教育課程部会 家庭、技術・家庭ワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日時

平成27年12月15日(火曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 家庭、技術・家庭を通じて育成すべき資質・能力等について
  2. その他

4.議事録

【橋本主査】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会家庭、技術・家庭ワーキンググループの第3回を開催いたします。
先ほどの第2回に引き続きまして、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
第2回では、主に家庭科、技術・家庭科の家庭分野に関する内容について御意見を頂きました。第3回は、技術分野に関する御意見を頂く予定になっておりますので、そこで、第3回の進行は古川主査代理に行っていただきますので、よろしくお願いいたします。
【古川主査代理】  それでは、よろしくお願い申し上げます。
では、まず最初に、配布資料について御確認をお願いいたします。
【大内学校教育官】  失礼いたします。第2回に引き続きまして、どうぞよろしくお願いいたします。
配布資料の確認でございますけれども、第3回の方の議事次第をお手元に御用意いただければと思います。こちらにつきまして、恐縮ですが事務局側の方で省力化を図らせていただきまして、資料の一部重複している分については、第2回の方の資料に入ってございます。具体的に申し上げますと、第3回の資料オリジナルとして添付をさせていただいておりますのは、資料3、資料4、この二つでございます。また、併せまして、委員限りの資料ということで、関連する資料がその後ろに2枚付いているかと思います。それ以外の資料につきましては、大変恐縮でございますけれども、第2回の方の資料に、同じ資料番号で掲載、配布をさせていただいておりますので、そちらを御参考になさっていただければというふうに思ってございます。
また、第2回に引き続き誤植がございまして、大変恐縮でございますが、議事次第4の、配布資料の参考資料2でございますけれども、「全ての生徒に共通に育むべき資料・能力」となっておりますが、「資質・能力」の誤りでございますので、訂正いただければというふうに存じます。
不足等ございましたら、事務局の方にお申し付けいただければというふうに思っております。
また、机上の方でございますけれども、タブレット端末を置いておりますが、その中に、本ワーキンググループの審議に当たりまして参考となるような、関連する審議会の答申でございますとか、関係データ等が入ってございます。適宜ごらんになっていただければというふうに思います。
また、繰り返しになりますけれども、一部の資料につきましては、委員の先生方限りという資料が本日入ってございますので、お取扱いについて御留意いただければと思います。
以上でございます。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
それでは、議事に入ります。本日は、家庭、技術・家庭科を通じて育成すべき資質・能力について意見交換を行いますが、議論を深めるため、三つの観点から取り扱うこととし、初めに、技術・家庭科(技術分野)における教育のイメージについて、次に、資質・能力の三つの柱に沿った、小・中・高を通じて育成すべき資質・能力の整理について、次に、技術・家庭科技術分野の学習プロセスについて、それぞれ御意見を頂きたいと考えております。
議事の流れとしましては、議論の内容ごとに事務局から資料に基づき説明をいただいた後、御意見を伺いたいと思います。
なお、本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
それでは、事務局より説明をお願いします。まず初めに、教育課程部会総則・評価ワーキンググループにおける状況の報告をいただき、その後に、技術・家庭科(技術分野)における教育のイメージについて御説明をお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。第2回から御出席していただいている方には重ねてになりまして恐縮ですけれども、後半戦から御参加の方もいらっしゃいますので、改めて御説明を申し上げます。
先日、教科横断的な議論の統括を行います総則・評価特別部会におきまして、各教科ワーキングの審議状況の御説明をさせていただいた上で、各教科ワーキングにお伝えするようにという点を5点、言付かっておりますので、申し上げます。
1点目は、検討事項のうち他教科に関わるような重要事項に関しましては、なるべく早い段階で議論を行い、他部会、他ワーキンググループにつなげるよう、スケジュールをお願いしたいということでございます。
それから、2点目につきましては、社会に開かれた教育課程という観点から、学習指導要領の法的な性格を踏まえつつも、様々な方に趣旨が伝わりやすいような構成や文章とすることを心掛けていただきたいということでございます。
3点目は、発達段階に応じた縦の軸ということと、教科横断的な横軸ということを考えながら、育成すべき資質・能力についてそれぞれの教科の意義、特性を踏まえた、何ができるかということを御検討いただきたいということでございます。
4点目は、卒業後、特定の学問分野、職業に進むという場合だけではなく、どのような職業に就くとしても生かすことができるような教科の本質的な学びということを重視して、資質・能力の在り方を御検討いただきたいということでございます。
最後でございますけれども、各教科ワーキングで各教科の独自性、特性を踏まえた御議論をいただきつつ、一方で、総則部会でありますとか小・中・高校種別部会で全体的な議論も行ってまいりますので、こうした全体的な議論の状況も踏まえながら議論をお進めいただきたいということでございまして、各教科ワーキングにおいて論点整理に基づいた検討の方向性を進めていただいていることに感謝の意というのが表されますとともに、以上5点をお伝えするようにと言付かってまいりましたので、御報告申し上げました。
それでは、大内さんからの説明に移ります。
【大内学校教育官】  続きまして、本日御議論いただきます資料について御説明申し上げます。お手元の方に、第3回の資料で申し上げますと資料3、それから、第2回の資料になりまして大変恐縮でございますけれども、資料1、資料2をそれぞれ御用意いただければというふうに思います。
初めに、資料2でございますけれども、本ワーキンググループ、家庭、技術・家庭ワーキンググループにおける検討事項についてという紙でございます。これは前回の11月30日の会議の際にもお配りしているものと同じものでございますけれども、先ほど古川主査代理からもお話がございましたが、本日、三つの観点から御議論をいただく際のまず第1点目の議論として、検討事項のうちの1ポツ目の、家庭、技術・家庭科を通じて育成すべき資質・能力について、この中の一つ目の中点、先ほど大杉の方からも説明がありましたけれども、家庭、技術・家庭科を学ぶ本質的な意義や他教科との関連性についてが一つ目の検討事項となってまいります。
また、同じく1点目の検討事項として、一つ飛びますけれども、上から三つ目の中点のところになりますが、幼稚園・小学校・中学校・高等学校を通じた家庭、技術・家庭科において育成すべき資質・能力の系統性についてという、この2点について議論をしていただく際に、資料3を用いての御議論という形になってまいります。
なお、資料3の説明に入る前に、前回、11月30日に第1回のワーキンググループが開催されましたが、こちらのワーキングの際に頂いた御意見のうち技術に関する部分として、次のような御意見を頂いておりますので、御紹介させていただきます。
まず初めに、資料1の1ページ目のところの、技術・家庭科全体にわたってのことでございますけれども、貧困問題であるとかガバナンスを含めてどうあるべきかというようなことを考えさせる態度を身に付けさせるというようなことが重要ではないかと。その際の視点としては、持続可能な開発、グローバル化、そういった視点があるのではないかという御意見、それから、倫理や公正さというものを考えるようにしていきたいというような御意見を頂戴しております。
また、家庭科教育について、先ほど第2回の際にも御紹介いただきましたが、共通的な事柄として、一つは、問題解決的な学習をどのように取り扱っていくかというような御意見と、それから、あと、職業選択、将来の職業をどのように念頭に置いた形でこの教科を捉えていくというような点が、共通的な事項として御意見を頂戴したというふうに考えてございます。
また、1枚おめくりいただきまして、3ページ目の方でございますけれども、「技術教育について」というところがございます。3ページ目の技術教育についての一つ目の丸のところでは、技術ガバナンスの力を育むことが国民的な課題であるというような点、さらには、新しい技術をどのように導入していくか、あるいは、新しい技術をどのように作り出していくかというようなことを考えていくというのは、この教科、技術・家庭科の技術分野において行うべきことではないかという点、それから、情報関係でございますけれども、インターネットについては、国民としてたくさんあるサービスの中でどういったものをどのように選択して使うかというような、判断するための知識、能力を身に付けさせることが必要ではないかというような点について御意見を頂戴しております。
また、4ページ目にまたがってですが、二つ目の丸のところでは、技術をどのように使うかということを指導することが重要であると。ただ、一方で、先ほどもございましたけれども、情報領域というのが中学校技術分野の中にはあるわけですが、これは高等学校の共通教科「情報」との関係性から、中・高の情報が十分つながっていないのではないかというような御指摘を頂戴しております。
また、次の丸ですけれども、技術が生活の一部という意識が十分ではないのではないかというような御意見、さらには、取組の仕方として、機械を分解し組み立てるというような過程の中で、エンジニアリングの考え方を学ぶ、あるいは機器の使い方を学ぶ、そういったようなプロセスが必要なのではないかと。さらに、生徒に対して生活の中で問題を見付けさせる、発見させるというような部分についての指導が、今、難しくなっているのではないかというような御意見を頂戴しております。
さらに次の4ページ目の下から二つ目の丸でございますけれども、技術・家庭科では、これまでもアクティブ・ラーニングに取り組んできたが、形だけにとらわれないように慎重に検討していく、捉えていく必要があるのではないかという点、生徒が集まって簡単に話合いを行うということをもってよしとしてはいけないのではないかと。何のためにアクティブ・ラーニングに取り組むのか、きちんと示していく必要があるのではないかというような御意見を頂戴しております。
最後の丸でございますけれども、必要な指導内容ということを捉える際に、技術教育の中で変わらないものといたしまして、制約条件の中で最適解を求める力、また、育成すべき資質・能力としては、課題解決の態度、技術を評価する力、手先の巧緻性、社会参画のキャリアをどのように積ませるかなどということではないかという点。
さらに、家庭科家庭分野の際も同様の意見がございましたけれども、アクティブ・ラーニングについては技術教育についても従前から取り組んできているというところはあるのだけれども、協働性や主体性という観点からどのように考えていくかというような御意見を、前回、第1回の際に頂戴しております。
こうした御意見、それから、去る8月にまとめられました論点整理を踏まえまして、本日の資料3という形で、技術・家庭科(技術分野)における教育のイメージ(たたき台)ということで、小・中・高等学校を通じて育成する力の視点、それから、技術・家庭科技術分野においてこの教科、この学習分野を学ぶべき意義というような観点から、委員の先生方の御意見も踏まえ整理したものが、こちらの資料3ということでございます。
ただ、技術・家庭科につきましては、教科としては中学校の技術・家庭科技術分野しかございません。したがいまして、小学校、高等学校につきましては、関連する教科の中から、どういうような部分で学習の系統性というのが考えられるかという点については、今現在、各教科のワーキングでも検討しているところもございますので、考えられるというような形での御提案ということで承知置きいただければと思います。
まず初めに、中学校の項目のところに参りますけれども、中学校につきましては、大きく六つ、丸が示されてございます。一つ目の丸でございますけれども、材料、加工、エネルギー変換、生物育成及び情報に関する技術、これはいわゆる現行の領域構成になっておるわけですが、これらについての基礎的・基本的な知識と技能を習得させ、技術と社会や環境との関わりについて理解を深めさせるというような点が一つ目。
2点目といたしましては、よりよい社会の構築に向けて、技術分野における見方や考え方を踏まえて技術を創造できる力を育成するという点。
3点目といたしましては、安心・安全な生活の実現に向けて、技術分野における見方や考え方を踏まえて、技術を評価・活用できる力を育成するというような点。育成すべき資質・能力の観点からの部分、思考力・判断力・表現力の観点からの部分になってございます。
また、4点目の丸といたしましては、技術について関心を持たせ、安心・安全な生活を実現し、よりよい社会を構築するために技術を適切に評価・活用、創造していこうとする態度を育成すると。育成しようとする資質・能力と思考力・判断力・表現力の観点を踏まえつつ、態度を育成するというような形での構造になっております。
また、学習活動といたしましては、社会における問題について技術を評価・活用、創造し、解決する活動を充実していってはどうかということ。
さらに6点目でございますけれども、技術革新及びそれを担う職業への関心を高め、生産などの経済的主体等として求められる力でありますとか、安全な社会づくりに必要な資質・能力、情報活用能力、知的財産を創造・保護・活用する態度、技術に関する倫理観、そういったものの育成に努めてはどうかというような形で、前回頂いた御意見も踏まえまして、中学校の技術・家庭科技術分野における育成すべき能力のイメージとして、中学校の取りまとめをしてございます。
また、先ほど申し上げましたとおり、小学校、高等学校について関連する教科がございませんので、直接丸のつながりという、縦軸の系列のつながりは少ないところがございますけれども、例えば、高等学校については、中学校で学びました学習を基にして、中学校における情報領域に関する学習内容がございますので、これが情報の共通必履修科目として今現在検討されているわけでございますけれども、その中でも、情報とそれを扱う技術を問題の発見と解決に活用するための科学的な考え方を育成することにつながるのではないかと。
また、二つ目の丸でございますけれども、情報モラル、知的財産の保護、情報安全等に対する実践的な態度を育成するというようなところにつながるのではないかというような点。
さらには、高等学校の場合、職業に関する各教科・科目がございますので、こうした各専門分野――農業、工業等でございますけれども――に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得でありますとか、各専門分野の諸問題を主体的、合理的かつ倫理観を持って解決する能力の育成でありますとか、各専門分野と社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度の育成、こういった知識・技術、あるいは能力、態度形成、こういったところにつながっていくということを中学校の技術・家庭科技術分野の役割として考えてはどうかというふうに整理をしております。
同様に、小学校でございますけれども、小学校につきましては、例えば、図画工作科におきまして、表したいことに合わせて材料や用具の特徴を生かして使うということ、それと併せまして、表現に適した方法などを組み合わせて表すという表現活動がございます。
また、二つ目の丸でございますけれども、材料や用具などについての経験や技能を総合的に生かして作るというような活動。
低学年にございます生活科においては、身近にある物を使ったりなどしながら、遊びや遊びに使う物を工夫して作り、そのおもしろさに気付くというような活動。
理科におきましては、ものづくりの活動を通して、自然の事物・現象の性質や働き、規則性について実感を伴った理解を図るという学習が行われております。
また、道徳については、道徳の内容との関連を踏まえた情報モラルに関する指導ということがございますので、こういったものが中学校の材料、加工、エネルギー変換、生物育成、情報に関する技術を学習する際の資質・能力につながっていくのではないかという形で整理をしてございます。
また、その前段階であります幼児教育について、本教育課程部会幼児教育部会においても議論が進められておるところでございますが、例えば、物との多様な関わりとの中で、物の性質や仕組みについて考えたり気付いたりするというような点、身近な物や用具などの特性や仕組みを生かしたりして、いろいろな予想をしたり、楽しみながら工夫して使うというような点、身近な動物の世話や植物の栽培を通じて、生きているものへの愛着を感じ、生命の営みの不思議さ、生命の尊さに気付き、感動したり、いたわったり、大切にしたりするというような、幼児教育において行われるものを小学校の各学年での教科学習を通じまして、中学校の技術・家庭科技術分野の資質・能力の育成という観点につながるのではないかという形での整理をしたものでございます。
本ペーパーにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、この検討事項を踏まえて、技術・家庭科技術分野における、学習する本質的な意義ということと、技術・家庭科技術分野において育成すべき資質・能力の大ぐくりの視点ということで、大きく六つ示させていただいてございます。この点について御意見を頂戴できればと思います。
以上でございます。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
それでは、技術・家庭科(技術分野)における教育のイメージについて、これから25分程度の時間で御意見を頂きたいと思います。
御意見のある方は、あらかじめ名札を立てていただきますと、私の方で順次指名させていただきます。また、発言が終わりましたら、元に戻していただきますようお願いします。
それでは、いかがでしょうか。池田委員。
【池田委員】  たたき台の件ですが、特に技術を創造していく力、評価・活用というところですが、全国調査が行われたガバナンス能力の結果を見てみますと、技術を適切に評価していく力、多面的に現状を見ること、設計について十分なアイデアが出せるような段階に、少なくとも今の技術の実践では十分育成しきれていない状況であると思われます。新しいものを作り出していく力を身に付けさせるということで、その点に重点を置いて指導をしていく必要があると思います。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
長谷川委員。
【長谷川委員】  失礼します。ちょっと確認ですけれど、中学校のところで、材料、加工、エネルギー変換等、現行の学習指導要領で指導している内容があるのですが、材料と加工を分けて表記しているのは何か意図があるのでしょうか。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
【藤木委員】  よろしいですか。
【古川主査代理】  藤木委員。
【藤木委員】  失礼いたします。よく分からなかったのが、中学校のところですけれども、二つ目の丸はよりよい社会の構築、三つ目は安心・安全な生活。安心・安全な社会ではなくて、よりよい生活ではなくて、こういうくくりにしているのは、どういう意図があるのかというのがちょっと分かりにくいかなと思っております。
それが特に顕著に生きてくるのが、例えば、三つ目の丸でしょうか。「安心・安全な生活の実現に向けて、技術分野における見方や考え方を踏まえて、技術を評価・活用できる力を育成する」、ガバナンスのことを意図されているのかなと思うのですが、ガバナンスという意味では、生活の実現というよりは社会の構築というような、そういう意味合いが大きいような気がいたしまして、単に安心・安全な生活の実現のためのガバナンスというのでは不十分じゃないのかなというふうに思いました。
そして、その上のよりよい社会の構築、これがイノベーションということを指すのであれば、イノベーションは社会の構築にしかつながらないのか。安心・安全な生活の実現にも関わるのじゃないか。その辺の区切りがうまく整理できていないのかなというふうに考えました。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
ただいま御指摘いただきました、池田委員と藤木委員の方からお話しいただきましたガバナンスとイノベーションというのは、非常に技術分野にとっては大きい教育の目的であるというふうに思っております。藤木委員の方から御指摘いただきました、イノベーションが社会の構築という点に絞られていいのかというようなこと、表現の問題といいますか、内容がどういうふうに捉えられているかということがございますので、御指摘を受けておきたいと思います。
ほかに。
【大内学校教育官】  古川主査、よろしいでしょうか。作りの考え方の整理を少し御説明させていただければと思います。
必要に応じて上野調査官の方からお願いしたいと思いますが、まず初めに、長谷川委員から頂いた材料、加工のところなのですけれども、学習指導要領上は、技術・家庭科の中で、材料と加工に関する技術ということで、セットで示されております。ただ、今回は特に育成すべき資質・能力ということで考えていく際に、材料と加工をあえて切り分けて整理してみてもいいのではないかということで、決して領域数を増やすということまで考えているわけではないのですが、資質・能力を育成する観点からの整理で一緒くたにするのではなくて、それぞれ分けて丁寧に分解して考えていってはどうだろうかということで、イメージ図の中では分けて整理をさせていただいているということでございます。
それから、藤木先生から頂戴しておりました、二つ目の丸と三つ目の丸の構造なのですけれども、これ、作りが不十分だったといえば不十分だったのかもしれないのですが、前回、第1回の際に御説明させていただいた論点整理に書いていることをそのまま実は抜いておりまして、具体的には論点整理でこのように書いてあります。ちょっと読み上げさせていただきますと、技術分野における今後の充実、次期改訂の改善の方策として、育成すべき資質・能力を三つの柱に沿って明確化し、高度な技術製品が普及する社会において技術に関する理解を基に技術を適切に評価・活用し、安心・安全な生活の実現に貢献できる力、ここで一くくりになっています。
もう一くくりが、技術を創造し、よりよい社会を構築できる力の育成ということで、示し方としては、安心・安全な生活の実現、それと、技術の適切な評価・活用というので一つ、よりよい社会の構築と技術の創造、イノベーションということで一つということで、論点整理上で整理を行いました。したがって、それをベースにしてこちらに反映させているということではあるのですが、今頂いた御意見のように、イノベーションの部分とガバナンスの部分とが、それぞれ1対1の対応関係ではなくて、それぞれ別の方向にも向くのではないかというようなことがございましたら、それはそれで御意見を是非頂戴できればというふうに思っています。
上野調査官、何かございますか。よろしいですか。
済みません、以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。藤木委員。
【藤木委員】  今のコメントのこととの関連になるかと思うのですけれども、一言で言えば、安心・安全な生活の実現もよりよい社会の構築に収まってしまうという。そうすると一言で済んでしまうのではないかなという気もするのですけれども、あえて二つに分けているということは、その違いを明確にしようということが意図としてあるとは思うのですけれども、そこが技術で言うイノベーションとガバナンスに分けて考えるときに、どうくくるといいのかという、そこのところを御検討いただければというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
長谷川委員。
【長谷川委員】  先ほどの材料、加工のところについては、よく分かりました。ありがとうございました。
生徒たちは、構造や強度といったあたりまでしっかりと学習した上で製作してほしいと思います。デザインが大変凝っているのだけれども、実際には実用的でない場合もあるといったことを、正に身をもって体験してほしいということを感じましたのでお尋ねしました。
それから、先ほど藤木委員さんの方から話がありましたけれども、イノベーションのこととガバナンスの二つ、二つ目の丸と三つ目の丸が重要だと思う。やはり、技術ガバナンスの力というのは、これまでもいろいろ言われていますが、技術の光の部分と影の部分を見立てていく力を生徒に身に付けさせたい。今後、何を頼ったらいいのだろうかという時代を子供達は生きていくのではないかいわれており、正にこの二つ、表現等についてはまたこれから練られることもあると思いますけれども、まずガバナンス、そして、そこの創造できる力――創造するじゃなくて、創造できる力というのは非常に重要だなと思いました。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
神山委員。
【神山委員】  一つ、私ども、ずっと体験させていただいていて、あとはこれからの技術という意味では、是非やっぱりイノベーションというのをキーワードにしたいなというふうに思っています。技術教科ならではできることということを考えたときに、やっぱり学習しながら考え抜いていく力、あとはパッシブではなく、どちらかというと、プロアクティブに意見を述べ合って、切磋琢磨して考えを構築していくという、その考える過程を検討していくというのがすごく大事かなというふうに思っていまして、どういうふうに考えてこういう構造に至ったのかとか、そのあたりをやはり授業の中で検討していくような、そういう技術教育というのが日本でもできるといいなというふうに常日頃思っています。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。藤木委員。
【藤木委員】  済みません。先ほどのよりよい社会とか安心・安全な生活というところを考えていたら、上から四つ目になりますかね、四つ目の丸のところもちょっと気になってまいりまして、「技術について関心をもたせ、安心・安全な生活を実現し、よりよい社会を構築するために」と、両方がつながった形になっていますよね。しかもここは、「技術を適切に評価・活用、創造」という言葉、ガバナンスとイノベーションが固まっていますので、両方がここに収まってしまっているという。そうすると、やっぱり切り分けがここではよく分かりませんね。何かうまい表現がどうしても必要になるのではないかなというふうに感じます。お願いいたします。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
ほかに御意見、ございますでしょうか。藤木委員。
【藤木委員】  中学校のところの一番下の丸のところですけれども、「技術革新及びそれを担う職業への関心を高め」、ここに出てくる職業への関心というのはどういう意味なのかが少し分かりにくいなと思っていまして、なぜかといいますと、もともと技術の教育は職業科あたりからスタートした経緯がありますので、そういう意味では、職業教育、vocational educationの意味合いは多分に含んでいると思うのですけれども、ただ、私たちが最近考えている学会等での技術の意義というのは、全ての国民に必要な能力という意味で考えていると。そういう意味では、必ずしも職業に直結するということだけではなくて、もう少し国民的な能力として幅広い部分というのでしょうか。そういう意味では基礎的な能力というのでしょうか。そういう意味合いが多分に大きいのかなと私は考えております。そういう意味では、ここに「職業への関心を高め」という表現が出てまいりますけれども、ここで言う職業への関心というのを狭い意味で捉えてしまうと、ああ、何だ、技術・家庭科の技術は相変わらずやっぱり職業につながる教育なのかというふうに思ってしまう方が出てくるかなと。そんなふうに思いましたので、その辺の表現もやっぱり御検討いただければいいなと思った次第です。よろしくお願いいたします。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】  資質・能力と学習活動がどうしても関係してしまうので、話が行き来してしまって申し訳ないのですけれども、先ほど神山委員がおっしゃったイノベーションの力というのはどんなところで付くのかなと思ったとき、ついひらめくとか発見するというような印象があるのですが、それだけではないと思うのです。単純作業ではなく、ああでもないこうでもないとやり取りする質のいい試行錯誤と、自分と違った考えを持っている人たちと一緒にチームでやっていくことが、イノベーションにつながる力を育成できるのではないかなと思っているのです。ですから、ダイソンさんの実践の中にもありますけれども、ああいう中で必ず子供たちが試行錯誤して、自分はいいなと思ったけれど、人の意見を聞いてみるとやっぱりそっちの方がいいなとかいう力は、技術科の中で是非付けていきたい力で、資質・能力の中でも、資質につながるところかなと感じております。
以上です。
【古川主査代理】  神山委員がダイソンでそういった実践をされているときに、子供さんたちが試行錯誤を繰り返してというところがよく見られるといいますか、その活動が非常に重要だというふうにお思いになられますでしょうか。
【神山委員】  例えば、技術というのは、算数で習ったこととか、理科で習ったこととか、あとは家庭科で習ったこととか、いろいろなところで習ったことを複合的に見て最終的に、日本ではものづくりという言葉がありますが、物を作っていくときに、どうそれを生かしていくかというのが総合的にできるすばらしい教科だと思っていまして、例えば、それをチームで何かに向かって試行錯誤をして、一つの物を作り上げていくと。そうすると、非常に単純なものでも構わないのですけれども、例えば、一つの例を挙げますと、中学校の学校のプールで、プールというのはずっとコンクリートで、私たちが子供のときと変わっていないのですね。真夏にプールにするので、みんなはだしで歩いていると、すごく熱いと。それを何とかできないかというのを、問題意識を持ったチームがあったのです。ただ、学校というのはそんなにお金がないから、お金もないところにどうしたらいいのだというときに、例えば、色を考えてみようとか、あとはサーフェスを真っすぐではなくて、でこぼこにしてみたらいいのではないかとかといういろいろな案が出たのですね。それを聞いていたときに、やっぱり子供たちが、一つ疑問を持つことによって考えていく。その考え方も、ほかの教科で習ったことを応用していくという。それでみんなが評価していくというような議論なんかが出たりもします。とてもそういう過程をみんなで見ながら考えていって一つの物を作り上げていくというのこそが、さっきおっしゃったようなイノベーションに最終的にはつながるというふうに思っていますので、とても大事な教育かなというふうに思います。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
お願いします。
【橋本主査】  ありがとうございます。先ほど、職業への関心ということの話があったのですが、技術の範疇のものづくりというのはもう少し広いということもあるのですが、やはり中学校、義務教育段階において、人間が働くという中で、工夫して、様々なプロセスがあって何か実際のものができたり、何かそれに付加するものが表されて、それが人々に喜ばれたり、いろいろ社会が動くことに使われたりという実際的な喜びを感じる教育というのは、確かに、例えば、単なる職業の選択、進路指導とかというのはほかでもあるのだけれど、義務教育段階の人が、本物のそういう役立つものに向かうということというのはどこでやるのかということになると、技術の存在意義というのは非常に大きいと思いますので、ここで書いている職業というものの意味というのは、かなり深いものを検討されているのかなと考えております。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
大杉室長、どうぞ。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。主査に御指摘いただいたように、ここで職業というのは、特定の職業というよりは、何か生み出す側に回るといいますか、生産者といいますか、そういったことの意義ということを感じ取っていくというものであるべきだと思いますので、そういった趣旨が分かるようにブラッシュアップしていきたいと思いますので、是非そういった観点からも御議論いただければと思います。
それから、技術が大事にしているイノベーション、ガバナンス、これを他教科の先生にも分かりやすく伝えていく。技術の世界にとって当然のことであると思いますけれども、教科によってはいろいろな意味でそういう言葉を使っているところもありますので、技術が大事にしているイノベーションやガバナンスってこういうことなんだよというところを是非今回、しっかりと明らかにしていければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【古川主査代理】  ありがとうございます。今、御指摘いただきましたように、それと、先ほど私の方からも少しお話しさせていただきましたが、技術教科分野として最も大切にしているのは、今おっしゃっていただきましたガバナンスとイノベーションということ。評価し活用する能力というのをガバナンスという表現を使っているということ。それから、新しい価値を創造するということを、イノベーションというのはいろいろな言葉があるのでしょうが、技術イノベーションと。前回、神山委員の方からも御指摘がありましたが、世の中を大きく変えるというのは、技術イノベーションの役割は大きいという御意見を頂きました。ガバナンスとイノベーションがどういうふうな位置付けにあるのかということは、全く同等の価値を持っているのかというふうに考えるのか、あるいは順序性を持たせるのかというようなことについては、ここで少し御意見を頂きたいと思っております。
そのことについていかがでしょうか。御自身の意見で結構ですので。藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  失礼いたします。やっぱり少し立ち位置が違ってくるのかなと考えておりまして、技術ガバナンスというのは、私が考えるのは、全ての国民に必要な能力というような、そういう意味合いで使っております。全ての国民に必要なので、普通教育としての技術教育の中で扱っても全然差し支えないと。
イノベーションの方は、じゃ、全員が例えば、発明、発見をするような、そういう偉大な技術者になるかというと、そうでもないだろうと。ただし、イノベーションの芽を育むというのでしょうかね、その視点はやっぱり全ての国民に必要なのかなというふうに考えているところなんですね。ですから、やっぱり立ち位置が違うというのでしょうか、全く同じようなものということではないのかなと。そんなふうに思いますけれども、ほかの委員の先生方はいかがでしょうか。
【古川主査代理】  今の藤木委員の御意見に対して、そうではないのではないかというお考えをお持ちの方は、述べていただきたいと思いますが。
長谷川委員。
【長谷川委員】  今、室長から大きな宿題を頂いたんじゃないかと思っています。藤木委員がおっしゃったように、技術科の中では、イノベーションといってもきっかけになるようなところを身に付けてほしい、あるいは、付けたい力です。というのが、最終的には発見や発明につながっていくんでしょうけれども、まず、そういったきっかけを技術の時間の中で、授業の中で育成し、「あ、自分にもひょっとしたらできるんじゃないかな」という思いを持つ。それは遠い世界のことではなくて、近くの世界。
これ、実は他の教科とも関連してくることなんだろうと思いますがけれども、よく同僚の、特に理科の指導主事と話をするときに、理科と技術科の関係は一緒に家を建てるようなものなんだと。理科と技術で家を建てる。宇宙に住みたいと思ったときに、宇宙のことをいろいろ調べて、宇宙ってこんなところなんだというのをやるのは理科なのだけれど、じゃ、そこに住める家を造るというのは、いろいろ試行錯誤をしながら、こうやったら住めるぞ、こうしたらいけるんじゃないかなという家を建てていく。水はあるのか、どうやって水を飲むのかとか、例えば、そういう夢をかなえようとするならば、実現可能なものにしていくのが技術であり、イノベーションというのは一つ一つの夢を実現していくためのきっかけだと思っており実際に今も、授業で先生たちは実践されているのだろうと感じております。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
【藤木委員】  よろしいですか。
【古川主査代理】  藤木委員。
【藤木委員】  私ばかりしゃべって申し訳ないのですけれど、イノベーションというのは、どうも受け止め方が、余り簡単に使ってしまうと、単なる改善というのと似たようなイメージがしてしまうような気がいたしまして、意図しているところはもう少し違うんだけどなということを言っておこうと思いまして、発言させていただきます。
いろいろな自動車の企業なんかが改善というプロジェクトで大きな成果を出していますので、そういう意味では、改善というのは日本の看板、お家芸だと考えているのですけれども、ただ、世界的に見たら、国際競争力は低下しておりますし、じゃ、インターネットを含めて、世界のこれからを牽引するような、本当に世の中がひっくり返るような、そういう新しい発明、そういうものが日本から出てきているのかというと、それは非常に悲しいところであると。
ですから、これから先の100年後、50年後を見据えたときには、日本も本当によその国と違って大きく支えていくような、そういう人材を育てていく種をまかないといけない。その種をまく、例えば、1万人に1人かもしれませんし、100万人に1人かもしれませんが、種をまかないと育たないんですよ。その種をまくのが技術・家庭科の技術分野の役割なんだと私は考えております。
そのために、先ほどもちょっと申し上げましたけれど、イノベーションを起こす人材がたくさん出てくるとは思えない。思えないけれども、100万人の中の1人のために、あるいは1,000人の中の1人のためにこの教科というのをしっかり育てて、50年後、100年後の日本を救うために頑張ってやっていかないといけないんじゃないかなというふうに思っているんですね。そこを少し発言の趣旨がうまく捉えていないとまずいなと思いまして、言わせていただきました。ありがとうございます。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
大杉室長。
【大杉教育課程企画室長】  ありがとうございます。また私ばかりで申し訳ないのですけれども、貴重な機会ですので、是非先生方のお知恵をと思いまして、そういった観点から言いますと、二つあるんです。一つは、今、技術を創造できる力を育成すると言ってしまっておりますけれども、そうしてしまいますと、先生がさっきおっしゃったような発明をするとか、そういったことをするというような力になってしまって、少し大き過ぎやしないかどうか。もう少しそれにつながるこういう力みたいなことにした方がいいのかどうかということが一つです。
もう一つは、1,000人に1人とかそういうことかもしれないということかもしれませんが、ただ、社会と生活の話に先ほどなりましたけれども、社会が全てを包含しているというよりも、やはり生活の向上という場面で生きる部分はあるということは、是非大事にしなければいけないのかなと。そういう意味では、イノベーションというと本当に社会的革新、変革というようなことのように捉えられるかもしれないのですけれども、生活の向上という中での、少し身近なイノベーションといいますか、そういったところは共通に育んでいくという視点ももしかしたら御議論いただいてもいいのかなというふうに思っておりまして、きょうに限らず、また引き続き御意見を頂ければというふうに思っております。
【古川主査代理】  池田委員、どうぞ。
【池田委員】  今の、技術を創造する力というと確かに大きいと思いますが、技術教育で養うべき能力というのは、技術的な課題を創造して、また、工夫してそれを解決していける力であると思います。そうすると、もう少し中学校での技術教育に近づいてくるのかと思います。技術的な課題解決であったり、また、価値を創造したりというような態度も養っていく必要があるだろうと思います。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
イノベーションという言葉が最初に作られたときには、いろいろな意味合いといいますか、プロセスあるいはシステムのイノベーション、マーケティングイノベーションだとか、いろいろな意味を含んでいましたけれど、日本ではかなりテクノロジーイノベーションに突出してしまったということがありますので、それをここではもう一度、藤木委員あたりが言われていることは、技術イノベーション、テクノロジーイノベーションが必要である、それと、技術教育、技術分野で養う能力としては、リテラシーとしてのガバナンスと、それから、日本を発展させる、生活を豊かにするためのテクノロジーイノベーションが必要であるというふうな文脈からおっしゃっているんだろうと思いますが、藤木委員、それはそういう考えでいいということですね。
【藤木委員】  大杉さんがおっしゃったことが別に私は大反対とかいうことではなくて、一部の人にとっては、将来の日本を支える大きなイノベーションにつながる能力を育むことになるかもしれないけれども、多くの中学生にとっては、身近な生活の課題の解決であったりとか、社会に役に立つことを見据えた技術的な課題の解決であったりとか、そこは恐らくそんなふうな形になるんだろうなとは思ってはいるんですね。ですから、決して反対しているわけでも何でもないのですけれども、そういうことでございます。
【古川主査代理】  ほかにございませんでしょうか。
神山委員、どうぞ。
【神山委員】  済みません、結構大きな話がたくさん出て、私の方で一度、私たちがやろうとしているワークショップと、技術教科の時間を使っている部分というのはどことどこが、日本の教育と、例えば、イギリスのテクノロジー・アンド・アートがどう違うのかというのを見比べてみたことがあるんですね。そうすると、日本の技術というのは、基本的にすごく物を作るときの巧緻性だったりとか、そういうところに時間を掛けていらっしゃるというのに気が付いたのです。それは完成品がきれいであること、精密にできていることというところですね。ただ、D&Tというのは、もうちょっとカミカゼというか、最初の方の考える力のところに時間を掛けるんですね。どちらかというと、どういうビジョンを持ちましたか、何のためにそれが必要ですか、どうしてそれを作るんですかということから始まって、そのためにどういう知識と技術が必要ですかというところに落としていくと。そこを試行錯誤していく。それが最終的にその人だけにしか考えられないアイデアだったり、それが大きくなるとイノベーティブなものにつながるということだと思うのですが、そこにとても時間を掛けている教科なんですね。
私たちがやろうしているのは、考える力の方を何とかやっていきたいと思っているのですけれども、先ほどから藤木先生がおっしゃっているところというのは多分そこなのかなというふうに私は思っていまして、その部分をどうやって技術、授業の中でもう少し時間を割くことができるかというのが、是非皆さんに考えていただきたいなと思っているところでございます。
【古川主査代理】  ありがとうございます。
かなり時間が超過してしまっておりますので、今、神山委員の方から御指摘していただきましたことは、イノベーションを実現するためには、イノベーションを起こす資質・能力を養うためにはどういうふうな学習プロセスといいますか、内容かという次のことにもつながると思いますので、次に移らせていただきたいと思います。
それでは、議論の内容の二つ目として、資質・能力の三つの柱に沿った、小・中・高を通じて育成すべき資質・能力の整理について御意見を頂きたいと思います。まず、事務局より配布資料の説明をお願いします。
【大内学校教育官】  失礼いたします。それでは、2点目の資料につきまして、御説明させていただきます。お手元の方にまた資料2、検討事項と、それから、第2回、前回家庭科のときにお配りをしております資料になりますが、参考資料1、それから、参考資料2をお手元の方に御用意いただければと思います。また、御議論いただく資料といたしましては、委員限りの資料ということで、「資質・能力の三つの柱に沿った、小・中・高を通じて各教科等において育成すべき資質・能力の整理」という、A4横の紙がございます。こちらについての御議論をいただくということでございます。
まず、検討事項、資料2の方ですけれども、本ワーキンググループの検討事項の1ポツ目の上から二つ目の中点、三つの柱に沿った育成すべき資質・能力の明確化についてということで、「何を知っているか、何ができるか」、「知っていること・できることをどう使うか」、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びに向かう力、人間性など)」という形での、個別の知識・技能、思考力・判断力・表現力、それから、学びに向かう力・人間性というような、大きく三つの柱というのを示させていただいており、これらについての明確化を図るということが検討事項の二つ目でございます。
具体的に、参考資料の方ですけれども、参考資料1の方で、論点整理の際にお示しをさせていただいております資料になりますが、指導要領等の構造化のイメージということで、この中でも横軸に、個別の知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力・人間性等という形で示しておりまして、縦軸の方の教科学習というところがございます。この中で個別の知識・技能については、各教科に固有の知識や個別のスキルということ、それから、思考力・判断力・表現力については、各教科等の本質に根ざした問題解決の能力でありますとか、その教科等の本質に根ざした見方や考え方、学び方やものの考え方という点、それから、学びに向かう力・人間性等、情意・態度等に関わるものとしては、各教科等を通じて育まれる情意・態度等ということで、各教科横断的、総合的に育成すべき資質・能力として、論点整理の時点でこのような三つの柱に基づいて整理がなされているというところでございます。
参考資料2につきましては、高等学校について整理をしたものでございます。技術にはついてはございませんので、割愛いたします。
これらを踏まえまして、本日御議論いただく2点目の事柄といたしましては、委員限りの資料ということでございますけれども、資質・能力の三つの柱に沿った、小・中・高等学校を通じて各教科等において育成すべき資質・能力の整理ということで、中学校段階になりますので、縦軸ごとに見てまいりますと、まず、個別の知識・技能につきましては、中学校においては、技術に関する科学的な理解と。具体的には、材料、加工、エネルギー変換、生物育成、情報等の技術に関する基礎的な概念でありますとか、技術を安全・適切に管理・運用できる技能、それから、生活の基盤となる高度な技術や伝統的な技術と、社会・環境との関わりについての理解、こういった基礎的な概念、技能、理解の側面から個別の知識・技能というのを整理してございます。
小学校については、これらの中学校の技術に関する科学的な理解に関わって、小学校段階においては技術に関わる事象・現象等の理解について行うことができれば非常にいいのではないかというふうには考えてございますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、小学校については教科はございませんので、これは関係する教科等の中でこういった力を育成していくことが望まれるというような整理の仕方でございます。
同様に、高等学校については、情報や情報技術、問題解決に関する科学的な理解、こちらにつきましては、一応、情報領域の系列としての個別の知識・技能としては、情報に関する科学的な理解でつながるのではないか、また、高度な複合技術やシステム等に関する科学的な理解ということで、産業教育の観点でのつながりと。そういったものを意識して整理をしてございます。
真ん中でございますけれども、思考力・判断力・表現力等というところで、先ほど来御意見を頂戴しておりますけれども、技術を評価・活用、そして、創造できる能力ということで、三つお示しをさせていただいております。中学校の左側の方ですけれども、社会における問題を見出し、技術による解決のための情報収集、制約条件の想定等を行う力というのが一つ。
それから、2点目といたしまして、社会的・環境的・経済的側面から技術を評価し、目的と制約条件を踏まえて、選択、管理・運用する能力と。活用の部分を開くような形にしてございますけれども、これが2点目。
それと、3点目といたしましては、新しい価値の創造に向けて目的に応じた技術を構想・設計し、製作・制作・育成する能力ということで、ここでの創造の使い方は、「創造に向けて」というような形にさせていただいておりますけれども、こういった技術を評価・活用、創造できる能力ということでの示し方について御意見を頂戴できればというふうに思っております。
また、その右側のところでございますけれども、教科等の本質の議論がございましたが、特に思考力・判断力・表現力等の中で、技術を評価・活用、創造する際の視点の例として、この教科、この技術分野を学ぶ本質に根ざした見方、考え方としては、例えばということですけれども、1点目としては、材料の構造、形状、接合方法等の最適化について技術を評価・活用、創造する際に、技術の本質に根ざした見方、考え方として重視すべきではないかというような点、また、エネルギー変換については、エネルギーの変換、伝達、利用方法の最適化の視点、生物育成については、環境条件の最適化の視点、情報に関する技術については、ディジタル化や処理手順の最適化というようなものを、技術分野を学習していく際に本質に根ざした見方や考え方の例として、技術を評価・活用、創造する際の重視すべき点として示させていただいております。
また、中学校の方、横にそのまま参りますけれども、学びに向かう力・人間性等のところでございますけれども、こちらについては、技術を評価・活用、創造し、持続可能な社会を構築していこうとする態度ということで、先ほどのイメージ図の中でもございましたけれども、統合的に示させていただいておりまして、内容を細分化して見てまいりますと、一つ目の中点として、技術の在り方やそれに関する社会的な取組、それから、先ほど来、これも話題に上っておりますけれども、職業に対する関心、二つ目の点といたしましては、安心・安全な生活を実現し、よりよい社会を構築するために技術を評価・活用、創造しようとする態度、3点目としては、知的財産を尊重する態度や技術に関わる倫理観ということで整理をさせていただいております。
この前後について、小学校においては、例えば、思考力・判断力・表現力については、技術を評価、選択できる能力、さらに情意・態度については、それらを評価・選択し、よりよい生活を築こうとする態度といったものが考えられるのではないかというふうに整理をしておりますし、また、高等学校については、共通教科「情報」でそれぞれ思考力・判断力・表現力、情意・態度についてのつながり、それから、産業教育へのつながりという形で示させていただいております。
本日は、特に中学校の技術分野について、これらの資質・能力の三つの柱の観点から御意見を頂戴できればということ、それと、もう一点は、思考力・判断力・表現力等の中で教科等の本質に根ざした見方や考え方というのが、今、たたき台ということで示させていただいたような整理の仕方でよろしいのかどうかということについて御意見を頂戴できればということでございます。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
それでは、議論を進めていく上で、順序性ということで、左の、個別の知識や技能、何を知っているか、何ができるかというところの表記の内容について示していただいております内容から始めていきたいと思います。
藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  個別の知識や技能のところの一つ目のポツですけれども、材料、加工、エネルギー変換等が書いてあるところ、これ、先ほどのたたき台、「技術・家庭科(技術分野)における教育のイメージ」の中に出てきたものと若干表現が違うのかなと思って見ていました。たたき台の方では、「材料、加工、エネルギー変換、生物育成及び情報に関する技術」と。ところが、今の個別の知識や技能では、「材料、加工、エネルギー変換、生物育成、情報等の技術に関する基礎的な概念」、「等」という言葉が入ってきているんですよね。ここはどういう意味を持たせてあるのかが、いまいち分かりにくいなと思いました。
【上野教科調査官】  この「等」なんですけれども、申し訳ございません。イメージの方はできるだけ現行の確実な言葉を使わせていただいて、こちらの方は、次の改訂も目指して作らせていただいたものでございます。また、この区分につきましても、先ほどの方では、現行の学習指導要領に含まれている、例えば、材料と加工を分けてというような形で作らせていただきました。こちらにつきましては、この区分も含めて是非概念としてどういうものが必要なのかというふうな御意見を伺いたいということで、もしかしますとほかのものも入ってくる、あるいは区分も変わる可能性も含めて、「等」という言葉を予防策として入れさせていただきました。
【藤木委員】  理解しました。
【古川主査代理】  ありがとうございました。今の御説明を伺いますと、材料、加工、エネルギー変換、生物育成、時間数の問題もありますからそんなに増やせるわけではありませんけれども、ほかに重要なものがあるのか、あるいは分割した方がいいものがあるのかという、そういったことも含めて御意見を頂戴できればと思います。
長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】  学習プロセスの方でお話をした方がいいのかもしれませんが、こうした内容を先生方が指導なさる中で、今、まず始めにガイダンスをやっています。子供たちにとってしっかりと3年間を見通したガイダンスができればよいので、「など」というところにガイダンスが入るのかなと感じています。
それから、私が学校で指導しているときに、卒業する前に、3年間技術科でどんなことを勉強したのんだろうかということをまとめる時間を少し取ったんです。これは非常にうまくいきまして、これまで習ったいろいろな技術の集大成を生徒たちが見せてくれてました。こんなふうに成長したんだ、こんな力が付いたんだということが実感できる時間でもありました。
したがって、材料、加工、エネルギー変換、それぞれでまとめてはいるのですけれども、中学校の中で学んだ技術の時間で、実際に、こんな力が付いたよという確認ができる、高等学校の課題研究とか、そういったような設定があると良いのではないかと感じました。前がかり的な話だったかもしれませんが。
【古川主査代理】  ありがとうございました。今の御指摘は、多分、次の学習プロセスのところで話題になると思いますので。
ほかに御意見。中原委員、どうぞ。
【中原委員】  門外漢が質問するということでお許しいただきたいんですけれども、今、お話しになっているエネルギーの変換というのは、大変大きな問題が含まれていると思うんですけれど、中学校でかなりいい内容を教えるんだなというふうに評価をしているんですけれども、これが高校に行くとすぱっと切れているというのは、どうしてなんでしょうか。教える、該当する教科がないということなんでしょうか。今、私たちは、COP21じゃありませんけれども、エネルギーを使うことに関して変換を求められているのか、それとも省エネなのかという。今、つらつらと、これも内容を全部見ていったら、非常に重要なことが書いてある。それが中学生で終わりですよとなって、実社会に入るまでに、じゃ、どこで私たちというのはエネルギー変換に関して、生活と社会の場面の中で学ぶんだろうかと思うと、尻切れとんぼで残念な感じがしてならないのですけれど、どなたかお答えいただければ有り難いと思います。
【古川主査代理】  また難しい問題を、大杉室長にお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  技術・家庭という教科自体は中学校までですので、高校では技術と同じような形でエネルギーについて扱う教科はありません。
一方で、例えば、エネルギーと社会の関係でありますとか、あとは理科の中でのエネルギーの扱いですとか、それぞれもっとも教科の文脈の中で様々扱うということはございますけれども、構造としてはそういったことになっております。
中原委員に御指摘いただいた中身は、エネルギー変換として子供たちに中学校までにこういった力が身に付いているのだったら、こういったものを伸ばしたらいいんじゃないかというようなことがありましたら、是非御意見を頂ければとは思いますけれども、かといって、新たに高校に技術科を設けるというわけではありませんので、作業の全体の中でどのような受け止めができているかということはまた別途考えていく必要があるかと思います。
【中原委員】  もったいないですね。大変すばらしいのに。
【橋本主査】  いいですか。
【古川主査代理】  橋本主査、どうぞ。
【橋本主査】  今、室長のお話を受けてなんですが、だからこそ高校の理科とか、そういう関係のところでの学習が技術分野の学習を受けて、様々、アクティブ・ラーニング的に行われることが望ましいのではないかという提言を、このワーキングでして――残念ですねではなくて、是非そういうのを一つ、国民としてみんなが共通にきちんと実感を持って何か具体的なことで学習するというのが非常に大事だということを、家庭科でももちろんやりますし、そういう提言をしていくことが必要なのかなというふうに思いますけれども。
【大杉教育課程企画室長】  ありがとうございます。正に今、なぜ技術分野で育成すべき資質・能力という御議論をいただいているかというのは、それは高校の先生にとって見やすくなって、中学でこういうことを身に付けているんだったらこういうふうに伸ばしていこうという意識を持っていただくための議論でございますので、資質・能力を明確にしていただくとともに、それを是非ここで生かしていただきたいというメッセージは併せて出していただければと思います。
【古川主査代理】  ありがとうございます。
藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  時間、ないですか。
【古川主査代理】  いや、大丈夫です。
【藤木委員】  ありがとうございます。中原先生のすばらしい意見にちょっと呼応して、ついでにと思いまして、小学校にも技術教育の中心的な役割を果たしてくださる教科がありませんで、どうせなら小学校から中学校、高校につながるような、是非そういう技術教育を作っていただきたいものだなと常々考えているところであります。家庭科の方は小学校にもございますので、技術もあってもいいんじゃないかなと思っている次第であります。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
ほかに。室長、どうぞ。
【大杉教育課程企画室長】  ありがとうございます。2回、3回という初期の段階ですので、御自由に御意見を頂ければと思います。ただ、最終的な取りまとめに向けては、今回、ワーキンググループは論点整理を踏まえて設置いただいているということは、大変恐縮ながら、踏まえていただく必要はあるかと。大きな科目構成といったことに関しましては、論点整理の方向性ということがございますので、そういった事情もあるということは、私の立場として少し申し上げなければいけないということで、甚だ恐縮でございます。
【古川主査代理】  ありがとうございました。私の方からそれをお話しすればよかったんですが、室長の方から言っていただきまして。もう一度この内容といいますか、一番左の個別の知識や技能の内容のことについて話を戻したいと思います。今、中原委員から頂きましたそのことも非常に私どもも制度的に重要だと思っておりますが、多分、別のところ、ここのワーキングではないところで要望を出すべきものであろうというふうに思っております。ありがとうございました。
現在、材料、加工、エネルギー変換、生物育成、情報等の技術に関する基礎的な概念というところについて、材料と加工を、材料は材料で、それから加工ということで、材料と加工を分けますと、加工とエネルギー変換――エネルギー変換というのは具体的には機械と電気という内容を含んでおりますが、材料と加工を分けますと、加工が機械の何分の1かを占めておりますので、そういうニュアンスといいますか、枠組みが少し変わってくるといいますか、自由度が増えるのかなという気はいたします。
その部分についてはよろしいでしょうか。次に移らせていただいてよろしいでしょうか。
それでは、真ん中の、思考力・判断力・表現力等というところで、教科等の本質に根ざした見方や考え方等、知っていること・できることをどう使うのかという部分に移りたいと思います。ここに記されていることにつきまして、御意見がございましたらお願いいたします。
藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  失礼いたします。真ん中のところの右側のところに、視点の例ということで出てきておりますが、大体は現状の内容に対応しているのかなと思って見ております。一つ目が材料と加工に関する技術に対応しているのかなと。二つ目はエネルギー変換ですよね。三つ目が生物育成で、四つ目が情報かなと思っているんですが、四つ目のところ、ディジタル化や処理の手順の最適化、ここの「処理」という言葉は情報処理という意味だと思うのですけれども、「情報」という言葉を付けた方がきっと理解は容易になるのかなと思って見ております。単に処理というと、いろいろな処理が含まれてしまって、ちょっと発散し過ぎかなという気がしております。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】  続きまして、真ん中のところですけれど、おおむねこうした流れをもって思考力・判断力・表現力等を身に付けるという方向性でよいのではないかと思います。また、先ほど藤木委員からもありましたけれども、やはり最適化というキーワードを基に、正に技術科らしいところかなと思っております。
ちょっと話が前後しますけれども、先ほど、イノベーションという言葉が話題になりました。技術・家庭科の中で使われているキーワードとして、「自分なりの」という言葉があるんです。ですから、創造という言葉には大発見等という大きな意味に理解される面がありますが、そのあたりはやっぱり中学生という発達段階から考えると、先ほど身近なイノベーションという言葉を頂きましたけれども、正にマイイノベーションというか、自分なりのイノベーションの力をそれぞれ付けていくという意味合いがとてもバランスがいい。それから、社会的・環境的・経済的側面というのは是非必要な視点だと感じました。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  済みません、今の左側のところの真ん中になるのですけれども、「社会的・環境的・経済的側面から技術を評価し、目的と制約条件を踏まえて、選択、管理・運用する能力」、この一番最後の1行がちょっと分かりにくい表現なのだけれども、適当な言葉がないといえばないなと思いながら、何かうまい表現がないかなと思って、ちょっと考えてはいるんですけれども、技術を選択したり、管理したり、運用したりする能力という意味だと思うんですが、技術を選択する、これは比較的分かりやすいかと思うんですよね。管理するというと、保守点検みたいな意味がここには入ってくるのかなと思うのですけれども、どちらかというと、例えば、管理は人事管理であったりとか、そういうふうな意味に使われることも多いような気もしますので、何かいい言葉がないのかなと思ったりしているんですが、もう一つは、運用する能力。技術を運用する、じゃ、応用とどう違うのかとか、活用とはどう違うのだろうかとか、その辺を少し整理した方がいいのかなとは思いましたけれども。
【古川主査代理】  表現の問題です。
ほかにはございませんでしょうか。
私の方から一つだけ。右側に「材料の構造、形状、接合方法の最適化」とございますが、材料の構造といった場合に、二つの意味合いがあるのかなと。材料の、金属であったり、木材であったり、プラスチックであったりというのが想定されていると思うのですが、そこの中の組織のことを指すのか、あるいは、材料で組み立てるときの構造を言っておられるのか、その付近は明確にしていただく方がいいのかなと。
ほかにございませんでしょうか。
それでは、時間的なこともありますので、一番右の、学びに向かう力・人間性等、情意・態度等に関わるもの、どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るかという、その部分に移りたいと思います。
藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  済みません、小さい点の真ん中のやつですけれども、先ほどのたたき台のところでも出てまいりましたけれども、「安心・安全な生活を実現し、よりよい社会を構築するために」ということで、安心・安全な生活、よりよい社会の構築、この辺は多分、たたき台でちょっと提議いたしました問題とつながっているのかなと。何らかの表現上の工夫が必要になるかという気がしております。
以上です。
【古川主査代理】  長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】  続いて、学びに向かう力、人間性のところで、一つ目の黒ポツ、「技術のあり方やそれに関する社会的な取組、職業に対する関心」というところがございますが、職業に対する関心というのはとてもいいキーワードだなと受け止めました。今、幼・小・中・高とずっとキャリア教育というのをしっかりやっていこうじゃないかということで、いろいろな取組がなされています。私も引率したことがありますが、中学校で職場体験をしっかりやるんですけれども、実はある程度制約があって、サービス業というか、人と接したりする職業を体験させていただくことが多いのですが、技術開発に関連する体験をさせていただけるチャンスというのは、どうしても少なくなってしまいます。
ですから、技術科の中で、技術開発に関連する仕事に就いていらっしゃる方々をリスペクトするような教育が必要だと思います。また、安心・安全という言葉に象徴される倫理観との関連もありますけれども、テクノロジーそのものを大事にする、尊敬する態度こそ、学びに向かう力、あるいは人間性が育成できる。是非こういう力を、技術科の中で身に付けてほしいと感じました。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
中原委員、どうぞ。
【中原委員】  他教科との関連の中でしか言えないと思うのですけれども、技術評価という、アセスメントというのは非常に大事だと思うのですけれども、左の方の個別の知識や技能のところでは、3ポツ目に、生活の基盤となる高度な技術や伝統的な技術と、社会・環境との関わりとの理解をして、それをアセスメントしようということであるのならば、社会的・環境的というのは非常に分かる。ところが、「経済的側面から技術を評価し」と。コストパフォーマンスまで含めた経済的な知識が中学校のレベルで行われているのかどうなのか、ちょっと懸念するところなんです。大学、我々だと結構この辺の分野というのは、例えば、ライフサイクルアセスメントの中での影響評価を、手法をやるわけですけれども、中学校で、文言で書くのは大変いいと思うのですけれども、じゃ、具体的にこれを見たときに先生たちは何をやろうとするのか。具体的にどんなものが材料として提供できるのかと考えると、ちょっと飛んでいるなと。別に社会的・環境的ということになると、それは取り巻いているアトモスフィアとしての環境ということで分かるわけなのですけれども、経済的側面から技術評価をするという。単なる自分の支払意思能力の話なのか。じゃないと思うんですよね。もっと全体の、例えば、さっきエネルギー変換の話を申し上げましたけれども、それのコストというのをどうやって考えるのかみたいなところをおっしゃっているんだろうと思う。その辺はいかがでしょうか。
【古川主査代理】  お願いします。
【上野教科調査官】  あくまでも中学校のレベルですが、例えばの例で申し上げますと、生物育成の事例で、バイオディーゼル、植物を育てて、例えば、ゴマを育てて、そこからディーゼル燃料を作る取組を行っている学校があります。その時に、農薬を使うべきか使わない方がよいか、そのような議論の中で栽培計画を立てて、実際に栽培を行います。ところが、子供たちは、これで環境問題が解決できたと喜んでしまうのです。しかし、半年間育てている間に、先生は観察記録に手入れをした時間を記入させておきます。それにより、学年全員がトータル何時間働いたのかを集計し、その県の最低労働賃金で考えると、燃料1リットルで何十万円にもなることがわかるのです。そこから、では、もっと安くしなければ使い物にならないだろうとなったときに、次の栽培計画を立て始めると。結局、おいしく食べる時の育て方と、燃料として育てる時の育て方は違うだろうということに子供自身が気が付いて、三つの条件にトレードオフ、折り合いを付けて新たな栽培計画を立てていくという事例などもあります。また、それ以外にも材料と加工でも、限られた予算の中で目的を達成するために構造を工夫するというようなことも実践しています。とにかく技術というのは、トレードオフ、折り合いを付けるところで最適化を図るわけなので、環境と安全だけではなく、環境と経済ということで、今の中学生でも、実際に材料費という程度も含めれば、多くのところでこの側面から学習しています。
このように、実際に自分が今後こういう場面でどのような技術を使うかという時に、効果や自然環境だけではなく、経済的に、作るときの経済性も含めて、作るときから捨てるときの経済的な側面からも評価しようというふうな形で考えられることにつながる事例はある程度広まっているので、次回もこのようなことも大切にしたいと今、事務局では考えてここに入れさせていただいているという状況でございます。
【中原委員】  だからこその質問なのですけれど、日本というのはそんなに材料や資源というのがあるわけじゃないんですよね。よその国からそれを輸入するわけですよ。そのときの影響評価を考えないと、今の労働コストだけやっても意味がないわけで、例えば、食料一つとってみても、先ほど、この会議に来るまで環境省の会議だったのですけれども、いわゆるウォーターフットプリントを考えれば、野菜一つに、バックにどのくらいの水をその国から取ってきちゃうのか。じゃ、窒素はどうなっているのかというのを全部評価基準で入れないと、アセスメントできないんですよ。今のお話だと、ここら辺を取り出してやるだけで、むしろ日本の技術、ものづくりの背景によその国と協働、協力しながらできているんだよみたいなところがあってほしいなという思いはあるんですけれども、いかがですか。
【大杉教育課程企画室長】  今回の論点整理でもグローバルな社会の中でという視点がございますので、そういった視点を技術の中にどう取り入れていくのかということは、今回、一つの大きなテーマかなとは思います。
その中で、今の文脈の中で御指摘いただいていることは、全て技術の中で恐らくできるということでもなく、ほかの教科との関連性の中で実現していく部分もある。あとは、中学生という発達段階の中でどこまでできるかということもある。ここに「経済的」と書いておりますのでちょっと幅広く見えますけれども、実際、現行指導要領で申し上げますと、価格の視点とか経済性とか、そういう視点なんですね。ですから、どのぐらい中学生に可能なのかということを踏まえまして、少し表現ぶりも検討させていただく必要があるかなと思いますけれども、御指摘を踏まえていろいろ検討させていただきたいと思います。
【中原委員】  ですから、冒頭申し上げたのは、他教科との修学度に合わせてこういう言葉をお使いになっているのですかという質問です。
【大杉教育課程企画室長】  ありがとうございます。そういう意味では、ちょっと飛び出てしまっている部分もあるかもしれませんので、そういう観点からも是非御指摘いただければと思います。ありがとうございます。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
池田委員、お願いします。
【池田委員】  先ほど、教育のイメージのところと、それから、今のところで、「技術に関わる倫理観」と出ていますが、この点はもう少し説明は必要なのかなと思います。例えば、消費は廃棄まで含んでいるというようなこともあると思います。環境の問題もあると思いますので、この辺をどういうふうにしたらいいでしょうか。
【古川主査代理】  その付近の、今の御指摘を受けて、このたたき台を次に出されるときに少し修正されるかどうかということだと思います。
【大杉教育課程企画室長】  済みません、御指摘の趣旨をもう一度お願いできますでしょうか。
【池田委員】  倫理観というのがありますが、いろいろな幅広い意味での倫理観があると思います。生産であったり、例えば、それを利用するときのことであったり、消費であったり、そして、廃棄するときまでも含めた倫理観という意味で捉えていいのかなと思いましたけれども、ただ、「技術に関する倫理観」というこの短い言葉の中でどこまで伝わるのかなというところです。
【大杉教育課程企画室長】  ありがとうございます。少し丁寧に補足できるようにしたいと思いますけれども、その過程で是非池田先生の御助言もおかりしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
それでは、時間もかなり超過しておりますので、次に移らせていただきたいと思います。
それでは、議論の内容の三つ目として、技術・家庭科技術分野の学習プロセスについて御意見を頂きたいと思います。まず、事務局より配布資料の御説明をお願いいたします。
【大内学校教育官】  それでは、最後の論点となります。三つ目でございますけれども、今、古川主査代理より御説明ありました、「技術・家庭科 技術分野の学習プロセス」という資料になります。こちらの方も委員限りの資料になってございます。関連する資料といたしまして、資料2、それから、参考資料2をお手元の方に御用意いただければと思います。
まず、資料2でございますけれども、本ワーキンググループにおける検討事項として、2ポツ目、アクティブ・ラーニングの三つの視点を踏まえた、資質・能力の育成のために重視すべき家庭、技術・家庭科の指導等の改善充実の在り方ということで、ここはアクティブ・ラーニングの視点を踏まえつつ、指導の改善充実ということで示されておるのですが、この際のアクティブ・ラーニングの三つの視点ということで、下の方にございますけれども、ローマ数字の一つ目として、「習得・活用・探究という学習プロセスの中で問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過程が実現できているかどうか」という形での、アクティブ・ラーニングの視点の一つに習得・活用・探究というプロセスがあり、その中での深い学びの過程が実現できているかという観点を御議論していただくに当たり、学習プロセスということで、今回、委員限りの資料ということで示させていただいているというものでございます。
また、参考資料の方ですけれども、参考資料2の一番最後のところに、こちらも論点整理の際に示させていただいておるものでございますけれども、右肩の上に「検討中」とありまして、問題発見・解決のプロセスの例というものが示されております。横軸に問題の発見のプロセスが、縦軸の方で、プロセスの中で働く思考・判断・表現等のうち特に重視すべきものの例ということで示させていただいております。
これを技術・家庭科技術分野に当てはめた際にどうなるかというのがこれから御議論いただく資料でございまして、具体的には、「技術・家庭科 技術分野の学習プロセス(たたき台)」の方でございますけれども、プロセスとして場面が四つ用意されておりまして、一つは、改善や創造に向けた課題の設定、横にずれておりますけれども、二つ目が、技術に関する科学的な理解に基づいた設計・計画、次のフェーズとして、課題解決に向けた製作・制作・育成、4点目が、成果の評価と次の問題解決の視点という大ぐくりのプロセスを示させていただいております。
また、技術・家庭科については、各場面、このフェーズごとの学習活動を行う際に、その過程の評価と修正というのを常に繰り返しながら行っていくという形で、各フェーズの間に「過程の評価と修正」という表現を入れさせていただいております。
もう少し具体的に見てまいりますと、改善や創造に向けた課題の設定というのが、社会の中から技術的な問題を見出し、それに関する調査等に基づき、現状をさらによくしたり、新しいものを生み出すために解決すべき課題を設定すると。要素としては、技術的な問題の探索、問題の分析と調査、解決する際の制約条件の検討、課題の設定などが考えられておるところでございます。
また、技術に関する科学的な理解に基づいた設計・計画ということで、課題の解決策を構想し、試行・試作等を踏まえて解決策を具体化(設計・計画)すると。要素としては、技術に関する科学的な理解に基づいた新たな解決策の構想、試行・試作等、解決策の具体化(設計・計画)、解決活動の計画を立てることというものを要素として入れております。
また、課題解決に向けた製作・制作・育成ということで、解決活動の製作・制作・育成を行うと。この際の要素としては、計画に基づいた解決活動、それから、安全・効率に配慮した活動の管理ということで、学習プロセスを形成しております。
最後の面でございますけれども、成果の評価と次の問題の解決の視点ということで、解決の結果及び解決過程を評価し、解決策を改善すると。併せて、次の問題の解決へとつなげるというような形にしてございまして、要素としては、制約条件を踏まえた問題の解決状況の評価と改善策の検討、先ほどもちょっとお話に出てまいりましたが、社会的(安全、産業振興)側面と、それから、環境的側面、経済的側面からの解決過程の評価と改善策の検討というものを、技術・家庭科技術分野におけるアクティブ・ラーニングの際の学習のプロセスということで整理をさせていただいております。
また、その際に必要となる能力ということで、縦軸で示しておるところと関連してまいりますが、例えば、最初のフェーズでは、問題を発見し、それに応じて課題を設定する力、横にずれますけれども、課題の解決策を具体化する力、解決活動を実践する力、解決活動を振り返り、改善し、次の問題に取り組む力などが必要なのではないかと。
これらをさらに思考力・判断力・表現力の面から見ていくということで、その下に書いてございますとおり、最初のフェーズでは、生活や社会に存在する技術的な問題を認識するという力、それから、解決する際の仕様や制約条件を想定する力、横にずれます、既存の技術に用いられている解決策を認識し、解決活動に関わる思考・判断を行い、技術の特徴や影響の事実に基づいた技術の在り方について評価をするというような思考の流れ。
さらには、これは思考と判断と非常に分けがたかったので、前半に行われました家庭科のような形で少し点線を付することが難しかったのですが、例えば、左側の上から三つ目の丸のところでは、技術による解決を実現させるための分析、情報の選択、判断、それから、思考も踏まえた形での技術活動の評価と修正についての思考・判断、それから、技術社会の公正な評価。
あるいは、問題解決するための改善や創造に向けた課題を設定し、解決策の構想・具体化、こういったところにも当然思考あるいは判断ということが繰り返され、出てくると思いますし、さらには技術的な課題解決に関する合理的な意思決定、技術の評価・活用、創造に関する意思決定というような形での思考・判断の流れというのを整理しております。
一番下段については表現力ということで、解決策及び解決作業の計画の表現、解決作業についての表現ということで、それぞれ製作図、作業計画の際、それから、作業記録、修正活動の際の表現活動という形で整理をしてございます。
これらが技術・家庭科技術分野における学習のプロセスということで、現行の学習指導要領等から考え整理できる項目、また、産業技術学会等の御提言も頂いておりましたので、そういったプロセス、本日御出席の神山委員、ダイソンさんの学習のプロセス等もございましたので、そういったものを踏まえながら、今回の学習プロセスというのを整理させていただきました。こちらについて御意見を頂戴できればということでございます。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
それでは、技術・家庭科技術分野の学習プロセスについて、私の不手際で時間が15分ぐらいしかございませんが、よろしくお願いいたします。
池田委員、どうぞ。
【池田委員】  全日中の調査でも出ていますが、先生方が実際はものづくりの時間に結構時間を取られているという現状があります。それ以前に、先ほど神山委員からもありましたけれども、最終的に物を作ることが目的ではないと思いますので、新しいものを作り出していくんだ、課題を解決していくんだということを考えると、設計の時間に重点を置いていく必要があるだろうと思います。そういう意味で、「試行」であるとか「試作」という言葉が入っているので、これはとってもいいことだろうと思います。
あと、子供たちに、その内容を学習するときに最初のガイダンス的なもの、先ほど長谷川委員がおっしゃいましたけれども、とても重要なことであろうと思います。子供たちに興味を持たせること、それから、最終的にその内容を学習し終わったときに、自分がどのように変わっているのであろうか、どんなことが身に付いているんだということを、授業の最初に、その内容を学ぶ前に行っていくことが必要であると思います。そういった意味では、いきなり作らせて後からまた別なものを考えさせるという方法もあると思います。その辺についてはいろいろなやり方があると思います。また、今、四つの内容を学習していますけれど、四つの内容それぞれにガイダンス的な機能を持たせていく必要もあるだろうなと思います。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  失礼いたします。大体四つの内容としてはこんなところかなと思っているのですけれど、少しタイトルが分かりにくいなという気はしておりますが、ただ、A、B、C、D四つの現状の内容をそれぞれ課題の設定からスタートした方がいいのかどうかというのは、先ほど池田委員の御指摘もありましたけれども、内容によって、例えば、製作から始まるものもあるかもしれないし、設計で終わるという場合も出てきてもおかしくないのかなと。そういう意味では、内容とのつながり、それと、3年間を見通した発達段階に応じてどの内容をどの学年で割り当てるかとか、そういうある種、内容を固定するということも考えられるのかなと思ったりはしているんですね。特に技術という教科も免外の方が担当する割合も案外多いように聞きますので、裁量の幅が広いということはいいことなのですけれども、なじみがない先生にとってはやりにくいというところはあるのかなという気はしておりますが、そういう意味では、ある種、プロセスを固定して、内容を学年に割り当てるみたいな、そういう考え方もあるのかなという気はしております。これからの議論かもしれません。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
長谷川委員、どうぞ。
【長谷川委員】  失礼します。ガイダンスやまとめというのは先ほどお話ししましたとおりで、ここにスライドさせていただければ。
それから、こういうプロセスはとてもよいと思っています。私は、学校で技術の先生方に学習のプロセスを説明するとき、この四つの段階を簡単な表現で説明しています。最初「改善や創造に向けた課題の設定」は、「つかむ」という表現をしているのです。それから、2番目は、「見通しを持つ」それから、3番目は、「やってみる」それから、最後、「振り返る」いろいろ言葉は解釈があるかと思いますけれど、こうしたプロセスをガイダンスなり、各内容のスタートで指導してはいかがでしょうかという提案をしているのです。
こうした流れで学習する際、四つの内容のつながり、先ほど藤木委員からもありましたけれども、やはりある程度、小学校で学習する図画工作などの内容を踏まえて、材料や加工に関する指導は早目にした方がよいのではないかと思います。もちろんこれは例示ですけれども。あるいは他の教科との学習内容の関連もありますが、プログラミングの力をしっかり付けていきたいといったことから、第3年生で学習し高等学校の情報へつなげていくというような、規定を設けるのは効果的ではないかなと思います。これは現場の先生方からもそういった方向性が出ると焦点化して指導できるのだがという声を聞いております。
以上です。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
神山委員、どうぞ。
【神山委員】  ちょっと私、多分、素人で変なことを言うかもしれませんけれど、まず一つは、問題の発見のところなんですけれども、まず、社会の中から技術的な問題を見出すということで、技術的というふうに狭めてしまっているのは何でなのかなというのが、シンプルな私の質問です。
もう一つは、やっぱり「改善」という言葉が最初に来るというのは、先ほど冒頭に皆さんがお話しいただいたイノベーティブというところにおいて、日本では非常に改善、世界的な言葉ですけれども、それでいいのかなというのと、あとは、アクティブ・ラーニングというのは、多分、全教科に今言われていることだと思うんですけれども、やはり技術・家庭でも自分の考えを発表する、議論するというところが非常に重要な時代になってくると思いますし、考えた人しか発表できないものというのが出てくる。それを他人に発表してもらう時代では絶対なくなってくるはずですから、その部分の、問題を見付けてどういうふうに考えたかというのを学習プロセスの中に、例えば、チームとシェアするとか、そういうようなものというのももう少し入ってもいいのではないかと思いました。
【古川主査代理】  ありがとうございます。
藤木委員、どうぞ。
【藤木委員】  私も今の神山委員のアクティブ・ラーニングの話のところもちょっと考えていたんですけれども、主に考えると、アクティブ・ラーニング、技術の中では、多分、左から二つ目の設計・計画のところが一つは出てくるのかなと。もう一つは、一番最後の振り返りのところ、評価のところでしょうか。例えば、工場の生産なんか又は工場等での設計段階というのは、設計を単独でやるということはほとんどあり得ないんじゃないかなと。そういう意味では、協働作業で正に分業でコラボレートしながら設計そのものを進めていくというのが通常のような気がしますし、それから、最後出来上がったものをどう評価するか、あるいは、これから社会にどうつなげていくかというところの振り返りのところですけれども、ここがやっぱり隣の子供と議論するとか、周りと議論するとか、何かそういう学びの場面があってもいいんじゃないかなという気がしております。恐らく技術のところでは、設計をやるところが一つ深く学んでいく部分でありますし、最後の振り返りのところで、やっぱり社会と技術とのつながり、環境とのつながりなんかを深く理解していくところ。それを協働的な学びでやると。それによって、自らやってみたいという主体的な学びも恐らく付いてくるだろうという、そういうアクティブ・ラーニングそのもののポイントとしては、設計・計画のところ、そして、最後の評価のところ、その辺が合致するのかなと思っているところです。
【古川主査代理】  ありがとうございました。
ほかにはよろしいでしょうか。
この学習のプロセスにつきましては、この四つのプロセス、四つの段階というのは、既に先ほど長谷川委員の方からもありましたように、かなり中学校でも実践されておりまして、学会等でもこの方法がいいのではないかということを長年議論しております。このプロセスについては、大体お認めいただけるのではないかなと。
ただ、重点の置き方は、先ほど藤木委員からも御指摘がありましたように、これまでものづくりのところに余りにウエートを置き過ぎたと。しかし、やはり物を作って評価して活用してイノベーションを起こすというような、そういうことからいきますと、設計・計画のところにウエートを少し重点を移すべきではないかというふうな御意見が多いように感じます。
それから、学習プロセスの前後に、長谷川委員から先ほどお話しいただきましたガイダンスの部分と、最後のまとめの部分というのが付け加わるのではないかといったようなことではないかと思います。
ほかにも御意見、たくさんあると思いますけれども、時間が参りましたので、この付近で終わらせていただきたいと思います。
本日お出しいただきました御意見につきましては、事務局で論点ごとにその趣旨を整理していただくようにお願いいたします。
なお、限られた時間内での討議でしたので、さらに御意見やお気付きの点などがあれば、ペーパーで事務局にお送りいただければと考えております。
本日予定されていた議題はここまでです。
最後に、次回以降の日程などについて、事務局よりお願いいたします。
【大内学校教育官】  長時間にわたりまして、ありがとうございました。
次回の日程ですけれども、調整させていただいた上で、追って御連絡をさせていただきたいというふうに考えてございます。
また、古川主査代理の方からもお話がございましたとおり、ペーパーによる御意見等も頂戴したいというふうに考えてございます。本日の御議論いただきました三つの視点といいますか、三つの議論の論点について、それぞれ御意見を頂戴できれば幸いでございます。ファクス又はメール、郵送で結構でございます。
また、本日の配布資料につきましては、荷物になるようでしたら、机上の方に置いていただければ後ほど郵送させていただきたいというふうに思ってございます。
以上でございます。
【古川主査代理】  どうもお疲れさまでした。

―― 了 ――

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