高等学校公民科における科目構成及び新必履修科目「公共(仮称)」の方向性として考えられる構成(素案)

※ 高等学校公民科における科目構成及び新必履修科目「公共(仮称)」の構成については、以下のように考え整理することとしてはどうか。
○ 「論点整理」における検討も踏まえ、公民科の科目構成を見直し、共通必履修科目としての「公共(仮称)」を設置し、その上に選択履修科目「倫理(仮称)」及び「政治・経済(仮称)」を設置することが適当である。その際、「公共(仮称)」と同様に1科目でもって公民科の教科目標を達成することのできる現行の選択必履修科目「現代社会」については、「公共(仮称)」における三つの大項目相互の関係や学習内容において共通する点も多く、その発展と捉えることもできることから科目を設置しないことが考えられる。
○ 新必履修科目「公共(仮称)」では、第一に現代社会の課題を捉え、考察するための基準となる概念や理論を、古今東西の知的蓄積を通して習得し、第二に選択・判断の手掛かりとなる考え方や公共的な空間における基本的原理を活用して、現代の社会的事象や現実社会の諸課題について、協働的に考察し、合意形成を視野に入れながら構想したことの妥当性や効果、実現可能性などを指標にして議論する力を養うとともに、第三に持続可能な社会づくりの主体となるために、様々な課題の発見・解決に向けた探究を行い、「平和で民主的な国家及び社会の形成者」として必要な資質・能力を養うことが考えられる。
○ そのために、科目を三つの大項目で構成することとし、第一の「公共の扉」では、今まで受け継がれてきた蓄積や先人の取組、知恵などを踏まえて、社会に参画し、他者と協働する倫理的主体として個人が判断するための手掛かりとなる、「行為の結果における個人の幸福とともに、社会全体の幸福を重視する考え方」と「(行為の結果よりも、)行為の動機となる人間的責務としての公正などを重視する考え方」を理解させるとともに、個人と社会との関わりにおいて、公共的な空間における基本的原理について考えさせることを通して、人間としての在り方生き方や公共的な空間の在り方を考える上での基盤となる、人間と社会の在り方を捉える見方や考え方を培うことが考えられる。
○ また、この大項目で指導したことが、以後の学習に活用されていくことができるよう十分に留意して指導計画を作成し、それに基づいた学習を展開することが求められる。 なお、この大項目では指導のねらいを明確にした上で、たとえば、囚人のジレンマ、共有地の悲劇、最後通牒ゲーム等の思考実験や、環境保護、生命倫理等について概念的に考える学習活動を取り入れたり、民主主義、自由・権利と責任・義務、相互承認など、公共的な空間における基本的原理に関わる事象を取り上げたりすることが考えられる。
○ 第二の「自立した主体として社会に参画し、他者と協働するために」では、小・中学校社会科で習得した知識等を基盤に、人間と社会の在り方を捉える見方や考え方を働かせながら、公共的な空間を形作る政治、経済、法などのシステムの基本を理解させるとともに、自立した主体として生きるために必要な知識を身に付けさせることが考えられる。併せて、そうしたシステムを通じてどのように社会に参画し他者と協働していくかを考察、追究させることが考えられる。
○ また、この大項目では指導のねらいを明確にした上で、たとえば、政治的主体としては、政治参加、世論の形成、地方自治、国家主権(領土を含む)、国際貢献など、経済的主体としては、職業選択、金融の働き、経済のグローバル化と相互依存関係の深まりなど、法的主体としては、司法参加など、様々な情報を発信・受信する知的主体としては、情報モラルなどが、また複数の主体が複合的に関連し合う題材としては、財政と税、社会保障、市場経済の機能と限界、雇用、労働問題(労働関係法制を含む)、契約、消費者の権利や責任、多様な契約、メディア、情報リテラシー、男女共同参画などの題材を取り扱うことが考えられる。その際、選挙管理委員会、消費者センター、弁護士などの関係する専門家・機関と連携・協働したり、討論、模擬裁判などの学習活動を効果的に取り入れたりすることが考えられる。
○ その際、第三の「持続可能な社会づくりの主体となるために」で課題を探究する学習を行うことに留意して課題意識の醸成に努めるとともに、個別的・網羅的な題材を取り扱うことなく、政治的主体、経済的主体、法的主体、様々な情報を発信・受信する知的主体の相互の有機的な関連を図り、これらの主体のうち二つ、あるいは三つの主体が複合的に関連し合う題材については複数の観点から取り扱うことが考えられる。また、これら様々な主体となる個人を支える家族・家庭や地域等にあるコミュニティを基盤に、自立した主体として社会に参画し、他者と協働することの意義について考えさせることが考えられる。
○ 第三の「持続可能な社会づくりの主体となるために」では、前二つの大項目における学習を踏まえて、持続可能な地域、国家、国際社会づくりに向けた役割を担う主体となる意欲を育むことなどをねらいとして現実社会の諸課題、たとえば、公共的な場づくりや安全を目指した地域の活性化、受益と負担の均衡や世代間の調和がとれた社会保障、文化と宗教の多様性、国際平和、国際経済格差の是正と国際協力などを探究する学習を行い、その解決に向けて、各人がどのように主体的に関わっていくかを考えるという構成が考えられる。
○ 「公共(仮称)」の指導に当たり、人間としての在り方生き方や、社会の在り方に関わって取り上げる事象については、多様な見方や考え方ができることから、生徒の考えが深まるよう様々な見解を提示することなどが求められる。その際、特定の事柄を強調しすぎたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなど、特定の見方や考え方に偏った取扱いにより、生徒が多面的・多角的に考察し、事実を客観的に捉え、公正に判断することを妨げることのないよう留意するとともに、客観的かつ公正な資料に基づいて指導するよう留意することが必要である。
○ なお、「公共(仮称)」においては、キャリア教育の観点から、インターンシップの準備と振り返りを行うことなどを通して、経済、法、情報発信などに対して主体的に参画する力を育む中核的機能を担うことが求められている。

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