教育課程部会 体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループ(第7回) 議事録

1.日時

平成28年3月8日(火曜日) 13時00分~16時00分

2.場所

合同庁舎7号館東館 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 体育・保健体育等の育成すべき資質・能力の整理について(見方・考え方)
  2. 資質・能力の育成のために重視すべき体育・保健体育の評価の在り方について
  3. その他

4.議事録

【山口主査】  皆様こんにちは。定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループ第7回を開催させていただきたいと思います。本日も先生方、大変お忙しい中をお越しいただきまして、ありがとうございます。

最初に、事務局から配付資料について確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【二戸学校体育室指導係長】  それでは、失礼いたします。本日の配付資料、非常に多うございますが、よろしく御確認ください。

まず、資料1としまして、前回第6回のワーキンググループの主な意見。

資料2としまして、アクティブ・ラーニングの視点と資質・能力の育成との関係、学習評価の改善に関する今後の検討の方向性についてということで、多少厚めになっている資料となります。

同じく厚めですけれども、資料3として、学校段階等別・教科等別ワーキンググループ等の進捗状況等。

資料4としまして、先生方に今まで御議論いただいております、資質・能力の3つの柱に沿った、小・中・高を通じて育成すべき資質・能力の整理のイメージ(体育科・保健体育科)。

資料5としまして、前々回、先生方に御意見を頂戴しましてその意見を反映させた形とさせていただいております体育科・保健体育科における課題発見・解決の学びのプロセス(イメージ)案ということです。

資料6としまして、体育・保健体育の特性に根ざした見方・考え方のイメージ(案)。本日の議題の中心資料となります。

資料7としまして、体育・保健体育における資質・能力を育むために重視すべき内容等について(案)。本日の議題関係資料となります。

最後に資料8としまして、2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として育成すべき資質・能力についてということで配付をさせていただいております。

その他、机上に参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。

なお、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中には本ワーキンググループの審議に当たり参考となる審議会の答申等をデータで入れております。また、第6回までの審議の状況等についても同じくタブレット端末の方に入れてありますので、適宜御確認いただければと思います。

以上でございます。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、これより議事に入りたいと思います。初めに、本ワーキンググループの審議等につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開により議事を進めさせていただきますとともに、第6条に基づき議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱わせていただきます。よろしくお願いいたします。

なお、本日は報道関係者より会議の録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知置きください。

それでは、本日の議題に入ります前に、他の専門部会などで議論されております状況などを含めまして、伝達事項、報告などを事務局から御説明をいただきます。大杉室長、お願いいたします。

【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは、お手元の資料2と資料3を御用意いただけますでしょうか。先に資料3の各学校段階等別・教科等別ワーキングの進捗状況から、御参考までに御説明をさせていただきたいと思います。

それぞれ御議論を進めていただくに当たって、他のワーキングでこのような議論をしているということを御参考までに御覧いただければと存じます。

目次を3枚おめくりいただきますと、総則・評価特別部会における検討事項ということでございます。御覧のような論点に沿って議論をしていただいているところでございますけれども、1枚めくっていただきまして3ページ目でございます。指導要領の構成と改善の視点ということでございまして、今後、総則というものを社会に開かれた教育課程の理念の実現に向けてふさわしいものにどのように構造化、表現としていくかということでございます。

ピンク色の右側の部分を見ていただきますと、その改善の視点ということが書かれてございますけれども、現在も総則に含まれております、例えば知・徳・体の総合的な育成の視点、体育、保健、安全の教科横断的な実現の視点といったことも引き続き盛り込みながら、一方で現在の資質・能力の議論を受ける形で、小学校、中学校、高等学校それぞれの教育課程全体を通じて育成すべき資質・能力ということを総則の中で明確にしていくなど、あるいはカリキュラム・マネジメントの視点やアクティブ・ラーニングの視点をしっかり位置付けていくことなど、教科横断的な視点ということを少し意識しながら総則を変えていくという方向性でございます。

また、6ページ目でございますけれども、学習評価の改善に関する論点ということで、これにつきましては後ほど、資料2で御説明をさせていただきます。

9ページ目以降、特別支援でありますとか、あるいは17ページ目以降、情報に関わる資質・能力、それから28ページ目以降、健康、安全に関わる資質・能力というのは既に御紹介をさせていただきましたので、割愛させていただきます。

幼児教育部会でございます。32ページを御覧いただけますでしょうか。御覧のような論点で幼児教育部会、小学校との接続も意識しながら議論を進めていただいております。35ページ目にございますように、3つの柱、幼児教育の特性に応じて総合的に育むという視点を大事にしながら、そして幼児期の終わりまでに育ってほしい姿ということを明確にして、それを小学校につないでいくというような議論を現在頂いているところでございます。

39ページ目、言語能力の向上に関する特別チーム、これは国語と英語両方にまたがる議論でございますけれども、40ページ目にございますように、言語の役割ということを創造的思考の側面、それを支える論理的思考の側面、2つ目が感性・情緒の側面、他者とのコミュニケーションの側面、この3つに沿って整理をいただいているところでございます。また、41ページ目にございますように、テクスト・情報を理解して、それを文章や発話で表現していくというプロセスの中で働く資質・能力の要素ということを整理いただいているところでございます。

こうした整理を踏まえまして、国語ワーキングの議論も進めていただいておりますけれども、43ページ目にございますように、先ほどの言語の3つの側面に沿った資質・能力の整理をいただいております。また、それを小・中・高とどのように育んでいくかという44ページ、それから、資質・能力別に小学校、中学校、高等学校を色分けしてございますけれども、どのように育んでいくかというのが45ページ、46ページでございます。

また、先ほどの言語能力の特別チームのプロセスを国語の学習活動に整理し直したものが47ページ、48ページ目でございまして、こうしたプロセスを明確にすることにより、この中で言語の3つの側面、創造的思考と論理的思考の側面、感性・情緒の側面、他者とのコミュニケーションの側面ということがしっかりと学習活動の中に反映されるように整理をしているところでございます。

また、高等学校の国語でございますけれども、特に「話すこと・聞くこと」や「書くこと」に関わる学習活動が低調ではないかというような御指摘があることも踏まえまして、50ページ目にございますように、共通必履修科目を現代の国語と言語文化という2つに分けていくということ、そして、選択科目につきましては論理国語、文学国語、国語表現、古典探究の4つを設定していくという方向で御議論をいただいているところでございます。

外国語でございますけれども、53ページ目に、これも言語の特別チームの議論を踏まえた3つの柱の整理、それから、外国語につきましては、特にコミュニケーションの側面を重視しながら、その中で論理的思考や創造的思考、感性・情緒の側面を併せて育んでいくという54ページ目のような整理をいただいているところでございます。

55ページ目は、地歴・公民の高等学校の新しい科目でございます。56ページ目、57ページ目にございますように、機軸となる問いに着目しながら、歴史的な見方や考え方を育んでいく歴史総合というもの、それから58ページ目にございますように、選択科目というものも併せて今後の在り方を考えているところでございます。

59ページ目は地理でございます。地理的な物の見方や考え方を育む地理総合。その中では60ページ目にございますように、問いということを重視していくということ。それから、61ページ目にございますような選択科目の在り方ということでございます。

また、62ページ目は新科目、公共でございます。「公共」の扉ということの中で、公共的な空間における人間としての在り方、生き方ということを学びながら、63ページ目、法的主体となる私たち、政治的主体となる私たちというような、様々社会の中で求められる主体としてしっかりと必要な力を育んでいくということ。また、64ページ目にありますような、持続可能な社会づくりの主体として必要な探究活動を行っていくということ。また、65ページ目にございますような倫理、政経という選択科目との関係性でございます。

66ページ目、67ページ目は選択科目の詳細でございます。

68ページ目は社会科系科目のワーキンググループでございます。小・中・高を通じて、69ページ目、マル1、マル2、マル3、マル4にあるような資質・能力を育んでいくということ。その中で、70ページ目にございますような物の見方、考え方、社会的事象の見方や考え方を重視していくということ。71ページ目はもう細かい資料ですので、イメージだけと思いますけれども、物の見方、考え方ということを使いながら問いを追究し、概念的な知識を獲得していくということでございます。

また、72ページ目はそういった資質・能力を獲得するために必要な問題解決のプロセスということの整理をいただいております。

73ページ目、高校で新科目として数理探究というものが今後設定されますけれども、数学的な物の見方、考え方と科学的な物の見方、考え方を総合、融合させながら、様々な知的な創造に向かうというような学習活動を展開していく科目でございます。

75ページ目、算数・数学ワーキング。これも小・中・高、76ページ目でございますけれども、また3つの柱が77ページ目。また、78ページ目にございますような現実の世界と数学の世界を行き来するような形で問題解決を進めていくということ。そして、その中で79ページ目、AからFにございますような思考、判断、表現の力を育んでいくということでございます。

理科ワーキングは80ページ目、81ページ目が小・中・高、82ページ目が3つの柱でございます。83ページ目、エネルギー、粒子、生命、地球、それぞれの分野に即して主に育む見方や考え方、それを小・中・高でどのように育んでいくかが84ページ目、それから、それを育むプロセスの在り方、85ページ目でございます。

芸術ワーキング、87ページ目が書道における3つの柱、それから学びのプロセスの在り方、89ページ目が図工、美術、芸術における3つの柱、それから93ページ目が学習プロセスのイメージでございます。発想や構想の能力と鑑賞の能力、それから創造的な技能ということを形や色、イメージといった共通に働く資質・能力、共通事項ということを中心に置きながら学習活動として展開していくということ。そして、その先に、94ページ目にございますような、形や色、イメージなどの視点を持ち、豊かに関わる資質・能力、豊かな情操の育成があるというイメージでございます。

95ページ目は音楽の3つの柱でございます。98ページ目が学習のプロセスの在り方のイメージでございます。

技術・家庭、技術が100ページ目、中学校の部分でございます。101ページ目が3つの柱、102ページ目が技術分野で育む見方や考え方、そして、それをしっかりと活用して成長させていくためのプロセスのイメージが103ページ目でございます。104ページ目、家庭分野、小・中・高、105ページ目が3つの柱、そして106ページ目がこれを育むためのプロセスの在り方ということでございます。

情報ワーキングにおきましては、高等学校の新たな共通必履修科目の議論をいただいております。113ページ目にございますように、情報や情報技術を問題解決に活用していく力を育むために、問いなどを重視した学習活動を展開していくということ、114ページ目は新たな選択科目の在り方でございます。

117ページ目は、本ワーキングの資料でございますので、割愛をさせていただきます。

それから、生活・総合が126ページ目でございますけれども、総合的な学習の時間を軸にしたカリキュラム・マネジメントの在り方。それから、128ページ目が総合の探究と自己理解、他者や社会参画との関係性でございます。129ページ目が3つの柱。

特活、130ページ目は小・中・高、それから3つの柱は現在整理中ということでございます。

132ページ目、産業教育につきましても、133ページ目、134ページ目。134ページ目では見方や考え方についても整理をしていただいているところでございます。

こうした状況でございますけれども、教科共通に、やはりアクティブ・ラーニングの視点として資質・能力の育成の関係はどのようになっているのか、また、学習評価の改善はどのような方向に向かうべきかということを共通の視点として課題になっている事項がございますので、それについて総則・評価部会で御議論いただきました。その資料が資料2になりますので、資料2を御覧いただければと存じます。

まずは、そのアクティブ・ラーニングの視点と資質・能力の育成との関係についてでございます。これまでの議論をまとめさせていただいたものが資料2の1ページ目でございます。各教科等ワーキングにおきましては、こうした議論の状況を踏まえつつ、現在行っていただいております資質・能力の3つの柱、それから見方や考え方の明確化、学習プロセスの在り方、資質・能力及び学習プロセスと指導内容の構造化について、引き続き御検討いただきたいということでございます。

アクティブ・ラーニングの視点と資質・能力でございますけれども、論点整理におきまして、「社会に開かれた教育課程」の理念の下、深い学び、対話的な学び、主体的な学びの3つの視点が整理されたところでございます。こうした視点に基づく授業改善が子供たちの学びへの深い理解や資質・能力の獲得につながるということ、また、そうしたことが子供たちの学ぶ意義の実感につながり、生涯学び続ける力、長年課題とされてきました学習意欲の問題にアプローチできるということでございます。

3つ目の丸でございますけれども、論点整理でも指摘されておりますように、型に着目した理解がなされているのではという懸念。これは指導の型ということではなくて、授業改善の視点であるということの確認。一方で一番下でございますけれども、現場では理念だけではなく具体的な実践例を求められているところでございます。こうした実践例については、様々な型や方法の種類を紹介するというのではなく、授業改善によって子供たちがどのような変容を遂げたかという授業改善に関する実践例の蓄積と普及がなされるべきではないかということ、また、2ページ目にございますように、様々な型や方法はそうした中で1つの手段として活用され、その効果が検証され、不断に見直されていくべきではないかということでございます。

次に、深い学びの視点でございますけれども、3つの視点のうち、対話的な学び、主体的な学びについては教科共通で理解しやすいということの一方で、深い学びについては現在、各教科等ワーキングにおいて御議論いただいている最中でありますことからも、具体的なイメージがまだつかみにくいというような指摘があるところでございます。

現在御検討いただいております御議論の中で、各教科等における深い学びの視点の具体化を図ることが重要ではないかということ。また現在、各教科で行われている、先ほど御紹介させていただいたような議論の中で、資質・能力の育成や学習の深まりということに関しては、各教科等の特性に応じ育まれる見方や考え方が重要ではないかとの指摘がなされているところであります。こうした見方や考え方を、習得・活用・探究を見通した学習過程の中で働かせながら思考・判断・表現し、それをさらに成長させながら資質・能力を獲得していくことが深い学びではないかということでございます。

アクティブ・ラーニングの視点に基づく学びについては、論点整理におきましても深さを欠くことによる浅薄な議論でありますとか、失敗事例が報告されているところでもあり、深い学びの視点は極めて重要であるということ、そして、先生方にはこうした深い学びを通じて、子供たちの内容的な理解にも責任を持ちながら授業内容を組み立てていく力量を高めていただくということではないかということでございます。

そして、見方や考え方についてでございますけれども、これ自体は新しいものというわけではないということ。各教科においても、御覧のような書きぶりが現行指導要領においてあるところでございますし、保健体育におきましても、例えば健康の考え方というような、考え方という言葉も用いられているところでございます。一方で、その内容については必ずしも具体的に説明されてきているかということでは課題があるのが現状ではないかということであります。

3ページ目でございますけれども、見方や考え方とは、様々な事象等を捉える各教科等ならではの視点や、ならではの思考の枠組みではないか。そして、3つのポツにございますように、見方や考え方は知識・技能を構造化して身に付けていくために不可欠。知識・技能を習得したり、それを活用して探究したりすることにより、知識を他と関連付けて定着させたり、構造化された新たな知識として習得したり、技能を習熟、熟達させたりすることができるのではないか。見方や考え方の成長が思考力・判断力・表現力をより豊かなものとしていくことにつながっていくのではないか。どのような見方や考え方を通じて社会や世界と関わるかという点が、学びに向かう力や人間性の育成に大きく関わるということでございます。

したがいまして、先ほどにもございましたように、学習過程の中で見方や考え方を働かせて思考等を行い、それ自体を成長させながら資質・能力を獲得していくような学びが深い学びではないかということ。このイメージ図が5ページ目に図として示されているところでございます。

そして、その中で、各教科等ならではの視点で事象等を捉えて、思考の枠組みを用いて考えていくことなどを通じて見方や考え方を成長させていくということ。そして、子供一人一人の見方や考え方の困難さを捉えて支援していくという視点も大事であるということでございます。

そして、こうした各教科等の特性に応じた見方や考え方がある一方で、3ポツにございますように、それらは相互に影響し合いながら成長していくものであるということ、また、総合的な学習の時間や特活などの教科横断的な学び、実践的な集団活動を通じて各教科において育まれた見方や考え方が総合されたり統合されたり、それによってより広範な事象を捉えたり、1つのことを多面的、多角的に考えたり、より複雑な文脈の中で考えたりすることができるようになるのではないかということでございます。

続きまして、19ページ目でございます。学習評価の改善に関する今後の検討の方向性ということでございます。目標に準拠した評価を資質・能力の育成の観点から実質化していくために、以下のような方向性や留意点に基づき学習評価の改善について各教科等で御検討いただきたいということでございます。同じ資料の19ページ目でございます。

1つ目は、現在既に御検討いただいておりますけれども、資質・能力の3つの柱に基づく構造化、これが目標の明確化のみならず、目標に準拠した評価の実質化にもつながるということでございます。また、そうした資質・能力を育んでいくために重要な見方や考え方とは何かということの明確化。それから、指導内容の構造化。それから、資質・能力でございますけれども、3つの柱で整理していただいておりますけれども、これらはばらばらに獲得されるというよりは、総合に関連しながら獲得されていくものでございますので、そうした関係性を総則などで示していく方向で引き続き検討していくということでございます。

観点別評価についてでございます。観点別評価は、前回改訂時に既に学力の3要素と評価の観点の関係性は整理されたところでございます。それを踏まえて、観点別評価の実施率は高い状況であるということ、難しいとされた思考・判断・表現の評価の在り方に関する様々な実践も進展しているという実情が見られます。

一方で、子供たちの資質・能力の育成に向けた指導と評価の一体化という観点からは、質的な改善の余地がまだまだあるのではないかという指摘もあるところでございまして、こうした指摘を踏まえつつ取り組んでいく必要があるのではないかということでございます。

目標に準拠した評価の実質化や、教科・校種を超えた共通理解に基づく組織的な取組を促す観点から、別添のイメージというものが23ページ目にございますけれども、23ページ目のイメージを踏まえつつ、観点別評価の観点とその趣旨を検討すること。具体的な観点の書きぶりや趣旨の記述については、教科の特性を踏まえた表現ぶりを検討することということでございます。小・中・高を通じた一貫性ということにも留意いただきながら、23ページ目にございます、イメージとしては知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度でございますけれども、具体的な書きぶりというものは、各教科等の特性に応じて検討いただきたいということでございます。

19ページ目に戻りまして、観点別評価につきまして、一番下の丸でございます。毎回の授業で全てを見取るのではなく、カリキュラム・マネジメントの考え方の下、単元や題材を通じたまとまりの中で評価の場面をデザインしていくことが重要であるということ。また、20ページ目にございますように、現在御検討いただいている学習プロセスの在り方と評価の場面の関係性を明確にできるよう工夫するということ、複数の観点を一体的に1つの場面で見取ることも考えられるということでございます。

また、知識・技能につきましては、事実的な知識のみならず、構造化された概念的な知識の獲得に向かうこと、一定の手順に沿った技能のみならず、変化に応じて主体的に活用できる技能の習熟、熟達に向かうことが重要であることに留意することということでございます。

各教科等の特性や発達の段階に応じてどのような知識・技能を獲得することが求められるのか。例えば小学校段階では、まずは事実的な知識や手順に沿った技能の習得、習熟が重要であるというような考え方もあるかと存じますので、そういうことも含めて目標や指導内容の構成の中で明確にできるように工夫することということでございます。

思考・判断・表現につきましては、各教科の見方や考え方を用いた学習のプロセスを通じて評価することということでございます。各教科の特性や発達の段階に応じて、これも明確化していくということでございますけれども、思考力・判断力・表現力は一足飛びに成長するものではなくて、一定の時間を掛けて成長していくものであるということ、学年等を超えて幅を持たせた整理も御検討いただきたいということでございます。

主体的に学習に取り組む態度でございますけれども、これは資質・能力の3つ目の柱でございます学びに向かう力・人間性との関係を整理いただいております。学びに向かう力・人間性には、主体的に学習に取り組む態度として、観点別評価を通じて見取ることができる部分と、評定等にはなじまず、個人内評価を通じて見取る部分があることに留意するということ。

また、主体的な学習に取り組む態度でございますけれども、これまで関心・意欲・態度が挙手の回数やノートの取り方といった形式的な活動で評価されているというような批判もあるところでございます。そういったことではなくて、子供たちが学習に対する自己調整を行いながら、粘り強く資質・能力を獲得しようとしたりしているかというような意思的な側面を捉えて評価することが重要ではないかということ。実際、これは現行の学習・意欲・態度につきましても本来同じ趣旨であるものではございますけれども、なかなか誤解が払拭しきれないという問題点が長年指摘され、現在に至るところでございます。これを踏まえて、関心・意欲・態度を改め、主体的に学習に取り組む態度としているところでございます。こうした趣旨に沿った評価が行われるように評価の場面を設定していくことが重要であるということでございます。

また、現行の観点別評価の観点において、先ほど御覧いただいたイメージの観点のうち、示していない要素がある知識や技能、あるいは技能と表現の関係性等につきまして、各教科の特性に照らして検討いただいて、3つの観点が明確になるように御検討いただきたいということでございます。

21ページ目、指導要録の在り方については引き続き議論するということ。また指導要録に加えまして、キャリア形成を見通し、振り返ることができるような仕組みの在り方、キャリアノートのようなものも検討していくということ。そういったものを使いながら子供たちが振り返り、自己評価を行っていくことの重要性も考えていく必要があるということ。また、学びのポートフォリオや個々の学びの特性が校種を超えて共有されるような仕組みの在り方も検討していくことなどでございますけれども、残された論点については引き続き総則・評価部会において検討していくことでございます。

長くなりましたが、以上でございます。

【山口主査】  ありがとうございました。非常に多岐にわたって、少し駆け足で御報告をいただきましたけれども、本日御議論いただく内容も含まれておりますので、総則部会で話し合われている内容等も本日は参考にしながら、皆様の御意見を頂戴できればと思っております。

それでは本日の議題に入りますが、本日は体育・保健体育等の育成すべき資質・能力の整理に関連しまして、体育・保健体育の特性に根ざした見方・考え方について、また、資質・能力の育成のために重視すべき体育・保健体育の評価の在り方について、さらに、体育・保健体育における資質・能力を育むために重視すべき内容等について、2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として育成すべき資質・能力を含めて議論をさせていただきたいと思います。

まず初めに、体育・保健体育等の育成すべき資質・能力の整理に関連し、体育・保健体育の特性に根ざした見方・考え方について議論をしてまいりたいと思います。進行の仕方としましては、改めてこの部分について事務局からの説明をいただいた後、意見交換をさせていただきたいと思います。

それでは、事務局から配付資料の説明を含めて、御説明をお願いします。

【高橋教科調査官】  失礼いたします。資料6を御覧ください。ただいま大杉室長からもお話がありましたとおり、教科等の特性に根ざした見方・考え方というのは、様々な事象を捉える教科等ならではの視点と、教科等ならではの思考の枠組みと捉えることができます。

運動やスポーツを行うことの意義等につきましては、委員の先生方は既に御承知のこととは思いますが、人生をより豊かにし、充実したものとするとともに、体を動かすという人間の欲求に応え、爽快感や達成感、他者との連帯感等の精神的充足をもたらし、さらには体力の向上や精神的なストレスの発散など、心身の両面にわたる健全な発達に資するものであります。生涯にわたって運動やスポーツに親しむことは、極めて大きな意義を有していると考えているところでございます。特に高齢社会の急激な進展や、体を動かす機会の減少が予想される社会においては、全ての児童生徒が履修する体育・保健体育の果たす役割というのはますます重要になってくると捉えているところでございます。

これらを踏まえまして、体を動かすことを通して、心と体が一体であることや体力の高まりを実感したり、技能を獲得したりするなどの過程を通して、運動の行い方や体力の高め方などの知識の重要性を認識し、動きの獲得や技ができる喜びなどの各領域の特性や魅力を味わうとともに、社会的態度を養い、スポーツの文化的価値などに対する理解を深めて、実生活、実社会で継続的に運動やスポーツを実践するための資質や能力を育むために、資料6の見方・考え方のイメージ(案)という形でまとめさせていただきました。

読ませていただきます。「運動の特性や体力の要素を捉え、運動・スポーツの楽しさや喜びを見出すとともに、公正、協力、責任、参画、健康・安全といった視点を踏まえながら、運動・スポーツとの豊かな関わり方について考察すること」という案を示させていただきました。見方・考え方について加えるべき視点等について議論を頂戴したいと思います。

また併せて、資料5も御覧ください。先々回のワーキンググループにおきまして、プロセスにつきましては何のプロセスなのかを明確にした方がよい等々の御意見を頂戴したところでございます。今回は単元のプロセス等の、いわゆる学習過程ということではなく、見方・考え方の深まりにつながるような児童生徒の課題発見やその解決のプロセスとして示させていただきました。一番右側には実生活や実社会で生かすというところにつなげるために、児童生徒がどんな課題発見・課題解決の思考を働かせるかというプロセスを示したところでございます。

なお、本日は時間の関係もありまして、この課題発見・解決のプロセスの修正につきましては、メール等で御意見を頂戴したいと考えております。本日は先ほど御説明いたしました教科等の特性に根ざした見方・考え方の案につきまして、加えるべき点等について御議論を頂戴できればと思います。

続きまして、保健について御説明させていただきます。

【森教科調査官】  引き続き資料5と資料6を御覧ください。

保健の方は、生涯を通じて自らの健康を適切に管理し改善していくという、自他の健康の保持増進をテーマとした見方・考え方を考えております。大杉室長から説明がありましたように、保健では高等学校学習指導要領に「健康の考え方」が示されています。学習指導要領解説では、その内容について、疾病等ではないという健康の考え方や、生きがいや生活の質を重視する健康の考え方が例示されております。それらを踏まえまして、様々な社会の変化や多様性等に対応する保健としての見方・考え方について、資料6を提案させていただいております。

こちらの方も読ませていただきます。「健康や安全の視点から情報を捉え、健康の保持増進と回復を目指して疾病等のリスクを減らしたり、自分に合った対処法を見付けたり、生活の質を高めたりするために考察すること」というふうになっております。これまでの議論の中で、適切な健康情報を選択する、社会生活において健康や安全を優先的に考えていくという議論がされてきました。また、保健の方向性として健康の保持増進と、回復というレジリエンスに関わることについて今まで議論していただいていますので、それらを要素として示させていただいているところです。

そして、疾病等のリスクを減らしたり、自分に合った対処法を見付けたりという課題解決に関わるところを強調しまして、先ほどお話しさせていただきました生きがいや生活の質という健康の考え方を踏まえて、生活の質を高めたりするために考察するという形で提案させていただいているところです。

その見方・考え方を踏まえたプロセスですが、資料5の2枚目、体育科・保健体育科における課題発見・解決の学びのプロセスのイメージ(保健)を見ていただければと思います。これは課題発見・解決の学びのプロセスをイメージしたものですので、前回のプロセスと同様に、思考力・判断力・表現力を中核に示させていただいております。また、今回は資質・能力の3つの柱がそれぞれ関連していることを示すため、知識・技能、それから学びに向かう力の3つの関連性を見据えつつ、前回の意見を踏まえまして、プロセスの方を改善させていただいているところです。

今回の特徴といいますと、やはり集団指導とともに個別指導というものが非常に重要になってきていますので、それを位置付けたことです。まず、プロセスの中に個や集団の学びのプロセスということで「個」というのが入っています。集団指導だけでなく個別指導も、指導上配慮が必要な内容や個々の学びのプロセスに対応して、連関していくという形になっており、一番下のところにそれが示されています。それから、知識・技能と、思考力・判断力・表現力は、順序性があるわけではなくて、往還するという御意見がありましたので、そのことを分かりやすく示し、知識・技能の2つ目のところを往還するような表現で書かせていただいているところです。こちらの方は前回の意見を踏まえまして改善させていただいておりますので、きょうはまだ御議論されていない、プロセスの一番上にある見方・考え方を中核に御議論いただければと思います。

【山口主査】  ありがとうございました。それでは、ただいま御説明をいただきました考え方のイメージの案につきまして、30分程度、先生方から御意見を頂戴したいと思います。

今御説明していただきました案について、事務局との質疑応答という形ではなく、なるべく先生方の意見交換という形で進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、御意見のある方はあらかじめ名札を立てていただきまして、御発言をいただいた後は名札を戻していただけますと、私の方で御指名をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは野津主査代理、お願いいたします。

【野津主査代理】  まず、体育・保健体育の特性に根ざしたという、「特性」という表現なんですけれども、ワーキングの前の会議では「教科の本質」という表現はなかなか重いのではないかという指摘がありました。

総則・評価特別部会の場においても、本質というのは非常に難しいもので、各教科、その本質は何ぞやと問われたときに、きちっと文科省として答えられるんでしょうかという発言もありました。羽入主査が、本質と言うかどうかはもう少し議論をするということで、とりあえず特性とか特徴とか、そんなイメージで議論しましょうということにはなったんですが、ここでは「特性」という表現ですけれども、この辺はどうなのかということです。

私的には、特性というのもちょっと難があるかなと思いながら、「特質」がいいと思っていたんですが、いかがでしょう。体育を見てみますと、いきなり運動の特性という表現がありまして、その上位レベルの考え方のところの「特性」がかぶっています。

それから、体育の「豊かな関わり方」という、これがどうもぱっと読んだときに中身が見えにくいのではないか。専門の先生方においては、具体的に何を指しているのか説明しろと言ったら、それはできるような気がするんですが、多くの人が読んで共通理解できるような表現の工夫の余地はないのかなと思いました。

保健の方ですが、総じてうまく書けている、上手に落としてあるなと思いました。その上で1つは、「ために考察する」というところですが、保健の場合には、確かに目的に保持増進や回復のためにということを強調することは方向性としては私も賛成なんですが、1行目のところで「目指して」という言葉が入っていますので、「目指して」と「ために」とが2つ重なるのを避けたいと思います。体育とここは合わせて「高めたりすることについて考察すること」という表現でどうでしょうか。

2つ目としましては、「対処法」という表現についてです。対処法はこれまでも使われてきていますが、「対処方法を見付ける」あるいは「対処の仕方を見付ける」とかいう表現でもいいのかなと思いました。

とりあえず以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。それでは渡邉委員、お願いいたします。

【渡邉委員】  ちょっと確認させていただきたいんですけど、これまでこのワーキングでは、どちらかというと資質・能力と学びのプロセスということを中心に話し合いが行われてきたわけですが、そこで見方や考え方というのが入ってくると、その位置付けといいますか、分かったようで分からないところがあるんです。

1つは、見方と考え方と資質・能力がどう関係しているかということなんですが、これは先ほどの資料2の5ページのところにイメージ図があって、見方や考え方が成長していくと、要するに最終的に身に付くのが資質・能力だろうということは分かったんですが、そうすると、この見方や考え方が成長するとか、本文中には「育成する」という言葉が出てくると、見方や考え方も、言ってみればそれは目指していくということになるとすると、これから先の話になると思うんですけど、評価の対象にこれはならないのかということとか、最初は学びのプロセスの部分で、学び方なのかなと思ったんですけれども、何か教育の目標のようでもあるし、その辺がはっきりしないように私は捉えています。

恐らくこれはほかの教科でも同じように議論していると思うんですけれども、今までの資質・能力と学びのプロセスだけではなく、見方・考え方というのは何となく表の中に書き出してはいるんだけど、関係がいま一つはっきりしないような気がしました。見方・考え方は一体何なのか、学習の内容なのか、学び方なのか。そうすると、そこで資質・能力の一部のようにも見えるところがあるので、先ほどの説明のところは大体分かったつもりなんですが、この見方・考え方の議論の状況というか、それが何かございましたら、ちょっとお話しいただければと思っているんですけど、いかがでしょうか。

【山口主査】  それでは、大杉室長から何か。お願いいたします。

【大杉教育課程企画室長】  少し教科ごとにいろいろな考え方が出てくると思いますので、議論の出発点としてということで御紹介をさせていただきたいと思います。

先ほどの資料3でございますけれども、まず出てくるのは、社会科等における見方や考え方というのが70ページに出てまいります。ここで、その見方や考え方がどのように整理されているかということでございますけれども、それ自体を成長させていくことが大事だという認識はございますけれども、それ自体が資質・能力というよりは、3つの柱それぞれに関わるものとして、どこの柱に位置付くというよりは、むしろその3つをつなぐ概念として意識されているものでございます。

70ページの図は、少しぐるぐるとスパイラルのような線がございますけれども、小学校段階での社会的事象の見方や考え方ということが、中学校段階の、それはより分野に応じて細分化されてございますけれども、社会的事象の地理的な見方や考え方、歴史的な見方や考え方、現代社会を捉える見方や考え方ということにつながっていき、高校でもこれは現在整理してございますけれども、思考力・判断力・表現力、それから、先ほど申し上げた知識の構造化、学びに向かう力の獲得につながってくる。つまり、資質・能力の獲得のためには欠かせない視点や考え方の枠組みということでございます。

71ページ目に社会科の例がございますけれども、具体的に様々な問題解決に取り組むときに、それがどのように生かされるのかということでございまして、見方や考え方は必ずしも切り離せないんですが、視点と追究の方法ということで社会科では御検討いただいていますけれども、問いを探求するときに、位置や空間的広がりという視点、あるいは時期や時間的経過という視点、あるいは物事の相互のつながりの視点ということで捉えていく。そしてそれを、真ん中の思考力、判断力のところに矢印で「追究の方法」というのがございますけれども、そういったことに着目して社会的事象を見出し、さらに比較・分類したり総合したりする、関連付けたりするという、比較・分類、総合、関連付けというのが社会科ならではの思考の枠組み、もちろん他教科でも汎用的に使われるんですけれども、社会科の学習の中で育みやすい考え方として出されているということでございます。つまり、問いを追究するために必要な視点と考え方の枠組みということでございます。

理科も同じような整理がございますけれども、理科は少し見方を細かく整理をいただいております。83ページ目、様々な物事を、例えばエネルギー分野であれば、量的・関係的な視点で捉える、あるいは粒子の分野であれば、質的・実体的に捉える、生命であれば、多様性と共通性の視点で捉える、地球であれば、自然の事物を時間的・空間的な視点で捉える、こういった物事の捉え方ということ、そして、具体的には仮説を立てて検証していくということがプロセスになってくるわけでございますけれども、成長ということで申し上げれば、84ページ目に小中高の見方の成長がございます。主にもう少し捉えられる範囲が広がっていくということを中心に整理をいただいているところでございます。

また、もう一つ見ていただきますと、技術分野でございます。102ページでございますけれども、技術分野の、社会の中で技術がどのように利用されているか、役立っているかということでございますが、様々な技術ということを、例えば物質の特性に着目してということ、そして思考の枠組みとしては、その中の材料の使われ方などが最適なものになるように選択したり管理したりしていくということ、技術分野ではこういった視点や考え方が重要になってくるということで、資質・能力を育むため、あるいは問題解決的な学習を進めるために必要な物事の捉え方と考え方の枠組みということで御議論をいただいているところでございます。

すいません、長くなりました。

【山口主査】  ありがとうございました。

【渡邉委員】  よろしいですか。それぞれの資質・能力をつなぐような考えということで、なるほどと思いました。ほかの教科とかを見ていますと、結構見方・考え方はいろいろあるというか、幾つも出ているというのがありましたよね。また校種別にあるということもありますので、場合によってはそういう捉え方も、同じく体育・保健体育もできるのかなというのも思いました。

それと、あと1つだけですが、先ほどお話ししました資料2の5ページ目のイメージ図ですけれども、これはやっぱり今のお話を伺っていると、余りうまくできていないんじゃないかと。これを見ますと、何かそれぞれの資質・能力ごとに見方や考え方があって、それが成長していくのかなと僕は見てしまったんです。ですから、イメージ図を作っていただくというのは大事なことだと思いますけど、余り伝わっていない感じがありますので、もしまた作られるようであれば、少し工夫をしていただければと思います。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。これは書きぶりも、例えば数学的な見方とか、この辺は特にこういうふうにしなきゃいけないということはないわけですか。

【大杉教育課程企画室長】  既に見方や考え方ということを用いている教科については、科学的な見方でありますとか、数学的な見方ということが定着しているものもあるんですけれども、果たして体育的な見方とか保健的な見方というふうに言うことが分かりやすいのかどうかということは是非御議論いただいて、必ずしもそういう言い方でなければいけないということではないと思います。

【山口主査】  ありがとうございました。それでは友添委員、お願いいたします。

【友添委員】  ありがとうございます。今、大杉室長の説明を伺っても、まだ私は余りよく理解できていないところがあって、実はここは、いわゆる教科論を展開した方がいいのか、あるいは教科の特性論、前回たしか本質というのはビッグワードで、少ししんどいのではないということを私は申し上げた記憶があるんですけれども、教科の特性論について述べるのかをまずは検討しなければいけないだろうということを少し思っていました。

ただ、今、野津主査代理がおっしゃったように、体育という領域では構造的特性論と機能的特性論がずっと論争になってきて、過去30年も40年もこれについては議論をしてきた歴史がありますので、上のところで「特性に根ざした」と書いた特性と、下の「運動の特性や体力」といったときの特性とは、また層が全く違う特性になってきますので、言葉をここは変えた方がいいんじゃないか。体育・保健体育の、本質は無理であれば特質とかいう形で、特性と違えた方がいいのではないかということを思っていました。

それは余り大した大きな問題ではなくて、少し気になるのは、例えばここで何を書かなければいけないのかということを、やっぱり最初に合意形成のための議論をした方がいいんじゃないのかということです。他教科が参照されるということが1つあると思うんですけれども、そのときに、例えば体育のところで言うと、運動の特性や体力の要素を捉え、運動・スポーツの楽しさや喜びを見出すととともに、公正、協力、責任、参画、健康・安全といった視点、この視点はみんな現行の学習指導要領の態度の領域にあるものなんですね。

この態度領域にある視点を踏まえるというのは一体どういうことなのかということは検討しておかなければいけないのと、もう一つ、上にある健康・安全といった視点と、下の、保健だというふうに私は推測しているんですが、健康や安全の視点というのは同じなのか違うのかというのは、やっぱり少し気になるところで、上で言う健康・安全といった視点を踏まえることと、下の健康や安全の視点から情報を捉えることとの質的な違いは何かという、あるいはこれは、いやいや、全く全然別の健康・安全の視点だということであれば、それはそれで構わないんですけども、基本的にこういうものを検討するときにはコンテクストといって、後ろの文脈を参照しながら、ここで何を言おうとするのかということが検討されなければいけないんだけども、コンテクストのコンを抜いてテクストだけ出されてしまうと、やはりここの表象と言われている言葉の意味する、含意するものが様々に理解されてしまう可能性があるのではないかということで、もう少し落とした議論をしていった方がいいのではないかと。

多分これは全員で議論するというのはかなり難しい話になってくると思います。そういう意味で言えば、ワーキングを作っても、このあたりだったらよかったのかなと今思っています。というのは、私は体育の専門ですので、例えばスポーツとの豊かな関わり方、この「豊かな」の中身、内実は一体何かというところから、実は前の視点が浮かび上がってくると思うんですね。そのときに、豊かな関わりを生み出すような、あるいは豊かな中身が態度領域だけでいいのかということまで議論を展開していかなければいけないだろうということは考えています。

あと、もう見たらぱっと分かるように、上が体育で下が保健かと思うんだけれども、体育・保健体育の最初の体育は小学校、後ろの保健体育は中・高で、小学校は領域で保健領域と体育の領域があります。後ろも保健体育ということで、保健と体育をつなぐ1つの教科としての見方・考え方が、もう1つ丸があって示されておく必要があるのではないか。教科目標がいつも示されてきたように、見方・考え方のイメージの中に、保健と体育をつないだ保健体育という1つの教科の見方・考え方のイメージが提案されていく必要がある。それで、その下位のところにこの2つ、体育と保健が出てきてしっくりいく。数に制限があるのかと思ったら、ほかの教科では結構3つぐらい書いてあるところもあるので、是非、今回保健と体育が融合していくということを議論の柱にしてきた以上は、1つの両方をつなぐものがあっていいのではないかということを考えていました。

そのときに、共通するものは何かというと、多分これは野津先生、あるいは渡邉先生にお教えいただかなければいけないんですけれども、大学なんかでも、同じ学部の中に健康科学とスポーツ科学を両方置く場合に、スポーツ科学と健康科学をつなぐのは何だということを随分議論するわけです。そこのところで、大学の場合は運動する身体だとか、あるいは体の問題に含めながら引き取っていくという方法を取るところが結構アメリカなんかを見ていても多いと思うんですけれども、だからそれをやるべきだということではないんですけれども、何かそういうところでつなぐ教科イメージを、まず1つ上に持ってくることを提案したいなと思います。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。では、野津主査代理、お願いいたします。

【野津主査代理】  今、友添委員から積極的な御提案をいただき、私も基本的にそうなるのがいいなとは思うんですが、時間的なところからいって間に合うかということを心配しています。本来的に教科としての特質、本質なんていうようなことは、ある程度学会においての議論の蓄積、成果があって、そこでもなかなか決着がつかない中で、こういうところで1つの考えを統一して示していくというのはいい機会だとは思うんですが、残念ながら私の見立てからいくと、これまで学会でもそうした議論は希薄ですので、自らの反省も含めまして、それでこういう今のタイミングでにわかにどれだけできるか。

ほかの教科の書きぶりを見ますと、1つの教科としての本質に根ざした考え方・見方ということばかりではなくて、例えば先ほど言いましたように、領域レベルで書いているところもありますし、分野レベルで書いているところもありますので、その辺は書きぶりの工夫だと思います。

前の学習指導要領のときでしたか、その前でしたか、保健の場合には、小学校の体育の保健領域と中学校の保健分野と高校の科目「保健」を総称して保健の分野みたいな表現で書いていた、もう一方は体育の分野ということで引き取って書いていたということがあるんですが、そういう表現を今回も使うとしたら、そこでの本質なり特質ということで書けるような気もします。

ただ、友添委員の言われることは、まさに当たっておりまして、この機会に体育・保健体育という教科としての特質ということで体育と保健をつなぐ一文がもう一つ示せたら、とてもすばらしいというふうには思います。

ついでにもう一つ加えさせていただきますと、先ほど大杉室長の各教科のワーキングの議論の説明を聞いた中では、いくつかの科目ではかなり大きく改善の提案がなされているような印象を受けました。新科目とかで新しい領域名とか、そこで体育・保健体育においても、目玉という言い方がいいのかどうか分かりませんけれども、目立てばいいというものではないんですが、もっと大胆な、すてきな改善のことがもっとあってもいいと思います。せっかくオリンピック・パラリンピックというタイミングでの改訂ということで、第1回の会議でも申し上げましたけれども、もちろんオリンピック・パラリンピックだけではなくて、高齢化、情報化、多様性、国際社会という社会の変化が著しい中での改訂ですので、もっと体育・保健体育に関わる大きな改善を、提案できないものかと、今さらながらにですが、発言させていただきました。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、菊委員、お願いいたします。

【菊委員】  私は、最初に学ぶ資質・能力の3つの柱が出てきたときに申し上げた記憶があるんですけれども、恐らくこの3つの関連性が重要だと発言しました。それぞれの要素で切り分けていくと、それぞれの要素別の課題や内容が出てくるんだけれども、実際にこの要素は、それぞれがどういうふうに関連し合うのか、そこをやはり想像したりマネージしなければ、これはまた要素主義に走っていくという発言をしたと思います。

きょうお話を伺っていると、見方・考え方というのはまさに深い学びの具体化から出てきているんですけれども、先ほどの大杉室長の話を踏まえて言うと、それは要するに3つの要素をどう関係付けるかということなんだと考えます。これはまさに大学のリサーチというか、研究の視点と全く同じです。要するに、物事の見方・考え方、これはつまり、どういう問い、テーマとしてそれぞれが論文を書くときに、見方・考え方というものを社会との関係で、なぜこれがテーマになるのかということをまさに学んでいくのがゼミだからです。

これはもう、小・中・高での教育が、まさに21世紀社会において市民度を上げるという意味で、大学と同じような資質、大学である意味で求められている資質・能力を、まさに小・中・高の段階から連続して積み重ねていくんだという、そういうふうにも聞こえます。これはある意味では非常に大変なことだなと感じます。それを本当に先生方が引き受けて、どんなふうにこれを行っていくんだろうかという点で。

文字面とか、いろんな言葉の表現とかはあるんですけれども、これを授業において進めていく上ではやはり先生方の相当な学び直し、すなわちリカレント教育を大々的に行わないとこれはちょっと大変なことになるんじゃないかな、というのが第一印象です。

細かい表現等については、また時間があれば申し上げますけれども、まず第一印象としてはそういうふうな受け止め方をしております。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございます。

近藤委員、お願いいたします。

【近藤委員】  ありがとうございます。今、先生方のお話を聞いて、自分の勉強不足を痛感しているんですけれども、育成すべき資質・能力、3つの柱、アクティブ・ラーニング、学びのプロセスっていっぱい言葉が出てきて、きょうは何でしたっけ、見方・考え方。新しいものを現場に普及させるときには、なるべく言葉は少ない方がいいと私は思っています。たくさん言葉が出てくると、それだけでお腹いっぱいになって、結局現場には伝わらないというふうな実感があります。だけれども、出てきちゃったのでしようがないんですけれども。なので、さっき渡邉委員も言いましたけれども、今、菊委員も言いましたけれども、そこの関係がどうなっているかということを分かりやすくしてほしいというのが現場でやっている実感です。

もう一ついえば、私もこのタイミングで、体育・保健体育科のこのワーキングに参加させていただいて、オリパラがあるこのタイミングで、やっぱりもっと体育・保健体育の趣旨に沿った授業が広がって、子供たちに運動好きになってほしいという思いを持って実践をしていますが、さっき野津主査代理が言ったように、何かもっと大きな改善がないかと、そういう気持ちもある一方で、これも1回目に野津主査代理が言ったのを、私もそうだなと思ったんですが、変えるには理由、エビデンスが必要ですよね。結局それがないと、言葉は悪いですが、何か上の方でがちゃがちゃいじり回して、また何か変わったものがおりてきたぞという現場は感覚なんですよ。特に小学校は全教科教えていますから、体育だけじゃないんですよね。そうすると、冒頭のお話に戻るんですけれども、ここで発信する内容は、いろいろな中身があるのはすごく分かるんですけれども、現場の体育だけしか教えていない小学校の先生にも分かりやすい発信をしないと、結局言葉だけになってしまうという危惧があるので、私も努力したいと思いますけれども、分かりやすく伝えていくにはどうするかという視点をやっぱり忘れないでほしいなというふうに思ったので、一言お話をさせていただきました。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

真如委員、お願いします。

【真如委員】  今、近藤委員から話がありましたけれども、私も学校の出ですから同じようなことを考えました。特性だとか豊かな関わりだとか、そういう言葉というのは今までも、研究会のたびに意見を出し合って、一応の形を整えながら授業を提供してきたわけです。ここでまた、先生方から御指摘があったように、同じ特性でもいろいろなものがあるんだということや、見方・考え方というもののイメージがまだ十分じゃないところがあって、それぞれ表現の仕方が違うんですよね。体育・保健体育の特性に根差した見方・考え方のイメージというのと、他の教科のそれと具体的にどういうふうに違うのかなということも考えました。

それから、言葉の問題については、やはり新しい言葉というのは、非常に私たちにとっても関心があるので、新しい言葉が出てくると、またもう1回勉強しようという気持ちになるんですけれども、やはり言葉の問題については、できるだけ分かりやすくという話がありましたが、今までやってきたものとどこがどういうふうに違っているのか具体的に示してほしいと思います。また、小学校は体育の専門家ばかりじゃありませんから、そういった先生が受け止めたときに、すんなりと入っていけるような、感じにしてもらえると有り難いなという気持ちがあります。できるだけ分かりやすくという感じは私も実感しているところです。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。ほかの委員の先生方、いかがでしょうか。

たたき台に頂いた文章を云々するよりは、その前段階の議論がちょっとまだ不十分、先生方というか、共通の理解を得るには、ちょっとまだこの議論では足りないのかなという印象を持ちました。ここで見方・考え方というのをどのように考えて提示するのかというところが、まだ共通理解を得られていないのかなというふうに私は捉えました。多分、体育・保健体育をどのような前提で教えていくかという大前提だと思うんですけれども、友添先生、ちょっと助けていただいて。

【友添委員】  足を引っ張るかも分からないですけれども。どこまで自由裁量でいけるかということと、あるいは残された時間の中で、どこまで現実的な妥当性の中で落とすことができるかというところが現実的な問題だろうと思うんですけれども、結局、汎用力とよく言っている、日常生活に転移したり、あるいは学校の体育という教科だけに閉じこもる、体育の場合、あるいは保健の場合でも教科だけに閉じこもるのではなくて、日常の生活、あるいは地域そのものを巻き込んで広げていくということを議論してきたわけですけれども、もしそれを取り込んでいくのであれば、このところのイメージは少し変わった書きぶりになるだろうなというふうには思うんですね。それは単にプレーする能力だけではなくて、例えば人とどう関わるのか、その関わり方を地域にどう広げていくのか、むしろオリパラのレガシーを体育という教科――体育の専門家ですから、体育という教科に取り込んだときに、体育のこれからのイメージをこういうようにメッセージとして伝えたいと。

確かにエビデンスも実は大事なんだけれども、例えば教科の見方・考え方に対しては、具体的なデータだとか数値を示す必要というのは実はなくて、むしろオリエンテーリングというか、方向性をしっかり示すことができれば、人々がそれに対してすごく納得、合意が得られるものであれば、私はオーケーだと思うんですね。

ただし、調査官のお三方のレベルで、おいおいということで、ちょっとその提案は待ってくれよと。余りにも荒唐無稽で、もう残された時間でそれは無理だということであれば、今お示しをいただいているやつをアレンジすれば、うまく妥当するところのラインまで行くのではないかというふうには思っているところでもあります。

むしろ、例えば体育という教科からエンパワーメント、社会に向けて何が発信できるのかという視点も少し加えていく、あるいは多様性をどうやっていくのか、共生社会に体育という教科はどう取り組むのかということも少し足せば、かなり違ったメッセージ性を持ってくるし、イメージを持ってくると思うんですね。

一番懸念するのは、指導要領は変わったんだけれども、実践が全然変わらないということは避けなければいけない。それから、こういう教科のイメージや考え方、あるいは見方は今までと余り変わらないよねというだけだったら、3つの資質・能力論のところが絵に描いた餅になってしまって、実践が一向に変わらないということが起こってしまう。むしろどういうふうな実践、体育の授業を変えようとしていかなければいけないのか、変えなければいけないのか、それは学校の中だけに、教科の中だけに閉じた体育という教科から少し外へ発信できる、あるいはアクティブに動いていける、これがまさにここの議論を今までしてきた中での成果だと思うんですね。それがもうちょっと体育のところに反映されたり、保健のところに反映されるといいなというふうに思っていたところです。今、座長がお話になっているのでもう少し引っ張った方がいいかなというふうに思ったんですが。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

菊委員、お願いします。

【菊委員】  「見方・考え方」を取り上げるというのは、簡単に言うと、何かを捨てて1つの見方・考え方を取るということを意味します。要するに、そこには望ましさの尺度というのがあって、例えば社会と自分たちがやっていることを関係付けたときに、こういう見方・考え方を取らないとこれは理解できないとか、これは解決できないということ。つまり、いろいろな考え方はあるんだけれども、1つの考え方、見方を取らないと、現象やその因果関係が理解できないという、そういうことになりますね。

つまり、見方・考え方のバックボーンには、やっぱり価値というものがあることになる。価値意識みたいなものがあって、それはやっぱり社会と人間との関係において、先ほどの友添委員の言い方で言えば、例えば共生社会に向けてこれはどうだとか、あるいは歴史や他の教科について言えば、その教科について、社会との関係を考えるときに、こういう考え方が次の社会にとって望ましいとか、そういうものに関連してくるんだと思います。

だから、教科の成立、教科それ自体というのは、決して本質でも何でもないと私は思っています。教科というのは、あくまで社会と教育の関係の中で出てきた近代以降の一つのサブジェクトですよね。成立していったものですから、これは当然、21世紀、これからの社会に向けて教科が変更される、変わる可能性も大いにありえるわけです。

だから、そういう意味で言うと、教科の成立、教科がそこに存在するということと社会との関係というのは、常に見ていかなければならない。そういう中で、体育は教科として長い歴史を持っていますから、体育や保健体育という教科がこれまで何を引き受けて、何を解決しようとしてきたのかということを振り返ると、この種の議論は「特性論」という用語を用いてずっとやってきているわけです。効果的な特性を狙った体力や筋力の向上を求める効果的特性論、あるいは技能が高まればいいんだというところから技術の構造というものに注目してきた構造的特性論があります。近年では機能というか、人間と運動との関わりそのものを大事にして、それが豊かな関わりという表現に出てくるような機能的特性論というのが重視されてきました。

この見方・考え方というのは、結局はこれまで体育の関連でいうと、このような特性論に恐らく集約されるんじゃないかと思われます。だから、別に難しい言葉を使わなくても、これまで議論されてきたこのような特性論から、より深い学びを構成していくためにはどういう手順で、あるいはアクティブ・ラーニングという方法であれば、その方法の中で運動の特性を求めたり解決したりていくことはいかに可能なのかといった、そういう議論の仕方が出てくるんじゃないかなと思うわけです。だから、別に今回アクティブ・ラーニングを言われたからということじゃなくて、体育や保健体育がこれまで歩んできたプロセスを踏まえて見れば、そんなに難しいことを言っているというふうに受けとめなくてもよいのではないかと考えています。他の教科にとっては難しいのかもしれませんけれども、体育や保健体育の歴史からみれば、その関連性というのはそれなりに理解できるし、授業実践は今までやってきているんじゃないかなという、そういう見方もあるんじゃないかなと思います。ただ、それがどの程度浸透しているのかについては、もちろん実践的な課題として残っていることは確かだろうと思います。

【山口主査】  ありがとうございました。

青木委員、お願いします。

【青木委員】  原点に戻って、どんな授業を教員にやってもらいたいかと考えたときに、今までは体育の授業なんかは、こうやるよと一斉に集団で動くような、指導が感じられたのですが今回の改訂では一人一人の子供たちがそれぞれの自分の課題を持ちながら、体育にしろ保健にしろ取り組めるような授業を作ってほしいとすごく思います。これはでも、やってはきたんですが、もっともっと教員が一人一人の子供たちの指導に対して、もう少し深く取り組めるような、そんな授業を作ってほしいと思っています。子供たちはそれを受けて、保健体育の目的って、心身の健康とか元気な体づくり、これが私は原点だと思っていますので、それを意識しながら、一人一人が保健や体育に取り組めるような、そんな授業を各学校で、小・中・高でやってもらいたいので、そこが何か目玉じゃないかなんて思っています。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、友添先生、まとめていただいて。お願いいたします。

【友添委員】  また調査官から、友添は言いたいだけ言ったとお叱りを受けるとまずいので、少し大胆な提案をしてみます。保健の方は、私は何度も申しますように専門ではありません。体育だけで言うと、例えば今お示しをいただいたものに、非常に荒唐無稽な提案ということで聞いていただければと思うんですけれども、出ている文章で言うと、あくまでもたたき台です。運動の特性や体力の要素を捉え、運動・スポーツの楽しさや喜びを見出すとともに、公正や共生、それから交流や参画――責任とか協力は、責任も協力も共生の中にも公正の中にも入ってきますので――公正や共生、それから交流や参画、それから健康・安全といった視点を踏まえながら、運動やスポーツを通して社会や地域との豊かな関わり方について考察することというような書きぶりも、お叱りを受けるかも分かりませんけれども、可能性としてはそういうニュアンスを含めたものも構想できるのではないかというふうに思っているということで、今、お話をさせていただきました。

この趣旨は何かというと、具体的に言うと、この会議体でずっと議論してきたのは、教科の中だけに閉じ込めてはいけない。むしろそれをどう、例えば学校を開き、教科を開き、地域へ社会へということの関連性を考えたときに、こういうような書きぶりも1つはあるだろうなということのたたき台です。これは是非そうしてほしいというような強い思いがあるわけでもありません。1つの参考意見ということです。

すいません、以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

様々な御意見を頂戴いたしまして、なかなかまとめには若干至らない感じですが。

先生、どうぞ。

【五十嵐委員】  よろしいですか。お願いですけれども、いみじくも青木委員がおっしゃってくださったんですが、保健の2つ目の丸の方ですけれども、健康という言葉はもちろん、皆さん当然というふうにお考えかもしれませんけれども、あえて今の時代、心の問題というのは非常に大きいですので、心身という言葉を使うか、あるいは心と体という言葉を使うか、どちらでもいいですけれども、その言葉を是非2つ目の丸に「健康」が2つありますので、その冒頭に心身の健康、あるいは心と体の健康という、より明確化していただいた方が、これからの時代は非常に重要なのではないかというふうに思いましたので、これは要望ということでお願いしたいと思います。

【山口主査】  ありがとうございました。様々御意見を頂戴いたしましたので、私の方で一度引き取らせていただいて、事務局ともう一度、皆様から頂いた意見を頭に入れながら、次の会議になるかどうか分かりませんけれども、改めて少し考え方も含めて御提案させていただくということでよろしいでしょうか。先生方の思っていらっしゃることは大体理解したというふうに思っておりますので。よろしくお願いいたします。

それでは、先に進めさせていただきたいと思います。資質・能力の育成のために重視すべき体育・保健体育の評価の在り方について意見交換をさせていただきたいと思います。ここも非常に重要ですので、よろしくお願いいたします。

それではまず、事務局の方より配付資料の説明をお願いいたします。

【高田教科調査官】  それでは、よろしくお願いいたします。資料ですが、冒頭、大杉室長から説明がありました資料2の冊子の19ページからになります。大杉室長がそこを詳しく説明してくださいましたので、重複はいたしませんけれども、この資料を使って、議論していただきます。併せて、資料4であります資質・能力の3つの柱に沿った育成すべき資質・能力の整理イメージも参考にしていただきたいと思います。

総則・評価部会で評価の在り方についての議論がなされ、今までの4観点だったものを3観点にするとなると、これは大きな変化だと考えます。体育・保健体育では、今まで技能を一つの観点として評価していたものを、知識・技能となるわけです。保健体育においては、知識、思考・判断となっていたものを、知識を技能と組み合わせ、思考・判断は思考・判断・表現となるということです。併せて、体育においては態度という評価の観点を設けていたのですが、ここを主体的に学習に取り組む態度とし、これらの3つの観点で評価を行うことが、各教科共通のものとして示されました。

したがって、ここでは、体育は今までどおり4観点にするとか、もっと細かくした方がいいとかというご意見を頂戴するのではなく、提案されている3観点で体育を整理した場合に、どういった整理の仕方があるのか、又はどういった課題があるのかということについて、委員の先生方からたくさん意見を頂戴したいと思っています。

資料2の19ページにあるとおり、観点別評価の観点として、その趣旨を検討すること、具体的な観点の書きぶりや趣旨の記述については、教科の特性を踏まえた表現ぶりを検討すること、その際、小・中・高通じて一貫した観点となるようにすることになっていますので、観点については3観点ですが、その引き取り方や表現の仕方は体育・保健体育の特色があってよいと捉えることができると思います。

そこで、資料4をご覧ください。育成すべき資質・能力の整理イメージがこのように3つに分かれていますので、この3つそれぞれにおいて、観点別評価と対応関係にあり、指導と評価の一体化が図れることになります。具体的には、個別の知識や技能としでは、何々が分かるとか何々ができる、何々を知るということになると考えられます。

次に、思考力・判断力・表現力については、従前は知識・思考・判断でしたから、ここに、何々を知りという部分があったのですが、知識を1つ目の観点にもっていきますから、ここは、思考・判断・表現のみになります。課題に応じた活動の場を選ぶとか、活動の場を工夫するとか、また、工夫したことを他者に伝えるというようなことが入るのではないかと考えられます。

3つ目は、主体的に学びに向かう力、人間性等については、評価の観点として、主体的に学習に取り組む態度としています。体育・保健体育においては、従前の態度の評価を含め、主体的に学習に取り組む態度として捉えたいと考えます。理由は、体育においては、主体的に学ぼうとする態度は、約束を守る、公正に行動する、協力する、役割を果たす等、従前の態度の指導で行ってきたことが入るのではないかと考えられるからです。これらを統合して、体育における主体的に学習に取り組む態度であるという捉えができるのではないかなと考えます。ことのことについては、他の教科と同様に、もう少しスリムにした方がいいというような意見があるのかどうか、逆に、例えば、学習に粘り強く取り組むことも重要であり、そのことが主体的に学習に取り組む態度につながるため、粘り強さも新たに加えるべきというようなご意見があるのかどうか、併せて保健においても、自己の健康に関心をもつだけじゃなくて、健康保持・増進のために他者と協力して取り組むというようなことも、実生活に生かせるようなことであり、それらを授業の中でどう評価していくのかというあたりのご意見を、委員の皆さまから頂戴できれば有り難いと思います。

【山口主査】  ありがとうございました。

教科については、特に現場の先生方も非常に御苦労されているところでもありますし、先ほどの議論もありましたように、現場の先生方がこれを受けて戸惑いがないようにということも非常に重要なところだと思いますので、是非現場の先生方からも御意見を頂戴できればと思いますが、いかがでしょうか、どなたか。

遅れて来られた藤田先生、お願いいたします。

【藤田委員】  資質・能力の「3つの柱」に基づき、体育の内容を構造化していくというところですが、一番最初に頂いた『論点整理』を拝読させていただく中でも、哲学というか、ビジョンというか、そういう考え方・方向性が明確に打ち出されていて、体育もこの中で、次期の改訂がなされていくんだなというのを強く感じたところです。ただ、第1回からずっと自分自身、整理ができずにいるのは、「知識」と「技能」を同じカテゴリーでくくっていくことに対して、です。

学習指導要領の、たしか一番最初の方の「2内容」のところに、「暗黙知も含めた知識への理解をもとに運動の技能を身に付けたり、運動の技能を身につけることで一層その理解を深めたりする・・・」というような、知識に関する記述があったと思います。この部分は、体育としての知識と技能の独自の捉え方を端的に表現している部分じゃないかなと考えています。

保健体育の「体育分野」、「科目体育」というのは、これまで自らの身体を直接的に教材として学びを作ってきた教科で、座学の知識ベースを基本とする、他の教科でいう、「技能」の捉えとは意味が若干違うところがあるのではないかなと思っています。

前回の改訂のときに、「健やか部会」で出た「身体能力」は、「体力」と「運動の技能」ということで捉えられていました。この中でも、ミニマムの例示の中で、「知識」や「身体能力」の意味(内容)に関する表記がありましたが、あのような議論を踏まえて現行の改訂が行われてていますので、現場の私たち体育教師がそこを実際に評価を行うに当たっては、そういった考え方・捉え方が定着をしてきていると思います。そこのところを混乱しないように整理をして示すということは、とても大切なことになるのではないかなと考えています。

今回示された資料4のところにおいて、随分整理はできているとは思いますが、まだまだ実際の授業の実践と最後の評価までをきちんと一貫性のあるものに整理をして、実際に授業する者が迷ったりしないよう明示していく必要があるのかと考えています。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。成田から御苦労さまです。

具体的にここのところをもう少し、先生、こんなふうに整理をしたら分かりやすいとか、もし今の時点でございましたらアイデアを頂戴したいと思いますが。

【藤田委員】  先ほどの友添先生のようなクリアな回答はできないのですが、技能の中では、それこそ勘とかこつとか、そういったものを含んでいるというのが非常に大きいと思います。やっぱりできる、できないがはっきりしている教科ですし、何となく身体の発達で体力が付いてきて、誰からも教えてもらわなくてもできることもあれば、いろんなやり方・行い方の理論は習うのだけれども、うまくいかないという場合もあって、そういうところをどう整理するかというところです。

すいません、ちょっと具体性がなくて申し訳ありません。

【山口主査】  ありがとうございました。それをどういうふうに評価してあげるかというところを整理してあげればいいということですね。ありがとうございました。

では、野津主査代理、お願いします。

【野津主査代理】  議論、意見を頂くに当たって、お願いみたいな発言になります。資料2の20ページになります。白抜きの丸で、「知識・技能」についてはという書き始めになっているんですが、総則・評価特別部会では、知識に関しましては、ここに書いてあるように、「事実的な知識のみならず、構造化された概念的な知識の獲得に向かうこと」という、少し踏み込んだ表現がしてありまして、前回の特別部会では、たしか技能についてはあっさりしか書いていなかったんです。そこで私から、技能についても同じようなレベルでしっかり書き込むことが必要という要望の意見を出させていただいたんですが、今日この資料には、「一定の手順に沿った技能のみならず、変化する状況に応じて主体的に活用できる技能の習熟・熟達に向かうことが重要であることに留意すること」というふうになっております。この辺が特に体育におけるところの技能ということにおいて、こういう書きぶりで引き取れていけるのか。今、藤田委員の方から、体育の技能というのは特別なところがあって、勘とかこつとか暗黙知というようなことがありました。

私はむしろ、体育は特別だ、特別だというよりは、音楽科や家庭科や技術科等々のいわゆる技能の習得も重要な内容としている教科において、共通するようなところで技能に関しての評価の在り方も含めて成り立っていくといいのではないかと思っているんですけれども、その辺に結び付くような御意見をこの体育・保健体育のワーキングで是非頂ければと願っています。

それから、2つ目の丸の「思考・判断・表現」のところで、最後の行で、「学年等を超えた整理が必要であることに留意する」ということで、社会科かどこかの教科がそれを超えたイメージ図を出しておられまして、非常にそれが称賛されたところです。体育こそ4、4、4でしたか、そういうものをもっとアピールしたらいいかなと。また、それが次の改訂に向けてよりよくするというようなことで、さらにアピールするような改善の御意見を頂ければと思います。

それから、最後の丸になりますが、2行目、「知識や技能の在り方、技能と表現との関係等について」、このあたりはまさに体育のことを指していると思われます。そのところをもう一度、今の書きぶり、あるいは前回までの議論でも時々話題にはなってきたとは思いますけれども、きちっと他の各教科や総則・評価特別部会のところでも皆さんに理解できるような議論、成果をお示しできればというふうに思っておりますので、御意見よろしくお願いいたします。

【山口主査】  ありがとうございました。

今、野津主査代理の方から頂いたようなことにも是非留意をしながら御意見を頂戴できればと思いますが、いかがでしょうか。

西岡先生、お願いいたします。

【西岡委員】  よろしくお願いします。私が保健の評価について、少々気になっていることを申し上げます。

1つは、野津先生がおっしゃられたことですけれども、知識について、事実的知識と構造化された概念的知識、これを分けて考えるというのは、私は保健にとってある意味プラスになるかなと思います。と申しますのは、保健も結構、概念的知識というのは大事なものが、従来もあるかなと思います。例えば健康の成立要件など見てみますと、主体要因とか環境要因が関係する、あるいはそれが相互に影響して成り立っているなんていう、そういういわば知識がありますけれども、こういうものというのは、とても事実的知識とは言えないようなもので、こういう概念的な知識をどういうふうに評価していくのかというのは、私は保健として、これから難しいけれども、取り組んでいかなくてはいけないことなのではないかなと考えています。

それからもう一つ、これも野津先生おっしゃられたことなんですけれども、保健において技能をどう評価するかということ、それとあともう一つは、それ以前にということにもなるんですが、資質・能力で技能として例示がされています。例えば小学校だったら不安や悩みの対処、けがの手当。技能の評価というのはこの2つだけなのか、まだほかにも技能ってあるのかというところ、このあたりを、要は技能って何を捉えるかということを議論していかないといけないのかなと考えます。

それからもう一つは、技能を習得させる上でのことなんですけれども、先ほど知識と技能の在り方といいましょうか、両者の関係というのが言われましたが、私は保健の技能というのは、知識を学んだ上で技能を身に付けていくというのが結構欠かせないんじゃないのかなと思うんです。したがって、技能を狭い意味での技能として捉えるのではなくて、その技能を習得させるためにどんな知識が必要なのかとか、どんな学習の在り方が必要なのか、こういうことも含めて考えないといけないんじゃないかなと思います。

それから、技能というものの評価が、実際これできているかどうかというのを確かめられるものと、保健だとそれがなかなか難しいようなものがあるかと思いますので、評価の仕方を工夫しないといけないのかなと考えております。

それから、思考・判断・表現についての評価なんですが、資質や能力を見ますと、課題を見付けて解決していく、そのプロセスに関わって思考・判断・表現が述べられているわけなんですけれども、健康の課題解決を取り組んでいくようなテーマというのはそんなにたくさん設けられるはずがないと思うんです。こういう健康の課題解決に至るプロセスの中での思考・判断とそうじゃない箇所での思考・判断・表現というのもあるのではないかと思います。

例えば、理解を深めるために表現して、共同作業で何かある理解を深めていくようなこともあると思うんです。そう考えますと、ここで言う思考・判断の評価、どういう場面でどんな事柄ができるかということも、課題解決に関わらないでちょっと考えてみる必要があるのかなというふうに思います。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

友添先生、お願いします。

【友添委員】  今の西岡委員のご意見に対してということではなくてもよろしいでしょうか。藤田委員がさっきおっしゃられたこと、多分皆さん余り理解できていないのかなと思ったので、藤田委員が一生懸命説明されたんですけれども。教科としての技能の層がまず違うということをどう引き取るのかということだと思うんです。つまり、今、保健でいう技能と体育でいう技能と全く違う技能なんです。それはビッグマスキュラル・アクティビティ、つまり大筋活動を伴った技能なんです。それはピアノを弾くような小筋活動のスキル、技能とまた違うし、それから技術という教科で扱う何かをつくり上げていくようなスキルフルな技能とはまた違っていて、まさにビッグマスキュラル・アクティビティ、心拍数を上げながら大筋活動をやって、全身運動による技能と、それから認知学習である保健でいう技能とが同じ技能なのかということと、ここのところをどうするのかという問題提起だったと思っています。

それから、学習の方法論が全く違う。実は体育というのは、座学による認知的な学習と運動学習による非認知的な学習を中心とした学習なんです。認知的な学習以上に非認知的なところが多い。つまり、これは態度のところと関わってくるんだけれども、セルフコントロール、自制をしたり辛抱したり、我慢したり耐えたり、あるいは人を喜ばせたり、これは何も学習に主体的に取り組む態度だけではなくて、ソーシャルアティテュード、つまり社会的な態度だとかモラルアティテュード、道徳的な態度が実は含まれている唯一の教科なのかも分からないです。極めて道徳的な態度養成ができるというところがあります。だから、これ、いつの時代も、戦前も含めて体育ということが教科として主体性を欠いてしまうと利用されてくるというところの問題に引き継がれてくるところだと思うんです。

そう考えたときに、例えば知識と技能を同じ階層で並べてしまうと、少し問題があるのではないかというふうに今、藤田委員が言われたと思うんです。つまり、体育という教科、いわゆる主として大筋活動を伴うような身体技能を伴う技能教科が、知識と常に技能とがイコールなのかどうかというところでいうと、少しここは問題があるということを含めて提案されたというふうに理解をした方がいいと思うんです。

だから、この枠組みを変えろとか変えないというよりも、まずその違いを認めて、書きぶりを変えていくか、あるいはもう1回、ここのところをどうするのかということを、ここの中で合意はしておいた方がいいんじゃないかというふうには理解しています。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。難しくなってきましたけれども。知識や技能というよりは、知識と技能を体育の中においては別に評価するという――別というか一緒なんですけれども、現場の先生たちはどういうふうに言われると分かりやすいのかなという、そこがすごく難しいと思うんですけれども。

【友添委員】  そうですね。そこの御意見をお伺いしたいですね。

【山口主査】  佐藤委員。

【佐藤委員】  このワーキングの最初のときからお話をさせていただいていますが、体育授業の現場では、「分かっていて、できる子」、「分かっていてもできない子」がいます。さらに、「分かっていなくても何となくできちゃった」という子もいれば、「分からなくて全くできない子」という4パターンが混在しています。そこで授業というのがすごく良いもので、結果的に分かってできるようになったときの生徒たちの喜び、それが生涯スポーツにつながっていると実感して育てているつもりです。

今回は、技能と知識が一緒になるということで、ずっと懸念をしておりました。提示された枠組みの中でということでありますが、生徒たちの評価に関しては、「分かる」ということを是非評価できるような整理の仕方にしていただきたいと思います。そのことが生徒たちの意欲にもつながって、分かっていることがスポーツへの関心を呼んだり、日常生活に結び付いて実践していくように、「する・みる・支える」の、「みる・支える」の大事な部分につながっていくと思います。

先ほど御説明がありましたが、「分かる・できる」が一緒にならなくても、そういうところが残るような形での評価ができることが、現場として望むことです。

【山口主査】  ありがとうございました。その辺は現場は、多分きめ細かい評価になると思うんですね。そこが非常に先生たちにとっては負担というか、逆に負担が増していくという部分はあると思うんです。その方が子供たち一人一人を評価できるというふうに考えればよろしいでしょうか。

【佐藤委員】  私はそう考えます。特に高校ですと、「できればいい」という、昔の先生ように、できた子はすべて良いという形で指導していくと、できない子が漏れてしまうんですね。漏れることは、生涯スポーツに関して非常にマイナスであると思いますので、そのことに関して、より丁寧に学習させ、評価していく方が私は非常に望ましいのではないかと感じています。

【山口主査】  ありがとうございます。

それでは、杉本委員、お願いします。

【杉本委員】  まず、4観点から3観点になるということでは、とてもすっきりしていいというふうに思っているところです。今、お話に上がっている知識・技能というところでは、今、佐藤委員もお話ししましたが、「分かる→できる」ということから考えると、やはり「分かってできる」ということが一番いいことですし、それが思考力・判断力・表現力にもつながると思います。分かるからできる、だから、それを友達に、「こういうところがコツなんだよ」、「こういうところがポイントなんだよ」ということで説明できるのです。

ただ、先ほども話があったように、言葉では説明できないけれども、何となくできちゃったという子もいるわけです。そういったところで、具体的に、「わかる」といった「知識」の面をどのように評価規準として記述していくのかということを悩ましく考えているところです。

今までも、「知識」というところでは、中学校でも筆記テストで見取っているというところがあったと思います。小学校の場合は、とてもそういった筆記をするような時間も取れませんので、「知識」をどこでどのように先生たちが見取っていくかというところです。やはり、日頃の授業での子供たちの活動で見取っていくというところだと思うので、どういうふうに評価規準としての文言になるのかというところが今後の課題かと感じます。

それから、先ほど調査官が言っていた最後の、「主体的な学び」というところですけれども、どのくらい書き込んでおくかというお話もあったと思いますが、各領域の特性に応じて書きぶりが変わってくる部分もあるかと思います。なので、ここはざっくりとしたものにしておいて、あとはそれぞれの領域における評価規準で、その特性に応じた文言として示されればよいのではないかと思います。

【山口主査】  ありがとうございました。

近藤委員、お願いいたします。

【近藤委員】  今の杉本委員と全く同じなんですけれども、まず、3観点になることで、今まで私たちが資料4でいろいろ検討してきた3つの柱、これが新しい、育成すべき資質・能力の3つの柱、つまり、子供たちに身に付けさせたい資質・能力ということでいえば、その裏返しが評価と考えると、3観点になることで、指導と評価というのは一体化なんだということが現場の先生にも伝わるというメッセージ性があるので、これは分かりやすくていいのではないかなというふうに私も思います。

観点というよりは、今お話を聞いていくと、いかにこの内容が子供に本当に実現しているか、つまり、妥当性・信頼性がある評価ができているかという、私の今の理解で評価の方法、例えばどんな評価基準で、どんな資料をとって、いつそれをやるのかとか、そういうところに山ほど課題があるとは思うんですけれども、観点ということでいえば、この3観点、しかもここに私たちが意見を述べさせていただいたものを反映させて作っていただいたものの裏返しが3つの観点で評価されるということは現場には分かりやすいですし、いいのではないかなというふうに思っています。

ただ、先ほど来出ているように、知識と技能がセットになったときの評価方法の難しさというのはすごくあるなと思っていて、例えば議論にあったように、運動領域の知識も評価として入ってくる、それから保健領域の技能も入ってきているということで、そこはやっぱりさらに研究等が必要かなと思っています。

ちょっとプラスで、3観点になったよさということを1つお話しさせていただくと、今4観点です。そうすると、小学校の中学年の4観点目、これは評価するのは保健の知識の内容ですよね。中学年の保健の時間って105時間のうちの4時間なんですね。つまり、全体での4%の学習の実現状況が、これを総括的な年度末の1、2、3の評価にするときには、4観点のA、B、Cのぐあいで、観点別学習状況のA、B、Cを踏まえて1、2、3を付けます。そうすると、総括的に評価するときには、25%の重みになるわけですね。たった4時間の成果が総括のときには25%になる。これは余り言われないんですけれども、僕はずっと構造的な問題だなと思っていて、だけど、この3観点にすると、それが解消されるんですね。というよさもあるので、是非この3つの資質・能力の柱の裏返しの評価ということで、このまとめをしていただけたら有り難いかなというふうに思います。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、髙橋委員、お願いいたします。

【髙橋委員】  どう話したらいいか、ちょっと興奮しているんですけれども、認識、知識というのが言葉でちゃんと伝えることができるかということについてのお話なんですが、言葉というのは、私がこの言葉を選んで話しているわけですが、違う言葉を話さないわけですよね。つまり、分けて、差異化してこの言葉を選ぶと。認識ということの中で、これが氷山の上だとすると、下の方に大きな領域があって、言葉にしたというのがこれだとすると、何だか分かったようだとか、何だかこんな感じのいい感じだとか、それが藤田先生のこつとか勘とかということだと思うんですけれども、言葉にすることができるかということを知識というふうにいうと、体育の場合は非常に狭くなるかなと思うんです。何だか分かっているような感じとか、何だか知らないけれども、できちゃったと。じゃ、「できたこつをちゃんと言いなさい」と言うと、何だか分かんないみたいなことが往々にしてあると思います。

例えば自分がテニスでこう上げたけれども、何かすごく遠くに上げているような気がするけれども、落としてみたら、線のこっちだった。それは、そういうふうにしてみたら分かるけれども、自分の感覚ではそうじゃないみたいなことが非常に体育の中ではおもしろい領域といったらいいか、そこが渾然となっているのが体育の領域の特性でもあるし、それを技能と知識というふうに分けて評価した途端に、何か分かっていないじゃない、言葉で言えないじゃないというふうになるのはすごい大変だなというふうに思って、そうすると、評価の観点というふうにどう記述するかというのはとても難しい。

私の領域では、例えば気付きってアウェアネスと言っているんですが、認識の下の方にあるところをアウェアネスというふうに言うんですね。そうすると、言葉だけ、表現力のところに言葉や動作などで他者に伝える力と、言葉でうまくできないけれども、こうなんだよみたいに伝えることも含めて、知識というふうに考えてもらえたらうれしいなと。当然皆さん分かった上でそういうふうにおっしゃってくださっているのか分からないんですが、知識というふうに言った途端に、言葉で分かると言うふうに、それを評価する、テストで手はこうやって付いて、ああだこうだというふうになることに非常に危機感を持ったりしています。そこの共通理解を皆様とどのように持ったり、全国の方々が知識といったときに、どういうことを体育の中では踏まえているのかというところが誤解されやすいかなと。私の考えが違っているのは、友添先生、ちょっと指摘していただければと思うんですが、そこが体育のとてもおもしろい領域で、ほかにはない。それは音楽だったり、何か知らぬうちにわあっと声が出たけれども、それがうまく説明できないとか、切り方だってこういうふうにしているうちに、何かうまくいくんだけれども、それをうまくは伝えられない、どういう知識を基にしてというのがあるのか、技能教科のおもしろいところ、あるいは特性がそういうところにあるんじゃないかなというふうに思って、そこの大事なところを評価でどう生かしていくか。うまい案はないんですけれども、そんなふうに思っています。ちょっと興奮しました。

【山口主査】  よく理解いたします。ただ、なかなかそれを、それも言葉にするのが非常に難しいというのも分かります。ありがとうございました。

それでは、青木委員、お願いいたします。

【青木委員】  今の現行の関心・意欲・態度が入ったときに、現場は非常に戸惑いました。どうやって見取ればいいんだろう。資料2の20ページにも書いてあるような、回数だとか忘れ物していないとか、やっぱりどうしても数値化をしたいらしくて、そういうようなことがあったんですが、やっと子供たちの態度とか授業観察によって、関心・意欲・態度を見取ることができるようになってきているかと思っています。

そういう中で、やっぱり心配されるのは、学びに向かう力というところで、どのように意欲を先生たちが捉えるのかなと。それから、今まで25%ずつ、最初はどうしても体育というと、技能の方を重み付けをして、関心・意欲・態度というのがなかなかパーセントが低かったんですが、やっと25%ずつというのが定着してきたんですが、今度3つの観点になったときに、どういうふうに先生たちが捉えるのかなと。30、30、40? というふうに言うんじゃないかなと思ったりするのですが、そこら辺の捉え方とか、やっぱり保健で、技能を一番どうするのというふうに現場は捉えると思うんです。そのときに、このように具体的にこれとこれに基礎的な技能と書いてあるから、保健の技能については、すごく分かりやすいかなというのがまず1つです。

それから、保健の時数が非常に少ない。体育の時数が多いわけですよね。保健の評価を体育と合わせたときに、中・高でどう評価していくか。意外と保健を置き去りにされていて、ペーパーテストだけやって、点数だけぽんと体育の点数に入れて、その程度しかやっていない教員が結構いるのです。そうじゃなくて、観点別に、きちっと保健もやるんだよという認識をしっかりと持ってもらいたいなというのが、保健としては非常に大事かなと思っています。それを全教員たちに分かってもらうような資料なり欲しいとすごく思っていますので、よろしくお願いします。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、横嶋委員、お願いします。

【横嶋委員】  若干重複もありますが、資料4のまとめを見る前に、資料3-1の19ページ、20ページのところを見てからこちらを見ると、非常に腑に落ちるなというのが感想です。

特に19ページで申し上げますと、一番下の丸の「毎回の授業で全てを見取るのではなく」というふうにありますが、この観点別評価が入ってきたときに、当初、どうしても全観点を1時間で見ようというような動きがあって、最近ではそれを重点化していいんだよということがやっと浸透してきたところでもあるんですが、ただ一方で、今度、重点化するが余りに、1単位時間で1観点しか見なくていいんだという逆の問題も出てきていて、特に小学校で申し上げると、単元の時間が短いですよね。4時間とか5時間とかの単元の1時間で1観点しか評価していないような事例なんかも出てきているので、この辺の毎回の授業で全てを見取るのではないという意味、どういう意味があるのかというあたりをよく現場におろすときには,主旨がずれないように表現に気を付けた方がいいかなと思いました。

それから、20ページの方で申し上げますと、2行目、「複数の観点を一体的に見取ることも考えられる」というような表現がありますけれども、技能で申し上げますと、知識を伴った技能と、思考・判断を伴った技能というのがもしかしたら出てくるのかなと。その辺の評価の事例などは詳しく、分かりやすくおろしてあげた方が現場は分かりやすいかなと思いました。特に評価規準をこれから示していくに当たって、知識や技能のところについては、やはり「保健」と「体育」では書きぶりはかなり変わってくるかなと思います。

私的には、この4観点が3観点になるという部分では非常に賛成でありますが、先ほど青木委員の御意見にもありましたように、現場は小さな変更でも、浸透するまでにかなり時間が掛かると思いますので、そこは丁寧に説明資料などで示していく必要があるかなというふうには思っております。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、渡邉委員、お願いいたします。

【渡邉委員】  私は、主体的に学習に取り組む態度の観点について、ちょっと意見を述べさせていただきます。

今回、きょうの資料2の20ページで詳しく、今までの関心・意欲・態度の違いについて書かれておりますけれども、確かにもっともだと思います。上から4つ目の丸では、「挙手の回数やノートの取り方などの形式的な活動で評価するのでなく」云々とありますけれども、挙手の回数やノートの取り方をそんなに悪者にしなくてもいいかなと。それはそれで1つの見方だと思うので、余りここまで否定しなくてもいいような気もするんですが、ここで書かれているように、例えば「自己調整を行いながら」ということになると、メタ認知みたいなことが含まれてくると、これはなかなか評価が難しいですよね。やっぱり評価というのはある程度客観性を持って、先生が見て分からないといけないという部分もあるかと思うんです。ですから、ちょっとこの主体的に学習に取り組む態度にしたことによって、上の丸にも書いてありますけれども、少し狭くなったというか、評価できない部分というか。今までの関心・意欲・態度で評価していたところの中から、ちょっと狭くなったなというところを感じました。

ですから、先ほどの知識・技能もそうですけれども、非常にかっちりというか、捉えてしまうと、今度は学習内容がそれによって狭められてしまうようなところもちょっと心配だなというのがあって、やっぱりそれぞれの体育にしろ保健にしろ、教えなければいけない、学ばなければいけないことはたくさんあるわけですけれども、その中ではここに今挙がっている観点で、もしかしたらここにも、上から3つ目の丸にあるなじまないものというのも当然出てくる。そういったものを排除せずに、やっぱり教えるものは教えるとして、しっかり考えていきたいというので、観点は確かに、評価の観点は大事なんですけれども、余り振り回されてしまうと、これは教えるにはちょっと評価できないから、はじこうなんていうことにならないように考えたいと思います。

【山口主査】  ありがとうございました。

菊委員、お願いいたします。

【菊委員】  幾つかありますが、1つは技能と知識の関係について、体育の歴史をちょっと振り返ると、技能を重視し過ぎてきた部分があると思うんです。それはなぜかというと、学校の運動部を通して全国大会やいろいろな競技会が一方であって、それに引っ張られていくということで、体育の先生がそこに力点を置いてどうしても物を見てしまう傾向があるということです。全てを見るのではなくて、どうしても一部の見方で子どもたちの運動を評価してしまうということがあった。

それは、私の認識が間違っていれば後ほど訂正するにやぶさかではありませんが、職人の世界でも同じという気がしています。で、職人というのは、別に全ての人たちが職人になるわけじゃないですよね。ですから、技能は全ての人が同じレベルの高さの技能を身に付けろといって職人を育てるわけではない。そこでは当然、それに合う人、合わない人、向き、不向きというのがあって。職人さんというのは、基本的にはほとんど教えませんよね。俺の背中を見ろと言って、7年とか10年とか下働きさせて、何も教えないというのが職人を育てる、まさに学習環境なんだと。つまり、学ぶというのは、まねる、模倣しようとする、何かこういうすばらしいプレーをしたいなとか、こういう人になってみたいなとか、何か憧れるとか、この人のこんな技術ができたらすごいなとかと思う、そういうまさにモチベーションというのがどうやって働いていくのかに注目することはすごく大切なことだと思います。人間には一人ひとりにそれぞれ憧れというのがあって、野球選手になりたいとか、サッカーの選手になりたいというのは、やっぱり憧れのプレーヤーがいてそうなるわけですよね。

子供同士でも同じだと思うのです。あの子のようなプレーをしてみたいとか、ああいう技術の発揮の仕方をしてみたい、そういうことがある程度活発に、まさに対話を引き出していく。実際にやっている子はうまく表現できないんだけれども、「ちょっと見てろよ」とか多分言うと思うんです。「ちょっと見て」って。そこが自分では表現できないんだけれども、知識としては伝えられないんだけれども、それが学習になっている。まさに藤田さんが言った暗黙知のお互いの了解の仕方だろうと思うんです。

カルチャー、文化というのは、明示的にある知識として表現できる、概念化できるものと、やっぱり暗黙知で、ホールやポランニーなんかが言っているように、暗黙の了解事項というか、それが恐らく私たちのいろいろな生活習慣だとか、そういうものも作っていると思いますし、体の問題についてもそうだと思います。医学的な知識だけで私たちの体のすべてが理解できるわけではないのと同じことだと思うんです。

そういう意味で、今回、知識と技能が一緒になっているということで、特に体育の場面で、これをどう評価するのか。評価するというのは、ある意味で近代的なナレッジのレベルで評価していくわけですから、そこら辺の矛盾というのはかなり大きく出てくる可能性があるので、先ほどのお話と同じなんですけれども、どういうところでそれを見取っていくのかという課題が出てきます。それを、例えば資料に書いてあるように個人内評価という形で見取るのか、あるいはやっぱり客観的でないといけないから、知識というレベルで評価していくのか、そこら辺の切り分けをきちっと体育としては考えていく必要があるのではないかと思います。

それからもう一つ、ちょっと時間を取ってすみませんが、主体的に学習に取り組む態度という「主体的」という言葉ですが、私たちのイメージで言うと、主体性というのは非常に積極的だとか、自分から関わろうとする意欲があるというふうに捉えるんですが、もともと主体的というのは、これは近代の社会における近代的主体性という言い方で用いられます。それは、教育の場面で用いられるとのは真逆で、ある意味では強迫観念によって主体化されていくという意味をもっています。こういうところで言うのはちょっと場違いかもしれませんが、よくフーコーという人が監獄の誕生というところで言う主体性と同じ意味で、要するに、見えるから自分は従うのではなくて、見えない状況の中で囚人が、例えば1人の監視がいて、10人の囚人をコントロールできる(従属させることができる)という、そういう主体性として捉えられる部分があるのです。つまりそれは、主体的な学びの主体というのは、非常にプラス面の部分もあれば、マイナスの部分も実はあるのだということを含んでいるということなのです。教育は常にプラスの部分で主体性を捉えますので。

ただ、もちろん体育の主体性というのは、脅されて強迫観念で主体化するというのはではありません。かつてはそうだったかもしれませんけれども。やっぱり我々は体育が好きになる、運動が好きになる、自分から好んでそれを行っていく中で、自分たちでそれをコントロールしていく、その結実というか、その成果がルールに表現されていることになります。つまり、同じルールに従う、従属しようとすること、まさにそこに主体性があるわけです。

そういうふうに捉えれば、先ほどの高田調査官がおっしゃっていた主体的な学びというものを、これまでのルールに従うとか、公正な態度だとかというところと絡めて表現するのは、何ら問題ないと私は考えます。ただし、そのベースになっているのは、子供たちが自らそのルールに従うんだと、その主体性だと。そこが他の教科と全然違うところですので。従前の道徳的態度としての評価であれば、こういうふうにしなさい、ああいうふうにしなさいって命令されてやるんですけれども。同様に、体育が扱うスポーツでも、例えばサッカーなんて手や腕を使うなって言っているんですね。それなのに、子供たちはふだん手や腕を使うなって言われたら嫌がるのににもかかわらず、何でその嫌がる子供たちがサッカーになったらあんなに積極的に、まさにそのルールに従属して、ふだんやりたくないことをやるのかという、ここに体育が学習内容としている内容のすばらしさがあるように思うのです。これからもっともっとそういう学習内容がこの社会の中で生かされ、まさに社会に対して開かれた学びの態度として位置付けられていくことが必要ではないかなというふうに私は思っています。

以上です。

 

【山口主査】  ありがとうございました。今頂きました菊委員からの御意見は、この後の議論にも多分つながっていくことかなと思いました。

それでは、門田委員、お願いいたします。

【門田委員】  失礼します。ちょっとまとまりのない話をしてしまうかもしれないんですけれども、小学校の先生が今回の変更でどんなことをお困りになるかなということをいろいろ考えながら聞いておりまして、私もどう説明したらいいのかなというのがいろいろありながら聞いてはいるんですけれども、確かにこの3観点になったことでとてもすっきりするだろうし、子供たちに求める姿として、それをきちんと適切に評価できるのかなという点では賛同しております。

ただ、小学校の体育の方で言いますと、これまで思考力・判断力のところで、何とかをして何とか課題を持ちとかいう知識の部分が含まれていたところが、今度技能の方に入っていくということで、現場の先生は、じゃ、どこでどんなふうにそれを評価したらいいんですかという具体のお困り感が出てくると思うので、それを示す必要があるなというのが1つと、もう一つは、学びに向かう力、人間性等のところで、以前にも関心・意欲・態度と同じですよという形で御説明いただいたんですけれども、よくよく御説明を聞いたりいろんな方の御意見を聞くと、もっともっとバージョンアップしたような書きぶりでないと、本来の、どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るかというところまで到達……、小学校段階だったら難しい部分もあると思うんですけれども、もう少しバージョンアップした書きぶりが必要なのかなというのを感じました。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、鈴木委員、お願いいたします。

【鈴木(美)委員】  まず、この資料の方ですけれども、系統性を考えられてすばらしい資料を作ってくださっているなと感銘しています。

小学校からスコープが広がるように系統性を持ってつくられているというのと、あとは逆に、高等学校というのが学習指導要領の最終段階とするならば、高等学校を一番に見て、そこから見下ろしていく形で、中・小と見たときに、逆の方向もできているのかなというのを感じています。

現場の方は、もう既にアクティブ・ラーニングという言葉が独り歩きをしている状況で、この間、授業研究会に行ってきたのですけれども、体育の授業でアクティブ・ラーニングなんですといった授業を見せていただきました。しかし、指導内容と乖離してしまっているといった授業でした。かなり指導内容がおろそかになってしまって、単なる意見交換だとか交流を活発にとか、そこら辺が重視されてしまっていて、今日の課題解決のために何を話し合うのかが子供たちも分かっていない、何を教えたのか分からない授業というのが私の近隣ではありましたので、今後が心配されるなと感じたところです。

そうしたところ、この思考・判断・表現力等のところでは、細かく、どういったところがといったところで、指導と評価は一体ですので、評価の内容として、授業がイメージできるように書かれているといった点が現場では生きるのではないかなと考えています。

その中で、中学校のポツの上から3つ目のところが、私の中では授業の中でイメージできなかったところなんですけれども、「運動実践の場面で、健康や安全を確保するために、体調に応じて適切な活動を選ぶ力」というのと、また、高等学校の「危険を予測し回避するための活動の仕方を選ぶ力」というところは、ここの部分は安全のところの主体、学びに向かう人間性等の主体の方に引き取っていくと、授業づくりで、思考・判断・表現力のところはイメージが湧く内容になってくるのかなと個人的な意見は持っています。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、野津主査代理、お願いいたします。

【野津主査代理】  先ほどの髙橋委員の興奮が伝わってきまして、ちょっと迷いながらも、発言させていただきます。

今日の評価の議論で、特に感じるということで発言させていただくんですが、ここでの議論の方向性、立つ位置というようなことです。保健は、あるいは体育は他の教科と違うんだ、かなり違うんだというような方向で議論することは容易なんですけれども、他の教科との共通性というんですか、そこを見出していく方向での議論が必要だと思います。

それから、これは言葉のことですけれども、座学という表現がよく出るんですが、主体的な学習、積極的な学習、協働的な学習の重要性が強調されている中では特に、座学という響きがどうもふさわしくないように聞こえてしまい、心配です。慎重にと思いますが、いかがでしょう。

【山口主査】  ありがとうございました。非常に活発な御議論を頂きまして。懸案事項としては、知識や技能というところを、やはりどのように評価していくかということが先生方の中では共通の認識があったのではないかと思います。

友添先生、お話になられますか。

【友添委員】  関連してですけれども、ちょっと野津委員にお願いなんですが、余り最初からこういう観点でいくというふうに言われてしまうと、ここでやっている議論が全く意味をなさなくなってくるので、むしろここでいろんな議論をすること、これを書き留めていくこと、こういう議論があったということが実は大事だと思っているわけなんです。

だから、そういう意味で言うと、ここはオープンエンドで議論しても、私は基本的にはいいところだと思っているので、その点だけは今後御注意いただければと思います。

【野津主査代理】  もちろん私もそのように思っております。

【大杉教育課程企画室長】  主査、済みません、一言だけ。その部分が一番、私、全部出させていただいておりまして、逆に私がここに座っている意味もそこにあるのかなと思いますけれども、教科の特性ということも議論いただく一方で、教科が変わりつつあるということをどれだけ共有できるかということだと思うんです。これは裏返せば、体育・保健体育という教科がほかのワーキングでどのような捉えられ方をしているかということの裏返しでもあるということだと思います。

例えば道徳で申し上げれば、今、考え、議論する道徳というところに一歩踏み出しているというところを、実際にまだ共有できていないということなんだろうと思います。体育・保健体育も変わりつつあるということを、私たちもお伝えしながらさせていただいておりますので、是非他教科も変わりつつあるということを念頭に置きながら、体育の特性、保健の特性を考えていただくというような議論をいただければと思います。すいません、横から。

【友添委員】  よろしいでしょうか、まだ終わっていないですけど。今、大杉室長のお話を聞いて、多分、道徳は価値の明確化運動の領域に入り込んできているんだろうなということをイメージしているんですけれども、それぞれの教科がいろいろな意味で、今、実は、固定的なコンサバティブな教科のあるべき姿そのものを脱皮していかなきゃいけないということは、この部会でも皆さん共有してきたし、だからこそオープンエンドで自由に議論しているということで、野津主査代理にお願いを申し入れたということでもあるということです。

ここからまた別の話になりますけれども、道徳が、菊先生がおっしゃるように、服従を強いられて出てくるとか云々という話、これはこれで重要な議論なんだけれども、今はやっぱり大事な議論というのは、評価をどうするのかというところになってくるわけです。最終的には、測定可能なものでないと、実は評価できないということの前提をこのあたりで確認して、いろいろな議論をしてきたんだけれども、実は測定可能性のあるもので絞り込んでいかなければいけないよねという合意は、恐らく内々には皆さん、出来上がってきただろうなと思っています。もう一つは、4観点が3観点になるというのは、むしろ資質・能力の最初の指導内容のカテゴリーが決まった時点で、ほぼこれで対応してやらないことには、それと評価の観点がずれてしまうというのは基本的にはあり得ないことも概ね合意が出来つつあるように思います。

ただし、ここで行われてきた議論というのが、実際の学習指導要領を書く段に反映されていかなければいけない。だから、先ほど西岡委員だったか渡邉委員から御意見があったように、保健と体育では書きぶりは随分違うだろうし、違っていいだろうということと、また、小学校と中学校と高校、体育の場合では書きぶりが違うという、書き方が違うというような引き取り方をしておく必要がある。だから、もうこの観点については、基本的には私は先生方、現場の先生方が特に3観点を好ましいという御発言を引き取って、この会の中では引き取ることが必要だろうというふうに思っているところです。3観点ともう一つは測定可能性と書きぶりのところで工夫をしていくということが、大体今日の議論の中であったのではないかということで、野津代理、よろしいでしょうか。

【野津主査代理】  ありがとうございます。

【友添委員】  お願いします。

【山口主査】  まとめていただいてありがとうございました。

それでは、活発な御議論を頂きまして……。失礼いたしました。

【真如委員】  人を評価するというのは非常に難しいんですよね。私も今、大人の方を評価していますけれども、非常に難しい。材料がとにかくなければ、自信持って評価できないというのは1つ、大きな要素ですよね。ですから、学校の先生方については、大変忙しい中で大勢の子供を相手にして、そして一人一人に適切なアドバイスをしながら評価をしていくという作業は大変なことだと思います。特に体育は、ほかの教科よりも大変じゃないかなと私は思っているところです。

やっぱり評価ということが、評価したことによって本人が変わるというか成長していくという姿が見られなければ、適切な評価だと言えないと思っていますので、評価の観点も分かりやすくなっていることが一番大事なところだと思います。また、今の時代はきちんと説明ができなければいけませんから、具体的に本人に説明したり、あるいは保護者に説明したりできるぐらいの気持ちで、しっかりと評価していくことが大事だなと思っております。

併せて、評価についてはまだまだ学校の中でいろんな評価の仕方をしていますから、評価はこうあるべきだということが十分浸透していませんので、その辺等も私たちは頭の中に入れておく必要があるなと思っているところです。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

議論は尽きませんが、次に進めさせていただきたいと思います。

これが本日の最後の議題になりますが、体育・保健体育における資質・能力を育むために重視すべき内容等について、2020年、この後に指導要領が出るということもございまして、オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、育成すべき資質・能力を含めてということで、残りの時間は意見交換をさせていただきたいと思います。

それでは、事務局より配付資料の説明を、若干短めにお願いいたします。

【高田教科調査官】  それでは、よろしくお願いいたします。

資料7及び資料8を併せてご覧ください。委員の皆さまのご議論の中で、2020年オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、新たな学習指導要領が始まるということで、やはり目玉となるものがほしい、あった方がよいというようなご意見は多々頂いております。ただ、今までの指導と関わらないところで、課題もなく突然に何かを出すということは、考えられません。やはり、課題を踏まえたエビデンスとしてあるものが、新たな指導内容に結び付いていくのだろうと捉えています。

併せて、2020年を契機に、レガシーとして何を残していくのかという議論も必要だと考えます。体育・保健体育がさらに発展し、価値のあるものとして、教科としての特徴、特質をよりよく出せるようにするために、内容をさらに少し加えたり、修正したり、また少しスリムにしたりというところがあるかと思います。そういった御意見を頂戴したいと思います。

資料7をご覧ください。1つ目として、心と体を一体として捉える指導の在り方については、これからも継続して残していく必要があるだろうということです。

2つ目の発達の段階に即して各種の運動の特性や魅力に触れることができるようにするための内容の在り方については、児童生徒の発達の状況が変化していますので、現行の中身では、学年を入れ替える等の議論が必要ではないかということです。

3つ目は、全国体力・運動能力、運動習慣等調査等を踏まえると、子供たちの体力の低下傾向、又は運動する子、しない子の二極化問題などを踏まえて、運動・スポーツについての関心や意欲をどう高め、体力の一層の向上を図る観点から、内容を検討する必要があろうかということです。

4つ目は、学習した内容を実生活、実社会で生かすために、その校種の特色に応じた内容の在り方があるのではないかということです。

5つ目は、仲間と運動に取り組む過程において、自己の発達の特性を認識し、感情や行動をコントロールするための素地をつくることが期待されることから、「学びに向かう力・人間性等」の資質・能力を育むための指導と評価の在り方について検討するということです。

6つ目は、オリンピック・パラリンピック教育の充実を図るための、オリンピック・パラリンピックの意義や価値等を踏まえた指導の在り方についてです。

7つ目は、スポーツを通じた共生社会を形成する観点から、「する、みる、支える、知る、調べる」などの多様な関わり方ができるようにするための内容や指導の在り方についてです。

8つ目は、生涯を通じて健康を保持増進していく立場として、少子高齢化や疾病構造の変化による現代的な健康課題の解決や、自他の健康の保持増進に役立つ内容の在り方について検討することです。

次に各校種についてですが、まず小学校においては、先般ありました体力・運動能力等調査の中でも、握力及び投能力の低下が著しいということから、関連する領域において取り上げる運動をどうしたらよいかについてです。新たに加えるべき種目等があるか、又は現行のものを膨らましていくのか等について、議論する必要があろうかと思います。

次に、中学校・高等学校の体育分野・科目体育について、説明いたします。

【高橋教科調査官】  一番下の丸でございます。中学校・高等学校の体育についてですが、オリンピック・パラリンピック教育、オリンピック・パラリンピックの意義や価値等を踏まえた内容や指導の在り方について、さらに検討していきたいということ。また、生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現し、スポーツを通した共生社会を形成する観点から、障害者理解や多様性の理解の促進につながる内容や指導の可能性及び在り方についてと示させていただきました。

また、関連して、資料8も御覧ください。

2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会を契機として育成すべき資質能力についてでございます。四角の枠の中には、論点整理でお示しいただいた内容を記載しているところでございます。オリンピック・パラリンピックについて主な論点として、スポーツとの多様な関わり方を楽しめるようにしていくこととして考えられることはどのようなことがあるかということ、2つ目として、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成果を、レガシーとして子供たちに根付かせることとして考えられることは何かということも併せて御議論いただければ有り難いと思います。

続きまして、保健の分野について説明をさせていただきます。

【森教科調査官】  小学校・中学校・高等学校の保健の内容について御検討願います。

まず、小学校については身近な生活ということで、自分に関わる内容を中心に、資質・能力の3つの柱を踏まえてどんな内容を入れていったらいいか考えました。自己の健康に関する基礎的・基本的な内容、この内容には、知識・技能、思考力・判断力・表現力、それから態度というようなものが全て入っていると考えていただければと思います。それと、もう一つが運動領域との関わりを深めることから、健康と運動との関連についてです。もちろん保健領域だけではなく、運動領域の方にも入っていくと思いますが、橋渡し的な内容が検討できればいいと考え提案させていただいております。

いずれにしろ、小学校の場合はすでに内容がかなり多いので、内容そのものを変えるというよりも、配列を変えるなど、単元の入れ替え、順序性等も踏まえて御検討いただければと思います。

続いて中学校ですが、こちらは現代的な健康課題がたくさん出てきている中で、特に心の健康や疾病予防という観点から内容を整理できればと考え提案させていただいております。

もう一つは、技能に関わる内容です。これまでも議論していただいていますが、ストレス対処、心肺蘇生法等。特に心配蘇生法等についてはAEDを含んでということで、技能という面から内容はどうなのか検討していただければと思います。それから、体育分野との関係については小学校と同様です。

最後に、高等学校です。こちらの方は必修で2単位ありますので、比較的単元として充実した学習が組めるということを踏まえて、少子高齢化、疾病構造の変化による現代的な健康課題の解決に役立つ内容。それから、ライフステージ、時間軸で考えていくことが重要ですし、また、疾病の進行に応じて考えていくということが重要なので、一次予防だけでなく二次予防、三次予防を踏まえた内容ということで検討いただければ有り難いです。

そして、3つ目は健康で安全な社会づくりに役立つ内容。こちらの方も安全の心肺蘇生法等について高等学校は入っていますので、そういったものも含めて考えているというところです。

最後に、科目体育との関連ということで、これは小・中・高通じて、健康と運動、又は健康とスポーツという観点から、内容を吟味していただければありがたいです。

【高橋教科調査官】  すいません、失礼いたします。

今、御説明申し上げたところを、この時間の中で全て御議論いただくというのは時間的に非常に難しいかと思いますので、本日は、資質・能力を身に付ける上で、今出させていただいているものに加えるべき内容があるかどうかというような観点で御議論いただきまして、併せてオリパラのところの主な論点のところを御議論いただければ有り難いと思います。よろしくお願いいたします。

【山口主査】  それでは、活発な議論を頂く時間もなくて大変恐縮ではございますけれども、今、高橋調査官の方から言われた、ここに載っていない新たな観点、あるいは2020年オリパラを契機として、さらに考えなければいけない観点などございましたら、御指摘をいただければと思います。

藤田委員、お願いします。

【藤田委員】  失礼します。時間も余りないので、私の方からは、オリパラ教育のことについて意見を述べさせていただきたいと思います。

今、福岡でも小・中・高を通じて、オリパラ教育について指定校を設けて取り組んでいるところですけれども、この「オリパラ教育」こそ、カリキュラムマネジメント、保健体育の分野だけでなく、道徳とか総合とか社会科とか、いろいろなところで取り組んでいく、関連性を持ってより深めていくところではないかなと考えています。オリンピック・パラリンピックって体育でしょというふうにならないように。もちろん扇の要として保健体育の分野で引き取っていくところは多分にあると思いますが、そこをもっと開かれた教育課程の中で、カリキュラムマネジメントとして、いろんな分野で扱っていただければなと感じています。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。非常に重要な御指摘だと。この部分については、論点整理の中でもやはり御指摘をいただいているところです。

ほかにいかがでしょうか。渡邉委員、お願いいたします。

【渡邉委員】  すいません、追加のことでという話があったんですけど、気になってしようがないので書いてあるところで。ちょっと手短に言いますので。

保健のことです。1枚目の下から3つ目の丸なんですが、これは多分ミスだと思うんですけれども、「生涯を通じて健康を保持増進していく資質や能力」ではなくて、「資質・能力」ですので、ちょっとそこを直してください。

それで2枚目です。上から2つ目の丸で、中学校のところですけれども、1行目のところの最後の方で科学的な知識や技能という言葉が出てくるんですけれども、多分、これは中学校は科学的に理解するというのがあったので受けたのだと思いますけれども、科学的な知識・技能と、科学的に理解するということは意味がちょっと違うと思うんですね。知識や技能はもともと科学的なものですから、ここのところの表現はちょっと考えていただければと思います。

最後に、高校の中で下から2行目で、「構造的に」という言葉が今回、これは多分初めて出てきた言葉じゃないかと思うんですけれども、これは、いろんな要素と、例えば共通点とか、あるいはそれぞれライフステージのつながりというか、そういう個々のもの、ばらばらなものではなくて捉えるという意味合いだと思いますけれども、多分初めて出てきた言葉なので、今度、これをもし使われるのであれば、誤解がないように説明されるような措置を考えていただきたいと思います。

すいません、以上です。

【山口主査】  御指摘ありがとうございました。

ほかに御意見、いかがでしょうか。私が時間がないと言ったので、皆さん遠慮されているような気がいたしますが、まだ10分程度ございますので、是非。

【西岡委員】  いいですか。

【山口主査】  西岡先生。

【西岡委員】  ちょっと議論が立ち消えになったといいましょうか、再考になったところなんですけれども、冒頭に見方・考え方のイメージで、例えば保健でしたら健康の保持増進に加えて回復などが挙げられておりましたよね。こういう視点は、やっぱり入れるんでしたらここにも入れていかなくちゃいけないんじゃないかなと思います。具体的に申しますと、1ページ目の下から3つ目の丸の健康保持増進、ここに回復があった方がいいんじゃないのかなと思いますので。イメージがこれから議論されていきますけれども、こういうものとの整合性について議論していかなくちゃいけないかなと思います。

それからもう一つは、これは保健でオリンピック・パラリンピック、特にパラリンピックなどを関連付けるかどうかというのは意見が分かれるかもしれませんけれども、例えば、今の保健の教科書などを見ましても、先ほどもお話にありました生活の質、場合によっては、これは健康の回復にも関わるかもしれません。障害のある方々が活発に活動されているような写真とか教材がよく見受けられます。そういう発想は、健康の回復や、あるいは持っている機能をよりよく発揮していくようなことにも関わってくるかと思いますので、何か触れるようなことができないかなと思います。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

佐藤委員。

【佐藤委員】  特に重視すべき内容にオリパラのことについては書かれてありますが、是非「スポーツの価値」ということを盛り込んで頂きたいと思います。そもそもスポーツが得意で好きな子は、どんどん好きになりますが、嫌いな子、できない子に関して、「どうしてスポーツって大事なのが、大切なのか、素晴らしいことなのか」ということを指導することが必要だと感じます。特に東京オリンピックを契機に、もう一度原点に戻って、是非「スポーツの価値」について、重視すべき内容に触れていただきたいと思います。

【山口主査】  ありがとうございました。

ほかの委員の先生方はいかがでしょうか。

【五十嵐委員】  よろしいですか。

【山口主査】  五十嵐委員、どうぞ。

【五十嵐委員】  1964年のオリンピックのときに小学校5年生で東京におりましたけれども、クラスの半分がくじでサッカーを見に行けましたけれども、私はくじで外れまして、テレビで。昔のテレビはどんちょうのようなものがあって、開いてという、そういうテレビを学校で見て、残念な思いをしたんですけれども。是非、日本全国の子供を連れて行くというわけにはいかないでしょうけれども、このオリンピック競技大会の何らかの競技場に、日本の子供たちができるだけクラスみんなで行くというようなチャンスを文部科学省が提供していただけると、できるかどうか分かりませんけれども、これはレガシーとして残るのではないかと思います。64年からもう五十何年たっても残念な思いがいまだにしている者としては、是非お願いしたいと思います。

【山口主査】  組織委員会に伝えたいと思います。

それでは、友添委員、お願いいたします。

【友添委員】  もう最後の方なのであれですけれども、よくできているペーパーだと思っています。ただ1点、ちょっと強調してもらいたいのは、人間はやっぱり運動するようにできているというメッセージはどこか端的に示していただけたら有り難いと思います。運動というのは健康、それから認知的な領域も含めて、人間にとっての一番最初で、最も根幹をなす大事なものだと、人間は運動しなければいけないというメッセージをどこかに入れてもらえればと思います。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

髙橋委員、お願いします。

【髙橋委員】  興奮しないように申し上げます。

この体育や保健は、自分の体を大事にする、そして肯定的に捉えるということが一番大事な要素だと思うんですね。ここに掲げたことはもっともなことなのですが、改めてもう一度、友添さんが、人間は運動するのが当たり前だと言うように、そこを大事にしてもらいたいなという、言葉をどういうふうに入れたらいいか分かりませんけれども、入れてほしいのが1つです。

それから、真ん中ぐらいに、感情や行動をコントロールするということがありますけれども、今、レジリエンスの研究をしていまして、ダンスが90分でもやるとレジリエンスが高まる、でもそれは自主的に協働して創造的にする活動の上で高まるのであって、強制してやれとかって言うのでは高まらないというのが見えてきていまして。ここのことは本当に大事なので、それは指導にそういうところは含み得たものとしてしないといけないということも見えてきていますので、書きぶりはこれでいいとは思うんですが、それもちょっとお伝えしておきたかったことです。

【山口主査】  ありがとうございました。

菊委員、お願いいたします。

【菊委員】  1ページ目の下から4つ目にスポーツを通した共生社会を形成する観点を踏まえ、「する、みる、支える」、これはフレーズで出てくるんですけれども、やっぱりオリパラは見る人が大半で、子供たちもそれに影響されると思うんです。例えば芸術教科というのは必ず鑑賞領域というのがありますよね。スポーツを批評したり鑑賞したりするという領域として捉えていく、そういうきっかけとして何か打ち出せないかと。多様な関わりということはよく分かるんだけれども、そこにアクセントを1つ置いてみたらどうだろうかというのが私の意見です。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

野津先生、どうぞ。

【野津主査代理】  今、「する、みる、支える」のところで、「みる」ということでの御発言だったと思うんですが、私は、もう一つ加えてこだわりたいのは、やっぱり「する」ということをもっと重視するべきと考えます。

特に高校においては、国レベルや様々なデータによって運動していないというエビデンスがあろうかと思いますし、私自身が持っている日米の高校生の確かなデータの比較においても、圧倒的に日本の高校生は運動していない。例えば、通学時の自転車通学も有酸素運動としてみても、自転車通学が見られないアメリカの高校生に比べて、日本の高校生の方が有酸素運動が少ないのです。

健康につながるスポーツ、運動の促進、実践の促進に結び付くような内容、行動科学的な内容をもっと取り扱うようにしてはどうか。運動・身体活動の主体的な実践に結び付く内容の充実を図るべきであろうという意見です。

【山口主査】  杉本委員、お願いします。

【杉本委員】  すいません。今、お話ししようと思っていたら、野津先生にお話しされてしまったようなところがあったんですけれども、私も学びに向かう力とも関連するんですが、子供たちが運動することが将来何の役に立つのかということを、しっかりと学齢期の間に認識してもらいたいなということがあります。他教科でも、TIMSSとかのテストでも、知識はしっかり付いているけれども、将来どんなことに役立つかといったときに、子供たちの意識が低いというのがありますので、そういうところで、この体育という教科も、将来どんなことに役立つのかということでは、「する」ということの重視ということとか、子供たちが主体的に体を動かすんだという気持ちになるようなことがすごく大切かな、それが健康寿命を延ばすことにもつながっていくのかなというふうにすごく思って、今、ちょっとダブったお話になってしまいますが、思ったところです。

【山口主査】  ありがとうございました。できることであれば、2020年オリンピック・パラリンピックを見た子供たちはみんな、スポーツをやりたくてしようがないというふうなオリンピック・パラリンピックになれば、これはさらにすばらしいなというふうに感じました。

本当に、先生方、委員の皆様の御協力がございまして、時間がないと言った割には3分前をもって終了することができました。ただ、特にこの最後のところは、例えば握力、投能力の低下というようなところでは、もう少し先生方の御意見を頂きたかったところもございます。遠慮して発言されなかったところもあると思いますので、是非もう一度読み返していただきまして、御意見等を事務局の方にお寄せいただければというふうに思いますので、併せてよろしくお願いいたします。

それでは、本日予定されていた議題はここまでとさせていただきます。最後に、次回以降の日程などにつきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

【二戸学校体育室指導係長】  失礼します。きょうはありがとうございました。次回、第8回については、4月28日木曜日、午後を予定しております。正式な時間等については改めて御連絡をさせていただきます。次回以降なんですけれども、いよいよワーキング、これまで御審議いただきましたものを、まとめに向けてということになってまいろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

また、今、主査からもお話がありましたとおり、今回の議題でもう少し意見がということであれば、メールでもファクスでも結構ですので、事務局の方まで頂ければなと思います。

また、本日の配付資料ですけれども、机上に置いておいていただければ後ほど郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

【山口主査】  どうもありがとうございました。今、事務局の方から次回の御案内がありましたけれども、4月28日ということで、少し期間が空いております。この機会に、今までの議論をそれぞれの委員の皆様に振り返っていただきながら、もう一度検討していただいて、言い足りなかったことや改めて感じていることや、こういうふうにまとめていったらいいんじゃないかというアイデアを是非どしどし事務局の方にお寄せいただければ、まとめに入っていく非常に助けになると思いますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。

それでは、第7回の体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループを終了させていただきます。御協力、まことにありがとうございました。

 

お問合せ先

スポーツ庁政策課学校体育室指導係

電話番号:03-6734-2674

(スポーツ庁政策課学校体育室指導係)