学校における働き方改革特別部会(第21回) 議事録

1.日時

平成31年1月11日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

都道府県会館 101大会議室 (東京都千代田区平河町2-6-3)

3.議題

  1. 「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申(案))及び「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)」について
  2. その他

4.議事録

 中央教育審議会初等中等教育分科会
学校における働き方改革特別部会(第21回)
 平成31年1月11日


【小川部会長】  おはようございます。開催予定の10時少し前ですけれども、もう皆さんおそろいですので、始めたいと思います。第21回目になりますけれども、中教審初中分科会の学校における働き方改革特別部会を開催したいと思います。
 本日はまず、答申案等の審議の前に、昨年12月21日に閣議決定された本年度予算案のうち本部会の審議に関わる部分について、事務局から御報告いただきたいと思います。その後に、昨年12月6日に本特別部会で審議した答申素案及び公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)について、初中分科会及び中教審の総会での議論を経て答申案及び上限ガイドライン(案)として整理されておりますので、これらについて最終的な審議を頂きたいと思います。よろしくお願いいたしたいと思います。
 では最初に、本日の配付資料について、事務局から説明をお願いいたします。

【鞠子課長補佐】  お配りしております議事次第にございますとおり、机上には、資料1-1から資料5と、参考資料1から4をお配りしてございます。また、委員の皆様のお席には、お二人に1冊で恐縮でございますけれども、答申案及び上限ガイドライン(案)につきまして、昨年12月6日から21日まで実施いたしました国民の皆様への意見募集で皆様より頂きました御意見の全体版をファイルにとじて机上に置かせていただいております。さらに、12月28日に全国都道府県教育長協議会から答申素案及び上限ガイドライン(案)について、中央教育審議会特別部会宛てに御意見を頂きましたので、机上に配付させていただいております。併せまして、御参考までに前回までの配付資料を、こちらもお二人に1冊で恐縮でございますけれども、机上に置かせていただいております。
 過不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。

【小川部会長】  ありがとうございます。 
 それでは、これから議事に入っていきたいと思います。最初に、御報告しましたとおり、文部科学省より、2019年度予算案のうち本特別部会の審議に関する部分について報告を頂きたいと思います。資料1-1、資料1-2について、合田課長から説明をお願いいたします。

【合田財務課長】  失礼いたします。それでは、2019年度の政府予算案でございますけれども、この初中関係の予算の充実は、これから議題としていただきます学校における働き方改革にとっても必要不可欠なものでございました。初中局あるいは文科省が総力を挙げて取り組ませていただいたところでございますし、また、本日御出席の委員の先生方や関係者各位に大変な御尽力を頂いたところでございます。
 その結果でございますが、私ども初中局全体と致しましては、2兆116億円の予算を政府予算案に計上することができたところでございます。これは文部科学省全体の予算5兆5,000億余のおおむね4割弱ということになってまいります。大変大きな予算をお預かりさせていただいたと思っております。
 また、初中局以外におきましても、先生方御案内のとおり、例えば大臣官房の文教施設企画部におきましては、今年度の1次補正におきまして、小中学校へのエアコン設置に822億、倒壊の危険性のあるブロック塀対策に259億を計上いたしておりますし、来年度の政府予算案におきましても、公立学校施設整備に900億円増の1,608億を計上し、耐震化の推進などを更に引き続き充実させるということでございます。先生方に賜りました御尽力に心から感謝を申し上げたいと思っております。
 その概要につきまして、ごくごく簡単に資料1-1で御説明させていただきたいと思っております。3つの柱でございますが、教育の質の向上と働き方改革、それから、子供たちの学びを支えるための予算、それから、時代の転換への布石と申しますか、仕込みといったような関係でごく簡単に御説明をさせていただきたいと思っております。
 資料1-1でございますが、細かい字の資料も含めて3枚ページをおめくりいただければと思います。そこから横組みの資料が出てまいりまして、ちょっと見づらくて恐縮でございますが、左側の真ん中に数字が横になってございますが、ページ数が書いてございまして、このページに基づいてお話をさせていただきたいと思っております。
 1ページでございますが、これがこの働き方計画にとっても大変大きな教職員定数の関係でございます。結果と致しましては、上の方にございますが、1,456人の改善ということでございます。これは一昨年の義務標準法の改正に伴います基礎定数化246人を除きますと1,210人の増ということになりまして、昨年同様、第2次安倍内閣成立以降最も高い水準の加配の増ということで政府予算案に盛り込ませていただいたところでございます。
 その内訳でございますけれども、左側の青い箱の1,110人と書いてあるところのすぐ下でございますけれども、小学校の専科教員の充実、これが要求どおり1,000人ということで認められたものでございます。それ以外にも、右側でございますけれども、発達障害通級指導の充実あるいは外国人児童生徒に対する日本語指導の充実ということで、加配定数の基礎定数化ということで246人。それ以外にも、貧困等に起因する学力課題の解消に50人といったような形で1,456人の改善が認められたというものでございます。これをしっかり生かして、働き方改革と教育の質の向上の両立に取り組ませていただきたいと思っております。
 その次のページ、2ページでございます。この教職員定数の改善と同時に、外部人材の活用もこの本部会でも大変重要なポイントだという御指摘を頂いているところでございます。2ページにございますように、これまで行ってきたいわゆる学習指導員、左側でございますが、7,700人、これは前年度同で盛り込んでいるところでございます。右側の青いところでございます、上の方のスクール・サポート・スタッフについては600人増の3,600人、それから、中学校における部活動指導員につきましては、本年度4,500人でございましたけれども、倍増の9,000人ということで今回予算を措置しているところでございます。これも子供たちの部活動の機会の確保と先生方の働き方改革を両立させる上で大変重要な予算だと思っておりまして、この予算をしっかりと生かしてまいりたいと考えているところでございます。
 それから、飛んでいただいて恐縮でございますが、9ページをごらんいただければと存じます。数字が横になっていて恐縮でございますが、9ページをごらんいただきますと、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーでございます。これにつきましては、ニッポン一億総活躍プランという閣議決定をされました政策文書におきまして、2019年度までにスクールカウンセラーについては全公立小中学校2万7,500校に、それから、スクールソーシャルワーカーについては、1万に及ぶ全中学校区に1人配置をするということが言われておりましたけれども、そのことを可能とする予算が今回組み込まれたということでございます。
 学習指導員、スクール・サポート・スタッフ、それから、部活動指導員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーと、こういった外部の方々あるいは専門家の方々の力をかりて、チームとしての学校をしっかりと前に進めていきたいと考えているところでございます。
 それから、11ページをごらんいただきますと、引き続き、新しいメディア、例えばSNSを活用した相談事業にも取り組んでいく予定でございまして、これも2億円余でございます。これはスタートしてから、この新しいメディアを活用して子供たちの相談に応じるという事業につきましては相談件数、質量ともに大変需要のあるところでございまして、引き続きしっかりと取り組ませていただきたいと考えているところでございます。
 なお、これ以外につきましてごく簡単に御報告を申し上げたいと思っております。14ページをごらんいただければと思います。今回の予算、学校の働き方改革と、それから、教育の質の向上の両立と同時に子供たちの学びを支えるという観点から、発達の段階を通じて子供たちの学びを支えるための予算を充実しているところでございます。14ページには、一番上の1ポツに幼児教育の無償化ということで701億円計上されております。これは4月から9月までは幼稚園の就園奨励費ということで141億計上してございますが、10月以降は、幼児教育の無償化ということでございまして557億円計上いたしておりまして、幼児教育の無償化を実現するということで計上させていただいているところでございます。
 それから、飛んでいただいて恐縮でございますが、21ページをごらんいただければと思います。切れ目ない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実ということでございます。こちらも例えば左側の一番上の丸、赤字で書いてございますが、医療的ケアのための看護師を1,500人配置しているところでございますが、それを300人増やして1,800人にするとか、それから、23ページをごらんいただきますと、これは予算として額は小そうございますけれども、これまでになかった厚労省との連携ということで、学校と福祉機関、デイケアサービスとの連携支援事業ということで新たな施策に取り組ませていただいているところでございます。
 それから、24ページでございます。義務教育段階の要保護の児童生徒に対するいわゆる就学援助でございます。これにつきましても、24ページのちょうど真ん中頃にございますけれども、例えば卒業アルバム代の補助を対象費用に追加をするなどの充実を図っているところでございます。
 なお、27ページをごらんいただきますと、高等学校の就学支援金等でございます。これにつきましては、2019年度までは現行の枠組みで予算の充実を図っているところでございますが、2020年度からは、590万以下の世帯に関して私立高校の平均授業料まで実質無償化をしていくということで、27ページの点線を入れさせていただいているところまで無償化をしていくということで取組を進めさせていただくということです。幼稚園から高等学校に至るまで、トータルで子供たちの学びをしっかりと支える、学びの意思がありながら学びが続けられないということがないようにするということに取り組ませていただきたいと思っております。
 最後でございますけれども、29ページをごらんいただければと思っております。この部会でも新しいテクノロジーを学校にどう使っていくのかという御議論を頂いているところでございます。29ページ、3億円弱の予算でございますが、AIも含めました新しいテクノロジーを公正に個別最適化された学びにどう使っていけるのかという実証研究を来年度行うということで予算を組ませていただいているところでございます。
 また、31ページでございます。高等学校の改革につきましては、教育再生実行会議の方でも議論いただいているところでございます。特にいわゆる理数科目、STEM教育をどう充実していくかと同時に、地域との関係をどういうふうに充実をしていくのかという議論も大きな論点でございます。それにつきましては、31ページ、同じく3億円弱の予算でございますけれども、これまで以上に高等学校が地域との関係を、下にプロフェッショナル型、地域魅力化型、グローカル型とございますけれども、それぞれの立ち位置、地域の特色・状況を踏まえて地域創生の核としての高等学校教育を改めて見直していく、そのための起爆剤となるような事業ということで推進をさせていただくということで予算を組ませていただいているところでございます。
 いずれにいたしましても、来年度の政府予算でございますが、本部会のメーンテーマでございます学校の働き方改革、しかもその目的は教育の質の向上であるということを大きな前提とした働き方改革に向けて予算を組ませていただいたところでございます。重ねて御尽力に感謝を申し上げますとともに、この政府予算案が成立した暁には、私どもしっかりと各学校、各先生方をお支えする予算として活かしたいと考えている次第でございます。
 御報告は以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございました。今事務局からの説明に関して何か委員の方から御質問があれば受けたいと思いますが、ただ、この後、答申案とガイドラインの案について時間を多く割きたいと思いますので、今の予算案についての質問については、どうしてもこの場でというものがあれば一、二受けたいと思います。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、予算案の報告についてはこれで終わらせていただきたいと思います。
 それでは、きょうの本題ですけれども、答申案及び公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)について、議論を進めていきたいと思います。今お手元にあります答申案及びガイドライン(案)につきましては、前回の部会での御意見を踏まえ、また、その後の初中分科会・中教審総会での御意見、また、昨年12月6日から21日まで実施した国民の皆様への意見募集の結果などを踏まえまして、事務局と相談して整理いたしました。事務局からは、加筆・修正した部分を中心に説明を頂きたいと思います。それでは、事務局の方から説明をお願いいたします。

【常盤木初等中等教育局企画官】  それでは、よろしくお願いいたします。
 まずお手元の資料2をごらんいただければと思います。このたびの答申案に対します意見募集の概要から御説明申し上げます。
 実施概要は1に記載しているとおりでございます。
 2にございますとおり主な意見をまとめておりますが、本日はお時間の関係もありますので、更にまとめて御報告申し上げたいと思います。まず第1章、目的に関する意見でございます。働き方改革の取組には期待しており、実現することが近い未来の教育につながることは間違いない。同時に教師が魅力ある仕事になることで教師を目指す者が増え、日本の教育がより充実していくことを期待。ブラックという言葉は教員を傷付け、誇り・活力・やる気を失わせている。教師のやる気を失わせないように働き方改革を進めるべき。過酷な長時間勤務を解消することについても記載を充実させるべき。保護者や地域社会の理解が不可欠であり、学校と家庭や地域の関係性について記載を充実させるべき。
 第2章です。要因や分析結果は的を射ている印象。業務量が全体的に増えていることを見落とさないようにする必要がある。教員免許更新制の在り方についても検討の必要があるといった御意見。
 2ページに参りまして、第3章でございます。勤務時間管理の徹底と上限ガイドラインについてでございます。まずは、タイムカードやICカード等により勤務時間を客観的に管理することが重要。そのための予算を確保すべき。超勤4項目以外の時間を在校等時間として勤務時間管理の対象とすることが明確になったことは重要。罰則がないため、実効性が課題。確実に遵守されるようにすることが必要。更に短い時間で働くことを目指すべき。持ち帰り業務の時間も把握すべき。虚偽の記録を残すようなことがあってはならない。上限時間は非常にハードルが高い。実効性を確保するためにも、教職員定数の充実、部活動の在り方等抜本的な検討・対策が必要等の御意見を頂いております。
 適正な勤務時間の設定につきましては、適切な勤務時間の割り振り、休憩時間の確保、3ページに参りまして、児童生徒の登下校の時刻の見直し、留守番電話の設置等について御意見を頂いているところでございます。
 中ほど、労働安全衛生管理です。事業所規模にかかわらず労安体制を確立することが必要。労働安全衛生体制の充実のため、環境整備が必要。
 教職員の意識改革です。下の2つでございますが、意識によって勤務時間を短くすることができる部分はある。長時間働くことが美学であるという意識を持っている者もいる状況では働き方改革が進まないとの御意見。4ページに参ります。働き方改革を推進しない管理職は厳しく評価すべき。教育委員会の意識改革、積極的な情報公開について御意見を頂いているところでございます。
 第4章、業務の明確化・適正化です。総論と致しまして、保護者や地域の理解が重要であり、文科省や教育委員会の積極的対応を求める御意見を頂いているところでございます。また、下から2つ目でございますが、正規の教職員の充実、サポートスタッフ等の充実、さらに、これまでやってきたからと思考停止するのではなく、原理的なところから再考・反省して業務を整理していくべき。5ページでございます。全体と致しまして、引き続き、いわゆる受皿やICT整備、そして、業務削減に文部科学省、教育委員会の行政の、責任のある対応を求める御意見をここで頂いているところでございます。
 6ページをお願いいたします。部活動でございます。保護者の理解が重要であり、文部科学省が明確に方針を示してほしい。部活動の数や部活動の大会の在り方も見直していくべき。そして、部活動の教育的効果を強調する意見とともに、部活動に頼らず教師の本分である授業や生徒指導で生徒を導いていくべきとの意見を頂いているところでございます。
 代表的な14の業務の在り方に対しましては、受皿としての地域との関係、費用についての御意見を頂いているところでございます。7ページの一番下までそうした意見を頂いているところでございますが、7ページの一番下でございますが、こうした14項目以外にも、例えば日本学生支援機構の奨学金業務など、高校に関する業務についても役割分担・適正化を進めるべきとの御意見を頂いているところでございます。
 8ページをお願いいたします。教育課程に関しましての御意見です。学習指導要領を見直すか、できないのであれば、それに見合っただけの人員を配置することが必要。余剰時間についての上限、今後の総合的な学習の時間の具体的な実施方法についての整理、これを求める意見がございました。
 第5章、組織運営体制です。校務分掌の精選、ミドルリーダーの重要性、事務職員の業務改善等を求める御意見。下の方に、主幹教諭の全国展開や業務改善についての御意見を頂いております。9ページでございます。6章の上、5章の最後になりますが、5章の関係として、「チームとしての学校」の機能強化を図ることが重要との御意見を頂いているところでございます。
 第6章、給特法です。給特法の原則に立って、まずは定数改善や業務の役割分担・適正化を進め、その上で現状を踏まえた対応をすべきとの御意見も頂いているところでございますが、教職調整額についての増額や、労基法を適用し、時間外勤務手当方式にすべきとの御意見。下の2つ、長時間勤務もやむを得ないが、給与は増額してほしいとの意見の一方で、給料は多少減ってもよいので教師の数を増やすことが重要であるといった様々な御意見を頂いているところでございます。
 10ページでございます。1年単位の変形労働時間制の導入です。教師という職業の魅力の向上につながる。一方、学校にはなじまないのではないか。導入に当たっては、労使協定を前提に、時間外勤務手当を支給する制度とすることで勤務時間の歯止めを掛けるべき。まずは学期中の教員の業務の削減を先行して行い、見通しが立った段階で導入するようにすべき。長期休業期間中の業務について縮減することが前提。11ページに行っていただきまして、子育てや介護を行う教師等、必要な職員の配慮等についての御意見も頂いているところでございます。
 11ページ中ほど、第7章でございます。答申を実施するために必要な予算の確実な確保、教職員定数の改善、1人当たりの授業の持ち時間数の上限、11ページから12ページにかけまして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの常勤職員化を進めるべき。専門スタッフの充実等についての御意見を頂いています。今後の検討事項と致しましても、教育課程の在り方や免許更新制について議論を求める意見を頂いているところでございます。
 第8章です。随時のフォローアップ検証を行うべき。勤務実態調査の充実。本文最後に記載してございます「保護者や地域の方々へのお願い」の部分につきまして、多くの方がこのメッセージを目にする機会を増やしてもらいたいという御意見とともに、教職員、父母・保護者との間に分断を持ち込むものであり、答申素案から削除すべきという意見を頂いております。
 最後、13ページでございます。全般と致しまして、働き方改革は、一人一人が強い意識を持って互いに協力する中で実現すべきとの御意見を頂いているところでございます。
 それでは、資料3、答申案をごらんいただきたく思います。ただいま御紹介いたしました御意見や前回までの委員の皆様からの御意見を踏まえまして、お手元のとおり案を御準備いたしました。前回からの主な変更点を中心に御説明させていただきたいと思います。
 まず2ページをごらんください。「はじめに」の部分に当たるものでございますが、文部科学省の役割に関しまして、前回バッファとお示ししておりました部分につきまして、学校と社会の連携の起点・つなぎ役とし、その機能を前面に立って十二分に果たすと整理いたしております。この部分の修正は以後も同様にしているところでございます。
 続きまして、8ページをごらんください。本部会での御意見を受けまして、教師の過労死等があってはならないとする部分につきまして、前回第3章でお示ししていた部分を第1章に移動させ、更に記述を充実させていただいております。
 8ページの2番目の丸では、教師の職の崇高な使命について追記し、その上で、下、3ポツと致しまして、8ページから9ページにかけて、学校における働き方改革は、子供や家庭の立場に立てば、学校外における時間が増加し、選択肢が広がることになる。こうした時間をどう使うか子供や家庭自身が考え、判断し、行動しなければならない。学校における働き方改革を進めるに当たっては、地域全体で子供の生活の充実や活性化を図り、特にPTAに期待される役割は大きい。また、家庭の役割や責任を明確にしつつ、具体的な連携を強化し、子供たちの学校外における時間を生かし、充実したものとすることが需要。文科省は、こうした観点から、家庭教育の充実の支援や地域学校協働活動の支援といったことが求められている。こうした点を追記しているところでございます。
 続きまして、19ページをごらんいただきたく存じます。19ページ下の、小さい文字で恐縮でございますが、47の注でございます。客観的な勤務時間管理の鍵となるタイムカードやICTの整備につきまして、注47で地方財政措置の活用が可能である旨を明記しているところでございます。
 ページをめくっていただいて、20ページでございます。こちらも下の注でございますが、人事委員会の連携を追記いたしました。
 お隣の21ページでございます。2番目の丸2段落目の下でございますが、12月末に作成された文化部のガイドラインのことも含めまして、部活動ガイドラインの遵守を条件に部活動指導員の配置を進めることで、こうした教育委員会の対応を支援すべきであるとしているところでございます。
 23ページをごらんいただきたく思います。23ページから24ページにかけまして、労働安全衛生体制に関して、注の記載も含めまして制度、データ等について記載を充実しているところでございます。
 続きまして、26ページでございます。26ページの一番下の丸でございます。文部科学省が、一人一人の教師等が働き方改革の意識を持つことにつながるよう、会議等に加えまして、表彰などの工夫を行うことについて記載しているところでございます。
 続きまして、32ページをごらんください。2つ目の丸、前回は注での記載でございました裁判例を踏まえた学校や教師の責任につきまして、本文にも明記いたしました。「過去の裁判例等を見ても法的にその全ての責任を学校・教師が負うというわけではなく」という記載を追記しているところでございます。
 続きまして、34ページでございます。34ページの1つ目、中ほどの丸になりますが、それぞれの地域での取組の中心となるのは教育委員会と存じます。教育委員会の職員の皆様にも働き方改革の必然性を認識し、地域における連携の起点・つなぎ役として前面に立っていただく旨、具体化して記載しているところでございます。
 続きまして、41ページをごらんください。組織運営体制の箇所でございます。下の丸で事務職員に関する記述を充実させているところでございます。
 そして、次、めくりまして、42ページでございます。42ページ下の丸でございます。本部会でも御意見いただきました、「チームとしての学校」の実現に向け、教員養成大学との連携の部分をここに明記させていただいております。
 47ページをごらんください。第6章に入ります。2ポツ1つ目の丸になりますが、今回、1年単位の変形労働時間制につきまして本部会で検討いただきました背景・趣旨をここに明記いたしました。すなわち、長期休業期間の休日のまとめ取りのように一定期間集中して休日を確保することが有効であるとの観点から、1年単位の変形労働時間制についても選択肢の1つとして考えられるが、現行制度では地方公務員の導入が認められておらず、実施する場合には制度改正が必要となるため、本部会で検討を行ったということでございます。
 49ページ、変形労働時間制に関連いたしまして、49ページの1つ目の丸では、変形動労時間制の制度化に当たっての留意事項を追記してございます。制度を適用しない職員への配慮、休日増加によるゆとりの創造と年間を通じた勤務の総時間の短縮を目的にその導入が図られるようという旨を提起しているところでございます。
 そして、49ページの下から、3、中長期的な検討の部分で、50ページにおきまして、法制的な枠組みという中身、給特法や教育公務員特例法、地教行法等、勤務労働条件に関する法律名を明記しているところでございます。
 お隣の51ページでございます。51ページ下から52ページにかけまして、教職員定数の記述を充実しているところでございます。
 54ページでございます。54ページでは、免許更新制の記述を明確化させていただきました。下から2番目のポツでございます。
 57ページ、本文最後の部分でございます。中教審からのメッセージの部分でございますが、ここにPTAを明記しております。
 別紙2の部分に当たりますが、69ページでございます。別紙2、69ページ、部活のところでございますが、一番上、部活動指導員等の任用に関しまして、関連する公認スポーツ指導者資格制度等を明確に追記しているところでございます。
 71ページでございます。こちらも注になります。執務環境として大変重要になりますコピー機等こういう機材につきまして、こちらも地方財政措置が活用可能である旨を下の注120で明記しております。
 最後、76ページでございます。これ、別紙3、縮減の目安時間の部分でございますが、この別紙3の表の最後の部分でございます。この縮減策につきましては、優先順位を決めて取り組むことが重要という旨を追記しているところでございます。
 それでは続きまして、上限ガイドラインに移ります。こちらもまず資料4をごらんください。ガイドライン(案)に関する意見募集の概要から御説明申し上げます。資料4をごらんいただきたく存じます。
 まず実施概要は、表紙にございますとおりです。
 御意見を1ページ以降まとめてございますので、ごらんいただいたと思います。1枚おめくりください。上限ガイドラインにつきましては文部科学省が作成することになりますので、これに対する意見でございます。したがいまして、右側には文科省としての回答を併せて記載させていただいております。そういう構成になってございます。
 御説明いたします。まず上限の目安を示されたことは評価できる。上限時間を設けることは、長時間働いて当たり前という感覚を改めるためにも必要。公務災害認定にもよい影響があることを期待との御意見を頂いております。
 意見番号5番から12番までは、ガイドラインそのものというよりは、関連した給特法についての御意見と存じます。2ページをごらんいただきまして、9番の文科省の回答にございますように、給特法につきましては、答申案におきましても、まず給特法の基本的な枠組みを前提とした上で、業務の明確化・適正化に徹底的に取り組むべきとされております。その上で、答申案においては中長期的な課題として検討を行うことも必要と指摘されているところでございますので、文科省としても中教審の御審議を踏まえて対応してまいりたいとしております。
 3ページの13番から7ページの32番までは、ガイドライン実施に当たっての前提とも言える状況等に関する御意見でございます。14番にございますように、1人当たりの授業の持ち時間数が多過ぎる、4ページに行っていただいて、業務削減を行うべきといった意見に加えまして、18番、19番のように、実効性確保の観点から罰則や法的拘束力が必要との意見を頂いております。5ページ、また特に22からは、教職員定数の増を求める意見を頂いております。それぞれ、答申案にも記載されている考え方や、本日最初に御説明した平成31年度の政府予算案等の状況を踏まえて対応していく旨回答をしているところでございます。
 7ページをごらんください。7ページの33からが、ガイドライン(案)の内容についての御意見かと存じます。33、34は対象者についての御意見、35からが在校等時間の考え方についての御意見です。自己研さんの時間を含めるべきという意見に対しましては、委員の皆様に御検討いただきましたが、上司からの指示等に基づくものではなく、日々の業務とは直接的に関連しない、業務外と整理すべきと考えられる自己研さんの時間については、社会通念上勤務時間とは認められないことから、在校等時間から除外するものでございます。
 8ページをごらんください。8ページの上、部活動等休日の活動についての意見です。これについてはまずしっかりと休日の確保等に努めることが前提ではございますが、やむを得ず休日に勤務を行った場合には在校等時間として記録することが必要でございます。案ではもとより、こうした休日の業務も含まれることを前提にお示ししておりましたが、今回この旨をガイドライン本体の記述として明確化しているところでございます。
 9ページに参りますと、今回設定された上限時間についての御意見です。この時間につきましては、働き方改革推進法も参考にこの特別部会でも御議論の上で定めたものであり、公立学校の教師の皆様の状況等を勘案した適切なものであると考えております。
 10ページでございます。特例的な扱いの運用についての御意見です。この扱いを含めまして、実際の運用に当たりましては、今回のガイドラインの性格や趣旨を踏まえまして今後Q&Aとして文科省からお示ししたいと考えているところでございます。
 11ページからは、本体では4に当たります実効性確保の箇所に関する御意見です。業務削減や、12ページに参りまして、今後のこのガイドラインの周知徹底を求める御意見、更に13ページからは、本体では5に当たります留意事項の箇所に関する意見と致しまして、教育委員会や管理職の責任、インターバル規制、14ページに参りまして、休憩時間の確保、虚偽の記録の防止、持ち帰り残業が増えることがないようにしてほしいとの御意見を頂いております。こうした点につきましては、ガイドラインの中にも既に記載されている事項ではございますが、今後の実効性の確保を求める意見であると認識してございます。文部科学省ともしっかり受け止めて対応を図っていく所存でございます。
 それでは、資料5、ガイドライン(案)をごらんください。資料5のガイドライン(案)でございます。1ページ、1ポツ、趣旨でございます。2つ目、3つ目の段落につきまして、答申案の考え方や記載内容を踏まえまして改めて整理をしております。具体的には、2段落目、我が国の学校教育が挙げてきた大きな蓄積と高い効果を持続可能なものとし、新指導要領を円滑に実施していくため、働き方改革が進められているとした上で、3段落目、教師が限られた時間の中で授業改善のための時間や児童生徒等に接する時間を十分確保し、我が国の学校教育の蓄積と向かい合って自らの授業を磨くとともに、人間性や創造性を高め、児童生徒に対して効果的な教育活動を行うことができる状況を作り出すという働き方改革の目的を明記しているところでございます。
 2ページでございます。3ポツの勤務時間の上限の目安時間についてでございます。(1)の最初の段落でございます。答申の記述に合わせまして、教師は、それぞれに異なる一人一人の子供たちの発達段階に応じて、指導の内容を理解させ、考えさせ、表現させるために、言語や指導方法をその場面ごとに選択しながら、学習意欲を高める授業や適切なコミュニケーションをとって教育活動に当たる。こうした教師の専門職としての専門性や職務の特徴について記載を追加いたしております。
 2ページの(2)、そして、次の3ページの(3)、これが上限の目安時間や特例的な扱いの部分でございますが、こちらにつきましては、先ほど御説明したとおり、記載ぶりをより分かりやすくするために整理しているところでございます。
 3ページ、続きまして、4ポツの実効性の確保でございます。(1)の特にマル2におきまして、教育委員会が定める方針等で定める上限の目安時間を超えた場合、教育委員会は、所管内の公立学校における業務や環境整備等の状況について事後的に検証を行うことと追記しているところでございます。
 4ページは、5ポツの留意事項でございます。これまで御指摘いただいた点につきましては、おおむねここでお示ししているところではございますが、特に(4)の部分、上限の目安時間の遵守を形式的に行うことが目的化し、実際より短い虚偽の時間を記録に残す又は残させたりするようなことがあってはならないこと、上限の目安時間を守るために自宅等に持ち帰って業務を行う時間が増加してしまうことは、ガイドラインのそもそもの趣旨に反するものであり、厳に避けること、この部分につきまして今回の趣旨を強調しているところでございます。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【小川部会長】  ありがとうございました。今、事務局から説明いただいたとおり、答申案及び上限ガイドライン(案)については、前回の本特別部会で頂いた意見及びその後の初中分科会、また中教審総会で頂いた意見については可能な限り反映するように努めてきましたし、実際、今事務局から説明があったとおり、頂いた意見については答申案、ガイドライン(案)共におおむね反映されているのではないかと部会長としても考えております。
 それでは、これから委員の皆様から御意見を頂きたいと思います。今日がこの特別部会の最後になると思いますので、これまで1年半にわたって御参加いただいたこの部会を通じての様々な感想とか、また、今後の取組について文科省に対する期待とか要望等そういうことも含めて、全ての委員の方から御意見いただければと思います。どなたからでも構いません。よろしくお願いいたします。発言の際には、恐縮ですけれども、また名札を上げていただければと思います。それでは、どうぞ。いかがでしょうか。
 では、橋本委員の方からどうぞ。

【橋本委員】  最初に、1年半にわたる様々な審議に基づいて答申案としての取りまとめに大変御尽力いただきました、小川部会長並びに文部科学省の皆様に感謝を申し上げたいと思います。
 給特法が見直されなかったこと等への批判もありますけれども、これから現実にできることを模索する中で、中間まとめを受けて、きょう説明のありました、4項目以外も含めた勤務時間の上限に関するガイドラインが策定されること、また、1年単位の変形労働時間制導入に道を開く、そういう提案がされていることというのは、非常に大きな改革でありますし、さらには、学校・教師が担う業務の明確化をはじめとして、働き方改革につながる可能性のある取組等を広範かつ詳細にまとめられた点につきまして、積極的に評価をさせていただきたいと思います。
 先日ある新聞のアンケートで、勤務時間の上限に関する指針に関して全国の市区町村の教育長の半数近くが効果を疑問視していると、そんな結果が出ておりました。確かに指針を設定してそれですぐ抜本的に変わるかというとそんなことはないんでしょうけれども、教育長としては、指針を踏まえて効果を出していくように努めていくことこそが使命であると思いますし、最初から諦めているようでは改革は不可能であります。学校任せにしない、教育委員会の取組こそが重要だと考えます。
 その上で、改革を実現するためには業務改善、意識改革など多方面の取組を総合的に進めていく必要がありますけれども、ただ、改善効果が最も大きく、教育委員会あるいは学校現場が最も期待しているのは、やはり兵たんに当たる教職員や外部スタッフ等を国に拡充していただくことかなと考えます。特に持ち時数の多い小学校教員につきましては、例えば標準的な授業時数や授業準備など教員として当然行うべき業務時間の積算等に基づいて勤務時間内に業務終了が可能となる持ち時数の上限を設定し、それに基づく定数拡充等を図っていただくような検討を更にお願いをしたいなと思います。
 現状の勤務を時間外勤務手当に振り替えた場合に1兆円ともいう財源が必要だと言われておりますけれども、その5%、500億円ありますと、年収500万円の教職員1万人、250万なら2万人の教職員の増員が可能になる。もちろんこのことすら簡単でないことは十分承知しておりますけれども、是非文部科学省には引き続き頑張っていただきたいなと期待しております。
 もう一点だけ要望を申し上げたいと思います。今回答申案の中にも、財務課の方で教職員の業務量を一元的に管理するとされております。このことを大変心強く思っております。新たな業務を付加するような制度改正等に関して、対象を広く捉えていただくとともに、教育委員会の代表者等と意見交換を行う場を設定していただくなど、現場視点に沿った丁寧な対応をこれからお願いしたいなと思います。
 また、最後の改革のフォローアップで、取組状況を点数化して公表し、インセンティブを講じる仕組みを構築するといったことが書かれていますけれども、これが本当に取組促進につながるかという疑問、あるいは教員採用等の人材確保の面でも影響が懸念されるということ、また、各団体の財政力が取組状況に反映されやすいことなど、慎重な検討が必要かなと思います。実施するのであれば、点数化の在り方等につきましては、十分教育委員会と協議をさせていただきたいと思います。
 本当にこのような重要な改革の議論に参加できたことを有り難く思っておりますし、教育長としてこれから自らの取組をしっかりやっていきたいと考えております。どうもありがとうございました。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 では、そちらから、冨士道委員、よろしくお願いします。

【冨士道委員】  失礼をいたします。まず初めに、この審議の中で様々な御意見の取りまとめを頂いたこと、さらには、先ほどお話ございましたけれども、ガイドライン(案)を含めますと5,000件を超える意見募集の一つ一つに目を通されたということもお聞きしております。その事務局の皆様に敬意を表したいと思っております。
 私からは2つお話をさせていただきます。1つは、今回この答申案がまとまってまいりましたが、これは決してゴールではなくて、これからがいよいよスタートであることは間違いないと思っています。つまり、答申を絵に描いた餅に終わらせたくないというお話をこれまでも申し上げました。この働き方改革の効果的な実現、いわゆる実効性を担保するために乗り越えなければならない課題も相当出てきています。また、指摘もされていることも事実でございます。今後この課題にどう向き合っていくのか、これが問われていくのかなと思っておりまして、是非今後のそのための御努力に期待をしていきたいと思っています。
 もう一点は、これも何回かお話を申し上げておりますけれども、これからも学校現場での意識改革とか、そして、業務の見直し、そして、環境の改善を含めた一連のアクションがどう進んでいくのか、また逆に言うと進まないのかという検証、また、そのフォロー、ここを是非これは継続してお願いしたい。1つまとまった、これを発表しましたで終わることが絶対ないことにしていただければと思っております。
 いずれにいたしましても、この間大変いろいろな形で御尽力いただきましたこと感謝申し上げたいと思います。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 川田委員、よろしくお願いします。

【川田委員】  ありがとうございます。まず答申案、それから、ガイドライン(案)の中身につきましては、この部会の中で審議の結果を踏まえて取りまとめが行われているということで、前回の後で修正があった部分も含めてそういうものとして取りまとめられていると思いまして、特に私としては意見等はございません。大きな問題で、かつ様々な御意見がある中で取りまとめをしていただいた部会長、事務局の方に感謝を申し上げたいと思います。
 その上で、時間もありますので若干抽象的、感想的になるかもしれませんが、今後の課題について若干述べたいと思います。まず様々な御意見がある中での取りまとめであるということについては、今後、一方ではこれでは対策として足りないのではないかという声、他方で逆にこのような内容で実現することが難しいのではないかという声、両方に応えることが必要なんだろうと思います。
 基本的にはそういった様々な御意見を踏まえて取りまとめられた答申等だと思いますので、そこに書かれた内容を具体的に着実に進めていくということが基本になると思いますが、その中で1つ基本的な視点として、働き方改革に関しては、例えば一般の企業を対象とした労働基準法による時間外労働の上限規制を、学校以外の領域でも進んでいることでありますので、そのような法制度全体あるいは社会全体の中での立ち位置をしっかり見据えて、例えば必要に応じて社会に対して発信していく、あるいは学校以外の領域における取組の状況を参照するといったような姿勢が重要なのではないかというのが1つです。
 それから、いろいろな御意見等あるところだと思いますが、私としては個人的に感じているのは、最も根本的なところで、学校において長く働くということがよい教育、よい教員なのだという考え方が仮に根強く残っているとすると、そこについては、むしろそれを見直していくということが結局においては教育の質を高めることにつながっていくんだというような考え方が、1点目のところで述べたような取組を進めていく中で広がっていくということが重要なのではないかと感じております。
 それから、最後になりますが、もう一点。本日の議論の中でも、あるいは意見募集の中でも、これまでの議論の中でも、定数増の必要性ということが言われて、重要な点として繰り返し述べられてきているわけですが、このこととの関係でも、答申案あるいはガイドライン(案)に基づく施策を進めていく中で、例えば教員の勤務の実態がより具体的に明らかにできるとか、あるいは業務を縮減する取組として、どのようなことをやってどういう効果を上げたけれどもどういうところに課題があるということがより具体的に示せるようになっていくということが、定数増の必要性に対する説得力を高めるということにつながっていくのではないか。そういう観点からも、当面は現在答申案あるいはガイドライン(案)として示してくれた内容を着実に進めていくということが、定数増を実現していくという上でも重要なのではないかということをコメントとして述べたいと思います。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 では、天笠委員、よろしくお願いします。

【天笠委員】  どうもありがとうございます。全体としてここまでまとめ上げてきたということにつきまして、高く評価させていただきたいと思います。ですから、基本的にこの方向で最後まで、答申という形まで行ければいいかなと思っております。
 それで、それを前提にしながら、4点ほど短く申し上げさせていただきたいと思います。まず1つ目は、この案ですけれども、7ページの目的というところについて記されている、要するに、この部会が何でもって組織され、そして、何を目指したのかということについてのことが、7ページの丸のところに記されていると私は捉えるわけですけれども、常にこの目的のところにある意味で言うと戻るというんでしょうか、あるいは常にこの目的を確認し合うというふうなことの必要性、大切さがあるのではないかと思っております。
 法制度上とか、手だてとか、方策はいろいろな考え方等もあるかと思います。時には、方策間である意味で言うとそれぞれの考え方が表示されるかと思うんですけれども、目指すところがここにあるんだということで、ですから、今後ともこの点についての押さえが大切なんじゃないかと思います。ですから、現在のこのまとめの段階で何をどうということじゃないんですけれども、今後いろいろな、例えばパンフレットとか、あるいは簡略版とかそういう場合に、常にこの文言が表に出てくるようなそういう示し方が今後検討されてよろしいんじゃないかと思います。それが1つであります。
 それから、2つ目は、意見募集も大変丁寧に扱われ、そして、そのポイントになる部分が大変よく明記されているというふうに、そういうふうに読ませていただきましたけれども、その中で、意見募集の中でこういう指摘が私も感ずるところがあります。12ページのところには、こういうコメントがあるんですね。人材の不足ということについて言及したコメントがあるんです。私もこの問題の解決の1つの手だて、また、多くの方も、あるいは意見募集も含めてだと思うんですけれども、人の手当てを分厚くするということがあると、私もそういうことなんですけれども、ただ、現実に今度それが動き出すとすると、果たしてどれほど人がいるのかどうなのかという、今度はそちらの方の目配せということもまた大切になってくるんじゃないかと思います。
 そういう点では、例えば先生がいろいろな病気等でしばらくお休みになる、代替するサポートスタッフというんでしょうか、そういう方が現にいろいろなところで不足しているやに話は聞いておりますけれども、そういうところまで目配せしていかないと、方向性は出したんですけれども、実質的には実効性という、さっきから言葉がありましたけれども、人の手当て、不足するところがどこがどういうふうになっているのかどうなのかというふうなことの把握というんでしょうか、それも常に押さえながら、不足するところに手当てしていくようなということが大切になってくるんじゃないかと思っております。
 今2点目ですけれども、そうしたときに、3つ目として、制度的な側面で人が足りなくなっているというふうなことになっていないかどうかということについての見定めは、今後検討していかなければいけないまた1つではないかと思っております。そういう点では、この答申案の中の54ページのところに今後更に検討を要する事項ということで、そこのところで、例えば小学校の場合ですと教科担任制の充実等に伴う人の充実等があるんですけれども、もう一つその次のところに免許に関わる制度上の指摘がかなりあって、私はここのところは非常に大切な、あるいは働き方改革では余りそこのところが詰められた話ではなかったかと思いますけれども、人の手当てという、免許制との照らし合わせの中でのそれというのは今後大切な検討の事項になってくるんじゃないいかと思っております。
 例えば今、現実に起こっていることというのは、小学校の方に人が不足するという状況が大変顕在化しつつある。片や、少なくともまだ中高については、その視点からするならば、相応の存在は見られるとするならば、一体、小中で判然とそういう形にする制度上の意味というのがこの先を見据えたときに果たしてどの程度意味を持ってくるのかどうなのかというふうなこと。現在それを別途それぞれで養成するような、送り出すような形を取っているんですけれども、そのことと、今申し上げている様々なサポートスタッフを含めた先生方の人的な充足というんでしょうか、その辺りのところは、これは喫緊の課題として今後検討しなければいけない課題の1つではないかなと思っております。
 最後、4点目です。ガイドラインのところの4ページの留意事項についてです。これ、一つ一つは、1点目に申し上げた、目的と常にすり合わせてこの(1)、(2)、(3)、(4)、(5)があるんだというような辺りのところの押さえ方、位置付けが大切なんじゃないかと思っております。冒頭の目的が希薄になったりとか、目的と乖離(かいり)してこの(1)、(2)だけが動き出すとすると、またちょっと違った趣旨というんでしょうか、違った動きということもなくはないということで、常に学校の先生方の職場の環境が健康的で望ましい姿を目指すんだという、そのための留意事項としてこうあるんだという目的とのすり合わせを常に意識しながらこの運用を図っていくということが大切なのかなと思います。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 では、続けていきたいと思います。佐古委員、よろしくお願いします。

【佐古委員】  ありがとうございます。私もこのような会議に参加させていただきまして非常に有り難く思っておりますし、また、今回この答申、それから、ガイドラインをまとめていただきました事務局の方々の御尽力には本当に感謝したいと思っております。多様な意見をこのような形で世に出せるというのは、教員の、あるいは学校の今後にとってすごく大きな意義があると思っておりますが、3点ほど少し気になっていることを最後に発言したいと思います。
 1点目は、具体的に言いますと、今回の答申案の48ページの本文の下から4行目ぐらいのところの文言です。細かなことなんですけれども、「業務としての研修等の精選」という文言がございます。趣旨はそのとおりなんですけれども、この書き方でどうなのかなというのはちょっと気になっております。といいますのは、働き方改革の目的は、冒頭の予算の説明からございましたように、今後我が国の学校教育の質の向上というところが目的であると思います。
 長時間化している教員の働き方の要因は多分2つあると思います。1つは、学校の仕事が肥大化している。これは業務の削減等で随分議論が進んだと思いますが、もう一点は、学校の教育の質が変わってきている、課題が複雑化しているということと、特に小学校を中心に教育内容の高度化が進んでいるということがあって、どうしても先生方は教材の準備や授業の準備、それから、子供との関わり方に時間を費やさざるを得ないということがあって、結果的に時間が長くなっているのではないか。もちろんその背景には教育課程の改訂もございます。
 そうしますと、一方では、仕事を削減していく、仕事の量を減らしていくという方向での議論がなされるべきことは当然なんですけれども、もう一方は、その仕事を扱う教員の職能開発をいかに図るかということを今後真剣に考えないと、高度化する、あるいは複雑化する教育課題に対して、なかなか思うように学校は動けないか。これは動けないということだけではなくて、当然時間としての仕事量も減らないということが起こってくると思いますので、その観点からいいますと、一方ではやっぱり教員の質の問題がこれから大きな課題になると思っています。
 その脈絡で行きますと、先ほどの48ページの文言は、場合によると、業務としての研修を単純に少なくしましょうという方向に流れてしまうのではないかというようなことを危惧いたします。そうならないような何か書き方なり、あるいは文科省の施策なり指導なりしていただければと思っています。業務としての研修の精選というのはかなりきつい言葉で、夏休みには研修は要らないという方向になってしまいますと、例えば小学校の英語とかプログラミングとか、今後必要となるような研修になかなか時間が確保できにくいということにもなりかねないということも考えられるので、業務の精選というような端的な表現ではなくて、研修の効率化とか、あるいは実質化とかいう方向で、もう少し今後の教員の職能開発を働き方改革の中にも位置付けるような方向も配慮した表現をしていただきたいと思っております。これが1点目です。
 2点目は、ガイドラインの留意事項等に関係することでございます。働き方改革は、基本的に様々な施策の総合的なパッケージとして進めるべきものであることは、この部会の多くの委員の方々の合意事項だと思います。反面、学校からすると、どこからやったらいいのということが分かりにくいことにもなりかねないと思われます。私は、働き方改革を進展するためには、分かりやすく教職員,保護者,地域にも,まず目に見える形で進めていくというのがいいだろうと考えています。
 端的に言うと、学校の始まる時間と閉庁時間もきちんともう決めてしまう。もちろんそれは乱暴な方法ではなくて、保護者や地域の方々としっかり話をしていただいて、まずそこから手を付ける。つまり、学校は何時から何時までということをまずはっきりとするということが、恐らく教員にとっても、保護者にとっても、地域の方にとっても、ああ、学校は変わったんだなということが分かるような方法になるのではないかと思っております。総合的なパッケージなんだけれども、具体的にはこういうところから、各地域で、つまり、教育委員会のリーダーシップの下で取り組みましょうというようことも、もう少し具体策として出してもいいのではないかと思っております。
 3点目は、先ほど川田先生がおっしゃったことと関連するんですけれども、ガイドラインが出て、答申が出まして、この方向で学校や教育委員会あるいは文科省も動いていくということがこれから本格的に始まるわけですけれども、否定的なことを言うつもりはないんですけれども、にもかかわらず、やはり学校の先生方の勤務時間がなかなか少なくならないということがあり得るのではないかということも思われます。
 したがいまして、継続的に勤務時間等でモニターをしてくることも当然なんですけれども、そういうことをやりながら、この答申とこのガイドラインをもってしてもなおかつ学校の勤務時間が十分に減少しないということがあるとすれば、議論とすれば次の段階にやっぱり移らないといけないと思います。次の段階というのは、要するところ、今後日本における学校の役割をどのように我々は考えたらいのか、学校にどのような数の先生方と職種を置けばいいのかということを、もう一回そこから議論をし直して、日本の教育がこれから継続的に機能し得るような議論に進んでいかなければならないのではないかと、そんなふうに考えております。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 妹尾委員、よろしくお願いします。

【妹尾委員】  短い時間にまとめていただいてありがとうございました。本当に意見募集もたくさんお寄せいただいて、年末年始も挟んだとはいえ、文部科学省さんの働き過ぎも心配であります。本当に大変だったと思います。ありがとうございます。一方で、5,000件近く来ましたけれども、恐らくその背後にはその100倍とか1,000倍の声もあるんだろうなと思います。なかなか出せないという方もいらっしゃると思いますので、改めて重く受け止めたいなと思います。
 1つ、ごめんなさい、最初、感想に行く前に質問なんですけれども、橋本委員からもおっしゃっていただいたし、ほかの方もおっしゃっていただいていると思うんですけれども、やはり小学校の持ち時間の多さという問題はさんざん、もう10回以上話をしてきたわけです。この話で上限の授業コマ数なんかも本当はもっと検討してほしいという話をしましたが、それを明記しない積極的な理由があるのであれば答弁していただきたいなと思っておりますので、ちょっとそれ、合田さんかどなたかお願いします。

【小川部会長】  では、お願いします。

【合田財務課長】  御指摘いただいたように、私どもの学校教員統計調査におきましても、小学校の先生は調査でも週24こまで、中学校における18こま、あるいは高等学校における15こまと比べてもかなり大きな負担をしていらっしゃいます。これはこま数で見た問題でございますから、間の10分休みを先生方は休めておられるのかというと休めていないということが、この勤務実態調査の先生方、小学校の先生は1日4時間25分教壇に立ってらっしゃるという実態に表れているんだと思います。
 これは今回の答申案におきましても、先生方の授業時数の在り方というのは検討する必要があると思っておりますが、私ども率直に申し上げますと、一律にそれぞれの学校の状況や生徒の数などを踏まえずに、一律に上限を定めるということが妥当なのかどうか。そういたしますと、これ、率直に申し上げますと、上限を定めるということは、必要に応じ下限も定めるということを検討することになってまいりまして、先生方が小学校においてどれぐらいの授業を担うかということについて、かなり管理職や各教師の選択の幅が狭められるような方向になる可能性もなくはないと存じております。
 そのため、それよりも、中教審で御指摘いただいているように、これについては例えば教育課程自体の在り方も含めて、先生方の授業担当のボリュームを教育課程の観点からどう考えていくのかとか、それから、先ほど御指摘がございましたように、小学校の特に高学年における教科担任制をどう考えていくのか。あるいは、先ほど天笠先生からお話がございましたように、既に義務教育学校という制度があるわけでございますので、9年間を見通したときに、どういう教員養成や免許などの仕組みであるべきかということも含めて議論させていただく中で、小学校の先生方の授業の担当のボリュームを考えていきたいと思っております。
 当然のことではございますが、当座は、先ほども御報告を申し上げましたように、小学校英語の授業時数の増が先生方の担当授業時間の増にならないように、小学校の専科の加配を要求どおり満額確保するといった条件整備を引き続きしっかり取り組ませていただきたいと思っています。
 以上でございます。

【妹尾委員】  丁寧にありがとうございます。おっしゃるとおり、一律に上限を定めることの多分弊害とかもあるし、問題もあると思いますので、おっしゃるようなところは分かるつもりでおりますので、そこは是非引き続き検討いただきたいなと思います。上限というのがいいかどうか分かりませんが、せめて空きコマをもっと増やすという方針は、僕は書くべきじゃないかなとは今もずっと思っています。小学校に行っていただければもう誰もがお分かりのとおりですが、児童が例えば3時半ぐらいまでいるという中で、先生たちはずっと授業もあって、給食も昼休みの見守りもあってということで正規の休憩時間もなかなか取れておりませんが、15時半の後、例えば正規の休憩時間が終わると、あと15分か20分しか正規の勤務時間としてはないというような状況です。
 その中で9教科とか10教科を準備せよというのは土台無理だろうという話でありますので、この辺りはもう釈迦(しゃか)に説法ではありますが、勤務時間の中でしっかり授業準備をしていただけるような、あるいは何かいじめとか困ったことがあれば、しっかり余裕を持って相談に乗れるような体制にしていくということは、これは学校現場だけの努力では難しい話ではありますので、TTを見直すとか、その辺りできることはもちろんするべきでしょうけれども、国の役割は非常に大きいということで再度強調しておきたいと思います。これは是非検討課題としてお願いをしたいと思います。
 中長期的な課題ということで、その辺も含めて検討されると思いますが、いつまでも中長期と言っていられないなと思っております。今回2016年の勤務実態調査を基にこの議論がスタートしたわけですが、これは当然英語が増える前の2016年の時点で既に大変だったので、英語の専科を増やしていただいた予算の努力は非常に有り難いと思っておりますけれども、英語が増えようが増えまいが非常に大変であるということは改めて言っておきたいと思います。
 その10年前の2006年の段階から既に長時間労働だとか、休憩取れない問題は明らかでした。あるいは、OECDのTALISの調査で2013年実施のときにも、世界一忙しいということが有名になりました。そこからもう5年ぐらいが経過しようとしているわけですから、いつまで中長期と言っているんだという話であります。なので、もちろん給特法を始め、時間の掛かるような検討課題もあるのは承知しておりますし、お金の掛かることは理想論ばっかりではいけないということもよく理解しておりますけれども、改めてそれぞれで頑張っていきたいなというところは申し上げておきたいと思います。
 そこに関係しますけれども、私の方でまた資料を作ってきましたので、最後の参考資料4をお開きいただければと思います。働き方改革の再出発に向けてというタイトルにしましたけれども、この趣旨は、先ほど冨士道先生もおっしゃっていただいたとおり、ある意味、今回の答申を起点として、また更新しながら是非再出発していただきたいという意味です。
 1ページ目に書きましたけれども、これは佐古先生もおっしゃったように、今人材育成とか能力開発の部分でも危機的な状況にあるということが事態を非常に悪化させているんじゃないかなと思います。このままほっとくとどんどん悪循環になっていくということだと思います。もう資料の説明は時間の関係上余りしませんけれども、ほっとくと、もっと大変なことになるということは申し上げたいと思いますので、今回の答申もきっかけにして、これを好循環に変えていくような再出発にしていただきたいということは、関係者の皆さん、私も自分自身も含めて申し上げたいと思います。
 続いて2ページ目ですけれども、ここも細かな説明はいたしませんけれども、恐らく従来型の方法では限界があるんだろうなと思います。何か方法を見直すだとか、保護者にとって余り当たり障りのない部分をいじるというだけでは恐らく月45時間とか年間360時間だとかには到底及ばないと思いますから、右に書いてあるように、かなり大胆に見直すことだとか、保護者等からのコンフリクトがあるようなものも対話を進めながらやっていくということをしっかりやっていただきたいなと思っておりますし、私も応援したいなと思っております。
 次のページですけれども、これはちょっとイメージ的に描きました。横軸は、指導要領上マストなこととマストではないこと、縦軸は、今より時間を減らすベクトルと増やすベクトルと多分両方あるんだろうなと思います。部活動なんかは典型例ですけれども、この辺りも含めて、要は、減らせ、減らせばかりじゃなくて、増やす、あるいは質を上げる、両方ですけれども、そういったことをやるためにもかなり大胆に減らしてもいかないといけないという、両面をにらまないといけないなと思っております。指導要領上のマストなことというのは実はそんなに、英語が増えるとかは深刻ですけれども、実は指導要領はマストじゃないことも多いと思いますから、是非学校の裁量、教育委員会さんの支援もまた期待したいところではあります。
 4ページ目ですけれども、今回全体を通じて私が再三申し上げているのは、いろいろな取組が、下手すると負の影響だとか副作用だとか、余り楽観視ばかりではいけないんだろうなということは申し上げたいと思います。今回のこの答申も、よかれと思って答申とかガイドラインは作っているわけですが、ともすれば、この1、2、3に書いてあるようなところを招きかねない懸念があります。この辺りも今から想定しながらしっかり国、教育委員会、学校あるいは家庭、地域を含めて準備をしていかないといけないんだろうなと思います。
 1つ目は、残業のブラックボックス化ということで、むしろ見えづらくなるという事態が一番怖いということですので、これも気を付けないといけない。ジタハラは時短ハラスメントですけれども、こういったことも気を付けないといけない。あと、3番目、これが余計深刻です。部下に仕事を更に振りづらくなるということとか、働き方改革と言われて、多様な人材が、スタッフが増えれば増えるほど、教頭職は既にもう忙しくなっている実態がありますので、それを更に加速させてしまいます。年間変形労働制も、更に管理コストも増やすデメリットも両方ありますので、そういったことも含めて、教頭職をどうするか、ミドルリーダーをどうしていくかも含めて考えないといけない。できる人には更に仕事が集中してしまうという事態をどう防ぐかということを、みんなで知恵を出さないといけないということは申し上げておきたいと思います。
 5ページ目には、その辺りの僕が感じる幾つかの、対策というほどではまだないんですけれども、考えないといけないことも書いております。特に3番目のことなんかに通じましては、是非、もっとスタッフの充実もそうですし、事務職員との分担も含めて大胆にやっぱりやっていただきたいなと、そんなふうに思っております。
 最後、6ページ目です。重要な積み残し課題が、先ほど申し上げたような負の影響にも備えておくということに加えて、幾つかあるんだろうなと思います。もう言うと切りがないので、2つだけここに書きました。1つ目は、やはり給特法をはじめとする勤務時間制度です。これは二重基準じゃないかという批判もございます。しかも、ガイドラインの実効性はどうなんだというお話も先ほどもあったとおりです。今回のガイドラインでかなり前進する部分もあると思いますけれども、実効性がどうなのか、あるいは給特法上の建前が本当にこの建前のままでいいのかどうかということは、今後もしっかり検証して、再検討も含めて考えていかないといけないと思います。
 それから、休憩が取れない問題は先ほど申し上げたのであれなんですけれども、やはりスタッフの充実とか教職員定数の話も含めてこれは非常に深刻ですので、是非重く受け止めていただきたいなと思っております。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 では、東川委員、どうぞ。

【東川委員】  約1年半にわたってこの会に参加させていただいたことを非常に有り難く思っていますとともに、これまでの答申の案をここまでまとめ上げていただきましたことに非常に感謝を申し上げます。
 答申案の最初の目的の部分で非常に有り難いなと思ったのが、第1章、働き方改革の目的で、学校における働き方改革と子供・家庭・地域社会のところに関して、特に、PTAに特にお願いしたいといった文言がきちんと入ったといったところに関しては、非常に身が引き締まる思いといいますか、保護者やPTAに関しては、この働き方改革の議論がなされていることを知っている方もたくさんいらっしゃいます。いらっしゃいますが、具体的な中身までについてどのように進展しているかといったところについては、そこまで浸透していないというのが現状です。今後の課題にもなってくるかと思いますけれども、この答申が出た後に、いかにこれを行政サイドだけではなくて、私どもPTAでどこまで浸透させていき、実行に向かっていくのかといったところの重要性を非常に感じている次第でございます。
 そして、まとめのところでも、特にPTAには強くお願いしたいといったところにつきましては、ここに書かれたといったところが1つの大きな意義深いところがあるんだろうと思いますので、繰り返しになりますけれども、これをいかに使っていくのかといったところを考えていきたいなと思っている次第であります。
 それで、今後のことなんですけれども、大きな枠組みとしてこの働き方改革の答申が出ていくというところに関しては非常に評価されるんだろうなと思いますけれども、個別具体的な事案というのは、もう山ほどあるといったところでございますので、それについては都度都度議論をしていく必要がある。
 それから、特に、以前天笠先生がおっしゃったかと思いますけれども、小規模校の取扱いについては、やはりまだまだ議論が必要だなと思ってございます。特に小学校におきますと、1年生から6年生まできれいにそろってない、特に島嶼(とうしょ)部であったり、そういう本当にごく小規模と言うんでしょうか、過疎地域といいますか、そういったところですと、今更ながらですが、私の家内も小学校の教員でして、いわゆる島嶼(とうしょ)部の全校生徒小中合わせて10人ぐらいの学校でして、変則の複式でやっている。こういうところについても業務負担というのは、時々家で聞くわけでありますけれども、非常に厳しいところがあるなといったところが今後の課題として是非議論を進めていただければなといったところでございます。
 1年半本当にありがとうございました。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 善積委員、どうぞ。

【善積委員】  ありがとうございます。私のような一コンサルが、高名な委員の皆さんの中に入れていただいて非常に大きなテーマの議論に参加できたこと、非常に感謝しております。また、これまで学校現場で見てきたこと、感じたことを国の政策に伝えていく機会があったということは非常に有り難いなと思っており、また、こういった内容、多方面にわたったことをおまとめになっている小川部会長はじめ、委員、事務局の皆様には本当に頭が下がる思いです。ありがとうございます。
 それで、感想というか、現場を見てきた中で、このガイドラインであったり、この方針がどう下りていけばいいのかなということについて意見を申し上げられればと思います。
 1つは、教育委員会の努力というところ、34ページに記載がございますけれども、実はこれから先の管理運営というか、この方向性をちゃんと着地させていく責任というのは、各教育委員会が負うことになると思っております。私どもが見ていくと、結構自治体によってシステムの整備もでこぼこがあったり、人の配置も十分な配置になってなかったり、同じ自治体の中でも学校によって予算だけではない事情で配置ができていなかったりというふうに、ここに書かれているような内容を実際落とし込もうとしたときに、それを受け入れるだけの準備ができていない状況があると思っております。
 そういう意味では、教育委員会の事務局の方で予算をきちんと取って必要な部分を作り上げていくようになさらないといけないと思うんですが、かなりの予算を伴うので、結構な大仕事だと思います。そういう意味では、しっかり計画的に取り組んでくださいと申し上げるしかないんですけれども、役割としての責任というか、期待は大きいかなと思っております。それが1点です。
 それと、持ち帰りを懸念されている声が意見募集の中でも出てきていまして、持ち帰りが増えてしまうだけじゃないかという、多分そのことは、皆さんがおっしゃっているように非常に懸念される、予測される事項だと思うんですけれども、今、民間の働き方改革で企業に求められているのは、持ち帰り業務に関してもちゃんと時間把握をしていくということが前提になってきています。持ち帰り業務を把握されるというのは、ある意味、社員にとっては少し裏技的に処理を進めていく暗黙の部分が気持ちよかったところも実はあるんですけれども、でも、それをもう許されない状況だということを我々も会社員としてすごく痛感していますし、それを前提にしながら、どう仕事をこなしていくかということを考えるようになってきています。
 同じように学校に関しても、持ち帰りが暗黙になるということはないように、タイムカードだけが今、時間把握のツールとして書かれているような状況ですけれども、例えば先ほどのシステムが整っていくことができれば、パソコンなどの使用状況で、パソコンを使っていない仕事のやり方、例えば採点などはそうかもしれないんですが、何らかの連関を持たせることで、稼働状況を確認できるという、そういうのはあります。例えばそういうツールを使いながら、仕事の状況を把握するということは意識の中に入れて、持ち帰りもちゃんと時間を確認できるようにしていくことは必須だと思っております。今の時間把握のやり方だけじゃなくて、もう少し進んだ内容、取り組み方も、それは多分各教育委員会の取組になるかもしれませんが、今後検討されていくべくではないかなと思っています。
 もう一点、パブコメを拝見していると、ミドルクラスが出てきてしまうことによって、上意下達になるんじゃないかという懸念の言葉がありまして、非常に心配になりました。というのは、組織の中で上意下達になっている状況を感じている教職員がいらっしゃるということは、自分の意見を述べて主体的に動くという機会を減らされてしまっているのではないかという懸念につながるからなんです。これからの組織のマネジメントの場合、いろいろな人たちの意見をきちんと引き出して、考えていただいて、その中で出てきた案を採択しながら優先順位を付けて動かしていくということがベースであります。そこが分かっている校長、教頭、管理職であるべきですし、そこを支えていくミドルクラスというふうに、組織運営をちゃんと分かった学校現場の運営をされていかないと、特に妹尾委員がおっしゃったような問題というのは起きてしまうなというふうに私も思ってしまいます。
 そういう意味で、風通しがよく、意見を言いやすく、それを1つずつ実現して、例えば行事を減らすとか、例えばプリントだったり、いろいろ採点するやり方をちょっと変えていくとか、そういう、今までなかなか、子供のためにと言われると踏み込みにくかった要素についても、もっと積極的に取捨選択なり、軽減を考えていくようなことも含めていろいろな意見を大事にして、それをベースにした学校運営をするというスタンス、これが一般的なものになっていただきたいなということを思っています。
 私がそれを申し上げているのは、それが「チーム学校」であって、それを学校の中で動かしていくことができると、かなりの意味で業務改善というか、仕事のしんどさが軽減できるというのはありますので、それを是非、この中に散りばめて書かれているような気はするのですが、メッセージとしては是非どこかにそういう、同僚制というか、教職員本人の主体性をもっと高めていくような職場の作り方とか、そういったものがあるといいなと思います。
 思っていることを抱え込んでしまったり、意見が言えなくて我慢をしてしまうことが、ある意味でストレスになって精神的なしんどさにつながっていくことにもなりますし、体罰であったり、ハラスメントであったり、そういう不適切な行動につながる背景にもなっているということもありますので、非常に大事な要素だと思います。そういったところを、書き方というところではあえて増やしてくださいということは最後なので申し上げないのですが、そういったメッセージをどこか出せればいいなと個人的には思っています。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 それでは、またこちらからということで、相原委員、よろしくお願いします。

【相原委員】  ありがとうございます。相原です。20回を超えるこの部会に参加させていただきました。ありがとうございました。文科省の皆さんの御努力にも感謝したいと思います。
 今回の21回まで進めてきた部会ですけれども、私たちは、未来を担う児童生徒の前に立つ先生の健康と安全、これに最大限配慮するということに向き合ってきました。そこが揺らいでいては、日本の教育も学びも前に進まないということに対して深く刻み込んだ21回だったのではないかと考えています。学校の先生たちが児童生徒に寄り添う姿、この温かみを今後も最大限伸ばしていくということに対して様々な配慮をどこに求めるかという議論だったと思っています。
 課題が多ければ、ややもすると現実から目をそらしたくなることも多くなります。やはり今回は、客観的に労働時間を把握することから絶対に逃げないということについても、私たちは共通の理解に立つことができ、まずはそこがスタートだということを再確認できたのではないかと思います。それからすると、法的根拠を含むガイドラインをセットでき、それが最終的には指針や条例・規則に落とし込まれることで、実効性を担保することに大きく期待したいと思っているところです。なぜこのような形でガイドラインを踏み込んで記載したのかという、その意思や意図を多くの人たちに理解いただくということも大事なわけでして、共通の目的をそこに見出(いだ)したいと思います。それが1点目です。
 2点目は、様々な制度若しくは法律と言ってもいいかもしれませんが、完全なものはないということも、これは謙虚に認めるべきだと思います。働き方は時代とともに大きく変化していきます。子供との接し方や教育の中身も変わっていきます。それらを受け止める給特法の在り方は、不完全とは言いませんけれども、まだまだ改善の余地があると積極的に受け止めておく必要があると思っています。その意味でも、冨士道委員がおっしゃった、今後のフォローアップ、これに対して万全を期していくということが今後の給特法見直しのきっかけ、さらには、その土台になるということを再確認しておきたいと思います。
 もう一つが、今回踏み込んで工程表も記載されています。これは高く評価したいと思います。その都度都度に文科省から積極的に発信し、世の中を引き付けていただきたいと思います。学校現場の改革の進捗について、関係者の努力について世の中に打って出ていただきたい。そのための工程表であるとも理解します。先ほど東川委員から御案内がありましたが、多くの皆様に働き掛けていくということ、進度に基づいて、いいところも悪いところもつまびらかにしていくということが大事だと思っています。
 また、民間においては、働き方や労働時間やマネジメントを後戻りさせない仕掛けや仕組みが配置されていることが一般的です。学校現場にはそれがないなと考えてきました。ICTの進度、働き方の変化、人的資源の高まり度合い、さらには子供との接し方など、物差しはたくさんありますが、共通の理解やマップを頭に置いた上で、学校の実力が確かに上がっているということが検証・確認できるようなマネジメント手法を開発し根付かせていくことが大事です。まだそこは今後随分検討の余地があるのではないかと思っておりまして、私どももできることはやりますけれども、文科省の努力もお願いしたいと思います。
 最後になりますけれども、今後、法律、指針、条例・規則に落ちていくわけですが、きょうからやれることはたくさんあるわけです。条例・規則を展開し、2019年です、20年です、21年ですと待っている余裕はないですから、文科省の積極的な働き掛けに期待し、教育委員会などの御協力なども頂いて学校現場をよくしていくということに御努力を願いたいと思っています。温かい学校を作りたいと、このように思います。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 青木委員、どうぞ。

【青木委員】  ありがとうございます。まず答申のおまとめについてのお礼を申し上げたいと思います。部会長、委員の皆様、それから、事務局の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。
 それから、この特別部会に参加させていただいて、私としては、教員の勤務実態調査に関わったこともあって、根拠や証拠のあることを言おうと努めてきました。これで私は教育研究の世界に戻るのですが、戻る前にコメントを幾つかしたいと思います。
 まず、答申案へのコメントです。個人的には、2006年に教員勤務実態調査に携わって以来の宿題に対する解答のほとんどがこの答申案にかなり盛り込めたなと思いました。2つぐらい成果があると思います。まず、多忙や多忙化、そして、多忙感に関して実証的なデータで示すことができた。2つ目ですが、諮問内容に沿って、現状の制約条件下で動員し得る政策手段は総動員できたと考えています。これは教育セクターとしてやれることは盛り込んだという姿勢を内外に示せたと思います。課題としては、今後政策実施の段階に入りますので、そこで文部科学省のコミットメントは是非声を大にしてお願いしたいと思います。それから、データ収集と分析が引き続き必要だということです。
 最終回ですから言えるんですけれども、感想になるんですが、これは稲継委員がお詳しいところですが、日本は国際的に見て小さな政府、もっと言えば、小さ過ぎる政府です。そういうことを考えると、公共部門の中の教育セクターで教員やスタッフの増員というのは、それは当然考えていい話であると思います。諮問内容とは違いますのでこの間ずっと言わなかったので、ひどい委員だともしかしたら思われていたのかもしれませんけれども、私はそういう気持ちを持っています。
 この答申を踏まえますと、川田委員もおっしゃっていたんですが、効果検証等しっかりしたエビデンスが示せるようになりますので、重要な、教員等の資源配分の要求の根拠になるなと思いますし、先ほど申し上げたように、やり得る政策、取り得る政策を総動員したという姿勢を示していますので、それもまた根拠になると思います。様々な、社会や関係機関からこの特別部会にも批判はあったと思いますけれども、それを今後は応援に変え得る力を持った答申だと思います。
 先ほどアカデミアの世界に戻りますと申し上げたんですが、このテーマに関して私がこれからできることを最後申し上げたいと思います。まず教育に関してなんですけれども、この間見ていると、教員の勤務に関する実証的なデータのユーザーがものすごく増えています。この1年半でものすごく増えているのはいいことなんですが、やはりプロバイダーはなかなか増えない。大学院教育は少なくとも5年掛かりますので、なかなかこれが増えないということで、私自身は、大学院レベルでは今年から本務校でプログラム作りを始めたんですが、教育版のEBPM人材づくりということで、これを更に力を入れたいと思います。学部レベルだと、やはり教育政策に関するリテラシーを身に付けるという必要がありますので、これは間もなく教科書を2冊出版しますので、こういったものを使っていきたいなと思います。
 それから、研究の面では、教員の勤務実態の測定や分析スキームはまだ改善の余地があると思っています。それに磨きを掛けていきたいなと思います。その際は、低コストで教員の先生方に低負担で教員の勤務実態の測定ができるようなことを今後も考えて、しっかりした研究の知見を社会に提供していきたいなと思っています。
 21回の部会に参加させていただきまして、ありがとうございました。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 嶋田委員、どうぞ。

【嶋田委員】  私も皆さんがおっしゃっているように、このようにまとめていただいて、ありがとうございます。私は昨年4月から関わらせていただきましたけれども、小学校の校長として現場の状況をお伝えすることができて本当によかったなと思っています。それから、やはり今まで学校は非常にサービス業的な部分がこの十数年強くなってきて、乞われれば何でも学校がやるということが当たり前で、それに対して疑問を投げ掛けるという部分は難しかったなというところが、今、働き方に焦点を当てていただいて、本来学校がやるべきことはどういうことなのかを皆さんで議論していただいたことを学校長として大変うれしく思っている次第です。
 何点か申し上げたいんですが、ガイドラインにつきまして、実は本市では12月より業務の管理システムができるようになって、試行で昨日12月の状況を見てみたときに、副校長と教務主幹のプラスのいわゆる残業時間といいますか、在校時間が非常に多く、45時間は大幅に上回っていると。これは通知表の時期ということもあったと思いますが、学校長としてどういうふうに実効性のあるものにしていったらいいかといったことに対して非常に難しいなというのを実感として感じました。
 もう一つは、時間数が数値で出てくることによることに対してのインパクトといいますか、そういうことはやはりタイムレコーダーとかそういうものを、しっかりと勤務時間を把握できるシステムを作るということの重要性をつくづく感じましたので、中にも書いてありますが、それぞれの市区町村の教育委員会がどういうふうに動けるかということは非常に大きいなと実感した次第です。
 このように考えていったときに、先ほど何人かの委員の方に言っていただきましたが、やはり小学校担任の持ち時間数といいますか、総授業時数といった部分もやっぱり含めて考えていっていただくことが今後大事だなと思います。2022年、2023年に実態調査をというふうにスケジュールになっておりますけれども、まさにそのときには2020年の学習指導要領の全面実施の後の状況になります。外国語の授業時数又は評価ということも実際に変わってきた時点での実態調査を実施してどういうふうになっていったかということを、是非効果検証、また継続的な実態を把握していただきたいなというのがお願いです。
 また、その際にもしその調査を基にしてこのような機会を持っていただけるのであれば、是非委員の中に、もう少し学校現場の校長、特に私は東京なので、主幹等の配置等につきましてはやはり東京と他県では随分違うところがございます。是非もう1名でも2名でも、学校の管理職等を入れていただければ有り難いなというのが今後のお願いというところでございます。
 本当に勉強になりました。ありがとうございました。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 あと、稲継委員と、最後、無藤部会長代理にも御発言いただきたいと思います。

【稲継委員】  どうも取りまとめありがとうございました。上下左右様々な正反対の意見、パブリックコメントが出ている中で、非常にうまく落ち着くところにまとめていただいたと思います。ありがとうございました。
 先ほど青木委員からもお話がありましたけれども、国際的に見ると、日本の公務員数は非常に少ない。国家公務員30万弱、地方公務員270万、300万です。スウェーデンとか北欧諸国の半分以下、英米独仏に比べてもかなり少ない中で公務員が一生懸命働いてきているということをまず世間の人々に知っていただきたいというのが私の願いです。
 270万人の地方公務員のうち教育職が90万人ぐらいです。一般行政職が83万人ですので、一般行政職よりも多くの教育現場の先生方がいらっしゃる。その270万の3分の1の方の労働条件といいますか、地方公務員法の例外規定を置いている点について、この審議会で議論させていただいたと理解しております。
 今後は、この取りまとめに基づいて、あるいはガイドラインに基づいて各学校現場でやっていただくことになると思うんですけれども、私、非常に単純なことなんですけれども、前にたしか嶋田委員だったと思いますけれども、カラーコピー機を置いて非常に改善したとかそういう話があったんですね。ほかの学校の先生にいろいろ聞いてみると、まだガリ版刷りが普通だというところもあったりして、これ、私、非常におかしいと思うんです。今の世の中、ガリ版刷りで教材を作成しなければならないような現状があっては、私、いけないと思うんです。
 それで、今回の答申の71ページの下の方に、単年度800億円の財政措置を講じているというふうに書かれているんです。それはそれで結構なことなんですけれども、これは、要するに、800億円が地方に、地方財政措置というのは使途の限定のない地方交付税で交付されているということだけですので、行った後はどのように使うかは各首長の判断次第なんです。実際にコピー機の購入に充てられるとは全く限らないわけです。
 なので、これは90年代以降の分権改革とか、あるいは三位一体改革の後でこんなことを言うのは非常に時代に逆行しているかもしれませんけれども、交付税措置ではなくて補助金とか委託料とかそういう形で、せめてコピー機は各学校に必ずそろえてもらいたいと思うんです。これは文科省にお願いしたらいいのか、教育委員会に言うよりも、むしろ首長さん方にお願いした方がいいと思うんですけれども、これは是非とも私としてはまず第一歩としてやっていただきたいなと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

【小川部会長】  最後に、無藤委員、よろしくお願いいたします。

【無藤部会長代理】  私から感想程度なんですけれども、私は専ら、委員の皆様方の意見を聞きながらまとめることと、他の部会に関係しておりますので、そちらで反映できるものはしようということで参加してまいりました。この特別部会がスタートしたときに、非常に正直に言えば、ここまで具体的に詳細に多面的に実務的に出せるというところを予想しておりませんでしたので、そういう意味で、本当に会議がたくさんの回数開かれたというだけではなくて、建設的な方向で皆様方が御努力されたことに敬意を表したいと思っております。
 この間、私は学習指導要領改訂に関わったものですから、その普及といいますか、理解のためにいろいろな学校現場を回ってきましたけれども、特にこの働き方改革の中間報告が出たぐらいからこの問題への関心が非常に強くなってきて、特に管理職や教育委員会の方ですが、指導要領そのものよりはこちらの方に興味が行ったように思います。そのことのよしあしは両方あるので、指導要領を分かってくれなきゃ困ると言うと、「いや、忙しくてそれは勉強できない」と言われると大変困惑はするんですけれども、でも、冷静に考えれば、勉強できないようにしているのがいけないんだから、そちらが問題だということなんですけれども。
 同時に、カラーコピーの話ではありませんけれども、地域地域の財政力とか、あるいは「チーム学校」と言われても、どこにも地域に人がいないと言われると、それもそういうところもあるはずですので、そう気楽に言うなということもありました。そういう意味で、もう少し地方、地域、自治体ごとの対応を考える必要があるなというのが感想です。
 その上で、この報告自体ではないんですけれども、それを踏まえて今後というときに、中期的といっても私のイメージは四、五年先ぐらいまでにということなんですけれども、初中教育全体のグランドデザインを文科省としても考え、あるいは中教審としても考えるべき時期なのではないかと思うんです。ずっと私は特に小学校に関わることが多いので考えてまいりましたけれども、小学校の極めて伝統的な、伝統的というのは100年から数十年という伝統なんですけれども、だと、例えば給食とか掃除を子供と先生が一緒にやるのは当たり前なんですね。あるいは、休み時間に先生が休むなんて大体考えてなくて、それは子供と遊ぶだろうと。「二十四の瞳」みたいな昔のノスタルジー的な話ですけれども、でも、そのイメージがやっぱり今でも残っているわけなんですね。
 それは単なるイメージではなくて、そう考えてみると、2つの問題があると思うんです。1つは、教職というか、教師という仕事は何なんだということを日本の社会の今の現実の中で考え直す必要があります。非常に具体的に言えば、学習指導に対していわゆる広い意味での生徒指導、生活指導をどこまで受け持つのかというのを見直さないと今後やっていけないというのが1つです。
 もう一つは、小学校の在り方を考えるときに、やはり小学校・中学校全体の義務教育自体の見直しをもうちょっとちゃんとやらなければならない。既に義務教育学校はできてはおりますけれども、例えば小学校に教科の専科教員を入れていくということは、予算だけの問題ではなくて、小学校教育の在り方を見直さないといけなくなるわけです。要するに、伝統的には、小学校教育というのは、担任が全教科、全時間教えるということができていたわけです。だから、昔は二十何時間持とうと誰も気にしていなかったと思うんです。昔って、私が学生の頃だから50年前の話ですけどね。
 でも、それ以外の仕事が非常に増えてきて、非常に難しくなってきたとか、どなたかおっしゃったように、教育内容もかなり高度化してきたとか、あるいは50年前のやり方で今の中身を教えられないとか、プログラミングはどうする、英語どうする、そういう中でやはりもっと授業準備をちゃんとやらなければいけない、勉強しなければいけないという時期に来たわけです。そういう意味で、教科内容の高度化にこれまでの小学校のやり方は付いていけるのかということを含めて考える必要があります。
 それは私が今それをやめろと言っているわけではなくて、義務教育全体の9年間の教育、さらに、準義務教育としての高校教育まで含めての初中教育のグランドデザインをそろそろきちんと見直す必要がある。何となくそれがいろいろな事情の中でなし崩しと言うとよくないんですけれども、「チーム学校」にしても何にしても、少しずつ手直しをしてきたんですが、そろそろ全体を見直さないと、次の段階に行くのは非常に難しいなという、本当に感想なんですけれども、感じたところを申し上げました。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございました。きょうは最後の部会ということで、御出席いただいた委員の方全員に御発言いただきました。ありがとうございました。部会長として、最後の最後、大幅な加筆修正を求める意見が出たらどうしようと少し心配もしていたのですけれども、全ての委員から、基本的には答申への感想、期待、また、今後の取組に対する要望を主に意見としていただいたということで、きょう提案した答申案の中身については基本的に御了承いただいたというふうに部会長としては受け止めておりますけれども、それでよろしいでしょうか。

                            (「異議なし」の声あり)

【小川部会長】  ありがとうございます。御了承いただいたということで、この答申案につきましては、今後、来週予定されている初中分科会、そして、再来週の中教審総会において審議を頂きまして、答申として取りまとめていきたいと思います。
 また、上限ガイドラインにつきましては、これは文部科学省において策定するということになっておりますので、事務局として、今後、最後まで作業をよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 最後ということですので、部会長としてお礼と挨拶を一言させていただきたいと思います。委員の皆様には、2017年7月に特別部会の議論がスタートしてから約1年半という長期にわたりまして、合計21回にも及ぶ会合と、毎回予定の時間をオーバーするような闊達(かったつ)な議論を頂きまして、改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
 特別部会の設置というのは、御存じのとおり、2016年実施の教員勤務実態調査が直接の契機だったと思います。教員の長時間勤務については、10年前の勤務実態調査でも問題になっていましたが、その状況が一層深刻化しているということが明らかになったということ、また、政府全体の働き方改革の取組もありまして、学校における働き方改革が文部科学省にとっても待ったなしの最重要課題とされた状況であったと考えます。
 特別部会として、また、部会長個人としても、教員のこれまでの働き方を見直して、日々の生活の質、また、教職人生を豊かにすることで、教員が一層子供に寄り添い、より効果的な教育活動を行うことができるよう、教員の長時間勤務を解消し、学校における働き方改革を何としても進めるという強い決意でこれまで議論を進めてまいりました。
 ただ、皆様御承知のとおり、特別部会での議論というのは容易ではありませんでした。しかし、委員の皆様の御尽力もありまして、現在の諸事情、諸状況の下ででき得る限りの取組についてほとんど全てこの答申案に書き込むことができたのではないかと考えております。確かに答申案にも記載されているように、今後も引き続き検討すべき残された課題もありますけれども、今回の答申案に込められた働き方改革の理念や思いについては、教育関係者だけではなくて、保護者、地域住民など社会の各界各層の皆様にも広く共有していただき、未来を担う子供たちのために必要な教育活動に学校や教員が注力できるよう、それぞれの立場から取組を進めていっていただくことを強く願っています。
 また最後に、文科省におかれましては、今回の答申案を踏まえ、工程表にも示されたとおり、学校における働き方改革の取組をしっかりと進めていただくことを強く期待しております。
 以上、簡単ですが、部会長としてのお礼と挨拶とさせていただきます。
 最後に、文部科学省からも御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

【永山初等中等教育局長】  初中局長、永山でございます。平成29年6月に諮問させていただきましてから本日の答申案の作成に至りますまで約1年半という期間、委員の皆様方におかれましては合計21回にわたりまして精力的に御議論いただきました。本当にありがとうございました。
 本答申案におきましては、様々な方策について総合的に進めていくということを御提言いただいておりますけれども、その中でも私ども文部科学省の果たすべき役割は大変大きいということを改めて認識いたしてございます。例えば地域や保護者をはじめとした社会に対して、何が学校や教師の業務であるか明確なメッセージを発出する。あるいは、教育委員会の取組を調査・公表するなどの業務改善が自走する仕組み、こういったものを確立する。さらに、学校に新たな業務を求める場合のスクラップアンドビルドの徹底、教育委員会の取組を支える確実な条件整備、きょうも様々御意見いただきました。そういった事柄につきまして御提言いただいておりますとおり、学校と社会の連携の起点・つなぎ役としての機能を前面に立って果たせるよう尽力をしてまいりたいと思っております。
 今期の中央教育審議会における本部会は本日が最後になるかと存じますけれども、学校における働き方改革、これはまさにきょうもお話にありましたとおり、スタートでございます。これからが本番でございます。引き続き、委員の先生方の御指導を賜りながら取り組んでまいりたいと思います。どうぞ引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【小川部会長】  ありがとうございました。

  それでは、本日の特別部会はこれで閉会といたしたいと思います。1年半にわたって御審議、本当にありがとうございました。


  ―― 了 ――


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