資料4 学校安全部会(第1回)における委員からの主な御意見

【安全教育】
〇幼小接続・連携の重要性が頻繁に指摘されるが、安全に関して何をどのようにつなげるべきかということが出てこない。安全教育の分野で、幼稚園段階では何を育てて、小学校につなげていくのかということの検討が必要。
○生活科、理科、社会科、家庭科、保健・体育科などの様々な教科や道徳、特別活動の中で、自助、共助、公助の視点を取り入れつつ、防災などの安全に関する内容を取り扱っていくことが重要であり、各学校のカリキュラムへの位置づけを進められるような後押しが必要。
○例えば、断層に関する知識のような理科の知識を具体的な防災に結びつけられるような教育が必要。
〇安全教育に関しては、単発的なものではなく、系統的に指導の時間を確保することが重要。研究開発学校での取組の成果も踏まえ、安全教育の推進方策について検討を行うことが必要。
〇「教科等横断的」という言葉は聞こえは良いが、ともすればいずれの教科でもしっかりとできていなかったという結果を招きかねないことにも留意が必要。こうした状況を避けるためには、各教科に安全に係る内容を位置づけるだけでなく、その評価をどのように行うのかということも視野に入れて検討をすることが重要。
○危機管理の観点からは、子供たちに対して、知らない人に声をかけられてもついて行ってはいけないということを教えなければいけないが、一方で、登下校時の挨拶指導など性善説で教育を進めなければいけない場面があり、そのバランスをどのようにとるべきかということも考えていくことが必要。
○安全教育を行う上では、「守る」ことと「育てる」こととのバランスが重要。子供たちを守ることに偏りすぎると、子供たち自身の危険予測能力などがうまく育たない一方、育てることに偏りすぎて、基本的な安全点検がおろそかになってはいけない。
○災害に際しては、支援を受け入れる力というものが必要になるため、安全教育を通じて、子供たちに自然災害という現象自体は防げないことを認識させるのと同時に、その現象が起きてしまうことを受け入れる力もつけさせないといけない。これはリスクコミュニケーションの観点からも必要なものである。
〇安全教育を充実するためには、保護者への意識啓発という観点も重要である。保護者に対しては、学校からだけでなくPTAの取組などいろいろな形を通じて働きかけていくことが重要。
○危機事象そのものの専門家に比べ、安全教育の専門家が少ない印象がある。安全教育を継続・充実していくためには、学校教育の中でバランスをとりながら子供たちに必要な能力を育てていく方策について研究する専門家を育てていくことも重要。

【安全管理・組織活動・地域連携】
○学校安全計画の策定を含めて、学校安全の取組を学校の中に定着させるためには、どうすればいいのかということを考えていくことが必要。例えば、各学校において、学校安全の中核となるような教員を職として明確に位置づけていくことが有効と考えられる。
○学校では、教員ごとに交通安全担当や防災担当など役割が分かれている場合があり、計画的な実効性のある取組ができていないところもある。学校安全の継続・充実のためには、保健主事に相当するような学校安全全体をマネジメントする役割の者を学校に置くことが重要。
○学校安全は、学校教育の場を地域みんなのものにする良い機会であり、学校安全ボランティアなどを通じて学校・地域の関係者がつながっていくことが望ましい。地域社会の当事者としての知識や認識を持って生きていくことが必要であるということを、どうやって具体的な教育の中に位置づけていくかも課題。
○不審者対策など学校の防犯体制の構築には、地域ぐるみで取り組んでいくことが重要。
○チーム学校として学校安全に係る地域連携・協働を進める上では、セーフティプロモーションスクールなどの学校安全に係る民間認証制度との連携も可能性を持つ。

【教員養成・教員の資質向上】
〇学校安全を進める上では、教員が子供たちを守ることのできる力とともに、子供たちに安全教育をできる力を身につけることが重要である。
○教員養成段階で学ぶ学校安全の内容と、現職教員として研修段階で学ぶ内容を、それぞれの特性に応じて充実することが必要。その際、教員養成課程の限られた時間の中で全て教えることは困難であるので、学校保健安全法の趣旨・内容や、それに係る具体的な学校での課題と取組の方向性といった基礎を教えることが必要。また、広い意味での危機管理として、感染症や心身の不調など学校保健に関連する基礎知識についても併せて学ぶことが必要。一方で、各地域の実情に応じた学校安全の取組については、現職研修の中に位置づけて進めていくことが必要。
○教員養成の段階で、学校安全に関するある程度の知識を身につけて教員になることができれば、採用後の研修でその次の段階に進めやすくなる。
○文部科学省をはじめとする各機関で作成した学校向け教材について、活用を促すためにも教員養成系の大学にも共有することを検討すべき。

【共通】
〇学校安全を推進していく上では、学校設置者と学校が高い意識を持って、学校安全についての取組を継続的に行っていくということが重要。このため、学校や学校設置者が、具体的にどうすればいいのかということを示すことが必要。
〇学校安全に関しては、地域間、学校間の意識や取組の差が大きく、それをどのように改善して、より充実していくかということが課題である。
〇各地域で非常に優れた事例があっても、なかなか他に生かされず、その学校だけで終わってしまうことがあるので、優れた事例や教材の共有を促進するような機会や交流の場が必要。
〇子供たちがどの学校に行っても同じような安全な環境で学べるように、私学も含めて学校安全計画の策定を100%にしていくことが必須。また、地域の防災対応の向上にも影響するため、地域の保護者も学校安全計画について認識を持つことが必要。
○学校の耐震化については、公立学校はかなり進捗しているが、私立学校の進捗はまだまだであり、対応策の検討が必要。
○私立学校は、公立学校に比べて地域性が薄いことや通学範囲が広いことを考慮した取組が必要。例えば、非常時に情報共有等を図るためのネットワークづくりなど、私立学校同士での連携を進めることが重要。
〇就学前の教育施設は、幼稚園、保育園、認定こども園など様々あり、設置者も私立であったり公立であったりするため、安全に関する国からの伝達事項がうまく周知されていない現状がある。安全に関する重要な事項を広く周知していくための方策の検討が必要。
○特別支援学校では、一つの学校の中に小学部から高等部まであったり、障害の種類が複数あったりする場合でも、学校安全計画が一つしかないところがある。また、通常の学校の中にも、発達障害を含む障害を持つ子供が在籍しているところがある。東日本大震災の時には、障害のない者に比べて障害のある者の方が死者の割合が高かったという指摘があることを踏まえると、障害を持つ子供のための学校安全というもののあり方も具体的に検討していくことが必要。

お問合せ先

初等中等教育局健康教育・食育課防災教育係

(初等中等教育局健康教育・食育課)