教育課程部会 家庭、技術・家庭ワーキンググループ(第5回) 議事録

1.日時

平成28年2月17日(水曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 家庭、技術・家庭の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【橋本主査】  それでは、皆さんおそろいですので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会家庭、技術・家庭ワーキンググループの第5回を開催いたします。
最初に、事務局から配布資料について御確認をお願いいたします。
【大内学校教育官】  引き続きになります。お疲れのところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、配布資料の確認させていただきます。机上にございます第5回の資料になります。こちらの資料につきまして、議事次第に記載しておりますとおり、資料の1から資料の7ということでございますが、資料1、2、3、こちらについては、恐縮ですけれども、第4回の資料と重複をいたしますので割愛をさせていただいてございます。具体的には、第5回の資料の1、2、3がそれぞれ第4回の資料の1、2、4に当たる資料になります。その他、机上に参考となる資料ということで、タブレットの方で関連資料のデータで入れてございます。裏面にその詳細ございますので御参考になさっていただければと思います。資料としては第5回について添付をしてございますのが資料の4以降の資料ということで、それ以外の資料については第4回の資料を参考になさってください。
以上でございます。
【橋本主査】  それでは、議事に入ります。
本日は報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので御承知おきください。
第5回は家庭分野中心に御意見を頂きたいと考えております。議事の流れとしましては、議論の内容をもとに事務局から資料に基づきまして説明を頂いた後、御意見を伺いたいと思います。
それでは、まず初めに、家庭科、技術・家庭科(家庭分野)において、育成すべき資質・能力について、事務局から説明をお願いいたします。
【大内学校教育官】  失礼をいたします。そうしましたら、お手元に、まず第5回の資料の4を御用意ください。また、前回会議の際に委員の皆様方限りの資料ということで、資料の2でございますけれども、こちらの第4回の資料の資料2の2枚目が前回の会議資料となってございます。
本日御議論いただきますのは、第5回の資料でとじさせていただいております資料の4、家庭科、技術・家庭科(家庭分野)において育成すべき資質・能力の整理(たたき台)ということで、前回の会議から御意見を踏まえまして、主に修正した箇所を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
まず初めに、前回の会議資料と構造が変わっておりまして、一番右側の欄で前回の資料の際は小学校の家庭科が上になっておったのですけれども、今回の資料4につきましては高等学校が上になってございます。これは先ほど、第4回の際に共同で御議論いただきました第4回の方の資料の6が高等学校が上に、下が幼児教育という構造になっておったものですから、これに統合するような形で、今回の資料の4の順番、上からの順が高等学校、中学校、小学校になっておりますので。前回の会議資料と見比べる際に、前回の会議資料が小学校が上になっておりますので、この点を御留意いただければと思います。
その上でございますけれども、まず初めに、小学校段階から御説明をさせていただきますが、個別の知識や技能につきまして、小学校の家庭科の上から2つ目の中黒でございますけれども、「生活の自立の基礎として必要な」という文言を補っております。これは小・中・高の段階に応じた形での文言修正の御意見を頂戴しておりましたので。同様に中学校の真ん中の中点におきまして「生活の自立に必要な」でありますとか、高等学校の段階の上から3つ目のところで「各ライフステージに」と。そういう形での文言の加筆をさせていただいております。
また、飛びまして、高等学校でございますけれども、高等学校につきましては、一番上の中点で小学校、中学校の際に「家庭あるいは家族生活、家庭生活」、そういった表現が入っておったんですけれども、高校の場合、明示的には書かれてなかったのですが、読めるのではないかという御意見も頂戴しておったんですけれども、あえて明示した方がよいという御意見も頂いておりましたので、1つ目の中点に「家族・家庭」という文言を補っております。
また、あわせまして、高齢者にかかわる記述に関するところにつきましては、「高齢者の生活支援等」ということで表現の適正化を。
同様に、高等学校の一番下の中黒で「生活における経済の計画」という文言を加筆させていただいております。
次に、真ん中の思考力・判断力・表現力でございます。こちらにつきましては、種々御意見頂戴をいたしまして、また、本日、思考力・判断力・表現力として、委員の皆様方限りで配布をさせていただいておりますが、参考資料4-1で思考力・判断力・表現力を再度整理させていただいております。この観点で、前回の会議資料とは大きく趣を異にしておりますので、主に資料の4-1をごらんになりながら説明をお聞きになっていただければと思います。
参考資料の4-1といたしまして、今回、思考力・判断力・表現力の育成のイメージをそれぞれ小・中・高のグレードに分けて、思考力・判断力・表現力の力を分解した資料となります。
参考資料の4-1の中で、具体的には小学校が一番下、中学校が真ん中の中点、高校が一番上の中点という形になっておりますが、例えば①生活の中から問題を見いだし、他の生活事象と関連付けて総合的に考察する力、これを思考力と捉えまして、例えば小学校でございましたら、家庭科の見方や考え方を用いて、様々な生活事象を他の生活事象と関連付けて考察できる。中学校になりますと、同様の見方・考え方を用いて、総合的に考察できる。更に高等学校になりますと、同様の見方・考え方を用いて、関連付けながら生涯を見通した視点から多角的に考察できる。こういったところでのグレード分けがなされてございます。
また、②生活の中に見られる問題を認識し、その解決に向けて解決策を構想・判断し、計画・実践・評価する力ということで、こちらは判断力を構造化したものでございます。具体的には、空間的な広がりに着目をしまして、例えば小学校段階でございましたら、日常生活における課題として把握をし、解決策を構想・判断し、計画・実践・評価できる。これが中学校になりますと家族・家庭や地域における問題を課題として把握し。高等学校になりますと、家族・家庭や地域社会における問題として課題を把握し、という形でのグレード分けをさせていただいております。
また、③④として、考察したこと、構想したことを説明したり、発表したりする力ということで、小学校段階でありますと、根拠や理由を明確にして観察、実験・実習等についてわかりやすく説明したり、発表したりできる。これが中学校になりますと、図表などを用いて論理的に説明したり、発表したりできると。高等学校になりますと、科学的な根拠や理由を明確にして、図表などを用いて論理的に説明したり、発表したりできるという形での整理を試みております。
同様に④でございますけれども、考察したこと、構想したことについて、自分の考えを批判的に検討し、他者と意見交流する力ということで、小学校段階においては、他者の意見を聞いたり、自分の考えをわかりやすく伝えたりして意見交流できる。これが中学校になりますと、自分の考えを批判的に検討するために、他者の意見を聞いたり、自分の考えを主張したりして意見交流できると。高等学校になりますと、家庭・地域社会に発信したりするために、意見交流できるという形での小・中・高の差異化を図っておりまして、③④については、表現力を分解したような形での整理とさせていただいております。
こちらの参考資料の4-1が、先ほど申し上げました本日の配布資料の4の中で、それぞれ思考力・判断力・表現力の育成すべき力として示させていただいているところでございます。
最後に、右側でございますけれども、学びに向かう力、人間性等でございますけれども、こちらについては、前回の会議資料から小見出しがここの部分だけついてなかったものですから、内容を再構成、整理をしまして、小見出しをつけさせていただいております。具体的には、小学校で家族の一員として生活をよりよくしようとする実践的な態度。中学校において、自分と家族、家庭生活と地域との関わりを考え、生活を工夫し創造しようとする実践的な態度。高等学校においては、家庭や地域の生活を創造しようとする実践的な態度。
これらについて、態度の例ということで、例えばでございますけれども、加筆している点といたしまして、小学校でありますと、上から2つ目の中点のところで、家族や地域の人々と関わり、協力しようとする態度。あるいは生活を楽しむという視点を入れたらどうかという御意見を頂戴しておりましたので、3つ目の中点で生活を楽しもうとする態度。これらが中学校あるいは高校の1つ目あるいは2つ目の丸の中で、それぞれ中学校でありましたら地域の人々と関わり、協働しようとする態度。高校になりますと主体的に地域社会に参画しようとする態度。同様に、中学校で生活を楽しみ、豊かさを味わおうとする態度。高校で生活を楽しみ味わい、豊かさを創造しようとする態度という形で明記をさせていただきました。
先ほど、思考力・判断力・表現力につきまして、技術分野の第4回の議論でもございましたけれども、見方・考え方との整理が前回の委員の皆様方限りの配布資料の中でも思考力・判断力・表現力の枠組みの中で破線で示させていただいておりましたが、本日、別刷りということで参考資料の4-2という形で、こちらも委員の先生方限りのお手持ちの資料になりますけれども、家庭科、技術・家庭科(家庭分野)における見方・考え方のたたき台ということで示させていただいております。
家庭科、技術・家庭科(家庭分野)につきましては、このような形で構造化しています。
一番上の丸でございますけれども、大きく家庭分野についての内容項目、具体的には家族や家庭、衣食住、消費・環境という大きく3つの内容項目で整理をしまして、これらに関わる生活事象について、大きな一つの視点としては協力・協働・共生という視点。2つ目の視点として健康・快適・安全。あるいは生活文化の継承・創造という視点。3つ目が持続可能な社会の構築。こういうこれらの視点から解決すべき問題を捉えるような見方や考え方と。こういう見方や考え方を通して、よりよい生活の実現に向けて思考していく、考察をしていくという構造化を図ったところでございます。
具体的に、下の表になりますけれども、例えば家族や家庭生活については、主として協力や協働・共生という視点をベースにしながら、例えば小学校段階でありましたら、その家族や家庭生活に関わる生活事象について、協力の視点から解決すべき問題を捉え、家族の一員として家族に協力し、家庭生活を工夫するために考察することということで、協力の視点。中学校になりますと、これが協働の視点。高等学校で共生の視点という形で整理をさせていただいております。
なお、こうした視点から解決すべき問題は捉えるのですが、その上で、その後の文章なのですけれども、例えば小学校ですと、家族の一員として家族に協力し、家庭生活を工夫すると。これが中学校になりますと、これからの生活を展望して地域の人々と協働し、家族・家庭生活を営む。高等学校になりますと、生涯を見通して家庭・地域社会の生活を経営するために考察するという形で、時間的あるいは空間的な広がりの視点を先ほどの第4回で、合同で御議論いただきましたが、教育のイメージの中でも空間軸・時間軸の視点を新たに設けることといたしましたが、それにも着目しながら時間軸・空間軸による書き分けをさらに家庭科(家庭分野)においては要素として入っているということでございます。
これが衣食住になりますと、健康・快適・安全や生活文化の継承・創造の観点に着目をさせるということで、ここの観点自体のグレード、衣食住については、今度は小・中・高の視点としての動きはそれほど大きくはないのですが、例えば先ほどの空間的な広がりということで申し上げると、日常生活における解決すべき問題を捉える。これが中学校になりますと、家族や家庭、地域における解決すべき問題を捉える。さらに高等学校で家族や家庭、地域社会。あるいは小学校でありますと、一番最後のくだりですが、衣食住の生活を工夫するという、現在の生活を工夫するという視点から、中学校でこれからの生活を展望して衣食住の生活を営むために考察する。さらに高等学校になりますと生涯を見通してという形で、時間軸と空間軸がちょっとずつ入りながらグレードの違いが出ているという見方になってございます。
最後に持続可能な社会の構築の視点。消費生活・環境に関わる領域につきましては、持続可能な社会の構築ということで、これも小学校でありますと消費生活や環境への配慮の視点。中学校になりますと消費生活や環境に配慮したライフスタイルを確立する基礎を培う視点。高等学校になりますと持続可能な社会を目指したライフスタイルを確立する視点という形でグレード分けをしながら、日常生活における解決すべき課題あるいは家族・家庭・地域における解決すべき課題、高等学校で家族・家庭や地域社会における解決すべき課題という形での空間的な広がりを持たせた形で見方・考え方を整理しております。
家庭科、技術・家庭科(家庭分野)につきましては、内容領域によりまして視点が異なる。あるいは視点を踏まえた形での考察の仕方が空間軸あるいは時間軸によって異なりが出るという形において、先ほど第4回で技術分野について御議論いただいた際の一定程度固定されている見方・考え方の部分とやや異なるようなアプローチをするという形での構造で今回、たたき台ということでお示しをさせていただきました。
育成すべき資質・能力、見方・考え方についての説明は以上となります。
【橋本主査】  ありがとうございました。
それでは、この資料4と4-1、4-2がそれぞれ関連し合っているのですけれども、まずは資料4のペーパーを中心に少し意見交換をしたいと考えております。
この整理を見ますと、先ほど御説明があったとおりなのですが、左の方の個別の知識や技能のところについては、これまでの領域構成などもありますので、大きく3つの視点で整理がしてあると考えております。右の学びに向かう力、人間性のところでは、御意見も受けまして、生活を楽しむという部分も充実したということになっております。真ん中のところが見方や考え方とか、様々思考力・判断力・表現力の例などが入って大変複雑ですので、まずはこの左の部分と右の部分について、小・中・高と並べたときにというような観点などから御意見を少し頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。もちろん真ん中も関係してくるのですけれども、複雑ですのでよろしくお願いします。
橘川委員。
【橘川委員】  小・中・高の違いがとてもわかりやすいと思いました。学びに向かう力、人間性のところですが、中学校のところでは地域の人々と関わり、協働しようとする態度、高校は主体的に地域社会に参画しようとする態度ということですが、高等学校は更に深めて、関係機関と連携して、地域の課題に取り組む態度も今、取り組んでいるところもあるので、更にレベルアップしても大丈夫なんじゃないのかなと思います。
あと、生活文化のところですが、中学校では日本の生活文化を継承しようとするということで、高校の場合には、日本の生活文化を継承・創造するというところに加えて、その上のところに括弧で書いてあるのですが、どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るかということを考えると、日本の生活文化を継承・創造するとともに、異文化も理解しようとする態度が高等学校でも入っても、これはできるのではないかなと思いました。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。前回、御意見の中に「日本の」ということはどうなのかということがあったのですが、今おっしゃったように、日本の生活文化の理解のために異文化ということを学習として広げながら、日本の生活文化を考えていくということは、何ら問題はないし、よりクリアにできるということでもあると思いますけれども、ここに重点として掲げるということでの整理なのかなと考えておりますが。
中原委員。
【中原委員】  これも教えていただきたいのですけれども、自立した生活者として必要な知識・技術とあるのですけれども、この自立のコンセプトですけれども、経済的な自立、すなわち雇用・労働という問題は全く教えなくていいのでしょうか。働いてお金を稼ぐ。もう高校を卒業したら、必ずしも全員が大学へ行くわけでもないし、専門学校に行ったら、アルバイトをしながら、若しくは地方から出てくる学生にとってみれば、自分でお金を稼ぎながら大学にも行くという形になるだろうと思う。その辺の知識が全くないために、生活設計ができなくて、例えばブラックバイトに引っ掛かってみたりとか、若しくは非正規労働者として社会に出る前に挫折してしまうようなことが現実問題として起きている。ですから、この辺の自立のコンセプトがわからないので御説明いただきたいと。
そうなってくると、もう一つ大きい問題は、例えば健康保険や年金の問題というのはどこで扱うのだろうかという感じがあります。かつては物価スライド制だったのが全然違ってきたときに、将来の生活設計を考えたときに、いまや下流老人の時代とか、小さな子供たちだけではなく、将来の生活設計もままならない状況になっている。そうしたときの公共財やサービスの購入については、どういうふうにこの中で扱うのか、これも御説明いただければと思います。当然、公共財、公共サービスの中に、例えば保育所であるとか、若しくは特養老人ホームであるとか、そういう公共財やサービスが存在する。
そうすると、その購入に当たっては税金の使われ方という問題が出てくる。納税の義務があるんならば、逆にそういう税の正しい使われ方がどうなのかという検証がこの家庭科の中にあってしかるべきかなと思うんですけれども、御説明いただければと思います。
【橋本主査】  今、高等学校の方では、新しい公民の科目として、(仮称)公共がつくられるということで、そこでもそういうことは内容に含まれて、まだこれからのものと思いますが、まずとりあえず、現状ではどのように、高等学校家庭科で行われているかということを橘川委員、よろしいでしょうか。
【橘川委員】  生活における経済の計画になると思いますけれども、高校を卒業して後、大学に行って、一人暮らししたときに、大体住居費が幾らで、それで学生なものですから食費が幾らで、本代が幾らでとか、そういうシミュレーションはしたりします。
また、家族になったときに、家族の段階ごとに、子供が生まれたときの養育費が幾らとか、先生がおっしゃったように税金とか、保険とか、そういったところもシミュレーションする時間はとってありますけれども、なかなかじっくりというわけにはいかないんですけれども、そういう時間はとってやっています。
【橋本主査】  今、この重点というか、そういう中でもこういう経済の計画ということを重視するという方向性も示されたところですので、今後、家庭科の中でどこまでできるのか、社会科あるいはほかの様々な教育課程の中で扱う重要なことではありますので、きちんとそれが学習できるようにしていくことは大事だと考えております。
大内さん。
【大内学校教育官】  ありがとうございました。先ほど、中原先生からの御指摘の中で、公共財、納税の関係もありましたので。
まず、公共財ですけれども、実は指導要領上は、扱うとすると高等学校でございますと教科は公民科になるのですが、明記はされておりません。実際にどういう部分で扱うかというと、机上のお手持ちの資料で高等学校の学習指導要領、オレンジ色で分厚いものがあるんですけれども、こちらの47ページからが公民科になります。47ページの中で特に経済社会あるいは経済活動について学習する項目があるのです。
こちらの灰色のファイルの中に、21年3月告示の高等学校学習指導要領がございます。こちらの47ページになりまして、現代社会がございます。この現代社会の中の(2)で現代社会と人間としての在り方、生き方がございまして、ここの中のエ、現代の経済社会と経済活動の在り方がございます。ここの中で、現代の経済社会の変容などに触れながら、財政、租税、金融についての理解を深めさせるところでありますとか、50ページの第3、政治経済がございまして、政治経済の中の同じく51ページの(2)現代の経済がございます。こちらのアの現代経済の仕組みと特質がありまして、ここでも同じように、財政の仕組みと働き、租税の意義と役割、こういったことについて学習をすることになっております。
ただ、公共財になりますと明記はされてないところでございまして、一方で先ほど、橋本主査からもございましたけれども、現在、高等学校に公民科に新設する必履修科目として公共を検討しておりまして、そういった中で、どのように扱っていくかが今後の議論になっていくかと思っております。
【中原委員】  今、御説明いただいたのは、必修科目じゃないですよね。公民というのは。
【大内学校教育官】  失礼いたしました。先ほど申し上げた第1の現代社会、又は第3の政治経済とあるんですが、いずれも選択必履修……。
【中原委員】  選択ですよね。
【大内学校教育官】  必履修になっておりまして、そういう意味におきましては、税に関する事柄、財政に関することについては、全ての高校生が学習するという扱いになっております。
【橋本主査】  今後は必履修という、新しい科目が。
【中原委員】  それは必修。
【橋本主査】  必履修。
【中原委員】  まだ、どんなものだと、海のものとも山のものともわからないものを議論できないので、私は、でしたら、男女共修ということで家庭科が行われているのならば、そこで納税者の意識と、そして税の使われ方に関して、それで暮らしが豊かになっていく。そして、そういう社会保障制度も含めて、将来の生活設計ができるのだということがないと、少子化だろうが何だろうがってお題目を上げても、いや、実際自分の親の姿を見たりとか、親戚の様子を見たりすると、なかなかそういうのが描けない。これだとどういうふうに私たちの暮らし考えていったらいいのか。まさに健全な健康で豊かな暮らしを送る、そして福祉を実現するという意味では、何かもう少し踏み込んでいいのかなという感じはいたしました。
【橋本主査】  ありがとうございます。
奥山委員。
【奥山委員】  少子高齢化対応という文言が入っている中で、この4-2のところで見ますと、家族の協力だとか協働とか、資料4の高校のところで生涯の生活設計に関する知識・理解と入っているわけですけれども、生活設計というライフプランのようなものに個々だけではなくて家族でイメージを持つということだとか、仕事と家庭のワークライフバランスのようなもの、そういったものも入ってこないと一人ではなかなか難しい。家族のトータルで考えていく視点が必要だ。今もお話が中原委員からありましたが、高校生でもライフプランは具体的に、保育園だとか幼稚園だとか、仕事をするためにはどういう資源を活用するのかとか、また地域にどんなものがあるのかとか、そういうのを少しシミュレーションするような授業、そういったものも今後必要になってくるのではないかと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。
内容のことについてはまた後ほど触れたいと思いますので、大体大枠として、小・中・高を並べたときに、左側と右側がいいということであれば、次へ進めさせていただきたいと思うんです。
荒井委員、お願いします。
【荒井委員】  資料の4について、まず。小・中・高で内容をより具体的なところからより社会的な視点へということで文言を整理していただいたというのは、とてもわかりやすいなと思いました。幾つか気になったところがございます。
思考力・判断力・表現力のところですが、黒丸の2つ目ですけれども、小学校、日常生活における問題。中学校が家族・家庭や地域における問題。高等学校が家族・家庭や地域社会におけるとなっておりますが、高等学校になりますと、例えば家族のところで育休制度ですとか、保育園の問題、集団保育の問題、制度の問題と踏み込んでいきます。それは第1回目のときに家庭科は生活から離れないと申し上げたんですが、生活を見ながら社会制度の問題まで見ていくところが家庭科の特色ですので、高等学校のところは地域社会ではちょっと狭くて、中学校との対応でいっても、ここは「家族・家庭や社会における」としていいのではないかと思いました。
批判的にという言葉ですが、クリティカルというのは批評という意味だと思うのですね。日本で言われているものとはちょっと違う。そうしますと、ここで批判的に検討するという文言が入っているのは、どれも一番下なんですね。中学校で見ますと自分の考えを批判的に検討するために、他者と意見交流すると書いてありまして、高等学校も自分の考えを批判的に検討する。これも大事だとは思うんですが、もう少し、先ほど申し上げたように、社会的な問題を勉強しますので、教科書を見ましても高校では様々な問題が入ってきています。そういう問題を暮らしの現状と比べて、これでいいのかというクリティカルに見ていくことも家庭科ならでは方法論だと思いますので、そのクリティカルにというところをもう少し別の面でも入れる必要があるかなと思いました。例えば、多角的に考察するというのが一番上にございます。様々な生活事象と関連付け、こういうところにも「多角的、批判的に、批評的に」という言葉を入れても、むしろ今の学習を反映できるかなと思います。
先ほどの生活文化ですが、前の時間にもグローバル社会の問題ですとか、多国籍の方が入ってきているということもありまして、生活文化を継承・創造するという言葉にして、実際には日本の我が国のことをすると思いますが、自国及び諸外国のということになるのだろうとは思うんですけれども、前も申し上げたので繰り返しは避けたいとは思うんですが、「日本の」と入れることによって狭めてしまうかなという印象はやはりございます。それは印象として申し上げたいと思います。
4-2ですが、3つのキーワード……。
【橋本主査】  荒井委員、区切っていただくと有り難いんですけれども。
【荒井委員】  わかりました。
【橋本主査】  今のは荒井委員が真ん中のところの思考力・判断力・表現力の御意見をたくさん頂いたので、参考資料の4-1をごらんいただいて、そこのところで少し先ほど事務局から説明がありましたが、このイメージ、たたき台は①は主に思考力の例、②は判断力の例、3つ目が表現力の例、そして4つ目はそういう対話的、総合的な思考・判断・表現を含んだような例ということでの例で、これがちょうど資料4の下の部分にはめ込みになるという形の構造になっておりますので、この4-1をごらんいただきながら、先ほどの荒井委員のように、ここはこうではないかとか、こういうのは家庭科の独自性から見るとこういう表現の方がよりいいのではないかということでの御意見を頂きたいのですが、いかがでしょうか。
長澤委員、お願いします。
【長澤委員】  この参考資料の4-1を拝見しますと、③と④というのは、教科を超えた汎用的な力として位置づくのかなと思うんですね。ただ、今回、カリキュラム・マネジメントが強調されていて、教科を超えて横串に入る力の育成ということが意識されているんだとすれば、やはり汎用的な力もここの教科で育成する力の中にきちんと位置づけておくべきだろうと思います。先ほど、技術に関する意見交換が終わったばかりですので記憶に新しいのですが、技術ではこういう力は入っていなかったので、私は各教科の特色を出せるんだったら出して、入れた方がいいと思っています。
そういった意味で、例えばカリキュラム・マネジメントをするときに、横串をどこだったら刺せるかということで、学校ごとにここは強調しようとか、ここは強化したいとか、ここをウエイトかけてというようにマネジメントしやすい力のつくりになっていたらいいのかなと思います。ですから、そういった意味でいうと、①と②というのは家庭科の特色が出ていますので、非常にマネジメントしやすい構成になっているのではないかと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。中林委員。
【中林委員】  4-1で感じたことでございますけれども、2番目の生活の捉えで、小・中・高、一番身近な小学校は日常生活、そして地域への広がりというところが非常に表現されていていいなと思いました。もういまや少子高齢化が非常に急速に進み、そして家庭生活というのが非常に多様化していて、生活というイメージも地域の力を借りて生活していかないとなかなか立ち行かないといいますか、一人親の御家庭の生活と保護者の多くはお母さんでしょうけれども、おうちにいて家事を主にやっているような家族構成の生活と様々あって、ひとくくりに生活といっても、創造や自分がそこの中でよりよいものを学習内容として、対象として考えていくところでも、非常に幅広いというところでいうと、中学校段階のところでは、地域における問題も広げて、それが地域の力でそれぞれの子供たちの生活を支えていくような、そんな関わりになって捉えられるんじゃないかなと。
ですから、先ほど委員がおっしゃった、高校になればもっと広がって、社会の問題として捉えるという意味では、この違いを明確にしていくところで、当然社会の中には地域が含まれますので、地域社会じゃなくても、高校段階では社会だけでもいいのかなと思いました。
以上でございます。
【橋本主査】  ありがとうございます。
3のあたりとかはいかがですか。奥山委員。
【奥山委員】  3というのは、考察したこと、構想したことを説明したりのところでしょうか。ここの科学的な根拠や理由を明確にしてのところですけれども、観察、実験・実習等が入っておりますけれども、調査データというか、データの分析のようなものも必要なのかなと思ったんですが。うまく入れられるといいのではないかと思いましたが、いかがでしょうか。
【橋本主査】  実際、教えたことのある方、ここに例示として「等」がついているけれども、家庭科ではこういう場合、何と何を取り上げるといいでしょうか。どうですか、この辺は。
私自身としては、「図表などを用いて」が出てくるのがどうなんだろうと思ったりもするのですが。
鈴木佳子委員、どうですか。
【鈴木(佳)委員】  実際には、調査の何か結果などを用いて説明をするというようなことですよね。子供たちが調べ学習とかをして、家庭の実態というか、そういうことは特に調べたりはしていますので、そういうことをもとに結果を説明したりということはありますので「調査等」ということが入ってもよろしいのではないかとは思いますが。そのときにわかりやすく調べたことを表などにまとめて、使って発表することはあるかなと思いますけれども。
【橋本主査】  家庭科の代表的な活動は、今、奥山委員からは調査というのがあるのではないかということですけれども、そうすると、ここに入れた方がいいということでしたけれども、代表的なもの、あとこんなところでいいというお考えということと「図表などを用いて」というのが何か非常に目立つような気がするんですけれども、実際、実習とかいうところも含めるとすると、この例示というのはどうなんだろうなと思ったりもするのですが、一番適切なものとして何か考えられることはほかにあるのか。何でもアイデアとして、あとは事務局で検討していただくこととして、こういうのもいいんじゃないかとか、こういう表現の方がより家庭科の独自性というか、家庭科の学習としてはよく行われている方法ではないかということがあれば。小学校などはどうですかね。
【曽我部委員】  済みません、小学校の家庭科というか、小学校の学習全体が言語活動というのがとても重視されているので、3番のわかりやすく説明したりというところでは、自分のやった実習の結果を図や表でまとめて発表する時間も家庭科の中では大切にはされています。ただ、中学校や高校のレベルがどこまでなのかというのは想像はつかないですが、小学校でもプレゼンをつくって、コンピューターで発表したりとか、それも家庭科の時間ではできています。
【橋本主査】  ありがとうございます。
ほかのところでも結構ですので。どうぞ、荒井委員。
【荒井委員】  今の3番のところですが、ずっと意味がわからないでおりまして、これは「観察、実験・実習等について」というのが「実習等において」ではないかなということを思っておりましたんですが、今の御説明で「観察したこと、実験したこと、実習等でわかったこと」という意味なんですね。少し言葉をつけ加えた方がいいかなと思いました。調査も入ってもいいと思うんですが、「観察、実験・実習、調査等の内容について」とか「結果について」とか「ついて、科学的な根拠や理由を明確にして、論理的に説明したり、発表したりできる」でよろしいのかなと。図表ではなくて、いろんな方法があると思うんですね、実際には。ですから、おっしゃったようになくてもいいかなとも思いました。
4番ですが、2つ目の丸です。自分の考えを批判的に、これも「検討するために、他者の意見を聞いたり、自分の考えを主張したり」というのがわかりづらくて、もし並列にするのでしたら、高校のように「検討したり、他者の意見を聞いたり、自分の考えを主張したり」の方がすっきりするかなと思います。もしつなげるんでしたら「するために、」の点を取りまして、「他者の意見を聞いたり、」でそこは点があってもいいと思うんですが、ここは少し整理する必要があるかなと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。
この4番のところでもいいし、全体を見て、イメージとしては、問題を見いだし、認識しというところから様々解決の方法を考えて、策を構想して判断してと一連の学習の流れを示していると思いますので、その辺からすると、この辺の育成イメージというのは入れるべきではないか。あるいは製作的なものという部分というのは実習になるのかどうなのかということはあるのかなと見せていただきましたけれども、この辺はもうそれで一つの代表的なものとして、この例示でいいのか。別なところも入れた方がいいのかということもあると思うんですが、その辺はいかがでしょうかね。何でも結構です。どうぞ。中原委員。
【中原委員】  私ごとで大変恐縮ですが、4-1の②ですけれども、問題を認識して、そして解決策を構想・判断し、計画・実践・評価すると。先ほどもPDCAのことを申し上げましたけれども、もう三、四十年前ですけれども、私の子供、アメリカで向こうの公立学校だったんですけれども、クリティカルシンキングって、先ほど荒井さん、おっしゃっていた、そういうのを小学校1年ぐらいから教えるんですね。
そのときにもう一つ面白い考え方があったのは、オポチュニティーコストという最善のやり方を見つけることも大事なんですけれども、次善の策という弾力性を持って、そのかわり、失敗したときにはこういう別の考え方があるねというのを必ず教えるんです。何か硬直した考え方じゃなくて、そういう絶えず弾力的な、今でいえばレジリエンスということになるんだろうと思いますけれども、第1位で選んだもの、その次、第2位で選んだもの、もしこれが失敗したら、次でここで救えるよという考え方を教えていくと、子供たちもというか、我々自身もそうなのかもしれないんですけれども、強じんな生活を送ることができるんではないかと。そういう部分が入るといいかなという感じがいたします。
【橋本主査】  例えばで結構ですけれども、どういうふうに入れられますかね。
【中原委員】  機会使用と言ったら経済学用語みたいな感じしてよくないんですけれども。
【橋本主査】  批判的に検討するということは、一つの考え方だけではなくて、ほかのこういう考え方も、ああいう考え方もあるということを他との意見交流などを通して得られると。それには、具体的にはそういうことも大事であるというような書き込みでいくんでしょうかね。
【中原委員】  済みません、私の言い方がまずかった。クリティカルシンキングの話とオポチュニティーコスト、全く別であります。ですから、批判的な、いわゆるクリティカルシンキングをやったときに、君が考えること以外で家族や社会がどう考えているのかというところも考えなさいよという、たしか何かそういう記述があったような感じがします。宗教色の強いところであれば、そういう考え方も社会的な判断を求めるときに使っていたような記憶があります。
全く違うのは、オポチュニティーコストという考え方を小学校のときから教えていた。だから、自分の部屋にいろんなものを入れたいと言ったときに、机を入れたらスペースがこれだけなくなるとか、じゃあ、机を我慢したら別にどんな入れ方があるんですかみたいなことを何か積み木を使って、自分の部屋の快適な過ごし方なんていうのをたしか小学校1年生か2年生ぐらいでもう教えているんですね。そのときのオポチュニティーコストという考え方が。非常に古いかもしれないんですけれども、なるほど、こういう考え方を持つと弾力的に生活できるんだなというのがありますので、そういうのを是非入れていった方がいいのかなと考えます。
【橋本主査】  長澤委員。
【長澤委員】  クリティカルシンキングに関連してですけれども、荒井先生と中原先生、御指摘のように、④に限定するのではなくて、むしろ①の思考のところに全体にかかるようにどこかに挿入した方がいいのではないかと思います。
例えば、大学で英語科の教育法の先生の研究室に行ったときに、クリティカルシンキングという小学校1年生用の小さい冊子があったので、「これ見せて」と言って見せていただいたことがあったんですね。そうしたら、その中に、「あなたは、馬は何と鳴くか知っていますか」ってありました。テレビで見たりなんかして知っているんだけれども、「あなたの耳で聞いたことがありますか」って書いてあるんです。だから、動物の鳴き声とか、ほかに海で例えばおぼれたときに服を着たまま泳いでいる絵があったら、「あなたはこれってできると思いますか」みたいな問いがありました。つまり「実際にやってみなさい」ということです。自分の目で見て、経験したこと以外信じちゃ駄目だよ、ということを1年生でやっているんですね。
ですから、自分の問題にしても、何かの文献で見ただけじゃなくて、それは本当に問題かどうか、自分の目でちゃんと調べてきなさいという行動の仕方を基本的に身につけていくためには、この①のところに入れていくべきなのかもしれないでしょうし、教科間の串刺しをするのであれば、それをむしろ一本の柱にして、外出しにするべきかもしれないと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。
荒井委員。
【荒井委員】  賛成です。クリティカルシンキングはそもそも思考力の方法論ですので、①の中でそれを入れていくことが学習の中でそれをしていくことになりますから。先ほどの中原委員がおっしゃったようなことも、家庭科の中で問題の解決策を出していくときには、必ず一つではないわけではないですよね。幾つも出していく。幾つも出していって、それを多角的に検討していく中で、オルタナティブを必ず考えさせると。その中で一番いいか、そうじゃないのかってあると思うんですが、やってみて、そして、その後もう一度推察しますから、そこでまた次が出てくるので、そういうことも入っているんですね。思考力の中に入りますので、おっしゃったように、批判的思考力、非常に重要ですし、中教審のいろいろな文言にも入っていますので、家庭科がここでできるということをきちっとうたっていくことが重要かなと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。これまでの議論でもたくさんの委員の方から生活の価値観を形成していくということが非常に重要ではないかと。正解というのではなく、自分が生涯を見通して、どういうふうに様々な情報を得ながらそこでどう考え、判断していくかというところが重要だという御指摘もたくさん頂いているので、そういう意見として受けとめたいと思います。
鈴木佳子委員、お願いします。
【鈴木(佳)委員】  また技術・家庭ということで考えたときに、先ほど、技術分野の方では計画の表現ということで製作図とか作業計画等とかが表現力ということで入っていたような気がするのですけれども、それがここで計画・実践・評価する力の②番の中に入っているのかもしれないんですけれども、考察したこと、構想したことを説明したり、発表したりする前に、何か自分なりにまとめるというか、書きあらわすというか、何かそういうことが一つ入ってもいいのかなということと、あともう一つは、今お話があったように、最後に他者と意見交流する力が何で必要なのかなと思ったときに、特にいろんな家庭があることを、自分の家庭しか知らないと結局自分の家庭の在り方しか子供たちがわからないので、いろんな状況の家庭の中にいる子で、これが当たり前みたいなことをやっていることがそのまままた同じことを繰り返すことがないように、家庭の在り方みたいなのを勉強するのが本当に家庭科しかないと思いますので、自分の考えを広げるとか、深めるとか、何か他者の多様な考えがあるんだということを知るために他者と意見交流するのかなというところがありますので、批判的に検討するためにっていう縛りをつけちゃうと限定されちゃうかなと思いましたので、その辺の表現が少しまた変えられるといいのかななんて思いました。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
それでは、ペンディングをしておいた家庭科における見方や考え方の4-2を出していただきまして、実は前回、大杉室長から私たち、宿題を頂いていたんじゃないかなと思っておりまして、それは家庭科の独自性というか、家庭科ならではの全体を貫く見方や考え方というのは何なんですかということと、領域ごとの固有のものの見方・考え方というのはどういうのなんですか、その辺をクリアに考えてみてくださいということだったと認識をしております。
その上で参考資料(委員限り)の一つの案として、こういう形で出ているわけで、ここのところは様々な御意見があるのではないかなと思っておりますけれども、いかがですか。先ほども言ってくださった部分もありますが。
なかなかぱきっと協力・協働・共生というのが家族・家庭生活のところにキーワードみたいにして載っているけれども、御議論にもありましたように、共生というのはもっと大きな全体を貫く概念ではないか。それは非常に自立と共生というのは家庭科にとって大事なもので、この上位にあるものではないかという考え方もあると思いますし、中には持続可能な社会の構築というのも衣食住の生活と一緒になって初めて意味を持ってくるところもあるでしょうし、様々な観点があるかと思うんですが、いかがですか。荒井委員。
【荒井委員】  今おっしゃったようなこと、まさにそうだと思います。協力・協働・共生、安全安心、生活文化の継承、持続可能な社会というキーワードとしてはとてもいいキーワードを出していただいていると思うのですが、それと学習領域、これは学習領域でないのかもしれませんが、ただ、もう一つ資料6を読みますと、もう学習領域としてイメージされていますので、こうなってしまいますと非常にやりにくいことになるかなと。
この3つのキーワードを家庭科として掲げながら、それでは食だったらどうするか。食の学習であっても共生の問題というのはございます。例えば孤食の問題とか、ひとりぼっちで御飯を食べているという問題とか、高齢者の食の問題といろいろありますので、衣食住入ってきますし、持続可能な社会はまさに消費生活をどこで学ぶかといったら、食品情報などでも十分できますし、各領域でやっていくことになると思います。家庭科は時間数も少ないですし、その中でこういうキーワードを大事にしながら学習を展開していくことになりますので、キーワードはいいと思うんですけれども、それを領域とつなげながらのイメージはつくらない方がいいかなと。より自由な学習展開ができる。領域横断的な、これからアプローチが、特に問題解決でやっていきますと大事になってきますので、その点、賛同いたします。
【橋本主査】  ほかにいかがですか。橘川委員、お願いします。
【橘川委員】  私もただいまの意見に賛成で、大切なこと、どうしても教えたいことは、いろんな領域の中で、特に持続可能な社会の構築なんていうのも衣食住に入りますし、教える側が自分の中で題材をつくりながら授業をしていくことを考えると、こういうふうに家族とか衣食住とか消費生活とかって分けないでも、これはいろんなところに入って指導して初めて効果が出てくるものだと思うので、分けない方が私もいいと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。
ほかの考え方、それこそ見方や考え方ですから、こういう視点というのは家庭科の独自性ではないかということで、ここでは漏れているとか、何かそういうことはないだろうか、いかがでしょうか。長澤委員、お願いします。
【長澤委員】  漏れているところというのは指摘できないんですけれども、確かに領域でくくってしまうと、例えば小学校なんかはかなり総合的に細かく題材で構成していきます。中学校はわりと内容のまとまりで区切って扱いますけれども、小学校は本当に総合的に扱っていきますので、確かにこういうふうに区切るとかえって扱いにくくなるという部分はあるんだろうと思います。
もう一つ、私はまだよくわかっていないんですけれども、例えば最終的につけたい資質・能力があって、それに向かって、小・中・高と発達段階があると思うんですが、発達段階に応じて、その見方・考え方を適用していくときに、これが協力、これが協働、これが共生というように、確かに先ほども御意見ありましたけれども、分ける必要がもしかしてないかもしれないと。小学生らしい「共生について考える」「協働的に考える」というのがあるという方向なのかなと思い始めたりしています。その辺のところはこれから整理されるんだろうと思いますけれども、今まですみ分けて考える考え方が色濃かったので、もしかしたらそういう方向なのかなと今感じています。
【橋本主査】  ありがとうございます。
中原委員。
【中原委員】  キーワードの中に是非加えていただきたいのは、共有、シェアをするというコンセプトです。小さな子供たちであれば、図書館の本を一人が1冊ずつ持たなくてもいいよと。スポーツをするときにバットにしてもラケットにしてもグローブにしても、たしか自分の子供のころには何かそういうのが学校で用意されていて、それを大切に使うということも教わった感じがあります。
何か今、全ての消費の在り方がマイグッズになって、それこそ公衆電話は消えて、みんなスマホを持って、自分がSNSで、若しくはいろんなネットワークの中で社会的な問題も起きていると。そういうときに一番大事なのは地域社会も含めて、さらに資源も含めてやるんならば、これは共有していくという一つのシェアしていくことの重要性。そういう意味もあって先ほど公共財・サービス、公共サービスの重要性を申し上げたんですけれども、是非持続可能な社会、持続可能なライフスタイルを考える場合にシェアしていくというコンセプト、共有というコンセプトを家庭科の中で高々と掲げていただければ、環境の専門家としてはうれしいなという感じがあります。
【橋本主査】  ありがとうございます。
例えば、領域ごとの固有のものの見方というのは何だろうかということも追求してほしいということでありましたので、くっきり実線になっていますけれども、この辺は少しぼやかしてというか、点線でとか、「主に」とかということも考えられるかなと思いますけれども、ここら辺はもっと詰めて、私たち、ここが根本じゃないかなと。なぜ家庭科の授業があるのかという。ほかの様々な教科でも、独自の見方や考え方も持って学ぶ。そして、それが子供の中で総合されていくということからすると、家庭科はどこをどういう特徴というか、そういう独自の見方や考え方で学習を深めることで子供たちにとっていいのかをもっとここはきちんと私たちも詰めていかなきゃならないのかなと思っております。
ただ、きょうはあとまだもう少しやらなければいけませんので。中林委員、杉山委員、きょう、まだ御発言がありませんで、お二人お願いします。
【中林委員】  そういう意味でキーワードで気になっているところが真ん中のところの健康・快適・安全という、安全というキーワードは多々出ているんですけれども、今ちまたの言葉で言いますと、安全安心といったような安心感というか、そういった安全安心という言葉がわりと一緒に使われるというところでいうと、安全って何のためにやるのかといったところでいうと、心の安心感。いろんな意味でここの衣食住の生活だけではないと思うんですけれども、いろいろな意味で安全な生活を送っていくと何が一番いいかというと、安心感が得られるところが家庭科の中では、心の安心感といいますか、安定感といいますか、そういったものも大事にしていくべき視点ではないかなというところで、もしできたら「安全安心」のような形の表記はどうかと思いまして、発言させていただきました。
【橋本主査】  ありがとうございます。
それでは、杉山委員、お願いします。
【杉山委員】  済みません。先ほど、橋本先生からお話のあった分け方の領域との兼ね合いですけれども、現行の学習指導要領の最初の教科調査官の説明のときに、必ずされていたことが家庭生活と消費に関しては、衣食住のところの座布団みたいな、要するに根底にあってという絵を描いて説明をされていたと思うんですね。家族・家庭生活と消費生活独自の内容も当然あるので横並びになる部分もあるし、真ん中の衣食住の生活に共通する部分もあるという、そこのきれいに書けないところがある意味、家庭科の特徴みたいなところがあるんじゃないかなという感じがするので。ただ、独自の部分もあるので、こういう書き方をしながら、ただここをどういうふうに私たちはそれぞれの領域を捉えているのかみたいな説明をつけるなり、何なりするとかって、書きようでもっといい書きぶりがあれば、それに越したことはないと思うんですけれども、きれいに分けようとするとすごく大変なことになるんじゃないかなという気がしました。
今ちょうど中林先生から安心安全という話があったんですけれども、安心安全に関しては、授業で扱うに当たってはすごいある意味難しくて、安全って言っているところはある程度の話はできると思うんですけれども、安心と言っているのは、その人その人の捉えようだと思うんですね。安心というのはもちろん大事ですけれども、どこまで、要するに学校の教育として、どこを手当して教えるのかと言っていることとはすみ分けないと、安全と安心が、特に食なんかそうなんですけれども、同じようにぐしゃぐしゃに扱われて、どっちを大事に、共通の認識として授業の中で扱って、あとは個別の問題として、それぞれがどう捉えるかみたいな部分があるので、言葉としてはもちろん安心は大事だと思うんですけれども、こういうものに出す場合のときに、一応「安全等」になっているので、余り細かくそこが規定できるようなものとして横並びに並ぶことは危険かなという感じも私はしますという一つの意見です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
時間も押しておりますので、次に進ませていただきます。次は家庭分野の学習プロセスの例ということでの御意見を頂きたいと思いますので、事務局から配布資料の説明をお願いいたします。
【大内学校教育官】  それでは、本日第5回の配布資料の資料5と先ほどの第4回の際の配布資料の資料2をお手元に御用意いただければと思います。第4回の配布資料につきましては、資料2の3枚目が前回ワーキンググループにおいて御議論いただきました学習プロセスのたたき台ということで示させていただいたものでございます。本日御議論いただきますのが第5回の資料5で示させていただいております、家庭科、技術・家庭(家庭分野)の学習プロセスということで、主な変更箇所を中心に御説明させていただきます。
まず初めに、学習のプロセスのサイクルといたしましては、一番上の段で生活の課題発見から家庭・地域での実践のところまでひとわたりでつながっておりましたけれども、今回の資料5の中では、一応家庭・地域での実践に関しましては、色を分けてあえて整理をさせていただいております。そこが変更箇所の1点目でございます。
また、解決方法の検討と計画に関わりまして、「生活に関わる科学的理解に基づいた解決方法を立案・検討」あるいは「解決の見通しをもち」という文言につきまして御意見を頂戴しておりましたので、こちらを反映させている。
また、実習・観察・実験・調査研究というのが前回のプロセスの中でフェーズとして示しておったんですけれども、これを「課題解決に向けた実践活動」とまとめまして、前回の資料では「実践する」となっておりましたのを「生活に関わる科学的な知識や技能・技術を活用して、調査や調理、製作、交流活動などを行う」という形での記述に変えてございます。
また、思考力・判断力・表現力等でございますけれども、前回は紫色の枠で囲われておりましたのが課題を見つける力、計画する力、実践する力、振り返り改善する力、応用し実践する力ということで示しておったんですが、それをできるだけ思考力・判断力・表現力に寄せるような作業をしまして、先ほど御議論も頂きました、本日の資料4の真ん中で示しておりますような思考力・判断力・表現力あるいは参考資料の4-1でも同じものですけれども、参考資料の4-1で示しているような思考力・判断力・表現力に少し寄せるような形での修正をしております。
あわせて、思考・判断・表現のプロセスといたしまして、前回示しておりましたものから少し思考の道筋とまで申し上げてよいかどうかというのはありますが、思考の流れという形で、自分の生活や家庭生活などと関わらせて思考・判断・表現する流れという整理をさせていただいてございます。
資料の5、学習プロセスにつきましては以上でございます。
【橋本主査】  ありがとうございます。
それでは、10分程度、意見交換をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。奥山委員、お願いします。
【奥山委員】  課題解決に向けた実践活動ですが、ここの生活に関わる科学的知識や技能・技術を活用して、の次が調査や調理、製作、交流活動というのが何となく並び的には前回のたたき台にあった並び、実習、観察、実験、調査研究という、何かこちらの方が。調査と調理がくっついているのが何となく違和感があったんですけれども、いかがでしょうか。
【橋本主査】  それは先ほどのところとの整合性みたいなのも考えたらいかがかという御意見ですか。
【奥山委員】  そうです。先ほどの4-1のところで観察、実験・実習、調査も入れてもいいのではないかという意見を出させていただきましたが、それと前回のたたき台の並びと見たときに、もう少し整合性をつけた方がよろしいのではないかと思いました。
【橋本主査】  わかりました。
ほかにいかがですか。鈴木佳子委員。
【鈴木(佳)委員】  今回、上の四角の中を見ていくと、解決方法の検討と計画に生活に関わる科学的理解に基づいた解決方法を立案・検討し、決定するとあるんですけれども、先ほどの技術のときのたたき台は、四角の中に既存の技術の理解と課題の設定という既存の技術の理解をここでするんだみたいな、既存の技術を理解した上でというのがあって、その中から課題を発見してという流れに、その中を見ただけでわかったんですけれども、家庭科の場合は、その下を見ると、解決のための情報の収集と、分析みたいなことが書いてあって、多分この解決のための情報の収集をする中でいろいろ生活に関わる科学的な理解が得られるような情報を収集していくのかなとは思うんですけれども、1個のこの中だけでそこのところが見えづらいところがあるので、何か上に解決方法の検討と計画なんですけれども、「解決のための情報収集と」とか何か知識をこの辺で得ているということ、収集しているということが上の四角の中を見ただけでも何かうまく伝わることが表現できないかと思いました。済みません、言葉がまとまらなくて。
【橋本主査】  技術の方では、知識のところがあったわけで、家庭科では思考・判断・表現だけの流れになっていますが、知識や技術の習得というのはどういうことになるのかということがあるので、その辺を入れたらいいというお考えなのかなと。ひとつ考えていただければと思います。
ほかにいかがですか。とても流れがよくわかったのと、私自身としては、家庭・地域での実践がくっきりになって、高校ではホームプロジェクトとか学校、家庭、クラブ活動としてやっておりますし、中学校もそういう課題を持ってという部分が出てきています。この辺は家庭科の特徴で長らく入ってきた部分ですし、小学校でも学んだことを生かして、やってみようという題材構成も出てきていますので、それがくっきりしたんじゃないかなと思いますが。
これは子供たちの学習プロセスの標準的な例という感じですので、実際の授業の方法として、先生が情報提供という形になるのかもしれませんけれども、講義式にここはきちっと覚えましょうという部分はこの中に組み込まれて、時間を取ってやるということで、これがイコール指導方法ではないんじゃないかなとは思っておりますが。でも、知識、技能がどういうふうに習得されていくのかを少し明示するとイメージはしやすくなるという考えもあると思いますけれども。
荒井委員。
【荒井委員】  先ほどの知識・理解をどう位置づけるかというのが確かに悩ましいところで、先生方も悩んでいるところだと思います。この中で一番関わるところで見ていきますと、先ほどおっしゃった解決のための情報の収集と分析、このあたりが関わってきますし、実践活動、計画を実際に決めて実践に入っていくとき、ここも関わってきますので、技術科で出しておられるような思考・判断・表現の下に「知識・理解」と入れまして、下のところに特に関係のあるところ、解決方法の検討と計画、実践活動の下に2つぐらいに分けて入れるというのもわかりやすいかなと思います。
先ほどの御意見で、調査、調理、製作、交流活動、並び方も含めて御意見がありましたが、これはここをどういうものとしてイメージするかということによるかと思います。実習とか観察とか、調査はここに入るかと思うんですが、そういう文言にするのか。ここの文言というのは実際にやってみる活動が入っているわけです。ですから、解決行動として入っているわけですね。子供を理解する、そのために幼稚園に出かけていって、年齢に応じた支援を行う。そのためには年齢に応じてどういう育ち方をするのかという知識も要りますし、実際にどういう遊び方をしているのかを観察して、そして、適切な遊び方を一緒にやってみるということですと交流学習になります。それは解決活動になるわけですね。実践活動に当たります。そういう言葉として、ここで入れるのかどうかという、そこの判断になるのかなと。検討事項だろうとは思いますが。
【橋本主査】  ありがとうございます。
ほかにいかがですか。中原委員。
【中原委員】  資料5の課題解決に向けた実践活動、この中で、今までお話を伺っていると、技術・家庭というのは極めてリアリティーのある教育だなという感じがするんですけれども、課題解決には2種類あるような感じがするんですね。個人の力でできる解決方法とどんなに逆立ちしてもできない解決、すなわち社会的にと言うんですかね。例えば、無駄な水を使わないで省資源、省エネの選択方法を考えると、まとめ洗いがいいねということになりますけれども、それは消費者のそういう選択として――選択というのは選び方として、まとめ洗いをした方が資源消費は少なくなりますよと。ところが洗剤の効能というか、性能というか、若しくは洗濯機の省エネ性能というのは、消費者の力じゃどうしようもできませんよね。そういう部分の個人で解決できる部分とそうでない部分、社会的な解決。そこを何か分けていかないと難しい。
分けるとどうなるのか。ここでは「家庭・地域での」と。これは地域社会ということがありますからいいんですけれども、何か中ポツじゃなくて、スラッシュなのかなという。細かい言い方かもしれませんけれども、そうやると家庭で解決できること、若しくはそれで解決できない場合は地域社会で解決できることという考え方もあっていいのかなという感じがいたしました。
【橋本主査】  そのことについては、さっき、長澤委員が今後、カリキュラム・マネジメントが非常に重要だという御発言をされましたけれども、まさにそうで、家庭科でどこまでできるか。例えばそれは企業への要望ということもあるわけですね。そうなると、それは家庭科ではなくて、例えば公民とかほかのところでそういう持続可能な社会の構築やら、そういう環境の視点やら様々なことで社会への要請ということをやっていくということなので、家庭科でどこまでということをしないと、何から何まで家庭科っていうことではなかなか行き切れない。だけれども、じゃあやりませんよではなくて、つながりというか、こういう視点、それはそういうことですねっていうところまで、社会への要請は必要ですねというところまでは家庭科でやれるところなんじゃないかなと思います。
なかなか大事なところだと思うんですけれども、私、焦っておりまして、きょうはもう一つ宿題がありますので、ここのところもまた御意見を何らかの形で反映していきたいと思います。
それでは、次のところに進ませていただきます。内容構成の方向性イメージのたたき台案についての御意見を頂きたいと思っております。まず、事務局から配布資料の説明をお願いいたします。
【大内学校教育官】  資料の6をお手元に御用意いただければと思います。家庭科、技術・家庭科(家庭分野)の内容構成の方向性イメージ(たたき台)ということでございます。技術分野のときも同じでございましたけれども、これまで御意見頂戴した関係する資料、具体的には教育の方向性のイメージでございますとか、あるいは資質・能力の育成あるいは見方・考え方、そして、ただいま御議論頂戴いたしました学習のプロセスなども踏まえまして、今現時点でまだ十分議論も尽くされていないところもございますので、少し論点整理を参考にしながら、一番下段にありますけれども、教育課程特別部会の昨年8月に出されました論点整理も踏まえながら、こういった形で方向性をまずは確認していただいてはどうかという資料でございます。
具体的に点線で囲まれているところが教育課程特別部会の論点整理で示されているところでございまして、ざっと途中から読み上げますけれども、一方で、家庭科及び家庭分野においては、生活の科学的な理解や生活課題を解決する能力、実践的な態度を育成すること、そういったことについてさらなる充実が求められると。次期改訂に向けては幼児期に育まれたいろいろな人との関わりや健康な心と体等の基礎の上に、小・中・高等学校を通じて育成すべき資質・能力を3つの柱に沿って明確化し、各学校段階を通じて、家庭や社会とのつながりを重視するとともに少子高齢社会、資源や環境に配慮したライフスタイルの確立、持続可能な社会づくりのための力や他者と共生、自立して生活する力、生涯を見通して生活を設計し創造していく力、こういった力の育成などを図っていくことが求められるということで、資質・能力の3本柱に沿った整理のことでございますとか、あるいはイメージなど、これも御議論いただきました。あるいはただいま、見方・考え方でも御議論いただきましたが、少子高齢社会への対応でありますとか、ライフスタイルの確立、持続可能な社会づくり、そういった点も踏まえまして、上の方に参りますけれども、大きく2軸で整理をしたものでございます。
1つが社会の変化への対応ということで、今の論点整理の中で示されておるようなものも踏まえまして、少子高齢社会の視点でありましたら、例えば家族・家庭を築く重要性でございますとか、子育て理解、高齢者理解という面。健康・快適・安全な生活、先ほど、見方・考え方にも出てまいりましたが、食育の推進あるいは地域コミュニティづくりという視点。持続可能な社会の構築でございますと、消費生活・環境への配慮、金銭管理という点。グローバル化につきましては、大きく全体として今の社会変化への対応の観点から、これも先ほど来、御意見頂戴しました日本の生活文化の理解、継承・創造という視点が社会の変化への対応ということで考えられる要素ではないかということで整理をしております。
また、他者と共生し自立した生活、生涯を見通した生活、そういったものを創造していく力が論点整理の中で示されておりまして、これらも踏まえまして、先ほど来、御議論も頂いております時間軸あるいは各ライフステージにおける課題を整理していきながら、具体的な内容としてどういったものを考えていくべきかという大きく2つの軸で少し構成を考えていってはどうかということにつきまして、御意見、御議論等を頂ければと思っております。小・中・高等学校の段階に応じて、それぞれいろいろな形での資質・能力の整理等も行ってまいりましたので、そういった資料も参考にしながら御意見を頂戴できればと思っております。
以上でございます。
【橋本主査】  ありがとうございます。
これからこの方向性のイメージのところを20分ぐらいかけて、皆さんと意見交換をしたいと思いますが、それぞれ委員の専門分野もおありでしょうから、そういう御専門のところで今、御説明があったような、もう少し先の学習指導要領の内容にも関わってくるところだと思いますので、少し詳しく、こういう学校段階ではこういうところを重視したらいいのではないかとか、あるいはこれまでの議論の中でアクティブラーニングを充実させるためにはもっと大綱化していった方がいいんではないか。そうすると、この学校段階では、こういうところを少し焦点化して、ゆとりをもって学ぶことの方に意義があるのではないかというふうな様々な観点があると思うんですが、社会参画と言っているけれども、こういうところまでは家庭科で扱うことができるのではないかという観点もあると思いますが、そういうことについて、20分ほど、御議論いただければと思いますので、それぞれの専門等のところからよろしくお願いしたいと思います。
中原委員は立てておいでですけれども、それはよろしいですか。それでは、橘川委員。
【橘川委員】  児童期から高齢期の矢印があるところですが、生活の自立を図って、次世代を育んで、高齢期を支えるところ終わっているんですが、是非高齢期の下に「高齢期を豊かに生きる」という、生涯を見通した生活というのは、自らが高齢期になったときにどういう生き方になるか。食生活にしても生きがいにしても家庭経済にしても、高齢期のことは若いころからつながっていることだと思いますし、今回、少子高齢社会というのは非常に大きなキーワードにもなっておりますので、何か高齢期の下のところをどちらかというと明るい、目指す高齢期の言葉が入るといいのではないかと思っています。
【橋本主査】  ありがとうございます。
どんどん出していただければ。先ほど、奥山委員には大変失礼をいたしましたので、ここのところで是非お願いいたします。少しまとめられますか。
杉山委員、御専門のところで見て、この食育とかもありますが、いかがですか。
【杉山委員】  よろしいですか。衣食住、生活の中でも食育の推進ということは、今回も現行のところでも食育の推進に絡んで食だけが別立てを領域としていただいているんですけれども、食育の推進に関しては、とりわけ小学校ではかなりいろんな面で、学校全体を挙げて推進されているところでもあるので、5、6年生で家庭科で初めて食をやるということではなく、低学年、中学年でも少し食への理解が昔に比べると進んできたのかなと思います。
そことのつながりも含めて、現行の学習指導要領にも書かれていますけれども、家庭科が果たす役割ということを明確にして、とりわけ調理実習みたいなことは、ほかのところではきちっとした基礎的な技術とか知識の上で取り扱うことは難しいですので、そこが実践にもつながりますし、あと農林水産省が食育の推進に関する調査報告書を去年の3月ぐらいに出していますけれども、調理をすることができない、食事を準備する能力が重要であるという報告もされていますので、義務教育段階である程度のことの技能、技術を身につけることが大切だと考えるので、ここの食育の推進は、家庭科としてはしっかりやれる形になるといいかなと思います。
ただ、現実的には、子供たちの生活経験が下がっているので、実際の現場を見ているととても危険な状態で調理実習が行われていたりするので、できれば、本当は調理実習にどなたかが、一人の先生がやるのではなくて、TTみたいな形で入るだとか、若しくはクラスを半分に分けて、少人数でやることのできるような環境みたいな。実習を増やせというのは恐らく難しいことでしょうから、そういう、いろんな今の子供たちの現状に合わせた形での調理実習の工夫みたいなことをしていかないと、なかなか実を挙げることはできないのかなと思っています。
【橋本主査】  ありがとうございます。実際、調理というのは非常に複雑な内容があって、もちろん、例えば包丁を使って、切り方を考えて切るというような面もあるし、計量という面もあるでしょうし、様々な手法というか方法をどういう手順でやったらうまくできるかというのも考えるでしょうし、簡単に実習と言いますけれども、非常に学習としてはかなりの内容があるんじゃないかなとは感じております。
ほか、いかがですか。それぞれ御専門というようなところ、あるいは。中原委員、お願いします。
【中原委員】  食育のお話で教えていただければと。食品残さの問題というのは非常に今大きな問題になっているんですけれども、食育の中で食品残さの扱いというのはどうなっているのか。その中で例えば今、3分の1ルールの問題が出てきて、例のCoCo壱番の問題や横流しをするような形になっています。それは果たして、その3分の1ルールみたいなもの、当然教えられるんだろうと思いますけれども、先ほどの安全安心じゃないんですけれども、じゃあ2分の1ルールになったら、いわゆる賞味期限と消費期限でもって、消費期限過ぎても大丈夫なのかどうか。本当に安心して消費者が勝手にそういう食品を購入できるのかどうなのか。した方がいいのかどうなのか。そういう問題も含めて、食育という領域の中で、どういうふうに家庭科の中で教えていくのかを説明していただければ、教えていただきたいんですけれども。
【杉山委員】  日付表示の扱いに関しては難しいことなので。基本、何か基準を示さないといけないということで基準があって、その基準をどこまで厳密にする必要があるかという。基準をつくった上には、そこを超えてオーケー、大丈夫ということは多分責任の問題上できないんだと思うので、そのことについてはちょっとあれなんですけれども。
残さの話は、残さが出た後、その後どうなっているかという話よりも、今、小学校の食育の中では、食を大切にする、自分たちが食べているものに対するそれがどこから来ているものかだとか、要するに命を食べているということだとか、それは誰がつくって、生産されたものをそのまま私たちは食べているわけでは通常はありませんので、それを生産してくれている人は誰かだとか、調理をしてくれている人は誰かだとか、そういう関わりの中で私たちは食べるということができているということを通して、大事に食べる、食材を例えば購入して、賞味期限切れで捨ててしまうという食品ロスの問題は一時すごく言われましたけれども、それも食べるものに対する思いだとか、考え方、その食糧資源としての考え方みたいなところに立ち返って、基本は大事に食べる。
無駄のないように食べるための、食べることができるような食への思いみたいなことを特に小学校では、少なくとも今は多分あえて5年生の家庭科に来る前の段階で、そういう食に関する指導のところの、項目でいうと多分食への関心だとか感謝の気持ちみたいなところの項目があるんですけれども、そういうところを通して、今まではどちらかというと健康みたいなことがすごく強く出ていたんですけれども、そういうことだけじゃなくて、自分たちが食べているものの有り難さみたいなことも含めて、そこが一つは無駄にしないということにつながる。
そこから先の無駄になったものがどうなっていくかみたいな話は、恐らく社会の中の問題として、中学校か、若しくは高校で扱うことになるのかなと思うんですけれども、まずは自分たちがそういう無駄を出さないようにするということが根本だと思うので、そこが食育では、実際に小学校の中では扱われているんじゃないかと思います。
【中原委員】  ということは、食育というのは小学生向きということですか。
【杉山委員】  いえいえ。
【中原委員】  高校課程での、高校生になってもやるわけでしょう。
【杉山委員】  食を扱う内容は、ほぼ全て食育みたいな扱いに今なっていますので、国が示しているものでも小学校の1年生から中学校の3年生まで6つの領域で、どういう段階で発達段階に応じて、どういうものを扱うといいかという例示も出ていますので。今、小学校がわりとやりやすくて、いろんな教科を超えて食育って、ほとんど学校が給食をしていることもあるので、小学校で扱われていることが多いんですけれども、でも中学校でも高校でもやっていますので、段階に応じて、どういう扱いをするかということは、家庭科の内容と同じですけれども、スパイラルに中身が少しずつ高度になっていっているというのが現状だと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。
今、高校の話が出ましたので、橘川委員、高校で食育を今後こういうことを充実していったらいいとか、そういう何か御意見はありますか。
【橘川委員】  高校では、自分の食生活だけでなくて、家族の食生活ということも扱っていますけれども、流通のこととか輸入食品のこととか、あと食糧自給率、今、先生がおっしゃっていた外食のこととか、そういったことも扱っています。そういう意味では、幅広く考え、自分と家族だけでなくて、食を取り巻く環境そのものを考える時間はあります。それをどう徹底させるかということは課題だと思います。
【中原委員】  TPPが具体的に決まったわけですから、農産物がいろんな形で入ってきたときに、どうそれを判断していくのかなというのを入れ込んでおかないと、これからの家庭科教育のカリキュラムをつくるわけですよね。ちゃんと青写真ができているんであれば、それを入れ込むような内容が必要だろうと思いましたので、先ほどの質問をした次第です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
ほかの分野、いかがですか。荒井委員、お願いします。家族・家庭でしょうか。
【荒井委員】  済みません、分野ではないんですが、よろしいですか。資料6ですけれども、私、これよくわかりません。理解が難しい資料だなと見ております。まず、上の段は少子高齢社会、健康・快適・安全な生活、持続可能な社会の構築、グローバル化という4つのキーワードなんでしょうか、出ておりますんですが、それが先ほどの4-2の資料の上の3つとどう関係あるのかなということがわかりにくいということと丸に入っているものが、これが何を意味するのか。ざっくりと学習内容のイメージなのか、どうなんでしょうか。キャッチフレーズといいますか、それを入れてあるものなのか。
これが内容構成の方向性イメージのたたき台なものですから、これでどういう方向性を見たらいいのかというのがわかりにくいということと、その下の他者と共生し自立した生活、生涯を見通した生活で、一生涯、児童期から高齢期までがありまして、その下に各ライフステージの課題が入っております。その下に教科の指導内容と入っていまして、家庭科がこの児童期から高齢期までの課題に対応した内容を入っているということを示してあるとは思うのですが、これが内容構成の方向性ということでいうと、ここから何を見ていったらいいのかなというのがわかりにくいなと思いました。
下の論点整理でいいますと、少子高齢社会とか資源や環境に配慮したライフスタイルの確立あるいは持続可能な社会づくりのための力、他者と共生し自立して生活する力、生涯を見通して生活を設計し創造していく力、これは先ほどの技術科で話し合ったものでいえば、目指す資質・能力等でざっくりこのあたりを目指せるのかなと思いますし、それは先ほどの4-2に書いてある協力・協働・共生とか、この3つにも何か少し対応していて、こういうものをこういう形で整理をしていきながら、横の内容のところは、技術科はABCDになっておりますが、ここに内容を入れていって、先ほどの3つのものと対応をかなり自由に連絡といいますか、関係づくりができるというイメージ図もつくれるのかなということを思いました。この先の話になりますが、もう一つ、これだけですとわかりにくいものですから、もう少し検討が必要かなと思います。
【橋本主査】  ありがとうございます。きょうはもう時間も限られておりますので、このままたたき台は、社会の変化への対応というところでも抜き出して、この6つの丸ができているので、決して、衣とか住をやらないというわけではなく、新しく変化への対応ということであれば、どういうところを充実すべきなのかということの御議論を頂きたいということなのかなと感じておりました。確かに全体的な資料の関連性、整合性をとっていかないといけないということで、また様々御意見を頂けたらと思いますが、奥山委員、済みません、さっきから途中になってしまって、御意見として、子育て理解とかそういうところに関して、さっきおっしゃった続きを伺いたいんですが。
【奥山委員】  私は幼稚園、保育園等に行く前の親子の交流の場を運営している中間支援の代表をしております。横浜の調査では、赤ちゃんが生まれる前に赤ちゃんの世話をした経験というのを聞くと、75%が「ありません」と答えました。つまり、初めて産んだ赤ちゃんが初めてお世話をする赤ちゃんであり、24時間待ったなしの子育てに突入いたします。
皆さん、今、女性の第一子出産年齢が30歳を超えています。そうなりますと学校を卒業してから仕事をしている間、小さい子とは一切関わることなく、いきなり赤ちゃんがやってくるという状態なんですね。そうなりますと、食事をつくるのも大変な上に、夫婦生活、しっかり家庭生活を築くのと同時にまた赤ちゃんがやってくるという中で、非常にとまどいながら子育てをしているのが現状になっております。
だからこそ、高校生や大学生で乳幼児との関わりは非常に重要です。次世代育成という観点からも重要ですし、地域の人との関わりが多かった学生さんは子育てに対してのイメージがいいということで、ここに書いてあるとおりです。地域との関係性なくしては、今、核家族の子育てというのは非常に厳しい状況にあります。ですので、今回、少子高齢化社会を見据えて、家庭科にそういった将来を見通したものが入ってくるというのは非常に重要だと思っております。
もう一つ、住まい方のところも単身世帯が今、一番多いわけですよね。一人暮らしの方が日本で一番多いわけですけれども、高齢の方々、今どんどん高齢者のための施設に入ってきているというところで、大きく住まい方の部分も変わってきているところだと思いますので、その動きを後追いにならずに、こういった教科の中でしっかりと子供たちに伝えていくというのは非常に重要だと思っております。
ありがとうございます。お時間頂きまして。
【橋本主査】  ありがとうございます。
もう時間もなくなってまいりましたけれども、長澤委員、今ちょうど住とか、この前の全体的な学習内容の整理ということもありましたので、是非御発言を頂きたいと思うんですが。
【長澤委員】  この資料でいいますと、さきほど荒井委員から資料の意味がよくわからないという御意見がありましたけれども、わかりにくい資料かなと思いました。特に教科の指導内容というのが各ライフステージに対応して、こういうことを学んでいくんだという意味でいうと、高齢者の理解というのは子供もしなきゃいけないし、みんな各世代が理解を持っていかないと対応できないんじゃないかなと思います。みんなで支えていくということからいうと、地域等との連携交流ももっと前から入っていくし、どういうふうにライフステージとの対応で指導内容を位置づけているのかよく理解できないので、わかりにくい資料ではないかなと思っています。
例えば、私はもともと住居専門ですけれども、住居でいうと、地域のコミュニティづくりというのは直接的に関係する内容だと思います。これでもいいんですけれども、多分食育の推進ともかぶってくるんだと思います。「自然との共生」とか、さきほど中原委員がおっしゃった「分かち合い」とか、何かその辺のところが入っての地域コミュニティづくりかなと思います。もっと大きく考えると持続可能な方に入るかもしれないですけれども、自然との共生を考え方として入れるんだったら、(例えば防災などに)かなり学習内容を縛る考え方として入ってもいいような気はしています。あと「分かち合い」は入ってもいいと思います。シェアハウスなんかもかなり普及してきているので。
そういうことで新しい学習内容に入れたいものとして社会の変化への対応をまとめていくんであれば、もう少しわかりやすく示さないと、従来のものとして充実させていきたいものと新しく入れたいものというのが見えない感じがするので、整理していただければいいと思います。
【橋本主査】  重要な御指摘いただいたと思います。
時間がもう押しておりましたので、本日のところは、是非きょう、今話しておかなければならないという。きょう御発言、大体はしていただいた。曽我部先生も余りきょうはあれだったと思いますが、いかがですか。
【曽我部委員】  資料6を見て、少子高齢社会として小学校は1年生から地域の高齢者と触れ合う体験をしていたり、縦割り班活動で、異年齢の子供たちと遊んだり、挨拶運動に取組んだり、幼保連携として、幼児が学校に来て、子供たちと遊ぶということも行ったりしています。
また、健康・快適・安全な生活では、食育の推進として1年生から、生活科の学習に取り入れ、学校農園で子供たちが育てたものを保護者等の支援を得ながら、収穫祭として簡単に調理や発表会をして、保護者や地域の高齢者等を招待して活動しています。次の地域コミュニティといえば安全安心のために防犯パトロールの方にお世話になっていますが、地域のコミュニティの中で生きていることを実感させるためにも、6年生では家庭科の学習内容ABCDで学んだことを生かしてお礼の会をしたり、作った作品をプレゼントしたりしています。
持続可能な社会の構築として、消費生活とか環境への配慮とか金銭管理を、家庭科で学習し、その他にも法教育も中原委員から出た税教育も小学校の高学年で取り組み、税金の使われ方や税金がなかったら日々の生活はどうなるか等を学習しています。また、家庭科では家計管理は必ず学習します。毎月の収入に対して、生活費に多くのお金がかかっていて余るお金は僅かであることに気付かせ、お金には限りがあることを具体的に子供たちは考え、学んでいます。
さらにグローバル化として、生活文化の理解や継承も伝統・文化もとても大切にして、地域の方から学んでいます。地域に伝わる食文化を子供たちは様々体験しています。資料6の「社会の変化への対応」の内容に対しては、1年生から小学校では教育活動として取り組み、5,6年で家庭科の学習を通して、より確かな力として子供たちに定着させています。
また、表の「他者と共生し自立した生活、生涯を見通した生活」ができる力を育成していくというのが家庭科を貫く全体的な力なのかなと思いました。この表は小学校の教育活動全体を通して理解することが出来ました。
【橋本主査】  ありがとうございます。
それでは、時間切れになってしまって、司会の不手際で申し訳ございませんが、頂いた意見につきましては、事務局の方で整理をお願いいたします。
教育課程部会では、特別支援教育、情報に関わる資質・能力、健康・安全等に関わる資質・能力など、各教科等にも関わる議論がされておりますので、その状況につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。お時間ももう迫ってまいりましたので、資料の7、簡単に御説明をさせていただきます。
お手元、資料の7に特別支援教育、情報に関わる資質・能力、健康・安全等に関わる資質・能力に関する議論についてということで、全ての教科等において御議論いただきたい内容を総則・評価部会で御議論いただき、その内容をお伝えさせていただくものでございます。
特別支援教育につきましては、1ページ目をおめくりいただきますと、特別支援教育部会におきまして、各教科の目標も実現する上で考えられる困難さに配慮するために必要な支援の改善・充実ということも含めた御議論を頂いたところでございます。それを踏まえまして、2ページ目以降が各教科においても御配慮いただきたい事項でございますけれども、①は後ほどまた詳しく御説明いたします。
②は通級による指導あるいは特別支援学級の意義やその扱いということでございますけれども、現行の学習指導要領では、指導要領だけを見たのではなかなか制度の全体像がつかみにくいという状況でございますので、3ページ目にございますように、その全体像をしっかりと学習指導要領に位置づけていくということ。また、合理的配慮をということがこの4月の障害者差別解消法の施行に伴い、教育現場においても求められますので、こういった考え方あるいは配慮の提供について、しっかりと記載していくということ。
また、特別支援教育コーディネーターを中心とした校内体制の確立、あるいは5ページ目にございますような共生社会の形成に向けた障害者理解の促進、交流及び共同学習の一層の充実ということに関しまして、しっかりと総則に位置づけていくということでございます。
各教科につきましては、18ページ目にございますけれども、これまで総則で全体的な考え方を示しまして、障害別の配慮の例ということを解説で示していたところでございますけれども、18ページ目、上にございますように、インクルーシブ教育システムの構築といった観点からは、総則に加え、各教科と別に障害別の配慮のみならず、学習の過程で考えられる困難さごとに示していくということでございます。
具体的には、19ページ目以降に小学校の例ということで載せさせていただいておりますけれども、家庭科の例が20ページ目の下にございます。赤字にございますような学習上の困難さがある場合に、緑字のような配慮の意図を持って手立てを青字のように講じていくということでございます。少し色が20ページ目、変わっておりますけれども、真ん中の青字の部分が配慮の意図で、最後の部分が具体的な手立てということで、これを今後、中学校、高校についても同様に整理をしていこうという方向性でございます。
続きまして、21ページ目のあと、また1ページ目から振り直されておりますけれども、情報に関わる資質・能力につきましては、2ページ目にございますようなICT活用の特性・強みを本日も御議論いただきましたような各教科ごとの学習プロセスの中でどのように広角的に出していくかということでございます。
4ページ目に少し汎用的な例として情報ワーキングで整理を頂いておりますけれども、これも踏まえまして、各教科ごとのICT活用の効果的な在り方ということを今後、御整理を頂きたいと考えております。
また、5ページ目以降ございますように、情報活用能力、これは単なるICT活用ということだけではなくて、情報や情報技術を問題解決等にしっかりと活用していく力でございますけれども、これを5ページ目のように論点整理の3つの柱に沿って整理をし直していただいております。
7ページ目にございますような発達の段階に即して育成していくということ。特に中学校では、本日も御議論いただきましたように、プログラミングの充実ということで、中核的な役割を果たしていただくということ。高校におきましては、共通必履修科目を新たに設けることになっておりますので、その科目が中心的な役割を果たしていくということでございます。
各教科におきましては、8ページ目にございますように、全体の方向性のもと、各教科ごとの情報活用能力の充実を図っていただきたいということ。家庭、技術・家庭については10ページ目に具体的に書かせていただいておりますけれども、現在、御議論いただいている内容と方向性は沿ったものでございますけれども、こういったことを教科横断的な視点も持ちつつ充実をお願いしたいということでございます。
続きまして、健康・安全に関する資料でございますけれども、これはおめくりいただきまして、46ページ目の後からまた1ページ目と振り直されているものでございます。健康・安全に関しまして、これも教科横断的に図っていく必要がございますけれども、安全に関しましては、4ページ目、上にございますような資質・能力、これも3つの柱に沿って整理をし直していただいております。これもカリキュラム・マネジメントということで、5ページ目の下のような各教科の役割分担と総合的な視点のもとに育んでいく必要があるということ。
本日も御議論いただきました食育、これにつきましても、資質・能力を8ページ目の上のように整理させていただいておりますけれども、9ページ目の上にございますような食育に関するカリキュラム・マネジメント、こういったものをしっかりと確立して、教科横断的な視点ということを持っていく必要があるということでございます。
また、保健に関しましては、11ページ目の上に資質・能力の整理がございまして、これも12ページ目の上にございますようなカリキュラム・マネジメントの視点ということで、現在、各教科で御議論いただいている内容をこういった視点でしっかりと総則でもつないでいく必要があるということでございます。
以上でございます。
【橋本主査】  ありがとうございました。
それでは、時間も参りましたので、本日はここまでとしたいと思います。本日お出しいただきました意見につきましては、事務局で整理をお願いいたします。なお、限られた時間でしたので、更に御意見やお気づきの点などがありましたら、ペーパーで事務局にお送りいただければと思います。
予定されております議題はここまででございます。最後に、次回以降の日程などにつきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【大内学校教育官】  長時間にわたり、ありがとうございました。次回以降の日程につきましては、先ほど申し上げましたとおり、追って調整の上、御案内させていただきます。また御意見につきましては、引き続きメール等でお寄せいただければと思っております。
以上でございます。
【橋本主査】  それでは、これで第5回を終了させていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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