生活・総合的な学習の時間ワーキンググループ(第2回、平成27年12月8日)における主な意見(未定稿)

1.幼児教育との円滑な接続を測るスタートカリキュラムについて

○ 今回の改訂では、カリキュラム・マネジメントがクローズアップされているが、それぞれの小学校で保幼小連携のためのカリキュラム・マネジメントを考えていくとともに、保幼小接続カリキュラムを保幼小の先生方が一緒に考えるという、学校単位を超えた地域レベルのカリキュラム・マネジメントというのも同時に考えていくことが必要である。もちろん学校ごとのカリキュラム・マネジメントが先決だが、中1ギャップを生まないために、中学校区で小中の接続・連携のカリキュラムを作っていくということと同様に、もう少し広い視野でカリキュラム・マネジメントというものを位置付けていく必要がある。

○ 渋谷区では「就学前オープンスクール」という取組を行っており、特に5歳児を対象として、同じ小学校に入ってくる幼稚園・保育園と小学校が一緒に取組を進めている。昨年度はモデル校で行い、今年度から全校で実施しており、カリキュラムを作るときに、幼稚園と保育園の先生と一緒に検討している。幼児又は園児がただお客さんとして学校に来て一緒に過ごすだけではなく、小学校の一員として考えて、先生同士が事前や事後の話合いをする取組が進んでいる。

○ カリキュラム・マネジメントについては、保幼小でどんな力を育てていくのか、資質・能力をどう保幼小で積み上げていくのかという目標論と、具体的な活動やプログラムをどう行うかという部分、それを動かすための研修や組織、それに対する行政のバックアップなど、トータルに保幼小の環境を考えていくのがカリキュラム・マネジメントであり、一歩踏み込んだ取組が必要である。

○ 中学校3年生を卒業するときにどんな力を付けたいかということが、校区の中で明確にされておらず、中学校1年生のところで、育成したい力のレベルが、小学校4・5年生ぐらいに落ちてしまい、系統立てたスキル育成に対する理解ができていない。つまり、カリキュラム・マネジメントができていないということだと思う。

○ アメリカの幼稚園では、あるテーマに沿ってプロジェクト型の学習を行っている例がある。つまり、幼稚園段階は、カリキュラムの編成の仕方が教科ありきではないので、まずはテーマありきで、知識をいろいろな角度から集めていくということが実現している。日本では、なかなか現場の先生方がそのような学び方について理解していないので、幼稚園段階でそのような自由な発想の学びがあることを、小学校や中学校が知ることから始めていくことも重要なのではないか。

○ 幼児期の教育は、幼児教育の終了までに育てていくというのが目標になっている。1単位時間、1日ごとの達成目標に向けて進ませていくのではなく、その子供の学び方を大事にしながら、5歳の終わり、入学前までにねらいを達成していくという学び方である。そのことが、小学校以降の学習の系統立てと違うということが基盤にある。また、目標は一緒だけれども、その子供の歩み方を大事にするというのが、5領域を総合的に学ぶという幼児教育の在り方である。テーマに向かって友達と一緒に学んでいくということの背景には、一人一人が自分の好きなことを見付けて十分に楽しむということが背景にあって、自分が遊びの中で経験したことを、また繰り返し使いながら、目的に向けて活用していく、そういうことが幼稚園の遊びの中で行われている。

○ 「スタートカリキュラム スタートブック」は、幼児教育で育てたいことと小学校の初めをつなぐとてもよい資料であり、活用を進めることが望まれる。

○ 生活科では、学校生活への適応を図るという部分が強調されすぎてしまっているという危惧がある。目標では、「その過程において生活上必要な技能を身に付けさせ」と示されており、授業あるいは学校生活の中で、そういった技能を身に付けていくということになっているが、適応指導的な部分を取り出した指導になってしまっている面がある。また、教科書の中にも、トイレの使い方や服の畳み方などが書かれていることから、学校現場では、生活科の中でそういった指導をしなければいけないと受け止められており、スタートカリキュラムの本質を議論していく必要がある。

○ 地域全体で育成したい資質・能力を整理し、地域と学びとの関わりを発達の段階ごとに定義している例があり、このような取組は大変参考になる。

○ 子供は問いをもつ存在であり、その問いに寄り添ってカリキュラムをつくっていくという視点がスタートカリキュラムにあれば、見事に幼児教育と小学校教育がつながる。

○ 自分がふだん出会っている学校種の子供たちの中で、学年が上の子供はとても大人に見えて、学年が下の子供は幼く見えてしまうことが、ギャップを生み出しているのではないか。今回、幼児期の終わりまでに育ってほしい具体的な姿ということを、幼児教育の方で整理することになっているので、それを接続するということを、小学校、特に生活科は、きちんと行う必要がある。5歳児、6歳児が十全に育ったときに、どれだけのことができ、どれだけ内面が豊かになっているかということを踏まえて、つまり、赤ちゃん扱いしないでスタートする必要がある。適応指導で行っているようなことは、5歳の保育園児や幼稚園児にできないはずがない。出発点にすべき資質・能力はどこかということを、5歳児からの引受けの中で考えていくことが、生活科のカリキュラムを構成する上で大切である。

○ これまで、生活科の育ちが総合的な学習の時間につながるという考えが示されてきたが、今回、3年生以降の理科・社会科についても、資質・能力という観点から議論がなされてくるとすれば、それをどう受け止めるかということは非常に重要なことで、理科・社会で育てていく資質・能力と生活科の達成状況が接続性をもつという考え方はあり得る。つまり、下請ということではなく、結果的に、生活科が、3年生以降の理科・社会で育てることの準備となるというつなぎ方はあり得る。下請をするということではなく、内容的にも、資質・能力的にも接続していくということは、子供の育ちにとっても望ましい。

○ 小学校の先生方は、幼稚園などでじっくり学んだり、観察をしたり、参加したりすることは非常に少ない。そのような状況で、幼児教育を実感として理解して、それを生活科に生かしていくことはとても難しい。例えば、幼稚園や保育園に、低学年の教員が参観に行くなど、制度的にも、教師の交流や、お互いの学び方、子供たちの生活の仕方を肌で感じ合える仕組みがあるとよい。

○ スタートカリキュラムについて、幼児教育の方にも引っ張られ、3年生以上の教科にも引っ張られ、内容が両方に引っ張られて薄くなってしまうような印象がある。そういう意味でも、生活科の内容がより厚いものになっていけば、幼児教育からバトンを渡され、中学年以降にスムーズに渡していく核になると思う。現在、生活科の内容は、2学年まとめて示されており、ともすると1年生、2年生の間で余り差がないような授業を見ることもある。もう少し、1年生、2年生の発達の段階を考えた形で、内容を示していく必要があるのではないか。

○ 生活科と総合的な学習の時間のつながりに関しては、社会事象や自然事象について、不思議に思う気持ちとか感動する気持ち、美しいものを見てきれいだなと感じる気持ちを大切にすべきである。

○ 内容の改善に際しては、余りにも社会科や理科に近い内容となってしまうと、それは社会科や理科そのものになってしまう。

○ 1年生の1学期くらいの観点別評価の枠組みを変えないと、生活科を核とした合科的な指導を実現する上では壁がある。

○ 中学校区において、15年間で育てていきたい子供たちの資質・能力は何かということを考え、幼稚園・保育園から中学校の先生が一緒に研究・研修を行っている例がある。このような取組は、幼稚園・保育園・小学校の先生にとっては、自分が育てた子供が小学校に上がってどうなるのか、中学校に上がってどうなるのかということを学ぶことができ、中学校の先生にとっては、地域全体で子供を育てているということを知ることができるので、双方にとって大変よい影響がある。

○ 幼児教育や生活科などにおける、遊びと体験を通して言葉にしていくという目標が心に残った。幼児教育や小学校低学年で情を育むということが重視されなかったために、18歳で進路の選択をさせるときに、ともすれば知に偏り、選択するだけの幅広い興味・関心が薄く、自分が専門的にやりたいと思っていることをどう役立ていくかという思考が弱いのではないかと考えている。したがって、遊びや体験を重視しつつ、それを言葉にして、情を徹底的に幼児教育や小学校低学年で育てる必要がある。

○ 先生方には、相当なカリキュラム開発能力が要求される。その際、資料5として示されている「幼児教育と小学校教育の接続について(たたき台)(素案)」が参考になる。具体的な資質・能力を、少なくともこの12個ぐらいのイメージをもちながらどのように組んでいくか、それに対して、どのように学習活動を対応させていくかという、いわゆるカリキュラム能力開発をどうするかということを視野に入れないと、実際の学校現場に広がらない。どのようにカリキュラムをつくるかということを学習指導要領あるいは解説に、詳しく書く必要がある。

○ 開かれた教育課程やカリキュラム・マネジメントのことを、小学校の先生方にきちんと理解をしてもらうためには、スタートカリキュラムのことをしっかりと伝えることが一つの手立てではないか。生活科や総合的な学習の時間は、発達の段階に応じた、子供たちに身近なテーマを設定し、そのテーマに取り組んでいく過程において、必要な知識とスキルを身に付けていくものである。身近なテーマを設定すれば、それが緩やかに教科と教科の間の学びをつなぎ、主体的な学びにもつながり、正にアクティブ・ラーニングが実現していく。
また、スタートカリキュラムの本質を小学校の先生が理解するということは、究極的には資質・能力の育成に視点を置いた、社会に開かれたカリキュラム・マネジメントのことを理解するよい機会ではないか。スタートカリキュラムで示されていることは、開かれた教育課程で社会とつながるカリキュラム・マネジメントのことであるということを、どこかに明記すれば、それがツールになり、1・2年生を担当するときにしっかりとカリキュラムデザインができるのではないか。

2.教育課程全体における「総合的な学習の時間」の意義について

○ 中学や高校の実践は、教科の力を生かした学習になっており、それにより、子供たちは教科の力の大事さを感じるとともに、教科を学ぶ中で総合的な学習の時間の大切さも感じてくれる。

○ 総合的な学習の時間については、現行の学習指導要領でも、資質・能力の視点が含まれており、現在の議論の視点も受け入れやすいと考えるが、ほかの教科等は、そのような意識はこれまでなかったと思うので、総合的な学習の時間とほかの教科等の学習を資質・能力とどう関連付けていくかということに関しては、ほかの教科等の議論の動きを十分に踏まえる必要がある。

○ 最近、中学校の総合的な学習の時間がよい方向に向かっていると感じる。それは多分、昨年の「論点整理」で示されたアクティブ・ラーニングという視点から、教科等の学びも探究的なものに変えなければいけないという考えがあり、その際、総合的な学習の時間で培ってきた探究的な学びや授業づくりが関係するのだという思いが関係していると考える。ただし、高等学校に関しては、それぞれの高等学校が掲げるミッションがあり、今の総合的な学習の時間の在り方では、なかなかそのミッションに応えるような総合的な学習の時間が展開できないという課題がある。そのため、ある程度、それぞれの高等学校のミッションに応じた、有効かつ適切なカリキュラム・マネジメントの在り方を示していく必要がある。

○ 日々の各教科等の学習が、総合的な学習の時間での学習につながるような在り方が望ましい。

○ 探究という面について、小学校ではよく取り組まれているが、中学や高校では、学際的あるいは教科横断的な学びの方に目を向け過ぎて、扱う分野もかなり専門的になるので、探究という部分が、中学や高校につながっていないのではないかと感じる。そのため、探究という部分をもう少し強調して、それを総合的な学習の時間の本質のどこかにしっかりと位置付けた方がよいのではないか。

○ カリキュラム論というのは、内容論、対象論を基盤に構成したり考えたりすべきであり、総合的な学習の時間については、検討事項の資料にある「(2)実社会・実生活上の課題を解決することができる」という点に独自性がある。

○ 教科横断的、汎用的なスキルなど、総合的な学習の時間でどういうものを育てていくかを明確化していくという点に関しては、各学校でどういう生徒を育てていくのかということと密接に関わる。

○ 汎用的スキルは、挑戦と失敗からしか得られないものが多くある。全ての教員がこういう力を育てるのだということを自分たちで自覚していないと挑戦はできない。また、評価と一体となって、観点別評価をしっかりやっていくとかいうことを考えなくてはならず、そのためにも、どのような資質・能力を育てていくかということを全体で共有した上で、総合的な学習の時間を中心としながら各教科等でも取り組んでいくという構造が必要である。さらに、総合的な学習の時間の探究的な活動を、各教科のどの単元のどのような部分とクロスさせていくのかということを教員の中で頭に置いて取り組むということも必要である。

○ 実社会・実生活と関連した学びを行うときの課題は、生徒にとっては1回きりの貴重な機会だが、地域にとっては、持続していく営みのうちの1年であるということである。どのように次年度の後輩たちの学びに生かしていくのかという視点をもつと、より地域と実社会・実生活と関連した学習が進むのではないか。

○ 社会に出てから必要なスキルなどは、キャリア教育で指導すればよく、世界を対象とした探究的な学びとは整理して考える必要がある。

○ 総合的な学習の時間の内容の例示されている事柄の中には、現在の社会やこれからの教育課程の中では、総合的な学習の時間の中で取り組む内容としてそぐわないものもあるのではないか。一方で、現在の社会の状況に照らして、選挙権年齢の引下げとの関連など、盛り込むべき内容もある。

○ 総合的な学習の時間の評価には、ルーブリックが適していると考えるが、最終的に示す評価の在り方がそれに対応していないという面もあるので、総則・評価部会との連携が必要である。

○ 育てたい力を明確にして評価基準を作成したり、教科との連携を明確に整理したりする取組が、先生たちの教材研究の力や発想力につながる。

○ 学び合い、ファシリテーション、思考ツールなどを活用しながら、子供たちが主体的に学んでいく各教科の授業づくりに取り組むことで、子供たちの学びだけでなくて、教師の授業に対する姿勢が変わる。その学び合いを通して、子供たちが、例えば課題設定、情報活用・処理、人間関係調整能力などの汎用的な力を付けていくことが、総合的な学習の時間の改善に役立つ。双方向性をもって各教科等の充実を図ることが総合的な学習の時間の充実につながり、総合的な学習の時間のよさが教科に生かされているというよい循環が生まれていると感じている。

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-- 登録:平成28年03月 --