教育課程部会 児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ(第1回) 議事録

1.日時

平成29年10月16日(月曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館15階 15F特別会議室

3.議題

  1. 児童生徒の学習評価について
  2. その他

4.議事録

【白井教育課程企画室長】  それでは,定刻になりましたので,ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ(第1回)を開催いたします。
 開催に当たりまして,文部科学省初等中等教育局長の髙橋道和より御挨拶を申し上げます。
【髙橋初等中等教育局長】  皆様,おはようございます。初等中等教育局長の髙橋でございます。
 本日は,中央教育審議会教育課程部会の児童生徒の学習評価に関するワーキンググループに御出席賜りまして,誠にありがとうございます。また,大変お忙しい中,雨で足元の悪い中,委員の御就任について,御参加いただいたことに厚く御礼を申し上げたいと思います。
 本日は,また,教育課程部会から天笠部会長,無藤副部会長にも御参加いただいております。重ねて御礼を申し上げます。
 既に皆様,よく御承知のように,文部科学省では,昨年12月の中央教育審議会答申を踏まえまして,本年3月に幼稚園,小学校,中学校の学習指導要領の改訂を行ったところでございます。現在,高校につきましても,本年度中の改訂を目指して鋭意作業を進めているところでございます。
 この新しい学習指導要領では,社会に開かれた教育課程の実現ということを基本理念に据えまして,生きる力の理念の具体化を目指し,各教科等の指導を通じて,知識及び技能,思考力・判断力・表現力等,そして学びに向かう力・人間性,この三つをバランスよく育むことを目指しております。本日から始まりますこのワーキンググループでは,こうした新しい学習指導要領の理念の実現を学習評価の面から支えられるように,小・中・高等学校を見通した学習評価の在り方について御審議いただくということにしております。
 学習評価に関しましては,既に昨年12月の中央教育審議会答申では,例えば観点別評価を知識・技能,思考・判断・表現,三つ目に主体的に学習に取り組む態度,この3観点に改めるといったことなど,基本的な考え方をお示しいただいておるところでございます。こういったことがベースになってまいります。
 ちょっと別の視点になりますけれども,本年4月に教員勤務実態調査の速報値というものを発表いたしました。これも大きく報道されましたので,既に御承知と思いますが,学校の先生方の苛酷な,もうこれ以上,改善をしないでは次のステップ,学習指導要領に進めないのではないかといったような大変厳しい状況も明らかになりまして,学校における教員の働き方改革が今,初等中等教育局の最重要課題に急浮上してきたわけでございます。こういったことについても,現在,中央教育審議会の別の部会で議論を頂いておりますが,その中では,教員の勤務負担の軽減にも配慮した,効果的で効率的な学習評価の推進が必要であるといった指摘も出てきております。こういった要素も,今後,加味していく必要がございます。
 このワーキンググループにおきましては,こうした流れを踏まえまして,児童生徒の学習評価の在り方,それから指導要録の改善の在り方,さらに国立教育政策研究所が作成している学習評価に関する参考資料の在り方,こういったものについて専門的な検討を是非お願いしたいと考えております。御就任いただきました皆様方は,教育課程や学習評価の在り方を専門的に研究されております学識経験者の皆様,あるいは,小・中・高等学校の各学校において管理職や指導者として学校運営に関わっておられる方々,また,県や市の教育行政の責任者である方々,さらに民間のお立場で学校教育,人材育成に関わっておられる方々,こういった幅広い分野の専門家の方々に御就任を頂いております。
 今後の審議の中では,委員それぞれの専門分野における知識や経験に基づいた御意見を頂きながら審議を進めていただきまして,スケジュール感といたしましては,来年の秋頃をめどに報告を取りまとめていただきたいと考えております。文部科学省といたしましては,頂きました御審議を踏まえ,よりよい学習評価の実現とともに,教育条件の整備,充実を通じて,新しい学習指導要領がその趣旨に従って着実,円滑に実施されるよう努めてまいりたいと考えております。
 委員の皆様方におかれましては,それぞれ大変お忙しいところ恐縮でございますが,このワーキンググループの審議に格段の御協力を賜りたいということをお願い申し上げまして,簡単ではございますが,冒頭,審議の開始に当たりましての御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【白井教育課程企画室長】  それでは,議事に先立ちまして,本ワーキンググループの主査及び主査代理について御報告いたします。お手元の資料1-1を御覧ください。初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第2条に基づきまして,本部会は教育課程部会の決定により設置されており,主査及び主査代理は教育課程部会長が指名することとされております。市川伸一委員に主査を,荒瀬克己委員に主査代理をそれぞれお願いしておりますので,よろしくお願いいたします。
 続きまして,委員の皆様方を御紹介いたします。資料1-3としまして本部会の名簿を配付しておりますので,名簿順に御紹介いたします。
 初めに,荒瀬克己委員,主査代理でいらっしゃいます。
【荒瀬主査代理】  荒瀬でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  石井英真委員でいらっしゃいます。
【石井委員】  よろしくお願いします。
【白井教育課程企画室長】  市川伸一委員,主査でいらっしゃいます。
【市川主査】  市川です。よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  川間健之介委員でいらっしゃいます。
【川間委員】  よろしくお願いします。
【白井教育課程企画室長】  河野真理子委員でいらっしゃいます。
【河野委員】  河野と申します。よろしくお願いします。
【白井教育課程企画室長】  佐藤真委員でいらっしゃいます。
【佐藤委員】  佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  清水雅己委員でいらっしゃいます。
【清水委員】  清水雅己です。どうぞよろしくお願いします。
【白井教育課程企画室長】  鈴木秀幸委員でいらっしゃいます。
【鈴木委員】  鈴木秀幸です。よろしくお願いします。
【白井教育課程企画室長】  関谷道代委員でいらっしゃいます。
【関谷委員】  関谷でございます。よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  奈須正裕委員でいらっしゃいます。
【奈須委員】  奈須でございます。よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  藤本泰雄委員でいらっしゃいます。
【藤本委員】  藤本泰雄です。どうぞよろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  松尾圭子委員でいらっしゃいます。
【松尾委員】  松尾でございます。よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  善本久子委員でいらっしゃいます。
【善本委員】  善本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  若江眞紀委員でいらっしゃいます。
【若江委員】  若江です。よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  渡瀬恵一委員でいらっしゃいます。
【渡瀬委員】  渡瀬でございます。よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  また,本日は,オブザーバーとして,天笠教育課程部会長,無藤教育課程副部会長にも御出席を頂いておるところでございます。
【天笠教育課程部会長】  よろしくお願いいたします。
【無藤教育課程副部会長】  よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  なお,本日,御欠席でございますが,秋田喜代美委員,伊藤幸子委員,髙木展郎委員にもそれぞれ御就任を頂いておりますので,この場で御紹介させていただきます。
 文部科学省の出席者につきましては,時間の関係上,お手元の座席表をもちまして御紹介に代えさせていただきます。
 それでは,議事に入ります前に,市川主査から一言御挨拶を頂ければと存じます。
【市川主査】  それでは,主査の御指名をあずかりましたので,私の方からごく簡単に御挨拶をさせていただきたいと思います。
 初めに,三つの点をちょっと押さえておいていただきたいということですが,まず平成29年3月,小・中学校の学習指導要領が既に改訂されています。本年度末には,高等学校の学習指導要領等が改訂される予定であるということです。これが第1点になります。
 それから,この委員会についてですが,去る7月18日に開催されました教育課程部会におきまして,本ワーキンググループを設置する,昨年12月の答申を踏まえた学習評価の在り方について専門的な議論を行うということがミッションでございます。それで,委員並びに主査の御指名を頂きました。これが2点目でございます。
 3点目といたしまして,本ワーキンググループとして与えられた課題について,今後,精力的にしっかりと議論を詰めていくということで,是非,御協力をお願いしたいということです。特に,この点に関しましては,今回の答申,指導要領でもカリキュラム・マネジメントということがかなり言われまして,PDCAのサイクルをしっかり回していくと。その中で,評価ということが要となってきます。資質・能力の評価というのは大変難しい難題であります。学校教育がずっと抱えている難題ではあるんですが,しっかりやっていかないと,結局,計画だけは立てたけれども,実行になかなか移されない,また,どれだけ成果があったのか分からないまま,どんどん進んでいくということにもなりがちです。ですから,この非常に難しい問題,資質・能力をどう総合的に評価していくのかということについて,このワーキンググループで取り組んでいく必要があります。かなり重責であり,難題であろうと思っておりますが,委員の先生方の御協力を是非お願いしたいと思います。
【白井教育課程企画室長】  ありがとうございました。
 それでは,本部会の進行は,これより市川主査にお願いしたいと存じます。
【市川主査】  では,これより議事に入らせていただきます。
 まず初めに,本ワーキンググループの審議等につきましては,初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして,原則公開により議事を進めさせていただきたいと思います。また,第6条に基づきまして議事録を作成いたします。これも原則公開するものとして取り扱うということですので,よろしくお願いいたします。
 なお,本日,報道関係者より,会議の撮影及び録音の申出がございます。これを許可しておりますので,御承知おきいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは,本ワーキンググループでは,新しい学習指導要領の下における評価の在り方について検討していくことになっております。教育課程部会では,昨年12月の答申の中で学習評価の改善について提言しております。これに沿った形で具体的な検討を進めていくことになります。本日は第1回目ですので,まずは事務局から資料3に基づきまして,一つは現在の学習評価の仕組み,二つ目に昨年12月の中央教育審議会答申での指摘というものがございます。3番目に,学校の働き方改革など関連の状況について御説明いただきたいと思います。
 それでは,よろしくお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  それでは,お手元の資料2,それから資料3に基づいて,簡潔に御説明させていただきます。
 資料2の1ページから始めてまいりたいと存じます。既に先生方,御案内かと思いますけれども,学習評価の基本的な類型を分類した資料が1ページ目でございます。目標に準拠した評価,それから集団に準拠した評価というものがございます。集団に準拠した評価は,学級,又は学年における位置付けを見るものでございますけれども,平成13年の通知により評定も含めて目標に準拠した評価に改められたということでございます。現在は,学習指導要領に示す目標に照らして,その実現の状況を見るという目標準拠評価が行われているところでございます。より具体的には,観点別の学習状況の評価,観点ごとに生徒を評価して,生徒の学習状況を分析的に捉えるというもの。
 それから,この観点別学習状況の評価を基にして,総括的な学習状況を示すために5段階,小学校の場合に3段階の数値的な評定を行う,総括的な評価としての評定を組み合わせて行っているということでございます。
 また,こういった観点別学習状況の評価であるとか,あるいは評定には示し切れない子供たち一人一人のよい点,可能性,進歩の状況について評価するものとして,個人内評価というものもございます。
 次の2ページ目にお進みを頂きたいと存じます。学習評価に関する現在の基本的な考え方をまとめたものでございます。このうち,下段の通知,平成22年5月に出されました通知の方を御覧いただければと思います。学習評価を通じて学習指導の在り方を見直すこと,また個に応じた指導の充実を図ること。それから,学校における教育活動を組織として改善することが重要であること。そのために,基本的な考え方に沿って学習評価を行うことが必要でございますけれども,特に学習指導要領に示す目標に照らして,その実現状況を評価する目標準拠評価を引き続き着実に実施すること。また,新しい学習指導要領の趣旨,改善事項等,学習評価においても適切に反映すること,学校や設置者の創意工夫を一層生かすということが,前回の改訂時に出されました通知において示されているところでございます。
 次の3ページは,指導要録に関する資料でございます。指導要録,在学する児童生徒の学習の記録として作成するものでございますけれども,学籍に関する記録と指導に関する記録の二つの部門からなってございます。3ページにございますのは,学籍に関する記録の部分になってございます。これらについては,進学の際には写しを進学先に送付すること,また,指導要録については保存年限が,指導に関する指導事項については5年,学籍に関する事項については20年と定められてございます。
 次の4ページは,このうち指導に関する記録の方の資料になってございます。左側の方は,各教科の観点別学習状況,左側の一番下に評定,それから特別の教科・道徳,外国語活動,総合的な学習の時間等につきましては,文章での記述が求められてくるという状況でございます。右側の方には,行動の記録や総合所見,指導上参考となる諸事項というものがございます。右下には出欠の記録も記入する欄がございます。
 5ページにお進みいただきたいと思います。5ページからは,昨年12月の中央教育審議会答申を踏まえた考え方について整理をしているところでございます。学習評価については,児童生徒の学習状況を検証し,結果の面から教育水準の維持向上を保障する機能がある。各教科においては,学習指導要領の目標に照らして設定した観点ごとに学習状況の評価と評定を行う「目標に準拠した評価」として実施している。従来,学習評価については,関心・意欲・態度,思考・判断・表現,技能,知識・理解という4観点で評価してまいりました。今回,学校教育法に定められた学力の3要素に沿った形で,ここにございます知識及び技能,思考力・判断力・表現力等,そして主体的に学習に取り組む態度という三つの観点に再整理することを検討しているところでございます。
 6ページにお進みいただきたいと存じます。6ページからは,今回の中央教育審議会答申の抜粋部分でございます。資料,たくさんの文言がございますので,特にキーワードの部分を抜粋して御紹介させていただきたいと存じます。
 6ページの中段,上から二つ目の丸の所でございますけれども,今回の改訂においては,全ての教科等において,教育目標や内容を資質・能力の三つの柱に基づき再整理することとしている。これは,資質・能力の育成を目指して,目標に準拠した評価を実質化するための取組であるということでございます。
 また,今後,小・中学校を中心に定着してきたこれまでの学習評価の成果を踏まえつつ,目標に準拠にした評価を更に進めていくため,こうした教育目標や内容の再整理を踏まえて,観点別評価については,目標に準拠した評価の実質化や,教科・校種を超えた共通理解に基づく組織的な取組を促す観点から,全ての各教科を通じて,知識・技能,思考・判断・表現,主体的に学習に取り組む態度の3観点に整理することとし,指導要録の様式を改善することが必要であると御提言いただいているところでございます。
 また,この中で,特に資質・能力の三つの柱の一つである学びに向かう力・人間性等に関しては,感性や思いやりなど幅広いものが含まれるが,これらは観点別学習状況の評価になじむものではないことから,評価の観点としては主体的に学習に取り組む態度として設定し,感性や思いやり等については観点別学習状況の評価の対象外とする必要があるということも提言を頂いているところでございます。
 7ページです。先ほどの学びに向かう力・人間性の柱についてでございますけれども,この柱については,主体的に学習に取り組む態度として観点別評価を通じて見取ることができる部分と,観点別評価等になじまないで個人内評価を通じて見取る部分があることに留意が必要であるということが言われています。また,こういった評価について,毎回の授業,一回一回の授業で全てを見取るのではなく,単元,題材を通じたまとまりの中で,学習・指導内容と評価の場面を適切に組み立てることが重要であるということも言われてございます。同時に,観点別学習状況の評価だけでは十分に示し切れない一人一人のよい点,可能性等については,日々の教育活動,総合所見等を通じて積極的に子供に伝えることも重要であるということも言われてございます。
 8ページにお進みいただきたいと存じます。評価に当たっての留意点等でございます。従来,学習評価の在り方については,学習指導要領の改訂が終わった後に検討をスタートすることが通例でございましたけれども,今回につきましては,学習指導要領等の在り方と一体として考え方をまとめることとしたとされてございます。ただし,今後の専門的な検討については,本答申の考え方を前提として,それを実現するためのものとして行われることが求められるということでございます。
 学習評価の工夫改善に関する参考資料についても,詳細な基準ではなく,資質・能力を基に再整理された指導要領を手掛かりに,教員が評価規準を作成し,見取っていくために必要な手順を示すものとなることが望ましい。そうした参考資料の中で,各教科等における学びの過程と評価の場面との関係性も明確にできるように工夫すること,複数の観点を一体的に見取ることも考えられることなどが示されることが求められるとされてございます。
 また,主体的に学習に取り組む態度についてですが,これも従前から指摘されていることでございますけれども,学習前の診断的評価のみで判断したり,挙手の回数,ノートの取り方などの形式的な活動で評価したりするものではない。子供たちがどのように学習しているのか,学習に関する自己調整を行いながら,粘り強く知識・技能を獲得したり,思考・判断・表現しようとしたりしているかどうかという,意思的な側面を捉えて評価することが求められると書かれてございます。
 9ページにお進みいただきたいと存じます。9ページの上から三つ目の丸でございます。特に,この観点別学習状況の評価についてでございますけれども,小・中学校,高等学校では取組に差があり,高等学校では知識量のみを問うペーパーテストの結果や,特定の活動の結果などのみに偏重にした評価が行われているのではないかといった懸念も示されている。高等学校においても,指導要録の様式の改善などを通じて評価の観点を明確にし,観点別学習状況の評価を更に普及させていく必要があるのではないか。
 一番最後の丸でございます。論述やレポートの作成,発表,グループでの話合いといった多様な活動に取り組ませるパフォーマンス評価などを取り入れ,ペーパーテストの結果にとどまらない多面的,多角的な評価を行っていくことが必要である。一人一人の学びの多様性に応じて,学習の過程における形成的な評価を行い,子供たちの資質・能力がどのように伸びているか。例えば,日々の記録やポートフォリオなどを通じて,子供たち自身が把握できるようにしていくことも考えられるとされてございます。
 10ページになります。答申の引用の最後になりますけれども,10ページの中段でございます。教員が学習評価の質を高めることができる環境作りがまず必要であって,研修等の充実による評価の充実も必要であるということ。また,一番最後になりますけれども,次期学習指導要領の趣旨を踏まえた高校入学者選抜,大学入学者選抜の質的改善も同時に図られる必要があるということが指摘されているところでございます。
 以上が,中央教育審議会答申で示された考え方のポイントでございます。
 11ページからは,先ほど髙橋局長のお話にもございましたけれども,現在,別の部会,中央教育審議会の学校における働き方改革特別部会という部会において,議論が進められていることの御紹介でございます。
 現在,こちらの働き方改革の文脈の中では,様々なことについて,教員の働き方,先生方が十分に授業を準備して,また子供たちと向き合う時間を確保していただくための方策について御検討いただいてございます。11ページの資料では,例えばここに掲げている11項の業務について,基本的に業務の役割分担,本当に先生がやる必要があるのか,あるいは先生以外の方が担うことができるのかどうかといった視点。あるいは,業務の適正化,そもそも実施の必要性自体を含めて精査,精選を行うとともに,実施する場合にはどのように効率化,改善が必要なのかといった観点から再整理しているところでございます。
 特に学習評価の関連では,(6)にございます成績処理に関する業務・教材準備に関連する業務が関係するところかと存じます。なお,教員の勤務実態調査におきましては,成績処理,試験問題の作成であるとか,指導要録,調査書の作成等に関する業務については,小学校は33分ということで10年前と比べまして変わっていない状況です。プラスマイナスゼロという状況でございます。中学校に関しては,10年前,25分であったものが,現在,38分で,プラス13分となっているということがございますので,御報告させていただきます。
 12ページでございます。成績処理に関連する業務・教材準備に関連する業務について,考えられる対応策ということで出されている論点でございます。
 初めに,業務の役割分担の観点とございますけれども,学習指導及び学習評価については基本的に教員のみが担える業務であるが,その周辺業務には,教員が担う必要があるけれども,教員以外の者の参画によって教員の業務量を軽減できる業務,あるいは,ほかにふさわしい者がいる場合には,必ずしも教員が担う必要がない業務も存在するのではないかということで,中核は当然,先生方が担うべき業務であるけれども,周辺業務にはそういった部分,他にお願いできる部分も存在するのではないかといったようなことが論点として提示されてございます。また,ほかにも,サポートスタッフ等に任せることができる業務について整理することが必要ではないか。
 業務の適正化の観点からは,学習評価について,効果的で効率的な評価を実施するための方策を検討するべきではないか。指導要録,入試の調査書,通知表等の書類について,様式の簡素化,都道府県や市町村における統一化を図るべきではないか。プリント印刷等,教員の代わりに簡易な業務を行うサポートスタッフを活用すべきではないか。学習評価に係る事務作業の負担軽減,教材の共有化による教材準備の負担軽減を図るため,校務支援システム等,ICTの活用を図るべきではないかといったようなことが論点として挙げられているところでございます。
 13ページでございます。同じ論点でございますけれども,また別の機会に議論された際の資料から抜粋したものでございます。これまでの主な意見をまとめたものでございますけれども,学習評価については,一人一人の子供たちの力をどう見取るかということの重要性が増している。指導と評価の一体化の下,ノートやプリントの精査という形で業務が増えているけれども,評価分析については外部のシステムを活用することも考えられるのではないか。成績処理については,学校によって時間数に差がある。採点評価の基準については,明文化,共有化することで業務負担の軽減につながるのではないか。校務支援システムの導入で,学年末評価(通知表)と指導要録を連動させることにより,学校事務の効率化を図ることが重要ではないか。都道府県単位での統合型校務支援システムの導入の推進が重要ではないか。また,その際には,研修やヘルプデスクの設置も必要ではないかといったような御意見が出されておるところでございます。
 14ページ,最後になりますけれども,学習評価に関する法令等に関する規定ということになります。現在,学校教育法施行規則の第24条で指導要録の作成ということが義務付けされてございます。
 15ページ以降は,参考資料ということで掲載してございます。先ほどの働き方改革の文脈の中でも出てまいりました,統合型校務支援システムに関する資料でございます。
 16ページ,参考資料の2ページになりますけれども,例えば大阪市教育委員会のクラウドシステムの構築であるとか,北海道教育庁も同様でございますけれども,こういったことをすることによって先生方の時間が効率化されて,時間が生み出されてきているというような例もあるようでございます。
 また,文部科学省としても,次の3ページになりますけれども,統合型校務支援システムの導入促進に向けて予算上の措置を,現在,要求を出させていただいているという状況でございます。
 18ページ以降は,参考資料2でございます。学習指導要領の改訂,また,それに伴う指導要録における各教科の学習の記録等の記載に関する変遷を整理したものでございますので,御参考に頂ければと存じます。
 駆け足になりましたけれども,こちらの紹介は以上にさせていただきます。
 それから,資料3を簡単に触れさせていただきたいと思います。資料3,1枚紙でございますけれども,児童生徒の学習評価に関する論点例ということで,特にこの部会で今後,御議論いただきたい論点の案ということでございます。
 最初に,観点別児童生徒の学習評価についてということでございますけれども,特に今回の中央教育審議会答申の中でもフォーカスされました知識に関して,知識は個別の事実的な知識のみではなく,それらが相互に関連付けられ,社会の中で生きて働く知識を含むと整理されており,このような知識の概念的な理解といった部分について,どのように評価していくのかといったことが一つございます。
 また,思考・判断・表現,主体的に学習に取り組む態度,こういったものをどのような方法で評価するのか。
 中央教育審議会答申においても指摘されていますけれども,ペーパーテストの結果にとどまらない多面的,多角的な評価ということが言われているわけでございますが,それをどのように具体的に推進していくのか。
 働き方改革の文脈の中でも,効果的,効率的な評価ということが言われておりますけれども,教員にとって過度な負担とならないような手立てをどのように講じるのかという点。
 そのほかにも,障害のある児童生徒の学習評価に当たっては,どのような配慮が必要と考えられるのか。
 また,言語能力,情報活用能力といった今回の学習指導要領改訂の中で,特に教科横断的な視点,学習の基盤となるような資質・能力といったことの育成が重視されていますけれども,そういったものをどのように評価していくのかといった非常に難しい課題もございますので,こういったことについても,今後,御議論いただければと思っております。
 こちらからの説明は以上でございます。
【市川主査】  どうもありがとうございました。
 それでは,第1回目となる本日ですので,石井委員,鈴木委員のお二人から,昨年12月の中央教育審議会答申の指摘を踏まえて,学習評価の在り方ということにつきまして,配付資料4-1,資料4-2に基づきまして意見発表を頂きたいと思います。その後に意見交換を行いたいと思います。
 それでは,まず石井委員からお願いいたします。
【石井委員】  それでは,失礼いたします。
 まず,資料の確認なのですけれども,今,紹介いただきました資料4-1・マル1,それから資料4-1・マル2に加えまして,本日,要点を整理しました1枚のレジュメをお配りしているかと思います。それを確認いただけますでしょうか。基本的には,「報告のポイント」と記しましたA4の裏表の資料に即して報告させていただきたいと思います。
 石井と申します。専門は教育方法学,特に資質・能力の中身について,どのように構成要素を捉えて,目標を明確化する枠組みとして構造化していくのかという学力のモデルの研究をやっています。そういった目指すべき資質・能力の中身をモデル化して,それに基づいてカリキュラム,授業,評価,更には教師教育の在り方,それをトータルにどうデザインしていけばいいのかということを考えています。
 本日は,学習評価の在り方ということで,お手元のA4裏表の資料に即して,今から15分程度お話しさせていただこうと思います。事前にお配りしております分厚いパワーポイントの資料は補足資料という形で,適宜,参照しながら進めていきたいと思っております。
 基本的にパワーポイントの資料の方は,冒頭の所に現行の学習評価の在り方,あるいは指導要録の在り方についての実践的な課題を載せております。そういうことを踏まえつつ,観点別評価のそもそもの背景にある理論,観点別評価というのは90年代辺りに本格的に進められることになるわけですけれども,それ以降の目標や評価に関わる研究の展開,その議論の到達点をまとめた資料になっております。基本的には,A4の資料を通じて提案させていただくことの理論的根拠という形で見ていただければ幸いです。
 報告のポイントといたしましては,今,論点例で出されたものと,図らずもほぼ合致しているかと思います。大きくは,観点別学習状況の評価をどういうように捉えていけばいいのか。特に,観点の意味をどういうように解釈していけばいいのかを中心的にお話ししていくことになろうかと思います。それに加えて,実際に対面的で多角的な評価をどう進めていくのか。これは,評価システムを簡素化することによって,教員の多忙化,現場の多忙化に対応するというような趣旨でまとめております。
 それでは,早速,観点別学習状況の評価の在り方について進めてまいりたいと思います。
 先ほど説明もありましたように,今回の学習指導要領改訂のポイントは,社会に開かれた教育課程に向けて資質・能力の三つの柱という,学力といいますか,資質・能力のモデルが示されたという点かと思います。つまり,知識・技能を知っているだけではなくて,それを使いこなして,よりよく生きていく,生活していく,実践していくといった力まで含めて,学校教育の中で意識的に育てていこうと。生きて働く学力になっているかどうかということは,学校教育の中で繰り返し,現場の中でも問われてきたことですけれども,それを改めて見つめ直して実質化していく,そういう問題提起かと思います。
 特に,変化の激しい社会においては,正解だけではなくて納得解,最適解を自分たちで作っていく力が大事になってくる。その中で,より思考力であるとか,あるいは学び続けていく態度であるとか,そういったものが重視されているというのが今の状況かと思います。
 そうすると,評価の在り方としても,知識の量を問うペーパーテスト以外の方法も必要になってくる。そこで,観点別評価が出てくるわけです。観点を分けることの意味というのは,要は知識・技能の観点はペーパーテストで,あるいは思考・判断・表現を育てたいのであれば,それ以外の方法も考えられるのではないかという形で多様な評価方法を用いていく,そういう趣旨なのです。
 観点別評価というと,小学校,中学校は結構煩雑な形でされているところがあるんですが,その一番シンプルなイメージは,大学の授業評価です。大学の授業評価の多くは実は,観点別評価になっているのです。つまり,ペーパーテスト3割,レポート7割,これは観点別評価になっています。ペーパーテストで,講義内容の理解状況,習得状況を問う。それだけではなくて,やはり議論する力であるとか,論じる力を見たいのでレポートも課す。これは,もともとの観点別評価の趣旨なのです。そういったものとして,シンプルに観点別評価を捉えていくことが大事かと思います。
 今回の改訂で示されている観点は3観点,知識・技能,それから思考・判断・表現,主体的に学習に取り組む態度であるわけですけれども,そのまま読んでしまうと少し誤解を生じてしまう部分もあるのかと思います。つまり,知識・技能だけよりも,思考・判断・表現,それから学びに向かう主体的な態度,そちらの方を重視するという形で読まれてしまいますと,かつて「新しい学力観」ということが言われて,ある種,態度主義といいますか,意欲だけが一面的に強調されてしまった状況に後戻りしてしまう,そこが危惧されます。逆に,思考・判断・表現といったものだけが単体で見られると,そこに知識はなくていいのかということです。そこが誤解を生じてしまうということになります。
 その誤解を生じさせない上で,学力の階層構造を捉えておくことが大事かと思います。それは資料でいいますと,この大部な資料の12枚目のスライドを見ていただければと思います。そこに,学力・学習の質的レベルに対応した各教科の課題例というものがあります。要は,各教科の内容を学ぶといったときに,学力とか学習のレベルの違いがある。
 例えば,標本調査などという数学の単元内容をベースにして考えたときに,標本調査の単元末でどういうような評価課題を設定するのか。一番分かりやすいのは,これこれは標本調査だという形で,標本調査という語句を答えるような穴埋め問題は考えやすい。あるいは,乱数さいとか,無作為抽出といった言葉を問うような個別の選択式とか,穴埋め問題といったものは考えやすい。
 でも,それは個別の知識・技能を問うような問題ですが,そういった個別の知識・技能を答えられたからといって,標本調査といったものの意味が理解できているとは限らない。例えば,いろいろな場面が示されて,標本調査に適しているか,全数調査した方がいいのかということを判断するような,つまり,それが解けるということは標本調査の意味がちゃんと分かっているということですよね。例を挙げるということもそうです。だから,そういった問題が解けるとは限らない。
 さらに言えば,標本調査か,全数調査かということで判断できる,分かっているからといって,例えば東京都だったら東京都,何とか区だったら何とか区でいいですけれども,自分たちの住んでいる町で軽自動車がどれくらいの割合あるのかを,自分たちで調べてみるような,標本調査をやってみるような課題が解けるとは限らない。実際,標本調査をやろうと思ったら,無作為抽出,乱数さいを振るとかいう話ではなくて,どこで調査するのかとか,そういったことを人間の頭で考えて判断しなくてはいけないということになります。
 ですから,ここで挙げました,知っている・できる,分かる,使える,おおよそこの3つ,3層で学力の構造は捉えることができるのではないかということです。知っている・できるからといって,分かっているとは限らない。一つ一つの概念が分かっているからといって,それを使いこなして,実際に問題解決できるとは限らない。こういった3層の構造を捉えておくことが大事だろうと思います。
 その上で,資料でいいますとスライドの14枚目になります。それぞれ学力の質的な違い,学習のタイプを踏まえた上で,もう一つのポイントは,学力,学習の質の違いにかかわらず,どのような質の学力や学習であったとしても,何らかの知識とスキルと態度の育ちを含むということが,この資料の14番目で提起していることです。
 例えば,百ます計算をやるということは知っている・できるレベル,つまり知識の獲得と定着という学習レベルに対応するわけですが,百ます計算においても何らかの知識とスキルと態度の人たちがある。それは何かというと,計算手続という知識を正確に実行することができるというスキル,プロセス。そして,それによって自信を得る,自分はできるんだという自己肯定感を得るといった情意面の育ち。だから,どのような学習活動であったとしても,必ず何らかの知識とスキルと態度の育ちがある。そういうような形で,目標,全体像を構造化しておくことが大事だろうという表になっています。
 先ほど,知識の場合,個別の事実的な知識のみではなく,生きて働く知識を含む,それから概念を含むということの意味も,こういったマトリックスで見ていくと明確になろうかと思います。ですので,この中で,要は観点別評価を考える場合,教科であればここに挙げたような要素が網羅できるような形で,それぞれどういうように知識・理解であるとか,思考・判断であるとか,主体的な態度をかぶせてくのかということが大事になろうかと思います。
 私からは,基本的に観点別評価の在り方というのは,学力の3層構造を踏まえながら,それに基づいて明確化していくということを提案させていただくことになるわけですけれども,一方で情意領域の評価については,様々な形で慎重な対応が求められるところかと思います。情意領域の評価につきましては,目標として掲げ,形成的に,つまり指導改善のために評価するということと,それを成績付けの参考にするというか資料にする,つまり評定するということはやはり分けて考える必要がある。
 基本的に評定することになってきますと,先ほどこういった例が見られますという説明がありましたように,関心・意欲・態度を上げるために主体的であることを装うということが起こったりする。あるいは,そういうように外側からニンジンをぶら下げないと,結局,主体的に学ぼうとしないという受け身の姿勢を育てることになりはしないかということも危惧されます。さらに言えば,そういう形で常に評定,情意的な部分であるとか,非認知的なところを全部評定することになってくると,学校全体が,学校生活が息苦しくなってしまうのではないか。そういった形で,情意領域の評定については慎重であることが大事かと思います。
 この点については,中央教育審議会の答申で,学びに向かう力・人間性の中から人間性の部分を抜いてという辺りは,情意領域については慎重であるということを踏まえての問題提起かと思います。
 その上で,認知的な学習を進めていくことに関わる部分については,ある程度評価の対象にすることもできなくはないと思うわけですけれども,その場合も学習を支える入り口の情意,それから学習の出口の情意を分けておく必要があるとか思います。この辺りは,20枚目のスライドで書いてある部分であります。
 つまり,学習の入り口というのは,学習する前にやる気があるかどうかということです。学習する前の話というのは,授業を通じてやる気を喚起する部分です。だから,これは指導する側の腕の見せどころだと思います。それに対して,出口の情意というのは,学習するからこそ,繰り返し学習するからこそ起こる情意的な変化。例えば,知的に粘り強くなるとか,集中力が持続するようになる。それは,繰り返し繰り返し学習することによって,問いと答えの間の長い学習をすることによって育っていくものであろうし,知的な学習をして,社会科でいろいろ多面的,多角的に見ていくというような学習を繰り返すことによって,物事をうのみにしないような態度や姿勢みたいなものが育ってくる。
 こういったものについては,ある程度学習評価の中に組み込んでいくこともあろうかと思います。評定するかどうかということは議論があるわけですけれども,これを区別する。これについては,今回の答申の中で授業の診断的評価云々ということで言われていた部分が対応すると思います。主体的な態度というのは,まさに出口の情意として見ていく必要があるだろう。
 ただ,もう一つ,日本の学校のカリキュラムを見た場合,資料の23枚目の所に,先ほど階層制と要素でもってマトリックスを描きましたけれども,これは教科外活動にも延長して考えることができます。それを示したものが23番目のスライドです。つまり,上半分は教科,下半分は総合とか,教科外の特別活動などになります。実は,日本の学校というのは全人教育をベースにしていますので,教科以外のところでもいわゆる非認知的な能力,情意であるとか,社会性といったものをトータルに育てるようなカリキュラムになっているわけです。ですので,情意領域も含めた非認知的な部分の指導と評価については,こういったカリキュラム全体で育てていくという視点も忘れてはならないのではないかと思います。
 以上を踏まえまして,観点の意味内容をどのように明確化していくのかということになります。これは,スライド資料の29番目を見ていただければと思います。
 現在,どうなっているかといえば,多くの場合,観点別評価を小学校,中学校でやるとき,ペーパーテストと,もう一つ,例えば意欲の部分を見るための課題みたいなものと二つで評価することが結構あると思います。そのときのペーパーテストというのは,主には知っている・できるレベルを見ている。ペーパーテストの中でも,思考・判断・表現を見ている問題があるわけですが,それは多くの場合,分かるレベルです。扇状地に果樹園が多いのはなぜかといったことを少し書かせるとか,それは分かるレベルの思考を問うているものかと思います。
 でも,今回の資質・能力の三つの柱の趣旨というのは,まさに使えるレベル,生きて働く学力をどう育てるか,そこに使えるレベルの知識とスキルと態度を育てていくというところに協調点があるということですので,そういうことで言えば,まず知識・技能の観点は理解を含めて少し拡張する。思考・判断・表現の観点は,もちろん現状の分かるレベルの思考も含み込みつつ,軸足は使えるレベルの思考,問題解決したり,意思決定したりという方に持っていく。
 ただ,それもペーパーテストで問える部分と,そうでない部分があるわけです。全国学力テストのB問題というのは,使えるレベルの思考のうちのペーパーテストで問える部分だと思います。先ほどの標本調査で言えば,標本調査のプランみたいなものを見て,それが果たして抽出方法として妥当かどうかというレポートを添削するような,そういうものであればペーパーテストベースでできますけれども,実際,標本調査をすることになると,これはペーパーテストではできないわけです。実際,プロジェクトでやる中で育ったり,力を見るものです。ですから,思考・判断・表現のペーパーテストで問える部分と問えない部分,そのペーパーテストで問えない部分については思考・判断・表現プラス主体的に学びに向かう態度,この二つ,両観点を合わせて見るような課題として,まさにパフォーマンス課題のようなものを軸にしながら,二つの観点を見るような形にしていくことが考えられるかと思います。
 この点については,観点別評価の運用について,一つの評価課題を複数の観点で見るというようなことも中教審答申の中で提起されていたかと思いますので,それをうまく生かすことが大事ではないかと思います。
 以上が,観点別評価の運用の仕方といいますか,解釈の枠組みということになります。
 時間も過ぎておりますので,最後は簡単に。
 裏面の所になりますが,それを実際に運用していくときに,多忙化を減らすといった場合に大事になってくるのは,現行の小学校,中学校での観点別評価は,ややもすれば1時間の授業の中で,導入で関心・意欲・態度,一番盛り上がりのところで思考・判断・表現と,全部観点を盛り込む。あるいは,もうちょっと緩やかに単元レベルで全部盛り込むというような形になっている部分がありますけれども,もっともっと緩やかでいいのではないか。単元をベースにするということもありますけれども,もう少し思考・判断・表現の部分については長期的に見ていく形にしていってはどうかということです。
 基本的には,観点別評価は単元レベル以上で意識するべきであって,毎時間の目標と評価は内容に即して考える必要があるだろう。理解を伴って,その内容を習得しているかどうか。そして,知識・技能を中心に,あるいは思考・判断・表現の一部はペーパーテストで評価する。それについては,理解を伴って内容を習得化しているかどうかということを,マルかバツかではないですけれども,習得しているかどうか,あるいは,これくらいの得点率であればオーケーという形で評価する。一方で,思考・判断・表現については長期的に,例えば実験レポートは繰り返し書きますので,それを学期に数回,繰り返しやっていく中で,同じ指標で評価する。そういったときに,ルーブリックというか,段階的な評価指標をうまく生かしていくことが大事になってくると思います。
 それから,知識・技能を中心とした観点は,チェックリスト等による項目・点検・評価としてのドメイン準拠評価,これは鈴木委員からのお話にもひょっとしたらあるかと思います。
 一方で,思考・判断・表現,主体的に学習に取り組む態度については,ルーブリックによる水準判断評価としてのスタンダード準拠評価。目標準拠評価といっても,一つ一つ点検していくだけではありません。そういうような運用の仕方も考えられていいのではないかと思います。
 そう考えると,観点別評価,それぞれの観点をABCで評価して,5段階で総合評定するという形に必ずしもこだわる必要もないという気がします。それぞれ教科について,知識・理解の部分がABCならABC,思考・判断・表現のところがABCでも十分,学習状況を捉えたことに,子供たちの学力の質を捉えることはできるかと思います。そういうように変換することも一つ議論があるのかなと。
 そういった形で,繰り返しレポート等に取り組んでいく,それをポートフォリオにまとめていくことによって,長期的に育ちを見ることもできますし,まさに多元的な評価を用いた大学入試における選考材料としても生かしていくことができるかと思います。
 最後,参考資料の在り方については,まさに長期的な評価を励ますような方向で,しかも各学校にこうしなさいと細かい指示を与えるというよりも,それぞれの学校ごとに,現場サイドで評価の計画といいますか,そういったものを立ち上げていくという形での事例集等の提供がなされるといいのではないかと思います。
 それから,毎時間の授業の評価を隅々まで細かく規定するようなものではなくて,長期的な育ちを捉えることを促すということがポイントになろうかと思います。そのために,現場もそうですが,教育委員会であるとか,大学等の研究開発を推進していくということも併せて考える必要があるかと思います。
 済みません,オーバーしてしまいました。以上で終わらせていただきます。
【市川主査】  どうもありがとうございました。
 御質問等もあろうかと思いますが,後の審議の中で適宜,御質問を入れていただくことにして,次に鈴木委員の方から御発表をお願いいたします。
【鈴木委員】  よろしくお願いします。
 この学習評価に関するワーキンググループに,前々回及び前回と2度,委員として参加させていただきました。その中で,どのような問題が浮かび上がってきたか,又は新しくこういう点が問題ではないかということが分かってまいりまして,今回に至ったのではないかと思います。
 考え方の点では,今,石井委員がおっしゃったことと大差ないわけですけれども,私の方からは,では具体的にどうすべきかということを中心に,逆に言えば今の問題点を含めてお話ししたいと思っております。
 資料4-2のレジュメ従ってお話しいたしますけれども,まず基本的な考え方は,先ほど事務局当局からも説明があったとおりでありますが,教師の負担軽減というのは非常に重要な論点だと思っております。
 形成的評価は当然のことですが,もしできたらメタ認知能力を育成できるような評価プラン,システムが作れればいい。
 それから,我が国はある一定量の知識の確実な習得を重視するという,この伝統を踏まえて考えなければいけないということは確認する必要があると思います。
 思考力・判断力・表現力が必要であるということも考えなければいけない。
 それから,もう既に中教審の方で出ております,従来の4観点を3観点へ変更するということを踏まえて考えなければいけない。
 さらに,ポートフォリオ評価の一種と言っていいかどうか,それ以上のものが入っておりますけれども,キャリアパスポート等についても言及されておりますから,それを考える。
 そして,縦の構造化と横の構造化という問題ですけれども,既に学習指導要領の審議の中で横の構造化はできたんですけれども,縦の構造化,学年段階でどう思考力や判断力を発達させていくかというのは,かなり評価の役割が大きいのではないか。
 以上の点を踏まえて,どうすべきかということを考えたいと思います。
 ただ,基本的に,今,石井委員もおっしゃったことですけれども,結局,前2回でどういう問題が残ったのかということを考えてみますと,やはりこれまで短期的に伸ばすべきものイコール短期的に評価すべきものと,長期的に指導すべきもの,長期的に発達するもの,もちろん評価に関しても長期的に考えるべきものの区別が必ずしも十分に付いてこなかった。今回は,ここをしっかり踏まえた上で評価システムを考える必要があるということが,まず最大の課題ではないか。
 短期的なものは,主として観点で申しますと知識・技能であろう。長期的に育てるべきものは,観点としては思考・判断・表現という部分に相当するものであると考えております。特に重要なのは,我が国では短期的なものに関する評価はかなりしっかりできていると私は考えております。問題点は,長期的なものに関する評価が十分に評価システムとして,長期的な評価が必要だということが十分取り入れられていないのではないかという方法論が問題だと思っています。
 そのためには,スタンダード準拠評価という評価規準と評価事例集を組み合わせたような評価システムをきちんと作る必要がある。ルーブリックというのは,どちらかというと個別課題の評価規準という意味で使っておりますから,ここでは国全体として評価の統一等を考えたという趣旨で,スタンダード準拠評価という用語を使わせていただきたいと思います。
 もう一つは,ペーパーテストのことですけれども,実際に学校で使っているのは事実ですし,これなしには考えられませんから,ペーパーテストも十分活用する。そして,そのよい点,短時間で実施できて,幅広い範囲も評価できるということは確認しておかなければいけない。思考・判断・表現に関するパフォーマンス評価は,時間が掛かることを考える必要があるということです。
 最後に,石井委員もおっしゃっていますけれども,前回からずっと問題となっております情意面の評価というのは,やはり信頼性や妥当性を高めることは非常に困難ということです。
 以上を踏まえて,どういう評価システムを作るべきか。2番目,改善すべき点という意味でどうすればいいか,私の案として提案したいと思います。一応,たたき台ということで考えていただきたいと思います。
 まず一つは,4観点が3観点になるわけですので,当然ながらどう統合するかということを考えなければいけないということです。今までは4観点,知識・理解,技能,思考・判断・表現,関心・意欲・態度になっていたわけですけれども,今回,知識・技能として一つの観点になるんですけれども,簡単に知識・理解と技能の観点を合わせればいいというようにやってはまずいのではないか。なぜかと申しますと,各教科の実際の観点の内容を見ますと,短期的に育てられるもの,又は数量的に評価できるものと,そういうようにはなっていない技能の観点があります。こちらの方は長期的に育てるべきものという意味ですけれども,これは交じり合っております。単純に,今までの知識・理解と技能を統合すればいいというものではないということです。
 その例として,裏側に挙げておきました。社会科の観察・資料活用の技能は,一応,技能なんですけれども,中身は数量的に評価するのは非常に難しい。どちらかというと,思考・判断・表現と統合して社会的探究という観点を作った方がいいのではないか。そういうようなものもあるということです。逆に,算数,これはもちろん小学校の意味で言っているわけですけれども,算数の技能は知識・理解と統合しても構わないような数量的な評価ができる部分ではないか。
 これは一例にすぎませんけれども,技能の観点に関しては,数量的に評価できるものと質的な判断を必要とするものと分けて,統合の仕方を考える必要があるということです。
 2番目に,1番目の問題点の思考・判断・表現の観点の問題です。先ほどから申しておりますように,時間的に長期にわたる変化を見ていく必要があるということです。ところが,これまで,この点を十分に踏まえた評価システムが作られていなかったのではないか。
 なぜかと申しますと,参考資料だけの問題ではないんですけれども,この観点に関して各学年で3段階の評価をしなさいということになっております。1年生で3段階,2年生でも3段階と。そうしますと,非常にたくさんの評価規準が必要になります。しかしながら,参考資料も実はBの規準しか示していないのが実態でありまして,逆に言えばAが示されておりません。それから,CはBではないという形で非定型でしか示されていない。なぜかといいますと,実際に細かな評価ができないことを明らかに示しているということです。ですから,これまでの各学年3段階という評価は,この観点に関してはかなり修正を要します。
 具体的に申しますと,イギリスやオーストラリアでやっていますように,小学校から高校程度で8から9段階程度の区分をして,その中の一部を小学校低学年,小学校高学年,中学校,高校と部分的に使うようなシステムの方がいいのではないか。要するに,学年ごとの3段階は無理だということをそろそろ考えるべきではないか。実態としてもできていないということが事実にあるわけです。
 一つの提案として,その表に,一番下にちょっと例を書いておきました。第1段階から第8段階というのは,小学校から高等学校までのこの観点に関する発達段階の区分です。大体このぐらいの区分はできるということです。その一部を,例えば小学校1-3年では1段階,2段階,3段階と学年を関係なく使うべきだと。でないと,細かな区分ができないということを踏まえたものにはならないでしょう。それから,小学校4~6年は第2段階,第3段階,第4段階ぐらいの評価規準を,学年の枠を外して評価すべきではないかと考えております。
 もう少し別の案としては,小学校4年生から6年生まで,第1段階から第4段階を使うという例もあります。これは一つの例です。
 基本的には,各学年3段階評価は無理だということをそろそろ認めて,システムを考え直すべきではないか。参考資料の方も,実際にはB区分しか示されていないのは,そもそも無理だということだと思います。
 次に,3ページになります。知識・技能の観点は,先ほど石井委員がおっしゃっていたように,やはりペーパーテストを基本に,実態としてもそうやっておりますので,これを基本に考えていくべきではないかと思います。これまで参考資料では,どちらかというとこの観点に関しても,観察して,どういうように見ていくかということが示されている例が多いんですけれども,ここははっきりとペーパーテストで評価して,そのペーパーテストの事例を示した方がいいと考えています。もし,ある一定の深い理解を求めるならば,ペーパーテストの中でこのような問題を一部出してほしいということを示した方がいいのではないかと思います。どの程度の深い理解かによって,ペーパーテストでやるべきか,パフォーマンス評価でやるべきかということは議論があるかと思いますが,ペーパーテストの中でもある一定の理解を求める方法もあるという意味です。
 それから,4番目,総合学習の評価です。実態はどうなっているかといいますと,幾つかの文例を各学校で決めて,指導要録にはそれを一部使ったり,組み合わせて書いているというのが実態です。ですから,残念ながら生徒の学習の時間の様子を細かに観察して,それを基に記述している学校はどちらかというと少なくて,幾つかの文章例の組み合わせになっているというのが実態です。これを改善するには,やはりポートフォリオのようなものを作って,生徒の実際の作品を保存して,最後,指導要録に書くときにそれを見て記述するという方法をしないと,なかなか改善は難しいと思います。
 その例として,申し訳ありませんが,袋井高校の私がやっている事例を,袋井高校としてどのようなことをやっているかということを,ちょっと写真で御紹介したいと思います。
 1枚目の写真は,生徒の総合学習の時間の作品例です。特にいいというわけではないですが,例として写真で示させていただきます。これは,袋井市の美しい風景を見付けなさいという課題です。広愛大橋から見た夕日が美しいというのはみんなが言っていることでして,そういう普通の観光名物ではないものを自分で見付けて,美しい風景を一つのパンフレット,ないしはガイドブックとして作りなさいという課題です。
 2ページも3ページも,そのような例です。
 問題は,4ページ目です。作られたこういう作品は,そこにあるように段ボールの中にファイルが入っておりますけれども,このファイルにクラスでまとめて入れて,5ページ目,学校の倉庫にこのような形で保管しております。これは3年間使うので,クラスごとにこの箱に入れて保存する。高等学校ですので,場合によっては調査書や,もちろん指導要録に書くときに参考にするというようなことを考えております。
 一番最後の6ページ目は,一つ一つのファイルを入れる,これはケースファイルという形式ですけれども,いつでも自由に出し入れできる。新しい作品が出たら,古い作品はできるだけ取り除いていくという趣旨で,出し入れしやすいこのケースファイルを使っております。
 これはあくまで一例にすぎませんが,このような形のポートフォリオを作らないと,なかなか総合学習の評価が,文章例の組合せに終わってしまうのではないかと思っております。
 なお,まだ高等学校の学習指導要領は決まっておりませんけれども,今の方針では理数探究基礎や理数探究という新科目が出てくるわけですが,これを実際に評価するにはポートフォリオしかないのではないかと思っておりますので,総合学習の時間だけではなくて,こちらの方でも,高校では今度,総合探究になりますけれども,そういう形を入れざるを得ないのではないかと思っております。
 さらに,ポートフォリオに自分の学習の目標等を入れてメタ認知能力,又は自己学習力を付けようという場合は,キャリアパスポートみたいな形に発展していくと思いますが,どこまでやるかはここでの議論の一つではないかと思います。
 最後に,評定についてです。石井委員からもありましたが,情意面は客観的,信頼性,妥当性のある評価は非常に難しいことを考える必要があるということです。それと関連して,評定のこともあるんですけれども,3観点になったことによって評定はもう必要ないのではないかと私は考えております。
 これまでの審議,前回,前々回と評定の意味ということを議論いたしましたが,要するに評定というのは父兄に簡略化して学習の状況を示すという役割があったわけですけれども,4観点が3観点になれば要約して示す必要ももうないのではないかというのが私の一つの考えです。どうしても評定を残さなければいけないという場合は,知識と思考・判断・表現の部分を評定にして,信頼性や妥当性のある評価が難しい主体的に学習する態度,これは新観点の名前ですけれども,従来の観点で言えば関心・意欲・態度ですけれども,こういうものは評定には入れないという形を取る方法が考えられるのではないかと思います。
 最後にといいますか,問題点としてということですけれども,高等学校に関しては学校によって評価規準が相当違うので,今後,導入される二つのテストで出てくる成績と,高等学校の各学校の評価が相当違うということが考えらます。それから,ここで観点別評価をし,評価規準をスタンダードとして示した場合,これと各学校の評価が,超進学校からそうでない学校まで相当幅広く分離してくるという点を考える必要があるかと思います。
 以上です。
【市川主査】  どうもありがとうございました。
 それでは,お二人の委員からの意見発表を受けまして,これから委員の皆様方で意見交換を進めてまいりたいと思います。御発表に関して,御質問とか,御意見とかありましたら,名札を立てていただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは,よろしくお願いします。いかがでしょうか。はい,どうぞ。
【佐藤委員】  失礼いたします。関西学院の佐藤でございます。
 石井委員に対していくつか質問をさせていただきたいということと,鈴木委員に対しても1点だけ御質問という形でお願いしたいと思います。
 石井委員のところで,主体的に学習に取り組む態度ということでパフォーマンス課題のことが出ておりますけれども,このパフォーマンス課題について,パワーポイントの資料の方では高校の例などが載っております。私もいろいろ見させていただいて,パフォーマンス課題につきましては校種間でなかなか難しい面が出てくるのではないかと思います。高校などでは,ある一定の社会的な文脈の中に問題を落とし込んでやるということは大変やられているかと思いますけれども,小学校ですとなかなか難しいのではないかと感じております。その点,校種間においていかがお考えなのかという点を,第1点,お伺いしたいと思います。
 もう一つは,先ほど学力の構造の面をおっしゃいました。ブルームの第6版辺りにも出ていますけれども,学力の構造の中で,2観点を一つの文脈の中に見ていくということが,どういう点で可能なのかという辺りをちょっと御示唆いただければ大変有り難いと思います。
 鈴木委員にお願いしたいのは,私もポートフォリオについては非常に有用なものだろうと考えておりますけれども,高大接続の点でポートフォリオが出ていました。それと,もう一つ,キャリアパスポートについてもちょっとお話があったと思いますが,タームとして,ポートフォリオと言った場合と,鈴木委員がお考えのキャリアパスポートといった場合は,どのように違うのか,同じなのか,その辺りの点をお教えいただければと思います。よろしくお願いします。
【市川主査】  それでは,石井委員と鈴木委員から答えていただけますか。よろしいでしょうか。
【石井委員】  それでは,質問いただいた点に関しまして,まずパフォーマンス評価が,特に生活の文脈で知識を使いこなすであるとか,問いと答えの間の中で,プロジェクト型の学習みたいものを教科において考えるといったときには,確かに小学校で言えば4年生以降とか,ある程度論理的な思考であるとか,問いと答えの間が長く思考できた後の方が,確かにパフォーマンス課題のようなものは実施しやすいということはあろうかと思います。
 あとは,特に算数であれば,係数概念であるとか,量感といった部分は,確かにパフォーマンス評価をするには難しいところもあるかと思いますが,例えば図形であるとか,数量関係,関数といった部分については,そういった課題は比較的作りやすい部分かと思います。その辺り,知識を使いこなすプロセスを見るということですので,それぞれの教科,あるいは教科の中での細かい領域の中で,適した部分の中で,年間,学期に数回という形では運用できるかと思います。
 低学年の1,2年生ということで言えば,そういったところで言うと算数辺りが一番引っ掛かってくるところかと思いますけれども,例えば計算絵本を作ろうとか,そういうこともあったりします。つまり,問題作り,2+3で答えが出るようなお話を作りましょうという問題は結構あるわけですけれども,もっとダイナミックに,自分で物語を構成して,その中で計算を使ったものを,学んだことを使いこなしていくような課題,思考と表現をセットで問うていくような課題になりますけれども,そういったものは小学校低学年においても実行可能なところかと思います。
 もう一つ,学力の構造において,2観点を一つの課題で見ていくということですが,知識・技能,思考・判断・表現,主体的に学習に取り組む態度というのは,私が示しました枠組みで言えば,階層制と要素といいますか,これがちょっとごっちゃになっているところがあるわけですが,実際問題,知識・技能という要素を示す観点なんですが,先ほども申しましたように,そこに質が入っているわけです。個別の知識だけではなくて,概念をというように質が入っている。それを明確化するといったときに,こういう示したようなマトリックスの上に位置付けて考えてみるといいのではないか。
 それで言えば,使えるレベルを充実させていくことが一つの主眼かと思いますので,そのときにも,階層制ということで言えば,使えるレベルの中にも2階層を見ることもできなくはないということが資料の28枚目にあります。
 ウェブの「知の深さ」という枠組みがあるのですが,ブルームの目標分類学であるとか,そういった目標分類の枠組みにおいては,おおよそ内容の学びの深さみたいものは3層で捉えられるということがあるんですが,その中でも特に使えるレベルといったもの,いきなりプロジェクト型というのは難しい。
 それから,過渡的にレベル3,方略的思考というものがありますけれども,これは先ほど申しましたようにB問題で問えるような,ペーパーとして問える使えるレベルの学力というのはそういう部分になってくるわけです。そう考えれば,結局,思考・判断・表現単体の部分をこのレベル3に当て,プロジェクト型学習というのは思考としてはもう1段,より複合的,総合的になってくる。そこは,単に思考・判断・表現だけではなくて,粘り強くやっていく,知的な粘りみたいなものも入ってきます。そうすると,実際,情意であるとか,非認知的な部分もかなり盛り込まれて展開していくことになると思うので,それはオーセンティックな学びに対応するレベル4に対応してくるかと思います。
 ですので,実際,要素として示されている観点を階層制でもってきっちりと解釈していくという提案なのですけれども,いかがでしょうか。
【佐藤委員】  はい,了解しました。
【市川主査】  では,鈴木委員,お願いします。
【鈴木委員】  まず,高大接続との関係ですけれども,なぜポートフォリオかということです。高大接続は今,議論の最中ですので,そのことを踏まえてちょっとお話ししたいと思いますが,やはり二つのテストと多角的な評価の結果を大学側に提供して,大学がそれを見るという形の高大接続が望ましいと思っております。
 現行の調査書は,ちょっと言いにくいんですけれども,各教員の力量がかなり影響する。必ずしも実態を十分に反映していない,ないしは表現できていない。これは実物を見ていただくのが一番だと,私は考えております。全ての生徒にそれを実施できるわけではありませんけれども,推薦入試等で長々と担当教員やクラス担任が推薦書を書くわけですけれども,かなりの部分が各教員の力量,はっきり言えば作文という部分が多くて,その生徒の実態が読む方からしても分かるのかと言われると,分からないのではないか。それよりも,推薦入試等の場合は実際の作品を生徒に持たせて,見ていただいた方が,どの程度の力量があるかは一目瞭然だと思います。
 そういうものを高等学校側が用意しないと,多面的,多角的な評価による選抜は実現できない。ですから,少なくとも高校ではこういうものを用意しておかないと,大学の方の高大接続の理想の形に近付けないという意味で,袋井高校ではいつでもそうなっていいように,先ほど申しましたように倉庫に保管して,なくならないように学校が管理するというシステムを作らないとまずいのではないかと思っております。
 それから,キャリアパスポートに関しては,キャリアパスポートというのはちょっとアメリカ的な言い方だと思います。イギリスではレコード・オブ・アチーブメントと申しまして,こちらの方は学習の成果を保存するだけではなくて,各教科や,1年間を通して生徒がどのようなことを目標とするか,自分で目標設定させたり,その結果を自己評価したり,学習以外のいろいろな資格を取ったり,成果があった場合は,それをポートフォリオのようなものに組み込む。ですから,特定の学習評価以外の目標設定や自分の自己評価,及びその他の資格認定のようなものまで含み込んだものを,イギリスではレコード・オブ・アチーブメントと申しまして,キャリアパスポートもそのようなものではないかと思っております。
【市川主査】  ありがとうございます。
 では,奈須委員,お願いします。
【奈須委員】  お二人の発表で,今後の方向が随分見えてきて有り難かったと思います。
 その中で,このワーキンググループでの議論の仕方というか,一つの御提案なんですけれども,評価論だと,どうしても評価手続論とか,どうやって帳簿を作るかという話に行きがちですけれども,石井委員の御発表の最初にあったように,評価論というのは学力論であると,むしろ本音での教育目標論ということだと思います。
 つまり,どのような子供の姿を求めて,どういうように評価,評定をしていくか。教育課程が本音のレベルで,子供の姿のレベルで,子供が何を目指すかというレベルで,どのような学力論を示すかをはっきり明示していくことになるという2側面,もちろん評価作業も必要で,評価帳簿も必要ですけれども,その2側面の議論をここで同時進行的にやっていくことが大事かなと。その意味で,カリキュラム論にもなる,PDCAで学習評価がカリキュラム評価になり,カリキュラムを修正していくということもそうです。
 それから,授業論,パフォーマンス課題を授業の中で実際実施したりするわけだから,どのようなパフォーマンス課題を設定するかによって授業の在りようすら変わってくる,単元構造すら変わってくる。つまり,評価論というものが,これまで作ってきた学習指導要領を実質化,実践化する手続の中で重要な役割を占めるということを確認して,今後,議論が進められれば有り難いと思っています。
 その意味で,このワーキンググループの中での議論に,このようなものが更に必要だと出てきたことは,評価手続としてどのようなものを実行していくかということを各学校にお示しするだけではなくて,学力論,あるいは教育目標論のレベルで,今回,学習指導要領は,内容が中心だったものを,内容を通して資質・能力を実現するという筋道でやっていて,もちろん資質・能力をかなり示しているんですけれども,原則的に各教科に書かれているものはやはり内容なわけです。
 特に,学びに向かう力・人間性のところは,そんな個別的に書けるものではないので,領域個別的に書いていないものも多いかと思います。それが評価論になってきたときに,それをどう評価するかという話になってきて,学習指導要領に不足しているもの,どうしても学習指導要領は法令文書ですから書き切れないものも存分にあって,その部分として,現場であれを豊かに実践する上で何が更に必要かということが,多分,ここで明らかになってきて,それを資料として出していくという話になるだろう。
 だから,評価としてどういうように手続をしていくか,帳簿を作ってもらうかという方向に向けてももちろん出していくんですけれども,授業作りとか,カリキュラム作りとか,あるいは目標論というのをどうやって校内で了解していくかということにも,この議論はとても大事だろうと思っています。
 それから,もう一点,鈴木委員の方から,やはり知識・技能についてはペーパーテストが基本になるだろうと,それは大事なことだと思っています。私自身は,B問題効果という言い方は失礼ですけれども,B問題という別な種類のペーパーテストがこの国に生まれたことによって,この国の学力論は随分変わったし,教科書も変わったし,小学校,中学校の国語,算数の授業はこの10年ですごく大きく変わってきたと思います。テストの質を変えて学力を誘導するというのはPISAなどでも取られていて,国際的な動向だと思います。長年,テストがあるから学力が矮小化という議論がありましたけれども,だったらテストのリッチネスを上げればいいんだというのがこの20年ぐらいの国際的な戦略で,B問題は日本の戦略として一番うまくいったものの一つだと思います。
 その意味で,ペーパーテストの問題の質を改善する,それを今度,現場にも促していくということだと思いますが,本音ということで言うと,知識・技能の,例えば校内でやられる,あるいはいろいろな所でやられるペーパーテストの中で,どのぐらいが要素的知識になって,どのぐらいが概念的知識になって,どのぐらいがもう少し高度な思考を要する知識になるのかということの,テストのテスト配分みたいなものが,先ほど鈴木委員は一部とおっしゃったんだけれども,80%はやはり要素を問うテストで,記憶で何とかなって,残り20%が概念的理解を問うようなテストだったら,やはり生徒はそちらに行かないのではないか。場合によっては,先生もそちらに行かないのではないか。すると,授業は変わらないのではないかということです。
 その辺りを,実際,どの程度に向かって誘導していくかというか,提案していくかみたいなことが大事で,やはりその概念的な理解であるとか,より思考を要するものとか,よりパフォーマンス課題的なものに,ペーパーテストでどこまでやれるのかということを,質もそうですけれども,量的にも変えていく。要するに,テストの文化をこの国において変えていく,それは評価の文化を変えていく。それが学力の文化を変え,最終的には学習指導要領,授業の文化を変えていくんだと思うんです。そういった議論を,多分,ここではやるのかなと思って,お二人の先生の話を伺っておりました。
 以上です。
【市川主査】  ありがとうございます。今のは御意見ということでよろしいですか。
【奈須委員】  はい。
【市川主査】  では,ほかの委員の方,いかがでしょうか。
 では,渡瀬委員,どうぞ。
【渡瀬委員】  ありがとうございます。
 まずは,こういう議論が,こういうところでなされることになったということは,私はこれまでの学習指導要領が出来上がってきた結果を見ていた中で,こういう状況になったというのはとてもいいことだと思います。それから,今,石井委員と鈴木委員のお話を伺わせていただいて,そうだなと思うことがたくさんありました。ありがとうございました。
 意見が幾つかあります。まず,先ほどのお話にも,目の前にニンジンをぶら下げて,そのために学習するだけでは駄目だということがありましたけれども,やはりどうしても主体性,子供が主体的に学ぶということと,どう評価されるかということは切っても切れない関係にあると思うんです。主体的に学ぶことがどう評価されるか,自分が努力したこと,到達したことがどう評価されるかということが,児童生徒にとってあらかじめ分かっていること,学習する前にこうすればこう評価されるんだということがある程度分かって,それがルーブリックで示されたり,いろいろな形で示されると思うんですけれども,そういうことは今までは余りなかったかなと。
 評価というのは,どちらかというと後から結果として与えられて,もらってしまったら,多少,抗議する生徒はいるかもしれませんけれども,それをきちっと,だって最初にこういうように説明して,君はこうだったよね,だからこうだよねということが説明できる状況の中で評価していくことが必要かなと。そういうようにしてスタートした評価であれば,単元の終わり,又は学期の終わりに評価を与えられたときに,生徒が教員と話し合う時間があって,自己評価としてはこうなんだけれども,何でそうなんだというような質問を教員にして,教員は最初のルーブリックを示しながら,君のところを私はこう評価した,だから,ここなんだということがはっきりしてくるといいのではないかと思ったことが1点です。
 2点目ですけれども,私の学校ではIBをやっています。IBでは,全てが観点別評価で,観点別評価の中に総括的評価と形成的評価があって,この総括的評価と形成的評価のバランスをどう取るかということがとても大事にされます。ですから,総括的評価というのは,学年の終わりの評定を指すというよりは観点別評価の中に,いわゆるペーパーで測れるようなものをどちらかというと総括的な評価と捉えながら,その総括的評価と形成的評価のバランスを取っていく。先ほど奈須委員のお話にありましたけれども,これが総括90,形成10では,なかなか文化は変わらないと思います。やはりIBの場合には,高校生であっても半々ぐらいということが多くあります。
 そして,その7段階で評価されるものが,一つの科目でも観点別に何枚もあるんです。それをぽんと渡されて,そこまでで終わりです。そういう意味では,鈴木委員のおっしゃった,最後の評定はなくてもという話がありましたけれども,それに似ているかもしれません。ただ,私たちは一条校としてIBをやっていますから,それに対応する科目の評定を最終的には出さなくてはいけないので,7段階を5段階に置き換える換算表を作って,全部の観点評価を一つにまとめて,最終的には評定を出していますけれども,その必要があるのか,ないのかということかと思います。
 最後,三つ目ですけれども,最初にお話ししましたような,最初に評価の規準,基準を示していって,最終的に子供たちの自己評価等々も取り入れながら評価すると,やはり評価にはどうしても時間が掛かると思います。もちろん評価も,教師の働き方を考えたときに,なるべく時間を掛けないということは考えなくてはいけませんけれども,やはり今,狙おうとしている資質・能力を育てていって,本当に育てたい学力を育てようとすると,評価に掛ける時間は余りカットできないと思います。
 そうなると,やはりほかのところで,例えば生徒指導とか,課外活動とか,そういうようなところでいかに教員の時間をカットしていく方法を考えるか。指導計画を立てて,教材研究をして,教材準備をして,授業をして評価をするというところが教師の一番やらなくてはいけない教科指導の中心ですから,そこを余りカットすることを考えるより,今の学力を育てようとすると,どうしてもそこのところには今までとはちょっと違った評価の仕事が入ってくるかなという感想を持っています。
 以上です。ありがとうございました。
【市川主査】  清水委員,お願いいたします。
【清水委員】  まず,石井委員,鈴木委員,ありがとうございました。大変参考になりました。
 私,この中では珍しく工業高校の校長という立場での発言になるかと思いますが,専門高校,特に工業高校については,専門教育を中心としながらも,物作りを中心に考えておりますので,絶対そこにたどり着くんだという気合いで様々な授業展開が行われているかと思いますが,工業高校等々では実習的な科目が非常に多くございます。10分の5以上は実習と言われておりますし,課題研究という科目については,集大成をする上で非常にいい授業ができているということでありますが,この流れの中では,当然,教員が説明する時間があり,具体的に生徒たちが実習に取り組む時間があり,結果として作品が出来たり,実験結果が出来上がっていったり,さらに,それをまとめたレポート,場合によるとテストという様々な段階によっての子供たちの変容,変化がしっかりと見届けられるかと思っています。
 この場合,今回の学習指導要領で3観点にしていただいたということは非常に有り難いと捉えておりまして,評価を進める上においては非常にやりやすい。1時間1時間ではなくて,それぞれのテーマ,一つの単元に対してうまく評価ができるのではないかとも考えています。
 ただ,心配なことが1点あります。こういった専門高校等でやっています様々な実習というのは,ベースの人数が少ないんです。例えば,40人学級であれば,それを4班に分けて10人ずつのグループで,当然,これは安全面のことだとか,設備面のことがありますので,生徒の数が非常に大きな要になっています。ちょっとお伺いしたいのは,この議論の中で1クラスが40人というような人数のことについて議論する場があるのか,ないのか。評価が多方面にわたっていく,様々な評価をやるに当たっては,当然,負担というものが関わってくることも間違いないことだと思っています。その中でも,生徒が40人いれば40人いたなりの成果が出てくると思うんですけれども,今後,人数についてはどのように考えていけばいいのか。場合によると,可能な限り少ない方がいい評価にも結び付いていくのではないか。そんな感覚もありますので,その辺も是非伺えれば有り難いと思います。
 以上です。
【市川主査】  済みません,今の清水委員のお話は,人数が変わってくると,例えば小学校でも1クラスが数人のような小さい人数の場合もありますよね。そういう人数が変わってくると,達成される力が違ってくるのではないかというお話ですか。それとも,何か評価の規準だとかが変わってくるのではないかと。
【清水委員】  ある意味,両面がありまして,人数が少なければ少ないほどというか,10人以下というのは考えにくいんですけれども,ある程度の人数ならば子供たちに向ける目の行き渡り方というか,見取ることが大きく変わってきますので,生徒は間違いなく大きく変容するでしょう。また,ポートフォリオなり,様々な評価であるならば,やはりそういった段取りをして,ちゃんとストックしたり,記録したりして,それを見ながら最後の評価,評定につなげる場合については,時間的な問題として40人と10人では大きな違いがある。そういうように考えていくと,先生方,教員の負担も当然のことながら,40人と10人,20人では全く違ってくるだろう。そういったことまで含めて,この評価の会議の中で話合いを持てるものなのかどうかということです。
【市川主査】  なるほど。指導にしても,評価にしても人数が違えば,当然,どれくらい丁寧にやるか,できるかということも違ってくるので,そういうことも考慮に入れた議論をしていくのかどうかということですね。では,これは後で事務局の方からもちょっと御意見いただければと思います。
【白井教育課程企画室長】  はい。
【市川主査】  ほかにいかがでしょうか。善本委員,どうぞ。
【善本委員】  大変貴重なお話を頂きまして,ありがとうございます。
 中学校と高等学校の現場の長といたしましては,本日のお話をしっかりと受け止めると同時に,先ほど奈須委員からもお話があったところですけれども,私どもとしては,もうとにかく授業そのものをかなり変えないことには,評価というゴールの前に授業を変えるということをかなり大胆に打ち出していかないと,今までどおりの授業をしていて,評価を変えてこういうように作っていくということは,もうあり得ないことだと思っています。
 実は,今年8月の夏季休業中に,私どもの学校で教員全員を集めて校内研修を行いました。そういった議論を行った中で,そもそも今までのような授業ではなく,例えて言うならば社会科の授業で何年に何が起こってということを授業の中でどんどん伝えていくと。誠実の教員であればあるほど,それを全て教えなければいけないという義務感を非常に強く持っているんです。それを全部伝えることが授業の中身かどうかということも考え直した方がいいのではないか。
 例えば,自宅で学習をしていらっしゃいと,それで小テストで測ると。授業の大部分の時間は,グループワークをして,ディスカッションをして,それをプレゼンテーションするというように,全く変えていく必要があるのではないかということをかなり議論したんですけれども,教員の方はまだまだ不安が強いですし,それを変えていくということはかなり大きな力が要ると思います。なので,そこの部分を具体的にいろいろな形で示していくことで,自分が授業に掛けている大きな時間を評価しようということは,そこにモチベーションが非常に強く働くわけですから,先ほど奈須委員おっしゃったとおりで,授業量の問題として,授業をこれまでとは変えていくということ,そこに大きな力を注いでいくということが非常に重要かと思います。
 参考までに,生徒たちにもそういう授業に変えていくことはどうだろうと聞いてみるとうちの教員が言って,その後すぐに,9月が始まって子供たちに,今,こういうように授業を変えてみようと思うんだけれども,どうだと言ったら,やはり大多数の生徒がそれでは不安だと言ったというような話もありました。
 それを超えて,様々な形で私どもの学校では授業を変えていこうという動きをしています。高等学校では,知識量のみを問うペーパーテストの結果や,特定の活動の結果などのみに偏重した評価が行われているのではないかという御指摘は大変重いものでございますし,現場としては,それをしっかりと受け止めて変えていかなくてはいけないと思っていますけれども,そこはやはり授業量の部分でかなり大きく変わってくるかと思いますので,是非その部分についての御議論と,具体的な提示ができるようにお願いできればと思います。
【市川主査】  ありがとうございます。その不安だというのは,例えば大学入試で不安だという意味での不安なんですかね。
【善本委員】  やはり学習が受け身になっているから,教えてもらっていないことが出てくるというような意識を持ってしまうのだろうと思います。だから,それを私たちが変えていかなくてはいけないのではないかと,今,校内では様々に議論しているところです。
【市川主査】  はい,分かりました。
 それでは,松尾委員,藤本委員,若江委員の順でお願いします。
【松尾委員】  松尾でございます。
 本日,ここの場に来させていただいて委員の皆様のお話を伺って,私もこの場に座ることに当たって,いろいろと今まで出された答申等を拝見させていただきました。それを読めば読むほど,現場ではどうやったらいいのだろうか,きっと先生方は混乱するであろうと非常に思いました。私は,この国の流れから見ると,今の答申に出されているような流れになるのはもう当然のことで,これは推し進めていくべきだと思っています。
 これまで学習指導要領が10年に1回,替わってまいりましたけれども,3月まで私も高校現場におりましたが,教員のレベルから言うと,学習指導要領が替わろうと,授業のスタイルはほとんど変わってこなかったというのが実情です。ただし,今回のことに関しては,福岡県でも新たな学びということで重点授業を立ち上げて,アクティブ・ラーニングに対応する,そして,このような評価に対応するような心構えを持っていただく授業を展開して,随分と授業改革は進んだように思います。
 しかしながら,生徒の声などを聞くと,みんなでグループ学習したり,いろいろプレゼンテーションするのももちろんいいんだけれども,たまには先生のおもしろい語りの授業を聞いてみたくなったというようなことを言う生徒もいて,そして,やはり生徒を観察していると,深い学びに至る,それから仲間同士でいい意見を出し合うためには,ある一定程度の知識がしっかりないと深まらないということを非常に実感いたしました。
 ここでは,学習評価に対したり,今回の改革の理念について議論をすることも大事だと思いますが,最初に局長の方から言われました,来年の秋までには何とかまとめたいという話でしたので,余りそういうことにここで時間を割くよりも,実際にこれを現場に落としたときにどう有効に働いて,今までの教育が変わっていくのかということを進めていくことが非常に大事だと思います。
 今まで,国立教育政策研究所とかがいろいろな評価規準の作り方などの資料も出されていますが,あれを読めば読むほど,本当にきちんとやらなくては保護者や生徒の評価に対する信頼性が担保できないのではないか,頑張れば頑張るほど,真面目な先生方は評価疲れに陥ってしまうのではないかと思います。だから,その辺を,ここからのメッセージが現場にうまく届くようにまとめていくことがとても大事だと思いますので,私はこれからがそういう議論の時間になればいいかなと感じました。
 以上でございます。
【市川主査】  ありがとうございます。
 それでは,藤本委員,お願いします。
【藤本委員】  失礼いたします。
 現行の学習評価の観点が出た際,私はちょうど小学校現場で子供たちと実践をしたときなんですけれども,非常に分かりやすくなったというイメージを持っておりました。というのは,関心・意欲・態度を持って思考判断を働かせて,表現・技能の助けをかりて知識・理解を身に付けるというすばらしい認知の過程に,それまでの知識・理解が,一番上位にあったものが逆転されて,子供たちの授業作りをしていく上で,このプロセスを経ることによって授業作りと評価が,それこそ指導と評価が一体化されて授業作りができるし,その裏側でスムーズに評価できるというような観点を持っておりました。それまで,どうしても評価と言ったら別なところで評価をして,指導は指導でというような感じだったのが,その観点が出てきて非常に一体化されて,授業を作ることができるようになったというイメージがありました。
 今回,学力の三要素ということで三つの視点が示されたわけですけれども,そこで一番心配になってくるのは,やはり学習を動かすのは主体的に学習に取り組む態度だと思うんです。この部分が知識・技能,思考力・判断力・表現力とは別に,何か大きいところで評価されるとか,違うところで評価されるということではなく,一つの授業の中で主体的に学習に取り組む態度も,何か答えが分かっていて,すぐこれについてはどうこう,子供たちの評価をしやすいとかいうこともあるのかも分かりませんけれども,これはやはり三つが一体となって,今後も評価されるべきものではないかと思っております。ですので,主体的に学習に取り組む態度というものを,身近にいる子供たちの実態を見ても,もっともっと表に押し出したような評価を是非考えていただきたいと思っております。
 もう1点は,今,学校の設置者の立場として,これからの学力の中身について,大きなところで評価規準を作って,細かいところは設置者及び学校の方に任せていきたいということですけれども,細かく評価規準を示されたら,それに縛られてしまうというおそれもあります。現在,設置者については,小さな町などは,それこそ教育長が全てのことを行政としてやっているような町もあります。指導主事が1人や2人のところもあります。その示された評価規準の中で何を取り入れるかは,学校現場や設置者に任されるところだとは思うんですけれども,やはりもう少しきめ細かな評価規準,きめ細かな評価の中身について,国の方から,このワーキンググループの方から示されて,その中で何を取捨選択していくのかは学校現場や設置者に任せていただくようなことで考えていただければ,設置者として大変有り難いと思っております。
 以上です。
【市川主査】  若江委員,どうぞお願いします。
【若江委員】  若江でございます。
 企業の立場から意見をということだと思いますが,私,実は2000年から,アメリカで開発された資質・能力育成型の授業プランを作るという教員研修プログラムを日本の先生方に展開しておりましたが,先生方に一番御理解いただけなかったのが評価のあり方についてでした。何名かの委員がおっしゃいましたように,評価は事後のものではなくて,それをするために授業がどう変わっていくかという入り口の部分でもあると。奈須委員からも,評価の観点が変わってくると評定が必要であるとか,毎回の授業ではなく,期であるとか,学年ごとの評価の出し方をこれから変えていかなければいけないというお話を伺ったのですが,そうなると,お話が出ておりましたルーブリック手法などが非常に重要になってくると思います。そのときに,評価というのは,渡瀬委員からの発言にもありましたように,やはり透明性,客観性,一貫性というところが非常に重要で,使い方も,目標確認だったり,途中の進捗確認だったりだとか,結果確認など,多様な学習場面において活用することができるはずです。評価の目的は,評価することによって自ら次なる改善の糸口を見付け出していくといったところが必要で,それが自分の課題を自分で見付けて,次にこんなことに取り組んでいこうというような主体的で能動的な学び,学習につながっていくのではないかと思うんです。
 ですので,今回の議論は非常に楽しみではありますが,やはり一番問題になってくるのは,評価の意味という本質的なところについて,現場の先生方がお考えになる機会がないというのが実情だと思いますので,2020年までの間に議論を進めると同時に,先生方に評価の意味とか,本質的なところをもう少し時間を掛けて丁寧にお伝えしていくというプロセスも欠いてはならないのではないかと思っております。
 以上です。
【市川主査】  ありがとうございます。
 川間委員,どうぞ。
【川間委員】  皆さんの議論を聞いて,これから目指すべき方向,学力観と評価というところで,そうだなと思いを強くしているところですけれども,私は特別支援教育という立場から議論を考えて,現場でどうやっていくのかということをイメージしたときに2つあります。
 一つは,通常の小・中学校に在籍している障害のある子供たち,発達障害のある子供たちが6.5%と言われていますけれども,それに加えて,多障害も持っている子供たちを入れると,小・中学校に在籍している,通常の学級に在籍している子供たちの7%弱は,定型発達といいますか,各学年の内容で考えるとかなり厳しい子供たちもいないではない。そういう子供たちの支援で,巡回相談で小・中学校の授業を見ると,アクティブ・ラーニング型の授業になると,ほかの子とほとんど話ができなくて,ぽつんとなっていて,結局,人手がある学校だと支援員さんがマンツーマンで付いているというような状況は,方法のところで大胆にやれば大分まだまだ対応できるのかなと。彼らも考えたり,深く学んでいったり,喜びというのはちゃんとできるんですけれども,現状の学年でいくと,学年ごとに授業を進められると難しいかなというのはよく思うところであります。
 それから,特別支援学校の方は,各教科なんですが,知的障害のある場合は知的障害を有する児童生徒のための各教科というものが特別支援学校の学習指導要領に示されました。こちらの方は,通常の小学校1年生よりもっと前の段階も含んだ教科の内容で,定型発達と比べてみると,およそ1歳から小学校1,2年生くらいまでの内容が特別支援学校の小学部から中学部に示されています。そうすると,ちょっとそこのところで,観点というのは3観点で整理をしていかなければいけないんですけれども,そこの整理の作業というのはなかなか,小・中学校の今までの議論がベースにあるんですけれども,それよりもっと前の発達段階のところを,教科の観点で,3観点で整理を頑張っていくというイメージがなかなかすぐには立たなくて,そこが大きな課題かなと特別支援教育の方では思っているところです。
 以上,そういう意見です。
【市川主査】  ありがとうございます。
 鈴木委員,何かお答えになるような感じのことですか。
【鈴木委員】  答えではないのですが。
【市川主査】  では,どうぞ,鈴木委員。
【鈴木委員】  では,簡単に。
 私,教員,40年近いんですけれども,教員になった頃,共通一次が始まりました。その頃は,これは私ではないんですけれども,例えばパリのコミューンで起こったときに,パリの市民はどういうように思っただろうか考えてみなさいという課題を出したり,これは私がやったことですが,一定の地形を示して,その地形を生かした都市計画を考えなさいということを結構やっていたんです。だけど,だんだん,だんだん共通一次やセンター試験が力を持つにつれて,私自身もそうですが,そういうことができなくなってしまった。だから,教員自身はシステムが,昔,そういうことをやっていたので,今は慣れていないのではないかという意見もありますけれども,実は結構やっていて,それがだんだん死んでいった。私,前回のワーキンググループで申しましたが,試験を変えないと,特に大学入試を変えないと,にっちもさっちもいかない。今回,やっと,荒瀬主査代理も委員でいらっしゃいますけれども,そちらの方に動き出したので,これこそチャンスだと。できないわけではなかったということを特に申し上げたいと思います。
【市川主査】  ありがとうございます。
 では,無藤副部会長,どうぞ。
【無藤教育課程副部会長】  私はオブザーバーなので,意見というよりは,お願いしたいことが多いんですけれども,先ほどの御説明の中でも10年近く前の報告に言及がありましたけれども,私はたまたまそのまとめ役でした。ここにいらっしゃる方も何人か入っておりました。それから,中央教育審議会の先だっての報告とともに,教員の働き方改革の議論が進んでおります。そういうときに,これから皆さん方が議論するときに是非考えていただきたいことが幾つかあると思います。
 一つは,評価の議論というのが常に両面を持っていて,一つは学習指導要領等に規定されている,いわば授業の進め方に関わってですけれども,もう一つは指導要録に関わっています。授業の進め方の方は,形式的に言うと学習指導要領総則にわずかに書いてあるんですけれども,あの程度のことをやりましょうということになります。文部科学省の言っている範囲を言えばですが。一方で,指導要録は,学校教育法施行規則で学習及び健康の状況を記録ということで,学籍以外のことがいろいろ書いてあるわけです。
 そうすると,私も鈴木委員と同じで,実を言うとこの議論は4度目なんです。なので,やたら古いことも覚えておりますが,技術部分を改訂のたびに増やしてきたんです。それは,子供のよさを反映させるとか,より授業の改善につなげるとか,いろいろな意味を持ってやってきたと思うんですけれども,一方で教員の働き方のところで,結構やりたがりな観点なんですけれども,言語記述を学期末にやるのは非常に大変であると。先ほど鈴木委員おっしゃったように,逆に定型どおりの言い方を,ただ組み合わせを変えればもちろん楽ですけれども,それでは実態を反映しないではないかということが一つです。
 それから,前回の報告書のときにも議論した覚えがありますけれども,要録というのは学校の金庫にしまわれているだけではなくて,通常は通知表にかなり近いことが反映されて,伝えられます。通知表というのは,厳密に言うと要録とは別というか,こういう意味での義務ではないので,いろいろな在り方があり得るんですけれども,それをどうするか。このワーキンググループで考えるかどうか分かりませんけれども,それが一つ。
 一方,中学校や高校の場合は内申書とか,調査書に比較的反映されやすい。内申書も,実は指導要録をベースにしなくてもいいのかもしれないんですけれども,つまり指導要録というものが記録を,私が申し上げたいのは主に二つですけれども,まず一つは,指導要録において現状の記録をいろいろ取るということは何のために行っているのかということは,もう一度考える必要がある。特に,様々な現場からの批判などは,詳しく記述して,これは誰が見るのか,誰が使うのかということです。私は,個人的には意味があると思っているんですけれども,それと別にそういう批判があるので,もう一度考えた方がいいのではないかということが一つです。
 もう一つは,今,申し上げたように,子供たちの現状に対するある種のアカウンタビリティーの公表は必要だと思いますので,そこで余り無責任には書けないでしょうけれども,更に通知表等に直結すると,利害関係者に重くなるわけです。そうすると,どうしてもより客観性を追求せざるを得ない。
 一方で,中央教育審議会の議論で何度も重ねてきたのは,やはり授業のプロセスの形成的というか,授業と評価が一体的という辺りは,少し極端な言い方をすれば教師の主観でもいいのだろうと思うんです。その辺りの評価の持っている二面性をどう考えるかということを,1年間に是非御議論いただきたいと思っているということです。
【市川主査】  ありがとうございます。
 では,御発言していない方からということで,石井委員,また後でよろしいですか。
【石井委員】  はい。
【荒瀬主査代理】  お答えが何かあるのではないですか。
【市川主査】  今のことに何か直接お答えですか。
【石井委員】  いや,直接というか,これまでの意見を踏まえつつ,私の方で少し意見を述べさせていただきたいと思うんですが。
【市川主査】  そうですか。では,どうぞ。
【石井委員】  今,意見を聞いておりまして,私なりに三つほど考えたことがあります。
 一つは,アクティブ・ラーニング云々といったときに,一方で,家で自習というか,自分で知識面を学習して,授業によってディスカッションする,そういったある種反転授業的な運用ということも考えられるかと思うんですが,恐らくそこを切り離してしまうと,知識と思考を切り離してしまうと,逆に,先ほどありましたように,やはり知識が必要なのではないかという揺り戻しになってくるような気がするんです。
 大事なのは,豊かな知識の習得の在り方,つまり分かるということを,自習もそうですが,授業においてもそうですが,やはりそこをちゃんと見ていく必要があると思うんです。だから,個別の知識を習得することと概念を理解することはやはり違う作業です。実際,高校や中学校の歴史の先生は一方通行の授業だと言いますけれども,よくよく見ると,そんな詰め込みの授業をしているつもりはないと思うんです。むしろ,分かることを大事にしている。その思いがちゃんと子供たちに届き,しかも評価にまで一貫しているかというところが,多分,問われていると思います。ですから,豊かな知識の習得とはどういうものなのかという辺りを考えていくことが大事だと思うわけです。
 そのときに,働き方改革とも関係しますけれども,ある内容を深く学んでいくということの前提には,それは時間が掛かりますから,深めるべき内容を精選するという議論が本当はなされなくてはいけない部分だと思うんです。今回の学習指導要領の改訂において,その精選,構造化が十分なされたかどうか,この辺りは一つ課題として残っているのかなと思うんです。逆に言えば,こういった評価をくぐらせることによって,評価において中心的な概念をベースにしながら知識を問うような問題を構成できれば,事実上,概念の精選といいますか,そこについての問題提起ができるのではないかと思うわけです。まさに目標と評価は一体のもの,ですから評価の議論を通じてカリキュラムを問うていくような議論に展開すると,働き方改革の一番のポイントになってくると思いました。
 一方で,教員の評価の負担ということで言えば,評価の目的については,近年,総括的評価,形成的評価ということについては,今回,資料に付けておりませんけれども,学習の評価,学習のための評価,学習としての評価,そういう3分類が提案されています。学習の評価というのは評定,学習のための評価というのは従来の形成的評価,教師が指導の改善に生かす。だけど,学習としての評価というのは,子供たち自身が自分の学習の改善に生かすという発想です。つまり,自分の学習を自分でかじ取りする力を育てていく。
 そのとき,ルーブリックも,単に評定する手段で作っていくと評定のしやすさということが出てきますけれども,学習としての評価ということで言えば,例えばレポートを書くときに論理性,実証性,独創性,三つぐらいの軸でいつも見ますと。その規準を共有するだけでも,評価の観点だけでも,実は自分自身が論文というか,レポートを書いていくときの物差しになってくるわけです。それをあらかじめ共有する。書いてみたものを相互評価するということは,普通に授業の中に組み込まれると思います。それこそが,実は評価規準を共有する作業にもなる。
 評価における客観性の問題というのは,了解可能性の問題でもあると思います。ですから,評価規準,確かにこの評定,評価でいいんだということを,評価される側と評価する側がちゃんと了解しているかどうか。これは規準の了解がかなり重要だと思うんです。その規準の了解というのは,単に評定論の話ではなくて見る目を育てる。レポートを見るとか,実際に自分が書くときのモニタリングの規準を豊かにする,これはまさに書く力そのものなわけです。ですから,評価規準自体が,まさに書くとか,高次の思考といったものの指導内容そのものになるような視点が実は必要なのではないか。
 一方で,教科外の活動云々ということがありますけれども,これは部活動もそうですが,中学校,高校であれば,まさに自分たちでいろいろな集団を作って運営するとか,そういう部分がすごく大事だと思うんです。それこそが,まさに高校における知的・文化的活動といいますか,特別活動とか,集団活動の意味であろう。そういう形でやると,教師が悩むというよりも,本来,生徒たちが悩むべきところで,それを手取り足取りやってきたところがあるのではないかというような視点も必要かなと。自分の足で立つ。だから,そういうような視点で考えていくことも大事かと思います。
 最後に,主体的な態度ですが,確かにこの授業の中でこういう姿が出てきたということは,教師としてもすごく手応えを感じるところですし,それが保護者であるとか,地域であるとか,一般の人々に対する一番の説明責任になってくると思うんです。こんな姿が育っている,そのために授業をしている。しかし,それは目標として追求する,そういうようなことに向けて進んでいるかどうかを評価することと,評定するということはやはり違うかもしれない。それを評定の材料にしてしまうと,逆にその姿が見えなくなってしまうのではないかと思ったりします。そういうような姿,まさに知識とスキルと態度は一体のものとして育ってくる。
 その一体のものとして育った一部になりますけれども,その中で生み出されたレポートであるとか,そういったものを軸にし,しかも,記述式の前に,ポートフォリオみたいなもので具体的な子供の作品や事実が残っていれば,それ自体が一番の説明責任の道具にもなってくると思うんです。その中には,こういったことがよくてという子供に即してのフィードバックがある,そこに個人内評価が働いているわけです。まさに評価活動を組み込んだような形での豊かな活動,その事実を残していくということが,記述式云々ということともつながってくると思いました。
【市川主査】  それでは,時間も参りましたので,本日はこの辺りにしたいと思います。御意見,頂戴していない方もいらっしゃいますが,次回以降ということでお願いいたします。
 それでは,次回以降の予定につきまして,事務局の方からお願いいたします。
【白井教育課程企画室長】  本日は,熱心な御議論を頂きまして,ありがとうございました。先ほど出されました論点,例えば1クラス当たりの人数等をどう踏まえるのかであるとか,あるいはオブザーバーの無藤副部会長からも御指摘を頂きましたとおり,通知表,調査書と指導要録の関連性であるとか,様々な御意見を頂きました。こういった論点について,今後,どのように議論していくのか,また市川主査とも御相談しながら考えてまいりたいと思います。
 第2回につきましては,12月11日,月曜日,10時からの開催を予定しているところでございますので,よろしくお願いいたします。
 こちらからは以上でございます。
【市川主査】  それでは,本日,予定いたしました議事は終了いたしましたので,これで閉会いたします。本日は,どうもありがとうございました。

―― 了 ――


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