新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会 (第8回) 議事録

1.日時

令和2年5月26日(火曜日)10時00分~12時30分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階第2講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 新型コロナウイルス感染症対策に係る対応等について
  2. 関係部会等からの検討状況の報告
  3. その他

4.議事録

【荒瀬部会長】 おはようございます。時間になりましたので,ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会第8回新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会を開催いたします。本日は御多忙の中,御出席いただきましてありがとうございます。
 本会議は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,ウェブ会議方式にて開催させていただきます。
 まず,本日の資料につきまして,田中教育制度改革室長より説明をお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 皆様,おはようございます。本日は前回の合同会議と同様にウェブ会議方式にて開催させていただきます。御不便をおかけすることもあるかと存じますが,何とぞよろしくお願い申し上げます。
 ウェブ会議を円滑に行う観点から,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいようはっきり御発言いただくなどの御配慮をお願いいたします。また,御発言の都度,お名前をおっしゃっていただくようお願いします。御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。また,御発言に当たりましては,「手を挙げるボタン」を押していいただくようお願いいたします。御協力のほど,よろしくお願い申し上げます。
 それでは,資料の確認をさせていただきます。
 本日の資料は,議事次第にございます通り,資料1-1から資料4-2まで,加えて参考資料となっております。御不明な点等ございましたら,お申しつけください。

【荒瀬部会長】 すみません,荒瀬です。先ほど名前を言うのをうっかりいたしました。よろしくお願いいたします。
 資料はお手元に御用意いただいていますでしょうか。本日は,議題1としまして,新型コロナウイルス感染症対策に係る対応等について,議題2といたしまして,関係部会等からの検討状況の報告を取り上げ,それぞれに関して委員の皆様から御意見を頂戴したいと考えております。
 御承知のとおり,新型コロナウイルス感染症対策に係る対応としましては,先日,4月27日に開催されました本特別部会と初等中等教育分科会との合同会議におきまして,委員の皆様から御意見を頂戴し,「全国の学校教育関係者のみなさんへ」としてメッセージを取りまとめました。多くの御意見をありがとうございました。既にメッセージを発出しておりますが,この状況が我が国の教育に与えている影響を考えますと,新しい時代の初等中等教育の在り方を議論する上で非常に重要であることから,今回の特別部会でも議題といたしました。
 また,議題2としましては,外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議と幼児教育の実践の質向上に関する検討会から検討状況の御報告を頂きます。答申の取りまとめに向けて議論を加速してまいりたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 また,本日は報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をYouTubeにてライブ配信で公開しておりますので,御承知おきください。
 それでは,本日の議題に入ります。議題1といたしまして,新型コロナウイルス感染症対策に係る対応等について,まず,健康教育・食育課の福島企画官,続いて教育課程課の板倉教育課程企画室長から御説明をお願いいたします。

【福島健康教育・食育課企画官】 健康教育・食育課の福島と申します。
 それでは,まず,新型コロナウイルスの衛生管理マニュアル等につきまして説明させていただきたいと思います。
 御案内の通り,昨日,新型コロナウイルスの対策本部が開催されまして,全国で解除されたわけでございますけれども,その中で移行期間というのも出ておりまして,5月25日から7月31日までの約2か月間は,感染の状況を確認しつつ,段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていくというふうにされております。その中で,学校の再開状況でございますけれども,昨日の時点でございます,都道府県立学校でございますけれども,全面再開をしているものが14県,6月中の全面再開を予定しているのが22府県という状況でございます。
 そういう中で,文部科学省といたしまして,これまで3月にも学校再開ガイドライン等を出してまいりましたけれども,今後,学校の教育活動を再開していくに当たりまして,児童生徒等,それから教職員の感染リスクを可能な限り低減していくと。その中で子供たちの学びの保障と両立をしていく。そのために,文科省におきまして学校の衛生管理の観点から,学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルというものを作成いたしました。これにつきましては,5月22日付で全国の教育委員会等にも周知をさせていただいております。このマニュアルの内容につきまして,この資料で簡単に御説明させていただきたいと思います。
 大きくは3つに分かれておりまして,まず1点目でございますが,学校における新型コロナウイルス感染症対策の考え方というところでございます。これにつきましては,政府全体でも新しい生活様式というのが出ておりますけれども,それを踏まえました行動基準を示しておりまして,それを参考としつつ,「新しい生活様式」への円滑な移行,それから児童生徒,教職員の行動変容の徹底を図っていく。そのことによって,子供の健やかな学びを保障していくことが必要だというふうにしております。
 それで行動基準でございますけれども,この表の下に※印でついておりますけれども,5月14日に厚生労働省の専門家会議がございました。そこの提言の中で,地域区分というのが3つ示されておりました。ここに括弧で示されておりますけれども,特定(警戒)都道府県,それから2つ目が感染拡大注意都道府県,それから3つ目が感染観察都道府県でございます。この3つの地域区分を参考にいたしまして,文科省のマニュアルの中で3つ,地域の感染レベルをお示ししております。
 表にある通りでございますが,レベル3が特定(警戒)都道府県に相当するような地域ということでございますけれども,ここにつきましては,身体的距離の確保というのができるだけ2メートル程度(最低1メートル)。それから感染リスクの高い教科活動については行わない。それから,部活動につきましては,個人,あるいは少人数でのリスクの低い活動,短時間の活動に限定したいということでございます。
 レベル2でございますが,これは感染拡大注意都道府県,それから感染観察都道府県の一部を想定しておりまして,ここは感染拡大の警戒が必要な地域を想定しておりますけれども,ここにつきましては身体的な距離の確保ができるだけ2メートル程度。それから,教科活動につきましては,リスクの低い活動から徐々に実施をする。部活動についても同様でございますが,教師等が活動状況の確認を徹底していく。
 それから,レベル1でございます。ここは感染観察都道府県に主として相当する部分でございますが,ここは1メートルを目安に学級内で最大限の間隔を取る。教科活動につきましては,十分な感染対策を行った上で実施する。部活動についても同様の記載をしております。
 このような行動基準を踏まえた上で,次の2番でございます。学校における基本的な新型コロナウイルス感染症対策というところでございます。1つ目のポツにございますけれども,基本的な感染症対策の徹底,ここは引き続きお願いしたいと思っております。これは手洗い等でございますね。それから,集団感染リスクの対応というところで,これまで繰り返し「3つの密」を徹底的に避けるということをお願いしまいりましたが,これについても引き続き同様でございます。併せまして,先ほどの行動基準を踏まえまして,レベル2,レベル3の地域で1クラス20人程度の教室での座席配置というのがどういうイメージになるかというのを示したものが右側の図でございます。ただ,この図はあくまで目安ということでお示ししておりますので,実際の具体的な学校の置かれている状況,それから換気等の状況,そういうものを踏まえましてやっていただきたいと思っております。
 それから,3番でございます。ここからは具体的な活動場面ごとの感染症予防対策でございます。先ほど行動基準のところで感染リスクの高い教科活動というのをお示ししておりましたけれども,マニュアルの中で具体的な感染リスクの高い活動というのを例示させていただいております。
 1番,これはまず,各教科でございますけれども,児童生徒が長時間近距離で対面形式となるような「グループワーク」,あるいは「合唱」,「調理実習」,「密集する運動」,こういった「感染症対策を講じてもなお感染のリスクが高い学習活動」につきましてはレベル3では行わない,先ほどの行動基準のとおりでございます。
 それから,2番目は部活動でございます。マニュアル本体のほうでは少し細かく示しておりますけれども,ここにつきましても,レベル3では,なるべく個人の活動,それから少人数で実施する場合には十分な距離を空けて活動,それから密集する運動等は行わないということでございます。
 それから,3つ目に挙げておりますのが学校給食でございます。ここは感染リスクに配慮しつつ,例えばレベル3の地域では,やはり配膳の過程というのがリスクの高い活動というふうになっておりますので,この過程を工夫して,例えば減らすようにすると。ここでは品数の少ない献立の提供というのを例示で挙げさせていただいています。
 それから,図書館でございます。これにつきましては,図書館利用前後の手洗いを徹底する。併せまして,図書館内で密集が生じないように配慮した上で貸出機能を維持するということを書いております。それから,最後に登下校と書いてありますけれども,これは登下校時間帯の分散,それから集団登校下校,それからスクールバスを使用する場合に「3つの密」を避けるための工夫や指導を実施というふうに書いています。
 以上,感染症の予防対策ということで具体的な活動場面等を例示しております。私どもとしましては,このマニュアルを参考に,それぞれの学校の実態に応じて感染症対策を講じていただいて,子供たちの学びを保障していただきたいというふうに考えております。
 説明は以上でございます。

【荒瀬部会長】 では,板倉室長,よろしくお願いいたします。

【板倉教育課程企画室長】 はい,承知しました。教育課程課の板倉でございます。
 5月15日に発出した初等中等教育局長通知「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた学校教育活動等の実施における『学びの保障』の方向性等について」,御説明させていただきます。
 学校の臨時休業が続く場合であっても,子供たちの学習に著しい遅れが生じないようにすることは重要です。そのため,臨時休業期間中の児童生徒に対しては,まずは学校が指導計画等を踏まえて適切な家庭学習を課し,電話や電子メール等も活用しながら教師が行う学習指導・状況把握と組み合わせて,可能な限り学習を支援することが重要です。文部科学省としても,これまで子供たちの学びを保障するため,学校が課す家庭学習の支援等の取組として,具体的な取組事例等の情報提供のほか,「子供の学び応援サイト」による各種コンテンツの提供等を通じて,各学校・各地域における取組を支援しているところです。また,これまで各種通知の中で,教育委員会等や学校に対して学びの保障の考え方について示してきたところでございます。
 資料1-2,画面に映っているものを御覧いただければと思います。5月15日の通知は,今後,長期間にわたり新型コロナウイルス感染症とともに生きていかなければならないという認識に立ち,感染症対策と子供たちの健やかな学びを保障することとの両立を図るための基本的な考え方と取組の方向性をまとめたものです。ここに記載の各項目の詳細については,調整が整ったものから随時お知らせしていくこととしております。
 それでは,通知の具体的な内容を御説明します。
 まず,1ポツ,「新型コロナウイルス感染症対策を徹底したうえでの『学びの保障』」です。新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた学校教育活動の実施に当たっては,学校・家庭・地域が連携し,あらゆる手段で,子供たちを誰一人取り残すことなく,最大限に学びを保障する必要があります。また,今後,新型コロナウイルスが一旦収束しても再度感染者が増加する事態等も想定されることから,柔軟な対応が可能となるよう,ICT環境の整備を含めて準備することが必要です。さらに,5月4日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議において提言された「新しい生活様式」を踏まえ,必要な措置を講じることが重要です。文部科学省においては「新しい生活様式」を踏まえた「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を作成し,5月22日に発出したところです。また,基礎疾患等のある児童生徒など,感染予防のため欠席する場合の配慮や,逆に虐待のリスクがある児童生徒等は登校させて見守るなど,きめ細やかな対応が必要と考えております。
 次に,2ポツでございます。「子供たちの「学びの保障」のための教育活動について」です。学校教育が協働的な学び合いの中で行われることに鑑み,臨時休業や分散登校期間中であっても,学校においては,教師が児童生徒の状況を丁寧に把握し,学びを止めないよう支援して頂く必要があります。そのためには,感染症の影響の度合いに応じて,年度当初に編成した教育課程を見直すことが必要な場合もあると考えられます。その際は,新学習指導要領の趣旨に則り,育成すべき資質・能力を意識しまして,指導内容を明確化し,指導方法を柔軟に見直すこと,3つの資質・能力をバランスよく育成し,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け,指導方法を工夫改善すること,自治体や国の支援の下,学校を主体としたカリキュラム・マネジメントを実施することといった基本的な考え方に基づき,教育課程を編成していただくことが重要であると考えております。
 その上で,感染拡大防止に十分配慮しながら,学校における指導を充実させていく必要があります。具体的には,学校の空き教室等も活用しながら,小6・中3・高3等を優先させつつ分散登校すること,長期休業期間や土曜日の活用,1コマ40分・45分に短縮しての1日当たりのコマ数の増加などの工夫が考えられます。
 また,これらの工夫を行ってもなお年度当初予定していた内容の指導を今年度中に終えることが困難な場合の対応として,5月15日の通知におきまして,特例的な対応を2つ示したところでございます。1つ目は令和3~4年度までを見通した教育課程の編成を可能とすること。2つ目は学校の授業において行う学習活動を教師と児童生徒の関わり合いや児童生徒同士の関わり合いが特に重要な学習への動機付けや協働学習,学校でしか実施できない実習等に重点化することも考えられること。なお,学習活動の重点化を行う場合には,定着が不十分な児童生徒に対しては個別に指導を行うことが必要と考えています。
 これらの取組を進めるために,教育委員会等各設置者におかれては学校を支援していただきたいと考えております。また,文部科学省としても,学びの保障のためのあらゆる取組を実施するために必要な人的・物的体制の整備や教育課程編成・実施に係る助言等について,今後,順次示していくことを予定しております。
 以上,5月15日の通知の概要を御説明いたしました。新型コロナウイルス感染症については,学校を含め社会全体が長丁場の対応を前提としなければなりません。子供たちに少しでも健やかな生活と豊かな学びを保障することができるよう,学校・家庭・地域社会の全ての関係者の皆様の御協力の下,全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 私からの説明は以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,この議題に関連いたしまして,今村委員,香山委員,神野委員,それに初等中等教育分科会の岩本委員など,複数の委員の皆様から資料の御提出がありました。資料2でございます。こちらについて,御説明をお願いしたいと思います。神野委員,今村委員の順によろしくお願いいたします。
 まず,神野委員,お願いいたします。

【神野委員】 皆さん,おはようございます,神野です。資料のほうの御説明をさせていただきます。
 まず,前提といたしまして,この資料は,私と高校部会の岩本悠さん,また,今,いらっしゃる今村久美さん,香山委員の連名で出させていただきつつ,全国の教職員の方々や保護者,生徒さん,また,教育行政の方々の対話の中でまとめさせていただいたものになります。
 今,映していただいている2ページ目に書かせていただいておるものが今のGIGAスクールということに対する,どこかみんなが抱えている漠然とした不安というところをまとめさせていただき,避けたい未来としてまとめさせていただいているものです。何が言いたいかといいますと,これまで国における学校現場へのICTの導入,例えば電子黒板をはじめ,様々な取組をされてきたのですが,なかなか定着に至らなかったというような背景の中で,仮にこのGIGAスクールというところがこれほど大きく動いているにもかかわらず,定着というところに至らなかった場合,やはりそこには様々なひずみが生まれるだろうと。そのようなことを様々な方々が危惧しているというところがこの2ページ目にあるところであります。
 次のページに行っていただきまして,そのような中において,突如現れたコロナという歴史的にも,また,国家,世界的な緊急事態という中で,社会全体としてデジタルトランスフォーメーション,つまり,例えば全ての会社がリモートワークに切り替わっていったりだとか,医療現場に急に電子カルテというものが入っていったりだとか,また,この中教審自体が今,このようなZoomという形で行われているというような形で,一気に社会全体がデジタルという行動を取り込まざるを得なくなってきた中において,学校教育の中のGIGAスクール構想の進め方というところも,この流れの中でどこまでやり切ることができるのかというところを主眼に考えていくべきだろうというふうに考えております。
 その中において,一つ,厚生労働省が出していた,この前の板倉さんとかの発言にもありましたが,要は新しい生活様式というようなものに照らし合わせた形で,学校教育の中の新しい教育様式ということを見据えて行かなければいけないと考えていまして,新しい教育様式というのは,先ほどあった,もちろん,2メートル以上離れなければいけないとか,そのような生活様式に照らしたところもあるのですけれども,この新しい教育様式というところにおいては,デジタルというところで学校教育現場で何をし,そしてまた教員の方々や,あとは現場,オフラインの中で何をしなければいけないのかということをしっかりと打ち出していかなきゃいけないというふうに考えております。
 次のページに行っていただきまして,その中で私たち,皆様方とお話ししていく中で,やはり学校教育の中で変わらない本質,これまで学校教育自体がやってきたことってどういうことだったのかなということをまとめさせていただいたときに,例えば健康の保障,福祉的機能をちゃんとやっていただいたとか,あとは社会的機能,関係保障ということ,人間発達というところをやっていて,その上にさらに学力の保障というようなことをやっていると。これほど様々なことを学校現場はやってきたというところに,私たちとしても直面しております。この中の様々な機能,全てこの機能を取りそろえている学校だからこそ,この国の社会性とか,モラルとか,人間性とか,カルチャーとか,そういうものが守られてきたというふうに考えていて,この3つの機能ということをどのような緊急事態が起ころうと,この後,未来永劫保障していくためには,やはり何をデジタルに任せて,何をオフラインに持っていくべきなのかということに関して議論していくべきだろうと考えております。
 次のページに行っていただきまして,このような様々な学校現場がやってきたことを踏まえた上で新たな教育様式ということを考えていかなければならないと考えておるのですけれども,その中で一つ,議論の柱というほど大きなものというよりか,もう少し細かいものになっているんですが,これまでの中央教育審議会の様々な部会の中で話があった,そのようなことを鑑みつつ,さらにもう少し踏み込んでそれをちゃんと実現していく際に必要なものとして,私たちが現状考えているものということを挙げさせていただいております。
 5ページ目なんですが,その中で新たな教育様式ということを考えていく上で,まず,オフラインということとオンラインでできることを同時に考えていかなくてはいけないんですけれども,その中で,ちゃんと学校現場の役割として,例えば高校部会のほうでこれまで考えられていたスクールポリシーだったり,ちゃんと社会に開かれていくというようなこと,これは学習指導要領でも書かれていることですが,この次のページです。

【荒瀬部会長】 大変申し訳ありません,ちょっと資料の配信がうまくできないみたいですので,委員の皆様,お手元の資料を御覧いただきまして神野さんの御説明をお聞きいただきたいと思います。神野さん,お続けください。

【神野委員】 はい,分かりました。じゃあ,5ページ目と僕が言わせていただいていたのは,学校教育の新しい教育様式,健やかな学びを保障するため,今進むべき方向性と書いてあるページをちょっとお開きいただければと思うんですけれども,これまで様々,中央教育審議会のほうでも議論されていたことをこの中で書かせていただきつつ,特に今日は,私自身の立場としてはGIGAスクールということ自体が,今,インフラの整備ということが一気に整っておると思うんですけれども,それを更に加速し,ちゃんと定着させていくというところにおいての発言をさせていただこうと思っております。また,今村委員のほうからは学校に通えない子に対する学習保障という観点から,ここに書いてある中のものをより詳しく御説明させていただこうと思っております。
 2ページほど行っていただきまして,強調しておきたいポイント1として,インフラ整備に終わらない「GIGAスクール構想」の推進というページを開いていただきたいんですけれども,よろしいでしょうか。そちらのほうで私が今回,強く発言させていただきたいこととしては,現状,上側に書いていますデジタルトランスフォーメーション,つまりはデジタルというものをちゃんと取り込んだ形の社会にしていく,学校教育にしていくというような中の動きに関して,こちらの左に書かせていただいているインフラ整備というところに関しては,かなり議論が進んでいて,このたった1か月,2か月で,もうほぼ全てができるんじゃないかと,それぐらい文部科学省の物すごい動きの中で,今,現場に対する様々の打ち手が講じられているというふうに理解しております。
 もう一つ,そこに新しくこの中央教育審議会でもリードして議論していかなければならないのは,この右側のほうだと思っていまして,インフラは整備されていっておるんですが,例えばですけど,今,自治体においては,一生懸命,先生方がYouTubeを使って自分の授業動画というのを録って使おうとしていたりするわけですけれども,例えばそのような使い方をもしする際にも,そのような授業というものは,もしかしたら,既にあるコンテンツの中で,より使いやすい授業動画というのはあるかもしれませんし,また同時に,そういうものを共通化して皆が使うことによって,現場への手間ということを省ける可能性もあります。つまり,インフラ整備だけじゃなくて,インフラが整備された後,それをどのように活用していくのかということがすごく大事になってきますし,そのときの考え方として,学校現場の中のカリキュラム・マネジメントとか,学校のスクールポリシーということに照らし合わせた上で,そのインフラをどのように活用していくのかという,かなり高度な考え方が必要なんじゃないかなというふうに思っております。
 そんな中で,都道府県教委は,更に奥までいえば,各学校に対してもCIOというポジションを配置していくということを考えるべきじゃないかというのを私は考えていまして,CIOというのはチーフ・インフォメーション・オフィサーの略で,情報化における最終責任者,最高意思決定者という意味なんですけれども,そのようなポジションにいる方ということをちゃんと教育行政や教育現場の中に派遣していくということが大事なんじゃないかというふうに考えています。といいますのも,今回,コロナが起こりましたし,今後の世界に関しても同じような感染症が起こることも考えられれば,地震だったり,台風だったり,あとは戦争のようなことが起こるような可能性すら考えたときに,それでも先ほど挙げさせていただいた学校現場が果たしてきた役割ということをちゃんとデジタルとオフライン,全部かみ合わせた上で保障していくためには,やはりどうしてもデジタル側ということを常に考えられる人材というものがやはり不足しているのではないかと思っております。そのような人材ということをちゃんと教育現場の中,教育行政の中に取り込んでいくというような仕組みが必要なんじゃないかということをこちらのCIO派遣というところに書かせていただいております。
 次に書かせていただいたのが単位時間・授業時数の弾力化という話なんですけれども,個別最適化ということだけを考えるのであれば,ある単元,ある科目を習得するための授業時数というものも,やはり個別最適化になるべきであると。同じ数学をやっていた,同じ英語をやっていたとしても,その子によって習得の時間は違うので,そこに関する授業時数の弾力化ということを考えるべきだというのは一つ,私の立場ではあるんですけれども,正にコロナ禍ということにおいて考えますと,どうしても授業時数が足りないという中において,今,最終学年においてもできるところまでというような話はあるものの,それによって受験自体はどうなるのか,本当に受験というものもやれるところまでで皆がちゃんと図られるアセスメントとしてできるのかというところに関しても,一つ,緊急的には議論すべきことだと思っていますし,恒久的な話としては,この授業時数自体も個別最適化ということを考えていくべきなのではないかということを考えております。
 また,教員免許制度の見直しということに関しても,このようにGIGAスクールですとかデジタルということがどんどん学校現場に入ってきますと,養成課程の中で教員の方々に求められる,教員の方々が養成される科目として,ICTをちゃんと使いこなすことということはもちろん考えていかなければならないと思いますし,また,授業時数の弾力化ということが果たされた後の世界で私が考えていることというのは,もしかすると子供たちの協働的な時間だったり,探求的な時間というところにより多くの時間を取ることができる世界だと思っていまして,そうしていくと,教員免許の中においても,そのような新たな学びというところを内包するような免許制度ということを考えていかなければいけないんじゃないかというふうに考えています。
 最後は新しい教育様式の策定と書いてありますが,こちらのほうは先ほど申し上げましたが,新しいGIGAスクールを前提とした,そのようなインフラを前提とした学校の中において,評価教育とはどうあるべきなのか,協働学習とはどうあるべきなのか,また,学習保障だったり,福祉的機能はどうあるべきなのかというようなことについて,全て事細かに,ちゃんと行動ということを一例として挙げるようなロードマップみたいなものを作れたらなと思っていて,このようなところに挙げさせていただいております。
 そのような形で,デジタルトランスフォーメーションというのが完全に学校現場,教育現場の中で実現された未来においてできることとしては,これは理念といいますか,この後の理想として,21世紀の誇る日本の教育というところを作っていく上で大事なことだと思っているんですが,このような教育を取ったときに,生徒一人一人の学習ログというものが全部取れるようになっていくと。学習ログということがあると2つのことが議論できるようになってくると思っていまして,学習ログによる学力テストや受験,そして試験ということを全部代替することができるということなんですね。つまり,日々,子供たちが勉強しているログの中から,その子自身の実力だったり,その子が何を分かっていて,何を分かっていないのかということが全てあるわけなので,それをもはやアセスメントにしてしまうという考え方ができるだろうと。一発試験でなかなか子供たちの力というのは公正に測れていないというのが現状としてあると思うんですけれども,そういうものを解決する手だてになるだろうなというふうに考えているのが1つ目になります。
 2つ目の学習環境の個別最適化も可能といっていることは,学習ログということがちゃんとシームレスに受け継がれていくような世界においては,例えば引っ越しをして,ある県からある県に移動したときにも,ちゃんと学習ログというのはシームレスにつながれるので,子供たち自体にとって,少なくとも学習保障の意味においてはストレスがすごく少なくなってくると。そのような中で様々な学びの場所ということを自分たちで選びにいけるというのはすごく大きなことだと思っていて,例えば高校がちゃんとスクールポリシーを持ち,一つ一つの地域ごとに魅力的な教育ということを実現したような社会においては,子供たち自体がどこの学校でどういうふうに学ぶのかということを高校入学の段階から,さらにはその途中の段階においても自分たちで切り替えていきたいというようなことを考えると思うんですが,そういうことがすごくシームレスにできるようになるというのは学習ログになります。もちろん,それに関して言うと,例えば病院で勉強する子,また,フリースクールで勉強したようなことを学校と行き来ということもすごく簡単にできるようになるというような時代になるかなと思っていて,これによって誰一人取り残さずに健やかな学びを保障するということができるようになるんじゃないかと考えております。
 すみません,長々としゃべってしまったんですが,次にコロナ禍において,様々な理由で学校に通えない子供たちへの健やかな学びの保障として,今村委員に御説明をお願いします。

【今村委員】 神野さんに替わりまして今村から説明させていただきます。
 今,投影されている資料の強調しておきたいポイントとしては,マル2のところを御覧いただければと思います。先に,1枚,次のページをめくっていただきたいんですけれども,私は一斉休校が決まって4日後から,オンラインで子供たちが毎日,朝の会をして,夕方の会をして,クラブ活動もあって,多様な学びの機会に触れられるサービスを無料で提供してきました。現在,1,800人の子供たちが登録しています。あくまで一斉休校期間中に家庭と子供たちを支えるためにという思いでやってきたんですけれども,一斉休校の解除が見えてきてから保護者の方から様々な相談が増えていることに個人的にとても驚いております。その中で聞こえてくる声として,休校が解除されたのはうれしいんだけど,子供がこれまでよりも不安定になってしまったとか,プリント学習をひたすらやっているんだけれども,学校に行って友達とは遊びたいんだけれども,これから子供たちが勉強をすごく頑張らなきゃいけないというモードにどうもなれないんだとか,あとは衛生環境的な問題からも,うちの子は週に2回だけ学校に行って,週に3日間はこれまでのように在宅でハイブリッド的に学びの機会を作っていきたいんだとか,あと,もともと不登校だということを今まで隠しながら地域の中で生きていた子たちがこの期間はとても元気だったけど,学校に行っていないということをまた重荷に感じながら生活するということで,またひきこもりがちになってしまったとか,そのような声がいろいろと聞こえてきます。私たちのサービスは朝9時半から5時半まで毎日やっているんですけれども,真ん中の右側にあるグラフを見ていただくと,平日日中も利用を続けてくれという声が約4割ありまして,放課後にまたやるとかだったら分かるんですけれども,日中もこのまま使い続けたいんだというニーズが見えてきました。
 前のページに戻ってください。私としては,本当に誰一人取り残すことなくという言葉を本気で掲げていくのであれば,これからも自宅で学ぶということを選択する子供たち,また,このコロナ禍において様々な病気を抱えている子供たち,または不登校をこれから選ぶ人たちが増えてくるのかもしれないということにも踏み込んで備えていくことが必要なんじゃないかということを感じております。それを全て学校,ただでさえ分散登校になって負担が行っている先生方に全て丸投げするということはもう無理だという前提に立った様々な策が必要なんじゃないかと思っています。
 私ごとなんですけれども,今,この状況が何に似ているのかというと,東日本大震災のときに東北の現地で活動していたんですが,あのときに自治体が本当はこういうサービスがあるのに,文科省の方がこういった仕組みを作っているのに,県教委を通し,基礎自治体を通し,学校に伝達が行って,伝言ゲームになって,学級担任の方々に情報が伝達されて子供たちの支援策が何らか届いていったときに全然違うものになってしまうということがよく起きていました。それと同じような現象を今,感じていますし,例えばいまだにGIGAスクールというもの自体に対しても懐疑的な自治体があったり,また,魚屋さんが本当はネットで買える商品がそこにあるのに,魚屋さんの仲買人がめちゃくちゃたくさんいて,親たちの困り感とか先生たちの思いが酌み取れないまま,サービスが届かないみたいなことが起きている現象に似ていることがそこらじゅうで起きて,結局,コンプライアンスの問題だということに置き換えられて語られているということを今の段階でも感じています。
 なので,今回検討したいと思っているのが今取り組むべきことというところに書いたんですけれども,困っている家庭が子供たちのこれからの生活や学びを止めないためにどうしていったらいいのか,また,心の問題をどう捉えたらいいのかということをうまく言葉にできない方も,先生方になかなか相談に行けない方もこれから増えると思うんです。なので,例えば文部科学省認定の学びと心の緊急相談窓口みたいなものを設置して,それは民間の活用でいいと思うんですけれども,そこの相談窓口の方々が学校と子供たちの学習履歴をちゃんと共有したり,または相談案件が心のケアという観点でその地域の相談窓口を御案内したり,一緒に伴走支援をしたりするようなきめ細かいサービスを行える能力がある民間企業やNPOもあると思いますので,そういったところと細かく連携が組めるところを認定して,子供たちが在宅で学びを続けるということ,病室で学びを続けるという子供たちの支えも行っていくという策も必要なのではないかということを提言させていただきます。
 以上です。

【荒瀬部会長】 お二人,どうもありがとうございました。非常にたくさんの情報でしたし,また,大変根本的といいましょうか,学校教育がどうあるべきかという非常に大きなテーマのお話であったかと思います。
 私もこの間,高校の先生のご紹介で,Zoom等によって,結構,広範囲の高校生たちの学びの場に参加する機会を頂きました。印象的でしたのは,学校に行く意味というのはどういうものなんだろうかということを生徒たち自身が考えるようになってきているということでありました。例えば学校に行って単に勉強だけしているのであれば,学校に行く意味ってあまりないような気がする。ただ,学校は本物の人に会える,生きた人間に会える。ここが非常に大事なんだ。そういう意見を言っていた人たちもいました。ただ,学校に行く意味は何なのかということばかりが問われていくと,問題を丁寧に見ることにはつながらないような心配もしております。社会で生きていくというのはどういう意味なのかということを考える中で,その中での学校教育とはどうあるべきなのか,そういう視点も要るということを高校生たちと話しながら感じた次第であります。
 この後,委員の皆様から御意見を頂戴したいと思いますが,今日は12時30分までという予定でございまして,今から11時25分ぐらいをめどにいたしまして,この件に関して様々な御意見を頂戴したいと思います。「手を挙げる」ボタンを押していただきましたら,事務局のほうで見ていただいて,私のほうに連絡を頂きますので,御指名をさせていただきたいと思います。御発言の際だけミュートを外していただきますようによろしくお願いいたします。
 では,橋本委員,よろしくお願いいたします。

【橋本委員】 京都府の教育長の橋本です。
 特に最後の資料2に基づく発表はかなり賛同できるものかなというふうに思っております。この間,ICTの活用をはじめとして,感染症の対応を通じて様々な経験をした,また,学びもあったかと思うんですけど,それをいかにアフターコロナの時代に前向きに生かしていくか,それが一つと,それから学習指導要領改訂などによる新たな学びの時代を今,迎えているはずですので,そうした認識を教育関係者が改めてこの時期に協議をしておくことがとても大切だというふうに考えています。先ほどの資料の中に成り行きの未来ということが示されていましたけれども,これは正にこの特別部会の検討とは真逆の方向にあるものだと思っておりますけれども,こうした方向に進まないよう,我々も自戒をこめてですけれども,取り組んでいく必要があるなと思っております。
 先日,市町村教育委員会向けに私のほうからメッセージを発信しましたが,そこでは失われた授業時数に目を奪われて授業を詰め込み過ぎるあまり,教員や子供の負担が過大とならないようにすること,また,文科省の学びの保障の方向性等に示された様々な学習手段の組合せ等による回復の取組を進めていくこと,それから従来型の知識,技能の習得に偏らないアフターコロナを想定した教育の推進に努めていただきたいことなどを伝えております。そういう意味では,この資料に書かれていることとほぼ同趣旨かなというふうに思っております。ただ,先ほどの発表は,たまたまICT活用のほうに重きが置かれていたと思うんですけれども,私どもからすると,やはり,長期の休業を明けて,今,友達と会える,実際に顔を合わせて協働的な学びもできる,こういうことも同時に大切なんだろうなと考えております。
 また,学校や教育委員会の立場に立ちますと,保護者に学びの遅れへの不安が強まる中で,よそより夏休みの期間の授業が短いと,本当にそれで大丈夫なのかといった声や,受験生の親からはもっと授業を増やしてほしいといった声がまだまだ寄せられるようでありまして,こうしたことを踏まえると,ついつい詰め込みの方向に向きがちになる,こんな事情があります。一方,教員の側でもかつて未履修問題が大きく取り上げられたこと,また,受験への対応を考慮しますと,教員の責任上,教科書に沿って漏れなくきちんと教えておかないと不安を感じる,こんなこともあるかと思います。私自身はこうした詰め込みの学びは決してよいとは思っておりませんし,先ほど言ったような考え方ではありますが,事実としてこうした現場の事情があるということも知っておいていただきたいと思います。それだけに,これからの教育の方向を大きく変えていくには,表現は悪いんですけれども,内輪向けの議論だけでは駄目で,保護者,広く社会の理解を得て,そして,その考え方を改めていく,そんな働きかけ,先ほど資料2に反映された取組も,様々な先生方の御意見も聞いていただいているということですので,こうした取組をしっかり行っていくことがとても重要でないかということも併せて申し上げたいと思います。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 続きまして,清原委員,お願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます,清原慶子です。
 昨日,政府が東京都,北海道などを含めて「緊急事態宣言」を解除しまして,既に解除されて登校が開始されている自治体もあれば,6月を目途に,順次,分散登校や,あるいは全体の登校へと移行しようとする段階に今日の特別部会が開かれました。今後,長期間にわたって新型コロナウイルス感染症とともに私たちは暮らしていかなければなりません。「ウィズコロナ」というのでしょうか。
 したがいまして,このタイミングまでに,まず,文部科学省におかれては,資料1-1,資料1-2に示されておりますように,早急に現場の学校が求められる内容についておまとめ頂いたというのは重要なことだと思っています。
 特に『衛生管理マニュアル』につきまして申し上げますと,文部科学省の部門だけではなくて,厚生労働省との連携もあったというふうに伺いましたけれども,やはり今後は学校の校医さんですとか,各自治体の医療,あるいは保健衛生の専門家との連携が求められていくこととなると思います。したがいまして,今回,マニュアルはお示しいただきましたけれども,各自治体におかれては,是非その地域の医療や保健衛生の専門家の皆様との密接な連携,協働によって,このマニュアルの中で目指すべき「子供たちの安全」,そして「感染予防」に努めていただければと心から願います。
 資料1-2について,問題意識を申し上げます。特に4ページから5ページにかけましては,「年度当初予定していた内容の指導を今年度中に終えることが困難な場合の対応」ということが示されています。確かにこれだけ長期間,昨年度末,そして今年度当初,一斉休校ということになったわけですから,学びの遅れというのが補習や,あるいはオンライン授業をしても生じる可能性があると思います。
 例えば,「次年度以降を見通した教育課程編成」でありますとか,「学校の授業における学習活動の重点化と書かれています。そこで,例えば報道によりますと,4月を新年度の開始にするのではなく9月に開始するということも検討されていると伺っておりまして,これがどのように具体化するかによって,次年度以降を見通した教育課程の編成も変わってくるかと思いまして,特別部会においても「9月入学」ということについての一定の情報共有が必要ではないかと認識しております。
 それから,資料1-2について2つ目の質問ですが,ICTの活用,GIGAスクールについて。この新型コロナウイルス感染症が問題になる前に特別部会で一定の提案ができ,しかもGIGAスクール構想が発表されたことはタイムリーだったと思っているんです。しかも,文部科学省では一定の予算も確保されているという記述もあります。しかし,三鷹市長経験者としては,自治体の現場の感覚でございますが,本当にパソコン,あるいはタブレット型端末が間に合うのか,あるいは大容量のネットワークが全国津々浦々,同様に整備されるのかということについて,一定の心配,懸念がないわけではありません。そこで,例えばPCやタブレット型端末につきましては経済産業省等との連携が不可欠でしょうし,あるいはそのような業界との学校向けの機種の開発なども,この難しい状況ですが,考えなければならないと思います。また,大容量のネットワークにつきましては総務省との連携が大変重要になってくると思います。
 神野さん,今村さんにおかれましては,本当に私たちがこれまで検討してきたものを含めて,「ウィズコロナ」の「これからの時代の初等中等教育」について,大変重要な諸問題の指摘をしてくださいました。中身については,特別部会で今後,緊急事態宣言が解除された後に,荒瀬部会長を中心にまた深い議論をしていく,その出発点の論点整理をしていただいたように思います。「誰一人取り残さない初等中等教育の実現」のために,今日,共有しました情報を基に,また皆さんと御一緒にリスタートし,検討を深めていければと思っております。
 ありがとうございます。よろしくお願いします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 この後,御発言をお続けいただきますが,今現在,13名の方が手を挙げてくださいました。一旦,ここで切らせていただきたいと思います。順番を今から申し上げます。堀田委員,二見委員,香山委員,今野委員,松尾委員,小林委員,吉田信解委員,加治佐委員,吉田晋委員,貞広委員,若江委員,毛利委員,長谷川委員,この順番でお願いしたいと思います。時間は少し余裕があるように思いましたけれども,たくさんの御発言がありますので,大変申し訳ございませんが,手短によろしくお願いいたします。
 では,堀田委員,お願いいたします。

【堀田委員】 東北大学の堀田でございます。
 分散登校等から段階的に学校が再開し始めたわけですけれども,分散登校の優先順位をどうするかということについての考え方が先ほど板倉室長からなされました。先生方が一生懸命努力された結果,授業が終わり切れない場合のカリキュラム・マネジメントは複数年に及んでよいという非常に踏み込んだ発言を文部科学省側から頂いたところです。今後のことを考えますと,第2波,第3波もやってくるのではないかというふうに言われていますし,地域によって感染の度合いも違うことを考えると,これからの学校は,登校するということと同時にオンラインでの学習保障をバックアップとしてやっていくような,そういうハイブリッドな形でだんだんと設計し直さなきゃいけないんだろうというふうに思います。
 現実,コロナで学校が休業だった時期に,公立学校においても先生方がオンラインでいろんなことに取り組もうとされましたが,それができた学校とできなかった学校があります。それは教師の意欲だけの問題ではなくて,設置者である教育委員会のネット回線の細さとか,さまざまなレベルのセキュリティーの問題とか,あるいは想定外だったということで,柔軟な対応ができなかったという現実が,とりわけ市町村教育委員会にはあるように聞いております。その結果,現場の教師たちの士気を下げてしまったところもあるかと思います。これからは登校とオンラインのハイブリッドになるということを前提に考えますと,学校で使う端末を自宅に持ち帰るとか,自宅などさまざまなところでネットに接続して,多様な学びの保障をするということを前提に進めていくのだということを,市町村を含めた各設置者にしっかりと御理解いただくような方策を国としてもっと強くやっていくべきではないか,これからの持続可能な学習支援のためのICTインフラなんだということをもっと強くアピールすべきではないかと思います。
 最後に,先ほど神野さんや今村さんが,民間の若手の目線で学校教育をもっとデジタルトランスフォーメーションしなきゃいけないというふうにおっしゃっていただきました。これは非常に重要な御指摘だと思います。国としては,このICTインフラの整備ですね,今,GIGAスクール等で強く動いていますが,整備の次にやってくる運用の問題があります。民間の方々はもう経験済みですけれども,アカウントをどうするかとか,学習動画,コンテンツの一元的な配信とか,それを見た人のログの取得や活用,そういうところが次の課題になりますので,国としての教育データ標準をどうするかという検討を急いで進めるべきかと思います。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,二見委員,お願いいたします。

【二見委員】 全国町村教育長会の二見です。よろしくお願いします。
 前回も申し上げましたが,925の町と村を抱えておりますけれども,人口1,000人未満から二,三万人までと,様々な町,村です。そういう中で幾つか課題として,今村さんと神野さんが御提案いただいた未来の教育に向けて大変すばらしいと思うんですけれども,そこにたどり着くまでに幾つかまだ課題があろうと思っています。
 1つはインフラ整備,特にGIGAスクールに関わって,二,三年でと思いますが,今年度内にという状況ですが,まず,端末がいつ手に入るか分からないというのが実際です。それから,Wi-Fi環境の問題なんですけれども,地方に参りますと,Wi-Fiそのものの電波が来ない,非常に弱いというふうなこと,それから各家庭においてタブレットでなくスマホがひとり親で1台しかないために,子供が3人いると,昼は誰も持っていない,そういうふうな状況があります。ましてや,それが小学校の低学年になるほど子供用の,あるいは子供が使えるものがありません。そして,実際に学校でインターネットを使った授業,あるいは相談をしておりますが,小学校の低学年,高学年,中学校,高等学校,やはり発達段階を考えてみると,低学年ほど具体物を使い,丁寧に繰り返し実際にやって見せるという教育から始めないといけませんけれども,パソコンのアカウントであるとか,あるいは画面を使ってクリックするとか,至難の業です。6歳の子供にどこまでできるんでしょう。ゲームはできます。しかし,そういう先生からの問いかけに対してどのように対応できるか,これは低学年には至難の業です。
 そういうところでいけば,今,やっと学校が開こうとしていたときに,取りあえず何をやるべきなのか。一つ,免許更新の問題なんですが,二,三年前に退職した先生方,あるいは校長先生方,この方たちの力を借りようとしても,免許が切れている人なんです。すぐに使うことはできません。更新しないとできない。ここらを早急に何とかしないと,特例としてやらないと,人材の確保はできないと思います。
 それから,分散登校をやってきたというので全国ばらばらですが,子供たちの登校した回数,日数には大変な格差があります。感染地域から遠ざかったところでは思う以上に登校していますが,都市部に近い小さな町や村は同じようにほとんど学校に行っておりません。その格差をしっかりと捉えていかないとできないと思っております。
 一応,そこまでにしておきましょう。町村をあずかる者として大変困っている状況をお聞きいただいたと思っております。よろしくお願いします。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。具体的なお話を頂戴いたしました。
 それでは,香山委員,よろしくお願いいたします。

【香山委員】 香山です。よろしくお願いいたします。
 先ほど橋本委員もおっしゃいましたが,年度当初に定めていた授業時数どおりに教えなくちゃいけない,教科書の全ページを教え切らなくちゃいけないみたいな強迫観念に駆られて,本当に焦っていらっしゃる現場の先生方の姿が目に浮かぶんですね。耳にも聞こえてきます。それがゆえに,学校が再開,あるいは登校日を設けながらやったとしても,教え込みに終始してしまう,オンライン授業をしても詰め込みに終始してしまう,そういったことを心配しています。その中で,子供たちが学習に対する意欲を失って学びから逃げてしまうといったようなことになれば,本末転倒だというふうに思っています。
 そういう点で,先ほど神野さんや今村さんが発表してくれた方向性を支持する者ですが,一方で,今,ほかの委員の方も心配なさっていたように,現場にはなかなかオンライン授業ができない,そういった事情もたくさん全国にあります。そういう意味では,オンライン授業ができたら,先ほどの神野さんや今村さんの発表のような方向に持っていけばいいと思いますし,できない現場ではできないなりに先生方が勇気を持っていただける,かつ,どちらにとっても有効なものは何かというふうに考えたときに,私はやはり,今日,教育課程課の板倉さんがお示ししてくださいました学びの保障の方向性等についての通知文をいま一度,深く読むということが必要かと思っていまして,一番のポイントは,どういう状況においても主体的・対話的で深い学びを実現する,その方向に向けて何ができるかということを考えていくという,そこの原理がとても大事かなと思っています。
 先般,京都大学の石井英真さんが遠距離恋愛のごとく子供を想うという旨のメッセージを発信されました。その中で彼はオンラインができていない学校においてもできることがあるんじゃないか,大事なことは心の温度を上げることだという表現をなさっています。これは学習意欲につながっていく言葉だと思っています。その手段として,先生方,いろいろ工夫できると思うんですが,その工夫をなさるときに主体的で対話的で深い学びをどう実現していくのかという,その方向に基づいて工夫をしていただくということがどの先生方にとっても分かりやすいように,できましたら文科省から学びの保障の方向性等についてポンチ絵みたいなものがあれば,都道府県教委や市町村教委も動きやすいと思いますし,実践のモデルがあれば,なおのこと,現場の先生はやりやすいと思いますので,是非そういったことも考えていただいて,方向づけをより明確に,国も県も市町村も現場の先生を支える方向で支援していただけたらなと思っております。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 今のお話,ちょっと時間がない中で申し訳ないんですけど,学校の先生は学校が再開されると,とにかく遅れた分を詰め込まなければならないというように先生たちみんなが思っているような感じのお話が時々聞こえてくるんですけれども,子供たちの身近にいらっしゃる先生は,必ずしもそんなことは思っておられないということもありますので,今おっしゃった教育課程課から出ているあの文書を関係者がしっかりと読み込んでいくというのは本当に大事だなということを改めて思いました。ありがとうございました。
 では,今野委員,よろしくお願いいたします。

【今野委員】 気仙沼中学校の今野享子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 御説明いただきました資料1-2,それから資料2の中でICT環境整備のことについて触れられております。インフラ整備,ICT環境整備が進んでいない地域の状況をお伝えしながら,述べさせていただきたいと思っております。
 3月から臨時休業が続きまして,現在までICT環境が不十分な学校では,オンライン学習等により,より対面に近い手段での指導ができないことの克服のために様々な工夫をし,児童生徒の学びの保障に努めてきています。例えば,家庭学習帳や課題ワークの配付と,その添削指導を繰り返し,分散登校日には児童生徒が直接,教師に質問する場を設けるなど,短時間ではあるものの,指導したり,段階的な分散登校によって,徐々に授業で生徒の学習を進めてまいりました。また,学校独自で指導のために動画作成をする取組もありましたけれども,動画作成における技術面,ハード面で急にはできない場合もございました。そのような場合には,学校のホームページ,メールで家庭や児童生徒に活用してほしい関係機関で作成された各種学びの支援サイトの紹介をすることで補充的な学習をさせています。今後も感染拡大の波が訪れることが予想されます。児童生徒が登校できない状況になった際にまた,現時点よりも着実に学校のICT環境が整備されているように深くお願いしたいと思いますし,そのように切望します。また,資料1-2では,実態に応じて可能な限り必要な人的・物的体制を整理していただくと力強くお示しいただいておりますので,是非お願いしたいと思っております。
 子供たちの学びの保障のための教育活動です。特別部会からの「全国の学校教育関係者のみなさんへ」のメッセージにもありましたけれども,児童生徒が対話的で協働的な学びの実現を通して様々な考え方に触れて,課題の発見や解決に挑む資質・能力を育成しなければならないと思います。が,長時間の対面でのグループ活動に制約がある中で,ICTの活用により,対話的で協働的な学びが効果的になるはずです。しかしながら,実際には児童生徒が使用できるタブレット等は十分に備わっている学校はあまりないのかなというふうに思っております。教室のモニターも,授業で使用したくても,教室に備わっている学校だけではなく,移動式のものを使っていて,限られた台数のものを職員が融通し合って使用している状況の学校さんもあります。また,プロジェクターも教師個人持ちのものを使用していることもあります。対話的で協働的な学びが求められているからこそ,各地域,各学校の実情に応じて段階的にICT環境の整備を進めることで,教師がICTを効果的に活用するその意欲を継続し,更に高めて指導することができるのではないかというふうに考えております。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,松尾委員,お願いいたします。

【松尾委員】 皆様,こんにちは。姫路市立白鳥小学校の松尾弘子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 いよいよ学校現場でも学校再開に向けて希望を持って,今,準備を進めているところです。先週から本市のほうも登校可能日が始まり,明日も登校日で子供たちがやってきますが,やっぱり学校というところは理屈抜きで子供たちの笑顔と歓声が似合うといいますか,私たち教師にとりましても元気と勇気をもらえる,本当にすばらしい場所だなということは再認識した次第です。これからコロナとうまくつき合っていく,ウィズコロナ,アフターコロナということで,やはり細心の感染予防を図りながら,先ほど文科省から出されました新しい学校の生活様式を十分かみ砕きながら進めていかないといけない,新しい学びの時代がやってきた,そして新しい学校のスタイルを考えていかなければいけない時代が来たなということをひしひしと感じています。今まで以上にマイノリティーが大切にされたりとか,多様性,ダイバーシティーを考えていく学校の在り方というものを私自身も考えていかなければならないなと思っています。
 ただ,この休業中に私が感じましたことは,私も心の面のお話をさせていただくんですけれども,相手を思う優しい想像力といいますか,そういうことの必要性ということをすごく感じました。こういう危機的な状況に陥ったときに,どうしても人間は誰かに怒りをぶつけたくなったりとか,それから強いものに巻かれたいとか,自分自身の判断力を停止してしまったり,失ってしまうということもあるように思うんですね。だけれども,例えば学校の教師なども最初の辺りの休業中のときには,一体,自分にはどんなことができるんだろう,子供とつながりを保つためにはどうしたらいいんだろうというふうなあたりで,すごく無力感というものを感じた時期がありました。だけれども,ICTという手段,そこが希望,ICTは希望だなと思ったところがその部分で,本市も市教委が強力なリーダーシップを取ってくれまして,この秋には4万台のタブレットを導入するということにはなっているんですけれども,今あるものの中で,グーグル・フォー・エデュケーションといって,グーグルと提携しまして,例えばグーグルフォームを使って各家庭の子供たちの健康観察をする,その後,グーグルサイトということで,ホームページとはまた違った内向きの学校の情報とか課題を発信できるサイトを利用する。それから,グーグルクラスルームで子供たちと健康観察などのミートをする。そんなふうにして双方向でお互いの気持ちを確かめ合う時間を持てるようになってきた,そういうところがとても大きなところだと思います。
 先ほど香山委員がおっしゃいました京大の石井先生の,私も遠距離恋愛のように子供を想うという気持ちは教師にも伝えました。遠距離恋愛の子供たちにどうやってラブレターを出すか,その手段の一つとして,とても泥くさい方法ですけれども,課題を各家庭にポストインするときにメッセージを加える,それから保護者来校日に課題を持ってきていただいたところに赤ペンでメッセージを伝える,そのような心のつながりを持つというか,アナログな面と,そしてICTのデジタルな面のバランスというのがとても大事だと思います。それから学校を再開したときにも,やはり相手を思いやる心とか想像力を育てながらオンラインをキープしていく,そういうふうなことはとても大事なことだなと思いました。
 今後の学校再開に向けて,新しい学校の在り方を考えたときに,先ほど神野委員や今村委員もおっしゃってくださいましたが,例えば具体的に言いますと,40人のクラスにソーシャルディスタンスを取ろうと思っても,やはりとても難しいところがあります。空き教室を利用して,20人,20人に分けるとしたら,じゃあ,そちらのほうは誰が見るのかということになったときに,やはり人的配置もお願いしたいし,物的配置もお願いしたい。それから,多忙を極める教師のケアというあたりも考えていかないといけない。また,急速に進んだICTに対応できない保護者への支援,そういうふうなことも考えていかないといけないというあたりから,やはり御提案があったような民間との連携ですとか,地域とか福祉との連携ということがこれから学校を再開するに当たって,私たちの意識の変革というか,そういうことをやっていかなきゃいけない時代が来ているんだなということを感じています。
 取り留めないお話になりましたけど,今,私が感じているところです。以上です。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 あと,8人の御発言をお願いしたいと思っております。前回の会議でまとめました「全国の学校教育関係者のみなさんへ」のメッセージにまとめた内容を改めてまた詳しく御説明いただくというのは大変有難いのですけれども,今日は時間の関係もございますので,それ以外といいますか,ポイントを絞ったお話をお願いできればと思います。大変恐縮ですが,よろしくお願いいたします。
 それでは,小林委員,お願いいたします。

【小林委員】 小林です。私の申し上げたいポイントを簡単に申し上げます。
 この会議では以前から教育の現場でのICT化ということについて議論してまいりました。ですから,皆さん同じような理解でいると思いますけれども,今,現実のコロナ禍によってこうした事態が突然起こってしまいました。そのため,どちらかというと,今の事態における緊急対応の議論になっています。一点目として,重要なことは,文科省,国として,今後,教育のICT化についてどういう立ち位置なのかを明確にしておく必要があるのではないかと思います。今行っていることはあくまでもコロナ禍の状況における一時的な対応であるのか,それとも,これを一つの契機として,今後ずっとこういった新しい環境を整備していくのか,これがニューノーマルになるのかという点をはっきりさせないと,現場での混乱というのは回避できないと思います。
 加えて,その中でやはり考えなければいけないのは,2点目として「教育とは何か」ということを社会を巻き込んで,もう一度,しっかりと議論していくことではないかと思います。本質的な議論をするに当たっては,幸いと言ってはいけないですけれども,今のコロナのこうした環境下でいろいろなことが実証され,実証実験のように行われておりますので,そこから,我々が気づいたことを十分に活用しながら,将来の教育の在り方ということについて,学校とは何なのかと,そしてどのようにICTを活用してハイブリッドの効果を上げていくのかということについての議論の機会としていただきたいと思います。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,吉田信解委員,お願いいたします。

【吉田(信)委員】 全国市長会の社会文教委員長を務めております埼玉県本庄市の市長の吉田でございます。幾つか具体的に文科省への要望も含めてお話をさせていただきたいと思います。
 まず,先ほどから出ておりますICTのGIGAスクール構想でございますけど,こちらについては,もう各委員からおっしゃられた通りで,端末の整備でありますとか,あるいは支援員の配置等,本当に様々な課題があって,なかなか進んでいないという現状がございます。私どものところでも,例えば端末なんか県の共同調達でやっていこうということになっておりますけれども,これも実は今年かなり遅くなってしまうだろうという話も出ておりまして,第2波等を考えますと,一刻も早く整理が必要というふうに考えております。支援員の配置等につきましても,しっかりと進めていかなきゃいけないと思っております。一日も早い整備について,鋭意,国全体で努力をしていかなければならないと感じていますので,よろしくお願いしたいと思います。
 先ほど神野委員さんと今村委員さんのほうからおっしゃられたオンライン授業,オンラインがしっかりと整備されてきたときに,いわゆる出席至上主義みたいなものですね,学校に行かなければならないというものについては見直していくべきなんではないかということを私は感じておるところでございます。やっぱりいろんな状況のお子さんがいるわけでございますので,学校に行ってしっかりと社会性を身につけるということは本当に大事だと思うんですけれども,なかなかそれができない。でも,いつかそういうお子さん方も,今,例えば適応指導教室等に行っているお子さんもいらっしゃるわけでございますけれども,そういった子供にも何らかの形で社会性をつけていくためにも,一律,何でもかんでも出席しなければならないという出席至上主義みたいなことは少し見直していくべきなのかなということを私も感じておるところでございます。
 2点目ですが,これはちょっと具体的な話なんですが,先般,報道でコロナウイルス対策,感染予防対策強化として,国公立,私立全ての小中学校と特別支援学校に100万円から500万円支給されるという報道がございました。これについて,購入の対象として消毒液を購入しましょうとか,フェイスシールドを購入しましょう云々というふうに言っていますけれども,もう既に自治体においては,先般,特別交付金を使って,学校についてはしっかり感染予防対策でいろんな備品を配備していきましょうと組んでいるんですね。ですから,後から報道された100万円から500万円,しっかりと乗りかえることができるのかどうか,非常に自治体の財政にとっても大事なので,是非文科省に御考慮いただきたいなという要望でございます。
 3点目といたしまして,密を回避するということが必要だということで,1学級当たりの児童生徒数を減らして対応を図っていきましょうということです。これをもし続けていくんだとすると,是非40人学級の見直し,教職員定数の改善等もしっかり行って,制度として考えていかなければならないんではないかということを一つ,問題提起をさせていただきます。
 それと4つ目なんですが,実は私どもの市でも道徳教育の抜本的改善,充実に係る支援事業における委託金を使っての事業というのをこれから進めていこうとしているところでございまして,これが県教委からの話ではどうも打ち切られる方向だというふうに聞いております。この件もそうですけど,ほかの文科省の事業でも,既存の事業で打ち切られてしまうようなものがあるんではないかということで,現場では非常に不安の声が広がっております。コロナ禍を我々,みんなで乗り切っていくために,実は道徳授業なんか非常に大事なわけでございまして,これについての委託金,道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援事業というものがもし打ち切られるということなりますと,非常に現場では混乱も起きる,不安を持っている教職員の先生方もいらっしゃるので,この際,是非既存の事業というのはどうなっていくのか,非常に心配しておる向きがあるということはお伝えしていきたいと思っております。
 心のケア,心の教育の充実は非常に大事でございます。うちのまちでも,この事業をどういうふうに生かしているかというと,夢先生といって,日本サッカー協会が進めておりますけれども,いろんなアスリートの方々に市内の学校に来ていただいて,その方々の苦労してきた体験であるとか,あるいは一緒にスポーツをやるだとか,非常に効果的な授業ができておりますので,そういう既存の心の事業を支えるような文科省からの事業は打ち切られるということは,私はあってはならないかなと思っていますので,御考慮いただきたいと思っております。
 それから,最後になりますけれども,実は先般の会議でも,各市長から出ていた意見として,紹介という形で9月入学の導入のことについて,私,お話をしたんですけれども,これについてはその後,知事会であるとか,あるいは各方面からいろんな意見が出ているんですけれども,現時点で私が思うのに,これは全国市長会としてもそうなんですけれども,議論すること自体,果たしてどうなのかというふうに考えております。現状,しっかり学校を再開して,みんなで努力をしていくということが大事でありまして,9月入学が全ての解決策のような形で語られるというのはよくないと思っていますし,是非についての議論というのは必要かとは思いますが,国会議員さんが議論すれば,それだけ省庁に調査研究が求められる,そうすれば都道府県にも調査研究が求められる,ひいては市町村に調査研究が求められる。果たしてそれを議論すること自体,国全体,もうこれ以上,疲れることはやめたほうがいいというぐらいの気持ちでおりますので,9月入学については一旦議論を封じていただいて,現状の中でしっかり学校を再開させ,例えば受験等で心配なのであれば受験の内容を考えるとか,現状に即した上で国全体の大きな制度改正等に結びつくような9月入学の議論というのは少し私は待ったほうがいいんじゃないかなということを考えておりますので,併せて申し上げておきます。
 いろいろ申し上げましたけど,私からは以上でございます。ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 最後におっしゃいました9月入学につきましては大変重要なお話だと思いますが,今も御指摘がありましたように全ての解決策になるのかどうかというと,そこのところはなかなかいろいろと御意見のあるところです。私自身は,むしろこれは改めてきちんとした形で中教審に諮問があって,各専門分野から,あるいはまた広範な,生徒,子供たちも含めて,いろいろな形で社会全体で考えていくというのが非常に大事かと思っております。ありがとうございました。
 それでは,引き続きまして加治佐委員,お願いいたします。

【加治佐部会長代理】 私からは2点ほど申し上げたいと思います。
 1点目は,今,吉田委員がおっしゃった出席至上主義云々のことですけれども,今村委員からこの間のコロナにより休業している子供たちに様々な支援がなされたことによって,積極的な不登校の保護者,子供が増える兆しがあるというエビデンスが示されたわけですね。なるほどという感じがいたします。当然,予想されたことであったわけですね。
 いずれSociety5.0時代になれば,当然,そういうことが起こってくるということは言われていたわけです。これまで政府の教育再生実行会議であるとか,あるいは文科省のフリースクールの検討会議等でもいろいろ扱ってきたわけですけれども,学校に通う,通わないという実態と法制度面の乖離が一層大きくなる可能性が高いというふうに強く思います。これまでなかなかそこは大きく変えることができなかったんですね。要するに,就学義務がなかなか変えられなかったということになります。
 この就学義務を,やはり本当にこの議論を加速すべきなんだなということを改めて感じました。同時に,制度的な教育資源の再配分ですね。つまり,学校に通っている子供だけではなくて,そうでない子供たちへの資源の再配分ということもやはり具体的に制度として考えざるを得ないというところに来ているのかなと思います。非常に大きな改革にはなりますが,本当に避けて通れないなということを改めて今村委員の御発表から感じました。これが1点です。是非この検討を急いでいただきたいと思います。
 それから,2つ目は極めて早急に取り組んでやっていただきたいことなんですが,学校は授業が遅れていまして,これから補習授業等をたくさんやるということになっております。そのために外部からたくさんの方々に入ってもらいたい。退職教員であるとか,教員免許を持たない大学生であるとか,そういう方に入っていただきたいということが言われているわけですね。
 恐らく大学もそうなんですが,うちの附属学校でもそうですけれども,外部の方を非常に警戒すると思いますね。つまり,「新しい生活様式」が身についているかどうかなんです。教職員は大丈夫だと思うんですが,そういう方々に対して,今,言われた新しい生活様式というのをしっかり身につけてもらう,あるいはそれが身についているということの証明をするような何か手だてを講じていかなければいけないのかなという気がしております。
 さらに教育実習です。これは今,できておりませんので,多くのところが秋以降になってくると思うんですが,秋以降の実習の在り方について,文科省の教育人材政策課からも通知を出していただいていますが,大学生に「新しい生活様式」を身につけていただかないと,絶対困るわけですね。だから,これを実習の事前指導として徹底するように,漏れのないように徹底するように,我々,当然,大学としては行いますが,国のほうから,文科省のほうからも何らかの通知なり,そういうことを再度改めて「新しい生活様式」とう表現を用いてやっていただけないのかなということを強く思います。私,教員養成部会長でもありますので,特にそういうことを教育人材政策課と今後話し合っていければいいのかなと思っているところです。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,吉田晋委員,お願いいたします。

【吉田(晋)委員】 ありがとうございます。かなり時間が押しているところで申し訳ございません。
 まず,今日,神野委員,今村委員からお話伺って,私,感じているところですけれども,何しろ,本当にこれからAIの時代が来る。そういう中で,ICT環境の整備というのは絶対的に必要なものであって,今回のコロナによって,実はICTというものが一気に表に出てきました。今日,堀田委員も御出席ですけれども,堀田先生たちがずっと3年ぐらい前からデジタル教科書絡みでICTのことをずっとやってきても,全然,国は予算のことが関係するのかどうか分からないですけれど,デジタル教科書も目が悪くなるとか,ゲームの延長だみたいなことを言って,3人に1台で十分だと言っていたのが,突然,昨年,GIGAスクールということで1人1台が出てきたわけです。そういう中で,じゃあ,このAI時代に本当にどうやって生き抜いていくかということを考えたときに,やっぱり私はこのICT環境をしっかり整えていかなくてはいけないという思いがあったので,我々,一部の私立学校では1人1台パソコンということをやってきました。そのおかげで,今回のこのコロナ禍において非常に助かったことは事実です。公立学校でもそれがあったことも事実だと思います。先ほど堀田委員が家に持ち帰れるパソコンというお話をなさっていましたけれど,今のGIGAスクールの発想の学校1人1台では,私はこれは絶対できないことだと思います。やはり個人に1人1台という感覚が大事なことになってくると思うのですね。
 そういう中で,今日の文科省の説明の中にも,柔軟な対応が可能になるよう,ICT環境の整備を含めて準備とか,それから学校や家庭にあらゆるICT機器等の最大限活用というようなことが補正予算で入っているからと書いてありますけれども,実際,今,本当にICTでできている学校がどのぐらいあるのか,文科省がお調べになっているのだとしたら,その数字を是非教えていただきたいんです。なぜかというと,総理大臣も会見で,今までどおりICTを強化してとか,それから小池都知事に至っては,もうICTと並行してというような,オンライン教育と並行してというようなことを平気で言うのですね。だけれど,それができてない。一方で,教育課程において,実はICTというかオンライン授業が今,単位認定をさせないというようなことを文科省は言っています。このまま行くと,オンラインできちんと授業をやっていても単位にはならない。そんなばかな話はないはずだと思います。結局,できないところがあるからということかもしれません。それについて,文科省ははっきりしてほしいのですけれど,なら,大学は何で秋までオンラインでいいのか。そして,大学にはオンラインのためのコンピューターが整備できていなかったら,国がWi-Fiのルーター代を出してあげるとか,それから大学によっては5万円,10万円を全員に渡すとか,そんな余裕があるのだったら自分たちでやれよという気がしますけれども,その辺のところも,いま一度,しっかりしてほしいと思います。
 このAIの件で,一つ,私が吉田市長のお話を伺っていて思ったことなんですけれど,出席至上主義はもう必要ない時代が来るのではないかとおっしゃいますけど,私は高校以下の中等教育,初等教育というのは,やはり人と人が会うことによって,多数者教育によって実践されている部分,効果のある部分というのは大きいと思っています。実際問題として,アメリカのミネルバ大学みたいに1年生から3年生までの間,世界各地を回りながら,授業はみんなオンラインで教授と一対一でやる。でも,生活の部分ではどうかというと,実は全員が一緒に寝泊まりをして,そういう中で討議をしながら,協議をしながら,教授とまた意見交換をするとか,そういうことをやる大学が今,世界でもすごくトップレベルの大学になっているわけです。ですから,AIのためにやるべきことというのは,ただパソコンで,オンラインだけでやるのではなくて,集団というか,学校生活というものが基本にあった上で生きてくるということを私は今回のコロナで学んだ気もしております。
 さらに,一日も早く子供たちが学校現場に帰れるように,そして,そのときにはここで言っているようなソーシャルディスタンスも結構です。でも,専門家会議の先生方はおっしゃっていません。今日,ここに書いてある図なんかでも,実際に伺うと,そんな必要ないし,それからフェイスシールドなんていうのは全く必要ない,マスクで十分だ。昨日,実は文科省からセンターテストの件で3人の専門家会議の先生方とお話ししたという記録も見せていただいたんですけど,本当に専門家の先生たちはそれよりも子供たちがしっかりと学習することを優先にして,センター試験等においても,ソーシャルディスタンスよりも今の入試の間隔でも十分である,つまり,試験中,話なんかするやつはいないんだというような現実をしっかりと捉えていらっしゃいますので,そういう声もこういう委員会で聞かせていただければいいんじゃないかなと思いました。
 ありがとうございました。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,貞広委員,よろしくお願いします。

【貞広委員】 ありがとうございます。千葉大学の貞広と申します。
 私からは今村委員から御提案がありました従来型とハイブリッド型の学校制度の並列について意見を申し上げたいと思っております。現在,もろもろのことが思いもよらないことも含めて起こっているわけですけれども,懸念していることと着目していることを1点ずつ,まず,挙げさせていただきたいと思います。
 懸念していることは,今現在,例年の8月下旬ぐらいから9月1日にかけて起こっていることと同じことが起きているのではないかということです。いま一つ,学校に心が向かない子供たち,または今まではそうではなかったんだけれども,長期休業を経て,学校というものになかなか気持ちが戻らなくなってしまっている子供たちが増えているのではないか,増えていくのではないかという懸念です。そうした懸念は,今日,今村委員から積極的な不登校の増加傾向というエビデンスを示しいただいて,なるほど,やはりこういうことが起きている,手だてが必要だというふうに感じたところです。
 一方,着目している点としては,先ほど対面出席至上主義というものがなくなるかなくならないのか,必要か必要じゃないのかというお話もありましたけれども,制度の徹底的な経路依存性をもってして,この出席至上主義,対面至上主義というものをなかなか我々,払拭できないで来たわけですけれども,実際にやってみると,条件整備さえ整えば何とかなる部分もあるということが分かりました。もちろん,二見委員がおっしゃったように,非常にそれは自治体によっても格差があるものですし,吉田(晋)委員がおっしゃったように全て非対面でいいというわけではなく,やはり社会的機能という学校が持っている機能を維持するという面では,何らかの形の対面や他者との関わりが必要ですけれども,結構,思ったより何とかなるなというところなんだと思うんですね。
 この2つの点に着目すると,やはり従来型の学校だけにこだわるというのではなくて,ハイブリッド型の学校制度を並列させていくというのは,実現可能性も,その効果という側面も,そして何よりも子供たちの健やかな学びを全ての子供たちに保障していくという点でも大変重要な御提案だと思います。ただ,その上で,どちらも質の保障が必要だということになるかと思います。従来型の学校については,本日,板倉室長からお示しいただきました資料1-2が正に質の保障の具体的な手だてですので,ここをしっかりと実施していただくということになると思います。一方,ハイブリッド型の新しい学校制度ですけれども,加治佐委員のお話にもありました通り,これを一つの学校制度だというふうに,オルタナティブだというふうに考えるのであれば,そこに資源配分を行っていくという法整備等も必要になってくると思います。そのときに是非考えていただきたいなというふうに思っていますのは,例えばハイブリッド型の学校は従来型のものと同一ではなく,同質という考えを持つということです。また,どういう学校に資源配分をするかということも,例えば学習指導要領に決められている内容を同じ方法,同じ時間で行うというような事前審査ということではなく,テストスコア等の一元的な尺度によって事後的に評価するのでもなく,もっと多面的な評価の下でハイブリッド型の学校というのを認めていく必要があるのではないかということです。つまり,管理するというよりも,新しい教育の在り方を育成するような観点を持つ必要があるのではないかということですね。それによって多様な教育の在り方やイノベーションが生まれ,ひいてはそれが従来型の学校に,いや,こんないい取組があるよという形でブーメランのように戻ってきて,従来の学校の新しい姿を作っていくということもあろうかと思います。是非このように,今,我々,新しい学校制度ができ上がる,または新しい資源配分の在り方を考える潮目にあるということを再認識して,将来的に大なたを振るうことも見越した長期的な視点も持って,こうした今の危機的な状況に向き合っていかなければならないのではないかというふうに思っております。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,若江委員,お願いいたします。

【若江委員】 キャリアリンクの若江でございます。随分最後のほうになりますので,いろいろ重複する点は避けてお話をさせていただきます。
 正に,直前にお話しいただいた貞広委員の意見と重なるところが多いです。私どもは産業界,主に企業さん方の教育支援を束ねているのですが,今日,神野委員,そして今村委員から御提示いただきました資料のところにあります,未来社会に開かれつながるカリキュラム・マネジメントと教育環境,それから情報社会,地域社会という,この3つの部分をやはりつなげていく役割・機能が非常に重要だと考えます。それについてはCIOの設置いうのが理想的なんでしょうけれども,そこに至るまでの間,私ども産業界なんかが中心になりながら,いろんなことを働きかけようと思っております。
 具体的な事例を申し上げますと,今は現場が混乱の中でも教員の支援ということに注目しておりまして,教員が誤解なく,迷いなく,憂いなく教育活動に,子供たちに意識と時間を割いてもらえるようにということです。例えばですけれども,学校が再開されましたら各委員からのお話にもありましたように,これまでの遅れを取り戻すためにとの思いからすぐ教える授業の詰め込みというようなことがないように,私たちとしてはいろんなコンテンツを提供しています。その一つが学校リスタートプログラムということで,先生方にとってはオンラインで使える,もしくはいろんなハイブリッドの環境で使える教材を独自で作っていくということが大きな負担になっています。ですので,学校再開後揃って授業ができるようになったときの特に新1年生,中学1年生ですとか,高校1年生の人たちには,教科の学習に唐突に入るのではなく,いろんな方から話がありましたように,道徳的なことであるとか,一つは荒瀬部会長からもありましたように,学校って何というようなことを考えるような,5時間,6時間ぐらいの授業案を皆さん方に全国で使っていただけるように公開しておりますし,その中にはコロナって何? というような学校にみんなが集まってこそやるべきことは,こんなテーマでこんなことができるんだということを実感できるような教材を,全国津々浦々,先生方が独自にお考えいただくのではなくて,共通で活用できるものをうまく利用していただきたいと思っております。
 加えて,分散登校の件についてですけれども,クラスが1つあったら,それを3分の1とか,半分に割って,ばらばらにしてしまうよりも,ある意味,ハイブリッド視点で考えますと,家庭できちんとしたオンラインの環境が整っている人が全体45人のうち15人いたとするならば,15人は家庭からの授業参加でいいでしょう。その環境が整わない人やそれが不安な人たちは登校してきていいでしょう。ハイブリッド型の授業展開であればクラスメンバーが分散してしまうのではなく,家庭から授業に参加しているAグループ,実際のリアルな教室に来て授業に参加しているBグループ,そして別の図書室なんかで集まっているICTリテラシーに不安のあるCグループ,そういった授業形態も成立します。学校に登校するグループを曜日ごとにずらしていけばクラスがばらばらにならないで,新しい形の学習の展開が実施していけますし,緩やかにICTリテラシーも身につけていくこともできます。
 もう一つは,正にPBLの学びに変えていかなきゃいけないというようなことです。テーマを投げかけて,各グループが個別に家庭なり,小さなグループで学習をして,それを登校日に先ほどに申し上げましたような仕組みで共有するですとか,正に今,教育は新たなステージに変わろうとしていますので,私どもとしましてはそういう具体例をできるだけ合理的に,クリアに教育現場にお伝えしていくことが責務だなということを今日のいろんな資料の御提示等,委員の皆様方の発表をお聞きして感じた次第です。ですので,外部の連携のところで,加治佐先生からもお話がありましたように,外部の質の保障をどうしていくかというところについて,産業界のベクトル合わせですとか質の担保について,私どものようなところがいろんな機関と連携して,もっと推進していこうということを強く心に決めた次第です。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,毛利委員,お願いいたします。

【毛利委員】 つくば市立みどりの学園の毛利と申します。
 子供たちの分散登校が始まり,本当に子供たちの顔を見るのはうれしいなと思っているところでして,学校というのは教科の学習をするだけの場ではないのです。だから,触れ合ったりしながら,お互いに一緒に生活しながら,人間力を高め合ったりしていく,これは大事なことで,それを大前提として話をしますけれども,うちの学校は4月6日始業式,1日だけ登校して,4月7日から既にオンライン学習を始めています。これができたのも,昨年度まで毎日,日常的に先生方はICTを活用していたので,特に不安もなくできたのかなと思っています。今後,通常登校になったときに,教えることがたくさんあり過ぎるので,これまでICTをあまり使ってなかった学校とか先生は,ICTを利用する時間がかかるから,それは後回しにして,とにかく授業を終わらせるということになったとしたら,今後来る第2波,第3波,あるいは今回も想像も得なかったことが起きたときに対応できない。やはりこれから,今後何が起こるか分からない,だから学校でも家庭でもシームレスに学習できるようにICTをうまく活用して,協働的な学びや知識理解も含めて,そういう学習できるようにならなければならないし,これが最後のチャンスなんじゃないかなと思っています。
 全国でタブレットを導入しようとしているいろんな人の意見を聞いているんですけれども,すごく無責任だなと思うのは,みんな国のせいにしているんですね。僕はICTアドバイザーを何年も前からやっていて,国は1,805億円も財源を手当てして,そして整備できるようにしているのに,実際は整備していない自治体がある。でも,整備していないところは,国がやってくれないからと言う。しかし,中には,小さな市町村でもどんどん進めているところは進めているわけです。だから今回,もう,補正予算で1人1台の予算化がされているわけですから,もう国のせいにするんではなくて,やはり各自治体が,自分たちの市町村の教育は自分たちでやるんだ,そのために国が補助しているものはどんどん使うんだという意気込みでやっていかないと,そういう手だてがない子供たちの差が本当にどんどんこれから広がっていくんじゃないかなと思います。是非,日本中,全ての子供たちにそうした手だてを,そうした学習をさせてあげたいなと思っています。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,大変お待たせいたしました,長谷川委員,よろしくお願いいたします。

【長谷川委員】 LITALICOの長谷川です。よろしくお願いします。
 2つ,提案です。1つ目は,今回の休校措置に伴って,学習保障のために各自治体,学校ごとに行った取組の実態調査というのをしっかり行うべきではないかというふうに思っております。特にオンライン授業においては,図らずも実験的な取組が急加速で実施されることになったということで,その成果や課題,どういう場合,どういう使い方であれば有効に使えるのかという実態調査をした上で今後の施策に生かすということが大切なのではないかと考えています。当社には実際に発達障害のお子さんたちが多数通っておりまして,お子さんたちにオンラインの授業を初めてやってみました。最初は私の個人の考えとして,お子さんたち,対面でやらないと難しいんじゃないか,オンラインでは難しい,はまる子もいるけど,難しそうだというふうに思っていましたが,実際にやってみたら,難しい方は難しかったんですが,一方で非常に便利に使えるような余地もたくさんあったと思っていまして,意外なケースとして,例えば家庭とオンラインでつながっていることによって家庭内の課題を発見する場面も多くありました。それによって,家庭の支援につなげていくというようなアクションが具体的に起こせたというところもありますし,オンラインだとコミュニケーションが難しいというのもありましたが,むしろ,オンラインで,Zoomを使って授業をやったほうが,子供一人一人の発言機会が明確に設定されて,お子さん自体の発言機会が増えたとか,横並びでやっていても,お互いのノートを見たりする場面ってそんなになかったのが,画面を共有することによってお互いの進捗をしっかり見てコミュニケーションができるというので,むしろ,コミュニケーション促進になっている部分もあったりですとか,親御さんがお子さんの学習成果を実感しやすいような場面があったりですとか,これは不登校の観点ですけれども,確かに今村委員がおっしゃったように,おれたちの時代が来たんだということで不登校のお子さんが元気になっていることもある。学びの継続性というのが担保されるような方向になっている結果,うちの教室にすら来たくないというお子さんに対して,オンラインであれば,まず受けてみるという機会になって,そこから教室への通室につながるようなケースというのもありますので,不登校の課題が解消するようなところでもオンライン授業というのは使えるんじゃないかと思っています。
 関連して2つ目の提案というのが,オンライン授業の制度化を真剣にこの中教審において検討できないかと思っておりまして,今回,みんなが学校に行けなくなったということに対する解決策として,運用としてオンライン授業というのが認められているというところになっていますが,今後もやっぱり第2波,第3波が想定されるということに備えて,あらかじめ制度化していくことをこの中教審で議論できないかと思っています。4月10日の文科省からのオンライン授業の運用通知の中で,学校に登校できない児童生徒は指導計画を踏まえて家庭学習を課し,教師がその経過を確認した上で学習成果に反映することができると運用で今なされています。今村委員がおっしゃったように,もともと不登校の子供たち,病院にいなきゃいけないということで学校に行けないお子さんもいらっしゃいます。学びの保障という観点,非常に共感しておりまして,今回,たまたま多くのお子さんたち,マジョリティーが学校に来られないとなっただけで,コロナ以前から学校に来られない,致し方ない事情があるというふうに判断できる子も多くいると思っておりまして,その点の公平な教育ということを考えるのであれば,不登校の子供たちの学びの保障という観点でもオンライン授業を制度化するということが必要なんだろうと思っていますし,コロナの第2波,第3波に備える意味でも,早いタイミングで検討が必要であると思っています。吉田先生がおっしゃる通り,ベースは対面が大事だというふうに私も変わらず思っております。完全オンラインだけでいいとも思っていませんが,オンライン授業を適切に活用するという余地というのは十分にあると思っておりますので,そういった方策をまとめる中で制度化の議論を中教審においてさせていただきたいと思っております。
 以上になります。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 大変いろいろと広範囲に御意見を頂きました。この後,まだもう1つ議題がございますので,今の議題に関する御意見はここで止めさせていただきまして,次の議題に入りたいと思います。ただ,次の議題も非常に重要でありまして,御説明いただくだけで時間が終わってしまうような感じがありますので,必要に応じて,また次回以降で検討していきたいと思いますが,ともかく今日,冒頭申しましたように,議題2といたしまして関係部会等からの検討状況の報告ということで2つのことについてお願いしたいと思います。

【吉田(晋)委員】 荒瀬先生,申し訳ございません。1点だけ,先ほどの質問の中で教育課程課に質問のあったオンライン学習の単位の問題だけ,教育課程課はどう考えているのか教えていただけまでしょうか。

【荒瀬部会長】 ありがとうございます。じゃあ,板倉室長,いかがでしょうか。

【板倉教育課程企画室長】 4月10日の特例についてでございますけれども,とりあえず,このコロナ禍においてはそれが適用されるということでございます。その後の扱いについては,まだ確たるものはないのですが,先ほど長谷川委員等からもございました実態をしっかり把握した上で今後どうしていくかということを考えていくのかと思っております。

【吉田(晋)委員】 4月のというのは遠隔地のものですか。

【板倉教育課程企画室長】 4月の学習指導通知のほうで,再度授業で取り扱わないことができるという特例についてでございます。

【吉田(晋)委員】 36時間の話?

【板倉教育課程企画室長】 36時間の話は,今,その部分で上乗せができるということになっております。

【吉田(晋)委員】 それだけですよね。今のオンライン学習として双方向型をやっていても,それは単位にはならないんですよね。

【板倉教育課程企画室長】 それは36単位まではできるという整理だったと思います。それ以上の上乗せができないかという話で,今回,それができるというふうにやっているという理解です。

【荒瀬部会長】 はい,ありがとうございます。
 今の点は大変重要な点ですので,改めてまとめて,次回以降,きちんとした説明といいますか,あるいは文科省から発出していただくということも含めて御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,次の議題に移りたいと思います。
 まず,外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議における検討状況につきまして,三好男女共同参画共生社会学習・安全課長から御説明をよろしくお願いしたいと思います。

【三好男女共同参画共生社会学習・安全課長】 御紹介いただきました三好でございます。よろしくお願いします。資料3-1に沿いまして御説明させていただきたいと思います。
 外国人児童生徒の教育の充実に関しましては,今回の中教審の諮問事項の1つの柱として位置づけられているところでございますけれども,平成30年12月に入管法等の改正がございましたけれども,それからの連なる動きでありますとか,あるいは法務省などの関係省庁も含めた検討ということで,まずは有識者会議の中で議論していくということで,こちらのほうで議論してまいりました。令和元年の6月に第1回の会議を開きまして,その後,9回の会議を開いて,今年の3月16日の第9回会議で報告書を取りまとめて公表したということでございます。本体は資料3-2,またお時間のあるときにお目通しいただければと思いますが,今日はお時間に限りがございますので,資料3-1の一枚紙のほうで説明させていただきます。
 まず,検討の背景というところでございますが,日本語指導を必要とする児童生徒が5万人を超えていると。これは日本国籍の方も外国籍の方もいらっしゃいます。そして母語の多様化も進行しており,今後もさらなる増加というものが見込まれております。それに加えまして今回の報告書の特徴なんですけれども,今回,外国人の子供の就学状況について国で初めて調査を行いまして,そもそも学校に行けていない,学校に結びついていないような外国籍のお子さんがいらっしゃる可能性がある。これが最大で約2万人いる可能性があるという調査結果をまとめたところでありますけれども,こういった状況を全体として対策を打っていく必要があるということでございます。
 そこで基本的な考え方ということが書いてございますけれども,外国人の子供たちが将来にわたって我が国に居住し,共生社会の一員として今後の日本を形成する存在であることを前提に制度設計を行うということで,一時的に日本に滞在して,いずれ外国に戻るんだという前提での制度設計から転換していく必要があるということを記させていただいております。そして,先ほど2万人の話がありましたけれども,全ての外国人のお子さんが就学することを目標に施策を組み立てていく。そして,義務教育段階のみならず,就学前の段階から高校段階,あるいは学校卒業後も見据えた体系的な活動が必要である。また,日本語教育のみならず,キャリア教育や相談支援など,包括的な支援が必要だということでございます。
 そして,分野ごとの主な施策というのをその下に青い表で書いております。今回,5本の柱を立てて整理していただきまして,1番目は指導体制をどう充実させるか,2番目は教える先生の質をどのように向上させていくか,3番目は学校に結びつけていない子供たちをどのように就学に結びつけていくか,4番目は中学生,高校生のキャリア教育の充実,5番目としまして異文化理解,母語・母文化支援,幼児に対する支援ということでございます。表の向かって左のほうが速やかに実施すべき政策ということで,今年度予算事業の中で既に取り組んでいるものもございますけれども,可能なものから速やかに実施をしていくということで,一部のものについては既に実施を始めております。そして,恐らくこちらの特別部会でも今後また更に議論いただくことになりますのは,右側の実現に向けて取り組む課題,順次,施策化に向け必要な制度的対応や予算を検討というふうになっておりますので,こちらのほうを中心に御説明したいと思っております。
 まず,1番目の柱の指導体制の確保・充実につきましては,散在地域における指導体制の構築ということを予算事業の中で研究していくことにしておりますけれども,さらなる課題といたしましては,いわゆる日本語学校などで教えていただく「日本語教師」の資格化の動きが今,文化庁のほうで出ておりますけれども,そういった日本語教師の方も学校での日本語指導に積極的な活用が見込めるんじゃないか。あるいは先ほどの議題の中にもありましたけれども,ICTの活用,遠隔授業の実施ということも課題になってございます。
 2番目の日本語指導担当教師等の指導力の向上,支援環境の整備ということにつきましては,既に教員研修のための「モデルプログラム」というものを3年かけて開発しておりましたけれども,その全国展開を図るとともに,今後は大学等における履修証明といったようなものを活用しまして,より多くの方が日本語指導担当ということで専門的な知識を得られるような研修,あるいは養成体系を作っていきたいということでございます。
 3番目でございますが,就学状況の把握,就学の促進ということでございます。各自治体が取り組んでいる先進事例というものは,既に実際に共有しているところでございますが,昨年,議員立法によりまして日本語教育の推進に関する法律が成立しましたけれども,現在,その法律に基づきます国の基本方針というものを作成しております。その基本方針の中に,右側に書いておりますが,地方公共団体が講ずべき事項について指針を作る,こういう指針の中で,外国人のお子さんについても日本人のお子さんと同じように学齢簿を整備して,まずそれぞれのお子さんのステータスといいましょうか,学校に通えているのか,通えていないのか,義務教育学校でなくても,例えば外国人学校に通っている場合もあると思いますので,そういった状況を把握し,そして一人一人の方に情報を適切に提供していく,そういう体制を作っていこうというふうに考えているところでございます。
 4番目の中学生・高校生の進学,キャリア支援の充実ということにつきましては,右側にありますように高等学校における今後の「特別の教育課程」の適用といったようなことも制度化に向けた検討をしていきたいと考えております。
 最後に,異文化理解,母語・母文化支援,幼児に対する支援ということにつきましては,これも右側に書いてありますように,母語・母文化というものが実は日本語の習得においても非常に重要である,あるいは子供でありますとか保護者の方の自己肯定感を高めるという意味でも非常に重要であるということが指摘を頂いておりますので,こういった取組を推進していく。さらにはプレスクールということで,学校に入る前の段階,あるいは外国から日本にいらした最初の段階から初期集中支援というものの取組も更に推進していきたいというふうに考えておりまして,この有識者会議の報告書に沿いまして,私どもとしても施策を進めるとともに,また,こちらの特別部会でも更に議論をいただきたいと考えております。
簡単ですが,以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 引き続きまして,幼児教育の実践の質向上に関する検討会における検討状況につきまして,井上幼児教育課長から御説明をお願いいたします。

【井上幼児教育課長】 失礼いたします。幼児教育課長の井上でございます。
 幼児教育の質の向上につきまして,平成30年6月に会議を設置いたしまして,その後の中教審の諮問を受けまして,質の向上についてということで議論を重ねてまいりました。去る5月11日の会議を踏まえて,最終調整の上,今日,資料で出させていただいている中間報告としてまとめさせていただいているところでございます。この特別部会の委員でもいらっしゃいます東委員をはじめ,先生方に多大な御協力を頂いたところでございます。
 概要について,御覧いただいております一枚ものに基づいて簡単に御説明を申し上げます。
 大きな構成としては,基本的な方向性と質の向上のための具体的方策,これは左に大きな緑の枠がございまして,大きな構成としてはこの2つになってございます。1ポツとしましては,基本的なところの復習と大きな論点ということで示しておりまして,幼児教育の重要性,近年の政策の動向,特に幼児教育・保育の無償化がスタートしまして,この分野にも国の大きな予算が投じられるということになりまして,やはりここで質の向上ということがますます重要になってくるということでございます。実際,質の向上といったときに新しく始まっております新しい教育要領を踏まえて,これから実際の取組が進んでいくといった段階にございます。
 そういった中で,やはり新型コロナウイルス感染症拡大の状況におきまして様々な課題,幼稚園にもございます。幼児の心身の健全な発達への支援をどうやってこういった状況の中でやっていくか,施設の園務や衛生環境の改善等が必要な状況ということでございます。
 2つ目の質の向上のための具体的方策でありますけれども,一番初めに幼児教育の内容・方法の改善・充実ということで,新しく始まっております教育要領に基づく取組の推進,また,右側に行って(2)ですけれども,小学校教育との円滑な接続ということ,3番目に教育環境の改善――先端技術の活用ということを書いておりますけれども,先ほど来,ICTの話が学校教育で出ております。幼児教育だと発達段階に応じてということになりますと,これまたどういった形でICTを使っていけばいいのかということはまた小中学校などとは違う論点があると思いますけれども,ただ,こういった新型コロナの状況の中でうまく活用いただいている例もございますので,こういった前向きな活用を通じて,さらに子供の豊かな成長につなげる取組をしていく必要があるんじゃないかということでございます。(4),ここも非常に大事なところでございまして,特別の配慮を必要とする幼児への支援ということです。障害のあるお子様,また,外国人の幼児の方等,特別な配慮を必要とする方が増えてきております。こういったそれぞれの配慮につきまして,幼稚園側もどういった考え方や対応をしていくかということについて,様々な機関とも協力しながら,ノウハウを高めていく必要があるということでございます。
 下の赤い数字の2ポツでございますけれども,こういった1の取組を進めていく上でも人材の確保や資質の向上といった取組が必要ということでございます。
 右側に行きまして,3ポツです。ここで幼稚園の取組も学校関係者だけでなく,地域の方々,福祉部局等,様々な方々に御覧いただきながら,よりよくしていくという取組を進めていきたいというふうに考えてございまして,3の評価のところでは,今後,どういった観点が必要かということを委員の方にまとめていただいてございます。
 4ポツでございますけれども,こちらは子育ての観点からまとめたものでございます。幼児教育の中でも預かり保育等,子育て支援のニーズに応じて取組が進んでございます。保護者の方々への相談体制ですとか,先ほども申し上げましたけれども,福祉担当部局との連携等の関係を進める必要があるだろうということでございます。
 5ポツですけれども,こちらのほう,地方公共団体等の体制ですが,やはり,福祉部局,幼,保といった関係で連携するところがだんだん増えてきてございます。こういったところの協調する取組というものを一層進めていく必要があるだろうという御指摘を頂いてございます。
 6ポツ,最後にコロナの関係で,会議のほうでも5月に御議論いただいたわけですけれども,やはりお子様方が家庭にいらっしゃる時間が長くなってきて,家庭でのいろんなお悩み事もあるという中で,幼稚園が家庭や地域における教育の支援等をしっかりしていくということ,また,幼稚園児という発達段階を考慮しながら,ICTを有効に使っていくということ。また,再開に向けましてしっかりと衛生環境の改善等をすること。また,先ほど委員の先生からICTを使って虐待が見つかったことがあるというようなお話ございましたけれども,お家にいることが多くなると,逆にそういった危機の発見というのが難しくなるということがございますので,しっかりと児童相談所等の関係機関と緊密に連携していきましょうということも改めての指摘を頂いているというところでございます。
 以上,簡単ではございますが,御説明を終わります。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 残りの時間が僅かになっております。今,御説明いただきました2つの件につきまして,御意見がおありの方はまた「手を挙げるボタン」をお願いしたいと思うんですが,たくさん手を挙げていただいても全ての方に御発言いただけないと思いますので,その点,どうぞ御了承をよろしくお願いいたします。
 それでは,どうぞお願いいたします。では,清原委員にお願いいたします。続きまして,東委員にお願いいたしたいと思います。
 まず,清原委員,お願いします。

【清原委員】 ありがとうございます,清原です。
 (幼児教育無償化が施行されている現状での)「幼児教育の質の向上」についての中間報告について,意見を申し上げます。
 先ほど資料1-2で「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた学校教育活動等の実施における学びの保障の方向性等」について,このように明記されていました。例えば,「基礎疾患等や保護者の意向で感染予防のため欠席する場合の配慮や,虐待のリスクがある子供たちは登校させて見守るなど,きめ細かい対応を」とあります。幼稚園等においても一斉休園をしてきた幼稚園等がほとんどだと承知しておりまして,この通知がやはり幼児教育にも極めて重要なメッセージになると思います。先ほど井上課長も「児童相談所等との連携がますます重要になってくる」という議論の御紹介をしていただきましたけれども,是非子供たちの保健や,あるいは児童福祉,とりわけ虐待防止対応の部門との連携が「幼児教育の質の向上」についても進むことを願っています。
 本日の報道で,実は日本小児科学会が新型コロナウイルスに感染した子供たちの症状や対応について,情報を皆様に提供するというふうになっています。保護者の皆さんは今,一斉休園の後,登園されるときに健康上,御不安の方もいらっしゃると思いますので,是非,引き続き文部科学省におかれては,厚生労働省や,あるいは医師会等との連携の中で,子供たちが安全に安心して登園できるように,保護者の悩みに寄り添いながら進めていくという方向での,今後の有識者会議の議論に大いに期待したいと思います。
 ありがとうございます。以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 それでは,東委員,橋本委員の順でお願いいたします。大変申し訳ありませんが,本日,この場での御発言は橋本委員までとさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では,東委員,お願いします。

【東委員】 失礼いたします。札幌市にございます美晴幼稚園の園長の東と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 これまでの各委員の先生方の現状認識による御提言には非常に共感するものもありますし,気づかされるものもあります。ただ,札幌市の場合,非常に厳しい状況にありまして,来週,6月1日から分散登校がやっと始まるような状況にあります。現状の知見を収集しながら,中長期的な立場で検証と分析を行っていくことも重要な観点ではないかなということをまず申し上げさせていただきたいと思います。
 その上で,先ほど井上幼児教育課長から的確に御報告ありました検討会での検討内容,中間報告でございます。詳しくは本報告書をお読みいただければ,非常に丁寧に会議の内容を反映して取りまとめていただいていますので,そこに委ねたいというふうに考えておりますが,幼児教育のほかの校種との決定的な違いは,大きなローマ数字の1にもありますけれども,幼稚園ばかりではなく,認定こども園,それから保育所,それぞれ保育所保育指針,幼保連携型認定こども園教育・保育要領等で指針が示されているわけですけれども,あくまでも幼稚園教育要領に基づいた教育課程,保育課程によって,ある一定の期間,安定した,1年というサイクルの中で,小中高等学校と同様に年間指導計画が策定され,適時適切な指導が実現されているところであります。もう一つは,地域や家庭とのつながり,先ほど清原委員のお話にもありましたし,長谷川委員のお話にもありましたけれども,保護者や家族との状況,在り方と非常に密接につながっているというところがあります。日常の保育・教育活動の中でもそうでありますし,とりわけ新型コロナウイルスの非常に厳しい未曾有の環境の中で,子供とももちろんでありますけれども,家庭とも密接につながっていくということが非常に重要な観点となりますので,引き続きこの会議の取りまとめ案は毎回毎回,非常に網羅的に幅広い観点で整理していただいた上で,識者のヒアリング等も重ねて,非常に確度の高いものとなっていますので,この新型コロナウイルスに対しても対応してまいりたいというふうに考えてございます。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 では,橋本委員,お願いいたします。

【橋本委員】 橋本です。この中間まとめにつきましては,全体として大変広範な分野にわたって,きちんと書き込んでいただいているなという印象を持っております。
 私どもにおきましても,昨年度からようやく幼児教育アドバイザーを教育委員会に置くとともに,この4月からは幼児教育センターを設置しております。資料を読んでみますと,20ページに書かれておりますが,このセンターについては,正に研修や調査研究,助言とか相談とか,また,情報提供,さらには幼小接続推進の拠点となるものだというふうに認識しているところです。今後,幼児教育センターが幼児教育施設の多様性に応じてシンクタンク的機能などを充実していこうとすると,これは中間まとめにも書いておりましたけれども,やはりセンター間の情報交換,あるいはネットワーク構築をしていく,このことが重要だと考えておりまして,こうした面で国の支援等にも期待しているところであります。
 その中で,1点だけ細かいところではあるんですけれども,中間まとめの記載で少し気になったところがありましたので申し上げたいと思います。具体的には,1番の(4),11ページですけれども,障害のある幼児等への支援のところであります。ここでは,公立幼稚園については,これまで特別な配慮を必要とする幼児の受皿となってきた,このように記載がされているわけでありますが,30年ぐらい前を振り返ると,今とかなり状況が違ったんじゃないかなと思いますので,まずは「これまで」ではなくて「近年」といった表現のほうが適切ではないかなと思います。また,確かに年々,こうした傾向が強まっておりますので,特別支援教育の知見を有する担い手の養成にも貢献してきたというここの記述は事実ではあるかなとは思うんですけれども,しかし,だからといって公立幼稚園は特別な配慮を要する幼児の受皿に決して特化をしているわけではありません。その意味では少しこの辺りの表現については工夫をしていただいたほうがいいのではないかなと感じたところであります。
 以上です。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 外国人児童生徒等の教育に関するところでは,有識者会議に浜田委員が入っておられますが,何かございましたらお願いしたいと思うんですが。

【浜田委員】 ありがとうございます。
 本日は要領よく御報告いただきまして,ポイントについては課長より御報告のあった通りなんですけれども,やはり日本全国の課題を今見てみますと,いわゆる散在地域での課題が非常に大きいということがあります。集中地域については,これまで各自治体の御努力によって,かなりいろんな制度が不十分ながらも整ってきたという面があるんですけれども,私のおります京都府も含めまして非常に少数点在の地域というのが,実はそれが日本のデフォルトですので,今後,散在地域での体制整備ということを中心に進めていっていただきたいというふうに思っています。
 以上でございます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 そのほかにも御意見をお持ちの方,いらっしゃると思うんですけれども,大変申し訳ございませんが,今日は時間の関係で,また,御説明いただきました事務局のお二人も本当に長く待っていただいて短い時間で本当に申し訳ありませんが,必要に応じてこれからまた継続してということで思っております。
 私,外国人児童生徒等の教育の充実についてで1点だけ申し上げておきたいなと思うことがあります。この報告の冊子の中では十分に取り上げていただいておりますが,1枚めくっていただいて,2ページの検討の背景というところの最初のところです。外国人児童生徒等の等の意味が必ずしも外国人児童生徒のみならず,日本国籍を持ちながら外国で生活している日本人たちという意味が入っているということなんですが,要約版になると,どうもそこのところが抜け落ちてしまいますので,誰一人取り残さないということで考えますと,そこのところもまたよろしくお願いしたいと思います。
 いつも進行がうまくできなくて,御意見がおありの委員の皆様全てに御発言をしていただくことができなかったと思います。さらに今日おっしゃり足りなかったところ,あるいはまた新たにお気づきの点とか含めましてメール等で事務局のほうにお届けいただけましたらと思います。
 それでは,このあたりにしたいと思います。最後に次回の予定につきまして,田中室長からお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 次回の本特別部会の日程につきましては,6月11日木曜日,9時半から12時にて,今回と同様のウェブ会議方式での開催を予定しております。詳細につきましては,追って事務局から御連絡申し上げます。

【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
 皆さん,本当にありがとうございました。では,本日の会議はこれで終了させていただきます。お疲れさまでした。

―― 了 ――
(会議終了後,書面で提出のあった意見は以下の通り)

【天笠委員】
 発言の機会を逃してしまいました。書面にて失礼します。まずは,「学びの保障」に関わる局長通知に関して申し上げます。緊急事態宣言の解除に伴い学校再開に向けて,これまでの休校分を取り戻すことも踏まえ,本年度の教育課程を編成したり見直しを図る動きが出ています。
 杞憂ということになるかもしれませんが心配されることの一つに,遅れを取り戻すとして詰め込む意識が先立ち,授業の一単位時間にしても,日課表にしても,さらには年間の指導計画に至るまで,諸々のものを短縮しバランスを失った教育課程が生まれることです。
 もちろん,求められているものを全て扱い消化することをもって教育課程を実施したとする現場の気持ちや立場も理解できなくもありません。
 しかし,教科を中心にした授業時数のやり繰りに重点を置き,多くの学校行事など活動や体験を削減した教育課程の編成にとどまるのか。難しい状況にあると思いますが,教科と教科外の二領域からなる我が国の教育課程の持ち味を発揮するという観点から,それぞれの学校において,工夫を凝らしていただきたいと思います。
 これらの点からも,板倉室長より説明のあった「学びの保障」のために教育活動に関する5月15日付けの局長通知の読み取りが大切と考えます。これは,各学校の教育課程の編成を巡り,新学習指導要領の趣旨や基本的な方向性に基づくことを求めつつ,教育委員会や学校に対して柔軟な対応を可能とする方向性を打ち出したもので,弾力的なカリキュラム・マネジメントのススメとして捉えることができます。
 しかし,この通知の趣旨や具体が,各学校の教育課程に反映されないということも心配されます。改めて,この度の局長通知について,その趣旨と内容が各学校まで届くように諸般の措置を講じる必要があります。まずは,教育委員会が,この通知をふまえて,各学校に対してどのような方針を示しているか,その動きを捉える必要があります。文部科学省におかれては,通知を発して終わりとすることなく,教育委員会から学校まで一連の過程をウオッチングするとともに,必要な支援を行っていくことを求めたいと思います。
 もう一つは,この特別部会の在り方についてです。前回と今回の会議に臨み,この度の感染症への対応をはじめ次々に新たな課題が加わり,この特別部会が何のための特別部会であるのか,その使命,目指すべき方向,果たすべき役割などについて,常に共有を図りながら議論を進めることが大切と考えました。この先,論点の絞り込み,議題の精選,議論の焦点化が更に問われているようです。
 関連して,各委員の意見をオンラインを通して承る会議のやり方について。現在の状況の下では,やむを得ないやり方と受け止めております。ただ,書面による会議とオンラインによる会議の組み合せを図るなど,会議の運営について改善を図りながら進めていく必要があると思われます。
 その上で,本日の会議を通して,お二人の委員の方からの提案,それに対する委員からの意見の表明,よかったです。

【山中委員】
<新型コロナウイルス感染症対策に係る対応策等について>
(1)オンライン授業が実施できる環境整備
 GIGAスクール構想で今後,学校や家庭のICT環境が進むことが期待されていますが,コロナ対応として,その整備に拍車がかかると思います。やはり,第一に環境を整えることが先決で,子供にとってノートや筆記用具と同じように,タブレットが手元にあれば,自然に活用はなされていくことと思います。可能な学校,可能な家庭から,と言われますが,Wi-Fiの有無,通信料金,兄弟姉妹がいる場合,一人1台あるのか,画面の大きさ・見やすさ等,まだまだ誰にでも利用できるICTとはなっていません。また,低学年の子供が家庭で使うに保護者の補助が必要であったりします。諸外国の先進的な事例が取り上げられますが,一般的には課題も多いと聞いています。

(2)オンライン授業の検証
 神野委員・今村委員の報告は,大変参考になりますが,環境整備を急ピッチで進めるとともに,オンラインを活用した授業やつながり方について,どのような成果があり,どのような課題があるのか,という検証も国でもっと実施していただきたいと思います。各学校では,これまで授業改善や授業力向上として教師が研修に励んでいます。オンライン授業についても検証がすすみ,効果的な方法等の研究が進むと,各学校の取組の参考になると思います。資料にありました「成り行きの未来」が本当にそうなのか,分かりませんが,単なる煽りにならないことを願います。

(3)民間企業等の活用
 また,オンライン授業を,各学校や教師に任された結果,取り組み方や得意・不得意でかなり違いがでてきました。ICTを活用することについての取組を学校だけに任せるには負担が大きく,学校間の差も不安に感じます。今回の長期休業期間中に民間が様々なオンライン学習の教材を提示し,それを活用した家庭も多くあったと思いますが,各学校や教師に委ねられるより,自治体や民間企業である一定程度の統一されたプログラム等が提供されるとよいと思います。

<外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議の報告について>
(1)適切な実態把握の方法
 特別支援教育を受けている子供の中には,母語の違い,保護者の養育に対する考え方,海外在住期間の違い,文化の違い等,様々な環境の違いを背景に抱えている子供がいます。また,子供が示す状態が,言語の違いや文化の違いが原因なのか,脳機能の課題なのか,検査が難しく,客観的な把握が困難な場合もあります。日本語が十分に理解できていない子供の実態把握についても検討が進むとよいと思います。
 特別支援学校や特別支援学級の子供も日本語を十分に理解していないことから,指導の成果が上がらない場合があります。障害のある子供も障害の特性に応じて,日本語指導の充実が図られるよう検討してほしい。

(2)教育制度についての説明
 保護者が外国人の場合,日本の教育制度をなかなか理解できない場合があります。特に,特別支援教育については,障害の程度による就学制度や,通常の学級で受けられる支援,自治体ごとの相談体制等について,保護者自らが求めていかないと情報を得られない場合もあります。言葉や文化の違いがあっても,受けられる支援から漏れることがないようにしてほしいと思います。

<幼児教育の実践の質向上に関する検討会議中間報告について>
(1)幼児段階における特別支援教育の必要性
 特別な支援を必要とする子供は,早い段階で指導や支援を受けることが,その後の成長や学校生活への適応に大きく影響することは,既に言われています。しかし,未だに,子供の障害についての気付きが遅かったり,障害が分かっても適切な支援へつなげていくことに時間がかかったりする事例をよく聞きます。早期支援の体制が整い,必要に応じて支援を受けられることが当然のことになってほしいと思います。

(2)公立,私立の違いなく子供の実態把握と支援が推進されること
 就学前の子供のほとんどは,幼稚園や保育所に通っています。幼稚園と保育所の違いもありますが,それぞれの機関が公立と私立では,小学校との連携の取り方も変わってきます。公立は教育委員会や小学校との連携は取りやすく,就学支援シートの活用や特別支援教育の体制整備なども進んでいますが,私立の幼稚園や保育所では,それぞれの方針もあり,支援体制がなかなか進んでいない場合もあります。就学前の支援体制が一層確立されるとともに,小学校との連携も更に推進される施策が進むよう,よろしくお願いします。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)