学校における働き方改革特別部会(第20回) 議事録

1.日時

平成30年12月6日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

東海大学校友会館 三保の間 (東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビル35階)

3.議題

  1. 「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申素案)」について
  2. 「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)」について
  3. その他

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会
学校における働き方改革特別部会(第20回)
平成30年12月6日


【小川部会長】  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから20回目になりますけれども、学校における働き方改革特別部会を開始したいと思います。
 本日は、年明けの答申に向けた答申素案、及び本部会でもこれまで議論いただいておりました公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)について審議いただきたいと思います。
 最初に、本日の配付資料について事務局から説明をお願いいたします。

【鞠子財務課課長補佐】  まず冒頭でございますが、本日、局長の永山が国会の質疑対応のため席を空けてございますことをおわび申し上げます。
 それでは、配付資料の御確認でございます。お配りしております議事次第にございますとおり、机上には資料1及び資料2と参考資料1から4をお配りしております。また、12月4日に一部の教育学者の方等から働き方改革に関する文科省への要望書を頂いておりますので、机上に配付させていただいております。併せて、御参考までに前回までの配付資料を机上に置かせていただいております。
 過不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。

【小川部会長】  資料の確認よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事に入っていきたいと思います。本日の議題である答申素案及び公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)について、最初、事務局からまとめて説明をしていただきたいと思います。
 初中局財務課の合田課長よりお願いいたします。

【合田財務課長】  それでは、失礼いたします。資料の1でございますが、前回、答申骨子案で全体的な御議論を頂いたところでございます。それに加えまして、委員各位の御指摘等や部会長の御指示を踏まえまして、事務的に整理をさせていただいたのが資料の1の答申素案でございます。また、私ども文科省として、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインということで、(案)という形でお示しをさせていただいているのが資料の2でございます。この双方を一体的に手短に、駆け足になろうと存じますけれども、御説明をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、資料の1の、飛んでいただいて恐縮でございますが、3ページをご覧いただければと思います。本部会におきましては働き方改革の目的という御議論を頂いたところでございまして、3ページ目の1つ目の丸でございますけれども、我が国の学校教育が長い長い蓄積の中で高い成果を上げているという御議論を賜ったところでございます。
 その後、その具体的なデータ、それから4ページの一番下の丸にございますように、これらの成果というのはSociety5.0あるいはAIの飛躍的進化という時代でもなお有効、むしろ浮き足立つことなく、そのよさを引き出すことが必要だというこれまでの御議論を整理させていただいております。
 その上で、資料5ページの上から2つ目の丸でございますけれども、このように高い成果を上げているところでございますが、第一にという文章がございます。その4行目でございますが、このような高い成果が、教員勤務実態調査に示されている教師の長時間にわたる献身的な取組の結果によるものであるならば、持続可能であるとは言えない。「ブラック学校」といった印象的な言葉が独り歩きする中で、意欲と能力のある人材が教師を志さなくなり、我が国の学校教育の水準が低下することは子供たちにとっても我が国や社会にとってもあってはならないという基本的な本部会の考え方をお示し頂いているところでございます。
 その際、5ページの、細かい字で恐縮でございますが、注の12にございますように、これは社会全体として労働力人口が減少しているということも重要な背景であるという御指摘を頂いているところでございます。
 その上で、6ページでございますが、この働き方改革の目的といたしまして、上から2つ目の丸にございますように、さきの通常国会で成立をいたしました働き方改革推進法の趣旨を踏まえると同時に、その下の丸でございますが、教育基本法や学校教育法に定められた教育の目的や目標というものをしっかり踏まえていく必要があるという御議論を頂いたところでございます。
 7ページの1行目の後半でございますが、‘子供のためであればどんな長時間勤務も良しとする’という働き方は、教師という職の崇高な使命感から生まれるものであるが、その中で教師が疲弊していくのであれば、それは‘子供のため’にはならない。3行ほど後でございますが、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになることが学校における働き方改革の目的であり、そのことを常に原点としながら改革を進めていく必要があるという御議論を賜ったところでございます。
 その上で、9ページでございますが、第2章といたしまして、現状の分析と改革の実現に向けた方向性という御議論を賜ったところでございます。1つ目の丸の1つ目のポツが小学校、2つ目のポツが中学校・高校とございますように、学校種によって状況はかなり変わってございます。
 また、9ページの下の方の丸にございますように、この10年間で勤務時間が増加した原因、1つは若手教師の増加。それから10ページ目にわたりまして、4行目、2つ目が総授業時数の増加。そして3点目には、中学校における部活動の指導時間、教師が部活動に立ち会う時間の増加といったような背景を分析してございます。
 また、そのほかの分析の中で、11ページの下から5行目、6行目ほどでございますが、給特法の存在も相まって、教師の勤務時間を管理するという意識が学校の管理職や市町村教育委員会等においても希薄であったということを議論いただいたというふうに思っております。
 その上で、12ページから検討の視点と基本的な方向性という御議論を整理をさせていただいておりますが、13ページの下から3つ目の丸に丸1から丸5とございます。この基本的な方向性に沿って御議論を賜ったわけでございますが、さかのぼっていただいて恐縮でございますが、13ページの一番上の丸にございますように、本部会におきましては、その際、文部科学省の果たすべき責任は大きいという重要なポイントを御指摘を頂いたというふうに考えているところでございます。
 その上で、15ページを御覧いただきますと、勤務時間管理の徹底と働き方改革の促進ということでございます。15ページの1ポツのところは、教職員の勤務時間等に関する制度の現状ということで整理をさせていただいております。
 その上で、17ページの2ポツのガイドラインのところでございますが、具体的には、18ページの一番下の丸にございますように、今日、案としてお示しをさせていただいておりますガイドラインというものが策定をされたということで答申素案には記述を頂いているところでございます。
 大変恐縮でございますが、資料の2を御覧いただければというふうに存じております。このガイドラインでございますが、1枚目は趣旨でございますが、2枚目をおめくりを頂きますと、3ポツの勤務時間の上限の目安時間というところがございます。本ガイドラインにおいて対象となる勤務時間の考え方というところがございまして、その3行目、超勤4項目以外の業務が長時間化している実態ということを踏まえまして、今回のガイドラインにおいては在校等時間を外形的に把握するということで対象としてございます。
 具体的には、教師が校内に在校している在校時間を対象とすることを基本とする。それに自己研鑽の時間その他は自己申告に基づき除くと同時に、他方で校外における勤務につきましても、職務として行う研修ですとか、児童生徒の引率等の職務に従事している時間については、職務命令に基づくもの以外も含めて外形的に把握し、対象として合算する。
 その上で、そのページの一番下でございますが、上限の目安時間ということで、今回の働き方改革推進法と同様に、原則としては1日の勤務時間を超えた時間の1か月の合計が45時間を超えないようにする。それから、1年の合計が360時間を超えないようにするという目安を書いているところでございます。
 その次のページは特例的な扱いということでございまして、いじめなど、生徒指導上の重大事案の発生などがあった場合の特例的な扱いについて規定を記述しているところでございます。
 なお、最後のページを御覧いただきますと、留意事項というところがございます。(2)というところで、勤務時間管理につきましては、改正後の労働安全衛生法体系を踏まえまして、客観的な手法、タイムカードや電子計算機の使用時間の記録といったような客観的な方法により測定すること。それから(3)にございますように、本ガイドラインの実施に当たっては、休憩時間や休日の確保、それから一定の時間を超えた教師への医師の面接指導、それから退庁から登庁までに一定時間を確保すること、いわゆるインターバル、それからまとまった日数連続した休暇、相談窓口、産業医といったような留意事項が書かれているところでございます。
 その上で、大変恐縮でございますが、資料1の答申素案の19ページにお戻りいただければと思います。19ページにおきましては、上から6行目ほどに、上限ガイドラインの実効性を高めることが重要であり、文部科学省は、その根拠を法令上規定するなどの工夫を図り、学校現場で確実に遵守されるように取り組むべきであるという御指摘を頂いているところでございます。
 行ったり来たりして大変恐縮でございますが、資料1の一番最後のページを御覧いただければと存じます。本部会におきましては、今後の働き方改革のいわば段取りというものを明確に工程表のような形で示すべきだという御指摘も頂いているところでございますが、特に、この上限につきましては、上から3段目、上限を定める規則等というところがございます。一番左側に文部科学省のガイドライン検討、これが今御覧いただいているものでございますが、それが決定、通知とありまして、その隣に制度的工夫の検討とございます。
 これは先ほど御覧いただきましたように、法令上の根拠を持つというような御提言も中教審として頂くということを前提にいたしますと、事務的に考えますと、例えば、給特法に文部科学大臣が、このガイドラインを指針として定めるというような根拠規定を、法律上の根拠規定を置かせていただくということなどが考えられるんではないかと思っておりますけれども、そのことを前提に、私どもとして自治体に対して、この上限を教育委員会や人事委員会に規則等で定めるということをお願いをさせていただき、これは総務省が自治体に対してお願いしているのと同じでございますが、そのようなお願いをさせていただくとすると、2020年度からこの自治体において規則等で上限を規定するということで、この上限というものが実効性ある形で位置付けられていくというようなことが考えられるのではないかというような御議論を整理させていただいているところでございます。
 それから、20ページをお開きいただければと存じます。労働安全衛生管理についても本部会において御議論を賜ったところでございます。
 21ページの1つ目の丸、あるいは2つ目の丸に、御紹介は省かせていただきますが、我が国の学校におきましては学校の労働安全衛生管理というものが必ずしも十分でないという現状がございます。
 特に、21ページの一番下の丸でございますけれども、精神疾患による病気休職者の状況、あるいは志ある教師の過労死等が社会問題となっているという御議論がございました。一番下の行でございますが、志ある教師が、適切な勤務時間管理がなされていなかった中で勤務の長時間化を止めることが誰もできず、ついに過労死等に至ってしまう事態は、本人はもとより、その遺族又は家族にとって計り知れない苦痛であるとともに、児童生徒や学校にとっても大きな損失である。さらに、不幸にも過労死等が生じてしまった場合に、勤務実態が把握されていなかったことをもって、公務災害の認定に非常に多くの時間がかかり、遺族又は家族を一層苦しめてしまうような事例も報告されている。このような事態は決してあってはならないものという御議論を賜ったところでございます。
 先ほどのガイドラインでは、超勤4項目以外も含めて、具体の職務命令はないものの、校務として行う業務であるということを明確にし、これらを含めた在校等時間について上限を定め、時間管理を行い、業務の改善を行うということを主眼といたしているところでございます。このことはあってはならないことでございますが、万一不幸にして公務災害が生じた場合に、適切な公務災害認定を行う上でも極めて重要であるというふうに認識をしているところでございます。
 23ページを御覧いただければと思います。この労働安全衛生管理の問題、様々な課題がございますので、1つ目の丸の一番最後の3行でございますが、文部科学省として、全ての学校においてストレスチェックが実施されるよう教育委員会の実態を調査し、市区町村ごとにその実施状況を公表すべきである。あるいは23ページの下から3行目でございますが、産業医の選任義務がない規模の学校に関しては、教育委員会として産業医を選任し、教職員の健康の確保に努めるべきであるという、これまでの御議論を整理させていただいているところでございます。
 24ページを御覧いただければと思います。下ほどに5ポツとして働き方に関する意識改革というところがございます。特に24ページの下から2行目でございますが、管理職の登用の際には、「教師や子供たちにとって重要なリソースである時間を最も効果的に配分し、可能な限り短い在校等時間で教育の目標を達成する成果を挙げられるかどうかの能力や働き方改革への取組状況を適正に評価する」という、これまで必ずしも教育界では重視されてこなかったところでございますけれども、そのことをこの本部会の議論を踏まえて明確化をしているところでございます。
 27ページを御覧いただければと思います。第4章でございます。業務の明確化・適正化でございますが、昨年の中間まとめに引き続きまして、本部会におきましては、下から2つ目の丸にございますように、その業務が本当に学校が行うべきものなのか、どうなのか、教師が担うべきものなのか、どうなのか、教師が担うものであっても効率化できるものではないのかという観点から御議論いただいたところでございます。
 その上で、28ページの1つ目の丸でございますけれども、このことは決して社会に対して学校を閉ざしたり、内容を問わず一律にこれまでの業務を削減したりするものではない。教師や子供たちにとって重要なリソースである時間というものを、学校として子供たちの成長のために何を重視し、プライオリティーを置いて、どのように時間を配分するかという考え方を明確にし、地域や保護者に伝え、理解を得ることが求められるという、この業務の適正化・明確化の基本的な考え方をお示しを頂いたところでございます。
 その上で、28ページの下ほどの2ポツでございますが、これはいわば業務の適正化・明確化の総論部分というところでございます。総論部分の冒頭にありますのは、先ほど申し上げましたように、(1)として、まずはとにかく文部科学省が果たすべき責任は大きいという御議論を賜ったところでございます。
 28ページの下から4行目にありますように、働き方改革とは何なのか、その目的は何なのかということについての明確なメッセージを文部科学省として骨太に出していく必要があるということ。
 それから、28ページから29ページにかけまして、これから学校における働き方改革を進める上で、率直に申し上げますと、地域との、保護者との様々なコンフリクトが生じようかと思っております。その辺の文脈はもう少しまた整理をさせていただきたいと思っておりますが、そのコンフリクトの中で、文部科学省が、何が学校の業務であって、何が教師の職務であるのかということを明確にすることによって、言葉はちょっとこなれていませんけれども、いわばバッファとしての役割をこのコンフリクトの中でしっかり果たすようにという御議論を頂いたかというふうに思っております。
 また、29ページの6行目ほどでございますが、業務改善の取組状況調査も、やっていますか、やっていませんかというレベルではなくて、例えば勤務時間について実際どうだったのかということを把握し、公表していくということが求められる。あるいは文部科学省としても、これから学校に様々なお願いをするときには、スクラップ・アンド・ビルドの観点から、いわば予算のように査定をしていくという取組が必要だと。もとより、条件整備というのは何よりも大事だという御議論を頂いたところでございます。
 29ページ、下ほどの教育委員会等が取り組むべき方策のところにつきましては、特に30ページのちょうど中頃でございますが、学校の施設開放という観点で、教師の学校の働き方改革という観点から教育委員会ができることは大きいという御議論を頂いたところでございます。
 それから(3)でございますけれども、各学校が取り組むべき方策ということで、一部の教職員に業務が偏ることのないような校務の分担の見直しと同時に、これも細かい字で大変恐縮でございますが、30ページ注の61というところに、夏休み期間の高温時のプール指導、それから、勝利至上主義の下での早朝等勤務時間外に行う練習の指導、内発的な研究意欲がないにもかかわらず形式的に続けられる研究指定校としての業務、それから、地域や保護者の期待に過度に応えることを重視した運動会等の過剰な準備、本来家庭が担うべき休日の地域行事への参加の取りまとめや引率といったようなことにつきまして、大胆に見直し、あるいは削減をするということこそが大事だと。そのことのために文部科学省のバッファとしての役割を果たせという御議論を頂いたというふうに存じております。
 31ページでございますが、ここは業務の明確化・適正化のいわば各論でございますが、各論につきましては、昨年12月の中間まとめで相当御議論いただきました。14に業務を整理いたしまして、御議論いただいたところでございます。
 その具体論につきましては、別紙2といたしまして、58ページ以降に整理をさせていただいておりまして、この詳しい説明は省かせていただきますけれども、1点だけ、31ページにつきまして御説明をさせていただきますと、学校以外が担うべき業務と整理された業務、あるいは学校への過剰要求ということにつきまして、本部会におきましても、その際、非常に大事なのは、注の62、それから63にございます法的な整理ではないかという御指摘を頂いたところでございます。
 例えば、注62の裁判例におきましては、教師は放課後について全ての責任を負うものではないということ、あるいは注63の安全配慮義務におきましても、予見可能性がある場合に学校が責任を負うということは限られるということ。それから一番下でございますけれども、教師が責任を負う場合でも、保護者の監督義務が怠らなかったと認めることができない場合には、保護者も連帯して賠償を負うといったように、学校が負う法的責任というのは無限責任ではなくて、一定の法的な枠組みに基づく有限責任であるということを、またこれは私どもも社会や地域に対してもしっかりと言っていく必要があるというふうに考えているところでございます。
 33ページは学校が作成する計画等の見直し、それから、34ページは教育課程の編成・実施ということについて、これまでの議論を整理させていただいております。
 36ページでございますけれども、業務の明確化・適正化による在校等時間の縮減の目安という御議論を頂いたところでございます。
 これは、飛んでいただいて恐縮でございますが、72ページを御覧いただければと思います。先生方の働き方、本年9月に確定値を公表した勤務実態調査 におきましては、年間で申しますと相当な時間が勤務時間外として出ているわけでございますが、それも日々の先生方の働き方を組み替えることによって具体的な効果がある、そういう目安を持って引き算をしながら働き方改革を進めなければならないという御議論を頂いたところでございます。
 例えば、72ページは小学校でございますけれども、平均値で先生方、勤務時間よりも45分早くいらしているわけでございますが、このことは年間でいえば約150時間の時間外勤務につながっているわけでございます。
 (5)にございますように、統合型校務支援システムの活用というのは、私どもの事例でも比較的高く見積もっても平日30分ぐらいの勤務の縮減になるわけでございますが、これは年間で申すと約120時間ということになってまいります。
 73ページは中学校の取組でございますが、例えば(4)の部活動のところを御覧いただきますと、部活のガイドラインを遵守していただくということで、年間約120時間、勤務時間、超過勤務が圧縮されるわけでございます。さらに部活動指導員を活用することによって年間約160時間ということで、足し合わせますと都合約280時間減少されるということでございまして、このような形で、日々の活動と、それから年間で見たときの勤務時間というものを照らし合わせながら、具体的な引き算をしていく必要があるという御議論を頂いたところでございます。
 37ページでございますが、第5章というところでございまして、学校の組織運営体制についても御議論いただきました。
 例えば、40ページを御覧いただきますと、特に1つ目の丸にございますように、若手教師をどのように支援していくのかということが大きな重要なポイントだという御議論を賜っているところでございます。
 42ページを御覧いただければと思います。勤務時間制度の改革についても御議論いただいたところでございます。42ページの2つ目の丸にございますように、給特法の枠組みにつきまして、42ページの2つ目の丸の2行目でございますが、超勤4項目以外の業務につきましては自発的に勤務していると整理されてきた、こういうことのために勤務時間管理が不要であるとの認識が広がり、あるいは時間外勤務を抑制する動機付けを奪ってきたのではないかという御指摘、御議論を賜ったところでございます。
 43ページの1つ目の丸にございますように、これまでこの部会の御議論を整理させていただいておりますように、ガイドラインを定め、超勤4項目以外の業務についても在校等時間として把握をし、かつ、勤務時間の縮減を図っていくということが大きな方向性かと存じておりますけれども、その観点と、それから43ページの上から2つ目の丸にありますように、語彙、知識、概念がそれぞれ異なる子供たちに分かる授業を行っていくという先生方の専門性というものを掛け合わせて考えながら、この問題を議論する必要があるという御議論を賜ったかと存じます。
 43ページの一番下の丸でございますけれども、給特法に定める諸制度については、委員からも、下から3行目でございますが、給特法を見直した上で、36協定の締結あるいは上限設定、それから時間外勤務手当の支払いといったようなことを土台として議論してはどうかという御議論があったところでございます。
 それに対しまして、44ページの上から2行目でございますが、教師の職務の本質というものを考えると、教育の成果は必ずしも勤務時間の長さのみに基づくものではないのではないか、あるいは給特法だけではなくて、人確法によっても形作られている教師の勤務制度を考慮した場合、必ずしも教師の処遇改善につながらないのではないかという懸念が示されたというところでございます。
 その上で、その下の丸でございますが、超勤4項目以外の業務を減らすべく、教育関係者の意識が長時間勤務を是としたまま、直ちに現行の給特法に規定する超勤4項目を廃止する、あるいは36協定を要するとすることは現状を追認する結果となり、働き方改革につながらないのではないか。あるいは、臨機応変に対応しなければならない学校において、現実的に対応可能なのかといった観点を踏まえる必要がございます。
 あるいは、超勤4項目の項目を増やすということにつきましては、教師の主体的な研究や専門性の発揮を妨げる結果になる可能性も否めないという御議論を頂いたところでございます。
 したがいまして、その下の丸でございますが、まず、給特法の基本的な枠組みを前提とした上で、ガイドラインの下、勤務時間の圧縮を図っていくということを真正面から行っていくということが大事ではないか。
 その際、44ページの一番下の行でございますが、教職調整額が4%とされていることにつきましては、これらの取組をしっかり図りつつ、かつ45ページの上から4行目でございますが、教職員定数の改善をはじめ、条件整備などを徹底して行っていく中で検討していく中長期的な課題であるという御議論を賜っているところでございます。
 それから、一年単位の変形労働時間制でございます。これにつきましては、本部会におきましても、勤務時間圧縮、縮減の切り札でも何でもなく、45ページの、細かい字で恐縮でございますが、注の76にございますように、かつての先生方の夏のいわゆるまとめ取りのような形で、先生方が社会的な理解を得て、長期休業期間中にまとまった休みを確保できる方策という観点から御議論いただいたところでございます。もちろん、週休日の振り替えですとか、年休などといった形で現に実現している自治体もあるわけでございますが、一年単位の変形労働時間制を導入するとすれば、法改正が必要であるということもございますので、今回特に御議論いただいたということでございます。
 46ページにございますように、1行目のところに、学期中と、それから長期休業期間中に繁閑の差は実際にあるものの、その4行後でございますが、「ただし」ということで、平成18年の調査におきましても、夏休み期間中の先生方の勤務というのは埋まっているという状態がございます。そのような観点から、仮に一年単位の変形労働時間制を実施するに当たっては、46ページの真ん中の丸にございますように、部活動の在り方、部活動等の大会の在り方、あるいは研修の在り方ということについて、相当文部科学省が汗をかいて、休める環境を作っていく必要があるという御指摘を頂いたところでございます。
 もとより、46ページの一番下の丸にございますように、育児や介護といった個別の事情にきちんと配慮していくということも大事でございます。
 さらに、47ページの上から2行目にございますように、一年単位の変形労働時間制を導入することで、学期中の勤務が現在よりも長時間化し、かえって学期中一日一日の疲労が回復しない、教師の健康に深刻な影響を及ぼすことがあっては本末転倒であるという御指摘も賜ったところでございます。その数行後でございますが、段階的に全体として業務量を削減し、学期中の勤務が現在より長時間化しないようにした上で、自治体や学校の判断で導入することを検討してはどうかという御議論を頂いたところでございます。
 学期中の勤務が現在よりも長時間化しないようにというのは、すなわち、仮に月曜日の勤務を7時間45分から1時間増やして8時間45分としたとしても、例えば、そのことによって、遅い時間、例えば17時から会議をしましょうということですとか、1時間増えたのだからコマを1つ増やしましょうということはやめて、そのことによって、かえって勤務の状況が長時間化しないようにするということが必要で、これは政府全体として議論しております勤務間インターバルの議論も参考にしながら制度設計をさせていただく必要があると思っております。
 ちなみに、先ほど御覧いただきましたこの資料の一番最後の工程表におきましても、中教審の議論を整理させていただいておりまして、一年単位の変形労働時間制、下から2つ目の箱でございますけれども、これは規則等で上限が定められる2020年度の取組を踏まえた上で、2021年度から実施できるようにしっかりと段取りを持ってしていくべきではないかという御指摘を頂いているところでございます。
 48ページを御覧いただければというふうに存じます。環境整備という御議論でございます。1つ目は、48ページの1ポツは条件整備でございまして、49ページに条件整備の様々なメニューを書かせていただいております。時あたかも平成31年度予算編成の、今、予算の折衝の山場でございますが、引き続きしっかりと予算確保に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 それから、51ページを御覧いただければと思います。本部会におきましても、働き方改革をこの工程表にお示しいただいたような形で進めるに当たっては、今後さらに検討を要する事項があるという御議論を頂いているところでございます。上から2つ目の丸でございますが、例えば、小学校における教科担任制の充実、それから年間授業時数や標準的な授業時間等の在り方を含む教育課程の在り方の見直し。それから、免許更新制の実質化を含む養成・免許・採用・研修全般にわたる改善・見直し、それから新しいテクノロジーの学校への活用、導入。
 それから、52ページにありますように、小規模校の在り方の検討。それから、地方公共団体の人事委員会等の効果的な活用方策の検討といったようなことでございまして、これは勝手なお願いで恐縮でございますが、次期中教審の大きなテーマということでまた議論を深めていただければ幸いに存じてございます。
 53ページ、最後でございますが、第8章ということでございまして、1つ目の丸には工程表ということで、このような工程表を中教審としてお示しをいただくということはなかなか例のないことでございますが、誤りなくその段取りをしっかりと踏んでいくようにという御指示を頂いたかというふうに存じております。
 53ページの一番下の丸でございますが、この働き方改革がいわば自走する仕組みが大事であるという御指摘も本部会で頂いたところでございます。進捗状況の市町村ごとの把握や公表といったようなことをしっかり取り組ませていただきたいと思っております。
 なお、その際には、これらの公表などが、自走する仕組みがこの部会でもいわば懲罰的なものではなくて、どのような取組や工夫がどこに反映されているのかということを総合マネジメントという観点で理解され、横展開していくような観点も大事だという御指摘も頂いておりまして、さらに答申に向けて御指摘を賜れればというふうに思っております。
 54ページの1つ目の丸にございますように、3年後をめどに勤務実態の調査というものを行うということで、先生方の働き方の状況というものをより短いインターバルで把握し、改善をしていくという観点が大事だというふうに思っております。
 最後に、54ページの下2つの丸につきましては、先生方から今回の働き方改革というのは何よりも地域や保護者あるいは国民の方々に御理解を頂いて前に進めるということが大事だという観点から、中教審として国民に対するメッセージを出したいという御指摘を踏まえて、整理をさせていただいたものでございます。これまでの中教審の先生方の議論のいわば思いというか、メッセージというふうに御理解を頂ければと存じます。
 大変駆け足で恐縮でございますが、答申素案と上限ガイドライン(案)についての概要は以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございました。それでは、今、説明いただきました答申素案、そして上限ガイドライン(案)について、これから議論を進めていきたいと思います。
 答申素案はこれまでの本部会などでの審議を基に作成してきておりますけれども、あくまで素案の段階でありますので、皆様から率直な御意見を頂きまして、よりよい答申内容にしていきたいと思います。御審議よろしくお願いしたいと思います。
 また、上限ガイドライン(案)については、これまでの本部会での議論を文部科学省の方で形にしていただいたものでございます。
 それでは、議論を進めていくに当たって、次のような進め方をさせていただければと思います。2つのパーツに分けてそれぞれを議論し、最後に全体を通した議論という、そういう進め方で行っていきたいと思います。
 そして、上限ガイドライン(案)については、これは答申素案の第3章に記載されていますので、最初のパーツは第1章から第4章そして上限ガイドライン(案)、これを1つのパーツにして大体40分ぐらい意見交換をし、その後、第5章から第8章について30分程度、そして残りの時間を全体を通じて、また改めて御意見をお聞きしたいという、そういう進め方をさせていただければと思います。
 それでは早速、最初の答申素案の第1章から第4章、上限ガイドライン(案)を含めて、どなたからでも構いませんので、御意見を頂ければと思います。なお、恐縮ですけれども、発言の際には名札を立てていただくことと、あと、多くの委員から発言あると思いますので、お一人の発言1回5分以内に収めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、御意見賜りたいと思います。どなたからでも構いません。いかがでしょうか。佐古委員の方からお願いします。

【佐古委員】  ありがとうございました。非常に丁寧に議論を集約していただいたと思いますが、言葉の問題で違和感を感じましたのは、文部科学省の役割をバッファというふうに表現されているところでございます。バッファという言葉を使うと、主に動くのは学校・教育委員会で、その間に立って少し緩衝的な役割をするようなニュアンスを感じます。むしろ文部科学省は、この中にもありますように、働き方改革の一方の主役ですので、主体的・能動的な役割を示す言葉に変えていただきたいと思います。どんな言葉がいいかというのは今分からないんですけれども、そういう方向でさらに検討をお願いしたいと思います。
 その際、私、働き方改革について、市町の教育長さんも関心を持たれていまして、意見交換をすることがあるんですけれども、例えば、学校が果たすべき役割を明確にしていくことは、それを学校で推進するということについては難しいと。つまり、登下校指導を学校でやるのか、地域でやるのかということを学校が保護者と議論するということになると、とてもこれは乗り切れない。むしろ明確に文部科学省からの指針というものを国民に対して、あるいは教育委員会、保護者に対して伝えていただくことが必要である。
 さらに言うと、幾つかのアンケートでは保護者は、ここで議論しているほど学校の先生方が多忙であることを認識しているわけではありませんので、むしろ学校の先生の現状を正確に伝えていただくことから始めて、教育委員会・学校と地域・保護者が話し合うテーブルに着けるような、そういう役割を文科省には積極的に果たしていただきたいというふうに思っております。
 それから、ガイドラインのことなんですけれども、時間数を決めるとすれば、これぐらいの時間、この時間数しかないと思うんですけれども、問題は、この時間数をガイドラインに示して、学校が遵守できるかどうかということになるかと思います。それに関して、72ページで削減すべき時間の目安というのがあるのですけれども、恐らくこれを全部クリアしてこのガイドラインの時間に収まるような考え方ではないかと思うのですけれども、学校がこれ全部クリアしていくというのは果たして可能なのかというのが疑問です。
 ですから、ガイドラインの時間数を示して、削減の目安を示すということも、もちろん意義あることだと思いますが、その削減の目安を実現するためにはどうすればよいのかという、さらに一歩進んだストーリーがあっていいんじゃないかと思います。
 例えば、削減の目安のメニュー全てを一斉にやることは難しいと思いますので、少なくとも学校の教職員の登下校の時間、つまり、学校が開く時間と閉める時間を明確に決めてもらうというようなことから徹底していくということを例示していくことは、非常に有効な方法ではないかと思いますので、例えば、そういうものを明確に記載して、取り組みやすいように方向付けるようなことがあってもいいのではないかなと思っております。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。善積委員、妹尾委員、稲継委員、相原委員の順にお願いします。

【善積委員】
 1章から4章の中ということで、まず申し上げたいことなんですが、例えば、23ページの労働安全衛生管理の充実の方策というところなんですけれども、2つ目の丸の下から3行目、「学校の管理職は、職場におけるハラスメントの防止や相談しやすい職場環境の整備など、各学校において必要な対策を講じていくべきである」と書かれているんですが、ハラスメントなどコンプライアンス系の対策を学校単体だけで作るというのはかなり難しいというふうに思います。このあたりは教育委員会単位がきちんときちんと責任を持って、教職員であったり、マネジメントである管理職の方に研修をされて、一定の管理というか、目の行き届くマネジメントされるということを目指されないと、これで学校にすごく負担が掛かってしまうような印象があってよくないなというふうに思いましたので、そのことを書き加えていただけないかというのが1点です。
 それから、25ページでございますけれども、教職員一人一人の働き方に対する意識改革の中で、25の2つ目の丸です。人事評価とか、短時間で成果を上げた教師に高い評価を付与するという表現が入っております。これは、目標とする教師像というのがないと、評価は難しいと思います。どういう教職員、各教科の教え方という意味では多分なくて、もちろんそれもセットかもしれないんですが、私そこはよく分からないんですが、仕事の仕方や組織運営への関わり方、ほかの教員や事務職員との連携やサポートという部分がどんなふうにできている先生を目指してほしいということを、若い先生やこれから教職を目指す人に伝えていくというところが、多分、長い目で見て業務改善としてすごく大事なプロセスだと思っています。
 そういう意味では、今すぐ教師像という言葉で規定するのは難しく、これからかもしれないですが、ある程度、この働き方特別部会として目指したい教師像、教師としてこういう働き方、こういう意識、こういう目配りとか、こういう子供に対する時間の掛け方ができるといいですねというような、そういうメッセージができるといいんじゃないかなと思いました。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。妹尾委員、どうぞ。

【妹尾委員】  ありがとうございます。大変具体的に書き込んでいただいているので、すごくいいなと思うんですけれども、さらに充実させるにはという観点で幾つかコメントしたいと思います。
 私の方は最後の資料で参考資料4というのを御用意をしておりますので、5分で言い切れないところはまた後で読んでおいていただければという感じです。これ作るのも結構時間がかかるんですけど、かかった時間で評価はしてはいけないという働き方改革の趣旨もありますので、よろしいかなと思います。
 ちょっと順番が前後しますけど、私のペーパーの最後9ページ、上限ガイドライン、これは今回の目玉の1つではないかなと思います。非常にこれ大事だと思いますし、年間360時間というのは非常に高いハードルであろうと思っております。
 そういったときに、例外的なところである臨時的な特別な事情というのが拡大解釈されるようになっては元も子もないというところがあると思いますから、例えば、部活の大会だとか行事の準備があるからといって、臨時的な場合でしょうというようなことはやめていただきたいなと思います。このあたりはガイドラインに書き込めないかもしれませんけれども、Q&Aなり、何らかの形で是非文部科学省さんは検討されて、周知をしていただけるようにお願いいたしますというのが1つ目です。
 次に、1ページ目に戻っていただければと思いますが、読み飛ばしますので、真ん中から下の方です。10ページ目の部活動についてです。私、きのうも文化庁のガイドラインを作るところの検討をやっておりましたけれども、文部科学省さんの教員勤務実態調査の分析レポート、青木先生も関わられていた、あれによりますと、土日の活動の時間が増えている。しかも0時間の人が減っているということが大きな要因なんですね。
 そういったエビデンスを基にしますと、ここは一部推測も含まれますけれども、少子化の割には部活の数がまだそれほど減っていないとか、旧来、土日やっていなかった教師も顧問でかなりさせられているという、させられているというのか、しているというのか、ちょっとあれですけれども、そういった事実があるんだろうなと思います。このあたり、スポーツ庁さん、文化庁さんも協力していただいて、よく実態把握とか分析をしていただいて、対策を考えないといけないと思います。
 こういった事実認識を基にするならば、次の2ページ目ですけれども、部活動改革は後の14業務の中の各論ではありますが、これは非常に大きな話なので申し上げておきますと、休養日の設定だとかだけではなくて、部活数そのものの見直しというのを、一部の地域を含めまして、余計真剣に考えないといけないということが導かれると思いますので、このあたりは是非今後もお願いしたいと思います。
 次、読み飛ばしていただきまして、2ページ目の真ん中の下、13、14と書いてあるところなんですが、今回、公立小中のデータが充実していますし、この小中の長時間労働が非常に深刻ですので、ここを中心に話をするというのは何も異存ないわけなんですが、高校とかほかのところ、私立学校等々につきましても非常に長時間労働は深刻でございます。これは言うまでもないことですが。ですから、ここも、給特法とかは私立学校などは全然関係ないわけなんですけれども、それ以外については、高校とか私立もこの答申を踏まえてどんどん改革してくれというメッセージは強く打ち出すべきだろうと思います。
 後でも書きましたけれども、国公立、私立問わず、高校の成績処理とか進路指導の負担、eポートフォリオとか入試対策を含めて、そのあたりの負担がどんどん今増していますので、このままこれは放置しては大変なことになるというふうに思いますから、このあたりももっと真剣に打ち出していただきたいなと思います。
 次の2ページ目の下の方ですが、これは佐古先生もおっしゃったとおり、登下校の時間は周知せよぐらいだけでは事態は改善しないと思いますから、もうちょっとこのあたりもよく考える必要がある。文科省さんも何かキャンペーンするなり、あるいは現実的には朝のスタッフを入れていくぐらいの気持ちがないと、恐らく、遅らせてくださいだけでは無理だろうと思います。
 3ページ目です。3ページ目も上半分は、大事なんですが、飛ばしますけれども、23、24と書いてあるところなんですが、メンタルヘルスとか労働安全衛生対策につきましては、最低限の法令上の義務を守ってねというトーンなんですけれども、これはもちろん大事で、第一歩ですが、恐らくそれだけで改善しているんだったら、今ほど事態は悪化していないだろうと思います。過労死、過労自殺まであるわけですから、しっかりこのストレスチェックなんかも個人に返しておしまいではなくて、個人情報にちゃんと配慮した上でしっかり国も分析していただきたいと思います。
 なかなか教育委員会さんでここまで分析するという余裕が多分ないという部分もあると思いますから、エビデンスベーストポリシーメーキングと言っているんだったら、こういうことからやっていただきたいと思っております。
 あと、養護教員の負担軽減はほとんど触れられていないんですが、ここがないと、身近で気付ける人はやはり養護教員とか事務職員さんとか、もちろん管理職とか、いろいろそういうところも大事ですので、是非こういうところも配慮していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 次のページです。4ページ目ですけれども、真ん中のあたり、バッファの話なんですが、これは佐古先生の御意見も非常に参考になりますし、あと、私はちょっと懸念しているのは、太字のところに書きましたけれども、もちろん文科省さんはどんどん頑張っていただきたいとは思っていますが、一方で、国の方針とか通知を待って行動するという受動的な教育委員会が多いとすれば、それは大きな反省点だと思いますので、バッファにまずはなるべきは教育委員会であろうと思います。このあたりはきちっと確認した上で、文科省さんも頑張っていただきたいけれども、文科省の通知とか中教審の何とかがなくたって、がんがんやっていただきたい。このあたりは大事にしていただきたいなと思います。
 そことも関係しますが、4ページの一番下ですが、注釈の61の大胆な業務の見直し等々は、これは大事な指摘ですので、本文に特出しするなり、がんがん学校に言っていただきたいなと思います。
 5ページ目ですけれども、これは吉田町のある例なんですが、各学校でも、やめる、かえる、減らすということで、いろんな動きが今起ころうとしています。こういった動きをどんどん広げていく。文科省、教育委員会待たずしてもこういうこともできる。もちろん教育委員会がサポートはしているんですけれども、こういったことも是非大事にしていただきたいと思います。
 安全配慮義務については、読んでいただければ多分分かると思いますので、非常に大事なんですが、また後で読んでおいていただければと思います。
 それから次のページ、これも大事なんですが、大体言いましたので、いいかなと思います。
 ということで、これで5分になりましたので、以上としたいと思います。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 委員の方から答申内容についての修正意見とか、さらなる加筆等々の要望が出ているのですけれども、これについては、今日、本来であれば、重要な御意見とか御指摘については事務局から、どう考えているかということをこの場でお聞きするのがよいのかもしれませんけれども、今日は時間がありませんし、そういう意見については全て私と事務局の方で相談して、最後の最終答申にどう盛り込めるかということを検討させていただくということをお約束して、この場での事務局からの説明は今回は省かせていただきます。時間がありませんので、そのように扱わせてください。
 それでは、稲継先生、よろしくお願いします。

【稲継委員】  ありがとうございます。非常にきれいにまとめていただいているかと思います。ただ、1点、内容についてと、1点、形式面についてちょっと御意見を申し上げたいと思います。
 31ページの脚注の62とか63のあたりですけれども、非常に重要なことが書き込まれていて、いいかと思います。ただ、学校の先生にとっては逃げ場がないところをこういう判例が救っている部分もあるので、これは是非本文の方にも書いていただいた方が私はいいのかなというふうに思いました。これが内容面です。
 形式面なんですけれども、私が博士課程の院生とか修士課程の院生を指導するときに、1つの文章は大体150文字か200文字ぐらいにしないと、主語と述語が分からなくなるよというふうに常に指導しております。これは大部分のアカデミックライティングの教科書でもそう書かれているんですね。
 ところが、霞が関というのは官庁文学があるところで、長くても何とか読みなさい、こういう訓練がなされているところであります。この文章の報告書の名宛人が誰かと考えますと、役所の人だけでなくて、学校現場の人もそうですし、最後に国民に宛てたメッセージもありましたので、できるだけ1つの文章を区切っていただきたいなというところが多々ございます。
 幾つか申し上げます。7ページの一番最後の段落の文章、「このように」のところですね。
 それから20ページの、これも一番最後の段落の文章です。
 それから24ページにも、一番最後の段落の「そのために」のところから、次のページの1段落目まで続いている文章があります。
 28ページの一番最後から29ページの上にかけての段落です。「たり」「たり」というのを付けておられますけれども、主語と述語がよく分からないところがあります。
 32ページで、これも一番最後の丸ですけれども、全部で10行が1つの文章、400文字が1つの文章になっていて、これは主語と述語が分からない状態になっています。これも是非修正していただきたいと思います。
 あと36ページにも、一番最後の文章が、「文部科学省」が先頭にある文章ですけど、ここも非常に長くなっていますので、一般の国民にはなかなか理解しがたい。このあたりのところの修文を是非お願いしたいと思います。
 以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございます。今の指摘は、事務局と相談しながら読みやすい文章に直したいと思います。

【稲継委員】  1点追加で、ガイドラインの趣旨の3段落目、「教師の業務負担の軽減を図り」という文章も、かなり苦労しないと理解できない述語関係になっていますので、よろしくお願いします。

【小川部会長】  ありがとうございます。相原委員、どうぞ。

【相原委員】  ありがとうございます。勤務時間の上限に関するガイドラインの関係です。資料2も含めて、精力的な書き込みがなされていることを前向きに評価したいと思います。
 合田課長がパッケージの工程表を御説明される際に、この上限の取り扱いについて、法令上の根拠も含め、給特法に指針としてガイドラインを備えるというお話を頂いたところです。確実に実施することが重要だと考えます。妹尾さんからも今回の目玉という話がありましたが、上限をしっかり定める、ガイドラインという緩いものではなく、しっかり背景を持つということについて共通の理解に立つというのは大変重要だと、重ねて申し上げておきたいと思います。
 2つ目が個別のお願いになりますけれども、19ページに、今、申し上げた法令上の根拠を持った、ガイドラインをしっかり推し進める観点から1点、お願いしたいと思います。
 19ページの上から2つ目の段落のところに上限ガイドラインの実効性を高めることが重要であるとあります。これの最後に短い時間を記録に残す、また、残させたりすることがあってはならないという現実のところを踏まえて記載いただきましたので、大変踏み込んだ表現でいいかなと思っています。
 さらに、これまで以上にこのガイドラインの実効性を高める観点からすると、人事委員会がこれまで以上に、労働基準監督機関としての職権を行使できるようにすることも重要だと思っておりまして、その点の追記が可能かどうか、御検討いただきたいと思います。
 2点目は20ページのところです。部活動の関係です。1つ目の丸のところの2つ目の段落に、「こうした取組に加え」、総合的なガイドライン云々とあります。部活動のガイドラインがしっかり遵守されている学校も少なくありません。努力があるということですので、部活動のガイドラインを遵守している学校には部活動指導員を重点的に配置するなど、めり張りの付いた対応というのも重要ですので、これも追記の可能性について御検討いただきたいと思っています。
 最後になりますけれども、21ページの一番下の丸から、教師の過労死の社会問題について、22ページまでかけて相当の分量をもって記載されています。現実を見据えた表現だと理解します。
 一方で、私たちが思いを持って文字に落としても、文字に落とし切れない、尽くし切れない現実があるのも、これまた一方で事実です。したがって、第5章のところで発言させていただきますが、ここにこれだけのことを記載したのであれば、二度と起こさない対策を確実に徹底していく必要があります。この点から、第5章が充分か後ほど確認したいと思います。

【小川部会長】  ありがとうございます。天笠委員、どうぞ。

【天笠委員】  失礼いたします。全体としては我々の、僕もこの間申し上げてきたことがよくすくい上げられている、拾い上げられ、そして、こういう形で整理されているというふうに、全体的には評価することができるんじゃないかというのがまず第1の点であります。
 その上で、9ページから10、11、12というところなんですけれども、要するに、このところはなぜ長時間になっているのかということについての要因を挙げて、そして分析をしているという、こういう箇所であるわけで、ここあたりのところの整理の仕方というのがその後の章立てに大きく関わってくる。
 もう少し別の言い方をすると、その後の章立てと、ここで要因として挙げられたことが向かい合っているかどうかというあたりが、構造化されているかどうかということをもう一度、あと、全体を通したときに点検というか、チェックしていただければという、こういうことなんですけれども、まず、ここを見ますと、勤務実態調査で3つの点に原因があるんだという、そういうことを言い、さらに云々ということで、要因としてそれぞれ挙がっているんですけれども、その以下の要因というのが、我々の言ったことを羅列的に順番にでも並べてあるという、決してそういうことではないと思っていますけれども、もう少しこのあたりのところを構造化したり、丁寧に押さえて、後の章との関係でここのところを見合わせてみるということですけども、こういう観点というのは1つどうなのかなと思うんですけれども、学校の慣習、慣行というんでしょうか、学校というのが慣習法とか慣行で動いているんだという、そういう研究の成果等々も既に大変有名な研究もあるわけなんですけれども、言うならば、学校というのは長年の慣習、慣行の中で事柄が動いてきて、今回はそのあたりのところにメスを入れようというのが我々の立場ではないかというふうに思いますので、文章それぞれの中にはそういうニュアンスが限りなく出ているというふうに受け止めているんです、それぞれの箇所にですね。改めて学校の慣習とか慣行という存在というんでしょうか、そのところを見直していくということが必要なんだという、そういうことではないかというのが私の捉える立場ではないかと思います。
 そういう点で、12ページから13ページにかけて、勤務時間の調整というのが、先生方自身の見直しに留まるものではないんだと。やっぱり生徒とか大きな環境とか、そういうものが変わっていくんだという、変えなければいけないなんだって、その趣旨は大変よく分かりますし、また了解もするところなんですけれども、もう少し言うならば、先生、教職員個人として受け止めなければいけないところと、学校として受け止めなければいけないことと、行政として受け止めなければならないことと、それぞれがそれぞれとしてあるというふうに、そういうメッセージの展開の仕方とか記述の仕方もあるように思います。
 という意味において、教師、学校、行政、委員会等の相互の絡みと、それぞれがそれぞれとして受け止めなければいけないこと、意識改革というのはどこのことを言っているのかとか、そういうあたりのところをもう少し明確にしていった場合に、このあたりのところは、先ほどの御指摘にも関わってくるんですけれども、「が」という言葉は余り使わない方が、基本的にはこういう文書を作っていくときに押さえておくべき基礎じゃないかと思うんです。先生方の、個人個人だけのそれではないんだという意味合いがこの中には含まれているわけですけど、申し上げたようなところからすると、このあたりのところについての文書の精査も併せて御検討いただくとよろしいかなと思います。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。清原委員、どうぞ。

【清原委員】  ありがとうございます。清原です。私も私たちの意見をきめ細かく隅々に反映していただいている素案がまとまったことに感謝します。大きく3点申し上げます。
 まず1点目は、21ページの、先ほど相原委員も御指摘された最後の丸の部分です。「志ある教師の過労死等が社会問題になっている」と。このことについて、まさに、本人はもとより、遺族又は家族に計り知れない苦痛を与えてしまったと。
 私は、この部分は、私たちが働き方改革を考えていくときの重要な要素の1つだと思っておりまして、この「労働安全衛生」の部分に置くのではなくて、私は最初の「働き方改革の目的」のところに位置付けていただきたいという思いがあります。
 すなわち、働き方改革を学校において考える上で、やはり尊い命が二度とこの形で失われたくない、あるいは場合によって、教師の過労によって、子供たちのいじめ等が見過ごされたりしてはいけないわけですから、「学校現場の命を守るという使命を果たすために、学校における働き方改革をするのだ」ということが冒頭の方に入ったら望ましいなと考えたのが1点です。
 2点目につきましては、「公立学校の教師の勤務時間に関するガイドライン(案)」についておまとめいただきまして、私はこの4ページは大変重要だと思っています。特に、まずは数値も大事なんですけれども、「3.勤務時間の上限の目安時間」の(3)に「特例的な扱い」として、「児童生徒等に係る臨時的な特別の事情により勤務せざるを得ない場合について」も付記している点です。先ほど申し上げました、例えば、あってはいけないことですが、いじめとか、事故とか、いろんなことが学校現場にはありますが、そういう特別な事情のときにちゅうちょなく対応するということも重要で、しかしながら、その際も(勤務時間について)配慮をするということが書かれたということは有意義だと思います。
 併せて、5番目に留意事項が列挙されておりまして、これらも大変極めて重要な内容でございます。ガイドラインの目安ができたのならば、それをまさに実効性あるものにすることが重要です。
 そこで、本文のところに、19ページのところでございますが、「上限ガイドラインの実効性を高めることが重要であり、文部科学省は、その根拠を法令上規定するなどの工夫を図り」等々書かれている部分があります。その直後に、「文部科学省には、この上限ガイドラインの策定は、学校における働き方改革に関する文部科学省の職責の始点であり」と、しかもこれを「PDCAサイクルを展開して、次の施策へ展開していく責任があることの自覚を求めたい」とありまして、まさに、文部科学省の責務が働き方改革の中で明記されている重要な部分だと思います。
 そうであるならば、先ほど何人かの委員の方がおっしゃいましたように、バッファという言葉のところだけが目立ってはいけないと。幾つかのところで文部科学省の責任について明確に触れているところもあります。
 例えば28ページにも、「業務の役割分担・適正化を着実に実行するための仕組みの構築」に、「(1)文部科学省が取り組むべき方策」と明確に示しているわけです。したがって、職責としてしっかり果たす部分がより明確になるとともに、当然、より幅広い国民・市民の皆様に御理解いただくときに、文部科学省と教育委員会と学校が協働して取り組んでいくのだという方向性の方がよくて、バッファというと、よっぽど学校と社会にあつれきがあって、それを何かショックアブソーバーの機能を出さないとだめみたいになってしまうので、私は国民・市民を信じておりますので、是非、教育委員会の主たる責任は明記するとともに、私も何か表現に工夫していただければありがたいなと、このように感じました。
 最後に、先ほど30ページ・31ページの注釈について、是非本文にという御意見もありまして、私も大変意義ある内容だなと考えております。もちろん本文がよりシンプルで分かりやすくなっていくということも重要なのですが、法律を作って働き方改革を保障していく部分もありますが、現行の法律をきちんと理解して働き方改革を進めていく際の教員の過剰な負担を軽減していくという方向も両面必要だと思いまして、政策法務的にこの注釈の62は極めて重要な記述かと思い、全てを本文に入れる必要はないかもしれませんが、もう少し法律を作る部分と現行の法律をきちんと理解する部分とが明記されればよいなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。

【小川部会長】  ありがとうございます。では、青木委員、どうぞ。

【青木委員】  ありがとうございます。3点申し上げます。
 11ページはコメントです。給特法の存在を前提として、現在においては教師の勤務時間を管理するという意識が各主体において希薄になったという認識をはっきり書いていただいているので、これは非常に重要なことだなと思っています。恐らくは今後、マネジャーとしての学校の管理職や管理機関としての教育委員会がこういったことをしっかり意識する必要があるということが敷衍されると思います。
 それに関わって、ガイドラインでも3のところの「勤務時間の考え方」について、非常に重要なことが書かれていると思います。これは給特法の運用をしっかりしていくということと、それから、仕組みも必要な部分について改めていくということが書かれていることを意味しますので、非常に重要だなと思います。
 それから2点目ですが、これは加筆のお願いでして、24ページから始まる「意識改革」に関わるところで、もしかしたら別のところに落ち着くのかもしれませんが、学校と地域、あるいは家庭をつなぐ存在として、PTAですとか、学校運営協議会ですとか、その他、多々仕組みがあるわけですが、こういったところに学校の働き方改革に関わる意識改革を促すというためにそういうなかで実績があるような主体には表彰をしてみるということも書いてはいかがかと思います。
 それから、32ページです。これも加筆のお願いなんですが、40ページを見ますと、若手教員向けにホームページ、ウェブサイトを作成ということが書いてありますので、最初のポツの関係省庁に対しての要請と書いてありますが、要請するだけではなくて、文部科学省が責任を持って、こういった情報の集約機能を発揮するというのがやはり必要ではないかなと思います。ポータルサイトのようなものが必要ではないかなと思います。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。川田委員、どうぞ。

【川田委員】  私は、答申素案につきましては、これまでの議論の内容を反映していただいていると思います。やや細かいところで1点と、あと、それから資料2のガイドライン案について幾つか述べたいと思います。
 まず、答申素案の方ですが、これは既にほかの委員からも御指摘がありました21ページから22ページに掛けての、いわゆる過労死など長時間労働による健康被害の問題の指摘とその後の流れについてで、ここでの問題提起を全体としてどう受け止めていくかということが重要だということは、相原委員がおっしゃっていたとおりだと思います。
 その上で、私からはやや細かいことになるのですが、その中に出てくる勤務実態が把握されていないことが労災認定の場面で不利益を生じてしまう問題について、ここからの流れの中で、問題提起に対する答えが必ずしも十分に分かりやすく示されていないようにも思われます。
 先ほど御説明の中にありましたように、例えばガイドラインで勤務時間を管理するということがその問題の解決につながるようなことなどが言えるかと思いますので、そのあたりをもう少し明確に示すということも検討されていいかというのがこの部分についてのコメントです。
 それから、ガイドラインについては幾つかありますが、ガイドラインそのものについての意見というよりは、その細則とか運用方法についての意見、コメントということになるかと思います。1つは、資料2の2ページのところの真ん中あたり、(1)の「勤務時間の考え方」というところの2段落目で、ガイドラインで対象とする時間については在校時間を基本とし、自己研さん、その他の業務外の時間については、自己申告に基づき除くということで、基本的に在校時間を対象とすることによって極力外形的に把握していくという考え方は適切なものだと思います。
 ただ、その一方で、除外する時間の考え方については、そもそも業務に関わる時間と業務に当たらない自己研さんというものを明確に区別することが難しい場合が多いだろうというのがガイドラインを作る、あるいはその際のベースに外形的に把握しやすい在校時間のようなものを置くというところのそもそもの出発点であろうと思いますので、どちらとも言えそうなものについては、基本的には除外対象には含まれないもの、明白に業務外と言えるようなものに除外の対象を限定していくということが必要なのかと思います。
  また、いずれにしても、対象とする時間と除外する時間の区別についての考え方をどこかで明確に、かつ具体的に示していくということが重要だと思います。
 次に、同じページの下の方の(2)の「上限の目安時間」というところについて、この部分は恐らく働き方改革法で改正された労働基準法の中身を原点にしているところですが、一部、労働基準法と異なる扱いになっています。例えば労働基準法の場合には問題になるのが法定の時間外労働ですが、ガイドライン案では条例で定めている、民間企業であれば、所定労働時間に当たるようなものをベースにしていると考えられるところなどです。また、民間の制度を引き継いでいるせいもあるんですが、「超えない」とか、「未満」とかがややこしく使い分けられていたり、あるいは勤務を要する日の時間だけを見るのか、それ以外の日の時間も見るのかといったところなどがかなり複雑な内容になっていると思います。こうした点については、仮にここで示された内容に概ね沿った制度化を進めていくとしたら、その際には、明確にできるだけ分かりやすく説明をするということが必要であろうと思います。
 5分に達しましたので、これくらいで止めておきたいと思います。以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。では、あとお二人ということで、嶋田委員。

【嶋田委員】  では、私から30ページの「各学校が取り組むべき方策」の注釈について、先ほど、お二人の委員の方から本文の中にという御意見もございましたけれども、ここに7つのマイナス的な要素が入っていると考えています。
 ただし、例えば、教育的な意義を考えていったときに、夏の高温時のプールが夏休みになかったら、子供たちの泳力はどういうふうになる のでしょうか。研究指定校は何でもかんでも受ければいいというものではないですが、研究指定校をこれまで輪番でやらざるを得なかった 教育現場の現状というところもやっぱりあるわけですね。ここの2つのものを全部マイナスとして書かれてしまって、それが本文の中にとか、ここの書き方についてもやはり考えていっていただきたいなと考えております。
 子供たちに本当に必要なものをやっていくときに何でもカットということではなくて、何が必要だということを考えて書く必要があるかなと感じているところです。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。冨士道委員、どうぞ。

【冨士道委員】  失礼いたします。3点、お話をさせていただきます。
 まず1点目ですが、この冒頭の「はじめに」というところでございます。これは前回もお話をさせていただきましたが、本来、教職というのは人を育てる崇高な仕事、やりがいのある仕事、すばらしい仕事なんだというのが答申の大前提に私はあると思います。やはり私は冒頭に是非、本来、教職、人を育てるというこの教職という仕事はすばらしいものなんだと、そういう趣旨の内容を加筆をしていただきたい、これが1点目でございます。
 2点目は、32ページでしょうか。特に2つ目の白丸ですが、後半のところ、、特に様々な人材を確保しながら、そして、1つ目のところもそうですね。スタッフであるとか、いろんな人材の整備をするということが出ています。、これも前にもお話をしましたが、結局、最終的に人を見付けて、そして人を配置して、それを管理監督していくということが、学校、あなたがやりなさいよという話になってしまったら、また逆行をしてしまう。ですから、人を付けるのも大変必要なことでもございますけれども、最終的に学校の方でそれを見付けて、それをどんどん入れてくださいね、そういう形にはならないように是非これはしていただきたいと思っています。
 3点目です。これはガイドラインにも関わることでありますが、先ほど相原委員からも人事委員会との関わりについても言及をされました。もし仮にこういうガイドラインを守らなくて、最終的に罰則規定のような形で、これをやったらだめだと、こうなるぞという形になってしまったら、私は本当に学校現場が窮屈になってしまう。これはそのためにかえって違う意味での問題が起きてしまうんではないか、多分、数字をごまかしてしまったり、あってもないことにしてしまうとか。そうならないためにもやはり実効性の担保は必要、がしかし、実効性の担保をするために様々な規制があれば、学校は大変やりづらくなってしまう。多くの先生たちは一生懸命学校で頑張っているわけですから、それをそういう形で何か外形的な規制をされるというのは、やはり私はあってはならないことだなと考えております。
 以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございます。本来であれば、いろいろ、例えばガイドラインの制度的な工夫等々、さらに検討すべきような課題があるのではないかという御指摘がありますけれども、この場では事務局とその点でやりとりするというのは、時間的余裕もありませんので、次の第5章から第8章の意見聴取に移らせていただきたいと思います。
 それでは、第5章から第8章について、予定とすると大体30分ほど時間を確保したいと思いますけれども、この点について、まず、どなたからでも構いませんけれども、御意見があれば名札を立てていただければと思います。
 では、妹尾委員から始めたいと思います。どうぞ。

【妹尾委員】  給特法についてなんですけれども、いろんな論点があるとは思いますが、時間もないので、3つほど皆さんと一緒に考えたいと思っております。
 1つ目の論点は、時間外勤務手当化がいいかどうかという論点だと思います。これについては、私は前もお話ししましたように、先生の仕事は時間を掛けたからといっていいとは限らないという部分がありますし、全体として勤務時間を縮減していこうという大きなガイドラインの流れでもありますので、もちろんきっちり対価を払うべきだという考え方もよく分かる話なんですが、時間外勤務手当化が必ずしもいいとは思わないというところは申し上げておきたいと思います。そのほかのところはペーパーにも書きましたので、後で御覧ください。1つ目の論点はそこかなと思います。
 2つ目は、じゃあ時間外勤務手当にしないとした場合に、今の教職調整額でいいかどうかという論点があるかと思います。これについては、いろんな御意見があると思いますが、このままでは確かに安いという御議論もあるとは思いますけれども、そっちの予算があるんだったら、もっと定数改善とかスタッフの充実とかの方に回すべきだという御議論もあると思いますから、そのあたりはまたよく優先順位を考えていただきたいということは申し上げたいと思います。
 最後、3つ目ですけれども、これが一番多分かなりややこしくて、超勤4項目以外の今まで自発的業務とされてきたものの位置付けをどうするかということだと思います。
 今般、このガイドラインで在校等時間ということで、そういった旧来自発的な業務とされてきたことも、全体的に勤務だという形になっていくということだと思いますけれども、一方、前々回ですか、私も裁判例を紹介しましたように、判例では、これは校務ではないと。校務というのは、学校の校と実務の務ですけれども、要は先生の自発的な業務だということにされていますので、判例とガイドラインとどっちが強いのかと言われると、多分判例だろうなと普通の感覚的には思うので、これは当座の手当としてはガイドラインでいいと思ってるんですけれども、一方で、給特法をやはり改正していただいて、改正するというのは、時間外勤務手当にしろという意味での改正ではございませんで、超勤4項目以外についても、しっかり校務の一部として超勤命令は出せなくてもしっかり認めていきましょうというような位置付けをやっていただきたい。そのあたりを、将来制度的な工夫をしますということで、ちょっとかなり不明瞭に書かれてあるかもしれないんですけれども、ここなるべく明確に書いていただかないといけないんじゃないかなということは申し添えたいと思います。
 それから、私の用意した参考資料の方のペーパーなんですが、8ページ目を御覧いただければと思います。
 8ページ目の真ん中から下の方ですけれども、一年単位の変型労働時間制につきましては、結局、ちょっとまだ基本的なところがよく分からないというところがありまして、そことのガイドラインとの関係ですね。週あたり何時間まで年間変型労働でできるのかとか、労基法上の規定があると思うんですけども、そこの部分を取り込んでいくのかどうかとか、そこと、このガイドラインでの上限の目安との関係がどうなるのかとか、結局、年間変型労働にしても無定量な残業をさせるという形ではもちろんないわけで、一定の歯止めがあるわけなんですけれども、そのあたりもっと丁寧に書かないと、残業の付け替えで、何て言いますか、むしろ悪化しちゃうんじゃないかという懸念も言われますので、このあたりの誤解を解くためにも、しっかりこのあたり丁寧にもっと説明していただかないといけないということは申し添えたいと思います。
 それから、より大事なのは、留意点もしっかり書いておくべきだと思います。年間の変型労働を選択できるということについては、私は賛成ではありますけれども、選択するかどうか各自治体さんなりが考える上で、メリットだけではなくて、留意点とかデメリットもしっかり中教審としても出さないとフェアではありません。ここに僕が思い付く限り幾つか書いておりますので、これ以外の論点もあるかと思いますけれども、是非よく考えていただきたい。特に教頭職らはもっと多忙になるんじゃないかなと思いますので、このあたりは注意しないと本末転倒甚だしくなりますので、よくよく考えていただきたいというところを申し添えたいと思います。
 次に、9ページ目ですけれども、環境整備についても随分書いてはいただいているとは思うんですが、これもう10回ぐらい言っていますが、小学校の空きコマが少ないという問題とか、休憩が取れない、過密労働、連続労働である等と考えますと、やはり授業準備を勤務時間の中でしっかりできるような環境整備こそがこの働き方改革でも大事だと思いますので、私は業務改善とか行事の見直し等々を通じて、先生の仕事を大幅に減らしていくということプラス、空きコマを増やしていくということだとか、こういった環境整備も両輪じゃないとなかなかうまくいかないと考えます。学校に頑張れ、頑張ればっかり言われても困るということだと思いますから、もちろん国さえやればいいという話じゃないので、それぞれの主体が歩み寄っていただかないといけないので、ここは強く再度申し上げたいと思います。このあたりも、もちろん財源の問題がありますので、理想論ばっかり言ってもというところはあるとは思いますが、それにしてもひどい現状です。高校の先生に比べても、小学校の先生、授業時数、多分10コマくらい違うと思います。これは大きな問題であろうと。しかも9教科、10教科やれというのは、どだい無理な部分があると思いますので、このあたり、余計考えていただきたいということを申し添えたいと思います。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 ほとんどの委員の名札が上がっていますので、今度そちらからお願いします。
 それと、残りの時間を考慮しますと、それほど長い発言できませんので、ご発言の時間についてはご配慮をよろしくお願いいたします。
 では、冨士道委員の方から。

【冨士道委員】  では、短めに1点だけお話をします。
 45ページの一年単位の変型労働時間制の導入という内容ですけれども、これをさっと読んでいきますと、一部誤解をされてしまうかな、つまり勤務時間を伸ばして、いわゆる労働時間を延ばすんだという、労働強化といいますか、というようなことで誤解されてしまっている部分があるのかなと思っています。例えば学校の場合、運動会があります。朝の段階で天候によってはどうなるか分からない。だから教員はみんな勤務時間開始前に来る。つまり大変なサービス業務をしているわけです。これを例えばきちんとした勤務時間として、勤務としてこれを確定して、その分だけ年間の中で調整してやれば逆に助かるわけであって、そういう意味での正確な変型労働時間制度というのを、どこかに例を入れながら書き込んでいただくことによって、誤解が少しでも減るのかなと思います。
 以上でございます。

【小川部会長】  はい、分かりました。
 嶋田委員、どうぞ。

【嶋田委員】  51ページ、今後さらに検討を要する事項で、先ほど妹尾委員からもございましたが、小学校における教科担任制は確かに一つのやり方だと思いますが、やはりもっと専科の 教科の導入、又は外国語、そこの部分についてもより触れていただけるとありがたいと思いました。
 以上です。

【小川部会長】  川田委員、どうぞ。

【川田委員】  それでは、幾つか、時間があれば3点ほど述べたいことがあります。
 1つは、先ほど妹尾委員のご発言のところで出てきたガイドラインの時間の性質について、私なりの理解としては、この提言されているガイドラインは、労働基準法上の労働時間とは違う観点から時間をとらえて管理しようとしているものなのだと思います。本来であれば、労働基準法上の労働時間との整合性は、これは以前の回で意見として述べましたが、中長期的にはより明確に整理していくということが課題になると思います。ただ、その点については、いろいろな問題、たとえば先ほど判例への言及がありましたが、教員に関する裁判所の判断が、一般的な労働時間についての裁判所の判断との整合性が問題になり得るような部分もあったりするので、そういった点を含めていろいろ考えなければいけない点があるために、そこは少し時間をかけて検討すべき課題としながら、差し当たり喫緊の問題に対応するために、労働時間とは違う概念で時間を管理したり縮減を図ったりしていこうという、そういう趣旨のものであると考えております。
 あと、関連して、これ本来時間があれば前の方の3章とかガイドラインに関して言っておきたかった点ですが、2点目として、時間管理をしていく上では、正確な記録を作成して保存していくということが重要になると思いますので、これは何らかの形で、その点についての明確かつ実効的なルールを作ることが重要ではないかとことを述べておきたいと思います。
 最後の3点目は、一年単位の変形労働時間制についてです。これは私自身は以前から意見として申し上げておりますように、この制度を使うことで時間の削減目標が、現実なものとして設定できるかどうかというところが一番大きなポイントだと思います。
 今回、素案の最後のところで工程表が、またその前のところで時間縮減の目安等が示されましたが、特に時間縮減についての目安についてはより充実したものを今後作っていく必要があると思います。また、工程表に記載されているガイドラインの導入とか業務分担、業務改善の見直し等と合わせて、実効的な目標の設定につながる制度なのかということを、絶えず検証しながら検討を進めていくことが今後必要になるといえるであろうということを意見として述べておきたいと思います。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 青木委員、どうぞ。

【青木委員】  ありがとうございます。3点申し上げます。
 56ページにメンタルヘルスについて若手教師への言及がありますので、それと平仄を合わせて、40ページにもメンタルヘルスが不良な傾向が若手教師にもあるということを加筆した方がよろしいかと思います。
 それから、2点目、54ページですけれども、1つ目の白丸ですが、これは非常に重要なことを書いていただいていると思います。やはり、勤務実態調査を国として責任を持って一定間隔で行うということは何よりも重要なことだと思います。
 それに加えまして、例えば国立教育政策研究所には学力調査官が配置されていますので、それと同様に調査官が置かれることについては議論あると思いますが、いずれにしても、国として分析研究機能を教員の勤務実態についても持っておくというのは必要なことではないかと思います。その際には、やはりこういうデータをきちんと量的に把握できる機能が必要だということです。
 最後ですけれども、44ページのこの意見に対してはという、一番上の段落についてですが、ここについては私も賛同するところです。といいますのは、給特法だけで見てしまうと見えないことがありまして、給特法からその後につながる人確法とセットで考えますと、1960年から70年代にかけての政策過程で何が課題となったかというと、教員の超勤と処遇改善ということです。この2つをとにかく対応するために制度設計がなされていたということです。
 ただ、先ほど申し上げたように、給特法の運用部分で必ずしも十分な勤務時間管理がなされていなかったということを考えて、今回はそれへの対応がなされたということで、肯定的に評価します。
 では、長時間、他の教員よりも働いている人をどうするんだということですが、それはやはり、これからは勤務時間をしっかり管理、把握することがますますできるということですので、それは評価に基づく処遇改善といったことを合わせて考えればいいということと私は思います。ただし、それはこの部会のミッションを超える論点になりますので、言及はこのぐらいにしておきたいと思います。
 いずれにしても、この答申素案全体について私は、私の意見を含めていろいろな議論が盛り込まれて整理されていると思いますので、肯定的に評価したいと思います。
 以上です。

【小川部会長】  清原委員、お願いします。

【清原委員】  ありがとうございます。簡潔に4点述べます。
 1点目は、学校の組織運営体制の在り方なんですが、私は、やはりこれだけガイドラインも示されていくわけですから、ぎりぎり出勤したり早く帰れる、そういう職場が奨励されるというか、雰囲気としてチーム学校として、時間をキーワードとして、児童・生徒の教育の質の向上を中心としつつも、早く帰れる職場の雰囲気が作られていくような機運の醸成を進めていただければと念願します。
 2点目は、45ページなんですが、ここに44ページからの流れで、「現在の勤務実態を追認することなく、教職員定数の改善を含む今回提言した様々な勤務時間の縮減のための施策を総合的に実施することで、学校における働き方改革を確実に実施することを優先すべきである」と、こういう記述があります。「教職員定数の改善」について、意外とここの素案には記述されている箇所が少ないかもしれない。でも私は一貫して、やはり根本的には養護教諭、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーなどを含む「教職員定数の改善」がやっぱりなされなければ、実質的な学校における働き方改革はなされないと思いまして、このキーワードがここ以外にももうちょっとあったらなというのを実感しています。
 3点目に、第7章の環境整備のところなんですけれども、そんなことを申しておりましたら、49ページに列挙されている、「平成31年度、2019年度予算」については、今、私が求めましたような英語の専科の充実であるとか、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーのことも記述されています。したがいまして、これは文部科学省におかれましては、実行性のある答申を実現するために、是非何としてもここに列挙されているものは獲得していただかなければならないと。これは現場の声として、是非強く強く要請していただければと思います。
 と言っても、併せて51ページに、「今後さらに検討を要する事項」として列挙されている、先ほど来あります「小学校の教科担任制の充実」以外に、「教師の養成・免許・採用・研修全般にわたる改善・見直し」があります。これとセットで、より教職が、真に誇れる専門職になりますような条件整備を文科省で進めていただければと。
 最後に、今回の答申のユニークな点は、「工程表」がある点ですし、「フォローアップの重要性」が記述されていることです。自治体でもPDCAは欠かせません。しかもいつ頃までに法律を改正し、条例を自治体が作るかという目安なくして実行性はないと思います。ただ、給特法はもう少し時間がかかるような感じもしておりますし、一年単位の変型労働時間制につきましても2021年度となっておりますが、やはりそうであるならば、さらに中教審で今後これを議論するような仕組みを、是非是非条件整備していただきたい、これは要望です。
 以上です。ありがとうございました。

【小川部会長】  では、天笠委員、どうぞ。

【天笠委員】  失礼いたします。先ほど申し上げたことと続きますけれども、長期化の要因ということで、11ページに学校の組織運営体制についてという、そういうことが記されていて、それに向き合っているのが、この第5章の学校の組織運営体制の在り方ということで、ですから、11ページに要因が指摘され、それの一定の回答が37ページにあるという、こういう読み方をしたときに、37ページの方向性とか回答というんでしょうか、それについて、もう少しこういう点もこの中に書き加えておく必要があるんではないかということを、一に申し上げさせていただきたいと思います。
 それは、言うならば管理職の多忙ということになるかと思うんですけども、私はこの会議の中で、発言の中に、教頭、副校長の在り方ということについて、そこのところの見直しも、また働き方改革あるいは多忙化、これを解消していく一つの入口というんでしょうか、そういうことになるんではないかという旨の発言をさせていただいたんですけども、そういう点からすると、この全体を通して、そのあたりのところについての位置付けとか取り上げ方とか、あるいはそれについての向き合い方というのが、ちょっと拡散しているのかなというのが、今、申し上げた意味からすると、それであります。
 それで、37ページのところに、管理職がリーダーシップを持って組織マネジメントを行っていく必要があるんだということですけども、今もありました、果たして学校の組織マネジメントというのは、この十数年展開されているわけですけども、どれほどのものなのかというところは、もう一度精査するということが一つ求められているというふうな、こういう読み取り方もここのところはできるんじゃないかと思うんですけども、改めて管理職の長時間化というんでしょうか、教頭、副校長の在り方ということについては、言及する必要があると思うし、一つの答えとして、37ページから38ページに書いてあるのが、ミドルの充実ですとか、ミドルの相応の処遇というんでしょうか、そういうことであるわけですけども、この答申が、いわゆる教職員ということについてのまなざしはそれなりということですけれども、改めて今、申し上げたような観点からも、全体として多忙というところを迫っていかないと、結果としては若手だけとか、というふうな形にもしなるとするならば、それは結果としては目指すところにうまく迫り切れないんじゃないかということで、ですから、管理職も含めて学校の多忙をどう解消していくのかということで、こういう方向があるんだということを、しっかりとこういうあたりのところで関係付けて、書き加えられるということが大切なんじゃないかと思います。
 以上です。

【小川部会長】  
 相原委員。

【相原委員】  ありがとうございます。
 54ページです。第8章ですが、1つ目の丸のところで、先ほど課長からスパンを短くして教員勤務実態調査を行うべきだという御説明があり、記載も施されてあります。大変重要な点だと思います。
 現在、ICTやタイムカードで4割の教育委員会で把握できておりますし、さらにこの点は進むものと思われます。したがって、私たちの認識として、3年を経ないと勤務実態の把握ができないというよりは、ICTの進展なども含めて、労働時間管理というのは日々行うものであり、日次での把握が進むことが大事だということをもう1回申し上げておきたいと思います。
先ほど過労死の記載がありましたが、健康安全配慮は3年待たないとできないということではありません。むしろ学校現場の健康度を測る上では、日々の動きが大切ということをもう1回理解し合いたいと思っております。それが1点です。
 もう1点は、3年後をめどに勤務実態の調査を行う。この結果をどう生かしていくのかということについて、どこかに記載されるべきではないかと考えます。なぜなら、今後、働く実態を改善する動きが進み、学校現場の努力が積み上がっていきます。改善状況を把握すること、また、その途上で出てきている課題をもう1回潰し直す。フォローアップが大変大事です。一方、それだけで対策が不充分な場合には、給特法に立ち返って、その状況に即した給特法の在り方も議論の対象にすべきと考えます。
 したがって、今後の検討課題としては、給特法の見直しも、位置付けられているということを明快に記載すべきだと考えます。
 53ページの1つ目の丸の最後のところにも、当審議会としても進捗状況を見て、総合的にフォローアップしたいと書いてあります。受け皿は書いていただいていますけれど、その中に何がテーマとして上がってくるのかということについても、もう一段の理解のし合い方が必要じゃないかと思います。
 記載する箇所としては、51ページの3ポツの、今後さらに検討を要する事項を、1章から7章までを通じた、全体の事項と捉えここに記載するか、若しくは47ページの3ポツの前には、一年単位の変型労働時間制と給特法が1ポツ、2ポツとしてありますので、この3ポツの中長期的な検討のところに、先ほど申し上げた、給特法も今後の見直しの対象に上がっているということが理解されるような記述が必要じゃないかと思います。
 また、今47ページの3ポツで記載されてある最終の丸のところ、法的な枠組みを含め、必要に応じて検討を重ねることも必要であるという中には、ガイドラインの法制的な枠組みが類すると承知できます。場合によっては変型労働時間制も入るかもしれません。ただ、給特法がここに位置付けられているかどうかは、この流れの中ではっきりしません。したがって、その点を明快にすべきだと思います。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 稲継委員、どうぞ。

【稲継委員】  ありがとうございます。これまでの議論を踏まえて、非常に詳細に記述していただいていて、肯定的に評価をしたいと思います。
 その上でなんですけれども、1点、ちょっと気になったのが、38ページのミドルリーダーのところの定義のようなもので、①の下の方にあるんですけども、主幹教諭、指導教諭、事務職員等のミドルリーダーとあって、私の理解では、管理職と教師の連結ピンのような役割を果たす主幹教諭とか指導教諭というのは分かるんですけども、事務職員がここに入るとややちょっと違和感を覚えました。これが1点。
 それから、給特法の42ページ以降のところ、特に42ページ、1ポツの丸の2つ目、3つ目のあたりは、文科省としては非常に踏み込んで書いていただいていて、それは大変ありがたいと思います。
 また、46ページでも、これまでの通知を改める必要があるというところまで踏み込んで書いていただいている、これもとてもありがたいことだと思っております。
 給特法ができた当時の1960年代、70年代、それから教員の給与改善が第1次から第3次までの改善勧告があって、それで改善された当時の人確法の話も、今、青木先生から出たところでありますけれども、当時の背景が現在そのまま完全に当てはまるわけではないわけであります。ですので、給特法が未来永劫永遠不滅のものと考えるべきではないと私も思っております。
 今、相原委員から御指摘ありましたように、今後何年か後に、あるいは10年の後かもしれませんけれども、給特法を見直すということもこの報告書の中で、可能性があるということを、やはりどこかで書いておく必要があるのではないかなと思いました。
 以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 佐古委員、どうぞ。

【佐古委員】  それでは、4点ほどお願いします。
 1点目は、教職員定数の改善の話です。これは清原委員がおっしゃったことと全く同感でして、やはりこの特別部会でもたびたび話題になったわけですけれども、現実的な対応という点で困難であるということで議論は進んでおりませんけれども、これはやはり明確に、どこかできちんと考えておくべきこととしては触れておくべきだと思います。
 ガイドラインが出て、大幅な業務削減の目安が出て、学校で取り組んでも、それでもなおどうしても学校で取り組むには限界があることが出てくるとすれば、それにふさわしい人材を学校に投入するというのは当然のことでございますので、そういうことも含めて将来、やはり考えていくべきこととして明記しておくべきだろうと思います。これが1点目です。
 2つ目は、組織運営体制のことでして、これは特に若手教員が、働き方の中で長時間化するということは、データでも示していただいてよく分かるのですけども、もう一方、教員にとって学校というのは、働く場所でもあると同時に、教員としても育つ場所だと思います。だから、若手教員を含めて教員が育つような場所に学校をしていくということが、恐らく組織運営体制の中の1つのキーだと思います。時間のやりくりとともに、教職員それぞれがともに育っていくような場に学校をしていくということが、これからの管理職やマネジメントの基本的な課題であると思います。そこも触れていただければありがたいと思います。
 3点目は、これは環境整備になるかと思いますが、学校の支援人材の活用ということなんですけれども、予算をつけていただくのはありがたいけれども、スクールサポーターとか部活動支援員となるべき人がいないことが問題となっているようです。基本的に予算が来ても担う人材が見当たらないということが地方の教育委員会の関係者からよく耳にします。したがいまして、支援人材の活用をするためのお金がついたからやりましょうということでは、なかなか思うようにいかないところもあるかと思います。この地域支援人材の確保につきましては、もう少し何か具体的な例示なり、方向性なりがあればいいかなと思います。
 私の大学の例でいいますと、そういう地域の、いわば人手のないエリアの学校に対しては、教職大学院の実習を活用するという方法を提示しています。教職大学院の実習というのは10単位分ありまして、これは学校のインターン型の実習になっておりますので、それをうまく学生のために活用しますと、学校の強力なサポーターになるということでございますので、例えばそういうことも含めて、もう少し地域にどんな人材があるのかということを、もちろん教育委員会自身が探すことも大事ですけれども、広く文科省で情報を収集していただいて、そのことを提供していただければありがたいと思います。
 それから、4点目は、時間管理の問題です。これは少し深刻な問題でして、今回の働き方改革の一丁目一番地は、適正な時間管理ということになるかと思うのですけども、こんな話をお聞きしました。それは何かというと、もう既に本来の退庁時間といいますか勤務時間終わっている。しかし、その学校はタイムカードを導入しているんだけども、校長にどうしましょうかと尋ねたところ、校長が一応タイムカード押しといてくれというように反応されたということを聞きました。こういうことであれば、幾らタイムカードを置いて、あるいはそれに基づく勤務時間の管理をしているといっても全く無意味になってしまいます。まさに日々の勤務時間の管理の仕方についての適正な運用を図るような何か歯止めがないと、幾ら客観的な方法を用いても、幾らでも学校はそれからすり抜けてしまうということがあるかと思います。例えば、そういう勤務時間の相談窓口をどこか中立的なところに設けることをしつつ、教育委員会が学校を指導できるような体制を作っていただかないと、なかなか先生方は救われないというように思います。その辺も最後のところで御考慮いただければと思います。
 以上でございます。

【小川部会長】  ありがとうございます。

【善積委員】  ありがとうございます。大きく2点お伝えしたいと思います。
 1点は、40ページの上にある、若手教員の育成というところですが、ちょっとさかのぼって10ページの一番下のところに、教師が固有のものを全て自作してこそ一人前との認識により、共有化が進みにくいという一言があります。これは私ども現場を見させていただくときに非常に感じることで、なぜ共有しないのかとか、なぜ前にあったことを振り返って、それを参考にしたものを作ろうとしないのかと、多々意見をお伝えすることがあります。それがしにくいサーバーの中だったり、前の方がちゃんとそのファイルを置いてなかったりと、教材だけでなく校務文書もそういう環境にあります。40ページの方では「学校内外のリソースやネットワークを生かして支援し」と書いていますけれども、こういうことをするということがそもそもなかなかできていないのが現状あると思っていますので、10ページに書いてあるようなことをもう一度ここの、天笠先生おっしゃったようにリンクするということなんですけど、このあたりにもう一度書いていただけないかなと。そういう、いろんな人のことを参考にして、自分のものにして、自分独自のものを出していくというプロセスはすごくあると思うので、そういうことに教師像など、何かイメージできるように書けないのかなというのが1つです。
 もう1点が、同じ40、41なんですけれども、実はこの会議の中でもずっと使われているチーム学校という捉え方が、ちょっと実はずっと違和感がありまして、外部人材とのつながりがチームだというふうな印象を強く持つんですけども、私は中の調和って物すごく大事だと思っています。学校という小さな人数で運営している組織の中で、お互いに助け合う、お互いに意見が言いやすいか、そういうことについて課題のある学校は少なくないと思っています。私どもコンサルで入るときに、学校の運営方針をみんなで実現しようとしていると思いますかという質問や、助け合ったり意見を言いやすい雰囲気がありますかということを必ず聞くのですが、ここでそう思わないという回答をされる教職員が三、四割いる学校というのは結構あるんですね。チームというのは、中の調和、例えばルールを守る、整理整頓をするという基本的な行動も含めて、校長先生や教頭先生が思っている運営方針をちゃんと理解しようとするとか、そういうチーム意識、そういうことに対して、自分の中に大事だと思う気持ちを持って、それを取り込んだ学校の中での自分の行動を考え始めれば、大分負担感というか、その辺りについての軽減が図れるとコンサルティングしているときに感じていることではあります。
 ハラスメントが起きやすいということも、閉ざされた人間関係、あるいは中で意図せずにかなりきつい言葉を使っている先輩の先生がいたり、事務職員の方がこれから活躍いただかなきゃいけないわけなんですが、なかなか自分の意見を教職員の方々に伝えて、こう改善しましょうという提案がしにくい、そういう御意見は現場からたくさん聞いています。
 何でそうなのか。それはやはり、みんなで学校を育てよう、学校をよくしよう、もちろん子供たちのためにというところはあると思いますが、そこに対する意識に温度差があるのではないかと感じています。それがあればハラスメントに関する発言もなくなってくると思います。精神的な影響は仕事の集中だったり、新しい改善の提案であったり、相談し合うという空気、流れを閉ざしてしまうので、何かチーム学校、チームの捉え方ですね、ここについてもう少し、組織としての一体感、組織としての連帯感という部分を是非表現していただきたいと感じています。
 以上です。

【小川部会長】  ありがとうございます。
 これで全部の答申の内容について御意見伺って、当初の予定では、さらに全体を通じて御意見を伺いたかったのですけれども、時間もほぼ終わりに近付いていますので、今日のこの場で発言できなかった内容について、どうしても事務局に伝えたいという内容がございましたら、恐縮ですけれども、文書で事務局の方に提出していただければと思います。よろしくお願いします。
 それと、今日たくさんの御意見を頂きまして、事務局の方もいろいろな宿題を頂いて、これをさらによりよい答申内容にすべく、どういうふうに内容を盛り込んでいくかは、私と事務局の方で相談しながら進めさせていただきたいと思うんですが、ただ、今日非常に多く出ていたガイドライン及び一年単位の変型労働時間制の問題については、可能な限り正確な内容ないしは学校現場や社会の方々に誤解のないような書きぶりができるように加筆できる部分はしていきたいと思います。ただ、ガイドラインの問題とか一年単位の変型労働時間制については、最後の工程表に書いているとおり、2019年度に文科省の方で、教育委員会との協議とか、一年単位の変型労働時間制の場合にはいろんな関係法令とのすり合わせ等々もありますので、今日頂いた多くの意見をこの答申の中に全て盛り込むというのはなかなか難しい面もあるかと思います。むしろ工程表に書いているとおり、2019年度かけて文科省の方でしっかり検討していただく方が、むしろ適切であると思われるような内容が多くありましたので、そうした御意見については文科省の方で2019年度中にしっかりご検討を頂くという方向で扱わせていただきます。
 時間もありませんけれども、何か合田課長の方で一言あれば、最後お願いいたします。

【合田財務課長】  大変重要な御指摘を種々賜ったかと存じます。私どもしっかり受け止めて、引き続き取り組ませていただきたいと存じます。引き続き、よろしくお願いいたします。

【小川部会長】  ありがとうございました。
 あと、今後の進め方ですけれども、今日頂いた御意見とともに、この後、初等中等教育分科会でもこの素案を検討していただきますし、また中央教育審議会の総会においても御意見を伺うことになっております。
 なお、同時に答申素案については、本日から広く国民の皆様からの意見募集も行いたいと考えておりますけれども、そのような手続に入ってよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【小川部会長】  ありがとうございます。
 それでは、次回の特別部会については、初中分科会及び中教審の総会で頂いた意見、そしていわゆるパブコメといいますか、国民の皆様から頂いた意見募集も踏まえて、最後の答申案という形で次回の特別部会に提出して、そこでまた最後の審議をしていただくということになりますので、よろしくお願いいたします。
 では、最後、次回以降の予定について、事務局から説明お願いします。

【鞠子財務課課長補佐】  次回の特別部会の日程につきましては、追って御連絡させていただきます。
 なお、先ほど小川部会長からお話のございました意見募集につきましては、本日より12月21日までの予定で進めさせていただきたいと考えております。本日の資料につきましては、机上に置いていただければ後ほど郵送させていただきます。
 以上でございます。

【小川部会長】  それでは、本日予定した議事は全て終了しましたので、これにて閉会といたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

初等中等教育局財務課