教育課程部会 高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チーム(第2回) 議事録

1.日時

平成28年1月21日(木曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 数理探究(仮称)の基本的な考え方について
  2. その他

4.議事録

【岡本主査】    お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。定刻よりちょっと早いのですけれども、これから、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チームの第2回を開催させていただきます。
  本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、改めて御礼を申し上げます。
  最初に、事務局から、前回欠席された委員の紹介と、配付資料についての確認をお願いします。
【米原教育課程課長補佐】    それでは、前回御欠席の委員の紹介をさせていただきます。大島まり委員でございます。
【大島委員】    東京大学の大島です。前回は欠席いたしまして、失礼いたしました。よろしくお願いいたします。
【米原教育課程課長補佐】    続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から7、そのほか、机上に参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。
  なお、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中には、本特別チームの審議に当たり参考となる、関係する審議会の答申や関係資料、関連資料等をデータで入れております。
  以上でございます。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  初めに、本特別チームの審査等につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開により、議事を進めさせていただきます。同時に、第6条に基づいて、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱いさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  なお、本日は、報道関係者から会議の撮影及び録音の申出があるので、それを許可しておりますので、御承知おきください。
  それでは、早速、議事に入ることにして、きょうは議事次第にありますとおり議事は形式的には1点しかないのですが、その前に、教科別ワーキンググループ等の検討状況について御報告をお願いして、それを頂いた後に、議題(1)として、数理探究(仮称)の基本的な考え方についての意見交換を行うと、こういう手順でやっていきたいと思います。
  まず、教科別ワーキンググループの検討状況についての御報告をお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、資料7を御覧いただければと思います。現在、22の専門部会がそれぞれ御議論を頂いておりまして、各教科で育成すべき資質・能力、教科ならではのものの見方・考え方とは何かというような御議論を頂いているところでございますけれども、そういった教科、あるいは学校種を超えて、教育課程全体としては、社会に開かれた教育課程という観点から目指していくということでございますので、幾つか、教科横断的あるいは学校種を超えて考えていただきたい事項というのが、出てまいります。それについては総則・評価特別部会において御議論いただいて各チームにつながせていただくというようなことになっておりまして、本日は、資料7に基づきまして、特別支援教育、それから、本特別チームに関連が深い、情報に関わる資質・能力、それから、直接関係するということではございませんけれども、健康・安全に関わる資質・能力ということを、全てのチームにおいて踏まえていただきたいということですので、御紹介をさせていただきます。
  資料7、1枚おめくりいただきますと、特別支援教育、主に特別支援教育部会においてこれまで御議論いただいた内容をまとめて、総則・評価特別部会で御了承いただいたものでございます。この中には、各教科等の目標を実現する上で考えられる困難さということも含めて、御審議を頂いたところでございます。
  2ページ目以降でございますけれども、マル1、これは後ほど少し詳しく御説明をさせていただきます。それから、マル2、通級による指導や特別支援学級の意義、これらをより、学習指導要領を見たときに、構造を分かりやすくしていくべきということ。それから、3ページ目の下でございますけれども、4月からの障害者差別解消法の施行に伴い、学校現場においても合理的配慮の提供ということが必要になってまいりますので、こうした考え方を全ての教職員が共有できるように、4ページ目にございますように、その基本的な考え方や合理的配慮の提供について、指導要領においても記載していくという方向性でございます。また、特別支援教育コーディネーターを中心とした校内体制の確立でありますとか、5ページ目にございますような共生社会の形成に向けた障害者理解、交流、共同学習の一層の充実ということに関しましても、記述を充実させていくという方向性でございます。
  各教科に関連する事項といたしましては、18ページ目でございます。「各教科等における障害に応じた配慮事項について」ということで、現在、総則のみにおいて障害別の配慮の例ということを示しているところでございますけれども、インクルーシブ教育システムの構築という観点からは、これをより一層進めまして、各教科等においてきめ細やかに配慮ということが行われるようにしていくということ。それから、障害別の配慮ということのみならず、学習の過程で考えられる困難さごとに示していくということでございます。困難さの例ということで、そこに、情報入力でありますとか、情報のイメージ化、情報統合などなどが例示されてございますけれども、より具体的には、19ページ目以降でございます。例えば、19ページ目の下の方に、算数科の例、小学校の例でございますけれども、例えば、同系色の方眼紙の目盛りが読み取りにくいなどの困難さがある場合に、正しい位置に印しが付けやすいように、罫線の色を変更したりですとか、考えられる困難さの状態に対する配慮の意図と手立てが具体的になるように、指導要領及び解説で示していくべきではないかという方向性でございます。現在、小学校のみまとめさせていただいておりますけれども、今後順次、中学校、高等学校についても、同様に教科ごとに、関係の先生方の御協力を得ながらまとめさせていただく方向性でございます。
  続きまして、21ページ目まで特別支援のページをおめくりいただきますと、「情報に関わる資質・能力について」ということで、ページ数が1から振り直されているページがございます。右上に、1月18日、資料2-1という枠囲みのあるページでございます。
  情報活用能力でございますけれども、全ての教科に関わるものとして、しっかりと充実させていくということ。また、現在、各教科の学びのプロセス、学習活動の在り方についても御議論いただいておりますけれども、その中で、ICTの特性を生かした、ICT活用ということもしっかりと図っていっていただきたいということでございます。
  1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございます。ICT活用の特性・強みということで、多様で大量の情報を収集したり、まとめ表現したりすることなどができ、カスタマイズが容易であるということ。あるいは、空間や時間を問わずに、音声・画像データ等を蓄積・送受信できるという、そういった制約を超えるということ。距離に関わりなく受信・発信ができるという、双方向性を有するということ。これらの特性・強みを効果的に生かすという観点に立ちますれば、アクティブ・ラーニングの視点に立った深い学び、対話的な学び、主体的な学びの実現に大きく貢献できるのではないか。あるいは、個々の能力や特性に応じた学びの実現、地理的環境に左右されない教育の質の確保、こういったことに大きく貢献できるのではないかという観点でございます。
  3ページ目には理科の例を少し示させていただいておりますけれども、現在、教科ごとに、こうした育成すべき資質・能力を育むための学びのプロセスの在り方を御議論いただいております。こうした中でICTを効果的に活用することで豊かな学習を実現するとともに、情報活用能力の育成を図るということ。
  めくっていただきまして、4ページ目、少し具体的な効果的活用の例ということでございますけれども、例えば、他校や海外の方と交流したり、協働で意見を整理したり、プレゼンテーションを行ったりという、対話的な学びをより促進するという側面。あるいは、課題の把握やデータ分析などなど、深い学びということを一層促進する側面。あるいは、自らの学びの振り返りに活用するという、主体的な学びを促進するというような側面。あるいは、左下にございますような、個に応じた学習などに活用できるという側面。こうした効果的活用の例を念頭に置きながら、各教科においてICT活用の在り方も御議論いただきたいということでございます。
  情報に関わるものの二つ目でございますけれども、情報活用能力、5ページ目の上にございますけれども、これまで、情報活用の実践力、情報の科学的な理解、情報社会に参画する態度ということで、情報と情報技術に関する資質・能力ということでおまとめを頂いておりますけれども、これを今回の指導要領改訂に向けた「論点整理」の三つの資質・能力の柱に沿って整理をし直したものが、5ページ目でございます。情報を活用して、問題を発見したり、解決したり、考えを形成したりする過程や方法についての理解などなど、こういった形で再整理を情報ワーキングにおいて頂いたところでございます。
  そして、これを7ページ目にございますような発達の段階に即して育んでいくということ。小学校段階におきましては、「さまざまな問題の発見・解決の学習を経験しながら、そこに情報や情報手段が活用されていることや、身近な生活と社会の情報化との関係等を学び、情報や情報手段によさや課題があることに気付くとともに、情報手段の基本的な操作ができるようにするなど」ということでございます。中学校になりますと、中学校に即した資質・能力の育成ということ。特に技術・家庭科の技術分野におきまして、プログラミングなど、デジタル情報の活用と情報技術を扱う学習ということが中核となってくる部分があるということでございます。また、高等学校につきましては、情報科の共通必履修科目というふうに書かれてございますけれども、情報あるいは情報技術を問題の発見と解決に活用するための科学的な考え方を育てる共通必履修科目、これまでは情報の科学ということが選択科目でございましたけれども、これを共通必履修科目として全ての高校生が共通に学ぶ内容としていくという方向性で御検討を頂いております。本特別チームの検討ともかなり深く関わってくる部分でございますけれども、こうした方向性で議論を進めさせていただいているところでございます。これらを、学校のリソースのみならず、社会と連携する中で実現していくということでございます。
  8ページ目以降は、より具体的に、各教科において情報に関わる資質・能力、これは、ICTということのみならず、情報を活用して考えをまとめたり、表現したりするというような力も含まれるわけでございますけれども、今後、各教科において、こういった御覧のような方向性の中で充実を図っていくということ。9ページ目には、算数・数学、理科の例もございますけれども、御覧のような視点から充実を図っていくという方向性でございます。
  続きまして、参考までに、健康・安全についてということもございます。情報に関しては47ページ目までございまして、その後でございますけれども、総則にございます体育・健康に関する指導ということで、これを教科横断的にどう図っていくかということでございます。情報の47ページ目の後の1ページ目から更に振り直されている資料でございますけれども、その4ページ目を御覧いただきますと、4ページ目の上側に、今回の資質・能力の三つの柱に沿った、安全に関する資質・能力、進んで安全で安心な社会づくりに参加し貢献しようとする力ということでございますけれども、これをこういった三つの柱に沿って整理をした上で、さらに5ページ目の下にございますようなカリキュラム・マネジメント、特定の教科のみならず、体育・保健体育科を中核としながらも、特別活動、社会科、理科などをしっかりと関連付けながら、防災を含む安全に関する教育の充実を図っていくというような方向性でございます。食育、それから保健に関する教育ということも同様に整理をされておりますので、こういった教科横断的な視点も少し踏まえながら、それぞれ22の専門部会で検討を進めるという方向性でございます。
  それでは、続きまして、平野さんの方から。
【岡本主査】    お願いします。
【平野教育改革調整官】    失礼いたします。それでは、議題に関連いたしまして、前回の議論で御指摘を頂きました、スーパーサイエンスハイスクールの成果についてというところと、数学活用及び理科課題研究がなぜ余り活用されてないのかという点について、まず御説明させていただいて、本日の議題の関連の資料の説明に入らせていただきたいと思います。
  まず、資料2を御覧いただけますでしょうか。「SSHの成果に関する調査結果等」と題した資料でございます。表紙をおめくりいただきまして、2枚目でございますけれども、真ん中より下の枠囲みのところに実施による効果というところがございまして、特に、生徒の科学技術に対する興味・関心や姿勢、それから生徒の進路に対しての効果が上がったというようなことが書いてありますが、よく詳しく見させていただきますと、4ページ目以降でございます。資料の4枚目、「スーパーサイエンスハイスクールの成果について」、意識調査のマル1というページを御覧いただけますでしょうか。これはスーパーサイエンスの取組に参加している生徒に対するアンケート調査の結果でございます。SSHの取組によって、理科や数学に関する関心、あるいは、理科・数学には限りませんけれども、いろいろな汎用的な能力も含めて、そういったものに対する興味や姿勢というものがどのくらい伸びたかというようなことを聞いたものでございまして、上の左側の項目で見ますと、上から四つ、「未知の事柄への興味(好奇心)」ですとか、「科学技術、理科・数学の理論・原理への興味」「理科実験への興味」「観測や観察への興味」といったような、理科・数学に直接関係するようなものについての興味・関心が「大変向上した」「やや向上した」というような数値が高いということはもちろんのことですが、その下に掲げてあるような能力についても、おおむね高い数値が出ていると。ただ、一番下の「国際性」については若干弱いと。これは、スーパーサイエンスハイスクール自体が、国際性を取り入れた取組をやっているところもございますけれども、必ずしもそれが要件とされていないということが影響しているのだろうと思っております。
  もう1枚おめくりいただきまして、5ページ目でございますが、今度は同じ項目について教員の側がどう受け止めているかという数値でございまして、これはかなり、生徒と比較しますと、高い数値が出てきていると。これは恐らく、生徒は比較対象がないというのもあるのですけど、教員の場合はほかの生徒などと比較して判断することができるので、ほかの生徒やほかの学校と比較した場合にかなり高い成果か出ているというふうに、教員は評価しているのではないかと思われます。
  それから、6ページ目でございますけれども、今度は進路の関係でございます。これは、スーパーサイエンスハイスクールを卒業した3年後の生徒に対して、あなたが選んだ現在の専攻あるいは職業というものに何がSSHの取組の中で影響を与えたと考えているかというのを聞いたものでございまして、赤い枠囲みで書かせていただいております課題研究の部分ですとか、その課題研究の成果をプレゼンするための学習、こういったものがかなり今の進路選択に影響したと回答している割合が高いというような数値が出ております。
  それから、もう1枚おめくりいただきまして、7ページ目でございますけれども、左側は同じように卒業後3年目の卒業生でございますが、そのうち大学2年生及び3年生に在籍している方の数値でございまして、棒グラフで見ますと、全体の次の理系学生のところを見ていただきますと、平成23年にSSHを卒業した学生のうち、大学2年生、3年生の時点で大学院の進学を希望している割合というのは、48.2%、約半数ということでございます。理系全体の一般データと比較しますと、この時点でほかの学生さんは大体、19%、2割ぐらいということでございますので、かなり進路の意識として大学院進学希望の割合が高くなっていると。
  それから、右側は実際に大学院に進学した方の割合ということでございますが、これは卒業後5年目ということでございますけれども、SSH卒業生の方で理系の方に限った場合、実際に大学院に進学した方が80%ということでございます。一般の大学生の理系の進学率で言いますと28.9%ということでございますので、単純に比較はできないと思うのですけれども、かなり進学動向には影響を与えているだろうということが見て取れるデータでございます。
  続きまして、資料3でございます。現在、数理探究についての御議論をお願いしているわけでございますが、これに、ベースとなりますというか、かなりコンセプトが似通った科目として、現在、数学活用ですとか、理科課題研究という科目があるわけでございますが、真ん中にございますように、実際に開設されているかというところを見ますと、余り開設されていないという状況にあるところでございまして、そういった原因についてはどう考えているのかという御指摘を前回頂いたところでございます。これについて特に、今回、統計的な調査、バックデータがあるというわけではないのですが、関係者からの意見を聞き取ったところ、次のような意見が多く出てまいりましたので、少し紹介させていただきます。
  まず、数学活用ですとか、理科課題研究という科目について、大学入試の際の入試科目として設定されていないというのが、やはり理由としては大きいのではないか。それから、理科課題研究に関して申し上げますと、高校の場合ですと一クラス40人いるわけでございますが、それを一人の教員で見るというのはなかなか難しいというような御意見。それから、理科の課題研究を実施するための、実験器具等も含めて、設備というものが高校では十分に備わっていないというような状況。それから、カリキュラム的にかなり厳しい状況で、課題研究をやるための時間数を確保するというのはやはり難しいと。それから、これは共通の課題でございますけれども、数学活用ですとか、理科課題研究を教え得る教員、そういったノウハウを十分に備えている教員というのが十分にいないというようなことがありまして、各高校とも開設をちゅうちょしているといいますか、なかなか開設は進んでいないという状況にあるというような結果でございます。
  次は、資料4を御覧いただけますでしょうか。これから本日御議論をお願いしたい議題に入っていくわけでございますが、まず、資料4の一番上、表題のすぐ下に書かせていただいておりますのは、昨年8月にまとめさせていただいた「論点整理」で言われている、数理探究についての記述内容でございます。「高等学校教育においては、スーパーサイエンスハイスクールにおける取組等を踏まえつつ、生徒の興味や進路に応じて、数学科の枠を越えた科学的なテーマに徹底的に向き合い考え抜く力を育成するため、大学入学者選抜の改革や「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に向けた動きも踏まえつつ、数学と理科の知識や技能を総合的に活用して主体的な探究活動を行う新たな選択科目「数理探究(仮称)」の設置を検討することが求められる」とされたわけでございます。
  これをイメージで示させていただいたのが資料5ということでございますが、ここで新しい教科・科目として数理探究を設置するという方向で検討が必要になっているわけでございますが、新しく教科・科目を設置するに際してどういった議論が必要なのかということで、参考までに生活科の例を御紹介させていただこうと思います。参考資料2を御覧いただけますでしょうか。
  よろしいでしょうか。参考資料2でございます。「生活科の基本原理」という、青い帯の表題になっているものでございます。生活科につきましては、平成元年の学習指導要領改訂で新設された、新しい教科でございます。小学校の1年生、2年生、いわゆる低学年の理科と社会科を統合して新設した教科ということでございます。その考え方といたしましては、小学校低学年の教育の在り方全体というものを見た場合に、その発達特性などを踏まえた場合、教科を集約して再構成した方が適当であるというような考え方に基づくものでございます。ただ、これを実際に教科化するまでにはかなり長い検討が行われまして、内容を融合するというのは比較的簡単だったのですけれども、それを貫く理念ですとか、基本的な考え方というのを確立するのに少し時間が掛かりまして、ようやく平成元年の段階で実現できたと。そのときの生活科の基本原理といたしましては、マル1、マル2、マル3とございますように、「児童が自分たちとの関わりにおいて人々(社会)や自然を捉え、児童の生活に即した様々な活動や体験を通して社会認識や自然認識の芽を育てるとともに、そのような活動や体験を行う中において自己認識の基礎を培い、生活上必要な習慣や技能を身につけさせ、自立への基礎を養う」ということでございまして、教科独自の視点なり、それを実現するための手立て、それを通じて身に付けさせようとする資質・能力というようなものを整理して打ち出していく必要があったということでございます。
  2ページ以降が今の生活科がどういった目標・内容構成になっているかということになってございますが、ちょっと飛びますけれども、4ページを御覧いただけますでしょうか。生活科の内容構成の基本的な視点としてこの三つを掲げさせていただいておりまして、さらに内容構成に当たっての具体的な視点というのがアからコまであると。1枚おめくりいただきまして、5ページでございますけれども、生活科の内容を構成する具体的な学習対象として、ここにございますように、マル1からマル15まであります。
  こういったものを勘案いたしまして、6ページでございますけれども、学習指導要領において生活科の学習内容として示すものを階層化しておりますが、九つほど内容を整理させていただいていると。
  更におめくりいただきまして、7ページ目でございますけれども、6ページ目に掲げさせていただいております九つの内容に即して、それぞれ、学習対象・学習活動等、思考・認識等、能力・態度等というものを構造化しているというような状況でございます。これは現行の学習指導要領でございますので、真ん中と右側、思考・認識等、能力・態度等については、現在、知識・技能、思考力・判断力・表現力、情意・態度といった、新しい三つの柱に沿ってこれをまた整理し直すという作業を生活のワーキングの方でやっているわけでございますが、いずれにしても、こういった学習対象や学習活動、そこで身に付けさせる資質・能力といったようなものを整理していく必要があるということでございます。
  資料4にお戻りいただきまして、先ほどの「論点整理」の記述の下のところに、枠囲みで三つほど並べさせていただいております。一番左側は、こういった数理探究の科目の設置が「論点整理」で出てきた、いわば背景的なものというふうにも言えるかと思うのですが、まず、同じく「論点整理」でございますけれども、そういった中で言われております、これから資質・能力をきちんと整理していこうという議論が行われているわけでございますけれども、「教育課程全体や各教科等の学びを通じて「何ができるようになのるか」という観点から、育成すべき資質・能力を整理する必要がある。その上で、整理された資質・能力を育成するために「何を学ぶのか」という、必要な指導内容等を検討し、その内容を「どのように学ぶのか」という、子供たちの具体的な学びの姿を考えながら構成していく必要がある」ということでございまして、新設教科だけではなくて、今ある既存の教科についてもこういった資質・能力をきちんと構造化して整理していこうという議論が行われているわけでございます。
  これについて、ちょっと長くなって恐縮なのですけれども、ほかのワーキングで今どういう議論がされているかというのをちょっと御紹介させていただければと思います。
  まず、関連の深いところで申し上げますが、理科のワーキングの検討状況でございますが、参考資料3から6までが理科における今の検討の状況でございまして、参考資料3、「理科の教育のイメージ(案)」という、横の資料がございます。こちらにつきましては、小学校、中学校、高等学校、それぞれの卒業段階で理科を通じてどういった力を身に付けさせるか、卒業の段階でどういったところまで到達させるかというような、イメージ図を整理したものでございます。こういったところで議論をしていく中で、特に高校につきましては、基礎と応用と高度に分けて書いてございますけれども、基礎については、共通必履修科目のような形で、特に文系・理系関わりなく高校生全員が共通に身に付けるべきもの。応用となるのは、主に理系を念頭に置きまして、理科の選択的な科目を履修した場合。さらに、高度となりますと、これは、理数科ですとか、今回新設を検討している数理探究というようなものを履修するような、かなりレベルの高いところまで目指した場合というように、少し整理して考えてみてはどうかということでやっているところでございます。
  参考資料4の方は、今の発達段階ごとの到達の姿を資質・能力の三つの柱に分解した場合、どういったふうに考えられるかということでございまして、個別の知識や技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性等、こういったような三つの柱で整理すると、どういうふうな整理ができるだろうかというようなことを議論しているところでございます。
  それから、参考資料5につきましては、こういった資質・能力を育成するために、どういった学習の過程をたどらせるのが適当なのかどうかという観点から検討している資料でございまして、どちらかというと課題解決のプロセスというふうに言ってもいいのかもしれませんけれども、自然事象の把握、情報収集と分類というような課題把握(発見)のところから、実際の課題探究に入っていって、最後に課題解決。そして、適宜、見通しと振り返りをやりながら、やっていく。それぞれのプロセスの中でどういった資質・能力というものが必要とされるのか、そのプロセスでどういった資質・能力を育成することを目指すのかというようなところは真ん中に書かせていただいているものでございまして、こういったようなプロセスと合わせた資質・能力の議論もしているという状況でございます。
  さらに、参考資料6につきましては、理科の分野別に分けた場合に、どういった資質・能力、ものの見方・考え方が身に付けられるのかというようなものを整理できないかとやっているわけでございまして、今御説明いたしました参考資料3、4、5は、理科として教科全体、4分野共通のような資質・能力について議論しているわけでございますけれども、理科の場合は、高校では物科生地に分かれておりますけれど、小学校、中学校については、エネルギー、粒子、生命、地球というような形で物化生地の流れに沿って領域ができているわけでございますが、それぞれの領域ごとに、独特の方法、身に付けるべき、ものの見方や考え方というものもあるだろう。理科共通というわけではなくて、それぞれの領域ごとの違いというものがあるだろうということで、そういった違いは何だろうかということで、ちょうど前回、この資料を基に議論を始めたという段階で、本当にたたき台のたたき台のようなものですけれども、こういったような議論もなされているという状況でございます。
  それから、数学も関連が深いので御紹介させていただければと思うのですが、実は、数学については、あしたの午前中、この議論に入るということでございますので配付資料としてはお配りできませんでしたので、委員の先生方の右側のタブレットの下に机上配付資料として置かせていただいております。こういった2枚の算数・数学の資料があるかと思いますが、算数・数学についても、こういった形であすから本質的な議論を始めていくという状況でございます。同じように、小学校、中学校、高等学校の卒業時の資質・能力の姿、それから、それを個別の知識・技能、思考力・判断力・表現力、情意・態度等といったようなものに分けた場合、どういうふうに分類できるかというようなことを整理した資料でございまして、こういった議論を進めているというような状況でございます。
  ほかの教科につきましても、同じように、今見ていただいている机上配付資料の次のところに、生活科の資料、ホッチキス留めで2枚のものがあろうかと思いますが、生活科については、特に、幼稚園、幼児教育と小学校3年生、4年生、中学年へのつながりというものを意識して、どういうふうに系統立てていくか、内容の整合性をとっていくかというような議論がなされているところでございますし、済みません、資料があちこち飛んで恐縮でございますけれども、参考資料8を御覧いただけますでしょうか。
  参考資料8で教科別ワーキンググループ等における検討状況という資料がございますが、ここで言語能力の向上に関する特別チームと社会・地理歴史・公民ワーキンググループにおける資料を御紹介させていただいております。よろしいでしょうか。
  1枚おめくりいただきますと、言語能力に関して、これは、言語を直接学習の対象としております国語科と外国語科を念頭に言語能力についての資質・能力を知識・技能、思考力・判断力・表現力、情意・態度等に分けた場合、どういった整理ができるかというようなことを今議論している、資料でございます。
  1枚おめくりいただきまして、2枚目は、言語に関する資質・能力というものが、上のオレンジの方の流れは、テクスト・情報の理解ということで、読む、聞くというインプットの場面で、どういうプロセスの中でどういった、1枚目に掲げていたような能力というものが必要とされるのかと。下の方は、文章や発話による表現ということなので、アウトプット、書くとか、話すといったときに、同じような形でどういった能力が必要とされるのかというものを整理しようとしている資料でございます。話し合いなどというのは当然、聞くというのと話すというのを相互にやりとりしながら行きますので、必ずしもこの流れが、一方通行、順序性があるというわけではないのですけれども、モデルとしてはこういったモデル化が考えられるのではないかということで今議論をしているところでございまして、また、こういった議論を踏まえて、それぞれ、国語科、外国語科の教科別ワーキンググループでも同じような議論を始めているというところでございます。
  もう1枚おめくりいただきまして、3ページ目でございますけれども、今度は、社会、地歴、公民における、思考力・判断力・表現力についてでございます。社会科、地歴科、公民科につきましては、ここにありますように、マル1からマル4というような力を設定いたしまして、それぞれ細分化した上で、右側に色分けで矢印がございますけれども、小学校段階、中学校段階、高等学校段階で特にどういったところを重点的にやるかというようなことが議論されております。
  最後、4ページ目でございますけれども、それを、幼児教育、あるいは生活科も含めまして、小学校、中学校、高等学校段階でそれぞれどういうような発達段階をイメージするかというようなイメージ図でございまして、こういうような議論がなされている状況でございます。
  済みません、また資料4に戻っていただけますでしょうか。今度は、三つの四角枠囲みの真ん中、高大接続の関係でございます。平成27年8月の高大接続システム改革会議の「中間まとめ」におきましての記述内容の抜粋でございますが、ここでは「大学入学に向けた学びを、知識や解法パターンの単なる暗記・適用などの受動的なものから、学んだ知識や技能を統合しながら問題の発見・解決に取り組む、より能動的なものへと改革する」という基本的な方向性が示されておりまして、その中の一つとして、センター試験に代わる新テストの中に試験科目としての数理探究(仮称)というものに対応するような科目を実施すべきだというような方向性が打ち出されているという状況でございます。
  それから、一番右側の四角の枠囲みでございますが、こちらは平成26年5月に科学技術・学術審議会の学術分科会がおまとめいただきました「学術研究の推進方策に関する総合的な審議について」の中間報告の抜粋でございます。ここでは「学術研究による知の創出が基盤であり、それが充実して初めて経済的価値ないし社会的・公共的価値等を含むイノベーションが可能となる」ということが言われておりまして、こういった国力の源とも言えるような学術研究を充実させていくためにこれから学術研究はどういった点に配慮していかなきゃいけないかということの視点として、挑戦性、総合性、融合性、国際性といったようなキーワードが打ち出されております。挑戦性はいいかと思うのですけれども、総合性につきましては、いろいろ、既に伝統的に体系化された学問分野というものがあるわけでございますが、そこで確立された専門知識を前提としつつも、そういった細分化された知を俯瞰し、総合的な観点から捉えるという意味での総合性が必要だろうということと、融合性につきましては、異分野の研究者や国内外の様々な関係者との連携・協働ということが必要だという意味での融合性、それから国際性については、世界の学術コミュニティーにおける議論や検証を通じて研究を相対化していくという意味での国際性が必要ではないかというようなことが言われていたわけでございまして、特に異分野融合については、「かつての分野を合算したものではなく、まったく新しい知の体系的構造に発展するものである。これは、結果を見通したものではなく、交流と連携、その拡大と新しい問題の発見から、さらなる交流と連携が生まれ、総合化と融合とがボトムアップ的に起こることを示している」というようなことが示されているわけでございます。
  実際にSSHの取組内容もこういった観点から行われているものが幾つかございまして、例えば、ここに立命館高等学校の例がございますけれども、約20か国から参加校を集めまして、科学交流(課題研究の口頭発表、ポスターセッション、ワークショップ等)をやって、かなり国際性を意識しているような取組。それから、山形県の米沢興譲館でございますけれども、校内だけで完結する課題研究ではなくて、大学や科学関連企業等と連携して、実際に大学の研究室に入り込んで、そこでしばらくの間、研究活動をやらせてもらうというようなことをやっております。そういったような探究活動をかなりチャレンジングにやっているというような例。それから、探究型融合教科としてグローバルサイエンスというものを設置いたしまして、理科の4分野を融合した新しい、グローバルサイエンス自然科学やグローバルサイエンス課題研究といったような科目を作って実施している、京都の桃山高校のような例もあるところでございます。
  こういったような状況を考慮いたしまして、数理探究という新しい教科・科目を考えていく際の固有の視点あるいは基本的な考え方というものについて、一番下の枠囲みでたたき台を示させていただきました。まず、数学で培う数学的なものの見方・考え方、理科の4分野の学習を通じて培う科学的なものの見方・考え方、これは当然重なる部分があるわけでございますけれども、これらを総合して用いるという意味での総合性、さらにはこれを融合していくというような観点、さらには、挑戦性、国際性。それから、一番右側の感性や多様性に支えられた質の高いアイデアの創発というところに関しまして、本日御欠席ではございますが、机上に参考資料として、塩瀬委員の新聞の記事を用意させていただきました。「国際バカロレアの期待」ということでございますけれども、ここで言われておりますような多様な価値観の中で議論する力というようなものを保持すべきではないかという新聞の論考でございますけれども、こういったものの視点も一つ取り入れまして、新たなものやアイデアというものを生み出すための多様性というような意識も少し加えた上で、こういったものを動員した上で、知的・文化的価値、経済的・社会的・公共的価値、そういうような生み出すものを目指すというものをこの数理探究の固有の視点として考えてはどうかというのが、まず1点でございます。
  さらに、二つ目の黒ポツでございますけれども、挑戦性、総合性、融合性、国際性、あるいは感性や多様性に支えられた質の高いアイデアといった観点から、資質・能力を育てていくと。そのための具体的な手立てとして、どういったカリキュラム構造、先ほど生活科の例で見ていただきましたけれども、目標、内容構成、学習対象及びこれらにより育まれる資質・能力というものをどう考えていくべきか。
  こういったところについて、今後、議論をお願いしていきたいと思っているところでございまして、本日は、まずは資料4の考え方について御議論いただいて、この二つの黒ポツについての御意見も賜れればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  それでは、これから意見交換の時間とさせていただきます。時間は随分、1時間以上あるので、じっくりとやっていきたいと思います。御意見のある方は名札を立てていただくということで、もう早速立っていますが、順次指名をさせていただきます。発言が終わりましたら元に戻していただいて、スイッチをつけっ放しにするとだんだん聞こえなくなってくるので、発言の後はオフにするということでやっていきたいと思います。
  じゃあ皮切りに、小玉先生、お願いします。
【小玉主査代理】    今回もトップ発言ということで、頑張りたいと思います。
  今御説明がありました、資料2、資料3について、SSH校、該当校として補足説明をするとともに、きょう御提示いただきました資料4、数理探究(仮称)の基本的な考え方について、一言述べさせていただきます。
  まず、資料2、「SSHの成果に関する調査結果等」ですけれども、1枚めくっていただいて、2ページの上の枠囲みのところに書いてありますけれども、大前提として、SSHは、「特に優れた才能を有する人材の発掘・育成」、これを目標にスタートしておりますので、現在、SSH校、全部で203校だったかと思いますけれども、ほとんどが、学習到達状況の高い、いわゆるトップ校、各都道府県のトップ校がやっているというふうな状況をまず踏まえる必要があるのかなと思います。我々が検討する仮称数理探究についてはいろんな学校が学べる科目とする必要があると思いますので、トップ校がやっているSSHの課題研究というのがそのまま参考にならない場合もあるということをまず踏まえておく必要があると思います。
  それから、資料3ですけれども、理科課題研究あるいは数学活用の開設状況ですね。多分、前回、小谷委員が御指摘をされたと思うのですけれども、非常に、開設状況、履修率が低いのではないかというふうなことで、このようになってはならないというふうな御指摘があったかと思いますけれども、資料3の下に書いてあるのは、そのとおりなのですね。SSHでやる課題研究、課題研究をやらなければならないので、本校の場合は、理数科40名を数学・理科総動員、それから英語も加わって、実は今、本校の生徒、シンガポールに行って、あす英語で研究発表をすると。シンガポールの非常にレベルの高い高校で発表するというふうなことで、今、教頭が引率をして行っておりまして、残念ながら私は会議があるので行けなかったのですが。ということをやっているのですけれども、総動員で理数科を指導しても、本当に大変な状況があるということです。まして、普通の科目の場合は一人で40人を担当しますので、一人で40人の課題研究を指導するというのは非常に難しい。できません。それから、我々佐倉高校の数学、理科、英語の先生方が寄ってたかっても、最先端のことを研究しますのは、できない。そこで、さっきほかのSSH校の事例がありましたけど、できないのです。できないから、大学に泣きつく、企業の研究所に泣きつくというふうなことで、泣きついたところ、快く協力していただいている大学・企業がたくさんあって、本当に助かっている。その成果をもって、本校の生徒があすシンガポールで発表するというふうな状況なのですね。ですから、課題研究そのものを持ってくると、そう簡単にはいかないということですね。
  それから、指導のノウハウが確立してないというのがありますけれども、指導のノウハウは結果的に、後で御説明しようかと思うのですけれども、我々は、最先端の内容については、あるいは、どんな論文があるか、どんな先行研究をやるかについては十分把握できないのだけれども、指導のときに重要な資質・能力については、だんだん身に付いてまいりました。簡単に申し上げますと、本校の場合は八つのポイントがありまして、一つ目は科学的に解決できる課題。できない課題を見付けてくる子もいるのですね。到底できないだろうというふうなものでは困るのですけど、科学的に解決できる課題を見付ける力が、まず第一番目です。2番目に、課題を見付けたら、今度は、その状況をよく、自然を偏りのない目で見る力です。例えば、宗教的に偏った考え方とか、昔よくありましたけれども、偏った目で見ると、研究にならないのです。偏りのない目で見る力が2番目。3番目は、自然の事物・現象を実験・観察・調査等により調べる力。きちっと調べ上げる力ですね。これが必要になってきます。次に、仮説を立てて、検証する力ですね。これが必要になってきます。その次に、調べた結果を幾つか表現する。例えば、論理的に判断・思考する力、それから、図表・グラフによって表現する力、調べた結果を数式化する力。数学で数式化してやらないと、どうしても解決できないものがある。数式化する力。それから、調べた結果をモデル化する力、結論を導く力、それを表現する力というふうなことに大体整理できて、この指導は高校の教員ができるようになってきました。ですから、最先端の内容については本当に専門家に聞くしかないのだけれども、それを、今の段階を踏まえて、過程を踏まえて、きちっと整理をして、発表する、表現するところまではできてきたということが言えるかと思いますので、仮称数理探究では、この点、今の課題を解決するステップ、これをいかにトレースさせるかということが一番重要だと思います。そのときに適切な教材を提供する。指導要領では多分例示することになると思いますけれども、適切な教材を例示するということになるかと思います。
  もう一つ、すごく大事なことなのですけれども、履修率がすごく少ないというものを解決する一つの策としては、総合的な学習の時間がありますけれども、これと数理探究が目指すものは、ほぼニアリー・イコールだと思うのですね。課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力。ですから、是非これは代替していただかないと、入りません。もう、いっぱい、いっぱいです。今、高等学校、週33時間以上やっている学校が約40%あります、普通科で。私、全国普通科高校長会の教育課程研究委員会の委員長で、全国調査をしたのですけれども、調べたら、1週間、6時間でずっと終わるという、週30時間は少数派です。みんな仕方なくて33時間以上やっているというふうな状況の中で、もう1個、数理探究が入るかというと、入りません。となると、狙いが同じ総合的な学習の時間の代替ですね。今、課題研究は代替できることになっていますので、代替を是非うたっていただかないと困るかなあというふうなことかと思います。
  幾らでもしゃべれるのですけれども、そこまでにしておきます。また後ほど。
【岡本主査】    高校の現場からのお話ですけど、よろしいでしょうか。
  ほかに、どんな御意見でも結構ですけれども。
  井上先生、お願いします。
【井上委員】    きょうの資料を見て、数理探究を大学入学希望者学力評価テストの中の教科に入れるということで、すごく驚いた次第でございます。
  もう一つは、ここにSSHの取組例を挙げておられますけれども、これをまた同じような内容で取り組みますと、また採択してくださる高校が少なくなるのかなあというふうに危惧する次第です。
  そのような中で、私の方で、1点だけなのですけれども、数理探究ですので、自然の摂理をいかに理解するかというところが、当然大きな、フォーカスすべき点だと思うのですけれども、一方で、全て何でもオーケーだということになりますと、実施する方もなかなか難しく、また、数理探究のイメージが湧かない先生もたくさんいらっしゃると思うのですね。そういう中で、ここから先は奇論なのですけれども、奇説と言ってもいいですが、例えば、我々、インドの教科書調査をずっとやってきているのですけれども、日本とは学生が違うのですが、インドの教科書というのは、当然、日本と比べられないのですけれども、政策要請とか産業要請というところの内容を酌み取ったような教科書ができております。それがいい悪いは別としまして、フィールドをある程度絞り込むと。先ほど小玉先生がおっしゃいましたように、学習指導要領の教材の例示のところなんかはある程度、政策要請並びに産業要請のところを重点に置いてもいいのではないかというふうに、奇説だというのはよく分かっておりますけれども、そのようにも感じております。と申しますのは、何でもやっていいということになりますと、SSH、私どもたくさん見させていただいておりますけれども、余りにもフィールドが大きくなり過ぎまして、今度は深さが出てきていないというところが見て取れますので、当然のことながら、学力評価テストに組み込むということまで含めると、ある程度、フィールドを絞り込んだ方がいいのではないかというふうに感じております。
  以上です。
【岡本主査】    学力評価テストそのものにすぐ組み込むかどうかというのは必ずしも規定路線ではないと思うのですが、済みません、それはいいとして、御意見を頂きます。
  大路先生、お願いします。
【大路委員】    前回、SSHの成果について質問させていただいた大路ですけれども、特に、かなり時間がたった後も理数に対する、研究面というか、大学院に行くモチベーションが非常に高い学生さんが多いというデータ、実際に効果が上がっているというデータ、初めて私は目にしたのですけど、その理由を私なりに考えると、理科的な研究をすることが面白いと、好きだという動機付けがそこにあって、高校でSSHをやって、それ以来ずっとそういうことに接してきて、そういうものが面白いと感じたということが非常に大事で、皆さん御存じのとおり、小中高と上がるに従って、もともといろんな自然現象とか理科が好きだという生徒がどんどん減っていくわけですね。それはいろんな理由があるのでしょうけど。でも、SSHをやることによってそういうものが面白いというモチベーションがずっと保たれたというのは、非常に大事なことだと思うのですね。
  大学からのたわ言として聞いていただいて、現実にはそんなものは無理だと言われるかもしれないのですけど、実際の、自分で見たり、体験したり、そして得たデータというのを自分で扱って、それがうまくいくか、いかないかは別として、とにかくそこで何か自分で生み出してという過程がやはりそういう感動を与えるのではないかと思っていて、テキストブックに既に例示されたものがあって、それに乗っかってやって答えが出ましたというのでは、感動は非常に薄れてしまうと。だから、どういう形でもいいのです。例えば、1週間に1回そういう科目ができなければ、大学ですとセミナーみたいな形でエキストラの時間に興味のある生徒だけを集めて講義をやるみたいなことをやるのですけど、そういうものは高校で可能かどうか、私は全然知らないのですけど、そういった形でも少数の人を集めて授業ができて、そういう形で指導ができれば、全員やろうなんていうのは難しいのは現実的に分かるのですけど、やっぱり実際の、何か手を下して自分で自らやるということが、私は大事だと感じました。まあ、そんなところです。
【岡本主査】    竹内先生、どうぞ。
【竹内委員】    竹内です。今の点に関連していると思うのですが、教材作りの難しさとも関連するのですけれども、まず初めに申し上げたいのは、今、大路先生がおっしゃるとおり、自分で何かをした経験ってすごく大事で、皆さんも教育現場ですごくそれをお感じになっていらっしゃると思います。数理探究(仮称)ということで、数理探究を見ていますと、やや大目的が高いところにあると。独創性を持ってというか、まさに研究の最先端とまでは行かないけれども、それのミニチュア版みたいなものを是非やってという感じになりますが、これは難しいという気がするのですね。とはいうものの、私も自分自身が卒論指導なんかをしていますと分かるのですが、初めは気乗りしなくて、何をやっていいかよく分からないのだけど、とりあえず、例えばですよ、いつもこうじゃないのですけど、何か先行研究、1個でも調べると、そこを取っ掛かりにずずずずっと一気に進むケースというのがあります、ティッピングポイントがあって。そこは必ずしも創造的ではなくてよくて、キーワードは来る。当然、先行研究はありますよね。そこから入るので、目的はすごくいいのですけど、研究者周りの人がいるとかなり高いところに設定してしまっちゃって空回りする可能性があるので、現場の教材レベルでは本当に、先行研究はとりあえず自分自身でデュプリケートするというのでもいいような気がします。ただ、学んでいる生徒さん本人のそれが伝わると、またやらされているな感が出るので、いわゆる種明かし的に、教員サイドはそういうのはちょっと知っているのだけれども、向こうにはやってもらったらいいのかなと。
  これに関連して、更に申し上げます。追加の一つ目ですが、ついこの間、とある高校の方から、総合的学習に関連したようなことで、社会科学周りで課題研究、調べ物研究をしている、5人ぐらいの高校生の方が来てくれまして、どことは言いませんけど、話していてびっくりしたのは、例えば、固有名詞を言うと分かってしまうので言いませんが。言いましょう。アイデアはすごくいいのですよ。いわゆる女性のファッションと女性の社会進出の関係。すごく分かりやすいテーマだし、私も興味あります、個人的に。ジェンダーの観点から言うとどうなのかという質問をしたときに、ジェンダーという用語を知らないのですよ。それだけいい言葉を。それはどうしてかと聞くと、現場の担当教員の方が必ずしも専門ではないので、どうしても基本的なキーワードをインストールできないまま進んじゃうのですね。それを考えると、先進的な、学生さんをシンガポールに送るぐらいすばらしいのであれば、本当に総掛かりでやっていらっしゃるので研究の最先端的なことはできるのですけど、現場でできないときに、追加の二つ目なのですが、いわゆる先行研究のミニチュアみたいなものをデータベース、皆さんもPDFにできるので、新しいシステムとかは本当に導入しなくていいので、PDFをアップロードするようなところがあって、インデックスさえ付いていれば、これと似たようなことをこっそりやってみようという形で、誰かがその中で、生徒さんの中でも、やる気にぱっと火が付いて、やってくれるのではないかということなので、済みません、まとめますと、何か自分の手でやるのが物すごく大事と。ただ、大学の研究者が考えるような研究の最先端をやろうとすると、できないと空回りしちゃうので、先行研究のデュプリケーションでいいので、そのデータベースが、教材というか、教員サイドのヒント集になれば結構いけるのではないかなと思いますので、大いに期待しつつも、大目標を余り高いところにしない方がいいかなという点でした。失礼しました。
【岡本主査】    実際、基本的な考え方をまとめていくので資料4に沿ってということなのですけど、ちょっと一瞬だけ。
  座長は黙っているようにしているのですが、研究というのは、皆さんだってそうだと思うのだけど、どれだけひそかに恥をかいているかという蓄積が大きいわけですよ、多分。だから、今の意見を伺っていて、ジェンダーという用語を知らなくて彼らも恥ずかしかったと思うのだけど、二度とそういう恥はかかないというので、非常にこれはいいことではないかと。聞きに来られた竹内先生はたまらんなと思ったかもしれないけれども、そういう側面ってありますよね、多分。みんな、うなずいていらっしゃる。
  済みません。大島先生、どうぞ。
【大島委員】    ありがとうございます。お願いが一つと、コメント二つなのですけど、お願いは、SSHの成果に関する調査結果、非常に興味深く見せていただいたのですけれども、これは是非続けていただきたいということで、これは卒業後5年なので、今のM1ですね。大体、理工系に進む学生というのは、就職のこともあって修士課程に進むというのが多いのですね。問題は、今、博士課程への進学が全国的に非常に落ちているので、実際に博士課程に進学するというのは7年後になるので、比較的多くの学生が修士課程に進んでいる中で、今、大体80%ということなのですけれども、この人たちが2年後にどれぐらい博士課程に進むのかというのを是非データとして、追跡は大変なのですけれども、していただけるとありがたいなということが1点です。
  あと、コメントは、資料4についてなのですけれども、数理探究というのは「数学と理科の知識や技能を総合的に活用して主体的な探究活動を行う新たな選択科目」ということで、これをどうやって科目として体系化していくかということが、一つ大事な観点だと思うのですね。その中で、数学と理科、参考資料にもまとめていただいたように、探究活動としてのフローがあると思うのですね。それを例えば数学と理科で個別にやる中で、これは総合していく数理探究なので、共通項がどこかということと、あと、これを新たに科目にするということは、その固有の視点がどこにあるかということだと思うのですね。数学と理科を統合して探究活動をすることの一つの大事なことというのは、実験とか観察を通して出てきたデータというものをどうやって分析するかということだと思うのですね。そこにはやはり数学的な力が入ってきますので、理科で個々の科目で例えばテーマで設定するなりで、自分たちが理科などで培った知識とともに実験をすることによって、一旦それをきちんとデータを通して分析して結論を導いていくという過程というのは一つ、多分これ特有のものになるのではないかなあというふうに思うので、そこをこの四つの視点の挑戦性、統合性、融合性、国際性の中の統合性、融合性、ある意味、各教科の縦串と数理探究としての横串がどういうふうになっているのかというのを少し、今後それが焦点にはなるかと思いますけれども、整理していくことが大事なのではないかなあというふうなことが1点目です。
  2点目ですけれども、SSHは一つの成果が出てきているので、これを教科として浸透させていくということが大事だと思うのですけれども、実際にこれを具体的に実践する際に、先ほどの資料にもありましたけれども、選択する人が少ないということもあって、実践する規模感というのですか、それを少し具体的にしていくことが大事なのではないかなあと思うのですね。例えばSSHですと、割と皆さん、2年間掛けてやりますよね。1年生からやって、2年で探究、学校によっては3年生が始まる前ぐらいに発表をするとか、選抜された生徒さんは夏休みに全国大会で発表するということもありますので、1年単位ではなくて、割と長い単位でやっているので、年数をどうするかということと、あと、SSHですと、大体40名とか、比較的少ない生徒さんですけれども、それを本当に全校生徒に対してやるのかという。多分これは選択科目になると思うのですけれども、選択するにしても、大体どれぐらいの人数なのか。それに対して、指導できる先生が何人ぐらいいるのか。それをどういう場でやるかですね。例えば、実験室とかがきちんとあるのかとか、あと、いろいろ調べないといけないので、インターネットのアクセスとか、そういう環境がどうなのか。そういう環境が整っていなければ大学若しくは企業と連携するけれども、そういう場がきちんと設定されているのかとか。これは多分、学校によってもいろいろ異なると思うのですけれども、大体の規模感というのを持ってある程度現実的に詰めていかないと、1番目に言ったコメントも含めて、実験をやって分析するというのは大事なのですけれども、それが本当にできるのかということにも関わってくるので、全体としての規模感を持った中である程度具体的に詰めていくということも大事なのではないかなあというふうに思います。
  以上です。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  では、どんどん御意見を聞いていきます。牧田先生、お願いします。
【牧田委員】    ありがとうございます。前回も少しお話しさせていただいたのですけれども、理念は本当にすばらしいと思うのです。ここに出てきた、挑戦性という言葉とか、総合性、融合性ということも、全てこのとおりだと思います。目指すべきところはそういうところだと思いますが、最初に主査代理からお話あったように、現実問題として、なかなか難しい部分があると。我々が目指したいところは何かというと、内容的なことではなくて、高校卒業後にもっと研究をやり続けたい、先ほどお話ありましたように、これが好きでたまらない、そういう知的好奇心といいますか、今の場合で言うと科学的好奇心だと思うのですけれども、それをいかに培うかというところだと思うのです。そうしますと当然、内容的にどういう範囲ということよりも、これも一番最初にお話がありましたように、探究プロセスをどう子供たちに体験させるか、短い時間の中でどう体験させるかというところが大事になってくるかなと思うのですね。前回もお話ありましたけれども、研究なんて、そう簡単にはできない。そもそも教員自身が、教員になってからやったことがない。
  その現実の中で課題を設定するという大問題にみんなが立ち向かわなければいけないということになりますと、やっぱり少し現実的な話になり、私は、探究はツーサイクル目が大事だと思うのですけど、ワンサイクル目は竹内先生もおっしゃったような疑似体験。前回もデモンストレーションのような話がありましたけれども、テーマもある程度限定したことをやっていく中で、数学の統計的な知識とか、微積の知識とかを入れつつ、探究の疑似体験をする。ツーサイクル目に、これは少々の失敗も含めて、そういう体験を今度は個人的にやってみる。デモンストレーションのときには、グループなんかでやってみる。ツーサイクル目に、時間的な制約はあるのですけれども、何とか個人でやらせてみる。そのための準備を第一段階でやってみるというようなところが現実的じゃないかなと、私は思うのですね。
  そう考えてみますと、数理探究で求められる資質・能力というのは、知識・技能面では、どうやって探究を進めていくかという知識であって、どうやってやれば進めていけるかということをいかに分かっているかということだとおもいます。一番大事なのは、探究プロセスを体験の中でつかんでいくこと。すなわち、探究の意味やおもしろさですとか、これをやっていくとどこにつながるのかとか、それを体験の中でつかんでいく、探究プロセスが体として分かるというところが、一番の目的かなと思います。その結果、知的好奇心が生まれてくると考えます。
  今、大島委員がおっしゃられたように、理想だけじゃなくて、少し現実的なところも話をしていかないと、なかなか先行き難しいなと思う次第です。
  以上です。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  それでは、塩澤先生、お願いします。
【塩澤委員】    今議論されていますSSH指定校の中で探究的な課題研究について、今、どういうふうに考えているのかというのを、一つ紹介させていただければと思います。
  平成25年2月から平成26年1月までですが、関西、北陸のSSH指定校で、滋賀県の膳所高校の校長先生に座長になっていただいて、最初13校から、最後は全ての学校、52校を対象に研究協議会を行いました。名称は「世界にはばたく人材育成のためのSSHプログラム」研究協議会ということで、1回のSSH指定校の卒業生の座談会を含めて、合計7回実施しています。この研究協議会では大島先生の御講演も頂いていて、大島先生にはトップ層育成のためのSSHプログラムに関する御講演をしていただきました。そのほかには、京都大学の中村佳正からは「大学入学後に伸びる理系人材を視野に入れた高大接続への期待」、あるいは京都大学の西岡先生からは「課題研究における評価」という御講演も頂きました。実は、この三つのテーマというのは、その当時、最もSSH指定校の中で共通した課題・興味・関心ということになります。
  それをまとめて、提言というまとめ方をしたわけですが、そこで当時の膳所高校の渕田校長先生がまとめたのは、まず、分かったこととして4点挙げています。1点目は、高大連携によって進路における目標が明確になって、子供たちは学習意欲が非常に大きく向上している。2点目は、探究活動を重視した課題研究に取り組む中で、あえて探究活動と言っているのは、その当時、課題研究を見よう見まねでやって、必ずしも探究的なものばかりではないということで、探究的な活動を重視した課題に取り組む中で、思考力、コミュニケーション力、表現力等が総合的に高まっている。3点目は、SSH事業というものは理数以外の教員にも影響を与え、授業中のグループ活動や討論の割合、あるいは定期試験等でも論述を見る問題の割合が大きくなった。大きく変化していった。授業の改善が学校全体で進んでいる。4点目としては、これは、大学院生、特に博士課程に在籍する卒業生に集まってもらって座談会をしたわけですが、こういった高校時代の高大連携の体験とか探究活動を重視した課題研究の学習が、大学入学後、積極的に学習あるいは研究を進める上で良い影響を与えている。同時に課題も見えてきて、思考力・判断力・表現力に加えて、課題設定能力とか分野俯瞰力といった、単なる知識量でない能力の評価法と、それを伸ばす方法についての研究と実践を継続して行う必要があると。ここは校長先生の方でまとめていただいた。
  そこに参加した学校のある程度共通した考えとして、探究活動を重視した課題研究が生徒の育成にもし有効であるならば、有効だという確認をここでしているわけですが、今後の学校経営の中でSSH事業を考えるポイントとして、二つの視点がある。まず第一には、全ての生徒を課題研究の対象にする必要があること。理数科対象から、普通科への拡大。文理の枠を超えた普及。つまり、水平展開をどうしていくのか。当然ここには課題があって、先ほどから議論になっています、指導力のある教員の育成とか、全ての教員が関わる校内体制の確立とか、カリキュラム編成の困難さ、あるいは、施設・設備の不足、予算の問題、最も私どもが言っているのは、育成すべき生徒像の共有化がなかなかできないといったことが、課題としてあるだろうと思っています。二つ目のポイントとしては、3年を対象にした課題研究の設定がやはり必要だろうと。1、2年生で課題研究の指導を通じて成果を上げたことを3年においても継続させ、特に希望する生徒にはよりレベルの高い課題研究を続ける保証をしていく方がいいだろう。つまり、垂直展開をどういう形で行っていくのか。このことについても、受験指導との関係で保護者・生徒の理解を得ることが難しい。あるいは、その前に教員間の理解を得ることが困難。よりレベルの高い課題研究を指導する教員がいない。高大連携・高大接続の制度としての確立が、課題として確認されていました。
  でも、そういった議論を踏まえて、先ほどの桃山高校のグローバルサイエンスの学校設定科目にも表れていますが、様々な課題を克服して、少数ですが、全ての生徒を対象に1年から3年までの課題研究を設定するSSH指定校ができています。また、28年度に向けての改革を進めている学校が、私の知っている限りでも、二桁あります。そうした学校では、様々な課題を克服するとともに、時間を掛けて、少なくとも校内でそれぞれの学校が目指す育成すべき生徒像を明確にし、教員間で共有する努力が行われる。これが成功したところが、そのスタートを切っていると考えています。
  いずれにしても、一つの考え方として、こうした努力をして実現している学校があるということであるならば、ここのところをより具体的に検証していく必要があるだろう。なぜここが成功しているのかということを、もう少し私たちは、量的に見ることも必要ですが、進めていく上での質的な問題点としての検証を具体化していく必要があるのかなと、個人的には考えています。
【岡本主査】    その辺はJSTでいろいろ行われるでしょうから、期待して。
  じゃあ、熊倉先生、お願いします。
【熊倉委員】    牧田委員をはじめ、ほかの委員の方と同じ意見を私自身も持っているのですけど、まず、そもそも次の学習指導要領に向けて狙っているアクティブ・ラーニング等による学習、ここで言うと、単なる暗記・適用などの受動的なものではなくて、主体的・協働的な学習、そのような学習を次の学習指導要領は狙っていくということが全面的に打ち出されているわけですが、私は、まさに高等学校におけるフロントランナー的な存在意義がこの数理探究にあるのかなと思っています。実際、こうやって打ち出してみても、現実には新テストでどの程度カラーが変わっていくのかは分からないのですが、やはり大学受験に引きずられる傾向のある高等学校現場において、それを少しでもそういうような方向に持っていく、まさにそのフロントランナー的な役割が数理探究にできればいいのかなあというふうに感じます。それで言うと、先ほどから議論があるように、内容・知識よりも、進め方・学び方というところがやはり重点的に強調されていくべきなのかなと思います。「高度」というときの「高度」の中身は、知識が高度なのではなくて、勉強の学び方が高度だというような捉え方をした方がいいのかなと思います。これが1点目です。
  それから2点目は、私のいる近くに、二番手、三番手の受験校ぐらいのレベルの理数科を持った学校があり、その理数科の先生にちょっと、どんなふうに理数科における課題研究をやっているのかを聞いたことがあります。その学校はSSHとか指定されていないのですけれども、そのような学校の理数科で課題研究をどういうふうにやっているか聞いたところ、学年で何人かの数学と理科の先生がいるので、2時間続きの時間割が設定されて、その中で、数学と理科の先生が協力し合いながら、プチ課題研究みたいな形のものをやっているという話を聞きました。そういう話を聞くと、現行の理数科においても、非常にやっているところは少ないけれど、やっているところはそれなりの規模でやっている。担当している先生も、結構面白いです、というような話をしていました。そうやって考えると、今、SSHというところがやっている非常に大掛かりな課題研究と、一方では、余り全国的にはやられてない理数科とか、理科なんかでも課題研究が入っていますけれども、そういうところの課題研究と、その中間ぐらいのところで、次の学習指導要領でより多くの高校生が学べるような科目として位置付いてくると、本当にいいなというふうに思うわけです。
  そうやって見ていったときに、これが3点目で最後なのですけれども、一番懸念というか、相当気を使っていかなきゃいけないのは、テストの科目としてこれが入ってくるといったときに、どのような内容を試験問題として作っていくかというところで、相当工夫をするか何かしないと、結局はその探究活動はどこかへ飛んでいってしまうので、そこの部分についても十分に今後検討をしていく必要があるのではないかと思いました。
  以上です。
【岡本主査】    どうぞ。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。少し議論のお役に立てていただきたいという意味で、資料4の見方なのですけれども、少し学術研究的に高度なものが並んでいるようにも見えるわけですが、知識・内容面で高度なことをやりたいということを意識して作っているというものではないということであります。融合ということで申し上げれば、若しくは探究ということで申し上げれば、先ほど生活科の話がございましたけれども、新しい教科を作るということはどういうことなのかということでございます。生活科の場合も、単に理科と社会の内容をくっつけたというだけでは教科としては成立し得なかった。そこに生活の自立という一つ崇高な理念を導入することによって、教科として成立し得たということであります。そういうことで考えますと、探究のプロセスということの先導的なことをやっていくというだけでは、総合的な学習の時間、あるいは今回全ての教科においてアクティブ・ラーニングということでございますので、それだけでは新たな教科の背骨ということではなかなか難しいということ。そういう意味では、もちろん探究のプロセスということが重要でありながら、その先に、若しくはそれを通じて育まれる、ここにある、例えば、挑戦性、融合性、創造性というようなものは、そういったちょっと崇高な理念の例として考えられるものとして置いているわけでございまして、もちろん一方で崇高な理念の片側にある現実的な実現可能性ということも考えていく必要ありますけれども、新しい教科の骨組みとしての崇高な理念ということも一つ必要だということで、御議論を頂ければというふうに存じます。
  済みません。失礼いたしました。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  それでは、先生また。
【小玉主査代理】    SSH校として回答したいことがたくさんあったのですけれども、まず、井上委員だったでしょうか、大学入試に入れることに驚いているという御発言があったかと思います。それから、熊倉委員の方も大学入試に入れると探究活動がちょっとおろそかになるのではないかという御心配があったかと思いますけれども、科学の甲子園のペーパーテストの問題を御覧いただくと、あれはとても、独立した一つの分野、物理なら物理、地学なら地学とか、それだけで解けるような問題は数少ない。総力戦で、それもチームで解いていくというふうな形になっておりまして、多分、イメージとしては、科学の甲子園のペーパーテストの問題のようなものを出すと新教科数理探究の問題になってくるのかなあなんて感じがしておりますので、是非御参考に見ていただければというふうなことを思います。
  それから、ちょっと話が変わりますけれども、生徒にどういう資質・能力を身に付けさせるか、それから探究のプロセスをトレースさせるかというのが重要だというふうなお話もございましたけれども、生徒よりも高校の先生が新教科の数理探究が面白いと思わないと、開講されません。校長の権限では、開講しろというのは、なかなか難しいです。ですから、高校の先生方が、今度新しくできた数理探究、是非うちの生徒には必要だからやらせたいと思うような、面白そうだというふうに持っていかないといけないということなので、そういうふうな華のある狙い、そういうものも委員の先生方のお知恵を集めて盛り込んでいかないと、0.2%しか履修してないとか、そういうことになってはいけないというふうに思います。
  その点で、本校は最初、SSHで課題研究をやったときに、先生方は本当に顔が真っ青でした。できればやりたくない、何でこんなのをやらなきゃいけないのだというふうだったのですけれども、まずは生徒への動機付けですね。研究したい、やってみたいという気持ちを起こさせるために、とにかく先生方が好きなところに連れていけということで、SSH1,300万の予算の何百万もそれに使いました。ですから、1年次には、バスを仕立てていろんな研究所・大学等にお伺いして、先端の研究を見る、あるいは実際にやらせていただくというのをやっていったところ、先生方が気に入っちゃって、自分で選んだ大学とか企業とかに行きますので、先生方は面白くて、これは知らなかったと、今度の授業にも生かせるというふうなことで、先生方がすごく好きになって、いろんなこと、幅広い分野をやりましたので、生徒もまた好きになって、これが課題研究の動機付けになって、いい方向で回っていって、なおかつ、訪問したところが、じゃあ協力しますよ、よこしてくださいということで、本校ですと、佐倉市内にすごい研究所がありますけれども、そこで本当に研究者のように研究をさせていただいて、すごい機械を使い放題というふうな状況になって、生徒も喜んでやっているというふうな状況も出てきました。
  それから、大島委員の方から、環境整備でインターネットへのアクセスが、いろんなものを調べるときに必要なのじゃないかと。まさにそのとおりで、本校も必要だったのです。インターネット、あるにはあるのです、コンピュータ室につながるような。でも、そこに私物パソコンをつないじゃいけない、あるいはSSHのパソコンをつないじゃいけないということになっていますので、独自に県と交渉して約200万の予算を取ってきまして、インターネットの環境、一応、今のところはほぼ全校、やったところは、SSHのパソコンを持ってすぐ調べ学習ができて、すぐに発表ができてというふうなことで、環境整備というのは、本気で課題研究をやる場合は絶対必要になってくると思います。
  片や数理探究では、それができるかというと、極めて難しい。高校の例えば理科ですけど、理科の予算はどれぐらいあるかというと、年間数十万しかないのですよ。それでやるということになると、それは理科でも足らないぐらいなので、予算を新たに回してくれるというのは多分ないと思いますので、予算のないところでやらなきゃいけない。それから、さっき言ったように時間の制約がある。それから、指導者の問題。それから、一番大事だと思っているのは、実は数学の位置付けなのですね。理科のデータをグラフ化したり、処理したりするだけの数学であってはならないということで、本校では数学の課題研究をとにかく探せということでやっているのですけれども、今年、シンガポールに行って二十何件発表していますが、数学は1件です。見付からないのですよ。新たに研究する内容がないのです。そうであってはならないので、数学の明確な位置付けというか、数学を本当に前面に出したような数理探究の骨組みを是非作る必要があるかなというふうに思っています。
  それから、SSHの方は、1,300万も予算があってバラ色かと思っていますけど、実はそうじゃなくて、非常に厳しい面もありまして、だんだん保護者が応援してくれなくなるのです。生徒がのめり込んで課題研究をやりますよね。うちは、1年で基盤作り、2年、3年でのめり込んでやると、受験勉強をしてないと。何か、あっちこっち行って調査したり、研究したり、実験したりしている。これでは大学に通らないじゃないかということで、保護者からクレームがだんだん増えています。それをどうするかというものですね。SSHは良いことばかりではないということで、余り塩澤委員に言っちゃうとあれですけれども、そういうこともありますので、数学を大事にしたような数理探究も議論する必要があるかなと思っています。
  以上です。
【岡本主査】    なるべく大勢の方に発言していただきたいので。
  お待たせしました。岩田先生、お願いします。
【岩田委員】    いろいろ聞かせていただいていて、高校現場と随分、先生方の意見は離れているなというのが、実感なのですね。小玉先生が言ってくださっているとおりでして、本当に予算の組み立てがない限り、SSHの活動はやっぱり無理だと思うのですね。高大連携のSSHは大学の意識で、理系の研究は金を使うからというところで結構やっていて、逆に言うと、そこに大学に行く意味も、生徒は、SSHを通じて大学になったらばすばらしい機械が使えるから継続して研究しようと、そういうふうな意識もあるわけです。今までのSSHは、金銭的な補填があって、生徒の研究というところにできた背景があったと思うのですね。金銭的、設備的な補填がないまま、それを教科内に組み込むとなったらば、どういうふうにしたらといったときには、もっと根本的に生徒の立場に立たないとだめだと思います。生徒は元来自然が育むさまざまな現象に対して疑問を持っていました。小学校まではそれがあって、だんだんと、中学、高校になるに従って、これはこういうことだって断定調で教わり、挫折感を味わって、探究心が欠落しちゃうわけですね。それの最たるところで、理系離れというのがあるわけです。だから、先ほどから言っているように、もっと探究プロセスを見出せるファンダメンタル、まさに基礎的なところに立ち返らないと、今の教育現場はそういう次元に行っていないのですね。本校で言えば、本当に具体的なことで言いますと、有効数字の扱い、あるいは、グラフのプロットさえ、実は打てません。そういうのを何か観察・実験結果から具体的にこういうふうになるのだと示すこと、教科書のまずその辺のところから開始しないと、今の生徒は、逆に言うと情報化がこういうふうに進展しているがゆえに、ほとんど自分の手を汚しません。ですから、探究心にならないのですね。探究心の芽は、逆に言うとパソコンを見れば全部解決されているという、こういう時代ですから、その辺のところの、もっと数学的な泥臭いところにちょっと立ち返らないとまずいのではないかなというのが、私の根本的な意見です。
  あと、先ほど小玉先生の方からありましたけど、科学の甲子園、この何年間か、毎年出場しています。本校は昨年総合優勝して、たまたまサイエンスオリンピアドの世界大会に行けました。世界的な視野で、科学の甲子園の原本(探究的な実技競技種目)というのがどういうふうなものになっているかということに興味を持ちました。探究心をこういうふうに生徒たちにあおるという最終目標がアメリカはどうなっているかというと、要するに、生徒たちは探究心があるということだけで大学に入れるわけです。なおかつそこに、民間の寄附なり、奨学金なり、それが年間200万も付くような、アメリカのそういうふうなプロセスになっている。それで、その大会で頑張って大学に行くぞと。ですから、ある面では挑戦するための大きなニンジンがぶら下がっているのですね。それですごくやる気を出して、国家体制でアメリカ等が動かしている。だから、競技種目的な意味合いもある面では必要です。数理探究には地道な努力も必要なのですけれど、そういうふうなことも入れていただくと助かります。前回、私自身が言ったのですけど、例えば、科目の探究活動としての最終的なまとめ項目として、学内で探究心の集大成として小論文を個人に課し、最終的なプロセスは変わりませんけど、応用分野の方で見出した小論文を選考材料として大学側はAO入試の中の何%かは絶対に取っていただくとか。そうでもしないと、この科目は多分、現場に普及しないと思うのです。ですから、そういうふうなことを一応この場で言わせていただきます。
【岡本主査】    大路先生、どうぞ。
  揺れ動いているのですけど、問題点が結構多く指摘されていて、もう一方では、最初に議題になっていたのは、大杉室長が言われたように理念ないし背骨となるものをうまく最初に作らなきゃいけないという宿題があって、その間を行ったり来たりしているのですけど、もう少し理念的な方に戻って考えますと、先ほど御説明いただいた参考資料3に「理科教育のイメージ(案))というのが1枚あったのですけど、小中高とあって、高校の一番目のところに《高度:explore Science》とあって、理数科、数理探究(仮称)を見据えた、理念的な言葉が書いてありますね。「科学的課題に徹底的に向き合い、考え抜いて行動する態度を養う。科学的な探究能力を活用して、専門的な知識と技能の深化・統合化を図るとともに、自発的・創造的な力を養う。科学的な探究能力の育成を主体的に図ることができる「課題研究」を充実させる」。まさによくまとめられているなと、私は読んでいて思いまして、言うなれば、先ほど私がちょっとつけ加えた、知的好奇心を刺激して高めるみたいなことがここに入れば、私としては、これはかなり理念的な文章になっていくのではないかいうふうに感じましたので、議論を少しそっちの理念的な方に戻そうと思って、発言させていただきました。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  先ほど岩田先生から数学的な泥臭いところをちゃんとやらなきゃいけないと言われたので、私が何か言ってもいいのですけど、発言されてない小谷先生、何か。別に、その泥臭さにこだわらなくていいのですけれども。
【小谷委員】    用意していただいた資料3で課題研究ができない理由が五つあがっています。  数理探究においてこれらがどのように解決されるのでしょうか。また、SSHがすばらしいのは事実ですけれども、それは、資料にもありますように、大きな予算と、それ以上にスーパーティーチャーのようなかたがいてできているということがあります。それほど高度なものでなくて、日常的にあるもの、若しくは既に知られているものであっても、それを解決すればということですけれども、そうであれば、高校で普通にやっている科目自体が本来そういうもので、わざわざ探究という新しい科目を作るべきなのか、教え方の工夫で対応すべきなのかなど、よく分からない気持ちにだんだんなってきています。
  予算が恐らくないであろう、特に高度な器具を使った実験ができないだろうということもSSHとは事情が異なります。数学で実施するのは予算面での一つの回答になり得るのかもしれません。
  更に、大学入試科目に取り入れるとすると、どんな問題があり得るのか、客観性を持って採点できるのだろうかとか、皆さんの御意見を聞けば聞くほど分からなくなってきて、黙っていました。
  余りまとまりがありませんけれども、やった方がいい科目ではありますが、課題もあり、それに対する答えが提供されていないような気がするというのが、私の今の率直な感想です。
【岡本主査】    試験との関係は私の方で受け止めて、しかるべく考えさせていただきます。
  発言、どうぞ。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございます。科目の理念から入って、その後、条件整備というような段取りで事務局的には考えておったところなのですけど、本日、御意見をお伺いして、その両面を一緒に議論していかないと科目のありようをどこに着地させるのかというのが定まらないということがよく分かりましたので、次回以降、その両面を御議論いただけるような資料をセットで御用意させていただくような工夫をしたいと思います。ありがとうございます。
【岡本主査】    はい。皆さん御発言いただいて、きょうはブレーンストーミングでやったので取りまとめという方向にはなかなか行かないと思うのですけれど、いろんな考え方で、結局、理想論と現実論というのはいつまでたったって残るということは、はっきりしているのではないかなと思います。残った時間で、この議題に関係してもいいですけど、その他関連することでという時間を少し設けたいのですが、それについて、若干、私自身がこのペーパーを見ていて違和感があるのは、実は国際性という言葉でございまして、もちろん、立命館高等学校みたいに外国とやるとか、シンガポールに行くとか、それは十分いいのですけど、それは探究の国際性とはちょっと違っていて、もっと広い意味の教育の国際性みたいなもので、サイエンスというのはもともと国際的であろうはずがないわけで、国がないものがどうやって国際的になるのだろうと思うぐらいなものなわけですよね。今の議論でも、総合性、融合性、挑戦性というのとちょっと違う、一方では手法であり、一方では結論なのですね。結果としてコロラリーと出てくるものだろうというのが、一つあろうと思っています。
  それからもう一つ、いろんなところで出てくるのですが、教えていただくとありがたいのだけど、三つの観点がありますね。知識・技能から始まって、思考力・判断力、表現力、最後に情意・態度というふうになっているのですけど、情意ってどこから出てきた言葉なのでしょうか。これは書いてありましたか。
【合田教育課程課長】    今回の改訂では使っていないです。
【大杉教育課程企画室長】    そういう議論の流れでございますけれども、済みません、もう少し問題点を。
【岡本主査】    いやいや、要するに、主体的な学びとか、そういうのだったら分かるのですけど、単に情意という言葉にちょっとだけ違和感があるなあと言っただけです。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございます。一方で、OECDと政策対話等をさせていただくときに、認知的な、主体的に学びに取り組む態度ということになると、かなりメタ認知というようなこと。認知的な部分のみならず、非認知的な部分ですね。思いやりとか、感性とか、意欲でありますとか、そういった部分も、直接的に何か評価の対象にしたり、無理やりということではないですけれども、学校の中で育まれる力としては重要なものであるというようなこともございましたので、これは教科によって中身は様々でございますけれども、そこの重要性というのは極めて高いのではないかというような議論の中で出てきたものでございます。
【岡本主査】    私は、中身の方はいいのですが、言葉がね。余り、情意って使わないような気がするなあという。もちろん、それだけで別にいいのですが。新しく言葉を作って定義すればいいだけだから、いいのですけど。
  いかがでしょうか。実際、きょうの資料4というのはかなりいろいろな、ハイレベルのところをやっているのだけど、この中で出てきた議論では、もっと基本的な探究というのは何かというようなことをまず一つはやらなきゃいけないのだろうということだろうと、そういうことは皆さんおっしゃっていただろうと思います。ちょっと意見が分かれているのは、探究というのは、全ての高校生が探究しなきゃいけないのか、そういう子がいたときに、それをどんどん伸ばしていくことが大事なのか、そういうところはまだ少し残っているかなと思うのですね。別に高校生のときにそんなに探究心がなくたって、後で出てくればといいという気も若干するので。
  ただ、もう一つは、多分、理念的に言えば、こういう探究的な科目を作ることの一番重要性というのは、お金の問題はちょっと別として、子供が主体的に何かをやろうというのをみんなで支えてあげようよねということだろうと思うのですよ。そうすると、当然のことながら、実施上は、あるいは、ある地区だったら、大学や企業とのコンソーシアムとか、協力関係とか、もうちょっと広いネットワークとか、そういうものが必要になってくるというのは、皆さんの意見の中から出てきたことだろうと思っています。つまり、そこだけではできないので。ここはちょっと、次回か何かあれなのだけど、つまり、こういう探究型の科目というのを作っていくときに、いつも、何をやるときにも問題になるのだけど、ある規模感を持って始めるのか、おずおずと始めていって将来的に大きくしようねというところを目指すのか、それは基本的な考え方だろうと思うのですね。いい例が固まれば、みんなやりたいと思うと。でも、一遍にこれだけでやるぞというと、なかなかうまくいかないと。両方あるので、そこはどこかで一つ付けておいた方がいいのではないかなあという印象を受けました。これは私の印象です。
  どうぞ、遠慮なく手を挙げて。
【大島委員】    済みません、余り長く言うつもりはなかったのです。私が規模感と言ったということもあったので、ちょっと誤解を招いちゃったところもあるとは思うのですけど、言いたかったことは、理想を実現するために、現状がどうなっているかということで、例えば、SSHは何回も出てきたようなお金がある中で、現場としてお金がない中で、だからやるなというのではなくて、そういう中で、多くの生徒さん、あと教員の方も含めて、これに取り掛かってもらうためにはどうするかということを、現状把握としてどうしたらいいかということで、規模感と言ったのですけれども。
  言いたかったことはもう一つありまして、例えば、参考資料4にありますように、これは理科の例なのですけど、個別の知識や技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性等という、この三つの観点でまとめられているのですけれども、例えば、この新しい数理探究というのは幾つかのポイントがあって、数学と理科ということと、それを軸にしながら探究活動をするということがあると思うのですね。そういう枠組みでこの資料4に基づいて考えると、いわゆる探究活動はある程度、思考力・判断力・表現力ということと、学びに向かう力、人間性を強化するような活動に向けてどうするかということで、これは先ほどから出てきている規模感と関係するかと思うのですね。ただ、大杉室長が言っているように、新しい教科を作るためのいわゆる理念、これをそのための骨組みとして考えたときに、数学と理科を融合するということに対して個別の知能や技能というのはどういうものが必要なのかというのが、先ほど言ったコメントの1じゃないですけれども、やはり縦串と、それを理科と数学という横串でどうするかという、ある程度、知識レベルの整理も、新しい教科として作るので、それを少し考えた上で、それをどうやって探究活動に結び付けていくかというプロセスというか、2番目、3番目になるのかなあというふうに思ったので、やはり理念としては、新しい教科としての知識・技能は何かということだと思うのですね。なので、それをもうちょっと具体的に考えてもいいのかなあというふうに思いました。
  済みません、ちょっと意見ですけど。
【岡本主査】    いろいろとやりとりをしていかなきゃいけないのですけど、もう時間が来たので、最後に、竹内先生、できれば手短に。
【竹内委員】    はい、手短に。2点です。1点目は、資料2の7ページの図表3.1.3にSSHのおかげでどれだけ大学院に進学したかという数字が載っていて、こういうのはすごく大事だと思うのですけど、これを見ると、SSHで大学ランクの上の方に行っている人たちと大学生一般を比較して進学率が上でもちょっと眉唾になってしまうのですけれども、この辺、もっといいデータを長年蓄積していただければ、現場の先生方、あるいは保護者さんにも、サポートいただけるかなと思います。
  2点目ですけど、岩田委員の御意見をお伺いすると、先ほど私が言ったことと関連するのですが、資料4で理念をいろいろ書いているのは、すごく共感します。ただ、挑戦性とか、質の高いアイデアの創発って、物すごく難しくて高いので、これはこれで大目標として置いておいて、落し込むところになったときには、自分の手でやってみる、ハンズオン感覚で試してみる、グラフをプロットすることを試してみるというのはやっぱり、もう一回、小学校時代の知的好奇心をフリーにしてあげるという体験として大事なので、資料4のところに、方法論的には大事である、自分の手でやってみるという観点が少し、この科目の性質として加えてくると、現場でも受け入れやすいし、イメージが付くのかなあという気がいたしました。
  あとは、今、大島先生がおっしゃったように、体系化をどうするかというところはありますけど、ただ、探究していくという科目の性質上、余り縦串・横串までやっちゃうと、それはまた知識型になっちゃうので、やはり集合知のようにいろんなケーススタディーにすぐにアクセスできるようなところがあれば、あとは現場でやっていくしかないのかなあ、あるいはその方がいいのかなあという気もいたします。
  以上です。
【岡本主査】    いろんな御意見を頂きましたけど、時間になりましたので、きょうはこれまでとしたいと思います。きょうお出しいただいた御意見については、事務局の方でおまとめいただくようよろしくお願いします。
  なお、限られた時間内での討論でしたので、更に、御意見、お気付きの点などあれば、ペーパーないしはメール等でお知らせいただければと思います。
  それでは、次回以降の日程などについて、事務局からお願いします。
【米原教育課程課長補佐】    次回は、3月1日火曜日、17時からを予定しております。場所は3F2特別会議室にて開催を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いします。
  また、ペーパーによる御意見も頂戴したいというふうに考えております。きょう、意見を十分言えなかったとか、後でいろいろと、こういった意見をというところがあれば、ファクス、メール、郵送等でお寄せいただければというふうに思います。
  なお、本日の配付資料は、机上にございます封筒に入れていただければ、後ほど郵送させていただきます。
  以上でございます。
【岡本主査】    どうもありがとうございました。最後に合田課長から一言。
【合田教育課程課長】    一言、心からお礼申し上げます。きょう御議論がありましたことを、率直に申し上げますと、私どもも深く悩んでおります。SSH自体は日本の高校教育史でかなり異例な取組でございまして、それも長年たって、その中で次の展開ということで、まさにきょうお出しいただいた議論が、議論の焦点だと思います。ただ、きょうはかなり構造的にいろいろな分析を頂きましたから、私どもも事務的にまとめさせていただきがいがある中身の御指摘を頂いたと思っています。心からお礼申し上げます。ありがとうございました。
【岡本主査】   どうもありがとうございました。きょうはこれで終わりにさせていただきます。次回3月1日、またよろしくお願いいたします。

──  了  ──

お問合せ先

初等中等教育局教育課程教育課程第二係

電話番号:03-5253-4111(内線2613)