教育課程部会 小学校部会(第2回) 議事録

1.日時

平成28年2月4日(木曜日) 13時00分~15時30分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 小学校の教育課程の改善・充実について
  2. その他

4.議事録

【天笠主査】    定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会小学校部会の第2回を開催いたします。
  本日は、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
  最初に、事務局から、前回欠席された委員の紹介及び配付資料について御確認をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、まず、前回御欠席の委員の御紹介をさせていただきます。
  福本謹一委員でいらっしゃいます。
【福本委員】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    吉田裕久委員でいらっしゃいます。
【吉田(裕)委員】    吉田でございます。よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    よろしくお願いいたします。
  続いて、配付資料の確認をさせていただきます。本日、議事次第に記載のとおり、資料の1から7、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら、お申し付けくださいませ。
  なお、いつものように、机上の上にタブレット端末を置いてございます。特別部会の審議に当たり必要となる答申等を入れておりますので、詳しくはタブレット端末の下にございます目次を御覧いただきながら、適宜御活用いただければと思います。
  それから、色付き附箋が付いております一部の資料は、委員の先生方限りとなっておりますので、御留意いただければと思います。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  なお、清水委員でありますけれども、遅れておいでになるという御連絡がありましたので、会を進めさせていただきますことを御了解いただければというふうに思います。
  それでは、本日は、前回に引き続き、小学校の教育課程の改善・充実について御議論いただきたいというふうに考えております。
  なお、本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきいただければと思います。
  それで、前回は第1回ということで、検討事項のうち、主に1及び2の観点から御意見を頂きました。そこに資料2がありますけれども、小学校部会における検討事項ということで、前回は、社会に開かれた教育課程、それから、2番目として、小学校教育を通じて育成すべき資質・能力についてということで、御意見を頂きました。
  今回は、引き続き幅広い視点で御議論いただければと思いますが、本部会としては、年度内に一定の方向性が求められると思われる1、2に加えて3、カリキュラム・マネジメントの在り方に当たる部分につきましても、御意見を頂ければと思います。
  その検討に資するために、まずは教科横断的に取り組むべき課題について、事務局より他のワーキンググループ等における最近の議論の状況について御報告をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。本日の議論の流れについて1枚、紙を置かせていただいております。本日、中心的にはカリキュラム・マネジメントについて御議論いただく流れでございますけれども、前半は教科横断的に取り組むべき課題についてということでございます。当方から後ほど、特別支援教育や情報活用能力、健康・安全に関する教育といった、特定の教科のみならず教科横断的に取り組むべき様々な現代的課題ということについて、議論の状況を御紹介させていただきますので、これにつきまして、小学校教育の観点から、是非活発に御議論いただければと存じます。
  それから、後半の方でございますけれども、効果的で柔軟なカリキュラム・マネジメントについてということでございまして、当方から、小学校における週時程の現状ですとか、カリキュラム・マネジメント、短時間学習の現状などを御説明させていただきますので、効果的で柔軟なカリキュラム・マネジメントの在り方について、小学校教育の観点から御議論いただければということでございます。
  それでは、まず、前半の資料を御紹介させていただきますが、その前に、カリキュラム・マネジメントとはということで、一度論点整理の内容を振り返らせていただければというふうに存じます。机上の冊子の束の上に、緑色の冊子がございます。「特別部会の論点整理」という冊子をお開きいただければと存じます。21ページ目に、カリキュラム・マネジメントの重要性ということで、記していただいております。「教育課程とは」というところから始まっておりますけれども、教育課程とは学校教育の目的・目標を達成するために、教育の内容を子供の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画であり、その編成主体は各学校であるということでございます。
  次のページをめくっていただきまして、各学校が様々な実情を踏まえながら教育目標を達成するために、学習指導要領に基づきどのような教育課程を編成し、それをどのように実施、評価、改善していくかというカリキュラム・マネジメントの確立が求められるということ、特に今回のこの論点整理の趣旨を踏まえますれば、教科ごとのみならず、教育課程全体を通した取組を通じて教育活動の改善を図っていくことや、学校全体としての取組を通じて、教科、学年を越えた組織運営の改善を行っていくことが求められているということでございます。こうした中で、教育課程を軸にどのように教育活動や組織運営などの学校の全体的な在り方を改善していくのかが重要な鍵ということで位置付けられているところでございます。
  カリキュラム・マネジメントは三つの側面から整理していただいております。前回改訂の答申におきましても、カリキュラム・マネジメントの重視ということは盛り込まれていたところでございますけれども、これまでは教育課程の在り方を不断に見直すという、この1、2、3で言いますと、2の側面から重視をされてきたというようなところでございますが、これをより社会に開かれた教育課程の実現を通じて必要な資質・能力を育成するという理念を踏まえて、再度定義付けをいただいたところでございます。
  一つ目は、各教科の教育内容を相互の関係で捉え、学校の教育目標を踏まえた教科横断的な視点で、目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくということ、2番目は、教育内容の質の向上に向けて様々なデータなどに基づき教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図るというPDCAサイクルを確立するということ、また、3番目は、教育内容と教育活動に必要な人的・物的資源を、外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること、これは、各教科及び学校全体という視点から必要になってくるという意味では、これからは管理職の先生方のみならず、学校の先生方一人一人にカリキュラム・マネジメントということを意識しながら、御自身の指導の位置付けや在り方を検討していただくということが、論点整理に盛り込まれているということでございます。
  こうした観点から、教科横断的にということがございましたけれども、特に資料の5をお出しいただければというふうに存じます。資料5は、特別支援教育、情報に関わる資質・能力、健康・安全に関わる資質・能力ということでございまして、これらは全ての教科を通じてカリキュラム・マネジメントの中で実現していく必要のある現代的課題ということでございます。それぞれ、特別支援教育部会でございますとか、情報ワーキンググループ、あるいは健康・安全に関わるワーキンググループにおきまして、専門的な御議論をいただいたものを、総則評価部会でお諮りをしたものでございます。
  まず、特別支援教育から参りますと、お開きいただきまして、1ページというところでございます。特別支援教育部会における検討事項についてということで、他のワーキングに御出席の先生方には少し重ねての御説明となり大変恐縮ですけれども、初めての先生方もいらっしゃいますので、改めて御説明させていただきます。特別支援教育部会におきまして、全体的な観点とともに、各教科の目標を実現する上で考えられる困難さに配慮するために必要な支援といった観点からも御議論をいただいたところでございます。
  1枚おめくりいただきまして、2ページでございますけれども、これが総則評価部会でも御了承いただきました全体的な方向性ということでございます。
  一つ目は、各教科の目標を実現する上で考えられる困難さに配慮するために必要な支援の改善・充実ということでございまして、これまで総則において、全体的な方向性と障害別の配慮の例ということを例示していたものでございますけれども、今後、よりインクルーシブ教育システムの構築という観点からは、各教科ごとにあるいは学習の過程で考えられる困難さに対する配慮の例ということを示していく必要があるのではないかということでございます。
  2点目は、通級による指導や特別支援学級の意義等でございますけれども、これも3ページ目の「主な意見」というところにございますように、これまで学習指導要領やその他の省令、その他の告示等で書き分けられていたものを、学習指導要領において一括して分かりやすいように示していく必要があるのではないかということ、したがいまして、学習指導要領の総則において、通級による指導の目標・内容や、構造、配慮事項、特別支援学級における教育課程の基本的な考え方、編成の方針を具体的に示していくことが必要ではないかということでございます。
  続きまして、丸3合理的配慮でございまして、4ページ目の上にございますように、4月の障害者差別解消法の施行に伴いまして、学校現場におきましても、社会的障壁の除去の実施等、合理的な配慮の提供ということが求められることになってまいります。これを受けまして、学習指導要領におきまして、合理的配慮の考え方、あるいは具体的な提供の在り方ということについて記載をしていく必要があるのではないかということでございます。
  4ページ目下の特別支援教育コーディネーターを中心とした校内体制の確立、あるいは5ページ目の共生社会の形成に向けた障害者理解の促進、交流及び共同学習の一層の充実、こういったことについても記載を充実していくという方向性でございます。
  各教科につきましては、18ページ目の上の右側の「改善の方向性」というところにございますように、学習の過程で考えられる困難さを教科の特性に応じて例示をしていく。具体的には、小学校の例としまして、19ページ目、20ページ目、21ページ目にございますように、具体的な困難さの状態に対する配慮の意図、手立てということで、先生方が具体的な指導に生かせるようなヒントということをしっかりと整理していく必要があるのではないかということでございます。
  ここまでが特別支援教育でございまして、続きまして、21ページ目の次をおめくりいただきますと、情報に関わる資質・能力でございます。論点整理にございますように、今後、なかなか先を見通すというようなことも難しい社会になっていく中で、主体的に情報を活用して判断していく、そういった力が子供たちには求められるのではないかということでございます。その中では、各教科の学びのプロセスにおいてICTをより積極的に活用していくということ、また、情報活用能力を教科横断的に育んでいくということの二つが必要になってくるという視点でございます。
  情報に係る資質・能力の2ページ目、全体で申しますと23ページ目にございますような、ICT活用の特性・強みを生かしながら、次のページ、24ページ目にございますような、学びのプロセスの中でICTを効果的に活用することにより豊かな学習を実現するとともに、情報活用能力の育成につなげていくということ、次の25ページ目には、少しより具体的な例がございますけれども、対話的な学び、深い学び、主体的な学びというアクティブ・ラーニングの視点それぞれを促進するような形でICTを活用していこうということでございます。
  5ページ目、全体で申しますと26ページ目からは、情報活用能力でございます。これまで情報活用能力の整理、5ページ目の上にございますような三つの観点から整理されていたものを、論点整理の三つの柱に沿って整理をし直したものが、その下の部分になってまいります。単なるICTを使える力ということだけではなくて、情報というものをしっかり活用して、問題発見、解決していけるという力を目指しているものでございます。
  7ページ目、全体で申しますと28ページ目をお開きいただきますと、小・中・高の発達段階に応じた資質・能力の育成のイメージということでございます。小学校のところを御覧いただきますと、様々な問題の発見・解決の学習を経験しながら、そこに情報や情報手段が活用されていることや、身近な生活と社会の情報化との関係等を学び、情報や情報手段に良さや課題があることに気付くとともに、情報手段の基本的な操作ができるようにするなど、発達段階に応じた資質・能力を小学校教育の本質的な学びを深める中で身に付けるということでございます。
  なかなか学校だけでは対応が難しい部分もございますので、これは右側にございますような社会との連携の中でしっかりと実現していくということ、また、ここに「情報手段の基本的な操作」とございますけれども、現行学習指導要領でも記載されてございますが、なかなか調査等で見ますと、小学生はまだまだ文字入力、データ保存を含めて基本的な操作が身に付いていないという状況にございますので、これをカリキュラム・マネジメントの中でしっかりとできるようにしていくという方向性でございます。
  29ページ目を御覧いただきますと、各教科の方向性ということで、教育課程全体を通じて資質・能力を育む、また、アクティブ・ラーニングの視点に立った学習活動においてICTを効果的に活用するということ、二つ目の丸にございますように、特に小学校段階においてということでございますけれども、例えば、3学年の国語におけるローマ字学習、あるいは総合的な学習の時間において身に付ける学び方、社会科における資料の収集・活用・整理などの活動、算数における図形やグラフの作成、理科における観察・実験の記録等の学習とも関連させながら、情報手段の基本的な操作をどのようにできるようにしていくのかをカリキュラム・マネジメントの中で明確にすることということでございます。
  最後に、健康・安全に関する資質・能力の育成でございます。情報に関する資料が47ページ目までございます。全体で申しますと、68ページ目でございます。それをおめくりいただきますと、全体で申しますと69ページ目、右下に69ページ目と書いてあるページをお開きいただければと思いますけれども、健康・安全に関わる育成すべき資質・能力、これも教科横断的に育んでいく必要があるものの一つでございます。
  69ページ目下には、高校の学習指導要領の例が書いてございますけれども、小学校も同様でございまして、総則におきまして、学校における体育・健康に関する指導は、学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとするということでございます。東日本大震災等も受けまして、防災を含む安全に関する記載の充実が今後必要になってこようかという方向性でございます。
  1枚おめくりいただきまして、70ページ目からは、安全に関わる資質・能力ということでございます。各学校、学校安全計画を策定・実施していただいておりますけれども、これと教育課程の関係性ということをより意識していく必要があるのではないかということ、それから、71ページ目下にございますような現代的課題も踏まえながら、72ページ目上にございますような、安全に関する資質・能力ということをしっかり育んでいく必要があるのではないかということ、また、それを、73ページ目の下にございますような、それぞれの教科の役割、位置付けの明確化及び全体を通じたカリキュラム・マネジメントの実現ということをしっかりと位置付けていく必要があるのではないかということでございます。
  6ページ目以降は、全体で申しますと74ページ目、食育に関わる資質・能力ということで、76ページ目の上に食育に関する資質・能力、77ページ目の上に食育に関するカリキュラム・マネジメントのイメージでございます。
  また、保健ということも重要でございまして、79ページ目の上にございますような、自らの健康を適切に管理し、改善していく力などを含めた必要な資質・能力、それを80ページ目の上にございますような、全体的なカリキュラム・マネジメントという中で育んでいくということでございます。
  いずれのテーマに関しましても、カリキュラム・マネジメントということが非常に重要になってまいりますので、こういったテーマに関しまして、その考え方をしっかりと広めていくということ、また、これに限らず様々な課題があると思いますので、そういったことについても本日御議論いただければというふうに存じます。
  事務局からは以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、今、御説明がありましたとおり、特別支援教育、情報活用能力、健康・安全に関する教育について、あるいは、さらにこれらの課題に限らずに、小学校において教科横断的に取り組むべき現代的課題に関して、意見の交換をお願いしたいというふうに思います。
  それで、いつものとおり、御意見のある方は挙手いただくとともに、名札を立てていただきましたら、私の方から順次指名させていただきますので、よろしくお願いいたします。また発言が終わりましたら、名札を元に戻していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
  ということで、委員の方々、いかがでありましょうか。よろしくお願いいたします。
  それでは、樋口委員、お願いいたします。
【樋口委員】    ありがとうございます。お願いします。
  特別支援教育を最初に扱っていただき、ありがとうございます。特別支援教育の立場から、前回言えなかった外国語活動、外国語の指導について一つ指摘をさせていただきたいと思います。
  発達障害の中に、読み書き障害と呼ばれる学習障害の一つがあります。学習障害の中の中核的な症状だと言われているんですけれど、聞く、話すは普通にできるのに、読み書きが難しい。これは、実は使用する言語の特性によって表れてくる割合、度合いが違うということが言われています。英語を使用する場合には、特に高く表れるんですね。困難が高く表れるということが、ほぼ確実だと言われています。英語使用圏では、10%前後の子供が読み書きに苦労している。日本語使用の場合には、多くても5%前後だろうと言われていることの理由は、言語の特性によるものだというふうに言われています。
  特に日本語の場合には、表記の方法が、平仮名、片仮名、それから、漢字という3種類を常に使っているという、世界でも稀有な例なんですけれど、このことが逆に読み書きの困難を軽減しているという可能性が指摘されています。一方、英語の場合には、アルファベットという少ない文字数のみを使っているんですが、非常に複雑なルールに従って書かなければいけない。とすると、日本語の読み書きは普通にできるのに、英語のみ読み書きにつまずく子供たちが現れるということは実際に起こり得るわけで、そういった症例が報告されています。これから小学校に英語の読み書きを導入するということになりますと、その点を指導する教師がきちんと理解した上で配慮していく必要があると思っています。
  さらに、英語の特性を考えるならば、読み書き障害の著しい子供については、中国語又は韓国語を外国語として習うという選択肢も与えるべきだと思います。なぜならば、中国語の場合には漢字というある程度親しみのある文字を使うということ、それから、韓国語の場合には、表音文字というよりは音節を表す文字ですから、日本語との親和性が高いということ、さらに、非常に近隣の国で仲良くする必要があるということから、そういったことも含めて外国語の指導を幅広く考えられたら、読み書き障害のある子供にとって非常に有り難いというふうに思っています。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  関連してでも結構ですし、また別の視点からの御意見でもお願いできればと思いますが、いかがでありましょうか。
  吉田委員、お願いします。
【吉田(研)委員】    今の樋口先生の御意見、もっともだと思います。今までほかのデータからも同じような結果が出ています。
  ただ、英語の場合、文字の教え方というのにも、いわゆる分析的なフォニックスのような形で一つ一つの文字に分析して文字を教えていくというやり方と、いわゆる単語を一つ、フォワードアプローチのような形で読み書きを教えるというやり方など、まだ具体的にどれがいいというようなことは決まったものは何もございませんけれども、そういう文字指導の在り方に関して、アメリカでもいろいろな形で実験されていますので、そのあたりについてきちんと調べた上で、英語に関しても、そういう学習困難のある生徒さんに対して文字指導をどうふうにすればいいかというのを今後検討する必要があるんじゃないかなというふうに思います。
  ただ、ほかの言語の必要性というか、これは私も賛成で、必ずしも英語に全て偏る必要はない。外国語活動ですから、必ずしも英語だけである必要はないのではないかというふうに私も思います。
【天笠主査】    ありがとうございました。
  渡瀬委員、お願いいたします。
【渡瀬委員】    情報活用能力についてです。情報活用能力を教科横断的に育むということには、賛成いたします。ただ、その場合に、情報活用能力を教科の内容の文脈の中で育てる場合が有効なものと、そのスキルだけを取り出して育てた方が有効なものがあると思います。その両者をある程度区別して考える必要があるなというふうに思います。
  多分、後者の、スキルを取り出してトレーニングする場面というのは、生活科であったり、総合的な学習の時間が予想できます。スキルについてどのようにどの時間に育てると良いかというのは割と具体的に示すことができますけれども、教科の文脈の中で資質・能力を育てるということについては、非常に学習指導要領での書き方が難しいと思います。具体的に書けば書くほどそれが固定化しますし、かといって方向性を示さないわけにもいかないと思いますので、教科の文脈の中でこの情報活用能力をどう育てるかということについて、どのように学習指導要領の中に示していくかということがとても大事になると思います。
  以上です。
【天笠主査】    渡瀬委員、今の御発言、大変大切な御発言だとお伺いさせていただきましたけれども、きょう、先ほど事務方の方から御説明いただいた情報に関わる資料は、今御指摘の部分の、教科において云々とか、そういうことについてそれなりに示されているようにも見えるんですけれども、ここら辺について、渡瀬委員の御発言からすると、どういうところが参考になる、あるいはもう少しこのあたりのところは詰めていかなくちゃいけない課題があるのではないかとか、そこら辺の御指摘というのを頂けますでしょうか。
【渡瀬委員】    多分、現場でいろいろなそれぞれの教員が教科指導をしていますと、この単元のこの場面ではこういうことができるだろうなというのは、各教員がいろいろなアイデアを工夫して、特に小学校というのは、その中で情報的な活用能力のこの部分が育てられるんじゃないかというふうに思うんだと思うんですね。そのときに、それがここに示されている内容を、今ざっと拝見しただけで余りちゃんと読めていませんけれども、もう少し、例えば、何年生のここの部分ではこういうことがこの教科のこの中でできるんじゃないかというふうなことが明らかになっていた方が、自分のアイデアと方向性とが一致しやすいというふうに思います。
  ただ、その書き方が余り具体的になってしまうと、今度はそこで教員のそれぞれの教科の中にどういうふうにそれを横断的に盛り込んでいくかとか、それから、学校としてどういうふうにそれを盛り込んで、その教科を特徴付けていくかというところの独自性みたいなものが薄れてきますので、そういう意味で、どこまで踏み込んで書くのかということが、とても今度の学習指導要領では鍵になるかな。教科横断的というふうに言っているだけに、それがうまく機能していくための指導要領の書き方としてどこまで方向付けるかということが必要かなというふうに思います。
【天笠主査】    今の御指摘は、情報にかかわらず、健康・安全、他のところについても同様の御指摘につながっていく部分なんじゃないかと私は思いますし、さらに言うなら、現代的課題そのものの扱い方、あるいは示し方についての共通したテーマというところとしてあるのかなというふうに聞かせていただいたんですけれども。
  無藤部会長。
【無藤教育課程部会長】    ちょうど今出た、渡瀬委員の御発言と同趣旨ですけれども、カリキュラム・マネジメントの働きが非常に大きくなっていくだろうと思うわけです。きょう、三つの、教育に関してですけれども、いずれも教科横断的といいますか、特に小学校の場合には、全ての教科、時間で考えなきゃいけないわけですけれども、そのときに、カリキュラム・マネジメントとしての、三つ示されてはいますが、こういった何とか教育とか、あるいは小学校教育として配慮すべき事項といいますか、全体的に関わるものを、ある程度総則で示すわけですよね。同時に、総則だけですと、現場の特に担任レベルではなかなか把握しにくいので、教科にも盛り込むと。そういたしますと、総則の部分と各教科などをどうつないでいくかということを工夫する必要があると思います。
  そしてまた、カリキュラム・マネジメントが大事だということで、そこに何とか教育その他のことが全部押し込まれるといいますか、そこに期待されると、非常にやるべき課題がどんどん増えていくわけでありますけれども、今までのように、何とか教育が何十もあるというのは幾つか聞いたことがありますけれど、それで終わるよりはずっと事態が良くなるとは思うんですが、やはり特に管理職を中心として、何とか教育のカリキュラム化を考えるとして、全部小学校の管理職の方々にそれを作りなさいというのはかなり厳しい要求だと思います。そういう意味で、総則に細かいことは書けないと思いますけれども、ある程度は書きながら、指導計画とかのサポートをするとか、あるいは、各教科の教科書の中にそういった面に関わる部分を入れて分かるようにするとか、工夫が要るというふうに思っております。それが一つ申し上げたいことです。
  もう一つは、今のことと関連しながら、様々ないわゆる何とか教育等についての配慮ということをどうしていくかという問題とともに、やはりカリキュラム・マネジメント、特に小学校レベルのカリキュラム・マネジメントとして期待されることを二つほど加えて申し上げたいと思います。
  一つは、授業時間の配分の問題なんですけれども、これは学習指導要領上、最低の基準が決まっているわけですから、それを確保するということでありますけれども、きょうの議論の中心ではないようですけれど、例えば、短時間学習などもやったらどうかというような提言もございます。その調査などを見ても、読書活動とか、ドリルとか、あるいは今後外国語活動なども検討するのかもしれませんが、いろいろな活用が既に進んできていると思います。そういう意味では、授業時間をどう配分していくかみたいなことですね。これ、従来も小学校の授業時間、45分という単位時間を標準というか、めどとして扱われておりますので、本来もう少し柔軟な組み合わせがあり得るんですけれど、私の記憶では、大分以前にそういう45分以外のモジュールというんでしょうか、いろいろな試みがあったと思いますが、結局なかなかうまくいかない。それは、授業として難しいということもあると思いますけれど、学校の中の体制というんですかね、算数は50分にしてこっちは30分と組み合わせると、非常に教務上、教員の労働の配置といいますか、難しくなるものですからなかなかやれないとか、もちろん子供側の対応が混乱する場合もあると思うんですけれど、その辺のことを、単位時間を変えなさいという話ではなくて、やはり授業時間というのも、カリキュラムを構成する重要ないわばリソースなわけですので、それをどういう配置とか組み合わせとか順番にするか、もう少ししっかり考えた方がいいんだよということですね。
  私は、教科の中身とか、あるいは活動の内容によっては15分とか30分とか45分とか60分とか、場合によっては90分とか、十分あり得る話だと思うんですね。実際、総合的な学習の時間を2コマ続きでやっているところもいろいろあると思いますし、様々な組み合わせがあります。そういう意味では、それがマネジメントの仕事なんだよといいますか、そのことをはっきりさせた方がいいということであります。
  もう一つは、私、総則部会で申し上げたんですけれど、小学校の場合の6年間というものは、学生改革をするわけではないので、それは変わらないわけでありますけれど、他の校種と比べると、非常に長い年数だと思います。そういう意味で、小学校の低学年と中学年と高学年が同様の刻みでいいのか。私は、今申し上げた単位時間などもいろいろ検討の余地があると思うんですが、同時に、別な箇所で、例えば、低学年の場合には幼児教育との関連、高学年の場合には中学校教育との関連をもっと強くしていくということも提言されているわけでありますので、そういうことを含めながら、小学校の低学年教育、中学年教育、高学年教育のそれぞれの特徴を生かす。そのためには、指導要領上の改変もいろいろあるとは思うんですが、やはり学校のカリキュラムをどういうふうにめり張りをつけていくかみたいなことをもう少し考える必要があるのではないかというふうに思っております。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  今の御発言、カリキュラム・マネジメントについての検討すべき課題、テーマが全て含まれていたのかなというふうに私は聞かせてもらいました。それはどういうことかといいますと、一つは、内容の関連をどうするのかというふうな教科ごとの関連、相互の関連というんでしょうか、こういう柱が一つあるというのが一つと、それから、もう一つは、今の御発言の中にリソースという言葉が出てまいりましたけれども、授業ですとか教育課程に関わる中身を実施していくに当たって、どういうふうにリソースを充てていくのかどうなのか。これについては、中心は、目下我々の関心の多くは時間というのが一つ大きなウエートを占めるのかなというふうに思うんですけれども、きょうの予定でいきますと、リソースの充て方というのは、次、二つ目の柱という形で用意されているようでありますので、またそこで今の件についての関連した御発言をお願いできればと思うんですけれども、もちろん最後におっしゃったように、三つ目になるかもしれませんけれども、一つ目の話と二つ目の話と一緒になっていくということ、これが三つ目で、これは言うならば正にマネジメントそのものという捉え方もまたできなくはないわけで、それがそれぞれの学校における工夫の仕方というんでしょうか、そんな段取りになるかというふうに思います。
  ですから、御発言いただくと、今の三つが、ある意味では、互いに関連し合いながらという御発言になっていくということも非常に分かるところでありますので、その旨御発言いただければと思いますし、ただ、とりあえずまず一つ目のところは、比較的内容間の相互の関連というあたりのところに比較的ウエートを置いていただき、そして、そのあたりのところがおおよそ終わりましたら、今度二つ目として、リソースの充て方というふうな、そういう段取りというんでしょうか、きょうの流れ云々というのはそういう意図がここには含み込まれているように思いますので、その旨お願いできればというふうに思います。ただ、繰り返しますけれども、話をしていると、全ての要素が全部混じるような話になってくるということも決して不自然ではありませんので、それぞれのお立場から発言を続けていただければというふうに思います。
  ほかの委員の方。じゃ、中島委員、お願いいたします。
【中島主査代理】    ちょっとレベルが低い話で恐縮なんですけれど、特別支援教育で、現場では特別支援学級にも通級にも承知しないという実態があるんですね、入りませんという子供たち、保護者もそう。ですから、WISC-3のテストを受けていないというのもあるんですが、それと併せて、困り感のある子供たちは、必ずしも特別支援学級に該当しないかも分かりませんけれど、困り感がたくさんある。私が言いたいのは、この文言の中に、ユニバーサルデザインということを盛んに言ってきました、学校は。そういうみんなが分かり感のあることを、教科書をやっていきましょうというのを言ってきた関係で、そういうのがこのペーパーの中に入っていないものですから、そのあたりは、それは当たり前よという話なんですかね。どうなんですかね。そのあたりをちょっとお尋ねしたいと思っています。
【天笠主査】    いかがでしょうか。お願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。論点整理で御整理いただいた内容にも関わる事項であろうかと思います。きょうの資料5で申しますと、冒頭からの6ページ目の上に「特別支援教育にかかわる教育課程(概要)」ということで、それぞれの教育課程について記させていただいているんですけれども、これらがばらばらに存在するというよりは、子供たちにとって連続性のある学びの場の確保という観点から、しっかり確保されなければいけないということでございます。そういうことでは、子供たちの学びのニーズに応じて、必要な場がしっかりと確保されていくという連続性が必要であろうと。であるからこそ、今回、総則に全体像を見えやすく、先生方が子供の状況に応じた配慮をしっかりとしていけるような環境づくりということをしっかりと目指していく必要があるだろうということでございます。
  論点整理で申し上げますと、32ページ目から33ページ目でございます。緑色の冊子です。論点整理の緑色の冊子で申し上げますと、32ページ目から33ページ目のところ、特に33ページ目の上から二つ目の丸でございますけれども、それぞれに応じた改善・充実を図るとともに、連続性のある多様な学びの場における子供たちの十分な学びを確保していくという観点から、一人一人の子供たちがそれぞれの障害の状態や発達の段階に応じた学びの場ということで学んでいけるということを確保していこうということで、各論に入ってまいりますと、御指摘のように少しばらばら感が出てくるんでございますけれども、その各論をしっかり詰めながら、それらが相互につながっているということも、御指摘を踏まえまして、しっかりとお出ししていきたいと思います。ありがとうございます。
【天笠主査】    樋口委員、どうぞ。
【樋口委員】    今のユニバーサルデザイン、授業のユニバーサルデザイン化等、最近よく言われている取組についてなんですけれど、基本的には、通常の学級に在籍する全ての子供に授業が分かるように、授業に参加できるように配慮していくと。その中に、例えば、特別支援教育で培われてきたような個人の特性に応じた支援を豊かに組み込んでいくことで、障害のある子にもない子にも分かるような授業を作っていくんだということで、一人一人に分かりやすい授業づくりということできっとくくられるんだと思います。ユニバーサルデザインと言ったときには、いろいろな定義付けをしている方がいらっしゃるので、きっと国から出すときには、その言葉でまとめるのはちょっと難しかったのかなと思います。
  関連してもう一つ言いたいんですけれど、学年ごとに、先ほど無藤先生が、低学年と高学年が同じ刻みでよいのかというお話がありましたけれど、1年生で1年生の内容、2年生で2年生の内容という今の基本的な仕組みについても、もう少し一人一人に応じた調整の幅を付けられるべきじゃないかと。
  それで思い出したのが、高等学校の義務教育段階の学び直し規定なんですけれど、実は、これを思い出したのは、ある高等学校を視察したときに、高校の1年生で繰り下がりのある2桁の引き算を一生懸命やっていたんですね。私はそれを見たときに、この生徒さんたちは知的な発達が遅れている生徒さんたちじゃないかというふうに思ったんですけれど、その後、個別の心理検査をしたところ、むしろ遅れているというよりは、平均以上のお子さんたちだったと。ということは、多分、小学校2年生段階で、何らかの理由で学び落としちゃっていたということなんですね。非常に元気のいい生徒さんたちだったので、不登校状態にあったということはないというふうに仮定しますと、そのグループの生徒さんが全て、教え方が悪いから覚えられなかったということではないと思います。とすると、2年生段階でまだそれを理解できる発達段階まで達していないという個人差の範囲で考えた方がいいんじゃないかということを思っています。
  実際に、知的能力というのは、例えば、IQで示される知的能力については、同じまま推移するのではなくて、何年かたつと随分大きく変動するらしいということが分かってきておりまして、そうすると、2年生のときには2年生のことができなかったけれど、3年生になったらそれができるようになるお子さんも確実にいると思われます。そうすると、義務教育段階の内容を必ずその学年で習得しなければいけないのではなく、中学校の3年生までに何とか追い付けばいいよというぐらいの幅を持って教えることができれば、今のおっしゃられたユニバーサルデザインということとも関連して、全ての子供たちが学習を分かり、しかもきちんと社会に出ていけるという、そんな教育が実現できるんじゃないかと思っています。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  ほかにいかがでありましょうか。
  先ほど御説明いただいた資料5、特別支援教育、それから、健康・安全、それから、情報という、これらについてどう議論が進んでいるか、どう事柄を整理してまとめようとするかどうか、その方向性と中身については、御説明いただいて理解が進んでいるわけなんですけれども、そのことといわゆる○○教育、現代的課題への対応ということをどういうふうに整理して考えたらいいのかどうなのかという、そこのところはもう一段詰めなくちゃいけないところじゃないかということで、要するに、○○教育を御説明いただいたような、こういう調子でいったら、それこそ総則はパンク以外の何物でもなくなっちゃうわけで、そこのところの一つの知恵として出てきているのが、教科横断、あるいはカリキュラム・マネジメントということなんじゃないかと思うんですけれども、改めてそういう点からすると、小学校段階の教科横断というのをどういうふうに考え、どういうふうに扱って、どういう姿としていくことが我々が考えるべき課題なのかどうなのか。そういうふうなあたりのところがあるんじゃないかと思いますし、もう一つは、それをこれまでは学級担任制という制度の中に位置付けて、そして、ある意味だと、学級担任にそれを学級の中でお願いするということだったわけで、そうすると、そこのあたりのところは担任によって随分扱い方が異なる。それをある意味では許容していたというのがこれまでだったかと思うんですけれども、改めてこういう現代的な課題、○○教育の扱いというのを、今のようなそういう様々なアイデアとかシステムからしてどういうふうにこの先扱うとか、位置付けていったらいいのかどうなのか、改めて小学校段階における教科横断という視点からの扱い方ということがテーマになってくるんじゃないかというふうに思いますけれども、今の件について関連してでも結構ですし、また別の御意見でもいいかと思うんですけれども、委員の方、まだ御発言いただいていない方、いかがでありましょうか。
  大橋委員、お願いいたします。
【大橋委員】    小学校で○○教育、教科横断的な指導を主に行われているのは総合的な学習の時間であるというふうに思います。恐らく多くの学校では、学校全体の計画を策定して、その中で子供たちにどのような力を培っていくのかということを明らかにして、それに基づいて、それぞれの学年でどのような教科横断的な学習テーマを設けて取り組んでいくかということに取り組んでいるというふうに思います。
  そのようなことを考えていったときに、まず、先ほどのカリキュラム・マネジメントとも関連をしてくるんですけれども、学校が全体計画を策定するということをきちんと位置付けていくことが必要ではないかというふうに考えているところです。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございます。
  門田委員、お願いします。
【門田委員】    失礼します。今の御意見に続くかと思うんですが、学校の方で全体計画をしっかり立てる、それから、管理職のリーダーシップの下にカリキュラム・マネジメントを進めていくというところですが、やはり一人一人の教員がカリキュラム・マネジメントをしっかり行える力が必要かなというふうに感じます。そうなると、やっぱり研修の充実とか、研修も様々ですから、外に出ていく研修もあれば、校内研修もあろうかと思うんですけれども、しっかり研修の体制を整えること、それから、私どもの立場で、指導主事としてもそういった支援ができること、そういったことが求められるのかなというふうに、お話を聞きながら、若しくはこれを学校とかに下ろすときに、そういった支援体制をしっかりしていくことが大事なのかなと思ったりもしました。
  また、学校というのはなかなか新しいことに取り組むのがすごくおくてといいますか、難しくて、ゼロからのスタートというのが大変難しいと思うので、モデル校とかをセットして、その効果的なカリキュラム・マネジメントの方策などを広く知らせて、うちならああいうふうにできるなとか、そういうふうな研修も含めて、先生方が取り組みやすい形、そういうことが重要なのかなとぼんやりと感じました。
  以上です。
【天笠主査】    続きまして、小川委員。その後、長谷川委員、お願いいたします。
【小川委員】    ありがとうございます。教科横断的な学びというのは、先ほど大橋委員からもありましたけれども、総合的な学習の時間が担ってきている部分というのはとても大きい、これまでも大きかったです。これからもまたそういう意味では、鍵になっていくとは思います。
  ただ、そういう中で、例えば、今回、ICTについて説明をいただきましたけれども、総合と称してキーボードの操作の仕方だけを学んでいるというような、いわゆる総合の狙いとしている探究のプロセスを大事にされない中で、とりあえず教科に入らないものは総合でというような、そんな傾向もこれまであったのではないかなというふうに思います。そういう意味では、今回、ここに各教科でICTとしてこういった力を付けていくことができますよというような、教科ごとのものが出てきたというのは、逆に私としては、それぞれの教科でスキルをしっかりと必要に応じて身に付けて、総合の時間にはそういったスキルを使って探究的な学びを進めていくというようなことも、一つ教科との関連というようなことで、総合的な関連ということでも厚みが増してくるのではないかなというふうに思います。
  また、きょうの御説明の中にはありませんでしたけれども、やはり教科横断的な学びというんですか、○○教育とは言いませんが、やはりESDについて、これは取り組んでいくべき重要な課題かなというふうに思っておりますので、そういったことについても検討していただければというふうに思います。
  以上です。
【天笠主査】    長谷川委員、お願いいたします。
【長谷川委員】    教科横断的に取り組むものというのは、本当にたくさんある。あと、現代的課題というのも、身の回りの状況を考えたときに、本当に取り組むべきことはたくさんあるんですけれども、その中から何を取捨選択していくのかなというときに、まず、やっぱり子供は一番、地域の学校ということもあって、また、地域の実情、あるいは特色、そこのところから地域社会の中の問題を子供たちは捉えて、それがやはり発展していくような、それが先ほどもありましたけれども、防災だったり、健康・安全だったり、そういうところの大きなところにつながっていくのだと思うんですけれども、まず、地域社会、自分の育っている地域の課題から捉えていくという視点、それがもちろん総合と、あと、やはり教科横断的に捉えていくということでは、いろいろな教科の絡みの中で、それがどう関連付けられるのかというところも考えていかなければいけないのかなというふうに感じています。
  あと、先ほど、今出ましたESDというような視点。やっぱりこれからは、子供たちがESDという大きな視点、そういうものでカリキュラムを考えていくという、その大きな捉えの中で考えながら、横断的な活動というんですかね、そういうものを目指していくということも必要なのかなというふうに思っています。やっぱり社会の担い手となる子供を育てるというところを一番の基盤としながら、カリキュラムを作っていくという視点も大切かなというふうに思っています。
【天笠主査】    寺本委員、お願いいたします。
【寺本委員】    今お話があったように、地域の実情ということは、もちろん書いてあるとおりだとは思うんです。しかし、ずっと子供たちが一つの学校を卒業するパターンばかりではないわけで、当然、保護者だとか家庭の事情によっては学校が替わっていくということもあると思うんですね。カリキュラム・マネジメントを進めていくということは、学校の自由度を高める、地域の特色を表に出して、それをどんどんと子供たちとともにということになっていく場合に、もし子供が何らかの形で学校が替わって転校した場合に、そのマネジメントを受け入れるとは思うんですが、付いていけるんだろうか。若しくは、差があったところをどう埋めていくんだろうかということも考えた部分でマネジメントされていけばいいと思うんですが、既定どおりにずっと進めていったときに、ひょっとして、ここに書いてあったように、1年から2年になったときのギャップというのと同様に、学校が替わったときのギャップということにつながらないことが望まれる部分ではあるんじゃないかという気がします。
  それと、先ほどあったように、ESD、先般もユネスコの会議の中でもありました。やっぱりこれは学校現場の中で、今、ESDという言葉が余り出ていなくて、子供たち自身もよく理解できていないというところもあるものですから、もちろん先生方も全て理解しているわけではないので、こういったこともおっしゃるとおり入れて、カリキュラムを組んでいかれるといいかなというふうに思っています。
【天笠主査】    吉田委員、その後、松川委員、お願いいたします。
【吉田(裕)委員】    まず、カリキュラム・マネジメントで、今、管理職だけじゃなくて、全ての教員がそれを計画できるようにならなければならないというのは、方向性として大事なことだというふうに思っています。そのときに、カリキュラム・マネジメントをどう行うかという、そちらの方にウエートがどうしても置かれがちになるというふうに思うんですけれども、こうしたことを考えていくときに大事なことは、多分、学校教育目標をどのように作っていくのか、これも多分、管理職と教職員との理解において行われることだろうと思いますけれども、カリキュラム・マネジメントの方にウエートがどうしても置かれがちになるんだけれども、そのことを考える上において、目標をどのように設定していくのか。地域との関係あるいは保護者との関係、計画を見詰めることは目標を見詰めることだというように思ったりします。
  それが一つと、情報活用能力のことについてなんですけれども、私はやはり言葉の教育に関わる立場として、教科だけにウエートを置いてはいけないかも分かりませんけれども、多分、情報活用能力の基盤となるのは、非言語の部分があるかも分かりませんが、多くの部分を言語の能力が担っている。それが基礎になっている。総合的な学習の時間は、多分、これを応用したり、発展させたり、活用していくことになると思うんですけれども、情報活用能力を効果的に発揮するためにも、あるいは習得するためにも、言葉の能力というのをどのように培っていくのか、ここの視点がまた一つ大事なことになっていくんじゃないかというふうに思うんです。
  とりわけ今、高度に発達したメディア社会において、いわゆるメディアリテラシーというのが大きく求められています。そのときにメディアを、これは資料5の中にも書かれていますけれども、理解したり受容したりするだけじゃなくて、吟味したりあるいはそれを評価したり、こうした側面がすごく大事なことになってくると思うんですね。それを、例えば発達段階などを勘案した場合に、どのようにマネジメントしていくのか。これは必ずしも教科横断型というよりは、メディアリテラシーを発達段階に応じてどのように位置付けていくのかということになるかも分かりませんけれども、そういう受容だとか理解だとか、多分、そういう側面から評価したり、あるいは批評したり、吟味したり、そういう発展段階というのが考えられるんじゃないかというように思います。
  もう一つ、ローマ字のことについては、これは新しい活路になる。これまでローマ字の学習というのはどちらかというと、社会生活の中で駅名などにローマ字が使われているからというので、そういった試みが多くなされてきましたけれども、これから今の情報活用能力ということになりますと、キーボードでどのように入力していくのかという点では極めて大事な力になっていくというように思われますので、これは文字学習の一つの活路かなというふうに思いました。
  以上です。
【天笠主査】    続きまして、松川委員、お願いいたします。
【松川委員】    私も今の吉田委員と共通するんですけれども、教科横断的に取り組むべき課題で、言語能力の育成というのは、現行の学習指導要領の中でも、それは非常に重視されていたことでありまして、それを踏まえつつ、情報活用能力とも絡めて、これは電子的な端末を使うかどうかは別にして、やっぱり言語能力と非常に関わりがあることですので、少しこんなような課題意識を持っていますということでお話ししたいと思うんですけれども、ここに国語の御専門の方がいたら非常に恐縮なんですけれども、前回、無藤委員の御発言の中で、小学校に入る段階で、子供の語彙力というのにかなり差があるというお話があったんですけれども、それはそのとおりでありまして、就学前教育の機関がいろいろあるということと、それから、家庭の言語環境というのが様々であるということもありまして、明らかに学校へ入ってくる前の、語彙力も含めて言語能力にかなり差があるという実態があります。
  それをベースにしながら学校の授業ということに入っていくわけですけれども、例えば国語で言えば、今の子供は、私は正確なデータを知りませんが、学校へ入る前に、いわゆる五十音、「あいうえおかきくけこ」というのがほとんど読めるのではないかというふうに思っています。日本語の場合は英語と違って、「あいうえおかきくけこ」が読めれば、平仮名で書かれた文章が読めるというふうに思うわけですけれども、それで例えば国語の授業ですと、ある程度のまとまりのある比較的短い文を、こう申し上げると語弊がありますけれども、非常に短いものをなめるように丁寧に、何時間も掛けてやるというような形をやっていっているんですけれども、そこのところでは比較的見えにくいんですけれども、母語の言語処理能力というのにかなり違いがあると。
  それはどこで分かってくるかというと、全国学力・学習状況調査の問題で、結構な分量の問題をやると、最後まで行き着かないという子供が、かなり日本語の場合、いるわけですよね。朝読書だとかいろいろなことをやってはいますけれども、実際、母語である日本語の読む能力というのにかなり個人差があります。ある一定の時間にどれだけの分量のものを読めるのかと。それから、「あいうえおかきくけこ」で書かれたものを音読できるとしても、そういう段階から黙読ができて、ずっとある文章が読めるということの能力の実態というのが、どのくらいつかまれているのかと。
  私はかなり差があって、そのことが他教科の学習も全て日本語で書かれた教科書を使って行われていくわけですので、そこのところでさらに差が広がっていくということになっていると思うんですけれども、そこのところは今の学級担任による全科、基本的に担任をするということの中で、国語で学んだものが他教科の学びの中にも生かされているといういい面はあるかもしれませんが、母語であるがゆえに、実態として子供の日本語による情報処理能力に、小学校の低学年でかなり差ができているということが余り認識されてきていないのではないかと。それがその後の学びに、どんな分野の学びについてもかなり決定的な影響力を持っている。
  そういう意味では、先ほど、2番目の課題にも移りますけれども、いわゆる小学校に入ってきて、45分の授業の中で、導入があって、展開があって、集団で練り合って何かをやって、最後に振り返りがあるというような時間の中で、個々人が母語を使って自立的な学習者としてどのくらい言語情報処理能力があるのかということについて、ほとんど意識をされないまま進んでいっているのではないかと。そのことに私は、小学校段階、特に低学年では、教科横断的にかなり関心を持って意図的に見ていく必要があると思うんです。
  ところが、一定の時間の中では、読み方のスピードに物すごく時間がありますし、現実の国語の授業を見ても、ある45分の時間の中で、とにかくある文章をずっと一人一人の子供が読み続けるというような授業はほとんど見たことがないわけです。だけれども、実際、その後の中学校以降の勉強においては、ある分量の文章をどのくらいのスピードで、しかも確実に読んでいけるのかということが、それ以外の発信能力にもかなり影響してくるわけでして、そういう意味では、基礎的な言語能力の育成というのは、私は小学校段階では、教科横断的にかなり意図的に考えていく必要があるべき課題だなというふうに思っております。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  一つ目の柱についてはここまでということにさせていただきまして、引き続き二つ目の、効果的で柔軟なカリキュラム・マネジメントについてということに入らせていただきたいと思います。そんなところで、今、ここでそれぞれ御意見いただいたことに関連して御意見をまた頂いても結構かと思いますので、一つ先に進めさせていただきます。
  これに関わりまして、事務局より配付資料の説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、二つ目の議論に関しまして、資料を御紹介させていただきたいと思いますけれども、その前提といたしまして、前回の主な御意見を少し振り返らせていただきながら、内容とリソース、主査からも御指摘いただきましたように、表裏一体ですので、前回御議論をいただいた内容も少し踏まえながらの御議論をいただければと思います。
  資料1を御覧いただければというふうに存じます。資料1、小学校部会第1回、1月20日に開催させていただいた会の主な御意見でございます。ちなみに小学校部会、本日第2回目でございまして、前回御案内いたしましたように、第3回目を2月22日に予定させていただいております。そして、大変先生方お忙しいところ恐縮なんですが、3月にもう一度開催させていただければということで、少し日程を調整させていただきたいというふうに存じます。したがいまして、年度内に一定のまとめということでございますので、少し3月にもう一回日程を調整させていただきたいというふうに考えているところでございます。
  済みません、日程の話になりまして恐縮でしたけれども、資料1を少し振り返っていただければというふうに存じます。前回、低学年・中学年・高学年という発達の段階を踏まえた学習・指導の在り方、低学年の指導と高学年の指導の在り方は相当違ってきているのではないか。教科担任ということが広がってきている現状、教科担任の持つべき部分と学級担任が指導すべき部分、特に高学年は中学校を見通した上で、生活指導の在り方ということにも配慮が必要になっているのではないか。
  二つ目の丸ですけれども、低学年については幼児教育を通じて育ってきた力をどう生かすか。スタートカリキュラムでも、子供の学びは小学校からゼロからスタートするということではなくて、幼児期に学んだものをベースに次に行くのだということ。スタートカリキュラムの位置付けの明記が必要ではないか。低学年教育が幼児教育で得た力をどう発展させていくのかということを、低学年教育の独自性として位置付ける必要があるのではないかということ。
  それから、三つ目、小学校1年生の終わりぐらいから2年生の始まりぐらいでかなりの学力差が出てきており、これがその後の学力差の拡大につながっていくということ。先ほど御指摘もありましたけれども、語彙量の問題、教師と子供のやり取りや読書指導の重要性ということでございます。
  2ページ目でございますけれども、小学校、教科担任制や教科を分担することは大切な指導の形態ではないか。教員の側の専門性も生かせるし、多忙感の軽減にも結果的につながる。また、様々な教員と触れ合うことができることによって、子供たちも話ができる教員を見付けることができる。いじめや不登校という観点からもこういった相談ができる態勢というのは大事ではないか。1人の子供を多くの教師が見るということのメリットということでございます。
  また、二つ目の丸は、指導要領、資質・能力ということで、単に履修とするということではなくて、履修主義を前提としながらも、確実にそれを獲得していくという考え方。それを獲得できていない子供たちをどうサポートするかということを考えていくと、チーム学校の考え方ということは非常に重要になってくるのではないかということ。
  2ページ目下は、幼児教育、中学校教育との円滑な接続でございますけれども、今回、高校を卒業するときの子供の姿をイメージしながら、幼・小・中・高を考えていくということ。
  中学校と小学校の関係で申しますと、ある程度、教師が得意とするようなところの教科を分担しながら指導していくということを小学校でも考えていっていいのではないか。1人の教員ではなくて、様々な教員が関わりながら育てていくということのメリットということでございます。
  3ページ目上は、私立の幼稚園、保育所とのつながり、保幼小の連携という中で、私立をどう巻き込んでいくかという視点でございます。
  特別支援教育。個人差に対応できるような教育課程の編成。特別支援教育の枠組みの中で特別な教育課程の編成が可能になっているが、通常の学級に在籍する子供たちはその恩恵が受けられていないのではないかということ。また、過度の習熟を求めないようにすることということも考えるべきではないかということでございます。
  3ページ目下は、家庭、地域との連携の在り方ということでございます。社会に開かれた教育課程ということが今回の論点整理の理念にもなっておりますけれども、それから考えますと、地域のコミュニティの核としての学校というものをもう一度認識し直す必要があるということ。いかに地域の財や人を有効に取り込んでいくのかということ。
  また、「計算というと」ということでございますけれども、例えば、計算力ということについてどのような力を育成するのかということを、先生方はもちろん、社会の一般の方との共有ということも考えていく必要があるのではないかということ。そのために学習指導要領が果たすべき役割もあるのではないかということ。
  3ページ目の下は、たくさんの大人の方々に協力をいただいている一方で、子供たちは子供同士や年下の子との対応が苦手だというようなことがあると。そういった子供の姿をもう少し地域の大人の方にも見ていただいて、地域との連携、あるいは家庭教育にもつなげていくということ。また、自分の地域だけではなくて、他の地域ともICTを通じてつながるというようなことも考えられるのではないかということ。
  それから、学力の底上げということで、家庭学習の重要性ということがあるのではないかということでございます。
  教科横断的な資質・能力、本日も御議論いただきましたけれども、各教科の目標を達成することを目指すと同時に、教科横断的に育成が望まれるコンピテンシー等の育成が重要になってくる。総合的な学習の時間の在り方。
  それから、言語能力と併せて、非言語能力というものも重要であり、教科の特性を踏まえてしっかりと汎用的な能力を見ていくということ。
  また、個に応じた指導ということも求められる。子供の学び方や学習スタイルに応じた指導という学習集団の在り方を考える必要があるのではないかということ。
  5ページ目の上でございますけれども、小学生は、知らないから「はてな」がいっぱい出てくるということ。それがだんだん発達していくに従って声が小さくなって、言わなくなってしまうということ。すぐに決着がつかなくても、プールして隅に置いて考えが進めていけるような環境、カリキュラムの構成が考えられないかということ。また、正しくないことにどう付き合っていくかということも、バランス良くやっていく必要があるということ。
  また、総合的な学習の時間の必要性ということは、様々な教科とのつなぎということで、総則の中にも位置付けていく方向性が考えられるのではないかということでございます。
  各教科の充実の方向性でございますけれども、小学校6年間全体を考えると、発達段階によって異なる。それぞれの時期にそれぞれのことについてしっかりとした理解と習得をし、探究をしておかないと、次の学習に進んでいけないという構造、これがうまくくくれるのであれば、それを明確にしていくことで、指導の重点が一層明確になるのではないかということ。
  また、カリキュラムは新しいことが増えていくように見えて、実は、例えば、「1」の概念など、一つの概念が広がりと深まりを持って意義深いものになっていくという視点が必要ではないかということ。
  また、それぞれの校種が、上の校種の下請けではないということ。下の校種の学びが次につながっていくという視点ということ。また、言語ということでございますけれども、学びのプロセスの根っこを考えていくと、言葉、言語とは何か、人間とは何かということにまで通じるようなことではないかということ。言葉について相対的な理解を育むために、体験的な認識というものを入れる必要があるのではないかということ。
  子供の体づくりや体力・運動能力も重要であり、例えば、滑らかな動きができないということが、鉛筆が器用に持てないから字も書けない、うまく丁寧に書けないというようなことにもつながっているという例も見受けられるということ。
  また、英語の教科化ということでございますけれども、英語については、当然、言語の自然な習得のようなわけにはいかず、意図的に学習するという段階に中学校ではなっていくという、そこへの接続が今うまくいっていないということ。体験的な活動で意欲は高まってきているけれども、実際に表現ということにハードルがあるということの中で、意図的に学んでいくにはどうしたらいいかというのが、小学校の高学年だと思うということ。また、その中で、母語とは違う言語システムを理解することができるようになると、相対的にそういった言葉というものを理解していく力が付いていくということ。小学校高学年の知的な発達段階に、また外国語活動に基づきつつも、中学校とつなげていくためのカリキュラムということが必要な段階に来ているということ。
  運動経験や、運動好きにするということ。もっと運動をやってみよう、健康に向かってみようという気持ちも膨らむということが大事ではないかということ。
  また、特に中2の女子の運動の二極化ということが大変大きな問題になっているということ。7ページ目でございますけれども、子供の頃に運動に興味がなく、経験がない場合には、将来の健康課題にもつながっていくということ。
  それから、言語でございますけれども、言語能力について、言語の違いに気付いていくとか、言語の違いから文化の違い、ものの考え方の違いなどに気付くということ、そういったことを小学校の頃から体験させていくというのは、非常に重要だということ。大切なことは、そういったものに気付いていけるという体験をどうさせていくか、そのための環境ということでございます。
  また、先ほども申しましたけれども、大人に対する対応はうまいという一方で、肝心の子供同士のコミュニケーションがうまくいっていないのではないかということ。大人とのコミュニケーションの中で、相手に察してもらったりしてうまくやっていることが、未熟な者同士のコミュニケーションに困難ということが生じている。これが最近の様々な問題にもつながっているのではないかということも考えられるということ。学習のための言語ということに加えて、生活の中での言葉のやり取り、子供同士のやり取りということ。単に国語の中でディスカッションやディベートができるということだけでは解決できないような問題もあるのではないかということでございます。
  最後に、前回、主査におまとめいただいた内容を記してございまして、8ページ目にございますように、教科等の存在意義や他教科との連動性、これを考えた上で全体を考えていくということ。学力の問題、指導力の問題、学級経営がうまくいくかどうかなども含めて、チーム学校ということも、小学校の1年生からどういう形でチーム学校を作り上げていくのかというようなこと、そう考えていくと、学級経営、学年経営の連動性、カリキュラム・マネジメントの全体像ということで、今回の議論につながっているということでございます。
  前回の議論につきましては以上でございます。
  続きまして、資料3、資料6、それから、先生方のお手元に、委員限りで公立小・中学校の年間の総授業時数、授業日数、単位時間等という附箋が付いたデータをお配りさせていただいておりますので、これに基づきまして、主に2番目の論点に関係します、リソースのマネジメントの観点から、少し資料を御紹介させていただきます。
  資料3は、前回お配りさせていただいたものと基本的に同様のデータでございますけれども、おめくりいただきまして、31ページ目から、授業時数の考え方ということで、時間という意味でのリソースの資料を付けさせていただいてございます。
  31ページ目でございますが、これは、現行指導要領の改訂につながった、前回改訂時の答申の中身でございます。
  小学校の総授業時数ということでございますけれども、それを図示したものが32ページでございます。現在、年間の授業週数は、1年生は34週でございますけれども、35週ということで、これに加えて学校行事等で5週程度学校では設定されておりまして、平均的には40週の実施がされているところでございます。
  また、週当たりの授業コマ数ということで週28コマ、残りの1コマは、特別活動としての児童会活動でありますとか、子供たちに対する補充指導や生徒指導ということ、また、もう1コマは、先生方の情報交換や意思疎通、組織的な対応ということの時間に充てられているという整理でございます。
  33ページ目以降は、現行の指導要領の教科等の構成と標準授業時数、それから、34ページ目は、その推移でございます。
  また、35ページ目は、各学校における教育課程の編成状況ということでございますけれども、これについては、最新のデータを後ほどまた御紹介させていただきます。
  36ページ目が、小学校の授業の1単位時間ということでございます。1単位時間は45分とするという一方で、授業の1単位時間は各学校において児童の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定めるものとするとされているところでございます。
  中学校に関しましては、より一歩踏み込んで、「なお、10分程度の短い時間を単位として特定の教科の指導を行う場合」ということについての記載もあるところでございます。
  37ページ目が、今御紹介しました点に関わります、小学校の学習指導要領の解説でございます。授業の1単位時間を何分にするかについては、児童の学習についての集中力や持続力、授業内容のまとまり、学習活動の内容等を考慮して、どの程度が最も指導の効果を上げ得るかという観点から決定する必要がある。これは、例えば、実験や観察の際の理科の授業は60分で行うことや、計算や漢字の反復学習を10分程度の短い時間を活用して行うことなど、児童の発達の段階及び各教科等や学習活動によっては、授業の区切り方を変えた方が効果的な場合もあることを考慮したものであるということでございます。
  38ページ目には、そういったことを踏まえた具体的な週時程の工夫でございます。帯時間というものの設定、あるいは15分程度のモジュール方式、30分や60分などの弾力的な授業時間ということも一定程度なされているということでございます。
  また、39ページ目は、また別の、全連小さんの資料でございますけれども、帯時間や60分授業を日課表に位置付けるという取組が、御覧のとおりの割合でされているところでございます。
  40ページ目が、具体的な小学校における例でございます。A小学校における例ということで、午前の始業前に設定している例でございます。ここにおきましては、朝の時間、はりきりタイム、話し合いということで、朝の時間というのは朝読書を行う時間ということ、はりきりタイムというのは漢字や計算の練習等基礎的・基本的知識・技能の定着を目指した時間であるということ、話し合いの時間は先生からの指導や係からの連絡などに充てられる時間ということで、そこから1時間目というような週時程の工夫がされているところでございます。
  41ページ目は、昼の時間に帯時間を作ることによっての工夫でございますけれども、B小学校における例でございますけれども、昼休みの清掃終了後に、English Timeということで帯時間、語彙や表現等の繰り返し学習ということで実施されている例ということで、こういった週時程の工夫が様々な形でなされている実情があるということでございます。
  また、42ページ目は、短時間学習ということが学力の向上に成果を上げたという例でございます。
  また、43ページ目は、英語におけるモジュール学習の実態ということでございます。
  また、46ページ目以降は、土曜日の教育活動の形態ということで、47ページ目に、現在の状況でございます。土曜に関しましては、土曜授業というものと、土曜学習というものと、土曜の課外授業というものがございまして、教育課程内の授業を行うというケースと、地域の方々に参加いただきながら教育課程外の様々な多様な活動を行うというケースでございます。トータルで申しますと、50%の学校や地域でいずれかを実施しているということ。それぞれを見ますと、土曜の課程内の授業が22%、様々な多様な体験ということが28%、あるいは8%ということでございます。
  48ページ目は、そういった土曜も含めまして、学校と家庭、地域との連携の実情でございます。年々、連携の状況というのは増加傾向にあるということでございます。
  49ページ目、50ページ目は、最近出されました教員の資質能力の向上についての答申、それから、51ページ目、52ページ目、これは社会に開かれた教育課程の実現に関わるチーム学校の在り方ということでございます。チーム学校の在り方として、三つの視点等々ございますけれども、これも先ほどの答申と同時に出されたものでございます。
  また、併せまして、同時に出された答申といたしまして、53ページ目、54ページ目でございます。地域との連携・協働の在り方と今後の推進方策についてということで、これからのコミュニティ・スクールの仕組みの在り方も含めた提言でございますけれども、ここにおきましても、社会に開かれた教育課程の実現ということのために、地域社会のつながりや支え合いということをどういうふうに活用していくかというような視点で答申をまとめていただいたところでございます。
  ということで、様々答申が出されておりますけれども、論点整理でおまとめいただいた社会に開かれた教育課程ということが一つのキーワードになりながら、チーム学校でありますとか、地域との連携ということを進めようという方向性でございます。
  それから、少しお戻りいただきまして、15ページ目でございます。第1回目でも家庭学習の重要性ということを御議論いただきましたけれども、15ページ目のデータによりますと、学習習慣、小学校6年生ですけれども、ふだん学校外での学習時間が1時間未満の児童・生徒の割合が38%ということで、ここをどうしていくかということも一つの課題であるということでございます。
  続きまして、資料6に移らせていただきます。資料6でございますけれども、これは定期的に実施させていただいております、教育課程の編成・実施状況調査の一部を少し抜粋しまして、先んじて御紹介させていただくものでございます。
  資料6は、短時間学習についてでございます。実施割合は御覧のとおり、小学校においては75%、中学校においては65%ということで――資料6でございます。お手元にございますでしょうか。大丈夫でしょうか。週当たりの実施状況や日数ということでは、5回、5日程度が多いという状況でございます。
  1枚おめくりいただきますと、短時間学習の目的・効果・成果ということでございます。小学校のみ御紹介させていただきますが、目的としては、9割程度の学校が、繰り返し学習による基礎的な知識・技能の定着、6割程度が、朝学習を通じた児童の一日の生活リズムの定着を挙げているところであります。そういった目的を踏まえて、子供たちに指導の成果や子供たちの変容が見られたかという質問に対しては、「とてもみられた」「みられた」で9割を超えている。それから、もともとの目標ということで、その9割程度の学校が基礎的な知識・技能、あるいは6割程度が生活リズムが整うということの成果や変容が見られるというデータでございます。3ページ目が、それを少し図示させていただいたものでございます。
  4ページ目の課題でございます。授業時間に含めて短時間学習を効果的に行う上で課題と考えられるものについてお伺いしたところ、短時間学習の効果的な指導内容・方法、あるいは教材・教具等の開発や準備の時間というものを挙げていただいている学校が極めて多いということでございます。
  また、通常の時間及び短時間学習以外の授業形態でございますけれども、ほぼ「特に実施していない」というところでございますけれども、学校によっては、夏季、冬季等の休業日の期間集中で実施している、あるいは、土曜授業ということも御回答があったところでございます。
  それから、実施内容及び教育課程上の位置付けでございます。ア、イ、ウ、エ以下、それぞれの実施内容に応じてお伺いさせていただきました。小学校においては、読書活動、漢字練習、計算練習の割合が多いということ。外国語学習については、割合は低いですけれども、実施している場合は、授業時間に含めて実施している場合が相対的に高いということでございます。
  さらに1枚おめくりいただきますと、中学校の例でございます。
  それから、7ページ目が、小学校における外国語活動の、ゲーム、チャンツなど音声中心のものについてお伺いをした結果、それから、8ページ目は、アルファベットや単語などの練習の学習についてお伺いした結果でございます。
  併せまして、附箋が付いておりますデータ、年間総授業時数等のデータを、これも簡単に御紹介させていただきます。年間総授業時数でございますけれども、850が標準でございます。学年にもよりますけれども、3割弱のところで標準授業時数のとおりの設定、また、内容に応じまして、それ以上の授業時数の設定をしているというところが、御覧のとおりの割合になっているところでございます。
  また、3ページ目を御覧いただきますと、年間の総授業日数ということでございます。196から205というのが一番多いところでございまして、これは先ほど資料3で申し上げましたように、標準の週数が40週程度の設定というのが多いということでございます。(3)のところは、特別活動に充てる時間というものをお伺いしたところでございます。(4)は、週当たりの授業時数ということでございます。小学校3学年、4学年、5学年、6学年を聞いておりますけれども、標準授業時数というのが6割から8割、学年によってでございますけれども、そして、緑の部分より右側が、それ以上に設定している学校の割合でございます。
  それから、5ページ目が、個に応じた指導の実施状況であります。少人数指導、TT、その他、少し細かい字で恐縮ですが、そこに定義をさせていただいているとおりでございますけれども、少人数指導については7割弱、TTについては8割程度、その他、子供のニーズに応じた課題を与えるなどの様々な工夫をしているというところが58%程度でございまして、トータルで申し上げますと、9割以上の学校でこうした個に応じた指導ということの工夫をしていただいているというところでございます。
  以上、事務局からは、本日の議論にお役立ていただきたい資料を参考までに御紹介させていただきました。ありがとうございます。
【天笠主査】    それでは、先ほどの審議に続きまして、今、主として時間、日数等々のこういう視点からの御説明等々もあったかと思いますけれども、改めてカリキュラム・マネジメントとリソースとの関わりという観点から御意見をお願いできればと思います。
  松川委員、立てておりますか。よろしいですか。じゃ、どうぞ。
【松川委員】    一つは、先ほどの発言とも関わりますけれども、やっぱり従来、授業の1単位時間というのは小学校で45分というのを基本にやっていたわけですけれども、前回からもお話がありますように、小学校の6年間というのは、特に低学年と高学年を見ると発達段階も全然違いまして、それが同じような指導の在り方でやっているということは、やはり不自然だと言わざるを得ないと。先ほども申し上げましたけれども、やっぱり就学前教育から学校――就学前教育というのは、私学も含めて非常に多様なんですけれども、小学校に入ると、地域にもよりますけれども、かなり公立の同じスタイルのところになると。それまで非常に多様であったものが、一つのスタイルに収れんしていくという形態になることが多いと思うんです。
  だから、そこの段階で、非常にいろいろな意味でトラブルが起きやすくなってきていて、現行の学習指導要領でも、さっきお話がありましたように、発達段階、それから、子供の集中時間とか持続力に応じて多様な枠組みは取れるわけですけれども、現実問題としては、45分の授業が基本であって、あと、若干、帯学習があるという。45分が基本的な授業であるという考え方が先生方の中にはしみ込んでいるので、学校へ入ればとにかく集団的な活動というか、一斉授業に適応していくように小学校の低学年からある程度子供たちを指導していくのだというのが、大方の先生では一般的になっているんですけれども、それはそれで、学校教育というのが集団性を重んじるものである以上、社会性を育成するものである以上、仕方がないとは思うんですけれども、私はやっぱり集団で学習することの良さを生かした、アクティブ・ラーニングもそうですけれども、協働的な学びの部分と、自立した学習者を育てるという個に応じた指導というのを、授業の中でもかなり意識的に切り分けて入れていくべき時期にあるのではないかというふうに思っております。
  そういう意味では、小学校の低学年で、45分授業というのにこだわらず、30分でも何分でもということをもう少しやっていくべきだと思うんです。そのときに、ただ「やれ」と言っても非常に無理があるわけでして、小学校と就学前教育とのスタッフが全然違うわけで、小学校の先生で幼稚園とか保育所の指導もしたことがあるという人は非常に少ないです。その逆もあれだと思うんですけれども、やはりそこのつなぎのところに、リソースの問題としてはもう一点、私は人的な、小学校も就学前教育も知っているという人を何らかの形で小学校の最初の段階では入れていく必要があるのではないかというふうに思っております。
  それから、高学年は高学年で、やはり中学校との接続の部分というのについて、現状では、先ほど御紹介もあったように、かなり専科教諭ではありませんけれども、教科担任制を取り入れている傾向が強くなってきて、小学校と中学校の大きな分かれ目は、教科担任であるのか学級担任制であるのかということですので、そこのところのつなぎをうまくやっていくべき時期に来ているというふうに思っております。
  それにつけても、一つは、1単位時間というか、それの弾力的な運用というのを考えるべきであると。先ほど、理科の実験だとか観察だとかは既に60分でやっているところもあるし、総合的な学習の時間などは2コマ続きでやっているところもあるというお話もありましたけれども、今後特に高学年ではそういう部分はかなり多くなってきていると思いますけれども、そういうものと、繰り返しになりますけれども、個人が個人としてしっかり学んでいくと。先ほど、短時間学習にいろいろなものが出てきておりましたけれども、あれがあれだけ出てきているということは、ある意味で、それは通常の45分の中ではできないからだというものをそういうことで出しているということになっているわけでして、そこのところは現実を見詰めて、1時間の授業というのはかくあるべしというような考え方は、私は少しずつ変えていくべきだというふうに思っております。
  海外からは日本の授業研究というのは大変高く評価されていて、海外が割合とカリキュラム開発とか、そういうところに力を入れているのに対して、日本の場合は、集団による授業研究、指導案を作って、授業をみんなで練り合うというようなことが強調されていて、高く評価されていて、私も利点は感じていますけれども、いろいろな授業が、ある意味で、導入、展開、振り返りという演劇みたいな形で構成されていくという感がなきにしもあらずと。個々の子供たちは本当に学習しているのかというふうに思わざるを得ないところがあって、そういう意味では、1単位時間の弾力的な運用を進めるべきだというのが1点でございます。
  長くなりますが、もう一点のリソースは、そういうような教育課程を考えていくということと、きょうのテーマの1でもお話があったような現代的な課題に対応した様々なことをやっていく中では、いかにも小学校のスタッフが少ないということです。これはここで言うべきことじゃないかと思いますけれども、小学校の定数改善は、やっぱり学級担任制というものを前提にして、クラスに対して人員が割り振られるという考え方は、私は変えるべき時期に来ているというふうに思っています。
  もう一点は、御承知のように、教員の大量退職、大量採用時代を迎えておりまして、学卒の、大学を出たばかりの新規採用者が増えてきていて、しかも小学校では、彼らのうちのかなりの割合が学級担任を実際に持つようになってきているわけです。それがこういうような教育課程に適応できるのかどうかというのは、私は大きな曲がり角に来ていると思います。先ほどのように、特別支援教育も情報教育も、それから、安全・健康教育も全てをやるという、それを大学を出たばかりの人が一人前に全てやるというのは、昔はやってきたと言うかもしれないけれども、私は絶対無理があるというふうに思っておりまして、そういう意味では、やっぱり教育課程の改善をてこにした、特に小学校の教員定数の改善というのに結び付かない限りは、私はどれだけのことを言っても絵に描いた餅であるとしか言いようがないというふうに思っております。
  失礼いたしました。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  ほかの委員の方、発言を御希望の方は名札を立てていただければと思います。よろしくお願いいたします。
  じゃ、先に福本委員に御発言をお願いして、その後、樋口委員、お願いいたします。
【福本委員】    今、教員定数の話もございましたけれども、そういう対応をしていただくということが前提になりながら、教員養成の立場で少しだけお話をさせていただこうというふうに思っています。
  私、きょうが初めてですので、まだよく分からない部分もあるんですけれども、カリキュラム・マネジメントということが非常に今回はスポットライトを浴びて、話題にはなっているんですけれども、我々の教員養成の中で、どちらかというと、全体的なカリキュラムというものについて、まず学生に理解をしてもらうというのが非常に難しい部分もございます。実践力、教科力というか、教科指導力の向上というのに非常に努めているところなんですけれども、免許法上の教育課程論等については、4校種で共通解説をしながら1科目等をやってはおりますけれども、非常に今回、カリキュラム全体を少し見通すような知見を持って、新任教員を養成段階から行っていく必要も出てきているというふうに認識をしております。
  その際に、今回話題になっていることの中心というのが、教育内容の関係性というか、教科を越えた横断的な内容についての理解というのが主になっているかというふうには思いますけれども、ただ単に教科に通底するような課題を検討するというのは、総合的な学習の時間ができたときに、本学でも総合学習系コースというものを設置して、ある程度その内容は受け止められるようにはしてきているわけですが、現実には、なかなかPBLというか、課題解決型の学習というものを十分理解して学生が新任教員として巣立っていくというところにはまだ至っていないというのが現状です。
  カリキュラム・マネジメントというときに、それこそ100年前からカリキュラムの全体をマネジメントしていく際にインテグレーションという概念が出てきて、非常に教育内容をまず統合しようじゃないかというふうな関係の中で、精選するということと、体系性というのを確保しましょう、そういうことが出てきましたよね。それと同時に、先ほども話題になっていた学習材の統合であるということも出てきました。それと同時にもう一つ忘れてならないのが、当時はインテグレーション・オブ・パーソナリティーというふうにして、人格統合というふうな言い方をしていましたけれども、要するに、ちょっと統合というと硬い表現ですけれども、すなわち学習意欲の醸成であったり、自己効力感をしっかり身に付けさせるというふうなことをやらないと、幾ら教育内容の統合というのを図っても、実質的な学力保障にもつながらないし、また、自己実現にもつながらないという話題が出てきました。
  それが今でもずっと繰り返されて、総合的な学習の時間が出てきたときにもそのことが話題になりしていたわけですけれども、今回も改めてそういう教科横断的な内容を担保しましょうというふうなときに、現実には養成段階で教科指導の内容の定着もままならない中で、なかなか教科横断的な、いわゆる課題学習的なものをこれからどうやってやらせていくのかというのが、非常に大きな課題です。アクティブ・ラーニングというのが、そういうPBL的なものを受け止める一つの方法論ではありますけれども、これからどういうふうに、小学校なら小学校の教員養成課程の中でそういう力を付けてくのかというのが改めて大事なことだというふうには思っています。
  それから、もう一つ、ついでに言わせていただくと、短時間の学習のことが前回も話題になっていましたけれども、朝の会等も含めて、専科外も含めて、要するに、いろいろな活動がなされている。特にそれは多くは、こういった言い方は語弊があるかもしれませんが、記憶再生型の知識と技能の定着を図る一つの方法として有効性が確認されてきているし、経験的にも学校の先生方が採用しているというところがあると思うんですね。
  ただ、一方で、私、美術教育がもともとの専門ですので、そういったところから見ると、もう少しいわゆる記憶再生型の知識・技能というふうなところだけでなくて、生活面での、例えば生活の絵を描かせるというようなことは、現在は非常に少なくなっています。そういったところで、非常に具体的な話になって申し訳ないんですが、そういう生活の絵を描かせるという中で、例えば、視覚表現、そういうことに少し子供たちが目覚めていってくれること、具体的な例で言うと、誕生会でイチゴのケーキおいしかったよというふうなことが、低学年であれば、おいしかったよという非視的な、若しくは非言語的な情報というものを視覚化するというのは非常に難しいんですけれども、一方で、周りにどんな人がいたよとか、どういうふうな形をしていたよというのは、絵に描いた方が早いわけですね。そういうふうにして、小学校段階ですと、そういう短時間で描く絵の有用性というか、それは一つは視覚情報と言語的な活動の互恵性というか、そういうところを認識していくことにも役立っていくということが一つあるかなということで、英語の短時間学習のこれからの可能性というものを非常に実感すると同時に、一方でそういった、もう少し子供たちの生活情報を酌み取れるような活動も是非短時間学習の中で生かしていただきたいなというふうには思っています。
  ちょっと長くなりましたけれども。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、続きまして、樋口委員、その後、無藤部会長、お願いします。
【樋口委員】    たびたび済みません。短時間学習について様々な工夫、実践が進められているということなんですけれど、私、実際に小学校で担任をしていたときのことを思い出してみますと、ちょっとした隙間の時間がどんどん食われていっているんじゃないかなと、一つ危惧しているところがあります。学校の中にゆとりがなくなって、どんどんぎすぎすした時間割になってしまう。やらなければいけないことが増えると仕方ないことではあるのかもしれませんが、子供たちの発達の段階を見ますと、大人のように時計に従って何分間、何時何分になったからこれから5分間の勉強を始めますということが、一つの時間どおりに動くという習慣であったり、短時間で集中できる力を付けるということについては非常に良いと思うんですけれど、一方で、ほっとできるような学級経営ができるような工夫が必要だろうと思っています。
  それから、短時間学習に限らず、授業時間の弾力的な運用――学習指導要領全般にわたって弾力的、あるいは学校現場で様々な裁量ができるという仕組みになっているんですが、そういったことを今、大学院で現職の教員を相手に話をしますと、そうはいっても実際にはできないんですよということを非常に強く抗議されます。というのは、できるとは書いてあっても、じゃ、どうやってやればいいのかということについて、学習指導要領に明示されていない。例えば、45分間授業でやっていく方が、いろいろと面倒なことがないので、結局45分。個人的に学習指導要領を守って弾力的な時間運用をやろうとしても、学校体制の中で、どうしてもできなくなってしまう。これをどこかでもう少しトップダウン型で伝わるようにしてもらえないかということは強く言われましたので、ここで発言しておきたいと思います。
  以上です。
【天笠主査】    ありがとうございました。
  無藤委員、お願いいたします。
【無藤教育課程部会長】    先ほどお話ししたことに加えてなんですけれど、短時間の学習時間のことで、調査も出ましたが、私は今後それを活用していくという意味では、教材とか指導の仕方についての実践的な研究がもっと必要だという気がしております。現状で、朝の時間で行う活動の有効性とか、立ち入った調査が多分ないような気がするので、私も自信を持って言えるわけではありませんけれども、中心は例えば、算数の計算のドリル学習、もう一つが朝の読書活動だと思います。計算のドリルで言いますと、私、全く印象的な部分のことなんですけれど、クラスとして、教師が指導してやる種類のドリルについては有効性のある方法が幾つか出てきているわけだと思うんですけれども、実は、個別の学習、先ほど御指摘もありましたけれど、それぞれの子供にとって、今、小学校3年生だとして、3年生の今やっている単元のドリル学習が適切かどうかは分からないわけで、むしろ個別的な学習で診断し、それぞれに対しての課題を与えて、フィードバックして、次の段階に進むようなことというのが必要なはずです。
  これは、コンピューターなどの機器があれば、すぐに実現できるわけですね。既にたくさん優れたソフトが出ているわけなんですけれど、そういう意味では、機器がなければなかなか、紙ベースではやりにくいといえばやりにくいんですけれども、工夫している学校もなくはないわけです。そういう意味で、ただ計算をひたすら繰り返せば計算力が上がるといえばもちろん上がるんですけれど、もうちょっと賢い時間の使い方があるような気がいたします。
  もう一つは、朝の読書時間ですが、小学校における朝の読書時間の有効性の調査は多分ないんだろうと思います。これはもともと私の理解では高校から始まったと思うんですけれど、高校では有効だろうということは大分実践研究の中で調べられているし、大規模な調査もあると思います。それは主には二つの理由だと思うんですが、一つは、朝の時間で生徒たちに落ち着きをもたらす、あるいは時には眠い状態の子を活性化させるみたいなのもあると思うんですけれど、もう一つは、特に読書の年間の読む本の冊数などを調査すると、小学校はある程度あるけれど、中学、高校で減っていくと。特に高校になりますと、極めて個人差が大きいわけで、月当たり0冊という生徒たちも少なからずいるわけですね。そういう生徒たちにとってみれば、朝多少とも本というものをとにかく開くということは意味があると思います。
  それと同じ理屈が小学校に本当に当てはまるのかどうか、もうちょっと違うやり方はないのかということはよく考えた方がいいというふうに思います。これは私の全く個人的な印象ですけれども、小学生はもう少し教師の指導の中で読書活動をした方がいいかもしれませんし、また、国語科などにおいて、図書館の活動とか利用の時間もあります。実は朝、例えば15分、週3回だと45分ですけれど、読書活動をすることによって子供たちの言語力が上がるということについては、それ自体としては、ほぼ期待できないと思うんですね。どうしてかといえば、先ほど御指摘もありましたけれど、言語力の中核は語彙ですけれど、語彙の単位は小学生ですと万単位ですので、それは、要するに、24時間といいますか、起きている間中の、自分より高度なレベルの語彙、言語にどのぐらい接するかです。したがって、重要なのは、小学生といえども、家庭での親の関わりとか、小学校低学年においても読み聞かせが大事だというのは、欧米の調査で出てきておりますけれども、そういうこととともに、あらゆる時間における教師と子供の言語的関わり方だと思います。
  そういうことも充実させながら、かつ空いている時間に様々な形で本を読む。具体的に言えば、小学校ですと、学級文庫とか、学校図書館とか、公立図書館の利用とか、そういうのをやはり活発にやっているところは読書量が増えていく。それが語彙量に直結しているかの調査はないですけれども、それが十分期待できるわけです。
  そういう意味で、朝読書は有効かもしれませんけれども、いずれにしても、事象的な検討が必要ですけれど、改めて、では、どういうやり方なら、例えば読書活動として有効なのかどうかとか、そういうことも含めて様々に、短時間を活用するなら、指導の仕方とか教材とかをもう少し提供できる形、また、それを促す姿勢が必要だというふうに思います。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  渡瀬委員、お願いいたします。渡瀬委員、吉田委員の順にお願いします。その後また吉田委員お願いします。渡瀬委員からお願いします。
【渡瀬委員】    今、短時間学習の効果ということで話が進んでいます。それで、今後英語、外国語の教科化の話が出てきたときに、それがかなり具体的になってくるだろうというふうに思いますけれども、小学校での外国語活動や教科としての外国語の学習を充実させるために短時間学習が有効かどうかということの前に、誰が教えて、どういうふうに時間を取るかということと短時間学習の関係ということを考える必要があると思います。
  3点ありますが、一つは、外国語の教科のことですけれども、誰が指導するかという問題です。外国語の指導については、教員養成の段階で外国語を指導するように訓練されていない学級担任が授業を担当した場合、もちろん児童の掌握ですとか、個々の児童に対応することには大変たけていますし、今後研修を積んでいけば、当然、優秀な先生方は英語を指導できるようになると思われます。
  ただ、今、高校の卒業段階でCEFRのB1レベルを目指して、国は子供の英語の力を高めようというふうに言っています。B1が本当に達成できる目標なのかどうなのかということはもう一度今後考えていく必要があるだろうなというふうには思いますけれども、そうなったときに、専科の英語担当者だとか、それから、TESOLのように外国語としての英語を指導する専門家が指導に当たった場合との差はやはり出てくると思います。やはり本気でB1を目指したり、中学校の英語の授業を英語で進めることを目指したりするのであると、学校は可能な限り英語の指導にたけた人材を活用する必要が出てくると思います。担任はもちろんそこでTTに入って補助に入るのが良いと思います。
  二つ目は、どのように指導時間を確保するかということなんです。英語のような言語習得は、もし同質の指導をした場合には、それに掛けた時間に比例して、多分、習得度合いも高まると思われます。私たちのような私立の学校であれば、本当に英語の力を付けさせようと思えば、週に1回、毎日英語の時間を入れて、総枠週33時間みたいなこともできると思いますし、既に公立の小学校でもそうやって時間を増やしている学校、地域によっては1年生から外国語活動を取り入れているというところもあります。ただ、全国共通の学習指導要領に定める時間数には枠がありますから、その中でいかに効率よく時間を使うかということが重要になります。
  そのときに、先ほど申し上げた、誰が指導するかという一つ目のことと密接に関わってまいります。担任が指導するのであれば、朝の時間帯に一斉にモジュールの形で英語の指導をすることも考えられますけれども、例えば、専科の英語の教員ですとか、ALTですとか、地域の中学校の英語の先生に来てもらって小学校で英語の指導をするということになると、モジュールは不都合な場合が出てきます。ですから、誰が教えるかということと、どのように時間設定をするかということを併せてマネジメントするということが必要になってくると思います。
  これについては、こうでなくてはいけないではなくて、先ほどから出ていますけれども、地域や学校の実情に合わせて臨機応変に決められるような柔軟性、学校裁量の幅を持たせるということが必要ではないかと思います。
  英語の活動について三つ目、もう一つ申し上げたいことは、言語活動としての外国語習得の場面を、教科横断的に外国語の時間以外、全教育活動の中にいかに盛り込むかということです。私たちの幼稚園の5歳児に、ムーブメントという活動があります。これは表現活動で、日本語と英語でやります。言葉を感じたり理解したりして体を動かすことを目的とする活動ですけれども、例えば、擬声音、オノマトペのようなものを体で評価するという活動は、日本語で日本語の擬声音を体で動かしたりしますけれども、そのときに、体の部位を英語でも言えるようにすることを目的としたようなムーブメントの活動は英語で全てやります。英語でやりますと、子供たちは何回か活動を重ねていく中で、自然に指示が何となく分かるようになり、何となく聞こえるようになり、少しずつ英語での自分からの表現を発するような場面も出てまいります。
  今後、チーム学校として、外国語での教育活動に関われる人材を積極的に入れていくことで、そのような英語の時間、外国語活動の時間以外に英語を入れていくことということも可能になると思いますし、特別免許状の取りやすさがスムーズになったということも、その可能性を広げていくことになるのではないかなというふうに思います。
  今申し上げた三つの点が、カリキュラム・マネジメントとして必要になるというふうに思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  吉田委員、お願いいたします。
【吉田(裕)委員】    1単位時間のことと、それから、短時間学習のことを一つずつ、それから、教科横断型について短く二つお願いします。
  1単位時間については、小学校が45分を基準とし、中・高等学校が50分、また、大学はいろいろだと思いますけれども、基本的には90分ぐらいが多いのかと思います。次第に発達段階が上に行くに従って、持続力のようなことなどが働いて、長くなっている。小学校の6年間、1年生から6年生まで今45分を基準としているわけですけれども、こう考えていくと、やっぱり低学年あたりはもう少し配慮が働いてもいいのかもしれないというように思います。
  私、アメリカのミネソタで授業を見ていたときに、国語の授業というのはありませんから、低学年のライティングの授業を見ていて、20分ぐらいしたら、1人の女性が教室に入ってきて、誰かと思ったら担任の先生らしいんですね。だから、20分ほどライティングの専門の授業を受けた子供たちが、担任の先生の迎えによってまた教室へ帰っていくと。だから、書くことというのが、ある程度の時間、学習者がそのことに充実して過ごす時間というのが大体測られていて、それにふさわしい時間というのを考えているのかなというように思って感心した経験があるんですけれども、そう考えていったときに、その学習に適切な時間、そういったものを幾つか勘案してみて、例えば、読み聞かせだったらどのぐらいの時間なのかとか、文章を書くんだったらどのぐらいの時間になるのかとか、あるいは、ディベートだったらどのぐらいの時間になるのか、そういったことなどである種共通性が持てるとするならば、そういったところでそれこそカリキュラム・マネジメントとして考えていく余地はあるのかもしれない、こんなことを一つ思いました。そういう意味では、フレキシブルな対応というのが考えられるかもしれない。
  短時間学習のことについてですけれども、多くは先ほどの調査結果などからも、資料の中からもうかがえますけれども、朝読書だとか、あるいは読み聞かせだとか、紙芝居だとか、幾つか出ていました。私、ここで何となく、実態をよく知っているわけじゃないんですけれども、その時間を過ごすというような形になっていて、活動本位になっていはしないか。だから、先ほどおっしゃった中にもありましたけれども、いま少し、もうちょっと目的的であっていいんじゃないか。つまり、この時間の中で一体どんなことが目指されるのか。もうちょっと言えば、どんな力を付けることができるのかというような形で、もう少し短時間学習には短時間学習にふさわしい目的、目的的にこれが活用できたらいいんじゃないかというように思うというのが1点です。
  それから、先ほどの教科横断型なんですけれども、特に1年生のところが問題になっていました。幼児期との関連で、幼児期との結びでどのように考えていくかというときに、入門期という考え方がありますよね、1年生。入門期というのをどれぐらいの幅にするかというのは少し解釈があるみたいですけれども、4月に入学して、年間の授業時数も34週というような形で配慮が働いていますけれども、入門期というのをもう少し活用するというのか、考えていくというのか、配慮していくというのか、これで例えば、教科横断型、1年生は入学した当初というのは、当然のことながら、これは教科横断型ですよね。だから、生活科あたりとの関連などで、今の入門期においてどのようなことを学習対象としていくのか、内容としていくのかというようなことを考えていくのも一つかもしれない。
  1年生に入ったときにかなりの学力差があるという、こういったことなども、今の御議論の中からたくさんのことを学びましたけれども、私たち、どの子供にも学力を保障していくという、全ての子供への学力保障というふうに考えていったときに、やはり私ども教師というのはどうしても判官びいきなところがあって、できていない子供、そこに到達していない子供への配慮というのが大きく働いていく。だから、当然のことながら、全ての子供への学力保障ですから、時間が掛からない子供に対してもそれを保障していくということはあってしかるべきですけれども、そこに時間の掛かるお子さんにとってもどのような学習をしていくのかということになると、ゼロからのスタートというのがやむを得ないことなのかなというように思ったりするというのが1点です。
  それから、外国語と国語のことについて、前回休みましたので触れることができなかったんですけれども、標語的に一つだけ……。
【天笠主査】    ちょっと短くお願いします。
【吉田(裕)委員】    英語ができる人というのは、日本語ができる人だと思います。ところが、国語ができる人は英語ができるとは限らないということだけで。英語ができる人というのは、国語ができる人じゃないかなというように思う。だから国語という、そういう立場だけです。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  そろそろ終わりの時間が気になり始めまして、今、次に吉田委員に御発言いただき、その後、小川委員、清水委員ということですけれども、ほかに御発言をという方は、これを立てていただいて、時間的に言うと、恐らくそこでということになりますので、今札を立てていただいている方でほぼきょうは御発言は終わりにするということでお願いしたいというふうに思いますので、まず、吉田委員、お願いいたします。
【吉田(研)委員】    いろいろ時間の問題ということは難しい問題ですけれども、それを考えるときに、やはりそれぞれの教科の内容、目的というものをきちんと把握していなきゃいけないと思うんですね。ですから、単に時間から入っていってしまったら、非常に中途半端な授業しかできないし、何も身に付かないということがあると思うので、私の場合、英語が専門でやってきている人間ですので、それを考えたときに、特に教科化ということが行われれば、最終的には今、小学校から高校までずっと一つの教育目標の設定として、can doという、何を知っているかよりも英語で何ができるようになるかということを目標化しようというので統一して今やろうとしてやっているわけですけれども、そうしますと、小学校においても、もちろん3、4年生の外国語活動から教科に移ってもずっとそうなんですけれども、英語を通して何ができるようになればいいのか、5年生、6年生が終わった段階にはこういうことができればいいという一つの目標が立ってくるはずなんですね。
  ということは、何ができるかというのは、コミュニケーションというか、コミュニカティブな一つのゴールになると思いますが、そこに到達するためには、それに必要な知識が必要である。知識が必要であって、またその知識というものをきちんと練習をしなきゃいけない。練習をしなければ、コミュニケーションに役立てるという活用はできないわけですよね。ですから、知識の獲得も必要だし、その知識を練習する、そして、それを活用して何かが英語でできるようになっていくということを考えてやらないと、ほとんど意味がなくなってしまう。
  そうすると、そのためにどれぐらいの時間が本当に必要なのかということをきちんと把握する必要があると思いますし、短時間学習を使うかどうかということに関しては、これから、それこそ先ほど無藤先生もおっしゃったように、実験的にこれはこうだというような論拠があれば、根拠がきちんとできていればいいんですけれど、今のところまだ、こういうようなことをやっていますぐらいのことしか出ていないと思うし、またそれが本当に成果というふうに言えるかどうかというのはなかなか難しい。それを例えば、こういう繰り返し練習をやった結果、中学校に入ったらこういうふうになりましたとか、こんなことがcan doで言えるようになりましたということがあれば、それはそれでいいですけれども、そういうところまで全く行っていないというのが現状ですので、ですから、そういうことを考えたときに、やはりそういう短時間学習を含めて、どうすればどういうような目標達成が可能なのかということをきちんと把握していくということが今後必要になると思います。
  そういう意味では、フレキシブルに時間を考えるということは構わないとは思いますが、総時間からすると、やはり知識と、その知識を使った機械的な練習、活動、文字の練習なども含めて、そういう練習と、そして、それを実際にcan doという形でコミュニカティブな目標に向けて使っていくという、この3要素をきちんと含めた形で考える必要があると思うんですね。そのために、今のところ年間70時間というような枠を一応想定して、考えてはいるわけですけれども、その辺のところをきちんと把握した上で、時間数などを考えていっていただく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
【天笠主査】    続きまして、小川委員、お願いいたします。
【小川委員】    今、英語の短時間学習の可能性ということでお話が出ていますけれども、きょう頂いた資料の中では、実際に短時間学習をやっている場合には、教科としてカウントしている割合が高いというようなことも分かりましたし、ただ、その場合には、やはり課題として、教材・教具の開発とか準備、そういった条件整備というのが本当に重要になってくる。それあっての学習になってくるのかなと。でも、そういう意味では、可能性があるのかなというようなことも思いました。
  また、きょう、全体的にカリキュラム・マネジメントということで、教科横断的に取り組むべき課題とか、それから、柔軟なカリキュラムというようなことが話題になっていましたけれども、いずれにしても、各学校においてカリキュラム・マネジメントを円滑に実施していくためには、まずは各学校が自校として育成を目指している資質・能力、それを設定することがすごく大切だと思います。
  そういったところで、総合的な学習の時間はこれまでも汎用的能力を育成してまいりましたし、また、今後もその役割は一層重要になると思われます。そういった中で、今後、カリキュラム・マネジメントを円滑に行っていくに当たって、総合ではこれまでも育成すべき資質・能力を設定するというような形で進めてきたわけですので、今後、学校全体で、また、教科横断的にというようなところを考えたときにも、総合的な学習の時間がそういった各学校のカリキュラム・マネジメントの中核になっていくということが一層必要になってくるんじゃないかなというようなことを思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  じゃ、続きまして、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】    きょうは入試の業務があって、遅れてしまいました。カリキュラム・マネジメント、短時間学習のことについてお願いします。
  まず、カリキュラム・マネジメントについてですけれども、やっぱり教育というのは、意図的、計画的に行われるというのが昔から許されているのですけれども、実際に子供たちを前にして授業をとなると、不測の事態、予想外のこと、いろいろなことが起こりますので、臨機応変の対応というのも大事な視点として昔から言われてきているわけだと思います。やっぱり授業を組み立て、教育を進めていくためには、その両者を即座に調整して、ベターな対応を作り出して対応するということが必要になるわけでありまして、多分最初の何年間かの若い先生方だと、その判断が大変難しいし、経験もないので、右往左往してしまうと。そういうことが起こる状況がよく見られるのですけれども、そういう問題に、今回、カリキュラム・マネジメントということで、課題を据えてチャレンジしていくということは大変大事なことだろうと思うんですね。
  問題は、先ほどもありましたけれども、例えば、4年間で教員養成をして現場に出すといったときに、多分、大学内でよほど頑張っても、さわり、コンセプトを伝えても、現実役に立つところまで行くのは大変難しい。となると、例えば、たまに話題になるんですけれども、初任者を2年くらい副担任的な扱いにして、その間にベテランの先生と組んだりして、カリキュラム・マネジメントに関わる内容、方法に関わるオン・ザ・ジョブトレーニングをきちんとやっていくというようなこともやっぱり一方で考えておかないと、せっかくのアイデアが実現に向けてうまくいかないということがありますので、その辺のことも併せて是非進めていただきたいというように思います。
  それから、二つ目は、短時間学習のデータを頂きまして、小学校のところを見せていただくと、計算練習、オのところが84%、かなり多い。大体こんなものかなと思うのですけれども。先ほど来話題になっていますように、この枠の学習と、いわゆる通常の45分を単位とした学習の有機的な関わりというのをきちんとしておかないと、負担増だけで成果が上がらない可能性があります。
  私は実態を十分承知しているわけではありませんが、例えば、計算練習というと、反復練習が中心だろうと思われるんですね。そうすると、多分、子供によっては必要のない子もやっている。どの辺でつまずきがあるのかをチェックできたら、あとは個別になすべきところをきちんと絞り込んで、重点的にするような仕組みを学校を挙げて作るなり、外側からそのための教材を供給するというようなことが必要になるというのが一つ。
  それから、もう一つは、アクティブ・ラーニングと学習の進め方が話題になってきますと、どうしてもそのための方法知といいますか、方法についての知識というものも必要になってくるんじゃないかと思うんです。そういうものは短時間で済みますので、それらもきちんと位置付けるようなことで、バランスよく対応すると。したがって、既習をすぐ習熟するのと、もっと前に学んだものを維持していくという二つの観点から、内容の多様性をしっかりと整理をして、適切な対応をし、通常の授業をサポートできるような仕組みが作れないかと。これもカリキュラム・マネジメントの問題に関わってくると思いますので、その辺のところを是非検討を進めていかなくてはいけないのではないかと思います。
  それから、最後に、細かなことですけれども、1回目の意見の整理のところで、5ページのところに小さな誤字がありますので、それを直していただきたいと思います。5ページの中ほどですけれども、「各教科等の充実の方向性について」というところで、前回私が発言したところだと思いますけれども、3行目、「四年までは数・量・計」が「計」になっておりますが、これを「形」に直していただきたいと思います。
  以上です。ありがとうございました。
【天笠主査】    それでは、続きまして、大橋委員、長谷川委員、中島委員、このお三方できょうは発言を終わりにさせていただきたいというふうに思います。大橋委員からお願いいたします。
【大橋委員】    ありがとうございます。授業の時間についてのことですが、ずっと出ていますように、標準は45分ということですけれども、特に低学年の1年生などは15分、まず最初集中できればいいのかなというふうに見ています。その一方、高学年になりまして、問題解決的な学習などを行うときには、45分では足らないのが実態です。やはり60分は必要ではないかなと思います。
  ただ、このようにしたときに、他の教科との関係が出てきます。例えば、60分の授業をしたときに、45分と15分というふうになるわけですが、そうしますと、残りの35分をどの教科で取っていくのか、あるいは、また別のときにその教科で35分でやる内容があるのかどうか、ここがやはりカリキュラムを考えていくときの一つ課題になるところではないかなというふうに思います。
  それから、2点目ですけれども、朝の学習のことが話題になっていました。先ほど清水委員からもお話がありましたけれども、計算についてですけれども、やはり例えば、2足す8があってと、ここで考えたらその次の学習に行けなくなるわけです。これは反射的に10というふうに出てこなければならないわけで、そうしますと、やはり慣れさせるということが必要になってきて、朝の時間をここに使うというのが、今、非常に求められている。小学校では必要なところだと思います。
  ただ、御指摘がありましたように、そのことが必要のない子供もいるわけですので、どのような内容を組み合わせていくのか、検討していく必要があるというふうに思います。
  平成16年以降、小学校での暴力行為がずっと増加しています。やはり分からないということが一つ、その原因にあるのではないかというふうに思います。やはり基礎的な部分をきちんと身に付けさせることが授業が分かるということに結び付いていきますので、朝の時間は非常に貴重ではないかというふうに考えています。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  長谷川委員、お願いいたします。
【長谷川委員】    大分大橋委員と意見のかぶるところがあるんですけれども、一つ目が、弾力的運用ということで、今、小学校の現場を見ると、以前に比べると大分、45分と言われても、かなり学校で工夫して、弾力的に運用しているのかなというふうに感じています。特に理科の実験もそうですし、60分でやらなければいけない部分とか、あるいはもう少し短く取って、コンパクトに学習を進めなきゃいけないという部分、そういう部分も学校の方では非常に工夫をしている。何しろチャイムが45分ごとに鳴っている学校というのが、今、少ないと思います。そういう意味では、あるポイントを決めて、学校ではその中で、やはり学級担任が授業を組みやすい、そういうような形でマネジメントを進めているということは、今の現状の中にも見られます。
  二つ目に、短時間学習のことですけれども、先ほど提示いただいた資料の中でも、読書活動、漢字練習、計算練習というものの実施割合は非常に高いと。その中でも、授業時間に含まれて実施している割合というのは、実施割合は高いけれども、それは少ないと。ということは、やはりカリキュラムの中にこれを含めることができないというような考え方で、ここは朝短時間学習というのは実施されているということで、多分、各学校、子供が登校して朝の準備をして、そして、授業に向かう姿勢を作っていくというような、そんな場にいろいろ自主的に取り組む活動という形でこういうものを今活用しているのかなというふうに思っています。
  それであれば、この時間をどうやったら授業の中に含めるような内容として学校の方は考えて、それをカリキュラムの中にうまく取り入れるように工夫していくということを考えていかなければいけないのかなというふうにちょっと感じています。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  では、続きまして、中島委員。
【中島主査代理】    実際に指導するのは先生方でございますので、先生方が今、どんなふうに不安を持っているかというのを、現場に近いところにおりますものですから、そういうことをちょっと。
  一つはやっぱり非常に不安感を持っていらっしゃると。かなりいろいろ進んできたものの、依然として地域差、学校差、教員差というのがありますから、これをどうするかという。もちろん最後は研修という話になるんでしょうけれど、そこが一つ非常に。
  特に英語力。担任がやるとなってくると、英語力については非常に不安を持っていらっしゃる。保護者の方も高学歴の方がいらっしゃいますから、小学校の仮に担任がやっていて、あのレベルねと言われると、不信感ばかり出て困ってしまうねという心配も先生方もお持ちのようでありますし、そういう英語力に対する心配があるし、それから、指導力。何をどうやって指導するんだと。英語活動の場合は大変楽しくやっていたんでしょうけれど、教科になってきたら、中身はまだはっきりしていないというふうに聞いていますが、そこらをどうしていくかということがあって、指導力についてもやっぱり心配だなと。
  それから、そうなってきたときにどうやっていくかということなんですが、これは行政としてはどういう研修を校内研修も含めて組んでいくかということは非常に大事なので、私たちは町村ですから、町の先生方をどうするかということなんでしょうけれど、県あたりの行政から見ますと、義務教育課、それから、学校教育課なり人事班、各教育センターと、そのあたりは行政サイドの連携をしっかり取って研修体制を組んでいくということが、当然やられていると思いますけれども、そういうことがあると。
  その際に、中核教員を育てようと今やっていますけれども、中核教員ってどうしても40代ぐらいの、学校の中心になるのを引っ張り出して研修をすると。そのことと、その先生の英語力って、また別のような感じがいたします。そこらがずれているのかなということで、本当に指導者、中核教員を育てる場合に、どのレベル、どの人たちを引っ張り出せばいいのかという、そういう心配も私は持っています。
  もう一つは、帯でやった場合に、この中にも書いてありますけれども、いろいろな教育機器を使えばいい、DVDを使ったらいいとあるんですが、このあたりは町村では本当にまだ、全国に町村はありますけれども、人口5,000人未満の人口の町村が半分ぐらいあります。そこでは指導主事ももちろんほとんどいません。指導主事がいても、校長退職者の生徒指導的な指導主事を入れている。そうなってきたときに、町村の場合にこれを進めていくというのは大変難しいだろうなと。しかし、それをどうやっていくかというのは知恵の出しどころ。カリキュラム・マネジメントという形で、校長を中心にやろうとしますけれども、なかなか大変だろうなと思っています。しかし、やっていこうと。
  そういう場合の全体的なサポート、県を含めてサポートをどうやっていくか、どういう支援をしていったらいいかということは本当に考えないと、どうも絵に描いた餅になったら大変なことだという感じがしておりますので、我々が、皆さんも一緒に知恵を出していただきたいなと思っています。
  以上です。
【天笠主査】    ということで、きょうはここまでにさせていただきたいと思いますけれども、なかなかタイムマネジメントは大変なものだということでありますけれども、途中、御発言等々、せかしたり等々も失礼もあったかと思いますけれども、発言、御十分じゃないと思われる方は、どうぞペーパー等々で事務局の方にお伝えいただければというふうに思います。
  なお、「弾力的運用」とか、「柔軟な」ですとか、「臨機応変」ですとか、皆さん時間の運用についてそれぞれの言葉、コメントで伝えていただきましたけれども、その中で、学習指導要領は私は歴史的にそのあたりのところを大分、柔軟、運用の図れるような、そういう方向で積み重ねてきたんじゃないかと思います。ただ、大変貴重な御発言は、ではあるけれども現場は云々というようなそういう発言、このあたりのところに一つ我々は注視して、そこのところをもう一段、正に柔軟に、それぞれの地域、学校等々で日課表を柔らかく作り、運用できるような、そういうそれぞれの学校の在り方というんでしょうか、ということについてまた知恵をお出しいただければということが、きょう、皆さん方の御発言を伺っての私の思いでありました。
  どうもきょうはいろいろな意味で御協力、ありがとうございました。これで終わりにさせていただきたいと思いますけれども、次回のこと等々について、御連絡等々、よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。次回、2月22日月曜日の15時半から18時、場所は文部科学省の15F特別会議室、15階になります。
  また、先ほど少しお話しさせていただきましたとおり、先生方、本当にお忙しい中恐縮なんですけれども、3月にもう一回開催を調整させていただきたいと思います。詳細な時間、場所等は調整させていただきまして、御連絡をさせていただきます。
  また、主査からもお話がありましたように、ペーパーによる御意見等ございましたら、メールでもお送りいただければと思います。
  以上です。
【天笠主査】    それでは、本日の小学校部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

――  了  ――

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