新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会 (第10回) 議事録

1.日時

令和2年6月18日(木曜日)10時00分~12時30分

2.場所

文部科学省15階特別会議室(WEB会議)
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 小学校高学年の教科担任制実施に係る教員配置や教員定数の確保の在り方について
  2. 人口動態等を踏まえた学校運営や学校施設等の在り方について
  3. 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた今後の学校教育の在り方等について
  4. その他

4.議事録

【荒瀬部会長】 皆さん,おはようございます。荒瀬でございます。定刻となりましたので,ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会第10回新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会を開催いたします。御多忙の中,御出席いただきまして,ありがとうございます。
 本日も,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,ウェブ会議方式で開催させていただきます。2週続けてということで前回の記憶も今なお鮮明でありますが,本日も前回同様,2時間半を休憩なしで進めてまいりたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,資料につきまして,田中教育制度改革室長から御説明をお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 おはようございます。事務局,田中でございます。
 それでは,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第にございますとおり,資料1から資料5-2まで,加えて,参考資料1から4となっております。御不明な点等ございましたら,お申し付けください。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 本日の議題は3件であります。まず,小学校高学年の教科担任制実施に係る教員配置や教員定数の確保の在り方について,次に,人口動態等を踏まえた学校運営や学校施設等の在り方について。この議題に関しましては,関連いたしましてお二方から御発表を頂くことにしております。そして,今回の最後は,継続して御議論いただいております新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた今後の学校教育の在り方等について,この3つでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお,本日も報道関係者の皆さんと一般の方向けに,本会議の模様をユーチューブでライブ配信しておりますので,御承知おきください。
 それでは,本日の議題に入ります。議題1といたしまして,小学校高学年の教科担任制実施に係る教員配置や教員定数の確保の在り方につきまして,森友財務課長から御説明をよろしくお願いいたします。

【森友財務課長】 すみません,失礼いたします。財務課長の森友と申します。よろしくお願いいたします。
 教科担任制の導入に関しましては,今年の2月の本特別部会におきまして御議論をいただいております。その際には参考資料1にございます資料を用いて御議論いただきましたけれども,縦軸として,小学校の学校規模,クラスサイズに着目した教育環境の違いによる分類ということ,それから,2点目として,横軸として,どのような教科担任制を構想するのかといった観点から御議論をいただいたところでございます。本日は,お手元の資料1にございますように,特に横軸としての,どのような教科担任制を構想していくのかといった点につきまして御議論いただければ有り難いと考えているところでございます。
 資料でございます。まず教科担任制導入の考え方といたしまして,基本的な考え方をお示ししてございます。義務教育の目的・目標を踏まえて,育成を目指す資質・能力を確実に育むために,各教科等の系統性を踏まえて,学校間の接続を円滑なものとする。義務教育9年間を見通した教育課程を支える指導体制の構築が必要ということ,それから,GIGAスクール構想の加速化と併せて,きめ細かな指導により,個別最適化された学びを実現していくために,新たな時代にふさわしい指導体制が必要ということ。その上で,個別最適化された学びを実現する観点から,児童一人一人の理解度・定着度の向上と学びの高度化といった観点で,教科担任制の導入によりICTの効果的な活用と相まって授業の質の向上を図ることが重要ということで,特に例えばICTを活用した授業を行う中で,学習ログの分析,個別指導へそれを反映していくといったことも,全教科を担任する先生からするよりも,それぞれ専科の担任が専門的な観点から分析等をした上で反映させる方が効果的ではないかといった観点も含めているところでございます。
 それから,教科担任制導入の趣旨・狙いでございます。これも12月の論点取りまとめのものを再整理しているものでございます。1点目は,教材研究の深化等により,高度な学習を含めて教科指導の専門性を持った教師が多様な教材を活用してより熟練した指導を行うことが可能となり,授業の質が向上する。理解度・定着度の向上にもつながっていくということ。それから,働き方改革の観点から,教師の持ちコマ数の軽減,教師の負担軽減に資するということでございます。さらに,児童生徒にとってみると,複数の教師による多面的な児童理解を通じた児童の心の安定に資するということ,小・中学校の円滑な接続につながるということでございます。
 対象学年につきましてもこれまで議論していただいておりますが,児童の発達段階を踏まえて,体験的な学習を進める小学校における学習指導の特徴を生かしながら,中学校以上のより抽象的で高度な学習を見通して,系統的な指導による中学校への円滑な接続を図る必要があるということで,児童の心身が発達し一般的に抽象的な思考力が高まる段階であり,これに対応して各教科等の学習が高度化する小学校高学年から教科担任制を導入できるようにするということとメモ案ではしております。
 次のページでございますが,小学校高学年への教科担任制の導入につきましては,専科教員が当該教科の担当主任となりますので,低・中学年における学習指導,それから,中学校以上の学習指導を見渡して,校内研修の充実,それによる教科指導の質の向上も期待されるということでございます。
 関連する事項といたしましては,小学校における教科横断的なカリキュラム・マネジメントが損なわれることがないよう,そういったことにも留意が必要ということにも言及しております。さらに,3つ目の黒マルでございますが,学級規模に着目した教育環境の違い,例えば学区内の中学校の教員の持ちコマ数の多い・少ないというのもございます。「その際」で書かせていただいておりますが,中学校の指導体制,教科ごとの教員配置,教員の持ちコマ数等の状況を併せて考慮していく必要があるのではないかということでございます。
 2ポツで専科指導の対象教科の考え方でございます。基本的な考え方として整理しておりますが,社会のグローバル化,Society5.0時代,STEAM教育の充実・強化に向けた社会的要請の高まりということ。
 それから,既存の教職員定数におきましても,従来から専科指導が行われつつある音楽,図画工作,家庭,体育とかにつきまして定数上一定の考慮がされていること,それから,地域でも様々な取組がございますので,そういった現状を踏まえて,それらの点について引き続き配慮するということに加えて,新たに専科指導の対象とすべき教科を検討することとしてはどうかということ。
 それから,3つ目の黒マルでございます。系統的な学び,積み上げの教科の内容とか,あるいは教科指導の専門性といった観点から,優先的に専科指導の対象とすべき教科を検討することとしてはどうかということでございます。
 さらに,4ポツでございますが,教科指導の専門性の向上の観点から見れば,中学校と同じような指導体制を構築する,全ての教科で教科担任制を導入するということも考えられるところでございますが,人材確保,それから,横断的な教育課程の編成ということ,さらに,これから御議論いただくものでございますが,優先的に専科指導を対象とすべき,その教科の取組状況とか,専科指導に係る,専科指導をされる方の専門性の担保をどうしていくのかということを踏まえながら,引き続き対象教科を考えていくことが必要ではないかということでございます。
 例えばといたしまして,3ページのところでございます。対象教科として考えられる例を書かせていただいております。外国語,理科,算数,それぞれそこに記述をさせていただいているような理由でこういった教科を専科指導の対象に加えることというのが例えば考えられるのではないかということで提示をさせていただいております。
 それから,先ほど申し上げました,専科指導する際の指導者の専門性の担保をどうするのかということで,中頃の黒ポツに書いてございます。これも御議論いただければ有り難いと思います。例えば専科教科,専科の担当する教員に,その教科の中学校免許状を保有することを要件とするということ,そういったことについてどう考えるか。これはもちろんこうした方がいいということよりも,議論していただきたいということで提示をさせていただいております。
 参考といたしまして,現在小学校の英語を専科指導のためには,標準法に基づきまして加配の措置がされております。その際の専科教員に求めている英語力に関する要件として,中・高の英語免許状を有するとか,あるいはALTの経験があるとか,CEFRで一定の条件をクリアしているとかいったようなものをお示ししているところでございます。
 また,最後にございますが,外国語などの教科につきましては,専門性を有する人材を確保することがなかなか難しい面もございますが,中学校と連携して指導体制を確保するというのもあるんじゃないかということでございます。
 最後,3ポツでございます。4ページでございます。同時に検討すべき論点として,2月頃の資料にも項目だけ書かせていただいたところでございます。それぞれ少し具体化して書いております。論点1につきましては,高学年の教科担任制に合わせて,小学校の低・中学年を含めた教育課程の重点化をどう考えていくのかというものでございます。なかなか非常に難しい課題でございますので,事務局の方でも,こちらの方でも今,検討を進めているところでございます。
 論点2は,義務教育9年間を見通した教育課程編成を可能とする学校の裁量拡大ということです。現在,義務教育学校,小中一貫型の小・中学校におきましては,学年段階間,また小学校・中学校という学校段階間で効率的な指導,効果的な指導の観点から,指導内容の入替えなどを行うことができるという特例がございます。こういった特例をこの小学校高学年への教科担任制の導入を期に,こちらの通常の方にも特例として適用することなどについてどう考えるかということでございます。
 また,論点3につきましては,免許の関係でございますが,今現在,教員養成部会の方で検討されている内容を参考として記載させていただいております。具体的には5ページの方に書いておりますが,養成段階において小学校と中学校の免許状の併有を促進する観点から,大学において内容的に共通する授業科目を共通に開設し,学生が他校種の免許を取得する際に活用できる,より取得しやすくするというような環境整備について御議論いただいています。また,現職の教員におきましても,保有する免許状を基礎の免許状といたしまして,他校種の免許状の取得を促進する観点から,勤務経験を踏まえて免許状の取得に必要な単位の弾力化を行う仕組みの見直しなどについて御議論をいただいたところでございます。
 論点4につきましては,教科担任制の議論とも関連するものとして,中学校区単位の義務教育学校化などのための定数,スクールバス等の整備などの支援措置の在り方などについての論点提示でございます。黒ポツの1つ目でございますけれども,特に小学校の統合が進んでいる地域などにおきまして,小中学校の連携――義務教育学校化とか,広域・複数校の小中連携を図ることが考えられるところでございます。その際に,もちろん離れている学校でございますので,遠隔教育ということもあるわけでございますけれども,特にここの論点提示といたしましては,義務教育学校化が推進されるようなインセンティブを与えることが考えられるのではないかということで,そのインセンティブの内容としての教職員定数の充実とか,スクールバスの活用とかといったことが考えられるのではないかという論点の提示でございます。
 最後,論点5につきましては,中山間・離島のへき地などにおいて,GIGAスクール構想を前提としたオンラインの交流,遠隔授業をどう考えていくのかということでございます。
 メモについての御説明は以上でございます。御議論よろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,今御説明いただきました内容に関しまして御議論いただきたいと思っております。言うまでもないことではありますけれども,前回の会議は,最後,私の方の進行がまずくて途中で終わったような形になっておりますが,大濱児童生徒課長から御説明いただきました,いじめ・不登校・児童虐待等への対応策の充実についてという,あのような視点も含めて,小学校の高学年からの教科担任制導入ということにつきましても併せて御議論いただければと思っております。
 今から約50分という時間を区切らせていただいて意見交換をお願いしたいと思っております。具体的な作業でございますけれども,いつものことながら,御発言いただく際には,必ず手を挙げるのボタンを押していただくようにお願いいたします。その順番を事務局の方が見てくださっておられまして,私にお知らせをいただきます。その上で指名をさせていただくということになりますので,よろしくお願いいたします。
 議事進行につきましては,先週ああいう形になりましたこともありまして,できるだけ多くの方から御意見を頂きたいという思いがある一方で,御発言を途中で遮ることは差し控えたいという思いもまたございまして,その思いが交錯してなかなか進行がうまくいかず,最終的に御迷惑を掛けるというふうなことになってしまっておりまして反省しております。
 それで,本日は意を決しまして申し上げますけれども,大変恐縮ながら,お一人2分程度で御発言を頂くということでよろしくお願いしたいと思います。また,もちろんこれは飽くまでも目安でございますので,可能な限りにおいてということで御留意いただくということでよろしくお願いいたします。
 では,御発言をいただく方,手を挙げるのボタンをお願いいたします。
 では,清原委員,よろしくお願いします。

【清原委員】 ありがとうございます。清原です。
 「義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方に係る論点メモ」は,これまでの議論を踏まえて整理していただくとともに,今後の課題もお示しいただきました。この整理していただいた点について,幾つか意見を申し上げます。
 1点目,小学校高学年からの教科担任制導入の「基本的な考え方」の中に,「児童一人一人の学習内容の理解度・定着度の向上」,そして,「学びの高度化」と,それから,「授業の質の向上」とあります。この基本的な考え方を貫く上でのICTの活用についてございますが,1点目に,多様な教材として活用することも有意義でございますが,2点目に,「理解度・定着度」を正しく把握し,そして,一人ひとりに応じた「授業の質の向上」を図るためには,ログの把握はもちろんですが,理解度・定着度をさらにしっかり把握し,適切で客観的な評価をしていくという上でも,やはりICTの活用を図るべきと考えます。そういう意味で,教材という観点だけではなくて,授業の質を上げるための評価等を含めた統計的把握,効果測定におけるICTの活用を位置付けることが望ましいというのが1点目です。
 2点目に申し上げますのは,前期に,「学校における働き方改革」の検討でも「教科担任制」が位置付けられましたように,「教員の広い意味での負担軽減が教育・授業の質の向上につながる」ということが重要です。その中で,「小学校・中学校の連携」ということが示されています。2ページ目の4つ目のマルに,「小・中学校間の連携による小学校から中学校への円滑な接続」とありますし,論点でも,重要な「小中一貫教育の中での取組」が示唆されています。私は,三鷹市長をしておりますときに,「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」を進める中で,小学校の教員と中学校の教員の勤務発令を東京都の教育委員会と連携して行う中で,算数・数学,理科等においては,特に顕著な連携によって小学校・中学校の授業の質が上がり,成績も向上するという実績を経験しました。これはほかのコミュニティ・スクール(小中一貫教育)でも同様の傾向が見られるということでございますので,小学校・中学校の適切な連携が教科担任制の中で進むことが望ましいと,検証に基づいて発言をいたします。
 最後に,論点として5つ整理していただきました。その中で,カリキュラム・マネジメント等の問題で,小学校・中学校の一貫教育(義務教育学校)等の取組をする場合は,教科担任制の高学年への導入に関連して,更に学校の(義務教育9年間を見通した教育課程編成を可能とする)柔軟性(裁量拡大)を進めてはどうか」という論点2,これは現場の先生方からも歓迎されることだと思います。
 そして,「教科担任制」の意義として,いじめや不登校等に対する適切な対応をする教員の時間的ゆとりや子供との対話の時間を増やすという効果も想定されることから,まずは高学年から始めていただくとともに,特に外国語,算数等については,いずれ低学年での適切な活用に向けても検討すべきと考えます。
 以上,2分をオーバーしたかもしれません。最初の発言とさせていただきます。ありがとうございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。お心遣いに感謝いたします。
 それでは,今から御発表の順番を申し上げます。あと10人の方が御発言をなさるということでお聞きしておりますが,ほかにはいらっしゃいませんでしょうか。よろしいですか。では,今手を挙げていただいた方で一旦切りたいと思います。順番を申し上げます。今野委員,天笠委員,堀田委員,毛利委員,若江委員,貞広委員,二見委員,松尾委員,香山委員,小林委員。今この10名の方お聞きしておりますが,漏れた方いらっしゃいませんでしょうか。大丈夫でしょうか。では,この順によろしくお願いします。では,今野委員,お願いいたします。
 
【今野委員】 今野享子です。よろしくお願いいたします。
 御説明いただきました2ページの4つ目の黒ポツについてお話しさせていただきます。学校規模に着目した教育環境の違いを踏まえということで,指導体制について考えました。現在初任研で行われている拠点校方式,4人一組になって初任者を指導している体制がございますが,この体制を教科担任制でもできるのではないかなと思います。それが小中の連携であったとしても,小学校間の拠点校の指導であったとしても,有効ではないかなと思っております。
 さらにICT環境が整えられますと,キー校から専門の先生からの御指導をいただく教科もできるのではないかなと考えます。例えば算数とか外国語とかいうような教科につきましては,4校がグループを作って拠点校方式でという。これは人的な確保ができない場合というふうに思います。人が配置されればこのことはないと思いますけれども,もしも人材確保の面で難しい場合は,このような体制もあるのではないかなと考えました。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。続きまして,天笠委員,お願いいたします。

【天笠部会長代理】 失礼します。よろしくお願いします。短く3つ申し上げます。
 まず1つ目ですけれども,議題の振り方というんでしょうか,示し方というんでしょうか,議題の方は小学校高学年の教科担任制の実施とあって,そして,今御説明いただいた資料1の方は義務教育9年間を見通した教科担任制という,こういうふうになっているんですけれども,私はメインテーマが義務教育9年間を見通したということで,サブテーマとして小学校高学年の教科担任制というふうに,こういうふうに私としては理解をしております。そういう意味において,小学校高学年の教科担任制をターゲットにして,そこを1つの拠点にしながら論点等を詰めていくという,そういうことであって,これはただ小学校高学年に教科担任制を入れればいいという,そういう話ではないんだというところを私は位置付けたいと思いましたので,今メインテーマとサブテーマというのはそういうふうなことを申し上げさせていただきました。これが1点目です。
 それから次,2つ目です。これ,やはり基本的な考え方のところによるかと思っておりますけれども,確かに学習指導のいわゆる高度化とか,その面における内容の複雑化とか,そういうものに対応してということが一義的だというふうに思っておりますけれども,もう少しこの間の幾つかの政策の動きとかそういうものも視野に収める必要があるのではないかということです。
 例えばちょっと振り返りますと,チーム学校ということが言われましたけれども,それはそのときは比較的生徒指導面の充実というんでしょうか,ということでうたわれたわけですし,それから,先ほども話がありましたけれども,その後学習指導要領の改訂を踏まえて働き方改革ということが定義されたわけですけれども,生徒指導面,それから,働き方面,そして,今回,学習指導面という,これ,つながっていったときには,やっぱりそこのところにあるのは,分担と連携という,そういう組織文化とか考え方とか組織編成の原理をこの際しっかりと担保していこうというか,具体化していこうという,そういう流れの中に今回この教科担任制導入の話を位置付けるということが大切なのではないかというふうに思っています。
 考えますと,この国は,長らく学級担任制,学級の規模を縮小するという,そういうことについて一本槍だったかというふうに思っております。国はその点もう以前から転換を図っている部分があるかと思うんですけれども,地方へ行きますと,いろいろな意味で資源も乏しいですから,学級を小さくするというところに集中をせざるを得なかったということなんですけれども,分担と連携ということが学校の組織文化にとって非常に重要になってきているということで,そのところがチーム学校とか,それから,働き方改革の流れになり,今回の教科担任制の導入の話というふうなことかと思いますので,分担と連携というところによって教育を行っていくんだと,そのことをもう少し基本的考え方で強調すべきではないかと思います。
 最後,3つ目ですけれども,これ,小学校の教員と中学校の教員って,ですから,4ページの論点のマル3という辺りのところと関わってくるかと思いますけれども,小学校の教員と中学校の教員ということについて,その辺りのところを,これまでどちらかというと論議の展開というのが,小学校・中学校のそれぞれの固有性を明らかにしていくというんでしょうか,こういう観点で比較的話が展開される場合が多かったんですけれども,今回は小学校と中学校の教員のつながりとか,親和性とか連携というそういう観点から話を詰めていくことが問い掛けられているんじゃないかと思っております。
 そういったことで,それに示されている参考資料の方を見ますと,現行制度でも何とかなるんじゃないか,あるいは現行制度でというんですけれども,この辺りのところは養成部会のマターになっていくかと思っておりますけれども,現行制度で辻褄を合わせるという,そういう立場よりも,むしろ小学校高学年の教科担任制の導入を契機に,改めて小学校と中学校の教師の連続性とかつながりとか相互の関係ということをしっかり話を詰めていっていただきたいなと思うんです。
 その1つの背景は,今日もどちらかで報道されていますけれども,小学校教員の希望者の激減というんでしょうか,昭和40年代にもこういう現象はあったんですけれども,当時に比べますと一層事態は深刻になっているんじゃないかと思っております。ある意味でいうと,教員養成学部の小学校養成課程と中学校養成という,こういう立て方自体が実は問われなければいけないところに来ているということだと思うんです。その話と今回教科担任制の話をうまくつなげて,あるいはうまく重ね合わせながら,これからの教員養成の在り方ということもまた検討していただきたいなということで3点目ということで申し上げさせていただきました。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 大変重要な御指摘を頂きました。1つ目におっしゃいました義務教育9年間を見通したということは,これは今日の資料の表題にも出ておりますので,これがベースであることはもう間違いありませんので,御指摘どうもありがとうございました。
 私ちょっと今考えたんですけれども,具体的にこれ,順番を手を挙げていただいた順番だけでやっておりますが,今おっしゃっていただきましたようなことに関連しての御意見というのがおありの方がいらっしゃったら,そういう議論をしていくというのが本当は大事なはずですので,改めてもし手を挙げておられる方の中でも,あるいは手を挙げておられない方でも,ございましたらいかがでしょうか。今,相当大きなお話をしていただいたというふうに認識しておりますが,よろしいですか。
 では,また後からまたありましたら。ともかく順番に進めてまいりますので,都度よろしくお願いします。それから,私の方では,先生方の画面は見えておりますので,大きく手を振っていただきましたら,私,認識できますので,よろしくお願いいたします。
 では,堀田委員,お願いいたします。お待たせいたしました。

【堀田委員】 東北大学の堀田でございます。
 よろしくお願いいたします。まず,教科担任制の対象教科として,外国語のみならず,STEAM教育の充実のために算数や理科を入れていただいたということについて私は大賛成でございます。
 これから2つ意見を申し上げます。まず1つ目は,資料の頭の方になるんですけれども,そもそも教科担任制という言葉と専科指導という言葉の関係をやっぱりこういう文書には明瞭に打ち出しておいた方がいいのかなと思います。恐らくこれは行政的には常識的な説明かもしれませんけれども,小学校高学年に教科担任制を入れるということは専科を置くということと同義であるというふうに捉えられても,各学校の柔軟な教育課程の編成を妨げる可能性もあると思うからです。例えば小中学校の連携を考えたときに,週5時間の算数のうちの2時間を別の専門性の高い先生に持ってもらうみたいな運用は可能なのかどうかですね。そういう弾力的な運用の学校裁量の範囲といいましょうか,そういうものも併せて言葉の定義と一緒に例示すると良いかと思いました。これが1つです。
 もう一つは,最後の方に論点5として遠隔授業の話があります。これはいわゆる離れた学校同士の遠隔合同授業とか,あるいは遠くからICTを使ってオンラインで授業をするような遠隔授業をイメージしていると思います。一方で,先ほど清原委員も御指摘いただきましたけれども,1ページ目には,学習評価を適切に行うとか,個別最適化を行うとかいう概念のところにICTのことが書いてあります。これはいわゆる学習ログなどを活用して子供たちの学習の状況をより精度高く把握しておくと。これは学習活動によりますけれども,そういうような方法は1つの方法としてあり得るだろうということだと思います。これを遠隔というのはやっぱりちょっとおかしいかなという気がしますので,例えば遠隔教育,遠隔授業という言葉とオンライン教育とかそういうような言葉をうまく定義していただいた方がいいかなと思います。すでに学校が再開していますけれども,オンラインで学ぶということを併用することによって,よりハイブリッドな学習指導ができると考えていますので,この辺の整理が必要かと思いました。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。言葉は非常に大事ですので,今頂きましたことは大いに参考にさせていただければと思います。
 では,毛利委員,お願いいたします。

【毛利委員】 つくば市みどりの学園義務教育学校の毛利でございます。
 それでは,3ページをお願いいたします。ここに専科の外国語,理科,算数と例を出していただいておりますが,例えば外国人児童が多い地域などでは,もしかしたら国語が必要になるかもしれませんし,現在,学校では非常に高齢化が進んでおりますので,そういう意味では,もしかしたら体育の専科が必要な地域もあるかもしれません。もしもそういう,ほかの教科もそういうことも入れておいていただければいいかなと思います。
 それから,4ページになりますが,論点3の教員免許の大幅な見直しのところであります。私の学校は義務教育学校ですので,中学生と小学生両方一緒に生活しています。中学生は意外と,専門性のある先生がいらっしゃれば特に問題なく指導できると思うんですけれども,小学生の場合,授業中に,突然子供たち同士が喧嘩が始まるなどトラブルが日常的に起こります。そういうときの対応に苦慮する先生が非常に多くみられます。経験が少ない民間の方が,経験もなく入った場合は,そういうところが非常に難しいかなと思いますので,養成段階ではこれまで以上に実践的な対応方法の研修が必要ではないかと思います。
 あと,先ほどの堀田委員から,先生同士の交換ができるかなというお話ですけれども,本校では小学校32クラスありますが,教員の標準定数は36名なので36から校長,教頭,教務主任を引くと,担任外の先生は32クラスもあってもたった一人しかいません。そういう状況では,授業を交換しようにも空き時間が全くない状況で交換はなかなか難しいのが現状です。そこで,学級数が増えるほど教員数の割合が増えるようなシステムになれば,学校の統合も促進されるでしょうし,こうした高学年の教科担任制も,もしかしたら人がいなくても,いる先生同士でもできる可能性はあるかなと思います。
 最後,5ページです。先ほど他の委員からも,教員養成段階で先生のなり手がないというお話がありました。その問題点の一つとして,教育実習が厳し過ぎる傾向にあると思います。現場の先生も大学の先生も本人の成長のためと思って厳しく教育実習生に接していると思いますが,「こんな厳しい世界だったら,教員の夢を諦める」という方が多くなってしまうのだと思います。やはり,教育実習では,「先生というのはこんなに素晴らしい仕事なんだ」ということを,体験していただき,良い思い出を持って教育実習を終わってもらわないと駄目だなと思っていますので,そこはお願いしたいなと思います。
 論点4のここのスクールバス等の整備の支援とかありますが,やはり小さい市町村で集まった場合,先生の数は減るから国や県は財政的には助かるかもしれませんけれども,市町村はその分,毎日バスを出したりしなければいけなくなったりして,学校が減るけれども,思ったより経費が減らないということがありますので,そういう支援措置はお願いしたいなと思っています。
 あと,ちょっと戻りますが,先生の確保ですけれども,そこの学校に毎日その先生は行かなくてもオンラインでできるわけですから,そこに在籍しなくても教えられるという免許制度があればというか,そういう任命制度があれば,人も確保できるでしょうし,デジタル教科書や大型提示装置があれば,簡単にそういう先生,外から行った先生がやってもうまくできるんじゃないかな,学習ができるんじゃないかなと思いました。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,若江委員,お願いいたします。

【若江委員】 キャリアリンクの若江でございます。資料全般に関わること,それと既にいろいろな委員からお話があったことと少し重複をしますが,ICTの活用に重きを置いて少しお話をさせていただきたいと思っております。
 教科担任制は,5・6年生だけじゃなくて9年間見通して大切だということで,例えば算数,理科なんかであれば,本来は3,4年生ぐらいからきちんと専門性を持つ先生の指導があるべきだと思いますし,いろいろな委員からもお話がありましたように,ほかの教科も必要なんですね。その辺を考えたときに,今議論されている人的配置,数的な配置の実現を待つと同時に効率的な運用をもう少し考えていくべきで,そのときにはやはりICTの利活用というのは不可欠だと思います。
 先ほどの毛利委員からお話の最後にもありましたように,そこに在籍をしていない専科の方が,1つの学校であろうが,拠点校であろうが,市内のエリアであろうが,ある一人の先生が専門的な授業をオンラインで展開してくださり,小学校の各教室には各担任がいて,専科の先生の授業進行を受けながらファシリテートをしていくというような,そういった授業がやはり小学校段階では不可欠だと思うんです。
 それは何がメリットかというと,子供たちにとっては,質の高い,知識提供型のクオリティーの高い授業に触れられ,かつクラス単位での協働的な学びを担任の先生が子供たちの様子を見ながら細やかにファシリテーションできる。加えて,若手の先生とか専科でない先生が,専科の先生の授業をに触れ,OJTで学べるという,二重三重のメリットがあると思います。
 ですので,天笠先生もおっしゃいましたように,専門性の分担と連携による組織運営,これはもう民間企業では当たり前のことですので,人の配置を増やしていくということを仕掛けていくこともそうですし,その前の養成段階から変えていくという中長期での取組と同時に,状況が整ってから実践をしていくということではなく,今やれる方法をすぐに考えていくというときには,ICTの活用を前提とした別の角度からのアプローチも同時に考えていかなければいけないのではないかと思います。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,貞広委員,お願いいたします。

【貞広委員】 よろしくお願いいたします。千葉大学の貞広と申します。私から2点意見を申し上げたいと思います。
 1点目でございますけれども,今回,専門性の高さや系統性ということを鑑みて,小学校高学年の教科担任制を導入するということを歓迎いたしますが,これはあくまでも4年生までよりきめ細かに学びの充実と定着が図られるということとセットだということを併せて御確認いただきたいと思います。専門的な学びに結び付けるには,まず4年までの基礎固めが今まで以上に重要だということです。
 その点で申し上げますと,先ほど来,教科担任制を今後どのように進めていくかという議論も出ているようですけれども,小学校高学年の他教科への横展開ということは別として,下の学年のどこまでに転換していくかということは,今後この教科担任制が導入された後の検証を待った上で進めていくべきではないかと思われます。学年とか教科の組合せなど全てがということにはならないようにも思われますので,この点を留意したいと思います。
 2点目でございますけれども,小学校高学年における教科担任制というのは,中学校との連携又は中学校の先生のお力を借りつつ,いかに中学校との連携をしていくかということが鍵になってくると思います。とりわけ小さな規模の小学校においてはそういう傾向が強いと思います。
 5ページ目の論点4で挙げていただいていますけれども,正にここで挙げてくださっているような,中学校区単位の一体的な学校マネジメント,これは今でもどこの学校でも必要なわけですけれども,これが今まで以上に必要であろうかと思われます。また,この論点4に関しては,この後取り上げられる議題2とも連動していることかと思われます。小さなところだとなかなか難しいというお話もさせていただきましたけれども,どの学校でも教科担任制を実施していただきたい。しかし,状況は様々であるということを考えると,その状況に応じてどういう学校の在りようで子供たちに教科担任制の学びを保障していくかということを地域の教育委員会さんがお考えになることだと思います。
 今この論点4のところに義務教育学校化というものが挙げられていますが,例えば議題2では分校化ということも1つ提案をされています。小学校1年生から中学校3年生まで1つの学校でいきなり義務教育学校化するということだけではなくて,小学校は歩いて通えるという日本の学校の良さも残しつつ,例えば4年生までは義務教育学校の幾つかの分校で学び,5年生以降に義務教育学校の本校で教科担任制を実施すると,例えばそういうような弾力的な在りようについても,是非インセンティブが伴うような措置ということを考えていきたいと思います。
 以上2点申し上げました。ありがとうございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。続きまして,二見委員,お願いいたします。

【二見委員】 町村教育長会代表の広島の二見です。
 まず大前提として,我々が抱えている町村では,資料にもありましたけれども,全国で複式の学級は約4,500学級ある。また,6クラス以下の学校が6,000校ある。このほとんどを抱えているのが町村であります。そういう中で我々はこれまで訴えてきたのは,現在の学級編成基準,いわゆる標準法による学級編成の基準を根本的に見直すと。改善ではなく根本的に見直すというのがスタートラインだと思っています。
 例えば3学級の複式の学校では,教頭先生が学級担任をしなければならない,そういう学校もあるわけですし,事務職員が0.75人とかいう,一人の人間を4分の3にしているような表現もありますけれども,こういう非常におかしな標準もあります。まずこれを根本的に直していただきたいと思います。
 それから,大規模校まで含めて,今回の教科担任制といっても,小学校の先生が何時間ぐらい担当すれば適切なのか。26時間から29時間ぐらい持っている学校はたくさんあります。小学校ではほとんど1週間休みもなくしている先生がいるんです。中学校,高校に比べれば随分多いんです。ですから,小学校の先生が何時間ぐらいまでに抑えるのかという,そこを考えながら,小規模から大規模まで先生が何人要るのか,そういう考え方をしないと働き方改革は完結しないと私は思います。
 最後に,中学校の教員が小学校へ勤務発令で行くという例は町村ではたくさんあります。しかし,大学の教員養成課程において是非とも併有できるような単位制というふうなことをもう少し徹底していただきたい。現職の教員の中で小学校の免許を持っていない者がおるとすれば,それをより取りやすくする,それこそICT,オンラインを使ってでも取りやすくする,勤めながらできるというふうなことにして,もう一つは,免許更新制については大幅な改善を図るということだと思っています。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,松尾委員,お願いいたします。

【松尾委員】 おはようございます。松尾でございます。よろしくお願いいたします。
 昨年6月にここの会議の第2回の会議において,ただいま本県が実施している兵庫型教科担任制について発表させていただきました。本県は兵庫型の教科担任制プラス少人数学習ということで,今お話に出ているような教師の専門性とか,それから,軽減負担という意味も込めた学習指導の充実という面と,それから,やっぱり生活指導,子供たちの心を理解するといった意味で教科担任制を進めて,すごく効果を上げているところなんです。
 例えば今年度の本校の例を見ますと,6年生3クラスの中でどういった教科担任制を実施しているかというと,一人の先生は外国語と図工を担当する,もう一人は理科を担当する,もう一人は社会を担当するということで,時間数を調整しながら,専科教員という形ではなくて,担任がそれぞれの3つのクラスの教科を担任していくというふうな,いろいろと苦肉の策を凝らしながら毎年教科を変動しながら教科担任制を実施しているところなんです。
 その中で,やはり先ほどから論点に出ていますような,4ページの論点3のような,小中一貫,それから,本県も義務教育学校がありますけれども,9年間を見通した学びを充実させるために,やはり乗り入れ授業を行ったりするためにも,3の免許制度の大幅な見直しということはとても大事なことだなと思うことが1点です。
 それから,先ほど貞広委員もおっしゃいましたけれども,やはり小学校文化の大事な要素としては,担任の先生と十分に信頼関係を深め,そこで自尊感情を高めたり,居場所を作った上で,無償の安心というものを担任の先生と築くというのが小学校文化のとても大切な部分ということも考えた上で,そこを土台にして高学年で担任制を行うという,教科担任制と学級担任制のスパイラルな実践というか,今までずっと我が国が提唱してきた小学校文化の優れた教育実践ということをいかに継承して発展していくかということも少し考えていかなければならないなということも課題として考えているところです。
 以上です。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,香山委員,お願いいたします。

【香山委員】 私からは2点申し上げたいと思います。
 1点は,やはりコロナ禍における生活様式が随分変わったという,この社会情勢を考えたときに,ポストコロナにおいてもそのメリットは残っていくだろうと思うんです。具体的に申し上げると,例えば校長が集まる校長会議,これまでは何度も出向いて行っていたのが,Zoom等でオンラインで行えるようになって,校長が学校を離れなくても済むし,移動の時間を短縮できるし,これはポストコロナにおいても有効だといったような声を聞くわけです。
 授業においても然りだと思うんです。そのときに,いわゆる遠隔授業という概念というのは,受け手に何がしかの教員がいる,免許を持っていなくても教員がいるといったような概念だというふうに私は認識しているんですけれども,家庭で授業を受けても,つまり,教員がそばにいなくても,授業を受けた,履修したというふうに認めるというその仕組みをいかにうまくこしらえていくかというのが大事かなと。これはいじめ・不登校対策としても有効ではないかと思います。この辺りのところが,高校では通信制とかいろいろ制度があるんですけれども,小中におきましても,家庭で授業を受けても履修したというふうに認める。そのためには,どんな力が付いたかということを測る修得主義的な考え方が必要なのではないかなと感じております。これが1点目です。
 それから,2点目は,先ほど貞広委員が小4の話を,小4までに力を蓄えることが必要だというふうなお話をされておりましたけれども,中1ギャップが小5ギャップにならないように,誰一人取り残さないようにしていくためには,天笠委員がおっしゃったように,義務教育9年間を見通した教科担任制,義務教育9年間を見通したカリキュラム・マネジメント,教育課程の編成といったようなことが本当に大事だろうと思うんです。
 そういう意味では,リーダーシップを取る校長が一人でなくてはいけないと私は思います。その意味では,校長のリーダーシップをしっかり発揮できるような仕組みを作っていくということが望まれると思います。間違っても,小5・6年の授業だけを教科担任がやってくるといったような,高校でいうところの非常勤講師の授業だけで終わってしまうようなことにならないようにうまくカリキュラム・マネジメントの中で話が進んでいくようにしていただけたらなと思います。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,小林委員,お願いいたします。

【小林委員】 小林です。
 私はこの議題については,現場の先生方,現場での状況が分かりませんので,ちょっと外から見た客観的な意見です。もちろん教科担任制を推し進めて,各学校・地域が弾力的なカリキュラムを作るということについては大賛成です。ただ一方で,子供は家庭の事情によってほかの地域,ほかの学校に転校するということを考えますと,転校した先で本当に新しい授業に馴染むことが難しくならないよう,新しい学校で疎外感を味わわないよう,転校児童に対してのフォローアップ,取組も併せて考えていく必要があるのではないかと思います。この点だけです。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。今いろいろと御意見頂いたわけですけれども,全体通じまして何かございましたら。少し時間が御協力のおかげで出来ましたので,いかがでしょうか。
 事務局の方はよろしいですか。では,よろしくお願いします,森友課長。

【森友財務課長】 いろいろな御意見ありがとうございました。
 特にそれぞれの学校・地域で様々な工夫の下でいろいろな形での教科担任制が取られているということ,そういったことを踏まえながら取組を進めていくことが重要なのではないかなというふうに受け止めたところでございます。
 小中学校の免許の併有の促進の話とか,あるいは遠隔授業の活用についても御意見頂いておりますので,引き続き検討を進めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。それでは,よろしいでしょうか。次の議題に移ります。また御意見ありましたら,最後,時間がもし残りましたら頂くということにいたしまして,議題2に移りたいと思います。
 人口動態等を踏まえた学校運営や学校施設等の在り方について,まず浅野初等中等教育企画課長から御説明お願いしたいと思います。

【浅野初等中等教育企画課長】 初中企画課長の浅野でございます。資料2に基づいて説明をさせていただきたいと思います。
 資料2の人口動態等を踏まえた学校運営や学校施設等の在り方についてということで,まずは御覧いただいて1ページ目でございます。これ見ていただきますと,平成元年から令和元年にかけて約6,000校の学校が減っております。さらに,児童生徒数でいくと,600万人の児童生徒が減少しているということでございます。
 2ページ目でございます。そういった状況の中で,各学校の設置者におかれては,まずはこの2ページ目は小学校につきましては,一番左の方の学級の少ないところが減ってきて,統合等によりできるだけ標準規模の学校を維持していくということで推移しているわけでございます。
 一方で次の3ページ目の中学校の方は,小規模の学校はそんなに減っておらず,逆に大規模な学校が減っていくという形で,小規模の学校についても中学校区で学校を統合していくというのはなかなか難しいという状況が見えるのではないかと思います。
 次の4ページ目でございます。こういった公立の小学校・中学校の適正規模・適正配置については,平成27年に手引を出させていただいております。ただし,今も御議論がございましたように,今後ICTの活用が更に進んでいく中でこういった考え方をどう変えていくのか,それから,小中一貫義務教育学校というような形での学校も増えてきております。小中連携という観点でこういった適正規模・適正配置も考えていく必要があると思いますし,既に1町村に1つの小学校,中学校しかない,それで何とか限界,ぎりぎりのところで維持をしてきている地域もございます。こういったところの自治体間の連携といったようなことをどう考えていくか。そして,先ほど貞広委員からも御指摘があったように,小学校,中学校も含めて分校的な考え方をどう位置付けていくのか。
 そして,この4ページ目にございますように,3番のところでは,これ,昭和30年代に,歩いて通うということで小学校4キロ以内,中学校6キロ以内という,1時間の範囲ということがこの手引にも書かれているわけでございますが,スクールバス等を実際は活用しているわけでございまして,こういった考え方をどうしていくのかということも今後適正規模・適正配置の考え方として盛り込んでいく必要があるだろうと考えてございます。
 続きまして,5ページ目を飛びまして,6ページ目でございます。2040年問題と言われますけれども,やはりかなり今後,2040年には人口減少によって1億1,000万人程度ということが見込まれている状況でございます。年少人口につきましても,緩やかではございますが,かなり減少が見込まれていくという状況にございます。
 7ページ目でございます。そういった人口減少の中で,2010年を100とした場合でも,日本全国全体的にかなりそれぞれ,地域によっては大幅に人口が減るということが見込まれているわけでございます。
 そういった状況の中で8ページ目でございますが,先ほども少し言及をさせていただきましたけれども,こういった少子化,人口減少に伴って,学校の規模も更に小さくなっていくような学校もございます。こういった学校においていかに学習,質の高い教育を提供し続けていくかということが必要になってくるわけでございます。ここに書いてございますように,自治体内での統廃合が今現在進められてきてございますが,今後もそういったことが進められていくと思いますし,一方で貞広委員の御指摘もありましたように,分校を活用したような学校運営をどう考えていくのか。それから,近隣自治体における組合立の学校も考えられると思います。それから,先ほども議論がありました,遠隔授業の活用による教育の質を担保していくということ。それから,施設面では,学校の将来的な活用も考えながらどう施設の利用を考えていくのか,教員配置の問題も含めて今後適正化について考えていく必要があるということでございます。
 9ページ目では,信濃町立信濃小中学校,義務教育学校における,先ほど小学校,中学校の連携の話がございましたが,初等部,高等部という形での区切りの中でそれぞれ連携した形での教育課程を編成している例。
 そして,10ページ目では,福岡県吉富町の中学校を吉富町と豊前市の1つの中学校と合わせて,境のところにある学校の運営を共同で行っている例。
 それから,11ページ目では,遠隔授業,こういったものを活用した形で小規模な学校でも,ほかの学校とネットワークによってつなぐことによって,それなりの規模の子供たちにおける学習が行われている例。
 そして,12ページ目でございますが,今度は施設面での説明になります。今現在,インフラ長寿命化基本計画の下,それぞれの設置者において個別施設ごとの長寿命化計画が今年度中に作られることとなってございます。この長寿命化計画は,これまで40年50年で建物を全く壊して新しく建てていた,そういうやり方から,80年から100年持ちこたえるように,躯体の補強を行いつつ,中をリノベーションして長い形で使っていける,そういうような形でのインフラを長寿命化していくということを各自治体内でそれぞれ御検討いただいているということでございます。こういった形で整備することによって,2割3割のいわゆる施設整備のコストがある程度抑制できるという形になるわけでございます。
 13ページ目では,これまで文部科学省でも取り組んできました手引の策定等の各自治体向けのそれぞれの支援策について記載してございます。
 14ページ目でございます。先ほどもちょっと申し上げましたように,学校施設そのものの長寿命化と併せて,それぞれ学校の機能に付加して,新しく学校を建て替えるときには,ほかの公共施設,例えばこのグラフにございますように,放課後児童クラブとか,老人デイサービスセンター,地域防災備蓄倉庫,様々な形でほかの機能と併せて学校施設の整備を図られてき始めております。
 15ページ目では,埼玉県吉川市の老人福祉施設,子育て支援センターとの複合施設の例。
 それから,16ページ目では,埼玉県志木市の小学校が公民館と図書館との複合施設による施設の整備の例。
 そして,最後の17ページ目では,茨城県下妻市の,稼働率が余り高くないそれぞれ持っている学校のプールを集約化することによる学校プールの整備のやり方という形での例をこちらで御紹介させていただいております。
 最後の18ページ目でございますが,今後,人口動態等を踏まえて,これまでの安全・安心な教育環境を実現するという視点に加えて,ICT等財政的な負担も更にいろいろな面で増えてくる中で,こういった施設面での財政負担の軽減,効率的な施設整備,他の公共施設との複合化・共用化の推進といったようなことも考えていく必要がありますし,併せて,今現在,ICT環境の整備と併せて,ポストコロナ時代の教育の在り方全体の議論の中で,感染症対策や学びの保障といったようなことを踏まえた施設環境を整えていくという課題に直面しているという状況でございます。
 私からの説明は以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,今御説明いただきましたことに関連いたしまして,先ほどもちょっと申し上げましたように,お二方から御発表を頂きたいと思います。まず大阪府高石市の阪口市長様,そして,株式会社ファインコラボレート研究所の望月代表取締役のお二方でございます。まず阪口市長,どうぞよろしくお願いいたします。

【阪口市長】 おはようございます。本当に早朝より皆さん方熱心な議論を拝聴させていただいていまして,非常にこの中教審の特別部会,皆さん方の御努力ということに本当に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 今日は,前三鷹市長の清原さん,あるいは本庄市の吉田市長も元気に御参加いただいていまして,本来お二方に任せておったらいいわけでございまして,私ごときとは思いますが,いろいろ文科省さんのおかげで,私どもの高石市に対しましては非常にいろいろな対策と申しますか,いろいろ都度都度成果を上げています。さらに,一昨年でしたか,エアコンもそうですけれども,これがなかったら,これ,コロナのために夏季休暇を短縮していて全国の自治体皆困っていたと思います。本当にありがとうございます。
 さて,高石市はお手元の資料の1でございますが,大阪府のちょうど南部になるんですけれども,大阪湾に面しておりまして,人口が今現在5万7,000人ですが,面積が非常に小さいんです。11平方キロ。それも半分の約5平方キロメートルが臨海コンビナート,そして,残りの約6平方キロメートルがいわゆる内陸の密集した住宅地ということで,非常にコンパクトな街であります。あと,大阪市内中心部,難波とか天王寺とか,そこらから約20分ぐらいで電車で通勤・通学できます。また,南の方に行きますと,関西国際空港が,車でしたら20分ぐらい,電車でも30分ぐらいで行くことができます。また,高速道路網が整っており,京都,奈良,神戸も含めて非常に利便性の高い街であります。
 次に高石市の幼児教育,学校教育についてです。幼児教育も関係すると思いましてあえて入れさせてもらいました。本市は昭和41年に市制を施行しているんですけれども,その前の昭和30年代は人口は3万4,000人前後でした。そこから一気に昭和41年の市制施行を経て,うわっと増えてきたわけです。人口急増でですね。そして,そのときに何にその当時の市長さんは追われたかというと,小中の学校づくりであります。昭和35年には小学校が5校中学校が1校だったのが,どんどん増やしてきて,一番ピークは昭和60年なんですけれども,当時の人口が約6万7,000人。小学校が7校,そして,中学校は3校ということで,そのときの生徒数が,両方入れましてざっと9,600人であります。6,300と3,300。それが人口減少というか,少子高齢化というか,すたすたすたと下がってきまして,今人口は5万7,800人,6万7,000人が5万7,800人なんですけれども,実は小学校が7校ありますが,約3,000人です。そして,同じく中学校は3校ありまして,これが1,300人。いずれも9,600人おった小中学生が今は何と4,300人ということで,大体半分ぐらいに減っているというのが本市の実情であります。
 次に,本市が一番最初に直面したのが,平成18年,20年頃でございます。私は市長をもうおかげさんで17年,平成15年からやっていますけれども,かつて昭和60年までの人口急増時は小中学校の建設が急務な課題でした。ところが,昭和56年が新耐震基準でございましたので,それ以前の建物は全部アウト,耐震を満たしていないということで,何と55棟ある建物のうち4棟しかできていない,つまり,全体の7.3%しか耐震化ができていないということで全国ワーストワン。全然自慢できません。そういうふうな状態で大変な状態だったわけです。
 それをおおよそ8年間の耐震化計画に基づき事業を進めていましたがなかなか遅々として進まない。もちろん耐震化だけではなしに,例えば屋根のふき替えとか,ささくれ立った床の改修だとか,壁の吹付けであるとか,耐震化だけではなしにいろいろなことが絡んできますから,市の負担も大変だったものでどうしたものかと思っていたら,いわゆるスクールニューディールという,ちょうど麻生政権の最後でしたけれども,そこでリーマンショック対策でどどっと予算を付けていただいて,先の耐震化計画をたった2年で仕上げた。
 実は学校は,今現在10校体制を堅持しています。特に現場で感じますのは,本市は狭い市域ではございますけれども,51の自治会がありまして,そして,校区ごとの自治会と学校とのつながりが深いんです。例えば見守り活動なんかでも,雨でも降ろうが,暑いときでも,どこの市町村も一緒ですけれども,一生懸命御年配の方々中心に出てくれています。もう有り難いことです。そして,本市は大阪湾に面していると言いましたが,南海トラフ地震が向こう30年間で70%とか,非常に高い確率で発生するということが言われていますが,南海トラフ地震の訓練,逃げろ逃げろということで高台へ逃げるような訓練をしているんですが,これも学生さんも一緒になってやってくれている。その拠点として学校があるわけです。阪神・淡路の地震を参考にして,実は小型簡易式ポンプというのを,各自治会ごとに置いているんですが,自主防というんですか,そこの放水訓練を子供らも中学校でやってくれています。そういうふうなことで非常に地域との密接度が高い。
 次に,10校を堅持していますが,財政的に非常に厳しいことは間違いありません。保育所・幼稚園はどうしたかというと,実は私が市長になった時点で,公立11園体制だったんです。それを公立2園まで絞りました。公立保育所は民営化して,公立幼稚園は統廃合して,7つあった公立幼稚園は1園に統廃合し,通園にはバスをご利用いただいています。そういう形で民間に変えていった。これは文科省さんの幼保連携型認定こども園化,これを一気に進めましたので,結果として以前よりもたくさんの園児が通い,サービスも充実して,なおかつ在宅でいる子供が少なくなった。これは在宅というのは虐待に繋がる可能性が高くなることもありますから,そういった面では非常に子育てがしやすい環境になったと,そういうふうなことでございます。
 次,お願いします。そういうふうなことで学校の耐震化もできました。あるいはまたICTも早期に導入していました。あるいは小学校1年から英語教育もやりました。そして,いわゆる待機児童もゼロだということで,そういうふうなことでいろんな子育て支援センターとか,駅前でそういう施設を造ってやってきたことで,これはよくよく考えれば,ワーストワンどころか,大阪府ナンバーワンとまで言わないけども,かなりいいレベルの学校教育,また幼児教育環境になったねと。
 そこで,平成27年前期の1期の地方創生でこれを売りにして,「子育てするなら,高石市。」へと,「たかい,たかい,たかーい市。」という,このいわゆるキャッチフレーズ,税金高いんじゃないんですよ,これは要するに教育環境とか,そういう幼児教育が優れているという意味での「たかい,たかーい市。」とやったら,一番右隅の方のデータでございますが,要するに,今,若い人の転入者が逆に増えてきたということでございまして,何とか10校体制を堅持していこうということで頑張っております。
 あと,これも直近の話で,本市では数日前に議会が終わったところなんですけども,次のページ行ってくださいね。要するに,国の支援を活用させていただいた普通教室の空調整備,いろいろな全国市長会でもやっていただきました。
 ちょうど2年前,平成30年ですね,このときにはかねてからの猛暑に加えて,6月に大阪北部地震があったんですよ。そして7月に西日本豪雨がありました。そして9月には台風21号で関西国際空港の端に船がぶつかって大変だった,ああいう時があったわけで,大阪は大体災害のないまちだ,ええとこだと言っていましたけど,何の何の,ぼろぼろでございまして,そして,内閣府の当時の西村康稔内閣官房副長官とか小此木防災大臣,さらにいろんな関係のところにお願い申し上げて,特に学校施設については空調のエアコン整備の予算が付いたわけですね。これで大阪はほぼ100%近く全部整備できたわけです。先ほどの話じゃないですけども,もちろんブロック塀も学校関係に関してはほとんど終わっています。周辺まだ残っていますけどね,一部。
 要するに,そういったことで安全・安心な,また非常に快適な環境になったことがゆえに,コロナの挽回授業もできるということになったわけであります。これは本当に皆さんのおかげであります。
 本市では国の緊急の2次補正も活用させていただいて,空気清浄機やらパーティションでそういうふうな飛沫防止もさせていただいて,やっぱり大阪も一応特定区域になりまして,今,大阪モデルというか,割と大阪は鎮静化して,そういう中でやっぱり学校再開せないかん。
 コロナの関係で何を一番子供らに迷惑かけたかというと,やはり一緒にいてる時間を奪ったということですね。これは勉強だけじゃないです。遊ぶことを含めて,やっぱり子供たちが喜び勇んで,今,学校に行っています。こういう環境を何とか続けていくということをやっていきたいなと考えています。
 次,行きましょう。GIGAスクール構想,これも本当にありがとうございました。ちょうどこの右隅に,私も微力ですけども,麻生大臣,先ほど言った学校耐震化の予算付けてくれはったそのときの総理やったんで,「麻生さん,ありがとうございます。あなたは命の恩人です。もう一遍,命の恩人になってください,タブレットを入れてください。」ということで,別に私が言ったからできたんじゃないと思いますが,予算を2,300億円付けていただいて,何とか文部科学省さんのおかげで,もちろん学校施設議連,自民党の方にも頑張っていただきました。そういうことで予算が付いて,さあ,ロードマップで行こうといった,これも大正解やったんですよ。
 これでどんどん緊急2次,1次で,モバイルルーター,カメラ,そして,いろいろ感染症対策含めて予算付けてもろうてますから,コロナ対策に関しては,学校施設の予算を確保してきたということは,非常に私は神業というか,よくやっていたなと。これでもって学校の再開なり,いわゆるその挽回ができるということにつながっていると私は思っています。
 最後でございますけども,我々いろいろ地方自治体,そういう現場を抱えて,日々,子供を抱えるお父さんお母さんやら,子供たち自身も含めて,悩みに接する先生方がおられます。10校体制を堅持したい。先ほどるる申し上げましたけれども,やはり昨今は少人数教育とか,あるいは,例えばコロナの関係もございます。そして,例えばインクルーシブ教育というのもございます。さらに,何ですか,40人定員のクラスではなかなか厳しいということで,そういう面では議会なんかでも少人数学級にしてくれということがありまして,今先ほどの議論に戻るわけでありませんけども,いずれにしても,担任制も含めて,その先生方の人材の確保,これは何とか増やしていただきたい。
 やっぱりいろんな対策が必要ですから,それとオンライン授業は,これは例えば不登校の子とか病欠の子供なんかにものすごく効果あると思うんですよ。そういった面では,今までやってきたすばらしい今のこの取組を,より花を開かせるように,是非頑張って予算獲得に向けて頑張りますので,どうかよろしくお願いします。
 以上でございます。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。大変多岐にわたるお話を頂戴いたしました。
 続きまして,株式会社ファインコラボレート研究所の望月代表取締役に御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【望月代表取締役】 では,お話しさせていただきます。ファインコラボレート研究所の望月と申します。
 では,私の資料でございますが,私の方は,総合管理計画,それから施設の個別計画,これを合わせまして大体100自治体ぐらいの計画を策定しております。
 まず,1ページをお開きいただければと思いますが,1ページの上段でございますが,学校個別計画,これは先ほどございましたように,文科省への提出期限というのがあと残り1年弱となっております。この4年,5年で,個別計画の策定を小中学校含めて行わせていただいておりますが,まず,学校施設の詳細把握を行いまして,長寿命化できるものは長寿命化,それから修繕改修サイクルの見直し等を行いまして,今後かかるコストを算出いたします。
 そうしますと,従来約50年程度で建て替えていたものと,それから長寿命化で80年,90年ということで長寿命化したものと今後30年のコスト比較をいたしますと,約20%程度の削減効果があるということが出てまいります。大体共通でこのぐらいの削減効果は当然出てまいります。
 しかし,これまで学校施設にかけた費用,これが直近5年,10年の費用を整理し,これと比較いたしますと,やはり長寿命化しても1.5倍から2倍ぐらい乖離しているというのが現状でございます。この乖離幅を長寿命化だけでは埋められないというのが,この長寿命化計画を行って明確になってきた状況でございます。
 このため,さらに,学校を取り巻く現状と課題ということで,下段のピンクの部分にございますが,児童生徒数,それから上位計画,それから地域の状況,これを把握いたします。そうしますと,先ほどからも出ておりましたが,児童生徒数でまいりますと,ピーク時から約6割ないしは5割ぐらいの減少,これが平均的に起こっております。これを学区ないしは地域ごとに見てまいりますと,さらに状況が大きく変わりまして,これから先,増えるところ,それから維持するところ,減少するところ,非常にまだら模様になっているというのが今現在でございます。
 こういう状況を把握いたしまして,空いているところのスペースを活用したい,他の公共施設と複合化したい,こういうお話になりますと,これは担当組織が,先ほどの個別計画は学校の施設担当でございますが,こちらの方は学校長ですとか教育総務課さんが担当されています。そして,適正規模・適正配置と併せて対応しますと,またそのセクションは別になります。それから管理面,運営面,これも考えるところも別でございます。
 そうしますと,横断的に総合的に併せて検討するということがなかなかできませんで,最終的に,今,個別計画を策定していますと,やはり20%程度の長寿命化の効果だけで,それ以上の効果というのがなかなか出ないというのが現在の状況でございます。
 そして,次の2ページを見ていただきますと,これは高校の部分でございますが,高校も全く同じような状況になっております。
 次,4ページへ行かせていただきます。この状況を踏まえまして,来年の2021年の3月に個別計画が全て出来上がってまいりますが,この個別計画と併せて,今後10年,20年の間に実行できる項目,これを一緒になって対応していくということで,1つは右側に書いてございます適正規模・適正配置の検討,学区の見直しですとか統廃合,それから管理運営面の見直しということで,プールの共用化ですとかクラブ活動の外部委託,それから学校施設の維持管理の見直し,先生の負担軽減を含めて,維持管理を見直していこうというものです。それから空きスペースの活用,小中一貫教育の充実として,9年間のつながり,学年を超えたつながりを作っていく,コミュニティ・スクール化,それから面積基準の見直しということで,児童生徒の変化に柔軟に対応するということになりますが,現在,一人1台のタブレットを入れましても,まだパソコン教室が残っているですとか,ICT機器の活用と充実をしなければいけない。さらに,防災対策の強化と衛生管理面のコロナウイルスを含めた対応をする,こういうことが求められます。
 これを個別計画の実行と併せて行っていくことによって,長寿命化計画の効果プラスアルファが出てくるということを考えております。
 そして,5ページでございますが,このコスト削減効果の試算を小・中学校全般で行ってみました。現在,全国の小・中学校保有面積は1億5,700万平米でございます。これを従来どおり約50年で建て替えるという試算をいたしますと,年平均,約1.3兆円かかるという形になります。これを80年,90年に長寿命化いたしますと,9,800億円,約20%強減少になります。
 そして,その下に書いてございますように,修繕改修サイクルに合わせまして,適正規模・適正配置,それから諸室の見直し等の有効活用を行うことによりまして,さらなる効果が出てくるということで書かせていただいております。
 これで施設面にかかるコストを削減しながら,新たに使わなければいけないもの,ICTですとか,いろんな費用がかかりますので,こういうことを併せて対応していくということが必要だと考えております。
 そして,6ページでございますが,このような流れというのが少し既に出てきている状況でございます。具体的には,新たな取組といたしまして,学校個別計画と適正規模・適正配置,これをセットで行っていくような自治体が出始めております。学校個別計画で施設の状況,それから今後かかる施設のお金,それから学校を取り巻く現状,こういうことが把握できますが,ここの中でブルーの真ん中の表でございますが,学校個別計画より今後20年間程度の修繕改修の工事と連動させまして,適正規模に見直す。これが小中学校でございます。それから,再編計画と連動して適正規模・適正面積に見直していく,これが高校ということになりますが,この計画を同時に実行することによって長寿命化計画以上の効果を生むことができるということで,具体的な改善案を作って実行を始めているところが出てきております。
 取組を始めている自治体といたしまして,県立高校から始まりまして,都市部の自治体,それから地方都市の基礎自治体まで,状況は様々でございますが,こういうことを同時並行して大きな効果を出すことが進められ始めております。
 7ページに行かせていただきます。7ページでございますが,これは長野県の小諸市の学校個別計画と適正規模・適正配置の検討をしている例でございます。
 学校教育審議会の中間まとめ,これが3月に出ております。この長野県の小諸市は人口約4万人で,現在8つの学校がございます。2つの中学校,6つの小学校という形になっております。ここで1年間かけまして,こういう方針を立てております。この方針に関しましては,先ほどから御議論されている内容が盛り込まれておりますが,これをコロナウイルスの関係でちょっと中断いたしましたが,市民にお示しをしていくということを今始めております。
 次の8ページを見ていただきますと,この教育審議会の中間まとめを望ましい学習環境の見える化ということで,なるべく分かりやすく住民の皆さんに理解をしていただくような形で,スケッチを書いたり,それから考え方を具体化していく,こういう形で具体化しております。
 時間がございませんので細かくお話はできませんが,例えば,8ページ側にあります市民参加による教育の推進ということで,コミュニティ・スクール化,学校を核としたコミュニティということで,市民一人一人が関わり合う市民ボランティア,右側の9ページ側の図を見ていただきますと,上から2段目のところに,市民ボランティアの方が放課後,学習サポートしているような絵がございますが,こういうようなスケッチを作りながら具体化を進めています。
 それから,こちらの学校は3年間,小学校の英語の授業のモデル校になっておりますので,真ん中のところにあるようなALTの教師が英語を児童に教えたり,クラス担任は英語が話せなくても一緒に学ぶような形でやっていきましょうですとか,こういう新しい学習の在り方をお示しをしております。
 そして,10ページに入っていただきまして,この現在の状況をどういうふうに見直していくのかというのを同時並行で動かしております。そうしますと,一番上のところに現在がございますが,2つの中学校区で全部で8校の学校がございます。これに対しまして,右側に詳細な将来推計と書いてございますが,市全体,学校別,学区別,児童生徒数,学級数,それから1学級当たりの人数,これの推計をしながら,今後5年ないしは10年後に,例えばA中学校の方の児童生徒数がかなり減ってまいりますので,じゃ,ここのところを先ほど来の遠隔授業で実施ができないか,ないしは一部統合,完全統合など,複数の案を示しながら,これをどうしていくのか具体的に検討します。
 その際に,一番下に,部局横断的なコストの把握と書いておりますが,現在のコスト状況,これはハード面からソフト面,ICTに至るまで積み上げまして,現在幾らかかっている,これを見直すと幾らかかってくるか,こういうところをお示しをしながら,複数の案から選んでいただくような形で合意を取っていくというような形で,来年までにまとめていこうという流れがございます。
 そして,11ページでございますが,新たな取組の2番目でございますが,施設の運営面,管理面の見直しということで,平成29年の3月に文科省さんの方が学校長寿命化計画の解説書,これを出されております。
 その中に,集約化,複合化,共用化の先行事例,これを入れておりますが,ここから約4年経って,さらにいろんな先行事例が出てきております。1例でございますが,プールの共用化。これはかなり今いろんなところで行われておりますが,1つは学校プールを廃止して市民プールを活用する例。2つ目は民間のスイミングスクールで水泳の授業を実施して,学校のプールを廃止していく例。3番目は市が土地を提供いたしまして,地元のスポーツクラブがプールを建設をして,水泳の授業を実施していく,時間外はスポーツクラブとして活用していいですよと。こんな3例ぐらいが出てきております。
 そして,2番目でございますが,施設の維持管理の見直し,管理運営のアウトソーシングと書いてございますが,これは先生の負担軽減につながります。クラブ活動の外部委託,中学校や高校の運動部の活動に専門の指導員を派遣いたしまして,部活動の指導体制の充実と先生の負担軽減。それから,2番目で学校開放のアウトソーシングとしては,近接したスポーツ施設を運営しているNPO法人が,隣の学校の体育館,校庭,これを併せまして学校開放を行いまして,学校開放を先生から切り離し一体的に実施することでの大きな効果を出しているような例も出てきております。
 3番目は,放課後クラブに民間の企業等を活用した有料プログラムを導入いたしまして,友達とスポーツ,ゲーム,工作などをして楽しく放課後の時間を過ごすとともに,宿題や反復学習に取り組むアフタースクール化,これは私立の学校も行っておりますし,自治体でもアフタースクールを実施したいというところがかなり増えてきている状況でございます。
 そして,3番目でございますが,学校との集約化,複合化,やはり最小単位の学校として小中一貫というのがございますが,さらに学校と近接した公民館,図書館,支所,こういうものを複合化してハード面,ソフト面と連携を図る。これは住民からのニーズでこういうものが出てきておりますが,新しい形での学校との複合化例というのもかなり出始めている状況でございます。
 そして,少し飛ばしていただきまして,最後の18ページ,19ページをお開きいただければと思います。18ページでございますが,まとめということで,学校個別計画と併せまして対応すべき項目として,先ほど適正規模・適正配置の検討,管理面,運営面の見直し,それから学校施設の維持管理の見直し,空きスペースの活用等々,お話をさせていただきましたが,今後,例えば管理運営面であれば選択肢や先行事例をお示しして自治体の方々が,あ,これはやれるなとか,このレベルでやっていこうという選択肢をお示しをしていく。適正規模・適正配置ですとか,こういう形であればできる,選べるという選択肢をお示しをしながら,部局横断的なコストシミュレーションによるコストの最適化を図っていくということがこれから非常に望まれるのではないかと考えております。
 そして,19ページ側でございますが,横断的な実行計画と部局横断的なコストの最適化を実現するためには,まず長寿命化計画,これが来年の3月までに学校施設担当の方々がお作りになられて,まとまるという状況でございます。
 空き教室対応,学校施設の活用,これは学校長ですとか教育委員会の学務課,総務課等々が担当されております。それから,今後の詳細な将来推計,これは学務課の方々が行う。そして適正規模・適正配置,これは学務課,教育総務課です。それから面積基準に関しましては,面積基準だけでなく,諸室の見直し,1教室当たりの面積,これも新しく建設した学校は75平米ございますが,古い学校ですと60平米ぐらいしかございません。ここにタブレットを置いた机を入れて何人座れるか,学級数当たりの人数ですとか,それからコロナ後の対応,こういうことを含めて検討する必要もあります。
 それから,施設の管理運営面,先ほどのプールの共用化,クラブ活動ですとか,これは教育総務課が担当されております。それからICT活用の充実,それぞれの組織が検討されていて,さらに市長部局でいえば,学校の空いた部分を活用するお話や財政面,こういうことを併せて長寿命化計画が2021年に出来上がりますので,これと併せまして,今後10年,20年の横断的な実行計画を今後3年,4年で作り上げて実行することによって,大きな効果が生まれると考えております。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 まず,御質問をお受けしたいと思います。御質問おありの方は手を挙げるボタンをお願いできますでしょうか。時間が限られておりますので,大変恐縮ですが,たくさんいらっしゃる場合はちょっとまとめた形にさせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。では,御意見どうぞお願いいたします。田村委員,お願いいたします。

【田村委員】
 学校の適正な規模の在り方など,少子化を見据えたときに,スクールバスを動かすなどして,ある程度の規模を確保することでクラス替えができたりとか,切磋琢磨しながらの,学級対抗戦ができたりなどのメリットもあるとの意義を,平成27年の報告書で,大変,私は注目をして読んだ記憶があります。
 特別支援学校には非常に広域からお子さんが通ってきています。ある意味では,近未来の統廃合が起きたときの学校の姿かもしれません。私は全然タイプの違う異なる2つの障害種別の学校を新たな1つの学校にして安定させるまでのプロセス,つまり,2校の閉校と新規開校することを2回経験してきました。みなが大事にしている学校を閉じるということは本当に大変なことです。統廃合により新しい学校をつくるということは教育行政施策上で現状に大きな課題があるために1つにするわけですが,主役である児童生徒及び保護者にとってその学校こそが一番魅力があって,そこに通う者がみなが学校を愛する気持ちが持てるような学校にしていく取組が準備段階から必要だと実感しました。設備・施設面の充実や,学校を造るための新しい教育課程や初度調弁をするということが開校の準備の核のようにも言われていますが,実際に2つの学校をそれぞれ5年ぐらいかけて,準備段階から作り上げて,開校後3年後までやってくる中で分かったことがありました。ポイントは,心の統合でした。まず、お子さん自身が1つの学校としての心のつながりを作ること,それから保護者も教職員も,学校を中心に1つになってもらうということ,こうしたことが大事でした。
 統廃合に伴う閉校のとき,事務的な閉校マニュアルはあるのですけれども,統合して新しい学校を作っていくという手引きはなかったのです。制度として広域統計上では大変大事な中身がたくさんありましたが,そこに通うのは子供です。その学校を地域の人たちが大事にできるかという点では,校長が中心となって教育委員会のバックアップを受けながらやっていきますが,愛される学校を作るという本質のところをしっかり検討・準備していくことが大事なのです。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 時間の関係がございまして,今,手を挙げた方で止めたいと思うんですが,現在5人の方が手を挙げておられます。貞広委員,清原委員,香山委員,今村委員,天笠委員です。大変恐縮ですが,これまた全然話題は違うんですけれども,今回,今日初めて御発言のある方からお願いをしたいと思います。あとの方は,時間が来ましたら,大変恐縮ですが,切らせていただきますので,よろしくお願いいたします。では,今村委員,お願いいたします。

【今村委員】 発言させていただきます。
 この学校規模適正化の検討ということで,資料4に「適正化の検討は児童生徒の教育条件をよりよくすることを目的とする」と記載されているわけなんですけれども,ちょっと不勉強なところもたくさんあるんですけれども,学校規模が小さければ,子供たちにとって,また,クラス規模が小さければ,教育として,よりよい教育になっていないのか,いや,小さい方がいい教育とするのかというところは,もしかするとカリキュラム・マネジメントや先生方の役割,また,地域社会との連携そのものの方がそれを意図するのかなと,意味づけるのかなと思って聞いていました。
 その中で,今回,コロナウイルスで1つ分かったこととして,特に10代の世代が本当に多くの時間をネット上で過ごしています。これはコロナがあってもなくても,SNSとかソーシャルゲームとか,なかなか普通に生きていて地域社会に出ていくということをしない世代になっているわけなんですけれども,コミュニティ・スクールとか,また地域と連携した,あえて学校が地域と開いて連携していくPBLなどの活動で子供たちが地域の人たちと出会い,そこでナナメの関係の人と出会うということは,とても大きな人間関係のセーフティネットを作ることになります。
 学校という機能が閉じてしまった,お休みになってしまったときに,子供たちが物すごく,特に声を上げられない家庭の子たち,養育能力が乏しい家庭の子たちが一体今回どんな日常を過ごしているのかということが見えてきていません。特に虐待等の発見もなかなかしづらい状況にあった中で,地域社会との連携が子供たちの手に届くところにあるということはとても重要なことなので,私はできるだけ徒歩圏内で,又は少なくともバスで通えるところに学校があるということはとても重要なことだと思います。
 そのときに,先ほどまでほかの委員の先生方がおっしゃっていたように,今一人1台パソコンがあれば,たとえネットがなくたってLTEは使えるはずですので,そういったものを駆使すればオンライン学習もできますし,遠隔教育もできる中で,先生という存在が何の仕事をしていくべきなのか,また,どんな施設をどんなふうに活用しながらやっていくべきなのかということを,先ほどのすばらしいプレゼンテーションなども参考にしながら,何が子供たちにとっての教育の質と言えるものなのかというところを,立ち戻りながら,できるだけ地域と子供たちの関係性は,子供たちにとっての教育の質なのであるということを重視しながら,この検討を進めていきたいなということを発言させていただきます。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,大変恐縮ですが,次は貞広委員にお願いしたいんですけれども,あと清原委員と香山委員と天笠委員は,残りの時間がありましたらまた御発言していただくということで,貞広委員の御発言で一旦この件終わらせていただきたいと思います。申し訳ありません。では,貞広委員,どうぞ。

【貞広委員】 よろしくお願いいたします。私,中座する予定ですので,座長に特別な御配慮いただいたかと思います。どうもありがとうございます。
 まず,1点目でございますけれども,私は決して学校をどんどん統廃合すればいいという論者ではございません。特に小学校に関しては,先ほど今村委員の御意見にもありましたけれども,できれば歩いて行ける徒歩圏内で,分校化してでも何らかの形で残すという選択肢が必要だというふうに考えております。
 ただ,その一方で,中学校のレベルに関しては,これももちろん自治体にもよりますけれども,実際の生活圏やその後の高等学校の学区ということを考えたりとか,又は,そこでオンラインの学習を保障していくという今日的なことも考えると,一自治体に必ずしもこだわるというよりも,例えば圏域というような考え方をもう少し選択肢として考えてもいいのではないかというふうに思います。
 今日,資料2の8ページ目のところにも組合立の学校を考えたらいいのではないかという御示唆がございましたけれども,例えば,そうした広域行政ですね,教育の分野における共同処理制度の適用ということを考えることも重要であろうと思います。組合立だけではありませんで,例えば,教育委員会自体を共同設置をしたりとか,教育連合化したりということもあろうかと思います。ただ,そのときに制度を変えていくハードルが非常に高くなりますので,是非都道府県の教育委員会のサポートもお願いできればというふうに考えるところでございます。
 2点目でございますけれども,先ほどファインコラボレート研究所さんの御報告もありましたが,私も個別の施設の計画と再配置というものは連動するものだというふうに思っております。連動しなければ計画として機能しないというふうにも考えますが,ただ,その一方で,学校の再配置の問題というのは非常に手間と時間がかかりますので,そうした前史を持っている自治体とそうではない自治体,今回の対応は異なろうかと思います。
 ですから,そうした前史が持っていないところについては,なかなか今回連動させた形で計画を立てる,個別の施設計画を立てるということも難しいかもしれませんけれども,将来の近い時点でしっかりと連動させていくということを周知をするということも必要かと思います。
 3点目でございますけれども,すいません,先ほどの2点目のことでも少し申し上げたいんですけれども,再配置の計画ってなかなか地域の反対も強いので,手を付けたくないような側面もあると思うんですけど,これ,コストの面というよりも,その地域の教育を将来どのように充実させ続けるのかということを,まだ幾つかの政策の選択肢があるうちに考えるということだと思いますので,その連動というものに目配りをしていく必要はやはりあるかと思います。
 すいません,それで3点目でございますけれども,先ほどこれもファインコラボレート研究所さんの御報告で,長寿命化で20%程度のコストの削減があるというようなお話がありましたけれども,恐らく各自治体にとっては全体の幅の圧縮の20%もさることながら,いかに年度の平準化を行って,毎年毎年できる範囲で負担をしていくかということが重要かと思います。そういう意味でも,やはりその再配置の計画と連動させた計画でないと,長期間のスパンをもってコストの平準化ということが考えられなくなりますので,先ほど2点目に申し上げたことを各自治体の方が今後取り組んでいただけるようになればいいというふうに希望します。
 以上3点です。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,お三方,大変申し訳ありませんが,よろしくお願いいたします。
 では,この件をここで切りたいと思います。阪口市長,望月代表取締役,お二人どうもありがとうございました。
 では,今日最後の議題の3に移りたいと思います。これまでも御議論いただきました新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ,今後の学校教育の在り方等について,まず,浅野初等中等教育企画課長から御説明をよろしくお願いいたします。

【浅野初等中等教育企画課長】 初等中等教育企画課長の浅野でございます。
 資料5-1は修正が溶け込んだ形になっておりますので,資料5-2の方で説明をさせていただきたいと思います。
 前回御説明させていただいて,いろいろ貴重な御意見を頂戴いたしました。その中で,3ページ目のところで,会議後に堀田委員の方から「ICT活用能力」という文言よりも「ICT活用指導力」という言葉が今使われているので,それに置き替えた方がいいという御示唆も頂いて,マル4のところで表題を変えるとともに,若江委員,神野委員から頂いた教育委員会等へのサポートに対して,教師の活用能力,ICTの活用指導の各教育委員会等へのサポートについて,さらに記述を追加をさせていただいております。
 続きまして4ページ目でございます。ポストコロナの段階での記述でございますが,基本的な方針の枠の中で,貞広委員から御指摘頂いた履修主義,修得主義についての部分でございますが,柔軟に併用していくということになると,この考え方の対立構造を柔軟に併用していくというふうにも読めますので,米印に書いてありますように,今現在もそれぞれの考え方を取り入れた運用がなされておりますので,これらの適切な組合せをしていくということを書いてございます。
 それから,今村委員からも御指摘がありましたところで,前回は全ての児童生徒への取組と多様な児童生徒への取組という分け方をしてございましたが,全ての児童生徒と多様な児童生徒で分ける必要がないんじゃないのかという御示唆を頂きましたので,あえて全ての児童生徒への取組というのと多様な児童生徒への取組というのを分けずに,ICTの活用や対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリッド化による指導の充実と,特例的な措置とか実証的な取組でさらに深掘りをしていくという点について整理をさせていただいております。
 4ページ目では,先ほど申し上げましたように,ICTの活用による指導の充実ということで,マル1から順次整理をさせております。特に吉田委員から御指摘のありました「遠隔・オンライン教育」という言葉で,学校内でやるのか,それが家庭で学ぶということを示しているか,ここの書き方では混在した形になっているという御指摘を頂きましたので,マル2の中やその他のところで,学校におけるオンラインの使用については学校の授業時間内においてということを明確に記載をさせていただいております。
 それから,5ページ目のマル5のところは,これは特例的な措置や実証的な取組の方へ移させていただいております。
 それから,6ページ目では,児童生徒の特性に応じたきめ細やかな対応ということで,不登校児童生徒,障害のある児童生徒,日本語指導が必要な児童生徒に対しての状況の共有や個別支援計画の策定,電子化ということを記載をさせていただいております。
 それから7ページ目からは,特例的な措置や実証的な取組ということで,特に,さらに深掘りをしてやっていく部分について,まとめて整理をさせていただいております。
 私の方からは修正点について御説明をさせていただきました。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 前回頂きました御意見を反映していただいたということですが,この資料につきまして,御意見,御質問等頂ければと思います。また手を挙げるボタンを押していただけますでしょうか。
 では,まず,堀田委員,お願いいたします。

【堀田委員】 東北大学の堀田でございます。
 先ほど私が発言した「遠隔教育」とか「オンライン教育」とかという用語の整理についてということについて,こちらでは随分きれいに整理していただいていると思っております。このことについて1点だけ述べます。
 まず,学校内でもオンラインでの学習というのができますし,これによって学習ログがたまって個別最適化につながり,また,きめ細やかな学習指導につながるということを考えると,これからはこれは積極的に行うべきであろうと。そのことと,在宅での家庭学習をオンラインで行うとか,課題をオンラインで提出するということはうまくつながっていると思っております。
 また,先ほどの小学校や中学校,地域で連携して,普段は学校にいない別の学校の先生が専科指導で訪れて教えていただくような形になるときにも,離れた場所からこの学習状況が把握できるというのは非常に強みとなるというふうに思っておりますし,場合によっては,それこそ遠隔から授業をするということもあり得るかと思います。この辺の幾つかのパターンというか,タイプというか,そういうものを整理いただいて,例示していただくとイメージがしやすいのかなと思います。
 今は,制度的に「遠隔教育」という言葉で整理されており,今までそれしか想定されていなかったので,そういう言葉で丸めてしまってありますけども,今,特にポストコロナで状況が変わっていると思いますので,この辺もお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,今,残り3人の方が手を挙げていらっしゃいます。香山委員,清原委員,長谷川委員の3名の方です。香山委員,清原委員お二人につきましては,この件ということでよろしいでしょうか。では,手を挙げていただきました順番に,まず香山委員からお願いいたします。

【香山委員】
 本件についてなんですけども,先ほど標準規模であるとか適正規模についての資料がございました。あれとも絡む話をさせていただこうと思います。
 今,大都市にある企業がテレワークをどんどん導入するようになって,田園都市へ流出するといったような現象が起きているように聞いているんですね。そのことによって東京の地価も下落しているといったようなことも聞いているんですけども,今後,人口密集地において大規模校がどんなふうに新型コロナの感染に対応していくのかということを考えたときに,地方における小規模校の存在意義というのがますます重要になってくるのかなというふうに感じています。
 そこにおいて,標準規模であるとか適正規模といったようなコロナ以前の仕組みというのがそのまま生かされていくというのではなくて,いま一度考え直す時期に来ているのではないかというふうにも思います。
 世界で今最も注目されている1つの大学として,ミネルバ大学というのがあって,ミネルバ大学は全てオンラインで授業をする。そして,1クラスは上限が19名という形で運営されていて,世界の俊英が集って,こぞって入学を希望しているといったようなことも考え合わせますと,オンライン授業,遠隔授業の可能性というのは非常に高いのではないかというふうに思います。
 そして,生活においては,田園都市で生活していくという新しい生活様式を踏まえた学校教育の在り方というのは,是非構築し直すということも必要ではないかというふうに考えております。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。香山委員,今のはこの件に関してということで承っておけばいいんでしょうか。

【香山委員】 はい。遠隔授業やオンライン授業の履修修得の在り方についても関係することですので,この件についてということでお願いしたいと思います。

【荒瀬部会長】 分かりました。じゃ,後から時間があれば,また適正規模,配置の話も御意見がおありだということですかね。分かりました。ありがとうございました。
 清原委員,お願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます,清原です。
 今回,皆様の意見を集約して資料5-1,5-2におまとめいただきまして,感謝いたします。2点申し上げます。
 1点目は,2ページ目に,改めまして確認させていただきますが,新型コロナウイルス感染症が終息していないウィズコロナの段階におきまして,正に緊急事態宣言解除後も新型コロナウイルス感染症による臨時休業等が行われた場合は,一定の要件の下で,「オンラインを含む家庭学習を授業と同様に評価することを明確化する」とあります。やはり,「オンライン授業をきちんと授業として明確化する」というウィズコロナの段階の取組ということは,大変有意義にポストコロナにもつながっていく論点だと考えています。
 と申しますのも,先ほど,防災は日頃の備えの積み重ねを実践されている阪口高石市長さんの元気はつらつな御報告を伺ったわけですが,正に日常的に準備をし,そしてタブレットの授業を取り組んでいるからこそ,このウィズコロナの段階でも活用ができたということがあります。
 さて,多くのところはウィズコロナで初めてこの遠隔・オンライン授業を経験していると思いますが,それを維持することで,その経験を生かすことでポストコロナにおける実践が生きてくると思います。
 そこで,これは4ページでございますけれども,ポストコロナの段階でございますが,この四角囲みの基本方針の中で明確に示しておりますように,ウィズコロナの中で,GIGAスクールが全国展開をする前に経験した遠隔・オンライン教育と,そして教師の対面指導とのハイブリッド化がやはり意義を持ってこざるを得ないというふうに思います。
 とりわけ,先の議題にありましたところで,小規模校を維持する選択をされようとされている自治体においては,それを補う意味で,大規模校とのオンラインの授業による取組が検討されていますし,少子化対策の中で出生率が上がっている離島の首長さんとお話ししたときに,あえてコミュニティの核として学校は統合しないと選択されました。けれども,そこで大事なのは,大規模な学校と小規模の学校が分断されることなく,正に相互につながることであって,今後はオンラインによる授業の充実によって,少しでも学校格差がないように取り組む必要もあります。
 したがいまして,今回まとめていただきました,このまとめの中にありますウィズコロナ,ポストコロナに通底するのは,「誰一人も取り残さない」きめ細かい授業の質を上げるために,遠隔・オンライン授業を適切に位置付けることであると,このことを確認したいと思います。
 最後に,私は今回,このような遠隔・オンライン授業を進めるに当たって,教師の皆様が主体的に御努力をされたと思うのですが,やはりコミュニティ・スクールとして,地域との連携の中で,こうした取組を支援するNPO法人でありますとか,あるいは保護者ですとか,そうした幅広い人材も顕在化するチャンスがあったと思いますので,遠隔・オンライン授業においてもコミュニティ・スクールのメリットを生かした幅広い人材が,適切に教員を支援し,教員のカリキュラム・マネジメントにおいて的確な「協働」が推進できればと,このように考えます。
 以上です。ありがとうございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,長谷川委員,お願いいたします。

【長谷川委員】 ありがとうございます。LITALICOの長谷川です。よろしくお願いします。
 資料5-2の4ページ,取組事項,マル1についてなんですけれども,前回も意見として申し上げた点になりますが,「ICTを効果的に活用し,誰一人取り残すことがないよう」の後ろに,「全ての子供の個別学習計画に基づき」という文言を追記いただきたいというふうに考えております。前回申し上げた点でもありますし,個別学習計画の活用という点においては,前々回,今村委員や神野委員からの資料にもあります。また,昨年度の論点取りまとめにおいても記載を頂いています。
 このICTを活用していく場合,当社は個別支援計画等も活用していますけれども,障害のある子供だけじゃなくて,全ての子供にそれを作成することが一人一人の可能性を引き出すことに大きくつながるという実感を持っておりますので,強く申し上げたいと思っています。
 今回も,学習のスタディ・ログを活用した個別最適化された学びとなっていますが,ログというのは結果ですから,何のプランに対する結果だったのかということがないとPDCAが回っていかない。今あるプランは個別のプランではなくて,クラス全体のプランに留まっていると思っています。なので,プランだけはクラス全体,結果は個別個別に出てくるというところで,ないよりは当然,結果だけでも個別にあった方がいいですけれど,本質的には個別のプランがあって,個別の結果が出て初めて,個別最適化学習というところが真の意味で実現されていく,真の意味でPDCAが回っていくと思っていますので,前回と重ねて強く意見として申し上げたいと思います。
 以上になります。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。続きまして,吉田信解先生,お願いいたします。

【吉田(信)委員】 お世話なります。吉田でございます。
 私は1点だけです。この資料についてどこをどうということではございません。全体的なことなんですけども,ウィズコロナ,それからアフターコロナ,そしてまたオンライン授業ということを考えますと,やはり教員の指導の体制作りというか,端的に言ってしまえば,現在の教室の定員数であるとか先生の数,こういったことをやはりしっかりと将来に向けて見直していくべき時期に来ているのではないかなと感じております。
 私は実は,少子化は進んでしまうものではあるかもしれないけど,それを是としてはいけないというふうに思っております。やはり多くのお子さんがまた生まれて,そしてしっかりと育っていけるような,そういう社会をみんなで作っていこうということは,これが政治の大きな役割だというふうに思っております。
 先ほど高石市長さんの元気な御挨拶と清原前市長さんのお話も,私も本当に同感でございまして,やはり教育の質を充実させるということ,これは教員,先生方を人数も増やすし,しっかりと子供に対応していくんだということを,どこかでそういう方向が盛り込まれていれば有り難いなと,このように考えているところでございます。
 1点だけ申し上げました。以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。では,あと神野委員と天笠委員から御発言の御要望があります。神野委員,お願いいたします。

【神野委員】 神野です。よろしくお願いします。
 私からも1点だけで,3ページ目のマル4のところの教師ICT活用指導の指導能力の向上などに向けてというところに書かせていただいたところで,私の発言に対して反映していただいてありがとうございます。
 さて,その中で1つ挙げたかったのは,ICT環境のICT活用をサポートするICT支援員の配置の促進,また,全国の学校現場をサポートする,そして設置者に対して,ICT環境の整備に関する計画策定及びICTを活用した効果的な指導方法などについて助言・支援を行うというふうに書いてあるんですが,助言・支援だけではやはりちょっと足りないと思っていて,そこが前回私が申し上げたCIOというようなポジションを各都道府県ごと,自治体対ごとに置いていく必要があるというふうに思っているところでございます。
そのCIO的ポジションの中に含まれていることというのは,この助言・支援だけでなく,ある種,意思決定というところを半分伴うような活動というものが必要だと思っていて,それくらいの人材を雇用し,かつ,それを地域に配備するようなことが,このICT活用教育アドバイザーの活用でできるのかというと,少し今,私は疑問に思っているところもあり,あえてそこでもってこのICT教育活用アドバイザーだけで実現できるものじゃないんじゃないかなというところを今,危惧しております。
 以上になります。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,天笠委員,お願いいたします。

【天笠部会長代理】 どうも失礼いたします。
 まず1つは,先ほどの議題に関わってなんですけど,メンテナンスということについて1つ申し上げさせていただきたいと思います。
 学校の建物については,余りメンテナンスという発想がこれまでなかったように思うんですけども,先ほどの御説明等々にありましたように,メンテナンスということが大変大切なキーワードになってきたんだと。
 1つはその考え方なんですけども,古くなってから,壊れてから直す,あるいは古くなってから建て直すという,そのある意味の転換であって,古くならないようにする,あるいは傷まないようにするという,こういうことの思想というんでしょうか,考え方がどれほどこのメンテナンスという言葉に託して浸透していただけるかどうかという,そこのところが課題だと思います。
 それから,そのメンテナンスについては,どちらかと言うと,あるいはこれまでも振り返ってみますと,ハードウェア主導であって,ソフトはそれにくっついてくるべきものという,こういう考え方というのが,ハードウェア先行のメンテナンスだったと思うんですけども,むしろソフトの変化にハードは従っていくというか,寄り添うというか,支えていくという,むしろソフトとハードの関係を転換していくということも,また,そのメンテナンスの中の考えとしてあるんじゃないかと。
 以前から,ハードとソフトの乖離というんでしょうか,その辺りのところの融合というのをどういうふうに図っていくのかどうかということこそ注目すべき,あるいはこれからしっかり詰めていくべき課題ではないかというふうに思っております。先ほどの件については以上ということで。
 それから今の件については,1点だけですけども,教育の質とか,あるいは教育の中身とか,そういうことになります。そうすると,オンラインの,あるいは遠隔のというのも1つの手段として,また今日的な状況からすると,これは整えていく,あるいはさらに充実させていくというふうなことの必要性というのは,同様に私も認識しているところなんですけども,1点,教育の質という中には,社会的リテラシーの育成ということも,私は外してはいけないことの1つではないかというふうに思っております。その社会的リテラシーの育成にオンライン等々はどう向き合っていくのか。あるいは,どうそれとの関係というのを求めていくのかどうなのか,この辺りのところについても詰めていく必要があるんじゃないかと思いますし,先ほどの学校規模の維持というのも,あるいは,それのこだわりというのも,実はこの社会的なリテラシーの育成の環境作りの1つとして,学校の一定の規模,規模のこだわりということがあったのではないかというふうに思っているわけですけども,将来のポストコロナのその先を見据えたときには,この辺りの社会的リテラシーの育成の在り方,指導体制の在り方ということというのもまた1つのテーマとして浮かび上がってきているのではないかというふうに思いますので,この辺りのところをまたこれから議論を詰めていかれたらというふうに思っております。
 ということで,以上ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。

【荒瀬部会長】 どうもありがとうございました。先ほどの件もこれで御発言いただいたということでよろしいですね。

【天笠部会長代理】 はい。ということにさせていただきます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。
 今,手を挙げていただいたのはこれで以上ということでございます。
 時間が少しありますので,大変恐縮ですが,手短に清原委員と香山委員と先ほどの件につきまして御意見をお願いいたします。清原委員からお願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます,お時間がない中。私から,それでは絞って申し上げます。
 先ほど重要なテーマとなりました,18ページに整理していただきましたところを御覧いただきますと,「人口動態等を踏まえた学校運営や学校施設の在り方等について」,3点に論点を絞っていただいた中の2番目に「適正規模等の検討を踏まえた効率的な整備や,他の公共施設との複合化,共用化などを推進していくことが求められる」とあります。この場合,幼稚園であれば教育委員会で関わりますが,保育園とか,認定こども園とか,高齢者施設等と連携する場合には,教育委員会と市長部局とのさらなる密接な連携,さらには文部科学省と厚生労働省等との連携が必要であって,補助金等が適切に現場に来るということも求められます。現場の市区町村ではそういう(補助金)情報も不可欠です。複合化,共用化のメリットを生かすために,バックの支援として,そうした「補助金の見える化」というのが重要になるというのが1点目です。
 2点目は,18ページに,「ポストコロナ時代も見据えつつ,今後の教育の在り方全体の議論を踏まえて,学校における感染症対策と児童生徒の健やかな学びの保障を両立していくための施設環境を整えていくことが重要となる」とあり,論点の最後が,やはり新型コロナウイルスとの関連で整理されています。
 例えば,夏休みに,エアコンがあるので授業をしたいんだけれども,換気との両立が難しくて,窓を開けると気温が上がる,換気との兼用のエアコンを備えている学校はほとんどないという課題も浮き彫りになってきました。エアコンがあるだけ幸いですが,今後ポストコロナの時代,「感染症対策と施設環境の整備」という課題が18ページに掲げられましたから,私たちとしても是非何らかの具体的な提案をできればと思っています。
 すなわち,施設というのは単なる箱物として批判されてはいけないんです。子供たちが健康に健やかに教師とともに成長する現場ですから,それはいろいろな角度から安全確保を図るべきなので,今回,18ページに浅野課長が御紹介いただきました論点というのを皆様と共有しながら審議が深められればと,このように思います。よろしくお願いします。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。では,香山委員,お願いいたします。

【香山委員】 失礼いたします。
 先ほどの資料は,ポストコロナを見据えた資料というよりは,私の印象では,コロナが起きる前の段階での資料というふうに私は映ってしまうんですね。
 小規模校というのは維持をするのが大変だと。そして,天笠委員のお言葉を借りれば,社会的リテラシーを育成するには規模が小さ過ぎるんじゃないかといったようなマイナスのイメージといいますか,それがベースになっていて,適正規模とか標準規模も,昔定められた数字を今後も維持していくといったような方向で書かれているように,扱われているようにお見受けしたわけですね。
 ただ,今,先ほど来,清原委員もおっしゃったように,ポストコロナの時代はやはり変わっていかないといけないというふうに思うんですね。それにはやはり少人数学級が大切にされ,少人数学級はやっぱり3密を避けることになりますので,そういった環境が当たり前になっていくと。逆に言えば,人口密集地における大規模校におけるデメリットというのが,実は資料としてあってもいいのではないかというふうに思うわけです。
 小規模校,大規模校のメリット,デメリットをいま一度再検討して,標準規模や適正規模というものを定め直していくと。それがまずは最優先であって,その後にどうコストに対して考えていくかという,優先順位は,やはり子供の学びということを優先順位にしていただけたらなというふうに感じた次第です。どうぞよろしくお願いいたします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 御発言に対する御意見もあるかもしれませんが,大変恐縮ですが,時間の関係で,御意見はメール等で頂くということでお願いしたいと思います。
 ただ,最後にもう一人,小林委員,御発言をよろしくお願いいたします。大変恐縮です。手短にお願いいたします。

【小林委員】 ありがとうございます。
 先ほど香山委員がおっしゃられたことで,今,実業界では今回リモートワークが機能するということがわかり,社員が都会を離れて環境の良いところに住居を構えるというような動きが進んでいくのではないかというふうに考えています。
 その場合に1つ大きなキーになるのは,子供の教育の質です。先ほど香山委員がおっしゃられました大規模校のメリット・デメリット,小規模校のメリット・デメリット,プロスコンスを明確にし,どこにおいても子供たちがしっかりした質の高い教育を受けられるような環境を作ることが,正にポストコロナの社会に非常に重要なポイントになるかと思いますので,その点,今後しっかりと議論していけたらというふうに思います。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 規模も大変重要な観点かと思いますが,規模だけで教育が決定されるということでもまたありませんので,全体的なことを考えながら議論を進めてまいりたいと思います。大変ありがとうございました。
 今日はこれで終了にしたいと思います。御意見のおありの方,先ほども申しましたが,メール等でこれまでも頂いておりますけれども,どうぞこれからも事務局の方に頂戴いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では,次回につきまして,田中教育制度改革室長からよろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 次回の本部会の日程につきましては,7月17日金曜日の14時半から17時半で,今回と同様のウェブ会議方式での開催を予定しております。詳細につきましては,追って事務局から御連絡申し上げます。

【荒瀬部会長】 それでは,これで終了いたします。長時間どうもありがとうございました。
 

―― 了 ――

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