教育課程部会 体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループ(第4回) 議事録

1.日時

平成27年12月24日(木曜日) 13時00分~16時00分

2.場所

合同庁舎7号館東館 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 健康・安全等における育成すべき資質・能力について
  2. その他

4.議事録

【山口主査】  皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループ第4回を開催させていただきます。
今日はクリスマスイブにもかかわりませず、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。外はとてもいい天気で、暖かでございますけれども、なるべく時間が延びないように、午後の予定もおありだと思いますので、進めたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、まず最初に、事務局から、今回初めて本ワーキンググループに出席されます委員の紹介及び配付資料について御確認をお願いいたします。
【高﨑学校体育室長補佐】  失礼いたします。それでは、委員の紹介をさせていただきます。
西岡伸紀委員でございます。
【西岡委員】  皆さん、こんにちは。前回2回欠席いたしまして、申し訳ございませんでした。遅れないように、皆さんの御意見を正しく理解して、思考判断して評議していかなければならんかなと思っております。よろしくお願いいたします。
【高﨑学校体育室長補佐】  続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
本日は、議事次第に記載してありますとおり、資料1といたしまして、第3回ワーキングの委員からの主な意見、資料2といたしまして、健康・安全等における育成すべき資質・能力、資料3-1といたしまして、特別支援教育部会における検討事項について、資料3-2としまして、各教科等における障害に応じた配慮事項についてとなっております。不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。
なお、本日も机上に、ほかの参考資料、タブレット等を置いておりますので、必要に応じてまた御覧いただければと思っております。
以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございました。それでは、これより議事に入ります。
初めに、本ワーキンググループの審議等につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただきますとともに、第6条に基づきまして、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきます。よろしくお願いいたします。
なお、本日は、報道関係者より会議の録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきいただきますようにお願いいたします。
それでは、本日の議題に入る前に、他の専門部会などで議論されております状況等を踏まえ、伝達事項、報告などを事務局から御説明いただきます。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは、資料3-1、3-2をお手元にお出しいただければと存じます。
総則・評価特別部会における審議の状況でございますけれども、特定のテーマに焦点化した教育につきましては、関係するワーキングもしくは部会において一定の議論をしていただいた後に、総則・評価等特別部会にお諮りし、関係する教科等のワーキングにおつなぎするというような段取りとなってございますけれども、前回特別部会におきまして、特別支援教育について議論がなされたところでございます。その資料が、資料3-1と3-2でございます。
資料3-1の1枚目を御覧いただきますと、2ポツがございますけれども、幼稚園、小学校、中学校、高等学校等において、マル1からマル5までの御議論を頂いておりますけれども、特にマル1の部分、各教科等の目標を実現する上で考えられる困難さに配慮するために必要な支援の改善・充実というところ、ここに関しましては、本ワーキングについても関連する部分がございますので、御紹介をさせていただきたいと思います。
1枚おめくりいただきますと、特別支援教育部会における検討状況ということでございます。マル1でございますけれども、現在、学習指導要領におきましては、総則において、学習上、障害別の配慮ということを例示することになってございます。
具体的には、資料3-2を御覧いただければと存じますけれども、資料3-2の左側、オレンジの部分、これまでの示し方というところでございます。総則におきまして、御覧のような工夫を計画的に、組織的に行うこと。そして、解説におきまして、具体的に障害別の配慮の例ということが示されているところでございます。これに関しまして、今後、各教科の目標を実現するとともに、児童生徒の様々な状況、学習の過程で考えられる困難さにも配慮した指導ができるようにするべきではないかという議論を頂いているところでございまして、資料3-2の青い部分、右側にございますように、総則のみならず、各教科においても、そうした障害者の特性、障害別の配慮の例に加えて、学習の過程で考えられる困難さということを例示して、現場の先生方の参考にしていただけるようにすべきではないかということでございます。
具体的には、困難さということで、情報入力でありますとか、情報のイメージ化ということで書かれてございますけれども、この資料3-2の7ページ目、後ろから2枚目になりますけれども、例えば、このようなことを示していただいてはどうかということで、赤字の部分が、具体的な学習の過程で考えられる困難さの状況でございますけれども、例えば、複雑な動きをしたり、バランスを取ったりすることに困難がある場合には、緑色の部分、配慮の意図ということで、極度の不器用さや動きを組み立てることに苦手さがあることが考えられることから、青の部分が具体的な手立てでございますけれども、動きを細分化して指導したり、適切に動きを補助しながら行うなどの配慮をするというような、こういったことを指導要領の本体のみならず、解説も含めてでございますけれども、中で示していくということが、これからのインクルーシブ教育の実現に向けた対応としては考えられるのではないかということでございまして、今後、本ワーキングにおいても、こういったことも踏まえながら御議論を頂ければと思います。
資料3-1の先ほどの部分にお戻りいただきますと、ページ数1というところでございますけれども、今、御説明申し上げた部分がマル1の部分でございます。その他、マル2、通級による指導や特別支援学級の意義、こうしたことを総則においてしっかりと示していくということ。
1枚おめくりいただきますと、2ページ目、合理的配慮の提供、これは今後、障害者の差別解消法の施行に伴いまして、教育現場も含め、合理的配慮の提供ということが求められてくるわけでございますけれども、こうしたこともしっかりと学習指導要領で分かりやすいように示していくべきではないか。
3ページ目でございますけれども、特別支援教育コーディネーターを中心とした体制の整備についても、併せて示していくべきではないか。
4ページ目でございますけれども、共生社会の実現に向けた理念ということを示しつつ、また、その中で交流及び共同学習ということが一層推進されるよう、総則及び関係教科において示していくべきではないかというような御議論を頂いているところでございまして、今後の議論におきましては、こうしたことも踏まえつつ御議論いただければと存じます。
以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。本日は、健康・安全等に関わる資質・能力について、「安全」、「食育」及び「心身の健康の保持増進」という3つの領域別に議論をしていただきたいと思います。進行の仕方といたしましては、事務局から説明を頂きました後、意見交換をするという形で各領域ごとに行うこととしたいと思います。
それでは、まず、安全に関わる資質・能力について議論を進めていきたいと思います。事務局から配付資料の説明等をお願いいたします。
【高井健康教育・食育課長補佐】  それでは、早速、資料を御覧いただきながら、安全について簡単に御説明させていただきたいと思います。資料2を御覧いただければと思います。
まず、1枚目をおめくりいただくと、これは安全固有、安全だけというわけではなくて、今回お話をさせていただく全体についてなんですが、教科保健体育ではなくて、そこに入らない体育・健康に係る指導の部分について、体育に関する指導、健康・安全教育、食育という形で、様々な法律、計画に基づいた形で、これまでいろんな形で教育がされてきているところかと存じます。それが学習指導要領の総則、小学校・中学校・高等学校いずれも同じような書きぶりになっておりまして、「学校における体育・健康に関する指導は、生徒の発達の段階を考慮して、学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする」というような形での記載がございます。ここ10年のところで、特に東日本大震災が発生したようなところもあって、例えば、こういったところに防災・安全といった部分の記載の充実の在り方なども考えていく必要があるのではないかという話が出ております。これらを踏まえて、一人一人の生活水準の向上につなげていく、社会の活力の向上につなげていくという形になっております。
1枚おめくりいただきまして、早速、安全に関わる資質・能力の育成についての御説明をさせていただきます。
まず、4ページなんですが、これは学校においてどのように安全が取り組まれているかというものになっております。各学校においては、学校保健安全法の第27条に基づいて、学校安全計画というものを策定しておりまして、その中で、安全教育という部分と安全管理の両輪で安全というものが進められているような状況になっております。安全教育は、各教科における学習が進められており、安全指導の部分で、例えば、特に特別活動を中心とした指導が進められているというような状況になっております。安全管理の世界では、いわゆる学校での安全点検であったり、危険が発生したときの危険等発生時対処要領の作成であったり、そういったものを進めた上で、日々の学校の安全が守られていると。安全というものは、学校一つには完結はしませんので、家庭及び地域社会との連携をしっかり図っていくというような取組がなされているところでございます。
1枚おめくりいただきまして、これは緑の冊子の方に記載がある、企画特別部会における論点整理の抜粋になっておりまして、安全がどのようにこの論点整理の中で扱われているかというところをお示ししております。安全については、特にこれからの時代に求められる資質・能力の中に入っておりまして、安全な生活や社会づくりに必要な資質・能力を育んでいくことといったことの重要性が高まっているというような記載がございます。
さらに、総則の部分について、体育・健康や安全等に関する指導について、育成すべき資質・能力や各教科等との関係性をより明確に示していくことが求められているということが、今のところの論点整理にはございます。
1枚おめくりいただいて、6ページになります。それで、どういう資質・能力を育成していくべきかというところで、3つほど設けております。安全な生活を送るための基礎的・基本的な知識・技能、安全確保のための的確な思考・判断、安全で安心な社会づくりに参加し貢献する情意や態度、こういった資質・能力を育成していくために、アクティブ・ラーニングの視点からも、とにかく知識を主体的に行動に結びつけるための探求的・実践的な学習プロセスを実現していく。特に、防災・安全の分野でありますと、実践的にどのように行動に結びつけられるかというところが非常に重要になってくるところでございます。かつ、この分野はかなり教科横断的なものになっておりますので、教科横断的なカリキュラム・マネジメントの実現ということが重要になってまいります。
1枚おめくりいただいて、7ページになります。これがいわゆる三本柱にどう反映していくかということで、何を知っているか、何ができるかというところで、安全な生活を送るための基礎となる知識・技能であったり、自助・共助、あるいは、安全で安心な社会づくりの意義の理解という公助の部分での知識・理解と、それをどのようにできるように、使うようにしていくか、かつ、安全・安心な社会づくりをどういうふうに実現していくかということで、三本柱を立てております。
1枚おめくりいただいて、8ページになります。前回の指導要領の改訂時期では、まだ防災といったものがさほどクローズアップされていないような中での改善になっておりましたが、今後の検討の方向性として、特に下の2つのポツを見ていただいて、下から参りますが、東日本大震災が起こりましたので、その中で、どういった自然災害のリスクに対応した知識・技能を育むべきかということ、特に、この日本という災害大国に住まう子供たちが、どのように社会人になるにおいて安全というものを知識として理解し、行動を実践していくかということについて考えていくというところで、社会科と特別活動を中心とした教科の内容の検討が必要であろうと。あとは、家庭・地域との連携の在り方についても検討も必要であろうと。安全の分野で、そのほか、生活安全・交通安全で、また、交通安全の関係でも、交通安全大綱であったり計画であったりの改訂がございますので、交通ルールの理解が必要であったりとか、あとは、AEDが民間で活用されるようになって10年経ったところでございますので、そういったAEDの活用の在り方、習い方といったものが、こういった内容の部分を習うことで必要な資質・能力を育成していくというところのものと検討が必要かということを考えております。
1枚おめくりいただくと、検討の素案というものがございます。これも論点整理の際に、一度資料として出させていただいているところでございます。そこからまた赤字で追加を入れているのですが、特に小学校、中学校、高等学校で防災・安全といったことを考えるときに、こういった内容を、内容としては学んでいく必要があるのではないかというところで、特に拡充すべき事項といった形で設けている部分がございます。若干、赤字にしている部分で、例えば、高等学校で、地理でさらに防災対策といったことをやっていく必要もあるであろうし、先ほど申し上げたAEDの部分での充実も必要であろうし、あるいは、特別活動において、単純な避難訓練というよりは、子供たちがしっかり自分で考えて、先生に頼らずに避難していくような訓練といったことも含めた実践的な活動というものが必要であろうということで、イメージとして載せさせていただいております。
次をおめくりいただきまして、10ページです。先ほど申し上げたとおり、防災・安全、かなり多岐な科目に、いろんなところで教えられていくものになります。その科目がどういう関係性にあって、どういうふうにつながっていくかということをイメージとして、簡単な図ではございますが、載せさせていただいております。例えば、防災の分野であれば、小学校低学年の生活科で、自分自身の安全に気を付ける部分から、小学校・社会科、さらに発展した、地域社会における災害の防止、中学校・社会科で、さらに、その考察に当たる部分であったり、高校・地理、公民にいって、安心・安全な地域づくりへの参画といったことにつなげていくというようなイメージになっております。さらに、それを支える部分で、実践的な態度を育成するために特別活動は大変重要になってまいりますのと、探求的な学習の部分ということで、総合的な学習であったり、そのほか様々な科目が関係しているというようなカリキュラム・マネジメントの実現に向けたイメージ図を作成しております。
次、おめくりいただいて、安全関係では最後の図になります。総合の分野、これはまた論点整理の補足資料において、総合の中で、例えば、国際理解や情報、環境といった例示項目に並びまして、防災・安全ということも大事になってくるということで、どういうプロセスで、どういう形で、総合の中で安全ということを扱っていくのか。こういったことについても、是非御議論いただければというところで、一つ資料を載せさせていただいております。
後ろに付いている4枚については、今求められる力を高める総合的な学習の時間の展開ということで、12ページ以降になるんですが、これは平成22年のときに、総合でどういった学習課題、対象事項の例があり得るかというものを整理したものでございます。様々な項目が挙がっておりますので、こういった中で、さらに防災・安全といったことも含めて、在り方ということを考えていくというところでの参考資料として付けさせていただいております。
少し長くなりましたが、防災・安全について、概略と様々な育成していくべき資質・能力等についての検討資料について御説明をさせていただきましたが、是非、深い御議論を頂ければと思っております。ありがとうございました。
【山口主査】  ありがとうございました。
安全に関わる資質・能力ということで、今、御説明がありましたように、なかなか体育・保健体育という1つの教科で担える部分ではなく、教科横断的に教育をしていかなければいけないという項目であることは間違いないんですけれども、その中でも、この体育・保健体育がどういった部分でその資質・能力を担っていくかというところで、皆様に1時間程度時間を割いて、意見交換をさせていただきたいと思っております。
それでは、前回同様に、御意見のあります方は、あらかじめ名札を立てていただきますと、私の方で順次指名をさせていただきます。また、発言が終わりましたら、元に戻していただきますようにお願いいたします。
五十嵐先生。
【五十嵐委員】  一言お願いをさせていただきたいと思います。街の中で人が失神などで倒れるときにAEDが実際に使われる率は、最近上がってきたとはいえ、まだ10%に満たないわけですね。それは当然なことで、どこにでもAEDがあるわけじゃないので、使おうと思っても使えないわけですけれども、事学校にはAEDが用意されているわけですが、学校で実際に失神した子供たちにどのくらいの割合で使われているかというのは、最近伺ったところ、4割弱ぐらいじゃないかというふうに聞いています。
私、お願いなのは、中学校、高等学校では、もう実技を通してAEDの教育がされているわけですけれども、是非、小学校の高学年、5年生・6年生ぐらいになりますと、もう理解できますので、もし可能ならば、これを前倒しと申しますか、小学校の高学年の方たちにもこうした教育ができるということが、結果的にAEDの普及を促進することにもなるのではないかと思いますので、御検討いただきたいと思います。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、渡邉先生、お願いいたします。
【渡邉委員】  御説明いただいた資料に沿って、気付いた点を幾つかお話ししたいと思います。
まず、2ページになりますか。総則が書いてあるところですけれど、防災・安全に係る記載の充実が必要と赤字で入っていますように、これが前に出たものと今回で違うものは、やっぱり東日本大震災を挟んで出てくるものということで、防災を特に重視するということがあると思います。としたら、1つ、案ですけど、安全に関する指導というところでは、「防災をはじめとする」とか、そういう言葉を加えて、やや表に出していくというのも1つの方法かなと思いました。これは1つの案ということで、また御検討いただければと思います。
ちょっと先に行きますけれど、難しいかなと思ったところが、6ページ目の安全に関わる「育成すべき資質・能力」とは何かというところで、その3つの柱を出していくのは、ほかの教科との関係もありますので、なかなかこう書くのは難しい部分はあるかと思います。この安全に関しては、特に東日本大震災以降、様々な議論がありまして、例えば、文科省では、防災教育・防災管理に関する有識者会議が行われたりとか、その後、中教審の学校安全部会で議論されたりとか、いろいろあるんですが、例えば、その中で主体的に行動する態度の育成というのが大分議論されましたし、前から引き続いて、安全教育というのは危険を予測し回避する能力を育成するということが言われていたわけですけど、この部分が少しこの辺では見えにくくなっているかなということ。もう少し中を見ていきますと具体的には出てくるんですけれど。そして、学校安全部会のときは、自助・共助・公助ということが議論されていて、そういう言葉が出てきたんですけど、これもちょっと見えにくくなっているというような印象を受けました。
3番目には9ページ目になりますが、防災教育を含む安全教育の今後の在り方についての検討素案です。これは防災教育を含むと頭に書いてありますから、どっちかと言えば、防災を重視したような書きぶりではあるんですが、そもそも学校安全というのは、生活安全、交通安全、災害安全が3つの領域になっておりますので、それを見ますと、ぱっと見た感じでは、防災が入っていますけれど、生活安全は、犯罪被害のところは入っていますけれど、それ以外の生活安全、学校生活とかそういった部分、そういう部分がちょっと薄いかなと。もっとないのが交通安全で、交通安全の表記がほとんどない。確かに、交通事故死者数というのはどんどん減少はしていますけど、特に中学校なんか、自転車の事故というのは非常に大きな問題ですので、そういうことの交通安全に関する記述ということはやっぱり重要ではないかと思います。特に、もうすぐ第10次の交通安全基本計画が出ますので、そういったところからの内容を、交通安全基本計画には学校教育のことも入っていますので、そういったことを反映したような部分も、これまで交通安全教育は学校の中で随分やられてきたこともありますので、やはりこの中にも盛り込んでいただければと思います。
最後にもう一つなんですが、これは資料の中にはないんですけれど、カリキュラム・マネジメントのところと、そして、そこから総合的な学習の時間のところが入っておりますけど、もう一つ、安全教育で大事なのは、安全指導がほとんど行われるのは特別活動だと思うんですね。特別活動の中で、例えば、防災ですと、学校行事の中で避難訓練とかあります。今、避難訓練なども月一でやっているような自治体もありますので、特別活動の中での位置付けももっと出していただくといいのかなと思います。これは昨年度の学校安全部会の中でも、学校行事のところで安全のこととか防災のことをもっと出した方がいいんじゃないかということで、答申に少し盛り込まれたはずなんですよね。ですから、やはり学校行事だけじゃないですけど、特別活動の中の安全の扱いというか、それを具体的に同じように示していただくといいのではないかと思いました。
済みません、長くなりました。以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
では、野津先生。
【野津主査代理】  私も前の方から幾つか意見を述べさせていただこうと思います。
2ページ目の防災・安全に係る記載の充実と赤字になっているところなんですが、この防災・安全という表記をしたときに、後者の方の安全の中身ですね。今までは安全という概念の中で、先ほどもありましたように、災害安全、交通安全、生活安全ということですけれども、「防災・」が前に出ると、その後ろの「安全」には、防災というのを除く安全ということになるのか。ちょっと言葉の整理が分かりにくくなるのかなというのが1つ。
それから、7ページの右下の「知っていること・できることをどう使うか」のところの赤字ですが、意思決定と行動選択という表現がありまして、この意思決定が「思う」という字になっているわけですが、保健では意志決定は「志」を使っています。それは右でも左でもいい意思決定ではなくて、明らかにこうあってほしいという正解といいますか、望まれる意志決定があるということで、「志」を使っているという理解をしているわけです。家庭科においては、現行でも「思う」の意思決定を使っているようですけれども、今度、安全のところで、家庭科が現行で使っている「思う」の意思決定を使うようになるのかどうか、その辺の整理が必要なのということが2つ目です。
8ページにも意志決定という表現があって、「志」になっていますけれども、同様です。
次に、検討素案のところで幾つか述べます。
まず、危険予測・回避能力の育成というのが小学校に示してあるわけですが、私の意見としては、系統性といったときに、この能力が小・中・高で、発達段階を踏まえて高められていくという軸というのを考える必要があるのではないか。これが今のところ、小学校だけでとどまっているのは、極めて残念といいますか、惜しいような気がしております。
2つ目は、心肺蘇生法の中学校・高等学校の書きぶりで、高校のところで、「救命救急に係る」という表現になっており、恐らく発達段階を踏まえて書き分けてあるんでしょうが、非常に分かりにくい。もう少し中学校と高校が単なる繰り返しではなくて、はっきりと学ぶべき内容、あるいは、育成すべき力の違いが見えるようにする必要があると思います。
それから、もう一つ、交通安全のことがここで見えにくい。先ほど渡邉委員が言われたとおりで、この先10年を考えたときに、交通安全のことを、これまでからぐっと引いていいのかという話だと思います。確かに、自動操縦の車とか、どんどんそういうものが発展していく中で、死亡事故の発生件数も減りつつあるのかもしれませんけれども、子供たちのまさに身近な安全ということでの、極めて理解しやすい題材であり、そうしたところを大事にしながら、危険予測・回避能力の育成ということを一貫してやっていけるということは非常に重要だと思います。
とりあえず以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
ほかに、いかがでしょうか。
西岡先生。
【西岡委員】  私は安全確保のための的確な思考・判断について一言申し上げたいと思います。
6ページ目に、安全確保のための的確な思考・判断が挙げられておりますけれども、これと危険予測との関係についてちょっと整理する必要があろうかなと思います。と申しますのは、一般的に思考・判断と申しますと、課題を明らかにして、情報を集めて、どんな選択肢があるかというのを考えてというようなことを行うわけですけれども、どちらかと言いますと、ちょっと時間をかけて行うような印象がございます。それに対して、危険予測というのは、比較的瞬時に行わなければならないものかなという印象がございます。両者はいずれも大事であり、共通するところもあるんでしょうけれども、これらの整理を行う必要があろうかなと思います。
それから、先ほどの野津先生に御意見に関わってなんですけれども、危険予測について、中学校・高等学校で、どういうふうにそれぞれの発達段階を踏まえた特色を出していくかということでございますけれども。私、1つは、こういう危険予測について、それを促す要因とか、あるいは阻む要因のようなものがあるんじゃないのかなと思います。これは意思決定についても同様なのですけれども、例えば、正常性バイアスと言われていましたでしょうか、自分には災害は降りかかってこないというような誤解でございますけれども、こういうものがあったり、それから、様々な社会的な情報などが、やはり意思決定や危険予測なりに関係してくるかと思います。中・高になりますと、そういうものが影響するんだ。それによって、人というのは、危険予測とか、あるいは、意思決定に関わるものですけれども、判断などを誤ることもあり得るんだというようなこと。こういうことは、中学校・高等学校で扱えるのではないのかなと思っております。
それから、もう一つなんですけれども、6ページの「安全で安心な社会づくりに参加し貢献する情意や態度」に関わってでございます。ここでは、次の7ページのところを見ましても、左下、「何を知っているか、何ができるか」ですけれども、安全で安心な社会づくりの意義の理解のところに挙げられておりますけれども、ここで意義の理解ももちろん大事なのですけれども、私、加えて、この社会づくりのためにどんな活動がされているのかということを知ること自体も大事なのではないのかなと考えます。案外、小学生、私たちもそうなんですけれども、地域などでどういうふうな活動がされているかというのは知らないことが多いんじゃないのか。それを知ることが、意義の理解と併せて大事なのではないかなと考えます。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、鈴木委員、お願いします。
【鈴木(美)委員】  私の方からは、まず小・中・高と、今まで学習指導要領が、系統的に学習できるような、そんな仕組みになっているところで、学習指導要領の意義というのを感じているところですが。このAED・心肺蘇生法のところですけれども、応急手当というところで、小・中・高と項目が立って、今、子供たちは学習しているわけですが、先ほど野津先生からもお話がありましたとおり、中・高と内容的にダブってしまっているのではないかなという懸念があります。中学校で教えた内容と全く同じ内容を高等学校で教えるというよりも、このスコープがだんだん広がっていくといった内容になるように、これから書いていくべきかなというのは、1つ考えているところです。
中学校では、今、保健学習で原理原則を学んでいます。学習指導要領レベルでは、応急手当は、心肺蘇生等があることで止まっていて、解説で、さらに詳しく実習等を通してというところが入っているので、解説で、詳しくそこは入っていくといった現行の感じでいくと、スコープがだんだん広くなっていく感じがいいのではないかなと、個人的には考えています。
あと、中学校にある地域の犯罪被害の防止といったところ、ここが今までの学習指導要領の中には入ってきていなかった部分かなと思われますが。これが現場で指導するとなったときに、発達の段階を考慮すると、いろいろな犯罪被害等がありますので、デリケートな問題等もあって、現場が行き過ぎた指導になりはしないかという懸念もあります。ここをどういうふうな指導内容にするのかといったところは、とても大きいことであると感じました。 以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
鈴木先生、現場で見ておられて、恐らく子供たちを取り巻く環境、防災・安全という観点からも随分変わってきていると思うんですね。そのあたりから、もし現場を見ていて、変化等にお気付きのところがあれば、もう一言お願いできればと思います。
【鈴木(美)委員】  子供たちを見ていますと、生徒指導的なところで配慮するべき事項というのは、集団指導ではなく、個別の指導が必要な部分であると思います。中学生では、集団指導で教えるべきなのか、個別指導で教えるべきなのかというのを、ちゃんと学習指導要領レベルではすみ分けていくという必要があると感じています。
【山口主査】  どんどん質問で申し訳ないんですけど。具体的に、どこが集団指導で、どこが個別か、もし具体的にお持ちであれば、教えていただければと思います。
【鈴木(美)委員】  例えば、犯罪被害となったときに、一例として性被害というのもありますね。そうなったときに、子供たちにそれをどう教えるのか。全ての子供たちに教える内容として、かなりデリケートな内容になってしまうことがあるのかなと。そういった面では、個別にその子に対処しているというのが、今、現場の実態です。全体に詳しく、規律だとか、そういったルールを守るといったところでは全体指導はしていますけれども、そういったデリケートな問題では、個別の危険予測だとかといったところでやはり個別指導をしていっています。
具体的な事例というのは、皆さんのイメージに任せさせていただきたいところではありますけれども、どうでしょう、ここら辺では。もうちょっと具体的にという話でしょうか?
【山口主査】  いえ、ありがとうございました。
ただ、性的な被害も含めて、恐らくこれからの10年あるいは20年というのを考えたときに、果たして個別指導でいいのかというところも、もしかしたら今後は議論されていく観点なのかなというふうにも感じました。
それでは、高橋先生、お願いします。
【高橋委員】  今までお話しされた中とはちょっと違う次元になってしまうかもわからないんですが。危機管理をできる、自分の身は自分で守るということを、教育の中でいかに担保するかということだと思うんですね。そういうふうに考えたときに、例えば、ドイツの教育で、壁を登って、転んでも、下には敷いているけれども、自分がどれだけ危ないことに挑戦して、けがするのは目に見えているかもしれないけどということが、日本ではだんだん、けがさせないようにという学校の中で行われているかなというふうに思います。例えば、公園の中のいろんな遊具をなくすということも1つかもしれません。そういうふうに考えると、日本の安全教育というのは、けがさせないようにするためにどうするかというふうに、危ないものはちょっとやめておこうと。それをどういうふうに考えるか。柔道でも危ないことをするわけだけども、けがしないように、自分の身を守りながら身をかわすということが大事になってくるんだろうなと思います。
もう一つは、生活の中で、日本ほど安全な国はないとよく言われていて、大人がその反面教師になっていると思いますが、スマホを見ながら歩く、それで線路に落ちて危ないと幾らJRが言ったって、そうしている大人がいる。イヤホンを聞きながら音楽、もう自分を襲ってくださいみたいなものだと思うんですね。性犯罪も出ましたけれども、高校生も、あんなに短いのをはいてどうするのというぐらいな格好をしている。だから、その辺が、大人も含めて、日本の安全教育をどういうふうに考えていくかということも大きな問題かと思います。
それから、全然次元が違うんですが、学校建築ですね。例えば、大阪教育大学の池田のあの事件が起こったときに、どうなったかというと、高い塀を作った。危なくないように、入れないという。それとは反対で、横浜国大の女流建築家の方が福岡で小学校の建築をしたときに、丸見えにするように、地域の方から見守られていくような建築をした。それは学校の教員と試行錯誤しながら、ナースステーションのような形で、その階に学年が見えるように。学校建築は建築家というふうに、やっぱり縦割りの部分があって、安全を守るというふうに考えたときに、今から建てようとする建築にどう組み込んでいくかというようなことも、大きな意味の安全教育になるかと思います。
また、これまた話が違うんですけれども、岐阜県に養老天命反転地という公園があるんですが、行ったことある方いらっしゃいますか。そこは世界的に有名なアーティストの荒川修作さんという人が作ったものなんですが、歩いていっても逆さになるような感覚があったりというような公園を作っているんですね。彼が三鷹に普通の住宅を作ったんですけれども、お風呂も斜めになっているとか。何でそんなことをしかたというと、常に自分が平衡感覚という当たり前な感覚じゃないところに自分の身体を置くことによって、危機管理的な部分とか、常に自分を大変な状態にしていくことによって、人間が人間たる、ずっと生きていけるんじゃないかみたいなことを考えた方なんですね。そうすると、安全ということは、体育の身体意識とか、身体感覚とかも含めて、学校建築もそうだと思いますが、とても広い中でどう考えていくかという、ここの部会だけではとっても収まらないと思うんですが、そんなことも視野に入った、この「身を守る」ということが、広い意味で10年後、安全じゃない人たちがいっぱいやってくる日本の中で、子供たちをどう守っていくかということも必要かなと思います。
長くなりました。
【山口主査】  ありがとうございました。
恐らくグローバルな社会で活躍する子供たちの資質・能力と考えたときに、日本の安心・安全ということ、あるいは防災という考え方と、もしかしたら他国では随分差もあるし、そのあたりも、これから生きていく子供たちにはどういうふうに伝えていくか、どういうふうに教育していくかというのも、1つ、やはり重要なところなのかなというふうに、伺っていて感じました。
それでは、近藤委員、お願いいたします。
【近藤委員】  東日本大震災を経験した次の教育課程の改定ということで、ここの1ページにあるように、防災・安全に係る記載の充実が必要ということは、私、すごく大切な視点だなと思っています。
実は、私、大震災があったときに、被災地支援ということで、宮城県の石巻にあの年3カ月ぐらい行っていたんですね。全部の小・中学校を回って、校長先生とお話をさせていただきました。御存じの方も多いと思うんですけれども、石巻市には大川小学校という学校があって、そこでは、教職員・子供たち84名が犠牲になった、いまだに行方不明の子供が4名いるという、そういう学校を抱えた教育委員会、または、学校支援をやっていた中で、簡単に言うと、「学校に行ってきます」と行った子供は、「ただいま」と安全に帰さなきゃいけないということをすごく強く感じました。なので、この防災に係る記載の充実が必要ということは、とても大切な視点だと思います。
安全教育という面で言うと、例えば、さっきAEDを小学校高学年で実習としてできないかとか、いろんな新しい内容が入ってくると思いますが、ここでの議論ではそれでいいと思うんですけれども、実際に教育課程を作る段になって、例えば、解説なんかを作る段になったら、新しい内容が入ってきたら、それの分だけの、簡単に言うと、時間の確保をしておかないと、結局、学習指導要領には書かれたけれども現場ではやられないというようなことになってしまうと思うんですね。残念ながら、体育・保健体育という教科はありますけれども、安全という教科はないので、学校では時間割のどこかに入れていかなければいけない。それは総合的な学習であったり、特活であったり、そういうところに入り込んでいくと思うんですけれども、新しい内容を入れるということ、または、防災に対して、今後10年、20年、30年、50年後には必ず大きな災害がやってくると言われているので、それをここに入れるということは、とても大切なことだと思うんですけれども、同時に、時間の確保というか、どこの時間にどうやってやるというような具体を、次のステップでは具体的に考えていかないと、現場のレベルでは広がっていかないのかなというのが1つあります。
それから、もう一つ、安全管理の部分です。実際に、先ほども言ったように、被災地を回ってきたときに感じたのが、特に小学校高学年、中学生、高校生ぐらいは、地域の中で、これは災害安全の部分ですけれども、地域の中で安全確保、または、例えば、炊き出しをしたり、それから、学校が避難所になったりしたときに、ものすごく力になるということですね。そうすると、実際に災害安全を考えたときには、学習指導要領上に、さらに地域との連携をより推進するというような記述があるといいのかなと個人的には思っています。
なぜかというと、例えば、私も地域に行って、地域で必ず防災訓練をやります。学校が避難所になるケースも多いので、防災訓練を土日にやるんだけど、実際に、特に中学生や高校生の参加はほとんどないと町会長さんに言われちゃうんですね。なぜかというと、部活があるからです。子供たちは部活に出ます。そうすると、地域の防災訓練があったときに、それに出られない。だけども、本当に災害があったときには、そういう子たちが実際にすごく実働部隊となって活躍できるという事実があるわけですね。少なくとも東日本大震災のときには、そういうことがあった。
例えば、釜石なんかでは、地震があった2時46分に、ふだん防災の訓練をしている大人はみんな街に働きに出ていっちゃって、子供とお年寄りしか町に残っていなかったということもあるわけですね。そのときに、教育課程上できることと言ったら、そういう地域との連携をより防災面で推進するというような記載の充実ということが、学校が休みのときに防災訓練があったとき、地域に子供を送り出すようなことの背中を押すことになるんじゃないかなというふうに感じています。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
やはり地域との連携なくしては、もちろん安全・防災というところは守られないと思うので、非常に重要な視点だと思います。
それでは、藤田委員、お願いします。
【藤田委員】  失礼します。私も中学校の現場からということで、2点意見を言わせていただきたいと思います。
まず1点目は、安全教育の指導内容の充実というところで、「心肺蘇生法・AEDの実習を通した理解に係る指導の充実」が挙げられております。知識を主体的に行動に結び付けるためという意味では、実習がとても重要な視点になってくると思います。例えば、AEDは、とても使い方はシンプルです。音声のとおりにすれば、一回やってみると、とても使い方はシンプルですが、先ほど西岡先生のご発言のとおり、それを促す要因であったり、阻む要因であったりがあるわけで、実際に使うとなったときに、一回も使っていない人はやっぱり躊躇するし、敷居は高いのではないかと思います。そういったことを考えると、AEDであったり、心肺蘇生法のダミーであったり、そういったものを一回使ってみる、実習をしておく意義というのはとても大きいと思います。
それで、先ほど時間の確保ということが近藤委員からありましたが、もう一つ踏み込んで、予算、各学校にAEDの練習用があるのかとか、ダミーがすぐ使える状況にあるのかとか、そういうところまで検討して、普及ができたらなと思います。実際、私もダミーを実習する台数分集めてくるのに随分苦労しました。消防署に行ったり、高等学校に行ったりして、実習する分のダミーを確保して、そして実習授業をするという経験がありました。是非、この辺は考えていただければと思います。
もう1点は、中学生にとって一番生活に直結した安全、前回か前々回かに、「中学生までの死因の一番というのは不慮の事故である」というご意見があったと思いますが、不慮の事故の第一番は、やっぱり交通事故だと思います。あんまりよくない話ですけれども、明日もし、命がなくなるとすれば、やっぱりその原因は交通事故という、可能性が一番高いわけで、うちの学校も、自転車通学の生徒もいますし、高校生はバイク通学もしています。生徒指導上の問題だけではありませんが、いつも挙がってきています。そういったことを考えると、やっぱり身近な交通安全というところをもう少し充実させていくということも、是非考えていただければと思います。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、野津先生、お願いします。
【野津主査代理】  先ほどの追加になります。我が国だけではないと思いますが、社会現象として、安全とか危険に対する過剰な反応といいますか、一過性の反応というのが目立つということがしばしば言われています。そうしたときに、リスクの概念が正しく理解されていないというか、教えられていない、そういうところが1つの原因と思われます。
安全教育において、危険を予測して回避する能力というような文脈において特に言えると思いますが、安全か危険かと二者択一ではないはずで、その辺の学習を担保できるような工夫が、次の改訂においては今まで以上に重視した方がいいと思います。それは安全のみならず、実は保健の方でも同様で、共通する内容になってくるかと思います。感染症に関してなどは、その顕著な例だと思います。
そうしたことで、内容をさらに充実させるという方向で意見を1つ言ったんですが、それと併せてもう一つ、今度は減らすといいますか、精選という話です。先ほど近藤委員も言われたように、現実的な時間というものがある中で、これまでは安全に関しては、交通安全を中心に云々ということになってきたんですが、今のままでいきますと、教科の学習において防災、防犯、生活安全をみんな均等に扱うのか、あるいは、やはりそこは保健体育という中での安全ということで、どこを基本として押さえて、コンピーテンス、育てるべき能力を実現するためには、どの題材で中心にやっていくのかというような精選の観点が必要かと思います。
もちろん、教科としての保健体育ですので、災害自体の防止、あるいは、交通安全自体の防止、犯罪自体の防止など、これら自体の防止は保健体育の学習内容ではなくて、それに伴う生命や健康に関わるところに限定的に扱うことになる。もちろん、総則のところでは、学校教育全体、教育課程全体で云々ということで書き込まれると思うが、例えば、防災でいうと社会科や理科など、それぞれの教科で位置付けるべき内容があり、そういう視点での精選というのは、必須だと思います。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、横嶋先生、お願いします。
【横嶋委員】  私も、9ページの今後の在り方についての中でですが、今、何名かの委員の方からも出ましたけれども、学校で担うものが日々増えてきているというふうに認識しております。例えば、不審者の被害の通報なども毎日のようにありますし、交通事故の報告なども非常に多い中で、本当は時間がどんどん増やしていければ、あれもこれもやりたいというものはたくさんありますが、決められた枠の中で教える内容についてより精選していくべきであると思っております。
そのような中で、野津委員がおっしゃいました危険予測・回避能力の育成については、やはり小・中・高と継続して取り組むべきではないかなと思っております。
その下の安全指導や避難訓練のさらなる充実のところは、これは小・中・高と記載がありますが、ほぼ同じ記載の内容でありまして、ここは小・中・高で書き分ける必要はないのかなと考えております。
例えば、今、避難訓練といっても、従前のような画一的な避難訓練というのはあまりなくなったようには思いますけれども、一方で、子供たちの主体性を育むという名の下で、やらせっぱなしのような避難訓練も増えてきていると思いますので、やはり小学校年代ではこういう力を身に付けさせたいというところを、もうちょっと明確に議論の中で深めていければと考えております。
それから、中学校のところの犯罪被害のところも、先ほど意見が出ましたけれども、これは性被害だけではなくて、非常に被害も多種多様になっているかなと思いますし、また、女子だけではなく、男女を問わず被害に遭っているような状況も見受けられますので、ここはやはり安全指導としては重点的にやっていく必要はあると思いますが、この教科の中で取り扱うかどうかという部分については、これまで交通事故の防止、自然災害における傷害の防止を保健の中で扱っているところであり、新たな内容を入れるかどうかというところについては、慎重な議論が必要かなと思っております。生徒指導などとも非常に直結した内容でありますので、教科に合うのかどうかというところを議論していただければと思っております。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、友添先生、お願いします。
【友添委員】  ちょっと観点は違うかもしれませんが、今お伺いしてきて、私は保健を専門にしていませんが、お尋ねをしたいところが何点かあります。
1つは、お伺いしていると、いわゆるミニマム・エッセンシャルズは何かというのが、やっぱりよく分からなくなってきます。つまり、本当に教えなければいけない最低限必要なものは何かということがよく見えないように思います。
それから、危険がいっぱいある社会で我々は生きているわけですから、そういうレベルで言うと、今お話の中で出てきた非常に重要な側面としては、経験をまずは重視しながら、経験から論を構成していくのか、あるいは、この10年、防災科学というのは、パニック心理学などを含めて、随分学際学の中では発展してきている。そういう学問的な成果、科学的な成果、これとどのようにタイアップして取り込むのか、取り込まないのか。そのあたりが、やっぱり先生方のお話からよく見えてこなかったというところが2点目です。
それから、3点目でありますけれども、野津副主査がおっしゃったことと関係して、体育・保健体育の限られた時間内で、どういう優先順位で、プライオリティでもって、この安全教育、あるいは、防災に関わって取りくんでいくのかということ、これの視点が、先ほど申し上げたミニマム・エッセンシャルズとプライオリティがはっきりしないことには、やっぱり見えてこない。これは近藤委員もおっしゃられたことと関係してくることだと思うんですね。何から何まで言い出したら、これは実は切りがないわけで、そこのすみ分けをしていく論理をどこかで誰かがお示しいただけるのかなというふうに今聞いておったところなんですが。この点は、もし御意見があれば、教えていただければありがたいです。
最後ですけれども、諸外国のスタンダードを見てくると、多分、こういう安全教育について、いろんな問題があるんだけれども、非常に限定的に、非常に禁欲的に――禁欲的というのは、いわゆる優先順位をはっきりと明確に立てて書き込みをしているという印象を持っています。この辺は、多分、渡邉委員や西岡委員の方が詳しいと思うのですが。それになぞって言うと、教科と教科外とのすみ分けのところの論理をどうつくるかというところ、ここもやはり意識をしておかなければいけないのではないかというふうに考えながらお伺いをしていました。雑駁な感想です。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
本当に限られた時間の中で教育をしなければいけない。プライオリティというところで言えば、やはり現場の先生が日々子供と接しておられて、ここを一番教えたいとか、ここは一番安全に関しては必要なんだというところが、もし今の時点で、札は挙がっているんですけれども、この件に関して、どなたかお答えがあれば。
では、青木先生、お願いします。
【青木委員】  学校現場としては、やはり東日本大震災が起きて、意識は変わりました。避難訓練のやり方についても、高台訓練を入れたりとか、それから、引き取り訓練も必要になりました。中学校は、前は集団下校とかさせていたのですが、それぞれの家庭の事情等調査して、それに合わせて下校させなければいけない。すぐに下校させることが本当に安全なのかというところで、この経験から変わってきました。防災についても、やはりやらなければいけないことですけど、保健の内容でそこを深くすると、ほかのことが、健康の保持増進についての内容が深まらないところもあるんじゃないかなと心配はしております。
中学校の場合は、日々の交通安全とか、自転車の乗り方とか、実際にスタントマンが来て、現場の危険の状況を見せて予測させるような、そういう体験学習もしております。
私は、日々心配な部分で、交通安全とか、それから、健康の保持増進と傷害の防止というところで、やはり保健体育としては、そこら辺を押さえた内容での健康・安全かなと思っておりますので、防災についても確かに触れた方がいいですが、あまり触れ過ぎると、本当に今身近な現状としてやらなければいけない、教えなければいけないことが教えられなくなってしまうのではないか、時間が足りなくなっていくのではないかなと危惧しています。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、菊委員、お願いします。
【菊委員】  待っている間に、みんなほとんど言われてしまいました。
私も聞いていて、これは結構大変な問題だなと思いました。というのは、やはり限られた時間の中で、今日の事務からの伝達事項の中では、各教科の中でどういうふうに内容を盛り込めますかということなんだろうと思うんですけど、それはやはり先ほど友添委員がおっしゃったように、いわゆるミニマム・エッセンスというのがある種プライオリティに関連してくるためには、それが子供たちに広がっていく見通しを持っていなければならない。それ以上教えなくても、子供たち自身がそういうことに配慮していくようになるということの見通し、そういう学習の在り方というものを考えていかなければいけないと思うんですね。
その場合に、これも野津委員が言うように、安全というより、むしろリスクというものを我々はどう考えるのかという、そのリスクというコンセプトの捉え方の発展が非常に重要ではないかと。それは社会学でも、リスク・ソサイエティという言い方で、人間の文明が高度化すればするほど、リスクの要因というのは社会的に大きくなるといっているわけですよね。そのリスクの要素というのは、恐らく、先ほどの安全という言葉で言えば、例えば、交通安全であればテクノロジーの発展に関係する。要するに、人間が利便性を高めれば高めるほど、人工的なものを増やせば増やすほど、自由や利便性は拡大するけれども、それに伴って安全が脅かされていくという意味になる。それと同じことは、自然との関係、あるいは人と人との関係についても言える。つまり、人・もの・自然というのが、我々のいろんな身の回りの中でリスクを高めていくことになる。このように、安全というものをリスクの側から考えていくと、どういう整理の仕方ができるのか。そういうようなことを考えていくと、保健で引き受けられるもの、あるいは、体育で引き受けられるもの、といった両者の関係が少しずつ関連が見えてくるような、そんな気がいたしました。
そういうコンセプトと、やっぱり現場との関係をもっと密にすることで、安全教育というのは非常に実を上げていく、そういう見方ができるのかなと、そんなふうな感想を持った次第です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、日野委員、お願いします。
【日野委員】  視点はちょっと違うんですけれども、実は、保健体育の態度の内容の中に、公正、協力、責任、参画とともに、健康・安全に関する態度というのも位置付けられているんですね。そこでは、けがをしないとか、十分配慮するとかもあるんですけれども、特にそこで求められているのが、危険を予測し、回避行動をしっかりとれるかという話になってきます。
そうすると、新しいものが増えるのもあるんですけど、今、現状であるものの中で、育む資質・能力としては、実はやっていることというのはありますので、うまく関連付けていけるのかということも重要かなと思ったりしました。
例えば、より身近な生活安全で言うと、熱中症とか、そういう問題が、今、社会に出ても課題になっていますので、実はそういったものも、体育の中でも十分扱っていきながら、波及的なものとして提示できるのではないかなと思いました。
教えたい危険を予測し、回避する能力というのは、今のところ、実は学習することができるんだよということも、より位置付けていくこともいいんじゃないかなと思いました。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、西岡委員、真如委員、森丘委員の順でお願いします。では、西岡委員、お願いします。
【西岡委員】  先ほど友添先生から、ミニマム・エッセンシャルズは何ぞやというお話がございましたが、これはやはり協議していかなくてはいけないかなと思うのですけれども。私は、現行の小・中・高の障害の防止をまとめてみますと、結局、障害の発生要因が主体要因と環境要因にある。それを防止するためには、主体に対する働きかけとか、主体の能力を高めていくということと、それから、環境を整備していくということ、これである程度貫かれているのかなと思います。
先ほどの障害といいましょうか、災害の種類などを挙げてみると、本当にもう切りがないなというお話だったんですが、これは本当に痛しかゆしでありまして、先ほどのような主体・環境要因が発生要因になりという話は、ある程度共通しているかなと思うのですけれども、やはり各災害の特性というものも現実ございまして、そういう特性を知っていく、理解させていくということも重要じゃないのかなと思います。
ただ、いずれも、先ほど生活安全、交通安全等ございまして、それらを均等に扱っていくということに対して、どうかなという御意見もあったかと思いますけれども、それは私も、均等な扱いというのは、かえって学習の効果を下げていくといいましょうか、あることを学んで、それを別の災害に適用させていくというような考え方もあっていいのかなと思います。
それから、もう一つなんですけれど、これは全く別の視点なのですが、先ほど私、意思決定に影響するような要因について学んだらどうかということを申し上げましたが、私、安全教育をやっていく上で、人というのはミスをし得るものだというような視点が必要なのではないのかなと思います。特に最近、失敗学が随分クローズアップされております。やはり人というのは安全でありたいと思っているんだけれども、そういう考えはありつつも、日常生活からすると、やはりミスをし得るとか、安全と別の価値との対立の間で、安全を後回しにしてしまうということがあり得るわけで、やはり人間というのはそういうミスをし得る存在なんだ。それを踏まえて、どういう対策をとっていくかということが必要なのではないか。そういうことを教育の中に取り入れることはできないかなと思います。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
恐らく、先ほど高橋委員も言われた、ミスから学ぶというか、ミスをしたら、ただ、こういう結果もあり得るということも予測させるということも必要なのかなと思いました。
それでは、真如委員、お願いいたします。
【真如委員】 先生方のこれまでのお話をうかがいますと、 やはり学習させたいもの、身に付けさせたいものというのはたくさんあるんだということを改めて感じました。子供たちの様子を考えていると、あれもこれも挙げて、そして、身に付けさせたいという気持ちはあるんですけれども、なかなか時間もとれないというのは、間違いないことですので、他の教科や、あるいは特活もありますから、その中で精査していくということは大事だろうなと思います。
また、今あるものの中でも、ウエートのかけ方を変えていくことによって、時代のニーズに応えられるかなという、そういうことも考えました。
それから、そういった内容を細かく取り上げることも大事なんですけれども、学校には学校なりの安全計画がありますから、そういったところに主体性を保証してあげるのも可能ではないかなということを、1つ目、感じました。
それから、2つ目は、防災については、先生より先に自分で考えて動くという話も先ほどありましたけれども、また、その一方で、守られる側から守る側へ変わっていくんだという話もありますしね。それぞれ取組の内容が変わってきたり、あるいは主体が変わってきたりしているんですけれども。地域というのは、非常に今大きいと思います。学校の実情を見ますと、地域と学校、それから、地域と役所、その関係ができ上がっていないと言ったら問題あるかもしれませんけれども、まだまだ十分でないということがあります。地域がものすごい勢いで、今、学校のため、それから、地域の人たちのために動こうとして、取組を始めていますよね。ですから、役所の方があおられているというような場面もありますので、これは地域の仕事ではないだろうということも考え、子供たちには知っておいてもらいたいところですね。一体何が始まるのかというのを、およそでも知っておいてほしい。学校はいつまでも、学校、先生、子供たちという、そういう世界ではなくなっていくということを、どこかで知らせておいてほしいですよね。
実際に、学校の鍵を預かりたいという地域もあります。一所懸命防災の訓練をやっている地域にとっては、そういう気持ちになるわけですけれども。学校としては、災害が発生して、地域の方がどんどん学校を開けていくというようなことでは困るということもありますし、役所は役所で分担していますから、何も鍵を持たなくても、私たちが一番先に行って、学校の鍵は開けたりしますし、また、校長が指揮をとったりする場面もありますので、今整理ができていないという状況であります。もうしばらく経つと整っていくのかもしれませんけどね。その辺のところを子供たちにも、いろんな人が入ってきて、いろんな指示が飛ぶんだよということも、教えておく必要があるなということを感じました。
それから、体育もそうだったんですけれども、中と高校の書きぶりが、やっぱりどうしても似たところがあるのは、それぞれ成長してきて、立派な人になってきていますから、同じような感じになるでしょうけれども、少し差があると分かりいいかなという気がいたします。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、森丘委員、お願いします。
【森丘委員】  健康教育と安全教育のすり合わせという観点でいえば、先ほど日野委員からもあったんですけれども、熱中症の予防は一つのテーマになりうるかなと考えています。熱中症予防というと、どうしても起こったときの応急処置がクローズアップされがちですが、実は、自分のその日の体調や健康状態と活動する環境の状況とを考え合わせて、活動の内容を適切にコントロールするというリスク・マネジメントができるかどうかも非常に重要なポイントになりますので、そういった観点で学習も求められるのではないかと考えております。
それから、先ほど高橋委員からもありました、自分の身を自分で守るというようなことに関連して言うと、体育の中で身につけていくような、様々な技術や技能、あるいは基礎的な動きといったようなものが、単に運動やスポーツを行うことだけでなく、実は、生活生存における危機回避能力などにも関連しているということを強調するような記述があってもいいのではないかと考えています。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、杉本委員、お願いします。
【杉本委員】  失礼します。
3つの柱の中の一つ「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」という点では、特に、社会との関わりという部分で、先ほどからも上がっているように、地域との連携ということが非常に大切なことだと思っています。
ちょうど10年前に、登下校中の児童が事件に巻き込まれるという痛ましい事件が発生しました。その後、多くのところで、地域の皆さんが「自分たちの力で子供たちを守ろう」という意識のもとに、見守り活動が行われるようになり、現在も続いている状況が見られます。高齢者の方々をはじめ、たくさんの地域の方々が緑のベストを着て、子供たちの登下校を、防犯の側面だけでなく交通安全という面からも見守っているという状況の中で、子供たちがどう地域の人たちと関わっていくのか、大きな課題です。小学校の子供たちは、「守られている」という受動的な関わりになるかもしれませんが、中学生、高校生になると、今度は、防災という面で、地域の方々にどう自分たちが主体的に関わっていけるか。そして、高齢化社会に向けて、どのように地域の高齢者を助けていくのか、それぞれの校種において、発達段階に応じた関わり方があるかとは思いますが、なによりも地域と深く関わっていくということは大事なことだと思いす。
次に、9ページの交通安全のところです。安全指導や避難訓練のというところですが、中学校、高等学校になるにつれて、交通安全という部分では、生徒自身に「自分も加害者になり得る」という意識を持たせた上での、安全指導が非常に大事になってくるのではないかと思っています。高齢者に自転車でぶつかってしまい損害賠償問題に発展するという事例などもございますので、生徒が加害者にならないためにも自転車の乗り方やマナーを含め、安全指導が重要になってくると考えます。
あとは、最後ですけれども、子供たちにとって大切な安全教育、安全指導をしていく上での時間の確保です。各学校、どのように時間を捻出していくか悩むところではないかなと思っております。ありがとうございました。

【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、中村委員、お願いいたします。
【中村委員】  やっぱりこの資質や能力をどう発達させていくかという段階をきちんと見ていくことというのが、非常に大切だし、難しいんだろうなと思ったことが1点です。
それから、あと2つあるんですが、私は、福島に、ずっと震災後から1か月おきに入っているんですけど、明日も伺うんですが。そこで、このお話と気付いたことをお話しすると、ここで先ほどから何名のかの方が出ていますが、やっぱり地域の連携ってすごく大事だなと思います。地域といったときに、やはり根底になるのは、子供たちの保護者もあるので、地域と家庭ですかね。そこに向けて発信することは非常に大きいなとは感じています。その中で、先ほど西岡先生がおっしゃったように、安全や安心な社会づくりをどういうふうにしていくかということをみんなで捉えていくという、そういう仕組みづくりも大事だろうと思います。
ここから後は余談だと思って聞いていただければいいんですが。福島も今、大分厳しい状況がまだ残っていまして、その中で、一番子供たちとか保護者の方たちが心震える瞬間というのがあって、それは、一緒に仕事をさせていただいている柳田邦男さんとか慶応の渡辺いさ子先生なんですけど、命の大切さとか、抽象的な言葉で申し訳ないですが、人を思う心だとかというところをやはりすごく学んできているなという気はあえてしています。なので、これはもちろん体育とか保健だけの問題ではなくて、先ほどから出ている、いわゆる教科の枠を超えたカリキュラムだとか、あるいは、資質・能力の育成の部分だと思うんですけれども、そういったところも学習する時間というか、そういったことを経験する時間というのも、これからの子供にとっては、あるいは、社会にとっては大事なのかなと思いながら聞いていました。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、野津委員、お願いします。
【野津主査代理】  先ほどリスクに関して菊委員からも賛同の意見をいただきましたので、1つ御紹介します。欧米の健康教育、安全教育の中でも、既にリスクに関しての学習というのは結構位置付けられていまして、例えば、西オーストラリア州の授業では、課題に対する危険あるいは利益について、設定されたリスク・ベネフィット・ライン上に、どのあたりなのかを子供たちがそれぞれの判断で立って、どうしてそういう位置に立ったのかというのをお互いに意見交換する。その後に、基礎的な知識に関しての学習をしたり、関わる情報について入手した上で自分の立つ位置が変わったのか、その理由を述べ合ったりするなんていう、まさにアクティブ・ラーニングの一つでもあると思っているんですけれども、そうした学習からリスクについての考える力を鍛えるというような授業の実践があります。まさに保健体育で実践できそうな授業だと思います。そうした中で、安全の合理的な確保、あるいは、持続可能性のある安全の確保ができるような国民の育成というか、子供たちに必要な資質・能力が身に付いていくのではないかと思います。
今、山口主査から、安全に関して、これまでの議論を少し整理してほしいということを耳打ちいただきましたので、私なりに整理いたします。まず学校教育全体として、防災を含めて、安全教育について充実を図るという方向性に関しては、これはもう言うまでもなく、ここの委員においても共通理解は十分されているということだと思います。その中で、保健体育という教科において安全教育をどう改善・充実させていくのかということに関して、事務局からの提案もあったわけですけれども、様々の意見がありました。
そのときに、もう一度、安全教育として、保健体育という教科において身に付けるべき資質・能力は何なのかということをまず明確にする必要があって、そのために学習する内容ということにおいて、基礎・基本という視点からどう精選していくのかということが重要な作業になる。その上で優先順位を考えることと、発達段階を考えることと、そして、実際の配当時間という現実も含めて判断していく必要があるというようなことで、具体的な内容の整理にはなりませんけれども、まだまだそういう作業が道のりとしてはあると思います。
なお、先ほど実習ということで、体験することが非常に重要という話がありましたけれども、これはちょっと余談の話になりますが、教科として実習をやるのは、体験していないとできるようにならないので経験させるという意味よりも、理解を深めるために実習をする。例えば、応急手当の実習をするのは、原理を理解するとか、方法についての合理性について理解を深める、そのために実習を通して学ぶというのが重要であり、できるようにすればいい、やらせればいい、やれるようになればいいというだけのことでは、教科学習においては言えないと思います。実習こそ時間がかかりますので、アクティブ・ラーニングを背景にして安易に入れてもいけないと思いましたので、一言付け加えさせていただきました。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
まだ議論は尽きない感じがいたしますし、これは本当に体育・保健体育だけではなかなか難しい問題ですので、他教科のワーキンググループの動きなども見ながら検討もできればと思いますし、また、委員の皆様におかれましては、言い足りなかったことや、こういう点もというところがありましたら、事務局の方にお寄せいただければ、それも踏まえて、またまとめさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、次の項目に入りたいと思っております。次は、食育に関わる資質・能力について意見交換をさせていただきたいと思います。まず、事務局から配付資料の説明をお願いいたします。
【竹林健康教育・食育課企画官】  健康教育・食育課企画官の竹林でございます。
食育について、資料は16ページからですが、16ページは表紙ですので、その次の17ページからということになります。
食育につきましては、食育基本法が平成17年に制定されまして、この10年間でかなり全般的に食育という言葉自体も定着して、もちろん学校現場はもとより、もう全体的に様々な関係者の間で定着してきたのではないかなと感じております。この食育につきましては、食育基本法に基づきまして、食育の推進が政府全体、さらには国民全体で推進していくという大きな目標が掲げられておりまして、政府としては、それに基づいて食育基本計画を策定しているところでございまして、現在、第3次食育推進基本計画の策定のまさに作業中でございます。
そして、この食育について、資料の19ページになりますけれども、そういった食育基本法を受けまして、もちろん学校教育においても、学習指導要領におきましても、「学校における食育の推進」、これが小・中・高のそれぞれの総則に明記されておりまして、これを踏まえて、発達の段階を踏まえた各教科等の特性に応じ、生涯を通じた健康・安全で活力ある生活を送るための基礎の育成ということが盛り込まれております。
こうした総則の記述を踏まえまして、関係する教科、それも幼稚園から高等学校まで、初等中等教育段階のあらゆる段階にそれぞれ関連する教科の中に、食に関する指導、食育が盛り込まれております。
そこで、今、先ほど申し上げましたように、第3次食育推進基本計画を策定しているその作業の中で、様々な議論の中で、今、20代、30代といった若い世代の人たちの食生活、食育が大きな課題になっていると言われております。この20代、30代、かつては男性が多かったんですが、今はもう男女問わず、例えば、朝食を食べない、あるいは、偏った食生活をしている、あるいは、食生活が不規則であったり、偏ったりしている。そういったところが非常に大きな課題ということで議論されておりまして、自分の健康と、そういったものを考えますと、大体、人間40代、50代になると、自分の健康に不安を覚え始めて、非常に気にするようになるんですけれども、さすがに20代、30代、まだ若くて体力もあり、また新陳代謝も活発でありますので、なかなかそういったところに目が向かないと。ただ、今の20代、30代も、必ず10年後、20年後には40代、50代になりまして、同じように自分の健康に不安を覚える。これはもうほぼ100%そうなるということであれば、この若い世代に対する食育というのは、非常に大きな課題であると。
そのためには、もちろん学校現場では、まず20代、30代の一歩手前の高等学校段階、そこでの食育が非常に重要だというように考えております。小学校・中学校におきましては、給食がありまして、食育を進めるに当たって強力な手段があるんですけれども、一般に高等学校では給食は行われておりません。また、食育を進めるに当たって、中核的な役割を果たすのが栄養教諭なんですけど、これも小学校・中学校には配置されておりますが、高等学校には基本的にはほとんど配置されておりません。したがいまして、今後、高等学校では、もうこういった状況でございますので、今ある、例えば、家庭科であったり、保健体育であったり、あるいは、ロングホームルームという特活もそうなんですけれども、いずれも非常に限られた時間の中でやっていかないといけないという状況になっております。そのため、今後の検討の方向性、もちろん、小学校・中学校における教育の基礎の上に、まさに高等学校における家庭科などでも、そういった食育の充実をこれから検討していくといったところを、次の検討の方向性として今考えております。
ただ、そうは言いましても、家庭科にせよ、保健体育にせよ、非常に授業時数は限られておりますので、もちろん、食育だけではなくて、先ほどの安全教育であったり、また、次の保健教育、これらをいかにバランスよく盛り込んでいくかといったことが、これからの議論の中でも重要な論点になっていくのではないかと思います。食育ですので、やはり食育の中では栄養バランスを取るということが大事ですので、そういった意味でも、そういったバランスの中でも御議論いただければと思っております。
以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、ここからは食育に関して、関わる資質・能力について意見交換をさせていただきたいと思いますが、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  知・徳・体育を支えるのが食育だと、私は思っております。そういう中で、先ほどもお話がありましたけど、第2次食育推進基本計画が27年度に終了して、3次計画が出てくると思います。今、和食がすごく見直されている中で、やっぱり日本人の食生活といったら、欧米化していたりとか、今、大変乱れた生活にあると思っています。小・中学校は給食があるなしもありますが、ほとんどあるところが多いと思います。給食を生きた教材として、給食の時間、及び、その他、特別活動等で指導する場合もありますが、実を言うと、本当に食育を行う時間が足りない。保健体育、家庭科では幾らか学習指導要領に入っていますけれども、本当に食育に対して重点的にやるような時間がまずないです。そういう意味では、私たちの健康の中で、食べることというのはものすごく大きく影響する中で、食育がやれる場がないというのが、本当の学校の現実というか、状況です。
以前に比べたら、随分食育という言葉が浸透してきましたが、食に関する指導から食育と言われていて、組織的に取り組もうと頑張ってはいるのですが、なかなか推進できていないのが現状です。
そういう中で、早寝早起き朝ごはんというのは、すごく言葉が随分浸透してきたと思うのですが、じゃ、朝ごはんの内容はどうかというと、決して本当にいいかなという内容ではない、例えば、飲み物とスナック菓子が朝食の内容であったりとか、非常にバランスのいい朝食を食べているかどうかというのは疑問です。
それから、あと、肥満の問題はもちろんあるんですが、女の子の場合、やせ志向がすごく今多くなっています。これがどういうことにつながっていくのかということをもっと学習させなければいけないと思っています。
それから、孤食、一人で食べるということが、すごく生活リズムの中で多かったんです。親御さんも働いているとか、中学生ぐらいだと塾に行かなきゃいけない、習い事がある。そういう中で、孤食というのが課題になりまして、これからは共食、共に食べる、親子で食べる、これが食育の大事なこれからの課題かなと思います。共に食べて、バランスよく、お互いに心の交流を持って。ただ食べるだけじゃないですから、食べることは、心の交流とか、ものの大事さとか、感謝の気持ちとか、それから、日本食というか、食事の伝統について感じるとか、いろんな意味で食というのは、心身共に大きな影響があると思いますので、是非是非、食育ができる場面をたくさん増やしていただければ、私はありがたいなと思っています。 以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
では、五十嵐委員、お願いいたします。
【五十嵐委員】  3点補足させていただきたいと思います。
今、青木先生がやせ願望のことを御指摘になりましたけれども、これは非常に重要なことでして。実は、我が国は、栄養状況が非常にいい先進諸国の中で、生まれてくる子供たちの出生時の平均体重が唯一年を追って低下している国なんですね。今、男女共に子供が生まれてくる平均体重は2,950グラム、3,000グラムを切ってしまいました。今から30年、40年前は、3,200グラムです。小さく産んで大きく育てればいいだろうというのは、一時そういう考え方がありましたけど、大きな間違いです。小さく産んだ子供たちというのは、最初はバーカー説で成人病が多いという、つまり、代謝的な問題だけだったわけですけど、これはもう中枢神経にも大きな影響があるということがはっきり分かりましたので、小さく産んで大きく育てるということは間違いなんですね。だから、これをまず一つ考えていただきたいと思います。
それから、もう一つは、日本は、アメリカのように、ああいう非常に極端な肥満が少ない国ではあるんですが、それでも今、10%の子供たちが肥満のカテゴリーに入りつつあるんですね。これはやはり非常に問題だと思います。これは特に代謝の問題で、いろいろ成人病が出てくるということが大きなリスクになるのではないかと思います。
もう一つ申し上げなければいけないのは、実は、和食もいいんですが、日本の和食は、カルシウムやビタミンDが足りないんですね。普通に食べていると、多分、必要な所要量をカバーできていないんですね。ですから、これは小さな子供の場合には、くる病ということで、これは昭和20年代の小児科学の非常に大きなテーマで、今ほとんどないと言われていますが、実はまた増えてきています。
もう一つは、これは女性に特に問題ですが、成人になって、30、40になってきて、骨粗鬆症の問題になってきますね。今、日照時間との問題もあるんですけれども、東北地方より北のところの地域では、こうしたリスクが高いですので。日本は非常に細いですが、北から南まで、沖縄まで行くと、非常に長い、3,000キロに及ぶ国ですので、なかなか一概には言えないんですが、特に北の方の地域の方は、そういうリスクが高いんだということで、あえてふだんから気を付けてビタミンDやカルシウムを取っていかなければいけないというような、教科書の中で一律に書けないのかもしれませんけれども、地域の特性に応じた食生活というのもあるんだということも、子供たちに教える必要があるのではないかと思っています。
【山口主査】  ありがとうございました。
渡邉委員、どうぞ。
【渡邉委員】  3点ほどあるんですが。
まず、自己管理能力という言葉が何度も出てきます。キーワードになっていると思うんですけれど、例えば、「育成すべき資質・能力」の中に、食に関する自己管理能力の基礎となる云々とあるんですけれど、能力を、言ってみれば育成するための能力みたいな書きぶりになっているのが、ちょっと違和感があるというか。能力のための能力というか。これは書きぶりを何か分かりやすくできないのかなと思いました。
その自己管理能力の自己のところなんですが、最初の資質・能力のところに自己管理能力の自己があって、次は自らの健康をというふうになっているんですが、自分の問題だけでいいのかどうかということですね。食生活というのは、当然、家庭でみんなで食べたりすることがあるわけですし、子供たちは大人になります。そうすると、自分の管理をしていれば、それでいい、十分かどうか。要するに、自他の問題ですね。先ほどの安全ですと、自助をベースにして共助というのがあるわけですけれど、食育が自分の問題だけに集約しているのが、違和感があったのが2点目です。
3点目は、これは19ページになるんですが、書かれていない内容なんですけれど、もしかしたら、これは食育ではなくて、次の保健の方になるのかもしれませんが、やっぱり食べることに関わって出てくる問題としては、食物アレルギーの問題があると思うんですね。給食によってアナフィラキシーの事故が起きるということもありますけれど、そういったことが何も触れていなくていいのかなということなんですね。食物アレルギーは、それぞれの子供の問題ですから、その子が知っていることも大事ですけれど、クラスに食物アレルギーの子がいたら、ほかの子もそれをちゃんと理解しなければいけないということになります。今、保健ではアレルギーのことを扱っていないんですね。そうなりますと、食育の中で、そういったこともあるということを触れていただいた方が、事故防止にもつながりますし、大事なことかなと。命に関わる問題なので。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
青木委員、先で、次、佐藤委員、お願いいたします。
【青木委員】  中学校までは給食があるので、目の前に生きた教材があって、いろんな食の勉強もしやすい環境にはあるのです。うちの子供を見ていると、高校に入った途端に、野菜は食べないとか、牛乳をまず飲まない。そういうことがあったりして、高校ぐらいになると、自分で選んで、コンビニ食をうまく取り入れながら、あるいは、学食を使いながらでも、ちょっと考えてやりなさいよというふうに中学までは指導するのですが、現実どうかというと、やはり自分の好きなものだけ食べるような状況が、うちの子供を見ていても思いました。高校ほど、私は、学校でそういう給食がない分、食育を進めてもらわなければいけないなと思います。家庭科とか保健体育、それから、今、東京都は、小・中学校には食育リーダーがいるのです。そういう担当を組織で作ってもらって、食育を子供たちにあえて教える機会を、考えさせる機会を持っていただければありがたいと思います。
若い世代が、本当に今、朝食欠食で仕事に行くとか、あるいは、バランスの悪い食事を取っていることが心配です。是非お願いしたいと思います。また、アレルギーの問題が現場ではすごく大きいです。今、除去食だ、代替食だと、給食に対しても、ものすごくぴりぴりとしながら対応しています。そういう意味では、子供たち、その本人だけではなくて、クラスのほかの子たちもそのことを理解していないと、事故が起こることが本当にありますので、アレルギーのことも触れていただければありがたいなと思います。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
では、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 高校の方で食育のことを扱うのは、保健体育と家庭科だと思います。実際に高校で教えている中で、健康の保持増進と疾病の生活習慣病に関連したところで教えてますが、非常に内容が多いと感じています。先ほどから、女の子だとやせのこと、生活習慣病のこと、朝食欠食などとありますが、こういった内容は非常に大事で、親がご飯を作ってというような形から、高校を卒業すると一人暮らしというふうな形になるので、非常に大事だなと思っています。
そこで、保健だとここの部分で、家庭科だとこんな部分でというようなことをすみ分けと、連携を図るということが非常に大事かなと。同じようなことを家庭科でも言って、保健体育でも指導してと、ダブるのはいいところもありますが、その辺の連携をうまく取ると、もっと充実した指導ができるのではないかと感じているところです。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、鈴木委員、お願いします。
【鈴木(美)委員】  教科にはそれぞれに目標やねらいがあるかと思うんですけれども、現行の学習指導要領の中には、食育の場合は、食育の観点を踏まえつつというのが、体育や特別活動の中に入っています。それぞれ教科のねらいに沿って授業を行っていく中で、さらに食育の観点も踏まえつつといったところが、現場では、どこの部分なんだろうなといったところで、よく質問が出ます。食育基本法や食に関する指導の目標が示され、先ほど青木委員からもありましたとおり、感謝だとか、伝統文化だとか、栄養バランスだとか、幾つか目標がある中で、「食育の観点を踏まえつつ」というのはそういった意味合いなのかなとは私は捉えているんですけれども、現場の末端までは届いていないと感じています。この「食育の観点を踏まえつつ」という意味合いというのが、もう少し分かりやすく学習指導要領の中に反映されるといいと考えています。 以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
では、野津委員、お願いします。
【野津主査代理】  資料では17ページ、18ページに関わるところの意見でございます。
既に他の委員から指摘されていることと重なる部分はありますが、「育成すべき資質・能力」に関してのところ、やはり個人の能力のことにとどまっていて、もう少し食に係る社会づくり、環境づくりといいますか、そうした視点からの資質・能力をうたい上げることはできないのかと思います。例えばグローバル社会と言われる中で、栄養失調で亡くなる地球上の子供たちがたくさんいる。そうした中で、我が国の国民を、どういう食に関しての資質・能力を持たせるかといったときに、そういった視点も扱い得るような書きぶりが求められるのではないか。
それから、2つ目としましては、先ほど佐藤委員からも言われましたけれども、他の教科等というところで、具体的にどこがどう担っていくのかというような、安全に示されているような、同様の資料が作られる必要があると思います。家庭科と保健体育、さらには、特活や総合や道徳も様々あるでしょう。食育基本法に示されている生産者への感謝の気持ちとか、求めている資質・能力からいくと、そういった守備範囲は出てくると思うんですね。今回は、3つ目の柱として、教科横断的なカリキュラム・マネジメントをうたっている中で、その辺が整理がついていないと、総則で食育に関して高らかに示したものの、家庭科と保健体育だけとならないようにもう少しその辺の視点を考えた方がいい。
ただ、食育も重点的に書き、その大部分が保健体育の保健となりますと、先ほどの安全と同じように、さらに時間が必要になってしまうということですので、教科横断的にしっかり引き取っていくという書きぶりが必要かと思うんです。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
では、横嶋委員、お願いします。
【横嶋委員】  先ほどから出ている意見とも重複があるかと思いますけれども、食育を推進するためには、やはり学校の中で推進する中核となる人がいないと、なかなか推進できないのかなと思います。そういう意味では、小学校・中学校では教育課程に位置付けて、しっかり推進できる土壌ができつつあるのかなと思います。その辺が高校については、まだちょっと厳しい状況ではないかと思っております。
次に、家庭科と保健のすみ分けの部分では、保健の取扱いとしては、健康の保持増進、または、疾病の予防、発育・発達、そのどれかにどう関わっているかという部分なのかなと思いますので、今申し上げた3つの点には全て食育が関わっているかなと思います。そういう視点で食育を捉えていく必要があるかなと。
家庭科は、高校の指導要領を見ますと、「健康で安全な食生活を営むために必要な栄養、食品、調理、食品衛生などの基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、生涯を見通した食生活を営むことができるようにする。」が目標となっているので、保健と家庭科のすみ分けは、できているのかなと思います。
それから、小・中・高と継続的に食育を推進していくためには、やはり教科を基本として、特活などで、よりそれを膨らませていく必要があるかと思いますので、今、保健、家庭科両方で推進しているものを、時数を単に増やすということではなくて、中身の充実を図っていくということは、これから必要ではないかなと思っております。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
一通り御意見を頂いたところですけど、私、個人的に最近感じていますのは、やはり子供の貧困ということが大きな話題になっておりまして、家庭で選んで食育が生かされて、バランスの取れたということは、当然望ましいんですけど、そもそもそういったことが望めない家庭も多くなってきているという視点から、こんなふうに理想論を一所懸命言っても、家に帰ったら本当に選べない。大学生なんかもやはり最近いますけれども、100円のパンを買うか90円のパンを買うか迷うぐらいの苦労をしている学生たちもいますし、やっぱりそういったところもある程度配慮しながら、こういう食育が理想だということは分かるんですけど、時代背景的に、そこをどういうふうに教育としても盛り込んでいくのかということも、少し観点にも入れる時代になってきたのかなと若干感じているところではあります。
では、高橋委員。
【高橋委員】  私の発言は全部広い観点しかいかないかもしれないんですが、青木委員がおっしゃったように、本当に命を育んでいるということがベースにあると。それは、保健体育とか、体育とかというんじゃなくて、本当にもう私たちが生きることのベース、それの意味では、辰巳芳子さんという料理家がいますけれども、彼女を、私が附属鎌倉小学校の校長をしていたときに呼びまして、大豆を育てるところからいくというような話をされていて。例えば、食べるということと踊るという異文化を理解するには、すごくそういうことが大事だというんで、社会科の授業だとか国際理解なんかでは、踊りも学んで、食べることもしてみようとか、衣装も着てみようみたいなことがあるのですが。どちらにしても、私たちが生きていく上の、本当に食べなかったら死んでしまう。山口主査がおっしゃったように、この間、痛ましい、食べれない子がティッシュを口にくわえたというような、決して日本は全然裕福ではない時代に突入しているなというふうに思います。
小学校では、やっぱり栄養士が、いかに思いを込めて作っているかとか、それから、地産地消ということがとても大事に叫ばれていて、周りの農家の方が作っているものを本当に自分たちが食べていくんだみたいなことを総合的に学べるような仕掛けが必要だろうし、大学生も、私のゼミは、火曜日は毎週当番で作るんですね。全然作ったことがない子が、どうしようと言って、夜中3時までおにぎりを握りましたとか。でも、どんどんやっていくうちになってくるし、遅くはないと思います。だから、ずっと小さいときから上に行くまで、本当に命を育てているという意識をどうやってつくっていくかということが大事になろうし、高校生ぐらいだと、もう母胎、妊娠して出産するというときに、いかに自分の体から産み落とすときに、健康じゃないと本当に大変な状況になるということも含めて、とても広い観点から食べるということを学校教育の本当にベースに置いてもらえていく1つの流れの中に、この食育があるかなと思います。
【山口主査】  ありがとうございます。
それでは、友添委員、お願いいたします。
【友添委員】  今お話を伺っていて、多分、いろんな複層的なところが混線しながら議論が進みかけているなというふうに感じています。資質・能力の問題、これはカリキュラム・マネジメントの問題だと思います。あと、ティーチングスキル、教授技術の問題があったり、あるいは、モチベーションをどう生み出すのかという、これはストラテジー、指導法や指導方略の問題があるわけですけれども、これが三つ巴で現象だけが取り出されてきて議論をしてしまうと、やはり問題がよく見えなくなってしまうのではないかというふうに考えながら聞いていたところです。
というのは、高校の保健体育の体育理論の2年生のところに、ある意味では、この食育と関わる記載があるわけです。体との関連で、食生活の改善をしたら、自分の体がどのように効果的にいい状態が生まれるのかということを学ぼうというようなところでありますけれども、実際に高校の授業を拝見していて、一番食い付きのいい授業の一つでもあるんですね。特にアスリート飯だとか勝負飯と言われている、ああいう形で教材を出していくと、多分、高校生にとっては非常に興味深く、また、問題意識も持ちやすい、食い付きがいい教材であると言えると思うんですね。
他方で、私の所属する大学を見てみると、スポーツ栄養の授業は人気があって、学生の興味・関心が強くて需要が高いです。これもひとつの現実だと思います。そう考えてみると、今ここで先生方がお話しになっている現実は、どうも少し違うように思えてきます。ただし、その現実というのは、恐らく表裏一体だとも思っています。
例えば、先ほどから申し上げているように、今、資質・能力の問題に限定して議論をしていったときに、例えば、体育の領域、あるいは保健の領域で、この食育に関わってどのような資質・能力が養われなければいけないのかということだけに焦点を絞って議論を進めていくことに徹していった方が、実は、社会状況とか、家庭の問題だとか、いろんな複雑な問題はもちろんあるわけですけど、一旦それは括弧にくくる必要があるのではないかということを感じています。また、今お話しした現実の二面性、両方とも恐らく表裏一体をなしているものだろうと思うのですが、教授技術の問題やモチベーションの問題がほとんど絡んでくるところであって、今、私たちがここで議論しなければいけないのは、資質・能力に特化した問題だろうということを改めて主査に提言したいと思います。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、中村委員、お願いいたします。
【中村委員】  また観点が違ってしまうんですけど。食事とか、運動とか、いわゆる休養及び睡眠については、健康的な生活習慣の形成とあるので、そこを考えると、私は個人的には、連鎖をするということがすごく大事で、生活習慣ですから。だから、体を動かして、おいしいご飯を食べて、ぐっすり寝て、できれば排泄も含めて、そういったところをきちんと押さえた上で、先ほどから皆さんがおっしゃっているような中身の充実をしていくことが大事なのかな。それがばらばらで来てしまうと、多分、子供たちにとっては、非常に難しい理解になってしまうような気がしています。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
一通り御意見を頂戴いたしました。食育が大事だということは、皆さん、本当に共通しているところで。ただ、これを指導要領のところで、保健体育というところで、どういうふうに落とし込んでいくかというところは、友添委員も言われたように、育成すべき資質・能力というところにある程度限定をして書き込んでいかなければいけないというところはあると思うんですが、委員の皆様方の御意見を一度同じようにまとめさせていただいた中で、そういったところを抽出していければと考えております。
それでは、次に参りたいと思います。心身の健康の保持増進に関する指導の資質・能力について、意見交換をさせていただきたいと思います。まずは、事務局から配付資料の説明をお願いいたします。
【森教科調査官】  配付資料の20ページ、心身の健康の保持増進に関する指導の資質・能力の育成を御覧ください。
ここでは、総則1の3「体育・健康に関する指導の健康に関する指導」に位置付いている「心身の健康の保持増進に関する指導」について説明します。
21ページをお願いします。 この指導についての資質・能力については、様々な教科・領域にまたがることから、関連する教科等が引き取りやすいように、なるべくシンプルで分かりやすい形にして提案させていただきました。
最初に、三本柱のうちの一つである知識・技能についてですが、ここについては、健康な生活を送るための基礎となる各教科等の知識・技能が位置付きます。そして、思考力・判断力・表現力については、保健体育の目標にある「自らの健康を適切に管理し、改善していく力」、そして、最後に、3つ目の柱になりますが、ここは健康の大切さ、健康の保持増進に向かう情意や態度等を提案させていただきました。
今までの議論で、自分だけでなく他人の健康に対しても意識できるようにするという話もありましたが、小。中・高等学校全体を考えて「自らの健康」にしています。それによって、それぞれの教科・領域に共通的な資質・能力が考えやすくなったと思いますので、さらに御議論いただければと思います。
これらの資質・能力をどう育むかというところに関しましては、これは体育・保健体育が中心となりますので、保健に関わる学習プロセスと非常に近い形で、健康に関する課題解決的な学習プロセスが必要と考えました。
また、この指導においては、教科等間相互の連携をいかに図るか、つまりカリキュラム・マネジメントが非常に重要になってくると思います。例えば、保健と関連教科等の学習、特別活動等の連携が求められます。安全のところで鈴木委員からお話がありましたように、保健も集団指導と個別指導に関する連携も踏まえて考えていくということが重要だと認識しております。それらについてご意見をいただけるとありがたいです。
22ページをお願いします。先ほど説明させていただいたように、「心身の健康の保持増進に関する指導」の資質・能力を三本の柱でイメージさせていただきました。また、現在、様々な健康課題が出てきており、それに対して法令等を示してあります。教育振興基本計画や健康増進法はもとより、歯科口腔保健の推進に関する法律、アルコール健康障害対策基本法、それから、少子化社会対策大綱、がん対策推進基本計画、消費者基本計画。この消費者基本計画の中には、参考資料にありますように、薬物乱用に関するような内容も入っています。
特に、がん対策推進基本計画を踏まえて、文部科学省において、がんの教育の在り方に関する検討会が開かれ、報告書等も出ているところです。これは2回目のときに私の方から説明させていただきましたように、現在の保健が一次予防中心の内容になっている中、二次予防、三次予防の内容を入れるかどうかという議論にも関わるところです。そういった内容を踏まえて、この指導の資質・能力について御議論いただければありがたいです。
23ページをお願いします。発達の段階に応じて3つの資質・能力を育むことを考えたときに、現行の授業では主に体育・保健体育と特別活動、そして、総合的な学習の時間に健康が位置付いているので、この三つを基本としながら、心身の健康の保持増進に関する指導を充実していくことを提案させていただいているというところです。
内容に関するところでは、5つ目のところに、少子高齢化やがんなども明記させていただきましたので、御議論いただければありがたいと思います。
【山口主査】  ありがとうございました。
ここも非常に議論しにくいといいますか、非常に広い分野でございますので、なかなか難しい議論になるとは思いますけれども、委員の皆様方から御意見を是非頂戴できればと思っておりますが、いかがでしょうか。
では、野津委員、お願いいたします。
【野津主査代理】  少子高齢化という言葉が今紹介されましたけれども、グローバル化、高度情報化ということも大いに念頭に置かないと、保健のこれからの10年間を見通した内容の改善ということでは足りないと思います。
そうした中で、まさに急速な変化をそれぞれ遂げているわけですので、予測できない課題が出てくる。健康に関して、先ほど安全、食もそうなのだと思いますけれども、予期できぬ健康課題が出てきたことに対して、適切に対応できる基礎・基本としての学力ということで、どう資質・能力を身に付けるかということ、あるいはどういう内容が必要なのかということが非常に重要だと思います。
そのときに、先ほどの繰り返しになりますが、リスクの概念というのが非常に重要ということが1つと、あと、社会学的な内容ということをもっと重視していかないと、予測不能の社会の急速な変化に対応していける適切な能力ということに応えられないのではないかなと思います。
【山口主査】  ありがとうございました。
ほかに、御意見いかがでしょうか。
恐らく健康という概念そのものも、近年、随分変わってきている傾向もありますし、健康という言葉をどういうふうに捉えて、そして、子供たちにどのように伝え、そして、何が大切かというのを伝えていくかというのは、恐らく現場の先生方が実はとても困っていらっしゃる部分なのかなというふうにも、正直なところ思うわけなんですけれども、どなたか現場の先生。近藤委員、お願いいたします。
【近藤委員】  ありがとうございます。
ちょっと森先生にお聞きしたいんですけど、基本的に、先ほど友添委員がおっしゃったように、ここでは資質・能力というのは何かということに限定して話を進めた方がいいなと思っていて。その意味では、21ページに書いてある、または、22ページに示されているような、この3つの柱に沿った、非常にざっくりとした大きなくくりでの標記というのは、私はこれでいいと思っています。
ただ、現場レベルで言うと、例えば、健康な生活を送るための基礎となる保健領域の知識・技能というのは、例えば、具体的にどんなものを想定していらっしゃるのかというのを聞きたいんですね。これだけだと、どんなものというのが全然見えてこないので、例えば、小学校レベルでいったら、どんなものを想定しているかというのをちょっと教えていただいてよろしいですか。
【森教科調査官】  ありがとうございます。
小学校では、例えば、毎日の生活と健康の中で、主体と環境について内容として示されています。その主体に関わる知識として、食事、運動、休養及び睡眠の調和、それから、体の清潔などが位置付いています。
技能については、前回議論していただいたように、応急手当の簡単なけがの手当の仕方があります。技能に関してはそれ以外にも、例えば、手の洗い方とか、歯磨きの仕方なども考えられますが、そういったものは、今のところ保健指導で行われています。この辺をやっぱり整理していく必要があると思っています。
小学校については、新しいものが入ってきたときにどうなるか検討することは必要ですが、ベースは現行の学習指導要領ではないかなと思います。
基本的には、今、保健の小学校で示されている内容というのが基盤になりますが、そこに新しいものが入ってきたときにどうなるかということだと考えています。基本は、ベースは、今の学習指導要領ではないかなと感じているところです。
【近藤委員】  ありがとうございました。
それを聞きたかったんですね。つまり、前回からもそうなんですけど、何かそれに関わって、こういう新しい表現の仕方が出てきて、それに伴って、新しい内容なり、新しい技能なりというものが入ってきたときには、先ほどもお話をさせていただいた、現場としては、やっぱりそれとセットで時間の確保ということがないと、絵に描いた餅になってしまう。
逆に、今、森先生がおっしゃられたように、現行でやっていることがここに位置付くということであれば、それは無理なく現場にも、まさに今やっていますので。しかも、その技能という、保健領域に関わる技能という面では、例えば、今、手洗い、保健指導で関わっているものが、こういうところに入ってきた方が、もしかしたら現場サイドで分かりやすいかもしれないので、基本的には、今やっていることの位置付けをより分かりやすく、健康という視点で分かりやすくまとめるという方向で考えた方がいいかなと思っています。
ちなみに、横浜でも健康科ということを中心にして研究している学校があるんですけれども、そこは、例えば、心・体・食というような大きなくくりで年間35時間、学校裁量の時間と総合的な時間も含めてやっているという学校があるので、今、学校が取り組んでいることが、より分かりやすくなるような形での示し方がいいのかなと思っていますし、冒頭お話をさせていただいたように、そういう意味では、この大きなくくりでの表現という方が、言葉は悪いですが、つぶしがきくというか、いろんな要素。それから、先ほど野津先生がおっしゃったように、将来、想定できないような内容が入ってきたときにも、大きなくくりで書かれていた方が対応がしやすいのかなという意味で、こういう形での資質・能力の示し方というのはいいんじゃないかなというふうに私は感じました。
以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
それでは、鈴木委員、お願いします。
【鈴木(美)委員】  先ほど手洗いと歯磨きの話が出ましたが、今、なぜそれが必要なのかといったときに、やり方が分かっても、必然性を感じないと、それが長続きしないということがあります。今現在は、保健学習と保健指導が別になっているので、時数の中でもしっかり教える、何でなんだろうといったところは、保健学習の中でしっかり教えることができているので、それは学校として教科横断的に学習することができています。
教科完結にしないで、私は、教科横断的なカリキュラム・マネジメントができるような、そんな保健体育であってほしいと、学習指導要領であってほしいと考えています。そうすることで、学校の独自性だとか、そういったものが出てくると思います。教科で完結してしまうと、小学校だと45分の中で全部教えなくてはいけない。実習も入れて、知識・理解も習得といったところだと、かなり難しい面があるので、そういった面でも教科横断的なカリキュラム・マネジメントができる学習指導要領になるといいと考えています。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、菊委員、お願いいたします。
【菊委員】  先ほど食育も含めてそう思ったんですけど、資質・能力というものをある意味それだけで抽出するということが、この総則の中に載っている目的を達成するのに、果たして現場サイドにとって有効に働くのかなというのは、ちょっと疑問に思っているところがあります。
というのは、これ全体、21ページを見させていただくと、それぞれの最初に育成すべき資質・能力というのが3段階あるわけですよね。2つ目の丸に、アクティブ・ラーニングの視点からと、食育もありましたね。アクティブ・ラーニングの視点というのはやっぱり非常に重要で、それを考えると、1番目の丸のところは、最初に基礎となる云々と書いてあるんだけれども、これは教える側にとってはそれでいいんですが、子供の側からすると、こうやりなさい、ああやりなさい、これは大事なんだからやりなさいと言われても、なぜ大事なのか分からなければ、それはアクティブ・ラーニングにならないわけですよね。実際には、逆に、学習する主体である子どもの側からは健康の大事さだとか、身の回りのいろんな現象に対して比較検討したり、興味・関心を持ったり、そういうところから入っていくのではないかと思うのです。だから、その辺について現場の中でどういうふうなかみ合わせでそれを指導していったり、気付かせていったりするのかというのは、お任せすればいいという感じがするんですね。
そのときに、やはり基本的に押さえておかなければいけないのは、先ほど野津委員も言われてたんですけど、情報と知識に違いですよね。健康に関わる情報っていっぱいありますよね。私はよく、情報というのは、情に報いるだから、もう本当に感覚的で、非常に情緒的に訴えるというか、非常に分かりやすいから飛びつきやすいんだけれども、そうじゃなくて、やはり知識というのは、常に問いを持っているところに違いがある。なぜなんだろう、どうしてなんだということで情報がナレッジ化していくということなんです。心身の健康に関するまさに基礎的な知識、問いを持った知識って一体何なのかということを、この資質・能力の中で整理していただく必要があるんじゃないかなと考えます。
それは繰り返しになりますが、現代社会においてあまりにも情報が氾濫し過ぎているので、大人もどんどん情報に振り回されている、そういう時代だからこそ、やはりかなりきちっとしたモデルを作っていく必要があるのではないかなと感じた次第です。
以上です。
【野津主査代理】  今、菊委員が話題提供されました知識とか情報、さらには知恵とか、そういったものの概念的な共通理解ということは必要だとは思いますけれども、いずれにしましても、従来、知識・理解なんていう言い方をしている中で、今回は知識一言と技能と並んでいて、整理はついてきつつあると思います。
ところで、今日の議題を改めて確認させていただくんですけれども、健康・安全等における育成すべき資質・能力に焦点を当てて議論するということでいいんですが、ここのワーキンググループでは、保健体育の教科における資質・能力という議論は当然することで、それに合わせて、総則・評価特別部会のことを踏まえて、現行の総則(3)についても議論する必要があります。
前の会議でも言いましたけれども、これまでは各教科の完結を目指した議論はそれなりにされてきたわけですが、今回は、そうした議論で終始してしまうのではなくて、むしろ学校教育全体として、どういう資質・能力を身に付けるかということに関しての議論がまずされて論点整理され、それを踏まえた上での各教科での議論ということですので、総則のところの意見なのか保健体育のところの意見なのかを十分意識して議論することが望まれます。そこのところを是非よろしくお願いしたいと思います。
【山口主査】  ありがとうございます。
では、高橋委員、そして、青木委員に行きたいと思います。
【高橋委員】  今回、3つのことを話を詰めていこうというので、三本柱という趣旨を受けて、じゃというふうにしてきたと思うんですが、形としては、中に出てくる文言がちょっと違うぐらいで、すごく極端な言い方をしていますけれども、アクティブ・ラーニングで学ぶんだと。教科をもっと超えたところでというふうなことが再三言われていました。
話は全然違うんですが、マサイ族がなぜ病気をしないかという番組があって、歯を磨くのも、木を切って、こうやってするんだと。血を飲んで、全然もう成人病もならないと。あれも、もちろん日本と違いますから、病気もしたことがなく、あの細い体でぴょんぴょん飛び長生きをすると。
そうして見たときに、こういうふうに、法令はこうですよ、こうですよというふうに枝分かれすればするほど、大事な部分で何なんだろうというふうにならないようにしなければならないなと。そうすると、また友添委員は、「いや、ここで資質というのをするんですよ」というのはもう聞こえてきているんですけれども、絶えずそこを両方見ていかないと、さっき菊委員が言ったように、もう大体保健体育で考えるべきはこういうふうなことなんだからというふうになっていったときに、せっかくこれは保健と体育が一緒になりながら、10年先を見通してというふうなことを言っているわけですから、具体的にこうというわけではないんですけれども、方法もこうだ、これもこうだというふうになったときに陥りがちな部分にならないようにしなければならないと、自分にも言い聞かせているんですが、思ったことを申し上げました。
【山口主査】  ありがとうございました。
特に現場に落とし込んでいったときに、そこを現場の先生方が一番苦労されている、指導要領の若干評判の悪いところかなと思いますので、その辺は非常に重要な御指摘だと思います。
では、青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  今、指導要領の評判が悪いと。いや、決してそんなことはないと思います。昨日、たまたま教え子に体育の先生がいて、「いやあ、だんだんと指導要領を読み込むと内容が分かってきました。とても改善されているのが分かります」なんて、昨日、教え子が体育の先生で、そういうことを言っていました。私もそう思っています。
そういう中で、やはりこの運動、栄養、睡眠というのが健康の原則ということで、生きていくためには、さっきの食育と同じなんですけれども、やっぱり心身の健康というのは、本当に生きていくために、もう何はなくても、これが一番大事なことだと私は思います。
鈴木委員、野津委員がおっしゃるとおりに、横断的な取組をしていかないと、教科だけで完結はやっぱりできない。特に心身の健康の心の部分というのは、保健の部分でやる部分と、それから、ほかの部分が入ってこないと、本当にできないところもすごくありますので、横断的なカリキュラム・マネジメントは、絶対ここはまずお願いしたい。総則に載せていただきたいということ。
それから、現代的な課題の疾病とか、だんだん世の中は変わってきていて、今、これが話題だというのがあると思います。この先もこういうこと、例えば、がん教育なんかはそうだと思うんです。そういうことを、時数の決まった中で入れていくと大変だとずっと議論されてきましたけれども、やはりそこの精選を、今、一番国民病として私は大事なことではないかなと思っていますので、そこの比重とか、内容の精選とかをさらに深めていかないと、今までどおりもいいんでしょうけれども、そこで少し改善していかないと、子供たちの将来の健康にはつながっていかないのではないかなと思っていますので、もうちょっと横断的に考えながらも、保健体育の領域として、より深めてもらいたいと思っています。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、門田委員、その後、西岡委員に行きたいと思います。
【門田委員】  失礼します。資質・能力の育成にはまたつながらない話になって、大した話もできないんですけれども。
安全、食育、心身の健康という3つの内容の話をしているわけですが、学校現場で言いますと、安全に関する主任職は、案外管理職の先生がリーダーシップをとってされている場合がありまして、本県でも、防災については、また特化して教頭先生がとかいうような方向性があるわけなんですが。食に関しては、先ほど横嶋委員が言いましたように、やっぱり栄養教諭が大変重要なポジションを担っておりまして、食に関する教育もそうなんですが、学校給食とか、給食のいろんな問題に対しても、栄養教諭が対応しているというような状況で、大変大きなポジションとして頑張ってくれています。そして、心身の健康とか、そういった観点に関しましては、養護教諭が中心にということで、本当に教科横断的なカリキュラム・マネジメントと言いますが、いろんなところが関わって、そこに体育・保健体育で担えるところというので、子供たちの健やかな成長には一番大事な部分を今話をしているんだと思うんですが。
そういったところで、安全に関しては、結構リーダーシップを持っている管理職が、保健・健康教育については、養護教諭とか保健主事の先生が、こちらも結構リーダーシップを持っているんですが、食に関しては、まだなかなか栄養教諭も全校配置ではなかったり、あと、共同調理場という形で、学校に常駐していない場合もあったりしますので、そういう意味では、やっぱり校長先生とか教育委員会の強いリーダーシップの下に、そういったカリキュラム・マネジメントとかも確立していくといいかなと。そういったことが名称として総則の方にも載ってくると、思い入れが強くなるかなと思ったりもしました。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
今日話しているこの3点に関しては、教科外のところも非常に大きな役割を果たしているということですよね。教科横断もありますけれども、それぞれの担当と言ってはなんですけれども、責任を持たれる管理職の方だったり、養護教諭の先生だったり、そことの連携とも非常に大事になってくるという、貴重な御意見だと思いました。
では、西岡委員、お願いいたします。
【西岡委員】  私は、知識・技能といった場合の技能について、少々皆さんと違った意見を持っているんですが、前回まで欠席しておりましたので、的外れなことを申し上げるかもしれません。
ただ、技能の例として挙げられていました手洗いとかうがい、確かにこれは典型的な技能なのですけれども、ほかにも様々な健康上の技能ってあるかと思うのですね。そういうものを取り上げようとすると、限りなくなってくるとか、というようなことになってくるかなと思うんです。
一方で、技能に関わっては、認知的スキルなど、それが大事だということが言われておりまして、例えば、ストレス対処に関わって、ストレスの捉え方を変えてみるとか、あるいは、ストレス対処についても、例えば、それは問題解決のようなアプローチをするのかとか、あるいは、ストレスの反応を小さくするような対応をしていくのか。こういうふうな選択肢を考えてあげていくというようなこと、これも方法論を学んだ上で、あるいは、方略と申した方がいいのかもしれない、それを学んだ上で、それを適用していくような、使っていくようなものなんですよね。これは技能的な面があるかと思うんです。それを学んでいくと、対処の仕方が高まっていくからです。
こういうことが、私は技能とも言えるのではないかと思うのですが、一方で、これは思考・判断に関わることなのかもしれません。そういう点で、保健でいう技能って一体何なのかということを明確に定義しなくてはいけないのかなと思っております。
ストレス対処を挙げましたけれども、ほかにも、これは前回までの議論で、一般的なスキルということで、技能ということで排除されたのかもしれませんが、意思決定スキルなどを考えてみますと、米国の健康教育基準などを見ますと、意思決定スキルを、発達段階を踏まえて、指導の目標と申しましょうか、達成すべき目標などがどう変わっているかと見ていきますと、その中の大事な要素の中に、ある課題について選択肢を挙げて、それを実行した場合のプラスの結果とマイナスの結果を予想するなんていうことがされております。これは、先ほど野津先生が言われておりましたリスクの予想にも関わってくるかなと思うんですね。ある選択肢を取ったら、必ずよい面もあれば、悪い面もある。そういうことを予想させていくことにもつながるわけで、意思決定スキルなども、これは大事なものなのではないのかな。それは認知的スキルに当たるのではないのかなと考えるわけです。
こういうものを思考・判断で取り上げるには、余りにも意思決定スキルが広いような印象もありまして、そういう点で、繰り返しますけれども、保健でいう技能って一体何ぞや。それは思考・判断とは何が違うのかなんていうことを、もう少し明確にしていく必要があるのかなと考えます。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
この点については、これまでも御議論されてきているんですが、ある意味、非常に難しい、保健の分野で技能といったときに、何をもって技能と言うかと、そして、どのように指導要領に落とし込んでいくかというところは、逆に言うと、西岡先生からもっといい御意見がありましたら頂きたい。今の御意見はもちろん承りましたが、こんなことじゃないかというようなことも、是非、委員の先生方からは引き続き御意見を頂戴したいところだと思います。
では、杉本委員、どうぞ。
【杉本委員】  心身の健康の保持増進に関する指導に関してですが、我々は、心と体の一体化を目指して指導している中で、今、「心の問題が非常に大きい」ということを考えています。現在も保健の学習で、小学校で「心の健康」、中学校で「欲求やストレスの対処と心の健康」、また、高校でも「精神の健康」という単元で、発達段階に応じて、心の健康について指導はしています。また、その学習形態も、ブレインストーミングを入れたり、ロールプレイを入れたりしてやっているところです。しかしながら、子供たちは、その時間やその場では理解しても、それを実体験や実社会で継続して考え、生かしているかというところです。何度も繰り返し学習をし、理解を深めていくには、食育もそうだと思いますが、先ほどから出ているように、教科横断型で学習したり、モジュールという形で少しずつ時間を取っていったりするなどの工夫が必要なのではないかということを思いました。
特に食育では、給食の前に食材の話や栄養のことに関する話をしていくなど、毎日継続的にもできるので、そういった取り方も考えられると思います。
それから、もう一つ、総則でということでのお話もありましたが、先ほども他の委員がおっしゃっていた「命の大切さ」ということを、これからの子供たちにうんと言っていかなくてはいけないと思います。希死念慮を持っている思春期の子供たちがいるということを聞くと、義務教育段階でしっかりと「お互いを認め合うこと」そして「子供たち自身が自己肯定感や自己存在感を持つこと」が大切なことと思います。自分に自信を持ち、自他の命を大切にする心を培っていくためにも、「命」ということにも触れていったらいいと思いました。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
ほかに御意見はございますでしょうか。
一通り皆様から貴重な御意見を頂戴したわけですけれども、とりあえずここまで頂いた御意見で切らせていただきたいと思います。ただ、今日取り上げたこの3つに関しては、なかなか難しい部分もありますし、総則の部分でどのように取り上げていただくのか、それから、教科横断という観点からすると、どこが体育・保健体育が担うのか、小学校・中学校・高等学校でどういうふうに段階を経てつなげていくのかということも、なかなか議論を尽くせない部分ではありますけれども、本日頂いた御意見以外にも、持ち帰っていただいて、思い付いたことがありましたら、事務局の方に寄せていただければ、そういったことも共有していきたいと考えております。
それでは、本日用意した議題についてはここまでなんですが、もう少し時間がありますので、もしそのほかの観点、あるいは、これから考えていかなければいけないという部分で意見交換したいようなことがございましたら、委員の先生から何か少し時間を取って話をさせていただきたいと思います。
では、友添委員、お願いします。
【友添委員】   別に資質・能力だけにこだわっているわけではありません。かつての日本の教育史を見てみると、コアカリキュラムの時代はあったし、相関カリキュラムもやってきたし、教科単元もやってきて、それが今、もう一度見直しに入っている段階だなと感じているところです。
それと関連してなんですが、せっかく時間が空いたということでもありますので、運動部活動の位置付けみたいなことを少し皆さんで議論した方がいいんじゃないかというふうに提案したいと思います。
というのは、御存じのように、中教審の答申の中で、運動部活動の指導員、これは仮称ではありますけれども、これが設けられたということ、そして、今日午前中、実はスポーツ審議会というのがありまして、その中でも、運動部活動については、委員の大方の人たちが非常に興味・関心や運動部活動は大事だという問題意識をお持ちだったように個人的には感じたところもありますので、是非、この時間を有効に活用するという意味で、運動部活動について御議論していただければというふうに主査に進言したいと思います。
【山口主査】  ありがとうございます。
友添委員から、運動部活動の問題について少し議論をという話がございました。今、非常に話題にもなっているタイムリーなお話だと思いますが。
では、藤田委員、お願いいたします。
【藤田委員】  失礼します。また、現場の声として聞いていただければと思います。
私は山口主査のようにアスリートと言うより、未だ修行中の身なのですが、様々な稽古会とかで上手の先生に稽古を付けていただくことと併せて、現在、私自身が週に何回か中学生、高校生、大学生と、いわゆる運動部活動の中で生徒と一緒に汗を流しています。その中では、本当に教室では見ることのできない生徒の姿とか表情があるなと感じています。この部活動の価値については、また別の先生がたくさんお話ししていただけると思いますので、今回教頭という立場から、部活動の意義とか価値について、少しお話をさせていただきたいと思います。
1つは、学校力と言いますか、学校活性化の大きな力、起爆剤になっているという感じがします。強い弱いにかかわらず、教育課程外の活動として、体験・活動を通して「なすことによって学ぶ場」、口では表現することの難しい、いろんな思いを感じながら活動しているということを感じます。そう言った活動の場を学校教育活動の中で提供しているというのが学校の活性化の大きな力になっているのではないかということが1つ。
もう一つは、うちは中高一貫教育校なので、次年度の生徒募集のための学校説明会とか、学校の広報活動をやるのですが、その中で、生徒とか保護者から上がってくる質問項目の中に、文化系も含めて、部活動に関する質問が決して少なくありません。と言うより、部活動に関してのニーズは非常に高いと思います。もちろん、学校に行って勉強したいという気持ちと併せて、中学校になったら部活動に入って頑張ってみたい、頑張らせたい、と感じている生徒、保護者というのがたくさんいます。
一昨日でしたか、新聞にも、外部指導者の在り方が現在の位置づけからもう一つランクアップして、チーム学校としてのスタッフとして位置付いていくというようなニュースもあったようです。もちろん、そういう人の力も借りつつ、やっぱり学校の教員が子供たちと一緒に汗を流して活動するというところに大きな意義があると思います。部活動の指導を外部指導者に丸投げするということではなくて、学校教育の中で活動していく運動部活動というところを、やっぱりその根幹をしっかり押さえていくことが大切かなと感じています。 以上です。
【山口主査】  渡邉委員。
【渡邉委員】  今日は健康・安全に関する資質・能力の話なので、それに関連付けてちょっとお話ししたいと思います。
今の運動部指導員のことですけれど、これはチームとしての学校の答申案の中にも書かれておりますけれど、今、学校で、学校の管理下のけがについては、JSCの災害共済給付のデータを見ますと、中・高では半分が部活動であるということが非常に明確になっているわけです。その中で、外部の方が指導するとなったときに、やはり事故防止なり事故対応というのがきちっとできるのかどうかという、そういう不安ってすごくあると思うんですね。ですから、チームとしての学校の答申案の中のところにも、そのことは書かれていますけど、事故防止や事故や硫黄をきちんとするように書かれています。でも、具体的に何をどうするかということは示されていませんし、全ての指導員がそういう安全に対しての配慮というのができているかどうかというのも分からない。だから、そういうふうなところをしっかり制度化するなりしてやっていかないと、今までよりも、もしかしたら悪い状況になる可能性もあるかもしれないんですよね。ですから、学部指導員が運動部の活動を活性化していくという面もあるんだけれど、その反面にそういう事故の問題もあるんだということも、一緒に併せて考えていただきたいと思っています。
【山口主査】  佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】 ただいまチーム学校ということで、けがのことが話題になりました。学校現場にいると、専門で部活動を持っている先生もいれば、そうでない先生もいて、専門でないがゆえに非常に勉強しなければいけない、指導しなければならないということに、ストレスを感じている顧問もいるように感じています。
ただ、先ほど藤田委員が言いましたように、部活動の意義大きいと思っています。優勝するとか、しなければいけないという成績が全てではなく、同じ目標を持って、異学年の・活動をすること、1年生は1年生の役割、2年生3年生とそういったことの人との関わりや、組織的な活動ができることは、生徒に力になると感じています。
あとは、技術的な指導ができなくても、そのほかの部分での教員との関わりというようなこともあり、学校にいる分、外部指導者より、より理解をして、いろんな角度から指導ができるというようなことについても、部活動の意義ではないかなと感じているところです。
多忙化解消は必要なことだと思いますが学校教育の一環としてやっていくということについては、非常に意義を感じているというようなところです。
【山口主査】  ありがとうございます。
青木委員、お願いします。
【青木委員】  今、佐藤委員と同じなんですけれども、中学生にとって、部活動というのは本当に一番楽しい放課後の時間なんです。価値をすごく子供たちは持っています。
そういう中で、私たちは健全育成のために、部活動を通しながら体力向上とか、規律とか、態度とか、挨拶とか、そういうことを部活動を通じて指導しているところがあります。そして、その中で、異年齢との交流の中で、人間関係の構築とか、先生と生徒の関係とか、それから、自分自身がいろんなところで活躍すれば自己肯定感を高めるとか、私は大変意義がある部活動だと思っています。私自身が部活動で体育の教師になったというところがあるので、意外と人生観が部活動で影響されることってとてもあるんじゃないかと思っています。
そういう中で、中学校は、教育課程外に位置付けられているのがちょっと残念かなと思いながらも、教育活動の一環ということで、うちは教員が全員で複数で分担しています。教えられる人、教えられない人いますけれども、ペアを組みながら、そして、外部指導員も入れながら、外部指導員だけの部活動はないです。必ず正規の教員が付いて外部指導員を活用するという形でやっていますので、是非、この意義を踏まえて、極力――中に入れるのは厳しいと思います。教育課程内に入れるのは厳しいと思いますが、教育活動の本当に重要な一環という位置付けをこれからも残していただければありがたいなと思います。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございます。
この体育・保健体育のワーキングで多分ネガティブな意見は出るわけないなと思ってはいるんですけれども、ただ、体育・保健体育以外の先生方が非常に多い学校現場の中で、この意義を先生方にもどう理解していただくのかというところがすごく重要に、多分、今の時代はなってくるんじゃないかなと思います。多忙ということも本当に間違いないと思いますし、そのあたりがなかなか悩ましいところなんですが、近藤委員、現場でいかがでしょうか。
【近藤委員】  今の佐藤委員や青木委員と大体同じ文脈なんですけれども、部活動が教育的意義があるということについては、多分、国民的に支持があると思うんですね。なので、先ほども青木委員がおっしゃったように、きちんとした教育活動への位置付けということが、現場のモチベーションも高めますし、そういうことがここで言うことなのかどうか分からないんですけれども、きちんと教育活動の中の大切な学校教育の中の一つだよということを位置付けるということは、とても大切かなと思います。
一方で、今、多忙化という話がありましたけど、まさにそのとおりで、そういう問題が出ている。そして、チーム学校という、つまり、学校外の資源を学校教育に生かしていこうという気運がある中で、是非、この部活動の中に、どういう形がいいか、具体的なものはまたこれから精査していく必要があると思うんですけれども、外部資源を入れながら、より質の高い教育活動の中の一環としての部活動を進めていくのがいいのかなと思います。
また、学校現場サイドとして言えば、私は小学校なんですけれども、部活が仕事じゃないかと勘違いしている方がいなくもないという現状がないでしょうか。そうすると、さっきからここで一所懸命議論している、保健の資質・能力はとか、体育の資質・能力はと一所懸命やっているのに、部活を一所懸命やって、授業の質が伴わないといったら、何にもならないということですよね。だから、そこの、部活も重要で、とても大切な教育活動なんだけれども、体育科の教員として、やはり授業が一番大切で、もちろん、部活も大切だけど、そこは外部の資源にお手伝いいただけるような仕組みをつくっていくことが、これからとても大切なのかなと思っています。
私も青木先生と一緒で、例えば、地域型のスポーツクラブみたいに外に丸投げするというのは、日本の部活が今まで続いてきた中ではふさわしくないと思っていますので、是非、学校教育の中で位置付けとして明確にするとともに、外の資源を入れて、なるべく効果的で質の高い活動ができるような方向を考えていければなと思っております。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございます。
菊委員、お願いいたします。
【菊委員】  では、私はちょっと批判的な意見を述べさせていただきます。そもそも運動部のモデルはパブリックスクールですよね。パブリックスクールというのは、もともとは中・上流階級の学校で、そこで何で放課後でなければいけなかったのかというと、自治の問題がありました。課外活動というのは、自由に自分たちが学校の管理外で、試行錯誤して、その中で自分たちがスポーツを楽しむということを学ぶ場だったんです。だから、校庭じゃなくて、プレーイングフィールドと言われる、わざわざ学校から5分か10分ぐらい歩かないといけないようなフィールドを設けてやった訳なんですね。
つまり、どういうことかというと、まさにそういう自由性の中に、子供たちが自分たちで規律をつくっていくということが重視されたということです。まさに先ほどの思考・判断じゃないですけど、いろんな要素、エッセンスを自分たちが工夫する要素がそこにはある。だから、サッカーだとかラグビーだとかというものが、発明・発見できたわけですよね。まさにあれは子供たちが自分たちで工夫したものが発端なんです。
そういう意味から言うと、日本というのは、まさに明治維新で、なぜ大学という高等教育にまず運動部ができたか、校友会ができたかというと、これはそもそもが早くエリートを育てたいということだったわけです。それが大衆化していくわけです。そのときに、日本の運動部活動で一番問題なのは、やっぱり一元的モデルで、チャンピオンシップをつくるための運動部になっているということです。これが一番問題なんです。これは皆さん、よく分かっているはずなんですね。本当にいろんな様々な運動部活動があっていいはずなのに、日本は運動部活動におんぶにだっこで高度競技レベルの資質・能力というものを高めてきましたから、制度的に多様な目標を平等に許容する選択肢がないんですよね。選択肢があるのは、学校運動部だけではない活動の場を商業的に発展させてきた水泳と、あと体操ぐらいでしょうか。柔道なんかは道場というのがありますけれども、基本的には、中・高校でそういう運動部活動にもう完全に依存しちゃっているというところが、やっぱり非常に大きな問題を抱えているところであって、そういう大きな構造的な問題を抱えているということをやはり知っておくべきではないかと思います。
もちろん運動部活動は実際に関わっていて、教育的な成果があるということもよく分かりますし、そこでの子供たちの資質向上というのは、本当に授業以上にあるということは分かります。しかし、例えばそれは一人の生徒が、複数種目の運動部をやっちゃいけないんですかとか、シーズン制の運動部をやっちゃいけないんですかとか、というようにいろんな運動部活動の形態を考えるべきで、その辺のところは、きちっと議論していかなければいけないと考えます。
先ほど来おっしゃっているように、教育の範疇にとどまっていればいいと思うのです。とどまっていればいいものを、みんなチャンピオンシップの方向に一元的に行くものですから、しかも、その結果によってメリトクラシーが付いてきて、上の学校に進学できるとか、何らかの利益が付いてくる。運動部は、本来そのためにやっているわけじゃないですよね、中体連も、高体連も。その辺のところを、もうちょっときちっと現実を見据えながら議論して、よりよい運動部活動というものを考えていくべきだと考えます。現状は、もうそろそろ限界に来ているんじゃないかという気がします。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
では、横嶋委員、お願いします。
【横嶋委員】  行政におりますと、一番相談事案が多いのが部活動です。実際に、本市でも以前調査をしましたら、一番学校教育の中でやりがいを感じるというのが、部活動が一番多い。その一方で、負担を感じるのも一番多い。つまり、表裏一体になっているという現状があります。
実際の相談内容につきましては、体力と同じで、二極化が見られまして、やる人はやり過ぎている、やらない人は放棄してやらな過ぎで、両方の苦情相談があるというようなところが大きな課題ではないかなと思います。
その背景には、やはりこれまでの制度上の無理ももちろんあるとは思います。具体的な相談の内容としましては、創部してほしい、廃部しないでほしいとか、また、保護者や生徒のニーズが非常に多様化しているとか、また、指導者が足りないとか、教員の大会の審判などの補償問題をどうするのかとか、非常に多岐にわたっており、これも我々が即答えが出せない問題が非常に多い状況です。やはりそういったところを一つ一つ整理していく必要があり、そういう意味で 今回のチーム学校の議論には、私も非常に期待をしているところでございます。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、真如委員、お願いいたします。
【真如委員】  部活の話になって、少し考えてみますと、やっぱりスポーツを見るという子供たちは非常に多くなったようですよね。運動する子をもっともっと増やしていきたいなというためには、やっぱりその子供たちに、楽しいな、楽しかったなという感じを味わわせなければいけないと思うのですね。
実際に運動をやっていく中で、いろんなものが身に付くということは、今、先生方から話がありましたけれども、確かにそうだと思います。組織に入って、自分の思いだけでは簡単に進まないような世界で、たくさんのものが身に付けられるんですね。
ただ、中学校を見ますと、いろんな運動をしたいという気持ちが出てきたところで、施設の不十分さだとか、あるいは、指導者の不足だとかによって、自分のやりたい運動がなかなかできないというのがあるんですね。体育館も、大きな体育館を持っている学校もあれば、小学校と大して変わらないような体育館もあるので、そこでバドミントンをやったり、バレーをやったり、バスケットボールをやったりとかしていると、なかなか自分たちがやりたいスポーツはできない。
それでは、どうするんだということになって、教育委員会に部活をつくってくださいと来るわけですね。教育委員会は部活を創ってくださいと言っても、なかなか場所もないし、それから、指導できる先生もいないからというふうに答えると、今度は保護者の方も併せて、「それでは、放課後だけ隣の学校に行かせてやらせてもらえませんか」と言うんですよね。それも確かにいい方法だなと思うんですけれども、ちょっと心配なところは、やっぱり子供が動くわけですから、そういった意味での心配さと、それから、行くと相手方が困るということもあるんですよ。例えば、個人プレーであれば入ってきていいんですけれども、チームプレーで立派な選手が入ってくると、その弊害ではみ出す子供が出てくる。しかも、今のところ、外の学校から入ってきて、そのチームの選手として大会に出ることもできないということで、非常に難しいところがあるんですね。様々な難しいところがあるんで、そういったところが課題として残っている中で、何とかそういったものを改善してやっていく必要があるのかなと考えます。
ですから、勝利を目指していく部活動もあれば、それから、運動そのものを楽しむ部活動もある、そういった幅広い部活の楽しみ方ができる環境を、建物を含めて、これから考えていかないと、なかなか運動する子供たちが増えていかないかなというような気がします。その辺のところは大きな課題であるなということを考えています。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございました。
それでは、日野委員、お願いいたします。
【日野委員】  各委員さんと本当に重なるところも多いんですけれども、実際に学習指導要領の中で、前回、生徒の自主的・自発的な参加により行われる部活動と具体的に明記されましたので、それも引き続ききちんと位置付けていただきながら、今、ちょうど部活動の教育的効果を皆さんも言われているので、ちょうどこの議論の中で資質・能力ということも言われていますので、具体的に部活動でどんな資質・能力が育まれているのかというのも整理していくと、よりしっかりした成果として位置付けることができるのではないかなと思いました。そういった社会や世界とのつながりと言われているというところなんていうのは、まさしく学習したことを実際にやってみるところでもありますので、そういったところで育まれる力として、目標・目的を明確にすることが1つあるかなと思いました。
もう一つ、指導者の問題も言われたと思うんですけれども、ここの議論ではないんですけれども、実は、教員養成カリキュラムの中に、部活動に関する指導法というのは、学ぶところはないんですよね。そういった中で、小学校は体育の授業をするんですけれども、中・高の他教科や、特別支援、幼稚園の先生方にとってみると、そういった体育的行事も含めて、部活動に関する指導というよりもマネジメント、そういったものができていないということを前提にすると、より分かりやすく、より具体的な内容を提示してあげることが、それをよりよくしていくに必要ではないかなと思っています。
3つ目に、最後ですけれども、生徒のニーズにどう応じるかという、自主的に自発的に参加したくなるような部活動をどう位置付けていくのかというのも、各委員さんが言われたことではないかなと思うんですけれども。例えば、その在り方として、前回中村委員が言われた、指導法を教えるというのが必要ではないかと言われたと思うんですけど、部活動自体が、もっと生徒間で教えたりとか、指導力を身に付けるような場になっていったりとか、ニーズに応じたということがあったりとか、あるいは、ゆるスポーツと言われているものもありましたけれども。そういったことが、実は今日の議論の中で、総則の3番のところが言われたと思うんですけれども、今日議論しないところに、体力の向上に関する指導も、総則の3のところに位置付けられているんですね。そこの課題は、やっぱり運動部活動に入っていない子供たちが体力向上をどうするのかというところがあるんじゃないかなと思うんです。そういった子供たちも運動部活動により入りやすくとか、活動しやすくするというような手立ても、今後検討していけばいいのではないかなと思いました。
以上です。
【山口主査】  ありがとうございます。
では、高橋委員。
【高橋委員】  菊委員と似ている考えなんですけれども、教員が部活に関わっている人たちは、本当にブラック企業以上に自分の生活を粉にして子供たちに関わっていると。子供を産むとか育てるとかというのを放棄せざるを得ないような状況からは、やっぱり回避しなければならないかなと思います。
そういう中で、外部指導員という制度はいいんだけれども、昨日、私はダンスの方の関係で、横浜市のアートプロジェクトがどのぐらい行われているかと。130ぐらいのプロジェクトが各学校で、オペラに来てほしいとか、狂言に来てほしいとか、コンテンポラリーダンスが来てほしいとか、それがなされている。丸投げされていませんかという質問をしたんですね。そうすると、やっぱり教育委員会がコーディネーターになるかどうか分からないんですけれども、どうやってコーディネートしていくかという中間の役割が必要だろうと。それは部活に関しても同じだと思うんですね。平田オリザさんが、劇場法で外部指導者が入ってくるという方法をずっと入れ込んで、このぐらい芸術関係は入ってきたと。体育の方が、ようやくその流れを作ろうとしているときに、やっぱり芸術でもそうなんですけれども、どうやってコーディネートするかという役割をどこが担っていくのか。外部指導が来たときに、じゃ、校長先生がそういうふうなことをしていくんだろうかということを考えると、丸投げでは絶対だめだし、そういうところが問題になるかなという、課題として是非検討してほしいなと思います。
【山口主査】  ありがとうございました。
この議論に入るときに、多分、こういう様々な意見が出ると時間も足りなくなると予測はしながら入ったんですが、中村委員、友添委員の札が上がっておりますので、一言ずつ。友添委員には、最後、まとめも併せてお願いいたします。
【中村委員】  今、運動部活動の話なんですが、僕は昔から運動部と文化部と帰宅部という、何でこのくくりを作ってしまったのかなというのが、自分の経験の中でもすごく疑問でした。文化部の子供も運動したいんですね。帰宅部の子だって、たまには運動したいと思うんですね。運動部の子も、たまには文化的なことをやった方がいいと。その辺の自由性みたいなものが、私は問われるのかなと思っています。やっぱりほかの国と比較すると、その部分の窮屈さをすごく感じてしまう。それが1点です。
2つ目は、御意見が出たように、1つのスポーツをやり抜くことで身に付けられる能力って非常にあると思うんですね。でも、もう一方で、先ほどお話が出ましたけれども、競技スポーツではないスポーツの在り方みたいな、本来、体育・保健体育がねらっている生涯を通して運動をずっと継続できるということを考えると、生涯スポーツ的なねらいを持った部活動があってもいいのかなとは思います。ただ、このことに関する認知というのは非常に低い。特に部活に入る前の、小学校の先生方、申し訳ありませんが、スポーツ少年団の団体から、指導者からもう非常に低い。その部分というのは、これから解消していく必要があるのかなと思います。
もう一つ言うと、それを解消すると、引退という言葉は何であるのかなと。何で総体が終わると、インターハイが終わると引退するんだろうと。本来あってはいけない言葉ですね。ずっと運動を継続していくということを考えたら。ですから、引退ではなくて、3年生でいわゆる試合が終わった後も運動が継続できるような、そういった仕組みづくりも今後必要ではないかなと思っています。
以上です。
【友添委員】  1点だけ、菊先生のところで、そこだけ発言して終わろうと思ったんですけど。パブリックスクールの中で、具体的に、当初、菊先生おっしゃったとおりの、いわゆるクラブ活動の扱いだったわけですけれども、アーノルドというラグビー校の校長が、これを教育の一環として組み込むことによって、初めていわゆる運動部活動というのは教育的な意義を持って、イギリス国中に広がっていきました。このことは、やはり確認しておく必要があるのかなと思いました。
それと、もう1点、実は、多様な運動部の在り方を言う前に、もう現実的に多様な運動部になりつつあるということは、やはり確認しておいた方がいいと思うんですね。何かというと、勝利を目指さない運動部が創られてきたり、あるいは、リーグ戦でもって、トーナメントはもうやめたということで、近隣の高校が集まってリーグ戦でもって部活動をやっていこうというような実践が行われてきたりするような学校もある。それは、オルタナティブな運動部の在り方を追求していくということは、逆に言うと、インターハイだとか全中の試合の在り方、あるいは、中体連や高体連そのものの在り方、そこをどう改善していくのか、あるいは、どういうような新たな組織を組み込んでいくのかという問題とも関係してくると考えています。特に、超少子化社会の中で、子供が激減していく中では、今までのような運動部活動の在り方そのものにはやはり限界があるということの共通認識を部会として持っておく必要があるだろうと思っています。
それと、最後ですけれども、大事な点は何かというと、運動部活動を特に地域に委譲した方がいいというのは、先生方、御記憶があると思うのですが、学校スリム化論、つまり、余りにも学校が多くのものを背負い込み過ぎて、スリム化論が起こったときに、地域に委譲しようという経済界の要請もあったり、週休2日制が始まったりした、そういう社会背景の下にありました。もちろん、それはその時代の要請で、私は決してだめだったとは思っていないわけでありますけれども、また時代状況が変わってきた今、実際のところ、運動部の中でも世間話をしたり、居場所として運動部の存在価値があったりで、だから学校へ行くという子供たち、不登校にならない子供たちも実は現実にいて、おしゃべりの合間にスポーツを少しするような部も、実はある中学校なんかではあるという報告もありますから、現実は、実はもっと多様に変化しつつあるということを認めなければいけないと思っています。
と同時に、この部会としては、運動部というのは、学校教育の一環として学校にあるべきだということを確認しておきたいと思いますし、むしろ、これをこのワーキングの総意だというところで、せっかくですから、今、この中で合意をつくっておければなと実は思っているところです。
【山口主査】  ありがとうございました。
最後に言っていただきました、学校の中に位置付けるというところについては、私が先生方から御意見を頂戴した中では、そういった意見が多かったように思いますが、その点は大丈夫でしょうか。その点に関しては、このワーキンググループの総意として、運動部活動は学校の活動の一環に位置付けたいということは共通認識が取れたのではないかと思います。
本日は、「安全」、「食育」、そして「心身の健康の保持増進」、そして、その他といたしまして、運動部活動で、部活動について様々な御意見を頂戴いたしました。時間も参りましたので、本日はここまでとさせていただきたいと思います。
本日、この会でお出しいただきました御意見については、事務局で論点ごとにその趣旨を整理し、必要に応じて、他の部会等への報告等をお願いいたします。
なお、限られた時間内での討議でしたので、さらに御意見やお気付きの点などがあれば、事務局の方までメール等で送っていただければと思います。
それでは、この後の次回以降の日程等につきまして、事務局からお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。時間が超過しており、まことに申し訳ないんですけれども、次回の総則部会等とのつなぎの件で、私の方から少し申し上げさせていただいて、その後、高﨑補佐の方から、次回の御予定を御説明させていただきます。
本日、幅広な御意見を頂きましたので、総則もしくは各教科に関わる部分につきましては、次回の総則部会で議論をさせていただきたいと思います。部活動も含めまして、本日頂いた御議論、本日の資料をもとに、どのような資料で上げさせていただくかは、また主査、主査代理と御相談させていただきまして、まとめさせていただきます。
各教科の状況でございますけれども、本日御議論いただいた安全等々を含めまして、論点整理をもとに、概ね方向性は共有しているところでございます。例えば、高校で地理総合という新しい科目の議論をしておりますけれども、そこでは防災ということを正面から捉えていく科目にしていこうということでありますとか、家庭科も、なぜ高校で必履修であるのかという意義ということ中で、食育ということの重要性も挙がってきているということ。また、特活におきましても、主体的な判断力ということをしっかり育成していかなければいけないというような、そういう方向性はあるところでございます。
一方で、今日、保健も時間いっぱいいっぱいだという御議論ございましたけれども、他教科も、時間があるように見えて、これもなかなかいっぱいいっぱいな状況でございます。そうした中で、例えば、社会科でありますれば、主権者教育、18歳の選挙権年齢ということで、こうしたことを社会科、それから、児童会活動ということで、特活もかなり関わってくるんですけれども、こうしたこと。また、高校で歴史総合という形になることに伴って、例えば、中学校の歴史教育、世界史をもう少し重視していくべきではないかというふうなこと。それから、今回一番大きいのは小学校でございますけれども、英語が中学年・高学年一コマずつ増えていくような方向性というようなこと。それぞれ、先生方からすると、今日の議論の方が大事じゃないかということは多々おありになると思いますけれども、やはりそれぞれ大事という主張と根拠があるという中で、そのバランスを取らせていただくのが総則評価特別部会であると考えております。
ということで、全体の御議論は、一旦、総則評価特別部会の方に引き取らせていただき、また、次回以降、今日もございましたけれども、体育・保健体育の中で、じゃ、どのような力を育んでいくのか。今日も、体育に関する指導と健康・安全、それから、食育、これはばらばらではなくて、全体として目指す方向性というのは共通した部分もあるかと思います。そうした中で、中核としての資質・能力を育むという体育・保健体育の意義ということ、限られた時間の中でどのように扱っていくのか。情報という話もありましたけれども、情報一つ一つをということではなくて、どこにアクセスすればその情報が得られるのかという力を身に付けていき、併せて精選というようなことも考えていけると思いますし、地域・家庭との連携ということ、学校だけで担うということではないということ。論点整理の中でも、量という時間数が限られた中で、各教科のつなぎということ、それから、学習の質を高めるための資質・能力ということ、また、こうしたことから、次回以降、焦点を絞って御議論いただければありがたいと存じます。
長くなりましたが、じゃ、補佐の方に移ります。
【高﨑学校体育室長補佐】  失礼いたします。
次回、第5回につきましては、1月20日の午前中を今予定しております。また正式に時間等が決まりましたら、改めて御連絡させていただきたいと思っております。
次回の議題につきましては、これまで御議論いただいた資質・能力に関して若干整理させていただきました上で、また御議論いただきたいのと、あと、特別支援教育の観点を踏まえた体育につきましても、また御議論いただきたいと思っております。
また、ペーパーにつきましては、いつでもこちらの方はメール等々でお待ちしておりますので、どしどし送っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【山口主査】  ありがとうございました。
若干時間が超過して申し訳ございません。それでは、第4回体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループを終了させていただきます。皆様、良い年をお迎えくださいませ。年末年始、お時間がありますときに、さらにホームワークとして、是非、次回に向けて、いろいろ考えをまとめて来ていただければと思います。どうもありがとうございました。

お問合せ先

スポーツ庁政策課学校体育室指導係

電話番号:03-6734-2674

(スポーツ庁政策課学校体育室指導係)