教育課程部会 高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チーム(第3回) 議事録

1.日時

平成28年3月1日(火曜日) 17時00分~19時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 数理探究(仮称)の基本的な構造について
  2. 数理探究(仮称)実施に際し必要と考えられる諸条件について
  3. その他

4.議事録

化学基礎【岡本主査】    定刻になりましたので、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チーム第3回を開催いたします。本日はお忙しい中御出席いただきまして、まことにありがとうございます。最初に、事務局から、これまで欠席された委員の紹介と配付資料についての確認をお願いします。
【米原教育課程課長補佐】    それでは、委員の紹介をさせていただきます。
  まず、石井英真委員でございます。
【石井委員】    石井でございます。よろしくお願いいたします。
【岡本主査】    よろしくお願いします。
【米原教育課程課長補佐】    小林傳司委員でございます。
【小林委員】    よろしくお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    丸山俊夫委員でございます。
【丸山委員】    丸山でございます。3回目で初めてで大変失礼いたしました。よろしくお願いします。
【米原教育課程課長補佐】    続いて、配付資料の確認をさせていただきます。本日は議事次第に記載しておりますとおり資料が1から3まで、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら事務局にお申し付けください。なお、机上にいつものとおりタブレット端末を置いてございます。その中には、本ワーキンググループの審議に当たり参考となる関係する審議会の答申や過去の本特別チームの資料等をデータで入れております。適宜御参照ください。
  以上でございます。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  初めに、本ワーキンググループの審議等につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開ということで議事を進めさせていただきます。同じ規則の第6条に基づきまして、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うことになっておりますので、よろしくお願いいたします。
  なお、本日は報道関係者から会議の撮影及び録音の申出がございますが、これを許可しておりますので、この点も御承知おきください。
  それでは、本日は議題1として、数理探究(仮称)の基本的な構造について、議題2として、数理探究(仮称)の実施に際し必要と考えられる諸条件について、この2点について御議論いただきたいと思います。では、早速議事に入らせていただきます。
  それでは、事務局から議題1について説明をお願いします。
【平野教育改革調整官】    失礼いたします。
  それでは、議題1の説明の前に、まず、関連する算数・数学ワーキンググループと理科ワーキンググループの検討状況について、御紹介させていただければと思います。
  参考資料1を御覧いただけますでしょうか。参考資料1が、算数・数学ワーキンググループにおける検討状況に関する資料でございます。前回の数理探究特別チームでも配付資料としてではなく、机上配付資料として御紹介させていただいたところでございますが、それから、前回は1月21日でございましたけれども、そのとき配付させていただいた後に、2回ほど算数・数学ワーキンググループは開催しております。そういうことで、お手元にお配りさせていただきました参考資料1の2枚目、3枚目については、かなり文言的な修正が入っているという状況でございますが、3枚目、4枚目が、恐らく皆様初めて御覧いただく資料ということになろうかと思います。
  1枚目、2枚目につきましては、全ての今回教科・科目共通でやっているわけでございますけれども、小学校・中学校・高等学校の卒業段階でどういった力を身に付けさせることを目指すのかというものを、イメージとして描かせていただいたものでございまして、2ページ目にありますけれども、この姿、卒業段階で身に付けさせるべき資質・能力を、個別の知識や技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性という形で書き分けた場合、どういった分け方ができるだろうかというもので整理しようと議論をしていただいているところでございます。こういった知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性というものを身に付けさせるために、特にその教科・科目において重視すべき学習過程というものはどのような流れが考えられるかというのが、一番右側に書いてあるものでございます。数理探究の関係で申し上げますと、知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性という三つの柱で整理させていただいた表がございますけれども、その一番上、高等学校の中に数理探究(仮称)というものを仮に置かせていただいております。ここに入るべき三つの柱に沿った資質・能力というものは、本日ここで御議論いただく内容でございますけれども、算数、数学、あるいは理科のワーキンググループでの議論を進めていくにあたりまして、とりあえず仮置きという形で置かせていただいた内容でございますので、先生方におかれましては、ここに書いてある内容に特にとらわれることなく、本日の議題に合わせて配付させていただいた資料に基づいて御議論賜れればと思っております。
  4枚目をおめくりいただきますと、算数・数学の問題発見・解決のプロセスという赤い矢印でぐるぐる回っているものと少し青っぽい矢印でぐるぐる回っているものとがあろうかと思いますけれども、算数・数学の学習のプロセスというものを考えた場合のイメージ図ということでお示しさせていただいたもので、赤い矢印の流れは、純粋に数学の世界で問題を設定して、課題を見いだして、それを考察・処理して、結果を出して、それをまた次の数学の事象の探究につなげていくというような数学の世界での課題解決の流れと。青い方の流れは、現実の社会との関わりということで、日常生活や社会生活などにおける事象を、これも数学で解決可能な課題に転換して課題設定した上で、同じような解決のプロセスを回した上でまたフィードバックして、現実社会に応用していくという二つの大きい流れがあるだろうというものを図示したものでございます。
  算数・数学ワーキング資料の最後のページは、これを少し直線的に並べた上で、それぞれのプロセスを細かく見ていった場合、ここにA、B、C、D、E、Fという形でまとめさせていただいておりますけれども、それぞれの過程でどういった力というものが必要とされるのかということを少し分解的に図示できないかということで示したものでございまして、こういった御議論を算数・数学の方では今行っていただいているという状況でございます。
  続いて、参考資料2の方を御覧いただけますでしょうか。こちらは、理科ワーキンググループにおける検討資料ということでございまして、これも前回1月21日に配付させていただいたものから、その間1度開催されてございますので、若干文言の変更が行われているということでございます。
  1枚おめくりいただきまして2枚目、理科教育のイメージということでございますが、これについても同じように、小学校・中学校・高等学校のそれぞれの段階で、卒業時点でどういった能力を身に付けさせるかというようなものをイメージさせていただいているものでございますが、若干数学と異なりますのは、高等学校の部分を更に3段階に分けまして、文系・理系関係なく基礎的に共通的に身に付ける資質・能力と、応用と書いてございますけど、ある程度理系を念頭に置いた場合に身に付けさせたい資質・能力、それから、高度ということでございますが、例えば理数科ですとか、今回御議論をお願いしております数理探究というような科目を履修するような、かなりレベルの高い子供たちを念頭に置いた場合、どういった資質・能力を身に付けさせることが考えられるかということで整理をしつつあるというものでございます。
  1枚おめくりいただきますと、算数・数学と同じように、個別の知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性ということで、三つの柱に沿って整理させていただいたものでございまして、これも先ほどの算数・数学と同じように高等学校の一番上のところに、数理探究に関する内容を同じような形でございますが、仮置きで置かせていただいているということでございます。同じように、こういった資質・能力を身に付けさせるために重視すべき学習過程の例ということで、算数・数学よりもかなり細かく分割した形で理科の方は御議論いただいておりますが、基本的な流れはそう大きく変わるものではないだろうと考えているところでございます。
  1枚おめくりいただきまして、最後のページになりますけれども、理科の場合については、特に高等学校の場合というものを念頭に置きまして、学習過程をかなり細かく分けたプロセス図を描いております。大きくは3ステップございますけれども、一番左側にございますように課題発見、課題把握の過程と、課題を探究する過程と、課題を解決する過程と。その間に、見通しと振り返りというものも間に挟みまして、必ずこれが一直線に進むというものではございませんけれども、個々の授業の中で一連の作業を必ずやるわけではございませんけれども、部分的に取り出して授業では取り上げるという事態も想定しつつ、全体としては、おおむねこういうようなプロセスで学習をしていくと。その際、それぞれの過程の中で、どういった資質・能力を身に付けさせることを指導の場面で意識すべきかということを整理しつつあるという状況でございます。
  次に、本日議題1の方の説明に入らせていただければと思います。
  資料2、数理探究(仮称)の基本的な構造についてという資料を御覧いただけますでしょうか。前回1月21日に第2回目を開催させていただいた際に、数理探究(仮称)の基本的なコンセプトをどういう形で設定すべきかということで御意見を頂いたわけでございますが、その際、やはりある程度、規模感とか条件整備を併せて議論すべきだという御意見もございましたので、そちらの方は本日議題2としてこの後御議論を賜りたいと思っておりますが、基本的なコンセプトをまずは議題1として御意見を頂きたいと思っております。
  1枚おめくりいただきまして1ページ目でございますけれども、前回お配りさせていただいた基本的な考え方が一番最後、7ページに付けてございますけれども、それを踏まえまして、もう少し科目のイメージが湧くような形で書き改めさせていただいたのが資料2のページ1のところにございます数理探究(仮称)の基本原理というものでございます。前回、配付させていただいた資料で、例えばキーワードとして考えられるのではないかということで事務局としてお示しさせていただいた総合性ですとか融合性というキーワードを仮に膨らませて、もう少し分かりやすい形で書き下すとするとこういう形かなということで、括弧書きで後ろに追記させていただいておりますけれども、基本原理としては、まず丸1でございますけれども、教科・科目の枠にとらわれない自由な視点で事象を捉え、丸2でございますけれども、数学的なものの見方・考え方や科学的なものの見方・考え方を柔軟な発想で活用したり、組み合わせたりしながら、丸3、探究的な学習を行うことを通じて、丸4でございますけれども、新たな価値の創造に向けて粘り強く挑戦する力の基礎を養うと。こういう基本的なコンセプトを設けてはどうかという御提案でございます。
  それから、2ページ目でございます。今申し上げた基本的なコンセプト、基本原理を流れが分かるような形で図示したものが2ページでございますが、まず一番下でございますけれども、教科・科目の枠にとらわれずに自由な発想でまずは事象を捉えると。その次に、数学的なものの見方や理科的なものの見方・考え方を柔軟に活用したり組み合わせたりするということをしながら自然的な事象、あるいは社会的な事象も含めてかと思いますけれども、そこに課題を見いだして、解決可能な形でのテーマとして設定していくと。その上で探究的な活動に実際入っていって、新たな価値の創造につながるような経験をしていただくという流れをイメージしております。
  実際の探究的な活動のイメージというところが3ページ目でございますけれども、これは、先ほど御紹介させていただいた理科のプロセス図をそのまま使わせていただいておりまして、理科の方を使わせていただきましたけれども、算数のプロセスの考え方と大きく違うものではございませんが、若干理科の方が細かく書かせていただいているということで、理科の方をここでは掲げさせていただいております。実際にこういった活動を課題解決のプロセスを経ることによって、先ほど申し上げたような資質・能力を身に付けるという授業を今検討している状況でございます。
  それから4ページ目でございますが、先ほど、算数・数学、それから理科の状況を御紹介させていただきましたけれども、数理探究という新しい科目を作るに当たりまして、この科目を学習することを通じてどういった資質・能力を身に付けさせたいのかというところを三つの柱に沿って、たたき台として整理させていただきました。
  まず、個別の知識・技能のところでございますけれども、探究的な活動を実施するに当たって必要とされるテーマの設定ですとか、先行研究の調査方法といったような探究活動を実施するために必要となる知識・技能と、ある種一般的な資質・能力をまずは掲げさせていただいております。二つ目の黒ポツは、そういった全部に共通する探究活動を実施するために共通として必要となる資質・能力とはほかに、この科目の特性として、恐らく生徒さんたちがそれぞれ設定したテーマに応じて探究を深めていくという部分がございますので、それぞれのテーマに応じて得てくる知識・技能というのもまた変わってくるだろうということで、二つ目の黒ポツでございますけれども、それぞれのテーマに応じまして既に有している知識・技能を活用したりそれを使って探究をしたりということを実際にやっていく中で、新しく内容に関する知識を得たり探究に関する技能を得ていく部分があるだろうということでございます。それから、三つ目の黒ポツでございますけれども、探究を通じて、新しい知見を得る意義というものについてきちんと認識していくということが求められるのではないかということ。それから、生命倫理も含めての研究倫理ということでございますけれども、これについての基本的な理解というものも、主体的に探究的な活動をやっていく上では必要な知識・技能であろうということで掲げさせていただいております。
  それから、真ん中の思考力・判断力・表現力というところでございますが、これは、先ほど御紹介させていただいた基本原理、基本的なコンセプトのところにかなり寄った形で書かせていただいておりますけれども、まず一つは、教科・科目の枠にとらわれない自由な視点で事象を捉えて、科学的・数学的な課題として設定することができる力。二つ目が、科学的なものの見方・考え方や数学的なものの見方・考え方を柔軟な発想で活用したり組み合わせたりできる力。三つ目が、多様な価値観や感性を有する人々との議論等を積極的に行い、それを基に多面的に思考する力と。四つ目が、探究的な学習を通じて課題解決を実現するための能力ということで、具体例としては、観察・実験デザイン力ですとか構想力、こういったものが考えられるのではないかということで掲げさせていただいております。
  それから、一番右側、情意、態度に関わるものということでございますけれども、まず様々な事象に対して知的好奇心を持って科学的・数学的に捉えようとする態度と。日常的に物事に対して数学的・科学的に見ていこうという基本的な姿勢でございます。2点目でございますけれども、科学的・数学的課題や事象に徹底的に向き合い、考え抜いて行動するという態度が考えられるということではないかと思っております。それから、3点目でございますけれども、見通しを立てたり振り返ったりというような内省的な態度というもの。4点目としては、新たな価値の創造に向けて積極的に挑戦しようとする態度と。最後5点目といたしましては、主体的・自律的に探究を行っていく上で必要となります研究に対する倫理的な態度。先ほど申し上げたように、生命倫理も含んだ上での倫理的な態度ということでここでは書かせていただいております。
  5ページ目が、数理探究の構造についてということでございまして、今御紹介させていただきました資質・能力を一つの数理探究という科目の中で身に付けさせていこうとした場合に、実際に授業の進め方としてどういうことが考えられるかということで用意させていただいたのが、5ページ目の資料でございまして、前回御意見がございましたけれども、二つのプロセスを経るという考え方がいいのではないかという御指摘を受けまして、事務局といたしましても、多分SSHの実際の事例なんかを見ましても、2ステップで考えているというような事例が多いので、2ステップで考えてはどうかということで示させていただいたものでございます。
  基礎の段階と探究を実際やっていくという段階と二つに分けて、まず基礎の修得段階でございますけれども、実際自ら探究のプロセスを自分で回していくというのを、いきなりはなかなか難しいところがございますので、そのための基本的な探究のプロセスの手法ですとか、そういった基本となるような部分をまず身に付ける必要があるだろうと。それから、探究を通じて新しいものに取り組んでいくことについての意義ですとか態度というものを理解させて、身に付けさせていくことが必要ではないかと。さらに、研究倫理や生命倫理についての基本的な知識というものをまずは基本的なものとして身に付けさせることが必要だろうと考えておりまして、その右側、青い枠組みで書いてございますけれども、探究の手法、やり方について学ぶ分と、下の研究倫理について学ぶというものを同時並行で進めながら、かなり教員が積極的に関わって、教員の指導を受けながら研究の進め方や分析の手法を考え、選択した課題等の研究を実施するというかなり教員が手厚く指導して、ある程度やり方を細かく指導していく中で、探究のプロセスを追体験するようなものをまずは1回やってみるのが必要ではないかということでございます。
  その上で、今度は探究を深める段階ということでございますけれども、こういった基礎的な素養を身に付けた上で、今度は実際に自分で課題を設定して、探究のプロセスを自分の力でできるだけ回してみる過程を経験させるということが考えられるんじゃないかということでございます。こういった探究活動を実施する際には、当然高校だけではなかなか難しいという部分もあろうかと思いますので、大学や企業等の外部機関の活用というものも必要でしょうし、何よりもまず自分でやってみることが一番大事だろうと思っておりますので、成果を余り求めないというような考え方で行ってはどうかと。実験や分析自体の成否よりも、試行錯誤し、失敗のリスクも引き受けながら自分たちでやり切る過程を重視するような考え方で行くのがいいのではないかということでございます。右側、プロセスの例ということでございますけれども、基礎で学んだことを用いて自ら課題を設定し、探究活動を実施すると。その際には、大学、企業等からの支援を受けながらということでございます。先ほど申し上げた成果を求めないというのとは若干矛盾するかもしれないんですけど、やっぱりある程度成果物を発表する場みたいなものも用意してあげる必要が一方ではあるのではないかということで、校内・校外において探究の成果を発表するというところまで、一応授業として考えてはどうかということでお示しさせていただいております。
  それから6ページ目でございますけれども、この授業のコンセプトですとか実際の授業の内容を考えていくに当たりまして、前回も御議論がありましたけれども、条件整備ですとか評価をどうしていくのか、特に入試をどうしていくかみたいなところもございますので、全体としては、6ページに掲げてあるようなもの全体を今後議論して、イメージを作っていく必要があるだろうということで、全体像が分かるような、イメージが持てるようなという趣旨で作らせていただきました。
  まず、真ん中の部分は、先ほど申し上げました基礎の修得段階と探究を深める段階における授業の実際のプロセスですけれども、それを検討していくに当たって左側、縦に書いてございますが、実施に際し必要と考えられる諸条件と。必ずしも条件に当てはまるかどうかちょっと分からないものもありますけれども、条件的なものとして五つほど挙げさせていただきました。まず、規模感というものが前回あったかと思いますが、私どもとしては、やっぱりこの授業は、自ら探究へのプロセスを実施できるというようなレベルの生徒を想定したいと思っておりますので、規模感としては、例えば今SSHの指定を受けているのは203校ございます。あと、理数科が実際182校、当然理数科でありながらSSHの指定を受けているところもございますので、これを単純に足し合わせた数というわけではございませんけれども、ある程度規模感の参考としてはこのぐらいの校数が参考になるのかなとは思っております。ただ、当然実際入試でどう扱われるのかというような動向次第によっては、かなり多数の高校が開設してくるということも状況次第によってはあるわけでございますけれども、ある程度、我々の最初の狙いとしては、かなりレベル的には高いところ、校数的には先ほどのSSHの指定校ですとか理数科開設校というところをメーンターゲットして考えてはどうかと思っているところでございます。また、そういった高校でなくてもこういった学びをしたいという、もしかしたら高校生が個人的にいらっしゃる場合もあろうかと思いますので、必要に応じて高校間で連携するというようなことも視野に入れつつ考えてはどうかと思っているところでございます。それから条件整備の具体的な内容としては、やはり探究活動そのものに必要な経費というものが必要であろうという御指摘を前回も受けたところでございますので、ここに掲げさせていただいております。それから、探究活動を実施するに当たりまして、基本的な実験、あるいは観察をするための設備と。それから、教員の体制、外部の協力関係も含めた学校全体としての指導体制というものが考えられるだろうと。大学・企業等については、特別に何らかの連携協力関係を求めないとなかなか難しいだろうということで、これとの連携協力体制というのを掲げさせていただいております。
  その上で、今度は上の部分でございますけれども、授業を実施することによって、どういった能力が身に付いたということを評価していくかというのが考えられるわけでございますが、例えばということで考えられる視点をここで五つほど掲げさせていただいております。まず一番左でございますけれども、探究に係る知識・技能と。二つ目が、事象から課題を見いだし設定する力。3点目が、探究のプロセスを主体的に行う力。4点目が、他者との議論等を通じて多面的に思考する力。5点目が、果敢に挑戦する態度というものが、先ほどの3本柱の資質・能力の整理の表をベースに、例として挙げるとすればこういうものが考えられるのではないかということで掲げさせていただいております。
  これが大学での学びにどうつながっていくのかということでございますけれども、一番右側の枠囲みに掲げさせていただいておりますのは、日本学術会議がおまとめになっている大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準というものがございます。これについては、今、数理科学と生物学と地球惑星科学という三つが出ているところでございまして、ここの中で、そういった分野ごとの特性によっているものでなくて、ある程度この3分野に共通するような資質・能力的なものを事務局の方で抽出してまとめさせていただいたものが、この枠囲みで書かせていただいているものでございまして、こういった大学で身に付けさせたい資質・能力とかなり通じる部分があるのではないかと思っているところでございます。大学で身に付けさせたい資質・能力と数理探究を通じて身に付けさせたい資質・能力とをうまく高大接続の場面でつないでいくためには、どういった評価手法が考えられるのかということも併せて御意見賜れればと思って書かせていただいているものでございます。
  最後、7ページ目は、前回配付させていただいたものでございまして、最初の方で御説明させていただいたように、これをベースに本日1ページ目の基本的な原理というものを作らせていただいたものでございます。
  特に本日は、まず1ページの基本原理というものについての整理の仕方、それから、4ページ目の三つの柱に沿った資質・能力の内容、5ページ目の2段階での授業の進め方といったところについて、御意見を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【岡本主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、これから意見交換ということで時間をとらせていただきます。御意見のある方は、あらかじめいつものように名札を立てていただきますと、私の方で順次指名をさせていただきます。発言が終わりましたら元に戻していただきますようお願いします。御発言の際にはマイクのスイッチをオン、発言後にはオフというのをお忘れなくお願いいたします。
  さて、それではいかがでしょうか。
  では、小林先生、お願いします。
【小林委員】    本日初めて出席したもので、見当外れのことを大分言うかもしれないと思います。議事録の発言、先生方の発言は、大体は目を通してまいりました。ですので、最初は一般的な話になるかもしれません。
  私自身は、元々理学部の出身ですが、科学論に転身をしたということもあって、科学的という言葉には割と敏感でございます。それから、最初に就職したときは、教員養成大学の理科教育講座におりましたので、理科という言葉と科学という言葉が同じでないということを痛感した記憶がございます。2ページのところでも、理科的ものの見方と科学的ものの見方というのは混在したままになっています。端的に申しますと、これは理科ですよねというふうに私は申し上げたいわけです。現実の科学はこんなふうにはならないわけで、もっとややこしくて、科学的方法なんていうものがすぱっとどの分野にも適用できるなんてことはあり得ないし、そんなものじゃない、もっとクリエーティブなものだというのが歴史的にも言われております。そして、ここ100年ぐらいの科学哲学者たちの議論で、科学的方法というのがあるのかという議論をさんざんしてきたわけですが、結論として申しますと、ないということになっております。つまり、どの分野にも適用できるような科学的方法なるものは定式化できない。やればやるほど抽象的になってしまって、役に立たない。例えば自然に対する合理的なものの見方という言い方だったら成り立つのですが、じゃ、合理的とは何かというところに問題が移っただけになってしまう。ですから、これは理科の科目として作っているのだということを、ある意味で引き受けた方がいいとは私は思います。そういう意味では、科学教のような形で科学を商標するよりは、皆様何回も発言もありましたけれども、これからももっと研究していきたいとか面白いとか、そういう感覚をきちっと身に付けさせるということが大変大事だろうと思いました。
  ただ、そうはいっても教科を作るときに、何にもなしで教科にはならないわけですから、一定の刻みのようなものがいるだろうと思うのですが、そのときに、私は今回の議論の中で一つ欠けているなと思ったのは、科学的なものの見方で、しかしかなり広く共有されているものというのは、コントロールをとるという発想だと思うんですね。対照実験のような発想なんですね。これは相当多くの分野で共有できますし、かつ大変汎用性のある考え方なんです。私は昔、理科基礎という科目の教科書を作成したことがございますが、そのときに、科学的なものの見方を見開き2ページで説明せよというのが指導要領の注文でありました。これは大変難しい注文で、うんうんとうなって結局考えたのは、やっぱり対照実験とかコントロールをとるということによって、物事が主張できるのか主張できないのかというものを見極めると。ただ単純に実験すればいいとか観察をすればいいというのではないわけであって、条件制御をされた観察、条件制御をされた実験でなければ意味がないというのが科学のお作法だと思います。そういう部分が余り盛り込まれていなくて、割と昔から言われている観察が大事です、実験が大事ですという表現にとどまっているのは、私はやっぱりちょっと問題があるかなと思います。その点は、是非どこかで入れていただきなと思います。
  それからあと、研究倫理というのが書かれていて、これは、私は大変大事だと思います。特に優秀な研究マインドを持った人間は、そういうものは当然身に付けるべきであり、高校からやるべきだと思います。ただその中で、生命倫理だけが得出しされているのは腑に落ちませんで、例えば情報倫理とか、いろいろあります。これから多分生徒は、コンピューターを使ったり様々な情報をいじくったりするとか、そういうことも研究対象として取り組むのであれば、もっと多様な倫理的な観点というのが出てくる可能性もあり、大人の研究のレベルでもそういう問題が起こっているわけですから、そういうこともちょっと考えた方がいいかなと思いました。
  それから、まとめて言ってしまいますと、大きな成果を求めないという言い方をされていたと思うんですね。それは、私は割と大事なことで、ちゃんと失敗させた方がいいと思っています。教育の現場で、往々にして先生は親切なので、裏方になって、そっと成功するように仕込んだりするようなことをやるわけですが、よく分からずに成功することほど不幸なことはないわけです。だから、ちゃんと失敗した後、ちゃんと頑張った上で失敗するということですが、ちゃんと頑張った上で失敗した後、デブリーフィングをするのが大事だと思います。デブリーフィングで、なぜどうしてうまくいかなかったのかということをきちっと考え抜く、そういうことを表現したらこれは成果だと思います。実験の成功以上に大事な。そういうことを感覚として身に付けてもらった方が、後々いいのではないかと。
  とりあえずそのぐらいを申し上げたいと思います。
【岡本主査】    どうもありがとうございました。
【小林委員】    ありがとうございます。
【岡本主査】    ただ、一応1回目のときに、理科課題研究ガイドブックというここに置いてある、これは割と倫理とかお作法のことを書いてあるので、この部分は、かなりそれなりに議論していているところで、全くしていないというわけではありません。
【小林委員】    もちろん。
【岡本主査】    いかがでしょうか。ほかに。
  どうぞ。
【石井委員】    私も2回会議を欠席していて、今回初めての出席です。
  前回の会議の後に、文章で少し意見も述べさせていただいたんですけど、その中でも書いたことですが、先ほど小林先生がおっしゃられたこととも少し関係することではあるのですが、数理探究という科目をどういう教科として位置付けていくのかということでいえば、恐らくこれまで高校の中でいうと、総合的な学習の時間と教科という二つの領域があると。教科においては、修得的な学びをしていって、それで総合においては探究的な学びという形でやっていくわけですけれども、大体、SSHとかもそうですが、総合的な学習とかでやっている、そこでは研究的な学びをするけれども、それがなかなか教科の方には返っていかないということがあったように思うんですよね。そこで、ちょうどそれをつなぐような科目を融合科目としてこれを位置付けるということが一つは意味があるのかなということを感じています。
  そうしたときに考えるべきは、これまでの修得型の教科の学習の中では十分に扱われてこなかった、かつ科学的なというか、科学的ということに少し語弊があるとすれば、ある種研究的な学びをしていくときに大事だけれども、これまでの教科の学習では大事にされてこなかったもの。例えば理科であれば実験とか観察をするけれども、それは果たして科学することといいますか、研究することのエッセンスを本当に追体験していたのかどうかというところが問われているのかなと思うんですよね。それの一番核心の思考のプロセスということでいうと、いわゆる仮説的推論というんですか、ジグザグの思考の中で自分で仮説を立てていくというんですか、問いを立てる、そのプロセスが欠落していたんではないかなと思うわけです。ですので、そういった研究的に学ぶプロセスの一番核心の部分、しかし、これまでの教科の学習の中では十分に扱っていなかったことこそを、この数理探究の中で追求すべき見方・考え方として入れていくことが大事なのではないかなというふうに思います。
  もう一つ、先ほど成果ということが出ましたけれども、やはり私も、失敗であるとか試行錯誤といったものはすごく大事だと思うんですね。そのときに、何か議論が錯綜しないために一つ整理するとすれば、研究としてのクオリティーと、それから、学習としてのクオリティーというのは違うんだと思うんですね。ですから、研究としてのクオリティーを追求する余りに、結局、失敗経験をさせないということが問題だと。しかし、成果を追求すること自体は、自分の生徒の主観としては大事なんだと思うんですね。しかし、それは学習としての成果を求めていくということと、研究としての成果を求めていくことは違う。だから、このあたりをちゃんと区分けして議論していくことが大事なのではないかなというふうに思います。
  以上です。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  では、川端先生、お願いいたします。
【川端委員】 
  今、お話を頂いて、私自体が思っていることは、4ページあたりに研究テーマの設定方法を先行研究とか、一連の研究を絵に描いている餅なんですよ。実際、規模感だとか高校における予算の話とか、いろんなこと考えたら、テーマの設定をやらない方がいいような気がしていて、それからもう1個言うと、先行研究の調査なんてやらない方がいいという。要するに何かというと、探究というのは、大学でいえば教養の実験みたいに非常に雑な実験装置で何か実験させて、そうすると、訳の分からんデータが出てくると。その本質は一体何なのという、それが要するに失敗しているという状態。それをどうやったらいい話に変わっていくかというのを原理をベースにいろんなものを考え出していけば、それはそれで探究になっているという。そうすると、かなり探究のラインだとか面白さだとか、いろんなものがそこの中に詰め込まれていって、最初のテーマ設定なんていうことをやると、それにバリエーションが出てきたら収拾がつかなくなって、結局そこの部分に収集、ほとんどの時間が終わっちゃって、本当の探究というところに行かないんじゃないかなという。そういう意味では、先ほどからいろいろ言われている格好のいい話で終始してしまわないで、本質的なところに、高校生のレベルであればそこに行った方がいいかなと。それが1点と。
  もう1点が、やっぱり今先行研究の調査とかいう話をしたときに、私自体が元々理学物理にいて、その後、理学部生物に移ったんですけれども、理学部物理というのは、先行研究が山盛りあって、あるレベルに行くために先行研究を考えるだけで、もう疲弊してしまう。一方生物の場合は、怒られるかもしれませんけど、生物は何をやっても新しい、要するにサンプル変えてしまえば新しい。そうすると、新しい話が出るというので、学生はすぐ目がきらきらしてくるという意味では、余り先行研究で新しい成果が出るのではなくて、今ある話の中の面白さをどう見出してくるかというのをかなり絞り込んで作り上げた方が、多分実質的な探究というカリキュラムになるかなと思いました。
  以上です。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  じゃ、西成先生、お願いします。
【西成委員】    私も最初の意見で、基本原理の丸2で、「数学的」、その後に「や科学的」とありますよね。これを見ると、数学と科学の関係は数学は科学じゃないのかとか、じゃ、理科との関係は一体何なんだというのを感じるんですよね。2ページを見ると、数学的な考え方、理科的な考え方、真ん中に数学的、科学的とあって、言葉が何かすごく混乱しちゃうんですよ。ここのあたりをちゃんと整理しないと、丸2が伝わらないなと。
  もう一つが、今年の2月、日本学術会議が声明を出しましたよね。理科、物理、化学、生物、地学をまとめなさいと。理科基礎でしたっけ。あれとのこれとの関係というのはどうなっているのかなというのがちょっと。少し関わってくる部分があるだろうし、理科ワーキンググループのこれを見ると、余りそういうのが書いていないので、学術会議があれを必修にして、総合的な理科をやりなさいというのを提案したと思うんですけど、それと我々の数理探究というのがどう関わってくるのかという、その2点をちょっと。
  以上です。
【岡本主査】    言葉の整理の方はだんだんしていけばいいと思うんですけど。
  どうぞ。
【平野教育改革調整官】    言葉の使い方については、実は今の学習指導要領の理科の説明の中では、科学的なものの見方・考え方という表現を使っているというところがございまして、本来的に言えば、科学的なものの見方・考え方には算数・数学も入ってくるんだと思うんですけれども、実は科学的なものの見方・考え方は理科で使って、算数・数学では、数学的なものの見方・考え方として今使ってしまっているというところが、済みません、反映しておりまして、そういう意味では、十分使い分けができていないというところがあろうかと思いますが、そこは検討させていただければと思っております。
  それから、日本学術会議で先般おまとめいただいた提言内容については、次回か次々会の理科のワーキンググループの方で少し御議論を頂こうかと思っているところでございますが、あの提言でおっしゃられていることは、いわゆる物化生地の4分野をまんべんなく学ぶことが科学的なリテラシーを身に付けるんだということが言われておりまして、できれば今の化学基礎とか物理基礎とか、ああいうのを2単位科目四つを全て必修にするところから始めて、融合を段階的にすればいいんじゃないかということが言われているわけでございますけれども、そういった考え方が妥当なのかどうかというのは、実際理科のワーキンググループの方でも御議論いただこうとは思っているところでございますが、じゃ、そこで4分野を学ぶことによって、共通して身に付けられる科学的なリテラシーというのはどういった、いかなるものなのかというのは、実はあの報告書の中では明確には示されておりませんで、4分野をやれば身に付くのかというものなのかというところが、まだ我々としてもなかなか見えていないなというところがあるので、そこは少し理科ワーキングの方で御議論をまずはしていただこうかと思っているところでございます。なので、科学的リテラシーをまんべんなく身に付けさせるために4分野をきちんとやるべきだという議論と、今回数理探究を通じて身に付けさせたい能力というのはちょっと違うのかなと思っているところでございます。
【岡本主査】    では、丸山先生、お願いします。その後牧田先生、お願いします。
【丸山委員】    まず、本日の問題の1ページ目、数理探究(仮称)の基本原理とこの辺の議論ということですけれども、1、2、3、4とありますが、恐らく文章的に言えばこういう形になるんだろうかと思いますが、実は高校生に対しての今まで一方的な学びに対して自主的に何かを考えるとか発想して、それを解決のところの疑似経験をするという意味では、1番目の、何かに注目するというか、不思議がるとか、この辺が最も大事であって、この辺をどうやって高校生に身に付けさせるというか、こういう習慣を付けさせるか。例えば水道の蛇口をひねって大量に水が出るとか、ゆっくりこうやるとだんだん細くなりますけど、ずっと細くなったままぽっと消える、止まるわけじゃなくて、最後になると、ぽつぽつぽつと玉になりますね。例えば、そんなのが何でかななんて思う。これは特に全然新しい問題ではございませんけども、日常生活ではいろんな、高校生にとっては非常にあれっと思うのがあると。それを高校生なりにどういうふうに解決していくかというところをディスカッションさせながらとかやって、実際はそれに対して、A君はある解決方法を考えるだろうし、B君は別の問題の解き方をするでしょうし、かといって高校生から見れば、それには正しい唯一の解があるかどうかは分からない。高校生としては、本人としては、これで解を出したと思っていても、いろんな他の境界条件を考えると、ある条件ではそうだけど一般的にはそうでないとか、そういうディスカッションをしていくことが、恐らく高校生には大事で、そういう経験が、大学に入ったときにつながっていくということだと思います。
  それで、例えばその段階を数学的なものの見方や考え方といっても、高校生で習っている範囲でどこまでそれが解析できるかということがございます。SSHなんかを見ていると、それから高校生の課題研究を見ていると、そういうときに必要になると、大学でしか習わないフーリエ級数とか、そんなものを自分で勉強し出すんですね。かといって、ある程度、先生のガイドラインもあるんでしょうけども、それを自分でこれはどう解決してどういう分野があるか、そうすると自分でそれを大学の教科書で勉強したりしながらやっていく。でも、結局答えとしては間違っているかもしれない。そういう意味で、そういうプロセス自身を評価していくということがその次の問題で、まずは、総合性というんですか、何かに気付く、不思議がるというところに非常に重点を置いた教科設計が大事になるんじゃないかなと。それこそ先ほど先行研究というのは、先行研究はもうプロがやった先行研究で、高校生のレベルでそれを調べると、ああ、これはもう駄目だ、理解はできないけども偉い先生がやっているんだからもう駄目だろうとか、そんな感じになると、逆にそういう気持ちがしぼんでしまうのがあって、多分ある意味でいうと、高校で教科ですから、ある評価をして何とかというのが必要かもしれませんけど、1、2、3、4の中で、どこに重点を置いて評価するかというと、1番の評価というのが大事で、それをどう評価してあげるかということを考えないといけないんじゃないかと思いますけれども。
  以上です。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  続いて牧田先生、お願いします。
【牧田委員】    ありがとうございます。前回事務局が新しい案を出してくると、非常に楽しみにしていましたところ、すごく整理された形で出てきたなと思っています。まず、基本原理についてですが、総合性とか融合性とか挑戦性とかいう言葉の意味といいますか、関係性といいますか、それがすごく整理されていていいなと思うんですが、今も丸山先生もおっしゃいましたけど、1番でいうと、自由な視点でという。自由な視点でというのがいかにもぼんやりしていて、それがいいのかもしれないんですけど、自由な視点でというのが具体的にどういうことなのかということを少し突き詰めて見ていくといいんじゃないかなと。同じように2番も柔軟な。自由なとか柔軟なというのは、私も地方行政にいますが、余り使わない言葉で、結局何なんだと言われて終わるような言葉なんですけれども、そういうことをこういうところに大きく出していただいて、しかも、それが具体的に言うとどういうことなんだということがここで説明できると、非常にすっきりしていいかなと思いました。
  それと、資質・能力のところなんですが、これもすごく整理されているなと思うんですが、今、縦に見ていきますから、それぞれのことはこういうことをやるべきなんだなと思いますが、数学とか理科を見ますと、当然ですが学校段階で分かれていますので、横に整理していきますと、同じような事柄につきまして、例えば一番下に研究倫理の言葉、左と右側の一番下に書かれておりますけども、横に見ていって同じようなものを整理していくような形でまとめていく可能性があるんじゃないかなと感じました。そして、私は教員なのでよく分からないんですが、まとめていく力とざっくりしていますけど、論文にまとめていく力というのが、私はやっぱり重要なんじゃないかなと。これが内省にもつながると思うんですけど、ただ何かやって、発表してというんじゃなくて、それをきちっとある程度自分の言葉でまとめ上げると。論文として整理していくというようなことがここに書かれるといいのではないかなと思われます。
  もう一つ、階層構造についても少しコメントさせてもらうと、私前回、2サイクル目が重要だということをお話しさせていただいたんですが、それが非常に具体化されて書かれているなと思っています。ただ、階層構造というと、全然上と下が切り離されているようなイメージがあって、実は探究は、スパイラルでどんどん繰り上がって動いていくものですから、もしそうなるとしても、下の層と上の層との間の接点の部分が非常に重要で、基礎的なところをいかにどういう形で自分が受け止めた上で、次の発展的な自分で探究を深める段階に行くと。そこの接点が重要だというところが、ここで読み取れないので、その部分を入れていただけたらと思うんです。それと、基礎の修得、基礎の修得というと、やっぱり何かを全部受け身で蓄積していくようなイメージですので、これも体験の中でこういうことが培われていくといいと思いますので、修得というのがこの場でトーンを少し下げていただくといいのかなと思います。だけど、二つ以上のサイクルにすることによって、今回は選択教科ということですから非常に上位のところを伸ばしていく、力を付けていくという意味では、広く下の部分でどんなレベルの生徒たちにも探究の体験をさせつつ、それをクリアした者にはもっとレベルの高い探究の体験をさせていく、それが選択として教科として存在するという話の筋は通るのではないかと感じています。
  以上です。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  今の御意見で、一応私は自由で柔軟に生きていこうとは思っているんですけど、自由より柔軟の方が難しいんですよね。自由というのは、恐らく多分、要するに平たく言えば自分で決めて自分でやって、最後は自分で責任をとるというのが自由なわけですよね。だけど、柔軟というのは、なかなか物事にとらわれないというのは難しいなと思っています。
  ここで1回切って、議第2の方について説明をお願いします。
【平野教育改革調整官】    失礼いたします。
  それで、資料3に基づきまして、実際に今SSHの状況についてアンケートをさせていただきましたので、それの御報告をさせていただきます。実際、SSHが特に課題研究をどういう形でやっているのか、どういった体制、どういった単位設定をしてやっているかとか、予算的にはどのぐらい必要とされているのかというようなところを御紹介させていただいて、必要な支援の在り方等についての御議論の参考になればと思って用意させていただいた資料でございます。
  資料3の1ページ目でございます。現在のところ175校から回答が返っておりますので、それが母数ということでございますけれども、まず課題研究の実施状況でございます。課題研究については、新しくSSHの指定を受けたところは課題研究を必ずやるようにということでやらせていただいておりますが、以前から指定を受けているところは、必ずしも課題研究必須としていなかったので、やっていないところもございます。その状況を見ますと、教育課程上に位置付けて実施しているところがかなり多くて、学年が1年次、2年次、3年次とございますけれども、特に2年次において集中的に実施しているという姿が見てとれるかと思います。それから、実施学年と対象生徒ということでございますけれども、学校全体、学年全体でやっているところもございますが、どちらかというと、特に2年次、3年次のところを見ていただきますと分かりますとおり、特定の学科・コースや希望する生徒等の一部の生徒のみを対象としてやっているというところが多いという状況になってございます。
  それから、2ページ目でございますけれども、課題研究を実施するに当たってどういったテーマ領域を設定させているかということでございますが、全く自由というところもございますけれども、やはりSSHというところもございますので、数学・理科に関係するものに限定しているところが多いという状況でございます。それから、テーマの設定方法でございますけれども、生徒が主体的に設定しているところの方が全体的には多いという状況でございます。ただ、1年次のところだけ見ますと、最初の段階では教員がかなり手ほどきしているというところも少しは出てきておりますけれども、全体としては主体的にテーマ設定をさせているという状況でございます。
  それから、3ページ目でございます。課題研究の内容についての丸2でございますけれども、課題研究に取り組む期間がどのぐらいかというところでございますが、下のところの平均期間というところを見ていただきますと、1年次で大体平均で7か月、2年次で10か月、3年次で6か月ということでございまして、大体イメージとしては、1年生の最初の半年は基礎的なことを学んで、1年生の後半から課題研究的なものに取り組んでいって、3年の前半ぐらいまでやっているというようなイメージができるかと思っております。それから、隣の課題研究の単位設定の状況でございますけれども、3年間通じて平均して3.4ということでございまして、これが大体平均ということでございます。なかなか単位化された授業の中だけではこなし切れない部分もございますが、下でございますけれども、それ以外の長期休暇など、ほかの時間でも設けてやっているかというと、そういうところは実は余りなくて、一部の生徒、あるいは大半の生徒が、自主的に放課後等に取り組んでいるところが多いという状況になってございます。
  それから、4ページ目でございますけれども、課題研究の取組の方法というところでございますが、主流はグループ研究ということでございまして、個人研究をやっているところはかなり少ないと。両方としているところは、本人がやりたいテーマによって、どうしても1人じゃないとできないようなものがある場合には両方認めているというところでございますが、基本的には、グループ研究を中心として実際はやられていると。隣でございますけれども、課題研究における教員1人当たりの指導生徒数というところでございまして、教員1人当たり大体1年次は15人ぐらい、2年次、3年次は9人ぐらいを1人が担当していると。現場の方から聞いた意見でございますと、1グループ研究グループとしての適正規模は、4人か5人ぐらいがやりやすいという御意見がございますので、大体2年次、3年次、本格的に課題研究に入っていく段階では、教員1人が2グループを面倒見ているというようなイメージかと思っております。それから、課題研究の指導に当たる教員の種別ということでございますけれども、これは、やはり学校によってかなり体制が、学年の生徒全員でやっているところと、特定の専攻とかコースの子だけやっているところで大分変わってくるわけでございますけれども、やっぱり理科の先生と数学の先生を中心に担任が絡んでやっているというところでございます。
  それから、5ページ目でございます。外部との連携ということでございますが、大学や研究機関との連携については、何らかの形でやっているところが大半でございまして、その他の中でも、組織的な連携ではないのかもしれないんですけれども、大学院生の卒業生にTAとして来てもらってやっているとかいう形で、何らかの形で連携しているところが大半でございます。もちろん、全く外部との連携はしていないというところも若干ありますけれども、大半は、何らかの連携をしている状況でございます。
  それから、6ページ目は経費的なものでございます。スーパーサイエンスハイスクールの指定授業自体は、全体としては結構大きい金額を渡しているわけでございますけれども、課題研究だけの予算措置をしているわけではございませんで、例えば2期目以降になりますと、大体年間900万という支援があるわけでございますが、このうち直接課題研究に使われているであろうという金額を見ますと、大体100万から200万ぐらいということでございます。課題研究をやる際に、1グループ当たり4万から5万ぐらいのお金を渡しているところがどうも多いようでございまして、そうすると、例えば1学年2クラス程度、大体80名ぐらいが課題研究に取り組んでいるということにいたしますと、1グループ当たり四、五人とすると、20グループぐらいと。20グループに四、五万ずつ渡すと、1学年100万。2学年であれば200万というイメージでございますので、大体そういう数字だろうと思っております。それから、実はSSHの場合は、これに対して加配も別途行っているわけでございますが、全校に加配を行っているわけではございませんで、大体割合にすると、SSH指定校4分の1の学校に対して加配が行っていると。残りの4分の3には行っていないという状況でございまして、その場合は、理数科ですと、元々教員配置が若干手厚いというようなところもあるので、そこを工夫してやっている状況でございます。
  説明は以上でございます。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  今のことちょうどSSHの現状とかいうので報告していただいたんですが、これも踏まえまして御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
【小玉主査代理】    小玉です。
  SSH校の佐倉高等学校なんですけど、ちょうど今御説明がありましたSSHの状況の平均的な学校であるなというのが資料3を見ても分かるところでございます。課題研究の費用も、1グループ数万円というところになろうかと思います。ちょっと偏りはありますけれども。実は課題研究の費用と同額ぐらいが、事務員を雇っている費用なんですね。事務処理がすごく大変なものですから、同額ぐらいが事務処理、事務員の費用になっております。
  そのほかとしては、本校の場合は、課題を見付けるためにどんどんいろんな体験をさせるということで、バスをチャーターしまして、各教員がアンテナを張りめぐらせて、ここならばきっといいヒントが見付かるだろうというところにどんどん土日に出掛けていくというような講座、佐倉アクティブといいますけれども、これをどんどんやって刺激を受けて、最先端の研究を見て、あるいは最先端の研究をしている研究員と言葉を交わすことによって、だんだん研究というものはこういうものだということが見えてくるということなんですね。そういうことによって、自分の研究テーマがだんだん決まってくるということで、研究テーマが決まるまでの下地を作るのにやっぱり1年間掛かっています。いろんな体験をさせて、いろんな研究者と話をして、なおかつもう一つ、佐倉サイエンスというのをやっていますけれども、ちょうど今回御呈示いただきました資料2の5ページのところにあるんですけれども、階層構造というのを先ほど御説明いただきまして、基礎の修得段階の必要性、それから、探究を深める段階の考え方ということで、本当に課題研究をさせる場合は、やっぱり基礎の修得、探究とは、あるいは研究とはいかなるプロセスなのかということを経験させることがとても重要であるということ、それもSSHの中で生徒が体験をしてきて、2年生から本格的に課題研究に入ることになります。そのときに、いろんな豊富な経験をしている生徒たちは、もう物化生地含めていろんなところに行きますので、自分で研究テーマを見付けてくることができます。
  SSHのそういう事例から考えますと、仮称の数理探究において5ページの階層構造というのは、極めて効果的であると考えます。まず、短いサイクルで適切な探究のプロセス経験させておいて、そしてその上位、探究を深める段階で、そこで初めて自ら課題を見付け、自ら探究していくというものが非常にいいと思っておりますので、5ページの内容というのは、非常にすばらしいと思います。ただし、そこでとても重要なのが、探究のプロセスを経験させるときに、題材が物すごく重要になります。本当にいい題材をきちっと教員が提示して、教員は題材を提示するんですけれども、生徒は自ら考えてどんどんやっていきます。例えば、海にいてずっと潮の満ち引きを見ておりますと、満潮になったり干潮になったりするということがあります。そういう潮汐変化はWeb上でも出ておりますけども、いろんな非常に大きいときと非常に少ないとき、大潮、小潮とかがあります。そういう題材を提示します。それを世界的に見ると、月と反対側も大潮になったりしている。じゃ、これはなぜだろうという。月に面したところが万有引力で引かれて大潮になっている、これはすぐに生徒たちは言うんですけれども、その反対側、月の反対側にも大潮がある。これはなぜだろうという、こういう題材をぽんと提示しますと、生徒は真剣に考えます。結構これは難しいです。そういう非常にいい題材を選りすぐって、探究のプロセスを基礎の修得段階で非常に効率的にやらせた上で、更に上位の探究を深める段階に持っていくというのは、極めてこれはいいものだと思いますので、このまとめは非常にすばらしいんじゃないかなと、SSHからこっちに戻っちゃいましたけど、そういうことで。
【岡本主査】    もちろん構いません。
  じゃ、大島先生、お願いします。
【大島委員】    2回目のときに規模感がどうなのかという御質問をしたので、多分それで資料3をまとめていただいたんだと思います。非常にいろんな観点からまとめていただいて、ありがとうございました。
  課題研究と数理探究を考えたときに、先ほどの議題のときに議論があったんですけれども、やはり研究としてのクオリティーと学習としてのクオリティーは異なるということで、数理探究、例えば先ほど出ていました資料2の5ですと、比較的探究に力を入れていて、研究まで含み込んだ感じはしないんですけど、一方、SSHは課題研究ということで、ある意味本当に、高校生ではありますけれども、大学で行う研究を念頭に置いて研究されているということだと思うんですね。なので、数理探究をする際に、研究のレベルまでを求めるのかなというのが非常に疑問に感じていて、そうなると、やはりSSHのように――表現が適切かは分からないんですけど、本気で研究をやるということで、それを例えば教科として、これから指導要領も踏まえての話になると思うんですけれども、そこまで踏み込むのか、それともやはり学習として数理探究を考えていくかというのが済みませんちょっと難しいところなのかなと思いました。
【岡本主査】    ありがとうございます。
  じゃ、どんどん。塩瀬先生、お願いします。
【塩瀬委員】    よろしくお願いします。
  SSHで幾つか運営委員とかで学校にお邪魔している観点から、今回の数理探究のことをSSHの数学の先生と理科の先生とSSHじゃない学校に移動した先生と探究の話をさせていただいて、そのときに、やっぱり数理探究を誰にやらせたいのかと考えたときに、SSHで探究活動を頑張っておられる先生は、理系も文系も関係なくみんなに必要な力だと思って探究を身に付けてもらおうと思っているので、それが今回の場合、アプライ・オブ・アプライみたいなどんどんエッセンシャルなところなのか、すごく選ばれた人しかしないのかというところの2極がどっちに向かっているのかよく見えないというところがあったので、そうなると、やっぱり高度な数学、例えば探究活動前に数学の補習とかをしたときにも、それこそ微分方程式をやればいいのか、むしろ資料の整理とか標本統計をやった方がいいのかというと、どちらかというと後者の方がどの実験をするにしても一番ファンダメンタルな数理活動なので、実はそっちの方がすごく大事なんだけど、求められているのはもしかしたら高度な数理なんだとすると、我々はしないかもしれないというお話をされていたのと、あとは、SSH校からそうでない学校に移動すると、もう数理探究はしないことになるのか。
  つまり環境も整っていないと指導しない科目として、我々は認識した方がいいのかというのが結構分かりにくいという話をされていたので、特に探究活動自体は、もっとファンダメンタルな、すごく大事な見方として、やっぱりみんなに身に付けてほしいと思うからこういう科目設定もあるのかなと思ったので、高度とか先端という言葉の使い方をやっぱり気を付けないと、SSH校じゃないところから移動してきた先生も、いや、私は先端科学とか分からないので探究の指導はできませんとかいうふうに引いてしまったりもするので、やっぱり探究活動がうまくいくときって、去年やっていたテーマと同じテーマをやるときに一番指導としては醍醐味、重要性があって、新雪をまだ踏んでいないところを踏み荒らすような形でテーマ探索ばかりすると、浅い研究、浅い探究にしかならなくて、むしろ去年もやっているんだけど、去年やっていた人たちは、なぜこういうプロセスを通ったのか、じゃ、自分たちはどういうプロセスをとるのかというのを整理して、結果、答えが一緒でもいいことで、自分たちが探究する過程を自分たちでデブリーフィングすることが探究としては一番重要で、無理に新しいテーマを求めさせないというのも探究の指導としてはすごく重要な方法だとおっしゃっていたので、まさに高度とか先端という言葉は、数理探究だからこそ気を付けて使わないといけない言葉かなと思うので、だから、それが多分探究の基本的な考え方とかの中では一番、どれも言葉を丁寧にしないといけないんだけど、特に丁寧に使ってもらわないといけない言葉なのかなと思います。
  その辺が先生方にも使ってもらうには多分大事で、さっきの観察とか実験も、それこそガスクロマトグラフィーとかと実験機器の名前を言っているうちは一番探究できていなくて、実験の方法を自分の一般用語に置き換えたときに、どんどんルーブリックを書かせたときにも機器名が並んでいるときは一番よく分かっていないときなんですね。その知識よりも、自分がどういう手順で調べるかを自分の言葉で語れるようになったときに、こいつは分かってきたなと。結果、失敗していても特に新しい結果じゃなくても、彼には探究の力があると彼らは評価をしているので、まさに探究の評価の仕方というのは、観察とか実験を自分の言葉で語れるようになることであって、その途中途中をいろんなペーパーの形で書いてもらうというのが一つは評価方法ですというふうにおっしゃっていたので、多分探究自体の評価が難しいというのは、出てきた成果がどこどこで発表したら認められましたみたいなところで成果と呼んでしまうからかなと思うので、本当に探究方法自体を自分の言葉で語れることこそが評価方法ですというふうに、ちゃんと基本的な考え方の中で一緒に届けていくのが現場としては運用しやすいのではないかなと思います。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  2月に、先月ですけど、2か所ほどSSHの発表会に行ってきたんですけど、アドバイザーの先生というのが必ず出てきていろんなことを言うわけです。そのときに、やっぱり一番先生たちが言うのは、一つは、だからここではさんざん出ていた、失敗を恐れるなというのと、もう一つは、お作法なんですね。小林先生がお作法とおっしゃったけど、作法を守れという。研究というか、探究するときの作法については、やっぱり非常に言いましたね。それが2点、大学の先生たちのアドバイスが一番大きかったと思います。
  それで、それは単なる経験なんですけど、実際ここで、最初理科なのか科学なのか、それから今探究なのか研究なのかという議論が出てきて、これは結構本質的な議論なんだけど、私がたまたま行った2か所はSSHなんですけど、理科・数学だけじゃなくて、いわゆる文系――私は理系・文系という言葉が余り好きではないんですけど、文系もやっているんですね。そうすると、圧倒的に文系の探究って難しいんです。子供たちでテーマを見付けるのが。それは何でかなと思うと、研究するって、普通の研究といったら、文系の方がいろいろデータもそろえなきゃならないし、いろんな本もたくさん読まなきゃいけないし、大変なのは分かるんですけど、私が一つ思ったのは、こんなことをやるとおもしろいよという類いの本が、数学とか理科というのは結構出ているんですね。ちょっと古い本だけど、ちょっと古いってもう十何年前だけど、『あなたがもしホットドッグになったら』という本があるんですよ。アメリカで書かれた、たしかそんな題だった。これは物理の本で、ファンダメンタルな疑問みたいなのがいっぱい実験できるようなこともあるんだけど、書いてある本があって、そういう本、これは元は英語なんだけど日本語に翻訳されていたりして、そういうのがいっぱいあるんですね。だから、それは先生も読めるし、子供も読めると。そうすると、そういうところから、興味と関心を持って考えていく手立てにはなるのかなということはありますね。実際、数学を指導するときに、なかなか、例えば微分方程式を使って探究活動をやろうとすると、相当これはあれだけど、確かにデータの整理みたいのというのはすごく大事ですよね。だけど、結局そのときに大事なのは、さっきの私も印象ではお作法みたいなのもあって、だから例えば因果関係と相関関係は絶対に違うので、そこから結論を出すときはいろいろ議論の余地があるんだよとか、そういうことを身に付けていけばきっといい大学生になるのかなという感じがしました。
  では、竹内先生、お願いします。
【竹内委員】    竹内です。
  ちょうど今おっしゃっていただいた話、私はいわゆる文系、経済学の教員ですので、お答え申し上げ、これは私の私見ですけど、経済周りで特に言うとですけど、そういう本も一応あるんですけど、なかなか自分の興味に突き刺さるかどうかというのは、まだ人生経験を踏まないと、いわゆる社会問題、経済問題ってぴんとこないことが多いんです。例えば差別というのは何なのだろうか。いろんなクエスチョン、アプローチはたくさんあると思いますけど、それはやっぱり例えばどこかに行って差別を受ける、あるいは差別を受けているひどい人たちを見た瞬間にはっとするわけですよ。これは何なんだろう。そういう人生経験があると、そういった関連文献を読んだときにすごく響くわけですよね。あるいは、経済格差でも本当に同じようなところ、例えばそれこそ進学塾にいて同じような、我々がSES、Socioeconomic Statusと言う経済社会条件を変えた家庭環境に育ってきても、そうすると全く違う、それこそ経済状況、あるいは親の学歴みたいなのが違う人と接したときに、全く違う、本当にハビトゥスから違うのを見た、そういう経験が蓄積されていくと、そこにいわゆる科学的分析、社会学における、社会におけるですけど、来たときにぴんとくるわけですよね。
  やっぱり人生経験の関心の種みたいのというのは、なかなか小学生、中学生では感じない。例えば株価の決まり方、これは経済学でもすごく面白いカレントトピックなんですね。でも、物の売り買い、お使いさえほとんどしたことがないのに、ましてや株価……。株価って非常に特殊なものですね。買う人は、これよりもっと上がると思って買うわけなんですし、売る人は、同じ値段でもうこれより下がると思うから売るわけですね。でも値段が付く。これは非常に面白いトピックなんですけど、物の売り買いさえしたことない、ましてや値段の交渉すら……。大人になるとしますよね、例えばそれこそ旅行に行くと。日本だとなかなか値段交渉はできませんけど、いろんな旅行に行くと、交渉しなきゃいけない。そういう経験があって初めて株価もこうなんだとなるので、なかなか高校生の段階で、いわゆる社会に関連した問題に関心が響くというのは、結構いわゆる理系的なものと違うのかなというのが印象です。ごめんなさい、これは感想です。
  2番目のトピックなんです。先ほどからちょっとうずうずして、いろいろ見ていたんですけど、話は変わります。私は昨年までいわゆる学術調査官をやっていたんですけど、そこでもいろいろ議論があって、コンセプトは理想があり、とはいうものの制約、現実があると。いろんな話が出てくるんですけど、本当に数字がなかなか出てこなくてびっくりします。集まっている人たちはみんな工学部の偉い先生とかなんですけど、例えばこれはあくまで一般論ですよ。何か審査をしたい、真面目にやりたい、じゃ、何人で見ればいいのかとかいう話が出ますよね。事前審査というのは、統計的検定なわけです。まず、計画書を見たときに、これがいい研究になるのか、ノーベル賞になるのかとか、いや、駄目研究になるのかは何となく分かりますけど、やってみないと分からないと。
  ですから、えいやとやって、それこそ有意水準みたいな話が出てきて、ふたを開けたら5%ぐらいでしたみたいな話があると、そうすると要は有意水準と投入する労力をどこまでやるかという非常に経済学的な発想なんですけど、我々は実験ができないので。こういうときの数字が全然出ないという感じでいたところ、今回も非常に面白いこと、それこそ探究とかSSHでは、本当に実験を使って棒グラフはたくさん書いているはずなのに、今回のこの議論では本当になくて、これは何なんだろうなと思っていました。それで、私なんかは経済学、アメリカかぶれなんですけど、横文字で検索しますと、恐らくこれはInquiry based LearningとかOpen Inquiryといった言葉で、アメリカだとサイエンスの分野で20年ぐらい前から結構盛んにやっていて、本当にラーニングのエバリュエーション、つまり学習効果の検定、さっき小林委員でしたかがおっしゃっていた科学的というのは難しいんだけど、少なくともコントロールは置くんだということで、それこそ無作為にグループを作って、こっちにはOpen Inquiryでやってもらう。こっちにはGuided Discovery、ある程度裏方で先生がお膳立てしてやってもらう。じゃ、その後の学習態度なり効果はどうなのかというリサーチは山とあって、もうメタアナリシスすらあって、レビュー論文を読むと100個ぐらい普通にざっと出てくるわけです。
  もちろん状況は違うし、何分教育効果というのは非常に評価が難しいですから、きっちりした答えは出ていないんですけど、やっぱりそこから経験則もありますと。先行事例研究というのは、この分野でアクティブラーニング周りとかInquiry based Learningというのはたくさんあって、そういう資料が全然出てこないというのは、もちろん私もある程度分野外ですけど、そろえてこんなのがありますと提案するべきですし、したいとは思っていますけど、特に数理周りでやって、現場では棒グラフ使って対照実験をやってということを奨励されているのに、それをデザインするこの場で何のエビデンス、アメリカで、それこそ先行研究はごまんとあるのに出てこないというのはちょっと残念なので、是非その辺を出していきたいなというのが2番目の感想です。
  以上2点でした。
【岡本主査】    続けて、まず熊倉先生、井上先生、石井先生という順番でお願いします。
【熊倉委員】    私は過去2回出席をしまして、いろいろな議論があって、そのときには、まだイメージが何となくふらふらしていたんですが、本日資料2、3を示していただいて御説明を聞いて、かなり数理探究で目指しているところのイメージは、私なりに固まって、大変分かりやすい資料を作っていただいてよかったなと思います。
  1点、ただ、まだちょっと不明な部分は、これは議題の1の方にも関わる部分かもしれないんですけれども、規模感のところで、大体SSH校は二百何校あって、理数科も百八十何。そのあたりなんだというお話だったんですけれども、極端な話をすると、そうするとSSH校と理数科はもう現行でも課題研究、両方とも課題研究をやっているわけですが、そこがそのまま看板を変えて数理探究をやっておしまいなのかというふうになってしまうと、そうではないだろうと思うわけですね。せっかく新しいやはり科目を立てるということは、SSHのこれまでの成果をもうちょっと広げようという話なのかなというふうに思って、私はそういうイメージを持っていたものですから、そういうふうに考えていったときに、そこで議題のところに戻ってきますけれども、例えば条件整備ということでいうと、SSHはお金が付きますから、そのお金を使っていろいろなことができる。課題研究に掛かる割合は低いとはいえ、それでもやはり大学に行ったり大学の先生を呼んだりするところに掛かる費用といったところをSSHの費用から出していますが、今回の数理探究に関して言えば、そういったところを最初から想定するのはおかしな話であって、多分お金がないからできないということではなくて、お金がないならないなりの範囲の中で、やはり探究活動というものを考えていくことが大事なんじゃないかなと私自身は思います。
  そういう意味でいうと、費用的な経費な面よりも、むしろここで大事な条件整備の一つとしては、初めて例えばSSHなんかでもやったときにやはり戸惑うのが、どうやって課題研究を進めたらいいのかというノウハウみたいなものが、初めてだとなかなか戸惑いがある。これを更にSSHじゃないところに広げていく。経験した先生が移ってやるというのはもちろんあるとは思うんですが、もうちょっと広げたいと思ったときには、ノウハウみたいなものの指導例集というんでしょうか、教材集みたいな、それが教科書になるのか、それとも教材集みたいなものになるのかは分からないんですけれども、やはりそういったものの条件整備というものは、これを進めていく上では私は重要な視点なのではないかなと思ったのが1点目です。
  それから、議題1の方に戻るかもしれないんですけれども、大枠でいろんなことが明確になったところで、私は、どちらかというと数学の立場の者ですから、数学の探究活動に係る中身がもうちょっと文言の中に入ってくるといいなということを感じました。具体的には、本日のこれは理科を参考にしたというところなんですが、資料2の例えば3ページのところ、これはもうまるまま理科のものを持ってきたということではあると思うんですが、数学も当然探究活動というのがあって、事象を数学化したりとか、今度発見したものを基に一般化したり体系化したり統合したり発展したりとかいう事柄、数学の探究活動の中ではとても大事なキーワードになるかと思うんですが、そういったものも少し触れられるといいなと思うのと、もう1点が、数学はどちらかというと、科学的な実験を行った処理の統計リテラシーとして語られることが多いんですけど、やっぱりそれだけではなくて、数学は数学が主役になるような研究テーマというのがあるんじゃないかなと思うものですから、そういった数学自身の独自の探究活動というものも入り込むような表現が入るといいなというふうに思います。
  そのことと関わるのですが、結局数学の場合には、先行研究とかを調べていったりするのがやっぱり物すごくハードルが高いですし、それから、オリジナルを発見するなんてことはとてもとても無理な話、高校生がやるというのはもう無理な話であって、そうなってきたときに、でも私もSSH校とかを見たときに、高校生なりに自分で主体的に何かテーマを見付けて探究していくという活動を結構意欲的にやっている姿を見たりすると、それは、実はもう既に先行研究では調べ尽くされている内容ではあるんですけれども、でも、そういったことを経験することはとても大事じゃないかなと思うと、数学という探究活動にももうちょっと目が向くというか、そこら辺の文言が少し入ってくるようなところもあるといいかなと思いました。
  以上です。
【岡本主査】    では、井上先生。
【井上委員】    本日はいきなり冒頭から、基本的な構造のところで石井先生と小林先生からすばらしい御意見が先に出ちゃったんで、もう後がしゃべれなくて今まで黙っていたんですけども、実質的なところで、今第2の議題のところでお話があったんですけど、実際には実施の諸条件というところで、人・金・物だと思うんですけども、やはりこの中ではテーマによって掛かる金、物というのは全く異なるわけで、我々が乏しい経験ですけども、高大連携をやらせていただいている中で、数学的な研究を高校生にはやらせています。数学的な研究というのは非常にお金が掛からないというか、はっきり申しまして、大変反論があるかと思いますけども、例えばスカイプなんかを用いて、東大さんの数学科の大学院生なんかにお願いして指導してもらうとかいうのは、本当に人件費が一部しかかからなかったり、非常にそれによって異なるのではないかと思うんですね。ですから、金の部分に関しては、一律的な配分というよりも、やはりテーマに沿った配分というのを文部科学省の方で考えていただいて、例えば科研費みたいなとか、そういう研究課題ごとの評価というのはなかなか難しいかもしれませんけれども、それでもやっぱりある程度もの、実質的な数理探究を実施するに当たってのテーマを決めていただいて、その中である程度の傾斜配分があってもいいんじゃないかというふうには思っております。
  あと、もう1点ですけれども、熊倉先生がおっしゃったように、やっぱりSSHイコール数理探究ですとすごく寂しい感じがしておって、当初に念頭に置いていたものと大分懸け離れているような気がいたしております。そういうところで、川端先生の御意見とごめんなさい反対になっちゃって申し訳ないんですけども、私の場合には、逆に多くの学校に採択していただくために、やっぱり副読本である程度のテーマを求めて、テーマを例示してあげて、ある程度のフローチャートを書かせてあげて、それを使うかどうかは各学校の自由ですけれども、副読本の充実というのがこのテーマが広く採択されるかどうかの大きな分かれ目になるのではないかと考えております。
  以上でございます。
【岡本主査】    ありがとうございます。
  どうぞ。
【石井委員】    条件ということで、先ほど、人・物・金ということがあったんですが、その人の部分ですね。だから、教師をどう育てるのかというところがこの項目からは抜けている。ここをどう考えるのかということを少し考えた方がいいんじゃないかと思うんですね。この間、教員養成改革の中では、教職大学院をベースにしてということで、主にやっぱり初等の教員養成を考えているような感じはあるんですけども、そこで中等教育段階の教員の養成をどう考えるのか。それに固有の課題というのをもう少し考えた方がいいと思うんですね。だから具体的に言えば、研究を指導できる教員ということでいえば、特に理学だとか工学であるとか情報学とか、いろいろな理系分野の修士号であるとか博士号を持った教員をどのように供給していけばいいのか。そういう研究する経験を持った教員ですね。さらに、研究するというだけではなくて、研究することを指導できる力量を持った教員をどう養成するか。だから、そういう形での、ある種修士レベル化の議論とつながってきますけれども、教員養成改革と連動させてどう進めていけばいいのかということが大事なのではないかなというふうに思います。
  と申しますのも、こういった形での課題研究をやっていくときに、ある種、外部との連携は必要ではあるんですが、しかし持続的に探究を進めていく上で、そこを実りのあるものにするためには、学校の中で教員がやはり探究活動を指導していくことが大事になってくると思うんですね。それができないと、形だけのある種外注するような探究活動になりはしないかということを恐れるところがあります。そういったところで教員の養成をどう考えるのか。併せてその教員の学校の中でのサポートをどう考えるのかということですが、先ほど融合教科であるということを私は申し上げたと思うんですけども、階層性の話を考えるときに、特に基礎段階、これは先ほど牧田先生の方もおっしゃっていたように、基礎と応用みたいな形にすると、修得した後に活用するみたいな2段回路になってしまうのがちょっと問題あるだろうと思うんですが、しかし、ある種ベースになるところの探究サイクルの指導といったときに、融合教科であることをもう少し意識した方がいいのではないかなと思うんですね。つまりどういうことかといえば、例えばゾウリムシの成長といったものを成長曲線で捉えるという生物の授業を、生徒たちは数学の目で見ることはほぼないんですね。成長曲線は指数関数的な変化なんですけれども、そういうふうには見ない。数学は数学、生物は生物、その距離はすごく壁は厚いんですね。だから、その厚い壁を崩していく。ですから、一言で言ってしまえば、教科書を目的にする学びから教科書を資料にするような、特にその場合の教科書というのは他教科の教科書、いろいろな教科書を資料にするような子供たち、生徒たちの学びの姿勢の変換があることが大事なんだと思うのです。そこが恐らくこういった形での数理探究とかの融合教科を立てることの意味なのであろうと。だから、最後の探究のプロセスを追求していくのは、深化していくというところで保障されると思うんですけれども、その前段階として研究的な学びの出発点に立つという点においては、融合教科であるということの意味合いです。もうそこを大事にした方がいいのではないか。
  それをするときに大事になってくるのは、むしろ学校の中で数学の教師と理科の教師が共にカリキュラムを作って運用する。そういったチームティーチングの仕組みがとれるかどうかというのが大事だと思うんですね。これはカリキュラムマネジメントの問題になってくるわけですが、それがなかなか高校現場としてはハードルが高いであろうと思うんですけども、そういうのを促すようなサポートができるといいのではないかということを思いました。
  以上です。
【岡本主査】    どうもありがとうございました。じゃ、続けて小林先生、大路先生という順番でお願いします。
【小林委員】    もう1回だけお話しさせていただきます。
  探究か研究かという話はあるんですけど、なぜ探究をするか、あるいは科学者はなぜ研究をしているのかというのを考えれば答えはもう明らかで、正解が分からないからなんですよ。分からないから研究をしているんですよ。それが探究とか研究の基本構造です。中学校、高校の理科は、基本的に正解のある世界でやっているゲームなんです。これから50年、100年そう簡単にひっくり返らないだろうなというぐらいに確立されたものが教科書に載っている。それを使って探究のシミュレーションのようなゲームをするというのが基礎段階として意味があるとは思いますけれども、やはり福島を経験してしまった、あるいは東日本大震災を経験してしまった後で考えるときには、分からないこと、探究するのは分からないからなので、正解が簡単にあるかどうかが分からないんだという世界で、探究という能力といいますか、技を差し向けるという、そういうことの感覚を人々がどれだけ持てるかというのが多分非常に大事なことなんです。こういう感覚からいきますと、超エリート用教育ではないというものの見方もできます。
  それから、熊倉先生もおっしゃいましたけれども、実験とかを具体的にやるというのは楽しくていいんですけれども、お金が掛かるんですね。人・物・金でいえば、井上先生もおっしゃったように人がやっぱり何より大事で、お金がなくてもできる探究というのはいっぱいあって、しかもそれはすごく意味がある探究ができるはずなんですね。そういうことをもう少し考える可能性があればいいなというふうに思いました。
【大路委員】   
  今回の議論は、結構探究の面で議論が集中しているかと思います。ちょっと復習してみますと、これは一つの教科科目かよく分からないですけど、最初に壁を取り払って共通して何を理解というか、お作法としてやっぱり共通なものは教えるべきだろうという話があって、例えばサイエンスで本当に言えること言えないこと、それから限界があるんだということをみんなに分かってもらうことがまず大事であるという話があったように思います。その後に、共通していろいろデータを集め始めるんですけど、そのデータをどういうふうに扱ったらいいかという話で、例えば千葉大学の理科課題研究ガイドブックにあったデータの扱い方というのはすばらしいね、こういうことをやっぱり教えることによって、壁を取り払って全て役立っていくということは共通して学んでおくべきじゃないのという話があったと思うんですね。だから、その二つはやっぱり流儀として教えるべきことではないか。その上に探究活動があって、まねごとかもしれませんけど、最初に課題を与えて試行研究的にやって、もしできればその上の自由に発想してやるというのが乗っかるのかなと。私は、構造としてはそういうふうに見ていたので、本日はたたき台に最初の方のところが出ていなかったものですから、その辺を加えたら私としてはいいかなというふうに思っておりました。
  そうしましたら、西成委員から、学術会議から報告があった理科の科目の見直しというのがあって、私も読ませていただいて、東大物理の須藤先生なんかが中心になってやられて、私も非常にこれは賛同できるものとだ思いました。もちろんターゲットは、全ての人に理科のリテラシーを教えようというところで、探究というところとオーディエンスはかなり違うかもしれませんが、壁を取り払うことによっていろんな現象をいろんな方面から見ることができるんじゃないかと。もちろん探究はもうすぐに始まるものかもしれませんし、提言がまたワーキンググループやいろんなところの議論を経て、学習指導要領に反映させるのはずっと先の話になって、全然段階としては違うかもしれませんけど、精神は結構これと共通するといいますか、参考になるところがあると思いましたので、私も、もし時間がありましたら皆さんも御一読されたらと思いまして、一応紹介させていただきました。
  以上です。構造についてですけども。
【岡本主査】    どうぞ。
【小玉主査代理】    小玉です。
  議論が戻っちゃうかもしれないんですけども、どういう生徒をターゲットにするかということなんですけれども、これは可能ならば全生徒をターゲットにした方がいいと考えています。といいますのは、本校の現状ですと、課題研究をやっているのが理数科の生徒たちになります。そうじゃない普通科の生徒たちは、明らかに違うんですよ。何が違うかといいますと、例えば普通科の生徒たちも保健で調べ学習をして発表したりという授業を年度末にやっております。それから、地歴公民の授業でも調べて発表するという授業をやっております。ところが、全然違うんですね。理数科がやっている課題研究の研究発表と全然違う。何が違うかというと、もうコピー・ペーストの嵐で、自ら調査したものは非常にまれです。仮に自ら調査していたとしても、統計的なきちっとした処理が何もなされていない。そのままでどんどん発表している。その発表に対して、地歴公民とか保健体育の先生は、適切なコメントを全くしていない。よく頑張ったねと。というふうな生徒を育成してしまっているんですよ。片や、理数科の課題研究をやった生徒たちは、観察や実験とかいう証拠に基づかないデータ、あるいは証拠に基づかない結論、発言はもう全く意味がなくて、物すごくたたかれます。理科の先生方にもたたかれる。あるいはお互いもたたいていますね。どこにその根拠があるのかとか言ってさんざんやっていますけども、明らかに違う人間を作っちゃっているんですよ。ですから、これからの日本のことを考えたら、探究することができる資質・能力を持った、ちゃんと証拠を持って議論ができるような生徒を育成するための教科というのは、是非私はあるべきじゃないかというふうに考えております。ほかは全部内容ベースですよね。物化生地なんかも基本的には内容がかなりベースになりますけども、数理探究に関してはそうじゃなくて、探究するための資質・能力を明らかにした上で、その資質・能力を育成するためには、適切な題材をまず提示して、最初にちょっとプロセスを回して、こういうふうにやるんだということが分かった段階である程度自由にやらせてみる、失敗を恐れずやらせてみるという教科になるのであれば、本当にこれは全ての高校生が学ぶべき教科ではないかなと思いますので、そういうのに議論がなっていくといいなと思っております。
  以上です。
【岡本主査】 
  岩田先生、どうぞ。
【岩田委員】    やはり私がいつもこの場に臨んで感じるのは、現場の教員になったときにこれの提言ができるかなということだけなんですね。ですから、基本的な構造について、確かに非常に今までの議論を尽くしてそういうふうにまとまってくるというのは分かるんですけど、これが本当に現場の人間ができるのかといったときに、やっぱりいつもそれが頭にこびり付くんですよね。ですから、現実感を見て、これに枝葉が出て、そういうふうに泳ぎ出せるところまでかみ砕いた資料にしていただかないと、恐らく理論的な空論があったとして、それが忠実に現場の人間ができるかといったら、先生方、皆さんが考えていることとは多分ほど遠くなると思います。やはり高校の現場の人間としては、今の教科書タイプでこういうふうにやって教え込む指導、それから生徒の探究型にするというのは随分改革で、いろんな面であるのですけど、先ほどから小玉委員の方からもあるとおり、私も思うんですけど、今アクティブラーニングとかいうのがはやればはやるほど、あるいはディベートで相手に対してこういうふうにやって話すといったときにも、実は全て資料は自分の資料じゃないんですね。やはり研究する上においては、あるいは探究するというふうにおいては、先ほどから言っているとおり私も本当に同感です。数値的な資料の新たな導入の仕方が生徒はできていないんです。全て調べ学習で、こうやってそのまま提示しちゃう。ですから、そこをやはり高校の現場の人間としても打破しないとまずいかな。だから、よく今私なんかもやっているのは、実験等で例えば何々の法則というものの定数を求めろといった場合には、みんな全部調べさせるわけです。要するに定数ありきというところから入っちゃっているから今の学問があるんですけど、じゃ、定数はどういうふうな仕組みで出てくるかといったときに、それを全てやるというと誤差もあるでしょうし、その中でいろんな回答が出てきて、やっぱりすったもんだして、生徒の中の議論が高まるとか、そういうのを結構探究的なイメージで貫けているかなと思います。
  あと、いろいろ高校の現場の人間は手立てを模索しているんですけど、やっぱり手が届かないんですね。本音を言いますと。ですから、テーマの設定を決めるのが大変というのがやっぱりあるんですけど、抜本的にこの科目になるのであれば、結構私なんかの逆の発想でいうと、今の例えば本校はロボットコンテスト等で、これは非常に生徒が夢中でやるんですね。いかに早く物をつかんで、どこに移動させるかということを数理的に考えなさいというと、生徒は想像力をいっぱい発揮して、いろんな手立てを考えるんです。たまたま科学の甲子園というものの全国大会も今度公開種目で、落下傘がどういうふうに行ったならばゆっくり落ちるかということを考察しなさいと。これがテーマなんですけど、全部に与えられているから皆生徒がやる気になって、いろんな発想を持ってくるんですね。せっかくこのような高大連携の場になっているのであれば、例えば大学が高校に期待する、こういう種目的な目標値、具体的な目標値を高校に提示していただけると、結構みんな努力するんじゃないかなというのを先ほど思っていたんです。ですから、新たなそういう別の視点から打破できるような、生徒の方のやる気を出させる、高校の教員も登れるような山を抱かせていただいたら採用幅が増えるかなというのが最後本音なんです。
  以上です。
【岡本主査】   
  議論は尽きないんですけど、一応ここで切らせていただきます。
  簡単に整理すると、最初のこれは大きな問題ではあるんだけれども、科学なのか理科なのか、研究なのか探究なのか、総合なのか融合なのかという議論が出てきたわけです。これを議論し出すと延々と議論できるんだけど、これは教科だからどこかでまとめておかないといけないということが確かにあると。その上でもう一つ言うと、テーマをいろいろ設定するという話と作法という話が出てきて、これは相対応するわけじゃないけど、テーマか作法なのか。あるいは特別な人だけ探究をするのか、いや、そうじゃないんだ、みんなに対してやるのかというようなことを五つぐらいも挙げたんですけれども、今後のテーマになるのかなということでまとめとさせていただきます。どうもありがとうございました。
  ということで、いろいろな意見も頂いたわけですけど、本日はここまでということで、頂いた御意見については、事務局で論点ごとにその趣旨を整理していただくようお願いしますとここに書いてあるんですけど、こんなことを頼んじゃっていいのかなと思いながら、さっきの整理で協力はさせていただきますが。
  なお、限られたうちでの討論だったので、もしも何かあればペーパー等で事務局にメール等でお送りいただければと考えております。
  本日予定された議事はここまでということにさせていただきますが、最後に次回以降の日程などについてよろしくお願いします。
【米原教育課程課長補佐】    次回の日程でございますけれども、今のところ4月13日水曜日、17時から19時を予定しております。場所につきましては、決まり次第御連絡をさせていただきます。
  また、主査からもお話がありましたけれども、ペーパーによる御意見等も頂戴したいと考えておりますので、ファクス、又はメール等でお寄せいただければと考えております。なお、本日の配付資料は、机上にございます封筒に入れてそのまま置いていただければ、後ほど郵送させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  以上でございます。

【岡本主査】    事務局から特によろしいですか。
  では、本日はどうもありがとうございました。また引き続きよろしくお願いいたします。だんだん絞られてきたかなという気がします。
  どうもありがとうございました。

──  了  ──

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