教育課程部会 高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チーム(第1回) 議事録

1.日時

平成27年11月20日(金曜日) 15時30分~17時30分

2.場所

合同庁舎第7号館東館 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 数理探究(仮称)について
  2. その他

4.議事録

【米原教育課程課課長補佐】    それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チームを開催いたします。
  開会に当たりまして、文部科学省初等中等教育局長の小松より御挨拶申し上げます。
【小松初等中等教育局長】    皆様、本日は、お忙しいところをお運びいただきまして、誠にありがとうございます。
  まず、この中教審の新たな特別チームを作りまして、御参加をお願いいたしましたところ、お忙しい中をお引き受けいただきまして、誠にありがとうございます。御礼申し上げます。
  で、時間ももったいないかと思いますので、挨拶ということですが、ごく簡潔に趣旨説明をさせていただいて、御挨拶に代えさせていただきます。
  まず、文部科学省では、現在、学習指導要領の全面的な改訂を中教審にお願いをしているわけでございますけれども、昨年11月にその諮問をさせていただきまして、その後、まず全体を通じた横串というんでしょうか、総論というんでしょうか、全体論としての検討していただくために、教育課程部会というところに企画特別部会を設けまして、14回の審議を経て、この夏、8月に論点整理というものをまとめていただいた次第でございます。で、これを基にいたしまして、それがちょうど夏でございましたので、この秋からその次の段階、論点整理そのものでは各学校段階や各教科等における改訂の基本的な方向性は示しているわけでございますけれども、それをきちっと整理していくための部会やワーキングチームといったものを作って、次へいくという段階がこの秋でございまして、順次お願いをしているところでございます。このチームもその一環ということでございます。この特別チームでは、今、申し上げました論点整理で提唱されております、高校に新たに設置することが示されている、これは仮称としては「数理探究」という仮称になっておりますけれども、それについてどうあるべきかということを御検討お願いしたいと考えているわけでございます。この今、提唱されている科目は、数学と理科の知識や技能を総合的に活用して、主体的に探究活動を行う選択科目という位置付けで考えたらどうかということになっております。本科目で育成すべき資質・能力とか、それから、科目の内容等といったことを詰める必要がございますので、皆様方に御審議をいただければ大変有り難く存じております。
  そこで、スケジュールでございますが、この特別チームの議論は、今年度末、つまり、来年の春ということでしょうか。一応そのあたりを目途に数回、4回とか、5回とか、数回程度開催いたしまして、一定の方向性をお示しいただきたいと考えております。それをその後の中教審の教育課程部会での議論の中で反映させていって、その御議論の中でも途中で必要があれば、他の部会なり、ワーキングチームとも意見のすり合わせとか、そういうことも、あるいはお願いすることもあるかもしれませんけども、そういうのを経た後で春以降、最終的には中教審の全体に上げていって、そして、中教審全体の取りまとめは来年度中、つまり、平成28年度中、そうしますと、一番遅くて平成29年、再来年の春までの間にお取りまとめをいただくように、諮問のときに大臣からお願いしておりますので、来年度いっぱいというところへつなげていく。大体そんなスケジュールで考えているところでございます。
  皆様方には、大変お忙しいところにお手を煩わせますけれども、今後の子供たち、あるいは日本の数理の地平を開いていくような、そういう位置付けということを考えますと、大変重要なことでございますので、あえて失礼を省みず、皆様方にお願いを申し上げたところでございます。それぞれの御知見や御経験等々を踏まえていただいて、様々な角度から率直な忌憚のない御意見を頂ければ大変有り難く存じます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
【米原教育課程課課長補佐】    議事に先立ちまして、本部会の主査及び主査代理について御報告いたします。
  資料2の初等中等教育分科会教育課程部会運営規則に基づきまして、本部会本特別チームは、教育課程部会の決定により設置されており、主査及び主査代理は、教育課程部会長が指名することとされています。
  教育課程部会長と御相談し、主査に岡本和夫委員、主査代理を小玉秀史委員に意見にお願いしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、次に、委員の皆様を御紹介させていただきます。資料1として本特別チームの名簿を配付させていただいておりますので、御紹介させていただきます。
  まず、岡本和夫主査でございます。
  小玉秀史主査代理でございます。
【小玉主査代理】    よろしくお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    井上浩義委員でございます。
【井上委員】    よろしくお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    岩田久道委員でございます。
【岩田委員】    よろしくお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    上田正仁委員でございます。
【上田委員】    よろしくお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    大路樹生委員でございます。
【大路委員】    よろしくお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    川端和重委員でございます。
【川端委員】    よろしくお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    熊倉啓之委員でございます。
【熊倉委員】    よろしくお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    小谷元子委員でございます。
【小谷委員】    よろしくお願いいたします。
【米原教育課程課課長補佐】    塩澤幸雄委員でございます。
【塩澤委員】    よろしくお願いいたします。
【米原教育課程課課長補佐】    塩瀬隆之委員でございます。
【塩瀬委員】    よろしくお願いいたします。
【米原教育課程課課長補佐】    竹内幹委員でございます。
【竹内委員】    よろしくお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    西成活裕委員でございます。
【西成委員】    よろしくお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    牧田秀昭委員でございます。
【牧田委員】    よろしくお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    若山正人委員でございます。
【若山委員】    よろしくお願いいたします。
【米原教育課程課課長補佐】    なお、本日、御欠席の委員といたしましして、石井英真委員、大島まり委員、小林傳司委員、丸山俊夫委員が本特別チームの委員に就任されております。
  委員の紹介は以上でございます。
  次に、文部科学省の関係者を紹介させていただきます。
  初等中等教育局長の小松でございます。
【小松初等中等教育局長】    どうぞよろしくお願いいたします。
【米原教育課程課課長補佐】    初等中等教育局主任視学官の清原でございます。
【清原主任視学官】    どうぞよろしくお願いいたします。
【米原教育課程課課長補佐】    初等中等教育局視学官の長尾でございます。
【長尾視学官】    よろしくお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    教育改革調整官の平野でございます。
【平野教育改革調整官】    よろしくお願いいたします。
【米原教育課程課課長補佐】    教育課程課教育課程企画室長の大杉でございます。
【大杉教育課程企画室長】    よろしくお願いいたします。
【米原教育課程課課長補佐】    私は教育課程課課長補佐の米原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、議事に入ります前に、岡本主査及び小玉主査代理から御挨拶を頂ければと思います。
【岡本主査】    改めまして、岡本でございます。よろしくお願いいたします。
  余り長い挨拶するつもりないんですけど、恐らく私の記憶でも、教科をわたった新しい科目を創るというのはそうめったにあることではなくて、また、一方では、高等学校でいうと数学と理科を合わせるということで、そういうのに関係する人たちが集まって議論するということも余りなかったのではないかと思います。だから、頑張れと、あっちの方からプレッシャーが掛かっておりますが、それはそれとして、そのプレッシャーにはめげずに結果を出していけばいいなと、一歩でも進んでいけばいいなと思っておりますので、改めまして、よろしくお願いいたします。
【小玉主査代理】    主査代理を仰せつかりました千葉県立佐倉高等学校の校長の小玉でございます。よろしくお願いいたします。
  名簿を拝見いたしますと、現役の高校に所属している方が非常に少ないということでございますので、主査代理ではありますけれども、今、本校SSH校でもあり、課題研究も一生懸命進めているというふうなこともございますので、是非早目に、主査代理ではありますが、発言をさせていただきたいと思っておりますので、御拝聴のほどよろしくお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【米原教育課程課課長補佐】    ありがとうございました。
  それでは、本会の進行は、これより岡本主査にお願いいたします。
【岡本主査】    それでは、これから議事に入ります。
  最初に、本特別チームの審議等については、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開ということで議事を進めさせていただきます。また、6条に基づきまして、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱いさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  なお、本日は、報道機関より、会議の撮影及び録音等の申出がありまして、許可をしておりますので、御承知おきをいただければと思います。
  それでは、まず、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【米原教育課程課課長補佐】    それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から12、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。
  なお、机上にタブレット端末、こちらでございますけれども、これ、置いておりますが、その中には、特別チームの審議に当たりまして参考となる学習指導要領の解説であったり、関係する審議会の答申等をデータで入れております。開いていただいて、電源が入ると思いますが、コンテンツ一覧というところを押していただくと、中が見れるようになっているかと思いますので、どうぞ、適宜御活用いただければと思います。
  また、本特別チームの設置に係りまして、新たに中央教育審議会初等中等教育分科会の委員になられた先生方におかれましては、机上に辞令をクリアファイルに入れて置かせていただいておりますので、御確認の方をお願いいたします。
  以上でございます。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  それでは、諮問、教育課程企画特別部会論点整理、改訂の検討体制、今後のスケジュール等について、まず、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。
  それでは、お手元に資料4、資料5、それから、緑色の冊子を御用意いただければと存じます。まず、資料4でございますけれども、資料4、学校段階等別部会、それから、教科等別ワーキングの設置についてということでございまして、資料4、1枚おめくりいただきますと、今後の検討体制ということで図を付けさせていただいております。この緑色の冊子、論点整理をおまとめいただいた教育課程企画特別部会、それから、全体の議論をおまとめいただきます教育課程部会、その下に22の専門部会を設置させていただいております。本特別チームにつきましては、真ん中辺にございますけれども、この探究科目の在り方について集中的に御議論いただくという趣旨で特別チームを設置させていただいているところでございます。
  今後のスケジュールでございますけれども、資料5の方になります。昨年11月に大臣からの諮問ということを受けて御議論いただいておりますけれども、27年10月からということで、この緑色の冊子、論点整理を踏まえつつ、学校段階等別・教科等別にワーキングにおいて専門的な御検討いただき、27年度末から年度明けをめどにお取りまとめをいただきたいと考えております。それを平成28年というところにございますが、教育課程部会又は企画特別部会における審議のまとめをいただきまして、28年度内、中教審として答申を頂くというスケジュールでございます。このとおり運びますと、幼稚園30年度から、小学校32年度から、中学校33年、高校は34年度から年次進行ということで、新しい学習指導要領が実施されるというようなスケジュールでございます。
  それでは、緑色の冊子に基づきまして、論点整理の内容を簡単にご紹介させていただきたいと存じます。緑色の冊子をお開けいただきますと、目次がございまして、その後53ページまで本文が続いてございます。その53ページの後、緑の紙を一枚めくっていただきますと、企画特別部会の委員名簿、それから、この論点整理に至ります14回にわたる審議の経過が掲載されてございます。その後、更に1枚緑色の紙をおめくりいただきますと、諮問がございまして、次のページが諮問理由ということになってまいります。
  お時間の関係で簡単に御紹介をさせていただきますが、今の子供たち、これから誕生する子供たちが成人して社会で活躍する頃の社会の在り方を描きながら、そのために必要な力、そのための教育の在り方ということを構築していくことが必要であるということ。
  前回改訂に基づく現行学習指導要領の成果、「生きる力」の育成の重視、「確かな学力」のバランスのとれた育成、各教科等を通じた言語活動等の重視といったこと、そうしたことが各学校現場の真摯な取組により成果の一端として表れてきているということ。一方で、判断の根拠や理由を示しながら自分の考えを述べたり、社会参画の意欲といったところにはまだまだ課題があるのではないかということ。次のページになりますけれども、こうした状況も踏まえながら、一人一人の可能性を一層伸ばし、新しい時代にふさわしい学習指導要領の在り方を議論する必要があるのではないかということでございます。
  ESDなど新しい教育の取組の成果なども踏まえながら、子供たち、「何を教えるか」という知識の質や量の改善はもちろんのこと、「どのように学ぶか」、そして、どのような力として身に付けていくのかということを描きながら指導要領の在り方を御議論いただきたいということでございます。
  具体的には三つの柱が掲げてございますけれども、一つ目、教育目標・内容と学習・指導方法、学習評価の在り方を一体として捉えた指導要領の在り方、この基本的な考え方がこの緑色の本冊子として方向性をおまとめいただいているものでございます。
  それから、二つ目、次のページの真ん中辺になりますけれども、「第二に」とございますけれども、育成すべき資質・能力を踏まえた教科・科目の在り方、特に高等学校につきましては、その下のページから次のページにかけて、改善の項目が記されてございますけれども、黒の箇条書きでございますけれども、黒の箇条書きの三つ目、より高度な思考力・判断力・表現力等を育成するための新たな教科・科目の在り方ということがございます。本特別チームにおいて御議論いただく項目にも関わってくることでございます。
  それでは、そのページの下の方でございますけれども、「第三に」ということでございますけれども、学習指導要領等の理念を実現するためのカリキュラム・マネジメント、条件整備、学習・指導方法、評価方法の在り方ということでございます。この三つの柱に沿って御議論をということが諮問の概要でございます。
  それでは、冒頭に戻っていただきまして、論点整理の目次をおめくりいただきますと、その次の1ページというところでございます。2030年の社会と子供たちの未来ということでございます。先ほどのスケジュールにもございましたように、新しい学習指導要領、小学校におきましては、2020年度から新しい学習指導要領の実施ということでございます。指導要領の改訂、おおよそ10年ごとに1回ということを考えますと、おおよそ2030年ごろまでその役割を担っていくということでございます。そのころの社会、そして、その先の未来ということを考えながら指導要領の在り方を議論していくということでございまして、特に、この論点整理で、学校種、あるいは教科を越えた目指すべき理念として提示していただきましたのが、社会に開かれた教育課程ということでございます。
  ページ数で申し上げますと、3ページになりますけれども、社会に開かれた教育課程としてということでございまして、一番下にマルの1とございますように、社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を社会と共有していくという教育課程、それから、4ページの上にございますように、これからの子供たちに求められる力ということを明確にし、それをしっかりと育んでいく教育課程、それから、三つ目でございますけれども、学校教育、教育課程の在り方を学校内に閉じずに、目指すところを社会と共有しながら、地域の資源なども活用して実現していく教育課程、こういったことを教育課程全体として目指していこうということを御提示いただいているところでございます。
  5ページ目が前回改訂の成果と次期改訂に向けた課題ということでございますけれども、前回改訂、「生きる力」の重視、「確かな学力」のバランスのとれた育成、言語活動の重視といったこと、こうしたことが様々な成果として表れてきているわけでございますけれども、こうした成果を踏まえますれば、一番下にございますように、前回改訂において重視された学力の三要素のバランスのとれた育成や、言語活動等の重視につきましては、引き続き充実を図っていくということが必要であると、受け継いでいくということでございます。
  一方、6ページに次期改訂に向けての課題ということでございますけれども、我が国の子供たちについて、諮問にもございましたように、判断の根拠や理由を示しながら自分の考えを述べたり、実験結果を分析して、解釈・考察し説明したりすることなどについて課題が指摘されること。主体的に学習に取り組む態度や社会参画の意識など、自らの力を育み、能力を引き出し、主体的に判断し行動するというところに向けてはまだまだ課題であるのではないかということ。学力も含めた「生きる力」ということの全体を教育課程、さらには、各教科の授業へ浸透、具体化していくという観点から、6ページ目、一番下にございますように、教育課程の全体像を念頭に置きながら、一層の見直しということをしていく必要があるのではないかということでございます。
  7ページ目に新しい学習指導要領等が目指す姿ということでございますけれども、一番下にございますように、「何ができるようになるのか」という観点から、8ページ目にございますように、「何を学ぶのか」「どのように学ぶのか」という子供たちの学びの姿を考えながら構成していくということ。その中では「学ぶとはどのようなことか」「知識とは何か」といった知見の蓄積をしっかりと生かしていくということでございます。
  9ページ目に育成すべき資質・能力についてということでございますけれども、9ページ目にございますように、また、11ページ目から、特にこれからの時代に求められる資質・能力、将来の予測が困難な複雑で変化の激しい社会、グローバル化が進展する社会の中で一人一人が幸福な人生を送るためにどのような力が求められるのか。12ページ目には、変化の中に生きる社会的存在としてということで、情報を受け止め、主体的に判断しながら、自分を位置付け、社会を描き、他者と一緒に生き、課題を解決していくということ。様々な情報活用能力でありますとか、「クリティカル・シンキング」、統計的な分析に基づき判断する力などなど、また、上から三つ目の丸にございますように、我が国が科学技術・学術研究の先進国として存在感を発揮していくためには、子供たちが理数科目に対する興味関心を含め、裾野を広げていくこと。また、様々な技術を使いこなす科学的要素ということを育んでいくことも重要ではないかということ。また、13ページ目にございますように、グローバル化する社会の中で言語や文化に対する理解を深め、日本文化を理解して継承していくこと、異文化を理解して協働していくことなどなどの力も必要ではないかということでございます。
  こうした様々な資質・能力があるわけでございますけれども、これを教育課程の構造の中に落とし込んでいくためには、構造化、この資質・能力を構造的に捉えていくということが必要ではないかということでございまして、その御提言が、その冊子、後半がカラー刷りの補足資料になってございますけれども、そのカラー刷りの部分の27というページになってまいります。冊子の場所でいいますと、おおよそ真ん中辺になりますけれども、後半の補足資料、カラー刷りの部分のスライドの27というところを少し御覧いただければと思いますけれども、育成すべき資質・能力の三つの柱ということでございます。
  「何を知っているか、何ができるか」「知っていること・できることをどう使うか」「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」ということでございまして、この3本に照らして、今後、各教科、全ての教科の学ぶ意義、本質というものを深めていくということを22の専門部会で今後やっていくということでございます。
  本文の方にお戻りいただきまして、13ページでございますけれども、発達段階や成長過程のつながりということで、こうした資質・能力を三つの柱に基づき幼児教育から高等学校までを通じた見通しの中で育てていくということ。それから、15ページ目に教育課程の総体的構造の可視化ということがございますけれども、資質・能力、各教科の文脈の中で育まれていく力、そして、また、実社会の様々な場面で活用できる汎用的な力というのも育てなければいけないということ。そのためには、15ページ目の下にございますように、各教科を学ぶ本質的な意義ということを明確にしつつ、教科で育成される資質・能力の間の関連付けや体系化、資質・能力の全体像を整理していくということが、16ページ目の冒頭にもございますように、必要であるということでございます。
  また、こうした資質・能力を育むためには、どのように学ぶかという学習活動の在り方についても光を当てる必要があるということでございまして、アクティブ・ラーニングの意義ということで記されてございますけれども、18ページ目にございますように、アクティブ・ラーニング、この論点整理におきましては、アクティブ・ラーニングの視点ということでおまとめをいただいておりまして、特定の型を普及させることではなく、学び全体を改善し、子供の学びへの積極的関与、深い理解を促していく、そのような授業改善の視点として御提示をいただいているところでございます。習得・活用・探究というプロセスの中で問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過程、それから、他者と関わりながら自分の考えを広げていく対話的な学びの過程、それから、見通しを持って振り返るという主体的な学び過程、この三つが実現できているかどうかという観点から、学びを改善していく、授業改善の視点として御提示をいただいているところでございます。
  19ページ目からは、評価の在り方ということで、20ページ目にございますように、三つの観点に沿って評価を整理していくということ。また、21ページ目にございますように、カリキュラム・マネジメントということの中で各教科の関連性、教育課程全体としての取組を進めていく必要があるということ。また、24ページ目からございますように、教員の養成・採用・研修の在り方、また、ICTも含めた様々な環境の整備ということにも併せて御提言をいただいているところでございます。
  ここまでが総論でございまして、26ページ目からが学校段階、教科別の具体的な方向性ということでございます。本特別チームに関連するところとして、30ページ目でございますけれども、30ページ目から高等学校についておまとめをいただいております。31ページ目の上の方にございますように、高等学校の在り方、「共通性の確保」と「多様化への対応」ということを軸に検討する必要があるということ。「共通性の確保」という観点からは、今回、例えば歴史総合という科目の設置が検討されておりますけれども、そういった共通必履修科目の在り方について議論をいただくということになっております。
  また、「多様化への対応」ということでございまして、31ページ目、三つ目の丸でございますけれども、学び直しや特別な支援が必要な生徒や優れた才能や個性を有する生徒への指導や支援など、様々な幅広い学習ニーズを踏まえつつ、資質・能力を育成できるようにする必要があるということ。次の丸でございますけれども、選択科目や専門教科・科目についても現状を踏まえた改善を図るということ。特に理数教育については、スーパーサイエンスハイスクールにおける取組事例なども参考にしつつ、数学と理科の知識や技能を総合的に活用して主体な探究活動を行う選択科目を新設することなどが考えられるということでございます。
  より具体的には、37ページでございますけれども、マル4、算数、数学というところでございます、初めの四つの丸は、一般的な課題を記させていただいておりますけれども、37ページ目、一番下の丸でございます。高等学校教育においては、SSHにおける取組などを踏まえつつ、生徒の興味や進路に応じて、数学科の枠を越えた科学的なテーマに徹底に向き合い考え抜く力を育成するため、大学入学者選抜の改革や希望者テストに向けた動きも踏まえつつ、数学と理科の知識や技能を総合的に活用して、主体的な探究活動を行う新たな選択科目「数理探究」の設置を検討することが求められる。併せて、「数学活用」の在り方についても検討することが求められるということでございます。同様の記載が、理科、38ページ目の一番下の丸にもございます。これについて特別チームにおいては御議論をいただきたいと考えているところでございます。
  48ページ目に今後の検討スケジュールということにありますけれども、教科・学校段階、全体を見渡したカリキュラム全体としてどのような資質・能力を育成すべきか。その中で各教科・科目が果たすべき意義が何かといった視点で全体を御議論をいただければと考えているところでございます。
  また、資料8には、高大接続システム改革会議の「中間まとめ」ということが資料8に記されておりますけれども、本論点整理とある意味呼応するような形で、希望者学力テストの導入の中でも「数理探究」に対応する科目を実施するということ、こうしたことが併せて御議論がされているところでございます。
  大変長くなりましたが、当方からは以上になります。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  それでは、今までの説明について、御質問等がございましたら、質疑応答は後で行いますが、お願いします。よろしいでしょうか。
【小玉主査代理】    では。
【岡本主査】    はい、どうぞ。
【小玉主査代理】    小玉でございます。
  今、企画特別部会の内容をハイスピードで御説明いただいていたんですけれども、ちょっと私の方も事前に勉強して、今回はちゃんと勉強してまいりました。ので、ちょっと確認を併せてお伺いしたいと思うんですけれども、まず、企画特別部会論点整理において、高等学校においては、数学と理科の知識や技能を総合的に活用して、主体的な探究活動、「主体的な」が付いておりますけれども、主体的な探究活動を行う選択科目を新設するということがあって、今、御説明をいただいた数学、あるいは理科についての横断的な探究活動を行う選択科目、数理探究(仮称)を設置することの検討が求められているというふうなことだったんですけれども、これは、今後、高大接続システム会議の中間まとめによれば、この数理探究を念頭に置いて、平成36年度以降、当該科目に対応した高難度の出題を行うことも検討するということですから、この数理探究がいずれ大学入試につながってくるというふうな理解でよろしいんでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    はい。御指摘のとおりでございまして、後ほど、今日御議論いただく議題についても、御提示をさせていただくと思いますけれども、正にこの数理探究の制度設計というものが、希望者テストの制度設計ということにつながってくるということでございます。
【岡本主査】    よろしいですか。
【小玉主査代理】    ありがとうございます。はい。
【岡本主査】    ありがとうございました。また、議論の中でも質問等があればしていただければ、お答えいただけると思います。
  続きまして、本、この特別チームにおける検討事項等について、また、事務局の方から御説明お願いします。
【平野教育改革調整官】    失礼いたします。それでは、資料9を御覧いただけますでしょうか。資料9、高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チーム検討事項という一枚物の資料がございます。大きくこの特別チームにおいては、5点御議論賜りたいと考えているところでございます。
  まず1点目は、数学と理科の知識や技能を総合的に活用して主体的な探究活動を行う、科目名としては、数理探究(仮称)ということとさせていただいておりますが、そこで育成すべき資質・能力について、特に論点整理の中で示された三つの柱に沿って資質・能力を整理していただきたいと考えているところでございます。
  それから、2点目が、数理探究(仮称)の内容等についてということでございます。1の資質・能力と大いに関連するわけでございますが、この科目の目標、それから、内容、探究的な活動の対象領域といったような点について御意見を頂きたいと思っているところでございます。
  それから、3点目が、この数理探究の指導方法及び指導に当たっての留意事項等についてということでございまして、どういった指導体制が望ましいのか、あるいは教員の免許についてはどう考えるのかというような点について御意見を頂きたいと思っているところでございます。
  それから、4点目が資質・能力の育成のために重視すべき数理探究の評価の在り方についてということでございまして、評価の観点、あるいは方法といったところについても御意見を賜りたいと考えております。
  それから、最後、5点目でございますけれども、数理探究の質を高め、普及させるための方策ということで、例えば教員に対する研修、あるいは先ほど紹介ありましたように、入試での活用、あるいは各種の大会や顕彰制度みたいなことが考えられるわけでございますけれども、そういった点について御意見を賜りたいと考えているところでございます。
  続きまして、参考資料として資料10、用意させていただきましたので、こちらについても簡単に御紹介させていただきます。
  こちら、1枚おめくりいただきますが、学習指導要領の変遷ということでございまして、おおむね10年ごとに改訂をしているという状況でございます。
  それから、もう一枚おめくりいただきまして、5ページ、スライド番号でいいますと、5ページの、右下に数字が打ってございますけれども、今回の新しい学習指導要領の改訂の視点ということでございまして、次のスライド6番目と5番目がこの会の学習指導要領改訂に当たっての基本的な考え方ということでございます。特に、スライド6番目のこの三つの柱を中心に、今回、全ての教科・科目について資質・能力というもの、その教科、学習を通じて身に付けるべき資質・能力というものを整理していこうというのが、今回の改訂の議論の中で中心的に御議論をいただく予定としているところでございまして、この数理探究についても、このスライド6にございますように、この三つの視点からどういった能力を育むかというようなところをまず、次回以降御議論賜れればと思っているところでございます。
  その下の、スライドの番号でいいますと、7というところでございますけれども、数理探究につきましては、ちょうどスライド7の真ん中あたりにございます、諮問文の抜粋がございますけれども、より高度な思考力・判断力・表現力等を育成するための新たな教科・科目の在り方について検討していただきたいというような諮問文の要請を受けて出てきた考え方でございまして、特に、現在、スーパーサイエンスハイスクールなどで行われております取組を参考にしながら、新たな選択科目として、この数学と理科と融合科目としての数理探究(仮称)を考えてはどうかということで、今回御議論をお願いしているところでございます。
  それから、1枚おめくりいただきまして、スライド番号9以降が現状の数学・理科に関する状況ということでございます。1枚おめくりいただきまして、スライド番号10の資料を御覧いただきたいと思います。理数教育の課題ということでございますが、数学や理科の勉強が好きだと答えた高校生の割合は、他の教科に比べてかなり低いというような状況が出ております。右側に折れ線グラフございますけれども、特に化学が高校生に進学した後にかなり落ち込みをしているというようなデータが出てきているところでございます。また、マル2でございますけれども、数学や理科の勉強が大切だと答えた高校生の割合は、やはり他教科に比べて低いというような数値も出ておりますし、マル3にございますように、「社会に出たら理科は必要なくなる」と答えた高校生の割合は、日米中韓で一番日本のパーセンテージが高いというようなデータが出ているところでございます。
  その下のスライド番号でいいますと、11ページでございますけれども、理数科の現状と課題ということでございまして、高等学校で普通科と別に理数科というような学科を設定している学校があるわけでございますが、これは全国約5,000校のうち182校というかなり少ない学校しか理数科を開設していないという状況にございます。下の方にございますように、先進的な理数教育を行うということで設置されたものでございますが、募集定員の確保に苦労しているというような学校が地方を中心に一部見られているということでございます。ただ、一方で、マル2にございますように、SSHの指定を受けて地域の理数教育の中心となって、非常に注目を浴びているというような学校も出ているところでございまして、少し二極化が進んでいるというような状況でございます。
  それから、もう一枚めくっていただきますと、スライド番号12、13のところでございますが、今の現行の学習指導要領の数学と、普通教科の数学・理科それぞれに数学活用、理科課題研究というような形で、探究的な、あるいは実社会に即した課題を取り扱うというような科目があるわけでございますが、残念ですけれど、余り開設状況がなくて、下にパーセンテージの表がございますけれども、ほとんど開設されていないというような状況にございます。
  更に1枚おめくりいただきまして、SSHの状況ということでございます。スーパーサイエンスハイスクールにつきましては、今年でちょうど14年目というようなところでございまして、かなり成果が見られる学校が出てきているところでございます。今年度指定を受けているのは203校というところでございまして、全てのスーパーサイエンスハイスクールではないんですけれども、多くの学校は、教育課程の特例ということで、学習指導要領に必ずしも全部従わなくてもいいというような特例を受けまして、新しいカリキュラムの開発などにも積極的に取り組んでいただいているというような状況でございます。
  もう一枚、おめくりいただきまして、スライド番号でいいますと16ございます。特にスーパーサイエンスハイスクールにおきましては、高度な課題研究をやっていただくということを重点的にお願いしておりまして、様々な課題研究に取り組んでいただいております。代表的な取組の流れといたしましては、ちょうど真ん中に、字が小さくて恐縮でございますけれども、高校1年生の段階では、まず、研究手法の習得を基礎的な学習としてやっていただいて、2年、3年でより高度な課題研究を実際やっていただくというような流れでございます。
  具体的な活動の事例は、今日はパンフレットをお手元にお配りさせていただいておりますけれども、その中にSSH指定校の先進的な取り組みということで、事例を掲げさせていただいておりますし、あと、その後の資料12でございますが、スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会要旨集ということで、これは今年度、各高校の課題研究の状況を発表していただいた際に、特に優秀な研究ということで表彰を受けた団体のものを五つほどピックアップさせて、その要旨を掲げさせていただいております。SSH校で実際どういった課題研究がやられているのかというようなことが、これを御覧いただければ、少しイメージが湧くのではないかと思います。
  それから、これ、委員の方々、机上配付資料としてお配りさせていただいておりますので、傍聴の方にはなくて恐縮なんでございますけれども、左側の山のタブレットのちょうど下にこの千葉大学が作成しております『理科課題研究ガイドブック』というものがございます。これ、千葉大学がSSH校などを対象に課題研究をどういうふうに高校の段階で進めていくべきかというような、副読本、教科書に準ずるようなものとして作成いただいたものでございまして、幾つかのSSH校で実際にこれを使って指導が行われていると。ここでは、探究活動についてどういった手順で、基本的な流れがどういった手順で進んでいくのかということですとか、ごく簡単ではございますけど、研究倫理的なものも含めて教えるというような内容になっておりまして、非常によくまとまった資料だと思います。今後、この数理探究が教科・科目になっていった際に教科書を作るのかどうかというような議論もあろうかと思うんですけれども、一つのイメージとしては、こういったような教科書的なものが必要なのかどうなのかというようなところも、今後御意見を賜れればと思っております。
  その下にございますのは、これは、各高校で作っているものも、この千葉大のを使うというわけではなくて、各高校で作っているという事例もあるんでございますが、これは岡山県立の倉敷天城高校が作っている同じようなガイドブックでございまして、さらに、その下には岡山県立天城高校が作っている評価のためのルーブリックがございます。実際にこの課題研究をどう評価していくのかというようなところも、非常にこの科目を考える上に当たって重要な視点だと思いますので、これを、こういった評価のためのルーブリックそのものをこの委員会で創るというわけではございませんけれども、どういった観点から評価するべきなのかどうかというようなことを、今後、御意見賜りたいと思っておりますので、御参考ということで配付させていただきました。
  私からの説明は以上でございます。
【岡本主査】    どうもありがとうございました。
  じゃあ、早速、ちょっと今日は時間をとって自由討議というふうに入っていきたいと思います。1回目ということで、また、初めての顔合わせということでございますので、皆様から御自由に御意見を頂きたいと思いますけれども、先ほど説明がございました、教育課程企画特別部会論点整理だとか、本特別チームにおける検討事項を踏まえて、意見交換ということをお願いしたいと思います。もちろん先生方の専門に関連して、特に検討事項に関して、日頃こういうことを考えているんだということと、取り組んでこられたことなどがあれば、もちろん御発言を頂いても結構でございます。
  なお、御意見のある方はあらかじめ名札を立てていただければ、私の方から順次指名をさせていただきたいと思います。
  なお、限られた時間ですので、一人ずつ、1人30分しゃべるわけにはいかなので、3分程度ということで御発言いただきたいと思っております。先ほど主査代理の小玉先生が、代理は発言しちゃいけないのかということをおっしゃっていましたが、既にお気づきのとおり、主査はそんなに黙っている人ではないので、主査代理が何も遠慮することはないということでございます。じゃあ、早速口火を切って、どうぞ。
【小玉主査代理】    ちょっとデモンストレーションでやってしまいましたけれども、では、ちょっと高校の現状をまずお伝えをして、その上で大所高所から是非御意見を承りたいと思っております。
  私の所属しております千葉県立佐倉高等学校は、スーパーサイエンスハイスクール指定されて3年目でございます。それから、理数科ができて2年目というふうなことで、今、順調に進んでおるんですけれども、このSSH校、あるいは理数科で行っております課題研究について、まず御説明をして、それと、今度の数理探究はどうなのかと、どういう関係になるのかということを是非御意見賜りたいと思うんですけれども、この理数科、あるいは本校でやっているSSHでやっている課題研究といいますのは、大学での卒論と、プチ卒論というふうな形になります。先行研究を十分調べて、先行研究があるものはもちろんできないというふうなことでございまして、そういう先行研究を調べる段階からかなり苦労をしてまいります。
  で、カリキュラムの中には、2年生に課題研究一コマ、それから、3年生に一コマをとっておるんですけれども、実際はとてもとてもそういう時間割の枠内ではできるものではございませんで、平均しても週3コマから5コマ、放課後常にやっていると。特に実験を伴うものについては相当夜遅くまで、先生方もボランティアで残っているんですけど、8時までとか、特に、いろんなところで発表もするんですけれども、そういうときには本当に遅くまで、あるいは土日も出てというふうなことでやっております。ですから、この理科課題研究の内容は、この指導要領にありますけれども、これをそのまま持ってくるのでは、通常の普通科の高校ではとてもできないということになります。非常にこれは厄介です。で、さっきガイドブック、理科課題研究のガイドブック、小泉治彦先生がまとめてくれましたけれども、誇らしいことに千葉県の先生でございまして、私も地学、小泉先生も地学なんですね。これを苦労しながら、県立柏高等学校のときにSSHを引き受けて、かなり早い時期に引き受けまして、苦労しながら、これはまとめたものであるということで、相当課題研究というものは苦労が要ります。
  ということで、まず、苦労話をしちゃったんですけど、では、今回の企画特別部会で御提示がありました数理探究はどのようにもっていけばいいのかというと、この課題研究をそのまま持ってくるとうまくいかないと考えております。ですから、それを基に、私のある一つのアイデアとしましては、幾つかの課題研究のノウハウを疑似体験できるようなものにしていくべきではないかと考えております。
  例えば疑似体験ができるというのは、幾つかの手法がありますよね。研究に関する幾つかの手法、例えば比較的すぐ簡単にできて、ある2時間、ないしは3時間のまとまりでできるものということになりますと、既にもう観測データがあるものについては、それらを探究しながら課題を解決するために進めていくということができようかと思います。例えば1日に2回潮の干満、潮汐がございますけれども、それはなぜだろうというふうな例示の課題を提示した場合には、それに対して数学的な手法も当然要りますので、それらを駆使してグループで検討して、解決にもっていくというようなことができるでしょうし、2番目としましては、実際に実験しなければできないものですね。実験して課題を解決していくもの、その実験する中で、現象の要因とか、変数の抽出、それから、条件制御、実験群と対照群の統制とか、仮説検証とか、そういうものが身に付けていくかと思います。それから、三つ目としては、シミュレーションですね。シミュレーションにより課題解決できるもの。四つ目としては、野外観察、野外調査によって問題解決できるものとか、あとは、五つ目は、数学的な手法、あるいは統計的な手法を用いて課題解決していくもの、あるいは六つ目としては、数式化したり、モデリングしたり、モデル化することによって課題解決していけるもの、そういうものを組み込んでいくというのも、一つの手かなと思っております。
  基本的には、数理探究、多分授業時間内で完結するような形でやっていくと思いますので、そのようなもの、適切な課題をある程度例示しながら、もちろん学校の実態によってはどんどん変えていくことが可能かと思います。例示しながらやっていって、そして、育成すべき資質・能力というのは、もう既に提示がありましたけれども、より高度な思考力・判断力・表現力を中心として育成すべき。普通の理科・数学の教科・科目ですと、知識、理解にどうしても偏ってしまう。ところが、思考力・判断力・表現力を目指した科目というのは極めて少ないんですね。そういうものを目指していくような科目である方がいいのではないかなと考えております。
  学校の現状と、それから、ちょっと私のアイデアをたたき台として出させていただきました。よろしくお願いします。
【岡本主査】    はい。
  大路委員、塩瀬委員、竹内委員なので、この順番に発言をしていただきたいと思います。まず、大路先生、よろしくお願いします。
【大路委員】    具体的な内容に既に入り始めているかと思うんです。私は、一つは、先ほど平野調査官にお話しいただいた内容のちょっと質問だったんですけど。
【岡本主査】    どうぞ。
【大路委員】    それはスーパーサイエンスハイスクールの文科省の事業として非常に好評で成果を上げているということなんですけれども、その追跡調査みたいな、もう14年ぐらいたっているわけで、その卒業生がその後どういう道を歩んで、例えば科学の分野で研究生なり、職に就いて活躍されているとか、そういうフォローアップの追跡調査みたいなものはされているのかどうか。で、実際にそういうことを踏まえながら、やはりSSHは効果を上げていると自信を持って言えるのかどうかということをちょっとお聞きしたかったということと。
  もう一つは、議論がもう始まってしまっていますので、あれなんですけど、この目標が、数理探究を置くことによってどういう生徒さんを育てたいかと。本当に第一線級でノーベル賞を目指すような研究者を輩出するような方にもっていきたいのか、それとも、基盤をやはり底上げするような基礎的なものに重視をするのかという、その二者択一ではないと思いますが、その辺の最初の基盤といいますかね、どういう方向の人を育てたいかというところがちょっといま一つ見えなかったんで、その二つをお聞きしたいと。全然違う質問で申し訳ないんですけど。
【岡本主査】    いえいえ、大丈夫です。では、これは質問ということなので、事務局の方からお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    それでは、まず一つ目の質問についてお答えさせていただきたいと思います。SSHの成果をどう測るかというと、実はかなり難しいところがございまして、実際14年と先ほど申し上げましたけれども、14年というと、高校を卒業して14年、今、ようやく30前後ぐらいが初めの卒業生でございますので、じゃあ、彼ら、今、どういう成果を上げているかというところ、まだまだ研究者としては若手でございますので、それでもってSSHの成果というのはなかなか難しいのかなとも思ってございます。
  しかも、高校から卒業してしまうと、追跡調査というのが難しいところもございまして、今回別の形で高校の方にある意味恣意的にちょっとどういう方がいらっしゃるかということをお伺いしたりはしたんですけれども、そこでは、かなりこういう方がいらっしゃいますよということは把握はしているんですけれども、何といいますか、それが網羅的なものでもないですし、という状況でございまして、ちなみに、卒業生が今、どう活躍しているかということでもってSSHの成果を測るというのは、なかなか難しいかなと考えておるところでございます。
  ただ、一方で、おっしゃっている課題は非常に大事で、今、各学校、取り組んでいただいていますけれども、肌感覚としては非常に成果があるということは、生徒の変容とかというところで上がってきてはおるんですけれども、それをどう証明するかというところはもう少し工夫の仕方があると考えております。他の別な形で取り組んでいきたいと思っております。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。2点目でございますけれども、諮問により高度な思考力・判断力・表現力ということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、希望者テストとの関係で申し上げますと、希望者テストの方でも、思考力・判断力・表現力を中心に評価する問題ということは難易度としては上がってくるのではないかということもございますが、制度設計の方向性といたしましては、必ずしも研究者だけということではないかもしれませんけれども、こういった真のキャリアということを目指していく子供たちということを中心に考えていただく。一方で、カリキュラム全体で申し上げますと、総合的な学習の時間というのがございまして、こちらはより社会学も含めた学際的であったり、実生活の探究であったり、あるいは学び方ということであったり、そういった部分で役割を果たすという科目、領域もございますので、それとの対比の中でより思考力・判断力・表現力、高度な部分ということが必要なキャリアに臨んでいく子供たちを育てていくというようなことをイメージしていただくということかなと考えております。
【岡本主査】    2番目の方は、かなりここでも議論していかなきゃいけない課題だろうと思います。
  では、続きまして、塩瀬委員にお願いします。
【塩瀬委員】    よろしくお願いします。京都大学の塩瀬と申します。
  スーパーサイエンスハイスクールでは、京都市の堀川高校の学術顧問と幾つかのスーパーサイエンスハイスクールの申請のお手伝いをさせていただいているんですけど、その観点からなんですけど、先ほど平野調整官が御説明いただいた資料10の7ページ目のところで、諮問文の中により高度な思考力・判断力・表現力などを育成するための新たな教科・科目の在り方についてという言葉があるんですけど、質問とコメントという形で言うと、この諮問文の「より高度な」ところから始まるのを、実際科目化されるまでの間に、その枕の部分に「複合的な」とかというのを付けることは可能かどうかというのが質問なんですけど。
  で、その心は、「より高度な」と書いてしまうと、先ほどもテスト、最終的に入試するときにすごい難解な数式を解かせるとか、難解な数理的な問題を出すように思われて、結果、生徒に忌避されるんではないかなというのが少し懸念するところがありまして、それは、大学とかで教えていても、日本人の学生と、例えばアメリカとか、フランスとかで学んできた学生とで同じ課題をさせたときに、基本、日本人の学生は複雑に物事を考え過ぎてしまって、難解な問題を難解な方程式で解こうとして、結果、解けなくなる。そこに対して欧米の学生はシンプリファイするのがすごく得意で、それはやっぱり数理モデルとして問題を捉えることだと思うので、そのシステム思考的な捉え方がすごく重要なのであって、数学と理科を組み合わせたときに、「より高度な」という言葉が先に立ってしまうと、何か複雑な方程式で複雑なことをして、複雑な問題を解くというふうな思考になってしまって、入試問題もそういう問題になりかねないなというのはちょっと懸念するところで、むしろ複雑な社会課題とかをいかにシンプルに捉えるという意味で数理モデルとかを捉えることが大事だと思いますので、そうすると、しっかりとした数理モデルを何パターン自分の中で体得するかによって、例えば問題は自然科学の中の環境問題のものであれば、あるいは社会科学の中での群集シミュレーションの話とかいうふうに、数理モデルであれば、別に理系問題だけではなくて、人文社会の問題も取り込めると思いますので、多分この数理探究によって本来解決すべき課題は、理系、文系関係なく身に付けるべき知識だと思いますので、僕もそのSSHで教えるときも、スーパーサイエンスハイスクールで身に付けたのは、科学者になるために学んでいるだけではなくて、数理的なセンスと技能を社会に還元するためにスーパーサイエンスハイスクールはあると思いますので、そういう意味でも、ここがちょっと「複合的な」でも頭に入れば、その「高度な」という言葉の印象を少し薄れて、少なくとも二つ三つ以上の何か技術的なものを組み合わせるという印象が出るのかなと思いましたので、諮問文から解答していって、実際に科目ができるころに何かそういう複数なものを組み合わせながら、問題を単純化するしっかりとした力が付くというところを、何かこの数理探究の中では入れておけると、実際の運用に資するのではないかなと思いました。
【岡本主査】    ありがとうございました。どうぞ。
【平野教育改革調整官】    実際にこの科目の目標などを書き込んでいく際に、今の御意見なども踏まえて、また、皆様からの御意見も踏まえて、これから作り上げていくということになろうかと思いますので、参考にさせていただきたいと思います。
【岡本主査】    それでは、お待たせしました。竹内委員、よろしくお願いします。
【竹内委員】    一橋大学の竹内幹と申します。経済学を教えております。
  2点申し上げたいんですけど、1点目ですけど、私、自分の話ですけど、公立小学校に通う息子がおりまして、その学校はいつも授業参観していますので、毎回私、出ているんですけど、先月は算数の、低学年なんですが、算数の授業参観でした。で、すごく感じたのは、本当に文部科学省の特に初等中等教育局、いい仕事してくれたんだなというふうに本当に実感しまして、もちろんNイコール1ですからあれですけど、非常にもう実感しました。その授業、もちろん個別の教員の裁量によるところは、力量によるところもあるかとはいえ、自由な、言葉には表せない、多分教育現場を御存じの方は分かると思います。自由な発想が本当に満ち満ちていた教室の雰囲気、非常にざっくりした表現ですけども、それもその場にいるだけで涙が出てくるようないい授業でした。
  これは、いわゆる生きる力みたいな、非常にざっくりした、それこそやゆされはしましたけど、あれが教材として作り上げられていって、しっかり現場に根づいてきたんじゃないかなという気がしました。やっぱりそこにはオープンなディスカッションがあって、答えが決められていないからこそ進んでいきたいというのが非常に教室に満ち満ちていて、ありがとうございますという気分でした。そうした流れがどんどん続いて、大学入試で最後それをせき止めないように、大学の側でしっかりそれを受け止めるような入試体制にしないといけないなと思いました。
  で、今のは1点目なんですけど、つまり、今、理念みたいなことばかり書いてある気がしますけど、やはり現場でどんどん教材化されていく中で、ここでの議論というのはすごく生きてくると思いますので、いわゆる虎ノ門で真ん中でやっていますけど、これが全国に今後10年後、20年後にきいてくるんだなと思います。
  すいません。以上、感想です。
  2点目、経済学です。今、塩瀬先生がおっしゃったことにすごく共感するんですけど、経済学を教えていますけど、理数系と違って、経済学ってすごく特殊な、自分たちだけというわけじゃないんですけど、ところでして、社会問題、複雑なものを見たときに、いろんな切り口があるんですけど、特に我々の経済学というのは、あえて数理モデルに組み込むと。どういった特徴を数理モデル化するかというところに、言わば経済学者の力量が問われております。と申しますのは、一旦アサンプションを決めれば、そこのコンクルージョンは、言わば自明なわけで、もちろん証明のプロセスはありますけれども、一旦どんなアサンプションを積み上げるかというのはすごくきいてくるというわけです。
  ですから、3段階あって、1番が素材、社会現象、経済現象、社会問題、あるいはいろんな興味関心。2番目がモデルに落とし込むと。3番目は、そのモデルを解いて証明したり、インプリケーション、引き出すところ、この1、2、3とあるわけです。ちょっと残念ながら、経済学をいろいろ見ていますと、教科書も教育現場も大体2番、モデルから3番の解答までというのは丁寧にやるわけですね。我々経済学者はもちろん1番はよく知った上で2番なり、3番の面白さをよく知っていますけど、学生さんを見ると、2番、3番、モデルから解、問題解答、問題解答、またこれになっちゃうと。
  今、先生おっしゃった疑似体験をするといいというのは、すごく共感なんですけど、多分SSHをやられるぐらい本当に皆さんの、こういう言い方はよくないのかもしれませんが、力量のある先生方、実績のあるところですと疑似体験でも、恐らく1、2、3の流れを体験できると思うんですが、これはやはり全国レベルで教材になっていく段階ですと、問題から解答になっちゃう。結局素材というのが、実は素材ではなくて、与えられた教材って、既にそこがもうモデルになっちゃっているので、この1、2、3の2、3の部分にならないような教材開発というのを是非とも現場の方のいろんなナレッジをシェアしていただきたいなと思います。
  すいません。以上2点です。1番目は感想、2番目はお願いでありました。失礼しました。
【岡本主査】    ありがとうございます。
  小玉先生、また何かありましたら。
【小玉主査代理】    はい。では、せっかくですから、疑似体験といいまして、あくまでもこれは例示にとどめるべきであると思うんですけれども、その例示を基に、例えば野外調査なんかですと、地域に特徴的なものがたくさんありますので、それは教員が結構持ってくると思います。その素材を探す。課題研究においては、まず、何を研究するかという研究テーマ、これに膨大な時間、労力が掛かります。ですから、その部分も是非取り入れられるような、一例はこうですよ。でも、自分の課題を是非探してくださいというような形ですね。ただ、その手法は、さっきのモデリングがあったり、野外調査がいろいろあると思いますので、その1、2、3、きちっと1を大事にするような形になるといいなと思います。ありがとうございます。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  ほかにいかがでしょうか。
【井上委員】    すいません。慶應大学の井上と申します。
  ちょっと2点、我々、17年ぐらい高大連携の事業をやってきているんですけれども、そこで気付いた点を2点ほど簡単にお話をさせていただけたらと思っております。
  一つは、我々、高校と一緒にやっておりまして、SSHの評価とか、あるいは成果について、あるいはそのプロセスについていろいろ関わらせていただくときに、SSHがスーパーティーチャーがいらっしゃって、すいません。小玉先生とか、岩田先生に失礼かもしれませんけれども、高校にスーパーティーチャーがいらっしゃって、その方々が引っ張ってくださっているような部分も少なからずあると思っておるわけですね。
  それがこのような学習指導要領に落とし込むというときに、より多くのスーパーティーチャーというか、ある程度の余裕を持って、また、たくさんの時間と労力を割けるような方をたくさん見つけなきゃいけない。そういう点を考えますと、ここで大学の活用とか、あるいは博物館、あるいは企業さん、地方でいきますと博物館や大学がないところもございますので、そういうところでは企業さんの活用とかというのを少し議論ができればいいのかなと。そのときに当然文部科学省のほうからも出てきましたけども、教員資格というところで問題が出てくるのかもしれませんけれども、そういう点のことをやっていただけるといいのかなと思っております。
  もう1点ですけれども、我々、高校生を実際に教えておりますけれども、申し訳ないですけども、研究倫理とか、知的財産の部分で全くひどい状態もございます。場合もあるということですね。全てがそうではないんですけども、例えば我々、生命系ですけど、動物実験をやるときに、全く生命倫理の学習をしないままに実験をやっているところがあったり、というところで非常に大きな問題ではないかと思っております。ですから、高校レベルで研究倫理とか、知的財産の本当にベーシックな、ファンダメンタルなところを少しでも教えていただくと、これは、我々、スウェーデンとか、イギリスとかとの高校と提携しておりますけれども、そういうところでもやっておりませんので、国際的なリーディングという点でも、優れたモデルになるのではないかと思っております。
  この2点でございます。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  いかがでしょうか。いろんな意見が出てきましたが。どうぞ。
【小谷委員】    実は、札を立てたときに私が話そうと思ったことがほとんど井上委員と同じだったので、もし時間が少なければ発言しなくてもいいのですが、2点意見を述べさせていただきます。一つ目はどうやってこれを教育の現場に落とし込んでいくかということです。既存の、数学活用や理科課題研究がほとんど実施されていなかった現状にはどのような課題があるかをしっかり認識するべきだと思います。私もSSHに関わっていますが、関係者の皆さんが並大抵ならぬ努力をされています。SSHは特別な枠組みですので、それを一般的な形で実施するにはどうすればいいかが大切です。特に数学に関しては、課題を考えること自体もなかなか難しいという問題点も聞いているところです。
  私が、いい取組だなと思ったものとして、秋田県の博士教員制度です。博士号を持った教員を一つの高校で選択的に取るというよりは、秋田県全体で活用する取組はすばらしいと思いました。
  もう一つ目も井上委員の発言と重なるのですが、今、研究倫理のことが大学研究者の中で非常に大きな問題になっています。この件では、中学、高校での教育が非常に大切だと思っています。課題研究を発表するときに、よく調べたねということでオリジナリティやクレジットに関する指導が十分行き届かないことがないように指導・教育をすることが非常に効果的です。先ほど配っていただいたこのガイドブックにはそれがきちっと書かれていて、大変感心いたしました。どうもありがとうございます。
【塩瀬委員】    すいません。何度も。井上委員と小谷委員がおっしゃったことに関してちょうど思うところがありましたので。
  私自身が今、アクティブ・ラーニングでいろんな学校の先生向けの研修とかをさせていただいているんですけど、その中での課題の一つは、先生御自身がアクティブ・ラーニングをしたことがない中で研修をパッシブに受けてしまうので、先生と生徒の関係自体が、同じ教室で同じやり方だとやっぱりなかなか変わらないというところがある中で、その第三極としての人とか、経験者が入ることがすごく重要で、先ほど井上委員とか、小谷委員がおっしゃっていたように、企業のスペシャリストであるとか、博物館とか、科学館の人というのが、もしかすると数理探究スペシャリストみたいな形でそういう教育の中に携われると、すごくよいのではないかなと思いまして、ちょうど経産省でキャリア教育コーディネーターみたいなものを創ったときに、企業の方が学校に入るときに、すごく教育に貢献したいと思っているんだけれども、自分自身は先生の資格を持ってないので、そういうところにどう、どの程度関わっていいのかというのが分からないというところがあったので、多分現場の問題とか、科学館とかでも科学により詳しいところでお仕事されている方が、その数理探究の、例えば先生のアシストがしっかりとできるような、ある程度オーソライズされたポジションというのがあれば同じように関われるのかな。そういう意味で言うと、先ほどのドクターがそういうところに関われるといったところも、一校一校で雇用するうんぬんとなると、それこそスーパーサイエンスハイスクールの特定の学校しかできないと思うんですけど、そういうのが教育委員会さんの単位であるとか、その地域の中で幾らかスキルそのものをシェアできるような体制があれば、先生自身も、いきなりここに新しいものが増えていってはやっぱり苦しくなってくるのかなと思いますので、そういう教材と支援システム自体が同時にできればよいのかなと思いました。
  すいません。ありがとうございます。
【岡本主査】    では、熊倉先生からどうぞ。
【熊倉委員】    静岡大学の熊倉です。
  私も2点ほど申し上げたいと思います。
  1点目は、私もSSHにこれまでずっと長く関わってきた経緯があるんですけれども、大変すばらしい取組をしている学校と、課題があるような学校があって、すばらしい取組をしているというのは、課題研究というものに対して非常にうまく取り組んでいる学校かなというふうに感じています。その課題研究のその取組の内容をもう少し見てみると、最初自分たちがテーマを設定し、設定したテーマに基づいて自分たちで、個人だったり、グループだったりしますが、それを探究し、まとめて発表するという、その一連の活動があるかと思うんですが、その一連活動を主体的に共同的に非常に一生懸命やっているというのが非常にうまくいっている課題研究の取組かなというふうに感じています。
  そういう意味で言うと、SSHから学ぶ、この科目に生かすような数理探究の課題研究の良さというのは、私は、その一連の活動の中にあるんじゃないかなと思っています。中身は、これを一般化、普通の学校にまで落としていったときには、その扱う内容そのものはいろいろな内容が当然混在してこざるを得ないんではないかと思うんですが、学習する方法、正に今回の三つの柱でいう、一つ、どのように学ぶかというところで探究的に学んでいくという、その一連の活動を尊重していくのが大事なのかなと感じているのが1点目です。
  2点目は、先ほど小谷委員の方からも出たことも、私も同じことを感じているんですが、現行の学習指導要領の中で、例えば数学活用であったり、理数科の課題研究であったりというのを、学習指導要領の趣旨とか、そういったものを見てみますと、大変良い趣旨が書かれていて、既に今回起こそうとしている科目のかなり参考になるような内容、目標であったり、評価であったりというようなことが書かれているかなと思うんです。ところが、現実にはそれがほとんど行われていない。行われているにしてもごく一部ということで、そうすると、そこは何が原因かということがあるかと思うんですが、評価であって、それから、多分大学入試であって、あるいは教科書であってというところ、その中身をどうするかというのはすごく大きいのではないかと思います。
  例えばある教科書を書くと、その教科書の内容を学ぶことに一生懸命になって、それはもう探究的な活動がどこかへ飛んでいってしまって、それがそのまま大学入試に出るということになってくると、結局、知識、内容を覚え込むというところにいってしまう危険性というのがあるかな。だから、教科書を作るのか作らないか、作るとしてもどう作るのかとか、評価をどうするのかとか、そして、大学入試の部分をどうするのかということは、実はとてもこの科目が実際に運用されて現場で活用されていくのに当たって大きな大きな要因になってくるのではないかと思います。
  そういう意味では、今日の検討事項の中の5番目に挙がっていますが、質を高め、普及させるための方策というところにも関わるのかもしれないんですけど、実際にこれを現場で使ってもらうためにはどうしたらいいのかというところをいろいろこの中でも検討していく必要があるのかなと思いました。
  以上です。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  では、川端先生、どうぞ。
【川端委員】    北大の川端です。
  私自体は、このSSHだとか、こういう話からはちょっと離れている人間なんで、皆さんの動きを見ながらと思ってお聞きしていたんですけれども、まず、第1点目からちょっとだけお聞きしたい話があって、実は、この先ほどの資料10の高等教育の理数教育の現状と課題の10ページというところに、要するに、高校になって急激に理科の化学が嫌いになる、嫌いになるんじゃないわ、好きじゃなくとかね、数学や理科の勉強が大切だと思っている比率が低いだとか、社会へ出たら理科はあんまり必要でなくなると考えている高校生が多いだとかって、これ、SSHをやっているところで調べたらどうなっているのかなという。出た後、どんなにすごい人生を送ったか、それはもう誰も分からないはずなんですけど、これに関しては今すぐ分かる話、こういうような取組をやったために、やっぱりこれは面白いんだとか、社会に役立つんだと思ってくれているのかなという、そこだけは非常にちょっと気になったんで。
  それで、もしそうだとすると、私の立ち位置がよく分からないんですけど、要するに、SSHが非常に良い取組だと、こう思うんであれば、逆に、じゃあ、これを全他の高校まで全体を広げることが問題だとすると、そこにおける課題が一体何なのかというところが、ちょっと私にはあんまりよく分からなくって、確かに非常にたくさんなお金をつぎ込んで特定の高校でやっている。そのお金をつぎ込めなくなって、全高校にカリキュラムとして普及していくとすると、当然そこに一体何が起こるかって、こういう話になるのかなって、こういう気がさっきからずっとしています。
  何でこんなことを言っているかというと、大学の中でもリーディング大学院だとかって、同じようなことをやっていて、で、落ちるところは、最後の落としどころは何かというと、全体に普及させるためにどうしなきゃならないかという話と、もう一個が、SSHの今までお話ししてても、それをやられている先生は必死になってやられている。スーパーティーチャーみたいな者がいて、どーんと走っているところとそれが現れないでそうでないところというのが多分分かれている。そういうところというのは、スーパーティーチャーがいていいよねなんですけど、ひっくり返したら、その先生は猛烈な負担を乗っけられてやっているはずで、基本的にはエコシステムが動いていない状態なんですよね。だから、ばんばん走れば走るほど、その先生は多分疲弊していくはず。じゃあ、疲弊しないシステムはどう作れるかというので、先ほどからちょっと出ていた大学との関係であるとか、使えるものはうまくどう使うか。大学の先生も御多分に漏れず疲弊しながらやっているのが最近でして、そういう意味では、ドクターコースの人間であるとかって、そっちはまだまだ使い勝手もあっていろんな動き方もあるという、あれは別かもしれないけど。というようなところで、大学との連携の在り方みたいなのをつないで全国に広げるような、そんなようなシステムをどう作り上げたらいいのかなという、そんなようなストーリーなのかなという気がしていました。
  以上です。
【岡本主査】    どうもありがとうございました。
  もう既にいろんな論点が出てきているんですけど、大きな論点だけ整理すれば、まず、対象の問題ですよね、どこまで広げるのかということが一つ。それから、2番目は、人材育成というか、要するに、現場でどういう体制をとるのかということですね。それから、3番目は、外の力と言うとあれだけど、大学も含めてどういうふうに活用するのかという議論ですね。大学は恐らくいろんなところで出前授業とか、いろいろやっているというようなことがあろうと思います。
  恐らく一番、私は、ちょっとざっくりとあれしたんですけど、それから、本当のことを言うと、入試科目でないものを余り勉強したくないなというのは、その善しあしは別としてないわけじゃないわけで、じゃあと言って、SSHなんか私も行っていますけど、そういうのを一生懸命やっている子が入試と関係なく勉強していないかというと、そんなことはないわけで、一生懸命やっている人も大勢いるわけですね。ただ、SSHなんか見ていると、ちょっとこれは別に批判したわけじゃないですけど、大体そういうところの高校生というのは、普通に勉強していれば、大学に入れるから、一生懸命頑張って自分の好きなことをやろうという、どっちかというと、力のある子供たちですよね。そうすると、力のある子供たちを高等学校でどうやって育てていくかというと、二つの考え方がどうしてもここでまた出てきて、そういう子たちは、早くそういう力の伸ばすのは当然なんだけど、伸ばすときに、学校現場で手に取り、足を取りやった方がいいのか、自由にやらしちゃった方がいいのかっていう、そんな議論にも発展していくんじゃないかなと思っています。
  ただ、ちょっとだけ、私、むしろ、今まで余り出てきてないんですけど、ここで議論するのは、さっき経済をどうするかとか、社会をどうするかって、これまた難しい話。難しくはないんですけど、ちょっと忘れると、これ、理科と数学なので、いずれどうしても小中高の連携という話が出てくると思うんですよね。理科とか、数学だから、小学校で算数、こんだけやって、中学校でこんだけやって、それはいろんなことをやればやるほどいろんなことをできるよね。高等学校、やってというと、いわゆるそういうね、小中高との連携というのもいずれ出てくるのかなという気はしています。それは今、すぐどうこうということはないんだけど。それはそれで数学とか、理科の指導要領、次、どうするかという議論はそれなりに進んでいるはずなので、それは高等学校ばっかりじゃなくて、中学校も進んでいるはずなので、そういうところの可能な限り方向性みたいなものを教えていただいたら参考になるかなというふうに私は思いました。
  以上がこの現段階のまとめですけれども、いかがでしょうか。
【小玉主査代理】    ちょっと補足で。
  今、幾つかの御意見出たことに関する補足を是非させていただきたいなと思います。
  スーパーティーチャーの件ですけれども、本校はスーパーティーチャーと呼ばれる者は多分いないかなと。スーパー努力している人はいるんですけれども、このさっきの冊子、課題研究のガイドブックの冊子の小泉先生はスーパーティーチャーです。非常にすばらしい先生です。努力もすごいですし、自分でもどんどん論文書けるような方でございます。そういうスーパーティーチャーがいなくてもSSHを成り立たせるためには、試行錯誤の結果、もう大学の、あるいは企業に頼ろうということに行き着いて連携協定を結んで、どんどんもう出向いていくと。そうすると、出向いていったり、あるいはおいでいただいてレクチャーしていただいたり、実際実験を見ていただいたりと、御指導いただくというふうなこと、この連携がうまくとれたら、非常にスムーズにいく。生徒の方も非常に意識レベルが高まりまして、その研究をもっと深めようということで、専門の、本当にその第一人者の方を探してきて、学校を通じてアポイントをとって、じゃあ、来なさいというふうに快く言っていただいて、お忙しい方とは思うんですけれども、夏休みにそこに通って勉強したというふうな形に発展していくということで、外部の大学の先生、あるいは研究機関の先生と連携をして力添えをいただくというのが、これがもう課題研究については欠かせないというふうに本校では思っております。
  そこで、問題点は、じゃあ、お金、どうするのということですね。例えばSSHですと、年間、本校の場合は今年は1,300万円ありますので、これ、御存じないかもしれませんが、普通に学校で理科・数学で使える予算というのは、千葉県の場合、これ、記録に残っちゃうんですね。じゃあ、ぼかして数十万円です。年間数十万円しか使えません。それに対してSSHは1,300万円ある。だから、年間数十万円でこの理数探究をやらなくてはならないと。1,300万円、SSHの場合はバスをチャーターしてでも、大学、あるいは研究機関に出向いていく。あるいはおいでいただいた大学の先生方に交通費はもちろん、謝金も出せると。余り高くないですけどね、謝金、御存じだと思いますけど。そういうふうなことである程度自腹を切らないで円滑にいけるということがございます。
  ただ、数理探究の場合は、恐らくそういうお金の支援はないと思いますので、そういうお金が限られた学校の予算の中でいかにやるかということも念頭に置きつつやっていく必要があるのかなと思います。
  ちょっと補足でした。
【岡本主査】    よろしいでしょうか。
【竹内委員】    一橋大学の竹内です。
  ちょっとロジなんですけども、高校の方の学習指導要領解説の理科編にありますよね、118ページぐらい、理科編の118ページ、理科課題研究、今ある科目でほとんど採用されてなくて、教科書もないやつですけど、要するに、この4回しか、もうあと3回ぐらいしか実質ない会議で、最終的にはこれが成果物になって、こういうものを書くんですよね。
【平野教育改革調整官】    実際の解説書ですとか、指導要領というのは、この御意見を踏まえて我々の方で事務的に作業させていただくと。ここでは、基本的な方向性、考え方、目的、目標的なものを御議論いただくと考えております。
【竹内委員】    ありがとうございます。そうすると、それを見据えて、ここで何か答申を出すんだと思いますけど、どういうふうに具体的に変わってくるんですか。これをたたき台に話してしまって、では、また新しい科目にしましょうというのとどう違うんでしょう。事務局の方としてはどういうイメージでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    すいません。課題研究との違いということにおいてでしょうか。
【竹内委員】    そうです。はい。
【大杉教育課程企画室長】    そういう意味では、いろんな議論の前提といたしましては、課題研究の在り方、それから、数学活用の在り方、参考にしていただくということでありますけれども、今回新たな科目なり、位置付けのものとして御議論いただきますので、そこからどのように発展させていくかということは正にここで御議論をいただきたいということでございます。
【竹内委員】    分かりました。ありがとうございます。
【岡本主査】    高校現場ということだと、岩田先生もいらっしゃるんですけど、是非御遠慮なく自由にちょっと発言していただければと。どうぞ。
【岩田委員】    よろしいですか。
【岡本主査】    もう大丈夫です、立てなくても。どうぞ。
【岩田委員】    今回私、ここに初めて加わらせていただきます、渋谷教育学園幕張高等学校の岩田です。
  今、まず、この概要自身、私自身もちょっと頭の中に整理できてないというところもあるので、皆さんの御意見をちょっと聞く立場でいました。ここで自分自身の自己紹介を軽く述べたいと思います。埼玉県の公立高校を25年間勤め、現在の私学の中高一貫校で6カ年教鞭をとっています。現任校では、昨年度、科学の甲子園の優賞チームの監督を勤めました。また、以前より日本化学会の仕事に従事し、高校現場での化学実験の普及活動に努めて参りました。しかし、ある面では今までの教育課程の負の遺産ではないかと思われますが、特に新しい先生方が本当に実験に取り組まない、そういう現場の体質ができあがってしまったことは、諸般の事情があるにせよ否めない事実だと思われます。
  先ほどから述べられているように、私自身も実は埼玉ではスーパーサイエンスハイスクールの立ち上げに尽力し、皆様の言われるスーパーティーチャー的立場を演じていた経験があります。スーパーサイエンスハイスクールは学校全体の企画事業ですが、立ち上げるとなると、教育課程を基に考える以前に、一部の理科・数学の先生に任され、学校現場の多くの先生方から離反されてしまいます。この経験から、私としても、是非文部科学省の方で、この数理探究という新科目が何かのきっかけになって、教科横断的に現場に浸透するものであれば本当にすばらしいと感じます。
  そのためにはいろいろな方策があると思われますが、現状の今の理科の教育課程は教科書の内容が豊富で、発展的な扱いを含めかなりきつきつです。中高一貫校の中学からはいる生徒は6年間のシラバスで、理科の定理を検証し実験を行っておりますので、比較的ゆとりをもって探究心を育めますが、高校から入ってくる生徒の実態像を見ると、ほとんどマッチの火もかざしたことがないし、実験は中学校のときは先生がよくやってくれたけど、全て教壇の演示実験で、実践派ではほとんどありません。逆に、そういうことをやっていると、進学校等は入れないみたいな雰囲気が多々あるわけです。数理探究という教科横断的な科目を設定するからには、現行の科目の内容を抜本的に削って、各科目の発展探究の内容を数理探究のなかに組み込むぐらいの措置が必要かもしれません。今の高校現場は恐らくこの科目が新たに加わったらどういう弊害が生じるかというと、みっちり授業を行い、放課後は部活動を5時まで行い、その後、数理探究の希望者を集めて夜7時、8時まで、恐らく部活動を終わってから来いよとか言っている先生が多々出るんじゃないかなと思われます。真の探究を行うには時間がかかるのがつきもので、科目としてのそのような資質を考えていただきたいと思うことはあります。
  あと、本校で一応うまくいっていることをのべます。中学で理数が好きな生徒が多くいますが、高校に入っても、理科、数学に興味関心が高いという適性検査の統計がでています。理科の授業は実験を中心に行い、考えるよりも体を動かすということでやっていただけると、生徒の生き生きした探究像が継続して見られます。学校全体としては、自分で調べて自分で考える探究の成果を自調自考の小論文という形でまとめています。中学ではできませんが、知識を広げた高1から3カ年かけて完成させます。この取組は全ての教科に横断的で、教員全員が関わり、しかも生徒とマンツーマンで行います。その解決のために、生徒本人が、ある面ではひとりになったときに結構力を発揮して、探究的な論文を書くことで、将来的な自分の進路目標の指針が得られるなど、人間力の育成に役立っていることを実感しています。各先生方に任せてありますので生徒の振る舞い方もさまざまです。例えば夏休み等は自主的に実験室を使いにくるなどです。現場の先生方は真面目ですから、科目内容で縛るのでなく、数理探究の自由度を上げて、教師に時間を設定してあげて任せるような、生徒の自主的なものを育ませる在り方も一つじゃないかなというようなことは感じます。
  ですから、この数理探究がどういうふうな方向に行くか、私も皆目見当つかないんですけど、小論文題材的なアプローチがみんな全てそろっていれば、本校では非常に採用されやすい科目になるかなというのも本音です。
【岡本主査】    では、続いて、牧田先生、お願いします。
【牧田委員】    お願いします。福井県の教育研究所の牧田と申します。
  私は、義務教育の数学が中心なんですけれども、今、福井県では高校の数学の授業改善を研究所として県全体で進めておりまして、どうしても高校の数学の授業が課題として受け身で、なかなか自分から取り組めないということを少しずつ変えようとしているのです。したがって、こういう数理探究のような科目が入ってくるということは、これが一つの起爆剤となって、普通の必修の教科、必須の科目の中でも自ら考えて学習を進めていくということになればいいなと思っているわけなんです。
  だけど、なかなか科目として設定するのは難しいなと思います。幾つか課題があるんですけど、一つは、何年生でやれるのかなということを少し高校の先生に聞いてみたところ、高3じゃ難しいねと。何でかというと、やっぱり大学入試直前だから、そんな探究探究って言ってられないよと。大学入試の勉強しないとだめだからと言うんですね。だから、高2、高3でやるとしたら、入試科目というのはなかなか内容的には難しいとは思いますけれども、大学進学に対して何らかの影響を与えるようなことを入れていかないと、前の数学の活用とか、課題研究とかっていうことと同じ轍を踏むのかなと思っています。
  二つ目ですが、今、SSHを見ていますとグループ研究が多いんですよね。それは非常に重要なことで、何人かで共同して知恵を出し合って解決していくことを求めています。だけど、こうやって科目となって独立していくとなりますと、個人の能力がどうかということをきちんと見ていかなだめだと。というわけで、その評価についても、今までのような研究の成果としてというのもそうかもしれないけれども、それ以上に一人一人の取り組みの内容がどうであったかということをきちんと見ていく必要があるなというのが2点目。
  3点目ですが、こういう課題研究の課題設定、非常に難しいですけども、特に数学が絡む課題というのは、先ほどもお話がありましたけども、非常に考えにくいんですよね。数学の立場から言うと、統計か、微積を活用するということになるかなと思うんですけども、取り掛かりは理科的なことから入っていくしかないんだろうけども、そうすると、今までの理科の課題研究とそう変わりはなく、必要なところに数学の知識を使うことになるのかなと。だから、今までの理科の課題研究と数理探究の中身がこう変わったと、数学としてどういうところがここに関われるから数理探究になったということを明らかにできるといいなと思っています。
  4点目ですが、先ほどの事務局の話の中にトップ層とか、研究者とかいう話がありました。どちらかと言えばと。総合的な学習とは少し対比をさせてということですけども、何かテキストなり参考資料なり、何か見たときに、あ、これはもうとってもうちの学校はできないわ、初めからこんなもの、選択できないわというのではなくて、どういうレベルの学校でも少しでも何か探究的なことに、何か取り組めそうだという道を残しておいていただきたいなと、トップ層の本当に能力のある子しかできないというのではなくて。そういう意味で、もう少し広い意味で捉えてもらえると有り難いなと思いました。
  以上4点です。
【岡本主査】    それでは、塩澤先生、ちょっと視点が変わるかもしれませんが、よろしくお願いします。
【塩澤委員】    先ほどからSSHという言葉がたくさん出ていますが、科学技術振興機構でSSHを担当しています。SSH指定校の半数を超える学校と今、おつき合いしていますが、特に最近感じることは、ここのところ特に課題研究の実施規模が理数科から全校規模の取組に多く変わってきている。
  いわゆるトップ層の子供を対象により高度な能力・資質の育成を追求していくための工夫というレベルと、普通科、あるいは文系も含めた子供たちにこの課題研究を普及させていくというレベルの議論が行われています。普及させるための汎用的なものを検証しよう、課題研究の指導の中から使えるものは何なのか。普通の先生方が、あるいは新規採用の先生方が各学校で課題研究の指導ができる工夫、そういう仕組みが何なのかというのがある程度確立してくることによって、全校規模に普及している。これはトップ校だけではなくて、多くのSSHで、今、課題研究の指導が行われようとしている。
  課題研究の指導の全てが有効だとは思いません。有効な課題研究の指導法がより検証されつつあります。そのことが検証されることにより全ての授業で課題研究的な、探究的な取組をしていこうという機運に繋がっています。今、多くのSSH指定校が全ての授業をアクティブラーニングに変えていきましょうという動きがかなり顕著に出てきています。一つの象徴的な事例として、ある学校では、数学と物理の融合的な探究的な授業の実践が行われています。課題研究に使用するための統計的な処理で終わる部分から更に超えて、この講座を開くときに議論をそれぞれの教科でしているのは、数学の視点と物理の視点というものを対等に議論して、同時に、その学習内容のところでいうと、数学の立場からと物理の立場から議論をして、二次曲線を使ってどういう物理的な法則を検証していくのかという、探究的な取組を実際にやっています。こういう学校が今、出始めているということでSSHを担当している者としては、スーパーティーチャーとかではない、あるいはトップ校だけではない、それぞれのSSH指定学校が努力しているものに光を当て紹介ができれば有り難いと思っているわけです。
  だから、そういう意味では、SSH指定校から、この14年から学ぶところはまだまだあると思いますし、先ほど議論にありました知的財産の問題も、生命倫理の問題も正面から取り組んでいるSSH指定校もあります。また、課題研究の指導やアクティブ・ラーニングの実践をするときに、今までない学力を評価するということで、今、それぞれのSSH指定校が新しい取組に対する指導と評価を一体となってどういうふうにそれを検証していくのか、具体化していくのかという取組も実際やっています。SSH指定校がかなり汗かきながらも、地道に今、課題研究の指導を普通科へ拡大して普及しているところがある、課題研究の指導法を検証することで探究的な授業への改善に役立てるなど、ちょっと紹介させていただければと思いました。
【岡本主査】    ありがとうございました。
  いかがでしょうか。さっきもちょっと数学の話も出てきたんですけど、私も数学なので、ちょっと一言だけ発言してよろしいでしょうかって、だめだと言っても発言するんですけど。
  先ほど竹内委員から1、2、3という話があったわけですね。現象があって、モデル化して、解析して、結果を出すというんですが、私は、それは別にPDCAに倣っているわけじゃないけど、1、2、3、もう一つあるんですね、4というのが。それは一番単純な例でいうと、例えば自然現象があって、それを数理学的にモデル化する。これが2ですよね。それで数学的に解析して、これは微分、方程式解くでも何でもいいんですけど、答えが出てくる。これは新しい結果であると。これは3ですよね。次が一番大事で、これももう一回、むしろ、これ、自然科学だったら自然にフィードバックしなきゃいけない。本当に自然の何を表しているのか。当たり前、間違ってないということを前提にして、モデルが正しいのかということもありますけど、新しいことをやる、ここが一番難しいわけですよね、恐らく。
  で、数学の役割というのをその中で考えてみると、最後の1、2、3までは数学なんですが、4の部分というのは、正に、何だろう、数学と理科が融合って、一人の人で融合しなくてもいいんだけど、学問としては一緒にならないとできないところだと。恐らく私の予想では、経済学なんかだったら、この4のところというのは、さも学説とかめちゃくちゃたくさんあるだろう。だから、自然科学の場合はそれほど、恐らく、人により答えは違ったとしても、自然というものかあるから、どこかに進歩するときは落ち着いていくだろうという気がします。だから、私は、こういう科目ができたのは、そういう意味でも、これは少しハイレベルではあるんだけれども、突破口になればなと。これ、必ずしも非常に高等的な数学を使わなくても、いろんな場面でそれはあり得るんだと思うんですよ。
  で、ちょっと一つだけ、これは理科と全く関係あるのかないのかよく分からないんですけど、去年の今ぐらいかな、割と話題になったあの『走れメロス』という話があって、要するに、国語の好きな生徒が『走れメロス』を読んで、中学校2年生なもんで学校でグラフを習うんですね、折れ線グラフを。本当に『走れメロス』の小説を読んで折れ線グラフにすると。『走れメロス』は一体時速平均何キロで走ったかと。4.何キロであると。走ってないじゃないかと。『走れメロス』というのは、あれ、走れよ、メロスでしたというのが結論で、それはすごいネットでも話題になった、これ、自由研究ですけど。そうすると、そういうときに、例えばその子がそういうこと、数学をやって、正にきっと楽しかったんで、「数学、好きになった?」って本人に聞いたら、「いや、国語が好きです」と言われてちょっとがっかりしたんですけども。例えばその子だったら、そうか、じゃあ、何でこの小説は読むとみんなを感動させるんだろうといって、次の段階に。これはさらに、中学生だってそういうことができるだろう。だから、本当は数学と理科の場面でもっとそういうことができればいいなと。
  高校生になるとかなり難しいのを見つけてきますよね。それは知っている知識だけで、そんなに難しい数学知識、そんなになくたって、一生懸命あの絵を描いて、コンピューターを使っていっぱいグラフ書いたら、グラフって、あの図形ですよね。書いたら、こんな定理が成り立つんですけどとか言って、あ、そーおとか言って、裏で一生懸命証明していたりするんですけど。やっぱりそういうのがあるんですよね。で、そういう例を恐らく学校現場には山のようにあると思うんです、私は。
  ただ、それを教科としてまとめるときに、共通項は何なのかというのは、結局ここで我々が知恵を出さなきゃいけないのかな、知恵を出し合わなきゃいけないのかなと思っています。教材でも、学校現場では山のように教材がある。私、教科書を25年ぐらい作っていますけど、学校現場の先生が持っている教材はそのまま教科書の教材にはなりません。なぜかというと、学校現場には相手が、生徒がいるけれども、教科書には一般的な生徒しかいないから、つまり、そこにいるのは。だから、その辺が皆さんのお知恵をかりながらやっていかなきゃいけないことだなと、皆さんのお話を聞いていて思いましたが、私からはもうこれ以上しゃべりませんが、いかがでしょうかね、その辺でうなずいている西成さん、やっぱり、僕は、西成さんは当てる権利はあると思うんだけど。
【西成委員】    私も、そうですね、岡本先生、おっしゃるとおり、いろいろ、最後にフィードバックするところってすごい大事だと思うんですね。
  で、さっきからちょっと千葉大のこのやつを見ているんですけど、非常にこれ、よくできていて、これ、大学でそのまま使えるレベルじゃないかと思ったんですが、一番感心したのは、ここに因果と相関の違いというのが書いてあるんですね。私、一番、これ、大事だと思っていて、因果関係ってすごい難しいんですよ。相関関係は相関係数で測れますけど、だからって因果関係あるわけがない。で、それを、例えばメディアなんかもいかにもそれを因果関係のように報道するわけですね。これはリテラシーが低いと私、思っているんですけど。こういうところをしっかり教えていくというのは非常に大事で、だから、今回の検討事項にもありますけど、中身についてはどういうものを教えるかというのもすごく大事で。
  で、子供たちがこれって、2030年ぐらいの世界とか、日本をしょって立つ子供たちですよね。そこでどういう人材が日本として必要なのかって、ちょっとずっと考えているんですけど、私、不連続に多分世の中、変化していくんじゃないかと思うんですね。2030年って我々の延長に多分ない。それで、いろんな方と実は議論していて、2030年の姿というのを別の省庁で私も議論したんですけど、一番大事なのは、データサイエンティストじゃないかということを皆さんで言っているんですね。日本って、それ、すごく弱いと思うんですよ。だから、データに関して、先ほどもありましたけど、複雑なデータをいかにシンプルに捉えるかとか、そういった能力ってものすごい将来、2030年、大事だと思うので、それを教える人材とか、そういうのもありますけど、内容に関して、どういうのをやっていくかというのをここでまたしっかりと決められればなと思います。
  よろしいですか。
【岡本主査】    はい。ありがとうございました。
  それで、もうそろそろ時間なので、あと1人ぐらいということなんですけど、上田先生いかがでしょうか。
【上田委員】    どうもありがとうございます。これまでも何人かの委員の方の御指摘がありましたけども、この資料10の10ページ眺めてみますと、確かに高校になりますと理科を急激に嫌いになっていることが分かります。それは下のデータから、自由研究とか、あるいは探究的なことをいつ実施したかを見ますと、これ、高校になると、数%以下になるということと正に符合しています。それから、先ほど委員の意見で小学校の授業がすばらしいとありましたが、これ、実際私も全く同感で、実際非常に探究的なことを小学校の先生方はやっているんですね。そのことが実際に中学3年生ぐらいまで続いていまして、それで、15歳の段階でPISAの学力試験が日本は世界一というのは、確かにそれの多分反映だと思うんですね。
  大変残念、もう一つ、ここには、出てない重要なデータがありまして、日本というのは、18歳人口で何をやりたいのかが分からないという方の割合が顕著に高いんですね。勉強に限らず探究的なことをしないで、何をやりたいか分かるわけがないんですね。そういう意味で、10ページの下、自由研究、あるいは探究的な研究がせっかく15歳まで続いているので、これを何とかプログラムの形で高校の段階まで伸ばしたいと、できればいいなというのが一つあります。
  それから、二つ目、そのためにはやはり高校と大学との接続が重要だという御指摘がありまして、私も、これ、全くそのとおりだと思うんですね。人はどういうときに伸びるかって、自分のやりたいことを見つけたときです。また、スーパーティーチャーというのはものすごく大変な仕事だと思いますので、恐らくやりがいを感じてされているからできるんですね。同じことが生徒さんにも当てはまるわけです。ただし、今のところ、それが偏差値的なことだけで進学を決めている生徒さんが、やっぱり残念ながら余りに多いわけですね。これを高大接続でマッチングをとって協力することによって、高校の段階では自分はこういうことをやりたいんだなということを見つけるチャンスを増やす糸口になればすばらしいなと思いますね、高大接続の観点からもですね。
  以上です。
【岡本主査】    はい。ありがとうございました。いろいろな意見を頂きまして、お時間になったので、この辺で切りたいと思います。
  一応ちょっと途中でも私、まとめましたけども、また、論点は事務局の方でまとめていただいて、皆さんにお知らせしたいと思います。御意見、お気づきの点などをあれば、またペーパーでも事務局に出していただく、メール等々でやっていただければ有り難いなと思っております。
  次回以降の日程などについて、御説明をお願いします。
【米原教育課程課課長補佐】    次回の日程でございますけれども、1月を予定しております。決まり次第御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  また、先ほど主査からもお話しいただきましたけれども、ペーパー等による御意見等も頂戴したいと考えておりますので、ファクス、また、メール、郵送でも構いませんので、後ほど追加で御意見等ございます場合は、よろしくお願いいたします。
  なお、本日の配付資料は、机上に置いておいていただければ、後ほど郵送いたしますので、そのまま置いておいていただければと思います。
【岡本主査】    どうもありがとうございました。本日の会議はこれで終わりにさせていただきます。次回以降、もっと気楽にしゃべれる雰囲気を作ろうといたしますので、よろしく御協力のほどをお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

──  了  ──

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