教育課程部会 算数・数学ワーキンググループ(第5回) 議事録

1.日時

平成28年4月18日(月曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 算数・数学において育成すべき資質・能力について
  2. 資質・能力の育成のために重視すべき算数・数学の評価の在り方について
  3. 統計的な内容等の改善について
  4. その他

4.議事録

【清水(静)主査代理】    皆さん、こんにちは。今日は主査の小谷先生、所用で御欠席ということですので、私の方で司会進行をさせていただきます。よろしくお願いします。
  今日御出席予定の先生方で、中村委員は、体調を崩され本日御欠席の御連絡をいただいています。それから真島委員は出席の予定ですが、定刻になりましたので始めさせていただきたます。
  ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会算数・数学ワーキンググループの第5回会合を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただき、まことにありがとうございます。
  まず、会議に先立ちまして、皆さんも御存じのように、先週14日より続く熊本県を中心とした九州地方での一連の地震によって尊い命を落とされた方々に深くお悔やみを申し上げます。また、被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げます。現在、我が国では、被災地において昼夜を分かたず、救命、救助活動を行っておられる関係機関の方々をはじめとして、国を挙げて多くの人々がそれぞれの持ち場で支援に当たっておられます。被災者の方々の一刻も早い救援を心からお祈り申し上げます。
  それでは、初めに、文部科学省に人事異動がありましたので、事務局から御報告願います。
【岡村教育課程課専門官】    4月に事務局の人事異動がございましたので、御紹介いたします。
  米原の後任として、教育課程課課長補佐に着任いたしました金城でございます。
【金城教育課程課課長補佐】    よろしくお願いいたします。
【清水(静)主査代理】    よろしくお願いします。
【岡村教育課程課専門官】    そして、私は仲の後任として、教育課程課専門官を拝命いたしました岡村と申します。よろしくお願いいたします。
【清水(静)主査代理】    よろしくお願いします。
  では、最初に事務局から配付資料について確認をお願いします。
【岡村教育課程課専門官】    それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料8、参考資料1から参考資料4、そのほか、机上に参考資料を配付させていただいております。また、各団体からの要望をまとめたファイルも机上に置かせていただいております。不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。
  なお、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中には本ワーキンググループの審議に当たり、参考となる関係する審議会の答申や関係資料等をデータで入れております。
  以上でございます。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。
  これより議事に入ります。初めに、本ワーキンググループの審議等については、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づき議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきます。よろしくお願いします。
  なお、本日は報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので御承知おきください。
  本日は、最初に総則・評価特別部会の検討事項等について御報告をいただきます。その後、議事次第にありますように、議題の1、算数・数学において育成すべき資質・能力について、議題の2、資質・能力の育成のために重視すべき算数・数学の評価の在り方について、議題3、統計的な内容等の改善について、議題4、その他ということで御議論をいただくこととしたいと思います。
  それでは、総則・評価特別部会の検討事項等について、事務局より御説明をお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、資料の2を御覧いただけますでしょうか。総則・評価特別部会、主査、主査代理にも御協力いただきながら、各ワーキングの検討状況の随時ヒアリング等も行っていただいているところでございますけれども、そうした各ワーキングにおける検討状況も踏まえながら、教科横断的に共通して検討すべき事項について随時御整理をいただいているところでございます。
  今回は、アクティブ・ラーニングの視点、特に深い学びの観点からということと、学習評価の改善についておまとめをいただきましたので御報告を申し上げます。
  資料の2をおめくりいただきますと、1ページ目でございます、アクティブ・ラーニングの視点と資質・能力の育成との関係について、特に「深い学び」を実現する観点からということでございます。現在、資質・能力の三つの柱や学習プロセスの在り方等を御議論いただいております。
  1ポツは、アクティブ・ラーニングの視点、三つの視点ということで論点整理のおさらいのようなものでございますけれども、各教科等における習得・活用・探究の学習過程全体を見渡しながら「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」の三つの視点が重要であるということであります。
  こうした中で、子供たちが各教科の内容的な理解を深めながら育成すべき資質・能力を身に付けていく。また、そうしたことが子供たちの学習に向かう内発的な動機付けを高めていくということでございます。
  そして、論点整理を踏まえて、こうしたアクティブ・ラーニングに関する関心が高まりつつある一方で、特定の方に着目した理解がなされているのではないかという懸念、これは既に論点整理でも御指摘をいただいております。特定の学習指導の型や方法ではなく、不断の授業改善の視点であるということでございます。
  一方で、こうした理念だけではなく、現場の方では具体的な実践例もという声もあるところでございます。こうした実践例については、様々な型や方法の種類を紹介するということではなくて、アクティブ・ラーニングの視点に基づき授業が改善されたことにより、子供たちのどのような変容につながったかという学習改善に関する実践例の蓄積と普及をお願いしたいということ、そして2ページでございますけれども、様々な型や方法ということは授業改善の一つの手段として不断に検証され見直されていくべきものではないかということでございます。
  また、「深い学び」の視点ということでございます。三つの視点のうち、「対話的な学び」「主体的な学び」ということは教科共通でいろいろ理解しやすいという声の一方で、「深い学び」ということが、具体的なイメージがつかみにくいというような声があるところでございます。現在、各教科等の特質に応じてこの深い学びの在り方を御議論いただいている最中でありますことから、イメージがまだ示されていないということも一因として考えられるところでございますけれども、改めて「深い学び」とは何かということを、その三つ目の丸に御整理をいただいております。
  現在、複数の教科等別ワーキングにおいて、資質・能力の育成や学習の深まりの鍵となるものとして、教科等の特質に応じ育まれる「見方や考え方」が重要ではないかという検討がなされているところでございます。こうした「見方や考え方」を習得・活用・探究を見通した学習過程で働かせながら思考・判断・表現し、「見方や考え方」を成長させながら資質・能力を獲得していくということが「深い学び」ではないかということ、先生方には、こうした深い学びということを通じて子供たちの教科の内容的な理解にも責任を持ち、先生方がしっかりと教えるということも含めて子供たちにかかっていくことが重要ではないかということでございます。
  そして、その「見方や考え方」についてでございますけれども、これ自体は新しい概念ではないということ、現行指導要領においても様々な教科において使われている言葉であるということ、一方で、その内容については必ずしも具体的に説明されていないということでございます。
  3ページ目、そうしたことを踏まえて、改めて「見方や考え方」とは何かということでございますけれども、事象を捉える教科ならではの視点や思考の枠組みではないかということ、そして、それらが資質・能力の三つの柱、全てに関わっているということ、知識や技能を構造化して身に付けていくために不可欠であるということ、「見方や考え方」を働かせながら知識を他と関連付けて定着させたり、新たな知識として習得したり、技能を習熟・熟達させたりするということではないかというと、また、思考力・判断力・表現力を豊かなものとしてということ、また、世界や社会とどのように関わるかという点にも大きく作用しているということであります。
  こうした深い学びの実現ということ、そして一方で、子供たち一人一人の「見方や考え方」の困難さを捉えて支援していくということも重要ではないかということであります。
  また、カリキュラム構造全体としては、こうした教科等の特質に応じ育まれる「見方や考え方」が相互に影響し合いながら成長していくということ、特に総合的な学習の時間や特別活動では、各教科において育まれた「見方や考え方」を総合・統合させながら、様々なより広範な事象を捉えたり、複雑な文脈の中で物事を考えたりということになってくるのではないかということでございます。
  こうした総則・評価部会の検討も踏まえながら、改めて算数・数学における「見方や考え方」あるいは「深い学び」とは何かということを御議論いただければというふうに考えております。
  続きまして、24ページをお開きいただけますでしょうか。学習評価の改善についてでございます。既に育成すべき資質・能力の三つの柱に基づく目標の在り方ということを御議論いただいております。こうしたことが目標に準拠した評価の改善という点からも必要な点であるということ、加えて、資質・能力の三つの柱というのは相互に関係し合いながら育成されていくものであるので、そうした点については総則などでも示していくという方向性でございますけれども、特に24ページ目の観点別評価についてでございます。
  観点別評価につきましては、前回改訂時に既に学力の三要素と観点の関係性が整理されておりまして、趣旨が明確化され、観点別評価の実施率は高い状況でございます。また、思考・判断・表現の評価の在り方ということも様々な実践が進展しているという状況でございます。その一方で、子供たちの資質・能力の育成に向けた指導と評価の一体化という観点からは、まだまだ質的な改善の余地があるのではないかという指摘もあるところでございます。
  「目標に準拠した評価」ということ、これを実質化していくこと、また、教科・校種を超えた共通理解に基づく組織的な評価の取組を促すという観点からは、別添イメージとございますけれども、27ページ目でございます。知識・技能、思考・判断・表現・主体的に学習に取り組む態度、この三つを踏まえつつ、観点別評価の観点とその趣旨を検討するということをお願いしたいということでございます。具体的な観点の書きぶりや趣旨の記述については、教科の特質を踏まえた表現ぶりをお願いしたいということでございます。
  24ページ目、下にございますように、観点別評価については、毎回の授業で全てを見取るということではなく、単元を通じたまとまりの中で、学習・指導内容と評価の場面を適切に設定していくことが重要であるということでございます。
  25ページ目、それぞれ三つの資質・能力との関係性でございますけれども、「知識・技能」につきましては、これまで知識・理解・技能となっているようなところもございますけれども、今回、知識につきまして、事実的な知識のみならず、構造化された活用できる知識、概念的な知識の獲得に向かうということ、技能についても同様に変化する状況に応じて主体的に活用できる技能の習熟に向かうということが重要であるということでございます。すなわち理解ということの内容は、今回は知識ということの中に含まれてくるということではないかということでございます。
  一方で、各教科の特質や発達の段階に応じて、より事実的な知識ということをしっかり抑えていくことが重要な発達の段階というようなものもある教科もあるのではないかということで、そうした発達の段階や特質に応じて、どのような知識・技能を獲得することが求められるのかを指導内容の構成の中で明確にしていただきたいということでございます。
  また、「思考・判断・表現」につきましても、どのような思考・判断・表現が求められるのかを指導内容の構成の中で明確にできるよう工夫していただきたいということ、この際、知識・技能の系統的な内容と比べまして思考・判断・表現の成長は一定の時間がかかるというようなことも踏まえながら、場合によっては学年を超えた整理などについても検討いただきたいということでございます。
  また、「学びに向かう力・人間性」と「主体的に学習に取り組む態度」の関係性でございます。資質・能力の柱としての学びに向かう力・人間性には、観点別評価の主体的に学習に取り組む態度として見取ることができる部分と、観点別評価や評定にはなじまず、感性ですとか思いやりといったような一人一人のよい点を個人内評価として見取っていくべき部分というものがあるのではないかということでございます。したがいまして、この中の丸1の部分を観点別評価の観点としていくということでございます。
  また、「主体的に学習に取り組む態度」、今回「関心・意欲・態度」を改めております。これは挙手の回数やノートの取り方などの形式的な活動で評価したりするのではなく、子供たちが粘り強く知識・技能を獲得したたり思考・判断・表現しようとしたりしているかというような意思的な側面を捉えて評価していくことが重要ではないかということでございます。これは、本来は関心・意欲・態度、現状も同様の趣旨ではございますけれども、なかなか先ほど御指摘したような誤解が払拭しきれないというような問題点が長年指摘され現在に至ることから、この際「関心・意欲・態度」を改め「主体的に学習に取り組む態度」としたということでございます。こうしたことを踏まえて、子供たちが学習の見通しを持って振り返る場面を適切に設定したりすることなどが必要であるということでございます。
  これらは資質・能力として幅広い学びに向かう力、人間性ということを意識しながら単元の学習、授業等が転換されるということと、一方で、その評定で観点別評価として見取っていく部分ということを関連付けながらも、ある意味、きちんとその違いということも意識しながら整理をしていく必要があるというようなことでございます。
  26ページ目、指導要録の在り方について、こうした方向性を踏まえた指導要録の在り方、それから指導要録のみならず、子供たち一人一人がみずからの学習状況やキャリア形成を見通し振り返ることができるようにするための仕組みの在り方、学びのポートフォリオや学校種を越えて個々の学びの特性が共有されるような仕組みの在り方など、残された論点については引き続き総則・評価部会において検討していくということでございます。
  事務局からは以上になります。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。それでは、ただいまの総則・評価特別部会の御報告につきまして、委員の皆さんから御質問、御意見等ございましたらお願いします。いかがでしょうか。
  では、また後ほど算数・数学に特化した評価についてのことも話題になりますので、それと関連してございましたら御発言いただくということで、次の方に移らせていただきたいと思います。
  それでは、事務局より議題1、算数・数学において育成すべき資質・能力について、及び議題2、資質・能力の育成のために重視すべき算数・数学の評価の在り方について御説明をお願いします。
【金城教育課程課課長補佐】    失礼いたします。それでは、資料3を御覧いただけますでしょうか。本日御議論いただきたい事項につきましては3点ございます。
  まず、1ポツ目でございますが、三つの柱に沿った育成すべき資質・能力の明確化について、2点目といたしまして、資質・能力の育成のために重視すべき算数・数学の評価の在り方について、3点目といたしまして、小・中・高等学校を通じた統計的な内容等の改善についてでございます。議題1が1点目、議題2が2ポツ目、議題3が3ポツ目でございます。これから御説明いたしますのは1ポツ目と2ポツ目でございます。
  資料に入ります前に、前回からの修正がございますので、そこだけ先に御説明いたします。少し飛びまして、資料7-3、算数・数学の学習プロセス(案)、こちらを1枚おめくりくださいませ。前回の御意見を踏まえまして、中ほどでございますけれども、数学的に表現した問題との並びをとりまして、焦点化された問題の、ここの書きぶりを焦点化した問題と変更しております。2ページ目も同様の修正でございます。
  それでは、資料4の方にまいります。算数・数学における見方や考え方(案)でございます。こちらにつきましては、これまで御議論いただきました資料7-1、7-2でまとめていただきました算数・数学で育むべき資質・能力の議論を踏まえ取りまとめたものでございます。特に資料7-1の各学校種への目標として記載しております二重丸の点の表現を整えたものとなっております。共通した見方や考え方といたしましては、事象を数理的に捉え、数学的に表現し処理するとともに、論理的に考え、統合的・発展的に考察するとしております。また、学校種ごとに若干異なりますので、例えば高等学校でいいますと、統合的・発展的、体系的にと、体系的を加えております。また、小学校の算数でいいますと、論理的といったところつきましては少し表現をかみ砕いて、帰納的・類推的・演繹的というふうに表現の若干の学校種による変更を加えております。
  続きまして、資料5の関係でございます。算数・数学の評価の在り方でございます。これから行う議論の参考のために、机上配付資料といたしまして、お手元の左前方に白表紙でこういった冊子を配付していると思います。評価基準作成・評価方法等の工夫・改善のための参考資料、中学校数学でございます。前回の改訂におきましては、学校で学習評価を進める際の参考といたしまして、国立教育政策研究所の方で参考資料を学校種ごと、教科ごとに作成しております。各学校におきましては、これらを参考に評価の基準を作成するということになっておりますけれども、まず、この評価の観点につきまして、かいつまんで説明させていただきます。
  白表紙の方の7ページ目をお開きいただけますでしょうか。第2章、1に評価基準の設定等についてというのがございます。この4パラグラフ目でございますけれども、各学校において評価基準を設定することは児童生徒の学習状況を判断する際の目安が明らかになり、指導と評価を着実に実施することにつながるということが記載されております。
  少し飛びまして、21ページ目になりますけれども、第1の2にあります評価の観点及びその趣旨ということでございます。前回は柱が4本立てになっておりましたので、数学への関心・意欲・態度、数学的な見方や考え方、数学的な技能・知識・理解という構成になっておりますけれども、本日御議論いただきたいのは、こういった大くくりの評価の観点でございます。
  こういった観点を踏まえまして、具体的な内容のまとまりごとの評価基準というのをまた各学校の方で作成していただくということになっていまして、それは22ページ目以降になっております。例えば数と式であったり、図形、関数といったことで評価の観点をだんだんブレークダウンしていく構造になっております。
  さらに51ページ目以降でございますけれども、こういった内容のもと、さらに単元ごとに落としていくといった形で、この評価の観点というのが階層化されているという作りになっております。
  その上で、この資料の5を御覧いただけますでしょうか。これは先ほど御紹介いたしました21ページ目に該当するものでございますけれども、これまで御議論いただきました資料7-1の資質・能力の3本柱で整理させていただいております。
  まず、個別の知識・技能でございますけれども、高等学校におきましては、数学における基本的な概念や原理・法則を体系的に理解するとともに、事象を数学化したり、数学的に解釈したり表現したりするための知識・技能を身に付けているということ、また、中学校につきましては、数量や図形などに関する基礎的な概念や原理・法則を理解するということで、後段は高校と同じでございます。また、小学校の算数につきましては、数量や図形などについての基礎的・基本的な概念や性質などを理解するとともに、日常の事象を数理的に処理するための知識・技能を身に付けているといったことを挙げております。
  次に、思考・判断・表現でございますけれども、高等学校におきましては、事象を数学を活用して論理的に考察する力、思考の過程を振り返って本質を明らかにし統合的・発展的に考察する力を身に付けているということ、また、数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表現する力を身に付けていること。中学校につきましては、事象を数学を活用して論理的に考察する力、数量や図形などの性質を見いだし統合的・発展的に考察する力を身に付けているということ、2点目は高校と同じでございます。小学校につきましては、日常の事象を数理的に捉え見通しを持ち筋道を立てて考察する力、基礎的・基本的な数量や図形の性質などを見いだし統合的・発展的に考察する力を見に付けているということ、また、数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表現したり柔軟に表現したりする力を身に付けていること、この2点を挙げております。
  最後に、主体的に学習に取り組む態度でございます。高等学校につきましては、数学のよさを認識し、数学を活用して粘り強く考え、数学的論拠に基づき判断しようとするということ、2点目としては、問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとすること。中学校につきましては、数学のよさを実感し、数学を生活や学習に活用して考えようとするということ、2点目は高校と同じでございます。小学校につきましては、数学のよさに気づき、算数の学習を生活や学習に活用しようとすること、2点目といたしまして、学習を振り返ってよりよく問題解決しようとすること、これらをたたき台として挙げさせていただいております。
  事務局の説明は以上でございます。御審議をよろしくお願いします。
【清水(静)主査代理】    どうもありがとうございました。先ほどお伝えすべきことがございました。真島委員より、所用により本日の会議は御欠席という御連絡をいただいておりますのでお伝えします。御出席の皆様で今日全員ということでございますので、よろしくお願いします。
  それでは、これから意見交換の時間とさせていただきます。御意見等のある方は、あらかじめ名札を立てていただきたいと思います。私の方で順次指名をさせていただきます。発言が終わりましたら、名札を元に戻していただきますようお願いします。また、御発言の際にはマイクのスイッチをオンにしていただき、発言後にはオフにしていただきますようお願いします。
  それでは、議題1、2について、相互に関連もいたしますので、合わせて御意見をお聞かせいただきたいと思います。どうぞ。では、中川委員。
【中川委員】    資料4について確認させていただきたいと思います。小学校のところに帰納的・類推的・演繹的というふうに詳しく書いていただいたのは結構なことなんですが、現行の学習指導要領では、本文ではなくて算数的活動に初めて演繹が登場しました。算数的活動1のエの5年生です。「三角形の三つの角の大きさの和が180度になることを帰納的に考え、説明する活動。四角形の四つの角の大きさの和が360度になることを演繹的に考え、説明する活動」。従来は、小学校は帰納的な考え方が主であり、中学校になってから演繹的な考え方を学ぶという大きな枠があったと思うんですが、小学校に演繹を入れていくということは少し大きなことなので、しっかり議論した上で入れていくことの方が望ましいのではないかと考えます。
【清水(静)主査代理】    例えば何かこんなふうにしたらどうかとかございますか。
【中川委員】    入れることにやや慎重になっているわけで、帰納・類推だけを示して「など」で少し濁しておく方法もあるのではないかなと思いますが、しかしながら、これからの子供たちに小学校の時代から演繹的に考えることが重要だと、そういう議論の上で入れていくというのであれば、それは結構なことだと思います。
【清水(静)主査代理】    このところについていかがでしょうか。多分、中川委員の御発言からすると、このレベルのところに書いてしまうと、低中学年あたりからも頑張ってされてしまう危険性があるかもしれないという危惧かと思いますけれども、何かよい知恵があれば、この際ですからお話いただければと思います。事務局から何かコメントございますか。はい、どうぞ。
【平野教育改革調整官】    ただいま中川委員から御指摘いただきましたとおり、小学校で演繹が出てくるのは5年生以上ということでございますので、帰納・類推・演繹を三つ並列的に並べるのがいいのかどうかというのは、実は事務局でも悩んだところでございまして、先ほど、例えば「など」にするとか御提案がございましたけれども、ほかにも何かいいお知恵があれば、是非御意見賜ればと思います。
【清水(静)主査代理】    いろいろ御苦労されて案を示されているということでありますけれども、何かございますか。途中でお気づきになりましたら触れていただいても結構です。
  では、ほかのことも含めましていかがでしょうか。特にこの案ですと、「算数・数学科における見方や考え方(案)」ということで、先ほど大杉室長さんから御説明をいただいた「見方・考え方の成長」ということを中核においてそれぞれの教科で見ていくという方向も示されておりますので、その辺のところも含めまして御意見頂ければと思います。では、大谷委員、お願いします。
【大谷委員】    ただいまの中川委員の小学校の帰納・類型・演繹という表現ですけれども、資料5の思考・判断・表現というたたき台のところでは、高等学校、中学校は論理的に考え考察するという表現に対応する小学校の部分は、見通しを持ち筋道を立てて考察するという、そういう表現もございましょうから、それは少し月並みな言葉になるので格調が高くないということなのかもしれませんけれども、何か代案ということであれば、あえてそういう表現もあり得るのかと考えました。
  以上です。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。今の件も含め、ほかの話題でも結構でございます。いかがでしょうか。
【中川委員】    資料5でもいいですか。
【清水(静)主査代理】    もちろん。議題1、2を合わせてでありますので、資料はいずれに触れていただいても結構です。中川委員、どうぞ。
【中川委員】    すいません、資料5でちょっと細かなことを発言させていただきます。主体的に学習に取り組む態度に、学習を振り返ってよりよく問題解決しようとするというのがあります。これは非常に重要なことで、これからの子供たちにそういう力を付けていきたいし、そういう教育が実現したらいいなというふうに考えております。ただ、この文言をそのまま出してしまいますと、学習を振り返るということが小学校の教育現場におきましては、単なるおさらいに終わってしまう可能性があるのです。今日はこんなことを学びましたねと、あるいは学習感想で終わる可能性があるのです。もし可能なら、ここを学習の成果と置くことで算数らしい、今日学んだことの意味を問うたり、少しメタの視点から1時間を振り返ってみる、そういう意味合いが込められたらいいなということを1点思います。
  すいません、ついでにもう二つ、話をさせてください。思考・判断・表現の中に、柔軟に表現したりする力というのがあります。これは少し意味が取りきれなかったので事務局から具体例のお示しをお願いいたします。
  もう1点です。個別の知識・技能では、基礎的・基本的な概念や性質、概念と性質を二つ並べています。思考・判断・表現のところでは、基礎的・基本的な数量や図形の性質、ここでは「など」がついているんですが、つまり知識・技能の表現と思考・判断・表現での示されている表し方が、微妙にずれがあります。ずれがあると、また現場は性質とは何か、概念とは何かといって、無駄なところに労力が費やされて、子供たちの学びを充実させるという本来のところにエネルギーが向かわないので、可能なら同じような表現にしていただけたら結構かと思いますが、何か意味があるのでありましたら教えていただければと思います。
【清水(静)主査代理】    それでは、3番目のことは小・中・高共通の問題ですので、何か配慮があってこのようになっているのかどうか、御説明いただければと思います。
【笠井調査官】    概念と性質については、思考・判断・表現の場合は、性質などを見いだすことは、可能かなと思うのですけれども、概念については、見いだすというより獲得する語尾がうまく合わないと思いました。「理解する」ですと、概念や性質は動詞として合うのです
  それから、柔軟にということに関しては、やはり小学校段階は考えることについて,具体物を使って考える子供から式を使って抽象的に考える子供まで、広い範囲で考えることがあります。抽象的に考える子供であっても具体的な例を出せて説明をしてあげたり、具体的に考える子供であっても、より一歩抽象的な考え方に高めていったりといったように考え方を柔軟にとれる子供たちが小学校段階では特に大事ではないかなということを考えまして、柔軟にという言葉で表させていただいています。
【清水(静)主査代理】    併せて、最初の主体的に学習に取り組む態度の小学校のところで、学習を振り返るというのはちょっと大ざっぱすぎるので、例えば学習の成果というようなことで、もう少し限定をかけたらどうかということもございましたけれども、これについても。
【笠井調査官】    「学習を振り返って」の「学習」ついては中川先生がおっしゃったとおり、学習した結果の結論,考え方などの方法,着想などいろいろなことを振り返ることがあると思います。成果といったときに、結論にいってしまうこともあるかなということも考えて、今回は広い表現はしています。中川先生の御心配はよく分かるということを思っています。
【清水(静)主査代理】    中川委員、何かありますか。よろしいですか。
【中川委員】    それぞれとても深く考えられていて、ぱっと見だけで思い付きようなことを申し上げて少し恐縮しておるところですが、今御指摘いただいたように、学習の成果としたらしたで、また弊害があるなということを今思い至りました。
【清水(静)主査代理】    同じテーマでも結構ですし、ほかの話題でも結構ですので、委員の先生からはいかがでしょうか。大谷委員、どうぞ。
【大谷委員】    今の中川委員のこと、先ほどもそうで、後知恵的で申し訳ありませんけれども、小学校の主体的に学習に取り組む態度の二つ目の学習を振り返ってよりよく問題解決しようとするという部分の、高等学校と中学校と表現を変えられたというところの御説明がなかなか、もう少しすっきりできたらと思うんですけれども、高等学校や中学校の場合は、私の個人的な解釈ですけれども、評価・改善をするということが、しようとするということが目指されているように思うんですけれども、それは結果であったり、プロセスであったり、両方あろうかと思うんですけれども、小学校の方は、問題解決をしようとするという意味で、しようとする対象がひょっとしたら同じなのか、違うことなのかということが、私個人的にとっては少しすっきりしないところがございます。
【清水(静)主査代理】    この点、もう一度御説明よろしいですか、事務局から。
【笠井調査官】    小学校のよりよく問題解決しようとするというのは、この言葉は生きる力の中の確かな学力の中の言葉にありまして、ずっと使われてきているいい言葉だなということで使わせていただいております。評価・改善をして振り返って、今日の学習を振り返って「このような着想、方法がよかった」「こういったことがわかった」ということを振り返って終わるのではなく、そのことを似たような問題に実際に当てはめて使ってみて、子供たちが学んだことの価値を実感するということがあると思います。
【清水(静)主査代理】    大谷委員、いかがですか。
【大谷委員】    そのような伝統的に引き継いでいる表現であり、振り返って評価・改善したものをまた新しくさらに生かしていくということというふうに理解していただければ、それで結構ではないかというふうに思います。
【清水(静)主査代理】    ほか、いかがですか。藤井委員。次、山田委員。藤井委員、先にどうぞ。
【藤井委員】    今のところですけれども、中・高が「問題解決の過程を振り返る」とあり、小学校は「学習」となっていますが、ここは意図的にそろえていないのですか。
【笠井調査官】    ここについては、中学校や高等学校は現行の「数学的な見方や考え方」の評価の観点でも問題解決の過程を振り返ってという言葉が入っていまして、そのことを残しているわけです。一方、小学校は、現行では、実際に自分で数学的に表現をして、その表現をしたことを振り返ってといったことが書かれています。今回。それを中・高レベルに、急に高いところまで持っていって大丈夫かなといったこともありまして、その中間あたりで、自分で考え表現したことだけを振り返るのではなく、もう少し着想だったり、方法だったり,そういったことに広げていきたいといった思いで学習をといった言葉で表しています。
【清水(静)主査代理】    藤井委員、いかがですか。
【藤井委員】    分かりました。私は「問題解決」でそろえておいて、後半の方をみると、小学校の方は、「よりよく問題解決しようとする」中に、問題を解いた後にさらに発展させようという意味合いが感じ取れますので、その部分を、逆に中・高に反映させては。つまり「評価・改善」で止まらないように。「改善」の中にさらに問題を解いた後で発展させたり進化させたりというニュアンスが出ていればいいですけれども、与えれれた問題だけを解くというようなニュアンスもあるので、むしろ中・高の方は評価・改善に加えて、さらに「発展」だとか、そういう言葉も付けてみた方がより一層、主体的に取り組む態度の柱としてはいいのではないか。解いて終わりにしないで、さらに自ら何かやるという、意欲の側面を示した方がいいのではないかなというふうに思います。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。山田委員、お待たせしました。どうぞ。
【山田委員】    評価の観点の名称なんですけれども、「関心・意欲・態度」を改めて「主体的に学習に取り組む態度」となっているんですけれども、この言葉だけ聞くと、私の感覚だけかもしれませんが、「学習に取り組む態度」ということになるので、例えば宿題を出したかとか、発言をしたかとか、ノートを真面目にとったかとか、そういうイメージが先に出ちゃうような気がします。だから、例えばもう少し数学的にこんなところを見てほしいというメッセージが込められたらいいのかなと思っています。いいかどうか分かりませんが、例えば「主体的に数学を活用しようとする態度」とか、数学独自の文言に変えてもいいのかなと思いました。
  以上です。
【清水(静)主査代理】    多分この三つの評価の観点というのは、教科共通のものですけれども、将来的には、各教科に固有のこれに対応する観点を設定する方向になるのでしょうか。あるいはもともとのものを尊重して各教科の固有のものを作らない方向なのか、その辺については、今の段階でお答えできることでしょうか。もしお答えできるのであれば、お聞かせいただきたいと思います。
【大杉教育課程企画室長】    もともとの共通の考え方を尊重していただきながら、少し具体的な書きぶりは各教科ごとに検討していただくということになろうかと思います。例えば、今御提案いただいたような活用をしようとする態度というようなことで考えていくということも考えられるかもしれませんし、その場合に、そうすると、活用という言葉の意味合いがどうしても思考・判断、表現ぽいなというようなこともあるかもしれませんし、そのあたりも含めて、これはこの場でというよりは、もしかしたら、もう少し協力者会議の方のベースになるかもしれませんけれども、先生方からも御意見頂きながら教科ごとに考えていくということになろうかと思います。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。ほかも含めてどうですか。中川委員、どうぞ。
【中川委員】    すいません、先ほどの振り返りについて、表面上は納得して、まだまだ納得していないのですが、算数が昭和46年代の3観点、知識・理解と技能と数学的な考え方、関心・意欲・態度を評価の対象としなかった時代の事柄を教える算数から、もっとちゃんとした子供たちのやる気、意欲を育てる教育として本物になっていく大切なところだと思います。そして、深い学びを算数において実現する勘どころが、この振り返る場面でなかろうかと思いますので、小学校の学習を振り返って、よりよく問題解決しようとするというのは、これはこれで十分に練られた文章なんですが、さらにもう少し私たちも知恵を絞ってみたいなと思います。
【清水(静)主査代理】    ほかはよろしいでしょうか。今の「主体的に学習に取り組む態度」のところの学習を振り返る学習の範囲が広すぎるという懸念を皆さん感じられていると思いますので、よりよく問題解決するというものの、「よりよく」ですから、その前に問題解決が存在するはずですので、その辺も考えての表現の工夫というのをしていただくとよいかと思います。
  それから、「個別の知識・技能」で、「概念」ということが明確に位置付けられていて、今日は所用で御欠席でありましたけれども、真島先生も数学・算数においては概念の獲得、形成というのは大事だということをおっしゃっていましたので、この辺のところをしっかりと明確にしていただくということと、平成10年と現在の学習指導要領では、小学校では算数で概念という用語を使っていなかったと思います。「意味」という用語に変えていたかと思いますので、もし可能であれば、ここでの議論ではないと思いますけれども、この大枠が決まりましたら、人間が物を考えるときに最も基本的な要素ですので、数と量と図形については「概念」という用語をうまく位置付けていただけるといいなと、個人的な感想です。
  ほかの視点でも結構でございますので、いかがでしょうか。どうぞ、齊藤委員。
【齊藤委員】    二つありますが、まず評価のところで気になったというか、考えていることをお話させていただきます。主体的に学習に取り組む態度の名称を関心・意欲・態度から変えた経緯については、先ほど大杉室長さんの方から御説明いただいて納得している部分がございます。その一方で、資料7-2の一番下の外枠に「学習過程については、自立的に、ときに協働的に行い、それぞれに主体的に取り組めるようにする」と、いずれの場面でも自立的に、協働的に行うんだということを外出しすることによって、これらが、あるときは個人の中で、そしてあるときは他者との協働の中で行われていくと、この間、算数・数学のワーキングでは整理してきたというふうに記憶しています。
  このように考えると、この主体的に取り組む態度という主体的という文言をうまく発信していかないと誤解されてしまう。すなわち自分だけでやれば良いのだと。本来、算数・数学というのは、もっと数学そのものが知的なコミュニケーションのツールとして成立すべきであって、現行の中学校の指導要領などでも、数学的コミュニケーションの重要性というのが強調される中で、互いに自分の思いや考えをしっかり伝えて、もうちょっと違った言い方をしますと、算数・数学というのは自分が納得するだけではなくて他者を説得する、そういうために質の高い表現方法を考えていくという、そこに教科としての非常に重要なポイントがあるというふうに私は思っているんです。昨今、非常にこのコラボレーションが重視される中で、主体的に学習に取り組む態度というところに知的なコミュニケーション、数学的なコミュニケーションという、算数・数学の持っている教科の価値としての協働性のようなものがもう少し出ても良いのではないかなという感じがしました。もちろん、評価の観点の表題を変えるという話ではなくて、主体的に学習に取り組む態度の守備範囲というものについて、少しうまい発信をしていかないと、個人の中でいわゆる完結してしまえばそれで良いのじゃないかという誤解も生じてしまうのではないかなというふうに思いました。
  もう一つは、2点目は、資料4の見方、考え方の位置付けというか、今後これがどういう取り扱い方がされていくのかということなんですね。これは、算数・数学のイメージの資料7-1の中で整理されてきている丸1、丸2、丸3で示されている内容と関わったり、または資料5の評価の観点、特に思考・判断・表現のところの部分のものと関連したりする中で、この間、深い学びの視点から見方、考え方というものが重要なんだと、それを算数・数学の中ではどう捉えたらいいかという、そういう整理でよろしいのかどうか。この見方、考え方が今後どういう役割を持っていくのかというのがちょっと見えなかったんです。
  なぜそういう話をするかというと、現行でも、例えば数学的な考え方ということで、見方、考え方というのは、戦後の算数・数学教育の中でも繰り返し議論されてきて、整理されてきているわけですけれども、この数行の文言を見ると、どちらかというと、算数・数学の表現方法とか、思考の進め方とか、方法論的なものは非常に色濃く出ているんだけれども、いわゆる鍵概念というんでしょうか、算数・数学を支えていくような、先ほどから概念とか性質という話題が出ていますけれども、それらの文言というのは、この1行目の数理的に捉え、数学的に表現し処理ということの中で全て言い切っているのかどうか、そのあたりがよく分からなくて、この資料4の見方、考え方の、繰り返しになりますけれども、1点目は、どういう位置付けで今後使われていくのかということと、ここで言っている数行で算数・数学の見方、考え方というものは全て言い切っていいのかが非常に私は疑問な部分もあるものですから、事務局の方で何かお考えがあるようであれば、お聞かせいただけるありがたいなというふうに思っております。長くなりました。申し訳ございません。
【清水(静)主査代理】    事務局から先に。
【平野教育改革調整官】    今回、この算数・数学における見方、考え方というのを示させていただきました。実は、算数・数学では現行の学習指導要領でも、観点別評価の中でも、ここで言うところの思考・判断・表現に該当するものとして数学的な見方、考え方、小学校ですと数学的考え方になっていたかと思うんですが、今回は、そういった思考・判断・表現だけを表現するものではなくて、知識・技能や態度にも関わるものとして、もう少し概念を広げた形で再整理してはどうかということが一つございます。
  共通的な見方、考え方の考え方については、先ほど大杉室長の方から御説明させていただいたとおりでございまして、見方、考え方を通じて知識、技能をさらに深め、身に付けていくし、思考・判断・表現も高めていくし、情意、態度も深めていくというような、この三つの柱全体に関わるものとして今回再整理させていただければということでございます。
  したがいまして、こちらのイメージ図との関係でいいますと、丸1、丸2、丸3がそれぞれ3本柱に該当するということでございますので、二重丸の部分にこのニュアンスを今後少し反映させていければと思っているところでございます。今のところでいいますと、ここが数学的に考える資質・能力という言葉にさせていただいているんですけれども、それを構成するものとして見方、考え方というものが多分入ってくるんだろうと思うんですが、それをもう少し見える形で出すのかどうかというのは、ちょっとこれから表現を、本日、この見方、考え方の表現ぶりについて、大体賛同を得られるということでしたら、少し事務局の方で工夫させていただきたいと思っております。
  それから、事象を数理的に捉えという部分に数学の基本的な概念的な見方というものを実は盛り込んだつもりで、数とか、形とか、式とか、そういうもので捉えるというような視点をここで含めて書いたつもりでございますけれども、それを書き出すと非常に長くなるというのがございましたので、とりあえずこういう表現で置かせていただいているという、そういう状況でございます。
【清水(静)主査代理】    齊藤委員、いかがですか。
【齊藤委員】    たしか1回目か2回目のワーキングの折にも、この三つ目の柱の思考・判断・表現力のところには、算数・数学強化、固有ならではの、この間、ここの表題も少しずつ変わってきていますので、大分前の話なので少しずれてきますけれども、そういった内容的なものがある程度見えるようになってこないと、教科としての特性とか、そういったようなものというのはどこに表現されていったら良いのでしょうかというような、そういう御質問とか意見を出させていただいたというふうに思っております。
  そんな中で、今御説明いただいたように、例えば1行目の事象を数理的に捉えとか、また、数学的に表現し処理といったような部分の中で、子供たちが日常事象を算数・数学の舞台に乗せてモデル化をするとか、またはある事象を一つ、例えば算数固有の考え方として、単位の考え方でそれを眺めようとするとか、そういったようなものがその中に入るんだというような形での今御説明だったので、なるほど、そういうことならば、その裏側にそういうものが潜んでいるということを説明していかないと、こういった内容が学校現場におりていって、実際に今度は先生方がこういった方向性で、この見方、考え方を大事にするといったときに誤解が生じる、そういったことのないような進め方であったりとか、表現の仕方であったりとか、またはこれを解説する方法であったりとか、そんなようなことがきっと必要となってくるのかいうことを感じたところでした。
【清水(静)主査代理】    では、板垣委員、お願いします。
【板垣委員】    私は、また資料の5方に戻らせていただきたいと思います。中学校で子供たちの数学の力を付けるための授業をやっていると、数学的なセンスは非常にあるんだけれども、なかなかそれが本来の力として結び付いていかない子供たちがいます。それはなぜかなというふうに考えたときに、それを自分でしっかりと時間をかけてその学習に向き合えないような、そういう子供たちがいます。そういう意味で、主体的に学習に取り組む態度というところに、高校生の方だと粘り強く考えという、そういう言葉が入っているんですが、中学校では粘り強く考えるという言葉がないというところが、ちょっと残念かなというふうに思いました。今、情意的な部分、非認知的な部分が人が成長していく中で非常に大事だというふうに言われているところですので、必ずしも数学の力というよりも、数学を身に付けるための粘り強さ、根気強さみたいなものをこの主体的に取り組む態度の中に文言として入れた方がいいのではないかというふうに思います。
  以上です。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。議題1、議題2について、予定の時間が迫ってきました。大谷委員、先ほどございましたけれども、よろしいですか。
【大谷委員】    個別の知識・技能のところで、高等学校が基本的というところを、中学校に比べて少しレベルが高く体系的な部分という含みを込めて基本というふうに現行の指導要領では使われていらっしゃるので、小学校のところが知識・技能を概念、性質というふうに格調高くされたところで基本ということを残したらいいのかどうなのかというところが少し、言葉の使い方として気になった点がございます。
  以上です。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。清水委員、どうぞ。
【清水(宏)委員】  私は、まず資料4の方を見させていただいて、この見方、考え方でよいと思います。私も中学校での指導の経験がありますので、先ほど御紹介いただいたこの白表紙の現行のものと比べてみまして、数学的な見方、考え方のところを見てみますと、事象を数理的に捉え、数学的に表現し処理するとともにというのが、現行では事象を数学的に捉えて論理的に考察し表現したりというところに当たると思います。そして、現行は、その過程を振り返って考えを深めたりするというふうに書いてある、ここが論理的に考え、統合的・発展的に考察すると今回はこのように書き換えているというふうに私は解釈したわけですが、先ほどの問題解決の過程を振り返るということが、主体的に学習に取り組む態度の方に入っているので、今回の改訂ではこのような表現になっているのかなというふうに一般の先生方が考えると思うのですが、少しこが先生方にはわかりにくい表現になっていて、もちろん過程や結果を振り返って統合的・発展的に考察するわけですので、その意味は十分分かると思うのですが,今回の改訂で大切なところですので,少し難しい文言になっているのが気になるというのが、まず1点です。
  それからもう1点は、評価のことについてです。算数・数学の評価の観点で、従来4観点あるところを,知識と技能を一緒にして,3観点にするということでありますが、数学を学習するときの特徴を考えますと、意味が分からなくも、とにかく計算はできるという状況があると思うのです。意味が分からなくても計算ができてしまう。そういうときに、例えば若い先生が、計算ができているということに対して、これは従来的には技能の観点として評価をするわけですが、これを観点が一緒になったということで、計算ができたということイコール意味が分かっているというふうに解釈して評価するという誤解が生じる恐れがないかを心配するところであります。、もちろん知識・技能の観点の中で分けて評価をするように具体的な観点を書けばいいわけですが、これが一緒になることによって、数学の特徴による誤解が生じてしまうというのが懸念されることであると思います。3観点にするというのはほかの教科と横並びであると思うのですが、殊数学に関しては、この議論はしっかりやって、同じ観点の中に入るわけですが、実際に評価をする際の見方としては、違う文言として柱を立てるということが大事になると考えております。ありがとうございました。
【清水(静)主査代理】    二つの議題について、よろしいでしょうか。では、藤井委員、どうぞ。
【藤井委員】    今日の資料の4ですけれども、細かさの程度というか、そういう観点からいうと、この程度が私はいいと思います。諸外国を見ましても、この「見方・考え方」について、例えばアメリカのCommon Core State Standardsなどは8つぐらい列挙している。ああいうふうに細かく特徴付けて書くと、逆にそれが独り歩きしますし、「見方・考え方」というか、プロセスだけ取り出して指導するような誤解も出てきます。日本は伝統的に学習内容が緻密に計画され、よく考えられたものがあって、「見方・考え方」は、そういうものと絡み合っていくところが特徴だと思います。なので、この程度の細かさで良いと思います。内容としっかりからめて、「見方・考え方」をやってほしいというメッセージをきちっと出すことの方がいい。日本の先生方は力量があり、それに見合っていると思います。
  それから、先ほどの数学的な技能の柱がないことについては、特に中学校の現場がどう反応するか、私もちょっと危惧しています。「技能」の柱がなくなったことによる影響は私も懸念はいたします。
【清水(静)主査代理】    最初の項目で、知識・技能となっているのは、観点としては一つですけれども、実際に指導する、評価するというときには、また幾つかのパーツに分かれますよね、当然のこととして。その辺はどうですか。
【大杉教育課程企画室長】    それを是非御議論いただきたいと思っておりまして、これを一緒にしたときに、この観点の趣旨を書き分けた方がいいという、知識と技能とですね。という教科と、むしろ知ってできる、できて知るということが大事なので、一体化した方がいいのだという教科がございますので、数学の特徴に照らして、どちらがよろしいか。
  また、先ほど御紹介させていただいた評価のペーパーの中で、知識の構造化の話と、技能も一定の手順ということと、いろいろな場面で使えるということの両方を見据えながら、発達の段階に応じて、どこの段階でどの程度ということが、技能ということ自体のそういった考え方も広がってきているということも踏まえながら、是非御議論をいただくというようなことが必要かなと思います。失礼いたしました。
【清水(静)主査代理】    選択肢をいただきました。予定の時間を超えていますけれども、今の件について是非御発言ということがございましたら。宇野委員、どうぞ。
【宇野委員】    確かにできると分かるの違い、答えは出せるけれど、何を自分がやっているのか全く分かっていないというようなことはよく見ますので、そこのところは心配です。しかし、一方で、ずっと議論しているとおり、小・中・高で、概念とか原理、法則を理解するという言葉が完全にはっきりと書かれていますので、そこを絶対落としてはいけないことが明確にはなっていると思います。私、この書きぶりで、そこは理解していただけるのではないかと考えます。
【清水(静)主査代理】    ほか、是非にという方はいらっしゃいますか。
  いろいろ御意見を頂きましたけれども、大枠については、皆さん、大体御理解をいただけたと思います。整合性についてのこととか、うまい表現があったら工夫していただくというようなことがありましたので、今後さらに詰めていただきたいと思います。
  それからもう一つは、「見方・考え方」について、三つの柱から横断的に見ていくということが根本にある、これは大変大事なことだと思います。既に算数・数学教育の中では、「数学的な見方や考え方」として独自の位置付けがございますので、それらとの関係をきちっと説明をしていくという努力をされないと、勝手に今までの「数学的な見方や考え方」と同じだと思われてしまうととんでもないことになりますので、その辺を是非今後お気を付けといいますか、留意をしていただいて、誤解のないようにしていただければと思います。
  それから、最後ですけれども、資料4のところで、「考察する」ということになっておりますが、先ほど来おうかがいしていますと、もろもろの数学的活動を進めていく際に、縁の下の力持ちとして働くものとして「見方・考え方」があるかなというような雰囲気を感じましたので、その辺のところも整理をしていただきながら適切な表現をまた探っていただければと思います。
  それでは、予定の時間を越えてしまいましたけれども、また後でよい知恵が沸いてきましたら、遠慮なく付け加えていただいて結構ですので、次の議題3に移らせていただきたいと思います。
  議題3は、統計的な内容等の改善についてということでございます。御説明をお願いします。
【金城教育課程課課長補佐】    御説明いたします。資料6-2を御覧ください。左とじの資料でございます。
  小・中・高等学校を通じた統計教育のイメージ、内容等の整理(案)でございます。こちらは前回もお示しして御議論いただいたところでございますけれども、赤文字の箇所が前回からの修正点でございます。
  まず、前回は批判的に解釈する力であったり、批判的に物事を見つめ多面的に分析することが重要ではないかといった御意見を賜りましたので、高校と中学校の方で、前回の案としましては、データの二次利用の際にデータの収集方法を批判的に考察するとありましたけれども、データの収集方法や統計的な分析結果などを批判的に考察すると改めております。これはデータの二次利用の際にという限定を付けずに、批判的な考察が必要ではないかということで修正を加えております。また、小学校につきましても、こういった批判的な考察という力が必要ですので、今回新たに付け加えてございます。
  また、資料の下段の方でございますけれども、資質・能力及び内容等の整理のところの一番上でございますが、個別の知識や技能のところで、前回は体系的理解というふうに書かせていただきましたけれども、数学の中で体系的に統計を理解するのはなかなか難しかろうということで、情報科等の役割分担も必要でございますので、体系的というのを落として理解というふうに変えております。そのほかは改行等の細かい修正でございます。
  また、下線を施しておりますけれども、この下線の箇所は、今回、統計教育の充実の観点から、新たに充実、追加するという趣旨で下線を付してございます。
  1枚おめくりください。先ほどイメージ、内容等の整理を踏まえまして、今後の統計教育の改善の方向性の案を示したものでございます。
  まず、高等学校におきましては、現行ではなかなか統計を履修している制度が少ないということもありまして、より多くの生徒が履修できるように科目構成、またその内容について見直しをしてはどうかということ、また、これは数学1でございますけれども、必履修科目の内容を小・中学校の内容を踏まえ充実してはどうか。また、数字Bを念頭に置いていますが、選択科目の内容を「(問題解決で)使える統計」になるように改善したらどうか。また4点目としましては、教科「情報」との関連を充実し、問題解決型の学習を重視する方向で検討してはどうかといった4点を挙げております。
  また、中学校でございますけれども、疑問をきっかけにして問題を設定し、それを解決するために必要なデータを集め、表現・処理し、現状や傾向を把握したり、二つ以上の集団を比較するなど問題の解決に向けた一連の活動を充実してはどうかということ、また、統計的な手法についても充実したらどうか。また、統計的な表現については、他教科等での学習内容と関連付けて内容を見直してはどうかという3点を挙げております。
  最後に小学校でございますが、統計的な問題解決活動の充実を図るということ、それから、棒グラフや折れ線グラフ、ヒストグラムに関して複数系列のグラフなどを扱うといった方向で見直したらいいかということ、3点目としましては、理科と算数の内容の関連を引き続き留意したらどうかといった3点を挙げております。
  もう1枚おめくりくださいませ。3ページ目ですけれども、高等学校において統計教育の充実ということで、高校に特化した形でたたき台をまとめております。これも前回の高等学校の数学と情報科との関連について御意見を賜ったので整理したものでございます。
  まず、左側の数学科でございますけれども、上の方に数学1としまして、現行ではデータの分析で統計的な内容を学ぶことになっておりますが、改善の方向性としまして、小・中学校の内容を踏まえ、内容の見直しをする、またPPDACサイクルを意識した問題解決型の学習をする。また、できるだけ早期に学習し、情報科をはじめとする他教科等の学習にも活用したらどうかといったことを挙げております。
  また、選択科目では、数学Bで確率分布と統計的な推測を学んでおりますけれども、改善の方向といたしまして、より多くの生徒が履修するように工夫すべきではないか。また、「使える統計」になるよう内容を工夫・改善したらどうかということで、例えば「データの活用」などに名称を変更したらどうかといったことへ方向性を挙げております。
  また、情報科の方では、現在、情報科の方のワーキングチームで議論中でございますけれども、現在、情報1、2ということで、二つの科目に分けて統計教育を学ぶことになって検討が進められているところでございます。
  数学科の方では、統計を活用するための基本的な知識や技能、考え方を育む、その上で情報科において、数学で学んだ内容を踏まえて統計を活用して問題解決する力を育むということで、左側から右側への矢印が向いておりますけれども、こういった数学科と情報科での役割分担が必要ではないか。
  また一方で、情報科を学ぶことによって、さらに統計教育について、より興味、関心が生まれることによって数学をさらに学ぼうという逆の方の矢印も向いてくるのではないかということで、相互の往還というのが期待できるのではないかというふうに考えております。
  続きまして、1枚おめくりくださいませ。4ページ目でございますけれども、これは主に小学校を念頭に置いて作成していますが、中学校や高校においても言えることだと思います。現状では、統計教育については問題の発見があり、調査の計画、データ収集、グラフを作って、一応の結論を得ておしまいという状況でございますけれども、ここの黄色の枠囲いをした箇所、さらに新たな疑問を提起して、データの批判的な分析、考察をするという、そのサイクルをさらに延ばしていってデータを見直し、再作成し、グラフを分析し、また、より深い結論に至るという、こういった新たなサイクルを回すということが必要ではないかということで、このような図を作っております。
  具体的に申し上げますと、5ページ目以下、小学校、中学、高校で例示を挙げておりますが、小学校3年生でいいますと、棒グラフの学習の充実ということで、例えば、けがをした人数ということで表を作成していますけれども、メモリが10からスタートすると、すりきずと切りきず、大きな差があるというふうに見えますが、実際はメモリがゼロから始まっていないために、切りきずが少なく見えるという、ある意味、統計上のトリックというのがあるかと思います。そういったことで、実際にゼロメモリからスタートすることで、すりきずは多いのですけれども、切りきずとはそこまで大きな差はないということで、批判的に交差するような学習が今後求められるのではないかということでまとめたものでございます。
  以下、小学校5年生、また中学校、高校でも同じように、こういった統計教育においての批判的な学習ということで例示を挙げておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
  説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。それでは、先ほどと同じように委員の皆さんから御意見を頂きたいと思いますので、よろしくお願いします。椿委員、お願いします。
【椿委員】    説明ありがとうございました。小・中・高の統計教育のイメージに関しては、かなり大幅に強化といいますか、具体化していただいたことを感謝申し上げます。
  特に今回御説明いただいたことの中で、先回も議論になっておりましたけれども、情報科との関係性というのが非常に充実したものになるであろうということが予測できるということで、大変ありがたく思います。
  一方で、今回の資料の3ページ目に、情報科の方にモデル化とシミュレーションの考え方というようなものが柱に上がってくるということを見ますと、私自身は統計が専門ではありますけれども、現象のモデル化並びにシミュレーションということは、数学的活用、我々の統計のみならず確率ないしは、もっと言えば、関係性といいますか、そういうもの全てに関わる非常に大きなものになってくるかと思います。もちろん統計は数学の中においても、「データの分析」ないし、今回出てきました「データの活用」という形で基本的なところを補っていくということになるのですけれども、数学の中において統計が、モデリングとかモデル化をデータに基づいて行っていくということの強調と同時に、既存の数学自体もこのモデリングないしはシミュレーションと非常に密接な関係であるということを意識していただく必要があります。そのための一つの項目として、「データの分析」とか「データの活用」というものが位置付けられている。情報科と数学科をうまく結ぶような接着剤といいますか、触媒のような役割ができれば非常に望ましいのではないかというふうに考えるところです。
  先に言うべきでしたけれども、現在の「確率分布と統計」というような形のものをより数学のあるいは、数理の機能に着目した「データの活用」というような形に変えていく、そこを選択科目とし、できるだけ履修者の数、前回も御報告いただいて大変ショックだったのですけれども、そういうものを理解していただく高校生を広い層にしていただくということも、私は大変ありがたいことだと思っていますし、大賛成だと考えています。
  PPDACサイクルは数学の「データの分析」、数学1の中できちっと理解していただくということですけれども、PPDACという名前は特に示すかどうかということには問題ありますけれども、これは小学校における算数の活動、ないしは中学校における数学の活動の中でも是非この種のサイクルでやっていただく。PPDACサイクルが今回の指導要領、この委員会の中で出ている数学の活動的のプロセスと極めて整合性が高いものだと理解しておりますので、こういうことも小学校からやっていただくという形で、非常に期待しているところです。基本的に事務局に非常によくまとめていただいたということを感謝申し上げたいと思います。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。では、宇野委員、お願いします。
【宇野委員】    資料の中で、方向性と内容等の整理は非常に分かりやすくまとめていただいたと思っております。
  2点ほどあります。まず、小・中・高等学校を通じた統計教育のイメージ、内容等の整理(案)ですが、小・中・高を通じて、赤の下線で、意思決定をすると入っていますが、統計教育の中で、統計の資料は一つの判断材料ではありますが、意思決定をするとまで書いてしまうのは、書きすぎているような気がします。あまりいい文言は思い浮かびませんが、意思決定につなげていくとか、そういう感じなら分かりますが、するとまで書くと、違和感を感じたのが、1点です。それから、小学校と中学校の違いです。中学校の方には日常生活や社会生活の場面においてがあります。そして、二つ以上の集団を比較というのもありますが、小学校の方にはそういう文言が出てこなくて、逆に最後に、理科の季節の移り変わりと折れ線グラフなど、理科の内容との関係を引き続き留意するとあります。ここが、バランスが悪いような感じがあり、小学校でも日常生活に関わることとか、あるいは二つ以上の集団を比較することがあってもいいのかなと思います。ここをあえて、小と中の違いを出しているのは、何か議論されたのであれば教えていただきたく思います。以上です。
【清水(静)主査代理】    ただいま、意思決定するの「する」はちょっと踏み込みすすぎではないかということと、学校段階での差別化についてございました。事務局の方から御説明いただけますか。
【長尾視学官】    意思決定については、非常に大切なことだと考えています。ですが、宇野先生おっしゃるように、文言としては正しいのは意思決定につなげるかもしれないです。それだけで意思決定するということは多分ないと思いますので、もう1回検討させていただこうと思います。ありがとうございました。
【清水(静)主査代理】    小・中の関係のところについてはどうですか。
【笠井調査官】    先ほどの日常生活や社会生活が小学校にはないといったことなんですが、1ページ目の資料を見ていただきますと、その部分は、小学校は、身近な生活ということにさせていただいています。社会生活まで踏み込むと少し広いかなといったことで、身近な生活ぐらいがいいかなということを考えています。もちろん社会科の授業と関連させていきますと社会生活も入っていきますので、全くないといったことではないのですが。
  それから、二つ以上の集団について比較するということについては、小学校も入れさせていただくようにしました。2ページ目のことについては、改善の方向性にはこれしか書いていないのですが、1ページ目の方に二つ以上の集団を比較するということを書かせていただいていて、改善の方向性の方に追記したいと思います。
【清水(静)主査代理】    宇野委員、よろしいでしょうか。
【宇野委員】    分かりました。1ページ目と2ページ目の違いを余り把握していなくて、申し訳ありませんでした。よく分かりました。
【清水(静)主査代理】    よろしいですね。それでは、大谷委員、お願いします。
【大谷委員】    先回から統計教育について議論をされていて、先回欠席いたしましたので場違いな発言になれば恐縮ですけれども、データということにつきまして、いわゆる量的なデータと質的なデータ、カテゴリからなるデータという、そういうものを前提にされていらっしゃるのか。小学校なんかでは既にカテゴリ的なものも考えておりますし、投薬と効果みたいなものも、統計になると難しいかもしれませんけれども、そういう場面というのは、非常に私たち、日常生活たくさんあると思いますけれども、そういうデータの種類についての検討というのは既になされていらっしゃるんでしょうか。
【清水(静)主査代理】    これはどなたかから御説明いただけますか。
【長尾視学官】    データの種類については、十分検討がまだできていません。例えば情報科なんかでは、質的データと量的データ、両方と考えられていると思いますけれども、そのあたりも今後、細かいところは詰めていかないといけないと思っています。
【大谷委員】    分かりました。
【清水(静)主査代理】    大谷委員から何かアイデアがありますか。
【大谷委員】    大学の共通教育でそういう統計的データ解析を担当したりするんですけれども、冒頭でそういう部分があって、いろいろな身近な場面が出てきますので、高等学校のあたりでもそういった部分の素地というんでしょうか、深い相関比とか、そういう部分に入っていくのは難しいかもしれませんけれども、ある意味、場面としてそういうものが私たち、身近にあるということを知っておくということも、高校の出口としてはあり得るのではないかというふうに思います。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。では、戸谷委員、よろしくお願いします。
【戸谷委員】    すいません、何点か。今、大谷先生が言われた部分というのも、ちょっと気になっているところではあって、データの種類をよく考えないで質的データの平均を出すなんていうことが結構現実的にはあるので、そういうところも抑えておいた方が、ここで書くのかどうかは分かりませんけれどもということは、今、御意見をお伺いして感じました。
  2ページの理科が例に出ているところというのが、私もちょっと違和感がありまして、文科系、理科系みたいな形で中学とか高校の途中ぐらいからだんだん明確に分かれていって、理系の人は文系の勉強はもうほとんどしない、受験に合わせてというような、文系の人は理系の勉強は余りしないというような形で、どんどん分かれていくというのは一つの社会的な問題になっているのではないかというふうに思いますので、小学校の段階で例を出すときに、むしろここで文系の例を出す方が将来的にはいいのかなというような気がいたします。
  それから、4ページのところで問題発見・解決のプロセスがあって、一応の結論というところで表現されているところなんですけれども、統計分析をしていると、結果を見るというのと、その結果を解釈するというところを明確に分けていって、解釈をした結果、さらにもう一度プロセスを繰り返すというような形になっているので、一応の結論というので両方入っているようには思うんですけれども、下のところでは結論と主張というふうになっているので、そういう分け方を、数字としての結果を見るというのと、それを解釈するというところでいろいろな知識を使って解釈をするというような形になっている方が、現実にやるべきプロセスなのかなというふうに感じます。
  以上です。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。では、藤井委員、お願いします。
【藤井委員】    先ほどのデータのところで、今後いろいろ議論していくと思いますけれども、私はある程度意見を持っています。例えば小学校は、どちらかというと、統計の専門の方の御意見も伺いたいのですけれども、質的なデータを中心にしたらどうかと思っていています。今まで議論してきた資質・能力の
育成もからめて、小・中・高の全体のカリキュラムを考えなければいけないわけです。例えばデータについてはは、小学校は主として質的にやるし、中学校は質的データ及び量的データ、両方を扱う。問題解決における目的というか、特徴も、小学校では現状を把握するだとか比較するというキーワードで収めて、中学校はそれプラス、今度は傾向、関係を見るとか、そういうふうに増やしていく。資質・能力の視点からもプロセスのところもだんだん増やしていく。推測や判断、予測は、インフォーマルにやるのが中学校で、高校はある程度フォーマルにやるというように、資質・能力の関係からもだんだんプロセスも増やしていく。そういうカリキュラムをきちっと作った方がいいかなというふうに思います。そうじゃないと、具体化するのが難しくなるのではないか。また、今日頂いた資料で、統計を多くの生徒が履修できるようにするとか、「使える統計」ということは、すばらしいというふうに思いました。

【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。板垣委員、どうぞ。
【板垣委員】    私がこれを見て気になったところが、どれも批判的に考察するという言葉が入ってくるんですが、何か批判的という言葉に違和感を覚えます。疑ってかかるというか、だまされない児童、子供たちを育てなければいけないというのは分かるんですが、もう少し客観的とか、多面的とか、何かそういう言葉に変えられないのかなというのを感じました。
  以上です。
【清水(静)主査代理】    よろしいですか。椿委員、お願いします。
【椿委員】    今いろいろな御意見を伺って、そのとおりだと思うところも多々あるのです。けれども、小学校、中学校の学年進行に応じて何をやるかというときに、今おっしゃられた質的なものから入って量的なものに入るという学年進行のやり方と、もう一つ、小学校において質・量を共に入れて、どちらかというとグラフィカルなもの、いわゆる視覚的なチェックからはいる。そして中学では、大体多くのもので数量的なチェックに進む。それで高校にいくと少しフォーマルな、数理的な話になってゆく。学年進行には、このように二つ大きな戦略というものがあるのだろうなとは、つくづく感じました。
  私自身は、前回の意見書の中では、どちらかというと、小学生は徹底的にグラフィカルなというような形のものを書かせていただいたのですけれども、これについては教育現場の声というものをきちっと意識して決めていただければと思います。
  さはさりながら、小学生においても「科学的な問題の解決のプロセス」というものを日常活動で使えるというのが、ことの本質だと思うのです。私自身、誤解されることを恐れずに言えば、「科学的な問題解決のプロセス」の相当な部分が、今回やっていただいている数理的な問題の捉え方とプロセスだと思っています。ですから、これは実は全ての科目に対する基礎的な主張になっていると理解しています。別に統計に余り固執するつもりはないのです。統計的なデータに基づくアプローチ以外に、もちろん数理的なものの考え方、演繹的な考え方と最初に出ていたような話、この二つの組み合わせに基づいて、かなりきちっきちんとした科学的なアプローチというものができる。それをどういうふうに教えるかは別として、そのプロセス教育は、今回、皆様方に合意していただいているような形で、進めていただきたい。統計というのはそのプロセスの中のでもデータに基づいてやっていくので、単に実践的な活動がしやすいというだけです。高校になれば、もう少し数理的なモデリング、演繹的なモデリングを進めて、それに基づく演繹的な推論を基調とした科学的・数理的な意思決定というものもあってよろしいのではないかと考考えるのです。
  先ほどのような幾つかあるものの判断というものについては、これは実際に現場でどういうふうに教えるか、教育するかということに応じていろいろな考え方があるということは、私自身もそのとおりだと思います。
  それから、今申し上げたように、逆に理科に限定する必要はないというのも、そのとおりだと思いますけれども、ここに書いていただいたのは、恐らく現在の指導要領とか、小学校の学習の実践の中で比較的統計教育といいますか、統計的活動と協調しやすいという観点で書いていただいたのだろうなと認識しているところです。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。ほかに。中川委員、どうぞ。
【中川委員】    先ほどの批判的、板垣委員の御指摘についてですが、私も事前に資料を頂いたときに随分気になっておりました。このクリティカルという言葉をどう訳せばいいのかというのは、いろいろと思案してみたところですが、健全な批判的精神をもって客観的に考察するというのが一番ぴったりくるのですが、それではこの文言としてはよくありませんので、現在の結論は、むしろ批判的という刺激的な言葉を示しておいて、皆さんにこれはどういうことって考えていただいて、説明する方がいいのではないかというのが、現在の自分の結論です。
  話をしたついでにもう1点だけ話をさせてください。学習の充実ということで、具体的に一応の結論を出して、さらに見直してみるというモデルを示していただいたのは非常にありがたいな、すばらしいなというふうに思っております。ただ、これを実際の授業に乗せてみると、従来の小学校ですと45分の中には収まり切らないのじゃないかなと思うんですが、授業時数のことはこの先でしょうか。
【清水(静)主査代理】    よろしいですか。今、名札を立てていただいている委員の方、3名いらっしゃいますけれども、できればこの3名の方で今日はこの話題を終わりにしたいと思いますので、どうしてもという方は意見を整理していただいて、短時間で対応していただくということで御協力をお願いしたいと思います。では、まず山田委員からお願いします。
【山田委員】    感想みたいなものですけれども、3ページの数学科と情報科の連携の図、非常に分かりやすくて、すごくいいなと思いました。普通科の場合、コンピュータ室が一つしかないので、通常は教科・情報の方で使用していて、なかなか他の教科は使えません。だけど、こういう形できちんと数学と情報の連携が取れれば、そういう問題も解決できると思いました。あとは、教える時期等についてもきちんと情報科と連携が取りやすいような配列というか、そういうことも今後ですが、検討していただけるといいなと思います。それから、教科・情報の先生が数学の指導内容を知らないということもあると思うので、例えば今後、情報の解説書とかを作るときに、数学1ではこんなことを勉強していますというようなことが載ると、より良いのではないかと思いました。
  以上です。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。では、齊藤委員、お願いします。
【齊藤委員】    なかなかこういった統計教材というのは、どうしても形式化したり、又は形骸化してしまって終わってしまうというような、そういう反省から、今回の資料の中でも、例えば7-2の学習過程の例であったりとか、また7-3の問題発見・解決のプロセス、こういったような一連の流れに乗せた形で統計教育を充実させていくという方向性は非常にいいのではないかなというふうに思いますし、今回の資料ではそれが大変分かりやすく整理されて、私も良いのじゃないかなというふうに感じたところです。
  ただ、私、もう一つ気になっているのは、先ほど藤井委員の方からもお話がありましたけれども、昨今の資質・能力論からいいますと、統計教育の本質的特性というか、又は統計の教材の持っている本質的な特性、これをもう1回しっかりと見つめ直して、こういった学習をすることによってどのようなジェネリックな能力が育成されるかということを整理した上で、それをベースにして小・中・高をしっかりとつなげていくということが非常に重要だと思うんです。例えば今回の問題解決のプロセスでは、例えば課題を発見して、そこから必要に応じてデータを収集して、いろいろな問題解決をして、もう1回振り返って、批判的に物事を見ていくということなんだけれども、一方では、先ほども話題になりましたけれども、例えば将来を予測するとか、傾向をつかむとか、物事を比較するとか、そういった判断材料としてこういったようなものを使っていって、そこで行われている物事の見方というものが非常に重要な能力として大切なんだと。それがどの学校種の段階でどの程度まで狙っていくかというようなことを丁寧に抑えていかないと、非常にまた同じようなことを繰り返しやっていたり、学校種でひっくり返ってしまったりというようなことにもなりかねないので、内容とともに、どういう力をそこで育てていくかというあたりについても、今後議論していく必要性があるんではないかななんていうふうに感じたところでした。
  以上です。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。では、清水委員、お願いします。
【清水(宏)委員】    私も、この資料を見せていただいて、大変分かりやすく、よくまとめていただいて、内容が理解できました。その中で、前回も御紹介がありましたように、高等学校ではセンター試験で統計を選択して、解答する生徒が少ないというお話を頂きました。中学校に関しては,資料の活用という領域が一つ立ち上がっているのですが、いまだ教材や指導の時間数、内容についても、中学校の先生方は苦労しているという現状がありますので、この最初の1ページのイメージを見せていただいて、前回も私、お話をさせていただいたのですが、意思決定をするということが全校種に入っていて、統計を日常に活用していくというイメージとしては、私はいいと思います。日常生活になるほど、使えるというふうに実感できることが、統計を学習する場面で有効に働くのではないかなと思っております。ただ、今日の最初の議論のように、宇野委員や長尾視学官がおっしゃったように、意思決定をすると言い切るのはちょっと言い過ぎかなというふうに思いますので、意思決定につなげるというような文言がよいと思います.それで、なるほど、日常生活に使えるんだということが子供たちにも分かるように、そして先生方にはいまだ資料の整理になっている部分がありますので、教材研究や指導内容について、日常生活に活用して,児童生徒たちの意思決定に役立てていくように考えられるように,イメージとして伝わればいいかなというふうに思っております。ありがとうございました。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。ほかの先生方、よろしいでしょうか。議題につきましていろいろ御意見を頂きました。椿委員、藤井委員、齊藤委員からもございましたけれども、小・中・高で指導の重点が見えるように何か工夫できないかというのが印象的でありましたので、データの種類とか、表現の手法とか、判断をどの範囲で行うのかというようなことに配慮しつつ、小はこれだと、中はこれだ、高はこれだというようなことが示せるといいかなというふうに思いました。ありがとうございました。
  それでは、おかげさまで大体予定のように進むことができておりますけれども、議題の4、その他がございますけれども、何かございますか。これまでの三つのことに関して、言い残した点があったりした場合も結構かと思いますが、よろしいでしょうか。
  事務局の方から最後に御説明をいただくことになっています。小学校部会での検討事項等についてよろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料の8に基づいて御説明させていただきますが、1点、先ほど批判的な思考ということで、批判的という言葉を使わないとどうするかというような、実は教育課程企画特別部会でも同様の御議論がございまして、論点整理におきましては、一応、物事を多角的、多面的に吟味し見定めていく力というようなことで置き換えて書かせていただいているところです。こういう言葉もベースにしながら、また御意見頂きながら是非検討させていただければと思います。
  それでは、資料の8です。小学校部会の議論について御紹介させていただきます。
  おめくりいただきますと、検討事項がございまして、その後、3ページ目から小学校部会におけるこれまでの議論の取りまとめということでございます。そこに議論の現状等ということでございますように、小学校部会、まだまだ議論の取りまとめの最中でございますけれども、論点整理におきまして、特に言葉に関する能力の向上、国語教育、外国語教育の充実、それも踏まえた小学校教育全体におけるカリキュラム・マネジメントという観点から、これは全ての教科に関わってくることでございますので、先んじてお取りまとめをいただいたところでございます。
  2ページ目を見ていただきますと、社会に開かれた教育課程の実現に向けてということで、資質・能力の育成、それを社会との連携の中で実現していくことなどということでございます。
  特に3ページ目にございますように、小学校6年間という期間は子供たちにとって幅のある期間でございますので、低学年、中学年、高学年、それぞれの発達の段階に応じて、課題に応じた対応が求められるのではないかというようなおまとめをいただいております。
  そして、4ページ目に育成すべき資質・能力と「カリキュラム・マネジメント」の意義ということでございます。ここに論点整理を踏まえた、おさらいのような形で整理をいただいております。
  そして今回、特に5ページ目、言語能力の育成と国語教育、外国語教育、言語能力は全ての教科に関わるものでございますけれども、特に基盤となる国語の力の育成、そしてコミュニケーションという観点からの多様なコミュニケーション、外国語教育の育成という観点からおまとめをいただいております。今後は、全教科を見渡した形でさらなるまとめが進んでまいりますけれども、まずはその言語能力ということでおまとめをいただいております。言語の三つの側面、創造的思考とそれを支える論理的思考の側面、感性・情緒の側面、他者とのコミュニケーションの側面ということ。
  そして、その言語の能力が、6ページ目にございますように、全ての教科における学習の基盤となり、三つの柱の育成を支えるものであるということ、また、コミュニケーション能力につきましても、下から二つ目の丸にございますように、単にチームワークということを越えて、課題の解決に向けて対応しながら深く考え、合意形成・課題解決する能力ということがコミュニケーション能力であるというような御定義をいただいております。
  また、それを踏まえた7ページ目の国語教育、小・中・高を通じた充実、そして9ページ目に外国語教育の充実ということでございます。小・中・高を通じてということでございますけれども、特に10ページ目以降は小学校の外国語教育ということで、11ページ目からございますように、子供たちの学習意欲が高い状況であるということ、現行の外国語活動の成果ということでございますけれども、中学校段階でもう少し読むこと、書くことということもやっておきたかったというような声も出てきているところでございます。また、国としましても、英語能力の目標ということで、高等学校卒業時の子供たちの英語力として、英検準2級から2級程度ということを5割以上にしていくという目標がございますけれども、そうした目標に向けた外国語教育の充実ということも求められているところでございます。
  このため、11ページ目、三つ目の丸の、少し小さい字で例とございますけれども、自分の身近なことについて質問したり答えたりするというような姿を描きながら、読むこと、書くこと、話すこと、聞くこと、4技能の育成ということを小学校段階で行っていく必要があるのではないか。そのためには高学年で教科型、中学年で外国語活動ということで、それぞれ年間35単位時間程度の時数のそれぞれをということが必要ではないかということでございます。これに関する積み上げ、どんな内容を学ぶのかというようなこともしていただいているところでございます。
  これを踏まえますと、中学年、高学年でそれぞれ年間35単位時間増ということになってまいりますけれども、現状で週28時間ということ、これでもかなり小学校段階、お忙しい状況でございますけれども、これにさらに増ということになってくるということ。
  15ページ目、下にございますように、小学校では、既に弾力的な時間割編成の工夫はしていただいているところでございまして、短時間の学習でありますとか、土曜日の学習でありますとか、それから様々な授業の時間の設定の工夫ということをしていただいているところでございますけれども、これをさらに一歩進めて、今回の授業時数増ということと柔軟なカリキュラム・マネジメントということを組み合わせて考えていく必要があるのではないかということ。
  16ページ目の下から二つ目の丸にございますように、他教科も含めて指導内容や授業時数の削減ということの選択肢が難しい中で、中学年、高学年において35時間増ということを、全国一律こういう形ということではなくて、学校の様々なそういうことも促しながら、柔軟な考え方をしていく必要があるのではないかということ。これは15ページ目の一つ目の丸にございますように、様々な短時間学習、60分授業、長期休業期間、あるいは土曜日の活用、週あたりコマ数の増など、様々な選択肢が考えられますけれども、こうした選択肢の中から各学校に応じた取組ということを考えていただく必要があるのではないかということでございます。
  15ページ目の4ポツにございますように、いずれにしても、小学校現場にとっては大きな負担の増となるということ、また、外国語の取組を越えて、全ての教科について対応を考えていく必要があるということ、こうしたことを考えますと、カリキュラム・マネジメントの具体的な在り方、教材の在り方や指導者の確保、指導体制の充実というようなこと、これを全ての教科を見渡しながら考えていく必要があるのではないということで、取り急ぎは考え方の整理でございますけれども、今後、このように具体化に向けて、各ワーキングの御議論も踏まえながら小学校部会としてさらなる取りまとめをしていくという方向性でございますので、今日は取り急ぎ御紹介ということでございます。
  以上です。
【清水(静)主査代理】    ありがとうございました。予定の時間が迫っておりますが、中・高学年で外国語活動及び教科・英語ということで、35時間ずつ増えてしまうという、それを上手に位置付けていくというようなことで、短時間学習が話題になっているようであります。先ほど統計についての内容等が話題になりまして、算数・数学もできればもっと時間が欲しいなというふうに思っている委員の方、また、やっぱりいろいろな仕組みが入ってきたときに、算数・数学に充てている時間がしっかりと確保され、質が落ちないようにしていくというのは、多分、皆さん、全員の総意かと思いますので、その辺には十分御配慮いただきたいと思います。また、全国の様子など、データを見せていただきますと、朝などでは必ずしも標準授業時数に組み込まれないでいろいろ工夫してやっているということもあるようですが、そうした時間が組み込まれるような事態が生まれてしまうと、標準授業時数で算数を学ぶ時間が実質的に減ってしまうような懸念もございますので、その辺に対する注意の喚起といいますか、その辺の工夫は是非お願いをしておかなくてはいけないかなというふうに思います。委員の皆さんにもこの件についていろいろご意見をお持ちの方がいらっしゃると思いますけれども、今日は予定の時刻になっていますのでこれまでとさせていただきます。
  今日は予定の内容について、皆さんの御協力によりまして終了することができました。ご協力有り難うございました。本日お出しいただきました御意見につきましては、事務局で論点ごとにその趣旨を整理していただくようお願いします。
  なお、限られた時間内での討議でしたので、さらに御意見やお気づきの点などがありましたら、いつものようにペーパーで事務局にお送りいただきたいと思います。
  では、最後に次回以降の日程などについて事務局より御説明願います。
【岡村教育課程課専門官】    次回につきましては、第6回と第7回のワーキンググループを同じ5月13日に予定してございまして、第6回が5月13日金曜日の10時から12時、第7回が5月13日の13時から15時となってございます。場所については、追って御連絡いたします。
  また、主査代理からもお話がございましたが、ペーパーによる御意見等も頂戴したいと考えておりまして、ファクス又はメール、郵送でも結構ですので、よろしくお願いいたします。
  なお、本日配付してございます資料につきましては、封筒に入れてそのまま置いていただきましたら後ほど郵送いたします。
  以上です。
【清水(静)主査代理】    それでは、本日の算数・数学ワーキンググループを終了いたします。御協力ありがとうございました。

──  了  ──

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