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新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会 (第3回) 議事録

1.日時

令和元年9月4日(水曜日)14時00分 ~ 17時00分

2.場所

文部科学省東館3階第1講堂(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. ICT環境や先端技術を効果的に活用した教育の在り方について
  2. 小学校における教科担任制や習熟度別指導の在り方などその他の論点について

4.議事録

【荒瀬部会長】 それでは定刻となりましたので,ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会第3回新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会を開催いたします。本日は御多忙の中,御出席いただきまして有難うございます。
議事に入ります前に,前回の第2回新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会以降で,新たな委員の任命及び事務局の人事異動があったとのことですので田中教育制度改革室長,御紹介をよろしくお願いいたします。
【田中教育制度改革室長】 事務局,教育制度改革室長,田中でございます。それでは7月24日の会議以降,新たに御就任いただいた委員につきまして,御紹介させていただきます。吉田信解委員でいらっしゃいます。
【吉田(信)委員】 全国市長会の社会文教委員長を仰せつかることになりました,埼玉県本庄市の吉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【田中教育制度改革室長】 有難うございます。続いて事務方の幹部の異動を紹介いたします。8月1日付で大臣官房審議官に就任いたしました蝦名喜之です。
【蝦名大臣官房審議官】 蝦名と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬部会長】 有難うございました。続けて,事務局から会議資料のペーパーレス化と本日に資料につきまして,御説明と御確認をよろしくお願いいたします。
【田中教育制度改革室長】 それでは,引き続きまして御説明申し上げます。現在,文部科学省におきましては,審議会等の会議資料のペーパーレス化の取組を進めておりまして,本部会におきましても本日はペーパーレスで進めさせていただきたいと考えております。慣れるまで御不便をお掛けすることもあるかと存じますが,何とぞ御理解のほど,どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは,資料の確認をさせていただきます。
まず,机の上には議事次第と資料の1のみ,印刷したものを御用意させていただいております。そのほかの資料につきましては全てお手元の端末に御用意しております。端末上に本日の資料を既に開くように設定してございますけれども,議事次第,資料1,資料2に加えまして,参考資料1から6がございますので,御確認をお願いいたします。参考資料2として令和2年度概算要求に関する資料もお示ししてございます。また,端末のデスクトップには第1回及び第2回の会議資料を格納したフォルダーもございますので,必要に応じ御参照いただければと存じます。操作等も含めまして不明な点がございましたら,お近くの事務局員までどうぞお申し付けください。
【荒瀬部会長】 本日は,これまでの審議を踏まえた論点整理につきましてヒアリングと意見交換を行いたいと思います。なお,報道関係者から会議の録音・撮影を行いたい旨の申出がありまして,許可しておりますので,御承知おきください。ただし,傍聴者個人を特定するような撮影は御遠慮くださいますようお願いいたします。
それでは議事に入ります。これまでの審議を踏まえた論点整理について,まず事務局から御説明をよろしくお願いします。
【田中教育制度改革室長】 引き続きまして御説明を申し上げます。
まず,資料1につきましては,今ほど申し上げましたようにお手元にもございますし,パソコンの上にも展開してございます。どちらか御覧いただければと思います。こちら資料1につきましては,「これまでの審議を踏まえた論点整理(案)」でございまして,これまで2回の本部会での御議論,その前の初等中等教育分科会での御議論などにつきまして,諮問の趣旨に沿いつつ,事務局において整理をさせていただいたものでございます。
まずこの1枚目を御覧いただければと思います。この1枚目は「新しい時代を見据えた教育の将来像の方向性(イメージ)」となっておりますけれども,今回の御審議を通しまして,どのような教育の実現を目指すのかというところの粗々のイメージをまとめさせていただいたところでございます。なお,この将来というのは特定の何年と決めているわけではございませんけれども,2020年代を通して実現していく教育の姿であると,事務局としては想定してございます。
まず,その姿でございますけれども,その前に一番上のところでございます。育成を目指すべき資質・能力ということで,どのような人を育てていくかというのが教育の最大の目的でございますので,そのポイントをまず共有した方がいいのではないかということで,2つ書かせていただきました。それぞれ第3期教育振興基本計画に書かれた部分,それから今回の諮問文に書かれた部分を抜き出しさせていただきました。
その上でございますけれども,子供の学びとその学びを支える環境の将来像に分けて記述させていただいてございます。
まず,子供の学びの方でございますけれども,多様な子供たちを誰ひとり取り残すことのない,個別最適化された学びが実現されている姿を将来像として示しております。具体的にでございますけれども,それ以降になりますが,先端技術の活用などによりまして,全ての子供たちが基盤的な学力を確実に身に付けることができるとともに,多様な子供たち一人一人の能力,適性等に応じた学びが提供されている。次ですけれども,個々の児童生徒の学習状況を教師が一元的に把握できる中で,特別な支援が必要な児童生徒等に対する個別支援が充実されるとともに,特異な資質・能力を有する子供がその才能を存分に伸ばせる。また,貧困,虐待等の課題が早期に発見され,全ての子供たちが安心して学ぶことができる。学校と社会とが連携・協働することによりまして,探究的・協働的な学び,この探「キュウ」の字が「求」という字になっておりますけれども,正しくはこの「究」という,学習指導要領に書かれている文字の方が正しいことになります。修正させていただきます。探究的・協働的な学びを実現するとともに,STEAM教育などの実社会での課題解決に生かしていくための教科横断的な学びが提供されている。特に高校におきましては,普通科をはじめとする各学科において,各学校の特色化・魅力化が実現している。こういったところを掲げさせていただいております。
続きまして,その子供の学びを支える環境でございます。全国津々浦々の学校において質の高い教育活動を実施可能とする環境が整備されているというものでございます。具体的には,まず,教育の担い手である教師等が何より重要なわけでございますけれども,教職の魅力向上や養成,採用,免許制度も含めた方策を通じまして,バランスのとれた年齢構成と,多様性があり変化にも柔軟に対応できる教師集団が実現されているとともに,チームとして運営する学校が実現されている。また,教師が生涯を通じて学び続け,学校教育を取り巻く様々な変化に対応できる環境が整備されている。学級担任制と教科担任制が効果的に実施されている。先端技術や教育ビッグデータの活用環境が整備されるとともに,ICT化による校務の効率化がなされている。また,人口減少が加速する地域においても,多様な工夫を通じて全ての児童生徒に対し魅力的な教育環境が実現されている。などといったところを書かせていただいております。
続きまして,2ページを御覧ください。このような教育を実現していくために,まずは次の事項についての検討を深めていくことが必要ではないかということで書かせていただいております。ここでは7点の論点項目を挙げさせていただいておりますけれども,上の2つにつきましては,これまで本部会でも中心的に御議論いただいたことでありますし,本日も議題となっておりますので,それぞれ詳細について次ページ以降に付けさせていただいております。それ以外の5つにつきましてですが,それぞれ教育課程部会,教員養成部会,あるいは高校ワーキング,あるいは有識者会議等において検討いただくことということを書いてございますけれども,次回以降,この本特別部会におきまして,こういった検討状況について順次御報告いただくことを予定しております。もちろん,本日もこういったことに関しましても御意見を賜ることがあろうかと存じます。
なお,一番下の特別支援教育でございますけれども,有識者会議で検討となっております。これは前回の部会で御意見を頂いたことを踏まえまして,まだこの有識者会議が設置されているわけではございませんけれども,前回の御議論を踏まえまして,事務局の方で有識者会議での検討を行うことを含めて検討中ということで書かせていただいているところでございます。
続きまして,3ページを御覧いただければと存じます。こちらが先ほど2ページにありました一番上の論点になりますけれども,本日の議題でもございますICT環境や先端技術を効果的に活用した教育の在り方について,これまで頂いた御意見を整理させていただいたものでございます。
まず1点目でございますけれども,ICT環境や先端技術には学びを変革していく大きな可能性があるものですが,特別な支援が必要な児童生徒や外国人児童生徒等も含め,全ての子供の力を最大限に引き出すものとしていくために,どう推進していくべきか。
2点目でございますけれども,ICT環境や先端技術を活用できる場面・効果として,ここに4点記載させていただきました。こういったことが考えられるわけですけれども,これらの効果を上げるためにどういう方策が必要か。
3点目でございますけれども,個別に最適で効果的な学びや支援について,先端技術を活用する手法や効果,留意点などとして,どのようなものが考えられるか。
4点目でございますが,先端技術の活用により,学びの質を確保しつつ,知識の定着に係る授業時間を短縮し,STEAM教育など,課題解決的な学習により多くの時間を掛けることができるのではないか。その際,学年を超えた学びを行うことについてどう考えるのか。
5点目でございますけれども,教師の資質・能力として,ICT活用指導力や一人一人の能力・適性等に応じた学びを支援する力が一層求められるのではないか。その際,教師の在り方や教員養成・免許・採用・研修など,こういったものはどうあるべきと考えられるか。
6点目でございますけれども,ICT環境や先端技術の活用状況の差による教育格差が生じないよう,国と地方の連携の下に進めるべきであるが,どのような方策が考えられるか,でございます。
この点につきましては,恐縮ですけれども,一番最後5ページ目を御覧いただければと思います。ICT環境や先端技術を効果的に活用した「次世代の学校・教育現場」の姿をイメージとして書かせていただいております。全国どこでも質の高い教育活動を可能とする環境整備が不可欠であること,ICT環境や先端技術を効果的に活用することにより,学びの質がどのように将来変わっていくのか,そういうイメージを整理させていただいておりますので,どうぞ御参照いただければと思います。
恐縮ですけれども,4ページ目にお戻りいただければと思います。こちらにつきましては,義務教育9年間を見通した小学校における教科担任制の在り方についてでございます。2ページ目の論点でいうと上から2つ目にあった部分でございます。これにつきまして,これまで頂いた御意見を整理させていただいたものでございます。
1点目でございますけれども,義務教育9年間を見通した指導体制の整備に向けて,小学校高学年からの教科担任制の本格的導入を検討すべきではないかということ。
2点目でございますけれども,小学校高学年からの教科担任制の本格的導入に当たりまして,教員定数,教員養成・免許・採用・研修など,義務標準法や教育職員免許法等の在り方も含めてどう考えていくかということ。
3点目でございますけれども,より専門性を有する教師が直接教えられる仕組みを作る観点から,小学校の教師間の分担の工夫に加えまして,中学校における教師の在り方や小学校と中学校の行き来の在り方など,小学校間の連携や小中学校の連携はどうあるべきかということ。
4点目でございますけれども,この教科担任制の導入によりまして,教科指導の専門性や授業の質の向上,教師の負担軽減,学力の向上,児童の心の安定が図られるとともに,小学校から中学校への円滑な接続が実現できると考えられるが,その効果をより発揮するためには,どのような方策が考えられるかということ。
最後5点目でございますけれども,これらのほか,基礎的読解力など基盤的な学力の確実な定着など,教育の効果を高めるための方策として何が考えられるか,というものでございます。
どうぞ本日の審議の御参考にしていただければと存じます。以上でございます。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,今,御説明いただきました論点整理の案の中で,今の資料でいいますと3ページに当たるICT環境や先端技術を効果的に活用した教育の在り方につきまして,堀田委員から御発表をお願いしたいと思います。資料はタブレットでいいますと資料2となっておりますので,そちらの方を御用意いただきたいと思います。では,堀田委員,よろしくお願いいたします。
【堀田委員】 よろしくお願いいたします。東北大学の堀田でございます。資料2のスライドに基づきましてお話をさせていただきます。タイトルは「ICT環境や先端技術を効果的に活用した教育の在り方について」ということで御指示いただきましたので,これについてお話しします。
結論から申し上げますと,現状の学校現場の情報化はかなり致命的な遅延があります。諸外国に比べても随分と大きく遅れております。これについては文部科学省でもずっと取り組んでみえたところでございますけれども,このままの状況でいきますと,AI等の先端技術等で恩恵を受けることはほぼ難しい,更にSociety5.0の時代に合わせた教育を行っていくことも非常に難しいと。こういう状況がありますので,まずは学校現場のICT環境の整備から強く推進していただいて,デジタル・トランスフォーメーション,後で説明しますけれども,これを進めていくことが重要であるというお話をさせていただきます。
スライドは9枚構成になっております。スライドの右下にページが打ってございますので,よろしくお願いします。
2ページ目に参ります。先の諮問で出された4つの項目について,私の今日の発表に関わると思うところを今,抜いて書いてございます。とりわけ深く関わる部分について赤字で示してございます。4番目の環境整備のところの一番下に,ICT環境や先端技術の活用を含む条件整備というのがもともと入っているところでございまして,まずこの話からさせていただきます。
スライド3枚目でございます。こういうことが議論になる背景について,まず御説明いたします。左上のグラフは国土交通省のグラフで,我が国の人口の増減を示したグラフでございますが,我が国は既に人口減少社会に入って15年がたっている国でございまして,労働人口の激減が非常に大きな課題になっております。諸外国に比べると著しく急速な人口減少をいち早く迎える先進国として,これからどうするかということに直面している状況にあります。そのような中,労働人口の解消という観点も含めて,先般,入国管理法が改正されまして,外国人労働者が増える傾向にございまして,そうすると外国人児童生徒が義務教育にも高等教育にもたくさん入ってくるという状況がございます。左下にありますように,私どもが行っている様々な業務のうちの一部をロボットのようなものが代行することが日常の中でも出始めてきておりまして,これらの例えばお掃除ロボット一つとっても,これは誰かが作ったプログラムが搭載されていて,このプログラムを改善することによってよりよい動きになっていくというようなことを,子供たちが子供たちなりに体験的に理解することが,小学生でもある程度必要ではないかと。これが小学校からプログラミング教育等が入ってきた理由かと考えてございます。
続きまして4ページ目です。一方で私たちの生活は既に情報技術の進展に支えられておりまして,左側はグーグルアースですけれども,行ったこともないところの景色が今や見られるようになっております。グーグルマップも大変便利に使われております。同じように,GPS等の利用によりましてカーナビのようなものは非常にもうポピュラーになっておりまして,私どもの生活や判断を支えている状況にあります。これは間もなく道路のセンサー等々,そういうものが付いてくることによって,渋滞の情報がより精度よく測られることになりますし,運転手が持っているスマホとかそういうものの動きによって,どこが今混んでいるか,人が集まっているかということが分かる技術が既に実現しております。
左下にありますのはウーバーというタクシーのようなものですけれども,海外に行くとこのウーバーというアプリに登録しているいろいろな車がありまして,そのアプリを入れている人が今の地図を開くとこの近くにどの車がいるかが分かって,自分の好きな車種や近くにいる車を選んで呼ぶことができると。そして行き先をあらかじめ入れてあるし,ユーザーの個人情報が登録してありますので,決済は全部スマホで終わると,こういうような形でもう便利に使われている時代になっております。
下の真ん中ですが,これは学校現場でも,特に運動会の開催をどうするかみたいなときによく使われているものですけれども,こういう局所的な天気予報は非常に精度が高くなっておりますが,これらは全国にあるアメダスのようなセンサーが時々刻々と様々なデータをクラウドに上げていて,それらのビッグデータを基に,これまでの天気予報の技術,予報技術を用いてかなり具体的に精度高く予報しているものと考えることができます。この技術と同じように,教育のデータ,学習ログ等が取られていくと,全体は大体このぐらいなんだけれども,このぐらいのお子さんはこういうふうにした方がいいんじゃないか,これからこうなるんじゃないかみたいな予想・予報ができるのではないかという期待,それが教育ビッグデータへの期待の一つになっています。
右下にありますように,こういう交通系の電子マネーとかカードは,既にスマホに入っているものもありますけれども,たくさん使われていまして,こういう情報を基に,どの駅から乗った人はどの駅でおりる確率が何時頃はどのぐらいあるとか,それによって電車の本数を決めたり,道路の拡張を決めたりするようなことを既に社会実装として行われているわけですが,このとき,個人情報を上手にプライバシー以外の部分にするような技術も既に確立しているところでございます。
続きまして5ページ目に参ります。そんな私たちの毎日の生活の中,学校の現状はどうかというのを,2つの例でお話をします。一つは入学時,子供が小学校の1年生になったときに保護者がやらなければいけない煩雑な作業として,例えば家庭環境調査票とか健康調査票とかがあります。名称は学校によって少しずつ違いますけれども,入学時に学校から配付され,保護者がそこに手書きで書いて提出し,教師がそれを見て手入力でパソコンに入れる。入れない場合もあります。紙をファイルして終わるという場合もあります。学校がそれを保管すると。進級時に修正事項を書いてもらうために,また学校が配付し,保護者がチェックして記入して,また教師がそれを修正して入力するというようなことが手作業で行われています。必要時には教師が紙の場合はファイルそのものを探して,データの場合はデータの中で見付けて使うという形になります。
これが学校の普通なんですけれども,一般的な私たちがよく使う購買サイトとかチケットの予約サイト等で考えても,大体初回利用時にスマホ等で必要事項を入れると,それはデータベースに登録されて,その後の様々な予約には必ず自動反映されるのが一般的だと思いますし,もし,例えば住所とかそういうものが変わった場合は,ユーザーがマイページにアクセスして必要な情報をいつでも修正する,あるいは取り消すことができる状況にあります。これらのことを考えても,上のような状況というのは非常に現実離れしている,昔のままのやり方が残っているということになります。このデジタルになることによって,予約サイト等では,本人に利用履歴がフィードバックされたり,あるいは同様の顧客の情報から,次はこういうのがいいんじゃないですかとリコメンドが来たり,あるいはビッグデータの解析によってビジネス側にフィードバックされたり,あるいはコンサルされたりするようなことがあります。
右下に書いてありますけれども,先ほどの家庭環境調査票や健康調査票でも,同じようなことを保護者は何回も書く経験をします。それによって大体4月頃,SNSでお母さんたちの声として,何で学校はこんな同じことを何回も手書きで書かせるんだみたいな学校不信がそこで始まるみたいなことが起こります。
続きまして6ページ目に参ります。今度は授業の話です。我が国では非常に学力の質保証に大きく寄与している検定教科書があります。しかも義務教育では無償給与になっていまして,それと併せて,保護者負担で買うんですけれども,右下のような資料集とかドリルとかワークテストとか,そういうものがたくさん教材として存在します。もちろん,教科書の内容と教材の内容は上手に対応しておりますが,そのような状況は人間が見れば,見るべき人が見れば分かるんだけれども,紙ですので,メタ情報としてそれが提供されているわけではありません。例えばこの教科書の見開きの左のページにはどういったことが書いてあるか,それがデジタルでメタ情報として提供されていれば,教科書から教材に自動的にリンクすることが可能です。そういうようなことが今はできません。例えばこのページにある海で泳いでいる写真は何を意図してここにあるかということが分かれば,似たようなリソースをデジタルで状況に応じて提供することもできますけれども,それも今のところはできません。
学習者用デジタル教科書,ようやく紙と同じものが使えるようになりました。そして,それによって障害を持つお子さんにとってはアクセシビリティーが向上するという意味で非常によいことなんですけれども,今のところ法改正はそこまででとどまっております。様々なリンク,教材へのリンク等はデジタル教科書の範囲外に現状ではなっておりますし,今後,仮にデジタル教科書や教材の学習ログが提供されたとしても,確保できたとしても,それがどこのページのどの問いに対するログなのかを人間が目でチェックしていく必要があって,ビッグデータの解析のようなことは今の段階では難しい状況にあります。
しがたって,右上にあるように課題としては,まず様々なものをコンピューター・リーダブル,つまりデジタルに置き換えることと,それに対して様々なメタデータを付与すること,それぞれの教科書や資料集,あるいは学習ログのデータが連結できるように,突合できるようにするための学習関連データ等のフォーマットの標準化は急がれるべきかと思います。
続いて7ページに参ります。この分野のキーワードとしてデジタル・トランスフォーメーションというのがあります。一般的にはDXと呼ばれますけれども,これは今まで紙でやっていた,あるいは人間そのものがやっていたものをデジタル化することによって再利用ができるとか,あるいは効率よく使えるとか,それによって今度は別のデジタルデータとの新しい組合せによって,新しい利便性を生むことができるというような概念です。
左下にあるように,このDXについては5ステップあると言われていて,第1ステップがいろいろなものをデジタル化して蓄積していくということ。2番目はそれが効率よく使われるということ。再利用等ですね。3番目はそれが違う領域とまたいでデータの交換をはじめ,それに合わせた基盤構築が行われる。それによってステップ4でさらなる効率,新しいものが生まれる体制が出てきて,ようやく最適化が起こるというようなものです。
学校現場で言えば,まだステップ1も十分でなく,しかも断片的な段階でとどまっていて,紙でやったりデジタルでやったりするので,効率化が十分でなく,先生たちはそれに合わせてあっちやったりこっちやったりしなければいけないので,多忙化が解消されていない現実があります。共通化が情報の標準化とかそういうことを含んでいますけれども,ここの段階に行ってその次でようやく新しいことが起こりますが,現状ではICTの整備が余りにも弱くて,ここがうまくいっていない状況がございます。
それでは推進すべきこととして,8ページと9ページで幾つか指摘させていただきます。まず8ページから申し上げますけれども,条件整備の推進です。
1つ目は,まず情報端末を子供たちに1人1台。これによって真の学習の個別最適化に向かっていくことができると思いますし,学習ログも意味のあるものになっていきますし,情報活用能力の育成の観点からも自分のコンピューターをいつでも持って使っているというのは大事なことかと思います。
2番目は,そのように子供たちが全員持ったときに,十分に安定したしかもセキュアの高速ネットワーク,そしてそれがクラウドにつながっていることをどうやって進めていくかが大きな課題かと思います。
3つ目は無線LAN等ですが,無線LANに限らないかもしれませんけれども,こういうものについて公的基準とかあるいは自動認証,先生が異動してもちゃんとその先生を認証するとか,子供たちが違う場所に行って学習しても,ちゃんとそれを自動認証するとか,そういうことを進めていくような形が1,2の後には必要ではないかということです。
4番目は学習リソース。学習指導要領によって全国で同じ学年の子供は同じ時期に同じような学習をしていますけれども,その基盤的学力を保証するための学習リソースは,てんでんばらばらにしか存在しておりません。これをもっと体系的にしていくような形で,デジタル教材や子供用MOOC等の良質な学習リソースの開発の促進やインターネットによる提供の促進をしてはどうか。
5番目は学習ログの活用。学習ログは今,まだ研究も余り進んでいません。理由は学習ログが個人保護条例等によってなかなか取れないからです。この辺のセキュリティーガイドラインの緩和も含めて,今,検討が進んでいるところだと思いますけれども,この辺の学習ログの個人情報に対する心配は結構ありますので,ガイドラインのようなものをちゃんと作っていくべきではないかと思います。
6番目は先ほどのデータ規格の標準化の話で,これは学習指導要領のどこにその教材が対応しているのか,教科書が対応しているのか,そのようなことを標準化することと,それに対してメタデータ付与を推進するような形を進めていくことがなければ,個別最適化は十分に進みません。個別最適化というのは基本的には先生がやる部分もたくさんあると思います。一方でデジタルが助けられるところもたくさんあると思います。そのためにも,この学習データ規格は非常に重要かと思います。
7番目はそれの学校帳票版ということで,今は省略します。
8番目は,様々な調査や学習診断等をこれからどんどんCBT化していって,できるだけ早く採点が終わり,フィードバックが学校に返ってくるような,そしてPDCAサイクルを速く回せるような形になっていくのがいいのではないか。先生が配り,先生が回収し,場合によっては先生が採点し,みたいなことが非常に時間の掛かってしまう理由になっております。
最後,9ページに参ります。Society5.0の時代に向けた教育内容や学習方法がどうあるべきかということについて,7点書いております。
1つ目は自己調整学習の能力。これは高等教育,大学の教育ではよく言われていることなんですけれども,これから子供たちが就職していく時代は,1つの仕事をずっとやっていくということは恐らくないだろうと。キャリアチェンジが前提になるだろうと。つまり,今,自分の学びはどこまで行っていて,どういうものが足りなくて,そのためにあとどういう学習をしなければいけないか,そういうことを自分で調整できるような能力。これは学年が小さいとなかなか難しいですけれども,学年・発達段階に合わせながら自己調整学習の能力をちゃんと身に付けさせていく必要があるだろうと。
2番目は,これらからの学習は様々な学習リソースにアクセスしながら自分で学んでいくことがたくさんになりますので,ICTを誠に道具として使う,そういうことができる情報活用能力を育成する必要があるだろうと。
3番目は基盤的学力ですけれども,各教科等の基礎・基本に加えて,情報があふれる時代では,情報を適切に取り出すために必要な読解力,デジタル読解力といわれるようなものが極めて重要になります。これがちゃんと身についていないがために,Webサイト上の情報が読み取れずに様々な情報モラル上の事案にひっかかってしまうようなことも起こっております。また,そういうたくさんの情報を整理したりするような思考スキルの育成,あるいは個別最適化された学習訓練,ちょっと言葉がきついんですけれども,学習の中には習得から活用に向かうものもあれば,習得から習熟に向かうようなものもありまして,その習熟に向かうような部分についてはコンピューターが,例えばAI等がうまく管理してくれて学習訓練を行うとか,それによって学習ログを可視化して子供に返す,あるいは先生にサマライズして提供する。それによって先生が人間対人間の指導をする。こういうようなことをもっと小学校段階から確実に行えるようにしてはどうかということです。
4番目は個別最適化。今のことの延長ですけれども,そういうようなことが進んでいったとしても,それはどちらかというと習熟に近い内容が効率化するということでありまして,友達から対話的に学んでいくような,協働的に学んでいくようなことについては学校において集団で学ぶことの大事な意義でございますので,これについてはこれからも重要ですし,個別最適化と集団での学習という2つの使い分けが先生の役割として大切になるのではないかというのを指摘しておきたいと思います。
5番目は,学校学習の枠を超えて,いつでも,どこでも,誰とでも,専門性に触れながら,これは遠隔授業等のことをいっていますけれども,学ぶことができるような,これによって多様化する学習ニーズに対応したさらなる機会均等と質保証ができるのではないかということです。
6番目はSTEAM教育ですが,今日の午前中に教育課程部会があったんですけれども,そこでも話題になりましたが,基本的にはSTEAM教育といわれるものは,高等学校中心に教科等横断的な学習として,特に理系教育を中核に置きながらも様々な世の中の動き,経済的な動き,社会的な動きのことを勘案した教科横断的な教育として行われるというようなことになっています。高等学校でそれがきちんと行われるためにも,小学校や中学校の段階から各教科等の中に入り込んでいる情報技術の仕組みの話や生活への影響,社会への影響の話,あるいはプログラミング教育等を含む情報活用能力の育成とか,そういうようなことについて小学校段階から中学校にかけてもきちんとやっていく必要があるだろうと。そして,民間人の人材登用を含むような様々な制度改革を,とりわけプログラミング教育等については更に進めていくことが学校現場の安心につながるのではないかと思います。
最後,教員研修ですけれども,先生方,本当に多忙でございますので,任意の場所で研修を受ける,ちゃんとそれが研修管理システムで管理されているような形ですね。それと,研修リソースの整備,これは文部科学省のMEXTチャンネルとかNITSのいろいろな映像教材とかありますけれども,ああいうようなものを学校現場ではまだユーチューブにつなげないフィルタリングとかがかかっていて使えないような状況もありますので,こういうようなことがちゃんとできるようにすることによって,働き方改革も推進できると思います。
この最後のページに書いたこういう教育内容・学習方法はSociety5.0に向けて重要でございますけれども,これは全て基盤整備が前提のものでございますので,まずは基盤整備が何よりも重要だと指摘して終わりたいと思います。どうも有難うございました。
【荒瀬部会長】 堀田先生,大変コンパクトに,非常にたくさんの内容をまとめていただいて有難うございました。
それでは今から意見交換に入りたいと思うのですが,前段,3時40分頃まで,今から1時間ほどをめどにいたしまして,このICT環境や先端技術を効果的に活用した教育の在り方についてということで,御議論を頂きたいと思います。その後,休憩を挟みまして,今日も3時間でございますので,議題の2といたしまして,先ほど論点整理のところで御説明いただきました義務教育9年間を見通した小学校における教科担任制の在り方など,その他の論点に御意見を頂戴したいと思っております。今日もたくさんの委員の皆さんにお集まりいただきましたので,大変恐縮でございますけれども,お一人2分ぐらいをめどにしてお話を頂ければと思っております。
それから,この机上のタブレットの中に,今日御欠席の神野委員からの資料も入っております。参考資料1として入っておりまして,スライドにして4枚分の資料がございます。そちらの方も御参考にしていただきながら,御意見を頂戴できればと思います。いつものように名札を立てていただきまして,お名前が私から見えるように置いていただけると大変有難いと思います。では,どうぞよろしくお願いいたします。
まず,香山委員,柏谷委員,清原委員,長谷川委員の順でお願いしたいと思います。
【香山委員】 失礼いたします。これまでの審議を踏まえた論点整理とも絡めて,堀田委員に御質問申し上げたいと思います。まず論点整理のところで,子供の学びについて丸が5つございますけれども,私,これを読みながら,それぞれそうだと思いながら読んだんですけれども,もう1つ必要な観点があるんじゃないかと思うんです。それは学習者自身のことだと思うんです。学習者自身がどういう学びを自分がやってきたのかということを評価する,個人内評価の観点といいますか,それが多様な子供たちを誰ひとり取り残すことのない方策として非常に重要なのではないかと思っております。ポートフォリオ評価という表現であってもいいと思うんですが。
その観点から,今の堀田委員の学びのログということにつきまして,この学びのログという概念の中に,今も私が申し上げたような生徒一人一人の個人内評価,きのうの自分よりも今日の自分という形で,子供たちが自分の学びをメタ認知して自分の成長実感をそこで得ていく,あるいは自己肯定感を増していく,そういった学びのログになれば非常にいいなと思いますし,将来的にはそういったログを積み上げて大学入試であるとか,あるいは就職の場面であるとか,それぞれの評価をする側がそこのところをしっかり見ていくといったような社会の仕組みになればいいなと思います。その観点から,学習のログについて,堀田委員のお考えをお聞かせいただけたらと思います。
【荒瀬部会長】 有難うございます。堀田先生には後の方も御質問があるかもしれませんので,一通り御発言が終わりましてからまとめてお答えいただくということでよろしいでしょうか。
では続きまして,柏谷委員,お願いいたします。
【柏谷委員】 ICT環境や先端技術を効果的に取り入れていくということは,町・村にとってはイコール財政の問題になります。財政の弱いところは本当に現在でも取り入れがかなり遅れていて,これはもうみんな頭では分かるんだけれども,やれない。ということを前提に,今,進んできているということを国,文科省ではしっかりと捉えて,そのことを前面に出していただきたいんです。お金と指導する人ですね。学校現場において先生方にすぐ,どんなに入りが遅いところでも,子供たちにはちゃんとそれが行き渡るというふうなことを考慮しながら,今の時代からはやっていただきたい。過去15年さかのぼってみると,本当に財政の豊かなところはどんどんやって,できないところは仕方ないなで来ています。その現実があるということを取りあえず町村教育長会の代表として述べさせていただきます。以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,清原委員,よろしくお願いします。
【清原委員】 有難うございます。清原です。私もただいまの御意見に共感しながら1点に絞ってお話ししたいと思います。
まず,今回,資料の1で整理していただきました「ICT環境や先端技術を効果的に活用した教育の在り方」を考えていく前提として,例えば内閣府が「青少年のインターネット利用環境実態調査」を重ねている中で明らかになっていることは,小学生であれ今やスマートフォンを持っているということ,高校生に至っては99%がスマートフォンでインターネットに接続しているということ,中学生もスマートフォンの普及率が6割を超えているというように,すなわち,学校の外で子供たちが実際にインターネットを利用することが日常化している状況の中で,今,初等中等教育の中でのICTの活用を考えなければならない状況であるということです。しかも,英語やプログラミング教育が正に学校現場で推進される必要性があるとともに,ダイバーシティーの推進の中で,障害のある人も,そして外国人の児童生徒もインクルーシブに教育をしていくニーズがあるという中で,それではICT環境をどうしていくかということが課題です。
今日,堀田先生がまとめていただいた中に,これからの教育ということで最後に列挙されていた中で最後におっしゃったのが,しかしこれを実現するにはあくまでも情報通信ネットワークの基盤が前提ですと,このようにおっしゃったことに共感いたします。この整理していただいた3ページ目の最後に,「ICT環境や先端技術の活用状況の差による教育格差が生じないよう,国と地方の連携の下に進めるべきであるが,どのような方策が考えられるか」とあります。今回,来年度の概算要求でGIGAスクールネットワークでしたか,正に高額な予算が基盤に向けて文科省から提案されています。
しかしながら,基盤,Wi-Fi,それぞれ重要ですが,使うべきパソコンあるいはタブレット型端末が子供たちの目の前になければ,全くそれは意味がないこととなります。全国市長会から吉田市長さんもおいでで,きっと同じ気持ちかなと思うんですが,前市長として取り組んできた立場としては,東京においても5人に1人にしかパソコンがないという実態調査が明らかになりました。1人1台ではないのです。教員にも1人1台普及するように,三鷹市では一般財源でそうしたんですけれども。そうなると地方財政の措置だけではもう今や間に合わないかもしれない。やはりここのところは思い切って学校施設の改修やトイレの整備などで補正予算を組まれたような,そうしたインセンティブとなるような誘導策がなければ,全国に普及しないのではないかと思います。
実のある質の高い教育の実践のために,全国くまなく,市町村が悩みなく同じ基盤を作れるように,今後,国と地方の連携の下に進めるべきとありますが,文科省におかれては是非市町村の声をお聞きいただき,適切な基盤とともに,パソコン,タブレット型端末の普及にも力を入れていただければと思います。その上にようやく堀田委員が御提起いただいた質の高い教育が実践すると,このように考えます。以上です。よろしくお願いします。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
続いて長谷川委員にお願いしますが,その後,今野委員,橋本委員,貞広委員,吉田晋委員,そして加治佐委員,毛利委員,吉田信解委員,その順でよろしくお願いいたいします。
【長谷川委員】 有難うございます。堀田委員の発表の中にもありましたが,CBTにも少し関連してくる部分で,このICTを活用して困難を抱えた子供たちをどうやって早く発見して,早く支援していくのかというところも論点の中にも是非加えていただきたいと思います。
具体的に当社の中で今,自殺の予兆をAIを使って早期発見することを3年以上前からやってきました。AIで発見したリストの中に,その後そういう行動をされた方が入ることを学習することができています。同じようにして,やはり今,子供たちの中で自ら命を絶つお子さんもいれば,いじめを受けているお子さん,虐待を受けているお子さん,発達障害の特性を持っているお子さんたちもいますが,そういったそれぞれの困難さや特性を早くAIを使って発見するというところを積極的に推進できるのではないかと。
例えば虐待の再発予測をAIで行うというのを三重県で既に開始されています。そういった形で非常に有効に使っていけると思います。
あるいは,子供たちが生活ノートに書く日記ですね,そういったものをデジタルできちんと読み込んでいって,子供たちのそういう連続性のある記述,ログをAIで解析して,この子はもしかしたらいじめに遭っているかもしれない,虐待を受けているかもしれない,自殺の予兆があるかもしれないというのを,子供たちが書いたものをきっかけに把握するのも一つですし,先生たちが「この子たちはちょっと気になるな」という子たちの記録を先生が客観的に書いたものをテキストでAIで解析するだけでも,一定の効果が出せると思っていますので,そういったところの活用が進められるといいと思っています。
2つ目としては,個別最適化学習というのを,属人的ではなく,先生のモチベーションややる気とかではなくて,仕組みとして個別最適化学習の推進をどう行っていくのかという観点です。先日,神野委員も説明されたようなドリル,AIのドリルを使ったものというのは特にそのドリルさえ使えば学習は最適化されていくという話ですけれども,最適化した学習を仕組みとして推進するという観点で,先日も申し上げたかもしれませんが,子供たち一人一人の個別学習計画を障害あるなしにかかわらず全ての子供たちに作成するのをICTを使って義務化していくと。そういう学習計画を一人一人について立てる機会ができると,仕組み的にこの子にどういう工夫を更にしようかということを考える機会になりますので,今回の論点の中に,最適化学習を仕組み的に推進するための学習計画の在り方についてどう考えるのかという論点も,このICTの論点に是非加えていただきたいと思っています。以上になります。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,今野委員,お願いします。
【今野委員】 様々な委員の皆様からICT環境の整備,基盤整備ついてお話がありました。また,財政の問題についてもお話がございました。その格差といったところでお話をさせていただきたいと思います。地方によりましては本当にコンピューター室はあるけれども,普通教室にはICT環境が整わない地域もございます。ましてや震災を受けたところでございますれば,震災支援で頂いたタブレットを,少ないんですけれども,数少ないそのタブレットを使って,工夫して授業をしているところもございます。また,先生によっては,デジタル教科書を学校の予算では買えなくて,個人で買ってというようなこともお聞きしております。整備の仕方ですけれども,本当に一律の整備ではないと思います。本当に低いところからの整備を,マイナスのところからスタートしているところもございますので,御配慮また御考慮いただければと感じております。よろしくお願いいたします。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,橋本委員,お願いいたします。
【橋本委員】 堀田先生からも基盤整備が大切だというお話がありました。この一,二年やや進んできたかなと思うんですけれど,それでも格差を含めて,まだまだ進捗は鈍いと思っています。そうした中,府内の市町村の教育長さんともお話をしたんですが,もちろんSociety5.0はよく御存じなんですけれども,教育長さん方の意識として,現下の課題である不登校や支援を要する子供たちへの対応の方により意識としては向かいがちなのではないかなと感じましたし,また,どこまで教員が使いこなせることができるのかという面で少し不安を持っていらっしゃる。また,この間,特に空調などですけれども,他の施設の整備を優先してきた,こういうことが大きくて,ICT環境の整備について,必要性は感じつつも予算上の最優先課題という認識になってこなかったんじゃないか,そんな印象がございます。
それで,こうした状況をどう変えていくのかということなんですが,一つは,具体的な効果事例等を,この会議ではいろいろお示しいただいているんですけれども,現場が理解できるレベルまでもっと普及させていく必要があるんじゃないか。その上で,足元のその他の課題対応と同じようなレベルで必要性を教育長さん方にしっかり認識させていくことが大切じゃないかと思います。
また先ほど来,財源の問題が出ておりまして,それはそのとおりではあるんですけれども,じゃあお金の厳しいところが整備が進んでいないかというと,必ずしもそうでもない。特に町などの場合は首長さんの気持ちひとつでかなり差が出てくる。不十分かもしれませんけれども交付税措置はされていますので,それをどこへ振り向けるかという判断になりますので,やはり教育長もそうですけれども,首長さんの理解を求めるところが結構大きいんじゃないかなと私は考えます。
その意味では,自分のところが一体どういう位置にあるかといったことを,比較データ等で分かりやすく示してもらって,意識を高めてもらうことも有効かなと思いますし,また,学校設備としてこの時代に当然整備が必要な,いわゆる標準化した設備だというような意識が持てるようにしていく。もちろん,実際の整備を後押しするには交付税に加えて,より突っ込んだ財源措置があるとこれは私も有難いと思うんですけれども。こうしたことを総合的に取り組んでいく中で,基盤整備を進めていく必要があると考えます。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
【荒瀬部会長】 では,貞広委員,よろしくお願いします。失礼しました。
【貞広委員】 簡単に3点申し上げたいと思います。堀田先生からは夢が広がる今後の明るい教育の姿が描き出せるような御報告を頂きました。有難うございます。わくわくするんですけれども,その一方で,各学校の姿や各自治体の姿を見ますと,相当程度先だなという感じがします。もうWi-Fiの環境すらおぼつかないような状態の中で,相当本気で気持ちを入れ替えて整備をしないと,相当遠いロードだなという感じがします。そういう意味で先ほど橋本委員からもお話が出ていましたけれども,少なくとも地財措置をされているお金ぐらいは使っていただけるように,是非首長さん方にこうした重要性を理解していただくような機会を捉えていただきたいと思います。
もう一つは,学習ログというお話も出ていましたが,午前中の教育課程部会でも幾つか御報告いただきましたけれども,今後,子供たちの学習データを文科省さんが決められた一定のフォーマットで継続的に蓄積していき,子供たちの学習のプロセスを見える化していくということですね。つまずいたときには先に立って先生が助けてくださるという。私もそういうふうに学びたかったと思う一方で,さぼったり隠れたりできないのかとも思ってしまいます。つまり,子供たちが18年,更に20年,もっと先,生涯学習ということを考えるとずっと長く学んでいくわけなんですが,いろいろな経験を積みながら直線的に学んでいくわけではない,必ずしもそういうわけではない子供さんたちがいるときに,やり直しの利かないシステムをサポートするような形でこのデータが活用されるようなことがないように,是非支援ということに焦点を当てていただきたいということ,これが2つ目です。それは言うまでもないと思うんですけれども,非常に重要な課題だと思いますので,しっかりと確認をしていただきたいということです。
それと3点目として,今回,論点整理のところに,子供の学びを支える環境ということで実際にICTの環境としてどういうものを整備するかということが書かれていますが,今回論点の中に入れていただくかどうかは別として,更にこの先も見据えていただきたいと思います。先ほど申し上げた学習データを一定のフォーマットで継続的に蓄積するということをしますと,予測的にどういう学校が,どこの学校がより子供たちの達成に困難度を多く抱えるかが見えてきます。
そのときに,今までのように全ての学校に同じ条件整備をするというままの考え方でいくのか,より困難を抱える学校があるということが分かっているのであれば,そちらにより手厚い支援をする条件整備の在り方に転換するのかということも,今までは見えなかったものが見えるようになるからできるようになるんだと思います。私が言うまでもありませんが,北欧の国,例えばスウェーデンなどでは,向こうの文部科学省さんのようなところがそういう統計のデータを公開してして,どこの学校がどれぐらい困難度を抱えているからボーナスはこれぐらいもらえるよというようなシステムにしています。先にはそういう世界も待っているかと思いますので,是非そのあたりも見越していただいて,少し長い視点を持ってこの活用も考えていただきたいと思います。以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,加治佐委員,よろしくお願いします。
【加治佐部会長代理】 基本的な思いがあります。子供がどう変わるのかということです。これまでも当然ながら子供がずっと学校教育が始まって以降,変わってきたわけです。我々教員養成の分野でも,児童理解,生徒理解というのは極めて重要な分野で,その内容はずっと変わってきているわけです。そのための研究,特に心理学部門で発達してきております。このSociety5.0の時代になったときに,今日おっしゃっているようなこういう指導方法が,あるいは学習方法が実現したときに,子供ってどうなっているのかが予測がつかない。極端な言い方をすると,これは恐らくそうはならないと思いますが,ひょっとすると生のコミュニケーションができない子供もいるんじゃないのかという気さえしないでもないんです。まあ,それは当たっているかどうかは別にして,こういう学びのスタイルが変わって,非常に学びが効率化される,あるいは個別最適化されるということ自体,非常にいいことなんですが,その中で子供がどう変わるかということの研究もやはり同時にやらなければ,恐らくちょっと効果がないんじゃないかということを素朴に思うわけです。そういう観点も入れていただきたいということです。
そして,先ほども言いましたように,恐らく,先生方の接する子供が変わることになります。そうすると,先生方が学ぶべき児童理解,生徒理解の内容はどういうものなのかということが研究で明らかにされると同時に,先生方にはそういう変わってきたものを更に一生懸命勉強するというか,身に付ける努力が求められると思います。個別最適化された学習とか,あるいは一人一人に応じた学習を支援する能力と同時に,子供そのもの,本質を理解することが欠かせないんだろうと思うんです。
特に集団の学びは堀田先生もおっしゃるように,学級での学びは大事だということは変わらないんだとおっしゃっているわけですけれども,その学級そのものが,今は同年齢・同学年の子供たちですよね。だけれどこれからは異学年とか異年齢,あるいは異校種が一緒になるとか,そういうことが当然想定されているわけですね。そうすると,集団での先生というのは一層今とは違うものになる。まあ今ではちょっと予測ができないぐらいの状況になるわけです。その前提にはやはり先ほどから言っていますように,児童理解,生徒理解があるということがなければいけないと思うんです。ですから,そういう研究を是非やっていただきたいと同時に,我々も教員養成とか現職研修のカリキュラムの中で,そういう視点も持ってやっていかないといけないのかなと,そういうことです。できればそういう観点もどこかに入れていただけると有難いと思ったということです。有難うございました。
【荒瀬部会長】 大変失礼いたしました。吉田晋委員どうぞ。
【吉田(晋)委員】 有難うございます。今までのお話の中でもかなり出ていることなのですが,やはり今,このICTに関しましては,そもそも論として,総理の下にある教育再生実行会議からまず投げ掛けられている教育改革,その中で特に柴山大臣がすばらしい思いで柴山プランというのをお作りになられ,その中でSociety5.0とかいろいろ出てきているわけです。けさの会議で出た資料でございますけれども,「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」という文科省の提言の中に,はっきりと学校ICT環境は文房具と同様に教育現場において必要不可欠である,そして一方で学校のICT環境がぜい弱であること,地域間格差があることは危機的な状況,整備が進んでいない原因として必要な機器の整備コストが高いことや,そもそもどのような整備を行うべきか判断がつかないことなどが挙げられると,はっきりうたわれているわけですけれど,このICT環境は既に何年も言われていることです。それからパソコンのことも1人1台パソコンもずっと言われてきていることですけれども,それが全然進んできていない。
そういう中で,今日堀田先生のお話でもございましたけれども,家庭環境調査票の話とか,デジタル・トランスフォーメーションの話とかにしても,全てこれはパソコンがあることが前提なのです。で,そのパソコンがあることが前提ということで言うと,教育現場では実はひどいのが大学です。大学は今,例えば履修申込みとかそういったものも全て大学に入るときにパソコンがあるという前提で進められています。ない子は大学に来て,大学のパソコンを使ってやりなさいということだと思いますけれども,大学になると急にあることになる。高校以下はない。更にもう一つ現場で今,困っておりますのは,デジタル調査書の問題が,高大接続改革で出てまいります。それにはeポートフォリオという学びの記録を各個人が作成しなければいけないということ。それをデジタル調査書に結び付けようということがあるわけで,これは既にジャパンeポートフォリオというのも進んできています。
そういう中で,東京都ですら都立高校でやはりパソコンが1人1台はない。そのために,十数校ですか,特別な学校だけWi-Fi環境を整えて個人の持つスマホでeポートフォリオをやっていく実験を始めています。ただ,ここには前提としてのSNSのモラルがきちんとまだ整う前に導入してしまったという大きなトラブルがあるのも事実だと思っています。ですからそういうことを考えていったときに,やはりまず,今回,予算でGIGAスクールネットワーク構想の実現ができまして,全国で3分の1の学校で375億円というものを文科省が要求してくれているわけですけれども,はっきり言って,これもどこまで本気なのか。例えばの話,1校の整備費が本当に600万,700万でできるものなのかどうなのか。
実際,私どもでは,例えば40人の生徒が一斉にスカイプ等を利用して,海外とオンラインスピーキングで1対1の英会話の授業をやっています。この40人一斉にきちっとつながるためには,月10万では済まない基本的な接続料も必要ですし,Wi-Fi設備だけでも1,000万から超すものが必要になってくるわけです。そして端末は全部必要なわけです。ですからそういうことを考えたときに,やはり先にこういうお話をする前提として,パソコンがまずあることが前提なのではないのか。それを是非,文科省としても国にしっかり言っていただきたいとお願いしたいと思います。
ちょっと長くなって恐縮ですが,もう1点だけお願いしたいのですが。個別最適化な環境作りというのは私も非常にいいことだと思っていますけれども,先ほど加治佐委員もちょっとおっしゃっていましたが,特に義務教育,初等教育,中等教育前期というのは,やはり社会性をしっかり身に付けさせるという意味が大きいと思うのです。そのためには,やはり子供同士も,子供と先生も,常に顔を合わせてその顔を見て,それで元気であるとかそういったことも含めて,いろいろやることが教育だと思います。そういう中で,病気をした子とか,支援が必要な子とかに個別最適な教育をやるためのツールとして使うことも大事だし,それから進路がそれぞれ違うわけですから,その道具として使うことは大事だと思いますが,前提にやはりきちっとした教育というか義務教育の原点があるということを忘れないで進めていただければと願っておりますので,よろしくお願いいたします。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,毛利委員,よろしくいお願いいたします。
【毛利委員】 つくば市みどりの学園の毛利です。堀田先生の7ページのところ,デジタル・トランスフォーメーションで,ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させるというお話がありました。本校は開校2年目ですが,ICTやプログラミングを取り入れておりまして,これまで学校では運動とか勉強とかだけに光が当たっていて,これまで活躍が目立たなかった子供たちがそういう意味では新しい技術を使って活躍する姿がたくさん見られるようになっているんですね。なので,ああそうだなと思って話を聞いておりました。
それで,いつもこういう会議に出ると,ICTとプログラミングとかというと,何か冷たいとか,ゲームと連想させて独りで友達も関係なくカチャカチャやっているみたいなイメージをお持ちになる方が多いのかなと思うんですけれども,うちの学校ではそうではなく,やはりコミュニケーションを取りながらプログラミングを作り上げてみたり,問題解決したりしているので,要は使い方なのかなと思いました。
8ページの推進すべきことは全くそのとおりだと思うのですが,この4月,特別支援学級を持っていただく先生方に何か必要なものはありますかとお聞きしたところ,大型提示装置を是非必ず入れてほしいと。普通学級に優先して入れてほしいと言われたんですね。どうしてですかと聞いたところ,つくば市では指導者用デジタル教科書がもう,2回目の教科書改訂前から入っているんですね。そうすると,先生方も日常的に使っていて,拡大したり,挿絵がどーんと大きくなったり,焦点化できたり,あとは文字を大きくすることで読みやすくなったりということで,本当に障害のある子供たちにとって非常に役に立っているので,必ず入れてほしいと。分かりましたということでやったので,是非,この1から8でもう字数が入らないですけれど,教材提示装置というのもやはり推進すべき内容に入れていただければと思います。
あと,学習リソースの4番のところ。まさしくそのとおりだと思いまして,先生方,いろいろな教材があふれているというか,ネット上から探すしかないということになると,それを見付けるのが非常に大変ですし,良質なものを使えているかというとそうでもなかったりしますので,そういうところはこういうデジタル教科書のほか,様々なデジタル教材など,大切なのかなと。なので,導入するときに各自治体が端末だけ入れればいいではなくて,やはり良質なコンテンツを入れていただく予算も確保していただきたいと思います。
STEAM教育ですが,高校という話もありましたが,本校では小学生がSDGsの17の目標を達成するために,じゃあ自分はこういうプログラミングの教材といってドローンを使ったり,マインクラフトを使ったり,マイクロビット……,自分たちで選んで解決するのに役立てたりしています。なので,是非そういうことももし入れるなら,御覧いただければと思います。
最後に,度々地方財政措置の話が出ております。私は10年ほど行政におりましたので,今までの経緯みたいな流れが分かるんですが,以前1,640億円だったのが非常に文部科学省が頑張っていただいて,今1,805億円に増額されています。これを言うと,何だたったの200億円かとおっしゃいますが,5年前に比べて技術革新が非常に速くて,今やタブレットも半分か3分の1の値段で買えるんですね。大型提示装置に至っては3分の1以下で今導入できるようになっています。なので,5年前リースが切れたところが,今度直すという場合は,今までの2倍から2.5倍,うまくいけば3倍ぐらいのものが導入できます。先ほど無線LANの話もありましたが,24年度に導入した無線LANと本校で導入した無線LAN,同じ1個でも,40台でもすいすい今,動きます。値段も以前より安いですね。なので,きっと地方自治体の情報担当者や情報整備担当者の役所の方は,なかなか付いていけないところもあると思いますので,やはりこうしたことにつきましては,国が主導してどんどんイニシアチブをとっていただいて整備の具体的な支援策もとっていただければと思います。以上です。
【荒瀬部会長】 済みません。毛利委員,1点だけ確認をさせていただきたいのですが,堀田先生の資料の7ページとおっしゃったのは8ページのことでしょうか。1番から8番までの丸が付いているというのは8ページでしょうか。
【毛利委員】 初めのは7です。デジタル・トランスフォーメーションというのは7で,その後のことについては8ページです。
【荒瀬部会長】 条件整備のところでということですよね。
【毛利委員】 はい,後半のことは。8ページでございます。
【荒瀬部会長】 はい,有難うございました。
では,吉田信解委員,よろしくお願いします。
【吉田(信)委員】 私,初めて参加させていただきましたけれども,事前に資料も頂戴する中で,今日,本当に多くの先生方の御意見を聞かせていただきまして,なるほどなと思いながら聞いておりました。
実は,先ほど清原委員さんからお話がありましたけれども,正にそのとおりのものがございまして。確かに,今,毛利先生から例えば端末等もどんどん値段等も変わってくるし,基盤整備等もどんどん変わってくると,確かにそのとおりだと思います。そうはいっても,いかんせん地財措置ですと,先ほどどなたでしょうか,市よりも町村の方が整備が進んでいるというようなお話が。実は町村と市というのは結構違いまして,やはりインフラ整備であるとか,これは非常に都市は掛かります。それから福祉の政策をとってみても,町村は県の方でやっていただける部分も結構あるので。町村長さんに別に文句を言っているわけでは全然ないんですけれども,どちらかというと町村長さんの方は政策的な判断がかなり下しやすいお立場かなと思うときもございます。市はやはり全体的な予算を見なければいけない。地財措置ということになりますと,どうしてもほかに優先順位を考えてしまうような。
ですから,もし端末等を,例えば先ほど東京都が5人に1台ということでしたけれども,埼玉県ももっとひどい状況でございますので,どなたの家もお父さん,お母さんもみんなスマホを持っている時代に,学校でお子さんがパソコンが,例えば埼玉県,何人に1台かちょっと詳しい数字はあれですけれども,多分9人とか10人,我が本庄市でも同じぐらいだと思うんですね。やっぱり子供さんにパソコンが1台ということなのであれば,それを強力に推し進めるような財政的な制度を創設していただけないかと。地財措置ですと,どうしてもインセンティブはその都市によって違いますので。いろいろとインセンティブというか優先順位は違いますので。インセンティブが働きにくいということがございますので,パソコンあるいは端末をしっかり整備するのであれば,そこに力を入れるんだというような制度を作られていったらいかがかなと,是非それはお願いしたいところでございます。
これはちょっと私なりの考えなのですが,いろいろな市長さんとお話をする中で,タブレットが非常に大事だよねと。ただもう一つ,私は電子黒板を一生懸命やっているんだよというような市長さんもいるんですね。それはやはり先ほどからお話が出ているように,先生が御自身でいろいろな工夫ができるんだと。拡大して見せたりとか,ここはこことリンクしているんだよと。先生がパソコンを使うような形で使って,子供さんたちに全体的に見せていく。それぞれに端末としてのタブレットもありながら,やはり先生は先生で電子黒板を使っていろいろとクラス全体に見せていくということで,先生と子供の一体感というかコミュニケーション,これも大事なんだよと。だから電子黒板も大事なんだということを非常に強く主張されている市長さんもいらっしゃるということを,ちょっと付け加えさせていただきたいと思っています。
いずれにいたしましても,端末をしっかり付けていくということは大事なことでございますので,是非財政的な面で,地財措置から一歩踏み出していただければということをお願いしたいと思います。以上でございます。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,天笠委員,よろしくお願いします。
【天笠部会長代理】 失礼します。私,確認もありますが,堀田委員のスライドナンバーの8ですね。条件整備の推進,ここで8点挙げられていますけれども,基本的にこの方向で整備を急ぐことが私のまた理解するところでもあるわけなんです。確かに,この国の現状,デジタルへの対応というのでしょうか,整備がある意味大変遅れを取っていることは比較的共通理解のできるところにあるのではないかと思います。その上で,それをどういう形で早めていくのか,そこのところの重点を図っていくのかどうかということです。この1から8までほぼ満足というんでしょうか,ほぼ到達点まで行くとすると,一体お金がどのくらい掛かるのかとか,あるいはそれをどのぐらいの年数で,3年,5年,10年,どんな年数でいくとどういうことになるのかというあたりのそれというのが,正直言って私は見えないということです。それはとても無理な話なのか,それともかなりある意味で言うと政治的な判断というのでしょうか,そういう部分を多く委ねざるを得ないのか,それともある意味で言うとやりくりの中で達成できるものなのかどうなのか,そういうことを考えていかなくてはいけないのではないかということなんですが。基本的にそういう方向でデジタルの整備を急ぐ必要があることは,私も理解するところです。
そのことをまず1点目申し上げさせていただいて,その上で,その先の話は今の段階では余りしなくてもいい話なのかと思うんですけれども,余分な話という言い方になるかもしれませんけれども加えさせていただくとすると,そういう整備が進んで,ある程度行くところへ行った,整ったというその暁に至ったときに,学校というのはどういう環境になるのかということを描くとするならば,私はデジタル一色で学校を埋めるというのは目指す学校の方向ではないのではないかと思っております。このデジタルを整備するということの方向性は当然必要だと,今申し上げたようなことなんですけれども,やはりある種のアナログという視点というのでしょうか,そういうものとの融合とか複合とか多様というんでしょうか,そういうところがまた行き着くところの学校の姿ではないかと思っております。ですから,デジタルが成果を上げるというのは実はアナログがあってのデジタルが効果的ではないかとか,そういうある種の複眼的な視点ですとか,そういうことの必要性が改めて出てくるのではないかと思っております。
ですから,それは決してデジタルを整備することの必要性を否定する話では当然ないわけですけれども,ただ,何が足りないかというと,目指す学校のグランドデザインというのでしょうか,目指す学校の姿,在り方というのが,当面の選択肢からすればデジタルの方向を整備するというのは大変よく分かるわけですけれども,併せて,学校というのはいろいろな多様なものを持ちながらそういう形で環境があるんだという,学習環境を作っていくというふうな,整えていくこともまた一つ大変大切な視点ではないかと思います。そうすると,例えば私はこの10年,20年,朝読書というのが随分この国では定着したように思うんですけれども,その視点と今ここで話題にしている視点というのが決して相反する話でもなくて,それは当然,ある意味で融合しながらとか複合しながらとかという形で学校の環境を豊かにしていく意味合いにおいて,正に未来の学校のグランドデザインという学習環境の在り方とか,そういうものを我々は持ちながらこの話を進めていくことの必要性,大切さがあるんじゃないかなと思います。以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,今村委員,お願いいたします。
【今村委員】 ハード面についてはいろいろな発言がありましたのでお任せするとして,その先のSTEAM教育をはじめとしたPBLなどの学びの中で,どうこのICTを取り入れて,安心・安全に多様な人材を巻き込みながら学校が子供たちの個別最適化された学びを推進していくのかという点について発言させていただきます。
前回の神野委員のプレゼンテーションのように答えがある学びについてはQubenaのような機械学習で,もうどんどん置き換えていけると思うんですけれども,天笠先生がおっしゃるとおり,どうしても教育はコミュニケーション,細かなファシリテーションがないと子供たちの学びが深まっていかない,最終的にはいろいろなICTを使いながら学校の中で細かく子供たちの学びを伴走することでしか,個別最適化した学び,PBLなどで考えを自分で繰り返していくような学びは推進できないところがあります。
そこで,きっとこれから先,ここでも様々な提言がされているとおり,また今回の予算でも盛り込まれているとおり,多様な人材が学校の中にもっと入っていくことになっていくと思うんです。今,私たちは公立・私立の様々な学校に多様な人材に実際に入っていただきながら,そこで先生方と分担して,具体的に言うと授業の中で行われるプロジェクト・ベースト・ラーニングのようなもののファシリテーターを教員以外の人たちが持つということをやっています。その中で,うまくいく事例,うまくいかない事例が多数あるんですけれども,そういう多くの方,副業を解禁したような企業の方々が兼業で関わっていただくとか,大学生の方とか,文部科学省の方も副業で,昨年度国家公務員の副業が解禁されたということもあって,やりたいという問合せの声も頂いているんですけれども,そういった方々にお手伝いいただいているわけです。
そこで一番ボトルネックになるのが学校の先生方と打合せの時間をどのようなインフラ環境の中でどう捻出するか,また生徒のその場で見られた顔の表情とか学びの進捗を,どう担任の先生に戻していくのかというところの,情報の共有についてがいろいろな課題になります。先生方の連絡手段は基本的にはファクスと電話。で,授業時間の合間を縫って電話を掛けて,打合せをする時間を調整してとなるんですけれども,なかなか難しいということもあるので,基本的にはオンライン,スラックとかを使ってオンラインのミーティングをしているわけですけれども,多くの先生は自分の携帯端末でデータ容量も自分で食いながらオンラインミーティングをさせていただいているのが現状です。そんな中で,やはりそれに対応できる先生としか進めていけないという実感値があるので,インフラ整備で先生方が外部の人たちとやりとりする環境を作るという意味でも,インフラ整備がとても大切になってくると思います。
もう1点別の視点から。今後,外部の人がこれからたくさん入ってくるようになる上で,安心して受け入れられる迎え方,また,適していなければ辞めていただく方法というところにも調査・研究が必要なんじゃないかと思っています。免許で縛れない分,本当に多様な方々が参画可能です。そこに可能性があるわけですが,リスクも否めません。私の団体では,これまで何万人もの方にボランティアをしていただいたんですけれども,中には幼児性愛者の疑いがあるような方もいらっしゃいました。その方には,どうお辞めいただくのかというのがすごく大切になってくる。外で悪く言われるとか,炎上リスクもあり,とても神経がすり減ります。きっとこういったやりとりが面倒なのも,現状の先生方は外部の人を余り受け入れることをちゅうちょする要因の一つと思うので,そのあたり,どうすればうまくいくのか,調査・研究を文部科学省としてもやっていく必要があるんじゃないのかと感じています。以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,若江委員,お願いいたします。
【若江委員】 有難うございます。私どもは社会のリソースを教育現場に,学校教育に結び付けるということで,1991年からいろいろ取り組んでいます。実は1つの事例で1998年,要するに20年前に,アメリカのある企業が教育現場のためにICTを活用した思考支援型の授業案開発のための教員研修をスタートされて,それに関わってきたんですけれども,正に20年たって,そのときと全く同じ状況なので,堀田先生が表紙のところで言っておられるこれは致命的な状態だなと思っています。
今日話し合われているICT環境や先端技術を効果的に活用した教育の在り方は,正に堀田先生が言っておられる9ページのところの,教育内容を実現するというそれがすべてで,これを実現するためにどうしても必須でしなければいけない環境整備,条件整備だと思うんですね。
そのときにちょっと水を差すようなことを申し上げるかもしれないですけれども,もしかしたら発想の転換が必要ではないかなと思うのは,今の時代,学校PCを整備する時代ではないように思うんです。国がお金を出して地方がお金を出して,それぞれの学校にPCを整備してもマイPCの時代で,今,吉田先生がおっしゃいましたけれども大学になったらみんな普通に持っていると。逆に家庭ではスマホのデバイスに8万円,10万円掛かるものを親は買っているわけですよね。うちの息子が20年近く前にアメリカ高校で授業を受けていたときは,携帯の普及よりもPCの普及の方が先で,中高生でもみんなもマイPCを持って学校に行っているというような状況でした。ですので,家庭の意識を変えることの方が重要で,子供にスマホを与える前にPCを持たせて,そしてそれで学びを,堀田先生が具体的に書いていただいているようなことを実現していくというそういったムーブメントが大切ではないかと思っています。
ですので,基盤整備のところの1の端末は個人負担にするべきだと思います。そして2以下については,もちろんこれは国が,地方行政が最善の努力をしていただいて,環境を整えていただかなくてはいけないと思います。それともう少し,15年ぐらい前だったと思いますが企業が廃棄するPCの学校での再利用が検討したことがありました。企業ではPCを,今ではもう5年償却どころか3年ぐらいで替えていっているんですね。十何年前にそういう話をしたときには,何の問題だったか,アプリケーションのライセンスの件とか,全部中に入っている情報をクリアにするためにはそれにお金が掛かるみたいなことで,少しつまずいたかと思うんですが,もう一度,今ここに来て,そういう企業の要らなくなったPCの再利用について考えるべきではないでしょうか。何かのデータによると1家庭に70%の家庭はPCがもうあるということですし,これからはPCが紙と鉛筆に代わるということであれば,昔からノートと鉛筆は家庭から持ってきたわけですので,そういう発想も必要ではないかと思っています。そして,それが準備できない子に対してはやはりいろいろな手を尽くして同じ状況を整えるということを考えていただけたらと思っております。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,清原委員,よろしくお願いします。申し訳ありません,堀田先生に最後,お話しいただきますので。
【清原委員】 お時間のない中,済みません,2度目の発言で。委員の皆様の発言を聞いておりまして,2点だけ問題提起したいと思います。
1点目は,今日頂きました「ICT環境や先端技術を効果的に活用した次世代の学校教育現場」の図にありますように,デジタル教科書や教材,AI技術を活用したドリル,遠隔オンライン教育等において,ICTは確かに教育の質を上げ,また多様な障害者や支援を必要とする人にも有効なツールになることはビジョンとしてあると思います。一方で,現実社会の中では,小学生も中学生も高校生も,犯罪の加害者や被害者になっている場合に,SNSをはじめインターネットを利用してそうした当事者になっている事例があります。従いまして,引き続き文部科学省におかれては,各地域の教育委員会と連携をしながら情報モラル教育,あるいは犯罪の加害者や被害者にもならない,ICTをよりよく使うそうした教育の分野についても明確に位置付け直していただければというのが1点目です。
2点目は,「統合型校務支援システム」は働き方改革を進める上でも有効なツールです。実績も上がっています。しかし一方で,教員が無意識に個人情報の漏えいをしたり,あるいは内容を知ってしまうことがあるかもしれない。それも防がなければなりません。「情報セキュリティーマネジメントシステム(ISMS)」を使うことによって,少しでもそうした不用意な情報の漏えいやミスは防がなければならない。これは総務省や内閣府等の研究あるいは実践が進んでいると思いますので,府省を超えた連携の中で,教育現場での「情報セキュリティーマネジメントシステム(ISMS)」を実現することによって,是非,「統合型校務支援システム」を使っても個人情報が傷つかない,むしろ子供たちに個別具体の支援ができるシステムを私たちは考えているのだ,というメッセージが出せればよいと感じました。以上です。お時間頂き有難うございます。
【荒瀬部会長】 有難うございました。非常に具体的なお話でありますとか,あるいは根本的なお話でありますとか,たくさん頂きまして有難うございました。まだ御発言になっていらっしゃらない方もいらっしゃいますけれども,前半の方は最後に堀田先生に御質問への御回答も含めて今のやりとりをお聞きになったことに対するコメントをお願いできればと思います。
【堀田委員】 有難うございます。2つお話しします。
1つ目は,学校現場でICTの導入を教育委員会が図ろうとすると,紙でやれることをどうしてコンピューターでやる必要があるのかという意見が,教育長先生から出たり,首長さんから出たりするということが,いまだに聞かれます。私たちは,紙でできそうなメモをスマホでやったりとか,そういうことをいろいろ今までもしていると思いますし,紙で書ける学習指導案をパソコンで書いていると思いますし,そんなのは何ていうか,世間的には結構常識で,これだけ便利にデジタルを使っているはずなのに,学習だけは何か別だとうふうになっているんだと思うわけです。紙を貼れば済むけれども,それをデジタルで大きく拡大して,それが大型提示装置だったり,実物投影機だったり,指導者用のデジタル教科書だったりするわけですけれども,それによって任意の場所を自在に拡大して見せることができて,先生は教えやすくなり,子供は分かりやすくなるわけですね。これの整備はもう現行の学習指導要領において地財措置されている範囲の中で,多くの自治体が既にやってきていることです。
そして,今度の時代は,子供たちに1人1台持ってもらうことで,子供たち自身に自己調整も含めた情報活用能力,それを使って教科学習を深めていくような学び方をしてほしいというのが次の学習指導要領の方針だと思います。なので,地方交付税措置も増額され,今回は概算要求までされているんだと思います。
これらのことを,場合によっては教育長先生や首長先生があまり御理解いただけていなくて,その結果,先のような言い方でなかなか導入が進まなかったという自治体も場合によってはあると聞いていますし,非常にその結果,民間の方が手伝おうにも,仕事の仕方が違い過ぎて先生たちを助けられないというようなことが起こっているわけです。ですから,例えば住所が分かれば地図はグーグルマップですぐ出るわけで,そんなのは一回どこかで書けば,あとは全部オートマチックでいけるはずなのに,何回も書かせたり,地図まで描かせたりするというのは,もう随分時代遅れだということの認識を,学校では常識かもしれないけれども,それは既に非常識だということを学校の業界が少し考え直すタイミングに来ているのではないか。そのためのデジタル・トランスフォーメーションはきちんと進めていかないと,僕はこれは場合によっては信用失墜につながるような,学校不信につながるようなことになるのではないかと心配しています。
子供から見れば学習環境ですし,教師から見れば職場環境ですから,そんなに手書きがいっぱいあるところには就職したくないという若い人が増えるのは当然のことだと思いますし,働き方改革の一環でもあると思いますので,このデジタルの整備については強い意志で進めているタイミングに来ていると思いますし,これまでの財源措置もそれなりにやってきたことですけれども,地方自治体の首長や教育長が情報化に疎いことによって,そして財源が措置されているのに十分に活用されていない状況にとどまってしまっている無理解な状況で止まってしまっている現実を私は残念に思っています。
2つ目をお話しします。学習ログについては,基本的には個人の学んだ履歴ですから,基本的には個人にフィードバックすべきものであって,形成的評価とか自分の学びの積み上げとか,あるいは停滞も含めて,ちょっと最近さぼっているかな,そういえばそうだなみたいなことも含めて,本人に返すべきものだと思います。ただ,今までのテストの採点をすることによって,紙でも個人に返すだけではなくて,あるいは保護者に返すだけではなくて,どこの問題がうまく解けていないかとかということを指導者側がフィードバックを得たりすることはありましたし,全国学力調査のように国全体ではどこが落ちているとか,おたくの学校はどこが落ちているとかいうことを少し大きな目で見ることもあると思いますので,そのような活用は個人が特定される情報を抜いた匿名化されたデータで上手にやっていく必要があって,そのためのデータの標準化とか,ICTの整備もともかくですけれども,そういうことを急いで制度でやっていかないと,民間の方々がどんどん今やり始めていますので,結局,いろいろなものを使えば使うほど,全部ユーザーインターフェースが違い,データ形式が違い,全部買わなければいけないというふうになると。これは限られた予算を生かす意味でも非常にもったいないことだと思いますので,国が率先してやるべき大事な仕事だと思っています。以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございました。事務局の方はよろしいですか。
では,矢野審議官,よろしくお願いします。
【矢野大臣官房審議官】 何点かこの半年,政府部内や与党の中でもしっかり実は議論してきたところでもございますので,私の方からもお答え申し上げたいと思います。
まず,格差というキーワードがあったかと思うんですが,このICTを使った教育について,政府部内,与党内で一番懸念された点は正に格差,いろいろな意味での格差,学力の格差であったり,それに伴う格差の拡大というのが,このICTの基盤整備の進捗によってより広がるのではないかということでございました。御案内のとおり,義務教育は誰であってもどこに住んでいても,一定の規模と妥当な内容の義務教育を受けられる,それが義務教育の精神でございますので,そういうことはあってはならないというのが,まず私どもの考え方でございます。
一方で,橋本委員から御指摘があったとおり,では財政力に比例しているかというと,実は必ずしもそうでもないというのも事実でありまして,むしろ小規模の町村の方が進んでいたりもする。例えば全県で見ますと一番進んでいるのが,パソコンの整備については佐賀県。一番遅れているのが実は去年までは埼玉県だったんですけれども,今年の結果だと愛知県。つまり、かなりの大都市を含む人口の多いところの方が、むしろ厳しい状況にあるという状況にございまして,財政力だけではなくて,やはり規模の問題もあるのかなと感じております。
それで,これは政府部内でもお話がありまして,実はこの6月に骨太の方針で閣議決定されておりまして,これまで,先ほどから御紹介のあったとおり,地方財政措置をもう10年,20年前から相当声を大きく言われてきて,しっかりしてきたわけですが,それでもこの状態だということで,国もこの格差の是正をしっかりやるべしというような閣議決定がなされております。
ということで,1,805億というのは並々ならぬ決意であったわけですが,それでも例えば去年から今年,一昨年から今年の進捗を見ると,むしろ鈍化しているというような状況もこれありで,来年度については,先ほど吉田晋先生から本気度を問うという御指摘がございましたが,これは文部科学省,完全に本気でございますので,しっかりとやっていきたいと思っております。
ということで,吉田委員や清原委員,それと柏谷委員から御指摘のございました国でしっかりせよということについては一段上の取組を進めていければと。今回,Wi-Fi整備について,それまで3分の1の補助率であったのを2分の1の補助率,しかも耐震改築並みの地財措置で今回要望させていただいております。ただ,これでもまだ不十分だという声もかなり強うございますので,更に何か検討する機会,一番お力になるのは市町村,都道府県,現場からの声でありますので,そういうものが更に強くなるというと,我々も更に動きやすくなるかなという気がいたしております。
それと,ちょっと長くなって恐縮でございます。天笠委員からどのくらいの規模,どのくらいの減価償却かが見えない,こういう話もございました。これは実は我々,試算しておりまして,今の考えだと,線の部分については二千数百億,パソコン整備については1台5万とすると,これは小学校の例えば4年生以上とか5年生以上に配ったとすると,中学校3年生まで,すみません,高校については入れていないのですが,四,五千億ぐらい,そういうベースかなというところでございます。
減価償却については,どういうものを整備するか。実は今まで自治体が整備されてきたパソコンを見ますと,先ほども議論がありましたとおり,毛利委員からだったでしょうか,ちょっと高いなと。ちょっとオーバースペック過ぎるなと。明らかに,これは余り大きな声では言えないんですけれども,ちょっと売り付けられたかなというようなこともございました。今回,実は先ほど吉田先生からも御紹介のあった報告書の中には,結構思い切った価格設定,例えばクロームブックは300ドルというものがアメリカでは使われているみたいな,やや間接的な言い方ながらも,今後の方向性を若干示させていただいているところでございます。
ハードについては最後になりますが,若江委員からBYODについての言及がございました。これもしっかりとこれから議論していかないといけないところでございます。ただ,実態としてスマホと携帯電話の類いについては,中学校段階ではまだ基本的に持込みは禁止というようなこともございまして,これはかなり親の意識というものもございます。そこは乗り越えていかないといけないかもしれませんが,しっかりと現場の意見を踏まえた議論が必要だと考えております。
それと最後に,加治佐委員,吉田晋委員,天笠委員からの御懸念の点。これも本当にまことにごもっともな点でございまして,このICT化を進めるという話と人対人,我が国,日本の学校教育の正に知徳体の部分を軽視していいというはずはないわけでありまして。実はこの間の議論でも,こういうふうにICTが発達してきたら,例えば小学校・中学校の時間数を削って,どんどん勉強を進めたい人は進んで,半日ぐらいでいいんじゃないかみたいな議論がございました。こういう話は我々はもう論外だと思っていますけれども,お三方が御懸念の点はしっかりとこれからも主張していきたいと考えております。以上でございます。ちょっと長くなりまして,申し訳ありません。
【荒瀬部会長】 有難うございました。それでは,今,3時46分でありますので,3時56分から再開させていただきます。10分間休憩いたします。
( 休憩 )
【荒瀬部会長】 それでは後半を始めたいと思います。義務教育9年間を見通した小学校における教科担任制の在り方などその他の論点ということであります。その他の論点ということで,最初の論点整理の案を御紹介いただきました際にも,ほかにもありますのでもしあればということだったんですが,まずやはり,今日は義務教育9年間を見通した小学校における教科担任制の在り方につきまして御意見を頂ければと思います。先ほどと同じように名札を立てていただくということと,大変申し訳ありませんが,お一人大体2分程度で終わっていただくということも,もう一度思い出していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
では,田村委員。
【田村委員】 田村でございます。教科担任制につきまして以前の部会でもたくさんの成果や御意見が出て,方向としてはそのメリット,教員の負担軽減とそれぞれの十分練った授業をできるなどのよさというのはよく分かったところです。私は特別支援学校に勤めておりますが,小・中学部あるいは小・中・高の3学部設置ですので,義務教育6年間,後期中等教育も含めた9年間を見据えて,委員の皆さんと同じ視点に立てると思っています。一人一人のお子さんに対して障害に応じた授業準備をするのは簡単ではありません。小学部の通常の教育に準じた課程ですと,全教科の授業準備をやっていると,実際のところ深夜になってしまいます。ですから,一つ一つの授業をしっかり準備するという視点からも担当教科を分かち合うことは大事と思っています。方向性としては先ほどの情報化社会に備えるための教育環境の整備,あるいは教科担任制にして専門性に基づく深みのある授業をすることについては大きく一致できると考えています。
ですけれども事の本質的な中身は,そこで指導技術をどう付けていくかという,教員養成・採用後の育成とも関わることなのです。先日も小学校の全校研究会に招かれて先生方に発達障害児の支援と対応について話をしたのですが,ほぼ全員がとても若い先生方です。こうした学校状況で教科担任制というシステムで負担を軽減しつつ,教科に応じた力を付けるには机間指導をどうするか,発問をどうするか,板書をどうするか,そうした指導技術を実技として学んでいく必要があります。現状では単学級が多く,同じ指導内容を隣の先生に見せてもらえる状況も少なくなっている。この教科担任制という方法論導入についてここで効率的に結論が出せるとしたら,その方法論の上に立ってこの先どのようにして専門性を担保していくかの議論が大切です。先ほどの情報化も大事ですし教科担任制も大事ですけれども,特別部会としてそこのところをもっと議論していかないといけないのではないかと考えています。
最後に,特別支援学校では大変個人差が大きいです。ですから,学習指導要領では知的障害を伴っていると,小1でこの内容,小2でこの内容といった、学年段階ではなくて理解度に応じた段階になっています。全7段階で構成され,ここができたら次の段階と進むようになっています。今,通常の教育の場でも,お子さんが不登校であったり,あるいは病気入院などから戻ってきたりしたときに,学習空白があることから生じる学力差が顕著になり,,全員で実際に同じ教科書の同じところをやるのは,現実的にかなり難しくなっています。そうしたときに,個別にしっかり積み上げていく方法として,麴町中学校に関する実践の話も初回にいただきました。そういう方法はどんどん取り入れて,個々に着実に学力を付けていくというところを更に議論していきたいのです。以上でございます。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
それでは,吉田信解委員,その後,東委員,天笠委員の順にお願いいたします。
【吉田(信)委員】 これにつきましては,教育委員会,現場の学校の先生の声も少し聞かせていただく中で,今日はちょっと意見をさせていただきたいと思います。
我が市においても文科省の事業の学力向上フロンティアスクールを活用する中で,平成14年~16年度までの3年間,1つの小学校においてこれを導入してみたということがございました。結果として,なかなかうまくいかなかったという結果でございます。ただ,うまくいかなかったということは悪いことだったのかというとそうではなくて,現場での先生の感覚と,全体を見渡す管理職的な方々の感覚がやはり少し違う部分があって,小学校の教員の多くはやはり自分のクラスの児童との関わりに可能な限り多くの時間を費やしたいということを考える意識が非常に強いということでございまして,小学校の先生方の一つの文化みたいなものが非常にある状況でございます。
そういう中で,いきなりこの制度を導入しても,なかなかクラス担任の先生の負担がかえって増えてしまったりという状況があったということでございますので,今後の解決方法は例えばですけれども,教科担任制充実加配などを配置して,職員数の増加を図っていただきたいという声がありますし,あるいは音楽,図工,英語などの教科について専科教員の配置を充実させていくことが望ましいのではないかという意見もあります。
最後になります。私,これは非常に大事かなと思うんですけれども,この論点のところにも書いてありますけれども,小学校と中学校の先生方の行き来をもう少し制度的にしっかりさせていくと。つまり中学校では当たり前のように教科担任制になっているわけでございますので,小学校もやはり高学年になったときには,低学年はもちろん別ですけれども,5,6年生についてはプレ中学生ということで,中学校と似たようなシステムに移行させていく。それにはやはり現場の先生方が中学校ではこういう仕組みになっているんだということをしっかり認識できているかどうかというのは非常に大事だと思いました。
これは特にうちの教育長からも是非とのことでしたが,埼玉県も実は小中学校の教員の行き来はやってはいるんですけれども全国的にもう少し力を入れてやっていくことによって,小学校高学年の先生方の意識をプレ中学生なんだというところで,移行期間ということの意識を持っていただくということが非常に,小学校の文化ということを考えた上では非常に大事ではないかなという,現場というか特に教育長はじめ,校長先生の意見ということで頂きましたので,この場でお話しさせていただきました。以上でございます。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,東委員,よろしくお願いいたします。
【東委員】 東でございます。私立美晴幼稚園の園長の立場と,それから教員養成の大学の教員の立場,両方でこの会議に参画させていただいております。この議題につきましては,幼稚園の園長の立場で少しお話をさせていただきたいと考えます。
前回2回のこの会議の場もそうだったんですが,高学年の教科担任制の議論に終始している感が正直あります。小学校低学年あるいは幼児教育からの接続の面で,どのように小学校教員の配置ですとか研修あるいは免許制について議論が進めていかれるのかということについて少し,今のところで事務局,文科省で整理されているところがあればお聞きしたいと考えているところです。この件に関しては以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございます。
では,天笠委員,お願いします。
【天笠部会長代理】 失礼します。この小学校の教科担任制についてということは,前の発言を頂いたときも申し上げたこと,ちょっともう一回,重なることをお許しいただければと思うんですけれども,私の認識ですと,このテーマと課題というのは昭和の時代にある意味でいうとさんざんやったんじゃないかと思っています。そのときの背景というのは,やはり小学校の高学年の教育内容が非常に高度化・複雑化して,1人の学級担任ではなかなか対応し切れないのではないかという認識というんでしょうか,というのがあり,折しも昭和40年代の学習指導要領というのは言うならばそういう学習指導要領であったのではないかと思っています。特に理数がかなり高度化したというところもあってというのが一つだということです。
その中で小学校高学年に取組をしたわけですけれども,その当時はそこに中学校が関わるとか関連するとか連携するという発想はほとんどなかったと思います。また,そのときに免許制度を何らかの形で検討しようというふうなこともなかった。ただ,この当時,やはり小学校の教員が不足していて,そして中学校の教員志望の若い先生を小学校にコンバートするというんでしょうか,そういう動き等々があって,そういうこともこの小学校における教科担任制を検討する一つの呼び水になった背景というのがあるんじゃないかということです。
その一方,当時の国の教職員定数に関わる動きというのは,どちらかというと学級の規模を縮小する方で動いていたわけで,この教科担任制の動きと平仄を合わせるという視点とか発想は余りなかったように思います。ということで,そのなかったうんぬんみたいなところというのは,実は今,その視点,例えば中学校との関連をどう考えていくのかとか,あるいは小学校における教科担任制で国の定数の配置ですとか,そういうものをどういうふうにこのことと連動させていくのかとか,そういうことが検討すべきテーマとしてあるんじゃないかと申し上げたいと思うんです。
その上で,先だって国の調査で,小学校における教科担任の現状というデータがたしか報告されたかと思うんですけれども,私に1つ残っているのは,たしか小学校の音楽の高学年が55.5%という,たしかそういう数値がそのときに出ていたと思うんですけれども,恐らく,それはもう少し学校規模別にそのデータを見るともっとめり張りがはっきり出てくるのではないかと,私はそのときに思っていたんです。要するに,大きな規模の学校では教科担任制というんでしょうか,そういうものが何らかの形で具体化できるけれども,学校の規模が小さくなると学級担任制に回帰せざるを得ないというか,というふうなことで,規模の大きな学校はこういう話には対応できるけれども,規模が小さくなると学級担任制というのが現状の姿ではないかと思っています。ですから,したがって55.5%というのは,ある意味で言うと,ほぼ小学校においては音楽の教科担任制は一定の規模のところにはほぼ行き届いているという言い方もできなくはないんじゃないか。
何が課題かというと,むしろ規模の小さな学校の方にこのテーマ,この課題に目を向けていく必要があるんじゃないかということで,小さな学校,これまでどちらかというと視野の外にとかく置かれがちな,そちらのところにもしっかりこのテーマを向けて,小学校の小さな学校において教科担任制をどう担保できるかとか,あるいはそのためには,どういうふうに定数の在り方とか,それを考えていくのかどうなのかということが一つ。
それからもう一つは,やはり免許状の在り方ということは,義務教育学校の在り方とかそういうことも含めて,この際しっかりと検討して,その在り方について一定の方向性を示していくことの必要性はあるんじゃないかと思うわけです。その辺の討論については,またこれから検討を深めていく必要があるんじゃないかと思います。
いずれにしろ,ここのところで強調させていただきたい点の一つは,いわゆる小規模校において教科の分担の仕方と在り方ということです。
最後ですけれども,例えば先ほど,今日の午前,午後ですか,ICT関係,プログラム教育の担当はうんぬんとかそういうことで,分担の仕方も大分,教科の分担ということももちろん大切なんですけれども,いろいろな分担の仕方というのが実は必要になってきているのではないかということで,そのあたりのところにおける小学校高学年において,どう先生方はお互いに分担し合ったらいいのかという視点も,この際ですから少し目配せをしていく必要があるのではないかと思います。以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,堀田委員,お願いいたします。その後,毛利委員,香山委員,松尾委員,貞広委員,清原委員の順でお願いをしたいと思います。
【堀田委員】 先ほど私の方では自己調整学習の能力がこれからもっと必要になるというお話をしました。流れの速い時代に学び続けていくような大人になっていただくためには,子供のうちから自己調整をしながら学ぶということをしていくべきだろうと。しかしながら,例えば小学校1年生が十分にそれが備わっていたらちょっと気持ち悪いがするわけで,やはりこれは小1から高3までの,個人差はあるにしても,発達によるグラデーションがあるはずだと。
それが今は中学になったときに初めていろいろな先生から多様な教え方で学ぶということに出合うわけですけれども,今の時代はもう少し早くてもいいのではないかと思います。それはなぜかというと,6・3・3制というのは随分前に定められた制度ですし,今の子供たちの発達とか社会の様子を考えると,私は小学校高学年ぐらいから必要に応じて教科担任制を導入するのは,むしろ子供たちにとって多様な教え方,学び方に出合うよい機会だと考えますし,だからこそ自己調整の能力を5年生ぐらいまでにある程度備えておく必要があるだろうと思います。
そのときに私が一番心配しますのは,5年になっていろいろな人からいろいろな言葉遣いでいろいろな学び方をするような子供たちがちゃんと理解できるためには,4年生までの基盤的学力の保証というか,それがとても大事だと思います。したがって,いわゆる各教科等の基礎・基本のようなことについては,例えば漢字や計算のような習熟を要するものは,世の中の検定をちゃんとCBTでいつでもチェックできるような環境がやはり必要だと思います。そうやって一人一人の進捗に合わせながら先生が子供たちの学習成果をちゃんと見える化して,個別最適化につなげていくような指導を4年生までにしっかりと,そちらはどちらかというと基盤的な学力としてしっかりとやり,5年生以上はその子その子の興味・関心や学習の考え方,自分の進みたい方向に向けて多様化していく方向での個別最適化が必要なのではないかと思います。子供たちが今のCBTの話とか,いろいろな先生の下で例えばアクティブラーニングのような学びをするときに必要なICTの基本的な操作とか,そういうことについても4年生ぐらいまでにある程度,例えばキーボード入力のようなこととか,そういうようなことの経験はきちんとさせておくべきだと。それをカリキュラムとしてちゃんと提供していく時代に来ているのではないかと思います。以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,毛利委員,お願いいたします。
【毛利委員】 つくば市の毛利です。先ほど堀田委員から5,6年生からキーになるとというお話がありました。まさしくそのとおりなんですが,本校では5年生から完全教科担任制をしておりますが,何が一番いいかというと,楽しい授業をもちろんしていただいたり,専門的な学習をしていただくというのもとても大事なことなんですが,それと同じぐらい,小学生というのは,小学1年生から入ってくると,朝,お母さんと離れたくなくて泣いている子もいっぱいいるんですね。それぐらいやはり温かくお母さんのように包み込んでいただくような担任の先生,低学年はそういうふうにだんだんなってきて,5年生になれば親離れといいますか,教科担任制になって,子供も「あ,この先生,ちょっと苦手だな」とか,「この先生,大好き」とかいうのが,自我が目覚めて出てきます。なので担任の先生が一緒だとちょっと相談しにくいということがあっても,いろいろな教科の先生に教わっていれば,その先生に相談して,その先生から担任の先生に実はこういう話があったんだというのがあって,それでよくみんなで見守るという形になっているので,そういう意味では教科担任制は非常にいいと思うんです。
しかし問題点が幾つかありまして,それは中学校の定数は中学校5クラスに対して校長と教頭を除いた定数は9なんです。なので,中学校教科担任をやっている場合は,やはりクラスの倍ぐらい先生がいるから教科担任ができます。小学校は今ちょっと資料がありませんが,小学校20クラスあっても,副担任は多分数名です。それぐらい小学校の先生は空き時間なしでほぼやっていますし,出張があると教務主任が出たりしています。ということなので,5,6年生の教科担任制を実施するとなると,教員の定数を相当増やさないといけないという思いがあります。
もう一つは,先ほど小中学校の先生の行き来についてここに書かれていますが,つくばでも実際いろいろなことをやってみましたが,中学校の先生が空きで小学校に行く場合,自分の自家用車を使います。それでいいのかという問題が一つと,中学校の先生に空きがなくなりますので,そうすると放課後その分残業しなければならなくなりますので,働き方改革としてはどうなのかというのと,私,大きな都市に話に行ったときに,大都市の場合は自家用車勤務禁止という都市があります。きっとたくさんあるんじゃないでしょうか。その場合,行き来しようと思っても,車がありませんから,電車とバスで学区の学校に行くとしたら,ちょっと不可能に近いのかなと。なので,やはりそこは遠隔のような形になるのかなと。あと,もし行ってしまった場合,自分の学校の担任の子供に何かけががあったとか病気があったとか,それはほかのクラスに出ていても自分の学校だと,「この子はアナフィラキシーショックが過去にあった」とかというのがすぐに分かって対応できますが,向こうの学校に行ったりした場合,ちょっと対応がどうなのかと。その辺がちょっと心配だと思いました。以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
香山委員,どうぞ。
【香山委員】 これからの望ましいゴールを考えるときに,ゴールの一つとして高等学校では総合的な学習の時間が総合的な探究の時間に改訂されるという形で,探究する力の育成が高等学校では求められていると思います。研究の手前といいますか,そういったふうに学びが高度化していく方向性の中で望ましいゴールを考えたときに,小学校の段階から,単に計算ができるのではなくて,ちゃんと仕組みを理解して,そしてそれを日常生活で使えるといったような,できる・分かる・使えるといったようなレベルまで知識を活用できる状態に持っていくことが望ましいのではないかと考えた場合に,教科担任制というのは一つの効果的な方策なのかなと思って,期待は寄せております。ただ,天笠委員がおっしゃったように,私の周りも小規模校ばかりですので,うちに教科担任制が入ってもちゃんとそろうだけの人間がいないよねという状態ですので,小規模校でもやっていけるモデルを早く作っていただいて,この会議でも出していただきたいと思います。
そういうことを考えながら,一方で現状といいますか,私も教え子たちは教員がたくさんおりますので,顔を見ながら思い出していくと,今回,文科省の事務局の方で用意していただいた参考資料5-3の19ページに高等学校の理系・文系コースの比率の表がございます。小学校の教員になった生徒たちの多くは文系なんですね。理系の子たちで,この子は数学が分かっている,単に点数が取れるというのではなくて,コンピテンシーとしてちゃんと数学のものの見方・考え方が分かっているという生徒が数学や理科の先生になっている率は非常に実感として少ないんです。これは高等学校のデータですので,実際全国で教員になられた方がどういう学びの履歴で教員になられているのかという数値も是非見たいと思っているんですが。
私がすごく心配しているのは,単にコンテンツとして教えるだけではなくて,見方・考え方が教えられる,本質的な考え方がちゃんと分かって教えられる,いわゆるB問題等にきちっと対応できていくような資質・能力を持った方が教科担任としてちゃんと教えていかないと,あれが苦手これが苦手だから僕はこれにしようというふうなネガティブな選択で教科担任というのでは,全くゴールに向かっていかないと思います。そういう意味で現状とゴールをどう埋めていくのかというのは,かなりステップが要るのではないかと,期待しつつ懸念しておるところです。以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
松尾委員,お願いいたします。
【松尾委員】 失礼いたします。兵庫県の松尾と申します。どうぞよろしくお願いいたします。前回,第2回のときに兵庫県の教科担任制について,皆さんにお時間を頂いてお話をさせていただきました。そのときのお話と少しかぶるようなこともあるかもしれませんが,御了承いただきたいと思います。
兵庫県の場合は,先ほど毛利委員もおっしゃったような教科担任制の完全実施ということではなくて,ソフトランディングと申しますか,まず例えば2クラスある学年がありましたら,2つの教科を交換授業という形で,全ての教科を教科担任制にするのではなく,国語は私のクラスとお隣のクラスを見ます,お隣の先生が算数を私のクラスを見てくださいねというふうな,交換授業の少し延長にある形になっています。
そういった意味で,先ほどからお話が出ているような,中学校への接続を考えたときに,小学校文化のお話も出ていましたけれども,小学校時代はやはり子供自身が担任の先生から十分に自分のことを理解してもらって,自尊感情を高めて,自己受容感を高めて,認めてもらって,本当に包み込んでもらって,そして中学校へ接続するという,そういう心の教育というか,心の安定を図ってこそのやはり小学校文化だと思うので,そういった形での小学校の担任制はすごく大きな意義があると思うんです。その中で,ある部分だけ取り出して教科担任制,高学年になったときに不登校の問題ですとか中1ギャップの問題に対応するために,少し違った先生からも学びを得るとか,人間的な関係を別の先生とも築くというふうな,ある一部の部分での教科担任制というのは割と兵庫県は大事にしているところがあります。
そのときに問題になってくるのがやはり人的配置ということで,新学習システムということの別の人員の配置を1人2人配置いただくことによって,余剰のある先生を作ることによって,算数の少人数学習を取り入れたりとか,TT学習を取り入れることによって,少人数学習と教科担任制をミックスして取り組んでいるところが兵庫県の教科担任制の特徴かなと思います。ですから,学力向上の面と人間関係力の育成という両面からアプローチできるところが大事なところではないかとも考えています。
先ほど天笠委員からも出ておりました小規模校などにおきましては,5,6年生という形で学年を超えて,5年生と6年生の先生が教科を交流する事例もありますし,複式学級を有する学校にも私も校長として務めていたことがあるんですが,そこは全学年を通して教科担任制を導入しないと学校が運営できないということもあります。教科担任制を導入することによってチーム学校として子供全体を見る,人間関係力の面からも学力向上の面からもチームとして子供を見るということができるのがいいところかなと,実際にやっている点からして感じているところです。以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
それでは貞広委員,お願いいたします。
【貞広委員】 有難うございます。以前申し上げましたことと,今日,ほかの委員の方々からも出ている意見と重複するところがございますが,短く意見を言わせていただきたいと思います。
いろいろ御意見出ていまして,先生方の働き方の面でも,何よりも子供たちの教育の充実という面からも,特に高学年の子供たちを対象とした教科担任制の導入は急がれるところだと思います。非常に好ましいシステムと思われるからこそ,できる学校がありますというよりも,全ての子供を対象にしていかに展開できるかというところが非常に重要で,やはりそのときに人材がいない特に小規模の学校で,どのようにそれを展開するのかということが大きな課題になってくるであろうと思われます。
先ほど天笠委員から高学年の教科担任制55.5%導入されているというお話がありまして,相場観としては大体音楽専科の先生が飽和した状態なのかなという感じだと思うんですけれども,私,別の算数も知っていまして,小学校は今,ちょっと正確な数字は忘れてしまったんですけれども,単学級以下,つまり学年に1学級しかない規模を下回る学校が45%なんですね。つまり単学級の学校では何か教科担任制ができないというイメージなんだなというような,これは単にイメージの概算ですけれども,相当難しいということを考えますと,どうしても中学校の力をかりざるを得ないというか,ピンチをチャンスと考えて,むしろ子供たちを中学の学びにより早く寄せていくようなことも必要なんだと思います。
とはいいながら,中学校の方も小規模で,単学級以下の学校が4分の1と考えると,小さな小学校の近くには小さな中学校しかなくて,非常にどちらにも余力がないような状態になっていることが考えられますので,学制の改革を伴うまでの改革はしないまでも,むしろ高学年の子供たちは中学で8割ぐらい丸抱えして,しっかりと教科担任制で教えるぐらいの考え方の違い,ギアチェンジをしないと,小さな学校,小さな地域の教科担任制の保証はできないと思います。ですから,そのあたりももちろん定数を増やすことが一番理想的なのかもしれませんけれども,それほど現実的な将来は描けないとなりますと,システムをどう作っていくかということで工夫していくしかないと思いますので,そのあたり,いろいろな知見をお持ちの先生方と是非そのあたりは知恵を出していけたらと思います。以上でございます。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,清原委員,お願いいたします。
【清原委員】 有難うございます。「小学校における教科担任制の在り方」についての論点で2点申し上げます。
1点目は,今回資料1の4ページに整理していただきました論点の1点目に,「小学校高学年からの教科担任制の本格的導入を検討すべきではないか」と明示されています。そこで,確かに委員の皆様の御意見を伺っておりますと,こうした方向性は大変説得力があると思うのですが,一方で,低学年における,あるいは小学校6年間における,あるいは中学校も含めて,「学級担任制の意義・必要性」,そうしたものも同時に明示しておきませんと,あたかも学級担任制では望ましくない部分があるので教科担任制を導入するというふうになってしまうことを少し懸念します。
と申しますのも,先ほど来,これからの教育を考えていくときに,やはり教員として児童理解,生徒理解がますます重要になっていくということ,児童生徒が自己肯定感を持って学校という集団の中で社会性を身に付け,人間力・社会力を高めていくことの意義は変わらず重要であるということが共有されてきたと思います。そうであるならば,他の生徒と知識や情報を「共有」するだけではなくて,共に「協働」して考察して作り上げていく「創造力」も重要になってくる場合,教科担任制の担任力も必要でしょうが,併せて学級単位での集団的な取組も見直される可能性があるかもしれません。従いまして,教科担任制の在り方について提起するときに,学級担任制の必要性や意義についても一定程度明示しておく必要があるのではないかと改めて感じたのが1点目です。
2点目は,私が三鷹市長在職中,平成18年,2006年から7つの中学校区で順次「コミュニティースクールを基盤とした小中一貫教育」を創設してきたわけですが,その中で小学校,中学校の教員が一緒になって「小中一貫のカリキュラム」を作ってまいりました。今回,「義務教育9年間を見通した小学校による教科担任制の在り方」とあります。正に中学校3年も見通したことを考えていくとき,小中一貫教育の実践の中でこうした事例も紹介したいと思いました。
一つは東京都の教育委員会と協議して実現してきたことですが,教員は小学校・中学校の2つの「兼務発令」を受けて,小学校の教員は中学校にも責任を持つ,中学校の教員は小学校にも責任を持つ,そこで算数・数学の連携や,また英語,理科,社会等の教員間でのカリキュラムに関する学びや授業を行うことで,それぞれ,「小学校で十分ではなかったから中学校で苦労する」とか,「中学校に行ってせっかく小学校で育てたものがないがしろにされる」というような,誤解に基づく意見ではなくて,共に連携して質の高い教育をしていく風土が教員間で高まってきたことを有り難く思っているわけです。
従いまして,「義務教育9年間を見通した」というところは正に大変意義のあるところで,委員の皆様もおっしゃいましたように,「小学校間の連携」や「小中学校の連携」,それが重要であるという今回の論点は極めて重要です。「小学校から中学校への円滑な接続」の中で,教員がそれぞれの専門性を生かした教科の力を高めていくことが,教科担任制のメリットになり,学級でのコミュニケーション力や人間力向上のコーディネートにつながっていけばと考えております。Society5.0の中でのキーワードの一つは「連携」とか「協働」とか,正に「コラボレーション」ということが重要な人間力の中に含まれておりますので,是非この教科担任制が各教科の専門性を深める・高めるだけではなくて,教科間の連携,総合的な意義,あるいは教師間の連携などについても更に深めていくことになれば有意義ではないかと考えます。以上です。有難うございました。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
柏谷委員,よろしくお願いします。
【柏谷委員】 有難うございます。私,一番下のこととも関連しましたといいますか,5つ目ですね。基礎的読解力とか基礎的な学力の確実な定着,これとも絡めて話したいんですが,よろしいでしょうか。
【荒瀬部会長】 どうぞ。
【柏谷委員】 私,この教科担任制というやつは非常にいい動きで,人口の少ないところにおいては,小規模校などにおいては本当に今話されてきたようないろいろな問題が出てくると思うんです。そうすると,家庭と地域の人の協力がなければ,私はかなり苦しいことになっていくだろうと思っています。それで,いじめの問題,それから先生方の働き方改革等も考えて,私は9年間の義務教育の見通しの中に,各学年修了時に必ずその学年の教科書を読めるようにして次に行きましょうというふうなことをはっきりと打ち出していく。まあどこかに出ているかとは思いますが。そのために家庭での音読,それから地域の人たちが学校に行っていろいろ協力していくことが非常に大事なことになってくるのではないかと考えます。
国立情報学研究所の知見の活用,これを是非お願いしたいと思っています。教科書とか新聞など,事実について書かれた文章を正確にどの子も理解する力を付けさせるべきということで,小学校6年生から社会人対象のリーディングスキルテスト,私はこれはかなり有効であると考えています。先般,私どもの全国町村教育長会議の研修会に新井紀子先生に来ていただきまして,みんなで話を聞きました。その後実際それで動き始めている仲間がいっぱい出てきています。是非,私はこれの義務化を進めていただきたいと考えます。金額的なものはそんなに掛からないと考えています。それよりも,どの子もしっかりと教科書が読めるようになって,次に進んでいくような状況を作ってあげられればと考えます。
塾のないところが町・村などは多いんです。だから,読解力というのは本当にその子たちの人生を左右する問題になります。そのことできちっとそれを実践できるように。教科書が読めないと自分一人で勉強できません。勉強ができないと新しい技術を身に付けることができなくなる。そうすると人口減,いろいろな問題に直面していくということがありますので,地域挙げて連携などを取れていく一つのいい機会になると思うので,提案させていただきます。以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,時間の関係もございますが,今,御発言の札を立てていらっしゃる長谷川委員,今野委員,橋本委員,毛利委員もですね。この4人の方にともかく話をしていただこうと思います。あと時間は20分をぼちぼち切ろうとしておりますので,よろしくお願いいたします。
では,長谷川委員,どうぞ。
【長谷川委員】 有難うございます。高学年からの教科担任制の本格導入自体は,様々な専門性を持った教師がより誕生していって,一人一人のより多様なニーズに応えられるような教育に進化していくというのは,我々としても非常に喜ばしい方向性であると思っています。この強化されていく専門性がちゃんと子供たちに伝わっていくというところまでやるには,教科担任制だけではなくて,周辺の研修であったり,免許の問題だったり,体制の整備であったり,施策自体に一貫性がどこまで宿せるかどうかによって,余りそれが子供たちには伝わらない場合もあれば,一貫性が宿れば宿るほど結果的に子供たちにしっかりとそれがメリットとして享受できるようになると思っております。
そういう観点で,特に研修を各専門性を強化するといった中で,専門性をどうやって身に付ける研修をどうやって具体的な仕組みとして用意するのかというところが非常に重要で,ではそれぞれの専門性は明確に言うと何なのか,どのスキルがあることが専門性があると言えるのかということを明確にして,そのスキルを身に付けるための具体的な研修機会は十分な時間として確保されているのか。スキルが身に付いたかどうかをどれぐらいの頻度でどうチェックして,それを査定にどう生かされていくのかというところまで,全てひも付けができると更に強固な施策になってくると考えております。
うちの中で実際にやっているのが,正に特別支援教育の関わる人材を養成するというのを,これまでに社員2,500人ほど取り組んできて,子供たち1万人以上に今提供しているのですが,具体的にはグレードを設けているんです。特別支援教育に関わる専門性をレベル1の人はこのスキルがある人,レベル2はこのスキルまで持てている人,レベル6ぐらいになってくるとかなり困難なケースまで家庭に介入してサポートできる人みたいな形で具体的なグレードを設けて,そのグレードを上げるための試験が半年に1回あって,具体的には半年に1回,スーパーバイザーがどれぐらい彼が必要なスキルを身に付けられているのか,身に付けられていないのかをチェックします。身に付けられていないスキルに関して,ではどういう機会があったら身に付けられるのかというところまでも具体的にサポートしていって,結果的に各先生たちが必要なスキルを身に付けられるような仕組みを構築して,全て給与もそれにひも付いていく形でやっていますので,非常に高い意識を持って,うちの社員一人一人は成長に貪欲になっております。
これを具体的に実現しようと思ったときに,やはり体制が必要です。大体うちでいくと,先生30人から40人に対して専任で1人スーパーバイザーは必要です。育成担当です。管理ではなくて育成担当のスーパーバイザーが必要です。そのスーパーバイザーの下にチーフリーダーになるような人が先生5人から10人に1人ぐらい必要です。そういう体制を持って初めて一貫性を持った研修の仕組みが実現できておりますので,この予算の確保も含めて,研修の仕組みと実施体制,及び予算の確保というところを是非力強く盛り込んでいただきたいと。特別支援教育に関しても,特別支援教育コーディネーターという役割があると思うんですけれども,ほぼ兼務です。専任できちんとやられている方はほとんどないと認識しておりまして,非常にいい役割であると思っていますので,そういった役割が専任で行われるようにすること。学校内での確保だけではなくて,それこそうちで特別支援教育をずっとやってきている人材もいい人材だと思います。そういった人材が民間からも登用されて,学校の特別支援教育コーディネーターにはなっていけるとか,もしそれが実現できたらうちは人材が流出してしまうのでちょっと困りますけれども,社会にとっては非常にいいことだと思っていますので,そういった一貫性ある施策に是非つなげていただきたいと思います。
最後,インクルーシブ教育をどう実現するのかという観点で,一つの事実として,インクルーシブ教育を実現しようと日本も言いながら,特別支援学校の生徒数は増え続けています。少子化の中で特別支援学校の在籍者は増え続けています。以前,イギリスの教育を視察に行ったときに,もう特別支援学校はほとんどありません,よほど強度行動障害の子供だけはそういうところに行きますが,これまでの特別支援学校は通常の学校と全部統合されましたというような話を政府の方がされていらっしゃいました。在籍者自体が増えていることが悪いとは思っていないです。お子さん並びに御家庭御家庭の選択の結果だと思うのですが,通常の学校に行きたい,普通学校に行きたいとなったときに,それを妨げる要因に関しては,どうそれを取り払うのかということは重要な課題であると思っています。
現在,国会の中で,重度の障害者の方が国会でどう活躍できるのかというところが,昨今議論にもなっていますが,今,医療的ケアが必要な子供や重度の障害者は通常の学校へ行けません。これは現状,介護が受けられないからです。ここは厚労省の制度の中です。重度の訪問看護事業,介護事業がありますので,その事業,厚労省との連携施策になると思うのですが,そういった事業が学校内でも適切に使われるような体制を作ることによって,通常学校を望む重度の障害者が通常学校に行けるようなインクルーシブ環境を作るところも,是非施策の中で検討いただきたいと思っています。以上になります。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,今野委員,橋本委員,毛利委員,そして加治佐委員にお話を頂くということでよろしくお願いいたします。大変申し訳ありません。何度も偉そうな言い方で申し訳ないですが,手短によろしくお願いをいたします。
【今野委員】 まことにローカルな話からさせていただきます。あるとき,学区内の小学校の校長先生から,外国語の授業に中学校の乗り入れをしてみませんかという申出がございました。小学校の外国語の授業の先生方の指導力向上のために,それから中学校でも系統的な指導にとってとてもいいということで考えておりました。それで,いざ中学校の教員を,TTですけれども,乗り入れ授業で派遣しようと思っておりましたが,タイムテーブルに位置付けると時数が大変増えてしまって,いまだに実現しておりません。もう1人中学校に英語の教員がいればなと考えておりました。
先ほど来,委員の先生から小規模校の学校のことがありましたけれども,そのような小学校の小規模校の教科担任制,外国語に限らず,音楽でも美術でも図工でも,中学校との連携があるのではないかと思いました。中学校区で小学校の教科担任制を人的配置の面から考えていくことで,中1ギャップの解消にもなりますし,系統性のある授業の展開ができるのではないかと,今,先生方のお話を聞いて考えました。以上でございます。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
橋本委員,お願いします。
【橋本委員】 小学校において学級担任制のよさというのはもちろんあるかと思いますけれども,先ほど来,お話が出ておりますように,特に高学年,5,6年の段階では教育の質を高める,また働き方改革に資する中学校への円滑な連携を図るといった意味で,教科担任制のメリットは大きいのかなと,基本的に私は賛成です。
その際,どんな形でそれを体制として実現していくのかということで,先ほど毛利委員がおっしゃいましたように,標準法の定数の基準で言うと,小学校と中学校で違う。中学校はより厚いということがあります。したがって,考え方としては5,6年については中学に準じたような基準を考えるという方法もあるにはあるんですけれども,いろいろお話を聞いている中で,学校の状況が規模も違えば,置かれている位置が違う,また教員の年齢構成が違うとか,指導力がまちまちだと。かなり学校によって状況が違う。
一方,どういう手法を取るかという中で,前回御報告いただいたような校内での交換授業というやり方もありますし,小小連携,小中連携あるいは外部人材の活用など,手法についてもいろいろあるのかなと思います。そういうことを考えますと,一律的な方式での教科担任制を担保するというよりは,学校の希望も尊重しながら,市町村教育委員会の判断によって柔軟な教科担任制が組める在り方を考えることが大切かなと思った次第です。以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございました。
では,毛利委員,お願いいたします。
【毛利委員】 つくば市の毛利です。私は5,6年生教科担任制には賛成です。なぜうちの学校が完全教科担任制ができるかといいますと,できたばかりの学校なので,中学生が少ないんですね。去年は4クラス,今年5クラスしかありません。定数は3クラス,先ほど小規模校で1学年1クラスで,3クラスでも中学校は9教科ありますので,定数9は変わらないんですね。なので先ほどちょっと認識が私と違うなと思いましたのは,中学校が小規模で単学級でしたら,先生方は想像以上に空き時間が多いんです。技術なんかは1・1・2ぐらいなんですね。なので,逆に小学校の小規模校と中学校の小規模校の1つの中学校区だったら,教科担任制をやりやすいのかなと思います。うちの学校もきっとそれが,中学校が7,8,9とか増えてくると,逆に今度は教科担任制ができにくくなるかなということです。定数の配置からするとそんな感じかなと思いましたので,お話ししました。
【荒瀬部会長】 有難うございました。大変興味深いお話で,これについてはちょっとまた……,何かおっしゃっていただけますか。どうぞ。
【合田財務課長】 定数の話が大変多うございました。私ども,先ほど貞広委員がおっしゃったように,この審議の結果はできるところが小学校の高学年で教科担任制ができるということではなくて,システムとしてできるというふうにしなければならないと思っております。
私ども,制度としては義務教育学校というものを作らせていただきましたが,先ほど来お話がございますように,小学校と中学校では教職員配置におきまして,いわゆる乗ずる数が全然違うわけでございます。それが先ほど来出ている問題でございます。先生の数は生徒数から割り出される学級数,その学級数に乗ずる数,例えば小学校の3学年であれば1.25,中学校の3学年であれば2.66ということで,この差が先ほど来お話になっているものでございます。いずれにしても,教職員配置はそうやって小学校,中学校が截然と分かれている。それから指導要領も小学校,中学校で分かれている。それから免許制度も小学校,中学校で分かれている。この構造が今,小学校の高学年で担任制を導入するときに,様々な壁になってございますので,これを先ほど,橋本教育長がおっしゃいましたように,それぞれの地域の事情に応じて,どのようにシステムとして選択し得るようにするのかという御議論を是非中教審で頂いて,我々もこの3つの制度の一体的な改革に取り組ませていただきたいと思っております。
ただ,教職員定数改善の関係で申し上げれば,小学校の高学年を教科担任制に中学校並みにしていくとすれば,教職員定数の改善はもとよりでございますが,場合によっては自治体を超えてでも小学校の高学年以降の学校集団の規模を大きくしていくということと,それから小学校と中学校の人材の流動性を高めていくこと,この3つを合わせわざでやっていく必要があると思っておりまして,私ども,中教審の議論を踏まえてシステムの問題として是非取り組ませていただきたいと思っております。以上でございます。
【荒瀬部会長】 合田課長,有難うございました。
では,まだ御意見おありの方もいらっしゃるかもしれませんが,時間の関係もございますので,今,合田課長のお話にもありましたし,この論点の中にもあります免許のことも含めて,免許についてはまだ教員養成部会の方で御議論いただいている最中ではありますけれども,加治佐先生から御発言を頂きたいと思います。
【加治佐部会長代理】 それでは教員免許についてちょっとお話ししたいと思います。何も答えがあるわけではないんですが。当然,教科担任制を小学校高学年で拡充するということになれば,免許状を小学校免許と中学校免許を当然併有することを進めなければいけないわけで,既に義務教育学校であれ,あるいは小中一貫校であれ,併有している先生は増えていると思います。また,研修や養成でも小中免許を取らせるとか,そういうことは進んできています。我々も力を入れてやっているところです。
ただ,今後も併有は進めるとは思いますが,今,合田課長のお話では教科担任制はシステムというふうに考えるんだということを言われています。今の免許制度はお話のように完全に幼小と中高で分かれるわけですね。幼小の類似性は高い。中高は両方取りやすい。ところが小中を取るというのは非常にハードルが高い。なぜかというと,要するに,これまでの考え方というのは幼小というのはある意味学級担任に象徴されるような子供の全人教育という趣旨なんですよね。それに対して中高は教科による専門性を主として教える,あるいは学んでもらうと。そのために教科ごとの免許だと,こういう考え方に基づく構造があるわけです。
これを小中両方に通用する免許で1つの免許ですね,だからこれを作るべきなのかどうか。作るんだったら,ちょっとそこの考え方を突破しなければいけない。だけども,これを見ると義務教育9年間を見通した指導をすべきだと言っているわけですね。そうすると,免許状の上でも,一つ,先生の新しい力として最初から小中に通用する先生というところまで見通した免許制度まで変えるのかどうかということですね。私は4月17日の諮問文を読んだときはそこまでやるんだろうなと思っていましたけれども,よく考えるとちょっとハードルは高いことは高いです。ただ,やるということであれば,大変いいんじゃないかと思うんですが。つまり作業が非常に大きくなるということは間違いない。直接的には文科省でそういう制度設計をすることになりますので,そういうことを思ったということ。
ただ,いずれにしろ,Society5.0時代になると,教科ごとの専門性とか,あるいは小中とか高の分離というのが本当に意味があるのかなと。そういう学校種自体がなくなる可能性もありますよね。そのときはおのずともうなくなりますよ。だけど,当面,この免許が今の構造のままでいくのか,それとも教科担任制をきっかけにして新しいものを作るかというのが問われるんだと思います。将来的には教科横断的な免許とか,PBLとか,多分情報系もいろいろあるんだと思いますけれども,そういうことになっていくんだと思うんです。だけど,当面どうするかということを,ちょっと方向性を示していただければと思います。
【天笠部会長代理】 1点だけちょっと,こういうことがこれまであったということをお伝えさせていただきたいと思うんですけれども。実は義務教育学校の制度化に関わる,そのとき,私も委員の末席で検討していて,そして今のこともその中で検討になりました。義務教育免許状の設立というのでしょうか,ということで進んだのですが,これは私の個人的な認識ですけれども,そこまでは達しなかったということで,もう一歩というような段階ではなくて,実現まではかなり距離があったかなという。ですから今回,やはりそこのところについては,少なくとも一緒になって検討するということについては,是非検討すべき課題ではないかと,要するに義務教育免許状です。というのは是非検討すべき課題として位置付けてほしいというのが個人的な思いとしてあります。以上です。
【荒瀬部会長】 有難うございました。御承知のように,この特別部会,教育課程部会と教員養成部会とをつなぐというんでしょうか,一緒に議論して初等中等教育の在り方を考えていこうということで,今,最後に両部会の部会長のお二人からお話を頂きました。
で,今日,この論点案を出していただいて,特にこの3ページ,4ページでありますけれども,随分といろいろな御意見を頂きました。初等中等教育分科会も含めまして,今後の日程について,田中教育制度改革室長から御説明を頂きたいと思います。
【田中教育制度改革室長】 長時間にわたりまして,有難うございました。次回の新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会の日程につきましては,10月25日,金曜日の14時から17時での開催の予定としております。詳細につきましては,委員の皆様に追って事務局から御連絡申し上げます。なお,今,部会長からもお話がありましたけれども,初等中等教育分科会につきましては,10月4日,金曜日の13時から16時で開催を予定しているところでございます。
【荒瀬部会長】 今,田中室長からお話がありましたように,10月4日に初等中等教育分科会が開催予定であります。その分科会におきまして,本部会の検討状況を事務局から御説明いただくということで,今日頂いた御意見を反映して初等中等教育分科会に報告していただこうと思っております。御了承をよろしくお願いいたします。
それでは本日予定しておりました時間になりました。まだ御意見のある方は今後の会議でまたおっしゃっていただきたいと思います。本日はこれで終了といたします。有難うございました。

―― 了 ――



 

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