教育課程部会 算数・数学ワーキンググループ(第6回) 議事録

1.日時

平成28年5月13日(金曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 算数・数学の見方や考え方、アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた資質・能力の育成のための不断の授業改善について
  2. 資質・能力の育成ために重視すべき算数・数学の評価の在り方について
  3. 統計的な内容等の改善について
  4. 算数・数学において育成すべき資質・能力について
  5. その他

4.議事録

【小谷主査】    それでは、定時になりましたので、算数・数学ワーキンググループ、第6回を開始したいと思います。齊藤委員は少し遅れていらっしゃる御予定と聞いております。
  それでは、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会算数・数学ワーキンググループの第6回会合を開催いたします。本日は、お忙しい中、御参集いただき、まことにありがとうございます。
  また、本日は、この第6回ワーキングのほか、お昼を挟みまして、午後1時より第7回ワーキングを予定しており、長丁場となりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  まず最初に、事務局から配付資料について御確認をお願いいたします。
【岡村教育課程課専門官】    配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載してありますとおり、資料1から資料8、参考資料1から参考資料4、その他、机上に参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。
  なお、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中には本ワーキンググループの審議に当たり参考となる関係する審議会の答申や関連資料をデータとして入れてございます。
  資料につきましては以上でございます。5月よりクールビズの励行ということで、上着、ネクタイ等を着用してございませんが、御理解のほど、よろしくお願いいたします。
  以上でございます。
【小谷主査】    それでは、これより議事に入ります。
  初めに、本ワーキンググループの審議等につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づき議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきます。よろしくお願いいたします。
  なお、本日は報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
  第6回ワーキングでは、議題1として、「算数・数学の見方や考え方、アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた資質・能力の育成のための不断の授業改善について」、議題2として、「資質・能力の育成のために重視すべき算数・数学の評価の在り方について」、議題3として、「統計的な内容等の改善について」、議題4として、「算数・数学において育成すべき資質・能力について」を予定してございます。
  それでは、議題1につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。まず私から、本日の参考資料2に基づきまして全体的な議論の御説明をさせていただいた上で、岡村専門官より算数・数学に関わる資料の御説明をさせていただきます。
  参考資料2をごらんください。これは、教育課程部会、高等学校部会でありますとか企画特別部会で御議論いただいている、あるいは総則・評価部会における議論の内容を反映させていただいたものでございます。
  アクティブ・ラーニングの視点でございますけれども、上の部分に書いてございます説明が昨年8月の論点整理における書きぶりでございます。これを総則・評価部会を含め各部会の議論の状況を踏まえつつ、改めて整理し直したものが下のピンクの枠囲みの中になってまいります。
  「深い学び」というところにつきましては基本的な考え方は同じでございますけれども、今回、教科の特質に応じて育まれる見方や考え方を働かせた思考・判断・表現の重要性、あるいは、学習内容の深い理解の重要性、こういったものが総則・評価部会においても整理をいただいておりますので、こういったことを付け加えてございます。
  一方で、「問題発見・解決を念頭に置いた」という文章自体は、この中には直接的には表れていないわけですけれども、教科等の特質に応じた見方や考え方を働かせて思考・判断・表現するということ自体が、教科の特質に応じた問題発見・解決のプロセスであったり、あるいは自分の考えを深め表現していくプロセスということで、教科によっては、問題発見・解決ということが、特に国語でありますとか芸術系教科、プロセス的なものを内容として捉えている教科については必ずしも当てはまりにくいことも含めて、教科汎用的に使えるような形で整理をし直したものでございます。
  この深い学びの説明ぶり、現時点ではこのような整理になってございますけれども、まだまだ環境ワーキングを含め御意見を頂いている最中でございますので、今後、さらに改善していく余地も少しあることは踏まえていただければと存じます。
  それから、「対話的な学び」というところですけれども、論点整理におきましては、「他者との協働や外界との相互作用」ということでございました。これが少しまだ理念的で分かりにくいところもございましたので、少し具体的に、「子供同士の協働、教師や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること」といった具体的な書きぶりとさせていただいているところでございます。
  また、「主体的な学び」でございますけれども、これも基本的な考え方は同様でございますけれども、例えば、キャリア形成という観点からしっかり学びを関連付けていくことの重要性、また、今回、観点別評価の三つの観点が、「関心、意欲、態度」から「主体的に学びに取り組む態度、学習に取り組む態度」になったことに伴って、子供たちの興味や関心を引き出すこと自体が否定されているというような誤解が生まれるのではないかという懸念も少し頂いておりまして、これは主体的な学びを引き出すという意味では、学ぶことに興味や関心を持ちということは大変重要でございますので、「主体的な学び」の中にそういった視点も付け加えさせていただいているところでございます。
  そして、2枚目をおめくりいただきますと、これも少しまだ字が多くて、さらに整理していく必要がございますけれども、資質・能力の育成とアクティブ・ラーニングの視点の関係性でございます。上の四角の黄色い部分は、アクティブ・ラーニングの視点の意義を改めて整理したものでございます。授業や学習の改善というものに向けた取組の活性化であること、学習内容の量を削減して活動を入れ込むものではなくて、学習過程の質的改善を行うものであるということでございます。
  そして、少しスパイラルのような形になってございますけれども、知識・技能、思考・判断・表現、学びに向かう力・人間性というものを、この深い学び、対話的な学び、主体的な学びの中でしっかりと育んでいくことを通じて、右側にございますような、生きて働く知識・技能にする、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力としていく、学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力や人間性につなげていく、こうしたことを育成するために、まさにこうした三つの学びの視点からの学習の改善が必要なのであることを理念として示したものでございます。
  これは少し図が、見ようによっては、深い学びが知識・技能に、対話的な学びが思考・判断・表現に、主体的な学びが学びに向かう力・人間性に対応しているというような読み方もできるのではないかという指摘を受けてございまして、それを受けて、さらなる改善を図っているところでございますけれども、そういうことではございませんで、この三つの学びは、この三つの資質・能力全体の育成に関わってくるものでございます。
  また、下の米印のところは、習得・活用・探究というものが一方通行の過程ではないということ。また、教科の特質に応じ、しっかりと基礎・基本の習得を踏まえていくことも深い学びとして重要であることを確認として書かせていただいているところでございます。
  それでは、続きまして、岡村専門官からになります。
【岡村教育課程課専門官】    では、引き続きまして、お手元の資料3、資料4につきまして、それぞれ御説明いたします。
  まず、資料3の「数学的な見方や考え方」なんですが、こちらの1ページ目は前回のワーキングでも御検討いただきまして、それを踏まえて修正した部分と、あと、各ワーキングでの横並びの観点で修正した部分がございます。
  まず最初に、横並びで修正した部分ですが、前回は見方・考え方、最初のところは、「事象を数理的に捉え、数学的に表現し処理するとともに」となってございましたが、ここを今回、横並びの観点で「事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え」と修正してございます。それに合わせて、下の方の高校、中学、小学校のところも修正してございます。
  前回のコメントを踏まえた部分では、小学校算数のところで2行目のところ、前回は「機能的・類推的・演繹的に考え」とあったんですけれども、それをコメントを踏まえまして、小学校算数の2行目のところ、「根拠を基に筋道を立てて考え」と修正してございます。
  資料3の2ページ目以降は1ページ目の参考となりますけれども、2ページ目につきましては、例えば、「事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え」というのが具体的にどういったことか、あとは、論理的に考えたりというのが具体的にどんなことか、統合的にというのがどんなことか、発展的に考えたりするというのがどんなことかというのが示してございます。
  3ページから5ページにつきましては、高校、中学校、小学校での数学的な見方や考え方について、その領域ごとの例で示してございますが、例えば、3ページの高校のところで言いますと、一番左側の領域のところで「数と式」で見て、そこで見方の例ということでは、「事象の数量に着目したり、数の演算の可能性や式の形などに着目したりする」と。右側の考え方の例というところでは、「数概念を演算法則が不変になるように拡張しその図形的な意味を考えたり、式を目的に応じて変形しその式の性質を考えたりする」となってございまして、それを「数と式」「図形」「関数」「確率・統計」の領域でそれぞれ示してございます。
  4ページ目、5ページ目が中学校、小学校の例ですが、それぞれ同じように例ということで記載してございます。
  6ページ目は本当に参考になりますけれども、総則部会で示されている見方・考え方の例ということで、数学については過去から見方や考え方ということであったんですけれども、それを今回、各教科でもやるということでなっているということで、参考で付けさせていただいております。
  続きまして資料4になりますが、資料4の「算数・数学におけるアクティブ・ラーニングの三つの視点からの不断の授業改善について」ということで、こちら、先ほど大杉室長から説明のありました参考資料2の深い学び、対話的な学び、主体的な学びの三つの観点について、それぞれ、算数・数学においてはどうなのかということで、その例を書いてございます。
  マル1の「深い学び」についてですが、深い学びについては、まず、深い学びとは何なのかということで、「算数・数学では、既習の数学、日常生活や社会に関わる事象について、数学的な見方や考え方を働かせ、数学的活動を通して、新しい概念を形成したり、よりよい方法を見いだしたりするなど、新たな知識・技能を身に付け、知識の構造や思考、態度が変容することが求められる」ということで深い学びについてお示ししていますが、その中で例えばということで、「数学を活用して問題を解決し、得られた結果の意味を元の事象や既習の知識と結び付けて捉えなおし知識や方法を統合し、さらに発展する活動を設けること。このような活動を繰り返すことによって数学的な見方や考え方も成長する」としてございます。
  マル2の「対話的な学び」が実現できているかというところでは、例えば、「事象を数学的な概念や法則を用いて考え、判断し、その理由を互いに説明し伝え合う活動を設けること」「数学的な表現に基づいて説明することで、簡潔・明瞭・的確に自分の考えを表現できることを実感する活動を設けること」「自分では思いつかなかった友達の考えを理解してよりよく問題解決できることを実感する活動を設けること」「一人一人の子供の表現を教室全体で数学的に洗練することにより、客観的で合理的な説明に高め合う活動を設けること」としております。
  マル3の「主体的な学び」の例ということ、では、例えば、「問題を解決して得られた結果を意味づけたり、活用したりする活動を設けること」「問題解決の過程を振り返り、数学的な見方や考え方のよさを見いだす活動を設けること。さらに、見いだした事柄を既習の事柄と結び付け概念が広がったり、深まったりしたことを実感できる活動を設けること」「事象を数学的に捉えたり、学んだ数学を日常生活や社会で活用したりする学習などを通して、様々な場面において数学が役立つことを実感する機会を設けること」「数学的な見方や考え方が、将来の様々な学習、職業や社会生活において幅広く活用され利用されていることを知る機会を設けること」というふうに例として示してございます。
  以上、資料3と4につきまして御審議のほど、よろしくお願いいたします。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。それでは、これより意見交換の時間とさせていただきます。毎回でございますが、御意見等のある方は、あらかじめ名札を立てていただきますと、私の方で順次指名させていただきます。また、発表が終わりましたら名札を元に戻していただきますよう、お願いいたします。御発言の際はマイクのスイッチをオンにし、発言後にはオフにしていただきます。よろしくお願いいたします。
  それでは、どなたか。数学的な見方や考え方は、前回、随分議論していただいたので、御確認の上、もし何かございましたら御意見を頂くということで、アクティブ・ラーニングにつきましては今回議論したいメーンでございますので、いろいろお考えをお聞かせいただければと思います。
【清水(静)主査代理】    なければ、私から一つ。
【小谷主査】    どうぞ。
【清水(静)主査代理】    アクティブ・ラーニングの三つの柱について、「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」ということで、過程を含み込んで、より広く規定されたのは私も賛成です。ので、「学びの過程」を「学び」として「過程」が消えた分、例えば、「深い学び」において、学びの過程及びその学びの結果得られた成果の両方を裏側に含んでいるということを、御説明いただく際に是非気を付けていただくというか、強調していただきたいと思います。
  二つ目は、マル1のところ、「例えば」の活動を設けることの例示の後に、「このような活動を繰り返すことによって数学的な見方や考え方も成長する」という説明が加わっているのですけれども、マル2とマル3はこれがありませんので、できれば、「例えば」の「このような活動を繰り返すことによって見方、考え方も成長する」と、同じトーンで例示していただくと、参考資料2でお示しいただいた、スパイラルに高まっていくことの意味が一層はっきりすると思います。
以上2点について御検討いただければと思います。
  以上です。
【小谷主査】    ありがとうございます。
  ほか、どなたかございますか。
【清水(静)主査代理】    続けて申し訳ないです。見方・考え方については、前回、いろいろ御意見を頂いて議論をしたところでありますけれども、資料3で、前のときの表現と基本的な構造が変わっていますけれども、二つの視点で整理されていることは大変大事なことではないかと思います。
  一つは、捉えることに関わって、どこに着目するかということ、つまり、見方・考え方を示す視点といいますか、目の付けどころ、もう一つは、実際に考えをどのように進めていくのかという、考えを進める目の付けどころといいますか、それが前半と後半で明確に示されていますので、前回ですと、「考察する」ということで動詞になっていたんですけれども、活動を支える見方・考え方という趣旨からすると、このように整理していただいた方がずっとよいかなと思いますので、この線で是非、さらに精緻化をしていただくということ、しかも、よりシンプルに各学校種とも整理していただいていますので、大づかみするにはこの方がよいかなという印象を持ちました。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございます。この間、全体の会議でも、算数・数学は高等学校、中学校、小学校を通じて共通した考え方がはっきりしていて、しかも、それが段階的に積み重なって進んでいく形がはっきり表れているということで高く評価いただきました。数学の見方や考え方もそのような形で整理されておりまして、大変いい形でまとまっているかと思います。
  これにつきましては、特に今、御意見ないようでしたら、大体この形で進めていただけるということで、あとアクティブ・ラーニングについていかがでしょうか。
  では、中川委員。目が合ったので、口火を切っていただけると。
【中川委員】    念のために確認させていただけたらと思います。アクティブ・ラーニングは論点整理では、順番にはこだわらないんですが、当初、「主体的」が1番で「協働的」が2番で、3番に「深い理解」という、順序は関係ないんだと思うんですが、資料4では、「深い学び」という一番重要な目的を1番に挙げ、それを実現するための方法として2番の「対話的な学び」を挙げ、3番にそれを支える「主体的な学び」ということで整った形になっています。
  ただ、こんな理由で順序が変わったんだよとか、「協働的」という言葉を、「協働」よりも「対話」がいいので「対話的」にしたんだよという理由があったら教えていただけたら、より深い納得、理解ができるかなと思うんですが、よろしくお願いします。
【小谷主査】    では、事務局からお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。諮問の段階では、「主体的・協働的に課題の発見・解決を行う学習」とか、そういう言いぶりがされていたところかと思います。それを論点整理におきましては、既に今日、お手元に論点整理、この山の中にございますけれども、18ページ目をごらんいただきますと、18ページ目の中ほどに、ローマ数字で1、2、3とございまして、既に「深い」「対話的」「主体的」という順番で、この表現で整理をされているところでございます。
  まず、「対話的」という言葉になった経緯でございますけれども、これは企画特別部会におきましては、やはり「協働」というと、活動をともにしていればいいということに流れる懸念があるのではないか。しっかりと、その考えを交流させることを通じて自分の考えを広げ深めていくことを表現したいということで、学校現場にとっては、多分「協働」の方がなじみはあるのだろうということは考えながらも、やはりその部分の活動主義的な捉えではなくて、しっかりと考えを交流させていくことの重要性を表すために、「対話的」というような表現に落ち着いたところでございます。
  そして、この順番でございますけれども、それぞれ三つとも重要なものでございますので、重要な順に挙げているということでもございませんが、まず、知識・技能の獲得も含め、内容面と、こういった学びというものをしっかり掛け合わせるという意味では、まず、深い学びについて解説しておくことの方が理解が進みやすいのではないかということ。そして、全体的な学びのエンジンになる主体的な学びで締めくくるのが御理解が得やすいのではないかというようなこともあり、順番的にはこれで落ち着いたということでございます。
  一方で、それを全体として、何をどういうふうに呼ぶかというときには、語感の問題もございますので、先ほどの参考資料のタイトルにもございますように、これは少し語感の問題になってくるかと思いますけれども、主体的、対話的で深い学びというふうに呼ぶのが通りやすいのではないかということで、現時点ではこのような整理となっているということでございます。失礼いたしました。
【小谷主査】    よろしいですか。
【中川委員】    ありがとうございます。十分に納得できました。
【小谷主査】    ほか、ございますでしょうか。
  では、大谷委員。
【大谷委員】    アクティブ・ラーニングの三つの視点ですけれども、こちらと、一つ前にありました、新しい見方・考え方の明確な捉え、非常によい、すっきりした捉えになっているかと思いますけれども、深い学び、対話的な学び、主体的な学びの中で、やはり今回御提案を頂いた見方、何に着目しているか、どのように考え方を進めていくかということが、お互いに相互作用しながら、見方がより明確になったり、あるいは前提が違うもの同士が話をする中で、お互いの前提を認めながら、よりよい物の考え方にしていったりという形で、そして、そういう形で関わっていく中で知識がだんだん深化していき、自分自身でもよく分かっていくという前向きな自己充実感というんでしょうか、そういう形で、深さ、対話、主体性というものが、見方と考え方がだんだん相互作用、お互いにお互いを成長させるような、うまく絡まり合って進んでいくような形で、アクティブ・ラーニングの視点と今回の見方・考え方というものがうまく絡まっていけるんではないかと感じております。感想です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。ほか、ございますか。
  では、宇野委員、お願いします。
【宇野委員】    資料4のアクティブ・ラーニングについてのところです。先ほども少し出ましたが、例えば、「対話的な学び」のところで、大きな、教科に関わらないところに、「子供同士の協働、教師や地域の人との対話」等とあり、数学・算数においては、例えば、一番下で、「子供の表現を教室全体で数学的に洗練する」は、対話に重点を置いてのことであると御説明があったと思います。しかし、この資料4の位置付けという意味では、算数・数学における授業改善について、「例えば」というような位置付けだと若干弱い感じがします。算数・数学においては、先ほど御説明があったように、対話的な学びというのは、「協働」というよりも、むしろ本当に対話ができているということであるとか、そういうところをもっと強調する方がいいように思います。この授業改善についての案の位置付けがまだ私の方で完全に分からないので、「例えば」ということでよろしいでしょうかというのが気になりました。
【小谷主査】    それでは、私からも、すごく形式的なことですけれども、これ、マル1、マル2、マル3となっていて、マル1に関しては一般的な、全体で決まっている文章の下に3行ほど、「算数・数学では」という文章があり、その後、「例えば」となってございますが、マル2、マル3に関しては、そのような、算数・数学独自の観点が書かれず、いきなり「例えば」と書かれていますが、そのあたりの整合性といいますか、形式的なことではございますけれども、併せて御説明いただければと思います。
【平野教育改革調整官】    失礼いたします。まず、ここで実際の授業の場面を「例えば」と示させていただいたのは、基本的には、やっぱり各学校現場で自分たちの教えている子供たちの様子を見ながら、どういう授業展開をしたら、この三つの視点が実現するかというのをそれぞれ考えていただきたいので、これをやればいいんだというメッセージにならないようにしたかったというのがございます。これはあくまで例示でございまして、それぞれの状況に応じて考えていただくことが必要だろうと思います。
  そういった観点から申し上げますと、私どもの御用意させていただいた案では、マル1について、深い学びについては、では、数学ではどうなのかというところがちょっと分かりにくいので、それをもう少しイメージしやすいものとして、「算数・数学では」で始まるこの3行の文章を書かせていただいたんですけれども、今の御意見を聞きながら、同じように、マル2、マル3についてもそういった位置付けの文章を加えさせていただいた方が分かりやすいのかなと思いましたので、そういったことは検討させていただければと思います。是非この点について、また御意見を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【小谷主査】    それでは、藤井委員、お願いいたします。
【藤井委員】    今のところに関連してですけれども、アクティブ・ラーニングについて、「算数・数学における」となっていますので、他の教科と比べて、算数・数学科の特徴として強調すべきアクティブ・ラーニングへの切り込み方がもっとはっきり出るといいと思う。そういう意味では、「算数・数学では」というところをマル2、マル3でも是非記述した方が良い。特にマル2なんですけれども、今、「例えば」の中にあるものをずっと読んでみましても算数・数学の特徴が本当に出ているのかなという気がちょっとします。
  私が今、念頭に置いているのは、率直に言いますと、証明することを念頭に置いています。算数・数学であるからこそ前提をきちっと明確にして、何か主張するときには、その根拠になるものがあり、その前提が変われば結論も変わることを明確に指導できるのは算数・数学科です。そこがもう少しきちんと主張できれば、算数数学科の特徴が明確になると思っています。大谷委員が言いましたように、前提を明確にすることで、お互いの主張の相違点を明らかにするとか、何かの主張の背後には前提がありますので、その前提自体の大切さを認識するとか、もう少し算数・数学科の特徴が出る記述があればいいなと思いました。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございます。たしか、算数・数学の資質について、以前議論したときにも対話と主体のお話があり、論理的に数学的な表現をするとか、そういうことが対話若しくは協働に対しても必要であるというようなお話があったかと思います。そのときの議論を是非生かしていただければと存じます。
  それでは、清水委員、お願いします。
【清水(宏)委員】    私も先ほどのお話に関連をしまして、先ほど大杉室長さんから、アクティブ・ラーニング、資料4のマル1、マル2、マル3が、論点整理に出ている三つの柱に一つ一つに対応しているわけではないというお話を頂いて、全くそのとおりだと思います。そのときに、マル1が「算数・数学では」という書き出しで、その1行目に、「数学的な見方や考え方を働かせ」と書いてあるので、知識・技能だけではなくて、思考、判断、表現もこのマル1には入っているということが分かると思いますので、一つ一つが対応してないことが分かるのですが、では、マル2、マル3はどうかというと、例示だけになっていますので、今、藤井委員もおっしゃったように、やはり算数・数学独自のマル2、マル3というのはどういうものかということは少し記述があった方がよいのではないかと考えました。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございます。ほかは何かございますでしょうか。
  では、椿委員、お願いします。
【椿委員】    今、先生方がおっしゃられたことは、大きな視点で、私の方は若干小さくて申し訳ないのですけれども、マル2の、先ほどから問題になっている文章と例示なのですけれども、文章の方は、教室の中での対話性とかコミュニケーションだけではなくて、これまでの先哲の考え方とか社会的な活動という、数学的活動が社会においてどうなされているかも含めて記載されています。この大枠はすごく大切だと思うのです。けれども、例示の方は、どちらかというと教室内の対話といった社会性に閉じているように見えるのです。ですから、むしろ社会における数学的活動への注目とか、そういうものにおける討論、議論を教室の中で行うような例示があっても良いのかなと感じました。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。ほかには何かございますでしょうか。
【戸谷委員】    素人的な意見で申し訳ないんですけれども、アクティブ・ラーニング自体が、教育関係者ではないので余りよく分からないところがあるんですけれども、社会科学だとアクティブリサーチというのがあって、アクティブリサーチの場合は繰り返す。前回のものを受けて、実験方法を変えて実験をして、その反応を見て、また変えてという連続性みたいなものが大事なんですけれども、そういったところが入っているのかどうかを確認したいなと思いました。
  それから、今議論になっている例示のところなんですけれども、マル2番のところは、「地域や教師」となっているんですけれども、もう少し大きく社会なんではないかなと思います。私が読む限りでは、3番のところの下から二つ目の「学んだ数学を日常生活や社会で活用したりする学習などを通して」とかというのは2番なんではないかと思ったり、その上の「問題解決の過程を振り返り」云々というところは1番なんではないかと思ったりというふうに、事例と説明が素人目にはやや分かりにくいというか、マッチングしてないように思うんですが、いかがでしょうか。
【小谷主査】    事務局の方で、何か御説明ございますか、今、質問されたことに関して。
【大杉教育課程企画室長】    後半の全体的な整理が対応しているのかというのは、御意見を踏まえながら、また、事務局の方、再整理させていただきます。前半のアクティブリサーチとの関係でございますけれども、アクティブリサーチに関する認識が間違っていたら、また御指摘いただければと思いますけれども、いろいろ研究を進めていく過程で新たな情報が入ってきて、また、その中で知識が再構築されていくことをつなげていくことが恐らく重要なのではないかと思います。そういう意味では、マル1の部分の「算数・数学では」というところの中で、新たな知識を身に付けて知識の構造が更新されていくということでありますとか、あるいは、3番の部分で、みずからの学習活動を次につなげていく部分というのは、直接的に関わりが深い部分かと。また、そのためには様々な幅広いところとの対話が必要で、マル2も関わってくる。そのような関係性かなという理解をいたしているところです。
【小谷主査】    ありがとうございます。
  では、宇野委員。
【宇野委員】    今議論されている問題の一つの考え方をお話しさせていただければと思います。特にマル2の「対話的」とマル3の「主体的」の区別のところです。先ほど戸谷委員から、深い学びと関連性があるのではないかというお話がありましたが、私が持っているイメージは、「主体的な学び」には、生徒が学んでいる内容と、社会あるいは日常生活との関係で捉えるという一つの大枠があると思います。それに対して、マル2の「対話的な学び」は、教師、地域あるいは社会との関連も当然ありますが、「例えば」の最後にある、「数学的に洗練し」とか、「客観的で合理的な説明に高め合う活動」という非常にいい言葉に加えるとしたら、例えば自分が学んだことを、年齢の異なる人へ、例えば、非常に具体例で恐縮ですけれども、中学生が今学んでいることを小学生に説明できるかとか、あるいは地域の方に、学んだ内容を説明できるかということだと思います。そのような活動を繰り返すことによって、例えば小学生に説明したときに、質問を受けたら、やっぱり、ここは、自分でも分かってなかったと気付いて新たな学びにつながる。そういったのが、算数・数学における対話的な学びの一つの視点かなと思います。皆さんの御意見がどうなのか分からないですが、こういった点を一度検討いただけたらありがたいと思っております。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、の委員、お願いします。
【真島委員】    前回、欠席してしまって、おかしなことを言うかもしれないんですけれども、私が前に、アクティブ・ラーニングとかというのをちょっと勉強したときに、普通のアクティブ・ラーニングとかというのがあって、その後に、それでは表面的過ぎて、深い学びでなくてはいけないという議論になってきているというふうに、アクティブ・ラーニングというものの捉え方も変わった。本来は、マル2的なもの、「協働的」という、そういったものが初めにあって、そのためには、もちろん、このワーキングでも最初に議論をしましたけれども、主体的なものが是非ともなくてはいけなくてという、そういう形であったのを、まとめ直すところで逆に入ってきているんだと思うのですよね。とにかく深い学びにしなきゃいけませんというのがあって、実は深い学びという部分が強調されることによって、マル2とマル3に係るものとしても、マル1に入っているものが大くくりに入っているんじゃないかと私は理解しています。
  それで、アクティブ・ラーニングのところで大事なことといいますか、実際に教室レベルで考えたときに、生徒たち及び教師で授業を作り上げていくというか、そういった場面が出てくるわけですけれども、先ほど主査代理が説明してくださったのかな、見方・考え方のところで、過程とかという部分を落としてあるのだというんですけれども、その過程自身がまさしく、ある意味で重要なところなのではないか。ずっと皆さんの議論を聞きながら、私がずっとひっ掛かっているところは、算数・数学のものを考えるのですけれども、最初から論理的に考えるか、統合的に考えるかというと、(必ずしも)そうではない。もちろん「着目して捉え」というところに入っているのかもしれないのですけれども、ああだ、こうだというか、間違ったことも含めて、いろいろやりますよね。やる仕方、そういったものが重要だというか、そういったところがうまく入っているのかなというところは、資料を全部読み取れてないのですけれども、議論を聞きながら私がずっと考えているところでございます。済みません。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。ほかにございますでしょうか。
  板垣委員、どうぞ。
【板垣委員】    私は、「アクティブ・ラーニング」という言葉で周りの数学の先生たちと話をすると、「アクティブ・ラーニングやってるよ」って、みんな言うんです。私は今、現行学習指導要領の「数学的活動」という言葉がすごく気に入っていまして、まさに数学的活動にはアクティブ・ラーニングの要素が全て入っているなと認識していますし、周りの先生たちもその辺を理解した中で、主体的に子供たちが取り組むようにしていますし、そこではコミュニケーション、子供同士のやり取りを大事にした授業を実践していますし、さらに数学的な見方や考え方を大事にする学びを授業の中で取り入れて、非常に質の高い授業を周りの教員はやっているなとは実感しているんです。
  ただ、やはり「数学的活動」という言葉だけではその辺が伝わりにくくて、「アクティブ・ラーニング」という言葉で、この三つの柱で出していくことで、これから教員になる人たちにとってもより分かりやすい示し方になるなということで思っているわけなんですが、最後のこの「主体的な学び」というところが、今ここに書かれている言葉では、やはり伝わらないのかなと。授業をやるときに必ず子供たちに、今日は何をやるのかということを子供たち自身に考えさせるようにしています。
  例えば、簡単なことですけれども、方程式の学習をしていくとき、単なる計算であっても、昨日までは普通の移項によって方程式が解けたと。さらに、どういう力を付けたいかといったら、もっと難しい方程式が解けるようになりたい。では、難しい方程式ってどういうものというと、小数が入ってくるとか分数が入ってくるとか係数がもっと大きくなる、何千とかになる、そういうのが解けるようになりたいという、そういう言葉が子供の中から出てきて初めて授業がスタートするわけで、そういうことを一つ取っても主体的な学びと考えられますし、授業が終わったときには必ず自己評価を行いますので、自分が今日、どういうふうに進歩したか、成長したかを自己評価させます。そういうふうに考えると、自分の成長の度合いを見れるというか、そういうところ、自己の成長が振り返るところで見れるような、そういう学びというものも、この3番のところにうまく入れられないかなと感じております。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  齊藤委員、よろしくお願いします。
【齊藤委員】    今日は遅れて申し訳ございませんでした。アクティブ・ラーニングの三つの柱のそれぞれが互いに密接に関わり合っていることは頭の中では分かるのですが、この三つがマル1、マル2、マル3と出てくると、まず、主体的な学びをしっかり徹底しましょう、そして対話的な学びも大切にしましょう、その上で深い学びもしっかりやりましょうという関係にみえてくる。その関係をうまく示していかないと、学校現場では三つの学びをやることという方向で取り組んでしまう危険性があるように私は思います。
  もともと、この間の議論の中で、主体的に、さらには協働的に、つまり対話的にという部分については、ある程度実践がされてきているけれども、本来なぜ主体的、対話的に学ぶ必要があるかというと、教科の本質に至る学びを実現させるためにそれがあるはずです。けれども、その本質に至っているかどうかがちょっと怪しいんじゃないかと。形だけが先行して、それが形骸化したり、又は、そのプロセスだけが強調されたりするがために、教科の本質といったものが授業の中にクローズアップされてきていますかという問いかけから、深い学びということが実現しない限り、アクティブ・ラーニングそのものの目的が非常に薄まってしまうということがあったと思います。
  そうすると、なぜ主体的な学びが必要かというと、やはり教科の内容の深い理解を実現させるため。対話的な学びというのも、同じく深い理解を実現させるためという関係を分かった上で深い学びが実現できているかという見せ方を丁寧にする必要があると思います。
  というのは、学習内容の深い理解につなげる深い学びが実現できるための学習というのは、マル2やマル3に「例えば」で黒ポツの中で書かれているような活動が、実は深い学びを実現させるための営みではないかと思うわけです。これらは主体的又は対話的という見方をすれば、もちろんそうなりますが。「例えば」というこの三つの、それぞれマル1、マル2、マル3で示す例示は、マル2とマル3とマル1の「例えば」とは、示し方が違うような気がします。そうしていかないと、深い学びを実現させるためには、マル2、マル3で示されているような、算数・数学で非常に大切にしたい学習の営みというのが、これは深い学びの実現とは違うと解釈されたとすると、このアクティブ・ラーニングの議論が誤った方向に行ってしまうような気がしています。先ほど、マル2、マル3もマル1に統一するというようなお話がありましたけれども、そのあたりについても考えていく必要があるという印象を持ちました。
  それから、もう1点。もう既に議論が終わっているところですが、資料3の5ページの小学校のところの数学的な見方・考え方の御説明があったのかもしれませんが、表組みの一番上の見方・考え方の後に付いている説明が、これ、意図的に中高とは違っているということなのか、それとも、小学校はもうこういった方向で行くということなのか、それが一つ気になったので、また、お聞かせいただければと思っています。
  もしこのままでいくとすると、私は小学校の見方の方は各教科ならではの、特徴的というよりも、この間、全ての記述の中では、特質的なという、教科の特質に応じた見方という、そういう示し方なので、そちらで整理した方がいいかなということがちょっと気になりましたので、そちらは質問ということです。
  以上です。
【小谷主査】    では、後半に頂きました質問について、事務局からお答えいただけますでしょうか。
【笠井教科調査官】    ありがとうございます。小学校と中学校と違うというところですが、ここは基本的にそろえていきたいと考えています。見方というところの例を考えたときに……、少し整理していきたいということが1点です。そこだけ、また少し考えさせていただきたいと思います。
  以上です。
【小谷主査】    高校、中学では「論理的」ということが、小学校では「根拠」という表現になっているということで、実質的には同じ……。
【笠井教科調査官】    そうですね。「論理的」といった言葉の中には、2ページ目にありますように、「帰納的に考えようとする」「順序よく考えようとする」「根拠を明らかにする」、ほかに「演繹的に」とか「理数的に」とか、いろんな考え方があるわけですけれども、小学校もそこまで、この間の議論みたいに、演繹的にということは強いわけではありませんので、帰納的にということが多いだろうと思いますし、根拠を基に筋道を立ててといったぐらいが今までも目標の表現として使ってきておりますので一番合うのかなということで、この言葉に変えさせていただいたということがあります。
【小谷主査】    ありがとうございます。
  それでは、大谷委員、少し短めにお願いできますでしょうか。
【大谷委員】    アクティブ・ラーニングのこの三つの柱の立て方を、教科算数・数学らしくということにつきまして、一つの考え方かもしれませんけれども、以前から御紹介されている参考資料4の「算数・数学における問題発見・解決のプロセス」という、まさに算数・数学が活動していくプロセスの中で必然的に対話的、深さ、主体性というものが自然に沸き起こってくるんではないかと思います。そのような意味で、このアクティブ・ラーニングといったものを数学のプロセスの中に位置付けるという形において、それぞれがばらばらにならずに、一つの数学をする営みの中に正当に位置付けられるんではないかと考えます。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。それでは、大体一通り御意見を頂いたかと思います。本日頂きました御意見を踏まえ、また、これまで議論してきた資質・能力等の議論も御参考にしていただきまして修正をいたしたいと思います。修正につきましては主査に御一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  では、どうぞ。
【中川委員】    一つ、お願い、いいですか。マル3の主体的な学びについてですが、算数のよさについて書かれているんですが、現行では、子供たちの主体的な学びを支えるものとして、「楽しさ」という文言を入れています。例示ですから別に十分結構なんですが、「楽しさ」ということが入ると、大杉室長さんのおっしゃった学びのエンジンの中核が見えてくるかなと思います。
  あと、細かいことですが、よさについて、「数学的な見方や考え方のよさ」と示されているんですが、数学的な見方・考え方は、この後、別の使い方をしていくわけで、見方・考え方の高まりが学びの深まりというふうに使っていくとすると、「見方や考え方のよさ」とここで示すと不都合が出てくるのではないかなと少し案じます。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。それでは、そのような方向で修正させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  続きまして、議題2に移りたいと思います。議題2につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【岡村教育課程課専門官】    お手元の資料5に基づきまして御説明いたします。資料5は、「資質・能力の育成のために重視すべき算数・数学の評価の在り方について」ということで、前回ワーキングで御議論いただいたコメントを踏まえて、あと、事務局で若干修正を入れたものでございます。
  資料5の1ページ目ですけれども、まず、「知識・技能」の欄ですが、こちらについては事務局で修正したもので、資料5の5ページ目に、「現行の算数・数学の評価の観点及びその趣旨」ということで、5ページ目の一番右側の欄で「知識・理解」とありますけれども、現行、このように理解し、知識を身に付けているとなっているのが、今回、評価の観点として「知識・技能」になったということで、また1ページ目に戻りますが、どのように表現すべきかということでちょっと修正したのが修正案でして、理解の中に知識も含むという趣旨で、その法則などを体系的に理解しているというふうに修正してございます。技能の方は知識がダブるので、そこは「表現したりする技能を身に付けている」と修正しております。
  真ん中の「思考・判断・表現」の欄では、小学校のところで、中学と併せて、「数量や図形など」ということで「など」を追加してございます。
  右側の「主体的に学習に取り組む態度」のところは、前回の御議論を踏まえた修正でして、中学のところでは、中学生は粘り強く考える必要があるということで、そこを追加してございまして、あと、小学校のところで、振り返りのところで、「学習の過程と成果を振り返る」と修正してございます。
  次に、資料5の2ページ目ですけれども、こちら、お手元の、一番下の方の参考資料3と参考資料4で、既にこのワーキングで御議論いただいております資質・能力の整理と、あとは問題解決のプロセスと育成すべき資質・能力の、この内容を踏まえて、また2ページ目に戻りますけれども、問題解決のプロセスと評価の場面がどういうふうにあるかというのを、問題解決のプロセスの流れの中で、それぞれ知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度のそれぞれについて流れの中でまとめて記載したものでございます。
  上の方の、まず、「問題発見・解決のプロセス」としては、「疑問や問いの発生  問題の設定」「問題の理解、解決の計画」「計画の実行  結果の検討」「解決過程や結果の振り返り  新たな疑問や問い、推測などの発生」という流れで、この流れ自体は必ずしも一方通行の流れではないということで記載してございまして、その中で、青帯にあります「日常生活や社会の事象を数理的に捉え、数学的に処理し、問題を解決することができる」。また、赤帯に書いてございますとおり、「数学の事象について統合的・発展的に考え、問題を解決することができる」ということで、その中で、例えば、「知識・技能」でしたら、「事象を数学化したり、数学的に解釈したり表現したりする技能を身に付けている」というのが最初にあって、次に、「数学における基本的な概念や原理・法則などを体系的に理解している」という流れになっているということで、それをその次の「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」についても取りまとめて、「問題発見・解決のプロセスと評価の場面」ということでお示ししたものでございます。
  その後、3ページ、4ページは、中学校の例、小学校の例ということで、それぞれ記載したものでございます。
  あとは、5ページ以降は参考になりますので説明は割愛させていただきます。
  以上、資料5につきまして御審議のほど、よろしくお願いいたします。
【小谷主査】    ありがとうございました。それでは、これより意見交換の時間とさせていただきます。ただいまの説明につきまして、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
  では、藤井委員。
【藤井委員】    資料5の1ページ目を見た最初の印象は、「技能」のところが大変気になりました。例えば、高等学校のところでは、「事象を数学化したり、数学的に解釈したり表現したりする技能を身に付けている」となっています。何が欠けているかというと、数学的に表現することのよさの一つは、処理ができることですが、これが明記されていません。形式的な処理ができるところに数学的表現の特徴があります。例えば、日本語で表現しても、それを機械的に処理することはできませんけれども、数学的な表現をすると機械的に処理することができて、その結論が簡潔になって、それをまた元の事象に戻せるという特徴があります。数学的な表現の最も際立った機能である、形式的に処理ができるということをきちっと書いてほしい。このままだと数学的に表現するだけになってしまう。数学的な表現のよさの一つが、それが処理できることにありますので、そこを是非明記してほしい。5ページ目については、過去のものを見ると、きちんと「処理する」という言葉が明確に入っていますので、是非今回も「処理する」ということは残しておいていただきたいと思います。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。ほかにございますでしょうか。
  椿委員、お願いします。
【椿委員】    今の藤井先生の意見に関わることなのです。先般のこの分科会で、高等学校の数学レベルでは、例えば、数学的な処理が意思決定の支援にもつながるというような話がありました。そういう項目も立てられる可能性があるという議論があったのですけれども、そうすると、少なくとも高等学校の数学レベルですと、事象の数学化だけではなくて、むしろその対応とか行動とか決定自体も本当は数学化しておかないといけないという部分があります。今、中学と高校の中では、この部分は、それほど差別化はされてないのですけれども、例えば、数理的に意思決定を支援する、支える項目が入る場合には、行動だとか、今おっしゃられた対応だとかの数学化を高校で差別化して目標化することもあり得るのかなと考えました。
【小谷主査】    どうもありがとうございます。ほか、ございますでしょうか。
  主査なので意見を言わない方がいいのかもしれませんが、ちょっと気になりましたのは、知識と技能のところで、知識というのは理解をすることから来ていることはよく分かりますけれども、知識を身に付けるというのを削除してしまうというのでよろしいのかどうかについて、皆さんの御意見を伺いたいと思います。
  では、中川委員、どうぞ。
【中川委員】    知識を身に付けるというのも、先般、5月10日に文部科学大臣メッセージが出されました。その中に、「アクティブ・ラーニングの視点は、知識が生きて働くものとして習得され」という記述があります。私も当初は、「知識を身に付け」の方がいいのではないかと思ったんですが、「知識を身に付け」だけだと、やっぱり現場の先生は知識をインプットしてしまうので、知識が生きて働くものとして習得されるためには、「理解」の方がいいかなと今考えているところです。
【小谷主査】    ほか、御意見ございますでしょうか。
  どうぞ、藤井委員。
【藤井委員】    主査の気持ち、よく分かります。確かに、率直に言えば、「生きて働く」知識を身に付けていると言いたいですよね。知識については、「定着」という言葉が今回の資料の中でも出てきますけれども、本当は定着したら困るわけです。それこそ深い学びの概念と「定着」という言葉は本当は矛盾する。ですから、知識は常に深まっていくし、広がっていくし、豊かになってくるという前提に立つと、「定着」という言葉も使いたくないし、定着を匂わせるような表現も避けたいところです。ですから、ここは学校現場が定着を狙って、一生懸命知識を注入することがないように、「生きて働く」とか、何かそういう表現があるといいなと思いました。
【小谷主査】    今の知識のところだけでなくて、全般的にも御意見をお願いできれば幸いです。
  では、清水委員、お願いします。
【清水(宏)委員】    一つ前の議論に戻りまして、「知識・技能」の二つ目のポチでありますが、前回までは、ここが「表現したりするための知識・技能」となっていたので、ここに、先ほど藤井委員がおっしゃったような形式的な処理が入るのだろうと私たちは解釈をしていたと思うのですが、一方で、この「するための知識」を取ったことは私は賛成であります。もちろん今の形式的に処理は非常に大事ですので、どこかに入るようにしたいと思うのですが、数学化する行為そのものを技能と捉えることは、私はこれから非常に大事ではないかなと思っております。これは全国学力・学習状況調査のB問題の数学的プロセスという問題作成の枠組みに、少し変わってはいるのですが、同じような文言で入っておりますので、すでにこれらを評価する試みがなされています。ですので、それと整合するために、この「するための知識」を取ったというのは、賛成であります。しかし,このことによって抜け落ちてしまっているものがありますので、それはそれで、もう一度精緻化する必要があるのではないかと思っております。
  以上です。
【小谷主査】    ほかにございますでしょうか。
  では、主査代理、お願いします。
【清水(静)主査代理】    横並びとかでいろいろ御苦労されていると思いますけれども、「知識・技能」のところで二つ発言をさせていただきます。
  一つは、看板が「知識・技能」なので、最初の黒ポチは「知識」という言葉を生かせないか。それから、二つ目は、やっぱり「技能」という言葉を生かせないか。では、理解はどうするのかというと、知識においても技能においても、その裏付けにおいて理解が必要だと。その理解の深さが、先ほどの見方・考え方の成長と関わってきますので、その辺のところの整理の仕方はどうかということが一つです。
  二つ目は、上を知識に特化し、下を技能に特化したとしても、上の内容については、多分、技能的なものも含まれてくると思いますし、また、下の方でも、技能といっても、数学化するというのはどういうことなのかという知識を持たないと意味をなさないという面もありますので、一つの言葉で置き換えたとしても、やっぱり内容としては両方のニュアンスが出てくるということで、その辺を全部書くと簡潔に書けませんので、仮に上を「知識」を使って書き、下を「技能」を使って書くとしても、理解がそれぞれに深く関わっていることと、それから、それらの知識・技能には、知識のところには技能も関わるし、技能には知識も関わるという、この二つのことを解説とか説明でしっかりしていただくということを考えていただく必要があるかなと思いました。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。ほかの御意見ございますでしょうか。
【清水(静)主査代理】    無いようでしたら、もう一つ。済みません。この資料5のところで、2番目の「思考・判断・表現」と「態度」のところの語尾は従来と同じスタンスで、「思考・判断」の方は、どちらかというと断定的に状態を説明し、「態度」の方は、努力目標として「しようとする」としています。これはもうずっと伝統的にこうなっていると思うのですが、そう考えたときに、先ほど既に議論された見方・考え方の整理の中で、「する」と「しようとする」が混在していますので、是非、そろえるのでしたらそろえる、混在させることに意味があるんだったら意味があるということをはっきりと説明できるようにしていただく必要があるかなと思います。結論的に言うと、やっぱり「思考・判断・表現」にかなり軸足を置いている場合には、「できる」ようにしてもらわないと困るということが伝わるようにする。努力目標として頑張るとするのであれば、「しようとする」というようことで整理していただきたい。前の主要な内容、多分、共通するところがいっぱい出てくると思いますので、先ほどの例示の活動なんかもそうですけれども、「できる」とすると「思考・判断・表現」ですし、「しようとする」となると「態度」に傾くとなりますので、その辺の整理をクリアにしていただくと、初めて見る人たちにとっての誤解は少なくなるかなと思います。この辺との関係で調整をお願いしたいと思います。
【小谷主査】    ありがとうございました。ほか、ございますでしょうか。大体皆さんの御意見が反映されていると考えてよろしいでしょうか。
  それでは、ありがとうございました。頂いた御意見を踏まえた修正につきましては、主査に御一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  それでは、議題3につきまして事務局より御説明をお願いいたします。
【岡村教育課程課専門官】    お手元の資料6に基づきまして御説明いたします。「小学校・中学校・高等学校を通じた統計教育のイメージ、内容等の整理」ということで、こちらも前回のワーキングで御議論いただいた内容を踏まえて修正したものでございます。
  まず、1ページ目ですけれども、今回、「意思決定につなげる」ということで赤字で書いていまして、これは前回は「意思決定する」だったんですが、そこはコメントを踏まえて修正してございます。
  中学校と小学校のところで、前回は一番下の行が「批判的に」という文言を使っていたんですが、そこはコメントを踏まえて、中学校では「多面的に吟味する」、小学校では「別の視点から吟味する」と修正してございます。
  2ページ目は同様の修正ですけれども、あと、小学校のところの二つ目のポツで、前は「平均値以外の代表値を扱ったりする」という表現があったんですが、そこを小学校に合わせて、「二つ以上の集団を比較し」と修正していまして、あと、小学校の三つ目のポツで、社会との関わりのある内容も入れた方がいいという御指摘がありまして、そこを「理科や社会など」と入れてございます。
  3ページ目は特に変更点はございません。
  4ページ目では、赤字で書いている「結果の解釈」というところが、前回は一応の結論だったんですが、ここはコメントを、結果と解釈とそれぞれあるのでということで、そこを「結果の解釈」と修正してございます。
  5ページ目、6ページ目、7ページ目も、前回、一応の結論と書いていたところを、今回、修正に合わせまして、5ページ目では「グラフの分析」、6ページ目でも「グラフの分析」、7ページ目では「結果の解釈」、8ページ目でも「結果の解釈」と修正してございます。
  9ページ、10ページ目につきましては変更点はございません。
  以上、資料6につきまして御審議のほど、よろしくお願いいたします。
【小谷主査】    それでは、意見交換の時間とさせていただきます。ただいまの御説明につきまして、御意見等をお願いします。いかがでしょうか。前回御議論いただいたことがきちっと反映されているかどうか、また、新たに付け加えることがあるかどうか等、御意見を頂ければと思います。
  椿委員、どうぞ。
【椿委員】    全体的に、前回議論していただいたところを事務局の方でよくまとめていただいたと思います。先ほどのグラフの例示に関しても、統計的手法を用いて出された結果を批判的に考察するとかが取り入れられ、それぞれ、前回の、どちらかというとグラフの作成のテクニック的なものよりは問題解決のプロセスに相当即したものにしていただいたことかと存じます。
  一方、今回の数学教育全体のソリューションというか、問題解決の流れというときに、このことは第1回か2回目のときに申し上げたんですけれども、例えばグラフ自体でも、問題がどこにあるかということを指摘するグラフと、小学校ではなかなか難しいのですけれども、どういう原因と結果、関係性があるか、だから、ここを攻める、ここをうまく考えると解決につながるということを明らかにするグラフ、まさにそこがグラフによる分析だと思うのですけれども、更に、最終的にいろいろな問題解決を生徒さんたちがやったら、なるほど、前に比べたら相当よくなったというような形で確認するグラフ、効果をきちっと評価するというようなグラフとがあります。今回示されている問題解決のプロセス、資料に、Problem、Plan、Data、Analysis、ConclusionというPPDACサイクルのことが書かれていたのですけれども、これを学年進行に応じて見えるような事例にしていただくと、アクティブ・ラーニング等では大変有用ではないかと考えます。いずれにせよ文章等に関しては、私は特に異存ございません。
【小谷主査】    ほか。
  それでは、齊藤委員、お願いします。
【齊藤委員】    今回直していただいて大分分かりやすくなったなと思いますが、細かなところでお願いします。1ページ目の小学校の黒ポチの二つ目、先ほどの御説明の中で、「批判的に考察する」というその表現を変えて、「別の視点から吟味する」という、こういった御説明ですが、「別の視点から吟味する」というとどういうイメージを持つかが少し心配になります。
  むしろ中学校では、「多面的に吟味する」というのがございますが、資質・能力の三つの柱でも、小学校で育てたい力として、多面的に考えようとする態度というのもありますので、そのような表現が小学校で無理でなければ、そういった形でつなげてもいいのではないかという印象を持ったのが一つです。
  今度は2ページ目、同じく小学校の三つ目の黒ポチのところについては、「理科や社会」という、こういった表現がありますが、例えば、今回例示として出していただいている5ページなどの場合は、これは特別活動であったり保健であったりしますし、全国の学力テストでも、様々な教科との関わりで出題されていることから考えますと、中学校の黒ポチ三つ目の「他教科等での」という表現がありますから、これをもう中学校にそろえてしまって、小学校でも「いろいろな教科や学習活動と関連させて」という形の方がよいのではないかなと思いました。
  以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。ほかにはございませんか。
【戸谷委員】    細かいところで申し訳ないんですけれども、1ページ目の中学校の最初のポチのところですけれども、「現状や分布の傾向を把握したり」となっているんですけれども、現状の把握の中に分布も含まれていると思いますので、並列にするのはおかしいのかなと思います。
  それから、同じ箇所なんですけれども、中学校では「調査を行いデータを集めて」となっていて、高校では「必要なデータを集め」となっているんですけれども、高校の方がビッグデータ的なことを想定されて、こういう表現になっているのかなと思ったんですが、「調査を行い」というのが中学校で入っているところが、むしろ調査を行うかどうかよりは、どういう調査の結果のデータなのかが分かることが大事なので、そういう表現の方がいいのかなと思います。
  最後のページは、その一つ前のページからの続きになっているんですけれども、分布の大きさをうまく捉える指標を考えることはできないだろうかということで偏差が出てくるわけですけれども、偏差の絶対値のところの紫の説明のところが、「偏差の絶対値の平均は指標にできるが、処理が面倒なところがある」となっていて、これは処理が面倒なのか、解釈が分かりにくいのかというのが。その後、偏差の2乗の平均とか何か出てくるんですけれども、処理はより複雑になるんじゃないかと思いますので、処理自体がどうというよりは、むしろ解釈が面倒なのでということではないかと思います。細かいところで済みません。
【小谷主査】    椿委員。
【椿委員】    私が答えるべきかどうか分かりませんが、今のはかなり技術的な話なので発言します。本来は、偏差の絶対値の平均をばらつきの尺度にしても全く構わないと思います。そういうことを今やっていらっしゃる方々もいると思うのです。これを書くのは、恐らく非常に苦労されたのだと思うのですけれども、数学の伝統からすると、ばらつきを最小化するというか、2次式を最小化するのは非常に簡便なのだけれども、絶対値を処理するのは大変だということで、こういう文章になったのではないかと思うのです。実態として、これをこういう教材の中でどう書き込むかは、一工夫要るだろうなということは、今、分かりました。解釈とは実は違う問題だと私は理解しています。
【小谷主査】    このあたりの表現はデリケートなところもございますので、椿委員やほかの委員とも相談しながら、適切な表現を考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  ほか、ございますか。真島委員、よろしくお願いします。
【真島委員】    すごく細かいところですけれども、4ページのところの紫色の帯のところ、「物事の判断することができる」って、「物事の判断をすることができる」。「を」が抜けているのかなと思いますが、それで、その下の図のところですけれども、ちょっと分かってないんですけれども、赤と青の矢印の意味を教えていただきたいのと、あと、判断するというのが、この中の図でどこにあるのかなということを教えてください。
【小谷主査】    これは事務局から御説明いただけますでしょうか。
【笠井教科調査官】    この図は基本的には、その次のページの小学校の学習をイメージしている図で、小学校は3年生で棒グラフ、4年生、折れ線グラフ、5・6年生で帯グラフや円グラフといった、割とグラフに特化して学習することがあるんですが、それで、グラフの描き方を教えて終わってしまうといった授業が多く見られるわけですけれども、一旦グラフを描いたら、そのグラフを読んで、こういうことが分かりましたねで終わるのではなくて、そのことからもう一回疑問を持ってグラフを再構成してみることの大事さをうまく表せないかなということで表したものです。
  ですから、今お話しいただいたことをうまく入れていきたいなということを思っていますが、基本は赤い矢印のラインでぐるぐる回っていくんですが、時にはデータを見直すだけではなくて、データの収集からやり直さなければいけないといったようなこともあるだろうと思いますし、実際、2回目、グラフを描いたら、もう一回疑問を思い付いて3回目のグラフを描く、4回目のグラフを描くといったことも青い矢印で示させていただいて、最低1回で終わらずに2回ぐらいにできないかなといった思いで書かせていただいているのが赤い矢印といったところになっています。よろしいでしょうか。
【小谷主査】    分かりました。ほかにはございますか。
  もし皆さん、これでよろしければ、頂いた御意見を踏まえて修正させていただきたいと思います。また、修正については主査に御一任いただきたいと思います。よろしくお願いします。
  それでは、議題4につきまして事務局より御説明をお願いいたします。
【岡村教育課程課専門官】    お手元の資料7と資料8について、それぞれ御説明いたします。
  まず、資料7の「幼・小・中・高等学校を通じた算数・数学教育のイメージ(案)」ですが、こちら、既に算数・数学ワーキングで御確認いただいていたものなんですけれども、見方・考え方の位置付けについて、各ワーキングで共通して、「見方・考え方を働かせ」ということで統一することになったのを踏まえまして、こちらでも高校、中学、小学校、それぞれ「数学的な見方や考え方を働かせ」というのを追記してございます。
  また、マル1、マル2、マル3、高校、中学校、小学校とございますが、こちら、先ほど資料5で御検討いただきました評価の在り方の記述に合わせて必要な修正を入れてございます。
  あと、小学校のところでは、マル3の一つ下のポツで、「友達の考えから学んだり、学習の過程と成果を振り返ったり」という、ここの赤字の部分は事務局の方で、こちらの方がよりよい記載じゃないかということで追記したものでございます。
  2ページ目以降は参考ということで、これまでの数学的な見方・考え方がどういうふうに位置付けられているかを参考としてお示ししたものでございます。
  続いて資料8ですけれども、資料8は「高等学校の理数・数学・理科において育成すべき資質・能力(案)」ということで、こちらの算数・数学ワーキングでは、既に真ん中の数学における資質・能力について御確認いただいた内容を記載してございますが、それと別に、教科の理数ということで、その中で、「知識や技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」について、それぞれ資質・能力を記載しておりまして、こちらの算数・数学と、あと理科に関わるということで、それぞれ理科のワーキングでも御検討いただいているものですが、今回、こちら、算数・数学ワーキングでも御議論いただきたいということでお示しいたしました。
  一番上の青字の「理数」のところだけ御説明いたしますが、「知識や技能」については、「科学(理科)や数学における基本的な概念や原理・法則の体系的理解」「事象を科学的、数学的に探究するための知識や技能」「研究倫理についての基本的な理解」としております。
  真ん中の「思考力・判断力・表現力等」につきましては、「事象を科学的、数学的に考察し表現する力」「科学的、数学的な見方・考え方を活用したり、組み合わせたりできる力」「探究的な学習を通じて課題解決を実現しようとする力」「新しい進歩を生み出す創造的な力」。一番右側の「学びに向かう力、人間性等」については、「様々な事象に対して知的好奇心をもって科学的・数学的にとらえようとする態度」「事象に徹底的に向き合い、考え抜いて行動する態度」「自らの学習活動を振り返って次につなげようとする内省的な態度」「新たな価値の創造に向けて積極的に挑戦しようとする態度」「研究に対する倫理的な態度」としてございます。
  以上、資料7及び資料8につきまして、それぞれ御審議のほど、よろしくお願いいたします。
【小谷主査】    ありがとうございました。資料7につきましては、以前に議論したものを、それ以降の議論に基づいて修正をしたものでございまして、資料8については新たに理数科目についてのことでございます。
  それでは、意見を交換させていただきたいと思います。御意見、お願いいたします。よろしく。
  それでは、中川委員。
【中川委員】    済みません。資料7の小学校のマル3の赤字の部分について十分に理解できなかったんですが、「友達の考えから学んだり」という部分、これは対話的な学びではないと私はイメージを持ちます。分からない子ができる子の考えを黙って聞いているというような授業になったら困るなと思います。むしろ今、現場で一生懸命やっている、「練り上げ」といって、不完全な子供の考えをみんなで洗練し、よりよいものに作り上げていく、そういう学びが見えるようにすることの方が重要でないかなと思います。「友達の考えから学んだり」の意図をお聞かせいただけたらと思います。
【小谷主査】    では、よろしくお願いします。
【笠井教科調査官】    中川委員がおっしゃるとおり、対話的な学びといったことが今、議論となっていて、その部分の気持ちをこの中に入れられないかなといったところで、「友達の考えから学んだり」という言葉で入れさせていただいているんですが、その言葉によって違う誤解を与えるのであれば、今回、対話的な学びをもう少し具体的に、具体的に算数の中でどういうことなのかといったことが書かれることになると思いますので、その言葉に改めていきたいなと。友達の考えから学ぶだけだったら、単純にどの教科でも言えることになってしまいますので、算数・数学にふさわしい言葉にしていきたいなということを思っています。ありがとうございました。
【小谷主査】    ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
  宇野委員、お願いします。
【宇野委員】    今の資料7の御説明で、例えば、高等学校も中学校もそうですけれども、「知識」のところが削除というのは、その前の評価の在り方について、に対応した変更だということだと思います。そして、評価の在り方について、今、「知識」という言葉の削除がどうかというのも議論があったので、これはその議論にも連動しているという解釈でよろしいと思います。
  次に、資料8で、理数については、知識・技能のところで、「研究倫理についての基本的な理解」とありますが、これは、ほかの黒ポチ、数学、理科も含めてですが、と若干違和感があるような気がします。理数の方でここがふさわしいとおっしゃるのであれば特に異論はないですがけれども、「学びに向かう力、人間性等」の方で「研究に対する倫理的な態度」とあって、「知識や技能」のところで、さらに研究倫理についての知識も学ぶという意図で書かれているということでしょうか。
【小谷主査】    では、御説明、お願いします。
【平野教育改革調整官】    失礼いたします。この理数科の中で、研究倫理についての基本的な理解ですとか倫理的な態度というものを入れさせていただいたのは、別途、数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チームというところで新科目について御議論しておりまして、今、スーパーサイエンスハイスクールなんかでやっておりますような課題研究のような授業を新科目として位置付けられないかということで検討いただいております。
  それについては、教科としては理数科に位置付けるのがいいのではないかということで、そこの新科目で今検討している資質・能力の3本柱の要素をこの理数科の3本柱の中に反映させていただいたと。新科目では、やはり主体的に一つの探究活動を実施することを目指す教科でございまして、その際に、今のSSHでも、やはり研究倫理ですとか生命倫理ですとか、そういったところを含めてきちんと教えないと、高校生ですので、とんでもないことをやってしまう場合もありますので、それが非常に重要だという議論が特別チームの議論の中で強調されておりまして、これはやはりきちんと書き込もうということになっております。そういったものを少し今回、理数の中に位置付けようということでございますので、その新科目の部分の要素をかなりここでは入れさせていただいている状況でございます。
【宇野委員】    ありがとうございます。
【小谷主査】    そうしますと、ただ単に研究倫理というよりは、例えば、先人のやった研究を自分が使うときの引用の仕方とか、そういう研究者としてのお作法的なことも含まれているということでございますよね。もちろんそれは倫理なのかもしれませんけれども、知識・技能としては、研究倫理以前に、そういう研究のお作法のようなことも書いた方がいいのかもしれないと思います。
  ほか、ございますか。では、椿委員、お願いします。
【椿委員】    これも今の理数探求のことで非常に期待しているのです。知識や技能なのか表現力か少し分からないのですけれども、この「知識や技能」のマル2のところにある、「事象を科学的、数学的に探究するための知識や技能」というところですが、科学的探究とか数学的探究の要素技術は、やはりプロセスといいますか、過程に関する知識とか技能であり、それがこういう科目では新たに求められているのではないかと考えるのです。
  このワーキンググループの中でも、実は数学的問題解決はこういうプロセスですよというようなことを言っていただいているわけです。そういうポンチ絵も描いていただいているのですけれども、この「探究するための知識や技能」も少し具体化できる要素はないのでしょうか。先ほども申し上げましたが、プロセスのような形を教える。例えば、一般的な科学的探究でしたら、仮説があって、それを解決するための方法があって結果があって結論を得るというような、そういう古典的なアプローチがあるわけですけれども、何かそういうことをプロセスとして強く意識していただけるようにやっていただけるとありがたいなと感じています。
【小谷主査】    ほかにございますでしょうか。
  では、戸谷委員。
【戸谷委員】    今のところなんですけれども、数学の方には、「事象を数学化したり、数学的に解釈・表現したりするための知識・技能」という、解釈・表現のための知識・技能というのが入っているんですけれども、理数には、「思考力・判断力・表現力等」のところで、「表現する力」というのはあるんですが、それに対応する知識・技能というところがないので、それもあった方がいいのではないかと思います。
【小谷主査】    ありがとうございました。ほかにはございますでしょうか。
  細かいところでは、「科学的・数学的」という書き方が、知識・技能や思考力・判断力のところはカンマになっていて、「学びに向かう」のところは中黒になっているので、統一した方がいいのかもしれないなという。済みません、皆さんがお考えの間なので、ちょっと細かい指摘を。
  ほか、ございますでしょうか。大谷委員、どうぞ。
【大谷委員】    皆様のお話を伺って、理数の青字の表現が、やはり一般的な全体としてイメージを受けるというふうに私も感じます。思考・判断・表現の部分もそうなんですけれども、先ほど清水静海先生がおっしゃっていたように、実現しようとする力という、その「しようとする」というような表現がここで使われていたり、「新しい進歩を生み出す創造的な力」という、言葉としては美しいかもしれませんけれども、果たしてそれを教科の資質として挙げたときに、具体的なイメージがなかなか落ちにくいような、そういう表現がまだあるような気がいたします。もう少し数学や理科のような形の具体性に落とせることができないのかと感じます。感想です。
【小谷主査】    よろしいですか。もう少し時間を取った方がよろしいでしょうか。
  数学、理科で、それぞれに資質・能力がございますので、理数に書くものというのは、そことは違う理数に特別なところだけを書くのか、それとも、やはり共通のものも書くのかという、書き方についてはどういうことになるんでしょうか。
【平野教育改革調整官】    教科・理数科におきましては、いわゆる数学の分野の科目と理科における分野の科目を扱っているので、基本的には高校の数学、高校の理科を包含したような形で書かせていただきたいと思っております。
  ただ、数学、理科、それぞれの内容をそのまま入れ込むと非常に大部なものになってしまいますので、できるだけまとめたような表現で書かせていただきたいということで、今、案を作らせていただいているところでございます。
【小谷主査】    ほか、ございますか。
【清水(静)主査代理】    細かいことを一つ。済みません。
【小谷主査】    はい。
【清水(静)主査代理】    資料8の真ん中の「思考力・判断力・表現力等」のところですけれども、理数のところでは、「科学的、数学的な見方・考え方」、それから、理科のところでは、「科学的な見方や考え方、自然に対する多面的なものの見方」ということで、前半で議論された、いわゆる見方・考え方と比べると、やや狭い意味で使われている印象がありますので、資料7の「数学的な見方や考え方を働かせ」といったときの見方や考え方というのは、従来の思考・判断・表現に特化されたものではなくて、もっと広い意味で使われていると思われますので、その辺の調整をきちっとしておいていただかないと誤解を招くかなと思います。言葉遣いの検討をお願いします。
【小谷主査】    どうぞ。
【平野教育改革調整官】    御指摘ありがとうございます。特に理科の部分については、実は見方・考え方の横並びの整理を踏まえたものが、まだ反映できてない状況でございますので、この後、調整、整理させていただく予定にしております。
【小谷主査】    ほか、ございますか。
  それでは、また後ほど、皆さんからペーパー等でも御意見を頂く機会はあると思いますので、今回に関しましては、頂いた御意見を踏まえて修正させていただくようにしたいと思います。
  また、修正につきましては主査に御一任いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
  それでは、議題5として、その他、御意見ございますでしょうか。
  では、様々御意見を頂きましたが、時間も参りましたので、本日はここまでとしたいと思います。本日お出しいただきました御意見については、事務局で論点ごとにその趣旨を整理していただくよう、お願いいたします。
  なお、限られた時間内での討議でしたので、さらに御意見やお気付きの点があれば、ペーパーで事務局にお送りください。
  第6回で予定されていた議題はここまででございます。最後に、この後の予定につきまして事務局より御説明をお願いします。
【岡村教育課程課専門官】    どうもありがとうございました。本日、第7回ワーキングを午後1時より、引き続きこちらの部屋で開催いたしますので、資料等はそのまま机上に置いていただいて結構でございます。
  傍聴の方におかれましては、一旦この会議室を閉めますので、引き続き第7回ワーキングを傍聴される方は、12時30分以降に再度御入室いただくということで、お荷物等も一旦、全て持って出ていただくようにお願いいたします。
  以上でございます。
【小谷主査】    それでは、第6回の算数・数学ワーキンググループを終了いたします。どうもありがとうございました。

――  了  ――

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