学校における働き方改革特別部会(第8回) 議事録

1.日時

平成29年11月28日(火曜日)13時00分~16時00分

2.場所

都道府県会館101大会議室

3.議題

  1. 業務の役割分担・適正化に関する具体的な論点(部活動)
  2. 「中間まとめ」(案)について

4.議事録

         中央教育審議会初等中等教育分科会学校における働き方改革特別部会(第8回)平成29年11月28日


【小川部会長】  
   定刻一,二分前ですけれども,皆さんおそろいですし,相原委員は30分ほど遅れて会場に到着するという連絡がありましたので,これから始めていきたいと思います。
 ただいまから,第8回目になりますけれども,学校における働き方改革特別部会を開催いたしたいと思います。
 最初に,本日の配付資料について,事務局から説明をお願いいたします。
【鈴木初等中等教育企画課課長補佐】  
   お配りしております議事次第にありますとおり,机上には資料1から資料4と,参考資料1から4をお配りしております。なお,その後ろに妹尾委員から本日頂きました資料について,机上参考資料としておかせていただいております。また,御参考までに前回までの配付資料と,教員の働き方改革に関する関係団体,有識者ヒアリングにおいて関係団体,有識者の皆様から頂いた資料を併せて机上に置かせていただいております。過不足等ございましたら,事務局までお申し付けいただければと思います。
【小川部会長】  
   よろしいでしょうか。それでは,早速議題に入っていきたいと思います。本日は,議事次第にもありますとおり,2つ用意しております。1つは,業務の役割分担・適正化に関する具体的な論点ということで,主に部活動について,もう一つは,今日の本題であります中間まとめ(案)について議論を進めていきたいと思います。
 最初に,業務の役割分担・適正化に関する具体的な論点について,中でも今日は部活動について議論を頂きたいと思っています。最初に,事務局の方から資料1から資料3にわたって部活動に関わる資料について説明を頂いて,その後に議論を進めていきたいと思います。
 最初に,現在スポーツ庁で議論が進められております運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議での検討状況について,これは資料1に基づいてスポーツ庁学校体育室の塩川室長より御説明をお願いいたします。
【塩川スポーツ庁政策課学校体育室長】  
   スポーツ庁でございます。資料1に基づきまして,運動部活動の適正化に向けたガイドラインの策定の検討状況について御説明いたします。資料1の冒頭の紙にございますが,ガイドラインの内容については主に4点,練習時間・休養日の設定等,効率・効果的な指導の在り方,部活動指導員の活用についての留意事項,そのほか,持続可能な今後の運動部活動の在り方を検討,取りまとめする予定でございます。
 これまでの検討状況,主な議題でございますが,おめくりいただきまして別添1でございます。今年度施行されました部活動指導員についてでございますが,任命などする場合の研修内容につきまして,まさに学校教育についての理解を十分にした上で技術指導等に当たるためにどうあるべきかということで,検討を頂いたというところでございます。
 それから,おめくりいただきまして,別添2でございます。効率的・効果的な運動部活動の取組事例について御検討いただいた際の例えばという事例でございます。こちら,詳細な説明の方は割愛いたしますが,北海道の公立中学校のサッカー部が短い時間で効率的・効果的に生徒の主体性を発揮しながら,優秀な成績も収めているといった事例でございます。
 それから,飛んで,別添3,下のページでいうと8ページでございます。こちらが,直近の11月17日の会議で御検討いただいたものになります。別添3,平成29年度の運動部活動等に関する実態調査の速報の集計状況でございます。こちらについては,本年度,スポーツ庁の方で運動部活動の調査をしているところでございます。そうした中で,議論の特に参考になるものについて御報告したというものでございます。
 8ページにありますが,大体中学校で約450,高校で約380で,回答者数のところにありますように,学校長,教員,生徒,保護者,それから部活の指導者からアンケートに回答を頂いているというものになります。
 9ページの方は,主な調査項目のそれぞれに聞いたアンケートの概要でございます。
 10ページ以降が集計結果の主なポイントになります。こちらの方についてもお時間がある際にお目通し願えればと思うわけでございますが,とりわけ本部会に関係あると思われる部活動について,かいつまんで御報告させていただければと思います。
 飛んで13ページでございます。4番で学期中における運動部活動に関する学校の決まりがございます。(1)のところにございますが,校長が,学期中における平日の部活動の活動時間に関する学校の決まりの有無について,決まりがあると答えた割合については,公立の中学校では9割,私立では8割強。また,(2)でございますが,こちらの方,休日の活動時間の決まりについて,校長があると答えた割合についてでございますが,中学校では5割強となっているということが分かったものでございます。
 それから,おめくりいただきまして,15ページを御覧いただければと思います。5番,運動部活動の中学校の活動日数についてでございます。こちら,生徒の答えた割合でございますが,(1)平日の活動日数について,5日(毎日)と答えた割合が公立では5割などとなっているところでございます。(2),同じく,その生徒が原則,毎週土曜日活動と答えた割合で言うと6割強,それから,日曜日でいうと3割程度などとなっております。(3)について触れますと,公式戦以外の対外試合について10日以内が5割などとなっているところでございます。
 次のページでございます。中学校の運動部活動の活動時間ですが,(1),中学生が平日の活動時間二,三時間程度と答えた割合が,公立で5割弱などになっているところでございます。(2)でございますが,こちらの方は顧問でございますけれども,顧問の教員が平日の指導時間について答えた割合ですが,二,三時間程度が公立で4割となっているものでございます。
 次のページの(3)でございます。こちらの方は,土日の活動時間について生徒が答えたものについては,土曜日では3割強,日曜日では2割となっているところでございます。(4)は保護者でございますが,保護者が学期中の望ましい活動時間についてこういう結果になっておりますが,原則活動しないと答えた割合について,公立で土曜日で1割未満,日曜日で3割となっているところでございます。
 それから,ちょっと飛びまして,24ページを御覧いただければと思います。こちらの方は部活動についての悩みでございます。(1),24ページ,こちらの方は校長先生が答えていただいた悩みですが,御覧いただくように顧問に関するそもそもの不足,負担軽減,それから知識や技能不足という顧問のお悩み。それから,保護者に関する要望,理解不足といった悩みが相当程度あることが伺えるものでございます。
 次の25ページは,こちら,顧問の先生の運動部活動に関する悩みでございます。こちらを見ますと,公務が忙しくて思うように指導できない,あるいは公務との両立の限界,あるいは疲労・休憩不足,ワークライフバランス,自身の指導力不足などが,それぞれ四,五割程度となっているということがうかがえるものでございます。
 次の26ページ,(3),これは生徒が答えた悩みでございます。生徒の方は,実は一番下の15にありますが,特段の課題や悩みがないが,中学生で4割程度となっているところでございますが,それに続くものとしては,活動時間が長い,学業との両立,そして,更に体がだるい,あるいは眠くて授業に集中できないと答えた割合も1割以上となっているものでございます。
 (4)が保護者の悩み,保護者のお答えでございますが,やはり学業との両立が高いとともに,特段の課題や悩みはないといった割合も高いという状況になっております。
 かいつまんででございますが,以上が速報値のポイントの紹介になるところでございます。
 その後の別添4以降でございますが,こちらは,同じく前回の会議で御検討いただきました自治体の運動部活動改革の先行的な取組事例になるものでございます。最初の別添4,静岡市でございます。静岡市においては,市がガイドラインとして活動日について,31ページを御覧いただけますでしょうか。このページの上の方に,2,活動日・活動時間の設定とありますが,部活動の活動日・時間について,市といたしまして活動日を週4日,部活動なしの日,ある種部活動を問わず,市一斉,あるいは中学でというのを年間6日程度,それからひと月の活動時間について,年間のアベレージにならすと月45時間程度とすることでガイドラインを定めて,今後実施していくということを考えているというものでございます。
 36ページ,こちらは別添5でございますが,こちらは本部会でも事例紹介がなされております,岐阜県の多治見市の取組でございます。36ページの下の部分にございますが,基本的に学校の部活動としては平日の下校時間まで,その後は右の方のジュニアクラブと書いてあるところにございますが,学校の部活動ではなく,学校のスポーツ,体育施設を使うものの,学校ではなく地域のスポーツ活動として保護者が運営する組織の活動に移行して,やりたい教員も,生徒も,活動したい人は参加するという形で進めているというものでございます。
 それから,別添6,41ページでございます。内容は割愛させていただきますが,こちら,新潟県の村上市の地域のスポーツクラブ,総合型スポーツクラブのNPO法人の希楽々の事例でございます。こちらについては,44ページ等を御覧いただければと思いますが,学校でない競技種目の受皿として,この総合型地域スポーツクラブの方で生徒の受皿機能を担っていたという事例について紹介して,前回御審議を頂いたところでございます。
 資料1の1枚,冒頭に戻っていただきまして,以上がこれまでの検討状況でございますが,今後でございます。12月,来月でございますが,本年度,スポーツ庁の委託事業で行っておりますスポーツの医・科学的調査研究を踏まえて御議論いただく予定でございます。スポーツ医科学の観点から,適切と考えられるような活動の時間や日数についての調査研究をしているものでございますので,それについてのデータを踏まえた御検討を頂く予定でございます。
 こうした議論を踏まえて,1月以降,具体のガイドラインの文章の議論を進めて,年度内,3月までにガイドラインの取りまとめ,公表とする予定で進めていきたいと思っているところでございます。以上,資料1の説明でございます。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。では,続けて資料2,これは高等学校入学者選抜における部活動評価についてです。児童生徒課の坪田課長よりお願いいたします。
【坪田児童生徒課長】  
   資料2を御覧いただければと思います。高校入試で部活動がどのように扱われているのか,評価されているのかどうかということをまとめたものでございます。まず,この入試の法定根拠ですけれども,学校教育法施行規則において調査書というものを,学校の校長は中学校の校長から高校の校長に送付しなければならないということで,調査書を作成しなければならないということ。
 それと,次の第90条のところに,調査書その他必要な書類,選抜のための学力検査の成績等を資料として入学者選抜をしなければいけないと。また,入学者の決定というのは校長が許可するものであるということが書かれております。それに基づいて入試が行われていると。
 文部科学省の関係の通知ですけれども,昭和59年に公立高校の入学者選抜ということで,学習成績以外の記録については積極的に利用する旨,示しています。また,平成9年には,この下線部ですけれども,選抜方法の多様化,評価尺度の多元化といった入試の改善を一層進めるということ。また,その次でございますけれども,一定以上の点数を得ていれば,他の資料によって選抜を行っていくような方法も広く進められるべきだということ。そして,最後ですけれども,各種技能審査――これは英語の検定などを指していますが,それと学校内外における文化活動・スポーツ活動・ボランティア活動などの積極的な評価を示していると。こういうものを示して,選抜を不断に見直しなさいという方向性を示しているところでございます。
 このような法的根拠や通知を踏まえて,現状,課題をそこから書いております。文部科学省では,現状として高校入試については,多様な評価を求めてきているという現状にございます。
 また次のページに行きまして,入試は様々な方法で実施されているというのが実態でありますし,学力検査を課さない,又は実技等,学力以外の能力を積極的に評価して入学を認める方法も実際,広く実施されていると。
 この調査書でございます――いわゆる内申書とも一般には呼ばれておりますが,の様式は都道府県教育委員会が定めております。例として,別紙1-1として千葉県の例を示しております。また,私立学校は,私立学校の団体が統一的なフォーマットとして,この裏にあります1-2のように示している場合がございます。また,私立学校の場合は独自に様式を定めている場合があるということでございます。
 我々,毎年入試の調査をしておりますが,その結果といたしまして,別紙2を付けています。記載すべき内容として,スポーツ活動やボランティア活動などの欄があるかということを,丸が付いているところはあるということであります。
 また,裏に行きまして,ポイントでございますけれども,調査票に部活動に係る記載がある場合,評価しているかどうかということで,この調査の回答によりますと,記載があれば一律加点するというところは47都道府県ではないと。顕著な成績となる場合は加点をするというのが2県あるということでございます。ただし,これは一般選抜と呼ばれる5教科の学力検査を中心にやる試験の場合でありまして,当然推薦入試とか特色化選抜と呼ばれるものについては,むしろ運動部活動,ボランティア活動などが重視されて選抜がされているということでございます。
 問題意識を黒丸で書いております。多様な評価を求めることを示しているところですけれども,引き続き必要かという部分と,部活の過熱化抑制の観点から,調査書を基にした加点基準の明確化,また,一般入試において部活動の成績を過度に評価することを抑制するようなことは必要なのか,有効なのかという問題意識があります。自治体では,この調査書のフォーマットは既に示しておりますけれども,成績一覧表とか,その他の書類についても統一フォーマットを示しているところがあります。
 これまでの御意見でどこまで部活動が高校入試で影響しているのか,また本人にとってアピールポイントとなっているのか,実態把握が必要である旨が示されております。また,そもそもの在り方の検討と,もっと情報を生徒・保護者・教員に伝えていく必要があるということでないと,部活に入っているだけとか,また,入らないことによってかなりマイナスになるのかといったものが分からないまま動いているということがあります。
 今後の対応策でございますけれども,この調査書を基にした加点基準や配点の明確化。都道府県は努力をして示そうとはしていますが,まだ総合的な判断の中ということで,個々の配点が見えにくい示され方をしている場合が見られます。生徒や保護者が適切に判断するよう,この加点基準の明確化について,もちろん,した上できちんと周知徹底をするという方向が必要ではないかということでございます。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございます。最後ですけれども,部活動に関して業務の適正化・役割分担に関する具体的な論点について,これは資料3に基づいて,佐藤企画官より説明をお願いいたします。
【佐藤初等中等教育局企画官】  
   それでは,資料3を御覧いただければと思います。こちらですけれども,部活動の適正化につきまして,本特別部会においていろいろ頂きました御意見を踏まえてまとめさせていただいております。なお,事項が1番から5番までありますけれども,1番の背景から3番の自治体の取組例まで,9月22日の第4回の本部会において配付させていただいた資料と重複しますので,省略をさせていただきます。
 2ページの一番下の4番,これまでの主な意見のところに,今までの部会で頂きました意見を列記させていただきました。時間の関係で省略させていただいて,それらを踏まえて4ページの真ん中以降で,考えられる対応策ということで,8つにまとめさせていただいておりますので,それぞれ紹介させていただきます。
 1つ目,運動部活動については,スポーツ庁が作成予定のガイドラインを踏まえた適切な活動時間や休養日の設定を行うべき。
 2つ目,部活動の顧問ですけれども,教師の勤務負担の軽減や生徒への部活動推進の充実の観点から,部活動指導員をはじめとした外部人材の活用を積極的に行うべき。
 そして,3つ目,部活動指導員について国等が支援を行う際には,単なるボランティアではなくて,学校の職員として位置付けられた部活動指導員の趣旨を踏まえて,大会引率等の際の責任の所在を明確にする,スポーツ庁が作成予定のガイドラインを遵守する,部活動指導員の活用が教師の働き方改革につながる取組であるということ等を条件とすべきであると。
 そして,4つ目ですけれども,学校規模が縮小している学校においては,設置する部活の数についても適正化するとともに,複数の学校による合同部活動や総合型地域スポーツクラブとの連携等を積極的に進めるべき。また,大会等の主催者においても,こうした合同チームや地域スポーツクラブが大会に参加できるようにすべきであると。
 そして,ページをめくっていただきまして5ページでございます。上からですが,まず国,教育委員会及び学校は,各学校が適切に部活動の活動時間や休養日を設定することについて,保護者に対し理解を求めるように努めるべきであると。
 そして,次でございますけれども,先ほど御説明がありましたが,入試における部活動に対する評価の在り方の見直し等の取組も検討すべきであると。
 そして,次でございますけれども,運動部活動だけではなくて,文化部活動に関しても同様に,その在り方について国の方で検討する必要があると。
 そして,最後でございますけれども,将来的には,地方公共団体や教育委員会において,学校や地域住民と意識共有を図りつつ,地域で部活動に代わり得る質の高い活動の機会を確保できる十分な体制を整える取組を進め,環境が整った上で,部活動を学校単位の取組から地域単位の取組にし,学校以外が担うことも積極的に進めるべきということで,まとめさせていただいております。資料3の説明は以上でございます。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。それでは,今の資料1から3をベースにしながら,部活動に関して役割分担や適正化について議論をしていきたいと思います。
 なお,この後,中間まとめ(案)を検討する際にも,部活動に関する記述がありまして,部活動における役割分担や適正化について,どう中間まとめ(案)に書き込むかという議論はまたこの後に改めて議論をしますけれども,基本的には,ここでは資料1から3をベースにしながら,少し意見交換をしていきたいと思います。
 後の方の議論と明確に区別するというのは難しいと思いますので,後半,オーバーラップする点も含めて,その辺のところは余りリジットに発言を制約する気はありませんので,御自由に議論していただければと思います。御質問,御意見,皆さんからあれば,御自由に御発言ください。恐縮ですけれども,発言の際には名札を立てていただければと思います。いかがでしょうか。
 では,こちらの方から行きましょうか,橋本委員,妹尾委員,そして冨士道委員ということで。どうぞ。
【橋本委員】  
   部活動に関しましては,運動部の活動を対象にいろいろ議論されているんですけれども,当然スポーツ庁所管ということになりますと,そういうことになりますが,ただ,文化部に属するものの中でも,吹奏楽というのは運動部以上に練習時間が多いところが結構あります。特に大きなコンクールで入賞を目指すような学校というのは,本当に一日でも練習を休んだらレベルが下がるという指導者の認識がありまして,かなり厳しい指導が行われているというのが実態ではないかなと思います。
 休養の必要性というのが運動部と全く一緒かどうか,この辺はよく分かりませんけれども,是非吹奏楽など,要は運動部以外でもそういう厳しいクラブがあるということを前提とした記載が,何か要るのではないかなと思います。
 それから,また,これは細かいことになりますが,業務量に関わって,いわゆる朝練習です。これは,やはり教員の早朝出勤を伴うということもありますので,こういう朝練習につきまして,週当たりの実施回数の上限を示すなど,何らかの規制といったようなものが必要ではないかなと思います。
 あと1点,大分前ですけれども,5日制が導入された際も高体連とか中体連が通知を流して,土曜日,日曜日あたりのどちらかを休養日にするといったようなことがあり,当初は結構守られていたんですけれども,数年後にはすっかり形骸化してしまったという経過があります。今回,また改めて休養日を設定していくという中で,これがきちっと守られるように,例えば実施状況を公表するとか,実施をしっかり担保するような何らかの仕組みが要るのではないかなと思います。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。妹尾委員,どうぞ。
【妹尾委員】  
   主には,資料3の考えられる対応策という4ページ目,5ページ目のところに関係すると思うんですけれども,ここに書かれてあることはそのとおりだなと思う反面,先ほども橋本さんからありましたとおり,どう実効性を担保するのかというところが大きな問題だと思っております。済みません,今朝の送付になったので,傍聴席にはなくて恐縮なんですが,机上配付で私,資料をちょっと作ってきましたので,かいつまんで紹介をさせていただければと思います。
 1ページ目なんですけれども,なぜ部活動の過熱化は止まらないのかといったところを踏まえないと,机上論とか,学校現場に浸透しない答申ですとか,ガイドラインになってしまうのではないかなというところを懸念しております。これはスポーツ庁の審議会でも同じことを今後申し上げていきたいとは思っているんですけれども,先ほども中体連等の申合せがあったとか,あるいは文科省さんも通知ですとかガイドラインというのを幾つかさんざん出していたりとか,あるいは教育委員会とか校長会の呼び掛けで土日は休みましょうだとかいうことは,さんざん今まで各地域であったはずです。
 しかし,そういった休養日設定すら守られなかったのはなぜなのかという,現実の反省点をしっかり踏まえる必要があるんだろうなと思っております。過熱化した背景はいっぱいあると思いますが,ここでは5つに絞って申し上げたいと思っております。
 1点目は,部活動の学校教育上の位置付けが曖昧なままで,学校教育の中なのか,外なのかというのがよく分からん,ということがあるのではないかなと思います。委員の方は机上配付資料の2ページ目を御覧いただければと思います。学習指導要領上の記述は皆さん御案内のとおりで,教育課程外なんだけれども,やるなら学校教育の一環としてやってねというような記述になっております。この場はこの記述云々(うんぬん)を議論する場ではないとは思いますけれども,この規定を正直誤解されているのではないかなと思う校長もいます。
 学習指導要領に書いているんだから,あんた,やりなさい,顧問をしなさいみたいなことを言う校長もいるやに聞いております。これは,やるのだったら,学校教育の中でしっかり教育効果を考えてやってくださいねということだと僕は思っているんですけれども,そのあたりの理解もしっかり浸透させていく必要があるんだろうなと思います。
 また,この議論は今後詳しくでいいと思いますけれども,生徒の自主的な活動でありますし,超勤4項目にも該当しないのが部活動でありますけれども,ただ,勤務時間外に活動することが当然視されていますし,あるいは土日の部活については特殊勤務手当の一部として部活手当も出ると。要するに業務なのか,自主的な活動なのか,自発的な教員の活動なのかがよく分からないままに,でも,何で手当が出ているの,みたいなところもあって,非常にこのあたりが中途半端。仕事なのか,どうなのか。でも,超勤の命令は出せないしということで,非常にここが大きな曖昧なところになっております。
 これについても,部活に限らないんですけれども,本当に業務なのかどうかといったことは,よく検討する必要があります。僕は労働法は詳しくはないので,川田先生が御専門ですけれども,そういった専門家の意見も聞きながら,しっかり議論する必要があるんだろうなと思っております。こういった曖昧な中でどんどん拡大してきたというのが,1つの背景としてあるだろうというのが,1点目。
 2点目としては,やっぱり生徒の成長とか,生徒指導上も効果があるので,学校としてはやめられないというところがあるんだろうなと思います。今日のスポーツ庁の資料1の23ページをお開きいただければと思います。これは,主担当顧問に聞いている質問で,部活動の狙いというか,重視している点につきましては,実は大会・コンクール等での良い成績というのは少数です。むしろ,生徒の自発性・主体性の尊重,育成,あるいはチームワーク・協調性・共感,こういったものが多い。
 つまり,競技力向上だけのためにやっているのではなくて,こういった生徒の成長とか生徒指導のためにやっている。なので,外部指導者では任せ切れないといった声は現場で多いわけです。ここの考え方をどうするのかどうかというのは,よく考えないといけないと思っております。
 済みません,私の机上配付資料の2ページ目の方にも書きましたけれども,ただ,部活動のそういった効果はあると私もすごく実感しておりますし,部活の意義は私も全く反対するものではございません。しかし,そういった生徒の成長支援とか,生徒指導というのは当然ですけれども,部活以外でも先生方,やっているものなので,ちょっと部活でやり過ぎていないかという話はしていかないといけないかなというのが,2点目です。
 3点目,4点目,5点目は,また長くなりますのではしょりますけれども,そういったところです。特に3点目につきましては,試合があるからハードになってしまうというところもあるので,あるいは私学がやっているので,公立だけ規制を掛けても駄目じゃないかという議論もありますので,私学も含めてどんなふうにやっていくか,あるいは大会の在り方も含めて考えていかないといけないと思います。
 4点目は,先ほど出た入試の話です。5点目は,保護者にとっても,正直部活に行ってもらった方が子育てが楽になるといったところは,僕も中学生を持っている親としては実感できることなんですけれども,そういったところも含めて,社会とか保護者に対しての啓発とか呼び掛けも必要かなと思っております。こういったところへのアプローチをもっとやらないと,正直,実効性のあるものにはならないと思います。
 ですから,一番いいのは,例えば休養日とかを守っていないとか,1日の活動時間が余りにも長過ぎるところは試合に出られませんよとか,そういうふうにするかどうかも含めて考えないといけない時代に来ているのではないかなと思っております。以上です。
【小川部会長】  
   冨士道委員,どうぞ。
【冨士道委員】  
   失礼します。今日,説明いただきました資料3の具体的な論点,部活等の適正化事例,ここの特に考えられる対応策,幾つか今日説明がございましたけれども,これについて少しお話をさせていただきたいと思います。
 1つは,この考えられる対応策の2つ目,ちょうど真ん中でしょうか,各校長がという表記がございます。特に最終的には,部活動指導員をはじめとした外部人材の活用を積極的に行うべきというお話がございます。これは,校長として1つの考え方としては持っているわけでありますが,当然そうなりますと,一番問題になるのは,その予算はどうするかが課題となります。更に学校の校長にしてみれば,その人材をどこでどう見つけて指導をしていただくのか。
 「校長が」という表現をされておりますけれども,現場の校長としては,校長だけで頑張れというのは大変酷なことだと思います。これは,当然校長がそういう考え方を持っていても,その予算,つまり財政的な支援,そして人材を発掘するための窓口であったり,そういうものを含めて,行政でもバックアップをしていただかないと,これはやれと言ってもなかなかできない。こういうところは是非考えていただければなと思っております。
 2つ目は,部活動指導員です。やっぱり責任の所在という点を現場の校長としては心配をしています。特に3つ目のところでは,大会引率等云々(うんぬん)と書いてございますけれども,日常で考えますと,日常の部活の練習の中でもし事故があった場合,どうするのか。部活動指導員が部活動の顧問,教員ではない者がということで,非常にそこが大きな課題になっていくのかなと思います。そういう意味では,後半に出ていますけれども,最終的に部活動指導員が公の学校の職員として位置付けをされる。そうなれば,またこれは話が違ってきます。
 今回の資料の一番最後には,将来的には,これは学校単位から地域単位へ移行していくと述べられています。そういう最終的な目標が示されていますけれども,これはすぐにはできるわけがないですので,いろいろなステップを踏みながらやっていくことが重要だと考えます。ですから,最初は,まさしく部活動の指導員という形で外部の方をお呼びしながら,そして,次はその方々が学校の職員として採用されていく。最終的には,それが学校の活動ではなくて,先ほど曖昧だという御指摘もありましたけれども,それを地域単位の取組にしていく。こういうステップアップしていかないと,すぐにはできない。
 さらに,ステップアップしていく中で,先ほど私はどうやって人材を見つけるのかという話を申し上げましたが,例えば地域にある民間のスポーツクラブであったり,人材派遣の会社があるわけで,そういう所と委託を含めて活用できないかどうか検討することも必要だと思います。つまり,柔軟にいろいろなアイデアを出していかないと,部活動は今限界に来ています。是非,柔軟に考えていかなければいけない,そんなふうに思っております。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。天笠委員,どうぞ。
【天笠委員】  
   失礼いたします。今日,スポーツ庁から出されましたこのデータは,部活動の現実の実情というか,実態というか,それを数値として表す大変貴重なデータになっているのではないかなと,まずそういうふうに受けとめさせていただきました。まずは,それに基づいて少しコメントさせていただきます。
 14ページのところなんですけれども,これが,私は大変示唆的な項目と受けとめさせていただきました。それは,そこにありますように,この場合には,対外試合の実施日数のところについての決まりというか,それについてどうあるのかということで,その項目をそこにありますように,例えば上限を定めていないが,学校長が承認云々(うんぬん)ということですとか,あるいは各部の顧問に任せているとか,このところに非常に学校の実情,実態がよく出ているのかなと思いました。
 要するに私はどういうふうに解釈したかといいますと,慣習とか慣行で基本的には動いているわけです。ですから,恐らく,これ,校長先生が代わるたびに日数が変わっているとか,決まりがそのたびに動くということではなくて,大体基本的に既にあるものを,前例を踏襲して,そしてというのがこの姿ではないかと思うんです。これが積もり積もってというか,重なり合っていって学校の現状の一端になっているわけです。
 ですから,ここはある意味で言うと,昨今のはやりの言葉で言うなら,校長先生のガバナンスが効かない状態になっていないかどうかと,こういうのがここであって,基本的に慣習,慣行を是認するということが,現在のリーダーの在り方であってと,そういうふうに捉えさせていただきました。
 そうしますと,私はこの働き方改革ということについては,基本的にやっぱり学校の自主性,自律性というか,自主的,自律的に自らの働き方を考えろというのが大原則だと思っております。そういう中で,この問題になったときに,私どもの立場からすると,このあたりのところをある種の基準というか,方向性とかいうことについて提言するというのも,また1つの在り方としてあるのかもしれない。
 ですから,これはどうぞ,学校でお決めになるというのが,校長先生の御判断でというのが本来の在り方ですけれども,ただ,申し上げたような現状からすると,そのところにこの判断が機能するような,働くような,私どもの働き掛けという意味でいうと,例えば制限する日にちをこういう形で明示したらどうかとか,こういう形で提起したらどうかと。それを参考にしていただいて,それぞれ都道府県とか学校で基準を設けていただく,それを校長先生の下で運用していただくということというのが,1つあるのではないかと思います。まず,それが1つであります。
 それから,ほかのところですと,いろいろ困難を抱えているところという調査もあったかと思います。更に私は,それについては,こういうデータが一緒に加わるとよかったかなと思ったのは,教職経験年数によってそのあたりがどうなのかということで,比較的ベテランの方というのは,若い人に比べると困難さとか,ある種の負担感というのが,それぞれの年齢層によって,教職経験年数によって少し移動があるのか,それとも全体としてこういう状況は変わらないんだということあたりなのか。
 1つは,何を申し上げたいかというと,経験年数でそこら辺のところについて,部活の担当の在り方というのを少し配慮する必要があるのではないかと考えるところがあるんです。私は原則としては,やっぱり今回の提案の中のどこかに,先ほどもあったかと思うんですけれども,私は先生方が授業や授業の準備に本来的に専念する体制,環境を作るということが大原則ではないかと思っています。そこからするならば,まずは授業とホームルーム,学級経営というところに力を使っていただくと。
 その経過というところを踏まえながら,部活の在り方ですとか,担当の幅を広げていただくと,そういうキャリアの形成の仕方もあり得るのではないかと。とするならば,例えば初任者から最初の3年間ぐらいは,原則として部活の担当は外れていただいて,一定の経験年数の後に部活担当もお願いすると。中学校の場合というのは,比較的,小学校と違って最初は副担任から,そして後に学級担任になっていくとか,少しそういうステップがありますので,それならば,部活の指導というのもそういう段取りで。
 既にこのあたりのところは取り組んでいる自治体とか,学校というのはあるのかもしれません。もしあるならば,そういうことについての情報をまた上げていただくということもお願いできればと思います。
 最後になりますけれども,改めて見てきますと,月曜から金曜までと,土日というのが一体となってつながってしまっている。月曜から金曜までと土曜・日曜というのが,めり張りがある1週間ではなくて,とにかくつながり切ってしまっている。そこのところですと,もう一度改めて週5日制というのが,ある意味で言うと,その本来の趣旨の当初の姿とは随分変質してきたというところが,実はこの働き方改革等々についても,1つの大きな背景的な要因としてないのか,どうなのかということ。
 既に今回の報告書にもありますように,例えばそれならば,月曜から金曜までの担い手と土日の担い手をそれぞれしっかりと区分けしてやっていただくとかいうのも,1つの案としてあるのではないかと思うんですけれども。いずれにしましても,土日が月曜から金曜の延長線,連続線のような状態になっているということ自体,もう一度見つめ直す必要があるのではないかということを申し上げさせていただきたいと思います。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。この後,順番は,清原委員,青木委員,佐古委員,田野口委員,そして最後に善積委員ということで,お願いします。
【清原委員】  
   ありがとうございます。三鷹市長の清原です。本日お示しいただきました3つの資料について,それぞれ一言ずつ意見を申し上げます。
 資料1の,スポーツ庁によります「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成」についてですが,実態調査及び自治体の具体的な事例に基づきまして,ガイドラインについて検討をしていただいていることを,大変有意義だと思います。特に別添資料として,伊達市,静岡市,多治見市,村上市の取組事例につきましては,まさに現在,部活動の適正化,とりわけ運動部の適正化について実践していらっしゃる先駆的な事例として,大変有意義だと思います。
 特に,資料1の31ページ以降,静岡市におかれましては,「活動日や活動時間を設定することがどういう意義があるか」ということを列挙していただいています。意義の1として,生徒のSTUDY/SPORTS/SOCIETYのバランス,3Sのバランスを図る。意義2として,生徒がより効率的練習を志向できる。3として,競技団体や民間等の他組織との連携により,生徒はさらなる競技力を望むこともできる。4として,生徒の主体的な参加をより一層促すと。
 私は,やはり運動部の適正化というのは,一方で,生徒にとって適切な運動部活動を保障していくということと,そして,働き方改革というのがきちんと連携するということが重要であるということを,この具体的な事例が示唆していただいていると思います。したがいまして,この点について具体的な現場の事例から学んでいくことも有効かと思います。
 資料2で,「高校の入学者選抜における部活動の評価」についてもまとめていただきました。ここで,一方で,「多様な入試を行う」ということ,他方で,「クラブ活動を重視し過ぎているのではないか」と。これが正しい理解かどうかは別として,そのことが中学校の部活動を熱くし過ぎているのではないかという問題の整理が,この資料2ではできていると思います。
 大切なのは,中学生が自分自身の将来を見極め,進路を確定するときに,一体クラブ活動がどのように評価されているのか,いないのか。されているなら,どういう点が評価されているのか。所属していることだけなのか,あるいはクラブ活動での成績なのか。これは一般入試と推薦入試では評価の軸が違うと思いますので,全ての高校にこの辺の可視化,見える化,公開をしていただくことが重要であるということが示唆される資料だと思います。
 資料3について申し上げます。4ページ以降,「今後の考えられる対応策」が列記をされております。これにつきまして,私,橋本委員と同じ意見で,やはり運動部だけではなくて,吹奏楽,あるいは文化のクラブも含めて総合的に私たちは提案をしていきたいと思います。
 そして,先ほど冨士道委員がおっしゃったキーワード,「予算」,「人材」,「責任の所在」,これはやはりしっかりと私たちも認識して提案いたしませんと,よかれと思って提案したことも,実現可能性が薄くてはいけません。ただし,可能性としてこういう事例もあることを御紹介します。三鷹市は「コミュニティ・スクールを基盤とした小・中一貫教育」を進めておりまして,必ずしも全ての学校で実現しているわけではありませんが,多くの小学校で放課後のクラブ活動を地域市民の皆様が支援していただいています,例えば華道部であるとか,合唱であるとか,吹奏楽等も一部あるのですが。
 すなわち地域の皆様がそうしたクラブ活動の指導者になることで,もちろん生きがいや達成感を感じていただいている,生涯学習との接点になっているというところもございますので,私たちは学校教育におけるクラブ活動の質の向上,そして働き方改革,さらには地域の皆様にとっての生きがい創出や活動の場の保障をどのようにコーディネートしていくか。これは,コミュニティ・スクールにおけるコーディネートの役割とも連関してくることだと思います。
 学校支援の皆様が適時適切に活躍していただくような,コーディネーターの皆様にこそ,まずは予算が付かなければいけないと思っていますが,いずれにしても民間のスポーツクラブの活躍もという事例も出ましたように,是非,現実の問題と,中長期的にどのように動かしていくことで,私たちが提案していくことが実現するか,時間軸も含めながらまとめられたらなと,このように感じたところです。
 いずれにしても「ノー部活デー」や,「部活の週休日」のように,あるいは「学校の一斉閉校日」のような,そうした「部活動をやらないという日」を決めないと,本当に皆様熱心なので,そのあたりについては具体的なものが提示できることが望ましいと考えました。
 以上です。ありがとうございます。
【小川部会長】  
   青木委員,どうぞ。
【青木委員】  
   ありがとうございます。やはり今清原委員もおっしゃったように,上限規制というものは非常に重要だなと思っています。静岡市の資料で上限規制に類することが紹介されていますので,私はこれが非常に参考になると思います。他の業務ですとか,教員の業務,働き方全般にこういう上限規制というものの効き目があるのではなかいと思うぐらい,非常に重要な事例だと思います。
 上限規制が効く業務というのは,恐らくロングテールで,量的に今回把握されている資料がありますから,それを見ると非常に長い時間やっている例があるわけです。そういうところに上限規制がピンポイントで効いていくのではないかと思います。ノー部活デーについても同じことが言えると思います。
 それで,量的な把握ができる資料が今回出ていると申し上げましたけれども,それに係って,私が関わっている教員勤務実態調査でも部活動に関わる分析が今進んでいるところです。次回以降,しかるべきタイミングで委員の皆様にも共有できるのではないかと思っています。
 やはり,妹尾委員はじめとして社会的にこの問題について発信されている方は,あの勤務実態調査の資料をベースに議論を組み立てられていますので,今後もああいう全国的な,しっかりした調査というものが議論のベースとなる必要があるかなと思っています。
 あと,幾つかコメントになるんですけれども,やはり今回のスポーツ庁さんからの資料を見ても,教員のボランタリーな熱意に保護者がフリーライドしているんだなというのが,改めて分かります。例えば多治見市の事例を見れば,あれでコスト計算できるわけです。いかにこれまで社会や家庭が教員の熱意にフリーライドしていたのかというのが,よく分かると思います。
 あと,小規模化している学校等々を考えると,フルセット型の部活動というのもやはり見直した方がいい時期かなと思います。全ての種目がそろっていないと,中学校としてみっともないなんていう認識があるわけですけれども,そういう認識を改めた方がいいということ。
 それから,お金の掛からないことで今後できそうなことだけ言います。先ほど上限規制を申し上げました。それから,教育委員会とか,教育行政の内部の中でできることとしては,例えば採用のときに,もしかしたら部活動というものを意識した採用が行われているとすれば,それは好ましくないのではないかなと思いますので,そういうところにメスに入れた方がいいということ。
 あと,教育行政の癖として,教育行政内部でできることを選択肢としてこれまで考えてきたと思うんです。やはり,ここは改めて外部の主体にも少し打って出るということもあっていいのではないかと。具体的に言うと,スポーツ界,スポーツ団体ですとか,文化団体といったところにも,積極的にこちらから働き掛けるということが必要なのではないでしょうか。やはり,県によっては,大会やコンクールに関して,新聞社も先頭を切って過熱していくという例もあるわけです。ですので,やはりノー部活デーや,上限規制のようなものに協力してもらうということを,こっちから言ってもいいのではないかなと思います。
 その裏付けとなるのが恐らく科学的な根拠で,例えば毎日練習していると体にがたが来るとか,そういうような休養も大事だよということも踏まえて,協力を要請していくということが必要ではないかなと思います。以上です。
【小川部会長】  
   佐古委員,どうぞ。
【佐古委員】  
   スポーツ庁からのデータでいろいろ考えさせられることがありましたが,1つ,妹尾委員がおっしゃいましたけれども,そもそも自主的・自律的な活動として位置付けられている部活動に,教員が毎日3時間も教科等の指導とは別に関わるということが,果たして当たり前でいいのだろうかということが,私の最大の疑問です。
 もしも,それを学校でやるべきだというのであれは,当然それは学校の仕事として教員を増員して,スポーツ担当の教員を置かなければならない。それができなければ,やはり教育活動上の部活動の意味をもう一度きちんと位置付け直して,どうするかということを議論しないと,なかなかそんなに簡単にいく問題ではないと思いました。
 それはそれとして,ですから,部活動に対して当面どうするかに関して言うと,2つの観点で考えるべきだと思います。1つは,学校の教育活動としてこれをどう位置付けるかということで,例えば各教科等の配当時間とのバランスで,部活動にはやっぱりこれぐらいでないといかんねという,教育活動上の配慮としての配当時間として制限を設ける,これが1点だと思います。
 もう一点は,今御議論されているように,教員の働き方の内容,量として,週これぐらいというような考え方もあるかと思いますが,私はとりあえず部活動については,今申し上げたように,教育活動上の位置付けをどうするかということに議論を進めていかないと,単にこれは外部人材でどう活用するという話にはなかなかなりにくいと考えております。以上です。
【小川部会長】  
   田野口委員,どうぞ。
【田野口委員】  
   小学校からのお願いです。部活動は小学校においてさえも,実施を義務付けるものは特段なしということでございますけれども,小学校においても全国の中では部活動が行われている地域がございます。調査さえも掛かっておりませんので実態が明確になっておりませんが,是非,小学校部活動もこの業務の適正化の議論の中に入れていただきたいとお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【小川部会長】  
   では,最後,お願いします。
【善積委員】  
   私ども,業務改善で学校現場に入らせていただいている立場から,方法論については,今皆様のおっしゃったようなこと,全く同意するところですので,それがなぜ必要かというところを別な目線でお話しさせていただきたいと思いました。
 学校現場の業務を見ていくときに,必ずその学校の先生方の意識や,投入時間の傾向について調査をしますが,同じクラブを担当されている方でも,人によって関わる時間が違っていました。つまり,部活動に対する教員個々の考え方が違っているということです。それは,先ほど皆さんがおっしゃったように,部活動という位置付けが曖昧で,基準を先生方が任されているためであると考えています。
 その一方で,部活動に非常に熱心な先生方の声が,全体の雰囲気を規定してしまうところがどうもあるらしく,本音では,そこまでクラブをしたいと思っていない先生が,その先生方に引っ張られてしまっている。それを外に出しにくくなって,結果的に不満を少しため込んでしまっているような実態が見受けられました。
 これは,チーム学校を運営していく中では非常に大きな壁となります。そういう個々の判断や,どちらかというと意見を言いやすい方々に,引っ張られてしまっている状況が組織の中にあるというのは,決していいことではないと思っています。例えば,管理という側面から見ても,学校の外でクラブ活動をするとなると,校長先生方では管理ができない実態になってしまいます。顧問の先生方のやり方に委ねてしまうと,そこら辺の意識や空気感も含めて,組織としての一体感を作る力,目標に向かって動いていくための組織の力が付きにくい状況になってくると思います。
 今皆さんがおっしゃったような話を前提としつつ,今すぐできることとして私が提案したいなと思うのは,少なくとも各学校で,それぞれの顧問の先生が計画,例えば学期ごと,1年ごとで,どのぐらいのクラブ活動をするかについて見える状態にされるということです。
 それを,先生方や保護者の皆さんが共有をされて,その中で運用されていくぐらいの見える化をされないと,曖昧でブラックボックスになった運用では,それがおかしいのかどうかも言えないし,改善するべき点も見つかりません。部活の位置付けをはっきりさせていただくことが第一ですが,すぐできない場合は,まず最低限,計画性とか必要な時間についてちゃんと,天笠委員がおっしゃっていることと同じだと思うのですが,学校の中で議論された上で,必要な投入時間を考えて組み立てた計画を,現場で是非持っていただきたいと思います。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。まだまだ御意見がある方もいらっしゃるかと思いますが,一応部活動の役割分担・適正化等々の議論は,ここで一旦打ち切らせていただきます。
 この後,中間まとめ(案)のところでも,再度部活動の問題については記述をどうしていくかという議論がありますので,今の議論も踏まえつつ,またその箇所で改めて御意見を頂ければと思います。
 それでは,次の議題に入っていきたいと思います。次は,中間まとめ(案)についての検討です。文科大臣から諮問を受けて,今回まで,今日の会議を含めて8回にわたって議論をしてきたわけですけれども,これまでの議論を踏まえて,中間まとめとの議論を,今日また次回の2回にわたって進めていきたいと思っています。
 今日の進め方ですけれども,皆さんのお手元に資料4という形で中間まとめ(案)があるかと思います。内容がかなり大部で,また多岐にわたっていますので,議論の仕方については3つのパーツに分けて,それぞれ時間をとって議論をし,そして最後に時間があれば,また全体を通じて議論していくという形で進めさせてください。
 最初に,「はじめに」から1,2を1つのパーツ,そして,3の業務のところはボリュームがありますので,3を1つのパーツ,そして4,5,6を3つ目のパーツに分けて,それぞれ事務局の方から,今述べた3つのパーツごとに説明を頂いた後に,質問,意見交換をしていきたいと思います。そのようにお願いします。
 それでは,最初に「はじめに」と1,2に関わって,佐藤企画官の方から御説明をお願いいたします。
【佐藤初等中等教育局企画官】  
   それでは,資料4を御覧いただければと思います。まず初めに,本中間まとめの作成方針というか,文科省の方で留意した事項といたしましては,これまでの,特別部会における委員の方々から頂いた御意見の中にもありましたけれども,明確に学校現場,あるいは社会に対して,中教審としてのメッセージを伝えていくということを大事にしまして,明確なメッセージを分かりやすくということでまとめさせていただいております。
 その中で,かなり思い切った記述まで踏み込ませていただくということとともに,誤解が生じないように丁寧に書き込んでいくということをやらせていただいた結果,37ページという非常に大部なものになってございます。これにつきまして,今後概要版的なものも作成するなど,工夫して対応していければと思っております。
 1枚めくっていただいて,全体の構成を目次のところで初めに確認いただければと思います。まず,「はじめに」のところは,これまでの開催経緯等についてまとめさせていただいております。その後,1番の「学校における働き方改革」の背景・意義というところで,4つ事項を入れさせていただいております。
 まず1つ目ですけれども,新学習指導要領の円滑な実施ということによりまして,予測不可能な未来社会を生き抜くための資質・能力というのを,子供たちに確実に育成していくということが重要であるということを1点目に書かせていただいております。
 (2)でございますけれども,これまで我が国におきまして,児童生徒の状況を総合的に把握して,知・徳・体という形で全人格的な完成を目指すという教育が行われておりますので,そういったことについて諸外国でも高い評価を受けているということ。あとは,社会や経済の変化に伴いまして,学校が抱える課題というものが非常に複雑化・多様化しているということ。それによって,学校・教師の業務というものが非常に増えているということを書かせていただいております。
 そして(3)といたしましては,今申し上げたようなことも相まって,教員の長時間勤務の状況というのが,勤務実態調査の結果から見ても非常に看過できない状況にあるということ。そして,このような状況の中で持続可能な勤務環境を整備すると。具体的には,教師の業務負担を削減するとともに,業務の質的転換を図ることによって,教師が子供たちとしっかり向き合う時間を確保していくようにすることが必要であるということを書かせていただいております。
 そして,(4)の政府の働き方改革と人生100年構想ということで,政府全体としてこういった取組がなされているということも踏まえて,学校における働き方改革について検討していく必要があるということを,1番でまず書かせていただいております。
 2番の「学校における働き方改革」の基本的な考え方のところでございますけれども,まず(1)で勤務の長時間化の要因と。これまで部会の中でも,それぞれの委員から御指摘のあった事項について網羅的に書かせていただいております。その上で,(2)検討の視点ということで,丸1 から丸3 までにつきましては,本部会でこれまで検討してきていただいた事項について,視点ということでそれぞれ書かせていただいております。丸4 につきましては,学校種,あるいは学校の設置者の違いを踏まえて,それぞれ対応していく必要があるということで書かせていただいております。
 以下,3,4,5につきましては,今検討の視点で述べました丸1 ,丸2 ,丸3 ということについて詳しく述べさせていただいて,最後の6番の必要な環境整備というところで,主に国の方から予算的なことを含めて,環境整備が必要だということで,全体を書かせていただいております。
 1ページめくっていただいて,「はじめに」と1,2番について,もう少しポイントについて触れさせていただきます。まず「はじめに」でございますけれども,中段の方にありますが,学校における働き方改革を進めるためには,教師一人一人や学校の取組も重要だが,文部科学省及び都道府県教育委員会,市町村教育委員会の役割が非常に大きいということを書かせていただいております。その上で,本中間まとめを踏まえまして,文部科学省においては早急に緊急対策をまとめ,実行に移すことが重要であるとさせていただいているところでございます。
 次のページから,1番の「学校における働き方改革」の背景・意義ということで書かせていただいております。先ほど目次のところで概要を説明させていただいたことと重複しますし,詳しい中身については事前送付させていただいているので,少し省略させていただきます。1番で,ポイントとして入れさせていただいているのが,5ページの一番下のあたりから6ページに掛けて,働き方改革の目標というか,目指すところについて述べさせていただいている部分があります。
 少し紹介させていただきます。先ほど述べた日本型学校教育のよさを維持しつつ,質の高い学校教育を持続発展させるためには,教師の業務負担の軽減を図ることが喫緊の課題であると。その上で,これまで学校が果たしてきた役割も十分踏まえつつ,教師以外の専門職員,スタッフ,地域人材,あるいは学校以外にその役割を委ねる場合であっても,その受皿が学校内及び地域社会で確実に整備されるということが最も重要であると。そのために,国・地方公共団体等が中心となって働き方改革を進めると同時に,その受皿を整備し,そこで,これまで学校が担ってきた機能というのが漏れ落ちることがないよう,十分果たすことができるように留意すべきということを書かせていただいております。
 次の6ページの一番上のところに行っていただきまして,教師の長時間勤務の要因を見直し,業務の質的転換を図り,児童生徒に向き合う時間を確保できる勤務環境を整備するということが必要であると。そのために限られた時間の中で,教師の専門性を生かしつつ,児童生徒に接する時間を十分確保し,児童生徒に真に必要な総合的な指導を持続的に行うことのできる状況を作り出すことが必要であると。
 こうした学校における働き方改革の実現によって,教師は魅力ある仕事であるということが再認識され,教師自身も誇りを持って働くことができるようになり,それが,ひいては児童生徒の教育にも良い影響として還元されるものと考えるということで,書かせていただいているところでございます。
 次の7ページの方からは,2番の学校における働き方改革の基本的な考え方について記載をさせていただいております。まず(1)の勤務の長時間化の要因でございますけれども,そこと,その次のページに多数列記をさせていただいております。業務改善が進められたことにより短縮された時間を上回って,授業や部活動等の業務の時間が増加しているのではないか。あるいは,教師一人一人の持ち授業時間数を減らすという観点での教職員定数の改善が十分ではなかったのではないか等々,これまで指摘のあった事項につきまして網羅的に書かせていただいております。
 その上で,8ページの一番下の部分です。教師の長時間勤務については,そこに挙げているような様々な要因がありまして,教師一人一人の取組,あるいはその学校の方だけで解決できるものではないということで,学校における働き方改革は,各学校の校長,服務監督権者である教育委員会等,給与負担者である教育委員会等,国のそれぞれに関わる問題,さらには家庭,地域等を含めた全ての関係者がそれぞれの課題意識に基づいて,改革に向けた取組を実行しなければならないということにさせていただいております。
 その上で,次のページから,(2)検討の視点ということで書かせていただいております。9ページの真ん中辺のちょっと上ぐらいのところを御覧いただければと思います。緊急提言を出していただきましたけれども,そこに書いてある事項だけでは,必ずしも真の働き方改革というところまで行かないと。このあたりも,今までの部会で御指摘いただいておりますけれども,学校における働き方改革は押し付けであってはならないと。基本的には各学校の主体性を大事にしながら行うべきものであると。
 しかしながら,国や地方公共団体において制度的な障壁を除去するとともに,学校環境の整備,あるいは慣行的に進められてきた取組の見直しの促進等,学校や教師だけでは解決できない抜本的な方策や取組を講じ,学校における働き方改革を後押しする必要があるということは,大事な視点であると思っておりますので,こういった形で検討を行ってきたということを書かせていただいております。
 その後,丸1 から丸3 3までは,これまで検討を行ってきていただいた視点を順に書かせていただいております。丸4 では,学校種や学校の設置者の違いを踏まえた働き方改革ということで,これまでどうしても勤務実態調査が公立の小・中学校を対象にしている関係で,そこら辺を中心に議論をされておりますけれども,それ以外に特別支援学校や高等学校といった多様な学校種,あるいは公立学校だけではなくて,私立学校や国立学校といった設置形態の違いということも十分配慮した上で,公立学校の優良事例等を共有するなど,各学校の取組に対する必要な支援を行うことが重要であるという視点を書かせていただいております。2番までの説明については以上でございます。
【小川部会長】  
   ありがとうございます。それでは,時間的には20分から25分ぐらい時間配分をここではしたいと思います。「はじめに」と1,2に関わって御意見を頂ければと思います。特に修正点等々があれば,より具体的な,こういう修正という案なども提案していただければと思います。どなたからでも構いません。
 では,妹尾委員,相原委員の順で,まずお願いいたします。
【妹尾委員】  
   ありがとうございます。机上配付の私の資料の3ページ目の1にも書いたことなんですけれども,特にこの中間まとめでいうと,2ページ目,3ページ目の「学校における働き方改革」の背景・意義に関係することです。このうち,この中間まとめの案では,1番目として,新学習指導要領の対応の関係が書いております。これはこのとおりだと思いますし,何も反対はしないんですけれども,果たしてこれがファーストかと言われると,違和感があります。もちろん,これは委員ごとに多分価値判断は違うと思いますので,僕の価値判断を押し付けるつもりはないんですけれども,少しここは順番も含めて考えたいなと思います。
 私としては,この3の長時間労働の是正等,持続可能な教師の勤務環境の整備というふうに,3ページ目書かれておりますけれども,ここが最初。あるいは,2の日本型教育,よかったけれども,今課題も多いよねといったようなところ,こういったところの方が最初で,しかも学習指導要領も変わるのでといったような論理展開の方が,より現場の先生にとっても恐らく受け入れられやすいのではないかなと。これは感覚の問題かもしれませんけれども,思っております。
 といいますのは,感覚だけではなくて少し理屈を申し上げますと,新学習指導要領の話を最初に持ってくると,ああ,何だ,文科省は新学習指導要領対応をしてほしいから,働き方改革を言っているのね,みたいな感じで,狭く解釈する人が出てこないかというところを懸念しております。もちろん,釈迦(しゃか)に説法かもしれませんが,学習指導要領が新しくなろうが,なるまいが,現行でも今の働き方は非常にまずいといいますか,長時間労働を是正しないといけないという問題意識がございます。
 前回も指摘しましたように,労務管理すら非常になおざりであり,労基法違反はじめ法令遵守もできていないような学校の,正直ひどさはあります。そうした現状認識に立つと,もちろん新しい学習指導要領は大事だけれども,現行でも,すぐでも改めないといけないところは,改めないといけない。そういった問題意識はもっと共有するような書き方の方が,僕はいいのではないかなと思っております。
 それとも関係しますが,じゃ,働き方改革は何のためと言われると,1つは労務管理等をしっかりして,教師の命をしっかり救うとか,心身の健康を維持するといったことも大事ですし,学校内外での研さんとか人材育成にもっと時間を使ってほしいだとかいうことも大事かなと思います。もちろん,教師だけの話ではないですけれども,そういったことが結果的には子供のためにもなるということかなと思っております。
 例えば,けちを付けるわけではないんですけれども,人生100年構想の話が6ページ目,中間まとめにございます。これも非常に大事な視点ではありますが,そういった時代に子供たちにもしっかり向き合っていかないといけない的なトーンで書かれておりますが,これは実は教師も同じで,退職後の61歳以降の人生80歳ぐらいまで現役とか,あるいは100歳まで生きるといったときに,残りの20年,40年を楽しんでいただきたい。
 そのためにも,現役のときに家と学校だけの往復のような生活だけで本当にいいのかといったことも,本当は考えないといけないという時代に来ていると思っております。社会に開かれた教育課程というのが,御案内のとおり,新学習指導要領の1つのキーワードではございますけれども,家と学校の往復だけの生活を強いるような現状の働き方では,社会に開かれたもくそもありません,ということは強調したいと思っておりますので,そういったことも含めてよく考えていただきたいです。
 参考までに,横浜市さんが今検討中の働き方改革のプランでは,先生のハッピーが子供の笑顔につながるというのを1つのコンセプトにしています。私はこれにはかなり共感するところがあって,子供たちの笑顔,あるいは子供たちのハッピーのためにも,先生たちの幸福感をもっと高めていくといった観点で,この中間まとめももう一段,二段,踏み込めるといいかなと思いました。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。相原委員,どうぞ。
【相原委員】  
   ありがとうございます。御説明ありがとうございました。意欲的に書いていただいていて,全体としていいなと思います。37ページというボリューム感にも触れられましたが,踏み込んで書かれている部分ですから,38ページでも,39ページでも,それは結構かと思います。意欲的な取組に感謝します。
 その上で,1ページ目の「はじめに」のところですが,私が見たところ大変重要なキーワードが入っていると思っております。1ページ目の下から4行目,今回の働き方改革の目指す理念を共有しましょうと,このように書いております。今回のこの部会における理念とは何かということを,しっかり定める必要があると,若しくは共有する必要があると思います。
 政府が進めている働き方改革は,1つに日本の職場――教職員の職場も含めますが,日本の労働の文化をこの際改めましょうという大方針が政府から示されているという点が1つです。もう一つは,具体的な歯止めの基準を設けていこうと。つらいけれども,文化を変えるにはなかなか大変なエネルギーが必要だけれども,ここを踏み込みますよというのが,政府のこの働き方改革の意図,狙いであると考えます。従って,この点を本部会においてもしっかり踏襲すべきだと,申し上げたいと思います。
 その点から言いますと,10ページ目,丸3 に該当する勤務時間の在り方に関する意識改革と制度面の検討という,項目を立てられたことは大変いいことだと思います。ただ,その丸3 の下から2行目,労働基準法の見直しなど,政府全体における働き方改革に遅れることのないよう,検討を急ぐ必要があるとあります。これは,先ほど申し上げた理念からすると,時間外労働の上限規制など,労働基準法の見直しが,今回,政府が求めている働き方改革の要諦である点は理解しておく必要があると思います。
 したがって,遅れることのないようというのは,やや謙遜ぎみなことかもしれませんので,働き方改革の狙いを踏まえたとか,意図を十分に踏まえたとかいうことの方が積極性があるのではないかと。そこまで書いても同意なのではないかと思いました。
 その点からすると,6ページ目の上から2行目の,教師の長時間勤務の要因を見直しとあります。要因を見直すというのが,ちょっと日本語として適切かどうかということもありましたので,教師の長時間勤務をもたらす要因については,時間外勤務の上限規制も含む制度面から見直しを行うということの方が,先ほどの意図をより反映するのではないかと思っております。教師の長時間勤務をもたらす要因については,時間外勤務の上限規制も含む制度面からの検討,見直しを行うというのが,6ページ目はいいのではないかと思いました。
 最後に1点だけ,5ページ目の上から2つ目の丸ですが,メンタルヘルスの関係があります。資料提供していただいたので承知をするところですが,上から2つ目の丸で,また,勤務時間依存的にメンタルヘルスの状態は不良となる。さらに,男性教師と比較して,女性教師のメンタルヘルスというのが常態では不良であったということも特筆されたと思いますので,その点も加筆された方がいいのではないかと思います。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。この後,天笠委員,橋本委員,佐古委員の順でお願いいたします。
【天笠委員】  
   失礼いたします。先ほど御説明もあったところなんですが,やはり5ページから6ページに掛けてのところで,今回のこの中間まとめでは,私はここのところの部分というのは大変大切な部分だと捉えさせていただきました。そこには教師の専門性を生かしつつ,児童生徒に接する時間を十分に確保云々(うんぬん)ですとか,先ほど資料3でいくならば,教師が授業や授業準備等の本来的な業務に注力するようにと,これはそのこととつながってくる部分だと思っています。
 そういう文章の中で,教師は魅力ある仕事であることが再認識され,教師自身も誇りを持って働くことができるようになると。ここら辺のところが,今回の1つの目指すところというか,提起するところではあるということだと思うんです。そういうふうに捉えたときに,章構成,節立て,項立て等々にしたときに,この文章が章構成の関係からすると随分沈み込んでしまっているようなふうに受け取るので,浮かび上がらせるという章構成というのに,もう一段工夫する必要があるのではないかと。
 そういう点からすると,例えば今言ったように授業に専念できる,そこに注力すべきだと,そういう趣旨のことがここに書かれているんですけれども,その後,政府の働き掛けと人生100年の構想,そういう構成,展開の仕方が果たしてその部分の説得力を高める上で妥当なのか,どうなのかというのは,もう一段検討すべきなのではないかなと,ある意味で練り直してもいいのではないかなと思います。
 ですから,言うならば,教師が授業ですとか,本来的な業務に専念できるような,そういう方向性を目指す働き方改革。ついては,そうであるために学校はどうあったらいいのかとか,学校のある姿というのが,こういう形でという形で,以下展開されているということの方が,話の筋というか,読んでいる方としては素直にそれが伝わってくるかと思うんです。
 さらに,その次の7ページに加わると,今度は長期化の要因という話になったりですとか,またここで分析が始まったりですとか,あるべき方向性を打ち出すことと,現状の要因分析とが,まだ現在の段階ですと整理し切れていないようなことになっているというのが,現在の段階のこのレポートなんだと思うんです。現状の分析を踏まえた上に,だからこういう方向性でもう一度見つめ直しましょうと。ついては,そのために学校はどうあったら,職場はどうあったらいいんだろうと,そういう段取りの章構成の方が,読んでいる方も話がつながり,読みやすいのではないかと思います。
 ですから,中身的な材料とかそれというのは,ここに示されているとおりだと思いますので,章構成にもう一段,知恵を絞っていただければということをお願いしたいと思います。以上です。
【小川部会長】  
   なかなか難しい指摘ですが,検討させていただきたいと思います。それでは,橋本委員,お願いします。
【橋本委員】  
   失礼します。6ページの上から4行目で,児童生徒に向き合う時間を確保できる勤務環境を整備というところ,ちょっと最初読んだときに引っ掛かったんです。以前,TALISの調査などで,海外と比べて日本の先生が事務的な業務とかに取られる時間が多くて,本来の授業に関わることは決して多くないされ,そういう意味でこの表現をよく使われることは,分かるんですけれども,向き合うということだけなら,今日,話題になった部活動もそうですし,いろいろな生徒指導の面もそうですし,むしろ向き合い過ぎるぐらいのところも要素としてはある。
 ただ,後ろの文章を読んで納得できたところもあります。要は膨大になってしまった学校,教師の業務の範囲を明確にした上で,専門性を生かしつつ,接する時間を十分確保しという,この表現であれば意味としてはよく分かったんですけれども,先に,最初の向き合う時間を確保できるというところだけ読んだときに,少し違和感を感じてしまいました。ここの表現だけは,何か直してもいいのかなと,そんな印象を持ちました。以上です。
【小川部会長】  
   分かりました。佐古委員,そして最後,川田委員。済みません,最後に,冨士道委員ですね。佐古委員,どうぞ。
【佐古委員】  
   よろしいですか。3点あります。1点目,これは妹尾委員とほぼ同じなんですけれども,そもそも学校における働き方改革の背景について説明する部分では,最初はやっぱり今の学校や教職員の現状を,我々はどう認識しているかというところからスタートすべきだろうと,私も思います。
 2点目は,その後に要因分析というか,先ほどありましたが,7ページから,長時間化の要因について,これまでの意見をまとめていただいた。これはこれで列記をされたと思うんですけれども,並べ方がある意味で非常に分かりにくい。つまり,いろいろなレベルのものを順番に並べているというか,配列してあるので,読みにくい。少なくともこの中には,勤務時間が増加したということについての説明と,それに対する施策が不十分であったという説明が2種類あります。それが,順番が整理されずに混在されていますので,例えば勤務時間が増加したということについては,その7ページの(1)番の一番最初の丸とか2番目がそれに当たるんですが。
 飛んで,8ページの続きの下の2つの丸,これらが主に勤務時間を増加させた要因と見られると。それとともに,そのことに対する施策が不十分だったというのが,チーム学校ということで機能しなかったとか,いろいろあるので,その辺のこれまでの勤務時間を増大させた要因の部分と,それに対する対策の不整合の部分とは区分してお書きになった方がいいと思います。
 3点目ですが,これは余り議論しなかったことなんですが,ここで言うべきかどうか分かりませんけれども,私,委員会に出させていただいて,ときどき違和感を持つことがあるんです。例えば外部人材を調達しますという話を簡単におっしゃるんだけれども,私がいる徳島県でそんなの誰がやるのかなと思うことがあります。
 つまり何かというと,この該当部分でいうと,検討の視点のところで,1番から,丸1 ,丸2 ,丸3 ,丸4 まで今来ますかね。これはそれぞれそのとおりで,おっしゃるとおりなんだけれども,できれば5番として,学校の規模や地域性を踏まえた働き方改革ということを入れていただければ,有り難いと思っています。つまり,地域性というのは,今のように学校と地域との関係や,あるいは外部人材の調達可能性において非常に地域性が大きいので,そういうことも丁寧に考えた上で,国・地方公共団体の役割,あるいは果たすべき何を精査するということが必要ではないかと思っています。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。川田委員,どうぞ。
【川田委員】  
   ありがとうございます。では,該当部分の2つのところについて,できるだけ簡潔にコメントしたいと思います。1つ目は,1ページ目の真ん中からちょっと下の固まりで,学校における働き方改革を進めるためにはというところの少し下のところに,「教師が疲労や心理的負担を過度に蓄積して」以下の部分があって,これが中間まとめの段階での教員の働き方改革における目的を示している最初の記述なのではないかと思います。要するに教員の働き過ぎによる健康被害をなくすということと,それから,教育の質を高めるという2点というまとめ方になっています。
 それは,当部会のここまでの議論を反映されていると思うのですが,その結果として,中間まとめにおける問題設定なので,こういうことになっているということなのかもしれませんが,2つあるうちの教員の働き方については,健康を害さなければいいというわけでもなく,より生活の質を高めるような方策を考えるということも,課題の中に最終的には入ってくるのではないかと思います。
 中間まとめということだと,これまで議論してきた重点はこういう形かなとも思うのですが,教員の働き方改革の全体的な目標としては,今言ったような教員の生活の質を高めるということも入ってくるのではないかということが,コメントの1つ目です。
 2つ目は,10ページの真ん中辺,丸3 の部分の3行目の制度のまとめのところで,1つはちょっと細かいところなんですけれども,「公立学校の教師の勤務時間等について」はというところで,特例部分を挙げる形になっています。最後のところで,労基法の見直し等に遅れることはないようにと,労基法の関係を見ていくという視点を指摘していることを考えると,原則が労働基準法にあるということも,ごく簡単でもいいから言及があった方がいいかなと思ったというのが,1つです。
 それから,同じ箇所でもう一つ,先ほど相原委員から,労働基準法の見直しのところに上限規制ということを付け加えてはどうかという御提案がありました。その点,私としましても,まず1つは,働き方改革というのは,例えば労働時間の上限規制のほかにも,その上限規制以外の点での労働時間制度の見直しであるとか,あるいは非正規雇用法制,あるいはそれ以外にもいろいろ,かなり多岐にわたるものでもあるので,何を念頭に置いているのかということを明確にするという観点からは,そのような記述を入れる必要性があるのではないかと思います。
 一方で,ちょっと細かい話で言うと,今回の上限規制というのは36協定の場合の上限規制であって,直接教員に適用されるかというと,そうではない可能性が高いものであり,一般的な労働法制の動向からみて教員についての検討課題となるかについては問題になりうる点で,少なくとも部会のここまでの議論の中では検討されていない問題です。
 しかし,他方で,これはちょっと私個人の考え方にもなりますが,そういう適用される法律の形式的な違いだけから,教員に労働時間の上限規制が要らないということにはならないだろうとも考えております。ですので,その辺の趣旨も読み込んだ上で,教員についても上限規制の検討が必要ですということについて,ここは,実はこれまで余り議論されていないのかなとも思うんですが,検討するということでここに盛り込んでいただけるのであれば,それは望ましいのではないかと思っています。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。では,最後にしたいと思いますが,冨士道委員,どうぞ。
【冨士道委員】  
   私たちが議論してきたのは,教員の働き方改革ではなくて,学校における働き方改革。つまり,教員がこの働き方改革をやった結果,楽になるということではなくて,その結果,更にその向こうには,子供たちにとってプラスになるということが重要だと思います。そういうことを,先ほど実は,相原委員から理念という話がありましたが,私たちはそこを外してはいけないと思います。
 働き方改革をやった結果,教員は当然なんですが,その先には,子供たちにとって更に教育を受ける中での質を含めて向上につながった,子供のためになったということを,私たちは最終的に目指さないといけない。そういう意味で,この部分をどこに入れるか,大変難しいのですが,是非ここは明確にしながら「はじめに」であったり,分かりやすいところで,きちっと入れ込んだ方がいいなとそのように考えております。以上でございます。
【小川部会長】  
   時間もありませんので,パーツ1のところはこの辺で一旦切らせていただきます。多くの意見,ありがとうございました。納得するような意見が大分ありましたので,皆さんの御意見を踏まえながら,可能な限り,修正できるところは修正していきたいと思っています。
 では,次,パート2の部分に移っていきたいと思います。3の学校教師が担う業務の明確化,適正化に関してです。
 これについても,佐藤企画官から説明をまずお願いいたします。
【佐藤初等中等教育局企画官】  
   それでは,12ページを御覧いただければと思います。12ページから,3番の学校教師が担う業務の明確化・適正化という記載をさせていただいております。まず初めに(1)の基本的考え方におきまして,一番上ですけれども,学校が担うべき業務ということで,大きく3つ挙げさせていただいております。学習指導要領等を基準として編成された教育課程に基づく学習指導,児童生徒の人格の形成を助けるために必要不可欠な生徒指導・進路指導,これら教育課程の実施や生徒指導の実施に必要な学級経営や学校運営業務ということで,これらをいわば本来的業務ということで位置付けさせていただいております。
 その上で,実際の学校がこれらの関連業務ということを含めて,諸外国と比べても幅広い業務を行ってきているということ。その上で,中段にありますけれども,1番の登下校に関する対応から,9番の給食時の対応という具体の業務を取り上げまして,それぞれその下にあります,本来は誰が担うべき業務であるか,また,それぞれの業務について負担軽減のためにどのように適正化を図るべきかという2点から,必要な環境整備を行いつつ,中心となって担うべき主体を,学校・教師以外の主体に積極的に移行していくという視点に立って,個別具体的に検討を進めたと。
 併せて,特に役割分担を行う場合においてはどの主体が行うべきかを明確にした上で,どのような条件整備や支援方策を実施するべきかということについて,検討を進めた旨を書かせていただいております。
 ページをめくっていただいて,13ページです。一番上のところで,先ほど述べたものに加えまして,学校が担うべき業務のうち,教師が当然担うべき学習指導・生徒指導につきましても,勤務実態調査の結果から,多くの時間が割かれている。ということで,これらの業務についても,一部を教師以外の者に分担すること,あるいはICT等の積極的な活用等の必要な方策についても検討を進めたということを書かせていただいております。
 その下から,個別具体の業務について,考え方を整理してまとめているところでございます。まず初めに,丸1 番の登下校に関する対応,そして放課後から夜間などにおける見回り,児童生徒が補導されたときに対応,学校徴収金の徴収・管理,そして地域ボランティアとの連絡調整と。これらにつきましては,基本的には学校以外が担うべき業務であるということを整理させていただいているところでございます。
 そして,次の調査・統計等への回答等,児童生徒の休み時間における対応,校内清掃,部活動につきましては,学校の業務であるものの,必ずしも教師が担わなければならない業務ではないということで,教師以外の者が担うことも積極的に検討すべきというふうに整理をさせていただいております。
 そして,その後の給食時の対応,授業準備,学習評価や成績処理,学校行事の準備・運営,進路指導,支援が必要な児童生徒・家庭への対応というものにつきましては,基本的には学校・教師の業務であるが,それぞれサポートスタッフであったり,事務職員,あるいは栄養教諭,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフとの役割分担ということを行いつつ,当該業務の一部について,教師以外の者が担う方が児童生徒に効果的な対応ができる場合もあるという形で,整理をさせていただいているところでございます。
 そして,13ページの一番下の部分におきましては,今申し上げました業務以外についても,各学校や地域の状況を踏まえて,実際に行っておられるということがあるということで,これらの業務についても,14ページの一番上でございますけれども,先ほど具体に列挙した業務の整理というものを踏まえて,具体的には教師が専門性を発揮できる業務であるか否か,児童生徒の生命,安全に関わるような業務であるか否かという観点から,中心となる担い手を学校・教師以外の者に積極的に移行していくという視点に立って検討を行い,必要な環境整備を行いつつ,当該業務の役割分担と適正化を図り,業務の総量を削減することが重要であるということを書かせていただいております。
 その下の(2)でございますけれども,業務の役割分担・適正化や業務改善を着実に実行するための方策。こちらにつきましては,本部会の中でも,先ほど申し上げた役割分担・適正化について,実効性を持たせるための方策ということで御議論いただいた内容につきまして,国,教育委員会,学校というふうに,主体ごとに記載をさせていただいているところでございます。
 中身につきましては,今までの議論を踏まえて書かせいただいておりますけれども,例えば国であれば,14ページの一番下から15ページに掛けてですけれども,今後,文科省において学校に新たな業務を付加するような制度改正等を行う際には,既存の業務との調整や義務付けの必要性の検証等を行う必要があるということで,文科省内に教職員の業務量について俯瞰(ふかん)し,一元的に管理する部署を設置し,学校に関する業務を所管する部署は,当該組織と前広に調整することを基本とする体制を構築するということを書かせていただいております。教育委員会の方にも,同様の体制を構築すべきとさせていたただいております。
 また,教育委員会等が取り組むべき方策につきましては,15ページの丸2 のところからありますけれども,業務改善方針・計画の策定,あるいは事務職員のさらなる活躍,また,学校事務の共同実施という,様々な取組を進めるべきということを書かせていただいております。
 次のページに行っていただいて,16ページの中段以降が,各学校が取り組むべき方策ということです。こちらも,学校ごとに,管理職の方で学校の重点目標や経営方針を明確化して,その目標達成のために市民に必要な業務に注力できるようにするべきということ等を書かせていただいているところでございます。
 その下の16ページの一番下からの(3),これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務の在り方に関する考え方につきましては,14の業務について,それぞれ今まで部会で議論していただいた内容を基に丁寧に記載させていただいているところでございます。本日の前半で議論のありました部活動につきましても,22ページのところに,先ほど資料3に考えられる対応策ということで記載させていただいた内容に基づいて書かせていただいております。こちらも,先ほどの意見を踏まえて,今後,修正等を行っていきたいと思っております。
 そして,26ページまで飛んでいただいて,26ページの一番下からは,(4)で学校が作成する計画等の見直しということで,こちらも,本部会において議論されました内容を踏まえて記載させていただいているところでございます。
 27ページの一番下のところに追加しておりますけれども,計画等の作成の関係では,国や教育委員会が各学校に対し,新たな課題に対応した計画の作成を求める場合には,まずは既存の各種計画の見直しの範囲内で対応することを基本とすべきということを,書かせていただいているところでございます。
 大きな3番についての説明は以上でございます。
【小川部会長】  
   ありがとうございます。この第2のパーツは,できれば15分から20分,長くても20分で終わらせたいんですけれども,御意見があれば。
 では,最初に清原委員,そして青木委員の順で,まずお願いいたします。
【清原委員】  
   ありがとうございます。ここのところは,これまでの部会での議論を集約していただいて,総括的にまとめていただいて,ありがとうございます。
 1点だけ申し上げます。12ページの基本的考え方で,学校が担うべき業務を分類するとということで,1,2,3と整理されています。これは,本当に今までの原則だったように思うんですけれども,実は16ページをお開きください。丸3 で,「各学校が取り組むべき方策」というところの丸の2つ目に,各学校としては,「保護者や地域住民との学校経営方針の共有を図るとともに,地域・保護者との連携については,保護者や地域住民が一定の権限と責任を持って学校運営に参画する仕組みであるコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)や,地域学校協働活動の活用を推進していくべきである」とあります。
 未来というか,今から始まっている新しい学校の動きとして,コミュニティ・スクールというのは不可避的な将来像だと思います。今までの1,2,3の整理によれば,学校運営業務の中に,このコミュニティ・スクールや地域学校協働活動が入るのだと思うのですが,何か仕事を増やすようなことにならないかなと思いつつ,余り明確には触れられておらず,逆に,今の課題を解決する方策の中に,このコミュニティ・スクールが位置付けられています。
 なかなか難しいなと思うんですけれども,未来の学校の在り方を考えたとき,教員の皆様が負担に感じるのではなく,むしろ積極的に,「保護者や地域との協働」も,学校が担うべき業務の3ダッシュなのか,4なのか,入れておくのも,今後の方向性としてはいいのかなと思いました。
 ちなみに私は,この16ページの丸の2つ目の最後の,「地域学校協働活動の活用を推進していくべきである」という表現は,よくないと思っています。学校がこうした組織を「活用」というのではなくて,私はまさに学校がこうした仕組みを,大いに「推進」していくだけでいいのではないかと。何か,上から目線でない方がいいなと感じました。
 いずれにしても,「保護者や地域の皆様は,学校における働き方改革の誠に強力なパートナー」だと思うんです。ですから,そういう方向性で表現に配慮いただくと,有り難いなと思いました。以上です。ありがとうございます。
【小川部会長】  
   青木委員,どうぞ。
【青木委員】  
   ありがとうございます。今日,清原委員の後に発言して,少し重なるようなことをお話しすることが多いなと思って。
【清原委員】  
   済みません,ありがとうございます。
【青木委員】  
   ありがとうございます。今活用という言葉に関して御発言がありましたが,そのあたり,私も気になっています。少し具体的に言うと,大きな3という柱の内容自体についてそれほど違和感はないんですけれども,前提になる認識というものについて,改めて言いたいなと思うんです。
 つまり,学校で現時点でやっている業務があったとして,その中で学校がやるべきもの。つまり,学校ではない主体がやるべきものということだと思うんですが,よくよく考えてみると,学校も,PTAも,地域も,家庭も,外部人材もやらなくていいことを,もしかしてやっていませんかということは,やはり気になるんです。それを一言で言うと精選ということなんだと思うんですけれども,それがあって初めて,次,じゃ,残った,本当に誰かがやらなければいけない,学校において行われるべき業務を誰が担うのかという主体の問題になると思います。ですので,そこは是非「なお書き」でもいいので,この大きな柱の3のところのどこかに入れていただけないでしょうか。
 これは,各業務について逐一検討したときにも,私,発言していますので,議事録等を参考にしていただいて,少し盛り込んでいただければなと思います。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。相原委員,そして妹尾委員でお願いします。
【相原委員】  
   それでは,端的に。23ページですけれども,部活動の話は先ほどの議論を踏まえて幾つかの加筆,訂正があるという説明でしたので,その中にも入るかもしれませんが,23ページの丸9 の上の段落,なお,将来的にはというのが23ページに記載があります。先ほどの議論などを踏まえますと,将来的には本来業務に注力できるようにという,ポジティブで表現するよりも,これ,記載を残しておいてもいいかもしれませんが,むしろ,もうちょっと深刻な雰囲気が先ほど来の議論にあるので,部活動指導が教員の本来業務でないことを明確にするとともに,将来的にはと言った方が,現在と将来にわたる可能性についての記述として,そちらの方がいいのではないかと思いました。それが1点です。
 それと,14ページのところです。上から4行目ですが,最初のところに,業務の総量を削減することが重要であるということで,この部会の議論を適正に反映されていると思います。その上で,これは36協定や労働法と違うので,業務の削減ですから,多くの関係者の理解と協力がないと進まないのですけれども,追記するとすれば,具体的な削減目標の設定などというふうに,総量で押さえ込んでいくという共有感をここで示した方がいいのではないかと思っております。法律によるものとは,もちろん違いますけれども,具体的な削減量についての記載を補完した方がいいのではないかと,この2点を申し上げたいと思います。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。妹尾委員,どうぞ。
【妹尾委員】  
   3点,大きく分けてお話しさせていただこうと思います。まず1点目は,12ページ目に関係することなんですが,今回,非常に踏み込んでいろいろ書いていただいているのはすごく有り難いことだと思います。一方で,この12ページ目の一番上の方のローマ数字1,2,3ということで,学校が担うべき業務はこの3つであるというところの中で,学習指導はある程度了解が得られるのでいいと思います。学習指導要領がございますので,1つの基準がある。
 しかし,この2の生徒指導・進路指導については,もちろん生徒指導提要とか,幾つか資料はあるんですけれども,人格の形成を助けるということで,これがいわゆる日本型教育の良さでもある反面,どんどん仕事が広がる要因でもあるというところで,なかなか僕も答えがないんですが,非常に悩ましいなと思っております。
 先ほども申し上げましたように,部活動もこういう観点では生徒指導の一環であるというところがございますので,正直,教育課程外とはいえ,教員にとっては大事だという話にももちろんなりますので,非常に生徒指導の概念が広い。あるいは,安易にどんどん広がってしまう可能性はあるというのは注意しながら,各業務の仕分けだとか,在り方は検討しないといけないのかなと思っております。
 そことも関係しますが,2番目の視点,15ページ目で,一番上の方で,今後,何か学校等に業務を付加する場合は,文科省の中でもまた一元的に管理しますという部署も設けますということで,こういうことも具体的に踏み込んだのはすごいなと思っております。一方で,これは釈迦(しゃか)に説法かもしれませんが,小学校の英語教育しかり,プログラミングしかり,今まで増えてきたのはなぜかというと,1つは,社会,特に産業界からの要請があったということが,恐らく1つ。
 もう一つは,アレルギーの子が出たときにどうするかとかも含めて,安全性の要求が非常に高まったというのが2番目。3番目としては,地方議会もそうなんですけれども,非常に学校に対していろいろな問合せがあり,どうなっているんだ,どうなっているんだというところがどんどん増えてきた。ある意味,民主主義のコストの部分はあると。それ以外にも要因はあると思いますけれども,要するに文科省が部署を作ろうが,作るまいが,こういった3つの要因というのは結構悩ましくて,多分なかなか抑制が効かない。
 少なくとも,僕が申し上げたいのは,理想論かもしれませんけれども,学校に仕事を増やす場合は,じゃ,人的な手当てがどうなのかとか,要は,本来は仕事の量,責任と財源だとか,人の手当てというのをセットで議論するというのが,民間企業等では普通の発想だと思います。しかし,学校教育の場合は,なぜか子供のためにということで,その辺がごまかされ,ついつい付加されてしまい,教員の無償労働の下でやれということになってしまう。
 そういう反省をもっと踏まえた方がよくて,これは踏み込んでいるんですけれども,もうちょっと何か考えたいなと思いましたというところです。済みません,答えがない問題提起ですけれども,そういったことを考えたいと思います。
 3点目で,部活動のことは先ほどもたくさん議論があったのですけれども,もう少しだけコメントさせていただこうと思います。天笠先生もおっしゃっていただいたように,非常に学校が自由に考えられる領域でもあると思いますし,場合によっては,初任者から3年間は外れた方がいいのではいか等も含めて,各学校とか教育委員会で検討していける領域だと思います。別に指導要領上,義務付けているものではございませんので。
 ただ,一方で,今までそういった裁量とか,学校に自由度があったにもかかわらず,これだけ過熱化してきたというところがありますので,やっぱり学校の自由だ,裁量だというだけでは,現状は変わらないというのも考えないといけないと思っております。
 理想的には,もちろん部活の顧問もやりたい人がやること,あるいは,やりたいからやるといっても,やり過ぎには注意するということが理想だと思うんですが,その辺ができないほど,学校の部活動が肥大化して,数も多くなっている。あるいは,試合等のいろいろな事情もありまして,すごくハードな練習をする部活も一部にはあるということがありますので,これは自主性,自律性だけではなくて,もう少し歯止めを掛けるような方策も,スポーツ庁を含めて中教審でも議論していくべきではないかなというところを考えたいなと思っております。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。時間もありませんので,この後は佐古委員,そして田野口委員で終わらせていただきます。では,佐古委員,どうぞ。
【佐古委員】  
   失礼します。2点あります。1点目は,14ページからの実行するための方策についてのまとめであります。これは,ここで相当議論したことを非常に正確にまとめていただいたと思うんですけれども,一方では,その議論の中に出てきたように,大体学校でやるべきではないという仕事に対しては,何らかの人材の手当てが必要ですということが,議論としてはあったと思います。
 しかし,ここでは,そういうことは前半のところでは,こういう人材があればいいという話が書いてあるんですけれども,人材をどう確保するかについては言及されていない。つまり,明確にそういう学校を支援する人材を確保する必要があるということは,やっぱり言うべきだろうと思うし,そのことについて国と地方公共団体がどのような役割分担を行うかということは述べていただきたい。
 それとともに,そういう外部人材を運用するための仕組み作り,これも主に教育委員会が中心になって,先ほども静岡市の言われておりましたが,あのようなものもきちんと進めるべきだという話をしていただいかないと,前半で一生懸命書いていることが,結局はそれだけで終わってしまうということになりかねないので,人材の確保と,その人材を運用する体制作りについての役割を,国と地方公共団体,それぞれ書いていただきたいと思います。
 それから,16ページですけれども,各学校のところで,1つ目の丸の最後の方,校長さん,管理職のことが書いてあります。ここは,業務の在り方の適正化が図れるような学校現場の雰囲気作りと。まあ,そうなんだけれども,しかし,それだけではなくて,これもやはり議論されたことだと思いますが,まずは校長先生の役割に,教職員の適切な時間管理を行うということを認識していただくということだったと思うので,この学校現場の前に,図れるような教職員の時間管理をしっかりやっていただくということを書き加えていただいて,それを踏まえて学校現場の雰囲気作りというふうにしていただく必要があるのではないかと思っています。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。どうぞ。
【田野口委員】  
   ありがとうございます。働き方改革の目指す理念にも通じるものがあるかもしれませんけれども,14ページの(2)番の丸1 の白丸の2つ目です。文科省として,教育委員会・学校の取組が地域,保護者をはじめとした理解を得られるように資料を提供していきたいという,この白丸については大変有り難いことだと思います。そこに併せて,先ほど冨士道委員が言われた,学校における働き方改革は,子供のためになるんだということや,清原委員が言われたパートナーなんだと。共にパートナーなんだから,一緒に働き方改革について理解していっていただきたいんだというような,強いメッセージを込めた資料提供をしていただけたら,有り難いなと。
 文科省が出していただけることが,非常に力になっていくのではないかなと思いますので,そういった点もここに含めて考えていただければ,有り難いなと思っております。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございます。時間が迫ってきていますので,恐縮ですけれども,ここのパーツはこれで一旦打ち切らせていただきたいと思います。
 最後のパーツですが,4,5,6の議論に入っていきたいと思います。最初にまた,佐藤企画官の方から説明をお願いします。
【佐藤初等中等教育局企画官】  
   それでは,28ページを御覧ください。28ページで4,学校の組織運営体制の在り方について,記載させていただいております。こちらについても,本部会の中で委員会,あるいは担当者について議論いただいた内容をまとめさせていただいております。
 28ページの真ん中,少し下でございますけれども,委員会については,類似の内容を扱う委員会等について,合同設置や構成員の統一など,業務の適正化に向けた運用を進める必要があるとさせていただいています。
 校務分掌の在り方につきましては,問題を共有して組織的に対応できる体制を整えるということを前提とした上で,これまでの議論の中において出た意見である,例えば学年という単位でのグループ,主任の在り方・役割について見直す必要があるのではないか。あるいは,業務について,包括的なグループに分けることを進めるべき。そのときの責任者となる主幹教諭等の配置を促進すべきではないか。そして,事務職員の体制整備,標準的な職務内容についてモデルを示すということも,併せて行うべきと。
 また,文科省の方で教育委員会が参考にできるような優良事例を収集し,周知すべきではないかということで意見を頂いていますので,今後,主任の在り方や校務分掌の在り方を含む組織運営体制の在り方について,引き続き議論を進めていくということにさせていただいております。
 次の30ページからは,5番の勤務時間に関する意識改革と制度面の検討ということです。(1)の教職員の勤務時間等に関する制度の現状については,前回の部会で説明させていただいたことを書かせていただいております。
 (2)の勤務時間管理の徹底につきましては,勤務時間管理の意義について詳しく記載させていただくとともに,32ページの(3)に入る少し前のパラグラフでございますけれども,勤務時間管理は,働き方改革の「手段」であって「目的」ではないと。勤務時間の把握を形式的に行うことが目的化し,真に必要な教育活動をおろそかにしたり,虚偽の記録を残す,又は残させたりすることがあってはならない。このため,国,教育委員会等は勤務時間管理の徹底と併せて,業務の削減や勤務環境の整備を進めなければならないと自覚し,必要な取組を実施すべきである。ということで,こちらにつきましては,8月末の緊急提言を出させていただいて以降,現場の方で,一部,ややもすると,勤務時間管理,それ自体が目的のような運用がなされているという御意見も頂いていますので,こういった勤務時間管理の意義とその趣旨について,丁寧に書かせていただいたところでございます。
 その下の(3)の適正な勤務時間の設定でございますけれども,こちらにつきましても緊急提言でまとめていただいたような,留守番電話の設置であるとか,先ほど来出ております部活動の休養日の設定,長期休暇期間中の学校閉庁日の設定等,そういった様々な取組を行うべきということで書かせていただいております。
 33ページに行っていただいて,(4)に入る少し前でございますけれども,これらの取組につきまして,各学校においては,学校運営協議会の場等を活用しながら,保護者や地域の理解を得るように努めると。また文科省や各教育委員会においても,全国レベル・地域レベルのPTA連合会等の協力を得ながら,取組を支援すべきということを書かせていただいております。
 その次の(4)の教職員全体の働き方に関する意識改革でございます。丸1 の方では,研修・人事評価を活用した意識改革ということで,管理職,そして管理職だけでなく,学校の教職員全体に対してそういったことを行っていくべきとさせていただいております。丸2 につきましては,同様に,学校評価も活用して,業務改善の点検・評価を行っていくべきということを書かせていただいております。
 続けて,34ページの方で,(5)公立学校の教師の時間外勤務の抑制に向けた制度的措置の検討ということを書かせていただいております。34ページの上の方ですけれども,政府全体の「働き方改革実行計画」において,労使が合意した場合であっても,上回ることのできない上限を労基法で制定することとされているということで,教師についても,勤務時間に関する数値目標を設定する必要があるとさせていただいております。
 そして,中ほどの少し上のところですけれども,文部科学省は,公立学校の教師の長時間勤務の改善に向け,業務の総量を削減するに当たり,勤務の特殊性にも留意しつつ,勤務時間に関する数値で示した上限の目安を含むガイドラインを早急に検討して示すべきということを書かせていただいております。
 その下からは,給特法の在り方,そして1年単位の変形労働時間制の導入について記載させていただいております。前回御紹介いたしましたように,過去に数次にわたり検討がなされてきておりますけれども,結論が出されていないと。その下から,平成20年9月の検討会議における審議のまとめの中で,教職調整額制度の見直しについて出てまいりました論点について,列記させていただいております。
 そして,次のページに行っていただいて,35ページの6行目からでございますけれども,前回の部会におきまして出された意見ということで,網羅的に記載させていただいております。その上で,一番下の部分ですが,このような意見を踏まえて,教師の勤務の特殊性も考慮しながら,給特法の在り方を含め,教職員の勤務時間等に関する制度の在り方については引き続き議論を進めていく必要があるとさせていただいております。
 最後,36ページで,6番,必要な環境整備というところでございます。こちらにつきましては,国の方の主に予算等を含む環境整備の必要性ということで,「学校における働き方改革」を推進していくために業務の役割分担・適正化や業務改善を着実に実行していくことは極めて重要で,そのために国は必要な支援を行うべきということを書かせていただいております。
 また,その後に書いておりますけれども,小・中学校ともに授業及び授業準備の時間が増加していると。また,学習指導要領改訂に伴って,更に教師は主体的・対話的で深い学びを実現することを通じた授業改善,教材研究等が求められるということで,今まで以上に,授業及びそのための準備に注力できる環境を整えることが必要であって,そのために国としても,学校の指導・体制の効果的な強化・充実を図っていくことが必要不可欠であるということで,取組を行うべきということにさせていただいております。
 なお,具体の取組でございますけれども,現在,記載内容については調整中ということで,今は仮置きで,緊急提言で挙げている事項をそのまま記載させていただいておりますので,こちらについては,本日,委員の方々から御意見を頂いた上で,次回の部会において具体に記載したものを提出させていただきたいと考えているところでございます。6番までの説明は以上でございます。
【小川部会長】  
   ありがとうございます。それでは,残りの時間,4から6についての意見を頂きたいと思います。20分弱残っていますので,どなたからでもお願いします。
 こちらから行きますかね,青木委員,清原委員,天笠委員,相原委員,妹尾委員,善積委員ということでお願いします。それでは,どうぞ。
【青木委員】  
   ありがとうございます。28ページから個別に言っていきたいと思います。下から2つ目の丸なんですけれども,これは恐らく趣旨としては,管理職や主幹教諭の管理スパンを小さくするという意味だと思いますので,そのように書いていただくと文意が通じやすくなるかなと思います。
 それから,32ページですけれども,勤務時間というものに注目して,方策が(2)や(3)で書かれていると思うんですが,少し抜けているのではないかと思われますので,私の見落としでなければ,盛り込んでいただきたいことがあります。それは,1日の先生方の働く時間の流れの中でいうと,休憩があって,年休があって,割り振りがあって,長期休暇があるんですけれども,休憩についての言及がちょっと弱いのかなと思います。ですので,しっかり休憩がとれるようにするということを書いていただきたいと。
 それから,年休も,とりやすさというものを書いていただきたい。それから,長期休暇の期間についての言及はあるんですけれども,これは何のためにそこに注目するかというと,やはりじっくり研究に取り組むというのが趣旨だと思いますので,閉庁日等を設定した上で,教員がこれこれ,こういう業務に集中できる等々,そういうふうに書いた方がいいかなと思います。
 34ページなんですけれども,これは給特法に関わる記述なんですが,これに関わってちょっとさかのぼるんですけれども,8ページの上から2つ目の丸について,ここは,私は実は意見を少し共有できていないところなんです。端的に言うと,ここで紹介されている意見は法律論としては理解しています。ただし,当時の給特法の立法過程を,私,改めて国会の会議録をウェブ上で全部見ましたけれども,給特法があるから現状があるんだという認識は,果たしていいのかなと思うんです。給特法悪者論でこの部会で進んでいいのかというと,私は違うんだと思います。
 そう言うと怒られてしまうかもしれませんけれども,そうではなくて,給特法の立法時には,しっかり今後も時間管理を校長や教育委員会がするように指導してまいりますと,当時文部省が言っているわけですので,それについてやっているかどうかというのを検討するのがこの場ではないかなと思います。つまり,法律があるから直ちに教員の過重な労働が現出しているわけではないわけです。
 つまり,給特法ができる前から教員の多忙というのは議論されていたわけですから,そういう認識を改めて申し上げたいと思います。その上で,34ページに戻るんですけれども,給特法に関して言えば,まずこの部会で共通に知っておくべきことは,当時の立法事情です。あのとき何があって,どういう留意事項を持って,あの法律を作ったのかというのを共通認識するべきですし,それから,他の職種との比較というのもやはり必要かなと。
 教員の特殊性と漠然と言うんですけれども,ほかの職と比べてどう違うのか。当時も,裁判官や検察官等の比較において議論がありました。今で言うと,例えば船員法というのがあるわけです。船乗りさんの人たちの労働法制というのがあって,それはやっぱり特殊性に応じてあるわけですから,そういったものを勉強する機会をここで頂いて,そこからきちんとした議論をした方がいいかなと思います。
 最後です。6番なんですが,これから書き込んでいただくということで,項目的に言うだけ言っておくと,やっぱり国がせっかくこういう場を作って提言するので,実効性を高めるために,学校管理規則みたいな法令レベルのものに,そういった提言が教育委員会レベルで盛り込まれるように,モデル案作りへの協力等々をするというのを,国に対してはメッセージとして入れるべきかなと思います。勤務実態調査みたいに大規模な,しっかりした調査を定期的にやるべきだと思います。
 あと,少し中長期的な課題ですけれども,研修や教員の養成でこういったテーマ,教員の働き方について意識するようなものについても取り組んでいくべきだと思っていますし,盛り込んでいただければと思います。以上です。
【小川部会長】  
   清原委員,どうぞ。
【清原委員】  
   ありがとうございます,清原です。今回,具体的に方向性を「中間まとめ」として整理していただいたことに感謝します。5の「勤務時間に関する意識改革と制度面の検討」の中で,32ページの上段,「勤務時間管理は,働き方改革の「手段」であって「目的」ではない」ということを明確に書いていただいたのは重要です。そして,改めて自治体にいる立場として,教育委員会を支援しなければいけないなと思ったのは,「勤務時間管理の徹底」と併せて,「業務の削減や勤務環境の整備を進めなければならない」。これは,当たり前のことなんですが,やはり重要なことだと再確認したいと思います。
 33ページの「教職員全体の働き方に関する意識改革」,これは大前提なんですが,これがなかなか難しい。私もさきに大学教員をしていたので,すごく共感性を持って思うのですが,なかなか難しい。そこで,丸1 に,「研修・人事評価等を活用した教職員の意識改革」とあります。改めて,この研修も負担になってはいけないと思います。何か解決するときに,いつも研修,研修と言うんですけれども,そのあたりは負担にならない研修を。働き方改革というポジティブな方向に行く研修でも,本当に研修は必要なのかなと。内なるムーブメントというようなものが重要ではないかなとも思うんです。
 何か,話を聞くのが研修ではなくて,実際に教員の皆さんが動きながら,自分たちで改革していく,まさに「働き方改革運動」というようなムーブメントに期待したいと思います。
 なお,同じように「人事評価も積極的に活用するべきである」というんですけれども,この人事評価は結構難しいですね。ですから,このあたりも抽象的には分かるのですが,具体的には,恐らく現場の校長や教員の皆様とより良い意識改革をサポートする手段を考えていかなければならないと思います。
 なお,「学校評価」についても触れられています。評価と名の付くときに,「誰が,どのような手法で,いつ,どのように評価するか」という,これはひょっとしたら1つの部会が必要なぐらいの問題提起をしていただいたのかなと感じています。
 次に重要なのが34ページの「5,公立学校の教師の時間外勤務の抑制に向けた制度的措置の検討」です。労働基準法上の36協定の適用外である教師についても,勤務時間に関する数値目標を設定する必要があるということ。さらに,労働安全衛生法において,公立学校の教師にも適用されていることから,文部科学省が勤務時間に関する数値で示した上限の目安を含むガイドラインを早急に検討して示すべきであるということは,極めて重要で,本当に思い切って記述をしていただいたと思います。
 ただ,ここでちょっと私が申し上げたいというか,事務局に教えていただきたいなと思っていることがあります。それは,私は,市長として来年度予算編成に向けて,今一生懸命努力しているんですが,いろいろな施策や手法を提案したら,必ず予算的措置をしなければいけない立場です。そこで,実は文部科学省というか,官邸に対して,全国市長会から11月16日付けで出した緊急決議の中に,「公立小・中学校施設整備のための予算確保に関する決議」というのがあるんです。
 要するに,この件についての補正予算が,衆議院選挙があったりして,なかなか不鮮明なんです。働き方改革の検討のときに,この施設整備のための決議を紹介するのもなんですけれども,お金が付かないと施設整備もできない,トイレの洋式化もできない。全国の市長が本当に思い余って官邸等に予算要望しているんですけれども,そのような事態ですから,今,思い切った決意を持って担当の事務局が書いていただいている案ですが,予算についてやや不安があるので御質問させていただきます。
 すなわち,働き方改革に,これまで検討の経緯から考えて,具体的な対応策を実行する際に,どれぐらいの予算が必要なのかというのを試算されているのでしょうか。あるいは,給与特措法から,私学教員並みの労働基準法の適用への切り換えについては,大前提としては,学校教員のタイムマネジメントがしっかりできていなければいけないんですけれども,だから時間外が増えてはいけないんですけれども,仮に今まで同様の時間外勤務があるとすると,相当な経費が捻出されなければ保障されないと思うんです。
 試算されていないかもしれないです。試算されているとしたら,驚くべき金額ではないかなと想定していますが,幾らぐらいなのか。その確保が難しいとなれば,例えば現在の給与特措法上の教職調整額4%相当額が幾らなのか。できれば,4%ではなくて,もう少しプラスすることで対応するとしたら,どのぐらいの予算が掛かるのか。規模感が分かれば,有り難いなと思っています。
 と申しますのは,先ほどは青木委員も触れられたんですけれども,6のところで,まだ点線になっていて,予算交渉中ですからと書いていただいていない部分がありまして,これとも連動することなんですけれども。私たちは,自由に要望していい立場だと思っています。ただ,優先順位も付けたいと思ってもいるんです。部会長がそういうふうにも調整されるのではないかと思うんですけれども。
 中長期的にこういうふうにあってほしいということと,来年度からできることはどのぐらいなのかという,目安になる金額的な何か試算があれば教えていただきたいと思います。特に小学校の英語の教科のことを考えますと,私は超過勤務を増やしたくない。できれば教員こそ増やしてほしい。それが現場の声ではないかなと思うので,残業手当を確保するより,教員確保を要求した方がいいのかなとも思っていたりしています。随分ざっくばらんのお話を市長の立場で自由に申し上げましたが,何か金額的なことでヒントを頂きつつ,私たちの今後の記述の判断に役立てたいなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【小川部会長】  
   今の件は最後にお願いいたします。天笠委員,どうぞ。
【天笠委員】  
   失礼します。28ページの組織運営体制の在り方ということなんですけれども,できたらここに書き込んでほしい。あるいは,もしかすると他の場所の方がいいのかもしれませんが,それは組織の健康という観点というか,組織の健康を維持するという視点。学校という組織の健康を維持する義務と責任を負うということにおいて,それぞれの立場で,それぞれがそれぞれとしてその義務と責任を負うと。
 それは,もちろん行政の立場からもあるかと思いますし,また,学校で日々お仕事をされているお一人お一人の先生も,また個人の立場からということがあるのではないかと思うんです。そういったことについての自らのチェックというか,あるいは組織としてのチェック,組織の健全度というか,健康度ということについて,常に自己診断,あるいは他者からのアドバイスを受けながら,自らの組織体の在り方を振り返るということなんですけれども。
 恐らくそのことは,一番それからするなら,33ページにあります学校評価のことと連動する話ではないかと思うんです。現在の学校評価ガイドラインというのは,どちらかというと説明責任の方にかなりシフトした問題意識で,ガイドラインというのはまとめられた経緯があります。それはそれとして重要なんですけれども,多くの学校は,どちらかというと保護者へのアンケートに力を注ぐという形で学校評価に対応したという経緯があって,ここで話題にしているような,自らの組織の在り方を自ら捉え,そして,自らの組織の健康度を維持すると,そういう観点というのは少し後ろの方に引いているようなところがあるのではないかと。
 ですから,ついては,この33ページの学校評価のところについても,自らの職場の在り方ですとか,組織の在り方ということを,自らが自らとして振り返る,また自らの視界とか視野だけでは限られた部分がある。それを学校関係者の方々ですとか,広く第三者の立場から力をかりると,そういう在り方としてのガイドラインに今のようなことを加えるということ,あるいは一部修正するということも,この連動のところは出てくるのではないかと思うんです。そういうことについての記述を加えていくということも,御検討いただければと思います。以上です。
【小川部会長】  
   残り時間が余りないので,あと4人で終わらせていただきたいと思います。ポイントを押さえて,できれば手短によろしくお願いします。相原委員からどうぞ。
【相原委員】  
   35ページの一番下,3行のところです。このような意見を踏まえて,教師の勤務の特殊性も考慮しながら,給特法の在り方を考えていくということの記載があります。事実認識として,教師の勤務の特殊性も考慮しながらというのが,考える上での観点というふうに記述があります。
 事実関係として,国立大学の法人附属小中高等学校の教師にも,もちろん勤務の特殊性はあると思われますけれども,給特法の適用除外とされているということからすると,先ほど青木委員からあったように,今後,給特法の在り方を検討する上では,給特法の立法趣旨であったと言っていいかもしれませんが,職務と業務対応の特殊性が,今日の先生方の勤務実態に当てはまるのかどうかという観点が1つと,更に冨士道委員がおっしゃった,将来にわたる学びの質を生徒本位で考えたときに,担保されていく状況にあるかどうかという観点も,しっかり記載する方がいいのではないかと思っています。
 加えて,引き続き論議を進めていくということで結構ですが,直ちに,スピード感を持って本部会の下に,今回,結構ややこしい話で広がっていますから,本部会,専門家からなる技術的な作業チームを設置して,議論を再開させる必要があるということが大変重要な記載ではないかと思います。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。川田委員,どうぞ。
【川田委員】  
   2点,できるだけ簡潔に行きたいと思います。1つは,33ページ,(4)の部分,これまでも少し議論があったと思いますが,議論の反映になるかどうかという点を置いて,私の個人的な意見を言うと,総論的な部分が割と重要なのではないかと思いますので,総論的なことを記載すべきかという点が重要かと思います。長時間労働を抑制していくということについては,民間というか,一般的な労働法における働き方改革の中でも課題になっていますが,そこでも単にルールを作ればいいという話ではなくて,職場の意識であるとか,一般労働法でいえば取引慣行,取引先との関係で長時間労働が余儀なくされるという状況を改めていくということなどが重要だという認識は,かなり共通に持たれていると思います。
 そうすると,そういう中で,そういうことを踏まえた上で長時間労働を抑制していくというときに,まさにここで言っているような職場の意識という観点から,教職員全体の働き方に関する意識改革というのが特に重要になるんだという話があった上で,各論があるといいのかなと思います。
 それから,今言ったような民間の状況との対比という視点で言いますと,1つ,取引慣行に相当するような,例えば地域等との理解を得ながら進めていくことの重要性というのも,総論的に重要な話なのかなということも,併せて考えております。
 あと,もう一つは34ページです。ここは恐らく本格的な議論は今後ということになるかと思います。そのような前提としては,こういうまとめ方でおおむねいいと思いますが,若干細かいところの表現で,例えば(5)のところの本文,上から5行目で,労災認定基準をクリアするという表現になっているのが,ちょっと表現として趣旨が伝わりにくいような気がします。例えばここは,内容はいいんですけれども,労災認定基準の数値を超える長時間労働を避けるといった健康の確保とするとかが考えられると思います。
 あるいは,更に細かいことを言うと,1行上の36協定については,「前述のとおり公立学校の教師には適用されないが」というのも,厳密に言うと,労基法36条自体の適用はあるんだと思いますので,別のところで使われていたような,公立学校の教員については時間外勤務に36協定を必要とするような運用がされていないがというような書き方にすると,より正確になるかなと考えております。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。妹尾委員,どうぞ。
【妹尾委員】  
   4点,一言ずつ申し上げます。30ページのところには,4週4休とらないといけないというところを強調してほしいと思います。これで,土日も部活をずっとやるとか,学校で模試の試験監督とかも含めて出ずっぱりというのは,どうなのかなというところの問題提起になると思います。それが1点目。
 2点目は,33ページの管理職の育成とか評価の部分です。一言だけ申し上げると,管理職が業務量調整しているかとか,しっかりやっているかというのは誰が分かるかというと,残念業ながら教育長はそこまで細かいことは分からないと思います。そういったところは,部下評価も含めて考えないといけない。つまり,職員がどう思っているかというような仕組み作りも考えたいと思っております。それが2点目。
 3点目,34ページ目の上限規制も含めて数値目標のことです。これは一言だけ申し上げると,今日は静岡市さんの取組が紹介されていて,それは私もすごく共感して,良い取組だと思うんですが,一方で,1年間の平均が月45時間程度までというのは,過労死ラインをもうちょっとしたら行く,半分以上それを部活で費やすということになりかねないので,僕はここには強烈に違和感があります。静岡市さんの取組はいいと思うけれども,こういった目標値なり上限というのは,かなり慎重に議論したいというところは思っております。
 4点目,国の役割,環境整備につきましてもいろいろありますが,どうしても言いたいこととしては,やっぱり労基署のように第三者が査察とか調査もして,やっぱりしんどいところにはしっかり指導するという役割が必要なのではないかと思います。人事委員会があるではないかとか,いろいろ言われると思いますけれども,そこが本当に機能しているのであれば,これほどの長時間労働が放置されているわけがないと。あるいは,労基法違反がなぜ放置されていたのかというと,正直機能をなかなかしていない人事委員会等もあるのではないかと見た方が,多分現実的だろうと思います。
 そのあたり,法的な手当て,財源的な手当ても必要だと思いますけれども,私立学校は労基署が入るわけですから,公立についても,もう少しそういったところも含めて考えるべきではないかということを申し上げたいと思います。以上です。
【小川部会長】  
   最後,手短にお願いします。
【善積委員】  
   手短に頑張ります。32ページの上段「勤務時間管理は」の所ですが,「手段」であって「目的」ではないと書いていただいており,まさにこのとおりと思いました。一方で,このパラグラフの下から2つ目では,「勤務時間管理の徹底と併せて」と,「管理の徹底」という表現に止まっています。管理というのは,時間を把握することではなくて,それを分析して,どういうふうにつなげていくかというところまでやることが管理になります。
 けれども,なかなかそこまで行っていないようなことになりがちなところが,学校現場にはあるのかなという気がしています。「分析する」といった文言を,どこかに入れていただけないかということが,お願いです。
 もう一点,(3)の適正な勤務時間の設定ですが,これは非常に難しいタイトルです。「適正な」勤務時間とは何ぞやというところが,実は明確ではない状況ではないかと思っています。3行目に「教職員の勤務時間を考慮した時間設定を行う必要がある」とありますが,誰がどうするのでしょうか。必要な環境整備の「数値目標,ガイドラインを作ります」に含まれるのか,それとも,学校現場ごとに確認して作っていくのでしょうか。
 ここで,結構大きな違いが出てきます。学校が,先生方の仕事の仕方や投入時間などを把握して,それを改善するために時間を設定していくというスタイルがないと,今の現場を変えていくのはすごく難しいと思っています。この適正な勤務時間について,もし概念,何かあるのであれば,説明を入れていただきたいですし,もしないのであれば,学校現場で把握したものを踏まえて適正であるべき時間を考えるといったニュアンスを入れていただいた方がいいのかなと思っております。以上です。
【小川部会長】  
   ありがとうございました。時間がオーバーしてしまいましたので,今日はこれで一旦終わらせていただきたいと思います。今日は,本当に各委員の皆様から数多くの御意見を頂きましたので,今日頂いた御意見については,中間まとめ(案)に,修正して次回,再度議論していきたいと思います。
 最後,時間を少しオーバーしてしまったんですけれども,清原委員の方から率直な事務局に対する働き方改革に対する,特に予算面でのお考えをお伺いする御意見が出ていましたので,答えられる範囲でよろしくお願いいたします。
【伊藤財務課長】  
   財務課長でございます。清原委員の方から,働き方改革にどのぐらいの予算が必要なのかという御質問と,特に教員の人件費の部分についてお尋ねを頂いたところでございます。
 まず,働き方改革予算ですが,現時点で私ども,これを明確に総額で幾らという形では出してございませんが,例えば来年度要求としては,学校が担うべき業務の効率化及び精選に対し11億円の要求,また,教員以外の専門スタッフ・地域人材の活用に147億円の要求,更に学校の指導・運営体制の効果的な強化・充実に対しての要求。
 ただ,これは人件費,義務教育費の国庫負担金全体になりますので,約1兆5,000億円という形になってしまいまして,働き方改革の部分だけ抽出するというのはなかなか難しい状況でございますが,しっかりと取り組んでまいりたいと思ってございます。
 また,後段でお尋ねをいただきました,今の教員の勤務状況のまま,仮にそれを教職調整額なりで全部換算して見ていくと,若しくは残業代方式でということでございます。あくまで,しっかり業務改善に取り組んで,学校の働き方改革を進め,業務の効率化,精選をしていくという前提で動いているものでございますので,しっかりとした文科省としての試算を出しているわけではございません。現状で申しますと,いわゆる義務教育の小・中学校教員の国庫負担は,教職調整額1%分,約120億円が国庫負担分として相当でございます。
 教職調整額は4%でございますので,約500億円弱という形になってございます。これは,昨年実施いたしました教員の勤務実態調査では,ある月の一部分しか測ってございませんので,これを10年前の調査も参考にしながら通年ベースに直していくと,必ずしも正確な数字ではありませんが,仮に小学校であれば,4%から30%近くに引き上げる,中学校であれば,40%程度という,計算でいきますと,国庫負担ベースで,恐らく3,000億円を超えるような金額が必要になってくるのではないか。これは国庫負担分の3分の1でということであり全体はその3倍でございます。
 さらに,もし教職調整額をやめて,残業代方式で支払おうとすると,いわゆる時間外勤務手当で対応するような場合には,委員の皆様御案内のように,いわゆる割増率というものが当然掛かって支払うという形になります。これは平日の時間外,通常の時間と深夜に及ぶ時間がまた違いますし,休日も異なりますので,どの単位で計算するかによって,また数字が変わってきます。一般的な平日は単純計算で計算しますと,時間外25%増の金額という形で,かなりの額に上るということです。あくまでも,今この場で計算したものでございますので,正確な試算というわけではございませんけれども,それくらいの費用は掛かっていくというふうに思っております。
【小川部会長】  
   清原委員,一言ありますか。
【清原委員】  
   突然の質問ですのに,数値のイメージを教えていただきまして,ありがとうございました。厚生労働省でも医師の働き方改革の検討会を8月から始めていると承知しています。医師,教師,どちらもが働き方改革の研究をされているということなので,今の数字も驚くべき数字でした,しかし,それだけの意義ある働きを教員の皆様がしてくださっているということを改めて感じますとともに,数字も参考にしながら,市長としてはどきどきする数字なんですが,検討のヒントにさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
【小川部会長】  
   それでは,最後,次回の会合の御連絡をお願いいたします。
【鈴木初等中等教育企画課課長補佐】  
   本日も長時間にわたり議論を頂きまして,ありがとうございました。次回の学校における働き方改革特別部会の日程につきましては,12月12日火曜日,15時から11時半,場所は本日と同じ都道府県会館を予定しております。御協力のほどよろしくお願いいたします。本日の資料につきましては,机上に置いていただければ,郵送させていただきます。
【小川部会長】  
   それでは,今日の議事,全て終了しましたので,これで閉会といたします。ありがとうございました。

―― 了 ――


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