教育課程部会 小学校部会(第1回) 議事録

1.日時

平成28年1月20日(水曜日) 11時00分~13時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 小学校の教育課程の改善・充実について
  2. その他

4.議事録

【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。一部の先生方、少し交通機関の影響で遅れられている先生方おられますけれども、前半少し手続的なこともございますので、議事を進めさせていただきながらお待ち申し上げるという形にさせていただきたいというふうに存じます。
  それでは、定刻にもなりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会小学校部会を開催させていただきます。
  開催に当たりまして、文部科学省初等中等教育局長の小松より御挨拶を申し上げます。
【小松初等中等教育局長】    皆様おはようございます。中央教育審議会の初等中等教育分科会の教育課程部会の、今回小学校部会を立ち上げまして、これが第1回ということになります。初めてでございますけれども、お忙しいところをお引き受けいただき、また、御出席いただき、誠にありがとうございます。
  それで、ごく簡単にこの部会にお願いしたいことの趣旨を御説明させていただきたいと思いますが、まず、この今検討中の次期学習指導要領の方向性につきましては、去年の8月に全体、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、あるいは、特別支援学校等を通した全体の論点整理というものがまとめられて、それを基に各学校段階別や分野教科別など、そういったことをさらに詰めるという作業が始まってきているということになるわけでございます。この小学校部会もそういう位置付けでございますので、この全体としての論点整理から、この4月に始まります次の年度中には全体の最終的な答申を頂くことをお願いしておりますので、それのまとめに向けて少し分析的にやっていく、その際の小学校部分について御議論をお願いしたいということでございます。
  それから、この小学校教育に関しましては、一つ位置付けといたしまして、幼児期までの学びを生かして、そして、中等教育ですね、それから、高校卒業までにつなげていく、そういう中で小学校教育として必要な6年間の身に付けていくべき資質・能力を明らかにして、その各教科との関係がどうなっているかということを明らかにしていくということが必要でございまして、その点をお願いしたいと思っております。
  したがいまして、発達の段階という縦のつながりと、それから、教科間というか、いわば横断的なつながりということをどのように考えていくかということで、教育課程の充実の方向を打ち出していただきたいというふうに考えているわけでございます。
  その際に、一つお願いをしたい大きな役割は、小学校の授業時間数でございます。小学校の教育課程全体を見通していただいて、この部会で一定の方向性を整理していただいて、全体の教育課程企画特別部会、あるいは、個別の教科等別のワーキンググループに今それをつないでいくというような形にお願いできればありがたいと思います。
  当面、この3月までの年度内に大体3回ぐらい御審議を頂いて、この小学校の授業時間数の方向性について部会としての案をまとめていただくということ、その後、各教科等のワーキンググループの検討状況等も見ながら、その小学校の教育課程の充実の在り方全体も取りまとめていただくと、このようなスケジュール感でお願いしたいと思っております。
  委員の皆様方、大変お忙しいところ恐縮でございますが、事柄の重要性に鑑み、是非よろしく御指導、御審議くださるようにお願いをいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、議事に先立ちまして、本部会の主査及び主査代理について御報告をいたします。
  資料の1-2の運営規則に基づきまして、本部会は教育課程部会の決定により設置されており、主査及び主査代理は教育課程部会長の指名とされております。天笠委員を主査に、中島委員を主査代理にお願いをしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、次に委員の皆様を御紹介いたします。資料の1-1に名簿を配付させていただいておりますので、名簿順に御紹介をさせていただきます。
  天笠茂委員でいらっしゃいます。
【天笠委員】    どうぞよろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    大橋明委員でいらっしゃいます。
【大橋委員】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    小川聖子委員でいらっしゃいます。
【小川委員】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    門田佳代委員でいらっしゃいます。
【門田委員】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    清水静海委員でいらっしゃいます。
【清水委員】    よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    寺本充委員でいらっしゃいます。
【寺本委員】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    長谷川祐子委員でいらっしゃいます。
【長谷川委員】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    樋口一宗委員でいらっしゃいます。
【樋口委員】    よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    福田純子委員でいらっしゃいます。
【福田委員】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    無藤隆委員でいらっしゃいます。
【無藤教育課程部会長】    よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    吉田研作委員でいらっしゃいます。
【吉田(研)委員】    よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    渡瀬恵一委員でいらっしゃいます。
【渡瀬委員】    よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    それから、御到着のところ恐縮でございます、中島幸男委員でいらっしゃいます。
【中島委員】    済みません、遅くなりました。申し訳ございません。中島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    本日はこの後、松川禮子委員も御参加の予定でございます。
  それから、本日御欠席でいらっしゃいますけれども、生重委員、福本委員、吉田裕久委員が本部会の委員に就任されております。
  委員の紹介は以上でございます。
  次に、文部科学省関係者を御紹介させていただきます。
  初等中等教育局長、小松でございます。
【小松初等中等教育局長】    どうぞよろしくお願い申し上げます。
【大杉教育課程企画室長】    初等中等教育局担当審議官の伯井でございます。
【伯井初等中等教育局担当審議官】    よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    教育課程課長の合田でございます。
【合田教育課程課長】    どうぞよろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    特別支援教育課長の井上でございます。
【井上特別支援教育課長】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    国際教育課長の小林でございます。
【小林国際教育課長】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    教育改革調整官の平野でございます。
【平野教育改革調整官】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    教育課程課教育課程企画室専門官の小野でございます。
【小野教育課程課教育課程企画室専門官】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    それから、私、教育課程企画室長の大杉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、議事に入ります前に、恐縮ですが、天笠主査、中島主査代理から一言ずつ頂ければというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【天笠主査】    主査を仰せつかりました天笠です。どうぞよろしくお願いいたします。
  先ほど小松局長からも話がありましたように、本部会の使命ということにつきましては、それぞれがあったかというふうに思います。とりわけ、時数の問題ですとか、そういうことも大変関心の高いテーマかというふうに思いますけれども、今日からのまた御審議もいただきますけれども、全体としての議論も含めて、それらの点について知恵を出し合っていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
【中島主査代理】    済みません、重ねて遅れまして申し訳ございません。天笠主査の下で、御指導賜りながら、何とか全力を尽くしてまいりたいと思いますので、どうぞ御指導、御鞭撻をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございました。
  それでは、本部会の進行は、これより天笠主査にお願いいたします。
【天笠主査】    それでは、失礼をいたします。これより議事に入らせていただきます。
  初めに、本部会の審議等については、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくものとともに、第6条に基づき、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
  なお、本日は報道関係者より会議の撮影及び録音の申し出があり、これを許可しておりますので、御承知おきいただければと思います。
  それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    配付資料でございますが、本日議事次第に記載しておりますとおり、資料1-1から資料の6、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら事務局までお申し付けくださいませ。
  なお、机上にタブレット端末を置いてございます。この中には本部会の審議に当たり参考となる関係する審議会の答申でありますとか、関係資料をデータで入れさせていただいております。詳細につきましてはタブレット端末の下にございます目次を御覧いただければというふうに存じます。
  一部の資料につきましては、委員限りの机上の資料となってございます。色付き附箋を付けてございますので、御留意いただければと思います。
  また、本部会設置に関わりまして、新たに中央教育審議会初等中等教育分科会の委員になられた先生方におかれましては、机上に辞令をお入れした封筒を置かせていただいておりますので、御確認いただければというふうに存じます。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございます。
  それでは、まず諮問、教育課程企画特別部会論点整理、改訂の検討体制、本部会の検討事項等について、事務局から御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、少しお時間を頂戴いたしまして、全体のスケジュールでありますとか、諮問、それから、論点整理、関係するワーキングの議論の状況などを御紹介させていただきたいというふうに存じます。
  まずは、この小学校部会の位置付けにつきまして、資料の1-5を御覧いただければというふうに存じます。資料の1-5に学校段階等別部会及び教科等別ワーキンググループ等の設置についてということでございます。
  8月におまとめいただきました論点整理を踏まえて、学習指導要領全体が目指す姿を念頭に置きつつ、学校段階又は教科・科目等の改訂の方向性について専門的に検討するため、今回22の特別チームあるいは専門部会、ワーキンググループということが設置されております。
  資料1-5、1枚おめくりいただきますと、検討体制がございます。小学校部会、幼児教育部会の下にございますけれども、その下に総則・評価特別部会、あるいは、各教科等別のワーキングというものが設置されているところでございます。小学校部会におきましては、こうした各教科等別の議論の状況、あるいは、総則全体に関わる議論の状況を踏まえながら、小学校教育全体の在り方を幼児教育、あるいは、中学校教育との接続も意識しながらおまとめいただくというようなことをお願いしたいというふうに考えております。
  続きまして、資料の1-6でございます。今後のスケジュールということでございますけれども、これが少しリバイス前で恐縮でございますけれども、10月から各教科等別の議論が開始されているところでございます。ここに年明けというふうにございますけれども、これ年度内というようなイメージでおりますけれども、小学校の授業時数の在り方含め、小学校の一定の部分に関しましては、先んじて一定の結論を得るということが論点整理において求められているところでございます。小学校部会、年度を越えても議論を少しお願いする部分ございますけれども、年度内に各教科の議論にも影響がございますので、授業時数の在り方も含めて小学校教育の方向性ということを一定の結論をおまとめいただくということをお願いしたいというふうに思っております。
  その後は、全体の教育課程部会または教育課程企画特別部会における議論を踏まえて、審議のまとめ、答申という形になりまして、スケジュールどおりに行きますれば、幼稚園は平成30年度から、小学校は32年度、中学校は33年度、高校は34年度から年次進行という形での具体的な実施というようなスケジュールが想定されているところでございます。
  少し飛びまして恐縮ですが、資料の6を御覧いただければというふうに存じます。資料の6には小学校部会の開催スケジュールということでございまして、年度内に既に開催をお願いしている第3回までのスケジュールを考えているところでございます。2月まででございますけれども、議論の状況によりましては、第4回を3月に設定させていただくということも考えられるところでございますが、この3回、あるいは、あと数回を使っていただいて、先ほどの一定の結論が必要な部分の議論をおまとめいただく、その後、年度を明けて、小学校教育全体の議論をさらにおまとめいただくというような、少し二段階のおまとめが必要になってまいりますけれども、このようなスケジュールで、資料の6のようなスケジュールでお願いをしたいと考えているところでございます。
  それでは、資料の御説明をさせていただきたいというふうに思いますけれども、まずは資料の2を御覧いただければというふうに存じます。少し行ったり来たりしまして恐縮でございますけれども、お手元の資料の2でございます。
  小学校部会における検討事項(案)ということでございます。1.にございますように、「社会に開かれた教育課程」の視点に立った、小学校の教育課程の改善について、これにつきましては、これからの社会の在り方を見据えた小学校教育の改善の方向性、低学年・中学年・高学年といった発達の段階を踏まえた学習・指導の特徴、こういったものの在り方、特別支援教育の在り方、幼児教育、あるいは、中学校教育との円滑な接続の在り方、家庭、地域・社会との連携の在り方、こういった大きな方向性が議論の前提として必要になってこようかというふうに存じます。
  また、それも踏まえつつ、2.でございますけれども、小学校教育を通じて育成すべき資質・能力について、児童を取り巻く現状や社会の変化を踏まえ、小学校教育を通じて育成すべき資質・能力の在り方について、現在各教科において各教科ごとに育成すべき資質・能力のおまとめをいただいているところでございますけれども、それを小学校教育全体を通じた観点から見てみるとどうなのかというようなことを御議論いただく必要があるかと思います。
  そういった資質・能力の在り方と各教科の議論をまた照らし合わせて、各教科等の充実の方向性ということを考えていただくというようなことも必要かというふうに存じます。
  また、今回論点整理でもグローバル化が進む社会の中で、特に重視されていく、あるいは、現行指導要領でも言語活動というものが重視されている、こういったようなことを踏まえながら、学習や生活を支える言語というものの役割を踏まえた言語に関する能力の育成について、これについては特に重視して御議論を頂く必要があるかというふうに存じます。
  それから、3.でございますけれども、小学校におけるカリキュラム・マネジメントの在り方について、例えば、週時程の組み方でありますとか、子供の生活時程をどのように組んでいくか、教育内容と照らし合わせながらどのようにデザインしていくかということもカリキュラム・マネジメントの一環であるというふうに論点整理においておまとめを頂いたところでございます。
  こういったカリキュラム・マネジメントの意義と効果的な実施の在り方について、短時間学習の実施など、効果的で柔軟なカリキュラム・マネジメントの在り方について、こういったことに関してお考えをおまとめいただく必要もあるかというふうに存じます。
  また、2ページ目にございますように、「アクティブ・ラーニング」の視点からの改善充実、学習評価の在り方、その他、様々な事項が考えられますけれども、こうした4.、5.、6.については、基本的には年度を明けて御議論を頂くというような段取りになってこようかと存じます。年度内は1.、2.、3.を中心に御審議をいただき、一定のおまとめを頂くというようなことかと考えているところでございます。
  恐縮でございますけれども、ただいま松川委員が御到着されましたので、御紹介申し上げます。松川委員でございます。
【松川委員】    雪で遅れました。失礼いたしました。
【大杉教育課程企画室長】    よろしくお願いいたします。
  それでは、資料の説明に戻らせていただきます。
  まずは、8月におまとめいただきました論点整理でございます。既に概要を御覧いただいているかと思いますので、簡単に触れさせていただく程度にとどめさせていただきたいと思いますけれども、資料の恐らく冊子の山の方に緑色の論点整理の冊子が含まれているかというふうに存じます。論点整理をお開きいただいて、まずは諮問でございますけれども、諮問というタグがついたページをお開きいただければというふうに存じます。852号という紙の後側に諮問理由がございます。これからの時代を見据えて、子供たちにどのような資質能力を育むか。そして、それをしっかりと育んでいくための学習指導要領、教育課程の在り方ということはどのように考えたらいいかということを諮問内容として示されているところでございます。
  特に、諮問の理由の2ページ目のところでございますけれども、「こうした状況も踏まえながら」ということが書いてあるページの下でございますけれども、「第一に」ということで、教育目標・内容と、指導、評価の在り方を一体として捉えた見直しを図っていくということ、それから、次のページに御覧いただきますように、育成すべき資質・能力を踏まえた教科・科目の在り方等々ということでございます。特にグローバル化する社会の中で多様な背景を持った人々と協働して新たな価値を作り出していくということの中で、必要な力、言語の力でありますとか、文化への理解ということ、特に、ここでは英語の能力についてということも有識者会議の報告における提言も踏まえつつ図っていくということが提示されているところでございます。小学校から高校までを見通した教育目標、あるいは、小学校教育における充実の在り方、こういったことについて考え方をまとめるようにということ。
  また、次のページにおきましては、幼児教育と小学校教育をより円滑に接続させていくためにはどうすればいいのかということ。あるいは、子供の体力の現状を踏まえて、健康増進、豊かな生活を送るための基礎運動習慣、こういったことをしっかりとどのように育んでいくかということ、あるいは、インクルーシブ教育システムの理念ということを踏まえて、特別支援教育、これは特別支援学校のみならず、小学校も含めた全学校種においてということでございますけれども、こういったことをどのように考えていくかということ。また、あるいは、多様な社会の要請を踏まえた様々な教育ということを教科横断的にどのように実現していくのかということ。
  こうしたことを第三にございますようなカリキュラム・マネジメントの在り方ということを含めて御議論を頂きたいということでございます。
  これをもとにおまとめいただいたのが論点整理でございますけれども、冒頭、お戻りいただきまして、2030年の社会と子供たちの未来ということでございます。特に教科、学校種を超えた理念として、今回3ページにありますような社会に開かれた教育課程ということの理念をお示しいただいているところでございます。これからの社会に必要な力を子供たちに、社会と協力しながらしっかりと育んでいき、それにより学校教育がよくなり、社会もよくなっていく、こういった姿を学習指導要領の在り方を通じてどのように実現していくかということ。
  また、5ページ目にございますように、確かな学力、生きる力のバランスのとれた育成、言語活動の充実といったことはしっかりと受け継ぎながら、6ページ目にございますような我が国の子供たち、根拠を示しながら考えを述べたりすることなど、主体的に判断し、行動するということの力をどのように伸ばしていくか、そういった観点から、指導要領全体の改訂を、教科等の関連性も念頭に置きながら、構造化を考えていくということ。
  7ページ目にございますように、何ができるようになるのか、8ページ目にございますように、どのように何を学ぶのかという子供たちの具体的な学びの姿を念頭に考えていくということでございます。
  特に現代的な課題ということもございますけれども、10ページ目、11ページ目にございますような資質・能力の三つの要素ということを念頭に置きながら、資質・能力を構造化していく、教育課程を構造化していくということ。11ページ目、12ページ目にございますように、変化の激しい社会の中で、様々な情報を受けとめ、主体的に判断しながら、他社と一緒に生き、課題を解決するためにはどのような力が必要なのか。あるいは、13ページ目にございますように、グローバル化の影響が一部の人々のみならず、社会全体に及んでくるという中で、全ての子供たちに言語や文化に対する理解を深め、国語で理解したり表現、さらには、外国語を使って理解したり表現したりするという言語に関する能力を向上させるというようなこと、あるいは、スポーツというようなことに関してどのような力を育んでいくかということが検討が求められているということでございます。
  そうしたことを考えながら、現在各教科の資質・能力のあり方も議論をされているところでございますけれども、特に小学校教育という横串でそれらをまとめ上げていく必要があるということでございます。
  評価等についてもまとめていただいておりますけれども、特に21ページ目、カリキュラム・マネジメントの重要性ということでございます。
  22ページにカリキュラム・マネジメントの三つの側面ということでございますけれども、教科横断的な視点で教育内容を組織的に配列していくということ、この中には、各学校で行われている週時程のデザインということも含まれてくるということでございます。
  また、質の向上に向けたPDCAサイクル、あるいは、外部の資源も含めながら、そういった人的資源、物的資源を効果的に組み合わせて実施していくというようなマネジメントということでございます。こうしたことも今回しっかりと考えていく必要があるということ。
  また、24ページ目以降にございますように、そういったことを先生方がしっかりと実施していけるような教員の採用・養成・研修の在り方ということも併せて重要だということでございます。
  小学校教育につきましては、27ページ目からでございます。小学校において育む資質・能力を、幼児教育の学びを生かしながら、あるいは、中学校教育との円滑な接続ということも意識しながら、三つの柱に沿って教科ごとに明確化、あるいは、教育課程全体として明確化していくという方向性でございます。
  その中で、基本的には現行学習指導要領の各教科等の授業時数や指導内容を前提としつつ、資質・能力を可視化していくということでございます。
  「ただし、この中でも特に」とございますけれども、グローバル化が進む社会の中で、言語に関する能力、国語や外国語の力ということをしっかりと高めていくためには、国語教育、外国語教育、それぞれを充実させつつ、効果的に関連付けていくということは必要ではないかということでございます。
  そのために、国語教育におきましては、様々な情報を主体的に受け止めて、それをしっかりと整理し、分析し、自分の考えをまとめ、表現していくというようなことをしっかりと充実させていくということとともに、外国語教育と関連付けていくということも重要であるということでございます。
  また、外国語教育におきましてはということで、別紙ということでございます。この別紙が少し後ろに付けてございまして、49ページでございますけれども、英語教育の改善・充実、これにつきましては、先ほどの諮問にも触れられておりましたとおり、第二期教育振興基本計画、あるいは、有識者会議の報告ということについても触れられているところでございます。こうした流れを踏まえながら、どのような改善充実を図っていくかということ。
  小学校におきましては、外国語活動、前回改訂において取り入れられた外国語活動の効果ということが、かなり子供たちの学習意欲の向上、教員の肯定的な捉え方という成果として挙がってきているということ。一方で、「読む」「書く」ということも、「聞く」「話す」のみならず、やってみたいというような子供たちの知的欲求が高まっている状況であるということ。また、中学校の子供たちの8割が「読む」「書く」をもっとしておきたかったと回答しているということ。
  こういった観点からは、小学校で音声中心で学んだことをいかに中学校へつなげていくか。国語と英語の音声の違いやつづりの関係、文構造の学習などをどう効果的に関連付けていくか。小学校高学年において抽象的な思考が高まる段階であり、体系的な学習が求められるということをいかに子供たちの発達の段階と照らし合わせてふさわしい教育をしていくかということ。
  こうしたことを踏まえれば、中学年から外国語に慣れ親しみ、「聞く」「話す」の2技能を中心に実施し、動機付けを高めた上で、高学年においては4機能を系統的に扱う教科学習を実施していくということが必要ではないかというようなことでございます。
  50ページ目にございますように、こうしたことを踏まえますれば、これまで2技能という、「聞く」「話す」に加えて、「読む」「書く」という4技能を扱っていけるというような充実、あるいは、言語活動の充実をその三つ目の丸の丸1、丸2、丸3にございますような指導を行うために必要な時間として確保していく必要があるのではないか。また、中学年から外国語活動ということを実施していく必要があるのではないか。
  このような方向性でありますと、高学年においては4技能を扱うということで教科として系統的な指導を行うためには、例えば、70単位時間程度、中学校におきましては35単位時間程度必要ではないかということでございます。
  こうした指導、もちろん小学校教育のみならず、中学校、高等学校をしっかりとそれぞれ充実させていく、特に、中学校におきましては、指導の改善のPDCAサイクルをしっかりと回していくという観点から、一定の学習調査ということも導入するということも踏まえながら、学力調査の実施ということも導入するということも念頭に置きながら、改善をしっかりと図っていくということでございます。
  52ページ目にございますように、高学年における指導時間の確保についてということでございますけれども、外国語教育におきまして、様々な充実した実施の在り方、そういったことを検討する中で、短時間学習の実施ということについても専門的な検討が必要ではないかということ、一定の効果が期待されるという場合には、短時間学習ということを年間授業時数に含めることを可能とする方向で検討できるのではないかというような、52ページにあるような様々な考え方が示されたところでございます。
  これらにつきまして、さらに専門的な検討を行い、一定の結論を外国語ワーキングにおいておまとめいただきたいということが論点整理において示されていたところでございます。
  本文の28ページ目にお戻りいただきたいというふうにございます。28ページ目に書かれてございますことは、今別紙で御説明させていただいたところでございます。
  こうしたことを踏まえながら、29ページ目の一つ目の丸と二つ目の丸のところでございますけれども、外国語における短時間学習の在り方、あるいは、教育課程全体におけるそういったものの位置付けを含めて、外国語のみならず、教育課程全体の観点から課題を専門的に検討する必要があるのではないかということでございます。
  こうした観点から、既に外国語ワーキンググループでは4回にわたって議論を展開していただき、後ほど御説明申し上げる一定の考え方をおまとめいただいたところでございます。
  本部会におきましては、これも踏まえまして、教育課程全体を見渡す観点から、年度内に一定のおまとめをいただきたいということでございます。
  以下、33ページ目以降は総則、各教科、国語、外国語含めまして検討の方向性ということで書かせていただいているところでございます。こうした全体の方向性を踏まえながら、例えば、教科化というものを、特別な教科というものになることになっております道徳教育の在り方なども含めながら、学校教育全体の方向性を御議論いただきたいというところでございます。
  論点整理については以上でございます。
  続きまして、資料の3を御覧いただければというふうに存じます。
  資料の3でございますけれども、小学校の教育課程に関する基礎資料ということでございます。1枚おめくりいただきますと、目次にございますように、小学校に関する基本的な情報でありますとか、子供たちを取り巻く様々な課題ということをまとめさせていただいているところでございます。
  2ページ目、3ページ目、学級数、学校数、児童生徒数、教員数でありますとか、4ページ目、法制上の仕組み、5ページ目、6ページ目にありますような関係法令上の小学校教育の目的や目標、7ページ目にございますような学習指導要領等に関する構造、8ページ目、教育課程に関し学校が作成するもの、9ページ目、現行学習指導要領の構成、10ページ目以降は子供たちの学力の状況ということで、PISAでありますとか、全国学力・学習状況調査の成果、それから、15ページ目、学習習慣ということでございまして、38%の子供たち、学校外での学習時間が1時間未満であるというような状況、16ページ目は身長・体重平均値の推移ということ、17ページ目は体力・運動能力の推移ということ、18ページ目も同様でございます。
  19ページ目にございますように、道徳教育でございますけれども、既に改正が行われておりまして、平成27年度から一部改正の趣旨を踏まえた「考え、議論する」道徳科への質的転換、全体的には30年度からということでございますけれども、こういった改訂も行われている状況でございます。
  また、20ページ目は情報活用能力ということで、例えば、その情報の読み取りでありますとか、文字入力を含めた情報手段の活用の状況ということで、子供たちに様々な課題があるということで、これは総則部会においても議論していただいておりますけれども、今後の課題解決能力という意味ではかなり重要な能力の一つでございます。
  22ページ目は言語活動の充実、現行学習指導要領で実施されているところでございますけれども、23ページ目にございますように、成果と課題ということで、言語活動の充実ということが児童生徒の学力の定着に寄与しているということ。一方で、その目的意識、学習過程における位置付けを明確にしていく。今回議論いただいている資質・能力との関連付けということをより図っていく必要があるのではないかということでございます。
  また、25ページ目、26ページ目はアクティブ・ラーニングなど、深い学びということと学力の関係ということ、28ページ目まではそういった関係の資料でございます。
  29ページ目は各学校における個に応じた指導の実施状況というデータでございます。
  31ページ目は、前回改定時におきまして小学校の授業時数について示された考え方でございます。様々個別の児童に対する補充指導や生徒指導に必要な時間、あるいは、先生方の情報交換や意思疎通のための時間、様々な教科横断的な課題でありますとか、子供たちの発達、あるいは、生徒指導上の問題ということが増えていく中で、こういった時間の確保も重要になっていることが整理され、前回改訂においての標準授業時数の考え方が整理されていたところでございます。32ページ目はそれを図で示したところでございます。
  33ページ目、34ページ目は現行の授業時数についてでございます。
  35ページ目は、各学校における教育課程の編成状況ということでございまして、標準授業時数と実際に各学校がどれだけの単位時間を設定しているかがわかる資料でございます。
  36ページ目は、最近の土曜日の学習状況ということ、37ページ目の実施状況ということでございます。
  あるいは、38ページ目は学校、家庭、地域との連携、それから、39ページ目は、先ごろ答申としてまとめられました教員の資質・能力の向上について、学習指導要領の改訂の状況とも連携させながら進めて答申をおまとめいただいているところでございます。
  41ページ目も、いわゆるチーム学校でございますけれども、これにつきましても、今後の社会に開かれた教育課程の在り方ということと連携させながら御議論を進めていただいたところでございます。
  43ページ目はコミュニティ・スクールの推進も含めた新しい時代の地方創生の実現に向けた連携、学校と地域との連携、協働の在り方ということで、これも新しい学習指導要領の在り方を見据えた御議論をいただき、まとめていただいたところでございます。
  45ページ、幼児教育に関する現状でございます。幼少接続という観点からお示しをさせていただいておりますけれども、48ページ目にございますように、スタートカリキュラムということで、しっかりと接続を図っていくということ。それから、50ページ目にございますように、幼児教育では5歳児までに、幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿ということを明確にしていこうという御議論を頂いておりますので、これを踏まえて小学校教育の充実ということも考えていただくということが必要であろうかと思います。
  また、52ページにございますように、小中一貫教育、制度化されるということでございますので、より今後小学校と中学校の教育課程上の連携ということも考える必要があるということ。
  また、54ページ目にございますように、今後インクルーシブ教育システムの構築、あるいは、合理的配慮の提供ということが学校現場においてもしっかりと求められるということから、特別支援教育の在り方ということも先生方一人一人がしっかりと御理解していただいた上で進めていく必要があるというようなことでございます。
  続きまして、恐縮ですけれども、資料4-1から4-4までをお手元にお出しいただければというふうに存じます。
  各ワーキングの検討状況でございます。先ほど御覧いただきましたように、22のワーキングがございまして、それぞれ御検討を進めていただいているところでございます。例えば、10ページを御覧ください。これは後ほどまた言語で御説明させていただきますけれども、資質・能力の三つの柱に沿った検討を全ての教科別に進めていただいているということ、また、11ページ目にございますような学びのプロセス、あるいは、その指導、資質・能力の要素というものの洗い出しということも各教科ワーキングで進めていただいているところでございます。
  また、新科目ということが必要なところに関しましては、そういった検討も進めていただいているところでございます。
  これら全てが、基本的には本小学校部会に関係してくるわけでございますけれども、本日は少し例示といたしまして、三つの特別チーム、あるいは、ワーキングの議論の状況を御紹介させていただきます。
  資料の4-2でございます。言語に関する資質・能力ということでございます。言語に関する資質・能力ということで、言語能力の向上に関する特別チームにおきましては、国語あるいは外国語ということを超えた子どもたちの言葉の能力ということをどのように育んでいくかという観点から御議論を頂いているところでございます。三つの柱に沿って、言語の役割の側面に照らしながら、御覧のような整理を頂いております。
  裏面をおめくりいただきますと、言語に関する資質・能力の要素ということで、テクスト・情報の理解、文章や発話による表現ということを、構造と内容の理解、吟味と解釈、考えの形成、あるいは、テーマの設定、内容の検討、考えの整理、構成・表現形式の検討、表現ということで、こうしたプロセスの中でどのような資質・能力が働くか、それをどのように育んでいく必要があるかということから御議論を頂いているところでございます。
  3ページ目にございますような、言葉の働きと仕組みというようなことも御議論いただいております。
  5ページ目を御覧いただければというふうに存じますけれども、言語能力について、小学校部会における議論にも役立てていただくために、これまでの議論を整理いただいているものでございます。言語能力につきましては、様々な文化審議会答申でありますとか、前回改訂の言語能力に関する議論を踏えまして、創造的思考の側面、感性・情緒の側面、他者とのコミュニケーションの側面、この三つの側面から整理を頂いているところでございます。
  こうした言語能力、2.にございますように、乳幼児期から身近な人との関わりや生活の中で言語を獲得していく、そうした発達の段階に応じた適切な環境の中で、言語を通じて新たな情報を得たり、思考・判断・表現をしたり、他者と関わったりする力を獲得していくということ。このように言語ということは、子供たちの学習や生涯にわたる生活の中で極めて重要な役割を果たしているということでございます。
  例えばということで、5ページ目から6ページ目にございますような、論点整理に示した資質・能力の三つの柱ということも言語を通じて獲得されていくということが極めて重要であるということ。
  そうしたことを考えれば、6ページ目にございますように、全ての教科等における資質・能力の育成や学習の基盤として重要な役割を果たしているということ。言語能力の向上は学校における学びの質や教育課程全体における資質・能力の育成の在り方を左右する重要な課題として受け止める必要があるということでございます。
  3.には、他の様々な資質・能力との関係について整理をいただいております、コミュニケーション能力につきましては、文部科学省におきましては、いろいろな価値観や背景を持つ人々による集団において、相互関係を深め、共感しながら、人間関係、チームワークを形成し、正解のない課題や経験したことのない問題について、対話をして、情報を共有し、自ら深く考え、相互に考えを伝え、深め合いつつ、合意形成・課題解決する能力と定義されているところでございます。これに関しましては、言語の三つの側面全てが関係してくるということでございます。
  あるいは、7ページ目にございますように、非言語能力ということでございますけれども、人間のコミュニケーションや思考などの諸活動は、言語のみならず、形や色などのイメージ、身体の動き、音の強弱やリズムなど、多様な手段が関係しているということ。こうした言語以外の手段に関する資質・能力ということも、言語能力と相互に関連させながら高めることにより、感性や情緒を豊かなものにしたりすることも重要であるということ。
  したがいまして、国語教育、外国語教育、あるいは、様々な諸教育の重要性と合わせて、芸術教育、あるいは、体育ということの充実ということも重要であるということ。
  ここには書かれてございませんけれども、当然のことながら、数的思考でありますとか、科学的思考ということで、数学、理科、その他教育ということも極めて重要であろうかということでございます。
  また、言語活動と体験活動との関係ということも御覧のような整理をいただいているところでございます。
  続きまして、4-3でございます。
  国語についてでございますけれども、こうした言語に関する検討状況等を包含させつつ、言語の側面に照らしながら国語教育の充実、特に、情報を多面的に吟味し構造化する力でありますとか、構成・表現形式を評価する力、言葉によって感じたり想像する力などなど、こういった力の育成をしっかりと図っていくということを御議論いただいているところでございます。
  裏面は国語科における学習活動の要素ということで、これが指導内容の構成にも関わってくるわけでございますけれども、こうしたことをしっかりと子供たちができるようにしていくということ。
  また、さらにおめくりいただきますと、国語教育のイメージということで、幼児教育から小学校、中学校、高等学校を通じて国語教育をどのように充実させていくかという方向性も御検討をいただいているところでございます。これは引き続き御検討をいただいているところでございます。
  続きまして、資料の4-4でございます。
  外国語ワーキンググループにつきましては、先ほど論点整理でも御説明申し上げましたように、短時間学習も含めた専門的な見地からの検討ということをおまとめいただくようにというようなお願いをしてございましたので、これまで4回の議論をこの文章のような形でおまとめをいただいているところでございます。
  4-4-Aにございますように、小・中・高校を通じて一貫して育成すべき外国語教育における資質・能力について御検討をいただいております。その際に、主な論点のところにございますように、一部の業種や職種ということではなく、生涯にわたる様々な場面で必要とされる力ということを考えていくということ。発達段階に応じて言語や文化に対する理解を深め、コミュニケーションを図ろうとする態度や、情報や考えなどを理解したり伝えたりする力の育成を図るとともに、4技能を総合的に育成することを狙いとして改訂が図られてきたということ。
  一方で、学校種間の接続でありますとか、特に中・高において、話すこと、書くことなどの言語活動が十分に行われていないこと。伝える相手、目的、状況に応じた表現などに課題があるということでございます。
  2ページ目上にございますように、このため、次期学習指導要領においては、小・中・高を通じた資質・能力というものを、資質・能力の三つの柱を踏まえつつ、各学校段階で学びを接続させるということ。「英語を使って何ができるようになるか」という観点から、一貫した教育目標を設定するということ。それに基づき、外国語をどのように使うか。例えば、国際共通語としての英語を通じて、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」という観点から、卒業後特定の学問分野や職業に進む場合ではなく、どのような職業に就くとしても生かすことができるような資質・能力を、子供たちが将来の進路や職業などと結び付け、主体的に学習に取り組めるように育成していく。このために、学習指導方法、評価方法も併せて改善を図っていくということ。
  また、言語能力の特別チームで御議論いただいておりますように、言語の三つの側面ということも踏まえながら、コミュニケーションを軸としつつ、他の側面においても資質・能力が明確になるように議論をするということでございます。
  3ページ目上にございますように、産業界をはじめ、社会から期待されている資質・能力ということを念頭に置きつつ、どのような職業に就くとしても生かすことができる資質・能力を育成していくということ。
  高等学校段階までに求められる資質・能力ということをイメージしながら、小・中の達成すべき能力を考えていくということ。一方で、小学校の学びをしっかりと中学校に、中学校の学びを高校に生かすという観点も必要であるということ。
  また、こうした資質・能力の改善の方向性を、大学入学者選抜の現在行われている高大接続の改善の議論にもしっかりとつなげていくということでございます。
  また、特に興味関心の高い子供に関して、多様な学習の機会を提供することができるようにということでございます。
  4ページ目には、外国語教育の改善についてということでございます。資質・能力の三つの柱に沿った資質・能力の明確化、教育目標、内容の明確化をしていくということ。
  また、各学校が学習指導要領を踏まえながら具体的な学習到達目標をしっかりと設定し、達成状況を明確化できるようにするというような構造を考えていく必要があるということ。
  そのためには、国がCEFRなども参考にしながら、小・中・高において目指すべき教育目標を、実際のコミュニケーションにおいて重要な4技能を統合的に活用することも想定したより具体的な形で指標形式ということで段階的に設定していく必要があるのではないかということでございます。
  また、5ページ上にございますように、学びのプロセスの改善・充実ということ。そういったことを踏まえますれば、指導要領の解説や指導の参考となる事例ということもわかりやすく示していく必要があるということ。先ほどもございますけれども、高校卒業時において共通に求められる資質・能力をしっかりと育んでいくという観点から教育目標を設定していく必要があるということ。
  あるいは、そういった目標ということは国レベルでは汎用性のある指標形式の目標ということを目指す必要があるということ。その中ではCEFRのレベルということとの対応関係も考えていく必要があるということ。
  学校における学習が卒業後においても生涯にわたって自ら外国語を学び、実際にコミュニケーションの場面で使おうとする動機付けに結び付けるようにすること。
  引き続きこういったことについて議論をしていくという方向性でございます。
  また、6ページ目の一番下の部分にございますように、次期学習指導要領においては、子供たちに求められる資質・能力を育成する観点から目標や内容が設定される方向性であり、学習指導要領の名宛人が学校であることは変わらないが、教育目標や指導内容は「~といった資質・能力を養う」、「~できるようにする」という形の表現が中心になることを期待している。指標形式の目標で示される「~できるようにする」という表現についても、こうした方向性の中で実現できるよう、総則・評価特別部会、小学校部会の関係部会における議論を期待しているということもまとめていただいております。
  また、学校が具体的に目標を設定する際に、国の示す指標形式の目標が参考にしていただけるよう、国の目標を汎用性のある簡潔なものとし、学校が作成するCAN-DO形式の到達目標は、地域や学校の状況に応じた具体的な目標設定が可能となるようにしていく必要があるのではないかということ。
  具体的なCAN-DOの効果や留意点については、そのページにあるようにおまとめいただいているところでございます。
  8ページ目にございますように、こうした目標の在り方を踏まえながら、教科書の教材、生徒の学習状況、授業時数などを踏まえながら、学習到達目標を、学校や各科目の単元ごとに具体的に設定し、指導の方法の改善や評価の改善を図れるようにしていく必要があるということでございます。
  8ページ目、9ページ目は具体的に指導する語彙表現、文法事項、学習評価の在り方についてもおまとめを頂いているところでございます。
  10ページ目は、言語能力という観点からの国語教育との関連付けということでございます。言語能力向上の観点から、国語教育と外国語教育のそれぞれを充実させつつ、国語と外国語の言葉の役割、働きや様々な言葉の仕組みや特徴や違いなども理解できるように効果的に関連付けていく必要があるのではないかということでございます。
  また、三つ目の丸にございますように、小学校の中学年、外国語教育、外国語活動につきましては、「聞く」「話す」を中心とした動機付けということで高めた上で、高学年からは発達段階に応じて4技能を系統的に扱う。その際には、教科化に向けてアルファベットの文字や単語などの認識、国語と英語の音声の違いや特徴の気付き、語順の違いや文構造への気付きを促す指導を行うために必要な時間ということが確保される必要があるのではないかということ。
  11ページ目にございますように、国語教育と外国語教育との関係、例えば、「書くこと」において、考えを根拠とともに示す文章を構成すると、伸びる力は英語の力なのか、一般的な論理力なのか、あるいは、その言語の力というようなことなのか、国語で指導すべき事項とどのように関連しているのかということも考える必要があるのではないかということ。
  また、言葉の仕組みという観点では、例えば、小学校で3年生からローマ字表記を学習しますけれども、こういった中で、子供たちが日本語の音の特徴などについて認識を持つということにもつなげるような連携の在り方、あるいは、国語教育、外国語教育全体として、言葉の面白さということに気付くということが重要ではないかということも示されているところでございます。
  11ページ目以降、小学校の活動型、教科型について示されております。
  12ページ目御覧いただきますと、小学校高学年においてということでございます。ほぼ論点整理をさらに充実させていただいたような内容になっておりますけれども、これまでの体験的な「聞くこと」、「話すこと」に加え、「読むこと」、「書くこと」の4技能を扱う言語活動を通じて、より系統性を持たせた指導を教科型で行うということ。
  その際、単に中学校で学ぶ内容を高学年に前倒しするのではなく、身近なことに関する基本的な表現による4技能の豊かな言語活動を行うため、発達段階に応じた「読むこと」、「書くこと」に慣れ親しみ、英語を読もうとしたり、書こうとしたりする態度の育成を含めた初歩的な運用能力を養うことが考えられるのではないか、発達段階に応じた知的好奇心に応えるものにする必要があるのではないか、他教科とも連動した学習内容や言語活動を設定する必要があるのではないかといったような御意見をいただいているところでございます。
  続いて、中学年におきまして、これも論点整理をさらに充実させていただいておりますけれども、体験的に「聞くこと」、「話すこと」を中心とした外国語活動を通じて、発達段階に適した形で言語や文化について体験的に理解したり、音声等に慣れ親しんだりするということ、こういった体験的理解やコミュニケーションへの積極性を中心とする必要があるのではないかというふうな御議論をいただいているところでございます。
  14ページ目からは短時間学習の活用など、柔軟なカリキュラム設定に関する考え方ということで、例えば、15ページ目の上にございますように、短時間学習では、目的に応じて、集中して、テンポよく、効率的に繰り返し学習する活動を通じて効果を得られるというメリットがある一方で、準備に過度な負担がかからないようにするための方法等について十分検討することが必要であるということ。
  短時間学習の効果を一層高めるためには、教育課程における位置付けの明確化を図る必要があるのではないかということ。
  また、短時間学習のみならず、例えば、45分プラス15分のような、長時間の60分授業の扱いの中で位置付けるというような、様々な地域の実情、子供たちの実態に応じた柔軟な幅のあるようなものとして考えていく必要があるのではないかというような御意見もいただいております。
  このあたり、さらに詳しく御説明が必要ですけれども、恐らくカリキュラム・マネジメントにつきましては、議論が次回になると思いますので、次回またさらに詳細は説明させていただきたいと思います。いずれにしましても、16ページ目の真ん中の丸にございますように、教員養成、教員研修、教材開発に関する条件整備といったことと一体的に議論していく必要があるのではないかということでございます。
  18ページ目以降は小中連携、あるいは、指導体制についておまとめをいただいております。
  22ページには、短時間学習も含めて、指導体制の在り方についておまとめをいただいているところでございますけれども、これはまた次回詳細を御説明させていただきたいというふうに存じます。
  これで資料の説明はようやく一通りでございます。大変長時間で恐縮でございます。
  資料の2にお戻りいただけますでしょうか。資料の2でございます。
  先ほど申し上げましたとおり、年度内は1.、2.、3.を中心に御議論をおまとめいただければというふうに存じます。今回は特に時間の関係もございますので、1.、2.の議論が中心になってこようかというふうに存じます。3.カリキュラム・マネジメントの在り方につきましては、中心的には次回になろうかと思いますけれども、本日まだまだ説明し切れなかったことが実は多々ございますので、それにつきましては次回の冒頭でまた御説明をさせていただきたいというふうに存じます。
  以上でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、あとは皆さんから御意見をお願いできればというふうに思います。
  それで、今大杉室長からの御説明もありましたけれども、資料2の検討事項に沿ってこれからお願いしたいというふうに思いますけれども、先ほど来御説明がありましたように、今回含めて3回ほど年度内にということであります。そういうことからしまして、今日はこの検討事項の1、2というふうにありますように、比較的全体的な視野、小学校の位置付けですとか、あるいは、論点整理が示された考え等々からにおける小学校教育の在り方ですとか、あるいは、小学校教育に求められる資質・能力ですとか、そういう観点を中心とした御意見をお願いできればというふうに思います。
  もちろん、その発言の中からこの三つ目のカリキュラム・マネジメントですとか、今御説明いただいた言語等々の話から三つ目の話が出てくるということはあり得るというふうには思っておりますので、それぞれの方の御意見をお願いしたいというふうに思いますけれども、3回ありますので、今日を含めまして、どこのところで御発言いただいたらよろしいかどうかということも、またそれぞれ委員でお図りいただければというふうに思うんですけれども、そういう点で、今日は全体的な総論的な話、そして、次回はいうところのカリキュラム・マネジメント、あるいは、短時間学習の実施等々についてというあたりのところがそのスケジュール。そして、3回目としては全体的にお話をという、こういうことがおよそスケジュール観点に立つんですけれども、そんなことを踏まえながら御意見をお願いできればというふうに思います。
  御意見のある方は挙手いただくか、あるいは、名札を立てていただくことをお願いしたいというふうに思います。私の方から順次発言をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。そして、終わりましたら名札等々また元のところに戻していただければというふうに思います。
  それでは、どうぞよろしくお願いをいたします。どなたからでも結構です。
  では、無藤部会長、お願いします。
【無藤教育課程部会長】    単に委員としての発言ですけれども、検討事項案の1、2とある中の1の方で、発達段階を踏まえた学習指導の在り方とか、幼児教育、中学校教育の円滑な接続について触れていただいているんですけれども、そのあたりでちょっと意見を申し上げたいと思います。
  私は小学校6年間というものを一律の指導というのはなかなか今現在既に難しくなってきていて、例えば、低学年の指導と高学年の指導の在り方は相当違ってきていると思います。そういう意味で、何らかの方向性を示すと。特に、小学校は学級担任の教師による全科指導が基本であるわけで、そういう意味で言うと、教科ごとの検討はもちろん必要ですけれども、小学校教育全体の在り方をどう示すかということですね。それは具体的には多分総則の方での議論でしょうから、総則部会の問題かもしれませんけれども、もう少し具体的に申し上げれば、高学年の場合にはやはり中学校との連携接続というものをどうしていくかとか、それから、現場でかなり今教科担任が広がってきていると思うんですね。これは全面的に実施するのは教職員定数の改善が必要で難しいかもしれませんけれども、やはり教科担任のよさというのはかなり認められてきたと思います。そういう意味で、教科担任の持つべき部分と、学級担任が指導すべき部分というものをある程度めりはり付けられるようにする。これは国としてというか、指導要領として一律に示すよりは、恐らく学校ごとのニーズに応じながらだと思うんですけれども、それが一つです。
  それからもう一つは、高学年において、中学校を見通した上で、生徒指導の在り方ですね、生活指導の在り方についても、かなり立ち入った配慮が要ると思いますので、そういうことについても検討が要ると思いました。
  それからもう一つは、低学年の方なんですけれども、これは既に論点整理の中でもいろいろな教科で幼児教育との関係を踏まえるということを入れるという方向だと思うんですけれども、個別の教科での検討とともに、やはり全体的な在り方を考える必要があると思います。
  特に私は大事だと思うのは、既に論点整理にありますけれども、幼児期に育った、あるいは、幼児教育を通して育ってきた子供の力をどう生かすかという観点で低学年教育を考えていく。スタートカリキュラムなどでも、子供の学びというのはゼロからではなくて、既に幼児期に学んだものをベースに次に行くんだということは共通しております。その点を打ち出していただけるといいなと思います。
  それから、実を言うと、スタートカリキュラムも今のところは生活科の、しかも、解説書の方に立ち入って書いてあるだけで、厳密に言うと、学習指導要領ですべきだと明記されているかどうか微妙な書き方になっておりますので、その辺ももう少しはっきりさせた方がいいと思います。
  それと同時に、スタートカリキュラムはスタートカリキュラムでいいと思うんですけれども、低学年教育がそのスタートカリキュラムの発展といいますか、幼児教育で得た力を発展させるという意味でどうあるべきかということが、低学年教育の独自性として出す必要があると思うんですね。
  その際に幾つかのポイントが多分あると思うんですけれども、一つは、例えば、算数、国語、非常に重要な、小学校教育の、あるいは、その後の教育の基盤になるとは思いますけれども、とかくそのスキル、狭い意味でのスキルといいますか、算数で言うと計算力とか、国語で言えば文字の読み書きとかに終始しやすい傾向があるような気がいたします。それはそれで大事ですけれども、もう少し広く子供たちのまさに考える力、思考力とか、学びに向かう力というものを各教科ごとにおいてもしっかりと伸ばしていただくということが必要ではないか。
  それとともに、既に私の幾つかのデータも出てきていると思うんですが、小学校1年生の終わりぐらいから2年生の始まりぐらいでかなりの学力差が出てきているということはわかってきていると思います。そのまま放置すると、結局それが小学校高学年までの学力差に拡大していくわけですので、具体的に個別指導すべきかどうかはまたわかりませんけれども、特に低学力といいますか、十分小学校の学習に乗り切れない子供たちへの指導の配慮が必要だろうと思います。
  そのときに、もう一つだけ申し上げたいのは、幼児期から小学校低学年の学力を決めるかなり大きな要因として、語彙の量、語彙量ですね、というものが重要だということはもういろいろなデータでわかっております。そういう意味で、その語彙量をどうやって拡充していくかということは、幼児教育の課題でもあると思うんですが、小学校教育の課題でもあります。
  これはもちろん語彙に効く最大の要因というのは、家庭における親と子のやり取りだと思いますけれども、そこに介入はなかなか難しいので、さらに教師と子供のやり取りということと、もう一つは読書指導だと思います。やはり本を読む量、それから、中身、あるいは、本のレベルなどなどが重要だと思いますので、そういうことも踏まえて、ぜひ低学年教育の充実をお願いしたいと思います。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  ほかに委員の方いかがですか。
  それでは、樋口委員、次に福田委員ということで、樋口委員からお願いいたします。
【樋口委員】    ありがとうございます。兵庫教育大学の樋口と申します。特別支援教育、中でも発達障害の専門ということで参加させていただいております。
  今の無藤先生のところとも大分関連してくると思うんですけれども、小学校の教育課程の改善、1.のところについてなんですけれども、多様化する世界だけではなくて、子供たちの多様化、発達の大きな格差、特に発達障害のあるお子さんたちのことを考えますと、個人差に対応できるような教育課程の編成が可能になってほしいなというふうに思っています。
  特別支援教育の枠組みの中では特別な教育課程編成が可能になっておりますけれども、まだまだ通常の学級に在籍するお子さんたちについては、その何といいますか、特別な編成の、何というんでしょう、幅が非常に狭いんですね。学習指導要領自体には、例えば、2学年をまとめて、内容、目標を示されたものについては、各学校で工夫しながら、順番については、教育課程編成ができることになっていますけれども、実際に現場の様子を伺いますと、転校したときに内容が抜けてしまっては困るということで、学年ごとの内容というのはほぼ決まっているという話。
  あるいは、先ほどの語彙量等もありますけれども、学習障害の中には読み書き障害という障害がございまして、聞く話すは普通にできるのに読み書きが難しいというお子さんが、大体5%ぐらいいるんじゃないかなということが、日本語の場合には言われています。
  それを考えますと、例えば、漢字の書きについて、小学校の教員、私も経験ありますけれども、とめはねはらいまで正確に書くことをつい子供に要求してしまう。しかし、学習指導要領には、学年別漢字配当表に示されている漢字の字体はあくまでも標準であり、子供が書く字というのはそのとおりに書かなければ間違いだというものではないということが明記されているにもかかわらず、教師は自分と同じとめはねはらいをしないと丸にしない。それによって子供たちは非常に自尊感情を低めているという現状があると思います。
  ですから、過度の習熟を求めないようにする歯止めといいますか、内容は次々時代の要請に従って増えていくわけなんですけれども、その分、かつて必要であったけれども、この先あまり必要ではないであろうという領域については軽減していく。そのことによって新たな課題に集中的に取り組めるようにする。増やすばかりではなく、ここは軽く扱いましょうという、そういった軽重の書き方についても工夫していく必要があるんじゃないかなということを思っています。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございます。
  福田委員、お願いいたします。
【福田委員】    ありがとうございます。どの教科でも共通に言えることだと思うのですが、それぞれの校種がその発達段階的に上の校種の下請けではないという前提がまずあるというふうに思っています。それは、全ての共通認識であるとは思ってはいるのですが、今本校では、小学校で校長をやっております、中学校との一貫を視野に入れて連携のいろいろな校内研究を進めているのですが、中学校の教員の言葉の中にも、いや、小学校でここまではやっておいていただかないとみたいなのを聞くと、そういうような概念がまだまだ一般的なところがあるのかなというふうに思っています。
  私自身はまずその概念の基礎を作る段階というのが大変大事だというふうに思っています。その上で、体系とか分析とかがあります。その切り売りをしたことで全体像ができるわけではないと思っていますから、特に小学校ではその基礎概念を作ることを重視したいというふうに思っています。
  外国語活動が今いろいろ話題になっていますが、この場合英語としたときに、大杉さんの説明の中に学びのプロセスという言葉があって、私はその学びのプロセスの根っこ、それは言葉って何だろうというか、言語って何だろう、それは人間って何だろうということにまで通じるような、そういうような根っこの部分だというふうに思っています。
  また、大杉さんの御説明の中で、外国語活動に触れる初期の中学年段階での体験的理解という言葉も印象に残りました。私事になるのですけれども、私が自分の子供を育てるときに、多言語の活動と様々なホームステイの受け入れということを実践してみたことがあります。そのときに、自分の子供たちを見ていると、いろいろな国の言葉が入ってきても、いろいろな国の人が来ても、言葉が混ざらないんだなとか、それから、場面と結びついて音が入ってくるんだなとか、様々な気付きがあった中で、自分自身も、日本語と英語だと、英語がよくわからないので日本語に頭の中で変換してしまうのですが、英語でほかの言葉を通訳してもらうと、英語がすごく近くわかってくるんです。
  ですから、そういう相対的な理解を、文法を分析して理解させるということの前に、その文法の違いとか、いろいろな言葉が世の中にあるんだとか、そういうような体験的認識というものを何らかの形で、特に初期の段階で入れられればその後の習得についてもよりスムーズであると思うのです。英語に限らず、相対的な理解を図るような他言語的ないろいろな機会を子供たちに与えてやりたいものだなというふうに考えています。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  渡瀬委員、お願いいたします。
【渡瀬委員】    よろしくお願いします。3点ございます。
  一つ目は1.に関わることです。福田委員から、小学校は中学校の下請けではないというお話がありました。資料には幼児教育、それから、中学校教育との円滑な接続の在り方というふうにございます。当然幼稚園、保育園と小学校の連携、それから、小学校と中学校の連携ということを考えながら小学校のカリキュラムを考えていかなくてはいけません。ただ、今回の学習指導要領の改訂では、高校3年を卒業する時の姿がどうあるべきかということをイメージしながら、幼稚園から高校3年生までの全体の中での1年生から6年生の教育活動の果たすべき役割ということを考えていく必要があると思います。
  私も元々小学校の教員を25年ほどしておりましたので、そのときには6年生まででどう完結させるかということで頭がいっぱいでしたけれども、今は学校の幼稚園から高校までを統括する部署におります。
  それで、最近ようやく少し周りや全体が見えるようになってきました。そして、全体の中で、それぞれの学年が果たすべき役割を考える必要があるということを強く感じています。小学校も区切り方が6・3・3ではない形をとるような学校も出てきていますので、そういう意味では、ここにありますように、低学年、中学年、高学年、または、各学年で育てるべき力ということを考えていく必要がある。それを基本に考えながらこの教育課程を編成していく必要があると思います。
  二つ目も1.に関わることです。無藤先生からもございましたけれども、1年生が終わった段階でもう1年生の内容がしっかり理解できていない子がいるという現実がある。これはそうだと思います。やはり今度の学習指導要領では、その内容を履修するだけではなくて、それを確実に修得していくという、履修主義ではなく修得主義の学習指導要領になるべきだと思います。
  ただ、それぞれの学年で修得できたかどうかを正しく評価して、そして、それができていない子たちをどうサポートするかということを考えていくと、教員の今の仕事の仕方では多分そこまで手が回らないということが起きてくると思います。
  そう考えると、やはりチーム学校の考え方で、社会とどう結びつきながら学校の教育が実践されていくか。また、今私たちが、これが小学校の教員の仕事だと思っていることでも、それをチームに任せるようなことができないかどうかということも含めて、この学習指導要領が検討されていくことが必要だと思います。
  それから、三つ目は2.の資質・能力に関わることになります。各教科の目標を達成することを目指すと同時に、先ほどの論点整理にもありましたように、教科横断的に育成が望まれるコンピテンシーのようなもの、汎用的な能力の育成が必要になってくると思います。
  いろいろなところで言葉として出てきていますけれども、思考力、それから、言語能力、情報活用能力、課題解決能力などがあると思います。そのような力というのは、教科の文脈の中で育てられていくことが大事である一方で、そのスキルの部分だけを取り出して、それを指導していくことも必要になってくると思います。そうすると、例えば、生活科ですとか、総合的な学習の時間の在り方ということがとても重要になってくると思います。各教科と生活科や総合的な学習の時間との関わりを考えながら、教科等横断的にどうコンピテンシーを育てていくかということがとても大事なポイントになると考えています。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  では、続きまして、長谷川委員、その後、清水委員でお願いします。
【長谷川委員】    私も1.、2.にちょっと関わる、両方に関わるのかなと思うんですけれども、3点ほど御説明いただいたことを踏まえて、ちょっと感じていることをお話しさせていただきます。
  まず、1.に関わるところでは、小学校の教育課程の改善についてということですけれども、今回やはりこの改訂というのは非常に大きい、学校がやはり一つ今までの教育課程の考え方を少し変えていかなければいけない。また、社会に開かれた教育課程というのはどういうものであるのかという、そういうところから考えていくと、やはりこの学校というものが地域のコミュニティの核としての学校というのをもう一度認識し直す必要があるのかなと。そういったところの学校で、じゃあ、どれだけ地域を巻き込んだ教育課程を編成できるか。
  それには、やはり教育課程編成は学校長にかかっているわけですけれども、非常に校長の力量が問われてくるのかなと。そこにおいては、やはりその学校の教育目標があって、この学校の子供の実態、地域性、みんな違うわけであって、そこの学校でどういう子供を育てたいのか。そこでは、どういう資質・能力を求めていくのか。そういうところをやはり明確にまずしていかないと、これがまた教科等につながっていくということでは、まずそこをきちんと各学校が捉えていくというのが本当に大切なのではないかな。いかに地域の財、人も含めてですけれども、それを有効に取り込んでいく、そのいろいろな手法が、教科等を通したものもあるだろうし、いろいろな形を使ってどう取り込んでいくのか。その辺をじっくりもう一度考えていく必要があるのかなというふうに思いました。それがまず1点目です。
  それから、ちょっと具体的に、先ほども出ましたけれども、この小学校では幼保小との接続、あるいは、小中の接続、そういうところも考えながら、非常に6年間の成長の幅があります。そういうことを考えていったときに、やはり指導形態というものも、今回の改訂でもう一度見直してみるという、そういう必要性もあるのかなと思っています。
  先ほども出ましたけれども、高学年、中学校は教科担任ですけれども、小学校の場合は教科担任というよりは、教科をある程度分担して、教師が得意とするようなところの教科を分担しながら指導していく。そうすることによって、非常に今いろいろな問題行動もね、中学校から小学校に下りてきている。やはり高学年の子供も多面的に見ていく必要がある。一人の教員じゃなくて、いろいろな教員が関わりながらやはり育てていく必要もあるのかなというふうに考えています。
  そういう中で、やはり教科を分担しながら子供を指導して見ていくという、そういう視点も非常に高学年には必要ではないのかな。それによって、子供の得意、不得意も含めて、長所、短所、それも明らかになって、伸ばせるところやよいところは専門的に、あるいは、深く伸ばしていくというような、そういうような視点も必要ではないかなというふうに思っています。
  あと、3点目です。2点目の指導形態に関わるところでもう一つちょっと付け加えさせていただくと、その教科分担制というのが、結果として、今本当に多忙で、いろいろなものを抱えながらやっているんですけれども、その教科を分担することによって、教職員の負担軽減につながってくんではないかと。やはり専門の社会なら社会、理科なら理科を分担してやることによって、その教材を全クラスで使えるとか、そういう部分では、それが結果的に目指してやるわけじゃないんですけれども、そういうことにつながることも期待できるのではないかというふうに考えます。
  三つ目ですけれども、やはり求める汎用的能力、資質・能力、それをしっかり据えて、あと、教科等で見ていくわけですけれども、先ほど言語能力の向上ということで、やはり国語、それから、外国語というような言語のものの説明がありましたけれども、そこの中に一つ非言語能力という、私、ここはもう本当に大事だと思うんです。言語能力と非言語能力、要するに、言葉ではなくて、やはりそれでコミュニケーションしたりとか、それは、じゃあ、言葉で説明しろとか、そういうのではなくて、何か伝わる、勘やなんかもそうだと思うんですけれども、その非言語のところはやはり教科の特性というのを十分に出すべきかな。教科の横並びを、全部同じように並べるんではなくて、やはりその教科の特性をきちんと踏まえて、それでしっかり汎用的な能力というものを見ていく必要があるのかなというふうに感じております。
  済みません、長くなりました。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  清水委員、お願いいたします。
【清水委員】    では、よろしくお願いします。私の専門は算数・数学教育ですので、その例を交えながら、1と2に関わることについて三つほどお話しさせていただきたいと思います。
  一つは、ちょっと話題になりましたけれども、計算というと、世の中一般は技能の習熟に限定してしまうんですね。戦後の学習指導要領においてはそうしなさいということは一切書いていないんですけれども、それで育った人たちが今親になっています。また、子供さんは今学んでいます。基準はそうなっていないんです。でも、結果としてそうなってしまっているんですね。そこの風穴をどう開けるかということになると、1.の丸1にある目標の社会との共有といったときに、計算あるいは計算力ということによってどんな力、資質を育成しようとしているのかということについて、先生方はもちろんですけれども、社会一般の方との共有ということがやはりどうしても必要になるのではないか。
  そのためにどうするかとなると、いろいろあると思いますけれども、同様なことが他の教科でもあるのではないかと思うんですね。10年前に子供の学習状況を詳しく調べるということで、特定の課題についての研究というのを始められて、2年ほど前に高等学校で終わったと思いますけれども、当初算数・数学と国語でスタートしました。そのときにそういう誤解がありましたので、あえて計算力を計算に関する力と言い直して、そこには計算の意味についての理解、あるいは、計算の結果についての確認、あるいは、計算を活用して手際よく処理をする、それらが全部入っているんです。それを支えるのが計算技能ですという仕組みを提示しているんですね。でも、やはり計算技能なんです。ですから、そこを壁を打ち破っていかないと、資質・能力でいろいろな議論を整理しても、なかなか現実の指導に響いていかないというようなことで、今まで基本的に普通に言われている言葉の意味を再確認して教える、教育関係者はもとより、世の中の人にもやはりきちんと理解をしていただく、協力を頂くと、こういう姿勢をやはりどういうふうに打ち出していくか、これが一つであります。
  それから、二つ目は、先ほど無藤先生からもお話がありましたけれども、6年全体を考えたときには、当然発達段階等によって大分違います。算数の場合で申し上げますと、一応4年までと中学1年までと高3までという感じで今カリキュラムが作られています。4年までは何かというと、数・量・計についての対象概念についての理解です。4年の途中から5年にかけて、図形で言うと平行、垂直とか、あるいは、合同とか、あるいは、数についていくと公倍数、公約数といった関係についての概念が加わります。それによって思考の質が広がりと深まりを持っていきます。中学2年から、御存じのように、証明、論証というのが入ってきまして、説明の質が格段に上がります。
  というふうになってくると、やはりそれぞれの時期にそれぞれのことについてしっかりとした理解と習熟、習得をしておかないと、あるいは、それを活用した探究をしておかないと次の学習に進んでいけない。また繰り返されていってもいいんですけれどもね、ということになると、その辺の構造が、これは算数あるいは数学の固有の問題なのか、あるいは、概念を基に思考を深めたり広げたりするという学習から見たときに、他教科との関わりがあって、ある程度のくくりでうまくくくれるのかどうか、もしくくれるとすれば、そういうことを明確にしていくということが、特に小学校では1人の先生がたくさんの教科を指導されていますので、指導の重点が一層明確になって、資質・能力の育成に深く関わっていくのではないか。
  となってきますと、4年までは大変大きくくくりましたけれども、1年生は夏休み前とその前、幼稚園なり保育所の5歳の時の経験というのがありますので、そこは先ほどのスタートから行くことの関係で今回大きな課題になりつつありますから、どうしていくかというのはまた議論をしていかなくてはいけないかと思います。
  それから、3番目は、私は2年に1回ぐらいは教員養成にも関わっていますので、小学校1年から6年まで、1という数について、記号について、どのように学習によって変容してきたか書きなさいという試験を出します。そうすると、ほとんどの子は1は1個の1なんです。1年生では1この1と1番の1ありますよね、これ引き算を勉強すると3-2も1ですよね。2年で分数を勉強すると2分の1足す2分の1も1でしょう。それから、小数を勉強すると0.5足す0.5も1ですよね。割り算を勉強すると3割る3は1です。つまり、学習によって1についての見方が変わっていくんです。
  ところが、一般にカリキュラムは新しいことがどんどん増えていくように見えていて、コアになる。例えば、1というものの把握の仕方が広がりと深まりを持って大変意義深いものになっていくんだという認識が欠けているように思うんですよね。
  ですから、その辺の示し方をどうしていくかといったときに、例えば、算数だと1とか三角形です。ほかの教科だとどういうものが挙げられて、つまり、急所に当たるところが見えるようにして、それとの関係で理解を深めていくというようなことがわかるような仕組み、これをどうにかできないかと。
  最後は、学びに向かう力というのは小学校で大変重要ではないかと思いますけれども、やはり小学生は知らないから余計に疑問がいっぱい出てくるんですね。どうして、わからない、どうしたらいいの。それが時とともにどんどん声が小さくなって、ついには言わなくなってしまうのをよく聞きます。
  その辺とのお付き合いをどうしていくかということを考えていきますと、やはり問いとか疑問というのが自然に出てきて、すぐ決着がつかなくても、それをプールしておいて、いつも頭の隅に置いて考えが進めていけるような環境、これをどうしていくかというのはかなり小学校で大事なことになるのではないかと。決着がすぐつかなくてもいいと思うんですね。つくものだけ取り上げていけばいい。でも、決着つかなかったのは次の学習への楽しみとして残しておくべきだというようなことで、このカリキュラムの構成がうまくいかないのかということです。
  それと、やはり算数・数学、特にそうですけれども、正しいことを正しいと主張することにものすごく苦労してやってきています。でも、残念ながら、調査の結果あまりうまくいっていない。でも、世の中は正しくないことがたくさんあって、それにうまくやられて、だまされることもたまにあります。ということは、正しくないことにどうお付き合いしてくか。この辺の問題もバランスよくやっていく必要がありますので、まさに資質・能力の2番目の柱ですね、そこで言語力との関わりで、これは教科横断的にできると思いますので、その辺どうしていくかというようなことも、小学校としてやはり考えていく必要があるのではないか。
  以上でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、小川委員、お願いいたします。
【小川委員】    大きく二つです。まず、先ほど渡瀬委員の方からもありましたけれども、教科横断的能力の育成、汎用的な資質・能力の育成としての総合の位置付けというようなことがございましたけれども、やはり総合的な学習の時間における教科横断的な学びと、それから、各教科の学習における学びを相互に関連付けながら充実を図っていくことが今回求められている資質・能力を身に付けていくことに大変有効なのではないかなというふうに思っております。そういったことについて、総合の方だけで言及するのではなくて、総則の中に位置付けていく方向があるといいのではないかなというようなことが1点です。
  あともう一つは、子供の体力とか運動能力というようなことが非常に騒がれていて、もちろんそれも必要ですが、現場で子供たちを見ているときに、手先だけではなく体全体が不器用であったり、まっすぐ立てないとか、逆には、つま先立ちでしか歩けないとか、常に体が動いているとか、滑らかな動きができない、そういったことから生じて、鉛筆が器用に持てないから字も枠の中に上手に丁寧に書けないといった、それはきっと特別支援教育などの方ではいろいろと研究されて細やかに対応されているのだと思いますけれども、そういう視点も、これはどこに、体育に入っていくのかどうか、教科として入っていくのかどうかわかりませんが、非常に今の子供たちの体を作っていくということにおいては、一般の学校においても非常に重要になってきて、何らかの策をとっていく必要があるのではないかなと、私たちがそういったスキルを身に付けて、子供たちに対応していくことが必要じゃないのかなということを日々感じております。そういったことについても、どこでどのように検討すべきなのかがちょっとよく私の中ではまだわからないのですけれども、一つ課題として挙げておきたいと思います。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、吉田(研)委員、お願いいたします。
【吉田(研)委員】    いわゆる言語能力という問題で、例えば、先ほど福田委員からもありましたけれども、いろいろな言語の違いに気付いていくとか、その言語の違いから文化の違い、ものの考え方の違いなどに気付くということ、その土台を小学校のころから少しずつ体験させていくというのは非常に大切なことだと私も思っています。
  それを考えたときに、単純に明示的にこれはこうだよ、あれはこうだよ、日本語と英語はこう違うんだよと、上から教え込んでも子供は多分気付かないと思うんですね。一番大切なのはやはりそういうものが自ら気付いていけるような体験をどれだけさせていくことができるか、どれだけそういう環境を整えることができるかということだと思います。
  そういう意味で言うと、今後時数の問題その他もいろいろ入ってくると思いますけれども、やはりそういう体験がきちんとできて、自らの力でいろいろな言語の違いだとか、文化の違い、ものの考え方の違いというものに気付いていけるような、そういう能力が育成できるような形をしっかりと考えてやっていく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、大橋委員、松川委員、門田委員、中島委員と、この順番で御発言をお願いしたいと思いますので、まず大橋委員、お願いいたします。
【大橋委員】    それでは、まず、先ほどから指導形態というようなことが出ていますので、最初にそれについて話をさせていただきたいと思います。
  小学校の場合は、一般的には学級担任制で、1時間目から6時間目までずっと一緒に子供たちと指導するということが多いわけですけれども、やはり高学年になってきたときに、かなり知的なレベルも高くなってくるということがあります。教師の専門性を生かすというところで、先ほど教科担任制の話が出ていました。あるいは、教科を分担すると。私は一つそれは大切な指導の形態ではないかなというふうに考えています。
  それは、今お話ししたように、教科について教師の専門性が生かせるということ。それから、先ほど、結果として教師の多忙感を軽減できるのではないかということのお話がありました。それと同時に、子供の側から見たときに、高学年になると非常に個性が出てきます。卑近な言葉で言うと、うまが合うか合わないかということです。子供たちが一人の学級の担任とだけ朝から帰るまで一緒にいるというのではなく、様々な教員と触れ合うことができることによって、話ができる、そういう教員を見付けることができる。
  今いじめ、不登校が非常に問題になっていますけれども、各学校ではそれを減らすために様々な努力をしています。担任の先生でなくてもいいから相談をしなさいということを呼び掛けている学校も多いと思いますけれども、このように、様々な教員が教えることによって、子供たちは相談しやすい先生がわかるということ。それから、逆に一人の子供を多くの教師が見るということがありますので、非常にメリットが多いのではないかなというふうに考えます。
  それから、指導にこう関わっている、2点目なんですが、非常に子供が多様化をしてきています。個に応じた指導ということが求められるわけですが、例えば、少人数に学習集団を分けて指導する形態もあるんですが、一般には理解の習熟度に応じた指導が行われていますけれども、個に応じたということを考えていくと、その子供の学び方であるとか、あるいは、学習スタイル、こういうものに応じた指導という、学習集団を作っていくということも必要ではないかなというふうに考えているところです。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  松川委員、お願いいたします。
【松川委員】    今日の検討事項の2.目の三つ目の丸の言語に関する能力の育成ということに関して、2点申し上げたいと思います。
  1点目は、最近、教育関係者じゃない方から学校を見ての感想を頂いて、ちょっとはっと思ったことがあったんですけれども、地域の方等がかなり学校に出入りするようになってきていて、そういう方が今の子供を見たときに感じることとして、非常に大人に対する対応がうまいということなんですね。挨拶もよくすると。そして、外で会ってもよく挨拶をすると。大変ほめてくださるんですけれども、よくよく見ると、子供同士は挨拶をしないねということがあって、ちょっとはっとしたんですけれども、私も学校訪問をすると、どの子も挨拶をしてくれます。
  一つは、これまではインフォーマルな母語でのコミュニケーションというのを就学前にかなり積み重ねてきて、学校に入ってからは、母語であってもフォーマルな、学校文化の中でのフォーマルな言語使用というか、コミュニケーションに慣れ親しんでいくという考え方であったと思うんですけれども、実はやはり少子化の影響というのが非常に大きいと思うんですけれども、無藤委員がさっきおっしゃったように、就学前の言語環境というか、家庭環境はいろいろですので、一概には言えないと思うんですが、就学前に子供はやはり保護者だけではなくて、いろいろな幼児教育機関に通っていて、多くの大人と接触していると。それから、小学校に入ってからも、今小学校に支援員の方が大勢入っていたり、少人数になっていたりして、何か困難があるとすぐ大人が声をかけてくれて、言葉を差し伸べてくれるということがあって、大人との接触は結構あるんです。
  ところが、肝心の同年代同士の、子供同士のコミュニケーションというのがあまりうまくいっていないと。これは昔であれば、就学前に子供同士の遊びとか、そういう中で培われてきたものがないということですよね。子供が十分自分で言葉を使えない前に、大人とのコミュニケーションで、言語能力にたけた人とのコミュニケーションをやって、察してもらったりしながらうまくやってきているんですけれども、未熟な者同士の同年代のコミュニケーションというのに非常に困難を抱えていて、それが特に最近の小学校の低学年での暴力行為が非常に増えているとかということにつながっているんじゃないかなというふうに最近思うようになってきました。
  従来学校の中で、国語とかではなくて、カリキュラム横断的に言語能力を養っていくということが言われていて、それは学習のための言語であったわけですけれども、生活の中の言葉のやり取り、特に子供同士のやり取りというのが非常に難しくなってきているというのが私は最近の大きな課題だと思うんです。これを小学校のカリキュラムの中でどうやっていくのかということは課題ですけれども、そのことは、例えば、国語の時間の中でディスカッションをするとか、ディベートをするとかということでは、私はなかなか解決ができない問題ではないかなというふうに思っております。
  話は飛躍するようですけれども、これまで行われてきた外国語活動の中で、子供同士が母語では到底やりそうもないようなコミュニケーションを英語であるがゆえにやって、改めて子供同士の認識を深めるというようなことが行われてきたということが言われていますけれども、やはりこの今のような、大人が多くて子供が少ないという環境の中での子供がどういうふうに言語能力を身に付けていくのかということについては、私は小学校のカリキュラムを考える上で一つの課題として考えていく必要があるのではないかというふうに思っています。解決策はありませんけれども、そういう視点も考えていく必要があるというのが1点でございます。
  2点目は、高学年における英語の教科化のことなんですけれども、これは先ほどから何人かの委員の方もおっしゃっていらっしゃることと通じると思うんですけれども、今まで小学校の先生の御努力もあって、先ほどの資料を見ても、小学校で国語と算数に続いて外国語活動というのは学級担任の先生が教えているわけですね。そういう中でやってこられて、大変子供たちは意欲も関心も増してきているということなんですけれども、いかんせん高学年で見た場合、母語でやっている学習内容というか、それから、やり取りをしている内容と、当然のことながら、外国語でやり取りしている内容というのにはものすごく落差があります。当然言語の自然な習得のようなわけにはいかないわけでして、中学校になればかなり意図的に学習するという段階に入っていくわけです。そこのところの接続が今のところでは小学校と中学校とうまくいっていない。いろいろ体験的な活動して、意欲は高まってきたけれども、高まってきてもなかなか実際言おうと思っていることが言えないという、当然のことですけれども、それに対して、では、意図的に学んでいくにはどうしたらいのかという段階が私は小学校の高学年だと思います。そこに文字言語、読み書きを入れてくるということで、改めて母語とは違うという言語システムを明示的に理解することができるようになってくるわけで、そうすることによって言葉というものを相対化するという力がある程度付いた上で中学校の学習に入っていくことができるという、そういう意味では、小学校高学年の知的な発達段階にこれまでの外国語活動とはもう少し、それには当然基づいているわけですけれども、それと中学校をつなげていくための書き言葉を加えた学習をある程度まとまった時間をとってカリキュラムの中にいれていくということが必要な段階に来ているなというふうに考えております。
  以上2点です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、続きまして門田委員、その後、寺本委員、御発言お願いします。その後、中島委員。
  門田委員、お願いいたします。
【門田委員】    失礼いたします。先ほど小川委員の方から、体力とか子供の体の動かし方の不器用さというようなお話が出たかと思うんですが、私体育の方の部会にも参加させていただいておりまして、ちょっと特化するかもしれないんですが、体育のお話をさせていただけたらと思います。
  現行の学習指導要領の中では、小学校から高等学校までの12年間を見通した大変系統立てた内容で、4年ごとのまとまりでうまく体系化されているというところで、実は学校の先生方は目標、指導、評価の一体化という中では、今回の学習指導要領に大変寄り添って、今うまくちょうど機能しているところというところでして、小学校では全面実施から5年となりましたが、なかなか面白い授業や子供たちの反応、そういったことも見えてきておりまして、私も先生方、学校の方を訪問する機会がありますときに、十分定着してきつつあるなというのを思いながらここの部会に出ておりますので、次のことをまた説明しなきゃいけないのかなというような思いでも来ているところですが、体育としては、生きる力を育む確かな学力、豊かな心、健やかな体といったところ、バランスよく育む教科として、うまく機能しているなというのを今強く感じているところです。
  ただ一方で、現場の先生方からよく聞かれる言葉、特に小学校の5、6年生の大変熱心な先生方から聞く言葉かもしれないんですけれども、小学校5、6年生だけ実は時間数が105時間ではなく90時間という、15時間ちょっと少ない学年になっております。中学校につなげるという意味でも、何かちょっと寂しい気がしておりまして、現場の先生方からは、先生、15時間で結構やれる内容あるんですよ。例えば、ボール運動だったら外バレーボールしかできなかったところに、ラインサッカーもバスケットボールも盛り込むことができて、子供たちにできなかったことができる経験、そういうチャンスを増やすことができるんですよ。何とかなりませんかと言われて、何ともなりませんとは答えてはいるんですけれども、そういう現場の強い思いと、それから、小学校5、6年生はとても面白い発達段階といいますか、男子はすごく小さい子から私たちを超える大きな子まで、すごく体格の差が出てきていますし、女子はそれこそ体に丸みを帯びるといいますか、女性に向かっているというところで、心の方もすごく発達に大きな変化を来たしているところで、そこの面白さ、その発達のところでぜひ運動経験はもっと持たせてやりたい、そういうことが、運動好きにするとか、運動経験を増やすことで、もっと運動をやってみよう、もっと健康に向かってみようという気持ちも膨らむんじゃないかなと思っております。
  実際のところ、平成20年度から始まっております全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果からも、いろいろな成果とかも出てきてはいるんですが、残念ながら中学校2年生の女子、大変運動の二極化ということが言われておりますし、残念ながらこれは本県だけなのかなと思いつつも、小学校5年生の男子の体力がいまひとつ伸び悩んでいるといったような結果も出ておりまして、好きになる子は大分増えているなというような思いもあるんですが、まだまだもっと体育の方で子供たちを育ててやる時間というのは必要なのかなと思ったりします。
  特に中学2年生の女子が運動離れしているという状況は、この女の子たちが将来大人になって、母親になったときに、その子供たちにどう関われるかなということを考えたときに、やはり運動が好きでやってきたお母さんは子供たちにもそういう運動経験をさせるとか、もっとやりましょうよというような家庭の意識になると思うんですが、そうじゃないところは、負のスパイラルといいますか、子供もなかなか運動に親しむことができない環境で育ってしまうとかいう、そういうことも考えられるのかなとも思ったりしますし、何より子供たちの頃に体力とかそういうことにあまり興味がなく、あまりそういう経験がない場合には、将来の健康課題にもつながってきて、よく医療費の問題などということも言われていますが、将来の日本を支える今の子供たちが健康であること、体力をしっかりつけておくということはすごく大事なことなのかなというふうにも思っております。
【天笠主査】    そろそろ時間があれですので、お願い、続けて、どうぞ。
【門田委員】    済みませんでした。ありがとうございます。
  ということで、ちょっと体育の方からのお話ではありましたが、そういったことも考えまして、時間数の確保とかも課題ではあるということをお伝えしたいと思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、寺本委員お願いいたします。
【寺本委員】    済みません、この今出ていた資料の2の中の、家庭、地域・社会の連携の在り方というところで、特に土曜学習とか、いろいろな形で今進めていただいているところなんですが、やはり学校現場はすごく大変な状況の中で、地域の力を借りて社会と共有、連携するということにおいては、いかに多くの地域の保護者、また、大人が学校現場の中で何に協力ができるのか、どういった連携ができるのかという具体的なことを示していくということが必要です。
  どうしても先ほどのお話のとおり、子供の数が少なくなっていくと、大人の数が多いものですから、子供は大人との対応は大変上手になっています。そのとおりなんです。逆に、子供同士とか、年の下の子との対応があまり得意ではない。しかし、小学校は6年間という幅があるものですから、各低学年、中学年、高学年という、もちろんカリキュラム的にはそうなんですけれども、子供の発達、育成ということを考えていくと、学校の中で6年生から1年生までをどう縦の結び付きをさせて、高学年が低学年を指導したり面倒を見る、また、低学年の子は年上の中学年、高学年だったりする方々に対しての対応をどうするかということの中から学んでいくことも、学校のカリキュラム以外で学んでいくこともあるものですから、そういったことも取り込みながら学校での学びと、また、そこに地域の方々を入れることによって、どうしても大人との対応が上手になっている子供なんですが、子供同士の、例えば、登下校の瞬間を地域の方々が学校に出入りしていることによって、どこの誰かということが理解ができると、そのいわゆる表と裏と言っちゃ失礼ですが、裏の部分、学校や通常の大人が見えない部分を見ていていただく中で、この子はどういったところに、問題と言ってはいけないんですが、どういったところを気を付けてあげた方がいいんだろう、今後の指導においてどういったポイントを学校にお伝えして、学校と地域と連携していったらいいんだろうということにつながっていくと思うものですから、そういった中において、家庭の保護者の再教育にもつながっていく部分ではあるんですけれども、多くの地域の大人、そして、保護者が学校に関われる具体的な仕組み作り、また、具体的な提案をこれからも出していけるような、そんなものを盛り込んでいけたらいいなというふうに思っています。
  そして、小学校の中で、いろいろと社会環境が変わっていますし、当然日本全国いろいろな状況が違うんですけれども、学びを深めていくという点ではすごくこう、興味を持たせる体験をたくさんさせるということは、もうこれはずっと前から言われていることですし、今現在もされていることなんですが、もし可能であれば、自分のエリアだけではなくて、ほかのエリアと、ICTや何かの活用もできるものですから、ほかのエリアではこんな学びをしているよ、こんな活動をしているよという、他を知るということについても何かできるようなカリキュラムの中で入れていけたら、きっと多様性だとか、他者を受容するというところにプラスになっていくんではないかなというふうに思いました。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  中島主査代理。
【中島主査代理】    私二つ言おうと思っていました。一つは、幼児教育の重要性のこと、それと、小学校のことなんですが、今私のところもそうですけれども、公立の幼稚園、保育所がどんどん減っていって、私立になってしまっています。私立の幼稚園や保育所の子供たちの教育方針、保育方針、そのあたりと小学校がつながっていない。私は実は私立ですから、もう公立の教育委員会にいろいろなことを言わんでいいというのが雰囲気としてある。これをどうするかというのは非常に僕は大事な問題だろうと思っています。
  と申しますのは、上がってきた、小学校に来たとき、既に先ほど問題がありましたように、特別支援教育から見て、早期発見、早期支援につながっていない、そこが切れていますから、そういうことが1点ありますし、併せて、ある本を見ますと、非認知能力を鍛えることが将来の人間性相当大きくなるんだというふうになってくると、幼児のときに非認知能力をどう育てていくか、そこが非常に大事、これは小学校の低学年まで生きていくのかなという気がしてなりません。そういう意味では、保幼小の連携という中で、私立をどう巻き込んでいくかということをその一つ視点としてあってもいいのではないかということは思いました。
  もう一つは、この中に、要するに、子供の貧困が今問題になっていますけれども、やはり子供たちが、例えば、5年、6年で英語を書く、読むと出てきますと、文字をやはり書いたり読んだり、文字を覚えないといけない。漢字もそうなんですが、そうしたときに、SES、あれ出ていましたけれども、保護者の学力、学歴か、そういうものと子供たちの学力というのを見たときに、やはり相当そこに格差が出てきていると。この二極化という問題をどうしていいかわかりません。どうしていいかわかりませんけれども、そのあたりもやはり考えておかないと、いよいよ子供たちは英語も好きな子と嫌いな子がはっきり分かれてしまうということになってくると、これはやはり困ったことになると。
  今ですら全国学力・学習状況調査をやっていますが、ここらも下から押し上げようとするとどうしても家庭で学習をしっかりやりましょうと、そういう厳しい環境にあっても学力が高まった事例が文科省から出ておりました。それなんか読んでみますと、やはり家庭学習、そして、宿題出したりなんかしたものをしっかりチェックしてまた返しましょうと、そういうことは事例として挙がっているわけですから、そういうことがどうやって、じゃあ、現場でどうやっていくかというようなことも御公表いただいたらここはうまく、全体としては大変いい方向で行っているなと思っていますけれども、そのあたりもどこか考えていただければと、現場から見るとそう思いました。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  予定した時間、もう迫ってまいりましたので、さらに発言という方もいらっしゃるかと思うんですけれども、その方はどうぞ事務局の方にペーパー等々でお伝えいただければということでよろしくお願いいたします。
  なお、委員の皆さんの発言等々と伺いながら、こんなことを私考えました。御承知のとおり、それぞれの教科等で教育課程は構成されているわけなんですけれども、その各教科等が小学校の教育課程の中でそれぞれ所期の目的というか、使命というんでしょうかそれを果たし切れているのかどうなのかという、そういう観点で、それぞれの教科の現状と課題というのは、やはり精査する必要があるんじゃないか。あるいは、そういうことについて我々データを持っておく必要があるんじゃないか。
  直接はこの場においてその議論にならないのかもしれませんですけれども、その場合のそれぞれ固有、それぞれがそれぞれ教科等は自らの存在理由を明記すると思うんですけれども、他教科等の連動性というんでしょうか、親和性というんでしょうか、それとの関係においてどういう存在であるかという、そういう視点というのが、とりわけ小学校の教育課程においては重要なんじゃないか。
  それだからこそ小学校の教育課程が全体としてとか、学級担任が全ての教科をそれぞれ、それぞれというか、全体を担任してということだと思うんですけれども、低学年の学力の問題というのは、そこのところとある意味では非常に重なり合うようなところが実はあって、学級経営ということのメリットが、実は学級間における学力の指導力の違いみたいなこと、現場の先生方は十分御存じなんだと思うんですが、あらわに出ているという、このあたりのところをどういうふうに補正していくのかどうなのかということで、チーム学校というのも、高学年だけのテーマじゃなくて、小学校の1年生から、どういう形でチーム学校というのを作り上げていくのか。そうすると、学級経営と学年経営の連動性とか、あるいは、学校としての全体としてのカリキュラム・マネジメントですとか、そういう話が出てくるんじゃないかというふうに思うんですけれども、このあたりはまた次回カリキュラム・マネジメント、あるいは、学校の日課表の在り方等々で御議論いただければと思いますので、今日はここまでというふうにさせていただきたいというふうに思います。
  それで、最後に次回以降の日程につきまして、事務局の方から御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    先生方、本日はありがとうございました。次回ですけれども、2月4日木曜日、時間まだ未定でございますけれども、追って場所とともに御連絡をさせていただきます。
  また、ペーパーによる御意見、ファクス、メール、郵送でも構いませんので、適宜お寄せいただければと思います。
  それから、本日の資料につきましては、郵送御希望される場合は机上に残しておいていただけましたらと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【天笠主査】    それでは、本日の小学校部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

――  了  ――

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