教育課程部会 特別支援教育部会(第8回) 議事録

1.日時

平成28年5月18日(水曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館 文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 教育課程等の円滑な接続に向けた改善・充実について
  2. 特別支援教育部会における議論の取りまとめについて
  3. その他

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会 教育課程部会特別支援教育部会(第8回)

平成28年5月18日


【宍戸主査】  皆さん、おはようございます。皆さんおそろいですので、これから中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会特別支援教育部会の第8回を開催したいと思います。
最初に、先月4月14日に発生しました熊本県を中心とした九州地方での一連の地震によって、尊い命を落とされた方々の御冥福をお祈り申し上げます。併せて被災地の皆様に、心からお見舞い申し上げたいと思います。現在も多くの方々が支援に当たっておられます。被災地の一刻も早い復興を心からお祈り申し上げたいと思います。
それでは、議事の方に入りますが、本日は小枝委員と野口委員、堀江委員が所用のため欠席です。
本日は前回に引き続き、報道関係者の会議の撮影及び録音の申出がありますので、これを許可しております。御承知おきいただきたいと思います。
初めに、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【太田特別支援教育課課長補佐】  おはようございます。それでは、配付資料の確認をさせていただきます。第8回の議事次第に記載しておりますとおり、本日は資料1から資料5、参考資料1、2を配付させていただいております。
後ほど御紹介ができませんので、簡単に一つだけ御紹介させていただきますと、資料5につきましては、平成27年度特別支援教育に関する調査結果ということで、私ども特別支援教育課で行っている調査について最新の調査結果がまとまりましたので、ここで配付をさせていただきたいと思います。既にこれまでの会議でも第1回を始め、この調査結果を踏まえた御議論をしていただいたところでございますが、例えば特別支援教育体制整備状況調査の方は、コーディネーターの配置状況ですとか、校内委員会の設置状況ですとか、個別の計画の作成状況ですとか、それから通級による指導で学んでいる子供たちの数ですとか、医療的ケアに関する調査結果、更に学校教育法施行令第22条の3に規定する、児童生徒の在籍状況といった調査結果をまとめておりますので、詳しい説明について本日はございませんが、適宜御参照いただければと思います。
不足等ございましたら、事務局にお申し付けいただきたいと思います。以上でございます。
【宍戸主査】  資料5として、最新の調査の結果がまとめてありますので、御参照いただきたいと思います。
それでは、他部会の検討状況等の報告をお願いしたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは、参考資料の1と2を御覧いただけますでしょうか。
まず参考資料の1でございますけれども、総則・評価特別部会等において議論が進んだ事項について、御参考までに共有させていただくものでございます。参考資料1をおめくりいただきますと、1枚目の裏側でございますけれども、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点ということでございまして、論点整理におきましては、その上段にございますような深い学び、対話的な学び、主体的な学びについての整理がされていたところでございますが、見方や考え方、各教科の特質に応じたというような議論が各ワーキングで進んでいるということも踏まえつつ、総則・評価特別部会の議論等を踏まえ、改めてその三つの視点について整理をし直したものが、下のピンク色の枠囲みでございます。
まず、深い学びでございますけれども、各教科におきまして、現在科学的な見方や考え方でございますとか、社会的事象を捉える見方、考え方ということで、各教科それぞれの見方や考え方というものの明確化ということが進んでいるところでございます。それを踏まえまして、深い学びの中にそうした見方や考え方を働かせるという趣旨を入れ込んだということが、一つ目でございます。
それから、対話的な学びでございますけれども、もともと論点整理におきましては、他者との協働や外界との相互作用となっていたところでございますが、これを少しかみ砕きまして、子供同士の協働、教師や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること、過去の人との対話ということも含むということでございますけれども、そういった対話的な学びということの趣旨を少しかみ砕いたということでございます。
それから、主体的な学びに関しましては、学んでいることと自身のキャリア形成の方向性を関連付けていくということが極めて重要でございますので、そうしたキャリア教育の視点を入れ込むということで、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながらということを入れさせていただいているところでございます。今後、もう少し文言は調整が入る可能性はございますけれども、再度整理をし直したものに基づいて、議論を更にまとめていきたいということでございます。
そして、そうした深い学び、対話的な学び、主体的な学びと資質・能力の関係性を概念図として少し整理させていただいたものが、コイル状になっておりますけれども、次のページでございます。矢印が子供たちの学びということでございますので、その学びの中で知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力・人間性、この三つの資質・能力が深まっていく、育成されていくということで、一番右側にございますような、生きて働く知識・技能、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力、学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性を育んでいくということのために、主体的・対話的で深い学びが重要であるというような考え方を図示したものでございます。これもまだまだ調整中でございますけれども、こうした考えで整理をしているところでございます。
また、次のページはそうした各教科の学びが相互にどのように関連付くかというようなことについて、少しイメージを作っているところでございます。特に重要なのは、例えば総合的な学習の時間というものが、各教科の見方や考え方を総合的に活用しながら探求し、学校が設定する育成すべき資質・能力の実現ということに資するものであるということ。あるいは、特別活動というものが学習の基盤作りということ、あるいはそのキャリアとの方向付けということで、そうした振り返り。今、キャリアパスポートやキャリアカルテをしっかりと特別活動との関係性で位置付けようという議論が進んでおりますけれども、そうしたことの重要性。あるいは、道徳の中で形成される資質・能力が、各教科における三つ目の柱、人間性ということに極めて深く関わるということ。そうした教科相互の関連性を、少し図示をしたものということでございます。
そうした議論も踏まえながら、更に次のページでございますけれども、小学校と、本日は高校のみつけてございますけれども、総則の構造を少し抜本的に見直すという議論を進めていただいております。左側、現在の総則の構造でございますけれども、企画特別部会におきましても総則を見たときに、学校関係者のみならず社会の幅広い方々が指導要領、教育課程が目指す方向性でありますとか、その構造の意義ということを容易につかむことができるというような総則の構造にすべきではないかというような御指摘を頂いていたところでございます。そうしたことを踏まえまして、右側のように、例えば前文のようなものを置いて、社会に開かれた教育課程の考え方を示してはどうか。冒頭に小学校教育の基本ということで、資質・能力と関係法令、あるいは「生きる力」との関係性を分かりやすく示してはどうか。そして、カリキュラム・マネジメントや主体的・対話的で深い学びの考え方、特別支援教育、あるいは学習活動の基盤というようなことを分かりやすく構造化してはどうかということでございます。
そして、別表ということでございまして、各教科で整理が進んでおります見方・考え方については、総則で一覧的に示すことによって、その当該教科の専門家ではなくても共有できるようなことを考えていくべきではないかということでございます。
後ろに高校もついてございまして、高校は単位の部分で編成について少し記述が手厚くなってございますけれども、それ以外は基本的には同じような考え方に基づく構造ということを考えているところでございます。
続きまして、参考資料の2でございます。これは先日、馳大臣からメッセージとして公表させていただいた、「教育の強靱化に向けて」ということでございます。大臣就任以来半年がたったという一つの節目のタイミングであるということ。また、中教審におきましても、いよいよ議論の取りまとめに向けた段階に入ってきているということ。そうした中で、アクティブ・ラーニングというものが、ともすると知識というものを軽視して活動を重視するというようなメッセージとして誤解されかねないのではないかという一部の御懸念があるということ。そういったことを踏まえまして、改めてこのタイミングでこうしたメッセージを発信させていただいたところでございます。
これからの予測がなかなか難しい時代をたくましく生きていく子供たちに、しっかりとした資質・能力を育む、そのために必要な教育課程と学校の様々な体制整備、条件整備ということを併せて実施していくということで発信させていただいたメッセージでございます。
1枚目は、本部会も含めまして、これまでの中教審における検討状況を一通り取りまとめさせていただいたものでございます。そして2枚目でございますけれども、子供たちに未来の創り手となるために必要な知識や力をしっかりと育んでいくということ。ゆとりか詰め込みかという二項対立的な議論に戻るのではなくて、必要な資質・能力をしっかりとバランスよく育んでいく。その中には知識というものの重要性、しかも生きて働く知識としてしっかりと習得させていくために、どのように学ぶかというアクティブ・ラーニングの視点が重要であるということ。したがって、学習内容を削減して活動の時間を生み出すということではなくて、しっかりと生きて働く知識として習得されるように、現在の学習課程の質的な改善を行っていくものであるということでございます。
一部、一つ目の枠囲みの小さい部分に、「高校教育については」とございますけれども、例えば高等学校の歴史ですとか生物ですとかそういった学習におきましては、かなり膨大な用語を暗記するということが、入学者選抜との関係もあって求められているのではないか。こうした課題には、しっかりと知識の構造化ということで対応していくということでございます。
そして3枚目は、そうした教育課程を実現するという観点からも、「次世代の学校・地域創生」ということで、指導体制の充実、教員の質の向上、チーム学校の実現、地域との連携・協働ということをしっかりと一体的に進めていくということでございます。
次のページ以降は参考でございますけれども、最近人工知能の進化も含めて情報化ということが急激に進む中で、学校教育が何を目指していくのか、あるいは現在、次期学習指導要領に向けてということで、様々な広報活動も行っておりますので、それの参考資料ということ。そして最後は、既に昨年公表させていただいておりました馳プラン「次世代の学校・地域」創生プラン、中教審の3答申を受けてということでございますけれども、これについても参考資料としてつけさせていただいたところでございます。私からは以上です。


【宍戸主査】  それでは、本日の議題に入りたいと思います。今日は二つの議題を予定しております。一つ目は、教育課程等の円滑な接続に向けた改善・充実について。二つ目は、特別支援教育部会における意見の取りまとめについてということで御議論いただきたいと思っております。
最初の、教育課程等の円滑な接続に向けた改善・充実についてということで議論に入りたいと思いますが、前回まで、知的障害のある子供たちのための各教科の見直し、それから、重複障害等の教育課程の取扱いについてということで議論をしてきたところであります。教育課程等の円滑な接続に向けた改善・充実についてということで議論を行いたいと思いますが、まず配付資料がありますので、それについて事務局の方から説明をお願いしたいと思います。
【太田特別支援教育課課長補佐】  それでは、資料の説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料3-1と資料3-2を使って御説明をさせていただきます。特に3-1の方はかなりボリュームがありますので、少しお時間を頂いて御説明をさせていただきたいと思います。
まず3-1でございますが、全体の目次等を用意してなくて大変恐縮でございますが、内容として、重複障害者等の教育課程の取扱いのこと、それから、今回連続性を考えていただくに当たりまして、小学校、中学校、高等学校の教科と、それから知的障害のある子供たちのための教科の比較をするために目標。目標は、教科全体の目標と、それから学年ごとの目標ですとか、教科の内容、学習評価、そういったところについて少し比較しながら御検討いただきたいと思います。更にこれから教育課程の連続性を考えていく上で、知的の教科や重複障害者等の教育課程の取扱いなどについての検討の手続などを御紹介したいと思います。
それからもう1点、本日皆様に御検討いただきたい点としまして、教科の構成についても御検討いただきたいと思っております。それから、これらを踏まえたカリキュラム・マネジメントについても、少し考え方を整理しましたので、御説明させていただきたいと思います。それを踏まえて、資料3-2で改善の方向性ということを御提案させていただいて、また先生方から御意見を頂きたいと思います。
それでは、資料3-1を御説明させていただきたいと思います。タイトルが「重複障害者等の教育課程の取扱い」の規定を踏まえた各教科の目標及び内容の連続性についての検討という資料でございます。最初に上段の方に薄い紫で枠囲みがしてありますが、第7回の全体の会議で、重複障害者等の教育課程の取扱いについて御議論いただきましたが、そこで三つの点を主に課題として、これから整理が必要ではないかということを御提案させていただきました。
一つ目は(1)にありますとおり、小学校等の教科と知的障害のある児童生徒のための教科の目標の連続性ということであります。2点目が、発達の初期の段階にある児童生徒を含めた教科の目標の系統性。三つ目が、その上で重複障害者である児童生徒の教科等の目標や内容を、知的障害の子供たちのための教科に替える際の手続について具体的に示すということが必要ではないかということを御提案させていただきました。
1ページ目以降が、前回のおさらいになりますが、小学部、中学部における重複障害者等の教育課程の取扱いについて、もう一度掲載をさせていただきました。左側の方に少しイメージ図をつけておりますが、左から右に、幼稚園から高等学校、それから知的の子供たちの教科については、小学部から高等部。それから一番下に、自立活動を主とした指導というような形で学んでいるというようなことを、イメージとしてつけさせていただきました。
1ページおめくりいただきまして、これは第7回、前回の資料のおさらいになりますが、重複障害者等の教育課程の取扱いということで、前回御紹介させていただきましたが、知的障害を併せ有する子供たちの場合ということで、準ずる教育課程の場合、ここは中学校の教科をオレンジ色で示しておりますが、それを知的障害のある子供たちのための教科、黄色い部分に替えることができるというような規定があります。そこで、知的障害の子供たちのための教科に替えた場合の、小学校等の教科、オレンジの部分とのつながりが課題になるのではないかということを指摘させていただきました。
3ページ目でございますが、もう一つ重複障害等の教育課程の取扱いとしまして、今度は水色の部分で示しておりますが、自立活動を主とした指導に替えることができるというような規定があります。下から二つ目のところが、一部を替える場合と、それから一番下の部分が、道徳、特別活動以外の各教科を、主として自立活動の指導に替えるというようなことができるような規定になってございます。その場合の自立活動を主とした指導を行う場合の教育課程と、その際の各教科とのつながりということも課題ではないかということを指定させていただきました。
4ページ、5ページ目以降にいきまして、また少し話が変わりますが、ここから少し小学校と、知的障害のある子供たちのための教科との比較をしていきたいと思っております。まず教科の目標について比較をしたものが、この5ページでございます。上の段が小学校等の教科ということで、一つだけ見ていただきますが、小学校の算数、それから中・高の数学の目標を掲げておりますが、小学校の算数の目標を見ていただきますと、「算数的活動を通して、数量や図形についての基礎的・基本的な知識及び技能を身に付け」というのと、「日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考え、表現する能力を育てるとともに、算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き、進んで生活や学習に活用しようとする態度を育てる」というのが現行の算数科の目標になってございます。
下の段を見ていただきますと、知的障害のある子供たちのための教科の目標を記述しております。小学部の目標を見ていただきますと、「具体的な操作などの活動を通して、数量や図形などに関する初歩的なことを理解し、それらを扱う能力と態度を育てる」というのが現行の目標になってございます。今回、現在、中央教育審議会におきまして、小学校の教科も含めて、今後育成すべき資質・能力の三つの柱に沿った見直しを行っていくような形になりますが、現行の目標で見た場合も、こういったような違いがあるということが見てとれるかと思います。
右側を見ていただきたいと思いますが、小学校の教科の目標を見ていただいたときに、あえて少し分けて書いてありますが、それぞれが現在の学力の3要素である、知識・理解・技能、思考・判断・表現、関心・意欲・態度といったものが、この目標の中に読み取れるような形になってございます。知的障害のある児童生徒のための教科も、もちろんこういった要素を目指してはいるのですが、現行の目標からは少し読み取りにくいところがあるのではないかと考えております。
1ページめくっていただきまして、これは参考でございますが、幼稚園の教育要領の中で、領域として環境というものがございますが、(3)に、数量、文字などに対する感覚を豊かにするということを規定しているところでございます。
次に、今教科としての目標を見ていただきましたが、教科の目標の下に、小学校では学年ごとに目標・内容を掲げております。それを見ていきますと、例えば小学校の算数の1年生の目標でございますが、これはABCDの領域ごとに、それに対応する(1)から(4)までの目標を掲げております。このように第1学年から第6学年まで、学年ごとに領域別の目標が立てられているというのが、小学校算数の目標の構成になっております。
これに対しまして、知的障害のある児童生徒のための各教科でございますが、こちらの方は小学部では第1段階から第3段階というような形で段階が設けられております。内容構成は少し小学校の算数科と異なっており、第1段階は(1)から(3)、第3段階では(1)から(4)までと、内容構成が少し異なっておりますが、数量の基礎ですとか実務といったものが掲げられており、段階ごとの目標というものは、現在の学習指導要領では示していないというのが現状でございます。この学年の目標がある小学校と、段階ごとの目標がない、現在の知的障害のある児童生徒のための各教科の目標について考えていく必要があるのではないかと考えております。
続きまして、8ページ、9ページあたりを御覧いただきたいと思います。今度は内容について御覧いただきたいと思います。詳しくは説明を省略させていただきますが、9ページは小学校の算数から高等学校の数学1までの内容で、項目として示されているものを表にしたもので、こういった形で内容が構成されております。参考までに一番下の段には、幼稚園の環境の内容もつけております。
これを踏まえて、11ページを御覧いただきたいと思います。左側が今御紹介した小学校から高校までの教科の系統性ということになります。そして、これは数と式について表を作ったものでございますが、真ん中から右側の方が知的障害のある子供たちのための教科の段階を表にしてまとめたものでございます。一番上にあるとおり、オレンジ色に示してございますが、卒業後に自立や社会参画に向けて必要な資質・能力を高等部までに身に付けるということを目指して教科の構成、それから実際の指導を行っているわけでございます。各段階の数と計算、数量の基礎について、内容をここで示しておりますが、右側に、現在学習指導要領の解説で示している内容の例につきましては、高等部で見ますと、生活に必要な数量の処理や計算をするということでございます。
一番右端に、知的障害のある児童生徒のための各教科で示している内容を、小学校等の教科の内容に当てはめた場合、大体どのぐらいの学年の内容に相当するのかというのを示したものが、この黄色の枠で小5程度というような形で示しているところでございます。内容から対応を少し整理すると、こういったような形になります。11ページが、数と計算についてまとめたものでございます。
12ページが、同じように図形、数量関係でまとめたものでございます。
更に進んでいただきまして13ページ、それをもう少し簡素化して、こういった点が少し課題なのではないかということを整理したものでございます。グレーの部分で示しているところでございますが、真ん中ぐらいに数と式のところから矢印が伸びている部分でございますが、こういったところについて、内容を少し充実していく必要があるのではないかですとか、それから、各段階の間のところに、接続という言葉を書かせていただいておりますが、少し接続についても考える必要があるのではないかですとか、上から下に矢印を伸ばさせていただいておりますが、目標・内容の系統性の整理が必要ではないかというようなことを掲げております。
更に右側の下の方の丸で示しておりますグレーの部分でございますが、各部の段階ごとの領域に示されている内容について、習得が既にできている児童生徒への対応ということも考えていかなければならないのではないかということを書かせていただいております。
少し急ぎますが、16ページ以降は、学年別の評価の観点について比較のためにまとめた表でございます。現在、小学校の教科では、四つの評価の観点に従って、学年ごとに評価の観点を示しているところでございます。これに対して一番下の黄色い部分になりますが、知的障害のある子供たちの教科については、現在、学習指導要領に基づいて作成することになっている、児童生徒指導要録におきましては学習の観点は示しておらず、各教科の目標・内容に照らして具体的に定めた指導内容、実現状況を記述するというような形になっております。以降、小学校、中学校、高等学校について表にまとめたものでございます。
それから、19ページ目以降、まず20ページでございますが、今御紹介したようなことを踏まえて、今後の改善のための手続ということで、基本的には現在、小学校で検討を行っているような形で、育成すべき資質・能力を育成するという狙いのもとに、各教科のイメージですとか、各教科での育成すべき資質・能力といったものを小学校と同様に改善を進めていく必要があると考えております。その上で、緑色の部分でございますが、ちょうど表の真ん中から下ぐらいに少し濃い緑で示しておりますが、領域に対応した段階の目標を検討してはどうかといったようなことを、これから考えていく必要があるのではないかというように考えております。
続きまして、21ページ目以降でございますが、22ページを御覧いただければと思います。小学校の教科、これは特別支援学校の場合、準ずる教育課程で行っている場合も含めますが、教科の構成のオレンジ色の部分でございます。これに対して、知的障害のある子供たちの特別支援学校の教科の構成でございますが、紫色の部分で示しております。一番下の部分、小学部のところを御覧いただきたいと思いますが、緑色の部分で、赤字の丸で囲んでございますが、上の小学校の教科を見ていただきますと、外国語活動というものが小学校ではございます。また、資料には掲載してございませんが、今回の改訂で、小学校段階での外国語教育の充実ということで、現在小学校部会におきまして、高学年で外国語科の導入、それから中学年での外国語活動ということの導入の方向性が検討されているわけでございますが、そういったことも踏まえて、小学校との連続性の観点から、知的障害のある児童生徒のための各教科の構成につきましても、外国語活動について位置付けを検討する必要があるのではないかということを、ここで書かせていただいております。
24ページ以降が、カリキュラム・マネジメントの視点ということでございますが、現在も学習指導要領及び解説の中で、カリキュラム・マネジメントの視点ということで、今赤い枠囲みをしておりますが、各教科を併せた指導を行う場合ですとか、教科別に指導を行う場合といったような形で、基本的な考え方をここで示しているわけでございます。そういったものをもとに、教育課程と指導計画の接続について、25ページでイメージ図にまとめたものでございます。基本的にはやはり学習指導要領に基づいて、まず各学校では、学校教育目標というものを作成するわけですが、その際、育成すべき資質・能力ですとか、目指すべき児童生徒像の明確化ですとか、卒業までに身に付けてほしい能力というのを検討した上で、学校の教育目標というのが作られるわけでございますが、その上で何をということで、きちんと学習指導要領に示す各教科の目標・内容を実現するというために、教育内容を明確にしていくというプロセスが重要になってくるというように考えております。その上で、下の後半の部分でございますが、具体的な指導計画を作成していくということで、その際に指導計画形態の選択の中で、各教科と合わせた指導を行うといったことを、各学校で立案していただく。そして、個別の計画などに盛り込んでいくというような手続が行われるということをまとめたものでございます。
もう少し具体的にまとめたのが、最後の26ページでございます。上の段の方が、学習指導要領から教育内容を明確にする段階ということで、特に右側に茶色で示しておりますが、先ほど御紹介したことを、個別の教育支援計画の中に身に付けてほしい力をもとに作っていくということですか、下の段になりますと、具体的な指導内容を立案する上で重要になってくるのは、個別の指導計画ということでございますので、そこにも育成すべき資質・能力に基づいた目標ですとか、学習評価を盛り込こむことですとか、具体的な学習方法としてアクティブ・ラーニングの視点を踏まえた指導などを盛り込んでいくということが必要になってくるのではないかということを、全体の流れとしてイメージとしてまとめたものでございます。
続きまして、資料3-2を御覧いただきたいと思います。右側の半分の部分の改善の方向性というところを御覧いただきたいと思いますが、本日、こういったことを踏まえて是非御議論いただきたい点としまして、青字の中点で示しております「重複障害者等に関する教育課程の取扱い」を踏まえ、小学校、中学校の教科と知的障害のある児童生徒のための教科の考え方を整理する必要があるということで、以下のような点を検討してはどうかということで掲げさせていただいております。
育成すべき資質・能力や各教科の目標につきましては、小学校、中学校に準ずるということで、次の段階につきまして、各教科の各段階の領域ごとに目標を設定してはどうかということでございます。小学校の学年の領域に対応した目標の系統性と関連付けた整理が必要ではないかといったようなことですとか、特に1段階の目標については、2段階がめざす各領域の目標との系統性や、幼稚園教育要領に示されている狙いを考慮することですとか、様々な先行研究なども参考にしながら具体的に整理してはどうかということでございます。それから、そういった目標との関連を踏まえた目標設定の手続を具体的に解説してはどうかといったことを掲げております。
内容につきましても、小学校の教科で示されている内容との連続性に基づいて整理してはどうかといったこと。それから、内容の取扱いで扱うことになろうかと思いますが、ちょうど真ん中ぐらいにありますが、最初の中点で、既に各学年の段階の目標を達成している児童生徒のために、特に必要がある場合には、個別の指導計画に基づいて、各部といいますか、小学部であれば小学校に対応した学年段階までの学習指導要領を参考に指導できるとしてはどうかといったことを掲げております。
それから、下の段の二つ目の青字の中点でございますが、小学校の改訂や教育課程の連続性を踏まえて、特別支援学校(知的障害)小学部における外国語活動の導入について検討してはどうかといったようなこと。最後はカリキュラム・マネジメントの考え方や検討の道筋について整理してはどうかといったことを掲げさせていただいております。
駆け足の説明でございますが、資料の説明は以上でございます。

【宍戸主査】  それでは、これから議論に入りたいと思いますが、資料3-1は、今話がありましたように、現状を分析していただいて、目標の系統性、連続性、それから内容の系統性等について、小学校との比較対照でまとめてあります。そういうものを受けまして、その中にも幾つかこういうふうにしてはどうかということが書いてありましたが、その改善の方向性については資料3-2にまとめてあります。資料3-2の枠囲みの中に、資質・能力については小・中学校に準ずるとか、目標については小・中学校の改訂に準ずるとか、特に知的障害のある児童生徒のための各教科の場合には段階で示していますので、段階のところにも目標を設定してはどうかということ。それから、その下に、内容の系統性についても一度吟味してはどうかということが提案されています。
それからもう一つ、内容の取扱いのところの黒の中点ですが、ここに書いてあるのは、例えば特別支援学級から中学部へ来るとか、中学校の特別支援学級から高等部に入るお子さんもおられます。そういったお子さんの場合には、お子さんの実態に即した内容を、やはり学んで可能性を伸ばす必要があるということで、それに合わせた現状の内容構成、それを少し越えた形で内容を設定できるようなことを考えてはどうかというふうに受けとめていただければと思います。
更に外国語活動の扱い、あるいはカリキュラム・マネジメントの考え方等について資料3-2にまとめてありますので、こういう資料3-2の考え方について、中心的に御意見をいただければ有り難いと思っています。
一応予定としては11時を目途にお願いしたいと思いますが、それでは、いつもと同じように名札を立てて御意見をお願いします。
【田中委員】  今のお話を伺いまして、小学校のものを取り入れてくださいましたこの段階、有り難いと思います。今も宍戸先生のお話にありましたが、学校間を越えて、移動する子供たちについての連続性を考えていただいたということで、これに対して、それではこの段階をアセスメントするための手立てということを、その次には明確にしていただければと思います。基本的にはこの考え方で、特に義務教育9年間の連続がかなり保障されるというふうに考えました。
【宍戸主査】  子供の実態把握、アセスメントについてもこれから研究が必要だと、解説が必要だという御意見だと思います。
尾崎委員、お願いします。
【尾崎委員】  今後の方向性についておまとめいただきましてありがとうございました。基本的にはこの意見に賛成ですが、一つだけ追加で、この点についてはどうなのかということについてお話ししたいと思います。一つは、知的障害教育と、それから小学校との関連性の話でございます。資料3-1の11ページ以降に、知的障害がある児童生徒の算数・数学科の内容が示してあり、一番右側に、小学校の程度というのが示されています。私も実感として、これ自体はいいかなというふうに思っています。高等部段階まで含めて、知的能力と言えば、小学校5年程度がやはり限界かなというふうに設定していかないと、いつまでもいろいろな難しい数学に取り組まなければいけないというようなことになっていきますので、こういった意味では、この実態に合わせた知的障害教育の能力の限界を小5程度だと見るということは、一つあってもいいかなと思います。
ただし、教えるべき内容については、中学部、高等部段階においても、小学校段階では教えられないようないろいろな数学的な処理の必要なものを教えていかなければいけない。例えば、選挙に行ったときに、得票率とか、そういう票の見方とか、そういったものを教えていかなければいけないわけです。ですから、社会生活、それから日常の生活に必要な数字的処理に関するもの、誰もが社会人として知っていなければいけないものを、やはり教えなければいけないということも踏まえて内容整理をしていくということが必要かなと思うのです。ですから、小学校段階と同じように、資質・能力を育てていくプラス、中学部、高等部段階でも必要な、社会生活に必要な内容も、併せてその方向性の中で整理をしていくということです。
その観点で言えば、20ページで御説明があったと思うのですが、内容構成のところにこのような考え方が入っているということで、数量の基礎及び数と計算、量と測定、図形・数量関係プラス実務。実務という概念がなかなか通常の教育ではないのですけれども、このあたりも非常に重要なのだというふうに思っています。この実務的なことを自分で処理ができると、数字的にも処理ができるということが彼らの豊かな人生にもつながっていきますので、これを併せてそういう観点も含めて育成すべき資質・能力の内容の中に入れていくということがあってもいいのかなと思います。以上です。
【宍戸主査】  知的障害のお子さん、それぞれ高等部段階になれば、やはり生活経験もありますし、様々な社会教育経験もあるわけですから、そういうものも踏まえた内容の構成も、観点として盛り込む必要があるのではないかという御意見かと思います。
砥柄委員お願いします。
【砥柄委員】  今の尾崎委員のお話に全く賛同する、そういう形で述べたいと思います。というのは、やはり3-1の12ページの、小学校の程度に合わせた書き方のところで、やはりここが一番私は見ていて引っかかってしまったものですから。というのは、実態として知的な能力の程度というのはあると思うのですが、これ自体が外にそのまま出ることはないと思うのですが、やはり高等部段階のところで小学校5年生程度というような、そこに違和感を覚える方は結構いらっしゃるのではないかなと思っています。
というのは、高等部の段階でも、知的障害の高等部段階とはいいながら、実態を見ていきますと、アスペルガーとか、自閉傾向の子供たち、発達障害系の子が結構いたりして、中にはその段階よりももっと上を求めているというのも実態としてあるものですから。今回はそこまでの制度的な枠組みを越えたところまでは申し上げませんけれども、ただ高等部の中にもいろいろな子たちがいるので、その子たちへの対応という意味では、この表記の仕方は工夫した方がいいかなと。そこだけ気になったので、お話をしました。以上です。
【宍戸主査】  今回、小・中の教科と知的の教科の関連性といいますか、連続性を考える上では、どうしても対比して見てみるということも必要だということでこういう形になりましたけれども、正直言いますとこういう見方、考え方は今回初めてだと思います。今回は知的の分野は知的の分野で検討する、小・中は小・中の分野で検討する。もっと言うと、盲、聾、肢、病の方は盲、聾、肢、病で検討するということで、なかなか教科の関連性まで踏み込んだ考え方、整理の仕方というのはなかったかもしれません。ただ、今回はやはり子供が就学先の決定ということで、様々な形で就学先が決定されるということを考えると、いろいろなお子さんがいろいろな場で学ぶということになりますから、そこはこういう形で1回整理はしなければいけないのではないかと。ただ、これを出すか出さないかとか、かなり解説を加えて伝えるかということは必要になるかと思いますけれども、そういう経緯があったというふうに聞いております。
横倉委員、山中委員の順でお願いします。
【横倉委員】  小学校と特別支援学校の小学部との関連のところは、示していただいて非常に分かりやすい資料だというふうに思います。また、知的障害のある児童生徒のための各教科の段階の目標について今後検討していくということですが、是非中身を充実させていくためにも、段階ごとの目標というのは検討して、設定していくということは重要なことだと思います。
それから、中学部が1段階で示されているということについては、特別支援学校(知的障害)の中学部に在籍する子供たちを見ても、非常に多様なお子さんがいるわけで、先ほどの学びの連続性の文脈と、それから個々の学習の到達度、その評価ということも考慮すると、ここが1段階で本当によいのか。今、手元に学習指導要領の段階、中学部を見ておるのですが、こういう捉え方で本当によいのかということで、そこの部分については今後も検討していただければよいかと。普通に考えて、高校の3年間が2段階で高等部が示されて、中学部の3年間が1段階で示されている。この辺も、例えば外から見たときに、そこの中身はどういう中身なのだというところで透明性といいますか、その辺は十分に考えて検討していっていただく必要があると思います。以上です。
【宍戸主査】  山中委員、お願いします。
【山中委員】  私も今まで出された委員の方々と同じ意見なのですけれども、このように分かりやすい形で、教科の関連を示していただいて有り難いと思います。特別支援学級を担当する教員というのは、小学校、中学校の中でも少数派になるわけですので、そういった意味ではこういったものが示されると分かりやすくなると思います。ただ、今までの委員もおっしゃったのですけれども、確かに小学校の何年生程度というのを横に示されていて、割と対比して考えることができるので、分かりやすいは分かりやすいのですけれども、例えば特別支援学校のことを考えると、高等部になっても小5程度に逆にいかない子もいるわけなので、そうすると小5程度にいかないからというような考え方にならないかというようなことも少し心配するところはあります。
それから、外国語のことも示されているのですけれども、今、やはり小学校では、特に外国語は大きい課題になっていますので、特別支援学級、知的障害の子は外国語活動そんなにやらなくてもいいのかということの関連にもなってしまうので、このように示していただけると、やはり外国語活動について、特別支援学級の知的障害のある子でも取り組んだ方がいいのかという解釈ができるので有り難いと思います。
あと三つ目なのですけれども、カリキュラム・マネジメントの考え方なのですが、これもやはり非常に大事だと思っているのです。特別支援学級の先生は、やはり自分で子供の実態に合わせてカリキュラムを考えていくということだと思うのですけれども、先ほど申し上げましたように少数派なので、なかなかできにくい現状があるのです。先ほど頂いた参考資料でもありましたけれども、カリキュラム・マネジメントについて、マネジメントがつくと、管理職がやればいいのではないかというような形になってしまって、目の前の子供の日常の指導に追われがちで、カリキュラムという大きな形で考えるということがなかなかしにくいという現状を思いますので、このカリキュラム・マネジメントの考え方を入れていただいていて、有り難いことだと思っています。以上です。
【宍戸主査】  外国語活動についてもできるというような形で盛り込んではどうかというような意見と受けとめたいと思います。
それでは、安藤先生と一木先生の順でお願いします。
【安藤委員】  私は、二つの観点から提案いただいたことについて意見を申し上げたいと思います。まず一つは、先ほど来から話題に出ておりますように、今回、この教科について明確に関連性、連続性を示したということについては、極めて重要なことだという認識であるということです。特にインクルーシブ教育が今推進される中で、子供たちが今後、長い学校教育生活において学校などを移行する例が多くなる、そういうことを踏まえて、非常に重要なことだろうと。特に指導する側からすれば、何がどう指導されてきて、これからどう指導するか見やすくなる、可視化できるというのは非常に有効ではないかと思います。
ただ一つ、今度は学ぶ側の立場になったときに、先ほども出ていましたけれども、恐らく多様なニーズがあるわけです。それこそ知的障害も幅のある子供たちですから、多様なニーズ、学びをどう実現するかという視点からの検討も更に深めていくべきではないかなと思っております。それが一つ目です。
もう一つは、知的障害教育の議論として当然これは行われているわけですけれども、御承知のように特別支援学校で学ぶ子供たちは、知的障害を併せ有する子供が非常に多くなってきているということを考えますと、これは単に知的障害だけの問題ではなくて、私は肢体不自由教育ですけれども、肢体不自由教育における知的障害を併せ有する子供たちにも、これを当然適用するという考えとなります。そういったことを考えたときに、いわゆる教科での指導ということと、自立活動の指導をどう絡めていくかという問題も、議論としては避けられないと思っております。ここの資料にも書いてございますように、自立活動において運動動作であるとか、操作であるとか、外観の知覚認知であるとか、様々な課題が子供たちには生じてきます。それを教科の中で解消するのか、それは教科の中で解消し得ない場合は当然自立活動として取り上げていくと。その関係をやはりもう一方で何らかの形で記述いただいて、小学校・中学校との接続だけではなくて、領域等の関連接続についてもお示しいただくとよいと思っております。以上でございます。
【宍戸主査】  一木委員、お願いします。
【一木委員】  まず前提としまして、何を扱うかという内容の話と、それから子供にどのような力を育むのかという目標の話、それから子供の実態を踏まえてどのように学ばせると子供の力になるかという指導の話、これを区別して議論することが大事だと考えています。その上で、今回このことが議論されている問題の背景というのは、現在知的障害のある児童生徒のための教科と通常の教科が2本立てで存在している。子供が学びの場を行き来する中で、学びの連続性をなかなか担保しにくいということがあると。つまり、目標の系統性の連続性というものが、教師にとって非常に見えにくい。それが問題の所在というふうに理解しているところです。
知的の教科と通常の教科のつながりですとか関連という言葉が行き交っていますけれども、まず一つ確認したいことは、それは目標の系統性の一本化というふうに理解してよろしいでしょうかということです。その上で、実際にどんな内容をどのように扱うのかということは、当然議論があっていいかと思います。
それから、先ほど段階ごとに目標を設定していくという御提案もありましたけれども、内容に目を向けると、小学校で扱っている内容との関連というものも見えてきている。そうすると、その内容に相当する目標の検討ということをしていけば、先ほど申し上げたように、目標レベルでの連続性というものをしっかり検討せざるを得ないということになるのではないかと考えています。
それから、2点目です。知的障害の各教科について、その限界といいますか、守備範囲を確認したいなと思っています。ただいま安藤先生の方からもお話がありましたけれども、まずは重複障害の子供は想定していないということです。知的障害の学習上の特性を踏まえていますという説明になっていますので、重複障害の子供の特性全てを踏まえて検討したものではないということ。それから、小・中学校の改訂作業に合わせて、育てたい資質・能力を踏まえて検討していますという御説明もありましたけれども、そうするといわゆる通常の教科であれば、小学校の5年生は皆5年生の目標・内容で学ぶわけですけれども、特別支援学校の子供たちというのは、生活年齢と学ぶ目標の水準に差がある子供たちもたくさんあるわけです。つまり、下学部適用の子供たちもたくさんいると。そして、下学部適用の子供たちについては、十分に検討できているかというと、そこもどうかと思うところです。ですので、多様な子供たちの実態に対応するというのは、国レベルで示すということはやはり限界があるだろうと。前回も申し上げましたが、多様性への対応というのは、各学校に求めるところになるだろうというふうに考えています。
最後です。自立活動と知的の教科のつながりについて、こちらも検討課題というふうにお示しいただいていますけれども、では、そのつながりの示し方をどのようにイメージされているのかというところです。8か月程度というのも出ていましたけれども、その発達水準でもって、それ以下は自立活動だというニュアンスで現場にメッセージを投げたときに、本当の自立活動の考え方で授業作りが行われるのかということを危惧いたします。
またもう一方で、重度重複の子供たちの在学期間の教育内容を見ていきますと、小学部に入学してから高等部を卒業するまで、どうしても発達年齢に照らせば8か月に満たないという子供たちもたくさんいらっしゃいます。そうすると、このつながりの見せ方によっては、つまり8か月未満の子供たちについては、学校教育として教科は難しいですよ、提供しませんよというメッセージにもつながってしまう。子供たちの一生の中で、学校教育として用意する教育内容について、そのようなメッセージとして伝わっていいものかというのは懸念もするところです。以上です。
【宍戸主査】  幾つか考えなければいけない視点を御提案いただいたかなというふうに思いますが、札が上がっていますので、まずそちらの御意見をお願いしたいと思います。川合委員、金谷委員、お願いします。
【川合委員】  多くの先生が既におっしゃっていることは省かせていただきます。全般的にこの段階ごとの目標設定というところは私も賛成しておりますが、一方で、どちらかの委員がおっしゃいましたように、学べない状況が続くというところです。いつまでも目標が達成できないという状況が続いた場合の支援の在り方をどうするのというところです。ですから、個別の指導計画との関連の中で、いわゆる目標が細かくなればなるほど個別の指導計画との関連をどうするかというところも併せて検討していく必要があると思いました。
あと田中委員から、評価というお話がありましたけれども、私自身も教育課程企画特別部会で、学習プロセスの検討、それから目標に準拠した評価の観点の検討というものも、目標・内容の検討だけでなく、併せてやっていく必要があるという話が出ていると思いますので、そういった部分の検討というのも、併せて行っていく必要があるのではないかと思いました。以上です。
【宍戸主査】  金谷委員、お願いします。
【金谷委員】  一般の小学校の教育課程でも、いつも疑問に思うのですけれども、内容の系統性という問題なのですけれども、例えば今、ちょうど算数のことが出ていますのでそれで言えば、足し算を習ったら、それと関連するのは掛け算です。そこが同じような系統性でいって、それをずっと学べる子がいれば、それをどんどん学ぶというようなことが私はあってもいいのではないかと思っているのです。それは一般の方でもそういうふうに思っているのですけれども、特別支援教育の場合は、それが逆にしやすいのではないかと思っています。ですから、例えば子供たちに無理をさせないという意味でこういう段階を示すのもよいのですけれども、もっとできてしまう子、やれる子たちにはどんどんそういう系統的な内容でずっと教えていく。それで本人が学びたいというものがあれば、それに沿ってやっていくということがあってもいいと思います。
それについては、例えば特別支援教育の場合は自立活動の中でするとか、さっき川合委員が言ってくださったように、個別の指導計画との関連性の中で、そういうものも大丈夫という幅を持たせておいていただくといいますか、そういう余地を持たせていただくというのがいいのではないかなと思いますので、是非その辺も検討をお願いしたいと思います。
【宍戸主査】  大谷委員と大内委員、お願いします。
【大谷委員】  私の方から、まず取り巻く現状の中で、中学校の特別支援学級の卒業者が高等部に64%ということで、この中には知的障害以外の生徒もいますので、多様なニーズがあるということから考えれば、今回各学部の段階ごとの領域に示されている内容の習得が、既にできている児童生徒への対応ということが明記されたのは大変よかったと思っています。その中で、やはりそういう児童生徒のため、特に必要がある場合には、個別の指導計画に基づき、学習指導要領を参考に指導できるとしていきたいという方向性が出たのは非常によかった。
それと同時に、個別の指導計画について、私は中学校の現状をある程度知っていますので、今回の調査の中でも6割以上作成していると書いてありますが、本当に充実した指導計画であるというふうには思ってないので、やはり中学校としてはこのところを個別の指導支援計画について本当にアセスメントをしっかりとした、充実した指導計画を作成してほしいというふうに願っています。以上です。
【宍戸主査】  大内委員、お願いします。
【大内委員】  お願いいたします。まず基本的なところですけれども、今回お示しいただきました教育課程の取扱いについての枠組みについては賛同いたします。小・中学校等との連続性が出てきたということは大きな進展だと思っております。ただし、特別なニーズを様々有するお子さんの観点からしますと、安藤委員からも御指摘ありましたように、さらなる仕掛けが必要ではないかと思っているところです。例えば、筑波大学の大塚特別支援学校では、7領域にわたって発達のレベルに応じた指導内容表というのを具体的に非常にきめの細かいものを作っておりますが、こういったような今回示せる段階というところに余り強くこだわり過ぎずに、個々の子供の発達のレベルというところに焦点を当てて、適切な指導ができるように、現場レベルで使いやすいような指導というものを作るというような方向性を示していくことも非常に大事なことではないかと思います。ここでは具体的なことを示すということは非常に無理なことがあるといいますか、ここで求められていることではないと思いますが、各都道府県、あるいは市町村、あるいは学校等で具体的な資料を作るというようなことについての方向性を示していくことが大事かなと思っているところです。以上です。
【宍戸主査】  知的障害教育では従前から、指導内容表というものを各学校が作成して、それを活用しています。それの大もとになるのが学習指導要領だという考え方で、学習指導要領の考え方を今後、どういうふうに各学校で指導内容表に生かすかということは、また別途これからの課題ではないかなというふうに思います。
古川委員、そして村上委員という順でお願いします。
【古川主査代理】  資料の3-1の24ページになりますけれども、学習指導要領に基づくカリキュラム・マネジメントの視点ということで、これは現行の学習指導要領総則編に書いてあるマネジメントの視点から、こういう説明が解説の中でされていると思うのですけれども、この四角囲みのところですが、気になることがございます。今回特に各教科について資質・能力をこれだけつけていくのだということで、今、目標も明確にしていく、内容も明確にしていく必要があるだろうという議論をしているわけですけれども、そう考えていったときに、やはり書き方の順番として、2番の知的障害のある児童生徒の学習上の特徴はいいとして、その後に合わせた指導を行う場合、教科別に指導を行う場合、領域別に指導を行う場合と、現行はこういう書き方をしてあるのですけれども、これはやはり教科をより色彩的に、各教科、道徳、特別活動、自立活動、総合的な学習の時間を指導していくわけですから、そういう視点から、まずは教科別、領域別の指導というのを、やはり説明上書いていくべきではないかという気はしております。
書きぶりを、次の25ページみたいにして書かれるので、多分そういうカリキュラム・マネジメントの視点からやっていくのかと思うのですけれども、なぜこういうことを言うかというと、実は平成元年の学習指導要領の解説の段階では、分けない指導が先にありきで書いてあるのです。その次の平成10年の学習指導要領の解説の中では、いわゆる領域教科を合わせた授業という名称の使い方をして、通常は領域教科を合わせた指導という言い方をしているのですけれども、その中でやはり各教科で基本は考えていくべきだろうということで、教科別、領域別の指導というのを先に説明をしているのです。そして、その後に合わせた指導の展開について書いてあるのですけれども、現行の学習指導要領は、実はその順番が変わっている。なぜかというと、私もここはよく分かりません。分からないのですけれども、今の書きぶりになっているのです。
こういう書きぶりをどうされるか分かりませんけれども、こういった形でもし書くとなると、せっかく今、各教科、道徳、特別活動、自立活動、総合的な学習の時間について、知的障害のある児童生徒のための各教科にも同じように、目標をきちんと書いて、内容をきちんと書いていきましょうという話が出ているわけですから、そういう視点からの原則、教科の指導の展開の仕方をまず書いて、そして合わせた指導が駄目というわけではなくて、順番的に合わせた指導を行っていいですよと書いてありますからいいわけですから、全く駄目という話ではないのですけれども、そういう視点で考えていただいた方がよいと思いました。そうしないと、現場が先にいわゆる合わせた指導を展開すればよい、もっと極端な言い方をすれば、生活単元学習という教科があって、作業という教育があるという現場の捉え方は非常に大きいのです。若い先生たちは、余り知らないと、教科を合わせているという発想ではなくて、作業という教科名があって、そして生活単元学習という教科名がある。よその県はよく分かりませんけれども、長崎は結構そういう先生方が多くて。やはりきちんとした示し方をしていかないと、それはもちろん25ページに書いてあるような形で具体的に示していただければよいと思うのですけれども、その辺を少し今回の解説のレベルで御議論していただければと思っているところです。
【宍戸主査】  村上委員、お願いします。
【村上委員】  先ほど来出ていますけれども、知的障害のある子供たちに対して、通常の学校の小学校5年生まで程度というところについて、対応表を作っていただいたことについて、あるいはこういう考え方なのだということについては、とても分かりやすいと思いました。ただ、気掛かりなところがあります。
一つは、先ほど来出ていましたけれども、指導を継続していく中で、知的な障害を持っている子供たちですから、なかなかクリアできていかないと。小学校に対応する学年相応のところをクリアできていかないというときに、指導も、その部分に滞留してしまうというか、同じことが繰り返される懸念というのが、どうしてもぬぐえない。ですから、先ほど来ありますように、どうやってこれを見せるのかという、この見せ方は相当注意をしなくてはいけないということについては、先生方がおっしゃったとおりだと思います。子供たちもとどまりますし、先生方もとどまってしまう。同じことが、特に年度が替わって別の先生になっても、繰り返されるような指導がなされる可能性というのは、見せ方によっては起きるだろうということが懸念されます。
もう一つは、この組立て、ものすごく面白い、このとおりだと思いました。ただ、ここに書かれているのは算数・数学なのです。算数・数学は非常に分かりやすいのです、構造化されていますから。これが例えば、国語やほかの教科ならばどうなのだろうというふうに考えると、この表は本当にできるのかという懸念を持ってしまいました。もちろん議論されていることだと思いますが、このようにいわば縦方向に向かう認知的な発達とは別なものを必要とするような部分、国語はそうです。そういうことについては、どういうふうにして小学校等との接続、あるいは関連付けをするのだろうという点については、心配があります。以上です。
【宍戸主査】  算数という特徴を踏まえた、こういう比較といいますか、それは可能だけれども、ほかの教科、あるいは生活なども含めた場合にどうかという懸念もあるという御指摘かと思います。
品川委員、お願いします。
【品川委員】  事務局におかれましては、非常に分かりやすくまとめていただきましてありがとうございます。私も先生方が皆さんおっしゃったように、領域別に目標を書くということについては非常に賛成でございます。やはり現場ではどこまで教えればいいのかというところが、すごくおやりになっている先生と、そうではない方、そうではない教育現場との落差の一因ではないかというふうに取材して思っておりましたので、ここは是非深めていただければと思います。
一方、今、村上先生もおっしゃっていましたが、私もこれ、数学はやはり分かりやすいので、できればここは国語などで読みたかったと考えております。というのは、先ほど一木先生もおっしゃっておられましたが、領域ごとの目標というのは確かにすごく大事だと思うのです。ですが、論点整理を私たちが議論するときにも実はすごく議論になったのは、各教科で何の力をつけるかよりも、まずどういう大人になってほしいのか、大人になったときにどういう力をつけるべきなのかという議論の方が先ではないかと。私自身はそれをすごく強調しましたし、それを踏まえて論点整理ができているのです。実は、特別支援教育の子供たちこそ、どういう力をつけて社会に出ていくかというところをやはり明確にしておく必要があるのではないかということを常々思っております。
もちろん発達段階で、18歳になったらここまでがっちりというふうにいかないのはよく分かるのですが、でも、やはり18歳までに時間をかけてここまでの力をつけるのだという明確な目標があって、例えばこの力をつけるために、この教科の中のこういう教科教育を通してこういうふうにつけていくのだということがもう少し分かりやすく書かれてあるとよいと思いました。要は必要な、どういう力というのが先にあって、それをフィードバックして、かつ個々の発達を踏まえながらという書き分けです。
そうやって考えていったときに、論点整理で私は強調したのですが、やはり一番大事なのは、私はメタ認知をちゃんと鍛えることだと思っているのです。どれだけ四則計算ができても、メタ認知そのものがしっかり育ってなければ、それはやはり学習の理解にはなかなかつながらないし、それから自己修正にもつながらないわけです。すごく計算もできて、いろいろなこともできるのに、やはり社会に出てから不適応を起こすというケースを見ていますと、社会に出るまでに、実は課題のある子供たちこそしっかりとそういったベーシックなところ、特にメタ認知をいろいろな方面からしっかりと鍛えていってあげるということは大事なのではないかと、例えば思っていて。
特にこれは知的障害のお子さんたちですから、そこをターゲットに書くように、どういう力が必要かということを整理する必要があると思いました。その方向から考えていくと、少し議論が進むのですが、外国語のところなのです。確かにこの書きぶりだと、外国語をやっても、必要な場合はどうぞということなのですごくよいと思うのですが、だからこそやはり母語における言語技術を支援校の子供たち、支援学級の子供たちにしっかりとやっていくということも大事で、その書きぶりがあっての、この外国語活動かと思っています。
それとこれはもう1点、この間から言っていることですが、外国語活動の中に英語というふうに限定しないことも大事かと思っています。英語だけではない外国語、例えば手話も既に言語として障害者権利条約では認めているわけですから、そういった選択肢も可能だということをどこか一部に入れていくことを検討していただいてもよいかと思います。以上です。
【宍戸主査】  中田委員、お願いします。
【中田委員】  高等学校の立場ということで申し上げます。中学校の通常の学級からという生徒ばかりではないと。むしろそれ以外の生徒が多いということを想定して考えたときに、カリキュラム・マネジメント、資料3-1の最後の26ページですが、一番ポイントとなることは、ここに皆で共有する目指す姿、品川委員がおっしゃったことに近いのですが、身に付けてほしい力とか、右の方に書いてあります。目指すAさんの姿、Aさんに育てたい力とあります。実際に高等学校にいまして、知的障害があっても、将来どういうふうな人になりたいかというときに、基礎的な力をつける原動力になるものは、自分はこういうことをやってみたいとか、本人が目指すものということをきちんと把握して、それを受けとめて、では、こういうふうな勉強だったらやるという形で提示していくと、かなり進んでいく子がいます。要するに、こちらの方でこれができなければいけないということではなくて、本人がきちんと了解した形で、納得した形でこういう力はつけていかなければならないというように本人が感じたというところも原点にして、カリキュラム・マネジメントということをやっていく必要があるかなと思ったので、一言申し上げました。以上です。
【宍戸主査】  私も品川委員と中田委員のお話を聞きながら、資料3-1の最後の教育課程の総体的構造の可視化という、例としてですが、これをながめていました。やはり学習指導要領で発達段階とか小・中学校との関連性で、確かに小5とか何か月ということだけを示すのではなくて、やはりその先には、その子供としての、高3までにここまで育てたいのだという、そういう教育としての目標をしっかり考えた上で教育課程を見ていかなければいけないのだというようなことを説明としてじっくりしていかないと、誤解されると困るということを併せて思いました。
少し時間が過ぎましたので、一つ目の議題はここまでにさせていただきたいと思います。自立活動の扱いに関わるカリキュラム・マネジメント、そういうものも課題として上がっていますので、また次回もありますので、御検討いただければというふうに思います。

それでは、時間が少し短くなりましたが、二つ目の課題に移ります。二つ目の議題は、特別支援教育部会における意見の取りまとめということです。この会も8回、次回は9回ということで、議論の内容をまとめる段階に入っています。事務局の方で、これまでの議論の経過をまとめていただいておりますので、それについて説明をお願いします。
【太田特別支援教育課課長補佐】  それでは、資料の4を御覧いただきたいと思います。特別支援教育部会における議論の取りまとめの素案ということで、今回お示しをさせていただいております。これまで7回の議論を重ねていただきましたが、この部会で出た委員からの御意見を整理するとともに、委員から頂いた意見を参考にしながら、こういうことも考えられるのではないかということを少し事務局でも加えさせていただきながら、この取りまとめの素案をまとめさせていただきました。また、本日前半で連続性のことを議論していただきましたが、また今回と、それから次回もありますので、次回までの議論を踏まえて、最終的にこの取りまとめをまとめていただければと思っております。時間が限られておりますので、ポイントだけを御説明させていただきたいと思います。
まず、この構成でございますが、全体で現在14ページほどにわたっておりますが、「はじめに」があって、その後五つのパートに分けて整理をしております。一つ目が、1ページの特別支援教育の意義ということで書かせていただいておりますが、その後、この部会での検討事項にしたがいまして、2番目が2ページになりますが、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校における特別支援教育。それから、8ページ目からになりますが、特別支援学校のこと。それから、12ページ目の下の方になりますが、ここはまだ空欄にしてございますが、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校と特別支援学校との連続性について。それから最後に、これら教育課程を実現するために、特別支援教育の改善・充実を支える方策ということで書かせていただいております。こういったような構成でこれからまとめていきたいと思いますが、現時点でのものを、これから簡単に御説明させていただきたいと思います。
まず1ページ目でございますが、「はじめに」ということで、これまでの経緯を少し書いてございます。1番目が諮問のこと。それから、2番目の丸が、論点整理を踏まえてこの検討部会を立ち上げたということ。四つ目の丸にありますが、昨年11月からこの部会を立ち上げて、専門的な議論を始めていただいたこと。それから、並行して、高等学校の通級については別途協力者会議を設けて並行して検討してきたということを書いております。
1番目の特別支援教育の意義でございますが、始めに障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支えるというような基本的な考え方を書いてあります。加えて、昨今の大きな流れでございますインクルーシブ教育システムですとか、社会全体で本年4月から実施されました、障害者差別解消法の動きですとかということを紹介しております。
2ページの上段の方から2番で掲げております、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校における特別支援教育ということで、まず現状と課題を学校種ごとに掲げさせていただいております。幼稚園の現状としまして、まだまだ十分ではないかもしれませんが、教育的ニーズに応じた教育支援を行う園が増えてきていると。一方で、乳幼児検診などの情報を得ることが難しいことですとか、幼稚園教育の特徴として、発達の途上で個々の成長の幅が大きい年齢期であることですとか、園の集団生活における行動と家庭での行動の違いが生じやすくて、困難さを保護者が理解しにくいといったようなことを、課題としてこの部会でも挙げていただきました。
小・中学校では通常の学級や、通級による指導を受けている子供たちの数が増えているといったことですとか、特別支援学級で学んでいる子供たちがいるということ。そういったことが一定の成果を上げて、保護者の理解も得られてきているということを書いております。
それぞれの学びの場ごとに、また細かく課題を書いておりますが、特別支援学級では、5ページ目に課題として挙げておりますが、特にということで、各教科の指導内容を精選する際の手続や、教育課程編成の手順が分かりにくいという課題が挙げられているということを書いてございます。通級による指導におきましても、四つ目ぐらいにありますが、自立活動の視点で児童生徒の実態を捉えることですとか、自立活動の目標、指導内容の設定などの手続が十分に理解して、指導に生かすことが課題となっているということを挙げていただきました。
更に通常の学級においては、こちらも児童生徒にとって分かりやすい授業の在り方について研究が進んできている一方で、医学的な診断はないが、例えば音韻認識や視覚認知の弱さ、協調運動の困難さなどが顕著で、通常の学級での学習が困難な児童生徒に早期の対応が必要になってきているなどの御指摘を頂いたところです。
それから、高等学校でも、中学校から引き続き通級による指導を必要とする生徒ですとか、これまで適切な支援を受けてこなかったことによって、困難を抱え続けていたり、自尊感情の低下など二次的な課題が生じたりしているといったことを指摘していただきました。また一方で、文部科学省でも、モデル事業を実施して、高校の通級の在り方について検討を行ってきて、こういった実践事例なども上がってきているところでございます。
4ページ目に、交流及び共同学習のことを掲げております。全国的にも幼・小・中・高等学校においても特別支援学校、学習指導要領に明示されているということも踏まえて、教科の授業を一緒に行うなどの取り組みというのは積極的に行われてきて、その成果として、社会性豊かな人間性を育むといった成果が上がってきているということが挙げられております。また、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機に、障害者スポーツを一緒に行うなどの取り組みも増えてきているというようなことが書いてございます。また一方で、課題として、交流及び共同学習が活動にとどまり、どのような力が身についているのか、評価、改善につながっていないというようなことも指摘を頂いたところでございます。
それから、個別の教育支援計画、指導計画の作成・活用ということで、これも大分進んできておりますが、何を根拠に作っているのかですとか、これから多面的に実態評価を行った上で立てていくということが今日的な課題、動向になっているというようなこと。それから、次の学校への支援の円滑な引継ぎということも、課題として挙げていただきました。
4ページ目の下の方の特別支援教育の支援体制ということで、特別支援コーディネーターのことですとか、校内体制のことを書いてございます。
5ページ目の上段から、今御紹介した現状と課題を踏まえまして、(2)として、改善・充実の方向性ということでまとめさせていただいております。まずは基本的な方向性として、インクルーシブ教育システムの理念を踏まえて、連続性のある多様な学びの場において、子供たちの十分な学びを確保していくというようなことを基本に、個々に応じた指導を充実していくというような方向性を書いてございます。学校段階ごとに掲げておりますが、幼稚園における特別支援教育においては、個と集団の関係性を大切にしながら、学級運営の中で、幼児をどのように育てていくかを考えていく必要性があるということを示すことですとか、三つ目にありますが、日々の幼稚園等の活動で考えられる困難さと、それに対する配慮の意図、手立てについて例示をするといったようなこと。それから、将来の発達の可能性を前提にして、長期的な展望のもとに支援を行うというような考えのもとで、小学校教育の円滑な移行支援、それから保護者への子育て支援のことも掲げております。
3として、小・中学校段階のことでございますが、特別支援学校、通級による指導についてでございます。最初の一つ目の丸でございますが、特別支援学級について、教育課程の基本的な考え方、それから特に各教科等における前各学年の目標・内容に適用する際の目標・内容の精選ですとか、知的障害のある児童生徒のための教科の適用ですとか、そういった教育課程の編成の例を具体的に示すことが必要であるというような御意見を頂きました。
通級による指導につきましても、その意義ですとか基本的な考え方、実態把握から指導内容の設定、評価・改善までの手続について具体的に示す必要があるというような御意見を頂きました。また、通級による指導と各教科との関係性を分かりやすく示すというようなことも書いてございます。
6ページ目でございますが、高等学校における通級による指導ということで、これも協力者会議の報告をこの部会でもさせていただいた上で御議論いただきましたが、一つ目の中点にありますとおり、高等学校における通級の指導について、満足と認められる場合には、当該高等学校の単位として認定することを可能とする。それから二つ目が、必履修教科・科目の単位数は、学習指導要領の規定を超えて減らすことを認めることは適当でないということ。それから、通級による指導により取得した単位を、卒業のための必要な単位数に含めることを可能とするといったこと。それから、指導時間の標準について、上限を年間7単位とするということが適当であるといったようなことを御提案いただきました。
こういったことを踏まえまして、高等学校における通級による指導については、平成30年度から実施できるようにということを検討しておりますが、そのために速やかに各学校や教育委員会で準備ができますように、所用の省令や告示等を速やかに整備して、円滑に進められるようにするといったことを書いてございます。また、前回の部会でも御意見いただきましたが、円滑な実施のために、学校でどのような指導内容をするかですとか、指導方法、それから指導体制などについても、実践例を紹介していくことが必要であるというところを書いてございます。
それから、通常の学級でのことでございますが、④としまして、これは第3回で御議論いただきましたが、これから全ての各教科の授業において、資質・能力の育成を目指して、一人一人の教育ニーズに応じたきめ細かな指導や支援ができるように、障害の個別の配慮のみならず、各教科等において学習プロセスにおける考えられる困難さの状態に対する配慮の意図、手立ての例を具体的に示すというようなことを御議論いただきました。そういったことを書いておりますが、今、御紹介しますと、我々の部会と並行して議論を進めております、各教科のワーキンググループにおいても議論していただいておりまして、そこのワーキンググループの議論の取りまとめの中でも、各教科の配慮の例を今、検討していただいているところでございますので、最終的にはそちらの書きぶりでも少し調整しながら書いていきたいと思っております。ここでは、この特別支援教育部会で示した国語の例ということを載せております。
7ページ目でございますが、個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成、活用ということで、通級による指導を受けている子供たちや、特別支援学級に在籍する子供たちについては、現状を踏まえまして、一人一人の教育的ニーズに応じた指導や支援が組織的・継続的に行われるように、「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」を全員作成するということを書いてございます。また、これらの計画を作成する留意点としまして、障害者差別解消法に基づく合理的配慮やその他指導上の配慮についても記述することが必要といったことを書いてございます。
⑥としまして、交流及び共同学習ということで、社会の急激な変化の中で、一人一人が多様性を尊重して協働して生活していくことができるようにということで、学習指導要領の総則の一般方針の中でなど、多様な人々が共に生きる社会の実現を目指すことを示して、学校の教育活動全体で障害者理解や交流及び共同学習の一層の推進を図るといったことを書いてございます。
具体的に、これまでも様々な教科で行われてきているところでございますが、更に活動を充実していくために、今回各教科でも、各教科の見方・考え方というのを議論しておりますが、そういった各教科の見方・考え方と関連付けた、交流及び共同学習の事例を示すといったことを書いてございます。
更に学校の教育課程での活動だけではなく、地域社会との交流の中での、地域社会の構成員であるということをお互いに学ぶということも広めていくということを書いております。その際に、「心のバリアフリー」の推進の動向も踏まえて、関わり合っていることを実感したり、多様性を尊重する態度を育成したりするということを書いてございます。
それから、校内体制として、特別支援教育コーディネーターの業務ですとか校内体制の在り方を、もう少し分かりやすく示すといったことを書いてございます。
8ページ目以降が特別支援学校のことを書いてございます。現状と課題としまして、特別支援学校に在籍している子供たちの数が増えているということですとか、我が国の特別支援学校の専門性やきめ細かな指導というものは、国際的にも高い評価を受けているといったことを書いております。
それから、特別支援学校における教育課程ということで、様々な取扱いができるというようなことを書いてございますが、四つ目の丸にありますとおり、これまでも議論していただいたとおり、各学部を越えて学ぶ教科の連続性の整理などが課題として挙げられております。また、特別支援学校から小学校、あるいは中学校卒業者が特別支援学校高等部へ入学する場合など、異なる教育課程間で、子供たちの学びの連続性を確保するということが必要になっているということを書いてございます。
それから、知的障害のある児童生徒のための各教科ということで、特徴についてここでは書いてございますが、知的障害のある児童生徒の学習上の特性として、こういった知識や技能が断片的になりやすいといったこと、今、学習指導要領の解説で書いているところでございますが、この点につきましては、この部会でも、子供たちがこういったこともできるというようなことを、特徴としてもう少し捉えていくべきであるというような御意見も頂きましたので、少し工夫する必要があるのかなと思っておりますが、現時点ではこういった形の書き方にとどめております。
それから、9ページの自立活動ということで、知的障害のある児童生徒のための各教科に少し戻らせていただいて、課題としまして、8ページの最後の丸でございますが、各教科等を合わせた指導を行う場合、各教科の目標・内容を関連付けた指導及び評価の在り方が曖昧になりやすく、学習指導の改善に十分に生かしにくいですとか、次の丸でございますが、特別支援学級で知的障害のある児童生徒のための各教科を行う場合に、教育課程編成上の留意点が分かりにくいといった指摘を挙げていただいたところでございます。
自立活動でございますが、自立活動も、特別支援学校においては「自立活動の時間」の指導を中心に、学校の教育活動全体で指導を行っていただいておりますが、課題として、社会に出てからも、自己理解ですとか、得意不得意を伝えることが苦手なことですとか、進路先で人間関係を築く力などが十分に育っていないなどといった課題を指摘していただいたところでございます。また、知的障害の児童生徒に対する自立活動の意義や指導内容、指導方法が十分理解されていないといったことですとか、児童生徒の実態把握から指導目標、達成状況等が乖離しているというような事例が挙がっているということを書いてございます。
9ページの真ん中から、改善・充実の方向性ということで書いてございますが、基本方針としまして、小学校での改訂と同様に、最初にインクルーシブ教育システムの構築を目指すという点を書いてございます。二つ目の丸が、小学校の改訂と同様に、社会に開かれた教育課程、育成すべき資質・能力、アクティブ・ラーニングの視点を踏まえた指導方法の改善・充実、カリキュラム・マネジメントなどを、特別支援学校の教育においても同様に重視していくと。特に特別支援学校においては一層重視する必要があるということを書いてございます。また、社会に開かれた教育課程としまして、保護者や地域社会、関係機関と個別の教育支援計画などを通して共有して、長期的な視点に立って、調和のとれた育成を目指していくことが不可欠であるということを書いてございます。
次が9ページの最後の方から、カリキュラム・マネジメントの重要性について書いてございます。このあたりも本日の議論を踏まえて、また修正をしていきたいと思っております。
10ページ目の真ん中から、小学校等に準じた教育課程ということで、これは準じた方の教育課程のことでございますが、時間数の確保ですとか、それから小学校等の教科の学習評価の改善を踏まえつつ、評価の工夫ですとかということを書いてございます。
3が、重複障害者の教育課程の取扱いということで、学習指導要領及び解説において、重複障害者等に関する教育課程の取扱いを適用する必要がある場合についての基本的な考え方ですとか留意点を具体的に示すということで、前回議論していただいたことを書いてございます。ここにつきましても、本日の議論を踏まえて、また修正していきたいと思っております。
10ページ目の下の方でございますが、知的障害のある児童生徒のための各教科ということで、この部会でも御意見を頂きましたが、意思の表明や、表明しようとする能力が重要であるですとか、社会の変化、進展に伴って、2030年の後の社会の姿を描きながら、18歳の段階で必要となる資質・能力を具体化していく必要があるといったことですとかを書いております。それから、今日も議論しましたが、小学校の各教科の目標・内容と関連付けて整理する必要があるですとか、11ページ目にいきますと、段階ごとの目標を整理しながら、小学部、中学部、高等部の段階のつながりを整理して、特に中学部の段階を充実させるために、新たに第2段階を設けることが適当であるというようなことを書いております。
二つ目の丸として、これは例として社会科をこの前御紹介しましたが、社会科では、政治的主体、経済的主体、法的主体となるような、高等学校における公共や歴史科目の見直しなどを踏まえつつ、社会の変化に対応した各教科の内容や構成の充実を図っていくというようなことですとか、その次は小学校の外国語教育の充実を踏まえて、特に必要がある場合は外国語を加えて指導ができるようにするといったことが妥当であるというように書いてございます。それから、各教科を合わせた指導を行う場合においても、各教科で求められる資質・能力を育成することを明確にすることが必要であるといったこと。
それから、一方で教科のことにつきましても、算数の計算や国語の読み取りなど、教科の指導は豊かな見方や考え方を育む機会であり、社会の生活と直接つながる視点だけが優先されないような配慮が必要であるといったこと。その次が、主体的に学ぶ意思や意欲を喚起することが重要であるといったこと。それから、知的の障害教育において、各教科の評価の観点について、観点による学習評価を導入して、学習評価をもとに、PDCAサイクルを確立する必要があるといったことを書いてございます。
それから、⑤の自立活動でございますが、ICFの視点を一層考慮していくということ。それから、自己理解や自尊感情を高めるような内容の整理、主体的に学ぶ意欲の一層の伸長などを踏まえた自立活動の内容の改善・充実ですとか、それから、何度も出ておりますが、実態把握から指導内容の設定までのプロセスを分かりやすく記述するといったこと。それから、自立活動の学習活動を広げ過ぎるのではなくて、自立活動の目的を踏まえた目標・内容を設定して、各教科との関連を十分に図ることが重要であるといったこと。それから、自立活動における多様な評価方法、教師による学習の評価だけではなく、児童生徒本人が生活上、又は学習上の困難をどのように改善・克服できたかを実感できるような自己評価を工夫するといったことを書いてございます。
12ページにいきまして、指導方法の改善・充実ということで、最初のことはアクティブ・ラーニングを踏まえた指導の重視ということを書いてございますが、二つ目、三つ目はこの部会では直接は御意見として出なかったことですが、現行の学習指導要領にも、視覚障害者等である、各教科の指導計画の作成と内容の取扱いについて、いろいろな配慮事項が書いてあるわけでございますが、そういったものも今日の医療や支援機器の進展等も考慮して、障害の状態や特性を踏まえた指導上の留意点を充実していくということを書いてございます。
その次の丸でございますが、重複障害者等に対する指導についてということで、教育課程につきましては、現行の指導要領にも記述してあり、今回のこの部会でも議論していただきましたが、指導方法につきまして、例えば自閉症を併せ持つ子供ですとか、視覚や聴覚の障害が重複している者に対する指導方法など、なかなか指導方法が困難な者につきまして、全て記述することは難しいかと思いますが、その基本的な考え方ですとか留意点などを具体的に示す必要があるといったことを掲げてございます。
⑦としまして、キャリア教育・職業教育の充実ということで、幼稚部、小学部、高等部段階から実施するものであることを踏まえて、展開例や留意点を示すといったようなことですとか、障害の程度が重度の子供たちのキャリア教育について。それから、キャリア発達を支援するためのカリキュラム・マネジメントについて書いてございます。最後の四つ目の丸でございますが、これもこの部会では直接は議論がありませんでしたが、高等部における専門教科ですとか専攻科における教育なども様々な、あん摩マッサージ指圧師の資格の制度改正の動向を踏まえながら、教育内容の改善・充実を図るといったことを書いてございます。
12ページ目の下の4のパートでございますが、連続性については、本日の議論を踏まえてまた執筆して、次回御議論いただければと思います。
13ページ目でございますが、支える方策についてということで、これは箇条書だけにしておりますが、(1)として、教員の専門性向上ということで、既に昨年12月に中央教育審議会から答申が出され、大学における教職課程のことですとか、特別支援学校教諭の免許状の保有率の向上といったことが提案されておりますので、そういったことを着実にやっていくということを書いていきたいと思っております。また、こういった学校現場での指導を支えるために、国立特別支援教育総合研究所の役割ということも書いてございます。
(2)としまして、学校の指導体制ということで、教員定数の改善などが必要ではないかということで書いております。
(3)が、家庭や地域、関係機関等との一層の連携ですとか、14ページにいきまして、高等部を卒業した後の、学校の接続にも関係しますが、高等学校入学者選抜ですとか大学入学者選抜のこと、それから企業への就職のことも書いてはどうかというふうに考えております。
5番目が、教科用図書、教科書、それから教材支援機器の充実。
それから、(6)としまして、今回の改訂にとどまらず、実施後のことも踏まえて、特別支援教育に関する教育課程の編成・実施についての実態把握ですとか、教育課程の改善・充実のための研究開発や実践研究、引き続きこういったことを進めていく必要があるということを掲げてございます。
駆け足の説明ですが、議論の取りまとめの素案について御説明させていただきました。以上でございます。
【宍戸主査】  1番目の議題について、少し時間をとって議論しましたので、2番目の今説明いただきました取りまとめ(案)についての議論は余り時間がなくなってしまいました。全体について説明をしていただきましたので、また次回もありますので、そこで意見を頂ければというふうに思いますし、また書面で御意見等頂ければと思います。
今、話がありましたように、話題になった事柄もありますが、条件整備等については報告等ありますので、そういうものを踏まえて、こういう視点も盛り込んではどうかという考え方でまとめてありますので、そこについてはもっとこうした方がいいとか、これも加えてほしいとか、そういうことはまた御意見いただければと思います。
5分ほど、もし今お気付きの点があればということで、御意見があればお出しいただければと思います。加藤委員、お願いします。
【加藤委員】  幼児機関の者として、今御説明いただいたこの取りまとめについて、少し感じたところを述べさせていただきたいのですが、幼児期においては、昨今交流、インテグレーション、統合保育、統合教育というようなことが盛んに行われ、考えられている中で、今回の中にもたくさん触れられてもいるのですけれども、大事なことが抜けているような気がしましたので、ちょっとキーワードとして御指摘をさせていただきたいと思います。
それはインテグレーション、統合教育、混合教育、交流教育と言われているものが成功するため、うまくいくためには、子供だけの交流、混合だけではうまくいかないということが現実問題あります。その背景に必要なものは、教員同士、あるいは担当者同士、スタッフ同士のまさに混合、交流、インテグレーションが大事だということと、更に大事なのは、保護者といいますか、親のインテグレーション、交流、混合というようなことも不可欠だというふうに思います。そういう意味で、この中に述べられている交流、混合というようなことでいきますと、子供のことしか述べられてないのですけれども、是非そうした視点も盛り込んでいくことが必要かなというふうに思います。
それから、子供の教育に関しては、教育界だけがどうするかという話ですが、それもまた難しいといいますか、学校がどんなに頑張っても、多様な地域社会の中で育てる子供を教育する、十分に十全に教育するということは、私は不可能だと思います。地域には様々な教育に関わる多様な機関があります、人もいます。もっと謙虚に、そういう力とのネットワークをきちんと確保する中で、教育が頑張るというような視点が、私は大事かと思います。
それから、国際化。先ほどの議論と重なって申し訳ないのですけれども、国際化というのは例えばうちの機関では、今、13か国の子供たちがいます。この傾向というのは、これからますます拡大するだろうということが想定されると思うのですが、先ほどどなたかがおっしゃいましたけれども、外国語うんぬんという話は、英語だけでは当然ないわけですので、近隣のアジア諸国の様々な言語、習慣、文化も含めた、もっと多様な意味合いを持たせるということが大事なことかと思いました。

【宍戸主査】  教員や保護者の交流、それから他分野の方々の教育といいますか支援、そして国際化の進展への対応と、そういう事柄も含めて述べてみてはという意見かと思います。
中田委員、お願いします。
【中田委員】  幾つかあるのですが、時間が短いので端的に4点ほど申し上げます。一つは、ページでいいますと3ページの一番下ですけれども、高等学校の現状と課題を示すときに、通級による指導に偏した形で、この事業だけを取り上げるだけではなくて、文科省自体もほかにいろいろやっていらっしゃいますし、いろいろな成果を上げていると思います。それから、文科省の事業でなくても都道府県がやっている事業、各個別の事業でも、通常学級を中核とした形での推進も進められていますので、その辺のところも含めていただきたいということがあります。
2点目、5ページ。3番です、真ん中から下。特別支援学級と通級による指導を並べる方法もあると思うのですが、通級による指導は、基本的には通常の学級に在籍ですので、これは余り一緒にしないで、私の意見では各論部分として、通常学級ではどうしてもできない部分があるので、そういうことについてはこういう推進も大いに有効であるという文脈で述べるべきであるというふうに思いました。
それから、7ページです。今、委員からも出ましたけれども、この校内体制については、かなり前から言っている視点で、インクルーシブ教育システムの構築というと、多様な教育の場というふうにすぐ出てくるのですが、その前に、校内体制においては、児童生徒、保護者の参画とか、そういった点も踏まえていかないと、指導計画、支援計画とかその辺も空回りすると思います。これは学校の職員の間の体制が重点的なので、私は限界があると思います。
それから、あと1点ですけれども、11ページです。11ページの自立活動の部分で、ICFということで視点が取り上げられています。自立活動の分野でICFを重視していろいろ取り組まれるということについては全く異存ないのですが、実はこのICFの問題はもう少し大きい話だと思うのです。1980年のICIDHのころに、障害の克服・改善という言葉が使われていました。その文脈でもいろいろ説明されています。というわけなので、ICFの話を出す場合に、この改善・克服とかそういう用語についてもきちんと説明した上でやっていかないと、何となく全く変わっていないのではないかというふうに感じている教職員が非常に多いということがあると思うのです。ここはこの機会にはっきりと、そうではないのだという形で明記していただくと。ですから、別に特別支援学校の自立活動でICFはとんでもないという話じゃなくて、もう少し大きい文脈で、改善とか克服といいますと、何か本人が頑張ればいいのではないかみたいなのがあるので、その辺を払拭していただきたいというふうに思っています。以上です。
【宍戸主査】  横倉委員、お願いします。
【横倉委員】  簡単に。9ページの自立活動のところの白丸の三つ目であります。ここに書いてあることはこのとおりなのですが、知的障害だけの問題ではなくて、視覚、聴覚、肢体不自由、それぞれの教員が自立活動についての基本的な理解というところでは推進していく必要があるという、少し書きぶりをそういう書きぶりに変えていただけると有り難いと思います。以上です。
【宍戸主査】  品川委員、お願いします。
【品川委員】  手短に3点。実は今、先生がおっしゃったとおり、私は障害という言葉が医学モデルの障害観が中心に書いてあって、後半にいきなりICFが出てきて、やはりこれは最初にICFを全体に出す必要があるのではないかなと思っております。そこの書きぶりを是非検討していただきたいというのが1点です。
それから、是非前文のところに、特別支援教育の意義のところの二つ目の丸に、インクルーシブ教育システムの理念の実現というところで、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとあるのですが、実は特別支援教育の目的は、まさにそれが本来先になければいけないわけで、是非1番目のところに、私はいつも講演で1993年の国連総会議で採択された、障害のある少年少女、女性男性が市民としての権利と義務を行使するためにという、あの文を必ず紹介するのですけれども、やはり特別支援教育は、障害があっても一市民として社会に参加するという大きな目標があると思うのですね。何かそういった市民として生きるということを、是非入れていただきたいなと思っております。
あと三つ目は、配慮という言葉なのですが、6ページ目のところに配慮の意図とか配慮をするというのがあって、その次に合理的配慮と出てくるのですね。合理的配慮という概念をちゃんと分かっていれば、この違いが分かると思うのですが、昨日も講演をしていたときに、とにかく一般の先生方は、配慮と合理的配慮の違いが全然お分かりにならなくて、非常な混乱が起こっているのが現実だなというふうに思っています。ですので、ここの配慮という言葉を工夫するというふうに書いていただくのか、あるいはしっかりと用語集みたいなものをつけるのか、何かそういったことを御検討いただければと思います。以上です。
【宍戸主査】  大内委員、そして村上委員でお願いします。
【大内委員】  簡潔に述べさせていただきます。私、特別支援教育コーディネーターに関する記述についてですが、ここに述べられている内容、2ページ、4ページ、それから7ページに言及されておりますが、体制整備というか、量的な側面についての記述が中心かと思うのですが、むしろこれからは質的なレベル、質的な内容です。いかに特別支援教育コーディネーターの質を高めていくかという、そういう方向性というのも記述していただけたらと思っております。以上です。
【宍戸主査】  村上委員、お願いします。
【村上委員】  9ページの、先ほど自立活動、視覚、聴覚及び肢体不自由、ここにあるように、実は必ずといっていいほど病弱が抜けるのです。領域的に私が担当だからというのではなくて、病気の子供たちは、通常の学級の中にも30%以上いるのです。そういう視点。障害という言葉でくくられると、病気というものはどこに入るのかがよく分からないと。ただし、配慮が必要だということは薄々分かっているだろうということなのですけれども、この取扱いといったらよいのですか、病気と障害との関連というか関係性を、どこかで変えていただく。ICFの視点に立つと、それは位置付けられる場所は決まっているのですけれども、そういう点では先ほど来出ていましたICFの書き方をどこかきちんと大きな部分に変えていただいて、そこの中にも病気という視点を入れていただければ有り難いです。以上です。
【宍戸主査】  尾崎委員で最後とさせていただきたいと思います。
【尾崎委員】  1点だけ。8ページの知的障害のある児童生徒のための各教科ということですが、この書きぶりが、知的障害は応用されにくいとか、断片的になりやすい、一つ目のところ。それから、三つ目のところでは、合わせた指導を行う場合は曖昧になりやすいとか、改善に生かしにくいというマイナスの表現が書かれています。私も文面を考えてきましたので、後でお渡ししますので、それを踏まえてどういうふうにしていったらいいのか、そういう方向性が分かるようなまとめにしていただければと思います。以上です。
【宍戸主査】  今も話題になりましたように、意見、あるいは要望については、また書面でお出しいただければ、今回議論いただいた連続性のところを書き込みますので、それに合わせてこの取りまとめの素案を修正して、また委員の方々に見ていただくというふうにしたいと思いますので、御協力のほどお願いいたします。
それでは、今日は少し時間が過ぎましたが、以上で第8回の討議はここまでとしたいと思います。
次回以降の日程等につきまして、事務局から御説明をお願いします。

【太田特別支援教育課課長補佐】  次回第9回でございますが、5月30日、10時から12時まで。会場はここ、文部科学省3F1特別会議室で開催をいたします。次回は、今回議論いただきました議論の取りまとめについて、今日頂いた意見を踏まえてもう少し修正をいたしまして、引き続き御議論いただきたいと思っております。
また、主査からもありましたとおり、今日十分な時間を確保できませんでしたので、是非先生方からペーパーやメール等で御意見を頂戴したいと思っておりますので、ファクス、又はメール、郵送でも結構でございますので、御意見がございます場合は、大変恐縮でございますが、5月24日火曜日までに特別支援教育課まで御提出いただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。以上でございます。
【宍戸主査】  それでは、以上で本日の第8回特別支援教育部会を終了とさせていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――


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電話番号:03-5253-4111(代表)

(初等中等教育局特別支援教育課)