教育課程部会 芸術ワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日時

平成28年1月22日(金曜日) 13時00分~14時55分

2.場所

文部科学省3階3F1特別会議室

3.議題

  1. 芸術教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【伊野主査代理】
 定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会芸術ワーキンググループの第3回を開催いたします。本日は、福本主査が遅れて出席されるそうですので、私の方で前半の方を進行させていただきたいと思います。
 本日、お忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。まず最初に事務局から、前回欠席された委員の紹介、及び配布資料について確認願います。よろしくお願いします。

【小林教育課程課課長補佐】
 それでは、前回御欠席の委員につきまして御紹介させていただきます。恩知理加委員でございます。

【恩知委員】
 大阪府立夕陽丘高等学校の校長をしております恩知と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【小林教育課程課課長補佐】
 続いて、配布資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1‐1、1‐2、資料1の参考、あと資料2、その他、机上に参考資料を配布させていただいております。不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。
 なお、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中には、本ワーキンググループ審議に当たり参考となる、関係する審議会の方針や関係資料等をデータで入れております。詳細は、次第の裏面の目次を御覧ください。
 また、本日、芸術ワーキング第2回の主な意見を配布しておりますが、一昨日、メールで同じものを送付しておりますので、期限までに御確認ください。
 以上でございます。

【伊野主査代理】
 それでは、これより議事に入ります。初めに、本ワーキンググループの審議等につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づき議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 なお、本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
 本日の第3回は、音楽に関する内容について意見交換をします。その後、事務局から、総則・評価特別部会等における状況の報告を頂きます。1回休息を挟みまして、本日15時10分からの第4回は、図画工作、美術、工芸、書道の意見交換を行います。
 それではこれから、音楽における資料1‐1、1‐2についての意見交換を行います。まず事務局から資料に基づき説明を頂いた後、自由討議を行いたいと思います。それでは事務局より、本日の資料等についての説明をお願いいたします。

【小林教育課程課課長補佐】
 それでは、資料1‐1、1‐2、あと資料1の参考資料というものを御用意ください。
 まず資料1‐1、1‐2に入ります前に、一番後ろの、資料1の参考の資料を御覧ください。A4の横長の方ですね。そこの中で、音楽科、芸術科に関する現状についてということがございます。これは前回のワーキングでも配布させていただいたところなんですが、特に今回議論いただきます課題という部分で、その上の部分になります。
 感性を働かせ、他者と協働しながら音楽表現を生み出したり、音楽を聴いてその良さや価値等を考えたりするなどして、創造的に表現したり鑑賞したりする力を育成することが求められているということで、実施状況調査等から思考力・判断力・表現力育成に一部課題があるということですとか、音楽の良さを味わって聴くことが十分でない傾向が見られるといった、そういった課題がございます。これらの課題につきまして、どうすればという話になってきますが、それらを育成する資質・能力ということで、今回、資料1‐1というものを作成したところでございます。
 その資料1‐1でございますが、机上資料になりますが、1回、論点整理がございます。緑色の冊子でございます。こちらを取り出していただければと思いますが、この資料の補足資料、附箋が入っております。補足資料の27でございます。
 育成すべき資質・能力の三つの柱を踏まえた日本版カリキュラム・デザインのための概念ということで、この三角形がございます。左下には個別の知識・技能、「何を知っているか」「何ができるか」で、右側に「知っていること・できることをどう使うか」、思考力・判断力・表現力等。また、上に「どのように社会・世界と関わり、より良い人生を送るか」ということで、主体性・多様性・協働性、学びに向かう力、人間性などということで、この三角形の表があるということでございます。これらを、この要素を検討する際に三つに分けた資料ということで、今回、1‐1を作成したということでございます。これらを踏まえた資料になっているということを、まず押さえていただければと思います。
 それでは資料1‐1を御覧ください。先ほどの課題等を受けまして、実際の三つの柱ということで、個別の知識や技能、思考力・判断力・表現力等、あと右側の、学びに向かう力、人間性等ということで、三つに分けております。この表につきましては、これは3枚とじにとじておりますが、1枚目が小学校、2枚目が中学校、3枚目が高等学校、芸術、音楽ということで、学校種ごとに1枚ごとになっております。それぞれ要素といたしましては同じでございますが、それぞれ当然、中身については学校段階ごとに異なってくるということになっております。
 まず1‐1の1枚目の、小学校音楽の一番左の部分でございます。個別の知識や技能ということで、その中の要素というか、四角で囲っております。まず、知識と技能と。小学校音楽ですと、知識の中には、歌詞の内容、我が国の音楽を含め、いろいろな種類の音楽があること、生活の中に様々な音楽があることに関する知識といったこと、また、歌い方や楽器の演奏の仕方に関する知識、また、曲想と楽曲の構造の理解などということ。その隣に技能という部分で、音楽表現をするための基礎的な技能ということが書いております。
 また、その四角の下の部分でございますが、共通して育成する資質・能力の部分ということで、音楽表現の創意工夫や鑑賞の支えとなる、音符、休符、記号や音楽に関わる用語の理解ということを入れております。
 続いて真ん中の部分でございます。思考力・判断力・表現力等という部分でございまして、こちらにつきましては、その下の四角を二つに分けております。表現の部分と鑑賞の部分ということで、表現によって育む資質、思考力・判断力・表現力等というものと、あと右側の、鑑賞によって育む思考力・判断力・表現力等ということで、分けた記載にしております。
 表現によって育む思考力・判断力・表現力等でございますが、音楽に対する感性を働かせ、音楽表現を工夫し、どのように表すかについて、思いや意図を持つ、音楽表現を創造する能力といったことなどが考えられるのではないかと。また、その右側でございますが、鑑賞の部分でございますが、音楽に対する感性を働かせ、楽曲の特徴や演奏の良さなどを考え味わう、音楽の良さなどを見いだす力というものが考えられるのではないかと。
 その四角の下の部分でございますが、表現・鑑賞、共通的に考えられる部分といたしまして、音楽表現の創意工夫ということや鑑賞の支えとなる、音楽を形作っている要素といったものの聴き取り、また、それらの働きが生み出す良さや面白さなどの感じ取りといったことが考えられるのではないかということでございます。
 また、思考力・判断力・表現力等の右側、一番右側になりますが、学びに向かう力、人間性等という部分でございますが、この中の要素といたしまして、音楽への関心・意欲・態度といったこと、また、感性や協働して表現する喜び、音楽を愛好する心情といったこと、また、豊かな情操などといったことが考えられるのではないかといった表でございます。
 以下、次、2枚目でございますが、こちらは中学校音楽という部分でございます。若干、書き分けというか、中身の違いはございますが、作り方としては一緒でございます。特に中学校ですと、我が国や郷土の音楽文化といったことなどについて入っていたりということで、若干、学校段階の違いというのがあるかと思います。
 併せて3枚目でございますが、高等学校芸術科(音楽)ということでございまして、特に芸術科の音楽の部分でございます。そこで記載をしているところでございます。
 以上、1‐1ということでございますが、小・中・高の音楽という部分で、三つの柱という部分での記載になっております。
 続いて、学習のプロセスとして見たときに、どのような形が考えられるのかということでまとめたのが、資料1‐2になります。
 資料の1‐2につきましては、こういった要素がどのようなプロセスで実際に行われていくかということを見ていく図になっております。上からまいります。上の部分、緑で丸く囲ってある部分でございます。左側が表現領域、右側が鑑賞領域ということでございまして、上の部分が音や音楽との出合いと特徴の把握ということで、それぞれ音や音楽といったものをどのように捉えていくかという話になっていくかと思います。
 一番上の、横に長い四角の部分でございますが、音楽を形作っている要素ということで、表現でいきますと、聴き取る、知覚することということにつながると。あとは鑑賞でいきますと、音楽を形作っている要素の中でも、感じ取る、感受することということがあります。これらを矢印が両方につながっているということで、それぞれお互いに関連し合っていくということにもなっております。
 それらを通じて、その下のグレーの部分を通りまして、下の四角の部分でございますが、表現領域の方ですが、楽曲の構造の理解ということ、また、鑑賞ですと曲想の感じ取りということで、これは音楽で言うと曲の部分ということになるかと思いますが、上の四角と下の曲の部分、そういったものが、それぞれ上下の矢印がつながっているということでございますので、これらが関連しつつ、それぞれの活動をしていくということになっております。
 それらを、当然その共通事項等を通じまして関連させることによりまして、緑の部分でございます。緑の丸の下の、少し緑の小さい部分でございますが、情意、態度等という部分が、音楽的な特徴と、音楽によって喚起されるイメージや感情との関わりを捉えると、見通しを持つということにつながるということで、そういった音や音楽の捉えといったことが、まずここであるということでございます。
 また、そういったものが、思考・判断というか、思考力・判断力・表現力とつながるという部分で、表現と鑑賞という部分で、また真ん中から下に向かうというか、青い矢印がございますが、真ん中の部分が、まず表現の部分でございます。それらの活動を通じつつ、表現の部分をどう、思考・判断の深まりということをどのようにしていくかということで、音楽活動と言語活動というものを、ここで往還しつつやっていくと。
 その中については、矢印の下の方になりますが、どのように音楽で表すかについて思いや意図を持つということ、またそれらを、左に行きますと、音楽で表すと。歌う、演奏するということです。それらと相まってつながっていき、その下の四角の、創意工夫を生かして音楽で表すということにつながっていくということになっております。
 これが表現の部分でございまして、その右側に行きますと、鑑賞の部分でございます。鑑賞の部分も、そういった音楽活動、言語活動の往還ということで、そういったことを行いまして、楽曲の特徴や演奏の良さなどを考えたり、音楽を解釈したり、価値を考えたりするということになりまして、実際のそういった言葉などで表するといったことなどを通じまして、鑑賞について行いまして、実際のその下の、良さや美しさなどを味わって聴くということにつながると。
 これらの表現と鑑賞の部分を通じまして、最後に一番下の部分でございますが、学習の振り返りということで、学んだことの意味や価値、発展性、汎用性などの自覚ということにつながっていくと。当然、表現、鑑賞によって、こういったものにつながっていくということになっております。
 また、そういったことを行きつ戻りつして、最後、こういった部分につながるんですが、資料1‐1と1‐2の部分との関連ということでございます。両方を並べていただきまして、知識・技能と一番上の共通事項のアというものが、思考力・判断力・表現力等の下の部分になりまして、あとは共通事項のイというのもございます。これは真ん中の左の赤い部分でございます。これが、ちょうど個別な知識・技能の下の部分の記載とつながっております。
 以上、1‐1、1‐2につきまして、そういった形ということになっておりますので、本日は、これらの表につきまして、小学校・中学校・高等学校ともなっておりますので、そういった分けの、どういった分けがいいかということで、今回は事務局案としてお示ししておりますので、是非忌憚のない意見を頂ければと思います。1‐2につきましても、こういったプロセスで足りない部分があるのかとか、そういったことで意見を頂ければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【伊野主査代理】
 ありがとうございました。三つの柱に基づきまして、資質・能力を整理していただいたのが1‐1ですね。そして、そのプロセスのイメージ案を1‐2で示していただいております。1‐1から1‐2の、また今、最後のお話にもありましたように、その間の部分というのも極めて重要になるかと思います。
 それでは、これより意見交換の時間とさせていただきます。まず、この資料1‐1、1‐2について御意見を頂きたいと思います。御意見のある方は、あらかじめ名札を立てていただきますと、私の方で順次指名させていただきます。また、発言が終わりましたら、元に戻していただきますようお願いいたします。また、御発言の際にはマイクのスイッチのオン、発言後にはオフの方をお願いいたします。それでは御意見お願いいたします。
 はい、副島委員。

【副島委員】
 最初に確認をよろしいですか。ここに示されている資質・能力というのは、基本的には現行の学習指導要領の中で示されているものをまとめた形になっているかと思います。これを小・中・高で見たときに、例えば小から中、中から高で変わるものや変わらないもの、それから重複するものなどがありますが、考え方としては、このたたき台を小・中・高の発達の段階に応じて整理していったものが、将来的に新しい学習指導要領の基礎となる資質・能力になるということになるのですか。

【伊野主査代理】
 事務局、どうですか。

【小林教育課程課課長補佐】
 今回の資料につきましては、現行ベースで考えまして、若干こうした方がいいんじゃないかという部分も入れて考えております。あくまで今回は事務局案ということですので、これについて意見を頂ければと思います。

【伊野主査代理】
 よろしいでしょうか。

【副島委員】
 はい。

【伊野主査代理】
 じゃあ宮下委員、お願いします。

【宮下委員】
 一昨日でしたか、これを送っていただきまして、目を通させていただきました。幾つか感じるところあるんですが、たくさん言ってもしようがないので、まず一つ二つ。
 1‐1ですが、個別の知識や技能、それから思考・判断・表現、学びに向かう力、人間性、こう三つに分けられていて、それはこれからの育成すべき資質・能力の三つの柱を踏まえたと。ここと一致していて、いいなと思います。ただ、左側の個別の知識や技能のところの、技能というところに、音楽表現をするための基礎的な技能というのがあります。そして思考力・判断力・表現力の箱の下に、音楽表現の創意工夫や鑑賞の支えとなる、つまり現行で言うところの共通事項のところが書いてあります。
 確かに共通事項というものは音楽科における思考・判断・表現ということと深く関わっていて、この位置でいいかと思うんですが、左の技能の箱の中の、そこに書かれている技能というのは、今までの音楽教育の歴史の中で、技術偏重とか知識偏重ということがずっと言われてきた経緯がある。そしてこの音楽表現をするための基礎的な技能のベースになるものが、思考・判断・表現の箱の下に書いてある共通事項であると現行の学習指導要領では捉え、広まってきているんじゃないかなと思います。
 ですので、学力の区分けとしてはこの位置でいいかと思うんですけれども、これから新しく学習指導要領を作成していくときに、やはりこの左の基礎的な技能の中に、この右側の共通事項に関わることも含まれていると。つまり音楽の要素を感じ取って表現すると。歌や声や手や喉や、こういうものを使って表すということが、これがセットになっているということは、やはりこの先、ずっと押さえておかなければいけない。これは音楽科という教科の特質でもあって、ほかの教科のいわゆる知識・技能と思考・判断・表現と分けられるところと、少し異なる特性があるのではないかなと思いました。これが1点目です。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。じゃあ、山下委員。

【山下委員】
 宮下委員の意見に関連いたしますので、手を挙げさせていただきました。私も同じことを考えまして、小学校では、個別の知識や技能のところに、「音楽表現をするための基礎的な技能」と書かれていますけれども、中学校では、「自分の思いや意図を生かして音楽表現する技能」、高校では「自分の表現意図を生かして音楽表現する技能」となっております。しかし、このように書くと、恐らく技能には二段階あって、その一段階目を小学校で、二段階目を中高で身に付けるものだという情報を発信してしまうのではないかと思います。もし、思考・判断・表現の知覚・感受がベースになった技能という考え方をするのであれば、書き方に少し工夫が必要だと考えます。以上です。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。ほかにございませんか。まず、このことは極めて重要な問題だと思うんですけれども、別な面から、もし御意見ございますれば。
 なければ、このことをもう少し話した方がいいかと思いますが、その件に関して、じゃあほかにも御意見ございませんでしょうか。
 音楽の委員の方からも、また御意見頂ければと思います。後半の美術、書道等の技能と、それから実際の思考・判断との関係とも関係してくるかと思います。
 宮下委員、山下委員の方で、もし補足があれば。今の点、では重要項目ということで押さえつつ、じゃあもう少し先へ行きましょうか。
 それでは、また別な点から御意見ある方はお願いいたします。先ほど宮下委員、あれでしたか、別な点がございましたら。

【宮下委員】
 別でよろしいですか。

【伊野主査代理】
 お願いします。

【宮下委員】
 今度は、1‐2の学習のプロセスのところから1点、申し述べたいと思います。まず、これは学習の、文字どおりプロセスと書いてあるので、一つの流れ、その中で行ったり来たりするという図だと思います。
 まず一番上に、音や音楽との出合いと特徴の把握とあります。これは非常に重要なことで、特に直感でまずは音楽を捉えるということ、これは生きていく上で、これから音楽や芸術と出合っていくときに、いろいろ考えてどうのこうのじゃなくて、生活の中でやっぱり直感的に、あ、いいなとか、あ、きれいだなと思ったりするということが非常に重要なので、これは非常に重要なものとして置きたいなと思います。
 それから、上の大きな薄緑の下のところに、音楽的な特徴と音楽によって喚起されるイメージや感情との関わりを捉える、括弧、ここに強調文字で、学習の見通しを持つと書かれているんですが、ここに至るまでの共通事項の学びとか、言葉などで表すとか比較するとか、ここのところも、既に非常に重要な音楽によって喚起されるイメージや感情との関わりを捉えるという学習が始まっているわけで、この先のこれからの学習の見通しを持つという意味でのこのグリーンの囲いというのは、少し違和感を持ちました。
 それと、同じように一番下に、今度は学習の振り返り、学んだことの意味や価値、発展性、汎用性などの自覚とありますけれども、ここでずっと通して学ぶプロセス全てにおいて、音楽を学ぶことの意味、それから価値、それからこれはどのように社会・世界と関わり、より良い人生を送るかという情意的なことかもしれませんけれども、ここが、振り返って、ああ、こうなんだ、この学びはこうだったというのではなくて、一つ一つの学びの中に、今やっていることの意味だとか、ああ、これが将来、やがて役に立つんだなというような自覚を持たせるという意味で、振り返りと同時に、プロセスの中でこれを置きたいと私は思いました。
 2点目は以上です。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。先ほどの3点から見た資質・能力と、このプロセスが出ているわけですが、このプロセスの示し方ですね。どのような形で示していくのが一番良い形かということになると思いますが、ほかに今の点についてございませんか。
 はい、どうぞ。副島委員。

【副島委員】
 この図の見方として、一番上の二重囲みで書いてあることについては、この大きな楕円全体を示して「音や音楽との出合いと特徴の把握」と読むべきなのか、もしくは、この楕円の中では、「音や音楽との出会いと特徴の把握」をスタートとする流れがあるのか分かりませんでした。自分は、この「音や音楽との出合いと特徴の把握」という一連の流れの全てを指して、この二重囲みがあるのかなと読んだときに、先ほど宮下先生が言われました「見通しを持つ」というのが一番下に書いてあるのですが、この場所というよりも、この一連の活動の全てが「見通しを持つ」のではないかと思いました。この一番上の二重囲みの意味が、この流れのスタートなのか、この上の大きな楕円全てを言い表しているものかというのが、よく分かりませんでした。

【伊野主査代理】
 ここら辺は事務方に少し説明していただいた方がいいかもしれないですね。この上の緑の楕円の中にある意味といいましょうか、冒頭の音や音楽との出合いと特徴の把握、それと今、見通しを持つのが一番下にあるものだから、何か時系列のように感じてしまうのではないかということだと思うんですが、ここら辺は、何かもし説明があれば、そうでなければ、こちらで検討したいと思いますが、いかがでしょうか。

【大杉教育課程企画室長】
 失礼いたします。大きなプロセスで捉えますと、音や音楽との出合いと特徴の把握ということで、一つの大きな塊として捉えられるんですけれども、実はその中に、知識・技能の習得でありますとか、それと共通事項の関係性という、その中にも実はプロセスはあるというような、少しこの辺、しっかりと整理をしていきたいと思いますので、是非御意見頂ければと思います。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。本当にプロセスの中にもプロセスがあって、なかなかぱっと分かりやすく示すのは難しいと思うんですが、できる限り今のことを反映しつつ、また皆さんからいろいろ御意見頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
 はい、市川委員。

【市川委員】
 失礼します。私、音楽ではないんですけれども、やはり表現ということでは、例えばこのプロセスですから、ある程度時系列とまではいかなくても、スタートの時点、上の方に、なぜ音楽で表すというところが早い時点で出てこないのかなというのが、ちょっと不思議なんですね。まず聴き取る方から入っていって、それから自分の方から音が出てくる。音楽というのはそういうものなんでしょうか。
 私は、例えば原始の人たちに帰ってみると、最初に自然の音が聞こえてきて、美しい音だなと感じたりすると同時に、自分で何かポコッと音を出してしまった、ああ、面白い音だなと、両方あるのではないかなと。スタートの時点で既に両方が、聴覚的なもので何か育てる、スタートは両方ではないかなと思われるんですね。
 私は美術、工芸ですから、またそれはそのときにお話をしますけれども、その辺り、プロセス、構造化されているのはすごくいいと思うんですけれども、ある程度時間を考えると、そういう視点があってもいいのかなと感じました。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。今のこのプロセスの示し方、冒頭に音楽行為というのは音楽学習の中にも当然あるわけですので、それをどのように示していったらいいのかということですね。
 実際に現場で担当していらっしゃる宮﨑委員、この点、いかがでしょうか。

【宮﨑委員】
 今ほどの発言に関連するかどうか分からないんですが、別のことをちょっと考えてみましたので。
 このプロセスのイメージ案を見たときに、やはり最初に時系列というふうに思いました。それで、非常にこの出合いというところを大切にして、最後は振り返ると、そういう一連の1時間の学習の流れと、それから題材全体の流れということをイメージをしたわけですが、この出合いというところが、非常に何か大きな感じを持ちました。出合いをもちろん大事にしながら思考・判断して表出していくというところ、ここの辺りがもう少し重点的に示されるような形になればいいなと。出合いを大事にしながらも、その出合いを基に思考・判断して表現していくという、ここら辺りをうまく整理できないかなということを思いました。
 それからグレーの、言葉で表すとか体を動かすというところが2か所書いてあるわけですけれども、ここら辺の表し方、大事なんですが、最初のグレーのところと2回目のグレーのところの関係性といいますか、そういうものも、ちょっとすっきりしないなという印象を持ちました。
 以上です。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。
 恩知委員はいかがでしょうか。

【恩知委員】
 音楽を表現するときって本当に、子供たちを見ていてもそうだし、自分自身が演奏するときも、このプロセスを行き来しますので、どういう切り分け方、切り分けて系統的に時系列でやってしまうのか、それとも全体を包含してやってしまうか、非常に難しいなと考えていました。ただ、音楽の授業の中で身に付けるということになりますので、どこかで整理をしなければならないのかなと考えさせていただいていました。

【伊野主査代理】
 示し方、非常に難しい。それから、いわゆる言語活動についても、どのような形で示していったらいいのか。同時に、送られた資料あるいはきょうの資料で、書道、美術の方の示し方等もまた横目で見ていただきながら、またいろいろ御意見頂ければなと思います。
 例えば今のグレーが2回ある意味というのは、すっと理解されていくかどうか。それから宮下委員の言われたように、一つ一つの中で、振り返りが常にあると。そういう学びの要素あるいはプロセスを、どう変えていったらいいのかということですね。御意見頂ければと思います。
 はい、副島委員。

【副島委員】
 先ほどのグレーの部分では、授業の中での子供たちの思考・判断・表現の内実みたいなことが書かれていると思ったのですが、これには恐らく、1回目と2回目には質の違いがあると思いました。多分、最初の「知覚・感受」のときの活動と、それを思考の深まりにつなげるときの活動では、恐らく質の違いがあると思うので、それが何らかの形で表現されるとよいと思いました。
 それから、このグレーの中身を見ていくと、「比較する」「関連付ける」といったような思考ための言語活動と「言葉で表す」といったようなコミュニケーションのための言語活動があります。、アクティブ・ラーニングの中の「対話」ということなどを考えると、「言葉で表す」というのは一方的に見えます。例えば子供たちが「協働する」ということをもう少し大事にして、例えば対話などの言葉も含めて、ここの言葉も整理をされるといいのかなと思いました。
 それから、先ほどのアクティブ・ラーニングの考え方でいきますと「見通し」、「振り返り」などもその考え方に基づいているものと思いますが、他にも、子供たちが学習の中で「課題を発見する」こと、つまり、「こんなことを学びたい」「こんなことを知りたい」という課題を発見して、その課題を解決していくプロセスが、この図の真ん中の「見通しをもつ」から後の部分になっていくのかなと思います。このような子供たちの課題の発見と解決といったようなことも、この図の中に盛り込めたらいいのではないかと思いました。
 以上です。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 はい、市川委員。

【市川委員】
 たびたび済みません。私も自分の所属校で、美術、工芸だけでなく、音楽の授業を日常的に見ますので、様々な音楽の教員の教え方、また生徒の受け止め方を見るんですね。その際に、この言語活動の部分というのは、音楽でも、これは例えば優れた教員と、なかなか初歩的な教員と、表現のさせ方に、何といいますか、言葉掛けの仕方が非常に豊かであるか、あるいは余り豊かでないかという差が明確にあります。
 例えばこういう弾き方をしなさい、こういう弾き方をしたらどうだろうかというときに、例えば遠い遠い空に向かって羽ばたくように弾くんですよというそういうことを、指導の際に言葉を使って教える教員もいます。また、当然これは音楽だけでなく、美術、工芸、書道もそうでしょうけれども、そういう言語活動の部分というのは、芸術の特性というのは、芸術による言語活動というのは、すごく特徴的なところではないかなと思うんですね。
 音楽にしても、やはり音によって、恐らくコミュニケーションをとる、感情を表す、そういうところが明確に分かるようにされると、そういう必要があるのではないでしょうか。数学や国語の言語活動とは明確に違う、芸術の言語活動の在り方、そこを明示しておく必要があるのではないかなと感じます。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。ただ言葉で表すと書いてしまうと、どの教科でも確かに通じるんですが、芸術教科ではどういう表現をした方が、より芸術活動の中での言葉として、良い形でこれを見た人が理解できるかということかと思います。これに関していかがでしょうか。特に言語活動は極めて重要だと思いますので。
 宮下委員。

【宮下委員】
 今、市川委員がおっしゃったこと、そのとおりだと思います。今の現行の学習指導要領の中で言語活動が出てきて、最初はいろいろな戸惑いがあった、国語科とどう違うのかといろいろ問題がありましたけれども、この間、現場と関わったりしながら、一番やっぱり重要だな、音楽科においての言語活動というのは何かなと考えたときに、一つは、非常に抽象的なものを言葉で表すということに対する力を付けるということですね。例えば自分の気持ちとか感情とか感動したこと、これを人に伝えるということにおいては、国語科なんかでも扱うのは基礎的なことを扱うんでしょうけれども、そういった目に見えない抽象的なものを言葉で表すということ、これが一つ。
 もう一つは、ある音楽学者が言っていたんですけれども、芸術においての言語というのは、究極はアナロジーだということを言っていました。つまり、何かに例える、何かに置き換えるということです。ふわふわした感じとか柔らかな感じとか、このような気持ちになったとか、これはみんな例えていますよね。質的なものを言語で表すというときに、比喩を使うということはとても便利なものですけれども、そういったものを例える、ドイツのカリキュラムでは置き換えるというところが入っているんですけれども、移し替えるでしたか、体で移し替える、こういう音楽をこういう動きで移し替えるということをやっているんですけれども、言葉もやっぱりそれを移し替えるという意味で、芸術の教科における言語活動の特性として、その2点が言えるのではないかなと思っております。

【伊野主査代理】
 音楽科の課題の資料、これは1の参考のところですけれども、上の方の部分で、音楽表現に対する思いや意図を持ち言葉で適切に表すなど、思考力・判断力・表現力等の育成に一部課題があると。言葉で適切に表すなど。それからその次に、言語活動が、今の授業、やや目的化してしまっている。また、先生が適切に価値付けたり具体的にアドバイスをすることが、うまくいかないと。だからこのようなことがうまくいくためには、今、言葉などで表すと書いただけではなかなかうまくいかないと、こういうことなんじゃないかと思うんですね。それを芸術の教科、あるいは音楽としてどのように書いていけば、先生方がこの問題について解決する方向へ向かえるかということかと思います。もう少し御意見頂ければと思います。いかがでしょうか。
 はい、山下委員。

【山下委員】
 直接今の御質問にお答えすることにはならないかもしれないのですが、このプロセスのイメージが、なぜ理解しづらいのかと考えたときに、これは個人の中での学習プロセスと、それから他者との関わりの中での学習プロセスというのが入り込んでいるからではないかと思うのです。
 例えば言語活動で、きちんと正しい音楽用語を使えるようにするということが一つの目標になるとするならば、それは他者との間で齟齬が起きないようにする、自分の表現意図が、正しく伝わるようにするということであって、自分がこの音楽からこう感じたという次元での言葉というのは、ある程度自由でいいと思うのですね。そこのところがきちんと峻別できたら、もっと分かりやすくなると感じました。
 もう少し具体的に言うと、個人の中で学習の見通しを持つということがあるならば、その先に学習の振り返りがあって、そしてまた見通しを持つところに戻ってくるような、そういう軸みたいなものを一つ通した上で、他者との関わりの中で多様性に気づくというような広がりが持たせられればいいと思った次第です。
 それからもう一つ、音楽の学習において、言語で表現するというときの「で」と、音楽で表現するという場合の「で」は、重みが違うと思います。図の下の方で、「音楽で表す」とか「音楽で表すかについての思いや意図を持つ」と書かれているのがとても気になります。やはり「で」と書かれると手段のようなイメージがあるものですから、音楽表現するということと音楽で何かを表すということは区別していただけると有り難いと思いましたので、付け加えさせていただきました。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。御意見下さい。
 はい、副島委員。

【副島委員】
 先ほどの山下委員のお話の中の、「言葉で表す」といったときに、例えば、知覚したことを言葉で表すときは、ある程度、客観的にとか、みんなにきちんと分かるようにということが求められる一方で、感受したことを表すときは、どちらかというと「豊か」にということが求められると思います。その辺りが、言葉で表す中にも、知覚と感受、どちらを表すかによっても、ニュアンスが違うのかなと思いました。
 あと、知覚・感受ということが音楽との出合いの最初の部分に位置付けられていますが、実際の学習では、子供たちが思考・判断しながら学習を進めていく中でも、常に知覚・感受が関わっていると思います。このことをこの図の中でどのように示せばいいのかなというのが自分はよく分からなかったのですが、プロセスの最初だけに知覚・感受があるような捉えになってしまわないような示し方ができるといいと思いました。
 それから、これは瑣末なことですけれども、表現領域と鑑賞領域が図の左右にあり、その下の知覚と感受と対応しているように読み取れるので、この真ん中の楕円の部分の表現・鑑賞と知覚・感受が右の流れと左の流れみたいに見えるとすれば、それは何らかの改善が必要かなと思いました。
 以上です。

【伊野主査代理】
 宮﨑委員。

【宮﨑委員】
 先ほどのこのグレーの示してあるところ、最初のグレーと2回目のグレーの中身を全く同じではなく変えるというところの、そういう発想はすごく大事だなと思いました。
 それからもう一つ、これを見たときに、この2回目のグレーの示してある場所なんですが、私は最初に、学習の見通しを持ったら、どうやって音楽で表すか、思いや意図を持つという、下へすとんと落ちて、要するにこの音で表すの後、三つ、ここで示されているものと学習の振り返りとの、ここの間に、ひょっとしたらこのグレーのものが来るのではないかなと思ったんです。
 この表だと、思考・判断の深まりというのが真ん中の方にあるんですが、思考・判断の深まりというのは少し下の方に来ていて、実際にいろいろ活動していく中で思考・判断して、それが深まっていって最後の学習の振り返りにつながっていくという形になる方がいいのではないかなと。
 それで右側の方に言葉で表す・批評するというところが示してありますが、ここのところと真ん中のグレーの言葉で表すという、この辺もちょっと距離が離れていますので、このグレーのところを下のところに入れて、この場所を変えた方がいいのではないかなという、そのように思いました。
 うまく伝わりましたでしょうか。以上です。

【伊野主査代理】
 プロセスの中で、常に何か学びが継続している状況ですね。これの表し方が、なかなか難しい。しかし学習の質の高まりも同時に表していきたいという中での試行錯誤ですが。
 はい、どうぞ。

【恩知委員】
 言葉のことに少し戻らせていただきますけれども、表現活動等においては、場合によって、本当にそんなことができれば、音楽の先生が出した音そのものを子供が音で感じ取って、音楽で感じ取って、本当、音だけの言語で対話ができれば、本当はとてもすばらしいんだろうと思います。ただ、それができないので、言葉を補足的に使って表現活動などではやっていくというのがあるかなと。
 それと、鑑賞、音楽を聴く活動であれば、やはりこの曲について自分はどう思ったのか、どう価値付けたのかということを、言葉でしか、ここは音ではなかなか表せないと思うので、やはり言葉で表して、本当にこの音楽の良さをみんなで、いいと思うか悪いと思うかはそこは分かりませんけれども、そのものについての価値付けを、みんなで本当にワイワイ楽しく会話というか、言葉で表現できれば、非常に主体的な鑑賞活動が、ここは非常に弱いなと感じていますので、そういう意味での言葉、音楽を分かりやすく相手に伝えるための言葉であるということを、もしかしたら、いい音楽を聴いたら、皆さん、あれですが、おいしいものを食べたときに、何も多分言葉発せず、顔でにんまりされると、もう一緒に食べている人が同じ顔をされるというような様子はあると思うんですね。そんなことで、音もいい音を聴いたらそれで、もしかしたら言葉はないんだけれども同じ気持ちかもしれませんが、やはりそればかりはありませんので、価値付けたものを会話できるということで言葉を使うというのは、非常に価値があるんじゃないかなと思っています。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。音楽科における言語活動はやっぱり整理をする必要があるのだろうかということが見え隠れしておるんですが、様々な形で音楽学習の中では言語活動が行われるけれども、単に言語活動と閉じるよりも、何かもっとそこがみえないかなと。なかなか難しいものですね。ほかに御意見ございませんでしょうか。
 宮下委員。

【宮下委員】
 今の恩知委員の意見を聞いていて少し思ったんですが、音でコミュニケーション、これは究極とよく言われます。それを補足するというか、何かちょっとおっしゃった、結局そのために言語活動させるという考え方は、やはり手段の域を脱せなくなっていってしまうおそれがある。なぜ現行の学習指導要領で言語活動が全ての教科で出てきたかというと、思考する、考えるというときは、音声に出さなくても、内言と言われている言語で思考しているわけですよね。そうすると、音楽で表現するときも、それから感動するときも、ぐっと来るとかとよく私たちは言いますけれども、実は言語で物事を捉えた上で、言語で感じ、言語で感じって非常に冷たいように思われるかもしれないけれども、実際、新しい言語心理学ではそういうところがある。
 ですから、音でコミュニケーション、それから表現するときをサポートするために言語活動をするという、言語をするということよりも、もっと一体化させていくという。さっきちょっと申し上げたけれども、音楽でしかできない語彙を使わなきゃならないこともあるでしょうし、コミュニケーションをするときに言葉で表しながら、自分はどういうことを今考えているのかということを、音声に出さなくても言葉で反すうするとか、そういうようなことをやっぱり通していくということが、音楽の学習における言語の在り方だと捉えていく必要があるのではないかなと思っています。

【伊野主査代理】
 いかがでしょうか。
 はい、恩知委員。

【恩知委員】
 今の宮下委員の意見、もちろんよく分かります。ただ、音で言った方が、早く理解が進むところもあると思うんですね。必ず言語を使っていくとなると、非常に時間がかかる部分があったり、本当の意味での言語活動を音楽の時間の中でそこまでやる必要があるのかなというのは、考えるところですね。

【伊野主査代理】
 はい、宮下委員。

【宮下委員】
 余りこのことで議論して、時間をとりたくはありませんが、考えたことを、次のステップとして言語化して外に出すというステップじゃないんです。考えるということも、もう言語でやっているそのステップの中に入るという、そういう考え方です。

【恩知委員】
 考えることを言語でしないと駄目かどうかということです。

【宮下委員】
 それは感じるということもそうです。

【伊野主査代理】
 じゃあ今、関連してでしょうか、横田委員は。はい、お願いします。

【横田委員】
 失礼します。私も美術の方の関係なので、音楽はよく分からないところは分からないんですけれども、今の宮下委員の言われた、考えるということと言語については、これは美術も非常に関わっていて、やはり単なる手段ではないと思うんですね。といいますのは、美術においても、ぱっと見て、あ、いいなと、それで終わってしまうのか、何がいいんだろう、なぜいいんだろう、いわゆるクリティカル・シンキングをしていくというような、深めていくというときに、やはり言語というのは、単に、ああ、格好いいなではなくて、特に美術なんかの場合は、好きだな、格好いいな、ぐっと来るなというだけではなくて、やっぱり深めるための言語というのはかなり有効ではないかなと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。市川委員。

【市川委員】
 確かに言葉を使って、より更に高度なものを伝えるというのは大変重要なことだと思うんですが、スタートの時点で、例えば言葉なしに芸術の説得力というのはあると思います。例えば説明をしなくても、世界中の方たちが日本の方たちの様々なミュージックを聴いて、それに魅力を感じますよね。あるとき私、大脳生理学の方から講演を聴いて、人間の要するに良さを感じ取るというのは、究極三つしかないと。いいか、悪いか、どちらでもないか。人間は、細かくいいか悪いかどちらでもないかを積み上げて、一人一人の感情を作り上げているというのを聞いたことがあるんですね。それは恐らく医学、科学の世界の人間の反応の部分ですから、これは芸術にも深く関わると思います。
 美術は、例えば視覚とか、あるいは触覚で表現をする。音楽は恐らく聴覚とか、やはり振動とか体感をもって何かの表現をしたり感じ取ったりされて、そこに良さを感じ取られる、そういう芸術だと思うんですね。ですから、言語活動の部分にも当然、視覚伝達、聴覚感受、そういう部分というのは非常に前面に出していく必要があるのではないかなと思います。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。
 山下委員。

【山下委員】
 言語が手段か目的かという議論に、もう少しだけ踏み込ませていただきたいと思います。言葉というのはやはり考えるための手段ではあると思うのですが、感じることの根源に言葉があると言われると、少し違和感があります。ただ、言葉の中にも、例えば擬音ですとか、比喩ですとか、身体感覚に基づいた言葉もありますので、論理的に考えるための言葉だけではなくて、いろいろな種類の言葉を含めて考えるのであれば、一理あるという気もいたします。
 とは言え、やはり言葉で表現することの重要性と音楽の表現の重要性というものを比べたときに、言葉の方にウエートが置かれることは、本来のあり方ではないという意見を持っております。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。
 はい、どうぞ。

【大杉教育課程企画室長】
 失礼いたします。これは後ほど2時半から御紹介させていただく予定であったんですけれども、少し関連する議論に入ってまいりましたので、御紹介をさせていただきたいと思います。
 本日、芸術ワーキンググループの資料の2という塊がございます。教科横断的にいろいろな議論が必要になってくる部分がございまして、これを少しまとめている資料なんですけれども、クリップ留めの資料になりまして、外していただきますと、一番後ろに小学校部会の資料がございます。小学校部会の資料を、更に5ページを御覧いただければと存じます。お手元、もしない方がいらっしゃいましたら、お声掛けいただければと思います。
 資料の2のクリップ外していただいて、一番最後の塊ですね。小学校部会における検討事項というのがございまして、5ページを見ていただきますと、これは別途、今回、言語能力に関する特別チームというのを設置させていただいておりまして、そこで御議論を頂いている中身になってまいります。
 5ページの言葉の働き(機能)ということで、ヤコブソンの6分類もございまして、その下でございますけれども、文化審議会答申で、国語の果たす役割、これは言語と置き換えても通用するものであると認識しておりますけれども、知的活動の基盤、それから感性・情緒等の基盤、それからコミュニケーション能力の基盤という、この三つの側面で整理をされております。
 そしてそれを1枚おめくりいただきまして、7ページでございます。今回、言語能力について、教科横断的な観点からもしっかりと整理をしていきたいということで、専門部会特別チームで鋭意御議論を頂いているところでございます。その中で、言語能力については、先ほどの答申等も踏まえまして、創造的思考の側面、感性・情緒の側面、他者とのコミュニケーションの側面、この三つの側面から整理をさせていただいているということ。
 そして、言語といいますと様々広いものが含まれ得るんですけれども、ここでは一応、言葉、日本語と外国語のことを指しておりますけれども、後ほど、非言語との関わりも少し出させていただいております。そして言語には、具体的な発声や文字による言語活動である一般的な言語(外言語)の機能のほか、音声や文字を伴わない思考や概念、それらの体系の獲得・操作を行う内なる言語の機能がある。この三つそれぞれについて、これが重要であるという整理を頂いております。
 そして7ページ目の2のところでございますけれども、子供たちの学習や生涯にわたる生活の中で極めて重要な役割を果たしている。すなわち8ページ目にございますように、言語能力の向上ということは、学びの質、子供たちの人生ということに関わる極めて重要な資質・能力であるという整理を、一旦していただいております。
 その上で、その他の資質・能力との関わりということで、ここは是非こちらの芸術ワーキングのコメントも頂きながら、更に答申に向けて膨らませていければと思っておりますけれども、例えばコミュニケーション能力との関係、文部科学省ではコミュニケーション能力を、「いろいろな価値観や背景を持つ人々による集団において、相互関係を深め共感しながら、人間関係やチームワークを形成し、正解のない課題や経験したことのない問題について対話をして情報共有し、自ら深く考え、相互に考えを伝え、深め合いつつ、合意形成・課題解決する能力」、こういった定義をしてございますけれども、そうしますと、最初のコミュニケーションも含めた三つの側面で言うコミュニケーションの側面だけではなくて、思考の側面あるいは感性・情緒の側面も極めて重要であるという整理でございます。
 そして加えて、コミュニケーション能力、その言語活動ということのみならず、非言語による伝達手段、イメージ、音、身体、こういったことも極めて重要であって、ここでは非言語としていますけれども、ここで言っている言語能力に加えて、こういったことも必要になってくるということ。
 そして9ページ目にございますけれども、人間のコミュニケーション、それから創造的思考、思考が言語だけなのか、それとも音やイメージによる構造のイメージですとか、そういったことも思考に含めて考えるのか、これも一つ議論があるところだと思いますけれども、いずれにしても、コミュニケーションや創造的思考などの諸活動は、言語によってのみ支えられているものではなく、言語以外にも、形や色などのイメージや身体の動き、音の強弱やリズムなどの多様な手段が関係している。
 こうした多様な、ここでは非言語的なと言っていますけれども、非言語的な手段による諸活動に関する資質・能力を、言語能力と相互に関連させながら高めていくことは、感性や情緒等を豊かにしていくものにもつながるということで、学校教育を通じて芸術教育の充実を図ることも不可欠である、こうした議論を、まさに言語能力の特別チームにおいてもしていただいているという状況でございます。
 そうした中で、各教科の特性を踏まえて、音楽活動と言語活動のバランスをどう考えていくのかということもあると思いますけれども、一応、関連する議論に及びましたので、御紹介をさせていただいた次第です。ありがとうございます。

【伊野主査代理】
 大変ありがとうございました。言語について、もう一歩進めて捉えて、このようにしたらどうか、何かアバウトなものでも、もう少し話を進めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 いわゆる論理的な思考の言語だけじゃなくて、山下委員が言われたように、非常に感性的なものというのがあると思うんですね。
 宮﨑委員、どうぞ。

【宮﨑委員】
 学習ということを考えたときに、音楽で全てが終わればいいんですが、発達段階も考えたときに、音楽でいう音声と、やはり言語というものを関連付けながら学習していくということが、非常に大事だと思います。表現するときには技能も関わりますので、こう表現したいんだけれども技能が伴わないということもあります。ですから、そのようなときに必ず言語も必要になる。
 それから、感動を共有するときには、やはり音というのはすぐに消えてしまいますので、それを再現しつつ、言語を通してそれを言葉で発することで共有をしていくということで、芸術においても、音だけで学習していくのではなくて、言語を重ねていくということが非常に重要になってくるんじゃないかなと思っています。
 以上です。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。
 先ほど事務方の説明の中で、かなりあちらの方でも、言語に関して、言語の重みといいましょうか、あるいは言語活動の中身について、今まで以上の詳細な議論がなされているわけですが、そことも絡め合わせて、芸術教科の言語活動というのをもう少し話していければなと思いますが、ほかにこのことについて御意見ございませんでしょうか。
 はい、長野委員。

【長野委員】
 今、大杉委員の説明、非常によく分かりました。これは、この芸術部会ワーキングだけではなくて、学校教育で果たす役割は何かとか、あるいは校種別に考えていく、今は小・中・高でありますけれども、幼稚園も含めて、そこで言語とは何かということに、全てに関わることになると思いますので、是非この発信を、もっとほかの世間的にも発信していただいて、この話題といいますか、これをやはりもっと世間に出していただくということが、出ているんだとは思いますけれども、必要なことではないかなと思って、学校教育の果たす役割、あるいは芸術教育の果たす役割というのは、一体どこまで考えていくのか、あるいは音との出合いとか、そこを小学校でどのようにそこで仕組むというか、おかしいですけれども、そういう、教育課程も含めて、そこの基本になるお話だったと私は思いました。以上です。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。恐らく小学校からの、あるいは幼稚園からの、系統的にどうするかということとも関わってくると思うんですね。論理的思考がだんだんできるようになるにつれて、どのような言語活動が適切なのか、あるいは低学年とか、場合によっては幼稚園なんかでも、どのような言語活動がよろしいのかということも深く関わってくるように思いますが。
 それでは、なければ、今、2時11分になっておりますが、ほかに、ほかの面から、きょうの資料等に関しまして御意見ある方。言語活動につきまして、またもしございましたら、いつでも挙手願います。
 はい、宮下委員。

【宮下委員】
 資料1‐1の高等学校辺りなんですけれども、先ほど副島委員も、課題解決、問題解決みたいなことをおっしゃっていたかと思いますけれども、確かにこの高等学校のところを見ますと、自分なりに解釈したり、自分や社会にとっての価値を考えたりしたことを基にとか、考える、思考するということが書かれているわけです。一方で、先ほどグリーンの冊子の附箋の書いてあるところの一番上の方にありますけれども、思考力・判断力・表現力のところに、主体的・基本的に問題を発見して解決していくために必要な思考力・判断力・表現力と書いてあります。
 音楽科においても、表現していくための思考もあるかもしれませんし、一方で、高等学校ぐらいになると、海外のカリキュラムになるんですけれども、人間にとってどうして音楽は必要なんだろうかとか、どうしてバロックの音楽と古典派の音楽と、このように時代によって音楽は変わっていったんだろうかとか、そういった疑問を持って、それについて音楽を聴いたり、それから実際歌ってみたり、それからアクティブ・ラーニングのように、交流をしながらそのことについて考えて解決していくということを、中・高校生ぐらいになるとできるようになってくるし、これから世に出ていくときに必要なことだと思うので、その辺に、今言った課題を解決する、課題を解決するって、何かほかの教科で言う課題とちょっとニュアンス違うんですけれども、芸術に携わる上での課題、今、例を挙げましたけれども、そういうようなことに対して取り組んでいくということも求めていいのではないかなと思いました。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。三本柱の、学びに向かう力、人間性、どのように社会・世界と関わっていくかということとも随分関わってくるとともに、中学校あるいは高校になったときに更にどのような力が必要か、それをどうここに書き表すかということだと思いますが、この件に関していかがでしょうか。
 はい、恩知委員。

【恩知委員】
 今おっしゃったように、社会との関わりということで、本当に一つの価値を知って、これからグローバルな社会になりますので、外へ出て、また別の価値、音楽文化であったりということを知っていくと思いますので、多様性ということを、何らか学びに向かう力の中で、多様性の理解であったり、各それぞれの文化の理解であったりというものが入れば、非常に有り難い。ここに音楽文化を尊重する態度というのは入っているんですけれども、それと併せて、小・中学校には協働して表現する喜びというのがあるんですけれども、やはりこれについては、高等学校についても併せて、同じ協働ということが入れていただければと意見します。
 それと、もう1点だけ。言語活動とは少し違うんですけれども、小・中学校で共通事項が入りまして、音楽を捉えるということが、教員にとっても児童・生徒にとっても、どんなものからできているのか、その曲の特徴は何なのかと非常に捉えやすくなって、これは有り難いと思います。非常にうまく今日の学習指導要領、分かりやすくなっていると思います。
 ですので、高等学校では形作っている要素といちいち表していないんですけれども、ここも表していただいても構わないかなということと、あとは、その言葉をどう使うのかというところが非常に難しいなと思っています。音楽の授業で使う音楽用語という、日本語が非常に、大きな音とか強い音とか、いろいろな表現が、一つの音を取ってもあります。pianoという記号を取っても、pianoは日本語では弱くと訳されているんですけれども、果たして本当にそういう、本当にかわいらしくとか小さくとか、いろいろな意味合い、実際には本当に、その音の持っているイメージはいろいろなものがあります。でも、それをそういう言葉として表して学習していくときに、やっぱり共通した言葉があった方が分かりやすいとも思うし。日本語は非常に言葉が多いので。
 一つの例で、ちょっと長くなって申し訳ないんですが、短調・長調というのを、子供たち、小学生がどのように捉えているかというので、私、愕然としたことがあって、短い曲を短調、長い曲を長調、そしたら二つの長調の曲と短調の曲を聴いたんだけれども、早く終わった、短く終わったのは、長調だったんだけれども短調と答えている。やっぱり本当に日本語の難しさというか、たくさんある意味の多さというものに、もう少し限定的に授業の中ではこの言葉を使うということがふさわしいかどうか分かりませんけれども、そうしていけば、幼・小・中・高で、もちろん年齢の差で言葉の段階はあると思いますけれども、もう少し共通の言葉で一つの音楽を表していくということもできるのかなとは思っています。
 以上です。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。資料の2の15ページを御覧になっていただきたいのですが、先ほどの言葉の部分ですけれども、15ページの上が、赤で言葉の仕組みとありまして、四角の二つ目の黒ポチの、背景となる文化が語に影響を与えているとございますが、英語のriceに当たる語は、日本語では稲、米、御飯と複数あると、こう書いてあるんですね。今の御発言と深く関係していることかなと思います。私たちが共通事項の中で例えばpianoということを教えたときに、子供たちは日本語で弱いと感じると。しかし、それで果たしてpianoが伝わるのかということの御指摘かと思います。これも大変重要なことかと思いますが、このことに関して、また御意見ございますでしょうか。もう一つは、高等学校にも共通事項の一つの縦軸をという御意見でした。
 宮下委員。

【宮下委員】
 共通事項の話が出ましたので、思ったことを述べますけれども、高等学校において、今では配慮事項のところに書かれています。ただ、小・中学校のように共通事項を羅列して書いているということはないのですけれども、共通事項で書かれていることというのは、幼児から、それからプロの音楽家においても、まさに共通なこと、要素を知覚して感受すると。なので、高等学校だけそれがないということは、少し違和感を私は感じておりました。
 ただ一方で、じゃあ小学校で示されている強弱ということと、高校生に対して強弱というものと、どう違えて教えていくのかということの差異を示していく必要があるんじゃないかなと思います。中学校の授業なんか見ていても、こんなの小学校でやっているようなことじゃないか、テンポが変わるとこう感じるとか、なので、高校生なら高校生ならではの、先ほど課題解決のときもちょっと言いましたけれども、ああいうようなものと関わらせて、共通事項というものはその支えになるという示し方ができればいいのではないかなと思います。

【伊野主査代理】
 ありがとうございます。予定していた時間が近付いてまいりますが、ほかにも御発言くださる方、あるいは思いのある方、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 それでは、副島委員が最後ということでよろしいでしょうか。ほかにございませんか。
 じゃあ副島委員、お願いします。

【副島委員】
 資料の1‐1の、「学びに向かう力、人間性等」のところで、3点あります。1点目は、現行の学習指導要領の学年目標に記されている「音楽を通して子供たちが生活を豊かにしようとする意識や態度」に関することは、この「学びに向かう力、人間性」の中に入るのかなということ、2点目は、音楽の良さの発信に関わることで、子供たちが、例えば「授業で学んだことを授業外で」とか、「学校で学んだことを社会で」というように、音楽の良さを発信していこうとする意識と、そのことが社会との音楽を通したコミュニケーションにつながっていくような意識についても、小・中・高の発達の段階を踏まえながら、「学びに向かう力、人間性」等の中に含めてもいいんじゃないかということです。
 それから、3点目は、前回、自分が述べたことの繰り返しになりますが、音楽は感情の表現の良さがあること、つまり、感情をコントロールしながら表現していくということの良さや価値についても、この「学びに向かう力、人間性」の中にあるといいと思いました。
 それから「思考力・判断力・表現力等」の中で1点あります。この「表現力」ということを、言語表現、すなわち「思考・判断したことを言葉で表現する」と捉えたときに、下の四角囲みの右の【表現によって育む思考力・判断力・表現力】の「音楽表現を創造する能力」、これは実際に音楽を表現する能力なのか、その前提としての「音楽表現を創造するための言語能力」なのかということがよく分かりません。「思考力・判断力・表現力等」に示されている「言語表現」ということと、【表現によって育む思考力・判断力・表現力】の中の「音楽表現」のところをどう整合するのかが、自分の中で難しいなと思いました。もし、ここが「音楽表現」ということであれば、当然、表の左側に示した「【知識】や【技能】を活用して」ということが、この「思考力・判断力・表現力等」の「音楽表現を創造する能力」に関わって示されるべきではないかと思いました。
 以上です。

【伊野主査代理】
 ありがとうございました。
 資料1に関しまして、様々に御議論いただきました。ありがとうございました。大きく言いますと、知識・技能に関しての音楽科の位置付け、これについてどのようにしたらよいのか、それから音楽の学習のプロセスをどのように書いていくか、さらに、言語活動の在り方を深めた議論を頂いたと思います。また、最後の御意見は、どのように社会・世界と関わり、より良い人生を送るかという、ここの部分を音楽の授業の中でどのように実現していったらいいのか、それをどのように書いていったらいいのか、この部分も重要な問題だと思いました。
 時間、今、24分になりましたけれども、様々な御意見頂きましたが、これで音楽科についての意見交換はここまでにしたいと思います。本日お出しいただいた御意見につきましては、事務局で論点ごとに趣旨を整理していくようお願いいたします。なお、限られた時間内の議論でしたので、更に御意見やお気付きの点などがあれば、ペーパーで事務局にお送りいただければと考えております。
 それでは5分休憩して、半から始めたいと思います。

( 休憩 )

【伊野主査代理】
 それでは次を始めたいと思いますので、御準備お願いします。
 それでは事務局より、教育課程部会「総則・評価特別部会」等における状況の報告等の説明をお願いいたします。

【大杉教育課程企画室長】
 失礼いたします。先ほど少し音楽の議論の中で、一部紹介させていただいた部分もあるんですけれども、後ほど御参加いただいた先生もいらっしゃいますので、一部重複になって恐縮ですけれども、改めて御説明をさせていただきたいと思います。第3回の資料の2というクリップ留めの束がございます。それを外していただきますと、幾つか資料がまとまってございますけれども、それを順次御説明をさせていただきたいと思います。
 今回、こうした形で、各教科の本質に関わる御議論を進めていただいている一方で、全体といたしましては、社会に開かれた教育課程という観点から、教科横断的に、教育課程全体としてどういう方向性を目指していくかということも御議論を頂いているところでございます。様々なワーキング、部会等で御議論いただいた中身を、教科横断的に御議論が必要な点については、総則・評価部会において1回お諮りをした上で、こういった形で各教科につながせていただくという流れになっておりますので、それに関しまして御説明させていただき、御疑問の点等ございましたら、また御指摘いただきたいと考えているところでございます。
 今回は、特別支援教育、情報に関わる資質・能力、健康・安全に関わる資質・能力、それから小学校教育はまさに始まったばかりでございますけれども、これについても参考までに触れさせていただきたいと思います。
 まず、特別支援教育についてでございます。一つ目の束を御覧いただければと思います。12月22日、資料の2‐1、特別支援教育部会における検討事項についてということでございまして、特別支援教育部会におきましては、1ページ目御覧のとおり、特別支援学校における教育の在り方のみならず、幼・小・中・高を通じた特別支援教育の考え方、特に2ポツのマル1にございますような、各教科等の目標を実現する上で考えられる困難さに配慮するために必要な支援の改善・充実、こういったことも含めて御議論を頂いたところでございます。
 それを踏まえて総則・評価部会で御承認を頂きましたのが、このペーパーでございますけれども、1枚おめくりいただきまして、2ページでございます。幾つか事項がございますけれども、マルの1、各教科等の目標を実現する上で、この点につきましては後ほど詳しく御説明をさせていただきます。
 2点目でございます。通級による指導や特別支援学級の意義、それらの取扱いということでございますけれども、これまで通級による指導、特別支援学級に関しましては、省令あるいは指導要領とは別の告示、それから指導要領、これらで各内容を少し住み分けていたような記載であったところでございます。これによって、指導要領を見ただけでは、なかなか全体像が捉えにくいという構造があったところでございます。これを3ページ目真ん中にございますように、例えば通級による指導の目標・内容や構造・配慮事項、それから特別支援教育における教育課程の基本的な考え方、編成の方針、これらにつきましては、学習指導要領の総則において、全体像が分かりやすいように示していくという方向性でございます。
 それから3ページ目の下の合理的配慮でございますけれども、4ページ目の上にございますように、この4月から障害者差別解消法が施行されることに伴いまして、様々な社会的障壁の除去の実施等、教育現場も含めまして、合理的配慮の提供ということが求められることになってございます。つきましては、現場の先生方一人一人にこうした考え方を理解していただけるように、合理的配慮の考え方、あるいはその提供の在り方について、指導要領・総則を中心に記載していくという方向性でございます。
 それから4ページ目の下にございます特別支援教育コーディネーターを中心とした校内体制の確立の在り方、それから5ページ目にございますような共生社会の形成に向けた障害者理解の促進、交流及び共同学習の一層の充実、こうしたことにつきましても、更なる記載の充実を図っていきたいということでございます。
 それでは18ページ目を御覧ください。各教科等における障害に応じた配慮事項についてということでございます。18ページ目の上の部分を御覧いただけますでしょうか。現行学習指導要領の取扱いでございますけれども、総則におきまして全体の考え方、それから解説におきまして障害別の配慮の例を示させていただいているところでございます。今後、インクルーシブ教育システムの構築といった方向性の中では、これを更に一歩進めまして、各教科等別に様々な配慮の例を具体的に示していく必要があるのではないかということ、障害別の配慮の例に留まらず、学習の過程で考えられる困難さごとにこれを示していくべきではないかという方向性でございます。
 具体的には、情報入力、情報のイメージ化、情報統合、処理等における困難さということが考えられるわけでありますけれども、19ページ目から、小学校の例で各教科の考え方を示させていただいているところでございます。20ページ目に、音楽科の例と図画工作科の例がございます。
 例えば音楽科の例、音楽を形作っている要素の聴き取りが難しい場合に、音楽的な特徴を捉えやすくできるようという配慮の意図を持って、音楽に合わせて一緒に拍を打ったりというような具体的な手立て、こうしたことを例示していくことが求められるのではないか。図画工作につきましても、形や色などの造形的な特徴を捉えることが難しい場合、造形的な特徴を詳しく捉えられるようにするために言語化するなどの配慮をする、こういったことを教科ごとに示していくことによって、先生方の指導の御参考にしていただく、こうした方向性でございます。
 現在は小学校のみ整理をさせていただいておりますけれども、今後、関係の先生方の御協力を得ながら、中学校、高等学校につきましても同様の整理をしていくという方向性でございます。
 続きまして、二つ目の束でございます。情報に関わる資質・能力についてということでございます。これにつきましては2点ございまして、現在、御議論いただいております各教科ごとの特性を踏まえた学習活動、学習プロセスの中で、より一層ICTを活用していくべきではないかという観点、それから情報に関わる支出・能力を教科横断的に育成していくという方向性という、この2点でございます。
 右上に1月28日資料の2‐1とございます情報に関わる支出・能力について、1枚おめくりいただきますと、ICT活用の特性・強みということがございます。現在、アクティブ・ラーニングの視点からの学びの在り方ということも御議論いただいているわけでございますけれども、そうした中で、ICTの特性、多様で大量の情報を収集、整理等できること、カスタマイズが容易であるということ、あるいは、時間や空間を問わずにデータ送受信等ができるという時間的・空間的制約を超えることができるということ、あるいは、距離に関わりなく双方向のやり取りができるという双方向性を有するということ、こうした特性を生かして、対話的な学び、深い学び、主体的な学びの実現、あるいは個々の能力や特性に応じた学びの実現、地理的環境に左右されない教育の質の確保、こうしたことに大きく貢献できるのではないかという視点でございます。
 3ページ目には理科の例が示してございますけれども、例えばこうした理科の学びのプロセスの中でICTを効果的に活用することにより、豊かな学びを実現するとともに、情報活用能力ということを併せて育んでいくということ。
 4ページ目には、ICTの効果的活用、教科にとらわれない一般的な形で記されておりますけれども、他校との交流、海外との交流、協働での意見の整理やプレゼンテーションという対話的な学びを促進するという側面、課題の把握やデータ分析等々の深い学びに資するという側面、あるいは、自らの学びの振り返りに活用することによる主体的な学びを促進するという側面、あるいは、左下にございますような個に応じた学習などなど、こうしたことを各教科の学びのプロセスの中で、具体的に効果的な活用の在り方ということを、また今後、御議論いただきたいということでございます。
 それから情報に関する2点目、5ページでございます。情報に関する資質・能力のイメージということでございます。情報に関する資質・能力ということは、ICTを使う力ということだけではなくて、様々な情報を活用して問題発見・解決に生かしていく、自分の考えをまとめていくということにも生かしていく、そうした幅広い力として捉えているところでございます。
 従来、情報活用能力、情報活用の実践力、科学的な理解、情報社会への参画する態度、この三つで整理をされてきたところでございますけれども、これを各教科で御議論いただきやすいように、論点整理の三つの柱に沿って整理をし直していただいたものが、この5ページ目の下の三つの柱でございます。
 情報を活用して問題発見したり考えを形成したりするということに必要な能力が、この三つの柱に沿って整理をされてございますけれども、これらを7ページ目にございますように、小学校、中学校、高等学校、それぞれの発達段階に即した形でしっかりと育んでいくということ。特に今回は、高等学校におきまして、情報科共通必履修科目が設置されることになってございます。情報や情報技術を問題発見、解決に活用するための科学的な考え方を育てるという情報の共通必履修科目、こうしたことも一つ重要になってまいりますけれども、ここのみならず、教科横断的な視点で、また社会と連携しながら必要な力を育んでいくということでございます。
 より具体的に総則・評価部会で御議論いただいた内容が、8ページ目でございます。各教科で、それでは具体的に何を御検討いただきたいかということでございますけれども、これは何か各教科に全く新しいものをお願いするというよりは、各教科の特性に応じて今取り組んでいただいていることを、より情報活用能力という観点から整理をし直して、教科横断的な視点を持っていただくということが重要であろうかと思います。
 まず8ページ目の上の部分でございますけれども、総則などとございますけれども、発達の段階に応じて育成することができるよう、教科等の特性に応じた指導内容の充実とともに、アクティブ・ラーニングの視点に立ったICTの効果的活用ということ。特に小学校段階におきまして、情報手段の基本的な操作、これが現行指導要領にも書かれてはいるのでございますけれども、身に付いていない傾向があるという調査結果がございます。こうしたことから、各教科の様々な学習とも関連させながら、カリキュラム・マネジメントの中でしっかりとできるようにしていくということ、また、社会との連携も図っていくということでございます。
 より具体的には、9ページ目の下に音楽がございます。様々な情報を活用してということの中では、音楽を形作っている要素や要素同士の関連及びその働きの視点で捉え、それらを活用して表現したり鑑賞したりできるようにすること。また、現在、音楽に関する知的財産、保護についてのみ扱われてございますけれども、保護のみならず、創造的な社会づくりという観点からも、知的財産が持つ意義、活用ということも含めた意義の理解ということも、一歩進めて図っていきたいということでございます。
 また、アクティブ・ラーニングの視点に立ったICTの効果的活用、必要に応じソフトウエアやプログラムを活用した活動、現行指導要領でも書かれてございますけれども、こうしたことの重要性が、より一層高まるということでございます。
 引き続きまして、図画工作、美術、工芸でございますけれども、形や色彩などの造形的な視点で捉え、それらを活用して表現したり鑑賞したりできるようにすること。同様に、美術に関する知的財産の意義についての理解、アクティブ・ラーニングの視点に立ったICTの効果的活用、必要に応じたソフトウエアやプログラム、映像メディアの活用ということでございます。
 書道に関しましても、書を構成する要素やその関連から生み出される働きを捉え、それらを活用して表現したり鑑賞したりできるようにすること、書道に関する知的財産の意義の理解、アクティブ・ラーニングの視点に立ったICTの効果的な活用といったことでございます。
 11ページ目、下にございますように、いずれにしましてもICT環境の整備を進めつつ、学校によって環境整備の状況が異なる実態は踏まえていかなければいけないという視点。それから先ほど申し上げた基本的な操作でございますけれども、これは学校現場にとりましては、様々な練習用教材、参考にしていただけるような教材を開発・普及して、例えばホームページに載せて共通に使えるようにしていく、こうしたことも重要であろうかと考えているところでございます。
 続きまして、健康・安全でございます。三つ目の束を御覧いただければと存じます。健康・安全につきましては、これにつきましても総則におきまして、体育・健康に関する指導ということで、教科横断的に当たっていくということにされているところでございます。東日本大震災等を受けまして、今後、特に防災に関する記述は、より充実していく必要があるのではないかということも含めまして、更なる充実をどのように図っていくかということでございます。
 2ページ目をおめくりいただきますと、安全に関わる資質・能力の育成ということでございます。現在、学校安全計画、各学校が策定・実施しているところでございますけれども、これと教育課程の関係ということも、より分かりやすくしていく必要があるということでございます。特に安全教育、安全学習と安全指導に分かれてございますけれども、これらの意義、何か違いというようなこと、各教科で行っていることがどこに当てはまっていくのかということも含めて、今後きっちりとした整理が必要になってこようかということでございます。
 3ページ目は自助・共助・公助ということも書かせていただいておりますけれども、今後、4ページ目にございますように、安全に関する資質・能力、これも各教科と同様でございまして、資質・能力の三つの柱に沿って、何が必要かを整理していくということ。そしてその中で、5ページ目の下にございますように、カリキュラム・マネジメントの中で各教科が持つ意義を明確にしながら、それぞれしっかり育んでいくということでございます。
 図画工作、美術等についても、一番右に記載がございますけれども、特に様々な道具を使うときの安全ということも関わってございますけれども、それのみならず、4ページ目上にございますような資質・能力を、教科横断的にいかに育んでいくか、それが分かりやすいように整理をしていくという視点でございます。
 6ページ目には食育がございますけれども、これも同様でございます。8ページ目上にございますような、三つの柱に沿った資質・能力の整理。そして9ページ目上にございますようなカリキュラム・マネジメント、その中での各教科の意義ということを分かりやすく示していくということ。
 10ページ目上には保健ということでございますけれども、11ページ目上にございますような資質・能力の整理ということ。そしてそれを、12ページ目上にございますような、カリキュラム・マネジメントの中でしっかりと位置付けていくという方向性でございます。
 また今後、順次、こうした教科横断的な事項がございましたら、こちらのワーキングにもつながせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは私からの説明は最後になりますけれども、小学校部会における検討事項ということでございます。小学校部会、立ち上がったばかりでございまして、状況の御紹介ということに留まりますけれども、論点整理におきまして、小学校の時数も含めた一定の考え方の整理ということが、年内あるいは年明けをめどにと書かれていたところでございます。
 一方で、様々、ワーキングにおける資質・能力の整理でありますとか、ものの見方・考え方の整理、こうしたことも進めていただきながら、小学校部会の立ち上げのタイミングを図っていく必要があったというところでございます。したがいまして、昨年内におきましては教科における様々な議論を優先していただく形で、そして1月に入りまして、先頃、小学校部会の立ち上げという段階に至ったところでございます。
 したがいまして、論点整理のスケジュールは少し変更ということでございまして、今の予定では、年度内に小学校の時数等も含めた全体的な考え方の整理をしていくということでございまして、それに向けて小学校部会が立ち上がったということでございます。
 小学校部会の論点は幾つかございまして、1月20日、資料の2、小学校部会における検討事項という束を御覧いただければと存じますけれども、小学校部会の検討事項、1ポツ、「社会に開かれた教育課程」の視点に立った小学校の教育課程の改善について。これからの社会の在り方を見据えた小学校教育の改善の方向性などなど、これらを全体的な方向性としておまとめいただくということでございます。
 それから2ポツでございますけれども、小学校教育を通じて育成すべき資質・能力について。これは、現在、教科ごとに資質・能力のイメージを御議論いただいておりますけれども、これを今度は、更に小学校教育という横軸を通す形でまとめていく必要もあるということでございます。この作業をするのが、まさに小学校部会の役割ということでございます。
 そして3番目でございます。小学校におけるカリキュラム・マネジメントの在り方についてということでございます。カリキュラム・マネジメントの意義、特に論点整理におきましては、外国語教育の関連も含めて、短時間学習ということが出されているところでございますけれども、これも含めたカリキュラム・マネジメントの意義ということでございます。
 そのほか、2ページ目、アクティブ・ラーニングの視点、評価その他ということで、かなり幅広に御議論いただくことになりますけれども、年度内には1ポツ、2ポツ、3ポツまでをおまとめいただくという方向性でございます。
 これに関連しまして、様々、言語に関する資質・能力ということでページがございますけれども、3ページ目が、言語能力に関する特別チームで御議論いただいている内容でございます。同様に三つの柱、そして4ページ目にございますように、言語に関する資質・能力を、プロセスのイメージから要素をまとめさせていただいているところでございます。テクスト・情報の理解、文章や発話による表現という中で、構造と内容の把握、吟味と解釈、考えの形成、あるいはテーマの設定、内容の検討、考えの整理、構成・表現形式の検討、表現といった、こういった中でどういった資質・能力の要素が働いているのか、こうしたことを分析的に捉えながら、言語能力の在り方を御議論いただいているところでございます。
 そして、5ページ目にございますような言葉の働きと仕組み、知的活動の基盤、感性・情緒等の基盤、コミュニケーション能力の基盤、あるいは6ページ目にございますような言葉の仕組みということ、こうしたことを踏まえながら御議論を頂いておりますけれども、小学校部会で御議論を頂くに当たりまして、7ページ目にございますように、言語能力について一定の整理をさせていただいております。
 先ほど少し音楽の議論の中で触れさせていただきましたけれども、言語能力につきましては、創造的思考と感性・情緒、他者とのコミュニケーション、この三つの側面からおまとめを頂いているところでございます。また、こうした言語能力ということが、子供たちの学習や生涯にわたる生活の中で、極めて重要な役割を果たしているということ。そして言語能力は、国語科や外国語科のみならず、全ての教科等における学習の基盤となるものであること。資質・能力の三つの柱ということの獲得ということに関しても、基盤となってくるものであるということ。8ページ目真ん中にございますように、こうしたことを踏まえますれば、言語能力の向上ということは、学校における学びの質や教育課程全体における資質・能力の育成の在り方を左右する重要な課題として受け止める必要があるということでございます。
 今回、英語の学習の重要性ということが議論されておりますけれども、単にグローバル化の中で英語がということだけではなくて、こうした言語能力の重要性ということ、そして、その中での母語という国語教育ということを基盤とした獲得、あるいは外国語を習得することによって得る、いろいろな母語も含めた言葉の働き・役割を、ある意味少し客観的に捉えていくことができるという役割。こうした言語能力全体を捉えた議論の中で、その重要性を整理していく必要があるという流れでございます。
 一方で、8ページ目の3ポツは、言語能力以外の能力との関係性を整理させていただいておりますけれども、コミュニケーション能力との関係、特にコミュニケーション能力といった観点からは、言語のみならず、様々な非言語による伝達手段ということも極めて重要であるということ。
 そしてその流れの中で、9ページ目でございますけれども、人間のコミュニケーションや創造的思考などの諸活動は、言語によってのみ支えられているものではなく、言語以外にも、形や色などのイメージや身体の動き、音の強弱やリズムなどの多様な手段が関係しており、こうした様々な手段による諸活動に関する資質・能力を言語能力と相互に関連させながら高めていくことは、感性や情緒等を豊かにしていくことにもつながる。したがいまして、芸術教育や体育等の充実を図ることも不可欠である。こういった御議論も、小学校部会の中で頂いているところでございます。
 また、言語活動と体験活動との関係ということもございますけれども、こういったことを、先ほども音楽の中で、言語と芸術との関係、アナロジーということも大事ではないかということを頂きましたけれども、こうした御議論もまた加えて織り込みながら、おまとめをさせていただきたいと考えているところでございます。
 10ページ目、11ページ目は、国語について同様の議論がされているということ。13ページ目は、国語の幼・小・中・高を通じた育成のイメージ。それから16ページ目以降は、外国語ワーキングの整理をさせていただいております。外国語ワーキングにおきましては、特に論点整理を受けまして、短時間学習の効果や課題、こうしたものを整理するといったことにもなっておりましたので、4回にわたる議論の成果を、既に一定程度おまとめを頂いているということでございます。
 簡単に触れさせていただきますけれども、外国語ワーキング、特に子供たち、一部の業種や職種に英語が必要だということだけではなくて、生涯にわたる様々な場面で必要とされることが想定される。そうしたことから英語教育ということを考えていく、外国語教育ということを考えていくということでございます。
 17ページ目上にございますように、これらも、小・中・高を通じて、三つの柱、英語を使って何ができるようになるかという観点から、どのような職業に就くとしても生かすことができるような資質・能力を育んでいくということ、また18ページ目には、様々、産業界をはじめ要望がございますけれども、どのような職業に就くとしても生かすことができるような資質・能力を育成していくということでございます。四つ目のマルにございますように、特に興味・関心が高い子供に対しては、多様な学習の機会を提供していくということでございます。
 19ページ目、小・中・高を通じた一貫した目標の設定ということがございますけれども、こうした小学校のみならず、中高を通じた育成のイメージということをイメージしながら、20ページ目下から二つ目のマルにございますように、学校における学習のみをもって外国語を習得するということは困難であるため、学校における学習が生涯にわたって学ぶということに動機付けにつながるようにしていくということも、おまとめいただいているところでございます。
 21ページ目以降、国が設定する目標と学校が設定する目標との関係でありますとか、あるいは23ページ目、指導する語彙、表現、文法の内容。学習評価の内容、24ページ目。それから25ページ目におきましては、国語教育と外国語教育との関連性ということ。そして26ページ目は、言語の仕組み、音声への気付きというようなことも含めてということでございます。
 そして27ページ目にもございますように、論点整理を踏まえて、小学校高学年、単に中学校を前倒しするというよりは、小学校高学年にふさわしい、そしてこれまで「聞くこと」「話すこと」ということを体系的に学習している子供たちが、「読むこと」「書くこと」もやってみたいという、かなり好奇心を持って学習をしたいという意欲が高まっている状態でありますので、こうしたことを生かせるような4技能の学習ということでございます。
 そして中学年は、それにつなげるような体験的な活動というということで方向性をおまとめいただいているところでございますけれども、いずれにしても、年間35単位程度、時間程度の時数の増が必要になってくる、それを29ページ目にございますように、短時間学習の活用など、柔軟なカリキュラム設定に関する考え方ということで整理を頂いておりますけれども、30ページ目には、英語における短時間学習の意義でありますとか、今後、その位置付けへの明確化、あるいは短時間学習のみならず、様々、45分授業プラス15分の60分でありますとか、イングリッシュ・キャンプ等も含めた様々な柔軟な取組が考えられるのではないかというおまとめを頂いているところでございます。
 この資料の冒頭に戻っていただきまして、小学校におけるカリキュラム・マネジメントの在り方について、こうした柔軟な捉え方ということも踏まえながら御議論を頂くということでございます。既に各学校におきましては、週時程の様々な工夫、朝の時間でありますとか昼の時間、休憩時間をどうするか、休業時間をどうするかというような様々な工夫を頂いているところでございますけれども、そういった工夫はまさにカリキュラム・マネジメントということの一環でございますけれども、こうしたことを踏まえながら、ただ一方で、時数が増えていくという負担感ということにしっかりとお応えするような支援体制を作っていくということも必要でございますので、こうしたことを総体的に小学校部会において御議論いただくということでございます。
 まだまだ始まったばかりでございますので、これからでございますけれども、以上、御紹介をさせていただきました。ありがとうございます。

【伊野主査代理】
 ありがとうございました。説明に対し、質問等ございましたらお願いいたします。
 それでは先へ行きます。第3回に予定されていた議題はここまでです。最後に、次回以降の日程などについて、事務局より説明をお願いいたします。

【小林教育課程課課長補佐】
 それでは、第3回、予定されていました議題はここまでです。この後、引き続き、第4回、15時10分から、この会場で行います。なお、第4回につきましては、図画工作、美術、工芸、書道の内容を中心に議論を頂く予定でございます。
 なお、第5回、6回につきましては、2月23日13時から17時の開催を予定しております。場所は3F2特別会議室、隣の会議室となります。また、主査代理からもお話ありましたように、ペーパーによる御意見も頂戴したいと考えておりますので、ファックス又はメール、郵送でも結構です。
 以上でございます。

【伊野主査代理】
 それでは第3回の芸術ワーキンググループを終了させていただきます。ありがとうございました。なお、引き続き第4回に出席いただく委員につきましては、15時10分にはお集まりいただきますようお願いいたします。御苦労さまでした。

―了―

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程第三係

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2076)