教育課程部会 体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループ(第5回) 議事録

1.日時

平成28年1月20日(水曜日) 10時00分~12時30分

2.場所

合同庁舎7号館東館 3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 体育・保健体育等の育成すべき資質・能力の整理について
  2. 特別支援教育の観点から必要な支援等について

4.議事録

【山口主査】  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループ第5回を開催させていただきたいと思います。

もう「おめでとうございます」と言う時期は若干過ぎたと思いますけれども、本年度もどうぞよろしくお願いいたします。

それでは、まず初めに、事務局から今回初めて本ワーキンググループに出席される委員の御紹介及び配付資料について、御確認をお願いいたします。

【髙﨑学校体育室長補佐】  失礼いたします。委員の紹介をさせていただきます。

鈴木徹委員でございます。

【鈴木(徹)委員】  鈴木と申します。義足を付けて、走り高跳びの選手として活動しておりまして、何度も欠席をして申し訳ありませんでした。今後ともよろしくお願いします。

【髙﨑学校体育室長補佐】  続いて、配付資料の確認をさせていただきます。

本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1といたしまして、第4回ワーキングの委員からの主な意見、資料2-1としまして、資質・能力の三つの柱に沿った、小・中・高を通じて育成すべき資質・能力の整理のイメージ、資料2-2といたしまして、体育科・保健体育科における学習過程のイメージ、資料3、体育・保健体育における特別支援教育の観点から必要な支援等、資料4といたしまして、健康・安全等に関わる育成すべき資質・能力、総則部会に配付させていただいた資料、そのほか、机上に参考資料を1枚配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。

なお、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中には、本ワーキンググループのこれまでの審議だとか、他のワーキンググループの参考となる資料をデータとして入れています。

以上でございます。

【山口主査】  ありがとうございました。それでは、これより議事に入ります。

初めに、本ワーキンググループの審議等につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただきますとともに、第6条に基づき、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱わせていただきます。よろしくお願いいたします。

なお、本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。

それでは、本日の議題に入る前に、ほかの専門部会などで議論されております状況などを含めまして、伝達事項、報告などを事務局から御説明いただきたいと思います。

【髙井健康教育・食育課長補佐】  事務局でございます。それでは、18日に行われました総則・評価特別部会の議事内容について、簡単に御報告をさせていただきたいと思います。

本部会、本ワーキンググループ、体育・保健体育、それと健康・安全ワーキンググループとして、健康・安全の視点からの取りまとめの立場として、前回御議論いただきまして、御議論いただいた安全、食育等の内容について、総則特別部会に資料4に基づきまして、発表がなされたところでございます。

特に委員の方々の御意見を踏まえまして、総則特別部会の資料として活用した際に、変更された点についてなのですが、資料の9ページを御覧いただきますと、「防災を含む安全に関する教育のイメージ」というところで、カリキュラム・マネジメントの実現に係る、もう少し詳細な図、どういう形で、どういう科目が、どういう役割を果たしていくのかといった図が入っているところでございます。この中身は、例えば保健体育については、安全で安心で生きるための中核となる力を育むということになってございます。

食育についても同様に16ページというところにカリキュラムのイメージ図というものを配しております。

健康については、22ページにございます。これらに基づき御議論いただきましたところ、主な委員の皆様の御意見なんですが、○○教育の位置付けということについてどう考えるかということで、例えば食育であったり、安全であったり、キャリア教育であったり、情報であったり、いわゆる丸丸教育と言われるものが総則においてどう扱われるかについては、保健・安全については総則1-3ということでブロックがございますが、ほかのことについては配慮事項のみになっているものもありますので、そういったものについてどう扱っていくかというのは、非常に重要な規約であるという御意見がございました。

あとは、先ほど御覧いただきましたカリキュラム・マネジメントの図を見ながら、こういったものが総則の時点では全体として学校の教育活動全体を通じて、これらの教育を実施していくということが記載としてございますが、それではやはり現場では、学校教育全体というのはどういうことなのかということが非常に分かりにくいと。なので、そのカリキュラム・マネジメント全体の図というものが文章から読み取れるように、あるいは解説から読み取れるような形で何らかの記載ができないかという御議論がございました。

あとは、健康・安全という話をしたときに、学校健康教育の健康というものが、保健に非常に近い概念に見えるものでございまして、保健・健康というものと、例えば安全というものの位置付けというのが、形としては学校健康教育の3領域ということで、学校保健・学校給食・学校安全ということがございますが、学校安全と学校健康教育の中の位置付けというのが若干見えにくいのではないかという御指摘もございました。

このような御指摘の中で、どういう形で総則で記載を加えていくのか、あるいはこの議論を受けまして、各ワーキンググループ、各教科に対して、またどういった形で盛り込んでいくのかという議論を引き続きやっていくという話になっております。

同時に、情報教育に関する議論もございましたが、これは後ほど教育課程課から、恐らく次回の会で御説明があると思われます。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

野津主査代理も総則部会に委員として御参加されておりますので、何か補足等がございましたら、お願いいたします。

【野津主査代理】  私から追加発言ということで、2つ述べさせていただきました。その前にまず、総則・評価特別部会では、安全、食育、心身の健康ということに関してとても関心が高くて、より充実させていく方向に向けての熱のこもった意見を頂いたという印象を受たことをお伝えします。

その上で、追加発言の1つは先ほど髙井課長補佐からもありましたけれども、総則の3つの項目について、よりしっかり書き込むようにすることが大事だということを述べさせていただきました。その点に関して、今でも健康・体力については3つの柱の1つとして、特筆されるような形で、非常にクローズアップして書かれているんだけれども、それ以上に要るのかという意見もありました。

例えば、私としては、先ほどの資料の9ページ、あるいは16ページ、22ページのところに示されているような絵が、総則を読む中で描けるように、読み取れるように具体的な書きぶりが必要であり、今は重要だとは書いてあるけれども、何となく現場では通り一遍的に受け止められるような書きぶりにとどまっているのではないかということです。総則では、学校教育全体でこれらをどう教えることになっているのか、どう扱うことになっているのかというようにして、両者の関係性ことが見えるようする。そして各教科のところでは、さらに詳しく書いてあるというようにして、両者の関係性を見えるような書きぶりにしたらどうかということです。ともあれ、ほかの丸丸教育も含めて、総則の書きぶりが随分現行とは違ってくる兆しを具体的に感じているところです。

それから、もう一点は、この保健体育のワーキングの中の話にはなりますが、内容が安全も食育も心身の健康もと考えますと、非常に多くなってきておりますので、今後の方向性としては、精選していく議論も必要であるということを加えさせていただきました。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

ただいま、髙井課長補佐、野津主査代理から総則・評価特別部会について御報告を頂きましたけれども、この御報告について、何か御質問等ございますか。

大丈夫でしょうか。もし後ほどでも何かありましたら、また発言を頂ければと思います。

それでは、本日の議事に入りたいと思います。

それでは、体育・保健体育などの育成すべき資質・能力の整理について、本日は議論をさせていただきたいと思っております。体育・保健体育等の育成すべき資質・能力の整理について、また前回のワーキンググループで総則・評価特別部会より、今、報告がございましたけれども、こういった中で検討依頼のありました特別支援教育の観点から、必要な支援などについて議論をしてまいりたいと思っております。

まず、体育・保健体育などの育成すべき資質・能力の整理について、体育・保健という2つの領域別に議論をしていただきたいと思います。

進行の仕方といたしましては、事務局から御説明を頂きました後、意見交換をするという形を各領域ごとに行うこととさせていただきます。

それでは、まず体育・保健体育などの育成すべき資質・能力の整理につきまして、体育の領域について議論をさせていただきます。事務局から配付資料の説明をお願いいたします。

【高田教科調査官】  よろしくお願いいたします。前回までに頂いた意見を基に修正したものをお持ちいたしました。資料2-1というものを御覧ください。

ここでは、まず12年間の子供たちの体育・保健体育での学びを通して、どんな力を付けていくか。この3つの資質・能力に基づいて、どんな力が各発達の段階に応じて見に付けていったらいいかということについて整理したものです。

頂いた意見を基に、キーワードとして、先生方からも御意見を頂戴したとおり、体育ならではのもの、ほかの教科ではなし得ない、体育ならではのものということをまず重視すべしということと併せて、盛りだくさんにならずに、スリムで、しかも分かりやすいということですね。あれもこれもということではない。確かに大事なことはいっぱいあるんですけれども、それら全てを12年間で押し込んでいくという考えではなくて、やはり順序性を持って、少しスリムに、そして計画的に作っていこうという立場で考えたものです。

これから3つの資質・能力について順に、まず小学校からお話をさせていただきます。その後、中学・高等学校ということで、体育・体育分野、科目体育のお話をさせていただきます。

では、まず小学校の運動領域ですけれども、「個別の知識や技能」とした場合に、各種の運動が有する特性や魅力に応じた知識や技能として、まず行うための技能と併せて、行い方についての基本的な知識と捉えました。小学校では、知識をどこまで入れるかというのが大変悩ましいところでございますけれども、多過ぎても子供たちにとっては理解できないし、ましてや先生方も教えることばかりになってしまって、活動を伴わないということです。そういうことに陥らないように、何しろ大切なのは、活動しながら習得できる知識と捉えて、ここは運動の行い方についての知識で十分ではないかと捉えています。

次に、「思考力・判断力・表現力等」についての提案でございます。学習プロセスとも関わる重要なものですけれども、お手元に委員限りの配付資料として、「思考力、判断力、表現力に係る整理のイメージ」というものがあるかと思います。こちらと併せて見ていただきたいと思うんですけれども、小学校段階、中学校、そして高等学校に向かってどのような思考力・判断力・表現力が育まれていくべきかということを整理したものです。

考えたいとか、工夫したいという意欲を伸ばすことが大事だという御意見を頂戴しております。何か考えさせるとか、押し付けにならないような思考、判断、表現ということを考えていく必要があろうということです。

資料に戻りますと、自己の能力に適した課題を持ち、活動を選んだり工夫したりする思考力・判断力・表現力等としまして、自己の能力に適した課題に気付く力。自己の課題、これは運動課題ですね。運動の課題を解決するための活動を選んだり、運動の行い方を工夫したりする力。そして、運動に関わって、思考し判断したことを、言葉や動作等で他者に伝える力と捉えました。

体育ならではというところで、他教科ではやれないようなこと。言葉や動作、言葉で表すのであれは、国語などの発表でもできるだろうという御意見も頂きました。体育でしかできないような言葉の発し方、そして動作もあるかと思います。そういったことがここに含まれていると捉えていただけたら有り難いと思います。

身体活動を行うときに、やはりもっと上手になりたいという願いがあったときに、それをどうしたらいいんだろうと工夫する楽しさ、そして友達と一緒に関わり合って、何か新しいものを発見したとき。うわー、これ面白い。これを人に伝えたいな。先生、見てみて、こういうところが表現力として出てくるのではないかなと考えています。

3つ目の「学びに向かう力」に移ります。運動の楽しさや喜びを味わい、明るく楽しい生活を営むための態度。体育をすると明るく楽しい生活につながるんだということです。したがって、この態度も押し付けではなくて、運動するのに進んで取り組む、又は約束を守る、公正に行動する。これら全て、運動の楽しさにつながるんだと。こういったことをすると、もっと楽しくなるよねという発想で、子供たちが自然に運動に関わりながら見に付けていく。そのための指導があるわけですけれども、意図して押し付けるのではなくて、子供たちの活動の中から湧き出てくるような願いとしての態度、それを考えていきたいと思います。

教室では見せない姿、それが体育ではあるかと思うんです。子供たち、特に教室でじっとしている子供、体育の時間になると、すごく自己解放的になり、そして思わぬ発言をあたり、思わぬ活躍をしたりします。そういうことを体育では大事にしていきたいというところです。

また併せて、どんな相手に対しても仲よく関わるというのは、先ほど来、先生方からも御意見を頂きました。人種を越えてですとか、性別に関わらずというところで、ここは友達と協力して活動するという中に、そういったものも含まれていると解釈しています。

小学校6年間は以上です。

続いて、中・高にまいります。

【高橋教科調査官】  失礼いたします。中・高について説明させていただきます。

知識・技能について、ここの知識には何を書くのかを明確にする必要があるという御議論を頂いているところでございます。それを踏まえまして、ここでは運動を行う上で必要な知識とスポーツに共通する知識に分けて示しているところでございます。

また、各領域で学ぶ知識と、まとまりで学ぶことが効果的な知識に分けて示すことは継続するべきであるというお話も頂きましたので、体育理論と分けて示させていただいているところでございます。

また、3つ目のポツの体力の要素や高め方の知識ですが、例えば、体力を向上させたいと思った時に、長距離走のみを行うのではなく、体力の要素には持久力ももちろんありますが、体の柔らかさや、巧みさなど、様々な体力の要素があるということを知識として確実に学んだ上で、個々に応じて体力の向上につなげられるようにすることが大切であると考えて示しているところです。

スポーツに関する科学的な知識、文化的な意義の部分は、体育理論でございますが、この中にはスポーツの必要性、体を動かすことの必要性や健康を維持する必要性など、保健との関連も含めて、この中に入ってくるものと考えているところでございます。

技能につきましては、各種の運動が有する特性や魅力に応じた技能とまとめさせていただいております。

高等学校につきましては、1枚おめくりいただきまして、中学校にプラスして、卒業後も運動を継続することができることを踏まえまして、上から5つ目のポツですが、それぞれ自ら計画を立てるというところで競技会の仕方等々を記載しているところでございます。

また、スポーツに関する科学的知識や文化的意義等というところが体育理論になりますが、スポーツの経済効果であるとか、オリンピック・パラリンピック等々、社会に出てからも必要なスポーツ全体の知識をここに入れているところでございます。

続きまして、「思考力・判断力・表現力等」でございますが、この議論につきましては、各校種で到達するところを明確にする必要があるのではないか。特に高校段階においては、卒業後の社会をイメージする必要があるのではないかという御議論を頂いているところでございます。

中学校におきましては、自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できる思考力・判断力・表現力とさせていただいております。特に1・2年生では、基礎的な知識、技能を活用して、学習課題への取り組み方が工夫できるようにするということ。また、3年生以降は選択も始まりますので、これまで学習したことを踏まえて、様々な学習場面に当てはめるということも含めて、示させていただいております。

中学校の下から2つ目のポツでございますが、ここは中・高の接続も踏まえて、具体的には、高等学校ではさらに選択の幅が広がることから、運動を継続して楽しむための自己に適した関わり方を見つける力と示しております。

また、表現力につきましては、思考・判断したことを、根拠を示しながら相手に伝える力。小学校でもありましたが、これは言語だけではなく、身体の動きを通して相手に伝えるということも含まれると考えているところでございます。

また、高校につきましては、生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続できるようにするという視点を重視しまして、計画の立て方や自己に適した関わり方を工夫できるようにするとしているところでございます。特に、下から2つ目のポツでありますが、運動やスポーツを生涯にわたって楽しむための自己に適した関わり方を見つける力ということで示しているところでございます。

表現力につきましては、一番下のポツになりますが、思考・判断したことを、根拠を示したり、他者に配慮したりして相手に伝える力とさせていただいているところでございます。

一番右側の「学びに向かう力」ですが、ここにつきましては、学校においては、下から2つ目、多様性を尊重し、合意形成に貢献しようとするということで、多様性の部分を加えさせていただいているところでございます。

先ほども説明がありましたけれども、ここでは、育成すべき資質・能力を小・中・高の12年間にわたって示させていただいております。それぞれの校種で、さらに必要な項目、また、校種間で移行した方がよい項目等を中心的に議論頂きたいと思います。

以上でございます。

【山口主査】  ありがとうございました。

今までも御議論を頂いてきたところではありますけれども、やはり他教科との関わりの中で、体育ならではというところをどのように表現していくかというのは、非常に大きな部分かなと思います。運動することの意味とか価値というのは、不変のものと、これから時代が変わっていく中で新たに付け加えていかなければいけない部分というのが、恐らく出てくるんだろうと思います。

また、私も含めて、ここの委員の皆様方は多分価値をもう理解されておられる方だと思いますが、実は理解していない人に対して、どのようにその価値を、当たり前と思うことをいかに言葉にして伝えて、理解していただくかという、今も御説明がありましたけれども、補足というか、詳しく説明していただけると、ここでこう言っている意味は、こういうことなんだなというのが多分分かると思うんですけれども、本当に短い文章になると、なかなかそれでは伝わりにくいという現状があると思うんですね。ですから、そういった意味では、この表現の仕方であるとかというところを、なるべく簡潔でありながらも、具体的で分かりやすい表現にしていくということが必要だと思いますので、委員の皆様方から、この部分は欠かせないとか、やはりここはこれからの未来に向けて付け加えていくべきだといったところを御議論を頂ければと思っております。

それでは、前回同様に御意見のある方は、あらかじめ名札を立てていただきますと、私の方で順次指名をさせていただきます。また、発言が終わりましたら、元に戻していただければ幸いでございます。

それでは、委員の皆様方から御意見を頂戴したいと思います。

では、友添委員、お願いいたします。

【友添委員】  少し確認とお尋ねになります。友添でございます。

1つは、今の御説明、非常によく分かりました。それで、他の認識評価と大きな違いの観点があると思うんですね。つまり、それは運動発達そのものの系統性は、小学校の4年生、5年生あたりぐらいから大きく変わってくる。それまでの神経系の発達がうまくいって、あと筋力系の発達が出来上がってくる頃に、運動が加速度的にうまくなってくる年齢があると言われている。

こういうことを勘案しながら、これは運動学の中でも、例えば、マイネルなんかが1980年代あたりから随分言ってきたことでもあるし、そういう意味で言うと、現行の学習指導要領は小学校の4年間と5年生、6年生と中学校1年生、2年生、それから中3が1つの義務教育が終わるという段階でくくっているわけですけれども、今の御説明で言うと、小学校・中学校・高校と、特に小学校から中学校の接続の問題がどういうふうになるのかなというのが、少し聞いていてお尋ねしたい点でありました。

特に、今の高田調査官と高橋調査官のお話から言うと、小学校の段階は、いわば一種の運動教育ですよね。機能的特性に立脚した運動教育論をやってきたし、これを検討していきましょうと。つまり、運動の楽しさ、欲求を充足することをまず核にして授業の構造を作っていきましょうということで、よく分かりました。

ところが、高橋調査官の説明にいくと、それが少し薄らいでくるわけなんですね。むしろ科学的な知見をしっかりと導入しながら、そしてスキルの発達、特に運動と書いてあるけれども、中学校で言えば運動・スポーツであって、高校ではむしろスポーツの特性論に立って、運動の構造を分類しながらカリキュラムを作っていくという発想を、もう今は取っていると思うんですね。

そうなったときに、小学校と中・高のギャップが少しあるのではないか。そのギャップは何かというと、これは話し出すと結構長いので、今は省略しますけれども、少しそのつなぎの部分のギャップを今の御説明の中では感じたということです。だから、小学校と中学校のつなぎ、今の4・4・4制をもう一回仕切り直そうという発想なのか、あるいはそれを踏まえながらの発想なのか。そこのところを少し御享受いただければ有り難いです。

【山口主査】  では、調査官からお願いしてよろしいでしょうか。

【高田教科調査官】  ありがとうございます。

4・4・4のブロックというのは、これからも現行の学習指導要領が染み渡ってきている段階ですから、次期改定においてもこのスタイルを維持できればとは思っております。その点で、何か反対意見等がありましたら、御意見を頂戴したいところです。

小学校の段階でも、そうしますと4年生までと5・6年生というのは、やはり微妙に違っています。ただ、5・6年生は、楽しいだけではもちろん十分ではありませんので、身に付ける力をしっかり身に付けていくと。むしろ低学年の頃からの遊びから広がり、やりたい、やりたい、もっとやりたいという気持ちが、高学年になったときに、では、どうやったらもっと楽しくできるのかとか、工夫していこうとか、又は、もっともっと深く関わりながらやっていこうとか、そういう気持ちになります。それは、中学1・2年生の頃には、同じような気持ちが子供の中では流れていると思います。ですので、指導の段階において、中学校でいきなり楽しいとかではなくて、やらなければいけないことはやるんだという指導ではなく、やはり楽しさ、喜びが根底にあり、その中で課題を解決していくという学びのスタイルは、維持していくべきだろうと考えています。

以上です。

【友添委員】  ありがとうございました。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、森丘委員、お願いいたします。

【森丘委員】 質問というか、確認なんですけれども、先の会議でも運動観察、自己観察、あるいは他者観察といったことの重要性が指摘されていたかと思いますが、この資料を見ますと、小学校の中には運動観察に類する言葉は入っていなくて、中学校から運動観察の方法と知識が盛り込まれています。これは、キーワードとしては入っていないけれども、そういう内容が盛り込まれているという理解でよろしいのか、それとも中学校から始まるということなのかについて確認させてください。

【高田教科調査官】  ありがとうございます。

小学校は、低学年の中に友達の動きのよさに気付くというのがあります。今でもです。つまり、これはある意味運動観察の第一歩ではないかと。自分と友達の動きを比べながら、また、自分の課題を見つけたり、そしてまた友達に様々なアドバイスをしたりするというのは、小学校段階でも行っていますので、運動観察という言葉はちょっと堅いので出ておりませんけれども、活動の中で必ず自己評価、そして相互に評価し合うということが入っております。

以上です。

【山口主査】  それでは、岡出委員、お願いいたします。

【岡出委員】  今のお話等とも絡むところと、今の要領との関連も含めて、コメントと確認をさせていただきたいことがあるということになります。

現行の指導要領上で言うと、発達の段階に配慮した指導内容、系統性、それから、他方で指導と評価の一体化ということが言われてきましたし、保健と体育の一体化と。この件に関しては、また後で保健のところと絡むと思うんですけれども、そういう点からすると、今御説明いただいた小・中・高というところを、例えば発達の段階というところからすると、どういうキャッチフレーズでつないでいくことができるのかということをうまく表現できれば、今言っていただいていることがもっと分かりやすいのかなというのが1つあります。

それから、系統と指導と評価の一体化との絡みで言いますと、同じ内容だけれども、期待している達成度が違うということが考えられますよね。より複雑な状況で、初めてできるようになる。例えば、いろいろな人たちと関わると言いますが、確かに障害を抱えている子供さんたちもいれば、健常人の人たちもいればということになりますが、上の学校段階に行けば行くほど、能力差が大きくなってくるので、その人たちと一緒に関わるというのは、上の学校段階の方が、むしろやりやすいという状況が起こってくるとすると、一見同じ内容に見えますが、期待する達成度が違うので、それは後ろの方に書きましたみたいな、そういう整理の仕方というのも多分あるのかなとは感じました。これは、今後検討していただければなと思います。

発達の段階のところで言えば、今子供さんたち、いわゆる不器用な子供さんたち、動いてきていないということと、過体重というか、肥満の問題が出てきますよね。それから、人とうまく関われない。こういうベースを小学校のところでは動きだけではなくて、解消していくようなことは、小学校のところで、むしろ重点的にやっていただく方が、後につながるのではないか。そういう意味では、今4・4・4で区切られているキャッチフレーズ、そのまま大体行けるものなのか、どこかで修正が必要なのかということの確認がもう一度できればいいなと。

あと最後、これは足してくださいみたいな意見になると思うんですけれども、この「学びに向かう力、人間性等」というのがありますよね。ここのところで、私自身が気に掛かるのは、基本法との関係で言うと、文化としてのスポーツ、こういうことがずっと言われてきているわけですね。この文化としてのスポーツの価値をちゃんと尊重するだとか、それをより豊かなものにしていくような態度を身に付けるだとか、そこは多分何らかの形で書けた方がいいのではないかなと思うんですよ。

例えば、運動することは大事だということは知識では知っているけれども、それが人のことで、私は大事に思っていませんということが起こりますよね。他方で、ロシアの陸連の話も含めて、いわゆるスポーツの質そのものが問われている状況の中で、どういうスポーツが自分たちの生活を豊かにしていってくれるのかということをちゃんと理解している人たちは増えていくということは大事だと思うんですよね。そういうレベルの教養がないと、逆に言うと実際の指導場面のところでも、例えば暴力の問題だとか、止められないみたいな話になってしまうリスクがあるわけですよね。そういう点からしますと、スポーツの価値を尊重し、それをより豊かにしていこうとする態度みたいなものが、最後のゴールのところに入ってきてもいいのかな。

そういうことと絡んできますと、高校の「学びに向かう力、人間性等」のところの多様性という言葉も、実はここに書かれているのは参加する人たちの多様性だと思うんですけれども、スポーツそのものが多様であるということも当然考える必要があるわけですね。いろいろな形態、いろいろな目的というのが当然存在すると思いますので、そのような多様性をちゃんと承認しながら、自分たちにとってより豊かなスポーツ文化を創造していけるところに貢献できるような能力、そういうものがもう少しうまく書き込めないかなという印象はあります。

【山口主査】  ありがとうございます。

調査官、何かコメントございますか。

【高橋教科調査官】  貴重な御指摘をありがとうございます。

今後、社会がどのように変わっても、スポーツが果たす役割というのは非常に大きくなってくると思います。その中で、個人がスポーツを自分のものとして捉えて、生きがいを持ってスポーツにかかわる部分をどこかに入れ込んでいきたいと考えております。貴重な御意見ありがとうございました。

【山口主査】  恐らく、今、岡出委員の言われたことは、教養としてというところで言うと、2020年のオリンピック・パラリンピック教育といったところとも、世界の中でスポーツをどういうふうに評価して、子供たち自身もそれをどういうふうにというところは盛り込まれていくべきかなと感じますが、それをどういう形で表現するかというところは、さらに議論が必要かとは思います。ありがとうございます。

それでは、青木委員、お願いいたします。

【青木委員】  小学校と中学校と高校との違いというと、指導者が中学校からは専門的な保健体育の先生、小学校は担任の先生ということで、体育が苦手な、余り得意ではない先生が、結局授業を教えられたりしていると、子供も遊びからだんだん体育に移っていき、4年生ぐらいから本格的にやっていきますが、伸び悩んでいる。

それから、中学生に得意な教科、苦手な教科と聞くと、苦手な教科に体育を言う子が結構いるのです。そういう体育苦手な子は、「では、どうして? どこが?」と聞くと、「体力がないから」とか、「うまくできないから」と言います。

では、人との比較ではなくて、自分の中で、例えば健康のために縄跳びをやったり、走ったり、そういうことをして、体力を高めるように、自分の中でできることをやればいいんじゃないという話をしたりします。やはりこれは小学校から始まっていると思います。他人との比較の中で、自分ができないとか、弱いとか、そういうところを配慮するような、健康とか安全とつながりがあると思うのですが、そこを具体的に配慮できるような、小学校の先生が二極化している苦手な子供への配慮をできるような文言が具体的に入っていると、すごく有り難いと思います。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、髙橋委員、お願いいたします。

【髙橋委員】  1つは人間性という言葉の確認をもう一度させていただけたらと思うんですけれども、ここに書かれたものは、例えば態度の観点でこういう態度が必要だというのでは了解しています。それを含めて、そういうことができるような人間という意味で、人間性と捉えていいのか、今後具体的な指導要領の作成とかになるときに、ずっと関わっていくことなので、もう一度教えてほしいのが1点です。

もう一点は、小さな話なんですが、高等学校の科目体育の中の5番目の競技会の仕方や審判の方法などの知識、これは当たり前に必要だとは思うんですが、多くはスポーツに特化している言葉だなと思います。例えば、体操やダンスの領域というのは、競い合ってというよりは、祭りとか、発表会とか、そういうことができるか、高校から大学、あるいは生涯へ向かって、地域を巻き込んで盆踊りをするとか、自分たちの発表の機会を有料老人ホームに行ってやってみようとか、そういうふうに考えると、これは発表会と入れたらいいか分かりませんが、そういう言葉も入れてほしいなというお願いです。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

【高田教科調査官】  ありがとうございます。

人間性についてですけれども、ここは、3つ目の資質・能力として、「学びに向かう力、人間性等」ということに共通のものになっています。体育において、この3つ目の柱をどのように扱うかといったときに、前回までの御議論の中では、態度に関する今までの指導が十分にここに入ると。併せて、これは子供たち自らが気付いて、そして身に付けていくものだという捉えがあります。押し付けではないということです。したがって、楽しい運動を行いながら、決まりを守るとか、順番を守るとか、友達に何か危ないことをしないとか、挨拶をしっかりしようとか、そういう本当に運動を楽しむための行動が、すなわち友達への配慮、それから弱者に対する思いやりなどにも向かう、それらが人間性と捉えてもいいのではないかと考えています。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、野津主査代理、お願いいたします。

【野津主査代理】  これは保健にも関わると思いますが、今の資料2-1に示されている書きぶりで、特に「思考力・判断力・表現力等」と、「学びに向かう力、人間性等」の2つの柱のところを見ますと、今回のように教科横断的に取り組んで、こうした能力を学校教育全体で身に付けるんだというときに、ここの書きぶりだと、体育・保健体育でしかできないとか、でこそできるという、何か説得力のあるような具体的な書き方をする工夫が必要だと思います。

中黒のレベルをぽっと読んだだけでも、これは体育・保健体育が果たす役割というか、育てる能力なんだということが分かるレベルで書いた方がいいと思います。

今は一覧表ですので、スペースに限りがあるからこのような書き方になっているのであればいいのですが。体育・保健体育のワーキングの資料として総則・評価特別部会にも出ていくでしょうし、ネットにも出ていくとなると、できるだけ体育・保健体育だと分かるように、ここで書いていただけたらなと思います。

例えば、1枚目の進んで学習活動に取り組むとか、約束を守る公正に行動する、友達と協力して活動する云々、これらは、我々は運動領域の授業でどういうことがあるからだと了解するわけですが、これらは他の教科でも、特活でもできるという話になってきかねないと懸念します。

中学・高校のところでも、単に健康・安全を確保するというと、これは学校教育全体でやっていますよという話になりかねないです。

また、思考・判断のところでの合意を形成するための適切な関わり方を見つける力、思考・判断したことを、根拠を示しながら相手に伝える力。これらも、体育の授業を想像すれば、それはそれで腑に落ちるんですが、その他の教科の方々にも体育・保健体育でこそ指導できると理解されるような書きぶりを工夫していただきたいなと思います。

【山口主査】  野津先生、例えばこんな書き方だったら分かるという、何か具体的に今アイデアがあれば、それは1つの例で示していただけると、ああ、そういう書きぶりだったらいいなというのがイメージできると思うので、何か1点でもあれば、お願いいたします。

【野津主査代理】  例えば、健康・安全を確保するというのだと、「身体活動に伴う」とか、「スポーツ活動に伴う」とかを前に付ける、そんなことになろうかと思います。

【山口主査】  ありがとうございました。

ほかの委員からも、もしこのことに関して、こんな書きぶりがいいという御意見がありましたら、また頂戴できればと思います。

それでは、真如委員、お願いいたします。

【真如委員】  では、3つお話をします。

1つは、先ほどから出ている書きぶりについてですけれども、やはり一般の先生方は新しい内容が示されますと一生懸命読みますから、是非理解しやすいもの、簡潔な中にも分かりやすいものを用意してほしいと思います。自分の専門とする教科のところはもちろんですが、総則についてもよく読みますので、その辺のところの書き方を様々工夫していただければ有り難いと思います。

そうしないと、先ほど主査がおっしゃっていたように、先生方には力の差が当然あるわけで、特に小学校などは、理科の得意な方もいれば、体育の得意な方もいる、そういう中でやっていますから、取り違ってしまうと、その後、いろいろと影響が出てくるという心配があります。

以前、私が指導主事をやったときに、学習指導要領が改定して、子供の主体性を尊重するんだということが一斉に広がるんですね。その後、講師で行ったときに、先生、質問があるんですけれども、今度の学習指導要領は先生が教えないんですよね。子供たちがいろいろ発想するものをどんどんやって、先生は見守っているんですよね。そんな話をされたんです。ですから、よほどしっかりとこちらの考えが伝わっていくような分かりやすい表現、まとめ方をしてほしいと思います。

それから、2つ目は、小・中・高、もちろん内容も違うのですけれども、それぞれ指導の仕方、学習方法が違います。ようやく小・中の一貫教育的な取組が始まってきているので、せっかくですから、小・中・高がどんな指導の仕方で緩やかに進んでいくのかといったあたりも示していただけると、小学校の先生方も随分指導の仕方が変わってくるでしょうし、中・高も変わってくるだろうと思います。

今、東京の中学校駅伝の準備をしています。その中で、隣の高校の陸上部の先生と生徒さんに一緒に入ってもらって、指導してもらっています。それで、随分中学校の先生方の勉強になっていますし、また高校の先生方も、中学生を見て、指導の仕方を振り返っていると思いますので、小・中・高の指導の流れについても分かるようにしてほしいと思います。

それから、3つ目は東京都教育委員会オリンピック・パラリンピック有識者会議に、萩原先生と一緒に出席していたんですけれども、その中で学び方を整理したんですね。その中の1つに支えるという学び方を示したんです。中高校生ぐらいになると、いろいろな地域のスポーツ大会がありますから、そういった中で自分たちが協議の参加だけではなく今度はする側はもちろん参加するんですけれども、スポーツ大会を支えるという立場で参加する中の学びや意義が分かるような示し方があってもいいのかなと思います。

そのような視点で学びに向かう力とか、人間性というあたりに入れられれば、これも大事な要素になるのではないかなという気がします。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

では、この後、日野委員、鈴木委員、近藤委員、友添に御意見を頂戴いたしまして、その後、保健の方に移りたいと思います。

それでは、日野委員、お願いいたします。

【日野委員】  失礼します。私から2点あるんですけれども、先ほど岡出委員さんも言われた、メッセージ性や現行との関係のところと、示し方のことについてです。

とても現行のものをきちんと整理されて、非常に分かりやすくなっていると思うんですけれども、一方で現場の先生からすると、何が変わるんですかみたいなところで、非常に分かりやすくはなっていて、特に現行の指導内容の明確な体系化ということで、しっかり知識・技能が現行どおり次も大切にしますよとか、言語活動を充実することを通して、思考力・判断力・表現力も現行も言われていて、それも継続してやりますよというところは、すごく現場の先生方もすっきりするのではないかなと思うんです。

今回、「学びに向かう力、人間性等」というところが新しく出たときに、これは従来の態度がそのまま入るんですよという意味なのか、少し捉え方が違うんですよというのが、メッセージ性として分かるようになっていた方がいいのではないかなと思いました。

特に態度のところは、恐らく、学力の要素の構造にもつながっていると思うんですけれども、特に今回は主体的に学習に取り組む態度というところ、まさに主体性みたいなものを、先ほど調査官も言われたと思うんです。そのあたり、特に自主的な学習課題に取り組むとあるんですけれども、今の子供たち、特に二極化とかを見ていると、もっと運動をやりたいとか、運動に取り組みたいという、先ほど当たり前だけれども、いや、そうではないと。例えば、みんなが運動好きではなくて、運動好きにしようというのが現場の先生の望みであって、そういうところを大切にしていこうというメッセージがもっと入ってきたり、あるいは、今求めているのが豊かなスポーツライフを実現するというところに向けての態度であったり、身に付けるところでもありますので、どこに向けて態度を身に付けていくのかというところがより示された方が、まさに豊かなスポーツライフに向けて、こういう態度を身に付けていこうとするとか、運動にもっと取り組みたいとか、やりたいとか、好きになるというメッセージ性がより含まれるような形になってくるといいのではないかなと思いました。

もう一点が、先ほどの書き方のところで、最初にも言われましたように、限られた時間の中でたくさん入れるとなかなか大変だということとともに、実際、保健体育のところは1人の先生が体育もやっていて、保健もやっているという状況もありますので、保健の議論にもなるとは思うんです。例えば「思考力・判断力・表現力等」のところの対象はそれぞれ独立していると思うんですけれども、これで身に付ける力というのは、ある意味共通するところもあるのではないかなという気もするんですね。

先ほど、伝える力というところと、表現する力なんていうのは、書きぶりによっては、同じ言葉でもできるのではないかなと思っています。そうすると、対象は違うけれども、身に付ける力としては少し整理して示すこともできるのではないかなと思いました。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、鈴木委員、お願いいたします。

【鈴木(美)委員】  私は、体育なのか、スポーツなのかといったところで、義務教育の小学校・中学校は体育といったところ、トレーニングではなくラーニングさせていくということがとても大事だと考えています。学び方を学ばせていくといったところで、子供たちに体育が果たす役割というのは、大変大きいと思っています。

特に、小学校の「学びに向かう力、人間性等」のところに書いてある5つのポツというのは、その中心になるのではないかと考えています。それがさらに中学校にどういうふうに広がっていくのかと考えたときに、特に私は中学校の体育の教員でもあったので、体育に求められる資質・能力に人間関係づくりといったところが大切であると考えています。そして、そこに力を入れてきたところです。

また、今は小学校の校長をやっていますが、学級で体育の授業がうまくいっている学級というのは、とても人間関係がいいというのが、幾つか研究を見ていく中で実証されていると感じています。

そんな中で、人間関係づくりといったところでは、教え合いだとか、認め合いだとか、励まし合いだとか、そういったところが大事であると常々思っています。特に教え合いのところでは、分かるとできるというのが前回の会議にもあったと思うんです。できないんだけれども、ある程度いろいろなことが分かっている子が友達に教えてあげて、自分はできないんだけれども、その友達ができるようになったときに、体育に対する思いというのが、今まで体育は苦手だなと思っていた子が、体育が好きになるといった現場も何回も見てきましたので、教え合いといったところが、この学習指導要領の要素の中に1つ入ってくるとうれしいと感じました。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

近藤委員、お願いいたします。

【近藤委員】  ありがとうございます。

先ほど来、話が出ているんですけれども、高田調査官がおっしゃったように、4・4・4のまとまりを継続していく考えであるとするならば、やはり小学校の5・6年生と中学校1・2年生のまとまりだよということを、この学習指導要領上でもう少し強く、つまり小学校と中学校のつながりがどうなのかということを分かるような書きぶりをすべきかなと思っています。

結局、学校で勉強するときは、6・3・3で子供たちは学んでいるわけですよね。だけど、体育は4・4・4なんだといったときに、その接続の4、小学校5・6年と中学校1・2年のつながりが分かるようにという書きぶりをすることは、とても大切だなと思っています。それが1つです。

それから、先ほど日野委員もおっしゃっていましたけれども、「学びに向かう力、人間性等」が、今までの態度がそのまま位置付くならば、これでいいんですが、そこに今までと違うんだよというものを加えるとすれば、私は、先ほど岡出委員も言いましたけれども、スポーツの価値ということをここに今回は入れて、そしてそれを系統的に育てていくということが分かるような書きぶりが必要かなと思います。

例えば、小学校6年生で私立受験をする。そうすると、「体育はけがするからやりたくない」と、この時期言います。2月の上旬が受験なので、風邪もはやっているし。その子たちに体育の価値をどう伝えていくかということなんですね。つまり、その子たちにとっては、体育をやってけがをするよりは、見学していて、若しくはもう休んでしまって、受験の勉強をした方がいいわけですね。そういう子供たちに体育の価値を小学校のときから、体育というのは自分にとって価値があるものなんだ。この流れで言うと、小学校では、態度の内容の一番上の愛好的な価値がそこの部分だと思うんですね。

それが分かるような書きぶりを、つまり体育、スポーツには価値があるということを体育の授業を通して国民全体に伝えるということをメッセージとしてここに載せるということはすごく大切かなと思っています。

最後に、先ほどの書きぶりの問題なんですけれども、特に「思考力・判断力・表現力等」とか、「学びに向かう力、人間性等」というところでいくと、結局は体育で言えば、スポーツを通してとか、運動を楽しむ過程でとか、健康について考えたことをとか、活動やプロセスを通して約束を守り公正に判断するとか、他者に伝える力という話にならざるを得ないと思うんですね。なかなか体育・保健体育独自のということは難しいんだけれども、むしろこれは小学校の立場なんですけれども、例えば約束を守るとか、友達と協力するといった特別活動とか、道徳で培った力を体育を通して深化、深めていくという捉えで授業をしていくと、汎用的な力、つまり総則部会でも話されているようないろいろな教育活動を通して国民として養っていく資質・能力が高まっていって、そこに体育も貢献していると理解できるのではないかなと私は考えています。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、友添委員、お願いいたします。

【友添委員】  手短にお話をしたいと思います。今、近藤委員がおっしゃったこと、全くそのとおりだと同感しながら聞いていました。

これは、調査官へのお尋ねになりますが、知識にどうしてもこだわってしまうんですけれども、知識レベルのところの階層性のかなり違うものが一緒のところに入れられてしまうという問題性は、やはり書きぶりを工夫する必要があるのではないかと思わざるを得ないところがあります。というのは、何度も言ってきたことですけれども、スポーツについての知識と、あるいはスポーツをどのようにプレーするかについての知識というのは、全く階層が違う知識なんだけれども、これが同じ「個別の知識や技能」の知識の中に書き込まれていくと、実は小学校の低学年、中学年で行くと、知識と技能というのはほぼイコールなんですね。ところが、中学校から高校へ行くと、知識と技能が全くイコールではない部分が出てくるわけですね。

例えば、近藤委員がおっしゃられたことは、運動や身体活動が、人間にとってどのような意義があるかということから、スポーツの価値、意義までの階層性が、実はあるわけですよね。

ところが、これを中・高のところで書き込んでいくと、ここで問題になってくるのが、個別の知識という「個別」は何を指しているのかということなんですね。例えば、スポーツに関する科学的知識や文化的意義というのは、プラス・マイナスの意義があると思うんですね。これが、例えば「個別」と言うときに、一体どの個別の知識なのかという、いわば語彙矛盾を起こしてくる可能性が、実はあるのではないかと考えざるを得ないわけですね。

特に、岡出委員が言われた基本法に示されているようなスポーツの価値や意義、理念、これを教えようと思ったときに、あるいは、これを学習させなければいけないということで、ここに書き込もうとしたときに、どの個別の知識になるのかというレベルを考えたら、やはり「個別の知識や技能」が悪いと言っているわけではないんだけれども、書き方の工夫をしておかないと、知識の階層性が一緒くたに書かれてしまうと、恐らく学習指導要領に実際に書き込んでいくときに、そのときの作成委員の中で、また混乱が起こってくる可能性があると思うんですね。だから、ここのところに少し一工夫お願いできればいいと思うんです。

特に、何度も言っているように、階層性というのは発達段階に応じて違いますから、全部がだめだとは言っていない。小学校から高校に至るまでの間で、恐らく知識イコール技能ではないところの知識については、どのように表現して扱っていくのかということの工夫が必要だろうなと感じました。

以上です。

【萩原委員】  すみません、いいですか。

【山口主査】  はい、どうぞ。

【萩原委員】  萩原です。よろしくお願いします。

1つだけ気になった点があります。私の勉強不足ですが、中学校・高校のところの「個別の知識や技能」のところには、体力の要素や高め方の知識といったように、「体力」という言葉が入っています。しかし小学校の個別の知識や技能といったところに、「体力」という言葉がないんです。小学校の私の経験から言うと、朝、体力づくりで走っていたころ、疑問に思ったのは、何でこんなに苦しいことをやらなければいけないのかでした。それこそスポーツの価値、体力向上の価値、そういうものにつながってくると思うので、そもそも何で体力が必要なのか、運動しなければいけないのかということを、考える機会を小学校から作るべきだと思います。体力の言葉が小学校から入っているのもいいのではないかなというのは感じました。

【山口主査】  ありがとうございました。

委員の皆様方から非常に貴重な御意見を頂戴いたしまして、ここにおられる先生方の中では大体共通の認識が出来上がっているように私は感じました。

ただ、それをどういうふうに表現して、いわゆる書きぶりですね。ここの議論を聞いていない人が見ても、ここの議論が分かるような、持っているものが分かるような書きぶりを、多分皆様はおっしゃっているんだと思うんです。

ただ、限られた時間ですので、なかなかアイデアがあれだと思います。是非、委員の皆様方、メール等で、ここはこんな書きぶりがいいのではないか。こんなふうにというのを、是非事務局にアイデアをお寄せいただければ、よりそこの部分が具体的に変化をし、そして分かりやすいものになっていくかなと感じております。

野津主査代理。

【野津主査代理】  メールで言えばいいんでしょうけれども、少しわがままを言って、一言言わせてください。

【山口主査】  はい、どうぞ。

【野津主査代理】  先ほど、提案された運動を通してとか、スポーツを通してという書き方は、できるだけ避けるべきだろうと思うんですが、いかがでしょう。それは、やはり方法の話であって、ここは目指す育成すべき資質・能力自体を書くわけですので、少し違うのではないかなと。

例えば、先ほど、健康・安全の例しか言えなかったんですが、もう一つ、小学校の運動領域の思考のところでいきますと、「思考し判断したことを言葉や動作等で他者に伝える力」ということにおいては、「チームプレーなどにおいて」とか、あるいは「自己の運動課題について思考し判断したこと」とか、体育の学習場面がイメージできて、ここでこそ、この能力を体育でしかできないものよということが伝わるようなところを狙っていくべきだろうなと思いましたので、もう一度発言させていただきました。

【山口主査】  ありがとうございました。

多分、今のように具体的な議論というか、言葉になってくると、それはもう少しこうだよねということが、より分かりやすくなると思いますので、メールで議論というのも変なんですけれども、それをまた個々人で見ていただいて、さらに意見をというふうにつなげていきたいと思います。

それでは、次に保健の領域について、意見の交換をさせていただきたいと思いますので、事務局から配付資料の説明をお願いいたします。

【森教科調査官】

現在、見ていただいている1枚目の資料の保健領域が、小学校になります。続けて、2枚目が中学校保健分野、そして3枚目、高等学校の科目保健です。この三つを同時に説明させていただきます。

まず、保健における「個別の知識や技能」についてです。小学校の保健領域の知識については、身近な生活における健康・安全についての基礎的な知識ということで、現行の学習指導要領の内容のまとまりを基礎的な知識と位置付けています。

そして、技能については、前回はけがの手当、安全に関わる技能についてのみ提案していましたが、やはり保健の内容としての技能もあるだろうというご意見をいただきました。そこで、ストレス対処に関わる技能を考え、小学校では「不安や悩みへの対処」を位置付けています。

引き続き、知識、技能について、中・高等学校を説明します。2枚目を御覧ください。

中学校における知識、技能ですが、こちらは個人生活における健康・安全についての科学的な知識、技能ということで、「科学的」という言葉を付けさせていただいております。特に中学校は、生物学的なこと、医学的なことなどの根拠を踏まえて考えていくことが重要ですので、提案させていただきましたが、この言葉の自体についても御議論願います。

また、中学校の小学校との違いは、現代的な健康課題に対応した内容が含まれるところです。

技能に関しましては、ストレス対処、それから生活改善について健康生活全般に関わるスキルをイメージして提案していますので、この辺も御検討いただければ有り難いです。

最後に高等学校ですが、高等学校におきましては、社会生活に関わる内容が入ってきます。特に前回から御議論いただいているように、現行の学習指導要領の一次予防の内容になっています。今回は、社会の変化に対応して二次予防、三次予防に関する知識を位置付けさせていただいております。

それから、各ライフステージに対応して、いわゆる時間軸による健康課題についても現行の学習指導要領に位置付いていますので、そこは引き続き知識として押さえています。最後に高等学校の中心である社会生活に関わるような知識を位置付けています。

続いて技能の方ですが、こちらは社会生活に関わってきますので、「生活改善」だけでなく「環境の確保」を入れさせていただいております。それから、心身の健康の維持ということを保健全体の技能として提案させていただいております。もちろん、前回御議論いただいた心肺蘇生法についての技能も位置付いています。知識と技能については以上です。

次に「思考力・判断力・表現力等」に関する内容です。こちらについては、3本柱の中で最も保健では議論しなければならないところだと思います。健康課題を解決する能力を育成するために、まず、小学校は身近な健康課題の解決を考えています。

それに加えて健康情報というものが非常に氾濫しているような状況がありますので、健康情報を適切に活用することを位置付けています。そして、最終的には健康な生活に生かしていくことが重要なので、生活との関連という視点も位置付けました。小学校・中学校・高等学校で、この健康課題の解決、健康情報の活用、そして健康な生活との関連というものを発達の段階に応じて書き分けていますので、是非その辺を御議論いただければと思います。

小学校のところに書いてあるものと、中学校のところの大きな違いは、「自他」と自分だけではなく、他人が入ってきているというのが大きな特徴になります。そして、高等学校になると、社会生活や社会環境、社会づくりというように、「社会」という言葉が入っているのが大きな特徴です。こういった示し方でこの能力が見えるかどうかというのを、御検討いただければ有り難いです。

最後に「学びに向かう力、人間性等」についてですが、これまで、健康についての関心、自尊感情、それからレジリエンスという内容を御議論いただいておりますので、そういった要素をうまく反映した形で提案させていただいています。

もう一つが、体育との関連をしっかり図るということです。最終的に明るい生活を営む態度というところを目指しているのは、体育も保健も同じでございますので、そこに到達できるように関連を図った内容ということ意識して提案させていただいております。

小学校においては、まず自分、自己ということを中心に、健康に関心を持ったり、友達と協力して活動したり、心身の発育、発達を含めた自分の健康に肯定的に捉えることができたりすることを重視しています。

中学校においては、先ほどの「思考力・判断力・表現力等」と同じように、2枚目になりますが、自他ということで、自分だけでなく、もう少し世界を広げた形のものになっています。ここでは、特に健康の保持増進だけでなく、レジリエンスということも踏まえて、「回復」という言葉も提案しています。

そして、3枚目の最後に高等学校になりますが、ここでは、前回の御議論の中で社会ということを考えたときには、健康・安全な社会を優先するということが非常に重要だろうという御提案を頂きましたので、健康な社会づくりに関わっていく資質・能力について示させていただいているところです。

3本柱はそれぞれ重要なので、知識や技能だけでなく、思考力・判断力・表現力、それから態度に関わるところも御議論いただけると有り難いです。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、ここからは保健の領域について、委員の皆様方から御意見を頂戴したいと思います。

渡邉委員、どうぞ。

【渡邉委員】  それでは、保健ということで述べさせていただきます。

印象として、私はこれまでも保健で扱ってきた知識であるとか思考・判断というのは、かなり校種別にきれいに整理されていて分かりやすいかなと思ったんですけれども、新たな部分というところが、もう少し工夫が必要かなと思いました。

順番を右から左に話していきますが、右の情意・態度に関わる部分で、これが足らないかなと思ったのは、「学びに向かう力、人間性等」のところの主体的に学習に取り組む態度です。体育の方は「進んで」とか「自主的に」という言葉が入っているんですが、これがないんですよね。要するに、主体性が希薄であるという感じがしました。

そこで、例えばこういう記述はどうかという案なんですが、中学校のところで考えてみたんですけれども、「自他の健康の保持増進に主体的に取り組む」、あるいは「自他の健康の保持増進の学習に主体的に取り組む」ということがあった方がいいのではないかと思う。

あと、少し細かい話になるんですけれども、最後にお話ししていました、高校で健康・安全な社会を優先するというところなんですけれども、これは健康で安全な社会を優先するということではなくて、社会生活の中で健康・安全を優先するということではないかと思います。要するに、健康・安全な社会を優先するのは当たり前のことで、不健康で危険な社会を優先するのはあり得ないわけで、社会生活の中で、様々なところで健康・安全を優先する。

例えば、先ほどの例を挙げてあれなんですけれども、スキーバスの事故とか、廃棄するカツを転売してしまったというのは、明らかに健康・安全をないがしろにしていますよね。そういうことがあってはいけないということだと思うんですけれども、社会生活の中で健康・安全を優先するという表現になるのではないかと思いました。

次、真ん中に行きまして、先ほど、思考・判断のお話をしたんですけれども、表現力のところなんですが、これは、保健は今まで思考・判断だけだったので、表現力を新たにどう書き表すかというところが課題だと思うんです。これが、少し校種別が分かりにくいと思ったんですね。といいますのは、表現力を書くときには、校種別で見たときに、目的が違うのか、対象が違うのか、伝え方が違うのかというところが、どれか、あるいは全部かもしれないんですけれども、それがどうもはっきりしない。

中学校は、「対象に応じて」と、対象が違うと書いていて、高校は「健康な社会づくりを目指して」と、目標・目的で書いているんですね。これは統一して書いていった方がいいでしょうと思います。これは、案はないんですが、どれかその辺のところは統一を図っていただきたいと思いました。

最後に、左に戻りまして技能なんですけれども、先ほどのお話でよく分かりました。1つ、ストレス対処のところで少し気になることは、これまで保健で扱ってきたストレス対処の話というのは、自分に合った方法を選ぶ授業にするという話だったと思うんですね。これが、今度は技能でできるようにするということは、何かできるようにするということになるんだと思うんですよ。

そのときに、例えば、信頼できる人に相談できるというのは、技能として成り立つような気がするんですけれども、何か具体的なストレス・マネジメントをやるということになると、それも学校の教科の中でやるということが御墨付きになるということですよね。要するに、ストレス対処というのは、結構いろいろ流派があったりするところで、もしその辺が入ってくるとなると、少し慎重に扱っていく必要があるかなと思いました。これはもっと先の話になると思いますけれども、そういった懸念もあるということを覚えておいていただければと思いました。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

非常に大事な御指摘だと思います。

それでは、鈴木委員、お願いいたします。

【鈴木(徹)委員】  私は、東京オリンピック・パラリンピックがあるということもあるんですが、パラ競技をやっておりまして、もちろん種目や競技をしていただきたいということもあるんですが、病気や障害の部分もできればプラスして知っていただきたいということがあります。なぜかと申しますと、私自身が高校3年生までは健常者でいたんですが、交通事故で足を失いまして、義足となりました。

その頃の障害のイメージといいますと、知的障害者の方しかなかったんですね。学校でも、健康に対する生活習慣病であったり、そういう授業を受けてはいたんですが、自分が障害者にならないと、なかなか視覚障害者であったり、車椅子がどういうふうに障害を持ってこうなるのかということが分からないと思うんですね。

こういうことを知っていただくと、これからインクルーシブ体育が進んでいくと思いますし、また、実技の方もそうなんですが、障害を知っていれば、これはできて、これはできないんだということが、先生以外に子供たちが知っていることで、これはできるから一緒にやろうとか、これはできないよねという形で子供たちが判断できていくと思いますので、基礎知識としては、こういうものをなるべく早く知識として伝えていただきたいなと思いました。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、岡出委員、お願いいたします。

【岡出委員】  すみません。これは、保健のことだけではなくて、先ほども言いました体育のところにもう一回戻ってくるような気がするので、それも含めて御質問方々、発言をさせていただきたいと思います。

例えば、「個別の知識や技能」のところに、先ほどの御説明で「基礎的な」ということがありました。そうすると、先ほど友添さんが言われたものと絡みますが、何に対する基礎ですか、何が応用ですかみたいな話になりますよね。そうすると、「思考力・判断力・表現力等」では、「そこに関わるような基礎的な知識や技能というのは何ですか」と言われたときにどう回答するのかという問題が多分出てくるような気がするんですよ。

それは、逆に言いますと、「個別の知識や技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」に書かれている最後の動詞をどういうふうに書き分けられますかというところに、また来るような気がするんですね。それは、別に保健ということだけではなくて、体育のところにも当然戻ってくるような話だと思うんですけれども、多分動詞でそういう書き分け方ができるのかどうかということは、どこかで多分検討する必要があるのかなと。

それは、今で言うと体言止めで終わっているところと、用言止めで終わっているところがありますよね。ここは、どういう形で表現していけばいいのかというところにもう一度戻るのかなと思います。

そういうことと関わりながら、書きぶりで気に掛かるのは、「健康に関する知識」と健康だけで書いているところと、「健康・安全」と2つ引っ掛けているところがありますね。これは、逆に言うと「健康・安全」と書かない方がいいところは「健康」と書いているのか、それとも「健康・安全」というワンパッケージで考えて書いた方がいいのか。そこら辺の差異がまだ読み取れなくて、それは意図を伺っておきたいかなと思いました。

だから、これができてくると、実際に教員サイドとしては、ここに書かれていることをベースにして、試験をやるとか、評価をするということになりますね。これは、渡邉先生が言われたものと同じようなことになると思うんですけれども、このことができているかどうかを授業の中でどういうふうに評価しますかというと、例えば、ストレス・マネジメントみたいな話になると、ストレスにさらさせて対応できるかどうか見ますかみたいな、極端な話ですよ。でも、そういうことを考える人たちが出てこないわけでもないような気がして、そうすると、ここはどういう書きぶりをしておくと、実際の授業のところで学習したことを評価するときに使えるような文言等ができてくるのかという話にもう一回戻るような気はします。これは感想です。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、野津主査代理、お願いいたします。

【野津主査代理】  大きいこと、小さいことを交ぜて話していきますが、お許しください。

まず、用語で「基本的な知識」という表現は、小学校の運動領域にありますけれども、保健の方では「基礎的な技能」となっており、基礎と基本の用語をどうするかも共通にしていくか考えていかなければいけないですね。知識が「基礎的な知識」で、技能が「基本的な技能」かなという感じもしますけれども、いずれにしましても、体育・保健体育だけでは決まらないのかもしれません。他の教科とも共通して、その辺は決めていくことになろうかと思います。

また用語に関わってもう一つ。高校のところには「意志決定・行動選択」という言葉が出ていて、今、保健体育では意志決定は「志」になっています。薬物をやっても、やらなくてもいいのではなくて、やらないという意志決定をしてもらわないといけないということがあって、「思う」の意思決定ではなくて「志」ということでこれまでやってきていると理解しています。家庭科の意思決定は、現行でも「思う」になっているようで、異なっています。

今回は、特に「学びに向かう力、人間性等」という柱においてこそ「志」の意志決定がふさわしいとなると、「思考力・判断力・表現力等」の意思決定は「思う」ではないかという意見もあるようです。体育・保健体育として、そこのところを他の教科との共通性で考えていかなければいけないのかもしれません。

それから、健康情報に関して、森調査官からの説明で理解できましたが、「健康情報の収集」というフレーズのときには、「適切な」を入れておいた方がいいような気がします。

さらに、技能についてですが、高校においてこれだけの技能を位置付けるのはかなり難しいと思います。小・中・高に、どう切り分けていくか慎重に考え直す必要があるような気がします。

あと2つほど。グローバル社会ということがありますので、高校で社会生活という視点が入るときには、国際社会という視点でもう少し加えることがあるのではないか。前回までの会議でも申し上げましたけれども、例えば、環境問題で大気汚染等や、感染症も考えたときに、国際社会の視点でこうした課題に関する思考力を身に付けていくことが求められているのではないか。

最後に、鈴木委員が言われましたインクルーシブの視点ですね。これは、障害による差別解消法が4月からスタートするということもあり、LGBTも視野に入れながら、どうしていくのかということも、具体的なところでの課題かもしれません。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、青木委員、お願いいたします。

【青木委員】  私は、保健のこの書きぶりは、はっきり分かりやすいという感じはしています。ただ、その中で現行でも中学校で「科学的な」というところが入っていますが、小学校では「基礎的な」、高校では「総合的な」という言葉の中に「科学的な」というところで、現場の教員が最初、現行のときに「科学的」とはどういう意味だろうということで非常に迷いました。ここのところを、科学的なことが内容に生かされているような書きぶりとか、それを解説するところで、もう少し分かりやすく現場の教員に出してもらえれば有り難いと思います。

それから、現代的健康課題というところで、本当に今はいろいろなことがあります。例えばがんだとか、アレルギーとかが入ってきていると思います。アレルギーについては、保健学習ではほとんど少なかったと思うので、学習内容にアレルギーのことも触れていただければ、自他ということで、他人のことも知っておくことがすごく大事なので、是非お願いしたいと思います。 以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

西岡委員、お願いいたします。

【西岡委員】  それでは、お願いいたします。

私は、4点ございます。1つは、「個別の知識や技能」について、先ほどから話題になっております、技能というのをどういうふうなものを取り上げるかということなんです。

確かに今の中学校の生活改善や高校の環境確保等になりますと、非常に幅広い内容で、当然技能だけでは解決できませんので、その中でどういうものを技能として想定しているのかというのが見えるような形にならないといけないかなと思います。

例えば、生活改善で、自分の生活を改善して、そのとおりいくようモニタリングしていくようなことも1つの技能かなと思います。それが、恐らく絶対ではありませんので、これを書くならば、もっと具体的なものを挙げなければならんだろうなと考えます。

それから、2点目が「思考力・判断力・表現力等」に関することです。これも先ほどから話題になっております健康情報についてでございます。私は、集めた健康情報をどのように思考していくというか、操作していくかというところの小・中・高の表現が、発達段階も踏まえたものになっているのかなという疑問がございます。

例えば、小学校ですと、「健康課題の解決方法を予想し考える力」。「予想し考える力」と、この並び自体ももう少し検討しないといけないかなと思うんですけれども、予想するというのは結構高度なものなんです。それが、中学校になってきますと、「健康情報を収集、選択し、まとめる力」とか、次に「健康情報や知識を活用して」ということで、これが曖昧になっております。さらに、高校になっていきますと、「分析する」という表現だけになっているんですね。

そうしますと、それぞれの校種の段階で何をやるのかというのを、もう少し見えるような形で、発達段階を踏まえて、もう少し具体的に書いたらどうかなと思います。

例えば、先ほどの予測などを見てみますと、年齢段階が低いと、短期的な影響を予測する。中・高になってきますと、それを中長期的な結果を予想すると、これはもっと後の段階かもしれませんけれども、発達段階を踏まえたような表現ができるのではないかなと考えます。

それから、同じ「思考力・判断力・表現力等」のところですけれども、そこの最後に書いてある一番下のところですが、健康に関する自己の考えを表現するということなんですが、この意図が少々分かりづらいですね。何のために表現しているのか。要は、それぞれの持っている健康について表現することによって、多様性を認識したり、改めて自分の健康について自覚したりということがあるのかもしれません。

中学校の方ですと、自他ということですから、健康問題について、あるいはその解決方法について考えが違うというときに、協議するようなこと、あるいは討論するようなことが含まれているのかもしれません。この意図が少々分かりづらいなと思います。

それから、最後は「学びに向かう力、人間性等」でございますが、これについては、レジリエンスを踏まえて、「健康の保持増進や回復」と、「回復」というところにそれを込めたということなのですが、レジリエンスと言いますと、メンタル面の内容が色濃かったり、はたまた、回復するときに周りのサポート、ソーシャルサポートが大事になってきたりということがございまして、回復という表現だけでそれを表そうとすると、単に健康状態が元に戻ればいいんだろうという誤解があるかなと思いまして、この表現を考えたらどうかなと思います。

それから、全く別の観点なんですけれども、よくこういう健康問題を解決する場合に、個人の責任か、それとも社会の責任かということが非常に議論されて、ともすると自己責任を押し付けられるようなことが多い。多いというか、そういう傾向もございます。そういう点で、自分の責任を果たすということ。社会的なサポートや資源を活用するということが、特に中学校や高等学校になってくると大事になってくるのかなと思いますが、そういう視点は学びに向かう力なのか、思考力・判断力なのか分かりませんけれども、そういう視点があってもいいのかなと思いました。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、杉本委員、佐藤委員、近藤委員と御発言いただいて、次の議論に行きたいと思います。

杉本委員、お願いいたします。

【杉本委員】   失礼いたします。保健を小・中・高、横並びにしてみますと、それぞれのポツが発達段階に応じて高まりが見られ、系統性、体系的に整理されているということがとてもよく分かります。

そんな中で、1箇所、小学校の「学びに向かう力、人間性等」というところについてです。現在でも発育、発達の学習では、1人1人の成長には違いがあるということを学習しています。中学からは「自他」ということで、他者理解が明記されています。小学校の段階でも、共生、協働、他者理解ということも含めて、「自他」ということを盛り込んでもいいのではないかということを考えました。

併せて、保健では1つ1つの黒ポツが高まりとして系統的に書かれておりますので、運動領域の方も同様にできないものかなと見ておりました。運動領域に戻って小学校と中学校を比較しますと、中学校は小学校よりもより詳細に、細やかに書かれています。見比べてみますと、例えば公正という部分で、小学校では「約束を守り、公正に行動する」となっております。横並びにして中学校を見ますと、「ルールやマナーを大切にする」とか、「フェアなプレー」とか、より具体的なことが細かく盛り込まれています。書きぶりなども保健と運動領域と同様にしていった方がよいということを印象に感じました。

ありがとうございます。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、佐藤委員、お願いします。

【佐藤委員】  保健の知識、技能について、実際高校で保健を教えておりますが、学習内容が多くて大変だと感じています。そこに中学校で生活改善、高校で生活改善と環境の確保等が入ってくるということで、今やっていることが技能につながるのか、それとも新しく技能として加わるのかなど、技能のイメージを教えていただければ有り難いです。

【森教科調査官】

基本的には、今の授業を少し工夫することでできる技能を考えています。新しくスタイルを相当変えてということを想定してはいませんので、現在の内容で技能として位置付くものがどんなものなのかというのを、検討していければなと思っています。

もう一つですけれども、ストレスについての話が少し出ました。ここは、知識が変わると技能も変わっていくという連動性がありまして、例えば、高等学校の精神保健について、精神疾患等の内容が入ってくると、ストレスは中学校で重点的に取り上げるということになるかもしれません。そうなると、高等学校にストレスの技能が位置付かないということもあります。内容が決まらないと技能が確実に書けないということがあることを御理解いただけると有り難いです。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、近藤委員、お願いいたします。

【近藤委員】  ありがとうございます。

以前も言いましたけれども、よくまとまっているのではないかなという感想がまず1つです。

特に保健の「思考力・判断力・表現力等」と「学びに向かう力、人間性等」という部分については、保健について、今まで学習指導要領に知識の部分はありましたけれども、なかったものを、多分今までの授業をイメージしながら明文化していったと理解していて、それはすごくいいかなと思っています。

ただ、今の佐藤委員や、先ほどの野津委員と同じように、内容が書かれていることがすごく多いかなと思っていて、悩ましいところで、短く書いたら「分からない」と言われて、たくさん書いたら、「書き過ぎだ」と言われるので、バランスの問題なんですけれども、この表レベルで言えば、もう少し精査して書いてもいいのではないかなと私は思いました。

それから、その意味で、「学びに向かう力、人間性等」というところに視点として、自尊感情、レジリエンス、健康ということを挙げていただいたんですけれども、それはすごくいいなと思っています。この会の冒頭にエビデンスを基にという話を野津委員もされていて、例えば、その自尊感情が総体的に各国と比べて低いというのは、補足資料とかにも書いてありますし、レジリエンスということで言えば、私は小学校でも児童指導の担当をしているんですけれども、数はそんなに増えてはいないんですけれども、いじめであったり、虐待であったり、性暴力であったりという表に出てこないものが深刻化しているという中で、こういう力は是非必要だなと思います。もちろん、健康についても、高齢化社会という流れの中で、やはり小学校のときから必要だなという意味で、今回ここに位置付けるのはすごくいい視点だなと思っています。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

様々な御議論を頂きましたが、特に保健領域は、現代社会が抱えているというか、非常に取り扱わなければいけないところは減ることはなく、増え続けていっているような気がするんですね。そういった中で、精査して、プライオリティーというか、何を教えていくのかということは、本当に難しい。それで、こういう書きぶりに……。具体的にすると、では、これが足りないのではないかということになるので、ざっくりになってしまうかと思いますが、委員の皆様方、運動領域と同じように、今言えなかった御意見も多々あると思いますので、是非事務局の方にそういった御意見もお寄せいただければと思います。ありがとうございました。

それでは、この議題に関連いたしまして、体育・保健体育等の資質・能力を育成するための学習過程について、少し意見交換をさせていただきたいと思います。

事務局から配付資料の説明をお願いいたします。

【高田教科調査官】  よろしくお願いいたします。

時間が大分迫ってまいりました。資料2-2を御覧ください。

育成すべき資質・能力をどのような学習過程で行うか。今回の指導要領の改定の柱になっております。何を学ぶかと併せて、それをどのように身に付けていくかというところで議論をされているところです。体育においても、1つ学習過程の例が示せるのではないかということで、本日、イメージとして提案させていただきます。

この学習過程のプロセスは、1時間の中で全て完結するということはなくて、単元を通して行われることもあるでしょうし、幾つかの単元が複合的になることもあるでしょう。1年間を見通して行われることもあるかもしれません。そのように、様々な時間軸の中でプロセスとなりますし、また、これが内容によっては前後したりすることもあります。一方的なことではないということを、まず御確認いただきながら見ていただきたいと思っています。

論点整理の補足資料に示された学習プロセスというものがございます。ヘルシンキ大学のエンゲストローム教授という方が提唱されたものだと伺っておりますけれども、「動機付け」、「方向付け」、「内化」、「外化」、「批評」、「統制」という形。これにぴったり当てはまらせるものではございませんけれども、体育においても、まずは易しい運動から取り組み、そして動機付けがされ、その中で「思考力・判断力・表現力」としては、思いや願いが生じるわけですね。楽しいな、やってみたいな、勝ちたいな、もっとうまくなりたいななどがある。これが動機付けとなって、様々な目標が立てられていくわけです。相手に勝ちたいとか、何秒で走りたいとか、様々そういった目標がある中で、では、どのようにその目標に向けて課題を解決していったらいいかというところで、自分の運動課題と、その解決の方法を知り、そして、自分やチームの能力に応じて課題を選び、課題解決のための活動を決める。

そういった中で、「思考力・判断力・表現力」として、そこに示させていただいているような思考・判断・表現に関わるような学びが生まれていくと考えています。そして、活動が決まりましたならば、運動に取り組むわけですけれども、その運動に取り組みながらも、様々仲間とともに課題を解決していくという課題解決の学びが育まれ、そして、それを振り返ったところで出来栄えを考えたり、また新たな課題につなげていったりということを繰り返していく。こういう学習過程が1つ例として示せるのではないかと考えています。

なお、プロセスに当てはめて授業を行うということでは決してないと。これは大前提としてございまして、それは子供の実情ですとか、思いや願いによって様々ですから、形を示して、その型どおりにはめた授業を推進するということでは決してないということは、まず御理解いただきたいと思います。

「思考力・判断力・表現力」をこのように重ねながら、「学びに向かう力、人間性等」においても、体育においては、その過程で身に付けていくと。子供たちは気付きながら、自分が自己の責任を果たすことが大事だとか、話し合いにしっかり参加しようとか、ルールやマナーを大切にしようということが活動の中で出てくる。押し付けではなくて、子供たちが学びの中で身に付けていくというところだと思います。

安全についても同様です。安全の枠だけ1つ離れたものになっているのは、特に大意はなくて、一貫して安全についてはあるだろうと。ただ、この4つの態度を全部枠で捉えられるかというと、複合的に交差するものもあったので、上は大くくりにして、下だけ1つとしてみました。

運動領域、体育については以上です。

続いて、保健の方、お願いします。

【森教科調査官】  それでは、1枚めくっていただきまして、主に「思考力・判断力・表現力」の育成を目指した保健のプロセスについて説明します。

こちらも便宜上小学校・中学校・高等学校のプロセスを一つにまとめて示させていただいていますが、特に最終的な高等学校をイメージしています。学びのプロセスについては、先ほど、資質・能力の「思考力・判断力・表現力等」で説明させていただいたように、健康課題の発見、健康情報の収集、選択、課題の解決の見通しを持ち、保健で重視している知識の習得、今回は技能も入っていますので、習得した知識・技能を活用し、課題を解決、生活改善に役立てていく。そして、最後にまとめ、振り返りをし、次の課題に向けて取り組むという流れになっています。

これらは必ずしも1方向の流れではなく、例えば課題解決を考えた後に必要になった知識、技能を習得するということもありますし、健康情報についても、課題解決の見通しを持った後に必要な健康情報を収集していくということもあります。それから全てのプロセスが単元を想定しているものではなくて、例えば1時間に当てはまることもあり、内容に応じてプロセス自体も変わってくると考えております。

「思考力・判断力・表現力」を育成するための具体的な活動を下の方に示させていただいておりますが、こちらについても高等学校におけるプロセスをイメージして作成していますので、小学校、中学校においては発達の段階を踏まえたに様々なプロセスがあると考えられます。

こういった知識・技能を習得し、思考力・判断力・表現力を身に付けつつ、最終的に全体を通して学びに向かう力を育成していくということは体育と同様でございます。

【山口主査】  ありがとうございました。

学習過程のイメージということで御説明を運動領域、それから保健領域で頂きました。

ただ、こうやって出ると、こうしなければいけないのかなというイメージを持ちがちですけれども、今、御説明があったとおり、これは飽くまでもイメージとプロセスの過程を示したものだということですね。

それでは、御意見を頂きたいと思いますが、藤田委員、お願いいたします。

【藤田委員】  失礼します。今、パターンの1つであるということで御提案いただいた「学びのプロセスの例」ですが、これを拝見したときに、まず最初に私が感じたのは、これまで体育の方でもよく取り組んできた「課題解決学習」かなという感じがしました。今回、「どのように学ぶか」ということを重要視し、アクティブ・ラーニングという手法を考えたとき、以前のものとは差異があった方が良いのかという感じがしています。

特に、1枚目の体育・保健体育については、先ほどから出されているように、1つの例ではありますが、小学校から高等学校まで、この形で全部授業実践が可能かどうかという疑問も感じました。

それから、2枚目の保健の「学びのプロセスの例」のところで、「健康課題の発見」が一番最初に出てきます。しかし、何か課題を発見するときには、何かそこで教えられることが、つまり問題提起があったり、あるいは自分の生活と対比させたりしながら、そこで課題をつかむという段階が出てくるのではないかと思います。現行でも、「教えて考えさせる」というところを重視していますので、「プロセスの例」に示された高等学校においても、最初は問題提起の中で課題をつかませるという段階が1つ入ってきてもいいのかなという感じがしました。

以上、2点です。

【山口主査】  ありがとうございました。

南委員、お願いいたします。

【南委員】  すみません。この会議に出ていますと、本当に改めて教育というのは大変なことだなということを感じるばかりで、なかなか私が申し上げるようなことがどのように反映できるのかも見当も付かないんですが、先ほどの部分で申し上げた方がいいのか、この部分で申し上げた方がいいのかすら分からないんです。そして、体育か、保健体育かと言えば、どちらかと言えば保健体育の方の話ではあるんですが、1つは、今も藤田委員が言われたように、課題解決というのが非常に重要だということで、それは私もよく理解するんです。

今もおっしゃいましたように、最初にまず課題というよりか、やはり健康である、元気であるということの価値とか、自分は満たされている、前にも申し上げたように、WHOが規定している、WHO憲章が言っているところの健康という定義が、ただただ肉体的に強いとか、そういうことではありませんので、心身ともに、そして社会的にも満たされて安寧な状態であるとか、スピリチュアルにも満たされているとか、詳しい定義があります。

そういったことを自分も、それから他者もそういう状態であることを尊重する、そういう個人の健康と社会の健康が非常に重要だという認識みたいなものを小さいときに持ってもらって、だから、健康を害さない、持っている健康状態を維持するということが大事だという、こんなことを私が申し上げるのも僣越ですが、そういう価値観みたいなところに立って、障害や疾患があるということに対する理解といったことを深めていく。それが、先ほどのような文言になるんだなと思って拝見したんです。

その中で、課題を解決しながらいくけれども、今、かつてとは違った人生、100年にも届くような一生を人間は送るようになり、そういう中で、課題の解決など、医学がどんなに進歩、発展しても、やはり衰えていく健康を認識しつつ、それを共有して、自分でそのステージなりの健康を維持しながら社会に貢献するということが大事だということを教えていかないと、認識してもらわないと、結局、不老長寿のような認識を是とするようなことになりかねない。それが、今、日本の社会で現実に、かなりそういうことが起こっているわけですね。私なんかが医療情報や健康情報ということを見ていますと、世の中にあふれる情報の中で、どれかを取れば、自分は元通りの若いときの健康を取り戻せるという錯覚と言ってはいけないんですけれども、人間はどんどんそういう耳触りのいい方に行ってしまう。

だから、健康情報や医療情報というものの対処の仕方も大事ですし、同様に自分の年齢なり、ステージなりの健康感をどのように認識していくのかという、そこはまさしく技能なのかもしれません。そういったことを身に付けてもらいたいなと。それをプロセスとして、最後まで課題を見つけて解決の方に向かっていく。新たな課題を創造するとか、延々に課題解決で行くということとは少し違うのではないかなという気もいたしました。

【山口主査】  ありがとうございました。

確かにおっしゃられるとおりで、アンチエイジングの問題もそうですね。受け入れるというか、そこと共生するというか、そういった視点も本当に必要ですね。

【南委員】  そうですね。すみません。もう一つだけ。

きょう、五十嵐先生がいらしていないんですが、小児科の先生は、やはりよく御存じと思うんですけれども、子供が自分で健康でないとか、何か具合が悪いということを認識する仕方とか、そういうものを認識しないと、なかなか教育の現場では、書かれたことをどのように教えるかということは難しいので、これは前のテーマのように、文言化するとああいうことになっていくんですけれども、やはり健康情報の分析や予想といったことは、現在、大人でも全くできておりませんので、これはいかに教えるかという部分だと思います。

【山口主査】  ありがとうございました。

自分が健康であるかどうかというのを認識する。それは、知識、技能といったところにも、もしかしたら入ってくることかなと思います。

それでは、佐藤委員、お願いいたします。

【佐藤委員】  体育の「学びのプロセス例」について、御説明の中であくまで例というお話は聞いておりましたが、一見、技能についてのプロセスと見えます。学校現場では、技能は大事ですが、思考、判断、態度、知識と4つの柱で学習を進めていて、その中にプロセスがあると思っているのですが、このように資料で見ると、知識や態度はどこにあるのかと感じています。

作成過程のイメージの中では3つの柱があると思われますが、その内容を加えて書いていただけると、学校現場は考える視点ということで非常に参考になり、分かりやすいのではないかと感じております。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

杉本委員、お願いいたします。

【杉本委員】 子供たちの主体的な学びということで、PDCAのサイクルがわかりやすく示されており、すばらしい例だと思っています。

ただ、現行の学習指導要領の改定時に、「学習指導要領等の改善 答申」において、小学校の体育科で課題の1つとなっていたのが、「運動への関心や自ら運動する意欲、各種の運動の楽しさや喜び、その基礎となる運動の技能や知識など、生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の育成が十分に図られていない例も見られること」があげられていました。子供たち一人一人が課題をもって学習を進めている状況の中で、課題が解決されないままに、次の単元に行っていませんかということです。

そういった中で、先ほど、藤田委員からもお話がありましたが、思考力・判断力・表現力のところを見ますと「自己やチームの能力に応じて課題を見つける」と書かれていますが、発達段階に応じて、子供たちだけではなかなか課題が見つけられないという場面があります。課題が見つけられない子供には、課題になるであろうポイントを提示するなど教師の働きかけが必要です。ですから、このプロセスの中に、どこでどのように教師が関わっていくのか、「教師の関わり」などが入ってくると、より具体的で現場の先生方にも分かりやすいのかなということを思いました

【山口主査】  そうですね。非常に重要な御指摘だと思います。

それでは、友添委員、野津委員と続きたいと思います。

【友添委員】  高田調査官のお話を伺いながら、随分御苦労されて、非常に工夫されてやられた様子、あるいは高橋調査官と協力しながら体育のところをやられてきたのがよく理解できると思っています。

1つ、確認しておかなければいけないのは、ブルームというのは、私の理解ではサイコモータードメイン、つまり運動学習領域については、構造化は断念しているんですよね。飽くまでも認識領域は明確に構造化してきたんだけれども、運動については、たしか明確化していなかったと、私は記憶しているんですね。

例えば、このところで見ると、中・高の先生方は、多分この表を見ると少し違和感があるのではないかと思うんですね。小学校の先生方は、恐らく、いわゆる運動の初発段階から学んでいくときには、こういう分節化というのは、方法論としてはよく分かる。

ただ、運動学習の方法論を見たときに、技能の学習のプロセスと戦術の学習のプロセスが混在化されて書き込まれている。つまり、チームで扱う戦術の学習のプロセスと、個人が技能を学んでいくプロセスとは違うわけなんですね。ところが、ここでは自己やチームの能力において課題を見つけるという矢で結んでしまっている。これは間違いではないんですけれども、少し乱暴なくくり方になっているような感じがしなくはないです。

それと、もう一つは、確かに動機付けの段階では、こういうところはあるんだろうけれども、実際には運動学習というのは、今の運動学習の学問的な成果を見てくると、分節化して運動を理解していかない。つまり、全体として運動を理解していくというのが一般的な知見だと思っているんですね。

それから見ると、まずは模倣するということです。まねるということをまずやってみる。まねて、まねる間にも思考、あるいは判断したり、もちろん表現でまねるわけですから、その中にはいろいろな認識作用が行われているわけですね。先ほど、佐藤委員が言われたところですね。

それから、まねた後、何をやるかと言ったら、トライ・アンド・エラー。つまり、トライアルを何回も繰り返していく。エラーを失敗していく。その中で、フィードバック情報を自分で、あるいは他者からもらったり、ここで教師が介在してくるわけですよね。ここで教師が、例えば主導権を発揮しながら、自分の運動の修正が行われていって、より精緻になっていく。最終的にはオートメーション、つまり、運動の自動化現象が起こってくるわけですね。無意識のうちに運動ができるようになっていく。これが、いわゆる技能の上達のプロセス、あるいは学習の過程だと言われていると私は理解しているわけなんですね。

その観点から言うと、スパイラル型で発展していくんですね。ステージで分節化して発展していくわけではないので、少しそこのところは意識して、このイメージ図を出さないことには、間違いではないんだけれども、小学校の低学年の段階で言えば、こういう丁寧な見取りが必要なんだけれども、恐らく、小学校の低学年の子供でも模倣して、トライ・アンド・エラーをやって、自動化現象が起こっていく、つまり、スパイラル型で運動学習しているわけなんですね。そう考えたときに、このイメージ図の扱いを少し検討しておく必要があるのかなと思ったこと。

もう一つは、現行の学習指導要領で技能の定義をはっきり示しているわけですよね。それと、中学校のところだったと思うんですけれども、戦術の定義もはっきり示していますので、それと矛盾しないような形で、いわば技能の学習課程、もちろん技能に含まれるところの思考や判断、こういうものとの関連もうまく図示していく必要がある。もう少しスパイラル型の図を示していくというのも1つの方法なのかなと、今率直に感じたところです。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

なかなかイメージで示すというのは、分かりやすくしようと思うんですけれども、本当に難しいと思いますが、それでは、野津委員、横嶋委員、西岡委員、日野委員、髙橋委員に御意見を頂戴したいと思います。

【野津主査代理】  たびたび申し訳ありません。

まず、体育の学習過程のイメージに関して、体育理論も非常に重要なものですので、その学習過程の例の検討もあろうかと思いますがいかがでしょうか。

それから、2枚目の保健の方になりますが、先ほど、藤田委員が最初から健康課題を発見するというのは、何かの学習がなければ発見ということはという御指摘は、もっともだと思います。なかなか表現としては難しいところがあるんですが、例えば、「気付く」という表現でいくと、そういった懸念は少し払拭できるのかなと思いました。

それから、南委員のご意見に関連して、私も前々回の会議で健康課題に関わって、解決できない課題が、こういう時代においては増えてきているので、解決することが難しい課題もあるということを含んだ考え方を取り入れる必要があるともう一度述べておきたいと思います。

そういうことからいきますと、「学びのプロセス例」の「課題の解決」、「生活の改善」という表現は、解決や生活の改善に向けて取り組むということの表現でもいいのかもしれません。

その下の「思考力・判断力・表現力」のところの2つ目の健康情報ですが、先ほど申し上げたように適切な「健康情報を収集、分析する」という表現と、「選択する」と2つに分かれているんですが、分析したら、もう選択できているような気もします。したがって、収集するだけではよくないのでということで、「収集、分析する」という1つの枠に入っているんでしょうが、これはいずれにしても上下の枠の2つをセットでと考えるのであれば、上枠は「収集する」のみと、下枠の「選択」の前に「分析、選択する」とまとめてはどうでしょう。

またその右側ですが、課題というのは健康課題ですね。「健康課題の解決を予想する」というよりは、方法ですので、「方法」を入れたらいいと思います。「解決方法を予想する」ということです。

それから、もう一つ右の真ん中です。「新たな知識・技能」ではなくて、これは「習得した知識・技能を」ではないでしょうか。

それから、その下の「生活改善に生かす」というのを、あえて「生活」と入れないで広く取って、「生活」を取って「改善に生かす」という表現もいいのではないか。

さらに、その右側です。「整理し、まとめ、解釈する」という、これは少し分かりにくいですね。「整理し、解釈」も分かりにくい。「整理し、発信する」ではどうか。いや「発信する」は狭過ぎるかもしれません。

最後、新たな健康課題の創造の「創造する」は、「他の健康課題に適応する」、あるいは「応用する」など、もう少し考える余地があるのではないかという意見です。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

横嶋委員、お願いいたします。

【横嶋委員】  時間もないと思いますので、簡単に申し上げます。

まず、このようなイメージ図が示されるということは、現場にとっては非常にプラスかなと思います。授業の組み立てをする上で、非常に参考になるかなと思います。

一方で、あまり細かく書き過ぎても、それがスタンダードではないかと思われて、ほかの多様な授業が行われなくなる危険性もあるので、その辺をどこまで書き込むかというところを精査されるといいかなと思います。

例えば、保健の資料で申し上げますと、最初に知識、技能を習得して、その後、思考、判断をしていくという形をもし出すとした場合、今までの3つの観点というのは、階層性、上下というのはないと言われていますので、私が見る授業は、ほとんど最初に知識を教師が教えてしまって、それを活用させることで、思考力・判断力を育成しようという授業が多いのですが、実際にはそれが逆転するような授業の進め方もあるわけですので、あまり授業が画一的に行われるような状況にならないような記載の仕方を期待したいと思っております。 以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

非常に重要な御指摘だと思います。

日野委員、お願いいたします。

【日野委員】  この学習のイメージの示すメッセージ性というものがどんなのかなと思いました。現行の学習指導要領は指導内容を明確にしたいということで、何を教えるかというのを明確にしたんですけれども、今回の改定のところでは、先ほどの資質・能力で、何ができるようになるかということを位置付けたときに、何ができようかということを強調し過ぎると教え込みになってしまうから、併せて、どのように身に付けるかという学習過程のプロセスも一緒に整理しましょうということではないかなと思いますね。

そのときに、ここではモデルが何のモデルなのかなというのを、より具体的にメッセージが伝わるようにしたらいいのではないかなと思うんですけれども、この表で言うと、右側に「主体的・協働的な学び」という枠がありますよね。今、特にアクティブ・ラーニングを視点にしたということが強調されていて、それはどの教科もやっていますので、これが体育で言うアクティブ・ラーニングの視点を意識した、重視したという学びのモデルという形になるのがいいのではないかなと思うんですね。

体育で言うと、「思考力・判断力・表現力」の真ん中の方は、アクティブ・ラーニングの3つの視点の深い学びというところにつながっていて、真ん中のところが対話的な学び、下側のところが主体的な学びという形の構成になっているかなと思うんですけれども、それが、よりメッセージが伝わるようにしていく方がいいのではないかなと思いました。

一方で、「学びに向かう力」のところが、先ほどの資質・能力と同じ言葉が入っていて、資質・能力と学習過程の学びのイメージが混同してしまうのではないかなという気もして、ここでは学習過程の道筋があって、どのように学ぶのかというモデルで、特にアクティブ・ラーニングの視点をしてということですので、下のところの位置付けが隠れてしまうのが、メッセージ性として、本当に学習過程のイメージとして捉えられるのかなというのが、少し気になったところでもあります。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

では、髙橋委員、お願いします。

【髙橋委員】  この表を作るというのは、本当に大変だと思うんですが、1回出てしまうと、あっ、これかと。今まで私たちが議論してきたもので言うと、例えば、「思考力・判断力・表現力」と「学びに向かう力」だけが物すごく多くて、技能や知識というのはどこに行ってしまったんだろうという誤解を与えないように、シンプルにする必要があるという、非常に大変だと思うんですが、先ほどから割に1枚目の学びのプロセスは、運動的な部分で知識はどうだったというのが次々出てくるのかも分からないですが、そんなことを感じました。

それから、例えばダンスだと、風が吹いてきて、ばーっとなるというのは、小さい子でも、大きな人でも、すごく基本的な部分なんですね。丸ごと学習したところから、それを易しいというか、本質的な学びの基になっていると言うかは、いろいろ考え方があるかも分からないけれども、友添委員が言ったように、本当にスパイラルに変わっていくものだと思うので、もう易しいものができたからという高次な部分だけが残るのではない。そういう意味でも、体ほぐしのようなものから、ダンスのようなものから、スポーツのようなものから、本当に多彩なものがここに入って1つの例示をするというのは、物すごく大変かもしれませんが、1回図式が出てしまうと、あっ、これかと多くの人は捉えてしまいがちになるので、そこは十分考慮しないとだめかなと思います。

もう一つ、「学びに向かう力」の「勝敗などを素直に受け止める」というのはとても大事かもしれないけれども、できない自分とか、できる自分を受け入れるとか、それも肯定的な部分かもしれないけれども、それをひっくるめて多様性に気付くということかも分からない。気付くことがなぜ大事かというと、気付かなければ、次の行動が変容しない。学習の最もベースになることで、多様性に気付くという言葉はとても好きだなと思っているんですが、ここの一例で「勝敗などを素直に受け止める」でいいのかどうかというのも少し気になりました。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございます。

それでは、西岡委員、岡出委員に御意見を頂戴して、ここまでとさせていただきたいと思います。

西岡委員、お願いします。

【西岡委員】  保健の「学びのプロセス例」についてですが、こういうふうに示されたのは、私は意義が大きいかなと思います。森先生はその際に、上の米印で書いてありますように、必ずしも一方向の流れではないとか、あるいはプロセスの一部を扱うこともある、要はスキップすることもある。これは、特に保健の授業は大事なのではないかなと思います。

そういう点で、これまでも先生方がお話しされていますけれども、こういうプロセスが1つだけ出てくるというのは、これがスタンダードなものだと捉えられかねないかなと思います。多様なステップの構成があるということで、ほかの例なども示して、それに応じて、「思考力・判断力・表現力」の書き方も変えていかなくてはいけないんですけれども、複数示すということが、どうしても保健の授業では大事になってくるのではないかなと思います。

それから、もう一つは、これを作られたときに高校をイメージされたということでしたね。そうしますと、特に「思考力・判断力・表現力」などのところに、自他の生活がクローズアップされていまして、どちらかというと中学校のイメージが強いのではないかなと思います。やはり高校の特徴は社会生活ではないのかなと思いますので、社会生活に関わるような表現や内容を中に入れた方がいいのではないかなと思いました。

以上です。

【山口主査】  ありがとうございました。

岡出委員、お願いします。

【岡出委員】  すみません。これは、保健のことだけではなくて、先ほども言いました体育のところにもう一回戻ってくるような気がするので、それも含めて御質問方々、発言をさせていただきたいと思います。

例えば、「個別の知識や技能」のところに、先ほどの御説明で「基礎的な」ということがありました。そうすると、先ほど友添さんが言われたものと絡みますが、何に対する基礎ですか、何が応用ですかみたいな話になりますよね。そうすると、「思考力・判断力・表現力等」では、「そこに関わるような基礎的な知識や技能というのは何ですか」と言われたときにどう回答するのかという問題が多分出てくるような気がするんですよ。

それは、逆に言いますと、「個別の知識や技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」に書かれている最後の動詞をどういうふうに書き分けられますかというところに、また来るような気がするんですね。それは、別に保健ということだけではなくて、体育のところにも当然戻ってくるような話だと思うんですけれども、多分動詞でそういう書き分け方ができるのかどうかということは、どこかで多分検討する必要があるのかなと。

それは、今で言うと体言止めで終わっているところと、用言止めで終わっているところがありますよね。ここは、どういう形で表現していけばいいのかというところにもう一度戻るのかなと思います。

そういうことと関わりながら、書きぶりで気に掛かるのは、「健康に関する知識」と健康だけで書いているところと、「健康・安全」と2つ引っ掛けているところがありますね。これは、逆に言うと「健康・安全」と書かない方がいいところは「健康」と書いているのか、それとも「健康・安全」というワンパッケージで考えて書いた方がいいのか。そこら辺の差異がまだ読み取れなくて、それは意図を伺っておきたいかなと思いました。

だから、これができてくると、実際に教員サイドとしては、ここに書かれていることをベースにして、試験をやるとか、評価をするということになりますね。これは、渡邉先生が言われたものと同じようなことになると思うんですけれども、このことができているかどうかを授業の中でどういうふうに評価しますかというと、例えば、ストレス・マネジメントみたいな話になると、ストレスにさらさせて対応できるかどうか見ますかみたいな、極端な話ですよ。でも、そういうことを考える人たちが出てこないわけでもないような気がして、そうすると、ここはどういう書きぶりをしておくと、実際の授業のところで学習したことを評価するときに使えるような文言等ができてくるのかという話にもう一回戻るような気はします。これは感想です。

【山口主査】  ありがとうございました。

非常に多様な御意見を頂戴いたしましたが、調査官にセンスがないとは申し上げにくいんですが、イメージ図を作るというのは、ある種センスというか、非常に難しいところがあると思うんですね。ですから、是非委員の皆様方、こんなものがいいのではないかというものを、より具体的にメール等でお示しいただいて、そのアイデアを生かして見せるということが進みとしてはよろしいのかと思いますので、是非御意見を頂戴したいと思います。

少し司会の不手際がございまして、本日予定しておりました、特別支援教育の観点からの必要な支援などについて意見交換をしたいと思っておりましたが、少し時間が押しておりますので、本日は事務局より配付資料の説明を頂きまして、皆さんにこれをお持ち帰りいただきまして、この議論については次回にさせていただきたいと思います。

それでは、事務局からお願いいたします。

【高橋教科調査官】  失礼いたします。時間がないところではございますが、非常に大事な視点でございますので、説明をさせていただきたいと思います。

「体育・保健体育における特別支援教育の観点から必要な支援等について」でございます。こちらにつきましては、平成28年4月から障害者差別解消法が施行されることに伴いまして、合理的配慮の提供について、国や地方公共団体は法的義務、民間事業者は努力義務が課せられることになっております。

また、共生社会を推進していくためにも、学校教育の中でしっかりと指導・対応していくことが求められております。体育・保健体育においても、資質・能力の育成並びに体育・保健体育の目標の実現を目指し、障害の有無に関わらず、児童生徒の十分な学びが実現できるようにすることが必要であります。

この点につきましては、特別支援教育部会においても議論いただいているところでございますが、本ワーキングに関係する課題として、1ポツ、体育活動による事故を恐れるがあまり、十分な活動の機会を与えていないのではないか。2ポツ、他の児童生徒との円滑な関係を構築するための指導が十分にされていないのではないか。3ポツ、安易な学習内容の変更や学習活動の代替になっていないかという課題を示させていただいておりますが、その他、様々な課題があろうかと思います。そのような点についても、是非御議論を頂きたいと考えていたところでございます。

また、下の「改善の方向性」でございますが、資料をおめくりいただきまして、18ページをお開きください。現行の学習指導要領においては、総則の中に配慮の例を示しております。「改善の方向性」としましては、総則における障害種の特性に関する記述に加え、各教科と編制において、学習の過程で考えられる困難さごとに示すことができないかと言われているところでございます。

困難さの例については、下に太字で示しておりますが、これらのことについての手立て等につきまして御議論いただきたいと思っております。次の19ページをめくっていただきますと、特別支援教育部会で、各教科の例を示しているところでございます。

体育・保健体育に関する例として、21ページの一番上になりますが、赤の部分が困難さの状態、緑の部分が配慮の意図、青の部分が手立てというように、色分けして示しているところでございます。

1ポツです。複雑な動きをしたり、バランスを取ったりすることに困難がある場合には、極度の不器用さや動きを組み立てることに苦手さがあることが考えられることから、動きを細分化して指導したり、適切に動きを補助しながら行うなどの配慮をする。

2ポツ。勝ち負けにこだわったり、負けた際に感情を抑えられなかったりする場合には、活動の見通しが持てなかったり、考えたことや思ったことをすぐ行動に移してしまったりすることがあることから、活動の見通しを立ててから活動させたり、勝ったときや負けたときの表現の仕方を事前に確認したりするなどの配慮をするという例が示されております。

そのほか、「道徳科の例」の2つ目のポツ、話を最後まで聞いて答えること等々、体育にも関わる例が、他の教科等にも記載されている部分もございます。

最初のページに戻っていただきまして、一番下の「改善の方向性」の部分ですが、体育・保健体育の学習の過程において考えられる困難さごとに例を示していきたいと考えております。ここに書いてありますのは、先ほどの最終ページの1ポツの例をそのまま転記しているところでございます。

それぞれの困難さごとに、その課題と配慮の意図、手立てについて、次回、御議論を頂きたいと考えているところでございます。

以上でございます。

【山口主査】  ありがとうございました。

この特別支援教育の観点からの議論につきましては次回とさせていただきますが、本日、資料をお持ち帰りいただきまして、予習と言っては恐縮でございますが、是非委員の皆様方、考えをまとめてきていただければと考えております。

本日予定したところまで残念ながら進めなくて大変申し訳ございませんでしたが、5回この会議をやってきまして、ようやくなじんできたと言いますか、非常に議論がより活発に出てきて、時間が足りない現状がございますけれども、なかなか皆様方、空気を読んでいただいて、もっと言いたいことがあったのに少し短めにしたとか、札を立てずにいたという方もおられると思いますので、きょう議論した内容につきましても、是非メール等で御意見を頂戴いたしまして、それを事務局でまとめていただいて、私たちが共有できる形で、また意見交換などを進めていければと思っております。

それでは、最後に次回以降の日程につきまして、事務局より御説明を頂きます。

【髙﨑学校体育室長補佐】  次回、第6回につきましては、2月10日、水曜日、午前中を予定しております。正式な日時については、また改めて御連絡させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

主査からもお話がありましたとおり、今回出せなかった意見、今後思い付いた意見があれば、またメール等で事務局までお知らせいただければ共有させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

本日の資料、郵送を御希望される方は、机上に置いていただければ、またこちらから郵送させていただきますので、その旨、置いていただければと思います。

以上でございます。

【山口主査】  ありがとうございました。

それでは、第5回体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループを終了させていただきます。御協力ありがとうございました。

お問合せ先

スポーツ庁政策課学校体育室指導係

電話番号:03-6734-2674

(スポーツ庁政策課学校体育室指導係)