学校における働き方改革特別部会(第13回) 議事録

1.日時

平成30年5月18日(金曜日)9時30分~11時30分

2.場所

文部科学省 東館3階講堂

3.議題

  1. 学校の組織運営体制の在り方について
  2. その他

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会学校における働き方改革特別部会(第13回)平成30年5月18日


【小川部会長】  
 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから、第13回目になりますけれども、学校における働き方改革特別部会を開催いたします。
 議事に入る前に、まず本日の配付資料について事務局から説明をお願いいたします。

【鈴木初等中等教育企画課課長補佐】
 お配りしています議事次第にありますとおり、机上には資料1から資料3-7と、参考資料1から参考資料4をお配りしております。併せて御参考までに前回までの配付資料を机上に置かせていただいております。過不足等ございましたら事務局までお申し付けいただければと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございます。それでは、議事に入っていきます。本日の議題は、前回に引き続きまして学校の組織運営体制の在り方について審議を進めます。今日は学校の組織において校長・教諭の間の要である副校長・教頭について、業務が特に多忙になっているという実情もありますので、そうしたことを踏まえて、最初にまず資料1に基づいて、副校長・教頭の団体である全国公立学校教頭会より説明を伺いたいと思います。
 その後、資料2として、事務局においてこれまでの、特に学校の組織運営体制の在り方をめぐる論点を中心にして整理した資料が用意されておりますので、これについてまず事務局から説明いただいた上で、学校の組織運営体制の在り方についての意見交換をするという、今日はそういう流れで進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に全国公立学校教頭会会長の今井功様より、資料1に基づいて御説明を伺いたいと思います。今井会長、よろしくお願いいたします。

【今井全国公立学校教頭会長】
 皆様おはようございます。全国公立学校教頭会会長の今井でございます。所属は千葉市立大椎中学校校長でございます。6月1日の総会をもちまして任を解かれるということで、校長でありながら教頭会の会長をしているところでございます。
 まず、全国公立学校教頭会の説明を簡単にさせていただきますと、本会は政策提言能力を備えた職能研修団体として活動しているところでございます。まず、その4つの柱がございまして、研修・研究活動、それから要請活動、組織の発展・強化、被災地への支援ということですが、研修活動につきましては全国大会を開催いたしまして、統一研究主題に基づきまして各都道府県、各ブロックを集めまして研究協議をしているところです。それを受けまして、全国8ブロックに分かれておりまして、そのブロックの研修会、そこから各都道府県の研修会ということで、全国の流れが各都道府県の教頭会まで浸透していくという流れで研修活動をしております。要請活動ですけども、この後御説明しますが、私どもでほぼほぼ全数調査に近い調査をしておりますので、それに基づいていろんな政策提言をしていくということをやっております。組織の発展・強化につきましては、まだ県の中に教頭会が存在しない県もありますので、そこを取り込んでいくような活動を今しているところです。被災地への支援につきましては、東日本大震災それから熊本地震につきまして、甚大な被害が起こったところの私どもの仲間を救済するということで活動をしてきているところです。そういう活動をしている団体でございます。
 本題に入ってまいりますが、平成29年度の全国公立学校教頭会の調査、各都道府県から団体調査・個人調査で、本会は全国に約2万8,000人の会員がおりますので、この調査はほぼほぼ全数です。なかなか全員がというわけにいきませんけれども、今年度の調査は信頼度99%、誤差1%範囲内での数字は確保しておりますので、ほぼほぼ全数調査に近い調査だと考えております。
 調査のねらいにつきましては、我々の会員それから教育現場の現状・実態を的確に把握するということ。それから、内容につきましては、私ども副校長・教頭の現状を把握するということでやっております。
 調査の方法は、平成29年度は、団体は調査用紙による調査ですが、個人は平成29年度からインターネット、ウエブ化をすることにしました。大体5分ぐらいのウエブで調査をして、こちらの方でデータを集約しております。今年度は実はウエブ化に精いっぱいで質問項目の検討まで至りませんでした。調査をした後、SPSSというソフトで解析ができるよねということに気が付きました。30年度の調査は概算要求等のデータ、エビデンスになるような調査を掛けているところでございます。調査の期間は平成29年6月23日から7月14日ということです。
 平成29年度の調査の結果から、小学校の副校長・教頭の勤務状況ですが、1日の勤務時間が12時間以上働いている副校長・教頭は78%です。そのうちの46%は13時間以上働いています。20日働いたとすると、240時間以上を全国の78%の副校長・教頭が働いているということです。
 中学校に至っては、部活動がありますから、現在夏の総合体育大会の前ですので、大体6時過ぎぐらいまで部活動をやっていますから、それが終わるまでは帰れないという現状があります。副校長・教頭の勤務時間につきまして、中学校は12時間以上が84%です。そのうちの54%が13時間以上ということで、12時間以上働いていますと、1日4時間以上の勤務オーバーですから、厚生労働省の過労死ラインを軽く超えている副校長・教頭が84%です。
 実際に時間を費やしている職務ですけれども、依頼文書の処理・各種調査依頼への対応がトップです。それから保護者・PTA・地域・関係諸団体との連携、それから児童・生徒指導上の課題への対応ということ、ほぼほぼ3つがトップ3に挙がっています。千葉市の例で恐縮なのですが、各調査依頼への対応は現状309通です。その309通を副校長・教頭が作成して出しているということです。依頼文書等の処理は1,000を超えます。1,000を超えていますが、そのうちの309通が文書を作成し、提出しなくてはいけないというものです。
 疲労やストレスのたまるのは何かというと、やはり依頼文書の処理や各種調査依頼への対応と。あと、苦情対応も副校長・教頭がまず出ますので、苦情対応がストレスになっていると。
 年休の取得状況も、年間1日から5日程度ということです。夏休みも取れていないということが現実的に分かってまいりました。5日というのは小学校で52%、中学校で60%。6日以上10日未満が2番目で、小学校で33%、中学校で27%ですから、87%、80%程度が10日未満ということが分かってまいりました。
 それから、週休日にPTAや地域行事に参加した日数としては、5日から10日が45%、10日から15日が小中ともに22%ということです。
 睡眠時間ですけれども、5時間以上6時間未満が48%、ほぼほぼ半数が6時間未満の睡眠時間で勤務をしているということになっております。あとは6時間以上7時間未満、中には8時間以上睡眠しているのもほんの少しいますけども、どういう勤務実態なのかなと、ちょっと個人的に聞いてみたいなと思います。6時間未満がほとんどだということが分かってまいりました。先ほども申し上げましたように、厚生労働省の過労死ラインを超えているということが現実としてございます。
 私どもの全国公立学校教頭会としては、学校組織の見直しをお願いしたいと思います。具体的にどのようなものが良いかということですが、副校長・教頭の複数配置です。しかし、これをしていただくにはかなりの予算を取らなくてはいけませんので、管理職ですので、ちょっと現実的ではありません。でもこの複数配置ができればかなり楽になるなというのは思います。それから主幹教諭の充実、事務職員の充実、サポートスタッフの充実ということで、今年度の調査はどれが一番効いてくるかということまでクロス集計ができるように調査をしておりますので、これから調査を実施いたしますので、具体的にはまだお示しができません。
 皆様の中間まとめ、緊急提言につきまして、私どもは賛成の立場でおります。本当にありがとうございます。いろいろと私どももこれを読ませていただいたんですが、本当に教員の負担軽減につながって非常にいいなと思います。しかし、このスタッフ、サポートスタッフとかいろんなスタッフを入れていただくのは大変良いのですが、この連絡の調整と管理を誰がするかというところです。サポートスタッフが来て、じゃあその勤務の出勤簿それから出勤状況を委員会に報告して、その方々の給料を申請するのは誰がやるかというと、校長ではなくて、副校長・教頭になるだろうと思います。それでなくても中学校で84%以上の副校長・教頭が過労死ラインを超えているのにもかかわらず、またさらにこの連絡調整をするとなると、さらに超えるだろうということが予想されます。
 もう1つの課題といたしましては、だんだん経験年数10年未満の教員が増加しているということが各市町村で挙がってきています。人材育成が急務になっています。まず、日本の学校教育の根幹であります授業で勝負できる人材を育成しなくてはならないのですが、副校長・教頭の勤務実態を見ると、やはり人材育成まで手が回っていないなというのが現実的なところです。「是非とも学校組織の見直しも同時に進行していただきたい。」というのが我々のお願いでございます。
 実は、平成29年度の調査で、主幹教諭と我々の勤務実態の勤務時間は短縮に役立っているかどうかということをクロス集計してみました。あまり相関がないということが出ました。それは主幹教諭がどのような扱いで配置されているかというところまで調べていないからです。主幹教諭の配置と副校長・教頭の勤務時間のクロス集計だけですから、例えば教務主任を兼任した主幹教諭であろうが、全然副校長・教頭の仕事を手伝っていない主幹であろうが、主幹が配置されていれば、そこと副校長・教頭の勤務時間の軽減についてのクロス集計をしてしまっていたので、あまり有意差がないということが分かってきました。
 今年度の調査は、副校長・教頭の仕事を手伝っている主幹、それから学年主任や教務主任を兼任している主幹というのを全部分けて、分類分けをしましたので、今度のクロス集計は副校長・教頭の業務を担っている主幹と副校長・教頭の勤務時間ということのクロス集計ができるようにしました。現実的なお話だと、副校長・教頭の複数配置をするためにはかなりの予算が、管理職ですので必要となりますが、我々の仕事を手伝える立場の主幹教諭がいるとかなり楽になるかなという感じはしています。あと、事務職員も事務長がいるとかなり、事務長の配置とそれから副校長・教頭の仕事の役割分担をして、いろいろと役割分担をすると軽減できるかどうかも、今年は調査を掛けています。
 あとサポートスタッフも、我々の調査、千葉市でも309ありますから、そのうちの一部を手伝ってもらえればいいかなというのは確かにありますけども、サポートスタッフを入れればそれなりに我々の管理・調整の負担が増えますので、その辺のことも視野に入れて学校組織の見直しも検討いただければと考えているところです。
 まだ正確な数字をお示しできないのが残念なんですが、現実的には副校長・教頭の複数配置というのは全国的にはちょっと難しい、予算上も難しいと思いますので、現状でできるのは下の3つのところかなと考えているところでございます。一番助かるのは、権限を持った主幹であれば、かなり私どもと一緒に仕事ができるだろうなと考えているところでございます。 雑駁な提案でございますが、以上でございます。よろしくお願いいたします。

【小川部会長】
 ありがとうございました。今の御説明をベースにしながら、これから各委員から御質問や御意見を伺いたいと思いますが、最初に私から、今の報告に関わって少し補足説明いただければというようなことでお願いいたします。特に補足説明いただきたいのは、具体的な提言として、副校長・教頭の複数配置や主幹教諭の充実、事務職員の充実、サポートスタッフの充実等々、御提案されていますけれども、この内容についてもう少し何か法制度的に具体的なことを教頭会としても考えられておられると思いますので、もう少しその辺のところを踏み込んでお話を伺えればと思います。例えば副校長・教頭の複数配置については、例えば何学級以上の学校あたりを基準にしてそういう複数配置を希望しているのかとか、あと主幹教諭の充実等々についても、これは本部会でもいろいろ議論のあるところでして、主幹教諭の充実というよりも、その前にまず、今ある主任制のより有効な活用をすべきだというような意見がある一方、もう一方ではやはり職や権限が明確な主幹教諭をきちっと配置する。配置をする場合でも、例えば一定規模以上の学校に配置するとか、全校配置すべきだとかいう、様々な議論も本部会でもこれまでなされてきていますので、例えばそういう主幹教諭の配置等々について具体的にどのようなお考えがあるのか。また、主幹教諭の職務の内容についても、先ほど一部調査のお話もありましたけれども、もう少しその辺のところをお話しいただければと思います。
 同じように事務職員やサポートスタッフ、サポートスタッフの中でも特に優先順位の高いサポートスタッフというのをどのように考えられているかとか、今言ったようなことを教頭会の内部でも議論があれば、そうしたことも紹介していただきながら、少し補足していただければと思います。よろしくお願いいたします。

【今井全国公立学校教頭会長】
 最初に、副校長・教頭の複数配置ですけども、私の前任校は大規模校でしたので複数配置だったのですが、大規模校ですと、やはり複数配置しても勤務時間は変わらないです。生徒も1,000人近いと提出文書や様々なことが起こるので、複数配置、できれば全校配置が一番いいなと思っています。提出文書の数は、小規模校だろうが大規模校だろうが、来る文書の量は変わらないので、様々な事件、生徒指導上のいろんなものが起こった場合に管理職が入るのはやっぱり大規模校の方が多いです。提出文書等は大規模校だろうが小規模校だろうがそんなに変わらないので、そういう意味では複数配置がいいんでしょうけども、現実的には予算が取れないでしょうから、でき得れば、一番は副校長・教頭の複数配置が一番良いです。
 主幹教諭ですけども、先ほど主任制というのもありましたが、教務主任よりもやはり主幹の方が法的にも権限を持っていますので、主幹教諭の全校配置がかなり有効ではないかなと我々は考えているところです。それも、校長の命を受けていろいろと分けられますので、例えば教頭でなくても主幹ですと決裁、判断ができますので、そうしますと複数配置と同じような、主幹がいれば副校長・教頭の複数配置と同じようなところも出てきますので、これが一番有効ではないかなと考えているところです。
 それから事務職員の充実ですけども、全国の調査ですと、事務職を配置しない県もありまして、教頭が事務職を兼務しているところが結構あるんです。そうすると、教頭業務だけでも大変なのに、事務職員も兼ねているとなるとかなり大変だなと思っています。前任校、私のところの現実的なところでは、事務長とそれからあと事務職員が2人いましたので、かなり我々の仕事も手伝ってもらえたので楽でした。ですから、事務職員のスタッフが増えると教頭業務のところも一部分担してもらえるので、そういう点では事務職員との事務の処理のすみ分けができるのでかなり楽かなと考えます。
 サポートスタッフでは、教頭でも、教頭でなくてはならない仕事と、教頭でなくてもできる仕事があります。いろんな調査でも、「ここは作ってね」というのはできるので、そういうサポートスタッフに教頭の秘書的な人がいると「かなり楽だな」とは思いますけども、でも、サポートスタッフを教頭だけに付けるわけにいきませんので、例えば印刷等を、昨日もうちの学校で学習の足跡というテストの成績の計画とか、テスト成績を張ったりとかするのを印刷していましたけども、別にそれは教員がやらなくてもいいなと思います。教員でなくても「そういうのは印刷できるよな」というのもありますので、そういうスタッフがいると、かなりその時間、教員だったら教材研究に時間も回せるし、子供のために時間が使えるなというところです。端的にお答えできたかどうか分かりませんけども、今の御質問の答えは以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。それでは、これから委員から御質問及び御意見を伺いたいと思うんですが、その前に今の教頭会からの御報告に対して、校長の立場からそれをどうお聞きしたかということについて、これまでの校長の経験者の方に御質問及び御自身の御意見で構いませんので、頂ければと思います。
 最初に、恐縮ですけれども、小学校の校長である嶋田委員、そしてその後、元校長であった冨士道委員に最初お話を伺った上で、他の委員からの御質問、御意見を受けたいと思います。よろしくお願いします。それでは嶋田委員、よろしくお願いします。

【嶋田委員】
 今の発表といいますか、御報告を聞いて、全て納得するなと思っております。私、今年度、副校長が新しく昇任いたしまして、全く副校長の仕事を今までやったことがない、また他地区から来た2人で一緒にずっと調査をしてきた、報告をしてきた、この4月、5月は全て一緒に仕事をしているという感じがしております。調査の数につきましてもおっしゃるとおりだと考えております。非常に細かい調査がたくさん来ます。例えば休暇調査等については、その一人一人の教員に何歳までの子供がいるかというようなところまで確認をしながら、夏休の5日間を一体連続なのか、別々なのか、1日置きなのか、こういうことまで全部調べて調査をしなくてはいけない。調査のこの実態というのはやはり今ここにいらっしゃる委員の方で実際に学校に来てやってみていただかないと、そのすごさということはお分かりにならないんじゃないかなと思います。メールでどんどん回答するという状況になりましたので、例えばメールで全ての印刷をまず1回プリントアウトする。うちは事務でやってもらっていますけれども。メールになればなるほど、回答期限が非常に短いんですね。だから常に調査に追われているという、そういう焦燥感を感じている副校長先生、教頭先生、一緒にいる校長も私は同じという状況が今年度は特にございます。
 また、副校長の複数配置、29学級以上が東京都の場合ではそうなっておりますけれども、やはり私も前任校は40数名の教員がいましたが、通級の学級があったので、結果的には29学級にはカウントされず、副校長1人という形でございました。この辺のところも考えていかなくちゃいけないかなと思いますし、副校長がやはり複数いることはそれだけ心強いなと感じているところは、事務量だけのことではないと思っています。
 先ほど主幹のお話が出ましたけれども、主幹と主任はやっぱり意識が違うんですね。仕事量だけの話ではございません。副校長が相談できるということ。主任は確かに学年主任も含めて何人もいますけれども、じゃあそこが学校経営の参画という視点でどこまでの意識を持っているかということは課題だと思っております。そこの間に主幹が入ることによって、主任層の育成ということにも十分な効果が東京都の場合は出ていると感じています。
 また、先ほどのサポートスタッフの件なんですけれども、武蔵野市で本校でも大体9人ぐらいの方が様々な形、例えば図書館の司書はいないのでサポーター、それからALT、様々いますね。あと市の講師とか、学生が来ているティーチングアシスタントという学生の、授業補助に来てもらったり。そうすると、その全部の月々の勤務の集計は全部副校長がやっていて、そしてそれを出す場所は全部違うんです。ここは指導課に出したり、これは教育推進室というところに出したりというような形で、それを月末の集計をして5日までに出さなきゃいけないというような、何でも短いんですよね。これはお金が関わってくるので仕方がないと思うんですけれども。こういうところについても、先ほど人を入れればいいというところと、じゃあそこの連絡調整、先ほどの発表にございましたが、非常にもっともだなというところでございます。
 是非実際に皆様、学校に来てみていただきたい。1日か、3日ぐらい一緒にいていただきたいと思います。副校長は常に何かいろんなことが来るんです。だから調査を1個、この調査は集中すれば30分じゃないかという調査が実際に何時間も掛かるんです。常に最小化して、いっぱい調査が並んでいます。できるときにやると。結局それは夜になってしまうと。こういうような状況を是非、現実を捉えていただけると、主幹教諭がいるのがいいのか、いないのがいいのかというような議論ではなくて、どれだけの効果があるかとかいうことも実感として見ていただきたいなというのが、校長としての率直なお願いです。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。冨士道委員、よろしくお願いします。

【冨士道委員】
 失礼をいたします。先ほど報告を聞きまして、本当に私もそのとおりだなということを実感しております。私も校長時代には4人の副校長さんとずっと仕事をしてきましたけれども、本当に副校長はいわゆる会社でいう庶務と総務を全部1人でやらなきゃいけない。しかもそれを、管理職ですから本来ならば起案文書の決裁を行い、その後、経過を見ながら指導・助言するということが本筋だと思います。しかし、現実的には、自分がまずそこに行って、その片付けをする、修繕する、手続をする、連絡をする。そういう意味では、本当に学校の副校長というのは管理職なのかどうなのか、疑問になるような仕事の実態があるということを理解していただきたいと思います。
 また、先ほどから特に複数の配置であるとか、それから主幹の仕事の割り振りという話もありました。私は特に2点目の主幹の仕事の割り振りについて一番問題なのは、主幹に仕事を割り振るといっても、その前提はきちっと主幹の仕事ができる時間の確保をしてやらないといけないと思います。幾ら「これ、はい。あなたがやりなさい。職務だからやりなさい」と言っても、実際には主幹教諭も授業を持っている。担任をしていたり、そしてまた学年主任、教務主任をやっている。そして子供との対応をしている。その中でさらにそういう仕事というのは、現実的にやっぱり無理があります。ですから、時間軽減を含めて、きちんとした仕事ができるだけの体制を組んでやった上でその仕事を振らないと、結果的には同じになってしまう。そんなふうに思っています。
 それから、主幹教諭はミドルリーダーでもありますから、例えば若手教員の指導であったり、若手教員からの相談のまず一番最初の窓口になるべきなんではないかなと思います。なんでもすぐに副校長・教頭へ相談事が持ち込まれない。それだけでも全然違うと思います。そのためにはまず、主任教諭がそういう若手の相談に乗ったり、また指導をできるための力を付けていく、そういうような研修があったり、そして例えば他地域、他校での、例えば半日でもいいからそこに行ってみて、いろんな状況を学んでみるという研修も、いわゆる座学ではなく、具体的な中で学んでいくということも、今後主幹教諭の割り振りをする上での前提条件かなと、そんなふうに思っています。
 私の経験ですと、例えばPTAの会合や地域の会合には必ず主幹教諭を同行させました。そこでPTAの役員さんたちや地域の役員さんたちと人間関係を作らせました。そうすると、今度は連絡が非常にスムーズにできるんです。そういう形でなるべく副校長さんの職務から主幹教諭さんに、特に申し上げたPTA・地域の方と連携を図るようなことをお願いしていったわけです。特にPTAの場合には、実際に主幹教諭も授業をやりながら保護者と対応しているわけですから、そういう意味での仕事を分担をしていくということも重要かなと思っています。

【小川部会長】
 ありがとうございました。それではお待たせしました。ほかの委員から御質問、御意見があればお伺いしたいと思います。どなたからでもどうぞ。失礼ですけども、発言の際、名札を立てていただければと思います。それでは最初、時久委員、よろしくお願いします。

【時久委員】
 教頭会からの御発表ありがとうございました。2ページの上の8と書いてあるページのところに、実際に時間を費やす職務ということで、2つ目に保護者・PTA・地域との連携ということで書かれてある部分ですけれども、実際、教頭先生の仕事の中で、先ほど出ていました事務的なこととかいうのは本当に山のようにあるのですけれど、この外との連携関係のお仕事というのは結構あると思うんですが、このあたりの具体を少しお聞きしたいと思っています。

【小川部会長】
 お願いします。

【今井全国公立学校教頭会長】
 PTAは大体週に1回ぐらいは必ず役員さんが来て、打ち合わせに半日ぐらい掛かります。それから、名称は各都道府県・市町村で変わると思いますけども、青少年育成委員会というのもありまして、これも大体教頭・副校長が事務局をやっておりますので、総会とか、あとパトロールです。地域のパトロール、それから地域のお祭りとかの行事とかにも出ていくことが多いです。
 保護者の対応はまず学年、それから学年主任が対応しますけども、大抵保護者対応は教頭のところに来ます。今の御質問とはちょっと違いますけども、施設管理も教頭の仕事ですので、調査や仕事を一生懸命やっていても目の前に行列が出てきて、「教頭先生、どこどこが壊れています。」とか、「どこどこの保護者がお見えになられています。」ということで、昼間には調査や仕事ができず、7時ぐらいから調査や仕事をするのが現実的なところです。
 ですから、今の、例えば4月、5月ですと多分、うちの教頭もそうですけども、勤務時間が深夜に及んでいます。前任校でも、2人教頭でも「もう23時過ぎたから帰ろうよ」というようなところが4月、5月が現実になっています。でも、PTAが来れば必ず教頭が対応します。校長ではなく教頭が対応しているのが現実です。突然予約もなしに来られたりすると、そこで中断して対応せざるを得ないので、対応しないと、あの教頭は、あの学校はという評判になるので、やっぱりそれは最優先にしないといけないと思います。以上です。

【小川部会長】
 今の回答を受けて、時久委員から何か御意見があればどうぞ。

【時久委員】
 私の意見としては、学校の中に連携の担当が必要だと思っています。今、多分学校ではコミュニティスクールなど、それから地域学校協働本部を運営していくときに、地域学校協働本部のコーディネーターということで、学校で位置付けたりしながらやっていると思います。これも事務処理的には教頭先生の仕事になったりするものですから、ということもあるのですけれど、ただ、今の連携のコーディネーターさんというのは学校支援をしていただいたり、何かがあるときに地域と話を進めていただいたりという仕事なんですが、実は教頭先生の持っている今御説明いただいたような中身は大変時間を取られる。教頭先生に大体が位置付いていて、教頭先生の半分と言ったら言い過ぎかもしれませんけれど、多くの部分をこの地域との関係で時間を取られているということがあると思っています。これが誰かに代わるといっても急には代われない。代わるとしたら校長先生とかいうようなことで、この地域との連携をきちっと役割分担としてやっていかれる教員か、又は外からだったらコーディネーターさんの時間数をもっと増やすとか、しっかりした位置付けにするということで教頭先生のサポートが必要ではないかと、私の意見はそういうことです。

【小川部会長】
 ありがとうございました。妹尾委員からずっと順番に行きたいと思います。よろしくお願いします。

【今井全国公立学校教頭会長】
 部会長、今の件でいいですか。

【小川部会長】
 あ、いいですか。よろしくお願いします。

【今井全国公立学校教頭会長】
 ありがとうございます。でも、地域の方とやりとりするので、ある程度の決裁権を持っていないと、学校運営上の「ここの日にこれをやりたいんです」ということで、単なる主任だとその決裁権がないので、例えば地域に「この日部活をやめてでも地域の行事に参加してほしい」というふうに言われたときに、主任ではその決裁を下せないので、校長、副校長、教頭のように、ある程度の決裁権を持っていないと、「ではその日は部活をなしにして地域に出しましょう」ということも言えないので、やっぱりその辺で校長、副校長、教頭という決裁権を持った者がそこにいないと、なかなかうまくいかないなというところはあります。以上でございます。すいませんでした、突然。

【小川部会長】
 ありがとうございました。それでは、妹尾委員からよろしくお願いします。

【妹尾委員】
 貴重な御報告ありがとうございました。副校長・教頭の勤務状況は特に厳しいということで、本当に心配だと改めて感じています。1つ、2つ御検討をお願いしたいことと、あとは2つほど意見を言いたいと思います。
 1つ目は、今後調査される中で、あるいは今後教頭会として活動される中で、既に検討されているかもしれませんけれども、校長との関係という点でもう少しあぶり出していただきたいなという感じはしております。例えば教頭、もちろん教頭先生たちは8割方、9割方の先生がとても忙しい状況なんですけれども、やはり校長との関係で余計忙しく、忙しさがさらに忙しくなる方もいれば、そうじゃない方もいらっしゃると思いますので。具体的に言えば、よくマイクロマネジメントとか言いますけれども、細かいところにものすごくこだわる校長の場合は非常に多分、教頭先生だけではないですけども、先生方は大変だろうなと。もちろんリスク管理の観点から、細かいところも大事な部分はあるんですけれども、もう少し校長のスタイル、あるいは校長がほとんど、かなり教頭の一部を手伝ってくれる場合と手伝ってくれない場合とあると思いますので、ちょっと教頭会からは言いにくいこともあるかもしれませんが、校長との関係というのも考える必要があるのかなと1つ思いました。
 それから、やはり生徒指導上の難しい学校とか、何かトラブルを抱えている学校は当然、これは校長先生も教頭先生もほかの先生も忙しくなると思いますので、そのあたりとの関係を何らかの形で見られないかなとは思っています。もし何かそういう調査項目が設けられなければ、例えば保護者とか何か生徒指導関係の時間が長い人と副校長・教頭の勤務総時間の関係を見るだとか、何か調査設計ができるんじゃないかなと思いましたので、そのあたりをまた検討いただければという要望です。
 あと2点目は、大方の人が忙しいとはいえ、まだましな教頭先生といいますか、比較的仕事がいわゆる早い教頭の特色は何なのかなというのがすごく関心がありまして、いや、そんな人はなかなかいないですよということかもしれませんが、どの世界でもやっぱり仕事が早い人と段取りがいい人とやっぱりいるわけでして、そのあたりの特徴のあぶり出しも私自身ももっとしていきたいなと思いますし、教頭会としても何かもしあればまた教えていただきたいなと思いました。
 そういった点とも関わるんですが、2つほど意見を申し上げたいと思います。1点目は、副校長・教頭の加配がいいのか、あるいは事務職員がいいのか、サポートスタッフがいいのか、あるいは主幹教諭がいいのかという議論はさておき、やはり教頭先生たちを支援する人がもっと要るというのは確かにおっしゃるとおりだと思いますが、その人たちに求められるスキルとか能力は何なのかということをもう少し具体化していく必要があるのかなと思います。具体的に申し上げると、きょうの資料の3-2にありますけれども、これの3ページ目をお開きいただければ。資料3-2の3ページ目は副校長・教頭の1日の業務別のどういうものに時間を掛けているかという表ですね。これを見ますと、小学校も中学校も後段のあたり、事務関連、これが平成18年度よりも増えていますし、かつ全体に占める比重も高いというものでありますし、あるいは「学校経営」と書かれている、これはいろんなものが入ると思いますが、こういうのも多いということが分かります。つまり、学校経営とか事務関連の比重が重いということでありますので、これを手伝ってくれる人がやっぱり要るんだろうなということは御案内のとおりです。具体的にいえば、そういうものは、一部はITスキルだとか、具体的にいえば表計算ソフトだとかがちゃんとできるかとか、そういうことも含めてそういった仕事ができる人の方が多分仕事が早いし、教頭先生も助かるんだろうなと思いますので、もうちょっとそういう具体的などんなスキルが支援者には必要なのかということを見ないといけないのかなとは思いました。
 それからもう1つ、調査ものが多いというのはそのとおりで、これは是非国も教育委員会も本当に本腰を入れてもっとやっていかないといけないと思うんですが、一方で、教育委員会もむちゃくちゃ忙しくてブラックだということが本当に大きな問題で、要するに教育委員会の方でもっと調整して、学校に聞かなくていいことは聞かなくていいのに、そういうことをやる暇もなかなかないというようなところがあると思いますので、働き方改革の議論を広げ過ぎてもいけないんですけれども、教育委員会のやっぱりお仕事の軽減というのも考えないと、調査の軽減などをいつも言っても、言ったきりになっちゃうみたいな感じにならないかなという心配があります。以上です。

【小川部会長】
 今、妹尾委員から要望と御意見というのがありましたけど、今の御意見を伺って、今井さんから何かあればお願いします。

【今井全国公立学校教頭会長】
 私もそんなに事務処理は遅い方ではありません。でも、十二、三時間ぐらいは掛かってしまいます。パソコンに堪能でも、その調査に出すための資料をいっぱい用意しなくてはいけないので、その辺も大変だなと思います。確かに教育委員会も、学校現場に近ければ近いほどものすごく忙しくて、例えば我々と同じぐらい勤務していると思います。指導課にしても支援課にしても教育職員課にしてもです。教育委員会にこれは任せなさいと言われても、向こうももう手いっぱいで、こっちに余裕がない分、向こうも余裕がないので、何かうまくいかないなというところはあります。だから、教育委員会の方の学校に近いところももう少し人員を増やしてあげないといけないなというのは我々も思っているところです。特に教頭から教育委員会に行っている人たちは我々と大体同じ世代なので、「もう23時には帰れないよ」というふうに言っているところですので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、パソコンに堪能なスタッフがいると確かにいいです。それと、あと文書が作成できるということが大事だと思います。ちょっとお答えになったかどうか分かりませんけども。

【小川部会長】
 ありがとうございました。妹尾委員、意見あるかと思いますので、それは後半の方でまた御発言いただければと思います。稲継委員、どうぞ。

【稲継委員】
 どうも御報告ありがとうございました。単純なシンプルな質問と、それから感想を述べさせてもらいたいんですが、スライドの7のところで、中学校の副校長・教頭さんの84%が過労死ラインを超えているということ、これは月80時間ですね。さらに54%が月100時間以上になっているということで、かなりの過酷な労働ということがよく分かりました。地方公務員の超勤実態調査でいうと、過労死ラインを超えているのは2%とか、本庁勤務でも3%とかいうところが多いんですけれども、それに比べると非常に格段に厳しい労働環境に置かれているということが分かりました。これは感想です。
 1点質問なんですけれども、超勤が非常に、時間が取られることの1つに調査票の回答というのをおっしゃいました。1,000件ぐらいあると。うち309件が必ず回答しなければならないという話だったんですが、来るのは教育委員会から来ると思いますが、もともとの発出者というのは分類すると大体どういうところが何割ぐらいなんでしょうか。文科省からのもの、スポーツ庁からのもの、いろんなところがあると思うんですね。どこがもともとの発出者なのか、1,000件のうち309件以外のものは、答えなくていいのは、例えば大学の我々が送ったりするようなものもあるかもしれませんけれども、309件必ず回答しなければならないものというのはどういう性質の、どこから来ているものなのか教えてください。

【小川部会長】
 お願いします。

【今井全国公立学校教頭会長】
 309件は千葉市です。全て千葉市教育委員会です。今言っているのは……。

【稲継委員】
 そのもともとの発出者です。

【今井全国公立学校教頭会長】
 もともとの発出者は千葉市です。千葉市のみです。309件。

【稲継委員】
 それは分かります。

【今井全国公立学校教頭会長】
 そのほか、今言っていないのは千葉県教育委員会から来るのもありますし、文科省から来るものは除いています。

【稲継委員】
 おっしゃることは分かるんです。全部千葉市教育委員会から来るんですけれども、千葉市教育委員会に対して調査を掛けている主体があるわけですよね。文科省本省の何々課とか、丸々課とか、労働省の何々課とかあると思うんですよ。それは仕分けをちょっと教えてもらえませんでしょうか。

【今井全国公立学校教頭会長】
 今、資料を持ってきませんでしたけれども、309件は千葉市教育委員会が発出者です。

【稲継委員】
 それは分かるんです。大本なんです。大本を聞きたいんです。

【今井全国公立学校教頭会長】
 そのほかの千葉県から来ているものは除いています。あと文科省から来ているのも除いています。だから本当はもっと多いんですよ。私が調べたのは、309件は千葉市です。ですから、もっと発出、提出文書はもっと多いはずなんです。

【小川部会長】
 恐らく今の状況ではちょっとそういうことが分からないと思うんで、後で調べていただいて、追加で……。

【今井全国公立学校教頭会長】
 実際に千葉市のその309件中、廃止できたのは20件程度です。あとは職印を押さなくていいというか、その辺のことしか改革はできていないです。

【小川部会長】
 分かりました。じゃあその辺は、稲継委員、よろしいですか。後で精査していただいてということで、また資料提供いただければと思います。それでは、清原委員。

【清原委員】
 ありがとうございます。今井会長さんから実態に即した問題提起と、緊急提案や中間まとめについては賛成の立場だと言っていただいたので、重要な学校の組織運営体制の在り方について、さらに私たちが具体的な提案ができればと思ったところです。
 改めまして、私も妹尾委員と同じように、校長と副校長との関係についてやはり重要なターニングポイントではないかなと思っています。嶋田委員や冨士道委員は、校長(経験者)として、副校長との円滑なコミュニケーションも果たされ、主幹教諭との関係についても未来を見通して、それぞれの役割分担、責任の取り方、そして望ましい働き方に取り組んでいらっしゃいますが、必ずしもそうではない校長の場合もあるかもしれません。副校長が激務であり、労働時間も長くあるということについて、校長との関係、そして御提案の主幹教諭の充実との関係など、ほかの職位との関係について、さらに今後の調査等で明確になればありがたいなと思います。
 2点目に、スライドの8ページに、実際に時間を費やす職務について、依頼文書整理のほか、保護者・PTA・地域との関係、児童・生徒指導上の課題への対応とあり、中でも依頼文書や苦情対応が疲労やストレスの根源であると遠慮なく示していただいたのは重要だと思うんですね。私は今回「働き方改革」を進めていく目的としては、児童・生徒指導上の課題や教育に最優先で時間を割くべきであると思います。そうでないものについてはやはり極力合理化・効率化していくということが重要な方向性だと思います。先ほどでも年間1,000ぐらいの文書があって、市の教育委員会からも300を超すものがあると。それが本当に学校教育や教員の働きにプラスになる調査なのかどうかということについては、現場はなかなか受け身で問題提起できないのかなと思うんですけれども、これまでこの調査等について、改革・改善などについて教頭会等で問題提起をされたことがおありかということはお聞きしたいと思いました。
 最後に、いずれにしましても、学校全体の組織の中で、今日はお話に出なかったんですが、そのほか委員会でありますとか、いわゆる学校行事等もあるかと思います。私としては児童・生徒や保護者・PTA・地域との関係についての時間確保をできるような方向での条件整備が進む御提案を、今後、実態に即して教頭会の皆様にもしていただければなと願っているところです。以上です。ありがとうございました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。清原委員からは御要望があったんですが、その中で1つ質問がありまして、そういう依頼調査が非常に多いということについて、何か教頭会として改善方策に係るようなことを提言なんかされたことがあるのかということ、その辺はお答えいただければと思いますけども。

【今井全国公立学校教頭会長】
 提言の方は、なかなかこれは難しいです。依頼されたら答えないといけないので、答えないと電話が掛かってきて「出ていませんよ」と言われてしまいますから、これについてはもうどうしようもないです。なので、提言については、この調査をいろんな新聞で扱っていただいているので、それはそれとしてこの調査の意味はあったなというふうには思っています。日本教育新聞とかいろんなところにもこの調査を載せていただいていますので、提言したいとは思いますけれども、教育委員会からもやっぱり必要として出てくるので、どうも同じような、仲間としては余り言えないなと思っています。文部科学省も1割は減らしていただいているという話を局長さんからお聞きしましたので、大分やっていただいているなという感じがします。
 それから、妹尾委員からもありました、校長との人間関係はストレス度で調べさせていただきました。私もそこはすごく気になったので、29年度の調査に入れてあります。ただ、一番ストレスに感じているのは先ほどの依頼文書等なんですけれども、校長との人間関係は小中ともに五、六%程度なんですよ。強烈な校長が、確かに昔はいましたけど、パワハラ校長みたいな人が昔は結構いましたけども、最近はそんなに出没していないような気がしますが、でもストレスは五、六%程度という結果が出ております。

【小川部会長】
 ありがとうございます。清原委員、御意見があるかと思いますけども、後半のところでお願いいたします。それでは、天笠委員、どうぞ。

【天笠委員】
 失礼いたします。私はマネジメントの質の維持というんでしょうか、学校としての、あるいは管理職としてのマネジメントの質の維持という観点から、一、二御意見ということを申し上げさせていただきたいと思うんですけども、やはりこの場で教頭という職に光を当てて、1度こういう形でというようなことをかねがね思っていましたので、今日はその場かなというふうなことで、やっぱり副校長職・教頭職の現状とそれから改善の方策というのを探ることが、働き方改革の方向性を導き出していく1つの大変ポイントになる部分だなというような認識を持っています。
 そういうところで、この辺のところにもし御見解があったら聞かせていただければと思うんですけど、教頭あるいは副校長をされている方の在職年数期間というんでしょうか、全てが全て教頭に就かれて、あるいは副校長に就かれて、全ての方が校長職に必ずしもいろんな状況で就けないということで、比較的そういうお立場の方というのは教頭職が長期化するということが考えられるわけなんですけども、先ほど来、御説明、御報告いただいているこの職の現実の実態からすると、何年もこれを重ねていくと、それ自体がマネジメント力の低下ということが十分推察されることだと思いますし、もう少し申し上げるならば、仕事に対する意欲とか、あるいはそういう職場をまとめていくという方向性とか、そういうものの意欲の低下・減退というんでしょうか、そういうことがあるんではないかと。
 ただ、おそらく現状では非常にそれぞれお一人お一人がそういうことに対してみずからを見つめながら、何とか維持して向上していくということを御自身として御努力されているという、そういう姿もまた御報告の中からかいま見えてくる部分なんですけども、その部分を、どちらかというと非常に個人的な努力にこれまでは期待していったというんでしょうか、という感じですが、少し制度的な担保というんですか、支えというのもということで、例えば教頭職が長期化するということになった場合には、例えばいわゆるサバティカル的な、そういうものが担保されているとか、あるいはそういうことが併せて長期化する場合には捉えられるとかいうふうな、そういう制度的なフォローというものも必要なんじゃないかとすると、先ほどのはどちらかというと職務の分担というんでしょうか、そういう方向が1つあるかと思うんですけども、一方においてはマネジメントの質の維持あるいは仕事の、職場に対する、職務に対する意欲の向上等々ということからすると、制度的な支え、サポートということもまた1つ検討していいところとしてあるんではないかと思うんです。
 ただ、そうした場合に、今日のデータの中にはおよそ教頭職の実態として比較的長期化するような、そういうことというのが余り、要するに余り懸念することではなくて、そんなに心配することはないような現状なのか。ある一定数のデータ的に取ってみたときに、今申し上げているような状況ということもやっぱり目配せしていかなくちゃいけないのかどうなのか。そこら辺のところのデータとの照らし合わせということが必要になってくる部分があるのかなとは思うんですけども、そういう意味において、やっぱり副校長・教頭職の職務に対する意欲維持、それの向上維持というんでしょうか、そのあたりのところについて、手だてとして幾つか出てきていますけども、その中に今申し上げたあたりのところについて、もし御見解がありましたら聞かせていただければと思います。以上です。

【小川部会長】
 今井会長、お願いできますか。

【今井全国公立学校教頭会長】
 大体教頭職は2年から4年がほぼほぼ多いと思います。長期化している方はなかなか校長試験に受からないなどの理由で、8年というのはよくあります。大抵2年から4年の間には、副校長・教頭から校長になるか、教育委員会に出るかしていると思います。
 それから、マネジメント力ですけども、様々な最新の教育課題については関心を持っている副校長・教頭が多いです。それから、私どもの研修は、教頭研修会というのが各市町村でも行われていて、ほぼほぼ1人職なので、そこでいろんな情報交換をして自分たちを高め合っているというのはあると思います。でも、最終的には「全ては子供たちのために」というその一言で、歯を食いしばって教員というのは頑張るんだなというのは思います。それらの研修会でマネジメント力は何とか維持しているところだと思います。

【小川部会長】
 御意見はまた後のところでお願いします。青木委員、どうぞ。

【青木委員】
 ありがとうございます。今井先生、どうもありがとうございました。2つぐらいお尋ねしたいと思います。1つは、サポートスタッフや副校長の複数配置等の政策の選択肢がある中で、それを通じてマネジャーとして副校長先生・教頭先生が集中したい業務があるんだと思うんですね。そのいわば教諭でいえば授業が本来業務だと言われるように、副校長・教頭としての本来業務は何なのかというのをまず1つ伺いたいんです。
 次に、主幹教諭の配置が有力な選択肢だろうということをおっしゃっていただきました。その際、例えば複数の主幹教諭を配置すると考えた場合、おそらく最初に浮かぶ主幹教諭の業務は教務主任の業務を包括するような業務だと思うんですが、複数主幹教諭を配置した場合には、どういう業務をその主幹教諭たちに任せることがあり得る、あるいはそういうのを御希望されるんでしょうか。この2点を伺いたいと思います。

【小川部会長】
 よろしくお願いします。

【今井全国公立学校教頭会長】
 今回この資料には御提示しなかったのですが、私どもも副校長・教頭はどんな職務をやりたいかというのは調査をしておりまして、一番トップが教職員の育成という、先ほどもちょっと人材育成のお話をさせていただきましたけども、その次に副校長・教頭がやらなくてはいけないのは職場の人間関係作り。やっぱり和気あいあいと一枚岩になっている学校というのは活力があるし良いです。国立教育政策研究所の研究結果にもありますけども、学校の質が高いというふうになってまいりますので、そういうところをやりたいと。あとは、やはり先ほど清原委員からもありましたけども、児童・生徒への指導のところ、そこの3つがほぼ高いというふうになっています。
 それから複数配置でも、教務主任と副校長・教頭の仕事は全然違います。隣で座っていても全く業務が違いますので、多分教務主任と主幹が兼任されているところというのは教頭の仕事は軽減はされていないと思います。ですから、きちんと教頭業務を担える主幹の配置が一番いいだろうなと思っているところです。教務主任というのは教育課程を作るので、やっぱり我々はマネジャーとしていろんなマネジメントをやっていくので、そういうところでマネジャーとしての一部の手足になれるような主幹の方がいいと思います。以上です。

【小川部会長】
 また議論のところでお願いします。風岡委員、どうぞ。

【風岡委員】
 御報告ありがとうございました。私も現場にいましたので、現場の事務職員として教頭先生との関係というのを一番重視して考えていまして、教頭先生と連携しながら仕事をやっていくことを意識していたということがありました。
 その上でお伺いしたいのが、都道府県によって教頭先生の勤務時間の長さの差があるのかということについて、何かデータ上で読み取れることがあるのかをお伺いできればと思ったのが1点です。なぜかといいますと、事務職員との連携や事務職員との仕事の分担を考えたときに、前回にもお話しましたが、事務職員の都道府県による業務内容の差が非常に大きいということを感じておりまして、例えば今日御発言いただいた校長先生方からは、調査統計関係は全て副校長・教頭が行うという御発言がありましたが、私の認識では、当然調査統計の中で指導に関するもの以外については事務職員が担当しているという、そういう、自分もそうでしたし、認識があります。勤務等々の服務管理についても給与や謝金とかに関することがありますので、当然事務職員が管理をするべきであると考えられますし、休暇等についても給与と関係することを考えれば、事務職員のところでデータ的なことは全て把握をしているだろうと。そういうところの連携ということがどのように分担をされているのかということですよね。そのことが多分ですが、県によって標準的な職務が明確になっているところと、そのあたりが明確でないところの差があるんではないかと。あるいは、標準的職務のあるなしにかかわらず、教頭先生の勤務時間については余り事務職員との関係を見たときの相関関係がないようなことがあるならば、そこの理由は何かということを今後改めて考えていきたいと自分の問題意識があるものですから、都道府県による差があるのか、その中での事務職員と教頭との業務分担の在り方は何かというところについて、今現在のところで何かデータなり、あるいは千葉市の状況とかでも結構ですので、教えていただければと思います。

【小川部会長】
 今井会長、お願いいたします。

【今井全国公立学校教頭会長】
 はい。勤務時間については都道府県の差はほぼほぼありません。大体この数字に入ってきています。事務職との関係ですけども、今年度は事務職と役割分担をしているかどうかという調査は掛けてあります。確かに事務職との、私の前の学校では事務長とよく相談をしながらやっていましたし、相談することは非常に大事だなと思います。それで、ここは私がやります、こっちはこっちがやりますからということをやれば、かなり事務長がいたことによって私の仕事は楽になりました。事務長にかなりやっていただけたので。そういう意味ではそういう事務の方との連携というのは非常に重要だなと考えています。
 事務職との関係は今年度、30年度の調査で少し関わってまいります。すいません。

【小川部会長】
 風岡委員、よろしいですね。

【風岡委員】
 はい。

【小川部会長】
 また議論の方でよろしくお願いします。東川委員、どうぞ。

【東川委員】
 失礼します。貴重なお話ありがとうございました。頂いた資料のスライドの8ページに、実際に時間を費やす職務のトップ3というふうに書かれてありまして、依頼文書や調査関係が非常に多忙を極めるといったところが、嶋田先生や冨士道先生のお話にもあったところかなと、窮状だというようなところかと思います。
 先ほど来、お話に出ている中で、やはりその対応といいますか、時間を掛けなきゃいけないといったところについて必ず上がってくる保護者・PTAとの対応といったところにつきましては、非常に耳が痛いなといったところでもあるんですけども、この実態の資料3-2に出てくる、時間をどれだけ使っているかというPTA等の時間については、もっとあるんだろうなと思います。特に、休日についても出ておられるといったところが多分にあると思いますし、また地域性によってもかなり違うのかなとも思います。いずれにしても、PTAというのは保護者会ではないですので、社会教育を目指した先生方と保護者の組織といったところにありますから、一緒にやらなければいけないというところではあると思いますけども、例えば1つの学校の1つのPTAのある役員さんが文書を起案するにしても、やっぱりどうしても教頭先生や副校長先生に頼っていくと。非常にお仕事をやっていらっしゃる方で、例えばワード・エクセルや文書起案になれていらっしゃる方はとっととそういう作成もされて、最終チェックを教頭先生にお願いしますぐらいで済むと思うんですけども、一から、起案するところから全部お願いしているところも多分、多分にあるんだろうなといったところも含めますと、この時間はもっと膨らんでくるだろうなというところかなと。
 それと、PTAの組織でいいますと、大きな市や町や区については専従の事務局というのが存在しますので、そこに事務局長さんや事務職員さんがいて、その地域のPTAの組織はそういったところが主につかさどってやっていくことになると思いますけども、かなりローカルエリアに行きますとそういうところさえないので、幾つかの学校、複数の学校のあるAという小学校の教頭先生が実はそこの事務局長も兼ねていたりだとかいうことで、研究大会の準備もやると。1年間はそれでやるけども、次は輪番で、段ボールにいろんな箱を詰め込んで、「はい、次はB小学校の教頭先生、お願いしますね」ということで、ただこれが非常に能力が高い教頭先生や副校長先生が多いので、スーパーマンのような方がいれば何とかこなせてしまうというような現状があるのかなといったところが、非常にお願いしてしまって申し訳ないなといったところもあります。
 私どもPTAとしても、そこはもう少し当事者意識、主体性を持ってやるべきところを私どもとしては啓発をしていかなければいけないですし、特に最近新潟で非常に残念な事件が起きましたけども、ああいう報道等を見ていたときに、いろんなところから聞こえてくる声が、「見守りはいなかったのかしら」というような声が実は出てくると。これは完全に誰かにやってもらうという、そういう意識からそういう言葉がついつい出てしまうということについて言うならば、恐らく誰かがやっていたと。もっとみんなで関わっていくという、総掛かりという言葉が出てきますけども、そのような形で関わっていかなければいけないといったところで、今日、今井先生のお話を聞きながら、少し意を新たにしたところでございます。以上、意見でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。それでは最後、善積委員、よろしくお願いします。

【善積委員】
 今井先生、ありがとうございました。たまたま昨日、教頭研修に行っておりまして、文科省の資料を見て「お、すごいデータが出たな」と思っていました。私は、多分、冨士道先生と同じ意見だと思っているんですが、主幹の方が確かに増えた方がいいと思っています。それは、誤解をしていただきたくないのですが、ただ数が増えればいいとは実は思っていません。
 大阪の方は主幹ではなく主席という表現をされますが、主席、校長、教頭、事務といる学校の現場を見せていただいたことがあります。インフルの時でしたが、そのとき、同じような業務を、分担がその場で余りはっきりせずにどう対応するかと、うろうろされている状況がありました。見ていると、主幹の方が事務的サポートを中心に対応をされているように見える姿があったんですね。私どもは、主幹とか主席という立場の方というのはある意味、次の学校運営を担っていくミドルリーダーになっていただくべき人物だと思っていますので、単なる校長、教頭の事務のサポートとして役回りを担うことはあまりよろしくないのかなと実は思っていました。
 なので、ミドルリーダーである以上、さっきおっしゃいましたように、時間的にもある程度余裕を見ながら、その下の教員の育成というところ、あるいは学校の環境をよりよく仕事をしやすい状況に持っていくというところを、ある程度任されて動いていく、そういう人的な資質を高めていくことが必要な職務だと思っています。今おっしゃっていた教頭先生の作業を楽にするのは、事務の方をちゃんと配置をしてサポート力を高めていくという方が現実的でもあるし、役回りとしても適切なのかなと思います。主幹の方に関しては、「外にインターンシップで出してもいいんじゃないでしょうかね」という話を実は昨日していたぐらい、もう少しいろんなものを知った上で、自分がどのようにこの学校に対してマネジメントしていくかという目線を持てるぐらいの、育成のスタイル、仕組みを入れていくという発想が一緒に要るのではないかと思いました。この中での役回りを明確にした中で、主幹の方をきちんと確保していく、事務員の方を確保するというところを進めていった方がいいのかなとは思っております。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。まさに教職員間の業務の割り振りをどうするかということと、主幹教諭の職務は何かということを、再度明確にしていくというふうな課題の提示だったかと思います。今の御意見について何か一言あれば、最後でよろしくお願いいたします。

【今井全国公立学校教頭会長】
 費やしたい職務とは、先ほどお話ししたんですけども、我々副校長・教頭の魅力というか、職務の魅力ややりがいのところなんですが、一番やりがいがあった、魅力があるというのは、「児童・生徒の成長が見られた」がトップです。教員だなと思います。その次が、「教職員の成長が見られた場合」ということです。その次が、「いろんな問題や課題に教職員と解決したとき」です。4番目が、「保護者・地域から感謝やよい評価の言葉が得られたとき」です。副校長・教頭は地域にやっぱり根差して仕事をしているので、その地域の方々からほめられるとうれしいというのは分かっています。やはり教員ですから、児童・生徒、それから若手の人材育成ができたときに我々は魅力を感じているし、やりがいを感じているところでございます。
 あと、先ほど申し上げましたように、いろんなことをやるときにある程度決裁権を持っていないと、なかなか調査や様々な仕事とかもできないので、その辺もちょっとお含み置きいただければと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。今井先生、御報告、そして、委員からの様々な御質問等々について御回答ありがとうございました。
 それでは、ここで一旦終わらせていただいて、引き続いて、これまでこの部会で進めてきた学校の組織運営体制の在り方に関わる議論の整理の方に入っていきたいと思います。御承知のとおり、中間まとめ以降、本部会では学校の組織運営体制の在り方、また学校の労働安全衛生管理の在り方、そして時間外勤務抑制に向けた制度的な措置の在り方という、3つの柱を立てて、最初に学校の組織運営体制の在り方について、先行してこれまで議論を進めてきました。部会としてもそろそろこの第1の柱について、これまでの議論を整理していきたいし、何らかの方向性を出していきたいと考えております。
 そういうことで、これまでの議論を踏まえまして、事務局でこれまでの議論を整理した資料、資料2を準備していただいておりますので、最初にこれを事務局から説明をしていただいた上で、この第1の柱、学校の組織運営体制の在り方についての論点の整理について皆さんの御意見を賜りたいと思います。それでは最初、初中局の佐藤企画官より説明をお願いいたします。

【佐藤初等中等教育局企画官】
 よろしくお願いいたします。資料2を御覧いただければと思います。資料2でございますけれども、今、小川部会長から御説明いただきましたとおり、学校の組織運営体制の在り方につきまして、これまで特別部会の委員の方々から出された御意見、そして関係の団体からもヒアリングをしておりますので、そこで頂いた御意見を踏まえまして、まず1ページ目から3ページ目までが組織運営体制の在り方の見直しについての大きな方向性ということで、意義・必要性を含めて整理をさせていただいたところでございます。
 まず1ページ目でございますけれども、1つ目の丸、2つ目の丸のところでございますが、前々回に佐古委員から御説明いただきましたとおり、日本の学校教育につきましては様々で幅広い業務を一人一人がそれぞれ自己完結的に職務として取り組むという個業型の組織であるというふうな特色が指摘されているということでございます。これにつきましては、そこにございますとおり、教師一人一人がやりがいを持って教育活動を展開することができるというメリットがある一方で、教師が細かい校務に関する分掌を担うこととなり、結果的に教師が担うべき教育活動が拡大してしまっているのではないかというふうな指摘がございます。
 こういうことを踏まえますと、次の丸にございますとおり、これまで議論していただいた教師個々の業務を量的観点から見直すということに加えまして、個業型の組織を見直して、これまで以上に学校が組織として対応していけるように学校の組織体制の在り方を見直すということが必要だと考えられるところでございます。
 具体的に、次の丸でございますけども、学校が組織として効果的に運営していくためには、やはり管理職がリーダーシップを持って組織マネジメントを行っていくことが必要不可欠であると。そして、これまでの議論の中では、学校教育法上の「教諭」の長時間勤務の是正、業務負担の軽減を中心に議論を進めてきたところでございますけれども、今日、教頭会の今井会長から御報告いただいたとおり、やはり非常に副校長・教頭の業務負担が多いということを書いてございます。
 1ページ目の一番下の丸から2ページに掛けてでございますけれども、これも今日の今井会長の御説明にありましたが、本部会の中間まとめの中で、学校・教師の業務を教育委員会や保護者・地域ボランティア等と役割分担を進めていく、そして、またその勤務時間管理の徹底や適正な勤務時間の設定についても組織として行っていかなければならないというところで、非常に教頭・副校長の負担がさらに大きくなっていくというふうな状況がございます。
 そして、その下の丸でございますけれども、今まで述べたことを踏まえまして、現在の組織体制のままではやはり管理職が組織マネジメントを十分に発揮できる状況ではございませんので、管理職が組織マネジメントに注力できる学校組織の在り方を構築すべきであると。
 具体的にはそこの1丸、2丸のところにございますけれども、まず1つ目にですが、日本の学校組織については、これも佐古先生の発表にございましたが、様々な課題や教育実践について教員間の学び合いや支え合いによって成り立ってきたというふうなよさがあると。このよさを維持・発展していくためにも、同僚性的な密な情報交換や意思疎通がしやすい風通しのよい組織作りを図っていくことが重要である。そのため、権限と責任を持った主幹教諭をはじめとするミドルリーダーがリーダーシップを行使する分散型リーダーシップをモデルとした組織運営を進めていくべきであると考えられるところでございます。また、本日の今井会長のお話、そして前々回の神奈川県教委さんの発表にもございましたけれども、近年、新規採用をはじめとする若年の教師が増えてきていると。そういった若手の教師の指導ということの意味でも、主幹教諭をはじめとしたミドルリーダーを中心として、チームとして支援・指導できるように体制を構築していくことが必要であるということを書かせていただいております。
 そして、丸2でございますけれども、副校長・教頭については、今日、御説明があったように、学校事務に関する業務に多くの時間が費やされているところでございます。この中には、教育に係る知識・見識よりも総務・財務等に係る知識・見識が必要となる業務も相当程度含まれると考えられます。そのため、事務職員やサポートスタッフ等と役割分担を図っていくことが必要であると。その際、事務職員に過度に業務が集中することにならないように、共同学校事務室の活用や庶務事務システムの導入等により、事務処理の効率化を図っていくことが必要であるということを書かせていただいております。
 そして、3ページ目ですけれども、これも中間まとめに至る議論の中でも御議論いただいたところでございますが、こういったことと併せて、各学校で設置されている各種の委員会等の組織あるいは担当者についても、整理・合理化を進めることが必要であるとさせていただいております。
 そして、最後の4ページ目でございますけれども、こちらにつきましては今申し上げました内容と重複する部分もございますが、もう少し踏み込んで、具体策につきまして論点として提示をさせていただいたものでございます。
 4つございまして、まず丸1ですけれども、各委員会等の組織や担当者につきましてですが、具体的に法令で義務付けられたものを除きまして、国は各学校の実情を踏まえつつ、積極的に整理・統合を促していくべきではないかということを書かせていただいています。また、その際、具体的にどの委員会等の組織や担当者を整理・統合することが考えられるかということも併せて考えていくべきではないかとさせていただいております。
 丸2でございますけれども、そこにございますように、教務あるいは生徒指導のように校務を包括的なグループに分けることを各学校に促進していくべきではないかと。そのグループの責任者としては、権限と責任を持った主幹教諭を配置する。そして、主幹教諭が役割を十分に果たすためにも、国は、主幹教諭が行う持ち授業の軽減など、負担軽減措置も併せて実施するべきではないかとさせていただいております。また、その際、本日までの議論にも様々ございましたけれども、単純に主幹教諭の数を増やすということではなくて、主幹教諭を配置することで効果的な学校運営が行われている好事例を、国としても収集・提示していくと。そういうことを通じて標準的な職務内容を具体的に整理し、主幹教諭制度が真に活用されるように促進していく必要があるのではないかということを書かせていただいております。
 丸3については事務職員についてですが、事務職員の校務運営への参画につきましては、前回風岡委員からも御発表いただきましたが、非常に校務運営への参画の拡大というのが求められてきていると。そのためにも、国として共同学校事務室の設置・活用を促進する。また、事務長をはじめとした事務職員の配置の拡充や、副校長・教頭の業務に対するサポートスタッフの充実を図るべきではないかとさせていただいています。また、先ほどの主幹教諭と同様に、事務職員につきましても校務運営に参画して効果的な学校運営が行われている好事例を収集・提示していくと。それによって標準的な職務内容を具体的に整理し、事務職員の配置と校務運営への参画を一層促進していく必要があるのではないかとさせていただいております。
 最後に丸4でございますけども、今申し上げました主幹教諭あるいは事務長をはじめとした事務職員のさらなる活用に当たりまして、必要な業務遂行に当たって必要な資質を身に付けておくべきことが必要不可欠であると。そのため、国としても必要な研修や評価等の取組を促進・支援していくべきではないかということで、論点として整理をさせていただいております。
 資料2のほかに、本日資料3-1から資料3-7までということで、前回まで御説明させていただいた資料につきまして、議論の参考としてお配りさせていただいているところでございます。事務局からの説明は以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございます。今、事務局から説明がありましたとおり、学校の組織運営体制の在り方の見直しについて論点整理していくわけですけれども、今、説明があったように、1ページから3ページまではこれまで部会で出された各委員の意見を整理したものです。それを踏まえて、4ページ目に部会としてこの学校の組織運営体制の在り方に関わる重要な論点を整理した上で、それをどういう方向で見直していくかという、その見直しの方向性の内容を提示しております。
 残り30分ほど時間がありますので、できれば4ページの内容をベースにしながら、皆さんからの御意見を頂ければと思います。必要によっては1ページから3ページまでの、こういうこれまでの各委員から出された意見の整理の仕方については、もう少しこの辺は工夫していいんじゃないかとかいうふうな御意見があれば当然受けますけれども、できますれば4ページ目をベースにしながら、ここを中心にしながら意見交換をさせていただければと思います。
 どなたからでも構いません。御意見があれば名札を立てていただければと思います。それでは、清原委員、どうぞ。

【清原委員】
 ありがとうございます。これまでの論点を資料2に適切に整理していただいて感謝します。三鷹市でも、私は、市長の立場なんですけれども、平成30年度の施政方針は、人生100年時代を迎えて「人財活躍都市」を目指すとしました。その「人財」というのはもちろんまずは市民の皆様です。地域の様々な課題を解決する上で、子供から長寿の皆様まで活躍をしていただくということです。そして、それを支える職員の役割が重要であるという考え方です。そこで、教育委員会と連携をしながら、「ライフ・ワーク・バランスの推進」、「働き方改革」ということで取組みを進めていますが、特に教育委員会においては今年の3月に『三鷹市立学校における働き方改革プラン』を策定しました。その予算化については市長が責任を持っているわけで、教育長・教育委員の皆様と連携しながら進めていますが、その最も重要な願いは、児童・生徒の教育に力を注げる、学校における教員の時間確保ということです。
 そこで、本日資料2の4ページ目に、「目指すべき学校の組織運営体制の在り方の論点」を整理していただきました。1点目について申し上げます。教育委員会、学校現場に求められている改革というのは、もちろん市長部局にも求められていて、やはり限られた時間で集約的に、集中的に、そしてできれば複合的にできるものは整理していく、統合していく。委員会などはこの間、課題が顕在化すればするだけ増やしてきたものを、やはり包括化するということと、焦点を集めていくということと、無駄なもの、活動していない休眠的なものは思い切って削減するということだと思います。しかし、そこに求められるのが、私は校長・副校長・教頭等の決断力とガバナンス、リーダーシップだと思います。
 そこで2点目なんですけれども、このような校務を包括的なグループに分ける上でも、校長・副校長そして教頭・主幹教諭のまさにチームのガバナンス、マネジメント能力が求められていると思いますが、今井会長さんが率直に御指摘になったように、「しかし、その副校長・教頭は忙しいですよ」という現状です。それを打開することが必要です。そこで、三鷹市では東京都の支援の枠組みを活用させていただきまして、昨年度から「副校長補佐」を1つの中学校で配置させていただきました。そして、検証いたしましたら、大変効果があるということが分かりました。そこで、主幹教諭等を経営専任主任に選任して、「経営支援部」を設置している学校に副校長補佐を配置することに対する東京都の財政的支援を活用させていただき、今年は2つの中学校と1つの小学校でこの取組を拡充して検証したいと思っています。学校経営、コミュニティスクールの運営、そしてガバナンスに加えて、人材育成ということが求められているわけですから、主幹教諭の持ち時間、授業の時数を軽減することが不可欠ですので、それをした上で、学校マネジメント強化をしていくということです。併せてコミュニティスクールを基盤とした小中一貫教育を進めていますので、主幹教諭といえども、経営だけに専念するというよりも、地域との関係、保護者との関係はもちろん不可欠ですから、総合的な地域における学校組織の運営を担っていく、その主幹教諭の重要性が示されている点は重要だと思います。
 次に、丸3の「事務職員の校務運営への参画を拡大し」とあるところです。前例として事務長をはじめとした事務職を配置されているところもあるようですが、同様に学校事務の標準化・共同化が示されていることが求められます。さらに共同化するとき、どのような範囲で共同化することが有効であるかということについても、一定の検証が必要だと思っています。また、これは私の誤解があるかもしれませんけれども、教員は教員、事務職は事務職という文化がひょっとしたら学校にはあるかもしれませんが、まさに経営の観点から、教員と事務職が対等性を担保された上で、先ほど今井会長さんもおっしゃいましたように、いわゆる責任の所在そして権限というのが明確になっていませんと、結局事務職の皆様にお支えいただいたとしても、最終意思決定の責任は校長・副校長にあるわけですから、そのあたりの責任の所在の見取り図を明確にしていくことが、今後のモデル作りには必要ではないかと思っています。
 これは、丸3だけではなくて丸4にも関係したことでした。
 最後に、ここにはないんですけれども、三鷹市では専門スタッフであるスクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカー、あるいはALT、学校図書館の司書とか、あるいは小学校1年生を支援するボランティアなどのお力をかりていますし、そもそもコミュニティスクール委員会で、学校の経営について一定の責任を持って保護者や地域の皆様にも参画をしていただいています。そのことを校長や副校長が負担と感じるのではなくて、むしろ今、学校というのはまさに児童・生徒を中心に、保護者や地域の皆様との協働運営、協働経営の体制で、保護者にもきちんと責任を取っていただくというようなことですから、併せて組織体制のところには、必ずPTAや地域の皆様、あるいは関係団体との関係を踏まえた上での組織体制を提起していくということが極めて重要ではないかと思いましたので、その辺の補強をしていただきつつ、是非前向きなモデルを作っていただくことが、地域特性を超えて平準化し、共通的な働き方改革につながると感じました。以上です。よろしくお願いします。

【小川部会長】
 ありがとうございました。引き続いて、ほぼ皆さん名札を立てられています。10人ぐらいいらっしゃるので、あと30分もありませんので、発言の時間については少し御配慮いただければと思います。相原委員、稲継委員という順で発言させていただければと思います。 こちらから、よろしくお願いします。

【相原委員】
 ありがとうございます。1つ目は、先ほど今井先生がおっしゃった中で、保護者の皆さんからの感謝の言葉や他者の成長が見届けられることが自己のやりがいにつながっているという大変前向きなお話を頂いて、情景が思い浮かぶなと思った次第です。先生自身が自己の成長を楽しめることや、自己の成長を実感できることがやりがいの根源に定められるという観点が大事だと思いました。
 論点整理の1ページから4ページ目まで、納得性の高い表現だと承知したところです。1ページ目に、「個業型の組織で成り立っている」という表現があります。この個業型の中には自己完結的に職務に取り組む、1人の中に全てオールラウンダーで、給食の話も、学校徴収金の話も、学校運営の話も、子供との対話も全部入ってきているのを個業型と称しているのだと思います。しかし、今後目指す姿としては、高い専門性、子供との向き合い方に対して一流のものがあるということが求められるわけで、個業型から分散型にチームワークを広げていくというように、目指す姿を定めることが大事だと思います。子供に向き合うときに先生は一流のものがあると、技能なり技術なりノウハウなり経験なりが積み上がっていく学校運営が一番だという定めが必要なんだと思ったところです。
 次に、業務量の多さというのはどこにいってもぶつかるわけで、体制を考えていく上でも、業務の改廃というのが大前提にあるというのが前のページのどこかに書いてあるのがいいのではないかと思いました。
 最後、4ページ目の丸2に、主幹教諭が配置されたことで学校運営が改善された好事例を収集・提示するとあります。善積委員もおっしゃったとおりで、主幹教諭の業務を拡大することだけがメーンイシューではありませんので、質的にどういう役割を持ってもらうかということが大事です。収集・提示の際には、先生方の長時間労働がいかなる形で改善されたのかという事例に絞って提示すべきです。それが効果的だと理解しました。
 それと、丸3の事務職員については、事務職員が学校運営の中でやや位置付けが低めに置かれてきたという暗黙知みたいなこともはっきりしたことなので、この辺も認識も大きく改めていくということが重要だと認識したところです。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。稲継委員。

【稲継委員】
 ありがとうございました。私も相原委員と同じく、1ページから4ページに書かれていることはおおむね表現も含めて妥当かと思っております。その上で1点だけ加えさせてもらいますと、2ページ目の丸の1つ目で、現在の組織体制のままでは管理職が組織マネジメントを十分に発揮できる状況ではないというふうに書かれています。同じく残業の多い霞が関、年間400時間ぐらいでしょうか、調査で非常に残業の多い霞が関においても、管理職のマネジメントということはこれまで議論されてきませんでした。平成29年に初めて管理職のマネジメント能力に関する懇談会の報告書が出たわけですけれども、それの基になったのは霞が関働き方改革の重点取組の方針、政府の出したものでした。その中にも管理職のマネジメントという話、それから仕事をやめる仕組みというふうに5つの重点項目があったわけですけれども、特に管理職のマネジメント能力の向上といったところに焦点を当てて別の懇談会も立ち上がったところです。
 現在の状況、先ほど会長のお話を聞いても、とてもマネジメントできるような時間が取れないという実態がある中で、やはり鍋ぶた型では非常に難しい部分があります。1人校長・1人副校長で40人ぐらいの教員の面倒を見るというのは、スパン・オブ・コントロールからすると非常に難しいところがありますので、中間管理職、私は学校現場に詳しくないのでこの主幹というのがいいのかどうか全然分からないんですけれども、普通の組織論からいうと、必ずミドルマネジャーは置かれるべきだと思っています。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。川田委員。

【川田委員】
 ありがとうございます。若干抽象的で、3ページ目までの話にどちらかというと深く関わるのかもしれませんが、4ページ目の論点の整理にも多分関係するだろうと思われるコメントで、具体的には学校組織運営体制の在り方の見直しを検討するというのがここでの主題だと思いますが、その際に対象と目標を改めて明確にした方がいいのではないかということです。例えばですが、資料の2ページ目の丸1のところに書かれていることは、おそらく対象としては人材育成の在り方に関わる話が中心で、人材という点で組織に関わっている問題かと思いまして、また、その性質上、複数の人が集団でやるという点でも組織運営体制に関わるといえるのかと思います。その一方で、今日の議論の中では、例えば調査への対応というのも出てきていましたが、これは性質としては多分1人でもでき、またその内容それ自体は必ずしも組織運営に関わるとは限らないことで、そのようなものに組織全体の中でいかに効率的に対応するのかという限りで組織運営に関わる課題になるという話だと思います。例えばそういう違いがある中で、対象がどういうものかということを改めて今一度明確化した方がいいのではないか。
 また、目標につきましても、おそらくこれまでの議論の中では、個々の教員の能力とかモチベーションを高めるということも含めて、教育の質を高めるというのが大きなポイントの一つになっていると思いますが、その一方で、負担の平準化も含めた教員の負担軽減もこの部会の議論全体の中では重要な点だと思いますので、そのあたりのことも目的として改めて確認しておいた方がいいのではないのか。
 そういう対象とか目的を明確にすることで、場合によっては、この後具体的な方策を考えるときに、場合分けして考える必要などが出てくるかもしれないので、そういう必要があるのではないかということです。

【小川部会長】
 ありがとうございます。妹尾委員、よろしくお願いします。

【妹尾委員】
 何点か申し上げたいと思います。まず1ページ目なんですが、前段のところで、個業化しているという問題点の指摘がありますが、そこは別に賛成なんですけれども、もう1つ大きな組織運営上の問題としては、やはり学校が組織として過剰サービスであること。つまり、いろんなものを受け過ぎているという現状があるということはもっと踏まえないといけないと思います。つまり組織として断るべきところは断る。そのためにもビジョンと重点的な方針を示して、伸ばすべきところは伸ばすけれども、優先順位が落ちるところは落ちますよと言えるような組織になっていないといけないんですが、そうなっていないという問題点も、個業化だけではない大きな学校の組織上の問題点だと思うので、そのあたりももっと踏まえていただきたいなという点が1ページ目です。
 2ページ目に行きますけれども、真ん中のあたりに分散型リーダーシップの話があって、これはちょっと僕が誤解しているだけかもしれませんが、主幹教諭とか主任教諭等でもう少し任せていくだとか、しっかりリーダーシップを発揮していくというのはおっしゃるとおりで、そこは全く賛成なんですが、一方で、現状は、あるいは今までは本当にこれがどこまで弱かったのか、ここに大きな問題があったのかはもっと慎重に考える必要があるんじゃないかなと思います。必要に応じて佐古先生ですとか国教研の方からも、また次回以降、補足していただければいいですけれども、むしろ今、学年とか教科とか、そういう単位での、個業じゃないですけど壁が厚くて。要はカリキュラムマネジメントと言われているのは、学年とか教科を横串でもってやっていこうと。あるいはその中で学校全体としての重点を出していこうというのはカリマネで言われている中で、下手をすると、この分散型リーダーシップという言葉が独り歩きすると、そのカリマネの部分とちょっと衝突するといいますか、うまくいかなくなる部分はあるので、人材育成なんかでは分散型というのは分かるんですけれども、組織運営としては注意して使わないといけないんじゃないかなと思います。誤解していたら教えていただければと思います。
 それから、2ページ目の丸2のあたり、あるいは3、4ページ目のあたりも含めますが、事務職員とかサポートスタッフとの役割分担の話で、共同事務室の活用とか庶務事務システム等の導入等が2ページ目の最後に書かれておりますが、前回プレゼンしましたように、もっと思い切って事務職員の仕事はやっぱり減らさないと、学校運営への参画とか教頭支援といかないんじゃないかなと思います。具体的にはやはり庶務的な、庶務事務システムの導入だけではなくて、庶務事務自体をもっと事務職員の一部から離してもいいんじゃないかとか、あるいはもっと集中的なところで処理したらいいんじゃないかとか、そういうことも含めてもっと思い切った部分で考えないと、これはいつまでたっても教頭先生は忙しいね、忙しいね、事務職員と分担したいんだけど事務職員も忙しいねという、この議論がずっと続くという心配をしておりますので、御検討いただきたいです。
 それから、最後のページ、4ページ目、丸1なんですが、ここは正直申し上げて大いに不満です。国は各学校の実情を踏まえて積極的に整理・統合を促していくべきなんですと書いてありますが、国がそこをするべきかというのはちょっと疑問で、やはりここは学校のそれぞれの裁量なり、せめて設置者が頑張っていただきたいところであって、国にごちゃごちゃ言われたくないというところもあるんじゃないかなと思うんですよね。そのあたりも、もちろん国としてはいろんなモデルを示していくだとか、情報を提供していくだとか、研修をしていくというのは全く賛成なんですけれども、もっと国がやるべきことは、むしろ学校とか教育委員会等に求めている書類だとか、もろもろ財務省とも関係があってエビデンスが必要だというのは分かりますけれども、いろんなデータを求めているというところを精選していくだとか、真に必要なものはちゃんと求めていくというようなところが必要であって、この分掌とかのことについて整理・統合を促していくという方は僕は違和感があったので、また是非議論をしたいというところであります。
 それから、この4ページ目全体、あるいはこれ全体なんですが、校長への言及が弱いなというところが大いに不満です。やはり組織マネジメントとか組織運営となると、もちろん副校長・教頭の役割も大事ですが、校長は何をやってるんだというところはもっと問われないといけないと思います。もう繰り返しませんが、私は何度も申し上げていますが、校長のマネジメントスタイルだとか組織運営が本当によいものかどうかというのは、誰が果たしてちゃんとフィードバックしているんですかとかいうことも含めて、もっと踏み込んだことを言っていかないと、これは今までの中教審の提言が悪いとか文句を言うつもりはありませんが、過去の部分で解決できなかったことがこれで解決できるのかということはもっと厳しく見ておくべきだと思います。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございます。冨士道委員、どうぞ。

【冨士道委員】
では、4ページに関わって少しお話しさせてください。学校現場は本当に法令等で必置の委員会以外にも、これまでの様々な経緯から組織がたくさん存在しています。今日配られている資料の3-5にもありますけれども、今数えただけでも20以上あるんですね。学校は新たな課題が発生するたびに教育委員会を通して再発防止のための措置を作って対応しなさいということで、これまで来ました。これ、もし一般企業の組織であれば、恐らくスクラップアンドビルドだと思うんですが、学校現場はビルドアンドビルドがずっと来ています。スクラップしていいものは1つもない。その中でどんどん組織がこれだけ膨らんできたという現状だと思うんです。特に、資料3-5にも書いてありますけれど、それぞれこういう委員会がいろんなこういう資料、また手引き、様々なガイドラインからこういうものを作るべきであると出ています。是非これは、文科省さんにもお願いしたことは、各部署で本当にどれだけのものが出ていて、どう整理をしていくべきなのか、整理していただきたい。例えば、今日の資料4ページに出ていますが、教務なのか生活指導の、この大きなジャンルの中でできるならば、そこで機能的に機動的にやっていくべきである。これは新たな組織を作ってといっても、みんな教員は授業を持って、子供たちの対応をしていて、行事をやっている。このすきを縫ってこの委員会をやるということは、本当に勤務時間を超えてやらざるを得ないというのは実態です。本当にそういう意味では、やはり機能的に機動的にどう今ある既存の組織でやれるか。そういうことを、私たち、今度は校長も考えなければなりませんけれども、体制として、こういう出されるものも含めて総合的に統廃合して見直しをしていくべきだろうと思います。そうして、これが先ほど出ていましたが、モデルを示していただきながら、それが今後私はモデルではなくてスタンダードになっていくべきだろうなと、そんなように考えております。

【小川部会長】
 ありがとうございます。善積委員の方から行きたいと思います。

【善積委員】
 ありがとうございます。4ページでありますけれども、委員会の組織や、担当者の整理・統合という部分については、とりあえず事例という形ででもどうあるべきかという情報提供は少なくともしてもいいのかなというところは思います。例えば、ある学校では21あった委員会を10に縮減することを決めてやったところ、時間的に30%ほど会議の時間を削減できたという結果を報告していました。こういうことが数字でフォローして分かると取り組みやすいということもありますので、そういう情報提供の仕方をお勧めします。今まで、校務分掌とか委員会の再編ということを、コンサルタントとして入ったときにお勧めしても、学校はなかなか踏み切れないようでした。なので、やはり、上の立場の組織からある程度推奨する部分があった方が動きやすいかなということはちょっと思っております。
 あと、1ページ、これをどこに入れればいいのか、ここがいいのかどうかも分からないので、皆さんからも御意見があれば教えていただきたいですけれども、私が思っているのは、先生方がルールを守るという意識なんですね。組織として個業であるという部分が強いと、結構自己判断、自己裁量で時間を使ってしまう部分がどうしてもあります。そのあたりをもう少し意識した職務遂行を大事にするという考え方を、社会人であれば当たり前なんでしょうけども、どこかに入れたいと感じています。
 あとは、学校が、学校の中だけで結構クローズになってしまっていて、独自のやり方を追求している部分が弊害になっているところもありますので、もう1つ、学校単体だけではなく、横につながった中での運用のやり方をもう少し整理するというか、追求していくところがあってもいいかなと、どこかに記載できたらいいなと思いました。以上です。

【小川部会長】
 嶋田委員。

【嶋田委員】
 私も冨士道先生がおっしゃったことを本当にそういうふうに思います。どんどんいろんな委員会が降ってきますので、それを学校の中では作らざるを得ない。ここ数年の間にうちの学校でもアレルギー、いじめ防止、習熟度、特別支援、ICTや食育、外国語といったそれぞれのものをやっているという状況です。確かに包括していって内容を精選していくことは大事だと思うんですが、やっぱりやらなきゃいけないことはそんなに減らしようがないというところが、校長としてのやはり考えです。やっていることは同じなので、数が減っても1つの委員会の持つボリュームは大きくなってしまって、そこの部分についてどういうふうにやっぱり考えていくのかといったことが、今後の課題になるかなと思っています。 以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。風岡委員、どうぞ。

【風岡委員】
 失礼します。2ページ目ですが、先ほど妹尾委員もお話しいただいたように、事務職員と教頭あるいは教員との役割分担を考えるに当たって、事務職員サイドからすると、まずは事務の効率化ということは必要条件だろうと考えております。そういった意味で、本来ならば庶務事務システムの導入ということは事務の集中処理ということで、都道府県とか市町村の管理によるシステムになるわけですので、当然、効率化されていなければならない訳ですが、その部分がまだまだ不十分でということがあって、学校現場で事務職員が処理しなくちゃいけない状況があるということ、庶務の部分については集中処理的なセンター機能というので完全に都道府県が管理していくという方式を入れていくということが1つあるだろうと考えられます。
 それから、4ページ目ですが、私は先ほど今井校長先生の話を聞いていても、事務長と事務職員とは、その役割を分けて考えるべきだろうと思っております。そういった意味では、事務長の配置ということはまさに、学校の中に、管理職を配置していくという、そういう意味合いで考えていくという、加配についても事務長の加配と事務職員の加配とを分けて考える必要があるのではないかと思っているところです。そうすると、必然的にですが、事務職員の資質・能力の向上、あるいはチーム学校の答申の中では、今後、事務職員の採用についても検討をしていくという文言があったかと思いますが、採用からの事務職員の養成、育成が現実的な課題になってくるのではと考えます。
前回の部会でも話をしましたが、事務職員の採用については、学校事務職員単独採用、教育行政職員という枠での採用、また一般行政職員としての採用がされて、1つの人事異動先としての学校という、そういう採用形態の学校事務職員がいるわけです。その採用形態だとか、あるいは高卒であるとか、大卒であるとかいう区分の違いによる事務職員の資質の違いというのが、学校運営参画といったときには大きな違いになっているところがあるだろうと考えられます。その部分についても検討していく必要があると思っております。
 それから、4ページ目の論点とは違うかもしれませんが、チーム学校答申を踏まえてということで、学校教育法の施行規則の中に位置付けられましたスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーというような方々の、学校の組織内における位置付けだとか、その業務の在り方だとかいうところについては、まだまだ非常に不明瞭なというか、不明確なところがあると考えられます。その部分についても、児童・生徒の抱える課題解決ということからも、教員の負担軽減という意味でも配置の在り方と業務の明確化を考える必要があるだろうと思われます。
 あと、もう1点ですが、私、豊橋市教育委員会にいたときに、学校用務員の役割というのが、非常に先生方のサポートという意味で重要な役割を果たしていたという認識があります。学校用務員さんは基本的には、施設の維持管理を業務とするわけなんですが、そういう中で柔軟に動きが取れるということがあって、先生方と一緒になって教材の作成だとかを一緒にやっていたりするケースもありました。
また、市教育委員会として学校用務員の資格の取得の支援をしていることもあり、学校用務員が学校の中で非常に受け入れられて、さらに学校用務員を共同実施というような形の学校用務員のグループを作って、グループで学校を支援する、そんなこともできていたということがありました。学校用務員の配置については、国庫負担法上の職員ではないということから、配置の難しさということはあるかもしれませんが、学校の中の役割を考えると、改めて見直しをしてもいい職だと思いますので、その在り方について、御検討いただければと思います。以上です。

【青木委員】
 ありがとうございます。青木です。まず資料3-2についてコメントをしておきたいと思います。副校長・教頭の勤務時間ですけれども、今日の御発表だと調査について非常に負担があるというお話でしたが、1日の業務量の中では「事務(調査回答)」は37分ですので、他の業務より短いというか、他の業務で長いものがあると。例えば「事務(その他)」の方が3時間17分であるということで、まずここは数字上の事実として認識しておいた方がいいと思います。ただし、おそらくはきょうのお話を踏まえると、細切れで調査回答をしなければいけないということで、負担感が非常に大きい、そういう業務であろうと理解しています。もう1つは本来業務というものを考えた場合に、やはり人間関係作りというのは、教育の場だとそういう表現になると思うんですけど、おそらくマネジメント一般の表現だと工程管理とかいうふうになっていくんだろうなと思います。
 それを踏まえて、4ページについてコメントしたいと思います。まず丸2で、主幹教諭の配置について言及されています。これは資料3-3の学校教育法施行規則の44条の2項にあるんですけれども、主幹を置く場合には一部の原則必置の教務主任や学年主任を置かないことができる規定がありますから、おそらくこういう省令が出ているということは、主幹教諭とそれから主任というものの関係というのが1つ論点になり得るんだろうなという、そういう認識からこういう省令ができたんだと思います。つまり、主任との関係を整理しつつ、主幹教諭の業務の在り方とか、配置の在り方というのを考えていく必要があるなと思います。丸2、丸3を通じて申し上げたいのは、やはり好事例、グッドプラクティスの集約を踏まえた調査研究は非常に大事で、そのときの見方としては、やはり役割分担をどうするべきかという見方と、あと、本来業務は何をすべきか、これはアウトソーシングも含めてですけれども、それから必要なスキルは何かという、こういう観点を踏まえて因果モデルの構築を想定した質的な研究が必要かなと思います。
 もう1回ちょっと戻りますが、主幹教諭に関していえば、教育三法ができたときのパンフレットで組織図のポンチ絵があったと思うんですけれども、そのポンチ絵を改めて少し改定していくというようなことが必要かなと思います。以上です。

【小川部会長】
 時間が来ましたけれども、最後、天笠委員、よろしくお願いします。

【天笠委員】
 短く申し上げます。4ページのところについてですけども、学校の組織運営体制の在り方についてということで議論を進めているわけですが、この場でたびたび申し上げていることの1つとして、基本的に私はこのテーマについては、学校の主体性あるいは自立性というのが前提にあってのこの話だと捉えたいと思っております。そういう中で、学校のそれぞれの自律的・主体的な取組を支えていく制度の在り方ですとか、サポートの在り方をどう知恵を出していくかというふうな、そういうことでの一連の議論だと受け止めさせていただいております。
 それで、短く3つ申し上げたいと思うんですけども、丸1から丸4までこういう形で挙げられていますが、その中でいくと、まず1点目ですけども、この丸1の前のところに、今日、全般にありました校長・副校長・教頭の人事ですとか昇任試験等々を含めた在り方ということがやはり問われなければいけないんではないかという、この視点が実は学校の組織運営、働き方の在り方の一番根幹に関わるところではないかと、そんなふうに認識をしております。それが1つ目であります。
 それから2つ目は、そこに授業の軽減など負担軽減措置というふうに書いてありますけども、それぞれの立場における負担軽減措置というのをそれぞれ見出していって、それを累積していくというふうな、そういうやり方が1つあるかと思いますし、併せて、先ほどもちょっと発言させていただいたんですが、サポートシステムという枠組みというんでしょうか、視点で、学校のこの働き方について見つめていくというふうな、そういうことを併せて並行して進めていく必要があるんじゃないかと思います。それで、そのサポートシステムについては、ちょっと話は唐突で、もう時間もありませんので省略しますけど、例えば教職大学院という存在ということについても、この一連のテーマと私は非常に関わらせて、その在り方ということを問わせていくべきではないかと思うんですが、そのときにはこのサポートシステムというところの位置付けというのは1つあり得るんじゃないかと思うんですけども、またもし機会がありましたらということでお願いできればと思っています。
 それから、最後、3つ目になりますけども、丸1、丸2、丸3、丸4の中で、もしかすると抜けているというか、弱いところというのが、校内研修の視点というんでしょうか、そのありようということですけども、やはり先ほど来出ていますように、専門性の向上ですとか、あるいは先生方お一人お一人が自己の成長・向上への認識というんでしょうか、を深めていくとか、そういうことが学校の組織の中にしっかり担保されているとか、あるいは担保していくというふうな、そういう方向性の組織運営体制の見つめ直しということもやはり大切な視点ではないかと思います。そういうふうにしたときに、これまでの校内研修の在り方をどういうふうに見つめ直していくのか、どうなのかということも、この柱の中でいくと挙げていかなければいけないものではないかと思っております。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。短時間でしたけれども、ほぼ全ての委員から御意見・要望等々が出ました。今日出された委員からの様々な御意見・要望について、再度事務局で論点を再整理していただきまして、できれば次回の部会でこの学校の組織運営体制の在り方についての整理と基本的な方向性について、皆さんから御了解いただけるような議論が次回できればと思います。今日はありがとうございました。
 それでは、次回以降の予定について事務局から御連絡をお願いいたします。

【鈴木初等中等教育企画課課長補佐】
 本日は長時間にわたり御議論、御意見頂きまして、ありがとうございました。次回の日程につきましては、追って御連絡させていただければと思います。なお、本日の資料につきましては、机上に置いていただければ郵送させていただきたいと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。時間が5分ぐらいオーバーしましたけれども、これで今日の会議は終わりたいと思います。ありがとうございました。

―― 了 ――

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