教員養成部会 教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループ(懇談会) 議事録

1.日時

2019年11月7日 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館15階15F会議室

3.議題

  1. Society5.0 時代に対応した教員養成を先導するフラッグシップ大学の在り方について(中間まとめ案)
  2. その他

4.出席者

委員

三島良直主査、加治佐哲也主査代理、安藤雅之,松田恵示,水落芳明,若江眞紀

文部科学省

浅田総合教育政策局長,平野大臣官房審議官,柳澤教育人材政策課長,髙田教員養成企画室長,長谷教員免許企画室長 他

5.議事録

【三島主査】  定刻になりましたので,ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループを開催いたします。
 
 本日は第7回の開催と御案内しておりましたが,急遽(きゅうきょ),委員の御欠席がありまして,定足数に満たないため,本日は懇談会という形で開催いたしますので,御理解いただければと思います。
 いよいよまとめの最終段階へ向かっているところでございます。本日も御意見を頂きたいと思いますが,初めに,配付資料の確認を,事務局にお願いします。
【髙田人材政策課教員養成企画室長】  それでは,資料の確認をさせていただきます。いつものように端末のデスクトップに本ワーキングの会議資料を格納したフォルダがございます。フォルダを開きますと,本日の座席表,議事次第,また,議事次第に記載のとおりの資料1から資料6があります。
 また,参考資料1で,先日取りまとめいただきました本ワーキンググループの中間まとめの本文,参考資料2で概要,また,参考資料3及び4として,本日の議題にもあります,中央教育審議会への諮問本文と概要を添付しております。また,参考資料5としまして,先月,高等教育局より出された「第4期中期目標期間における指定国立大学法人の公募について」の通知を参考までにお配りしております。
 このほか,平成29年の有識者会議報告書と前回までの会議資料及び好事例集をファイリングしたもの,前回配付資料の中間まとめ(案)から公表版への変更点を赤字で示したもの,そのほか,パブリックコメントで寄せられた御意見を机上に用意しておりますので,御参考ください。
 御不明な点がございましたら,お近くの事務局員までお申し付けください。
【三島主査】  それでは,本日の会議の進め方でございますが,前回のワーキンググループ以降,先般取りまとめた中間まとめを,10月4日の教員養成部会にて報告しました。また,10月10日から30日にかけてパブリックコメントを行い,広く意見を公募しました。まずは,教員養成部会とパブリックコメントのそれぞれで頂いた御意見について,事務局から御紹介をいたします。
 続いて,本年4月に中央教育審議会に文部科学大臣より諮問された「新しい時代の初等中等教育の在り方について」を踏まえた,初等中等教育分科会の下に置かれている「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」での直近の審議状況についても御紹介いたします。
 その後,12月の最終報告のとりまとめに向けて,今回のパブコメ等で寄せられた意見などを踏まえた最終報告の素案を準備しましたので,これについて更に検討すべき,また,記載すべき内容について御議論いただきたいと思いますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは,最初に,教員養成部会で頂いた御意見,それから,パブリックコメントで寄せられた御意見について,事務局から御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
【髙田人材政策課教員養成企画室長】  それでは,まず,資料の御説明をいたします。
 前回,中間まとめ(案)を御審議いただきまして,その後,主査預かりという形で,最後に少し修正された部分がございますので,その確認をした上で,パブリックコメントの意見に移りたいと思います。
 まず,資料1を御覧ください。あわせて,机上配付しました,前回の中間まとめ(案)から中間まとめへの変更点を,赤字で示した資料がございますので,参考にしながら御覧ください。
 前回,ワーキンググループの御意見として頂いたのは,中間まとめ(案)に対して,例えば,全体的にSociety5.0の社会を見据えた教員養成であるということを打ち出すべきではないか,Society5.0感の要素が十分ではないのではないかという御意見を頂きました。
 また,現在抱えている教育課題に対応するというようなことだけではなく,例えば,新しい学習指導要領の改訂の今後の方向性を検討・提案するというようなプッシュ型の役割のようななものを記載した方がいいのではないかという御意見がございました。
 また,大学の実績の評価は当然重要だけれども,今後の計画についてもきちんと評価するといった姿勢を見せるべきではないかという御意見がございました。
 また,本年6月に文部科学省で取りまとめた「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」についてもしっかりと受け止めたような記載にすべきではないかという御意見がございました。
 そのほか,フラッグシップ大学でなければできない役割や目的だとか,ほかの大学ではできないような難しい部分をフラッグシップ大学が先導してやっていくというような役割や姿勢というものも,明確に打ち出すべきはないかというような御意見を頂いております。
 それらを基に修正したものが,今回,最終的にまとめました中間まとめでございます。例えば,1ページで,教育再生実行会議の提言を受けて文部科学省が公表した最終まとめも踏まえているだとか,2ページ,3ページで,Society5.0だとか,あるいはSociety5.0時代に特に重要になってくるであろうAIだとかビッグデータだとかいったような文言ですとか,Society5.0に対応したということが明確に分かるような文言を追加修正しております。
 そして,3ページで,課題解決だけではなくて,政策提言ということについても明確に示した記載に変更しております。
 また,4ページ,5ページの部分でございますが,前回御意見でありました,質保証にも少し留意した方がいいのではないかというような御意見だとか,5ページでは,Society5.0というのが明確に分かるようにということもありましたので,例示として,オンライン教育だとか,STEAM教育だとか,ビッグデータの活用だとか,そういったような,Society5.0に対応しているということが分かる文言を追加しております。
 また,5ページ,6ページで,独立させた方がいいのではないかと言われたような要件の部分を独立させて,記載しております。
 そのほか,用語の統一,修正を行っております。それが,最終的にまとめられた中間まとめということになっています。
 つづいて,資料2の方に移ります,まず,10月4日に教員養成部会が開かれまして,そこで中間まとめについて御報告いたしました。
 その際に教員養成部会で頂いた意見といたしましては,一つ目,二つ目が,フラッグシップ大学以外の大学にどういう影響があるのか若干懸念がある,例えば,フラッグシップ大学以外の大学との環境整備や財政措置についても配慮をお願いしたいといったような御意見がございました。
 三つ目の丸でございますが,ここでは,そういった選定に当たって,大学が提案された計画をきちんと評価する仕組み,そういったものに対応していただきたいというような御意見も頂きました。これについては,中間まとめの中で,教員養成部会に選定のための委員会のようなものを立ち上げるということを記載しているところです。
 そして,四つ目の丸で,制度の特例や弾力化のための規制の緩和などについてどのように考えているのかという御意見を頂きまして,これについては,免許制度上,何らかの形で基準の特例について位置付けていく等を検討しているというところでございます。
 最後,例えば,フラッグシップ大学と一般の教員養成大学・学部で養成する教員の人材像とかは大きく変わるのか,あるいは求められる資質や能力が異なってくるのかといったことについて,どのような前提の中で枠組みを考えるのかということについての御質問などがございました。
 これについては,もちろん共通している部分もございますが,フラッグシップ大学として,人材像だとか,求められる資質や能力という,その在り方自体を大きく変革していくようなことをしていただくということで,中間まとめをまとめたところでございます。
 資料2の次のページに移りまして,こちらは中間まとめに関する意見募集の結果ということでまとめているものでございます。意見募集につきましては,10月10日から10月30日までの21日間,ホームページで募集いたしまして,受付方法として,郵送やファクス,電子メール,その他意見フォームなどで出していただいたものでございます。
 結果的に,提出いただいた意見は18件でございました。 その概要について少し意見別に分けたものが資料2の後半の部分でございまして,主な意見の概要について簡単に御紹介いたします。
 まず一つ目,目的・必要性について,例えば,SDGsの目標などについても加えてはどうかという意見がございました。
 また,役割について,これは最近の教員志望学生の減少というようなことを受けて,そういったことを回復させるような方策についても先導的に取り組む必要があるのではないかという御意見でございました。
 二つ目,三つ目の部分で,これについては,例えば,日本の教師教育というものを世界に発信するような役割が必要ではないか,また,海外の国々での教育施策に寄与するような情報の提供なども必要ではないかという御意見を頂いております。
 次に,要件についての意見でございますが,バランスのよい教科指導に注力しているなどを評価のポイントに加えていただきたいとか,主要教科以外全ての教科の価値や意義を,教師を目指す学生へ伝える努力をしている点を評価のポイントに加えていただきたいというようなことでございます。Society5.0への対応が,技術だとかいったようなことの偏重にならないようにという趣旨の御意見だったかと思います。
 その後は,例えば,教員就職率について,直近5年間平均で80%を超えるといった高いハードルが必要ではないか,また,大学院について年間30人以上の現職教員の受入れ実績を求めるなどの高いハードルが必要ではないかというような,より高いハードルを求めるべきという御意見がございました。
 一方で,現時点で要件の体制を備えるのに不利な状況にある大学にとっては,申請段階で既に不利が生じているので,地域の事情といったようなことも勘案した配慮をお願いしたいという逆の方の意見もございました。
 また,多様な関係機関との連携・協働の部分については,他大学だけではなく,国内だけではなくて,国内外の大学とも連携すべきでないかという御意見がございました。
 そのほか,用語上の問題の御意見ですとか,あと,条件整備,支援等で,ICT専門支援スタッフの育成・配置も追記してほしいという御意見もございました。
 そのほかの意見としては,フラッグシップ大学をごく少数に絞るということについて,そこまで絞る必要もないのではないかという御意見,あと,先ほど申し上げました,科学教育だとか技術教育,あるいは主要教科に偏重するようなことがないようにということについては,フラッグシップ大学でSTEAM教育や文理横断的な学びを推進してもらうということを考えておりますので,そういったことでございます。
 その他には,教育効果を上げるため,地域の実情に応じた柔軟な運用を推奨することについて明記いただきたいとか,科研費等で特定の枠を設けてほしいとか,そういったような御意見がございました。
 以上が,パブリックコメント等の意見でございます。以上でございます。
【三島主査】  教員養成部会とパブリックコメントで頂いた御意見を御紹介いただきました。これについて御質問,御意見等ございましたら,もう少し説明が終わった後でまとめて行いたいと思いますので,次へ移らせていただきます。
 次は,「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」での直近の審議状況について,事務局から御説明いただきます。田中室長,どうぞよろしくお願いいたします。
【田中教育制度改革室長】  失礼いたします。初等中等教育局教育制度改革室長の田中でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 今,主査からございましたように,本年の4月17日に中央教育審議会に大臣から諮問いたしました,新しい時代の初等中等教育の在り方につきまして,その諮問の審議状況について御報告させていただきます。
 この審議につきましては,初等中等教育分科会の下に特別部会を設置して,そ特別部会を中心に議論しております。また,教員養成部会,それから教育課程部会とも連携した形で行っておりまして,この特別部会には加治佐主査代理に部会長代理として入っていただいております。また,若江委員にも御参画いただいております。そういった中で私から御報告することは僣越(せんえつ)ではございますけれども,事務局として取りまとめを担当しておりますので,御報告させていただきます。
 まず,その諮問の概要につきましては,委員の皆様におかれましては御承知もことかと思いますが,簡単に振り返りますと,これは16年ぶりの初等中等教育分野における総合諮問という位置付けでございます。Society5.0時代の教育・学校・教師の在り方について,様々な今の日本の学校教育の成果と,そして,新たに生じている課題を克服しながら,Society5.0時代の教育を目指していくといったところが背景にございます。
 教員養成に係る部分で言いますと,課題として指摘されておりますことは,今の教員の働き方改革,文部科学省として全力で進めておりますが,教師の長時間の時間外勤務が常態化している状況,それから,先ほどもありましたが,教員採用選考試験の競争率の減少,とりわけ小学校採用試験の倍率の急落といった状況,このような課題もございます。
 また,Society5.0の時代においては,子供たちの学びの変化に応じた資質・能力を有する教師,多様性があり,変化にも柔軟に対応できる教師集団を目指す必要があるということでございます。
 諮問事項は大きく4点ございますけれども,特に教員養成に係る部分につきましては,4点目,これからの時代に応じた教師の在り方や教育環境の整備等ということで,幾つかの諮問事項が掲げられております。
 例えば,総合的な話になりますが,教員養成・免許・採用・研修・勤務環境・人事計画の在り方をどうするのか,それから,児童生徒に求められる資質・能力を育成することができる教師の在り方とはどういったものか,また,特別な配慮を要する児童生徒等への指導など特定の課題に関する教師の専門性向上の仕組みの構築などが掲げられてございます。
 それでは,お手元のタブレットで資料3を御覧いただければと思います。こちらにつきましては,これまで特別部会を4回実施しましたが,直近の10月25日に開催した第4回特別部会におきまして,それまでの3回の議論を踏まえて,これまでの審議を踏まえた論点整理(案)というものをお示ししておりますので,これをもって議論の状況を御紹介するのがよいかと思い,準備をいたしました。
 この資料でございますけれども,まず,1枚目,2枚目で,新しい時代を見据えた教育の将来像の方向性,こういった教育を目指していくんだというイメージについて書いております。一番上には,そもそもどういった子供たちにどういった資質・能力を育むのかといったことが書いてございまして,これは今回新しく書いたというよりも,第3期の教育振興基本計画,あるいは今回の諮問文の中で書かれたものについて書かせていただいております。
 その上で目指すべき教育の姿について,この目指すべき教育の姿が実現する時点はいつだと明示しているわけでありませんが,イメージとしては,2020年代を通じて実現していく教育の姿ということで,2点ございます。一つは,子供の学びはどのような姿,どのような学校になっているか,これにつきましては,多様な子供たちを誰一人取り残すことのない,個別最適化された学びが実現されているというところを目指すということでございます。
 以下,丸が幾つか続きます。まず,先端技術に関しましては,これは教師を支援するツールとして先端技術が有効に活用されることで,基礎的な学力,資質・能力を確実に子供たちが身に付けることができるとともに,多様な子供たち,それは外国籍であったり,あるいは発達障害などがあったといったことも含めて多様な子供たちの一人一人の能力,適性等に応じて,子供たちの意欲を高め,やりたいことを深められる学びが提供されていること。
 さらにその下の丸でございますけれども,そういった先端技術も活用して,個々の児童生徒の学習状況を教師が一元的に把握できるといった中で特別な支援が必要な子供に対する個別支援も充実されて,さらに,特異な,高い資質・能力を有するような子供たちが,その才能を存分に伸ばせると。そういう高度な学びの機会にもアクセスできること。
 さらにその次でございますけれども,子供たちの心身の健康が守られて,子供の生活や学びにわたる課題,貧困・虐待等が早期に発見されて,全ての子供たちが安全・安心に学ぶことができること。
 さらにその下,学校と社会とが連携・協働することで,探究的・協働的な学びが実現され,STEAM教育などの実社会での課題解決に生かすための教科横断的な学びが提供されていること。
 その次のページでございますけれども,特に高校のことも書いてございます。特に普通科におきましても,特色化・魅力化が実現されていること。
 こういった形の姿を実現するための環境をどうするかということで、この中では,教師の在り方というのも,学びを支える環境,重要なファクターの一つとして整理しております。ここで目指すところは,全国津々浦々の学校において,質の高い教育活動を実施可能とする環境が整備されていること。特に一つ目の丸でございますが,多様な経歴や職歴を持つ適任者を広く教育界の内外から確保するために,教職の魅力向上や教員養成,採用,免許制度を含めた方策を通じて,ここに書いているような,多様性があり変化にも柔軟に対応できる教師集団が実現されている。さらに,チーム学校が実現されていること。
 さらに,その教師が生涯を通じて変化の多い時代の中で学び続けて,技術の発達や新たなニーズなど,学校教育を取り巻く様々な変化に対応できる環境が整備されていること。
 その下でございますが,特別部会でも議論の中心の一つになっておりますけれども,学級担任制と教科担任制が義務教育9年間を通じて効果的に実施されていること。
 さらに,ICTの導入により,ビッグデータの整備,それから,校務の効率化等も行われていること。
 人口減少の中で,このままですと学校の小規模化は進むわけですが,そういった中においても,自治体間の連携や小中の連携などによって,魅力的な教育環境が整備されていること。
 幼児教育につきましても,小学校との接続の下,質の高い教育が提供されていること。こういったところが,目指す姿として議論されております。
 これを実現するためにどうしていくのかということで,3ページ目でございますが,今,多くの論点がある中で,ここにおりますような,ICT環境や先端技術を効果的に活用した教育の在り方,それから,義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方については,これまで特に集中的に議論いただいておりますので,その論点については,この後のページで御説明申し上げます。
 下にありますように,教育課程の在り方については,教育課程部会で中心に御検討いただいておりまして,教師の在り方につきましては,正にこのフラッグシップ大学のワーキングループ,あるいは教員養成部会で御検討いただいているところでございます。高校につきましては,高校ワーキングというものを設置しておりまして,また,外国人児童生徒,特別支援教育については,それぞれ有識者会議を設置いたしまして,幼児教育についても,かなり幅広い論点にわたりますので,特別部会をハブとしながら各ワーキング,それから各部会,有識者会議等での検討をつなげていくというような運営の仕方をしております。
 また,ここに掲げられた論点が全てではなく,年明け以降にも御議論いただくものもあろうかと思っております。スケジュール感としては,今年の12月には,今御覧いただいております論点整理,論点取りまとめとして,大まかな方向性を12月には初等中等教育分科会でお取りまとめいただき,その大まかな方向を基に,年明け以降,特別部会を中心に各部会,ワーキング,有識者会議等で更に御議論いただき,来年の夏頃に中間まとめ,来年末には答申を頂くといったことを想定しております。
 続きまして,長くなりまして恐縮ですが,先ほど申し上げました論点の幾つかうち,特に集中的に議論しているということについて御紹介申し上げます。
 5ページ目の,ICT環境や先端技術を効果的に活用した教育の在り方についてをご覧ください。
 まず,一つ目のところですが,ICT環境や先端技術には,学びを変革していく大きな可能性があるわけですけれども,これを全ての子供の力を最大限に引き出すものとして機能するためにはどう推進していくかをよく検討する必要があるというものが一つ目です。
 また,その下,二つ目ですが,ICT環境や先端技術を活用できる場面・効果として,四つ分類しております。一つ目は,学びにおける時間・距離などの制約を取り払うこと。これは,例えば,遠隔教育,遠隔授業の導入により,距離を超えるといったようなことでございます。
 それから,2番目に,個別に最適で効果的な学びや支援。これは,いわゆるアダプティブな学習というものをICTによって進めることもできますし,それぞれの子供の特性に応じた学びというのも,ICTによって実現しやすくなってまいります。
 三つ目ですが,可視化が難しかった学びの知見の共有やこれまでにない知見の生成。これにつきましては,例えば,優れた授業をなされる先生,教師の方のノウハウや,そのときの子供たちのコミュニケーションの様子,こういった従来は経験,勘でやっていたようなものを,ICT,AI等を活用することによって可視化して,ノウハウを効果的に伝承する,あるいは新しい知見を生成することもできるのではないか。
 さらに,働き方改革の必要性がある中で,校務の効率化という部分にもつながる。こういった様々なメリットが考えられるわけですが,これをどう具体的に効果を上げるためにやっていくのか,これを詰めていく必要があります。
 その次でございますけれども,習熟度別学習,習熟度別指導の考え方にとどまらず,個別に最適で効果的な学びの支援について,遠隔・オンライン教育の活用や,AI技術を活用したドリル等,こういった先端技術をどのように活用するといいのか。その手法や効果,留意点などとしてどういうことが考えられるのか。特に委員からも意見が出ていましたが,義務教育段階では,対面での教育を通じて社会性等を身に付けさせることこそ重要であり,児童生徒同士,児童生徒と教師が顔を合わせて学級で共に学ぶことの意義については,ICT化が進む中においても再確認する必要があるという御指摘もございました。
 また,AI技術を活用したドリルなど,こういった先端技術を活用する中で,一部既に先進的な例も出てきておりますが,特に知識及び技能の定着に係る部分については,AIドリル等によりまして授業時間を短縮し,そこで少し生じたゆとりのある時間をSTEAM教育や課題解決型の学習により多くの時間を掛けることができるといった可能性もあるのではないかという議論もございます。
 さらに,個別で最適な学びを進めていくと,そこのところで,今の同学年,同級生による学びというものから,個々の進度差というのも出てまいりますので,学年を超えた学びを行うということについても可能性としてあり得るのではないか。これをどう考えていくのかということ。
 さらに,6ページでございますが,ここが正にこのワーキンググループでも関係が特に深いところだと思いますけれども,ICT環境や先端技術の活用が進む中で,教師の資質・能力として,児童生徒の本質を理解した上で,ICT活用指導力や一人一人の能力・適性に応じた学びを支援する力が一層求められるのではないか。その際,教師の在り方や果たすべき役割,それから,教員養成・免許・採用・研修・勤務環境・人事計画等,また,外部人材の活用はどうあるべきと考えられるか。
 さらにその下でございますが,実際,こういったICTを進めるに当たって,現実には致命的とも言えるべき地域間格差があるという現状がございます。パソコンの一人当たりの台数を見ましても,それから高速ネットワークの状況を見ましても,各県,各自治体,各校によって大きな差があります。そういった中で,プログラミング教育や情報モラル教育など,情報教育の充実や個別最適な学びを進めていく中で,個別には申し上げませんが,以下に掲げておりますような,例えば,一人1台のコンピュータ端末の整備や,安定かつセキュアな高速ネットワーク環境の整備といったことを,各自治体の取組を早急に進めるための手立てに取り組むべきではないかといったことになっております。
 長くなりまして恐縮ですが,次に7ページをご覧ください。こちらは,義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方について,一つ目ですが,現在の議論の方向性としては,小学校高学年の児童の発達段階,それから,外国語教育をはじめとした教育内容の専門性の向上などを踏まえまして,小学校高学年からの教科担任制の本格導入を検討すべきではないかという方向で議論が進められております。
 その次でございますが,その本格導入するに当たりましては,教員定数,教員養成・免許・採用・研修,教育課程などの在り方を一体的にどう考えるべきか。特に制度面でいいますと,教員配置ということで,義務標準法の在り方,さらに免許の方でいいますと,教科指導の専門性を高める教員養成・研修の仕組みの構築や教科指導・探究活動等の専門性の高い教員の学校種を超えた配置の推進など,免許法の在り方も含めて,教員政策について検討が必要ではないかと。
 その下でございますが,特に高学年からの教科担任制をやる場合,小中一貫の推進も含めた連携がより必要になってきますけれども,その場合,教師が小学校と中学校とを行き来することも考えられます。そういった連携についてどうあるべきかといったこと。
 さらにその下でございますが,小学校における教科担任制の導入によって考えられるメリットというのを書いております。一つは,限られた教科を小学校でもやることによる,教科研究の深化や授業準備の効率化による教科指導の専門性や授業の質の向上,それから,教員の負担軽減,専門性の高い授業による児童の学力向上,複数教師が小学生に関わることによる,多面的な児童理解による心の安定,こういったメリットなどが考えられるということでございます。
 最後に書いておりますのは,こういった小学校5,6年生,高学年からの教科担任制を導入するのであれば,小学校中学年までに基礎的・基本的な知識を確実に習得させるために,ICT技術も活用しながら取り組んでいく必要があるいったことが書かれております。
 現在の議論はこういったところでございますけれども,先日,10月25日の特別部会でも活発に御議論いただきまして,その場で出た御意見の中で,特に教員養成に関わりのある部分について,幾つか口頭で恐縮ですが,御紹介申し上げます。
 まず,発達障害の視点が教師側に求められている中で,幼稚園も含めた全ての学校種の免許において,子供の特性の理解や対応に関する学びをより一層進めていく必要があるのではないか。
 それから,新学習指導要領の下,社会に開かれた教育課程を実現していくことが求められる中で,総合的な学習の時間や総合的な探究の時間等におきまして,身の回りの地域と連携・協働し,探究的な学習を進めていくことがますます求められるといった中で,教師のコーディネート能力の向上が求められる。このための研修や教職課程でどのように教師のそういった能力を育成していくのか。
 また,重ねてこれは加治佐部会長代理から御指摘もあったのですけれども,教科の枠を超えたSTEAM教育,探究的なPBLの指導力を持った教師をどう育成していくのか。それを免許の中でどう考えるのか。また,教職大学院の役割として,こういったSTEAM教育やPBLを担える人材の育成を付け加えていくこと。それから,教員採用試験を行う教育委員会の職員に対して,今後教師に求められる力が何かをしっかりと御理解いただいて,採用試験の在り方を考え,変えていくことも必要ではないかという御意見を頂いたところです。
 また,特に高等学校教育におきましては,大学入試に合わせて文系,理系に偏った学びになっているという現状があるのではないか。これが大学生にも影響しておりまして,教員養成の場面でも,この,文系,理系の格差が問題になると考えており,具体的な検討が必要ではないかといったような御意見があったところでございます。
 長くなりましたけれども,以上でございます。
【三島主査】  御説明どうもありがとうございました。
 感想ですが,大学の教育をどうするかということとほとんど同じで,文言を小学校,中学校を学部と大学院に替えればほとんど同じではないかと,少し伺っていて思いました。ありがとうございました。
 それでは,ただいまの特別部会の御説明につきまして,もし御質問ありましたら,ここで伺おうと思いますが,いかがでしょうか。
 もしないようでございましたら,本年12月を目途にまとめることとしている本ワーキンググループの最終報告に向けて,その素案について御準備しておりますので,それを御説明した後,自由にその内容について付け加えるべきところ,書き直すべきところについて,御意見を頂きたいと思います。
 それでは,事務局から,資料4のご説明をお願いいたします。
【髙田人材政策課教員養成企画室長】  それでは,資料4,資料5,また,参考資料5などを参照しながら,説明したいと思います。
 資料4に入る前に,資料5をご覧ください。本日,まず,中間まとめに対する教員養成部会やパブリックコメントの意見を御紹介し,これについてご審議いただきたいということでございます。
 また,先ほど田中室長から御説明いただきました「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」の論点整理の中でも,フラッグシップ大学の検討に当たって,参考となる幾つかの記載があったかと思います。そういったことを踏まえて,更に今回の中間まとめで加えるようなことについてご意見いただければと思います。
 また,中間まとめで,教員養成を先導するフラッグシップ大学の呼称について適切なものを考えていくという話がございましたが,これについても,今後,こちらの方で提案させていただければと思っております。
 そして,最終報告の全体の在り方について,今の資料4の素案では中間まとめをベースに作っておりますが,そういった方向性でいいのかどうかということについて御確認いただければと思っております。
 次に,参考資料の方を少し御紹介いたしますが,参考資料5として,次の中期目標期間において,指定国立大学に申請するに当たっての通知というものを出しております。今回,教員養成のフラッグシップ大学の検討に当たりまして,指定国立大学の制度について少し参考にしておりましたので,これについて横目で見ながら,今後の議論にも参考にしていただければと思っております。
 それでは,資料4に移ります。表題については最終報告という形で,フラッグシップ大学という名前は変更される余地がありますので,「○○○○大学」という形にしております。
 まず目次の部分を御確認いただければと思いますが,呼称などが変わることを想定しておりますので,少し目次を直している部分がございますが,中間まとめをまとめるに当たっていろいろな御意見をたくさん頂いたのですが,必ずしも中間まとめ本文の中に十分に取り込めなかった御意見もあったかと思います。そういったことについて,我々としては,附属資料を最終報告に添付しようと思っておりまして,例えば,審議経過の概要みたいな資料もこの中にも入れ込んで,そういった形で,どういったことが特に議論になったのかとか,こういったことが重要ではないかというような,十分に本文に書き込めなかった意見について,ここで表していきたいと思っております。
 それでは,本文の方に移りまして,1ページ目では,中間まとめが最終報告に変わるということで,それに伴う変更などを予定しているところでございます。
 次のページに移りまして,呼称などについても,次回提案する予定でございます。
 フラッグシップ大学の役割という部分が3ページから4ページにかけての部分でございますが,特にここではまだ修正等行っておりませんが,先ほど役割などについてパブリックコメントなどで幾つか意見もございましたので,そういったようなことについてどうするか,またこの後皆さんから御意見を頂ければと思っております。
 次に,フラッグシップ大学の創出方法について,公募・選定の部分でございますが,少し書き加えた部分がございます。赤字の部分ですが,適切な目標設定というものについても留意すべきということで,これについては,先ほど少し御紹介いたしました,指定国立大学の評価をするに当たって目標設定というもの,それぞれの大学できちんと現状を,分析した上で,今後そういった世界に肩を並べていく研究大学として,どういった目標設定をしていくかということについてきちんと記載していくというものがありました。そういったようなことも参考に,教員養成のフラッグシップ大学として,申請の際にそれぞれの大学がどういった目標設定をしていくのかということについても見ていくという観点で,この部分を書き加えています。
 また,下の方で,この選定に当たっては委員会を設けて審査していくということを既に書いてございますが,選定に当たって,計画やコスト等の改善を条件としたりするというようなことも想定しておりますので,これについて書き加えているところでございます。
 それ以降は特に大きな変更はございません。6ページの部分で,附属学校部分についての括弧内の例示について,少し偏りがあるのではないかという御指摘がありましたので,そういった附属学校らしい例示を書き加えた部分がございます。
 以上が,今回,資料4として提出いたしました最終報告に向けての素案でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【三島主査】  御説明ありがとうございました。
 それでは,この最終報告の素案について,先ほどの教員養成部会とパブコメで出てきた意見をどう取り込むかというようなことも含めながら,最終報告の素案を御覧いただいて,御意見を頂ければと思います。
 安藤委員,どうぞ。
【安藤委員】  よろしくお願いいたします。安藤でございます。
 2ページの教員養成を先導する大学の目的・必要性に関して,これまでも何度も議論されてきていることだと思いますが,ただいま特別部会の報告を受けて,改めてやはりSociety5.0時代の教育とか学校とか教師の在り方ということがきちんと打ち出されていないと,なかなかSociety5.0に対応したフラッグシップ大学ということが説明できないのではないかということを思いました。
 どういうことかというと,今ここにAI以下,ずっと書いてありますけれども,この内容をもう少しSociety5.0時代の教師の在り方,いわゆる指導力の育成ということについて強化しないと,どうしても先ほどの懸念のあるICTの対応とか,あるいはそういう技術的なところに特化したような形に見えてしまう。やはり最終的には資質・能力の育成なんだというところを強化していかないと,先ほどの対応策としても説明がつかないのではないかと思いますので,できましたら,ここの部分については,先ほどの特別部会のものを反映させながら,生かしていただけるといいかなということを感想として持っております。
【三島主査】  ありがとうございます。
 それに関連してでも結構ですし,それ以外のことでも結構です。ほかに御意見ございますでしょうか。
 松田委員,どうぞ。
【松田委員】  今の2ページの部分なんですが,私も特別部会の話を聞きながら,特にSDGs,持続可能性ということに関しての議論ということが,この中に入っている必要があるなと感じたところです。
【三島主査】  ありがとうございます。ほかはいかがでございますか。
 若江委員,どうぞ。
【若江委員】  ありがとうございます。私も今の目的と必要性のところですが,最初の丸のところから,ICT活用指導力等という,過去も取り出されたことばかりが書かれています。さらには,今までの教員というのは,教員養成という教育の世界だけで一般社会を知らないまま教員になっているというのが少なくないこともありますので,今回の教員養成フラッグシップ大学では,社会のことをまず十分に知るといったことをどこかできちんと明確に入れておくべきではないかなと思います。教員として,教育のことを知る以前に,社会のことをきちんと知るという,そういうことも加えていただければと思います。
【三島主査】  ありがとうございます。そうですね。本当に大きな社会的な変化を伴っているところですから,そこは大事かなと思います。
 今の教員養成を先導する大学の目的・必要性のところ,やはりAIとかビッグデータとかいうと,そういう技術的なことを,新しい世の中が使う技術をしっかりと教えられるみたいなことに確かに聞こえるので,もう少し本当に大きなパラダイムシフトみたいなことが起こっている社会の変化,そういったものに対して,教員としてその意味なり,その内容についての理解をした上で,それを子供たちに伝えるというようなことが表に出た方がいいだろうと思います。それは大変ごもっともなことだと思いますので,そこをどのように書いたらいいかは,また事務局と相談をいたしますけれども,心したいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。松田委員,どうぞ。
【松田委員】  今の部分,感想で,非常にざっくりとした言い方をしてしまいますと,20世紀型のスキルに対しての教育というものがあって,これまで積み上げてきたわけですが,AI等の先端技術というのは,そういうものを基本的にまず合理化していくという,そういう活用の仕方というのがまずは図られているんだと思うんです。
 先ほども,コンテンツのようなものを高度化していくとか,あるいは合理化していくというところでの活用の仕方について御紹介がありましたところが,いわゆる21世紀型のスキルや力ということで,例えば,そのコンテンツに対してコンピテンシーみたいな言葉を使ったとすると,そういうものは基本的に定量化されないから,なかなか標準化も一般化もしにくいというところがありますが,教育現場ではそれが実は評価され,学習指導にも実は生かされている。そのあたりをAIや先端技術でもってどう可視化して,それを更に伸ばしていくのかというのは,恐らくこれからの教育の一つ――そうなりますと,そういう創造的な教育力を持った教師の育成とか,あるいは,そういうものを支える研究教育というものがなされていく必要があるんだろうなと改めて感じたところでございます。
【三島主査】  ありがとうございます。
 今おっしゃったのは高等教育の中でも,やはり知識を身に付けたということよりも,いろいろなファクターを探究的に繰り返し考えながら結論を出していくというような能力が非常に要求されるというところを,そういうところだと思うのですけれども,そういうことに対する教員としての総合的な力というものも望まれるのであろうということかと思いますが,それでよろしいですかね。
【松田委員】  はい。
【三島主査】  それじゃ,どうぞ。
【加治佐主査代理】  全く話は変わるんですが,文字どおり先端で教員養成を引っ張る大学であるということです。だから,内容も当然ながら,この素案に書いてあるように,斬新なものになるわけですね。もちろんそうでなければいけないということです。
 ただ,これは指定大学ということになりますし,かつ,これまでの議論にもありましたように,研究開発的な大学であるわけです。もちろんそうあるべきで,そのために規制緩和もされて,特例的な大学になるということなんですが,言いたいことは,学生が来るかどうかということなのですよ。学部生。特に大学院生。我々は当然,将来的にこう変化していく必要性があるということは思うわけですけど,ただ,学ぶ側(がわ)の人々が,こういうちょっと先端的な大学で学びたいと思うかどうかということがあります。
 どうしても非常に変わったものとか他と違ったものというのは,なかなか最初は取っ付きにくいというのがありますよね。だから,少しそこのところが心配ではありますね。何もしないでこのまま行ってしまうと,本当に来るのかという心配です。ですから,何とも言いようがないのですが,例えば,大学院であれば,現職教員の中で非常にこれから期待されているような先生方がこういうところに学びに行くような何かインセンティブのようなものとか,あるいは,教育委員会への働き掛けというものも少し書き加えることはできないのでしょうか。
 学部の方も,教員採用試験を当然考えます。免許は,当然同じ免許が取れるということがこれまで議論されてきましたが,ただ,学んでいることが変わっているわけですね。同じ免許であっても,学んでいる内容が変わりますので,当然培った力も変わっているはず。一番非常に新しい力を持っていると思うのですが,ただ,そういう方々のための採用試験が用意されるかどうかということ。多分,入学する方は,保護者も含めてまずそれを考えると思うのですよ。ですから,そういうところへの何らかの言及も要るのかなということを今になって思います。
 今後,文部科学省の方でまた細かい要項等を作られる際に,もし可能であれば,そういうところも配慮いただけるといいか思います。
【三島主査】  こういう教育を,今言っているようなSociety5.0だとか,社会がどういうふうに変わっていくかというようなことを打ち出してここに書いてあるけれども,これまでとは違った教育を行うときに,その教員養成大学に行こうと思う学生がいるかという,そういう御心配ですか。
【加治佐主査代理】  現職の先生も含めて,そうですね。つまり,これは研究開発型の大学であるんですけれども,ただ,同時に学生も在籍するわけです。しかも同じ資格が取れる,同じ免許が取れるということがこれまで議論されてきました。つまり,基本的には同じ資格を持つ人々が養成されるということですので,どこか心配です。全く新しい人材の養成なんですけども,何かその人材が特別扱いされるといったことになると,また話が変わるのですが,必ずしもそうではありませんので,少しそこが気になるところかなというふうに思っています。
【三島主査】  ありがとうございました。分かりました。
 今の御指摘について,何か御意見ございますか, では,水落委員。
【水落委員】  今の加治佐主査代理の意見,波風立たないと沈んでいくような状況の中で,特に現職教員の院生が集まるような多様な履修形態の在り方については有識者会議の報告書にも提言があったと思いますけれども,今回,Society5.0時代の教員養成をSociety4.0の講義形態で育てるというのは,やはり少し違うのかなと思うのですね。
 Society5.0に合ったカリキュラムとか講義形態といったものを持った大学が,そういう教員養成の授業をして育てていくということをもっとここに書き込んだ方がいいのではないかなと思います。そうすると,例えば,同じ教室にみんなが来て講義を受けるというような履修でなければ,今,加治佐主査代理がおっしゃったような,学生が集まる大学院になってくるのではないかなと思います。
【三島主査】  安藤委員,どうぞ。
【安藤委員】  関連してですが,これまでとがったという言葉が随分私たちの中ではキーワードになっていまして,とがったところを求めていくと,今の,加治佐主査代理のような御心配もきっと出てくるであろうと思いますが,私の思いの中では,ずっとこれまでの議論では,とがった部分であっても,とがったところは日本の教員養成大学のモデルになる大学がSociety5.0の牽引(けんいん)役の大学じゃないかなとずっと思っていまして,だから,教員養成大学のモデルとしての姿をもっと前面的に出すような形にできればということで,先ほど2ページのところに,もっとそういうことをきちんと書いてしまえば,きっととがったところも,先導的というところに引っ張られて,魅力を感じていくのではないかなということを思っているのです。そういう意味で,日本の教員養成モデルの大学としての位置付けというところをもっと前面的に出してもいいのではないかなということは前から感じてはいたのですが,その辺はいかがでしょうか。
【加治佐主査代理】  もちろんそうおっしゃることでいいと思います。ただ,現実には,基本的に教員になりたい方々が減っているということや,現職教員の多忙さということもあって,教職大学院では学生集めに苦労しているという状況があります。
 各大学,いろいろな努力をしているわけですね。授業料の優遇や免除措置を講じるなどの努力をしているんですが,それで何とか現職の先生も来ていただけるという状況です。
 もっと分かりやすく言うと,特に優秀な先生に来てほしいわけです。やはり現職の先生については,こういう大学で学ぶという選択肢をしっかり選んでいただいて,授業料等々,それなりの措置を講じていただかないと。優秀な先生は当然現場で重宝されますので,なかなか出てこられないということになります。
 そうすると,何らかのそういう優秀な先生が来られるような措置,たとえば,その方々の授業料等々の支援措置といったようなことがないと,なかなか現実には難しいのではないかということを,現場を担当していて感じます。
【三島主査】  恐らくこれからの新しい世代の教員がどうあるべきかという,いわゆるチャレンジという側面からいけば,手を挙げる人は私はいると思いますが,大学院へ,現役の教員がチャレンジをしようと思うためには,もしかすると,何らかのインセンティブが要るのではないかというようなことですかね。
【加治佐主査代理】  特にですね。
【三島主査】  松田委員,どうぞ。
【松田委員】  私も教員養成の現場におりまして,特に本学は,今年の4月から大学院の修士課程でAIを主題にした改組をしましたが,2年,受験を実施してきた中で,もちろん定員は超えるような形で人は集まっていますけれども,ただ,私が想像していたよりは実は人の集まりが弱いというのを感じています。
 それが,入ってこられた中では,手前みそですけれども,割と充実感は学生も語る。また,社会人や留学生は非常に高い関心を持っているのですけど,肝心の教員へ非常に先導的な力を持って進んでいこうとか,あるいは,外側から教育支援者として教育に携わっていこうという層が,現実的には現場という,現在の実情がある中で,それに対してのニーズということでここの力が評価されるのかというと,まだ懐疑的といいますかですね。
【加治佐主査代理】  同じです。
【松田委員】  そういう意味では,教育委員会との連携というのが非常に重要だと感じていまして,例えば仮にそういう人材が出ていったときに,教育委員会サイドからしますと,一方では教育改革の旗手として,柱になってほしい。でも,一方では,逆に,既存の教育体制をある種改革していく人なので,はじきたくなる感覚が出る人材だと思うのです。その両面がすごくあるために,私が感じるのは,教育委員会や学校現場自体も改革していかないといけないという状況があるので,学校現場とか教育委員会が基準点にあって,そこに対するニーズということで国や大学が動くというのではなくて,国と大学と教育委員会という3者で引っ張り合って高めていくという。お互いに主体性の確保ということが必要な気がします。
 ですから,そういうような意味合いで,教育委員会も,やはりこういうことに対して連携していただく。それはもちろん大学の努力が前提だとは思うんですけれども,そういうことをもし書き加えられるならば,フラッグシップになるような大学も元気が出るかなと,感じたりします。
【三島主査】  その辺をどう書くかということ難しそうですね。ただ,やはり私自身は,私のいた東京工業大学で教育改革をして,これからはこういう教育を受けて社会に出ていかなければいけないということで,4年かけてスタートしたわけですけど,そのときも確かに先生方から,志願する学生が減るのではないかという懸念が結構ありました。つまりそういうことかと思うんですけれども,結果としては,私の大学でやった改革が今3年半たちますけど,志願者は全然減らないので,良かったかなと思っています。
 それから,その改革が果たして本当に教育としてよかったのか,本当にそういう有為な人材が出ていくようになるのか,それが本当に有為って何なのだというようなことが分かるまでって,教育ってやはり5年10年たたないと,そのことが世の中を変えていくことのドライビングフォースになる,あるいは世界を舞台に活躍する人間が増えるということにつながるかどうかというのが分からない中で船出するようなものなのですね。ですから,その辺は確かに配慮すべきところかもしれないのですけど,では,どういうことをこの中に書き込めばいいかというと,難しいなというのが今の私の気持ちです。
 どうぞ。
【若江委員】  先生方のお話をお聞きしていて,私は逆の印象をもっています。知らない強みというか,弱みというのかもしれませんが,そういう懸念はなくて,今の若い先生方,こういうことを待ってましたと望まれるんではないかなと思います。ですので,現職の先生からも決してはじかれるようなことはないような気がしますし,もしそうだとしたら,日本の教育はもう終わりだと思います,はっきり申し上げて。
 ですので,きっと先生方が思っておられる以上に,そういう変化を望んでいる方がいらっしゃるに違いありません。ですから,例えば,3ページのところに書いてある大学の三つの役割,我が国の教員養成を新たな次元に引き上げる牽引(けんいん)役等があって,その下のところで,何か牽引(けんいん)役としてこんなポジショニングのクレジットがあるといったことなどが明確に書かれるとか,二つ目のところの教員養成ネットワークの中核である,そのためには,教育行政の管理職の幹部として何々ができるであるとかみたいな,もう少しここに書かれている項目に具体的な事例を入れていくことによって,イメージしやすくなるのではないかなと思います。
 あともう一つ加えていただきたいのが,括弧3のところの課題解決と政策提言のところですが,やはり今回のフラッグシップ大学は,ほかの国の教育について必ずどこかで学ぶということも必須条件として入れておくべくだと思います。他国から学ぶおとで,あらためて日本の教育の良さがわかったり,また,新しい視点を得たりできます。特にアクティブ・ラーニングなどの,学び方を変えるというところについては,先ほど田中室長からお話がありましたように,個別最適化など,は欧米諸国では割とそういうことが,小学校,中学校段階から実施されているわけですよね。
 ですので,そういう世界を見るということもどこかにきちんと入れていただきたいですし,正に今回のフラッグシップ大学は,学び方そのものが,今お話のあったような個別最適化,それからICTを活用した学び,つまり,水落先生がおっしゃったように,決してスクーリングだけではなくて,遠隔で授業が受けられるだとか,今まで先生方が負担に思っていて,ハードルになっていたような条件を,ICTなどを使って解決するような,そういう具体的な解決案も提示していく必要があるのではないかと思います。
【三島主査】  ありがとうございます。
 そうですね。
基本的には,やはり世の中の変化がどういう変化になっていくかが見えている中で,今までどおりのことをしていたら駄目なんだというところはしっかりと持って,このフラッグシップ大学を応援していくようなことにすべきではないかと思いますが,いかがでしょうか。よろしいですか。
  それでは,ほかのところでも御意見がございましたら,伺います。
 安藤委員,どうぞ。
【安藤委員】  今までの議論と重なってくるところもあると思いますが,大学の役割と応募要件に関わる話で,応募要件を備えているところは,きっとその役割を果たしていくところがかなり前に出てくると思うんですけれども,どうもこの応募要件だけにとどまってしまっていると,先ほど若江委員がおっしゃったように,役割の中に期待する大学像や,拠点としての意味合いがわかりづらく具体的に出していかないと,きっと応募しにくいのではないかと思うんですね。
 私が気になっているのは,特に応募要件の中で,教員養成の実績,体制の要件を求めているんですけども,むしろこの部分は,これからの役割になってくる部分と重なってくる話であって,今,この点についてはかなりどこの大学も苦しんでいて,どういうふうに養成をこの部分で果たしていくか,いろいろな工夫をされていると思いますが,この中に,現代的な教育課題ということで,先ほどの特別部会の話も受けますと,やはり義務教育段階の指導がきちんとできるということ。もっと言うと,9年間の指導がきちんとできる力量を形成できるということが,一つの要件として入ってこないとならないのではないかなと思います。
 そうしたときに,どうしてもこの要件には入りづらいわけですけれども,ただ,そういう試みはきっとされていると思いますし,むしろそういうものがフラッグシップ大学に一つ求められる拠点としての役割となると,括弧3の政策提言の拠点というところに関わってくる話かなということで,何を申し上げたいかというと,役割と要件がうまく一致してくるように見えてくるのも,一つの大事な応募してもらうときの条件であって,余りにも要件がたくさんあり過ぎると,きっと応募しにくくなってしまって,むしろ何をやればいいのだろうという話にもなりかねないので,そういう意味で,やはり現代的な教育課題ということを一つ役割というところにもきちんと置いていく。そうすると,先ほどの国際的な関わりの話になったり,あるいは日本型の教育モデルを発信していく,あるいは海外との連携をやりながら教員を養成していくような,いろいろな形の提言が,もう少し前面に押し出されるのではないかなと感じました。
【三島主査】  このワーキンググループでも,教員養成の実績がしっかりしていることという点に関しては随分御意見を頂きましたまた,今までやっていたことよりは,これからどうするのかという計画を評価するという意見も,何度も何度も出ているところです。そこも配慮が必要かなとは確かに思います。ありがとうございました。
 そのほか何か御意見ございますか。
 それでは,ほかの観点からでも,面白い意見がございましたらと思いますが。
 若江委員,どうぞ。
【若江委員】  今のところなんですが,要件のところの教員養成の実績,体制というのは,これはもう当たり前のことだと思います。私がある財団が教員養成系の学生に限って奨学金を出すという事業の審査をさせてもらった際,どこを推薦大学に選ぶかというところで,大学のことを全部調べて,公表されている数から,学生数や,免許取得数,採用数などを全て細かく出してみたことがあるのですが,そのときに,やはり教員養成の取組のユニークさというところがこれからはすごく大事になってきています。ある大学は,これから発達障害だとかいろいろなことがあるので,医学部と連携をした,そういう教員養成のカリキュラムを持っていますとアピールしていました。このように他学部との何か連携といったことをすごく打ち出してきている大学がちらほら今年ぐらいから出始めてきているので,これに加えて,もっとユニークな何か取組をしている大学というようなことを要件の一つとするのも,一つの手ではないかなと思いました。
【三島主査】  ありがとうございます。
 指定国立大学のときに,応募する要件のところにも,やはり自分の大学が今どういう位置にあって,教育研究や社会貢献,それがどうなっているかということをきちんとベンチマークとしてこれからどうやっていくかという申請を出して書く形になっています。そういう意味では,確かに実績よりこれからだというよりは,実績があってこれからということでは,現状をしっかりと把握することというのは非常に重要だと思いますよね。
 水落委員,どうぞ。
【水落委員】  そういうユニークな大学も可能にしていくということを考えていくと,例えば,要件の部分に書かれているようなこと,応募の段階での要件という部分は基本的なことにぐっと抑えてしまって,その次にある評価のところで,こういった部分について成果を出しなさいという書き方にしていくというのもありなのかもしれないなと思いました。いろいろなユニークな大学が集まれるようにするのであれば,条件は割と裁量が認められている形になっている。だけど,評価の部分ではがっちり締まっていますよと。これとこれとこれの中から,これとこの点については成果をこういうふうに出しなさいとか,若しくは,この中のどれかからこういう成果を出しなさいとかというふうに,評価の部分の記載は割と要件に比べると少ない分量になっていますので,そちら側に移していくというのもありなのかなと感じました。
【三島主査】  そうですね。要件がずっとあって,7ページに入って,括弧3で評価というものがあるんですね。
 しかし,この評価というのは,活動開始後ですから,応募要件というものと,評価というものとは,少し別の話かと思います。当然,教員養成の大学としての実力のようなものはきちんと書いて,それをベースにこれからこうやっていくという計画を書いたものを審査するわけです。ですから,これは審査のやり方の問題だろうと思うので,要件のところはやはりなければいけないものだろうとは思うのです。
【水落委員】  きっとこれからのSociety5.0の時代では,どんどん学習者側に裁量が認められてくると思うんですよね。そうなってくると,いろいろな自由度がある中で,カリキュラムとか,そういう規制緩和の話がこの会議の序盤でありましたけど,では,この基準とこの基準とこの基準をクリアしたら応募できますよというところががっちり締まっているよりも,こういう成果を出せるところですよという評価のところが締まっている方が,割とSociety5.0らしいのではないかなというふうに思ったということなんです。
【三島主査】  その辺のところは,ほかに御意見ございますか。
 じゃ,そこのところも,また全体のバランスというか,書き方のところ,もう一度見直して,事務局と私とで相談させていただきたいと思いますが,そういうことでよろしいでしょうか。ありがとうございます。    松田委員,どうぞ。
【松田委員】  今の御意見,本当にそのとおりだなと思いまして,評価というところがそういう形で充実していくということは,総論としてはそのとおりだと思います。
 一方で,申請がどの大学もしやすいということというのは,今回の場合は本当に必要なのかなという気がします。むしろ申請ができないというような条件の中で,こんなに大変なことを大学で抱えるのかという,ある種の覚悟というものもやはり問うべき内容なのかなと感じるところです。バランスだとは思うのですけれども。
【三島主査】  なるほど。そうですね。
 それでは,ほかはよろしいですか。
 それでは,頂いた御意見をちょっと勘案して,また少し見直しをするということにさせていただきたいと思います。
 それでは,本日の審議自体はここまでとさせていただき,本日の部会はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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