教育課程部会 社会・地理歴史・公民ワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日時

平成28年1月25日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省3階3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 社会・地理歴史・公民の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【原田主査代理】  それでは,定刻となりましたので,ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会社会・地理歴史・公民ワーキンググループの第3回を開催したいと思います。本日はお忙しい中,御参集いただき,誠にありがとうございます。
第1回会議のときに本ワーキンググループの主査であります土井先生から御提案がございましたように,本ワーキンググループは総勢40名という大人数であります。しかも,検討事項が高等学校の地理歴史科,公民科の新設科目を含めて大変多くあります。また,今回の教育課程の見直しに当たりましては,育成すべき資質・能力を明確にする観点からも,小・中・高等学校を一貫した議論が必要であります。一方で,高等学校における新設科目についての検討など,より深く具体的に御議論いただく必要がある。こういったことから,議論する事項に応じまして,小グループに分けて議論させていただくということで,委員の皆様の御了解をとっているところでございます。
したがいまして,本日は主に,高等学校地理歴史科における新科目に関する内容について御意見を頂く予定としておりますので,その関係の委員の皆様を中心にお集まりいただくと共に,進行は,土井主査の御提案を受けまして,私,原田が行ってまいりますので,よろしくお願いしたいと思います。
それでは,最初に事務局の方から,本日の配付資料について御確認をお願いいたします。

【大内学校教育官】  失礼をいたします。それでは,配付資料の確認をさせていただきます。本日は,議事次第に記載しておりますとおり,資料1から資料9,それから,参考資料といたしまして,1から3。また,メイン席の先生方におかれましては,本日御発表いただきます高木委員の補足資料。その他,机上に参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら事務局にお申し付けください。
なお,机上にタブレット最初に端末を置いておりますが,その中には本ワーキンググループの審議に当たり,参考となる審議会の答申や関連資料をデータで入れてございます。詳細につきましては,次第の2枚目を御覧いただければと思います。

【原田主査代理】  では,これより議事に入りたいと思いますが,本日は,報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり,これを許可しておりますので,御承知おきくださればと思います。
さて,本日は主として,「歴史総合」,仮称ですが,「歴史総合(仮称)」の方向性,特色,構成イメージ,並びに,「地理総合(仮称)」,これも仮称ですが,「地理総合(仮称)」において重視する思考力と授業イメージの大きく二つについて意見を交換したいと考えております。
議事の流れとしましては,最初に事務局の方から,資料に基づき御説明を頂いた後に,議論の内容ごとに御意見を伺いたいと考えております。
これに先立ち,事務局から高等学校の地歴・公民科科目の在り方に関する特別チームや,本ワーキンググループにおける検討の状況について御紹介いただくと共に,本日は高木委員の方から,神戸大学附属中等教育学校における研究開発学校としての取組についても御発表いただく予定になっております。
また,事務局からの説明ですが,本日の議論に直接関わる内容は,後ほど議論の対象となる資料の説明に合わせてお願いすることにしまして,ここではまず12月21日に行われました高等学校の地歴・公民科科目の在り方に関する特別チームにおける高等学校の公民科に置く新科目の内容構成の考え方についての審議。また,これまでの本ワーキンググループにおける社会科,地理歴史科,公民科における見方や考え方等に関する審議について,意見の概要の説明をお願いしたいと思います。
では,よろしくお願いいたします。

【梶山主任視学官】  それでは,私の方から,まず資料4を使いまして,御説明させていただければと思います。第2回の特別チームの議事次第というものがお手元にあろうかと思いますので,それを御覧ください。
第2回目の特別チームにおきましては,新しい3科目につきまして御議論が行われたわけでございますが,「歴史総合(仮称)」,「地理総合(仮称)」につきましては,後ほど御説明のときに併せてさせていただくことにいたしまして,公民科の状況につきまして御説明したいと思っております。
資料で申しますと,この資料4の6ページ目を御覧いただければと思います。特別チームの検討におきましては,新しく設けられます公民科目の方向性につきまして,このたたき台案を基に御議論が行われたところでございます。課題,それから,資質・能力というものに関しては,論点整理でまとめられました資料というものを踏まえまして,新必履修科目の(案)というところ,こちらの黄色の部分が新たに付け加わった内容として,御議論いただいたところでございます。
内容といたしまして,(1),(2),(3),こちらにつきましては,その方向性について,その論点整理でまとまっていたわけでございますが,この(1)「公共の扉」というものに関して,その次のページを御覧いただければと思いますけれども,その具体的な内容というものをどうしていくかというところで,まず(1)のアということで,ポツのところを御覧いただければと思いますが,様々な立場や文化等を背景にして社会が成立していること。その中で,「自分らしい生き方」を問いながら自らを成長させること。また,人間は社会的な存在であることを認識し,対話を通じてお互いを高め合うことと,このようなことについて,社会と個人ということに関して,その冒頭において,このようなことを指導していってはどうかというところ。
それから,イでございますが,そのような中で,人間としての在り方生き方をどう考えていくかというときに,矢印でありますけれども,社会に参画し,他者と協働する倫理的主体として判断するための基準となる,マル1,「行為の結果としての社会的効用を重視する考え方」,マル2,「結果よりも,行為の動機となる人間的責務などを重視する考え方」について,理解させるということを大きく考えさせ,その3以降の留意事項などを取り上げてはどうかと。
その際に,一番最後にございますが,囚人のジレンマや共有地の悲劇等の思考実験,それから,環境保護などについて,その概念的に考える学習活動を取り入れると,このようなことでどうかということをたたき台に御議論いただいたところでございます。
次に,前に戻っていただきまして,(2),(3)というときに,このような,言わば導入的な部分,それから,概念的に考え方というものをまとめていく部分に引き続きまして,具体の主体としてどういうことを考えていくかというところ。こちらについて御議論が行われまして,矢印で御覧いただければと思いますが,(2)においては,社会を構成する主体となるために,協働の必要な理由,協働を可能にする条件,協働を阻害する要因などについて考察を深めるということで,ア,イ,ウ,エのような内容について指導していってはどうかと。その際,様々な主体となる個人を支える家庭や地域等のコミュニティ,このようなところについても触れてはどうかというところ。
それから,(3)でございますが,この1,2ということでありましたり,家庭科などと連携いたしまして,協働の観点から,また個を起点とした自立した主体となる力を育む観点から,今までに引き継がれてきた蓄積や先人の取組,知恵などを踏まえつつ多様性を尊重し,持続可能な地域,国家,国際社会作りに向けた役割を担う主体となることについて探究を行うような内容というものを行ってはどうかと,このような御議論が行われたところでございます。
具体的な御議論につきましては,資料3を御覧いただければと思いますけれども,こちらは,現段階は未定稿というところで恐縮でございますが,行われた意見というものに関して,「公共(仮称)」については7ページ以降で,前回の行われた意見というのをまとめております。適宜御覧いただければというふうに思っております。
それから,恐縮でございますが,併せて資料2を御覧いただければというふうに思っております。資料2が本ワーキンググループにおきまして,1月18日に,社会科における見方や考え方や思考力,判断力,表現力,こちらのようなことに関しまして御議論を行っていただきました。その状況について簡単に御説明いたします。
資料2の2ページ目を御覧いただければと思いますが,今回のその学習指導要領の改訂に当たりまして,思考力,判断力,表現力というものをどのように,段階的に育んでいくかというのが重要であるということでございますが,その社会科において育んでいく能力ということを,この1,2,3,4という形で,まずそのイメージということで御議論いただいたところでございます。
例えばマル1でいいますと,社会的事象の意味や意義ということ,それから,特色や相互の関連を考察する力というものを段階的に,御覧いただければお分かりいただけますように,下から二つ目は多角的に,下から三つ目は,多面的・多角的に,一番上が概念等を活用してと,このようなところで伸ばしていくというところ。
それで,マル1に関しては,様々なことを考察していく力。マル2に関しては,構想する力。マル3というものは,そのようなことを説明する力。それから,議論する力と,このようなところが考えられるのではないかというところ。
それから,思考力,判断力,表現力ということとちょっと異なる分類になるんだと思いますが,学習の見通しを持ち追究の結果を評価する力と,このようなところも重要でございますので,そのようなことについての能力ということのイメージも一番下に,こちらを書かせていただきまして,御議論いただいたところでございます。
併せまして次のページ,3ページ目を御覧いただければと思いますが,このような思考力,判断力,表現力というものを考えていく際に,子供たちが学習に当たって,物事というものを見ていく見方とか考え方,これも日に重要なところでございます。このようなところというものに関して,小学校,中学校ということで,このような見方・考え方があって,それがこの考察する力,先ほどの構想する力,説明する力,議論する力を育んでいくときに大きな影響を与えていくのではないかということ。こういうところについて御議論いただきました。
特に,本日,地理と歴史について御議論いただくわけでございますが,中学校の地理というところに関しては,真ん中の三角のところの左を御覧いただければと思いますが,社会的事象の地理的な見方や考え方ということで,日本や世界に見られる諸事象を位置や空間などの広がりとの関わりで,地理的事象として見いだし,それらの事象を地域等の枠組みの中で考察するということ。それから,歴史に関しては,時間に着目して,事象の推移や変化を見いだし,相違や共通性,因果関係などに着目して考察すると。このような見方・考え方を通じて,このような力というものを育んでいくということが重要ではないかというところに関して,このようなたたき台で御議論いただいたところでございます。
こちらにつきましても,資料1を御覧いただければと思いますが,資料1において,御議論というものが行われているところでございます。こちらも恐縮でございますが,適宜御参照いただきまして,御議論いただければというふうに思っております。
以上でございます。

【原田主査代理】  ありがとうございました。
高等学校地歴・公民科特別チームや,本ワーキンググループにおける検討状況につきましては,引き続き情報の共有を図ってまいりたいと思います。
では,続きまして,先ほど申し上げましたように,高木委員から神戸大学附属中等教育学校における研究開発学校としての取組について御発表いただきます。同校では,次期学習指導要領を見据えた科目としまして,主題学習を中心とする地理基礎や,世界史と日本史を融合した歴史基礎の開発に取り組んでおられ,本日の御発表は,これからの審議に大いに参考になるものと考えられます。
それでは,高木委員,よろしくお願いいたします。

【高木委員】  神戸大学附属の高木です。よろしくお願いします。遅れてきて申し訳ございません。
前の方のスクリーンの資料と,それから,お手元に配付させていただいている本日の座席表の続きにあります資料と御確認ください。
それでは,始めさせていただきます。神戸大学附属中等教育学校では,これまで2校の研究開発校に引き続いて,歴史基礎,地理基礎について研究開発を進めています。その際,地理基礎は,主題的相互展開学習,歴史基礎は,主題的単元史学習ということで,学習内容の開発ももちろんなんですけれども,生徒にどのような資質や能力を育成しようかというところも考え,それらのバランスを重視して研究開発に取り組んでいます。それらのイメージ図がこの形になっています。
このイメージ図は,本日配付した資料の2ページ,3ページにも載っています。
学習内容と育成すべき資質・能力を学習活動でつなぐという形でイメージ図としては構成しております。これまでのような講義形式の授業だけではなくて,生徒参加型の授業も取り入れて,時には知識や概念を定着させる場面,それから,時には思考力などを育成する場面,それらの場面を想定しています。歴史基礎の方も同じような形になっています。
それらで生徒の活動がどのようなものかという,生徒の様子を御覧ください。グループ学習のような発表形式の授業もやっているんですけれども,これだけだと少し時間も掛かってしまうということで,一つの授業で15分程度で組み込める4人1組のグループ学習を取り入れています。本校では,Tの字の机の配置をして,それぞれに役割分担を振り,進めています。役割分担の様子が前のスクリーンの右側にあります。それぞれA,B,C,Dと役割分担を振ったり,時にはA,B,C,Dそれぞれ違う資料を与えて,思考,判断,いろんなことをさせるということもあります。
それらの効果なんですけれども,グループ学習,このときはグループ学習をその授業で3回入れています。15分で終わるグループ学習,問いを3回入れています。一つ目の問いがこのような形になっています。二つ目の活動の場合にこのような形になっています。三つ目の活動の場合にこのような形になっています。見比べていただけると分かるかなと思うんですけれども,左側の後方の生徒の様子を見ていると,一つ目の活動,二つ目の活動,三つ目の活動ということで,主体的に学習に取り組もうとする資質がここでも育成されて,発揮されているんじゃないかなというふうに感じます。学習活動に積極的に取り入れるようになっています。
本校のグループ学習では,グループの場面だけではなくて,最初に個人で活動させて,それを基にグループでさせて,その後,個人の活動をするという形をしています。これは最初に個人で調べをしている状況です。その後,先ほどのような意見交流をする時間をとっています。最終的には個人で求める時間を取り,評価の方は個人を対象にしています。時にはグループの意見を集約するためにシンキングツールを使ったり,ホワイトボードと付箋という形で生徒の意見を可視化するような場面を作っています。
これらの活動をスムーズに行えるように,学習内容の構成も少し工夫をしています。それが本日配付の資料,4ページから詳細な資料になっていますが,育成すべき資質・能力を地理基礎も歴史基礎もそれぞれ四つずつ設けています。
さらに,単元なんですけれども,全体,1年間の単元を歴史基礎も地理基礎もどちらも六つずつの単元を設けました。それで,主題的な学習,主題学習をスムーズに行うために,単元を貫く大きな問いを設定しています。それが左側にあります。地理基礎の方の単元構成図は,配付資料の6ページの方にあります。それが年間の単元構成図です。
それから,歴史基礎の年間の単元構成図は,9ページの方にあります。
左側の主題学習で始まり,そして,単元の終わりも左側の主題学習で終わるんですけれども,その際,地理の方では,ロジカルアプローチ,リージョナルアプローチということで,その間,素材提供と現在呼んでいますけれども,その時間を取りますが,右側の方の素材提供の時間でも講義形式の授業だけではなくて,小さな問いを設定して,生徒に思考,判断する場面も設けています。
歴史基礎も同じような形になっています。同じように,育成すべき資質・能力を設けています。単元も六つの単元になっています。先ほど地理基礎と同じように,左側に主題学習。主題学習で始まって,右側の調査・発表活動,歴史観的考察活動を経て,また主題学習に戻ってくると。左側の主題学習の問いは,年間,単元を通じて貫く大きな問いになっています。
歴史基礎の単元ごとの細かい小さな問いについては,配付資料の10ページ,11ページ,12ページ,13ページ,14ページと,それぞれのトータルプランということでお示ししているんですけれども,少し小さな文字で申し訳ございませんが,もう少し拡大したものをその資料の巻末の方に付けておりますので,また御覧ください。

【大内学校教育官】  高木先生,済みません。ちょっと資料とページがずれているようですので,恐らく今の巻末の資料になりますと,17ページ,18ページが単元構成図としての資料ということになろうかと思います。失礼しました。大丈夫ですね。もう一つの委員の先生方用の資料の方の御説明ですね。大変失礼をいたしました。

【高木委員】  済みません。続けます。ごめんなさい。

【原田主査代理】  はい。どうぞ。

【高木委員】  それで,生徒にアンケート調査とか様々な調査を取ったんですけれども,生徒参加型の授業,どうですかというところになるんですけれども,現在の高校3年生,本校では6年生ですけれども,6年生に確認をしています。4年生時,高1時の地理の授業,歴史の授業それぞれ参加型授業でしたが,どうでしたかということを聞いています。指定1年目なので,試行錯誤している時期で,なかなか歴史の方は,学習内容をまとめるのに時間が掛かり,参加型授業には慣れていなかったんですけれども,現在,振り返ってみても,現在の高3生は,高1のときの授業,地理の方が生徒参加型授業で,そして,歴史の方がそうではなかったというふうに判断していますけれども,それが現在,受験のために一生懸命頑張っていますけれども,その知識の習得にどのように役立っていますかというふうに確認したところ,生徒参加型授業でやった地理の方が現在の受験のための知識の習得にも役立っていると。こちらの右側なんですけれども,地理を選択しても,日本史を選択しても,世界史を選択しても,全てトータルして聞いています。
こちらの方が年度の学年をまたいだ比較なんですけれども,どちらも歴史基礎になります。現在の高3生が上段です。去年の高3生が下段です。昨年度の高3生は高1のときには指定を受けていませんでしたので,講義形式が主な歴史の授業をしていますと。上段が指定を受けて1年目で,試行錯誤ではありますけれども,若干,生徒参加型の授業に慣れています。その比較をしてみると,高3になったときに,昨年度は高1のときは生徒参加型授業では余りなかったし,知識の習得に役立ってはいないんだけれども,今年の3年生は,高1のときの印象も高まっているし,更に同様に「知識の習得に役立っているか?」も高まっているというようなアンケート結果になっています。
そして,更にテキストマイニング分析ということで,これは高1の最後に生徒からその授業の感想ということで,文章で調査をしまして,その文章に登場する単語を集約しています。動詞の方で「覚える」というのが,中学校のときの社会科の授業,地理の授業で「覚える」という言葉が多く登場しますけれども,地理基礎は「覚える」という言葉が減ります。逆に,「できる」とか「わかる」という言葉が増えますので,より生徒参加型授業の地理基礎,歴史基礎の効果がこの辺でも分かるかと思います。
以上です。ありがとうございました。

【原田主査代理】  よろしいですか。

【高木委員】  はい。

【原田主査代理】  ただいまの高木委員の御説明,若干スライドが遠かったりして,見にくかった方もいらっしゃると思いますが,何か御質問があれば高木委員からお答えいただけると思いますので,どうぞ御自由に,御質問がおありの方はお願いします。ございませんか。はい,どうぞ。

【小川委員】  小川です。質問なんですけど,地理基礎と歴史基礎を比べたときに,「生徒参加型であったか?」の評価が歴史基礎の方が低い。それから,「知識の習得に役立っているか?」ということも低い。そのことをどのように分析されていますか。

【高木委員】  こちらの資料かと思います。今年の地理基礎,歴史基礎の授業はどちらも生徒参加型的には高いというふうなアンケート結果に最終的にはなると思うんですけれども,指定1年目で,学習活動の取組を深めるというところまで歴史の方が回っていなくて,日本史の分野と世界史の分野をどのような形で歴史基礎として作っていこうかというところに試行錯誤の時間がありまして,学習活動のところまで手が回っていなかったというところがこの形に出ていると思います。

【小川委員】  済みません。よろしいですか。

【原田主査代理】  どうぞ。

【小川委員】  ということは,歴史については,生徒参加型の授業の取組が足りなかったという分析なのですか。

【高木委員】  はい。指定1年目はその時間が少なかったということになるかと思います。

【小川委員】  申し訳ないです。そのことと,その知識の習得に役立ったかどうかということも低いというのはどういう相関関係がありますか。

【高木委員】  それ以外に自由記述,また,記述というところで感想もとっているんですけれども,生徒の方は,生徒参加型で,様々な意見を生徒と交流したりすることの方がいろいろ身に付けたものが記憶としても残りやすいというふうな記述が見られたりしているので,一方的に聞いているよりも,2年たっても,定着度が強いんだなという感想は,生徒の方は伸びていました。

【原田主査代理】  よろしいですか。

【小川委員】  はい。

【原田主査代理】  ほかに何か御質問ございますでしょうか。
はい,どうぞ。羽田委員。

【羽田委員】  ごく簡単な質問です。歴史基礎の育成すべき資質・能力というところに,歴史的技能というのがありますが,これは具体的にはどういうことをお考えなんでしょうか。

【高木委員】  私が直接,歴史基礎を担当しているわけじゃないんですけれども,歴史基礎担当者から聞いてきたところ,様々な文字資料であるとか様々な絵,それから,古い地図であるとかの資料を比較したり,それから,読み取ったりするというところを踏まえているということと聞いています。

【羽田委員】  それは読む能力ですか。

【高木委員】  それともう一つは,年表を作る能力であったりですね。済みません。直接担当していないので,全てが答えられないのが申し訳ないんですけれども,それから,当時の世界観を地図に表す能力であったりということを生徒の方には活動させているようです。

【原田主査代理】  羽田委員,よろしいですか。
仙田委員,どうぞ。

【仙田委員】  私のところも中等教育学校なんですけれど,いわゆる前期課程1,2,3,中学段階ではどの程度このような活動をされているんですか。参加型の授業だとかそういう。社会科はもちろんあると思って,うちなんかもやっているんですけれど,多分,中等教育学校,高校から入ってこないわけですよね。そうすると,やりやすいし,いわゆる高校受験もない。どの程度やっていた上で,この歴史基礎や地理基礎をやられたのかということをお聞きしたいんですけれど。

【高木委員】  国立大学の附属校,中学校としては,歴史あって,長くやっていますので,前期課程の方も生徒参加型の授業を取り入れてやってはいますが,全ての授業を生徒参加型にしているわけではありません。現在,高3の問題を中1生から,それから,高2,高3生まで少し分析していまして,同じ生徒参加型のような授業であったとしても,扱う題材を同じものにすると,高校生は,生徒参加型と余り思ったりせず,思考力とかが自分たちを発揮していると感じないというふうなことを今現在,調査中です。
ですので,学習活動が生徒参加型であったとしても,扱う内容をどのように進化させるかによって,また少し趣は変わってきますが,学習活動自体は前期課程,中学校の方でも生徒参加型の授業で,4人組の授業を取り入れたりしています。

【仙田委員】  済みません。それは今の高校段階の後期課程に比べて,割と同じぐらいの量を入れているんでしょうか。それとも,うちなんかだと中学生の方が生徒参加型はやりやすいんですね。とても食い付いてくるので。その辺はどうでしょうか。

【高木委員】  正直言うと,現在,生徒参加型の授業を一番取り入れている授業は,本校で今,地理基礎,歴史基礎と呼んでいる科目になるかと思います。高1生の科目です。

【原田主査代理】  ありがとうございました。まだひょっとしたら御質問なされたい方,いらっしゃるかもしれませんが,今後の議論の中でも高木委員にはいろいろこれまでの御実践に基づく意見を頂きたいと思いますので,そのときにまた改めて何かありましたらお願いいたしたいと思います。
それでは,本日御議論いただきたい内容に移りたいと思うんですが,冒頭に申し上げましたとおり,「歴史総合(仮称)」の方向性,特色,そして,構成イメージが一つ。それから,もう一つが,「地理総合(仮称)」において重視する思考力等と授業イメージ。この二つが今日の大きな意見交換頂きたい内容でございます。
まず事務局の方から「歴史総合(仮称)」の方向性,特色,構成イメージの資料について説明を伺いたいと思います。お願いいたします。

【大内学校教育官】  失礼をいたします。お手元の方に資料の,ちょっと多くなるのですが,まず初めに,資料6を御用意いただければと思います。資料6につきましては,前回,第1回のワーキンググループの際にも検討事項としてお示しをさせていただいておりまして,本日御議論いただく点といたしましては,1ポツ目の上から二つ目,それから,三つ目,一つ飛びまして,五つ目の三つの中点になろうかと思います。
具体的には,社会科,地理歴史科,公民科を通じて育成すべき資質・能力ということで,思考力,判断力,表現力等の部分を,先ほども主任視学官の梶山より紹介ありましたけれども,小・中学校で資質・能力の御議論を頂戴しておりましたので,今回それも含めまして,歴史,それから,地理に関する思考力,判断力,表現力というところも含めまして,御議論いただきたいというふうに思ってございます。
また,一番下のところになりますけれども,「高等学校における新設科目等の具体的な内容について」ということで,こちらにつきましては,特に歴史を中心に御議論いただくことになろうかと思います。
次に,資料1の方でございますけれども,前回,第1回の際にワーキンググループで,ここの委員の先生方において御議論を頂戴しました点のうち,歴史教育を中心に簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。ページ数で申し上げますと10ページになります。
去る12月7日,ワーキンググループ,第1回でございましたけれども,その際に次のような御意見を頂戴しております。まず二つ目のマルでございますけれども,一次資料の取扱いについての御意見を頂戴してございました。具体的には,新資料の成り立ちであるとか,あるいはその見せ方,そういった点について着目してはどうかということでございます。
三つ目のマルでございますけれども,「アクティブ・ラーニング」につきまして,歴史における「アクティブ・ラーニング」として,その生徒主体の授業を実現していくようにするということについての検討の必要性。あるいは四つ目のマルでございますけれども,歴史では特に同じことを繰り返すのではなくて,学習スタイルを大きく変えていくことが可能なのか,そうしないのかということを議論してはどうかというような御意見を頂戴しております。
五つ目のマルでございますけれども,特に世界史の用語に関わって,戦後70年で大きく増えてきている。2倍になってきていると。でも,これは日本史も同様なんだけれども,知識を教えることが限界に来ていて,その際にはやはり育成すべき資質・能力は何かということをきちっとさせるべきではないかというような御意見を頂戴しております。
一番下のマルでございますけれども,知識をどこまでやって,どこまで身に付けさせたら良いかということが課題になってきておって,思考力,判断力,表現力をどのように伸ばすかというようなこと。また,一方で,受験という問題もあるというような御意見を頂戴しております。
11ページの一番上のマルですけれども,歴史については,小・中学校で世界史をどう教えるのか。小中一貫校で特に実践事例を考えたいと。上から二つ目のマルでございますけれども,日本史の中で近代化,大衆化,グローバル化で再構成することについて,世界史と連動して長いスパンで考えていくことも大事だと。また,政治の変化だけでなく庶民の日常の変化を捉えたり,科学的に見る目として文化財や資料の提示をしたり等の工夫が必要だというような御意見をこのワーキンググループにおきまして頂戴をいたしました。
次に,特別チーム,12月21日に高等学校地歴・公民科科目の在り方に関する特別チームが開催されました。こちらの資料ですが,資料4の方を御覧いただければと思います。資料4, 2ページ目でございます。2ページ目には,歴史科目の改訂の方向性ということで,12月21日に開催されました「高等学校地歴・公民科科目の在り方に関する特別チーム」での配付資料ということで具体的には,中央でございますけれども,近現代における歴史の転換ということで,近代化,大衆化,グローバル化というような歴史の転換の軸があるのではないかと。これらについて,その下の真ん中の方になりますけれども,考察の手立てということで,星印で示しておりますけれども,「比較」,「因果」,「相互作用」というような手立てを用いて,その下のオレンジ色のところになりますけれども,次のような学習を行っていくと。学習課題を設定し,資料を活用して考察する。歴史を捉える概念を理解するというような流れで,近現代における日本と世界のつながりを学習しておいてはどうかというようなたたき台を示させていただいてございます。
また,その際に考えられる例ということで,その下の方になりますけれども,例えば近代化の歴史の軸におきましては,例えばですけれども,比較なりの考察の手立てを用いながら,工業化と政治変動について学ぶ。その際の諸革命と社会の変化等についても触れていくというような形で,マルとして,内容のまとまりの例,それから,中点としては,学習内容の例というのを一部ですけれども,例示的にこういうことが考えられるのではないかということでお示しし,御意見を頂いたところでございます。
具体的にその際に頂いた御意見でございますけれども,一つ戻りまして,資料3の方でございます。資料3は,特別チームにおけるこれまでの主な意見ということで,12月21日に御議論頂戴しましたのは,具体的には4ページ目の上のところからになります。
4ページ目の上でございますけれども,一つ目のマルのところでは,世界史の中の日本史という捉え方をしていると。その際にですけれども,近代という時代区分については,ペリー来航以降ではないかと。また,近代化については各国で進められてきた近代化が広まり,世界が一つになったという意味で,第一次大戦に大きな意味があったというふうに考えていると。日本の学校における教育なわけですので,日本の立場という視点があるのは当然で,それを基に世界を見ていくという考え方がいいのではないかというような御意見が一つ目です。
二つ目の御意見ですけれども,「歴史総合(仮称)」の方向性は良いのではないかと。学習課題の設定,あるいは各学習はどのような狙いで行うか,どのような状況であれば成果があったと評価できるかというようなことについて,サンプル的な資料を見つつ,議論を進めるべきではないかという御意見。
三つ目のマルですけれども,近代や現代などの概念は重ねてやっていると。近代とは何か,現代とは何かという点から考える必要があるのではないかというような御意見。
また,四つ目ですけれども,日本と世界で近代の始まりの時期が異なる。このような見方があるということ自体を教えることに意味があるのではないかと。また,19世紀後半の帝国主義時代に日本はどのように組み込まれていったかを考えさせるということは重要ではないかというような御意見。
次のマルでございますけれども,授業時間がなくなり,近現代に関する指導がおざなりになるというような課題があると考えられるので,「歴史総合(仮称)」ではなるべく近現代について指導することとして,前近代史については,近現代の理解のために何が必要かという観点から考えるのが適当ではないかというような御意見。
次ですけれども,歴史を考える際の因果については複数の視点を考えさせることが重要。限定事項を同時に教えるという難しさが一方ではあるのではないかというような御意見。
下から三つ目になりますけれども,世界の枠組みの中で日本が動いているということを示すために,小・中・高等学校においては小・中学校とは異なる区分で示すことが必要ではないか。
下から二つ目のマルですけれども,1970年代から始まる第3次産業革命という捉え方も重要である。経済が政治を動かすという見方をすると時代が捉えやすくなるのではないかというような御意見。
一番下ですが,歴史はアジアと西欧の二項対立的なものではなく,世界システム論的なものを取り入れて考えさせるべきではないかというような御意見。
5ページに移りまして,一番上のマルですけれども,転換の軸と考察の手立てが1対1対応に,先ほどの資料ですが,指定しているように見えるので,この考察の手立てはそれぞれ有効な手段であるので,それぞれに掛かるものであることが分かるようにしたらどうかと。
二つ目のマルですけれども,時期や概念,主な内容など歴史の中身を教えることを中心としているように見えると。歴史の学び方やその学びを通じてどのような力が育まれるかというような観点から考えるべきではないかと。例えば,事象の結び付きや問いの立て方はいろいろであること,観点によっては歴史の見方や解釈があることを身に付けさせることなどが必要ではないかというような御意見。
三つ目のマルですが,「日本史A」と「歴史総合(仮称)」の違いは,歴史を広く理解すると共に,自ら議論して今の問題を捉えられるようにすることだと。現行の「日本史B」でも課題の設定や資料の活用ということが規定されているけれども,教科書には記述が十分でなく,学習としても十分機能していないのではないかというような御意見。
次のマルですが,「歴史総合(仮称)」の総合というのは,内容を総合するというようなイメージが強いので,方法や生徒に身に付けさせる力を総合させるというようなイメージを持たせることが重要ではないかという御意見。
次のマルですけれども,現代史についてはどこまでなのかを議論するということも必要ではないかと。
最後のマルになりますけれども,生徒に対する学習の動機付けを考えれば,現代にある問題の提起を受けて,遡って考えるようにすることが重要ではないかと。日本の中だけで考えるということで,満足したり,満足していなかったりする部分があるというような御意見を頂戴してございます。
これらの特別チームにおける資料及び御意見を踏まえまして,本日でございますけれども,資料7になります。先ほどの資料3も少しお手元に置いておいていただければと思いますが,本日,御議論いただく資料7といたしましては,「歴史総合(仮称)」方向性・特色・構成イメージ(たたき台案)ということで,大きく二つの要素を示させていただいております。
まず初めに,上段,上半分のところなんですが,育成すべき資質・能力,それから,歴史を考察する手立てとして,次のように前回の特別チーム等の意見を踏まえまして,あるいは小・中学校を中心に議論したワーキンググループの御意見を踏まえて整理をしております。
「歴史総合(仮称)」では次の資質・能力を養うということで,大きなマルとして,歴史を考察する手立て(視点や方法)を用いて,現代の諸課題の歴史的背景を追究する力。
二つ目のマルとして,諸資料を適切に活用する技能。
三つ目といたしまして,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質という形で,育成する資質・能力を考えてみてはどうかということでございます。
また,この際にですけれども,先ほどの資料4,特別チームの資料の中でも掲載がございましたけれども,歴史を考察する手立てということに着目して,例えば「比較」(類似と差異),「因果」(原因と結果),「相互作用」(関係性やつながり),こういった歴史を考察する手立て,視点や方法を用いまして,多面的,多角的に吟味する,あるいは資料に基づいて解釈するというような思考あるいは考察する,そういった力を育んでいってはどうかということがこの「歴史総合(仮称)」の科目の特色,あるいは育成すべき資質・能力ということでまとめてございます。
また,下段の方でございますけれども,構成のイメージということで,縦軸に,近代化,大衆化,グローバル化という,歴史の転換の大きな軸のようなものを縦軸に置きまして,横軸といたしまして,四角の枠の中に,先ほどの育成すべき資質・能力,上段の方にも出てまいりますが,現代の諸課題の歴史的背景を追究する力を育成していくという観点から,現代に通じるような諸課題を四角の枠で,例えば入れてみてはどうかということで整理をしてございます。
また,楕円形のところですけれども,横軸,縦軸とございますが,その中に入る楕円形としては,これも先ほどの特別チームの際の資料にもございましたけれども,いわゆる内容の大きなまとまりということを想定してございまして,それを構成イメージとして今回,御検討いただきたいというふうに思ってございます。
2枚目でございますけれども,こちらは現行の学習指導要領における,いわゆる歴史,「世界史A」,「日本史A」の大きな内容のまとまりと,それに併せて「世界史A」,「日本史A」に共通するような学習の題材ということで示させていただいております。
上の方の歴史系A科目の内容のまとまりということで,これは現行の指導要領でございますけれども,「世界史A」,「日本史A」がそれぞれ示しておるような内容,学習指導要領の項目で示しておりまして,いわゆる同時期の動きを「日本史A」,「世界史A」でどのように取り扱っているかということの参考にしていただくと共に,下の枠の方になりますけれども,世界史,日本史に共通する主な学習題材ということで,こちらについては,「世界史A」,「日本史A」に限らず,「世界史B」,「日本史B」も少し含めまして,幅広に共通するような学習内容として,学習の題材として説明的になりますけれども,説明的なものも挙げておりますけれども,示させていただいてございます。
こういった,ここに示しておりますような素材を基にしながら,例えば先ほどの資料7の1枚目を御覧いただきますと,縦軸,近代化,横軸,例示,例えばということでお示しさせていただいておりますが,経済活動と生活ということで,工業化と政治変動という内容のまとまりを構築するものとしては,例えばですけれども,2枚目のところの市民革命や産業革命というような学習題材が入ってくるのではないかというような考え方で,少しこの構成イメージに示しております四角囲みの現代に通ずるような諸課題の枠組みと,それから,各歴史の転換を示す際の大きな内容のまとまりということについて御議論を頂戴できればということが大きな2点目でございます。
資料の説明につきましては以上でございます。

【原田主査代理】  ありがとうございました。それでは,今,御説明いただきました主に資料7の1枚目のプリントですね。これが今日の「歴史総合(仮称)」に関する大きな議論のたたき台になりますので,オレンジで塗ったところですね。育成すべき資質・能力はこれで本当によろしいのか。それからまた,その下,資質・能力を育てるための具体的な歴史学習のための視点とか方法は,この真ん中のこの薄緑といいますか,黄緑のこういった視点と方法で本当にいいのか。そして,具体的に子供たちが,生徒たちが学んでいく学習内容のイメージとして,この四角で囲ったような現代を見せる課題と,楕円でくくっているようなこういう内容項目,題材で本当に学習が成り立つのかどうか。既にお考えの先生方も多いと思いますので,どこからでも構いませんので,是非闊達な御意見を頂いていきたいと思いますので,御意見のある方はこの名札を立てていただきますと,順次指名させていただいて,発言が終わりましたら元に戻していただきたいと。
では,羽場委員からお願いします。

【羽場委員】  済みません。最初にこれを見させていただいたときにちょっと気になったことなのですけれども,その近代化とグローバル化の間に大衆化という用語がありまして,近現代を考える際に,果たして大衆化でいいのか。ここで話していい話なのかも分からないんですけれども,大衆というと,やはりそのイメージとしては,動かされる集団というようなところがありまして,近代とグローバル化の間に挟む際に大衆化だけで良いのだろうかという違和感がありました。
例えばその大衆化と併せて市民化ということを入れるとすると,やはり市民の場合には,その考え,主張する個体ということがあると思いますので,生徒に教える際に,あなたは大衆の一人ですよというのか,それとも近代になって,単なるマスだけではなくて,自らが考え,行動する主体としての,まあ,これはどういう用語を使えばいいのか分からないんですけれども,市民とかいう言葉を併せて教えないと,結局その主体ということが歴史にどう関わっていくのかという部分が抜け落ちるような気がいたしました。
取りあえず以上です。

【原田主査代理】  ただいまの羽場委員の御意見に関しまして,関連してどなたか,いかがでしょうか。論点整理にも出てきた概念だとは思うんですが,確かに近代化,グローバル化という概念と並んで,大衆化がここに入ってくることと,ちょっと概念の抽象度といいますか,性格の違いを感じることもあろうかと思いますが,その辺り,いや,これでいいんだとか,いや,もっとこういう視点が必要だとか御意見。
磯谷委員,いかがでしょうか。

【磯谷委員】  磯谷です。羽場先生のお考えもあるんですけれども,私としては近代化のところで市民といって,やっぱり身分制を撤廃して,しかし,やっぱり金持ちが中心になって政治をやっていくと。やはりそれが19世紀後半になる中で,国民国家を作って,戦争に勝っていくためには,より下層の人間もこう,政治家としては取り入れていくと。大衆も政治参加していくという,そういうような感じがあるので,自分としてはそこに一つの時代区分があるのかなと。それが20世紀後半になって,またそういう国民国家というのは解体していくというような,そういう流れで,時代の流れとしてはひとつあるものですから,大衆化というのがいいのかどうかはちょっと難しいんですけれども,区切りとしてはいいのではないかなと思います。
それで,私のこの構成イメージについての意見なんですけれども,あんまり抽象度を高めた項目を立てていくというのはどうかなという,やっぱり世界史がこれで,高校で必修からは外れた中で,やっぱり世界史の大きな流れというか,個別的なことも教えていく必要があるのかなと思ったりしていまして,自分としては全てをこういう縦と横のマスで仕切って抽象的なことを教えていくのではなくて,抽象的なことも教えながら,個別的なことも入れていくというような構成もいいのじゃないかなと思っております。
以上です。

【原田主査代理】  はい。関連して,あるいはほかの観点でも構いませんけど,いかがでしょうか。
今の磯谷委員の意見は,確かによくおっしゃりたいことは分かるんですけれど,この(案)自体が非常に抽象的に捉えるというだけじゃなくて,この中に多分,具体的な日本史や世界史に関わる事例が入り込んで学んでいくんだろうとは思うんですけど,先生の危惧も分からないわけじゃありませんので。そういった点も含めて何か御意見ございますでしょうか。
では,土屋委員,お願いします。

【土屋委員】  土屋でございます。今の議論と少し関わって,質問も関わるんですけれど,中学校の歴史的分野とかこういうのが時系列的に学びますよね。それと同じように高校も時代順に学んでいくというイメージなのかということで,というのはここに書いてある今の羽場先生からの御意見で思いましたけれども,近代化,大衆化,グローバル化というのは,例えば近代においては,同時並行といいますか,ずっともう,ここ100年,この枠組みは近代化が先で,大衆化が次で,グローバル化が後というふうに,単純に測れるのかなというふうに考えるんですね。そうすると,こういうふうな大きな枠組みでとるとすれば,もうそれこそ19世紀から21世紀に掛けて,近代化というのは何だろうとか,あるいは市民化,先ほどのそういった市民というのはどういうものだろうとか,あるいはグローバルな世界のつながりはどうなるだろうというような形の学習設定ということに高等学校はすべきなのかね。
でなければ,中学校をまた同じように繰り返していって,また同じような内容の歴史的な事項がトピックス的にもう一回繰り返すことにならないかという,ちょっとその辺の中学校の仕分とも関係してくると思いましたので,結構大きな指摘だったかなと思います。

【原田主査代理】  では,羽田委員,お願いします。

【羽田委員】  ちょっと違う話でもよろしいですか。

【原田主査代理】  はい。

【羽田委員】  育成すべき資質・能力のマルが三つありますけれども,その一番下に「国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質」という文章があります。この資質・能力を育成すべきだとするのはやや古い見方ではないかと思います。
これまで文科省から頂いている様々な書類に,「グローバル化」という語句が随分たくさん出てきています。実際この構成イメージのところでも,一番最後に「グローバル化」が非常に重要なポイントとして出ています。「国際社会」は,基本的には国を単位とする社会。国連など多くの国際機関はこの発想に基づいて作られています。一方,「グローバル化」は,国の国境が相対化され,例えば国境なき医師団ですとか様々な民間企業ですとかそういったものが必ずしも国の意志とは関わらずに活動するという状況を言います。とすれば,国際社会で主体的に生きているだけでは,世界の現状に対応できなくなるのではないかと思います。
その意味では,「グローバル化に対応し,これと共存しながら主体的に生きる日本国民」といった能力,あるいは資質が必要になるのではないかと思いました。
また,これは参考ですから,今後また考えるのでしょうが,世界史,日本史に共通する主な学習の題材が次のページにあります。ここにもグローバル化という語句は入っていません。グローバル化という概念と実態は,何らかの形で,これからの時代を生きていく人たちにはしっかりと学んでもらわなければならないと考えます。

【原田主査代理】  はい。では,小川委員,お願いします。

【小川委員】  近代化,大衆化,グローバル化なんですけれども,この転換を表した言葉と時代区分を表す言葉が,その近代化という言葉には両方あって,そうすると,その近代化に対応するのは現代化のはずなのに,それがないということになる。これは必ず先生たちは困るのではないかというふうに思われるんですね。しかも,その近代化となると,それはその産業革命から考えるのか,それとも大航海時代から考えるのか,いや,大交易時代から考えるのか。それでもまた混乱する。ある程度幅があってもいいのかもしれないけれども,そんなに単位数の多くない科目で,その出発点のところで余りに戸惑うようでもいけないのではないかと思います。
先ほどの神戸大学附属さんの議論でも,その歴史の授業を「アクティブ・ラーニング」のように展開するというのは,地理の授業とはまた違う種類の困難さが幾つかあると思うんですよね。そのときにその時代を通史的に教える中での「アクティブ・ラーニング」ではなくて,中学のときに勉強した知識プラスアルファで,学んだことをもうちょっと広いスパンで捉え直したときにどんなことが言えるのか,考えられるのかというところが,多分この新しい科目のいい可能性になるんじゃないかと思います。そうなると,個々の歴史事象について,近代化の時代の様子と大衆化の時代の様子を比較するとか,それぞれの時代の事象をもうちょっと広いタイムスパンで考える,比較するというところに面白さがあるような気がするわけです。
そうすると,その近代化という言葉よりも,もうちょっと時代が明確になるようなネーミングの方がかえっていいのかなということも考えたりするわけです。例えば工業化と世界の一体化の時代というふうにしても,18世紀末からにするとか,大衆化と世界大戦の時代として,19世紀末からにするかとかしたらどうでしょうか。グローバル化と地球規模の課題に直面した時代として,20世紀後半から末からの時代にするかというのも一つの策ではないかなと思ったりもしました。
もう一つだけ。考察の手立てのところで,学習課題の設定,資料活用の考察で,最後が概念の理解になっているのが,少々疑問です。多面的,多角的な思考とか,資料活用ということがあるのならば,最後にあるのは,複数の異なる歴史解釈の中から,より良い解釈をとる,創造するというような営みが恐らく最後の完成形の一つになるんじゃないかなというふうに考えるんですけど,いかがでしょうか。
以上です。

【原田主査代理】  今の小川先生の,資料7でいいますと真ん中のところは,概念の理解というのも,多面的,多角的な吟味とか資料に基づいた解釈になりますが,ここに関してということですか。

【小川委員】  ええ。

【原田主査代理】  前回12月23日の,確かに先生がおっしゃるようになっているんですけど,今回の資料7はちょっとそこが変更になっているかなという気もしますが。

【小川委員】  ああ,そこは変わったんですね。

【原田主査代理】  分かりませんけど,先生の御意見は今伺いました。

【小川委員】  はい。分かりました。

【原田主査代理】  では,仙田委員,お願いします。

【仙田委員】  最初にこの育成すべき資質・能力のところの,先ほど羽田委員が言われました三つ目の,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質。やっぱりここにグローバルというような視点を入れていただきたいと。例えば私なんかは学校現場にいますので,グローバル人材の育成を言われて,今うちは後期課程,高校生は,半分は海外に毎年言っています。修学旅行も研修旅行も留学も全部併せれば,学年全体の半分は行きます。そこで何が課題かというと,そのグローバル的な見方ができるのかと。そこで交流ができるのかと。逆にインバウンドもあって,海外の生徒が100人以上来ます。それに対してどう対処できるのかというような,そういうものを。まあ,中には歴史が嫌いな子もいれば,理科が好きな子もいるんですけど,その子たちにもそういう考えを持たせたいというふうに思っています。
ですから,そこのところは非常に重要で,そのためには例えばこの資料7の2枚目のところなんかにある世界史と日本史,先ほどの意見にもありましたけど,私は世界史と中の日本でも構わないんですが,もうちょっと世界史と日本史のつながりを密にしないと,世界史を世界史だけで教える,日本史を日本史だけで教えるというのではない。そういうものにしていただければ有り難いというふうに思っています。
そうすると,彼らはその国と自分の日本がどう関わってきたのか。自分は日本人としてどう主体的にやれるのかということを考えられるかなと思っています。
それから,二つ目です。今,小川委員が言われましたとおり,私,前回,小・中の方の会にも出させていただいたんですけど,私は中高一貫校におりますので,そうすると,中学と高校の連携がどうしても必要になると思います。ですから,ここで高校の議論をしても,中学でこういうことを,違うことをやっているとなかなか進まないと。やっぱり中学でもっと,やっぱり「アクティブ・ラーニング」らしいもの。もちろん教える授業もそうですけど,「アクティブ・ラーニング」をやっていただきたいなというふうに思って,そのつながりは重要だと思います。
その上で,高校段階では,その背景。先ほど育成すべき資質・能力のマルの1番目ですよね。歴史的背景を追究する力を養成するために,それをどういう資料だとか手立てを持って分析しているかということだと思っています。そのためには学習課題をもう少し絞って,明確化しないと,全部教えるとかいうようなことではなくて,現場にいたら多分これは2単位でやったら絶対できるわけないですよ。だから,それを絞って明確化にしないと,せっかくこうやって議論したことが現場でできてこれないということが起こってしまうので,それがないようにしていただきたい。
ですから,例えば「公共(仮称)」のところにあった「公共の扉」みたいな問い掛けの部分ですよね。そういうようなものがあって,学習課題をどんどん解いていくという力を持っていただけると有り難いなというふうに思っております。
以上です。

【原田主査代理】  はい。ほかにいかがでしょうか。韮塚委員,お願いします。

【韮塚委員】  韮塚と申します。先ほど仙田委員さんの方からお話がありました構成イメージに関わる部分について,1点述べさせていただきたいと思います。
その前に,今日,高木委員さんの方から御報告のあった神戸大学附属中等教育学校の取組について,やはり注目したいと思った点が参加型の授業の度合いが高いと,知識の定着の度合いも生徒は高く感じている。逆にそれが低いと,知識の定着度合いも低いと感じているという生徒の捉え方というのは,今後私たちが思考力とか判断力,説明する力等を育成する授業を構成していくにはとても大事な視点かなというふうに私は思いました。思考力,判断力あるいは参加するような授業と,知識を定着させるということは決して相反するものではなくて,密接に関わっているんだということをこの場で確認できれば良いかなというふうにまず思いました。
それを踏まえてということになるかと思いますが,今回,「歴史総合(仮称)」ということで,新しい科目が立ち上がるわけなんですけれども,これに際しましては,やはり方向性としては,「アクティブ・ラーニング」のような,生徒が参加するような授業を,あるいは課題解決的な授業を私たちは検討していくべきかなというふうに強く思います。
例えばそれにそれぞれの学校の教室でそれがどう具体化されるかということを想定したときに,例えばですが,構成イメージの中で,例えば現在,内容のまとまりということで,工業化と政治変動というような表現でされているところなんですけれども,こういったものを例えばテーマに沿ったような表現,あるいは課題に沿ったような表現で提示してみてはどうかというふうに考えます。
例えば日本と世界はどのように近代化を推進したのかとか,近代化は日本と世界にどのような影響をもたらしたのかとか,どうして世界規模の戦争が起こったのかですね。こういったまとまり,大きなまとまりを方向性として示し,その大きなまとまりも課題を,あるいはテーマを追究するための具体的な発問等が更に細かい形で示されるようになると,より教室では具体的な授業がしやすくなるのかなというふうに考えています。
以上です。

【原田主査代理】  土屋委員,お願いします。

【土屋委員】  この構成イメージに関してですけれども,次のページに参考として,現在の科目ですかね。現行高等学校の世界史,日本史に共通する主な学習の題材というのが例示されている,ピックアップされているんですけれども,これを見てやっぱりこれからの国民育成としては,ちょっと狭いかなというふうに思ってしまいます。例えば高校生とかそういうところで彼らに主体的にアクティブにといったときの興味,関心を持たせるとすれば,例えば身近な学びとか教育とかですね。あるいは娯楽とか,あるいは最近だとマイノリティとか衛生医療とかですね。テレビドラマとか何とかでもそういう部分が結構出てきたりするわけだけども,そういう関心を持っているようなもの,問題,あるいは資源エネルギーとか電力をどうするかというのも入りますし,あるいは情報とか通信ですね。通信端末,携帯とかこういうものも彼らにとっては身近なわけですから,あるいは女性とか何かそういう,本来は高校生にとって必要な日本国民としてのキーワード,それを歴史的にアクティブに考えていくというキーワードがほかにもあるような感じがするんですね。
それを新設の科目で置くのか,あるいは新設の科目はこういう,ある意味,政治的な素養に絞って,それじゃないところについてはほかの科目で対応するのか。あるいは中学校で対応するのか。何かその辺も含めてちょっと我々のこの立場で考えるものなのか,もっと違うところで考えるのかとはちょっと今分からなくて,どう発言していいかがちょっと困っていたんですけれども,もう少し視点の多様性というのがやっぱり構成の中に入ってこれるような設計をやっていかなければ,正に先ほど仙田委員が言ったように,実際,現場でやったときに絞っていった方がいいんですけれども,その絞り方というのはどこに絞っていくかというところで,生徒の学びというところとうまくつながるような問題設定を構成の中で見いだすようにしていかなければいけないかなと思います。
ちょっとまとまらず,申し訳ありません。

【原田主査代理】  ほかにいかがでしょうか。小川委員,お願いします。

【小川委員】  多面的,多角的に歴史を吟味しながら,そのことを通じて日本国民としての自覚と資質を養っていくということを考えたときに,やはり考えられる例の中に,今まで歴史教育が正面からそのことを大きく論じてこなかった,例えば戦争と和解とか,国境と歴史解釈とか,そういうことをあえてしっかり学ぶ中で,日本国民としての自覚と資質を鍛えていくということは大事になってくるんじゃないかと思います。これはヨーロッパの高校生たちが歴史の授業を通じて一生懸命学んでいることです。私たちもそれに学ぶときが来ているのではないかというふうに考えます。
以上です。

【原田主査代理】  いかがでしょうか。今のところ育成すべき資質・能力の点では三つ目の国際社会に主体的に生きる日本国民というのがやや時代にそぐわない。もう少し大きくグローバルな時代に対応する生き方とか考え方に広げるべきではないかというような意見があったかと思います。
それから,真ん中の歴史を考察する手立てというところでは,単なる概念の理解に終わらない,より多面的な解釈を求めて,生徒同士が議論するような場面も必要ではないかという意見。
それから,構成イメージに関してはまたいろんな意見があると思うんですが,後で出てくる「地理総合(仮称)」には若干問いで内容のまとまりを示すという案もあるようですけれども,もう少し問いの形で示したらどうかという意見,あるいは高校生の現実,生活のレベル,関心のレベルと接点のあるような問題。あるいは今,小川委員がおっしゃったような,もう少し現実の国際関係を踏まえて,例えばヨーロッパの国々が既に高校生のレベルから求めているような近隣諸国との歴史の和解も含めての問題にも視野を広げるべきではないかとか,いろんな意見が出ておりますが,いかがでしょうか。
これに関しまして,あと5分ぐらい,「歴史総合(仮称)」については,今日は議論したいと思いますけど。
はい。羽場委員,お願いします。

【羽場委員】  今の小川委員や土屋委員の御意見に大変賛成です。私自身は国際関係をやっているんですけれども,これまでの歴史や,あるいは公民だと,ちょうどその国際関係のところが抜けたまま大学に来て,ほとんど何も知識を持っていない。特に近現代を教わっていないということになると,20世紀史も正確にきちんと学んだ経験がないということで,現代社会を理解する基本的な能力に,上がってきたときに欠如があるという気がします。
その意味では,今,小川先生がおっしゃったような和解の問題や,あるいは土屋先生がおっしゃったようなマイノリティとか災害とかエネルギーとかそういう問題も含めて,グローバル化の枠組みの中で教えられるということは大変重要だと思います。
ただ,その2単位という枠組みの中でどこまでできるのかという,消化不良にならないかという懸念はあります。
以上です。

【原田主査代理】  ありがとうございます。
いかがでしょうか。はい。大石委員,お願いします。

【大石委員】  前回もちょっと言ったことと関わるんですが,この近代化のイメージだけで,本当に私たちの歴史的位置というのは分かるんだろうかということなんですね。それを生徒たちに伝えたい,あるいは自分たちの位置を確認してもらいたいといったときに,この工業化で全て話をしてしまっていいか。例えば最初にある現代の諸課題の歴史的背景といったときに,農業とか水産業とか一次産業が課題がないわけじゃなくて,過疎の問題含めて,むしろ深刻な課題ですよね。それをこういうヨーロッパ基準で全部話をまとめていって本当に日本の諸課題を解決する力があるだろうか。私はやっぱり家族の問題含めて,一つ前の,今,和風とか日本風とか言われている私たちの生活の基底にある文化とか生活ですよね。そこのところをベースに最初に持ってきて,その後,こういう話をしないと,土台がない話になる。おかしな近代化をいつまでも追い掛けることになるような気がします。

【原田主査代理】  ありがとうございます。
じゃ,磯谷委員。

【磯谷委員】  先ほど世界史の通史的なことをもう少し入れた方がいいと。あんまり社会学的な感じになるのはちょっと反対だみたいなことを言って,原田主査から,そうじゃないということを言われまして,そのとおりだなと改めて思っております。この抽象的な枠組みの中に数字的なことを入れ込んで,トータルとして世界史の大きな流れとかそういったものがつかめるような,地理の方で,世界のいろんな地域を取り上げながら,地理的な見方・考え方を学ぶようなそういう仕組みに地理の方は今なっていると思うんですけれども,そういった感じでこの枠の中に世界史で特に問題になっているようなことを入れ込んでいくというような作業が要るなというふうに思っております。

【原田主査代理】  それでは,まだきっと御意見もおありだと思いますけれども,予定した,本日の「歴史総合(仮称)」に関する議論の時間が参りましたので,また詳細については,御意見がありましたら事務局に送っていただくなり,次回また3月にありますので,そのときにいただきたいというふうに思います。ありがとうございました。
続いて,今度は「地理総合(仮称)」において重視する思考力等と授業イメージについて議論していきたいと思いますので,まず事務局から,「地理総合(仮称)」において重視する思考力等について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【大内学校教育官】  ありがとうございました。失礼をいたします。そうしましたら,地理の方につきましては,まず初めに,資料1を御覧いただければと思います。
資料1につきましては,前回といいますか,前々回,第1回の12月7日に開催された際の地理の御意見といたしまして,11ページをお開きいただければと思います。
11ページの中段でございますけれども,二つ御意見を頂戴しておりまして,一つは,情報化,GISはどんどん進化していくというようなときにどのように取り組んでいくかということを考えた場合に,地域調査,分析技能,様々な情報をリンクさせることが必要で,より現実的なものにしていくことが大事ではないかというような御意見。
それから,グローバルな課題と日常生活が結び付いていることを感じ取れるようにしたいと。そのときに知識の量と分析の技能のバランスをどのようにとっていくかが大事ではないか。地理は,自然,人文,政治的等の課題を地球規模で考えていくことができるという御意見を頂戴してございました。
また,資料3と,それから,資料4でございます。
まず先に資料4の方でございますけれども,12月21日に開催されました特別チーム,こちらの方で,地理に関する資料につきましては,2枚ほどおめくりいただきまして,3ページ目からでございます。
12月21日の御議論の際には,特に右側の新必履修科目(案)ということで,「地理総合(仮称)」の項目構成について,主に御議論いただきました。この項目構成につきましては,(1)といたしまして,地図と地理情報システムの活用ということで,地図やGISなどに関わる汎用的な地理的技能を身に付けることがまず一つ目の指導項目として掲げさせていただいておったところです。
また,(2)といたしまして,グローバル化の視点から,例えばアでございますけれども,自然と社会・経済システムの調和を図った,世界の多様性のある生活・文化についての理解。それから,イといたしまして,地球規模の諸課題とその解決に向けた国際協力の在り方についての考察ということで,多様な生活や文化,それから,国際理解,また,地球的な諸課題と国際協力の在り方について,グローバル化の視点から学習する項目が一つ。
最後でございますけれども,(3)として,防災の視点から日本国内や地域の自然環境と自然災害との関わり,そこでの防災対策についての考察でありますとか,生活圏の課題を観察や調査・見学等を取り入れた授業を通じて捉えまして,持続可能な社会作りのための改善,解決策を探究していくというような生活圏の調査でございますとか,災害への対応に関する項目の三つの項目で構成することについて御意見を頂戴したところでございます。
主な意見といたしましては,資料3でございますけれども,資料3の6ページ目でございます。資料3の6ページ目の下から四つ目のマルからが,12月21日の特別チームでの第2回の御意見になります。下から四つ目でございますけれども,地図やGISの学習はグローバル化や防災等広く関わるものであって,それを最初に学習するという考え方は理解できると。また,持続可能な社会作りを取り扱うが,ここには十分「アクティブ・ラーニング」の要素を入れることができるのではないかというような御意見でありますとか,その下のマルですけれども,ちょっと誤植,誤字がございます。「地理教育課程憲章」になっておりますが,「地理教育国際憲章」。「課程」を「国際」に直していただければと思います。
「地理教育国際憲章」の5)地域には,変容を示しており,各国ベースでの考えを取り入れることができることから,ここに日本的な要素を入れることが可能ではないかというような御意見。
それから,その下のマルでございますけれども,小学校では社会科の中で地理を学び,中学校では系統地理や地誌のディシプリンを学ぶと。高等学校ではそれらを踏まえて,政治や経済の問題を含めた主題に基づく学習を行うという意味では,「総合」という表現は適当ではないかというような御意見。
次のページに参ります。7ページ目でございますけれども,一番上のマルのところで,GISや地図活用を生徒に指導すると。地理に関わる概念を学ぶと共に,地理的な概念を使ってどのように問題を解決できるようになるかということが重要ではないかという御意見。
二つ目のマルでございますけれども,グローバル化,GIS,ESD,防災等は,高等学校の地理で必要となる要素を網羅しているのではないかと。先ほどの資料でございますけれども,(3)の生活圏にとどまらない場合には,(2)のグローバル化の中でも出てくる可能性があるため,考慮をして構成する必要があるのではないかと。
また,次のマルですけれども,思考力,判断力,表現力の育成をどのようにして意識をしていくかということが重要であるというような御意見。
次のマルでございますけれども,空間を捉える概念は重要だと。中国やアジアから日本を見るとどう見えるかといったような複眼的な見方が必要ではないかという点。
次の点ですけれども,地理的な見方や考え方について指導することが重要だと。
また,次のマルでございますけれども,地理は地面が中心となりがちであるが,海洋に力点を置いて指導することも重要ではないかと。国境の問題や北極圏の下には資源が多くあり紛争の種となっていることなども指導してはどうかという御意見。
最後でございますけれども,地理ほどテクノロジーを使うことにより多くのものが見えてくるものはないので,学習の動機付けがしやすいのではないかと。導入部分にそういった点を工夫するというような御意見を頂戴してございます。
これらを踏まえまして,本日御議論いただきますのは,資料8-1でございます。お手元の方に,資料8-1と,それから,資料4の先ほどの12月21日に開催されました特別チームの資料のうちの3ページ目をお開きいただければと思います。
今回,資料8-1といたしましては,前回の特別チームにおける議論を踏まえまして,項目構成(案)については,左側に示してございますが,基本的にはそのままの形でお示しをさせていただいております。項目構成の具体的な学習の内容ということについては,先ほど申し上げました特別チームの方の資料4を御覧いただければと思いますが,それと対応する形で,今回は小・中学校における議論も踏まえまして,真ん中の方になりますけれども,重視する思考力,判断力,表現力等ということで,各項目について,特にその思考力,判断力,表現力の観点から整理したらどうなるかということを示したものが真ん中のところでございます。
赤色のマルと青色のマルがございますけれども,赤色のマルについては,主に思考力や判断力に関わる部分。青色のマルについては,表現力に関わる部分として識別する観点から少し色を付けてございます。
まず初めに,項目1でございますけれども,地図と地理情報システムの活用については,特にここでは地理的な技能を身に付けることが重点が置かれる項目ではございますけれども,そういった身に付けた地理的技能等を関わらせながら,例えば一つ目の赤マルですけれども,地図上に表された事象と実際の出来事を関連付けて考察するような力でありますとか,考察したことを,目的に応じて地図等にまとめ,効果的に説明する力というような力を重視してはどうかというような構造で見ていただければと思います。
また,(2)グローバル化の視点からでございますけれども,アの生活・文化の多様性と国際理解については,一つ目の赤マルでございますけれども,自然環境等に対応した世界の多様な生活・文化の意味や意義を理解すると。また,自他の文化を尊重しつつ考察するような力を付けるという点。
それから,青い方ですけれども,考察したことを,同様に資料を踏まえて説明する力ということを整理してございます。
また,イのところでございますけれども,地球的な諸課題と国際協力については,地球規模で見られる諸課題としまして,括弧の中に示したような環境,資源・エネルギー,人口,食料,住居・都市,民族・領土等というような幾つかの課題が考えられるわけでございますけれども,こういった課題について,多面的,多角的に考察する力ということを重視してはどうかと。更には考察したことを根拠を明確にして議論する力を育成することに重点を置いてはどうかというふうに考えてございます。
(3)の防災と持続可能な社会の構築でございますけれども,国内各地の自然環境とそこで現れる災害の傾向性を関連付けて課題を把握し,多面的・多角的に考察するような力。また,考察したことを,資料にまとめて説明していく力を重視してはどうかと。
最後に,生活圏に戻ってまいるわけですけれども,生活圏の調査と持続可能な社会作りということで,生活圏に見られる課題について,その背景や要因等の分析に基づき,様々な解決策を吟味し,構想する力。更には構想したことを,実現可能性を指標にして議論する力というような形で示してございます。
これらについて,その下の補足のところでございますけれども,(1)の学習によって,先ほど申し上げましたが,培った地理的な技能を(2)や(3)の学習や他教科・科目等の学習において実践的に活用することを念頭に置くというのが一つ。
また,(2),(3)でございますけれども,それぞれ「ア」の項目で把握し,考察したことを基にして,「イ」の項目で議論,構想していってはどうかということでございます。
最後に,(2)で学んだ各地の諸課題への対応策を,(3)の生活圏の諸課題への解決の構想に生かすということで,地球規模で考えて,足元から行動するというような形で,まず(2)ではグローバルな視点で,(3)では身近な生活圏に少し戻してというような「地理総合(仮称)」の項目構成ということを考えてございます。
こうした「地理総合(仮称)」の項目について,思考力,判断力,表現力等を育成するために,地理的な見方や考え方を用いた授業設計として,先ほど原田主査代理からも御紹介いただきましたけれども,問いを重視した授業展開ということで,右側に,問いと授業展開のイメージというのを付けてございます。
こちらについては,地理の教科調査官の濵野の方から御説明させていただきます。

【濵野調査官】  それでは,失礼いたします。教科調査官の濵野と申します。
お手元に今,説明のありました2枚の資料と共に,資料8-2,授業実践事例集というものがございますので,ここを併せて見ていただければと思っております。
今回,全ての教科を超えて,育成すべき資質・能力ということで,その中の要として,思考力,判断力,表現力等の育成が挙げてあるわけなんですが,そこのところへ教科等の本質に根差した見方・考え方というふうな記述があろうかと思います。お手元の先ほどの資料4のもう1枚めくっていただきますと,現行の学習指導要領下におきましても,こちらは解説なんですが,そちらの方に地理的な見方や考え方というふうな,この記述がございます。そこを併せて御用意いただければと思いますけれども,今回そのような力をこの「地理総合(仮称)」でどのように培っていくかというふうなことが一つ,要になるということで,それで具体に先生方の御議論を頂くベースとしまして,じゃ,授業イメージというふうなことで,問いを中心に御説明させていただくのが適当ではないかということで,幾らか用意をさせていただいております。
もちろん冒頭で申し上げますけれども,これらの問いはそれぞれ学校に応じて,生徒実態に応じて作られるものというふうなことで,現行の指導要領下で作られたものですから,当然ながら今後様々な議論を経て,より良いものが用意されていくべきものだろうというふうには思っております。
それでは,資料8-2を中心に御覧いただければと思います。
1枚めくっていただきまして,GISに関わっての事例がございますけれども,やはりこの部分も先ほど大内学校教育官の方からも話がございましたが,地理的な見方・考え方として,じゃ,どこにどのようなものがというふうな,これは問い立ての形で解説がございますので,そこのところを幾らかベースにしながら,であれば,具体の授業論としてこのようなものが考えられるのではないかというふうなことで用意をさせていただいたものです。
ただ,GISもこれまでも御議論いただいたように,ただGISそのものというふうなことでなくて,その考え方というものがございますので,例えば下の方にはありますけれども,紙地図ベースのものをコンピュータ上で重ね合わせるということがよくGISでは行われますけれども,紙地図ベースのものをしっかり重ね合わせる形で,じゃ,実際に課題が起こっていることは,じゃ,どのような背景があるんだろうかというふうなことを考えたりという,そのような授業の一つの例でございます。
そして,その次,アとイとウという形で,一つはアンデスで,一つはウガンダでというふうな事例がございますけれども,このようなものも先ほどの説明にもありましたけれども,やはり最終的には自分たちの生活空間のところに戻していくんですが,グローバルなこのような社会の中で,もちろん世界に出ていくだけじゃなく,身近なところにも様々なグローバルな要素がある。その中で,世界の様々な課題等に学んでいき,そこのものを,じゃ,自分たちの生活のところに生かしていくというふうな,そういう視点の中で,グローバルな視点で後ほどのローカルの視点という形で,二つに分けた構成にしております。
アフリカの方でちょっと1点だけ。御議論を頂くに当たって,資料に誤植がありますので,そこのところだけ一言言わせてください。6ページの(3)の評価の観点の資料がございますが,評価基準という,基準の基になっておりますけど,これは規準でございますので,その点だけ後ほど御議論いただく際にも押さえた上で御議論いただければ大変有り難いというふうに思っております。
そして,今申し上げたような世界,国際理解,国際協力というふうな,日本が避けて通れないような視点を踏まえて,最終的には日本国内の,また,特には自分たちが生活している地域のというふうな形で,ローカルな形で地域を狭める形でまた物理的な見方・考え方を使っていくというふうな構成で考えているところです。
そのような事例としまして,「ハザードマップを「読んで」,私たちのまちの防災について考えよう」という,これは現行の部分でも防災については極めて重視している部分なんですけれども,東日本大震災を経て,またその重要度も極めて高まってきておりますので,そのような視点からここの部分でじっくりと,じゃ,災害対応も含めて,もちろん復旧とか復興とかというふうなことも視野に入れながら,そういうふうなことを考えていくという,具体の事例を各地それぞれ,これも学校の取材数によって様々なことが考えられるかと思いますけれども,そのような事例があろうかなということで,イメージとして挙げさせていただいております。
そして,最後の部分ですけれども,これまでのGIS等々の地理的な技能をベースにしながら,国際的な様々な見方・考え方,各地での課題対応状況というものを踏まえまして,じゃ,自分たちの生活圏というものをどのように考えていくべきなのか。あるべき姿を構想していくということで,ここではフードデザート解消のためということを挙げておりますけれども,先ほど来申し上げておりますように,ここは様々な取組が各学校では見られるのかなというふうに考えているところです。場合によっては,防災についてもっと深くというふうな学校もあるでしょうし,高齢化社会の中で自分たちの地域社会がというふうな,これも事例という形で,あくまで1事例だけを挙げておりますけれども,様々なものを子供たちが課題意識の中で考えていくというふうな,そのようなことで特に,見方・考え方というものをそれぞれの問いの焦点に置いたという展開でこれか身に付くのではないかという事例を挙げさせていただいております。
以上でございます。

【原田主査代理】  ありがとうございました。
それでは,ただいまからこの「地理総合(仮称)」につきまして,主としてこの資料8-1のたたき台(案)ですね。これを中心に御意見を伺いたいと思いますので,また例によって御意見のある方は名札を立てていただければと思います。
特に真ん中の重視する思考力,判断力,表現力と,赤マルと青マルの思考力,判断力,表現力というのがありますけど,これで本当に妥当なものなのかどうかも含めて御意見頂ければと思います。よろしくお願いします。
では,井田委員,お願いします。

【井田委員】  私は小・中の方も出ていまして,小・中の方が本席のようなんですけれども,小・中の方に出ていますと,課題解決というのが非常に強調されて,どの委員の方も課題解決というものが出されます。それと,ここを見比べて,「地理総合(仮称)」を見るんですけれども,ここでは課題解決を意識しながらもいろんな思考力,判断力,表現力というふうになっているんですが,それがどうやって結び付くかということがちょっと重要かなと思います。
一つには,「アクティブ・ラーニング」での課題解決というのが言われていますけれども,これは小・中・高の連関で考えなきゃいけないと思うんですが,小学校では身近な地域を扱って,それでいて,課題解決というのを考えるんですが,小学校は身近な地域の改善策を持たせるんですけれども,ある意味,夢物語でもいいのかなというのがあって,中学校になると,それが地理的分野ということで,より地理的な見方や考え方で課題解決を考えていくんですけれども,むしろそこでは課題の発見が重要で地理的に見るとどういうような課題が発見されるか。それが,じゃ,どのように問題なのかということで,今度は公民や歴史との関わりの中で多角的になると。それを踏まえて高校があると思うんですけれども,そうなってくると,この高校というのが,課題解決というのはそんなに簡単ではないと。多分,中学校でそれがいろんな地域性があって,地域によっていろんな課題の解決策があるということで,じゃ,高校だと本当にその課題解決というのはどういうものがあるのかということで,例えばこの国際協力だとか,それから,多様性と国際理解というところに関わってきて,そうなってくると,そういう意味ではこういう課題解決をやっているんだけど,じゃ,全体的だとなかなかうまくいっていない。じゃ,なぜうまくいかないのかという,その追究がまたここで必要で,そういう意味ではここで説明する力,議論する力というのがありますけど,その先にあるというのはそういうところにあるのではないかというふうに考えます。
ですので,ここで思考力,判断力,表現力というのはそれぞれにいいんですけれども,その先にやっぱりそれがあるということがちょっと意識される必要があるかなというふうに考えます。
そういう意味では,そこで得られて,課題解決にはもっといろんな知識やいろんなことを考えなきゃいけないんだということで,最近,選択科目だとか,よりほかの科目の重要性というのがまだできて,簡単に言うと,学習意欲というのがそこでまた育成されるのではないかということになってくるんじゃないかと思います。
ですから,そういう意味では,小・中・高の連関とほかの科目との関連という意味から,ここを見るべきかなというふうに考えます。ですから,この要綱というのは,そういう意味で解釈できるかというふうに考えています。
以上です。

【原田主査代理】  はい。では,高木委員,お願いします。

【高木委員】  地理基礎もそうなんですけれども,本校,歴史基礎もやっていますので,これまで3年間やってきて,単元構成を先ほど見てもらいましたが,その課程もちょっと御紹介しながら,この「地理総合(仮称)」に対する御意見を述べさせていただけたらと思っています。
歴史基礎も地理基礎もそうなんですけれども,最初に大きな概念を幾つか考えました。国民国家であるとか,世界の一体化であるとかというのは先ほど見ていただいたものなんですけれども,それをどのように生徒に思考,判断させるかというところで,単元を貫く大きな問いというのを作っています。その大きな問いを実際に生徒に思考,判断させるために,どのような学習活動がいいのかと,更にそれぞれの授業時間では小さいな問いとして,どのようなものが素材提供としてふさわしいのかという形になっています。
「歴史総合(仮称)」と「地理総合(仮称)」をたたき台を二つ見ていただいて,我々が3年間やってきた中のどの部分までの状況を示していただいているかということで見た様子が違うのかなというふうな気はしています。なので,「地理総合(仮称)」をこちら見させていただいたものは,より私たちが3年間やってきた現在の形に近く,生徒の学習活動の様子が見える形にはなっているのかなと思います。
そこで,現在,我々が直面している課題は,思考,判断,表現をさせている課題だと思っていても,中学校段階では,生徒は思考,判断,表現だと思っていても,高校の段階で同じ活動をさせると,それは単なるこれまでの既習事項の地域の確認であったり,その知識をちょっと深めたぐらいで,余り思考,判断と思わない場面もあるので,こちらを重視する思考力,判断力,表現力等ということが御提示していただいているんですけれども,実際にこれが高校生の年齢層にあって,それで思考力,判断力,表現力を本当に育成できるのかというのは少し吟味する必要があるかなというのは,我々も考えているところです。
以上です。

【原田主査代理】  はい。では,浅川委員,お願いします。

【浅川委員】  浅川です。今回,授業展開の具体的なイメージが示されたことで,8-1の思考力,判断力,表現力というのが非常に具体的な形で理解できるようになって,非常に有り難いなというふうに思っています。ただ,ちょっと現場のことを考えますと,なかなか問いだけで1年間授業を組み立てていくのは難しいかなというふうに思っています。どういうことかといいますと,地理だけで例えば問いでやれば,それはそれでいいんですけれども,これが次の学習指導要領ですと,歴史も問いだと,公民も問いだと,ひょっとしたら数学や理科も問いになるかもしれないと。それがもう高校に行ったら,朝から晩まで問われて,学習活動を求められて,もうヘトヘトになって帰ってくるんじゃないかなというふうに,そんな気もしないでもないんですね。
ですから,もちろん「アクティブ・ラーニング」は非常に重要だとは思うんですけれども,1年間の学習活動の中でめりはりが付くような形で,授業が設計できるようなといいますか,年間指導計画が設計できるような形で授業が組み立てられるようなそういう形のこの重視する思考力,判断力,表現力というような形にしていただけると,現場の方でも入っていけるでしょうし,生徒も,今度は地理で「アクティブ・ラーニング」をやろうとか,歴史で自分たちで考えてみようというようなことができるのではないかなというふうに思います。
それから,一つ質問なんですけれども,真ん中の欄の二つ目の赤マルですね。「自他の文化を尊重しつつ考察する力」ということなんですが,何を考察するのかちょっと御説明いただければと思うんですけれども。

【原田主査代理】  関連してどなたか,これについて御意見ありますか。普通に読めば,「自他の文化を考察する」と,普通には思うんですけど。これについてどなたか御意見なりございますか。その前段の自然環境等に対応した世界の多様な生活・文化の意味や意義を理解しますよね。その中で,日本あるいは日本の諸地域の文化と,あるいは異なるような他地域,他国の文化がどう違い,何が同じで,なぜ違うのかみたいなことを多分考察するんだけど,それは異文化として尊重しつつ,違いを考察するというふうに私は読み取りましたけど,濵野調査官に聞いていいかな。これはどうなんですかね。

【濵野調査官】  済みません。ここのところは表現が十分じゃないんですけど,今,原田先生におっしゃっていただいたようなことで,基本的にはここの部分で,違いの部分がなぜ違うのか。それは,ここは自然と人間との相互依存関係で生まれているものだから,そこで偏見を生むようなものではないし,本来,合理性を持っているということで,その違いがなぜなのか。その重要性というものを考えさせるということで,今おっしゃっていただいたようなものを考えていただく。そういうふうな項目と考えております。
以上です。

【原田主査代理】  はい。これに関連して,あるいはほかに。
羽場委員,お願いします。

【羽場委員】  思考と,それから,表現力の問題なんですけれども,やはり質問と答えという場合には,先ほども出たように,その持っている知識の確認ないしは総合という性格が強いと思うんですけれども,お伺いしたいのは,その実践をされているときに,ディベートとかディスカッションとかプレゼンなどは行われているんでしょうか。
例えば前期に1回とか,あるいは年に1回でもいいので,そういうディスカッションやディベートをやることによって,生徒から出てきた突然の変な質問にも答えるような,お互いに答え合うことで,その思考能力や表現力を養うということもあるのではないかと思いますが,以上です。

【原田主査代理】  高木先生,何か関連して御意見ございますか。実践を踏まえて。

【高木委員】  ディベートになったり,意見を交わすということは日常的にはやっていて,大きなディベートでいうと,歴史基礎で先日,大日本主義と小日本主義のどちらの立場に立ってどうしようかということでディベートが行われたばかりです。
それから,地理とかの方でも,大きなディベートもそうなんですけれども,グループの中で,A,B,C,D,4人いますので,それぞれエネルギー問題で火力発電重視の方がいいのか,原子力発電,それから,新エネルギーとかそれぞれの立場を決めて,自分の意見ではなく,その場でその立場の役割を持って推進派になって,反対派の方から意見をもらったときにどう返すかというようなことをグループごとでやったりとか,いろんなパターンがありました。

【羽場委員】  ありがとうございました。もう一ついいですか。

【原田主査代理】  はい,どうぞ。

【羽場委員】  ありがとうございました。もう一つ伺いたかったのは,ジオポリティクスの問題です。欧米だけではなくて,多分アジアでも,その地域の在り方がどのような政治的,社会的意味を持つかとか,この半島やここの海峡がどういう意味を持つかというような議論はあると思いますけど,日本の場合は比較的そこはニュートラルに,むしろ自然科学として教えられているような側面が強いのだろうかという気もするのですけれども,そのジオポリティクスについてはどの程度教えられているのでしょうか。

【原田主査代理】  どなたか御回答を頂ける,あるいは御意見頂ける方はおられますか。
仙田先生のところでは何かいかがでしょうか。

【仙田委員】  その部分は非常に抜けているところだと思います。逆にうちの学校,例えば私の学校の例をやれば,前回のところでも言ったんですけど,修学旅行はマレーシアなんですけど,そのマレーシアの地理や歴史をやるんじゃなくて,マラッカのことを考えると。そうすると,マラッカ海峡が何で意味があるのかというと,これが世界史でも日本史でも地理でも何でも使えるということを事前学習の中でやるというふうにして,今は特別活動のところでそのことをやっています。
なかなか生徒たちは,日本史の授業,世界史の授業,地理の授業でマラッカは出てくるんですけれど,それが結び付かない。だから,これを結び付けるのがこの「歴史総合(仮称)」や「地理総合(仮称)」なのかなというふうに私なんかは思っております。

【羽場委員】  ありがとうございました。

【原田主査代理】  じゃ,土屋委員,お願いします。

【土屋委員】  先ほど浅川先生が,いつもいつも「アクティブ・ラーニング」できないんじゃないかということをおっしゃったんだけど,議論したり,追究したりしない高校生は何をするんでしょうかね。それ以外の高校生というのがいていいのかというのが今の問題だと思うんですよね。だから,常にやるというために議論していると思うんですけれども,それが一部でいいという前提になったときに,全くこう,後退してしまって,議論があんまり,生産性がないと思うのですけれども。

【原田主査代理】  ちょっとお待ちください。じゃ,矢ケ崎委員,お先にどうぞ。

【矢ケ崎委員】  今,地政学的のことが話題になりましたけれども,地理学者,それから,地理学会として戦後やっぱり地政学を議論してこなかったという,空白の状況があるんですね。ただ,それは非常に現代の社会を考えていくときに重要な課題で,これは恐らく地理と総合と,それから,「歴史総合(仮称)」がタイアップして考えていくべき課題かなというふうに感じます。
それから,8-1の資料を見させていただいて,この思考力,判断力,表現力,非常によくできているかなというふうに思いました。ただ,私が思うのは,考えるときに知識がある程度ないと考えられない。中学のレベルで考える,その持っている知識と,思考力,判断力ですね。それと恐らく高等学校の生徒,成長していきますから,その段階でどれくらいの知識があって,どんなふうに考えたらいいのか。その辺りの基準というか,到達点というかね。それを考えることが非常に必要じゃないかなと。
考えることによって,知識の欠落が自分で評価して,更に学びたくなると。そういうようなスパイラルに発展していくようなそういうプログラムを是非作りたいなというふうに思います。
いろいろな問いがありまして,恐らくアからオまで例として挙がっているわけで,これらを問うために恐らくいろんな知識が必要だし,実際外に出て,調べて,あるいはインタビューして,そういうことも必要になると思いますので,そういうアクティブに調査をする活動と知識を学ぶ。それから,考えて,議論する,表現する,これは一体なものだと思いますので,そこをうまくバランスですよね。それが重要かなというふうに思いました。

【原田主査代理】  それでは,簡潔に。じゃ,浅川委員。

【浅川委員】  土屋先生の御指摘なんですけれども,私は「アクティブ・ラーニング」を限ってやれということではない。今,矢ケ崎先生がおっしゃったような形でやることが大事だし,例えば高木先生の授業でもそうでしたけれども,授業が始まるときに,生徒に少し活動させて,その中で,自分の中で考えさせて,そして,発表させるということも十分「アクティブ・ラーニング」だと思うんですけれども,ややもすれば,特別部会のところでも出ましたけど,「アクティブ・ラーニング」というと,もう生徒が動けばいいんだというふうなことになりがちなので,それは避けるべきだろうということですので,ここでちょっと補足させていただきます。

【原田主査代理】  ありがとうございます。もうよろしいですか。
では,田中委員,お願いします。

【田中委員】  ありがとうございます。グローバル化に対する試み,この取組についてコメントさせていただきたいと思います。
先ほどの歴史のところと地理のところ,両方において,グローバル化社会における主体的に考える我々日本人とか,地球規模で見られる課題を大きく柱にしていただいているということです。大変すばらしいことだと思っています。
その上でですけれども,やはりグローバル化の社会で生きていく子供たちに態度と言うんでしょうか,資質と言うんでしょうか。一種普遍的な価値みたいなものが今後求められてくると思います。これは考える判断力とか表現力とは別の次元の話かもしれませんが,今のグローバル化の世界で,光と影。特に影の部分,格差の世界の問題,国内での格差の問題等にいかに対応していくか。それを主体的に国家として,市民として対応していくような態度。それから,多様な人たちと共生していくような社会にしていかなくちゃいけないと。そういう意味で,そういうグローバル化が求めるようなものというものが,歴史とか地理とか公民を超えて求められるものがあると思っています。今回のこれは地理的な,確かに地理的なアプローチ,歴史的なアプローチ,その意味で非常に重要なことだと思いますが,同時にグローバル化というような課題で求められるようなものを逆のベクトルと言うんでしょうか。地理,例えば先ほどの格差の問題を地理的にどう見るか,歴史的にどう見るか,公民的にどう見るかというような,その逆のベクトルでの試みというのも同時に必要かなというふうに思っている次第でございます。
以上です。

【原田主査代理】  ありがとうございました。
本日,皆様から頂きました御意見につきましては,事務局において整理するよう,よろしくお願いいたします。
なお,教育課程部会では,この特別支援教育部会における議論であるとか,情報に関わる資質・能力,あるいは健康安全等に関わる資質・能力に関する議論もなされておりますので,その現状について,簡単に御説明お願いします。

【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。資料9を御覧いただければと存じます。今回,指導要領の改訂,こういった形で,教科の本質を深めていただきますと共に,社会に開かれた教育課程の観点から,教科横断的に育むべき資質・能力といったものもしっかりと捉えていくというようなことで,今回は特に特別支援教育と情報,それから,健康安全に関わる資質・能力について,既に総則・評価部会において議論が行われ,各教科におつなぎするようにということですので,御報告及び今後の議論にお役立ていただければというふうに存じます。
資料9,1枚おめくりいただきますと,1ページ,特別支援教育部会。特別支援教育におきまして,各教科の目標を実現する上で考えられる困難さに配慮するために必要な支援の改善,充実といったことも含めて,全体的な御議論を頂いたところでございます。
今後の方向性でございますけれども,2ページにございますようなマル1,各教科の目標を実現する上で,これは後ほど少し詳しく触れさせていただきます。
それから,2ページにございますように,通級による指導や特別支援学級の意義,これらは現在,学習指導要領を見ただけでは全体像が少し分かりにくいと。告示や様々な省令で書き分けているというような状況でございますけれども,これを今後3ページにございますように,指導要領を見て,全体像を捉えやすくしていくというような方向性で総則を変えていくという方向性でございます。
また,3ページ,4ページ,特に4ページ目,上にございますように,この4月から障害者差別解消法の施行に伴いまして,教育現場におきましても社会的障壁の除去の実施といった合理的配慮の提供が求められる。こういったことを先生方にしっかりと共有させていただくというような観点から,4ページ目,真ん中にございますように,合理的配慮の考え方,あるいはその提供について基本的な考え方を記していくという方向性でございます。
また,特別支援教育コーディネーターを中心とした校内体制の在り方。5ページにございますような共生社会の形成に向けた障害者理解の促進,交流及び共同学習の一層の充実。こういったことも総則の中で図っていく予定でございますけれども,ページをおめくりいただきまして,これが18ページでございます。各教科等における障害に応じた配慮事項についてということでございます。
18ページ目,上にございますように,現在,総則において全体的な考え方をお示しし,また,解説において障害別の配慮の例,これをお示しさせていただいているところでございますけれども,これをよりインクルーシブ教育システムの構築といった観点からはきめ細やかに,各教科におきましても,また,障害別の配慮の例のみならず,学習の過程で考えられる困難さごと,こういった観点から示していくことが求められるのではないかということでございます。
学習の過程で考えられる困難さ,具体的にはその上のところに,情報入力でありますとか,イメージ化,統合処理等が書かれておりますけれども,より教科に則して具体的には19ページ目から小学校の例をおまとめいただいております。
例えば19ページ目,下の段の上でございますけれども,社会科の例,「地図から地名等の情報を見つけ出したり,読み取ったりすることが困難な場合には」とございますけれども,こういった困難さの状態に対する緑色の字のような配慮の意図をもって青字のような手立てを講じていく必要があるのではないか。
こういったことを現在,小学校についてのみ,関係の先生方の御協力を得て,まとめさせていただいておりますが,今後,中・高につきましても同様の整理をさせていただく予定でございます。
続きまして,情報に係る資質・能力についてということでございます。右下に22と番号が振ってあるページでございますけれども,1枚おめくりいただきまして,23ページ,情報の2枚目でございますけれども,大きく二つございます。本日も学習のプロセスの在り方というような議論ございましたけれども,そういった中でより効果的にICTを活用していくという方向性。もう一つは,情報活用能力,これは教科横断的に育まれるものでございますけれども,この育成ということに向けて,各教科で重視していただきたい点ということでございます。
まずICT活用の特性,強みということで,カスタマイズが容易であるとか,時間的,空間的制約を超える,あるいは双方向性を有するといった強みを踏まえますと,2ページ目というところの下にございますように,「アクティブ・ラーニング」の視点に立った「深い学び」,「対話的な学び」,「主体的な学び」の実現にこれが大きく貢献できるということ。あるいは,個々の能力や特性に応じた学び,あるいは地理的環境に左右されない教育の質の確保,こういったことに大きく貢献できるのではないかという視点でございます。
次の3ページ目,全体としては,24ページ目の中では,理科の例を特にまとめていただいておりますけれども,こういった学習プロセスの在り方,各教科で御議論いただいておりますけれども,ここにおいてICTを効果的に活用することにおいて,豊かな学習を実現すると共に,情報活用能力の育成にもつなげていくということ。より具体的には,その次のページ,4ページ目でございますけれども,例えば他校との交流,海外との交流,協働での意見の整理,発表,プレゼンテーションなどに対話的学びということの観点から,ICTを活用して,より促進していくといったような,こういった効果的な活用の例が考えられるというところでございまして,これをより今後,各教科の特性に応じて,どういった効果的な活用が考えられるかということは深めていっていただきたいというようなことでございます。
次の5ページ目が2点目に関わります情報活用能力。これは単にICTを活用するということだけではなくて,様々な情報を主体的に受け止めて,問題解決に活用していくという幅広い力のことでございますけれども,これまで情報活用能力,上の枠囲みにございますような三つの観点から整理をされておったところでございます。
これを今後,論点整理を踏まえまして,主体の論点整理の資質・能力の三つの柱,これに整理し直したものが5ページ目でございます。これを踏まえますと,より各教科で御議論いただいております資質・能力の三つの柱,これと整理がしやすくなってくるというわけでございます。
これを7ページ目にございますように,各学校の発達の段階に応じて育んでいくということ。小学校におきましては,特にその情報手段の基本的な操作,これに課題があるというような調査結果も出ておりますので,こういったことも含めて。また,高等学校におきましては,現在,情報化の共通必履修科目が検討されております。情報やICTを問題解決に活用していくということ。これを共通必履修科目としていくこと。こういったことも全体像としてつなげながら,幼・小・中・高を通じた情報活用能力の育成の在り方をつなげていくという観点でございます。
より具体的には8ページ目,9ページ目以降でございますけれども,8ページ目にございますように,発達の段階に応じた情報に係る資質・能力の育成。特に小学校段階,社会科における資料の収集・活用・整理などの活動ともつなげながら,情報手段の基本的な操作をしっかりとできるようにカリキュラム・マネジメントを図っていくということが重要であるという点などでございますけれども,特に社会・地歴・公民につきましては,8ページ目の下にございますように,観察を調査を通じて情報を集め,読み取り,まとめていくために必要な力。取り出した情報を基に考察・構想・説明・議論するために必要な力。あるいは社会における情報化の意味や影響。様々な情報が人々の意思決定に影響を与えていることについて理解すること。9ページ目,上でございますけれども,現在御議論いただいているような新科目の中におきましても,それぞれ情報を批判的に吟味したり,活用していったりする力,こういったことをしっかりと御議論いただきながら,教育課程全体としての情報活用能力ということにもつなげていくという視点でございます。
最後に,健康,安全でございますけれども,これは全体で番号が68ページ目,69ページ目でございます。健康,安全等に関わる育成すべき資質・能力。全体で申し上げますと69ページ目からでございますけれども,これにつきましても,教科横断的にという視点から簡単に申し上げますと,72ページ目の上にございますような安全に関する資質・能力。これも三つの柱で整理してございますけれども,これをより73ページ目,下の段にございますようなカリキュラム・マネジメントの全体像の中で育成していく。特に防災に関する力ということを,自助,共助,公助併せまして,東日本大震災等も踏まえて充実させていくという方向性でございます。その中では,安心,安全な地域社会作りに必要な力を育むという社会科,地理,公民といった科目の重要性も高まってまいりますので,安全教育という視点からもこういったカリキュラム構造の中で考えていくということでございます。
以下,同様に,食育に関わる資質・能力も76ページ目,上にございますような資質・能力を次の77ページ目,このページで9とございますけれども,上にございますようなカリキュラム・マネジメントの中で,同様に保健に関する力に関しましても,11ページ目でございますけれども,全体で申しますと,79ページ目の上にございますような力を,次ページ目,80ページ目の上のようなカリキュラム・マネジメントの中で育んでいくということでございます。
以上,教科横断的に関連する事項について御説明を申し上げました。時間が超過いたしまして大変申し訳ございませんでした。

【原田主査代理】  ありがとうございました。膨大な資料ですし,恐らく御質問等おありかと思いますけど,お約束の時間が過ぎておりますので,今日はここまでとしたいと思います。
今の最後に御説明頂いた資料も含めて,何かお気付きの点,あるいは御質問,それから,今日時間不足で御意見頂けなかった件につきましては,ペーパーで是非事務局の方にお寄せいただきたいと思います。
なお,事務局では,本日頂いた意見を論点ごとに整理していただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
では,今後の日程につきまして,事務局から御説明お願いします。

【大内学校教育官】  ありがとうございました。本ワーキンググループにおきまして議論する内容ですけれども,次回このワーキンググループ,すなわち高等学校の地理歴史を中心に御議論いただく回でございますけれども,メール等で既に御案内しておりますとおり,3月4日金曜でございます。場所は追って御案内したいと思います。
また,今週でございますけれども,公民科に関する内容を中心に御議論いただく会議が予定してございまして,今週の木曜日,1月28日でございますけれども,こちらが10時半から16時半ということで,三番町の共用会議室の方で開催する予定でございます。こちらも既に御案内させていただいているとおりでございます。
また,4月以降の日程につきまして後日調整をさせていただければというふうに思います。
それから,先ほど原田主査代理からもお話ありましたように,ペーパー等による御意見の方を頂戴できればというふうに考えておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。

【原田主査代理】  それでは,第3回の社会・地理歴史・公民のワーキンググループをこれで終了したいと思います。どうもお疲れさまでした。

―― 了 ――

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