教育課程部会 総則・評価特別部会(第8回) 議事録

1.日時

平成28年5月23日(月曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂
東京都千代田区霞が関3-2

3.議題

  1. 論点整理を踏まえた総則の改善・充実及び今後の学習評価の在り方について
  2. その他

4.議事録

【天笠主査】    それでは定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会総則・評価特別部会を開催いたします。
  本日はお忙しい中、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
  まず、会議に先立ちまして、4月14日より続く熊本県を中心とした九州地方での一連の地震によりとうとい命を落とされた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
  現在、我が国では被災地において昼夜を分かたず支援活動を行っておられる関係機関の方々をはじめとして、国を挙げて多くの人々がそれぞれの持ち場で支援に当たっておられます。被災地の方々の一刻も早い復興を心からお祈り申し上げます。
  それでは最初に、事務局から配付資料について御確認をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。
  本日の配付資料でございますけれども、議事次第記載のとおり、資料1から資料6、参考資料1から4、その他、机上に参考資料を置かせていただいておりますので、不足等ございましたら事務局までお申し付けくださいませ。
  一部の資料については、委員の先生方限りのものもございます。色つきの附箋がついているものはそういうものとなりますので、御留意いただければと思います。
  また、いつものように机上のタブレット端末、審議会答申等、関係資料が入ってございますので、議事次第裏面の目次をごらんいただければと存じます。
  以上です。
【天笠主査】    それでは、本日の議事に入りたいと思います。
  本日の議題は、次の二つとなっております。一つ目が学習指導要領・総則の改善イメージについて、続きまして二つ目がとりまとめ文案のイメージについてということになります。きょうはこの二つになりますので、どうぞよろしくお願いします。
  なお、本日は報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
  それでは、一つ目の議題、学習指導要領・総則の改善イメージについて、関係する資料を事務局から説明いただき、その後、委員の皆さんの御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。
  それでは、一つ目の議題に関しまして御議論いただく資料は、資料3-1から3-4になってまいります。この資料をまず一つ目の議題では御議論いただければと思いますけれども、その前に少し関係するワーキングですとか全体の議論の状況ということで資料を御紹介させていただきたいと存じます。
  まず、資料1でございますけれども、論点整理、昨年の8月以降に総則・評価特別部会を含めまして議論が深められた事項ということで少し資料を束ねさせていただいたものでございます。左側の青い枠囲みが論点整理の構成でございますけれども、それに今後、審議まとめに向けて記述を厚くしていく必要があると思われるものの幾つかを右側、赤い字で入れさせていただいております。例えば、特に情報化の進展ということ、人工知能の進化を含めまして、産業競争力会議などでも今後の人材育成の在り方ということの議論が深められておりますので、そうしたことについては既に論点整理、情報化についても記述がございますけれども、こうした最近の議論の流れも踏まえた記載としていく必要があると考えております。特に現在、12ページ目にございますように、小学校のプログラミング教育の在り方につきましては、有識者会議を別途設けさせていただいて、6月中には議論をまとめて中教審につながせていただく予定でございますけれども、こうした状況も少し踏まえながら加えていく必要があるということでございます。
  それから、新しい指導要領の目指す姿ということでございますけれども、16ページ目以降でございます、主に総則・評価特別部会、学校段階等別部会で議論を深めていただいたものでございます。例えばアクティブ・ラーニングの視点、深い学び、見方・考え方ということ、資質・能力、教科横断的に育むべきもの、こうしたものにつきまして、少しまとめていく必要があるということでございます。
  特に見方・考え方でございますけれども、23ページ目にございますように、各教科の特質に応じ育まれる見方・考え方、様々な事象を教科等ならではの視点で捉え、教科等ならではの思考の枠組みで考えていくということでございまして、○○に着目して捉え、○○的に考えていくことというようなことが各教科においてまだまだ調整中でございますけれども、整理されてきているところでございます。これがまさにそれぞれの教科を学ぶ意義というところにつながってくるわけでございますけれども、こうした見方・考え方を働かせて、深い理解、資質・能力の育成につなげていくというのも、アクティブ・ラーニングの視点の深い学びであるというような整理をいただいておりますので、こうした整理を引き続きしていきたいということでございます。
  それから、加えまして、学習評価、あるいは昨年末にまとめられた中教審の3答申、これも社会に開かれた教育課程の実現に資するということでございますので、こうしたことを踏まえながらということ、また、本日御議論いただきます総則のイメージ等々、こうしたことを今後、総合的にまとめていく必要があるということでございます。
  それから、資料2-1でございますけれども、現在こうした枠組みで各教科別ワーキングの議論をおまとめいただいております。右側の青枠囲みにございます成果とか資質・能力、それを踏まえた目標や内容の改善の在り方、具体的な条件整備の在り方ということも含めて、各教科別に議論をおまとめいただいている最中でございます。
  少し例をごらんいただきますと、資料2-3でございますけれども、おめくりいただきますと、18ページ目からが国語ワーキングでございますけれども、19ページ目から国語WGにおける取りまとめということで、現在議論をしていただいている最中でございますので、まだまだ内容はこれから精査されていくものでございますけれども、19ページ目以降にございますような国語科における現行学習指導要領の成果と課題、それから20ページ目、育成すべき資質・能力を踏まえたということで、国語科において育まれる見方・考え方の整理、21ページ目、国語科、小・中・高を通じて育成すべき資質・能力の整理、それからめくっていただきますと、24ページ目が学習過程、そして資質・能力を育む学習過程の在り方、25ページ目、評価の観点の在り方、26ページ目は科目構成ですね、高校の国語科の科目構成が変わりますので、科目構成の在り方、28ページ目が内容の構造化、諸課題を踏まえた教育内容の見直し、29ページ目が特別支援教育、個に応じた指導、30ページ目が深い学び、対話的な学び、主体的な学びに向けた改善充実、32ページ目が条件整備ということでございまして、それに33ページ目のような目標構造を分かりやすく示したものや、次のページ、資質・能力を図示したもの、35ページ目は具体的な学習過程と指導内容の変更の在り方ということでポンチ絵がついているというような形で、各ワーキング、取りまとめていただいております。最終的には、概要1枚紙のようなものも整理していく必要がございますけれども、現在、こういった形で各ワーキングの議論の整理をしていただいているところということで御報告を申し上げさせていただきます。
  それでは、資料3-1に移らせていただきます。本日、一つ目の議題として御議論いただきたい内容でございます。
  資料3-1の1枚目は学習指導要領改訂の方向性ということで、既に論点整理にも何ができるようになるかということを実現する観点から、何を学ぶか、どのように学ぶかということを考えていくということが今回改訂の基本的な枠組みであるということをいただいているところでございます。企画特別部会におきまして今後のカリキュラム・マネジメントと総則の構造について御議論いただきましたところ、今後の総則の構造の在り方ということについては、それ自体がカリキュラム・マネジメントの構造とひとしくなるということで考えていくべきではないかという御指摘を頂いたところでございます。
  そういったことを踏まえまして、資料3-1の2枚目をごらんいただければと存じます。そうした御指摘を踏まえますと、今後の各学校のカリキュラム・マネジメントというのは、まさに子供たちが何ができるようになるかということを見据えながら、何を学ぶか、どのように学ぶかをしっかり構成していくことを各学校に求めていくと。そうしたことが各学校ができるようになるということがカリキュラム・マネジメントであるというふうな捉え方をしていく必要があるということであろうと考えております。したがいまして、2ページ目のような構造ということを各学校が実現していただくために、そのための参考となる総則というような構造にしていくことが求められるのではないかということでございます。
  青字の部分が各学校がカリキュラム・マネジメントの際にしっかりと押さえるべき視点、何ができるようになるか、そのために何をどのように学ぶか、そして学んだ成果として何が身に付いたのか、そしてそれらを実現するために一番下の枠でございますけれども、実施するために何が必要か、そして全体にわたって個々の子供たちの発達をどのように支援していくか、この構造をしっかりと押さえてカリキュラム・マネジメントをしていただく必要があるということ。それを総則の構造としても見せていく必要があるのではないかということでございます。
  ここに第1、第2と書いてございますのは、総則の章立てでございます。
  資料3-2をごらんいただけますでしょうか。1枚目は現行の指導要領の構造でございますけれども、2枚目が現在、小学校部会でも御議論いただいております、今後、総則の構造をどのように考えていくべきかということでございます。青囲みで何ができるようになるか、何を学ぶかというところが先ほどの資料3-1の2枚目の構造と重なる部分でございますけれども、先ほどの構造をイメージしながら総則の構造を考えていってはどうかというたたき台でございます。
  第1の部分は教育目標ということで何ができるようになるかということ、そして、その中で何を学ぶかということが第2の教育課程の内容の構成ということ、そして、それをどのように学ぶかということが具体の指導案の作成なり、その中で子供たちにどのような学習活動、主体的・対話的で深いというアクティブ・ラーニングの視点も踏まえながら、子供たちにどのような学習活動を行わせていくか、実現していくかということ。そして、その成果として何が身に付いたのかという学習評価ということが重要であるということ。そして、その全ての課程において個々の生徒の発達をどのように支援していくかという特別な配慮を必要とする児童への指導でありますとか、少し第5の方に係ってしまっておりますけれども、第5の1にございますようなキャリア教育、進路指導、生徒指導ということも、その対象となる子供たちがどのように成長していくかという視点でいま一度捉え直しながら位置付けていく必要があるのではないかということ。そして、それらを実現するために何が必要かということで、家庭や地域との連携・協働ということを位置付けていってはどうかということで、こうしたカリキュラム・マネジメントの全体の構造と総則の構造ということを照らし合わせながら構成していってはどうかということでございます。もちろん、一部、少し重なり合う部分もございますので、これは具体的に学校の先生方が教育課程なり指導案を構成していくときに分かりやすいような構成ということを考えていく必要があるのではないかということでございます。
  中学校、高校についても同様の考え方でございまして、資料3-3をごらんいただきますと、中学校について、小学校と同じ視点で構造を整理させていただいております。中学校教育、何ができるようになるかということから目標の構造、何を学ぶかという教育課程の編成の構造、どのように学ぶか、何が身に付いたかという第3の部分、そして個々の生徒の発達をどのように支援するかという第4及び第5の1の部分、そして実施するために何が必要かという部分でございます。
  資料3-4につきましては高等学校でございます。これにつきましても同様に整理をさせていただいているところでございます。
  本日はカリキュラム・マネジメントの考え方に基づいて、このような構造で示していくというような全体的な構造の在り方、それからそれぞれの章に位置付けられている個々の項目の在り方について御議論いただければと思います。例えば、先ほどの資料3-2の2枚目に戻っていただきますと、例えば第1の2の部分ですね、豊かな心、今、道徳教育を書かれておりますけれども、豊かな情操ということも記していくべきではないかということをこれまで部会で御議論、御指摘を頂いたところでございます。また、カリキュラム・マネジメントは小学校部会での議論では、第2のところの位置付けでございましたけれども、カリキュラム・マネジメントということが第2の部分のみならず、第3、第4、第5も含めて全体を視野に入れながらしっかりとマネジメントしていくということであるとすれば、むしろ、第1の4として位置付けるべきではないかということで、事務局案として仮にここに置かせていただいているところでございます。また、第2の中の構想、第3の部分、それから第4、第5――第5につきましては、少しカリキュラム・マネジメントの構造との関係で申し上げますと、個々の生徒の発達を支援する部分と実施のために必要な体制整備の部分が少し混ざって書かれておりますけれども、こうしたところの整理の在り方、具体的な内容、そして全体にわたってこうした点も記載すべきではないかというようなアドバイスもありましたら、是非、お寄せいただければと考えているところでございます。
  第1の議題につきまして、事務局からは以上でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  先ほど申し上げましたように、本日、二つ、御議論をお願いするということで、今、それに関わって一つ目の御説明いただいたわけですけれども、およそ時間的な配分としてはこんなふうにさせていただければと思いますので、よろしくお願いします。今の一つ目のところをおよそこれから60分前後ぐらいをかけさせていただいて御意見をお願いできればと。それからもう一つ、残りのということで、およそ40分前後ぐらいの時間になるかと思いますけれども、こんな時間配分の目検討でお願いできればと思います。
  それで、今、御説明いただきました資料3を中心とした件につきましてですけれども、例によって御意見のある方は名札を立てていただき、私の方から順次、御指名をさせていただきます。また、終わりましたら、名札をもとに戻していただければと思います。
  ということで、どこからでも結構です、御質問、御意見等々、お願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
  それでは、まず鈴木委員からお願いいたします。
【鈴木委員】    質問です。小・中・高、全部ですけれども、2枚目の第3の2、学習評価を通じた学習指導の改善、そこの真ん中やや下に※印、各教科等の観点は示さない、これはどういう意味でしょうか。
【天笠主査】    お願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。
  先ほど少し国語の例で見ていただきましたように、各教科ワーキングでは具体的な観点別評価の観点の在り方ということを御提示いただくわけでありますけれども、その具体的な観点別評価の観点そのものを指導要領にそのまま書いていくというわけではないということの趣旨でございます。
【天笠主査】    その件について、鈴木委員、何かありますか。よろしいですか。
【鈴木委員】    いいです。
【天笠主査】    それでは、次、お願いいたします。
【野津委員】    資料3の一連のものに関して、現行の特にその他の配慮のところに関して、構造的な目次作りができていて、とても分かりやすくなったと思っております。その上で幾つか御質問と意見です。
  資料3-1の何ができるようになるかの上の思考力・判断力・表現力等の育成のところで、未知の状況にも対応できるという表現がちょっと言い過ぎのような気もするんですが、いかがでしょう。未知に対してできると言ってしまいますと、評価が非常に難しい話で、新しい状況に対応できるんだったらまだ行けるような気がしますし、あるいは未知の状況をどうしても使うんであれば、未知の状況にも対応可能な思考力・判断力とか、少し言い方の工夫も必要なのかなということが1点。
  それから、二つ目に社会に開かれた教育課程の真ん中の枠の必要な知識や力を育むという、この力は何を指しているのか。これまで資質・能力というような表現をしてきているのとはまた別に、何かを意味している力なのか。できるだけいろんな表現をするというのは避けた方が現場は混乱しない。どうしても力という表現が必要なのか。
  それから、三つ目としまして、右下のアクティブ・ラーニングの欄ですけれども、ここに新しい時代に求められる資質・能力を育成というフレーズが出てきて、先ほど少し述べたことと表現が似てくるわけですが、その下の知識の力を削減せずというのはどういうことなのか。
  あと、資料3-3の中学校のところあたりの第4の特別な配慮を必要とする生徒への指導のところの1の障害のある生徒への指導という、ここで書き込む内容についての確認ですけれども、これは性同一性障害とかアレルギーとか、そういったような障害というのも内容として書き込むのかどうか。
  それから、二つ目の海外から帰国した生徒等の等なんですが、これは帰国生徒のみならず、海外からの外国籍の子供たちが多くなってきており、学校内の国際化が進んでいるというような言い方もされたりするわけですが、その等のところにはそうした生徒のことも視野に入れてここの内容として書き込むのかどうか、是非、書き込んだ方がいいという意見です。
  以上です。
【天笠主査】    そうしますと、今のは御質問と御意見とが一体となって御発言いただいたというふうに理解いたしましたけれども、事務の方に回答を求めるようなことというのは、この点としてどうだというふうなこと、確認の意味も込めていかがでしょうか。
【野津委員】    今、コメントが頂けるのであれば、少しコメントを頂きたいと思います。特になければ、それを踏まえて今後、御検討していただければ。
【天笠主査】    という趣旨で今、御発言ですけれども、いかがでしょう。
【大杉教育課程企画室長】    まず、修正から申し上げますと、資料3-1の右下の知識の力というのは知識の量でございます。大変失礼いたしました。知識の量を削減せずということでございます。
  その際に、併せて参考資料3を少し先に流れの中で御紹介させていただきます。後ろの方に参考資料3というものをつけさせていただいておりますけれども、先日、馳大臣からメッセージとして発信させていただいたものでございます。大臣就任半年の節目であるということ、また、中教審の議論も本部会も含めて取りまとめの段階に入ってきているということ、そうした中で、アクティブ・ラーニングということが、ともすれば知識の量を軽視して活動を増やすというような文脈で捉えられるのではないかという一部の懸念があるということを踏まえて、今回目指す改訂の方向性、もう既に論点整理、あるいは各ワーキングでこの方向で御議論いただいていることを改めて確認をさせていただいたものでございます。
  参考資料3の1枚目は、本部会も含めて議論の状況をまとめさせていただいたもので、2枚目が学習指導要領改訂のポイントということでございます。簡単に申し上げれば、アクティブ・ラーニングということが生きて働く知識ということを含めた資質・能力を育むための学習過程の質的改善であるので、学習内容を削減して活動を増やすということではないということ。一部、高校教育については、例えば歴史、生物といった少し用語が膨大になっていて、そこはしっかり構造化して、何を教えるかということをしっかり重点化、構造化していくものがあるということは間違いないわけでございますけれども、そうしたことも、量をないがしろにするということではなくて、知識の構造ということをしっかり捉えていくということでございますので、知識ということを軽視するということではないということ、学習過程を質的に改善していく営みであるということを確認させていただきながら、次のページにございますようなそれに必要な指導体制の整備、教員の質の向上というようなことをセットで出させていただいたところでございます。
  ここの文脈で少し強調する必要があったのは、資質・能力ということがいわゆる少し汎用的な思考力ということだけを今回捉えているのではなくて、その中で知識ということもしっかり構造として押さえて育んでいくということを目指しているのだということでございます。
  その上で、先ほどの御質問の資料3-1に戻させていただきますと、そうした中で資質・能力という中に知識ということがしっかりと構造として押さえられているのだということを世の中に説明していく際には、この中教審の議論の中では当然の前提となっているわけでございますけれども、少し分かりやすく示していく必要があるということで、先ほどの真ん中のところは、知識や力ということは、これはともに資質・能力の構成要素ということでございますけれども、あえて今の段階ではこのように書かせていただいている。言葉の整理はしっかりとしていく必要がありますので、引き続き御議論を賜ればと思います。
  それから、未知の状況にも対応できるというのは、先ほどの強靱化ということも含めて、様々な社会の変化、先を読むことが難しいという中で、そうした中でもたくましくしなやかに対応できていくための思考力・判断力・表現力という文脈の中で少し使わせていただいておりますけれども、これも引き続き御意見を頂ければと思っているところでございます。
  先ほどの総則の構造関係でコメントいただいたことに関しましては、引き続き御議論いただきながら整理をさせていただければと思っております。
  以上です。
【天笠主査】    よろしいですか。
【野津委員】    はい、ありがとうございます。
【天笠主査】    じゃあ、高岡委員、その後、渡瀬委員ということで、高岡委員、お願いします。
【高岡委員】    ありがとうございます。三つほどございますが、一つは感想です。あと二つは質問をちょっとさせていただきたいと思います。
  これまでの現行の構成からかなり大きな変更が、これは期待もされていたでしょうし、そのようになるという姿を今、こうやって見せていただくと、明らかにこれまでと違う内容であることはよく分かります。私なりに解釈をしますと、これまでの総則編というのは、各教科単位、あるいは領域単位で固めてきたものが総則にまとまっている、下からではないんでしょうけれども、積み上げの概要の中身だったかと思うんですが、今回は逆に理念がここに書いてあって、あと各教科なり、指導領域なりがそれにぶら下がっている構造かなと思うんですね。そうすると、学校の現場の先生方がどうこれを読み解くかということ、私自身も現場をよく知っているわけではないのでよく分からないところがあるんですが、やはり総則編を読み解くための相当の事前の研修というんですかね、ここがどう展開できるかというのが具体的に重要な次の課題になってくるんじゃないかという感想を持ちました。どうでもいいことですが。
  あと、質問二つですけれども、資料3-1で、表のページには右下にアクティブ・ラーニングの視点からの学習過程の改善と明確に出てくるわけですけれども、それが具体的な2や3、4という、資料の2枚目のいわゆる目次の中にはアクティブ・ラーニングという表現がなくなりますね。これは例えば編成じゃないですから、第3ぐらいのところになるんですかね、あるいは総則第1、基本のところと3のところに出てくるのか。アクティブ・ラーニングという言葉とその概念をどこでどんなふうにきちんと説明するかということが2枚目の資料の中で今の段階でどのように理解されているのか、それを一つ教えていただきたいと思います。
  それから、もう1点は、前回も、当然、ここはあるわけですけれども、知徳体といったときの体の部分ですね、この体の部分について、健やかな体という基本の2の中ポツ三つ目に出てくる、この健やかな体という育成目標、この概念は、もちろん、保健体育というところの教科に全部委ねられるわけではないわけでしょうから、学校教育全体の目標ということになるんだろうと思いますけれども、そのことと、資料3-1の2ページの第5の2ですね、家庭・地域との連携、ここに踏み込む中身なのか、それはちょっと違うだろうと、学校における教育目標というふうに押さえるのか、その点はいかがでしょうか、二つ質問させてください。
【天笠主査】    どうでしょうか、アクティブ・ラーニングの位置付けというか、説明を含めてどうかというのが1点だと思います。それから、家庭、あるいは学校との関係というんでしょうか、それについてどうかというのがあると。いかがでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】    資料3-2がまだまだ精査されておらずに申し訳ないんですけれども、資料3-2の2枚目で申し上げますと、第3の1の(1)の下に見方・考え方を働かせた学習指導とございますけれども、これは主体的・対話的で深い学び、アクティブ・ラーニングの趣旨とその実現ということをしっかり整理していくということでございます。それは各教科の指導案の中でしっかりと考えていただく必要があるということで、指導案の作成ということと密接に絡めながら、ここでしっかり書いていくということになろうかと思います。
  それから、健やかな体、これは健やかな体のみならず、豊かな心も学力もでございますけれども、あくまで学校教育目標ということで書かれるということ、そして家庭・地域との連携・協働ということについては二つの側面があるのかなと思いますけれども、一つは学校教育の充実にしっかりと連携・協働していただくということ、そして、中学校部会でも御議論いただいておりますけれども、そういった学校教育の充実ということが家庭教育の充実ということにどのようにつながっていくのかというような視点も少し併せ持っていくこと。直接的に家庭教育そのものをここに書くということでは恐らくないのではないかと思いますけれども、家庭教育の充実ということに学校がどのような役割を果たしながら進んでいくのかということは少し整理をしながら、ここに何を記していくのかを考えていく必要があるかなというような御議論を先日、中学校部会でもしていただいたところでございます。学校が何ができるのかと言ってしまうと、少し位置付けがどうなのかなという御議論もいただいておりまして、そこの関係性は少し丁寧に考えて整理していく必要があるのではないかというような御議論も少しいただいているところでございます。
  以上です。
【天笠主査】    よろしいでしょうか。
  それでは、渡瀬委員、お願いいたします。
【渡瀬委員】    はい、お願いいたします。今から申し上げることは、以前、どこかの部会でもそういう御意見があったと記憶しております。それに賛同しながら、少し具体的にお話しさせていただきます。
  今回の学習指導要領の改訂に当たっては、幼稚園、保育園から高等学校までの全体で育てるべき資質・能力を明確にして、その上で小学校なら小学校、中学校なら中学校が担当すべきことを明らかにするということが大前提だと思います。幼稚園、保育園から高等学校までの全体で育てるべきものは何かということについて、この総則では前文ではなくて、やっぱり本文の冒頭でそれを述べる必要があるのではないかと思います。そう考えると、それがこの第1の中に入って、第1は「小学校教育の基本」というタイトルではなく、ここが「学校教育の基本」ですとか、そのようなタイトルになるとよいと思います。そして、この第1の中の3、4の部分あたりを第2として「小学校教育の基本」とした方が分かりやすいのではないかと思います。やはり総則の第1が「小学校教育の基本」となっていると、そこを見た瞬間に、小学校のことだけを考えて、これを読んでしまうような気がするんですね。最初の項目にK-12、全体を見てこうだというふうな項目が出ていて、それを読んだ上で、だから小学校はこうなんだという2段階を踏んだ方が、ここは今回の学習指導要領改訂の趣旨を反映させることができるのではないかと思います。
【天笠主査】    それでは、次、宍戸委員にお願いいたします。
【宍戸委員】    これまでも述べたかもしれませんけれども、確認しつつお願いをするということで、特別支援学級と通級による指導の教育課程についてお話をさせていただきます。
  現在、小中学校における特別支援学級や通級による指導に係る教育課程につきましては、学校教育法施行規則や文部科学省の告示などで特別な教育課程によることができるというふうに規定されています。ですから、現在、小学校の学習指導要領には書いておりませんので、解説の方で特別な教育課程というのはこういうふうな手続をとってしますよというふうに書いてあるんですが、なかなかそこまで見ていただくことが浸透していないということがあって、校長先生や特別支援学級を担当していない一般の先生方にとっては分かりにくいということがございます。
  今、申し上げたように、施行規則、告示、学習指導要領、解説と、この四つの段階でどういうふうにすみ分けて説明するかということをこれから御検討いただくことになるかと思いますが、今回、現在の学習指導要領の構造を刷新するというか、一つの教育の考え方を明確にするという意味で、新しい項立てで整備されております。特別な配慮を必要とする児童への指導という一つの項目を設けてもらうということは、これは障害者権利条約の批准を踏まえて、様々な配慮が必要な子供たちに対する指導を十分に行うということで、とてもありがたいことだと思っておりますが、教育課程の編成、あるいは実施というカリキュラム・マネジメントにつきましては、恐らくここではないと思いますので、第2とか第3というところで特別支援学級や通級による指導の特別な教育課程の編成についても何らか触れていただければ、それをまた解説等で再度細かく説明するということにもつながっていくし、理解が進むのではないかなと思います。
  併せて、現在、特別支援教育部会の方では小学校と特別支援学校の教育課程の連続性、接続についても考えています。特に小中学校の教科と知的障害の教科との連続性について検討したりしております。これはどうしてかといいますと、特別支援学級と通常の学級の教育課程の連続性にも影響してきます。開かれた教育課程ということで考えていきますと、通常の学級の教科と特別支援学級、特に知的の学級の教科の連続性をどういうふうに捉えていただくか、それを踏まえて教育課程を編成していただくということがある意味、一人一人の子供に合った教育課程、十分な力を育てるということに役立つのではないかなと思いますので、特別支援学級の教育課程の編成、カリキュラム・マネジメントについても、こういう視点からもどこかに触れていただけるようなことをお願いできるとありがたいと考えております。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、藤田委員、お願いいたします。
【藤田委員】    それでは、失礼いたします。感想を1点と感じたこと、意見が3点ございます。
  まず感想でございますが、資料3-1の2枚目、先ほど室長から御説明がございましたように、各学校が責任を持ってカリキュラム・マネジメントを行うんだと。その前提として、参考資料として総則を使ってもらいたい。そのカリキュラム・マネジメントはこのような視点ですることを想定して総則が組み立てられているんだ。これは非常に強力なクリアなメッセージで、これまでも各学校ではそうあるべきだった事柄ですけれども、どうしても学習指導要領の総則をカリキュラム・マネジメントの参考資料だというふうにきちんと位置付けられ得なかった。それを大きくクリアしていく、超えていく位置付けだなと感じました。強く賛同する次第です。これが感想でございます。
  意見三つでございますけれども、1点目は、実は高岡委員と全く同じことでございまして、アクティブ・ラーニングがこれだけ全面に出てきながら、また、それと学習の量であるとか、それから手段としてのアクティブ・ラーニングであるとか、この部会でも議論を続けきたところであるにも関わらず、資料3-2、3-3、3-4の2枚目にそれが見えてこないのは、やはりもったいないのではないか、私も全く同じことを申し上げようと思いました。繰り返しになりますが、2人から出てくるということは、多分、それだけの意味があるんだということでお聞きいただければと思います。
  2番目でございますが、これは渡瀬委員も御指摘になったところと関連しますけれども、地域社会との連携、言葉を変えれば横の連携ということですが、縦の接続についての指摘というのが、今回、資料3-2、3-3、3-4の2枚目からはそれほど強く見てとることができない。もちろん、高等学校の資料3-4ですと、第3款の1、(2)に学習の遅れがちな生徒などへの配慮というのがあるわけですけれども、学校段階を超えてどのように学校間のカリキュラムの接続を図っていくのかということは、小学校・中学校・高等学校共通して重要な課題だと思いますので、特にそういったことを見越して、上級学校への学びをどう見越して先生方が授業を組み立てていくのかということも今後、重要な課題になってくるかと思います。そういった意味では、学校間の縦の接続ということについての項目が、もちろん、小さな項目でいいと思うんですけれども、どこかに必要であると感じました。これが第2点目でございます。
  3点目でございますけれども、これはこれから議論が進むところかと思いますので、きょうはまだ詳細な資料も御提示になられていないので、これからだと理解をするわけですが、キャリア教育の立場から、資料3-2、3-3、3-4の2枚目、高校ですと第5款と書いてあるところですね、小学校、中学校ですと5と書いてあるところですが、小学校ではキャリア教育の充実という言葉、中学校の資料3-3では進路指導(キャリア教育)の充実、そして資料3-4の2枚目の高等学校の第5款の1ではキャリア教育の推進(計画的、組織的な進路指導)となっております。もちろん、小学校には進路指導という教育活動がもともとないものですから、小学校はこれしか方法論として選ぶことができないわけですが、中学、高校は同じ進路指導という教育活動を戦後ずっと続けてきたわけですから、ここで表現ぶりが変わってしまうということについては是非、御検討を賜りたいと思います。
  その際、これまでもキャリア教育の手引等でも、あるいは平成23年の中教審でも指摘してございますように、キャリア教育と進路指導、目指すところはほぼ同じだと、理念としては変わりないんだ、そういうことを繰り返し主張してあったかと理解しております。また、キャリア教育が提唱される前も、在り方、生き方の指導であるというふうに進路指導を解説してきたところも私の記憶の中では鮮明にございます。そういった意味では、キャリア教育と進路指導の狙いが一緒であるということを改めて確認し、それをこれまでの用語としての進路指導をどう扱っていくのかという議論とともに、この第5の1のところのキャリア教育、進路指導につきましては、是非、御検討賜りたいというお願いがございます。前回はキャリア教育の下に進路指導ということがあって、今回、一つにまとまってきたわけですが、一つにまとまっていくことは望ましい方向だと思っております。これまでも狙いが一緒であるというふうに説明してきた以上、キャリア教育と進路指導が別立てになるということは混乱を招くと思いますが、一緒にするとき、どのように一緒にしていくのか、法令用語としての進路指導という言葉、あるいは学校への定着、そういったことも視野に入れながら、また、キャリア教育との一体性を同時に示していく在り方について、是非、御検討いただけたらと思います。
  以上でございます。
【天笠主査】    はい、よろしくお願いいたします。
  ちょっと藤田委員に今の御発言についての御質問を私の方からさせていただいてよろしいですか。
【藤田委員】    はい。
【天笠主査】    大変ポイントをついた御発言だったかなと思いまして、私も同意するところはたくさんありました。例えば、その中で縦の接続ということについて御発言がありましたけれども、きょう出てきた資料3-2、3-3、3-4、それぞれ小中学校の構成ですね、というふうに見ると、例えば第2の教育課程の編成のところに学校段階間の接続というふうな、こういうことで、小学校の場合ですと、幼・小とか、あるいは小学校と中学校という、御承知のようにこういう記述でありますね。藤田委員の御発言の趣旨からしますと、これではちょっとまだ物足りないんじゃないかとか、あるいはもう少しこれについてはこういうふうに重ねていったら、あるいはもっとこんな形があったら、もしそういうふうなお考えがありましたら、御発言を加えていただければということと、それから重ねてなんですけれども、隣のページには第5に学習活動の充実のための基盤ということで、そこでキャリア教育の充実等々が小学校・中学校・高等学校それぞれにこういう形で記述されて置かれているわけですけれども、御発言の趣旨からすると、このあたりのところについては、もっとこういうことに踏み込んでいったらいいんじゃないかとか、あるいはもう少しこのあたりのところは少し装いを変えてとか、位置付けを変えて言及する必要があるんじゃないかとか、その辺のところのお考えがあったらということですけれども、併せて小・中・高でその上に学級経営の充実というところがさりげなく載っているんですけれども、このあたりのところについて、関連して何か御発言等々がありましたらお願いできればと思うんですけれども、3点、御質問させていただきましたけれども、いかがでしょうか。
【藤田委員】    ありがとうございます。
  1点目につきましては、教育課程の編成の2のところで、学校段階間の接続というのがあるんですけれども、拝見いたしますと、小中学校間の接続と義務教育学校、あるいは高等学校では中学校、高等学校の接続と中等教育学校――学校のシステムとしての説明の傾きが私は感じました。ですので、イメージとして私が申し上げたのは、どのように学ぶかというところ、特に第3の中で、先ほどカリキュラム・マネジメントの話がございましたけれども、同じ並びで、各先生方が日常の指導の中で学びのつながりをどう理解していくのか。それは学校というふうに大きなシステムではなくても、次の学年へのつながりであるとか、関連する単元であるとか、そういったものが便宜的に6・3・3で区切っていますけれども、それぞれの教科の中では系統があるわけですので、学校段階を超えた学びの系統性をどう保障していくのか、そういうふうな視点がこの第3のところに私は必要ではないかと思った次第です。これが1点目です。
  2点目ですけれども、キャリア教育についてですけれども、これはこれからの法制度がどう変わってくるのかにもよって、多分、大きく書きぶりは変わってくるんではないかと思います。私は全く情報はキャッチしておりませんけれども、昨年2月の毎日新聞で、昨年の段階で国会会期中にキャリア教育推進法が自民党から議員立法という形で提示されるという報道がございました。その後の報道は、私、見落としているかもしれませんけれども、キャッチしておりません。もしそういったキャリア教育推進法ということがこれから成立するのであれば、まさにキャリア教育を全面に出しつつ、また、これまでの学校教育法その他の法令用語としての進路指導との関連性を保持する意図から、例えばですけれども、キャリア教育(進路指導)というふうな書き方が今後望まれますし、また、これまでの説明、キャリア教育と進路指導の理念は同じだと言ってきたこととの整合性もとれてくるのかな、そんなことを感じた次第です。これが第2点目でございます。
  第3点目の学級経営ですけれども、これは特別活動などでは常に指摘され、また、天笠先生等も御指摘になられているところでございますが、学級経営こそ、学級集団の形成こそが学習指導、あるいは学習活動の基盤になっていく、そういうふうな関係性かと思いますので、学級経営が学習活動の充実のための基盤となるのは、まさに私は的を射ている、そういうふうなものとして個人的には受けとめております。
  以上でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  今の件に関してでも結構ですし、また、別の立場からの御発言でも結構ですけれども、市川委員。
【市川主査代理】    どうぞ。
【天笠主査】    いいですか。じゃあ、鈴木委員、それから竹原委員、そして市川委員という順でお願いしたいと思います。
【鈴木委員】    今の議論と関係いたします。
  まず、今回の学習指導要領の改訂に関しては、当初から横の構造化と縦の構造化――今、縦の構造化が議論になっておりましたが、縦の構造化の中でも思考力・判断力・表現力の構造化がこれまで一番遅れてきた。英語で言うと、最近、それをパフォーマンス・スタンダードと申しますけれども、そのパフォーマンス・スタンダードの構造化が我が国の学習指導要領では非常に不足してきた。イギリスみたいに14歳が終わる段階まで、小学校からレベル1から8までばーっと並んでいれば、どんなふうに育てるかというのが一目瞭然なんですけれども、我が国の場合はそういうものがなかったと。ですから、それを小学校段階で細切れに示すのか、中学校段階、高等学校段階もありますけれども、それぞれ三つに分けて示した方がいいのか、それとも一回、全体構造をばーっと示した方がいいのか、そこは十分考えなきゃいけないんじゃないか。少なくとも、そういう構造化が分かるようにしなければいけないと。
  横の構造化ももう一つの論点で、例えば資料3-2、2枚目はちょっと分かりにくいので、表紙のところで言いますと、教科等各教科等の本質的意義と教育課程の総体的構造と横断的に規制すべき資質・能力と教科等間の関係、これの二つがアクティブ・ラーニングと並んで横の構造化として、今回の教育課程の改訂の一つの目玉ではないか。ですから、この総体的構造の中身がなかなか、今、ここで議論が出ているのは結構なんですけれども、この中身を検討しないといけないんではないか。
  それから、最初に高岡委員がおっしゃったと思うんですが、学校の教員に分かりやすくするためには図にしないと、文章ではなくて図にして一目瞭然にした方がいいと思います。
【天笠主査】    はい、どうもありがとうございました。
  続きまして、竹原委員、お願いいたします。
【竹原委員】    今、図にしないととおっしゃいましたけれども、私は資料3-1の2枚目の図、これはとても分かりやすいと思います。こういうことがあれば、先生方も腑に落ちるというか、今、自分がやっていることはどういうことかということで見えてくるのではないかと思います。
  その中で、一つ、引っかかっていますのが、家庭・地域との連携ということですが、実は地域といいましても、地域コミュニティー、小さな中学校区や小学校区を指すこともありますが、社会総がかりで子供に関わる、カリキュラムによってはキャリア教育など、企業や社会の様々なリソースを使って育てていくという視点がここに含まれるのだったら、もう少し書き方があるのではないかと思いました。
  それから、もう一つ、12月に出ました三つの答申、特に地域との連携・協働と、チームとしての学校で議論されたのは、連携だけではなく、協働的に子供を育てる、協働的に大人がつながるということです。この図の中にも協働・連携ということを入れられたらと思いました。
  なぜこだわるかと申しますと、先生方と一緒に学校に関わっておりますと、地域の力、、企業が持っている力は活用するものであり、補完するもののように扱われています。ともに子供を育てるパートナーとして位置付けられていることは少ないんですね。  そのようなとき、地域も学んで、今の学校はどうなっているのか、教科がどういうふうに組み立てられているのか理解する必要があります。そのために、地域も学んでいきたいと思いますし、教職員の方も今までとは違い、地域とパートナーとして動けるよう、総則にも具体的な明確な記述があればと思います。子供の学びにつながる大人の協働的な動きが、今度の総則に分かりやすく図解や文章で入っていたらと思います。
【天笠主査】    竹原委員、今の御発言というのは大変大切な御指摘をされたんじゃないかと思うんですけれども、そういう御立場からしたときに、資料3-2、あるいは3-3、3-4でもよろしいんですけれども、2枚目ですね、こういう形で第1から第6まで出てきていて、今の御発言は、この柱立てでいくと、比較的、第5の2の部分に当たりそうかなというふうに照らし合わせながら聞かせていただいんですけれども、そう御発言した御立場からすると、例えば5の2のこういう位置付けでよろしいのかどうなのか、あるいはここではこういう項目が三つ出てきていますけれども、こういう視点から項目として設けたらいかがかとか、例えばもし何かお考えがありましたらお聞かせいただければと思うんですけれども。
【竹原委員】    聞いていただいてよかったと思います。5の2に家庭・地域との連携と書いてありまた、黒ポチで家庭や地域との連携と書いてあって、何でこんなにあっさりと書いてあるんだろうと思いましたがこれから作り込むのだろうと読ませていただいておりました。具体的には障害のある児童生徒たちとの交流、共同学習、それから高齢者との交流の機会というふうに書いてある中で、地域人材や企業等様々なリソースを組み入れていくということを明確に書くか、その項目を工夫しなければいけないと思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、市川主査代理、お願いいたします。
【市川主査代理】    今、ちょうど竹原委員がおっしゃったことと先ほど渡瀬委員がおっしゃったこととも関係するんですけれども、先ほど渡瀬委員はいきなり第1として小学校教育の基本というところから入るより、学校教育とはそもそもどういうものかという大きなところから入って、その中で小学校の位置付けということに進んでいった方がいいのではないかといった御意見で、私も全く賛成なんですが、私はむしろ、もっと大きく、今、竹原委員がおっしゃったようなことを考えますと、前文か、あるいは最初の方の章で社会総がかりで子供を育てていくのだという理念を大きく打ち上げて、その中で学校教育は何を担うのか、そしてその中で小学校は何をするのかというふうに進めた方がいいのではないかと思っています。ですから、5の2というかなり後ろの方でちょこっとというのは、学校教育のために地域とも連携します、企業とも連携します、それは学校教育のために連携して支援を仰ぎますというような位置付けに見えてしまうのですが、もともと最初に社会総がかりで子供を育てていくという、そこの理念は前の方で、むしろ、トップあたりに位置付けていただけるといいのではないかなと思いました。これが1点です。
  それから、第2点なんですが、社会で子供を育てるというのは、それは今、申し上げたことなんですけれども、最終的には子供たちが一人一人、主体的・自立的に学習を進めるということを一方では目指しているわけですね。学校の中でも、確かに授業の中で学ぶということはあるんですが、子供は学校の教育課程の内容を習得するのに、決して授業の中だけで学習して全てを身に付けているわけではありません。当然、家庭学習――家庭学習といっても、中学、高校ともなると、親がそんなに助けてくれるわけではないので、要するに独りで学ぶ。独りで学ぶにはどうやったらいいのか、あるいは友達と相談しながら図書館で勉強するなんてこともあると思います。そういうときに、誰とどうやって学んでいくのか、そういうことの基本を身に付けるのが授業であって、実際にはかなりの時間を割いて自主的・自立的に学んでいく。むしろ、そういう子供を育てていかないといけないということになったときに、2番目に――私の2番目の柱なんですけど、主体的・自立的な学習者を育てるということはどこかに入れていただけるといいかなと思っています。これが1980年代から自己教育力を育てるというようなことからの流れにもなっていますし、学び方を身に付けるというようなことも今の資質・能力の一つに入っています。ですから、それはどこかに位置付けていただけるといいなと。
  それと関連して、先ほどアクティブ・ラーニングを入れたら時間が足りなくなるから、その分、内容を減らさざるを得なくなるのではないかという御意見があったと。これは学校の先生でもそう思っていらっしゃる方はたくさんいるんじゃないかと思うんですよね。活動の時間を増やすんだから、その分、教える内容は削減しなきゃいけないんじゃないかと。ところが、一方、馳文部科学大臣も内容は減らさない、量は減らさない、そんなことができるのかという疑問を持つ方はいっぱいいると思うのですが、私は実はできると思っているんですね。今の内容をキープしながら、アクティブ・ラーニングも入れている。実際にそういうことをやっているところはある。教科書以上の内容をちゃんと教えているところもある。何でそんな一見、魔法のようなことができるのかといえば、やっぱり自立的・自立的に予習や復習をするような子供を育てているからということが明らかにあると思います。授業の中だけで考えていると、どうしてもアクティブ・ラーニングということと習得すべき内容の量ということがトレードオフのようになってしまうと思いますけれども、予習、復習ということを余り教育課程、カリキュラムそのものには入れられないかもしれませんが、実際の指導では当然行われていることで、学年が上がるにつれて、やっぱり難しい教科については5分でも10分でも予習をしてくるとか、定着させるためは、やっぱり先生も宿題を出すというようなことはやっている。そういうことをやりながら、むしろ、授業の中ではアクティブ・ラーニングをすることによって、より理解も深まる。まさに深い学びになるし、定着もよくなるということを実際には実現しているところもたくさんあります。
  ですから、そういう意味では、少し余計なことも申し上げたかもしれませんけれども、主体的・自立的な学習者を育てるということの一環として言っているわけです。そういうことがちゃんと目指されていれば、子供たちは予習とか復習も入れながら、人と対話的・協働的に関わることも入れながら、ちゃんと今の内容を学びとることができる。そこが理解されないと、今度の指導要領は随分無理を言っているように受けとられてしまうおそれがあるということですね。
  それから3番目ですが、教員の研修についてです。特に校内研修の在り方なんですが、これまでの分科会でもよく校内研修もアクティブ・ラーニング型にするべきだという話が出ました。実際にはワークショップ型研修という名前でかなりやられているところもあって、私の見た限りでは、非常に効果的、先生方が全員参加で意見を言い合って、かなり授業の改善を、学校が自立的にやっていけるような体制ができている。その校内研修による教育課程の改善とか充実、これはカリキュラム・マネジメントの一種なのかもしれませんが、これをどこかにやっぱり入れていただきたいなという気がしています。1の4のカリキュラム・マネジメントのところに入るのか、事業後の検討会までここに入るのかどうか私はよく分かりません。あるいは、第5のところですね、学習活動の充実のための基盤、これを学習活動のというと、子供の話だけに見えてしまうと思うんですが、この第5をもうちょっと広く、教育課程の改善のための基盤とかいうふうにしてくれれば、ここに校内研修の話が入ってもおかしくはない。そこで、要するにこれまでの一部の人だけが意見を言う協議会とか、あるいは講師を呼んでお話を聞くだけの校内研修というのではなくて、教科を超えて、特に小学校高学年、中学校、高校となると、内容的な専門性もだんだん高くなってくるんですけれども、それでも全員参加できるような校内研修の在り方の改善というようなことをどこかに入れていただければいいと思っています。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは、高岡委員、お願いいたします。
【高岡委員】    済みません、時間をとるばっかりかなと思いながら、思わず手が名札に触ったんですけど、実はあんまり大したことじゃなく、くだらないことを思い出したんですが、私、十数年前に小さなまちの教育長をやらせてもらったときに、先ほど竹原委員がおっしゃったことに多分触発されたんだと思うんですが、地域との連携ということで、総合的な学習の試行をやろうやということで、学校が一生懸命やり始めた時期のことなんですけど、イカ釣り船に乗っている漁船の船長さんに来てもらって話を聞くというのを小学校が考えました。私も行って聞いたんですが、なかなかおもしろいんですね。臨場感があって、非常にいい話をしてもらって、板子一枚下は地獄だなんていう話で、地獄なんていう言葉を使ったりされておもしろかったんですけれども。
  そこに県の指導主事が見聞に来まして、この実践はゼロであると言ったんですよ。なぜならば、この人を呼んできた教員のこの単元におけるこの人を呼んできた意味が明確でないと言うんですね。つまり、勝手にしゃべらせたと。イカ釣り船の船長さんは勝手にしゃべったものですから、臨場感あふれるおもしろい話になったんだけれども、これは総合的な学習の中の例えば地理的要素でやっているのか、漁獲高の話でやっているのか、漁業という仕事のことでやっているのか、国語でやっているのか、総合的な学習のベースになる教科的知識って何を伝えるつもりだったのかが明確じゃない、こんなことは時間の無駄だと言って帰ったという話がありまして、ああ、これは総合的な学習、厳しいなとそのときに思ったんですね。まさに何でもないくだらない話なんですけどね。
  つまり、学校というところが学校の教育目標と――かつての話だと思うんですが、学校の教育目標、目的、単元の目標、目的というところを切り取って、その中に必要な地域の人材を入れるというふうに言っているうちは、何かができる深い学び、アクティブ・ラーニングってできないと思うんですね。それを実現していくためにはこうではないよという言い方の部分がやっぱりどうしてもどこかに必要になる。つまり、今、市川先生がおっしゃったようなことの否定ではない、こうではないという言い方じゃなくて、もうこう積極的にすべきだという意味でおっしゃった中身だと思ったんですけど、何かそういう言い方で、教師自身が何かができる人間かということもちょっとやっぱり否定的に見ておかないと、何でもできるわけではないわけですね。子供の教育の話になると、何でもできるという前提に立って物事を考えて、その何でもできる中で、教師には全部見えていて、そこに必要な地域人材なり、地域の資料なり、教材なりを持ってくれば、アクティブ・ラーニングも深い学びも実現する。もちろん、この場でそういう議論をされているとは全く思わないし、しかし、学校現場にこの総則がおりた瞬間に、そこが消えてしまいやしないかという、やや不安な感じが非常にして、それで実は市川先生のお話に戻るんですが、研修なんだろうと思うんですよね。そこをどう作っていくかがやっぱり頭のどこかで書いてある方がいいと私も思います。
  市川先生の御意見に賛同するというだけのことで、時間をとりました。失礼しました。
【天笠主査】    はい、どうもありがとうございました。
  一つ目の議題につきましては、そろそろ時間もということなんですけれども、現行の学習指導要領をごらんになっている方はもうお分かりのとおり、それが今回、きょう提示していただいたような、こういう柱立てに今回は組み立てていこうという御提案で、私の目から見ると、これまでは配慮事項がめじろ押しのような状態になっていて、実情、それがうまく扱い切れないような状態にまで配慮事項等々が総則の中でずらーっと並ぶような、そういうことを書いて重ねてきた。それに対して、今回、こういう形である意味で位置付け直す、あるいは整理し直すということであって、その整理をし直す観点というのは、まさにカリキュラム・マネジメントというものの姿、あるいは構造的に示そうという、こういう意図でこれがあったわけで、このあたりのところについて、また、着眼していただいたり、御意見を頂ければということと、従来、配慮事項というのは何が書いてあったかということに当たってなんですけれども、比較的、教育方法ですとか、運営の部分ですとか、そういうところが割と配慮事項という形で位置付けられたわけですけれども、それをきょう、今回提示したような形のこういう組み立て方にしたというのが今回の最大のポイントになるわけなんですけれども、そこら辺のところの位置付けとか価値付けというんでしょうか、あるいは私どもとして申し上げるべき限界の視点というのもまたそこら辺にあるんじゃないかと思うんですけれども、そろそろ時間も限られていますけれども、何か全体を通してでも結構です、この一つ目の議題について、御意見がありましたらお願いできればと思いますけれども。
  奈須委員、途中からということなんですが、よろしいですか。また二つ目の議題のところで、もし1点目のところでお気づきの点がありましたらお願いできればということで、それではとりあえず一つ目については以上ということにさせていただきまして、もう一つの議題でありますとりまとめ文案のイメージについてということで、関係する資料を説明いただき、その後、また皆さんに御意見を頂きたいと思いますので、まず、事務局の方から説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、資料5を中心に、それから先ほどの資料3-1の2枚目も少しごらんいただきながらと思っているんですけれども、直接的にはそれほど関わるということでもないんですが、まず、参考資料の方を少し御説明をしてしまいたいと思います。
  先ほど強靱化の方は御説明をさせていただきました。それから、もう一つ、参考資料4ということで、本日おつけさせていただいております。参考資料4を少しごらんいただければと思いますけれども、G7の倉敷教育大臣会合ということで5月15日に取りまとめられたものでございます。G7の教育大臣が議論を重ねまして、その中で共通に今後、教育が果たすべき役割ということでどういったことを目指していけばいいかということでございます。様々トピックございまして、貧困や失業、難民等々の問題にどのように教育が対応していくのか、文民間の対話、相互理解の促進なども含めて極めて幅広い話題を取り上げていただいております。全体としてはお目通しいただければと思いますけれども、中教審の議論と資質・能力という観点で一つだけ申し上げますと、3ページのところでございます。新しい時代に求められる資質・能力というところでございまして、3ページ目の10ポツにございますけれども、現在、論点整理をベースに御議論いただいている資質・能力の向上ですね、何を知っているか、知っていることをどう使うか、そしてどのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか、この視点を各国共有して考えていくことが必要だということがG7間でも合意をされたということを一言だけ御参考として申し上げたいと思います。
  それでは、資料5に戻っていただければと思います。資料5の取りまとめイメージということで、先ほどごらんいただいたように、各ワーキングの方も取りまとめ文書に入っております。そういったことを踏まえて、総則・評価特別部会としても取りまとめをお願いできればというふうに存じますけれども、まず一つお諮りさせていただきたいのは、総則・評価特別部会、それから小学校部会、中学校部会、高等学校部会、ばらばらというよりは、こういった形で共通の文書としてまとめさせていただいてはどうかということでございます。育成すべき資質・能力の在り方、それからその中で特にカリキュラム・マネジメントが重要であるということは、これらの部会全て共通して現在出てきている事項でございますので、こうした形でそれぞれの部会における議論のいいところをまとめさせていただくという形でいかがかということが一つ目でございます。
  そして、その中でどのような形で取りまとめをしていくかという方向性でございますけれども、一つ目に教育課程の総体的構造の可視化とカリキュラム・マネジメントの実現ということで、先ほどの資料3-1の2枚目のイメージということをしっかりと各学校で持っていただくためにどうしたらいいのかというような全体的な取りまとめという方向性でいかがかということでございます。1ポツの部分は、先ほどの総則の構成で申し上げました、恐らく前文のところにも関わってくるかと思いますけれども、社会に開かれた教育課程を中核として、学校教育の改善・充実の好循環を生み出していくということ、社会総ぐるみで子供たちを育てていくという先ほど御指摘いただいたような視点も含めてというふうに思いますけれども、こういったことの重要性ということを打ち出していってはどうかということ。そして、そのためには先ほどの資料3-1の2枚目の何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶか、何が身に付いたか、個々の子供の発達をどのように支援するか、実践するために何が必要かという観点を各学校が踏まえながら、教育課程を軸として学校教育の改善・充実を図るカリキュラム・マネジメントを行えるようにすることが重要ではないかということ。そして、それを実現するためには三つ目のマルでございますけれども、教育課程の総体的構造を可視化していくことが重要であるということ、特に総則については先ほど御議論いただいたような構造としていくことが重要ではないかということ。そして、このカリキュラム・マネジメントについては、もちろん、園長・校長のリーダーシップのもとではございますけれども、全ての教職員がしっかりと認識しながら行っていくものであるという位置付けを明確にしていくべきではないかというようなことでございます。
  そして、その下の構造は先ほどの観点、何ができるようになるか、何を学ぶか以下の観点ごとに少し内容を整理していってはどうかということ。まず、何ができるようになるかにつきましては、指導要領を踏まえて、各学校が教育目標と育成すべき資質・能力の明確化を図ることが重要ではないか。知識・技能の面は各学校ごとにそれほど大きく異なるということではないかもしれませんけれども、特に学びに向かう力・人間性ということにつきましては、各学校がしっかりと子供の姿や地域の実情を踏まえて明確化していくことが重要ではないかということ。そして、資質・能力の三つの柱の重要性。総則・評価特別部会でも御議論いただきました知識・理解の理解の部分ですね、概念的な知識の重要性なども併せてここで整理してはどうかということでございます。また、資質・能力の三つの柱、各教科でも明確化していただいておりますけれども、それぞれのつながりということも少し触れておく必要があるのではないかということ。それは三つの柱の間ということもそうですし、本日御指摘いただきましたような小・中・高、幼・小・中・高を見通したつながりということもしっかり押さえておく必要があるのではないかということ。そして、先ほどごらんいただきました見方・考え方についても、その意義や役割ということをしっかりと分かりやすく示していく必要があるのではないかということでございます。
  2ページ目、次に何を学ぶかということでございます。各学校が教育課程を資質・能力に基づき編成する際ということで、その留意すべき事項、先ほどの総則の項目の中身にもなってくるわけでございますけれども、あるいは資質・能力を教科横断的に育んでいくものもあるわけでございます。資料4には情報活用能力をつけてございますけれども、情報活用能力のみならず、安全に関わる資質・能力であるとかもろもろあるものについても教科との関係性を分かりやすく示していくことが重要ではないかということ。
  そして、どのように学ぶかということにつきましては指導案の作成と先ほどのアクティブ・ラーニングの視点ということでございます。既に御整理いただいたペーパーももとにしながら、また、言語活動でありますとか体験活動、見通し・振り返り、問題解決的な学習という現行指導要領の総則に載ってございますもろもろの学習活動とアクティブ・ラーニングの視点、主体的・対話的で深い学びということの考え方の整理ということも必要になってくるかというふうに考えられるところでございます。
  5ポツ、何が身に付いたかにつきましては、先ほどの資料1にもございます学習評価、資料1の86ページ目、既に御整理いただいた内容をベースに整理をさせていただいてはどうかということでございます。
  それから、個々の子供の発達をどのように支援するかということでございまして、これはキャリア教育など特別活動ワーキングで御議論いただいているような内容も踏まえながらということでございますけれども、特別支援教育につきましても、本日の資料で申し上げますと、資料2-2の特別支援教育部会の106ページ目以降にございますような内容、あるいは本日、資料で日本語指導関連資料ということで、資料6、海外から帰国した子女、外国人児童生徒への指導ということを念頭に置きながら、ここに整理をさせていただいてはどうかということでございます。
  それから、7番目、実施するために何が必要かという部分、これは3答申及び馳プランを踏まえながら、連携にとどまらず、本日御議論いただきましたような協働という部分、チーム学校についても必要に応じてということでございます。
  そして、8ポツでございますけれども、ここまでは小・中・高共通の部分でございますけれども、それぞれ小学校部会、中学校部会、高等学校部会におきまして、特有の課題についても御議論いただいております。小学校につきましては、例えば外国語教育教科化ということも踏まえた柔軟な時間割編成の在り方、あるいは幼児教育との接続ということ、中学校部会におきまして、部活動の在り方も踏まえた中学校教育全体の好循環をどのように生み出していくかというような観点、高等学校部会におきましては、特に今回、新科目がかなりございますので、そういったことも踏まえた全体構造、あるいは単位の在り方、接続の在り方、高等学校教育と高等教育をどのように結んでいくかという視点も含めてでございますけれども、そうした学校種別の諸課題への対応ということを8ポツとしてまとめさせていただくというような形で、このような形で全体像を整理させていただいてはどうかというたたき台の案でございますので、本日御議論いただければと思います。
  また、併せまして、委員限り資料ということで机上に配付をさせていただいておりますのは、今回、小学校のプログラミング教育なども含め、ICTの活用ということをしっかりと各教科の学びの中でも位置付けていくというような方向性、情報活用能力の育成ということでございますけれども、ともすればICTの環境整備が平均でどのぐらいかということで語られることも多いんですが、しっかりとどのような学校においても最低限必要な環境整備ということを位置付けていくべきではないかということでございます。今回の指導要領を実現するためにはこれだけの環境整備が必要であるということを明確にしていくべきではないかということで、水色の矢印が底上げということのイメージでございますけれども、こういったことを情報ワーキングでも少し御議論いただいておりますが、別途、2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会というものも立ち上がっておりますので、そちらの議論と歩調を合わせながら、今回の指導要領実現に向けて、最低限、こういったICT環境は必要だということをしっかりと打ち出していってはどうかというようなことも議論をしていきたいと思っているところでございます。
  というところで、本日、資料5をベースに御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
【天笠主査】    ということであります。先ほど来と同じ要領で御発言をお願いできればと思いますので、どうぞ御質問、御意見等々含めまして、よろしくお願いいたします。
  まず、鈴木委員から。
【鈴木委員】    資料5の1番の最後から二つ目の○ですが、そのためには、教育課程の総体的構造を可視化していくことが重要である。そのとおりなんですけど、先ほどから議論になっている総体的構造が縦の構造と横の構造の二つの面があるということをもう少し強調していただきたいと思っております。
  それから、資質・能力を三つの柱に沿って整理していくと。もちろん、それはいいんですけれども、知識・技能と思考力、判断力、学びに向かう力の三つの柱に沿って整理していくだけでは、英語で言うとエイブルのレベルにとどまってしまうと。要するに、非常に大きな目標のレベルでとどまってしまう。ですから、三つの柱で整理することはいいんですけれども、そのままではエイブルですから、これをオブジェクティブのレベルにもう少し砕かないとまずいんではないかと思っております。
  最後に、高等学校に関わる3ページのところですけれども、この会での議論では無理だとは思いますけれども、何といっても高等学校に関しては高・大接続の問題がありますので、高・大接続を考えた、特に評価ですけれども、指導要領の在り方も考えなければいけないのではないかと思います。
【天笠主査】    はい、どうもありがとうございました。
  ほかにいかがでありましょうか。奈須委員、お願いいたします。
【奈須委員】    済みません、遅れてきて申し訳ありません。
  先ほどの総則の構造もそうなんですけれども、今の資料5で申し上げると、3の何を学ぶかというところと4のどのように学ぶかというところ、先ほどの資料3-2で申し上げると、第2の教育課程の編成というところと第3の教育課程の実施と学習の評価、特に各教科等の指導計画の作成というあたりなんですけれども、実際の授業と、全体構造としてのカリキュラムの間には幾つかの層になっている。まず、教育課程というのは全学年の全ての領域の学習活動の計画ですよね。全学年、全領域の計画を教育課程と呼んでいて、各教科とか単学年の計画は行政慣行上、それは教育課程と呼ばないで指導計画と呼んできたんだと理解をしておりますけれども、その下の桁として、各指導計画の中に一つ一つの単元があって、さらに単元の中に1単位時間当たりの授業案があるという形だと思うんですよね。
  そう考えたときに、単元という桁をどこに位置付けて考えるのかなということがいつもはっきりしないんですけれども、今回もはっきりしないなと思っていて。というのは、例えば今回で言えばカリマネを工夫して、教科横断的にしていくと。ここで、実際に教科横断的に授業を組むとすれば、それは単元の桁で工夫をしていくわけですよね、多分。一つの単元にいろんな教科等が重なってくる、あるいは複数の単元が連携して動くということもありますけど、つまり、単元の作り方も大分変えるとかいう話になってくるかなと思うんですね。単元が1教科の中に幾つか集まれば、その教科の年間指導計画になり、さらにそれが集まって全校の教育課程になっていくという話になるし、一方、単元ができれば、それは指導案にもなってくる。指導案には単元指導案もありますけれども、指導案といわれると本時指導案を思い浮かべる先生方も多いと思うし、実際、授業をするのは本時案ベースにやるわけですから、例えば10時間の単元計画があって、その中の1単位時間をどうするかという話になってくると、これは教育方法ですよね、具体的な授業をどうするかとか、教材をどうするかとか、発問をどうするかとかいう教育方法の具体に密接に結びついてくるんだろうと思うんですよね。だから、これまで以上に斬新な教育課程を自由闊達に生み出す、そして、それは単に内容を教えるのではなく、資質・能力の実現ということをにらみながらやるとなったときに、多分、単元開発、単元構成が一つの山場というか、重要な核になってくると思うんですけれども、それは教育課程の方に入るのか。つまり、全校の学校教育計画のまさにユニット、一つ一つの単位になっているのが単元ですから、それは教育課程の方に入るのか、それとも1単位時間の授業を生み出す足場が単元ですから、それはむしろ、各教科等の指導計画、あるいは教育方法の話に入るのか、あるいは、両者を結びつける位置に単元というのはあるんだと思うんですけれども、だとすればどこに位置づけるか。いずれにせよ、単元の桁に関する言及を総則のどこかでしていくといいと思う。現実的には多分、単元の作り方を工夫して、在来と違う質のものを作る。アクティブ・ラーニングにしても、1単位時間のことでやっても、多分、全然だめで、単元の桁でアクティブにしていくということが多分大事だと思うんですよね。そうしないと、1単位時間の単なる形態的な工夫になって、こういう形態にすればいいとか、こういう手順にすればいいという話になってしまう。単元というのは、これは経験主義の立場であろうが、系統主義の立場であろうが、子供の学びの視点で学習活動に意味あるまとまりを作るのが単元、そのまとまり、ユニットが単元ですから、どういうふうに子供にとって意味のある、つまり、子供の方が自覚して学習活動を展開していくようなまとまりを教師が環境として整備するのかということが単元開発だと思うんですけど、それが教育課程の方に行くのか、指導計画の方に行くのか、ちょっとはっきりしないなと思っていたり、あるいはもし単元という桁の観点が欠落しているとすれば、どこかに収めていっていただけるとありがたいなと。
  ただ、単元というのは、経験主義の立場の言葉として使われた経緯もあるので、いわゆる単元学習のような言い方ですが、でも、定義からすると、もともとはいわゆる系統学習的な立場の中から単元という言葉は出てきた。もともとはヘルバルト派のツィラーやラインから出てきたものですから、別に経験主義じゃなくても単元ということは成り立つわけです。単元に関する記述をどこかに入れていかれると、教育課程という大きな構造物と毎日の授業という具体的なもの、そしてそれは教育方法の工夫、アクティブ・ラーニングを導入するという話とのちょうど結節点に単元というのは位置付いていると思うんですけれども、何かその桁をどこかに入れていきたいなというか、いただけるといいなと。
  小学校は既に単元という意識をとっても強く持ってやっていただいていますが、中・高の授業が弱いのは単元という意識が弱いということもあると思うんですね。現状では、単に1単位時間の授業をただ累積したものを単元にしてしまっていて、子供側からすれば、12時間をまとまったある問題解決とか価値創造だというふうに思えていないということが、主体的であるとか、深い学びにならない原因のような気もするので、何かちょっとそのようなことを御検討いただければありがたいなと思いました。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  今の奈須委員の話と先ほどの市川委員の校内研修の話と、私はつなげて今、聞かせていただいていたんですけれども、どちらかというと、この国の校内研修というのは本時の授業をどう振り返るか、あるいは是非はどうだったか、そこのところに行くわけですけれども、もちろん、それでよろしいんですけれども、そのときに単元ということに検討が、どれほど目配せが行っていくかというのは、残念ながら、そういうことの方にはなかなか及ばないで、授業研究、校内研修が行われているというのがこの方の大きな流れになっているわけですけれども、今の奈須委員の指摘等々からするならば、そういうところに校内研修の軸足を向けていくとか、論点を向けていくというのは、また一つのこのたびのこの提案、提起の一つにあり得るのかなというふうに思いまして聞かせていただいたという次第なんですけれども、どうでしょうか。
【奈須委員】    多分、カリキュラム・マネジメントというのは、個々の現場教師の日常業務の上でやっていくとすれば、単元の開発と、今、天笠先生おっしゃったそれのリフレクションですよね。自分が無自覚にやっているものが子供にとってどんな数時間のまとまりになっているかということを仲間の批判を受けながらリフレクトして、子供にとってどんな意味のある経験だったかということをリフレクトすることによって、カリキュラム・マネジメントという発想もより明確に生まれてくるんだろうと思う。どうしてもカリキュラム・マネジメントが遠くなっちゃうので、それを先生方が引きずりおろして、何のことはない日常の延長なんだよと。今、天笠先生おっしゃったとおりで、1時間の桁で考えるのではなく、もうちょっと大きい桁で考えるんだよと。それは子供の学びもそういう大きな桁で考えるんだよということと、多分、相即的な関係にあるんだと思います。
  済みません、ありがとうございます。
【天笠主査】    この取りまとめの中に今のようなことなんかもうまく言語化できると、あるいは位置付けられるとよろしいかなと思いますけれども、検討していただければと思います。
  ほかにいかがでしょうか。渡瀬委員、お願いいたします。
【渡瀬委員】    今、奈須先生のお話を、単元というものがどうあるべきかをイメージしながら聞かせていただきました。この学習指導要領では、単元の中で身に付けるべき概念が明らかにされる必要があります。そしてそれは、できれば、文言としては本質的な問いのような形で表現されると、教員はとても教えやすい――教えやすいというか、その単元について考えやすいんじゃないかなと思うんです。アクティブ・ラーニングの視点に立って単元の一塊を構成していこうとするときにも、やっぱりそこで中心になる、ここで身に付けさせるべき概念は何なのかということがとても大事になってくる。これがはっきりすると、先ほどお話にあったような1時間、1時間が集まっただけの単元ではなくなってくるかなということを感じました。
【天笠主査】    はい、どうもありがとうございました。
  ほかに。竹原委員、どうぞ。
【竹原委員】    私はまた先ほどの話に戻るんですけれども、ここの6番、7番のところで、個々の子供の発達をどのように支援するかという記載があるんですが、どのように支援するかというところに多少重なるのが7番の要素だと思っています。どのようにというところには、キャリア教育や特別な配慮が必要な子供たちに対して、地域と学校、家庭と学校が連携するということが大きなポイントになりチーム学校の考え方先生方だけが専門家として関わる部分と、スクールソーシャルワーカーや様々な専門家の方が関わるという部分、そして更に家庭、地域、企業、全ての社会総がかりで関わる部分、が明確に書かれていればと思います。そこをどう捉えるかというときに、先ほど総則の最初にも入れるという話が出ましたが、社会総がかりで子供たちを育てていくことが明確に分かればいいと思っております。
【天笠主査】    はい、どうもありがとうございました。
【竹原委員】    もう一点、  地域学校協働活動、そこにコーディネート機能がないと、協働的には動かないです。異なった文化や立場の違う人が動くというのは難しいことで、地域連携担当教職員や地域コーディネーターが検討されていますけがそのことも視野に入れながら書いていただければと思っております。
【天笠主査】    鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】    先ほどの単元とアクティブ・ラーニングの問題ですけれども、私、アクティブ・ラーニングと言われて、実際に授業をしていますので、どこに入れるんだと。というのは、例えば6時間の中に全てアクティブ・ラーニングというのは無理ですので、具体的に言いますと、今、地球環境問題というのをやっているんですけれども、通常の授業をやりまして、一部だけ、実際には紫外線強度を強度計を買ってもらって調べるという、そういうのを入れるわけです。ですから、現実には6時間とか7時間のうちの1時間ちょっとアクティブ・ラーニングっぽいものを入れるというのが実際にできる程度と。要するに、一定のまとまりとか、これを単元と言っていいかどうかも問題ですけれども、その一定のまとまりないしは単元の中に定期的にアクティブ・ラーニングを位置付けるというような形でしか、全て毎時間はできない、それが実際だと思いますので、そんなことが入れていればいいんじゃないかなと。
【天笠主査】    はい、大杉室長、お願いします。
【大杉教育課程企画室長】    先ほど単元のまとまりですとか問いを追究していくという御発言いただいて、改めて各教科の議論の御紹介でございますけれども、資料2-3を少し開けていただければと思います。資料2-3の97ページですね、例えば社会科でこのような議論をしていますということでやります。アクティブ・ラーニング、特定の活動のことではなくて、授業改善の視点ということで、その中の深い学びは、見方・考え方を働かせた思考、判断、表現のプロセスを実現すること、これが深い学びの実現ということでございます。先ほどの資料2-3の97ページを見ていただきますと、ちょっと細かいので全部を見ていただくということにはなりませんけれども、社会科でどのような視点を持って、どのような問いを追究して、どういった知識を獲得するのかということが、左から問いを追究する視点ですね。紫の部分がそのプロセスの中でどのようなことを考えていくのか、そういった視点を生かしてどういう問いを追究するのか。地理的なことで言えば、それはどういうふうに分布しているんだろうということですとか、歴史的なことで言えば、それはなぜ起こって、どういう影響を及ぼしたのかというようなこと、そして、その結果として知識として右側のようなものがついていくという、この一つ一つの塊がある意味、単元ごとに実現されていくということが深い学びということではないかということで、社会科ではこのような議論をしていただいておりますけれども、それぞれの教科において、その見方・考え方を働かせるということがどういう学習のプロセスなのかという、特定のこういう活動を入れるからアクティブ・ラーニングであるということではなくて、こういう見方・考え方を働かせて教科特有の課題を追究していくということを実現していくことがアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善ということではないかという御議論いただいております。
  ですから、こういう形で、資料1の23ページ目でごらんいただきました見方・考え方ということが生きてくるということですね。見方・考え方としては、言語の役割の側面から言葉の働きを捉えて自分の思いや考えを深めたり、表現したりするということをある意味、単元のまとまりの中で実現していくということ。数学は数量や図形、それらの関係に着目して事象を捉えて論理的等々の考え方ということで考えるということを先ほど御指摘いただいたような単元のまとまりの中で実現していくことであろうということを教科ごとに御議論いただいているところでございます。そうした教科ごとの議論と総則で単元の在り方やアクティブ・ラーニングの在り方をどのように記述していくかということはしっかりつなげていきたいと考えているところでございます。
  失礼いたしました。
【天笠主査】    はい、市川委員、お願いいたします。
【市川主査代理】    この論点のまとめというのは非常に重要な役割を果たすと思うんですけれども、どういうときに重要になるかといいますと、一つは、多分、授業検討、さっきから話が出ていますが、事後検討会とか協議会と言われているもの、その中で検討するときの視点を与えるものとして非常に重要な役割を果たすんだろうと思っております。
  何でそういうことを言うかといいますと、よく中学校や高校では、なかなか教科横断的に先生が一つの授業を検討するとか、単元でもそうですけれども、教科を超えて授業改善のための議論をすることが難しい、お互い教科には口を出さないというようなカルチャーがあると。しかも、話し合っている内容が、どうしてもきょうのこの教材はとか、非常に教科固有の話になりますと、ほかの教科の先生は入りようがない、口を出せないというふうになってしまうと。
  それを超えているところは、一体、何を議論しているかというと、私は大きく二つあると思うんですが、一つは指導法の工夫として、最近、ユニバーサルデザインだとかICTの活用とか言われている、そういう指導法の工夫というのは、自分の教科でもこれは生かせるなというような視点ですと、結構、ほかの教科を見ても、お互いに参考になる。もう一つの視点は、資質・能力だと思うんですね。教科横断的にこれこれの資質・能力を育てますということになると、やっぱり授業の中、指導案の中でも、先生がきょうのこの活動はこういう資質・能力を育てるというつもりでやってみましたということであれば、ほかの教科の先生が見たときも、これでそういう資質・能力が育っているのかどうかということが議論に乗ってくる。そのときに、どういう資質・能力というものを具体的に掲げてあるか。これが余りにも漠然としていると、議論のしようがないんですよね。今、思考力・判断力・表現力というのは一応ありますけれども、ちょっと漠然とし過ぎていて、これはもう少し詳細に、これは安彦先生が主査でやって資質・能力の検討会というのがありましたけれども、かなりいろんな力のキー・コンピテンシーのころから始まって、いろんな議論が出てきました。そういうものをどれくらい今回具体的に書き込んでいくのかというのは私は大事なことかなと思っています。ある程度の具体性があるもの、教科横断的に育てる――言語力というのは今でも行われているわけですけれども、ほかにどういう力が教科横断的に育っていくのかについては、私はある程度、具体的に書き込んだ方が、先生方もそれを軸にして、それこそ教科横断的な事後検討会をするための非常に有効な情報になるのではないかと思います。
  もう一つなんですが、これは評価に関することなんですけれども、先ほど鈴木委員からも御指摘ありましたけれども、そういういろんな力というのを挙げて、こういうことを身に付けてくださいというのは確かに目的なんですが、じゃあ、具体的にどうやって最終的にそれを評価するのかと。今回、こういう資質・能力を育てるということが挙がって、その一つの重要な方策としてアクティブ・ラーニングというのが出てきたわけですね。じゃあ、本当にアクティブ・ラーニングによって、そういう力、アクティブ・ラーニングだからこそ育てられる、一斉講義式の授業を聞いていただけでは育たないようなこういう力が育ちましたということをどうやって評価するのかという、その方法について、どれくらい打ち出していくのかということですね。この評価の話というのは、ついついこれまでですと、いきなり指導要録の話に飛んでしまって、日々の授業とか、あるいは学校でのもうちょっと大きな通知表に結びつくような評価、そこら辺にはあんまりずばりと入っていなかったような気がするんですね。ですから、指導要録と入試の話だけではなくて、日々の評価というのがどう改善の手だてがあるのかということはどこかに出していった方がいいかと思います。
  この前、中学校部会がありまして、そこの中でもいろいろ議論が出たんですが、結局、どうやって評価したらいいのかというところで、中学校、高校では最終的には中間テスト、期末テストでは一定時間の間にどれだけ正確に問題が解けるかというペーパーテストによる評価になりがち、なっているところが実際ほとんど。それですと、アクティブ・ラーニングで目指していたようないろんな資質・能力というのが下手をすると飛んでしまう。子供にとっても、最終的にはペーパーテストなんだよねと。先生も最終的には評価をそこでせざるを得ないということになってしまうと、せっかく資質・能力とかアクティブ・ラーニングということを言いながら、そういうことがほとんど浸透しないことになってしまう。このあたりをどう書き込んでいくか。
  私がそのとき、個人的に申し上げたのは、日本の中学や高校では、例えばレポートによる評価というのがなさ過ぎる。レポートなんて、中学生、高校生ではほとんど社会科や理科でもあんまり書いてない。それから、プレゼンテーションするとか、少人数で対話的に問題解決をするとか、そういうことが、大学では随分入ってきていると思いますが、大学も実はそういうことをきちんと評価しているかというと、実はあんまりしてない、やっているけれども、あんまりそこはきちんと評価してないんですけれども、少なくともレポートくらいは評価していると。そういう点を、入試には出ないからというのではなくて、入試には出ないからこそ、学校の中では評価していただきたいと思うのですが、このあたり、難しい問題ですけれども、是非、取り入れていただきたいなという気がします。
【天笠主査】    はい、鈴井委員、どうぞ。
【鈴木委員】    今、評価のことを言っていただいてありがとうございます。
  確かに先ほど言った紫外線の調査をやるんですけれども、これはテストでできませんので、高等学校でもそういうペーパーテスト以外のパフォーマンス評価だとか、レポートとはちょっと概念が違いますけれども、そういうものをもっと入れるようなことを書いていただいた方が、そういうものが入った方がやりやすいと思います。
  それから、アクティブ・ラーニングみたいなことを考えていきますと、例えば紫外線の量の調査、どのぐらい紫外線が違うかということと、世情言われている紫外線防止、いろいろな対策がどの程度効果があるかというのを調べさせようと思うんですけれども、どうしても科学の視点が入ってくると。要するに、実験の変数の制御ですね。ですから、アクティブ・ラーニングみたいなことをやり出すと、当然、教科横断的にどうしてもなっていくと。社会科なのに何で理科的なことをやっているんだと。横断的なということを強調していただくと、そういうこともやりやすくなるというのが実際です。
【天笠主査】    それでは、そろそろ予定している時間が迫ってきましたけれども、御発言の方、立てていただいてということで、今、札が立てられている方でよろしいでしょうか。
  そうしましたら、無藤委員から先に。そして、その後、竹原委員、お願いします。
【無藤教育課程部会長】    じゃあ、二つほど。
  一つは小さいことなんですけれども、評価のことで、今、気づいたんですけれども、先ほどの単元の大切さというのはそのとおりだと思います。日々の授業と教育課程をつなぐものだと思うんですけれども、評価についても同様で、毎時間毎時間の細かい評価ではなくて、単元ベースの評価があるからこそ、教育課程の、あるいは教科としての目的、目標につながるということは、大分前の中教審の報告に出ていたと思いますけれども、改めて強調したいと思います。
  その上で申し上げたいことは、先ほどから出ているアクティブ・ラーニング等のことなんですけれども、私なりに話を単純化し過ぎているかもしれませんが、整理すると、資質・能力としては三つの柱があるわけでありますけれども、それを具体的な指導におろしていく必要がある。その指導をおろすときに、三つの学びとして深い学び、対話的学び、主体的学びというものを考えたわけでありますが、その三つの柱から三つの学びに結びつけていく際に二つのことがあって、一つは方法としてアクティブ・ラーニングという考え方が入ってくる。もう一つは、教科等の対象として見方・考え方というものが入ってくる。その二つの視点のもとで三つの学びを具体化するのではないかと考えました。例えば深い学びについて言えば、知識をより概念化していく、構造化していくというようなことであると同時に、様々な知識を構造化するというアクティブな在り方とともに、その教科固有の中核的な概念がそこに入ってくるということであると思いますし、対話的学びということで言えば、思考力を育てるわけですけれども、方法としての対話とか話し合いとか表現しながらコミュニケーションをするとともに、各教科等の独自の考え方というものがそこに入ってくるんだと。常に方法と対象の二重性の中で三つの学びというものが展開されると考えると分かりやすくなるのかなと思いました。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、竹原委員、お願いいたします。
【竹原委員】    子供の時間と空間を考えたときに、学校にいる時間だけではなくて、放課後や土曜日、様々な場所で子供が学びます。その中には、偶発的に学ぶこともありますけれども、地域の人や企業が様々に関わって計画的に練っていく学びもあります。そういう意味で、社会教育との連携というのは不可欠なので、是非、その視点を盛り込み、それが地域と学校の連携になると明確に書いていただくと、先生方は協働して何ができるか理解されると思います。例えば夜の天体観測は学校ではなかなかできません。教科書で学びさらに、実際に見せたいというとき、それは地域ではよくあるプログラムです。そういうことと連動ができればと思っております。
【天笠主査】    きょうは以上ということにさせていただきたいと思うんですけれども、取りまとめに向けた論点については、きょう、こういう形で柱立てとして出していただいたんですけれども、どうも私は1の前に、まだ書き加えなくちゃいけないというか、位置付けなくちゃいけないことがあるのかなと思いました。それは、やっぱり学習指導要領における総則の位置付けとか意義付け、あるいは総則が核になって、どちらかというと、これまで各教科等の関係とかというのが希薄になりがちなような部分というのが総則にあったのかもしれませんが、やっぱりチーム学校とか、そういう学校としての協働の核は教育課程にある、その教育課程を動かすのは総則だという、そういうあたりのところ、改めてそのあたりのところの意義付けとか位置をしっかり書き込んだ上に、そういう、まさにカリキュラム・マネジメントを展開すると。きょうは1からこういう展開というのが一つあるのかなと思うわけでありますけれども、そこら辺のところも含めまして、それぞれの委員の方から出てきました御意見を踏まえて、また整理していただければと思います。
  ということで、本日はここまでということにさせていただきたいと思います。お出しいただいた御意見等については、論点ごとにその趣旨を整理していくように整理をお願いしたいと思います。
  なお、本日、まだ御意見等々がありましたら、後ほどメールですとかファクス等々で事務局にお送りいただければと思います。
  本日はここまでとさせていただきますけれども、次回以降の日程について、説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    次回の日程につきましては調整をさせていただいておりますので、決まり次第、御連絡させていただきます。
  また、本日の御議論も含め、ペーパーによる御意見、ファクス、メール、郵送でも結構ですのでお寄せいただければと思います。
  また、本日の資料を机上に残していただきましたら、郵送にてお届けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
【天笠主査】    それでは、本日の総則・評価特別部会を終了させていただきます。
  どうも長時間ありがとうございました。

――  了  ――

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