教育課程部会 社会・地理歴史・公民ワーキンググループ(第13回) 議事録

1.日時

平成28年5月26日(木曜日)16時00分~19時00分

2.場所

文部科学省 3階 第一講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 社会・地理歴史・公民の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【土井主査】  それでは定刻となりましたので,ただいまから,中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会社会・地理歴史・公民ワーキンググループの第13回を開催いたします。
本日は主に小・中・高等学校を通じて育成すべき資質・能力及び高等学校公民科について御議論いただく予定であり,その関係の委員の皆様を中心にお集まりいただきました。お忙しい中,御参集いただき,誠にありがとうございます。
それでは,最初に,事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【大内学校教育官】  配付資料の確認をさせていただきます。本日は,議事次第に示しておりますとおり,配付資料の1から資料20まで,それから参考資料といたしまして資料1から7まで御用意いたしてございます。また,関連する資料,過去の資料等につきましては机上に御用意してございますので,適宜御覧いただければと思います。
以上でございます。

【土井主査】  では,これより議事に入ります。本日は,報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり,これを許可しておりますので,御承知おきください。
それでは,本日の議論に先立ちまして,教育課程部会の下に置かれた学校段階等部会で検討が進められておりますので,これらの議論の状況について事務局から説明をお願いいたします。

【西川教育課程企画室専門官】  それでは,お手元の資料に参考資料6「学校段階等別部会等の議論の状況について」を入れさせていただいております。主に総則の部分についての御議論でございます。全体に関わる部分がありますので,御紹介,御報告できればと思います。
今,各ワーキングと並行して,小学校,中学校,高等学校等学校種別の部会も議論いただいております。おめくりいただきまして,1ページに小学校の総則の改善イメージを付けさせていただいています。小・中・高,共通する部分も多いので,これを御参考に御説明できればと思います。
2ページの左側に小学校学習指導要領・総則の構成がありまして,真ん中に論点整理を踏まえて追加又は整理すべき視点がございます。総則評価特別部会におきまして,総則の部分についてもこういった観点から改善していくべきという御指摘を頂いた部分について,それを踏まえて改善案のイメージを今検討しているところでございます。
ちょっと詳細になりますが,3ページを御覧いただければと思います。大きく言うと赤字の部分が変わる部分ということで御議論いただいている部分ですが,主な点を御説明できればと思います。まず今回,資質・能力の三つの柱ということで整理を頂いておりますので,そういったことを反映させていくことになりますが,まず第1,小学校教育の基本というところの3として,小学校教育を通じて育成すべき資質・能力を規定していってはどうかという話をさせていただいております。各教科における資質・能力と,それを総合して小学校教育としてという部分を総則に位置付けること。
さらに,第2として,カリキュラム・マネジメントの実現について示していくことを考えています。具体的には,各学校において学校教育目標がそれぞれあるわけですけれども,その中に育成すべき資質・能力の視点を入れていただいて,明確化をしていくこと。それに基づいて教育課程を編成,実施し,評価をしていくというサイクルを位置付けてはどうかということで御議論を頂いております。また,第2については,2,3にありますような学校間の接続の観点,更には4として,横断的に育成すべき資質・能力についても総則において示していくということを御議論いただいております。
また,右側にまいりまして,第3になりますが,ここは教育課程の実施と評価というところになりますが,いわゆる「アクティブ・ラーニング」の視点を実施の部分に示していけないか。また,評価についても,目標に応じて評価を行う目標準拠評価ということ,更には観点別評価を行うのだということについて,総則の中に示していくということを御議論いただいています。
第4としては,特別な配慮を必要とする児童への指導。
また,第5として,学習活動の基盤となる,例えば学級経営だったりキャリア教育,あるいは家庭・地域との連携といったことについても,総則の中で示していければという議論をしています。
また,各教科で今おまとめいただいております見方・考え方につきましても,総則の別表という中でその一覧を示してはどうかということを検討いただいているところでございます。中学校・高等学校についても類似の御議論を頂いているところでございます。
それからもう1点,6ページになりますが,「アクティブ・ラーニング」の視点について改めて追加的な御議論を頂いたという経緯がございます。6ページの上段の部分についてが,論点整理における「アクティブ・ラーニング」の視点ということで,いったん,昨年8月におまとめいただいたものでございますが,その後,各教科ワーキングでの議論等を踏まえまして,下の囲みにあるような再整理を今しているところでございます。
大きな変更点として申し上げますと,まず,「深い学び」について,教科等の本質に応じた見方や考え方を働かせるという要素,更には「対話的な学び」についても,先哲の考え方を手掛かりに考えることなども入れているところでございます。また,「主体的な学び」に関しては,特に高等学校等を意識しまして,自己のキャリア形成の方向性と関連付けながらといった要素があるのではないか。そういったことを踏まえて「アクティブ・ラーニング」の視点についても改善,ブラッシュアップをしたところでございます。
それからもう1点,御報告させていただくものとして,参考資料7でございます。これは,去る5月10日に馳大臣より大臣のメッセージとして発表させていただきました「教育の強靭化に向けて」というものでございます。大臣就任から約半年という節目ということもあります。更には昨年1月に,いわゆる馳プランと称しておりますが,次世代の学校の創生というプランを出しておりまして,それらを今御議論いただいております学習指導要領の改訂の議論と併せて一体的に進めていくという観点から,このタイミングで大臣のメッセージを出させていただきました。
学習指導要領の改訂に関しては,まず1ページに一としてこれまでの経緯を述べておりますが,主には2ページを御覧いただければと思います。裏面でございます。これまでの企画特別部会論点整理,更には各教科における議論等を踏まえまして,学習指導要領改訂のポイントということで,少し分かりやすい形になっておりますけれども,メッセージとして出させていただいております。大きく三つあります。
ゆとり教育か詰め込み教育かといった二項対立の議論には戻らないといったこと。知識,それから思考力とバランスよく育成していくという観点で,学習内容の削減を行うことはしないというのが一つ目。
更には,「アクティブ・ラーニング」の視点が,知識を生きて働くものとして習得させるというもので,正に学習課程の質的改善を目指すものだということについて,端的な形で示しております。
また,併せて教科構成の見直しも進めているといった改訂のポイントについて,改めて整理をして,メッセージとさせていただきました。今後,我々事務局としては,いろいろな場面でこのポイントについてはしっかりと周知をしていきたいと考えているところでございます。
学校種別部会等の審議の状況について,御報告でございました。以上です。ありがとうございました。

【土井主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして,御質問等はございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは本日は,本ワーキンググループでの取りまとめ文案等につきまして,5月18日に開催されました高等学校の地理歴史・公民科科目の在り方に関する特別チームでの御意見等を踏まえて,意見交換を行いたいと考えております。
そこで,先日の高等学校の地歴公民科科目の在り方に関する特別チームの議論状況につきまして,資料を含めて事務局から御説明をお願いいたします。

【梶山主任視学官】  私から御説明させていただきます。まず,会議におきましては,本日御議論いただきます取りまとめ案の前のバージョン,皆様方に御送付させていただいたものを中心に御議論いただいたわけでございますが,その内容につきまして,資料4を使いまして御説明させていただければと思います。
資料4の26ページを御覧いただけますでしょうか。まず,特別チームにおきましては,高等学校の地歴科,それから公民科に関しまして御議論いただくという性格上,新しく置かれる新必履修科目,それから新選択科目につきまして,それぞれの性格を横串的に考えたらどうなのかという資料を事務局から御提出させていただいたところでございます。
まず,地歴科,公民科におきまして,新必履修科目については,いずれも現代社会の諸課題の解決を視野に入れて考察していくという科目ではないかと。各科目について,主として空間,時間及び現代社会の構造等に着目するというようなところで考えていくのではないかということをこちらにまとめております。
その中で,「地理総合(仮称)」,「歴史総合(仮称)」,「公共(仮称)」の性格をそれぞれ書いておりますが,これにつきましては,例えば「歴史総合(仮称)」でありましたら,下にありますような資料に書かれている内容をまとめたものとして,ここに書かせていただいております。それを踏まえまして,その下で,新選択科目ということで,必履修科目で育んだ理解や技能を用いて,より専門的な視野から広く深く探究していく科目として,それぞれ置くことが考えられるのではないかということで,「地理総合(仮称)」に関しまして「地理探究(仮称)」,「歴史総合(仮称)」に関して「日本史探究(仮称)」,「世界史探究(仮称)」,「公共(仮称)」について「倫理(仮称)」,「政治・経済(仮称)」というような名称で,それぞれ深めていくような内容に対応する科目を置くということについて,全体を御議論いただきました。
また,併せてこの四角のところにございますが,その名称でございます。地歴科につきまして,新必履修科目の名称としては,「歴史総合(仮称)」と「地理総合(仮称)」を習得することによって当該教科の高等学校における目標を達成するために必要とされる資質や能力を育む科目として,両科目に「総合」を付してはどうかと。また,生徒の興味・関心や進路等に応じて「総合科目」を基盤に,より専門的な視野から考察を深め,探究を行う科目について「探究」を付すこととしてはどうかということ。
また,公民科につきましては,自立した主体として他者と協働して社会に参画し,公共的な空間を作る主体を育むことを目指す科目の内容を端的かつ適切に示すことが可能なものとして,「公共(仮称)」にしてはどうかと。また,選択科目については,地歴科と同様に,それを深めていく,探究を行う科目でございますが,学習対象であります倫理について,探究がその本質的な内容の一部であることから,「倫理探究」といった科目名がなじまないのではないか,違和感があるということで,「政治・経済」のみに探究を付すことは同一教科に置かれる同一の性格を持つ科目の名称について混乱させるおそれもあることから,「倫理(仮称)」,「政治・経済(仮称)」とすることとしてはどうかという御提案をさせていただいているところでございます。またこのようなところに関しても御意見を頂ければと思います。
それで,このようなことを踏まえまして,22ページ以降にあります「歴史総合(仮称)」,それから歴史の新選択科目につきまして御議論いただいたところでございますが,「歴史総合(仮称)」よりも,その次の選択科目の在り方につきまして,もう少し「歴史総合(仮称)」との切り分けをどういうふうに考えていくかというお話でありましたり,様々な御意見がございました。こちらにつきましては,次回のワーキンググループで御検討いただきたいと思っております。
次に,公共に関してでございますが,公民科につきましても御意見あったところでございますが,それを踏まえた修正等を今回の取りまとめでしているところでございますので,そちらについては後ほど御説明させていただければと思っております。
私からは以上でございます。

【土井主査】  ありがとうございました。
それでは,ただいま御紹介ありました特別チームの御意見等も踏まえまして,本日は二つの議題について御議論を頂きたいと存じます。
大枠,議事の流れとしましては,各テーマごとに事務局から資料に基づき説明を頂いた後,御意見を伺いたいと考えております。
まず第一に,小・中・高等学校を通じて社会,地理歴史,公民で育成すべき資質・能力について,意見交換をお願いしたいと思います。
ここの部分の進行につきましては,館委員にお願いしたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

【館委員】  それでは,ここから進行を務めさせていただきます。
まず,事務局から資料について説明をお願いいたします。

【大内学校教育官】  小・中・高等学校の資質・能力の関係の資料,並びに取りまとめ文案についての御説明をさせていただきたいと思います。
初めに,お手元の関係資料からの御説明をさせていただきたいと思いますので,資料8を御用意いただければと思います。資料8から資料15までを一通り説明させていただきまして,本文の説明をさせていただければと思います。
また,本日御用意しております資料8に関わっての前回,すなわち4月27日に第11回ワーキンググループとして開催されました過去の資料が,資料2の46ページ以降でございます。ですので,対応関係ということで申し上げれば,資料8については資料2の46ページが前回の資料ということでお手元に御用意いただければ幸いでございます。
まず初めに,社会的な見方や考え方に関わっての資料でございます。資料8でございますけれども,こちら,前回の会議の際には思考力,判断力,表現力とセットで示させていただいておりましたけれども,前回の資質・能力を中心とした会議の際にも御説明申し上げておりましたが,社会的な見方や考え方が思考力,判断力,表現力と関わることはもちろんそうなのですが,それ以外の,これまで御議論いただいておりました,例えば知識や技能に関わること,あるいは学びに向かう力,人間性といった3本の資質・能力のそれぞれに関わってくるということがございましたので,今回御用意いたしました資料からは3本の資質・能力との関係性を外し,社会的な見方や考え方単独の図という形で再度整理をさせていただきました。
なお,社会的な見方や考え方につきましては,総則評価部会の方で様々な事象を捉える教科等ならではの視点と思考の枠組みが大きな定義付けという形でされておりまして,それを受けまして,点線,上の部分に社会的な見方・考え方について整理を行っております。
具体的には,社会的な見方や考え方は,小・中・高等学校の各見方や考え方を総称する呼称として用いると。こちらについては,図の各学校種,又は分野,科目等において,赤字でそれぞれ,例えば小学校でありますと社会的事象の見方や考え方,これが中学校になりますと分野ごとにそれぞれの表現をとっておりまして,こういった表現がそれぞれ分野あるいは科目ごとに異なっておりますものですから,これを総称する形で「社会的な見方や考え方」という表現として使うこととしてはどうかということでございます。
また,社会的な見方や考え方は,先ほども申し上げましたが,「深い学び」を実現するための思考力や判断力の育成,また,獲得する知識の構造化に不可欠であることや,主体的に学習に取り組む態度,学習を通して涵養される自覚や愛情といったものにも作用することを踏まえると,資質・能力全体の中核として整理をしてはどうかということでございます。
また,社会的な見方・考え方については,課題解決的な学習において,考察をしたり,あるいは構想したりする場合,思考,判断していく際の視点や方法であって,小,中,高等学校と,校種が上がるにつれて視点の質あるいはそれを生かした問いの質が高まることで成長していくという形で整理をさせていただいております。
なお,この資料の中で,社会的事象の中で,従前ですと「社会的事象等」という表現を用いていたところがございました。これは,前回のこの小・中・高の資質・能力の際には,いわゆる高等学校における地歴科,公民科の中で「等」を付けて取り扱う形にしておりましたが,その後,地歴ワーキング等での御議論なども踏まえまして,今回,改めて整理をし直しましたのが,公民科において特に人間としての在り方・生き方に関わる学習,科目倫理でありますとか公共の中の倫理的側面の内容を取り扱うということから,公民科において取り扱う場合には「等」が必要という形で整理をいたしまして,それ以外の小・中学校あるいは高等学校の地歴科においては「社会的事象等」の「等」を外す形で整理をさせていただいているところでございます。
次の資料9につきましては,先ほどの見方・考え方の中で,特に視点の質や問いの質が高まるということで,追究の視点や方法の例として考えられる視点の例でありますとか,あるいは問いの例,更には獲得する知識の例ということで整理をこれまでしてきているものでございます。
こちらの内容については大きな変更はございませんけれども,見せ方,構図,配置の仕方といたしまして,社会的な見方・考え方,特にこれまで中央右側に,社会,地歴,公民における思考力,判断力ということで色を変えて整理していた部分を,考えられる視点の方にずらすような配置をして,逆に問いと問いを通じて獲得する知識の例を付けるような形での修正を図っております。
また,考えられる視点につきましては,小・中・高,資質・能力を中心とするこのワーキングはもとより,公民あるいは高校地歴のワーキングでも種々御意見を頂戴しておりますので,こちらについてはこれまでのところ随時加除修正を図ってきているところでございます。
また,問いの例,右から二つ目のところでございますけれども,こちらについても問いの例と獲得する知識の例,一番右側の対応関係をできるだけとるような形での修正,あるいは表現の修正等を図ってきているところでございます。後ほど御確認を頂ければと思っております。
それから,資料10につきましては,育成する資質・能力のうちの思考力,判断力,表現力に関わりまして,学校種ごとに整理してきた資料でございます。過去の資料,資料2といたしましては55ページをお開きいただければと思っております。育成する資質・能力3本柱の中の思考力,判断力,表現力については,それぞれ資料10にお示ししているような形で分解,あるいは学校種ごとの整理を試みた資料でございます。
こちらについては,マル1,マル2の部分が思考,判断,考察する力を思考として,構想する力を判断として整理をしているものでございます。また,マル3,マル4については表現力,説明する力,議論する力という形で分解し,それぞれ整理をしてきたところでございます。
この中で,御意見等を踏まえまして,例えばですけれども,マル2,社会的な見方や考え方を用いて,社会に見られる課題を把握し,その解決に向けて構想していくという,判断をする力の部分でございますけれども,小・中学校でのいわゆる概念的な取扱いのことについて,このワーキングで御意見を頂戴しておりました。そういった御意見も踏まえまして,例えば小・中学校の中で,社会に見られる課題を把握して,解決に向けて学習したことを基にして社会への関わり方を選択・判断できるという形で,学習したことを基にしながら判断をしていくという表現を加筆してございます。
また,表現に関わって,マル3,マル4,説明する力あるいは議論する力の中で,どちらかと言うと,いわゆる口頭による表現といいましょうか,話すことを中心としたような表現,イメージとして捉えられる部分がございますので,例えば論述するというような,書くことを念頭に置いた表現も加えてはどうかという御意見を頂戴しておりましたので,マル3の構想したことを説明する力の中の高等学校の段階におきましては,論述したりできるという形での加筆を行っているところでございます。
ただ,もとよりマル3,考察したこと,構想したことを説明する力の,この「説明する力」の中には,話すことではなくて書くことによっての表現も念頭に置いた形での整理を行ってきたところでございます。
それから,社会参画について,今次の改訂においてより重視していくべきではないかというこのワーキンググループの中での御意見を踏まえまして,マル4のところでございますけれども,例えば高等学校におきまして,合意形成を視野に入れながらとしておりましたところを,合意形成や社会参画を視野に入れながら,社会的事象等について構想したことを,妥当性や効果,実現可能性などを指標にして議論できるという形で,社会参画という表現もこちらに補ったところでございます。
それから,資料1につきましては,知識,技能の中のいわゆる社会的事象等について調べ,まとめる技能について整理をしたイメージ図でございます。こちらについては前回の御意見を踏まえての大きな修正はございませんので,後ほど御覧になっていただければと思います。
それから,資料12は,社会,地歴,公民で育成すべき資質・能力の3本柱の整理のものでございます。こちらにつきましては,前回資料といたしまして56ページから58ページまでが該当する資料でございます。
本日配付しております資料12に関しての修正といたしましては,学びに向かう力・人間性のところで,これも今ほど申し上げましたが,社会参画あるいは社会との関わりという点を重視して,学びに向かう力・人間性の中の記述に修正を加えております。具体的には,例えば小学校の社会科ですと,一つ目の中点のところで,社会的事象について主体的に調べ分かろうとする態度,その後に二つ目の中点といたしまして,社会に見られる課題を意欲的に解決しようとする態度というのを従前示していたのですけれども,主体的に調べ分かろうとして課題を意欲的に追究する態度という形で,学びに向かう力・人間性の一つ目の中点の中で,いわゆる学習課題に向かって主体的に調べる,あるいは意欲的に追究するという表現をまとめてこちらで示すようにいたしました。
一方で,そのことに伴いまして,二つ目の中点のところで,よりよい社会を考え学んだことを社会生活に生かそうとする態度ということで,社会との関わりについて,学びに向かう力・人間性の中でより重視していくということが鮮明に出る形での修正を加えたところでございます。
これにつきましては,中学校の社会科,それから高等学校の地歴科,公民科についても同様の修正を行っておりまして,学びに向かう力・人間性の一つ目の中点及び二つ目の中点が今回修正をされたところでございます。
それから,資料13は,地理歴史,公民における教育のイメージということで,いわゆる目標に関わる部分の整理をこれまで行ってきたところでございます。前回資料といたしましては資料2の53ページでございます。
本日お配りしております資料13におきまして,主な修正箇所といたしまして,例といたしまして右側にございます高等学校の公民科のところで説明させていただきたいと思いますけれども,高等学校の公民科で,まず一番上がいわゆる総括的な目標の部分,リード的にも使われているのですけれども,こちらを「社会的な見方・考え方を働かせて広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を養う」という表現にしてございます。前回の資料で御確認いただきますと,「国家社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を養うために,社会的な見方や考え方を培い,以下の三つの資質・能力を育成する」という形で,社会的な見方や考え方につきましては培うものとして後者に整理を位置付けされてございました。
今回,社会的な見方や考え方につきましては,総則評価部会等におきまして資質・能力を育むに当たって用いるものという横断的な整理が今現在なされていることから,社会的な見方や考え方という部分を一番前に持ってきまして,社会的な見方・考え方を働かせてという表現に修正を図りました。そうすることによりまして,総括目標の部分の文末を「必要な公民としての資質・能力を養う」という形で整理させていただいたという修正が図られております。
なお,前回,小・中・高の本ワーキンググループの中で,いわゆる公民としての資質・能力と公民的な資質・能力という表現の違いについて御議論を頂いたところでした。具体的には,小学校,中学校におきましては,資料13の補足資料,A4の縦紙の資料がございますけれども,こちらについて,社会科あるいは地歴科,公民科における目標に係る規定について御議論いただいた際に,育成するものとして,公民としての資質・能力なのか,それとも公民的な資質・能力なのかと。具体的には,前回の資料で申し上げますと54ページが前回の資料でございまして,小・中学校におきましては前回こちらで御議論を頂戴した際に,公民的な資質を育成するという形で,小・中学校と高等学校とで表現を変えてございました。小・中学校においては公民的な資質・能力,高等学校においては公民としての資質・能力をという表現の違いにつきまして,多くの先生方から表現はやはり統一すべきではないかという御意見を頂戴いたしましたので,この度,資料13の補足資料のような形で,まず高等学校段階としては公民としての資質・能力,小・中学校の段階においては公民としての資質・能力,同じ表現を用いながら,その基礎を培うという形で整理してはどうかと考えてございます。
具体的には資料13の補足資料の大きな枠の中で示されているところでございますけれども,地歴科,公民科におきましては,リード文全体の総括的な目標の部分で「社会的な見方・考え方を働かせて広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力」と。その下に,小・中学校についてですけれども,「社会的な見方・考え方を働かせて広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる」という表現も,前回,小・中学校においては主体的にという表現は盛り込んでおりましたが,こちらについても盛り込んではどうかという御意見も頂戴しておりましたので,今回,主体的に生きるという部分については小・中・高を統一する形で表現を整理させていただきました。「主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎」を養うという形で整理をしたところでございます。
なお,こうした公民としての資質・能力あるいは小・中学校における公民としての資質・能力の基礎を培う際に当たっての構造といたしましては前回と変わってございませんで,その下にありますように,今回,育成する資質・能力の明確化を図る観点から,(1)に関わるいわゆる知識・技能の部分,それから(2)に関わる思考力・判断力・表現力等の部分,そして(3)で学びに向かう力・人間性,これら全てを結び付けて育んでいくというこの構造自体につきましては,前回お示しさせていただいたものと変更はございません。表現の統一化を図るという形で,今回,公民としての資質・能力あるいは公民としての資質・能力の基礎という形での表現の整理を行ったということでございます。目標に関わりましては,今の箇所が大きな修正箇所でございます。
資料14につきましては,社会,地歴,公民における学習過程の例ということで,こちらについては統一的な字句の修正を行っただけでございまして,内容的な修正はございません。後ほど御確認いただければと思います。
資料15-1でございます。社会,地歴,公民における評価の観点等ということで,こちらにつきましては,前回会議資料の62ページが評価の観点等のたたき台案でございました。
本日配付しております資料15-1と前回の配付資料の62ページ,資料15でございますけれども,こちらにつきましては先ほど資質・能力の3本柱のところで御説明したとおりなのですが,変更箇所といたしましては,学びに向かう力・人間性に関わって設定をする評価の観点といたしまして,社会的事象等に主体的に関わろうとする態度,この中の評価の観点の例として,先ほど申し上げましたとおり,前回の会議資料においては,一つは学習対象,社会的事象等について主体的に調べ分かろうとしたりするというのを大きな一つの柱に,課題(学習上の課題,社会に見られる課題)を意欲的に解決しようとしているというのを2本目の柱として整理しておりました。これをより社会との関わりを視野に入れつつ見えるような形で,今回,資料15-1のような表現に整理したところでございます。
なお,評価の観点のところですけれども,観点についてもやや表現が分かりにくいということで,「社会的事象等に主体的に」と,従前は「主体的に社会的事象等に」という形でひっくり返っていたのですが,それは修正をしまして,表現の適正化を図ったということでございます。
こちらの評価の観点と,それから評価の観点の趣旨を基にしまして,資料15-2でございますけれども,こちらの資料が今回初めてお示しさせていただく資料でございます。こちらについては,今回の育成する資質・能力3本柱で評価の観点と趣旨を整理したものでございまして,例えば小学校の社会科でありますと,社会的事象についての知識・技能として,社会生活に関して理解し,社会的事象について調べまとめる技能を身に付けていると。理解と技能という形での整理になってございます。
また,中央部分ですけれども,社会的事象についての思考・判断・表現ということで,社会的事象の特色や意味などを多角的に考えたり,社会に見られる課題の解決に向けて社会の関わり方を選択・判断したりして,適切に表現しているということで,思考・判断・表現に関わる部分についても評価の観点として整理をしているところでございます。
最後が,社会的事象に主体的に関わろうとする態度ということで,社会的事象を主体的に調べ分かろうとして,課題を意欲的に追究するという,先ほどの一つ目の柱と併せまして,よりよい社会を考え学んだことを社会生活に生かそうとしているという形で評価の観点とその趣旨を整理したところでございます。
こちらにつきましては,中学校,高等学校,地歴科,公民科について,それぞれの発達を踏まえ,先ほど御覧になっていただきました資料12のいわゆる資質・能力の3本柱と対になる形での整理を試みているということでございます。
なお,資料15-2につきましては,現行における評価の観点とその趣旨を参考でお付けしてございます。こちらについては前回も配付しておりますので後ほど御覧になっていただければと思います。
ここまでが配付資料でございますけれども,主な修正点ということでございます。
これに対応する本文の方の修正でございます。お手元に資料7を御用意いただければと思います。本日の配付資料でございます。それから,前回の資料といたしましては,資料2の31ページが前回御議論を頂戴した資料でございますので,適宜参考になさっていただければと思います。
本日配付しております資料7の取りまとめの文章の主な変更箇所,今,資料でも御確認を頂きましたが,それに関わっての変更箇所だけ,簡単に確認をさせていただければと思っております。
まず資料7の変更箇所を確認する前に,全体の変更の考え方,整理の仕方といたしまして大きく三つございまして,一つは統一的な修正を図らせていただきました。先ほども少し御紹介しましたが,総則評価部会等で示されている表現あるいは考え方にそろえていくという修正をしております。例えばですけれども,従前でありますと「社会的事象の見方や考え方」というふうに「や」で結んでいたところがあったのですが,今回全て「・」で「見方・考え方」で整理をさせていただいています。そういった修正を図っているのが一つ。
2点目としては,文末表現なのですけれども,従前は多くの表現が「考えられる」という形で整理をさせていただいておりましたが,こちらについては内容に応じて「求められる」とか,あるいは「何々であると考えられる」の「考えられる」を外して,「何々である」とか「何々として整理してきた」とか,そういうような文末表現を全体にわたって修正しております。
3点目といたしましては,委員の先生から1文がやや長いという御指摘を頂いておりましたので,適宜文章を途中で切って2文にするというような修正を図ってきたところでございます。
主な修正点だけざっと確認させていただければと思いますが,まず1ページ目,現行学習指導要領の成果と課題については,二つ目のマルのところで,やや現状分析があっさりだったため,少し丁寧な形で,御意見も踏まえまして修正を図ったところでございます。1ページ目の1の上から二つ目のマルでございます。
また,2,育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方についてですが,(1)の一つ目のマルで,先ほども少し御紹介しましたけれども,見方・考え方としては,2行目のところで「これらの資質・能力を育むに当たって用いられるものが,各教科等の本質に根ざした見方・考え方」ということで,従前,中核という表現をしておりましたが,ここの表現を修正してございます。
2ページ目の上から二つ目のマル,「次期改訂においては,社会的な見方・考え方の性格を以下のように明確化することとした」ということで,一つ目の中黒の「社会的な見方・考え方は」のくだりのところで,「知識を構造化して獲得することに不可欠であること」という表現でありますとか,その2行下のところで,「資質・能力全体の中核である」という形で,従前,「要である」とか,そういった表現であったところを,統一的に修正を図っているところでございます。
また,3ページ目の上から三つ目,四つ目の中点のところで高等学校に関わる内容を今回追加してございます。これは,高校地歴及び公民に関しての議論が進んでまいりましたので,こういった見方・考え方についての整理の部分を明示させていただいたということでございます。
4ページ目の上から二つ目のマルについては,先ほど御説明しました公民としての資質・能力の整理のところでございます。こちらで文章で修正を上から二つ目のマルのところで整理をさせていただいているところでございます。
また,5ページ目の上から一つ目の資質・能力の柱の第二のところを少し丁寧に記載するという形で,こちらについては内容の修正というよりも表現の修正を図ったというところでございます。
6ページ目,7ページ目ですが,こちらは,従前,目標に関わる部分を示していなかったのですが,本日の資料13の表現をそのまま,教育のイメージの資料のところですが,目標に関わる文章をこちらに掲載させていただいたという修正を図っているところでございます。
また,7ページですが,資質・能力を育む学習過程の在り方のところで,従前でありますと,7ページ目の二つ目のマルの後,次の三つ目のマルということで,「アクティブ・ラーニング」関係で少し記述がありました。「アクティブ・ラーニング」の関係については次の章立てのところで別に記載をする箇所がございますので,そちらに再度整理をさせていただいたのと,いわゆる三つの視点と学習場面をつなげて示すということがやや型にはまったようなイメージを与えるということもございましたので,ここからはマル自体を削除させていただいております。
それから,9ページの評価の観点の在り方のところでございますが,上から二つ目のマルでございますけれども,こちらが先ほども御説明しましたが,学習対象としての社会的事象等について主体的に調べ分かろうとしたり,意欲的に追究しようとしている状況と併せて,よりよい社会を考え学んだことを生かそうとしている状況という形での整理を図りましたので,所要の表現の修正を図っているということでございます。
社会的な見方や考え方,育成する資質・能力,それから目標に関わる部分,そして評価に関わる部分について,資料7の1ページから9ページまでの修正箇所について御紹介いたしました。御確認,御審議のほどよろしくお願いいたします。以上です。

【館委員】  ありがとうございました。
それでは初めに,社会科における見方・考え方,育成すべき資質・能力,目標や評価の在り方について,資料8から資料15-2及び資料7について,30分程度の時間で意見交換をしたいと思います。
御意見のある方はいつもどおりあらかじめ名札を立てていただきますと,私の方で順次指名させていただきます。では,御意見のある方,よろしくお願いいたします。
では,加藤委員,お願いいたします。

【加藤委員】  加藤です。確認させてください。資料13あるいは資料7の6ページ,どちらでも結構だと思うのですけれども,中学校の社会科と小学校の社会科の,先ほどの説明で言うと総括的目標,二重マルの表現が同じに見えるのですけれども,これは今回,小・中は総括目標を同じにするということでよろしいでしょうか。ここを,確認させてください。

【大内学校教育官】  同じにする予定でございます。リード文的に使うところでもありますが,その後に示しております,いわゆる育成する資質・能力の三つの柱のところでの書き分けという形になってございまして,実はこういった構造は,高等学校の地歴科と公民科も同じような構造になっておりまして,全体にわたっての一番上の二重マルの部分で示している箇所については,表現は基本的に同じにさせていただいているところでございます。

【館委員】  では,西村委員,お願いいたします。

【西村委員】  今,加藤先生から目標についての質問がありましたので,それに関連して私も一つと,「見方や考え方」から「見方・考え方」という「・」に変わったという理由をもう少し聞きたいと思います。
まず,目標について,加藤先生からも御指摘があったのですけれども,その前に,公民科の方の目標についてこれまで私が意見を言ってきたことが,今回は地歴と合わせて,グローバル化する国際社会に主体的に生きるというのを入れていただいたというのは非常にいいかなと思います。
それで,加藤先生が御指摘のように,小・中学校を一つのまとめということで目標が示されたということで,この4月から義務教育学校が始まって,9年を見通して教育をしましょうというのはいいと思うのですけれども,そうなってくると,その上に高等学校があるという構造になるわけですね。それで,一方では平成11年から中高一貫校というのも既に動いているわけで,その辺,中高一貫校の6年間というふうに見た場合,この辺りをどういうふうに指導されていくのかなというのを疑問に思いました。これは感想だけです。
それから2点目は,大変重要なことだと思うのですけれども,この1か月の間に,「見方や考え方」と表現していたものを,先ほども「深い学び」にするために変えたのだという御説明があったのですけれども,もう少し,どういう議論の中で「見方・考え方」という「・」にしたのかと。これは過去に「現代社会」のところで,在り方,生き方というものが,句読点があったり「・」があったり,さんざん議論があった中で動いてきた経緯がありますので,この点,説明していただければと思います。
以上です。

【館委員】  お願いします。

【西川教育課程企画室専門官】  「見方・考え方」について,「・」にした経緯ということでお尋ねがございました。もともと幾つかの教科で「見方や考え方」という表現を現行でも使っていたという経緯がございます。そのことを踏まえたときに,今回の「見方・考え方」というのは,そういったこれまで使ってこられた部分と,少し新しく整理をする部分ですので,そういった点の誤解がないようにということで「見方・考え方」,「・」でつなぐという方法にしてはどうかと。今,それで考えているところではございますが,ただ,実際に最終的に文言にしていくときにどういったことが正しいのか,またこれから御意見を頂きながら詰めていきたいと思っております。

【館委員】  よろしいでしょうか。
池野委員,よろしくお願いします。

【池野委員】  今の続きをお尋ねしたいのですけれども,「見方や考え方」から「見方・考え方」に変えられたのは,多分まとめ案の1ページの下の方の育成すべき資質・能力の全体的な定義に従おうということだと思うのですけれども,それに従うと,下から2行目,様々な事象を捉える教科等ならではの視点と,それから教科ならではの思考の枠組みという定義になっているのですが,かつて社会科で,特に中学校で使われてきた「社会的見方・考え方」とほとんど同じだと思われるのです。何でわざわざ「・」にしないといけないのか。あるいは「科学的見方・考え方」もほぼ同じだと思うのですけれども,これは総則部会等で言われていることが多分多くの方々は理解できないと思われます。
説明を分かりやすくしてほしいということと,例えば社会科の場合ではどういうことを指すのかという事例をもし示していただけると理解は進むのだろうと思われるので,そのこともお願いしたいと思います。

【西川教育課程企画室専門官】  まず,前段で御指摘いただきました改めて「・」にした経緯と理由ということについてですが,御指摘のように,社会科においてはここで定義されている見方・考え方とほとんど同じであると。実はほかの教科,国語なんかでも「もの見方や考え方」という表現がありましたりとか,そういった現行の学習指導要領における記載がございます。
そういったことを考えたときに,今回,見方・考え方というのは全教科共通に入れていきたいということで整理を頂いておりまして,それらとの関係を分かるようにするという観点で,「見方・考え方」とさせていただいております。そういう観点で並びとしてさせていただいております。それでも社会科との関係で見たときに分かりにくいという部分については,もう少し整理が必要かなと思っております。
具体例については,担当からでよろしいでしょうか。

【梶山主任視学官】  済みません,具体例というのはイメージが,恐縮ですが,どのようなことでございますか。

【池野委員】  資料9を見ていただけますでしょうか。従来のワーキンググループの中で説明されてきたものは,資料9の左から二つ目の欄に書いてある社会的事象の見方・考え方を多くは指していると思われます。これが先ほど説明していただいた,社会科の場合はこれだという,特に小学校の場合とすると,1番目の中黒の位置や空間的な広がりや時期や時間の経過等々,更に下の方に行くと,比較・分類したり総合したりしてという,いわゆる各分野的な側面の見方・考え方と,下の二つはどちらかと言うと方法的なものですよね。
多分,上の方のものは歴史的な見方・考え方とか歴史的思考力だとか言われてきたものとほぼ同じものを指すし,地理的見方・考え方あるいは地理的な見方・考え方も同様なものを継承していると思われます。
今回は,下の二つの中黒ですよね。学習過程に含まれているような,比較や分類をしたり総合したりしてとか,国民(人々の)生活と関連付けてという,小学校の場合だったらこの二つの例示まで拡大してあるというように一般的には読み取れるわけです。
ですから,これを一般的な見方・考え方の,先ほどの定義から言うと,上の方は多分視点だとか思考の枠組みだと。それを若干思考の枠組み自体を教科の固有性から広げて,教科の中の具体的なプロセスというか,取扱いの仕方まで広げていっているように見えるわけです。
だから,そういうことを指すことまで見方・考え方を拡張しているように私には読み取れます。だから,見方・考え方自体の定義が総則評価部会よりも社会科の中の定義を,見方・考え方をより具体的な学習過程のところまで見方・考え方を広げているというように我々には読み取れるのですけれども,総則部会等との関連ではどうですかというのが私の質問の背景と意図でした。

【館委員】  よろしいでしょうか。

【梶山主任視学官】  今,御紹介いただいたお話でございますが,例えば小学校の括弧があるところの「見出し」の部分でございます。これは正に総則部会での検討を踏まえた1ポツのところの様々な事象を捉える教科ならではの視点,こういう点に着目して見いだしていくのだよという点。それから,下の二つのところが,比較・分類したり総合したりして,あと,こういうことをしたりして考えていくという,教科ならではの思考の枠組み,「追究の方法」とここに書いてありますけれども,総則評価部会における議論も踏まえて今回の社会的な見方・考え方を整理したところでございますので,両者の間においてそれほどそごはないのではないかなと思っているところではございます。

【館委員】  今,目標に関わる御意見が幾つか出ているのですが,それに限って議論したいと思いますが,目標に関わる御意見,ほかにありますでしょうか。
原田委員,よろしいでしょうか。

【原田主査代理】  主査代理でありながら,ちょっと意見を述べさせていただきます。今出てきた問題が1点,見方・考え方ですけれども,今,資料9で御説明いただいたので,ついでに考えたことなのです。これは前にも拝見したことはあるのですけれども,見方・考え方というのが上のダイダイ色というのでしょうか,黄土色というのでしょうか,この四角で囲ってしまって,下にまた矢印が来て,考察と構想に矢印が行っているのですけれども,どうもこの黄土色といいますか,肌色の背景色で塗って四角で囲ってあるところが社会的事象の見方で,その見方というのは考察に関わることであって,それを踏まえて考え方の方がこの構想に関わる,つまり,価値判断とか選択・判断に至る。だから,社会的見方・考え方が全部引っくるまっているというと非常に説明がしづらいけれども,上に書かれているのが社会的見方で,そういうものをきちんと踏まえて各自が選択,構想,判断していくのだという,これが考え方なのだというふうにすれば,この資料は説明がしやすいのではないかなと個人的には思いました。これが1点です。
それからもう1点,これもやはり目標ですけれども,皆さん余り違和感を感じないかもしれないですが,私は小・中・高,地歴・公民とも,総括目標の文章が,なれてしまえばいいと思われるかもしれませんけれども,今日初めて見たのですけれども,「社会的な見方・考え方を働かせて広い視野に立ち,」ここでカンマがあるわけです。そうすると,何となく社会的な見方・考え方を働かせるのは広い視野に立つに掛かりそうな気がしてしまうのです。だけれども,これは明らかに文末の資質・能力を養う,あるいは資質・能力の基礎を養うに掛かっているはずなので,どうしてもこれを並列させたいなら,「社会的な見方・考え方を働かせて」の後にもカンマを打つべきでしょうし,そうすると何となく形容,修飾語が並列しておかしいなということであるならば,「広い視野に立ち,社会的な見方・考え方を働かせて国際社会に主体的に生きる」うんぬんとした方が,国語的に,日本語的な表現として私はすっきり来るのですけれども,皆さん違和感を感じなければ,位置の問題なのです。社会的な見方・考え方を先頭に置きたいというのであれば特にこだわるわけではないのですけれども,ちょっとその辺り,御議論がなかったのか,お聞きしたいなと思いました。意見も含めてです。

【館委員】  お願いします。今,よろしいですか。

【梶山主任視学官】  それについては,私どもとしましては御議論いただければと思います。「働かせて」のところにカンマを打ってそれでつながるのかどうなのかというところは,是非御意見を頂きたいと思います。

【館委員】  参考資料1に,現行の小学校,中学校,高等学校等の目標が載っておりますので,かなり後ろの方になりますけれども,それなどと比較して,現行の学習指導要領における小・中・高の教科目標とどのように変わったのか,そしてそれが変わった意味で何か変わるものが,どのような解釈が成り立つのかとか,そんなことも御議論していただければと思いますが,桐谷委員,よろしくお願いします。

【桐谷委員】  目標の言葉ではなくて,見方・考え方のことでもよろしいですか。
この間から見方・考え方についてはずっといろいろ私自身も考えていたのですが,総則部会の方でも見方・考え方の位置付けが整理されて,今回,全体的な整理がされたという話を先ほど伺いました。見方・考え方はいわゆる用いるもの,若しくは働かせるものという形で用語が統一されて定義されたと理解しております。
ただ,先ほどの話もありましたように,資料7の2ページ目のところでは,資質・能力全体の中核という表現がまだされていて,資質・能力は資料10の中で,例えば思考力,判断力,表現力というのが資質・能力ですよね。その中の内容が規定されているのですが,中核として見方・考え方を位置付けてしまうと,三つの資質・能力と見方・考え方の関係が分かりにくくなってきてしまうと。
資料8ですか,前はこれは思考力,判断力,表現力と一緒に書かれていたものが,見方・考え方だけの図になってしまったので,いわゆる資質・能力と見方・考え方の関係性を示すものがなくなってしまったために,ちょっと分かりにくくなってしまっているのではないかなと思います。
いわゆる資質・能力は育成するもので,そのために見方・考え方がツールとして有効に働くものという,たしかそういう位置付けだったかと思うのですが,資料8,資料9なんかも,今,原田先生に御指摘いただいたところだと思うのですが,見方・考え方が中心にあって,それが考察,構想のように流れてきて小さくなっているので,どちらが主でどちらが従なのか,逆転しているように見えてしまうので,余計に社会科で培う資質・能力ですとか見方・考え方がどういうものなのかというのが分かりにくくなっているので,ここをもう一度整理し直していただくことが,まずは理解しやすくするためには必要なのではないかなと思っております。
やはり資質・能力を育成するということがもっと全面的に出た方が,現場の先生にも混乱がないのではないかなと思います。
ほかにもあるのですが,今,ここは目標とか見方・考え方ですよね。では,以上です。

【館委員】  頼住委員,お願いいたします。

【頼住委員】  見方・考え方のイメージの資料8に関することなのですけれども,点線で囲んである文章がございまして,それの一つ目の中黒なのですが,2行目に「涵養される自覚や愛情などにも作用する」という言葉がございまして,自覚については大変に分かりやすいと思うのですけれども,愛情の方がやはりここだけを読んだのでは分かりづらいのではないのかなと思いまして,私なりに考えてみましたところ,これは他者に対する例えば共感であるとか,他者への配慮とか態度とか,そういうことを広く愛情と言っているのかなと思いましたところ,そうなると,やはり愛情という言葉よりも,同じことをもう少し分かりやすく言うとすると,例えば道徳性であるとか倫理観,道徳性が一番ぴったり来るかなと私としては思うのですけれども,趣旨を生かした適切な用語が愛情という言葉ではなくてほかにありそうな気がいたしましたので,道徳性というような言葉を御提案させていただきたいなと思います。
以上です。

【館委員】  仙田委員,お願いいたします。

【仙田委員】  1点だけ,資料9についてです。午前中,全国校長会に出ていて,合田課長が地歴の例を出され,この問いのところがポイントだということを御説明していただきました。
「歴史総合(仮称)」のところの問いを見ていただきたいです。資料9の2枚目になります。視点を生かした,考察や構想に向かう「問い」の例についてですが,先ほど原田委員から発言があったようにその左の箱の見方のところが考察の部分で,考え方のところが構想の部分と考えるのは,私もそのとおりだと思います。
「地理総合(仮称)」と探究の地理は問いが違っているのです。ところが,「歴史総合(仮称)」と世界史とか日本史の探究の方の問いは,最後にどんな意味や意義があるのかが付いているだけの違いなのです。
特に「歴史総合(仮称)」の問いは,こういう問いではなくて,三つの柱である,近代化,大衆化,グローバル化が現在まで続くといったもっと基本的な問い掛けをすると,右側の考察,構想した結果,獲得する知識の例が生きてくるのではないかなと思います。
問いのところについては,今回これらのことを意識して文科省が行っていることはすごく分かるので,ここを工夫していただけると有り難いと思っています。
そうしましたときに,右側の知識の例のところもほとんど入っているのですけれども,情報化社会につながったとか,現代の課題につながったというような書き方を全てにしておくと,ここのところは生きてくると思いますので,是非とも問いのところを再考していただけると有り難いと思っております。
以上です。

【館委員】  ほかに何かありますでしょうか。
先ほどの……。
棚橋委員,よろしくお願いします。

【棚橋委員】  御議論の流れからもしかしたら少し外れるかもしれませんが,ちょうど今,資料9で思考力,判断力と問いというのが出てきました。私,思考,判断,表現ということについて少々分かりづらい感じがしましたので,質問という形で明確化をしていただきたいと思います。今の資料9の表にもございます,また,資料15-1の表,それから,文章で言えば資料7の8ページの一番下のマルを併せて御覧いただけるといいかと思います。
何が分かりづらいかといいますと,「社会的事象を見出し」という表現です。皆さん,これで分かりますか。社会的事象を見出す。事象を見出すというのは何をすることでしょうか。これに掛かる文章を資料7で拝見しますと,先ほどの8ページ一番下のマルのところに,「社会的事象等の様子や仕組み,課題等を見出し」と書かれていて,これなら理解できるのです。
そういう意味であるとするならば,事象を見出すのではなくて,事象の何かを見出すという意味だと思うので,資料15-1とか資料9のこの表現はいかがなものかなと疑問を持ちました。
それからもう一つ,同じところで,資料7のこの文章を読みますと,思考・判断・表現は,課題解決に向けて追究している状況を評価と書かれておりますけれども,思考・判断・表現というのは課題解決に向けて追究することだけでよろしいのですか。このすぐ前の文章のところを見ますと,課題解決の課題を広く捉えるか狭く捉えるかによっても違ってまいりますが,様子や仕組み,その事象の構造自体を解明するということも思考・判断になるというように読めるのです。実際,そうだと思います。
それらのことも課題解決であるとか課題解決の基礎だと理解すれば,それでよろしいのかもしれませんが,全て何らかの課題があって,課題を解決するだけが思考というようすると,例えば歴史や地理などで何か事象を見るときに,実際授業にしようと思ったときに,かなり無理が起きないかなということがあります。この辺の意図はどういうことなのかというのを教えていただきがてら,明確化していただければと存じます。
以上です。

【館委員】  今の点は,よろしいでしょうか。

【梶山主任視学官】  まず,「社会的事象を見出し」については,おっしゃるとおりで,まとめ文の方に近い意図をもって表現いたしました。
ただ,現行の中学校,地理的分野の説明で,「地理的事象を見出し」という言葉を使っているものをベースに,小・中・高,そろえていこうというようなことで,この見出すものは,例えば小学校でいうと,まず着目して個別の事実を見出すところからスタートしていくと。若干の小・中・高あるいは教科,分野の違いが生じる可能性もあるということで,図表に入れるときにはそれをまとめた言葉で「社会的事象を見出し」にしたということです。これが小・中・高分かれて,これから先,改訂作業に向かう場合には,それぞれ見出すものをより明確にするという作業は出てくるのだろうと思います。
それから,思考力,判断力,表現力についても御指摘のとおりで,課題解決を広く捉えた,つまり特色や意味について考えて理解に向かう,これも学習上の課題という意味で課題解決。一方で,社会に見られる,あるいは社会的事象から見出した現実に近い課題というものも含めて課題解決ということで表現しておりますから,いわゆるQアンドAでいうと,QとAの間に生じてくる学習活動,これを思考,判断,表現という大きな捉えで表現しております。もう少し分かりやすい記述に工夫していく必要があるかなと。
以上です。

【館委員】  谷田委員,お願いいたします。

【谷田委員】  時間の関係もありますので,御説明いただいた資料7の9ページまでのことについて,確認の意味で,よろしいでしょうか。2点ほどお願いします。
資料7の5ページですけれども,一つ目のマルに「資質・能力の柱の第二は」というパラグラフがございます。ここでは,そのところの2行目に「「思考力,判断力」は」という形の中でずっと説明が例示してあって,前者は何々等と書いてあって,5行目辺りでしょうか,「論理的思考力や批判的な思考力などの育成を目指すものであり」という記述になっています。後者についても,同じ段落の中で「目指すものである」というふうに示されています。そして,次の段落の「また」以下のところも,協働的うんぬんとかという形の中で,「問題解決する力や情報を吟味する力などの育成を目指すものである」という形になっています。
特に最初の「論理的思考力や批判的思考力などの育成を目指す」と書かれているときに,飽くまでもこれはそういう形を究極に目指すものなのか,もう少し表現上,資質・能力のそういう育成に資するものなのか,社会科における論理的思考力や批判的思考力などの育成を目指すものなのか,書きぶりのところなのですが,資質・能力の育成と,そして社会科等におけるそういったものがどういう関わりなのか。究極的にそれを端的に目指しているのか,資するものなのか,その辺りの表現ぶりを少し調整していただければと思っています。それが1点です。
もう一つは,8ページと9ページになりますが,評価の観点の在り方のところなのですけれども,細部にわたっているのかもしれませんが,8ページの二つ目のマルの2段落構成の最初の1段落のところ,知識・技能のところですが,最後のところ,「と理解し,その知識を身に付けているかどうかを評価することが考えられる」という表現になっています。同じマルの次の段落ですけれども,「といった基準で評価することなどが考えられる」という記述になっています。そして,続きですけれども,9ページの上から5行目,6行目辺りですが,「合意形成を視野に入れながら,他者の主張を踏まえたり取り入れたりして自分の考えを再構成しながら議論しているかどうか,といった基準で評価することが考えられる」,そして二つ目のマルですが,主体的に関わろうとする態度のところは,7行目,「などの基準で評価することが考えられる」という書きぶりになっています。
それぞれの性格によってこの例示の仕方が違うのかとは思うのですが,これは「といった基準で」というのは私には分かりにくいのですが,飽くまでも例示なのか,そして,こういう形でこういった基準を設けて評価しますよという強い意味なのか,今後,評価ということを考えていく際に,少し丁寧に整理をしていただければと思っています。
特に私など,倫理などを担当させていただいている分がある者からすると,そこの「合意形成を視野に入れながら」うんぬんといったようなところは合意形成というのはとても大切なことだし,合意形成されるということは有り難いことだと思っていますが,倫理では必ずしも合意形成そのものを究極的に目指す,あるいは必ずしも全てにわたって合意形成を目指すわけでもないので,「視野に入れながら」という微妙な表現ですから,それらも含みつつ,目標に含みながらということで,そこはまた調整していただくと思います。けれども,一方で,「アクティブ・ラーニング」にでは対応重視ということが求められていることからすると,この辺りの書きぶりを,強引に読まれる方は合意形成の方向で進めるのかといったような議論も出てくるかと思いますので,少し書きぶりを調整していただければと思っています。
以上です。

【澤井視学官】  今の点につきましてですが,思考力,判断力,表現力を社会科において特にということで,今回,考察,構想,説明,議論ということで絞り込んで説明をしていると。しかしながら,思考力,判断力,表現力というのは汎用性の高いもので,各教科等につながって総合的に育っていく力だということを表現する意味で,目指すと。つまり汎用性のものにつながっていくというようなイメージと,それから,この評価を視野に入れると,このワーキンググループの中で意見が何度も出ましたが,能力の中にもっと社会参画に向けた力をとか,あるいは資料吟味,クリティカルなものをとか,そういう御意見がございました。それらを能力の説明の中に段階,表の中に盛り込もうとも考えたのですが,なかなか評価をする場合にどういう評価にしたらいいかということが明確にならずに,ですから,こういうものも含み込んで総合的な汎用性の高い思考力,判断力,表現力として育っていくのですという補説をしたという意味合いが今の一つ目の御質問に関わる内容でございます。
それから,二つ目の方は同様に,三つの資質・能力で描いた場合,現実的にはやはりそれを評価しない限り,なかなか育っていかないもので,その評価イメージが先生方の中に生まれてこないと,言ってみれば絵に描いた餅のような言葉になってしまうということで,「といった」「など」というふぞろいな部分はまた調整する必要があるかなと思いますが,趣旨としては,「など」,これらを一例にということで,ほかにも様々,倫理なら倫理の特質を踏まえた評価規準が考えられるという,そんな意味合いで,「など」に統一した方がいいのかもしれません。
以上でございます。

【館委員】  矢吹委員,お願いいたします。

【矢吹委員】  すいません,お時間がないので。私が聞き漏らしたのかもしれないのですけれども,「社会的事象等」のところで,以前は「等」を括弧に入れてまとめ案ができていたと思うのですけれども,小・中学校は「社会的事象」で,高等学校になると「社会的事象等」になるということだったと思うのですが,今回のまとめ案は全て「社会的事象等」という形で出来上がっているのですが,これは「等」に統一されるのかということと,そうしますと,資料8とか資料9なのですけれども,高等学校になると地理歴史科のところも「社会的事象の地理的な見方・考え方」というので,ここは「等」がないのですが,「等」があるところとないところが混在しているのでよく分からないのですが,そこのところを教えていただけたらと思います。

【館委員】  では,もう一度,お願いいたします。

【澤井視学官】  基本的には「社会的事象」で全て説明ができれば一番分かりやすかったのと,歴史的に学習指導要領を調べてみますと,「社会事象」から「社会的事象」に変わった時期もありまして,少し広く社会事象を捉えていこうという変遷がございました。
したがいまして,当初,「等」の中にいろいろ社会そのものとか課題とかを含んで「等」という表現をしようと考えていたのですが,経緯を踏まえると,「社会的」の中にかなりのものが含まれるという意味で,社会科,地理歴史科の学習対象をいったんは「社会的事象」で統一を図りたいという協議をさせていただいたのですが,やはり「倫理」と,それから今検討を進めている「公共(仮称)」については,人間の在り方・生き方という学習対象が入ってきまして,ここにはやはり「社会事象」あるいは「社会的事象」という言葉がなじまないということがございます。
ですから,小・中学校は「社会的事象」で,地歴科も「社会的事象」ですね,これで行けるのですが,公民科だけでまずくくった場合は,やはり「社会的事象等」と説明する必要が出てまいりますし,もっと言えば,高等学校全体でくくった場合もやはり「等」が効いてくると。小・中・高全体でくくった場合も「等」が効いてくると。
これは小・中・高あるいは分野教科に分かれて改訂作業が進められていけば統一的な言葉をそれぞれに応じた使い方になっていくのだろうと思いますが,現段階で,看板を掛けるときに,例えば知識の場合も「社会的事象についての知識」だと公民科が入らなくなってしまうので,「社会的事象等についての知識」と,社会的事象等について調べまとめる技能というふうに,全体の看板を付けなければいけない段階ではやはり「等」を付けるということでございますので,この後の改訂作業で少し看板がはっきり分かれていくと御理解いただけたらと思います。

【館委員】  ありがとうございます。
桐谷委員,お願いいたします。

【桐谷委員】  資料13の補足資料の公民としての資質・能力と,それから基礎の件です。これ,統一されたというのは私,非常に安心いたしまして,ほっとしております。
ただ,そのときに,公民としての資質・能力というふうに,そちらに統一した理由が非常に分かりにくいというか,説明がなかったので,それをお聞きしたいと思っております。
というのは,従来,ずっと公民的資質・能力という言葉で社会科の究極の目標を表してきましたし,これは現場にもかなり深く浸透しているわけですよね。前回は,公民的な資質・能力を小・中学校でというふうに,「的」という言葉を今まで使おうともしていたのですが,今回は「公民としての」というちょっと間延びする平仮名の入った表現を使用したのはなぜかというのが非常に不可思議で,また,これも,では,公民としての資質・能力は公民的資質・能力とどこがどう違うのかという議論は当然出てきてしまう。引き継ぐのだという表現はあるのですが,何をどう引き継ぐのかとよく分からなくなってしまうので,私はやはり「公民的資質・能力」という表現の方が適切だろうと考えています。「としての」というのが効いてくる意味としては,やはり18歳選挙権の問題があるのだろうと思うのですが,それを含めて公民的資質と今までも呼んできたわけです。「的」という言葉は今回も課題解決的学習ですとか社会的見方・考え方とか,「的」という言葉が非常に大事にこの改訂では事務局も使っていらっしゃると。もし「として」というところだけこれを使うのは非常に違和感を感じるので,社会に関する見方・考え方という言葉を使わずに社会的と呼んだのは,それが端的に広く,また,汎用性のある言葉として事務局も認識されているのだろうと思うのです。
ですので,公民的資質・能力という言葉の方が非常に有用だろうと思いますので,こちらの方を検討していただきたいということと,もしそれができないということであれば,なぜこの「として」という言葉に統一されたのかの理由をお教えいただければと思います。

【館委員】  お願いします。

【澤井視学官】  この点につきましては,この後も引き続き協議いただきたいポイントでございます。「公民として」という言葉を用いたのは,現行の公民科の目標が「公民として」という言葉を使っていると。現行使っている以上,公民科の「公民として」を「公民的」に変えることがどうなのだろうかという,そんな意見もございました。おっしゃるように,18歳選挙権で,現行よりも改訂のときにはより公民としての資質・能力,狭義でいうと政治的観点から捉える国民を指すという公民の説明を公民科の方はしているのですが,「公民的」はもっと広い説明の仕方をしていますが,そういう18歳の現実が出てきますので,資質・能力の性格をより明確にする意味で,公民としてという言葉を使って,小・中学校は「的」なの意味を踏まえて,その基礎という表現にしたのですが,この辺り,是非御議論を頂けたらと思ってございます。

【館委員】  よろしいでしょうか。

【桐谷委員】  1点だけ。意図はよく分かるのですが,公民としての資質・能力を公民的資質・能力という言葉で規定して育成しようとしてきたのが従来の社会科ですので,その辺の歴史的な経緯も踏まえていただけると,非常に助かると思います。
以上です。

【館委員】  池野委員,お願いします。

【池野委員】  桐谷先生の話の続きに多分なると思うのですけれども,公民的資質・能力あるいは公民としての資質の中身の問題で,資料7の,あるいは小学校・中学校の特に中学校・高等学校の目標の特にマル3の中に出てくるのですけれども,他国や他国の文化というのが中学校や地理歴史科,公民科はちょっと違うのですけれども,自国とか各国とかいう言葉になるのですが,公民としてのという形を定義されると,私なんかは見るとやっぱり国家を意識したもの,当然18歳選挙権はそういう意味だと思うのですけれども,公民的資質は,御存じのとおり,国民と市民という二つの概念を総合的に使おうという意図があったのですよね。そういうときに,ある面,国民と国家,それから社会と市民という二つの側面があったのですよね。そのときに,国という側面と,それから地域という国以外の区分される部分がありますよね。例えば台湾の問題だとか香港の問題だとか,そういうものが代表的な例だと思うのですけれども,国だけを我々は社会科の中で取り扱うのか,もう少し広く取り扱うかという問題と,国だけなのか,あるいは国の中に住んでいる人々,他者まで取り扱うのかという問題ですよね。
多分それが公民としての資質や公民的資質を定義するときに,どうしても公民としてという大きなくくりの中に入れると,私なんかは古い人間なので,東ドイツ時代のシュタッツビルガーという言葉を思い出してしまうということです。国家公民という国名を思い出してしまって,そういうものに社会科や地理歴史科や公民科が強化されているのではないかという批判を受けてくる可能性があると思うのです。公民的資質よりももっと強化されてくるという側面があるのではないかなと心配します。
だから,公民としての資質の側面がもしも維持されたとしても,やっぱり内容として,国だけではなくて地域も取り扱うでしょうし,それから文化だとか,その中でも1人1人の,あるいは人々のそういう側面を尊重するような,他者としての側面ですね,他者の尊重とかいうものをもっと前面に出していただければ,そういう側面の懸念が少しは解除されるし,社会科や地理歴史科や公民科がそういう側面で現代社会のグローバル化に対応して,よりよい社会を作ることになるのではないかなと思います。
以上です。

【館委員】  資料13の補足資料のところに,公民的資質とは何かということが書かれていると思います。資料13の補足資料ですが,上の方には公民としての資質・能力,そしてその下,公民としての資質・能力の基礎と書かれましたこれが今まで学習指導要領の小学校において規定されていた公民的資質の中身であると。これだけではないかもしれませんが,そんなことが書かれておりますので,これなども参考にしてください。
一ノ瀬委員,お願いします。

【一ノ瀬委員】  それでは,私の方で気になった点,3点なのですが,短く。二つほど意見ということで,一つは質問というか確認なのですが,一つは,最初に御説明いただいた資料9の一番最後のページの高等学校公民の「公共(仮称)」,「倫理(仮称)」,「政治・経済(仮称)」に関してなのですが,最初の点は,私,何度もこのワーキングの会議で申し上げたことなのですが,人間としての在り方・生き方というのは,学ぶ目標の重要な場面でそういう表現が登場するのですけれども,是非こういうことを目標として掲げる,目標を表現する軸概念として掲げる際に,これに直接含めることはできないとしても,何らかの解説の中ででも,死の問題を是非入れていただきたいと思います。
やっぱり死というのは,ある意味では個人の問題ですけれども,公共的な意味も当然持ちますので,デス・エデュケーションということがありますので,ある程度,10代ぐらいから死というものを主題として考えるという視点を持っていただきたいと私は強く思いますので,死の問題に触れる場所を是非作ってほしい。
考えられる視点例の中に幸福,正義,公正,個人の尊厳うんぬんということが公共に関してありますけれども,この中に例えば死生あるいは死生観でもいいと思うのですが,それを入れていただければいいのかなと思います。それが1点です。
それから,考察や構想に向かう「問い」の例というところで,公共に関して,2番目のライトブルーになっているところの例文なのですけれども,公共的な場づくりや安全を目指した地域の活性化のためにうんぬんとありますが,この安全というのが何なのか,質問をさせていただきたいのです。安全というのは治安のことですか。それとも災害に対する安全のことを言っているのでしょうか。
これ,もし災害に対する安全だとするならば,どちらかと言うと地理科目との兼ね合いが出てくる例文だと思うのですけれども,その辺り,この例で何が意味されているのか,確認させていただきたいと思います。
それから第3の点ですけれども,選択科目の「倫理(仮称)」の考察や構想に向かう「問い」の例の,やはりこれもライトブルーの下の欄に出ているのですけれども,自然とどのように関わり合って生きればよいか。自然科学で知り得ることと倫理学で求めることとの違いはどこにあるかというこの例なのですけれども,これは私,ちょっと違和感を感じまして,現代の倫理学の非常に強い傾向として,脳科学なんかと連携しながら,自然科学と連動しつつ倫理を考えるというのが強い,かなり有力な考え方なのです。だから,自然科学で探究することと倫理学で探究することは違うと言い切ることは現時点では非常に難しいところがあるので,あえて例題として挙げるとするならば,自然科学で知り得ることと倫理学で求めることとはどう関わるかという問いがむしろ適切な感じがいたします。
以上です。

【館委員】  では,安全に関して,もし御説明がありましたら,お願いします。

【樋口教科調査官】  また後ほどの議論の中で出てくることかとは思っておりましたが,資料7の21ページを御覧になっていただけたらと思っております。こちらに防災・安全教育の対応が求められてございまして,その中で,下から二つ目のマルの下から6行目辺りからです。高等学校公民科の「公共(仮称)」においては,防災,防災関係制度も含め,安心・安全な地域づくりへの参画が現代的諸課題等の理解に関する指導を行うことが考えられると。このようなことでございます。
地理的分野あるいは地理において行うことは当然であるわけでありますけれども,「公共(仮称)」においても,とりわけこのような制度等に関しては関わるところもあるということで,ここのところに書かれているところでございます。

【一ノ瀬委員】  ありがとうございました。分かりました。
それでは,逆に言いますと,治安という問題については,特にこの安全ということでは問題にしていないという含みでよろしいのでしょうか。

【樋口教科調査官】  現在,まとめ文の方でこれから御議論いただく中ではこの文言となっておりますので,その中で具体にどのように授業を行っていくかということは,また後の議論であろうかと思っております。

【館委員】  では続いて,永田委員,お願いします。

【永田委員】  資料13とその補足資料です。簡単なのですけれども,最初,加藤先生が言われましたように,小学校と中学校の総括目標が一緒になっている,地理歴史科と公民科の総括目標が一緒になっている点では,個人的にはいろいろ意見がありまして,見方・考え方とか内容のところで変えていただけないかなという個人的な意見は持っております。
今回,資料13の補足資料のところで先ほどから出てきています公民としての資質・能力の基礎というのが,小・中学校では基礎,高等学校では公民としての資質・能力ということで違いが分かりやすくなっていると思います。現行でも小・中学校が基礎で,高等学校が公民という使い方なので分かりやすくなったと思います。
最初説明がありましたように,補足資料13で小・中学校の基礎のところに主体的にという文言を入れられたということでございます。これはよく見てみたら,グローバル化という文言も基礎のところ,つまり小・中のところに入っております。資料13を見たら,小学校・中学校のところにはグローバル化という言葉が入っていないということで,このグローバル化について,公民としての資質・能力の基礎と基礎がなくなった場合の公民としての資質・能力のところで,私が考えているところで言えば,グローバル化というのと有為な形成者の有為なという文言が入ったら基礎が取れるのかなと思っております。このグローバル化の取扱いについて,確認だけ,お願いいたします。

【館委員】  確認ですので,お願いできますでしょうか。

【澤井視学官】  まずは目標の捉え方なのですが,今のことにも関わりますが,従来,小・中学校共に,前半に理解を図り,理解と愛情を育みとか,あるいは深め,公民としての基礎を培い,その後に,国際社会に生きる平和で民主的な国家社会の形成に必要な公民的資質を養うという構造になっておりまして,つまり,前半の文が小・中それぞれの理解あるいは態度形成といったような目標を表現していまして,後半は,解説文の言葉をかりると,社会科の究極的な狙いを共通に示していると。こういう構造でございました。
今回の目標が,いわゆる総括的な目標というのは後半の部分を申し上げておりまして,前半の理解とか愛情とか,こういったものを三つの資質に分けて,より詳しく説明しているということでございます。
したがいまして,先ほどの議論にもう1回戻しますと,公民的がよいのか,公民としてがよいのか,議論が必要だと思いますが,いずれにしてもそれはどんなものであるかということをより鮮明に表現したものが今回の文章,つまり,社会的な見方・考え方を働かせて広い視野に立ち,グローバル化する国際社会をのと。
つまり,究極共通項というのは余り差を付けないで目指す方向を据えておいて,そして,それを育てるために次の三つの資質あるいはそれの具体的なものとしての三つの資質を小・中・高で分けて説明すると。その中にはいわゆる情意とか態度に関わる目標も明確に書かれてきますから,そんな目標の構造整理をしたと捉えていただくことはいかがでしょうか。
また,これも議論を頂けたらと思うのですが,これまで後半に書かれていた共通の社会科の究極目標と言われる部分を,段階を付けたり,余り細かく規定を分けるということが目指す方向としてどうなのかと。むしろ前半で小・中・高の違いを三つに分けて細かく説明しているというこの構造をとろうとしているところなのですが,加藤委員の御質問にもそういう形でお答えさせていただこうかと思いますが,議論していただけたらと思います。

【梶山主任視学官】  1点,追加で申し訳ございません。先ほどのグローバル化でございますが,これは誤植でございます。これは入れる前提でございます。
小・中学校にも,グローバル化する国際社会,国際社会の前にグローバル化するというのを入れる前提で考えておりました。大変恐縮でございます。

【館委員】  資料13の小学校・中学校の目標のところを,グローバル化する国際社会というふうにするということでよろしいでしょうか。

【梶山主任視学官】  小・中学校においてもそちらを入れるべきところを,すいません,いろいろ直していて,落ちてしまったようです。申し訳ございません。

【館委員】  そうすると,資料13の補足資料の文言でということでよろしいですね。
時間もかなりたっておりますが,頼住委員,よろしくお願いいたします。

【頼住委員】  済みません,先ほど愛情ということについて,私の方で誤解をしておりまして,愛情というのはこれは愛国心であったり,我が国の国土とか歴史に対する愛情ということでほかの資料にございましたので,そうなると,ここの愛情はそれでよろしいのかなと思いますが,ただ,単なる愛情だけだと何を言っているのか,ここだけを読んだのでは分からないので,むしろ郷土愛とか,そのような形で書いた方がよろしいのではないかなと思いましたので,一言付け加えさせていただきます。

【館委員】  目標を中心に話し合ってきているわけですが,先ほど澤井委員からも目標の構造的な説明がありましたが,それなどについての御意見はよろしいでしょうか。ありがとうございました。
では,最初の議題を終わりにしたいと思います。
続きまして,教育内容の見直し,学習指導の教材の充実についての意見交換に移りたいと思いますが,よろしいでしょうか。
では,説明の方からお願いしたいと思います。

【大内学校教育官】  それでは,お手元に資料で申し上げますと,配付資料16と,それから,後は本文資料になりますので,先ほど来,御意見を頂戴しております資料7の取りまとめの二つでございます。御検討いただきます箇所,主な修正点を中心に御紹介させていただきます。
まず,資料16につきましては,基本的に変更ございませんので,前回同様の資料の構造となってございます。
それで,資料7の本文の方でございますけれども,本文につきましては,該当いたしますのが19ページの(2)資質・能力の整理と学習過程の在り方を踏まえた教育内容の構造化,ここからがこの後の議論の箇所でございます。ここから最後のページまでまいります。
それで,主な変更箇所といたしましては,まずは19ページの(2)につきましては特段ございません。
それから,20ページですけれども,(3)現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しについては,委員の先生方から幾つか御意見を頂戴したものを踏まえ,修正しております。まずは20ページの(3)の一つ目のマルの中で,御意見といたしまして,現行でも重視している点を記述していってはどうかということがございましたので,マルの2行目のところで,伝統・文化に関する点を加筆させていただいております。
また,21ページにつきましては,金融の働きについての充実の御意見を頂戴しておりましたので,21ページの情報化の進展等による産業構造の変化等への対応のところで,その旨,記述させていただいております。
また,21ページの防災・安全教育への対応のところで,今時の改訂におきまして,地歴総合を必履修化することが何より防災・安全教育の対応につながるという御意見を頂戴しておりましたので,その旨を記載させていただいております。
また,21ページの選挙権年齢の18歳への引下げに伴う政治参加への対応。こちらの中で,日本国憲法の取扱いをきちんと明示するべきではないかということがございましたので,こちらの方で反映させていただいております。
22ページですけれども,一番上のマルのところで,ここはそのまま少し加筆をさせていただいたのですが,公共の学習につながるよう関係機関等との連携の御指摘もございましたので,この旨,記載をさせていただいております。
また,4,学習・指導の改善・充実や教材の充実につきましては,(1),(2)共に大きな変更はございません。
23ページの(3)教材の在り方ということで,こちら,御意見を頂戴したものを反映させていただいております。具体的には,24ページにわたりますけれども,上から二つ目のマルのところで,小学校社会科においては,資質・能力を段階的に育成する観点から,これまで第4学年で配付されていた「教科用図書地図」を第3学年から配付するようにし,見方・考え方の育成やグローバル化の対応を図っていく旨,それから,その後,三つマルがございますけれども,こちらについては高校関係として御意見を頂戴しておりましたが,高校地歴科の歴史系科目における用語の対応に当たって,歴史用語についての整理,構造化を行い,精選していく旨を記載させていただいております。
また,次のマルでは,必履修科目において,特に歴史系の科目について,大学等での研究成果の提供,多面的・多角的に考察するための題材を学校で使用できるよう,大学等での研究成果の提供の旨を記載させていただいております。
最後に,地理系科目においての教材やソフトウェア開発の導入の遅れ,あるいは教員の経験不足,環境整備,広報といったことが必要なので,その旨を記載させていただいているということでございます。
5番の必要な条件整備については,25ページですけれども,一番最後のマルですが,これも御意見を頂戴しまして,研修の充実の観点に,社会との関わりを意識した課題解決の学習活動を充実する観点からは,専門家等を研修の際にも活用していってはどうかという御意見を頂戴しておりましたので,こちらを加筆したという点が主な修正箇所でございます。
以上になります。よろしく御審議のほどお願いいたします。

【館委員】  ありがとうございました。
それでは,資料16及び資料7の19ページから24ページについて意見交換をしたいと思いますが,いずれについてでも結構ですので,御意見がある方,よろしくお願いいたします。
岡崎委員,お願いいたします。

【岡崎委員】  ありがとうございます。まず資料7の19ページ以降につきまして,私の方では金融教育の充実について意見を出させていただきましたけれども,これまでも御説明申し上げてまいりましたとおり,私どもでは金融そのものについてのみを扱っているわけではございませんので,もろもろの箇所で,17ページ等,経済に関する内容を広く強調していただいた点につきましては大変有り難く存じております。
ただ,具体的に金融を今回取り入れたとおっしゃっていただきました21ページの記述につきましては,若干コメントさせていただきたいと思います。21ページのマルがついているところの一つ目の塊の下から2行目,例えばそれらを支える投資等による資金調達を含めた金融の働きについてとございますけれども,ここでの投資は企業の設備投資ではなく個人等の投資ということかと思います。資金調達と主体が入れ替わっておりますので,日本語としては不自然だと思います。ここでは,の投資だけを取り上げるといたしましても,「個人の投資と企業の資金調達の関係を含めた」等としなければ不自然だと思います。また,投資だけを取り上げることについては問題があろうかと思いますので,「個人の投資・貯蓄と企業の資金調達の関係」等としないと,不自然であると思います。
それから,大変申し訳ないのですけれども,先ほど大内学校教育官が資料7について言及されたのが8ページまででしたので,9ページ以降につきましては別の機会が設けられることといたしまして発言いたしませんでしたが,御質問させていただきたく存じます。15ページの下から4行目に,公共的な空間における基本的原理を活用してというのが出てきまして,それからこの後,16ページにも……。

【館委員】  申し訳ありません,それにつきましては後で時間をとりますので。

【岡崎委員】  そうですか。分かりました。
では,金融のところだけ,まず申し上げました。ありがとうございます。

【館委員】  では,桐谷委員,お願いいたします。

【桐谷委員】  ありがとうございます。私,意見が1点と要望が1点です。
意見の方は,資料7の20ページ,前回の会議でも最後にちょっとだけ申し上げたのですが,(3)現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しのところのグローバル化への対応のところです。そこのところで,前回,私が申し上げたことを含めていただいたのかなと思ってもいるのですが,マルの二つ目です。小学校社会科においては,地方公共団体が行う国際化の対応を取り上げると。グローバル化への対応が国際化への対応という言葉に置き換わっているだけで,内実,よく分からないです。
前回申し上げましたが,グローバル化によって地域内は多文化化することになっておりまして,多文化社会とか多文化化という言葉は非常に一般的な用語になっていると思います。内なる国際化という言葉が一時期はやりましたが,今から30年ほど前の用語でして,概念としてはちょっと古くなってきていると思います。
省庁の方でも,総務省では2006年に多文化共生の推進に向けてのような会議の報告書を出しまして,多文化共生推進プランについて提起して,各都道府県市町村に多文化共生に向けての課や係をつくることの通達を出したりしていますし,内閣府でも多文化共生社会における防災の在り方や地域づくりという言葉で,社会そのものを多文化共生社会,若しくは多文化社会と捉えていくのが行政の中でも一般的になってきていると。法務省でもそういう言葉を使っていますので,是非ここのところはそういう政府の一貫した考え方に即しながら,現実の実態としても多文化化という問題についてきちんと明記していただくことの方がよいかと思います。
これは小学校だけの問題ではなくて,小・中・高,それから社会科,地理歴史,公民,全てにおいて,地域の多文化化の問題,国内の権利問題も含めて大きな問題になっていくので,課題解決的な学習の充実の中では重要なテーマになると思われますので,この点をもう少し明示していただく方がいいのではないかなと思うので,意見です。
それから2点目,要望は,同じく21ページ,右下の方で選挙権年齢の18歳への引下げに伴う政治参加への対応ということで,小学校や中学校における政治や社会に積極的に参画する資質・能力の一層の育成が求められていると書いてあるのですが,先ほど澤井視学官の話では,これは評価が難しいので資質・能力の中に参加,参画を位置付けられないというような御意見があったのですが,この辺り,現代的な課題で内容の見直しというところで,書いてあることと実際に資質・能力の中の規定がずれているので,これは消してしまうと問題だと思うのですが,その辺は整理しないといけないのかなと思っておりますので,またこの辺は高校の公民科の部会の先生方がこの件をどのようにお考えでいらっしゃるかというのは,もし御意見をお聞かせいただければというのが要望です。
以上です。

【館委員】  小倉委員,お願いいたします。

【小倉委員】  内容の方に入ってきましたので,現場として2点,お願いいたします。
1点目は,資料16で,前回も出していただいた内容で,小学校3,4年からずっと内容が整理されているのですけれども,今回,見方や考え方の改訂ということがありますし,実際現場で行われている小学校3年生,4年生の学習を考えると,今,小学校3年生,4年生の学習内容が一緒に示されていますが,分ける方向で考えることはできないだろうかという点です。
学校やその地域によって扱う内容等の順番がいろいろと変えられている部分があるのですけれども,今回の改訂に伴ってそういうことを考えておられないのかどうかということが1点と,もう1点は,資料7の20ページ,21ページ,持続可能な社会の形成への対応で,マルが一つありまして,持続可能な社会づくりの視点が一層大切になってくる,例えばと中学校の例が示してあるのですけれども,小学校の学習においてもこの持続可能な社会ということでは,最近,地方創生等でも人口減少や少子高齢化という問題が出てきていて,その辺を持続可能な社会づくり,地域再生ですとか創生ですとか,そんな観点で出てくるかなと思うのです。
実際,小学校の学習では,今,社会保障のところで恐らく少子高齢化を扱えるかどうかという点かと思うのですが,これからのことを考えていくと,そのような観点を小学校の学習においても,もちろん中学校や高校でも大事だと思うのですが,持続可能という点では大事な観点かなと思うのですが,いかがでしょうかという2点,お願いいたします。

【館委員】  御意見ということで承ってよろしいでしょうか。今のような御意見があったということで,よろしくお願いいたします。
では,矢吹委員,お願いいたします。

【矢吹委員】  ありがとうございます。それでは,意見が1点と要望が1点ということなのですけれども,24ページの必要な条件整備等についてなのですが,私の意見として述べさせていただきたいのが,学校現場の先生方にしてみれば,外部講師とか外部との連携・協働というのを今回かなり推し進められているということからすると,とても大変な作業があるのではないのかなと思いますので,こういったところで環境整備として,コーディネートする人,コーディネーターを学校の現場の置くということも必要ではないのかなと思います。
国立教育政策研究所が平成20年度辺りにコーディネーターの資質とかそういった調査をされているかと思いますけれども,そういったものを基に,こういった環境整備をされるコーディネートできる人の存在を整備していただけるのが一つの意見としてあるのではないのかなということです。
あと,要望なのですけれども,今回は無理ということで1度お話をさせていただいたのですが,どうしてもやはり気になるので,今回の改訂作業にいろいろ携わらせていただいた中で,自立した主体という場合の自立なのですけれども,自ら立つではなくて,自ら律する方の自律というのが社会科の目標としてみればふさわしいのではないのかなと思いますので,自ら律するという自律という文言も,今回は無理でも次回以降で御議論していただけたらということ,以上です。ありがとうございました。

【館委員】  ありがとうございました。
ほかに御意見,よろしいでしょうか。
では,小・中・高等学校を通じた資質・能力等についての議題はここまでとしまして,ここからの進行は土井主査にお返しいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【土井主査】  それでは引き続きまして,高等学校公民科に関する意見交換を行いたいと思います。
まず,事務局から資料について説明をお願いいたします。

【大内学校教育官】  それでは,お手元に高等学校公民科に関する資料といたしまして,資料17-1から,資料20までを御説明させていただければと思います。また,後ほど関連する箇所として資料7,取りまとめの本文について確認いただくようにしたいと思います。
まずは資料17-1でございます。こちらに対応する資料といたしまして,前回の公民中心のワーキンググループで御議論いただいた際の資料といたしましては,資料2の6ページでございます。また,お手元には本日の資料ということで,資料17-1を御用意いただければと思います。
資料17-1でございますけれども,主な変更箇所を中心に御紹介させていただきます。まず一つは,資質・能力に関わっては,今ほど御議論を頂戴いたしました観点で,統一的に3本柱を整理させていただいているところでございます。
それから2点目としましては,(1)「公共の扉」のところでございますけれども,(2),(3)について全体を統括するような表現があったのですが,(1)についてはございませんでしたので,矢印で示しているような表現を追加しております。具体的には,自立した主体とは,孤立して生きるのではなく,他者との協働により国家や社会など公共的な空間を作る主体であるということを学ぶと共に,選択・判断するための手掛かりとなる概念や理論,公共的な空間における基本的原理を理解し,次にあるような(2)や(3)の学習の基盤を養うという表現を追加させていただいております。
また,イの公共的な空間における人間としての在り方生き方の箇所を中心にして,あるいはウのところも含めてですが,やや難解で分かりにくいという御指摘も頂戴しておりましたので,何か所か表現を少し開くような形での修正を図らせていただいております。
また,(2)でございますけれども,自立した主体として国家・社会に参画し,他者と協働するためにというところで,従来ですと,自立した主体として社会に参画しという形でございましたけれども,国家の視点がやや薄いのではないかという御指摘も頂戴しておりましたので,この見出しも含めて数か所,修正を図らせていただいているところでございます。
また,(2)の矢印で示されているリード文についても少し丁寧に加筆させていただいている,具体的には「その際」以降のところでございますけれども,その際,(2)の学習が(3)の学習につながっていく,課題意識の醸成に努めるようにするという形の表現を加筆しております。
また,ア,イ,ウ,エのエのところでございますけれども,従前は様々な情報を発信・受信する知的主体となる私たちということでございましたが,主体の名称として,ア,イ,ウについても知的な部分が当然ございますので,主体の表現として,17-1のように様々な情報の発信・受信主体となる私たちという形での表現を修正しているところでございます。
また,(3)の下のところでございますけれども,下欄,欄外のところでございますが,家族・家庭,生涯の生活の設計や消費生活等に関する個人を起点とした自立した主体となる力を育む関係教科,家庭科でありますとか,あるいは情報,保健体育といったものも記載がされていたのですけれども,これに加えて,総合的な学習の時間との連携も必要でしょうということで,その文言を加えております。
なお,情報リテラシーや情報科であるとか保健体育科については,ここの総括表からは見えなくなってしまっているのですが,本文上ではきちんと記載を残してございますので,念のため,申し添えます。
それから,一番下の二重枠で囲まれているところでございますけれども,キャリア教育の観点の関わりで,従前,中核的な機能を公共が担うということで示されておりましたけれども,これに加えまして,高等学校における特別活動のワーキンググループにおいても,このキャリア教育の観点からの議論はなされておりますので,そういったことも明示的に示すような修正を図らせていただいているところでございます。
また,一番上のところですけれども,従来ですと,平和で民主的な国家及び社会の形成者を育成だけでしたが,これまでの目標規定の議論を踏まえまして,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者を育成することがこの科目の大きな目標ということで示させていただいているところでございます。
次に,資料17-2でございます。資料17-2については,今ほどの資料17-1をより詳細に示したものでございまして,こちらについては今申し上げました点と重なる点の修正を施しております。
それ以外に,固有の部分としてですが,例えば資料17-2の一番下のところに,指導のねらいを明確にした上で,囚人のジレンマ,共有地の悲劇,最後通牒ゲーム等の思考実験うんぬんという表現がございます。これは従来の図ですと,イの下に入っていたものですから,イのための,すなわち公共的な空間における人間としての在り方生き方の指導の際に,そういった学習活動を取り入れるような誤解を与えるのではないかという御意見を頂戴しまして,ア,イ,ウの下,すなわち(1)「公共の扉」全体に掛かる形で位置の修正を図らせていただいているところでございます。
それから,次のページの構成マル2のところでございますけれども,自立した主体として国家・社会に参画し,他者と協働するためにの箇所について,先ほども申し上げましたが,国家という表現の部分を若干加筆をさせていただいております。
また,(2)の欄外のところですけれども,政治・経済及び法に関する制度の基本を理解して,これらの制度を通じて国家・社会に参画し,諸課題を解決していくために必要な学習を行うという形で,この(2)のパートの概要の部分のものを欄外に示させていただいております。
その他の点については,先ほど御覧になっていただいた資料17-1の修正と同じでございます。
それから,次のページになります。構成のマル3でございますけれども,こちらについても先ほど資料17-1で御確認いただいた点と同様の観点から修正を図っております。
なお,1点,入力ミスがありまして,(3)の持続可能な社会づくりの主体となるためにの1行目のところで,「(2)他者との協働により,自立した主体として国家・社会に参画するために」という,文言がひっくり返っているというか,完全に逆になってしまっていますので,単純に引用ミスでございまして,(2)については「自立した主体として国家・社会に参画し,他者と協働するために」のままでございます。こちらはお手元の資料を修正いただければと思います。
それから,資料17-3は,「公共(仮称)」において重視する思考力等と授業イメージということで,こちらの資料は初めての資料になります。これにつきましては,問い立てで,先ほど資質・能力の見方・考え方の資料でも御確認いただきましたが,問いを重視して,問いを立てながら授業イメージを分かるようにしたらどうかという御意見を頂戴しておりましたので,新たに資料17-3として整理をさせていただいてございます。
中央部分には,重視する思考力,判断力,表現力等,右側には,問いの例と授業展開のイメージということで示させていただいております。例えば(1)「公共の扉」の部分について,育成する力としては,選択・判断するための手掛かりとなる考え方や公共的な空間における基本的原理を理解し,多面的・多角的に考察する力でありますとか,そういったことを議論したり,説明したり,記述したり,論述したりする力を重視する思考力,判断力,表現力と整理しまして,これを,例えばですが(1)ということで,人間社会と自然環境との関わりについて判断する際,どういった,どのような手掛かりがあるだろうかというような問いを立て,その場合に,例えばですけれどもマル1ということで,「その行為の結果である,個人や社会全体の幸福を重視する考え方」に立った場合の例,あるいは「その行為の動機となる人間的責務としての構成などを重視する考え方」に立った場合の例という形で,少し具体例を示しながら記載をしてございます。
また,答えの例というのも表現が十分でないところがあるかもしれませんが,マル1,マル2共に現代社会の諸課題を考える際に手掛かりとなる重要な考え方であるということをしっかり生徒の方で押さえた上で,その際,人が追究するものは経済的価値に限られるものではなく,多義的であること,マル1,マル2の両者共に活用し,自分も他者も共に納得できる解を見出そうとしていくことなどについて継続的に考えていくことが重要ではないかという形での整理をさせていただいております。
(2),(3)についても同様の育成する資質・能力を置きながら,問いを立て,具体の授業展開のイメージを記載してございますので,後ほど御確認いただければと思っております。
また,下欄の補足,学習の系統性,段階性については,従来の17-1あるいは17-2の中でちょっとパーツで分かれていたのですが,それをまとめて示しているところでございまして,基本的には再掲でございます。
それから,公民科目の改訂の方向性ということで,資料18でございます。資料18につきましては主な変更箇所といたしまして,一つは公共(仮称)の構成の中の中黒二つ目のところで,先ほど来,資質・能力のところでも少し御説明いたしましたが,2行目,合意形成や社会参画を視野に入れながら構想したことの妥当性や効果,実現可能性などを指標にして議論する力を養うということで,社会参画を視野に入れながらという表現を補ってございます。
また,新選択科目,「倫理(仮称)」,「政治・経済(仮称)」につきましては,科目の特徴の部分を加筆しております。具体的には,「倫理(仮称)」につきましては原典も活用し様々な先哲の考え方を手掛かりとし,哲学に関わる対話的手法も活用してという文言を,また,「政治・経済(仮称)」につきましては政治と経済の特質を総合的・一体的に捉えると共にグローバルな視点をより重視してという形での修正を図ってございます。
資料19-1,「倫理(仮称)」でございますけれども,こちらにつきましては,科目構成の考え方について,より公共あるいは従来型の倫理との違いを明確化する観点から,例えばですけれども,「そのために」以降のところについて,少し丁寧な記述をさせていただいております。
同様に上の,具体的には「そのために,先哲の思想を個別に取り上げ学ぶのではなく,倫理的諸価値について時代を超えた様々な先哲による考え方を手掛かりとして「考える倫理」を推進する」と。この文言を加えたことによりまして,(1)の表現の内容,矢印の中段のところの「様々な先哲の考え方を手掛かりとして」というくだりのところですが,こういった箇所の加筆あるいは充実を図っているところでございます。
同様に,資料19-2,「政治・経済(仮称)」の改訂の方向性につきましても,先ほど資料18で加筆しましたように,科目構成の考え方として,2行目のところですが,「政治と経済の特質を総合的・一体的に捉えると共に,グローバルな視点をより重視する」という文言を加え,その要素をそれぞれ(1)民主政治の基本原理と現代の経済,あるいは(2)グローバル化する国際社会の諸課題の中に加筆をさせていただいているという修正を行ったところでございます。
最後に,資料20につきましては,冒頭,梶山から前回の特別チームの配付資料として説明をさせていただいておりますので説明は省略いたしますが,前回の特別チームからの変更箇所といたしましては,新選択科目の中の「政治・経済(仮称)」(案)のところの文章を,これまで申し上げました所要の修正に鑑みまして,現代社会の諸課題を広く深く探究するという言葉を補わせていただきました。加筆箇所,修正箇所については,この1点だけでございます。
本文の方でございますけれども,資料7をお手元に御用意ください。公民関係の箇所につきましては,資料7の14ページから19ページ(2)の手前まででございます。前回の配付資料といたしましては資料2の10ページ以降で,前回の会議のときにパーツで示しておりましたので,10ページ,11ページ,それから16ページになります。
これも冒頭,梶山から話がありましたけれども,実は特別チームの関係の会議を開催する前に1度文案化させていただいて,全てのワーキンググループの先生方に文章化したものをお送りしてございました。公民を中心としたワーキンググループの先生方には前回はパーツで御覧いただいたのですけれども,現時点では資料7で示させていただいているような形での文章を組ませていただいていると御理解いただければと思います。
なお,主な変更点でございますけれども,資料7の14ページの公民科において育成すべき資質・能力については大きな構造は変わってございません。先ほど来の資質・能力の議論を踏まえての修正は図っているところでございます。
それから,15ページのマルのところで,これも先ほど資質・能力のところで御確認いただきましたけれども,公民科の教科目標の整理ということでこちらに明記させていただいているということでございます。ただし,内容的に何かを変えているということではなくて,これまでの御議論を踏まえた上で,そのまま転載させていただいているということでございます。
また,15ページの公民科の科目構成の二つ目のマル,一番下のマルでございますけれども,公共で育む資質・能力をこちらに明記させていただきました。これも資質・能力の御検討を踏まえて,これまで御覧になった資料も基にして転載をさせていただいております。
それから,公民科の科目構成が15ページにありまして,15ページの一番下のマルで資質・能力の文言を15ページから16ページにわたりまして新たに明記,追加をさせていただいておりまして,その後の16ページの一番上のマル,実際の内容構成。その内容構成の具体について,その後,16ページ以降,16ページから17ページ,それから18ページの一つ目のマルの手前までが公共に関わる記述でございます。
こちらの記述箇所については,先ほど資料で御確認いただいた箇所について,文章として反映をさせていただいておりますので,16ページの一番上のマルから18ページ目までは資料の修正をそのまま文章の部分で一部反映させていると。構造としては基本的に大きな変更はございません。
それから,18ページ以降が選択科目についての記述でございまして,18ページ目の一番上の箇所でございますけれども,新選択科目「倫理(仮称)」についての資質・能力を,先ほど御覧いただいた公共と同様に,新たに追加をしてございます。また,18ページの一番下のところが新選択科目「政治・経済(仮称)」についての資質・能力。これも新たに加筆させていただいております。この加筆の内容については,先ほど来確認いただいた資質・能力の方の資料をベースにして,そのままこちらに転載させていただいております。
以上が公民関係の取りまとめ文についての構造と修正箇所でございます。よろしく御審議のほどお願いいたします。

【土井主査】  ありがとうございました。
それでは,ただいま御説明を頂きました範囲のうち,「公共(仮称)」に関する部分と「倫理(仮称)」,「政治・経済(仮称)」に関する部分に分けて意見交換を行いたいと思います。
まず前半は必履修科目である公共につきまして,資料17-1から資料17-3について,20分程度を目途にして意見交換を行いたいと思います。
御意見のある方は,どうぞお願いいたします。
岡崎委員。

【岡崎委員】  ありがとうございます。ただいまの御説明で国家の視点が弱いという意見があったのでという理由で,「社会に参画し」という表現がありました随所に「国家・社会に参画し」と加筆をされています。私は,これは是非やめていただきたいと思います。
「社会に参画し」では,全く不自然ではなかった,非常に好ましい表現ということで,むしろお願いをして,随所に増やしていただいたところですけれども,まず,国家は社会の一つの形態でありますので,これと並列して「国家・」を加えるのは不自然だと思います。
また,「・」は並列ですので,国家に参画し,又は社会に参画しということを表現していることになると思いますけれども,1人1人の児童生徒が将来国家に直接参画するという表現自体が不自然だと思います。国政選挙で投票をするとか,国家公務員として働くとか,そういう場合は直接に参画しているといってもおかしくないかと思いますけれども,国家の在り方を考えるとか,議論をするとか,何か意見を発信するとか,そういう場合に国家に参画するというのは不適切ではないかと思います。
社会の中のいろいろな地域コミュニティであるとか地方自治体であるとか,いろいろなレベルの社会の仕組みに対して参画していく態度を養うとか参画していくということは重要だと思いますけれども,「国家に参画し」と直接入れるのは不適切ではないかと思います。
もう1点でございます。先ほど途中で失礼いたしました。公共的な空間における基本原理という表現が資料7の15ページ以降,何か所か出てまいります。ここでは明確に定義が行われておらず,公共的な空間における基本的原理を活用して何々を考察したりとなっております。では,これは何なのかということにつきましては,1か所,16ページの下から4行目に「民主主義,自由・権利と責任・義務,相互承認など」というのがありましたので,これが公共的な空間における基本的原理なのかもしれないと思いました。ただ,この日本語は,「など」の後,「基本的原理に関わる事象を」という表現になっていまして,どこで切れるのかがよく分かりませんでした。
一方で,資料17-1を拝見しますと,前から掲載していただいていたものだと思いますけれども,(1)「公共の扉」のウに,公共的空間における基本的原理が2行詳述していただいておりまして,文章がつながっていますけれども,個人の尊厳であるとか人間の尊厳と平等等々,こちらに書いていただいていることが公共的な空間における基本的原理の意味するところではないかと思いますが,この点は重要なところなので,資料7の中に明示的に書いていただきたいと思いますし,この場で御議論いただいた方がよろしいのではないかと思います。
ありがとうございました。

【土井主査】  今御指摘いただいた第1の点ですけれども,確かに国家は社会の一つであるというのはそのとおりなのですが,旧来から社会科あるいは公民科,地歴科でもそうですが,国家及び社会の形成者という言い方をずっとしております。それとの関係からすると,国家と社会について,国家は社会の一部なのだけれども切り出して記すというやり方をしてきておりますので,それとの平仄があるという点は御理解いただければと思います。
それでは,権丈委員,上村委員。

【権丈委員】  私からは資料7の17ページ,一つ目のマルの部分についてです。ここは(2)「自立した主体として国家・社会に参画し,他者と共同するために」についての記述です。「政治的主体としては」と書かれて,次に「経済的主体としては,職業選択,金融の働き,経済のグローバル化と相互依存関係の深まりなど」とあり,「法的主体としては」と続きます。その後に,「複数の主体が複合的に関連し合う題材としては」と続いています。少し気になりましたのは,この部分を読んだときに,まずは,経済的主体としては,ここに書かれている職業選択等々が中心だという印象を受けるのではないかという点です。
このように書かれた理由はよく分かりまして,資料17-1や17-2の(2)の中で様々な題材の例が挙げられており,複数の分野に関わっていない,つまり複合的に関連し合うのではなく経済的主体に単独で挙げられている部分がちょうど職業選択,金融の働き等々ということですので,それを記述されたということだろうと思います。
ただ,図がイメージできる者にはそう分かっていても,文章だけを読むと,経済的主体の部分は職業選択等が中心なのかなという印象を持つように思いますので,その点について表記の変更をお願いできればと思います。例えば,(2)のア,イ,ウ,エのところで最初にリードの説明がございますので,それを「取りまとめ」に加筆するというのも一案かと思います。つまり経済の部分では,「協働により目指すもの,公正なルールを作って,その下で経済活動を行うことを通じて個人の尊重とより活発な経済活動を共に成り立たせること,また,その補完を政府等が担っていること」と書かれてありまますので,この部分があると,より正確に伝わりやすくなるのではないかと思います。
また,「現代社会」では,経済のところで,市場経済の機能と限界,政府の役割と財政,租税,金融についての理解を深めさせ,と表記されており,これらが経済的な問題であるということは示されてきたところです。
さらに,例えば資料7の22ページでは,18歳選挙に関連しまして,「政治的主体のみならず,消費者としての性格を含め経済的主体を育むことが公民科「公共(仮称)」につながるよう,税や財政,社会保障,金融や労働といった経済的な側面を持つ課題に対する理解」と書かれており,ここでも,こうした問題が経済的な側面を持つ課題という認識が示されておりますので,先ほどの部分について,分かりやすくなるよう表記を少し工夫していただければと思います。
以上でございます。

【土井主査】  ありがとうございます。今御指摘いただいた点なのですが,資料17-2のマル2,(2)でア,イ,ウ,エがあって,その赤で囲んである下に矢印で協働により目指すべきものがずっと挙がっていますよね。これは資料7には入っていないのですか。

【梶山主任視学官】  おっしゃるとおりでございまして,1ページにおさめざるを得ないというところで,ここはこちらの3ページのところをまとめた資料として入れております。
ただ,重要な要素ということであれば,大変重要な要素でございますので,これを入れていくという御判断もあるのかとは思います。

【土井主査】  こっちの取りまとめ案の方には入っているのですか。

【梶山主任視学官】  これは入っていないです。ですので,この要素を入れた方が分かりやすいという御指摘であれば,全部御議論していただく内容ですので,これを加えた上で具体例を出すということは考えられるのではないかと思います。

【権丈委員】  その方が分かりやすいと思います。特に注意していただきたいのは,市場経済の機能と限界等のところが「経済的主体」の問題としては重要性が低いような印象を一瞬受けますので,そこを修整していただければと思います。

【土井主査】  では,資料17-2のマル2の部分の矢印以降は,これまでもワーキンググループ等で御議論いただいてきているもので,特にここでご異論がないので,うまい形で取りまとめ案の方にも入れていただいて,取り扱うべき事項については誤解のないような表現で修正するということでよろしくお願いします。
では,上村委員。

【上村委員】  必履修科目である公共と,それから選択科目である「倫理(仮称)」,「政治・経済(仮称)」との関係なのですが,資料19-1,2では,必履修科目「公共(仮称)」で習得した○○を基盤としというのが「倫理(仮称)」,「政治・経済(仮称)」それぞれにあります。公共の内容を見ていきますと,例えば今話題に出ました市場経済の機能と限界ということが,当然これは「政治・経済(仮称)」でも学習すると思うのですけれども,公共で学ぶ角度からこういう内容を学習する,「政治・経済(仮称)」ではこういう角度から,もちろん専門的になりますけれども,こういうふうに学習するということを何かうまい形で示していただけると,あとで,非常に展開がいいのではないかと。教科書を作ったりとか。
そうでないと,現場では,過去に「現代社会」が必修であったときに,「現代社会」で学習したことをもう一度「政治・経済」で繰り返したというような,繰り返し感があった記憶があるものですから,そこら辺,うまく整理できるといいなと思いました。
以上です。

【土井主査】  ありがとうございます。
それでは,西村委員,それから村松委員。

【西村委員】  2点,お願いします。まず,資料17-1についてですが,先回の議論の中でどなたかが,(2)の内容についてアとイとウとエがある中で,4番目のエについて情報の発信・受信の主体ということで今回まとめられているのですけれども,もう少し他とのバランスを考えて,文化的な創造というようなことはどうだろうかという大変いい意見を言われたと思うのですけれども,そのことについて今回説明がなかったので,そのことをお聞きしたいということと,先回,私はこのアとイとウとエの並びはこれでいいのでしょうかという提案をしたのですけれども,これになったということはこういうふうに行くのだろうなということを理解しております。それが1点目です。
それから2点目は,今回,新しく資料で17-3を出していただいて,例えば具体的な授業展開のイメージを出すということで出されたと思うのですけれども,これがこの場だけの資料ぐらいならいいと思うのですが,これが実際授業を行っていくというところに広く出ていきますと,新たに公共を作るということで,私,第1回の会議のときに,飽くまでも今行われている公共的なものを生徒が判断したり批判したりするだけでは,やはり自分たちが作るものになる公共というのが学べないのではないかということで,何々のことではなくて何々と私たちにしていただくように強く要望したのですが,それで(2)の問いの事例を見せていただくと,先ほど資料7の21ページのところで小・中学校における政治や社会に積極的に参加する資質や能力の一層の育成ということで,これが評価できるかどうかという議論があったのですけれども,ここには積極的に参画すると書いてあるのです。ところがこの事例を見てみますと,(2)の問いは,政策についての選択・判断を通して,政治参加の意義を考えようという表現で,今大人がやっているような政策を選択できたり判断できる,そういう政治参加のレベルでいいのだということですので,やはりこういう問いだけでは生徒たちが,今大変な時代の公共を自分たちが担っていく,主体となる私たちという点では,選択・判断や立案・提案などというような,自分たちが課題解決学習の中の最後の方で今大人たちがやっているものを批判しながら,自分たちだったらこうできるのではないかというような提案とか立案というようなものを入れた政治参画というものに意義を求めていくという方が,資料7の21ページに書いてあることの内容と整合していくのではないかと思いましたので,意見を述べさせていただきました。
以上です。

【土井主査】  それでは,第1の点だけ御説明いただけますでしょうか。

【梶山主任視学官】  前回,様々な情報の発信・受信主体となる私たちの部分に関しまして,知的主体という言葉がございました。それで,文化的主体という言葉を加える,若しくは直すという御意見があったところでございますが,そもそも,すいません,ア,イ,ウを考えた際に,これも知的主体なのではないかという議論を私どもでさせていただきまして,そうしますと,そこにそういう属性を付けることよりは,私たちと先ほどおっしゃっていただいたようなところで,した方が誤解がないのではないかということで,こうさせていただいております。

【土井主査】  ありがとうございます。
それでは,次は村松委員。

【村松委員】  2点ありまして,1点目は,先ほど岡崎委員が言われたこと,実は私も同じように思っていたのですが,土井主査からこれまでの経緯についてお話を頂いたのですが,そういうことであれば,例えば社会・国家という形でひっくり返すことはできないのかなと思っております。
資料17-2,今,問題にしているのは2枚目の(2)のタイトルのところですが,自立した主体として国家・社会に参画し,他者と協働するためにとありますが,ここで学習する内容というのは,生徒たちが,私たちが社会に出たときにどういう活動をしていくのか,市民社会で生きていく力を育むというのがメーンなのだろうと思っています。
その中で当然政治との関わり,国家との関わりも出てきますから,国家に参画しということは別に入れるのは構わないと思うのですが,まず社会との関係があって,なおかつ,その延長線上に国家との関係もあるというのがここでの立て付けなのだろうと思っています。そうであるならば,社会・国家に参画しという表現の方が,メッセージ性としてはいいのではないのかなと考えているところです。
この関係で,若干気になったのですけれども,資料7の15ページの二つ目のマルのところで,「公民科で育むべき資質・能力を勘案すると,以下のように教科目標を整理することとした」ということで,二重マルの後にマル1,マル2,マル3とあるのですが,ここのマル3の表現も若干工夫していただけないかなと思っているのです。読んでみますと,「人間と社会の在り方に関する課題を主体的に解決しようとする態度を養うと共に,多面的・多角的な考察や深い理解を通じて涵養される人間としての在り方生き方について自覚,自国を愛しその平和と繁栄を図ることや,各国が相互に主権を尊重し各国民が協力し合うことの大切さについての自覚を深める。」
生徒が課題を主体的に解決するという,自分の能力を養っていくという話から,いきなり国家の話に変わっていくのです。思考の流れからすると,自分のことを見つめて,社会のことを考えて,その延長線上に国家のことがあるのだと思うのですけれども,社会というところが抜けています。社会に対する帰属意識を高めるだとか,社会の共同体意識を持つとか,そういうところがないまま,いきなり国家に飛んでいる。
決して私たちは国との関係でこの公共の授業をしようと思っているわけではないのですが,こういった全体の書きぶりを見ると,外部に対するメッセージでは,どうしても対国家との関係が強いというようなメッセージになってしまうのではないのかなと気になりました。
そういう意味でも,社会・国家という形で並び順を変えるような工夫をしていただけないかなというのが,1点目の意見です。
2点目ですけれども,資料17-2の1枚目,(1)「公共の扉」のウのところですけれども,公共的な空間における基本原理で,例えばということで「民主主義,自由・権利と責任・義務,相互承認」という例が出ています。民主主義を挙げているのは私もいいと思うのですが,これとセットになるような形で「法の支配」という概念もここに入れていただけないかなと思っています。
民主主義でみんなで決めれば何でもいいのだという話ではなくて,やはりそこには法の支配というものがあって,民主主義と法の支配がセットになりながら社会を運営しているわけですから,そういった法の支配という概念も入れていただけるといいのではないかと考えております。

【土井主査】  前半の部分,国家と社会の順序を変えるかどうかという問題なのですが,先ほど申し上げた国家及び社会の形成者あるいは国家及び社会の有為な形成者という表現がありまして,国家及び社会の形成者というのは教育基本法上の用語でこの順序で定めされています。また,ここのところ,ア,イ,ウ,エという順序で並んでいますが,学習指導要領の基本的な考え方からすると,この順序で必ず教えろというわけではありませんので,社会の方から国家を見るというような考え方で順序付けて教育をされるという方針であれば,そういう形をするのは当然許容することになりますし,情報問題から入りたいという方がおられてもいいということですので,まず国家から入ること想定して提案しているわけではないということは御理解いただければと思います。
法の支配の部分については御意見として伺って,また検討してみたいと思います。
それでは次に,高橋委員,谷田委員で,次,こちらの右側に伺わせていただきます。

【高橋委員】  2点,お願いします。先ほどお話がありましたけれども,資料7の17ページの白マル,資料17-1の(2)のア,イ,ウ,エのところですが,ここをこういうふうに分けて書かれると,授業する側が大変やりにくいという気がいたします。三つ,二つが相互的に関連し合う題材について例示が最後の方にありますけれども,例えば司法参加というのも広い意味では政治的主体となって政治機構に参加するということになりますし,それから必ず経済的な行動をするには契約を結ぶということで法的な側面もありますので,ばちばちと分けない方が授業としてはやりやすいのかなという気がいたします。
それから,18歳選挙権絡みのところ,22ページのポツですけれども,18歳選挙権の行使を前提として,政治的主体のみならず,消費者としての性格を含め経済的主体を育むと,消費者としての主体というのが強調されておりますけれども,生徒としてはすぐに労働を行う,広い意味での生産主体となっていくので,労働のところがもっと強調されてもいいのかなと思います。
労働に関して言うと,もう1回戻りますけれども,先ほどのア,イ,ウ,エのところでは,職業選択,雇用,労働問題というように分けて書かれているので,こういったところをもうちょっと整理していただきたいなと思います。
以上です。

【土井主査】  ありがとうございます。
それでは,谷田委員。

【谷田委員】  2点ほど。一つは意見,そしてもう一つは調整をしていただきたい事項ということでお願いします。公共について,大項目三つで成り立っているわけですけれども,取りまとめの案でお話をした方がいいと思いますが,資料7の16ページの二つ目のマルで「その第一の「公共の扉」では」ということになっています。これは三つの大項目で設定してあって,イメージの問題なのですが,飽くまでも大項目1の部分は「扉」という形になっています。
実際には学習指導要領を反映して各教材会社や教科書会社が創意工夫して作っていただければいいわけですが,全体のイメージとしては,「扉」という表題になってくると,ここの部分は1枚扉を開ければいいのか,それだけのものなのかというイメージを持たれる可能性があります。
実際にはここに示されているように,人間としての在り方生き方や公共的な空間の在り方を考える上での基盤となるような見方・考え方を育むということですから,とても大切な,公共の一つの大きな概念をここで示すことになると思いますので,果たして「扉」という表現がいいのかどうか。
地歴との関係もあると思いますけれども,例えばほかの二つの大項目との兼ね合いを踏まえれば,「公共的な空間の在り方を考えるために」など,メッセージ性は少ないかもしれませんが,そのような形で,「扉」というイメージで与える印象について御配慮いただきたいというのが一つ,意見でございます。
もう一つは,大変恐縮ですが,17ページの一番下のマルの「キャリア教育の観点から」という項目の文章でございます。特別活動のワーキングを受けてこういった文言を入れられたということですが,私の研究分野との関わりがあり,これは確認ということにもなるかと思います。当然これまでの学習指導要領の規定では,高等学校の道徳教育においてもいわゆる「現代社会」あるいは「倫理」などが中核的な指導場面として位置付けられていますので,それは既に了解済みのことであるのでここには書かれていないのか,あるいは考える道徳への転換に向けたワーキンググループが開かれていないので,その後の検討に委ねるのでしょうか。
そして更には,キャリア教育でここまで書き込んでいる,すなわち「教科目標の実現を見通した上で,キャリア教育の観点から,特別活動のホームルームなどと連携し,インターンシップの事前・事後の学習との関連を図るなどを通して」ということまで書き込んでいるわけです。こういう部分を斟酌すると,道徳教育においてもこのキャリア教育で示されたようなことを同じような形で理解してもいいのでしょうか。あと道徳のワーキングもあるでしょうから,よい悪いの問題ではなくて,全体の学習指導要領の整合性を図っていただければと思っております。
以上です。

【土井主査】  後半,何かございますか。

【梶山主任視学官】  二つ目の部分でございましょうか。

【土井主査】  はい。

【梶山主任視学官】  おっしゃっていただいたように,こちらは,特別活動のワーキンググループとの関連で入れさせていただいたところでございます。道徳に関してはまだ議論が進んでおりませんで,これに限らず,恐縮でございますが,全体の横串的なところということでこういうところを入れてはどうかというところは,今後,この会議が終わったときにもそういうことが出てくる可能性があるということは全体としての取りまとめとしてさせていただくことは御承知いただければと思います。

【土井主査】  それでは,一ノ瀬委員,ちょっと後でということで,土屋委員,池野委員,それから井田委員,桐谷委員と行ってから,一ノ瀬委員。

【土屋委員】  議論がここに至って素朴な疑問という形で質問になりますけれども,公共という新科目の名称から受ける印象としては,例えば先ほど市場経済の機能と限界というような表現になるのかなと思いながら考えたのですけれども,例えば企業の公共性とか,あるいは公共的な企業が今かなり重要だと思うのです。要するに民間企業であっても,郵便もそうでしょうし,鉄道もそうでしょうし,電力とか,そういうものにはかなり公共的な要素がありますし,あるいは民間の普通の企業の中でも,企業コンプライアンスといいますか,利潤だけを追究するのではなく,社会的責任も大きいわけです。
そこでキャリア教育ということも考えてくると,高校の公共というのはそういうものが扱われるのかどうかということです。また,これは小・中・高の中で,今,カリキュラムを考えている中であれば,どの段階でそういう問題は扱うことが想定されているので高校では扱わないとするのか。職業選択というふうに考えてくると,高校生の方が身近なわけで,切実性はあると思われますので,そういう企業と公共の問題はどういう形で扱われるのかなというのが,どこかの文面にあるのかどうかを見るのですけれども,余りそこがぱっと見えてこない感じがしたものですから,質問させていただきました。
特に今答えがないということであれば,また御検討ということか,あるいはどこかの場面で考える必要がある問題かなと思いますので,質問させていただきました。

【土井主査】  ありがとうございます。何か今の時点でございますか。また,お受けして,検討していただくということで結構ですか。
それでは,池野委員。

【池野委員】  三つあるのですけれども,一つは,「公共(仮称)」そのものの役割がはっきりしなくなってきたと思うことです。続いて多分行われる「政治・経済(仮称)」と,それから「倫理(仮称)」との関係から見ても,公民的,公民としての資質あるいは公民としての資質・能力を育てる中核的教科ではなくて,教える教科に戻ってしまいそうな気配なのです。
やっぱりその部分が,一体公共を先生方に何をもってしてもらうことによって,実際に子供たちが何を獲得するかということだと思うのです。それが見えなくて,実際に「公共の扉」では先哲やいろいろな概念や理論を教えること,それから2番目の項目の国家・社会も,政治や経済や法の領域的な部分を取り扱う形になっていますし,(3)は持続可能な社会作りなので,そういう側面といいますか,(2)も先ほど国家・社会に参画ということは言われましたけれども,中身はとかくそういうものを教えるタイプに戻っているような気がします。
本来は現代社会が持っている課題を子供たちなりに考えて,自分たちで判断したり何かをして参画したり行動することによって社会の中へつながっていくという,市民社会なり,社会に生きていくときの一つの部分を高等学校時代に作ることだと思うのですけれども,そういう部分が消えているのではないかなと思います。これが一つです。
それから二つ目なのですけれども,私は「国家・社会」に反対をします。土井先生が先ほど説明された国家及び社会の形成者という意味と,国家・社会に参画するというのは違うというのが私の考えです。というのは,国家及び社会の形成者というのは国民や市民という意味だと思うのですけれども,ここの国家・社会は外側にある国家・社会の意味なので,子供たちをそこへ参画するというのは,社会にはいいと思うのですけれども,やっぱり国家に参画させることは一種の動員だと受け止められると思うので,私は反対します。
それから三つ目なのですけれども,資料17-3なのですが,問いだとか授業展開のイメージが,先ほど西村先生もちょっと言われたのですけれども,私はちょっと違った側面なのですが,(1),これは例示なのでこれがそのままではないと思うのですけれども,人間社会と自然環境との関わりについて判断する際,どのような手掛かりがあるだろうかということのマル1「その行為の結果である,個人や社会全体の幸福を重視する考え方」に立った場合に,例として林道建設による観光客のどうのこうのというのが出てきますし,マル2の場合には入会地の森林活用,また同じように林道建設がどうのこうのというのが出てくるのですけれども,確かに山間部とか中山間部だとかいうところではこういうのは重要だと思われますが,こういう傾向の過疎系の部分,あるいは山間地帯の部分の問題だけではなくて,もっと身近な例示を子供たちができる,学校でもいいし地域社会でもいい,そういう例示をやっぱりもっと出して,子供たちが具体的にこの現代社会の課題を取り扱えることにしないと,やっぱりどうしてもこれは先生が教え込むタイプの例示になってしまうのではないかなと思います。
やっぱり中学校からの学習をもっと具体的な,「現代社会」の場合でも地域に寄り添ったり,現実の子供たちが関わっている社会の中で何かを考えたり,判断したり,解決したりすることの例示がないと,やっぱり先生が教える方になってしまうのではないかという危惧を持っています。
この三つです。以上です。

【土井主査】  時間の関係もございますので,取りあえず御意見をずっと伺うという形にしたいと思います。

【井田委員】  それでは,公共の方なのですけれども,公共の柱の(3)持続可能な社会作りの主体となるためにというところなのですが,必修となる地理もやっぱり三つ目のところで持続可能な社会,ESDが入ってくるのですけれども,当然公共と地理,ESDは両方とも重要な柱であることは全然問題ないと思うのですが,ただ,そこ,公共が攻めていくESDと地理から攻めていくESDをかなり明確に分けていかないと,同じようなことをやるようになる可能性があるかなと。そこを,公共だと,今見せていただくと,人とのつながりだとか社会とのつながりで,地理の方だと防災だとか地域づくりというところから入っていくのですけれども,その辺がうまくすみ分けがされないと,結局同じことをやるようになる感じがするので,そういう意味ではそこをうまく書き分けていただければなというところです。

【土井主査】  ありがとうございます。
それでは,桐谷委員。

【桐谷委員】  私は2点です。まず,今,西村委員と池野委員がおっしゃっていた,公共の中では参加,参画,提案というような参加の在り方をきちんと位置付ける必要があるのではないかと思います。
それは,今,井田委員がおっしゃったような,地理と,それから公共とのいわゆる持続可能性の問題は,公共の方ではそういう提案,参加に直接関わっていくような,そういうふうなESDの在り方で,地理の方ではいわゆる理解をしたりとか構造的なものをきちんと判断していくようなところを重視していくとかというふうな線引きの在り方もあると思うので,公共の中ではそういうことが必要だと思っています。この点については,私,ずっと繰り返し言ってきたので,これ以上は申し上げませんが,必要なのではないかなと。
17ページの一番下のところでも,社会に参画する力を育む中核的機能とか,先ほど言いましたけれども,21ページでも社会に積極的に参画する資質・能力の一層の育成ということが書いてあるので,それが公共に期待されている機能ではないかなと思っております。
それから2点目は,資料7の17ページ,二つ目のところですけれども,法的主体としては司法参加などというふうに,ここ,法的主体は司法参加しか書いていないのです。資料17-1を見ると,(2)のウでは司法参加が例に挙げられているのですが,私は現行の学習指導要領のところからずっと違和感というか,思っていたのは,この司法参加は恐らく裁判員裁判をイメージされている,学習指導要領にそう規定されていると思うのですが,裁判員裁判の場合は司法参加という概念はやっぱりなじまないわけです。これは強制性を持つ制度であり,罰則もあると。これを参加という言葉で説明すると,政治参加ですとか,そういったものと非常に問題が起きてしまう概念ですので,これを司法参加という言葉で裁判員裁判の問題を挙げるのは,ある意味では非常に危険なことだと思っておりましたので,ここで司法参加という言葉を強く出されているのは,非常に危惧を感じています。
資料17-2のマル2,2枚目の方で,ウの法的主体となる私たちというところでは,協働により目指すべきものとして,公正な手続に則り各人の意見や利害を公平に調整して,個人や社会の紛争を調停・解決すること。これは恐らく先ほど村松委員がおっしゃった法の支配の問題であった。そこにきちんと関わっていく,若しくはそこにのっとっていく市民を育てる,主体を育てるというのが,ここで言う法的主体となる私たちだと思いますので,ここは司法参加ではなくて法の支配,法の支配はおかしいかもしれないですね,利害の調整であったり解決であったりというようなことが,資料7の17ページでは書かれるべきで,司法参加という言葉は基本的には使わない方がいいのではないかと思っています。
以上です。

【土井主査】  では,一ノ瀬委員。

【一ノ瀬委員】  小さなことかもしれませんが,資料17-2の最初のページです。ア,イ,ウと「公共の扉」に書かれているところのアのマル2です。「人間は社会的な存在であることを認識し,対話を通じてお互いを高め合うこと」という,ここは今まで同じ文言がずっと出ていたと思うのですけれども,今まで余り感じなかったのですが,改めてこれを見てちょっと違和感を感じたので,その点だけコメントいたします。
対話を通じてお互いを高め合うことというのは理想だと思うのですけれども,人間の本性というのは,対話を通じて異なる意見を述べ合ったときに,高め合うとなるとは限らないので,場合によっては,例えば政治的イシューあるいはイデオロギーとか,そういうのが関わり合うときには,悪い言葉かもしれませんが,ののしり合いみたいので終わってしまうこともあるので,そういうふうにならないように,対話を通じてお互いを理解し合うことというぐらいで,よく英語でagree to disagreeという言葉がありますけれども,要するに違う考え方を持つ人はいるのだということを理解するというところが,だったらば達成可能な課題のように思うのですけれども,高め合うことというのはちょっと何か理想的過ぎるかなと思って,もっと現実に即して,お互いを理解し合うことぐらいがいいのではないかというのが私の意見です。
以上です。

【土井主査】  既に19時を回りましたので,予定の時間を過ぎているのですが,「倫理(仮称)」,「政治・経済(仮称)」についても少し意見交換をしていただきたいと思いますので,10分か15分延長することをお許しください。
今,岡崎委員が挙がっていまして,岡崎委員が2順目になられるので,「政治・経済(仮称)」の部分あるいは「倫理(仮称)」の部分含めて御発言をこれ以降行っていただければと思います。
それでは,岡崎委員。

【岡崎委員】  では,手短に申し上げます。
済みません,先ほどの国家・社会のところは,順番は別に違和感はございません。資料7の12の2の真ん中にイがありまして,よりよい国家・社会の構築への主体的参加,ここに関しては表現として違和感はありません。ここですと,よりよい在り方について考える,議論をする,あるいは投票するということを含意いたしますので,こちらでしたら問題がないと思いますので,その他,「国家・社会」と「・」を挿入していただいた箇所をもしこのような表現にしていただくのであれば,違和感は私はございません。今,短い時間で考えたので間違っているかもしれませんけれども,そのように感じたところです。ただ,トートロジーカルになるとか長過ぎるとかいう問題があるかと思います。
あと2点,手短に申し上げます。資料7の16ページの4行目に「説明・議論することを通して社会に参画し,」という表現があります。ここについて以前も発言したことがありますけれども,ここのところはちょっと不自然で,「通して」の後に「,」を入れていただきたいと思います。説明・議論することで社会に参画していることになるというのは一般的に御覧になっても違和感があるのではないかと思います。この点は19ページの2行目にも出てまいります。
最後に,18ページ,下から2行目の「社会形成に向かう力」。こちらは前に「合意形成や」というのがありまして,「合意形成や社会形成に向かう力」とありますが,社会参画の御趣旨だったのではないかと思います。
以上です。失礼いたしました。

【土井主査】  ありがとうございます。
それでは,頼住委員ですね。

【頼住委員】  2点ほど御提案したいことがあるのですけれども,まず1点目なのですが,資料17-1です。先ほどもほかの委員の先生から御指摘があったかと思いますけれども,(2)の自立した主体として国家・社会に参画し,他者と協働するためにのところに,ア,イ,ウ,エの四つ主体,私たちということで主体が示されているのですけれども,エのところがやはり少し気になりまして,政治,経済,法と情報の発信・受信の主体というのがカテゴリーとして段差があり過ぎるのではないかと思いまして,先ほどありましたような文化的な創造とか文化を形成する主体とか,そういう方がよろしいのではないかなと思うのです。
文章といたしましては,様々な情報の発信・受信をして文化を形成する主体としての私たちとか,今考えただけですのでこの言葉が適切かどうか分からないのですけれども,やっぱり文化形成ということをここに入れた方が,経済,政治,法との整合性というか,バランスがとれるのではないかなと思います。
先ほど国家・社会に対する参画というのが国家の動員というような悪いイメージで捉えられるかもしれないということもおっしゃっていましたけれども,創造する主体なのだということを入れることによって,そういう悪いイメージとか誤解を防ぐことができるのではないかとも思いました。
それからもう1点なのですけれども,資料7の18ページの「倫理(仮称)」に関するところでございますが,マルの一つ目と二つ目両方共に,2行目に「古今東西の知的蓄積」という言葉がございます。これにつきまして,「公共の扉」でも同じようなことが言われておりまして,例えば16ページの二つ目のマルの3行目に,「我が国の文化的蓄積を含む古今東西の先人たちの取組」うんぬんとありまして,「公共の扉」のところでは我が国ということで日本を際立たせていると思うのです。
これまで「倫理(仮称)」に関するワーキンググループでも何度か話題になっているように,やはり日本の現実の中で考えていく場合には,日本のこれまでの伝統の蓄積ということが非常に重要になってくると思いますので,倫理の方にでも,二つ共に付けるかどうかということはまたお考えいただきたいと思うのですけれども,単なる古今東西の知的蓄積というだけではなくて,我が国を含めというふうに日本ということを際立たせていただけるといいのかなと思います。
それから,すいません,あともう1点だけ,これは本当に形式的なことなのですけれども,18ページの一つ目のマルなんかですと,読みづらいのではないかなと思うのです。このような考え方を用いて,それが一番最後の整理したというところと呼応していると思うのですけれども,この呼応の間にたくさん項目が入り過ぎていて分かりづらいので,例えばほかの部分では中黒とか,あとマル1,マル2,マル3とかで別立てにして,「このように整理した」,マル1,マル2,マル3というふうに書かれている部分もあると思いますので,その辺,読みやすい工夫をしていただけるといいいのかなと思いました。
以上でございます。

【土井主査】  ありがとうございます。
そのほか,いかがでしょうか。
たくさんの意見を頂いておりまして,私で答えられることを申し上げておきますと,法的主体となる私たちの部分について,実際にはいろいろなことを取り扱う必要があるという点はそのとおりでございます。ただ,法的主体に関して議論するときに注意が必要なのは,結局,法というのは何かに関する法なのです。政治に関する法,経済に関する法,社会の在り方に関する法という形になりますので,法的主体となるところにだけ出てくる項目というのはそれほど多くないのです。
ですから,経済活動の中で,ほかの委員もおっしゃられましたように,実際には商取引をする,あるいは物の交換をするということになると,それは経済の事項ですが,同時にそれは法的には契約関係として捉えられてという,そういう組合せになってくるわけです。
ここのところ,誤解のないようにしなければなりませんが,先ほどから出ているように,この主体の部分で必ずこういう形で取り扱えという指示しているわけではなく,こういう現代的課題を取り扱うなら,こういう主体のところに主なポイントがあるのではないかという話ですし,それが相互に関わっている部分もできるだけ出そうとして図にしているものですから,そこのところは御理解いただければと思います。
それから,参加の点なのですけれども,決して公共あるいは公民科で,参加について,その資質・能力を育成することはしないと言っているわけではなくて,当然先ほどの資料12でも,学びに向かう力・人間性のところに掲げられている課題について意欲的に追究する態度というのも,それは当然教科科目ですから教科科目についての学習態度の問題があるわけですけれども,それだけではなくて,よりよい社会を築くために学んだことを社会生活に生かそうとする態度も入っているわけです。
ですから,学んだことを通じて社会に参画していくこと,あるいはそういう能力を身に付けさせようとすることは入っているのですけれども,具体的に社会にどう参画しているかとか,どう活動したのかということ自体を直接評価するのは難しいわけですね。
例えば選挙を通じて積極的に政治参加をしていくことができるように,また,その参加においてきちんとした判断ができるような能力を育成していくこと,これは当然やるわけです。しかし,実際に選挙に行ったかどうかでそれを評価するかというと,それは到底できない話ですし,実際にボランティアをやったから公民科のこの科目の評価をこうするというわけにもいかない。
直接参加そのものを評価の対象にすることは難しいと言っているのはそういう意味で,参加のために学んだことを生かそうとしているとか,また,参加のために必要な能力を学ぼうとしているということ自体は当然育成の対象ですし,そこのところを教科の範囲内あるいは科目の範囲内で評価することは当然できるということを想定しています。決して参加そのものを目指さないとか,あるいは前の段階で全てを終えようとしているという意味でないというところだけは御理解を頂ければと思います。
それでは,時間も過ぎました。今日も非常に貴重な意見をたくさん頂きました。取りまとめの資料につきましては,今日御意見も頂いておりますし,また,とりわけ「政治・経済(仮称)」,それから「倫理(仮称)」につきましては十分時間をとれなかったこともございますので,その点についても御意見はまだおありかと思います。
そこで,今日お寄せいただいた意見あるいは本日述べていただくことができなかった意見につきましては,後日,事務局にお寄せいただくことにして,お寄せいただいた意見等を踏まえて,主査である私と館委員と事務局で相談をして,それを検討した結果を反映させていただいて,もう一度皆様にメール等で取りまとめ案を送付させていただいて,御確認を頂いた上でまとめていくというやり方をとりたいと思いますが,それでよろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございます。

【池野委員】  一つだけ,質問,いいですか。今の最後の説明は,これで終わりという意味ですか。会議はこれで終わりにしますという意味の御発言でしたか。

【土井主査】  資質・能力に関する部分と,それから公民科に関する部分については今回を最後にし,歴史についてはまたこれから日程調整をされるということです。会議自体は持たずに,御意見を寄せていただいて,それを反映して,もう一度御確認いただいて,また意見を寄せていただくという形にしたいという御提案でございます。

【池野委員】  分かりました。

【土井主査】  よろしゅうございますでしょうか。
それでは,再度申し上げることになりますが,本日,時間の関係もございましたので,お述べいただけなかった意見等につきましては,細かな点含めて,是非事務局にお寄せいただきたいと思います。
今申し上げたような進め方をしたいと思いますので,できるだけ早い段階で御意見を,今日おっしゃっていただけなかった分についてはまとめてお寄せいただいて,我々で検討して,反映できる部分はできるだけ反映をして,お戻しして,またチェックをしたという形にしたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
それでは,本日の審議はこれまでとしたいと思います。
今後につきまして,事務局より御説明をお願いいたします。

【大内学校教育官】  長時間にわたりまして,ありがとうございました。今ほど土井主査からも御提案ございましたとおり,今回で小・中・高等学校を通じて育成すべき資質・能力を中心とした会議の部分,それから,高等学校公民科を中心とした会議の部分の会議の開催については,ひとまず本日でいったん終了という形にさせていただきたいと考えております。
今後なのですけれども,先ほど来,お話もございましたけれども,各教科等で横串を刺す観点で,各学校段階別の部会等の状況もございます,こうした状況も踏まえまして,全体をまとめる部会に今後取りまとめたものを審議いただくという流れになっていこうかと考えてございます。
その状況に応じまして,本ワーキンググループについて,きちんと開催をして調整が必要だという場合には御参集を頂くということがございます。その際には別途御連絡をさせていただきたいと考えております。
また,取りまとめなのですけれども,本日,長時間にわたりましてではありましたが,一方で十分御議論も意を尽くせなかった分もあろうかと思いますので,是非メールで御意見を頂戴したいと思っております。
つきましては,大変恐縮なのですが,1度取りまとめをさせていただいて,その文案をまた皆様にお返しするということもございますので,5月30日,来週月曜日を目途に1度御意見を頂戴できればと考えてございます。
頂きました御意見につきましては,先ほど主査から御紹介ございましたけれども,主査,それから館取りまとめ役と相談させていただきながら,資質・能力及び高等学校の公民に係る部分については整理をさせていただきたいと。その上で皆様にお返しをさせていただきたいと考えてございます。
以上でございます。

【土井主査】  それでは,第13回社会・地理歴史・公民ワーキンググループを終了したいと思います。長時間,大変ありがとうございました。

── 了 ──

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程総括係

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2073)