教員養成部会 教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループ(第6回) 議事録

1.日時

2019年9月27日 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館3階3F1特別会議室

3.議題

  1. Society5.0 時代に対応した教員養成を先導するフラッグシップ大学の在り方について(中間まとめ案)
  2. その他

4.出席者

委員

三島良直主査、加治佐哲也主査代理、安藤雅之,戸ヶ﨑勤,堀田龍也,牧野光朗,松田恵示,水落芳明,三村由香里,山口宏樹,若江眞紀

文部科学省

浅田総合教育政策局長,平野大臣官房審議官,柳澤教育人材政策課長,髙田教員養成企画室長,長谷教員免許企画室長 他

5.議事録


【三島主査】 本日は,中央教育審議会初等中等教育分科会の教員養成部会教員養成フラッグシップ大学検討ワーキンググループの第6回ということで,お忙しい中多数お集まりいただきまして,ありがとうございます。
それでは,初めに配付資料の確認を事務局からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】 資料の確認をさせていただきます。端末のデスクトップに本日の会議資料を格納したフォルダがございます。本日の会議資料である,座席表,議事次第,また,議事次第に記載のとおり,資料1から資料5までを用意しております。また,参考資料1から4として,9月18日に開催された中央教育審議会大学分科会で配付されました地域連携プラットフォーム,大学等連携推進法人,教学マネジメントに関する三つの資料を参考資料として配付しております。また,9月5日に「指定国立大学法人」に一橋大学が新たに指定されております。その際の公表資料も付けております。いずれも本ワーキンググループで審議の参考として紹介させていただいた制度の資料の最新版ということですので,参考としてお付けしているものでございます。
このほか平成29年の有識者会議報告書と前回までの会議資料及び好事例集についてファイリングしたものを机上に用意しております。
御不明な点等ございましたら,事務局までお申し出ください。
【三島主査】 資料は皆さん,おそろいでしょうか。
それでは,本日の会議の進め方について御説明申し上げます。
本日は,前回の議題であった「教員養成フラッグシップ大学の指定の要件と審査の在り方について」の議論を振り返りつつ,本日の主な議題である「Society5.0時代に対応した教員養成を先導するフラッグシップ大学の在り方について」と題した中間まとめの案について御議論いただきます。
本日は,この中間まとめ案を基に,皆様方の御意見を頂き,中間まとめとして取りまとめたいと考えておりますので,御協力をお願いしたいと思います。
それでは早速,議事1の中間まとめ案の議論に入りますけれども,初めに事務局から詳しい説明をいただく前に私から一言申し上げたいと思います。
事前にメールで資料等を御覧になったかと思いますが,前回の「中間まとめ(素案)」から今回の「中間まとめ(案)」は構成をかなり変更しております。これは,私と事務局で相談した上で,素案の構成のままだと,フラッグシップ大学のイメージや骨格を明確に打ち出すことができない,あるいは各項目に同じようなことが出てくるということで,少し分かりにくくなっていたかなというふうに思ったものですから,構成を簡素化したことによるものでございます。また,幾つかの表現を同様の趣旨から改めるとともに,不明確だった点をより明確化したところでもございます。皆さんの御意見をおおむね反映できていると思いますけれども,何か大事なことが抜けているということがございましたら,御確認いただきながら,御意見を頂ければと思います。
それでは,事務局から関係資料について御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】 それではまず,資料1を御確認ください。
資料1につきましては,第5回のワーキンググループの主な意見をまとめたものでございます。第5回のワーキンググループにおきましては,前々回のガバナンスとマネジメントについての議論と,その後メインの議題としてフラッグシップ大学の指定の要件と審査の在り方についてまとめているものでございます。この後,中間まとめ案について詳しく説明いたしますので,詳細については省略させていただきますが,例えば,ガバナンスとマネジメントにつきましては,連携体制におけるガバナンスの在り方ですとか財政的な対策ですとか,そういったようなことについて明記すべきではないかというような御意見を頂いております。
2ページ,3ページのところで,指定の要件と審査の在り方などについて御意見を頂いております。例えば,指定期間が3年から5年では短いのではないかとか,産業界の知見といったものがより明確化されるようなことが必要ではないかだとか,あるいは財政的な仕組み,財政基盤の確立みたいなファンドレイジングなどについても要件に入れてはよいのではないかというような御意見を頂いております。また,先端的な学習ラボなどの新しい教育に対応した学習環境,ハードの整備といったようなことも重要ではないかという御意見を頂いているところでございます。
それでは次に,本日の主な議題であります中間まとめ案につきまして御説明いたします。資料2を御覧ください。
資料の2でまず,目次を御覧いただければと思います。これで,構成が分かるかと思いますけれども,今回,主だった内容はフラッグシップ大学の要件だとかそういったようなところに統合する,あるいは背景や現状と課題も中間まとめの性格とフラッグシップ大学の必要性のところで,教育再生実行会議の議論を引き継いだ記述をすることによって,少し構成を整理しているところでございます。
この制度は,今後,中間まとめをもって,いろいろな方に説明をすることになろうかと思いますけれども,そういった説明の際に,正にこの必要性みたいなものがより分かりやすくなるようにこういった構成にしたところでございます。
それとフラッグシップ大学の役割というところでございますが,前回まで,目的と役割となっていたところでございますけれども,ここも少し表現などを変えております。二つ目はそれほど変わってはいないんですけれども,一つ目,ここは前回の議論では研究開発大学みたいな書き方をしていたと思うのですが,ここの部分については,研究開発大学ですと,ある意味全ての大学が対象となり得る,そういったイメージがあるのではないかと。それは,研究開発学校という制度自体が国公私,どの学校でも手が挙げられるというようなというところもございますけれども,そういったようなこともあって,フラッグシップ大学の必要性の部分でも少し書きましたが,このフラッグシップ大学というのは教員養成を大きく先導していく,新たな次元に引き上げるといったようなところをより明確に書いた方がいいのではないかということで,括弧1の部分の表現が変わっております。
括弧3の部分で,前回ここの部分がある意味,他の教員養成大学を支えるみたいなニュアンスがあったところでございますけれども,支えるというよりも引き上げることによって引っ張っていく大学ということをイメージしているので,そういった齟齬(そご)が生じないようにということ,また牧野委員からご意見いただいていた,やはりここがフラッグシップ大学であるというような教員養成大学として必要なことをきちんとやっているということを明確にするために,こういった教員養成大学として必要な取組を高いレベルで行っているというような趣旨で3番目の文言にしております。
4番目がメインのところであります。フラッグシップ大学をどのように作っていくかという公募・選定だとか要件,評価などについてまとめたところでございます。
5番目が国として行うべき条件整備,支援などということでまとめているところでございます。
早速,本文の方に入らせていただきます。本文では,まずこの中間まとめの性格ということで,教育再生実行会議の第十一次提言「技術の進展に応じた教育の革新,新時代に対応した高等学校改革について」の中で書かれているものを直接引っ張ることによって,ここの趣旨を明確にしております。
「国は,今後の社会変革に伴う教育革新の大きな流れを見据え,教師のICT活用指導力の向上,アクティブ・ラーニング,個別最適化をはじめとするSociety5.0に対応した,産業界とも連携し教員養成を先導するフラッグシップ大学(例えば教員養成の指定大学制度等)を創設する。フラッグシップ大学は,既存の制度の特例や弾力化も視野に,スタッフやカリキュラムなどの指導体制を検討し,構築する。」
「国は,教員養成を先導するフラッグシップ大学はじめとした教員養成機関において,AIやIoTなどの技術革新に伴って変化するこれからの社会で活躍することのできる人材を育てるために,STEAM教育や,児童生徒がICTを道具として活用することを前提とした問題発見・解決的な学習活動等についての高い指導力を有する教員の育成を促進する。」
「国は教員養成を先導するフラッグシップ大学におけるICT活用指導力に関する取組等を通じて,教職課程を持つ大学においてICT活用指導力の向上を実現する充実した教育が行われるよう支援する。」というところが特に関連している部分の提言でございます。
こういったようなことを受けて,本ワーキンググループでは,教育再生実行会議での議論を踏まえまして,教員養成を先導するフラッグシップ大学の在り方(目的,役割,教育研究内容及びこれら実現するためのガバナンスやマネジメント)や,二つ目で,これに連動した,教員養成に関わる大学全体のシステムの在り方(教員養成に関わる大学教員の養成・採用・研修の検討等)について,具体的かつ専門的見地から検討することを目的として,教員養成部会の下にワーキングが設置されたことについて記しております。
本中間まとめは,これまでの検討から,主な論点ごとに基本的な方向性等を整理したものである。今後,教員養成部会での議論やパブリックコメント(意見公募)で寄せられた意見等も参考にしつつ,更に検討を深める予定である。中間まとめがまとまりましたら,パブリックコメントをする予定でございます。
なお,「フラッグシップ大学」という用語については,上述の経緯から,本中間まとめではこれを使用するが,その在り方の検討と並行して適切な呼称案についても検討したいということで,これは,外に具体的に中間まとめ案を持っていろいろな説明に行ったときに,もう少し違う方がいいのではないかというような声も聞こえてきておりますので,あえてこういう書き方をしているところでございます。
次に,教員養成を先導するフラッグシップ大学の必要性をまとめております。
Society5.0に象徴される大きな社会の変化に伴い,教師に求められる役割や能力も変わってゆく。「例えば」ということで,幾つかここに例示しております。ICT等の先端技術を効果的に活用して指導する力。それらの技術を活用して,子供たち一人一人に合った個別最適化された学び方を構想する力。ICT活用を前提に,問題発見・解決型の学習活動を展開,支援する力。ファシリテーション力。マネジメント力。より効果的な教育を実現するために多様な他者と協働する力などが一層重要になるということ。また,教育学をはじめとする関連分野の学問研究から生み出される新たな成果を教育現場での実践に生かし,その成果や課題を踏まえつつ,さらなる改善や見直しにつなげていく力。いわゆる理論と実践の融合をする力といったようなことも重要であると。
こうした力は,教師の養成,研修を通じて育成,向上を図っていくことが望まれる。
しかるに,教員養成の現状としては,各大学で様々な取組がなされていますけれども,個別には好事例も生まれているが,既存の制度や人的・物的条件,予算等の制約の中での取組であり,教員養成の在り方自体を大きく変革するような起爆剤にはなり得ていないのではないかということでございます。
また,大学の体制としても,学校現場の現状,ニーズを踏まえつつ先端技術の活用等について指導できる教員の確保,教育委員会,教育関係の研究機関等やNPO,企業等との連携・協働,喫緊の教育課題に対応した機動的な教員養成の実践や先導的試行等が十分に行える体制とは言い難(がた)いのではないかと。
「教員養成フラッグシップ大学」の構想は,このような現状から大胆に踏み出し,我が国の教員養成の在り方自体を変革していく牽引(けんいん)役となるような大学を創出することが必要との認識から提言されたものと理解している。
ワーキンググループとしてはこうした問題意識を共有し,真(しん)に教員養成改革の牽引(けんいん)役たり得る「フラッグシップ大学」の在り方について検討を重ねてきたということでございます。
次に,フラッグシップ大学の役割でございます。一つ目は,先ほど申し上げました教員養成を新たな次元に引き上げる牽引(けんいん)役という役割。次世代の社会を見据え,教育学をはじめ関連分野の学問研究の成果を生かし,教育現場,教育行政,その他教育関係の研究機関等やNPO,企業等とも緊密に連携しつつ,教員養成の理想像を追求・開発し,他に先んじて先導的・試行的な取組を行い,その成果を他の教員養成大学・学部等に展開していくための牽引(けんいん)役となること。
さらに,上述の取組を教員養成だけではなく現職研修にも生かし,教員研修の充実・改善についても先導的な取組を行い,その成果を他に展開していくための牽引(けんいん)役となること。
二つ目が,教員養成ネットワークの中核として,上述の先導的・試行的な取組とその成果の展開のみならず,教員養成のためのコア・カリキュラムや評価基準の開発等への積極的な取組も含め,全国の教員養成大学,教員養成課程認定大学間の連携協力や,教育委員会をはじめとする様々な教育関係機関間の連携の中核的な役割を果たすこと。
三つ目が,我が国の教員政策上の課題解決の拠点ということで,新学習指導要領への対応,生徒指導,特別支援教育,日本語教育等の教育内容面に加え,教職の魅力化や日本型教育の海外展開等を含む我が国の教員政策上の諸課題の解決に応えることができる拠点となること。
以上,三つをラッグシップ大学の役割としております。
このようなフラッグシップ大学は,真(しん)にこれらの役割を果たすことが可能な,ごく少数(最大でも三つ程度)の拠点での取組から開始することが適当と考えられるということでございます。
これまで幾つか,一体どれぐらい指定するのかという議論がございましたけれども,この段階で明確にした方がいいのではないかということで,こういった形で明確化しております。
つづいて,フラッグシップ大学の創出方法でございます。公募・選定ということで,フラッグシップ大学は,当該大学の主体的な取組によってその役割を果たすことが期待される。したがって,文部科学省においてあらかじめ必要な要件を明示して大学から希望を募り,大学全体として強い意欲と使命感,責任感をもって継続的に取り組む姿勢や体制を備えていることを確認,評価した上で選定(例えば文部科学大臣による指定等)をすることが適当である。
次のページに移りまして,なお,選定の有効期間は,ある程度計画的に人材の確保,カリキュラムや教材の開発,連携機関を含めた体制の構築等に取り組めるよう,5年から7年間程度としてはどうか。この点については,前回の議論を踏まえまして,5年から7年というにしております。ただし,中途の時期においても,取組の進捗状況等を踏まえ,この期間を短縮することがあり得ることとすべきであるということで,評価に応じて,引き続き長期間で行うのか短期間で終わるのかということを決めていくということでございます。
また,当初に選定されなかった大学が,その後に体制を整え意欲を示した場合には,応募に再挑戦することを可能とすべきであるとしております。これにつきましては,本日の参考資料3で付けております,指定国立大学の例が一つ参考になるかと思いますが,当初,指定国立大学は7大学が申請されておりまして,初めの段階で指定されたのは三つでございます。その後,構想がより高度化,進化していったと判断されたところから,順次指定されていったというところがございますので,そういったような形で,初めから,申請があったところ全てを拾っていくということではなくて,規定の水準に達したものについて指定をしていくといったようなイメージをおります。
フラッグシップ大学の選考は,教員養成部会の下に専門家による委員会を設置し,令和2年度中に厳正に評価を行い,令和3年度から取組を開始することが望ましいとしております。
要件でございますが,ここでは幾つか小見出しを付けまして,これまでいろいろ議論があったものをまとめた形でここに集約しております。最終的に,これまで頂いた意見の中で,内容に応じてここの中間まとめで書き切れないような部分については,例えば公募要領といったようなところにも随時反映していくことになろうかと思っておりますが,そのエッセンスをここで書いてございます。
まず,要件の一つ目の丸,全学体制ということでございますが,「研究力に裏付けられた教員養成から,学校現場での実践,いわゆる研究開発から実装までを通じた一体的な取組,検証を行うため,教員養成を主たる目的とする学部又は学科,教職大学院,附属学校を全て備えていること。」としております。
また,「教職課程に関わる全学部・学科,教職大学院,附属学校が参画し,学長のリーダーシップの下に,全学で一体的かつ継続的に取り組むガバナンスやマネジメントの体制があること。」,
「フラッグシップ大学として,先導的・試行的な取組を行う上で中核となる教職員や支援,評価を行うことのできるすぐれたスタッフがいるなど,必要な組織体制が備わっていること。」ということでございます。
次に,教員養成の実績,体制でございますが,「教員養成において,他に比して高い実績を有していること。」ということで,例といたしまして,就職状況でございますとか免許を出している種類の数でございますとか,あるいは今,非常に重要な障害を有する学生の受入れ,コア・カリキュラムなどの質保証に関する取組,いわゆるアクティブ・ラーニングだとか,ICT,通常学級における特別支援教育,不登校,いじめ,いわゆる教育上の諸課題と言われているものについて,現代的課題へきちんと対応したことのある実績,競争的事業や大学独自の取組を受ける顕著な実績,特に先導的・試行的な取組への姿勢,教員養成に当たる指導体制の充実状況等についてここで示していただくということでございます。
前回の御意見で,実績よりも業績という言葉がいいのではないかという御意見もございましたけれども,過去のいろいろなものを見た中で,実績という言葉の方が一般的でありましたので,ここではそのまま実績としております。
教育研究力ということで,三つ目でございます。「教員養成及び今後の教育の在り方に深く関わる分野において特に高い教育研究力を有すること。」ということで,教員養成に当たる教員の教育研究実績,第三者からの評価,自大学の教員以外の者の教育研究活動への参画状況,教育におけるICTの活用や遠隔教育等に関する分野での研究実績等でございます。
次に,「先端技術,科学的知見,外部人材等を効果的に活用した創造的,革新的,挑戦的な今後の研究開発計画や構想を有すること。」ということで,特にここは今後の計画の確かさを確認するというところでございます。
次に,多様な関係機関との連携・協働ということで,「他大学や教育委員会,研究機関,NPO,企業等との連携に積極的に取り組んでおり,他に比して大きな実績を上げていること。」ということで,他の大学との連携,単位互換や共同プロジェクトの実績,地域における大学間連携プラットフォームへの参画,地方自治体等との具体的連携による活動,実務家教員やゲストティーチャーの活用状況,寄附講座数,NPOや企業等との連携・協働による取組の実績等を例として挙げております。
また,「文部科学省,国立教育政策研究所,教職員支援機構,教育委員会等との連携に積極的であること」ということで,それを示していただくということでございます。
次でございますが,教育環境と財政基盤ということで,これは前回の御意見を受けて項目として独立させたものでございます。「未来の教室を先取りした学習環境の整備に意欲的であること」ということで,例として,最新のテクノロジーに対応したラボや教室の設置,遠隔教育やVRなどを円滑に実施できるICT機器・設備の整備だとか,教育ビッグデータの管理運用システムの教育委員会との共同構築等を例として挙げております。
財政基盤につきましては,その「取組に意欲的な実績と計画を有する」ということで,例として,外部資金の獲得実績ですとか,ファンドレイザーの配置,財政状況及び今後の見通し等について示していただく予定でございます。
次に,現職研修や教職を志す社会人対象のプログラムの実施ということで,「教育委員会と連携して現職研修に積極的に関わっていくことについて示していただいたり,あるいは社会人を教職に積極的に招き入れるプログラム等の実績や計画を有している」といったことでございます。いわゆる教育委員会で行っている各種の研修ですとか免許状更新講習,教職大学院への社会人受入れ,社会人向けプログラムの開発,附属学校における特別免許状の活用などを例として挙げております。
次に,成果の普遍化,発信,共有でございますが,これについては,「フラッグシップ大学としての取組の成果や課題を評価,分析して,他の大学や教育現場でも活用できるものに普遍化し,それらに関する情報をいち早く発信し,関係機関等と共有して各地での実践,展開につなげ,必要に応じ国等に対し政策提言を行うことのできる分析力,発信力を有していること。」,「政策提言に当たっては,教員の養成を担う大学教員の今後の養成・採用・研修の在り方についても,具体的な実践の効果や提案を示すこと。」としております。
最後に,他大学と連携した取組の条件ということで,「フラッグシップ大学は,上述の要件を備えた単独の大学での取組を基本とするが,大学間連携の在り方,例として一法人複数大学,大学等連携推進法人の活用,人的・物的資源の効果的な活用等についても新たな模索,試行をする場合には,他大学との連携,又は二大学による共同の取組を認める余地を残しておくべきではないか。」というふうにしております。これについては,是非いろいろな大学なり企業と連携して力を結集して,大胆なことをやっていただきたいということですけれども,そこについては主体となる大学がきちんと責任を持ってやっていただく。そして,単なる見せかけの連携ではなくて,真(しん)に連携,統合効果があるような連携を行っていただくといった趣旨でこのような文言にしております。
次に,評価でございますけれども,フラッグシップ大学としての活動開始後の評価については,先の公募・選考のための委員会において,教員養成部会の下に置かれる専門の委員会において,計画の進捗状況等について報告を受け,継続的に評価,助言していく仕組みが適当ではないか。
特に,選定期間のおおむね半ばが過ぎた時点で,全体的な評価を行い,計画の見直しや選定の継続の可否等について評価を行うような仕組みが必要ではないか。
その際,最も重視すべき強化の視点は,将来を見通した我が国の教育のさらなる充実と,そのための教師の資質能力の一層の向上に大きく資する効果的な取組となっているか否かであるとしております。
最後に,国として行うべき条件整備,支援等ということでございますけれども,これは1番目といたしまして,制度的・予算的対応ということで,フラッグシップ大学の仕組みの主たる目的は,「教員養成の理想像を追求・開発し,他に先んじて先導的・思考的な取組を行い,その成果や課題,他の教員養成大学に展開していくための牽引(けんいん)役となること」にあると。
したがって,フラッグシップ大学が既存の仕組みに縛られずに先導的・思考的な取組に挑むことができるよう,特例的な扱いを可能とするための制度の整備(制度の特例や弾力化のための規制の緩和等)を行う必要があるということでございます。
また,フラッグシップ大学において,先導的・思考的な取組を計画的,継続的かつ本格的に行えるよう,予算面での安定的な支援も必要であるとされております。
二つ目でございますが,他大学,学校現場等への対応ということで,フラッグシップ大学での取組の成果を速やかに他の大学や学校現場での実践に生かせるようにするためには,フラッグシップ大学以外の教員養成大学や学校現場の環境を整備する必要があり,そのための仕組み作りや財政措置等にも特段の配慮,努力を求めたい。
例えば,教育におけるICTの活用のためには,教員養成大学はもちろんのこと,全国の各学校現場でそれらを活用できるICT環境が整っていることが前提になる。これは国の強力な支援なくして実現が困難であるということでございます。
中間まとめ案についての説明は,以上でございます。
あわせて,資料の3につきましては,それを概要版として1枚にまとめたものでございます。
資料4につきましては,これまで示していた論点例ということで,今後こういうことを議論していこうということですけれども,7番目の国からの予算的・制度的支援の在り方について,今回明確に書いたところでございますが,6番目のフラッグシップ大学の成果の発信・還元・共有の方法については,正に指定を受けようとする大学からも,是非主体的な提案といったものも求めていきたいということで,今回は要件の一つに組み込まれているところでございます。
以上でございます。
【三島主査】 御説明どうもありがとうございました。
それでは,資料2の中間まとめ案につきまして,今ほとんど読んでいただきましたけれども,お気付きの点,それから,今までに議論したもので抜けているからこれは是非入れるべきだというような御意見がございましたら伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。堀田委員,どうぞ。
【堀田委員】 東北大学の堀田です。

私は,この教育再生実行会議のグループに出ておりましたので,そのときの経緯をいま一度確認したいわけですけれども,1ページ目の,点線で囲まれているところに書いてありますように,このフラッグシップ大学というものを創設するということになった背景は,Society5.0に対応した教員のICT活用指導力の向上とかAIのような新しい技術をどうやって学校教育に入れていくかということが,現状の教員養成のやり方だけでは難しいのではないかということで,これをフラッグシップ大学のようなところで先導してほしいということだったと思うわけです。AIとかIoTとかSTEAM教育という言葉が入っているのもそういうことです。このワーキンググループでは,教育再生実行会議の議論を踏まえと書いてあって,この討議がされているわけですけれども,私が見る限りこの2ページの下の方で,「また,大学の体制としても」というところは,ニーズを踏まえつつ先端技術の活用等について指導できる教員の確保というようなことがこのままでは十分に行える体制とは言い難(がた)いという,教育再生実行会議の考え方をしっかり受けていると思うのです。
しかし,残念ながら4ページあたりの要件等のところに行きますと,実績とか体制のところには割と教員養成大学が抱える様々な課題全体に広がり過ぎてしまっているような気がします。もちろんこういうことも大事だということは百も承知の上で,もう少しICTの活用とかプログラミング教育とかSTEAMとか,そういうところは特出ししていただく必要があるのではないか。そういうものを行うほかにこういうことがあるということは理解できるんですけれども,もう少し教育再生実行会議の趣旨をというのであれば,きちんとここで受けるべきではないかというふうに思います。

事前に送っていただきましたので概要の方も拝見しましたけれども,タイトルにはSociety5.0と書いてあるんですが,必要性や役割のところには,Society5.0を受けている感じが余りしない,一般的な議論になっています。教員養成大学が抱える様々な困難点を乗り越えることは非常に重要なことだと思いますが,それのためにこのフラッグシップ大学があるというふうに読めてしまって,Society5.0という時代に向けたとがったことをやるという話が一般化されてしまい過ぎているような印象があります。
一方で,私はこういう中間まとめを作っていくことの難しさを存じ上げているつもりですし,さらにそれを認定していく,選定していくというときの条件,要件に当たるようなものを幅広に書いておくということが重要なことは分かっています。ですが,趣旨とかやってほしいこととか,とりわけこういう実績があるところを選びたいんだみたいなところには,もう少しSociety5.0を受けた感じが出た方がいいのではないかなというふうに思います。
以上です。
【三島主査】 ありがとうございます。
まずは,ただいまの御意見を受けて何か御意見がございますでしょうか。全体の教員養成の,もちろん今までの課題だったことにも取り組まなきゃいけないんだけれども,このフラッグシップ大学を置くための中間まとめとしては,Society5.0に関連したものをこの要件のところにもう少し書き込んだ方がいいのではないかという御意見だと思います。がその辺いかがでございましょうか。
では松田委員,どうぞ。
【松田委員】 私も教育再生実行会議の方に出ておりましたので今の堀田委員のお話はそうだなと思いつつ,併せて例えば3ページの4番の括弧1の公募・選定のところに必要な要件を明示した上で,取り組む姿勢を各大学でしっかり示すというようなところがございますので,恐らくとがった部分は申請してくる各大学がその実情に応じて,相当強く書き込んでいくというような形になるのかなと思ってはいました。
ただ,確かにSociety5.0ということは重要な話だと思っていて,ICTという言葉だけで言うと,それこそSociety4.0から始まっている言葉で,そこにいわゆるAI,IoTというような高度情報化というようなものを支える,それも第4次産業革命と呼ばれるような,ある種連続性のない,跳躍したような技術というものが非常に社会を変革していくということがSociety5.0の基本になっているので,そのあたりはもう少し誤解を受けないように,この後これが予算を取る,あるいは国民の皆さんに理解していただくためにもそういう色があればいいなと思います。具体的に何点か申し上げると,例えば,1ページからいきますと,点線囲みのところに教育再生実行会議のことがあるのですが,そこに下線を引いてある部分があるのですけれども,例えば最初の段落だと「教員養成を先導するフラッグシップ大学を創設」するというところに下線が引いてあって,これはそのとおりなんですが,むしろ力点があったのはSociety5.0に対応した産業界とも連携した教員養成というところが重視されたのではないか,あるいは次のパラグラフも,STEAM教育とかICTを道具として活用することを前提とするというのは具体的なことで重要なんですが,実はその真ん中にある「AIやIoTなどの技術革新に伴って変化するこれからの社会で活躍することのできる人材を育てる」ということが目的になっていて,むしろ力点はこちらであったような気がしています。
次,2ページのところで,大きな2番で教師の求められる役割や能力が変わってゆくということで「例えば」とあるんですが,最初にICTの先端技術を活用して指導するとあるんですけれども,流れとしてはその前に三つ目の丸のICT活用を前提に,問題解決云々(うんぬん)という,新しい社会に応じた新しい子供たちの力を育む必要があって,そういうことを支える教師の力が必要になっているんだという目的レベルでの議論が先行してあったのではないか。それとともに三つ目の丸の文章にあるICT活用を前提,というよりは目的というレベルでいうと,それこそSociety5.0を前提だとか,あるいは人工知能時代を前提に必要となる資質能力を育むための問題発見や解決型の学習活動を展開するということが重要であったというのが最初にあるはずです。それもICTという言葉は弱い感じがして,括弧書きでICTの後に「人工知能等」とか,そういうものが入った方がより見やすいのかなと思いました。
それと,その並びの最後の丸のところで,これは教員養成が抱えている理論と実践の融合ということを繰り返してくださって,それは重要なことなんですが,ここにおいても,例えばこの3行の真ん中の2行目の後半にある「さらなる」の前に,実は先端技術に先導される社会において,さらなる改善や見直しにつなげていく力というような形で,その内容を書き込んだ方がいいのかなと思いました。
次に,3ページの大きな3番の括弧の1,2,3が役割として重要なところだと思うんですが,まず「次世代」という言葉,これは大変よく分かるんですけど,次世代というのは正に相対的な概念になってしまいます。ここで基本的に牽引(けんいん)を求められている社会というのは,Society5.0に象徴される社会ですから,それは次世代という言葉よりも,書き込んだ方がいいんじゃないかなと思いました。
次に,その後の括弧3なんですけれども,「我が国の教員政策上」という言葉があります。これは,ここでも議論がありましたが,文部科学省や他の行政機関と一緒になって,教育政策自体を提言したりエビデンスに基づいて一緒に考えていくということを求められるような大学だと思うので,「教員政策」というよりは,やや幅広に,「教育政策」と書いた方が,この大学のより飛び抜けた部分が出るのかなと思いました。その意味では,ここに書いてあるのは割と教育課題が抱えているプル型の,対応型の課題なんですけど,よりプッシュ型の,例えば,学習指導要領改訂の今後の方向性を検討していくのであるとか,あるいは,国と協働していくという文言が入ると,より分かりやすいのかなと思いました。
5ページの先ほど議論があったところですけれども,要件の,特に教育研究力のところで文言が整理されているんですが,ここに,国際的な研究ネットワークへの組織的な参画状況というものが例として必要ではないかと思うところはございました。確かにSociety5.0というのは分かりにくい時代なんですけれども,昨今OECDは2030ということで,エージェンシーを抱えた人材がトランスフォーマティブなコンピテンシーズというものをコンパスとして使って,そして,個人や社会のウェルビーイングという山に登ると,そういう大枠を出したりしています。そのような議論はどんどん深まっているところなのですが,それが国内ではなくて,国際的な議論の中で進んでおりますので,そういうことに関しても,研究力ということでは所持している必要があるのではないかかと感じました。
6ページの評価の部分なんですけれども,最後の段落で,「その際,最も重視すべき評価の視点は」とございまして,「将来を見通した」という文言になっているんですが,これも「Society5.0を見通した」という形で,目標となっている社会を具体的に書き込む必要があるのではないかと思いました。
その意味では,その下の国が条件整備として行う括弧1の1行目も,括弧書きのところで「教員養成の理想像を」と書かれておりますが,こちらも「Society5.0に象徴される次世代の社会を見据えた教員養成の」というような,進むべき方向の具体性を書いた方が誤解がないかなと思いました。
そうしますと資料3の概要も,幾つか文章の中にSociety5.0とか人工知能とか,そういうことが書かれてきて,今の資料3では,表題には確かにSociety5.0とありますが,この表題を隠してしまうと,内容としては,いわゆる通常の教員養成の問題として見えてしまうところがあるので,そのあたりとの対応をより深く書き込んでいけるのではないかと思います。
【三島主査】 堀田委員の御意見と同じ視点だと思います。ありがとうございます。戸ヶ崎委員,どうぞ。
【戸ヶ﨑委員】 私も教育再生実行会議に関わったものですから,堀田委員と松田委員のお話を聞いて刺激をされたところです。確かに,再生実行会議の議論の中で,フラッグシップ大学に何が求められているのかと考えたときに,これまでの教員養成大学の課題も必要ですが,やはりフラッグシップ大学ならではのニーズというものを改めて確認していく必要があると考えて,まとめの中のページで順番に追っていきます。
まず,2ページ目のフラッグシップ大学の必要性の中で,最初に教師に求められる役割ということが幾つか挙げられているわけですが,この役割というのは,これまでも教育職員養成審議会や中央教育審議会の答申などで,今後求められる教師の役割として示されてきました。では,それと何が違うのかと考えたときに,フラッグシップ大学ならではの役割として,求められる教師像に即した教師を育成するということがもっと明確に打ち出ていた方がいいのだろうと感じています。
その際に,そこに書かれている中で,特にファシリテーション力やマネジメント力ということを挙げ出していくと,コミュニケーション力やコーチング力など,色々なものが次々出てくるのではないかと思います。私個人の考え方を述べると,これから求められる教師は,社会の構造的な変化を自分なりにしっかり把握できる人でないと,Society5.0の時代において本当に将来を見据えた教育などできないのではないかと思います。そういうことを考えると,ここに書いてある求められる教師の役割が,何を根拠にしているのかという,その根拠を明確に打ち出すということがある意味フラッグシップ大学の役割の一つなのではないかと思います。
それから3ページ目のフラッグシップ大学の役割という部分で,STEAM教育とかIoTとか様々な文言が挙げられていますが,重要な文言として,これは教育再生実行会議もそうですし,第3期の教育振興基本計画の中でも大きな柱の一つとして挙げられている客観的な根拠を重視した教育施策,つまりEBPMというワードが,消えてなくなってしまっているのはどうなのだろうかということです。フラッグシップ大学には,当然客観的な根拠に基づいた教育が推進される先導的な役割も期待されているわけで,その文言は是非残していただきたいと思います。
最後に,4ページのフラッグシップ大学の創出方法の部分で,ここは,私も考えがまとまっているわけではないのですけれども,この「要件」という言葉が,応募の段階なのかそれ以前なのか今後を見込んだ期待なのかということがよく分かりません。業績や実績という言葉の使い方について前回のときにもこだわったのは,Society5.0の社会を見据えたフラッグシップ大学の役割として,これからやっていこうというものは,今までの実績も確かに大事なのですが,これからの未来への教育でもあるので,過去を問うというより,期待できる取組というか,こういう要素を兼ね備えている,あるいは考えているのであれば大いに期待できるのではないかという視点で期待していくということも必要なのではないかと思います。Society5.0の時代に向けた教育という観点では,まだどこも実践できているわけではないのです。
以上です。
【三島主査】 ありがとうございます。この要件の意味は,応募できる要件という意味ですね。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】 はい。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】 例として挙げられているものの中に,それをクリアしていないと応募できないのか,それとも,それができているということを文書で示せばいいのかという,そこが明確になってない部分はおっしゃるとおりあるかと思いますので,その点は今後,応募要領などを作成する際に明確にしていく必要があるかと思っております。
【三島主査】 ほかにございますでしょうか。堀田委員,どうぞ。
【堀田委員】 もう一つだけ。本ワーキンググループの審議の途上で本年6月に柴山前大臣が出された最終まとめがありますよね。そういうものをきちんと受けるべきではないかと思うんです。教育再生実行会議からの流れというのはそうなのですけど,文部科学省がそれを教育再生実行会議で第11次提言を受けて検討して前大臣の方で出された,そして概算要求などにも影響を与えているような大きな流れであって,教員養成に限らず教育界全体としてどうやってキャッチアップしていくかという大きな方向がありますので,そういうものを本文の中で,あるいは概要のところできちんと受けるべきではないかなと思います。
以上です。
【三島主査】 柴山・学びの革新プランですね。ほかはいかがでしょうか。加治佐主査代理,どうぞ。
【加治佐主査代理】 今のお話を伺っていまして,確かに,感覚的には同じように思います。ただ,確かに言葉足らずであったり,表現が少し不明確であったりということはあるかと思うんですが,2ページの下のところにありますように,私は教員養成大学を担当しているのでじくじたる思いもあるのですけれども,とにかく駄目だと。今全然駄目なんだと。だから,今のレベルではなくて,一言で言うとすごいものを作れと。そして,それが牽引(けんいん)していくのだと。支えるのではなくて牽引(けんいん)するんだと。場合によってはついてこられないところは落としていいんだという感じもしますけれども,そういうニュアンスはしっかり2ページの下のところで出ているわけですよね。
ではそれは何かというと,確かに言葉足らずなところはありますけど,文部科学省もおっしゃるように,Society5.0の時代が来るということは明確に政策の方向として出しているわけですよね。Society5.0というものを当然にらんで,それに対応できる教員の育成,ということは伝わってくるんですね。だから,そのためには,現状が駄目ですよと。だから,飛躍しないと駄目ですよ,ということを言っているそのニュアンスは伝わってくるんです。
ただ一方で,なかなか言い方が難しい事情があって,教員養成大学・学部の教職員や,初等中等教育の教員が読んだときに分かるかということもあるわけです。そういうときに,できるだけ平易な文章が良いのかなということもあるのかもしれません。あるいは,いろんな関係方面の方に理解いただかなければいけないということで,こういう表現になったのかという気がしないでもないのです。非常に分かりやすく,シンプルにはなっているわけです。ただ,おっしゃったようなことをまた入れられてもいいのかなという気がします。
【三島主査】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。三村委員,どうぞ。
【三村委員】 教育再生実行会議の議論を踏まえたSociety5.0に対応する教員養成ということで,松田委員,堀田委員,皆さん言われたようなところはあり得るかなと思いました。そういう意味では,松田委員が言われたように,この中間まとめの中にSociety5.0という言葉をもう少し明確に入れる必要があるというのは私も感じました。
一方で,Society5.0ではAIやIoTを活用する必要があり,それを駆使することができる教員養成ということだと思うのですが,それ自体は手段であって,それを行わないと, Society5.0の時代や,地域の課題に対応した教育ができないので,それを使う必要がある,ということで,使うことが当然目的ではなくて,使わないと本来の教員としての役割が果たせないという意味での必要性だと思います。ですから,それが必要である一方で,例えばAIが発達した時代だからこそ,人間に求められるのは何であるかといったような教育を行うことも必要であると思いますので,先端技術を使うことと同時に,本来の教員養成の目的を明確にできるということが,やはりフラッグシップ大学には求められるのかなと思います。 以上です。
【三島主査】 ありがとうございます。山口委員,どうぞ。
【山口委員】 先ほどの戸ヶ﨑委員の御発言に近いんですが,要件のところで「実績」という言葉がかなり多く使われているんですが,時として「計画」という言葉も入っていて,その実績と計画というところが必ずしも明確に分かれていません。そこが,過去のことなのか未来のことなのかということが不明確になっている一番の要因だと思っています。
私自身は,今までの議論からして,実績は一定程度ないと保証できないでしょうという意味では要件に入るものの,むしろ計画の部分が大きいのかなという印象は持っています。ただ,どの部分がどうだということは,私自身は余りよく分かってない部分があるのは事実です。そのときに,この会議でも話題になった,新しいことをやるんだから何でもありだよという話ではなくて,質保証的な意味合いのことが一言でも触れられているべきではないかという気はしました。これからやることに対しての保証がないといけないという意味ですが,そこが少し抜けているかなという気がします。
以上です。
【三島主査】 ありがとうございます。安藤委員,どうぞ。
【安藤委員】 1ページの教育再生実行会議の議論を踏まえというところの丸1番でございます。私がこれまでこの会議に参加させていただいて,いろいろと考えていたことは,先ほどの先生方のお話は十分承知していたんですが,「教員養成を先導する」というところに非常に私はこだわっています。確かに先端技術の活用もあるけれども,それを核にしながらも,もっと教員養成というところに踏み込んだ大学になるのではないかということ考えています。そういう意味で実習とか地域連携とか,様々な取組が大事な部分になってくるだろうなと捉えていました。先ほどの話を伺っていますと,Society5.0時代に特化した特徴ある取組をやらないとフラッグシップ大学になれないとなると,この「教員養成を先導する」という言葉が極小的になるような気がしてならないんです。そこで確認させて頂きたいのが,選考する上でのいろいろな要件が先ほど出てきましたけれども,その中でとがったところを取り上げたときに,この教員養成を先導するフラッグシップというのは,ICTや先端技術だけではない,もっとそれを軸にした大学と捉えてよろしいんでしょうか。
【三島主査】 私はそうだと思います。そこだけではなくて,先ほど三村委員もおっしゃった,社会が変わっていくのだけれども,ICTやAIが入ってきて,どんどん使われる社会の中で人間はどういうことができるのかというようなところも非常に重要だと思います。
【安藤委員】 ですから,先ほどの話でいくとSociety5.0時代の教育,学校,教員の在り方というところがある程度語られながら,その中でとがった部分をいろいろな大学として特徴を出してもらえればというところかなと思っていたので,余り絞り込み過ぎてしまうと,選ぶ方は楽かもしれませんが,新しい教員養成というところについてはどうなのかということが非常に気になっていたので,今確認させていただきました。
【三島主査】 ありがとうございます。水落委員,どうぞ。
【水落委員】 今の安藤委員の御発言を更に具体化するようなことになるかと思うんですが,本日のお話を伺っていると,1ページの点線で囲まれている,ICTやAIをはじめとして,そこでとんがったことをやるんだということに,より力点を置いた形で話が進んでいったと思うんです。
今の安藤委員の話をもっと具体的にすると,有識者会議の報告書にあったことは置いておいたとしても,とがっているということが重要なのか,それとも,報告書を踏まえた上でとがったことなのか,どっちなのかということを確認する必要があると思いました。
【三島主査】 それはやはり踏まえた上でではないでしょうか。ただICTだAIだというものを使える人を育てるとか,そういうものを使えるような教員の教え方ができるとかいうことだけではないと思うんですよね。でも,これからの変わっていく社会の中で,それを背負っていく若者を育てていかなければいけないわけですから,基本には教員養成の有識者会議報告書を踏まえた上に,その特色を加えられる大学ということになるのではないかと私は思います。
【水落委員】 分かりました。ありがとうございました。
【三島主査】 若江委員,どうぞ。
【若江委員】 いろいろ拝見していて,フラッグシップ大学とは言いながら,これまでのまとめのところと言葉的には余り変わっていないと思います。ですので,例えば,2ページのフラッグシップ大学の必要性の頭のところに,これまでの教員養成の在り方にとどまらず,未来に向けたことを考えていくイノベーティブな教員を養成するための,というふうに,Society5.0に象徴される大きな社会の変化についてもう少し,産業界が一般的に用いる表現や書文言を入れていくべきだと思います。1番の丸のところに,先ほど松田委員や皆さん方がおっしゃるように,ICTの活用など,ここに書かれていることは常識的なことばかりなのです。逆に言うと,こういうことは一切出さないで,過去には実績はあるものの,今いろいろ御意見が出ているような新しい教育とはどういうことなのかということを考えられる,あるいは変化に対応できるような大学を要件として選ぶというくらいの表現にして,ありきたりな表現は出さないぐらいの方がインパクトがあっていいのではないかという気がしました。そういう言葉が出ていると,フラッグシップ大学っぽく感じないというか,どうしてもこれまでと同じものに見えてしまうんですよね。
あと,フラッグシップ大学の役割も,牽引(けんいん)することが一番ではなく,それは最終的な結果なので,フラッグシップ大学の役割とは何をしなければいけないのかということが先にあるべきではないかと思います。もしかしたら3が1番に来るのかもしれないし,それがあって初めて牽引(けんいん)役を担えるという形ではないかなと感じました。雑駁(ざっぱく)な意見で申し訳ありません。
【三島主査】 ありがとうございます。
【加治佐主査代理】 具体的なことを二つほど。
一つは,1ページに本ワーキンググループの検討事項が二つ,丸1,丸2とあるんですが,丸2の括弧内の例示として,教員養成に関わる大学教員の養成・採用・研修,これを検討するとあるわけですね。このことは,これまでの整理には出ていたんですが,今回なくなっているというか,5ページの下から二つ目の丸のところにはあるんですが,Society5.0時代の教員養成を担えるような大学教員の育成ということがもう少し表に出ていいのではないかと思います。政策提言のときにやるような感じになっていますので,そうではなくて,一つの役割としてこれも出すべきではないかと,これまでの流れから言うとそういうことになるのではないかと思います。これが1点です。
それから二つ目は,5ページから6ページにかけて,他大学と連携した取組の条件ということが出ているわけですね。1大学で行うことを基本として,その大学の学部,教職大学院,附属学校等々が一体となって,要するにプログラムが指定されるのではなく,大学自体が指定されるんだから,全学挙げて一丸となってやるんだということですよね。だから,そういう意味で単独の大学の取組が基本だということですよね。
同時に今,一法人複数大学制度とか,大学等連携推進法人(仮称)とか,連携,統合の仕組みが新たに出されつつあるわけですよね。そして,有識者会議の報告書の中には,教員養成大学・学部の連携統合という流れがあったわけです。フラッグシップ大学はそういう部分を引き継いで複数大学が資源を集約した形でいくのかなということを当初思っていたわけです。今中間まとめの段階ではこういう表現になっているのですけれども,確かに時間的に難しいですね。今出ているスケジュールから見たときには,大学等連携推進法人(仮称)の制度が今検討されていますけど,最終的な報告書が出るのが年度末ですよね。その点からも,来年度申請ですと難しいのは分かります。
ただ一方で,国立大学は国立大学改革方針の中で,教育大学・学部は特出しされて,教員養成大学・学部の高度化と連携・集約ということが明確に出されています。それとの関わりは,今後,どうなるのでしょうか。出発時においてこういう形でやるということがはっきりしていなければいけないのか,それとも,計画の中でやります,ということでいいのか,そういうところも今後の課題かと思います。
以上2点です。
【三島主査】 ありがとうございます。基本的には最後のところに他大学との連携,二大学による共同の取組を認める余地を残しておくべきではないかという書き方になっているので,原理的にはそういうことも受けるという姿勢だと考えています。
いかがでしょうか。松田委員,どうぞ。
【松田委員】 少しお話を戻してしまうようなところがあるんですが,自分自身でも確認がしたいという部分です。
一般的に教員養成が重要なことは自明のことですし,更に充実させるためにこういう仕組みが必要だというだけならば,余り特出しでフラッグシップ大学を作るということにはつながらないのではないかと思うのです。むしろ,Society5.0という社会変化をどう考えるのかということが非常に大きな問題で,先ほど来,技術の問題が出ますと,どうしても最先端の技術に振り回されるイメージというのが出てきますし,一方で,人間と技術ということを非常に峻別(しゅんべつ)して,人間がいかにあるべきか,あるいは技術をどう使うべきかという議論になるんですけど,恐らくSociety5.0等で考えられているものの一つには,技術と人間の融合,つまり,with AIとかwithテクノロジーという形での人間の幸せの拡大とか社会の変化ということを考えているところがあって,そういう社会というのは今までまだ迎えたことがないということから,新しい時代への動きというものを促進させようとしているんだと思うんです。
ですから,議論としては,旧来の眼鏡で議論してしまう危険性も技術の問題はあって,そのあたりは言葉に出るというよりは大くくりの土台として確認させていただけたら有り難いなと思います。
【三島主査】 正にすごい速度で世の中の,構造や価値の問題,見方が変わっていく中で,先ほども申しましたように,これからの社会を支えていく子供たちが,もちろん技術的なものも知っていなければいけないし,そういうもので何ができるかということと,その限界が何かということも考えながら育っていって,未来の社会はどうあるべきかということを考えていくために必要な教育が必要です。それは今までと大分違う,受け身なものでなく,もっと自分が関わってそれに対してどう思うかということまで自分の意見をしっかりと持つことができるような訓練、といったような教育のやり方として変えていかないといけないと思います。結局,技術と人間の関係、そしてその中での生き方みたいなものですよね。それを肌で感じながら育っていくということは,私は非常に重要だろうと思っています。戸ヶ﨑委員,どうぞ。
【戸ヶ﨑委員】 今のお話に関連して,フラッグシップ大学は必ずしも,最先端技術開発大学というわけではありません。新しい技術を開発するのであれば、そう言った技術系の大学に任せておけばいいわけです。Society5.0の時代に生きる子供を育てるためには,社会の変化を構造的に把握して対応できる教師でなくてはいけないと思います。そういう教師を育てるということが一番大事なわけですから,その過程において,当然ICTなどというのは,それを目的化するということではなくて,マストアイテムとして普通に使いこなすということだって自然に求められてくるのだろうと思います。また,従来の教育についてのお話が出ていましたが,急激な社会の変化に応じた教育を進めていく過程において,当然明治来150年の日本の教育の歴史の良さや学校教育の価値など,世界に誇れる日本の教育の良さがクローズアップされる可能性もあるのではないかと思います。また、EdTechを活用する中でそれらの捉え直しや質的転換も必要となってくるかもしれません。
さらに,その教育というものを効率化したり生産性を高めたりという従来にはなかった観点から見直す過程で,学級経営力などの教師の匠(たくみ)の技が可視化されたり定量化されたりしていけば,教育の効果も高まっていくのではないかと思います。また、個別最適化された学びや教室を科学していく過程において,従来から指摘されている,読解力や感性、実体験が大事だということも,根拠を基にしてそれがクローズアップされてくるのではないかと思います。
以上です。
【三島主査】 ありがとうございます。堀田委員,どうぞ。
【堀田委員】 今までのICT活用というのは,多くの場合,教育方法の一つとして語られてきたので,教師がうまく教えるためにICTを使うという方法もあるという議論だったと思うんです。
Society5.0というのは,生活環境や社会環境のドラスティックな大きな変化であって,私がこういう話をすると先端技術を使うことを推奨しているのかとよく言われるんですけど,使ってみないと分からないことってたくさんあると思うんですね。そういうことを教員養成の大学でどういうふうに学生たちに体験させ,そして,そういう社会が来たときに,どれはAIに任せるのか,どれは人がやらなければいけないのかということを自分で自律的に判断できるような教員を育成しようとしているという流れを受けているんだと思うんですね。今回そのことがもっと前に出るべきではないかということです。教員養成そのものの資質をきちんと保証するためのいろいろな枠組みとか今までの実績が必要なことはもちろん理解できますけれども,Society5.0のためにこういうことをリードする大学を作るんだという話が埋もれてしまっては,このわざわざ作るものが十分に機能しない可能性があるので,そこはもっと前に出した方がいいのではないかと私は思います。
以上です。

【三島主査】 安藤委員,どうぞ。
【安藤委員】 先ほどの話と絡むんですけれども,私が非常に心配したのが,二つ目の必要性と,三つ目の「役割」という,二つの項目が立っているわけですが,この間に目的がないことです。フラッグシップ大学を創設する目的をきちんと明記していくことによって,応募してくる大学も方向性がきちんと定まってくるだろうし,こちらの意図も伝わってくるのではじないかなと思います。
【三島主査】 ありがとうございます。若江委員,どうぞ。
【若江委員】 今の堀田委員と安藤委員のお話をお聞きしていて正にそう思ったんですけど,4ページの要件の一番頭のところで「全学体制」と書かれているのですが,産業界で言うと,新しいことをやるときはベンチャーにも機会があるわけです。この要件だとすごい実績を持っているところでしかできなくなってきます。ましてや大きな大学,実績がある大学になればなるほど,ガバナンスが効かない。一つの大学でも大変なのに,そういうところが二つ以上の連携などができるのだろうかという大きな懸念を感じています。
ですので,この全学体制でこうやって職附属学校まで書いてしまうと,おのずともうどこどこみたいなことが決まってしまうのではないでしょうか。ましてや三つ程度ということになってくると,じゃあ国立が一つで私学が一つみたいな,もう先が見えている感じがしてしまいます。目的を明確にして,もう少し柔軟な入り口を用意しておかないと,この要件だと既に入り口はもう決まっているというイメージを受けるのではないかという気がしました。
【三島主査】 ありがとうございます。三村委員,どうぞ。
【三村委員】 先ほど堀田委員が言われたことと関連するのですが,これまで例えば科学技術を使って教育をするということになると,従来の方法の良さがあると反対をされる方もおられたと思いますが,今回,それを使うことによって教育の質が高まる,さらには,個別最適化の教育ができるということで言うと,もうどなたも反対できないのではないかということで,それは進めていくことになるだろうと思っています。
そのときに,安藤委員が言われたことにも関係して,例えば,フラッグシップ大学でなくても,どの大学もそういったSociety5.0の時代を見据えた教員養成というのを考えていく必要があると思うのですが,そうなったときにフラッグシップ大学にならないとできないことがあるのかということです。正にフラッグシップ大学の目的として,自分の大学だけがやるのではなくそれを広めていくということもあると思いますが,フラッグシップ大学にならないとできない役割,目的というのが明確になるといいかなと思いました。

【三島主査】 どの教員養成大学・学部でもそういうSociety5.0に対応したことをやらなければいけないのはそうだろうと思います。一方で,このフラグシップ大学というのは,例えばどんな規制を緩和するとやりやすいのかとか,いろいろなことを試して新しい教育方法を実際にやってみる大学を作って,それを見てほかの大学もそれに付いていく,それが牽引(けんいん)するという意味だろうと思います。そういうところからいくと,最初に,力がある程度あって,そして,いろいろな意味で,実績からフラッグシップ大学になれるであろう大学というのを最初に選んで,そこがどんどんいいやり方を考えていって次第にみんなが付いてくるという意味のフラッグシップだと私は思っているので,ここの文章の中ではそういう意味で書かれていると思っています。
【加治佐主査代理】 先ほど述べたことなんですが,私は必ずしも同意しているわけではないのですけれども,今の教員養成では駄目だと,できないと言われているわけです。文部科学省から全大学にやってくださいと,そのための支援もしますと,そういうやり方ではSociety5.0の時代の教員養成はできませんと,はっきりこう言っているわけですね。だから特定の大学に資源を集約しして,そこには格段のことを求めますということを言っているわけですね。そういうふうに資源を集約してやらないとできませんという発想が基本にあるということです。だから,そういう意味では,やはり相当支援してくれるんだと思いますよ。お金もそうですし,人材面も,自助努力だけではなくて。そういうことは非常に感じますね。
ただ一方で,私も気になっていることは,駄目だと言われている大学の実績を問うていることです。だから,そこのところの実績の問い方はよく考えないといけません。将来につながる計画ということもおっしゃいましたけど,私もそうだと思います。将来につながる捉え方。過去の実績も大事なんですけれども,それだけではない。将来につながる計画を見るということをしないといけないのかなと思います。
【三島主査】 水落委員,どうぞ。
【水落委員】 本日の議論が非常にスピーディーに進んでいて,そういう意味でこの中間まとめは非常に効果的なんだなと感じました。これを取りまとめてくださった方々の努力に大変敬意を表したいと思っています。ありがとうございます。
お話を伺っている中で,確かにそのとおりだなと思うんです。加治佐主査代理がおっしゃったこともそうですし,皆さんがおっしゃったこともそのとおりだなと思うんですね。
私が気になるのは,5ページ目の一番下の行,「フラッグシップ大学は,上述の要件を備えた単独の大学での取組を基本とする」。同じ場所に,例えば学生たちを集めて,同時進行で授業を行うという段階で,既にSociety3.0を前提としている感じがします。そこでICTを使う,それもかなり使っていく,これでやっとSociety4.0の話になると思うんです。Society5.0というのは,個別最適化という言葉に集約されると思うんですけど,1か所にみんなで集まって同時にやるという前提を離れて,例えば遠隔地だとかタイムラインがずれているとか,そういうことをやりながら,さっき堀田委員がおっしゃったような,ドラスティックに生活が変わっていくようなことを前提とする社会だと思うんです。そうなったときに,単独での取組を基本とするんだという前提があると,そもそもここでもうSociety5.0じゃないのではないかという疑問が出てきてしまうと思うんです。なので,結果的にこうなるということはあってもいいかもしれないんですけれども,最初から条件として書くというのはどうかと感じました。
以上です。
【三島主査】 ありがとうございます。堀田委員,どうぞ。
【堀田委員】 何度も失礼します。教員養成は時代が変わるといろいろ在り方が変わっていく不断の見直しが必要なものだと思うんですけれども,そういう中で,教育の情報化に関しては,学校現場も含めて,社会から見て著しく遅れてしまっていると思うんですね。例えばジェンダーとか環境教育とかそういうのも多少遅れてはいるかもしれないけれども,一生懸命食らいついてきている中で,情報化はどうしてもお金も掛かるし,従来の学校制度のいろいろなことを変えないと対応しにくい部分もあるものだから,つい遅れがちになっているんだと思うんです。そんな状況の中でいよいよSociety5.0が来て,教育方法の問題だけではなくて,もしかしたら教育内容からきちんと議論し直さなければいけない段階に来ているという社会の一種の圧力みたいなことを私はよく感じます。だから,そういう時代に応えるために,加治佐主査代理が正におっしゃったように,今までのやり方だけでは現行の教員養成大学ではなかなか難しいところを,フラッグシップ大学が先導してやってみせるんだと,そういう役割を明確に打ち出していただければと思います。
【三島主査】 ありがとうございます。山口委員,どうぞ。
【山口委員】 今の件で松田委員が言われたプッシュ型というのが非常に重要だという気がしていて,本日の議論でも皆さんがおっしゃっているのは,プッシュ型の役割をフラッグシップ大学が担うべきだという話ですから,そこは強調されてもいいのかなという気がしました。
【三島主査】 ありがとうございます。他いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは,本日は大変貴重な御意見をたくさん頂きましてありがとうございました。今までの御協力に心から御礼(おんれい)申し上げます。
最初に御説明があったように,本日の御意見をできるだけ取り入れた形でまとめを作った後にパブリックコメントをするという段階になりますので,そこでいただいた御意見について,次回以降御議論いただきますが,この時点では,私に一任していただきたいと思うんですが,よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは,大変重要なポイントが幾つもあったかと思いますので,まずはパブリックコメントに出させていただく中間まとめに反映したいと思いますので御理解いただければと思います。
では,今後の予定について事務局からお願いいたします。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】 本日はありがとうございました。
今後のスケジュールにつきましては,資料5を御覧ください。第7回の日程が11月7日15時から17時を予定しております。会場につきましては未定でございますので,改めて御連絡いたします。
本日御審議いただきました中間まとめ案につきましては,皆さんの御意見を踏まえた形で修正いたしまして,10月4日の教員養成部会に報告するという形を予定しております。その時点からパブリックコメントという形で皆さんから御意見を募りたいと思っております。
次回のワーキンググループにつきましては,教員養成部会での意見や,パブリックコメントの意見を踏まえて最終まとめに向けた案を練り上げていきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
以上でございます。
【三島主査】 それでは,本日はどうもありがとうございました。

── 了 ──

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