教育課程部会 芸術ワーキンググループ(第8回) 議事録

1.日時

平成28年5月26日(木曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 芸術教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【福本主査】
 それではよろしいでしょうか。定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会芸術ワーキンググループの第8回を開催いたします。
 本日は、お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。このワーキングですけれども、答申に向けて最後のものとなりますので、意を尽くした審議となることを願っております。
 それでは、事務局の方から配付資料について御確認をお願いしたいと思います。

【小林教育課程課課長補佐】
 配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1と2、参考資料と、その他、机上に資料を配付させていただいております。不足等ございましたら事務局にお申し付けください。
 なお、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中には、本ワーキンググループの審議に当たり参考となる、関係する審議会の答申や関連資料等をデータで入れております。詳細は次第の裏面の目次をごらんください。
 また、本日は、学習指導要領見直しに関しまして各団体から届けられました要望の一覧を机上の紙ファイルに配付しております。前回から加わったものもありますので、一体にして1つのファイルにしております。
 なお、本日の資料1でございますが、資料1は今回両面で印刷しておりますが、特に4ページ目が白くなっておりまして、これは特に印刷漏れではなくて、レイアウトの都合上、白くなっているだけということであります。
 以上でございます。

【福本主査】
 ありがとうございました。
 それでは、これから議事に入ってまいりますけれども、本ワーキンググループの審議等については、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づいて議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 なお、本日も報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
 本日の第8回でございますが、資料2の「芸術ワーキングにおける取りまとめ(案)」を中心に意見交換を行います。意見交換に入る前に、校種別部会など全体に関する議論の状況を説明いただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局より資料1の「学校段階等別部会等の議論の状況について」、それから参考資料として「教育の強靱化に向けて」について説明をよろしくお願いいたします。

【大杉教育課程企画室長】
 失礼いたします。それでは、資料1と参考資料をお手元にお出しいただければと存じます。
 まず、参考資料の方からでございますけれども、「教育の強靱化に向けて」ということで、先日、馳大臣の方から発出させていただいたメッセージでございます。馳大臣は就任以来半年という一つの節目の時期であるということ、中央教育審議会は本ワーキングも含め議論の取りまとめの段階に入ってきているということ、そして、そういう中で、ともすればアクティブ・ラーニングというものが知識を軽視して活動を重視するといった方向に次期改訂が行くのではないかというような不安の声が一部あるのではないかというような指摘もあったところでございますので、改めて、何か新しいことというよりは、中央教育審議会で御議論いただいている内容を正確に伝えるということで発出させていただいたものでございます。「教育の強靱化に向けて」ということは、馳大臣みずからの命名でございますけれども、上にもございますように、これから変化の激しい時代をたくましくしなやかに生きていくために必要な資質・能力をしっかりと育んでいける教育課程あるいは学校ということで、このようなタイトルとなっているところでございます。
 参考資料の1枚目は、本ワーキングも含めこれまでの中教審の審議の内容を簡単に整理させていただいたところでございます。
 そして2枚目でございます、学習指導要領改訂のポイントということで、特に内容的な、コンテンツ的な教科につきまして、何か知識量を削減して活動の時間を確保するというようなことなのではないかというような御懸念が一部ありましたことから、そうしたことではなく、しっかりと知識が生きて働くものとして習得、獲得されていくということを目指して、学習過程の質的な改善を行っていくというのがアクティブ・ラーニングなのであるというようなこと。そして、すなわちゆとりか詰め込みかというような二項対立的な議論に戻るわけではないということ。知識と思考力をバランスよく、資質・能力ということをバランスよく育むということであって、学習内容の削減を行うというようなことではないということ。一方で、高等学校教育につきましては、歴史や生物におきまして細かい知識の暗記、用語の暗記が入試で問われるということが課題になっているということはございますので、そうした点はしっかりとそうした用語の重要な知識という面での構造化でありますとか重点化ということはしっかりと図っていくということは併せ書かせていただいております。背景には、本芸術ワーキングで御議論いただきました知識とは何かということもございます。そうした知識を育んでいくために質の高い学習過程を実現していくのだということがアクティブ・ラーニングであるということを改めて書かせていただいたということでございます。
 次のページをごらんいただきますと、そうしたことを実現するために、様々な学校の指導体制の充実、教員の質の向上、チーム学校、地域との連携・協働、これらを併せ図っていくということでございます。
 後ろに付けてございますのは参考資料でございまして、特に最近人工知能の進化ということが目まぐるしく、その中で、学校教育がどのようなことを目指していくのかという考え方の整理。それからさらに次のページは、文科省としても論点整理の内容を少し広報活動させていただいておりますので、その内容。
 そして一番最後が、これは既に昨年、馳大臣から発表させていただきました、社会に開かれた教育課程の実現に向けて教員の資質向上、チーム学校、地域との連携・協働、これを中教審3答申に基づき図っていくという馳プランでございます。
 まずは参考資料は以上でございます。
 そして資料1にお戻りいただければと存じます。芸術ワーキングを含め教科等別ワーキング、学校段階別ワーキングの議論が取りまとめに入ってきているところでございますけれども、改めてアクティブ・ラーニングのイメージでございますとか、それから何よりも、全ての議論を踏まえながら総則をどうしていくのかということ、これについても議論が進んでおりますので、御紹介をさせていただきます。
 おめくりいただきますと、まずは主体的・対話的で深い学びの実現というところでございます。2ページ目の上の方に、深い学び、対話的な学び、主体的な学びとありますのが論点整理におけるアクティブ・ラーニングの視点ということでおまとめいただいたものでございますけれども、その後、見方、考え方等についての議論が進んだことを踏まえて、改めて少しピンクの枠囲みのような整理をし直しているところでございます。
 特に深い学びにつきましては、表現ぶりをまだまだ工夫している最中でございますので、まだ少し揺れ動いておりますけれども、方向性としてはこのような方向性ということでございます。一番新しい表現ぶりが、3ページ目の矢印のところに3つ書いてあるものでございますので、少しごらんいただければと思いますけれども、深い学びにつきましては、各教科で見方、考え方ということが整理されたことを踏まえまして、習得・活用・探求の見通しの中で、見方、考え方を働かせて思考・判断・表現し、学習内容の深い理解や資質・能力、動機付けにつなげる深い学びが実現できているかということで整理をし直させていただいております。
 また、対話的な学びのところでございますけれども、他者との協働や外界との相互作用というのが論点整理の表現ぶりでございましたが、これを少しかみ砕きまして、子供同士の協働、教員や地域の人との対話、先哲の考えを手掛かりに考えること等を通じというふうにさせていただいているところでございます。
 また、主体的な学びにつきましては、キャリア教育についての議論が進んだことの中で、学ぶことと自分のキャリアの方向性を結び付けていくということも主体的な学びとして極めて重要ではないかということを盛り込ませていただいております。学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組みということでございます。
 こうしたプロセスを実現していく子どもたちの主体的・対話的で深い学びを実現していくことで、その中で知識・技能や思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性が一体として活用されながらさらに育まれていく、右側にございますような、生きて働く知識・技能、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力、学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性ということを目指していくということではないかということでございます。
 まだまだ審議のまとめ、答申に向けて調整を図ってまいりますけれども、現時点の最新の議論の状況でございます。
 そして5ページ目でございますけれども、これは特に総合的な学習の時間と個別活動等におきまして、カリキュラム全体の中でのそれらの領域の位置付け、意義ということを御議論いただいたものをまとめさせていただいております。各教科において見方や考え方を働かせた学びを通じて資質・能力を育成していくこと、総合的な学習の時間と個別活動等におきましては、その各教科の見方や考え方を総合的に活用して、その領域なりの資質・能力ということを育んでいくということ。また、総合的な学習の時間では、各学校がそういった資質・能力の在り方を設定することになっておりますので、それが各学校が目指す子供の姿、学校教育目標ということと直結していくということ。また、特別活動の方は学級活動ということを基盤としながら、学習の基盤となる学校生活の基盤作りということ、あるいは今回、キャリアカルテ、キャリアパスポートというものをしっかり位置付けてはどうかという議論も特別活動でしていただいておりまして、ホームルームなどの時間でそうした自分の各教科全ての学びとキャリアがどうつながっていくのかというのを振り返らせるということを効果的に位置付けていってはどうかということ。また、道徳の方は、各教科のオレンジの部分、人間性の部分でございますけれども、こうした人間性の育成ということと極めて関わってくるというような構造ではないかということでございます。
 それから6ページ目以降が、カリキュラム・マネジメントと総則の構造をどうしていくかという議論でございます。6ページ目は、これは諮問の段階から、何をどのように学び、そして何ができるようになるかということにつなげていくというのが今回の改訂の主眼であるということでございますけれども、こうした視点でカリキュラムをマネジメントしていくということが各学校に今後求められるのではないかということでございます。
 少しそれをよりかみ砕いて修正しますと7ページ目のような構造になるのではないか。何ができるようになるかという目標を設定し、そしてそれを基に何を学ぶかという教育課程の内容の編成を行い、そして具体的にそれをどのように学ぶかということを指導案の中に落とし込んでいき、その結果として何が身に付いたかということを学習評価を通じて見ていくということ。そして、それ全体を支えるために実施するために何が必要かということを、一番下の家庭・地域との連携・協働ということも含めて考えていくということ。そして、こうした過程全体を通じて個々の子供の発達をどのように支援するかという特別支援教育の観点でありますとか、あるいはキャリア教育、進路指導の観点ということが重要になってくる。各学校においてこうした構造をイメージしながらカリキュラム・マネジメントを実施していくということが今後より強く求められるということでございます。そして、各学校がこうしたことを実施していくに当たって参考になるべきものが総則ではないかということでございます。
 そういたしますと、8ページ目のような現行の総則のイメージについては、今はある意味、各教科の共通事項を留意事項として総まとめしているというような構造でございますけれども、よりカリキュラム・マネジメントのイメージに沿って構造を見直していくべきではないかということ。9ページ目にございますように、先ほどの何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶか、何が身に付いたか、個々の生徒の発達をどのように支援するか、実施するために何が必要かという構造で、第1、第2、第3、第4、第5というような形で構造を抜本的に見直すという方向性で御議論いただいております。
 中学校、高等学校についても同様でございます。
 こうした方向性も踏まえながら、本日、最後のまとめの議論をしていただければと思います。
 以上です。

【福本主査】
 ありがとうございました。それでは、続きまして、本日の議論をしていただく中心的な資料となります資料2「芸術ワーキングにおける取りまとめ(案)」というふうになっております。こちらの方について小林補佐の方から説明をよろしくお願いいたします。

【小林教育課程課課長補佐】
 それでは資料2と、あとその後に付いております資料1の別紙がございます。資料2につきましてはホチキスでとじてあるのですが、その別紙につきましては4種類ごとにクリップ留めをしております。横長の資料でございます。これを基に説明していきたいと思います。
 まず、今回、ワーキングにおける取りまとめということで、内容的には今回32ページというものでございまして、大体大きく5つの内容で構成されているということでございます。1ページ目の現行学習指導要領の成果と課題、1.ということと、あと2ページ目に行きまして、育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方について、これが2.になります。3.が15ページになりまして、資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実ということ。また、4.が18ページ目で学習・指導の改善充実や教材の充実ということ。あと最後に5.が31ページ目になります。必要な条件整備等についてということで、この5つの大きな柱ということになっております。
 それでは、個別の内容につきまして説明させていただきます。まず1.現行学習指導要領の成果と課題ということでございます。こちらにつきましては、一番上の、芸術系教科・科目においては、以下のとおり、これまでの成果と課題を整理したということで、その成果と課題につきまして、それぞれ2つ目の丸の音楽科、芸術科(音楽)についてということ。また、その下の図画工作科、美術科、芸術科(美術、工芸)においてはということ。またその2つ下の芸術科(書道)においてはということで、それぞれ成果と課題というのを書かせていただいております。これらが適切に対応できるよう改善を図っていくことが必要であるというふうに1ページ目では触れておるところでございます。
 続いて2ページ目になります。育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方についてということで、まず初めに(1)の部分でございます。教科等の特質に応じ育まれる見方・考え方ということです。まず1つ目の丸になりますが、総則・評価特別部会において、見方・考え方とは、様々な事象を捉える教科等ならではの視点と、教科等ならではの思考の枠組みであるというふうに議論されておりまして、芸術系教科・科目におきましても、そういった様々な対象、事象を教科等ならではの視点と捉えることと、教科等ならではの思考の枠組みは相互に関連し合い一体のものとして育まれるということで書かせていただいております。このワーキングにおきましても議論していただきまして、3つ目の丸のところになりますが、芸術系教科・科目の特質に応じ育まれる見方・考え方を以下のとおり整理したというふうに、その下に各教科・科目等ごとにそれぞれの見方・考え方ということでの記載をさせていただいておるところでございます。
 そうした中で、3ページ目になりますが、3ページ目の下から2つ目の丸で、こうした芸術系教科・科目の見方・考え方の特徴ということで、特にそういった意見等につきましても一応ここで記載しておるところでございます。
 続いて4ページ目でございます。4ページ目は(2)小・中・高を通じて育成すべき資質・能力の整理と、教科等目標の在り方についてということで、特にここにつきましては、別紙1の部分になります。別紙1で「音楽科、芸術科(音楽)における教育のイメージ」ということで、この内容につきまして、ここの本文に書かせていただいているところでございます。二重丸の部分、各学校段階ごとと教科ごとということで書かせていただいております。二重丸の部分と、あとマル1、マル2、マル3ということで、マル1につきましては特に知識・技能の部分、マル2につきましては思考力・判断力・表現力等、また、マル3については学びに向かう力、人間性等というところで、そういった内容についてここに書いております。このような資質・能力の整理に基づいて今後検討していくことが求められるという形で書いております。
 各教科ごとの記載と、その後に7ページ目になりまして、下の方に、特につながりという部分の話になりますが、下から2つ目の丸ですと、小学校図画工作科も技術分野とつながるという部分の記述や、また、一番下の高等学校芸術科(書道)においても小・中学校の国語科とのつながりという部分での記載、また、8ページの一番上の丸の部分でございますが、高等学校芸術科という部分で、特に芸術文化に対する理解を深めて、生涯にわたり我が国、諸外国の芸術文化を尊重する態度の育成を重視していくことが大切であるという形で書かせていただいております。
 2つ目の丸になりますが、これらの資質・能力について、知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力、人間性等の3つの柱に沿った整理について検討したということになっておりまして、ただ、これらの資質・能力の柱というのは相互に関連し合って一体となって働いてこそ意味があるということで、必ずしも別々に分けて育成したり、知識・技能を習得してから思考力・判断力・表現力等を身に付けるといった順序性を持って育成したりするものではないことに留意する必要があるということも記載しておるところでございます。
 特にこの議論の中で、知識についての話もございまして、その3つ目の丸の部分でございますが、芸術系教科・科目における知識については、一人一人が感性などを働かせて様々なことを感じ取りながら考え、自分なりに理解し表現したり鑑賞したりする喜びにつながっていくものであることが重要であるというふうにされておるところでございまして、そういった知識や個別の感じ方や考え方に応じて構造化されることや、さらに新たな学習過程を経験することを通じて再構築され、知識が更新されていくことが重要であるというふうな形で書いております。
 また、次の9ページ目の部分でございますが、特に知識の話で、また、技能の部分につきましても9ページ目の上から3つ目の丸になりますが、一定の手順に沿った議論のみならず、変化する状況に応じて主体的に活用できる技能の習熟・熟達に向かうことが重要であるというふうにも書かせていただいております。
 その下の、以上のような知識・技能の整理とともに、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力、人間性等についても3つの柱に沿った整理を行って、小・中・高を通じて芸術系各教科・科目において育成すべき資質・能力の整理として別紙2を取りまとめたということでございます。ここできょうの資料2の別紙2の三本柱の整理があるところでございます。これらの内容につきまして、本文にも書かせていただいているところでございます。
 また、続いて10ページ目の一番下の部分でございますが、(3)資質・能力を育む学習過程の在り方ということでございます。こちらも、今度は別紙3になりますが、学習過程の果たす役割が資質・能力を育成していくためには重要であるということで、別紙3のとおり、学習のプロセスというのを3つの柱で整理した資質・能力がどのように働いているかということを明確にしたものでございます。これらのプロセス図について別紙3があるということでございます。また、これらの内容につきまして、その後、説明を本文でさせていただいておるところでございます。
 あと、少し飛びますが、今度は14ページ目になります。真ん中から下あたりでございますが、(4)「目標に準拠した評価」に向けた評価の観点の在り方についてということでございまして、こちらも資料2の別紙4になります。別紙4のとおり今回の観点を整理したところでございます。(4)の3つ目の丸の部分でございますが、特に知識・技能については、事実的な知識だけでなく構造化された概念的な知識の習得に向かうものであるといったこと、また、主体的に活用できる技能の習熟・熟達に向かうものであることまでも含めた広範な意味で用いられていることに留意することが必要であるといったことなどを書かせていただいております。
 続いて15ページ目になります。3.資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実ということでございまして、(1)で教育内容の構造化の部分でございます。改めて構造化することが求められているということで、この整理というものをここで掲げさせていただいておるところでございます。それが15ページ、16ページと続いております。
 続いて16ページ目になります。下の方の(2)の部分になります。現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しということで書かせていただいております。これは大きく分けて4つございます。16ページ目の伝統や文化に関する学習についての記述、また、17ページ目になりまして、生活や社会の中での働きについてということ、また、17ページの下の方、生活環境の変化を踏まえた学習の在り方についてということ、また、18ページ目になりまして、言語活動の充実についてという部分で記載させていただいておるところでございます。
 18ページ目でございますが、4.学習・指導の改善充実や教材の充実ということでございまして、(1)特別支援教育の充実、個に応じた学習の充実という記述でございます。特に配慮の例ということで、特別支援教育の関係で、音楽科、芸術科における配慮の例ということが18ページ目。また19ページ目には図画工作科、美術科、芸術科における配慮の例、下の方に芸術科(書道)における配慮の例ということで記載しておるところでございます。また、20ページ目には個に応じた学習の充実ということも書かせていただいております。
 また、20ページ目の(2)の部分でございますが、「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」に向けた学習・指導の改善・充実ということで、こういったアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導の改善・充実においては、深い学び、対話的な学び、主体的な学びの実現が重要であるということ、また、この3つの学びというのは、1つずつ独立して考えるということではなくて、それぞれの視点から学習・指導を捉え直すことによって一体として改善・充実が図られるものであるという記述をしております。その後、各教科等、学校種ごとに深い学びの実現のためにはということ、特に21ページ以降になりますが、深い学びの実現のためにはということ、また、対話的な学びの実現のためにはということ、主体的な学びの実現のためにはということで書かせていただいておりまして、特に4つ目の丸の部分でございますが、例えばということで、歌唱表現を工夫する場面でということで、現場の先生に伝わるような内容の記述というのをさせていただいております。これは各教科等ごとに記載しておりまして、これが29ページまであります。最後に芸術科(書道)を29ページ目に記述しております。また、29ページ目の一番下の部分にございますが、ICTの活用ということにも触れさせていただいております。それが29、30ページというつながりになっております。
 また、教材の在り方として30ページ目の(3)の部分でございます。教材の在り方についても、音楽科であれば伝統音楽といった部分、また、図画工作科、美術科、芸術科においては、子供一人一人が自分のよさを発見し、喜びを持って自己実現を果たしていく態度の形成を図れるように、児童生徒の実態に応じた多様な視点から設定することが求められるといったことを記載しております。
 最後に5.でございますが、31ページ目でございます。必要な条件整備等についてということで、特に芸術系の科目において条件整備ということについて触れさせていただいておるところでございます。また、2つ目の丸の、学校や地域の実態に応じて文化施設、社会教育施設、地域の文化財等の活用が重要であるといったこと、また、総合的な学習の時間や学校行事などとの関連を図ることなどの工夫といったことなど、また、伝統音楽であれば伝統音楽研修会といった体制を整えていくことが必要ではないかといったこと等について書かせていただいております。
 あと、本文の方はこうなるのですが、本文と一体となって、先ほどの別紙についても付けているということになりますが、ちょっと別紙の資料について、特にこの三本柱の方の資料2の別紙2ですが、今まで議論いただいたものの三本柱になりますが、特に高等学校の芸術科のところでございます。高等学校の特に専門学科の部分です。音楽でいいますと3枚目の部分でございます。3枚目の一番下に、高等学校音楽ということで専門学科についての記述をしておりますが、そういった中で、さらに1枚めくっていただきまして、「高等学校音楽科における教育のイメージ」ということで、今回の資質・能力の議論の中で、現行の科目構成から考えていくと、右側にあります、このような改善・充実の方向性で育成する人材というものを整理するとこのようになる、のではないかということで、あくまで今回、この三本柱の資料の参考ということで付けさせていただいております。
 以上で資料2につきましては説明を終わらせていただきます。

【福本主査】
 ありがとうございました。それでは、これから意見交換の時間とさせていただきますけれども、資料2を中心にして議論いただくということになります。内容的には事前配付されたものから既に御意見を受けて若干修正された部分もございますが、この資料2に基づきまして、まず1と2、現行学習指導要領の成果と課題、それから2の育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方についてについて意見交換したいと思います。1の現行の学習指導要領の成果と課題については、既にお目通しいただいているかと思いますが、何か特に御指摘されるようなところはございますでしょうか。御意見がある方については、従来どおり名札を立てていただきますようお願いいたします。
 特によろしいでしょうか。それでは2の方です。こちらの方は2ページから14ページまで非常に多くのページが割かれておりますので、これについて少し時間を取っていきたいと思います。どこからでも結構ですので、この育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方について、幾つかの仮項目、(1)から(4)まであったかと思いますけれども、そのどこからでも結構ですので、お気付きの点、御意見いただければというふうに思います。
 じゃあ宮下先生、どうぞ。お願いいたします。

【宮下委員】
 失礼します。2ページの音楽ですけれども、確認させていただきたいのですが、小学校を例に挙げますけれども、小学校音楽科の2行目のところが「音楽的な特徴と音楽によって喚起されるイメージや感情、音楽と生活などとの関わり」となっていて、読点が抹消されてこういうふうになっているんですけれども、この「音楽的な特徴と音楽によって喚起されるイメージや感情」というのと、「音楽と生活など」、この両方がその次の「関わり」に係るのでしょうかということをお尋ねしたい。つまり、ここで言っていることは、前者と後者の2つなのか、それとも「音楽的な特徴」、「音楽によって喚起されるイメージや感情」、「音楽や生活などの関わり」、この3点が並列されているのか、ここのところをお尋ねして、共通理解しておいた方がいいと。

【福本主査】
 じゃあ事務局の方でお願いできますか。

【津田教科調査官】
 お答えさせていただきます。これは、「音楽的な特徴と喚起されるイメージや感情の関わり」と、「音楽と生活などの関わり」、こういう2つの関わりだということで私たちは捉えております。

【宮下委員】
 それならば結構だと思います。と申しますのは、その後もずっと、音楽的な特徴という言葉が入っていますけれども、この音楽的な特徴というのは非常に客観的な側面ということで捉えていいわけですね。そうすると、音楽的な特徴という客観的なものを捉えて、そこから喚起される主観的なイメージや感情との関わり、これで読み取れてとてもいいと思うのです。なので、そういうことでよろしいですね。

【津田教科調査官】
 はい、そのように考えております。

【宮下委員】
 この点については結構です。

【福本主査】
 よろしいでしょうか。そのほかに御意見等ございましたらお願いいたします。
 じゃあどうぞ。

【宮下委員】
 小さな文言とかそういうことはまたメールでお知らせいたします。
 3ページの高等学校芸術科(書道)のところで、最後に「書の特質に即して考えること。」とありますけれども、書の特質に即して何を考えるのでしょうか。

【加藤教科調査官】
 書というのは文字を書く表現でございますけれども、そのような書の特質に即して、書について考える、書文化について考える、文字文化について考える、それらを通して社会や世界と多面的に関わっていく、という趣旨となっております。

【大杉教育課程企画室長】
 「見方・考え方」ということで申しますと、「何とかについて」と書いてあるのは、逆に「思考の枠組み」としてはどうなのかということでございます。科学的に考える、論理的に考える、その対象が学習対象となるものであるということでございます。一方で、音楽、芸術、美術については、学習対象を考えたときに、こうとしか表現しようがないというようなこともございまして、「ついて」ということになっておりますけれども、本来は、全体的な整理でいいますと、どういう枠組みで考えるのか、その教科ごと、分野ごとの思考の枠組みの特性を書くという意味では、実は他教科との横並びでいうと、書道のように、考えるときの枠組みを書くということの方が「見方・考え方」としてはすっきりくるというところはございます。一方で、先ほど申し上げましたように、音楽、芸術、美術についてそのようにしてしまうと、社会との関わりということの中で少し冷たい考え方のようなことにもなってしまうということで、このような表現ぶりとなっているところであります。少しそのようなことも踏まえながら御議論いただければありがたいと思います。

【福本主査】
 長野先生、今、ちょっと構文的なことが課題にはなっているのですけれども、いかがでしょうか、何かアドバイスというかがあれば。

【長野委員】
 確かに宮下先生の御指摘は分かるんですけれども、書独特というわけじゃないんですけれども、書の文化、あるいは文字文化ということについてそれが書の特質だということで考えることというふうに表現していると思います。宮下先生の疑問は分かりますが、今、大杉室長に答えていただいたような形になるかと思います。

【福本主査】
 そうですね、分野、少し並列になっている部分がありますけれども、また再検討していただければと思います。
 それでは福岡先生。

【福岡委員】
 失礼します。今、音楽と書道の話が出たのですけれども、図画工作や美術については、この「見方・考え方」を教科ならではの「視点」と「思考の枠組み」という目で見ると非常にすっきり分かりやすいなという感じがします。小学校図画工作科でありましたら、「形や色などの造形的な視点で対象を捉え」というところが共通事項のアの「視点」であって、そういう見方であり、「自分のイメージを持ちながら」というところが共通事項のイの「思考の枠組み」であるというふうに、非常にすっきりと現場の先生にも分かりやすいのではないかというふうに感じました。

【福本主査】
 じゃあほかに何か、この前半の部分でいかがですか。特に今、見方・考え方の部分の話が中心となっておりますけれども。

【宮下委員】
 済みません、もう一点だけ。

【福本主査】
 どうぞ。

【宮下委員】
 初めに申し忘れましたけれども、非常に優れたものになってまとめていただいて、学校教育における芸術教育の重要性というものが強く主張できるものになっていて、とてもうれしく拝見させていただきました。これを言うのを忘れました。
 その上で、4ページの中学校音楽科について、生活や社会に生かすということに関して、小学校では二重丸のところで触れて、マル3のところでも触れている。中学校では二重丸のところで触れていてマル3のところでは触れていない、高等学校では二重丸のところとマル3のところでも触れているということです。どちらかで触れていればいいという考え方なのか、やはり中学校のマル3のところにも、これは重要なことなので書き入れるべきではないかと私は今でも思うのですが、いかがでしょうか。

【福本主査】
 これも事務局の方でお願いできますか。

【臼井教科調査官】
 4ページですが、小学校では二重丸のところにはなく、その分をマル3のところで担保していきながら中学校の学習につなげようということになっています。中学校では、二重丸のところに生活や社会のことが書かれており、5ページの一番上、マル3のところに、「音や音楽と人々の暮らしなどとの関わりから、」というものを入れることによってより強化をしたということです。高等学校では、二重丸のところに生活や社会のことが書かれており、マル3では、「それを生かそうとして」というふうに、より外に向かって積極的に動いていく、そういった態度形成のものについて触れているということです。構造としましては、二重丸では全体について書かれており、その中をより細かくしたものをマル1、マル2、マル3と3つの柱に沿って整理をしているということです。
 以上です。

【宮下委員】
 小学校で二重丸にないことは発達段階に即してよろしいかと思いますが、中学校のマル3の「音や音楽と人々の暮らしなどとの関わりから」ということと、やはり高等学校で書かれているような「生活や社会に生かそうとして」ということとは意味が少し違うのではないかと思います。

【臼井教科調査官】
 現在の案では、校種が違うために意味も違っていますので、御意見頂ければと思います。

【福本主査】
 これに関連して、特に音楽の先生方、いかがでしょうか。

【伊野主査代理】
 私はそんなに大きな違いはないのかなと思っています。小学校の上にある中学校の学習のマル3にある「音や音楽と人々の暮らしとの関わり」ということが、高校へ行って生活や社会につながっていくというふうに思っていますが、宮下先生、いかがですか。

【宮下委員】
 何のために音楽を学ぶのかということに関わり、義務教育段階において、生活や社会に生かしていくという、つまり生きて働く力というものを求めるのだということを中学校で入れるべきではないかと思います。音や音楽と人々の暮らしなどの関わりから何々に気付き愛情を持てるようにするということとは、その強さが違うと思います。御検討いただければ結構です。

【福本主査】
 関連してほかの先生方、御意見はよろしいですか。この校種ごとの整合性について少しまた検討していただければと思います。
 ほかの視点についてはいかがでしょうか。伊野先生、どうぞ。

【伊野主査代理】
 先ほどの美術、図画工作科の方の御発言の中で、私なりにちょっと確認させていただきたいことがあるんですが、3ページの先ほどの一番上の図画工作科のところで、「形や色などの造形的な視点」が共通事項のアで、「自分のイメージを持ちながら」というのがイであるというふうに捉えるということでしたが、もちろんそれも入ると思うのですけれども、もう少し大きな枠組みというか、美術作品全体をもっと捉えていくような、そういう意味合いも私は含まれているのかなと。共通事項だけでなく、音楽科でいうと音楽全体をもっと捉えていく意味合いも含まれて書いているのかなというふうに私は理解したのですが、いかがでしょう。

【岡田教科調査官】
 はい、おっしゃるとおりで、「形や色などの造形的な視点で対象を捉え」というところが共通事項のア、「自分のイメージを持ちながら」というところが共通事項のイということで整理ができるのではないかと思っているのですけれども、伊野先生のおっしゃるとおり、もう少し広い意味で捉えておきたいと思います。ただ、見方・考え方と共通事項の整理ということでそのように整理をしているところです。また御意見を頂けたらと思います。

【福本主査】
 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょう。
 先ほど(2)のところに入りかけておりましたけれども、これ以降どこでも結構ですので、お気付きになった点等ありましたらよろしくお願いいたします。それから、説明の中にもありましたけれども、別紙との関連性も考慮されておりますので、そちらの方の資料を何か御意見がある場合にも含めてもらっても結構ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 いかがでしょうか。また後でも結構ですので、またお気付きになりましたら御意見を頂きたいと思います。
 それでは、15ページからが3という事項で、資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実の箇所がございます。こちらの方でも何かお気付きの点等ございましたらよろしくお願いいたします。ページとしては18ページまでというふうに少ないページではありますけれども、いかがでしょうか。
 阿部先生、どうぞ。

【阿部委員】
 阿部でございます。私の方は大変、今回まとめていただいてすごく私どもも助かっております。これからいろいろなところで説明するというようなことで、最終確認というようなことです。図画工作、美術等に関して、3つの柱の方の表現に戻ってしまうのかもしれませんが、「など」の部分です。「何々など」ということで、文言に「など」という言葉が結構あるので、説明するとき、この「など」は何を指すのかということをできるだけ少なく誤解のないようにするためには整理整頓していかなきゃならないのかなと思っているものですから、今ここではこういう部分を指しているということを皆さんと一緒に共通理解できればいいのかなと思っています。美術、図画工作等でなどの部分について、今、説明できることがありましたら、お願いできればと思っています。

【東良教科調査官】
 御質問いただいた点については、かなり多岐にわたっておりますし、現行の学習指導要領、若しくは、これからこのワーキンググループの審議を踏まえて学習指導要領として作成していくところもありますので、このワーキンググループの場で整理するものではないのではないかと考えます。

【阿部委員】
 分かりました。

【福本主査】
 そのほかいかがでしょうか。じゃあどうぞ。

【山下委員】
 山下でございます。よろしくお願いいたします。この取りまとめを拝見しまして、的確に整理していただいていると感じました。芸術教育については、これまで心の教育という面がとても強調されていました。それはそれでもちろん重要なことなのですが、芸術に関わるいろいろな知識や技能を獲得していく上では、体とも密接に関わっております。今回の取りまとめでは、その身体性がいかに大事かということが色濃く打ち出されていてよいと考えているところでございます。
 少し前に戻ってしまって、申し訳ありません。個人的なこだわりでしかないのかもしれないのですが、音楽科では「自分なりの」という言葉が頻繁に使われています。美術や書道でも同じように使われているのかと思って確認いたしましたら、書道では「みずからの」で、美術では「自分の」という言葉が用いられており、音楽だけ「自分なりの」となっておりました。「~なりの」というと、「不十分ではあるが」というネガティブなニュアンスが含まれますが、音楽だけが不十分な状態を認めようとしているわけでもないと思いますので、この「~なりの」は不要と考えます。
 以上です。

【福本主査】
 ありがとうございました。また芸術教育全体を通して検討していただきたいと思います。
 ほかにはよろしいでしょうか。市川先生、どうぞ。

【市川委員】
 大変膨大な資料をまとめていただいてありがとうございます。随分以前に事前に頂いていて、私も読もう読もうと思って、毎日様々なことがありまして、実はきのう久しぶりに徹夜したのですね、自宅に帰ったのはもう深夜だったもので。それで、どうしてこういうことを申し上げるかと申しますと、私たち高等学校でとても大事なのは入試なのですね。義務教育諸学校で育てていただいた力を高校の入試で測って、よりいい教育をするために生徒を選ぶわけですけれども、私は芸術の専門の高校の校長ですので、当然、実技の検査を行います。ところが、東京都は、いわゆる推薦選抜においては全ての学校で3年前より集団討論というものを実施しています。これはどこの学校もそれをやらないではおけない。集団討論によってコミュニケーション能力を測る。つまり言語活動の充実がしっかり図られてコミュニケーション能力が育っているかどうかを全校で見極めようと、そういう通知の下にやってまいりました。正直申して、20分程度の約5人の討論の中で試験官がコミュニケーション能力を測るというのはなかなか難しいんです。私どもは実技検査の中で、美術、音楽、舞台表現のそれぞれの実技検査の中で、教科の科目の特質に応じたコミュニケーションの力を測っているんですね。しかし、なかなかそれを理解させることが難しい状況であります。きのうも、ですから深夜まで教育委員会とのやりとりに掛かりましたが、その際に大変に力になるのがこの現行の指導要領の中の芸術のコミュニケーション能力の扱い方なんですね。さらに、現在検討していることを表沙汰にするのはなかなか難しいところではあるんですが、例えば美術において素描させるということは、これはビジュアルコミュニケーションの力を見ているということでもありますと、そういうことをかなり深夜までやりとりをしました。今回18ページの方にも、言語活動の充実についてということで明確に、「非言語により捉えたことを言語化することによって」ということで、これは鑑賞の中でも当然やられることですけれども、表現そのものにもコミュニケーションの力がある。ここの特に芸術の特質を捉えたというところに着目してまとめていただいていることは、私にとってこれは大変重要な意味がある、今後の教育に向けてとても大きな意味があるものではないかなと思って、大変昨晩はありがたい気持ちでつい朝を迎えてしまった、そういう次第です。

【福本主査】
 では宮下先生お願いします。

【宮下委員】
 今の言語活動の充実のところに関連するんですが、18ページのところです。その言語活動の3行目、「非言語で捉えたことを、喩えたり、見立てたり、置き換えたりする」ということ、これが入ることはとてもいいなと思いました。で、厳格に言うと、置き換えたりするというのもメタファーなので、喩えるということになるんですね。だけど「置き換えたり」という言葉を削除してほしくないんです。それから、置き換えるを言語によって置き換えるということにすると「喩えたり」ということにちょっと近付いていってしまうところもあるなと。置き換えるというのはドイツなんかでもやられているんですけれども、感じたことを動いてみたり形にしてみたり、目に見えない音楽を、目に見えない感じたことを何かに置き換える、動きとか色とか形とか、そういうものに置き換えるということも大事であると思います。それから、「見立てたり」ということがちょっと少し分からないのですが。何かに見立てるということでしょうか。

【福本主査】
 そういうことでよろしいですよね。アナロジーということになるんでしょうか。

【大杉教育課程企画室長】
 広い意味で「喩えたり」に全て入ってしまわないのかという点についてはさらに検討させていただきたいと思います。また、日本文化との関係で申しますと、何かに見立てるということが我々の文化の中での強みであるということが、様々な伝統芸能の中で言われていることでもあります。是非その部分を少しここに絡めて位置付けておきたいと思っており、言葉の中身が何を示してどの範囲でというのはさらに検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。

【福本主査】
 そのほかいかがでしょうか。長野先生お願いいたします。

【長野委員】
 ありがとうございます。15ページからの「資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実」というところで、特に私が関心を持って読ませていただきましたのは、16ページから17ページにかけてでございます。「現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直し」の「伝統や文化に関する学習」についてということで、書道というか書というものを大変広く捉えて、例えば16ページから17ページにかけて「国語と連携して学習することが考えられる」とされています。また、我が国の屏風や掛け軸、器など云々ということで、絵や書、焼き物などが扱われたり、これは現代に生きる、現代に伝わっている伝統文化あるいは物、それから芸能ということも全て含まれていることだと思います。大変失礼な言い方をすると、じゃあ国語の先生が、今、博物館で絵巻物があるから見に行こうとかとなるでしょうか。書道の先生だったら高校生を連れていくかもしれませんけれども、そこがどうも隔靴掻痒なところがあります。さらに17ページの上の、生活や社会の中での働きについてという中に、「子供たちが、世の中にある音楽、美術、工芸、書道等と自分との関わりを築いていける」とあります。「子供たちが」というのは、当然これは小・中・高校生ということになるわけですけれども、書道というのをここに入れていただくのはいいんですけれども、書道はどうしても高校生からスタートするものでございますので、この芸術部会で申し上げることじゃないのかもしれませんけれども、やはり国語の中で書の文化ということにふれていただければと思います。子供たちはやはり、これは美術で、これは図画工作で、これは音楽で、これは書道でやることというのは分からないわけですから、もう少し広く芸術文化、伝統文化ということが小学校の段階から、中学校の段階から何か伝わるようなことを確認したいということが1点です。
 それについて申し上げますと、今度の学習指導要領は高等学校から逆算して考えるということがあります。高等学校から考えるということは、芸術とか文化とか、高等学校のさらに上に大きな文化というのがあって、そこから高等学校の流れを出しているというふうに私は考えております。それが中学校、小学校へ下って行って書道の場合は書写という流れになっているわけです。ですから、やはり現在我が国が持っている文化ということを高等学校から中・小ということに下ろしていく、高等学校の上の大きな枠組みから教育課程として高等学校、中学校、小学校と、水を流しているということをどこかで言っていただけるとありがたいなというふうに思います。
 以上でございます。

【福本主査】
 はい。では、副島先生、よろしくお願いします。

【副島委員】
 失礼します。今、示されている18ページまでのところでは、、全体的に非常に分かりやすく読ませていただきました。これは感想になるかもしれませんが、小学校では、中学校では、という表記が非常にありますが、小・中の系統や高校の芸術1までの系統や関連ということがもう少し色濃く出てもいいんじゃないかなという思いがあります。それが1点目です。
 それから最初に戻りますが、1ページ目に成果と課題というのが述べられていて、課題に適切に対応するための改善を図ると述べられています。これはとても大切なことですけれども、現場の先生方が見ることを考えたときに、当然、現行学習指導要領の成果も十分にあるわけですので、「成果を踏まえ」という言葉も含め、「成果を踏まえ、課題に適切に対応する」というような表現がいいんじゃないかなと思ったところです。
 それから先ほどの18ページ目に「言語活動の充実」という文言が出てきて、これも非常にいいなと思ったんです。具体的にどういうことかということが前段に示されていますので、これも最後に「充実を図ることが求められる。」とありますけれども、例えば「芸術教育の特質に応じて」とか「芸術系教科・科目の特質に応じた充実を図る」ということで、言語活動に関わって、現場で誤解があるようなことが払拭されるような一言が入っているといいんじゃないかなと思いました。
 以上です。

【福本主査】
 ありがとうございました。ほかに。宮﨑先生、どうぞ。

【宮﨑委員】
 お願いします。17ページの生活や社会の中での働きということについて、音楽のことでいうと、音楽が将来役に立つかどうかというそういう調査においては、余り役に立つという感覚を持っていないというふうなことからいうと、ここの記述がすごくいい記述だなというふうに思いました。全体的に非常によく書いていただいて感心しています。また、自分なりに温めて考えてみる機会にもなって大変いいなというふうに思います。
 それから、18ページの言語活動の充実についてというところなんですが、こういう書き方がいいのかどうかちょっと分からないんですが、文章の途中に、このため、4.(2)におけるというふうにして、全体に書かれてきていない、要するに後半に書いてあるものの項目がここに来て、文章をその後飛んで読まなくちゃいけないというふうなところだけちょっと気に掛かりまして、どういう表記にすればいいのかちょっと分からないんですが、関連するということは分かるんですが、ページを飛ばしてこっちへ行くというふうなことになるので、どうすればいいのかということだけ1点申し上げます。
 以上です。

【福本主査】
 ありがとうございました。
 それでは、次の項目に移らせていただいてよろしいでしょうか。あと4、5についてですが、学習・指導の改善充実や教材の充実ですね、こちらの方は18ページから31ページまでかなりページを割いてございます。それから必要な条件整備等についてというのは残り2ページということです。一緒にして御意見の方を伺いたいと思います。いかがでしょうか。学習・指導の改善充実や教材の充実というところを、特別支援教育の充実や個に応じた学習の充実という点と、それから(2)のところがアクティブ・ラーニングの3つの視点における学習・指導の改善・充実というところ、こういったところが中心になっておりますけれども、いかがでしょうか。
 市川先生、お願いします。

【市川委員】
 たしか初回の方でちょっと私が意見で申し上げたことにも絡むかもしれないのですが、やはり特別支援教育はものすごく進歩したなというイメージで私は見ているんですね。その中で今回、18ページから始まる様々な配慮の例ということで、特別支援教育に関わるというようなことで全体の表現をされているように感じるんですが、実は最近は、全ての学校で特別に支援を必要としない子供って果たしているのかなという気で見ています。学校の実態というのは、やはり非常に個に応じた教育というものが進む反面、やはり逆に私たち教員の側も一人一人に応じてかなり細やかな配慮が必要ですので、これはほとんど特別支援教育というよりは、ごく当たり前に配慮すべき事項ではないかなと思って、大変よくまとめられておりますので、これは是非、特別な例ではなくてむしろ普通な例なのではないかなと、私は音楽も図工も美術も書道も工芸もそういうふうに感じました。

【福本主査】
 じゃあ宮下先生、どうぞ。

【宮下委員】
 私もこの部分はよろしいかと思います。21ページの下から2つ目の丸のところです。2行目に、「音楽的な特徴に関する内容と歌詞や曲想に関わる内容とに分けて板書し」とあります。一般的に「内容」という言葉を使うときはこれでよく分かるんですが、さっき音楽的な特徴というのは客観的なことですねと確認したのは、哲学でいうところの「内容」と「形式」という対語の意味で「内容」と使うと、客観的なこととした「音楽的な特徴に関する内容」と少し矛盾が出てくるので、一般の人はそんなふうに読まないかもしれないけれども、代替案としては、「音楽的な特徴に関することと歌詞や曲想に関することとに分けて」くらいにしておけば、引っ掛かる人はいないのかなと思いました。御検討いただければと思います。

【福本主査】
 なるほど。ありがとうございました。ほかにはいかがですか。
 山下先生。

【山下委員】
 山下でございます。また瑣末なことで恐縮なのですが、2点申し上げます。
 18ページの「音楽科、芸術科における配慮の例」に、「音楽的な特徴を視覚化、動作化する」という言葉がございます。この「動作化」という言葉が、ある要素を特定の型で身体表現することのように受け取られると、かつて批判された身体表現や身体反応のパターン化の問題が想起されますので、「身振り化」とか、今適切な代替案が思い浮かばないのですが、何かほかの言葉に置き換えることが必要かと思いました。
 それから2点目でございます。21ページから示されているアクティブ・ラーニングの視点について、創作に関する例示がないようなので、加えた方が親切ではないでしょうか。
 以上でございます。

【福本主査】
 ありがとうございます。ほかにはいかがですか。はい、副島先生、お願いします。

【副島委員】
 アクティブ・ラーニングのところで22ページです。まず小学校の音楽で、これは全て小・中・高共通ですけれども、1つ目の深い学びの実現の中で、「児童が音や音楽に出会い、」のところですね。例えば、これは「豊かに出会う」という言葉が適切かどうか分かりませんが、出会いの部分をもう少し、アクティブ・ラーニングにおける「問題発見」を意識して書き加えてはいかがでしょうか。子供たちが最初に音楽と出会う場面を、例えば「豊かに出会う」といったような表現にできないかなと思います。これは小も中も高もいずれも同様です。
 それから22ページの中学校の2つ目の対話的な学びの中で、「自分なりの考えを持ったり音楽に対する価値意識を構築したりしていく過程」ということで示されていますが、この「価値意識の構築」と「考えを持つこと」を「たり、たり」で併記にしないで、考えを持ち、それを深め広げることをもって価値意識を構築していくという表現にしてはいかがでしょうか。対話的な学びの考えにおける「広げ深める」ということとつなげていくと、よりいいんじゃないかなと思いました。
 あと、この対話的な学びについては、この文面だけを読むと、どうしても授業の中での子供たち同士というイメージがありますけれども、先ほどの説明にもありましたように、対外的に、例えば教員、もっと言えば地域の人などいろいろなところに広がっていきますので、そのあたりは是非、分かりやすく説明いただければいいんじゃないかなと思いました。
 以上です。

【福本主査】
 はい、御指摘ありがとうございました。そのほか。長野先生、済みません。

【長野委員】
 19ページの一番下、芸術科(書道)における配慮の例ということでございますけれども、「用具・用材の種類と扱い方などを理解することが難しい場合は、実物を準備したり、」まあこれは高等学校現場だと思いますけれども、その後、「用具・用材の一覧を視覚化して手元に示したり」、まあこれは教科書教材にもあることですけれども、やはりそこで最終的には生徒に主体的に思考・判断しながら選択できるようにということならば、視覚的に手元に示したりというよりは、もうその用具をその範囲の中で実際に体験して使わせたりということの方がよろしいんじゃないかなと思ったんですけれども。その用具・用材の一覧を視覚的に、例えば教科書教材にこんな用具がありますよというのはどこの教科書も多分やっていることですし、そのことと思考・判断と直接、こんな用具があるのかというのを、実際どんな色が出るのかとか、どんな線が出るのかというのは分からないと思いますので、実物を準備したり、具体的に使わせたりなどしてとかというふうに展開したらいかがかなと思ったんですけれども。私が勘違いしているかもしれません。

【福本主査】
 ありがとうございます。八巻先生、いかがでしょうか。

【八巻委員】
 失礼します。特別支援教育の充実ということで、個に応じた学習の充実ということで、各科目全て配慮の例ということで書いていただいておりまして、これはもう本当に障害といいますか、配慮というのはもう一人一人違いまして、様々なパターンが考えられる一例だというふうに理解をさせていただいております。今、大阪の高等学校では、個人の申出によりまして、個別の教育支援計画の作成ということで、高等学校では作っております。本校は通信制なんですけれども、配慮の要る生徒がたくさんおりまして、15人ほど毎年配慮の例を、個別の教育支援計画というものを作っておるわけですが、そういうところでいろいろなパターンがありますので、全部は書き切れないということはもうこれであれですが、ユニバーサルデザインの感覚からいきますと、全ての生徒さんに共通していることですが、例えば1時間でどんなところ、どういうふうな学習の経過をするのかということを、全部時間ごとに経過を挙げまして、それで今ここをやっているんだというようなことを分かるようにすると、生徒は分かりやすいということで、本校の中でもそういうふうなところで、1時間の流れの中で今ここをやっていますというような配慮をしながらやっているスクーリングというか授業がありますので、そんなところをもし入れられたらなということで今申し上げました。

【福本主査】
 ありがとうございます。じゃあ横田先生、それから市川先生の順番でお願いいたします。

【横田委員】
 失礼します。26、27、28ページと、この辺は高等学校の美術、工芸というような内容を示していただいているんですけれども、芸術4科それぞれの違いと共通性みたいなところでうまく整理をしていただいている。教員養成やらに携わっている者としても、学生にもこういう話をするのは非常にうまくまとめていただいているのではないかなと思うんですけれども、その中で、高等学校の美術1と工芸1との関係なんですけれども、これは、芸術4科の中でも美術と工芸というのはやはり割と密接に関わっていますので、内容が非常に似ているというのは当然のことだと思うんですけれども、その中で、28ページの最初の丸のところですかね、「対話的な学びの実現のためには、表現や鑑賞の能力を育成する観点から、」こういう文章の中で、「工芸作品や互いの作品」というようなところがあるんですけれども、工芸の場合は、工芸作品の鑑賞とかということはなかなか難しいところで、いわゆる身近な工芸品みたいな、そういうところをもう少し、やはり美術の鑑賞とはちょっと違った感覚で、普段自分たちが使っているような、それこそお箸であったりとか湯飲みであったりとかみたいなものもしっかり受け止めるみたいな、少しそういうような内容も入れていただけたらなというふうに思うこと。
 それから下から2つ目の、例えば鑑賞の能力を高めるためにというところがございますけれども、これも美術とうまく対応させて書いていただいているんですけれども、やはり工芸の場合は、手で触れたときの心地であったりとか、それから実際に使ってみるとかという、ここのところがやはりすごく大切になってまいりますので、単に見てというよりも、触れるとか使うとかという、ちょっとそういうものを入れていただけるといいのではないかなというふうに思っております。

【福本主査】
 市川先生、続いてお願いします。

【市川委員】
 ちょうどきょうは、馳文部科学大臣のこの「教育の強靱化に向けて」というのは事前には頂いていなかったので、きょう御説明を受けて、やはりこの教育の強靱化ということで、私もそのとおりだなと思うのは、ちょっと前に戻りますけれども、17ページに、例えば一番最後の行で、実感を伴った学習ということで、最近、ICTが物すごく大事で、ICTの力を育てていくのはこれから絶対必要であるわけですけれども、一方でそうやって人間としての実感を伴う体験がだんだん少なくなっているというところで、そこにしっかりと触れていただいているというのは、すごくこれは教育の強靱化に向けてということの根幹に関わることではないかなと思います。
 それで、20ページのアクティブ・ラーニングのところの御説明も、いわゆる私たちも現場で新しい教育改革というと、何々法とか何々型とか何々式という、安易に1つの形式にとらわれた形をやりがちなものなんですけれども、そういう安易な方向ではなくて、しっかりと中身を考えた上でやらなければいけないということを示してありますので、むしろこういう部分は教育課程の改善の冒頭の方に是非何か述べてもらいたいなという感想でございます。

【福本主査】
 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょう。福岡先生、はい、済みません。

【福岡委員】
 済みません、福岡です。アクティブ・ラーニングの中の主体的な学びの実現のためにはというところなのですけれども、図工科、美術科、芸術科を通して、これは大事だな、いいなと思った文言が、「自らの学習活動を振り返る中で、自分の成長、よさに気付き、次につなげる」ということが全体を通して書いてありまして、これが大事だなと実感を持っております。
小学校2年生の男の子が、4月のときはいろいろ考えられなかったけれどと、作品袋の作品を全部床に並べて見たときに、年度末に、僕はいろいろなアイデアが浮かぶようになったんだなあと。そんな小さい子でもそうやって長いスパンで振り返ると、自分のよさに気付く。だから、子供が自分の成長、よさに気付くということは、以前の自分と比べて今はこうなんだと振り返ることで、それも友達と一緒に振り返ることで次にもっと学ぼうという意欲、そういう姿が出てくるという実態があります。
ですから、これは評価に関わることですけれども、教師は短い期間でその子を見取るのじゃなくて、長いスパンで見取っていくという視点で、子供と一緒に学習活動を振リ返る活動を入れるといいなと。小学校、25ページですけれども、丸の2つ目、「例えば、」の2つ目ですけれども、「グループで一つの作品に対して意見を述べ合ったり、年度末や学期末に作品などを友達と見合いながら、これまでの活動を振り返ったりするなどの学習も考えられる。」こういうふうに書いていただいたのがすごくありがたい。資質・能力を育成する教科ですので、その一つ一つの内容ができた、できなかったじゃなくて、子供自身が資質・能力を伸ばしていることを意識できるんじゃないかなと思って、とてもいいなと思いました。
 以上です。

【福本主査】
 ありがとうございます。じゃあ長野先生。

【長野委員】
 済みません、たびたび。29ページの高等学校芸術科(書道)1というところでございますけれども、大変整理していただきありがとうございます。丸が5つほどございますが、一番最後の丸の、「例えば、鑑賞領域においては、」云々ということで、それはそれでもちろんいいんですけれども、後段の、その丸の下から3行目、「また、我が国の書が、漢字を受容し、仮名を生成して漢字仮名交じり文を成立させる過程の中で、独自の書の伝統と文化を発展させてきたことを踏まえながら、鑑賞の深化を図る」と。この「また、」以下は、できたら丸として独立させていただきたいなというふうに思います。これはいろいろ原因というか、あるんですけれども、どうしても書の学習というのは、学習順序を示しているわけじゃないんですけれども、何となく、中国に漢字が生まれて日本に入ってきて仮名が生まれたという、何となく発生とか歴史と同じように学習していく、結果的に漢字仮名交じり書というのは、我々、日常の文で手紙を書くにしても何にしてもそれをやっているわけですけれども、一番最後になってきてしまうと。ですから、この漢字仮名交じり書ということ、あるいは「また、」以降を独立させて、丸を付けていただければというふうに思います。
 以上です。

【福本主査】
 ありがとうございました。名児耶先生。

【名児耶委員】
 今の長野先生の意見、私ももっともだと思います。特に私ども美術館で仮名の歴史を勉強しておりまして、いろいろな子供向けの講座とか行うんですけれども、そういう中で、自分が学んだことなんですけれども、日本の文化の中で仮名文字というのは非常に重要で、一番日常的に使う文字なんですね、漢字と交ぜて。私個人的には漢字仮名交じり文というのは余り好きじゃないんですけれども、日本語というのは全部漢字と仮名を使っているじゃないかと。その歴史の方が圧倒的に長くて、もう平安時代の初めに大体仮名が整理されてから、実際文字を使っている日本の歴史の方が長いので、文字、やはりそれが重要だということは何かどこかの形で印象付けるように、ここではやはり今の意見に賛成で、ちょっと独立した方がいいのかなと。で、漢字仮名交じり文とか仮名とか漢字とかと分けて勉強するという傾向がありますが、これは考えてみると、先ほどの工芸の話にもありましたが、かなり日常的なもので、普段我々が使うものなんですよね。だから、高校から出てきて芸術の方に特化しているような傾向があるんですけれども、本来、書写教育ということで字を学ぶということをやりますけれども、もっと日常的なものですから、教育の中でそういう日常的なものの中からも学ぶものがありますよという、そこで書というのは曖昧な表現であって、どう捉えるかとか、先ほど問題になりましたけれども、いろいろなものが出てくるのだと思いますけれども、そういう点、ちょっと入れていただけるといいのかなと。
 あともう1つはやはり、ここは全体として、この後にもまた出てくると思うんですが、ここにも鑑賞教育というふうになっていますけれども、そういう意味ではたくさんのものを見る、日常的な書もあれば芸術的な書もあるし、いろいろなものがあると。漢字ももちろんありますけれども、仮名の作品もあるし、漢字と仮名が交じったものがある。特に漢字仮名交じりというのは最近の近代のものを中心に考える傾向がありますけれども、実際には平安時代からありますので、そういったことも学ぶということが伝わるようなことが、もうかなり入っているんですけれども、何かどこかで強くイメージできるようなことをしていただけるといいのかなということです。
 以上です。

【福本主査】
 ありがとうございました。市川先生、どうぞ。

【市川委員】
 別紙の参考として、今回、音楽と美術の専門学科についてもまとめていただいてありがとうございます。やはりここのところで育成すべき力の中で、特に人間性のところですね、私も芸術の専門の学校でここのところがやはり欠けているなと。芸術教育を単なる芸術家養成のお金もうけの手段というふうに感じられては困る。やはり専門の芸術の力を育てるということはヒューマニズムのところがとても大事で、社会に寄与する力、寄与する人材の育成というところをとても強調していただいているのは大変いいことではないかなと感じました。

【福本主査】
 副島先生、続いてよろしくお願いします。

【副島委員】
 これは意見というかお願いなので、可能であればですが、例えば21ページからです。小学校音楽科からそれぞれ示されている中で、「例えば」という形で、実際の学習場面をイメージしながら具体的な例が示されており、自分はこれも分かりやすくていいかなと思います。小学校では、歌唱表現を創意工夫する場面で、中学校では器楽表現を創意工夫する場面で、また高等学校では再び、歌唱表現ということで示されています。これを差し替えるということではありませんが、例えば、小学校における音楽づくりや、中学校の創作の授業というのは十分に充実している状況にはないという課題もありますので、追加できるなら、音楽づくり、創作に関わるような授業場面がイメージできるような例を示していただけるとありがたいというのが1点です。
 それから、30ページ、31ページに図画工作科、書道について、教材の示し方の工夫というのが述べられています。図工、美術、書道は、作品が残る形になるので、こういったものがあると思いますけれども、音楽においても、教材、要するに楽譜だけとかではなくて、それをどのように示すのか、育てたい資質・能力を踏まえて、このような表記が、この後の教科書編集にも関わってくると思いますので、是非、音楽科、芸術科(音楽)についても、教科書の中で教材をどのように示すのかということも含めての記載ができればいいかなと思いました。
 3点目は、最後に示されている必要な条件整備等について、ここについても、先ほど最初に述べました小・中の連携・協力であるとか、義務教育学校が法制化されたことに伴って、特に小学校段階での6年間の積み上げとかがうまくいくように、中学校とどのように連携していくのかというような視点も入れられたらいいんじゃないかなと思いました。
 以上3点です。

【福本主査】
 ありがとうございました。一応ここまでのところで大体全体のまとめの方は振り返っていますので……。阿部先生、ごめんなさい。

【阿部委員】
 済みません、遅くなって。
 ICTの活用のところです。今の現時点で私ども本物とかこういったことでは大切さがあって、ICTの活用についてはちょっとまだ引いているようなところがあるんですが、ただ、未来的に考えると、これから活用ということについては日々進歩していくというふうに考えると、創造的な思考、クリエーティブの方の創造的な思考を養うことを目的とする教材の開発とか、そういったこともやはり考えていかなければならない時代に入っているんじゃないかなと思うので、ここの中にはある程度使ったらということと、ある種、抑え気味のところもありますが、未来的にはこういった課題をまだ考える余地があるみたいなところも含めて書いておいてもいいのかなというふうには思っています。

【福本主査】
 ありがとうございました。横田先生。

【横田委員】
 済みません、そのICTのところなんですけれども、今、阿部先生が言われたように、積極的に表現活動に使っていく、これは記述していただいているんですけれども、音楽のところに、自身の演奏を振り返るときにというような記述がありますけれども、美術とか工芸もどんどん作品を作っていくと形が変わっていくというようなこともありますし、記録、ポートフォリオ、振り返りですね、やはり過程を大事にするということを考えると、振り返るその資料作りみたいなところでの活用というのは美術・工芸でもしっかり活用できるのではないかなと。何か下の方に注意書きがありますので、実感の伴わない何とかではなくて、そういうふうな生きた使い方というのはどんどん考えていくべきではないか、実践していくべきではないかなというふうには思っておりますけれども。

【福本主査】
 ありがとうございました。この資料2ですね、とりあえず少し分けて一応意見交換をしていただきましたけれども、様々な御指摘、御要望等も出てきております。再度、全体を通して何か言い忘れられていることとか、新たにお気付きになったこと等ございましたら、御指摘いただければと思います。阿部先生、どうぞ。

【阿部委員】
 全体を通して、どうも本当にありがとうございますということなんですが、3ページのところの、私ども芸術ワーキングの方でこれまで感性とか知性ということで、いろいろ知識の問題からより深く話し合えたのかなと私どもも思っています。そこの3ページの一番下のところ、「感性は知性と一体化して創造性の根幹をなすものである。」という、この一文が私はとてもよかったなというふうに思っています。逆に言うと、もう少しこういったことを、ほかの教科にはない特性でありながらも、人間性やいろいろなことでこれから大切なところで、さらに大切になっていくと考えれば、もう少し前半の部分で強調できる部分はまだまだあるんじゃないかなと思っていますので、文言のところに、どういう取り組み方ができるのか分かりませんが、できたらそういった部分を強調していただければなというふうには思っています。

【福本主査】
 そのほかに。中村先生。

【中村委員】
 では失礼します。きょう初めて発言するので、改めて述べさせていただきますが、全体を読ませていただいて、今までの会議のプロセスがとても要所要所によくまとめられていると本当に感心いたしました。何よりも、芸術系教科の特性を示す部分としての、見方・考え方がそれぞれの教科で示されたことで各教科の特性を踏まえた指導が、これまで以上に意識化されて展開していくものと実感しているところです。先ほどのICTのことについても、重要ではあるけれど、こういう配慮も必要だというところにも触れられているので、今後それをどう学校で現実化していくのかということが次の課題になっていくように考えています。
 ただ、全体を読ませていただいて、身に付ける3つの資質・能力ですとか、見方・考え方だとかという幾つかの新しい概念が出てくる部分を、今度、学校にどう伝えていくのかと考えたときには、私たちは会議をずっと経ながらここに至っていますからよく理解できると思いますが、やはりもう少し表現の仕方というか、工夫の余地があるのではないかというふうに思っております。全体的には、やはり文字が多いかなというふうに感じますので、やはりそこの点は、誰にでも分かる学習指導要領目指すことをを考えるとすると、更なる課題ではないかという感じがしているところです。
 それともう一つ、先回、学習評価のことについてお話をさせていただきました。評価できるものを評価するということで、評定にはなじまない部分についてはどうするのかということについて、引き続き検討が求められる、検討する必要があるというような表記となっていますが、その検討というのはどこでどのようになされるのかというところがまだ検討の余地として残っていると感じているところです。別に御回答いただく必要はありませんが、その点はとても大きな課題というふうに受け止めています。でも、全体としては、よくここまでまとめられたなと思っております。

【福本主査】
 ほかにはいかがですか。山下先生、済みません。

【山下委員】
 この場で申し上げるべきことではないのかもしれませんが、これだけ雑多な情報があふれる社会にあって、価値付けということがとても重要になってきており、教師が果たす役割が今後ますます大きくなっていくだろうと予想しています。そのため、教員養成や教員研修の重要性を再認識するべきではないかと考えます。教員養成に関しまして、教員養成系大学・学部では定員削減などいろいろと厳しい状況が見られますが、その中で、芸術教育に携わる人たちの教育をどうしていくかを真剣に考えていくべきであると、是非この場から発信したいと思いましたので、最後に意見を申し述べさせていただきました。

【福本主査】
 重要な御指摘ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは、きょうはこの資料2を中心にして御議論いただきました。いろいろと御指摘される中で、御要望もあったわけです。本当に細かいところでいうと、教科間や校種間の構文上の整合性を図ってはどうかというふうな御意見もありました。また、言語活動の充実について、18ページのまとめが非常に積極的に評価されているというふうなこともありました。いずれにしても多様な視点で重要な指摘を頂きましたので、今後、中村先生が最後に言われましたけれども、伝達の仕方も念頭に置きながらまとめの方に生かしていただきたいなというふうには思っております。ただ、全体的に皆さんおっしゃっていましたけれども、非常に短期間でこれまでの議論を的確に反映させてこういった形でまとめられたというか、32ページという大部にはなっておりますけれども、非常にしっかりとまとめられてきたということで、このワーキングの意義もあったのかなというふうに思います。
 これで一応の合意というのは得られたように思うのですけれども、時間も迫ってきております。一応きょうのところはここで閉めたいとは思いますけれども、きょう出していただいた意見については、事務局でその趣旨を整理し、まとめていくようまたお願いをしたいというふうに思います。それから、最終的な表記というか表現ぶりというか、そういうふうな文章上の表現につきましては、各教科間の議論や学校段階別部会の議論も踏まえまして、伊野先生とまた調整しながら、主査、主査代理の方に一任いただいてまとめさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 ただ、どうしてもまだ意を尽くせなかった部分、あるいはまだお気付きの点等ございましたら、6月3日までに事務局の方にお送りいただければと思いますので、またそれを踏まえて伊野先生とも調整をさせていただきたいと思います。
 それじゃあ10分前で少し早いですけれども、きょうの審議はこれまでとしたいと思います。これまで8回にわたって議論いただきました。本当にありがとうございました。この芸術ワーキングとしての取りまとめについては、一応の目途を付けさせていただきたいというふうに思います。これから一応のワーキングとしての最後ということもありますので、事務局の方々、大杉さんをはじめ教科調査官の方々については本当にこれまでの取りまとめ、非常に御苦労だったかと思います。本当にお疲れさまでした。
 そうしましたら、最後になりますけれども、小林補佐の方からまとめの言葉を頂きたいと思います。

【小林教育課程課課長補佐】
 それでは、本日まで8回にわたりまして貴重な御審議いただきありがとうございました。先ほど主査からも御発言ありましたように、今回で芸術ワーキンググループの取りまとめの議論につきましては一旦終了とさせていただきたいと考えております。今後、各教科等で横串を刺す観点や、また学校段階別の部会等の状況を踏まえまして、全体をまとめる部会に上げていきたいというふうに考えております。その状況に応じまして、この芸術ワーキンググループでの調整が必要になった場合には御参集頂く場合もございますので、その際は別途御連絡させていただきたいと思っております。
 また、主査からもお話がありましたように、今回どうしても言い尽くせなかったこと、お気付きの点などございましたら、来週6月3日までに事務局までペーパーによる御意見を頂ければというふうに思っております。ファクス又はメール、郵送でも結構でございます。頂きました意見につきましては、主査、主査代理とも御相談させていただきたいと思います。
 なお、本日の配付資料につきましては、机上に置いておいていただければ後ほど郵送いたします。
 以上でございます。

【福本主査】
 ありがとうございます。それでは、この第8回の芸術ワーキンググループ会議を終了させていただきます。進行の不手際というか、名札が上がっているにもかかわらず見逃すことが多くて非常に失礼をいたしましたけれども、御容赦いただければと思います。本日はどうもありがとうございました。お疲れさまでした。(拍手)

―了―

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