資料6 産業教育ワーキンググループ(第7回)における主な意見

1.教科横断的な事項

(1)育成すべき資質・能力
○現状の社会がどうなっているか、どういう課題があるか、産業全体の課題について学ぶ機会や副教材が必要ではないか。
○産業教育全体で押さえるべき倫理観や課題について、産業教育共通の副教材を作成していただけるとありがたい。
○日本を代表する大企業で起きている不祥事などの事例を副教材にして、自己主張がきちんとできる人材、自立と自律精神を身に付けさせていただきたい。
○変わってはいけない部分は教科書でしっかり押さえ、変化の激しい時代や産業に対応した部分は副教材で捉えるといった、位置付けをきちんとしておくと効果が出るのではないか。
○産業や職業の社会的な意義について学び、職業人として地域を支えていくという自覚を持てるような、そのような副教材が作成できれば、もっとよりよいものになるのではないか。
○副教材は単に読み物ではなくて、高校生が自らの成長を見つめる指標になるようなものであってほしい。ポートフォリオやワークブックとして活用できるようなものもいいのではないか。
○グローバル化の進展や競争激化の影響を受けて、ほとんどの企業が経営戦略の見直しを迫られており、従来と全く異なる異業種への転換や進出が起きている。産業教育の中では、知識に加えて、いろいろなことに対応できるしなやかさやしぶとさ、こだわりといったところを身に付けてほしい。
○多様な新しい分野に企業が進出したときに対応できる力、例えば、チームで働く力や新しい課題を発見する力などは、実は専門教育の中でも既に育成できている。それぞれの教科・科目の中で培われてきたものをもう一度捉え直し、それをより意識化して育成していくことが、産業教育の特性を生かした今後の社会に対応していくための力につながるのではないか。
○共通教科だけやっていて本当に本質がつかめるかというと、実はそうでもなくて、専門が普遍に通じるということは、アカデミックの世界でも言えること。チーム学習や実践力など、高校生の段階でも自分たちがやっている専門は普遍に通じるのだという自信を生徒に持っていただきたい。
○教育課程を考えていくときには、社会の変化への対応やグローバルというところが出てきやすいが、実は伝統的な部分や基本的に教えなければならない部分というのもあるということを、合わせて強調すべき。
○企業は生き物であり、今は社会の変化が産業の変化を促しているので、それに対応した人材の育成が求められている。
○最初に社会の課題を捉えて、その課題を職業に関する各教科の本質に根差した視点から解決していくんだと言った方がわかりやすい。社会において様々な課題があって、その課題を各専門分野の知識や技術を使って、どう解決していくのかという方向にした方がよい。
○専門性だけで解決できない場合に、どういうところと連携して、つないでいって問題を解決しなければならないかという、一歩進んだ学びや考察が、深い学びのアプローチになってくる。例えば共通教科の家庭科や社会科と結び付けて問題を捉えていくということも必要。
○学校の現場では何となく大企業や公務員の方が安定しているという、そういった認識が非常に強いが、現実社会はそうではない。本当に自分がやりたいことは何なのかをきちんと認識できれば、いろいろなチャンスがあるんだよということを教えていくことが大切。
(2)その他
○技術・家庭科との関連性だけでなく、数理情報との関係、数学や理科などの視点も大切であり、中学校段階からの連携が必要。
○職業によっては、若く感性が高いうちに学んだ方がいい分野があるように感じるので、職業の特徴みたいなものを幅広く中学校時代に学んだ上で、専門教育に興味を持ってもらうという方向性が大事ではないか。
○個人の学びや活動の記録などを蓄積・振り返りながら、職業人としての豊かな人間性を自覚し、教科横断型の学習をポートフォリオを通して行っていくことも今後検討すべき。
○働くということ、高校で学ぶべきことは何なのかということを中学校、高校と連続した形で学んでいけるよう、技術・家庭科だけではなく、ほかの教科等にも働きかけていただきたい。
○インターンシップができやすいような環境づくりや産業界の人に来てもらって専門的な知識を提供してもらうといった、産業界の関係者との対話ができるような条件整備が必要。
○専門高校においては、技術革新に伴った新しい機械等の導入がとても重要である。
○専門高校からの進学を考えると、推薦入試等が多くなってくるが、専門高校で学んだことを生かして、さらに大学で発展させていく、そういう学生が一定の率でいることが、社会にとっても必要なのだということを発信していただきたい。
○特色あるきめ細かな指導を展開していくためには、教員の質の向上と合わせて教員の数や手当の改善が必要。
○技能をきちんと教えられる教員を育成するためには、研修を継続して行っていく必要がある。
○例えば農業では6次産業化への対応ということで、これからインターネット販売など様々な販売の形態が考えられるが、いざ実際にやろうとすると、県の財務規則上の問題等がある。教育を支援するような形での規制緩和等について検討することが必要である。
○中学校の技術専門の教員不足に対応するため、中学生が工業高校や農業高校へ行って、実習を行うなど、専門高校が中心となって、技術の学びの場を作っていくような連携も必要ではないか。
○企業との連携として、東日本大震災以降、経済同友会では約20億円専門高校に寄附を行ってきているという事例もある。

2.各教科に関する事項

○農業などの第1次産業においては、自営で独立していくという選択肢が非常に多いので、就農に必要な法的な課題や地域における諸制度などについて学べるようにした方がよい。
○経営感覚を身に付けた人材育成は非常に重要である。
○観光に関する学習は可能性のある分野なので、ぜひ科目についても検討してほしい。
○全国的に商業科目を学ぶ学校で観光に関する学びの実践例が多くなってきており、観光立国の流れもあるので、ぜひ科目を新設していただきたい。
○現在商業科においては4分野で科目構成を行っているが、経営に関する科目がない状態なので、マネジメントに関する科目も復活させながら分野構成を考えていった方がよい。
○教科情報と商業の情報とのすみ分けを今後考えていかなければいけない。
○例えば地域との協働作業による商品開発においては、商品を開発したところで終わるのではなく、その商品をどういう形で販売していくのかといった、起業家教育というところまで触れられると厚みが増す。
○ホームプロジェクトや学校家庭クラブ活動においては、食育や防災等、地域のリーダーとなるための取組や地域貢献に関する取組などが行われているので、その学びをぜひ強調してほしい。

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