと思いますが,今まで以上に豊かな学びを実現することが新しい時代の初等中等教育であると考えています。
 知識の伝授は小・中・高校教育の必要条件であるというふうにも思いますが,十分条件とは言えず,同時双方向オンラインの学習をもって学校の授業の全てが代替できるものではないと考えています。
 遠隔授業を行う際には配信側・受信側双方の教室で生徒の様子・体調や理解度等を適切に確認・判断しながら指導できる体制を整備することが,保護者から生徒を預かる学校としての当然必要なことであると思っております。
 2番目として,第Ⅱ部各論の部分になります。特に高等学校に関してということで,3項目「新時代に対応した高等学校教育の在り方について」の部分です。総論として,全体としては,特に新しい形というよりも,今まで取り組んできたことを再構築したというふうにも感じる部分ではありますが,普通教育を主とする学科の弾力化・大綱化(普通科改革)では,新たな学科で学んだ生徒の卒業後の進路先が見えにくいと思います。進路設計や進路選択は高校で完結する内容ではありません。ですから,高校で学んだことを次につなげる施策についても触れるべきであろうと思います。小学校で学んだ内容を生かして,中学校で学ぶ。中学校で学んだことをまた生かして,高等学校で学ぶということについてはよく言われますが,では,高等学校を卒業した後,その後の学び,それをどうしていくのかということがもう少し触れてもいいのではないかということです。
 それから,2つ目。3つのスクール・ポリシーについて評価できると思っております。ただ,グラデュエーション・ポリシーに関してですが,これを「卒業の認定に関する方針」という日本語を当てますと一般論としても学校現場において卒業に必要な要件,例えば修得単位数など狭義の意に取られるという可能性があるということです。良い方向性とは思うんですが,その捉え方が人によって異なるということがあると,また違う方向に動いてしまうということがありますので,その点についてお願いできればということです。
 3番目,全体を通して,その他ということになりますが,令和の日本型学校教育は,国の積極的な関わり(人,金,物の確保),設置者(都道府県教育委員会など)の理解と管轄下の学校への指導・助言,そして,校長の理解とリーダーシップが伴って初めて実現できると思います。この点について改めて付記させていただきます。
 全国高等学校長協会からは以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。今,3人のそれぞれの学校段階の会長から御発表をいただきました。この後,質疑応答と意見交換をいたしたいと思います。先ほどと同様に,御発言があおりの方は挙手のボタンをよろしくお願いいたします。
 では,香山委員,よろしくお願いいたします。

【香山委員】 岡山県の香山です。まず,喜名さん,三田村さん,萩原さん,お三方に共通する御指摘について御質問したいと思います。遠隔教育について,受信側の教室に誰も教員がいないといったようなことはあってはならないという御趣旨の御発言,共通していたと思います。これについて御質問したいと思います。
 私も全くそのことについては同感なんですけども,一方で,この中間まとめには,特例的な措置についての記述もございます。例えば,学校で学びたくても学べない児童生徒への遠隔・オンライン教育について,出席扱いにするとか,あるいはやむを得ず学校に登校することができない児童生徒については,学校外における受講も認めるといったような特例的な措置についての記述もございます。
 この辺りについては,原則は原則としつつ,「誰一人取り残さない」という観点から言えば必要かなと私は思うんですが,このことについては,それぞれの方の御意見,個人的な御意見になるかもしれませんが,伺えたらと思っています。これがまず1点です。
 それから,喜名さん,三田村さんに,小学校,中学校の御質問をしたいと思うんですけども,今,履修主義・修得主義の組合せについて,ベストミックスを考えていくといったような方向で中間まとめが書かれていると思うんですけども,私は,高等学校の校長をしておりましたので,高等学校において,小学校,中学校時代の学び直しが必要な子供たちが少なからずいるということで,何とか困り感のある子供たちを助けてやりたいという思いを持っているんですけども,例えば小学校において,中学校,高校での学びに対応するには,困難を伴うのではないかと。ゆくゆくは学び直しが必要な事態が生じるのではないかといったような,学習に困り感のある児童をサポートするには,何とかうまく修得主義の部分を取り入れられないかなと思うわけですけども,喜名さん,三田村さん,これも個人的な御意見で結構なんですが,どういったサポート,支援をすれば,そういった困り感のある子供たちが今後改善できるのかということについて御意見いただけたらと思います。
 以上,2点です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。御回答はまとめてお願いしたいと思います。
 天笠委員,よろしくお願いいたします。

【天笠委員】 天笠です。お三方の先生,会長さんに御質問させていただきたいと思います。
 まず,この中間まとめが今後,具体化していくという,そういうことになっていくかと思うんですけども,その際,中間まとめにも幾つかのところでその言葉が出てまいりますけども,学校裁量ですとか,あるいはそれぞれの学校における判断と言うんでしょうか。そういうことの必要性とか大切さということが折々に触れられているのではないかと捉えております。
 要するに,この中間まとめの今後の実施においては,それぞれの学校におけるそれぞれの経営的判断ですとかそういうものが大きなウエートを占めてくるということではないかと思っております。
 それは何もこのたびの中間まとめに限らず,振り返ってみれば,この10年,あるいは20年遡ってみると,基本的に学校の裁量あるいは学校の校長の権限の拡大。その拡大の幅等々については,いろいろな御意見等々あるかと思うんですけども,基本的にはそういう方向で,それぞれの学校における判断,もう少し言うと,校長のマネジメントに負うところと言うんでしょうか,委ねるところを求めて,この間,積み重ねられてきたと思いますし,今回もそれを更に進めていこうという判断ではないかと思っております。
 これまでの教育改革を総括云々という喜名会長からの御指摘もありますけども,改めてそういう点からすると,校長の裁量の拡大,権限の拡大ですとか,学校の裁量,そういう観点からしたときに,その辺りのところについて,それぞれどういうふうにお考えになっているのかどうなのか。取りわけこのたびの中間まとめとの関わりにおいて,そこら辺のところについて言及いただければということが一つあります。
  ついては,今申し上げたことと2点目も重なるかと思いますけども,校長のリーダーシップの発揮,あるいは校長のマネジメント力の発揮,こういう観点からしたときに,更にというか,あるいは何を環境整備として整えていく必要があるのかどうなのか。先ほどのお話も申し上げましたけども,いろんな評価がありますけども,校長のマネジメント力,あるいはリーダーシップを発揮するための制度的な整え等々を相応に打ってきたということも言い得るのではないかと思います。
 更にこの先の展望をしたときに,校長を中心とした学校の組織力を高めていく。そのためのマネジメント力をより展開していただくためには,何の環境整備,あるいはどういう環境整備ということについて求められるのか,必要とするのか。その点についての校長のお立場からの言及ということもお願いしたいと思います。
 私のほうからは以上です。よろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,今,お二人の委員から御質問がありました。3人の会長の皆さんにということもございましたが,順に御回答,御意見を賜れればと思います。では,まず喜名会長,よろしくお願いいたします。

【喜名全国連合小学校長会会長】 御質問ありがとうございました。それでは,香山委員からの御質問の中での遠隔教育についてでございます。まず小学校では,現実的にそういう場面というのは,例えばへき地の学校ですとか小規模校などで授業を受けるということは考えられます。また,臨時休業中に子供たちが家庭で授業を受けるということも考えられるわけですけれども,やはり原則は対面授業で,人との関わりの中でやっていくというのが原則だと考えますが,御指摘のように,不登校の子供たちや集団になじめない子供たち,それから,病気療養中の子供たちの学びの場の保障としての遠隔教育というのは積極的に行われるべきだと思っています。
 そして,2点目の御質問でありましたけれども,履修主義と修得主義の部分でございます。今回,この言葉が入ってきたことは,学校にとって,義務教育にとって大変大きなことだと思っています。どうしても履修主義とか年齢主義の壁があるので,何かができなくても卒業させていくということがございました。
 ただ,そのことについては,大きくは変わらない。最終的には,履修主義,年齢主義を取っていくのでしょうけれども,個々の段階では修得主義を徹底していくべきだとは考えます。そのために今回,GIGAスクール構想のICTの活用というのが大きなツールになるのではないかなと思います。また,子供たちの学習の個別化,個性化が図られるような,我々教職員,教員の指導力の問題もございます。
 また,一方で,このことを突き詰めてまいりますと,特別支援教育との関わりがどうしても出てくることになりますので,この辺りの学びも我々は深めていかなければいけないと思っております。
 続いて,天笠先生からの御指摘でございますけれども,学校の裁量権の拡大でありました。このことについては,全連小としてもずっと言い続けてきているところでございます。ただ,なかなかそのことがならないのは,教育委員会の考え方と言うのでしょうか。在り方,見識の大きな影響があるのではないかなと思います。
 教育課程の編成権限,校長にあると言われながらも,それを受理する教育委員会の思いというのがかなり強く働くというのが義務教育の実態ではないかなと思っています。また,校長の権限拡大のために,実は学校経営と言いますけれども,会社経営とは全く違っていて,人や物や予算,お金を自由にするということはほぼできません。一部のコミュニティ・スクールではそういうことも可能なのでありましょうけれども,限られた配当される予算,あてがわれた人間,そして,あてがわれたものの中でやっていく中で,どこまで拡大していただけるのか,また,拡大することでどれだけ我々が創意工夫ができるのかということも今後考えていく必要があるなと思っています。
 今回,受け手に関わって時数をフレキシブルに考えられるということがありましたけれども,これもICTの機器の活用と並んで,とても重要な視点ではないかなと思います。全国一律,同じ時間やるということが果たして子供たちの実態,地域の実態に合っているのだろうかということも考えなければならないと思います。
 2点目の校長のリーダーシップを発揮するためにどうあるべきかということでありますけれども,もうこれは校長の学ぶ力,学び続ける教師以上に,校長は学び続けなければいけないと思っておりますし,そのための職能団体としての,私ども全国連合小学校長会のような会があるのだということも御理解いただきたいと思います。管理職になりたがらないというのが今の学校現場の状況ではありますけれども,質の高い管理職を我々自身も輩出していくということも考えていかなくてはならないと思っております。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 喜名会長ありがとうございました。
 では,続きまして,三田村会長,よろしくお願いいたします。

【三田村全日本中学校長会会長】 では,まず香山委員の御質問に御回答申し上げます。1点目の配慮の必要な生徒への遠隔授業の有効性ということは,私も香山委員のお考えと全く同じでございます。基本的には,受け手側にも教師がいるということの原則は大事です。ただ,不登校生徒あるいは教室に入れない子,個別に適切に対応するためにはある程度,教師がいない状況があっても,これはやむなしと思います。いないからできないというのは間違っていると思っています。
 ただ,家庭の状況は実に様々ですので,仮にその瞬間に教師が立ち会えることがなくとも,必ず履修といいますか,受けている状況の確認ですとか,様々な評価,フォローは欠かせないものと考えております。
 それから,2点目の履修と修得の問題ですけれども,十分ではないかもしれませんが,各学校とも出来る限りの範囲内で,履修主義を基本としながらも,必要な事項を修得できるようにそういう場を作っております。ただ,中学校は部活動がございますので,時間的にどれだけ取れているかというのは正直,十分ではないかもしれません。
 また,将来的に困っていくだろうという子供にどういう支援をしているかということについては,例えばこんな取組をしているところは少なからずあります。修得目標問題というものをあらかじめ設定し,つまり,これは,例えが不適切だったら申し訳ないですけれど,数学だったら簡易な計算問題や方程式,国語だったら読み書きなど,高校入試の1番に当たるような問題は最低限全員解けるようにして進級させようという目標設定の下,取り組んでいるという例は結構ございます。これだけは修得というのを決めて,そこを徹底するということの例として御紹介申し上げます。
 次に,天笠委員の御質問に対してでございますが,1点目の校長裁量,学校裁量の判断の個別性という点ですけれども,生徒,子供が個別最適な学びをするためには,学校も個別最適な教育課程を編成する必要があると考えます。これは学校の立地により,地域性,また,そこを支える人的環境,様々異なります。ですから,そこをむしろ同じようにやるほうが無理があるわけですので,それぞれの各地域の持つ資源をいかに活用するか。そして,最適な教育を行うためには学校裁量の拡大はとても大事なことだろうと思っております。
 また,2点目の校長のリーダーシップ,経営を支える仕組み的なものということですが,これは先ほども申し上げましたように,やはり学校は何に一番困っているかというと,人材確保です。これは教師の人材という点だけではなく,地域人材。もう副校長,教頭は人探しに相当な時間を費やしているというのが現状です。お産の先生がいると言えば,講師,それから,総合的な学習の時間で地域の力をかりたいというときには,地域の方たちのいかに協力を得るか。ところが,なかなかこれがいないわけですね。部活動の外部指導員も含めまして。ですから,学校という小さなエリアしか,その範囲を持たないところで,独自にその小さなエリアの中からだけ人材を見つけるというのはもう限界に来ているのではないか。もちろん人材バンク等も活用しますけれども,ですから,先ほどの冒頭申し上げたのと重複しますけれども,人がいるんだよという,例えば教育委員会ではツイッターを積極的に活用している教育委員会もあると聞いていますし,また,人材派遣会社と連携しているところもあると聞いています。何かそういう学校を支える人材確保の支援をお願いしたいと思っております。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 三田村会長,ありがとうございました。
 では,最後に,萩原会長,よろしくお願いいたします。

【萩原全国高等学校長協会会長】 萩原です。香山委員からお話いただきました遠隔教育に関してということですが,子供に応じたということが大切と思います。例えば,学校に来たくても来られない。例えば教育を院内で受けているような子供にとっては,多様な先生が説明,専門的な先生が話をしたりという部分で言えば,オンラインを使った授業というのは向いているかもしれません。
 また,逆にいろいろな先生が関わるというのが不向きな児童生徒もいたりしますから,それに応じた形でということ。その中の一つとしてオンラインもあり得るとは思います。オンラインでの授業とICT,遠隔が全てということではないと思いますが,それをうまく取り入れられるところは入れながらということが必要だろうと私は思います。
 それからあと,天笠委員からのお話の校長の裁量権のところですが,実際に,では,校長が今現在のところで何ができるかというと,結局,与えられた人材の中で,校内での,例えば分掌,では,あなたが教務を,あなたが生活指導というような形での割り振り,そういうところでの裁量権ぐらいしかない。例えば新しい学校,学校によって新しいものを何か入れたいといったときに,予算的な部分,一定額決められた部分で東京都では自律推進予算という言い方をしていますが,その中で経常経費として毎年かかるものは,一定額,どうしても決まってしまいます。そうすると,本当に校長が自由に使える予算を組んでも,せいぜい数十万の範囲ぐらいしかない。そうすると,新たに人を呼んで講演をお願いしたり(報償費)とかぐらいで,校長によって違いが出るような予算編成であるとか,また,学校経営というのはなかなかやりにくいという状況にあると思っています。
 今後の学校としては,要するに,公立の高校であれば,都道府県の教育委員会のもともとの方針に基づいて,それを受けて,校長のほうも幹部職員という言い方を教育委員会のほうはしておりますので,当然,都道府県の教育委員会の意向に沿った形で学校運営をしていくというのは当然なんですけれども,なかなか実際にできる部分というのは,人の部分も,自分でそうそう動かせるわけではありませんし,物も,出来上がっている校舎の中をいかに活用するか。それの保守面であったりとか,そういうような部分ぐらいしかなかなかできないということで,新たなもの,例えば今回,普通科の改革ということで,高校のほうは出ておりますけれども,では,それをやるとなったときに,従来の予算のままで新たなものができるかと言えば,それはなかなかやっぱり厳しいだろうということになる。今度は教育委員会の顔色をうかがいながら,教育委員会がこれだったらやっていいよと言われるようなものであれば取り組むという形になってくると,なかなか校長の裁量でというふうにはいかないと思います。
 ただ,もう1点,校長が変わると,また学校がガラッと中身が変わってしまうというような中身になってくるのも,また問題なのかもしれません。ですので,高等学校は,その地域に応じた形でということで,地域の声を聞きながら,それをうまく回していける,そういう校長,そのための支援を常にお願いできればと思っています。
 以上です。

【荒瀬部会長】 萩原会長,ありがとうございました。
 今,御回答いただきましたが,御質問いただいたお二人の委員,よろしいでしょうか。

【天笠委員】 天笠,結構です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。
 香山委員もよろしいでしょうか。

【香山委員】 分かりました。

【荒瀬部会長】  ありがとうございました。
 では,ほかに御質問のおありの方,いらっしゃいませんでしょうか。では,毛利委員,お願いいたします。

【毛利委員】 みどりの学園義務教育学校校長の毛利と申します。本日は貴重な御意見をいただきまして,ありがとうございました。全国高等学校長協会の萩原校長先生に御教示願いたいのですが,この春のコロナ禍において,小中学校と違って,高等学校の生徒たちは,電車やバスに乗って通学する生徒が多く,そのため,オンライン授業も小中学校に比べて先行して行った学校がたくさんあるとお聞きしております。
 そうした実績から,これから小中学校ではGIGAスクールの授業が導入されていくわけですけども,そのオンライン授業の効果とか,あるいは機材やネットワークの回線などの課題等が,あとは,それを行う上での教職員の機材等ですね。もし課題や好事例がありましたら御教示いただければなと思います。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。萩原会長,いかがでしょうか。

【萩原全国高等学校長協会会長】 萩原ですけれども,今,毛利委員からお話があった件ですが,高等学校といえども,やはりコロナ禍においてオンライン授業でできたところというのはほとんどないと言っても過言ではないと私は思っております。もともと1人1台端末を持たせてということでやっていた都道府県ではかなり進んだという部分はあるかと思います。それに対して,なかなかネットの高速回線そのものが確保できていない。また,家庭環境,例えばタブレットやPCがない家庭。スマートフォンはあるけれどもというような家庭。かなり格差はあってということで,テレビ報道ではかなりオンライン授業をやっているように見える部分もあったと思いますが,私自身も,ああ,やっているところはというふうにも感じたところですけど,実際にはテレビ放映をしている学校だけで,それ以外の学校はほとんどできていなかったというように私は認識しております。
 また,全国の中でも,お話を聞いても,なかなか環境が整わないということから,どうやってうまくやっていけばいいかということでかなり苦しんでいるというところです。ですので,今回,GIGAスクール構想の中で,高等学校については,1人1台端末というのはまだ話としてはそのときは出ておりませんで,まずは回線をきちっと,太い回線を各学校に引きますと。それがGIGAスクール構想の中での高等学校に対するということで出てきた部分。そのぐらい,やはり高等学校についてもまだまだ十分にできていないという状況ということです。
 それからあと,実際にもう一つオンラインでやられているという形の部分で,ソフトウェアというか,ウェブサイト上で,多くの学校で活用することになっていたんですが,4月当初とか,例えば検温,体温を測ったときに,朝一でデータを送りなさいということで,指示を各学校で一斉にやったものですから,その会社のサーバーがパンクして,なかなか思うようにいかないというような状況に陥ったり,まだまだ過渡期ということでやっていかなければいけない課題,解決していかなければならないものは多いと思っています。
 逆に,私どもは,小中学校で進んでやっている学校のそういう先進的な事例,また,今後,GIGAスクール構想で,小中学生は1人1台,在学中に使った経験を持っている。そういう生徒たちを高校で受け入れるときに,高校ではそういう準備がなされていないという可能性のほうが,圧倒的に多くなってくるというところで,どういうふうに対応していかなければならないのかというのも大きな課題と考えています。
 以上です。

【荒瀬部会長】 萩原会長,ありがとうございました。
 毛利委員,よろしいでしょうか。

【毛利委員】 はい,ありがとうございました。高等学校でも,これからも回線や端末が必要になってくるということですね。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,橋本委員,お願いいたします。

【橋本委員】 3人の先生には,現場の実情に即した報告をいただき,ありがとうございます。我々教育委員会が受け止める点,多数あったようにも認識しております。その上で,感想を1点だけ申し上げたいと思います。
 喜名先生から発表のあった,1ページ,2番の新学習指導要領との関係性の明確化というところです。ずっと委員として,様々な特別部会や部会の議論に関わっておりますと,個別最適な学びや協働的な学びの環境と,新学習指導要領の目指す主体的・対話的で深い学びの関係というのは,ダブルスタンダードというよりは一つの線につながっていると受け止められるんですけども,反面,これは分かったつもりになっているのかなという気も自分ではしております。
 実際に,個別最適な学びといったときに,指導の個別化や,学習の個性化といったものをメインとして含んでいるんだ,こういったことも含めて,現場の先生方に正しく伝わるかというと,確かに難しいような気がしておりますし,また,ここに書かれていますように,教育課程とか授業づくりという,現場の先生方が実際に関わってこられる業務との関係を考えますと,この新しい個別最適な学びと協働的な学びの補完,あるいは履修主義・修得主義等を適切に組み合わせるといったことが本当に実務上,しっかり落とし込めるように説明をより丁寧に分かりやすくしていくということが本当に大事だなと改めて感じたところです。
 こうしたことを教育委員会としてもしっかり踏まえて,これから対応していく必要があると感じたところです。
 以上です。

【荒瀬部会長】 橋本委員,ありがとうございました。
 御質問の方がもういらっしゃらないようですので,時間もほぼ終了時刻に近づいてまいりました。よろしいでしょうか。はい。
 では,この辺りで,今日午前の部の終了をいたしたいと思います。喜名会長,三田村会長,萩原会長,初中分科会を含め,様々なところで,学校で実際に経営にも当たられながら本当に御尽力いただいていますことに感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。今日は本当に具体的なお話を聞かせていただきました。ありがとうございました。
 それでは,午後の会議につきまして,田中教育制度改革室長から御連絡をお願いしたいと思います。

【田中教育制度改革室長】 御審議ありがとうございました。午後の会議につきましても,Webex Eventsを用いて開催いたしますけれども,午前の部とURLやパスワードが異なりますので,その点,御留意いただければとお願いいたします。
 14時からの会議となりますけれども,13時半から13時50分の間に,委員の皆様にはログインいただきまして,接続の確認をさせていただければと思います。長時間の会議になりまして,大変御負担をおかけいたしますけれども,何とぞよろしくお願い申し上げます。

【荒瀬部会長】 それでは,午前の部を閉会いたします。ありがとうございました。午後もまたよろしくお願いいたします。

( 休 憩 )

【荒瀬部会長】 皆さん,こんにちは。荒瀬でございます。午後の部を始めたいと思います。ただいまから,中央教育審議会初等中等教育分科会,第17回新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会の午後の部を開催いたします。
 午前の部に引き続き,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため,ウェブ会議方式で開催させていただきます。
 午前の会議と同様ではありますけれども,会議開催方式と資料につきまして,改めて,田中教育制度改革室長から御説明をお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 それでは,午前の部に引き続きまして,Webexを用いたウェブ会議方式にて開催させていただきます。ウェブ会議を円滑に行う観点から,大変恐縮ではございますが,御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただくようお願い申し上げます。
 それでは,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第にございますとおり,今回,午後の部につきましては,資料6から資料9となります。御不明な点等ございましたらお申しつけください。

【荒瀬部会長】 よろしいでしょうか。それでは,引き続きまして,関係の団体からヒアリングを実施したいと思います。
 午後の部は,全国市長会,全国町村会,日本教育大学協会,日本教職大学院協会,全日本教職員組合の5つの団体の代表の方から,中間まとめについての御意見を伺い,質疑応答,意見交換を行います。
 なお,この午後の部も午前の部と同様,報道関係者の皆さんと一般の方向けに,会議の模様をWebexで配信しております。御承知おきください。
 それでは,議事に入ります。まず,全国市長会から御発表をお願いいたします。続いて,全国町村会から御発表をお願いいたします。お二人の発表の後,質疑応答と意見交換の時間を取りたいと思います。
 では,資料6に基づきまして,吉田全国市長会社会文教委員会委員長から御発表をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【吉田全国市長会社会文教委員会委員長】 では,申し上げます。全国市長会社会文教委員会に80人以上の意見を求めまして,うち29市長から意見をいただいております。その中の主な意見をまず発表させていただきます。
 まず小学校高学年からの教科担任制の導入ということで,35・36ページについてでございます。現行の教員配置の教科担任制を導入した場合,教員1人当たりの授業時数の増加につながるため,教員配置の増加を是非講じていただきたい。意見でございます。
 続きまして,特に英語教科については,令和2年度から小学校で全面実施となっていることから,優先して専科教員の全国配置をすべきであるということです。また,教員の確保が課題となることから,地域の実情に応じた導入ができるよう,柔軟な制度設計に努めていただきたいということです。
 続いて,いじめ等に適切に対応するための方策,37ページから39ページでございます。いじめ等への対応について,教員の対応に苦慮するケースが増えております。スクールロイヤー等の専門家の配置,促進を是非図っていただきたいということです。
 また,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーの配置時間の拡充,及び必要な財政支援を講じていただきたいということです。
 次に,新時代の特別支援学級の在り方について,これは46ページからでございます。
 実は特別支援学校に在籍することは望ましく,かつ,それを希望していながらも,通常の小中学校へ進学し,特別支援学級にいらっしゃるお子さん方も実情では大変多いわけでございます。
 この市町村立の小中の学校の特別支援学級から,都道府県立の特別支援高等部への,特別支援学校の高等部ですね。進学等について,しっかりと卒業後の進路を見据えた上で一貫した支援を行っていくことが必要であるという意見をいただく中で,全体的に,特別支援学級,また,学校,いろいろな設置者がそれぞれ異なる場合があると。この設置者が異なる機関同士の連携ということをもう少しこの中に盛り込むことが必要ではないかなということを,これは様々な市長さんの意見を拝聴するというか,受け止める中で,私自身感じているところでございます。
 また,特別支援学級の充実を図るためには,一人一人の特別支援教育ですね。一人一人の教育的ニーズに応えるための教員の専門性の向上。これは特に市町村立の通常の小中学校における特別支援学級についてなんですけれども,やはり1学級当たりの定数の見直しであるとか,あるいは特別支援教育支援員の配置の充実。通級指導教室の充実等々。現在,発達情緒障害通級指導教室は13人に対して教員1人の配置となっておりますけれども,やはりもう少し充実が図れないかという現場からの声も出ておるところでございます。
 そして,続いて,53ページ,増加する外国人児童生徒等への教育の在り方についてということでございますけれども,全国的に今後,外国人児童生徒数の増加傾向が考えられる中で,出身国も多様化しておりまして,多言語に対応していかなければならない状況にございます。保護者対応には苦慮する面がございまして,適切に対応を図っていくことが急務です。日本語指導教室の設置に当たりまして,定数の見直しを図り,外国人児童生徒の実態に応じた柔軟な日本語指導教室担当者の配置が可能となるような積極的な対応をお願いしたいということと,通訳の配置に当たっても予算措置を含めた国の積極的な支援をお願いしたいという声をいただいております。
 58ページから63ページのICTを活用した学びの在り方等についてですけれども,自治体によってICT機器の整備に格差が生じないよう,ICT機器の整備,更新,維持管理について,継続的な財政支援措置を講じていただきたい。特にデジタル教科書については,現在,紙の教科書が無償で提供されている趣旨に鑑み,無償化を前提として検討していただきたい。そして,ICT支援員等について,その人材確保及び配置を充実させるための財政措置を拡充していただきたいということです。
 64ページ以降の少人数学級編制についてでございます。少人数学級,少人数指導を進めるためには,教員の配置増はもとより,相当の期間を要する校舎の増改築等が必要となる場合もございます。そのため,全国一律に進めるのではなく,地域の実情を十分踏まえるとともに,施設整備に関わる財政措置についても拡充していただきたいということです。全体として,実施主体は地方自治体となることから,公立小中学校の設置者である長等の意見を十分に聴取し,時間的余裕を持った上で検討を進めていただきたいということです。これが全般的な意見です。それから,個別の市町村からいただいている意見の中で,もし私のほうでこれは取り上げるべきかなと考えているものがありますので,この際,申し上げさせていただきます。19ページをお開きください。
 19ページの(1)の「学校教育の質と多様性,包摂性を高め,教育の機会均等を実現する」の丸の3つ目,「性同一性障害や性的指向・性自認に係る児童生徒が」,この後です。「少なからず存在しているとの指摘もある」と。ここについては,こういう言い回しではなくて,「性的指向・性自認に係る児童生徒が存在している」と,こういう形で,「少なからず」とか「指摘もある」というところは削除して,「存在している」という言い方のほうがよろしいのではないかという御意見をいただいております。私もそのように感じております。
 続いて,20ページでございます。丸のポツの2つ目でございますが,この真ん中から下のところに,「このように消極的な配慮ではなく」と,これは文章からいって,ICTの導入ということについてに言及していることは分かるのございますが,実はここについて,首長さんから,いわゆる教育的配慮にも消極的な配慮という,消極的というふうに受け止められかねない記述ではないかという御意見をいただいておりますので,御指摘をさせていただきます。
 それと,32ページでございます。キャリア教育についてでございます。キャリア教育について,全般的なことはうたっているんですけれども,個別具体的な例で,ここに代替案まで載せる必要は全くないんですが,例えば,日本サッカー協会等が小中学生に対して,アスリートを派遣して,夢の教室という授業をやっていると。これは非常に学校にとっては有益であるということを感じている自治体,私のところもそうなんですけれども,多いと思うんですね。
 同様のケースと言うんですかね。外部団体と言いましょうか,かなり準公的な団体が青少年の教育のためにいろいろな授業をやっている。こういったところと積極的に連携していくというような,そういったニュアンスも必要ではないかと思っています。
 最後になりますけれども,これはすみません。今日は私,社文の委員長としてここに出ているんですけれども,この委員会の委員として,前回よりお話ししていることで,一つだけ気がついたことがありますので,御指摘をさせていただきます。
 まず私自身,主権者教育のことについて申し上げました。これにつきましては,御指摘いただいておりまして,実は16ページですね。16ページの高等学校教育のところに「主権者の一人としての自覚を深めることを含め」という記述が載ったので,これは非常に有り難かったなと思っているんですけれども,今度,具体的に高等学校のあるべき姿ということで,後ろのほうのページでございます。
 39ページから始まる新時代に対応した高等学校教育の在り方についての40ページ辺りになるんでしょうか。2ポツ辺りに,ここにいろいろと高等学校というのは,「初等中等教育段階最後の教育機関として,高等教育機関や実社会との接続機能を果たすことが求められており,社会経済の変化を踏まえながら,自己のキャリア形成と関連付けて生涯にわたって学び続けていけるよう」云々と書いてあるんですけれども,これは生涯にわたって学び続けるということはもちろん大事なんですけれども,冒頭のほうで,主権者としての自覚ということを入れていただいたのであれば,やはりこの高等学校教育の在り方の中にもそういった,これからの社会,これからの日本国家を担っていくんだというような,しっかりとした自覚を持っていくような教育というのを,こういう具体的なところも織り込んでいただきたいなということを最後に申し上げさせていただきます。
 以上で私からの話を終わらせていただきますけど,よろしいでしょうか。大丈夫でしょうか。

【荒瀬部会長】 はい。承りました。委員の皆様,よろしいでしょうか。特に何かなければ。
 吉田市長,皆さん,お聞きいただけたと思います。ありがとうございます。
 それでは,続きまして,全国町村会から御発表をお願いいたします。坂口全国町村会政務調査会行政委員会委員長から御発表をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【坂口全国町村会行政委員会委員長】 全国町村会の行政委員長の徳島県の那賀町長の坂口でございます。このたび,中間まとめの内容に関しまして,本会の所管する委員会の委員に意見照会を行いましたので,その回答も踏まえて,意見を述べさせていただきます。
 まず初めに,「幼児教育の質の向上について」であります。幼児教育は,将来の人格形成に重要な役割を持っており,これを担う優れた人材の確保や質の向上を図っていくことについては,「中間まとめ」の25ページに示された方向で進めていただきたいと思っております。
 しかしながら,町村部における人材確保は大変厳しい状況にあります。また,幼稚園がなく,保育所や児童館で幼児教育を実施している小規模町村もあります。このようなところでは,教育の質の確保を図るため,関係機関相互が連携し,共通の認識で幼児教育に取り組めるよう支援体制が必要となります。
 そのため,体制整備等の際の「要」となる幼児教育アドバイザー等の専門人材については,国の責任で各自治体に配置していただくようお願いいたします。
 また,多くの自治体で,こども園として幼保一体化し,運営している中で,文科省と厚労省の連携が取れていないのではないかという危惧をしているのが現状でありますので,幼保無償化による預かり時間による授業料,保育料の差がなくなった点等を含めて,国においても十分連携を取った指導体制を構築していただきますようお願いいたします。
 次に,「義務教育9年間を見通した教科担任制について」であります。「中間まとめ」の35ページでは,「小学校高学年からの教科担任制を令和4年度をめどに本格導入する必要がある」とされています。専門性を持った教師の指導による授業の質の向上や,持ちコマ数の減少による教師の負担軽減,中学校の授業への円滑な接続など,一定の効果が期待されるところですが,まずはその前提となる教科担任ができる教員の加配及び配置基準の緩和が図らなければなりません。各小学校にそのような教員が加配等されることが望ましいことは言うまでもありませんが,それが難しければ,小規模校のグループを作り,複数校を担当する教員を加配する方法や,中学校に加配された教員がその校区の小学校において教科担当する方法などが考えられます。
 後者の場合,小学校教諭の免許状が必要になるため,学生が小学校・中学校両方の免許状を取得しやすい環境整備や要件の緩和等,弾力的な運用を求めます。教科担任制は将来的には必要な制度であると思いますが,中山間地等の小規模校では,課題も多いため,導入に当たっては拙速に進めることなく,地域の実情を十分御理解いただいた上で,慎重に段階的に行っていただくようお願いいたします。
 次に,「新時代に対応した高等学校教育の在り方について」であります。高等学校教育で普通科の授業に加え,弾力的に地域社会の課題解決のための学科等を設置することは,高校生が郷土への愛着を深め,生まれ育ったまちに働きの場を求めるなど,若者の定住や地域の活性化に結びつく可能性があります。これを実践するため,「中間まとめ」の43ページに提言されているように,高校と地域社会や地元企業,大学等が連携した教育活動の展開は是非進めていただければと思います。
 また,関係機関等との連携に当たっては,これまでの教職員数では無理があるため,担うことができる教職員の加配や,地域と学校をつなぐ専従のコーディネーターの配置等,体制整備が極めて重要となりますので,是非ともよろしくお願いいたします。
 次に,「特別支援教育の在り方について」であります。昨今,特別な支援を必要とする児童生徒は増加傾向にあり,特別支援学校の不足が課題となっています。そのような中,町村の一部においては,支援を必要とする児童生徒がいるにもかかわらず,指導できる人材の不足等から十分な支援が行われていないという実態もあります。
 このような実態に鑑み,教師への研修の実施や,職員の処遇改善を図るなど,人的体制整備を進めていく必要があります。「中間まとめ」の47ページにもある特別支援教育コーディネーターの派遣は,離島や中山間地の小規模校にこそ必要であり,コーディネーターのアドバイス等によって,教師の資質向上が図られていくものと思われます。
 次に,「ICTを活用したオンライン教育について」であります。新型コロナウイルスの影響で,オンライン教育の必要性が高まったため,GIGAスクール構想実現に向けた機器等の基盤整備については前倒しで進めていただきたいところであります。今後は,ICT教育を効果的に実施するための人材の確保が重要な課題となってきます。町村では,ICT支援員の数は,いまだに不足しているのが現状ですので,都市部との教育格差が生じないためにも,支援員を確実に配置していただくようお願いいたします。
 また,現在,政府が最重要課題として進めているデジタル化施策やGIGAスクール構想の推進に鑑みても,デジタル教科書の普及は必須でありますので,この流れを止めないためにも,費用負担は,紙の教科書同様に,無償化していただくよう検討をお願いいたします。
 オンライン教育は今後ますます浸透していくと思いますが,10月2日に萩生田大臣が会見でおっしゃっているように,コミュニケーション能力や協調性など豊かな人間性を育む観点からも,対面教育の大切さを忘れてはなりません。
 社会生活にとって必要となる基本的な事柄も数多くありますが,集団生活の中でしか身につかないものがあります。義務教育の基本はあくまで対面教育であり,オンライン教育はそれを補完するものとして位置づけ,児童生徒の健全育成に留意する必要があるものと考えます。
 また,「新時代の学びの在り方」として,「少人数編制を可能とする教師の確保や,施設整備を計画的に進めていくべきである」との提言をされておりますが,少人数学級の導入は,本会のかねてからの要望事項でもありますので,是非施設整備の支援も含めて進めていただきたいと思います。
 次に,「人口動態等を踏まえた学校運営等について」であります。地方では,児童生徒の減少による学校の小規模化が急速に進んでいます。そのような中,小中学校を統合し,小中一貫教育を導入したり,空き教室を地域住民との交流の場として活用するなど,地域の実情に応じた取組を進めている町村もあります。
 特に小規模町村では,学校が地域の「核」として,守るべき大切な存在となっており,統廃合が地域全体に大きな影響を及ぼすことになります。このような小規模校にはきめ細かな指導が可能になるといったメリットや,地域ぐるみで子供を育てるという温かみもあります。「中間まとめ」の65ページでは,「学校の統合や存続については,それぞれの学校設置者の主体的判断による」とされていますが,存続を希望しているにもかかわらず,存続を断念し,統廃合に追い込まれることのないようお願いいたします。
 最後になりますが,子供たちは「国の宝」であり,子供たちを健やかに育むことが,我が国が将来にわたり発展していくための鍵となります。
 以上,申し上げたことは,日々住民に接している私たち町村長が実感しているところであります。委員の先生方には,これら現場の声をしっかりと受け止めていただき,次代を担う子供たちに寄り添った教育施策を進められる「よりどころ」となるような,最終答申を取りまとめていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 坂口委員長,どうもありがとうございました。
 それでは,今お二人から御発表いただきました内容につきまして,質疑応答,意見交換を行えればと思います。御発言のおありの方は,いつものように挙手ボタンをよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 では,毛利委員,お願いいたします。

【毛利委員】 つくば市立みどりの学園の毛利と申します。全国市長会の吉田様にお伺いしたいと思います。今日,本当にすばらしい御発表で,大変勉強になりました。ありがとうございました。
 お伺いしたいことは,吉田様の資料にも地域間格差のことがたくさん書かれております。今回,GIGAスクールで,今年度中に整備を進めているところが多いと思うんですけども,やはりそれを先頭を切ってやられている首長様としては,どういうところが苦労されて,ほかの自治体も含めて,苦労されているのか。あるいは入った後ですね。どういうことが課題がありそうなのかなというのと,あとは,GIGAスクールに期待されていることがありましたら御教示いただければと思います。よろしくお願いします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。毛利委員,今のは吉田委員長だけでいいですか。

【毛利委員】 お二方,お願いします。

【荒瀬部会長】 はい。では,坂口委員長にもお尋ねすることにいたします。

【毛利委員】 はい。よろしくお願いします。

【荒瀬部会長】 御質問,ほかにございませんでしょうか。では,香山委員,お願いいたします。

【香山委員】 今,毛利委員がGIGAスクール構想について質問されましたので,私は,少人数学級編制についてお尋ねしたいと思います。少人数学級編制は,教員の加配も必然的に伴ってくる大きな動きになりますので,GIGAスクール構想に匹敵する,あるいはそれ以上に予算が今後必要になってくることではないかと思います。
 今後,段階的に35人が30人になればいいとか,25人になればいいとか,これはいろいろ議論が分かれるところだと思うんですけども,全国市長会の意見を集約されるプロセスにおきまして,どういったところを最終的なゴールにするのかといったような議論はございますでしょうか。具体的な数字も含めて教えていただけたらと思いますし,これにつきましては,町村会のほうも議論があれば教えていただけたらと思います。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。ほかにはございませんでしょうか。
 それでは,今,お二人の委員から,お二人の市長会,そして,町村会に御質問がありました。順にお答えいただければと思います。
 では,まず吉田委員長,よろしくお願いいたします。

【吉田全国市長会社会文教委員会委員長】 毛利先生,香山先生,ありがとうございます。それでは,まず毛利先生のお尋ねの点から,現状,今後も含めまして,お尋ねの点につきましてお答えをさせていただきます。
 まず環境が整って始まりましたよというところももちろんありますけども,まだ全体としては,今,整備の途上というところが多いのではないかなと考えております。その中で聞こえてくるお話としては,事業者ですね。業者がその地域,市なりにある,なしによって,非常にそこで整備の速いところと遅れるところが出てきているという声が伺っておるところです。
 いずれにいたしましても,例えば私のところの市においても,7万8,000人の町で,公立の中学校が4つ,そして,小学校が13。これ以外に整備するに当たって,1業者にやってもらっているんですね。ですから,どうしても,早く,早くと言っても,一つずつ学校にLANの整備をしていくわけですけど,当然,数か月の時間がかかるわけでございます。まだ私どものほうは始まっているからいいわけですけども,まだ整備すら,なかなかめどが立っていないような自治体もあるやに聞いております。これはやはり格差としてある。でも,いずれにしても整備を進めております。それから,やはり人材確保をしっかりやっていかなければならないということです。先生方はもちろんですけども,いろんな手を使って子供たちにICT環境の中でも教育がスムーズに行われるように作っていかなければいけない。先日,先生の学校にもお伺いさせていただきまして,実は先生がしっかり習熟することによって,先生から先生,また,共有もできていくということを聞きまして,非常に私も心強く思っておりますので,怖がらずにどんどんやろうということは申し上げているところでございます。
 しかし,そういった面では,人材の確保,それから,将来的な,これはパソコンですから,タブレットですから,いつまで使うのかということもありますので,いろんな意味で,財政的に非常に心配されている自治体があるのも現状でございます。ですから,それ以外の人,まだ全体に行き渡って始まっている状況ではないので,もう少し状況を見定めながら,どんな課題が出てきているのかというのを全国市長会でもしっかり把握して,そしてまた,国あるいは都道府県等にしっかりとまたお伝えさせていただきたいなと考えておりますので,まだ始まって,整備すら途上であるという状況であると御理解いただきたいと思います。
 続いて,香山先生のお話でございます。少人数学級につきましては,現状の教室の大きさ,64でしたか。平均で64平米,たしかそうだったかなと思いますけれども,いずれにしても,40人学級では三十何人ということで,非常に密になっている状況でありまして,コロナ禍の中,これでいいのかというような議論もある中で,少人数ということも言われておりますけど,同時に,これは私自身も感じているところですけど,やはりICT教育をしっかり進めて,きめ細かくやっていくという観点からも,是非これは少人数学級にしていくことが非常に望ましいと考えております。
 全国市長会での議論ですけど,いろんな議論がございます。
 結論から言いましても,現時点で何人にするという落としどころの議論までは,実はまだ至っておりません。これからこれを詰める中で何人ということを申し上げていくことになるだろうと思っていますけれども,取りあえずはまずは35人,そして,30人ということについては,是非進めていただきたいというのが,これが多くの市長さんの御意見というふうに私どもは受け止めているところでございます。
 そのようなことになっております。以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 ては,同じ御質問でありましたが,坂口委員長,よろしくお願いいたします。

【坂口全国町村会行政委員会委員長】 町村会といたしまして,市長会の吉田様のお話と重複,前後しますが,小規模校はもちろんでございますが,町村では統廃合の問題もかなり出ているというのが現状でございます。
 そうした中で,ICTの教育,オンライン教育等につきましても,やはり人材の確保という点につきまして,市長会の御意見にもございましたが,その確保に今,非常に苦戦しているというのが現実でございます。また,そうした中で,通信機器等の整備状況につきましても,例えば私の町は特に700平方キロメートルという広い面積の中で,光ケーブルの敷設の点も含めて,通信環境の整備に多額の財源を必要としているのが現状でございます。
 全ての一人一人の子供に平等な対応をするという条件整備に非常に苦慮している点も町村の大きな課題となっております。また,少人数学級編制導入につきましては,先ほども申し上げましたが,町村会のかねてからの要望事項でもあるので先生方の派遣について,十分配慮をお願い申し上げます。併せて先ほど申し上げましたオンライン教育につきましても,対応していくための施設整備等,今までと状況が変化していく中でも工夫しながら対応しておりますが,やはりそれにも各町村の限界もございます。そういった点につきましても,是非ともご配慮いただきますようお願いを申し上げます。
 それから,最初に申し上げましたが,特に我々として今後どうすべきか,悩んでいる幼児教育関係につきまして,こども園を各町村は進める中で色々な課題が出ております。冒頭申し上げましたように,保育の無償化によって,保育料等の差がなくなったということについて,やはり長時間預かっていただける保育所部分を希望すべきかなど,保護者の方もその中でどちらを選択すべきか混乱状況になっているというのが現実で,こども園をもう保育所的な保育園にする,元に戻すという,そういった町村も出ております。
 制度の狭間での課題を解決するため是非とも国でも指導体制の構築等につきましては,今後におきましても十分御検討をお願い申し上げたいと思っております。
 私からは以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 毛利委員,香山委員,今お答えいただきました。よろしいでしょうか。

【毛利委員】 ありがとうございました。

【香山委員】 ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 はい。ありがとうございました。
 では,東委員,お願いいたします。

【東委員】 途中から大変失礼いたしました。札幌市にございます美晴幼稚園の東と申します。幼児教育の立場で,感謝と,それから,お伺いをしたいと考えております。
 まず全国市長会の御発表について聞くことができませんで,資料だけ拝見した中でのことではあるんですけれども,この部会でも幼児教育の学びの形成が,その後の義務教育以降の学習や生活に非常に結びつく基盤整備が大事だということを一貫して,中間取りまとめの中でも生かされておりますし,全国市長会の論点においても,特に5番目の総論の中で,今一番課題となっている特別支援教育について,切り分けて記述して,言及されていること。あるいは,施設整備のところで,就学前教育,幼児教育からのつながりの中で体制を整備することが非常に重要なのだという言及があることに非常に感謝申し上げます。今後とも引き続き御指導を賜ればと思います。
 それから,町村会の坂口様に御質問というか,お伺いしたいんですが,御意見と,今の御回答の中にもありましたように,子ども・子育て支援新制度,及び昨年10月からの幼児教育・保育の無償化によりまして,様々な施設類型の中で,困難や,保護者の悩み等もあるかと承知しておりますけれども,幼児教育の質の向上という側面から,研修ですとか体制整備において,教育委員会と首長部局,あるいは基礎自治体と都道府県との役割分担等で,もし課題が顕在している具体的内容がございましたらば御教示賜れればと思います。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,町村会の坂口委員長,よろしくお願いいたします。

【坂口全国町村会行政委員会委員長】 私から,幼児教育についての御質問がございましたので,その点についてお答えいたします。幼児教育につきまして,私の町においてもこども園を新たに整備し,保育所部分と幼稚園部分を同じ施設の中で対応しております。その中で,無償化対象の3歳から5歳の部において,教育・保育内容も含めて,差をつけるわけにはいかないという点について,厚労省,文科省等関係府省よりいろいろな研修や指導体制等を構築していただきたい。
 そうでなければ,同じ施設の中で別々に幼児教育を行うことについて,保護者からも課題点も言われております。それから,やはりそうした中で,無償化において,幼稚園部分での預かり時間が今の従来どおりの3時,保育所部分の場合は夕方5時過ぎまでと差が出てきますと,幼稚園部分利用者からやはり無償だから5時まで預かってほしいと。難しいのであれば,保育所部分のほうに変えようかというような保護者の御意向もかなり出てくるのです。その対応等も含めて課題がございますので,やはり厚労省からも,そういった保育士に対する研修の在り方や研修の制度。首長としてもそういった研修の機会があるたびに,担当者に出ていただいているのですが,その対応策,指導体制をもう少し国からも御助言なり,御指導いただければと思っております。
 以上,よろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 東委員,よろしいでしょうか。

【東委員】 ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 それでは,お二人,吉田委員長,坂口委員長,お時間いただきまして,御説明いただきまして,また,委員からの質問に対して,丁寧にお答えいただきまして,ありがとうございました。
 では,午後の部の第1部といいましょうか。お二人からの意見発表を終えたいと思います。ありがとうございました。
 では,入れ替えていただく関係がございますので,お待ちいただきたいと思います。

(ヒアリング団体入替え)

【荒瀬部会長】 では,日本教育大学協会,日本教職大学院協会から御発表いただきます。まず日本教育大学協会から御発表いただき,その後,日本教職大学院協会からの御発表をお願いいたしますが,質疑応答,意見交換はお二人の御発表の後でお願いしたいと思います。
 では,松田日本教育大学協会企画・調査研究委員会委員長から御発表いただきます。よろしくお願いいたします。

【松田日本教育大学協会企画・調査研究委員会委員長】 よろしくお願いいたします。日本教育大学協会の松田でございます。本日は,このたびまとめられました中間まとめにつきまして,ヒアリングの機会をいただきまして,誠にありがとうございます。日本教育大学協会より改めて感謝申し上げます。
 日本教育大学協会は現在,全国56の国立教員養成系大学・学部によって構成されております。当協会では,昭和24年に発足以来,教員養成の改善,向上を中心的な課題として,多年にわたり活動を行ってまいりました。
 本日は,日本教育大学協会の常置委員会でございます企画・調査研究委員会の委員長を務めております私,松田から,日本教育大学協会としての意見を述べさせていただきたく存じます。集合的な場所におりますので,マスクをしておりますことをどうぞお許しください。
 それでは,資料に基づいてお話しさせていただきます。中間まとめにつきまして,第1部,総論の基本的な認識と現状の分析を踏まえまして,令和の時代にふさわしい日本型学校教育を構築する必要があるという方向性は,大学・学部,大学院における教員養成の資質向上を図る上で大変重要でございまして,日本教育大学協会といたしましても,その考えを共有するところでございます。それを踏まえまして,以下に大きく7つのポイントで意見を述べさせていただければと思います。
 まず1点目は,幼稚園教諭免許状と小学校教諭免許状との併有の促進についてでございます。「③教職員の専門性の向上」(28ページ)において,幼稚園教諭免許状と小学校教諭免許状との併有の促進について御指摘がございます。しかし,平成28年の教育職員免許法改正及び平成29年の同施行規則改正によりまして,小学校教諭の免許状と幼稚園教諭免許状の併有が非常に困難となっており,この提言にある種,逆行するようなものに見えるところがございます。
 ただし,経過措置といたしまして,幼稚園教諭免許状取得のためには,従来,領域に関する専門的事項(幼稚園教育要領で定める健康,人間関係,環境,言葉,表現)は教科に関する専門的事項(小学校の国語,算数,生活,音楽,図画工作,体育)の単位を修得させることにより習得したものとみなすことができるとされており,この措置は平成34年度(令和4年度)までの入学生に対する暫定的措置とされているところでございます。
 「中間まとめ」が提言する両免許状の併有を維持するためには,少なくともその暫定措置を延長する必要があるのではないかと考えております。延長措置がなされなければ,現在,小学校教諭免許状と幼稚園教諭免許状を取得させている大学においては,両方の免許を取得させることが非常に困難となることが予想され,併有者が大幅に減少していくことが予測されるところでございます。
 次,2点目に移ります。義務教育9年間を見通しました教科担任制の在り方についてでございます。
 小学校高学年における教科担任制を導入する上では,学校規模や学校の地理的な条件に配慮した教員配置が不可欠でございます。このときに,「①小学校高学年からの教科担任制の導入」(35ページ)で例示してございます外国語・理科・算数などのほか,音楽などの実技系の科目などが候補となるものと考えられますが,地方においては,当該免許状を有する人材を,非常勤の任用形態ですら確保することが困難となるものと考えられます。
 このような状況に対応するために,当該自治体における義務教育学校化や広域・複数校による小中一貫教育の導入,大学による小学校教諭免許状と中学校教諭免許状の併有の促進などの関係機関の取組は誠に重要な視点ではございますが,あくまで関係者の努力にとどまるものでございます。「中間まとめ」が「当該教科の専科指導の専門性の担保方策や専門性を有する人材確保方策と併せ,教科担任制の導入に必要な教員定数の確保に向けた検討の具体化を図る必要がある」(36ページ)と指摘しているように,教員定数として,「具体化」できるかどうかが最大の鍵となるかと考えております。
 当該教員免許状を有する者を全ての地域で専任教員として配置できるような思い切った教員定数措置を国として進めることが求められるかと思います。「教員定数の確保に向けた検討の具体化」ではなく,「教員定数の確保の具体化」とした記述に御修正いただけたらと望むところでございます。
 次,3点目でございます。いじめの重大事態,虐待事案等に適切に対応するための方策についてです。いじめ,虐待への効果的な対応策を講じるための調査研究は大変必要であると思っておりまして,進めるべきであると考えます。
 なお,37ページで指摘している不登校の問題と,新たに子どもの貧困問題も含め,教育を受けることが困難な子どもたちの問題を解決するために,公教育の在り方と教育人材の研修・養成の在り方を研究開発し,その実践を全国展開することが重要と考えております。
 次に,4点目でございます。新時代に対応した高等学校教育の在り方についてでございます。新時代に対応した高等学校教育についての基本的な考え方,各高等学校の特色化・魅力化,教科等横断的な学習の推進など重要な指摘が行われております。その一方で,「中間まとめ」は義務教育段階での教師の養成の在り方については紙幅を割いて言及されてございますが,高等学校教育を担う教師の養成等の在り方や改善についてはほとんど言及されていません。これは45ページで,「また,教員養成や教員研修の在り方も併せて検討していくことが重要である」と記述されているところではございますが,言及が少し少ないと感じております。
 高等学校の教員養成は,主に一般大学・学部において専門教育を受ける傍ら,法令上求められる最低限の教職科目を履修する形で行われており,高等学校教育に期待される教育の質を確保する上で,教科専門の知識は備えていても,教科教育の理論と実践,生徒指導・教育相談の理論と実践において不十分な実態にあることは従来から指摘されてきたところかと思われます。高等学校における教員養成については,指導法開発の研究拠点の確保等が検討されるべきであると思います。
 次,5点目でございます。ICT人材の確保についてでございます。「中間まとめ」は,日常の教育活動におけるICT活用の推進という次元を超えて,AI技術が高度に発達するSociety5.0時代における教育の在り方,新型コロナウイルス感染症収束後の遠隔授業・オンライン授業の在り方等について改革を提言しているように,ICTの活用は,今後の学校教育において重要な意味を持つと考えられます。
 教員養成においては,「教育の方法及び技術」,「各教科の指導法」,これは教職科目でございますが,これらの科目において,ICTに関する内容を扱うだけではなく,「中間まとめ」が指摘するように,施策の裏づけとして,中核を担うICT人材の養成が重要な課題となってくるものと考えられます。
 ICT支援員などの人材については,非常勤や期限付の任用では,安定した人材の養成は困難であると考えられることから,スクールカウンセラーなどのように,教育機関に配置すべき専門家として位置づけることや,社会人のダブルワークなどを活用するなど,免許制度の改善のみならず,クロスアポイントメント等の初等中等教育における適用など,養成・研修のみならず,採用・任用にまで及ぶ大胆な活用の工夫と,そのような仕組みに応じた教員養成系大学・学部での新たな教育人材の育成,あるいは小中学校における「情報」に関する科目の新設やそれに対応した教員免許種目の設定など,長期的にICTを担う人材確保の方策について検討すべきであると考えます。
 次,6点目でございます。教員免許更新制の実質化についてでございます。「中間まとめ」は,教員研修との重複や教員の負担,教員不足への対応の視点から,教員免許更新制度の見直しの必要性を指摘しています。しかし,免許状更新講習の受講者による免許状更新講習の評価結果によりますと,全体的に評価が高く,また,現職研修との関係の整理,インターネット活用による弾力的な受講形態が確保されるなど,制度運用上の改善が図られ,制度として定着してきていると思われます。
 現代におきまして学校教員に求められる役割の高度化に対応するためには,教員の資質・能力の向上策においても,私学教員を含めた国公私立教員全体を対象として,教職生活の全体を通じ,自発的かつ不断に専門性を高める仕組みの整備が不可欠であると思います。初任者研修,中堅教諭等資質向上研修など,法定研修については,教育公務員特例法によって公務員である教員のみを対象としており,免許状更新講習は,幼稚園から高等学校教員まで,100万人以上にも上る,私学を含む全ての現職教員の資質・能力のリニューアルに資する唯一の制度であることの意義を再確認する必要があるのではないかと思っております。
 教員免許更新制につきましては,単に,中堅教諭等資質向上研修との整理調整,免許状更新講習の簡便化などの制度の整理・縮減という視点だけではなく,我が国における教師全体の資質向上に関わることのできる唯一の仕組みであることに留意して,内容の段階的な高度化,教職大学院科目との互換性のあるラーニングポイント制の整備など,長期的な観点から教師の資質・能力の高度化に資するための制度として整備すべきであると考えます。
 最後に,7点目でございます。教師の人材確保についてでございます。「中間まとめ」は,採用倍率の低下,教師不足の深刻化という課題認識を背景にして,働き方改革や受験年齢緩和等の方策を提起しております。喫緊の教師不足という問題に対応するためのこれらの施策は重要であると思われますが,同時に長期的な観点から,学校教育において進められている学びの質の向上,特別支援教育に関する専門的知識など,より高度な資質・能力を備えた教師の人材確保の方策について検討する必要があると思います。
 現行の教師の人材確保は,開放制の免許制度の下で多くの教員免許状取得者を供給し,その人材プールの中から都道府県教育委員会等が採用試験を通じて,適格者を教師として任用するという仕組みを前提としております。しかし,教員免許状取得者,教員志望者自体が減少する現状におきましては,その仕組みが機能しなくなっていることが危惧されております。長期的な視点から教師として有為な人材の確保を考えた場合,教員養成の高度化,教師としての資質・能力の修士レベル化を進めて行く必要があるのではないかと思っております。
 中央教育審議会答申,「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い,高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~(答申)」,平成27年12月21日のものでございますが,ここでは教員の資質・能力の高度化を提言しております。この答申を踏まえた上で,更に教師の基本的な資格を修士レベル化することによって,その専門性と社会的地位の向上を図るとともに,給与等のインセンティブ性の明確な処遇と結びついた上進制の免許制度,「教職修士(専門職)」などの学位取得と連繋させる仕組みを整え,教師としての資質・能力の高度化を進めることが必要であると考えます。100万人を超える初等中等教育における教員の高度専門職化という量的な要請に応えるためには,教職大学院,教育系修士課程,さらには,内容の高度化を含む免許状更新講習,都道府県教育委員会の現職研修などを有機的に組み合わせた高度化の仕組み作りをしていくことが必要となるものと思われます。
 また,68ページにおきまして,学び続ける教師としての資質・能力の高度化を担う教職大学院への期待が述べられていることとも関連して,現職教員の一定の割合が継続的に教職大学院で学ぶ環境を整えるために,「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」及び「公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」に基づく研修等定数を基礎定数に参入するなどの抜本的な措置が必要であると考えます。
 同時に,現職教員については,教職大学院の共通5領域の枠組みの見直し,現職教員が学びやすい遠隔・オンライン授業の導入,ラーニングポイント制導入等のための設置基準の緩和やその運用の柔軟化について検討する必要があるのではないかと考えております。
 最後にその他事項として,教員養成系大学・学部は,それぞれの強み・特色を生かした教育・研究・社会貢献の機能を強化し,経営努力に取り組んでいるところでございますが,教員養成系大学・学部は総体的に人件費比率が高く,経営努力も限界に達しているところがございます。既に,単独では基本的な免許種の教員免許状を提供できないなど,教員養成系大学・学部としての基本的な機能を果たせない事態に至っており,地域によっては複数の大学間で共同教育課程を設置するなど,ぎりぎりの対応を行っている事例も見られるところです。
 「中間まとめ」は,増加する外国人児童生徒等への対応など,令和の日本型学校教育において教員養成系大学・学部が担うべき役割について言及しております。国立の教員養成系大学・学部が,このような新しい学校教育の諸課題に応え,次世代において求められる先端的な授業科目の開設等に対応していくためには,地域における教員養成,教師教育の核としての国立の教員養成系大学・学部の機能の維持・拡充,そして,その裏づけとしての財政基盤の確保が必要であるかと考えております。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】 松田先生,ありがとうございました。
 続きまして,日本教職大学院協会から御発表をお願いいたします。森田副会長,よろしくお願いいたします。

【森田日本教職大学院協会副会長】 よろしくお願いいたします。教職大学院協会の副会長を務めております森田と申します。どうぞ本日はよろしくお願いいたします。
 まず,このようなヒアリングの機会をいただきましたこと,協会といたしましても大変感謝申し上げます。誠にありがとうございます。協会を代表いたしまして,御礼申し上げたいと思います。
 本日におきましては,教職大学院協会ということもございますので,教職大学院の部分に特化した形での意見を述べさせていただければと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
 まず当協会でございますが,現時点で日本に存在しております54の教職大学院が全て加盟しているという協会でございます。
 教職大学院につきましては,平成20年度からスタートしておりますが,当時は19大学,入学定員も総数で706名というところからスタートしておりますけれども,令和元年度になりますと,各都道府県に必ず1つはあるという形になりまして,全54大学,入学定員も2,250名まで拡大しております。今後,国立の教員養成系の修士課程が専門職学位課程へ移行する中で,更に規模も大きくなっていくことが想定されております。
 加えまして,教職大学院につきましては,もともと制度のスタートの時点から,学部から上がってきた学生たちを,更に力をつけて,新人のリーダー的な存在として送り出していくということと,そして,現職の先生方の研修の場ということで,より高度な力を持ったミドルリーダー,またはスクールリーダーを養成することの2つの目的を持って設置されています。
 そのような教職大学院を束ねるのがこの協会でございますけれども,そういった協会の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
 具体的には,本日提出させていただいております資料に基づいて御報告させていただきたいと思います。3点ございます。
 まず1点目でございます。中間まとめの中で様々なことが記載されております。正に,ICTの活用,外国人の子供への対応なども含めまして,本当にこれからの日本を考えていく際に重要な問題提起がされている内容であるというふうに,内容につきましては,協会としても賛同を申し上げるところでございます。
 その一方で,そういった実践を現実に行っていくためには,やはり教師の力が当然伴っていなければ,実践を実現していくことは困難であると考えられるわけです。そういった中で,1つ目になりますけれども,教職大学院というものは,先ほど申しましたような役割もございます。中間まとめで示されていますICTを活用したような個別最適な学びでありますとか,協働的な学びの実現,新たに言われていますSTEAM教育の導入,それから,先ほど申し上げました外国人の児童への対応,また,特別支援教育等,様々な新しい時代の教育を支えていくためには,やはり教師の資質・能力は必須となりますけれども,やはり学部だけの教員養成でそれを全て賄えるかと言うと,なかなか厳しいものがあると考えております。そういった意味で,より高度な力を持った教員の養成につきましては,教職大学院がその受け皿となるべく,答申において,教職大学院の役割を更に明確に示していただきたいと考えております。
 学部のところは,先般の免許法の改正による再課程認定は言うまでもありませんが,新しい課題にも対応するように言われておりますので,ある種の飽和状態という言い方をさせていただいておりますけれども,これ以上,新しいものをどんどん入れていくというのはなかなか厳しい部分がございます。御承知のとおり,大学自体が単位の実質化ということを言われている時代でございますので,科目をどんどん増やしていくということも難しい時代でございます。
 そういったことを考えますと,先ほども申しましたような,中間まとめの趣旨には協会として賛同いたしますけれども,今後の日本の教育を考えた場合に,先ほど,教育大学協会の松田先生の御発言にもございましたが,やはり教員養成の修士レベル化といいますか,修士レベルでの教員養成を検討し,その中に教職大学院を中心にした教員養成と現職の研修をもう一度しっかりと位置づけ直していく必要があるのではないかと考えているところでございます。
 教職大学院自体が平成27年の答申でも,今後の高度専門職業人の養成において,教員養成のモデルと言われていたものを,今後は教員養成の中心に位置づけるということが既に明示されておりますので,今後の教員の資質・能力の改革,この辺りの答申の方針に基づきながら,先ほど申しましたような教職大学院の役割というものを更に明確に示していただければ幸いに存じております。
 2つ目につきましては,教職大学院は,先ほど申しましたような,そもそもの設置の時点で,現職教員の研修の場という位置づけをもって展開しております。やはり本中間まとめで示されたような内容を実現していくためには,学校現場におけるミドルリーダーの果たす役割が非常に大きいものと考えております。現在の学校現場の教師の年齢構成が大きく変化しておりますので,ミドルリーダーを養成していくということは急務な課題であると考えております。
 その一方で,ミドルリーダー層というものが教職大学院で学ぼうと思っても,現時点ではなかなか進学することが難しいとよくお伺いするところでございますので,現職の教員の中で,教職大学院で学んで力をつけたいという者がいた場合には,一定の条件の下で,原則的には進学を許可いただく方向を打ち出すなり,現職教員の資質の高度化という部分につきましても,教職大学院の活用ということを全面的に打ち出していただきたいと考えているところでございます。
 そして,3点目になりますけれども,教職大学院における教育課程の弾力化という点でございます。意見文書にも記載させていただいておりますけれども,教師には,やはり学校間の接続を見通していくような力,そして,教科横断的な視点で学習内容を組み立てていく力,総合的な指導力を身につけることが求められていると考えております。
 それから,まとめで示されている内容に即して言えば,例えば9年間の義務教育を考えていくなどの点とも関わってくると思いますけれども,やはり複数の学校種の教員免許を持っているということが大切になってくると考えております。
 具体的には,現在でも教職大学院に進学した後,他の校種の免許を取得して,例えば小中免許や中高免許を取得することは,制度上,可能ではあります。しかし,実際にそれをやろうと思いますと,教職大学院の場合は専門職大学院ですので,修了の単位も多く,教職大学院のより高度な学びをしながら,更に学部の授業を受け,他校種等の免許を取得するというのはなかなか難しい部分がございます。
 教職大学院は,学部の教職課程で勉強したような内容や,先般,公表されました教職課程コアカリキュラムを踏まえた上で,更に高度な内容を学修しているという特性がございます。そういった特性に鑑みて,教職大学院で学修することで,隣接した校種の免許を取得できるなり,それにつながっていくような,つまり,教職大学院の学修にプラスして学部の授業を受講しなければならないということではなくて,教職大学院の学修だけで他校種の免許が取得できるような仕組みについて,是非御検討いただきたいと考えます。
 そして,最後の点になりますけれども,全国の教職大学院は,先ほど申しましたような国立の教育学研究科の修士課程が教職大学院として専門職学位課程に移行するという状況がございますので,現在,各教職大学院の定員またはコース設定,そして,それぞれの教職大学院があります地域性等に関して,非常に多様になっているという実態がございます。
 この中間まとめで示されている内容にも関わってまいりますが,地域の実態に即して新しい教育課題に対応していくということも今後重要かと思っております。これまでの答申や有識者会議の報告でも述べられていますが,今後は全ての教職大学院が全く同じようなことをするのではなくて,それぞれの地域や大学等の実態に応じながら教職大学院ならではの強みや特色を,各大学院が打ち出していくということが求められてくると考えております。そこで,教職大学院のカリキュラムに関しましても,中間まとめで示されていることがしっかりと実現し,新しい時代の教育を支える教員養成を行うという意味におきまして,各教職大学院がある程度柔軟にカリキュラムを編成できるような仕組みについても御検討いただきたいと考えております。
 本協会からの御報告は以上となります。どうもありがとうございました。

【荒瀬部会長】 森田先生,ありがとうございました。
 それでは,お二人の御発表につきまして,質疑応答,意見交換をしたいと思います。先ほどと同様でございます。御意見,御質問がおありの方はどうぞ挙手をお願いいたします。
 では,加治佐委員,よろしくお願いします。

【加治佐委員】 日本教育大学協会の松田先生,そして,日本教職大学院協会の森田先生,どうも御報告ありがとうございました。大変よく理解できました。私からは,お二人に2つ質問させていただきたいと思います。御意見いただきたいと思います。
 1つは,端的に申し上げて,お二人の御発表は,教員の資質・能力の向上のために,学びを高度化すべきであると。教職大学院で高度な養成を行う,あるいは高度な現職教員の研修を行うといったことが主張されています。そのために修士レベル化が必要だということですね。こういう主張をされています。
 松田先生のほうでは,具体的に免許状更新講習も高度化すべきであると,こういう主張をされているわけですね。ところが,これまで幾つかの団体の方の御報告を私,承っております。先ほどの市長会の御報告の中でも,更新講習は廃止すべきである。あるいは教育委員会の団体の方,そして,教職員の団体の方もそのような主張をされていたと思います。
 つまり,そういう方々の御主張というのは,もう現場が忙しいと。働き方改革がまず必要である。研修や,場合によっては修士レベル化どころではないといったようなこと。それよりもとにかく今,非常勤の先生等も含めまして,教員の手当をしなきゃいけない。それに間に合わないんだと。だから,資質・能力の向上は大事なんだけれど,それよりもコロナの課題に対応しなきゃいけない,教員をそろえなきゃいけないということに対応しなきゃいけない。こういう御意見が強い。これは現場の切実な課題ですので,それを受け止めなければいけない。その上で,お二人はその点をどう考えるかということを教えていただければというのが1点です。
 それから,2つ目は,お二人ともやはり教職大学院の柔軟化ということをおっしゃっていると思います。教職大学院は,高度な教員養成を保障するために,現職教員の教育を保障するために,通常の大学院と違って,かなり基準,規制があったと思うんですね。それをお二人は緩和すべきだとおっしゃっているわけですけれども,具体的にどのような緩和の仕方がこの中間まとめを実行していくためには必要なのかということをお教えいただければと思います。それを参考に,いろいろ制度の改正の提言もできると思いますので,お願いしたいと思います。
 松田先生のほうは,少しは触れられておりますけれども,その点を2つ目としてよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,御回答はまとめてお願いいたしますので,香山委員,お願いいたします。

【香山委員】 岡山の香山です。私は,元高校の校長の立場で御質問したいと思います。お二方に質問します。質問は2点あります。
 1点目は,今,加治佐委員がおっしゃったことと絡むんですけども,つながってくるんですけども,確かにアンケートの数値は,ある程度満足しているといったような数値が出ているかもしれませんが,私が知る限り,免許更新講習を受けた先生方の話というのは,例えばこういうものです。
 本当はこれはAという講座を選びたかったんだけども,申込みをしようと思っても,もう入力が間に合わないというか,大勢がさばって一度にボタンを押すものですから,あぶれてしまうと。仕方がなくて,Bという講座を選んだと。選んでみたらBという講座の大学の先生の講義は知識を伝達する一方的な授業に終始したといったような声もあったんですね。
 もちろん,意外に,思いのほか面白かったといった声も耳にはしておりますが,期間が定められているということ。そして,選びたい科目には,多くの受講生が集中して,あふれてしまうといったこと。こういった問題点が今,確かにあると思います。これをどう改善していくのかということが非常に免許更新講習では課題ではないかなと思います。本当に自分の力を伸ばしたい,自分が考える資質・能力を伸ばしたい,それに沿った科目をいつでも受けることができるといったような仕組みにするにはどうやったらいいかということですね。これについて御意見いただけたらと思います。
 2点目は,確かに教員の資質・能力の高度化というのは本当に喫緊の課題だと私も思っております。研究と修養に努めなくてはいけないわけですけども,なかなか多忙化する中でできないといった現実があるわけです。しかし,やらなくてはいけない。そのときに,更新講習の更なる改善につきましては,今,御質問しました。
 2つ目は,松田先生が御指摘されたラーニングポイント制をいかに有効に使っていくかと。岡山大学等が先駆けて展開しておりますけども,これも一つ可能性としては効果があるかなと思いますが,しかし,実際のところ,教職大学院の修養年限を縮めることはできても,やはり教職大学院に少なくとも1年は,学校を離れて行かなくてはいけないという現実があるのではないかと思います。
 そういう点で,もう一点,教職大学院自体の仕組みを変えていくということもあってもいいのかなと。一つは連合教職員大学の中には,学校拠点方式を取られている大学があると思います。学校拠点方式を取られている大学院については,いわゆる力量のあるミドルリーダーが更なる高度化を図るために,現場を離れずに,現場で議論と実践を学んでいくと。そして,カンファレンスによって力を高めていくといったような仕組みが構築されていると認識しております。この学校拠点方式をもっと多くの教職員大学が採用することは考えられないかと思うんですが,この点についていかがでしょうか。
 以上,2点です。よろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 今,お二人の委員から,御発表いただきましたお二人に対して,2つずつ御質問がありました。順にお答えいただきたいと思います。
 まず松田委員長からまとめてお答えいただけますでしょうか。

【松田日本教育大学協会企画・調査研究委員会委員長】 加治佐先生,香山先生,どうもありがとうございました。お二人とも御質問が教員養成・研修の高度化に関わって,教員免許更新制に関わることと,質の担保を含む教職大学院に関わるお話になってございますので,前半の部分は私のほうがお答えさせていただきまして,後半の部分は,日本教育大学協会のほうで同じく担当をしてくださっております,東京学芸大学理事・副学長の佐々木先生に少しお答えいただくということでお話しさせていただきたいと思います。
 まず教員免許更新制をめぐって,お二人の御質問が重なったところでございますけれども,確かに先生方の日常の御多忙な中での研修になっているといったお言葉,あるいはその内容に関して,役に立つ,役に立たないというようなお言葉もよく聞くところで,そのようなお言葉の中に含意される,厳しい評価があることも理解しているところでございます。
 ただ,教員の資質・能力ということを考えた場合に,今,直近の引き受けなければいけない具体的な教育課題に対して,それに応じることのできる教員の資質・能力の高まりへの期待は社会的に相当に強く,他方ではそういう期待を前提にしつつ,今後,新しく実施されている学習指導要領等の確実な実施も含めまして,Society5.0時代に向かう教育政策が目指そうとしている新しい教育の方向への備えや,あるいは改革・更なる学校制度の充実というところで高めないといけない教員の資質・能力も求められており,いわば現在と未来の子供達の学びや生活を含めた支援に対して,やはり内容が非常に多岐にわたっている,あるいは階層のある複雑な内容になっているんじゃないかと思うところがございます。
 そういうものがございますので,例えば教育委員会のほうが講座として研修をされるものもあれば,免許状更新講習という形で,大学や,その他の研究・教育機関が内容を構成するものもある等の,この多様さに応じる仕組みというものは,一つ,まずその意義を積極的に認識する必要があるのではないかなと思うところがございます。その意味では,得てして子供や日々の学校業務を常に目の前に抱えられて研修等にも向かわれる教員や教育委員会が,今と未来の教育を考えるときのタイムラグやギャップというものを研修の中でどう考えていくのかというような問題が一つあるのかなと思います。
 一方で,先生方のお忙しさというのは,免許状更新講習を無くすことで,あるいは求められる多様な教員の資質・能力を育て社会的にも研修受講と教員の質の担保に関しての社会的な承認を与える機会を緩和し,相対的に縮小させていくということではなく,むしろ進められている「チーム学校」や地域との連携,協働,さらには,様々な高度な人材が学校へ教育支援人材として集積される仕組みづくり等の中においてこそ,図られなければいけない問題だと思うところもございます。学校教育を巡って,教員が多忙化するその職務内容は,むしろ教員以外の学校スタッフの拡充と,教育における職務の役割分担と連携を進めてこそ解決すべき問題ではないかと思うところがございます。ですので,もちろん片側からの視点のみで整理ができるような問題ではないということは考えるところでございますが,この免許状更新講習が,これまで大学が学校現場や教育委員会など行政機関からだけではなかなか難しい内容を含む講座を,全ての教員が受講するという唯一の機会として提供してきたということのプラスの面や,今後の可能性というものを,やはり少し考えていく必要があるのではないかと,伺っていて,思うところでございます。
 加えまして,免許状更新講習に関する評価は,確かに,割と高い評価が出るのですが,先日の別な会議でも,こういう評価は,一方で,免許状を維持し職務を続けるためは直接的な講習の受講となっている中での評価ですので,やはり幾分,高めに評価が出るのではないかという御意見を伺いました。確かに,そういう面もあるかもしれないのですが,一方で,特に免許状更新講習の中でも「選択」という区分の中で行われる,先生方が本当に主体的に選択をなさってお受けになられる講座等では,本当に久しぶりに学ぶ楽しさに触れたとか,あるいは,これで非常に元気が出て,現場に立ち返って,頑張る意欲が出てきたということもよく聞くところがございます。そういう,学ぶことに向かう,あるいは学ぶという行為それ自体が持っている,主体的・対話的で深い学びを生み出す学びの楽しさのようなものを自らが再体験される機会になっているという面もやはり大事に考えていきたいなと思うところがございます。
 ただ,香山先生からもご指摘のあったオペレーションの部分では,まだまだ課題も多いということもやはり認識しているところでございまして,できる限り改善していくという方向は探る必要があるのではないかと思います。
 次に,教職大学院の問題につきましては,佐々木先生と交代いたします。

【佐々木東京学芸大学理事・副学長】 東京学芸大学の佐々木でございます。今の点に関して補足させていただきたいと思います。
 免許状更新講習,それから,教職大学院,いずれも日本の教員養成の高度化のために活用していくべきだというのが趣旨でございます。免許状更新講習があるから,先生方,夏休み,忙しくて大変だという声はあるかと思いますけれども,その一方で,現在の免許をたくさん出して,その中から教員を採用していくというシステムも限界に来ているんじゃないかと,そういった指摘もあるわけでございますので,先生方自身の学ぶ意欲でありますとか,社会的な地位でありますとか,専門性を高めるでありますとか,そういったことも併せて,組織的に,長期的に取り組んでいかなければならないと考えているところでございます。そういった意味で,多忙化の解消とはまた別に,教員養成の高度化というのは長期的に我々取り組んでいかなければならない課題であると考えているところでございます。
 免許状更新講習については,いろいろ現在,課題があるわけですけども,御指摘いただいたように,量的に十分対応できるのか,また,30代,40代,50代で行う講習が同一であるとかそういった問題がありますので,そういったことを改善していかなければならないと思っております。免許状更新講習をむしろ,現在,100万人の教員を対象にして実施している唯一の資質の向上策でございますので,これをなくしてしまうということではなくて,これを積極的に活用して高度化に結びつけていくことを考えていくべきではないかなと思っております。
 また,教職大学院の向上策でございますが,これについては,制度設計当初の状況に合わなくなってきた状況がございますので,例えば5領域の枠組みを変えていくでありますとか,それから,遠隔・オンライン授業を積極的に活用していくでありますとか,それから,ラーニングポイント制ですね。これも岡山大学の事例も調べさせていただきましたけれども,実際に科目等履修生として入学しないと活用できないような運用になっておりますので,これをもっと運用を柔軟化して,広く教育委員会の研修でありますとか免許状更新講習を教職大学院の学びとして広く活用できるような柔軟な運用が更に進められていく必要があると考えております。
 それから,先ほど学校拠点方式について,もっと活用できないのかというお話がございましたが,現在の教職大学院の制度設計がフルタイムで学ぶ学生のために作られているという制度設計がございますので,こういった制度は維持しながらも,ラーニングポイントを積み上げて,働きながら学ぶようなシステムを作るでありますとか,遠隔オンラインを使って仕事をしながら,家庭で学べるようなシステムを作っていくことも必要だろうと考えておりますので,学校拠点方式も非常に重要であると思いますけども,その一方で,学校を離れて,広く,もっと自由に研修を積むというシステムを作っていく必要があるのではないかと考えておるところでございます。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 佐々木先生,ありがとうございました。松田委員長,ありがとうございました。
 では,森田副会長,お二人からの御質問によろしくお願いいたします。

【森田日本教職大学院協会副会長】 よろしくお願いいたします。教職大学院協会,森田でございます。先ほどの御回答と重なる部分があるかもしれませんが,私から考えていることをお話しさせていただければと感じております。
 まず先ほどもありましたように,更新講習につきましては,検討をやはり幾つかの……。

【荒瀬部会長】 森田副会長,御発言の途中で大変申し訳ありません。最初に申し上げればよかったんですが,重なる部分につきましては,時間の関係がございますので,大変申し訳ありませんが,割愛していただきまして,重ならない部分をお話しいただけると大変有り難いのですが。聞こえづらいですか。

【森田日本教職大学院協会副会長】 すみません。申し訳ありません。

【荒瀬部会長】 最初に申し上げればよかったんですが,時間の関係がございまして,今,最初のほうの御回答を相当丁寧にしていただきましたので,重なる部分は省いていただきまして,それ以外のところでお答えできれば大変有り難いと思います。勝手な注文で申し訳ございません。

【森田日本教職大学院協会副会長】 承知いたしました。それでは,重ならない部分だけということで,一つは,教職大学院の柔軟化についての御質問があったと思います。教職大学院は,制度で申しますと,法定の最低の修了単位が45単位,その中で実習が10単位,そして,実習部分を除いた35単位のおよそ半数の単位の共通科目を配置するという制度になっているというのは御承知かと思います。
 やはりこのような制度設計上の縛りが,きついですので,新しい発想の科目なり,各地域の実情に合わせた科目を置いていこうとしますと,どうしても窮屈になってしまいます。また,必修科目以外のところで,院生たちに選択的に学修させざるを得ないというような状況も生まれております。
 ですから,そういった意味におきまして,これまでの教職大学院の積み重ねがございますので,良い部分は残していただきつつも,各大学院の判断で,柔軟に必修の科目なりを置き替えていくことができるような仕組みを構築いただければ,より強みが出せていけるのではないかと考えております。
 それから,教員免許状更新講習につきましては,やはり更新講習の在り方自体を検討する場が現状ではないのではないかと考えております。教職大学院は,既にもう十数年,理論と実践の往還をキーワードにしながら,特に現職の先生たちに対して,どのような教育が望ましいかを考え実践してきた実績がございますので,例えばですが,教職大学院が各地域の更新講習を開講している大学を束ねながら,より良い更新講習の在り方についても,教職大学院が先導的な役割を果たしていく。更新講習を実施している各大学に,教職大学院が,様々なノウハウなり,情報を提供していくという方法もあるのではないかと考えております。このような位置づけで教職大学院を考えていくこともあり得るのではないかと考えているところでございます。
 そして,最後に,教職大学院というものを活用しながら,より高度な研修,または,学部からの新卒者の養成ということは非常に大切だというところは先ほど申し上げたところでございます。教職大学院の学修の在り方自体にも検討が必要だという御意見もございましたが,先ほどのご回答と重複いたしますので,詳細には申し上げることはいたしませんが,連続した2年間なり,何年間というように期間を限定し,しかも対面,集合型を中心にした教職大学院の在り方だけではなくて,今後,様々な機器を活用しながら,多様な学修が可能だと思いますので,例えば,4年,5年かけて,修士の学位を取得できるような様々な方法の検討も必要かと思っております。
 いずれにいたしましても,教職大学院の重要性というところを更に明確に御議論いただきつつ,教職大学院自体も様々な課題に柔軟に対応することが可能な制度というところについて御検討いただけましたら幸いでございます。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 森田副会長,ありがとうございました。大変失礼いたしました。ありがとうございました。
 御質問いただきました加治佐委員,香山委員,よろしいでしょうか。

【香山委員】 はい。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 それでは,松田委員長,森田副会長,そして,佐々木先生,どうもありがとうございました。お時間を頂戴し,丁寧に御説明をいただきました。今日は本当にありがとうございました。感謝申し上げます。
 それでは,最後のヒアリングに移りたいと思います。また次の団体の方が入ってこられますので,委員の方はお待ちください。

(ヒアリング団体入替え)

【荒瀬部会長】 全日本教職員組合の宮下副委員長,大変お待たせいたしました。今日はありがとうございます。
 では,最後に,全日本教職員組合から宮下副委員長に御発表をいただきます。よろしくお願いいたします。

【宮下全日本教職員組合中央執行副委員長】 全日本教職員組合中央執行副委員長の宮下と申します。まず,意見表明をさせていただく機会をいただいたことに大変感謝申し上げます。ありがとうございました。
 私は,全国の学校現場に勤務する教職員で構成する組合として,若干の意見を発言させていただきたいと思います。次の11項目に取りまとめております。
 まず初めに,中間まとめ全体に関して,今,必要なことは,競争主義的な教育制度こそ改めて,少人数学級実施が必要であるということを明示していただくことが大事であると考えております。
 先日,2019年度の問題行動,不登校等,生徒指導上の諸課題に関する調査結果が発表されましたけれども,8ページにおいて,子供の貧困や生徒指導上の課題が指摘されたことは大変重要だと考えております。
 同時に,その要因を分析し,実態を踏まえた施策の検討が求められているかと思います。御承知のように,国連子どもの権利委員会の報告は,「社会の競争的な性格により子ども時代と発達が害されることなく,子どもが子ども時代を享受することを確保するための措置をとること」としました。さらには,「あまりにも競争的な制度を含むストレスフルな学校環境から子どもを解放すること」と指摘されております。
 これらの指摘が貧困と格差の下で,登校拒否,不登校,問題行動の増加の要因となっていると考えております。子供たちが自己肯定感を持てない実態を直視する必要があります。全国学力テストに代表される競争的な施策こそ改めて,教育条件整備を行うことが必要だと考えます。少人数学級編制の実施が必要であるとの明示を求めるものです。
 第2点です。14ページに記述された,「個別最適な学び」が,個別に競わせる「孤立した学び」となることが危惧されることです。競争的な環境において,自ら学習課題を設定・調整し,主体的に学習することは大変困難です。個別に競わせ,「孤立した学び」に陥ることが危惧されます。
 また,「粘り強く取り組む態度」の育成を強調することで,いわゆる表面的な「態度」を取り繕うことや,子供たちの内面を評価することにつながるおそれもあります。「自己調勢力」の機械的な強調をされることは,発達段階を踏まえない指導や評価につながるおそれがあるということは指摘したいと思います。
 第3に,22ページにおいて記述された,義務教育段階で修得主義を取り入れることは,この競争的な環境においては,「教育の複線化」と格差拡大を招くおそれがあるということです。「特異な才能を持つ児童生徒に対する指導」と併せて取り入れることは,子供たちの全人格的な成長・発達の保障が阻害されるおそれがあります。慎重な議論が求められます。
 第4は,21ページと58ページなどの各論。ICTを活用した学びに関して,条件整備の格差が生じないようにすることと,教職員の自主性・専門性を担保することを求めます。現時点では,器具の不具合や通信環境の脆弱さなどで,教職員の負担が増大しています。地域間格差や家庭格差が生じないように,条件整備のための十分な予算措置が必要です。
 ICT活用は,「ツール」として有意義である一方,既存の教材や指導方法を画一化させてしまう危惧があります。教育データの蓄積・分析・利活用について,個人情報の流出などが社会問題になっています。ビッグデータの集積に懸念の声が上がっており,公教育の場から,営利目的の民間産業に個人情報を預けることには慎重を期すべきです。
 第5に,35ページ,各論,9年間を見通した義務教育の在り方についてです。小学校高学年への教科担任制の導入は,積極的な意義があるとともに,配慮すべき課題もたくさんあります。発達段階に見合うものにすることなど,課題についても書き込まれるべきです。例えば対象教科例として,外国語,理科,算数が挙げられていますが,現在実施している教科は,多い順で,音楽,理科,家庭科,書写で,現状との乖離があります。実施教科と時数を押しつけるのではなくて,実情を踏まえて各校で工夫できるよう,柔軟な制度にすべきです。
 また,教員の持ちコマ数を軽減し,授業準備に時間をかけることができるようにすることは,これは焦眉の課題です。交換授業方式では,持ちコマ数の軽減にはなりません。専科教員の増員が必要です。義務標準法制定時に教職員配置の基準とされた1日4コマ程度の持ちコマ数が可能となるよう,乗ずる数を改めるなどの標準法の改正が必要です。
 第6に,20人程度の少人数学級編制への移行を目指し,教職員定数の抜本的改善を行うことが求められるということです。64ページに,「少人数によるきめ細やかな指導体制」と記述されております。概算要求では,「学級編制の標準の引下げも含め……検討」とありますが,答申には是非具体的な目標を示していただきたいと思います。新しい時代の教育の在り方として,20人程度の学級編制を目指し,それを展望して,計画的に,速やかに35人,そして,30人と,少人数学級への移行を推進されるような記述を求めます。
 義務標準法を改正して学級編制標準の引下げを図り,新たな定数改善計画を策定することによる正規教員の増員が必要です。学級編制標準を引き下げずに,非正規教員の採用を増やしたりすることは,教職員の負担増につながり,教員未配置問題を一層深刻にします。
 第7,40ページ,各論,高等学校教育の在り方についてです。「高等学校の特色化・魅力化」として,資質・能力を押しつけることは高校教育の自主性・自立性を奪うことになってしまいます。「特色化・魅力化」として,高校間の競争をあおられ,生徒集めが激化しています。また,「スクール・ミッションの再定義」は,「適格者主義」的な考え方を助長し,高校にとって不適格とされる,そんなような生徒を排除されるというものになり得てしまいます。
 「普通科改革」では,スクール・ポリシーで特色や魅力を無理に作らずとも,既に各校には特色があり魅力もあります。意図的に作り出そうとすれば,高校生や卒業生たちの思いと乖離するものにもなります。当事者たる高校生,いずれ高校生となる子供たちが本当に必要だと感じるものにすべきだと思います。
 第8です。46ページ,各論,特別支援教育の在り方です。教室不足や過大過密解消につながる具体的な規定を盛り込んだ設置基準が必要です。児童生徒数や学級数の上限,児童生徒数などに応じた必要な面積,障害種に応じた必要な特別教室などを示すべきです。長時間通学を解消するために,例えば通学時間を1時間以内にするなどの規定も必要です。
 また,現存する学校を適用外とするのでなく,期限を示すなどして整備を進めるべきです。余裕教室の活用については,施設設備の条件が悪くなりやすい現状があります。分校・分教室の基準も検討すべきです。特別支援学級での最大8人の学級編制など,編制標準を見直す必要があります。
 第9は,65ページ,適正規模・適正配置等についてです。小規模校の統廃合,地方切り捨てではなくて,全国の子供たちに豊かな教育条件の整備を進めることが求められます。学校規模の適正化の検討は,小規模校の統廃合が中心に位置づけられ,コスト優先の統廃合を進めるよう促している点は問題です。適正規模・適正配置を進め,国が教育条件整備に対する責任を放棄するような在り方はあってはなりません。存続の是非については,地域住民や保護者から丁寧に意見を聞き取り,拙速な判断を行うことのないようにすることが必要です。
 第10です。71ページ,教員免許更新制の実質化についてです。教員免許更新制が教員の多忙さを増大させ,未更新者が教員未配置問題の要因となっていることは明らかです。また,教員の更新講習に係る負担は大変大きいのも事実です。
 教員は,各学校の子供たち,目の前の子供たちの成長発達を念頭に置いて,自分たちの研修を進めます。そのためには,自主的な研修であるべきであります。正に,点数を稼ぐ,またはポイントを貯めるための研修では,実際に現場で生きた研修とはならないのではないでしょうか。直ちに教員免許更新制度を廃止すべきです。
 また,外部人材の活用を促進することは,公教育への民間教育産業の参入を進め,安易な民間委託を加速することにつながりかねません。公教育を担う教職員の配置は,国が責任を持って行うことを基本とすべきです。
 最後に,前後しますが,53ページ,外国人児童生徒等への教育の在り方についてです。日本語指導が必要な外国人児童生徒に対する実効ある対策について,記述の補強を求めます。家庭に対する経済的・人的支援の必要性,日本語指導担当教師の増員,指導補助者,母語支援員の配置,ボランティアの活動などを支援する事業の拡充などが必要です。
 日本語習得のためにも母語・母文化を大切に育てることが重要です。日常的な会話ができるようになっても,継続的な指導・支援が必要です。学校全体での指導・支援体制の構築が不可欠であることなどについて,是非補強していただきたいと考えます。
 以上で,全日本教職員組合からの意見発表を終わります。御検討よろしくお願いします。

【荒瀬部会長】 宮下副委員長,ありがとうございました。
 それでは,今,御発表いただきました点につきまして,御質問,意見交換等をさせていただきたいと思います。御意見がおありの方,挙手ボタンをよろしくお願いいたします。香山委員,どうぞよろしくお願いいたします。

【香山委員】 1点お聞かせください。3番目の義務教育段階で修得主義を取り入れることは,「教育の複線化」と格差拡大を招くおそれがあるという御指摘の箇所なんですけども,最初の丸の一番最後のところに,「高校において,すべての子どもたちの学力を保障する環境を整えることや」云々という一文がございます。
 実は私は高校の校長をしていたものですから,実態を把握しているんですけども,高校の段階で,小学校や中学校の学び直しが必要な子供たちが相当数います。小学校から中学校に上がる段階でも,中学校の学習を自分のものにするのが困難ではないかと考えられる児童も恐らくいたと思いますし,中学校の段階でもそうだと思います。そういう意味で,修得主義的な観点で,これだけは修得させてやりたいということが具体的な実践であればいいなと思っているものです。
 先生がその辺り,小学校や中学校において,学習に困り感がある子をどういうふうに指導していくのが望ましいとお考えでしょうか。その点,お聞かせいただけたらと思います。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは,宮下執行副委員長,よろしくお願いいたします。

【宮下全日本教職員組合中央執行副委員長】 香山先生,御質問ありがとうございます。私どももこの問題を議論する中において,高校での様子と小中での様子を議論してまいりました。それで,取りわけ高校については,先生おっしゃいますように,学び直しの必要な生徒たち。例えば定時制において必要な能力といいますか,力をつけて社会に送り出してあげたい,また,進級させてあげたいなどの強い思いを持って,日々努力されているという現状もあると承知しております。そのことも踏まえて,小学校,中学校では,履修主義が当然,基盤にはなっていくわけです。具体的には,留年や落第を生み出すということは,やはり子供たちの成長を保障する上でも適切ではないということを前提にしつつ,一人一人の学習状況や生活環境,発達の様子なども踏まえたきめ細かな対応が必要だと私は思います。その点,全体指導をしっかりみんなでするとともに,併せて個別の指導,一人一人にマッチした指導を行うということは必要なことだと考えます。
 そのためには,それが行えるだけの環境を作ることが必要かと思います。義務教育段階での様々なそのような努力がされておりますので,それがしっかりできるような環境を作ることが今一番必要ではないかなと考えます。そのためにも少人数学級が今,直ちに求められると思っています。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 香山委員,よろしいでしょうか。

【香山委員】 ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 では,宮下中央執行副委員長,今日はお待ちいただきまして,その後,御説明いただき,また,御回答もいただきましてありがとうございました。感謝申し上げます。

【宮下全日本教職員組合中央執行副委員長】 こちらこそありがとうございました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,時間が参りましたので,この辺りにしたいと思います。次回の予定につきまして,田中教育制度改革室長から御説明をお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 4日間にわたるヒアリング,委員の皆様,ありがとうございました。
 次回の本特別部会につきましては,11月13日金曜日14時から17時を予定しております。詳細につきましては,追って事務局より御連絡申し上げます。

【荒瀬部会長】 それでは,本日の議事はこれで終了いたします。閉会とさせていただきます。本当にありがとうございました。また,次回よろしくお願いいたします。

―― 了 ―― 

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