教育課程部会 総則・評価特別部会(第9回) 議事録

1.日時

平成28年6月21日(火曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 講堂
東京都千代田区霞が関3-2-

3.議題

  1. 論点整理を踏まえた総則の改善・充実及び今後の学習評価の在り方について
  2. その他

4.議事録

【天笠主査】    それでは、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会総則・評価特別部会を開催いたします。
  本日はお忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。
  なお、今、3人の委員の方がこちらの方においでになるという御連絡を頂いていますので、そういうことで始めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは最初に、事務局から配付資料について確認をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。
  議事次第記載のとおり、資料1から資料3、その他参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら事務局にお申し付けくださいませ。
  また、机上、幾つかファイルがございます。黄色の紙ファイルが、学校段階等別部会・教科等別ワーキング等の議論の進捗状況といたしまして、各ワーキング等の現時点のまとめ文案や参考資料をお配りしているところでございます。黄色のファイルをお開けいただきますと、一番頭に教育のイメージということがまとめて載せさせていただいております。幼児教育において整理された見方・考え方と、10の幼児期の終わりまでに育ってほしい姿、それから、次のページ以降が小学校段階の各教科で整理されました見方・考え方と三つの柱を踏まえた目標の構造、しばらくおめくりいただきますと、6ページ目からが中学校段階、それから11ページ目からが高等学校段階ということで、全て三つの柱、それから見方・考え方ということが整理されておりますので、これをまとめた総評を黄色の紙ファイルの頭に付けさせていただいております。
  また、机上にタブレット端末を置かせていただいております。関係する審議会の答申、関連資料等をデータで入れておりますので、詳細は議事次第の裏面にある目次をごらんいただければと思います。
  以上です。
【天笠主査】    それでは、本日の議事に入りたいと思います。本日の議題は二つあります。一つが学習指導要領・総則の改善等につきましてでございます。それから、もう一つが、総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会のまとめ(案)についてでございます。
  なお、本日は、報道関係者より、会場の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきいただければと思います。
  それでは、一つ目の議題、学習指導要領・総則の改善等について、関係する資料を事務局から説明いただき、その後、委員の皆さんで御議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。
  それでは、資料1、資料2-1、2-2、2-3に基づきまして、御説明を申し上げます。
  資料1につきましては、既に何度かごらんいただいたポンチ絵が幾つか付いてございますけれども、議論の全体像につきまして、本部会も含めまして、まとめに添付させていただくようなポンチ絵の束でございます。
  1枚目は改訂の方向性の全体像ということで、「何ができるようになるか」という部分に資質・能力の三つの柱、そして、「何を学ぶか」、「どのように学ぶか」、そして、全体を貫く社会に開かれた教育課程の実現ということとカリキュラム・マネジメントの実現ということを、今回の改訂の方向性を1枚で示させていただいたものでございます。
  2枚目は、論点整理の図を少し現在の議論を踏まえて修正をさせていただいているものですけれども、資質・能力の三つの柱は、生きる力、知・徳・体を総合的に捉えて構造化した三つの柱であるということでございます。
  それから、3ページ目は高等学校になりますけれども、現在検討されております教科・科目構成でございます。現行と変更があるものを中心に記載をさせていただいているところでございます。国語、外国語につきましては、ごらんのような教科・科目構成の変更ということ、数学、理科につきましては、数学の方で数学Cというのがございますけれども、理数探究というものが新たに設置されるということ、地歴、公民に関する科目構成の変更、家庭科については、生活デザインを廃止して、2科目、2単位と4単位ということ、情報に関しましては、共通必履修科目、情報1と2、これは選択科目ということでございます。また、総合的な学習の時間につきましては、数理探究の設置なども受けて、総合的な探究の時間という形で、高等学校では名称変更ということで検討をされているところでございます。
  また、4ページ目、これも何度かごらんいただいておりますけれども、主体的・対話的で深い学びの三つの柱につきまして、現在の検討状況を整理させていただいたものでございます。
  また、そうした学びと資質・能力の育成の関係性を少し示させていただいたものが、5ページ目ということでございます。5ページ下に米印でございますように、子供たちの学習課題に応じた主体的・対話的で深い学びがあるべきだろうということで、基礎的・基本的な知識・技能の習得に課題が見られる場合においても、深い学びの視点や主体的な学びの視点から子供たちの学びということを実現していく。高度な課題解決だけがアクティブ・ラーニングではないというようなことでございます。
  それから、6ページ目が、カリキュラム・マネジメントのイメージ、これが総則の構造と合致するということでございますけれども、カリマネのイメージと総則の構造の関係性でございます。
  また、7ページ目は、各教科等の関係性ということで、各教科等とそれぞれの意義を踏まえた関係性、教科等横断的な視点で教育課程を編成していく、あるいは地域・家庭と共有していくということの重要性を示したものでございます。
  それから、8ページ目は、今回の一つの大きな考え方となりますキャリア教育の重視ということ、基礎的・汎用的能力、人間関係形成・社会形成能力、自己理解・自己管理能力、課題対応能力、キャリアプランニング能力ということで、既に中教審の答申で整理いただいていたものを、今回の三つの柱に沿って整理をし直したものでございます。
  そして、それを各教科等の意義、役割等も踏まえながらどのように育んでいくかというのが9ページ目でございます。各教科における学びを自己のキャリア形成の方向性と関連付けるということ、また、総合的な学習の時間の意義、特別活動、今回、キャリアパスポート、キャリアノートというものも御議論いただいておりますけれども、そうしたものを軸にしながら、キャリア教育ということの充実を図っていくことの全体像のイメージでございます。
  さらに、10ページ目は、高等学校のイメージでございまして、特別な教科道徳というものがない代わりに「公共」というものが、各教科・科目の方に入ってございますけれども、「公共」における学びということも軸にしながら、キャリア教育の充実を図っていくというようなイメージでございます。
  それでは、続きまして、本日、前半の議論で主に御議論いただく総則の改善のイメージでございます。資料2-1、2-2、2-3でございます。それぞれ小学校、中学校、高等学校でございます。
  基本的には、何度か御議論いただいておりますとおり、先ほど資料1の6ページにございましたような、カリキュラム・マネジメントの重要な柱というものと総則の構造を合致させていくということで整理をさせていただいているところでございます。
  おめくりいただきまして、2ページ目でございます。前文の後、総則の第1、小学校教育の基本というところでございます。ここにつきましては、現在置かれております「生きる力」の理念に基づく知・徳・体の総合的な育成などなど、基本的な事項は維持した上で、その後に、小学校教育を通じて育成すべき資質・能力を三つの柱で整理し、その後、関係教科の関係性、学校種との関係性、主体的・対話的で深い学びとの関係性ということを3として整理をしていくという方向性でございます。
  また、4として、カリキュラム・マネジメントの実現ということ。各学校においてそれぞれの柱に沿った、「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「何が身に付いたか」「児童の発達をどのように支援するか」「実施するために何が必要か」という視点に基づいて、教育課程を軸に学校教育を改善・充実していくことの必要性などをここに位置付けさせていただくということ、また、教科等横断的な視点、地域との連携の中で必要な資源を組み合わせていくこと、必要なデータを踏まえて、教育課程を評価し改善していくことの必要性などもここに位置付けさせていただいてはどうかということでございます。
  また、第2は、「何ができるようになるか」という資質・能力を踏まえた具体的な教育課程の編成についてでございます。各学校が学校教育目標に基づいた資質・能力ということを踏まえながら、教育課程の編成を行っていくということ、また、それに当たって共通事項となる日数や時数の適切な設定等々、留意事項をここにまとめさせていただければということでございます。
  また、学校段階間の接続、小学校におきましては、スタート・カリキュラムと小・中の接続ということ、また、横断的に育成すべき資質・能力、情報活用能力でありますとか、様々な資質・能力と教科との関係性についてここで言及させていただくということ。
  また、調和の取れた全体の指導計画ということで、各教科、学年間の相互の連携でありますとか、学年を見通した指導などについてここに整理させていただければということでございます。
  また、続きまして3ページ目、第3でございます。柱としては、「どのように学ぶか」「何が身に付いたか」に該当する部分でございますけれども、教育課程の実施ということ。指導内容の具体化ということで、単元というお話も頂いておりますけれども、各教科等の内容のまとまりごとに育成すべき資質・能力をイメージして、主体的・対話的で深い学びを実現していくということ。また、特に重要となる学習活動として、例えば、言語活動、体験活動、問題解決的な学習、見通しや振り返りなどをまさに主体的・対話的で深い学びの実現の在り方として、ここに整理させていただければということ。
  また、教育課程の実施上の留意事項ということで、発展的な内容でありますとか、ICT活用などについて整理させていただければということ。
  また、2として、学習評価の充実ということ。目標に応じた評価ということ、観点別の評価の重要性、指導の改善、学習意欲の向上などでございます。
  また、第4、児童の発達を踏まえた指導ということでございまして、児童の発達の支援ということ。学級経営の充実ということ、また、児童理解を深め、生徒指導を充実していくこと、それから、キャリア教育の充実ということ、また、その中で進路指導ということを行っていく中・高の部分にはこういう部分も入ってまいります。それから、児童の実態に応じ、個別指導やグループ別指導等々を充実させることということでございます。
  2番は、特別な配慮を必要とする児童への指導ということで特別支援教育の観点、それから、海外から帰国した児童等の生活への適応や日本語指導ということでございます。
  また、第5は、「実施するために何が必要か」ということで、指導体制の充実、家庭・地域との連携・協働について。
  第6に、教科全体として取り組んでいく道徳教育推進上の配慮事項、現行のものをここに整理させていただければということでございます。
  また、各教科の見方・考え方は、一覧として一番最後に別表としてはどうかということでございます。
  基本的には、中学校、資料2-2をおめくりいただきますと、2ページ目、3ページ目でございますけれども、同じような整理に基づいて構成を整理させていただいているところでございます。
  高等学校につきましても、資料2-3をおめくりいただきますと、2ページ目、3ページ目ということでございまして、同じような構造、一部2ページ目の第2款の2というところは、単位数の部分、高等学校は中心的に各部分がございますけれども、基本的には同様の考え方で整理をさせていただいているところでございます。
  本日はこの資料2-1、2-2、2-3に基づきまして、総則の構造について既に頂いた御意見を反映させて、修正をさせていただいたこのバージョンを基に御議論をいただければと思います。
  以上です。
【天笠主査】    それでは、ただいまの説明を踏まえまして、御意見のある方はいつものように名札を立てていただきまして、お願いしたいと思います。いつものように私の方から御指名させていただきますので、よろしくお願いいたします。なお、発言が終わりましたら、名札を元へ戻していただければということで、どこからでも結構ですので、ただいまの説明につきまして、御意見等々をよろしくお願いいたします。
  それでは、私の方から一つ、現在の学習指導要領・総則のそれと、きょう御説明いただいたそれとの少し移動の関係というのでしょうか、新たに書き加えたり移動させたりという、その点なのですけれども、第1の教育課程の一般方針ということなのですけれども、現在の場合ですと、第1が極めて基本的なまさに方針が出されていて、その次に学習指導要領改訂の基本的な理念に関わるキーワードですとか事項が盛られているという段取りで書かれているわけですけれども、それが今度の改訂を見据えたときに、そこら辺のところが第1、第2、第3というふうな形で順次説明、書き加えていくというか、というふうなところがあるかと思うのですけれども、新しくこういう形で書き改めていく、新たにこういう形で組み立てていく、そこら辺のところの現在との比較をしての狙いというのでしょうか、意図というのはどのあたりのところを注目すればいいのか、あるいはどのあたりのところを受け止めたらよろしいのかどうなのかというあたりのところについてはいかがでありましょうか。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。全体的な構造といたしましては、まさに各学校が総則を手に取ったときに、自分たちの学校で学校教育目標を立て、全体計画を立て、その中で各教科の指導内容の具体化を図り、それに基づいて全体的な見直しを行っていくという、こういう各学校の教育課程にまつわる様々なサイクルということがイメージしやすいように、そういった形で構造を見直させていただいているところでございます。そういう意味では、先ほど資料1の6ページでごらんいただいたカリキュラム・マネジメントのそれぞれの重要な柱というものが、総則の構造そのものになっていくということでございます。
  一方で、第1のところにございますような、知・徳・体の重要性、あるいは教育基本法との関わりということはしっかりと総則の第1、小学校教育の基本というところに位置付けながら、まさに各学校がその具体化ということを教育課程を通じて図り、また、その改善の好循環を生み出していきやすいような総則ということを目指して、このような構造というような意図でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。今の御説明の中ですと、章構成自体が一つのカリキュラム・マネジメントという考え方を組み立てていくというか、表現していくというか、表していくというふうな、そんな御説明があったかと思いますけれども、一つの大切な視点かなというふうに聞かせていただきましたけれども。
  渡瀬委員、お願いいたします。
【渡瀬委員】    お願いいたします。前回もこれを意見として述べさせていただいたと思います。ちょっとしつこいかなとも思いますけれども、例えば、小学校でいいますと、第1の3の中に、初等中等教育を通じて育成すべき資質・能力との関係ということが出てまいります。初等中等教育を通じて育成すべき資質・能力についてはもっと前のところで、一番頭で述べられるといいのではないかと思います。これが中に、それぞれ小学校も中学校も埋没してしまっているような気がするものですから、これが何とかもう少し頭に出てこないかなというのが一つ目。
  それから、小学校のところは第2の2の中にクラブ活動ということがありますけれども、中学校のところに、今見た範囲の中では、クラブ活動という文言が見当たりません。やはり中学校のクラブ活動が今後どうなっていくかということはとても大きな問題だと思いますので、そのことについても項目として上がっている方がよいのではないかと思いました。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  では、根津委員、お願いいたします。
【根津委員】    非常に形式的なところで恐縮なのですけれども、これ、不勉強で私、よく分からないんですが、高等学校だけどうして第1款、第2款という「款」(かん)が残っているといいますか、ずっとこれを維持しているわけですけれども。小学校、中学校にはそういうものがなくて、第1、第2、第3という形になっている。今回の改訂でも、高等学校の款、これは維持されるのかなというのは、そのあたり、どういうふうにこの間御議論があったのかちょっとよく分からないんですけれども、なぜ高等学校だけ款を維持しているのかなというのが、素朴に疑問に思ったところです。
  以上です。
【天笠主査】    どうぞ、室長、お願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    ご指摘の点につきましては、事務局内でも少し議論しておりまして、できれば並びを取りたいと考えているところなんですが、実は高校の方は教科の下に科目の構成があることによって款という章立てが生まれているというようなことがございますので、少し全体的な法令形式の整理はさせていただいて、なるべくそろえる方向で検討したいと思います。
  また、渡瀬先生から御指摘いただいたクラブ活動なんですけれども、小学校は特別活動の中のクラブ活動で教育課程内の部分として入っているものと、あと、中・高の部活動が教育課程との関連を図りながらという中で、少し場所がどうしても異なってしまっているところでございます。資料2-2で申しますと、3ページの学習活動の充実のための学校運営上の留意事項ということで、第5のところで部活動の意義や留意点はしっかりと位置付けたいと思いますけれども、教育課程内か外かということで、少し置く場所が異なってしまうということでございます。
  以上です。
【天笠主査】    無藤委員。
【無藤教育課程企画部長】    これもちょっとした小さい質問なんですけれども、カリキュラム・マネジメントという片仮名の用語はこのまま総則に使われるということでしょうか。使われる場合、例えば、カリキュラムと教育課程とか指導計画とか、用語の関係といいますか、定義といいますか、それはどうなるのかが知りたいんですが。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。これも最終的にはいろいろな審査を受けながらにはなりますけれども、現在、きのうも指導主事会等ございましたけれども、学校の先生方にいろいろお伝えしている中では、カリキュラム・マネジメントということの理解が図られてきている中で、これは「カリキュラム・マネジメント」と片仮名で置いても、しっかりと説明も付与するような形であれば、誤解なく受け止められるのではないかと考えているところでして、カリキュラム・マネジメントという言葉はできればそのままで置かせていただきたいということで、原案、このような形にさせていただいているところでございます。
【天笠主査】    奈須委員、お願いいたします。
【奈須委員】    前回、単元とか題材ということを申し上げたんですけれど、それを第3の1のところに入れていただき、大変有り難いなと思うんですけれど、この記述ですと、「第2章以下に示す各教科等の内容のまとまり」、これは指導要領に示されている個々の内容、つまり、教育課程の基準としての内容だと思うんですけれど、そのまとまりが単元や題材や主題ではまずないと思うんですね。その内容というのは国が示した基準で、それを受けて各学校が具体的な単元を作るときには、内容ごとに単元を作るとは限らない。むしろ教科横断的にとかということを考えると、複数の内容をつないで主題を作ったり、単元を作ったりするということなので、ここの内容のまとまりが単元であり主題であってはまずいけない。むしろ内容を足場にして、各学校が単元や題材や主題を自由闊達に豊かに創造するということが多分大事なんだろうなとまず思うんですね。
  もう一つ、済みません、一つ戻ったところで、教育課程の編成というのは、結局何ができることだと考えるかということだと思うんですけれども、2章以下で各、示していく内容は教育課程の基準ですよね。それに基づいて、各学校でこういう内容を教えよう。内容を教える際に、それは具体的に教材や活動を通して教えるので、どんな教材やどんな活動を単元なり題材なり主題にして、一つの何時間のまとまり、教科書でいえば、一つの第1巻というふうなまとまりにして教えようと。そのことが学校の教育課程と言われる年間指導計画、全体の指導計画と書かれているところですけれど、それは第2の教育課程の編成の最後、「調和の取れた全体の指導計画」、この全体の指導計画というのは、各学校でいわゆる年計、年間指導計画をイメージすればいいんだと思うんですけれど、そこには指導要領の内容ではなくて、「ごんぎつね」であるとか、分数であるとかというまさに単元や題材や主題が入るんだと思うんですね。それが何時間ぐらいの扱いで、年間で総時数が見合うようにするとか、それを6月にやるんだか、11月にやる、それは指導要領では示さないので、それはまさに各学校が学校の実情や子供の実態に合わせて編成する。それがまさに教育課程の編成作業なのかなと。
  難しいんですけれど、つまり、教育課程の基準を基に授業を作っていくという教育方法の部分が、一つの見方をすれば、年間指導計画の桁という意味で、教育課程のまさに編成になるし、それを実施するということにもなってきます。単元指導案を書いて、それから1時間1時間やられていくということは実は実施になってくるので、この桁をどっちに書くかというのは、実は結構難しいというか、悩ましいと思うんですね。
  現状でいうと、2の5と3の1のところにちょっと重複しているというか、書かれているのですね。これ、僕はどちらでもいいと思っていまして、現実の今回の総則は、できるだけ各学校が自由闊達に着実に教育課程を編成することのガイドになるようにするということがいいと思います。それがまさにカリキュラム・マネジメントを示唆するような今回の構造になっていると思うんですけれど、そうなったときに、教育課程の基準としての指導要領を足場に、第2の教育課程の編成でいくと、まず1をきちんと考えて、2の共通事項を押さえて、3なども配慮しながら、4も配慮しながら、5を作っていくということだと思うんですね。
  そうなってくると、ここの5のところに、ある意味では第2章以下に示す各教科等の内容について育成すべき資質・能力をイメージし、主体的・対話的で深い学びを通じて計画的に育成するということのために、児童にとって意味のあるまとまり、それが単元や題材や主題ですけれど、それを豊かに作り上げていくというような話なのかもしれません、ひょっとしたら。そこですね。だから、さっきの今の第3の1の文章を私なりに今、これでいいかどうか分からないが、直させていただくと、「第2章以下に示す各教科等の内容について育成すべき資質・能力をイメージし、主体的・対話的で深い学びを通じて計画的に育成すべく児童にとって意味のあるまとまり(単元・題材・主題など)を豊かに創造していくことの重要性」とかということかなと思うんですけれど、そうなると、それはひょっとしたら、調和の取れた全体の指導計画の一つの中核部分に来るのか、でも、それはかなり教育方法に近いので、僕は3の1でもいいのかもしれませんけれど、この辺はどうなのかなと。むしろカリキュラム・マネジメントというか、カリキュラムを生み出し、それを動かしていくということを考えたときに、そういう単元や題材を作り、それを全体の指導計画、いわゆる年計にしていくという作業といいますか、それはどこに見積もるのか。そこまではこの桁でもいいかもしれませんし、ただ、それをまた毎時間動かしていくという話が第3の課程の実施なのか、つまり、課程の編成と課程の実施というのをどのあたりで一つ。連続するんですけどね。連続したり、あるいは行ったり戻ったりするんですね。単元を作るというのも、4月に全部できるわけではなくて、実は4月以降も子供を見ながら生み出したり、それを修正したりするので、難しいと思うんですけれど、それが教育課程の現場的な編成の部分なのか、むしろ教育の方法、つまり、実施の部分なのか。ただ、ちょうどその結節点に、まさに指導要領を足場にし、アクティブ・ラーニングを考えながら資質・能力を育てようとすべくという今回のことを押さえ、そして、それを意味のあるまとまりとしての単元・題材・主題を教師が自律的・創造的に編み出していく、創造していくということが多分あるので、それを足場に毎時間毎時間また授業をし、それを見直し、カリマネをし、よりよい方に持っていくということだと思うので、その桁をどちらに書くか。いずれにしても、かなり今回はしっかり書いてほしいなということは前から申し上げていますけれど、どちらに書くかというのは、割と悩ましいかなと思います。
  済みません、以上です。
【天笠主査】    それで、そういう点では、今、奈須委員が言われたことは、単元を作るというのは、ある意味で言うと、作成過程そのものが授業の過程でもある。片や教育課程を編成するという過程でもある。その二重構造、三重、重なり合いながら行くというふうなことで、ですから、そういう点では、ある意味で言うと、2章の最後のところと3章の初めのところが重なり合うというか、つながり合うというふうな姿に表していくんじゃないかというふうな……。
【奈須委員】    難しいんですけれど、だと思います。だから、結局、今回やりたいことは、カリキュラムというのはどこかにあって、それを教師というのは粛々と訳も分からず上から下に向かって実施するんだというふうな観念をぶっ飛ばしたいわけですよね。そうじゃなくて、一人一人の先生も指導要領を見、資質・能力ということを考え、と同時に、目の前の子供とか教材ということも見つつ、そこの間をつないで創造的に授業を生み出していくと。日々の授業を作るということと、天笠先生、前からおっしゃっていますけれども、学校全体のカリキュラムを動かすということがつながっているんだという感覚がとても大事で、多分、その結節点に単元というぐらいの桁が来て、単元は4月に生み出しているといえば生み出しているし、また、4月以降、子供を見ながら開発するといえば開発するし、この両方の側面があるので、これを教育課程の編成の方なのか、教育方法の方に入れたらいいのか、あるいは何か工夫のしようがあるのか。でも、割と今回、このことが鍵のような気は、私はしていますということです。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  ほかの委員の方、いかがでありましょうか。
  髙木委員、お願いいたします。
【髙木委員】    今までの議論と少し違いますが、資料2-1の3ページ目の、2の学習評価の充実のところの3ポツ目です。ここには、「評価による指導の改善」の後、「学習意欲の向上」ということがありますが、意欲ということがやはりちょっと気になりまして、これまでの関心・意欲・態度と引きずりかねない。さらに、今回、資料1のところで2ページ目に、学びに向かう態度・人間性等が、ここが書き換えになってきておりますので、ここから見ますと、やはり意欲ということよりも、ここでは3観点の中の主体的に学習に取り組む態度、若しくは大きく捉えるならば、学びに向かう力・人間性等という、少し抽象的ではありますが、そういった言葉への統一が必要かというふうに思いました。
  以上です。
【天笠主査】    鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】    今、髙木委員がおっしゃったことはそのとおりだと私も同じように思っております。
  それから、もう一つ、小学校の方で、総則第1、小学校教育の基本、その第3番目で、小学校教育を通じて育成すべき資質・能力、その下に、例えば、小学校教育を通じて育成すべき資質・能力と初等中等教育を通じて育成すべき資質・能力との関係、その下の各教科間で育成する資質・能力との関係、要するに、これをどういうふうに関係性を具体的に出すかということが一番の問題で、これを書くということは結構なんですけれども、中身の検討はやるんでしょうか。それとも、もう事務局に任せるということになるんでしょうか。
【天笠主査】    いかがでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。少し事務局で内々に今、たたき台を作りつつあるところでして、企画特別部会、それから、本部会も7月7日、最終回になりますけれども、その場などで是非もんでいただきたいなということで準備を進めているところでございます。
【天笠主査】    鈴木委員、いかがでしょうか。
【鈴木委員】    結構です。
【天笠主査】    青木委員、お願いします。
【青木委員】    済みません、しばらくこちら、御無沙汰していたので分かっていない部分があるかもしれないんですけれども、中学校と小学校総則の第2の教育課程の編成の3のところ、学校段階の接続のところで、小学校と中学校の接続と義務教育学校となっておりまして、「義務教育学校では学年段階の区切りに応じた資質・能力の設定」と、特別に括弧して書いてあるんですが、ここのところが私自身、よく理解できないんですけれども。
【天笠主査】    分かりますか。今の第2、教育課程の編成について。
【大杉教育課程企画室長】    済みません、ちょっと表現ぶりが不十分かと思いますけれども、義務教育学校では、小・中を見通した教育課程を編成していくという中で、それぞれの学年段階の区切り、5・4ですとか、そういうこともイメージしながら設定ができるということ、各学校の柔軟な判断に基づく教育課程の編成、その中での資質・能力の在り方ということを、義務教育学校の教育課程の在り方とともに少し整理をするということを申し上げたかった。すなわち、現行の義務教育学校の制度に基づくことを着実に反映させるということで、何か新しいことをここで決めていくということではないということでございます。
【天笠主査】    青木委員。
【青木委員】    済みません、できましたら、義務教育学校という新しい校種ができて、ここのところでのやはり資質・能力の設定となるならば、独立した形で表記するなりにしていただきたいという思いがありますけれども。
【天笠主査】    それでは、野津委員、お願いいたします。
【野津委員】    二つ意見がございます。一つは、深い学び、対話的な学び、主体的な学びのところの表現なんですが、それぞれの説明を読むと、それぞれが内容をきちっと書き込んであるわけですけれども、今の「主体的・対話的で深い学び」という表現が深い学びのための方法としての主体的な学び・対話的学びというような解釈が、ぱっと見て、そういう誤解を招きそうな表現になっているのではないかなと。そこのところを避けるように、もう少し表現を工夫する。あるいは説明のところで、更にそのあたりの関係性について誤解のないような加筆ができればもっといいというのが一つ目の意見です。
  それから、二つ目は、横断的に育成すべき資質・能力についてです。例えば、安全とか食育というものなどについて、総則で、教科横断的に教えるということになっているんですが、その内容については各教科等において示すということで、いいんですが、同時に、安全とか食育とかということに焦点を当てた、あるいは特化した包括的な評価や見立てを持つ視点も必要があるというような文章がどこかに示せないかという意見でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、今、名札が立っている委員の方に順次お願いしたいと思うんですけれども、この件については、現在、名札が立っている方ということで閉めさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
  そうしましたら、次に根津委員、それから竹原委員、それから無藤委員、そして、奈須委員、この順でお願いします。以上ということにさせていただきたいと思います。
  根津委員、お願いいたします。
【根津委員】    失礼します。これは総則の中に書いた方がいいのかどうかというのは議論の余地があると思うんですけれども、教育課程に関する情報というものを各学校でもう少し公開をしてもいいのではないかということです。今度の指導要領がどういうふうに変わってというところはもちろん文部科学省の方でもいろいろと出てくるんだと思うんですけれども。各学校ではどういうふうにそれを編成して、というところで、開示できる情報とできない情報があるかもしれませんけれども、積極的にその情報公開をしていくというような趣旨のところを。場合によっては、それは総則の第1の4ですか、今、小学校の方を見ているんですけれども。カリキュラム・マネジメントの中に入ってくるのか、あるいは第2の教育課程の編成のところで情報公開について触れるのか。あるいは第5の2のあたりですか、家庭や地域との連携というところで、対外的にどういうふうにそれを説明するのかというところにも関わってくるかと思うんですけれども。御一考いただければと思います。
  以上です。
【天笠主査】    続きまして、竹原委員、お願いいたします。
【竹原委員】    第5の家庭・地域との連携・協働で、「協働」という言葉を入れていただきまして、ほっとしました。黒ポツの一つ目で、家庭・地域との連携・協働というだけでなく、連携・協働による学習活動の充実と書いていただいたらと思います。
  それから、三つ目の高齢者などとの交流の機会というところが分からないので、これはどういうものなのか説明していただきたいと思います。
【天笠主査】    よろしいですか。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。現行の総則においても、家庭や地域との連携を深めること、また、学校間の連携・交流を図るとともに、障害のある幼児・児童・生徒との交流・協働学習や、高齢者などとの交流の機会を設けることということでございまして、様々な世代との交流の機会ということの重要性が書かれているところでございまして、これを受け継ぐというような趣旨で書かせていただいているところでございます。
【天笠主査】    よろしいでしょうか、竹原委員。
【竹原委員】    はい。
【天笠主査】    もしまた何かありましたら、後でお言葉ください。
  無藤委員、お願いいたします。
【無藤教育課程企画部長】    小学校の総則の第2の3、学校段階の接続のあたりなんですけれども、大分以前にも申し上げましたけれども、小学校6年間を低・中・高である程度めり張りをつけた指導が必要だと思うわけです。その際、低学年のところですけれど、幼小の円滑な接続のためのスタート・カリキュラムというのを出していただくのは非常によいことだと思いますが、括弧の中で、「生活科を中心に合科的・関連的指導を工夫する」というあたりは主にスタート・カリキュラムで1年生の初めだと思うんですけれど、低学年全体でいうと、生活科を中心に云々というよりは、低学年全体に全ての教科等において幼児教育とのつながりを図るとか、低学年の子供の発達的な特徴に配慮するとか、あるいは小学校教育の基礎をしっかり育てるとか、そういう特徴を書き込むのはいかがかと思います。
  そして、同時に、小学校と中学校の接続云々というところでありますけれども、もちろん義務教育学校に触れることは必要だと思うんですけれど、やはりここでも中学校との関連の中で、小学校高学年の指導の在り方について配慮するとか、発達的特徴に配慮するとかなどの記載があるとよいかと思いました。
  以上です。
【天笠主査】    奈須委員、お願いいたします。
【奈須委員】    今回、教科を越えて横断的にという話がカリマネのところ、第1の4のところ、それから第2の4のところとかで出ているわけですけれども、こういったアプローチとして以前からあるのは、合科的・関連的な指導というのがあって、第2の5の一番下のところにございます。小学校では全面的に認められて、これがスタート・カリキュラム等で足場になってきたわけですけれども、逆に言うと、小学校では合科的・関連的な指導というのがあって、中学校時にはそれがないということは、横断的に育成すべきとか、教科を越えたとあったとしても、現実的にはそれは合科的・関連的な指導という現行の条項に満たない水準でしか認められないのかという見方もできるんだけれども、この辺をどうしようかなということだと思います。
  つまり、合科的・関連的指導ということが、かなりこれまでの役割を終えて、もっと横断的に育成すべき、あるいは教科を越えたということがもっと自在に創造的にできるような条項に置き換わって、より包括的なものに置き換わっていくのか。だったら小学校も合科的・関連的指導は要らないということになりますし、むしろ合科的・関連的な指導というのは、何となく書かれている横断的に育成すべき、つまり、これがもっと具体的にどういう道具立てというか、足場を持つのかということが、今回実は大事だと思うんですけれど、ただ横断的にやれといったって、そうはいってもこういう条項は特別にないのだから、やっぱり教科ごとに授業は作らなくてはいけないしという話になってしまえばまずいわけで、合科的・関連的指導の場合には、時数処理も含めて解説書には明示してあって、どんなふうに実際に単元を作って時数処理をし、評価をするかも全部手続的に明らかになっていますから、それに代わるようなより包括的な枠組みを作るのか、中学校以降はそこまでもいかないのかということがちょっとはっきりしない気がして、私としては合科的・関連的指導ぐらいの水準は、もう中学校や高校でもできるようにしていただきたいなという気がしますし、ただ横断的とか、教科を越えたということを出すだけではスローガンに終わってしまう可能性があるので、具体的な教育課程の編成、実施、評価の手続に関わるレベルで、やっぱり何か出して、道具として与えていただきたいなという気はいたします。この辺を現行の合科的・関連的な指導という文言というか概念との関係でどうするかということは、ちょっとお考えいただければなと思います。
【天笠主査】    それでは、一つ目の議題はここまでとしておきたいと思うんですけれども、なお、私から1点、総則の姿というか、スタイルというのを今、こういう形で我々もんでいるわけですけれども、総則がこういう姿になっていくとするならば、これに向き合う各教科というのがどういうふうにつながっていくのか、接続していくのか、また機会がありましたら、教科の姿も、総則との対比的な関係の中で、一度その姿というのを確かめさせていただく機会がもしあれば、御検討いただければというふうに思います。
  それでは、二つ目の議題、総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会のまとめ(案)について、関係する資料を事務局から説明いただき、その後、皆さんの間で御議論いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。
  資料3に基づきまして、御説明させていただきます。これまでの議論の必要な事項を少しまとめさせていただいておりますけれども、まだまだ表現ぶりなり、要素なりが不十分なところがございます。少しそういう目でごらんいただきながら、必要な点を本日御指摘いただき、次回最終回の御議論につなげさせていただければと思っております。また、総則・評価部会と同時並行で、小学校部会、中学校部会、高校部会がございますので、あさっての小学校部会以降、同じ資料を諮らせていただいて、特に後半部分の充実ということをさせていただければというふうに思います。
  それでは、資料3、まず1ページ目でございますけれども、全体の構造でございますけれども、先ほどごらんいただいた総則の構造ということを基本的には念頭に章立てをさせていただいております。
  また、内容でございますけれども、お手元の冊子の上の方に緑色の論点整理がございますけれども、論点整理のその後の議論で付け加わった部分、あるいは論点整理の中身を更に整理し直した部分などを中心的に書かせていただいております。したがいまして、例えば、学校というものの意義でありますとか、社会に開かれた教育課程でありますとか、前回改訂の成果でありますとか、学習指導要領が目指す大きな方向性などの論点整理で既に整理済みのところは余り重ならないようにさせていただいております。最終的に審議まとめにする際には、論点整理の内容と整合させながら、企画特別部会で審議まとめの文案を御議論いただくことになりますけれども、本部会並びに学校段階別部会といたしましては、論点整理に付け加える部分、それから、論点整理を上書きする部分などを中心にまとめさせていただいたものであることを申し述べさせていただきます。
  まず、1でございますけれども、社会に開かれた教育課程の実現と総則を軸とした総体的構造の可視化ということでございます。論点整理で既に様々な変化が加速度的となっていること、身近な生活にもそうした変化が及んできているということは御整理いただいておりますけれども、その後の状況として、特に人工知能の発展ということが目覚ましいということが、近年、とみに言われているところでございます。そうした中での職業の在り方、子供たちが生きていく社会の在り方ということ、そうしたことがとみに8月以降、議論がかなりされているところでございます。
  こうしたことも踏まえながら、丸の四つ目でございますけれども、社会が目指す人間像ということと、学校が長年目指してきた資質・能力の育成、子供たちに必要な力の育成ということがしっかりと社会に開かれた教育課程という中で共有できるような好機にあるのではないかということ。
  丸の五つ目でございますけれども、教育課程がどのような力の育成を目指しているのかを可視化し、それを共有しながら実現していくということ、社会に開かれた教育課程の重要性ということを再度捉え直して書かせていただいているところでございます。
  そして、一番下の丸でございますけれども、現在、各教科ワーキング、先ほどのファイルでもごらんいただきましたけれども、全ての教科等において育成を目指す資質・能力の明確化、教育目標や指導内容の構造の整理ということを実施していただいているところでございます。学校段階間のつながりや初等中等教育全体を通じた在り方ということも明確にしていくという検討がなされておりまして、まさにこの教科を学ぶことで何が身に付くのかという意義が明らかにされているところでございます。
  2ページ目上にございますように、一方で、資質・能力ということ自体は、特定の教科だけではなくて、教科等のつながりの中で育まれるということが重要であるということ、教科等を越えた視点で教育課程を見渡して、効果やより効果的な発揮の場面ということを検討・改善していくことが重要になるということでございます。
  学習指導要領においては、総則を要としながら、こうした視点を実現していくということ、教育課程の総体的構造を新しい総則の在り方や教科等を学ぶ意義の明確化等を通じて可視化し、学校における教育課程を軸とした改善・充実の好循環につなげていくことが求められるというのが大きな考え方かと思います。
  そして、カリキュラム・マネジメントの実現ということでございますけれども、各学校で子供たちが「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」を組み立て、地域・家庭と連携・協働しながら実施し、不断の見直しを図ることが求められるということでございます。そのために、各学校が学習指導要領を手掛かりに、こうしたカリキュラム・マネジメントを実現できるようにすることを目指すところでございます。
  二つ目の丸でございますけれども、先ほどの総則の柱でございます。「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「何が身に付いたか」「子供の発達をどのように支援するか」「実施するために何が必要か」、これを踏まえた総則の章立てとしていくということでございます。
  また、そうしたことに基づくカリキュラム・マネジメント、三つ目の丸でございますけれども、全ての教職員が参加していく、全ての教科が役割を果たしていくということ、また、家庭・地域とも目標を共有していくということの重要性でございます。
  また、特に高等学校におきましては、教科・科目選択の幅の広さということを生かしながら、学校として育成すべき資質・能力ということを明確化して編成していくということ、また、学校設定教科・科目の柔軟な活用なども求められるということでございます。
  続きまして、3ページ目、「何ができるようになるか」というところでございますけれども、生きて働く「知識・技能」の習得、未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成、学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養ということでございます。
  ここで、これまでの議論で整理させていただいております知識とはということを改めて書かせていただいております。個別の事実的な知識のみを指すものではなく、それがしっかりと自分の中で構造化され、様々な場面で活用できるものとして習得される、いわゆる概念的な知識を含むというものであるということ、また、技能につきましても、一定の手順に沿った技能のみならず、変化する状況に応じて活用できる技能の習熟・熟達に向かうことが重要であるという、既に御整理いただいた内容でございます。
  また、知識というものが、思考・判断・表現を通じて獲得されたり、その過程で活用されたりするものであるということ、また、どのように社会や世界と関わるかということの見通しの基盤となるものであり、このように資質・能力の三つの柱は相互に関係し合いながら育成されるということ、コンテンツとコンピテンシーが相互に関係し合うというようなことも整理させていただいております。
  また、こうした資質・能力を基に構造化された指導要領を手掛かりに、各学校が育成を目指す資質・能力の明確化を図っていくということが重要であるということでございます。
  また、次の丸でございますけれども、例えば、情報活用能力や健康・安全に関わる資質・能力、グローバル化への対応などなど、現代的な課題に対応して、教科等横断的に育まれる資質・能力については、そうした資質・能力と教科との関係性について整理し、共有していくことが必要であるということでございます。既に健康・安全に関する資質能力、情報活用能力については御整理をごらんいただいておりますけれども、同様にこれらの点について整理し、しっかりと共有できるようにしていくことが重要であるということでございます。
  また、こうした現代的な課題への対応の一方で、言語能力、読解力の重要性もあるということでございます。特に冒頭触れましたような情報化の中で、例えば、スマホの普及などで――次のページに掛かりますけれども――情報化が進展する中で、読解力ということの重要性とは裏腹に、視覚的な情報と言葉の結び付きが希薄になり、知覚した情報の意味を吟味して読み解いたりすることが、子供の生活上、少なくなっているのではないかというような指摘もございます。子供たちが教科書の文章を読み解けていないのではないかという国立情報学研究所の研究の問題提起ということもございます。こうしたことを踏まえて、現代的な課題にしっかりと対応するということの一方で、長年重視されている学習の基盤、読解力、言語能力の育成を重視することも重要であるということでございます。
  4ページ目4ポツでございますけれども、「何を学ぶか」、この部分は少し記述がまだ薄うございますので、今後充実を図る必要がございますけれども、各学校においては、学習指導要領を手掛かりとしながら、教科を学ぶ意義と教科横断的な視点を踏まえて教育課程を編成することが求められるということ。
  こうした教育課程の編成に資するため、学習指導要領における教科等における指導内容については、知識を系統的に示すのみならず、資質・能力の三つの柱や学習過程の在り方を踏まえた指導内容の構造化ということを行っているところでございます。
  また、9ポツに述べますとおり、特に高等学校、かなり大幅に科目構成が変わりますけれども、こうした教科・科目構成の見直しを行うということでございます。
  続きまして、「どのように学ぶか」ということでございます。カリキュラム・マネジメントの中の「どのように学ぶか」の鍵となるのが、主体的・対話的で深い学びということの実現でございます。
  こうした学びの過程に着目して、学びの質を高めていくことが重要であるということでございます。世の中をどのような視点で捉え、どのような枠組みで考えたらいいかという見方・考え方を通じて、深く理解したり、学ぶことの意義や自分の人生、社会の在り方を結び付けたりということ、こうしたことを通じて、生きて働く知識や力が身に付くということでございます。
  教育方法に関するこれまでの議論の中でも、こうした主体的な学びや協働的な学びの重要性は指摘されているところでございまして、そうしたことを目掛けた授業研究ということの成果は、日本の教育の質を支える財産でもあるということ。
  5ページ目にございますように、一方で、こうした意義について理解されないと、例えば、「活動あって学びなし」となったり、指導の型をなぞるだけの学びにつながらない授業になってしまったりというおそれも指摘されているということでございます。
  主体的・対話的で深い学び。特定の指導方法のことでも、教員の教育における意図性を否定することでもないということ、教員がしっかりと関わりながら、子供たちに必要な学びを絶え間なく考え、工夫していくという営みであるということでございます。
  主体的・対話的で深い学びのそれぞれの具体的な内容について記させていただいているところでございます。こうした学びを具体化する学習活動として、言語活動や体験活動等々がございます。これらとの関係性、また、単元や題材のまとまりの中で実現していくこと、評価の場面との関係などについても分かりやすく示していくことが求められるということでございます。
  深い学びと見方・考え方、5ページ目の下の方でございますけれども、これも既に御議論いただいた内容でございます。深い学びとはということが二つ目の丸にございます。見方・考え方が深まりの鍵となるということ、どのように物事を捉え、どのように思考していくかという視点や思考の枠組みであるということでございます。
  6ページ目、こうした見方や考え方は、私どもが日々社会生活を送る中でも活用している重要な働きをするものであるということでございます。生涯にわたって活用されるものであるということ。
  そして、二つ目の丸でございますけれども、知識・技能を構造化して身に付けたり、思考力・判断力・表現力を豊かなものとしたりということに関わってくるものであるということでございます。
  「見方・考え方」、三つ目の丸でございますけれども、長年用いられてきている用語でございますけれども、必ずしも内容が説明されてきたわけではないということ、改めて見方・考え方を定義して整理していくということ、そうした中で、全ての教科等で共通の視点から授業改善が図られるということ、これらは言語活動ということの蓄積ということも踏まえた考え方であるということでございます。
  それから、一番下にございますように、発達の段階や子供の学習課題に応じた学びということで、基礎的・基本的な知識・技能の習得に課題が見られる場合は、それを身に付けるための深さや主体性ということが求められるということ、高度な課題解決だけを目指す学びということではないというような、誤解がないようにということでございます。
  7ページ目、「何が身に付いたか」ということで、学習評価、これも既に御議論いただいた内容でございますけれども、目標に準拠した評価の実質化ということ、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3観点に観点別評価を整理していくということ。
  また、四つ目の丸でございますけれども、単元や題材を通じたまとまりの中で見取っていくということが重要であるということ。様々な、参考資料におきましては、教員が学習指導要領を手掛かりに評価規準――規準がちょっと漢字がいろいろ混ざっておりまして、整理しますけれども、自ら評価規準を作成していくために必要な手順を示すような参考資料になるものが望ましいということでございます。
  また、主体的に学習に取り組む態度と学びに向かう力・人間性の関係性についても整理をさせていただいております。
  主体的に学習に取り組む態度の評価の在り方、また、一番下には、学習指導要録に加えて、自らキャリア形成を見通し振り返ることのできるキャリア・レポートの導入ということ、そして、次のページは、子供たちの自己評価を学習活動として位置付けていくことの重要性、また、多面的な評価の重要性、それから、高校入試、大学入試の改善ということでございます。
  7ポツ以降は少し必要な要素がまだ未整理の部分がございまして、今後整理を図ってまいりすけれども、7ポツ、子供の発達をどのように支援するのか。子供たちの多様な教育的ニーズということに応えるということ、得意分野の才能を伸ばし、苦手分野を克服していくこと、バランスよく資質・能力を育んでいくことの重要性などでございます。
  各学校で行われている生徒指導や進路指導、学習指導等については、子供たちの発達を支え、資質・能力を育成する観点から、その意義を捉え直すことが重要であるということ、また、カリキュラム・マネジメントと関連付けて充実を図っていくことが重要であるということでございます。また、特別支援教育や日本語指導、既にもともと資質・能力という観点から様々な充実が図られている部分につきましても、関連付けながらしっかりと充実を図っていくということでございます。
  生徒指導についてはということでございますけれども、先ほども申し述べたような観点から、再度その意義を見直して、充実を図っていくということ。
  キャリア教育、9ページ目でございますけれども、特別活動の学級活動や総合的な学習の時間、様々各教科などとの関連性の中でしっかりと充実を図っていくということ、インターンシップの充実、それから、高等学校における「公共」の設置なども踏まえて、系統的・発展的に行うということ。
  進路指導ということをしっかりとキャリア教育の視点から捉え直していくことの重要性。
  また、9ページ目の下の丸、特別活動ですけれども、キャリア教育の中核としての役割を一層明確にしていくということ。
  また、10ページ目、キャリア・レポートの活用ということを図っていくということ。
  また、「公共」におきましても、キャリア教育の視点ということ、また、就業体験との関連ということ。
  また、日々の教科・科目の学習指導についても、キャリア形成の方向性と関連付ける重要性ということでございます。
  また、個に応じた指導につきましても、一人一人の可能性を伸ばし、資質・能力を育むという観点から、しっかりと充実をさせていくということ、また、主体的な学習、見方・考え方が動機付けにもつながるということの重要性でございます。
  特別支援教育につきましては、特別支援教育部会での整理を踏まえて記述をさせていただいております。少し事項が多岐にわたってございますけれども、全ての学校に学習上の困難さを抱えた子供たちがいるという可能性を踏まえた充実を図っていくということ、その中で、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、それから個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成、活用、交流及び共同学習の充実、それから、12ページの支援体制というところでございます。
  また、日本語指導につきましても、現在、整理をさせていただいているところでございます。
  8ポツ、実施するために何が必要かということでございます。社会に開かれた教育課程の観点から、家庭・地域との連携・協働、既に文部科学省が3答申を踏まえて出しております「次世代の学校・地域」創生プランということも踏まえながら、社会に開かれた教育課程の実現という観点から充実を図っていくということでございます。
  13ページ目から、特に校内の研修体制、それから、家庭・地域との連携・協働、それから、14ページ目、必要な体制整備ということで、様々な業務や授業準備の効率化に資するような体制整備というようなこと、また、教材の在り方、ICT環境、教員養成等々について記させていただいております。また、業務の効率化、学校現場、広く国民の理解ということでございます。
  9ポツ、15ページ目以降は、今後、小・中・高部会それぞれにおいて御整理をいただきながら整理をさせていただきたいと思います。小学校につきましては、既に中間的なお取りまとめをいただいた内容をそのまま入れさせていただいているところでございます。特にカリキュラム・マネジメント、17ページ目、言語能力の充実ということの中で、19ページ目、国語教育の充実、21ページ目、外国語教育の充実などなどを記していただいておりますけれども、少し内容を精査しながら、最終的なまとめにつなげていきたいと思います。
  また、中学校、27ページ目から整理をいただいております。中学校の様々な子供の学習課題、生徒指導上の課題ということを踏まえた対応の必要性、また、28ページ目、カリキュラム・マネジメントということでございますけれども、特に部活動も含め、課程外の学校教育活動等と課程内の相乗効果ということを考えながら充実を図っていくというようなことの重要性を中心に御議論をいただいているところでございます。
  また、29ページ目、高等学校でございますけれども、18歳までに育成すべき資質・能力、あるいは必要な単位数、必履修科目構成、31ページ目、教科・科目の構成ということ、また、32ページ目、それぞれの学科における育成すべき資質・能力やカリキュラムの在り方、高校におけるカリキュラム・マネジメントの具体的な方向性と、学び直しなども含めた改善サイクルの充実、34ページ目は、高大接続なども含めた接続の在り方ということで御議論をいただいている内容を掲載させていただいております。今後更に精査をさせていただきたいというふうに思っております。
  以上、本日は1ページ目から14ページ目の上あたりまでを中心に御意見を頂きまして、更なる記載ぶりの充実を図らせていただきたいと思います。以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、今の御説明を踏まえまして、御意見をお願いしたいと思います。またいつものように名札を立てていただければと思います。
  それでは、髙木委員、お願いいたします。
【髙木委員】    7ページの「何が身に付いたか(学習評価の充実)」の三つ目の丸です。ここには、具体的な観点や趣旨については学習指導要領に記載するわけではなくというふうに書かれておりますが、評価規準を具体的に作る際には、学習指導要領の目標、内容によって評価の観点を作ることになります。ですから、このように書かれてしまいますと、学習指導要領の内容、又は指導事項を見る必要がなくなる。要するに、学習指導要領じゃなくても、他の別途に示された通知若しくは他のものを見て分かるようになるということで、現行でも例えば通知、児童・生徒の学習評価の在り方について報告、平成22年3月に出たものは、ほとんど小学校、中学校、高校の先生、ごらんになっておりません。ということは、指導要領の中に具体的な評価が分かる内容を盛り込んでいかない限り、学習指導要領を参考に授業を組み立てるということを行わないという状況が私は生まれると思います。
  要するに、現在、多くの先生方はどういうふうに評価の観点をお作りになっているかというと、ほとんどが教科書会社から出されている赤刷りの本、若しくは教科書会社の解説を見て作られているわけで、今回、是非学習指導要領の観点の中に指導内容、指導事項として評価の観点を示しておく必要があるというふうに考えております。繰り返しになりますが、もしそうでない場合は、学習指導要領を見なくても授業、学習指導ができるという状況が、少なくとも現在、かなり多く行われているという状況を見ますと、そこからの転換はできないのではないかなと。この示し方が、今回、大変私は重要になっていると思いますので、ここの文言を少し御検討いただきたいと思います。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、鈴木委員、無藤委員の順でお願いします。鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】    今、髙木委員がおっしゃったことですけれども、要するに、学習指導要録の観点をどこで決めるかということが、私、前回、前々回の委員でしたけれども、指導要録の検討をする回で決まっていたということではなかったんじゃないかな。ただ、そこで修正を一部して、要するに、指導要領でどこまで決めるべきか。それから、指導要録の検討会議でどこまで変える、又は決めていいか。そこらが実は前2回、委員をやっていた中でも、なかなかはっきりしないと。なので、髙木委員のおっしゃったこともそうなんですけれど、そこらあたりの曖昧模糊したところが委員として困っているところで、だから、今回も指導要領の議論の中でどの程度各教科の意見を入れて、観点を設定する。どの程度までというのは、完全に決めちゃうのか、それとも、漠然とした形でも示しておくのか、それから、指導要録の議論が更にあるならば、どこで決めるか。そこがいつも委員をやっていても微妙でよく分からないというのが悩みなんですけれど。
【天笠主査】    無藤委員、お願いします。
【無藤教育課程企画部長】    話が違いますけれども、6ページのあたりで、見方・考え方というものを導入して、資質・能力を各教科等でしっかり育てるということが書かれて、非常によい記述だと思っておりますけれども、その中で、教科に固有な見方・考え方を各教科等で指導するわけでありますけれど、そこから汎用的な能力などがすぐ獲得されるということでは多分ないと思うんですね。例えば、算数、数学でいえば、数理的な捉え方で論理的思考を教えると簡単には言えると思いますけれど、その場合に、しかし、その論理的思考があれば、国語でも理科でも、あるいは普通の生活でも全部論理的に考えられるということはないはずで、つまり、算数・数学で学ぶその教科固有の情報の整理の仕方のようなものを適用する場面が少しずつ広がりながら、算数思考での論理的思考力というものがいろいろな場面で広がっていくと思うんですね。
  ですから、別な言い方をすれば、その教科等の固有な見方・考え方を身に付けることを通して、言わば汎用性を獲得していくといいますか、汎用的に使う場面を広げていくといいますか、そういう感じの記述がいいと思うんです。つまり、時々現場の整理などでも見られる気はしますけれど、特定の教科、算数でも理科でも何でもいいんですけれど、論理的思考を育てると書いてあると、そこで育てれば全部の場面で自然に使われるかのように書かれていることがありますけれど、当然、この数十年の研究、実践の中では、そうはうまくいかないということがはっきりしておりますので、どちらかというと、そういうふうに広げていくことですね。それは授業上、割と大事なポイントがあると思うのは、その教科に固有なことをしっかり教えるんだけれど、それによって自然に汎用的になるわけではないので、それを汎用的な場面を広げるためには、先ほどの奈須さんの言い方で言えば、合科・関連的なところをうまく生かすとか、総合的な学習に生かすとか、割と意識して広げる必要があると思います。意識して広げなさいとここで書かなくていいんですけれど、そのように汎用的な力に持っていくということを、はっきり広げるということを、教科指導の中で意識するということはあっていいんじゃないかと思います。
  以上です。
【天笠主査】    じゃ、続きまして、市川委員、お願いいたします。
【市川主査代理】    大きくは2点なんですけれども、一つは、1ページ目、社会に開かれた教育課程というのは、今回、かなり重要なキーワードになっていると思うんですが、ちょっと分かりにくいところもあると思うんですね。社会に開かれた教育課程、やっぱり私は非常に大事な言葉だと思っていますので、これまでとどこが違うのか、社会に開かれた教育課程とはずばり何かということの頭出しをこの1ページでしておいた方がいいのではないかと思います。本文の中では、見たところ、下から10行目くらい、ここで「社会に開かれた教育課程の実現に向けた検討を」と書いてあるだけなんですが、私は少なくとも社会に開かれた教育課程という言葉は、三つのことを指しているのではないかと思います。一つは、資質・能力ですね。これからどういう資質・能力を育てるかというときに、社会の中でも必要とされる資質・能力を育てる。これはかなりうたわれていると思うんですけれども、一つは、社会生活につながるような資質・能力であると。
  2番目には、これをもう少し具体的に、知識・技能面に関しても、社会の中で、社会生活を行うために必要な、もう少し具体的な知識・技能面というのがありますね。そういうことを考慮した指導要領にしていくのだということですね。これはずばり内容的なことにもそういうことを考慮しながら入れていくと。もちろん全てが社会で役立つようなことばかりにするという意味ではありません。一体これが自分が大人になったときに何に役立つのかということも当然あると思いますけれども、少なくとも、内容的なバランスですね。具体的に子供にとっても先生にとっても、これは社会に出たらこういうふうに使われる知識・技能なんだということが見えやすいような内容を盛り込んでいくと。これが2番目ですね。
  3番目は、社会参加するための意欲といいますか、社会の構成員としてということはずっとうたわれているわけですから、自分が社会的な問題に関心を持ったり、あるいは選挙などでも自分が参加していって、社会の仕組みを自分たちで作っていくというような、そういう関心、意欲ですね。これがやっぱり社会に開かれたということになるだろうと。
  少なくともそういう三つのことは指しているはずで、ずっとこれから先、中身を見ていくと、まさにそういうことも書いてあるんですね。ただ、どうも1ページ目を見たときにその見通しが持てなくて、社会に開かれた教育課程って一体何を指しているんだろうと。社会に開かれたとはどういう意味だろうということがもう少し分かりやすいようなこと、少なくとも今の3点のようなことを書いていただく方がいいのかなと思いました。要するに、社会につながっていくということですね。社会生活につながっていく、学校生活で閉じて試験で終わるのではないということがはっきり先生にも学習者にも見えるような、その三つの側面のことを出していただけるといいかと思いました。それが1点です。
  それから、もう一つは、アクティブ・ラーニングの説明で、より具体的になったというのは、私はいいと思うんですけれども、例えば、5ページ目に、今度、深い理解というのが出てきます。アクティブ・ラーニングの中での特に深い学びについての説明ですね。深い学びについて、5ページ目の下から二つ目の丸なんですが、これ、内容的には私も賛成です。学習内容の深い理解、それから資質・能力の育成、学習への動機付け、この三つが出ています。私はこれは非常にいいことだと思います。
  ただ、このときに、今度、じゃ、深い理解って何ですかということが出てくると思うんですね。深い理解というのは、実はこの中にも書かれていることだと私は思っています。特に3ページ目ですね。3ページ目の上から二つ目の丸なんですが、私たちのような認知心理学の立場だと、深い学び、深い理解というのは、要するに、構造化された知識体系を作るということなですね。個々ばらばらの断片的な知識をただ暗記しているとか、あるいは、一定の手続で答えが出せるということではなくて、構造化された知識体系を作ると。つまり、知識の関連付けができるということです。そのことがここに割と具体的に書いてあると思っています。「現在議論されている「知識」とは、個別の事実的な知識のみを指すものではなく、学びの過程を通じて、既に持っている知識や経験と新しい知識が結びつき、自分の中で構造化され、様々な場面で活用できるものとして習得される、いわゆる概念的な知識を含むものである」、ここがまさに深い理解のことであると私は思っていますので、ここが深い理解という言葉と結び付けられるといいなと思っています。
  ちょっと細かくなりますが、その先に、「例えば、“何年にこうした出来事が起きた”という歴史上の事実的な知識は、“その出来事がどのような影響を及ぼしたのか”を追究する」、欲を言えばですけれども、「どのような影響を及ぼしたのか」の前に、どのような原因、理由でその出来事が起きたのか。ある出来事の年号を暗記しているだけではなくて、なぜその出来事が起こったのか。原因、理由ですね。そして、その後、それがどのような影響を及ぼしたのかとなってくると、前後とのつながり、いわゆる歴史の流れということにつながっていきます。そういう構造化された知識、関連付けられた知識体系を持つことが深い理解なのだというふうに結び付けていただけるといいかと思いました。
  その後に手続のことも書いてあります。技能についても一定の手順に沿った技能のみならず、変化する状況に応じて主体的に活用できる技能の習熟・熟達に向かうと。これもなぜそういう手順を取るのかとか分かってくれば、記憶にも残るし、応用も利くという。それがこういうときにはこうやればいいと一定の手順だけを丸暗記して、ただ繰り返しているというのとでは違いがあるということですね。そのあたりをうまく結び付けて、深い理解というのはそういうことであるということに書いていただけるといいなと思いました。
  以上です。
【天笠主査】    それでは、どうもありがとうございました。
  根津委員、お願いいたします。
【根津委員】    すみません、30ページの高等学校の卒業に必要な単位数のところなんですけれども、これ、下限といいますか、卒業までに習得させる単位数としては74単位ですね。ただ、その一方で、高等学校の学習指導要領解説総則編、全日制の課程における週当たりの授業時数は30単位時間を標準とすると。3年間では90単位で、必要がある場合には更にこれを増加することができるというふうになっているわけですので、下限を示すのであれば、上限という考え方はないのかなというようなことをちらっと考えた次第です。30ページのところ、そこが割とあっさり書かれているなという気がしますし、実際に全日制の課程で74単位で行っているところというのはかなり珍しいのではないかと思いますので、上限についても何らかの考え方をお示しいただく方がよろしいかと存じます。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、高岡委員、お願いいたします。
【高岡委員】    ありがとうございます。2点ほどあります。
  一つは、この論点案で、大分私自身が分かってきたことなんですが、カリキュラム・マネジメントということとアクティブ・ラーニングと、これが今回の指導要領改訂の大きな目玉だということは繰り返しお話しいただいているので、そういうことだという理解をするんですが、この論点整理で、カリキュラム・マネジメントの方が実は学校は今すぐ取り組まなければいけない大事な点だと。アクティブ・ラーニングというのは、カリキュラム・マネジメントに基づいて、どこでその手法を取るかという、そういう関係にあるんだということがようやく分かってきました。少し遅いのかもしれません。
  そうだとすると、今の社会の捉え方というんですが、教育課程の学習指導要領の改訂作業が進んでいる中で、いろいろ報道されたりなんかする場合の見え方というのは、アクティブ・ラーニングは非常に先行して捉えられているところがあるので、これ、できて終わった後にどういう解説を社会に向かってしていくか。まさに社会に開かれた学習指導要領にしていくかという観点で言うと、やっぱり大事なのは学校が従来の教育課程経営とか、教育課程管理と言われていたような領域を踏み越えて、もっと学校の特色を生かしながら、学校自身が、そして、その構成員である教員が組織的にカリキュラム・マネジメントという手法に基づいて構築していくということの意義、これは今までアクティブ・ラーニングが先行してわーっと言われている分だけ、ちょっと強めに出さなければいけないんだろうなということを思いました。
  と同時に、じゃ、アクティブ・ラーニングというのは何かということが、私もまだよく分からないところもあるんです。よく分からないというのは、日本語にどうやって変えていくのかという作業の過程がもう一つよく分かっていないところがあるんですが、ここでは主体的・対話的で深い学びという言い方がされていますよね。私は、例えば、うちの教員研修センターに、アクティブ・ラーニングの研修を構築していくための人員というのが各都道府県から11人集まってくれて、今、研究開発をやってくれているんですけれども、その中で、やっぱり手法としても、主体的・対話的というところに非常に大きなウエートが置かれていて、深い学びの実践というのは、一体何を見るとこれは深い学びにつながっているんだというふうに見えるかというのが、まだつかみ切れないところがあるんですね。
  つまり、それは「主体的・対話的」と横に並んで「深い学び」というのが3点セットであると考えているうちはなかなか見えないので、私は、深い学びというのは、この論点整理で少し見えてきたことですが、やっぱり一種の、アクティブ・ラーニングと称する手法が達成されているのかどうかということを測る視点じゃないかと思うんですよ。つまり、深い学びにつながっている対話的学びなのかどうかという視点の作り方、その方が私も分かりやすいし、現場の先生方もそういう説明の方がより理解しやすいんじゃないかなと。さっき市川先生がおっしゃったことでまさに触発されたんですけれども、深い理解とか深い学びということが、これからの学校が身に付けさせるべき資質・能力として重要な手法ですよということを、その目標に向かって対話的学びや主体的学びや、あるいは一種の講義型の授業というのも中に存在するんだと。そして、アクティブ・ラーニングというのは、この部分を取り出して、これからしばらくの間、学校現場で是非活用してほしい、そういうメッセージではないかなと思うんですが、どうでしょうかね。今、到達したところをお話しして、いや、そうじゃないということなのか、それでいいということなのか、また教えていただければと思います。
【天笠主査】    続きまして、奈須委員、お願いいたします。
【奈須委員】    先ほど無藤先生が言われたことに賛同して、さらにということなんですけれど、6ページの一番上の丸になりますが、見方・考え方のところで、各教科で学んだものが、下から3行目あたりですけれど、学校教育を通じて身に付けた数学的な見方・考え方や、言葉に対する見方・考え方が知らず知らずのうちに活用されているというのは現状でして、これでは将来はいけないと思うんですね。そうではなくて、各教科で身に付けた考え方が、明晰な自覚を持って選択的・戦略的に使えるように今後はしていきたいので、現状では知らず知らずのうちに、つまり、よく分からないけれど、何か身に付けたものが何となく使われているのが現状なんですよ。それでは、見方・考え方が、その次のポツの一番下にあるように、自在に働かせるようにはなっていない。つまり、我々世代はそうなっていない。でも、次の世代は変えたいので、知らず知らずのうちにではよくないんだと思うんです。ではなくて、目指すのは、明晰な自覚を持って選択的・戦略的に、こういう対象でこういう問題なんだから、この教科で学んだこの見方がこれに適合するはずで、だから、こういうふうにやってみようと。それがうまくいかなかったら、なぜうまくいかなかったんだろう、この対象についてこれでいいと思ったけれども、今回はこういう特質があったんだから、違うアプローチをしなければならないということが、もっと選択的に、戦略的に、まさに道具箱がきちんと整理されていてということなので、知らず知らずというのはちょっと気になるというか、つまり、これは現状なんですね。次の世代は変えたいということがまずあるのですけれども、ちょっとそのあたりがと思いました。
  そう考えたときに、先ほど無藤先生がおっしゃったことでほとんど尽きるんですけれども、見方・考え方を当初特定の教科で学び取ると。その当初学んだ領域なり対象なりに対して学び取ったものを、ほかの対象や領域に広げるということだと思うんですね。つまり、さっき無藤先生がおっしゃったこと。大事なことは、そのままでは対象や領域が変わると使えないということがあって、使えない場合には、多少変換するという経験もあって、それが大事だと。だから、数学で学んだことを現実に総合で使おうとすると、そのまま使えなくて、そのときには変換しなきゃいけなくて、変換する経験というのが、とても広がっていくということになるのかなと思いますし、それを広げることによって、今度はいいことは、もともと数学なら数学で学んだときに、なぜ数学ではこういうアプローチを使うのか、なぜ理科ではこういうアプローチを使うのか、それは当然、扱っている対象に対して適合的な見方や考え方というのが常に教科の中で形成されてきたはずですから、だから、そもそも算数はこういう見方だし、社会科はこういう見方だということが、より納得して、まさに学びが深まっていく。
  つまり、広げるということは、結果的にもともとの教科の学びや、その意義を深めるということにもなって、定着することにもなっていくということなのかな。つまり、深めるということと広げるということは、互恵的な関係にあると。つまり、そうしないと、ある教科で勉強したものをほかでも使えるように広げるというのが、おまけとか応用というイメージがあるんですけれども、むしろほかに広げることによって、基の教科で学んだことの意味や、その教科でこの方法を使うことの妥当性ということが深い納得を持って理解されたり、定着するということもあるんだろうな。つまり、深めると広げるということは互恵的だということは、案外大事なことかなと思っています。だから、総合をきちんとやった方が、教科の学力も身に付いたりするんだなんて話の一つの筋道だろうと思うんですけれど。
  それから、もう一つは、既に現行の複数の教科において、似たような見方・考え方が実は使われているということが結構あるということも大事かなと思います。以前から何度か出した例ですけれども、例えば、図工の造形遊びでは、物を物として、別な物に見立てるというようなことをやりますが、別な物に見立てるというふうなやり方は、国語科の詩や俳句なんかでもよく使われるわけで、つまり、複数の対象、異なる対象に対して、特定の見方や考え方を既にいろいろな教科で発動しているということを自覚化させるなんていうことも大事かなと思っています。
  教科横断的ということはいろいろなアプローチがありますけれども、見方や考え方というのは、各教科ならではということもありますが、実は、各教科を越えた見方・考え方が既に存在していて、それが複数の対象について既に豊かに使われているということを、でも、子供に明晰に自覚させるというアプローチを取ってこなかったあたりがもったいなかったなと思うんですけれど、すると、またそのよさも分かったり、すると、国語では一方で数学に近い命題論理のようなことをやっていて、一方では芸術に近い、見立てるとか、例えるなんていうのをやっていて、言葉というのはそういう多様性があるんだな、いろいろな見方や考え方を一つの対象について使っているんだななんていうふうに縦横につながってくるんだと思うんですけれど、そういうことが今回、見方・考え方と汎用的な資質・能力ということの育成ということにあって、つまり、そういうことをやっていくことでかえって各教科の学力も定着したり、各教科ならではの見方・考え方もより深い理解を持って定着するというようなことが今回大事かなと実は思っています。
  それから、済みません、ちょっと別なところなんですけれども、3ページのところで、3ページの上から五つ目の丸なんですけれども、いろいろな現代社会の課題、いわゆる○○教育と呼ばれるような課題というのがあって、それをどう扱っていくかということも今回大事な課題だと思うんですけれど、そこでグローバル化であるとか、主権者であるとか、地域創生であるとか、いろいろなことが出てきます。こういうことに関わって、以前から出ている重要な一つのキーワードは、いわゆるESDかと思いますが、ESDは前の論点整理にしっかり出ているので、それでいいかなと思うんですけれど、ちょっとその辺の扱いをどうすればいいかな。これを割と統合的に扱うのが持続可能なというあたりに一つ姿勢としてあるかなと思いますし、それから、最近のことになっちゃうんだと思うんですけれど、サミット直前に、ESDの後に続くSDGsを国として進めていくという話が見えてきたと思うんですけれど、ちょっとそのことをどう対応するかという話も、こことの関係で、にわかにですけれど、今回扱うのかどうか、扱うならどう扱うのかという話も、この間のプログラミングと一緒で、にわかに出てきた話かなと思うんですけれど、どうかなとちょっと思っております。
  以上です。
【天笠主査】    続きまして、鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】    評価のところですけれど、7ページの一番下に、「キャリアレポート(仮称)を導入する」、これ、大変重要な変化ではないかと思いまして、私のイメージとしては、名前はこれでも構わないんですけれども、やはりこれまでの総合学習の評価に関して、指導要録に記述するというのは、中学から高校へ来る内申書等を見ても、要するに、一定の言葉を組み合わせてバラエティーに富んでいるけれど、結局言葉は一緒だという、そういう形になってしまっているので、やはり例えば、総合学習の成果というようなもの、それから、今度新しく高等学校で始まる数理……、理数探究に変わったんでしょうか、そういうものはちょっと今までの指導要録の形式の評価には載りにくいので、そういう成果を入れる、それから、もちろんキャリア形成に関するものを入れるという形の一種のポートフォリオのようなものかもしれませんけれど、そういうものを作るということについては、非常に重要なことではないかと思います。
  私の学校でも、今、ちょっと総合学習、ポートフォリオを作り出しまして、それを将来的にはいろいろな成果を、要するに、指導要録に載らない成果を入れていくという形を考えておりまして、そんなような形でキャリアレポートを作るならば大変いいんじゃないかと。ただ、文章表現として、「自らの学習状況やキャリア形成を見通し振り返る」と書いてあるんですが、私的には、「自らの学習成果を示したり」、こういう方がいいのではないかと。趣旨がもしかしたら違うかもしれませんが。やっぱり学習成果を示す方法が指導要録では不足していると。やっぱりこれだけいろいろ教育の目標を広げてきたので、従来どおりの指導要録では不足だという観点で、こういうものを作るのならというか、作るのは大変重要だと思います。
【天笠主査】    青木委員、お願いいたします。
【青木委員】    28ページの、中学校におけるカリキュラム・マネジメントの具体的な方向性の中で、部活動などの教育課程外の学校教育活動や地域の教育活動というところがあるんですけれども、これを読ませていただいて、具体的に、だから部活動をどうしていくかという方向性がよく読み取れないというか、非常に課題であるというところで終わってしまっているわけですけれども、これだけいろいろ中学校の部活動のことが言われていて、カリキュラム・マネジメントの具体的な方向性という中で示すならば、やはりもう少し具体的な方向性を示すことが必要ではないかと思います。
  学校教育活動の一環であるということで、教育的意義が高いという指摘、現実に中学校、義務教育学校では、やはり子供が学校選択する場合に、部活動によって選択するというのは公立学校では非常に大きな比重を占めておりまして、そういった意味では、具体的に教員の負担軽減の観点からどうするのかというところ、それが具体的な方向性という中で余り示されていないような気がするんですけれども。
  あと、高校の方では、特に大きな部活動については問題性、最初の総則のところで少し触れられてはいるんですけれども、ある意味、中学校、義務教育学校だけの問題であるのか。今、これだけ騒がれている中で、もう少し踏み込んだ内容が必要ではないかと思うんですけれども。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  どうぞ。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。ありがとうございます。
  まず、中学校の部分なんですけれども、まだまだ中学校部会で頂いている御意見の反映が進んでおりませんで、申し訳ございません。中学校部会の議論の中では、長期的な視野で、ある意味部活動の持続可能性ということを考えたときに、長期的な姿、そして、それに向けて少しずつ積み上げていくことということをしっかりと計画的に記していくべきではないかということで御指摘を頂いておりますので、その内容をしっかり反映させたいと思います。
  それから、高等学校部会も実は課題としては共通なんですけれども、今回、教科・科目編成の変更ですとか、少し議論がたくさんございます関係で、部活動については中学校部会に中心的に御議論いただいて、それをしっかり共有させていただくというような段取りとなっておりますことを御報告申し上げます。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  ほかにいかがでしょうか。鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】    今、中学校の部活動の御指摘ですが、高等学校はいいのかと。高等学校ももちろん問題でして、よく高等学校でよく言う言葉は、○○未亡人と。そこに野球未亡人とか、バスケット未亡人とか、ほとんど土日お父さんがいないと。夜もいないと。だから、問題は中学校以上かもしれないと思っております。
【天笠主査】    竹原委員、お願いいたします。
【竹原委員】    先ほど質問した高齢者などとの交流の機会という箇所ですが多様な人との出会いや、対話、地域の人との出会いが、子供たちを成長させるというところにつなげて考えるならば、ここは高齢者など世代を超えた多様な地域の人との交流の機会に限らず、外国人の方や障害のある方であるとか、様々な方との出会いが学びを深めるという意味で入れたらどうかと思います。
【天笠主査】    それでは、私から、2ページなんですけれど、ここの2ページの一番上の部分の丸なんですけれども、まさにここで記述されていることというのは、私も同感であります。例えば、全ての教科等のつながりの中で育まれるものですとか、あるいは、教育課程全体として効果が発揮できるとか、教科間の関係性を深めることによって効果が発揮できる云々とか、こういう教科間の関係とか、あるいは教科を越えてとかということというのはたびたび出てくるわけですけれども、きょうここにお示しいただいたこの取りまとめの論点というのは、どちらかというと、ある意味で言うと、こういう全体的な方向性ですとか、こういう方向で検討してきてまとめたということがここに記されていくわけですけれども、例えば、教科間のつながりとか、あるいは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、総則と教科の関係とか、そこら辺のところについての具体の検討とか、話の詰めというのでしょうか、教科と教科の関係とか、あるいは場合によっては学校と学校との関係とか、そういうあたりのところについての詰めというのが何か必要なのかなというふうに今の段階で思っていまして、そういう点では、恐らく各論というか、各教科等とのあれがこの後に続いてくるんじゃないかと思うんですけれども、そういうときに、今、2ページの上のところのこの視点というのがどういう形で各教科等の記述のときに担保されてくるのかどうなのか、あるいは、そういうところはどういう形で議論されたのかどうなのかというようなあたりのところを記していくということ、あるいは記述していくことも一つ大切なのかなというふうに思います。
  というのはどういうことかというと、総論は立派なんだけれども、以下各論、この場合の各論というのは、各教科ということになるか、等ということになるかと思うんですけれども、どちらかというと、そこら辺は旧態依然とまでは言いませんけれども、従来型のそういうトーンでまとめられてというあたりのところになると、よりこういう総論的なものと各教科等の間の溝というのが、もしかすると、より顕著になっちゃうなという、そういう方向的には回避しなくちゃいけないというふうに私は思っていまして、そういうことについて述べるに当たって、2ページの上の二つの丸というのが大変重要なんじゃないかと思っていまして、こんな視点で以下、それぞれの総則との関係の各教科の関係ですとか、あるいは、教科等のつながりとか、教育課程全体としてというふうなあたりのところを整理していく、まとめていくということが大切であって、そういうことを示すに当たって、教育課程の全体的流れがある意味と、総体的な構造という、こういう言葉の中にそれを明記していくというか、押さえていくということが、今言った懸念を少しでも解消していく方向になっていくんじゃないかなというふうに思っておりますので、こういう取りまとめを含めまして、それが各教科との関係ということのつながり、整理ということを常に意識しながら取りまとめていくことの大切さというのはあるんじゃないかなというふうに思います。
  私からもこういうことを申し上げて、ほかの委員の方。髙木委員、お願いいたします。
【髙木委員】    今、天笠主査が大きなまとめをされた後、大変恐縮なんですけれど、30ページのところの高校の上から四つ目の丸です。ここに、実は特別な支援を要する子供たちに対して高等学校で通級指導のことが行われるということが出てきて、大変これはいいことだと思いますし、高等学校部会でもそのことについて話合いが行われておりました。特に高等学校の先生方は、小・中の先生と比べて、そういった通級指導とか、それから、ある意味でのインクルーシブ教育で、共生教育で同じ学級の中に支援を要するお子さんたちが入ってきているという御指導を、これまで余り十分にされてきていなかった現実があります。
  そういう中で、このことが入っていくことに関して、かなり周到な用意と、それから、きちんとした告知をしていきませんと、高等学校教育の中でかなり混乱を起こしてくるということも見えておりますので、是非このあたりのことをもう少し厚く書いていただけると大変有り難いと思います。特に教科指導に関しては、ここの部会と大変関係するんですが、教育課程の編成が、支援を要するお子さんたちに向けてのものと、学校全体での教育課程との関係も出てきますので、このあたりも考えておきませんと、具体的にこれが実行されたときには混乱が起きてくるというふうな心配がありますので、是非このあたりの書き込みをお願いしたいと思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  そろそろ時間も迫ってまいりましたけれども、今、市川委員、それから、鈴木委員、あれですが、ほかの委員の方、よろしいでしょうか。
  そうしましたら、市川委員、鈴木委員でということで終わりにさせていただきたいと思いますので、市川委員、お願いいたします。
【市川主査代理】    部活のことですが、中学校部会の主査といたしまして、ちょっと議論の報告といいますか、一言だけ申し上げておきたいと思います。部活についてはかなり中学校部会では大きな話題になっています。教育課程云々ということもありますが、それ以上に部活の問題というのが非常に大きい。従来から大きな問題です。特に最近ですと、先ほど鈴木委員からも御指摘ありました一つの問題は、特定教員に過度に負担が集中し過ぎるという問題。それから、もう一つは、かなり少子化になっていまして、各学校でも部活が立ち行かなくなっている。人数が少な過ぎて、野球もサッカーもチームにならない、ブラスバンドにならないというような問題が出ています。
  そういう中で、これまでの議論ですと、社会教育に移行していったらどうかという議論も、これも繰り返し出ていますが、やはりなかなか決着はつかないです。学校にとって部活は必要だという御意見と、社会教育に移行していくべきだと。これもなかなか決着がつかないと。
  そこで一つには、やっぱり20年後、30年後を考えた場合、公的な機関としては、例えば、教育委員会なり自治体なりが幾つかの学校をまとめ、いろいろな学校から参加できるような形でのこういう部活動的なもの、それを公的に保障していくと。そこで実際に指導するのは、地域の方と学校の先生と両方が連携・協働し合って、そういう部活の場を運営していく。子供たちにとってもいろいろな活動があって、そこに参加できることを保障していくというようなことも考えられるのではないかと。ただし、急にできることではありませんので、20年後、30年後を見据えて、何か一歩踏み出せるといいのではないかというような議論が出ているところです。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】    先ほど主査がおっしゃったこと、私もその前にちょっと言わせていただいたんですが、やっぱり今回の教育課程の改訂に関して、構造化ということが一番重要ですので、教育目標と各教科の関係、各教科の関係、それを含めた構造化というのが一番重要で、構造化するまではいいんですが、その中身を議論する場がどうしても必要ではないかと、同じく思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  ということで、委員の皆さん、よろしいでしょうか。閉じさせていただきたいと思いますけれども、どうもありがとうございました。本日はここまでということにさせていただきたいと思います。それぞれの意見につきまして、事務局で論点ごとに趣旨を整理していただくようによろしくお願いいたします。
  なお、次回が当部会の最終回となる予定になっております。6月23日に予定されている小学校部会、それから6月27日に予定されている高等学校部会、それから7月1日に予定されている中学校部会におけるそれぞれの議論を踏まえて、修正した取りまとめ文案を事務局で準備していただき、皆様に御議論いただきたいというふうに考えております。
  なお、本日の議論を踏まえた更なる意見、あるいはお気付きの点などはメールやファクス等で事務局の方にお送りいただければというふうに思います。
  以上をもちまして、本日予定されていました議題はここまでということにさせていただきたいと思います。
  最後に、次回以降の日程などについて、事務局より説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございます。少しだけお時間がありますので、先ほどの構造化の絡みで、各ワーキングのまとめがどのような形になっているのか、少しだけ眺めていただければというふうに思います。
  黄色いファイルをごらんいただければと思いますけれども、例えば、国語のところを開いていただきますと、国語ワーキングにおける検討事項というのがございまして、その後に取りまとめという案が付いてきてございます。これは全ての教科につきまして、総則部会で御議論いただきました内容を踏まえた柱立てをしていただいておりますので、現状の成果と課題の後は、見方・考え方は何かということ、そして、その後に資質・能力の整理と教科等目標の在り方、先ほど一覧表でごらんいただいたような教科目標の三つの柱の構造化ということ、そして、6ページに行きますと、そういう資質・能力を育むためには、どういう学習過程でなければいけないのかということ、そして、7ページ目は、目標に準拠した評価の観点ということで、三つの観点を整理しているということ、また、8ページ目は、科目構成の見直しということで、資質・能力を踏まえた科目構成の在り方、そして、10ページ目が、資質・能力の整理と学習過程を踏まえた教育内容の構造化ということで、指導内容も資質・能力に合わせてしっかりと構造に反映させるということが各教科のワーキングの方でも書かれているというところでございます。具体的な書きぶりは学習指導要領の具体物になってまいりますけれども、それを構成するに当たっては、しっかりと資質・能力の構造を踏まえた内容の構造化を行うということ、また、その後、具体的な様々な諸課題を踏まえた見直しということが付いてきておりまして、その後、14ページ、特別支援教育の充実、個に応じた学習ということで、特に特別支援教育の観点から、個別の困難さの状態ということに応じた、国語で考えられる対応ということを具体的に記しているということ、また、15ページ目は、深い学び・対話的な学び・主体的な学びが国語においてどのようなものになるかということ、また、17ページが、教材の在り方、そして、必要な条件整備ということでございます。
  先ほど申し上げたように、具体的には、学習指導要領の具体的な内容を待たなければいけませんけれども、それを考えていくに当たっては、しっかりとこのワーキングでまとめた内容が反映されるということは大前提になってまいりますので、そういう意味では、ワーキングの議論はしっかりとこのような状況になっているということを少し一言だけ御報告をさせていただきました。
  次回でございますけれども、7月7日の10時からでございます。場所、詳細については改めて御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
  本日の資料、机上に残していただけましたら、後日郵送させていただきます。
  ありがとうございます。
【鈴木委員】    済みません、これはどこで見られますか。この内容について。
【大杉教育課程企画室長】    ホームページでということでしょうか。
【鈴木委員】    ホームページで見られますか。
【大杉教育課程企画室長】    ワーキングの状況を随時アップはしておりますけれども、最新にはなっていない可能性もございますけれども、ここで見ていただくこれが一番今は最新でございます。
【天笠主査】    よろしいですか。
  それでは、本日の部会を終了させていただきます。長い時間にわたりまして、どうもありがとうございました。終わりにさせていただきます。

――  了  ――

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