第5回小学校部会における主な意見

〈小学校・総則の改善イメージ(たたき台案)に基づいて、下記のとおり意見交換〉

■.第1 小学校教育の基本について

○ 第1の小学校教育の基本というところで、今回は小学校教育全体を通じて育成すべき資質・能力を示すのだと思うが、この項目の2と3の関係があいまいに見えてしまう。生きる力の理念に基づく知・徳・体の総合的な育成というのと、小学校教育全体を通して育成すべき資質・能力というのが分けられていて、2の方は、ある種の理念、方向性、ビジョンであるものを示しているとは思うのだが、これも資質・能力ではあると思う。

○ 資質・能力の三つの柱というのがあり、学力の三要素というのがあり、またここに従前から示されている知・徳・体というものがある。現場にしっかり読み込んでいただいて伝わっていくということがなかなか十分できていないということもあってこれらの関係がどういうふうになっているのかというのがなかなか伝わりにくい部分があると思う。この構造化というところがより明確に伝わっていくように、文言を工夫していただくとかということを意識していただけるとありがたい。

○ 生きる力と学校教育法、教育基本法との関連についての説明は、現在は解説の19ページにある。総則では、「生きる力の育成を目指す」というフレーズしか出てきていないのが現状。今回第1の1で教育基本法、学校教育法等の法令についてのことが示されたということになると、2の冒頭に、それらと生きる力の関係について明確に示していただいた方がわかりやすいように思う。

→ 生きる力は、資質・能力の全体を指し示しているというようなことかと思うが、その中の三つの要素をしっかりと明確に示していくということの重要性と併せて、この部分は学力を育てて、この部分は体力を育てて、この部分は情操を育ててということでやっているということよりも、一体として知・徳・体を捉えながら授業を展開しているということを目指している。そういった点で考えると、授業を通じて何を育成していくべきかということを、学習評価とも照らし合わせながら考えていくと、資質・能力の三つの柱ということが様々な資質・能力に共通する要素として必要になってくるということであって、目標として目指していく生きる力と知・徳・体ということ、そしてそれを総合的に育んでいくために必要な資質・能力の三つの柱ということ、それに基づく教育目標の構造化ということをしていただいているということである。まだまだ現場の先生には分かりにくいかと思うので、この部分を丁寧に説明していくということに向けて、また引き続き御意見を頂ければありがたい。

○ 現行の学習指導要領では総則の第一文は、各学校においては・・・教育課程を編成するという、ここから総則の書き出しが始まるわけだが、新しい案では、教育基本法、学校教育法の目的、目標から説かれている。現行の学習指導要領はそれが前提であって、このあたりのところについてはどう考えていったらいいのかということが気になっている。

○ 小・中・高の三つの学校種を通じてこういった資質・能力を育てていく、中でも小学校はこの部分をこんなふうに受け持つというような構造図が示されていくと非常に分かりやすいのではないかと思う。中学校に行ったところで初めて中学校ってこうなんだではなくて、小学校段階から教育に関係する者たちがどんな構造の中でどの部分を我々は受け持って育んでいくのかということが共通理解されるといいなと思う。

○ 第1の小学校教育の基本の中に、健やかな体ということで、体育・健康に関する指導を従来どおり盛り込んでいただいているが、安全に対する教育や、食に関する教育も、小学校教育の中で大事なことかと感じている。

○ ナショナルカリキュラムを、資質・能力の観点で指導内容を整理するという観点からは、そのことをベースにしたカリキュラム・マネジメントという意識を強めるためには、例えば1で資質・能力に基づくようなカリキュラム・マネジメントであるとかというふうな言葉を補足していただく方が、そのことをより意識化してもらえるのかなと。だからそのために幼・小連携でそういう資質・能力を育てるためにこの幼・小連携があったり小・中連携があったりしていくということで、形だけが優先しないように書いていただければと思う。

■.第2 各学校における教育課程の編成について

○ 第2の各学校における教育課程の編成のところは大変重要な内容がたくさん入っている。小項目で1から6まで並列に並んでいると、普通の人が見るとそれぞれ6分の1に見えてしまう。視点を明確にするためには、例えば2と3は接続に関することなので、大きくくくってスタート・カリキュラムと小・中の関係のような感じで整理することができるのではないか。

○ 第2の4の横断的に育成すべき資質・能力の関係については、第1の3と、それから第3のところの学習評価の対象とも関わってくるので、それぞれのところでそれぞれのまとまりのコンセプトに合わせてきちっと書いていただく方がよろしいかと思う。

○ 第2の部分について、1のカリキュラム・マネジメントの実現から6まで並んでいるが、こういう並び方でよいのかどうか。例えば12年間全体を見通した学校種間の接続については、新たに例えば7番目とか、あるいは例えば2と3の間に入れたらどうかとか、そういったことも考えられる。

○ 1のカリキュラム・マネジメントの実現のところでは、ますカリキュラム・マネジメントの三つの側面についての説明がなされると思う。その後、縦の関係のものを一まとまりで、横の関係のものを一まとまりでという示し方が必要で、その縦の関係の全体像を示す段階で、12年間全体の中での小学校、中学校、高等学校の位置付けがどうなのかということを述べる必要がある。その上で小学校は幼稚園との関係、中学校との関係に言及していくのがよいのではないかと思う。横の関係は横の関係でとても大きなことなので、この横の関係の中にもまた幾つか小項目が出てこなくてはいけないかと思う。

○ 今回、18歳の段階や義務教育段階で身に付けておくべき力の共有ということが新たに明確に示されているが、この第2のところは、小学校を中心に幼・小との関係、それから小・中との関係は示されているが、そのことと、学びを進める12年間全体での小学校の位置付けということとはなかなかイコールになりにくいことが多いのではないかと感じる。どうしても小学校を中心に考えながらそこの前の段階の幼稚園との関係を見ると、そこだけ見てしまうし、今度は中学校にどうつながるかというそこだけ見てしまうと、全体の12年間の中での小学校部分が果たすべき役割ということを見失う可能性がある。カリキュラム・マネジメントの三つの側面の中にも、もう少し縦の関係としての、12年間全体の中での位置付けというのをしっかり見極める必要があるということについて言及しておく必要があるかと思う。

○ 今回、カリキュラム・マネジメントについては、単にミドルとか管理職クラスの人たちのみならず、全ての立場の先生方がそれについて力を付けていただくというふうなトーンで論点整理が書かれている。今我々が見ているこれが、全ての先生が何らかの形で目を通していただけるような示し方になっているかどうか、あるいは、これはやはり目を通さなくちゃいけないなということを先生方が思えるようなことになるかという視点が大事。

■.第3 教育課程の実施と学習の評価について

○ 第2の4番は、これは第3(教育課程の実施と学習の評価)との関係で大変重要なポイントになる。特に資質・能力の二番目、三番目の柱との関係で、特定の教科だけでの評価、情報に基づいての判断だけではうまくいかない面が出てきたときに、関連する複数の教科等の活動を視野に入れての評価ということが必要になると思うので、教科間の関係についての議論はここでやはりはっきり整理する必要があり、第3のところでも資質・能力の2番目、3番目の柱の評価についての基本的なスタンスのようなものを示していただく必要があるのではないか。

○ 第3のところで学習指導の充実と学習評価を通じた改善ということになっているが学習評価そのものについての議論を見えるようにしていただくことが重要ではないか。

○ 見方・考え方というのは大変重要な概念として学習指導、学習評価で議論されているので、第3の1として入っているが、他の項目と対等だと、重みが軽くなってしまう危険性があるので、これはこの中でも大きく二つくらいにくくっていただいて、なぜ見方・考え方が今回話題になるのか、見方・考え方の成長というのが学習指導及び学習評価の大前提としていつも認識されなくてはいけない、そういうことをしっかりとお書きいただきたい。

○ 見方・考え方を働かせた学習指導の充実というのが第3にあり、第1には生きる力の理念に基づく確かな学力、この中に学力の3要素、豊かな心、健やかな体、それから今度は別表として見方・考え方が入ってくる。これらはどういう関係になっているのか。

○ 見方や考え方は教科ごとに違うもの。それから資質・能力、学力の三要素に応じたものもまた別々のものが出てきますよということになると、現場の先生たちが指導するときに、頭の中にとどめておかなければいけない物事がものすごく増えてしまうんのではないかということを感じる。

→ 見方や考え方を働かせた深い学びの過程を経ることによって資質・能力の三つの柱が育まれるというような整理をいただいている。その見方・考え方が何なのか、資質・能力が何なのかという整理を各教科でいただいているということ。

■.第4 特別な配慮を必要とする児童への指導について

○ 第4の特別な配慮を必要とする児童への指導という項目について、今まで障害のある児童への指導というのは配慮事項の中の一つとして書かれているにすぎなかったので、通常の学級の中にも様々な困難を示す児童たちがかなりの割合いるということと、現場の先生方の理解が進んだというところもあり、こうやって一つの項を立てるということは非常にありがたい。障害のある児童といったときに、障害のあるなしで二分するという感じ方が非常に強いんじゃないかなということをよく現場で聞く。あるなしという二分化されないようなうまい表現ができたらよいということを思った。

○ 第4の特別な配慮を必要とする児童への指導の箇所について、海外からの子供たちへの配慮について、別立てで書いてほしいと思う。そういう子供たちに対して誰がどう対応できるのかということを解説書でどこまで書けるのか。つまり、英語で対応できる小学校の教員の数でさえ少ない割合しかいない中で、アジアのほかの国から来ているとか、あるいはその中南米だとかほかの国から来た子供たちに対してどこまで対応できるのだろうか。文化的な問題もあるわけだから、それに対してどういうような資質・能力を持った人がそういう子供たちの指導に当たるのか、これははっきりさせる必要があろう。

○ 従来の総則でいう配慮事項というのがなくなっているが、それは当然消しているという意味ではなくて、より発展的な形で全体として組み入れている。配慮事項の一つの項目だったのが、今回の場合に五つの柱のうちの一つの中にこういう形で位置付けられている、それだけ課題性とか重要性が高まってきたという認識がこの背景にはある状況があるのだとも考えられる。

○ 日本はまだバイリンガル教育のような観点は非常に薄い国だと思う。ところが、ますます今後海外からいろいろな人たちが入ってきて、その子弟がまた入ってくるというようなことを考えていくと、複数の言語を持った子供たち、あるいは日本語を知らない子供たち、文化が分からない子供たちというのが入ってくるという大前提の下で、もっとそういう子供たちに対する対応について具体的な事例を含めて何か示していく時期に来ているのではないかと思う。教員研修も行く行くはそういうことを含めた形でやっていく必要があるかと思うので、単なる言葉で終わらせてほしくない。

○ 実際に障害があることによって様々な学習上、生活上の困難を示しているのか、文化の違いによってあるいは言語能力がまだ身に付いていないことによって学校で生活上、学習上の困難が示されているのか、判別できない子供についての相談というのが時々あるのだけれども、対象とする特別な配慮が必要なのはどんな子供なのかということを明らかにするということと、それに対してはどう対応すべきなのかということを書くと、どんな資質・能力が教員の側に必要なのかということとセットで示されることになると思う。第3の2の学習評価を通じた教育課程及び学習指導の改善とも関わるが、特別な配慮を必要とする児童に対しては、どこまで伸びてきているのかということの上に次の目標を設定するということが、今の障害のある子供だけではなくて、もっと幅広く、外国籍のお子さんあるいは文化が全く違うお子さんについても、もう少し幅広く適用できるようにする必要があるのではないか。一人一人のペースに合わせた、一人一人の学ぶスピードに合わせて教育課程がある程度調整できるということも特別な配慮の中に明示すべきではかと思っている。

○ 第4のタイトルについて、多様な個に応じた、あるいは多様な個に応ずる指導の在り方というようなくくりの方が適切かもしれない。その中に多様な個を捉える視点を幾つか整理していただいて、その中に例えば障害のある子あるいは海外からの子、あるいは認識の仕方で得意不得意の分野があるような子等を、広くくくっていただいた方がよろしいかなと思う。場合によっては第3の1の個に応じた指導の充実というのをここで記述するのをやめにして、その第4のところで広くくくって述べるというようなことも調整が必要になるかもしれない。

→ 御指摘のとおり、視点としては共通した視点としてしっかり捉えていかなければいけないと思う。一方で、障害のある児童の困難さを捉えた指導や、外国人児童・生徒、海外帰国子女の子供たちへの配慮というのは、制度的な部分も含めて特別な教育課程ということも視野に入れた制度的な対応を含めて必要な部分もあり、その重要性が薄まらないように、少し工夫しながら検討させていただければと思う。

■.第5 学習活動の充実のための基盤について

○ 第5の学級経営の箇所について、特別活動をうまく活用してという趣旨の文言はどこかに入れていただきたい。学校の中で特別活動というのは軽視されがちで、違うものに代替されてしまうこともあるが、本当はクラス運営、学級運営において特別活動は重要な位置付けを持っていると思う。学習活動の基盤として、学級経営の充実、キャリア教育、これが両方入っていてすばらしいと思うが、このキャリア教育が単なる職業教育と思われがちなところがある。学校行事、それからクラスでの人間関係、それから各教科それぞれに連動した形で、生きる力を身に付けさせていくということにおいてのキャリア教育ということが各教科等の見方・考え方の一覧の中でも示されていくといいと思う。

○ 保護者の一員としても、これからの学校での色々なことに協力をしていくのだ、連携をしていくのだという漠然としたことは分かっているつもりではあるのだけれども、何をしたらいいのか、何をお手伝いしていいのかということについては、こういった中に書き加えていただくと、学校の先生だけではなくて、地域の方、また家庭での保護者の方々がしっかりと理解が進んでいく、そのことによってここに書いている連携が具体的に進んでいくと思っている。家庭、地域との連携という言葉は随分と古くから言われている書き方なので、余り変わらないというイメージにも捉えられかねないと思う面もある。協力とか協働とか、ともにやるんだというイメージの言葉があるといいかなと思う。

○ 家庭、地域の連携というのは物すごく前からこれは言われてきていることなので、一歩進めて協働体制をしくということで協働という言葉を御使用いただけたらと思う。

○ 第5のところの学習活動の充実のための基盤にキャリア教育を入れ込んでいくということについて。狭い意味のキャリア教育というのをイメージしがちだが、これからはもっと広い意味でのキャリア教育の理解が必要。これから子供たちが社会参画をしていく意識を醸成させたり、例えば第1の小学校の教育の基本あたりの資質・能力のあたりにそのキャリア教育で培う力をもってくるとか、そういうことも考えられるのではないか。

○ 保護者の方々に学校が期待していることの一つとして、極端な要求をされる保護者の方に対して、間に立ってうまく収めていただけたら角が立たずにいいのではないかという発想はどうだろうか。障害児への合理的配慮といったことを考えたときに、合意形成がうまく図れない場合にどうしたらいいんだろうかということで研修会の講師を頼まれることが増えている。平たく言うと、家庭と仲よくやっていくためにほかの保護者たちも含めて円満な、円滑な関係を作るためにというような趣旨を含ませられないかと思った。

○ 学校と保護者の間に立つというのは、保護者同士は利害が絡まるので相当難しいのが現状。いろいろな学校現場を見ていると、そういうので悩まれていたり、SNSを使って母親同士のいじめの問題もあり、そういう渦中に立たせるというのは、学校経営者の方は余り望まれないのではないかと思う。それよりもやはりコミュニティ・スクールという、きちんと合議して学校経営に対して賛同の意を示し、一緒になって子供たちのための学校経営を考えていくというツールをどう活用していくべきかというようなことを、学習指導要領の性質からすれば限界があるかもしれないが、何か示唆できればと思う。

○ 第5に関して、学習活動の充実のための基盤という言い方をしているが、もう少し軽い言葉にしてもいいのかなと思う。これから10年先を見越したときに、新人教員というのが非常に増えてきて、指導力や学級経営力だけでも大変な時代にあって、カリキュラム・マネジメントの意識を持って教育内容をしっかりと定着させるという基本的なところを押さえていく必要がある。多忙な現場で、教科指導の実践を滞りなくやっていただくというだけでもなかなか大変なものだということにはご留意いただく必要がある。

■.全体について

○ これが現行の総則のように文章になったときに、かなりしっかり読み込んでいかないとなかなか分からないのではないか。現場の先生方がこれをぱっと見たときに、ポイントを読み取れないかなと思う。総則を今後文章化していくときに、併せて、解説のところには可視化された図を載せるということも検討の余地があるのではないか。

○ 現場では総則は教務主任レベルが見て、担任は余りそこを参考にしないというようなことがこれまで傾向としてあったかと思う。本来総則には、全ての教員、担任をする者として非常に参考になることがたくさん盛り込まれている。読んでもらうためには、なるべく分かりやすくしていただくということが大事。

○ 最後のところに別表という形で各教科等の見方・考え方の一覧を示すということは、特に小学校の場合は全ての教科を担任がやるので、そういった意味でも広く見方・考え方の一覧を示すということはすばらしいと思うが、それがあれもこれもこんなに大変というふうな形にならないように、そういったものを通して汎用的な能力はこんなふうに育んでいくんだというような目指す方向が様々な教科を通して分かるように示していただけるとありがたいなと思う。

○ 総則について教員全員が読み込むというのが現実的に難しくて、学校運営に携わっている者や、それから教務主任の方から職員に説明をしていくというような形が一番多いと思う。しかし、できれば私は今回のこの総則は、担任も含めて全部の教員がいつもバイブル的に脇に置いておいて、自分の学級経営や様々な教科の経営をいつもこれを基準にして調整していけるくらいの、それくらい大事にされるものになっていくといいなと思っている。だから、できるだけ分かりやすい言葉で、そしてまた、解説の中では、誤解のない程度で図式を使ったり、見える化を図った形で進めていただければありがたい。

○ 家庭における経済的その他の様々な格差というのはいろいろな意味で深刻化していると思うが、それに対して直接的に関わるというのは学校教育の枠の外かもしれないが、そういった家庭教育等の格差の結果として、学力その他あるいは学習への意欲などについて大きな個人差が生まれている。そうすると、そういったことへの配慮、つまり、とりたてての指導というのが当然必要になるが、それは個に応じた指導ということに入ったり、極端なケースは特別な配慮を必要とするという枠に入ったりするように思うし、家庭等の連携というところにも入るかもしれないが、どこかでやはり言及があってもいいのではないか。

○ 文科省の三答申をすごく大切にしていただきたいという強い思いがあるが、学校現場の教員には、ほとんど理解されていないのが現状なのではないか。管理職の先生や教務主任、外とお話をする機会を持っている先生は理解しているとは思うが、それ以外の先生には、実際今やっているところでも理解されていない。学校だけの体制でやっていくのではなく、外との連携をとることで、それから家庭教育とか地域の教育というものを十二分に生かすためにも、是非答申も取り上げていただきながら強調していただけるとありがたい。

○ 全体を表すのに、12年間を見通したポンチ絵は必要で、どの段階でどの能力を育成するのかという整理は必要。社会一丸となって育成するという時に、家庭、地域が共に協力できるところは、キャリア教育や体験活動等多数あると思う。学校にだけ負担を掛けてしまうというのは相当苦しい時代がやってくると思うので、今後目指すべき教育の全体像を示しつつ、総則を、これからは地域や保護者も見て、なるほど、小学校ではここまでのことをやろうとしているんだ、では私たちはそれをかみ砕いて何をお手伝いできるだろうかとか、主体的にどう行動できるだろうというふうに見て、校長先生が地域に説明してくれたときに、ここを御覧になってください、こういうことを目指しますよということを分かりやすく語っていただけるようなものができたらいいなと思う。

○ 横断的に育成すべき資質・能力の教科間の関係ということを考えるのは一体誰なのかということについて、総則か解説書の中で具体的にこういうようなやり方を奨励するというか、こういう例があるというようなことを示す必要があろうかと思う。

○ 誰がといった場合には、従来なら教務主任あるいは教務部長が一人で全てやっていた仕事を、例えば少なくとも教務部長、教務主任の下に各教科の代表者を集めた合議体で、互いの教科の関係を意識しながら考えるというような組織上の変化をもたらしていくということも一つのきっかけになる可能性があるのではないかと思う。

○ 例えば国語教育の中で培われてきた能力というのが、算数をやって役に立たないはずはないし、あるいは算数でやったことが社会においても役に立つだろうし、一つの教科でやったものは必ずほかの教科でも役に立っているはずだから、役に立っているということで共通している部分も何かあるので、それうまく表現できるようになれば、伝わりやすくなるのではないか。

○ 総則は、全ての教科を束ねる役割を本来的には果たすはずだけれども、現実の実態としては、総則は総則として置かれて、授業をなさる先生は総則はともかくとして自分の授業のことから始めるという現実の実態がある。そういう点でいかに教科を束ねていく機能、役割を総則が担保するかを検討する必要がある。

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