資料6-3 高等学校における通級による指導の教育課程上の位置付けについて(論点)

高等学校における通級による指導の教育課程上の位置付けについて(論点)


1.学習指導要領等における位置付けの在り方


<小・中学校における現状>
小・中学校における通級による指導は、その目的や内容について、学校教育法施行規則及び文部科学省告示に規定されている。
また、学習指導要領解説において、指導に当たっては、特別支援学校における指導領域「自立活動」を参考として、個々の児童生徒の障害の状況等に応じて目標・内容を定め、学習活動を実施することが記述されている。


○学校教育法施行規則
第百四十条 小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程において、次の各号のいずれかに該当する児童又は生徒(特別支援学級の児童及び生徒を除く。)のうち当該障害に応じた特別の指導を行う必要があるものを教育する場合には、文部科学大臣が別に定めるところにより、第五十条第一項、第五十一条及び第五十二条の規定並びに第七十二条から第七十四条までの規定にかかわらず、特別の教育課程によることができる。
一~八 略


○平成5年1月28日文部省告示第7号
小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程において、学校教育法施行規則(以下「規則」という。)第140条各号の一に該当する児童又は生徒(特別支援学級の児童及び生徒を除く。以下同じ。)に対し、同項の規定による特別の教育課程を編成するに当たっては、次に定めるところにより、当該児童又は生徒の障害に応じた特別の指導(以下「障害に応じた特別の指導」という。)を、小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程の教育課程に加え、又はその一部に替えることができるものとする。
1 障害に応じた特別の指導は、障害の状態の改善又は克服を目的とする指導とする。ただし、特に必要があるときは、障害の状態に応じて各教科の内容を補充するための特別の指導を含むものとする。
2 (略)


<論点>
特別支援教育部会のこれまでの議論において、通級による指導と各教科等の指導との関連が明らかになるよう、学習指導要領の総則において、通級による指導の目標・内容や、教育課程の構造等、配慮事項等を示すことが必要ではないかという意見が出されており、高等学校における通級による指導を含め、検討が必要となる。


2.学習評価、単位認定の在り方


<各教科・科目、総合的な学習の時間の単位認定>
各教科・科目の単位認定は、生徒が学校の定める指導計画に従って履修し、その成果が教科及び科目の目標からみて満足できると認められる場合に行うこととされている。
総合的な学習の時間の単位認定は、生徒が学校の定める指導計画に従って履修し、その成果が高等学校学習指導要領に定める目標からみて満足できると認められる場合に行うこととされている。


<論点>
○「通級による指導」の単位認定は、生徒が学校の作成する「個別の指導計画」に従って履修し、その成果が個別に設定された目標からみて満足できると認められる場合には、当該高等学校の単位として認定しうることとしてはどうか。
(なお、障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導という通級による指導の性質上、目標の達成状況を評価する場合には、数値による評価はなじまないのではないか。)


3.高等学校教育における共通性と多様性のバランスを踏まえた単位数の在り方


(1)必履修教科・科目との関係


<高等学校の必履修教科・科目>
○高等学校の必履修教科・科目及び総合的な学習の時間の合計標準単位数は38単位であり、施行規則において卒業までに習得させる最低単位数として規定されている74単位の半分程度である。これは、全ての生徒に最低限必要な知識・技能と教養の幅を確保する趣旨(共通性)と学校の創意工夫を生かすための裁量や生徒の選択の幅の拡大(多様性)とのバランスに配慮したものである。


<論点>
○高等学校の生徒に最低限必要な知識・技能と教養の幅の確保のために必履修教科・科目が設けられた趣旨に鑑みると、「通級による指導」を行う場合において、必履修教科・科目の単位数を学習指導要領の規定を超えて減らすことを認めることは適当ではないのではないか。


(2)卒業のための必要単位数との関係


<小・中学校の現状>
○小・中学校においては、通級による指導における「特別の教育課程」を小・中学校の通常の教育課程に加え、又は替えて実施することができるとされている。


<論点>
○特に専門学科等においては、3年間に開設可能な時間数の範囲内で、全ての生徒が学ぶ必履修教科・科目、専門学科における必履修科目及び原則履修科目、総合的な学習の時間並びにホームルーム活動に加え、通級による指導の時間を確保することが困難な場合が考えられる。
学校の判断により、通級による指導により修得した単位数を、卒業のための必要単位数に含めることも可能とすることが適当ではないか。


(3)標準となる単位数等


<小・中学校における現状>
○小・中学校における通級による指導では、授業時数は年間35単位時間(学習障害者及び注意欠陥多動性障害者を除く)から280単位時間までを標準としている。これは、通級による指導は、児童生徒が通常の学級に在籍し、そこで大部分の指導を受けることを前提とし、児童生徒の負担が過重とならないよう配慮していることによる。
※ 35単位時間の授業を1単位とする標準に基づき計算すると、年間の単位数は1単位(学習障害者及び注意欠陥多動性障害者を除く)から8単位までとなる。
※ 中学校における卒業までの総指導時間を、高等学校と同じ標準(1単位時間50分、35単位時間の授業を1単位)に基づき単位に換算すると、卒業までに87単位を修得する計算となる。このため、卒業までの修得単位数が74単位以上である高等学校において、中学校と同じ比率で「通級による指導」を行うためには、年間7単位までとなる。


<論点>
○高等学校においては、障害のある子供のニーズとして、行動面の課題への対応は、発達の段階に応じて、また小・中学校における支援の成果として、年齢が上がるに伴い減少することが多い。他方、年齢が上がるに伴い、失敗経験の蓄積等による自尊感情の低下等への対応や、学校教育修了後の自立と社会参加に向けた準備のニーズは増加すると考えられる。


○上記の点や小・中学校における指導時間の標準も踏まえ、高等学校における指導時間の標準をどのように設定するか

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