教育課程部会 小学校部会(第4回) 議事録

1.日時

平成28年3月14日(月曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 小学校の教育課程の改善・充実について

4.議事録

【天笠主査】    おはようございます。定刻を過ぎつつありますので、まだ生重委員おいでになっていませんけれども、程なくしておいでになるんじゃないかと思いますので、始めさせていただきたいと思います。ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会小学校部会の第4回を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
  最初に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、配付の資料です。本日は、議事次第掲載のとおり、資料1から資料7、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら、事務局までお申し付けくださいませ。
  机上に、いつものとおりタブレット端末を置いてございますので、目次の方はタブレット端末の下の目次をごらんいただければと思います。
  以上です。
【天笠主査】    それでは、前回に引き続きまして、小学校の教育課程の改善・充実について御議論を頂きたいとお願いします。
  なお、本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきいただければと思います。
  これまで当部会では、「社会に開かれた教育課程」の視点に立って、小学校の教育課程の改善や、小学校教育を通じて育成すべき資質・能力、小学校における「カリキュラム・マネジメント」の在り方などについて御議論を頂いております。
  本日は、これまでの議論を踏まえまして、当部会として年度内に方向性を示すべき事項の取りまとめ――現在の段階は案でありますけれども――について御議論を頂きたいと考えております。
  その検討に資するために、まずは事務局より、これまでの議論を受け、当部会として年度内に方向性を示すべき事項についてまとめた「小学校部会におけるこれまでの議論のとりまとめ(案)」について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは本部会、これまで3回にわたりまして、短時間に密な御議論を頂いてまいりました。参考資料1に、これまでの主な意見が取りまとめてございますけれども、これまで頂きました御意見、それから言語能力特別チーム、国語ワーキング、外国語ワーキングをはじめとする関連する他ワーキング等の御意見、それから既に8月におまとめいただいております論点整理、これらの内容を総合的に取りまとめさせていただきましたのが、今回、資料2-1になります。それから、外国語ワーキングの議論に関しましては、外国語ワーキングに先立って開催されておりました英語教育の在り方に関する有識者会議の御議論の成果も含め、なかなか、この取りまとめの中だけでは載せ切れなかった内容もございますので、資料2-2として補足資料ということを付けさせていただいております。
  まずは私の方から、この資料2-1と資料2-2に基づいて御説明をさせていただきます。
  資料2-1でございますけれども、1ページ目は、これまでの議論の状況でございます。諮問の後の取りまとめられました論点整理の内容、その中で小学校教育について育成すべき資質・能力の明確化も含めた今後の検討の方向性、そして、それを踏まえた現在の御議論ということでございます。
  そして、この「とりまとめ」の位置付けということでございますけれども、諮問におきましても、グローバル化する社会の中で子供たちにどのような力が必要になるのかといった観点から、「英語教育の在り方に関する有識者会議」報告の提言なども踏まえつつ、小学校における英語の在り方も含めて考え方の整理ということが諮問において求められたところでございます。
  これを受けた「論点整理」の中では、国語や外国語を使って理解したり表現したりするための言語に関する能力を高めていくためには、それぞれを充実させていくことが必要であるということ。そして国語教育の充実の方向性、そして外国語教育の充実の方向性、それぞれが示されたところでございます。特に外国語教育につきましては、小学校高学年、中学年それぞれにおける方向性、そして時数に関する考え方、今後整理が必要なポイントなどが、短時間学習の在り方も含めて御提言があったところでございます。
  それを受けまして今回、小学校部会におきましては優先的に、小学校教育全体に関する議論に先立つ形で、言語能力に関する御議論、国語教育、外国語教育の充実に関する御議論を踏まえた取りまとめ。特にこれら言語能力、国語教育、外国語教育の改善・充実の方向性と、各小学校における時間割の編成を含めたカリキュラム・マネジメントの在り方を中心に取りまとめをお願いしたところでございます。
  まだ残された論点、小学校教育全体の資質・能力の在り方を含め、年度明け以降に引き続き御議論もお願いするということでございます。
  それでは本文1ポツでございます。論点整理を踏まえた「社会に開かれた教育課程」の実現に向けた小学校教育の在り方ということでございます。論点整理にもございますように、小学校教育、義務教育のうち基礎的なものを施すということ。そして今回の改善・充実、現行の成果や課題も踏まえつつ、「社会に開かれた教育課程」を実現する観点から行われるものであるということ。小学校教育に照らして「社会に開かれた教育課程」を整理するとすれば、マル1、マル2、マル3にありますように、これからの社会を創り出していく子供たちに必要な資質・能力を、社会との連携の中でどのように育んでいくかが重要であるということでございます。
  そして本部会で御議論いただきましたように、3ページ目の一つ目の丸、小学校6年間というのは、子供たちの成長にとって大きな幅のある期間ではないかということ。低学年、中学年、高学年のそれぞれに課題が見られるのではないかということ。低学年におきましては、2年間の中での学力差が、その後の学力差につながっていくという課題も指摘されているということ。語彙量も含めて基礎的な知識・技能の定着や、感性を働かせて様々な気付きを得ることなど、中学年以降の学習の素地を形成していくという観点から、一人一人のつまずきを早期に見出して、指導上の配慮を行っていくことが重要ではないかということ。
  また、小学校からゼロからの学びのスタートというわけではなく、幼児教育で見つけたことを生かしながら学びにつないでいくということ。幼児教育部会で議論されております幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化ということも踏まえながら、小学校以降の学びに、生活科を中心としたスタート・カリキュラムを明確に位置付けることなどによりつなげていくことが重要ではないかということでございます。
  中学年におきましては、理科や社会科の学習が始まるなど、具体的な活動、体験が、より教科の特性に応じた学びにつながっていくという時期でございます。そうした次第に抽象的な内容に近づいていく段階の学習の円滑な移行に指導上の配慮が必要ではないかということでございます。
  高学年におきましては、子供たちの抽象的な思考力が高まる時期であるということ。教科の内容の深い理解と資質・能力の育成をしっかりと行っていくためには、指導の専門性の強化も必要ではないかということ。実際に調査結果におきましても、理科や音楽などを中心に、専科指導を行う学校の割合は年々増加しているということ。子供たちの個性に応じた能力の伸長という過程からも重要ではないかということ。
  また部会におきましても、4ページ目の上のように、生徒指導上の課題が早期化しているということの御指摘も頂いたところでございます。したがいまして、学級担任のみならず複数の教員が関わり育てていくことの重要性、専科指導による教科担任の充実が、結果的にこうした多面的な子供たちの関わりを創り出すことになるのではないか。学級担任のよさと教科担任のよさを兼ね備えた指導体制の確立ができないかということでございます。
  (2)育成すべき資質・能力でございます。こうした低・中・高のそれぞれの課題を踏まえつつ、学校間の接続を考えながら義務教育全体あるいは初等中等教育全体を見通して育成すべき資質・能力の在り方を検討していく必要があるということ。具体像につきましては、今後、更に検討していくということでございます。
  こうした資質・能力の育成のためには「カリキュラム・マネジメント」が重要になるということ。「カリキュラム・マネジメント」の定義は、このマル1から3のとおりでございますけれども、各学校が行う時間割の編成自体も、子供の生活時間をデザインする「カリキュラム・マネジメント」の一部であると考えられるということ。実際、各小学校におきましては、子供たちの発達の段階や各教科の学習活動の特質を考慮しながら、1単位時間の在り方、休み時間の在り方など、創意工夫を生かして弾力的に編成したりしているということでございます。
  こうした「カリキュラム・マネジメント」の考え方に基づいて、時間割の編成を含めて指導内容の体系化を行ったり、その実現に向けて、どのように人的・物的資源を活用していくかを計画的に行っていくことが求められるということでございます。
  5ページ目は言語能力でございます。育成すべき資質・能力の中でも、特に言語の能力が子供たちの学習あるいは生活の中で極めて重要になっていくということ。学校での学び自体も言語の能力に支えられているという意味で、極めて重要なものであるということでございます。言語に関する能力の向上は、学校における学びの質や教育課程全体における資質・能力の育成の在り方に関わる極めて重要な問題であるということ。特に義務教育の初期段階を担う小学校においては重要な課題として取り組んでいく必要があるということでございます。
  言語能力につきましては、創造的思考(とそれを支える論理的思考)の側面、感性・情緒の側面、コミュニケーションの側面、この三つから整理いただいておりますけれども、これらを考えながら伸ばしていくということでございます。
  5ページ目、6ページ目でございますけれども、言語能力、国語科や外国語科のみならず、全ての教科等における学習の基盤となるものであるということ。そこに資質・能力の三つの柱の育成、成長と言語能力との関係性が記されてございます。
  また、様々な資質・能力の育成とも密接に関連しているということ。特にコミュニケーション能力につきましては、文部科学省の有識者会議の定義を踏まえて、6ページ目の下から二つ目の丸のように整理されてございますけれども、この定義に照らして考えれば、コミュニケーション能力につきましては、コミュニケーションの側面を軸としつつ、創造的思考と論理的思考の側面、あるいは感性と情緒の側面にもしっかりと支えられた能力として考えていく必要があるということ。
  また7ページ目にございますように、非言語能力との関わりも重要であるということ。また言語活動、体験活動の引き続きの重要性ということも御意見頂いたところでございます。
  (3)、国語教育の充実でございます。グローバル化する社会の中で世界と向き合うことが求められている我が国においては、グローバルな視野で活躍するために必要な資質・能力の育成を、日本人としての美徳やよさを備えつつということで考えていく必要があるということ。多様な情報や考えを理解して表現していったり、個人の考えや集団の考えを深化させていったりするために必要となる言語能力、情報活用能力の向上が極めて重要であるということ。
  その中で、特に国語教育を通じて、言語や文化に対する理解を深め、国語で理解したり表現したり、考えを形成していく力を身に付けることは、言語能力の向上あるいはあらゆる学習の基盤として不可欠なものであるということ。また古典の学習を通じて、日本の言語文化を積極的に享受していったり、異文化を理解し多様な人々と協働していったりということも重要であるということでございます。
  現行の充実ということも踏まえながら、一方で伝えたい内容を明確にして表現したり、文章の内容や形式を正確に理解したりすること、自分の考えを、必要な情報を収集して的確に整理・解釈した上でまとめたりすること、古典の学習の楽しさや意義については課題があるということでございます。
  これからの時代を生きる子供たちには、言葉が持つ力を信頼し、言葉によって困難を克服し、社会を創造していくということ。言葉を通じて見方や考え方を深めるということ。考えを伝え合うことを通じて集団の考えを深めていくということ。また、様々な体験などを言葉にして交流させることを通じて、心を豊かにしたり、自分の感情をコントロールしたりするということ。言葉を通じて積極的に関わり、自己を表現し、他者と共感しながら自他の理解を深め尊重していくこと。言語文化に関心を持ち、生活や社会の中で活用しながら継承・発展させていくことなどが求められるということでございます。
  こうしたことに向けて必要な資質・能力を身に付けていくことが、国語科を学ぶ本質的な意義ではないかということ。言語の三つの側面を踏まえつつ、幼児期の学びの上に小・中・高通じて必要な資質・能力を明確にしていくということで、これにつきましては国語ワーキングで引き続き検討を頂くことになると思われます。
  指導内容につきましては、既に御紹介させていただいたような言語を通じたテキストの理解の過程、文章や発話の表現の過程の中で、働いている資質・能力の要素等を踏まえながら、それぞれの領域における指導事項を再整理していくという方向性でございます。
  また、言葉の働き、役割に関する理解などについても体系的な整理が必要であるということでございます。
  特に高等学校におきましては、8ページ目の下から二つ目、一番下の丸にございますような教科の在り方を含めた見直しということが検討されているところでございますので、9ページ目にございますように、小学校の国語科においても、高等学校における改善・充実も見通しながら、資質・能力の在り方などを考えていく必要があるということ。
  また、読書活動の重要性ということでございます。特に、先ほどにございましたような小学校低学年において語彙量を増やしていくことの重要性も踏まえながら、読書活動の充実を図っていく必要があるということでございます。
  続きまして外国語教育でございますけれども、グローバル化が急速に進展する中で、子供たちがどのような職業に就くとしても、様々な場面で必要とされる能力の向上ということ、そういったことを考えながら外国語教育の充実を図っていく必要があるということでございます。
  小・中・高を通じて、発達段階に応じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度や、情報や考えなどを理解したり伝えたりする力の育成ということ。また4技能の総合的な育成をねらいとして、現行の指導要領の充実が図られてきたということでございます。
  一方で、改善の成果が見られるものの、学習意欲の課題、学校種間の接続の課題、進学後に、それまでの学習内容を発展的に生かすことができていないのではないかということ。また、中・高において「話すこと」「書くこと」などの言語活動が十分に行われていないのではないかという課題があるところでございます。
  こうしたこと踏まえながら、学校種間の学びの接続、そして「英語を使って何ができるようになるか」という観点から、小・中・高一貫した教育目標の設定を考えていくということ。卒業後、どのような職業に就くとしても生かすことができるような資質・能力を、生徒自身が自分の将来と結び付けながら学んでいくような外国語教育の充実が必要ではないかということでございます。
  10ページ目にございますように、これまでの成果と課題を踏まえながら、各学校が適切に学習到達目標を設定し、資質・能力の達成状況を明確化できるようにしていく必要があるということ。そのためには国としても、CEFRなどの国際的な基準を参考に、高校卒業時に共通に求められる資質・能力を発達の段階に応じた形で明確にしていくということ。その中で小学校中学年段階から、四つの領域ごとに、そうした資質・能力の在り方を示していくということ。そして、これまで以上に四つの技能を統合的に組み合わせて活用する言語活動も重視しながら指標形式の目標を段階的に設定するということ。そして育成すべき資質・能力を育む学習過程の改善・充実を図るということでございます。
  その際、高等学校卒業時の英語力としては、国の教育振興基本計画に掲げられております中学校卒業段階でCEFRA1程度、英検3級程度、高校卒業段階でCEFRA2~B1レベル程度、準2級~2級程度の達成が50%以上の目標・内容の検討も必要であるということでございます。
  併せて、言語能力の育成という観点からは、外国語教育においてはコミュニケーションの側面を重視しながら他の側面についてもしっかり考えていくということ。そして小・中・高を通じて、他者とのコミュニケーションを図る基盤を形成するため、4技能のバランスのとれた育成を踏まえつつ、他者を尊重し、コミュニケーションを図ろうとする態度の育成を考えていくということ。また、身近な話題から幅広い話題について理解したり、伝え合ったりすることのために、指導内容、目標、学習・指導方法、学習過程、評価の在り方を一体的に考えていくということでございます。
  そうした全体像の中で小学校教育ということでございますけれども、小学校段階においては、高学年の「外国語活動」、現状の充実によりまして、児童の高い学習意欲などが認められる一方で、マル1、マル2、マル3にございますような課題が指摘されているところでございます。
  これらの成果と課題を踏まえますと、中学年から「聞く」「話す」を中心とした外国語活動を通じて外国語に慣れ親しみ動機付けを高めた上で、高学年からは発達段階に応じて段階的に文字を「読むこと」「書くこと」を加えた4技能を総合的・系統的に扱う教科学習を行うことが求められるということでございます。その際には、これまでの課題に対応した教科化に向けて、新たにアルファベットの文字や単語などの認識、国語と英語の音声の違いや特徴への気付き、語順の違いなど文構造への気付きなど、言語能力向上の観点から「言葉の仕組みの理解」などを促す指導を行うため必要な時間を確保するということでございます。
  小学校高学年におきましてはということで、教科としての外国語教育のうち基礎的なものとして、中学年からの学びを中学校への学びも見通して連続性を持たせながら「聞くこと」「話すこと」に加えて「読むこと」「書くこと」の4技能を扱う言語活動を通じて、より系統性を持たせた指導を教科型として行うということでございます。その際、外国語の基本的な表現に関わって聞くことや話すことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う体系的な指導を行う教科として位置付けるということでございます。
  その際、単に中学校で学ぶ内容を小学校高学年に前倒しするのではなく、身近なことに関する基本的な表現による4技能の豊かな言語活動を行うため、発達段階に応じた「読むこと「書くこと」に慣れ親しみ、積極的に英語を読もうとしたり書こうとしたりする態度の育成を含めた初歩的な運用能力を養うということでございまして、例えば馴染みのある定型表現を使って、自分の好きなものや家族、一日の生活などについて、友達に質問したり、質問に答えたりすることができる子供たちの姿を描きながら指導を充実させていくということでございます。
  また、小学校で学んだことが中学校において、小学校とは異なる場面で使ったり別の意味で活用したりなど、繰り返し定着を図るということでございます。また、中学校で学習した内容は、高等学校において繰り返しが重要であるということでございます。ICTを活用した効果的な言語活動による工夫、また子供たちが自らの学習活動を振り返って次につながる主体的な学びが重要であるということでございます。
  こうした方向性を踏まえて、小学校高学年において「聞くこと」「話すこと」に加えて「読むこと」「書くこと」を含めた4技能を扱うことで定着を図り、系統的な指導を行うためには、年間70単位時間程度の時数が必要であるということ。また、中学年から慣れ親しみという体験的な外国語活動を行っていくためには、従来の外国語活動と同様に年間35単位時間程度の時数が必要であるということでございます。
  そして柔軟なカリキュラム設定に関する考え方ということで、これまでの成果・課題を踏まえつつ、教育課程全体の枠組みの状況を考慮すると、35単位時間増ということで中学年、高学年になってまいりますけれども、高学年において35単位時間増という時間を確保するためには、ICT活用も念頭に置きながら、10分から15分程度の短い時間を単位として繰り返し教科指導を行う短時間学習を含めた柔軟なカリキュラム設定の在り方と必要な「カリキュラム・マネジメント」を、教育課程全体を見通しながら実現していく必要があるということでございます。
  弾力的な授業時間の設定に関する先行的な取組や調査結果などを踏まえますと、短時間学習では今後、外国語の特性を踏まえた指導内容のまとまりや教育効果を高める観点から、短時間学習を行う場合には、学習指導要領上の標準授業時数内で、その時間を年間授業時数に含め、その目標を明確にし、まとまりのある授業時間との関連性を確保した上で実施することが重要であるということでございます。
  また、こうした調査結果や現場の取組の現状を踏まえますと、短時間学習については、授業時数内外で様々な教科も含めた取組が行われており、全ての小学校において、外国語に特化した短時間学習を一律に行うとすることは困難ではないかということでございます。このため、年間70単位時間における一定の短時間学習の在り方を横並びで求めるのではなく、ある場合には45分授業を60分授業の扱いにして、その中の15分を短時間学習として位置付けることや、また別の場合には外国語の短時間学習を2週間に3回程度の実施、あるいは別の場合には夏季、冬季の休業時間において言語活動を行うなど、地域や学校の実情に応じた幅のある柔軟なカリキュラム設定が重要ではないかということでございます。
  中学年におきましては、一方で年間35単位時間、週当たり1こま相当の外国語活動を短時間学習として実施することは困難であり、小学校の教育課程全体を見通した「カリキュラム・マネジメント」が必要であると考えられるところでございます。
  以上を踏まえた検討とともに、担当する教員が指導内容の決定や指導の成果の把握、活用に責任を持って行う体制整備が必要であるといった観点から、教員養成、教員研修、教材開発に関する条件整備が不可欠であるということでございます。
  加えまして、国語教育と外国語教育の効果的な連携の意義ということでございます。それぞれを改善・充実させつつ、相互の連携を図ることで、国語で学んだことが外国語の表現活動に生かされたり、国語を学ぶことに対する関心が高まったりするなど、子供の学習に相乗的を効果が見られるとの例も報告されているところでございます。
  こうした成果を言語能力の向上につながる効果的な連携につなげていくためには、国語科と外国語科の指導内容について、そのつながりが可視化されるということが重要でございます。言語能力の向上に向けた「カリキュラム・マネジメント」が実施されやすくなるよう、例えば言葉の働きと仕組みの理解や言語活動を通じて育成される資質・能力といった観点から、指導の順序性や、言語活動で扱う内容や方法などの具体的な連携の在り方について分かりやすく整理していくことが求められるというところでございます。
  続きまして13ページ4ポツ、各学校における「カリキュラム・マネジメント」でございます。小学校における弾力的な時間割編成の現状でございますけれども、1ポツ(2)にも述べましたとおり、現行学習指導要領では、児童の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して、授業の1単位時間を何分にするかについて決定したり、創意工夫を生かして時間割を弾力的に編成したりすることができることと既にされているところでございます。
  これを踏まえまして、各小学校においては、時間割の編成に当たって、子供たちの姿や地域の実情を踏まえつつ、休憩のとり方や休業期間を工夫したり、朝学習などの短時間学習を設定したり、授業時間を弾力化したり、学教法の施行規則の改正に伴い土曜日を活用したりするなど、様々な創意工夫が行われているところでございます。
  14ページ目にございますように、例えば6年生における週当たりのこま数の現状、それから短時間学習の現状と目的、そして短時間学習の実施内容と、授業時数内外で実施している現状、加えて土曜授業の実施の割合ということでございます。
  (2)でございますけれども、授業時数の考え方と「カリキュラム・マネジメント」。「論点整理」におきましては、「社会に開かれた教育課程」の理念の下、これからの時代に求められる資質・能力の育成のためには、学びの量と質双方が重要であるということ。また、教科学習と教科横断的な学習の双方を充実させていくことが必要であるとされたということでございます。
  こうした改訂の方向性の下では、各教科の指導内容は維持しつつ、資質・能力の育成の観点から構造化を図ったり、学びの質的な向上を図ったりすることが前提となり、指導内容や授業時数を削減するという選択肢をとることは困難であるということでございます。
  現行指導要領における教科の授業時数を前提に考えれば、外国語教育の充実を図ることにより、時数としては中学年・高学年において年間35時間増となるところでございます。週当たりで考えれば1こま分ということでございますけれども、先ほども触れさせていただいた教育課程の枠組みの現状、小学校における多様な時間割編成の現状を考慮いたしますと、全小学校において一律の取扱いとすることは困難であり、この時数の確保をどのように行っていくかについては、各学校の実情に応じた「カリキュラム・マネジメント」の視点から検討していくことが必要になるということでございます。
  高学年において年間35単位時間増となる時数を確保するためには、外国語科を中心に教科目標を踏まえつつ、まとまりのある授業時間との関連性を確保した上で、効果的な繰り返し学習を行う短時間学習を行うということが考えられます。一方でほかにも、45分に15分を加えた60分授業の設定、夏季・冬季休業期間における学習活動、土曜日の活用や週当たりこま数の増なども考えられるところでございまして、場合によってはこれらを組み合わせながら、地域や各校の実情に応じた柔軟な時間割編成を可能としていくことが求められるところでございます。
  また、中学年においては、外国語活動を短時間学習で行うことや、60分授業を発達の段階から比べて少し難しいのではないかということが考えられますけれども、その他については同様の考え方に基づき、地域や各校の実情に応じた柔軟な時間割編成を可能としていくことが求められるというところでございます。
  こうした改善・充実を支える方策についてということでございますけれども、「カリキュラム・マネジメント」を通じてこうした工夫を行うことが考えられるとしても、中学年・高学年において、指導内容や授業時数として年間35時間分が増えることには変わりはなく、上限であるとされた前回改訂の授業時数を更に上回る改訂は、教育現場にとって大きな負担の増となるということでございます。
  こうした中で、次期改訂の方向性に向けて、小学校の教育課程の改善・充実を図るには、「カリキュラム・マネジメント」の実践に関する知見の共有とともに、外国語教育に関する教員養成、教員研修、教材開発に関する条件整備、小学校の低・中・高学年それぞれの課題に応じた指導体制の整備が不可欠であるということでございます。
  「カリキュラム・マネジメント」を通じた弾力的な時間割の編成の在り方については、短時間の位置付けを含め、指導要領の総則や解説において分かりやすく示すとともに、こうした編成が外国語教育や特定の学年にとどまらず、全ての教科と学年全体を見通す視点が必要になることから、効果的な創意工夫の在り方について、国と教育委員会、小学校現場、関係団体が連携して調査研究を行い、その成果を普及させていくことが不可欠であるということでございます。
  また外国語教育については、効果的な教材開発と指導者の確保が課題となります。教材については、教科書が今回改訂の教科化や「カリキュラム・マネジメント」の考え方に対応したものとなることが重要であります。そうした教科書の在り方につなぐためにも、先行して教科化に対応した教材を平成30年に配布できるよう、28年度中に検証、29年度中に開発を行うということが求められます。併せて、活用しやすいICT教材の開発が求められます。
  指導者の確保につきましては、中学校区を基盤として、中学校が複数の小学校と連携して研修や専科指導などを含めた授業などを行う連携体制を構築するとともに、「英語教育推進リーダー」を中心とした域内研修を行うことにより、外国語教育における域内の連携体制を充実させていくなど、各地方自治体における体制づくりが求められるところでございますけれども、そうした体制を確保しながら、養成・採用・研修を通じた充実を図っていくことが重要になります。教育課程の見直しとともに、現職教員が外国語の指導に関する専門性を高めることができるよう、認定講習の開設支援等を行います。併せて、専科指導を行う教員の養成・確保や、外部人材の活用支援等により、専門性を一層重視した指導体制を構築することが不可欠となってまいります。
  英語のみならず、小学校全体の指導体制に関しましては、特に高学年に関して、専科指導を充実させることにより、学級担任のよさと教科担任のよさを兼ね備えた指導体制を確立していくことが求められます。こうした観点から、学年段階の柔軟な区切りを可能とする義務教育学校制度のさらなる活用の促進も検討されるべきであるということでございます。
  資料2-2には、この内容を更に詳しく触れさせていただいた内容が補足資料としてまとめさせていただいてございます。
  1ページ目には小学校中学年における外国語活動と、高学年における教科化の必要性についてということを、現行の課題も踏まえながら整理をさせていただいております。
  2ページ目の上の部分には、今後目指していくべき充実の方向性ということ。そして、そのために必要となる時数ということも含めた整理が2ページ目。
  3ページ目には、高学年において、先ほど御説明させていただいたように、単なる中学校教育の前倒しということではなく、小学校高学年にふさわしい教科化の在り方ということ。そして中学年において体験的な学びで慣れ親しみを高めていく、動機付けを高めていく必要があるということ。
  4ページ目、そうした内容に必要な時数の在り方。そして、その時数の内容、学習内容については、具体的なイメージを共有しながら検討していく必要があるということ。
  そして外国語ワーキングでおまとめいただいた短時間学習のメリットと課題ということが、4ページ目から5ページ目にかけてまとめさせていただいております。それを踏まえた柔軟な体制のカリキュラム・マネジメントの在り方。
  そして6ページ目にございますように、体制整備の在り方の重要性ということでございます。
  そして6ページ目から7ページ目につきましては、前回改訂で大幅な時数増を行った中学校における指導の充実ということも含めまして、小・中連携の充実ということ。
  そして7ページ目からは、全教員の共通理解の下に校内の指導体制の充実を図っていく必要があるということ。
  8ページ目からは、各自治体において、学校や地域全体で取り組む体制を充実を図っていくということ。そして英語指導力を備えた学級担任や専科指導を行う教員を含めた、より専門性を重視した指導体制を小学校高学年の教科化に向けて作っていく必要があるということ。
  8ページ目の下から9ページ目にかけては、その具体的な在り方ということを整理させていただいております。
  9ページ目からは、教材の充実ということでございまして、教科書につなぐための効果的な教材開発を28年度、29年度、30年度で図っていくということ。
  そして10ページ目には、よりイメージが持ちやすい研修教材やマニュアルの在り方。ICT、それから情報機器の整備ということでございます。
  また10ページ目から11ページ目にかけましては、外国語を母語とする外国人やこれに準ずる者なども含めた様々な外部人材の確保の在り方。
  そして11ページ目には、コア・カリキュラム開発も含めた教員養成の改善・充実の在り方。
  11ページ目下からは、関係機関の連携も含めた教員研修の改善・充実の在り方ということでございます。
  少し長くなりまして恐縮でしたけれども、資料2-1と資料2-2を御覧いただきながら、本日御議論をお願いできればと思います。ありがとうございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの報告を踏まえまして、御意見頂ければと思います。御意見のある方は、挙手いただくとともに、名札を立てていただきまして、順次私から発言をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。どこからでも結構かと思います。ありましたら、お願いいたします。
  それでは樋口委員、お願いいたします。
【樋口委員】    ありがとうございます。1点質問させてください。1番の「社会に開かれた教育課程」の実現に向けた小学校の教育課程の改善・充実のところで、特別支援教育に関しては、どのような触れられ方をしているのか、ちょっと明確に分からないんですが、どうなっているんでしょうか。お願いします。
【天笠主査】    お願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。特段明記ということではございませんけれども。当然のことながら論点整理の方向性を踏まえたということで、念頭に置かれている資質・能力の議論の大前提として念頭に置かれているということでございますけれども、この段階で改めて少し丁寧に触れておいた方がいいかもしれませんので、是非御意見頂ければと存じます。
【樋口委員】    分かりました。では後ほど、また意見、言わせていただきます。
【天笠主査】    そうですか。はい。それでは次、大橋委員、お願いいたします。
【大橋委員】    年間、高学年では35単位時間の増という、その必要性は十分理解できました。それに対応して柔軟なカリキュラム設定ということで、是非この柔軟なというところは大切にしていけたらと思っています。
  例えば短時間学習だけに限定をしてしまいますと、これ、この中でも触れられていますが、授業規律との関連がございます。なかなか最初からそこに持っていくのが難しい実態のある学校もあるかと思います。是非、短時間学習だけでなく、60分の扱い、あるいは長期休業日の活用、それから週当たりのこま数の増と、バリエーションのあるもので設定を頂けたらと思います。
  その中で、土曜日の活用なんですけれども。25%の学校が現在それを行っているということもございますけれども、学校週5日制が始まったとき、これは家庭、地域に子供を返すという趣旨であったと思います。ですので、土曜日授業を行う際には、やはり、その辺の趣旨を生かした取扱いが必要かと思います。
  以上です。
【天笠主査】    続きまして福田委員、お願いします。
【福田委員】    ありがとうございました。何のために、どんな姿を目指すかということは、今のこの文章と大杉さんの説明とで分かったので、将来的展望についてはオーケーと思っています。
  ただ、現実の一歩を踏み出すには、私は、うちの学校の場合、枠はないし、人はまだだしって、様々な思いが巡ります。でも、目指す方向性の実現のために、環境整備という点と、それから指導という点について、お話をさせていただきたいと思います。
  環境整備の方は、時間については今、大橋委員からもおっしゃいましたけれども、様々な可能性を示していただけたと思っています。どれが、この地域、この学校にとって最善であるかという方向で考えていきたいと思っています。
  それから人についてなんですが、専科の可能性も含めての記述だと思っています。現在、学校規模に応じて専科の定数というのが決められています。ですから、この英語、外国語の導入に当たって、その定数がプラスになれば大変、校長たちはありがたいんですけれども、そうじゃないにしても、音楽とか、図工とか、家庭科とか、理科とかが一般的に専科として、規模に応じて優先順位を校長が判断して入れている中に、英語の教員、専科を入れることができるかなと考えました。ですから、その人材確保と、そこへのスムーズな配慮とか配置とかというものが進められる必要があると思います。
  また、その専科だけでなく、やはり、この教科の特性の一つとして、担任はじめ全教員が日常的な外国語に触れる、交流していく環境づくりのために力を発揮する必要があると思っていますので、そこの研修体制や教員の資質。小学校の教員は英語がないから小学校に来たのにってぼやいている教員もいますから、その辺のところを進める。その二つの人的な配慮が必要だと思っています。
  二つ目の指導についてですが、今の御説明の中の2-1の資料の11ページあたりに、段階に応じた指導の体系、系統性みたいな記述があって、これは私は分かりやすいなと思いました。
  特に高学年の二つ目の黒丸のところで、発達段階に応じた「読むこと」「書くこと」に慣れ親しみ、積極的に英語を読もうとしたり書こうとしたりする態度の育成を含めたというような記述のところが大変、私はよいと思っています。
  小学校段階における基礎的なものは何かと考えると、体系的なものを分化させて小学校段階に下ろすという考え方では、英語嫌いが増えるだろうなと思っているんです。書くことにせよ、聞くことにせよ、話すことにせよ、その設定はよいんですけれども、それをどう評価するかに掛かっていると思っています。
  ですから、マルとかバツが付けられるものでなく、態度とか意欲とかをより評価する、その比重をより高くしていかないと、間違いの指摘をすることによって、この言語の習得というものは進まなくなるところがあると思っています。大体の意味がつかめるとか、初めから部分を与えるのではなく、全体を捉えられるかどうかとか、言葉の機能を捉えながら進んで活用しようとしているかとか、そういう態度とか意欲の部分が、より評価できるような形で現場に下ろされてくるようにと望んでいます。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。続きまして寺本委員、お願いいたします。
【寺本委員】    まとめていただいた中で、小・中連携の改善・充実という2-2の資料の方で気が付いたことなんですが、特に外国語授業の中で、いろいろと専科のことも書いていただいています。そのことで、更に言えば、小・中連携といえば、中学校には当然、英語の指導の専科でやっていただいている先生方がいるわけですね。その部分で、そういった中学校の先生方が、例えば小学校に行って、小学校での外国語の授業をやることの可能性だとか、また小学校の教員が中学校に行ってということで、実態をそれぞれ見ながら、しかも授業を一緒にやっていく中から連携が図られていく、それぞれの学校の状況がお互いに理解ができるという、まさにこれも連携の一つの形だろうと思うんです。
  そのことについても、もう少し触れて、学校の教員自体も小・中の方をそれぞれ行くことが可能にできるような、そんなことも記述してみたらどうかなと思っています。
  それから地域の連携ということで書いていただいた、2-1の資料の3ページにありました。これも確かに地域や社会との連携、協働が大事だということで、このことはすごく基本的にオーケーなんですけれども、じゃあ、その地域の人的・物的資源は一体何なのかというところが、意外とイメージしづらいところがあるものですから、もう少し具体的な記述。例えばPTAにしても、また地域の自治会というのか、いろいろな団体があろうかと思うんですが、そういったことも、例えばという表記がもしできたら、もう少しイメージとしてつかみやすいのではないかと思っています。
  以上です。
【天笠主査】    樋口委員、お願いいたします。
【樋口委員】    お願いします。3ページのところの発達の段階ということに関して、恐らく発達障害を代表とする発達のゆがみ、ひずみといったことについて強調しておく必要があるんじゃないかなと思いました。
  まず低学年と中学年と高学年がこのような段階であるという説明がありますけれども、これは生活年齢、即発達の段階ではなくて、生活年齢が低学年に達した場合には、こういったことができるようになる子供が多くなってきているという理解であって、特に現代は個人差が大きくなっている。恐らく個人の経験する生活、それから経験する様々なものの個人差を反映していると思うんですけれども。
  ですから、低学年において学力差がそのまま尾を引くから、低学年でうまく慣らしておかなければいけないということはそうなんですけれども、それを低学年の時期に解決できるかというと、中学年、高学年になって、やっと伸びてくる子供たちもいる。そういった個人の差というもの、それから発達障害という発達症の非常に大きな個人差に対応できるようなカリキュラム・マネジメントが必要なのではないかと思います。
  実際に学年ごとに示されている内容を、その学年で習得できるかということに関しては、かなり難しいお子さんもいらっしゃるということを考えますと、どんな内容について、ほぼ習得できたのかという簡単なチェックリストのようなものを補助表として。要録というほど位置付けなくてもいいと思うんですけれども、この内容についてはほぼ習得できたということで、チェックを付けるようなものがもしあれば、個人のカリキュラム・マネジメントというところまで踏み込んで学校が一人一人の学びを保障できるんじゃないかと考えています。
  以上です。
【天笠主査】    清水委員、お願いいたします。
【清水委員】    よろしくお願いします。最初はちょっと確認でございます。小学校の中学年、高学年で外国語活動及び英語の教科化に伴って、それぞれ35時間の単位数を増やさないといけないと。これはあちこちでいろいろ示されておりまして、大分各方面に心遣いを頂いて、丁寧な記述をされていると思いますけれども、それはいつ、どのようにして確定するのかということと、それから、もしそのようになった場合、その確保の仕方は学校あるいは設置者にお任せする。しかし、それでは大変だから国もサポートしますよと。そのスタンスでよろしいのかどうか。
  これは意見ではなくて、そういう方向で議論が進められていると私は理解しているのですけれども、それでよろしいかどうかの確認をお願いしたいと思います。
【天笠主査】    どうですか。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。最終的な決定という意味では中教審の答申が出る時期ということになりますけれども、それに向けて22の専門部会が走っているところでございますので、その中で少しずつ決めることを決め、そして次の検討につなぎ、また次のステップへという段階を踏んでいく必要があるということであります。
  その中で、論点整理で一定の方向性を出し、そしてまた、この小学校部会で一定の方向性を出していただきまして、これを各教科につないで、必要な検討があれば、それを行っていただく。そして最終的な決定である答申につないでいただくというのが議論の進め方であろうかと思います。
  そして、御指摘のとおり、最終的にどういった形で、その時間増になった部分も含めて具体的な時間割なりカリキュラム・マネジメントを行うのは各学校ということになるわけであります。しかしながら、それをいきなり御自由にということだけでは、先ほど来御指摘もございますように、なかなか一歩として難しい部分もあるということで、必要な条件整備は何かということでありますとか、それから短時間学習につきましては、現行指導要領上でもできるわけでありまして、実際に実施している学校も、御紹介させていただいたとおり、あるわけでございますけれども、その実情を踏まえながら、それでは、その指導要領が目指す目標と、その実施の在り方ということで、何かしら整理しておくべき事項はないかといったことも含めて、各教科の検討も含めてやっていく必要があるというようなこと。そして条件整備の面では国として、あるいは自治体として、学校として、それぞれでどんなことを考えていかなければいけないのか。そういうことを少しずつ一緒に決めながら御検討を頂きたいと、そんな流れであろうかと承知しております。失礼いたしました。
【天笠主査】    今の点を踏まえて。
【清水委員】    ありがとうございました。ということを前提にすると、先ほど大橋委員からも御指摘がございましたように、やはり各学校の実情、多様性がますます広がっていくと思いますので、学校の目指す方向とか、地域の状況などを総合的に判断して柔軟に対応できるような仕組みと、そのために必要な情報の提供、これを優先させていただく方向で、プラス35時間の運用の仕方について対応していただくのがよろしいのではないかと考えました。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
  吉田委員、お願いいたします。
【吉田(裕)委員】    今の流れの中で発言するのがいいのかも分かりませんが、ちょっと別のことも。
【天笠主査】    はい。
【吉田(裕)委員】    言語能力の育成に関わって国語教育、外国語教育の改善・充実という、この点が示されていますけれども、7ページのところに3として小・中・高を通じた国語教育の充実というのがあります。この中で、国語教育がどんな学力を育成すべきかということが理解、あるいは表現、あるいは考えの形成、こうしたことで示されていて、究極的には言語能力と言語文化。これ、高等学校では言語生活と言語文化が私、今、協議されているということは、この資料の中にもありますけれども、こうして自分の考えや自分の意見を形成できる表現力、言葉の力を育成することはとても大事なことだし、自分で考えたことが自分の言葉で言えるということは、民主社会を形成する上でも基本だろうと思うんですね。
  同時に、この自分で考えて自分の言葉で表現できる、そういう力を育成するとともに、そのことが実現できる社会。つまり、自分の考えたことを自分の言葉で言える社会、あるいは環境。黙る社会ではなくて、積極的に発言する、それが認められていくという社会や環境が形成されていったときに、このことの意味が非常に大きいだろうと思うんですね。
  だから、自分が発言したら必ずそれを聞いてくれる、あるいはそれを認めてくれたり、一緒に考えてくれたりする。そういう社会や環境を、学校も含めて、どのように形成していくかというのは、このことを保障していく一つの大きな受け止めになるんじゃないかと思います。その辺をどう考えたらいいかというのを、ちょっとこの資料から考えてみました。
【天笠主査】    渡瀬委員、お願いいたします。
【渡瀬委員】    3点お願いいたします。一つ目は、今回随所にカリキュラム・マネジメントの大切さということが盛り込まれています。そのことによって学校ごとに、学校が置かれている地域性ですとか、その学校の特色を生かした教育課程の編成が柔軟に進んでいくのではないかと感じます。これは教育がグローバル化していくことを目指したり、それぞれの学校がグローバル化していこうとしたときに、多様化が進むので、とてもよい方向ではないかなと思います。先ほども幾つか御意見が出ていたように、公教育の段階では、もちろん国や地域からのサポートということは公平になくてはいけないと思いますけれども、学校の教育課程それぞれが多様化していくと、どうしても、サポートの在り方にも差が出てくると思います。
  その上で、じゃあサポートはどうしていくのかということを考えていくことが必要だと思うのが1点目です。
  二つ目は、外国語と国語の効果的な連携ということが資料2-1の13ページに書かれていましたけれども、もう少し国語以外の、他教科との連携ということにも、どこかで触れておくのがよいのではないかなと思います。そのコンテンツによっては、外国語と国語以外のほかの教科との連携というのが、かなりうまくとれるのではないかなと感じます。
  それから三つ目ですけれども、言語に関する資質・能力の三つの側面というところで、創造的思考(とそれを支える論理的思考)という表現が出てまいりました。今までもこういう表現が出てきていたのかどうか、記憶にないんですけれども、今回、これが気になったんですね。
  もちろん最終的に創造的な思考を求めるのはわかります。ただ何となくこれを読むと、論理的思考というのが、そのための手段のように読めてしまう気がいたしました。指導要領全体を通して育成すべき資質・能力、汎用的な資質・能力ということが、ほぼ、この言語に関する資質・能力とイコールになってくるようなイメージを私は持っています。初等中等教育段階ですと、やはり、まずは論理的思考力、ロジックというところが一番大事で、その先に創造的な思考力というのがあるんだと思います。創造的思考力が余り前面に出てくると、創造的思考力とは何ぞやというところで、なかなか難しくなってくるかなと思いますし、もし創造的な思考力ということが出てくるんだとすると、批判的思考力みたいなことも、どうしても出てこなくてはいけなくなるのではないかなと思います。
  特に外国語で相手とコミュニケーションをするときに、私どもの学校でも日本人以外の教員の数がどんどん増えていますけれども、そういう教員たちとコミュニケーションをとるときに、私たちが日本の学校という文化背景を持ちながら、そういう学校文化を持っていない彼らとカリキュラム・マネジメントについて話し合おうとしたときには、非常に必要になるのは、やっぱり論理性と、それから批判的な思考力ではないかなと思います。そう考えると、批判的思考力みたいなものも論理的思考力とともに、その先に必要になってくるのではないかと思います。
  以上です。
【天笠主査】    門田委員、お願いいたします。
【門田委員】    失礼いたします。今、授業時数を70時間、そして35時間どうするかという話で、いろいろな形のやり方があるかなというのを話し合っているところなんですけれども、今まである枠の中に、子供たちが将来大切だなと思うものを入れ込まなければいけないので、様々な工夫が大事だとは考えています。そんな中で短時間学習であるとか、土曜授業、それから長期休業中の運用とか、いろいろやり方はあろうかと思うんですが、現在この短時間学習というのは、ほかの活動の中でも様々取り上げられていて、それを授業時間に含めるかどうかというのが混在しているような気がいたします。
  今回、この高学年の35時間増えた分をという議論の中では当然、授業時間で行うわけであって、例えば15分で行うとしたときに、その15分の授業時間帯で目標があり、指導内容があり、子供たちが身に付ける内容があり、そして評価をするという流れが、やはり大切かと思いますので、それが確実にできるような。学校単独になるか、どのレベルで話をするか、若しくは外国語のワーキングの方で既に話も始まっているのかもしれないんですが、そういうあたり、授業時間に含めるというあたりは、もう少し丁寧に議論をされたらいいかなと感じました。
  以上です。
【天笠主査】    それぞれの委員の方の御意見の中には、やっぱり、それぞれの学校、地域での教育課程の編成というんでしょうか、そういうことをしっかりと見据えてということを前提にするというんでしょうか。ということですが、この話というのは決して今に始まったことじゃなくて、振り返ってみれば、随分以前から、そういう意味においては、基本的にはそれぞれの学校、地域に応じて教育課程を編成していくんだということの、その積み重ねが現在に至っていると思うので。
  ですから、今回は、そういうことについての外国語の授業が、英語の授業の時間について今、焦点化しているわけですけれども、改めて、それぞれの学校、地域で実態に応じて教育課程を編成ということで、現状認識というのは、結構そういう意味で言うと、それぞれの学校、地域では、このあたりのところについては、かなりノウハウを習熟していて、それなりに応じることができる、そういう経験とノウハウの蓄積は既に一定の程度、あるいは相当程度蓄積されているんだと捉えるのか。それとも、そこら辺のところ自体が、言い得ているけれども、なかなか、それぞれのまた地域、学校の実情によって非常に難しい状態があるんだという、そこら辺のところの状況認識というんでしょうか。ということで、仮に後者だとしたら、じゃあ改めてどういうサポートをしていくべきなのかどうなのか、そういう議論というんでしょうか、御意見もまた大切になってくるんじゃないかと思うんですけれども。
  少なくとも、それこそ学校裁量の時代から、地域と学校の実情に応じてということを様々に重ねてきていると、そういう前提であるし、また短時間、モジュール学習というのも決してこの間、全くそういう実践がなかったと、そういうことでもなかったわけで、それらのことの取組を改めて今回、ある意味で言うと、問い掛けていると。そういう性格も、これ持っているのではないかと思うわけでありますけれども、改めて、そこら辺のところの。仮になかなか、それぞれの学校に丸投げしちゃうということを言い得ても、やっぱり、こういうサポートが必要なんじゃないかとか、あるいはこういうこととつながっていくと現場の対応とサポートする側とが相互につながっていくんじゃないかとか、何かそういう視点からの御意見等々があれば、またお願いできればと思いますし、またこの点に限らず、他の点についても御意見等々がありましたら、お願いできればと思いますけれども、いかがでありましょうか。
  清水委員、お願いいたします。
【清水委員】    今の主査のお話をお伺いして、一つだけ確認をさせていただきたいと思います。前に頂いた資料で、例えば朝の帯の時間で読書活動とか計算練習のようなものの位置付けについて、いわゆる標準授業時数内で位置付けている学校と、その枠外で位置付けている学校と、いろいろであるということについてのデータ頂きましたけれども、その辺の判断については、マネジメントの観点とか、今日御説明いただいた趣旨からすると、やっぱり校長が判断することに多分なるのだろうと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
【天笠主査】    これは私の個人的な立場ですけれども、それぞれの学校における校長の判断というんでしょうか、ということで。場合によってはというか、市町村教育委員会のその判断というのは、そのときの校長の判断になってくるということも十分あるんじゃないかと思いますけれども。これは一応、私の個人的なという形で聞いていただければと思います。
【中島主査代理】    この説明いただいた資料は、大変よく分かったと思いました。一番最後の5番の小学校の教育課程の改善・充実を支える方策について。ここが一番、今後の今、主査がおっしゃった話のところにつながると思っているんですが。
  この中の六つほど丸が書いてございますけれども、おおむねオーケーだなと思いながら、ここらあたりを条件整備という言い方なんでしょうが、ICTの教材の開発も含めて。教材の開発もさることながら、ITCの設置の話の方が先の感じもいたします。そういうことだとか、最後の丸の学級担任のよさ、教科担任のよさを兼ね備えたという、要するに専科制のこと。この二つは、もう少し、検討されるべきじゃなくて、もっと強力に書いていただくと、これは現場にとっては大変うれしい話だろうと。是非それが実現できたら、1から4までのことはかなりクリアできる。それぞれ地教委なり、それぞれの実態に応じてやれると、かなり幅が出たと思っていますので、そこさえうまくいけば現場は喜ぶと。
  だから、ICTの環境整備。もちろんカリキュラム、教材もそうなんでしょうが、併せて専科をいかに早く取り入れてもらえるか。そこらで随分ほかのことも含めて、先ほど出ている生徒指導のことも含め、いろいろなことも含めて、かなり進んでいくと思っております。
  以上です。
【天笠主査】    福田委員、お願いいたします。
【福田委員】    具体的な環境整備という点で、天笠先生からお話がありました。イメージとしては、日本中のどこの教室にも、電子黒板までいかなくても、パソコンとスクリーンがあって、実物投影機があって、それに関わるドリル的な習熟に関わるようなフラッシュの教材があって、又は会話のスキットみたいなものがあって、それが共通項として幾つかあるものを学校や教師によって持ってきて使えるという、そこがまず整備されているということ。
  また教員に関して言えば、全校に、その流れだというのは分かっているんですけれども、ALTが全部あって、専科がきちんと意思によって配置が可能になっていて、また教員の枠というのが、この参考資料、勤務の枠というのがあったんですけれども、実際7時間45分の勤務になって、6時間の授業が終わると、あと10分ぐらいしかないんです。そんな中で研修をしたり、会議をしたり、打合せをしたり、教材の準備をしたりしていますから、時間をかけずに理解と指導ができるようにする必要があります。その教員研修に関わるわかりやすい資料のようなもの、例えば社会科を指導するときに導入のところを英語でやってみようかとか、何か、あっ、これならできそう、みたいな具体的な事例とかテキストみたいなものがあると、校長も外国語活動の研修を行いやすいと考えました。
  それからモジュールについては、もう総合が入る頃から、繰り返し繰り返し教育課程の編成の中で出てきて、私も何回も試みているんですけれども、その時代とか、受け取る教育委員会によって、習熟だけの15分は教科として認めないとか、それとか、これは授業として成立しないとか、結構、教育課程の届出を突っ返されたというような経験もあります。ですから、その習熟の部分なんかを、先ほど申し上げたICTのスキットなりドリル学習で、きちっと押さえていくという位置付けがあると、子供たちも見通しが持てて安定するんです。教師も対応がしやすいんです。
  ですから、この学習を進めるに当たって、どこかでやらなきゃいけないものであれば、余り制限を付けずに、モジュールの時間としてオーケーというのを文科省の方で出してくれると、校長の迷いは少なくなるなと思います。
  以上です。
【天笠主査】    大橋委員、お願いいたします。
【大橋委員】    今の福田委員の話と関連するんですが、学校では1単位時間を45分標準としてということで。ただ、これを柔軟にしていくということも理解をしていますが、例えば図工であるとか家庭科、理科などは45分を二つ続けて行うというような取組は多くの学校でしているかと思います。
  ただ、例えば算数で問題解決を行うといったときに、45分プラス15分で60分、じっくり子供に考えさせようというときには、そのようなことが必要だと思うのですが、今度これが残りの30分を他の教科のどこに充てるのか。そこがなかなか組合わせができないものですから、非常に難しいところに当たっていると思います。
  先ほど清水委員から柔軟なカリキュラム設定では仕組みと情報が必要であるというお話がありましたが、まさに私も、どういうふうにやったらできるという情報が各学校に行くと、より取組が進んでいくと考えているところです。
  以上です。
【天笠主査】    いかがでありましょうか。あれなんでしょうか。大橋委員にお尋ねさせてもらいたいんですけれども、例えば柔軟な日課表を作るとか、あるいは今言われた授業のそういう云々、そこら辺のところ、現実の実態として、学校には余り情報が届いていないのが、今のおおむねの多くの学校の実情だと理解してよろしいんでしょうか。そこら辺のところ、どういう、情報が学校に届いているか届いていないか。とりわけ日課表の編成、時間割の編成あたりに当たって、いかがでしょうか。
【大橋委員】    各学校では45分で全部やらなければいけないという理解ではありません。時間長くする、あるいは短くする、その組合せをすることはできるということは理解をしておりますが、先ほど申しましたように、その組合せを、例えば45分と15分を組み合わせたときに、残りの30分をどこに充てるのか。これがなかなかできないところで、難しさが出てきます。
  それからまた、日課表というんでしょうか、生活時程表は、チャイムを1時間目と2時間目の間、鳴らさないであるとか、そのような工夫をしている学校がありますが、学校としては、その学級、あるいはその学年だけで動いていくわけでないので、ここがまた一つ困難なところだと思います。
  以上です。
【天笠主査】    済みません。続けてもう一つ。としますと、各教科の年間指導計画というんでしょうか、それがどういう存在なのかどうなのかということと何か非常に関わっているような、今お話を頂いたんですけれども、年間指導計画の方ががっちりと、それぞれ整然となっていてですね。そうすると、現実に授業で運用するというと、お話のように30分と15分をそういう形で整理しながらというのが、現実にはなかなか難しいようにも拝察するんですけれども。各教科の年間指導計画の存在というんでしょうか、そこはどんなふうに理解したらよろしいんでしょうか。
【大橋委員】    恐らくですけれども、多くの学校が年間指導計画については45分を1単位時間で作っているというのが実態ではないかと思います。なぜそうなるかというと、先ほどお話ししたように、他教科と時間を組み合わせていくのは非常に困難な部分があるからだと思います。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。今のに関連してでも結構ですし、また別の。
  樋口委員、お願いいたします。
【樋口委員】    お願いします。今の45分間ということに関して1点。特別支援学校の方では授業時数の確保ということが非常に、私が文科省にいたときに、指導しなければいけないということで話題になったことが多いんですけれども、やはり、あくまでも45分間というのは、計算上は45分ですよと。ですから、15分を3回したら45分、1こまとしてきちんと計算しましょう。40分の授業を行った場合には、45分間の授業1こまということにはならないので注意してください。
  特別支援学校ってスクールバスの関係で、どうしても時間が短くなる場合があるんですけれども、そうしたときに、40分でも45分間、1回分と計算するのはまずいんですよということは、よく話をしていましたので、基本は45分ということは、特別支援学校の方ではよく分かっているんじゃないかと思っています。
  それと言いたかった意見なんですけれども。13ページの国語教育と外国語教育の効果的な連携の意義、あるいは国語教育の充実という面で、たしか前回のときに私は、外国語、英語について文の構造への気付きというのは小学校段階では難しいんじゃないかという話をさせていただいたと思うんですけれども。じゃあ母語である日本語について、文の構造に関することを小学生が学んでいるのかということを学習指導要領でちょっと見てみたんですけれども、どうも余り学んでいないんですね。伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項ということで、主語と述語があることとか、修飾と修飾語の関係などとか、実際に読んでみると、表記のための約束事を学ぶことは幾つかあるんですけれども、文の構造、つまり文法について子供たち、自分たちが話している日本語についての理解がほとんどない中で、いきなり英語の文の構造に気付けということが、やっぱり難しいと思います。ですから、国語教育の5年生、6年生あたりで日本語の構造について体系的に学ぶ必要があると思います。
  それと同時に、何年か前に日本語文法について調べて驚いたことがあったんですけれども、日本語文法というのは、まだ確立していない学問の分野であると。例えば形容動詞という品詞をありとする学者となしとする学者がいるんだというようなことが書かれておりまして。とすると、小学生に教えるべき日本語の文の構造とか文の仕組みについて、早急に確立していただかないと困る。それを国として後押ししなきゃいけないだろうなと思います。
  そうすると、正しい文法にのっとった正しい日本語の表現の仕方、それを基本とした外国語を使った豊かな表現力と、順調につながっていくんじゃないかと思っています。
  以上です。
【天笠主査】    吉田委員、お願いします。
【吉田(裕)委員】    国語の立場ですので、何かを発言しなきゃいけないと思います。今、樋口委員がおっしゃいますように、言葉はどれが正しいのかということを決めていこうとすると大変難しい側面があります。というのは、やはり言葉は動いているものですので、最大公約数みたいなところでもって測るところが多分にあるんじゃないかと思うんですけれども。
  今おっしゃったことで言いますと、例えば日本語の文構造。英語でこのことを説明するのは妙なあれかも分かりませんが、主語が来て、そして述語が来てというような、そういう構造そのものについては、きちんと小学校の低学年の段階で教えています。それから、私は何々ですというのは、いわゆる主語と述語の並びというものも教えていきます。これは基本的に、きちんと教科書の中でも、誰が何々ですと、そういう文構造を教えて、低学年の段階で、きちんと教科書の中で反映させています。
  ただ、文の構造というときに、日本語の構造と英語の構造は大きく違うところがあって。英語の場合はSが来たら次にVが来るというSV構造というのが大体基本ですよね。五つの文型があります。全てSVで始まっていきますね。日本語の場合には、主語が来ると、その次には、いわゆる修飾語だとか、そういう形のものが出てきて、最後に述語が来る。だから、そこのところは非常に異なっているところで、日本語の場合には判断のある言葉というのは一番最後に来る。私は行こうという具合に思ったんですけれども、雨が降ってきたからやめましただとか、最後まで聞かないと分からない。これは日本語の文末決定性と呼んでいますけれども。だから、そういうことで言うならば、日本語の構造と英語の構造は大きく違うというのは、こういったところにも表れてきています。
  それらは、ここから先はちょっと主観が交じるかも分かりませんけれども、じゃあ、なぜ日本語の場合には、その判断に関わる文が一番最後に来るのかという、この辺のところの一つの解釈としては、ノーが言えない日本人と、そういうところに結び付ける場合もあります。つまり、余り判断を先にしてしまったのでは、ちょっと人間関係がまずくなるだろうというようなことなどとか、あるいは他者を配慮するだとかというようなところに少し関与しているのではないかと思われます。
  ともかく、英語の構造を教える、その前に日本語の構造をということで言うならば、一応、学習内容としては、教科書などにも反映されています。
  先ほど形容動詞のことが出てまいりましたけれども、これ非常に専門的なことなんですが、形容動詞というのは、静かなとか、そんな形のもの。何だというように活用していく、それが形容動詞だと言われています。ただ、今、形容動詞と言っているのは、学校文法の中で。つまり、学校では、やはり、きちんとしたことを教えなきゃいけないものですから。だから一応、研究の成果と、学問上で言うところと、それから学校で教えることの内容というのは必ずしも相即しているわけではありません。多くのものは整合性を持ってやっていますけれども、今の形容動詞に関しては、確かにおっしゃるように、学校文法の中では、今の活用があって、何だと活用しますよというところをもって形容動詞という具合に認定しているわけです。
  これは遡れば基があるんですが、学校文法は、要するに学校教育の中で行われる文法。これは橋本進吉という人が、その基にして成り立った文法、これが中心になっています。橋本進吉さんも形容動詞をどうしようかとは必ずしも明確に言っていないところもありますけれども、これを大きく否定したのが時枝誠記という人なんです。時枝誠記という人は形容動詞はないというので、断定の助動詞という判断をしています。だから、おっしゃるとおりだと思います。
  だから、日本語と英語を比較することによって、今、私がお話ししてきたようなことも言うならば、英語を学ぶことは、私は日本語を学ぶことだという具合に思うし、日本語について考えることは、逆に英語について考えることにもつながっていくという意味で、以前にもお話をしましたけれども、やはり、こうやって言葉に関しては、比べて、その違いを見ていくことが、その言葉の性格、日本語について考えたり、英語について考えたりする機会を非常に如実に反映してくれるということではないかと思っています。
【天笠主査】    どうもありがとうございます。清水委員、お願いいたします。
【清水委員】    3点お願いします。一つは今話題になっておりました英語に関わることです。今日の資料の2-1の11ページのところに、小学校高学年の英語についての記述が丸(〇)でございます。その最後のところに例として、「馴染みのある定型表現を使って云々」というのがございますけれども。これはどちらかというと、英語教育の専門家からすると、こういうことになるのだろうと思いますけれども、すぐ上のところで、「中学校で学ぶ内容を小学校高学年に前倒しするのではないと、小学生らしさを出すということ」からすると、この例は、もしかすると誤解を与えてしまうかなということが一つです。
  しかし一方で、英語ということを表に出そうとすると、これは必要不可欠な要素であるとなると、やはり、これを例示されるのであれば、もう一つセットで、例えば自分の好きなものとか家族、生活のようなことについて、既にこの4、5年までのところで子供たちは、子供なりに、国語科、生活科等の各教科等において日本語で表現しているはずです。それがもし英語で書かれたとしたらどうなるのかというのを子供に考えさせても無理ですから。例えばこうなるんですよ。意味がよく分かっているものを英語で表現したものを見せて、先ほどお話しがありましたように語順の問題とか、あるいは日本語ですと主語が省略されることが多いので、その辺のこととかに、多分気付くと思うのです。
  ですから、やっぱり「気付き」とか、それに伴う「なぜ」というようなことを思ってくれれば、小学校レベルの英語教育、外国語教育は、もう十分ではないかなと思います。それを受けて、では、その「なぜ」にどう答えるかということで、文の構造についての着目、表現の方法についての着目ということで、中学校、高校レベルの英語が積み上がっていけば、問題や課題の発見から展開する主体的な学びとしてのアクティブ・ラーニングの趣旨に合致していくと思われます。
  例えば算数とか数学でも、厳密に数学的にやれといったら、大学に行かないとできませんと開き直ることになってしまうのですね。やっぱり隙間があるのです。そこに「なぜかな」、「どうしてかな」と思ってくれて、その答えが次の算数、数学の学習で埋められていくという、それによって系統がつくられていくわけですので。やっぱり、その気付きや疑問、それらに対して、それを対象として、もう一度検討して、学習の質の深まり、広がりができていくという認識に立つと、やはり小学校の段階、特に5、6年ですので、入り口の入り口ですから、「比べてみる」ということと、説明はできなくても、どこか違うかな、どうしてかなという「疑問を持ってくれる」だけでも大成功ではないかと思います。ので、この例示というのは多分、私たちも含めて現場では大変重要な意味を持ちますので。これは、どちらかというと外国語からの目線での例示でありますので、日本語を母語として話している、日常的に使っている子供の目線から、これに対応する例も是非セットで示していただきたいと思います。それが一つです。
  二つ目は、単位時間の弾力的運用ということで、実は、もう30年前の話ですけれども、平成元年の改訂のときに、このことが話題になりまして。私も当時お世話をさせていただいたことがございますけれども。先ほど話題になりましたように、単位時間45でずっと来たのですけれども、弾力的でよろしいといったときに、45分を40分でもよいのかという誤解が生まれたのです。ですから、指導主事の協議会では、多くの指導主事の方から、そんなことをされたら困ると。45分ちゃんとやってくれとお願いしているのに、弾力的運用だから40分でやることにお墨付きを与えてしまうのではないかということで、当時は問題にされたのです。でも、先ほどお話しのように、45分は確保するわけですから、40分でやったら5分間どこかできちっとその分補っていただかなくてはいけないですね。最近ではそういう理解をされる方はいないと思いますけれども、そういうことがございました。
  それからもう一つは、先ほど年間のカリキュラムとか、指導計画とか、週の計画との関係で、どういう組合せがよいのかなということで、当時の教育課程の研究指定校。当時は神宮前小学校でしたけれども、一番先生方の負担が少ないのは、15と30と45と60と90、これの組合せだということで、それでやると、例えば15、30とか、15が含まれるのは何時間目と何時間目のところに入れましょうと。いろいろなことを決めて、調整して、皆さん御苦労されていました。一定の成果はあったと思います。
  ただ結果としては、先生方は、45分に慣れていますので、30分と60分は、結局30分だと、無理やり45分の分量を詰めようとするのです。60分だと45分で、ちょっと時間の余ったところを引き延ばすのです。というようなことが現実に起こりましたので、そういうところでは、どういう場合に、どんなケースで、どうするといいのか、どいしたらいけないのかという、やっぱり具体的な例が、いろいろな研究開発学校ないしは教育課程の指定校などのものから提供していただいて、まさに力が付くように効果的に運用できるための仕組みを開発していただき、それを共有していく、そういう仕組みがどうしても必要になるのではないかと思いました。これが二つ目です。
  最後。現在、小学校の教員を目指している学生の相手をしているのですけれども、カリキュラム・マネジメント、あるいは英語教育の問題を議論していきますと、今の4年間の教員養成で十分対応できるかということを考えますと、うちの学生は、いろいろな学生が交ざっていますので、心配しています。となると、これはここの部会での議論ではないと思いますけれども、教員養成に関わることは別なところで議論されていると思いますが、やっぱり、もう4年でやること自体を見直していかないといけないかなということを思いました。
  ので、この「まとめ」の最後のところの今後のことにつきましては、どちらかというと、もう少しミクロの部分での議論が多いと思いますので、もう少し広い視野から養成、採用、現職研修の教職生活全体を通しての対応ということをしっかりしていかないと、この重要なカリキュラム・マネジメント自体ができる教員の育成は大分後れてしまうのではないかということです。是非その点までも視野に入れた改善の方向をお願いしたいと思います。
  したがって、小学校ですと新採用、4月1日、担任が決まって教壇に立ちますけれども、マネジメントということを考えると、前にも初回のときにお話ししましたが、やっぱり、例えば、副担任としてお手伝いをする期間が一、二年は、採用されても必要かなということです。ので、それも含めて、この養成と採用、初任の期間までのところのスケジュールといいますか、仕組みを抜本的に見直すようなことも、是非この会から御提案を頂けるような方向を示していただけるとありがたいなということです。ありがとうございました。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。今の清水委員の発言に関わりまして、一つですけれども、私も、もしあれだったら発言させていただこうかなと思う。やっぱり11ページのところで、前倒しという言葉が出てくるところがあります。確かに、この部会は小学校部会ですので。ですから、小学校部会というところで言葉の言い回しと、そこから提言というと、こういう言い方にもなるのかなと思いつつ、この10年間、あるいはもう少し長く見れば15年ぐらい、やはり小・中連携とか一貫ということについての、そういう研究開発学校を含めて取組、その蓄積というのは随分積み重ねられてきていると私は認識していまして。ですから、前の改訂の時期よりも、より小・中のつながりに関わっての知見というんでしょうか。我々は様々持っているんじゃないかと思います。
  そうすると、9年間のカリキュラムをどう考えていったらいいかどうかとか、あるいは小学校と中、先ほど話しましたように連携とか、そういうことがあったときに、従来の英語の取組というのも、小学校というと、何かまだ見ぬ世界として英語があったりですとか、中学校の。あるいは中学校というのは、何かその先にあるものだと、そういう前提で小学校の英語の在り方を考えてきたんですけれども、9年と、そういう視点でカリキュラムを考えるとすると、もう少しここら辺のところが、新たな見解というんでしょうか、そういう知見というのも生まれてくる可能性もあるんじゃないかなとも思うわけですが。そこら辺のところは、また御専門の先生もいらっしゃいますので、もしありましたら御意見をお願いできればとと思うんですけれども。
  要するに、小学校と中学校のカリキュラムのつながりというのは、かなり接近してきて、物事を考えたりしなければいけないところというんでしょうか。あるいは、そういうところが出てきているんじゃないかということで。
  ですから、小学校の段階ですと、低・中・高という、この2年間の刻みというのは、その下で考えていくわけですけれども、9年間と見たときには、もう少し、そこら辺のところの学年の捉え方とか区切り方にしても、様々な工夫というんでしょうか、そういうものは出ているわけで。そんなふうに考えると、この小学校部会としての教育課程の在り方からするとという形になっていくかと思うんですけれども。そこら辺のところの小・中の連携とか、中学校の存在を小学校部会としてどう捉えていくのかとか、そのあたりの視点も意識するとすると、この前倒しという言葉は、その一つの象徴になってくるのかもしれませんけれども、どう捉えていったらいいのかとか、そこら辺、室長いかがでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。この部分は恐らく、御指摘のとおり小・中とのつながり、それから先ほど清水先生からも気付きとか、なぜというところの大切さ、御指摘いただきましたけれども、これは高学年のみならず、今度中学年の方で外国語活動が導入されていくということとのつながりも意識しながら、少し丁寧に書いていく必要があるかなと思います。
  一方で、ただ、中学校で行われている外国語活動を、そのまま導入するわけではないという趣旨のこともクリアに書いておく必要があるということで、そういった御趣旨から、また表現ぶりを是非御相談させていただければということで、御意見頂ければと思います。
【天笠主査】    今の点に関連してでも結構ですし、また別の観点からでも結構ですけれども、いかがでありましょうか。どうぞ。
【大杉教育課程企画室長】    主査、もし時間あるようでしたら、先ほどの御発言に関係しまして幾つか御紹介だけをさせていただきます。
【天笠主査】    お願いします。
【大杉教育課程企画室長】    国語教育については吉田先生からも御説明を頂いたとおりですけれども。現在の検討状況ということですけれども、資料4-1を、少し分厚い資料なんですが、御覧いただければと存じます。4-1の少しページ数が見えにくくて恐縮なんですけれども、60ページになります。
  国語ワーキングの資料が57ページ目、58ページ目から始まってございまして、おめくりいただきますと60ページ目に少し赤、緑、青とカラフルになっておりますが、文の構造でありますとか、文の構成というところに関しまして、現状、吉田先生に御説明いただいたとおりですけれども、これを少し体系的に分かりやすく示していく必要があるだろうということで、左側の個別の知識、技能というところでございます。その中に、中ほどに文の成分、文の構成、文章の構造というところがございます。この中で赤字の部分を小学校、緑字の部分を中学校というイメージでございますけれども、このように体系的に、また適宜振り返りながら学びを進めていくということを国語の中で御議論を頂いております。
  そして、言語能力の特別チームにおきましては、きょう資料としては付けてございませんけれども、こうした国語の学びを、国語で学んだ知識、技能を外国語教育にどうつなげていくかという、そういった対比表というのも少し作らせていただいていることでございまして、こうしたことで可視化を図っていくことを引き続きさせていただければと存じます。
  それから短時間の柔軟な取扱いについて、様々例示等を含めて考えていく必要があるということでございますけれども、冊子の束の中に、この総則編という緑色の冊子がございます。これの40ページ目をお開きいただければと存じます。
  40ページ目でございますけれども、下の方から授業の1単位時間ということで始まってございます。その中で、その授業の1単位時間を何分にするかについてはということで、先ほどのペーパーにも書かせていただいたような観点を踏まえて決定していくということ。そして41ページ目には、具体的に少し例示が出されているところでございます。
  こうした総則の本体の内容及び解説について、例えば先ほど清水先生から、15分とか、そういうやりやすい時間帯の設定があるのではないかということを踏まえますと、ここに10分という例示で載っていること自体がどうかということでございますとか、若しくは今後こういったことがより活用されるということを踏まえれば、本文の在り方、総則に挙げるいろいろな例示の在り方、そしてもう少し具体的な事例のようなことも含めて充実させていくような必要があるのではないかということで、現行のここらあたりの書きぶりを少しスタートラインにしながら、より充実を図っていくようなこと。
  これは、この4の1単位時間のところと、次の42ページ目でございますが、5の時間割の弾力的な編成というところも併せてでございますけれども、こうしたところの在り方ということを引き続き。これは総則・評価部会も関わってまいりますので、学校諸部会、教科等別部会、うまく連携させながら、そして私どもの方でのいろいろな調査研究ということの成果もきちっと連携させながら、更に整理をさせていただく必要があるかなと事務局では受け止めているところでございます。
  済みません、ちょっとお時間を頂きました。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。樋口委員、どうぞ。
【樋口委員】    ありがとうございました。吉田委員の御説明と、それから今の事務局からの国語と英語との連携といったことが非常にいい方向で議論されているんだということが分かって安心しました。
  ただ、やはり発達の段階ということにちょっとこだわるんですけれども。例えば小学校の低学年で主語と述語の違いということはルールとして理解できたとしても、彼らの段階では恐らく抽象的な言語の働きとして、どういうことなのかということを理解するには、もう少し上の段階にならないと理解できないんだと思います。
  ですから、外国語が高学年で入ってくるとしたら、高学年の国語で、またそこに戻って、日本語と外国語の違いで比較したら、こういうふうに、よりよく理解できるようになるよねと。メタ認知という言葉がありましたけれども、言語の仕組みを言語を使って理解するというところを更に充実させていくことによって、言語能力全体のレベルアップということが図れるんじゃないかと思いました。
  以上です。
【天笠主査】    他にいかがでしょうか。
【無藤教育課程部会長】    話、少しずれる部分が入りますけれども。一つは、私、以前に発言した小学校の低学年、中学年、高学年の特徴付けというのを丁寧に書いていただいて、ありがたく思いました。それから小学校英語の導入について、35時間を加えることは基本的に了解した上で、その導入の仕方ということを今日報告いただいたと理解しております。短時間の活用、モジュールの活用は有力な手だてであるけれども、現状として既にその時間を様々な他の教科その他で使っているということを踏まえながら、可能性としてはいろいろなものを示すということに落ち着いてきたんだと思います。それも何人もの委員の方の御指摘のように現実的だと思います。
  ただ、一つは、あくまで英語強化するという基本的な指導要領全体の方向は確認して、それを小学校5年生。その前は準備段階だとして、5年生から教科としてしっかりやっていくんだということは確認したいと思います。
  教科として行うということである以上は、学習指導要領上のカリキュラムの規定というのが。確かに中学校1年生のものをそのまま小5から始めるのではないにしても、少なくとも小学校5年、6年、小学校の教科としての新たな在り方というのを明確にしていくことは必要だと思うんですね。
  つまり、今までの小学校の英語活動のやり方に中学校1年生のやり方がまぶされるということではなくて、新しい小学校英語、教科としての英語を作るということが肝心だと思います。
  そうなりますと、そのためには、私は本来的には専科教員を配置すべきだと思いますけれども、現実には教職員定数の問題とともに養成、研修、間に合い兼ねる部分があると思いますので、英語の専科の教員と、あるいは中学校の専科教員が小学校に回ってくるということを含めるのと、ALTの配置と、さらに担任の教員で組合せを様々にやるということが全国的には展開されると思いますが、方向性としては、より専門的な教科という方向に進めていくんだと。指導要領の実施、即そうだということではないけれども、そういう方向性ははっきりさせた方がいいと思います。
  2番目は教科書等の在り方で、教科書を早めにということと、様々な音声、映像、教材を、多分インターネット等の配信も含めて行うんだと思いますけれども、これもいずれは電子教科書の導入を構想しながら、多分二、三年先はちょっと厳しいのかもしれませんが、進めていくべきものだろうと思います。
  そして3番目は、これも何人もの先生がおっしゃったように、どういう時間帯にせよ。例えば15分授業とか、30分とか、土曜日使うとか、夏休みの集中とか、どうであれ、今までの小学校の通常のやり方ではないわけですので、それ自体として、それをきちっとした教科でやることの、いろいろな意味での実用、実際的な難しさと。それから先ほど申し上げたように、それを、しかも教科でやる。単なる英語活動ではないという難しさ。また時には、もしかすると担任がある程度やらなければならないという、いろいろな事情を考えたときには、相当に教材とか指導法などの提供を、国とは言いませんけれども、国に準ずる機関で示すということでやらないと。早めに英語活動、英語教育について充実させることが方向だと思うので、かなり早急にそれを取り組んでいただきたいなと思います。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。もう少し時間がありますけれども、委員の方で御発言いただく方、いらっしゃいますでしょうか。副主査からありますか。
【中島主査代理】    この英語活動、やっぱり相当保護者の皆さんも興味持っていらっしゃるだろう。グローバル化という、なおさら必要だという認識が高まっている。そうなってきたときに、私、一番心配するのは、経済的に家庭。間もなく、すぐ家庭教師、もう入っているだろうと思います。家庭教師が入ったり、塾にやったりというので、そうじゃない子供との差が、ここでまた差が出てくるような気がしてならないんですけれども、そういうことがならないように、できる限り。さっき、最初に公平という言葉がありましたけれども、そういうシステムをどうしたらいいかと。
  そのために、やっぱり35時間、70時間でもいいので、学校でやって、そこそこ。中学卒業の英検3級、50%という目標が書いてありましたけれども、そこまで行かんにしても、それに近いところに行くよというような、そういう教員も一生懸命になりましょうし、支援するといいましょうか、環境的、財政的、いろいろな面で御支援賜る。そのことが日本の子供が、こう分かれてしまってどうしようもなくなるという話にならないように。特に公立小・中学校は、そんな気がしてなりません。そういうことも、どこかで配慮していただけたらと思っています。
  以上です。
【天笠主査】    それでは、渡瀬委員、どうぞ。
【渡瀬委員】    今のお話を伺いながら、ちょっと思ったんですけれども。英語の力がどのように習得されたかということを今後、英語も学力テストのような形で測っていくこともあるでしょうし、それから外部の、例えば英検だとか、高校生になればTOEIC、TOEFLみたいなものもあると思いますけれども、そういう機関のテストを受けることもあると思います。やはり外部の点数で測ろうとしたときに、とてもお金が掛かるんですね。今後、世の中一般に認めてもらえるような標準テストをどういうふうに各学校が実施していくか。その予算をどういうふうにしていくのか。もう少し、そういうTOEFLとかTOEICの受験料を値下げしてもらえるのかとかですね。何かそういうことも国全体で考えていかないと。
  今、大学でもTOEICのスコアを要求することが出てきていますけれども、やはり高校生たちがそれを何回か受けるというのは結構な負担です。極力そういうところでのサポートや、そういう関係団体への呼び掛け等々ができていくといいんじゃないかなと思います。
【天笠主査】    それでは、もう御発言よろしいでしょうか。これで終わりにさせていただきたいと思いますけれども、私の方から二、三申し上げさせていただきますと、一つは、現在の学習指導要領は2年間と、そういうことを一つの学年の区切りにしながら提示しているというんでしょうか、目標・内容ともにという。生活科が登場して以来、そういう各教科等々を2年間でというのが随分多くなってきたわけですけれども、改めてそこのところが、いい意味でうまく使われているのかどうなのか。成果を表すために2年間でと、そういう組み立て方とか、扱い方とか、動かし方が、真の意味で成果をどんな形で上げているのか。従来はずっと各学年で。今、算数、理科は学年ごとですけれども。ということで、今回の英語に関わって、そこら辺のところをどういうふうに扱っていくのかどうなのかということも、また一つの検討事項になるんじゃないかと思いますけれども。そうしたときに、長く慣行として低学年、中学年、高学年と、こういうことで来たわけですけれども、そのあたりのところも併せて、2年間ということの持つ小学校教育における意味をもう一度確認をしつつ、この教科としての英語の導入というのも捉えていくのが一つ必要なのかなと思いました。
  それから二つ目は、やはり出ましたけれども、この短時間の学習をモジュール等々含めて導入することについての、導入の仕方についての習熟というんでしょうか。あるいは、それを獲得していくというんでしょうか。ですから、その経験は、少なくとも私は現場にあると思っているんですけれども、それをもう一度掘り起こしたりですとか、あるいはそれぞれの各地域のそういう情報等々をもう一度ある程度整理して再度お伝えするとか、こういうことについて必要になるかと思うんですけれども。
  そのとき何が一番重要になってくるかというと、校長先生がこのことについて御理解いただくと。カリキュラムについてという、カリキュラムの作り方とか、動かし方とかということが一つ、この時点で大切になってくるのかなと思います。そこのところが御理解が深まっていくと、その先に学校の中に展開していくということがいくと思いますので、改めて、そういう点で御理解を図っていくような環境の整えというんでしょうか、情報の提供の仕方ってあるかなと思います。
  最後ですけれども、改めて私は、この小学校における英語の導入は人的な条件というんでしょうか、それの整えというのは、やっぱり欠かせないそれなのかなと思っております。もちろん定員の手当て等々いろいろあるかと思うんですけれども。やはり一つは教員養成と研修の在り方ということと関わってくるんじゃないかと思うんですけれども、そういう意味における学習指導要領改訂の条件整備としての教員養成の在り方とするならば、ある程度今から始めていく必要があるのかなと思います。学習指導要領が走ってから、その後から教員養成がついていくんじゃなくて、先にもう教員養成があって、それと改訂、この話とが符合していくような、そういう形になっていくといいかなと思いますので。ですから、小学校部会として、それぞれの委員の方のそれらについての言及等々もこの中に盛り込んでいただけると、よりよろしいかなと思いました。
  ということで、皆さんからそれぞれ頂きました御意見を踏まえた修正については、本部会の主査である私の方に御一任をさせていただきたいと思います。その上で、事務局とも相談の上、当部会として年度内に方向性を示すべき事項についてまとめた「小学校部会におけるこれまでの議論のとりまとめ」として取りまとめさせていただきまして、今後、教育課程企画特別部会や他の教科等別ワーキンググループ等に報告するとさせていただきたいと思いますけれども、そういうことで御一任いただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【天笠主査】    ありがとうございます。ということでさせていただきたいと思いますし、この間、修正等々につきましては、また委員の方々とのやりとりをさせていただきたいと思っておりますので、どうぞ、その旨も含めまして、よろしくお願いいたします。
  それでは、また後日、取りまとめられたものにつきまして皆様に事務局からお伝えさせていただき、共有を図っていきたいと思っております。そういうことで、まずはここまで御協力いただきましたことにお礼を申し上げさせていただきたいと思います。
  それでは、本日の議題はここまでということにさせていただきたいと思います。
  最後に、次回以降の日程について、事務局よりお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    先生方には短期間でのおまとめに御協力いただきまして大変ありがとうございます。
  次回でございますけれども、4月後半での開催を予定しております。今後は小学校教育全体として育成すべき資質・能力の在り方、各教科ワーキングの議論も踏まえながら御議論いただく予定でございます。詳細は追って御連絡をさせていただきます。
【天笠主査】    それでは、本日の小学校部会を終わりにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

――  了  ――

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