教育課程部会 小学校部会(第6回) 議事録

1.日時

平成28年5月27日(金曜日) 10時30分~12時30分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 小学校段階におけるプログラミング教育に関する有識者会議について
  2. 小学校学習指導要領総則の改善イメージについて
  3. 総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会の取りまとめに向けた論点(案)について

4.議事録

【天笠主査】    それでは定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会小学校部会の第6回を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
  それでは、これより議事に入ります。なお、本日は報道関係者より会議の録音の申出があり、これを許可しておりますので御承知おきください。
  まず、事務局より配布資料の確認をお願いいたします。
【石田教育課程企画室専門官】    それでは配布資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料8、その他、机上に参考資料を配布させていただいております。不足等ございましたら、事務局にお申し付けいただければと思います。
  なお、机上にタブレット端末を置いておりますけれども、その中には、本部会の審議に当たり参考となる、関係する審議会の答申や関連資料等を含めてデータで入れておりますので、適宜御参照いただければと思います。
【天笠主査】    本日は、議題が三つございます。一つ目が、小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議における議論の状況についてであります。続いて2点目としまして、小学校学習指導要領総則の改善イメージについてということであります。それから第3点目といたしまして、総則・評価特別部会小学校部会、中学校部会、高等学校部会の取りまとめに向けた論点案についてでございます。
  まずは、その1点目としまして、プログラミング教育に関する有識者会議における議論の状況について、事務局より御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料の7を御覧いただけますでしょうか。小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議における議論の状況についてということでございます。
  これまで2回にわたって開催を既にされてございますけれども、6月中には議論をおまとめいただき、内容については中教審の方に本部会も含めて議論をつながせていただくということ。また、併せて学校のICT環境の整備でございますとか、様々な条件整備につきましては、別途、2020年に向けたそういったICT環境の整備に関する会議が立ち上げられてございますので、そちらの方で官民連携した体制づくりなども含めて実施していくということを目指しているところでございます。
  それでは資料の7でございますけれども、おめくりいただきますと、設置趣旨ということでございます。小学校教育の普遍的な目的ということを踏まえながら、情報化、グローバル化といった社会的変化をどのように受け止めていくのかということ。とりわけ最近では「第4次産業革命」という言葉で語られることが多くなってきてございますけれども、進化した人工知能が様々な判断を行ったり、最近では「アルファ碁」、囲碁が人間のプロ棋士に勝利したということもございますけれども、あるいは、物の働きが、物のインターネット化という形でインターネット経由で最適化されたりするという時代の到来ということの中で、社会の在り方も大きく変わっていくのではないか、職業の在り方もということが言われていることでございます。
  そうした中でも子供たちが自信を持って自分の人生を切り開いていけるような力を育んでいくということ。そうした中で、当然のことながら、読解力でありますとか、数学的な思考力、創造性、問題解決能力、論理的思考力などなど、時代を超えて常に重要な力ということがあるわけでございます。こうしたことに加えて、近年は情報活用能力ということも言われているところでございます。
  近年、学校内外で実施が進められているプログラミング教育につきましては、こうした資質・能力につながるのではないかという側面と、一方で、プログラミング言語そのもの、コーディングを学ぶという両側面があるわけでございますけれども、学校と民間が連携した意欲的な取組が、現に広がりつつございます。その一方で、学校教育として実施する場合には同様の進め方でよいのか、小学校段階で一体子供たちにどこまでの力を身に付けさせるということを目指せばいいのか、プログラミング言語自体は時代の変化で変わっていくわけでございますけれども、そうしたことも踏まえながら課題を解消していくべきであるということでございます。3ページ目にございますように、無藤先生、天笠先生はじめ、中教審の関係委員の先生方にも御協力を頂きながら、議論を進めさせていただいているところでございます。
  これまで委員の先生方から様々な状況の御紹介を頂いております。7ページ目は、東京大学の松尾先生に、人工知能ということの進化がどこまで来ているのか、そしてその後の社会の在り方の中で人間にはどのような力が求められるのかということを、御紹介を頂きました。10ページ目、11ページ目、今後の社会、12ページ目、13ページ目、技術の進展と社会への影響ということがございますけれども、こうした中で、15ページ目、我々はどういう社会をつくりたいのかということを考えていくことこそが、人間が考えることとして非常に重要になってくるのではないか、哲学などなどということも含めて視野に入れながら議論をしていく必要があるのではないかということでございます。
  また、18ページ目は、「みんなのコード」という子供向けのプログラミング学習の様々な取組をしている一般社団法人からのプレゼンでございますけれども、学校での取組の一例として、例えば22ページ目の上、黒板のコピーで少し見にくいんですけれども、そこには、身近な子供たちが触れる様々な機器ということの中でプログラミングが役立っているということを実感させるということ。そして具体的に、例えば自動販売機ということがどのような流れで動いているのか、それは魔法の箱ではなくて、その中でプログラミングが働きながら機能を発揮しているということを実感させるということ。こうしたことをしっかりと導入としてやった上で、プログラミングということを実施しているということでございます。その上で、例えば26ページ目の上にございますような、総合的な学習の時間を活用して、こういった社会とプログラミングの在り方、そしてプログラミングに触れるということを3時間程度実施し、あとは各教科での様々な学習につないでいくということが考えられるのではないかという御提案も頂いているところでございます。
  また、28ページ目はヤマハさんからでございますけれども、ボーカロイドの技術を生かした音楽の創作の授業の一例でございます。30ページ目の下にございますように、こうしたコンピューターを使った創作ということが身近になることによって、楽器を必ずしも演奏できなくても、作曲ということが手軽に行いやすくなってくる。そうしますと、演奏するということと作るということが、かなり身近になってくるということでございます。そして31ページ目にございますように、曲を組み立てるということの中には、プログラミング的な思考につながる要素がたくさんあるのではないかということで、実際の小学校の実例ということも挙げていただいております。
  それから36ページ目が、シリコンバレーで活躍されている方からの、小学校教育でどのようなことを実施していくべきかということ。小学校でプログラミング教育は必要なのかどうかということから説いていただいております。諸外国でもということでございますけれども、ICTを使いこなす力ということは必要になるわけでございますけれども、時代の変化の中で、どういった力をしっかり育んでいくべきか。41ページ目の下にございますように、ICTをツールの一つとしてしっかり使いこなせる必要がある。ただ一方で、アナログ感覚も重視して、しっかりと育んでいくべきではないかということでございます。
  それから43ページ目は、国立情報学研究所の新井先生からでございます。ロボットは東大に入れるかという、あの東ロボくんのプロジェクトがございますけれども、その状況ということ。そしてそれを実施してみると、今、偏差値60というところまで来ている状況でございますけれども、47ページ目にございますように、東ロボくんに負けている層がいるということでございます。その層について、どのような力を育んでいくことを目指すのか。48ページ目にございますように、中高生がそもそも教科書をしっかり読めているのかどうかということも含めてでございます。例えば51ページ目の下にございますような文章を、頭の中でしっかりと構造化して読み解くことができている割合というのが非常に少ないのではないかということ。52ページ目の下にございますような、文章の構造をしっかりと頭の中で理解して学習につなげていくということ。これこそアクティブ・ラーニングでやっていくべきではないかという御提案も頂いております。
  また、56ページ目は、CA Tech Kidsという、これもプログラミング教育を実施しているところでございますけれども、61ページ目にございますように、先ほど申し上げたプログラミング言語、コーディングスキルということを育むということではないということ。自ら創造性を発揮してアイデアを実現できる人材ということの中で必要な、61ページ目下にございますような、力ということを育んでいくということではないかということ。その中で、62ページ目以降にございますように、小・中・高、段階に応じて考えていく必要があるのではないかということでございます。
  それから73ページ目以降はマイクロソフトからのプレゼンでございますけれども、77ページ目下にございますように、タイムレス、時代を超えて必要なスキルということ。議論し合う力、協力し合う力ということに加えて、今後はプログラミング的な思考ということが必要になってくるのではないかということでございます。
  また、先ほど追加で一つ配らせていただきました、ソニー・グローバルエデュケーションからのプレゼンでございますけれども、追加の資料を御覧いただければと思います。「日本の強みを生かしたプログラミング教育」という資料でございます。
  おめくりいただきますと、2ページに、日本の強み、算数・思考力ということがございます。日本の算数の文章題を海外に持っていくと、かなりいろいろな方が感動すると。これだけ思考力をしっかりと問える問題ということが練り上げられているという、そうした日本の算数教育の強みということを生かしながら、思考力をしっかりと育んでいくということ。そしてそれと両輪として、4ページ目以降にございますような、プログラミング的思考を育んでいく。5ページ目下にございますような、物事を分解して考える、法則を発見する、抽象化する、解法をデザインする、評価するということをしっかりと行えるようにしていくということが、今後、子供たちに求められるのではないかということでございます。
  こうした議論が行われておりまして、今後、取りまとめに入っていく段階ではございますけれども、プログラミング言語そのものを体得させるということが目的ではなくて、プログラミングに触れながら、プログラミング的な思考をしっかりと育んでいくということ。また、社会の中でのプログラミングの役割でありますとか、コンピューターがブラックボックスではなくて、自分の意思でデザインできるものであるということに気付いていく。そうしたきっかけとなるような授業を小学校で行っていくことが求められるのではないかという方向性で御議論を頂いているところでございますので、本日、小学校部会の先生方からもコメントを頂ければと存じます。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御質問、御意見のある方は、例によってネームプレートを立ててお願いしたいと思います。私の方から御指名させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでありましょうか。
  それでは松川委員、その次に渡瀬委員、この順でお願いします。まず松川委員、お願いいたします。
【松川委員】    今、御説明を頂いたところですけれども、私としては大変、今の段階でこういうものが出てきたということについて、多少唐突感がございます。特に小学校でのプログラミング教育ということなんですけれども、ただでさえ小学校は教科担任制ではないということもあって、一人の先生が何でも教えるということになって、何々教育というものが次から次に入ってきているわけです。特にここでも議論してまいりましたけれども、小学校では、中学年における外国語活動、それから高学年における教科の外国語という新しいものが入ってくる中で、更にこういうものが入ってくるということですよね。外国語についても、なかなかコマ数が取れないので、短時間学習でやるとかという議論をやっている中で、また新たにこういうものの導入が検討されているということについて、その内容自体は、これからの子供たちにとって決して必要でないことだとは思いませんけれども、具体的に現状の小学校の学習環境の中で、誰が一体どういう枠を使ってやるのかということについて、実現可能な道を考えていただきたいなと思います。
  それからこれまで、今の御説明ですと、何もプログラミング言語を教えるのではなくて、社会の中でのプログラミングの役割だとか、それから論理的思考だとかという話になってくると、既存の教科の中、例えば小学校で言えば、算数だとかそういう中での論理的思考を教えるということと、どう関わるのか。あるいは総合的学習の時間の中で情報というものを扱っている学校は、今は少ないかもしれませんけれども、ないこともないと思います。そういうところでの扱いとか、それから、小学校ではなくて、中学校・高校での情報教育とどう関わらせていくのかということについても関係を明確にしないと、ちょっとしっくりこないなというのが率直な感想でございます。
  新しいものを入れていくのは結構なんですけれども、一つも削るものがなくて増やすものばかりということでは、到底小学校の先生はやり切れないと思います。新しいものをやっていくのであれば、それなりの人員と条件整備をしなければいけない。それから、ICTのいろいろデジタル教科書の導入についても、非常に地域格差が出るのではないかと心配されている段階で、次から次に検討されるのは結構ですけれども、どれだけの実現可能性というのを考えた上でされているのかと。次から次に出てくると、小学校の先生の疲弊感というのはますます強くなるばかりだというのが、私の第一印象です。
  まとまりませんけれども、率直な感想でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして渡瀬委員、お願いいたします。
【渡瀬委員】    お願いします。私は小学校の現場におりましたけれども、ICTを活用していくということが、往々にして非常にドリル的に使われたり、ICTを活用しなきゃいけないということで使ってきた中で、このような思考を深めるためにプログラミング的なことが行われるようになったということには賛成しています。
  ただ、私たちも今までいろいろな形で、こういう場面ではこういう、プログラミングとまでは言いませんけれども、昔からあった教材、ソフトなどを使ったりしたことがあって、ここまで来ていますけれども、何をどう考えさせるためにそれを使うのかということがとても重要で、例えばifという言葉そのものをどのように使ってどのように考えさせるのかということがはっきりした上で、教材なり教具なりを選んで活用していく必要があると思います。
  先ほどのソニーの5ページのところには、具体的に五つのプログラミング的思考とはということが出ていますけれども、このようなことがどれぐらい具体的に示されて、それがそれぞれの活動の中でこの部分が伸ばされるんだということがはっきりすることや、それがプログラミングの教科から離れて教科横断的に活用されていくときに、この教科のこういう活動の部分でこの思考の部分がこう役に立つんだということが、明らかになっていく必要があると思います。
  実は先日、ICT関係の大きな見本市のようなイベントがありまして、行きました。去年まではそうではありませんでしたけれども、今年はプログラミング関係の教具・教材を展示するコーナーが別棟になっていて、そこに黒山の人だかりがあって、そしてSTEM教育、プログラミングということがドーンといろいろなところに書かれていて、何となくそこで動く簡単なロボット的なおもちゃみたいなものが買わないと駄目だみたいな雰囲気になっていることに、ちょっと危険を感じまして、アクティブ・ラーニングのときもそうでしたけれども、何となく片仮名の言葉がポンと出てきたときに、どうしよう、どうしようと右往左往しながらもそれに飛び付いているということが、この間のイベントでも、何となく現場の先生方がそこに集まっている姿を見て思いましたので、この先、そういうことが起こるだろうなと思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして大橋委員、その後、生重委員。大橋委員からお願いいたします。
【大橋委員】    プログラミング教育が論理的思考力、創造性、問題解決能力を育成するということと、あとコーディング教育を行うという、この二つから大きく内容としては成り立っているということで、ITを武器として創造性を発揮し、アイデアを実現できる人材を育成していくんだと。非常に魅力的であるなと思う反面、じゃあこれを実際に小学校の現場で実施をしていくといったときに、どこで誰がどのようにやっていくのだろうというのが、非常に私としては、今、大きな疑問です。
  先ほど松川委員からもお話がありましたけれども、今、例えば高学年の英語について、じゃあ1時間、それをどのようにしていくのか、非常に課題になっています。それと同時に、このプログラミング教育を行った場合、それはどのような位置付けでやっていくのか、これも非常に大きな課題である。学校としては、非常に盛りだくさんなものを取り組んでいかなければならないという状況になります。
  例えば先ほど御説明がありましたけれども、ある提案として、総合的な学習の時間でこれを行い、教科と関連させていくというのがありましたけれども、今、総合的な学習の時間では、例えば環境教育であるとか、○○教育というのを切り口として学習を進めていく。そこに新たにまたプログラミング教育というものが入ったときに、確かにカリキュラム・マネジメントは非常に大切なんですけれども、なかなかこれをうまく取り入れていくのが、今、それだけの余裕があるのかというと、非常に厳しいというのが実感です。
  以上です。
【天笠主査】    生重委員、お願いします。
【生重委員】    実は私が地域の運営委員をしている学校は、ICTの研究校になっておりまして、しょっちゅう授業を見せていただく機会がございます。こちらの事例にも出てきていましたように、4年生が音楽の授業で邦楽の作曲をしていたり、国語で一つ与えられたテーマの言葉から文章とか熟語を創造していくとか、国語を見ていて私が安心したのは、読む・書く・聞くというベースをきちんと踏まえた上で、考えるというところにこのICTを活用しているというところかなと。
  理科が一番衝撃だったんですが、グループが役割分担を速やかにして、実験下中のどこのポイントを捉えるかというのを速やかにタブレットに打ち込みながら、もちろん総合ファシリテーターである先生が、どの班で何を考え、どのように実施していっているのかを、自分が持っているタブレットで全て把握ができるという状況になっていて、電子黒板の方に速やかにそれぞれがどう考えているかが映るようになっていて、機能的だなと。
  別に杉並の小学校の先生が全員タブレットにたけていたと私は思わないんですが、少なくともどの先生もタブレットを使いこなしている。立地条件と児童が増えたせいで、今年から図書室すらなくなるんですが、図書室がタブレット管理になりまして、司書が、どのフロアにもタブレットで図書館から移された隙間を上手にレイアウトして作った図書コーナーから、図書管理のようなことで、子供たちがピッとするとすぐ、何を借りてどう読んでいるのかということも把握できる状況になっている現実を見ると、学校という環境の中に一旦置かれて、かつてのキーボード打ちよりも様々なところで活用している、私のよく行く学校ではそういう現状を見ているので、プログラミングのことも、授業や総合と組み合わせることで、意外に円滑に行く可能性はあるのかなと。どの世代の先生も、そこをきちっと取り組んでいらっしゃるんです。
  一番私が、その学校の中で、ああ、なるほどと思ったのは、職員会議の効率化が非常に果たされていまして、何でも自分の机の前にある情報端末で、ほとんどのことはそこをきちんと把握しているという状況を前提として、なるべく、長く縛られて会議をするという状況を排除している。で、授業研究に充てられる時間を学校内でどれだけ作るかみたいなことの工夫をしている様子を拝見していると、これは特にうちには特別支援級がございまして、特別支援級の子供たちの授業に向けての意欲などは、結構すごく、ちょっと感銘を受けるぐらい、個別のプログラムで取り組んでいるんですが、可能性を感じさせるものがあるなと思っています。
  ただ、一つ喫緊の課題は、全国的な環境整備なのではないかと思っていまして、それと私、松野町という愛媛県の過疎地の学校のICT活用の委員もやらせていただいているんですが、中学生が3学年で52名しかいなくて、小学校も遠隔地なので9名、7名、12名という、本当に小さな町なんですが、ICTを活用して、孤立した、学年もないような状況なんですが、それだけ少ないと先生たちの数も限られてきて、中学なんか特に専門の先生がいない現状もあって、それがICT活用によって、同じ授業を受けられるとかということがあると。授業の中にいかに教科とつなげていくかとかそういうことを考えていくと、この環境はこれからは必要になってくるのかなと思っております。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。それで今の名札が立っているのが、福田委員と、それから長谷川委員と、それから吉田委員ですけれども、ほかによろしいですか。あ、無藤委員ですね。それから樋口委員です。
  今、名札立たれている方の発言をもって、この件についてはとりあえず閉じさせていただきたい、次の案件に進ませていただきたいと思いますけれども、ほかに発言、よろしいでしょうか。
  それでは、まず福田委員、長谷川委員、吉田委員の順に、その後、樋口委員、無藤委員という、この順にお願いしたいと思いますので、まず福田委員からお願いいたします。
【福田委員】    ありがとうございます。私が読み切れていないのかもしれないんですけれども、そもそもここでの提案が、どういう方向性を持つものなのかなと考えます。こういう可能性があるんだという提案であれば、すばらしいなと私は受け止めますし、それから、何とか今の教育課程の中に入れ込む必要があるんだということであれば、ちょっとこれは大変、どうしようかなと思います。
  それから、今もいろいろな企業とか団体の方で、小学校の方に出前授業やりますとか、こういうプログラミング授業はどうですかとか、いろいろな提案があります。そういう選択肢の一つとして、それを各学校判断とか、又は子供の資質・能力に応じて、こういうことを取り組んでいきたいということであれば、すぐにでも進めてよいと思います。それにしても、学校現場がどこを担うのかとか、又は、ほかの地域なり企業なり団体なりがどのような形で参入するのか、具体的にそういうところが見えてこないと、なかなか意見が言いづらいなと考えました。個人の意見としては、今後ますます必要になってくることであろうし、これからの時代、子供たちがゲームの方面ばかりたけていくよりは、こういう方面でどんどんたけていってほしいなと思っているものですから、良い方向ではあると思っています。
  ただ、生重委員のお話も伺っていて、私、ICTについて、独自に前任校で研究発表等を行ったのですが、まずICTが、より効率的な授業のため、より創造的な授業のため、それから子供の表現力の一つのアイテムとしての可能性と、また、校務改善のために整備されることが前提であると思います。しかし、そういうようなところでの整備すら、今、杉並の話を聞いていいなあと思ったんですけれども、そこまでも行っていない状況の地域も多い現状です。ニーズがあって要望を出しても、そういうような今言った基本的なICT活用の意味での整備もない中、これが提示されても、夢の世界だと思う自治体もあれば、これを取り入れようと思う自治体もあるだろうし、様々な条件整備の格差が広がってしまうというのが現実だなと思いました。
  以上、2点です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  では続きまして長谷川委員、お願いいたします。
【長谷川委員】    これからの情報化、グローバル化の時代の流れを考えたときに、プログラミング教育というものも一つ必要なのかなとは考えております。今、小さい子供たち、本当に生まれて2歳か3歳ぐらいの子供たちがスマホを使っている様子とか、ああいうのを見ると、本当に小さいときから子供たちはそういう環境の中にあるということを考えると、もう少しうまくこういうものを入れていく必要というのもあるのかなと感じております。
  小学校段階にどのように入れていくのかというところでは、中学校ではきちんと技術家庭の中に内容として位置付けられているというのがあるので、小学校で、じゃあプログラミング教育というのが、先ほどもありましたけれども、プログラミング的思考というものをうまく組み入れていくのかなと、ちょっと感じております。
  先ほど松川委員の方からもありましたように、それでなくても本当に小学校現場は、もうあれもこれもという状況で、授業時間をどうやって捻出するかという、そういう状況でありますので、教科等の中に入れていくといっても、それだけツールとして使ったとしても、時間は取られるであろうし、その教科で狙うものというものもあります。
  そういうところも考えると、小学校段階で何を求めて、これをどう使っていくのかというところを、もう少し小学校の発達段階を加味しながら、ツールの一つということ、それからあと、アナログ感覚の重視って先ほどもありましたけれども、その辺はよくよく考えて導入していく必要があるのかなと感じております。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  吉田委員、お願いいたします。
【吉田(裕)委員】    情報化社会だとか、あるいはグローバル社会だとかという社会の大きな変化に対応して、しかも子供たちの実際の姿からも見て、確かに今提案されているプログラミング教育というのは魅力的だし、必要性もあるように私も思います。特に2030年を見通してということであれば、正にそうした状況が、今は想像のレベルですけれども、もっと促進されてくるのではないかと思うと、なるほど、今、ここでそのことを見通しておくということが、一つ求められてくるんだろうと思います。
  そういう前提に立って、課題も幾つかあろうかと思うんですけれども、例えばこれを現実の学校に適用しようとしたときに、例えば新教科、あるいは新科目、そういったものを設置してこれに充てていくのか、あるいは、既設の教科、あるいは既設の科目、この中に位置付けていくのか、あるいは、一つの教科・科目という形じゃなくて、融合的な形で考えていくのかと。これはカリキュラムの中での位置付けだということになると思うんですけれども、そういう具体的なことが、直ちに課題として出てくるようにも思います。それから、今の科目で言えば、これまでも御発言の中に総合的な学習の時間だとか情報科だとか、あるいは、きょう資料として提示されたものですと、算数科のものなどがありました。こういったものなども勘案しながら、具体的に実現していくための方向を模索することはできるのかと。これが1点。
  それから、私ども、これは今、小学校部会ですので、全体的にプログラミング教育ということの必要性は理解できるんですけれども、ほかのある小学校で、これがどのように取り入れられていくことが望ましいのか。今も御発言がありましたけれども、私も、小学校6年間というのは結構幅がありますから、低学年、中学年、高学年でこれを実現していくときに、例えばどのような具体化が可能なのかということを思ったりしました。さっきの科目のことで言うならば、私、論理科ということが試みられた学校に、幾つかお邪魔したことがあります。そういったことも一つのイメージなのかなと思いながら伺っていました。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、樋口委員、無藤委員、順でお願いいたします。
【樋口委員】    お願いします。私、障害のある子供たちに対して、こういったICTが、まず非常に良い支援をしているということを考えますと、身近にあるもののどうやって動いているのか、原理・原則を知るということは、ある程度は必要だと思います。ですから、そういったことを知った子供たちの中から、更に役立つ様々な発想が生まれてくるという意味では、子供のときに簡単な原理・原則、考え方、論理性といったことに触れておくことというのは、非常に重要だろうと思います。
  それから、小学校の現場で教えることが非常に負担なんじゃないかという考え方については、確かにそのとおりだろうと思うんですけれども、今までの、教師が全てをマスターした上で教え込まなければいけない、知識・技能を伝えなければいけないと考えると、これは本当に現在の課題だけでいっぱいいっぱいだと思うんですけれども、一歩だけ教師は先に予習しておく、で、子供たちとともに学ぶ、そういったことが本当に正にアクティブ・ラーニングといった学び方を想定するならば、現場にそれほど負担感なく、一緒に学んでいこうと。
  少なくともこの先何年間生きるかということを考えると、子供たちにとってより重要な課題だと思いますので、大人にとってなじんでいないから難しいということではなく、子供にとっての必要性から、ともに育てていこう、学んでいこうということで考えたらどうかなと思っています。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございます。
  続きまして、無藤委員、お願いします。
【無藤教育課程部会長】    私、プログラミング教育の有識者会議の委員でもあるので、ここで発言していいか分かりませんけれども、これまで2回有識者会議があって、様々な意見が出る中で、小学校レベルでどうするかというときに、非常に大ざっぱに言えば、二つの立場があるんだろうと思います。
  一つは、プログラミング言語の子供用に向いたある種のものを取り入れて、何時間かでそれを訓練していろいろなところで使うというものだと思うんですが、もう一つは、それは早過ぎるので、そうではない形の、つまり特定の言語に依存しない形で、どちらかといえばプログラミング的な思考が分かる活動を用意しようというものだろうと思うんですね。
  私個人の意見としては、特定の言語というのは中学校以降に任せて、小学校では、プログラミング的思考というのは、英語ではコンピューテーショナルシンキングというそうですけれども、それは要するに、情報の流れで明示化し明確化していながら考える論理的思考といったものだと思いますけれども、それが明確になるようなものを各教科ごとにやっていくことなんだと思います。そのポイントは、幾つかの操作すべき記号、言語と、操作されるべき限定された現実というものの対応関係の中で考えるということだと思うんですね。
  ちょっと抽象的に言っていますけれども、具体例がさっきにありましたが、例えば作曲するという場合には、作曲するための音楽的な意味での記号というのが幾つかあって、それが表現される楽譜などの世界と、それから実際の電子的な演奏機器があるわけですけれども、という中で、自分たちが組んだ、ある種広い意味でのプログラミングが、音ととして表れてくるという関係を学ぶわけです。
  それから、ロボットを使うというのもある種の造形的表現だと思うんですけれども、そういうものを私は、各教科等のある種の単元の中の教材として十分活用できるものだと思うんですね。例えば音楽の場合には、作曲活動というのは現学習指導要領に入っておりますけれども、それがこういう形ではすごく易しい。それから、実際に動くおもちゃ作りというのは、生活科でこういうのをやるのは早いかもしれませんけれども、図工の造形活動では十分あり得ると思います。
  もう少しプログラミングらしくするのは、例えば算数で、文章題というんですか、応用題について、その論理的な構成を明らかにするために、ある種の思考ツールを使いながら既知の変数と未知の変数の関係を明確化するというのは、わざわざプログラミングといいませんけれども、コンピューテーショナルな考え方の典型だと思いますし、あるいは国語の中で物語文を理解するときに、登場人物が誰で、スタート時点はどこにいて、最終的なゴールはどこにあってという関係を図式化していくというのをもう少しフォーマルにすると、これもコンピューテーショナルな考え方だろうと思います。
  そういう意味で私は、現段階では、各教科ごとの教材あるいは単元開発の中でコンピューテーショナルな考え方というものを取り入れるという試みが、ふさわしいのではないか。もちろん2回の発表の中で、いろいろなNPOその他の方々の努力の中で、小学生といえども、かなり才能を発揮している子供たちがいることは確かですが、それはむしろ課外活動その他で任せても十分できることではないかと、そんな印象を持ちました。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。以上をもちまして一つ目の議題については終わりにさせていただきたいと思いますけれども、私は、先ほども御発言ありましたように、基本的にデジタルとアナログは二者択一にするんじゃなくて、共存あるいはそれを統合的に捉えたり、そういう空間を作り出していくということが、2030年に向けた一つの私は方向ではないかと、そういうふうに個人的には思っております。
  この件については、今、無藤委員もありまして、私は新教科うんぬんというか、むしろ、各教科の単元レベルでの見直しとか、あるいは新たなる開発とか、そういうこと等もあるかと思いますし、例えば先だって、ここで英語のそれなんかについても、英語というのもこの話に無関係ではないはずなので、ですからそういう意味では、英語という立場からすれば、これについてどう向き合っていくのかということが早速もう問われているようなところなんじゃないかと思うわけですけれども、教育課程全体、改めて小学校教育全体の中でという、既に委員の方からの御意見、私も賛成であります。
  そういう点では、資料1のいわゆる取りまとめに向けたイメージという五つの柱であるとすると、この五つの柱は、どちらかというと非常に大変、当然といえば当然なんですが、総論的なトーンであるんですけれども、ここで出てきた意見の少なからずのところが、よりもっと具体のところでどう整合していくのか。例えば低・中・高のどこから始めるのかとか、あるいは、現在の時間の中の割合の中で満杯ではないかと。ついてはこれについてどう向かい合うのかという、そういうことについて、現場の立場からすれば知りたいところでも当然あるわけで、それについてどう、この取りまとめのイメージは向き合っていくのかどうなのかという辺りのところの総論と、それから極めて現場のところに下ろしたときの具体のところのすり合わせを、ここでうまく整えていただくということが、この取りまとめについてのテーマということになるんじゃないかなと思います。
  続きまして、二つ目の議題ということに入らせていただきます。小学校学習指導要領総則の改善イメージについてということで、お願いしたいと思います。まずは事務局より説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    一つ目の議題について、ありがとうございました。有識者会議の方に、本日頂いた意見をしっかりとお伝えさせていただきたいと思います。
  また、資料の7の4ページ目、5ページ目に、先ほど天笠先生からも御紹介いただいた取りまとめのイメージがございます。これからの情報化が何をもたらすのか、そして、これから求められる資質・能力という中で、プログラミング教育はどのようなことを目指していくのか、御指摘も頂きました発達の段階ということに即してどう考えていくのか。そして5ページ目の上の部分で、具体的な在り方、教科との関係性、それから子供の実情、あるいはICT環境は様々でございますので、そうした小学校の実情を踏まえた柔軟な在り方、あるいは学校外の機会とのつながりを作るということで、興味のある子はそちらでしっかりとできるような体制作り。
  それから5ポツには、ICT環境、教材含め、書いてございますけれども、ICT環境につきましては、全ての学校に、これはプログラミング教育のみならず、今回の情報活用能力を目指す次期学習指導要領の実現ということで、最低限必要な環境は何なのかということをしっかりと明記していくことで、各自治体の整備を促していくということも併せてやっていく必要があるということでございます。また、教材につきましては、特別な長時間の研修が必要ということではなく、その教材の在り方が、使いやすいということ、教えやすさということにもしっかりつながっていくようなもの、こうしたことをしっかりと盛り込んでいただく方向で、今後、取りまとめに向けて御議論を重ねていただくということであろうかと思います。
  失礼いたしました、それでは二つ目の議題でございます。資料の2と資料の3を御覧いただければと思います。総則のイメージということでございまして、これまでも何度か総則のたたき台については御覧を頂いておりますけれども、先日の企画特別部会におきまして、この総則の構造のイメージということが、今後のカリキュラム・マネジメントの在り方ということとしっかりとつながっているということが重要ではないかということの御指摘を頂いたところでございます。そうしたことを踏まえまして、カリキュラム・マネジメントのイメージということと総則の構造ということがつながるように、再度少し資料を整理させていただいたものでございまして、御議論を賜れればと存じます。
  まず、資料の2でございます。学習指導要領改訂の方向性ということでございまして、これは既に何度か、何を学ぶか、どのように学ぶか、何ができるようになるかということで、論点整理の方向性でございますけれども、何を学ぶかという内容面の見直し、そしてそれをどのように学ぶか、そしてどういった力として身に付けていくかということでございます。こうした何ができるようになるかということを目指して、何を学ぶか、どのように学ぶかということを、各学校がしっかりと組み立てていくことができるようにするということがカリキュラム・マネジメントではないかということでございまして、少しかみ砕きますと、その2枚目のようなイメージになるのではないかということでございます。
  何ができるようになるかということの目標、資質・能力の在り方を各学校で考えていただき、それを基に何を学ぶかの構成、そしてそれをどのように学ぶかという事業への具体化、そしてその成果として何が身に付いたかという学習評価、そしてこういったカリキュラム・マネジメント全体を支える、実施するために何が必要かというところが下の部分に来るということ、そして、この全体を通じて個々の子供の発達をどのように支援するかということを考えていくということであろうかと思います。今後の総則の構造というものは、これの一つ一つが分かりやすく、学校のカリキュラム・マネジメントに役立つという構造を考えていくべきではないかということの御指摘を頂いたところでございます。
  それを踏まえまして、資料の3でございます。資料の3を見ていただきますと、1枚目は現状の総則の構造でございます。各教科等の教科内容を実現するに当たり、共通に必要となる留意事項を整理させていただいているというのが現状の総則の主な構造であろうかと思いますけれども、これを先ほどの構造、カリキュラム・マネジメントのイメージに沿って見直すイメージが2枚目でございます。
  これは既に何度か御覧を頂いているものを少し修正を図ったものでございますけれども、前文の部分において今後の教育課程が目指す方向性ということを示しながら、第1の部分で、何ができるようになるかという教育の目標ということ、あるいは資質・能力の在り方ということを示していくということ、そしてそれを各学校がしっかりと学校教育目標として位置付けながら、教育課程の編成実施等を行っていけるようにするということを、第1に掲げさせていただいております。関係法令との関係、生きる力との関係、今回御整理いただいている資質・能力というもの、それから、それ全体を視野に入れたカリキュラム・マネジメントの実現ということでございます。
  そして二つ目が、それを基に何を学ぶかということの構成をしていくという、教育課程の編成ということでございます。学校教育目標に基づいた教育課程の編成ということ、あるいは編成における共通的事項、学校段階間の接続や横断的な関係性、調和の取れた全体の指導計画ということでございます。
  第3が、どのように学ぶかという教育課程の実施についてということ、そして学習評価の充実ということでございます。それから第4が個々の児童の発達を踏まえた指導ということでございまして、個々の児童の発達の支援ということを、キャリア教育でありますとか、生活指導、進路指導、個に応じた学習などということ、それから特別な配慮を必要とする児童への指導ということでございます。それから実施するために何が必要かという視点で、学級経営の重要性や校内研修体制、家庭・地域との連携・協働ということでございます。
  冒頭、小学校教育の基本ということになってございますけれども、これにつきましては、しっかりとこの中で、小学校教育の目標のみならず、幼・小・中・高を通じて育成すべき資質・能力との関係性の中でそれを捉えるようにということで、第1の3の部分は、そのようなことが必要ではないかということも付け加えさせていただいているところでございます。本日は、こうした構造の方向性について、是非御議論を頂ければと思います。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。今の御説明に基づきまして、委員の皆さんから御意見をお願いできればと思います。さっきの1件目と同じような進め方をさせていただきたいと思いますので、どこからでもお気付きの点ありましたら、よろしくお願いいたします。
  渡瀬委員、お願いいたします。
【渡瀬委員】    お願いいたします。3番の小学校教育を通じて育成すべき資質・能力のところに、初等中等教育、幼・小・中・高を通じて育成すべき資質・能力との関係ということが明記されていることは、とてもいいことだなと思います。
  ここの中で、どの程度、幼・小・中・高全体で育てるべき資質・能力について述べられるかということがよく分からないので、それがここに入るべきなのか、それとも解説書の中に入るべきなのかということを、今後考えていく必要があると思いますが、例えば先ほどのプログラミングのところで話題になりましたが、私は今回、教科横断的に育てるべき資質・能力、例えば思考力なら思考力についての、幼稚園・保育園の段階から高校3年生までの段階、それぞれの学年、それぞれの年齢で育てるべきというものを、ある程度具体的にしていく必要があると思います。思考力のCAN-DOリストではないですけれども、それぞれの段階で育てるべき思考の種類、また、その指導目標のようなものが明確になっていく必要があるなと思います。それが今の3番の中でそこまで述べられるかどうかというのは分かりませんけれども、もしここで無理だったら、解説書の中でそういうことを述べておく必要があるかなと。それが、今まで話し合われてきた学習指導要領の縦の構造と横の構造の中の、教科横断的に横に見たときに育てるべき資質・能力というのを明確にさせることができると思います。
  これが明確になっていると、例えばじゃあこの思考力を育てるためには、この学年のこの教科のこの単元ではこのような活動をすればよいとか、そのときにはこのようなシンキングツールを使えばいいとか、そのときにはこういうプログラミングの活動を入れるとよいということが、その次に出てくるかなと思いますので、幼・小・中・高で育てるべき資質・能力を、いかにどこの場面でどう明確にするかということが、とても大事なことだと思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  寺本委員、お願いいたします。
【寺本委員】    お願いします。第5のところと第6のところで、家庭・地域との連携・協働ということが明記をされてきたんですが、ここの中で、どこまで具体的に、今までとは違った協働ということが表現されるのかというところ。また、ここ以外ででもまた表現をされたりとか、具体的なこういった事例が想定されるとかいうことを入れていただくことが、またあるのかないのか分からないんですが、その新しく出てきた部分を分かりやすく表現を頂くと、これは実際に地域の方々が目にされても、理解が早く進むのではないかなと思います。以上です。
【天笠主査】    ほかにいかがでしょうか。
  大橋委員、お願いいたします。
【大橋委員】    今回、これを見ますと、アクティブ・ラーニングという文言は全然入っていないわけなんですけれども、第3の教育課程の実施と学習評価、どのように学ぶか、何が身に付いたかというところで、主体的・対話的で深い学びを通じてという文言がありますので、この部分だろうと思います。
  主体的で対話的だけではいけないわけで、深い学びが非常に大切になってきます。この深い学びというのは、具体的にどういうことなのか。恐らくその教科等に特有の見方あるいは考え方、そういうものが身に付くということが非常に大切だと思いますので、そこを明確にした表現の仕方が必要かなと思います。
  以上です。
【天笠主査】    清水委員、お願いいたします。
【清水委員】    よろしくお願いします。私も今、大橋委員からの御指摘のことに関心がございまして、これから後、御説明があるかもしれませんが、資料5、きょう配布されているもので、主体的・対話的で深い学びの実現の視点からの授業改善についての1枚目と2枚目がございます。この内容につきましては、私が所属させていただいている算数・数学のワーキングにおいても、かなり関心をお持ちの方が大勢いらっしゃいまして、1枚目の、新たな枠組みに関して教科の独自性を反映するべく整理をしたり、それから2枚目の、三つの柱との関わりで学びがどのように高まっていくかというイメージ図、まだこれは仮のものとお伺いしておりますけれども、これらについては、今お話がありましたように、第3のところで、もう少し目立つようにしっかりと入れていく必要があるのではないかということを思いました。
  なので、(1)ですと内容の具体化になっていますけれども、主体的・対話的で深い学びの実現という項目があってしかるべきかなと。そのために内容の具体化とか、あるいはいろいろな留意事項とか、それに伴う評価ということがくっついてくるように思いますので、是非ここは目立つようにしていただけないかということがお願いであります。
  前回、いろいろ構造については意見を述べさせていただきましたけれども、構造的にはよく分かるように整理されていると思いますので、今の点だけは是非御配慮を頂きたいと思います。以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。ほかの委員の方、いかがでしょうか。
  それでは樋口委員、お願いいたします。
【樋口委員】    お願いします。資料3の2枚目の第4の、個々の児童の発達を踏まえた指導のところなんですけれども、個々の児童の発達の支援の1番の三つ目の黒ポツに、児童の実態に応じとあるんですけれども、発達の状態が非常に個人差があるということを考えますと、障害のある児童は、発達、確かに様々な面で遅れるんですけれども、障害のないとされる児童たちの中にもかなり個人差があるということを考えますと、そういった1年生なら1年生の内容が全部できるかというと、そういうことではない。感覚的に言うと、大体できるのは7割ぐらいかなという感じがしているんです。
  かなり昔、文部科学省が学校に関する意識調査をしたときに、学校の勉強がよく分かると答えた子供さんの割合が小学校で7割という、非常にショッキングな調査があったわけですけれども、その分かる7割の中には分かり過ぎて退屈という子供たちもいるということを考えますと、こういった、時々分からない、分からないことがあるといった子供たちに対して、もう少し柔軟な対応ができるような、つまり児童の発達の状態を適切に捉え、それに応じて学び直しというとちょっときついかもしれないんですけれども、ゆっくり学習ができるような何か対応をできるようにできると、今の多様性といったことを考えたときに、様々な理由で学習が遅れてくる子供たちに対して、もう少しペースダウンできるような対応ができると、本当に全ての子供たちを救える学習指導要領になるんじゃないかなということを常々思っております。
  どこに位置付けるかというと、特別な配慮を必要とする児童の中に、通常の学級に在籍する、障害はないんだけれども、まだ十分に発達し切れていない子供を救うための何らかの方策が入ってくるということが必要じゃないか、そう思っています。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは門田委員、その後、中島委員で。まず門田委員からお願いします。
【門田委員】    失礼します。前回も言わせていただいたのかもしれないんですが、第1、小学校教育の基本の2の健やかな体のところに、多分、安全に関する指導や食に関する指導のことが現行の方でも書かれているかと思うので、具体に明記をしていただけるとお伝えしたかと思うんですが、併せて第5の学習活動の充実のための基盤というところに、安心・安全な学校づくりには地域の力、保護者の力が欠かせないものかと思いますので、高齢者などとの交流の機会という言葉も入ってございますので、ここで子供たちの安全・安心を守るための活動のような内容で、地域とそういった協力がより深まるような言葉を入れておく必要があるのかなと感じております。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  中島委員、お願いいたします。
【中島主査代理】    特別な配慮を必要とするというところで、個々の障害の状態や学習上、ここはよく分かるんですが、私、子供たちの、できるだけ早く発見して早く支援することが大事かなと思っていますと、結局、学校段階の接続の幼・小の円滑な接続というのが教育課程の編成にあるわけですけれども、そういう意味で、今、圧倒的に私立の幼稚園なり保育所、たくさんありまして、公立の場合は非常に少ないと。そうなってくると、公立と教育委員会というのは、公立ですからこうしてちょうだいよとやりやすいんですが、私立についてはなかなか手が入りにくい。これをどうするかが喫緊の課題だろうと。
  私立保育園、私立幼稚園の子供たちを、できるだけ早く、いろいろな面で特に障害があるだろうと思われる子供たちについて、どうやって早期発見するか、そういうことも含めたところの特別な配慮というところで、保・幼との接続というところをどこかに書いたらどうかなという思いがあります。
  以上です。
【天笠主査】    それでは続きまして、吉田委員、お願いいたします。
【吉田(裕)委員】    幾つかあるんですけれども、3点ぐらいになるかも分かりません。この全体を見せていただいたときに、構造的な観点から見てみますと、先ほど御説明ありましたけれども、何ができるようになるか、何を学ぶか、それからどのように学ぶか、この辺りは、いわゆる教育の構造で言うならば、目標・内容・方法になりますね。その後で、私たち、今の教育の構造ということで言うならば、目標・内容・方法、その次に評価というのが来るんですけれども、この表は正にその流れに沿って作られていると思いますが、第3のところで教育課程の実施と学習評価とあって、ここは一緒になっていて、第3の2のところの学習評価の充実、これはここの第3の中に含めるのがいいのか、あるいは構造を明確にするという意味において、この学習評価は別立てする方がいいのかという、そういう構造上の問題、課題であります。
  そうすると、さっきの資料の5との関係にもなりますけれども、大きくは、何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶかで、実際にその内容を使って授業が展開して、その後、目標が達成できたかどうかというのを見取るのが評価ですから、そうすると、今、資料の5では、何ができるようになるかというのと何が身に付いたかというのが同じところに書かれていて、それは確かにそうなんだけれども、何が身に付いて何が身に付かなかったかという、それが評価だろうと思うんですね。だからその辺のところをどのように明確に示していくのかという、構造上の問題が一つあるかなと思いました。
  それから二つ目は、この同じ表の中で、第2、教育課程の編成の3であります。赤で書かれているところ。私はこれ、前回とそう中身的に変わっているわけじゃないんですけれども、良くなったと思うんです。つまりどういうことかというと、4番目に横断的に育成すべきとありますよね。横断的ということになれば、教育課程の編成ですから、縦断的と考えていっていいわけで、そうすると、幼・小、あるいは小・中、更には中・高だとかというようにして、そういう縦のライン、横のライン、教科間というのが考えられるとするならば、縦のラインという形で考えられますよということであれば、非常に明確になっていく。学校段階間の接続という形、具体的に出ていますけれども、4番目の横断的にという文言を生かすながら、縦断的にという。要するに、左右上下、ちゃんと全体を見通していますよという、前回もちょっと話題になったようですけれども、個々のものが分かるだけじゃなくて、全体の構造としてどのようなことなのかということが明確に分かるようにという、その指摘は大変大事だったんじゃないかと思います。
  もう一つ、一番最後に別表、各教科等の見方・考え方というのは、これはリストのようですけれども、これ、ここに載せるのがいいのか、リストとして付録の形で載せるのがいいのか、さっきの第2の教育課程の編成のところの5に調和の取れた全体の指導計画というのがあって、各教科との連携というのがありますね。各教科を連携していくときに、それぞれの教科でどのような見方・考え方というのが教科独自のものとしてあり、教科独自のものとしてあるけれども全体の中にどのように位置付いていくのかということが分かると、表として見るだけじゃなくて、本当に教育課程の編成の中に、意欲的あるいは合理的に位置付いていくということかなと思いました。
  3点です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。この件についてはそろそろここまでとさせていただきたいと思いますけれども、なお、まだ委員の方で、もし御意見がありましたらお願いできればと思うんですけれども。
  それでは吉田委員、それから松川委員の順にお願いいたします。
【吉田(研)委員】    小学校教育の基本総則の第1の4のところの資質・能力育成のためのカリキュラム・マネジメントの実現の中に、教科横断の話であるとか、一つの大きな枠の中で各教科を連動させていくという、そういう発想が出ていると思うんですけれども、今、私、隣の吉田委員もおっしゃっていたことですが、各教科の目標というものと、それから横断的な目標というものが、どのように関連付けていくのか。小学校の場合ですと、本当に教科担任ではありませんので、学級担任ですから、そうすると、ほとんどの科目は一人の先生が教えていくわけですよね。そのときに、どういう形で各教科の目標というものと全体の目標を関連付けていくのかということが、大きな問題になるのかなという気がするんですね。
  中学校以上になってくると教科担任ですから、逆に今度は教科間での話合いができるかどうかというのが大きな問題になってくると思うんですけれども、その辺、文言としては書いてあるのでいいんですけれども、それが具体的にどのようになっていくのかというのが、これも解説の方になるのかもしれませんが、その辺がより明確に見えるように、あるいはその辺をもう少し強調するというんですか、その辺をもう少しきちん整える必要があるのかなと思います。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  松川委員、お願いいたします。
【松川委員】    今回の指導要領の一つのキーフレーズというか、キーコンセプトが、社会に開かれた教育課程という文言なわけですよね。それについては前文でいろいろ書かれると思うんですけれども、その場合のこのフレーズの中で、社会というのをどういうレベルで捉えるのかということと、それから、開くということは具体的にどういうことなのかということを、それぞれの各学校が学校レベルで考えたときに、具体的にはどのように捉えるのかということが、なかなか現場の先生方は難しいところだと思うんですね。
  社会というのは、グローバルな世界というような広いこともあれば、全く地域社会ということもあるわけですし、いろいろな観点があると思うんですけれども、それが前文で適切に記述されると思いますけれども、そのことが、個々の学校で教育課程を編成するときに、今までと違って社会に開かれたというのは、結局、今までの学校が非常にある意味では閉ざされた社会だったという批判に、ある意味で応える意味でこういうことになっているわけですので、それじゃあ具体的に社会に開かれたというのは、学校レベルで考えたときに、今までとどう違うのかというのが分かるようなイメージで記述される必要があると思うんですね。
  そのことに関して、いろいろなところで出てくると思うんですけれども、先ほど寺本委員の御発言にあったように、一番、第5のところで、ここでは簡単に見出しだけで、家庭・地域との連携・協働という、協働というのが赤字で新しいタームとして出ているわけですけれども、これは具体的にどういうことかと。例えば小学校で考えてみると、地域との協働というのは、今まででも地域人材の活用とか、それから土曜日だとかそういうときに地域の行事に出ていくだとか、地域の公民館活動に参加するとか、いろいろなことをやっているわけですよね。だからそういうレベルは既にやられていることなんだけれども、それを超えて協働というこういう字を使う限りにおいては、今までのものとどこが違うのかということの具体的なことがもう少し分かるようなものが、必ずしも総則には書かれなくて、解説書に書かれるのかもしれませんけれども、それは家庭との連携・協働についても、教育課程を中核にして連携・協働するということは、具体的に何をすることなのかというのが分かるような記述が必要だなと思いました。
  大変すばらしいキーコンセプトが出ていますので、それに対応して具体的に何をしたらいいのかという、何をすべきかということがもう少しイメージできるような記述があればいいなと思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。二つ目の件についてはここまでとさせていただきたいと思いますけれども、事務局の方では、今のそれぞれの委員の方からの御発言等々で、何か御意見等々というか、事務方の方としてコメント等々ありましたら、お願いできればと思います。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございます。それぞれの項目について適切に反映させつつ、御指摘いただいたとおり、本体部分ではなくて解説レベルの部分もあるかと思いますので、そういったところも少し視野に入れながら整理をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【天笠主査】    それでは三つ目の、総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会の取りまとめに向けた論点案について、御審議をお願いしたいと思います。
  まずは事務局より説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは資料の4を中心に御議論いただきますが、資料の5と資料の6も、少し御参考までに再度御紹介をさせていただきます。
  既に議論の中で触れていただきましたが、資料の5の方は、アクティブ・ラーニングの視点、主体的・対話的で深い学びの具体的な説明ぶりでございます。論点整理におきましては、1枚目の上の半分にございますような説明ぶりでございました。その後の各教科ワーキング等の御議論、あるいは総則・評価部会における御議論を踏まえまして、再度、ピンク囲みの中のように整理をさせていただいております。まだまだ、特に深い学びの表現ぶりにつきましては、どのような表現が一番伝わりやすく分かりやすいかということは工夫させていただいている最中ですので、そういった作業の最中ではございますけれども、現時点の最新の整理ということでございます。
  表現ぶりが一番新しいのが2枚目の方になりますので、2枚目を御覧いただければと思いますけれども、この図自体は、矢印が左から右へと伸びておりますのが学習過程の質的改善ということで、子供たちの主体的・対話的で深い学びの実現ということでございます。その主体的・対話的で深い学びの中で、知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力・人間性が一体となって使われていくということの中で、よりそれが強く育成されていき、右側にあるような、生きて働く知識・技能でありますとか、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力、そして自分の人生や社会の在り方につながる学びに向かう力・人間性となっていく、こうした資質・能力として育んでいくことを目指すために、今回、主体的・対話的で深い学びを実現していこうということでございます。
  それぞれの説明でございますけれども、深い学びにつきましては、先ほども御指摘いただきましたように、各教科で見方・考え方ということが整理されたことを踏まえまして、その内容を入れて再整理をさせていただいております。また、対話的な学びにつきましては、少し論点整理の説明をかみ砕きまして、子供同士の協働、地域の人や教員との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えることなどということで、表現ぶりをかみ砕いております。また、主体的な学びにつきましては、キャリア教育という観点からは、自分の学びとキャリア形成の方向性を主体的につなげていくということが大事だろうということで、その要素を入れ込ませていただいているところでございます。
  こうしたことを、教科を越えた、ある意味、合言葉としながら授業改善を活性化していただくということが、今回のこうしたアクティブ・ラーニングということの意味、子供たちの主体的・対話的で深い学びを実現することの意義であろうかということの再整理でございます。
  また、各教科、あるいは家庭・地域との関係でございますけれども、資料の6でございます。先ほどカリキュラム・マネジメントのイメージで御覧いただきましたように、各学校が、子供たちが何ができるようになるか、そしてそのために何を学ぶかということを組み立てていくということでございますけれども、その中で、特に総合的な学習の時間や特別活動の意義について、再整理をされたことを踏まえた関係性の整理でございます。
  資料の6でございますけれども、各教科で見方や考え方を働かせながら資質・能力は育成されていくということ。そして総合的な学習の時間や特別活動におきましては、そうした各教科の見方・考え方を総合的に活用していくということ、そして資質・能力を育む。そして特に総合的な学習の時間におきましては、各学校が資質・能力を設定するということになってございますので、これが学校教育目標と直結していくということであるということ。また、特別活動におきましては、学校生活全体、あるいは学習の基盤づくりということ、学級活動ということを中心として、そして現在、特別活動のワーキングにおきましては、キャリアパスポートなりキャリアカルテということが議論されておりまして、特別活動、ホームルームの時間などを使いまして、学校における学びと自分のキャリアの方向性ということをどう結び付けていくかという振り返りを行うというような、そのためのキャリアカルテの整備などを行ってはどうかという議論も頂いているところでございます。
  また、特別の教科、道徳ということは、各教科の人間性の育成ということの基盤となるというようなつながり、こういったことを少し示させていただいているということ。また、右側に家庭・地域等という緑色の部分がございますけれども、その連携・協働の中で、学校教育目標や育成すべき資質・能力を家庭・地域等とも共有、コミュニティ・スクールにおきましては、むしろ一緒に作り上げていくということかと存じますけれども、こういったことが重要であるということ。また、教育課程の実施に当たり、連携・協働していく。又は、下にございますように、課程外の教育、学校教育以外の多様な教育活動のつながり、こうしたことを教育課程とのつながりの中で意識していくということが重要ではないかということを、少し整理をさせていただいたのが資料の6でございます。
  こうしたことを踏まえながら、全体の取りまとめということでございますけれども、資料の4にお戻りいただけますでしょうか。資料の4でございますけれども、総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会における取りまとめに向けた論点ということにさせていただいております。これは、現在御議論いただいております状況を踏まえますと、各部会共通に、社会に開かれた教育課程、あるいはカリキュラム・マネジメントということの重要性ということがクローズアップされているということ、また、そこの中での総則の在り方が重要であるという御議論、これはかなり共通しておりますので、これは各部会の御意見を全て反映させた形で、共通の取りまとめという形で取りまとめさせていただいてはどうかという御提案でございます。本日は、それに関しても御議論いただければと思います。
  そして1ポツの部分は、社会に開かれた教育課程の実現と、それをいかに具体化していくかという中で、総則を軸とした教育課程の総体的構造、これは論点整理の言葉でございますけれども、総体的構造を可視化していくということが重要であるということ。そして2ポツは、学校教育の改善・充実の好循環ということを、カリキュラム・マネジメントを通じて実現していくということが重要ではないかということ。その中で、先ほどの、何ができるようになるか、何を学ぶか以下のカリキュラム・マネジメントのそれぞれの要素でございますけれども、これを踏まえながら学校教育の改善・充実を図っていくということを、教育課程を軸として行っていくということが重要ではないかということ。そして、特にそういった中では総則の役割が重要ではないかということ。総則の構造、先ほど御覧いただいたような構造としていくことが重要ではないかということ。また、カリキュラム・マネジメント、ともすると管理職の役割ではないかという捉え方もございますので、リーダーシップの下ではございますけれども、全ての教職員が意識して行っていくということを、改めて明確にしていくべきではないかということでございます。
  そして3ポツ以下は、先ほどの何ができるようになるか、何を学ぶかという項目に沿って整理をさせていただいております。何ができるようになるか、教育目標と育成すべき資質・能力の明確化ということ。指導要領を踏まえ、各学校がしっかりとこういったことを行っていくことの重要性。また、資質・能力については、生きて働く知識・技能、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力、人生や社会に生きる学びに向かう力・人間性として育んでいくということ。そして既に御紹介させていただいておりますけれども、知識というものは、こうした生きて働く知識、概念的な知識ということで整理をさせていただきましたが、こうしたことの重要性。個々の何か物事を事実的に知っているということを超えて、生きて働く知識にするためにはどうしたらいいのか、そこでのアクティブ・ラーニングの重要性ということでございます。
  また、幼・小・中・高でございますけれども、幼児教育部会は別途ございますので、小・中・高それぞれの学校段階で育む資質・能力の全体像、先ほど思考力の明確化ということも御意見いただきましたが、そういうことも含めて、三つの柱に沿った整理とつながりということ。それから2ページ目でございますけれども、資質・能力の三つの柱、それぞれ各教科含めて明確化していただいておりますけれども、ばらばらではなく相互に関係し合うものであることということや、見方・考え方、今回、恐らく授業改善の今後のキーワードになってくる可能性がございますので、こうした見方・考え方との関係性について、分かりやすく示していくことが重要ではないかということでございます。
  それから、何を学ぶかということ、各学校における教育課程の編成に資するよう、留意事項を分かりやすく整理していくということ。また、教科横断的に育む資質・能力、情報活用能力など含めて様々ございますが、これが各学校で実施しやすいように、分かりやすく整理していくということが重要ではないかということでございます。それから、どのように学ぶかということ、これは既にアクティブ・ラーニングの視点ということ、深い学びの特に重要性ということ、お諮りさせていただいておりますが、こうしたことを踏まえた整理。特に現行の言語活動や体験活動ということが極めて重要な役割を果たしますので、主体的・対話的で深い学びを実現するということと、そうした具体的な学習活動との関係性を分かりやすく整理していくということ。
  そして6番目は学習評価でございますけれども、これは既に御整理を頂いております「学習評価の改善に関する今後の検討の方向性」ということと併せて御議論いただいてはどうかということ。7番目は特別支援教育部会の整理でございますとか、現在、別途整理が進んでおります日本語指導に関する整理、あるいはキャリア教育、生徒指導等に関する観点などを、ここに整理してはどうかということ。また、実施するために何が必要かということで、昨年の中教審3答申も踏まえた、本日も御指摘いただいたような家庭・地域との連携・協働等について、馳プランなどを中心に整理してはどうかということでございます。
  また、ここまでが共通事項でございますけれども、特に小学校部会、先んじて中間まとめもしていただきましたように、学校種別の諸課題ということもございますので、ここからは小学校、中学校、高等学校ということで、それぞれ整理してはどうかということ。小学校につきましては特に中間まとめでおまとめいただいた内容を中心に整理してはどうかということの御提案でございますので、たたき台を踏まえて、本日、御議論を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
【天笠主査】    それでは、どこからでも結構ですので、今の御説明に対して御意見をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
  1点、お尋ねしますけれども、この資料4の取りまとめに向けた論点のスケジュール感というんでしょうか、およそどんな間合いでこれがまとめられていくのかどうなのか、今の段階でおよそ描いていることについて、ちょっと御説明加えていただけますでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。今後重要な節目は、審議まとめ、それから最終的な答申ということになろうかと思います。審議まとめにつきましては、この夏をめどにということでございますので、大分暑くなってまいりましたので、そういう意味では審議まとめの前段階の重要なまとめとなるものでございますので、6月中から7月頭にかけてしっかりとおまとめいただきながら、同時並行で、企画特別部会、教育課程部会における、これも踏まえた各教科も含めた全体的な取りまとめも行わせていただくということかと思います。
【天笠主査】    大体、今、御説明いただいたような、そういうスケジュール感で、その中で、この位置付けというんでしょうか、ということも視野に収めていただきながら、御質問、御意見等々いただけると有り難いかと思いますので、よろしくお願いいたします。
  樋口委員、お願いいたします。
【樋口委員】    1点だけお願いします。最後のページ、資料4の3ページ目にあります高等学校の課題に、義務教育段階での学習内容の確実な定着とあるんですけれども、むしろ義務教育段階の大きな課題なのではないかと考えます。高等学校というのは義務教育段階での学習を基盤として教育が展開されるということですから、むしろ中学校までに義務教育段階での学習内容をいかに確実に定着できるようにするのかということが、小学校・中学校での大きな課題として位置付けるべきではないかと思いました。以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございます。言うまでもないことですけれども、きょうのこの部会は小学校部会です。小学校部会としてとなった場合には、この2ページから3ページにかけて、ここで記される(1)小学校、項目が幾つか挙がっていますけれども、お気付きの点、こういう観点からもここのところについては記述図った方がよろしいんじゃないかとか等々、あるいは先ほど来の御意見等々も、この辺りのところに位置付けられるものもそれぞれあったのではないかと理解しておりますけれども、そういう観点からのまた御発言も頂けると有り難いかと思いますので、よろしくお願いいたします。
  吉田委員、お願いいたします。
【吉田(研)委員】    先ほども教科横断の話と各教科ごとの目標という話ししましたけれども、教科書編纂とかそういうことをやっているとよく分かるのは、それぞれの科目の教科書をばらばらに作っていますよね。ですから、たとえ小学校の教科書であっても、それぞれ教科によって違う編集委員会があって、ばらばらにやっていくわけですから、それぞれの教科の中の目標を定めて、それをアクティブ・ラーニングでどう教えていくかというのはできるかもしれませんが、教科横断的なところとなってきたときに、その共通点を、ここにいろいろなことが書いてありますけれども、それをどういう形で実現させていくのかなという。中・高はもっと難しいと思いますけれども、小学校でも、その辺、すごく難しいのかなと。
  例えば渡瀬先生なんかやっておられるIBなんかの場合、テーマ別シラバスでやるとか、そういう一つのテーマがあって、それをいろいろな教科から違った視点で見ていくような教科書作りであれば、教科横断型というのも非常によく分かるんですけれども、それが果たして実現できるのかどうかというのは分かりませんし、それがない段階でやるというのは、またかなり苦労するのかな、相当大変かなという気がするので、そういうことというのはどのように取り扱えばいいのか分かりませんけれども、ちょっと気になる点です。
【天笠主査】    何というんですか、本来的には各学校に各教科の指導計画が整えられていて、基本的にはその下でという、それが非常に教科書と類似しているというか、重ね合わせるような形になっているわけですけれども、今のような視点からするならば、全ての教科書を一社でというのは現実的にはあり得ない、いろいろな会社のをそれぞれ使っているわけですので、そうすると、当然そこら辺のところの整合性とか調整というのが本来的には必要になってくるはずですけれども、それが本来的には指導計画がということなんですけれども、そこまで実態としてはなかなか行き切れなくてというところで、それぞれの教科書の指導計画をそこに置いてあるというところで、課題辺りは、そこら辺のところをどう今、委員の御指摘されたような教科の目標等々から整合していくのか、調整していくのかなんていうことも、また一つのテーマとしてあるという、そのように今、御発言を私は受け止めさせていただきました。どうもありがとうございました。ほかにお気付きの点等々ありましたら、お願いします。
  それでは福田委員、渡瀬委員の順にお願いいたします。
【福田委員】    先ほどの総則についてのところで申し上げた方がよかったのかもしれないんですけれども、この取りまとめとか総則とか出来上がったときのことを考えると、いかに一人一人の教員が手に取ってそこを熟読するかということが、すごく重要な気がします。現実見ていると、先生たち、実際に教科を指導するときに、解説はよく開くんですけれども、総則って何かぴちっとしたまま棚にあるみたいなイメージがあって、ただ、今回の改訂は、総則をまずしっかりと理解しないと、なかなかその趣旨が生きて働かないところがあるように思います。
  そういう形式なのかもしれないんですけれども、こういう論点整理とか総則って、大体文章で説明されていて、きちんと読み込んでいけば、ああ、なるほどと思うんですけれども、私はよく、こうやってまとめて表とか図とかいろいろなものにしていただくと、文章と併せてすごく入ってくるという人間なんです。ですから、校長がきちんと勉強会でもすればいいんでしょうけれども、短い時間の中で取りやすく受け止めやすい工夫、表とか図とか、それから段階が分かるようなものとか、系統性が見えるものとか、そういうものを、今回、より多く取り入れていただけると有り難いなと思いました。
【天笠主査】    渡瀬委員、お願いいたします。
【渡瀬委員】    お願いいたします。9ポツのところに関わります。それで先ほど、これは小学校部会だからということでしたが、小学校、中学校、高校、全てに関わりながら、どちらかというと中学・高校の問題ではありますが、中学校のところに教育活動全体の関係性(教育課程外の活動)ということがありますけれども、ここに含まれるかもしれませんが、クラブ活動の問題というのが、今度の学習指導要領を改訂して教育内容がいい方向に向かうときの一つの鍵になるかなと、私は考えます。
  今、これだけ新しいことをやろうとしたり、今後、評価の在り方を考えようとして、そこに時間が取られるようなことがある中で、今、特に中学校・高等学校の先生方の中で、クラブ活動に関わっている時間が非常に長いという現実があります。それで、教員の場合には余り労働という言葉ではくくれないという御意見もありますけれども、労働の時間で見るようなことも今後求められてきたときに、今のようなクラブ活動の在り方が今後もずっと続いていっていいのかどうかということ辺りは、ちょうど考え直す良い機会でありますので、あえてここにクラブ活動という文言を入れるとよいのではないかと思いました。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは清水委員、お願いいたします。
【清水委員】    どこにどのように書くのが適切かということは、また御検討いただきたいと思いますけれども、学校段階の間の接続ということで、幼児教育と小学校、それから小・中のところが、総則の骨組みとの関係でもここで話題になっておりますけれども、例えば算数・数学で言いますと、幼児教育との接続となると、一年生の1学期ぐらいまでの問題に、かなり深く関わってくるのです。それから小・中の接続というと、五、六年との関係。となると、小学校6年間は大変長い期間でありますので、一年の前のところと、二、三、四年の真ん中の部分と、五、六年ということで、三つ程度の大きなくくりの中で、3本柱を意識して、学びというのを子供たちのどういう発達特性なり特徴をもって学びを積み上げていくかと、そのようなことについての議論がしっかり整理をされて、それを踏まえて、接続の問題とか、それぞれの年齢レベルでの指導の重点ということが分かるようにしていく、あるいは、そのように配慮して物事を考えていくということを明確に示していただく必要があるのではないか。
  どちらかというと、私どもの期待がしっかり表に出ていますので、学び手の子供の特性ということについての配慮をしっかりとしていただくということをお願いしたいと思います。
【天笠主査】    樋口委員、お願いします。
【樋口委員】    今の清水委員の御意見に質問なんですけれども、算数の場合には小学校は学年別に内容が示されていますけれども、あれを例えば3段階に分けるという、そんなような意味合いも、今の御意見には含まれているんですか。
【天笠主査】    どうぞ。
【清水委員】    大ざっぱに言いますと、いろいろな概念を学びますけれども、3年まではそれぞれ個別の、対象概念と言っていますけれども、数なら数、量なら量についての学習を中心にやっていきます。4年、5年の辺りで、それらを更に深めるということで、関係についての概念、例えば、平行、垂直、合同などが導入されてきます。これは経験的なこともありますけれども、そういうことについての認識・認知が可能であるということを前提に編成されているわけです。
  ですから、その辺のところを明確にきちっとして学び手への配慮がないと、先生方が一方的に教える、伝えるということになってしまいますので、その辺のところに対する注意の喚起といいますか、先生方に対する、認識を改めて問うという意味合いでございます。
【樋口委員】    分かりました。ありがとうございました。
【天笠主査】    よろしいですか。
【樋口委員】    ついでに要望なんですけれども、算数の場合にも、ほかの教科と同じように2学年ぐらいの大くくりで示された方が、きっと発達の段階には学校現場で応じやすいんじゃないかと私は思っているところです。以上です。
【天笠主査】    生重委員、お願いします。
【生重委員】    小・中接続のところで義務教育学校が括弧で示されているんですが、この9年間の義務教育学校だけではなく、普通に小学校・中学校も、学びの接続は今後重要になってくると思いますので、義務教育学校のやることでしょうと思われないような書きぶりを望みます。
  私も樋口委員がおっしゃっていた、教育課程外の活動というのは、今後求められる地域への関わりとか、もっと学校支援というのが、学校を地域が支援するという言葉から1ランク進んで、地域・学校協働推進という、そこにステージを移すんだということを考えて、今後、学びのポートフォリオとかキャリアパスポートとか、様々な課題もいろいろ、子供たちの学びが蓄積されていくということを意識していくための、地域の中の総掛かりの関わりの中での、子供たちの発達段階に応じた役割分担を指すのかしらと思っていたら、おっしゃるとおり部活動の問題なんだなと。
  私も部活動は、またうちの町のことを言うんですが、今、部活のコーディネーターという役目が置かれることになります。学校の先生だけが全て部活の指導に休みの日も潰してやっていくことが、良いことではない。先生が本来やらねばならないことの中に、学校での授業の充実とか、児童・生徒との向き合いの中での社会的な活動とか、いろいろ含まれて、それで忙しい、確かにそのとおりで、でも部活の一部をきちんと連携できるところと連携して、また、先生・親以外の新たなるスポーツ指導者との関わりということを多分視野に入れた形で、部活のコーディネーターが置かれるんだと思うんですが、考える時に来ているのではないか。
  社会との関わりの中での生涯学習スポーツみたいな考え方を、もう少し、この段階でできるかどうかは分かりませんが、いろいろスポーツの中では、大会等を中体連・高体連がやっているのはよく存じ上げているので、それだけではなく、もうちょっと次の一歩につながるようなことが盛り込まれるとうれしいなという気がいたします。
【天笠主査】    ほかにいかがでしょうか。
  この全体の柱を通したときに、何というんでしょうか、どこでも触れているといえば触れていることなのかもしれませんけれども、各教科それぞれに対する在り方というか、問いというんでしょうか、要するにそれぞれの教科の存立そのものとか、目指す目標ですとか、何を取り上げるのかとか、どういう役割を果たすべきなのかという、そういうことについて問い掛けがあって、一連の検討が今、進行中にあるわけですから、そのことを通して、ある意味で言うと各教科が非常に問い掛けられたわけで、その問いに対して各教科はこういう形で答えて、そしてそれこそ2030年に向かっていこうという、それの正に検討の経過、そしてそのところから次のステップに、どう各教科が向かい合っていくのかどうなのか、その辺についての一定の審議された方向性とか経過というんでしょうか、それはこの中ではどこら辺のところにそういうことが記されるのか、私は記す必要が当然あるんじゃないかと思っているんですけれども、何か見えるような見えないような形になっているのかなと思うわけで、言うならば、各教科等の、今、ワーキンググループというのは、それぞれの教科が本当に必要なのかどうなのかという、で、ある意味で言うと、こういう観点から必要性があるからということで、次の学習指導要領の改訂の方向性を切り開いていくという、そういう一連の審議過程というんでしょうか、そのことを簡潔に記していただいて、ついては、そのことからこういうこととの関わりの中で次の展開を開いていただくという辺りのところを、この取りまとめに向けた論点の中には記していただくということの必要性というのはあるんじゃないかなと思います。
  それを各教科一つ一つでやるのか、それとも全体としてという形の記述の仕方をするのか、その辺りのところはいろいろな記しの仕方があるんじゃないかと思うんですけれども、要するに現行の教科が、そのまま何ら検討なく次に行っているということではないわけで、ある意味では一つ一つの教科の在り方そのものが抜本的に問われて、その過程があってのこれなんだというところに向けていく必要というのは非常にあるんじゃないかと思います。そういう観点がないと、何となく既存の教科の温存みたいな形がここのところに置かれて、それがある意味で言うと公に認められたような形になってしまう辺りのところというのは、この柱立てとか展開の仕方というのは、今申し上げたような観点から少し検討の必要があるのかなと思います。ほかに委員の方、いかがでしょうか。
  吉田委員、どうぞ。
【吉田(裕)委員】    きょう示された資料の中で気付いたことというのでお願いします。
  資料の4のところで、2のところにポツがたくさんありますけれども、そこは、先ほど申し上げたことと重なるんですけれども、何ができるようになるかという目標、何を学ぶかという編成、どのように学ぶかという方法、学習指導、それから何が身に付いたかという評価。私、この構造は非常によくできているんじゃないかと思います。だから先ほど発言したことが、実はここでこの形で反映していたのかということに気付きましたので、こちらの方を推進したいと思います。
  それから、以下のことはこの部会に直接関係はないかも分からないんですけれども、ちょっと気になるので。資料の5でありますけれども、アクティブ・ラーニングの視点のところで、用語の問題なんですが、今更ながらというところなんですけれども、何かの機会があれば検討していただければと思います。もちろん全て用語の概念規定は済んでいるんじゃないかと思うんですけれども、改めて見たときに、「主体的・対話的で深い学び」、「深い」というところだけが和語になっているわけですね。あとは「主体的・対話的」、もう一つ、中ポツがないんですけれども、ここの「で深い」という辺りは、この言葉しかないのかどうか。言葉の使い方としては美しくはないと思うんですけれども、美しさだけを求められるわけじゃなくて、本当は実質を表す言葉が一番適切なということはよく分かっているんですけれども、こういうことで示されていくと、何かちょっとそこに工夫はないのかということと、それからこういう場合、和語にしたら、非常に範囲が広くなるんですね。漢語にするときには、ある程度概念規定というのがかなり狭められていきますけれども、和語にしていくと、かなり広くなる。広くなると曖昧になるという、そういう側面を持っているので、どうも「深い学び」の「深い」という辺りがいつも議論になっているというのは、こういう辺りにもあるのかもしれない。
  つまり、用語が概念規定していくわけですね。ある事実があって言葉を使うんですけれども、今度は逆に、言葉がその内容を規定していくという形になっていく。何度も繰り返しこの言葉を使っていると、何かいかにもそれが決定してあるかのように思うんですけれども、改めて見たときに、しかも初めて見た人がこれをどのように受け止めていくかというところでは、言葉を使う側には、そういったところの意識というのが大事なのかなと思います。
  それからもう一つ、「学び」ですよね。「学び」というのも、これも和語なんですけれども、今回、「学び」はかなりのキーワードになっていると思うんですけれども、「学び」が含む概念・内容というのを、これも概念規定する必要があると思うので、これはどこかでなされているんじゃないかと思います。
  もう一つだけ。その表の中に、知識・技能、思考力・判断力・表現力等、それから学びに向かう力・人間性等というのがあって、「等」ということばが一つはキーワードになるんだと私は思っているんですが、思考力・判断力・表現力等、この「等」は意味を持っていると思うんですね。これは国語ワーキングの方でも、一つ大事な言葉としてこれを使っていますけれども、そこはそれでいいんですけれども、らせんがあって四角の中の一つ目のところの1行目から2行目に、「見方・考え方を働かせて思考・判断・表現し」となっています。この場合は、細かく見ていったときに、そうだろうなと思うんだけれども、左側の大きな枠の中の「等」というのと、その前のところ、「力」がないだけであって、ほとんど活動として出されているわけですね。こういった場合に、ここのところはどのように整合性を見ていけばいいのか。私は私なりに理解しているつもりですけれども、思考力・判断力・表現力等といったときに、「等」は一体何を示すんですかとか必要なんですかという問いを頂くことがあります。そちらの方は、それはそれなりに答えますけれども、表現力等の「等」は答えますが、ここでは「思考・判断・表現し」となっていて、この辺の整合性をどのように考えていったらいいのか。下のアスタリスクのところでも同じように、ここは思考・判断・表現と使われていて、この辺の整合性の問題をちょっと感じました。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。そろそろ時間になりますけれども、今の三つ目の議題につきまして、委員の方、御発言等々ありますでしょうか。
  では、よろしいでしょうか。それでは、三つ目の件につきましては以上ということにさせていただきたいと思います。
  1点、2点、3点、三つ議題ありました。それぞれが限られた時間でありましたので、更に御意見ですとか、お気付きの点もあるのではないかと存じます。それに際しましては、ペーパーで事務局の方にお送りいただけると有り難いかと思いますので、よろしくお願いいたします。
  それで最後に、机上にお配りをいたしました参考資料3、教育の強靭化について、事務局より御報告をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。参考の資料の3を御覧いただければと思います。先日、教育の強靭化に向けてということで馳大臣から発表させていただいたメッセージでございます。教育の強靭化ということで、大臣御自身のメッセージでございますけれども、これから先を予測することが困難な時代を、たくましくしなやかに生きていくために必要な力をしっかりと育んでいく教育の在り方ということで、メッセージでございます。
  タイミングといたしまして、大臣就任して半年という節目のタイミングであるということ、また、本部会も含めまして、中教審の議論が全体的な取りまとめに入っていくという段階であるということ、その中で、ともすればアクティブ・ラーニングというものが、特定の型を導入することに時間を割くことで、知識の量を大幅に削減してそういった活動を導入するということではないかという一部の誤解があるのではないかという御指摘を踏まえて、改めて今の中教審における議論の状況ということをまとめて発表させていただいたということでございます。これまで中教審におきまして重ねていただいている議論のことを分かりやすく整理したということでございますので、これによって何か議論の方向性がということではなく、中教審の議論の方向性を正しく伝えていくためにのメッセージということでございます。
  1枚目は、これまでの本部会も含めた議論の状況ということをまとめさせていただいたものでございます。そして2枚目でございますけれども、指導要領改訂の方向性のポイントということで、未来の創り手となるために必要な知識や力を育んでいくということ。ゆとりか詰め込みかという二項対立的な議論に戻るわけではなく、資質・能力をバランス良く育んでいくということの中で、学習内容の削減を行うということではないということ。
  一部、高校教育につきましては、例えば歴史、生物というような、事実的知識の暗記が膨大となって入試で問われているという、そうした課題がある教科につきましては、もちろん用語の整理、重点化、構造化ということを行っていくということで、もちろん各教科におきましても、現代的な課題を踏まえた内容の入れ替えということは当然議論を頂いているところでございますけれども、知識の量を減らして活動に充てるという、そういうような方向性にということではないということ。
  アクティブ・ラーニングの視点は、知識が生きて働くものとして習得され、必要な力が身に付くことを目指したものでございますので、学習過程を質的に改善していくという営みであるということを、改めて発出させていただいたところでございます。
  また、そうしたことと併せて、3ページ目にございますように、指導体制の充実、教員の資質・能力向上、チーム学校の実現、地域との連携・協働、3答申を受けた馳プランということでございますけれども、指導要領の改訂と併せて、こうしたことをしっかり行っていくということ。これを改めてメッセージとして発出させていただいたところでございます。
  後ろの方は参考資料でございます。冒頭のプログラミング教育ともつながりますけれども、情報化という中で、学校で教えることということが、子供たちの生きて働く知識や力につながるということを目指していくということ。そして、その更に次のページは、今、文科省の方でさせていただいている広報に関する資料でございます。一番最後が馳プラン、社会に開かれた教育課程ということを中軸としながら、教員の資質向上、チーム学校の実現、地域との連携・協働ということを実現していくという馳プランのペーパーでございます。
  以上、御報告でございます。
【天笠主査】    もう時間も迫っていますが、何か御質問等ありますか。もしありましたら、どうぞお尋ねいただければと思います。
  それでは、本日はここまでとさせていただきたいと思います。最後に、次回以降の日程について、事務局より説明をお願いいたします。
【石田教育課程企画室専門官】    次回日程につきましては、6月9日の木曜日、10時からを予定しております。会場につきましては、追って御連絡を申し上げます。
  主査からもお話ございましたように、ペーパーによる御意見等も頂戴したいと考えておりますので、ファックス又はメール、郵送でも結構ですので、お寄せいただければと思います。
  なお、本日の資料につきましては、郵送を御希望される方におかれましては、机上に資料を残しておいていただけましたら、後日お送りを申し上げます。
【天笠主査】    それでは、本日の小学校部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

――  了  ――

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