教育課程部会 家庭、技術・家庭ワーキンググループ(第4回) 議事録

1.日時

平成28年2月17日(水曜日)13時00分~15時15分

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 家庭、技術・家庭の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【橋本主査】  定刻まで何秒かありますけれども、中林委員が少し遅れてということですので、予定されている委員の方がそろいましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会家庭、技術・家庭ワーキンググループの第4回を開催いたします。
本日は、お忙しい中御参集いただきまして、ありがとうございます。今、中原委員がお見えでしたので、ちょっとお待ちください。
それでは、最初に、事務局から配布資料について御確認をお願いいたします。
【大内学校教育官】  失礼いたします。配布資料の確認をさせていただきます。
本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料10、それから参考資料1から3、その他机上に、参考となる資料を配布させていただいております。また、机上にタブレット端末の方を御用意させていただいておりますけれども、関連する資料、データ等を入れてございますので、詳細につきましては、次第の裏面の方に目次が掲載されておりますので、こちらをごらんいただければと思います。
資料につきまして不足等ありましたら、事務局にお申し付けください。
【橋本主査】  それでは、議事に入ります。
本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
本日は、第4回、第5回と続けて開催することとし、第4回においては、技術分野、家庭分野に共通する内容のところをやりまして、そしてその後、技術分野について御協議を頂く、そして休憩を挟んで、第5回に家庭分野という流れで進めてまいりたいと考えております。
そこで、第4回ということですので、家庭科、技術・家庭科における教育のイメージについて御意見を頂きまして、技術・家庭課(技術分野)で育成すべき資質・能力等、技術分野中心にというふうに進めてまいります。
議事の流れとしましては、議論の内容ごとに事務局から資料に基づいて説明を頂いた後、御意見を伺いたいと思います。
それでは、まず初めに、家庭科、技術・家庭科における教育のイメージにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。
【大内学校教育官】  失礼をいたします。お手元に資料5、6を御用意いただければと思います。資料5、6につきましては、技術分野、それから技術・家庭科(家庭分野)における教育のイメージというもので、こちらは前回の資料で御意見を頂戴したものを、修正を行ったものでございます。前回の資料につきましては、技術分野に関わりましては資料3、それから技術・家庭科(家庭分野)につきましては資料2の方でございます。
こちら、まず技術分野の方から先に御説明させていただければと思いますが、資料3と、それから資料5になります。資料3につきましては1枚おめくりいただきまして、前回12月15日に開催されました際に、技術分野における教育のイメージということで、資料を配らせていただいておりました。こちらからの変更箇所として、本日御議論いただきます資料5を中心に御説明させていただきます。
初めに、技術分野につきましては資料5の方でございますけれども、中学校が真ん中の方にございますが、中学校の中で1つ目の丸のところで、前回の会議におきまして、「材料、加工、エネルギー変換、生物育成、情報」というような内容が規定されておったわけですけれども、これを「主な技術」という形で丸めさせていただいております。
あわせて、前回会議の際に2つ目、3つ目の丸のところで、具体的に「技術を創造できる力」、それから「技術を評価・活用できる力」という形で、2つに分けて示させていただいておりました。
これらを本日の資料5におきましては、「技術を用いてよりより生活を工夫し創造できるよう、技術分野固有の見方や考え方」、こちらにつきましても前回ちょっと御意見を頂戴しておったところなんですが、「技術分野固有の見方や考え方を踏まえ、技術を選択、管理・運用したり、自分なりの新しい考え方やとらえ方によって改良、統合したりできる能力を育成する」というような形で、前回頂いておりました「技術を創造できる力」、「技術を評価・活用できる力」、いわゆるガバナンス、イノベーションに関わる部分の用語の整理が必要なんではないかという御意見を頂きまして、それを現案、資料5の2つ目の丸のような形で整理をさせていただいております。
なお、「技術分野固有の見方・考え方」につきましても、前回御議論を頂戴いたしまして、それを踏まえまして、2つ目の丸の括弧の中のところの記述になりますが、技術分野固有の見方や考え方として、「技術の特性に着目し、倫理観をもち、安全性、社会からの要求、環境負荷、費用等の面からの見方・考え方」、こういった見方、考え方をしていくことが、技術固有のものではないかということで整理をさせていただいて、2つ目の丸の文章のような形で統合し、示させていただいております。
また、3つ目の丸でございますけれども、前回会議資料の4つ目の丸に当たるところでございますが、こちらについては、前回の会議資料の際には、「安心・安全な生活を実現し、よりよい社会を構築する」というところの表現が少し分かりにくいという御意見を頂戴しておりましたので、こちらを本日の資料5の上から3つ目の丸のように、「持続可能な社会を構築するために」というような形で整理をいたしました。
また、その後の文章でございますけれども、「適切かつ誠実に技術を用いてよりよい生活を工夫し創造していこうとする態度を育成する」ということで、先ほどの2つ目の丸にもございましたけれども、「生活を工夫し創造する」といったような、技術に関わって、少し生活に寄せた形での表現の修正を行ってございます。
それから、新しい方の上から4つ目の丸でございますけれども、前回の会議資料で言うと上から5つ目の丸に当たるところですが、今のような生活に寄せた形での修正に伴いまして、冒頭、本日御議論いただく資料5の上から4つ目の丸のところにつきましては、「生活における問題について課題を設定し」、先ほど申し上げました「技術分野固有の見方や考え方」、これを踏まえて、「解決方策が最適なものとなるよう設計・計画し、製作・制作・育成を行うとともに、解決結果・解決過程を評価する学習活動の充実」の視点を掲載してございます。
また、最後5つ目でございますけれども、若干文言の修正等を行っておりまして、特に5つ目の丸というのは、現代的な課題への対応の視点から整理をしたところでございますけれども、例えば、前回「職業への関心」というところが少し分かりにくいということでございましたので、今回の資料5の上から5つ目の丸につきましては、「技術革新及びそれを担う職業分野への関心」でありますとか、「生産などの経済的主体等として求められる勤労観」という表現を加えてございます。
また、倫理観のところについての記述が分かりにくいという御意見も頂いておりましたので、2段目になりますけれども、「使用者の安全に配慮して設計・製作したりするなどの倫理観等の育成に努める」というような形での文言の修正を図ったところでございます。
また、中学校以外の更新につきまして、現在、高等学校において職業に関するワーキンググループというのも並行で実施されておりますので、そちらに関わっての文言修正が、高等学校の中の職業に関する各教科・科目の表現につきまして、今現在の職業に関するワーキンググループの検討状況を踏まえた形での加筆、修正を行っております。
技術分野につきましては以上でございます。
次に、家庭科(家庭分野)でございます。本日御議論いただく資料としては、資料6が修正版でございます。また前回の会議資料といたしましては、資料2の方を1枚おめくりいただきまして、教育のイメージ(たたき台)というのがございます。こちらの資料を見ながら御説明させていただければと思います。
家庭分野につきましては、まず小学校の段階、下の真ん中下段の方でございますけれども、小学校(高学年)における修正箇所から御説明させていただきます。
本日御議論いただく資料6の方でございますけれども、前回の会議資料では1つ目の丸のところで、「日本の生活文化についての理解を深める」というのが後段にございました。こちらにつきましては、生活文化の取扱いについて理解を深めるということでよいかどうかという御議論も頂戴しておりましたので、一番下の丸、本日の資料6の中の5つ目の丸、「少子高齢社会に対応する力」等の現代的な諸課題の対応の観点からの記述箇所の中に、一番最後のところでございますけれども、「日本の生活文化の大切さに気付くための学習活動の充実」という形で、記述箇所の変更を行っております。
次に、その上の段の中学校でございますけれども、中学校につきましては、今の小学校と同じように生活文化の取扱いを5つ目の丸の方に移し、「日本の生活文化を継承する力等を育成する学習活動を充実する」という形での表現に修正をしております。
また、本日御議論いただく資料の中学校の上から2つ目の丸でございますけれども、後段の方に、「生活を工夫し創造する能力」という形で、従来の「生活をよりよくしようと工夫する能力」という表現についての修正を図ってございます。
また、中学校の一番下の丸、上から5つ目の丸でございますけれども、「少子高齢社会に対応する力」ということで、従前「子育て理解、高齢者理解」という表現で記載をさせていただいておりましたが、高等学校と同じような表現で、同じような要素で学習するような誤解を与えるのではないかという御指摘も踏まえまして、今回の資料におきましては、「家庭の機能や幼児理解、高齢者との交流」という形での表現の修正を図っております。
最後に高等学校でございますけれども、一番上の欄でございまして、1つは、上から2つ目の丸のところで、「生涯を見通した」というような形で、高等学校段階における生活課題の捉え方の部分に加筆をしてございます。
また、上から5つ目の丸のところでございますけれども、前回御議論いただいた際の資料の中に、高齢者に関わっての表現のところに、やや適切さを欠くのではないかという御意見を頂戴しておりましたので、今回、高等学校段階の5つ目の丸のところの表現の修正をさせていただいております。
また、他校種につきましては、小学校5、6学年の家庭科の設置に関わって、中学年に関する記載の充実ということの御指摘を受けておりましたので、今回御議論いただく資料6につきましては、小学校段階で3つ目の丸のところで、「日常の生活や学習への適応及び健康・安全」の視点からの記述というのを加筆しております。
最後に、家庭科の本日御議論いただきます資料6の右側の欄でございますけれども、こちらにおいて、時間軸と空間軸を技術のような形で整理したらどうかという御意見を頂戴しておりましたので、空間軸として、小学校から上がるに従って、家庭、地域、社会、あるいは時間軸として、現在の生活、それからこれからの生活、更に生涯を見通した生活という形での修正を図らせていただいたという形でございます。
今御紹介させていただいたものは、前回頂いた意見の中の主なものでございます。前回意見につきましては、資料1の方になりますけれども、こちらの技術分野につきましては、16ページからがその際に頂戴した意見でございます。また、同じく資料1の4ページから7ページまでが、家庭分野について頂戴した意見でございます。こちらの方も御参考になさっていただければと思います。
説明につきましては以上です。
【橋本主査】  ありがとうございました。
それでは、家庭科、技術・家庭科における教育のイメージにつきまして、これから30分程度の時間で意見交換を行いたいと思います。特に分野で区切りませんので、技術分野、家庭分野、あるいは両方にまたがる御意見も頂ければと思います。
御意見のある方は、あらかじめこの名札を立てていただきますと、私の方で指名をさせていただきます。また、発言が終わりましたら、元に戻していただきますようお願いいたします。
主な変更点ということ、それから家庭分野と技術分野両方見比べてということで、是非様々な観点から御意見を頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
例えば前回、家庭分野の方で御意見として、中学校のところで、幼児と言うけれども、むしろ広げた方がいいのではないかという御意見もありましたけれども、実際地域の方々の御協力でいろいろ学習活動を展開するということはあるのですが、やはり小・中・高という全体的な枠組みの中では、ここに変更したように、中学校では幼児理解というようなことを進め、そして高校では子育てという、支援等の理解に広げていくという考えでまとめてあると見ていただければと思います。
いかがでしょうか。全体的なことでもいいし、技術分野、家庭分野両方見てということでもよろしいです。
池田委員、お願いします。
【池田委員】  まず1つ目、技術分野の方の資料5ですけれども、中学校のところの4つ目の丸、「技術分野固有の見方や考え方を踏まえて、解決方策が最適なものとなるよう」という文言を加えて、「設計・計画」ということで、これはすごくいいことだろうと思います。
それから、5番目の情報活用能力についても少し上がって、最初の方に出てきているということで、これからの情報に関わる資質・能力の育成という意味ではこの方がいいのかなと。もうちょっと詳しい内容が必要かどうか、ちょっと今分かりません。
1つ分からないところが、1つ目の丸で、「主な技術」と出ていますけれども、今まで出ていた4つの内容以外にも広げるという意味で解釈していいのかどうかというところが、ちょっと今お伺いしたいところです。
それから同じく家庭分野のところの最後の丸。私は高校の情報化の方にも出ておるので、ちょっと情報のことが気になるんですが、「消費・環境に配慮したライフスタイルを確立するため」ということで、消費生活における情報化ということを考えると、もう少し違った表現はないのかなと感じました。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。池田委員、今質問という形ですが、御自分としては少し何々などというふうに明示をした方がいいというお考えなのか、やはり総括的にこのような書き方が……。どうなんでしょう。
【池田委員】  そうですね。主な技術について、「など」の方がいいのかなという感じがします。捉え方として、削ってしまうのかななんていう考え方もありますので、これからの技術・家庭、特に技術分野のことを考えると、広げるという意味で、「など」の方がいいような感じはいたします。
【橋本主査】  藤木委員、お願いします。
【藤木委員】  失礼いたします。技術分野の中学校のところですけれども、5つ目の「技術革新及びそれを担う職業分野への関心」というところで、前回のものが「職業」になっておりました。たしか私がコメントさせていただきましたけれども、「職業分野」ということで、何か適切な形になったような気がしておりまして、これはいいことかなと思っています。
あと、2つ目のところで、冒頭ですけれども、「技術を用いてよりよい生活を工夫し創造できるよう」という表現になっているんですけれども、技術のところでは、技術を使って生活を工夫創造するという、技術を活用するという意味よりも、どちらかというと技術そのものを工夫したり創造したりするという側面が、やっぱり教科の性格上強いのかなと思っております。
その意味では、ちょっとこのままの表現では、技術という教科の性格が表現しづらいような気がしまして、例えば、「よりよい社会の実現のために技術を工夫し創造できるよう」とか、何かそんなふうな表現の方が分かりやすいのかなと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
【橋本主査】  ありがとうございます。
ほかにいかがでございますか。長谷川委員。
【長谷川委員】  失礼します。用語の整理ということでありがとうございました。いろいろ拝見して、今、藤木委員さんの方からもあったんですけれども、「生活」という言葉と、それから、以前のバージョンであれば「社会」と表現してあったところが、「生活」に置き換わっているということで、このあたりは、ああ、ちょっと変更されているんだなと思う中で、そのことについて言うならば、技術分野の中ででしたら、解説のところに、技術と社会や環境との関わりについて理解を深めていくという分野の目標があるので、教科の目標という御説明があったんですけれども、分野の教育のイメージということであれば、そういった文言の使用も案としてはあるのかなと感じました。今はちょっとそういうことです。
【橋本主査】  ありがとうございます。
ほかにいかがですか。長澤委員、お願いします。
【長澤委員】  以前の会議の席で、生活文化について意見を申し上げましたけれども、そのことを受けて、中学校も小学校も高等学校もそうですけれども、生活文化の文言の位置付けを変えていただいています。
前回は、たしか生活文化を理解するのは、小学校では難しいのではないかと申し上げました。例えば家庭科というのは、みそ汁にしましても、御飯を炊くにしましても、具体的な題材を通して生活文化に気付いて関心を高めていくことが、実際に行われている学習活動ですので、今回のように、「日本の生活文化を継承する力を育成する学習活動を充実する」という形で、一番下の丸の中に含めていただいた方が、位置付けとしては適切になったと思います。
ただし、1つ目の丸は、「衣食住に関する実践的・体験的な」うんぬんの記述があって、生活文化が入っていましたので、それはそれでよかったのですが、一番下の丸に移しますと、「少子高齢社会に対応する力」、そして「食生活の自立を図る力」とか、「健康で安全な食生活の基礎となる力」のように、記述として食生活しか入っていません。生活文化というのは食生活だけではなくて、衣食住が入りますので、位置を変えていただくことで、ここの部分の表現も修正していただく必要があると思いました。
それからもう一点、先ほど藤木先生が、技術の丸の2つ目について、技術の立場から言うとということで御意見をおっしゃっいましたけれども、私は家庭科の立場から見ますと、こういう文言を使ってくださって、かなりすり合わせやすくなったと感じております。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
どうですか。ほかの御意見は。今のことに関連しても。じゃ、先に中原委員、お願いします。
【中原委員】  技術の分野に、高校で表現されております「持続可能な社会の構築」という言葉があるんですけれども、私は家庭科も同じ文言を付けるべきじゃないのかなと思います。というのは、SDGsの目標の中の12番に、持続可能な消費と生産というのがきちっと入っております。そうすると、単なる消費・環境だけではなく、持続可能な社会を構築するために、そういう部分に大いに消費行動が、消費者の活動が貢献できると思っているわけです。そうすると、そういうものに対応するような形で載せた方がいいんじゃないのかと思います。
またこれは、技術・家庭なのか、それとも家庭なのか分かりませんけれども、例えば4月から電力の自由化というのが始まりますよね。どこでどうやって選ぶのか、どこでまた教えられるのかということも、家庭科にも載っていない、技術にも載っていない、しかし実際の生活の中で持続可能なエネルギーへのアクセス権、これもSDGsの目標の中に入っているわけです。
そうすると、どういうエネルギー源を使って、そしてそれが自分たちの生活の利便性だけではなく、環境も配慮した形でエネルギーが利用できるのか、大学では不可能なんだろうと思いますけれども、やはり中学、高校あたりでそういう選択することのよさと科学的な知見というのを、きちっと私は教えていくべきだろうと思っておりますので、是非これは技術でも家庭科でも結構だと思いますけれども、両方で入れていただければと思います。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
それでは藤木委員、お願いします。
【藤木委員】  今の中原委員さんの御指摘のところは、エネルギー、環境についての学びということで、技術の中では取り上げているところかと思うんです。そういう意味では、技術の現状のエネルギー分野のところで、今御指摘のところは学べる形になっているかと考えています。
技術そのものが社会的な存在ですので、そういう社会にある技術そのものを、将来の日本を背負って立つためにどんなふうに扱いましょうかという視点が、やっぱり技術の視点かなと思っているんです。
その視点で考えたときに、2つ目の丸のところの「生活を工夫し創造できる」という文言が、やっぱりひっかかりがありまして、家庭科は多分生活を工夫創造ということで違和感はないのかなと思うんですが、技術は社会にある技術というんでしょうか、技術そのものが社会的な存在ですので、技術そのものを新しい技術を工夫したり創造したりする、その結果社会そのものがよくなっていくというような、そういう意味合いに変えていただいた方が、技術の形としては分かりやすいのかなと考えております。
それがそのまま3つ目の丸の後半の方にも、「適切かつ誠実に技術を用いてよりよい生活を工夫し創造していこうとする態度を育成する」となっておりますが、ここも技術を用いて生活を工夫し創造するというスタンスではなくて、技術そのものを工夫して創造する、それが社会的な存在である技術そのものを扱う教科、技術という教科の特性がそのまま出せることになるのかなと考えています。
【橋本主査】  このことに関連してもよろしいんですが、何かほかにいかがですか。鈴木佳子委員。
【鈴木(佳)委員】  ちょっとレベルが違う話になっちゃうかもしれないんですけれども、中学校で技術・家庭という1つの教科を担当するということで、中学校現場の中で、教育研究会とかも一緒で技術と家庭をやっていくわけなんです。
そうしたときに、そういう立場からちょっとこの中学校の技術と家庭を見せていただくと、多分最初の3つの丸は、一番上が知識、技術とか、そういうことに関してのこと、真ん中が思考・判断・表現、最後が態度ということで両方ともあるのかなと思っていて、4つ目の丸が両方とも、ちょっと表現は違いますけれども、問題解決的な学習を充実するということなのかなと捉えまして、最後の丸なんですけれども、今のこの現代社会に対応して、要するにこういう力が必要だということを両方とも言っているところだと思うんですけれども、技術は「倫理観等の育成に努める」で、家庭の方は「継承する力等を育成する学習活動を充実する」となっていて、最後の表現がちょっと違うかなというところがありまして、同じ技術・家庭という1つの教科として、いろんなところでいろんな研修とかいろんなものを進めていく立場として、この教育のイメージといったときに、もし今の現代社会に対応してこういうところを更にと言うなら「育成に努める」でいいし、そのための学習活動を充実するんであれば「学習活動を充実する」という、同じような表現にしていただけると、同じ教科というところでは進めやすいのかなと、ちょっとレベルの違う話になってしまったかもしれないんですが、よろしくお願いします。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。同じ教科ではありますが、ぴったり同じと、免許も違うとか、背景が違うとか、様々あると思いますけれども、やっぱりどこかで共通的にそれぞれのよさを生かしながら、子供たちに力が付くという視点は大事かなと思います。
それから、生活ということを技術分野の委員の方がどのように捉えられているかというところの解釈は、家庭科も家庭分野の方では、地域や社会の関わりが非常に重要だという御議論が出ておりまして、つまり私的な生活とかに閉じているものでは決してないという御議論だったと思いますので、生活という言葉の解釈も、もしかすると今までの生活とはかなり違っていて、社会とおっしゃっていることとつながっていて、主軸というか、子供たちがそれはどこを見てということになると思うんですけれど、私はそんなに大きくかい離しているようには思えないというところもございます。ちょっと勝手に申し上げました。
神山委員、お願いします。
【神山委員】  大変今までの話合いのことを言葉にしていただけたなと、技術分野に関しては特に感じております。ありがとうございます。
それで、一つ一つ見ていくと、理解を深めるというところだったり、能力を育成する、態度を育成するということと、その後にイノベーションというのが前回かなり議論になりましたけれども、今議論がありました生活なのか社会における問題解決というところで、設計・計画、製造という部分もしっかりと明記いただいている中で、高校の方ですと、主体的に共同的にみんなで取り組むというようなセンテンスが入っているんですが、中学校の場合はどちらかというと、独自の学習態度という感じのニュアンスをちょっと受けました。
ですので、やはり議論して問題解決策を探っていく、共同して取り組むというような部門を少し御検討いただけると有り難いかなという意見です。よろしくお願いします。
【橋本主査】  ありがとうございます。
中林委員、お願いします。
【中林委員】  よろしくお願いします。遅刻してしまったので、冒頭の御説明を聞かなくて、多分そこの中で説明があったのかなというところと、私のこれを見せていただいた感想というところで述べさせていただきたいと思います。
中学校が今話題になっておりますけれども、私どもも行政の立場で、技術・家庭という、免許がそれぞれ別の方が同じ教科を担当するという意味で、この教科の1つである意義といいますか、意味というところからいきますと、今回頂いた技術分野の「よりよい生活を工夫する」といった視点で非常に技術革新が生活の中に入り込んでいるとか、それから家庭生活が便利になっている、その中に技術があるといったようなところで、非常に技術分野と家庭分野の学習内容は共通点が多いなという意味合いが何か、非常に分かりやすいなというのが第一印象でございました。
もう一点、1つ目のところで、「基礎的・基本的な知識と技能を習得させ」というのが、中学校の技術分野の方にございます。家庭分野の方は従来どおりかと思うのですが、「生活の自立に必要な基礎的・基本的な知識及び技術」となっていて、もともと示している基礎的・基本的なもの自体が違うので、ここがあえて技能であったり、それから家庭分野の場合は技術という表現をしているのかというところは、もしかしたら説明があったのかなと思うのですが、教えていただけたらと思います。
以上でございます。
【橋本主査】  中林委員は、この辺はどういうふうに考えますか。
【中林委員】  現場の立場からいきますと、ここのところの違いを、技術分野、家庭分野を担当する教員が正しく理解して子供に伝えるというのは、非常に苦労があるのではないかなと思いますので、できることならすり合わせをして、同じ文言を使った方が自然ではないかなとは思うのです。これが技術であって、ここが技能という明確なものというのがうまく説明できれば、それもあるかとは思うのですが、できることなら。前回は多分一緒だったと思うのですけれども。
以上でございます。
【橋本主査】  ありがとうございます。
荒井委員、お願いします。
【荒井委員】  何点かお話ししたいと思います。
1つは、先ほどの「持続可能な社会の構築」というキーワードを家庭科の中できっちり入れていくというのは、私も賛成です。それは大事なことかなと思います。
それから2点目は、小・中・高いずれにも、「少子高齢社会に対応する力」という言葉がございますが、この対応する力というのは、何か理解しにくいといいますか、大人が考えますと対応する力になるのかもしれませんが、子供たちが学んでいくわけですから、ここは例えば、中身を見ますと、「子育て支援の理解」、「高齢者の理解」、「生涯生活設計能力」、「幼児理解」、「高齢者との交流」とか、そういう言葉が入っております。
そうしますと、例えば少子高齢社会への理解や、「共生」という言葉がどこにもないのですが、共に生きるということはすごく重要な概念で家庭科に入ってまいりますので、「少子高齢社会への理解や共生する力」、もっといい言葉もあるかもしれませんが、そういう言葉を使った方がいいのかなと。「対応」というのは少し理解しにくいといいますか、それを思いました。
それから、高校の方に食生活関係の言葉、文言が入っておりません。小学校(高学年)は「健康で安全な食生活の基礎となる力」、中学校は「食生活の自立を図る力」とありますけれども、高校の5つ目には、食の関係が入っておりません。これは大事な点ですので、入れていく必要があるかなと思います。
中学校が自立を言っておりますが、食生活をより広い視野から見通す力とか、もちろん管理・運用する力も大事ですけれども、「よりよい食生活を営む力」とか、そういう文言をやはり入れる必要があるかなと思います。
それから、一番右側の空間軸と時間軸で、空間軸の方が、家庭が高等学校まで延び、地域も延び、社会が高校から入ってくるという、この書き方は非常にいいなと思ったんですが、もう一つの時間軸の方も、高校生も今の生活がかなり問題をみんな抱えておりますので、やはり「現在までの」という言い方なのか、現在の生活を見詰めるという視点、この緑の視点は上まで行くと思います。「これからの生活」も上まで行きますので、空間軸と同じような表現をここでとっていただけるといいのかなと思います。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございました。済みません、さっき技術と技能のお話で、多分長谷川委員が立てられたのはその辺だったのかなと。よろしいですか。
それじゃ、さっきから済みません、立てたままで、奥山委員、お待たせいたしました。
【奥山委員】  ありがとうございます。今も御意見がありましたとおり、今回初めて「少子高齢社会に対応する力」という表現があって、私もその「対応する力」というところが分かりにくいのかなと思っておりまして、ただ、どういう表現がいいんだろうということを考えておりましたが、今お話に出ましたように、「少子高齢化社会への理解」とか、何かもう少し文言を私も考えてみたいと思いますが、ここの文言が少し気になりました。
それと中学校のところですが、前回の議論の中で、子育て支援はなかなかまだ中学生だと難しい。「幼児理解」という表現に今なっております。ただ、この中で、中学校でも赤ちゃんとの交流もかなり進んでいるというところもありますので、「幼児」とは書いてあるものの、乳幼児と広く見ていいのかどうかというようなところ、そこを少し入れた表現になっているといいなと希望しております。
また、先ほど来、「持続可能な社会の構築」の表現がありました。技術の方ではそれ以外にも、グローバル化のようなものも入っておりますけれども、学校現場でかなり多様な国籍の子供たちも受けていることもありまして、日本の生活文化をしっかり理解していくためにも、またそういったグローバル社会ということの中で、日本の伝統文化、生活文化を見ていくという視点で、文言も入れることも必要ではないかなと感じました。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございます。
それでは、長谷川委員、お待たせしました。
【長谷川委員】  済みません、限られた時間ですのでコンパクトに。
5つございまして、1つは、技術の中学校の方で、2つ目の丸なんですけれども、ガバナンスのところをまとめていただいたところで、「技術を選択、管理・運用」とありますが、思考・判断・表現の中で、判断するというところを、技術の場合に、右か左かを選ぶような印象になってはいけないので、「評価していく」という言葉の使い方がよさかなと思ったので、その「評価」という言葉が入るとよりよいのではないかと思いました。
それから2点目は、「自分なりの新しい考え方やとらえ方」ということで、こういう言葉が入って、これは本当にうれしいなと思います。それを見たときに、ここはイノベーションのところなので、「改良、統合」というと、今あるテクノロジーを少し改良したり統合するというところがあるんですけど、是非「応用」といいましょうか、そういった言葉があると、いわゆる考えて、それがいろんなテクノロジーを応用していくというふうになったらいいなと思いました。
それから3点目ですけど、これは3つ目の丸の「技術を用いてよりよい生活を工夫し」というところは、藤木委員がおっしゃったように、ちょっと「生活」という言葉よりは「社会」とかそういう言葉と関連した、創造につながる表現がよいのではと思いました。
同様に、4つ目の丸の「生活における問題について」というところも同じような理由で、ちょっとそこは気になったところでございます。
それから最後、5つ目の丸のところで、ここは職業、キャリアのことですから、情報活用能力とかいろいろございますけれども、防災の視点といいますか、実は先日、中学生のレスキューロボコンというのに参加したんですけど、本当にいわゆる災害に対して、技術をどういうふうに活用できるかというような大会だったんです。そういう意味で、5つ目のところにそういった視点が入るといいかなと、ここで感じました。
以上でございます。
【橋本主査】  ありがとうございます。
それでは、時間が少なくなってまいりましたけれども、藤木委員、短くお願いします。
【藤木委員】  2つ目の丸の「よりよい生活を工夫し創造できる」というところなんですけれども、何かやっぱり違和感がありまして、この場合は、工夫し創造する対象が生活ですよね。そうすると、生活を対象とするのはやっぱり、家庭科はそうなのかなと。ただ、技術の場合はやっぱり、技術そのものが工夫、創造の対象であると。だからそこは明らかにやっぱり違うんだと思うんです。
それで、両方をうまくまとめようということでこういう表現を工夫されたんだと思うんですけれども、ただその結果、技術から見ると、工夫、創造の対象は生活になってしまって、これは技術の学びじゃないよねと見えてしまう。それで冒頭のような修正の案を出させていただいた次第でございます。
それからもう一つ、2つ目の丸の一番最後のところの長谷川委員もおっしゃっていましたけど、イノベーションの記述を工夫して入れていただいている部分、これはありがとうございます。
ただ、イノベーションの意味合いが、ちょっとこのままでは弱くなっているかなという気がしておりまして、「改良、統合」というのは今あるものを改良したりまとめたり、そういう意味合いになってしまう。新しいものを生み出すという、発想したりとか、開発したりとか、そういう意味合いの言葉を是非入れていただきたいと思っておりまして、そういう意味では、「改良、統合、発想したりできる能力」とか、何かそんな言葉の方が、私としてはすごくいいんではないかなというところを感じております。
以上です。
【橋本主査】  ありがとうございました。先ほどの表現が、技術と技能の違うというようなこととか、まだまだあるのですけれども、これはまた後ほどということにさせていただいて、ここからは、もう時間が過ぎておりますので、今度は技術分野に関する内容に入っていきたいと思っております。
そこで、進行は古川主査代理に行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【古川主査代理】  それでは、ここからは技術分野に関する内容について御意見を頂く予定となっております。そこで、ここからの進行は私の方でさせていただきます。
では、本日、次の3点について御意見を頂きたいと思います。教科固有の見方、考え方を踏まえた育成すべき資質・能力、学習プロセス、今後の方向性。
まずは、育成すべき資質・能力について、事務局から配布資料の説明をお願いいたします。
【大内学校教育官】  失礼をいたします。それでは、お手元の方に、資料7、それから資料7の関係で、前回、委員の皆様方限りの資料ということでお付けをしておりましたが、本日の資料で言うところの資料3の2ページ目、こちらが本日この後御議論いただきます資料7の前回資料になります。それをまずはお手元の方に御用意いただければと思います。
前回でございますけれども、今次の教育課程の見直しに関わって、配布資料にもございますように、横軸で示しておりますが、個別の知識や技能(何を知っているか、何ができるか)、思考力・判断力・表現力等(知っていること・できることをどう使うか)、学びに向かう力、人間性等(どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか)というような観点から、育成すべき資質・能力の明確化を図りましょうというのが、このワーキンググループで検討していただく課題、検討事項の一つでございました。
それにつきまして御意見を頂戴したものを、今回、資料7のような形でリバイスをしております。具体的には、個別の知識・技能に関わっては、表現としては、例えばですけれども、前回の会議資料でございましたら、「基礎的な概念」という言葉を科学的な理解のところで用いておりましたが、ちょっとここが曖昧ではないかということで、今回、「科学的な原理・法則」ということで修正を図っております。
それから、真ん中の思考力・判断力・表現力等のところでございますが、ここは前回、教科等の本質に根ざした見方、考え方に関わりまして、随分御意見を頂戴しましたので、その資料が資料8としてございますので、そちらと後ほどまとめて御説明させていただきますが、思考力・判断力・表現力に関わる部分というのは、今ほど技術分野における教育のイメージのときにも御議論を頂きましたけれども、育成すべき能力として再整理をここは行っておりますので、表現は随分変わっているところでございます。
先ほど申し上げたとおり、従来であれば、「評価・活用」、あるいは「創造」というようなガバナンス、イノベーションベースの書きぶりになっておったんですが、そこを先ほど御説明申し上げましたとおりの形への修正を図っていますので、それに準じて修正を加えております。
最後に、学びに向かう力、人間性のところでございますけれども、これも桁の調整を若干させていただいておりまして、お示しさせていただいているような形での修正を行っております。具体の修正箇所につきましては、先ほどの資料5の際にも御説明させていただいたような観点での修正を図っているということで、表現ぶり自体が、前回と比べて大分変わっているところでございます。
その上でなんですが、技術分野固有の見方、考え方ということについて、前回御意見を頂戴しました。こちらが資料8の方になりますけれども、資料8といたしまして、技術・家庭科(技術分野)の見方や考え方の整理(たたき台)ということで、技術分野特有の見方や考え方、これを、技術を利用して問題を解決する際の見方や考え方というふうにここでは置きまして、実際に横軸の方でございますけれども、対象、見方や考え方、その見方や考え方を使って、技術分野においてどう思考、あるいは判断していくかというような形での示し方にしております。
一番上の枠組みとしては、技術分野全体で見るとこんな形ではないか、さらに内容、領域ごとにそれぞれを、更にかみ砕くとどうなるかというのが下に示してございます。
まず、技術分野全体として見た場合、どんなふうになるかということの御説明をさせていただければと思いますが、技術分野のところを4領域統合して、左から右にごらんになっていただければと思うんですが、まず対象としては、社会で利用されている技術を対象として、4領域ございますので、物質、生物、エネルギーや情報、こういったものの特性に着目をする。この特性に着目をするとともに、技術の利用に当たりまして、倫理観を持って、安全性、社会からの要求、環境負荷、費用等を踏まえて見る見方や考え方、これを技術固有の見方や考え方として、各技術の内容を見ていく際に用いてはどうかということでございます。
こうした見方、考え方を用いて、一番右側の方の欄になりますけれども、材料の生成・成形でありますとか、エネルギーの変換・伝達、生物育成環境や情報の処理手順、こういったものを最適なものとするために思考・判断していくという枠組みで整理をしました。
個別にちょっと各領域ごとに見てまいりますと、例えば材料、加工につきましては、あえて2つに分けておるんですけれども、材料の技術について、構成する物質の特性というような点に着目をし、技術の利用に当たって、「倫理観をもち」からは基本的なところは同じなんですけれども、例えばその材料の技術の固有のところとして、耐久性でありますとか、それから生産効率、資源の有限性、こういった視点に着目して見る見方や考え方、これを通じて材料の生成方法が最適なものとなるように、選択、管理・運用していくような思考・判断をするという構造になってございます。
以下、同じような形になっておりまして、それぞれの技術の特性に着目し、その特性を踏まえた上で、見る見方、考え方というのは、若干違うところはございますけれども、それぞれの技術が最適なものとなるような形での選択、管理・運用をする思考判断という形での構造になっております。
なお、技術分野の思考・判断の例のところ、一番右側でございますけれども、こちらの方で、例えば材料、加工については選択、管理・運用というようなところを基軸に、生物育成についても同様なんですが、一方でエネルギー変換や情報の技術に関わりましては、エネルギー変換や情報のデジタル化、あるいは処理手順といったものが最適となるよう、選択、管理・運用に加えて、例えば改良することとか統合すること、先ほどイノベーションの部分の受皿として、新たに「改良、統合」という表現を用いることとしたわけでございますけれども、そういった部分をこういうところに反映させている構造になってございます。
ベースとなるものは、それぞれの技術の特性にまず着目する。その特性に着目した上で、その技術を利用するに当たっての視点、これを踏まえて見る見方や考え方。さらにそれらを用いて思考・判断していく際には、各技術について最適なものとなるように、選択、管理・運用したり、あるいはそれを改良したりという形での思考・判断を伴うという整理をさせていただきました。
こちらが技術分野における固有の見方や考え方ということで、先ほどの資料7の方に戻りますけれども、資料7の思考力・判断力・表現力の中で、1つ目の丸のところに書いてございますけれども、技術分野固有の見方や考え方を踏まえまして、技術を用いてよりよい生活を工夫し創造する能力ということ。
具体的にはその中に3つ示してございますけれども、これは先ほど来、御意見を委員の先生方から頂戴しておりますが、原案としては生活における問題の中から技術を用いて解決すべき課題を見いだす力、それから、生活における課題解決のために、適切な技術を選択、管理・運用したり、自分なりの新しい考え方や捉え方によって改良、統合していく力、さらには、技術による解決のための方策を製作図や作業計画に表す力というような形で、思考・判断・表現するような力を整理したというところでございます。
資料7と資料8につきましての御説明は以上となります。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
それではまず、資料7、資料8について、これから30分程度の時間で意見交換をしたいと思います。御意見いかがでしょうか。長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】  済みません、資料7の方につきましてですけれども、先ほどもちょっと申し上げたことに関連するんですけれども、まず、個別の知識や技能の欄で、1つ目の黒ポツの後半で、「科学的な原理・法則」というのが記述されているのは本当に大切なことで、とてもいいのではないかと思うんです。何となくただ作って終わりとかいうことでなく、こういった原理・法則に基づいて、そういう知識や理解を得た上で製作していくとかいうことで、大変いいと思います。
ということになりますと、その次の思考力・判断力・表現力のところのイノベーションの部分。ですから2つ目の黒ポツですけれども、「自分なりの新しい考え方やとらえ方によって」、で、ここは「改良、統合」に加えて、是非先ほどの発想とか、応用とか、いわゆる「てこの原理を応用して」とか、「何々の法則から発想を得て」といった部分が、思考力・判断力・表現力等のところに加えられると、よりよいのではないかなという印象を持ちました。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございます。
ほかにございませんでしょうか。中原委員、どうぞ。
【中原委員】  技術分野の思考・判断の例というところなんですけれども、一番右に選択、管理・運用というのがあるんですけれども、なぜ「見直し」の部分がないのかなと。イノベーションをやって、実際に使ってみた。そのことによって、本当によかったのかどうなのかという検証をすることも極めて大事であって、そういうのがやっぱりこの技術を使う場合には、大変重要なポイントになると思いますので、是非そのPDCAに基づいた見直しという部分も入れた方がいいんじゃないかと思います。
【古川主査代理】  大体内容のところには評価が入っているんですけれども、評価に基づいた見直しという、先生がおっしゃいましたようなそういう表現には、この項目になっていないということだと。
【中原委員】  評価というのが、事前評価なのか事後評価なのかということで、「評価」というくくりではなくて、一つのイノベーションのプロセスの中で、それが社会に適用される、若しくは実際に使われたときに、どういう一つの影響があるのかという評価を行う意味では、これがアクションの部分だと思いますので、これは「見直し」の方がいいと思います。
【古川主査代理】  藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  失礼いたします。資料7の方ですけれども、個別の知識や技能のところは、先ほど長谷川委員もおっしゃっていましたけど、「科学的な原理・法則」ということで、科学的な理解がより分かりやすく表記されていて、これは何かいいなと思っています。
それから、思考力・判断力・表現力のところですけれども、1つ目の白丸のところの後段になりますが、ここもやっぱり「技術を用いてよりより生活を工夫し創造する能力」という表記になっておりますが、先ほど来私が申し上げているように、この書き方であれば、工夫し創造する対象が生活ですよね。ですから技術の場合は、もう技術そのものを工夫し創造する能力というふうにしていただいた方がいいかなと。そういう意味では、「技術を」から「生活」までを削除すると分かりやすいような気がしております。
それと、その思考・判断・表現のところの黒丸の2つ目、ガバナンスとイノベーションが合わさって1つに、文章的にはまとめられた形かと思うんですが、個人的には、内容を分けて考えた方が分かりやすいのかなと考えておりまして、例えば「選択、管理・運用」するというところはガバナンスまでの話であって、「新しい考え方やとらえ方によって改良、統合」、そして先ほど長谷川委員がおっしゃっていましたけど、「発想」というような言葉を入れていただければ分かりやすいかと思うんですが、そういうイノベーションを意図するようなことを別立てとして出していただいた方が、何か分かりやすいのかなと思ったりしているところであります。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
神山委員、どうぞ。
【神山委員】  以前からちょっと感じていたことなんですけれども、技術を学ぶときに、今の原理だったり世の中の動きというものを、技術の観点から、場合によっては材料だったりとか、いろんな観点から学んでいくような教科書の成り立ちになっているんですけれども、歴史の中に偉大なる科学者というのはたくさんいらっしゃるわけですよね。
その人たちが、どういう思考でどういう視点を持ってこの技術を開発したかというものを見ることによって、より技術に関する理解が深まるんじゃないかと常に考えていました。そういう発想で、今個別の知識や技術を理解する方法の一つとして、歴史を見るというような部分が、技術の教科書にも入ってもいいんじゃないかなというのが、一つ私の考えです。
もう一つは、先ほど申し上げたように、イノベーションに当たる思考力・判断力のところで、どうしても何となく個人で仕事をするという雰囲気、中学校ですとそういう感じが、理解ということが多分高いからだと思うんですが、そういう授業の方法が多いように見受けました。
やはり多くの先生方が御指摘されたように、評価するに当たっても、新しいものを創り出すに当たっても、人の意見を聞いてそれに対して自分の意見をぶつけるとか、あとは考え直すというような、問題解決に導くところは非常に大切なのと、多分日本人が最も苦手なところなんじゃないかと思っていまして、特に中学校くらいのまだそんなに怖がらずに物を発するような若いときから、やっぱりどんどんそういうものを技術の授業に入れていくべきだと思いますので、その部分は思考力・判断力・表現力のところに是非御検討いただきたいなと思います。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
杉山委員、どうぞ。
【杉山委員】  済みません、家庭科の分野なのでよく分かっていないんですけれども、先ほどから工夫し創造するのが生活なのか、技術なのかという話もあると思うんですけれども、技術分野で捉えていらっしゃる技術の範囲。生活ということを外してくると、技術ってすごく幅広くて、どこまで中学校の技術・家庭の技術分野でされようとしているのか。
やり始めたら恐らく切りがなくて、ある意味その技術の中でも、中学生段階として考えようとしている範囲と言っていることが、生活に関わると言っているところで、範囲をある程度規定しているというか、何かがあるんじゃないかなと思っていて、そうしないと、どんどん個別のところがより細かなところまで入り込んでいって、そのことと自分たちの生活が離れちゃう。工夫し創造するのがどちらかということは、別に私はどっちでもいいと思うんですけど。
さらにここの真ん中の思考力のところに、「生活における問題の中から」とか、「生活における課題解決のために」と言っているということは、やっぱり中学生が自分たちの生活と、より強く関わる技術に関してどう考えていくのかみたいなところで、制限が少し掛かるような形で、より適切な表現に、どういう表現がいいかということが私の方で分かるわけじゃないんですけれども、生活と言っているところとの兼ね合いの入れ方で、ある程度取り上げる技術を範囲を付けないと、何かすごく大変なことにならないかなということと、あとは高校で言っている、この職業に関する科目のところで出ている、高校での職業的な技術みたいなこととの兼ね合いとかも含めて、ちょっとそのことはどうなのかなと思いました。
【古川主査代理】  藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  御指摘ありがとうございます。技術で扱う内容というのは、基本的にはそこの「個別の知識や技能」と書いてあるところに出されているような範囲。これは特に「基礎的・基本的」というような言葉が、冠として付くのかもしれませんけれども、それで範囲としてはカバーされていると考えているところであります。
その思考力・判断力・表現力のところのちょうど黒丸の1つ目、2つ目の冒頭に、「生活における」と書いていまして、私もそこは後ほど発言させていただこうと思っていたところでしたので、ちょうどよかったんですけれども、多分対象とする範囲ということだと思うんですが、この前、長崎でエネルギー技術作品コンテストという、全国規模のコンテストを開催したんです。
そのときに、小学生が作る作品は、お母さんが洗濯物を畳むのが大変なので自動洗濯物畳み機を作るみたいな、そういう意味では、これはやっぱり生活をよくするというところが、子供の中の視点としては大きいのかなと。
ところが中学生の作品になってくると、何か賞をもらったやつがあったんですけど、太陽電池のパネルを角度を付けて、斜めにセットしまして、そして太陽ができるだけ真っすぐ当たるような方向に自動で追尾する、何かそういう作品を、子供たち、中学生が作っているんです。これはもう個人の生活そのものを対象として中学生が考えているんじゃなくて、こういうものがあれば効率よく太陽パネルが日光を受けられて、より電力が有効に確保できるというような、やっぱり社会的な役割までちゃんと見通した形での作品を作っているんだと思うんです。
そういう意味で、別に例えばここの「生活」を「社会における課題解決」にしたからといって、今みたいなものも当然入ってきて、社会的思考ができているわけですから、現状で余り問題はないだろうと。現状から大きく何か変わっていくというようなことは、私としては余り考えておりませんで、現状でやれていること、子供たちが日々の学びの中で実現していることを、より適切に表現するとすると、その黒丸の1つ目、2つ目のところは、「生活における問題」というよりも、やっぱり「社会における問題」。社会の中に生活も入ってくると思いますので、そういう意味では「社会における」の方がいいのかなと思ったりしているところであります。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
荒井委員の方からお願いします。
【荒井委員】  私も技術のことは十分分かってはいない上での意見なんですけれども、中学校によく参りまして、技術の授業も参観をしたりしております。そういう中で、これは大学の附属中学校なんですが、非常に人気のある、生徒たちが頑張って毎年やっている木工の授業なんですが、それは中学校のそれぞれのクラスで必要なものを自分たちで考えて、木材で作っていくということをやっています。
作って、ペンキもきっちり塗りまして、使ってみて、そして作り方が悪ければ壊れてしまうわけで、そこで検証して改善する、あるいは附属小学校が隣にあるんですが、小学校に中学生が出掛けていって、そして小学生と話し合いながら、学校生活で必要なものを要求を出してもらって、そこに出掛けていって測定もしながら、ディスカッションしながら、木材を使って作るというようなこともしております。
そういうことを想像しながらこの思考・判断を見ましたら、まさに、ああ、これだなと。私はこの表現が、中学生が生活の中からその技術を使いながら工夫していくということを、これから問題解決をかなり前面に出す指導要領を作っていくときに、とても分かりやすいなと理解をしておりまして、今のお話を伺いますと、確かに技術の問題解決はほかにもいろいろありますし、中学校になってきますと、より高度なものも出てくるとは思うんですが、中学1年生、小学校から余り間もない子たちで考えますと、そういう物作りの楽しさというのをとても先生も工夫しておられまして、その中で力を付けていくのを私などはまざまざと見ていて、技術は面白い教科だなと思って見ているものですから、そこでこの問題解決を重視するという視点で言うと、生活の中からというのを中学生で言いますと、こういう視点も大事かなということを感じておりまして、そういう意見をちょっと出させていただきました。
それだけではないというのはよく分かりますけれども。
【古川主査代理】  長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】  失礼します。先ほどからちょっと同じところの話をするんですけれども、真ん中の思考力・判断力・表現力のところで、イノベーションの2つ目の黒ポツなんですけれども、前回の会議要旨の中にも記録をしていただいていたんですが、イノベーションのところには、是非技術革新の萌芽となるといいますか……。
どうでしょうか、本当に杉山委員さんがおっしゃったように、一体全体どこまで先端の技術を取り入れてという印象があるのかなと、ちょっとお話を聞きながら思ったんですけれども、決してカミオカンデのセンサーを作ろうとか、そういうわけじゃないんですけれども、それに触れてみたり、神山委員さんがおっしゃったように、あっ、ここを苦労なさっているんだとか、先人はここで何度も何度も試行錯誤したんだというようなこと、そこがいわゆる知識や技能の部分であったり、あるいは実際に製作を始めたりしたときに、どうもうまくいかないんだけれどもと。
これは中原委員さんが見直しをする必要があるとおっしゃった、そのPDCAの見直しと併せて、それぞれのステップを踏んでいく中に、行きつ戻りつするといいますか、そのときに、あっ、先人というか、こんなことで苦労なさっているな、すごいなと思ったことが、最後のイノベーション、技術革新のほう芽、それから種をまくという表現もされましたけど、そういうところにつながるのかなということがあるので、この教科のすばらしいことは、現場や地域の状況に合わせて、そこを先生たちの思いで題材が設定できるというよさがあるので、どこまでの範囲かというのは、それこそ技術・家庭科の現場の先生方が、子供たちの実態に合わせてやっていけばいいのかと。
そのよりどころとなるここの学習指導要領においては、是非そういう発想が豊かになるような先生方の発想や、社会に開かれているということですから、世の中の方がごらんになって、あっ、これすごいな、技術・家庭科はすごいな、やっぱり是非そういう教育を進めてほしいなという表現という意味で、イノベーションとかガバナンスというところに、是非しっかり書き込んでほしいなという印象を持って発言をしておる次第なんですが、そんなふうに思っております。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  失礼いたします。荒井委員さん、ありがとうございました。技術についてとてもよく観察等、見ていただいて、本当に感謝申し上げます。
多分荒井委員さんが御指摘いただいたのは、作っている場面であるとか、設計したりしている場面かと思うんです。大体材料とかこのところでは、木製品の設計、製作なんかがメーンになってくるかと思うんですが、今の学習指導要領でも、現行のものですけれども、材料とかこのところも、物作りを通して技術と社会との関わりを理解させるとか、あるいは技術を評価・活用したりという部分が後にくっついていまして、多分ごらんになっていただいた授業の後の方では、物作り、作品製作を通して、じゃ、身の回り、あるいは社会にある技術をどんなふうに見るかという、そんなふうな社会に目を向けさせるような展開をしているかと思うんです。
それが多分製作のところをメーンに見ていただいたということかと思っておりまして、そういう意味では、見ていただいた部分だけの御指摘では、多分そのとおりかなという気もするんですが、将来的に技術の中で押さえようと思っている、技術を評価したり活用したりというところに、狙いとしては向かって進んでいるというんでしょうか、そこはちょっと御説明させていただいた方がいいかなと思った次第でありました。
それから、前回の会議のときでしたか、イノベーションの話で随分時間を費やさせていただきましたけれども、これから日本の行く末を考えたときに、やっぱりイノベーションを起こすような人材の育成がどうしても必要だと、そういう話を私もさせていただきましたし、ほかの委員さんの方々からもそんな話が出てきたかと思っております。
そのときに、身の回り、生活の中に、ある種閉じていくような発想の仕方では、人のため、世の中のために新しいものを考えていこうとする姿勢というんでしょうか、それはなかなか表れにくいのかなというところが私としてはありまして、やっぱりもちろん新しい技術が出てくると、私自身の生活も豊かにはなるんですけれども、技術を作るとき、発想の原点には自分の生活をよくしたいというのがあるとしても、そんなものを作ることによって、世の中の周りみんなが幸せになる、日本の国そのものが幸せになる、世界の中の日本として戦っていけるようになる、そういうふうな、将来に向かってつながるようなイノベーションの目を養いたいという話をさせていただいたかと思っております。
そういう意味では、やっぱり技術としての今回検討させていただいております学習指導要領等に盛り込む内容としては、できるだけ生活の中、自分の身近な周りに範囲を絞らない方がいいんじゃないかと考えております。それが将来の日本を救うためには、どうしても必要な視点なのかなと考えております。
以上です。
【古川主査代理】  中原委員、どうぞ。
【中原委員】  私は環境の分野なもので、技術とも家庭科とも距離を置いているんですけれども、我々が今一番着目している新しい考え方というか、これがライフサイクルアセスメントということで、資源調達に始まって、どういう一つのプロセスの中で環境負荷、インプット、アウトプットが出てくるのか、それで評価していって、そこで一番ホットポイントを探して、ここを改善すればこういうふうに変わるんじゃないかというのをやるのが、私の仕事なんですけれども、そんな中で、生活か家庭かというときに、ジェンダー的なアクセスということを考えると、私は家庭科はもう思い切って全部社会とやった方がいいんじゃないのかと。
何となく生活というと女性がとか、まことに古めかしいような印象の中に閉じ込められがちなんですけど、これがやっぱり日本の国内における……問題点であると考えます。私は92年の指導要領の改訂のときに文科省に働き掛けて、家庭科を男女共修にしてくれということをお願いした立場から、恐らく家庭科の現場で、男の子も教えられていると思う。そのときにやはり、家庭が社会を変えるんだという一つの大きな理想を掲げていたはずなんです。そういう、生活が家庭がとひっくるめた形での社会を作っていくという意味では、私は藤木さんの意見に賛成する。
さっきの電力の自由化の話になったときに、今度は逆に、技術でそうなのかもしれないけれども、今実際に電力の自由化を選ぼうと思ったら、20社を超える会社がいろんなものを提供してくる。メディアリテラシーという考え方が全くないときに、消費者の行動はどうやるのかといったら、結局多消費型のエネルギーの選択をした方が、キャッシュバック含め得だねという話になってくる。
そうすると、本来何のために技術評価をして、そしてその電力を選ぶことがどういうことなのか、それの社会的影響ということを考えれば、ここはだから藤木さんと全く違うんだけれども、そういう総合的な評価をしていく中で、我々は意思決定を、すなわち個人的意思決定と社会的な意思決定をきちっとやっていく必要があるんだろうと思うんです。
そういう意味では、是非家庭科が大きな視点で、社会をにらんでやっていただきたい。さっきちょっと荒井さんから応援を頂いたんですけれども、そういう考え方がこれから必要かなと思っております。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
大杉室長。どうぞ
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。少し議論があれかなと思ったんですけれども、生活が狭いとか、社会が広いとか、家庭が狭いとかいうことではなくて、子供の発達の過程の中で身近なところから社会が広がっていくという、そのスコープの広がりの議論であろうと思います。ですから、生活に閉じ込めるとか閉じ込めないとかいうことではなくて、子供が問題を見いだすといったときに、生活の中からといった方が、中学校段階としてふさわしいのか、社会の中からというところまで行けるのかというような議論であろうと。
そういう意味では、資料9をきょう、技術分野の学習プロセスの例としてお出しさせていただいて、その中で、技術分野における問題解決のプロセスということを今後重視していくときに、一番最初のところで、思考・判断のところにもございますけれども、「解決すべき課題を見いだす力」というのが、生活の中から見いだすという授業展開を考えていくのか、それとも社会から見いだすというところまで、授業で踏み込んでできるのかということであろうと考えておりますけれども、そのような観点も少し加えていただいて御議論をいただければと思いました。
以上です。
【古川主査代理】  今、室長からの御指摘は、課題を見付ける視点が生活の範囲なのか、大きく社会の立場からと広げるかということですが、常々、藤木委員がおっしゃいましたように、技術分野では全体社会、産業社会だとかも含めて、そういうことを考えていると思います。
それは、繰り返し何度も長谷川委員、藤木委員、神山委員もおっしゃっていると思いますが、それがこの前に出ております資料5と6の一番右側の書きぶり、空間軸に対して、家庭分野では家庭、地域、社会と、家庭が全体を包含していく、ずっと絞っていくような書きぶり、それに対して技術の方は積み上げていくような書きぶりですので、非常にその観点といいますか、問題を見いだす視点が随分違うんだろうなと思っております。
その付近についてはいかがでしょうか。長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】  まさに古川委員さんがおっしゃるように、中学校のところに、社会全体が地球環境が懸かっている技術と、高等学校分野の社会というところもあると思うんですけど、実はちょっと仕事柄、高等学校関連のデータを調べることがあって、日本で見たときには7%ぐらいの中学生が工業高校等へ進学する。ということは、それ以外の中学生は、工業高校以外のところへ進学しますので、技術教育が中学校で最後という方が9割以上になるんです。
そうなったときに、いわゆる社会とテクノロジーの接点を指導できる教科が、やっぱり技術・家庭科かなというところがあって、そういう思い。しかもその工業高校に進学する7%程度の人たちの6割ぐらいは、大学進学されちゃうんです。就職という方は4割弱なんです。
つまり、ここに「職業に関する教科・科目」と書いてありますけど、工業高校で学習された方のそれぐらいの割合の方が、実際お勤めになる。で、その就職先も見たときには、製造業等、そういった専門学科で学んだものが生かせるかどうかというところは、課題として上がる状況がございます。ということもあって、社会につながる技術分野の内容を設定したいなという思いがあるということでございます。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
【橋本主査】  ありがとうございます。教員側というか、大人が子供たちの将来にそのように期待をして、大きく捉えてという気持ちは分かるのですけど、実際子供の側からすると、本当に思考力・判断力というところを十分に発揮するということになりますと、やはり実体験があるとか、身近なもの、そこからどんどん広げていって力を付けていくし、より高度な知識や技術を獲得していくという方向じゃないかと思うんです。大人が幾ら焦って、広いんですよと言ったところで、それが身近なものでないと、なかなか子供たちに十分、時間も限られていますし、学校という中で厳しいんじゃないかなと。これは経験則でお話をしているんですけれども。
ですから、決してそれはつまらないというか、小さなことではなくて、むしろ先ほど室長もおっしゃったように、やはり子供の側から考えて、どういう学習の状況を用意したら一番力が付くのかということからすると、それで先ほどから生活論議がありますけど、家庭科も今、さま変わりというか、そこのところは私的な領域としての昔の家庭生活ではなくて、やはりもう子供たちが生きている、大人が生きている中では、そこはつながっているんだという認識で、今回もその辺の御意見をたくさん頂いているわけで、生活という言葉に落としたところで、それは本当に先ほど藤木委員さんもおっしゃったと思いますけど、社会の一部というか、私は見方を変えれば、客観的な言い方で社会と言っているのは、自分の生活のことだけではなくて、広くつながっている生活という捉え方ができないものなんだろうかなと思います。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
時間もあれですが、中原委員、どうぞ。
【中原委員】  別に大杉さんに反対じゃないんですけれども、私は個人のそれぞれの生活とか発展段階においての意思決定、判断能力と、もう一つ重要なポイントというのは、自分たちが年齢に応じて下した結論がどういうふうに社会に影響を与えるのかという、社会的な意思決定と、両方やっぱり小さいときから鍛え上げていかないと、それはある程度、じゃ、18歳の選挙権をもらうようになってから身に付けろといって、そんな簡単に私は身に付くものではないと思うんです。
そういう意味で申し上げたいことは何なのかというと、やはり学校というのはもう私はミニ社会だと思うんです。そのときに、自分の生活という非常に身近なところから社会を見据える目を、幼いときから育て上げるということをやらないと、あなた、この年齢になったからもうちょっと社会のことを考えなさいよと言われても、私はそうハンドルを見事に切れるとは思えないんです。
ですからそういう意味で、私はそういうミニ社会的な要素を、技術にしろ、家庭科にしろ、持つべきじゃないかなという意味です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
ほぼ予定されている時間ですが、この資料7、資料8、両方について、生活と社会といいますか、それについてのお考えを大いに述べていただきましたけれども、この資料7、資料8についての具体的な件につきましては、次に資料9の学習のプロセスの例、これを検討していただきながら、具体的なことについてはまた少し戻りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
御説明よろしくお願いいたします。
【大内学校教育官】  ありがとうございました。それでは、資料9の方の説明もさせていただきながら、また資料の特に8の点との関わり等もあるかと存じますので、そういった観点からも含めて御意見を頂戴できればと思います。
資料9の方でございます。技術・家庭科の学習プロセス例ということで、前回会議におきまして、資料3の3枚目でございます。委員の皆様限りの資料ということで、前回お示しさせていただいておりましたが、こちらについて御意見を頂戴したものを修正したものが、資料9でございます。
具体的には、1つは、前回の会議の際に補足的に2段に枠を設けておったんですけれども、これを1段に統合し、記述の修正を図っているという点、それから、大きなところで申し上げますと、目指す資質・能力ということで、資料9におきましては、思考力・判断力・表現力を分けて示させていただいております。また、知識理解に関する事柄も少し関わらせながら、思考・判断・表現していくこととのつながりというものを、再度整理させていただいたというところになります。
また、具体の文言につきましては、一番左側の上のボックスのところでございますけれども、「既存の技術を理解した上で、生活の中から」ということで、先ほど来の御意見がございますけれども、修正をさせていただいておるとともに、「解決すべき課題を設定していく」ということで、具体的に、従来からここはあったんですけれども、生活や社会に存在する課題の認識でありますとか、解決すべき課題についての思考ということに、その思考力としてのボックスは、限定を少し掛けさせているということでございます。
また、真ん中の方の判断力の部分とも関わってのことでございますけれども、設計・計画から製作・制作・育成に関わるプロセスの中で、資料8でも説明させていただきましたけれども、技術分野における見方や考え方というものに着目し、技術の特性に着目して、その倫理観をもって、安全性や社会からの要求、環境負荷、費用等を踏まえて、問題解決に向けた技術の選択、管理・運用、改良、統合等を行っていくというような形で、中央に位置付けをさせていただいております。
また、このことと関わりまして、一番下のところでございますけれども、技術に関する科学的な理解ということで、先ほどの個別の知識・技能の資料でも、科学的な原理・法則という形での修正をさせていただいておりましたけれども、技術に用いられている科学的な特性、この特性に着目して見方、考え方を進めていくわけですが、これを原理・法則についての理解ということで、きちっと理解させた上で、先ほどの技術分野における見方や考え方を通して、最終的に知識理解の丸2のところになりますけれども、技術分野の見方、考え方を踏まえながら、処理手順が最適なものとなるよう思考・判断し、選択、管理・運用、改良、統合等を行って、技術に関する深い理解に導くというような形での知識理解の流れというものを、新たに追加させていただいているところでございます。
また、先ほど評価の関わりについては、各プロセスの中で、これは従来からも示しておったんですけれども、過程の評価と修正は常に行っていくというようなサイクルをベースとしておりますし、また最終的な一番右側のボックスでございますけれども、成果の評価と次の問題の解決の視点というところで、更なる改良点の検討でありますとか、あるいは新たな技術的課題の発見という形での記述を、少し整理させていただいております。
主な修正箇所については以上でございます。こういった学習プロセスについて、先ほどの資料8、あるいは7も含めまして御意見頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
【古川主査代理】  ありがとうございました。前回、この学習のプロセス全体としては、大体こういったことでしょうということで、皆さんの御理解を得たところですが、個別のこと、それから資料7、8の具体的なことについてでも結構ですので、よろしくお願いいたします。
藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  失礼いたします。学習プロセスの下の方に思考・判断・表現と分けて書いてくださっていまして、すごく分かりやすくなっていると思うんですが、思考力のところに、「生活や社会に存在する課題の認識」というような表現をしてくださっていまして、これはすごくいいですね。分かりやすいかと思います。
先ほど来の議論のところも、「生活や社会」という表記はありかなと、これを見ながら私は思った次第でありました。生活か社会かと分けてしまうと、非常に何か分けにくいところもありますし、授業のための課題をどこから拾い上げるかというところも、生活から拾い上げる部分が結構多いのかもしれませんけれども、社会に目を向けて、社会の中の事柄から課題を拾い上げるという点も、やっぱりあるかと思うんです。
例えば、先ほど中原委員の方で電力の話が出てまいりましたけれども、じゃ、電気というと、これはどこから来るのと考えた途端にもう、社会につながっていってしまう。自分の家だけで見たら、自分の部屋の蛍光灯だったりするんでしょうけれども、その電気はどこから来るかということを考えて、その電気を作っているところ、発電所、じゃ、発電所はどこにあると、すぐ社会に視点が向いてしまう。
スマートグリッドみたいなそういう話というのは、もうやっぱり子供の発想の中でも、粗い発想かもしれませんけれども、何か出てくるんじゃないかという気もするんです。ですから余り限定する必要もないのかなと。そういう意味では、「生活や社会」と両方を併記していただいた方が、その辺が両方取り込めて、やりやすくなりそうな気がいたします。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】  失礼します。資料9ですけれども、ここに目指す資質・能力ということで、「各プロセスは例示であり、限定されるものではないこと」と書いてありますけど、これはすごいことだと思うんです。やっぱりこれを基に、各先生方とかが工夫して、よりいい授業を作っていこうということで、今回の学習指導要領の改訂のまさに目玉というか、こういうことを示すことで一層、深い学びであるとか対話的というものの具体がこの中に落ちてくることで、よりよい授業になるのかなと。
そういう意味で、資料8の意味というのはすごくあるのかなと。ここまで具体に書き込んでいただきますと、このことによってこうしよう、ああしよう、もっとよくするためにはどうしたらいいかという見方、考え方とかにつながると思うので、これは本当に現場とか、すごくこれを基に発想が広がるんじゃないかなと感じました。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
池田委員、どうぞ。
【池田委員】  資料9、藤木委員が今おっしゃいましたけれども、生活や社会は思考力のところに出ていますし、判断力のところからも、社会からの要求ということも出ています。技術の世界で生きている人から見ると、純粋に技術的な課題を解決したくて技術へどんどん進んでいくということもあると思うんです。そういったものへの子供たちの関心、そういった技術を向上することへの関心を持たせることを考えていく必要もあるんだろうと思うんです。
先ほどの7のところでも出ています。僕もちょっと「生活における」っていうと、違和感がどうしても残るんですけれども、「生活や社会」と言っていただけるといいのかなと。2030年を意識したときの技術は大変な技術力であろうと思いますし、我々が想像し難いようなものも出てきている時代であろうと思うんです。そういった中で世界に通用する日本人を育成していくという意味では、もう少し高いものを子供たちに要求してもいいんではないのかなと考えます。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
ほかにはよろしいでしょうか。神山委員、どうぞ。
【神山委員】  大変分かりやすく学習プロセスの例をまとめていただきまして、どうもありがとうございます。
2点思ったところがありまして、1点に関しては、技術分野における理解は、生活も社会もそうなんですけれども、社会が分からないと、生活の中に入ってくる深い技術って生まれてこないんじゃないかなというのが一つ、私もありまして、やはり深く考えるというところにおいては、広く知らないと深く議論できないと思うんです。なので、そこはやはり年は関係ないんじゃないかと私は思っています。
やはり子供たちは年は関係なく、いろんな子がいて、その子たちの間口は大きくしておくべきであろう、技術・家庭科においては特にそういうふうに感じていますので、皆さんの意見に大変賛成します。
あともう一つは、設計・計画に入る前に、その技術をどういうふうに理解して、それをどのように応用していくかという部分において、思考力の部分なんですけれども、ここをもう少し深く分類して学習として考えていく必要がないのかなというのが、ちょっと私が見ていたときに、どうしてもイノベーションという話がずっと続いてきたので、問題解決というところは非常に深く考えていただいていると思うんですが、その問題を見付ける力というところがイノベーションにつながるわけですから、どのように物事を理解して見るのかというところにおいても必要なんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
中原委員、よろしいですか。
【中原委員】  私は「生活や社会に」という書き込みの方がよくて、さっきの議論になったのは、「生活における」という何か決め込みをやっているもので、それよりも「社会」という広い枠で考えた方がいいだろうという意見ですから、書きぶりとしては、「生活や社会に」ということでいいと思います。
【古川主査代理】  藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  先ほどの神山委員のお話ですけれども、恐らく既存の技術を理解したりするところで、もっと何か深く考えたりしてもいいんじゃないかということかなと思ったんです。いわゆる既存の製品を分解したり、中を観察したり、そういうことをする中で、しっかり課題を把握するというんでしょうか、そのために深く考えるということも盛り込んだらという趣旨の御発言でしょうかね。
【神山委員】  (うなづく)
【藤木委員】  ああ、なるほど。そこのところはすごくよく理解できるんです。どんなふうに盛り込むかというのは難しいかと思うんですけれども、多分前回ちょっと私がお話し申し上げたのが、既存の技術の学習プロセスとしてはこれが一般型なんだと思うんですが、例えば、まあ、まずは作ってみようよというところからスタートして、そういう意味では3つ目ですかね、課題解決に向けた製作・制作・育成、その辺からスタートして設計で終わるみたいな、そういう深い学びも考えられるんじゃないかなと意見を申し上げた記憶があるんですけれども、そういうときにはこのプロセスで考えるよりも、更に深く考えることができるとは捉えることができるのかなと思うんです。それをこの資料9のプロセスの図の中にどう盛り込んでいけばいいかと言われると、ちょっと即答できないなとは思っているんですけれども、そんなふうに思いました。
【古川主査代理】  長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】  済みません、神山委員の発言で、そうだなと思って見ていたときに、資料8の技術分野特有の見方、考え方のところ、まさにそれは技術分野の見方とか考え方に直接つながる御発言だったと思うんですけど、そこが「技術を利用して問題を解決する」となっているので、この「利用」というところが少しそういう意味では、神山委員がおっしゃったようなところを含ませようとすると、違う言葉に置き換えて、「活用」とか、また知識のところとかの話でしたから、それがいいかどうかというのはあるんですけれども、ちょっとこの「利用」というところは、ぱっときょう見ただけじゃあれなんですけど、考えてみたいなということではあります。
【古川主査代理】  ありがとうございました。ほぼ予定されていた時間が、ここまでの部分につきましては過ぎましたけれども、私の方からちょっと気になります部分を二、三、御指摘させていただきたいと思います。
資料8につきましては、資料8の見方や考え方の技術分野のところ、内容Aにつきましてもですが、技術分野で扱うものが「物質」なのかどうかです。「材料」ではないのかなと。「材料、生物、エネルギー」。「構成する物質」ではなくて「材料」なのではないかなと思います。
それから、内容Aのところの加工の技術についてですが、「材料の性質や構造」ということになりますと、「材料の性質」は分かりますが、性質を除きますと「材料の構造」ということになります。構造というのはその内部のことを言っておりますので、材料で構成された構成物の構造のことをここでは指してありますので、「材料の性質、」と読点を打つことによって、材料の性質と構造は別物であるというような表現にされた方がいいのではないかと思います。
それから、内容Bのところの生物育成の技術についてですが、2行目のこの生物育成についての「使用時の安全性」、この表現は思い付きませんけれども、その付近を御検討いただければと思います。
それから、資料7につきまして、これは公表されるのか、表に出るのかどうか分かりませんが、左側の個別の知識や技能の欄、「技術に関する科学的な理解」とあるのに、そこの理解の中に2つ目のポツで「技能」があっていいのかなといった、整合性の点です。それは御検討いただければと思います。
非常に申し訳ありませんけれども、時間ですので、次に行かせていただきたいと思います。
続きまして、技術・家庭科(技術分野)の改訂の方向性について、御意見を頂きたいと思います。まずは事務局から資料の御説明をお願いいたします。
【大内学校教育官】  資料10をお手元に御用意いただければと思います。技術・家庭科(技術分野)の改訂の方向性ということで、本日、資料5以降につきまして御議論いただいたところでございますが、それらも踏まえつつ、たたき台案として、こういった形で整理してはどうかということの資料でございます。
具体的には、まず検討事項ということで、技術分野の見方や考え方、これは先ほどの資料8につきまして御議論頂戴したわけですけれども、こうした技術分野における見方や考え方に着目するという点。
それから「論点整理」における指摘事項。これは昨年の8月に教育課程企画特別部会におきまして、既に示されておるものなんですが、具体的には技術と社会・環境との関わりの理解の充実でありますとか、プログラミングや情報セキュリティ等も含めた情報活用能力の育成等の充実、小学校図画工作科、高等学校情報科、職業に関する教科・科目等との関連、育成すべき資質・能力の明確化、技術に関する科学的な理解、技術を適切に評価・活用し、安心・安全な生活の実現に貢献できる力、技術を創造し、よりよい社会を構築できる力というような観点での指摘を頂いておったところでございます。
これらを踏まえまして、本日御議論いただきました資料も含めてでございますけれども、今後の方向性といたしまして、目指すべき資質・能力等ということで、これは先ほどの資料5、それから7を中心に、その育成すべき資質・能力について御議論を頂戴しておりましたので、ここをベースにしながら、御意見を頂く前のベースのものですので、また御意見を頂ければと思いますけれども、ここを中心に目指すべき資質・能力等ということで、技術に関する科学的な理解については、先ほど主査の方からもございましたけれども、科学的な理解(技術に関する知識・技能)ということで、社会で利用されている主な技術についての知識・技術、及びそれらと社会や環境との関わりについて理解するということ。
あるいは技術を用いてよりよい生活を工夫し創造する能力ということで、技術を用いてよりよい生活を工夫し創造できるよう、技術分野固有の見方や考え方、これは先ほどの資料8にもなりますし、この検討事項の方でも示されているような、各技術についての物質、生物、エネルギーや情報の特性、こういったものに着目し、技術の利用に当たって幾つかの視点、これらを踏まえて見る見方や考え方ということでございますけれども、これを踏まえて技術を選択、管理・運用したり、自分なりの新しい考え方やとらえ方によって改良、統合するという能力。
それから、3点目としては、技術を用いてよりよい生活を工夫し創造していこうとする態度ということで、技術について関心をもち、持続可能な社会を構築するために、適切かつ誠実に技術を用いてよりよい生活を工夫し創造していこうとする態度ということで、資料7、あるいは8を中心に御議論いただいた点をまとめたものでございます。
また、内容構成の案でございますけれども、この方向性ということでございますけれども、大きく異なるところではございませんが、例えば論点整理における指摘事項を踏まえまして、情報の技術に関する取扱いの充実。具体的には、今現在は計測・制御ということを現行指導要領のDの情報に関する技術において、(3)のところでプログラムによる計測・制御というのがございますけれども、これに加えまして、動的なコンテンツのプログラミングというような視点を入れてはどうかということでございますとか、それから、各領域の構造でございますけれども、現行の学習指導要領で申し上げますと、Aの(1)におきまして、生活や産業の中で利用されている技術というのをガイダンス的に学習するわけですが、B、C、Dの中でそういった項目がございません。
これを本日御議論いただきました社会あるいは生活と関わらせながら、A、B、C、Dの各領域の中で、現在の生活あるいは社会、そういったものと関わらせての技術を取り扱ってはどうかというような視点、さらには、本日資料9、学習のプロセスでも御議論いただきましたけれども、各領域の中で問題解決という形での表記の仕方、現行の学習指導要領におきましては、例えばですけれども、Aの材料、加工について言えば、材料と加工法の学習の上に、「材料と加工に関する技術を利用した製作品の設計・製作」という形で書かれておるわけでございますけれども、各項目の一番最後の項目に当たる部分を、問題解決という形で今回項目名を書いてみてはどうかということでございます。
また、先ほど資料8のところで少し言及をしておりましたけれども、技術分野における思考・判断の広がりといいますか、グレードといいましょうか、あるいは最適化の範囲の広がりと申し上げればいいのかもしれませんが、こういった点について、生物育成の技術、あるいはエネルギー変換の技術というような内容の構成順にちょっと入れ換えてみてはどうかという形での今後の方向性ということで、示させていただいておるものでございます。
御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
【古川主査代理】  ありがとうございました。時間としましては15分ぐらいしかありませんけれども、御意見お願いいたします。
長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】  それでは、これまで申したところの表現については繰り返しませんので、続いて、内容のところでございます。この内容のところで、資料8のいわゆる思考・判断の例のところでは、少し例示がされている言葉の改良があったり、統合があったりということで、その差を考慮して並んでいるということなので、前回もちょっとお話ししたんですけれども、小学校の図画工作との関連とか、あるいは高等学校の情報といったつながりを考えると、それを考慮してある体系的な指導に、これはつながるんじゃないかなと思います。
ちょっとこれはどこまで規定できることなのかどうかというのはありますけど、やっぱり材料と加工という部分は、小学校でいろいろやっていますので、大変親しみやすいのかなと。Dの情報の技術というのは、動的コンテンツとか入ってきている、あるいは計測・制御のプログラミング等考慮すると、なるべく広範といいましょうか。ただ余り決めてしまうのもどうかという御意見もあろうかと思うんですが、私としてはこれはいいなというのが1つです。
それから3つ目に、A、B、C、Dどの内容にも、3つ目の丸で、「社会の発展と材料の加工の技術」とか、各内容の社会とのつながりというところが書いてあるので、正直社会にどういうふうにつなげていくのかというところを、今回の学習指導要領の改訂では、みんな考えると思うんですけれども、こんな形で内容が示されているのはとてもよくて、まさに学びに向かう力というのがここで指導できる、そういうのにつながるだろうなと思います。
あと、前回もちょっと申し上げたんですけれども、例えば1年生でAの内容をやったら、3年生になってできるAの内容って、もっともっと進んできていると思うので、最後に、是非課題解決とか、いろんな今までやってきた学んだことを統合してできるような……。情報の技術とかだと特にやりやすいと思うんですけど、そんなこともできるといいなと思いました。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
今回、生物育成とエネルギー変換を入れ換えてありますが、その付近についての順序を規定するものではないことは分かりながら、記述の順序がこういうふうになりますと、その順序でいく可能性がありますので、その付近についても御意見を頂けたらと思います。
まず池田委員、どうぞ。
【池田委員】  今お話のあった、BとCの順序を入れ換えているのはなぜかなというのは疑問に思っていたんですが、ありがとうございます。実際どうなんだろうかなと思いました。
1つは、いいなと思ったのは、各A、B、C、Dの内容で、ガイダンス的な機能が盛り込まれておりということで、大変いいことだろうと思います。
それからDのところで、プログラミングについて動的コンテンツ。コンピュータ・ネットワークによる問題解決の中に動的コンテンツのプログラミングが入るのかどうかというのは、ちょっと分かりませんが、プログラミングの重要性が言われておりますので、「ディジタル作品の設計・制作」からこのように変えられたことは、とてもいい内容であろうと思います。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  「論点整理」における指摘事項の一番最後に、「技術を創造し、よりよい社会を構築できる力」と入っていたんですね。私も忘れていましたけど。それをそのまま反映していただいたらいいのかなと思った次第でした。
それから、内容のところのA、B、C、D、何人かの委員の皆さんがおっしゃっていましたけど、なるほどAからB、C、Dと順番に積み上がっていく、そういう順序性もある種盛り込まれているようなイメージがありますので、これはいいかなと。
Cのエネルギー変換のところは結構難しい要素が含まれてきますので、中原委員がこの辺は御専門なのかなと思うんですけれども、やっぱりエネルギーを考えるとどうしても社会に行き当たって、そういう意味では、結構難しくなる、複雑になるというんでしょうか、そういう側面がありますので、かなり上の方の学年、2年生、3年生とかで持ってくるといいのかもしれないなと思った次第です。
それから、長谷川委員が先ほどおっしゃっていましたけど、A、B、C、D、4つの学びそれぞれで「社会の発展と○○の技術」という形で、学びの総括をしていただいているところは、すごく有り難いんですけれども、4つを通した何か最後の学びみたいな、そういうのが盛り込めると、技術としてのまとまりが更に出てくるのかなと思った次第であります。
それをどんなふうに盛り込めばいいのかというのは、ちょっと考えてみないといけないかなとは思うんですけれども、総合実習みたいな話が以前出てきたかと思うんですが、そこまではいかないにしても、A、B、C、D、4つの学びを総括して、技術として何かまとまった思考・判断・表現ができるような、そういう部分を設けていただいてもいいのかなと思った次第であります。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
【鈴木(佳)委員】  済みません、またちょっと変な質問しちゃうかもしれないんですけれども、先ほど出てきた学習プロセスの例ということで、課題の設定から最後の評価、振り返りみたいなところまであったかと思うんですけれども、このそれぞれの内容ごとの真ん中というか、2つ目の丸が、例えば「材料と加工の技術による問題解決」となっているんです。そのことと、例えば学習プロセスの例が基本的には一緒になっていて、その前に、先ほど少しガイダンス的に最初に、その「社会を支える材料と加工の技術」という勉強があって、最後にもっとまた社会につながっていくような、最後の「社会の発展と材料と加工の技術」があるという、学習プロセスとこの3つの内容との関わりみたいなのは、どんなふうに考えればいいのかなとちょっと思ったんです。済みません。
【古川主査代理】  御質問ということでいいですか。
【上野教科調査官】  御質問ありがとうございます。基本的には学習プロセスの図の方を御覧いただきたいのですが、学習プロセスに示しました、この4つの段階の前と後に別のものを追加するというイメージではなくて、例えば学習プロセスの最初に「既存の技術を理解した上で」と一文ございますけれども、これがこの既存の技術というものがどういうものか、社会とどう関わっているのかを捉える最初の丸であり、その後実際に問題解決があり、最後のところで、自分の問題解決自体を評価することに加えて、「新たな技術的課題を発見する」という今後の技術について考えるようなものが入っているということです。これら全体を問題解決と1つの丸で示すのではなく、最初と最後のところを明確にした方がよいのではないかと考えて、現在の案を作成しました。
【古川主査代理】  ありがとうございました。私たちも理解が深まったということでありがとうございます。
長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】  同様かなと思ったところが、要は、学習プロセスの2つ目の四角と3つ目の四角がたたき台のところで言うと、A、B、Cそれぞれの真ん中の丸に当たるのかなということでございます。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。荒井委員、どうぞ。
【荒井委員】  この技術分野の改訂の方向性は非常に分かりやすいて、よく整理されているな、学習がイメージできるなと思います。それで、今御説明がありましたように、A、B、C、Dの真ん中の丸が問題解決ということになっていまして、それに関わるものが先ほどの学習のプロセス、2つ目の丸のところでこれをすることになるわけだと思います。その場合に、この見方や考え方の整理というところにありますけれども、この部分、各分野のこれをどういうふうに入れ込んでいくのかなというところのイメージをお聞かせいただきたいんですが。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。見方や考え方は、ほかの教科においても同様に整理をしておりますので、全体的な考え方としてはこのようなものとして考えているということなんですけれども、これを個別に知識として教えるというよりは、問題解決のプロセスを回していく中で着実に広げたり深めたりしていくものと。
すなわち知識・技能、いろんなことを理解していく中でも、もちろんその見方、考え方が付いていくこともありますけれども、思考・判断・表現でいろんな知識を活用しながら問題解決をしていく中で、子供たちの中でこういう見方や考え方が深まっていくものということで、全体的な整理として考えているところです。
場合によっては先ほどの科学的な理解という中で、もちろんこういった見方や考え方につながるものも、先生から教えてもらうという場面も、ないことはないと思うんですけれども、見方や考え方全体として捉えると、知識的に教えられるものというよりは、そういうプロセスの中でしっかりと身に付いていくものとして考えているところです。
【古川主査代理】  ありがとうございました。よろしいですか。荒井委員。
【荒井委員】  そうしますと、各内容の一番上の丸、材料と加工の技術、生物育成の技術、この知識理解を2つ目の丸の中に埋め込んでいく、そういう捉え方でよろしいということですね。
【大杉教育課程企画室長】  度々失礼いたします。先ほど調査官からも御説明申し上げたように、プロセスの一番最初の中に、その知識理解の部分、「既存の技術を理解した上で」というところが埋め込まれているということですね。もちろんここだけで見れば、ある意味一方通行的な講義的な部分も出てくるかもしれませんけれども、大きな目で見ると、こういうプロセスの中の一つの段階として、そういった段階があるということであろうかと思います。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
ほかによろしいでしょうか。中原委員、どうぞ。
【中原委員】  教えていただきたいんですけれども、現行の学習指導要領の中には、例えば、大体全て入っていますね。3番目のところに「材料と加工に関する技術を利用した製作品の設計・製作」とあるんですけれども、今後の方向性の中に、この「設計」という部分が完全に消えちゃっているんですけれども、それはどうして消えたのかというのが一つ。
その意図は何なのかというと、いわゆる動脈産業ベースで言う技術と、いわゆる廃棄から再生利用するまでのことを考える静脈部分の例えば設計と、こういうふうに見当が付くようにありますけれども、今、小型家電リサイクル法もありますけれども、易分解設計という、簡単に材料を収集して、そしてできるようなデザインを最初から考えるという一つの設計方法をやると、非常に循環型社会がうまくいくということがあるんですが、こういう設計って私は極めて重要な分野だと思うんですけど、それが抜けているのはどうしてなのかという御説明を。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。設計が2つ目の「設計・計画」というところで、むしろ重視するような形で独り立ちをさせているところです。このプロセスで申しますと2つ目です。「技術に関する科学的な理解に基づいた設計・計画」、それから製作ということで、ここの部分が大変重要であるという認識でございます。
【中原委員】  失礼しました。ありがとうございました。
【古川主査代理】  これまでの議論でも、技術分野においては、設計・計画のところに重点を置くということと、今、中原委員の御指摘がありましたけれども、最後に評価をして、作ったもの、あるいは活動するものを評価してサイクルをという、御指摘がありました廃棄も含めてですが、その2点を強調しようではないかというのが、ここでのといいますか、共通の認識になりつつあると思っております。
ほかによろしいでしょうか。ちょうど予定している時間になりましたので、議題はここまでということです。
本日お出しいただきました御意見につきましては、事務局で論点ごとにその趣旨を整理していただくようお願いいたします。
なお、限られた時間内での討議でしたので、更に御意見やお気付きの点などがあれば、ペーパーで事務局にお送りいただければと考えております。
ここまでで技術につきましては終わりますが、最後に、これ以降の日程などについて、事務局より御説明お願いいたします。
【大内学校教育官】  ありがとうございました。
この後引き続き、第5回になりますけれども、この場所におきまして15時30分から、家庭分野の内容を中心に御議論いただく予定でございます。
また、第6回以降でございますけれども、こちらにつきましては日程調整の上、追って御連絡をさせていただきたいと思っております。
古川主査代理からもお話がございましたように、本日御議論いただいた点について、更に御意見等を頂戴したいと思っておりますので、通常の開催案内をさせていただいております教育課程課の総括係の方へ、メール等で御返信いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
【古川主査代理】  それでは、第4回の家庭、技術・家庭ワーキンググループを終了させていただきます。ありがとうございました。お疲れさまでした。

―― 了 ――

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程総括係

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2073)