教育課程部会 芸術ワーキンググループ(第1回) 議事録

1.日時

平成27年11月23日(月曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

合同庁舎第7号館東館3F2特別会議室

東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 芸術教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【小林教育課程課長補佐】
 それでは、皆さん、おはようございます。定刻より少し早いのですが、皆様おそろいですので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会芸術ワーキンググループを開催いたします。
 開会に当たりまして、文部科学省初等中等教育局教育課程課長の合田哲雄より御挨拶申し上げます。

【合田教育課程課長】
 おはようございます。本日はお休みの日にもかかわらず、中央教育審議会教育課程部会の芸術ワーキンググループの第1回目ということでお運びをいただきましたことを心から感謝申し上げたいと思っております。また、先生方には、日頃大変お世話になっておりますとともに、大変御多忙の中、このワーキンググループの委員をお引き受けいただきましたことを、心から感謝申し上げたいと思っております。
 学習指導要領ですが、先生方、御案内のとおり10年に一度改訂をすることになっておりますが、2008年に小中学校が、2009年に高等学校が改訂され、現在、次の改訂についての議論をしていただいているところでございます。この夏に中教審の教育課程企画特別部会というところで、後ほど御説明させていただきますが、論点整理というものを出させていただきました。建築物に例えますと、これがいわば基礎工事というものでございます。これからこの上に芸術をはじめ、17のワーキンググループ、5つの学校種に関する部会が一斉に議論をいただきまして、前回の改訂は400人の委員の先生方に400時間の議論をいただいたわけでございますが、今回は数えさせていただきますと、470名の先生方にお願いをしております。これぐらい議論いたしませんと、20年後、30年後を見据えた、我々大人がベストと思える教育課程は組めないのかなと思っております。
 その中でも、この芸術系の科目、教科等につきましては、今申し上げました論点整理の中で、幼児期に育まれた豊かな感性と表現の基礎の上に、小中高等学校教育を通じて育成すべき資質・能力を明確にするということを前提といたしまして、創造的に表現したり、鑑賞したりする力の育成、あるいは、生活社会における働きや音楽文化、美術文化、書の伝統と文化などに関する学習活動の充実などを図っていく必要があるのではないかという御提言を頂いているところで、後ほど論点整理に沿いまして御議論賜れればと思っております。
 それから、私ども政府全体としても、この国のよさというものを次の世代にどう受け継ぐのかという議論をさせていただいておりますが、その際に、成熟社会である日本の感性というものは大変重要だと思っております。世の中、「イノベーション」という言葉がございますが、その「イノベーション」という言葉、特に成熟社会である日本の中でいろいろ突き詰めてまいりますと、最終的にはやはり日本人としての感性に行き着くのかなと思っております。
 そういった観点から、1つは、こういったものを日本だけではなくて世界にどういうふうに発信していくのかという観点。それから、いわゆる知的財産というふうによく言われますが、これも、どうしても学校現場では、知的財産を侵害してはならないという教育が中心になってしまいますけれども、むしろそういう枠組があるからこそ新しい文化が生まれてくるのだという創造的な観点といったものも含めて、これから教育の中で位置づけていく必要があるのではないかと思っております。
 本ワーキンググループですが、今年度の末までに8回程度開催していただき、芸術の教科、科目につきましての一定の方向性をお示しいただきたいと存じており、それを踏まえまして来年度、平成28年度中に中教審全体として次の改訂の大きな見取り図を描いていただき、答申を出していただいて、少なくとも小中学校については来年度中に改訂をさせていただきたいと思っております。そういたしますと、小学校につきましては平成32年度、2020年度から、中学校は33年度、高等学校は34年度というスケジュールになろうかと思っております。
 本当にお忙しい中、非常にインテンシブに御議論いただくことになるわけですが、先生方におかれましては、是非、忌憚のない御意見を頂ければと思っております。大変重要なワーキングだと思っております。先ほど申し上げましたように、イノベーションと申しますと、どちらかというと工学的、設計科学的な、発明といったようなイメージがあろうかと思いますが、今後は理数や感性、認識科学的なものが中心になってくると思っております。我が国の成長と発展という観点からも大変重要な要素を多く含んでおられると思っております。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【小林教育課程課長補佐】
 それでは、議事に先立ちまして本部会の主査及び主査代理について御報告いたします。
 本日配付の資料2の初等中等教育分科会教育課程部会運営規則に基づきまして、本ワーキンググループは、教育課程部会の決定により設置されており、主査及び主査代理は教育課程部会長が指名することとされております。教育課程部会長と相談し、福本謹一委員を主査に、また、伊野義博委員を主査代理にお願いしておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に委員の皆様を御紹介いたします。本日配付の資料1として本ワーキングの名簿を配付させていただいておりますので、名簿順に御紹介させていただきます。
 福本謹一主査でございます。伊野義博主査代理でございます。続きまして、阿部宏行委員でございます。市川治郎委員でございます。逢坂恵理子委員でございます。副島和久委員でございます。中下美華委員でございます。長野秀章委員でございます。中村一哉委員でございます。福岡知子委員でございます。宮下俊也委員でございます。山下薫子委員でございます。山田晋治委員でございます。横田 学委員でございます。本日遅れて出席されます名児耶 明委員、また、本日は欠席でございます、恩知理加委員、宮﨑新悟委員、八巻敏幸委員、由紀さおり委員が本ワーキンググループの委員に就任されております。委員の御紹介は以上でございます。
 続いて、文部科学省の関係者を御紹介させていただきます。文部科学省初等中等教育局教育課程課長の合田でございます。よろしくお願いいたします。教育改革調整官の平野でございます。教育課程企画室の小野でございます。教育課程課教科調査官の津田でございます。同じく、教科調査官の臼井でございます。同じく教科調査官の岡田でございます。同じく教科調査官の東良でございます。同じく教科調査官の加藤でございます。私は教育課程課課長補佐の小林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります前に、福本主査、伊野主査代理から御挨拶いただければと思います。福本先生、よろしくお願いします。

【福本主査】
 おはようございます。福本です。
 先ほど課長からも御説明がございましたが、現行の指導要領が、資質・能力ということで整理されてきてはおりますが、2008年以降の社会的な動向を受けて、ますます我が国だけでなく、国際的な文脈においてもどういうふうな資質・能力を教育の中に位置づけていくのかということが非常に求められているように思います。国際的な調査で、一方では、どこの国においても、PISAやTALISをはじめいろいろな教育調査がされておりますが、その中でも、やはり今後求められる資質・能力というのはどういうものであるのかということを同定するような調査をやっていくことが非常に計画されているようですので、それも見据えながら、我が国での教育課程におけるは資質・能力、特に芸術教育分野における資質・能力はいかなるものかということを、是非、この場で討議をしていかれればいいかなと思っております。微力ではございますけれども、皆さん方と、今後の子供たちの未来形成を担う芸術教育の中で、よりいい教育課程を作成する一つのベースをしっかり作っていかれればいいかと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【伊野主査代理】
 おはようございます。伊野義博と申します。微力ですが、皆様の御協力をいただきながら主査を助けていければと思います。日本では芸術教科が学校の教科の中できちんと位置づけられています。例えばノーベル賞の受賞者がしばしば芸術に深い造形をお持ちであったり、あるいは、自身で芸術活動をされていたりすることに出会うわけですが、その例を一つ取りましても、芸術というものは人間の能力形成にとって極めて重要だと考えています。この部会の中で、未来の子供たちの資質・能力の育成について、芸術、創造、あるいは伝統という視点から少しでも明らかにしつつ前進できればと思っております。どうぞよろしく御協力をお願いいたします。

【小林教育課程課長補佐】
 ありがとうございました。それでは、本ワーキンググループの進行は、これより福本主査にお願いいたします。よろしくお願いします。

【福本主査】
 それでは、なかなか慣れないことではありますが、私の方で議事進行をさせていただきます。本ワーキンググループの審議等については、初等中等教育分科会教育課程部会の運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づいて議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただくということでございますので、よろしくお願いいたします。
 それから、本日は、報道関係者から開議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しているということですので御承知おきください。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【小林教育課程課長補佐】
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 本日は、配付資料は議事次第に記載しておりますとおり、資料1から9、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたらお申し付けください。特に資料6につきましては緑色の冊子でございます。
 本日は机上に参考資料等もございますが、本日は2人に1台、タブレット端末も置いております。その中には、ワーキンググループの審議に当たり参考となる指導要領の解説や関係する審議会の答申等をデータで入れております。また、本ワーキンググループの設置に係り、新たに中央教育審議会初等中等教育分科会の委員になられた先生方におかれましては、机上に辞令をお入れした封筒を置かせていただいておりますので、御確認をお願いいたします。
 以上でございます。

【福本主査】
 それでは、諮問、それから教育課程企画特別部会論点整理、改訂の検討体制、今後のスケジュール等について、引き続きまして事務局から御説明をお願いいたします。

【小野教育課程企画室専門官】
 失礼いたします。御説明させていただきます。
 まず、お手元にお配りさせていただきました資料のうちの資料4、学校段階等別部会及び教科等別ワーキンググループ等の設置についてから順に御説明させていただきます。
 これを1枚めくっていただきますと、次期学習指導要領改訂に向けた審議を取りまとめていただきます中央教育審議会教育課程部会と教育課程企画特別部会のもとに、本芸術ワーキンググループを含めて各教科等別のワーキンググループと、上に5つの学校団体別の部会を教育課程部会、教育課程企画特別部会の下に置きまして、このような検討体制の下で次期学習指導要領改訂に向けた審議を進めていただくということにさせていただいております。
 続きまして、資料5としまして、次期学習指導要領改訂に関する今後のスケジュール(予定)という資料を入れてございます。平成27年10月以降というところで、この8月に教育課程企画特別部会で、後ほど御紹介させていただきます論点整理という方向性をまとめていただきました。これに沿いまして学校段階等別、教科等別のワーキンググループ、あるいは部会で専門的に検討していただき、平成27年度末から年度明けを目途にワーキンググループ等での議論をまとめていただきます。それをまた教育課程部会、又は教育課程企画特別部会におきまして全体を通した議論をして審議のまとめをいただき、平成28年度内には中央教育審議会としての答申を頂ければというスケジュールでお願いできればというふうに考えております。
 続きまして、緑色の冊子の資料6に基づきまして今回の諮問と論点整理の概要を説明させていただければと存じます。緑色の論点整理の冊子を1枚めくっていただきますと全体の目次のページがついてございます。この中で、後ほど時間の許す限り論点整理の全体像を御紹介させていただきますが、これからページをめくっていただきまして、目印が少しはっきりしなくて恐縮ですが、緑色の仕切り紙を入れておりますが、1つ目の緑色の仕切り紙、全体のページの4分の1ぐらいになりますでしょうか、そこをめくっていただきますと、教育課程企画特別部会の委員名簿というページがございます。この委員の先生方にこれまで審議をまとめていただいたスケジュールが、めくっていただきますと、審議の状況ということで、これまで教育課程企画特別部会で14回の審議をまとめてきた、あるいは、教育課程部会、中教審初中分科会等でも議論いただいてきた大まかな経緯を3ページにわたりまして掲載しております。
 それから、もう一つ、緑色の仕切り紙をめくっていただきますと、中央教育審議会に対しまして昨年11月20日に文部科学大臣から諮問させていただきました「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」という諮問と、その説明を掲載しております。この概要をざっと御説明させていただきます。
 1ページめくっていただきますと、文章で(理由)というところがございます。この諮問に当たりましては、これからの時代に必要な力を子供たちに育むために、ページは振っておりませんけれども、理由の2つ目のページの真ん中ぐらいですが、これからの時代に求められる必要な力を子供たちに育むためには、「何を教えるか」という知識の質や量の改善はもちろんのこと、「どのように学ぶか」という学びの質の深まりを重視することが必要であること。そのために、課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習、いわゆるアクティブ・ラーニングや、そのための指導の方法等を充実させていく必要があること。また、学びの成果として「どのような力が身に付いたか」に関する学習評価の在り方についても、同様の視点から改善を図る必要があるという考え方が示されております。
 以下、具体的に審議をお願いしたいことを3つの項目で整理しております。同じページの下のあたりですが、第1に、教育目標・内容と学習・指導方法。学習評価の在り方を一体として捉えた新しい時代にふさわしい学習指導要領等の基本的な考え方についてということを入れております。
 それから、1ページめくっていただきまして、2番目の柱としまして、育成すべき資質・能力を踏まえた、新たな教科・科目等の在り方や、既存の教科・科目等の目標・内容の見直しについてどのように考えるべきかという視点。
 それから、もう一つ、次ページの一番下のあたりですが、第3に、学習指導要領等の理念を実現するための、各学校におけるカリキュラム・マネジメントや、学習・指導方法、評価方法の改善を支援する方策といったところからどのようなことを考えていくべきかというような、大きく3つの観点を挙げていただいております。
 このような諮問事項に沿いまして御議論をいただいてまとめていただいたものが、本冊子、この論点整理の中身ということになります。
 それでは、順番が前後して恐縮ですが、冒頭に戻っていただきまして、教育課程企画特別部会の論点整理にまとめていただきました概要につきまして、お時間の許す限り御紹介させていただければと存じます。
 まず、目次からめくっていただきまして、冒頭、2030年の社会と子供たちの未来ということで、この論点整理をまとめる考え方としまして、これまでの改訂のスケジュールを参考にしてまいりますと、およそ2020年以降、今、検討いただいている学習指導要領、新たな学習指導要領が使われ始めるということ、それから学習指導要領がおよそ10年ごとに改訂する、見直しをするということから考えますと、そこからさらに10年後の2030年がどのような社会になっているのか、子供たちを取り巻く状況はどのようになっているのかというところを前提にしながら議論をしていくことが必要ではないかという基本的な考え方を入れていただいております。
 めくっていただきまして、3ページ目の中段から4ページ目にかけまして、社会に開かれた教育課程という考え方を示していただいております。今回の改訂の目指す方向性としまして、社会に開かれた教育課程として3つの観点を挙げていただいております。
 1つ目は、3ページ目の一番下にあります、社会や世界の状況や変化を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を社会と共有していくための教育課程。めくっていただきまして、4ページ目の頭にございますが、これから社会に出ていく子供たちに求められる資質・能力をしっかりと育んでいく教育課程という視点。それから、3番目に、学校教育を学校内に閉じたものにせず、その目指すところを社会と共有しながら地域の人的、物的資源などを活用しながら実現していく教育課程、こういった理念を教育課程全体として実現していく必要があるのではないかということを求めていただいております。
 それから、5ページ目からは、前回改訂の成果と次期改訂に向けた課題ということでまとめていただいております。5ページ目中頃からですが、前回改訂の成果としまして、子供たちの生きる力の育成という考え方、それから、学力の三要素をバランスよく育成するということ、それから、言語活動や体験活動を重視していくという考え方につきましては、これを引き続き充実を図ることが重要であろうということが挙げられております。
 一方で、めくっていただきまして6ページの冒頭でございます。こうした前回改訂を踏まえた真摯な取組が学校現場で着実に成果を上げつつある一方ですけれども、課題としまして、子供たちには、根拠を示して自分の考えることが苦手であったり、あるいは、自己肯定感、社会参加の意識に課題があるのではないかということ。それから、生きる力を育むという理念について、この理念自体について各学校の教育課程や授業に浸透するというところまではまだ十分に行われていないという状況にあるのではないかという課題が挙げられております。
 また、6ページ目の一番下の段ですが、前回改訂で各教科等を貫く改善の視点として言語学活動の充実を挙げられ、教育課程の枠を超えた具体的な展開を求めたということについて一定の成果は得られつつありますけれども、ここでさらに教育課程の全体像を念頭に置いた教育活動の展開という観点から、一層の浸透や具体化を図る必要があるのではないかということも挙げていただいております。
 7ページ目の一番最初の段落で、いわばこれまでの学習指導要領は、教科等ごとに体系化されているものの、今後はさらに教科を超えた視点を持ちつつ、それぞれの教科等を学ぶ本質的な意義を整理し、教育課程の全体構造を明らかにしていくことが重要ではないかという考え方が述べられております。
 こうしたことも踏まえて7ページ目以降、新しい学習指導要領等の在り方についてということで、7ページ目の下段から8ページ目にかけまして、先ほど諮問の中でも触れさせていただきましたけれども、重要な考え方といたしまして、何ができるようになるかという観点からの資質・能力の整理、そのために何を学ぶのか、それをどのように学ぶのかという子供たちの具体的な学びの姿を考えながら構成する必要があるのではないかということ。
 それから、8ページ目の上段、学習プロセス等の重要性を踏まえた検討ということで挙げていただいておりますが、これまでの「学び」や「知識」などに関する科学的な知見を生かしていくことが必要であるということ。また、8ページ目の下段に、こうした「学び」や「知識」に関する知見につきましては、芸術やスポーツ等の分野における学びについても当てはまるものである。学習のプロセスでは、それを通じて身についていく力ということを教育課程全体の中で構造化していくことが必要であろうということが述べられております。
 それから、9ページ目以降、育成すべき資質・能力についてということでまとめていただいております。
 さらにめくっていただきまして、10ページ目です。資質・能力につきまして、学習する子供の視点に立って育成すべき資質・能力を以下のような三つの柱で整理することが考えられるということを挙げていただいております。1つ目には、「何を知っているか、何ができるか」という個別の知識・技能ということ。それから、11ページの頭に、「知っていること・できることをどのように使っていくか」、思考力・判断力・表現力というような柱。それから、3番目に、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」、学びに向かう力、人間性という柱が挙げられております。
 この点につきましては、お配りした論点整理の冊子の後ろ、後半にカラー刷りのスライドを打ち出した資料を入れております。委員の先生のお手元、付箋を張らせていただいていると思いますが、1枚に2つ分のスライドが掲載されておりますものの中に、それぞれ小さい数字でページ番号を入れております。スライドのページ番号27というところでカラー刷りの三角形の絵がかいてあるものがございます。育成すべき資質・能力の三つの柱を踏まえた日本版カリキュラム・デザインのための概念ということで、今、御説明をさせていただいておりました三つの柱を整理しながら、その真ん中にどのように学ぶかというアクティブ・ラーニングの視点からの不断の授業改善、それから学習評価の充実、カリキュラム・マネジメントの充実という、この三つを柱として考えていくことが必要なのではないかという大きな考え方の方向性を示していただいているというのがこの部分でございます。
 それから、順番が前後して恐縮ですが、本文の方に戻っていただきまして、11ページ目以降、特にこれから求められる資質・能力ということで大きく2つの柱を挙げていただいております。12ページには、変化の中に生きる社会的存在としてということで、これから複雑で変化の激しい社会の中で求められていく力。2つ目の丸のところの中で、例えば、情報活用という能力、あるいは、いわゆるクリティカル・シンキングと言われるような能力が挙げられております。同じく12ページの一番最後のところには、一人一人が幸福な人生を自ら創り出していくためには、情意面や態度面について自己の感情や行動を統制する能力、よりよい生活や人間関係を自主的に形成する態度等を育むことも必要であるということが挙げられております。
 それから、13ページ目には、グローバル化する社会の中で求められる資質・能力ということです。1つ目の丸のところです。古典の学習を通じて日本人として大切にしてきた言語文化を積極的に享受していくことや、芸術を学ぶことを通じて感性等を育むことにより、日本文化を理解して自国の文化を語り継承することができるようにするとともに、異文化を理解し、多様な人々と協働していくことができるようになるということが必要であるということが挙げられております。
 また、13ページ目から14ページ目にかけましては、発達の段階や成長過程のつながりということで、ここまでで挙げられております資質・能力に関しまして、幼児教育から高等学校まで見通しを持って育んでいくことが大事であるということが述べられております。
 また、15ページ目の上の段に、教科等の本質的な意義ということを挙げております。育成すべき資質・能力と学習指導要領の構造を整理する際に当たっては、各教科をなぜ学ぶのか、それを通じてどういった力が身に付くかということを検討する必要があるということが挙げられております。
 それぞれの教科等の文脈に応じてどのような力を育んでいくかということで、例えばということが3つ目の柱に思考力という観点が挙げられております。思考力について、それぞれの教科の中のどのような学び、活動を通じて育んでいくかということで、芸術に関するところでは、この段落の真ん中のところに、音楽や美術においては自分の意図や発想に基づき表現、工夫していく過程、そのような過程を通じて各教科の中で思考力等を育んでいくことが重要ではないかということが例示されております。
 それから、次の柱としまして、まためくっていただいて恐縮です。17ページ目からはアクティブ・ラーニングの意義ということで学習活動の示し方、在り方について言及していただいております。アクティブ・ラーニングの意義、指導方法の見直しというところで、18ページ目から19ページ目にかけまして、また3つの視点ということで考えを整理したところがございます。
 アクティブ・ラーニングの視点からの学習の改善ということで、18ページ目に3つの視点を挙げております。特定の型を普及させるということではなく、この3つのような視点について学び全体を改善すべきであるということです。1つ目には、習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過程が実現できているかどうか。2つ目に、他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを広げ深める、対話的な学びの過程が実現できているかどうか。3つ目に、子供たちが見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる主体的な学びの過程が実現できているかどうか。こういった視点から学びを見直していくことが必要ではないかということが挙げられております。
 また、この学習の見直しということと併せまして、19ページ目に学習評価の在り方という視点も挙げられております。学習評価の在り方についても、教育課程学習指導方法の改善と一貫性を持った形で改善を進めることが求められるという観点。それから、めくっていただきまして、20ページ目に評価の三つの観点ということが挙げられております。評価の観点につきまして、資質・能力、三つの柱の整理が挙げられておりましたが、評価の観点につきましても、知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体的に学習に取り組む態度の3つの観点に沿った整理を検討していくことが必要ではないかという考え方をまとめていただいております。
 それから、21ページ目以降は学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策ということでまとめていただいております。21ページ目、一番下の段落ですけれども、カリキュラム・マネジメントの重要性ということで、次の22ページ目に具体的に3つの側面ということで、社会に開かれた教育課程の実現、そのために必要な資質・能力の育成ということから、カリキュラム・マネジメントに関して3つの側面から捉えることが必要なのではないか。1つ目は、教科横断的な視点で必要な教育の内容を組織的に配列していくということ。2つ目には、教育課程の編成・実施・評価・改善の一連のPDCAサイクルを確立すること。3つ目に、教育内容と教育活動に必要な人的・物的資源を効果的に組み合わせていくことをマネジメントしていくこと、この3つが挙げられているところでございます。
 それから、23ページ目以降は学校全体としての取組、アクティブ・ラーニングの視点と連動させた学校経営の展開。それから、めくっていただきまして24ページ目には、学習指導要領の理念の実現に向けて必要な支援方策等ということで、この教育課程企画特別部会の議論と並行して中央教育審議会で議論されておりました教員の養成・採用・研修の在り方の見直し。それから、環境の整備という24ページから25ページにかけてのところは、チームとしての学校の在り方という検討の中で出てきた観点をまとめていただいたものでございます。
 それから、めくっていただきまして、26ページ目以降に具体的な各学校段階、各教科等における改訂の具体的な方向性を挙げていただいております。ここの章の部分が、いわば、まさにこの芸術ワーキンググループを含めまして各ワーキンググループ、各学校段階部会の中で具体的に検討を深めていただきたい点をまとめたものでございます。
 26ページ目からは各学校段階の教育課程の基本的な枠組と段階間の接続ということで、学校段階別の改訂の方向性についてまとめていただいております。この中で幾つか御紹介させていただきますと、26ページ目から挙げていただいている幼児教育につきましては、27ページ目の1つの目の丸のところで、幼児が音声の響きやリズムに気付くということ。生活の中で様々な色や形に気付いたり感じたりすることをどう捉えていくかという視点を挙げていただいております。
 それから、小学校、中学校、高校の段階別の課題を述べていただいております。ページが飛んで恐縮ですが、33ページ目以降に各教科・科目等の内容の見直しが整理されております。各教科ごとの議論の前に、マル1として、33ページに総則という固まりを入れております。この総則の中で議論すべき観点の一つとしまして、34ページの2つ目の「加えて」ということで述べられておりますが、総則の検討をしていく中で、学校の教育活動全体を通じて実施されることが求められる事項について挙げていただいております。その中で、括弧の中の後半の方で、例えば、地域社会との連携や社会教育施設等の活用というところ、あるいは、美術館や音楽会等を活用した芸術鑑賞活動等についても、総則において、育成すべき資質・能力、各評価との関係性を加えながら示していくことが求められるのではないかということを挙げていただいております。
 それから、さらにめくっていただきまして、39ページ目以降、本ワーキンググループの中で特に議論していただきたい芸術関係各教科の中で、これまで充実を図ってきたこと、それから、更なる充実が求められていることについて、芸術関係の教科ごとにまとめていただいております。
特に39ページ目の1つ目、マル7というところで、音楽につきましては、幼児期に育まれた豊かな感性、表現等の基礎の上に、小・中・高等学校を通じて育成すべき資質・能力を三つの柱に沿って明確化し、各学校団体を通じて、創造的に表現したり鑑賞したりする力の育成、生活や社会における音楽の働きや音楽文化に関する学習活動の充実を図り、豊かな情操を養っていくことが求められるということ。
 それから、マル8、図画工作、美術、芸術(美術、工芸)につきましては、幼児期に育まれた豊かな感性、表現等の基礎の上に小中高を通じて育成すべき資質・能力を、これも三つの柱に沿って明確化する。この中で、学校段階を通じまして、育成すべき資質・能力の相互の関連、学習内容との関係を一層明確にした主体的で創造的な学習活動。社会の中での造形美術の働きや美術文化に関する学習活動の充実を図り、豊かな情操を養っていくことが求められるということが挙げられております。
 それから、40ページ目のマル9、芸術(書道)につきましては、中学校国語科の書写との関連を図りつつ、育成すべき資質・能力を三つの柱に沿って明確化し、各学校段階を通じて育成すべき資質・能力と学習内容の関係を明確にした学習活動や、書と生活や社会の関わり、書の伝統と文化の理解を深める学習の充実等も図り、豊かな情操を養っていくことが求められるという観点を挙げていただいております。この点に関しましては、後ほど本ワーキンググループの中で検討していただきたいという論点ということの中で、さらに御説明させていただければと考えております。
 最後に48ページ目につきまして、今後の検討スケジュール等ということで、先ほど資料を用いまして御説明させていただきましたスケジュールを載せております。最後の段落におきまして、各学校段階・教科等別の検討におきましては、教育課程企画特別部会の議論を踏まえつつ、各教科等や学校段階に閉じた議論ではなく、カリキュラム全体としてどのような資質・能力を育成すべきか、その中で各教科が果たすべき意義とは何かといった点を踏まえた上で検討を行うことが求められているということで締めていただいております。是非、こういった観点からワーキンググループにおける議論を深めていただければと存じます。
 私の方からの説明は以上でございます。

【福本主査】
 はい、ありがとうございました。一応、教育課程、部会の方の全体的な議論などについて教育課程の論点整理という形で説明をされましたけれども、内容が非常に多岐にわたっております。もし、この時点で何か御質問等がありましたらお願いしたいと思います。非常にたくさんの内容が含まれておりますので、急に質問という形もなかなか難しいと思いますけれども、先ほどの後半の部分で音楽、美術、書道を含めまして、これからの芸術教育の意義等については触れられているところですが、具体的にはこれからこの芸術ワーキングにおける検討事項において、より詳細な御報告というか、説明をお願いしてからでもよろしいでしょうか。
 そうしましたら、引き続きまして、本ワーキンググループにおける検討事項、それから、音楽、図画工作、美術・芸術における目標、指導内容等について事務局の方から資料をもって説明をお願いいたします。

【小林教育課程課長補佐】
 それでは、本日配付の資料8と資料9を御用意いただければと思います。資料8、A4の一枚紙になります。芸術ワーキングにおける検討事項という資料でございます。論点整理で示されました芸術系教科の内容につきまして整理すると以下の4つに分けられることになっております。
 1点目ですが、芸術系科目を通じて育成すべき資質・能力についてということで、芸術系科目を学ぶ本質的な意義や他教科との関連性についてということと、あと、この下の三つの柱、先ほど小野の方から説明がありました、何を知っているか、何ができるか、知っていること・できることをどう使うか、どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るかといった三つの柱に沿った育成すべき資質・能力の明確化についてということです。あと、幼稚園・小学校・中学校・高等学校を通じた芸術系科目において育成すべき資質・能力の系統性についてということ、それと、芸術系科目において育成すべき資質・能力と指導内容との関係についてということが1点目に挙げております。
 2点目につきましては、アクティブ・ラーニングの3つの視点、下に米印でございます1、2、3、深い学び、対話的な学び、主体的な学びといった3つの視点を踏まえた資質・能力の育成のために重視すべき芸術系科目の指導等の改善・充実の在り方についてということが2点目になります。
 3点目につきましては、資質・能力の育成のために重視すべき芸術系科目の評価の在り方についてです。
 続いて4点目ですが、芸術教科等の充実に当たりまして必要な支援、特別支援教育の観点から必要な支援も含むということで、必要な支援ということと条件整備等について、1から4の4点が検討事項として今回挙げられております。
 以上が資料8の説明でございます。
 続きまして、資料9の説明に移らせていただきます。資料9につきましては、A4横長の資料で、これは両面になっております。右下の方にページ数が入っておりますので、そちらも御参照ください。
 まず、表紙をおめくりいただきまして、3ページ目になります。学習指導要領の変遷ということで、ほぼ10年に1回改訂されており、現行、今実施されている学習指導要領につきましては、一番下の平成20年、21年改訂というものでございまして、小学校が平成23年、中学校が平成24年、高等学校は25年度から年次進行で実施されているという状況で、これは現行の学習指導要領でございます。
 続いて、4ページ目ですが、「学力の三要素」と「生きる力」についてということで、現行の学習指導要領は、理念が「生きる力を育むこと」となっており、そういったことが重要であるということと、教育基本法等の改正によりまして教育の理念が明確になるとともに、学校教育法改正により学力の重要な要素が規定されたということで、現行の学習指導要領においてはこれまでの理念を継承して、そういった改正等を踏まえて生きる力を育成していくということで、指導が進められております。
 続いて、1枚おめくりいただきまして5ページ目になります。小中高等学校芸術系科目の目標ということになっております。一番下から小、中、高となっており、小学校音楽科、図画工作科、中学校音楽科、美術科、高等学校が芸術科の中に音楽、美術、工芸、書道となっておりまして、小学校、中学校は全員が学ぶ科目となっておりまして、高等学校につきましては、芸術科の中で、芸術科の音楽、美術、工芸、書道とローマ数字1がついた科目を、生徒がどれか一つを選んで学ぶことになっております。これが2単位設定されているところでございます。それぞれ、この資料につきましては、目標、時間数等を記載させていただいているものでございます。
 続きまして、6ページ目に移らせていただきます。現行の学習指導要領が前の学習指導要領からどういう改善がなされたかということを記載させていただいている資料でございます。
 まず、6ページ目の左側になりますが、小学校音楽科でございます。内容構成の改善ということで、従前、Aが表現、Bが鑑賞という2領域で構成しつつ、〔共通事項〕を新設したという改善がなされております。この表現、鑑賞2領域と〔共通事項〕につきましては、小学校の図画工作や中学校の音楽、中学校の美術といったものも同様に新設されているという形になっているという現状でございます。
 また、小学校音楽科につきましては、真ん中あたりですが、音楽づくりの内容の改善といったものも改善されております。また、音楽科の一番下の部分ですが、言語活動の充実ということもなされており、小学校音楽科だけではなく、図画工作や中学校の音楽、美術等でも改善がなされているところでございます。
 資料6の右側です。図画工作科の部分です。目標の改善の中で、教科の目標に「感性を働かせながら」というものも加えさせていただいております。内容構成等がございまして、図画工作科の中では一番下の部分ですが、材料や用具の取扱いや鑑賞指導における美術館との連携ということで、四角の中の下2つ目の丸ですが、Bの鑑賞につきましては、児童や学校の実態に応じて、美術館などを利用したり連携を図ったりすることなどに配慮することを示したということが今回の改善でなされていることでございます。
 続いて、7ページ目に移らせていただきます。特に目標の改善の部分ですが、左側の中学校の音楽科については、教科の目標に「音楽文化について理解を深め」というものを加えました。これは中学校の美術科でも、美術科は「美術文化について理解を深め」を加えたということになっております。内容構成等につきましては、小学校と一緒で、その下の方になりますが、我が国の伝統文化に関する学習の充実という部分でございまして、この2点目の丸でございます器楽指導ということで、現状、中学校、3学年間通じて1種類以上、和楽器を用いた指導もしておりますが、現行の学習指導要領においては、その和楽器を用いる趣旨を明らかにしたという改善がなされております。
 また、音楽科の隣の美術科ですが、真ん中あたりに美術文化に関する学習の充実ということでございまして、第一学年に美術文化に対する鑑賞を高める学習を新たに示しまして、3年間で系統的に学習の充実が図れるようにしたという改善を図っております。
 続きまして、次のページになります。8ページ目です。こちらが高等学校芸術科の改善という部分でございます。一番上の目標の改善の部分ですが、教科の目標に「芸術文化について理解を深め」というものを加えました。また、1つ飛びまして3つ目の丸ですが、「生涯学習社会の一層の進展に対応するため、音楽、美術、工芸、書道の1及び2を付した科目の目標にも「生涯にわたり」を加えまして、生涯にわたって芸術を愛好する心情を育てることを明確にいたしました。
 また、その下は伝統文化に関する学習の充実ということや言語活動の充実、また、知的財産権等に関する内容の取扱いということで、知的財産権等について配慮し、著作物等を尊重する態度の育成を図ることを内容の取扱いに明記したという改善がなされております。
 続いて、9ページ以降です。9ページになりますが、現行学習指導要領における内容構成の例というものも示しております。まず、9ページ目が小学校音楽科の部分でございます。左側にありますように、実際の内容構成につきましては、A表現、B鑑賞、〔共通事項〕というセット、そういう枠組でなされており、表現の中には、表現の右側、(1)が歌唱の活動、(2)が器楽の活動、(3)が音楽づくりの活動ということと、(4)に表現教材というものを示させていただいております。その下の鑑賞につきましては、(1)鑑賞の活動、(2)鑑賞教材というものを示しておりまして、最後に〔共通事項〕というものを示しております。A表現及びB鑑賞の指導を通して次の事項を指導するということを記載させていただいております。
 10ページ目が、同様の形で図画工作科、11ページ目が中学校の音楽科、また、12ページ目が中学校の美術科ということになっております。13ページ目以降につきましては、高等学校の内容構成例を記載しております。高等学校につきましては、A表現、B鑑賞ということで〔共通事項〕というのはございませんが、表現、鑑賞というもので内容構成をしているということでございます。
 14ページ目が美術1、15ページ目が工芸1、16ページ目が書道1という記載になっております。
 また、17ページ以降につきましては参考につけさせていただいております、幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方についてということで、幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿の参考例を示しておりますので、参考までに記載させていただいております。
 以上で私の方からの説明を終わらせていただきます。

【福本主査】
 はい、ありがとうございました。資料8までありましたけれども、芸術ワーキングでの検討事項を4点ほど挙げられております。それに関連した芸術系科目の教育に関する資料ということで、学習指導要領の現行の目標であったり、内容について示されたものの説明をしていただきました。きょうは第1回ということで、これから一応、フリートークという形でこのワーキンググループの今後の議論のベースを話し合っていただこうということになっております。
 私の進行メモの方では、名札が皆さんのところにありますが、御質問、御意見等がある場合はこれを立てて意思表明しろというふうなことになっているようですが、あまり型式にとらわれなくても、もし発言される場合には手を挙げていただくなり、声を上げていただくなりをしても結構ですので、御意見がある場合には、そのようになさってください。それから、もうお分かりだと思いますが、このマイクは下のボタンを押していただいて発言していただければというふうに思っております。
 一応、きょう、今ずっと教育課程企画特別部会での論点整理というか、全体像について説明をしていただきましたし、また、本ワーキングでの検討事項もいろいろと整理されておりました。こういうことに関わって何か御質問、あるいは、先生方の思いを語っていただければと思っています。自由に発言することにはなっているのですが、なかなか出しにくければ順番にお願いしていこうかと思っています。
 せっかくきょうお集まりいただいておりますので、こちらの中村先生の方から、いろいろ学習指導要領の作成にも関わっていただいたり、いろいろされている御経験も踏まえながら、この芸術教育ワーキングで、今後の芸術教育の在り方、あるいは、こういった教育課程での議論に関する御意見等を、お一人3分ぐらいで少しお願いできればと思っております。先生、よろしくお願いします。

【中村委員】
 それでは、失礼いたします。府中第五中学校の校長の中村です。最初の御指名で何を言うのか全く何も考えず、今、論点整理についていろいろと御説明をいただきながら、改めて、断片的にはいろいろと聞いておりましたし、特に芸術に関わる内容に特化していただきながら説明をいただいて、今それを理解しようと努力しているところでございます。
 伺いながら、これまで現行の学習指導要領で取り組んできたことを、さらにその反省を踏まえながら精度を高めていくといった中で捉えていますので、例えば、私は学校をベースに考えるわけですけれども、学校の中で今まで取り組んできたことが大きく何か変わるというようなことでは、基本的にはないだろうというふうに理解しています。ただ、教育課程の枠組が変わっていく中では、教科のことであるとか、これからいろいろなことが皆さんの中で協議されていくことだと思いますので、一緒に考えていきたいと思います。基本的には、そういうベースの中で何が焦点になるのかということがこれから議論されていくのかなということを思いながら、今のお話を伺ってきたところです。
 ただ、1点、感想として感じたことは、この「アクティブ・ラーニング」という言葉が今、いろいろなところで紹介され、広がっていますが、基本的に、芸術で関わってきたことはこれまでもアクティブ・ラーニングだっただろうと思いますし、その中で子供たちが何を身につけてきたのか、学んできたのかというあたりの整理が必要なのだろうと思っています。
 中学校というところをベースに考えていきますと、例えば、教科で身につけた力を習得、活用、探求という学びのサイクルで考えたとき、それを活用していく場面をどう作っていくのか。限られた時間の中で、教育課程もそうですが、なおかつ週時程の中にどう落とし込んでいくのか、50分の授業の中でどういうふうにそれを構成していくのかということが求められていくと思います。そういう点では、今の枠の中では限界も多いというふうに考えています。
 私自身は、今考えているのは、各教科の中できちんと習得するべきものは身につけながら、それを本来活用し、発展し、深めていくのは総合的な学習の時間であったのではなかったのかというふうに思っています。それが課題発見、課題解決ということにきちんとつながっていく内容を構成していったときには、かなり今、教科の中に求められてきているアクティブ・ラーニングの部分というのは、そこで解決できるものが多いのではないか。そこのところをもう一度整理し直してみることが大事ではないかなというふうに個人的には考えているところです。私の今の感想ということでお話しさせていただきました。
 以上でございます。

【福本主査】
 では、福岡先生、続いてお願いできますか。

【福岡委員】
 失礼いたします。きょうはたっぷりお話を聞いてということで空っぽで参りましたので、二番手で何をどう語ればいいのか、とてもどきどきしております。
 2つ、思い浮かんだことを申し上げますと、私は小学校の図工科です。この図工科というのは、内容を教えるというよりも資質・能力を育てる教科であるというふうに今までも考えて取り組んでまいりましたので、今、中村委員がおっしゃったように、大きく変わることではなくて、資質・能力をどう育てるのかを明確にする、さらに明確になり深めるということで大きく変わるものではないと一つの安心感を持って受けとめておりました。その資質・能力を明らかにするとともに、他の教科で育てる資質・能力とどう関係づけられるのか。あるいは、図工科で育てる資質・能力が一体的に育っていくことをどう現場の先生に分かりやすくお伝えするのか、これが大事だなと思うことが一つでございます。
 もう一つは、社会に開かれた教育課程ということですが、子供たちが学校の中で閉じられた教育課程、例えば、図工科でやっていることが、じゃあ、地域の人、あるいはもっと広く社会の人に開かれているかというと、知られていない。そんな実態があります。しかも子供たちがもっともっと身近な人や地域の人、社会と子供自身がつながりたがっているということをふだん感じますので、社会と関わる図工科というものもとても大事だなと思います。この2点です。

【福本主査】
 では、宮下先生。

【宮下委員】
 宮下でございます。私は音楽です。これまで主に授業実践を対象とした研究をずっとやってきました。初めは評価から始まり、その評価に関わって、特に芸術教科の評価というのは内面での変化というもの、つまり余り外に表れてきにくい、中で感じたこと、中で考えたこと、そういったものをどのように評価するかということで、発言とか発話、対話を対象にした評価の方法を考えてきました。その後、それに関わりながら鑑賞の在り方というものについて課題を感じて研究の対象としてきました。その中で批評というものの意味、今の学習指導要領の中で初めて批評ということが入りましたけれども、それまで長きにわたって批評というものがなかった。これは、鑑賞の中では、鑑賞の意義を完全に満たしたものではないということが明らかになって、言語活動ということと関わって批評というものが入ってきてよかったと思っています。
 それから、その先にESDについての研究が今の中心になっております。そういった流れをたどってきた中で、今までの芸術教育、音楽教育というものは、一言で言うならば、教える子供たちの幸せのために、感性も情操もそうですけれども、子供たちに力をつけ、子供たちの能力を高め、やがてその子供たちが幸せになる、そういった視点で教育を成してきたと思うんですけれども、これからは、その子供たちが社会に出て、平和であるとか、持続可能な社会を創っていくために寄与する、貢献するために、教育で施した資質・能力というものはどのように生かされていくかということを考えて教育しなければならないと感じております。
 つまり、その子供の幸せとともに、その子供が社会創りに寄与して、社会が幸せになっていく。そのために芸術という教科を教え、そのためにもっと歌を教え、器楽を教え、美術で絵をかかせたりすると思うんです。そういったことがずっと連なって持続可能な社会を形成していく。こういう視点に立ってこれからの芸術教科を考えなければだめではないかというように今、考えているところです。
 特に、福本先生が詳しいかもしれませんが、2010年に「ソウル・アジェンダ」という世界の芸術教科の指針が出され、大きく三つの柱がそこではありました。やはり、日本は芸術教科では先進的で、1つ目、2つ目の柱というものは十分満たされているのですけれども、その3つ目の柱の中にある、世界、社会を平和にしていくための芸術教科の在り方、これが世界的に論じられているのですが、まだ日本はそこのところに切り込めていないというところがありました。したがって、今回考えていく次の学習指導要領の中では、そういったことが大きなポイントになるかと思いますし、先ほどの資料の中にありました三つの柱の3番目、どのように社会、世界と関わりよりよい人生を送るかというところに大きく関わってきて、世界をリードしていくための芸術教育をここで展開できたらいいなと考えます。
 以上です。

【福本主査】
 はい、ありがとうございます。では、山下先生、お願いします。

【山下委員】
 山下でございます。御説明いただきましてありがとうございました。前回の学習指導要領の改訂において私がとてもすばらしいと思いましたのは、専門的に音楽を学んでいる児童生徒でなくても批判的にものを見たり、積極的に自分の表現をしたりと、音楽に対してアプローチしやすくなったということです。つまり、共通事項というものが設定されたことによりまして、何となく音楽は専門家がやっているもので、自分はそれを眺めたり、楽しんだりすればいいという状態から抜け出して、自ら音楽に積極的に入り込んでいかれるようにした、そこが大きな転換点ではなかったかと思っています。このことが次回の学習指導要領の改訂にも引き継がれていくのであろうと思いますと、また期待が膨らむところでございます。
 8月の論点整理を少しだけ拝見したのですが、これに対して私の周りの人たちが懸念しておりましたのは、アクティブ・ラーニングという言葉が一人歩きするのではないかということです。でも、今回のアクティブ・ラーニングの3つの視点をもう一度よく拝見しましたら、習得・活用・探究という学習プロセスの中で、という前提が示されており、単にみんなでやるとか、活動的にやるということではなくて、習得が位置づけられているということを確認いたしまして、安心したところでございます。
 もう一つ、これは難しいと思ったことですが、生活の中で、又は人生の中で音楽を活用していくことが今後問われるようになるとしたら、それをどのように評価すればいいのかということでございます。音楽の授業の中だけではなくて、教科横断的なこととか、生活との関わりの中で評価をする、その方法について考えていく必要が出てくるのかなと、きょう、お話を伺いながら考えました。ありがとうございました。

【福本主査】
 はい、では、山田先生お願いします。

【山田委員】
 山田でございます。現在、県の教育行政職におりますので日頃考えているのは、なかなか学校現場の一人一人の先生に届かない、こちらとしては十分伝えたつもりなのですが、それが浸透するのがなかなか難しいということを日々感じています。今回の新しい学習指導要領が出たときにも、一人一人の先生方が自分のこととしてしっかりと受け止めてもらえたらありがたいと思っております。
 1つ、2つ申し上げます。いわゆる学力観、学習観、いわゆる「観」という字があります。見方、考え方、捉え方というふうに使われる言葉ですが、例えば、育成すべき資質・能力の資質・能力観みたいなものも、恐らく一人一人がバラバラだと思います。それをどれだけ、先ほど申し上げましたように、一人一人の先生方が共通して、同じような捉え方、見方、考え方になるかどうか、そのあたりがうまくいくと新しい教育の在り方が浸透できるのかなと思っています。
 それから、もう一つは、私は中学校の美術なのですけれども、やはり、頑張ったら頑張っただけ身に付くものが本来、義務教育で勉強するものなのだろうと思うのですけれども、一方で、美術ですと、やがて将来、花開いていく、義務教育段階でははっきり自覚できないのだけれども、将来それが花開く。その極めて何とも言えない微妙なところが私個人としては、いつももやもやしているところがありまして、今回、育成すべき資質・能力というものが、子供たち一人一人、子供たちにとってもどこまで自覚できるか、しかも、それがやがて花開いていくものになる、そういうベースなのだということを理解させることができたら、恐らく多くの人たちに支持されるのかなというふうに思っているところです。まとまりませんが、以上でございます。

【福本主査】
 はい、では横田先生、お願いします。

【横田委員】
 失礼します。横田でございます。私は大学で、教職課程で学生の教員免許の取得に関わっていたり、あと、社会との関わりというところでは、小中学校と連携していろいろな取組をたくさん進めております。そんな中で少し感じるところを、まずきょうは述べさせていただきたいと思います。
 今、ここに集まっていただいている皆さんは芸術ワーキンググループなのですけれども、芸術ワーキンググループのメンバーの皆さんにとって芸術は大切だというのは当然のことだと思うんですけれども、ふだん、私が感じていることは、例えば、小学校とか中学校にいろいろなことで行かせていただいて、きょうも校長先生が何名か来ておられますけれども、校長先生とお話をさせていただきますと、まず開口一番、「いやあ、私は芸術はどうも」とおっしゃることがほとんどです。そのことは、もちろん芸術に堪能な方もおられるのでしょうけれども、謙遜というふうに受け取るのか、いや、芸術というものは、あってもいいけれどもというくらいの位置づけなのだろうかと、少し寂しく感じることもございます。
 先ほどから多くの委員の皆様が、子供たちが付ける資質・能力というお話をされております。もちろん、子供たちのこれから身につけていくべき資質・能力というものをしっかり考えていくことは大切なのだろうし、そのことを子供たちもしっかり認識する。と同時に、やはり保護者であったり、実は、教員免許の更新もやっているのですが、特に中学校、高等学校の先生方といろいろと情報交換をしますと、同じ学校の他教科の先生方からも、「芸術教科っていいよね、別にノルマがないし、楽しくていいよね」と言われるのは非常に心外であると。もちろん全ての学校がそうではないでしょうし、芸術を非常に大切にしている学校もたくさんありますけれども、そんな中で本当にどのような力が身について、それが社会との関わりでどのように生きていくのか、その辺のところを明らかにできるような学習指導要領、もちろん、先生方が授業を組み立てていくことのベースになると同時に、分かりやすい、社会のいろいろな方がそれを見て芸術科というのは一体何を目指しているのかということをしっかり伝えられるようなもの、そういうものがもっともっと必要ではないかと思っております。
 以上でございます。

【福本主査】
 はい、ありがとうございました。それでは、こちらの方で、名児耶先生、ちょっと遅れて来られましたけれども、自己紹介を兼ねながらお願いします。

【名児耶委員】
 済みません、先ほど来たばかりで十分説明を聞いていないので申し訳ありません。今回初めてなのですが、五島美術館という美術館の現場で働いている人間として感じていることですが、先ほど横田先生からあったように、一般の人はまず芸術を理解していない、どうやってそれを伝えるかということを、子供を通してなのでしょうけれども、私もそれは同感です。今、「一休さん」という展覧会を開催しています。子供は少なく、大人の人が来るんです。子供にも見てもらいたいのですが、ちょっと難しいのかもしれません。ともかく常々、美術館に行って、もっと小学生、中学生、高校生が頻繁に顔を出すようなことがどうしてないのかなという気持ちがあります。それは、自分たちも、子供向けとか、努力しなければいけないと思います。しかし、どうも学校などに働きかけてもなかなか動いてくれないです。
 来れば、私はそれなに自信があります。子供講座を日曜日にやるのですが、毎回20人ぐらいを目標にしても、毎回1組か2組しか親子が来ないのです。それでも、来た子供は話をすると、けっこう理解します。この間、墨蹟というのを出していたので仏教のお話をしました。墨蹟などは難しいのですけれども、お坊さんが仏教を易しく説くためのもので、難しい字も書いてあるけれども、仏教というのは、基本的には悪いことをしないでいいことをしなさいと、この言葉は難しそうだけれども、そういうことが書いてあるんだよと言うとすごく飲み込みが早いのです。だから、来る人はそうやって何かを捕まえることができると思うんですが、来ないことには、我々が活動を頑張ってもどうにもいかないので、その辺が学校教育で何か工夫がお互いに必要なのかなということを感じていることが一番です。以上のことです。
 あと、もう一つは、全体に関わると思いますが、日本の、今、一般の人にも美術がよくわかっていないとか、書がわかっていないことが多いようです。これが日本人の一番根本的なアイデンティティ、日本人らしさを示すものだと思います。例えば、外国へ行って日本人ですよということを認めてもらうためには、日本の伝統文化、宗教も入っているみたいですが、そういうものが語れる人間だとちゃんと日本人として認められるということです。私は、実は30代のときに外国で行った展覧会についていったときにそれを経験しましたし、それ以後、いろいろな話を聞いていても、やはりそう思います。英語が上手に話せるのではなくて、自分が日本人であるということを示すのは、やはり、経済活動も大事ですし、いろいろなことも大事ですが、ほかの国にないものを勉強する、学ぶというのが一番重要かなと、それが日本人のアイデンティティを示すことだと感じています。
 そうすると、言葉は余り通じなくても、『源氏物語』というのがありますよという話をすると、急に目を輝かせて聞いてきますし、お茶は禅宗と関係があるとか、和歌と関係があるという話をちょっとすると、外国人は目の色を変えて聞いてきますから、そういうのをいかに学校現場で子供たちに若いときに植え付けるかということは、実は、日本人のアイデンティティに重要なことかなということも最近感じています。今、感じているのはその2つが主なことです。
 以上です。

【福本主査】
 ありがとうございました。では、続いて長野先生、お願いいたします。

【長野委員】
 長野でございます。失礼いたします。きょう申し上げようと思ったことは2つというか、先ほど小野専門官からお話を伺って、この論点整理の27ページ、ここについてはネットで配信されていたと思いますので、この三角形の構造とか、多分こういうところが中心となってきょうのお話がスタートするのだろうと思っておりました。この三角形の中で、下の何を知っているかとか、知っていることができることをどう使うかというところの基礎、あるいは、上の三角形の頂点と言うと何かあれですが、どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るかという三角形の構造の根底を成す能力の中に、やはり感性というものがあるのだろうと思います。
 芸術部会とすると、この三角形ではなくて4つの構造にして、もう一つの頂点は感性というふうにしていただきたいくらいですが、その感性をどういうふうに働かせ、あるいは、小中学校をはじめとした幼児教育も含めて、学校教育でどう導いていくかというのは、あらゆる教科、領域で行われているわけですけれども、やはり、国語的に言いますと自己内対話という言い方をするらしいのですが、発信力とか、よくディベートとか、人前で自分の主張をしていくという能力、それはもう言語力の充実ということで、引き続き今度の教育課程は多分そういう流れになっていくのだろうと思いますが、私は、個人的には、外なる言語という言い方をしておりますが、外に発信していく力はもちろん大事だと思いますけれども、自分の整理の中では内なる言語というんですか、何かものを見て、あるいは、この色と色が混ざってきれいだなとか、この音と音がハーモニーしてすごくいいとか、場合によっては、絵を見たときに、痛いとか、何か分からないけれどもと、ピカソの「ゲルニカ」を見て子供が「痛い」と言ったという話も聞いたことがありますが、そういう初発の感動まではいかなくても、初発の感覚というものを整理していく中で、やはり思考力がだんだん子供の中で整理していきながら発信力になっていくわけだと私は思うのです。
 ですから、内なる言語というものを芸術教育でどう育み、どう教育課程に具体的に乗せて、それを評価するということの流れというものを作っていくことが大事ではないか。感性と言ってしまうともちろん分かるのですが、やはり、何か物に触れた瞬間に発見したとか、何、これ、何だか分からないけれどもおもしろいとか、そこの出だしというんでしょうか、そこをきちっと学校教育でも捉えて、それを教育課程の中に組み込んでいく、そこがやはり、ややもすると、外に、例えば、言語力とか、友達の前で発表するとか、意見を述べるとか、そこではなくて、もっと手前にあるものをこういう芸術教育で育むことが大事ではないかと思っております。
 もう1点は、三角形の構造の上にありましたように、世界と関わりよりよい人生を送るかといったときに、芸術教育というのは、やはり、音楽や、例えば、俵屋宗達の絵を光琳が模写したとかという有名な話が残っていますけれども、美術教育でゴッホを真似して模写してもそれは怒られないと思いますが、音楽といったときに、やはり既製の曲というとバイアスがかかってしまう。学校内でやっているうち、授業の中ではいいけれども、それを発表するとなると、そこにJASRACという問題がかかってきます。これは教育課程というよりは文化庁との関わりが出てくると思うんですけれども、そこを発信するということを芸術教科で考えていったときに、学校教育に関してはもう少しハードルを低くする方法はないのかということです。1曲について幾ら払うとか、学校教育でせっかく教材として扱われているのだったならば、例えば、書道で言いますと、好きな曲の言葉を書くといっても、校内で書いているうちはいいけれども、全国大会になったら、それは報告して1幅について幾らという形になってしまうようでございます。
 ですから、何か教育課程に使われるものに関しては、題材、課題については何かもう少しハードルを低くして発信できるような学校教育としての仕組みというものを、ここで申し上げることではないのかもしれませんけれども、お考えいただけると、何かもうちょっと発信していく、あるいは、学校に来て聴いた曲がまた市民展でも聴いて、あるいはどこかでまた広がっていくということが何かできるのではないか。入試問題に関しても、入試問題に使われたならば著作権云々ということは少し考慮されているみたいですけれども、そういう意味では、音楽の曲だとか、あるいは、歌詞というものが何かハードルを少し低くできるようなことをお考えいただいて、こちらから、教育課程から文化庁に対して何かお願いできることができればと思っております。以上2点でございます。

【福本主査】
 ありがとうございました。引き続いて、中下先生、お願いします。

【中下委員】
 失礼します。中下でございます。私は日々、学校で子供たちと一緒に過ごしております。先生方は毎日、授業を一生懸命に創る中で、やはりアクティブ・ラーニングに注目をして、こういった活動が、例えば、言語活動を入れたらこれはアクティブ・ラーニングと言えるのかなと、本当に日常の授業の中にどう落とし込んでいくのかという情報であったり、模索であったりというところを、一生懸命にアンテナを張っているというところが、今の私の周りの現場の状況だと思います。
 そんな中、私は図画工作にずっと携わってきているのですけれども、現行の学習指導要領の中に「感性を働かせながら」という言葉が入りました。これは現場の先生方にとっては、子供たちが表したい、表現したい、感じ取りたい、そういった主体的なもっている力を、より前面に押し出したというところで、そこをしっかり子供の姿として見取っていきたい、また、見取らなければならないのではないかという大きな意識づけになったのではないかというふうに思います。
 そして、先ほどの御説明を伺いながら、2点、感じたことがあります。私、今の現場の前は京都市教育委員会で行政の方で各学校を回らせていただいていた経験がございます。その折りに、教育課程を研究している研究校で、図画工作における思考力、判断力、表現力の育成についての研究をしている学校に関わってきました。子供たちの思考力、判断力、表現力を育成しようというふうに考えている授業を改善していこうと、すればするほど、そこで浮き彫りになったのが、それらと関連する、例えば創造的な技能であったり、鑑賞する態度であったり、それぞれの資質や能力が関連して働かないと1つの能力だけを高めていくのは難しいのだなということでした。そういった意味で、深い学び、多用的な学び、主体的な学びというふうに出されていますが、それぞれ相互にどう関連していくのかということを丁寧に現場の先生方に見えやすい形で示していけるような方向になればいいなと個人的には思いました。
 また、評価についてもですが、特に芸術教育ならではだと思いますが、子供たちの成長は線でつながっています。幼児のときに学んだこと、獲得したことが小学校にどうつながっていくのか。そして、そこでどのように成長したのかをしっかり見取りながら、またそれを中学校につなげていくという、子供の姿を資質や能力に基づいて見取る、そこのところだけはしっかり考えていきたいというふうに思いました。
 以上です。

【福本主査】
 はい、ありがとうございました。続きまして副島先生、お願いいたします。

【副島委員】
 おはようございます。佐賀の副島と申します。佐賀県教育センターに勤務しております。公立中学校、それから佐賀大学文化教育学部附属中学校の勤務を経て、現在の勤務先に勤務し、全校児童生徒4名という島の学校に2年間勤務した後に、またこの4月からこの職場に帰って来ております。今、佐賀だけではないと思いますけれども、全国学力・学習状況調査の対応とともに、県でも、独自に学習状況調査等を実施しております。その中では国語、算数・数学、理科、社会、英語という教科になりますが、そういった調査問題に毎日関わっている中で、改めて「芸術教科における学力が何なのか」ということを考えさせられます。当然、テストはペーパーテストですので、この芸術教科の力がペーパーテストの中で問えるものばかりではないというのは十分わかっているところですが、改めて、例えば、音楽の先生、美術の先生が、「あなたたちが育てている学力は何ですか」と問われたときに、「我々は、こんな力を子供たちに育てています」と言えるものを明確にしなければいけないと考えています。現行学習指導要領は、まさにそのような願いで作られており、この学習指導要領がようやく学校現場に定着をしてきているところです。
 先ほど出ました「アクティブ・ラーニング」については、本県でも教育センター等でこれを先進的に捉えて何とかしなければいけないということで動いていますけれども、考えてみると、どうしても、方法論的に捉えられ、「アクティブ・ラーニング」という何か新たな手法みたいなものがあるかのように考えられて進んでいるように思います。やはり、「アクティブ・ラーニング」というのは「方法論」ではなく、「考え方」ということであると思います。先日、ある研究会で天笠先生の講演を聞く機会がありましたが、自分の中で納得ができたのは、次のような話でした。教師はたくさんの指導法の引き出しを持っている。例えば、10の引き出しを持った教師が「アクティブ・ラーニング」という11番目の引き出しを新たに得るということではない。10持っている引き出しをどういうふうに開けていくのかというのが、「アクティブ・ラーニング」の考え方ではないか。このことは、自分の中でも非常に納得がいきました。これまで述べられてきた「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」を実現するために、今、持っている引き出しをどのように開けていくのかというのが、我々が今、考えていかなければいけないところだと思っています。
 そのような意味で、例えば、音楽科の授業を考えてみると、子供たちがグループで学ぶこととか、集団で何かに取り組むといったような活動は今もたくさんあります。ただ、これらの活動を、前に述べたような「学び」につながるような意識を持って、我々が指導していたかというところに、一つ、メスを入れていかなければいけないところもあるのかなと思います。
 先日、10月31日に佐賀大学文化教育学部附属中学校で公開授業がございまして、音楽の授業を見にいきました。子供たちが西洋の音楽と日本の音楽を比較しながら自分たちでテーマを決めて、5人グループぐらいで電子黒板を使ってプレゼンをして、それに対してほかの子供たちがどんどん質問をしたり、議論を交わしたりしていました。先生はどこにいるのかなと思ったら、後ろの方にポツンと立っていて、時々、先生も質問をしたりしながら、授業が進んでいました。参観した先生方にとっては非常に刺激的だったらしく、「本当に音楽の授業なのですか?」という御意見もありましたが、もしかしたら、5年後、10年後には、このような授業がスタンダードになっているかも知れないということをお話ししました。教師の役割はティーチャーだけではなく、ファシリテーターであるとか、アドバイザーであるとか、コーディネーターであるとか、このようなことになっていくかも知れません。子供たちがこんなに主体的に音楽のことについて考えるというのは、なかなかないのではないかということを感じました。
 それから、「社会に開かれた芸術教育」と考えたときに、学校の音楽の授業で学んでいることが社会に開かれているのかなということについて、自分の中で非常に考えるところがあります。例えば、中学校であれば部活動等も非常に盛んで活躍していますけれども、あの子たちは、中学校、高校の音楽科教育で学んだ成果を部活動に生かして、社会貢献につなげているのかといったことです。また、学校の中でも、音楽科であれば、合唱コンクール等の行事があったり、文化祭等では、美術もそうでしょうが、文化的な取組がたくさんあったりします。教科の授業から出て、学校の中で活躍する場面がたくさんあったります。そういった中で、教科の授業で学んだことが学校の中できちんと生かされているのか、学校で学んだことが社会に生かされているのかということを、もっともっと考えていかないといけないと考えています。芸術教科というのは、関係者ではない方に必要である、役に立つと言ってほしいなと自分は強く思っているところです。
 最後に、小・中・高のつながりということでず。本県で、今、非常に課題になっているのは、小学校の先生方が、学習指導要領の御理解をしていただいているのですけれども、なかなか授業の実践につながらないというか、浸透していかないということで、6年間の積み上げがなかなか難しいということです。以前は、本県でも専科制があり、音楽科では、専科で6年間、指導するということがありましたけれども、最近は、算数のティームティーチング等に教科外の先生が充てられるようになって、学級担任の先生が基本的に音楽科の授業をするということが多いと思います。その中で、専門性はそこまで高くないけれども、一生懸命に頑張っている先生方にいかに学習指導要領の理解を深めてもらい、授業をしてもらうかというのが課題になっているところです。
 併せて、小中9か年と言いますけれども、高等学校芸術科の音楽1まで、10年間のスパンを考えたときに、高校の音楽科の授業が、学習指導要領を踏まえた授業としてどのような状況になっているのかということなど、10年間のスパンで考えていきたいと思っております。是非、このワーキングの中でも、以上のようなことを含めていろいろな議論ができたらありがたいと思っております。
 以上です。

【福本主査】
 はい、ありがとうございました。それでは逢坂先生、お願いします。

【逢坂委員】
 今回初めて参加させていただきました横浜美術館の逢坂でございます。横浜美術館は26年前に開館しまして、開館当初から子供のアトリエ、市民のアトリエという造形のためのワークショップのスタジオがございます。それから、学びの場として、「情報センター」と私たちは呼んでおりますが、図書館がございまして、展覧会をするだけでなく、造形教育と鑑賞教育を展覧会と結びつけて活動してまいりました。特に横浜市の文化施設ですので、市の教育委員会や市の学校の先生方とはかなり綿密な連携ができているほうだと思います。でも、今まで御意見が出ていましたように、全人口のことを考えますと、美術が自分にとって非常に大切であると認識してくださる方がどのぐらいいるかというと、人口の10%もいないわけです。ですので、美術館というのは、一人でも自分の人生に美術、芸術が必要であるということを、あらゆる方法、あらゆる引き出しでいろいろな方々と連携しながら伝えていく社会教育機関だというふうに思っています。
 その中で、私は、教育ということでは先生方の方がずっとずっとキャリアも知見もおありだと思うのですけれども、一つ、大切だと最近思っていることは、子供たちにとって何が必要かというと、自主性といいますか、自分たちの力で考え、判断して何か形を作っていくということが本当に身につけていかれるのか、それを芸術を通して、私たちの場合は美術館なのですが、美術を通してそれができるかどうか。それと同時に、感性を育むといっても、それは具体的にどういう形で育んでいけばいいかといいますと、感じたことを何か自分の作品を作るということもあるのですが、1つ、これは、何か例になればいいと思って最近、美術館で行っていることをちょっと御紹介したいと思います。
 横浜美術館では、横浜トリエンナーレと称しまして、現代美術の芸術祭というかなり大きな規模の事業を3年に一度行っております。現代美術というとほとんどの方が難しい、よく分からないという先入観を持っているのですけれども、今、生きている時代の美術、表現というのは、もう本当にあらゆるいろいろなジャンルとつながっています。音楽、音を取り入れた作品とか、お料理、食材を使った作品とか、これは本当は建築なのではないかというような建築寄りの作品ですとか、様々なのです。大人の方たちは、それに対して、ちょっと分からないということを率直におっしゃるわけですけれども、子供たちにはそういう先入観がないので、まず、先入観なしに美術館に来てもらって自分たちで考えて鑑賞するということが、子供たちにとっても非常にいい機会になっていると思います。
 その中で、前回の横浜トリエンナーレで、中学生と高校生が一定期間、美術館で研修を受けて、その成果を小学生に教えるということをしたのです。そのために大人たちは背後で随分準備はしたのですが、子供たちは非常に忙しくて土曜日、日曜日に集まるスケジュール管理をするのが大変だったのですけれども、中高生が横浜トリエンナーレを通して感じたことをプログラムにして、それを子供たちに伝えておく。
 その中で1人、高校生で不登校の児童がいたのですが、美術が好きだということが分かっていたので、是非参加するようにと促しまして、途中で落ちこぼれずに全研修を受けて、小学生のためのプログラムを作って参加しました。その参加によってその高校生は、高校生の卒業資格、大学受験の資格を取って、その翌年、無事に大学に入学することができたのです。そういうことを考えますと、やはり美術の世界というのは、子供たちが持っている様々な可能性をどうやって引き出していくかということの一つのプラットフォームになっていけるのかなと。
 それともう一つは、いじめの問題も非常に多くなっていますけれども、芸術の世界は一人一人が違う表現をどうやって作っていくかというオリジナリティが大切なわけなので、私たちの美術館では、違う価値観がある、違う表現があるということを伝えることによって、他者がいる、他者とどうやって共存していくかということを伝えていくのが大切かなと思っています。わずかな違いでいじめるということは、これは子供の世界だけではなくて、大人がそうだから子供にそういうふうに伝播しているのだと思うので、これは子供だけでなく、大人も含めて美術の世界で伝えていくべきことは、今回まとめいただいている資料の中と非常にリンクする部分がございまして、特に、宮下委員が言われたように、最終的には、違いを認められつつ、世界が平和に共存していくためにはどうしたらいいかということで、芸術が必要だということを伝えていくことができれば、その芸術というものの存在価値、その社会における意義というものは一般の方たちにも非常に伝わっていきやすくなるのではないかなと、理想に近いことを考えております。いろいろ御教示いただければありがたいと思っております。

【福本主査】
 はい、ありがとうございました。それでは、市川先生、お願いいたします。

【市川委員】
 はい。今回初めて参加させてもらいました都立の高校でただ1校の芸術を専門とする高校の校長の市川と申します。
 本校は音楽、美術は、いわゆる教員免許のある教科ですけれども、舞台表現というクラシックバレー、ダンス、コンテンポラリーダンス、それから演劇というような、そういう科も持っています。そこは教員免許状のない科目ですので、外部から第一人者を講師として呼んで、正規の教員と一緒にTTで授業をしているという学校でございます。
 私も今回、この委員を受けるに当たって、やはり芸術への思いということを、ある程度自分なりに皆さんにお話ししたいという気持ちで参加させてもらいました。自分の今の所属校では、生徒たちが全員、芸術を志す者ですから日頃から芸術の力についていろいろな機会を捉えて話をしています。マイナスのイメージもあるんです。例えば、現在、これは生々しいことですので余りこの場で話していいかどうか分からないのですが、東京オリンピックのエンブレムの問題、会場の問題がございます。これだけみんな一生懸命お金と力を掛けていながらなかなかうまくいかない。これは何なのだろうと。これは芸術の持っている力の、ある意味、恐ろしさかなと思っています。
 それから、先ほど来、平和ということをお話しされる委員の皆様方、本当にそのとおりだと思うんです。芸術というものは平和なしには成り立たない。今の国際社会、これは非常に危険な状態にあると思います。ISの文化施設の破壊とか、ちょっとさかのぼればバーミヤンの遺跡を壊したタリバン、これは国際社会、人類に対する犯罪だと思っています。絶対に日本、我が国の子供たちはそういうことをするような大人になってほしくない、学校の教育では、そういうことにつながらないように大切に、大切にいろいろな教科、科目、芸術を教えながら、平和を大切にする芸術・文化を愛好する子供を育てなければいけないと考えています。
 ちょっと話は逸れるのですが、私は高校の校長となってから数年間、できるだけ心掛けて休みにアメリカ、イギリスの美術館、博物館等を見るようにしています。何年か前に、もう欧米に学ぶものはないというふうにおっしゃった方がいらっしゃいましたが、私は実際に足を運んでみますと、そんなことはないなと思いました。つまり、いわゆる美術館、博物館、きょうも美術館の委員の皆様がいらっしゃいますが、日本とちょっと違うなと思うところがあるのです。例えば、先日、日本の国立博物館でそういうイベントをやってもらいまして、生徒たちに日本の非常に貴重な文化遺産に触れる機会を作ってもらったのですが、例えば、アメリカの美術館に行きますと、幼稚園児が集団で来て、ピカソやモネやマネの絵の実物の前で寝そべって絵を書いているんです。やっぱり、アメリカの美術館はそのあたり、美術館を宝物館ではなくて一つの学習の場として捉えているのかなと、子供たちに対して非常に開かれていて、大切な文化遺産ですから、それは傷をつけたり傷めたりしてはいけないというのはよく分かるのですが、そもそも子供たちが潜在意識にそういう文化遺産とか、大切なものに小さいころから触れていて、それをごく自然に身近に感じているという環境、そういうことではまだまだ欧米にはかなわないところがあるのではないか。日本もここまで独自なものを育てて日本人固有のいいものはありますけれども、まだまだ欧米に学ぶものはあるかなと。
 最初の話に戻りますけれども、そういうことを通して、学校教育の中でもそういう文化遺産、美術文化の大切さを育てることと同時に、家庭教育、それから社会教育全体で芸術文化に対して尊重するような心を育てる必要があるのではないかというふうに感じました。どうぞよろしくお願いいたします。

【福本主査】
 はい、ありがとうございました。それでは阿部先生、お願いします。

【阿部委員】
 阿部でございます。皆さんのお話を聞きながら大変勉強になっているところです。私は機会を得まして幼児教育の方の部会も一緒に出させていただいて、先ほどの長野先生のお話のように、感性の大切さを、そういった意味では幼児教育、そして小学校の教育と、その感性というところでどうつないでいくかというのが大切なのではないかということをお話ししているところです。
 その中で今回、個別の知識・技能ということが、ある程度三つの柱の中で出されたときに、知識・技能が最初にあって、次に習得、活用、探究というふうになると順序性が余りにも出てしまうと、最初に知識や技能の習得がないと技術や、そういった意味は楽しめないとか、できないとなると、これは大変怖い話になりますということで、幼児教育の方についても、やはり情意面は大事にするけれども、知識や技能についての取り扱いは十分注意していかなければならないということは今、話をしているところです。
 私は、そういった意味で考えると、この芸術部会では、先ほど長野先生もお話しされたように、感性と学力という関係をどうやって整理してつけていくのかということと、それから、三つの柱と、今、小学校、中学校の現場の方で行われている4観点との関係をどう整理していくのかということをはっきり説明できないと現場は混乱するだろうなということを深く考えているので、先ほどあったように、感性、感じるというようなこととか、理解ということとか、切り分ける説明をすることの方がいいのか、そういったことが伝わりやすい方法も含めて、この習得、探究が順序性ではなくて一体的に働いているということを常に説明できるものにしていかなければならないのではないかということを考えております。

【福本主査】
 はい、ありがとうございました。今、先生方にずっといろいろ個人的な思いを語っていただいたのですが、我々も主査としてここにいる以上に個別の委員としてもおりますので、伊野先生、それから私の方も個人的な意見を表明させていただきたいと思います。

【伊野主査代理】
 伊野です。いろいろお聞きしまして、私は3つほど考えました。ここで明確にしていかなければいけないものとして、第1点目は、幼児教育との関連です。ここのところをもう少し深く、あるいは幼児教育部会との連携という点から、しっかりしていく必要があると思いました。具体的には、文言の表現の仕方です。頂いたこの資料、芸術科目の教育に関する資料の最後のところのページに幼児教育の文言が書いてありますし、それが小学校の方につながって学習指導要領の目標さらに指導内容があるわけですが、ここの間の溝は相当大きいように思うわけです。ここの具体的なことについて、ただ今の感性の話も含めながら、より明確にしていくことができれば良いと思います。
 それから、先ほど長野先生の方から「内なる言語」というお話がございましたけれども、私も同様に思うところがあります。授業の中で子供たちの言語活動がとても盛んに行われるようになってきましたが、しかしそれは本当に本質を捉えた言語活動であるかということに関しては、私たちはここで真剣に考えなければならないと思います。その際、芸術というものがどういう思考を持っているかということについて深めていかなければならない。そのときに、キーワードで言われた「内なる言語」、あるいは、音楽などの場合は、何度も音楽を聴いたり、身体で自分で工夫して表現をしたりする中で、まだ言語化されない部分の言語といいましょうか、直感とつながっているような言語、この部分がとても大事になってくると思います。最終的にやはり言語化も必要だと思っているわけですが、その部分との連携、つながりをどうしたらいいかということについて議論を深める必要があると思いました。
 それから、3点目は社会との関わりです。これは、子供たちが教科を学んだとき、有用感がどれだけあるかということと深く関係します。こちらの論点整理の表の97、98ページ、例えばそこに音楽や図画工作、美術、芸術に関する現状についてというところがあります。音楽の場合だったら、下から4行目になりますが、「音楽の学習が好きだ」という質問に68.1%の児童が肯定的に回答したのだけれども、「役に立つか」というふうに聞いたとき47.7%だった。隣の図画工作の方も80.3%に対して60%である。ここら辺はとても大きな問題なのではないかと思います。図画工作とか音楽の教科の勉強は好きだけれども、それを勉強して役に立つと子供たちが余り思っていないということです。
 先般、音楽教育学会でも似たようなアンケートをとりました。そうしましたら全く同じ傾向が出てきたのです。教科としてはすごく好きなのだけれども、「これ、僕の一生にどれだけ役に立つのだろうか」というふうに疑問を感じているということです。ここのところは具体的にしっかり考えていかなければならない。
 例えば、今の学習指導要領の目標レベル、あるいは学年目標レベルには、社会の中で、あるいは生活の中でどれだけ音楽が役に立つのかということ、そのことはきちっと指導しましょうと書いてありますが、指導内容レベルになると、さて、それはどうかというような現状です。具体的に言うとそういうレベルまで考えていかなければならない。指導内容に書けるのか、あるいは、取扱い等に書けるのかというあたりまで考えていかないと、この問題は解決していかないと思っています。

【福本主査】
 ありがとうございました。私の方は、個人的な意見としては1点だけ述べさせていただきたいと思います。今、教員養成の大学にいるということに関わってくるのですけれども、宮下先生もちょっとユネスコのことを出されましたが、2006年、2010年とユネスコの方で芸術教育世界会議というものを持ったのです。その中で、インターナショナル・アドバイザー・コミッティーというがあるのですけれども、その中で話題になったことの一つに、芸術教育の教員養成をどういうふうにするのかということが非常に重要な問題だということで議論になりました。芸術教育のそもそもであったり、あるいはスタンダードベースの考え方というのは当然のことではあるのですけれども、先ほどの皆さんの御意見の中にもありましたが、いわゆる行政のポリシーとして示されているものがなかなか現場に伝わっていかないというふうな、そういう伝達性の問題があって、実際に、それを具体化していく、そういう乖離を狭めていくための重要な役割を担っているのが教員養成の在り方なのだということで、この芸術教育がどういうふうに、我が国の文脈で言うと、学習指導要領の中身をどういうふうに先生方の教育を考えていくのかということを非常に重要視しているということが話題になったのです。
 だから、子供たちに向けての芸術教育をどうこうするということはもちろんなのですけれども、市民、教員向けにどういうふうに分かりやすく芸術教育の意義であったり、この教育課程で示されている内容を理解してもらっていくのかということが、教員養成学部、あるいは教員大学の非常に重要な役割なのだということで、そういうことも、是非、今後、それぞれの国で大事にしていってほしいというふうなことが提言としてもまとめられています。
 そういう意味で、私の方では、今回、年度内にきょうも含めて8回ということなのですけれども、ここでの議論をベースにしながら、個人的には教員養成にどういうふうにこれを持ち帰っていくのかということを一つの課題として今後の活動に寄与していかれればいいかなというふうに思っております。
 以上です。
 それでは、一応、各先生方からの御意見をいろいろと頂いたことになります。時間は迫っておりますが、先生方の御意見の中で、教育課程という枠組を超えて芸術教育のそもそも論というか、そういうことも非常に話題になったかと思います。また、幾つか出た話題を拾ってみますと、同じ芸術と言いながら、校種間の違いということもあります。幼児教育から高校までの様々な違いというものもありながら、一方で、校種間の接続性ということもこれからは非常に重要になってくる。だから、いわゆる小中、あるいは中高連携というふうなことが言われておりますので、そういった中でも校種を超えた芸術教育の在り方が一本通っていくべきであると思います。
 それから、先ほども出ておりました国際的な文脈でのありようということです。平和教育にどういうふうにつなげていくか。非常に大きな課題ですので、教育課程の直接的なものではないかもしれませんけれども、昨今はヨーロッパでも様々なテロがあったりするような中で、こういったこととどういうふうに関わっていくのかということも話題にはなったかと思います。
 それから、先ほども御意見が出ておりましたが、生活社会との芸術との関わりというところ、こういったことをどういうふうに捉えていくのかという問題もありました。
 それから、芸術教育の一般的な認識というものが欠如しているのではないかということ。それによって、いわゆる一般の市民の方々にどう芸術教育の意義を分かりやすく伝えていくのかというふうなこともあったかと思います。
 それから、アクティブ・ラーニングというのが非常に注目されて一つのキーワードとして挙がっておりますが、子供たちの主体的な学習態度というものの形成にどういうふうに関わっているのかというところで挙がっていたかと思います。
 そのような様々な意見がきょうは出ておりましたので、今後、こういったことを整理していただき、今後の議論につなげていくことができればいいかなと思っております。国際的な文脈で見ても、ナショナル・カリキュラム・スタンダードを策定するのは非常に当たり前になっており、そのスタンダードのありようが、実は内容の系列性だけではなく、資質・能力の系統性なのだというふうなことで理解をされております。また、OECDなんかでも、PISAの今後の調査に向けて、今、新たな資質・能力の観点を増やそうというふうにもされておりますし、いろいろな意味で資質や能力、我々ももうなじんではいる言葉ですけれども、この資質・能力というのを本当に幼児から高校までどういうふうに捉えていくのか、あるいは、それをまたどういうふうに、先ほど言いましたように、教員養成の方でも理解していただくことにつなげていくのかということを少し視野に入れながら今後の議論をしていくことができればいいかなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 そうしましたら、一応、時間が来ておりますので、きょうはここまでにしたいと思っております。順番にお一人お一人ずっとお願いしたという関係で十分意を尽くして発言もできなかったというふうに思われる方も多いと思います。これに関連して御意見等についてはまた事務局の方でまとめさせていただきますので、ペーパー、あるいはEメール等で御意見等をお寄せいただければいいかと思っております。
 そうしましたら、最後になりますが、次回以降の日程について事務局から説明をお願いいたします。

【小林教育課程課長補佐】
 はい。次回以降の日程につきましては、きょうの配付資料の一番下にございます芸術ワーキンググループ今後のスケジュールということでございます。次回第2回につきましては、12月21日、月曜日、13時から15時、場所は文部科学省3F1特別会議室、この会場の隣の会場になります。そこで予定をしております。また、主査からもお話がありましたように、ペーパーによる意見等も頂戴したいと考えておりますので、FAX、メール、郵送等で結構ですので頂ければと思います。また、本日の配付資料につきましては机上にそのまま置いておいていただければ、後ほどこちらら郵送いたしますので、もし重い方等がいらっしゃいましたら置いていっていただければと思います。
 以上でございます。

【福本主査】
 はい、ありがとうございました。それでは、本日の芸術ワーキンググループの会議は終了させていただきます。進行はまだなれませんけれども、どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

―了―

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初等中等教育局教育課程課教育課程第三係

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-- 登録:平成29年04月 --