教員養成部会 教職課程の基準に関するワーキンググループ(第8回)議事録

1.日時

令和2年2月7日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省東館15階15F1会議室

3.議題

  1. 教職課程の水準の維持・向上や効果的・効率的な実施を図るための教職課程の基準の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

山口宏樹主査、安部恵美子委員、大森昭生委員、加治佐哲也委員、北上正行委員、酒井朗委員、佐古秀一委員、添田久美子委員、本図愛実委員、森山賢一委員

文部科学省

浅田総合教育政策局長、平野大臣官房審議官、柳澤教育人材政策課長、長谷教員免許企画室長、齊藤教員養成企画室長 ほか

5.議事録

【山口主査】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会、教職課程の基準に関するワーキンググループ第8回を開催させていただきます。
本日は、御多忙の中、お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
初めに、文部科学省において人事異動がありましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。

【尾白教育人材政策課専門官】 髙田に代わりまして、1月1日付けで教育人材政策課教員養成企画室長に着任をしました、齋藤潔でございます。

【齋藤教育人材政策課教員養成企画室長】 齋藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【山口主査】 よろしくお願いいたします。
それでは、まず、事務局から本日の配布資料の確認をお願いいたします。

【尾白教育人材政策課専門官】 資料の確認をさせていただきます。本日は、端末ではございませんで、紙媒体でさせていただきます。お手元に本日の会議資料であります、議事次第、資料1から3、また、参考資料1から3までを配布しております。このほか、基礎資料としまして、『教職課程認定申請の手引き』の冊子を机上に用意をさせていただいております。不明な点等ございましたら、お近くの事務局員までお申し付けください。
以上です。

【山口主査】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
では、議事次第をごらんいただきます。本日は議事の1について、まず、事務局から説明を頂いた後、委員の皆様から御自由に御意見を頂きたいと思っています。
そして、本日は、この報告案を基に皆様方の御意見を頂いて、本ワーキンググループとしての一定の結論を得たいと考えておりますので、是非御協力いただきますようお願いいたします。
それでは、早速、議事の1に入ります。まずは事務局から説明をお願いいたします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 それでは、お手元の資料1、見え消しで入っている方の報告書案に従いまして御説明申し上げます。
こちらの報告書案でございますが、前回の会議、素案の段階で頂いた御指摘を踏まえるとともに、あとは文章の内容の趣旨を明確にするために、事務局の方で、図でありますとか、文章の表現を整理をさせていただきました。今回は、そこの変更点に併せまして、前回から少し時間もたっておりますので、おさらいの意味を込めまして、全体的なポイントも併せて御説明を申し上げていきたいと思います。
それでは、こちらの資料を1枚おめくりいただきまして、1ページ目からごらんいただければと思います。まず、「はじめに」のところでございます。こちら、検討事項でありますとか、これまでの検討経緯を記載してございます。この中で赤字の部分でございます。「また、二に示すような教職課程に求められる役割や今後の教員需要などを踏まえれば、教職課程の実施体制の在り方を変革していくことは急務であり、各大学においても、スピード感をもって取り組むべきである」と。特に「スピード感をもって」というところにつきまして、前回、更に強調すべきであるという御意見を頂いておりましたので、ここを「はじめに」の中に入れさせていただきました。
それから、二の教職課程の実施体制に関する基本的な方向性のところでございます。最初の段落のところは基本原則の確認でございまして、大学で教育課程の実施に責任を有する組織は基本的には学科等でありますので、教職課程につきましても学科等が責任を有するということを基本としまして、授業科目でありますとか、専任教員については学科等を基本的な単位として備えるということになってございます。
次のページに入っていただきまして、ただ、一方で、三つほど最近の事情を掲げてございます。近年の事情を踏まえまして、大学間あるいは学内での連携・協力ということが求められているということを、2ページにわたって説明してございます。
一応、おさらいをいたしますと、最初の部分で、学校現場・地域の教育課題に対応した教職課程の充実というところでございまして、特に2段落目の「このように」以下の部分にございますように、教職課程で多様な内容の教育を提供することが求められるようになっているということを踏まえまして、学内の別の学科でありますとか、大学間の連携によって、授業科目を活用できる仕組みを作るということが、教職課程の充実に資する面があるということを記載してございます。
それから、複数種類の免許状取得の要請ということで、近年、教育委員会でも、複数の学校種、教科の免許を保有していることを採用試験の際の加点の事由にしているというところが増えてございます。これに加えまして、12月26日に初等中等教育分科会でまとまりました論点取りまとめの中でも、小学校高学年からの教科担任制の本格的な導入ということが言われてございます。そうなりますと、今後、小学校と中学校の双方の免許状の併有ということがより強く期待されるようになるというところがございますので、履修内容を共通にしているような部分については、科目を共通にしていくことで、学生が履修しやすいカリキュラムを編成していくということも一つの要素としてございます。
それから、3ページ目のところで、教員採用数の少ない種類の免許状に係る養成・研修体制の確保というところでございまして、最初の段落のところの一番最後のところでございますけれども、最近のいろいろな動向を反映しまして、中学校の幾つかの教科についても、教職課程の認定を受けた大学がもう地元に存在しなくなっているというような県もございます。
ただ、やはり教職課程を持った大学があるということは、養成、それから研修を支えるという面で重要でありますので、一つの大学で教職課程の運営が困難な場合にも、近隣の大学との連携・協力で、養成・研修機能を維持するような仕組みが求められていると。以上申し上げた三つの背景に基づきまして、今回の検討を進めてまいったところでございます。
ただ、一行開けて、その次のところにございますように、全体的な方向性としては、授業科目でありますとか、専任教員を共通化していくという方向での見直しというところがございますが、「ただし」以下の部分にございますように、複数の組織の間で教職課程の運営を行うことになりますので、その責任の所在が不明確になるということを、前回の素案の中でも指摘をしておりましたけれども、前回の会議の中で、併せまして、教職課程のカリキュラムの体系性が失われるようなことがあってはならないという御指摘も頂きましたので、この点を追記をしてございます。
それから1ページ、更におめくりいただきまして、4ページ目の方に入っていただきますと、4ページ目の中ほどから、複数の学科等の間において教職課程を共同で実施する体制というところを記載してございます。
具体的には、5ページ目の図をごらんいただければと思います。上の方の図でございますけれども、まず、上の複数の学科等の間というところで描いている図でございますけれども、B学科がA学科、C学科にも科目を提供すると。あるいは、C学科の方からB学科にも科目を提供するというような図を示してございます。一つには、学内で教職課程の科目としてふさわしい科目を活用しやすくなるという方向での見直しというのが一つの方向性でございます。
それから、もう一つが、下の複数の教職課程の間というふうに出てございますけれども、特に小学校と中学校の間で共通部分の科目を増やしていくことで、小中両方の免許の取得がしやすくなるというところもございます。
具体的に、5ページ目の中ほどから、まず、教科専門科目についての共通化ということで記載をしてございます。こちらの文章よりは、次の6ページ目の図をごらんいただければと思います。ここは大きく分けまして、二つの要素がございます。一つが、図1のところにございますように、現行の基準で申し上げますと、この例では、教育学部と法学部、理学部の間での共通開設についての制限を書いてございますが、現行の基準では開設元の教育学部で教職課程の科目として使われているb1からb6の科目については、他学部の法学部や理学部で共通して教職課程の科目に活用できないというふうになってございますが、今回、見直しの方向性ということで、教職課程によりふさわしい科目を全学的に共通化していくという観点で、開設元で教職課程の科目になっている科目につきましても、他学部で共通して教職課程の科目に活用できるということが一つの方向性でございます。
それから、7ページ目の方に入っていただきますと、もう一つの制約の部分で、現行の基準では、B学科の科目、bで示した科目ですけれども、bで示した科目が、現行の基準では教職課程の科目の事項、この例では社会ですので、日本史・外国史、地理学等々の五つの事項の半数までということになっておりますので、このように、半数を超える四つの事項についてまで共通開設するというのは認められないというところでございますが、今回の方向性としましては、開設単位の少なくとも半分以上は自分で提供するということを条件にしまして、共通開設の幅を広げていくという方向性を示しているところでございます。
それから、次に教職専門科目の部分でございます。これも、次のページの図をごらんいただければと思います。8ページ目のところでございます。前回の素案のときにはかなり複雑な図をお示しをしておりましたので、かなりここは図を簡略化させていただきました。まず、ここも二つの要素がございまして、まずは、青枠で囲まれた部分のところでございます。ここは教育の基礎的理解に関する科目と、道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目で、ここにつきましては、学校種でありますとか、教科、それから職種に横断的に共通的に関係してくる科目ということでございますので、このあたりの共通性の高い部分については、現在、共通開設ができない、バツが付いている、青枠で囲っている部分についても、共通開設を認めると。下の見直しの方向性の大きな青枠の部分のように、共通開設を広げてはどうかということで記載をしてございます。
それから、下の赤枠の部分でございますけれども、ここは教育実習でありますとか、各教科の指導法という部分で、特に小学校と中学校の間での指導法でありますとか、学校での教師の役割の違いということに着目をしまして、今回は、このワーキングでは結論は出していないんですけれども、教員養成部会で更に教科担任制の議論の中で引き続き検討していくということで整理をされてございます。
今回、幾つか前回の議論で留意点を頂いておりまして、そこを追記した部分がございます。まず、8ページ目の一番下のところをごらんいただければと思います。8ページ目の「ただし」以下のところに、共通開設を広げるに当たっての留意事項を記載をしてございます。特に学位プログラムの違いを踏まえた学生の履修への配慮が求められるということを記載してございました。この中で前回御指摘を頂いておりましたのが、同じ科目を一般学部の学生と、教員養成を主たる目的とする学部等の学生が一緒に学ぶということで、かえって教職に対する意識というものが低下することがあってはならないという御指摘を頂いておりましたので、逆に一般学部の学生と教員養成学部の学生が一緒に履修をすることで、全体として教職に対する意識を高めるような充実した指導が必要であるということを記載しております。
併せまして、9ページ目の上のところでございますが、教職への意識を高めるためには、教職センターなどの全学組織が中心となって、この指導を充実させるということが必要だという御指摘を頂いておりましたので、その点について一番上のところで追記をさせていただいております。
それから、マル2の各教科の指導法、教育実習の部分でございますけれども、ここでは特にマル2の中の3段目のところの「現在の教職課程認定基準では」というところの段落でございますが、小学校と中学校についても、義務教育9年間を通じた内容を網羅するようなカリキュラムを構成するような教職課程を置くようにすることも考えられるというところの提案があるところでございますけれども、ここの義務教育9年間を通じた内容というところにつきまして、教科指導だけではなくて、小学校と中学校の児童生徒の心身の発達等の理解、この違いを踏まえた児童生徒の心身の発達の理解についても履修が必要であるという御指摘を頂いておりましたので、この点、教科指導に併せて併記をする形で記載をしてございます。
それから、9ページ目の一番下のところ、なお書きのところでさらに留意事項を記載をしてございます。これも義務教育9年間を通じたというところで本文には記載をしておりますけれども、この場合、幼稚園と小学校との接続でありますとか、今度、中学校と高校との接続というところがおろそかにならないようにというところの御指摘を頂いておりましたので、この点を留意事項として注記をさせていただいております。
それから、今度、10ページ目の方に移っていただきますと、専任教員の共通化の部分でございます。これにつきまして、特に大きな御意見を頂いているところはございませんでした。見直しのポイントとしましては、まず、複数の学科等の間につきましても、科目を共通化する部分というのが今回出てまいりますので、そこの部分については専任教員を共通化できる部分が拡大をしていくということ。
それから、複数の教職課程の間、特に小学校、中学校ということで下の図に書いてございますけれども、小中の教科専門で必要な業績を有する教員については、共通化できる部分を増やしていくということが今回の見直しのポイントでございます。
それから、11ページ目の方に入っていただきますと、学部等連係課程についての記述でございます。これは次の12ページ目の方の図をごらんいただければと思います。ここも特に前回御意見を頂いていないところでございます。大学設置基準の改正によりまして、弾力的に学部等の間での学位プログラムを開設できるようにするということで、学部等連係課程実施基本組織というものが新たに設置基準上位置付けられております。これにつきましても、独立した学位プログラムであるということで、ここに教職課程を置けるようにすると。その際に、設置基準上母体となっている学部と、この基本組織との間での教員のダブルカウントが認められておりますので、教職課程についても母体となっている学部と、この基本組織との間でのダブルカウントを認めていくということが今回の趣旨でございます。
以上が、学内での学科間の共通化でございまして、13ページ目からが、複数の大学の間での教職課程の共同での実施体制というところでございます。ここにつきましては、一応、おさらいになりますけれども、次の14ページ目の図を少しごらんいただければと思います。基本的に大学設置基準と同じように、教職課程につきましても、各大学が自ら教職課程の科目を開設するという、いわゆる自ら開設ルール、それから、専任教員についても自ら備えるというところが原則として妥当しております。
現在、これの例外になっておりますのが、図の左側の方にございます共同教育課程でございます。これは、このワーキングの中でも、群馬大学と宇都宮大学に御発表いただきましたけれども、共同教育課程というのは、学部全体を共同化していくということになってまいりますので、学位取得に必要な124単位の学位プログラム全体についての調整が必要であるということと、それから、相互の大学で31単位以上ずつ取らないといけないというところの制約が設置基準上掛かっているところでございます。
今回ワーキングの中で議論いただきました、教職課程を共同設置するというところにつきましては、この学位課程、学部学科自体は単独でそれぞれ立ったまま、教職課程の59単位の部分についてだけ共同していくということで、新しい仕組み、連携・協力の仕組みというものを御提案を頂いているところでございます。
これが今回可能になってまいりますのが、現在、大学分科会の方で議論をされております大学等連携推進法人と、1法人複数大学の場合の特則でございます共同授業の実施という部分が前提になってまいりますので、教職課程の共同設置についても、大学等連携推進法人と1法人複数大学が前提となっているということでございます。ですので、後ほど今後のスケジュールのところでまた申し上げますけれども、今、大学分科会で具体的な検討が進行しておりますので、その審議状況も併せて詳細な制度設計をしていく必要があるというところでございます。
その上で、このワーキングの中での御議論、主に御意見頂いておりましたのが、14ページ目の下の1ポツ以降のところの、具体的な要件の部分でございます。1ポツの、14ページ目の一番下のところで赤字で追記をしている部分でございます。ここは前回、一般学部でもやはり教員養成の体制というのをしっかり整えられているというところの御指摘がありましたので、ここは表現を変える形で、教員養成に関わる授業科目や専任教員が豊富に備わっていることが制度的に担保されていることが適当であると。教員養成を主たる目的とする学科をここで表現しているわけでございますけれども、教員養成を主たる目的とする学部学科につきましては、設置基準でありますとか、課程認定基準で科目や専任教員が手厚く配置をされているということになっておりますので、そこの制度的な担保という観点で表現をさせていただいたところでございます。
それから、15ページ目のところに入っていただきまして、米印の「例えば」のところでございます。ここは教員養成を主たる目的とする学科が必ず一つ含まれるというところに加えまして、さらにプラスアルファで、高度専門職業人としての教員養成を行えるような体制が備わっていることが望ましいというところの具体例として書いていた部分でございます。
この中で、現職教員の再教育の場となる修士課程が設置されていることというところを、今回削除しております。ここは、いろいろなところでこのワーキングについての説明をしている際に、ここの部分を捉えまして、教職大学院だけに限定する趣旨ではないのかと。つまり、国立中心になってくるんじゃないかといった誤解を招いていたところがございます。それから、教職課程の共同設置については、基本的には学部も含めた共同設置でありますので、大学院を要件にしているというところの不自然さというところがあったことと、あとは、修士課程の設置を要件にしますと、短期大学同士の組み合わせがなかなか難しいというところもございましたので、ここでは、例示の中では、修士課程というのは外しているところでございます。
それから、なお書きの部分でございます。前回の御指摘の中で、余りに多くの大学で構成をしていきますと、そこの中での教学管理が非常に困難になってきて、質の低下を招くのではないかという御指摘を頂きました。同じような議論というのは、大学等連携推進法人の特例としての授業科目の共同実施の方でもやはり議論がございまして、大学分科会の方でも、共同実施をすることのできる大学数の組み合わせの上限が設定されるという方向で議論がされておりますので、当然、共同実施が前提となっている教職課程の共同設置につきましても、設置基準の並びで上限の設定というのがなされるということで記載をさせていただいております。
それから、2ポツの専任教員の配置に関する要件でございます。今回の共同設置の場合には、構成する学科等の合計の入学定員に応じて、必要な数の専任教員をそれぞれの学科で備えていくと。ただ、その前に、やはりフリーライドになってはいけませんので、少なくとも一定数の専任教員を備えることが必要であるということにしてございます。
その一定数の専任教員の考え方でございますが、この下の米印の部分で、前回の素案の中では、按分した数が1を下回る場合でも、最低1名というふうに記載してございました。これ、最低1名というのがひとり歩きしてはいけないというところの御指摘も頂きましたで、ここは削除して、考え方として、入学定員に応じて按分するということの記載にとどめてございます。
それから、そこの米印の上の部分の赤字で追記をした部分でございます。広域的な大学間の連携によって、通常の教職課程よりも質の低下につながることのないよう、遠隔教育の際のサポートスタッフなども含めた指導体制の整備も求められるということで、これもやはり専任教員の体制の文脈の中で、サポートスタッフなども含めて指導体制の充実が必要であるということの御指摘を頂いておりましたので、そこも追記をさせていただいております。
それから、次は、15ページ目の下のところから16ページ目にかけての授業科目の開設に関する要件のところでございます。ここは、構成する学科等で合わせて必要な授業科目を開設するということが原則になっておりまして、ただ、少なくとも一定数の科目を相互に提供し合うようにするということを確保する観点から、学生が所属している自らの学科と、それから、教職課程を共同で設置している他の学科の間で一定数の単位数の科目を相互に必修にするということを提案をしているところでございます。
この中の具体的な単位数については、考え方だけ記載をしてございます。その考え方の中で前回御指摘がございましたのが、この段落の下、最後のところでございます。対面授業が必要な実習・実技等が多い教職課程の特徴を勘案しつつという部分で、共同化した場合には、遠隔授業の利用というものが想定されるわけでございますけれども、教職課程の中には、対面授業が必要な、例えば実習でありますとか、模擬授業のような部分がございますので、そういった特徴を考える必要があるというところがございます。
現に、共同教育課程の場合につきましては、上の部分に記載がございますように、学士課程の場合には、卒業に必要な単位の4分の1でありますけれども、教職大学院につきましては7分の1という、より軽減した単位数が設定されてございますので、こういった考え方を入れていくということも一つあるということで記載をさせていただいてございます。
それから、大学間の共同での教学管理体制のところについては、特に御意見を頂いてございませんでしたので、ここ
は文言の修正にとどまります。
それから、最後の五の論点のところでございます。教職課程の質の保証及び向上に関する仕組みの部分でございます。これにつきましては、今回、1ポツのところで全学的に教職課程を実施する組織体制について、制度的に位置付ける、設置を義務付けるということになってございます。特に今回、学内での共同化を認めていく関係上、全学的な組織体制が決定的に重要になってくるわけでございまして、前回の御議論の中でも、全学的な組織体制の役割として、教職課程の体系性や適切性を担保すると。このために、全学的に教職課程をマネジメントする機能を果たすことが求められるということで強調されていたところでございますので、この点を報告書の中でも追記をして、強調させていただいているところでございます。
この後の部分は、自己点検・評価、外部専門家による検証、情報の公表、それから、FDというところで、特に修正の御意見はございませんでしたので、説明は割愛をさせていただきます。
以上でございます。

【山口主査】 どうもありがとうございました。前回、多くの意見を頂いて、それに対応した報告書案になっているかと思います。
それでは、ここから御質問等を含めて、御自由に御意見を言っていただければと思います。どこからでも結構です。お気付きの点があれば、御指摘いただければと思います。いかがでしょうか。
お願いします、大森先生。

【大森委員】 ありがとうございます。大変分かりやすく本当にまとめていただいて、読みやすさも、あと、図の見やすさも非常に、いわゆる教職課程の専門じゃない私も、読んでいてすごく分かりやすいなというふうに思いまして、ありがとうございます。
また、小中の科目、いわゆる課程の共通化みたいなところにもきちんと踏み込んでいただいてという。これは前回からですけれども。ということで、全体として特に何か反対があるということではありません。賛成です。
ただ、ちょっと確認というか、今まで学生の課程をどうしていくかというところだったんですけど、実際、そういう課程が開かれたときに、学生の動きがどうなるのかなということを幾つかちょっと確認をさせていただきたいなと思って、考えてきました。
まず、学科間又は課程間で共同をしていく、共通化していく、これは科目を共通化したり、教員を共通化するというところだと思います。まず、学科間と教職課程間というふうに分けられたのは、一つの学科の中で複数の教職課程があった場合という、その課程間ということだと思いますけれども、学科を越えて、A学科で課程、B学科で課程が1個ずつあっても、それも課程間というふうに読んでよろしいんでしょうか。つまり、一つの学科の中の複数の課程の話をしているのか、学科を越えた複数の課程でもこれは当てはまるという理解でいいのか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 見え消しが入っているものの8ページ目の図をごらんいただければと思います。説明の際にはかなり簡略化して申し上げましたが、今回、共通開設が広がる部分がこの青枠のところでございます。これは図の見方としましては、まず、左側に同一の学科等の間というところがございまして、同一の学科の中では、現在でも小学校と中学校の間の教職課程の間では、広く共通開設が認められているところでございます。
複数の学科の間でも、中学校と高校の間についてはかなり広く今認められておるんですけれども、複数の学科にまたがって、特に小学校と中学校の課程で科目を共通化するというところは認められていないというところでございますので、ちょっと複雑でありますけれども、複数の学科にわたって小中の課程、教職課程にわたっているというところが一つでございます。
それから、もう一つが、これは養成部会の議論に送っている部分でございますけれども、その下の教育実習と各教科の指導法の中でございますが、ここにつきましては、実は同一の学科等の中でも、小学校と中学校の課程の間では実は共通開設ができていない部分がございますので、ここについては同一の学科の中でも課程間での共通化というところについては、引き続き議論していくということになってまいります。

【大森委員】 ありがとうございます。続けてよろしいでしょうか。
そうした場合に、複数学科で、例えば、英文科のある大学さんと、子供教育学科を持っている大学さんで共通化していきましょうと。そうすると、小中の免許が取りやすくなるよねという話なんですけど、例えば英文科の学生さんは、英文科に所属していて、英語の課程を受けていく。科目は確かに共通化されているけど、初等の科目を取って、免許を取るということは、学科を越えて、課程を越えてやっていいという理解でいいわけですよね。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 免許の取得自体は、どこで取得したかにかかわらず、単位を積み上げていくことによって最終的には免許状が出るということになってまいりますので、学内の規定に従いまして、他学科聴講が認められている場合であれば、他学科の単位を修得するということができるようになってまいります。
ただ、その場合に御留意いただきたいのが、例えば、英文学科の方で小学校の教職課程の認定を受けていないという場合に、英文学科で小学校の免許が取れますと。英文学科で小学校の教職課程の認定を受けているような誤解を生ずることないような広報の仕方でありますとか、あとは、やはり他学科聴講になってまいりますので、どうしても学生の単位数が多くなってくる部分でありますとか、カリキュラムの体系性の部分がございますので、他学科聴講を認めながら小学校の免許を取得していく際には、そこの部分についてもやはり留意が必要であろうというふうには考えております。

【大森委員】 更に積み上げていくので、聴講の部分というのは、いわゆる大学からの一括認定ではなくて、個人申請をしていくというようなイメージでよろしいんですか。例えば、小学校だと50人で8名の先生というような定員管理がされていると思うんですけれども、50名を超えて免許を出さないというようになっていたんじゃないかと……。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 恐らく他学科聴講した場合に、一括申請になるかどうかというのは、大学と教育委員会との関係によって決まっている部分であろうと思いますので、県によって恐らく違っているところがあるのかなというふうに思います。

【大森委員】 ありがとうございます。続けてもよろしいですか。
ありがとうございます。次に、大学間のですけれども、まず、大学間といったときには、先ほど短大同士のというのも、それは本当にそういうことがあり得ると思ったので、非常にありがたいなと思ったんですけど、大学と短大という学校種の違う間でも、教職課程の共同化というのは可能でしょうか、共通開設は。特に私学の場合は、1法人で4大と短大を持っているケースというのが非常に多いのかなと思います。是非進めた方がいいと思うんですけど。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 そこは実は、学士課程の間と短期大学士の課程の間で、授業科目の共同実施ができるのかどうかというところの制度設計に掛かっておりますので、そこは大学分科会の方での議論の経緯によるかなと理解しております。

【大森委員】 なるほど。連携推進法人とかが大学と短大で組めるのかとか、それの議論を待たないといけないということですね。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 大学等連携推進法人自体、いろいろな主体が入り得るものではあるんですけど、共同授業をやる場合に、それが学位課程が違う場合にも共同授業ができるのかどうかというところの条件設定に関わってまいりますので、そこの議論次第というふうに理解しております。

【大森委員】 分かりました。ありがとうございます。
それから、共通開設する場合の課程ですけれども、既存の課程をベースにしていくと思うんですけれども、全く違う科目の課程を、でも、教員がいなきゃもちろんできないんですけどということもあり得るわけですよね。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 恐らく教職課程を申請するという場合だろうと思うんですけれども、今後、例えば教職課程の新設でありますとか、改組によりまして課程認定を出していただく場合には、新しい基準に沿って出していただくということになってまいります。

【大森委員】 あと、共通開設する課程の、今度、学生の話ですけれども、先生の数が今按分とかいうことであれですけれども、学生の課程に所属できる定員というのは、A大学とB大学でどういう取り決めをするかは大学に任せられるという感じでしょうか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 そこは正に各大学での定員の設定次第でございまして、そこの設定された定員に応じまして按分して専任教員の数を計算していくということになろうかと考えております。

【大森委員】 入学して……、難しいですね。学科に入学をしてきた学生が、学科というか、大学に入学してきた学生が、共通の課程も取りたいといったときに、その課程に入学試験をして入るわけではないですから、学内で選考してその課程を受けられるかどうかという。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 共同設置をする場合でも、やはり冒頭に確認をしましたように、教職課程の認定の単位になりますのが学科等ということになりますので、それぞれの学科等で定まった入学定員で、そこに入学してくる学生というのが、教職課程を履修する対象になってくるということになります。

【大森委員】 もちろんそうですね。そうすると、その学科等に所属している、その学科の定員がそのままその課程を取れるような課程の設計にするというイメージですよね。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 はい。教職課程の認定を受けている単位が、正に教職課程を履修する学生の単位ということになってまいります。

【大森委員】 分かりました。
そして、共通開設される課程と、自分の大学で持っている、既存の学科で持っている課程とが並存するときには、学生はその学科の中で二つの免許を取るということも可能になってくると。

【尾白教育人材政策課専門官】 前提として、そこの学科で教職課程が二つあるということですかね。共同設置しているものと、単独での認定を受けている教職課程があるという場合ですかね。それはもちろん二つが教職課程があるので、当然取れるということになります。

【大森委員】 ありがとうございました。分かりました。

【山口主査】 かなりいろいろなことが想定されるというのが、今の大森先生の御質問で分かって、本当にやり始めるといろいろなケースが出てくるんだなというのを実感した次第です。
ここでのワーキングでの考え方は、基本的な枠組み、考え方の整理ということで、本当に実施の段階にまで行くとなると、それまでにいろいろなことを決めていかなくてはいけないということなんだろうと思いました。
ありがとうございました。ほかにございますか。
酒井先生。

【酒井委員】 ありがとうございます。前回こちらの方からいろいろお願いした件を非常に酌んでくださって、非常にありがとうございます。
幾つかございますけれども、一つは、今、大森先生が御質問された8ページの図のところで、まず、これは質問、お願いでもない部分があるんですが、現行では、いわゆる幼小は、要するにバツがずっと付いていて、そこは単独でそこだけ閉鎖的にやっていくというカリキュラム構成で、そこ以外は開放系でやっていく、開放制でやっているという形で、学生も動いていますし、教員も動いていたんですけれども、この見直しの方向ですと、今、教員養成部会での検討のところが、もしここがバツのところが丸になってくると、幼小はほとんど全部中高と一緒になっていく。そうすると、ほとんど開放制の、一般大学と同じような形で動くようになる。幼小は目的養成だってずっと言われてきて、目的養成って何だろうってずっと考えていたんですけれども、もしこの状況になったとき、見直しの方向性、非常に全部丸になった場合の目的養成というのはどういう形になるんだろうというのが、ちょっとお伺いしたいというのが1点です。
それから、あとは、今のページで申し上げますと、例えば、一番下のところで加えてくださったところで、「全体として教職に対する意識を高めるような充実した指導が行われることが必要である」、これは非常に必要なんですけれども、どういう手だてがこれに相当する手だてなのか。
このことは、実はもう一つ、今回の全学の体制のところで、17ページ目の全学的に教職課程を実施する組織体制、これも充実させる、しっかりする必要がある。しっかりするとか充実するというのが具体が、こういうものですのでなかなか書きにくいんですけれども、例えば、課程認定のときに、どういう形であればこれが担保されたことになるのか。先ほどの17ページの方でいえば、組織体制でここで例えば人数で縛るとか、そういう形で、実はここ、人数を絞らないと、按分していきますので、教職が按分最低1になるところもあると。1で組織体制を充実させる。でも、組織体制は1でも充実していますと言われたら、それはどう抗弁するのかという、そういういろいろなことを、その2点をまずちょっとお伺いしたいと思います。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 ありがとうございます。まず、最初の8ページ目の図のところで、赤枠のところが仮に全部丸になるというところでございますが、ここは正に養成部会での議論次第というところでありますけれども、その際に、今回のワーキングとしては、ここに関しては違いがあると。幼小と中高の間には違いがあるということを前提にしまして、仮に小学校中学校全部通した、9年間を通したカリキュラムを組むような場合には、ここについても共通化していくことが考えられるんではないかということですので、小中全体を通じたようなカリキュラムを組むということが一つの前提になってくるわけでありますので、そこの要件として、目的養成のところに限るのか、あるいは、一般学部にもそれを開くのかというところが一つの論点になるのかなというふうに考えております。
それから指導の充実、それからセンターの充実の手当てとなっているところですけれども、そこに関しましては、幾つか記載がございましたように、このワーキングが終わった後、全学組織と、あと、自己点検・評価についてのガイドラインを定めていくということになりますので、その中でその記載をしていくということになろうかと思います。

【酒井委員】 ありがとうございます。

【山口主査】 ありがとうございます。私の理解は、方法はいろいろな方法があり得るんだろうなと思っていて、どこかで例示的には書くことになるとは思うんですが、余り書き過ぎても、それで縛っちゃうのは逆にいいことではないと。そんなスタンスなんだろうなと思いました。ありがとうございました。
ほかにございますか。
お願いします、北神先生。

【北神委員】 今、酒井先生の方から2点目にあった17ページの教職課程の質の向上に関する仕組みなんですが、1のところに、全学的に教職課程を実施する組織体制を整備することを義務とするという形が入るんですが、これ、教職課程を実施する組織体制がいいのか、赤字で書いてあるように、統括する組織の設置を義務付けるという形まで踏み込むのか。文章的にはそういう組織を設置して実施に責任を持ちなさいねという形なので、文科省の行政用語として整備という部分の中には、この組織の設置も含んで整備という表現で理解していけるものなのか、必ず全学で、全学的に教職課程を統括する組織の設置を義務付けるというところまでいって、その組織が担う部分の一つとして教職課程の実施というのがその中に入ってくるという理解の方が伝わるのかなという感じがしたんですが、そのあたりどうですかね。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 ありがとうございます。ここは文章を書いていた表現の趣旨としましては、全学的に行っていくという、責任体制を確立するというところにウエートを置いて書いておりましたので、実施というふうに書いたんですけれども、その心としては、下にございますように、全学的にこれをマネジメントする機能を持った組織ということになろうかというふうに考えております。
そこのところは、文言上は法令用語になってまいりますので、法令用語の整理になってまいりますけれども、ここの組織が持つような機能については、ガイドラインの中でしっかり書いていきたいというふうに考えております。

【北神委員】 分かりました。

【山口主査】 よろしいですか。
ありがとうございました。ほかにございますか。
佐古先生。

【佐古委員】 まず報告書をまとめていただきまして、本当に御礼申し上げたいと思います。非常にすっきりといろいろな意見を酌み取ってまとめていただいたと思っています。
感想めいたことですが、幾つかお願いも含めて申し上げたいことがあります。1点目は、私、特に大学間連携に関心がありまして、そのことにかなりこだわって発言をしてきたように思うのですけども、基本的には、このワーキンググループでは、教職課程の共同であるとか、共通化であるとか、連携とかいうキーワードで、柔軟化を図っていく方向性が検討されたと思います。同時に、教職課程の効率化を実現するとともに、もう一つは、やはり連携によって教職課程を豊かにするということも非常に重要なことかと思っています。
このことに関して、教職課程の設置に必要な教員の配置をどうするかについて難しい問題もあると思いますが、大学間の連携によって、様々な得意分野を持つ担当教員が組み合わさることで、非常におもしろい教員養成ができるということに可能性があると思います。あるいは、そこを追求すべきではないかと思っています。
その観点で言いますと、具体的には15ページの専任教員の配置の部分なんですが、大森先生の御質問の中にも若干関連したことがあったかと思うのですけれども、気になっていますのは、例えば、美術の教員の養成ということを考えた場合に、主となる大学に美術の教職課程があるとします。それに参画する大学は、美術の教員は誰もいないと。しかし、教職課程担当の教員はもちろんいますので、両大学で按分した人数でいうと、クリアできる場合がある。そうすると、美術の教職課程に専門的な人がいない場合であっても、美術の教員の養成ができて、美術の免許を取得して、学生が卒業できるという事態が起こり得る、可能性としてはあると思います。
それをいいとするのか、問題とするのかというのは議論が分かれるところだと思いますけれども、やはり各大学がそれぞれの教職課程の教育に一定程度の役割と機能を果たすという前提を置くとすれば、それは望ましくないとも考えられる。この按分の方式をとるにしても、やはり当該の免許を取得することについては、教科と教職の専門をそれぞれにおいて按分した教員の配置を求めるような方向で、具体の運用を考えていただく方がいいのではないかと思っております。これが1点目です。
2点目は、学科等の間、あるいは大学間の連携を図って、教職課程を運営することには教職課程の充実という点で可能性があるのですが、同時に、教職課程の主体がどこにあるのかということが、だんだんと議論が進むと分からなくなってきたように感じました。つまり、教職課程の基本単位は学科等であることの原則に基づくということがあって、しかし議論が進んでいくと、全学的に統括する組織の重要性に着目した議論がなされてきたように思われます。そうすると、具体的に教職課程の責任は誰が持つのかということが曖昧になってきたように思います。それは設置主体としての学科が持つのか、いや、それは設置主体であるけれども、実際上は全学的な組織の方が持つのかということです。北神先生のお話とも関連するんですけれども、その辺の整理が私自身、ちょっとつきにくくなっています。一体、教職課程の連携が進むということを推進するとすれば、そのときの教職課程の責任をどこが担うのかということは、全学的な組織とか連携組織等と、各学科等の関係を整理しておくことが必要かなという感想を持ちました。
それから、3点目は、これは繰り返しここでお話ししてきて、先生方にはまたかと思われるか分かりませんけれども、連携によって教職課程が豊富化することが制度的には可能であったとしても、学生が履修できなければ、それは意味がないので、学生が履修できるという現実的なことを考えた上で、例えば、具体的には大学間連携の場合の、他大学の修得単位数の規定等もお考えいただければと思っています。
以上でございます。

【山口主査】 ありがとうございました。
最後の話は、ある意味、これからの話として、1番目、2番目は、このワーキングでも必ずしも意見交換できていない重要な事項だと思いますので、ちょっと時間を割いて、各委員の先生方から御意見を頂ければと思うんですが、二つあって、一つが、専任教員の数については、佐古先生の御提案は、教科専門と教職とそれぞれ最低1人ずつ。それで分担する大学の役割がしっかり担保できるだろう、そういうお話ですね。それが1点目。
それから、2点目が、学科等と言いつつも、だんだん主体が分からなくなって、どこが責任を持つかという。連携が進むとそうなってくるんじゃないかと。そこをどう整理して考えておくか。この2点という理解でよろしいですか。
どちらでも結構です。ちょっと御意見頂ければと思います。この報告書に盛り込むかどうかは別としても、共通認識といいますか、一定程度、理解は深めておいた方がいいかと思うんですが、いかがでしょうか。
大森先生。

【大森委員】 佐古先生おっしゃっていただいたこと、ごもっともと思うんですけど、教科、さっきの美術の話がすごく分かりやすくて、例えば、美術系の学部学科さん同士が共同して、より充実した教職課程を作ろうよということは非常にあり得ますよね。その先生がいない学科、教科の専門の先生がいない学科をベースにして、美術の免許課程を取れるようにしようといったとき、例えば、英文科が美術の免許を美術学科と共同してということは、ほぼほぼ、それは課程設置の趣旨からもちょっと外れると思うんですけど、そうすると、教科の先生がいないのに共同課程が作られるというのは、余り考えづらいでしょうか。

【佐古委員】 例えば小学校の教職関係の――私もその辺、具体的なことは十分に把握できていないんですけれども、例えば教職関係の、小学校の免許を出す先生はおられるとします。しかし、美術の専門をそろえることはできない。極端な場合にはゼロということがあり得る。他方、こちらの方には美術の専任の教員が3人そろっていると。相手の大学で美術の専門をそろえれば、美術の専門がゼロのの大学でも美術の免許を取れる。単純な按分方式ですと、中身問いませんので、そうすると、最低のユニットがあればどのような免許も取れることになりかねないので、これはフリーライドにつながりやすいと思います。そうなると学生の教職課程の指導ということから見ても問題があるんではないか。具体の事象については十分に把握できていないので、そんなおそれはないのかということで意見を述べました。

【山口主査】 いかがでしょうか。こっちの話、まずは集中的に御意見頂ければと思います。
酒井先生、うなずいていらっしゃるから、御意見あれば。

【酒井委員】 例えば、小学校課程に英語の免許を取らせるという動きは今たくさんあるんですけれども、それで、ですから、そのためには英語の専任を何とか雇おうと今しているんですが、それを、ですから、ほかのところにお願いしてということは十分考えられるわけですね。それで英語を取れたことになるというのは、ただ、そこでのやはり密な指導は、結局、そこの中ではできないわけでして、結局、受講といっても、大学間ですと、どうしても、前も申し上げたように、多分、動画のような形でなるだろうと。そこで聞いて、それで単位は取れるんですけれども、やはりそれを専門の、それで免許を出せるだけの力量が付いたという保証――対面で密に指導していけば、これで大丈夫ということで単位を出してという、その過程があるんですけれども、そこがきちっと担保できるのかというのは、私はやはり非常に心配ではあります。

【山口主査】 ありがとうございました。この例も分かりやすいですね、今後の動きとしては。
ほかに。

【大森委員】 一番あり得そうな気がしますよね。でも、ニーズは高いですよね。

【佐古委員】 ニーズは高い。

【酒井委員】 それは分かります。それをどこまで協力していくのかという問題だと思います。

【山口主査】 ほかに御意見ありませんか。
加治佐先生、お願いします。

【加治佐委員】 おっしゃるとおりだと思います。ただ、私はそういうことが起こるというのは、想定しました。つまり、そこまで許容されるということになるわけですね、結果として。可能性は高いですよね、おっしゃるように。だから、そうなっても質を保証するために、いろいろな手だてをこの中では講じていると。全学のマネジメント体制を義務化するとか、自己評価を義務化するとか、情報公表の、あるいはもっと学生の指導体制、履修の在り方、そういうものを義務付けるという形にしていますよね。多分、そういうことで担保していくことなのかなというふうには理解していました。
結局、難しいところですよね。おっしゃることは分かるんですよ。確かに分かるんですけど、ただ、余り制約を付けると、当然進まないですよね。
また、大学間であれば、一方だけが得するという関係は絶対成り立ちませんので、必ずWin-Winの関係になりますので、相互提供になりますので、だから、美術がそうであれば、ほかの教科はまた逆の形が起こり得ないと、多分成立はしないと思うんですけどね。つまり、相互に資源を提供し合うことで複数の連携教職課程の質保証がなされるということではないでしょうか。ただ、御懸念は考慮には値するかもしれないですね。それは思います。

【山口主査】 ほかにございますか。
私も、正直、今、加治佐先生がおっしゃったことに近いんですけれども、余りがちがちにすると、メリットがなくなるんですよね。メリットがなくなるって変な言い方ですけど、大学を運営する方からすると、例えば、英語の先生が1人しかいない。孤立して1人しかいないというのは、運営上、決していいことじゃない。ゼロでも、さっきの質保証が担保されれば、そこが大前提ですけどね。やり方は、これからの工夫でできていくんじゃないか。できていかないとなかなか苦しいんじゃないかという感触は持っています。ただ、お二人のおっしゃっていることは十分分かっていて、そんなんで本当に質保証できるのかという御指摘だと思いますので、ただ、そこはこれからなんでしょうねという、ずるい言い方をしますけれども。

【佐古委員】 私もお二人の先生がおっしゃっていることは分かっているつもりなんですけれども、ただ、教職課程の質保証を、例えば、自己評価とか、全学的なマネジメントの組織体制整備で対応するという話はよく分かります。しかし質保証としては、学生に対して例えば当該免許に関わるような履修指導ができたり、アドバイスができたり、あるいはいろいろ具体の就職指導ができたりすることが非常に重要な部分であって、それが最低限できる機能を各大学に担わせた上で連携を推奨するというようなことが、望ましいと思います。

【山口主査】 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。御意見、そんなところですね。
具体的に、この報告書でいうと、15ページの下から2番目の「例えば」のところですよね。この記述をどうしておくかという話で、例示であるとはいえ、何となくここのワーキンググループのスタンスがにじみ出ちゃう可能性があると。按分だけだと甘いんじゃないかという佐古先生のお話ですよね。

【佐古委員】 今、御意見がいろいろあるようで、すぐにはまとめにくいというのであれば、記述は記述として、これは按分方式だけが記載されていてその内容には言及されていないので、これからのガイドライン等において更に考慮していただくということで、あるいは課程認定の運用ということが始まるので、そこでいろいろなやり方ができますでしょうから、そこで工夫していただくべきではないかと思っております。

【山口主査】 逆に、それこそ教科専門、教職それぞれに1人ずつ、最低1人というのも強いですよね。強過ぎますよね。だから、ここの記述は、よろしければこのまま行かせていただいていいのかなという印象を持つんですが。例えばということで。

【大森委員】 希少免許が取れない県がみたいな問題も考えると、専門の先生がいる、例えば、家政学部と、教員養成を主たる目的とする学部の持っている大学同士が、何とか家庭科の先生をっていったときにというようなことも考えると、家庭科の先生がこっちにいないとだめですとなると、ちょっと厳しい場面が出てくる可能性はあるかなという気がします。

【山口主査】 ということで、最後佐古先生がおっしゃってくださった、これからの運用の話というか、具体的に……。

【佐古委員】 ちょっと先送りにするようなことになるかもしれませんが。

【山口主査】 そうですね。ここではこういう意見が出たということで整理したいと思います。ありがとうございました。
では、2番目の方、これはもっと難しくなりますけど、主体はどこか。責任はどこが持つか。これも皆さんいろいろお感じになるんじゃないかと思いますが、これも質保証の責任ですから、全く同じ問題だとは思いますけれども、いかがでしょうか。
どうぞ。

【加治佐委員】 要するに、学科が基本単位であると。最小単位。そこに教職課程を置くということ。だから、そこが審査されるわけですよね。カリキュラムとか、運営体制とか、専任教員数とかね。これは変わらないですよね。基本的に変わっていないわけですね。
ところが、これまでも実は教職課程を置いている学科、学部もそうですけど、大学自体が本当は責任を持つのが当たり前ですよね。だから、持っていなかったというふうにみなしちゃうからそうなるんであって、ですよね。だから、むしろここに書いてあることは、学科が基本であるということは変わらないと。審査対象はそうですよね。それが今度共同化される場合もあるということですよね。大学内で、あるいはよその大学とですね。というふうに広がっていくんで、一層全学で管理の体制、マネジメント体制を整備することが重要になるんだと。そういうことになっているわけですよね。
結局、そういうことなんですよ。だから、大学自体が責任を持つ意識が薄かったところがあったとすれば、これを機に、絶対その責任を自覚してもらうんだと。そういうことを言っているんじゃないかと思うんですけどね。本当に思ってもらわなきゃいけない。だから、思ってもらうような措置を講じようしているんだと思うんですけど。

【佐古委員】 信用できないわけじゃなくて、具体的に言うと、例えば、自己評価は誰が行うのですか。学部長が責任を持って自己評価書を書くのですかというようなことです。

【山口主査】 基本、最終的には学長ですよね、当然。

【佐古委員】 最終的にはそうですけれども、具体の自己評価の……。

【山口主査】 学長が責任者は責任者ですけど、具体的な作業は学長はやらないでしょうね。ただ、特に大学間の連携、大学等連携推進法人を置くことの意味合いというのが、正にそこにあるんだろうと。つまり、部局だけで勝手にやって、そこで責任取れるかといったら、やっぱり取れないんですよね。大学なんですよね。そこが、その関連だと思いますけど。

【佐古委員】 その御理解だと私にも分かります。要するところ、大学が学位プログラムと同様に、教職課程についても責任を持って運営する。それを担保する組織を設置しなければならない形をとる。だけど、基本的に課程認定の組織としての単位は学科等に置く。このような整理で、大学が責任持って行うことを明確にすることで、全学的な組織体制の整備であるとか、連携推進法人を作ることを推進するという理解であれば、私は整理ができます。

【山口主査】 そういう理解でいいですよね。
どうぞ。

【酒井委員】 そこは非常に大事なところだと思っています。そうしますと、やはり先ほどの17ページの、全学的に教職課程を実施する組織体制のガイドラインでどのようにそれをコントロールするか。それを、課程認定や自己評価のところへ、どうそれをきちっと審査していくのかというところの、そこの仕組みが一つかませないと、なかなかそこが絵に描いた餅になりかねないというのが非常に心配でして、それから、今は学科の設置のときには、やはり学科と大学、主に学科なんですけど、そこにやはり全学組織体制の責任者も、きちっとそこの中で主体的に参加するような形でやり取りするみたいなことが必要なんではないかなというふうに思います。
以上です。

【山口主査】 ありがとうございました。
いかがでしょうか。どうぞ。

【森山委員】 今の議論、非常に大事だと思っています。質保証を考える上での責任というのは、今までいろいろ議論されたところだと思います。やはり学科が基本ですから、学科が責任を持つ。もう一つは教職課程という形があるわけですから、全学体制という意味に理解すべきであろうと思うわけです。
その中で、加えて、先ほど山口先生の方からございましたけれども、最終的にはやはり学長という形にはなるわけです。具体的には教職課程と学科の二つの構成員が主体となって、それで全学体制としてまとめるようなものもあるでしょうし、教職課程のメンバーがまとめるところもあると思います。そういう責任体制を明確にすることが次の段階へグレードアップして、あるいはしっかりと理解されて進められると考えていますが、そのようなことでよろしいのではないでしょうか。

【山口主査】 ありがとうございました。
よろしいですか。どうぞ。

【安部委員】 この報告書は、要は大学分科会の、複数大学設置法人及び大学連携推進法人の今後の教育上の特例の在り方とか、あるいは8ページの、教員養成部会で更に検討するという事項など、ここではまだ詳細には決められない部分がある中で、大学分科会の、特例についての考え方に基づいて、例えば、8ページの青と赤の部分のことに関連してちょっと申し上げたいと思います。確かに青の部分の見直しの方向は、幼小中高の教職課程をつないで共同できるということを示していて、さらに下の部分は、いわゆる大学教育でいう、アクティブ・ラーニング系の科目に該当するような教育実習や、教科指導法に関しては、共同する大学が例えばオムニバス系の授業で構成を行い、多くの教員で関わることで、内容を充実させることによって、教職に就きたいという意識を学生にしっかり身に付けさせることを考えていくのが、今後の大学間の連携の教職課程を編む上では一番のメリットになるというような考え方で行く方が、この報告書が生きてくるんではないかという気がします。これは一つの意見ですけど、そう思います。
以上です。

【山口主査】 ありがとうございます。
このことは佐古先生がずっとおっしゃっていて、連携とかいうのは後ろ向きの議論ではなくて、連携することによって、よりよい、物すごくよくなるという、それを目指さないといけないと。そうすると、人的資源でも物的資源でも何でもいいですけど、資源を有効活用して効率化をしていく。それが物すごい成果を出すんだ、そこが大前提だという話を、今、安部先生がまたおっしゃっていただいたんだろうと思っています。その辺は皆さん共通の認識という理解でいいですよね。ありがとうございます。
本図先生。

【本図委員】 済みません、少し細かなことなんですけど、15ページの今回追記していただいたところで、二つ目の赤い部分で、遠隔教育云々の記述がございまして、これはこの間、酒井先生でしたか、からも御意見あったかと思うんですが、ICTを使って遠隔教育をすると何とかなるのではないかというふうにやはり思ってはいけないのではないかなというところがございまして、細かなところで言えば、「指導体制の整備も求められる」ではなく、指導体制の整備や、不断の見直しといいますか、かなりやっていただかないと、さりげなく自分の大学の試みを言ってしまうんですが、今度、秋田大の附属さんを借りて、教職大学院生に授業改善の提案をしてもらうんですけど、図も使って、同時で授業検討は宮教にいてやるというのができないかというふうにしてやってみようと思うんですが、事前に行ってどういうふうに、子供たちの前と後ろからビデオが撮れるかとか、ネットの回線数はどうだとか、それを安易にグーグルのフォルダなんかに落としたら到底回りませんよみたいな話もあったりして、相当時間が掛かるんですね。先ほどアクティブ・ラーニングとしての学びというお話がありましたけども、秋田大さんとそういうことが実現したらいいなと思って、調整はしていきたいんですが、でも、相当に、それはやっぱりフェース・トゥ・フェースでできたり、生の子供を見るということが、そして、授業検討できるにこしたことはないんですけど、ということがあって、ここはかなり事前の準備も必要だし、走り出しても見直していかなきゃいけないよねということは少し強調しておいていただけるとありがたいなというふうに思いました。

【山口主査】 ありがとうございました。
赤字の部分の、遠隔教育というのがここで初めて出てきて、これでいいんだろうというふうに読めちゃうという意味合いですね。書き方の問題で何とかいくかもしれない。

【本図委員】 そんな上から目線じゃなくて。

【山口主査】 いやいや、御指摘のことはよく理解できたんで、あえてそう言ったんですけど。遠隔講義って言う必要があるかどうかというところですね。広域でやる場合にいろいろな問題が出るでしょうから、それに対して、スタッフとか、しっかり指導体制。遠隔講義って書いたから、遠隔講義でいいんだと思っちゃう。必然的な流れではあるんですけど、それしかないと思われるのは問題だというところですね。これは文言の整理でいきましょうか。直させてください。ありがとうございます。
ほかに御指摘ございますか。
どうぞ。添田先生。

【添田委員】 前回もちょっとこだわらせていただいたんですが、質保証ということで、今もいろいろ御議論がありまして、按分を、分けるであるとかというようなルールを作るということもあるんですが、しかし、細かく作れば作るほど、緩和というか、新しいものができないということもあります。
今回は、先回ガイドラインをこの後作られるというお話はお伺いしたんですが、やはり質保証がちゃんとできているのかどうかというのは、なかなかデータとかそういうものでは分からない部分があろうかと思います。前回は、実地視察を回数を増やされるというようなお話を頂いておりますが、その実地視察というのも限界というか、御負担もあると思うので、やはりその後に書かれているような、第三者評価まではいかなくても、ほかの同じような、ピアレビューでほかでやっていらっしゃる方が見れば、たとえ1人しかいなくてもちゃんと質が保証できているという場合もあるだろうし、何人もいらっしゃっても、人数が多過ぎて、あるいは距離が遠過ぎて質保証に及んでいないということもあろうかと思うので、そういった形での評価の在り方を、単にガイドラインがあって、その数字を公表していますよというだけではなくて、もう少し質に踏み込んだ形での評価ができるように、急には無理でしょうけれども、早急に整えていった方が、お互いが学び合えるということもあろうかと思いますので、そのあたり、求められるということで、望ましいということで書いていただいているんですが、やはり質保証というところになりますと、そういった機能が大切になるのではないかなと思いましたので、感想でございますが、よろしくお願いいたします。

【山口主査】 ありがとうございます。
重要な御指摘だと思うんですが、いかがですか、質保証の評価といいますか。これは教員養成系に限らず、大学全体の評価の話にも大きく関連して、そちらの議論も今いろいろありますよね。乱立しているというと言い過ぎなんですが、何種類もの評価が毎年のようにあるという。それで本当にいいんだろうか。それをいかに整理するか。本来の目的に合わせて整理していくというのが今の議論の流れだと思っていますので、そっちをにらみながらという話になるかもしれません。ただ、極めて重要な御指摘だと思います。実質化しないと意味がないですよね。評価のための評価ではないというところです。よろしいですか、評価の点に関して。ありがとうございました。
ほかにございますか。
特になければ……、どうぞ。

【加治佐委員】 小さいところで、17ページですけど、これも何度も話題になっているところですが、一番下の赤のところです。ちょっと私、意味は分かるんですけども、何かつながり具合がよく分からない。「教職課程の体系性や適切性を担保するために、全学的な観点から教職課程の企画、実施、評価、改善の」、これはどこに続くんですかね。もうちょっと分かりやすく。意味は分かるんですけどね。

【山口主査】 そうですね。全学的な全学的にって何かごちゃごちゃしています。じゃ、これは整理させていただきます。何か長谷さん、あれば。いいですか。御指摘ありがとうございます。基本的な最終報告になりますので、今のような文言の話も含めて、お気付きの点があれば御指摘いただければ幸いです。
どうぞ、酒井先生。

【酒井委員】 細かいことといいますか、文言ということなので、14ページの一番下の赤字からで、青で消している、この間直していただいたところなんですが、これを青字を消してそのまま読みますと、「一つ以上は、教員養成に関わる授業科目や専任教員が豊富に備わっていることが制度的に担保されていることが適当」、それは一つだけきちっとしていればいいというふうに読めなくもないといいますか、前は体制が充実している、一つはそういうしっかりした大学というぐらいのことでしたので、何となくそれで分かったんですが、何となくこう平たくすると、かえって今、変な誤解を生みかねないような文章かなとちょっと思いました。

【山口主査】 これはたしか大森先生の御意見に対応したんですよね。できなくなったら困るという趣旨ですね。

【酒井委員】 この趣旨は非常に、大学という体制、組織を入れるのは確かにあれだと思うんですが、変えてしまった文章がまた違う誤解を招きかねないという。文言上の問題です。

【山口主査】 大丈夫そうですか、修正。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 ちょっと工夫させていただきます。趣旨としては、制度的に担保されている組織が一つ以上参加しているということだと思いますので。

【山口主査】 ありがとうございました。何か考えます。
ほかにございますか。よろしいですか。
どうもありがとうございました。基本的には、皆さんからの御意見を頂けたと思います。大筋はこの原案でお認めいただいたと思いますが、幾つか表現の仕方とか、修正が必要な部分がありますけれども、それについては主査の私に御一任いただくということで、本案を本ワーキンググループとしての最終報告として取りまとめることに対して、お認めいただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【山口主査】 ありがとうございます。
それでは、今後については主査に御一任いただくということで御了承いただきましたので、語句等の修正を行う可能性はありますけれども、最終報告とさせていただきます。
それでは、今後の予定について、事務局から説明をお願いします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 それでは、お手元の資料の3をごらんいただければと思います。今後の予定を記載した表でございます。
本日、幾つか文章の修正の御意見を頂いておりますので、これは主査と相談させていただきまして、報告書を確定させていただきたいと思います。
報告書が確定しましたら、今度予定されています教員養成部会に報告をさせていただくとともに、ホームページに公表をすることでありますとか、また、マスコミの方にも配布をしていく形でオープンにしていきたいと考えております。
その後でございますが、先ほどの説明でも申し上げましたように、大学等連携推進法人に関する大学設置基準の検討を今、大学分科会の方でも進行しておりますので、それと併せまして、教育職員免許法施行規則、それから、教職課程認定基準の改正を準備してまいりたいと考えております。その際に、この規則、基準についてのパブコメも実施をしてまいります。
それが令和2年の夏頃にできればと考えてございます。その後、当然、基準がかなり変わりますので、大学の方にも説明会のような形でしっかりと説明してまいりたいと考えております。
その後の手続でございますが、複数の学科等の間において教職課程を共同で実施する体制、これに関しましては、恐らく届出事項で足りる部分がかなりほとんどであろうと思いますので、届出で足りるものについては、令和3年3月に変更届を出していただきまして、令和3年度から変更後の教職課程がスタートしていくと。
課程認定の審査が必要なもの、特に複数の大学の間において教職課程を共同実施する場合には、これは必ず課程認定審査が必要になってまいりますので、それにつきましては令和3年3月までにこの申請書を提出していただきまして、令和3年度をかけまして審査を行いまして、令和4年度から共同設置した教職課程の一番最初の部分がスタートしてくるということで期待をしてございます。
以上でございます。

【山口主査】 ありがとうございました。
何か御質問ございますか。よろしいですか。どうもありがとうございました。
それでは、若干時間がありますので、ちょっとだけ御意見頂ければと思います。委員の先生方におかれましては、第1回を開催したのが昨年の5月7日でございますが、それ以来、8回にわたって御議論に御参加いただきました。大変ありがとうございました。
本日が最後の開催ですので、事前にちょっと打ち合わせをして、各委員の先生方から感想を頂ければということになっています。無理やり会議を延ばそうという趣旨ではありませんので、さらっと言っていただいても結構ですし、熱弁を振るっていただいても結構ですが、せっかくですので、委員の先生方から1人ずつ感想を頂ければと思います。
順番なんですが、申し訳ありません。参考資料3というのが一番最後に付いてございます。委員名簿でございます。順番になると、どうしても安部先生からスタートで申し訳ございませんが、この順番でお一人ずつ、御感想でも何でもお願いできればと思います。よろしくお願いします。

【安部委員】 私がトップバッターというのはちょっと想定外で、まとまったことが言えないのは申し訳ございません。この教員養成部会の、教職課程の基準に関するワーキンググループに入れていただき、議論に加わらせていただきながら、一方で、先ほども少し申し上げましたように、私は大学分科会にも所属しておりますものですから、複数の学科間とか、あるいは大学間の共同の教育課程につきましての議論が非常に盛んだということを認識しています。その中で、教職課程については、少し語弊があるかもしれないことをお断りしておきますが、教職課程の共同化は、ある意味、取り込みやすいものだということで先に出てきたのではないかという認識の下に議論に参加させていただきました。御専門の先生方が今後の教職課程についてどのようにしていけばいいかという御意見を闊達になさっているのをお聞きしながら、やっぱり教職課程だけのことを言えば、よい先生を今後一定数、社会に供給していくために、今、いろいろな教員に対するニーズが変わっている、その中で、共同の大学、あるいは学科間の共同の教職課程によって、その時代に本当にマッチングするような、教員に対する数的ニーズ、質的ニーズに合致するような教員をどのように養成していけばいいかということについて勉強させていただいたなと思います。また、私はここの中では、1人、短期大学に所属しておりますけど、先ほど少し大森先生から言っていただきましたけれども、共同の教職課程につきましては、短期大学は幼稚園、小学校、中学校も二種免課程というのを持っておりますので、その教職課程が共同教職課程の中に入るのかというのが一番の関心事でございました。それにつきましても、今の進捗状況とかいうかを知ることができましたので、今後に期待しているところでございます。済みません、急に言われましたので。

【山口主査】 済みません。
じゃ、大森先生。

【大森委員】 ありがとうございます。大変貴重な機会、このワーキンググループに参加させていただきまして、ありがとうございます。
教職、教員養成を専門とされる先生方の中で、私はいわゆる専門ではなくて、教職課程を運営する責任者としての参加をさせていただいたというふうに思っております。なので、いろいろ御質問等も、実際の現場をイメージしながら、本当にできるのかとか、もっとこうなった方がしやすいなとか、そういうような観点から細かい質問ばかりをさせていただいたし、また、素人っぽい質問をたくさんさせていただいて、山口先生には御迷惑をお掛けしたんじゃないかと思いますけれども、ありがとうございました。
また、一方で、地方の大学、地方の小規模大学の代表という意味合いもあろうかと思います。群馬県の中でも、あるいは前橋市の中でも、今、プラットフォームを組んで様々な展開をしている、その仕掛け役をさせていただいているところでもあります。リカレント教育であるとか、校内連携であるとか、あるいは地域の小中学校のコミュニティー・スクール化の支援であるとか、そういった様々な地域ニーズを大学が共同することによって資源を集めて、地域活性化に役立てていこうというプラットフォームを組んで、取り組んでいます。
その中で、やっぱりその地域の中でしっかりと教員を養成してほしいという、市教委や県教委のニーズもある。だけれども、それぞれの大学さんの事情や、地方というところの事情というところがある中で、大学同士が共同しながら、より質の高い教員を育成できるんであれば、それは非常に意味のあることなんじゃないかと。多分、そういうことを取り組んでいるということも含めて、交ざれというふうにおっしゃっていただいたんだというふうに思っています。
このガイドラインができた後、なかなかハードルが高い感じもしているので、すぐすぐではないかもしれませんけれども、いろいろな取組の事例も提供できるように、現場でやっていけたらいいかなというふうに思っております。
今回参加させていただいて一番感じたことは、先生方の教員養成課程の質に対する強い思いを、我々もしっかりやっているつもりですし、私学の開放制といえども、かなりしっかり思いを持ってやっているつもりではいますけれども、こういう思いの中でいろいろな制度が生まれてきているんだなということを改めて知ることができて、その思いをともにしながら、これから自分の大学でも教職課程、しっかり持っていきたいという思いを改めて持たせていただきました。勉強させていただいて、ありがとうございました。
以上です。

【山口主査】 ありがとうございました。
加治佐先生、お願いします。

【加治佐委員】 これは私の解釈ですけど、これまで教職課程は、課程認定数がずっと増え続けてきたわけですね。そして、いろいろな新しい課題が生起してきて、教職課程の中身もかなり拡充してくると。いわゆる拡大の歴史だったと思うんですね。これの方向転換だと思います。
一番背景にあるのが、やっぱり少子化による教員ニーズの減少ということがあるんだと思うんですね。既にそれは採用数の少ない免許状の問題にも現れてきているわけですよね。今後、それを消極的に捉えるのではなくて、効率化と質保証につなげて新たな展開をしようということなんで、特に共同設置等々、大いに期待したいなというふうに思っております。だから本当に新しい段階に、新しいステージに入るんだなということを強く思っております。
同時に、大きな課題が残されておりまして、この中にも出ており、教員養成部会に送るということになっていますけど。今、初等中等教育全体の改革が議論されているわけですね。その中の一つの大きなテーマが、教科担任制です。小中9年間を見通した教科担任制の在り方を考えると。そこで当然、免許状のことが一つの大きなテーマになります。それがこれから教員養成部会で本格的に始まろうとしていますので、報告書に具体的なことも既に出ていますので、是非次の議論につなげていきたいというふうに思っております。どうもありがとうございました。

【山口主査】 ありがとうございました。
では、北神先生、お願いします。

【北神委員】 課程認定の作業もしながら、今回、こういう形で議論をしていると、自分の大学の実情も頭で思い浮かべながら、大丈夫かという思いと同時に、やっぱり教職課程の質保証という問題が、背景として教育課題の多様化という部分の中で、いわゆる単独の学科、大学ではもう限界が見えてきた部分のところをいかに乗り越えるかという形の一つの仕組みとして、今回、こういう形の提案がなされて、一つ枠組みが出来上がったと。恐らく次はここにどういう中身が実際に盛り込まれて、どんな指導力や資質を持った教員がその仕組みの中で育てられるのかという形に、恐らく制度設計の次はそういうところの議論に行くのだろうと。
その意味では、参考資料にもあった今後のスケジュールの中で、少なくとも2年後ぐらいから新しい形で動きそうだという部分のものをいかにフォローしていくのかというのも、教員養成部会の一つの大きな役割なのかなということを感じております。もう一つは、教職課程の基準だけの問題で、これから抱える課題は解決できるのかどうか、免許制度そのものの見直しなんかもどこかでやっていかないと、教職課程の基準の見直しだけでは、ある意味限界があるのかもしれないなと。その部分のステージが、次の大きな課題として見えてきたのかなという感じがしました。ありがとうございました。

【山口主査】 ありがとうございました。
それでは、酒井先生、お願いします。

【酒井委員】 大変お世話になりました。細かなことからいろいろなことを申し上げまして、非常に私自身もこのワーキングを通じていろいろ考えさせられて、今、やはりどういう形の教職課程運営が一番効率的であり、質の高い教職課程になるのかということを考えさせられた約1年間でございました。
それで、先ほど北神先生おっしゃった、やはりこの中身をどうするかという問題は非常に大事で、先ほども申し上げたんですけれども、全学的な体制ですとか充実という、その言葉はどういう形で具体に下りるのかのところが、多分、それは各大学のところでいろいろ工夫される。その工夫がいろいろな形で、例えば、モデル実践例みたいな形で広まっていくと、またいい形になるのかなというふうにも思います。
これも佐古先生が言った、要するに、こういう大学間の連携なり学科間の連携で、質が高い方、質が豊かになっていく形の発展的な方向でこれが改革として非常に進んでいくように、非常に危惧されるのは、これは非常にある種のリストラで、簡便な形でという形で落ちてしまったら、これは元も子もないといいますか、そこが非常に危惧されるところで、そこに落ち入らないように、質の高いところに持っていくにはどうしたらいいかというところが、多分、今後の非常に大きな課題だというふうに感じております。ありがとうございました。

【山口主査】 ありがとうございました。
佐古先生、お願いします。

【佐古委員】 ありがとうございました。実は、この会議が始まる前に、お隣の添田先生と本図先生から、佐古先生、ちゃぶ台返しするのは今日しかありませんよと言われました。それはどういうことかなということが気になっていましたが。それは冗談なんですけれども。私は単科の教員養成大学におりますので、どうしても教員養成の捉え方についてはやはり、幅が狭かったなと思っています。この会議に出させていただきまして、総合大学の考え方とか、それから、私学の考え方とか、教員養成の多様なセクターといいますか、それぞれの方々からいろいろな状況や御意見を聞かせていただき、多くのことを気付かせていただいた非常に貴重な経験でした。
私は、教員養成は地域創生の要であると、そのように自負を持って考えておりますけれども、同時に非常に厳しい状況に置かれているということも事実でして、この厳しい状況の中でいかに日本の教員養成を立て直すのかというのが、我々に担わされている役割かなと思っています。
その点でいうと、これまで大学は、大学ごとに閉じた教育がメインだったと思いますが、これからは、ここで議論されてきたように、大学のリソースを開いていくということで、学生が享受できる教育の質を豊富化していく、高めていくという方向で、教職課程も運営していかなきゃならないということを改めてこの会議を通しまして感じました。
そうは言っても、先ほど酒井委員がおっしゃったように、具体的な実施となると非常にハードルが高いように思います。さらに頑張りたいなと思っております。本当にありがとうございました。

【山口主査】 ありがとうございました。
添田先生、お願いします。

【添田委員】 ここで議論されました、まず、特に採用数の少ない免許についてというのは、本学も大変困っているところでして、財政上の問題もあり、退職された方の後補充というのがなかなかできない中、やはり免許の数、採用数が少ないところにどうしてもしわ寄せがいってしまうという状況がありまして、でも、地域としては、和歌山としては、和歌山大学以外に総合大学がないというか、教育学部が4年制のものがないというような状況の中では、やはりそういう免許を守っていかないといけないということで、非常に本学が立たされている課題について、皆さんにいろいろと教えていただけて大変ありがたいことでございました。
もう一つは、質保証というところでございます。元は単科におりまして、今、4学部しかないんですが、総合大学におります。そうしますと、やはり4学部のミニミニでも、総合大学の場合は、1学部の意見が通るというわけではございませんので、やはり全体の4学部全学をもって納得いただかないと、先ほどのような全学的な組織ということを言われたとしても、なかなかそれが皆さんに御納得いただけるような形にはならない。逆に言うと、それがならないと、やはり質保証というのがなかなか、では、実質的に担保できるのかというと、難しいところは本当にあるということですので、やはり小さな総合大学の地方大学として、今後、どう教員養成をやっていくのかということで、非常にいろいろ勉強させていただきました。今後これをベースに、どれだけ本学の方で取り組んでいけるのかというところは、かなり大きな課題があろうかと思うんですが、前向きに質保証ができるような体制というものを構築していければなと思っております。どうもいろいろありがとうございました。

【山口主査】 ありがとうございました。
本図先生、お願いします。

【本図委員】 8回にわたりいろいろと勉強させていただきまして、ありがとうございました。決して佐古先生をあおったわけではありません。失礼しました。
大変勉強をいろいろさせていただく中で、今回、こういうことで収まっているわけですが、小さな潰れそうな大学におりますけれども、常に教職をめぐる規制の質というのを地方からも声を出して、もちろんいろいろな関係の皆様と見詰め直していかなければいけないのではないかなというのが、勉強させていただいた中での一番の感想です。
一昨日、学生の卒論の発表会がございまして、TFAというアメリカの団体についての卒論を書いてきた学生がおりまして、御案内のように、TFAを軸として、アメリカではオルタナティブな教員養成がしっかりと確立していると。1989年にウェンディ・コップさんという女性が書いた卒論からTFAという団体ができていて、確固として貧困地域に教員を2年間送っていきますよというシステムができて、社会的評価も得ていると。じゃ、教員免許はどうするんですかという問題が隣の社会では起きてきているということで、ウェンディ・コップさんが1989年に書いた卒論というと、日本では臨教審の答申がまとまりましたという、そこで2年たちましたというような時期であって、局長から、臨教審に若かりし頃――若かりしというとあれなんですが――関わったというお話を聞いて、非常に感慨深くお話を拝聴しました。
臨教審がそういう頃、日本がそういう頃だった頃に、アメリカの社会ではそういったオルタナティブな教員養成の萌芽ができていて、そこからの他の社会の様子を見ると、私たちも教職をめぐる規制、免許の在り方、そういったことを常に見直していかなければいけないのではないかということを思う次第でございまして、今回の議論も、そういったところの規制の質ということの一つの起点になっていくといいなというふうに考えているところでございました。どうもありがとうございました。

【山口主査】 森山委員。

【森山委員】 私もこの議論の中で多くのことを学ばせていただきました。やはり当然のことながら、基準は質と重要な関係を持っているわけですので、このワーキンググループの議論というのは、教職課程の質保証、質向上のスタートであるということをつくづく痛感したところでございます。
やはり次のステージとしては、各大学において教職課程がいわゆる自己点検とか自己評価とか、あるいは内部質保証へと進んでいくわけです。そこに、ある程度明確なフレームが作られていく、そのスタートなのではないかと位置付けております。
やはり一足飛びに、教職課程の第三者評価を受けることは、現実的には非常に難しいわけです。各大学が、教職課程の内部質保証の充実が図られたからこそ、次の第三者評価ということがある程度明確になっていくのだと感じたところでございます。
この後は、内部質保証等について、この基準である程度明確になったフレームの中での内部質保証の充実が、次の第三者評価における質向上につながっていくことと思います。そのスタートという意味のある議論だったと思います。
また私もたくさん勉強させていただきました。やはり多様性に対して、ある程度の基準とか質というのをどう捉えるかということは非常に難しいことですが、ある程度の明確さを提示していくということも必要だと思います。そういうことについても学ばせていただきました。貴重な機会を頂きまして、ありがとうございました。

【山口主査】 最後です。まずは、力不足の主査で、大変申し訳ございませんでした。皆様のおかげで何とかここまで来られたと思います。皆様の貴重な御意見、ある意味、遠慮なく言っていただけたことで、少なくともいい会議ができたなと思っていますし、それこそ長谷室長をはじめとして、事務局の方々、本当にうまくまとめていただいて、皆さん、お感じになっていることはそれぞれあるとは思うものの、ワーキンググループとしてのかなりいい成果が得られたと思っています。
そのことを言った上で、ちょっと観点を変えますが、国立大学、出願期間が終わって、昨日の新聞で志願状況が出ました。私も気になって、国立大学全体下がったんですけど、教員養成の部分を見ました。ちょっと大変ですねという状況だと思います。それをここで突っ込んで言うつもりはないんですが、このワーキングで議論したことが、教員養成系として攻めに転ずることができて、本当に教員養成は重要で、そういう教員にやっぱりなりたいという若い人がもっともっと増えてというふうな方向に行く第一歩になったら、物すごくいいなと思っています。
学内の状況、私の大学のことを言うのは何なんですが、学長というと、教育学部と話すと、学長は敵だとみんな教育学部は思うんですけど、私としてはそんなつもりは全くないんですよね。常に――済みません、教員養成の先生を前に――守りなんですよ、考え方が。そうじゃないでしょうと。攻めに転じないと、この時代やっていけないんですよ。攻めるためにはどうしたらいいか。そのときの第一歩というか、一つの選択肢になれば、私としてはいいですし、そういう意味では、次のステップ、早い段階で令和4年でしょうか。そのときにいい事例が一つでもスタートできたら、これに勝ることはないだろうと思っています。
勝手なことを言い続けてみました。本当にありがとうございました。
それでは最後に、事務局から一言お願いいたします。浅田局長、お願いできればと思います。

【浅田総合教育政策局長】 最後でございますので、まずは先生方に御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
5月から8か月ということです。私、今のポストに来たのが7月9日ですから、実はまだ数えると7か月たっていないと。それについては疲れたなという感じがしますが、年なんですかね。その間、このワーキングでやっていただいている課題自体は、今、日本の教育が直面しているというか、大きな切迫した課題への対応だと思うんですね。やっぱり今もお話出ましたけれども、一言で言うと、日本の教育を支えていくのは教師だから、その教師をどうやって確保、育成していくかと。しかも、それは規模と数、それから質と、当然両方必要なわけで、それを一番大きく担っていただいているのは大学での教員養成ですから、その教員養成をどう確保あるいは充実していくかと。そういうことだと思います。
今現在、例えば、今年度の18歳というのは117万人ぐらいいるわけですが、年末に報じられましたよね。2019年に生まれた子供たちは86万人なんですね。ということは、単純計算で、これから18年で30万人減るということになります。そういう中で、よく言われるんですけれども、生徒の数がそういうふうに減っていく中で、でも、日本を支えていくための教育はしっかりと守っていかないと、恐らく私、国が滅びると思っていますから、だから、それをどうやっていくのか。大きく規模が変わるに従って、教員養成あるいは学校教育を取り巻く環境が変わる中で、我々というか、私なんかの例えば世代としては、どういうふうに持続可能な教員養成の仕組みを、ちゃんと後の人たちのために残していくのかいう責任があるんだと思うんですね。今回のワーキングでやっていただいた、複数の学科間あるいは複数の大学間でも、当然質が前提ですけれども、いろいろな取組ができるようにするというのは、その一つの道、ある意味、避けて通れない道だと思うんですよね。
したがって、我々としては、今回おまとめいただいたものを、さっきのスケジュールでお話ししましたように、一言で言うと、できるだけ早く実現に移したい。そうできるように我々は事務的な作業を進めたいし、事務的な作業だけじゃなくて、それをやったら何か解決するわけでは一つもありませんから、その後は実際にお取り組みいただくのは各大学ですから、大学の皆さんあるいは関係者の皆さんに、こういうふうにこういうことができるようになりますと。是非活用してくださいということを周知して、理解を深めていく、あるいは取組を促進していくということが必要になるんだろうなと思っています。
だから、若干文言を、きょういろいろ御意見頂いていますから、最終的に確定して公表するまでに、更に座長と御相談させていただいて、より精査をさせていただきたいと思っておりますが、そういう形でまとめさせていただいて、是非少しでもいい形につなげていきたいなと思っているところでございます。
正直、私、この職に就いて最初に状況を聞いたときは、とても大事なテーマなんだけれども、幾つかやっぱり御意見が分かれ得る点が結構あるよなと思っていて、だけど、こういうものはできる限り皆さんが納得、賛同していただける形にしないと、あとがうまくいかないから、だから、そういうふうになるといいなと思っておりました。
座長をはじめ、ほかの先生方の、皆さん方の御協力を頂いて、今回こういう形で、ちゃぶ台返しもなくおまとめいただいて、正直、ちょっとほっとしているというところはございます。是非これからがまた更に大事な局面に入っていきますので、引き続きお力添えを頂きたいと思っています。本当にどうもありがとうございました。

【山口主査】 ありがとうございました。
それでは、時間となりましたので、本日の審議はこれまでといたします。これにて本ワーキンググループを閉会といたします。本当に長きにわたりまして、大変ありがとうございました。

── 了 ──

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