特別活動ワーキンググループ(第6回、平成28年3月23日)における主な意見(未定稿)

【特別活動で育成すべき資質・能力について】
○ 資料2の最初のページで学級活動が基盤になっているというのは、図から明瞭で大変いい資料だと考える。ただ最近、現場等を見ていると、学級活動以外の活動が萎縮してきているように感じる。その中で本資料は、児童会、クラブ、学校行事が、どうも同じような重さで並べられているように感じる。学校としては、本来は力を入れたいが実際なかなかそこに力を入れ切れない。本当に育成すべき資質・能力が、こういう形で往還的にできるのかというところについては、今後、検討していかなければならない。
○ 資料2の4ページ目の資質・能力の三つの柱に沿った資料について、知識や技能のところに意義についての理解が入っているのがとてもよい。ただ、集団の意義だけではなく、集団活動の意義が入ると更にいいのではないか。
○ 学級活動には内容の(1)と内容の(2)があって、集団の生活をよりよくするという部分と、自分の生活を自分でより良くしていくという部分がある。そこで書きぶりとして、自律的に生きていく、自分でよくしていくという内容の部分が、少し加わってもいいのではないか。
○ 資料2の3ページの図には、例えばアクティブ・ラーニングなども入ってくるだろうし、体験的なものや実践的なものなどのキーワードが入ってきてもいいのではないか。また、どのように教科とつながるのかが、もう少し見えてくると日本的な特徴が見えるのではないか。また、多様な他者の尊重とか、何かこういう非概念的なものが見えてきた方がいいのではないかという感じは受けた。
○ 資料2の3ページ目は、これが集団の広がりに特化して資料を作成しているので往還の部分が、更に出口を示していることで分かりやすい。社会とのつながりのない教育は汎用性がないとも言えるため、そういう意味でも出口をきちっと示しており分かりやすい。
○ 資料2の3ページについて、実生活との関わりということが特別活動の特質としてあるため、生活との往還ということもどこかに示せるとよいのではないか。
○ 特別活動は最終的な目標を自主的、実践的な態度と目標に規定している。つまり最終的に目指すのが態度であり、そうすると3本柱の一番右側である。したがって右側がすごく大きくなると考えている。
○ 資料2の3ページであるが、能力が入らないと訴求力がないと感じる。では能力をどこに入れると考えたとき、やはり今らせん状に紫色に見えるライン、ここの上に多分三つの能力(人間関係形成、社会参画、自己実現)を書いておくだけでも違うのかなと感じる。そして、その紫のラインが、一番上の社会人になってからの大きなサークルにもきちっと絡み付いているような、そういうイメージが必要ではないか。
○ 資料2の4~6ページあたりを見てみると、特にクラブ活動、学校行事の中・高の差というのが、能力の育成のところで余り見えてこない。何らかの差を付けるべきではないか。

【特別活動で育成すべき資質・能力と、社会の要請に応じた活動内容との関係について】
○ 特別活動で育成すべき資質・能力と社会の要請に応じた活動内容との関係についての資料に、キャリア教育の視点というのを入れていただいていて非常に明確であり、ほかの視点も分かりやすい表現になっていると思う。ただ、分かりやすいだけに、例えばキャリア教育の視点のところを目で追うと、学級活動の(2)のアとエに矢印が向かっているが、このウ、望ましい人間関係の形成というところは飛ばされている。キャリア教育で育成すると言われている基礎的・汎用的能力の最初に挙げられているのは人間関係形成、社会形成能力であるため、キャリア教育の視点から言うと人間関係の形成にも矢印を引いてほしいというように気になる点も出てくる。
○ キャリア教育の視点でいくと、自己管理能力というものは、基本的な生活習慣の形成と非常に密接につながっている。そういう意味で、このイの基本的な生活習慣の形成のところにも伸びるべきではないか。
○ 資料3は分かりやすいが、例えばキャリア教育一つとってみても、これを示すことではっきりはするけれども、キャリア教育そのものが非常に狭い概念になってしまわないかという思いがある。
○ キャリア教育、健康教育、食育というのは、同列に並べられるものなのか。また、特別活動で育成する視点として社会参画、人間関係形成、それから自己実現という列があって、もう一つ右側の列に、論点整理とか書いてあることと関連するのがここですという整理をしていかないと、混乱するのではないか。
○ 例えばキャリア教育は、全ての教育活動の中で行うものであるが、内容に関わるところと学習形態に関わるところ、それから育てたい資質・能力に関わるところとがあるので、育てたい資質・能力という能力的なもので言うと、全ての項目がキャリア教育と言ってもいいし、道徳教育と言ってもいいと思う。ただ、やはり内容の視点から、内容の関連が深いものという捉えをしっかりすれば、提示の資料のような示し方もできると考えている。
○ 資料3の後半の方について防災教育などが挙げられているが、活動が中心になっていくと、小学校でも、中学校でも、高校でも同じような活動がなされるという傾向がどうしても出てきてしまう。例えば主権者教育でも、小学校でも投票、中学校でも、高校でも投票と、何か同じレベルのことを今後繰り返していくということになりはしないかと、心配があるが、これを小学校段階、中学校段階、高校段階、同じような活動をするにしても、どういうようにこの資質・能力を高めていくか。そういうところもきちっと入れ込んだ活動というのが分かるようにしておく工夫が大切になってくるのではないか。
○ 防災教育について、体験活動だけをすれば防災教育であると捉えられたくない。内容の(2)で自己実現を図って、自己決定して、自分で決定したことをある程度実践していく。その中で自己指導能力を高めていくことが、本当により良い防災教育につながる。活動だけが先走ってしまうと、何か各学校では、このような活動をしさえすればそうなるのかということになりかねない。資質・能力の特別活動でどんな力を育てることができるのか、そういうことをきちんと整理しておく必要がある。
○ 資料3の7ページ、8ページに関わってくるところで一つ。18歳の選挙権について考えたとき、小学校では何をどのようにしなければならないのかと考えた場合、やはり友達と協力して、よりよい学級生活とか学校生活を創ることができるというのを体験的に学んで、そういう子供たちが中学校に行ったときに、自分たちでよりよい社会を創ることができるんだ、それが選挙だと具体的に理解していくといった系統的に考えていくことが大事である。選挙の活動の場面だけをとってすぐ模擬にやるということが、それが主権者意識を育てるんだとかではなくて、小学校のときからよりよい生活を主体的に創る人間を育てていく教育を行うことが重要。
○ 例えば青少年施設で集団宿泊をやる場合に、防災という観点で活動プログラムを組むことができる。例えばプレーホール、体育館みたいなところで避難所体験生活をするであるとか、あるいは野外炊事のときに限られた水でもって調理をしてみるとか、あるいは非常食を食べてみるとかといったこともできる。集団宿泊的行事のところにはいろいろな矢印が来ると言える。
○ 例えば学校図書館の利用であるが、アメリカのリベラルアーツの大学などだと、最初の学期に図書館の使い方や資料の使い方をなぜやるかというと、単なるスキルではなく、それによって、ある種広い土台を作っていける、そういうものが読み込まれているものだと考えている。したがってもう少し広いところが、多分そこをターゲットできるものの一つだと思う。
○ 幾つかの視点が書かれているが、学校にいるとき管理職の立場で悩ましいのが、県、市、教育委員会の方から「○○教育」を取り入れていただきたいという形で来たときの特別活動での位置付けである。全部特別活動に位置付けると、膨大な時間を要してしまう。視点としては納得できる部分もあるが、今後ともこういう何々教育と来たとき、すぐに特別活動に入れられてしまうことになると、特別活動の本来の目的、やるべきところができなくなってしまう部分もあるという懸念がある。
○ 資料に並んでいるものが、やはり「○○教育」という、どちらかというと学習活動として捉えられるような部分もあれば、育てたい資質・能力で捉えられる部分もあり、ちょっと交じっているようなところがある。
○ 「○○教育」が特別活動に押し付けられる嫌いがあるという御発言があったが、○○教育と言われるものの中は、ちゃんと整理をしていくと、これは何年生の社会科で学ぶべき内容であろうとか、ここは何年生における家庭科においてしっかり学んだ方がいいだろうとかという教科教育との中のコラボレーションがとれる内容のものが多くなっている。このような整理をしていけば、特別活動に全て押し付けられるという現状を避けるようにして、本来の特別活動というところに焦点を絞っていける。
○ 特別活動は教科外のものを引き受けてきて、そして○○教育というものがどんどん増えていく中で、何でも屋の特別活動がいろいろなことを引き受けるという状況になっている。教科に戻せるところは戻すというところが大事なのではないか。
○「社会に開かれた教育課程」で、教師や教育関係者ではない人間が読んでも、特別活動というのはこのような力を身に付けさせる大切な時間であるということが、一目見て、きちんと読んだら伝わってほしい。
○ 何らかの機会に今日的な課題の中でも特に重要と思われるものは示していく必要がある。そのときの重要な考え方は、意図的、計画的に、例えば、キャリア教育のためにこの単元は大切だという意図を持って行う単元と、それからキャリア教育は決して意識はしないが、後で振り返ったときにキャリアを形成する上で非常に大切だということがある。後者の方も全部網羅しようと思うと、訳が分からなくなってしまうので、意図を持って、特に重要なここは外せないという単元。それが学習指導要領にのっとった用語で書かれれば、これは学校現場にとって、これは外さないでやろうということになる。そうなれば特別活動で全てを引き受けるということにはならないと考える。
○ 今の子供は、小さな頃からの様々な体験活動が足りていない。やはりある段階で、その様々な体験が用意されている地域、充実した活動が展開される地域というのは重要さを増してくると思う。学校は学校、地域は地域という傾向が強いため、是非、地域と協働していくんだ、そして一緒に育てたい子供像を共有していくんだ、だから、こういうことをつながりながらやっていくことは大事だということを、どこかに記していただけたらいいと思う。
○ 特活と教科等の往還について、例えば話合い活動で、特活で個別の知識や技能で話合い活動の進め方や合意形成の仕方があがっているが、そうすると、国語で行われる話合いの仕方と、特活でやる話合いの仕方と、同じなのか、どの部分が重複していて、どの部分が違う部分なのかが不透明である。
○ 小学校の先生だと学級活動と、それから国語は、教える先生が同じであるが、中学校、高校だと教科担任制なので、国語で行われている話合いの仕方の授業が、学級担任として分かっているのかなという疑問がある。話合いの仕方というものを明確にして、そして特活と国語との間で調整することが必要ではないか。

【特別活動における評価について】
○ 高等学校での評価が小・中とは違うという点であるが、学校の多様性ということもあるが、実態として、これまで一つ前の学習指導要領までは特記事項なしというハンコがあって、そこがぽっと押されているという実態が高校であった。それをやめてまずは書きましょうというところから始めないと、高等学校はついていけないので、観点別はちょっと今回は難しく、一旦一歩後れましょうということになったと記憶している。したがって、今回のここの議論では高校においても踏み込んで、きちんとした3本柱の中での観点別を打ち出していくべきだと思っている。
○ 観点の二つ目には特活特有の言葉が入っている。集団の一員としての思考・判断・実践となっており、各教科が思考・判断・表現となっている中で、特別活動の場合には、話合いなどをして、思考し判断し何かを決めるわけであるが、その判断し決めるだけでなく、必ずその後、実践を伴う。むしろ先に実践することを前提とした話合いだということから、この実践の中には、話合いで言う、いわゆる表現と、それを実行する実行力のようなものを含むということを意図して、このような観点になった。
○ 評価については、学校が評価の観点を定めることができると示してある。特別活動というのが児童生徒の成長にどれだけ重要なのかということを校長が理解し、だからこの学校で、こういう特別活動をやっていくんだ、この特別活動でこんな資質・能力を育てるんだというのがないと、その学校の評価の観点は作れない。実態は文科省が示した例示が表記されているところが多いが、ここは外せない評価の考え方だと思っている。
○ 学校の実態として、子供たちが行動、活動の中でどのような変容が見られたかとか、どういう活動の様子が見られたかというところをポートフォリオ形式にして、そして子供たちの成長を見取るようにして評価をしている。それと同時に、子供の評価をすると同時に、教師自身が自分たちの計画や指導がどうだったかということも評価をすることが重要。
○ 特別活動においては、それぞれの学校での観点を定めて、個人内評価でということが今後は基本になっていくのかなと思っている。

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