教育課程部会 特別支援教育部会(第2回) 議事録

1.日時

平成27年11月16日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館西館 金融庁12階 共用第2特別会議室

3.議題

  1. 特別支援教育の改善・充実について
  2. その他

4.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会特別支援教育部会【第2回】

平成27年11月19日


【宍戸主査】  おはようございます。定刻となりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。それでは、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会特別支援教育部会を開催いたします。
 最初に、事務局より委員の紹介、配付資料の確認をお願いします。
 【太田特別支援教育課課長補佐】  先生方、おはようございます。特別支援教育課課長補佐の太田でございます。よろしくお願いいたします。
では、私の方から、前回御欠席されました委員の御紹介をさせていただきます。

 ○太田特別支援教育課課長補佐より委員の紹介と配布資料の確認と説明

 【宍戸主査】  それでは、これより議事に入らせていただきます。前回、第1回では自由討議を行い、皆様から貴重な御意見を頂きました。その内容につきましては資料9の方にまとめてあります。第2回以降は、具体的なテーマに基づきまして議論をお願いしたいと思います。最初のテーマとして、幼稚園、小学校、中学校、高等学校における特別支援教育について、今回と次回の2回にわたって議論をお願いしたいと思います。
その際、委員から学校現場の様子などを御報告いただいて、議論を深めていただきたいと考えております。
それでは、初めに配付資料につきまして、事務局から御説明をお願いします。
 【太田特別支援教育課課長補佐】  それでは、配付資料について御説明をさせていただきます。先生のお手元の資料3から資料9までと、あと参考資料を中心に御説明をさせていただきます。資料1と2に関しましては、後ほど山中委員と大谷委員の方から御発表いただきます。
それでは、資料3を御参照いただければと思います。幼稚園、小学校、中学校、高等学校等における特別支援教育に係る検討事項(案)というタイトルを付けさせていただいております。これは、前回、第1回で、本特別支援教育部会における検討事項についてという資料を用意させていただきましたが、その中から、幼・小・中・高における特別支援教育に係る部分を抜粋したものでございます。大きく5つの点をここに掲げさせていただいております。枠囲みの部分が前回の部会でお示しした、部会としての検討事項の部分になります。
 枠囲みの下の部分が、今回更にちょっと事務局の方で考えさせていただきましたが、もう少し具体的にこういったようなことが検討事項として挙げられるのではないかということで書かせていただいたものでございます。簡単に順に説明させていただきます。
1番目の各教科等の目標を実現する上で考えられる困難さに配慮するために必要な支援の改善・充実としまして、実際にどのような困難さが表れ、どのような指導上の配慮や支援が必要と考えられるのかですとか、そういったものを今後、各教科等の授業における必要な支援をどのように示していくことが考えられるか。さらに、各教科といいますと、やはり小・中・高のことになりますので、幼稚園や幼保連携型認定子供園において、園生活全体を通じて総合的な指導を行う幼児教育の特性を踏まえ、どのような指導上の配慮、支援が必要か、更にどのように示すことが考えられるかということを掲げさせていただいております。
2番目の、通級による指導や特別支援学級の意義、それらの教育課程についての改善・充実でございます。通級による指導につきましては、障害に応じた特別の指導についてどのような改善充実が必要か。また、通級による指導に係る特別の教育課程の編成・実施・評価・改善について一層の理解を図り、指導の充実を図るため、どのように示していくことが必要なのか。さらに、特別支援学級の方でございますが、同じように指導の充実を図るために、特に実情に合った教育課程を編成できるようにということについて、今後どのように示していくことが考えられるかということを掲げさせていただいております。
3番目の「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」の位置付け、並びに作成・活用の方策についてでございますが、その作成する対象となる幼児児童生徒の対象をどのように考えるかですとか、1枚おめくりいただきまして、適切な指導や必要な支援を継続的に行っていくために個別の指導計画等の作成、活用、評価、改善のサイクルについて、どのような改善・充実が必要か。あわせて、今般求められております合理的配慮の検討・実践・見直しのサイクルの在り方、記載方法などをどのように考えていくかということを考えさせていただいております。
4番目の校内体制でございますが、特別支援教育コーディネーターを中心として、昨今コーディネーターとしての業務が増える中、コーディネーターとして担うべき役割をどのように示していくのかということですとか、校長のリーダーシップの下、全教職員が連携・協力して、全校的な校内体制を確立するためにどのような示し方が考えられるのか。また、中・高と教科担任制であったり、幼稚園といったような小規模な学校があるように、学校種ごとの状況を踏まえて、どのような留意事項が考えられるのかといったことを示させていただいております。
5番目としまして、共生社会の形成に向けた障害者理解の促進と、交流及び共同学習の一層の充実。交流及び共同学習の一層の充実のためにどのような方策が考えられるかとして、例えば居住地校交流の充実ですとか、副次的な籍の活用、間接的な交流及び共同学習でのICTの活用なども例示をしております。更に教育活動全体で障害者理解の一層の充実を図るため、どのようなことが考えられるかということを掲げさせていただいております。
なお、今回ここにお示ししているのは、幼・小・中・高における特別支援教育に係ることを掲げさせていただいております。また、今後更にこれらと、あと特別支援学校との間で、子供たち一人一人の学びの連続性を実現するために教育課程の円滑な接続の実現ということも併せて検討していただければと思っております。以上が資料3の今回の幼・小・中・高における特別支援教育に係る検討事項(案)でございます。
 続きまして、資料4、5につきましては、前回、第1回で簡単に御説明させていただいた資料を、もう一度、今日の審議の御参考として配らせていただいたものでございますので、資料の4と5につきましては、時間の都合上、説明は省略させていただきますので、適宜御参照いただければと思います。
それでは、資料6をごらんいただければと思います。タイトルが、幼稚園、小学校、中学校、高等学校における障害のある幼児児童生徒の指導についてというタイトルの資料でございます。それぞれの教育課程の特徴を簡単にまとめさせていただいて、関連の規定ですとかデータなどを掲載させていただいております。
 初めに、特別支援学級の教育課程等についてということで、御案内のとおり、特別支援学級の教育課程は基本的には小・中学校の学習指導要領に基づいて編成され、特に必要がある場合は特別な教育課程を編成することができるということが規定されております。その際、特別支援学校の小・中学部の学習指導を参考とし、実情に合った教育課程を編成する必要があるということも併せて示されております。
1枚おめくりいただきまして、具体的に学習指導要領の解説、総則編におきまして、2ページの中段から下段に掛けてでございますが、解説の中で、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考とし、例えば障害による学習上、又は生活上の困難の改善・克服を目的とした指導領域である「自立活動」を取り入れたりですとか、各教科の目標・内容を下学年の目標に替えたり、各教科で知的障害者である児童に対する教育を行う特別支援学校の各教科に替えたりするなど、実情に合った教育課程を編成する必要があるということを記述しております。
3ページ目以降が関連のデータでございます。特別支援学級に在籍する児童生徒数は、平成26年度で18万7,100人と、このような形で年々増加傾向が見られます。内訳は下にありますとおり、小学校で12万9,000人強、中学校で5万8,000人強の児童生徒が在籍をしております。
4ページをごらんいただければと思います。4ページは特別支援教育総合研究所が行った研究の成果を紹介させていただきたいと思います。平成24年度に行ったものでございますが、各都道府県、政令市におきまして、特別支援学校の教育課程に関する手引などを作って支援を行っているかという状況でございますが、67の都道府県の36という、約半数以上が作成しているという結果が出ております。今日、委員の先生方の机上のみでございますが、東京都の手引の例を、抜粋でございますが用意させていただいております。
4ページのこの調査結果で指摘されていることとしまして、このページの真ん中より下の方でございますが、教育課程編成における課題。これはアンケート結果で、ございますが、特別支援教育や特別支援学級の教育課程に関する専門性の確保や維持・向上、それから、二つ目に児童生徒の実態に応じた教育課程の編成と、こういったことを各教育委員会で課題に挙がっております。
 続きまして、5ページに移っていただきまして、通級による指導について御説明させていただきます。通級による指導は、通常の学級で各教科等の指導を受けながら、障害に応じた特別な指導を、特別な指導の場で受けることということで、小学校の教育課程に加えて、又はその一部に替えて特別な教育課程を編成できるということになってございます。実際には、規定上は文部科学省の告示という形で、ちょうど5ページの下の段の方にございますが、その中で特別な指導として、障害に応じた特別な指導は、障害の状態の改善又は克服を目的とする指導とする。ただし、特に必要があるときは、障害の状態に応じて各教科の内容を補充するための特別な指導を含むものとするというようなことを規定しております。
 少し進んでいただきまして、7ページをごらんいただければと思います。7ページの上段ぐらいに「また」という形で記載しておりますが、児童が在籍校以外の小学校又は特別支援学校の小学部において特別の指導を受けた場合も、自校で特別な教育課程に係る授業とみなすことができるという規定が設けられてございます。7ページの下段が、通級による指導を受けている児童生徒数でございますが、こちらも平成26年度で8万3,750人と、年々増えている傾向にございます。
8ページの方は、これも内訳を示してございます。小学校では8万3,000人のうち7万5,360人が小学校で、中学校の方は8,386人が指導を受けているという状況でございます。また、指導時間別児童数でございますが、小学校、中学校ともに週1時間程度、指導を受けているという割合が最も高いという結果が現れております。
9ページは今御紹介いたしました、他校で通級を受けるようなケースもあるということでございまして、大体自校、他校という通級の割合は半々ぐらいという結果が現れております。
それから、10ページ目に、同じく特総研さんの研究でございますが、平成25年度に行ったインタビュー調査によれば、通級による指導の効果として、非常にある、ややあると合わせると、9割以上はあるという回答を得ております。
 具体的に、11ページにどういったようなインタビューの結果があったのかということを紹介しておりますが、自分の特性を受けとめることに自己肯定感を持つなど、心を育てることにつながるですとか、文字が書けることで、在籍学級で落ちついて授業に参加できるといったような感覚ですとか、友人とのコミュニケーション支援に効果的だったという回答があります。また、課題として、通級による指導に至っていない発達障害の児童が在籍する学級担任にアドバイスといったようなことも、課題として挙げられております。
 続きまして、通常の学級における教育課程ということで御説明したいと思います。通常の学級においては、当然でございますが、幼稚園教育要領、小・中学校の学習指導要領に基づいて教育課程を編成するということでございますので、通級による指導の対象とならない児童生徒に対して個別に特別の教育課程を編成することができないという形になっておりますが、幼児児童生徒の障害の状態等に応じて適切な指導を行うということになってございます。具体的に下の方に、説明は省略していただきますが、関連の学校教育法ですとか、学習指導要領の記載を紹介させていただいております。
13ページ以降は、幼稚園、小学校、中学校、高等学校に係る教育課程でございます。幼稚園は御案内のとおり、健康、人間関係、環境、言葉、表現、5つの領域を示して、総合的に指導を行うということで教育課程が編成されております。2ページ目以降が、小学校、中学校、高等学校の教育課程の標準的な時間数や科目の構成を示しております。
また、16ページに、またこれも参考資料といたしまして、平成24年度に文部科学省が行った調査で、発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒数でございます。学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒数の割合が、推定値でございますが6.5%といったような調査結果が上がってございます。こういったものを御参考にしていただければと思います。
 続きまして、資料7をごらんいただければと思います。資料7は、「個別の指導計画」と「個別の教育支援計画」というタイトルの資料でございます。学習指導要領におきましても、指導についての計画又は家庭や医療、福祉等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成するなどにより、個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容、指導方法を計画的、組織的に行うというような規定を行っております。学習指導要領の解説などで具体的に個別の指導計画、個別の教育支援計画という用語を使ってその内容を示しているところでございます。
2ページ目以降に、政府全体の障害者基本計画ですとか、これまで文部科学省が発出した平成17年度の発達障害のある児童生徒への支援についてといった通知ですとか、3ページ目は、平成19年に発出しました特別支援教育の推進についてなどの、通知の中でも個別の指導計画や個別の教育支援計画の策定を都道府県教育委員会を始め、設置者に促してきているところでございます。
 平成24年度の中教審の初中分科会の報告においても、幼・小・中・高において障害のある幼児児童生徒については、必要に応じて作成されることという提言も行われてきたところでございます。
4ページでございますが、更に平成25年度の通知においても、早期からの一貫した支援として、必要に応じて関係機関が共有したり、引き継ぐことが重要であるということも、通知書の中で示してきております。
また、来年、28年4月から障害者差別解消法がいよいよ施行になりますが、それに対応して、先般11月に文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針、いわゆるガイドラインを公表させていただきました。その中でも、合理的配慮の内容を個別の教育支援計画に明記することが重要であるということも示しております。
5ページ以降は、また参考のデータでございます。文部科学省が行っている毎年の調査で見てみますと、個別の教育指導計画や個別の教育支援計画につきましては数字上はだんだん増えてきているということが明らかになっておりますが、学校種ごとに見ると、まだ幼稚園や高校で作成しているという割合が低いということが明らかになっております。また、こういった取組について、各都道府県教育委員会におきましても、どういったような形で作成するかといったような参考資料を作っておりまして、こちらも本日、先生方の机上に、福岡市の作成しております参考資料の例をお配りさせていただいております。また後ほどごらんいただければと思います。
 続きまして、駆け足で本当に恐縮でございますが、資料8をごらんいただければと思います。資料8は、特別支援教育コーディネーターを中心とした校内体制の確立等についてということで、資料を用意させていただいております。これまでも、平成19年の通知の中でも、特別支援教育に係る校内委員会の設置ということを呼び掛けてきておりまして、校長のリーダーシップの下、全校的な支援体制を確立するということを呼び掛けてきております。
また、下の方にございますが、特別支援教育コーディネーターという役割を担う教員を指名して、校務分掌に明確に位置づけること。特に、主に校内委員会、校内研修の企画・運営、関係諸機関、学校との連絡・調整、保護者間の相談窓口などの役割を担うことといったことを示してきております。
また、2ページ目以降に、学習指導要領の解説の中でこういった役割を記載しているところを資料として用意させていただいております。
3ページ目以降に、また関係のデータを示させていただいております。校内体制、校内委員会、それからコーディネーター指名も、ほぼ全ての学校、園において体制が整ってきているということは結果からは出てきておりますが、また、こちらも学校種別に見ると、幼稚園や高校で校内委員会やコーディネーターの割合がまだ低いという現状もうかがうことができます。資料8は以上でございます。
それから、資料9につきましては、前回の先生方から頂いた貴重な御意見をテーマごとにまとめさせていただいたものでございますので、議論の参考にしていただければと思います。
それから、1点、参考資料をお配りしておりますが、高等学校における特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議といった資料を用意させていただいておりますので、こちらについて簡単に御説明させていただきます。今週の火曜日にこの会議が立ち上がりまして、高等学校における特別支援教育の推進策についての検討を行うこととしております。お配りしておりますのはその設置要綱でございまして、高等学校における通級の指導等について検討を行うというふうにしております。
2枚目に、その研究協力者会議のメンバーを掲載しております。岩井先生を主査として、こういった体制で検討することとしております。
ページ数が振っていなくて恐縮でございますが、検討すべき事項ということで、この会議では、高等学校における通級による指導の制度化の意義ですとか、高等学校における通級による指導の制度設計としまして、特別な指導をどのように定義するかですとか、指導の時間をどこまでとするかですとか、学習評価、単位認定をどうするかですとか、それから、通級による指導の制度化の充実方策としまして、教員の配置や専門性の確保、学校における体制整備などを検討課題として挙げております。
 大体検討のスケジュールとしまして、本年、28年3月ぐらいに、この協力者会議の報告をまとめることとしておりますので、非常に先生方も御関心があるかと思いますし、この部会とも関係するかと思いますので、この協力者会議の検討状況もこの部会の方に随時御報告をさせていただきたいと思っております。
長くなりましたが、資料の説明は以上でございます。
 【宍戸主査】  ありがとうございました。
 品川委員がお見えですので、御紹介したいと思います。
 【品川委員】  よろしくお願いします。
 【太田特別支援教育課課長補佐】  本特別支援教育部会に就任いただきました、教育課程企画特別部会にも御所属していただきますので、引き続きでございますが、品川裕香委員でございます。
 【品川委員】  すみません、遅刻してきまして。よろしくお願いします。品川です。
 【宍戸主査】  それでは、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、今日の議事であります事例発表の方に移りたいと思います。先ほどもありましたように、高校の通級につきましては、協力者会議が11月17日に第1回を開いたということで、随時またその経過をこの本部会にも御報告をいただきたいと思います。
 本日の議題ですが、本日は小学校・中学校における特別支援教育の現状についてという内容ですので、山中委員と大谷委員に御発表をお願いしております。それでは、お二人から、それぞれ10分から15分程度で御発表をお願いいたします。初めに山中委員、続いて大谷委員からお願いいたします。
じゃ、山中委員、お願いします。
 【山中委員】  それでは、東京の調布市立調和小学校の校長をしております山中と申します。私の方から、小学校の状況ということでお話をさせていただきます。
 私は、現在、小学校の校長ですけれども、全国の特別支援学級設置学校長協会の方の副会長をしております関係と、それから自分の学校には通級による指導――東京では通級指導学級と言っていますけれども、その通級指導の教室も設置しておりますので、それらの観点からお話をさせていただきたいと思います。
ただ、私もなるべく全体を把握してと思っているんですけれども、まだまだ学校ではいろいろ状況に違いがありまして、普通の小学校の特別支援教育の状況もかなり異なっておりますし、それから特別支援学級や通級指導もかなり地域によって異なっているんです。なので、私がお話をしても、それとはちょっとうちの方は違うよということもあるかもしれませんけれども、なるべく分かるような話をさせていただきたいと思います。
それから、私の方は資料1ということで配られているものをごらんください。それから、委員の方には、補足資料として具体的に個別の指導計画書なども持ってきましたので、それを見ていただくのと、それから、先ほど太田課長補佐の方からお話がありました資料の方も、実際これだけ増えているなんていうこともありますので、そちらも併せてごらんいただきながら聞いていただければと思います。
それでは、私の方からですけれども、まず通常の学級の方の取組からということでお話をさせていただきます。皆さん、この話の中では重々御承知のことだと思いますけれども、一応文科省の方の調査では6.5%の割合で知的発達に遅れのないものの学習面、又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒がいると。6.5%ということですと、通常の学級、必ずどこの学校、どこの学級にもいるよねということになると思います。現に私どもは小学校ですから、小学校ですと、1年生は1割近い子供たちがそういった対象だというふうに捉えてほとんど問題はないかなと思っています。
 通常の学級の方はそれだけ、特に小学校では平均すると7.7%ということなんですが、先ほど御紹介もいただきましたけれども、特別支援教育の推進についてという通知が平成19年4月に示されているんですね。もう、それからかれこれ七、八年たつわけなんですけれども、これが出されたことにより、通常の小・中学校だけでなく幼稚園、高等学校もそうですけれども、特別支援教育という言葉が周知されて、通常のどこの学校でも対応していかなければならないんだよということで取組が進んでいるわけです。
 成果としましては、そういった通知の前から取組はされているんですけれども、個別の教育支援計画ですとか、個別の指導計画というものが大分学校の方には定着してきたかなと思います。それから、それだけではなくて、それを作るということによって外部の専門機関との連携ですとか、支援員、そういったものがだんだんと進んできているかなと思います。なかなか一挙にというわけにはいかないんですけれども、徐々に徐々になっているかなと思います。
それから、最近よく耳にする言葉として、ユニバーサルなデザインを取り入れた授業ということで、通常の学級の先生方が自分のクラスにもいろいろな障害のあるお子さんがいると。その子にとって分かりやすい授業がみんなに分かりやすい授業だよということで、そういった観点の切り口から実績研究、研究授業を行うというような取組も多くされているところです。
そんなところで通常の学級もいろいろ進みつつあるところですけれども、課題としましては、個別の教育支援計画や個別の指導計画、まだまだ内容面ですとか周知が進んでいない部分もあるので、更に内容を活用方法だとか、そういったものを向上させていくということがまだ課題としてあると思います。
それから、管理職ですとか、教員とか、これからは合理的配慮ということを、通常の学級でどういうふうにしていくのかということも今後大きな課題になっていくと思われます。
 続きまして、特別支援学級の方ですけれども、特別支援学級の方も増加しています。全体的には児童生徒というのは減少しているわけですけれども、その中で特別支援学級のお子さんも増えています。特別支援学級の中でも特に自閉症・情緒障害特別支援学級の伸び、増加率というのは高くなっております。
それから、自閉症・情緒障害学級だけではなくて、今特別支援学級に在籍しているんだけれども、学校教育施行令第22条の3ということで、特別支援学校の方の障害の程度が該当するお子さんも2,000人ほど在籍していますよということなんですね。そういうことで、特別支援学級の方のお子さんの状況も多様化しているという現状があります。特別支援学級という一応場なんですけれども、小・中学校の教育課程を原則としながら、特別支援学校の方の学習指導要領を参考にして特別の教育課程を編成できるということで、こちらの方も増加していると思います。
さらに、めくっていただきますと、成果ということで書いてあります。そこで一人一人の状態に合った指導を行っていくということで、状態の改善が図られていった。
それから、同じ学校の校舎の中にあるわけですから、交流及び共同学習がかなり盛んに、ほとんどのところで行われていますけれども、私ども、特別支援学級の設置学校長協会の調査では、9割以上の学校で交流及び共同学習が教育課程にきちんと位置づけられているということですね。やられていないということはほとんどないと思いますが、教育課程に位置づけられているということはきちっと計画的にされているということで、多くの学校で交流及び共同学習がされていると。こういったこともあって、特別支援学級の児童生徒は伸びているかなと思います。
 課題なんですけれども、特別の教育課程が組めるということが特別支援学級のよさであるわけですけれども、参考にするものが特別支援学校の学習指導要領なものですから、その指導内容の精選の仕方ですとか、教育課程の編成の方法などが、小学校の方の学習指導要領を見ていただけではなかなか分からないので、それが実際に携わっている先生、それから設置している学校の校長先生方が特別支援学級の方の教育課程の編成の仕組みというものが分かりづらいということが課題で、そこがネックとなっていろいろな課題が発生しているかなと思います。
それから、先ほど申しましたけれども、特別支援学級というのはもともとある程度少ない人数でやっていますから、小学校ですと1年生から6年生までの子供がいます。その子たちが一緒にいるわけなので、学年とか障害の状態が様々です。そういったことから、指導内容の精選ですとか、使用する教科書の問題、そういうもの、それから教員の専門性の向上など、様々な課題がまだまだございます。
それから、続きまして通級による指導ということです。この通級による指導なんですが、これは通常の学級に在籍しながら、一部、部分的に必要な指導を行う場として通級指導教室という形で現在増えているところです。児童生徒が通常の学級に籍を置いているということで、この通級の担当の教員というのが加配になっているんです。そういう関係で今どんどん文科省の方でも増やしてはいただいているんですけれども、実際に通級指導が必要な児童生徒に見合った教員の配置がまだまだという状況です。全国的にはこれはかなり増えています。
 歴史的にも、特別支援学級よりも後に法制化されたものですから、まだまだこれから広がっていくと思いますけれども、今後インクルーシブ教育システムということを考えた場合に、通常の学級に在籍しながら部分的に指導を受けられるという、この通級による指導はまだまだ増えていくと思われます。そういう状況があるんですけれども、この通級による指導の中で行うのは自立活動と教科の補充ということになっているんですけれども、この自立活動の指導というのが障害の状態に応じて特化した指導を受けられるということで、かなり成果を上げていると思います。
それから、通級の指導の先生と通常の学級の先生とが連携するということで、通常の学級の方の課題に即した指導ができるということで、これも通常の学級の先生と連携を図るというところでは、非常に成果を上げていると思います。
ただ、課題の方になりますけれども、この自立活動というものが小・中学校の学習指導要領の方からは分かりにくいわけです。なかなかこれ、今通級による指導に携わる先生も増えていくわけなんですけれども、この自立活動というものが理解されて、指導がうまくいっているとはなかなか言えない状況があります。それから、こうやって増えているんですけれども、その辺の育成が十分ではないという課題があります。
 以上のような、ちょっと簡単にですけれども、通常の学級と特別支援学級と通級にということをお話しさせていただきました。じゃ、通級による指導というのは、実際にどんなふうにやっているか。特別支援学級と通級、別添資料の方を見ていただきますと、A小学校の通級による指導と、裏面がB小学校の特別支援学級ということで、大まか、これも自分の地域にある通級や特別支援学級はちょっと違うよという部分があるかもしれませんけれども、通級による指導の方は、自立活動と教科の補充というと、大まか、自校通級があったり、他校通級があったり、巡回指導があったりする中で、グループ指導と個別指導などをこんなふうに行っていますよというようなものです。これは、A小学校と書いてありますが、私の学校の例を持ってきています。現在、私の学校で指導している子供の数は100名近いお子さんがいて、教員が10名で行っているというような状況があります。
それから、裏面の方は特別支援学級、知的障害ということで持ってきました。下の方に時間割がありますけれども、これも通常の学級の時間割を見なれていらっしゃる方は、やっぱりちょっと違うなという部分があると思います。合わせた指導が入っていますので、日常生活指導とか、生活単元学習が入っていたりというようなこと。これは、主に高学年の方の時間割になりますけれども、このような状況でやっています。
 済みません、時間として短くて分かりにくかった部分もあろうかと思いますけれども、私の方から、簡単に小学校の事例ということでお話をさせていただきました。以上です。
 【宍戸主査】  はい。御質問については後ほどまとめてお受けしたいと思います。
 続いて、大谷委員の方から御発表をお願いします。
 【大谷委員】  おはようございます。茨城県の守谷市立御所ケ岡中学校の大谷と申します。よろしくお願いします。今、山中委員さんの方で小学校の事情について、ダブるところが多々ありますので、特に私の方からは中学校に関して、特別に小学校と違うと思う部分を特に話していきたいと思っています。
 資料について述べる中で、第1回資料の9を参考にしているところがありますので、それを用意していただければと。また、今回の資料では、資料4がそれになるかなと思っています。
まずは、特別支援学級の取組の中で、特に中学校の自閉症・情緒障害学級の中で不登校の受入先であると思っています。そうした中で自立活動中心にしていく中で復帰していると、不登校を対象に特別支援学級の一つの役割が中学校の中では大きいと思っています。
それから、課題についてですが、中学校、これは全国的に言われているかというところは不安なんですが、二、三年で替わっていく中学校の担当者、3年で替わるというのが見られます。これについて、初めて担当者になられる先生が多くなれば、当然県の教育委員会、センターは編成についての手引書、それから個別の指導計画、支援計画についての手引書を各都道府県では対応していると思っています。今日はその福岡の事例が載っているかと思っています。
それから、教科担任数の中学校でやはり教科指導に力点が置かれてしまう。キャリア教育の視点が、1回目のときにも述べたかと思っていますが、乏しいと思っています。それは、後ほど進学というところでも補足できるかと思います。通級指導の取組の中で、先ほど小学校は非常に増えていると。中学校も多分増えてはいるんだと思うんですが、実情として小・中合わせて8万5,000人いる、その中で中学校は8,300、約1割なわけです。
そういう意味では、小学校から比べれば非常に割合的に低い。その背景は何かというところなんですが、第1回資料の9、今回の資料の3のスライドが一番その中でなるかと思うんですが。こんなふうな急激な増え方をしているのは小学校で、中学校は多分微増だと思います。その背景には、まず小学校での成果があると。それと、もちろん中学校から同じスタートラインで出発したいという保護者や生徒本人の気持ちもあるでしょう。
また、中学校での自閉症・情緒教室がそこに見られるように、教科指導を中心プラス自立活動、通常学級と一緒にやっている割合が多いと。通常、通級の指導と、そこに必要な生徒は小学校からそちらの学級の方に組み込まれていくのではないかと考えています。
 通常の学級の方に話を移します。約10%、いろいろ配慮が必要な生徒たちが多分10%前後いるだろうと。その子たちをどう支援していくか。これは、第1回の資料9では、スライド7ですが、今回の資料では6になっているかと思います。今回の資料4では、スライドは6というところになっています。これは、日野第三小学校の例ですが、これを小学校でも非常に、先ほども山中委員の方からも研究していると、小学校もこのUDというんでしょうか、中学校も、本校でもそうですが、取り入れています。だけれども、割合としては、まだ中学校の中で日野第三小学校のような取組はまだまだ浅いと思っています。今後、こういうデザインの授業が広まっていくというふうには思っています。
それから、通常の学級の子供たちも当然個別の指導計画、支援計画が必要になってくると思っていますが、まだ不十分であります。第1回資料の9では13、14になります。資料4の中では幾つになるんでしょうか。統計的には非常に高い、7割、8割と高いんですが、多分これを中学校において活用してという部分になると、この数値よりは低くなるのではないかと思っています。実際に中学校の中で通常の子供たちに作成しているというのは少ないと思っています。今後、十分このことについては更に高めていく必要があるというふうに思っています。
その他の課題の中で、校内の支援体制、中学校、非常に忙しい中で次のような生徒指導――生徒指導にはいじめ、不登校はもちろん入ると思うんですが、教育支援とコンプライアンスという問題、これをどう校内で、やっぱり生徒指導が中心に校内支援が、今の中学校の現状ではなっていくと。特別支援における教育支援というものは、うまくその中で校内の支援体制が十分に機能しているというふうには思っていません。これをどう統合していくか。
 本市では、この全てを支援する幼・小・中・高という形の支援シートを統一いたしました。いじめも、不登校も、特別支援に関することも、全てひっくるめた支援シートを作ろうと、そんなふうに今本市では考えています。そういうことで、校内の支援体制が強まっていけばと。その中に、やはりコーディネーターの問題があります。どうコーディネーターと生徒指導主事が一緒になって、チームになっていけるかというのが大事になってくると思っています。
 中学校から高等学校への進学者の増加ということで、第1回の資料では9、今回の資料ではどこに入っていたでしょうか、人数が出ていたかと思うんですが、全国の統計では、特別支援学級の卒業生の3分の1が高等学校に行っていると。茨城の場合は、ここにもしましたが、平成26年度、昨年度は310人が高等学校に行っています、特別支援学級から。全国の調査でも、知的障害学級からが22%、情緒学級が26%という統計が出ております。本県では310、それから、ここには書き忘れましたが、特別支援学校の高等部、192名でした。定時制、通信制を入れると、はるかに特別支援学級卒業生のうち高等学校へ進学する者が6割以上になるかなとなっています。これは、平成20年度に比べると倍以上増えています。
こういう現状から、高等学校への個別の支援計画の引継ぎ等が必要になってくるかと思うんですが、まだまだ不十分だと思っています。
 最後に、提案という形で示していきましたが、小学校の山中委員の方からもありましたように、そういうことも踏まえて、特に校内の支援体制を何とか中学校の中ではしていきたいと、十分に機能するシステムに具体的に示していきたいというふうに、中学校では更に思っています。
それから、障害者理解について、道徳もこれから教科になっていくわけですが、今の道徳の中では、指導内容の4-3の中に、正義、公正、差別、偏見のない社会の実現という指導内容があるんですが、そこに是非とも障害者理解というような項目が明記されるといいなと思っています。そして、検定教科書を使うということになっておりますので、是非とも障害者理解の資料が教科書の中に入れられるといいなと思っています。
さらに、本校、インクルーシブ教育システムのスクールクラスターのモデル校として2年間やってきました。そこで一番考えるのは、共生社会の形成という理念だと思います。学級がそういう支持的風土のある一人一人が認め合う集団でなくてはいけない。そういう集団でなければ、合理的配慮は提供できないと思っています。そういう意味で、学級経営をきっちりとやってほしいと、そういう思いで、そういう部分で学級経営の充実を指導要領の中に何か含まれていければいいなと思いました。以上です。
 【宍戸主査】  山中委員、大谷委員、御発表ありがとうございました。短い時間で簡潔にまとめていただき、ありがとうございます。お2人の委員から、特別支援学級、通級による指導、そして通常の学級での指導、それから個別の指導計画や支援計画、校内における体制など、小・中学校における様々な取組、それから成果、課題などを御報告いただきました。
それでは、そういう発表も踏まえまして、これから討議に移りたいと思います。先ほど事務局から説明がありましたが、幼稚園・小学校・中学校・高等学校につきましては、今回と次回、2回にわたって議論をするという予定になっております。ですので、今日は先ほどの資料3に五つの検討課題がありますが、そのうちの丸2、通級や特別支援学級の意義や教育課程の取扱い、そして、丸3になりますが、個別の教育支援計画、個別の指導計画の位置づけ、作成、活用方策、その2項目を中心に御議論をいただきたいと思います。
そして、繰り返しになりますが、第3回では、幼稚園、高等学校における特別支援教育についての事例発表を行っていただき、幼稚園、小・中学校、高等学校における通常の学級での配慮などを念頭に、資料3でいいますと、丸1、丸4、丸5の項目を御議論いただきたいと思っております。そんなふうに分けて時間を使いたいと思いますので、御協力のほどをお願いいたします。
それから、御発言に当たりましては、前回と同様、名札を立ててお知らせいただければ有り難いと思います。そして、発言が終わりましたら、もとに戻していただければと思います。
 今日は2人の委員から発表をいただきましたので、残り時間が1時間ちょっとと限られておりますので、できるだけ簡潔に御発言いただくよう御協力いただければ有り難いと思います。
それでは、最初に、山中委員と大谷委員の御発表に対して御質問がありましたら、御発言をお願いします。いかがでしょうか。
 【山中委員】  すみません、ちょっと補足させていただいてよろしいでしょうか。
 【宍戸主査】  はい、どうぞ。
 【山中委員】  申し訳ありません。私の方の資料に、今後の検討事項ということで書いて、私の話の中にもちょっと出てきているんですけれども、済みません、検討事項というか、提案ということで、そこのところをもう少し強調しておきたいと思います。ちょっとお時間を頂きたいと思います。
 私の資料の方で3ページ目のところ、教育課程編成の考え方についてということなんですけれども、いろいろ特別支援学級や通級による指導が増えてきているというようなこと、通常の小・中学校がこれからも考えていかなければいけないということでは、特に今、総則に交流及び共同学習と個別の教育支援計画、個別の指導計画についての記述はあるんですが、これは小・中学校の各教科の方の中でも障害のある児童生徒についての配慮事項ですとか、是非そういったことが示されていくべきではないかなと思います。それが一つ、強く思うことです。
それから、自閉症なんです。自閉症の指導について自立活動の方にはもちろん書かれているんですけれども、自立活動の学習指導要領ですとか解説書の方を通常の小・中学校の教員が見るということがなかなかないわけなんです。この自立活動というのは通級による指導の中でもとても大事なものですので、今、特別支援学校の学習指導要領の中でもちろん障害が視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、身体虚弱、知的障害というふうになっているんですけれども、それに並んで自閉症というものが一つ、五つ目といったことでなっていかないかなということが二つ目です。
それから、三つ目としては、知的障害の児童生徒に対する教育の中で、各教科等を合わせた指導があって、これはとてもこれまで日本でも歴史がある知的障害の教育の中で大事なものだと思っています。これはとても大事ではあるんですけれども、通常の教育課程の中にはこれに合わせた指導というものが小・中学校の方の中になかなかないので、教育課程の行き来がなかなか難しいというような状況があります。ですので、合わせた指導、知的障害の方の教育も今後どういうふうにしていくのかなということが特別支援学校の学習指導要領の中でも話し合われていくと思うんですけれども、ここも一つ課題だと思っています。
それから、自立活動の話は先ほどしました。
あと、先ほども話しましたが、合理的配慮というものを個別の教育支援計画、個別の指導計画、この辺のところにどういうふうに書き込まなきゃいけないのかということも、今後触れていっていただかないと、なかなか小・中学校の方で合理的配慮という言葉も含めてなんですけれども、周知が進まないかなと思います。
それから、その他のところで、どうしても今小・中学校の方で発達障害の方が大きくはなってきているんですけれども、肢体不自由のお子さんですとか、病弱、身体虚弱のあるお子さんの状況もすごく医療の進展とともに変わってきています。ですので、通常の小・中学校で対応するべきお子さんも出てきますので、そちらの方のことも検討していくことが必要かなと思います。すみません、以上です。
 【宍戸主査】  ありがとうございました。今の補足も含めて、この場でお聞きしたいことがありましたら、お願いします。
 小枝委員、お願いします。
 【小枝委員】  成育医療研究センターの小枝でございます。山中委員にちょっと質問なんですが、通級での指導が有効ということでだんだん増えているということですけれども、通級の先生と、それからその子が在籍している学級の先生との間での連絡といいますか、そういったものについてはどのぐらいなされているかという、そういった実態把握はしておられますでしょうか。よろしくお願いします。
 【宍戸主査】  山中委員、お願いします。
 【山中委員】  はい。数的に時数という、何時間とかいうことは出せない、なかなか調査とかはしていないんですけれども、現実、自分の学校が関わっているところですけれども、これも本当に日常的に行われているというのが現状です。通常の学級の方で、やはりこういう課題がある、それを通級で指導する。通級で指導したことを、また通常の学級にフィードバックするというのが大事だよということで、特に時間は設定しないんですけれども、休み時間とか、放課後だとか、そういったところで連携が図られています。
ただ、通級の方の先生が循環をしたり、子供が通級してきているという状況では、なかなかその時間が持てないというのも現実としてはあります。電話連絡ですとか、いろいろな連絡ノートを使うとか、そういうことで連携を図っているんですけれども、通級の方は、通級の方だけ別にやればいいんじゃないのと、通常の学級の先生と連絡をとるということが非常に大事だよというのは、通級の方の先生方の一つの方法ということで進めています。
 【小枝委員】  どうもありがとうございます。非常に連携がとれているということで安心いたしました。やはり、通級における指導だけではなくて、通級担当の先生が通常の学級でもできる工夫の提案といったものなども、この次の学習指導要領の中に明記されると、今山中委員のおっしゃったことが非常に般化していくのではないかなと思っております。以上です。
 【宍戸主査】  ありがとうございます。
では、金谷委員、お願いします。
 【金谷委員】  山中先生に教えていただきたいんですが、自校通級の場合なんですけれども、クラスの子供たち、ほかの子供たちに、対象のお子さんが自校で通級のお教室に行くときに、ほかのお子さんたちにどう説明していらっしゃるのかというのが前から疑問なんです。親御さんからこういう話を聞いたことがあるんです。他校通級の場合は、今日はお休みしますで済まされる。なので、どこへ行っているとか、どうなっているかということは言わなくても済むけれども、自校通級の場合は、要するに特別視されてしまう可能性があるから、他校通級の方がいいということを聞いたことがあるんです。
その辺、自校の場合、どういう交流をされているか、共同学習をされているかというコミュニケーションの問題もあるんだろうと思うんですけれども、その辺、どうされているのか教えていただけますか。
 【宍戸主査】  はい、お願いします。
 【山中委員】  これは、その学校の障害理解教育ともすごく大きく関わってくることだと思います。基本的に、これは済みません、自分のところだけになってしまうと思うんですけれども、通級しているということを隠さない。なるべくきちんと説明をするということを前提にしています。そのためには、保護者の了解を得た上で、通級に行って、ほかの勉強をしているんだよと。中には、きちっとお友達と上手に話せるような勉強をしているんだよとか、そんなような説明の仕方を担任の方がみんなにするようにしています。
 多くの場合は、大体みんな楽しく「行ってきます」という感じで行って、帰ってきたら「お帰り」という形で迎え入れられているので、していますけれども、でも、中には気にされる方もいます。ただ、今後通級による指導が広がっていく。それから、東京は多分ほとんどが自校式という形に今後なっていくんですけれども、自分の学校で必要な指導を受けるということが、隠すことではなくて、オープンになるような指導も、これは学校全体の指導として必要かなと思います。
 【宍戸主査】  金谷委員、いかがでしょうか。
では、品川委員、お願いします。
 【品川委員】  ありがとうございます。教育ジャーナリストの品川です。大谷先生に1点お尋ねしたいんですが、先ほど御紹介いただいた、中学校における特別支援教育の現状ということが、情緒障害、自閉症とかの子供さんがメーンだったんですけれども、御市の場合、学習障害の子供さんへの指導というのはどういうふうになっていらっしゃるんでしょうか。私の知る限りでは、全国の中学校における、特にLDの子供への指導というのも、残念ながら、ほとんど実態としてはなされていないというか、悲しい状況だなと思うんですけれども、そちらはどうなのかなと。ちょっとそのお話をもうちょっと詳しく聞かせていただければと思って御質問いたします。
 【宍戸主査】  じゃ、大谷委員、お願いします。
 【大谷委員】  LD、読み書き障害も含めてでしょうけれども、本当は通常の通級指導による教室で指導を受けるという体制の方が多分よりベストな組織対応だと思うんですが、先ほども述べたように、中学校では通級による指導が少ないです。そういう意味では、そういう子供たちが中学校の中ではうまく対応できていないというのは現状だと思います。特別支援、自閉症の中でも、やはりLDを扱う在籍は少ないというふうに思っています。そういう意味ではLDの子供たち、読み書き障害の子供たちに対する対応は不十分だというふうに思っています。
それをどうするか。それは、今回そういうことが入れば少しは改善されるというふうに思っています。
 【宍戸主査】  品川委員、よろしいですか。
 【品川委員】  はい、ありがとうございます。
 【宍戸主査】  ほかに。安藤委員、お願いします。
 【安藤委員】  済みません、手短にお尋ねしたいと思います。今、山中委員、大谷委員から現状についてお話しいただいたんですけれども、先ほど小・中学校において通級の対象者、特別支援学級の対象者が増えているということであるんですけれども、例えば私、肢体不自由の教育の立場から申し上げると、相当数、小・中学校に在籍していると考えられるんですけれども、残念ながら肢体不自由の学級の設置状況とか、ましてや通級の設置状況というのはまだまだ脆(ぜい)弱で、教育的なニーズがまだまだ表に見えてきていない、顕在化していない面があるのかなと思っているんです。私、個人的に千葉の方である地域をコホートで全体調べてみたら、やっぱりかなりの数、通常学級に入れるほかに、実は知的障害の特別支援学級などに肢体不自由の子、脳性麻ひの子供は相当在籍していたという状況がございました。そういう中で、知的障害のある子供たちと、知的障害はあり、かつ脳性麻ひで肢体不自由の子供たちの学級、学習グループをどう構成するのか、一人一人の実態に応じた指導を適切に行うとはどういうことなのか、先生方はかなり悩んでいらっしゃるという事実があったんですけれども、現状において、一地域ではなくて、全国的に、あるいは東京都や茨城の事情においてこれが当てはまるのかどうか、その辺のところをお聞かせいただければと。
というのは、やっぱり通級もそうなんですけれども、かなり特定の障害だけではなくて、重複する子供たちが今後増えていく可能性はあると思うんです。そういったことへの対応ということも、多分この5年先、10年先というのは、より現実的になってくるのかなと思うものですから、その辺の実態を御説明いただければと思います。
 【宍戸主査】  山中委員、お願いします。
 【山中委員】  肢体不自由ということでありますと、肢体不自由と知的障害と併せ有している場合は、知的障害の特別支援学級に在籍していらっしゃる肢体不自由の方も多くいると思います。
それから、あと知的障害がない場合、通常の学級に行っているケースが多いと思います。その通常の学級で知的障害がなくて肢体不自由がある場合は、合理的配慮でやっぱりどこまでできるかというのが今後大きな課題になってくるかなと思います。現に私も経験しましたけれども、かなり知的障害がない場合は何らかの手だてをしてあげることで、大分参加することができたり、それから目標を少し変えることで、その子に別な目標を与えるということで、あと学習内容の変更・調整等、そういうことをやることで随分うまくいくところがあるので、今後は通常の学級にいて合理的配慮をどう行うかというところが大きな課題になってくるかなと思います。
それから、知的障害がある場合は、知的障害の中でそういった肢体不自由のお子さんに合理的配慮を行っていくということもあろうかと思います。さらに、特別支援学校の方でスクールバスが出ていますので、バスを使って特別支援学校に行くということで、それに対して副籍交流ということで、東京の方は副籍があるんですけれども、もう少し行き来ができるようにということが始まっているところ、そんなようなことです。
 【宍戸主査】  じゃ、大谷委員、茨城県の実情を分かる範囲で御説明をお願いします。
 【大谷委員】  中学校に限ってでよろしいんですか。
 【宍戸主査】  はい。
 【大谷委員】  本校にも2名ほど肢体不自由、10名の特別支援学級の在籍の2人が肢体不自由の子供たちです。県の中でもそういうことが非常に多くなってきましたので、それなりに市町村では対応をしているかと。本市でも、全ての学校がエレベーターを設置、障害児トイレを設置できるようにもうできています。今後の合理的配慮も含めて受入れ体制を進めている、基礎的環境整備を進めているところであります。また、通常学級に知的な遅れでない子は通常学級に入っていますが、介助員を付け、合理的配慮をどこまでできるか、その辺を今研究しながら、多分進めていっていると。そういう受入れ体制は徐々に各市町村、各都道府県の中では進められつつあるのではないかと思っています。
 【宍戸主査】  安藤委員、いかがでしょうか。
 野口委員、お二人への御質問でいらっしゃいますか。
 【野口委員】  はい。
 【宍戸主査】  じゃ、お願いします。
 【野口委員】  2点ほどお伺いしたいんです。一つは、特別支援教育コーディネーター、これは実際の運用の仕方というのが様々あるかなと思うんですけれども、例えば一人人だけ指名という場合もあるかと思いますし、学年別にコーディネーターを指名して、なおかつ全体のコーディネーターがいるという形もあると思います。そのほかにも、学校によってはできない場合もあるんですけれども、フリーで特別支援コーディネーターを担当するという教員がいるという場合もあるかと思います。
そういった様々な配置の仕方といいますか、そういったことによってどういったメリット・デメリットがあるのかといったあたりで何かあるのかどうかというあたりのところ、把握しておられるのかどうかということを1点、確認したいということです。
あともう一点は、特に通級による指導の中で、現在、ICTの活用等も進められているかと思いますけれども、実際何でもICTということがいいというふうには思わないんですけれども、確かに子供によっては極めて有効なツールとなって、これは学習面、生活面をサポートするという、実際、学校に在籍している間ということだけではなくて、将来の生活に向けての非常に強力なツールになるという意味でも非常に重要だなと考えているんです。実際、文科省の方の事業を受けまして、そういった検討もさせていただきましたが、ところが、そういったときにネックになるのが、例えば学校のWi-Fi環境ですとか、ネット環境の整備。
そこがネックになって、結局は非常に実際に有効だと分かっていて、使いたいんだけれども使えないという状況が実際には起こっていると。そういったあたり何か、例えば東京都だったり、各県でそういった状況について把握されているかどうか。分かっていれば、教えていただければなと思います。
 【宍戸主査】  ありがとうございます。山中委員、今の2件につきまして、分かるところでお願いします。
 【山中委員】  まず、コーディネーターの方ですけれども、コーディネーターはそれぞれ自治体によって違っているところがあります。なかなかコーディネーターの専任化というところは難しい。要するにコーディネーターだけを担当する教員というのは、もともと定数配置にもなっていないので難しいところがあるかと思いますけれども、コーディネーターが時間軽減があると、コーディネーターをしたから時間軽減がある――都道府県で決めていくことですけれども、あるといいなということで東京都としては要望しているんですけれども、なかなか時数軽減というところまではなっていません。
コーディネーターも全国的には特別支援学級の設置がすごく高くなっているので、特別支援学級は通級の先生がコーディネーターを担当しているとか、養護教員の先生が担当しているというのも結構多くあります。それから、一人ではなくて、複数のコーディネーターを配置するというふうになってきていることが最近は多いのではないかなと思います。
 私の市でも、二人以上指名するということになっております。私は複数指名がいいなというのは、特別支援学級とか養護の先生だけではなくて、通常の学級の先生がコーディネーターをやるというのがすごく意味があるかなと思っています。通常の学級の担任の目で見るということですね。そのためには、ちょっと時数軽減をしていただかないと、なかなか苦しいところがあるなと思いますけれども、コーディネーターを指名するということで、学校が特別支援教育の体制として動いていくというところはあると思います。
コーディネーターを役割として指名していくということは大事だと思いますが、その指名の仕方ですとか、時数の軽減というのも、図られているところもあるようなんですけれども、まだいろいろと差があるというような状況です。
それから、あと、ICTのことです。タブレットとか、電子黒板だとか、それから、電子黒板があれば電子教科書を使うとか、いろいろなことで本当にICTは今後使っていく……。教材として使うものと、それから子供の側がサポートのツールとして使うというのと、ちょっと役割が違うと思うんですが、両方でとても本当に有効だと思っています。
ただ、やっぱりもともとまだタブレットが普及していない。私のところもそうなんですけれども、普及していませんし、それから、今後自治体としては考えていくんですけれども、タブレットそのものが普及していないので、Wi-Fiの環境とかも全然できていないんです。ただ、これはもう進んでいる地区もありますので、進んでいるところはどんどんタブレットを使って、何げなく、紙だとか、鉛筆だとかと同じような形で使い始めているところもありますし、まだまだというようなところもあって、これは本当、今後ICTがあれば全てがよくなるということではないと思うんですけれども、有効なツールの一つとしてどんどん進めていっていただかなければならないところだなと思います。ただ、予算が掛かることだったり、今セキュリティーの関係があったり、なかなか難しい面があるなというのも事実です。
 【宍戸主査】  ありがとうございます。
 大谷委員の方から、この点につきまして何かありましたら。
 【大谷委員】  まず、コーディネーターですけれども、今回のこの場でもそうだと思うんですが、特別支援教育を推進していく、インクルーシブ教育を推進していく中で一つのキーパーソンだと思います。まずはインクルーシブ教育システムを進めるには、校内がシステム化になっていなくてはいけない。校内、特別支援コーディネーターの集まる中心が校内のセンターになっていなくてはいけないと思います。それがなっていない現実がある。特別支援担当者、コーディネーターが校内のセンターになっている、これをどうするか。
そういう意味でも、コーディネーターがしっかりした役割を果たさなくてはいけないと思っています。そういう意味で、一人ではまず無理だと。二人、生徒指導主事であるとか、誰かをチームでやっていくことが、やはり中学校においては重要な選択かなと思っています。そういう意味でも、校長がリーダーを走っていくということは大事かなと思っています。それも、もしここで非常に討議されて、いいコーディネーターの人選はどうするのかというのをもう少しはっきり全国に発信していただければ、更にいいのかなと思っています。
それから、ICTについてなんですが、今回の我々の学校の研究としても、いかにICTを使えるか、合理的背景の中にタブレットをどう使えるか。本市では、全ての学級に電子黒板を導入しています。タブレットも1クラス分ぐらいは導入しています。隣の市のつくば市がICTについては全国的な先進的な進みをやっているかなと思っています。そういう意味で、我々は隣接の市ですので、そういうつくば市の研究を基に、それが一人一人の教員までに追いついていないというのが現状です。ハードはあるけれども、ソフト面が追いついていないという現状があります。以上です。
 【宍戸主査】  ありがとうございます。お願いします。
 【齋藤特別支援教育企画官】  文部科学省ですけれども、御参考までにということで、コーディネーターの指名ということでございますけれども、全国の体制整備状況調査、毎年行っておりますけれども、例えば26年の9月1日現在という数字で申し上げますと、公立の小学校でのコーディネーターの指名、校内で一人指名をしているというのが74.1%、二人が18.3%、三人以上が7.6%という数字がございます。また、専任化率ということでございます。この専任化ということで、主たる職務としてコーディネーターの役割を担うことができるよう、学校において一定の配慮を。例えば学級教科担任を持たないなど、そうした一定の配慮がされているものということでございますけれども、この専任化率、公立の小学校で13.7%という数字がございます。
こうしたデータを基にしながら、検討事項の案にもございますけれども、コーディネーターを中心とした校内体制の確立等の観点等の明確化、この議論にも参考にしていただければと考えております。以上でございます。
 【宍戸主査】  ありがとうございます。ここで、今日と、次回と、2回で幼・小・中・高の話をするというふうに申し上げましたので、議論の観点を絞らせていただきたいと思います。本日は、資料3にありますように、検討事項案の2番目、3番目、丸2、丸3ということで御意見を賜りたいというふうに思いますので、そこに絞って御発言をお願いできればと思います。
では、済みません、順番で加藤委員からお願いします。
 【加藤委員】  ありがとうございます。私自身は児童発達支援センターの園長をしております。この世界で40年近くひたすら子供たちの育ちを見てきたんですが、学校との関係というのは当然ですが、就学ということを控えますので、かなり長いつながりがあるんですが、今日のこの議論の中で、今主査のお話にもございますように、いろいろお聞きしたかったり、御指摘してみたいこともあるんです。
丸3の個別の教育支援計画、個別の指導計画についてちょっとお尋ねしたいんです。といいますのは、先ほど来議論が出ていますように、今子供たち、あるいは、その家族のありようというのは非常に多様化しているというのが現実です。余り障害種別ごとにばっさばっさと縦割りに切って支援をするという時代ではないというふうに思います。とりわけ、今後、中長期的な未来を考えたときに、そうした発想というのは避けるべきだろうと思います。
また、特に一人一人の子供の育ちを支える、支援するという意味でいきますと、この計画というのは非常に大事になるわけですが、計画を立てるときに何を根拠に計画を立てているのかということが重要かと思うんです。とりわけ、私たち就学前の世界においては、今非常に多様な子供の育ちに関する専門家といいますか、関係者が参画してくるという傾向にあります。これもますます、多分進行していくだろうと思われます。
そういうときに、子供たちの育ちに関してはかなりマルチにアセスメントというのをきちっとするんです。その中で計画が立てられていくと、そういう体制が今このサイドで充実していこうとしているというのが今日的な動向です。そういうことから考えますと、その子供と保護者が学校に入っていったときに、その計画が何を根拠に立てられているのかということは、親にとっては非常に意識がそこに行くわけです。そのときに、学校サイドがそのことに対してきちっと答えられるような体制ができているのかということですね。ということからすると、そこに大きなギャップが出てくる可能性がある。突き詰めれば、信頼関係みたいなものまで踏み込むような、そういう関係性がそこに出てくると思うんです。
そういう意味では、学校だけで完結する時代ではないと思うんです。子供は地域の中で育って生きていくわけですので、そういう意味では、もっと学校だけの中身をどうするか、どう向上させるかとか、充実するかという話だけではなくて、もっと点ではなくて、面として地域の中でこの子供の育ちをどう支えていくかという視点で発想しないと、2030年は迎えられないんじゃないかというのが、素朴な私の疑問です。
そのことに対して、今日御発表いただいたお二人のそれぞれの地域での、それぞれの置かれた状況でその問題をどういうふうに考えておられるのか、ちょっとお尋ねしてみたいと思います。
 【宍戸主査】  山中委員、今計画を立てる際の根拠についてどう捉えているかという話がありましたけれども、分かるところでお願いします。
 【山中委員】  今頂いたことはとても大事なことだと思います。特に小学校の場合は、就学してくる入り口なので、今もちょうど就学時健診の時期なわけなんですけれども、今、小学校の場合は、小学校に入ってから見つかって、個別の教育支援計画、指導計画を作ってくるというものもあると思いますけれども、就学支援シートが大分普及してきています。それを頂いて、それを基に作っていく。それも、頂いたところには関係している機関が大体あるので、そこと連絡をとって作っていくというのが、だんだんまだまだという実感がもしかして加藤委員の方はおありかもしれませんけれども、そちらの方に向かっているとは思います。
 私のところ、調布市でも、就学支援シートというのは本当ここ5、6年で定着してきたところなんです。今1割ぐらいの子供が持ってきます。1割ぐらいの子供が発達センターとかに大体関わっているんです。そうすると、事前に面接をして、それを基に作っていく。大体そういうふうになっていくんじゃないかなというふうに思います。小学校でそうやって作ったものというのは、6年間、きちんと作り続けていって、中学校にお渡しすると。もちろん、保護者も入った上でですけれども、そういう形になってきて、今後もそうなっていく。そうなって、関係機関が入っていくことで、より確かな個別の教育支援計画、指導計画になっていくのではないかなと考えています。
 【宍戸主査】  関係機関も加わりながら作成をしつつあるという様子でありましたけれども、中学校の方ではいかがですか。
 【大谷委員】  加藤委員の意見、全く本当にそれは大事だと思っています。私の提案の中でも、やっぱり今山中委員の方から、小学校から6年間やったのがきっちり中学校につながっているのかと、疑問が非常に出てくるところ。やっぱり小学校から中学校へきっちりとつなげる。保幼から小学校へきっちりつなげる。これも文部科学省が事業の中でそういう指導体制をきちっととりなさいということで、各県で事業を出されたかと思います。本県でも、地域の中で支援ブックを作ると。
これが今後大きな課題になる。作ったけれども、どうそれを活用していくんだと、これが大きな課題になっていると思っています。やっぱりつなぎをどうするか。よく聞かれるのが、僕も小学校にいたときに、保護者の方がまた聞くんですかと。その学年間さえもつながっていない。保護者との信頼関係がやっぱりここで崩れちゃう。小学校でこういうことがあったのを、中学校にきっちりつないでくださいと。もちろん、これは保護者の願いだと思いますが、これがきっちりとつながれていないと、保護者との信頼関係を失うということは実のことです。
ですので、我々としては、きっちりと小学校から中学校、又は小学校であれば、就学前の指導がうまくつながっていくと。これはやっぱり一貫したシートの中で実現できればいいなと。やっぱりこれは大きな課題だと思います。これをどうすればシステム化、機能していくかということを議論を願えればというふうに思います。以上です。
 【宍戸主査】  ありがとうございます。何人か手が挙がっていますので、続けたいと思います。
 大内委員、お願いします。
 【大内委員】  よろしくお願いします。私も個別の指導計画、個別の教育支援計画について質問させていただきたいと思います。
この検討事項の方でも、適切な指導及び必要な支援を行うためには、個別の指導計画等の作成、活用、評価、改善、いわゆるPDCAサイクルが非常に重要だというふうに書かれています。ここがかなり検討事項として私も重要だと思っています。実際、現状を見てみますと、個別の指導計画、個別の教育支援計画の作成はほぼ量的には達しているのかなと。それから、活用も様々努力されているのかなと見てとれますが、それを評価して、次の個別の計画等の作成に生かすというところが現状どの程度なされているのか。
 幾つかの学校にお伺いしてお話を聞いたりすると、作りっ放しと言うとちょっと語弊がありますけれども、年度計画は作りましたけれども、評価はきちんとしていませんとか、あるいは評価は個人の中でやっていて、学校全体で共有していませんとかいう回答を頂くことが多いわけですけれども、その辺は山中委員、それから大谷委員のところの現状をお聞かせいただけると有り難いですけれども。
 【宍戸主査】  質問だけではなくて、丸2、丸3の項目についての御意見も含めてお願いしたいと思います。残り時間30分ほどですので、要領よくお願いしたいと思います。
 山中委員、何かありましたらお願いします。
 【山中委員】  はい。大体書式の方が、評価も含めた個別指導計画書というのを作るだけではなくて、大体が評価の欄を作ってきているところが多いので、学期ごとですとか、年度の終わりには評価をして、次の年にそれをつなげるというのがあるんです。本校なんかはそれに従ってかなりきちっとやっているんですが、そういったところが、作ったはいいけれども、まだちょっと評価は。
 評価は担任だけが例えばしてとか、それから、最初の作ったところだけとなっているところがあるのは事実かなと思います。そういうような評価、改善のところまで全部含めるんだよと。年度の途中で、例えば状態が変化したら、それによって修正をするとか、そんなことも含めて、個別の指導計画、個別の教育支援計画が今必要があれば作るということになっていますけれども、障害のあるというふうにはっきりした場合には、必ず学校が作るというのがもうちょっと周知されていて、書式ですとか、様式というものももうちょっと明確になっていくといいなと思います。
 【宍戸主査】  障害があるということが分かれば、必ず作るということをこれから考えていけるといいのではないかという意見かと思います。
 尾崎委員、お願いします。
 【尾崎委員】  質問ではなくて、意見というとこで。
 【宍戸主査】  はい、意見の方でお願いします。
 【尾崎委員】  今日の検討事項の丸2のところに関わってですけれども、丸2の下の丸なんですが、特別支援学級における特別の教育課程の編成に実施に関わっての発言をさせていただきます。先ほど山中委員の方から、特別支援学級の現状として、少人数で学年も多様、障害も多様、その中で学習指導要領を見てどう教育課程を編成するのかといったときに、通常の小学校の学習指導要領は当然ありますけれども、あとは特別支援学校の学習指導要領を参考にしましょうと、手元にはない。そういう中で、どうやってやっていったらいのか。そこの根拠をどこに持っていくのかということが、やはり一番大きな課題になるのではないかなと思います。
 学習指導要領の考え方は当然そうなんですが、どこの学校種においても、それを根拠として教育課程を編成し、学校の教育目標達成のためにやっていく、その根拠になるものだという考え方は特別支援学級であっても同じだろうと考えます。もしそうだとしたら、やっぱり特別支援学級のいる児童生徒を担当する教員にも分かるような、小学校なら小学校、中学校の学習指導要領としてそれが参考にできるような記述がどこかにないと、やっぱり難しいのではないかなという思いが一つ、します。
それで、是非、今就学指導の在り方がインクルーシブ教育システムによって変わってきて、22条の3に該当すれば、特別支援学校に入れると。そうでない場合も、これから特別支援学級に入る場合にいっぱい出てきますので、障害のある方が通常の小学校の教育課程の学習だけではなかなか対応できない人がいっぱい入っているという事実がありますので、そこにもきちっと目を向けた体制作りというのをこの部会から是非発信していただければと、そういうことも検討していただければ大変有り難い。
その中身については、特別支援学校の学習指導要領をどう考えるのかという議論のところで、もう一度詳しくお話をしたいなと思います。以上です。
 【宍戸主査】  ありがとうございました。
で、は砥抦委員、お願いします。
 【砥抦委員】  2点あるんですが、1点目は、今の尾崎委員のお話も受けた感じになるかと思うんですが、やっぱり学習指導要領そのものから、基本的に通常学級の担任をイメージしているんですけれども、そこから障害のある子が自分のクラスに入ってきて、そこで個別の指導計画を立てるといったときに、やはり学習指導要領は本当に骨格が示されているものですから、それをもっと具体化した中間的な、今までですと何々の手引、通級による指導の手引とか、各自治体でやっている教育課程基準資料とか、その辺の充実を国としても図ってほしいんだと、その辺の方向性を示すことが大事なのかなと思うのが一つ。
もう一つは、これは加藤委員のアセスメントのお話が全くそのとおりだと思っています。また、実際に公立の指導計画を立てるに当たっても、前の仕組みから、幼稚園・保育園の方から引き継いでくる部分もあるんですけれども、やっぱり小学校の集団生活の中で専門家の力をかりた計画の立案というのは非常に大事だと思っているんですね。ただ、前LD等の検討の中で専門家会議というのがあったんですが、規模が大き過ぎて、なかなか区市町村の自治体の方までは機能しない部分があって、あれをもうちょっと専門家を活用した仕組み、それを保障するような国としての支援というか、そこはやっぱり必要なんじゃないかなと思っています。
 実際に私は校長として現場にいたときに、校内委員会の活用が一番ポイントだろうと思って、そこでいろいろな知恵を集めて計画、立案、それから実際の途中経過、最後、年度末の1月、2月頃は反省といいますか、その子自身の評価も含めた年間計画をきちっと立てて、毎月校内委員会をやっていましたので、やっぱりそういう中で外部の専門家もできれば入れながらやっていきたいなと、そんな思いでやっていたわけです。是非その辺の方策の支援を、国レベルでもやっぱりやる必要があるのかなと思って、そんな話をしました。以上です。
 【宍戸主査】  ありがとうございます。
じゃ、続きまして田中委員、お願いします。
 【田中委員】  三鷹市教育委員会の田中でございます。3年前の中教審の委員をしておりました清原慶子市長の下で、三鷹市の教育委員会としてはコミュニティ・スクールを基盤とした小・中一貫教育を行っております。特別支援教育ももちろん小・中一貫教育の中で行っている立場から、まずは丸2について発言をさせていただきたいと思います。
ここにつきましては、先ほどの山中委員がおっしゃっていました立場に非常に共感をします。小・中一貫教育をしてみましたところ、例えば知的障害の特別支援学級の小・中継続のところで、現実的な問題が出てまいりました。といいますのは、三鷹市では15歳の姿に責任を持って9年間を連続して子供を育てていくという立場なのですが、小学校6年間は特別支援学級の教員は小学校全科の免許状を持って採用されていますので、各教科を通常の学級に準じた下学年適用の対応ができるんですけれども、中学校に参りますと教員たちが教科で採用されております。また、免許状も、例えば体育等の教科の免許状の方たちですので、小学校の教育課程をまずは中学校の教員が知らないというような現実があります。
やはり、特別支援学級、知的障害の15歳という姿をイメージしたときに、せめて小学校のそれぞれのお子さんの特性にもよるのですが、軽度の知的障害の子供さん、就労を前提とした子供さんならば、小学校高学年程度の学力も身に付けさせたいと思うような子供たちもいるわけで、そのようなところで、やはり中学校の教育課程、非常に課題があると思いました。そこにつきましては、やはり免許状であったり、採用であったり、もう少し総合的に広くここを御検討いただく必要があるのではないかと思います。
また、通常の学級の中でのLD、ADHD、また高機能の自閉症の子供さんへの対応ですが、ここも先ほど山中委員がおっしゃっていらっしゃいましたように、通常の学級の学習指導要領の中に、やはり通常の学級の教科学習の中でこれらの特性を持った子供たちに、どのような支援をすべきかという、そういう具体的なものが書かれる必要があると思います。
 次に、丸3の個別の教育支援計画、個別の指導計画のことについて少しお話しさせていただきたいと思います。こちらにつきましては、多分、次回議題であるコーディネーターを中心とした校内体制等も絡むのですが、これを推進していくのが校長のリーダーシップと言われています。これは、各小・中学校の校長のリーダーシップというだけでは非常にお気の毒というふうに感じております。市区町村の教育委員会としましては、やはり市区町村の教育委員会、その上の都道府県の教育委員会からの御指導も必要と思いますが、教育委員会の強いリーダーシップの下にこれを推進していかないと、難しいと思います。
また、そのような中で、この小・中一貫教育の中では個別の指導計画、また教育支援計画につきましてはファイルをそのまま引き継いでいく。また、教育委員会の方で、もし保護者の同意が得られていなくても、学校ではこう対応するのだということについてはきちっと作っておく。そして、保護者の合意を得ながらそれを継続していくということを学校におろしておりますので、学校が対応できるというような事実があると思います。
また、加藤委員がおっしゃっておられました、学校だけの時代ではないと。ここは本当にそのとおりだと思います。特に、教員たちは、このお子さんは発達障害なのではないかと見立て、最初はそのように見えた子供が、いろいろ見ていきますと、実は家庭の非常に養育困難、状況が厳しいということがあったり、愛着障害というようなことがささやかれたりいたします。そのような中で、やはり学校だけではここは対応できないと思います。
 三鷹市では、以前、市としてのスクールカウンセラーを持っていたのですが、東京都が全校にスクールカウンセラーを配置してくださいましたので、市が持っていたスクールカウンセラーを教育しまして、スクールソーシャルワーカーという形に今は変えています。やはりケースワークのできる者がそこに入りながら、学校と医療、福祉、保健、また就労も含めましてつないでいく、こういう制度を含めた検討が必要と思います。以上です。
 【宍戸主査】  ありがとうございます。
 続いて、一木委員、お願いします。
 【一木委員】  丸2、丸3、双方に共通することかと思います。自立活動について1点、申し上げたいと思います。通常学校の先生方の中においても、自立活動の必要性について意識が高まっているんだなというところを、今日感じたところです。そんな中で、自立活動の視点で子供の実態を捉えて、子供を理解するというのはどういうことなのか。自立活動の見方、考え方というものについて、しっかり現場の先生方に御理解いただけるような形で発信していくことが大事かなと思ったところです。
 現場の先生方が実際に何をすればいいのか、具体的な指導内容を想起できるようなものが欲しいという、そういう声は理解します。ただ、一方で、先ほど申し上げましたような自立活動の見方で子供を理解するというのはどういうことなのかということの理解抜きに、具体的に何をすればというものだけが先走ってしまいますと、場合によっては合理的配慮で対応すれば教室の中から出ていくということはなく、先生の授業を聞いているという実態の子供さんたちに対して、自立活動の指導が必要なんだけれども、なされないというような状況も生み出しているのではないかなと危惧をしたところです。以上です。
 【宍戸主査】  ありがとうございます。
 安藤委員、お願いします。
 【安藤委員】  私も2番目、3番目、特に分けずに、具体的な意見を申し上げたいと思います。結論から先に申し上げると、教育課程の問題、自立活動の問題、極めて重要ですし、それをどう小・中学校等の先生方に御理解いただくかというのがポイントだということで理解しております。
 結論を申し上げると、現行の小・中学校等の学習の総則に示されている、暗に個別の指導計画、暗に個別の教育支援計画を作成するという文言については、これは今の報告がありました作成状況を踏まえたときに、やっぱりこれは明示すべき段階ではないかなと思っております。解説の中にも当然出ていますし。
もう一つ、これは書き込みの仕方というのはすごく難しいとは思うんですけれども、やはり解説の中で自立活動というものも出てきております中で、そろそろ小・中学校等の学習指導要領においても、自立活動について何らかの形で示すべきではないかなと。これは個別の指導計画を示すのであれば、当然その関係でも示さざるを得ないだろうということです。
そもそも教育課程というのはなかなか日本では先生方の関心にならないと言われています。どちらかというと国が基準を示して、それに従う、それを遵守する立場であるという関係から、なかなか先生方が教育課程に関心を持つということが薄いと言われているわけです。しかし、例えば特別支援学校であれば、少なくとも今の特別支援学校の学習指導要領において、具体的な編成は校長を中心として教務の人たちで行うにしても、学習指導要領の中に、例えば総則の障害者等に関する教育課程の取扱い、ああいう中には具体的に事業者レベルで理解しなければならないものが記載されているわけです。
 例えば教科で何をもってカルテ指導していいか。あれは、むしろ指導者レベルで押さえておかなければならない。そういう中で、単に担当者が教育課程との接点でその考えるきっかけになっている。ところが、小・中学校ではまだそういう状況になっていないという理解です。具体的には、じゃ、小学校・中学校で教育課程を編成するときに特別な教育課程を編成するという場合に誰が考えるのかというと、やっぱり担任や担当者ですね。
これが、やっぱり特別支援学校と大きな違いです。学校としても、もちろん、今日お2人の先生のように、非常に中心的になってリーダーシップを発揮されて、まとめられても、じゃ、全部が全部そうではない。いわんや通常学級の先生方からすれば、まだよく分からない。そういう中で、やっぱり先ほど冒頭申し上げたようなことで、言葉としても明示することで、やはり特別支援学級や通級を中心としつつも、関連の指導として、特に自立活動の指導はそうですね。関係する指導として、子供の学習をより効果的な展開をするために先生方の協力も必要なんだよということを周知する意味でも、用語を明示する段階ではないかなと思っております。
 【宍戸主査】  ありがとうございます。
では、横倉委員、お願いします。
 【横倉委員】  全特協の横倉でございます。私、以前に東京都の東側の高等学校の担当をしていまして、そこでいろいろ感じたこととか、課題とかをお話をしたいんです。これは、大谷委員の中学校の特別支援学級から高等学校への進学者が増加していると、そのところにも関連する話なんですが、校長さんとよく話していますと、入学の前に中学校から障害のある子供の情報というのはほとんど上がってこない。入学式の後、校長先生と保護者が来る、そういう現状がある。
 合格発表があって、入学説明会のときに、もし個別に相談があればどうぞ、そういうような対応をしている高等学校があるわけですけれども、そこで初めて入学説明会、合格発表が終わって、これから入学式を迎える前に、入学してくる生徒の情報が上がってくる。そういうことで改善はしてきているんだけれどもという、そういう状況がある。
 是非小・中、高等学校も含めてですが、総則の中にいま一歩踏み込んだ形で個別の教育支援計画、あるいは指導計画ということを位置づけていただくことで、相当そのつなぎ、中学校から、義務教育から高等学校へのつなぎのところでは改善していくのではないかなと思います。是非今後検討を続けて、そういうことがなるようにしていきたいと希望します。
 【宍戸主査】  続いて、中田委員、お願いします。
 【中田委員】  高等学校でかなり課題がたくさんある子供たちが集中して集まる高校の管理職をしていたものですから、その立場でちょっとお話ししたいと思います。いろいろ、小学校で、例えば特別支援学級、中学校で特別支援学級、高校で通常級というお子さんと、小学校で特別支援学級で、中学校で通級による指導、高校では通常学級と。通級、通級と来てという。それから、通常級、通常級で来たお子さんの中に、高校側から見ると一番課題としてはきついなというのが入っている場合もあるという形から言うと、支援の引継ぎというか、継続性に関して、これは継続しましょうねということを言っているのではなくて、支援の継続性を阻む障壁があると思うんです、システム的に。
そういうことについても、ある程度きちっと触れた中でこうしましょうとしないと、お題目だけになっていく恐れもあるかなと思っています。どうしてこの子が、例えば小学校で特別支援学級で、中学校で通常級に行ったのかよく分からない。それが今のお話の関係でいきますと、入学試験前に分かることは滅多(めった)にありません、ごく少数です。ほんの1例か2例知っているだけです。
 説明会のときに浮かび上がってくるものもそんなにいません。実際に入学後でもそんなに上がってこない。実際に上がってくるのは様々な生徒指導の案件とか、学習指導とか、テストの結果とか、多様なことを通じて上がってくると。そこから小・中学校の今までの何をやったのかということが浮かび上がってくるということがあるので、その辺の切れ目です。それから、学年もあると思うんですが、その辺の切れ目について、どうしてそれが生じてしまうのかという論点で書き込みがなされていないと、恐らく余り現場には伝わらないのかなと思っています。以上です。
 【宍戸主査】  ありがとうございます。
 野口委員、お願いします。
 【野口委員】  では、1点だけなんですけれども、3の個別の教育支援計画、あるいは個別の指導計画の対象をどう考えるかということです。これは、現状では義務の場合と、あとは必要に応じて。この必要に応じてをどう考えるかという話なのかと思いますが、これを具体的に書いていくというのは恐らく難しいだろうと。というのは、実際には診断はないけれども、サポートは必要だろうと考えられる児童生徒がかなり多いという状況から考えますと、この必要に応じてということを判断する手順と言ったらいいのか、手続、そこを明確化していくという、それが必要なのではないかなと考えます。以上です。
 【宍戸主査】  ありがとうございます。
 品川委員、お願いします。
 【品川委員】  ありがとうございます。4点ほど申し上げたいと思います。
まず、この2番のところですね。丸2の一つ目の丸、上の丸なんですが、これは先ほど加藤先生もおっしゃっていたこととも非常に通じるんですけれども、障害に応じた特別な指導ということで、通級について申し上げたいんです。こうやって全国をずっと見ていますと、今通級に一番求められるのは、実は医学診断がなくても、教育的ニーズがあれば専門指導を受けられるという弾力性だと思っているんです。実際そういうことを、田中先生は今うなずいていらっしゃるけれども、例えば三鷹市のようにやっていらっしゃるところはあるんです。それは三鷹市だけではない、例えば堺とか、やっているところは全国的にはあるんですが、まだまだ少なくて、本当に診断があれば通級に行けるというところが余りにも多い。
それでは、その企画特別部会でも、通常学級の中にいる発達課題、発達障害のある子供たちをどうするかということが議論にも上ったんですが、診断があればというそのくくりがあるが故に、実態としては診断がなくている子供たちのフォローがなされていないんですね。やっぱりどういう状況であっても、通常学級での学びが難しい子は、要は一斉指導の定着がなかなかしんどいであろうと思われる子供さんは、やっぱり早い段階で落ちこぼれてから、できなくなったと、明らかにしんどいわと分かってからではなくて、その前段階でちゃんと専門指導が受けられるように、やっぱり通級の弾力性をしっかり明文化する必要があるだろうなと考えています。
 例えば、これは後の幼稚園と高校――実は私、今回一番の課題は幼稚園と高校だと思っているんですが、それは次回にお話ししますけれども、例えば幼稚園の段階でしりとりがうまくできていないというのが分かっているケースは明らかに音韻形成ができていないわけですから、音韻形成ができていなければ、1年生になったときに一斉指導の中で読み書きがぱっとできるようになるかといったら、それは明らかに難しいであろうという予測が立てられるわけですね、それだけではないですよ、リスクというのは。
だけれども、現状としては、小学校1年生になって、何か字が書けないわね、興味がないのかしらというぐあいにずっと置いていかれてくるケースが本当に多いです。特に英語が小学校で義務化されますから、義務教育になりますから、そうすると、確実にLDの子供たちが今まで以上に顕在化していることというのは推察されます。現状だと、本当にしんどくなって、本人もどうせ自分はできなくてもしようがないと思ってから、じゃ、通級に行きますかというような現状では、ちょっとこれは教育の機会平等を考えると、非常に不適切であろうなと考えています。
じゃ、どうするかと考えたときに、私は脳の発達特性、例えば音韻認識が苦手だとか、視覚認知が弱いとか、例えば粗大運動とか、協調運動がしんどいわといった段階で、専門的に訓練を受けられるように、やっぱり通級そのものの在り方を変えていく必要があるのではないかなと。それはちゃんと明記するということはすごく大事かなと思っております。そうすることが、結局企画特別部会でも、中学校の英語の件についてちょっと議論になったときに、小学校でこれだけ音声指導をやっているにもかかわらず、読み書きにつながらないという、ちょっと今データを持っていない、文科の方は持っていらっしゃると思いますけれども、そのデータが出ているんですよ。
それは、その人たち全員がLDと言うつもりもない、ディスレクシアと言うつもりもありませんけれども、やっぱり日本語という言語と英語という言語の音韻の違いというところを言語的に踏まえた指導というのは、全然我が国の英語教育はやってきていないわけですから、そうすると、ますますそういう子供たちは中学校で当然英語では落ちこぼれていく。それを、どうするのか。
じゃ、現状今の中学校でそういう子供たちをフォローしているか。そもそも日本語のフォローもしていないわけですから、ますますそこで差が開くだろうなということを考えています。だから、そこを踏み込んで、弾力的に使えると具体的に書いていく必要があるかなと思っています。
二つ目は、じゃ、そうするために何が必要かというと、これは先ほど大谷先生もおっしゃっていましたけれども、やっぱり一つはクラス経営、学級経営なんです。学級経営と学校経営をいかに多様性のある子供たちを踏まえた、言葉でUDをやりましょうと。UD、ユニバーサルデザイン授業を幾らやったって、課題のある子供たちがみんなができるようになるわけがないわけです。そんなのがあったら、そもそも特別支援教育は要らなくなるわけですから、そうではない。やっぱりそういったいろいろな子供たちがいることを踏まえた上でいかに学級経営をしていくかということも、実はしっかりと書いていかないとなかなか難しいのかなと思っています。
というのは、実は学級経営については、例えば小学校の学習指導要領ですと、総則の中の配慮事項に日頃から学級経営の充実を図りと、さらっと書いてあるだけなんですね。やっぱりそこにちゃんと踏み込んで、いろいろな発達特性のある子供たちがいることを前提とした学級経営をするとか、あるいは、そのためにはしっかりルール及びメタルールを作る、基本教育もやるというようなことを書き込んでいくことが、例えばその子たちが、ああ、通級に行くんだ、ええっとかって言われないような土台も作っていく。
 現状は、やっぱり場の平等には――これは前の中教審でも、特別支援教育の在り方を考える部会でも問題になったんですけれども、場の平等になっていて、実質的には指導の平等がなかなか実践されていないのではないかということを思っています。それを変えていくのが一つは学級経営。
もう一つは、先ほどから出ている実態把握なんです。その実態把握を現状取材していますと、隣に小枝先生がいらっしゃるから若干言いにくいんですけれども、医学モデルが物すごく教育に入り込んでいて、お医者様がこういうふうに言ったから、これはできません、みたいな。例えばこの間もある……。
 【宍戸主査】  品川委員、簡潔にお願いします。
 【品川委員】  すみません。だから、医学モデルではないということ。医学モデルではなくて、発達特性をちゃんと踏まえるような内容にしていただければいいなと思っています。
あともう一点が、合理的配慮のことです。合理的配慮を書き込むということはここに書いてあるんですが、現状で取材をしていると、合理的配慮がないから、何が何でもやらなければいけないという誤解が物すごく広がっているということを実感しています。前の中教審でも、合理的配慮を行う前提として教育に求めるものといってしっかり6項目を打ち出したにもかかわらず、例えばこの間も読み書きのディスレクシアの子供さんがいるから、必ずパソコンを使わせろと。そうではない。やっぱり目的に合って、何を配慮する、何を要は必要及び適当に変更、調整するのかということをもうちょっとしっかり書き込んでいかないと、何でもかんでも配慮して、結果的にその子が社会に出て自立したり、社会参加するための力がついていないケースが余りにも多いんです。そういったことを踏み込んで書き込んでいただければと思います。以上です、済みません、長くなりました。
 【宍戸主査】  ありがとうございます。今日は、検討事項(案)の丸2、丸3を中心に御意見を頂きました。12時を過ぎまして、時間となりましたので、今日はここまでにしたいと思います。
 限られた時間でしたので、まだ十分御意見などが出されていないと思いますが、もしお気づきの点等あれば、ペーパーで事務局にお送りいただければと思います。
それでは、本日の会議はここまでとしたいと思います。次回以降の日程につきまして、事務局よりお願いします。

○太田特別支援教育課課長補佐より次回の案内

 【宍戸主査】  それでは、本日の特別支援教育部会、第2回を終了させていただきます。次回は12月16日、第3回と第4回が一緒になりますが、どうぞよろしくお願いします。以上でおしまいにします。ありがとうございました。



― 了 ―


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(初等中等教育局特別支援教育課)