教育課程部会 算数・数学ワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

平成28年1月22日(金曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 算数・数学教育のイメージ及び算数・数学において育成すべき資質・能力について
  2. その他

4.議事録

【小谷主査】    おはようございます。時間、少しまだございますが、皆様おそろいということで、開始させていただきたいと思います。
  ただ今より、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会算数・数学ワーキンググループの第2回会合を開催いたします。
  本日は、お忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。
  最初に、事務局から、前回欠席された委員の御紹介及び配付資料について御確認をお願いいたします。
【仲教育課程課専門官】    それでは、委員の御紹介をさせていただきます。板垣章子委員でございます。
【板垣委員】    板垣でございます。よろしくお願いいたします。
【仲教育課程課専門官】    丸橋覚委員でございます。
【丸橋委員】    丸橋です。よろしくお願いいたします。
【仲教育課程課専門官】    続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から9、その他、机上に参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。なお、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中には本ワーキンググループの審議に当たり参考となる、関係する審議会の答申や、関係資料等をデータで入れております。前回の第1回会議資料も同様に入れております。以上です。
【小谷主査】    それでは、これより議事に入ります。初めに、本ワーキンググループの審議等については、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開による議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づき議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うことにさせていただきます。よろしくお願いいたします。
  なお、本日は報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
  本日は特別教育支援部会の検討事項のうち、各教科で検討が必要な事項について、特別教育支援部会の御報告を頂いた後に、議題1について意見交換を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  まず、事務局から資料に基づき説明を頂いた後、自由討論を行いたいと思います。
  それでは、教育課程部会特別教育支援部会の検討事項のうち、各教科で検討が必要な事項、情報ワーキンググループ及び体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループにおける議論の状況について御報告いただいた後に、議題1について説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、資料の2をお手元に御用意いただければと存じます。今回、改訂に向けましては、社会に開かれた教育課程という観点から、教科等を超えた方向性ということが出されているところでございますけれども、そういった中で教科横断的に御対応いただきたい事項というのが順次幾つかございまして、そういった事項に関しましては総則・評価部会にお諮りして、各教科におつなぎさせていくという段取りでございます。
  今回、特別支援教育、情報に関わる資質・能力、健康・安全等に関わる資質・能力について、総則・評価特別部会で御審議いただきましたので、今回つながせていただくということでございます。
  まず、特別支援教育につきましては、資料の2、1枚おめくりいただきますと、検討事項についてということがございます。もともとは特別支援教育部会におきまして、御覧のような検討事項について御議論をいただいたところでございまして、その状況をおまとめいただいたものでございます。特別支援学校における教育の在り方のみならず、幼・小・中・高を通じて、特に各教科の目的を実現する上で考えられる困難さに配慮するために必要な支援の改善・充実という、2ポツのマル1のような事項も含めて御審議をいただいたところでございます。
  2ページ目、御覧いただきますと、マル1ということで、「各教科の」とございますけれども、これについては後ほど詳しく御紹介をさせていただきます。
  マル2以降でございますけれども、マル2にございます通級による指導や特別支援学級の意義、それらの教育課程の取扱いについてということでございますけれども、この点に関しましては、従来、指導要領に書かれている事項と、省令あるいは別の告示で書かれている事項がある意味すみ分けをされていたような状況でございまして、指導要領を見ただけではなかなか全体像がつかみにくいというような状況であったところでございます。
  これを3ページにございますような方向性の下に、通級による指導の目標、内容や教育課程の構造、配慮事項、あるいは特別支援学級における教育課程の基本的な考え方、編成の方針等につきまして、総則で全体像を分かりやすく示していく必要があるのではないかという方向性でございます。
  3ページ目、合理的配慮の提供ということでございますけれども、4ページ目、上にございますように、この4月からの障害者差別解消法の施行に伴いまして、社会的障壁の除去の実施といった合理的配慮の提供につきまして、教育現場も含めて求められる努力義務が課されるということでございます。したがいまして、こうした合理的配慮の考え方、あるいはその提供の在り方ということについて、指導要領にしっかりと明記し、先生方に共有していくということが必要ではないかという方向性でございます。
  また、下にございます特別支援教育コーディネーターを中心とした校内体制の確立、あるいは、5ページにございます共生社会の形成に向けた障害者理解の促進、交流及び共同学習の一層の充実ということに関しましても、共生社会の実現に向けたという理念とともに、総則において示すというような方向性でございます。
  それでは、先ほど、後ほどと申し上げましたマル1についてでございますけれども、18ページを御覧いただければと存じます。18ページをお開きいただきますと、各教科等における障害に応じた配慮事項についてということでございます。現行学習指導要領におきましては、総則におきまして全体的な考え方、それから、その解説におきまして障害別の配慮の例ということが示されていたところでございます。今後、インクルーシブ教育システムの構築といった方向性の中では、これらをより各教科等別に示していく必要があるのではないかということ。
  加えて、障害別の配慮の例ということのみならず、学習の過程で考えられる困難さごとに、その配慮の意図でありますとか、手だてということを示していく必要があるのではないかということでございます。困難さの例というところでございますけれども、情報入力、あるいは情報のイメージ化、情報統合などを考えられるところでございますけれども、より具体的には19ページ目以降にございますような、困難さの状況に対する配慮の意図、手だての例をお示しして、現場の先生方の参考にしていただくという必要があるのではないかということ。
  算数科に関しましては、19ページ下にございます。例えば同系色の方眼紙の目盛りが読み取りにくい場合であるとか、「商」、「等しい」など、児童が日常生活で使用することが少なく、抽象度の高い言葉の理解が困難な場合など、こういった困難さの状況に対して、緑色の字にございますような配慮の意図を持って、青の字にございますような手だてということが求められるのではないか。こういったことも、解説と併せて各教科ごとにお示しいただきたいということでございます。
  本日お示しさせていただいたのは、関係の先生方の御協力も得て、小学校の例をまとめさせていただいたものでございまして、今後、順次、中学校、高等学校につきましても、関係の先生方の御協力を得ながらまとめていきたいというふうに考えているところでございます。
  続きまして、更に1枚おめくりいただきますと、情報に関わる資質・能力についてということでございます。情報に関わる資質・能力、ICTを使いこなす力ということだけではなく、情報並びに情報技術に関する資質・能力というとこでございます。
  大きく二つございまして、1枚めくっていただきますと、ICTの活用の特性の強みということでございます。現在、教科等別に育成すべき資質・能力、また、それを育成するための学習活動の在り方ということを御議論いただくということになっているわけでございますけれども、そうした学習活動の在り方を御議論いただく際に、ICTの効果的な活用ということについても併せて御議論いただきたいということでございます。
  そのために、共通事項として特性・強みをお示ししたのが2ページでございます。カスタマイズが容易である、あるいは時間的、空間的制約を超える、双方向性を有する、こういった特性を生かしまして、下にございますような深い学び、対話的学び、主体的な学びの実現に大きく貢献できるのではないか。あるいは、個々の能力や特性に応じた学びの実現、あるいは地理的環境に左右されない教育の質の確保に大きく貢献できるのではないかということでございます。
  3ページ目は理科の例ということでお示しさせていただいております。理科におきましては、こうした学習のプロセスということが想定できるところでございます。これを通じて、このプロセスにおいてICTを効果的に活用することを通じて、豊かな学習ということを実現するとともに、情報活用能力の育成にもつなげていくということでございます。
  4ページ目をおめくりいただきますと、より具体的に効果的活用の例ということでございます。例えば他校との交流、海外との交流、協働での意見の整理、プレゼンテーションなど、対話的な学びを促進するという側面、あるいは課題の把握、データ分析、まとめなどにおける活用によって深い学びを促進するという側面、あるいは、自らの学び、振り返りに活用することによって主体的な学びを促進するという側面。左下には、個に応じた学習等々もございますけれども、こういったICTの具体的な効果的活用の例について、各教科ワーキングでも是非御検討をいただきたいということでございます。
  情報に関する事項、二つ目でございますけれども、5ページ目にございますような、情報に関わる資質・能力ということでございます。従来、情報活用能力というものにつきましては、5ページ目の上の四角囲みのところにございますような情報活用の実践力、情報の科学的な理解、情報社会に参画する態度ということで整理をされてきたところでございます。
  今回、論点整理を受けまして、このままでは少し各教科とつなぎにくいということもございまして、共通事項でございます資質・能力の三つの柱に落とし込み直したものが、5ページ目の下の三つの枠囲みでございます。情報に関する資質・能力ということで、ICTを活用するということのみならず、情報そのものを活用して問題発見に生かすということでありますとか、その価値を見極めたり、多角的・多面的に吟味したりというような資質・能力も含まれているというところでございます。
  論点整理にもございますように、今後の社会のありようを考えますと、情報を主体的に活用して、それを問題解決に生かしていくということは極めて重要になってくるということでございますので、7ページ目にございますように、小・中・高等学校それぞれの発達の段階に応じて、これをしっかりと育んでいきたいということでございます。特に高等学校におきましては、情報化の共通必履修科目、従来、情報や情報技術を問題の発見と解決に活用するための科学的な考え方を育てるという、情報の科学という科目自体は選択必履修という形でございましたけれども、こうしたことを共通必履修にしていくという方向性でございます。
  また、なかなか学校だけではリソースが得られにくいというところもございますので、社会との連携ということをしっかり考えていくということでございます。
  8ページ目以降は、より具体的に各教科において何を御検討いただきたいかということのイメージをまとめさせていただいたものでございます。何か全く真新しいことをというよりは、これまで各教科で育んでいただいているものを、より教科横断的に情報に関わる資質・能力を育てるという観点から少し捉え直していただくというようなことでございます。
  8ページ目、上にございますように、教育課程全体を通じて情報に関わる資質・能力を発達の段階に応じて育んでいくということ、教科の特性に応じた指導内容の充実を図るとともに、アクティブ・ラーニングの視点に立った学習活動において、ICTを効果的に活用していくということ。それから、様々な調査で、特に小学校段階において情報手段の基本的な操作、これは現行指導要領におきましても実施するということになっておりますけれども、なかなか子供たちに身に付いていないというような現状もございます。
  そうしたことを踏まえまして、これをより各教科の学び、算数における図形やグラフの作成ということも書かれておりますけれども、こういった各教科の学びとしっかりと関連付けさせながら、カリキュラムマネジメントの中でしっかりと育めるようにしていくということでございます。また、外部との連携ということも重要ということでございます。
  算数・数学に関しましては、9ページ目にございます、数・式、記号、図、表、グラフなどを理解したり、数理的に問題を処理したりするために必要な力を育成すること。また、論点整理にもございましたような、統計的な内容等の改善ということもここにつながってくるかと存じます。
  また、これも既に算数・数学で重視されていることではございますけれども、問題解決の後、その過程を振り返って解決の手順を確認し、同様の問題に適用することなどを通じて、アルゴリズムに対する理解ということを深めていく。あるいは、アクティブ・ラーニングの視点に立った学習活動におけるICTの効果的活用、グラフの作成や、データの分析等にコンピューターを積極的に活用すること。こういったことを少し教科横断的に、情報に関わる資質・能力を育むという観点から、一層充実させていただきたいということでございます。
  その際は、11ページ目の下の米印にございますように、ICT機器等々、学校や生徒のニーズに対応したICT機器の開発を含む環境整備ということは、大変異質になってくるということでございます。一方で、学校によって環境整備が異なるというような状況もございますので、この実態を踏まえた内容にしていく必要があるということでございます。
  また、先ほど情報機器の基本的な操作ということでございますけれども、なかなか学校サイドとしましては、具体的にどういったものを使いながら教えていったらいいのかということもございますので、例えばホームページに練習用教材を載せていくなど、各学校が活用できるような教材を開発・普及していく、こうしたことを情報教育担当の部局と連携しながら進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  続きまして、健康・安全につきましてでございますけれども、情報に関わる資料が47ページ目までございます。それを更に1枚おめくりいただきますと、裏面から健康、安全等に関わる育成すべき資質・能力ということでございます。これも、総則に体育・健康に関する指導という記載事項がございまして、教科横断的に育んでいくということになっているものでございます。東日本大震災等も受けた防災に関わる記述の充実が必要であるということも含めて、今後、充実を図っていくためにどのような方策が考えられるかということでございます。
  2ページ目にございますように、各学校、学校安全計画を策定しておりますので、これらと教育課程との関係をより分かりやすく整理していくということ。あるいは、4ページ目の上にございますような安全に関する資質・能力、自助・共助・公助と言われますけれども、こうしたことに関わる能力ということを三つの柱に沿って整理しながら、5ページ目の下にございますように、各教科としっかり関連付けながらカリキュラムマネジメントが図りやすいように示していくということが必要であるということでございます。
  以下、食育、それから保健ということに関しましても、8ページ目、上が食育の資質・能力のイメージでございますけれども、これが9ページ目、上のようなカリキュラムマネジメントの中で実現されるように、あるいは11ページ目の上にございますような保健に関する資質・能力、これを12ページ目、上にございますようなカリキュラムマネジメントを通じて実現していくというようなことでございます。
  今後また順次、こういった教科横断的な事項については、こちらにも議論にお乗せいただくために、こういった形で情報提供をさせていただきたいと考えているところでございます。以上でございます。
【小谷主査】    ありがとうございました。この議題に関しては、ただお聞きするということかと思いますが、質問など、特にございませんでしょうか。
  では、続きましてお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    それでは、議題1、算数・数学教育のイメージ及び算数・数学において育成すべき資質・能力についてということで、これについて、資料等を御説明をさせていただきます。
  まず資料3を御覧ください。本日、御議論いただきたい事項でございます。まず、大きく分けて二つ、算数・数学を学ぶ本質的な意義についてということと、三つの柱に沿った育成すべき資質・能力の明確化についてということで、この大きく2点について御議論をいただきたいと考えております。
  まず算数・数学を学ぶ本質的な意義についてということでございます。算数・数学の学習を通じて児童・生徒に身に付けさせるべき資質・能力とは何かということ。また、小学校、中学校、高等学校、それぞれの修了時点で見に付けさせるべき資質・能力についてどう考えるかということについて御意見を頂きたいと考えております。
  また、三つの柱に沿った育成すべき資質・能力の明確化についてということで、論点整理でも、この三つの柱、何を知っているか、何ができるか、知っていること、できることをどう使うか、どのように社会・世界と関わり、より良い人生を送るかという三つの柱を立ててございますけれども、小・中・高、それぞれの修了時点で身に付けさせるべき資質・能力について、この三つの柱に沿ってどのように整理できるかということについて、御意見、御議論いただきたいと考えてございます。
  続きまして、資料4を御覧ください。こちらの現行の小学校、算数、中学校・高等学校の数学の目標と特徴的な記載事項となってございます。
  まずは、左側に目標がございますけれども、小学校につきましては、算数的活動を通して、数量や図形についての基礎的・基本的な知識及び技能を身に付け、日常の事象について見通しを持ち、筋道を立てて考え、表現する能力を育てるとともに、算数的活動の楽しさや、数理的な処理のよさに気づき、進んで生活や学習に活用しようとする態度を育てるという目標を立ててございます。
  中学校につきましては、数学的活動を通して数量や図形などに関する基礎的な概念や原理・法則についての理解を深め、数学的な表現や処理の仕方を習得し、事象を数理的に考察し、表現する能力を高めること。また、数学的活動の楽しさや数学のよさを実感し、それらを活用して考えたり判断したりしようとする態度を育てるということを、目標として掲げてございます。
  高等学校につきましては、数学的活動を通して、数学における基本的な概念や原理・法則の体系的な理解を深め、事象を数学的に考察し表現する能力を高め、創造性の基礎を培うこと、又は、数学のよさを認識し、それらを積極的に活用して数学的論拠に基づいて判断する態度を育てるということを目標として掲げてございます。
  また、学年目標、分野目標、指導計画の作成と内容の取扱いについても、それぞれ定めておりますので適宜御参照ください。
  続きまして、参考資料2を御覧いただけますでしょうか。算数・数学の資質・能力に関する資料ということで示させていただいております。こちらにつきましては、前回御議論いただいた際に、この学習指導要領を考える際に、過去に学ぶことが非常に重要だということで、昭和31年の高等学校の中心概念であったり、過去の指導要領といったものを参照して、不易の部分、また、これから加えていかなければいけないことをきちんと考えていくべきだという御意見がございました。
  それを踏まえまして、過去の考え方等について少し資料をまとめてございます。これにつきましては、簡単に内容だけ、どういうことを整理しているのかだけ御説明させていただきたいと思います。まず、おめくりいただいて、昭和31年の改訂における高等学校数学における中心概念ということを資料として載せております。各科目ごとに、その中心的な概念というのを整理してございます。1ページ目、2ページ目、3ページ目、4ページ目まで、科目ごとに整理をしてございます。
  続きまして、5ページ目、ページ番号がございません、申し訳ございませんけれども、こちら、小・中・高の昭和26年の改訂、こちらの学習指導要領の試案でございます。ここで、かなり細かく目標における資質・能力というのが記載されておりますので、御参考になるかと思いまして記載をしてございます。
  まず5ページ目が、算数科の一般目標における資質・能力として示されているものでございます。次の6ページが、中学校、高等学校の数学における資質・能力というのが整理されてございます。続く7ページも、同じく、こちら、中学校数学科の一般目標でございます。その次のページからでございますけれども、まず小学校の算数科における目標の変遷ということで、改訂ごとに目標に資質・能力が示されてございますので、それを整理したものでございます。
  続く9ページが中学校、その次のページが高等学校における各改訂における目標の資質・能力の整理ということになってございます。
  その次のページからでございますけれども、小学校算数科の目標に書かれた指導書の解説における記述を、43年、44年のものについて記載をしておりますので、御参考にしていただければと思います。
  12ページ、13ページにつきましては、アメリカとオーストラリアにおいて、数学的活動における目標というものはどういうふうに整理されているかということについて記載してございますので、適宜御参考にしていただければと思います。
  続きまして、資料5を御覧ください。資料5は、算数・数学教育のイメージということで整理をしてございます。よろしいでしょうか。こちら、幼稚園から小学校、中学校、高等学校、各学校段階の修了時点で、どういう資質・能力を最終的に身に付けさせるのか。それを身に付けさせるための活動というものを大きくイメージとして整理したものでございます。
  下の幼稚園から説明をさせていただきます。幼稚園につきましては、生活や遊びを通じて、自分たちに関係の深い数量、長短、広さや速さ、図形の特徴などに関心を持ち、必要感を持って数えたり、比べたり、組み合わせたりするということを、資質・能力として考えているということになります。
  その上の小学校でございますけれども、修了時点で身に付けさせるべき資質・能力として1、2、3を掲げてございますけれども、数量や図形についての基礎的・基本的な概念や性質などを理解し、数理的に処理する技能を身に付けるということ。日常の事象について見通しを持ち、筋道を立てて問題解決したり、基礎的・基本的な数や図形の性質や計算の仕方などを見出し、そのことを基に発展的・統合的に考えたりする力を養うこと。三つ目が、算数の学習を進んで生活や学習に活用しようとしたり、数理的な処理のよさに気づいたり、自立的に学習を進めようとしたり、表現されたことについて批判的に検討しようとしたり、多面的に表現したりしようとする態度を養うこと。こういったことが、修了時点で身に付けさせるべき資質・能力ではないかと考えられるのではないかと整理してございます。
  それを実現するための活動としまして、事象を数理的に考察したり、自分の考えを数学的に表現し、処理したり、協働的に問題解決したりする学習活動を充実すること、具体物、図、数、式、表やグラフ相互の関連を図る学習活動を充実すること、こういったことを整理してございます。
  続きまして、中学校でございます。一つ目としまして、数量や図形などに関する基礎的な概念や原理・法則を理解し、問題解決過程において数学的に処理する技能を身に付けること、既習の内容を基に、様々な事象等を数学を生かして考察する力や、数量や図形に関する知識や技能を見出し、発展・統合する力を養うこと、三つ目が、数学のよさを実感し、様々な事象の考察や問題解決に数学を活用する態度を養うことというのを、資質・能力として挙げております。
  それを培う活動としまして、問題解決に必要な情報を生徒自らが集めたり、選択したりする活動であったり、帰納的に考えることなどから自ら決まりを見つける活動、見出した決まりを既習の内容に生かして演繹的に説明する活動を充実することを挙げております。また、既習の内容を振り返って関連を図ったり、新たに学んだ内容を用いるとどのようなことができるようになったのか、などについて明らかにしたりする活動を充実することというのを挙げてございます。
  次に、高等学校、一番上でございます。資質・能力としまして、数学における基本的な概念や原理・法則を体系的に理解するとともに、事象を数学化したり、数学的に解釈したり、表現したりするための技能を身に付けること。二つ目が、身に付けた知識や技能を活用して課題を解決し、その過程を振り返って本質を明らかにしたり、発展させたりする力を養うこと。三つ目が、数学のよさを認識し、数学を活用して数学的論拠に基づき判断する態度を養うことといった資質・能力を身に付けていただくというふうに整理できるのではないかと考えております。
  そのための活動として、それぞれの内容を生活と関連付けたり、生徒の疑問を取り上げたりして、生徒の主体的活動を充実すること、課題の解決のために粘り強く考え、自分の考えを適切に表現すること等が挙げられると考えております。
  右側に理数科についても整理してございますけれども、活動としまして、数学と理科の内容の関連を重視し、数学的な見方や考え方、科学的な見方や考え方を活用して、課題解決や探求することを充実することというのを、活動として挙げているところでございます。
  続きまして、資料6を御覧ください。学習指導要領等の構造化のイメージということで、こちら、論点整理の補足資料で既に公表しているものでございますけれども、各教科における資質・能力をどういうふうに構造化していくかということのイメージ図でございます。こういう形で真ん中にございますけれども、教科学習について三つの柱、個別の知識や技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力、人間性等ということで、それぞれ整理をしていこうということが示されております。
  教科学習においては、知識、技能として、各教科に固有の知識や個別のスキル、思考力・判断力・表現力等として、各教科の本質に根差した問題解決の能力、学び方やものの考え方、学びに向かう力、人間性等としまして、各教科を通じて育まれる情意、態度等、こういったことを整理していくことで構造化を図ろうということが示されてございます。
  同じく資料7でございますけれども、こちらも論点整理、補足資料で示された、高等学校における必履修科目で整理した場合に、この三つの柱に沿ってどういう整理ができるのかというところのものでございます。
  ページをめくっていただきまして、2ページ目に数学全体として三つの柱で整理してございます。まず知識、技能ですけれども、数学における基本的な概念や原理・法則の体系的理解、事象を数学化したり、数学的に解釈・表現したりすること。思考・判断・表現等といたしまして、事象を数学的に考察・表現し、数学的論拠に基づいて判断し、問題を解決したり、数学的な考え方を発展させたりする力というのを挙げてございます。学びに向かう力、人間性等としまして、数学のよさの認識、数学的論拠に基づき判断する態度などということが挙げられております。一番右に、その資質・能力を育成するために重視すべき学習過程の例として、ここに掲げているようなものを挙げてございます。
  続きまして、資料8を御覧ください。資料8につきましては、こういうふうに論点整理の資料として示された構造化を、各数学において、各学校段階でどのように整理すべきかというもので、今回作成しているものでございます。
  まず、下から御覧いただければと思います。小学校の算数での知識、技能については、数量や図形などについての基礎的・基本的な概念や性質などの理解、数理的に処理するために必要な技能というものが挙げられるのではないかと考えております。
  思考力・判断力・表現力等といたしまして、基礎的・基本的な数や図形の性質や計算の仕方などを見出したり、そのことを基に発展的に考えたり、既習の数学と結び付け、統合的に考えたりする力であったり、日常の事象について見通しを持ち、筋道を立てて考え、表現し、そのことを基に問題解決したり、判断したりする力というのが挙げられるのではないかと考えております。
  また、学びに向かう力、人間性等としまして、数理的な処理のよさに気づき、算数の学習を進んで生活や学習に活用しようとする態度であったり、答えを出した筋道が正しいかを確認したり、出した答えを自分で確かめたりするなど、自立的に学習を進めたり、数学的に表現・処理したことについて批判的に検討しようとしたりする態度ということ、また、抽象的に表現されたことを具体的に表現しようとしたり、具体的に表現されたことをより一般的に表現しようとしたりするなど、多面的に考えようとする態度というものが整理できるかと考えております。
  中学校につきましては、知識、技能としまして、数量や図形などに関する基礎的な概念や原理・法則の理解、問題解決過程において活用できる数量や図形などに関する知識、問題解決過程において数学的に処理するために必要な技能というものが挙げられるのではないかと考えております。
  思考力・判断力・表現力等としまして、既習の内容な基にして数や図形の性質などを見出し、発展させる力、実社会や実生活における事象などを数学外の世界と数学を結び付け、数学を生かして考察する力。
  学びに向かう力、人間性等といたしまして、数学のよさを実感し、様々な事象の考察や問題解決に数学を活用する態度、数学的論拠に基づき考察を深めたり、意思決定を行ったりする態度、問題の解決などにおいて粘り強く考え抜こうとする態度というものを養っていくものではないかと整理をしております。
  高等学校の数学でございますけれども、ここは2段階に分けております。下の方が数学一般でございますけれども、上の欄の方が数理探究、今こちらについては別の特別チームの方で内容等について検討しているところでございますけれども、それぞれの資質・能力で整理をしてございます。
  下の方につきましては、数理探究以外の数学の部分につきましては、数学における基本的な概念や原理・法則の体系的理解、事象を数学化したり、数学的に解釈・表現したりすることというのが、知識、技能として考えられるのではないかと。
  また、思考力・判断力・表現力等としまして、事象を数学的に考察・表現し、問題を解決したり、問題解決の過程を振り返って、その本質や他の事象との関係を認識する力、  学びに向かう力、人間性等としまして、数学のよさを認識し、事象の考察や問題の解決に数学を積極的に活用して、数学的論拠に基づいて判断する態度、問題の解決などにおいて、粘り強く、柔軟に考え抜こうとする態度というものが考えられるのではないかとなっております。
  数理探究については、個別の知識、技能としまして、知識・技能の深化・統合、課題研究を遂行するための知識技能。思考力・判断力・表現力等としまして、高度な課題解決能力、新たな発見をしたり、創造したりする力。学びに向かう力、人間性等としまして、事象や科学的課題に徹底的に向き合い、考え抜いて行動する態度、自発的、創造的に取り組む態度、研究に対する倫理的な態度というものが挙げられるのではないかと考えております。
  一番右の欄でございますけれども、先ほども御説明しましたけれども、この資質・能力を育成するために重視すべき学習過程の例として、小・中・高、それぞれの段階で考えられる学習過程の例を整理しているところでございます。
  続きまして、資料9でございます。こうした資質・能力を身に付けさせるために、どのようなプロセスで行うか。一応、先ほどの資料8の右の方で例として示しましたけれども、それをイメージしたものが資料9でございます。こちら、簡単にイメージにしてございますけれども、大きく分けて二つのプロセスがあるのではないかということを整理してございます。
  一つが、大きく回っているところでございますけれども、下の方に書いてございますが、日常生活や社会の事象を数理的に捉え、数学的に処理し、問題を解決することができるという、まずプロセスと、数学の事象について発展的・統合的に考え、数学の概念を形成することができるという赤のプロセス。数学においては、こうした2通りのプロセスで資質・能力を養っていくということが考えられるのではないかと整理をしてございます。
  具体的なプロセスの内容につきましては、次回以降でまた検討していただきたいと思いますけれども、今回の検討についてイメージを持っていただくために、資料9を出させていただいております。
  続きまして、机上資料として、左側の冊子がいろいろと置いてある中のタブレットの下に、机上配付資料(委員限り)というのを置いてございます。こちらにつきましても、まだ素案でございますけれども、こうしたプロセスを回していく中で、各プロセスの段階でどういった力を身に付けて、それは具体的にどういった小・中・高の内容なのかというところを整理したものでございます。こちらはまだ素案でございますけれども、検討のイメージを持っていただくために、今回提出させていただいてございます。適宜御覧いただければと思います。
  資料説明は以上でございますけれども、本日は特に資料5の算数・数学教育のイメージ、最終的にどういう力を身に付けさせ、それをどういう活動で実現していくのかというところであったり、資料8の小・中・高、それぞれの学校段階においてどういった資質・能力を身に付けていくのかというところを中心に御議論いただければと考えてございます。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、これより意見交換の時間とさせていただきます。前回もお願いいたしましたように、御意見のある方はあらかじめ名札を立てていただきます。こういう感じですね。そうしますと、私の方で順次指名させていただきます。発言が終わりましたら、名札を元に戻していただきますようお願いいたします。また、御発言の際はマイクのスイッチをオンにし、発言後にはオフにしていただきますようにお願いいたします。
  本日、御議論いただきたいことは、算数・数学教育で育成すべき資質・能力についてです。資料3に事務局から用意していただきました内容、順番に算数・数学学習を通じての資質・能力、そして、それを小学校、中学校、高校、それぞれにどういうふうにブレークダウンしていくか。さらに、それを三つの柱に沿ってどのように整理していくかということで、この順に話すのが恐らく効率がいいと思いますが、御意識されずに自由に御発言いただければと思います。
  それでは、いかがでしょうか。真島委員、どうぞ。
【真島委員】    算数・数学の教育のイメージというのは、自分のやってきたことで典型例として、幼稚園、小学校段階から、中学校、高校段階でイメージする一つのものがあるのです。それは、江戸時代の和算の標準的教科書と言われた塵劫記、その中に油分け算というものがあり、1斗の油を7升ますと3升ます、目盛りないものですけれども、それを使って5升ずつに分けて、桶と7升ますに5升ずつ配分するにはどうしたらいいか、という問題ですが、それにどう取り組むか、取り組ませるかということです。
  いろいろなところでやっていますけれども、幼稚園段階だったら、本当に試行錯誤で遊んでもらうみたいな感じ。小学校に行くと、もう少し数の演算というのがありますので、どういう差が作れるか。例えば2を作るには5引く3だとか、5になるためには、あと3まであれば、あと2なきゃいけないとか、そういったことを考えながら、やはり試行錯誤という、そういう感じ。とにかく数量的な問題に対してトライしてもらう。併せて演算的な、そういったものをイメージしてもらうということがあります。
  中学校の段階でどんな感じになるかというと、試行錯誤でやっていくのですけれども、そうやったことを、例えば振り返って、7升ますを何回使ったか、3升ますを何回使ったか、加えたときにはプラス、取ったときにはマイナスというように、ちょうど中学校の正負の数というのが導入され、数概念が拡張されますが、ますを何回使ったかということを考えた方程式を立てると、本質的に解は二つ出てくるのですけれども、その解を使ったやり方はどんなのかというふうに考えるというレベルがあると思います。
  そして、高等学校になりますと、その方程式を使って解くことができるのですけれども、その分ける過程をある図形の領域の範囲にある整数点の解の移動という形で示すことができて、ぴったりとどういう解があるか、そして、最少手数の解はどうなのかということをはっきりと見ることができる。そこのところで数学的に、幼稚園、小学校段階で試行錯誤的にやってきたものが、中学校そして高等学校段階に行ったときに、何度かやっていたらできてしまったというぼやっとした感じではなく、はっきりと数学を使ってよかったという感じを持てる、そういったことを、典型的に私はそう思っているのですけれども、こういった感じの縦(時間軸)としての算数・数学的な教育の発展の流れといいますか、そういったものがあると思っています。
  基本的には、数学のよさをとか、そういうふうにおまとめになられている、こういったことは結構だと思っていて、それをいかに具体的に、そして、より良い教材をもって、生徒が自分たちで更に良いということを自覚し、それを使っていくという姿勢が育まれるように学習指導要領ができていったらいいなと思っております。以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  ほかには、名札が立っていないので、指名させていただきます。主査代理、お願いいたします。
【清水(静)主査代理】    皆さん、お考えの間にちょっと時間を頂きまして。イメージの資料5ですけれども、このマル1、マル2、マル3というのは、柱の三つを多分意識されてのことかと思いますが、マル1のところで、高等学校数学ですと、事象を数学化する云々、中学校ですと、問題解決過程において処理する技能、それから、小学校ですと、数理的に処理する技能というのがそれぞれ入っています。
  これまで、どちらかというと、知識、技能というと、知識の方は性質とか、定義とか、約束事が多かったのです。数学的な事柄が多かったと思います。技能は手続でアルゴリズムが多かったと思います。けれども、そこにもう一つ高い立場からの思考を支える知識とか技能に関わって、事象を数学化するとか、問題解決過程における処理に関わる技能、これらのことがここに位置付けられるということは、多分マル2を支えるために大変重要な要素としてお考えになっていると思われます。
  今までは、それらがどちらかというと、マル2の方に埋め込まれていたために、能力の育成ということと、その基になる知識や技能に関わることの指導というのが必ずしもしっかりしていなかったと思われますので、これをどういうふうに位置付けるかということを検討するのは大変重要な意味を持つのかなと。
  それで、今日の御提案ですと、マル1のところに、いわゆる問題解決、探究を支える知識とか技能に関わることを位置付けようという気持ちが表れているように思いますので、この線で是非検討を進めていただけるといいなと思います。ので、その辺の気持ちを、ちょっと担当の皆さんに本当なのかどうか、確認をしたいと思います。よろしいでしょうか。
【小谷主査】    事務局、お答えいただけますか。
【米原教育課程課課長補佐】    おっしゃるような考え方で、我々も整理していきたいと考えておりますので、そこに対して、是非またいろいろと御意見を頂ければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
【清水(静)主査代理】    どうもありがとうございました。
【小谷主査】    それでは、大谷委員、よろしくお願いします。
【大谷委員】    ただ今清水静海主査代理がお話しされたマル1の部分ですけれども、数学化や問題解決というところがマル1に入ってきたという意味では、数学そのものの方法知というんでしょうか、数学をすることについての知識ということが重要だということかと理解しました。
  それに関わりまして、資料9に視点を移すのは少し良くないのかもしれませんけれども、数学をするというプロセスについてのイメージですが、第1回目の会議で、私は事象ということは二つに分けていないところが、ある意味で重要ではないかと考えて発言をさせていただきました。この模式図は、日常と数学を分けているような気がするんですけれども、実際には、これは同じものでいいのではないかと考えます。
  現行の高等学校の指導要領の解説のところにも模式図が出ております。その場合は、事象という形で一つのものにまとめられたように思いますので、そのように考えるということもあり得るのかなと思うわけです。ある意味で、数学の赤いサイクルを回すことで概念形成をするというだけではなくて、実際の現実の事象、日常社会の事象から概念形成も行われていくように思いますし、数学を数学化する、例えば三角形の五心を初等幾何で持ち込むのか、座標幾何で持ち込むのかということも、一つの持ち込み方、数学化の在り方であると思いますので、ある意味でこういう二つに分けずに高等学校の現行の解説書で示されているものを取り入れるということもあり得るのではないかと思います。
  もう一点、高等学校の模式図には、言語活動ということがこれに加えられているように思います。そういう意味で、開かれた数学、つまり対話的な数学ということを考えますに、やはりそこに言語活動、数学を通して説得したり、合意形成をするという前提に立ち返って合意形成をしたりするというような、数学らしい論拠に基づいた説得という言語活動、つまり、高等学校が示されているプロセスというのが、私はある意味で非常にすばらしい模式図ではないかと考えます。以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  事務局から何かコメント、ございますか。
【長尾視学官】    今指摘いただいたものなんですけれども、この模式図は、実は今の高等学校にあるものをもう少し分かりやすくしようという考えではあるんです。ただ、言語活動という言葉が抜けているので、それは含ませる方がいいかもしれないと思います。少し丁寧に言うと、日常生活や社会生活などにおける事象を数学化して課題を見出すというところと、そこの赤のサイクルのところは、場合によっては一つになって回っていって、また青いところに戻っていくというのも含んでいるというふうに捉えていただいた方がいいのかもしれないと思います。以上です。
【小谷主査】    これについては、次回、また詳しく議論するということですので、よろしくお願いいたします。
  ほかには。清水委員が早いでしょうか。
【清水(宏)委員】    よろしいですか。先ほど、清水静海主査代理がおっしゃっていたことと関連して、私もマル1にまず注目しました。その中で、高等学校の事象を数学化したり、数学的に解釈したり、表現したりするための技能を身に付ける、ここが一番イメージとしては分かりやすい文言になっております。実は、前回も私、申し上げたのですが、中学校の子供たちの課題も、やはり数学化すること、自分で処理をした後に解釈すること、そういったことに課題があるので、この中学校のマル1を見たときに、問題解決過程において数学的に処理する技能といったときに、少し漠然としているのではないかと思いました。
  特に、数学的に処理というイメージからすると、既に数学の舞台に乗っていて、それを計算する、形式的に処理をするというイメージに捉えがちであると思いますので、高等学校のような高尚な数学化や、表現や、解釈はできないと思いますが、基本的にこの高等学校で書かれていることに近い文言で、中学校でも、表現、処理、それから解釈ということがこのマル1に入ってくると、先ほどのこの資料9と同じようなプロセスが少しイメージとして先生方に捉えられるのではないかなと考えました。以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございます。
  戸谷委員、お願いします。
【戸谷委員】    資料7の、ほかの科目も一緒に入っているところなんですけれども、実は、うまく表現できるかどうか分からないんですが、数学のよさということが頻繁に出てきて、数学のよさを実感する、認識する、それから、小学校だけ数学的な処理のよさに気付くというような表現になっているんですが、私はここにはすごく違和感があります。
  というのは、ほかの科目では、例えば理科だと、科学的な自然観、科学的に追究する楽しさというような「楽しさ」というのが入っていますけれども、理科が持っている目的というか、何のためにということが分かるんですけれども、日常生活だとか、社会の事象を数学的に解釈したり、解いたりということが重要だということを、ここで皆さん、多分議論されていると私は思っているんですけれども、その中で、数学だけはピュアに数学を楽しめと言われているような気がするんです。数学のよさを理解して、認識することが、数学を学ぶ理由だというのは、何となく違和感が非常にあります。
【小谷主査】    はい、どうもありがとうございました。
  ほかには。椿委員、よろしくお願いします。
【椿委員】    今の知識や技能、表現力、人間性というところにまとめてきたことに関しては、すばらしいまとめ方だと思うのです。数学で今日の児童・生徒に身に付けさせるべき資質・能力の中の知識や技能の部分と、それから、数学教育によって出てくる学びに向かう力ということを少し分けて考えているのだろうと思うのです。
  数学の機能や知識に関しては、非常に即物的に申せば、物事を数理的に表現する、モデル化する能力、モデル化を通じて予測とかいうことができるわけです。それから、やはり意思決定、そこにあります解釈だとか、制御とか、最適化につながる能力があります。そういうものが多くの教材の中で配置されているのだと思います。この前も申し上げましたけれども、小学校の段階では、むしろ教員側が数学的な問題を先ほどのように言語的な形で出して、いわば問題を与えることによって、恐らく小学生は算数・数学と社会という関係を持って、それは面白いと感じます。
  本来中学校になれば、技能の分野に関しては全般的な意味では、自立的にモデル化できるという、表現ができるということに相当な目標が置かれるべきではないかと考えます。私は統計家ですが、資料では統計は傾向を把握するという書き方になっているようです。しかし、本来統計とは、傾向を把握するだけではなくて、先ほど紹介のあった問題解決が必要となる、例外のようなことを把握し、傾向と例外という形に分解させることだと思うのです。
  例外、統計的な傾向に合わないことから、もう一段階レベルの高い数理的なモデルが必要であるものを気付かせるというのが、むしろ本来、統計的な資料の活用の重要な役割です。もちろん、傾向を知る、関数が社会全般に対して成立しているという傾向を自立的に理解することは大切なんですが、それと同時に、その傾向だけでは不十分で、より詳細な数理モデルが必要だということを気づくことが必要です。資料にもあるような、PDCAサイクルみたいなものをうまく回すのが統計教育の一つの役割ではないかと考えます。その辺りが中学で習得されるべきです。
  高校は私、すごく技術的な部分が多いのでどう解釈していいか分からないのですが、やはり高校ではモデル化と共に最適化が必要です。また、予測の中核に、解析学に集約されるようなダイナミクスが入ってくる。そのモデル表現ができて、それによって将来の予測が可能になる。漸化式も含めて、全てそういうようなモデルに集中されるように考えます。私自身が矮小的に見ているからかもしれませんけれども、そういう分野に進んでいくことによって、より世の中に対する数学の関係性が深くなっていくというふうに感じるわけです。
  今、個別の知識や技能を集中的に申し上げましたけれども、一方、学びに向かう力、人間性に関しては、数学教育というのは、先ほど議論のあった「よさ」というのをどう感じるかが、難しいのです。どこかの資料に何回も書いてありましたが、徹底的に考える力。いろいろな手段を使って何かを解かなければいけないという、いわゆるattainabilityと言われている力量は、数学の問題みたいなものを解くということで追い詰めていく状況の中で養われることはかなり本質的です。国語教育や理科教育というのはやっぱり情報が限られている部分があります。数学のように個人を追い詰めて何か考えさせるという力量を形成している教科というのは非常に少ないのかなと思います。
  もちろん、数学自体は、分析思考というものが非常に重要です。また、アクティブ・ラーニングみたいなものが出てきたら、個人の力量以上に、先ほど発言があったようなコミュニケーション、そういう力量は非常に重要になるとは思います。けれども、コミュニケーションに関しては数学以外のいろいろな科目でも養成される可能性があると理解しています。達成志向attainabilityのようなものを個人のレベルで育成するという意味では、非常に数学教育は重要ではないかと感じています。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  ほかに名札を立てている人はいないのですが、必ず皆さん、御発言いただきますので。
  中川委員、お願いします。
【中川委員】    数学のよさについて、戸谷委員の御指摘がありました。小学校1年生の子供たちに、何で算数の勉強をするんだと思うという哲学的な問いを投げかけたことがあります。子供たちは、テストが100点がとれるとうれしいからとか、お母さんに褒められるからとか、いろいろなことを言いました。最後に、1人の女の子が、だって、楽しいからじゃないという、想像もつかないすばらしい答えを言ってくれたことを思い出します。
  数学のよさという短い単語にしてしまうと冷たく感じてしまうのですが、26年の試案にあるように、「数学の有用性と美しさを知って、真理を愛し、これを求めていく態度」などということがこの文言には含まれているのだと思うのです。ただ、それを数学のよさという5文字に表してしまうと十分読み切れないので、少し分かりやすい表現にしたらいいのではないかなと思います。算数・数学は、人がよりよく考える、女の子のように考えることを楽しむという、人間としての本質に根差したところの資質・能力を育てることのできる大切な教科だということがより分かるようにしていくべきではないかと思います。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
【米原教育課程課課長補佐】    今、数学のよさについていろいろと御議論いただいているところでございますけれども、少し補足説明させていただきたいと考えております。
  数学のよさと表現してございますが、教科自体のよさ辺りを数学というそのもののよさというふうに捉えられるかもしれませんけれども、指導要領においては、数学が生活に役立つことや、数学が科学技術を支え、相互に関わって発展してきていることなどに関わる知識も含まれるということで、この数学のよさということを表現してございます。もちろん、この表現ぶりがいいかというところ、聞いたときに、今、るる御議論いただいているような誤解が出てくるのではないかということであれば、またそこについて御意見を頂きたいと思います。
  一応、現実の世界との関わりであったり、生活との関わりということも含めての数学のよさというふうに整理がなされているというところでございます。ですので、資料9に示させていただきましたプロセスにおいても、現実の世界というものを意識して数学の問題発見、解決が回っているんだということを示させていただいているところでございます。以上でございます。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。確かに戸谷委員から御指摘いただいたように、他教科に比べると、これだけを読んではっきり分かるようにできていないような気がします。他教科は、科学や自然観、そして楽しさとか書かれていて、とても分かりやすいのですが、数学はちょっと冷たい印象があるかもしれません。
【長尾視学官】    数学のよさについて、少し補足をしておきます。以前は、数学的な見方や考え方のよさという言い方にしていました。ですが、数学的な見方や考え方だけではなくて、数学の例えば知識であるとか、用語とか、あるいは記号であるとか、そういうものが非常によくできている。あるいは、手続、アルゴリズムが分かっていれば、それに従って処理をすることができるというようなよさも含めています。それから、さっきありましたように、様々なものに適用することができるということも含めて、実用性ですけど、そういうよさということも全部含めて、「数学のよさ」と言っています。「数学のよさ」という言い方以外にうまい言い方がないので使っているということです。もうちょっと細かい説明が必要であれば、またその説明の仕方を考えるということが必要かもしれないと、今思っています。以上です。
【小谷主査】    ここにいらっしゃる皆様、何となくシェアされている考えがあると思いますので、ここはもう少し説明が加わった方がいいような印象です。また御検討いただければと思います。
  それでは、丸橋委員、よろしくお願いします。
【丸橋委員】    失礼いたします。高等学校指導という立場から少し話をさせていただきます。資料5にございますように、小学校では、黒丸のところに、協働的に問題解決したりする学習活動を充実するという文言が入っているかと思います。一昨年の中教審の答申等からアクティブ・ラーニングという言葉が出ておりまして、全国的にもアクティブ・ラーニングの取組が始まっているところかと思います。
  高等学校では、協働的な学習を、各教科を超えて、学校全体で取り組んでいくということも進めておりますので、高等学校のところに―発達段階ということもあると思いますが、「協働的な」という言葉を入れていただきたいという感想を持っております。以上でございます。
【小谷主査】    どうもありがとうございます。
  大谷委員、お願いします。
【大谷委員】    先ほど長尾視学官からお話のあった数学のよさにつきましての、中学校の現行の指導要領の場合の見方、考え方のよさという言葉が使われていたことだけではなくて、数学の知識そのものにもよさがあり、処理もよさがあり、あるいは広く使えるというような意味で、数学のよさというふうになってきたのではないかと思います。
  そういう意味で、先ほど中川委員もお話しされましたけれども、小学校の方は少しそれを分析的にまだ表現されているという部分で、若干表現の違いがあるのかなと思います。
  他方で、短い言葉でマル3をまとめますならば、このように正に表現されるものになるのではないかと思いますけれども、資料で付けていただいた米国のMathematical Practiceというようなこと、正にプラクティスという言葉は世の中のなりわい、あるいは社会の実践に立ち向かったときに、世の中で活躍していくときに必要となる能力、資質だと思います。ですから、こういうマル3の部分に米国のMathematical Practiceのような、そういう部分で日本でまだ漏れているものがないかという視点を吟味することも、ある意味で必要になっていくのではないかと思っています。
  例えば小学校ですと、今非常にどこの学校に行きましても、図や、数や、式や、表やグラフで、次から次に表現手段を変えてお話しすることが算数の授業のようになっていますけれども、米国のプラクティスの5にあるように、戦略的に適切な道具を選択するというような、そういう判断の下で、まさにぴったりの表現を求めてやまないというような、その場に応じた適切な判断をするということが、やはり教育に必要になってくるのではないかなと思います。そういう形式を超えた実質的なプラクティスということを、マル3の中に米国のものを参考にしながら、含み、落とし入れていくことも考えられるのかなと思います。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  何人かの委員が名札を立てていただいていますが、順番に、齊藤委員からお願いします。
【齊藤委員】    資料5で、算数・数学のイメージが論点整理の三つの柱に沿った形で丁寧に、分かりやすく示されているということは、小・中・高の算数・数学の系統を考えていく上で非常に重要なことだろうと改めて思いました。
  その中で、先ほど中川委員から小学校1年生に算数とはと問いかけられた話がありました。私も、算数・数学を専門としない割と経験年数の浅い教員に、「算数ではどんな子供を育てたいのか」という問いかけをしましたところ、さすがに「九九ができる子」とか、「計算が間違いなくできる」、要するに「いい点がとれる子供にしたい」というようなダイレクトなことを言う教員は少なかったのですが、では「どのような子供にしたいのか」と聞いた瞬間に、ぱたっと止まってしまうわけです。
  それは、きっと今回の資料5の算数・数学のイメージ、意義とか目標でしょうか、それと指導内容との間に大きなすき間があって、ある程度高い意義や目標を持って指導に取り組むこととは分かっていてもいざ教えるという段になると、やはりどうしても形式的な扱いで終わってしまうようなイメージの極めて強い教科ということを、改めて感じたところです。
  そのようなことから考えますと、今回のこの三つの柱でも、例えば小学校のところのマル2とマル3を見ますと、私にはある程度、御提案されている裏側の意図があることはイメージができますが、例えば、先ほどもお話ししましたように算数を専門としていない小学校の教員などには、これらの部分に示されていることが一体どういうことなのかということを、今後丁寧に説明していくことが重要なポイントになると思っております。
  特に、例えば2番目、マル2のところの「知っていること、できることをどう使うか」という部分についても、ここで示されている内容は、算数・数学の知識、技能を包括するような概念的なものと言うよりも方法、表現的な側面が主に示されています。やはり三つの柱の一つ目と三つ目を橋渡しするという意味で、マル2の位置付けというのは極めて重要です。
  このように考えると、例えば問題、知識を持っていても、算数・数学ではそれをどのように使っていったらいいかという、教科ならではの見方、考え方というものも分かりやすく示していく必要があるというふうに私は思いました。
  この三つの柱が今後の算数の授業改善というものに非常に大きな影響力を持つので、これらをどのような形で伝えていくかも非常に重要なポイントだろうなと思っています。
  これまで話題には出ていませんが、資料5の一番左側のところには、全国学力・学習状況調査との関わりでのPDCAサイクルが書かれています。例えば、平成27年度実施の小学校のB問題の出題の趣旨や、報告書の解説の中には、既に能力ベースで、資料に掲げられているようなことがたくさん示されています。
  例えば平成27年度実施の小学校のB問題の2番の割合の問題では、「考えを批判的に考察し、考えの妥当性を評価するとともに、それを基に考えを表現し直す」ことが大事だということが既に示されているわけです。しかし、このようなことが学校でのPDCAサイクルになかなか反映されない現状の中で、算数・数学のイメージがしっかりと打ち出されるということは、今後の授業改善に大きな影響力を持つなということを改めて感じさせていただきました。以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、板垣委員、お願いします。
【板垣委員】    私の場合、中学校の現場しか経験がありませんので、その立場ということでお話しさせていただきたいと思います。この資料5を見ながら、中学校の数学教育のイメージというところで考えてきたときに、まず1番目のところで、個別の知識や技能という部分に当たると思うんですが、中学校で文字式が入ってきたり、図形の論証が入ってくるところで、本来の数学の面白さみたいなものがどんどん広がっていくというふうに、自分自身も認識しているし、そこを子供たちに伝えたいなという思いがあります。
  そういうときを含めてなんですけれども、学び方を子供たちに数学の授業に伝えていく必要があるのではないかと思っています。例えば、以前学習したことを使う、何かを数の性質を例えば示すのであれば、文字を使うといいんだとか、あるいは、例えば連立方程式を解決するには、1年生でやった一元一次方程式に帰着させればいいんだ。つまり、過去に学んだものをうまく使ったり、あるいは、図形でも一つの命題をある部分を変えることで、新しい命題が発見できるなどといった、そういう学び方を、果たして現場の教師が子供たちに示しているかどうかというところが、子供自身の、中学生の数学の学びの深さにつながっていくのではないかと思っています。
  ですから、そういう意味で、確かに個別の知識や技能といったところで、当然中学校で身に付けるべき内容としての知識、又は技術としての技能があるとは思うんですが、それとともに、その活用の仕方というか、学び方をこの1番目のところに組み込んでいけないだろうかと。それを入れることで、むしろ指導する先生たちがそこを意識しながら子供たちに伝えられれば、もっと幅が広がった数学教育が展開できるのではないかと感じております。
  それから、全く別の視点なんですけれども、社会で数学を活用するというところは、実は非常に数学で難しい部分だと自分は感じております。実際、教員というのは、学校が終わったら、大学が終わったら、そのまま現実の学校に勤務しておりますので、社会の中でどのように数学が実体験として活用されているかというのを、正直知らないわけです。例えば建築現場とか、設計だとか、数学を使わなければいけない人たちは、恐らくもう一度、高校数学、大学数学の本を見直したり、それの専門書をもう一度ひもといて、そこで数学を使っているのが現実ではないかと思っています。
  いきなり現場に出た教員が、数学はこれだけ世の中で利用されているんだよということを果たして実感を込めて語れるのかどうか。そういう意味で、やはり数学の教員は、分からないですけれども、社会に研修に出るとか、そういうところをもっと見る必要があるのかなと、理想ですけれども、そういうふうに感じています。
  そうなったとき、じゃ、現場の我々がどんな程度でできるかというと、例えば今日用意されているこのようなA判の紙などで、中学校の数学では1対ルート2というところを示すのに――今ここ、済みません、折っちゃいますけれども、こんなふうに折ると、ここに正方形が作れまして、その正方形の対角線がルート2になるということで、この部分がこの上の辺とぴったり重なることでルート2になるでしょうと。そういうことを示すというのが、本当に社会とつながるかどうかは分からないんですけれども、ちょっとしたそういう身の回りのところに使えるというところが、また中学生には、ああ、そうかというふうに腑に落ちるというか、納得させられる。そういうものをたくさん持っていることが、教員にとっても、研修しながら大事なのかなと思っています。
  すみません、まとまりませんが、一応その2点、知識の中に学び方を入れられないかということと、あとは社会と結び付ける難しさ、それから、もっともっとそういうネタを現場に提供できないかということについて、言わせていただきました。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして山田委員。
【山田委員】    ただ今の板垣委員の意見とも重複するところがありますが、私、高校の立場からお話しさせていただきます。実際、世の中は本当に数学であふれていると思うんですけれども、現状では生徒たちがそれを感じられない状況になっているというのが一番課題であるかなと思っています。
  特に入試で高得点を取らせるのが目的みたいになってしまっている状況の中では、受験で数学が要らなければ、一生要らないみたいな思いで、数学の教育が終わってしまう子がいるというのは、とても残念なことだと思っています。
  例えば教科、芸術の目標の中に、生涯にわたり芸術を愛好する心情を育てるというのがあります。すてきな文言だなと思っているんですが、心情的には、本当に生涯にわたって数学を愛好して、活用できる資質が育てられたらという、そんな思いはあります。その辺の思いが、例えば数学のよさを認識するとか、生活と関連付けたりというような言葉にも思いが反映されているのかなと思って読ませていただいております。
  やはり、社会と隔離した、学校で閉じただけの数学ではないんだよと。こんなところにも数学があると、社会との関連をつなげながら、卒業後も数学が必要になったら使えるし、数学って面白かったなという印象を持って、例えば親になったときに子供たちに話してもらうとか、そういうことにつながることが背景にある文言になるといいなと思っております。以上です。
【小谷主査】    はい。宇野委員。
【宇野委員】    資料5にありますイメージについてです。今回、中学校の方では、最後の欄に既習の内容を振り返って関連を図ったりということが書かれております。高等学校、中学校、小学校と、もちろん違いありますが、算数・数学を学ぶところにおきましては、同じではないかと思います。小学校でも、先ほど例がありましたように、少し前にやったことをどう組み合わせて次を考えるのかというところで、これは前の発展形ではないかという認識が出たりします。
  あるいは、一歩高いところから見ることによって、数学的にいろいろ統合されていく、分かりやすさというか、腑に落ちやすさというか、そういう感覚を得て数学のよさも感じるのではないかと思いますので、小学校、中学校、高校、どの時点でも既習の内容を振り返ってということは非常に重要だと思っております。
  それから、同じくこの資料5の中に、小学校のマル3に、批判的に検討しようとしたりと書かれていますが、これについても既習内容と同じではないかと思っております。そうなると、小学校、中学校、高等学校、全てに同じポイントがあるような感じにもなりますが、小学校は小学校なりに、中学校は中学校なりに、例えば統計などが、批判的な見方の一つの手段になり得るというお話もあったと思います。
  また、小学校の方では、大谷委員から、図とか、グラフの話がありました。私も、その内容によっては、これは図として考えた方がいいもの、あるいはグラフとして考えた方がいいもの、それぞれよさの違いがあるはずだと思います。この問題だったら、こういうグラフの方が分かりやすいという意見も批判的な検討に当たると思いますし、そういった考え方が数学的な考えを用いることによって非常に分かりやすく、お互いに考え方として共有できる、そこが一つの数学を学ぶ意義ではないかと思います。具体的にどういう文言にするのかということは非常に難しいとは思いますが、今述べましたように、既習の内容を振り返るという点と、批判的な検討という点は、どの段階にも通じることではないかと考えております。
  2点目です。これはどう考えたらいいのか、私自身まだまとまっていないのですが、高等学校を一つにくくれるのかという問題があります。高等学校の場合は、全員が全ての科目を履修するわけではありませんので、高等学校においてどういう資質を育むのかというときに、数学3まで勉強している生徒を想定するのか、あるいは必履修の部分で何かまとまったことがあるべきなのかということです。
  現在の大学進学率等を考えますと、必履修のところのみの場合、あるいは、それにプラスした部分であるが、数3までではないという場合、どういう資質を持って社会に出る形がいいのかについては、もう少し深く考えた方がいいのではないかと思っております。以上です。
【小谷主査】    今のこと、事務局からコメントを頂ければと思います。資料3を見ると、まず全体として、算数・数学の学習を通じてというのがありますが、小・中・高に分けたり、3本の柱に分けたりするのではなく、共通に算数・数学で何を学習するかという大前提があるかと思います。それを書く場所がないというのが指摘事項の一つです。
  それから、こちらの資料4では、高等学校の一番右の端の欄において、各科目の特質に応じて書いてあるので、今御指摘いただいたことは意識されていますが、そのあたりを我々はどの機会に議論したらいいのかということについて、コメントを頂ければと思います。
【米原教育課程課課長補佐】    今御指摘を頂いた点、非常に我々も悩ましいと思っております。高校教育で身に付けるべき資質・能力、高校の数学で身に付けるべき資質・能力といったときに、必履修がございます。必履修で身に付けるべき資質・能力というのは、当然みんな最低限ということだと思いますけれども、そこから当然選択科目がいろいろあるという形になってくるかと思います。
  そこも、内容の違いによって、もしこの書き表すべき三つの柱に沿って違いがあるのであれば、それは当然そういう形で整理していくのもあるかとは思うんですけれども。むしろ、そこはいろいろと御意見を頂いて、いろいろ科目がある中で、共通してこれであろうというところがまとめられるのであれば、高校数学としてそれでまとめていくという方向で構わないと、むしろそれで正しいと思っておりますけれども。
  もし、内容、各科目等とか、いわゆる理系とか、文系とかのある履修形態とかで大くくりできるのか、科目ごとなのか、そこはいろいろと御議論があるかもしれませんけれども、そこで身に付けるべき資質・能力が少し変わってくるということであれば、その整理をした上での資質・能力の整理ということもあり得るかと思っておりますので、是非そこは、御意見、御議論をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
【小谷主査】    はい、よろしいですね。
  続きまして、藤井委員、お願いします。
【藤井委員】    資料5の算数・数学教育のイメージは、三つの柱に落とし込もうとしたということだと思います。私のイメージですと、三つの柱の一番最初の「何を知っているか、何ができるか」に、皆入っているようなイメージを持っております。「何を知っているか」ですが、本当に本質をきちっと分かっていれば使えるわけです。けれども、分かっていたと思っていたものが使えなかったりすると、ああ、自分が知っていたことはとても浅かったということに気がつきます。そうすると、基礎的な知識の理解と一言で言っても、そこで本当に深く、どの程度分かっているかということが大事です。このマル1の書きぶりというのが大事だと思います。マル2、マル3につながっていくようなイメージを持ったマル1の書きぶりにしたい。そうでないと、基礎的な知識、技能をとにかく詰め込んでしまえ、みたいなイメージを持たれても困ります。最初の清水主査代理の御指摘のように、マル1の書きぶりはとても大事だなと思っています。
  次に、「よさ」という言葉ですけれども、私は大変すばらしい言葉だと思っています。一度消えましたが、今回復活してきたので、日本の算数・数学教育の神髄がここに出ていますので、それを多くの方にもきちっと分かるような形で今回示していければ、より一層日本の算数・数学教育は発展すると思います。
  最後に、「問題解決」という言葉についてです。教育現場に目を向けたときに、「問題解決」という言葉が異なるニュアンスで用いられて、理解されている面があります。特に小学校、中学校、高校を比べたときに、「問題解決」というイメージはかなり違っているのではないかと思うんです。その辺を配慮して、文言をきちっと整理して発信しないと、現場へ意図が伝わらない可能性があると思っています。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  戸谷委員ですか。
【戸谷委員】    社会で数学を活用するというときに、数学がダイレクトに使われている、計算されているとかいうことだけではなくて、むしろロジカルシンキングのような部分というのが、一般に使われているという意味では大きいのではないかと思います。そう考えたときに、先ほどアメリカのMathematical Practice standardというのが御指摘がありましたけれども、そこで言われていること、私もビジネススクールで社会人に教えているんですけれども、ロジカルシンキングができないということが非常に大きな問題に今なっています。
  課題を抽象化できない。この理論を使ったらこれが解けるというふうに、個別の問題を抽象化して、どの理論を持ってくればいいのかというところにつなげられないということがあります。アメリカのプラクティスを見ると、抽象的にするであるとか、モデル化するであるとか、戦略的に適切な道具を使う、それから、体系化して推論を連鎖することで規則性を見つけるとかいうような非常に重要な記述があって、物すごくダイレクトな数式を使ってどうこうというよりも、こういったことの指摘というのが、やはりあった方がいいのかなと思いました。
【小谷主査】    どうもありがとうございます。
  中川委員ですか。
【中川委員】    本来、算数・数学が、より賢明な判断のできる思慮深い日本人をつくるのに大きく貢献できる教科であって、情報をうのみにしないとか、問題の本質を捉えるとか、結果の妥当性を確かめるとか、より良いものを求める態度とか、そういったものをつくっていくのに大きく貢献できる教科であると思います。
  しかしながら、皆さんの御指摘にあるように、学校現場では事柄をインプットする授業が多くなされている。そのインプット型、事柄をインプットする授業から、子供たちの意欲であるとか、発想であるとか、考え方をアウトプットする教科に変えていく、本来の算数・数学の姿に変えていく大きなチャンスだと思っています。
  資料5の小学校のところに、協働的に問題解決という文言があります。これは、やっぱり小学校だけでなく、中学校、高校にもこの柱が立ってしかるべきでありますし、協働的な問題解決といった場合に、多くの場合は子供たちにいろいろな意見を言わせておいて、正答、誤答のある中で、正答だけを取り上げていく。比較・検討という言葉が使われているのですが、切り捨て型の授業、問題解決っぽい授業が多くなされています。
  そうではなくて、この協働的な問題解決というものが子供たちの正答には至らないけれど、素朴な子供なりの考えでこれまでの既習を基に進めてきた、やや至らない考えをみんなで補い合って作り上げていく、そういう授業イメージができる言葉に持っていけないかなということを思います。
  比較・検討、切り捨て型ではなくて、練り上げ型の協働的な問題解決というイメージを示すことができれば良いということ、さらに、それが中学校、高校にも反映されたら良いということを意見として思います。
【小谷主査】    はい、ありがとうございます。
  齊藤委員、お願いいたします。
【齊藤委員】    先ほどの藤井委員からもこのマル1にある意味全て集約されてしまう部分があるのではないかというお話がありました。同じように、私も、先ほどマル1、マル2、マル3のこの整理の仕方が非常に今後大切ではないかというお話をさせていただきました。マル1の中身が非常に重要で、先ほど主査代理からも、高等学校のマル1の部分について話題提供がされましたが、もう少し知識・技能をどう伝えていくかについての丁寧な見直しをしていく必要がある、どのように現場の教員がこれを解釈したらいいかを改めて確認していく必要があることを感じました。
  論点整理の中でも、単なる知識を獲得することで終わらずに、それをもっと体系的な概念にしなければいけないそして一つの技能というものをただ身に付けるだけではなくて、複雑な方法として身に付けていく必要があると指摘されているように、知識・技能の持っている「働き」であったり、その「必要性」であったり、また、今話題になっている「よさ」にまで関心を持って指導していくことを伝えるべきだと思います。
  高等学校で指摘されている数学化や、解釈、表現の技能などにも大きく関わってきますが、その辺りまで知識・技能の守備範囲にすることが重要で、その点から、この小・中・高のマル1、マル2、マル3の、特にマル1などの整合性、あるいは系統性を、それぞれの学校段階に応じた表現にはなると思いますが、丁寧に整理していく必要があると思いました。
  そのように考えますと、先ほど宇野委員からも御指摘があった例の黒丸ですが、この部分で取り上げられている内容についても、これが三つの柱とどういった関係性で今後整理されていくのかが重要になってくるように思います。高等学校の二つ目の黒丸にある「粘り強く考え」などは、算数・数学という教科だからこそ突き詰めていくというか、一つのことをやったら、更に新しいものにしがみついていくというか、要するにより良いものにしていこうということが可能になると思います。算数・数学ならではの価値観だろうと思います。このようなことからも小・中・高での系統を大切にしていくべきだなと改めて感じます。この「粘り強く考える」というのは、資料提供していただきましたけれども、昭和26年の試案の中では、算数という教科が、「それを用いてめいめいの思考や行為を改善し続けてやまない傾向を伸ばす」と示されています。教育的にも、社会的にも非常に重要な指摘がこの間ずっとされているわけです。
  こういった価値を大切に小学校段階から丁寧に積み上げていくということが今回の改訂に期待されているのではないかと思いました。以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  では、続きまして、椿委員。
【椿委員】    先ほども少し申し上げことの補足なのですけれども、個別の知識や技能を、先ほどの第2段階の思考力・判断力・表現力等というものに持っていくという段階についてです。例えば、私の分野でグラフを書く。これは小学校教育でも既に行われていますね。棒グラフを書いたり、x軸y軸を使って散布図を書いたりする方法というのは、当たり前に教えられています。けれども、それは単なる知識で、それは棒グラフという表現を教えているだけです。でも、グラフを書くことは、今回の資料9みたいなプロセスに沿ってグラフを書くことを考えてみれば、問題を発見するためにグラフを書く場合と、そのためのアナリシスをやるために、ある関係性の表現を見出すためにグラフを書く場合と、それから、何かを行った効果というか、結果を確認するためにグラフを書く場合があります。同じグラフでも、全部性格は違うのですよね。
  それは、ありとあらゆる算数・数学教育の局面の中で知識を教えていることと、その上でできてくる何らかの思考力、判断力の正にプロセスに寄与する部分というのがあるはずだということです。これは、今回の学習指導要領にもしその3本柱が入るときに、1本目から2本目という形に動いていくということも、非常に必要な部分じゃないかなと思うのです。
  それから、第2に、世の中に役立つ表現力、モデル論、最適化ということに知識の部分では重点があるとしても、先ほど申し上げましたように、また今も齊藤委員からありましたけれども、粘り強く考えるという話は、直交した側面で、数学の特殊性ではないかと思うのです。
  先ほどから委員方、中川委員がおっしゃっていらっしゃるように、これは実は個人の力量として、個人が徹底的に問題を解くことが面白く思って、伸びていくというのは、それはいいのです。一方、集団といいますか、生徒さん全体がアクティブ・ラーニングなり、高校の場合には数理探究というところで、そういう活動が行われるように見えます。小・中でも総合学習とか、いろいろな集団活動の中で、ほかの人が徹底的に考え抜いたもので、なるほどと思うところを共有していく活動があります。
  そういう活動の中で、集団としても、さっきも言いました達成志向が育めます。いろいろなツールを使って何かの目的を達成していくという能力が伸びるようなことを、アクティブ・ラーニングと総称されているような活動の中でうまく設計していただけるような、提言となる指導要領にしていただければと思うところです。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、大谷委員。
【大谷委員】    マル1の重要性についてのお話を賜りながら、少し文脈がマル2、マル3の方をお話し申し上げたいと思うので、恐縮ですけれども、2点お話し申し上げたいと思います。
  1点は、先ほど中川委員から、小学校での協働の学びであるということの重要性等について御指摘がございました。私も、正に同感でございます。そういう意味で、マル2の思考・判断・表現力という意味で、表現というのを算数・数学はときどき思考判断という形で述べたりするように思うんですけれども、中学校では、例えば説明し、伝え合う活動というのも大切にして取り入れたりしております。ですので、そういったこれまで既習を、新しいことを見出す、あるいは実社会で応用するということのほかに、もう一つの柱として、説明し、伝え合うということの大切さも、思考・判断・表現力に向けて取り入れているように思います。
  そして、これからのアクティブ・ラーニング等にも鑑みますと、そのような言語活動ということは大切になってこようかと思いますので、思考力・判断力・表現力等の中に、その協働、あるいは言語活動的なことも項目として入ってきていいのか。現在、中学校では三つの柱を立てていて、それが二つになると、何か少しシンプルになったイメージも持たれてしまうように思います。
  2点目は、実際この三つの柱を立てたことと、いわゆるPDCAサイクルを通した学力調査や、学力テストの関わりですけれども、やはりマル2、マル3になりますと、なかなかそれをペーパーテスト等で測ることは難しく、逆に学校現場の方では、例えばB問題のある問題ができないと、それが何ポイント上がるような手だてを講じましょうというような後ろ向きのことに躍起になるという傾向もありますので、やはり前向きのPDCAということになるような設計を、指導要領の段階でもしていく必要があるのではないかと感じております。以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  3名の方の名札が立っておりまして、そろそろ時間もありますので、3名の方の御意見を頂きたいと思います。
  では、順番に宇野委員から。
【宇野委員】    数学のよさとか、そういった面は皆さん、多くの方が言われているのとほとんど同じなので付け加えることはないですが、さっき私が申し上げた高校の云々のところを少し付け加えます。やはりここにある体系的に理解と書くことは非常に重要ですが、私はここを履修状況ごとに分けて書くのがいいとは必ずしも思っていません。ただ、これは、まとめとしてはいいと思うのですが、ならば、学習指導要領においては、科目立てのところで、あるいは単元立てのところで、実際に授業として各高校で組み立てた場合に、どういう授業科目、あるいは授業単元を取ったとしても、体系性がある程度実現できないといけないと思っています。
  今は、単元は三つあるけど単位数は2で、二つの単元しかできないという制約がありますが、本当に二つの単元の履修だけで体系的な理解になるのかとか、そういったところまで本来は考えるべきではないかと思うのです。  けれども、難しいかもしれませんが。それを先ほどの発言に付け加えたいと思っていたところです。以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  では、丸橋委員。
【丸橋委員】    今、議論されているところですけれども、この算数・数学教育のイメージを現場の先生方にお伝えするという観点からいきますと、そのイメージの伝え方を少し工夫する必要があると思います。先生方は教科書を中心に、教科書を活用して授業をしているかと思います。ですので、教科書の在り方を併せて検討していく必要があると思います。
  例えば、教科書で系統的な知識、理解に加えて、活用するような問題事例を多く扱ったり、大学入学希望者学力評価テストのイメージ例のような日常生活に関連する内容を多く扱ったりする。教科書を工夫することで、先生方へのメッセージにもなると思います。教科書をどう工夫するかも大事だと感じています。
  それから、もう一つが、板垣委員さんから「学び方を伝える」という発言があったかと思います。例えば、少ない数で試してみるとか、表を作ってみるとか、規則性を見つけるとか。群馬県では平成10年度から数学コンテストを高校生に向けて実施していますが、その中でも戦略というものがとても大事だと思っております。「思考の道具」のようなものが示されていれば、子供たちが粘り強く考えていく気持ちをアシストしていけるのではないかなと思います。
  そんな「思考の道具」のようなものを、例えば教科書の裏表紙に載せることも検討してみたらどうかと感じました。以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
  では、清水宏幸委員。
【清水(宏)委員】    私は、高等学校の黒丸の二つ目、先ほど齊藤委員がおっしゃったこと、粘り強く考えるというところに最後の一言を申し上げたくて、発言をさせていただきました。このことは、資料8の学びに向かう力、人間性等の小学校、中学校では問題の解決などにおいて粘り強く考え抜こうとする態度、高等学校では、問題の解決などにおいて、粘り強く柔軟に考え抜こうとする態度ということで明文化されており、私は非常によいと思っております。
  私も、中学生と一緒に授業をしているときには、最終的に3年間たって卒業するときに、子供たちが粘り強く考えることができたかどうかということを非常に大事にしておりましたので、このように明文化されることについて、賛成であります。やはり物事について誠実に、丁寧に、思考したり、実行したりするというのは、本来の日本人の持っている大事な力だと思っております。
  これは、やはり、数学のよさを感得することによって、身に付いてくるものだと思うのですが、これを大事にしていくということ、これを明文化していくということは大切ではないかなと考えております。
  では、どう考えるかというところに焦点が当たるのですが、先ほど私は、マル1のところでも発言させていただいたのですが、考え方を教えようとすると、どうしても、まずこのように考えて、次にこうやって、こうやってという具体的に考える手順を教えてしまうことが多いと思います。それでは、本当の粘り強く考えることにはつながらないと思っておりますので、その辺の誤解がないように、このマル1の中にイメージとして入ってくると、大変すばらしいと思っております。ありがとうございました。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。議題1について活発な御意見を頂きました。時間の制限もありますので、もし、どうしても今日、議題1について御発言をしたいことがございましたら、もう一名ぐらいと思います。
  はい、お願いします。
【清水(静)主査代理】    すみません、時間が押しているところで。先生方の御意見をお伺いしていて、大きくは、やはり小・中・高の3本柱のそれぞれの柱の関わり、関係ですね。発達段階でより精緻化、数学らしくなっていくという感じが出るように整理する作業が必要かなと思いました。
  それから、もう一つは、先生方からいろいろな要素を指摘されておりますので、マル1、マル2をできるだけシンプルに、文章を1行とか1行半ぐらいにしてもらって、その下に下位の項目を三つとか四つ付けていただくと、今日のお話がうまく入っていくのかなというふうな印象を持ちました。
  それから、マル2のところは、論点整理における二つ目の柱の説明のところでは、自立的な問題発見・解決と、協働的な学びと、2本柱になっていますね。それで、ここではどちらかというと、個人の学びで共通に言えることに重点を置いて書かれていると思います。先ほどの振り返りとか、表現するという話を組み込もうとすると、どうしても協働的な学びという要素を表に出さないとうまく位置付かないし、そうしないと、そちらが少し控え目になっているように誤解をされてしまう危険性がありますので、そこをこのマル2のところでも表に出して、その下位の項目の中でそれぞれに対応した何か要素を整理していただくようなことができないかということであります。
  それから、3番目は、よさとか、楽しさとか、働きといった情意的な側面の強化ということですので、これらは学びに向かう力を支える大変重要な要素だと思います。これもどういうふうに整理をしているか、マル3のレベルでどう書くか、その下位の項目でどう整理するかを検討いただけますと大体今日の議論はうまく整理できるかなということを思いましたので、今後の作業のお願いといいますか、検討をしていただきたいと思います。
  最後でございますけれども、粘り強く考える、これは大変大事だと思いますが、やっぱり嫌いだとか、おもしろくないという子供もいっぱいいるとなると、個人差があって、問題解決を遂行する上で時間の掛かり方は子供によっていろいろです。どこかで頑張れば最後まで行けたと、自分も頑張ればできるという、’doable’というのが十数年前に話題になったことがあるのですけれども、その精神を、この「粘り強く考える」の後ろに入れていただきたい。
  つまり、「粘り強く考えたんだけど、うまくいかなかった」を繰り返すと、やっぱり嫌いになってしまいますので、粘り強く考えて、少し辛抱すれば、下手でも、上手でも、最後まで自分は行けるのだというような体験を、今の算数的活動とか、数学的活動の文脈の中にうまく入れていただけるような仕組みができると、最初の面白くない、楽しくないという子供を減らすことに貢献できるかなと思います。
  それに関係して、最初に真島委員から塵劫記のお話がありました。これも、やっぱり学ぶごとに新しいことが出てきて、いつも新しいことでは息が詰まってしまいます。やっぱり同じ問題、場面に直面して、学んだ算数・数学を使ってチャレンジをしたら、学年進行、あるいは学校段階の移行により解き方が変わって、前の学年より、あるいは小学校よりもずっとよく分かるようになったとか、さらに、お釣りが出てきた、視野が広がったということを実体験することが、次の学び、つまり学びに向かう力を強化するために大変重要な機会になるのではないかと思うんです。
  なので、今の枠でいくと、小・中学校の算数・数学では算数的活動、数学的活動、内容領域に準ずる形で位置付けられておりますけれども、そこの事例の一つとして、先ほど真島委員が挙げていただいたような例が、もし配慮事項とか何かに例示できると、授業も大分変わってくるのではないかと思いました。以上です。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。
【米原教育課程課課長補佐】    いろいろと御意見、ありがとうございます。資料構成の説明なんですけれども、資料でお示しさせていただいたような算数・数学教育のイメージとして、代表でやることということでございます。今日、様々な御意見を頂きましたけれども、そこで反映させるところと、あと資料8の方が細かく、それをもう少しブレークダウンしたものということになってございますので、そこにうまく振り分けて、もちろん用語の共通性を保ちながら、イメージはイメージとして全体をぱっとまとめ、それをブレークダウンしたものを改めて整理するということで、また資料を整えていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
【小谷主査】    どうもありがとうございました。議題2その他としておりますが、何か御意見、ございますでしょうか。
  無ければ、本日様々な御意見を頂きましたが、時間が参りましたので、本日はここまでとしたいと思います。
  本日いただいた御意見については、事務局で論点ごと、その趣旨を整理いただくようにお願いします。なお、限られた時間での討議でございましたので、更に御意見、お気づきの点があれば、ペーパーで事務局にお送りいただければと考えております。
  それから、机上資料皆様の左手の山の一番上の方にこういうものを入れさせていただきました。先ほど板垣委員からもございましたように、数学は現実にどういうふうに役立っているのか、役立てられているのかの具体例を知ることは重要です。たまたまですが、今週号の「週刊ダイヤモンド」で、数学こそビジネスで戦う究極の武器であると特集が組まれ、具体的に企業で数学がどのように使われているか紹介されてございます。御参考にしていただければと思って、置かせていただきました。
  それでは、本日予定されていた議題はここまででございます。
  最後に、次回以降の日程について、事務局より御説明をお願いいたします。
【仲教育課程課専門官】    次回は、2月15日、月曜日の17時開始を予定しております。場所はお隣の3F2特別会議室を予定しております。
  また、主査からもお話がありましたように、ペーパーによる御意見等も頂戴したいと考えております。ファックス又はメール、郵送でも結構でございます。
  なお、本日の配付資料は、机上にございます封筒に入れてそのまま置いておいていただければ、郵送いたします。以上です。
【小谷主査】    それでは、本日の算数・数学ワーキンググループを終了いたします。ありがとうございました。

――  了  ――

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