教育課程部会 中学校部会(第4回) 議事録

1.日時

平成28年7月1日(金曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 総則・評価特別部会、小学校部会、中学校ブカイ、高等学校部会における議論の取りまとめ(案)について

4.議事録

【市川主査】    それでは、定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の中学校部会を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。
  それでは最初に、事務局より配布資料の確認等をお願いいたします。
【石田教育課程企画室専門官】    それでは配布資料の確認に先立ちまして、事務局に人事異動がございましたので、御報告を申し上げます。
  小松親次郎前初等中等教育局長の異動に伴い、6月21日付で藤原誠初等中等教育局長が着任をしております。
【藤原初等中等教育局長】    藤原でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【石田教育課程企画室専門官】    それでは、配布資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料3-2、その他、机上に参考資料を配布させていただいております。不足等がございましたら、事務局にお申し付けいただければと思います。
  また、机上の黄色の紙ファイルに、学校段階等別部会、教科等別ワーキンググループ等の議論の進捗状況として、各学校段階等別部会あるいは教科等別ワーキンググループの現時点のまとめ文案、参考資料をお配りしております。
  また、机上に、いつものとおりタブレット端末を置いております。その中には、関係する資料をデータとして入れておりますので、詳細は議事次第の裏面にあります目次を御覧いただければと思います。
【市川主査】    それでは、本日も前回に引き続き、中学校における教育課程の改善・充実について御議論いただきたいと考えております。
  なお、本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出がございまして、これを許可しておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
  前回お伝え申し上げましたとおり、本日で中学校部会は最終回となりますので、今回は、これまでの御議論を踏まえて事務局にて作成された総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会における取りまとめ(案)について、御議論いただきたいと思います。
  なお、取りまとめ(案)はかなりの分量となっておりますので、取りまとめ(案)のうち前半は中学校部分、これが31ページから34ページになります。これを中心に御議論いただいた後、後半は全体を通しての御議論を頂きたいと思います。
  それではまず、事務局より配布資料の御説明をお願いいたします。
【合田教育課程課長】    失礼いたします。それでは、資料の2というものが、先ほど主査からお話を頂きました、これまでの中学校部会での御議論というものを整理させていただいたものでございます。中学校だけではなくて、小学校あるいは高等学校も含まれておりますので、少し大部になっておりますので、簡略に手短に全体を少し御説明させていただきたいと思っております。
  まず資料の2の1ページ目を御覧いただければと思います。この中学校部会は、第1回目で、アクティブ・ラーニング・セッションということで、全体の中学校教育の問題点・構造についての討議を頂きました。その中で最も重要だという御指摘がございましたのは、社会構造の変化の認識というものを教育界内外で共有することでございました。
  1ページ目の二つ目のマルにございますように、第4次産業革命とも言われる、進化した人口知能が様々な判断を行ったり身近な物の働きがインターネット経由で最適化されたりする時代の到来という構造的な変化の中で、三つ目のマルでございますけれども、人工知能の進化により人間が活躍できる職業はなくなるのではないか、あるいは、今学校で教えていることは時代が変化したら通用しなくなるのではないかといったような御議論もあるところでございます。
  ただ、中学校部会では、上から四つ目のマルでございますけれども、人材像として、現在、社会や産業の構造が変化していく中で、私たち人間に求められているのは、定められた手続を効率的にこなしていくことに留まらず、感性を豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生をより良いものにしていくのかを考え、自分なりに試行錯誤し新たな価値を生み出すことができると、そのためには生きて働く知識を含む、これからの時代に求められる資質・能力を学校教育で育成していくということが重要であるという御議論を頂いたところでございます。
  一番下のマルでございますけれども、こういった資質・能力は学校教育が長年目指してきたものでございますけれども、であるがゆえに、社会との間でこういう資質・能力が大事だということを共有しながら教育改革を進めていく必要があるという御議論を賜ったところでございます。
  であるがゆえに、飛んでいただいて恐縮でございますが、3ページ目を御覧いただければと思っております。3ページ目の3ポツ、何ができるようになるかというところがございますけれども、その下から四つ目のマルでございます。マル1として、何を知っているか何ができるか、マル2として、知っていることできることをどう使うか、マル3、どのように社会・世界と関わりより良い人生を送るか、この三つの柱で全ての教科等全体を構造化するという御議論を、各教科等のワーキンググループでも頂いたところでございます。
  なお、3ページ目の下から二つ目のマルにございますように、このような枠組みで教育課程を構造化するということにつきましては、本年5月に開催されたG7倉敷教育大臣会合における共同宣言に盛り込まれるなど、国際的にも共有されているという状況でございます。
  その中で大変重要なことは、4ページ目にわたっていただいて恐縮でございますが、一つ目のマルにございますように、「現在議論されている「知識」とは」というところがございます。ともすればこれまで個別の事実的な知識のみを指すというところがございましたけれども、3行目からございますように、概念的な知識を含むものであるということでございまして、例えば「何年にこうした出来事が起きた」という歴史上の事実的な知識は、「その出来事がなぜ起こったのか」や「その出来事がどのような影響を及ぼしたのか」を追究する学習の過程を通じて、当時の社会や現代に持つ意味などを含めた概念的な知識として習得されていくという点が大変重要であるという御議論を頂いているところでございます。その下のマルにありますように、「技能」についても同じでございます。
  このような観点から、資料を行ったり来たりで恐縮でございますが、資料の1を御覧いただければと思っております。学習指導要領改訂の方向性という色刷りのものでございますが、それの11ページを御覧いただければと思っております。
  先ほど申し上げましたように、11ページに、中学校における各教科の構造というものの現段階で整理を頂いているものをお示ししてございますが、例えば国語でございますと、創造的・論理的思考、感性・情緒、他者とのコミュニケーションの側面から、言葉の働きに注目して言葉を捉え、自分の思いや考えを深めることという、教科固有のものの見方・考え方があり、その固有のものの見方・考え方を働かせて、国語で理解し表現することを通して言語感覚を豊かにする、国語に関する資質・能力を次のとおり育成するということで、知識・技能、国語について理解をする、適切に使うことができるようにする。それから思考・判断・表現として、創造的・論理的な思考や感性・情緒を働かせて思考力や想像力を養い、社会生活における人との関わりの中で、国語で正確に理解したり適切に表現したりしながら自分の思いや考えを深められる。そして学びに向かう力・人間性ということで、言葉を通じて伝え合う価値を認識するとともに、言語文化に関わり、国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養うということで、以下、社会科、数学科、それから12ページには理科ということで、それぞれございますけれども、このような形で、それぞれの教科で、一つ一つの内容項目が何のために行われるのか、どういう資質・能力を育むために行われるのかということについて、全体、教科等にわたる議論を頂いたところでございます。
  資料の2の本文に戻っていただきまして、このような各教科の構造というものを整理してまいりますと、4ページの下頃に、(3)初等中等教育全体や各学校段階を通じて育成すべき資質・能力というところがございます。
  具体的には、5ページでございますけれども、1として、発達の段階に応じた生活の範囲や領域に関わる物事について理解し、生活や学習に必要な技能を身に付けるようにする。それから2といたしまして、情報を捉えて多面的・多角的に吟味したり、問題を見いだし他者と協働しながら解決したり、自分の考えを形成し伝え合ったり、思いや考えを基に創造したりするために必要な思考力・判断力・表現力等を育成する。3といたしまして、伝統や文化に立脚した広い立場に立ち、感性を豊かに働かせながら、より良い社会や人生の在り方について考え、学んだことを主体的に生かしながら、多様な人々と協働して新たな価値を創造していくという学びに向かう力や人間性を涵養する。この三つに大きく整理されるのではないかと。こういうことを、各学校で、それぞれ育むべき資質・能力ということを具体的に焦点化し、明確にしていく必要があるのではないかという御議論を頂いたところでございます。
  ただ、その中でも、5ページの一番下でございますが、現代的な課題に対応した資質・能力と、時代を越えて求められる資質・能力ということで、不易と流行という御議論も頂いたところでございます。
  6ページ目の一番上のマルにございますように、情報活用能力や健康・安全に関わる資質・能力、グローバル化への対応・多様性の尊重に関する資質・能力、主権者として求められる資質・能力など、様々な流行があるわけでございます。この観点から、中学校におきましても、プログラミング教育を倍増するということを教科では議論しているところでございますが、他方で、6ページ目の二つ目のマルの3行目からでございますが、現代的な課題として対応できる能力として求められる資質・能力の要素も、これまでにないような全く新しい力ということではなく、従来からも重視されている読解力や論理的・創造的に思考する力、問題を発見・解決するために求められる力、豊かな人間性等々について、この意義を改めて捉え直し、しっかりと発揮できるようにしていくことが必要であるという御議論を頂いたところでございます。
  特にその下のマルでございますけれども、不易の中でも不易ということでございまして、複雑な情報を読み解くために必須な読解力というのは、時代を越えて常に必要なものであり、これからの時代においてもその重要性は変わることはない。特にスマートフォンの普及など、情報化が進展し身近に様々な情報が氾濫する中で、ますます高まる読解力の重要性とは裏腹に、視覚的な情報と言葉との結び付きが希薄になり、知覚した情報の意味を吟味して読み解いたりすることが少なくなっているのではないか。これはSNSなどの影響もあるところでございますが、子供たちが教科書の文章を読み解けていないのではないかとの問題提起もあるところでございまして、これらの学習の基盤である言語能力の育成を重視するということが、全ての学校種で求められるということでございます。
  このように、どういう資質・能力を育むのかということがピン留めされ重要視されますと、7ページにございますように、どのように学ぶのかというアクティブ・ラーニングの視点からの学習プロセスの改善というものが、大変大事になってまいります。
  7ページ目の上から三つ目のマルにありますように、社会で生きて働く知識や力を育むためには、子供たちがどのように学ぶかという学びの過程に着目してその質を高めていくということが重要であるという御議論を頂いたところでございます。ただし、7ページ目の二つ目のマルにございますように、活動あって学びなしという状況ですとか、7ページ目の一番下のマルにありますように、特定の指導方法のことでも学校教育における教員の意図性・計画性を否定するものでもないということは押さえなければならないという御議論を頂いたところでございます。
  8ページ目でございますけれども、一つ目のマルにございますように、アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善、重要なのは「主体的・対話的で深い学び」ということでございます。「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」とございますけれども、特に重要な「深い学び」というのが、上から三つ目のマルでございます。
  「深い学び」についてはイメージがつかみにくいとの指摘がある中で、下から三つ目のマルでございますけれども、「深い学び」とは、習得・活用・探究の見通しの中で、教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせて思考・判断・表現し、学習内容の深い理解や資質・能力の育成、学習への動機付け等につなげることの学びであるということでございます。
  8ページ目の下から二つ目のマルの後段、「例えば」というところでございますが、先ほど資料の1で見ていただきましたように、例えば算数・数学においては、事象を数量や図形及びそれらの関係に着目して捉えて論理的に考えていく。国語においては、先ほど御覧いただきましたように、言葉の働きを捉えて自分の思いや考えを深めたり表現していくといった、それぞれの教科の固有のものの見方・考え方というものを明確にしながら「深い学び」を実現していくということが重要であるという御議論を頂いているところでございます。
  そのように考えますと、10ページ目に飛んでいただいて恐縮でございますが、学習評価につきましても、上から四つ目のマルにありますように、観点別評価についても、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3観点に整理をしていくという御議論を頂いているところでございますし、それから11ページでございますけれども、一つ目のマルにございますように、指導要録に加えて、これは特に中学校部会でも御議論がございましたけれども、子供一人一人が自らの学習状況やキャリア形成を見通し振り返ることができるためのキャリアパスポート-自分で書き込み、自分でポートフォリオを形成していくようなキャリアパスポート-の導入ということが大事であるという御議論を頂いたところでございます。
  11ページの下頃、7ポツでございますけれども、このような一人一人の成長を支える仕組みということについても、中学校部会でも御議論を頂いたところでございます。11ページの下から二つ目のマルでございますけれども、一人一人の子供たちの様々な得意分野の能力を伸ばしていくということが大事であると同時に、苦手な分野を克服しながら社会で生きていくために必要となる力をバランス良く身に付けていくことも重要であるという観点でございます。
  12ページでございますけれども、その観点を幾つか御議論いただいておりまして、一つは、上から二つ目のマルにございます学級経営の充実でございます。子供たちにおきましては、学習の場だけではなくて生活の場でもございます学級経営というものを、どう充実していくのかという観点。
  それから12ページでございますけれども、学習指導と生徒指導というところでございます。この点は特に中学校で重要なところかと存じますけれども、下から二つ目のマルにございますように、生徒指導とは、そもそも一人一人の児童生徒の人格を尊重し個性の伸長を図りながら、社会的資質や行動力を高めるということを目指して行われる教育活動でございます。先ほど御覧を頂きましたように、今回、子供たちに育むべき資質・能力というものが構造化・可視化される中で、この構造化された資質・能力に沿って、生徒指導というものもきめ細かく転換をしていくということが求められているところでございます。
  一番下のマルでございますけれども、生徒指導につきましては、資質・能力も踏まえて、改めて一人一人の生徒の健全な成長を促し、生徒自ら現在及び将来における自己実現を図っていくために必要な力の育成という観点から、これまでともすれば個別の問題行動等への対応に留まりがちとも指摘されておりますけれども、資質・能力の育成という共通の土俵が今回の改訂で出来るということも踏まえながら、キャリア形成の方向性、それからガイダンス機能との関係という観点から、生徒指導の在り方を見直していく必要があるという観点でございます。
  13ページでございますけれども、これも本部会で大変重要な点であると議論いただきました、キャリア教育あるいは進路指導でございます。これにつきましては、キャリア教育という観点を明確に打ち出していく必要があるという御議論を頂いたところでございます。
  13ページの脚注に、キャリア教育(進路指導)で目指す資質・能力ということで、知識・技能としては、学ぶこと・働くことの意義の理解ですとか、あるいは三つ目のポツですけれども、自分自身の個性や適性に関する理解と自らの思考や感情を律するために必要な技能といったことがあるのではないか。時計数字の2の思考・判断・表現では、問題を解決したり、様々な人々と考えを伝え合って合意を形成したり、自分の考えを深めて表現したりすることができる力といったものが中核ではないか。一番下の学びに向かう力・人間性におきましては、キャリア形成の方向性と関連付けながら今後の成長のために学びに向かう力ですとか、一番下のポツの、自らの役割を果たしつつ、多様な人々と協働しながら、より良い人生や社会を構築していこうとする態度というものがあるのではないかという観点から、キャリア教育については、進路指導も含めて捉え直していく必要があるのではないかという御議論を頂いたところでございます。
  そのような観点から、14ページの一つ目のマルにございますように、先ほどの評価と同様に、キャリアパスポートの活用というものが大事ではないかという御議論を頂いたところでございます。
  そのほか、14ページには、個に応じた指導、これをますます重視する必要がある。あるいは15ページには、特別支援教育ということで、通常の学級、特別支援学級、通級による指導などにつきまして、それぞれの役割分担や機能というものをより明確にしていく必要があるという御議論を頂いたところでございます。
  駆け足で恐縮でございますが、17ページを御覧いただければと思っております。8ポツの、実施するために何が必要かということでございます。先ほども見ていただきましたように、各教科等のものの見方・考え方を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」が大事であるということになりますと、何より大事なのは、先生方に時間が必要だということでございます。その支援の体制をどうしていくのかという御議論も、併せて中学校部会では頂いたところでございます。
  もとより文部科学省におきましても、17ページの下から四つ目のマルにありますように、「「次世代の学校・地域」創生プラン」というものを作成しているところでございますが、更に18ページにございますように、校内の研修体制、それから、何よりも大事な家庭・地域との連携・協働という観点、それから19ページにありますように、必要な体制整備、特に19ページの上から二つ目のマルにありますような、必要な教職員定数の拡充といったことが大事でございますが、と同時に、これは本部会でも小室委員からも御指摘を頂きましたけれども、19ページの一番下にあります業務の効率化ということを、今回図っていかなければならないという御議論を賜ったところでございます。
  それにつきましては、大変行ったり来たりで恐縮でございますが、別途、資料の3というものを御覧いただければと存じます。資料3につきましては、これは学校における業務の適正化につきまして、私どもの堂故大臣政務官を主査とするタスクフォースを設置し、6月に報告書をまとめたところでございます。そのプロセスの中では、小室委員にもヒアリングに御出席を頂いたところでございますけれども、大きく三つの御議論を頂いたところでございます。
  資料の3の1枚目にございますように、1ポツの教員の担うべき業務に専念できる環境の整備ということでございまして、教員が行う業務の明確化、そのために事務職員の職務内容を法改正をしてでも見直していく、業務アシスタントの検討、民間ノウハウの活用などといった議論が行われているところでございます。
  と同時に、中学校に関して大変関わりの深い、2ポツの部活動の負担を大幅に軽減するという御議論も頂いているところでございます。平成9年には、当時の文部省が、部活動につきましては週二日以上の休養日を目安とする報告書を公表したこともございますけれども、まずは毎年度の調査を活用して各中学校の休養日の設定状況を把握し、改善を徹底するということ。それから総合的な実態調査、スポーツ医科学等の観点から、練習時間や休養日等の調査研究と。ただ長くやればいいというのではなくて、科学的に部活動の在り方というものを考えていこうという御議論。
  それから、来年度には運動部活動に関する総合的なガイドラインを作っていくということ、中体連等の大会規定の見直し、それから部活動指導員(仮称)の制度化・配置促進ということでございまして、これらを総合的に、これはむしろ学校現場における業務負担の適正化、先生方が授業の改善を行うための時間を確保するという観点で、提言がなされたところでございます。
  その他、長時間労働という働き方の改善ということでございまして、これも勤務時間管理の適正化や教員の意識改革ということで、これから取組を進めていくということが議論されているところでございます。
  資料の2の本文に戻っていただきますと、この業務効率化というものも、今回、大変重要な中学校現場を支える視点だということで、この中教審の議論にも盛り込ませていただいているところでございます。
  20ページ、9ポツでございますけれども、小・中・高等学校のそれぞれの課題への対応ということでございまして、特に中学校に関わりのあるところを御説明させていただきたいと思っておりますが、まず27ページを御覧いただければと思っております。
  ただいまの業務の効率化にも関わるわけでございますけれども、27ページの真ん中よりも少し下でございますが、カリキュラム・マネジメントという言葉が出てまいります。これまで以上に、業務効率化の観点も含めて、人、物、金、時間、情報、そして教育内容という、学校におけるリソースというものをどう配分していくのかという観点から、管理職だけではなくて、全ての先生方にカリキュラム・マネジメントが求められるというものでございます。これは中学校にも大変重要な視点かと思っております。
  その上で、31ページを御覧いただければと思っております。今、御説明申し上げたことは、中学校にも深く関わりながら、小・中・高全体に関わる話でございますけれども、特に中学校教育という観点から整理をいたしましたのが、31ページ以降でございます。
  中学校教育の基本というところ、31ページの上から三つ目のマルでございますが、3行目の、資質・能力の育成の観点から各教科等の目標や指導内容の構造化を図るなど教科学習を充実するとともに、ただいま申し上げましたカリキュラム・マネジメントに基づく教科等横断的な視点からの学習の充実ということで、教科担任制が始まります中学校におきましては、特にこの教科等横断的な視点というものを大事にしていく必要があるという御議論を頂いたところでございます。
  その上で、中学校教育の改善・充実ということにつきましては、31ページ目、下から二つ目のマルにございますように、中学校固有の子供たちの現状、特に思春期を迎えるこの時期の特徴という様々な難しさというものが、中学校現場にはございます。
  31ページの一番下のマルにございますように、発達の段階に応じて多様化する課題に対して、これまでも校務分掌といったものの中で、中学校は組織的に取り組んできたところでございますけれども、今回はカリキュラム・マネジメントを軸にしながら、全ての教職員の意識というものを、資質・能力により構造化した教育課程を軸に一本化すると。学びに向かう力・人間性も含めて資質・能力を構造化した今回のカリキュラムの中で、進路指導や生徒指導、学習指導等の意義というものを捉え直しながら組み合わせていくということが求められているのではないかという御議論を頂いたところでございます。
  その上で、32ページでございますけれども、中学校においては、特に「社会に開かれた教育課程」という観点が大事ではないかという御議論を頂いたところでございまして、32ページ目の一つ目のマルに、ポツが三つございますけれども、一つ目のポツにありますように、授業での学びと教育課程外の様々な多様な教育活動との関連付けを、どう図っていくのかという観点。
  それから、二つ目のポツにありますように、生徒にどのような資質・能力を育成することを目指すのかという教育目標を共有しながら、学校と地域がそれぞれの役割を認識した上で、共有した目標に向かって協働関係を築くと。今回、学校と学校外におきましては、家庭も含めて、資質・能力という共通の土俵で協働していくということが大事ではないかという観点。
  それから、一番下のポツでございますけれども、教育課程外の活動につきましても、生徒の「主体的・対話的で深い学び」の実現ということで共有し、生徒の学びと生涯にわたるキャリア形成の関係を意識した教育活動の展開が重要であると。短期的な学習成果のみを求めたり、特定の活動に偏ったものになることのないようにということがポイントとして重要だということでございますが、そのことが特に強く現れてまいりますのが、その下にございます部活動であろうかと思っております。
  部活動につきましては、32ページ目の下から三つ目のマルにありますように、現行の学習指導要領におきましても、飽くまでも生徒の自主的・自発的な参加により行われる部活動、スポーツや文化、科学ということで、スポーツだけではなくて、文化、科学に親しませる。学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養に資するものである。学校教育の一環として、しかしながら教育課程外の取組でございますので、教育課程との関連が図られるように留意すること。それから、各学校外の団体との連携、運営上の工夫を行うということが、規定をされているところでございます。
  32ページ目の一番下のマルでございますけれども、今後、この規定の実質化を図っていく必要があるという御議論を賜ったと思っておりまして、32ページ目の一番下のポツでございますけれども、学校教育か社会教育かという枠を越えて、共に子供の成長を支えるという観点に立つ必要がある。
  33ページでございますけれども、上から4行目でございますが、部活動も学校教育活動の一環であることから、生徒の「主体的・対話的で深い学び」を実現するという視点が求められていることを明確にする。これにより、部活動と教育課程の関連がより一層明確になると考えられる。ただ単に、部活動が教育課程の、言わば妨げとは申しませんけれども、一つの桎梏になっているという観点だけではなくて、より積極的に教育課程と部活動を関連付けるという観点が重要ではないかということでございます。
  その下に「特に」とございますけれども、特に「深い学び」を実現する観点から、例えば保健体育、運動領域でございますけれども、今回、見方・考え方として、運動・スポーツについて、その意義や特性に着目して楽しさや喜びを見いだすとともに、体力の向上に果たす役割を捉え、公正、協力、責任、参画、共生、健康、安全といった視点を踏まえながら、自己の適性に応じて「する・みる・支える・知る」等、多様な関わり方について考えるということでございまして、保健体育の運動領域本体が、ただ単に「する」というだけではなくて、「みる・支える・知る」という多様なカリキュラム構造に、幅広いカリキュラム構造に変えていこうという議論がなされているところでございます。
  そのことを前提にいたしますと、その後の文章でございますが、運動部活動におきましても、このような見方・考え方を生かしながら、競技を「すること」のみならず、スポーツに関する科学的な知見やスポーツとの多様な関わり方、多様なスポーツの良さを実感しながら、自己の適性等に応じて、生涯にわたるスポーツとの豊かな関わり方を学ぶような指導が求められると。そのことは、スポーツだけではなくて、文化や科学などにも共通するものであるという観点でございます。
  それから、その下のポツでございますけれども、部活動が教育課程内の学習活動と相乗効果を持って展開されるためには、部活動の時間のみならず、子供の生活や生涯全体を見渡しながら、生徒の学びと生涯にわたるキャリア形成の関係を意識した教育活動が展開されることが重要であり、短期的な学習成果のみを求めたり、特定の活動に偏ったりするものにならないように、休養日や活動時間を適切に設定するなど、生徒のバランスの取れた生活や成長に配慮することが求められるということでございまして、先ほどのタスクフォースにおきましては、先生方の長時間勤務、先生方の働き方という観点から、部活動の在り方を御議論いただいたところでございますけれども、本部会では、子供たちにとって適正な部活動とは何かという御議論を頂き、このような形で整理をさせていただいているところでございます。
  以下、34ページ以降は高等学校でございますので、説明は省かせていただきますけれども、このような御議論を頂いたということと、それから最後1点だけ、資料1に戻っていただきまして、今申し上げたような構造につきましては、資料1の3ページを御覧いただければと思いますけれども、各教科だけではなく、先生方御案内のとおり、学習指導要領には総則という規定がございます。
  その総則の規定の中で、3ページの右側の赤い部分でございますけれども、例えば上から二つ目の、中学校の教育課程全体を通じて育成する資質・能力でありますとか、あるいは真ん中よりも少し上に、教育課程編成の在り方(カリキュラム・マネジメント)の視点、その下の学習・指導方法の改善(アクティブ・ラーニング)の視点、それから、下から四つ目の箱でございますが、「多様な学びの場」における十分な学びの確保、それから、下から二つ目でございますけれども、先ほど御覧いただきましたように、現在でも規定がございます部活動の位置付け、それから、極めて重要な一番下のキャリア教育、あるいは生徒指導、進路指導ということにつきまして、これまで中学校部会で賜った御議論を踏まえながら、中学校指導要領の総則につきましても、大きく構造を変えていくという御議論を賜ったところかと思っているところでございます。
  長くなってしまって恐縮でございましたけれども、その中で特に前半につきましては、31ページから34ページなどを中心に御指摘を賜ればと思っている次第でございます。
  駆け足で恐縮でございますが、以上でございます。
【市川主査】    ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの御説明も踏まえて、中学校部分、31ページから34ページについて意見交換をしていただければと思います。御意見や御質問のある方は名札を立てていただけましたら、私の方から順次指名をいたします。御発言が終わりましたら、札を元に戻していただきますようにお願いします。それでは、御意見、御質問のある方はどうぞ。
  田中委員、どうぞ。
【田中主査代理】    私から最初に。31ページのマル2の二つ目のマルに書かれているんですけれども、先ほどの御説明の中にもございましたけれども、カリキュラム・マネジメントを軸としながら全ての教職員の意識を教育課程を軸に一本化するという文言については、非常に大事な観点であると受け止めております。とかく教育現場では、カリキュラムは管理職や教務主任が決めることとか、あるいはまた、生徒指導や進路指導も縦割りといった感じがありますので、全教職員でという、その横串というんでしょうか、そういう横串を通すことの重要性を学習指導要領の中にも反映していってもらえればと、このように思っているのが1点でございます。
  それからいま一つは、32ページの部活動について御指摘をしたいと思います。大変難しい課題であると受け止めております。競技能力の向上一辺倒ではなく、教育課程内外に通じて、子供の健全な成長を支えるという視点が何よりも大切であると思っております。ですから、ここに記載されている内容については私も賛意を表したいと、このように思っております。
  なお、33ページの最後の黒ポツに書かれているんですけれども、教員の負担低減は大変重要なことですけれども、その裏付けとなるのは、予算の獲得というところが絡まってまいりますので、その点を一つ強く要望しておきたいと思います。
  以上でございます。
【市川主査】    ありがとうございました。
  内田委員、どうぞ。
【内田委員】    32ページのポツの2番目、「社会に開かれた教育課程」のところですけれども、この部分は、今、正に子供たちを学校だけでなしに家庭・地域と一体となって育てていくという、一番の大事な部分ではないかなと。その中に、「学校と地域がそれぞれの役割を認識した上で」のところで、これ、家庭が書いていないのは何か意図があるのか、逆にこれを「学校と家庭・地域が」という形の方が、よりはっきりしていいのかなということを感じました。
  それと併せて、資料の1のところの4ページのたたき台の前文のところ、ここに「社会に開かれた教育課程」の実現の中に、ここは「地域・家庭と連携・協働しながら」とあるんですが、これ、家庭が先で地域の方が、今までのいろいろな文科省の出されている部分等は、そちらの方が多いのかなと。5ページには、第5の方の2番とか第6のところでは、「家庭・地域との連携」と「家庭・地域」になっていますので、その辺り、「家庭・地域」の方で統一された方がいいのかなということを感じました。
  以上です。
【市川主査】    これは、では。
【合田教育課程課長】    御指摘を踏まえさせていただきたいと考えています。
【市川主査】    御検討ください。
  青木委員、どうぞ。
【青木委員】    今出ました教育課程外の多様な教育活動については、部活動のことが非常に多く割かれていますけれども、実態としてキャリア教育を考えた場合には、教育課程外の活動という意味では、地域との連携、地域における子供の活動、これがますます重要度が増すと思います。そういった意味では、そういった内容をもっと盛り込む必要性があるのではないかということを、私は強く感じております。
  それと同時に、一番の問題である部活動については、ここで「深い学び」を観点とする観点からということで、部活の重要性もある意味非常に踏まえつつ、それをどのようにしていくかというところで非常に苦慮しているところではあると思うんですけれども、実態として部活動の位置付けが総則の中でも赤字で書かれているように、ここで新たな方向性をきちっと示すとするならば、より具体的な解決策を示していくべきではないかと思っております。
  例えば公立学校であれば、ある程度の学校の数を持っている地区であれば、部活動の拠点校を中心とした、より専門性を強化できるような部活の拠点校を作ることによって、そういった子供たちの能力を高めていく。部活動は非常に日本、盛んですけれども、オリンピックなどの競技を見ると、必ずしもそれが直結していないというのは、そこで何か、私どもが抱えている中学校あるいは義務教育段階と、何か捉え方あるいは育て方に大きな違いがあると思うんです。そこを解決するための方策を、一つ大きく示すことが重要ではないかと思うんですけれども。
【市川主査】    これは事務局の方から何かございますか。
【合田教育課程課長】    大変重要な御指摘かと思っております。先ほど資料3の方でもお示しをしましたように、今回、省内のタスクフォースで、業務改善の方では、部活動の実態調査とともに、今、青木先生からもお話がございましたように、スポーツ科学的な観点からいって、今の部活動の指導については課題というものがあるだろうという御議論も頂いたところでございまして、そういったものも踏まえながら、これは先ほど申し上げましたように、来年度、スポーツ庁の方で作成予定の「運動部活動のガイドライン」なども具体的にお示しをしていくことになろうかと思っております。
  他方で、学習指導要領自体は教育課程について書くものでございますので、私どもとしては、この部会で御議論いただいた、資質・能力を構造化した教育課程と教育課程外の活動との連続性・協働というものを、どう図っていくのかというのも大変重要な視点だと思っておりまして、そういった観点も踏まえて検討させていただきたいと思っております。
【市川主査】    ありがとうございます。前回も部活動のことをかなり時間を取って議論いたしましたけれども、長期的視野に立った在り方を、これからも更に検討していくということになるのかと思います。
  かといって全く進まないと、一歩か二歩は踏み出しておかないと、いつまでたっても変わらないということになってしまうので、今回どれだけ教育課程を論ずる中で部活の問題に踏み込めるかということは難しいんですが、今は少しこういうことを書いていただいて、今後とも検討を続けていくということになろうかと思います。
  それでは、尾上委員と石鍋委員、続けてどうぞ。
【尾上委員】    尾上です。33ページのマル3、学校段階間の接続ということで、義務教育9年間を通じてという中身の文章は分かるんですが、「例えば」とか、内容の書き込み方がすごく薄いような気がして、これだけではどうにもならないというのが現状でありますので、もっと地域も含めた「馳プラン」というのが出されていますので、一番重要な期間だと思いますので、その辺、学校段階の接続という意味では、この書きぶりでは少し、私の保護者の立場に立っても分からないという状況でありますので、もう少しそういったところも踏み込んだ形にならないかなという意見です。以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  石鍋委員、どうぞ。
【石鍋委員】    いろいろな委員の先生が言われたことと重なるところもあるんですが、私も同感のところがあるので申し上げます。
  まず31ページのカリキュラム・マネジメントは、どうしても管理職や教務主任がやるということは、学校現場、そういった風潮があると考えておりますので、教職員一人一人がカリキュラム・マネジメントをするんだというところをきちっと打ち出していただいて、それを周知していただきたい。これを非常に強く感じております。
  あと、先ほど横串をということは、これも大賛成ですけれども、ただ、一つ、中学で、特に大規模校で気を付けなければならないのは、学年の、いわゆる学年セクトと呼ばれるようなものが、まだ残っている学校もございます。ですので、横串にすると、学年だけで横を見るというイメージも出てきますので、校内の縦を見る、そして小学校や高等学校を見据えた学校段階間の縦のつながり、その辺もうまく入れていただくと、非常に意味が出てくるかなと思っています。
  あと2点目は、家庭の問題が出ていましたが、家庭・地域を一緒に語ってもらうというのは大賛成で、特に最近、様子を見ていますと、家庭は地域との関わりを持ちづらい状況が、特に都会などでは多く見られます。ですが、家庭の力が地域の中で発揮され、また地域が家庭を支えていく中で、学校といかに連携を取っていくかというのは非常に大きな視点だろうと。これがどんどん世の中が進むにつれて薄くなっているのは、まず明白だと思うんですね。その辺りを是非文章の中にうまく取り込んでいただけると有り難いなと思っています。
  最後は、これ、私の読み取りが不十分だったら済みません。教えていただければと思うんですが、32ページの下から二つ目のマルの最終行のところを読むと、教育課程内外の関連を図り学校の教育活動全体の中で達成されることが重要だと。つまり教育課程のうちと外というのは、ここの文では、学校の教育活動の中で言われているうちと外。ですけれども、一番下から黒ポチの2行は、先ほども出ていましたが、学校教育とか社会教育、学校のうちと外。この辺が読み取りがごっちゃに、どうしてもなってしまうんですね。ですけれども、その辺りはきちっと出していかないと、ある学校では学校教育全体の中でやればいい、またある学校は、いや、違う、社会教育等、学校教育の外とやるんだというダイナミックな学校経営を考えるのか、ここで大きな違いが出ると思いますので、この辺の文言の整理をお願いできたらうれしいです。
  以上です。
【市川主査】    これはいかがでしょうか。
【合田教育課程課長】    一番最後の御指摘は全くおっしゃるとおりでございまして、今回は「社会に開かれた教育課程」ということを考えますと、教育課程の内外という視点と同時に、学校外のリソースとの連携が大事になってくると思っております。部活動ということでもございますので、学校教育の中での教育課程の内外という表現になっておりますけれども、そこは今、御指摘がございましたように、学校外のリソースとの連携というダイナミズムを、是非表現させていただきたいと思っております。
【市川主査】    ありがとうございます。部活動については、確かに学校の中での教育課程内外という話と、部活動そのものが学校教育活動の一つではあるんだけれども、学校の外とも連携を図っていくという、この二つの内外があるのが非常に難しいところでもあるわけですね。どちらも大事ということが今度うたわれるんだと思いますので、その辺りを分かりやすく書いていただけると有り難いと思います。
  それでは、貞広委員、小室委員、続けてどうぞ。
【貞広委員】    ありがとうございます。私も印象的な意見になってしまって。よろしいですか。
【市川主査】    済みません、今、注が入りました。挙げた順番は榎本委員、貞広委員、小室委員ですということですので、榎本委員からお先にどうぞ。
【榎本委員】    申し訳ございません。同じような話で大変恐縮ですが、部活動と教員の業務の観点からお話をさせていただきたいんですが、先ほど合田課長からもお話がございましたように、1997年に部活動について、中学校は週2回程度、それから高校は週1回程度休みを入れましょうという、そういうことが当時の文部省から話があったわけですけれども、実態を見てみるとほとんど変わっていない。
  それから、昔から社会教育と連携しながらやっていこうと言われていたわけですけれども、その部分については、若干手当が付いて一般の方が指導に当たっているというケースはありますけれども、自治体の財政の状況によってかなり違いもあるという状況があります。ですから、ここ20年、もっと長い間、きっと同じ議論が、部活動についてはなされてきているんだと思うんですね。ですからそういう中で、ここでは本当に部活動の在り方というものを根本的に見直していくということを、是非考えていっていただきたいなと思うんですね。
  ただ、併せて現実問題として、中学校も、今、正に全国大会に向けた予選の真っ最中でございまして、そういうものを考えていったときに、本当に部活動を縮小していくというか、そういう方向性というのが現実的なのかなということは思います。
  ですから、例えば野球とかサッカーなんかは、結構、学校の部活ではなくてクラブチームでやっていて、そういうところからトップアスリートのような者になっていく子供もいるわけで、ですから部活動ではなくて、ほかのもう一つ路線を作っていくような方向も、今後考えていく必要があるんじゃないかなと思います。
  以上です。ありがとうございました。
【市川主査】    ありがとうございます。
  貞広委員、どうぞ。
【貞広委員】    ありがとうございます。ボリュームという点で多少印象的な意見になってしまうかもしれないんですけれども、33ページのマル3番の学校段階間の接続という点の書きぶりが、尾上委員も先ほどおっしゃったように、大変コンパクトで、内容的にイメージがつかないなというところがあります。先ほど尾上委員は、保護者の側からどのように取り組んだらいいのかイメージつかないとおっしゃったんですけれども、私は9年間の義務教育という縦の時間軸を意識したイメージが湧かないように読めます。
  この前にカリキュラム・マネジメントについての言及があるんですが、1時点間とか1学年間の横の連携のカリキュラム・マネジメントは書かれているんですが、小学校からの学びを意識して、また高校につなげていくという縦の時間軸を意識したカリキュラム・マネジメントの観点も大変重要であって、この辺りは学校段階間の接続というところに少し入れ込んでいただいて、先生方に9年の義務教育ということを十分に意識していただけるようにしていただけたらと思います。
  確かに34ページの部分に高等学校段階との接続の点は言及があるんですが、入学試験の問題についての言及のみで、教育課程自体というところにもう少し踏み込みが必要なのではないかと思います。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  小室委員、どうぞ。
【小室委員】    ありがとうございます。31ページの全体というか、中学校というところの特に下から二つ目のマルのところ、「思春期に入り、親や友達と異なる自分独自の内面の世界があることに気付き始めるとともに」というこの辺りですけれども、この時期の特徴であるという形でこの辺が締められているんですけれども、この辺の書き方、もう少し何か変えられないかなと思っています。
  こうした難しい時期であるということで終わっているように見えるんですけれども、後ろの部活動の部分とも少し関わるかなと思うんですが、親への反抗期とかという文章がありますけれども、こうした自立してくる時期に、学校の中で閉じた世界に置くのではなくて、この時期、外の世界にどんどんと出ていく人材にしていくというのが、この辺からすごく重要なのではないかなと思っていまして、昔の部活動の考え方でよく聞くのが、この時期は難しい時期なので部活に入れておかないとじゃないですけれども、変なところに行かないように部活に入れておくんだみたいな考え方が、昔はよくありました。今は必ずしも部活にそういう考え方はないと聞いていますけれども、どこかこういう難しい時期は何かに向かわせておいてエネルギーを消費するみたいな考え方があったかもしれないんですけれども、むしろもっと外の世界に出ていく、もちろん少し問題も起きるかもしれないんですけれども、そういったことを促していく考え方を学校側も持っていかないと、将来、今の社会が必要とする人材に育っていかないのかなというところがあって、この文章においてはどっちとも書いていないんですけれども、少しそういった考え方、この中学生という時期においてそうしたことが重要だということが何か分かるような文章を、この辺に入れられないかなと感じました。
  それから、32ページですけれども、「部活動については、将来にわたる持続的な視野から在り方を検討し」というアンダーラインが引いてあるところですけれども、第3回のときに議論した持続的な視野から考えると、今、学校の規模も一つ一つ縮小しつつあるので、部活動の存在というものを継続していくことが非常に難しくなってくる、地域と連携せざるを得なくなってくるという考え方がありました。このタイトルのアンダーライン引いてあるところには、そういったことを表して書いているのかなと思うんですが、実際の文章の方を読んでいくと、それがよく分からないというか、余りしっかり書き込まれていなくて、第3回の議論を聞いていなかったら、多分、意味分からないかなと思っています。
  32ページの一番下の行のところに、「少子化が進む中で、部活動の実施に必要な集団の規模や指導体制を持続的に整えていくためには」という、多分ここがそれを表しているんだと思うんですが、分かりづらいまま、これがいろいろな立場の方に下りていったときに、何を意味しているのかが伝わらないのではないかなというところで、ここをもう少し、このままの状態で維持していくのは非常に難しいんだということが、一旦きちんとここで書き込まれた方がいいのではないかと思います。
  その上で、ただ、スポーツをする機会ということは非常に重要なので、それがきちんと持続していくためにという形で、難しさを一度きちんと明記した上で、それを持続していくためにどうするかというとという形で、ここからの書いてあるような、地域で支えるという形に移行していくと書いた方が本当はいいのではないかと思うんですが、今と少し形を変えていく必要がありますよねというのがせっかくだんだんと合意されてきているところですので、分かりづらくしたのかもしれないんですけれども、分かりやすくした方がいいんじゃないかなと思っています。
  先ほどどなたかの委員がおっしゃられましたけれども、技術の面でも限界があるということも書いた方がいいかなと思います。高い技術の指導者を獲得して、きちんと高い指導ができるということにおいて、限界が来る。ただ上が限界が来るのではなくて、そこは、いい指導者に大切な中学生という時期に指導してもらうということが限界になってしまうので、そうした新しい体制に移行していくことが重要ではないかという、技術の面というところにももう少し踏まえて書いていただけるといいかなと思いました。
  また、ここに書くほどではないのかもしれないんですけれども、先ほどもおっしゃられていた、全国で大会などが行われると、学校の部活に所属していないと、学校対抗というものの大会には出られないという形になるので、地域で非常に上手な子なんかがいても、学校対抗の大会には入ってこないという、そういう現状があるかなと思うんですが、そういったものが横断された仕組みみたいなものを結局整えないと、学校の方の部活にも出ておかないとじゃないんですけれども、忙しい子は学校とそうしたスポーツクラブを掛け持ちする形になっていますけれども、それも限界があるのかなと思うので、そういったものを見直す。これは全国的に何かきちっとしたスポーツの団体がそれを運営するのか何か分からないんですが、そうしたものも一方で作っていかないと、活躍する機会がなくなってしまうので、現実はそういうものと絡んで起きている問題なんだと思います。そういったことを根本的に変えていくということも示唆していく文章が入った方が現実的なのではないかなと思いました。
  以上です。
【市川主査】    部活動の問題については、前回、何が問題なのかというかなり具体的な話と、それから、どうすればいいかという具体的な案が結構出たんですよね。ただ、それをどこまでここに今回書き込むかというのは非常に難しいところで、議事録には留めていただいて、どこかでタスクフォースなどで参考にしていただいて、だんだんそれが現実的なものになっていけばいいのではないかと思います。
  今の小室委員がおっしゃったこと、それから先ほど榎本委員もおっしゃったことですけれども、何が問題かといいますと、一つには昔からある問題として先生方の過重負担ということと、それから子供にとって、いろいろ選択肢が、今、狭まりつつある。特に過疎地域とかは、部活そのものが成り立たなくなってきて、種類が減ってしまうと。
  それから部活の中でも、非常にハードなことをむしろやりたいと思っている子供もいれば、そんなにハードにはやりたくないと。むしろ生活の中で楽しみたいと思っている子、いろいろいると。つまり種類と、それからレベルですね。これ、子供たちのニーズもいろいろであるにもかかわらず、うちの部活はハードなのしかないとか、種目としてはこれしかないということで、これから少子化が進むと、どんどんそういうことが進行していくと。
  このときにどうするかという議論が、昔ですと、社会教育に移行するとか、あるいは学校に留めるべきだという綱引きのような議論になっていたので、それだと決着はつかないんですね。むしろ連携して一緒に運営していくという形の方が、学校としても抵抗がないし、もちろん学校の先生にも協力していただく、しかし地域の方もボランティアの方などを中心にして一緒に参加していって、一緒に子供を育てていく。より大きな単位で、そこにはいろいろな種目、いろいろなレベルのものがあると。試合になりましたら、例えば県内での大会は市町村の選抜チームとか、全国レベルであれば都道府県内での選抜チームとして出ていくということであれば、個人あるいはクラブでやっている子も選ばれて、そこではかなりレベルの高いハードな練習をして大会に出ていくという可能性もあるのだろうと。
  そういう相当具体的な話は出ているのですが、一気に具体化はできないので、とりあえずは学校の教育活動の一環としながら地域との連携を図っていくとか、試合の出方については少し柔軟にしていただくとか、そういう段階を踏んで長期的な進め方をしていただければと思うのですが、今回とにかく教育課程の話が中心ですので、部活の問題にどこまで踏み込めるかは難しいところだと思います。
  ただ、少しずつ手をつけていかないと、本当に20年たっても30年たっても変わらない。しかもその間に事態はどんどん進行して、教育課程そのものにもいろいろな影響を与えてくるんですね。どうも学校の先生が忙しいとか、子供たちの状態もだんだん悪化していくと、教育課程そのものの実施が難しくなってくることにもなりかねないので、これは少しずつでも進めていただいて、タスクフォースの方で更に検討していただければと思います。
  済みません、それでは山中委員、どうぞ。
【山中委員】    何人かの方も御指摘されたところですけれども、学校段階間の接続というところですが、これ、全ての校種にあるんですね。小も中も高にも書かれているんですけれども、高校の方を見てみると、高校の方からの中学校の接続ということは結構書かれているんですね。小学校の方を見ると、小学校の中のことという形で、中学校は小のことも高のことも書いてあるんですけれども、中学校の課題として不登校の子が増えていたりとか、それから、小学校から中学校ってかなり学校の文化と言われるものが違うので、小学生が中学生になったときにかなりギャップを感じるとか、先ほど教育課程のお話もありましたけれども、教科書的には義務教育9年間ですからつながりはあるんですけれども、かなり学校が違う、小学校から中学校に上がったときにいろいろ変わっていくので、課題はもう出ていると思うんですね。
  なのでもう少し、ここの学校の接続ということについては、今の課題とか、幾つかこのようなことがということはあるんですけれども、もう少し書き込んでいただけるといいかなと思います。結局、小中一貫とか中高一貫校とかというのも出ているわけですけれども、接続が大事だからそういう発想が出ているわけであって、そこのところが書き込まれるといいかなと思います。
  以上です。
【市川主査】    おっしゃるとおりかなと思います。学校段階間の接続というのが、中学校は小学校との接続も考えなくてはいけないし、高校との接続も考えなくてはいけないんですけれども、義務教育ということと、それから地域性ということから言えば、小学校との連携というのはもっと密にできるはずなのですが、実際には非常に難しい。余りできていない。
  私も、きのう、おとといと、小・中で授業研究会をやっているところに行ったのですが、非常に大きなギャップがあって、特に小学校の先生から見ると、中学校の授業を見て、余りにも小学校でやっていた、私たちが育てたはずの子供たちが、様子が変わってしまっている。それも授業構造がそうなっているので、あれだけ元気だった子供たちが、ほとんど発言はしないし、先生のペースで授業が進んでしまうのを見ると、小学校の先生はかなりがっかりしたとおっしゃいます。逆に中学校の先生が小学校の授業を見に行くと、何かすごく緩いことをやっているなと。先生がきっちり指導していないと。だから学力が付かないのではないかという意見がしばしば出てきますね。
  これをそのままぶつけ合うと、余りにも違い過ぎて、結局反発するだけになってしまって、どうも小中一貫のカリキュラム・マネジメントなどといっても、とても話が合わない。今、私も貞広委員と一緒に出ていますが、小中一貫、小中連携の部会で、いろいろな報告がありますけれども、学習を巡っての小中一貫というのがうまくいっているという話はほとんどないんですね。今のようにカルチャーが違い過ぎる、意見が違い過ぎるので、かえって一緒に授業研究会とか指導案検討とかをやろうとすると、どうも雰囲気が悪くなってしまって、それならばということで、道徳教育とか生活指導とか生徒指導、このような連携というのであれば、何とか話が合わなくもないという形になってしまうのですが、実際には教科の横断と、それから学校間の連携というのを、中学校では是非進めてほしいところだと思います。
  はい。
【合田教育課程課長】    学校間連携の接続につきましては記述が手薄ではないかという御指摘、誠におっしゃるとおりでございまして、ここの点については、私どもも、今日の御議論を踏まえて整理をさせていただきたいと思っております。
  重要なポイントとしては、一つは、先ほど中学校の各教科のものの見方・考え方や、それから三つの資質・能力に基づく構造化を御覧いただきましたけれども、当然のことではございますが、あれは同じことを小学校でもやっておりまして、そこにおいて初めて、資質・能力において小・中9年間でどういう力を育むのかという枠組みが、各教科ごとに整理を今頂いているところでございますので、これをとにかく大事にしていきたいというのが一つ目でございます。
  それから二つ目でございますが、これは私どもの財務課の方で、教員の配置という観点でまた別途タスクフォースがございますけれども、その中でも、今ございましたように、例えば小学校の高学年というものについて、今、かなり教科担任制が導入されてございますけれども、そこを結節点にしながらどのようにつないでいくのかという御議論が、教職員配置という観点からもございますので、そのこともしっかりと教育課程の問題として受け止めて、整理をさせていただきたいと思っております。
  それから、次でございますけれども、先ほど主査からもお話がございました。他方で、今日御出席の主査代理の田中教育長の市川市もそうでございますし、それから青木先生のところの品川区もそうでございますが、様々な小学校や中学校の先生方の連携とか交流とかというものも進んできているところでございますので、そういったものもしっかり踏まえて、もう一度、文章の上でも整理をさせていただきたいと思っております。
  なお、別件でございますが、先ほど榎本委員、それから小室委員からもお話がございました部活動の件でございますけれども、例えば小室委員から御指摘がございました指導者の限界と申しますか、技術の質というものは、これは先ほど申し上げましたように、部活動における「深い学び」の実現という観点からも大変重要なポイントだと思っておりますので、その点も含めて、もう一度整理をさせていただきたいと思っております。
  以上でございます。
【市川主査】    ありがとうございます。いい事例を、できれば小中一貫、小中連携についても是非共有していただいて、議論を深めたいと思います。中学校がとにかく大変なのは、教科間の連携、これも進めていかなくてはいけない、教科横断的に資質・能力を育てていくという、この教科間の連携も非常に難しいわけですね。しかも今度は縦の連携として、小学校との連携という話も出てくるし、高校との連携という話も出てきて、それから、あと部活との兼ね合いとかですね。そういう話が、実は中学校はいっぱい出てきていると。
  これは何も今回のトピックでということではなくて、ずっと抱えている問題として出てきているので、実は中学校は大変なところだと思うのですが、これからも御検討をよろしくお願いしたいと思います。
  今、中学校に関するところを御議論いただきましたけれども。
  青木先生、どうぞ。
【青木委員】    済みません、カリキュラム・マネジメントについて、小学校の方は、かなり内容的に深くいろいろ細かく書かれているんですが、中学校の方は、それに比較すると非常に何か薄いような、これが私どもの現場での実態でもあるという認識はしているんですけれども、もう少し小学校レベルの内容の深さが、本来なら出てこなきゃいけなかったんじゃないかと思っております。
  それから、今の学校間の接続について、高等学校の接続においては入試選抜等の質的改善を図ることが求められると、ここまで踏み込んで書かれているならば、例えば義務教育という視点で見るならば、そういう制度を作る上で一番問題は免許制度があるわけで、そういう根本的な解決がなされないと、なかなか義務教育という9年間を見通した学校運営ができないというのが現場としての実態でございまして、外れるかもしれませんけれども、そういった根本的なところを解決しないと、ここで書かれている内容が、言葉遊びと言ったら失礼ですけれども、空回りになってしまう可能性があると思うんです。
【市川主査】    免許制度のような根本的な問題というのは、具体的にはどのようなことでしょうか。
【青木委員】    今、現実に大学で免許を取る場合に、小学校と中・高と分かれております。実態として、義務教育学校に配置される教員が、全てが小・中の免許を両免持っているかというと、圧倒的に少ないわけで、実際に義務教育学校としての効率的な運営をしようとしたときに、それができないということがございます。そういった意味では、両免が取れる制度改革、これが一番求められるのではないかと思っているんですけれども。
【市川主査】    学校の先生の免許を取るときに、中・高で持っているという人は結構いるかもしれませんが、小・中で持っているとなるとぐっと少なくなると。これはほかの委員会でもどこかで話題にはなったと思うのですが、例えば教科担任制で入るというとき、小学校免許がなくても、中学校のその教科に関しては小学校でも教えることができるとか、そういう少し柔軟な扱いをしてお互いに教えられるような、そのようにならないだろうかということも話題にはなったと思うんですが、私、どこの委員会だったかよく覚えていないんですけれども、何か事務局の方からございますか。
【合田教育課程課長】    教員養成部会の方でも御議論いただきましたし、義務教育学校制度を作るときには、免許制度、義務教育教員免許とまでは言いませんけれども、ある程度柔軟性を向上させていく必要があるという御議論もあったところでございまして、と同時に、様々な現在の免許制度の特例なども活用して行っていただいている実態もございますので、その辺も踏まえて、また整理をさせていただきたいと思います。
【市川主査】    よろしくお願いいたします。
  それでは、中学校に関することというのは以上で、全体にということで話を移していいでしょうか。また中学校の部分についても御意見あれば、そのときに触れてください。
  それでは、今度は全体についてですが、意見交換をしていきたいと思います。同じように御意見のある方は名札を立てていただきましたら、私の方から御指名させていただきます。それでは、全体を通しての意見、いかがでしょうか。
  小室委員。
【小室委員】    済みません、きょう早く出なきゃいけないので、早めに発言をさせてください。19ページのところになります。
  一番最初、まず19ページの一番下の業務効率化というところ、ここは非常に重要な点で、本当に今、現場の教師の皆さん疲弊していらっしゃるので、このように入れていただいてすばらしいなと思っています。
  ここに、業務を効率化していくという観点、業務を今より短い時間でできるようにして教員の多忙化を解消するという観点とともに、学校という施設を開けている時間、施設のセキュリティー上ということも踏まえて、開けている時間自体を何時と区切って、延々と対応するということを防いでいく仕組みも一緒に入れていかないと、これは企業をコンサルするときもどうしてもそうですが、決めなければ仕事はどこまでも膨張してしまうというところがあります。そうした、ある何時とかということを決めて、それ以降の時間は学校にいないという仕組みに変えていくような、そういったことも入れていく必要があるかなと思います。これはさっき申し上げたセキュリティーという観点からも有効だと思いますので、そういった観点も書き込み、また検討いただけたらと思います。
  それから同じ19ページの、上から二つ目のマルのところで、必要な教職員定数の拡充を図るというところがありますけれども、この教職員定数の拡充も、指導の充実という観点で重要ですが、今、具体的に静岡の学校のコンサルティングに入らせていただくと、事務の仕事の拡充、そちらの定数の拡充の方がすごく求められているというところがあって、ただ、事務の方はフルで何人も必要かというと、パートタイムでもいいし、いろいろな立場の方が入っていた方がいいということがあるので、ここがもう少しそういったことも分かる書き方、教職員以外にも、どちらかというと事務仕事というところの軽減ということが求められているというのが分かるといいかなと思っています。
  それからもう一つが、上から四つ目のマルのところで、条件整備の一つとしてICTの整備環境を進めるというところで、これは本当に必要だと思います。これも今、現場に入ってコンサルティングをしていると、ICTに詳しくない教員の皆さんで解決策を考えると、解決策もアナログになっちゃうというところがあって、磁石で張りましょうみたいな話になって、それはエクセルで一発なんだけどなというところがなかなか進まないというところがあります。こういったことを変えていこうとすると、使いやすいICTの設備をどんなに入れるということをやっても、それだけでは駄目で、教員一人一人がもう少しICTに詳しくなるということも、もう逃げられないのかなと思っています。
  18ページの方に研修体制ということもありますけれども、こちらの研修のところに書いた方がいいのか、こっちのICT整備のところに書いた方がいいのか、よく分からないんですが、ICTスキルを高めるための研修ということも、特に今の時期は少し集中的にやって、ここからすごくICTの使い方がぐわーっと変わるということは余りないかと思うんですけれども、いまだに学校現場は一太郎が使われていたりするんですね。最低限オフィスにみんななっていなければ、そこから先はそれほど違いはなくても、そこが大きなハードルとなって、昔のファイルを継ぎ足し継ぎ足しして使っている現場も見受けられるので、その辺が今、一気にぐっと押し上げなきゃいけないタイミングなのかなというところで、この辺をもう少し研修まで踏み込んで、皆さんが自分たちでITで課題解決をするという発想が自ら出てくる状態のところまで持っていくことが必要かなと思っています。
  以上です。
【市川主査】    石鍋委員、どうぞ。
【石鍋委員】    22ページ以降になりますが、小・中・高それぞれにおける諸課題への対応の(1)の小学校の中に、外国語教育の充実がずっと、22の下段から23ページ、24ページと続くんですね。よくよく読んでみますと、22ページの(ア)から23ページに掛けて、24ページの(イ)の上までは、これは小学校のことだけではなくて、小・中・高を通じた書き方になっています。
  御承知のように外国語教育は、今度、小学校の三、四年に外国語活動が入って、五、六年から教科化していくということで、大きく変わってまいりますので、小学校の部分だけ書くよりも、この構成をうまく変えていただいて、小でも中でも高でも読み取れるようにしていかないと、これ、中高の先生たちが余り意識をしなくなってしまう、そんな思いを持っていますので、その辺、検討ができたらお願いしたいと思います。内容というよりも、構成です。
【市川主査】    どうぞ。
【合田教育課程課長】    今の御指摘は全くおっしゃるとおりでございまして、今、私ども、これを整理する途上で、今、御指摘に正にありましたように、小学校段階の英語教育をどう充実するかということは、小・中・高を見通した英語教育の在り方と不即不離の関係にございますので、小学校部会で中心的に御議論いただく際に、小・中・高を見通した英語教育の在り方、それから同時に国語教育、あるいは言語に関する教育の在り方というのを御議論いただいたものですから、ここに入っているところでございますが、最終的な取りまとめをさせていただく際には、これは言語に関する資質・能力の育成ですとか、国語教育ですとか、英語教育という形で、小・中・高を通じた位置付けのところに移させていただきたいと思っております。
  そういう意味では、今回、これまでの議論の仕方の経緯からこうなっておりますので、読みづらくなっていることをおわびを申し上げたいと思っております。
  以上でございます。
【市川主査】    ありがとうございます。するとこの部分は、何も小だけの話ではなくて、少し取り出して、全体に関わることとして入れていくことになるだろうということですね。
【合田教育課程課長】    おっしゃるとおりでございます。
【市川主査】    そのことは、外国語教育のワーキンググループで御議論いただいていることと、かなり整合的になりそうですか。
【合田教育課程課長】    整合的というよりも、小学校部会におきまして、英語のワーキンググループ、国語のワーキンググループ、それから言語能力に関する特別チームとの議論をより合わせるような形で作らせていただいておりますので、むしろ全体として議論がこういう形で着地していると御理解いただければ結構でございます。
【市川主査】    ありがとうございます。
  内田委員、どうぞ。
【内田委員】    今、2点お願いします。1点は、5ページの3番目のところの「伝統や文化に立脚した広い視野を持ち」の次の文章の、「感性を豊かに働かせながら」の部分ですけれども、この「感性を豊かに働かせながら」というのがどういう意味なのかなという思いがあります。この文言が使われているのが、1ページのところにも、下から二つ目のマルのところの3行目、「感性を豊かに働かせながら」と。最初のときは違和感感じなかったんですけれども、何で2回目のところで違和感感じたかと。
  その辺りが、結局、学びに向かう力や人間性を今涵養する段階で、感性を今育てているような子供たちに対して、今まさに育てているんですよねと。ある程度感性が育った時点でそれを考えていくんだと、この場合はまだ途中であれば、この「豊かに」という部分をどうしたらいいのかなと。
  論点整理のときに見ていましたら、今、39ページを見ているんですけれども、音楽のところは、この部分は「感性を働かせ」という表現です。それから美術のところは、「感性や想像力等を豊かに働かせて」となっています。書道のところも何かそういった絡みで書いてあったかと思うんですが、「感性を働かせ」と、音楽と同じ文章ですね。
  きょうの資料の1を見ていましたら、そのところが、美術が「感性や想像力を働かせて」と、「豊かに」というのが取ってあります。削られているんです。だからこの辺りで、何かこの「豊かに」という文言について話合いがなされて、そこでも何かあって削られたのかということであれば、どうもこの5ページのところの「感性を豊かに働かせ」という表現が果たしてどうなのかということで、今、意見を述べさせてもらいました。
  もう1点は、きょうの資料1の学習指導要領改訂の方向性の中で、各教科の目標等が書かれているのですけれども、この中で、保健体育科の中に、生涯を通じての心身の健康、生涯を通じてのスポーツという捉え方が書かれているんですけれども、結局ほかの教科も、生涯を通じて、今、ここでこういう勉強をという形になっているのかなと。
  だから、この部分のほかの教科とのバランスとか考えたときに、保健体育だけをこういう形で「生涯を通じ」という言葉を使うことがどうなのかということを、もし御意見いただければと思います。
  以上、2点です。
【市川主査】    これは事務局からございますか。
【合田教育課程課長】    まず「感性を豊かに働かせながら」というところでございますけれども、これはむしろ中学校部会におきまして、冒頭のアクティブ・ラーニング・セッションの中で、AI時代と簡単には申し上げたくはないんですけれども、一定の目的を処理するという作業が、これからAIによって代替される時代において、人間としての強みというのは一体何なのかということで、そこは、AIの場合は目的が与えられるけれども、人間の場合、正にその目的の良さですとか美しさですとか、複雑な文脈の中で目的自体を組み合わせていくということが人間の強みだとすれば、これは今まで学校教育でも育まれてきたことだし、より一層育んでいく必要があるんじゃないかという御議論を頂いたところでございます。
  その際に、これは今、芸術系の科目について「感性」と御指摘いただきましたけれども、と同時に、例えば国語も、論理的な思考に支えられた創造的な思考の基盤であるとともに、感性・情緒の基盤とコミュニケーションの基盤であるということでございまして、ここが正に人の人たるゆえん、かつ強みであるところの、そういった感性を働かせて思考するとか評価をするといったことについて、大変重要な要素ではないかということで、御議論を頂いたのかなと思っております。
  その上で、5ページの(3)の学びに向かう力・人間性につきましては、こういったことを背景にしながら、感性を豊かに働かせながらと。これも今、先生から御指摘いただきましたように、感性自体が育まれるそれぞれの途上の子供たちという視点もございますけれども、むしろ教科等の御議論の中でも、意図的に子供たちにおいて、感性というものをしっかり踏まえて働かせるという意思の働きをどう表現するかといったときに、この「感性を豊かに働かせながら」という表現が適切ではないかという御議論があったので入れさせていただいておりますけれども、今日の御指摘も踏まえて、更に整理をさせていただきたいと思っております。
  それから、各教科のものの見方・考え方や、それから三つの資質・能力の整理でございますが、これはこれまでのワーキンググループでの議論を踏まえまして、事務的に整理中のものでございますので、またこれは調整をさせていただきたいと思いますが、山口委員がいらっしゃいますので、私がお答えしてもあれですけれども、特に体育におきましては、今、この瞬間にできるというだけではなくて、そのことを生涯にわたって親しみ継続をしていくということが大変重要なポイントだと。教科の特性においても重要なポイントだと。
  同じことが、恐らく家庭科の家庭分野などでも、そういう生活をするということについて、そういった技能とか知識というものを生涯にわたって生かしていくということが大事ではないかという、そういった教科固有の御議論というものを踏まえて整理をさせていただいておりますが、全体として、この教科間のバランスですとか、先ほどございましたように学校間のバランスということについては、更に整理をさせていただきたいと思っております。
  以上でございます。
【市川主査】    ありがとうございます。
  では帯野委員、どうぞ。
【帯野委員】    今の説明の部分で、質問も含んで書きぶりについてなのですが、5ページの1番目、必要な能力のところで、1は生活や学習に必要な技能ということで分かります。2番目も思考力・判断力・表現力を育成するということで分かるのですが、3番目の「伝統や文化に立脚した広い視野を持ち、感性を豊かに働かせながら、より良い社会や人生の在り方について考え、学んだことを主体的に生かしながら、多様な人々と協働して新たな価値を創造していこうとする学びに向かう力や人間性を涵養する」とあるのがよく分からなくて、まず具体に、どんな力を育成しようとしているのかについて教えていただきたいのですが。
【市川主査】    お願いします。
【合田教育課程課長】    この3ポツでございますけれども、これは一つは、先ほど御紹介がございました資料の1の、例えば中学校で申しますと11ページ以降でございますけれども、この各教科の一番右側の、学びに向かう力・人間性というのがそれぞれございます。
  例えば理科でございますと、自然を敬い、自然の事物・事象に進んで関わり、科学的に探究する態度、根拠に基づき判断し表現する態度というものでございまして、今回、この学びに向かう力・人間性というのは、昨年8月の論点整理におきましても、その後の各教科のワーキンググループの御議論におきましても、知識・技能、それから思考・判断・表現の、言わば目標でもあり土壌でもあると。
  つまり何のために知識を持つのか、それを何のために思考して表現するのかといったところが大変重要であるという御議論を頂きまして、各教科におきましても、先ほど見ていただきましたように、理科なら理科の、それから算数であれば、数学を活用して粘り強く考えるとか、生活や学習に生かしたり、そういう態度を養うというものを、それぞれ整理をしていったところでございます。
  それを束ねたときにどういう表現するかということでございまして、3は、今御指摘いただきましたように、かなり様々な要素を入れ込んでございます。様々な要素というものが、各教科を通じて共通するものでございますとか、それから先ほど御指摘がございましたように、例えば「感性を豊かに働かせながら」というのは、これは本当にAI時代と言われる中で、人でなければできないことということを考えたときに必要であるとか、もちろんこれは多くの人と協働するとか、それから、自分なりに新しい価値を生み出していくということが大事であるとかといったようなことを共通項のようなもので整理をしていくと、こうなっていくのかなということでございまして、各教科の学びに向かう力・人間性というものの整理をしていきますと、知識や思考・判断・表現というのを、何のためにどういう方向性で使っていくのか、育んでいくのかという、言わば方向性というものが、今回の大きな目標でもあり土台でもあると。そのことを共通事項として整理をしていくと、こういう表現が出てくるのかなということで整理をさせていただいたものでございます。表現ぶりですとか要素につきまして、是非忌憚なく御指摘いただければ有り難いと思っております。
【帯野委員】    ありがとうございました。非常に重要なことがたくさん盛り込まれているということが理解できました。ですが、この3行にかかわらず、今回の改訂は、できるだけ分かりやすく、誰が読んでも理解できる表現を心掛けていただけたらと思います。特に私は、翻訳の仕事していますので、いつも英語で書けばどうなるのかなということを念頭に置いているのですが、今回は言語能力の育成というのが大きなテーマになっておりますので、できるだけシンプルに分かりやすく、全ての国民が努力すれば理解できるというところを目指していただけたらと思います。
  それでもう一つ、言語に関してなのですが、先ほど22ページですか、小・中・高、外国語教育の充実というところで、これは中学も含んでトータルにということでありましたので、以前に申し上げたことですが、もう一度確認をしておきたいと思います。どの文章ということではありませんが、例えば23ページの4番目のポツの5行目に、「例えば、国際共通語としての英語」とあります。これは大切なことなので、私の理解に間違いがなければ、国際共通語としての英語とは、ネイティブの限られた英語ではなくて、今、世界で共通語となっている英語、すなわちシンプルな英語で、語彙や文型を運用してコミュニケーションをする英語と理解していますので、そのことをもう一度確認したいということです。また、もしそうであれば、何か所かにあります「背景となる文化」について、それが英・米の文化ということにならないように気を付けなければならない。かつて英語はイギリスやアメリカの言葉であったのが、今やネイティブは英語人口の7%しかいません。4人に1人が英語を使うという時代、英語が英語・米語ではないというところで、その背景になる文化についても特にアメリカは、過去に指導要領が作られた頃に比べて、もっともっと多様になっていますので、アメリカの文化を英語を母語とする国の文化と捉えると非常に難しくなると思います。そこを整理いただきたいと思います。それから日本語教育との関連について、具体には書かれていないのですが、一つだけ私の考えをここで述べさせていただきたいと思います。言語能力の向上に対する特別チームの資料を読ませていただきますと、日本語は主語が不明確である、そういうところで、英語や他の外国語との違いという風に書いてございましたが、私、専門ではないのですが、今後求められることは、主語を明確にした正しい日本語を使わなければならないことであると思います。それから察しの文化についても、相手が察するという前提で日本語を話すのではなくて、正しい日本語を分かりやすく使うことが必要だと思うのですね。
  と申しますのは、日本語学習者は、今、世界で400万人、ラジオ等々入れると500万人とも言われていますが、8割がアジアで、この人たちは教養のための日本語を学んでいるわけではなくて、実際日本企業で働きたいという目標の下に日本語を学習している人たちです。日本語学習者は今後10年でさらに増えると思いますし、ノンネイティブの日本語学習者が日本に入った場合、企業の中でも日本人はネイティブの日本語スピーカーとして、分かりやすい日本語を話すことが重要なことになると思いますので、次期指導要領の中で、今後の日本語の教育について整理していただきたいと思います。それから、最近考えているのが、ノンネイティブの人が日本に増える、そのために分かりやすい日本語を使うということは、つまり今、世代間でも日本語がなかなか通じにくくなっていますよね。例えば読み取り最速メモリとかデバイスとか、漢語と片仮名と大和言葉が複合された言葉がどんどん増えていって、こういうところでデジタルデバイドが発生して、日本人でも世代間で日本語が通じにくくなってきている。あと、発達障害の人が随分増えています。100人規模の企業で二、三人とも言われていますが、この人たちが働けるような環境にするためにも、主語が不明確ではなく、主語も含めて分かりやすい日本語を話すということが重要になってきます。日本語教育というのをもう一度整理して考えていかなければならないということで、専門チームの方でも、まだ時間があるのであれば考えていただきたい。
  それから、この際、国語の中の日本語という位置付けも、もう一度整理する必要があるのかなと考えております。以上、私の意見でございますが、よろしくお願いします。
【市川主査】    ありがとうございました。非常に大切な問題だと思うのですが、特に最初に御指摘あった点は5ページですけれども、これは注文という形になるかもしれませんけれども、確かに読み直してみると、このローマ数字3、いろいろな要素が盛り込まれ過ぎていて、どうつながっているのか、順接でつながっているのか逆接でつながっているのかとか、どういう関係にあるのかということが、確かに分かりにくいかなという気がいたします。
  もう少し絞るか分けるかしないと、これが3行の中でこれだけいろいろな要素が入っていると、分かりにくいかなという印象は受けました。その下の6行の説明も、分かりにくいと。この辺りは御検討いただけるといいと思います。
  それでは、山中委員、青木委員、どうぞ。
【山中委員】    済みません、私の方は、15ページ、16ページのところで、特別支援教育に関係するところですけれども、現行の学習指導要領の方にもいろいろ書いては頂いているんですけれども、ここの方にいろいろ書いていただいた、何点かあるんですが、特別支援教育のまずマル一つのところで、小・中学校と特別支援学校との間での柔軟な転学とか、中学校から特別支援学校高等部への進学などということで書いていただいて、これは変わったところを書いていただいて、柔軟な転学というところがあるんですけれども、小・中学校から特別支援学校、ここ、「と」とはもちろん書いてあるんですけれども、特別支援学校との間というか、双方向の転学や、特別支援学校から小・中学校もあるんだということが、これで読み取れればいいとは思うんですけれども、すごくそこが、今回、重要な改訂の一つなんだと思っています。それがうまく出てくればいいなということが一つ目です。
  それから二つ目、通級による指導が、今、小学校・中学校もすごく増えていまして、それから高校も制度化されるということで、高校の部分が手厚く書いていただいていて、大変有り難いと思っているんですけれども、二つ目のマルで、通級による指導の目標及び内容について、障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導であることをより明確にするということで、これが通級指導の目標及び内容ですけれども、次の高校のところに少し書いてあるんですが、自立活動という、特別支援学校だとか障害のことをやる自立活動という領域というんですか、これは特別支援学校の方にしかないもので、ただし通級指導がやるのは自立活動に当たる部分なので、自立活動という言葉も、要するに通級による指導がやるものは自立活動というものなんだよというものが、注釈でもいいんですけれども書いていただけると、多くの先生方が自立活動というものがあるんだということが分かるかなと思いました。これが二つ目です。
  それから三つ目は、個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成、活用の16ページのところですけれども、一つ目のマルで、通級による指導を受ける子供とか、それから特別支援学級に在籍する子供については、個別の教育支援計画や個別の指導計画を全員作成するということで、ここはかなり強調されたところなんだと思うんですね。
  二つ目に、幼稚園、小学校、中学校、高等学校において作成される個別の教育支援計画や個別の指導計画と書いてありますので、これが現行の学習指導要領で書いてあるところだと思うんですけれども、これは、通級による指導を受けている子供とか特別支援学級に行っている子以外で、通常の小中学校で必要な子供ということだと思うんですけれども、そこのところが明記されていないと、誰を作るかというところがこれだけだと分からなくなってしまうので、現行の学習指導要領ではそうなっているからということではあるとは思うんですけれども、ここにだから、それ以外の子供で障害のある子供ということだと思うんですけれども、マル二つのところで、そこのところをもうちょっとはっきりさせていただければなと思います。
  それから四つ目ですけれども、交流及び共同学習も、もうずっと言われていることなので、交流及び共同学習のことも、これですごく書いていただいていいんですけれども、これも特別支援学校と小・中・高等学校とか、特別支援学級と通常の学級ですか、これも誰が誰とということがないので、そこのところもここに書いていただけると有り難いかなと思いました。
  以上、4点です。
【市川主査】    それでは青木委員の後、山口委員、榎本委員で、目安としては、ひとまずそれぐらいで時間になってしまうのかなと思うんですが、よろしくお願いします。
【青木委員】    私は10ページの何が身に付いたか(学習評価の充実)ですが、今回こういう形で、一貫性を持った形で評価をしていくということ、これは非常に重要であり、子供にとっては、義務教育段階から更にその上の成長過程における自分の学習評価はどうであったかというのを捉える上で、非常に重要な視点だと思っているんですが、学校の先生で言えば、小学校から来た評価について、余り重視しない。また高校の先生方も、中学校から来た評価については余り重視しない。それの改善として、この学習評価の連続性、これは非常に重要だと思います。
  それを解決するために、例えば義務教育9年間での指導要録とか、あるいは評価システムとか、そういったものがあれば、先生方の意識も変わるし、子供たちも9年間の義務教育の学びについての意識が深まると思うんですけれども、学習評価の充実というところで、そういった連続性のことについて触れられた方がいいのではないかと思うんですが。
【市川主査】    ありがとうございます。これは補足ございますか。
【合田教育課程課長】    指導要録だけではなくて、先ほどのキャリア・パスポートも含めて、評価の連続性と、それから学校種を越えた活用ということが大変重要なことだと思っておりますので、少し整理をさせていただきたいと思います。
【市川主査】    済みません、途中で。今、キャリア・パスポートという言葉が出たので、私もこれ、実はよく知らないんですけれども、御説明と、あと、どういう意味でパスポートなのかという、補足をいただけますか。
【合田教育課程課長】    これは中教審のこの教育課程部会の総合学習や生活科のワーキンググループですとか特別活動のワーキンググループで出たものでございまして、一部の自治体におきまして、様々な自らの進路を振り返ったり見つめ直したりする活動について、自らポートフォリオのように、今まで経験したことですとか、書いた文章ですとか、そういったものを蓄積していくようなノートですね。これ、実は自治体によってはキャリアノートとかと称していたりするんですけれども、そういったものが活用されていて、これが生徒自身にとっても、そういう取組を自分自身が振り返ったり可視化したりするということに活用されているし、指導する側にとっても、子供たちの学びを、先ほど青木先生がおっしゃったように、連続的に学校機関として捉えて活用していくという観点で重視されているという取組がございまして、そういうものを、今回、キャリア教育あるいは進路指導という観点から活用してはどうかという御議論がございました。このことは、とりもなおさず学びの成長の過程でもありますので、そういった観点で活用することが必要という議論がなされているところでございます。
  これを何と称するかというのは、おっしゃるようにいろいろ御議論がございまして、ただ、本部会の委員のお一人は、正に自分の意思で自分の人生の扉を切り開いていくという観点からいくと、要するにそういうパスポートを持って、自分として新たなページや新たなトランスファーに自らの意思で切り開いていくというイメージがあるので、キャリア・パスポートという言葉が適切ではないかという御指摘がございまして、それを踏まえさせていただいたものでございます。キャリア・パスポートですとかキャリアノートと言われているような、要はそういう活動のポートフォリオだと。
【市川主査】    ポートフォリオの、もっとロングスパンで多面的なものと。
【合田教育課程課長】    はい、おっしゃるとおりでございます。
【市川主査】    パスポートというのは、どこの国に行ったみたいなスタンプがいっぱい押されますけれども、それをパスポートというところから持ってきたということですか。
【合田教育課程課長】    おっしゃるとおりでございます。そのように御指摘なさったキャリア教育専門の委員の先生がいらしたものですから、そういう表現をさせていただいたという次第でございます。
【市川主査】    聞くと分かりますが、パスポートというのは、何でパスポートなのかなというのが、最初、分かりにくかったんですけれども。済みません。
  山口委員、どうぞ。
【山口委員】    19ページの必要な体制整備のところで、五つ目のマルのところで「教員養成においては」というくだりがあるんですけれども、恐らく教員養成に関しても違うところで話合いが行われていることは承知をしているんですけれども、新しい指導要領を一生懸命考えて作って、それをいかに現場が実効性を持ってきちんとやっていくかというところにおいては、今、実際教員としてやっていらっしゃる方は、これから研修だとかいろいろな形で更に努力をされていくと思うんですけれども、将来に向けては、今、これから教員になろうとしている人たちをどのように教育していくかというところが非常に重要になってくるんですけれども、このぐらいの感じで役割・使命は大きいというぐらいでいいのかなというところが気になります。
  特に先ほどから出ております、今、特別支援教育ですとか、例えば体育においては、そういった中で障害者のスポーツ活動をどうやって充実させていくか、教育していくかというところも、例えば大学の中においても、そういったことを専門的に指導ができる教員も、現実的に非常に少ないですね。ですからそういったところにまで少し踏み込んでやっていく必要がこれからあるので、もう少しここのところを、どこまで強く書けるかというのは分からないんですけれども、教員養成というのが、セットでこの新しい指導要領と同じく考えられなければいけないと思いますので、もうちょっと強めに書いていただけると、大学側へのメッセージというところもあると思いますので、お願いしたいなと思います。
  それから、先ほど内田委員から、体育のところの目標のところで、体育に関しては「生涯」と書かれているということだったんですけれども、あらゆる教科で同じような書きぶりになっても私はおかしくないなと思うんですが、保健体育に関して言えば、この小・中・高の段階でスポーツに親しむとか、あるいは健康の保持増進という、特にスポーツライフに関して言えば、ここである程度のものを獲得しておかないと、後から親しむというところがなかなか難しい教科であるということが言えると思うんですね。ですから早ければ早い方がいいんですけれども、なるべく学校段階でこういったことを獲得して、それが生涯につながるんだというところを書いておくと、子供たちへも、あるいは学校の先生方にも、あるいは父兄の方々にも、そういう意識を持って捉えていただけるというメッセージ性を込めて、この「生涯にわたって」ということを使っているということと御理解いただければと思います。
【市川主査】    榎本委員、どうぞ。
【榎本委員】    ここに書かれていることではないんですけれども、この会に出席をさせていただいて、今の社会の動きとか、それからいろいろな方々の御意見を頂いて、これから新しい学習指導要領が出来ていくんだと思うんですね。今、自分の学校のことを考えたときに、アクティブ・ラーニングとかいう言葉は出てくるんですけれども、今、日本はどういう状況にあって、だから子供たちをどう育てていかなきゃいけないのかとか、そういう議論って、教員の中ではほとんどないんですね。
  何でなのかなとよく考えてみたんですけれども、この先の動きを考えると、学習指導要領が告示されて、それが出ると、今度は教科書会社が、その学習指導要領に合わせて教科書を作ってくれるわけですよね。教員は教科書があれば、何とか授業はできてしまうわけですね。その裏にあるいろいろなことを理解しなくても。その辺りで、なかなか、今、何が求められているのかとか、これからどうしていかなきゃいけないのかという辺りのことが、教員、抜けちゃっても指導ができてしまうというところが実際あります。
  ですからそれは、今、公立の中学校が全国で約9,600ありますけれども、その一人一人の校長が意識をして各学校の教職員に語っていかなきゃいけないのかもしれませんが、併せて、伝えていくのに当たって、仕掛けのようなものを何か作っていただけると、もっと徹底ができるんじゃないかなという気がするんですね。ですから、是非その辺りについても御検討いただけると有り難いと思って、最後、お話しさせていただきました。
  以上です。
【市川主査】    ありがとうございます。
  帯野委員からも是非一言ということですので、どうぞ。
【帯野委員】    済みません、5秒だけ。先ほどのキャリアパスポートですが、正しい英語、正しい日本語という視点からは、この中教審の中から新しい造語を作るというのはいかがなものかと思いますので、誰が聞いても分かる、実を反映した名前に、可能性があるのであれば、検討いただけたらと思います。済みません。
【市川主査】    では、そういう御意見があったということで、お伝えいただければと。いやに具体的で、しかも意味が通りにくいところもあるかなと。中学校部会は主査もよく分からなかったと言っておいてください。
  それでは、いろいろな御意見を頂きまして、どうもありがとうございました。時間も参りましたので、本日、ここまでにさせていただきたいと思います。
  本日御議論いただきましたけれども、この内容とともに、これからほかの校種別部会等の議論も踏まえて取りまとめられた、総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会における議論の取りまとめ(案)、これですが、青木先生や奈須先生も委員を務めていらっしゃいます総則・評価特別部会の次回7月7日木曜日の会合で、更に議論させていただきたいと思います。
  今後の本部会に関係する部分ですが、この文言の調整等につきましては、主査の私の方に御一任いただくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【市川主査】    日本語には気を付けてまいりたいと思います。
  では、ありがとうございました。なお、限られた時間内での議論でしたので、本日の議論を踏まえまして、更なる御意見あるいはお気付きの点などございましたら、メールあるいはファックス等で事務局にお送りいただければと思います。
  それでは最後に、今後のスケジュール等について、事務局から御説明お願いいたします。
【石田教育課程企画室専門官】    4月21日の第1回から本日の第4回まで、充実した御議論を頂きまして、誠にありがとうございました。先ほど主査からもお話ございましたけれども、本部会における御議論は、本日で一旦の終了とさせていただければと思います。
  本日の議論の内容を踏まえてまとめられた取りまとめ(案)につきまして、7月7日に予定されております総則・評価特別部会で御議論いただいた上で、今年の夏の審議のまとめに向けて、議論を進めていただきたいと考えておるところでございます。
  なお、その過程で本部会での調整が必要になりました場合には、改めて御参集いただく可能性もございますこと御承知おきいただければ、幸甚に存じます。その際には別途御連絡を申し上げます。
  また、主査からもお話ございましたように、この後、お気付きの点がございましたら、大変短期間で恐縮でございますが、7月5日までに、事務局宛てにメール、ファックス等々で御意見を頂戴できればと思います。
  また、本日の配布資料は、机上に置いておいていただければ、後ほど郵送を申し上げます。
  それでは最後に、事務局を代表いたしまして、初等中等教育局長の藤原より一言御挨拶を申し上げます。
【藤原初等中等教育局長】    この中学校部会が議論の一つの区切りを迎えるに当たりまして、私の方から一言御挨拶を申し上げたいと思います。
  市川主査、田中主査代理をはじめとして、委員の先生方におかれましては、4月の21日の第1回から、大変短い期間にもかかわらず、集中的かつ精力的な御議論を頂きまして、本当にありがとうございました。また、この部会の第1回では、グループ討議形式ということで、中学校教育における課題の洗い出しを行っていただいたと聞いております。中教審でこのような試みは非常に珍しいということでございまして、非常に有意義な議論になったのではないかと思っております。また、委員の皆様方におかれましては、それぞれの御知見あるいは御経験を踏まえまして、多岐にわたる論点について非常に貴重な御示唆を頂きましたので、改めて御礼申し上げたいと思います。
  今後、教育課程部会などにおきまして更に議論を続け、最終的には中教審で本年中に方針を取りまとめていただくという段取りになっております。学習指導要領改訂に向けて、更に今後とも議論が進められてまいりますが、委員の皆様方におかれましては、引き続き御指導、御鞭撻を、よろしくお願い申し上げます。
  どうもありがとうございました。
【市川主査】    どうもありがとうございます。
  それでは、本日の中学校部会を終了させていただきます。皆様、どうもありがとうございました。

――  了  ――

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