新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会 (第6回) 議事録

1.日時

令和2年2月21日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階第2講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 1人1台コンピュータ環境における教師の在り方や果たすべき役割、指導体制の在り方や教師のICT活用指導力の向上方策
  2. 小学校高学年の教科担任制実施に係る教員配置や教員定数の確保の在り方、学校の小規模化を踏まえた学校運営の在り方について

4.議事録

【荒瀬部会長】 皆様,おはようございます。定刻となりましたので,ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会第6回新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会を開催いたします。本日は御多用の中,お集まりいただきまして,ありがとうございます。
まず,事務局から,本日の資料につきまして御説明をお願いいたします。
【田中教育制度改革室長】 事務局,教育制度改革室長,田中でございます。
それでは,資料の確認をさせていただきます。本日の配付資料ですけれども,議事次第にございますとおり,資料1-1から資料2-2まで,参考資料は参考資料1-1から2-3までとなっております。過不足等ございましたら,事務局までお申し付けください。
なお,本日はペーパーレスに係る機器手配の都合上,ペーパーレスでの開催とせずに,紙での開催としておりますけれども,次回以降は原則としてペーパーレスにて進めさせていただければと考えておりますので,何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。久しぶりに資料が紙であるということで,後に戻った感じがしますが,新しい時代の初等中等教育の在り方を考えていくということでありますので,よろしくお願いいたします。
皆様の御尽力のおかげで,昨年12月に,参考資料1-1にありますような形で,「新しい時代の初等中等教育の在り方 論点取りまとめ」を行うことができました。本年1月の中央教育審議会総会でも報告をさせていただいております。感謝申し上げますとともに,答申の取りまとめに向けて,引き続き活発な御議論をお願いいたしたいと思います。
本日は,論点取りまとめにおいて,今後検討を行うべきとされました論点のうち,1人1台コンピュータ環境における教師の在り方や果たすべき役割,指導体制の在り方や教師のICT活用指導力の向上方策と小学校高学年の教科担任制実施に係る教員配置や教員定数の確保の在り方について皆様から御意見を頂戴いたしたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
本日は,報道関係者等から,会議の録音・撮影を行いたい旨の申出がありまして,許可しておりますので御承知おきください。ただし,傍聴者個人を特定するような撮影は御遠慮くださるようよろしくお願いいたします。
それでは,議事に入ります。議題1といたしまして,1人1台コンピュータ環境における教師の在り方や果たすべき役割,指導体制の在り方や教師のICT活用指導力の向上方策について,事務局の髙谷情報教育・外国語教育課長と滝波教育課程課長から御説明をよろしくお願いいたします。
【髙谷情報教育・外国語教育課長】 それでは,まずお手元の資料1-1を御覧いただければと思います。「GIGAスクール構想について」という資料でございます。昨年末,今年度の補正予算といたしまして,「GIGAスクール構想の実現」ということで,約2,000億円の予算を国として措置してございます。その背景,中身について御説明をさせていただきたいと思います。
ページを打ってなくて恐縮でございますが,まず,おめくりいただきますと,大きな図が出てまいります。これは右上に書いてございますとおり,文部科学省以外にも総務省,経産省,内閣官房IT総合戦略室,政府全体で学校のICT環境をどのように進めていくべきかということにつきまして,総理から1人1台端末を国家意思としても表すべきというような御発言もある中で,政府としてどちらに進むべきかということで取りまとめた資料でございます。今回の補正予算も,この考え方にのっとって措置をさせていただいております。
具体的には,左側に子供たちがおります。子供たちに1人1台端末,その子供たちの,児童生徒一人一人の学習・学びの記録をしっかりクラウドなどを活用してデータとして集めて,それを管理,分析をしようというところでございます。そして,そのクラウドを活用しながらデータを分析し,その分析の結果に,デジタル教科書ですとかデジタル教材,更には民間の教育コンテンツ,このようなものを付加していきながら,児童生徒一人一人に最適なコンテンツをフィードバックして提供していこうと,そういう考え方の図でございます。
そのためには,子供たち一人一人に端末が必要である。更には,クラウド活用やコンテンツそのものも必要でございますし,その間をつなぐ高速大容量で機密性の高い安価なネットワークをしっかり整備すべきであるということで,真ん中の上あたりにございます端末,通信ネットワーク,クラウドをセットで整備するということを政府全体の方針として進めておるところでございます。
1枚おめくりいただきまして,これはハードの整備でございますけれども,GIGAスクール構想の今回の補正予算はハードだけでございますけれども,併せてソフトウエア,更には,指導体制の整備も併せてやっていくということで,この3点をバランスよく進めるということを御説明させていただいている資料でございます。
1枚おめくりいただきますと,具体的な今回の補正予算の中身でございます。「GIGAスクール構想の実現」というところで,右上にございますとおり,2,318億円ということで,国公私立全てに補助させていただきます。先ほどの全体のICT環境整備の考え方に基づきまして,この補正予算では,校内通信ネットワークの整備と児童生徒1人1台端末の整備,この大きな2つの柱がございます。
ネットワークにつきましては,校内LANと電源キャビネットを,公立の場合は2分の1補助,更に私立,国立にも補助をさせていただくということでございます。また,端末につきましては,PC端末,上限4.5万円の定額補助ということ,私立につきましては補助割合2分の1,上限4.5万円ということでございますが,国公私立それぞれにおきまして端末の補助を進めておるところでございます。
最後のページでございますが,ロードマップを参考にお付けさせていただいております。今回の補正予算,優先すべき年次の子供たちといたしまして,ピンクの濃い部分でございます。小5,小6,中1,まずは,このお子さん方。小5で主にプログラミング教育が始まりますので,小5,小6,中1の分を今回の補正予算では措置をしてございます。
地方財政措置が3分の1措置されておりますので,国としては,直接は3分の2の部分でございますが,更には,令和3年,令和4年,令和5年と段階的に整備し,子供たちへの端末の支援をしていく。併せて緑色のところでございますが,校内LANの整備については今回の補正予算でやり切ってしまうということで,今,自治体に要望調査などを始めておるところでございます。このような方法で,閣議決定にもございました,令和5年までに義務教育段階の子供たち1人1台端末体制の実現を目指していきたいと考えてございます。
以上でございます。
【滝波教育課程課長】 引き続きまして資料1-2に基づきまして,各教科等の指導におけるICTの活用につきまして御説明申し上げます。こういったICTの端末が整備されていったときに,各教科の中でどういうふうに指導の充実を図っていくのかという観点からまとめた資料でございます。
ページをめくっていただいて,2ページのところですけれども,まず,各教科等の指導に当たりまして,冒頭のところにございますように,子供や学校等の実態に応じて,各教科等の特質,学習過程を踏まえて,教材・教具の,あるいは学習ツールの1つとしてICTを活用していく。そして,資質・能力の3つの柱をバランスよく育成していくことが求められていると考えております。
各教科の指導では,子供たちに,この図にございますような資質・能力の3つの柱をバランスよく身に付けさせることを目指しておりますので,ICTというのはそのための手段の1つということで積極的に活用していくことが重要だと考えています。
教科の指導におきまして,ICTを活用する際の留意点として2つ記載しておりますけれども,1つには,子供の資質・能力の育成によって効果的な場合ということ,2点目には,限られた学習時間を効率的に運用する観点からICTを活用することを挙げています。クラスの中でいろんな意見を共有するときに,1人1台端末を活用することで,瞬時に全員の意見を共有できると思いますので,ICTの活用が時間の効率的な運用につながることもあろうかと考えています。
具体例を少し次のページ以降に書いてありますけれども,主な教科における1人1台端末を活用した指導の具体例ということで御紹介してございます。まず,国語科でございますけれども,国語科につきましては,まず,思考力,判断力,表現力等の話すこと・聞くこと,書くこと,読むことの各領域に示した学習過程において,ICTの効果的な活用方法,あるいは活用場面を考えまして実践していくことが重要と考えています。
小学校におきましては,例えば録画機能を活用して,自分やお友達のスピーチを録画して,観点に沿って振り返るということで,課題を見つけて改善していくことも考えられます。
それから,中学校,高等学校におきましては,例えば,文章作成ソフトで文章を書くということで,コメント機能を用いて助言をし合ったりということ,あるいは校閲機能を用いて推敲していくということ,こういったことで修正の履歴を残して,教師による評価の信頼性あるいは妥当性を向上させたりということも考えられるかなと思っております。こういったやり方は,私どもの仕事,日常の業務の中でも通常用いているわけでございますけれども,こういったことができるんじゃないかということ。
次のページになりますと,社会科でございます。社会科は,社会的事象に関する様々な情報を収集し,読み取り,まとめたりという学習活動の中で,ICTを効果的に活用することが重要と思います。小学校におきましては,例えば写真ですとか動画機能といったものを用いて情報を集めて,収集した情報を整理して,読み取って考える,考えた情報を話し合って,まとめて発信するということが考えられると思います。
また,中学校の社会あるいは高等学校の地歴・公民という中におきましては,例えば,情報の図表化,複数データの比較分析,あるいは複数の地理情報の重ね合わせといったような形でデータの分析・解釈,加工といったことによりまして,生徒個々の課題意識に基づいて,試行錯誤しながら,多面的・多角的により深く考察することが考えられるかと思っております。
次のページは算数・数学ですけれども,小学校の算数科におきましては,教師の丁寧な指導の下でICTを活用する場面,それから具体的な体験を伴う場面を効果的に組み合わせることが重要です。それから,中学校,高等学校の数学科におきましては,学習内容の抽象度が高まってまいります。それから,複雑な問題を扱う学習も増えてまいりますので,ICTの活用で理解を促進することが重要と考えています。
小学校の算数科におきましては,例えば表計算ソフトを活用することで,表やグラフを瞬時に作成できるということ,あるいは,様々なグラフを作成して,データの特徴あるいは傾向を容易につかむことができるということがあろうかと思います。
中学校,高等学校の数学科におきましては,例えば関数とか図形などの変化の様子を可視化して,繰り返し試行錯誤するといったことも考えられます。関数ですとか図形などの変化の様子を動的に見ることができますので,ノートで手書きで表すというよりも試行錯誤に適しているんじゃないかと考えております。
次のページは理科ですけれども,理科におきまして重要なポイントは,観察,実験の代替としてではなくて,理科の学習の一層の充実を図るための有用な道具としてICTを位置付けて活用する場面を適切に選択する,そして,教師の丁寧な指導の下で効果的に活用することかと思っております。
小学校では,例えば,学習したことを踏まえて,日常生活あるいは自然の事物・現象といったものを改めて見つめ直して,気付いたことを写真とか動画とかそういったもので撮影,保存をし,それらをクラス全体で共有していくことが考えられるかと思います。
中学校・高等学校におきましては,例えば,生徒一人一人が主体的に観察,実験の記録などを作成して,クラス全体で共有する,そして考察を深める。シミュレーションを活用して,観測しにくい現象を可視化する,そして理解を深める,こういった活動が考えられるかと思います。
最後のページは外国語科ですけれども,これは校外とか海外とつながる本物のコミュニケーションによりまして児童・生徒の発信力を高めることが重要と思います。具体的な活用としまして,例えば,テレビ会議システムですとか遠隔システムを用いたオンライン授業といったものを用いることで,一人一人が校外あるいは海外の子供たちとつながって,英語でディスカッションとかディベート,あるいは交流,議論といったことを行うことが考えられるかと思います。
それから,音声認識機能というのがありますので,これを用いて生徒自身が音声の適切さを確認したり,あるいは自動添削機能を用いて,作成したエッセーを添削するといった活動も考えられるかと思います。
各教科の指導の中で,1人1台端末の活用をしていくことは大変重要だと思っております。本日御説明しましたのは主なものでございましたけれども,これ以外の教科につきましても,これも含めて,引き続き実践事例の作成,普及といったことに努めて,新しい指導要領の実施と併せて,各学校におけるICTを活用した指導の工夫,改善の支援に努めていきたいと考えております。
私からは以上でございます。
【髙谷情報教育・外国語教育課長】 続きまして,資料1-3を御覧いただきたいと思います。「GIGAスクール構想の実現に向けたICT活用指導力の向上及び指導体制の充実」というところでございます。
1人1台環境におけます教員のICT活用指導力の向上,指導体制の充実というものを図るために,おめくりいただきまして,2ページ目でございますけれども,教員養成段階,現職教員段階,それぞれにつきまして簡単な図を作ってございますが,それぞれでICT活用指導力の向上を図るということに加えまして,下の枠でございます,指導体制を充実させるために,ICT支援員の配置の促進ですとか,アドバイザーによる支援等を行っていくことを考えておるところでございます。説明は,この2ページで御説明をさせていただきまして,3ページ目以降は参考ですので,随時参照いただければと思ってございます。
2ページ目の左側の教員養成のところを御覧いただければと思いますが,教育職員の免許法施行規則を改正いたしまして,教職課程におきまして,ICTを用いた指導法を必修化いたしました。教職課程を置く全ての大学については,中央教育審議会の審査に基づき,教職課程を文科大臣が認定して,昨年の4月,平成31年4月から新しい教職課程が始まっているところでございます。
各大学に対しましては,学校のICT環境整備をめぐる今回の極めて大きな状況の変化を踏まえまして,これに対応できる教員を確実に確保できるように,今年度中に文科省より改めて通知を出すこととしておりまして,各教科の指導法の科目において,教科等の特性に応じた情報機器の効果的な活用を促していきたいと考えてございます。また,来年度以降も指導法の好事例の展開を図るということで内容の充実を図ってまいりたいところでございます。
次に,現職教員についてでございます。図の中央から右にかけての上のあたりでございますけれども,教育公務員特例法に基づきまして,各都道府県教育委員会等が,初任者研修ですとか中堅教員研修のほか校内研修,校外研修など必要な研修計画を策定し,実施することとされておりますが,情報化の進展を踏まえまして,より適切な研修が実施されるよう促していきたいと考えてございます。
また,これらの研修の充実につながるように,今年度末までに独立行政法人の教職員支援機構におきまして,学校でICTを活用する学習場面について解説する研修用動画を作成していきたいと考えてございます。
また,先ほど滝波課長からも御説明ございました,より具体的な各教科ごとのICT活用の実践事例,この作成・普及が極めて効果的ですし,必要だと考えております。例えば,作成されました各教科の実践事例を来年度,文科省の事業として研修動画化するということも検討しておるところでございます。
また,昨年12月には,「教育の情報化に関する手引」というものを作成して,既に公表してございますが,今年度末をめどに,イラストの追加ですとか,今回の補正予算の関連状況の内容などを充実させました追補版を作成して,先生方のお手元に,御覧いただくような形にしたいと思ってございます。更には,教職員支援機構におきまして,教育情報化指導者養成研修の充実などにも取り組んでいきたいと思ってございます。
最後に,下の「教員の指導体制の充実」のところでございます。これにつきましては,まずは地方財政措置,4校に1人程度ということで講じられておりますICT支援員の配置を一層促進していくとともに,民間企業等で勤務されます,より専門性の高い社会人を特別免許状,特別非常勤講師制度によって活用して,学校の指導体制を充実強化していきたいと考えてございます。
更には,右にございますICT活用教育アドバイザー事業でございます。令和2年度のこの事業におきましては,全国を対象として,教員への研修支援ですとかICTを活用した指導面,環境整備に当たっての様々な助言,指導を強化していきたいと思ってございます。これらの一連の施策を通じまして,GIGAスクール構想で整備されるICT環境において,先生方が円滑に指導ができる支援に私どもも努めてまいりたいと考えてございます。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。それでは,意見交換に入りたいと思います。いつものように札を立てていただきましたら,順番に御発言いただこうと思います。
では,堀田委員,お願いいたします。
【堀田委員】 東北大学の堀田でございます。情報教育あるいは教育の情報化を専門にしてきた立場から,ICTの効果的な活用について少し意見をさせていただきます。
まず,今までは教室にどのようにICTを整備するか,例えば電子黒板等,どのように整備するかというこれまでのICT環境の整備の話では,多くの場合,教室に1台のICTを教員がどうやって使うかという話が多かったわけです。先生の多くは,効果的な提示にICTを使おうとしてきた経緯があります。つまり,それはどんな授業場面で何を映して,どう発問するかという,そういう学習指導との関係で決まるわけでして,それは当然ながら,教材研究を基にしつつも,ICTはどのようなタイミングでどういうふうに使えば効果的かというノウハウのようなものですね。これを「ICT活用指導力」と言ってきたわけですけれども,そういうことを先生が持っているかどうかが効果的になるかどうかを決定付けるということでした。
したがって,世間で言う「電子黒板は学力向上に効果的か」とかいうのは非常に単純過ぎる言い回しで,電子黒板を効果的に使えるようなICT活用指導力を持った教員がどのように使っているかという,そういう議論をしなきゃいけないということが今までも研究されてきたところでございます。
このたびは,GIGAスクール構想によって,児童・生徒に1人1台の情報端末が入ってくるということになります。現段階では,子供たちは紙の教科書や資料で情報を集めたり調べたりして,プリントやノートや鉛筆で表現をし,友達と情報交換しながら,ドリルやテストのようなもので個別の習熟とかをやってきているわけでございまして,これらの紙のものがどんどんデジタル化して,より充実する,とりわけデジタル教科書のように内容が質保証されているようなものが広く安価で用いることができることが非常に重要なことで,そういう意味では,ハードウエアの整備の次に来るのはこのソフト的なところだというのは理解できるところでございます。
教材がいろいろデジタル化してきますと,子供たちはどんな教材を,あるいはどんなツールを,どんなサイトをどのように使えば,うまく自分の勉強に役立つかを考えて活用する能力,これは情報活用能力と言いますけど,教員にICT活用指導力が必要なように,子供たちも,端末を配ればすぐに効果的な学習になるわけではなくて,子供たちに情報活用能力がどのぐらい身に付くかによって学習の効果が変わってくる部分がございます。
このことについては,先取りして新学習指導要領で,学習の基盤となる資質・能力の1つに情報活用能力が入っていますが,今回御説明された資料では余り情報活用能力のことはうたわれていません。学習を支える子供たちの情報活用能力の重要性がもっとアピールされるべきではないかと思います。
これらについては,教員研修でももちろん強くアピールしていく必要があると思いますし,教員研修の充実も必要で,しかしながら,多くの場合,ネットとかで,オンライン研修とかで情報を伝えていくしかない,そういう忙しさの中におりますので,高速のネットワークや,あとは強過ぎるフィルタリングはちょっと困るとか,そういうことはありますし,先生方の働く職場環境としても大事かなと思います。
一方で,教員養成においては,やっぱりそういう時代の教師を育てるという観点で,もっと教員養成大学でICTを使った授業の方法を確実に経験させるようにしていくことが重要ではないかと思います。
長くなりました。以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
それでは,吉田委員,若江委員,毛利委員の順によろしくお願いいたします。
【吉田(信)委員】 全国市長会の社会文教委員長を務めております埼玉県本庄市の市長の吉田でございます。
この間のこのGIGAスクール構想の推進につきまして,本当に関係各位に御尽力をいただいておりますことに改めて御礼を申し上げたいと思っております。また,全国市長会といたしましても,これはやっぱりしっかりと進めていくべきであるという,そういう考え方で,これまでも様々な御議論をさせていただいたところでございますけれども,現在,各都道府県単位の市長会等で,まだまだ数は少ないんですけれども,文科省から直接出向いていただきまして,いろいろと各市町村長さんに直接お話をしていただいているということで,これもまた今後ともよろしくお願いしたいと思いますし,是非その中で出された意見,各市町村,市長,町長,区長から出された意見をしっかりと受け止めていただきたいというのが,まず大きなお願いとしてございます。
その上で幾つか申し上げたいんですけども,特に社会文教委員会等々で議論になっていることについてお話をさせていただきたいんですけど,まず,このネットワーク整備についてでございますけども,今般,補正を付けていただく中で,短期間のうちにこれをやり遂げていこうということになっております。やはり懸念される点としては,どうしても短期間に全国でやろうとすると,例えば業者が足りなくなってくるだとか,いろんな状況が考えられるわけでございますので,こういった格差みたいなものが起きたときにどうしていくのか,これについては是非しっかりとバックアップしていただきたいと思っております。
特に今,新型コロナウイルスの流行が非常に心配されるところでございまして,例えばトイレなんかの機器につきましても,中国からの輸入が滞ってきているという現状がございます。恐らくパソコンについても同じようなことが起こり得るんだろうと思っていますので,端末についてもこれからどうなっていくのか非常に心配されるところでございます。端末については,これは年度を少し,令和5年度まででしたっけ,やっていくことになっているわけですけれども,ネットワーク整備については短期間のうちにということで,これ,各市町村長とも非常に懸念しているところでございますので,是非これへの対応をしっかりやっていただきたいと思っておるところでございます。
それと,更新が5年後ぐらいに来るだろうということで,そのときどうなるのかという議論がもう既に出ておりまして,それについてはまだなかなか明確なお答えを頂いてない状況がございまして,これについては不安が広がっているようなことはございますので,しっかりとこれは対応していただきたいと思っています。これ,5年後にちゃんと使われてないと,やっぱりなかなか予算を付けてもらえないのかなと。ちゃんと使えているようにしていくためには,やはり必要なのは先生方の資質というか,指導力の強化,向上であります。
それで,幾つか申し上げたいんですけれども,まず,こちらの1-3の資料,先ほど御説明いただいたんですけども,これ,まだいわゆる3人に1台のときの構想なんじゃないかなと私,感じるところでございまして,やっぱり1人1台となるからには,もっともっとビジョンというか,1人1台にしていくんだということでの,3人に1台じゃない,もっと踏み込んだビジョンが必要なんじゃないかなということを感じたところでございます。
具体的に言うと,例えば支援員さんにつきましても,今,4校に1人ということでお話しいただいていますけれども,これ,やっぱり3人に1台のときの考え方なんじゃないだろうかと。1人1台となれば,支援員さんについても,もっともっと増やしていかなければならない。これは,国の方でバックアップをしていただかないと駄目なんではないかなと感じているところでございます。
それと,教員の養成です。教員の養成についても,例えばですけども,教員の免許の更新だとか,そういったときにちゃんとこのICT技術というか,指導力を付けているかどうかというようなことをきちんと検証していくというか,それをクリアしないと駄目だよというような制度設計も私は必要なんじゃないかなと思っています。そのためには,例えば教員の先生方がいろんなところで研修を受ける。例えば,自治体での研修なんかも,教員免許更新のときにポイントとしてちゃんと見てあげるとか,いろんなバックアップ体制が必要じゃないかなと思っておりますので,是非こういう制度設計についても,1人1台とするからには,もう少し踏み込んだものをやっていただきたい。大胆な改革をやるんだということをもう少し明記していっていただきたい。
先ほど,追補でもってどんどんやりますよとはおっしゃっていましたけれども,もう少し踏み込んで,1人1台にするんだと,3人に1台じゃないんだというところで,私が言うのは僣越かもしれませんけども,教員の養成等については,このペーパーを書き換えるぐらいの大胆な踏み込んだ施策,ビジョンを持って行っていただきたいと思っております。大学の授業の半分でICT活用を必須とするだとか,いろんな大胆な方向性を出していただきたいと思っています。
現場の先生方もいろいろでございます。反発されている方もいらっしゃると聞いていますけども,本当に意欲的に取り組んでいる方も,私のまちでもおりますし,先般,今日もお越しでございますけども,つくばの毛利先生の学校に見学させていただきましたけども,お子さんと先生方が実によく使って頑張っている。私は,その環境を見て正直思ったのは,決して珍しいものとしては感じませんでした。当たり前なんじゃないかなと。我々自身がもうそういう環境の中にいるわけですから,それが学校にまだ導入されてない方が問題なんじゃないかと私は感じておりますので,是非そういった意味で,国,文科省におかれましては,各省庁と一緒になって,この構想をしっかりと進めていただきたいということをお願いして私からの発言とさせていただきます。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
では,若江委員,お願いいたします。
【若江委員】 ありがとうございます。私は,20年近く前からキャリア教育の観点から情報教育の推進に関わってきた立場から意見を申し上げたいと思います。
今日御説明をいただいたことは,今,新たに分かったことではなく,もう文部科学省としては既に何十年も前からこの必要性を説いておられて,ようやくハード,ネットワーク,クラウドという視点のところでの予算の獲得をしていただいたことには,20年間関わっている者としては,まずは感謝を申し上げたいと思います。
いろんな施策,例えばICTを教科でどう使うかですとか,教員の研修ですとか,ICT支援員のことがあるんですが,1点ちょっと口幅ったいことを申し上げますが,私自身は,今,吉田委員のお話にもありましたように,学校デバイスではなく,やっぱり個人デバイスの時代に来ているのに,少し時代遅れだなとは思いながら,このチャンスを逃さないことが大切だと認識しています。例えば,ICT支援員ですが,やはり15年ぐらい前にも学校に配置されたことがございました。
でも,そのときの多くが,メーカーさんですとか,パソコンの管理や操作に精通してる人という感じのハードの支援員,そして次にコンピュータ室で授業をするときのネットワーク環境だとか,アプリケーションの操作方法などソフト的なところの支援員でした。でも,今回の支援員は,それだけでは意味がなく,ICT利活用による新たな学びを実現することが重要で,カリキュラムを開発するためのサポーター,支援員でないといけないと思っています。教科学習場面での事例をたくさん提示したとしても,系統立てて,リテラシーをはじめ,基礎的ないろんなことを身に付けさせていく必要があるのに,そこのところが,いつも全く抜けていると私自身は感じています。
例えば欧米の場合ですと,1,2年生のときに論理的な思考力とICTリテラシーを身に付けさせるために,最初にフォルダーを作らせて,フォルダーの構造ですとか概念とか,そういったところをやらせたりですとか,エクセル,表計算ソフトも,セルの概念を理解させることのために,1年生のときに,1のC列のところに赤を塗ってみましょう,B列の1から10までを黄色にしてみましょうといった遊びの要素がある色塗りのような感じで,そういうことから系統立ててやっているんですね。ですので,先ほど堀田委員からもありましたように,情報活用能力を付けるためには,やはり発達段階に応じた情報活用機会の提供が不可欠で,この機会の提供が正に私はカリキュラムだと思っていまして,教科でばらばらにするよりも,小中9年間で系統立てた総合的な学習の時間の中に,きちっとしたICTリテラシーの部分を組み込んでいくことが必須でしょうし,それを,小中校区単位若しくは市単位で決めていくことは,全体の底上げ,質の担保にもつながっていくことかと思いますので,絶対に申し上げたいことは,ICT支援員に求められる内容や質がこれまでのものととは全く違うということが明確にされるべきであり,情報活用能力を身に付けさせるためには,機会の提供が不可欠で,そのためにはカリキュラムが非常に重要だということを申し上げたいと思います。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
では,毛利委員,お願いいたします。
【毛利委員】 つくば市,みどりの学園の毛利と申します。今回,1人1台ということで,私たちは非常に喜んでいるわけでございます。それはなぜかといいますと,これまで先進的自治体とか,まだ導入してない自治体とかというお話があったんですが,子供たちにとっては,自治体の方が,うちは導入する,導入しないというのは,その子たちはやりたくても,もうそういう先端教育が受けられないんですね。だから,やはりどこに住んでいても,日本に住んでいれば,地方だろうが都市部だろうが,どこでも先端教育が学べる。そうでないと,やがてやってくるSociety5.0時代にはリーダーとして活躍することができないんですね。
教師も危機感がありますが,私は校長として保護者の方とお話をさせていただくと,保護者の方が今や危機感が非常にあります。なので,1年生の入学式のときに,本校では,つくば市全体ですけど,プログラミング教育をやっていますと言ったら,あっ,そうなんだ,そうなんだと言って応援してくれるんですね。なので,是非この構想につきましては,各自治体,取り組んでいただけると有り難いなと考えています。
本校は開校2年目の公立学校で,子供たちも,公立なので試験はありません。先生も県費職員なので定期異動で来ているだけで,特にICTに優秀な方を集めているわけでもないんですね。教師としてはもちろん優秀だと思いますが。開校2年目でも,開校1年目から全ての小学校の担任の先生,プログラミング教育が実践できたのは,つくば市には教育総合研究所というのがありまして,そこで文部科学省に準拠しながらカリキュラムを作っています。それを1年目,丸々まねしてやっているんですね。なので,それでできていますので,先ほど御説明で,動画やいろんな教材を提示していただけるということで,それは,きっとこの単元でという具体的な,ここの場所でこうですよというのを示していただければ,どんどんできるのかなと。
昔,ICTの先駆けの頃,理科で,星のところは星のシミュレーションを使いましょうって,もう教科書にぽんと入ってきたときがありました。それは,ほとんどの先生がそれをまねしてやりました。だから,もうここは効果があるというところは,今までたくさん事例がありますので,教科書等にもどんどん入れていただけると,そこをまずまねして,あっ,こうなんだとなると,日本の先生方,とっても優秀なので,じゃ,それをほかに応用しようとなると思いますので,是非そういうところもやっていただきたいと思います。
来年度から新学習指導要領で,主体的・対話的で深い学びの実現とか問題解決学習,プロジェクト学習となってくると,これはICTを使わないと実現できないですね。先生方もそれはもう知っていますので,この1人1台端末に関して実現していただけると有り難いなと思います。
それに加えて,それだけじゃなくて,これまでと同じように地財を使って,大型提示装置や教育用ソフトはそちらでも充当できるんですよということで,それが第3期教育振興基本計画の実現にもなるわけですから,そこも含めてお伝えいただけると有り難いと思います。
以上でございます。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
では,田村委員,お願いいたします。
【田村委員】 田村でございます。先ほど,整備の計画が出されていましたけれども,小学校,中学校,高校にどのようにというところがありました。特別支援教育,特に特別支援学校にいるお子さんも,義務教育及びそこにつながる高校段階の教育を受けていて,公立学校の大事な一翼だと自負しております。紙面の都合もあるのかもしれませんが,初等中等教育の大きな流れを決める中で,保護者や教職員がこの紙面を見れば,特別支援学校は含まれてないようにも見えてしまうことが心配です。特別支援学校についての記述もあると大変安心です。
特別支援学校も含めた特別支援教育については有識者会議で専門的な中身を検討するようにしてはと申し上げたところ,早速,特別支援教育の在り方に関する有識者会議を立ち上げてくださいました。そこでは,専門家が集まって,様々な協議がされているところです。この特別部会では,初等中等教育,これからの共生社会,そして高齢者も含めた多様な人が一緒に暮らす中で,小中高のお子さんの中に障害のあるお子さんの位置付けの根幹となる,基本的なところを一緒に押さえていただいた上で,詳細については有識者会議との間でキャッチボールしていただければと願っているところです。
そして,特別支援学校で学ぶお子さんには,視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由などの様々な障害や慢性疾患等病弱があるわけですが,私も様々な障害に対する教育を行う特別支援学校の校長をしてまいりました。そこで知り得た実態からも1人1台のPCいうことも願っているところですが,例えばここにタブレットがあっても,それだけではどうしようもない訳でして。ネット環境があるだけではなくて,一人一人に合った,例えばアームや入力機器を,オーダーに近い形で用意しないと,その人が持っている力がうまく発揮できないということがあります。指先数ミリだけで画面の中の文字を選んで,デザインをしてという事例もあります。私の名刺に載せている似顔絵も重度の身体障害のある在宅社員のデザイナーが作ったものを使っています。すばらしい力があって,働き手となって納税者となれる。その基礎的なところのPCの能力や基盤となる学力を付けるところでは,実は特別支援学校に在籍している方たちには,周辺機器,補助具,入力装置などのフィッティングに関しては非常に専門性を有しますので,先ほどハードでなくソフトからと言われましたけど,フィッティングも含めて初めて成り立つので,特別支援教育に関しても,大きな流れとしては同様だという御説明だったと思うのですけれども,そのあたりが少しでも見えて,詳しくは有識者会議等の中で詳細を詰めていくという方向が見えればと願っています。ここに注目している保護者,教職員や関係者が全国におりますので,小中高と同様に,一緒にそれぞれに応じた最適化を考えていただいているということが伝わっていくと考えたところでございます。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございます。後で,関係する御質問といいますか,御指摘といいますか,それにはまとめてお答えできればと思います。
では,神野委員,天笠委員,今村委員,松尾委員,小林委員というところで,この議題に関しては一旦終わりたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
では,神野委員,お願いいたします。
【神野委員】 よろしくお願いします。私,今,GIGAが作る構想の中でもって様々な自治体を回らせていただきまして,それでもって私たちのやっていることの1つとしては,AIドリルというものをどういうふうに活用していくのかということを広めているわけなんですが,それ以外にも様々,一緒になってテクノロジー若しくはハードを一緒になって届けていく中で,自治体の方々とか学校の方々からいろいろ頂いている御意見等がありまして,少しその辺を御共有させていただければと思うんですが,まず自治体の方々から考えますと,ハードというものと同時に,どういうソフトウエアを使ったらいいのかがすごく分かりづらいということを今頂いています。その中において,私たちも民間企業として,私たちだけじゃなく,AIドリルと,校務支援はこういうのがいいですよとか,共同学習系だったらこういうのがいいですよとか,パッケージでちゃんと御提供したときに,学校の中でどういうことが起こるのかというところまでちゃんと御提案させていただくことによって,初めてイメージを湧かせていただくような御提案を作っていかなきゃいけないということで今議論をさせていただいていたりします。
その中において,正に堀田先生がおっしゃっていたことでもありますが,情報活用能力というところの定義の仕方かなとも思っておるのですが,こちらの資料に書かれていた小学校国語における活用例ですとか,中高の国語に活用,各教科における活用例という形で書かれていらっしゃいますのは,基本的にタブレットの標準装備でできる機能で,その教科の中でやれることだと思っておりまして,確かにタブレットに標準装備されている機能でもってできることはこれだけいっぱいあるんですけれども,これは先生方に対する情報活用能力,かなり求める結果になると思っております。
一方,この後の動画という形で,恐らく文部科学省様が配信していくであろう個別学習とか共同学習というところのソフトウエアを紹介する方,こちらのソフトウエアを使いこなすという方向に関しては,情報活用能力というのは,そこまで要らないとは言いません,こちらももちろん必要なのですけれども,少しハードルは下がると思っています。
そうしたときに,まず,情報活用能力というものはどこまで付けるべきなのかということを,私たちも議論の中で見定める必要があるのではないかということを1つ思っています。私たちも麹町中の中で,今年度,QubenaというAIドリルを届けるだけではなくて,グーグルさんのクロームブックを使わせていただきながら,SDGsをテーマに共同学習するということも一緒になってやらせていただきました。
その中において,やはり現場の先生方がこういうことを全然分からないとか,やっぱりいろんな問題が発生するんですね。ですので,次の中央教育審議会までに,私も何人かの委員には,もしかしたら御協力をいただくかもしれませんが,正にこういう個別学習というものを入れたときに,学校現場でどのようなことがハードルになってしまったり,どのようなことが制約になってしまって,世の中,動かなくなってしまうのかとか,共同学習といったときに先生方は何が困るのかということを,実例と課題を整理させていただいたものをできれば御提出させていただきたいと思っておりまして,そのようにやらせていただきたく思っています。
また最後に,関係ない話なんですけど,私,髪が赤くなりまして,この理由は,情報活用能力という話なんですが,今,小学校,中学校,高校生向けに情報活用能力をユーチューブで配信していくことを始めまして,その中で絵面をちょっと若者っぽくしたくて,大変お見苦しいんですけど,GIGAスクール構想の中の小さな実験として御容赦いただければと思っております。済みません,よろしくお願いいたします。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。大変な御努力をなさっていらっしゃいまして,本当に敬服いたしました。
それでは,天笠委員,お願いいたします。
【天笠部会長代理】 短く3点申し上げさせていただきたいと思います。
まず1つは,資料1-3のところだと思うんですけども,先ほど御説明ありました教師の指導体制の充実ということの中に,既に御説明の話の中にあったかなとも受け止めさせていただきつつ,もう少しこういう視点をクリアにしてもいいかなということについて,まず1つ目,申し上げたいと思うんですけども,それは校務分掌組織の研究開発というんでしょうか,という視点があるようなないような出し方をしていると捉えました。
御承知のとおり,先生方,学校の中でもろもろの仕事の分担を,「校務分掌」という言葉で,そしてそれを組織的に進めるために校務分掌組織があるのはもう御承知のとおりかと思いますけども,ちょっと話ずれますけれども,「古い革袋に新しい酒」という,こういう言葉を御存じの方もたくさんいらっしゃると思うんですけども,例えば学校の組織体制というのがある意味で古い革袋であって,新しいアイデアとか知恵が新しい酒とすると,これまで,とりわけ学習指導要領等々は何回も新しい酒と古い革袋ということで,どちらかというとやっぱり古い革袋の中に新しいそれが吸収されていくというんでしょうか,なじんでしまうというようなことが,ある意味で言うと何度も繰り返されているんじゃないかと,そういうことで,古い革袋というのはいろんな捉え方があるかと思うんですけども,ここで申し上げたいのは,いわゆる学校の中の先生方の仕事の分担の組織,分担の仕方が,ある意味で非常に旧来型の分担の仕方をしていて,そういう旧来型の分担の仕方の中に今回それを入れたときに,どなたが校務分掌の中のお1つとしてこれを分担するということは十分想定されるわけなんですけども,そういう分担の仕方で,今後これが,ある意味で言うと,学校の中に,そこに入っていくのかどうなのか。恐らく入っていくことは入っていくんじゃないかと思うんですけども,それが学校のいろんな意味での在り方とか,そういうもの,いわゆるコアな部分の中に,この話がどう浸透していくかどうかを考えたときに,学校の中の校務分掌組織の新しい在り方というんでしょうか,新しい分担の仕方,開発という,そういう視点で,例えばこういうことについて積極的に進めている学校の校務分掌の組織の在り方とか,あるいは新しくこういうところに取り組んでいく学校の,いわゆる研究開発という視点もあっていいんじゃないか。研究開発学校というのは,御承知のとおり,カリキュラムを新しくセットしていく,開発していくということですけども,組織は従来型のままにしてあって,そしてという場合がこれまで結構多かったんですけども,今回,この事態は,ある意味で,学校の組織,分担の仕方自体について見つめ直すとか新たなる開発ということで,ですから,そういう意味で,GIGA構想というか,GIGAスクールという,どういうふうにイメージを作り上げていくかどうかということ自体が1つの,その1つの視点として,校務分掌の分担の仕方の開発を,1つここにしっかりと位置付けていくことが必要なんじゃないかと思います。それが1点目であります。
続いて2つ目は,実現のためのロードマップということで,4年間は短いか長いか,いろいろ判断が分かれるところかと思うんですけども,私が注目させてもらったのは,学年の位置付け方と入り方というんでしょうか。小学校1年生から入るんじゃなくて,むしろ5,6年生,中1のところからということも,今回,まずは目指すところ,狙うところじゃないかと思いますし,ある意味で言うと,既に動き始めつつあるということで,2点目で申し上げたいのは,小学校5,6年と中1が別建てに進むんじゃなくて,ある意味で言うと一体的に。ハードウエアとしては,それぞれの小学校,中学校の組織の整備なのかもしれませんけども,その間の人の行き来というんでしょうか,動きについて知恵を出していただくという,こういうことで,これがまた1つの小中連携とか小中一貫の呼び水になるといいかなと思っております。
最後,3つ目でありますけども,やはり私も,先ほどもありましたけど,支援員の方は結構重要なキーパーソンの1人になってくるのかなと思いつつ,果たしてどれほど人が確保できるのかどうなのかというあたりのところは,都市部はともかくとして,人口減少地域等々はどうかなということが1つなんですけども,その点において,先ほど若江委員がおっしゃったことはとても大切なことかなと受け止めさせていただきました。
要するに,カリキュラムが分かっている人が実は重要なんじゃないかという,こういうこと。そういう方が学校の支援の委員となっていくと,その学校にとって随分助かる話になってくるんじゃないかと思うんですけども,こういう方々を含めてとすると,最後になりますけども,今日提示していただいた資料の中に,「カリキュラムマネジメント」という言葉が,後で探すとあるのかもしれませんけども,カリキュラムマネジメントというのが,少なくとも資料1-2の中にはあっておかしくなかったんじゃないかなということで,各教科の,それはそれとしてってよく分かるんですけども,やっぱり学校のカリキュラムとしてこれがどういうふうに位置付けられるかどうなのか,そういうことについて,一方においては盛んにカリキュラムマネジメントが説かれながら,今回,この辺については,そのあたりのところが十分位置付けられてないということで,これはまた御検討いただければと思いますので,どうぞよろしくお願いします。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
では,今村委員,お願いいたします。
【今村委員】 2点発言させていただきます。
1つが,既にこのGIGAスクール構想の件について,各自治体とか学校,各所から,本来目指していた目標やビジョンのところがなかなか伝わらず,手間が掛かるとか無理とか,そもそも基盤にお金が掛かり過ぎてうちはやめるとか,そういった話をいろいろと聞くわけなんですけれども,本当にこの取組は何を目指していたのかというところで,やっぱり誰しもが共通の目標とできる言葉がここに書いてある,「多様な子供たちを誰一人取り残すことのない」という言葉を,これがビジョンなのだということをもっと強く共有していくことで,今,取りこぼしている子がいるんだという実態をもっと強く共有していかないと必然性が伝わらないんじゃないかと思うんです。大変なのは前提で,新しいことなんだから当然大変なんだけど,絶対に違う世界がここで広がっていくんだということが,象徴的な言葉がここだと思うので,ここをもっとアピールして発信していきたいと思っています。
2つ目なんですけれども,その際に,既に例えば取りこぼしている,教育にアクセスし切れない子供たちで言うと,例えば3万人ぐらいの15歳未満の子が入院中で院内学習をしているとか,不登校の件は言うまでもないですし,例えば最近だと,コロナウイルスで学校に行くのを自粛し始めましたみたいな話も聞いたりして,そういったことも家庭の判断になるわけなんですけれども,そういったときに,学校に全員が通学して,同じ教室の中でICT機器を開いて,ちょっとアクティブっぽいことをやっているとか,そういうカリキュラムのICT利用の話を超えて,そもそもどこにいたって授業って聞けるとか,ズームとか使えば,別に教室からだって出席できるとか,もちろん進度が合わなければ,Qubenaさんみたいなものを使えるとかということも当然なんですけども,空間とか学級にいるいないすらも問い直せるんだということも,ここの中で描いていきたいなということを感じました。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございます。
それでは,松尾委員,お願いいたします。
【松尾委員】 兵庫県姫路市立白鳥小学校長の松尾と申します。本当に地方の一小学校で,姫路市の一般的な状況などを御説明しながら私の意見とさせていただきたいと思うんですけれども,いよいよGIGAスクールの時代がやってくるということで,現場もとてもわくわくしているのは事実です。学校長ですとか,先ほどお話に出ました校務分掌の情報担当者を中心に研修をたくさん打っているというのもそのとおりなんですけれども,先日も文科の髙谷課長様に来ていただいて,グーグルのCEOの方と一緒にフォーラムを開催したりとか,国立教育研究所の長田先生にも来ていただいたりして研修は打っているんですけれども,やはり現場の先生方への浸透度はなかなか温度差があるというか,難しいところもありまして,本校でもグーグルクロームを20台,今,導入している状況なんですけれども,インフラ整備が不安定だったり,アクセスポイントがうまく作動しなかったりというところで,そのあたりの確実性も現場としては望んでいるところです。
まだまだタブレットが日常化の授業に使われているかというと,姫路市ではなかなかそこまで入っていないんですけれども,1人1台の時代がやってくるということで,先生方もお尻に火がついている状況なんですけど,まずはどこから取り組んでいったらいいかなというところで,来年から始まるプログラミング教育のカリキュラム作り,それから,先ほどもお話が出ていましたが,ソフトウエアをどういうところのものを使ったらいいのかという選択のこと,それから,ICT支援員をやはり一校に1人配置していただけたらなという本当に切実な要望があります。
タブレットを使おうと思っても動作確認ができないですとか,使い方が分からないというときに,すぐ支援員の方が控えていてくださればすぐに対応できるんですけれども,今の状況では,お電話をして,いついつ来ていただけますかとアポを取って,そして来ていただくという状況は否めないところですので,そういうハードルの高さはあるんですけれども,現場の先生も少しずつ,もちろん大型提示装置ですとか,そういうのも使いながら,授業には変革を来していこうという意識はとてもあるんですけれども,現場の現状とここで話し合われていることの格差を私はちょっと感じたりすることもあります。それでも,活用指導資料を提示していただけるというお話も聞きましたし,それらが全ての学校に浸透できるような日が来ることをとても希望しています。
私たちも先日,スクラッチ研修ということで,全職員がスクラッチを研修したんですけれども,やっぱり教師と子供が共に学ぶ姿勢というか,一緒に学んでいくというスタイルを私たちも確立していきたいなと思っているところです。
取りとめのない話になりましたけれども,以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
では,小林委員,お願いいたします。
【小林委員】 3点,手短に申し上げます。
まず最初,経済界として強く提言をしておりました1人1台が,ようやくスピード感を持って実現するということで,大変ありがとうございました。その関連で,企業での失敗を踏まえての意見です。企業でシステム化を進めるときに必ず失敗するパターンですが,今やっていることをそのままICT化する,あるいは,今やっている手順を変えずにそこにどうやってICTの能力を組み込むかというような発想でいきますと,必ず失敗します。そもそもICTを使ってやり方を変えるんだ,今までやっていることを変えるんだという考え方が必要です。そこの部分をしっかり徹底して理解していただくような発信をしていただきたいということが1点目です。
2点目は,ICT支援員は,これはカリキュラムを分かっている方も非常に重要なんですけれども,例えば,ソフトをどういうふうに使うのかというのが,いろいろな現場での模索になると思います。これについて言えば,カリキュラムを分かっていなくても,ソフトというのは若い人はいくらでも試行錯誤しながらどんどん使えますので,場合によっては自由に支援員を,例えば,身近にいるコミュニティーから若い学生さんに一時的にボランティアで来ていただくとか,そういったことが選択できるような裁量権を学校長に持ってもらいたいと思う,これが2点目です。
3点目ですけれども,これだけ大掛かりにICTを導入するとなると,やはりサイバーセキュリティー等を含めて,ICTの負の部分も十分に現場の先生方,それから子供たちも理解する必要がありますので,カリキュラムの中にそういった教育もしっかりと組み込んでいただきたいと,この3点,よろしくお願いいたします。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。大変重要な御指摘をたくさん頂きました。このことにつきまして,今,事務局から何かございましたら,お願いいたします。
【髙谷情報教育・外国語教育課長】 幾つか簡単にお答えします。
まず,重要なことを御説明し忘れておりまして申し訳ございません。特別支援学校につきましては,学年を問わず,今回優先して導入をさせていただきたいと今準備を進めておるところでございます。特別支援教育にICTは大変効果的だということを,ずっと予算要求のときから議論してまいりましたので,その前提で自治体とのお話を今後進めさせていく予定でございます。
周辺機器につきましては,様々ございます。そのあたりは少し,特別支援教育課なり省内で検討していきたいと考えてございます。更には,ネットワーク整備に応じ時間が掛かるとか,工事の集中とかの御懸念の話,吉田委員からございました。このあたりも既にいろいろお話を伺っております。このあたり,先般も,私どもの大臣から業界に,柔軟に対応してほしいという直接の依頼をさせていただきました。正に業界の協力が重要だと思ってございます。その他につきましても,私ども,業界とも連動しながら,かつ自治体の皆様には整備しやすいやり方を随時,情報発信して,整備が円滑に進むように努力していきたいと考えてございます。
それから,5年後の更新の話でございます。これはお話もございましたとおり,まずは,5年後の更新をどうするかというのがしっかりと検討できるような社会にしていく必要がある。そのためにも今回,1人1台を対応するというところでございます。そのあたり,是非,正におっしゃっていただいたとおり,私どもも,1人1台しっかり使っていただける状況にしなければいけないと考えてございます。
それから,支援員のお話を多くの方々から頂きました。支援員につきましても,今,様々,私どもにも声が来ております。今,地財措置はどうしても4校に1校程度ということで御説明をさせていただきましたが,支援員の必要性,重要性につきましては,様々,いろいろな分野での支援が重要だと思います。
まずは令和2年度におきましては,先ほど御紹介させていただきましたアドバイザー事業を大幅に私ども,拡充させていただいております。それを踏まえながら,今後の支援員の在り方,支援員の体制について私どももしっかりと考えていきたいと思っておるところでございます。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。そのほか,いろいろと頂きました御指摘は,また事務局とも相談いたしまして,どういった形で盛り込めるか…,あっ,失礼しました。
【柳澤教育人材政策課長】 教員の養成等についてお話しさせていただきます。
主に堀田委員及び吉田委員からお話しいただいた件ですが,フィルタリングに関しては,確かにお話を聞いてみると,教職員支援機構が動画を配信できるようにはなっているんだけれども,自分の学校で見られないという声は,教職員支援機構に研修に来られる方々に伺っても確かにあります。なので,そこにつきましては,ある程度実態を把握した上で,ここを解除してほしいというお話をしていくことになるのかと思っています。教育委員会だけで判断し切れない部分もあるのかもしれませんが,そこはやっていきたいと思っています。
それから養成関係で,もっと大学でICTを使った指導をしなければいけない,これは正にそのとおりだと思っています。一応,仕組み上としては,新しい学習指導要領に対応して,各教科の指導法の中でしっかりICT活用しなければいけないという内容の規則改正はしております。更に再課程認定も行い,今年度からスタートしているところですが,実際,ICTが本当に十分使われているのかについては,御指摘のとおり,いろんな状況があるのも承知しております。従いまして,これからの検討ですけれども,教職課程のコアカリキュラムがありますので,例えばそれを少し直していくか,追記のような形も含めて,できることを最大限やっていきたいと考えております。
研修関係ですけれども,吉田委員から御指摘いただきましたように,教員の免許状更新講習については,現在,教員養成部会の中で,免許更新制の実質化という議論をしております。すなわち,更新講習を受けることだけではなくて,県が行う研修等も,更新講習を受けるのと同様にカウントしていいのではないかというような御意見を頂いております。実際,例えば中堅教諭等資質向上研修というものがありますが,それと免許状更新講習はかなり近い時期に研修を受けるということになりますので,そこを重ねて,更新講習を受ければ研修の一部を免除するというようなことではないかとの御意見があり,実際そういうことを始めていただいている都道府県教育委員会が増えてきているのが現状でございます。
おっしゃいましたような,特にICT関係の研修だけがこのような「実質化」の対象に当たるというよりは,いろんな研修を受けたものを更新講習とうまく読み替えていくということの一環かとは思っておりますけれども,ラーニングポイント的な形で効率よく,また,負担を減らしているような動きは非常に重要だと思っていますので,是非その方向で検討していきたいと思っています。
以上です。
【荒瀬部会長】 失礼しました。ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。
では,先ほども申しましたように,頂きました御意見,また十分に考慮させていただきたいと思います。
お話を聞いていまして思いましたのは,当たり前のことではありますけれども,1人1台のICT環境が整えられるということは,まさしくこの特別部会の題名といいますか,タイトルになっている,新しい時代の初等中等教育をどうしていくのかということで,何か1つ加わったから,それに対する対策をしていくというような話では全くないということでありますので,その辺のところがしっかりと我が国全体で共有されるということになるような答申にしていければと思っております。ありがとうございました。
それでは,もう一つの方に移りたいと思います。小学校高学年の教科担任制実施に係る教員配置や教員定数の確保の在り方について,まず,合田財務課長から御説明をよろしくお願いいたします。
【合田財務課長】 それでは,資料2-2と資料2-1,この2つを並べていただいて,御覧いただきながら手短に御説明をさせていただきたいと思っております。
まず,本部会におきましても,小学校の高学年の教科担任制を加配等でできたらいいねという話ではなくて,システムとしてどういうふうに定着させるのかという御指摘を頂いたところでございます。
御指摘のとおりでございますが,実は御案内のとおり,小学校の1,2年は35人学級,小学校3年生から中学校3年生までが40人学級と聞き及びかと存じますけれども,実は小学校3年生から6年生までにおいて,1クラスに36人以上が児童数としている学級数は,全単式学級数の12.5%でございます。逆に申しますと,87.5%の学級においては35人以下の学級になっているということでございます。中学校においては26.2%ということでございます。としますと,かなり学級の数,学級における児童・生徒数はばらつきがあるということでございまして,このことを前提に,資料2-2の1つ目の丸でございますけれども,小学校の高学年の教科担任制の導入を検討するに当たっては,縦軸といたしまして,小学校の学校規模,学級数やクラスサイズに着目した教育環境の違いに着目する必要があると考えてございます。もう一つは,横軸として,どのような教科担任制を構想するか。これは当然でございますが,この2つの軸を組み合わせて具体的に検討することが必要かと存じております。
資料2-1のカラー刷りの資料集の,これ,シートごとにページが付いてございます。枚数としては5枚めくっていただいた裏,シートのページでは19ページと振っているものを御覧いただければと思います。
19ページでございます。これは縦軸が学級数でございます。その学校において幾つ学級があるかというものでございます。横軸は,その学校に何人の児童・生徒がいるかというものでございます。これを御覧いただきますと,おおむね学級数が多い学校ほど生徒数が多い,すなわちクラスサイズが大きいという相関になっているというのが御覧いただけると思います。ボリュームゾーンで申し上げますと,6学級の学校,つまり1学年1クラスというようなところについては,大体クラスサイズは20人程度ということでございます。それから,12学級校,黄色でマーカーを引かせていただいていますが,1学年2クラスといったようなところにつきましては,学校のクラスサイズは25人程度,それから,18学級,つまり1学年3クラス程度というところは,クラスサイズが30人程度というような大きな相関というか,流れが御覧いただけると思います。この学級数は単式学級のみを分離してございまして,特別支援学級は含んでございません。
その上で,その下の,その次の20ページでございますけれども,例えば6学級の学校の例ということで箱がございますけれども,これは1年生から6年生までそれぞれ1学年でございますので,これを足し上げていきまして,この学級規模に配置される先生で割らせていただくと,1人当たりのコマ数は23.7コマであるということをお示しさせていただいております。12クラスになると,それぞれそれが2学級ございますので倍になってくると。他方,配置される先生の数も増えますので,1人当たりのコマ数は24.6コマ。それから,18学級でございますと21.4コマになってございます。これは,学級の配置に基づく教職員の配置との相関でございます。
同時に,次の21ページを御覧いただきますと,これは中学校でございまして,中学校におきましても3学級校,1学校3学級のところ,つまり,1学年1クラスというところのクラスサイズは25人,6学級,つまり1学年2クラスというところは30人,それから9学級,1学年3クラスというところが大体35人ということでございます。
これにつきましても22ページ,下のシートでございますけれども,それで見てまいりますと,中学校の場合は教科担任制でございますので,そうしますと,例えば3学級の場合は各学年1学級のみになりますので,例えば,これは下の四角の一番右側でございますが,国語の先生は,これは単純に試算したもの,飽くまでも試算でございますけれども,国語の先生はお一人週14.4コマ担当しているということになります。楽だと思われるかもしれませんけれども,この場合は1学年から3学年まで全部持っていらっしゃいますので,3学年分違う授業をやらなきゃいけないということで大変さがございます。
それから,右側に参りますと,6学級の場合には,これはクラスが増えますので,当然,教科のコマ数も増えてまいります。従いまして,一番右側にございますように,国語の先生だと25コマとか社会の先生だと24コマということになります。9学級になりますと,これは学級数に応じて先生の数が増えるということもありまして,9学級の場合は,先生の持ちコマ数,国語で言えば19.9,社会で言えば19.0というような状況になっているということが,これは児童・生徒数,学級数,それに基づいて出される先生方の数,それから先生方の持ちコマ数が全体としてこうなっていると,イメージとして御理解をいただければと思ってございます。
その上で資料2-2に戻っていただきますと,2つ目の丸にございますように,学校規模はクラスサイズと相関をしているというのは,今お目通しをいただいたとおりでございます。また,標準的な教員配置の場合には,5学級以上の中学校における教師のコマ数というのは,美術や音楽,技術・家庭を除き18コマ以上ということでかなり負担は大きいということを御覧いただいたところでございます。
従いまして,今後,小学校の教科担任制を議論いただくに当たりましては,ここから下は,飽くまでも本日の議論の1つの補助線ということで御覧いただければと思っておりますけれども,例えば13学級以上の小学校,つまり1学年2学級を超えるような学校,これが小学校の中で大体7,000校ございます。そうしますと,この小学校の上にある中学校というものは,小学校時代が1学年2学級でございますので,少なくとも5学級以上になると,場合によっては,複数の小学校が一緒になると9学級以上になるという状況でございます。9学級以上の中学校の割合は,全中学校の中で57%でございます。
そうなりますと,先ほど御覧いただきましたように,学区内の中学校の規模は比較的大きいということになりますので,中学校の連携を考えるに当たっても,中学校の先生方のコマ数の負担を考えながら,どう組み合わせていくかを議論する必要がございます。クラスサイズは30人程度以上がボリュームゾーンですので,小学校同士の統合は実は余りスケールメリットが生じないということでございます。都市部に多く所在しており,地域によっては今後も児童・生徒数が増加する傾向ということでございます。
それから,7学級から12学級程度の小学校ということで,これが大体5,200校ほどございますけれども,これは1学年1から2学級ということですので,この小学校の上にある中学校は5学級以上ということでございますから,状況は13学級以上の小学校の上にある中学校と基本的には変わらないということでございます。ただし,これらの小学校については,クラスサイズが20人から25人程度がボリュームゾーンでございますので,中学校単位での義務教育学校化などによって,中学校区単位の一体的な学校マネジメントあるいはスケールメリットが出てくるというゾーンになろうかと思っております。ただ,この学校については,人口減少地域にある場合には,将来的には各学年1学級以下になる可能性があるというものでございます。
それから,最後が6学級以下の小学校ということで,これは複式学級を含む学級編制でございますが,これが6,200校ほどあろうかと思っております。この学区内の中学校の規模というのは小さい傾向にございます。4学級以下といったところが多いと考えられまして,そうなりますと,先ほど見ていただきましたように,中学校の先生方と小学校の先生の連携のやり方というのは,持ちコマ数という観点からは,やりやすいということになってくるわけでございます。クラスサイズは,20人以下がボリュームゾーンでございます。僻地などに多く所在してございますので,学校の統廃合がなかなか難しい場合には,遠隔合同授業等を効果的に活用できる可能性があるのではないかと考えてございます。
資料2-2,2枚目をおめくりいただければと存じます。今のが縦軸でございますが,横軸としては,先ほど申し上げましたように,教育効果や学習指導の観点からどのような教科担任制を構想するのかということを御検討いただく必要があると考えてございます。マル1からマル4まで示させていただいておりますが,是非御議論を賜ればと思っております。
その上で,小学校高学年の学級担任制を導入する上で直接関連する観点として,マル1からマル5まで挙げさせていただいておりますが,小学校の低・中学年の教育課程の重点化のための学校の裁量の拡大,義務教育9年間を見通した教育課程編成,マル3の小学校高学年の教科担任制を前提とした小学校教員養成課程と免許制度の大幅な見直し。先ほど申し上げましたように,そうなりますと,全教科やりたいという場合には低・中学年が中心になってくるということになりますが,その場合,小学校の教員養成課程や小学校の教員免許というものはどういう固有性があるのかという御議論があろうかと思っております。また,義務教育を担う教員全体の数をどう確保するのかという観点からも,現在の小学校教員養成課程を前提としていては確保できない可能性もあるということかと存じます。
マル4でございますけれども,中学校区単位の義務教育学校化などによる教職員定数やスクールバスをどう支援していくのか,あるいはその場合の中学校区単位の一体的な学校マネジメントをどう考えていくのか。マル5といたしまして,先ほど来お話がございましたように,GIGAスクール構想を前提とした交流や遠隔授業による専門的な教科指導の在り方といったようなことについて,是非御議論いただければと思っております。
なお,資料2-1で申しますと,25ページを御覧いただければと思います。具体の例ということで,これは今までも御議論いただいたものでございますので個別の御説明を省かせていただきたいと思っておりますけれども,25ページには横浜市の例ということで,小学校においても教科担任制を引いていった例,26ページは兵庫県香美町において,スクールバスなどを活用して合同授業を行う例,27ページは長野県の喬木村の事例でICTを活用した遠隔合同授業,28ページは茨城県水戸市でございまして,義務教育学校による9年間を見通した指導ということで,これを御覧いただきますと,音楽や図画工作については,1学年目から9学年目まで全て同じ先生が教えていらっしゃるということがお分かりをいただけようかと思っております。
今日は局長も両審議官も出席をいたしておりますが,ただ,延べ単で乗ずる数を変えるという議論ではなく,今申し上げましたように,縦軸,横軸で議論いただきまして,その結果,必要だということであれば,義務標準表や定数改善にも当然のことではございますが,まなじりを決して取り組ませていただきたいと思っております。
ただ,その際,大変勝手なお願いで恐縮でございますが,本部会において,もう少し議論を深めていただきたいと思っている点が幾つかございまして,これまで,今日も御議論があった点でございますが,1点目は,私どもがこういう改革のためにリソースを財務課長として獲得するに当たっては,どうしても,なぜこれを行うのかということについての議論の再定義が必要かと思っております。先ほど今村委員がおっしゃったところでございまして,日本型学校教育のよさというものを前提にしながら,成果主義や同調圧力から脱して,多様性に向き合いながら,誰一人として取り残さないというのが日本型学校教育のよさであるという再定義が必要かと思っております。
2点目は,大変恐縮でございますが,先ほど毛利委員や松尾委員からもお話がございましたけれども,このシステムを構築すると同時に,学習集団,教師,主任主事,管理職,市教委,市長さん,県教委,知事,それから私ども文部科学省と,この改革チェーンをいかに切らさないようにするのかということが,あるいは逆に言うと,切れた場合にどうして対応していくのかということを,これは文部科学省の体質も含めてでございますが,是非御議論を賜ればと思っております。
それから,先ほどの議論に正に関わることでございますが,GIGAスクール時代になったときに,教師の役割,決して教師は必要でなくなるわけではございませんので,教師の役割は何なのかということを前提としたときに,GIGAスクール時代の学級というもの,学習集団というものはどうあるべきなのかという議論を是非深めていただければと思っております。
勝手なお願いの4点目でございますが,義務教育がよくなっても高校教育がよくならなくてはと,私ども,いつもお叱りを頂くところでございます。私どもの力不足で入試改革が頓挫をしているわけでございますが,入試改革が頓挫をしたということは,入試に全て質の保証を依存してきた普通科高校の質の保証を高校教育の固有のロジックで立て直さなければならないということかと存じております。スクールポリシーを議論する前に,質保証という議論について,もう一度御議論を賜ればと思っている次第でございます。
私からは以上でございます。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。最後に,私たちに幾つか課題を提示していただいたということであります。とりわけ4つ目の高校教育につきましては,もとよりスクールポリシーを考えるという中でも質保証は非常に大事であるということを思っておりますので,今後もまた,そちらで検討を進めていって,また,この部会にも御報告をしていきたいと思っております。
では,今,資料2-1,2-2に基づいて御説明いただいたこと,あるいは最後に合田課長から4点お示しいただいたことを含めまして意見交換をしたいと思います。御意見のある方は札を立てていただきたいと思います。
では,毛利委員,お願いいたします。
【毛利委員】 つくば市,みどりの学園の毛利でございます。小学校高学年教科担任制ですが,働き方改革とかいろんなことで導入というのもあるかもしれませんが,私の実感では今,小学校5,6年生というのは,精神的な成長として,もう中学生と同じぐらいのレベルになっておりまして,一般的にもう小学校5,6年生の学級崩壊というか,クラスがうまくいかない,機能しない学級も多々あると聞いております。
1人で持つということは,その先生が駄目というよりは,やはり思春期に入りますと,先生としては立派だけど何か合わないという先生にずっと面倒を見てもらうというのは,お互い厳しいところがありますので,やはり日本での中学校の教科担任制というのは,専門性もありますが,そういうところも踏まえてあると思うので,やはり学年を下げることは大切なことなのかなと思います。
あと,資料2-1の13,14ページを見ていただきますと,例えば小学校で18学級のところは定数が23人となっていますが,校長,教頭,教務を除くと20名になりまして,そうすると,18クラスありますので,担任外は2名しかないような感じなんですね,この表からいくと。一方,中学校は18学級では定数が約31で,校長,教頭,教務を除きますと28名ですから,10名ほど担任外の方がいらっしゃる。なので,専門性とかあるかもしれませんが,担任外の人がそれだけ,一定教科でばらばらになっていれば,教科担任として非常に組みやすいけれども,現状で小学校で教科担任制をしようとすると,今のようなことで担任外の人が少ないので難しいなというところがあります。
茨城県では,今年度から小学校外国語専科という制度を始めました。それは,小学校の外国語及び外国語活動を持つんですけども,基本的には,担任の先生と一緒にやってはならないという,1人でやりなさいという制度です。これは働き方改革にもなるし,本当の意味での教科担任制になるんですね。それで今年度やっていますが,最初,やっぱり心配で,ちょっと担任の先生ものぞいたりしていましたが,今はもう1人でやっています。やはり新採の先生が現在,大量に辞めてしまう,すぐお辞めになってしまう。せっかく夢を持って教師になったのにお辞めになる方が多い。1年目から担任になると,会社で言えば支店長とか店長みたいなもので,何かあったときに対応できなかったりするんですね。だから,やはりそういう先生方が最初,副担任で,いろんな教室を回って見ていただけるとか,そういう余裕が小学校にもあれば,教科担任制の枠として入っていれば,育てるという意味でも非常にいいのかなと思いました。
今の学校の勤務時間は,うちの学校では8時10分から16時40分なんですが,6時間目があると,帰りの会は16時までありますので,子供たちを外まで送っていって帰ってくると16時半で,じゃ,10分で教材研究とか何とかって,もう無理ですが,小学校の担任はもうフルで入っているんですね。空き時間がない状況なので,そういうことでも,教科担任制になれば,3クラスあれば,1回教材研究をすれば3回授業ができるわけです。教育の質を落とさずに,先生方も新たな教材研究ができたり空き時間ができたりするので,そういう意味でも,この教科担任制というのは非常に時代に合ったものなのかなと思いますので,推進していただければと思っております。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
では,貞広委員,お願いいたします。
【貞広委員】 ありがとうございます。今回,大変刺激的な資料も,持ち時間数の資料なども出て,相当本気で取り組まれるのだなという印象を受けております。その上で,3点意見を申し上げたいと思います。
まず1点目でございますけれども,今,毛利委員からも教科担任制,今の子供たちの成育の状況などを見ると非常に望ましい制度であるという御意見がありましたが,教科担任制をおおむねどういう方針で進めるのかということが共有されていないと議論がなかなかしにくいかと思います。
例えば,今日お示しいただきました資料2-2の2枚目の一番上のところに,どのような教科担任制を構想するのかということを正に出していただいていますが,例えば,これまでのように加配教員が特定の教科だけを専科教員的に担当するとか,実技系の先生,持ち時間が少ないから,そこは中学校の先生に来てもらうということではなく,例えば,2番であるとか3番であるとか,かなり広い教科担任制を前提とするのかということによっても議論の方向性は違ってくると思います。後でも申し上げますが,もしマル2やマル3の形を考えるのであれば,相当中学校の先生のお力をお借りしないと実際には難しいであろうということです。
私個人的には,やはり2か3かなと思います。4かなとも思うんですけれども,これは特に算数,数学,理科,外国語はもちろんですけれども,先ほどGIGAスクール構想のところでも出ていましたプログラミング教育のことも考えると,技術の先生のお力もということになろうかと思いますけれども,こうした系統的な学びが必要な教科こそ,今の子供の成育歴に合わせて,専門的,系統的な学びを早い時点から保障する教科担任制を考えていただくことが1点かと思います。これは個人的な意見ですので,皆さんの御意見をまた伺えればと思います。
2番目の意見といたしましては,1番目とも重なりますけれども,仮に広い形での教科担任制を考えたときには,やはり小学校単体ではもう無理ですね。今までいろんな小学校で時間をやり繰りして,じゃ,先生,社会やって,先生,国語やってというようなやり方をいろいろ工夫してくださって多くの効果を上げてきているんだと思うんですけれども,どこの学校でも広くということになると,中学校区を単位として学校群のような構想を持って,定数を含めたリソースをどういうふうに再配分していくかとか,又は中学校の力を借りるには,もっと中学校にリソースを追加的に配置していかない限り,こうした教科担任制はできないと思いますので,そういう考え方が必要だと思います。
また,先ほど合田課長さんから学習集団というお話がありましたけれども,先ほどの毛利先生の御発言からも分かりますが,小学校4年生ぐらいまでは比較的小さな小学校の中できめ細やかに育てる,学習してもらうことも大事だと思うんですけど,5年生ぐらいになると,系統的な学びだけではなく,ある一定の集団の中で学び合いながら学習活動を続けていくことも重要かと思います。そう考えますと,学制を変えるというところまでではなくても,例えば分校のようなことを考えていただくこともできるかと思うんですね。4年生までは,小さな小学校も統合しないで小学校校舎で学ぶと。ただ,5年生からは中学校校舎に子供たちは移って,かなり教科担任を,中学校の先生の力をお借りしながら大きな集団の中で学んでいくということも考えられるかと思います。
そういうことをしますと,より,やはり中学校にリソースをもう少し配分していかないと,中学の先生,今でこそ部活動もあって,勤務時間も非常に長いので,このあたりをしっかり保障しないと,我々が構想するようなしっかりとした教科担任制は実現できないと考えます。
そのときに,3点目でございますけれども,先ほど,スライドナンバーでいうと,22枚目のところに,中学校の教員1人当たりの平均担当授業時間数をお示しいただいていまして,3学級の学校ですと11時間ぐらいですよというお話でした。
ただ,これも先ほど合田課長さんから御説明ありましたけど,11というと,額面上は大変負担が少ないように見えるんですけれども,例えば英語の先生は3学年の全ての英語の授業をお一人でやるんですよね。教材研究も授業準備も,そして,誰かに相談をして授業をより良くしていくということも学校の中ではなかなかできない。心理的・物理的な負担,どちらも大きいということを考えると,小さな学校だと,がっちゃんこ,併せればいいやという,そういう構想だと,相当中学校の先生の御負担になろうかと思いますので,そのあたりも是非お考えいただければと思います。
以上,3点申し上げました。
【荒瀬部会長】 ありがとうございます。
では,加治佐委員,お願いいたします。
【加治佐部会長代理】 私は,2点ぐらい申し上げたいと思います。資料2-2で示していただいたこと,大変よく分かります。合田課長が最後のところで,ここで議論をしてほしいということで4点挙げられました。その3点目で述べられたように,GIGAスクール構想が本当に成功したら,教師の役割は当然大きく変わるわけですね。当然,学級の在り方も変わってくると思うんですよね。だけど,それは今のところ,誰も分からない。変わるのは確実ですけど,分からないわけですね。教師がもっとたくさん必要になるのか,それとももっと少なくていいのか。経済界の方は,多分少なくていいと言われる可能性もありますけども。ただ,やっぱり生徒指導とか集団活動等々を考えると,いろんな能力を持った,今の先生が持っている能力とはまた違う能力を持った方も含めて,結構量的にも必要になる可能性も高いんだと思うんですね。
ただ,いずれにしろ,それは分かりません。分かりませんけれども,当面,教科担任制に対応しなきゃいけないということで,こういう構想をされていくのはいいと思います。ただ,特に,これだけはっきりしているわけで,子供の数が物すごく減っていきますので,教員需要は減るわけですね。今は多いですけど,これから四,五年たったら物すごく減ってゆきますので。しかし,Society5.0時代になったときにどれぐらい教員数が必要か分からない。だから,今のうちに,一定の確保策を講じていくことはそれに備えることにもなるんだということで意味があるんだと思っております。
ただ,今後どうなるか分かりませんので,同時に,やっぱり学級の在り方とか,教員数の在り方というものを並行して考え続けることが必要かなと思います。この方式でやっても,多分また変わるような感じもしますよね。これが1点です。
2点目は,教科担任制をシステムとして定着させるということなんですが,このシステムがどういう意味なのかということなんですね。ここで議論してほしいということで4点述べられた中の2番目に,国と都道府県,市町村,学校の間で,改革意識,改革志向のチェーンを切らさないんだと,こういうことをおっしゃいました。それぞれの裁量はどれぐらいあるのかということが…。これまでなかった考え方として,各学校の学級数によって,教科担任制に対応する教員配置の方式を変えるということですよね。これ,誰が決めて,どこまで制約していくのか。現行は,お示しがあったように,学級人数の上限基準があるだけで,教員配置は基本的には,総数が配分された都道府県の裁量ですよね。そこらを国としてどれぐらい規制するのかとか,都道府県や市町村にどういう任せ方をするのかとか,そこがちょっと見えないということですね。
それから,これは貞広委員もおっしゃいましたことですが。恐らくシステム化するというのは基礎定数化するということだと思うんですよ。基礎定数化をするときに,2枚目の一番上にありますような教科担任制というのが何なのかが分からないと。4つ例を示されているんですけど,4が一番分かりやすいわけですね。本当はこうなると一番定員も増えると思うんですけども,これらの幾つかのパターンを国として示すのか,それとも,各都道府県なり市町村あるいは学校の裁量に任されるのか。そういうイメージがつかめないと。裁量に任せることになると,なかなか基礎定数の計算ができないんじゃないかという気もするんですが,現段階で分かる範囲で教えていただければと思います。
以上です。
【荒瀬部会長】 後からも関係するものがあるかもしれないですので,いいですか。今お答えになりたいですか。
【合田財務課長】 いや,後で結構です。
【荒瀬部会長】 では,あと,堀田委員と今野委員,香山委員,天笠委員。時間の関係もありますので,今日,そこまでとして,あと,合田課長からのお答えをまた頂くということでよろしくお願いいたします。
では,堀田委員,お願いいたします。
【堀田委員】 ICTのネットワークが学校にやってくるというのは,例えば先生から見れば,在校研修とかができるようになるわけで,そういう意味で働き方改革の一環になるわけですけども,子供たちから見ても,例えば病院で学んでいるお子さんや不登校のお子さんの学習権の保障とか,あるいは,遠隔でより専門的な方にお越しいただかなくても学ぶことができるような,そういうタイプの遠隔授業のようなものの実現が,全ての授業ではないにしても可能になる話だと思います。授業の場面に絞ってお話ししますけど,遠隔から授業をしてもらうみたいな話は,専門的な人材の活用として,例えば英語とかプログラミングとか大学の先生が教えてもらうとか,あるいは民間で専門的に取り組んでいる方のお話を頂くとか,そういう方々のお仕事を,さほど邪魔せずに御協力いただく方法として,これは学校規模に関係なく必要な,そして望ましい方法かと思います。
大規模校では,教員定数が増えて少しでも教員の負担が下がってほしいわけですけど,教員数を増やすことだけではなく,まずできる方法として,GIGAの時代にネットワークの活用に取り組むことも同時並行でやっていくのがいいのかと思います。
私が今からお話ししたいことは,むしろ小規模や極小規模の話です。長野県喬木村の例が出ていましたけど,遠隔合同授業というのはかなり成果が上がるよい方法です。情報教育・外国語教育課では,事例を掲載したガイドブックを出しています。そもそも小さい学校は限られた教員であらゆることをやる大変さがあるので,授業時数だけではその大変さが読み取れないところもあるわけですけど,子供たちから見れば,そもそもふだんから個別的に見てもらえやすいという部分がある一方で,いろんな人の意見を聞いたりすることが難しいという現実があります。これを教員定数で解決しようとするとキリが無くなかなか大変です。中学校の先生が小学校にも教えに行くこともできるわけですけど,一方で,それは20キロ離れているところに行くというような新たな苦労もあったりして,なかなか難しい部分もあるかなと。それをネットワークでうまくやっていくようなことができれば,いずれ同じ中学に行く離れた小さい学校同士が一緒に学ぶみたいなことも,授業時数の一部において遠隔合同授業に積極的に取り組むことで,例えば中1ギャップをなくすとか,そういう効果も出ています。
考えてみると,特に小規模の中学校では,免許外教員の配置の課題などがあることを考えると,小学校や中学校のどちらも教えやすいような免許制度とか,あるいは義務教育学校化のさらなる促進と同時に,こういう遠隔授業を有効に機能させて,それを授業時数としてちゃんと読めるような制度の改善といいましょうか,そういうことも同時にやっていくことで,人件費をある程度抑えつつ現場の負担を減らしていく。子供たちから見れば,よい教育を受けられることが可能になるかと思います。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
では,今野委員,お願いいたします。
【今野委員】 先ほど貞広先生がおっしゃったことに関連してお話しさせていただきます。地域に住む子供たちを,これは言うまでもないんですけども,地域の課題や特色を生かしながら,地域の声,ニーズに応えながら,どのような大人に育てたいのかということを小中連携で考えていって,系統的なカリキュラムを使うことが大事だと思います。中学校区で,小中が連携して系統的なカリキュラムを考えて,その中で教科担任制についても,中学校からいけるようなシステムも考えられると思います。
今年度,本中学校区で小学校から外国語活動についての乗り入れ授業というものについてオファーがありましたけれども,本校の事情等によりまして実現をいたしませんでした。それは,教科英語科の時数の問題等がありましてできませんでしたけれども,小中連携で取り組むことができるのであれば,中学校に手厚い御配慮をいただいた上で,小学校での教科担任制が進むのではないかと感じております。
以上でございます。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
香山委員,お願いいたします。
【香山委員】 私は,岡山県の兵庫県境にある小さな,1学年3学級規模の高校の校長をしております。その観点で,まず話の土台として,1つはどういう生徒が来ているのかといいますと,2日ほど前に特別入試というのを実施しまして,国語70点,数学70点,英語70点,210点満点で学力を見るという中で,トップは170点ぐらい取ります。成績の下の方は50点ぐらいしか取れない。50点の中身というのも,数学6点とか英語10点とか,惨憺たるものです。特別入試ですので,全ての生徒を選抜するわけではなく,上位層を選抜しますので,その50点の子たちが3月の一般入試に志願してくるわけですけども,今から頭が痛いなという状況なんですね。これはもう毎年起こっています。全国の中山間地の高校は,そういう課題にさらされているということを,まず1点,土台として共有したいと思います。
2点目は,本校はそういう非常に大きな学力幅があることから,2年前からiPadを導入して,当時はQubenaがiPad上でしか動かなかったので,Qubenaを使いたいがためにiPadという中で,この4月から入ってくる子たちで,3学年,Wi-Fi環境が整い,1人1台iPad,これも買い取り,リース,レンタルを考えて,更新のことも考えてレンタルにしました。月々1,000ちょっとでレンタルできるといったような,そういう状況があります。
3点目は,小規模なのは高校だけじゃなくて,近隣の小中学校も小規模なんですね。教科担任制の問題については,非常に不安がられているといった声をよく耳にするという,3点をまず共有した上で,先ほど合田課長がおっしゃった4点について,私もずっとこの会議の冒頭から,なぜGIGAなのかということを考えつつ,また今は,なぜ教科担任制なのかということを考えて,今の段階で2つのキーワード,1つは学びが高度化していくことを考えています。これは,自分の学校の生徒たちを見ていても,うまくiPadを使い,Qubenaなどもどんどんやっていく,そういった子たちがいるのは事実ですので,学びが高度化していくと思います。総合的な学習の時間,あるいは高等学校の場合は探求の時間ですけども,うまく使える子はどんどん質的にいいものを出してきています。
一方で,GIGA構想も教科担任も,学びの高度化だけじゃなくて,もう一方で,やはり質の保証が非常に重要なのではないかと思います。今村さんがおっしゃったことは,私もずっと課題として考えていて,高等学校の入試の数学で6点しか取れない子供が1人じゃない,全国にたくさんいるという現実ですよね。これはやはり,今まで大きな問題を残しつつ先送りしてきた結果ではないかと思っていて,このために,1つは,取りこぼさないために,履修主義から修得主義へもっとかじを切っていくことが必要ではないかと考えています。今回の学習指導要領が,何を学んだかというコンテンツ,どんなコンテンツをやったかじゃなくて,やったかも大事なんですけども,その結果,どういうコンピテンシー,資質,能力を付けたのかが大事なわけですから,そこのところに軸足を置いた指導ですね。
もっと具体的に言えば,小学校の低学年から学びが獲得できていない子たちを,履修主義によってどんどん,どんどん先送って,教科書が前へ進んでいく。学年を追うごとに,だんだん,だんだん学びからとん走していく。高等学校に入る頃には,もう頭をたたかれ続けて,やる気が薄れた子供が普通科にたくさんいるわけですね。これはもう構造的な問題で,高校だけの問題ではないわけですね。
そういう意味で,堀田先生も言われましたような学習ログがたまって,分析して遅進者が立ち止まってゆっくり学べるような,そういう仕組みをこしらえていくことがGIGA構想の中で非常に重要なのではないかなというのが1つの考えとしてあります。
2つ目,改革チェーンをいかに切らさないかということにつきましては,コミュニティースクールは必置という中で,コミュニティースクールの一番の目指すところは,自分のコミュニティーから一人も取り残さない,取り残さないでいられるのかということを,基礎自治体の首長さんを中心に,やっぱり本気で取り組まないといけないという,そのためのコミュニティースクールだと思います。
3点目ですが,教師の役割については,「個別最適化」というキーワードは非常に聞こえがいいんですけども,真に個別化,最適化するためには,学習者一人一人にとって最適な学習方法は何なのかと,あるいは学習者一人一人にとって最適な学びは何なのかということを保障していくような,そういう仕組みを作っていくことではないかと思います。
先日,広島の平川教育長さんがNHKの『あさイチ』に出て,広島の小規模小学校でイエナプランをやっているのを紹介されました。その教室では,パソコンでどんどんQubenaみたいなものを勉強している子もいれば,上の学年の子が教えているグループもあり,それから先生が声を掛けるグループもあるという形で,子供たちが選んでいるということですね。これこそが望ましい個別最適化ではないかなと感じましたので,そういう意味では,いかにコーディネートできるかということが大事かと思いますし,我々としては,そういう仕組みをどう作っていくのかということが,制度面で非常に重要なのではないかと思います。
最後に,高校の普通科の質の保証ですが,大学入試を考えている生徒は,入試に受かる,受からないというところで,ある意味保証ができる部分もあるのですけども,大学入試を考えてない生徒も全国に半分いるわけですね。その子たちを,履修主義ではなくて,どんな力を付けたのかという修得主義に立って指導する。経済界に送り出すときに,この学校はこれだけの力を付けてくれたということが明確になるような,そういう仕組みがまだまだ整ってないというのが今の課題かと思っております。
以上,ちょっと散漫になりましたが,今日の時点での思考とさせていただきたいと思います。
【荒瀬部会長】 天笠委員,お願いいたします。
【天笠部会長代理】 私は,小学校の教科担任制を考えることは,1つの,ある意味で言うと,窓口というんでしょうか,あるいは素材というんでしょうか,ということで,基本的にやっぱり義務教育の質の保証,質の引上げというテーマの中で,そういうことだと思っております。
それで,小学校の教科担任制をこういう形で検討するということは,既にいろいろな話も出てきていますように,中学校における教科担任制の在り方ということも,やっぱりある意味で検討せざるを得ないというふうに,これは位置付けるべきではないかと思っております。
むしろ中学校における教科担任制というのが,相応に機能しているのかどうなのかも含めて検討すべき点じゃないかと思っております。また,そういう意味で言うと,中学校の教科担任制を少し見ていきますと,例えば,各学級担任になった中学校の教科の先生というのは,少なくとも,例えば,学級活動,年間何回かの授業をしなければいけないわけですし,あるいは道徳教育についても担当しなければいけないわけですし,更に総合的な学習の時間等々も求められているということで,そういう点では,中学校の教科担任でも,学級を担任している中学校の教師と学級を担任していない教師というあたりのところを,とかく中学校の場合,部活担当に比較的,世間の関心が集まっていますけども,学級を担当している学級担任であるのか,教科の専門というところであるのかどうなのか,そこら辺のところも少し丁寧に見ていく必要もあるんじゃないかということと,言うなら,持ち時間の中身自体も,そういう点からすると,教科だけのそれなのかどうなのかということ等で,そういう点で私は,中学校の教師,担当者というのも,いわゆる学級経営という,こういうことが相応にウエートを占めているという,そういうこと等もやっぱり見届けていく必要があるんじゃないかという,そういうことです。
したがって,そういう点からすると,中学校はどちらかというと,教科の指導を担当できる,そういう基本的な前提にした養成の仕方とか在り方自体ということ等々も,小学校の教科担任制を導入するということの,それとの関わりの中で,もう一度,今申し上げたようなところから検討していく必要があるんじゃないかと思っております。
そういう点では,中学校の教員の養成の在り方等々が,従来のような小学校を前提に,あるいは中学校を前提にということから,むしろ義務教育を前提にした教員養成の在り方を考えるところにもう来ているんではないかと思っていますけども,これ,私の個人ですが,依然として,小学校と中学校を前提にした教員養成ということが,今,私の大学も含めまして,そういうことなんですけども,ここら辺のところも,ある意味で言うと見直さなければいけないところなんじゃないか。ただ,すぐというわけには当然いかないかと思うんですけども,少し長期的な視野で検討していく必要があるんじゃないかと思っております。
その上で,もう一つは,資料2-2,2枚目のところで,3教科うんぬんという,マル1,マル2,マル4までありますけども,注目すべきなのは,むしろ3教科か4教科かという,こういう教科の数の方かもしれません。むしろ中身の各教科担当というのは,既にもういろんな実践例が歴史的にも蓄積されている部分はありますので,そういうところからいろんなヒントは,むしろそこからも出てくる必要があるんじゃないかと思っていますので,むしろこういうふうな教科のことをした場合に,どういう全体的な仕組みになってくるのかどうなのかというあたりのところで,この提示されたものについては受け止めたいと思っています。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。まだ御意見のおありの方もいらっしゃるかと思いますが,時間の関係がありまして,先ほど申しましたように,ここで今日はとどめたいと思います。
では,最後に合田課長,今お聞きいただきまして,あるいはまた,御指摘を受けて,お話をいただきたいと思います。
【合田財務課長】 もう時間も参っておりますので,手短に一言申し上げます。
特に加治佐先生から大変重要な御指摘を頂きました。私ども,GIGAスクールの時代においても,教師は必要がないということは断じてないと思っております。ますます大事な役割を担うと。そのために,どういう学校像をイメージしていくかというものが大事だと思っております。その上で,加治佐先生から,改革チェーンの議論の中で,学校や教育委員会にどういう裁量があって何ができるのかということが不明確なことが,改革チェーンの1つの阻害要因になっているというのは御指摘のとおりでございまして,我々もこれをより明確にしていくことも大変重要なことであると思っておりますので,御審議いただきたいと思っておりますが,基本的な定数の改善の考え方,つまり,児童・生徒数から学級数が割り出されて,学級数から教職員数が割り出されて,それを県にお渡しをして,県において裁量を持って配分いただくという基本的な枠組みを変えるつもりはございません。
ただ,その上で,先ほど,正に加治佐先生からもお話がございましたように,今後の児童・生徒数の急激な減少を考えたときに,教職員定数についてどういう大きなストーリーを持って,社会の信頼を得ながら,一定の枠組みを確保していくのかということを,我々はある意味では仕掛けなければならないわけでございますが,その際におきまして,私どもとしてはシステムと申し上げましたのは,何らかの形で,細かいことで恐縮でございますが,義務標準法の乗ずる数を,それをいじるのか,別建てにするのかはともかくとして,いじっていくことがシステムの問題だと思っております。
その際に,本日御議論がございましたように,今までの学校の工夫を前提に,教科担任制というものを,各学校の工夫というものを前提に組み立てていく。その上でも,なおかつ,やはり乗ずる数は変えていかないといけないのだという議論にするのか,それとも,先ほど貞広先生からもお話がございましたように,例えば理数系,STEM分野というものは,やはり系統教育を大事にするという観点で,1つ軸にしていくべきなのかという御議論を賜った上で,私もそれを前提に組み立てさせていただくということを是非やらせていただきたいと思っております。大変貴重な御議論をいただきました。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。ほかに,文部科学省の方,よろしいですか。
では,これで時間も参りましたので終わりにしたいと思いますが,最後に次回の予定につきまして事務局からよろしくお願いいたします。
【田中教育制度改革室長】 御審議いただきまして,ありがとうございました。本特別部会の日程につきましては,次回,3月17日火曜日の13時から16時で予定しておりますけれども,次回につきましては,この特別部会単独での開催ではなく,初等中等教育分科会との合同会議を予定しているところでございます。詳細につきましては,追って事務局から御連絡申し上げます。
また,本日の資料につきましては,机の上にお残しいただければ郵送させていただきます。
【荒瀬部会長】 御意見おありで御発言いただけなかった委員の皆様につきましては,メール等で事務局にまたお送りいただければと思います。
それでは,本日の議事は全て終了ということにいたします。ありがとうございました。

―― 了 ――


 

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