教育課程部会 総則・評価特別部会(第7回) 議事録

1.日時

平成28年4月4日(月曜日) 13時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 論点整理を踏まえた総則の改善・充実及び今後の学習評価の在り方について
  2. その他

4.議事録

【大杉教育課程企画室長】    それでは定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会総則・評価特別部会第7回を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
  幹部の方が、教育再生実行会議等の関係で少し遅れてまいりますことを御了承いただければと思います。
  それから、本日議事に先立ちまして御報告がございます。このたび羽入佐和子主査が、4月1日付で国立国会図書館の館長に御就任されました。これに伴い、全ての役職、中央教育審議会の委員も含めて御辞任されるということになったところでございます。それに伴いまして、本部会の新たな主査及び主査代理についてでございますけれども、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則に基づきまして、無藤部会長より、天笠委員を主査に、市川委員を主査代理に、それぞれ御指名を頂いておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  羽入主査から、皆様にくれぐれもよろしくお伝えくださいとのことで言付かっております。これまで御一緒させていただきまして、まことにありがたく思っております。途中で引くことになりましたが、新しい指導要領の実現を心から期待しておりますというメッセージを頂いているところでございます。
  それから、文部科学省も人事異動が少しございましたので、後ほどまた御紹介させていただきます。
  それでは、部会の進行は天笠主査にお願いいたします。
【天笠主査】    それでは、今、御説明いただいたということで議事を進めさせていただきます。
  本日は、前回に引き続きまして、各ワーキンググループの検討状況を踏まえた意見交換を行うために、ワーキンググループ等の主査、主査代理の方々にお越しいただいております。大変お忙しい中、参加いただきましたことにお礼を申し上げたいと思います。
  まず最初に、事務局から各ワーキンググループ等から御出席の委員の紹介と配付資料についての確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、各部会・ワーキンググループからお越しいただきました委員の先生方を御紹介させていただきます。
  まず、理科ワーキンググループの主査でいらっしゃいます大島まり委員でいらっしゃいます。
【大島理科WG主査】    大島です。よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    それから、外国語ワーキンググループの委員でいらっしゃいます酒井英樹委員でいらっしゃいます。
【酒井外国語WG委員】    よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    家庭、技術・家庭ワーキンググループの主査でいらっしゃいます橋本都委員でいらっしゃいます。
【橋本家庭、技術・家庭WG主査】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    情報ワーキンググループの主査でいらっしゃいます堀田龍也委員でいらっしゃいます。
【堀田情報WG主査】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    特別活動ワーキンググループの主査でいらっしゃいます貝ノ瀬滋委員でいらっしゃいます。
【貝ノ瀬特別活動WG主査】    よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    産業教育ワーキンググループの主査でいらっしゃいます浦野光人委員でいらっしゃいます。
【浦野産業教育WG主査】    浦野でございます。よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チームの主査でいらっしゃいます岡本和夫委員でいらっしゃいます。
【岡本数理探究特別チーム主査】    岡本でございます。よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    また、算数・数学ワーキンググループの主査でいらっしゃいます小谷元子委員は、14時半頃に遅れていらっしゃる予定です。
  本日の意見交換に御参加いただきます先生方、御多忙の中、大変ありがとうございます。
  続きまして、配付資料の確認でございます。議事次第記載のとおり、資料1から資料10、参考資料1から5、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら、事務局までお申し付けいただければと存じます。
  それから参考資料1でございますけれども、各ワーキンググループの名簿をお配りさせていただいておりますが、まだ4月1日現在の人事異動等が反映できておりません。現在更新作業を行っておりますので、御承知おきいただければと思います。
  また、前回と同様、学習指導要領の見直しに関しまして、各団体等から届けられました要望の一覧を机上の紙ファイルに配付をさせていただいております。昨年6月の企画特別部会でお示しいただいたものと、それ以降届けられたものを一体にして一つのファイルにしてございます。
  また、机上にタブレット端末を置いてございます。審議会の答申等が入ってございます。本日、台数の関係で、隣の席の方と共有をしていただくような形でございますけれども、御承知おきいただければと思います。
  以上です。
【天笠主査】    それでは、本日の議事に入りたいと思います。前回に引き続き今回は、各教科等別ワーキンググループの検討状況を各ワーキンググループの主査等の方々からお伺いをし、議論したいと思います。なお、次回第8回では、幼児教育部会と小学校部会から御報告を頂いた後に、本特別部会としてのまとめの審議に入っていくという流れを予定しております。
  また、本日はおよそ3時間と長丁場でありますので、途中、時間的には大体14時20分を目途にしまして、10分前後の休憩を挟ませていただければと思っております。
  なお、本日は報道関係者より、会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきいただければと思います。
  それでは事務局から、資料に基づいて、各ワーキンググループ等の検討状況についての説明をいただき、その後、各ワーキンググループの関係の委員から御発言をお願いしたいと思います。
  各ワーキンググループの説明が一通り終わり次第、全体での意見交換としたいと思っております。御質問等につきましても、全体の意見交換の中でさせていただければと思います。
  なお、それぞれの事情もありますので、各ワーキンググループ等の議論につきましては、完全に横並びではないことを、まずは御留意いただければと思います。
  それから、きょうの意見交換は、各ワーキンググループにおける検討状況を審査するという趣旨ではありませんので、御留意いただければと思います。それぞれのワーキンググループの経過報告等を含めまして、それらの御発言等々、有機的につなぎ合わせながら、よりよい方向に議論が向かっていくということを目的としておりますので、御承知おきいただければと思います。
  それでは、まず事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。これから、資料1から順番にワーキングの御紹介をさせていただきたいと思いますけれども、例えば資料1、おめくりいただきますと、ワーキンググループにおける検討事項ということで、資質・能力について、アクティブ・ラーニングの視点、評価の在り方、様々な支援ということで、これらは各ワーキング共通の事項として御議論をいただいているところでございます。フォーマットについても共通事項を整理しながらさせていただいているところではございますけれども、先ほど主査からもありましたように、まだまだこれから取りまとめに入っていただくような段階でございますので、完全に横並びを図れている状況ではないということを前提に置きながら御覧いただければと思います。
  それでは、理科ワーキングの状況を、まずは御紹介をさせていただきます。
  おめくりいただきますと、右肩に資料6-1と付いたページがございます。横長の黄色のものでございますけれども、これは各教科においても共通に整理をいただいているものでございますが、幼稚園段階における様々な学びを前提にしながら、小学校段階、中学校段階、高校段階、それぞれにおいて、どのような資質・能力を育んでいくかということを御整理をいただいております。一貫した理科教育のイメージということでございます。
  例えば小学校を見ていただきますと、二重丸のところに、科学的な見方や考え方を養うということで、その下にマル1、マル2、マル3とございます。このマル1、マル2、マル3が、今回の資質・能力の三つの柱に該当するもの、マル1が学びに向かう力、人間性等、マル2が思考力・判断力・表現力等、マル3が知識や技能ということで対応した整理をいただいております。最終的には、この部分が教科目標の構造として表れてくるということでございます。その下で、黒丸として、そうした資質・能力を育むために、どのような学習活動を充実させていくかということを整理いただいております。また、そうした学びが小学校低学年の生活科の学びと、どのようにつながっていくか。また、高等学校段階では、その後の進路の多様性等に応じて、基礎という選択必履修科目の段階、それから応用という選択科目の段階、そして今回の数理探究や理数科における発展という段階、それぞれについてイメージを描いていただいております。
  次のページが三つの柱でございまして、知識や技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力、人間性等について、発達の段階に応じた整理、それから、発達の段階それぞれにおいて、どのような学習過程を重視すべきかという整理をいただいております。
  そして、次の4ページでございますけれども、理科において育む科学的な見方・考え方の整理を、理科の4領域、これは既に小・中・高を通じて、こうした領域に基づく内容等を整理していただいているところでございますけれども、今回、より明確にその領域ごとに育む見方や考え方とは何かということを御整理いただいているところでございます。エネルギーの領域においては、量的・関係的な視点で捉えること、粒子は質的・実体的、生命は多様性と共通性、地球は時間的・空間的な視点ということで、こうした視点から自然事象を捉え、説明できるようなことを目指していくということでございます。また、それが小・中・高の発達の段階に応じて広がりを見せていくということで、詳細は次の5ページに具体的な例とともに整理をいただいているところでございます。理科においては、この見方や考え方が三つの柱全てに関わってくるということでございます。
  また、その次の資料6-4というところで、これは高等学校基礎科目の例でございますけれども、課題の把握、課題の探究、課題の解決というプロセスに沿った学習活動例、そしてその中で、理科においてどのような資質・能力を育もうとしているかということの御整理をいただいているところでございまして、これと内容というものをしっかりと掛け合わせていくということでございます。7ページ目は、そうした方向性に基づいた学習評価の整理もいただいているところでございます。
  理科ワーキングの概要は以上でございまして、大島主査の方から一言頂ければと思います。
【大島理科WG主査】    理科ワーキンググループの主査を務めています大島でございます。理科ワーキンググループの、これまでの議論の状況について報告させていただきたいと思います。
  理科ワーキンググループでは、全体としてこれまで6回の検討を行ってきたところです。理科という教科を学ぶ本質的な意義から、資質・能力の育成のために重視すべき理科の学習過程等について、活発な議論が展開されていると感じております。
  先ほど、全体の議論の進捗状況につきましては、大杉室長より御説明いただきましたので、私の方からは各検討項目の課題に沿ってポイントを報告させていただきたいと思います。
  まず最初なんですけれども、理科の学習を通じて児童生徒に身に付けさせるべき資質・能力とは何かについて幾つかの御意見が出されております。具体的には、例えば自然の仕組みや自然の中に隠れている原理、法則性などを科学の法則に従って自分で見つけていく教科なのだということを、観察や実験を通して気付かせるとともに、問題解決や探究する能力の育成に結び付く学習指導要領にしていくことが重要であるという点です。また、科学的な課題だけではなく、社会問題や日常生活の中での問題になるようなことも含めて、科学的に思考、判断できるという資質・能力を身に付けさせていくことも理科に託されているのではないかと、このような意見が出されています。そして理科を通じて、自然の事実、現象について問題を見出し、解決する力を育てるとともに、科学的な見方や考え方を養うことを念頭に、現在検討を進めているところでございます。
  資料1のページ4を見ていただきたいのですが、理科の各領域における特徴的な見方なのですけれども、理科の4領域を学ぶことによって身に付けさせるべき資質・能力とは何かということについて議論がされてきました。特に、理科の各領域の物の見方の違いについて明確にすることが重要であるという点です。一方で、やはり理科の教科として共通性、それぞれの領域の固有性、多様性の価値を考え、それらをうまく融合していくことも必要なんではないかとの意見が出されたところです。
  さらに、これらのことを踏まえて、先日、高等学校理科の履修科目はどうあるべきかについて議論をいたしました。おめくりいただいて資料1のページ9を見ていただきますと、こちらに一覧としてまとめております。現行の科目構成については、基本維持していくことが望ましいのではないかということが意見として共有されております。次に育成すべき資質・能力の検討等についてなんですけれども、ちょっとお戻りいただきまして資料1のページ2になります。こちらにまとめてありますけれども、小学校、中学校、高等学校、それぞれの修了時点で身に付けさせるべき資質・能力について、どのように考えていくかということになります。こちらでも同じように幾つかの意見が出されております。小学校、中学校、高等学校のそれぞれの課程で身に付けるべき資質・能力が発達段階に応じて、徐々に高まっていくような形で示すことが重要であるという点です。それで、自分が得た能力を使う場面を作り、そしてそれを使っているということを子供たちに認識させることも大事であるということで、付けた力を別の単元や上の学年で試みたりとか活用したりすることも必要ではないかということを御指摘としていただいております。また、理科において現行の学習指導要領解説に内容の系統表は掲載していますけれども、資質・能力の系統を意識したものが学校現場に伝わるように工夫することも重要であるというような御指摘を受けております。高等学校までの資質・能力の系統性を整理し、有機的につなげていくことや身に付けた資質・能力を段階ごとに活用すべきであるということについての意見が出され、現在検討を進めているところでございます。
  次に小学校、中学校、高等学校、それぞれの修了時点で身に付けさせるべき資質・能力について、三つの柱に沿ってどのように整理できるかについても、いろいろ議論を交わしております。それは1ページおめくりいただいて、資料1の3ページにまとめてございます。現在出された意見といたしましては、資質・能力と目標等をリンクさせながら検討することが重要である。学力の3要素のうち、高校の現場で教えられているのは、知識や技能中心となっているということで、学習要領のバランスはよいのですけれども、教科書と現場がそうなっていないので、その観点で教科書のバランスがよくなるように、学習要領を作っていかなければならないなどの意見が出されているところでございます。
  次に資質・能力の育成のために重視すべき学習過程や指導等の改善方策についてでございます。ちょっとページが飛んで、こちらは6ページにまとめてございます。アクティブ・ラーニングという言葉に引きずられて、見た目の学習形態だけにとらわれないようにすることが重要であると言われております。問題解決や探究能力を育成するという理科の本質に迫るような指導の手だても明確に示していくことが大切ではないかということです。また、子供たちが探究的に学習していく場合、どういうふうに探究すればよいのか、なかなかつかめないというところもありますし、教員の方もなかなか伝え切れないということが現状としてございます。子供たちに科学的な探究活動をさせながら、教員自身が論理的に考えるとはどういう活動なのかということを押さえていかなければいけないという意見などが出されております。
  このような意見が出されておりますが、今後は本ワーキンググループでは、総則・評価特別部会からお示しいただきましたこと及び特別支援教育の観点から必要な支援など、あと算数・数学ワーキンググループと連携しながら、専門学科である理科教育における育成すべき資質・能力について議論していくとともに、他ワーキンググループの審議状況なども踏まえて議論を進めていきたいと考えております。
  以上、状況の御報告とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。先ほど、それぞれのワーキンググループの御報告を頂いた後、全体として御意見を頂くと申し上げましたけれども、大島主査が、御都合により14時前後に御退席されるということで、恐れ入りますけれども、理科ワーキンググループにつきましては、この後、御意見を頂ければと思います。
  そして、その後は順次、国語以下、申し上げた形で進めさせていただきたいと思いますが、理科につきましては、御意見を頂く時間を若干取りたいと思いますので、委員の方、御意見がありましたら、いつものように名札等々を立てていただいて、お願いできければと思います。いかがでありましょうか。
  鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】    何回目か忘れましたが、理科の条件制御、変えるべき変数と一定に保つべき変数、そこがこの報告書の中に出てきているので大変結構なんですが、そこは是非、一定に保つべき変数と変えるべき変数のところ、日本の理科教育で、これまでずっと落ちてきているので、今回その言葉が入っているのでいいんですけれども、これを是非、教科書等にもきちんと反映できるような形を取っていただきたい。日本の理科教育で一番、特に小学校高学年では必ず教えなきゃいけない理科の探究の仕方の方式ですので、是非残して、このまま強調しておいてほしいところ。
  それから、ほかの教科にも関わりますけれども……、その前に高等学校まで粒子概念で物質の成り立ちを説明することになっておりますが、諸外国もそれで来ているわけですが、必ずしも今、粒子概念だけで最終的な理科の物理の説明はされていませんので、果たしてこの粒子概念を、高校までずっとやってよろしいのかどうかということは、そろそろ比の理論とかそういうものの成果が大分出てきて、日本の理科教育このまま、粒子概念でいけないというわけではないんですが、本当に高等学校の段階でもそのまま押し通していいのかどうかと、そこがちょっと心配です。
  三つ目ですが、これは評価の観点のことについてですが、理科の今回の改訂の一番の目標は、科学的な探究の仕方というの、私は高校の教員なものですから、そこを是非、高等学校で身に付けさせたいと思っているんですが、整理する場合には、知識や技能と思考・判断・表現、それから主体的な学習能力でいいんでしょうけれども、実際に私は評価に関わっているものですから、果たして思考・判断・表現という観点の名前で実際の現場の教員が、ここの部分で科学的な探究の資質や能力を育てるんだというふうに意識ができるかどうか。要するに、ここでの議論はそれでいいかもしれませんが、この観点の名前で、果たして現場に伝わるかどうかがずっと疑問なんですが、どう思いますでしょうか。
【天笠主査】    主査には最後に、もしありましたら御意見をお願いできればと思います。
  委員の方から、ほかに御意見、御質問等々お願いできればと思います。
  黒上委員。
【黒上委員】    3ページの資質・能力の表を見せていただいて、一つ一つの項目はとてもよく分かるし納得できるんですけれども、これを現場の先生の観点で見て、ハンドリングできる量かというと、ちょっと細か過ぎるというか、ばらばらの項目が網羅的に羅列されている感じがするんですね。例えば小学校、中学校、高等学校を通して態度のところだけを縦に並べたときに、同じ態度項目なんだけれども少しレベルが上がるということが分かるような書き方をするとか、要するに、もう少しこれを概念化した感じのものが見えてこないと、ちょっと扱い切れないぐらいの量になっちゃっている感じがするんですね。そういうことを検討する方向性はあり得るかどうか、ちょっと伺いたいなと思いました。
【天笠主査】    後ほどお願いしたいと思います。
  ほかにありますでしょうか。市川主査代理、お願いします。
【市川主査代理】    少し細かいことなんですけれども、理科教育のイメージのところで、小・中・高それぞれ、マル1、マル2、マル3というのがあります。これが1、2、3の順に、大体対応関係としては、学びに向かう力、それからマル2が思考力・判断力・表現力、マル3が個別の知識や技能に当たるものだと先ほど説明があったと思うんですが、そうすると、ほかのところとは1、2、3が全部逆の感じがするんですけれども。ほかでは、最初に個別の知識や技能が出てきて、思考力・判断力・表現力が出てきて、最後に学びに向かう力の順になっていて、多分ほかの教科でも、この順が割と今は普通になっているような気がするんですが、この理科教育のイメージのところでは逆になっていると思っていいのでしょうか。それともこれは、やっぱり対応関係が違うというものなのか、ちょっと御説明を。
【天笠主査】    今、予定している時間の中で進みつつあるんですけれども、理科のワーキンググループに対しては、おおよそよろしいでしょうか。
  平野調整官、よろしくお願いします。
【平野教育改革調整官】    理科ワーキンググループの担当をさせていただいております平野でございます。御質問がございました点について、議論の中での状況を少し御紹介させていただければと思います。
  まず、4領域での物の見方を整理していこうというときに、それぞれこれだけでその領域全部をカバーできる概念でないというのは承知の上で、端的にこの四つの違いを表すとしたら、どういうキーワードが考えられるかというところでやらせていただいたもので、もちろんこの粒子分野のところについても、この粒子だけで全部説明できると思って書いているわけではございません。ある程度、この4分野の違いをクリアに示すためにどうしたらいいかということで考えさせていただいたものでございます。
  それから態度について、小・中・高と上がるに従って、我々もできるだけ発達段階が分かるように書き分けたいということがございまして、例えば小学校ですと、自然に親しむ態度、これが中学校に行くと、自然を敬い、自然の事物・事象に進んで関わる態度、そして高校になりますと、自然の事物・事象に対する畏敬の念という形で、少しずつレベル感が出るように書かせていただいているところでございましたが、本日頂いた御意見も踏まえまして、またワーキングへ持ち帰って検討させていただければと思っております。
  それから、小・中・高と発達段階ごとに書かせていただいてあります2ページのところで、マル1、マル2、マル3の順番がほかと違うんじゃないかという御指摘はごもっともだと思います。ただ、今の段階では理科ワーキンググループの中で、やはり態度が一番重要なので、まずそれを強調すべきじゃないかという御意見が強かったものですから、現段階で、ワーキングとしてはこういう整理をさせていただいております。いずれ全体の横並びを取る上で、順番としては知識や技能から書くべきではないかという整理がなされましたら、それに合わせていくという作業になろうかと思いますが、現状の理科ワーキングの議論としては、やはり態度こそが重要だという御意見が非常に強いので、こういう順番にさせていただいているという状況でございます。
  以上でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。それではここまでのところで、御意見、御質問等々、今たくさんお答えいただいたかとは思うんですけれども、大島主査の方から何かありましたら、お願いできればと思います。
【大島理科WG主査】    非常に貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。今、平野さんからも御説明がありましたように、頂いた御意見は、是非いろいろな形で、ワーキンググループでさらに検討していきたいと思います。どうもありがとうございました。
【天笠主査】    黒上委員、どうぞ。
【黒上委員】    一つだけ、ちょっと誤解がないように。レベルを書き分けることに重点があるんじゃなくて、レベルが違っているけど同じ流れに乗っているというくくり方をすることで、これがもう少しコンパクトに見えるようになったらいいなという話なので、そっちの方に力点があったということを確認しておいていただきたい。
【天笠主査】    よろしいですか。
【大島理科WG主査】    ありがとうございます。先ほどの御指摘は、やはり現場の先生がハンドリングできないかということがあったと思いますので、それも含めて、今頂いた御意見も考慮して検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。
【天笠主査】    それでは、とりあえず理科ワーキンググループにつきましては、以上ということにさせていただきたいと思います。
  それでは続きまして、国語ワーキンググループにつきまして、髙木委員からお願いしたいと思います。
  以下、外国語、家庭、技術・家庭等々、順次お願いしたいと思いますけども、髙木委員、よろしくお願いいたします。
【髙木委員】    資料2の説明は、事務局からはよろしいですか。
【大杉教育課程企画室長】    はい。まず事務局から説明をさせていただいてから、ワーキングのコメントを頂くという形で順次進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
  それでは、資料2でございます。国語ワーキンググループの資料を御覧ください。国語ワーキングの検討事項も他ワーキングと共通でございます。1ページ目、そして2ページ目、3ページ目でございますけれども、国語ワーキングにおきましては、言語能力の向上に関する特別チームとも連携を取っていただきながら、言葉の働きと仕組みということを改めて御整理をいただいたところでございます。特に2ページ目のブルーの枠囲み、下の方ですけれども、文化審議会答申、あるいは前回改訂における言語力に関する有識者会議の議論等も踏まえながら、言語の果たす役割ということ、そして次のページにございますように、言葉の仕組みということで、今回、外国語学習の充実という議論もございますけれども、そうした中での言語の共通の基盤である普遍性、それから固有の仕組み、個別性ということも意識しながら、それぞれの充実を考えていく必要があるのではないかということも、各ワーキングとも連携しながら御議論をいただいております。
  そして、4ページ目が国語科で育成すべき資質・能力、三つの柱でございます。これは小・中・高共通の形で、まずはまとめていただいておりますけれども、個別の知識や技能の部分で、先ほどの言葉の役割や働きに関する理解ということ、また言葉の特徴やきまりに関する理解と使い分けや、言葉の使い方に関する理解と使い分けなどなど、項目を整理していただいております。また、思考力・判断力・表現力等の部分は、先ほどの言語の能力の三つの側面である創造的思考(とそれを支える論理的思考)の側面、感性・情緒の側面、他者とのコミュニケーションの側面ということに着目しながら、テクスト(情報)を理解する力、文章や発話により表現する力、そして、考えを形成、深化する力という二つの柱になってございます。この資料の一番後ろに言語に関する資質・能力の要素ということで、これは言語能力の向上に関する特別チームで御紹介をさせていただいたものでございますけれども、上のテクスト(情報)の理解、認知から思考へという部分、文章や発話による表現、思考から表現へという部分がございますけれども、言語に関する資質・能力の要素をこういった形で思考のプロセスに即すような形で整理をいただいているところでございますが、国語科で育成すべき資質・能力の整理は、こうした言語能力の向上に関する特別チームでの整理も踏まえながらのものでございます。
  また4ページ目に戻っていただきまして、学びに向かう力、人間性の中では、言葉が持つ力を信頼し、言葉によって困難を克服し、社会や文化を創造しようとする態度など、御覧のような態度の重要性を整理いただいております。
  それから、国語科における学習活動の要素が、5ページ目、6ページ目でございます。ここが最終的には、国語科の指導内容の項目に、構造的にはおりていく形になりますけれども、先ほど御覧いただいた一番後ろの言語に関する資質・能力の要素の整理を踏まえまして、改めまして、話すこと・聞くこと、そして次のページ、書くこと、読むこと、それぞれの領域における学習活動の要素を再整理させていただいているところでございます。こうしたことが、高等学校段階が終わった段階で学習活動としてしっかりできるようにということを目指しながら、小・中も整理を一貫して行っていくということでございます。
  そして、7ページ目が国語教育のイメージということで、これも三つの柱に即して整理をいただいているところでございます。幼児教育、これも幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を踏まえながら、小・中・高それぞれについて整理をいただいているところでございます。
  そして、さらに小・中・高のそれぞれの段階で、どのような力の基礎を目指すのかということを8ページ目、9ページ目で、これは先ほど御覧いただいた三つの柱を、小・中・高で、よりブレークダウンしたものでございますけれども、赤字の部分が小学校、緑字の部分が中学校、青字の部分が高等学校ということで、こうした小・中・高を見通した教育を行っていくというイメージでございます。また、特に高等学校におきましては、10ページ目にございますように、これまでの課題を踏まえた科目構成の改善案ということで、これは既に論点整理でこの方向性が示されておりますけれども、よりそれを詰めていただいて、仮称ですけれども名称も含めて、御覧のような御検討をいただいております。共通必履修科目は論点整理に示していただいたとおり、二つに分けてございます。選択科目も四つ、論点整理の整理を踏まえたものになってございます。
  私からは以上です。髙木先生、お願いいたします。
【髙木委員】    それでは、国語ワーキンググループの議論の状況を御報告いたします。
  国語ワーキンググループにおきましては、次の時代を生きる子供たちに身に付けてもらいたい国語の学力について議論を重ねてきております。これまでの国語教育では、何の作品を取り上げたかという、題材に依存した授業になってしまっていたのではないかという反省があり、これからはどのような資質・能力を身に付けるかという方向に転換しなければならないと考えております。特に国語科は、理解したり、表現したり、考えたりといった、他教科の学習や日常生活に必要な言語能力の育成の中心となる教科であります。各教科等における言語活動を充実するためにも、その基礎となる力を国語で育成する必要があるため、カリキュラム・マネジメントの観点からも大変重要な役割を担っていると考えております。
  育成すべき資質・能力につきましては、言語能力の向上に関する特別チームでの議論も踏まえ、言語能力に創造的、論理的思考の側面、感性・情緒の側面、他者とのコミュニケーションの側面という三つの側面を位置付けて、資質・能力の三つの柱やプロセスを議論してまいりました。
  三つの柱の整理におきましては、これまで知識や技能は、言葉の特徴やきまりに関する知識や書写の技能などが位置付けられてきましたが、それらに加えまして、話したり、聞いたり、書いたり、読んだりする技能などもあるのではないかという議論を行ってきております。また、思考力・判断力・表現力等では、これからの子供たちに必要な力として、情報を多角的、多面的に精査し、構造化する力や考えを形成、深化する力などがこれまで以上に必要とされるとともに、自分の感情をコントロールすることにつながる感情や想像を言葉にする力や、他者との協働につながる言葉を通じて伝え会う力など、三つの側面がバランスよく育成されることが必要ではないかといった議論がされてきております。
  学びのプロセスにおきましては、現行の学習指導要領に示されている学習課程をさらに整理し、学習活動の要素として図示し、それぞれの学習活動の中で、三つの柱で整理した資質・能力が、どのように働いているのかを明確化しようとしているところであります。ただ活動するだけの学習ではなく、活動を通じて、どのような資質・能力を育成するのかということを明らかにして示すことが重要だと考えております。
  これらの議論を踏まえまして、高等学校におきましては科目構成の大幅な見直しを検討しております。資料2の10ページを御覧ください。共通必履修科目については、現代の実社会・実生活に必要な国語の能力という観点と、現代の言葉も昔から継承されてきたものであるという言語の文化的な視点から、それぞれ現代の国語、言語文化の2科目を検討しております。選択科目におきましては、思考力・判断力・表現力等の主に創造的、論理的思考の側面に対応する論理国語、主に感性・情緒の側面に対する文学国語、主に他者とのコミュニケーションに対応する国語表現と、ジャンルとしての古典を特出した古典探究の4科目を検討しているところでございます。
  さらに、資料2の最後のページでございます。言語能力の向上に関する特別チームにおいて中心的に議論をされてきております国語と外国語との連携につきましても、特別チームの議論を受け、国語科として、どのようなことが考えられるのかを議論しております。具体的には、言葉の働きや仕組みについて、現行の学習指導要領においても、指導事項として位置付けられてはいるが、実際の学習指導の場面では、日頃、無意識に使っている日本語について、子供たちが言葉の働きや仕組みに気付くことは大変難しいと考えております。このことは、教師にとりましても、どのように教えればいいのか悩んでいるところでもあります。言語能力の向上という観点からも、まずは国語科において、言葉の働きや仕組みについて理解を図り、それを外国語の学習に生かすとともに、外国語との比較を通じて国語の学習に生かすことができるのではないかといった議論をしているところでございます。
  最後でございますが、今後、指導の充実・改善に向けまして、国語科におけるアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善や学習評価について議論を深めてまいりたいと考えているところでございます。
  以上で報告を終わります。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは引き続き、外国語ワーキンググループにつきまして、まず事務局の方から説明し、その後、酒井委員の方からお願いいたします。
  お願いします。
【大杉教育課程企画室長】    引き続きまして、資料3が外国語ワーキングでございます。おめくりいただきますと検討事項がございます。外国語ワーキングも、項目としてはほぼ同様でございますけれども、CAN-DO形式の目標でありますとか、あるいは小学校英語の充実等、個別の論点が少しございますので、そういったことを含めて論点化していただいているところであります。そして、外国語ワーキングにつきましては、既に論点整理で少し先んじて検討して、小学校教育全体のこま数等に関わる議論もございますので、一定の取りまとめを行うようにという御指示をいただいていたところでございます。それを既に行わせていただいているのが3ページ目からの主な論点という整理でございまして、これを既に小学校部会につながせていただいて、小学校教育全体の一定の整理を行っていただいたところでございます。
  3ページ目からが主な論点でございますけれども、御覧いただくように、小学校における外国語活動含め、前回改訂の成果を踏まえつつ、一方で学校種間の接続等の課題についてどのように対応していくかということ、4ページ目の上にございますように、小・中・高を通じて育成すべき資質・能力の三つの柱を踏まえつつ、各学校段階の学びをつなぐという観点、英語を使って何ができるようになるかという観点から、一貫した教育目標が必要ではないかということ。また、言語の三つの側面、先ほども国語ワーキングで御紹介をさせていただきましたけれども、外国語においてはコミュニケーションの側面を軸としつつ、知的活動や感性・情緒の側面ということもしっかりと入れ込んでいくということでございます。
  また、どのような資質・能力をという中では5ページ目上にございますように、子供たちが卒業後、特定の学問分野や職業に進む場合だけはなく、どのような職業に就くとしても生かすことのできるような資質・能力を育成するという観点でございます。具体的な改善点については5ページ目以降でございますけれども、6ページ目、小・中・高を通じて一貫した教育目標の設定ということ、18歳の段階で身に付けておくべき力は何かという観点も踏まえながら、高等学校卒業時において共通に求められる資質・能力を明確にしつつ、小・中それぞれの発達段階を含めて考えていくということ。また、CEFR国際標準を踏まえながら、小・中・高等学校を通じて一貫した指標形式の目標を考えていくということであります。
  おめくりいただきますと、38ページ目、39ページ目に、そのたたき台として議論をいただいたものがございますけれども、指標形式の目標を今、議論の中で御整理をいただいているところでございます。
  8ページ目の真ん中辺にございますように、国がそういった指標形式の目標をしっかりと示し、それに基づき、学校がCAN-DO形式の具体的な目標を設定する。そうした中で、しっかりとした議論も含めた資質・能力の育成を図っていくということでございます。また、語彙や文法の扱いということについても整理をいただいているところでございます。
  11ページ目の評価、今後も引き続き検討ということでございますけれども、三つの柱に基づく議論を始めていただいております。また、国語ワーキングでも御紹介いただいたような国語教育と外国語教育の有機的な連携ということも11ページ目、12ページ目に整理をいただいております。
  そして13ページ目以降が、小学校の外国語教育の充実ということでございますけれども、14ページ目から小学校高学年でございます。外国語活動の様々な成果も踏まえながら、聞くこと、話すことに加え、読むこと、書くことの4技能を使いながら、その真ん中辺に小さい字でございますけれども、なじみのある定型表現を使いながら、自分の好きなものや家族、1日の生活などについて友達に質問したり、質問に答えたりすることができるという姿を目指しながら、必要な資質・能力の育成を図っていくということ。また、その下のマル1、マル2、マル3にございますような文構造などへの気付きを効果的に促していくことなどをしっかりとやっていくということでございます。
  具体的には、少しおめくりいただきまして、34ページ目、35ページ目に次期学習指導要領の5・6年生の年間指導計画ということで、先ほど申し上げたようなことを高学年でやっていくためには、これだけの指導計画が必要であるという検討をいただいております。時間にすると70時間ということでございます。そして、それにつなぐために、中学年ではなれしたしみ、体験的な外国語活動を導入していくということ、現時点と同じように35単位時間程度ということでございまして、15ページ目、上にございますように、高学年で70単位時間、中学年で35単位時間の時数の確保という中で充実を図っていくということ。また、それらを柔軟なカリキュラム設定の中で、短時間の活用ということも視野に入れつつ、また、長時間の活用でありますとかイングリッシュ・キャンプなど様々なことも考えられるということ、また、他教科も含めた全体的なカリキュラム・マネジメントということを考えていく必要があるということなども、おまとめいただいております。
  そして、そのためには様々な教材、指導体制の充実が欠かせないということでございまして、例えば19ページ目、上にございますような「Hi,friends!」を生かした具体的な教材の在り方ということ、また少し飛びますけれども、22ページ目以降は教員の養成・採用・研修など。そして24ページ目は、カリキュラム設定の具体的な在り方ということを踏まえて、指導体制の構築など、こうした様々な支援策をしっかりと講じていく必要があるということも整理をいただいております。
  その後、ポンチ絵が幾つか付いておりますけれども、例えば26ページ目には三つの柱ということ、28ページ目には英語における学びのプロセスの在り方、30ページ目には小・中・高を通じてどのような姿を目指していくのか、31ページ目は外国語教育の今後の目標と学習過程の全体像ということで、32ページ目、33ページ目にございますように、育成すべき資質・能力とそれを育む学習能力を、しっかりと掛け合わせながら指導要領を構築していくということで御検討をいただいているところでございます。
  それでは、酒井先生、お願いいたします。
【酒井外国語WG委員】    外国語ワーキングの吉田主査、石鍋主査代理及び松本主査代理の代理の酒井と言います。よろしくお願いします。
  外国語ワーキングにおいては、これまで平成26年9月に取りまとめました英語教育の在り方に関する有識者会議の報告、中教審の教育課程企画特別部会論点整理を踏まえて、資料の外国語ワーキンググループにおける検討事項に従って、今後の方向性について議論が行われてきています。これまで26ページで示されているように、外国語教育における育成すべき資質・能力、教科固有の見方や考え方、学習プロセスなどについて御意見を頂いて、1月には、今、説明のありました外国語ワーキンググループにおける検討事項に関するこれまでの主な論点をまとめ、小学校部会に報告がなされました。これまでの検討内容について御説明を申し上げます。
  まず第1に、教科において育成すべき資質・能力についてです。各学校段階での指導改善による成果が認められているものの、児童生徒の学習意欲に関する課題、学校種間の接続が十分と言えず、進学後にそれまでの学習内容を発展的に生かすことができていない状況が見られること、中学校、高等学校において、特に話すこと及び書くことなどの言語活動が十分に行われていないことや、伝える相手、目的・状況に応じて表現することなどの課題が指摘されています。
  外国語教育については、これまでの成果と課題、それから言語能力向上の観点を踏まえ、26ページの別添2の資料のとおり、小・中・高等学校を通じて育成すべき三つの資質・能力を整理しつつ、30ページにあります別添6の資料のとおり、各学校段階の学びを接続させること、外国語を使って何ができるようになるかという観点から一貫した教育目標の設定について、4技能に関わる具体的な指標の形式の目標を含めて、検討を行ってきています。
  38ページの別添12の表は、国際的な基準であるCEFRを参考に指標形式の目標を中心に検討を行っているものです。
  また、27ページの別添3の資料のとおり、外国語教育の資質・能力については、言語能力向上の観点から、小・中・高等学校を通じて外国語で他者とコミュニケーションを図る基盤を形成するため、4技能のバランスの取れた育成を踏まえつつ、また、言語や文化に対する理解を深め、他者を尊重し、聞き手、読み手、話し手、書き手を配慮しながら、外国語でコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、併せて身近な話題や幅広い話題について理解したり、情報や考えなどを伝え合ったりすることができるコミュニケーション能力を養うため、目標、指導内容、学習指導方法、学習課程、学習評価等の在り方について、一体的に検討を進めているところでございます。
  次に、外国語教育における学習プロセスと見方や考えについてです。31ページの資料です。31ページは、外国語教育の目標とともに学習プロセスを併せた全体像のイメージを提示したものになっております。その次の32ページの別添8の資料ですが、外国語教育における見方や考え方を働かせた資質・能力と学習プロセスのイメージを示して検討を行っているものです。これまで検討を行ってきた小・中・高一貫した目標の基で、これは指標形式の目標を含みますが、発達段階に応じた学習プロセスを経ることによって、思考力や判断力の深まり、外国語による表現力の向上、主体的・自律的に学習する態度の育成などを通じ、的確に理解し適切に伝え合うコミュニケーション能力を育成する方向性をイメージしたものです。
  33ページの資料は、外国語教育における資質・能力に沿って、目的に応じたコミュニケーションのプロセスとして、目的の設定・理解、目的に応じた発信までの方向性の決定・言語活動等の見通し、目的達成のための言語活動、まとめと振り返りというプロセスを整理しています。
  また、総則・評価特別部会で提示された方向性を踏まえて、43ページの別添13の資料は、学習の評価の3観点を踏まえて、外国語教育における評価の観点の方向性、次の44ページではICTの活用の方向性について検討を行っているものです。また、小学校段階では、中学年の外国語活動、高学年の教科の在り方について、これまでの外国語活動に関する調査結果とともに、文部科学省で新たな補助教材を開発し、先行して5・6年生の教科等が実施されている研究校などの取組を踏まえた方向性について、資料34ページ、35ページの別添10のとおり、具体的な年間指導計画のイメージを提示して検討を行いました。高校については、26年度から2年間実施された英語力調査の結果も踏まえ、36ページのとおり、科目全体の見直しに関する方向性を示して検討を行いました。
  最後に今後の予定としては、ワーキングとしてのまとめに向け、総則・評価特別部会における議論を踏まえ、次期学習指導要領改訂に向けた必要な養成・研修、教材開発などの条件整備等も含め、全体にわたって議論をしていく予定です。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  それでは続きまして、家庭、技術・家庭につきまして、大杉室長の方からまずお願いし、その後、橋本主査からお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料4です。家庭、技術・家庭ということで、家庭と技術分野とに分けて御説明をさせていただきます。
  前半、家庭でございますけれども、おめくりいただきまして2ページでございます。三つの柱に基づく整理をいただいておりますけれども、3ページ目に小・中・高を見通した教育のイメージがございまして、知識や技能、思考力・判断力・表現力、そして、学びに向かう力、人間性ということで、それぞれについて整理をいただいております。そのポイントを2ページの方で書いた上で、具体的内容を整理をさせていただいております。特に思考力・判断力・表現力のところですけれども、四つの柱で共通しておりまして、これが後ほど御紹介する家庭科、家庭分野において育成すべき思考力・判断力・表現力の小・中・高を見通したイメージということでございます。そして、3ページ目が先ほど御紹介させていただいた小・中・高、右側に家庭、地域、社会、現在、これから、生涯というような空間、時間的な広がりということが発達の段階に応じてということ。
  それから、4ページ目でございます。これは家庭分野、家庭科における見方・考え方を整理をいただいているところでございます。黄色の枠にございますように、様々な生活事象について、特に重要な視点として協力・協働、健康・快適・安全、生活文化の継承・創造、持続可能な社会の構築等の視点から解決すべき問題を捉えて、よりよい生活の実現に向けて考察すること、これが家庭科ならではの見方・考え方ではないかということで、そこに四つの視点がございまして、右に三つの分野がございます。家族・家庭生活、衣・食・住、消費・環境、このそれぞれの内容において、特に育成される見方・考え方が大きな丸で示されているというところでございます。また、そうした見方・考え方を生かした学習例も下に示させていただいているところであります。
  それから、こうした見方・考え方を働かせながら育成される思考力・判断力・表現力、5ページ目でございますが、このマル1からマル4、問題を見出し総合的に考察する、解決策を構想し、計画・評価する、構想したことを発表する、自分の考えを広げたり、深めるために他者と交流する、この四つの思考力・判断力・表現力の育成を、小・中・高を通じて目指していくべきではないかという整理をいただいております。また、そうした思考力・判断力・表現力を育成するために必要な学習プロセスということで、6ページ目でございます。生活を見つめて課題を発見する。そして、それに対する解決策を立案して計画を立てる。そして、解決策を実戦していく、調理や調査なども含めて、その中で自分の活動を振り返って改善する。そして最後に、実生活に応用して、実戦する力までつなげていく、そのために必要なプロセスの在り方と、それぞれで育まれる資質・能力の関係性ということでございます。
  こうしたことを踏まえて、家庭科、家庭分野の内容構造をどう見直していくべきかということが、7ページ目、8ページ目、9ページ目でございます。小・中・高を通じて、一番右側の内容にございますように、柱、先ほど見方・考え方のところにもございますけれども、家族・家庭生活に関する内容、衣・食・住の生活に関する内容、身近な消費生活と環境に関する内容ということで、大きく構造化していくということ。扱う内容は、そのまま引き継いでまいりますけれども、構造化していくということ。また、食育でありますとか、少子高齢化の課題に対応する内容の充実をしっかり図っていくということでございます。
  また、9ページ目は高等学校の家庭科でございます。現在、家庭基礎と家庭総合、そして生活デザインとございますけれども、生活デザインの履修割合がかなり少なくなってきているということも踏まえつつ、高等学校にふさわしい教科の構成の在り方は何かということでございます。現在は、2単位科目と4単位科目に大きく整理していくということで考えてございます。その中で、先ほどの見方や考え方、資質・能力をしっかりと育めるようにしていくというような方向性でございます。
  それから10ページ目が技術分野、中学校でございますけれども、三つの柱ということで整理をしております。知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性、そして、それらが、特に11ページ目にございますように、技術分野は中学校だけでございますけれども、小学校における学びが中学校における技術分野にどのように生きてくるのか、そして、中学校における学びが高等学校の、特に情報や職業に関する教科・科目を中心としてどのように生きてくるのかということをしっかりと整理していく必要があるということでございます。
  12ページ目は、技術分野の見方や考え方ということで、それぞれ領域に応じても整理しておりますけれども、総論といたしましては、生活や社会で利用されている技術について、物質、生物、エネルギーや情報の特性に着目しながら、倫理観を持ち、安全性等の観点を踏まえつつ様々な処理手段を評価し、最適なものとしていくための思考判断ということでございます。それを領域別に特質に応じて整理したものがその下でございます。
  そして、そうした見方や考え方を成長させながら資質・能力を育むためには、13ページのような学習プロセス、特に課題の設定などの設計・計画、これまで政策というところに目がいきがちだった手前の設計・計画もしっかりと重視しながら、この全体のプロセスを重視していく必要があるのではないかという御議論をいただいております。
  また、内容との構造化でございますけれども、14ページ目の右下に学習プロセスがございますけれども、これが先ほど見ていただいた課題の設計・計画、製作・制作、そして次の問題解決へというプロセスでございますけれども、これをしっかりとそれぞれの内容において実現できるように、社会を支える技術のところで課題の設定を、技術による問題解決ということでプロセス全体を、そして、社会の発展と技術というところで次の問題解決へということを、右の内容という黄色い枠の下にございますような、それぞれの領域においてしっかりと構造を整理していくということでございます。また、特に、情報の技術に関しては、新たにコンテンツに関わるプログラミングも導入するという方向性でございます。
  それでは、橋本先生、お願いいたします。
【橋本家庭、技術・家庭WG主査】    家庭、技術・家庭ワーキング主査の橋本でございます。これまで6回にわたり検討を行ってまいりましたけれども、家庭科、技術・家庭科の教科としての意味の再確認につながる充実した議論が展開されました。中でも、育成すべき資質・能力、それから、教科固有の見方や考え方、学習プロセスといった点について、大変たくさんの御意見をいただいております。進め方といたしましては、室長からもありましたように、中学校の技術・家庭科が技術分野と家庭分野があることから、大方は分けて検討をしてきましたので、本日も分けて御説明をさせていただきます。
  まず、家庭科及び家庭分野の検討についてですけれども、3ページにありますように、育成すべき資質・能力についてですが、小・中・高を通じまして生活に必要な知識及び技術、それから、生活を創造する能力、生活を創造しようとする実践的な態度といった育成すべき資質・能力の観点から、家族、家庭生活、それから衣・食・住、消費・環境といった内容で、小・中・高の系統性を考慮いたしまして体系的な整理を試みてみました。
  また、右側の方にありますように、小学校から高校にかけて、空間軸として、家庭、地域、社会へ、それから時間軸として、現在までの生活、これからの生活、生涯を見通した生活へと、それぞれ広がりを持たせながら検討しているところでございます。
  次に、教科の特性に根ざした見方・考え方についてですが、他教科と同様、検討を行っております。次の4ページをお開きください。家庭科及び家庭分野の見方・考え方につきましては、小・中・高を貫く考え方といたしまして、自立し、共に生きる生活の創造ということを置いております。
  また、四つの視点につきましては、先ほど室長から御説明がございましたけれども、この四つの視点から解決すべき問題を捉えまして、よりよい生活の実現に向けて考察することと整理いたしました。
  この見方・考え方につきましては四つの視点と、内容領域であります家族・家庭生活や衣・食・住の生活、消費・環境といった内容とが必ずしも一対一の対応ではなく、題材構成によっては様々な視点の組み合わせが考えられますが、ここでは主として、家族・家庭生活では協力・協働の視点、衣・食・住では健康・快適・安全と生活文化の継承・創造の視点、消費・環境では持続可能な社会の構築の視点に重点を置きまして整理することといたしました。
  一方で、このことにつきましては、指導する題材によって視点が様々変わることから、示し方にも配慮が必要ではないかというような御意見もいただいているところであり、引き続き検討をさせていただく予定になっております。
  次に、技術分野について御説明をいたします。11ページをお開きください。技術・家庭科(技術分野)においては、技術に関わる知識と技能、技術を評価し、改良、応用したりする能力、技術を工夫し創造していこうとする態度といった育成すべき資質・能力の観点から、生活範囲から社会全体を対象として内容の整理を試みました。その際、技術分野は、先ほど大杉室長の方からもお話がありましたように、中学校しかないことも踏まえまして、小学校の生活科や図画工作科、高等学校の情報科や職業に関する各教科・科目との接続も念頭に置き、検討を行いました。なお、家庭分野も小学校高学年から始まることから、他教科等との連携を十分図る必要があると考えております。
  次に、技術分野における見方や考え方につきましては、12ページをお開きください。そこにありますように、生活や社会で利用されている技術、内容として扱いますのは材料と加工、生物育成、エネルギー変換、情報という技術でありますが、これを対象といたしましてそれぞれの特性に着目し、問題を解決するに当たり、倫理観、安全性、社会からの要求、環境負荷、費用等からの見方や考え方を踏まえつつ扱う技術を評価し、最適なものとなるように選択、管理・運用したり、改良、応用したりするために思考・判断していくものとして整理をしたところであります。こちらの方はおおむね意見の一致を見ております。
  次に、学習プロセスにつきましては6ページと13ページ、家庭分野の方は6ページ、技術分野の方は13ページになっておりますが、両分野とも課題解決に向け、まず問題を発見するという段階が難しいという、また重要であるという御指摘をいただいております。また、解決策を設計・計画・立案していく第2フェーズが、思考し判断する力を育成する上で大変重要であるという御指摘などもいただいているところであります。
  また、先ほど室長の方からも御説明がありましたけれども、家庭科及び家庭分野の方では、実生活で活用する力を重視するということで、教科内で家庭・地域での実践を検討しておりますけれども、既に高等学校ではホームプロジェクトや学校、家庭、クラブ活動の実践、中学校では生活の課題と実践の成果が見られているところでもあり、小学校においても同様の実践を検討しております。また、技術分野においては3年生で統合的な問題を取り扱うことを検討しております。
  このほか中学校の技術・家庭科につきましては、社会的な課題の解決に向けて技術の工夫を重視する技術分野と、自立した生活を営む力を身に付けさせることを重視する家庭分野で、教科として目指すところをめぐりまして集中的に意見交換が行われ、学習課題を捉える際の生徒の認識の広がりを考慮し、技術分野において取り扱う技術の範囲を生活や社会におけるというふうな表現の方向で整理がなされたところであります。
  最後に、今後の検討課題についてですが、これらの議論を踏まえまして家庭科、技術・家庭科の改善の方向性を検討しているところであります。今後、ワーキングとしてのまとめに向けまして、総則・評価特別部会からのお示しいただいたことを踏まえまして、学習評価の在り方について検討を進めてまいります。また、実践的な学習活動には他教科等との連携が必要であり、また、地域社会、関係機関の協力が大変必要となるところでございます。そのような教育充実のための必要な支援、助言、整備等につきましても今後議論を進めてまいります。
  なお、先ほど室長からお話がありましたように、高等学校家庭科の共通教科の科目が3科目ございますけれども、全ての高校生が自立した生活者となるための基礎的な学習機会として社会からの期待が大変高まってきております。丁寧な問題解決学習を実施するため、授業時間と内容のバランスとを十分検討しなければならないと考えております。
  以上でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、情報ワーキンググループにつきましてお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    資料5でございます。情報ワーキング、大きく二つございまして、一つは、情報活用能力全般、小・中・高を通じてですけれども、それと、高等学校の情報科の位置付け、内容でございますけれども、情報活用能力につきましては既に主査にも御出席いただきながら整理をさせていただいたところでございますので、簡単に触れさせていただきながら、高等学校の情報科の今後のイメージについてというふうに思っております。
  おめくりいただきまして2ページ目でございますけれども、これは以前、この部会にお諮りさせていただいたときは白黒の一太郎ファイルで御覧いただいたものでございまして、これをパワーポイントベースに落としていただいたもので、見た目はかなり見やすく変わっておりますけれども、内容はそのままでございます。情報活用能力を三つの柱で整理し直していただいたもの、そして、それを小・中・高の発達の段階に応じてどのように育むか、小学校段階におきましては教科横断的にカリキュラム・マネジメントを行いながら、そして中学校、高等学校ではそれぞれ技術分野、情報科ということを確認しながらしっかりと育んでいくということでございます。
  1枚おめくりいただきますと、これも踏まえまして高等学校情報科において育む資質・能力。下側が先ほどの情報活用能力の全体像でございますけれども、これも踏まえながら知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性、それぞれについて整理をいただいております。
  それから、情報活用能力については、4ページ目にございますように、情報活用能力のこれまで説明されてきております3観点と、資質・能力の三つの柱の関係性を示しております。資質・能力の視点からの整理と内容・学習活動の視点からの整理、それぞれが並び立つ形であるという考え方であります。
  こうした資質・能力の整理を踏まえつつ、5ページ目が情報科において育む見方や考え方とは何かということでございますけれども、様々な事象を情報の結び付きとして把握し、試行錯誤や評価・改善とを重ねながら、問題の発見・解決に向けた情報技術の適切かつ効果的な活用を探究していくということでございます。これをしっかりと育めるような共通必履修科目の在り方を現在御議論いただいているところでございます。
  また、そうしたことを育むアクティブ・ラーニングの視点のイメージでありますけれども、6ページ目にございますように、それぞれ、深い学び、対話的な学び、主体的な学び、これを通じて三つの資質・能力にしていくということを御議論いただいております。
  より具体的には、7ページ目にありますような問題の発見から次の問題解決へ至るような情報科における主な学習過程の例、そして、その中でICTをどのように効果的に活用していくかということにも御整理をいただいております。
  そして、そういった学習過程を取り入れながら、具体的に新科目のイメージでございますけれども、情報1と情報2ということで整理をいただいております。情報1の方は共通必履修科目になりますけれども、項目の構成案ということで情報社会の問題解決、コミュニケーションと情報デザインといった五つの柱ということ、そして、選択科目として情報2という、より発展的な内容を扱うということでございます。
  いずれにしても、先ほどの学習過程がしっかり活用されて、資質・能力、見方・考え方が育成されるような新科目の在り方を現在御議論いただいているところでございます。
  それでは、堀田先生、お願いいたします。
【堀田情報WG主査】    情報ワーキングの主査といたしまして御報告申し上げます。堀田でございます。
  情報ワーキングでは、今、大杉室長からもありましたように、6回の審議のうち前半3回を、小・中・高全体を通して各教科等で学んでいただく情報に関わる資質・能力、情報活用能力ですね、これについて検討をしてまいりまして、この部会で1月に皆様に御報告を申し上げたところでございます。その後、第4回から6回までにかけまして、とりわけ高等学校の教科情報の改善について検討を進めてまいりました。
  ちょっと情報ワーキングは特殊な部分がありまして、それは小・中・高全体の各教科にまたがっている横断的な情報活用能力の育成をどうするかという話と、高等学校の教科、あるいは中学校の技術分野で必履修として行う全ての子供たちに学ばせなければいけないやや専門的な部分をどうするか。そして、今回、選択科目として情報2というのを作りますが、そこをどうするか。大体3段構えぐらいになっているというふうに御理解いただければと思います。
  資料5の2ページを御覧いただきたいんですけれども、先ほどパワーポイントベースに作り替えたというお話が出た資料でございまして、左側が全ての生徒に培う能力ということになります。これは、三つの柱で整理してございますが、一番上の知識・技能でいうと、情報についてよく知ると、情報はそもそもどういうものかについてよく知る、情報手段について知る、アナログとデジタルについて知る、あと、情報手段の仕組み、情報社会への影響、法律の問題、そういうようなことの基礎的な知識・技能を知った上で、思考力・判断力・表現力のところでは様々な情報を収集する、複数の情報を基に判断する、比較・検討する、計画を立てて実行する、協働で行う、相手の状況を踏まえて伝えるみたいなことをやる。それを通して、一番下、情報に対する評価や価値や責任、そういうような主体的な関わり方の態度の育成というふうになっております。
  これを右側のように小・中・高の段階で培っていくわけですけれども、小・中・高については各教科等で、とりわけ中学校の技術分野では取り出して、高等学校では教科として必修と選択があるという形になります。
  少し飛びますが、5ページを御覧いただけますでしょうか。今回特に御報告いたしますのは、高等学校の教科情報でございますが、小・中あるいは中学校の技術分野でいろいろと子供たちが体験的に学んできたことを、教科として今一度しっかりと見直して整理し直す、体系化する、知の体系化みたいなことのイメージが教科情報になります。物の見方・考え方としては、左側に「世界をどのように捉えるか」とちょっと漠然とした感じで書いてありますけれども、つまり、世の中にあるいろんなものを、情報とそしてそれの結び付きによって動いているというふうに捉えるのだという捉え方と、それをもとに情報及び情報技術の特性を踏まえて何度も試行錯誤しながらよりよい形に最適化していくような見通しを持った試行錯誤を行うと。見通しを持った試行錯誤は簡単な段階では簡単なICTを用いながらやっていけばいいわけですけど、だんだんレベルが上がってくると、例えばプログラムを組んでシミュレーションしていくとかそういうようなこと、あるいは情報デザインを基に何かウエブページを作って誰かに評価してもらって試行錯誤していくというようなものですね。そういうものについて高等学校では学んでいくようにしたいということでございます。
  6ページにありますが、これとアクティブ・ラーニングの関係で申し上げますと、様々な情報を、社会の情報もICTを用いて、情報技術を用いて取り込んで、それを基に試行錯誤しながら解決していくということは、学び、分かり直しみたいなことが起こるということで、深い学びにつながりやすい。そして、それを協働で行うということをしばしば情報科においては行いますので、ほかの人の考えがそこに入ってきて、対話的な学びになりやすい。主体的な学びについては、自分のやってきたこと、試行錯誤ですから、これはプロセスメタ認知になりやすいという部分があると思っております。
  8ページでございます。高等学校の情報科におきましては、必履修科目と選択科目で情報1、情報2と分けております。この項目のタイトルだけではちょっと分かりにくい部分があるかもしれませんけれども、情報1については、まず世の中全般の情報社会の問題解決ということで、全体の総論を語った上で、2、3、4、5のところで要素技術の基本的な部分を必履修として学んでもらうと。情報2については、それをより今日的な、より未来的な形で進めていくという形になります。
  繰り返しになりますが、最後に、情報活用能力については、それが一旦、学び取られると、これは子供たちの思考に影響するので、その後の各教科等の学びの深まりに非常に貢献することができるだろうと。それによって他教科の学習も促進されるだろうというふうに考えますので、そういう学び方の一つとしての情報活用という考え方で進んでいく部分と、それを経験的にいろんなことを経験したものを高等学校になって体系化し直すという教科の性質というふうに分けられるということで御報告いたします。
  以上でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、特別活動ワーキンググループについてお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    資料6でございます。特別活動ワーキンググループ、1枚おめくりいただきますと検討事項がございます。他教科と同様の検討事項を整理いただいておりますけれども、特に1ポツの下から2番目のポツにございますけれども、特活における学級・ホームルーム活動、児童・生徒会活動、クラブ活動、学校行事といった活動があるわけでございますけれども、こういった活動のそれぞれを超えて共通に目指していくべき方向性とは何かということ、そして一方で、これらの活動一つ一つの意義とは何かということの双方から特活を学ぶ意義ということについて御議論をいただいております。
  おめくりいただきまして2ページ、共通の部分でございますけれども、育成すべき資質・能力の整理に当たって、人間関係形成、社会参画、自己実現、自己形成でありますとかキャリア形成ということでございますけれども、この三つの視点を踏まえながら考えていく必要があるのではないかという御整理、また3ページ目にございますように、それぞれひし形と丸と四角が、ひし形が人間関係形成、丸が社会参画、四角が自己実現ということでございますけれども、先ほどの三つの視点を踏まえながら、三つの柱に沿った整理をいただいているところでございます。
  また、4ページ目からは、それぞれの活動におけるその活動の意義や役割を明確にということの中で、その学びのプロセスを整理いただき、その中で具体的にどのような資質・能力が育まれるかというようなことの整理をいただいております。学級(ホームルーム)活動、そして5ページ目が児童会(生徒会)活動、6ページ目がクラブ活動、7ページ目が学校行事ということでございまして、こうしたことも踏まえながら今後特活の全体的な構造の整理を行っていくということ。
  また、8ページ目にございますように、それぞれの活動の関係性でございます。学級活動が特別活動の全ての基盤となってくるということと、様々な活動がつなぎ合いながら資質・能力が育まれていくということ。
  9ページ目は、中学校、高等学校の例です。
  10ページ目にございますように、特活におけるそれぞれの活動が、ある意味、社会における様々な人間の活動の疑似体験的な部分にもつながってくるのではないか、特活における活動を充実することで社会に開かれた教育過程につながっていくのではないかということでございます。
  また、あわせて11ページ目にございますように、キャリア教育、中教審のキャリア答申の基礎的・汎用的能力というものを改めて三つの柱に整理をし直して、これをしっかりと教育過程に構造化していくということの御議論もいただいているところでございます。
  それでは、貝ノ瀬先生、お願いいたします。
【貝ノ瀬特別活動WG主査】    では、特別活動ワーキンググループの審議状況を御報告させていただきます。
  全体の進捗状況は今御説明があったとおりですけれども、私の方からは特に3点、一つは、特別活動において育成すべき資質・能力について、2点目が、特別活動における各活動の整理について、三つ目がキャリア教育との関係についてということで議論いたしましたので、この状況を報告させていただきたいと思っています。
  一つ目の特別活動において育成すべき資質・能力ということでございますけれども、資料6の1ページを御覧いただきたいと思います。私どもワーキンググループでは、特別活動において育成すべき資質・能力は何かということを議論するその前提として、これまでの特別活動の目標や大切にしてきたことなどを基にしまして、人間関係形成、社会参画、自己実現、これは御指導などが含まれるわけですが、この三つの視点があるのではないかということで整理をしたわけでございます。
  2ページを御覧いただきたいと思います。これは、特別活動において育成すべき資質・能力を整理した表でございます。本資料は一通りワーキンググループの中で御議論いただいたものですが、今後、ほかのワーキンググループの検討状況ですとか、特に思考力・判断力・表現力の書きぶりが、学びに向かう力、人間性等の書きぶりにちょっと寄ってしまっているところがあるということでございまして、今一度整理をしていきたいと考えているところでございます。
  それから、2点目の特別活動における各活動の整理でございますが、御承知のとおり、特別活動におきましては学習指導要領上、小学校で四つの活動、中・高等学校では三つの活動を示しているわけでございます。これらの活動の関係性はどのようになっているのか、また、これらは発達の段階に応じてどう広がりが深まっていくのかということについて検討を行いました。
  8ページを御覧いただきたいと思います。私どもワーキンググループは、学級活動が特別活動の基盤になるという整理の下に、学級活動で育成された資質・能力を様々な切り口で構成される集団活動の中で活用することによって、より自分のものとして獲得することができるといった整理をしたわけでございます。学級活動は同年齢の身近な集団、児童会(生徒会)活動は異年齢により構成する役割を共有する集団、クラブ活動は同好の集団、学校行事は行事ごとに特色があるわけですが、学年や学校という大規模な集団ということで学校行事を整理いたしました。こうした構造の下に学級活動で育成した資質・能力を様々な切り口から構成される集団における活動を通して、さらに深めてより確かなものにすることができるのではないかと考えています。
  また、詳細は整理できておりませんけれども、学級活動で育んだ資質・能力を確かなものにするだけではなくて、それぞれの活動ごとにも育成される固有の資質・能力があるのではないかと考えております。あわせて、それぞれの集団の意義や役割、機能、そして、その中で個人が果たすべき役割も学んでいくことになるわけでございます。
  それから、キャリア教育でございますが、キャリア教育の視点を踏まえた特別活動の推進についても検討いたしました。11ページを御覧ください。キャリア教育において育成すべき資質・能力について、三本柱で整理した資料でございます。キャリア教育は全教科を通じて行うべきものでございますけれども、特別活動との関わりも大きいものがあるということが御覧いただければお分かりいただけると思います。こういったことから、本ワーキンググループの中では、特別活動がキャリア教育の中核としての役割があるのではないかということについても御議論をいただいたところでございます。また、特別活動において、キャリア教育にも関わりまして、これまでの学びを振り返り、評価するためのツールとしてポートフォリオの導入、これは仮称キャリアパスポートなどと言っておりますけれども、こういった点などについても御意見をいただいているところでございます。
  現在、第6回までワーキンググループが終わったところでございますが、今後、総則・評価特別部会で示されました物の見方や考え方に関する議論などについても検討を進めてまいりたいと思っています。また、特別活動において育成すべき資質・能力は、ほかの教科等にも関わる内容が多くございます。ほかのワーキンググループの検討状況も踏まえまして、さらに検討を進めていきたいと考えています。
  以上でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  続きまして、産業教育ワーキンググループにつきましてお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    資料7でございます。産業教育は、教科・科目、分野がかなり多岐にわたる中でございますけれども、共通性とその中での特質を御議論いただいているところでございます。
  2ページ目をお開けいただきますと、産業教育のイメージということで、これは共通に目指すべき資質・能力ということで、知識・技術、思考・判断・表現、そして学びに向かう力、人間性、特に学びに向かう力、人間性のところでございますけれども、職業人として必要な豊かな人間性ということ、よりよい社会の構築を目指してみずから学び、産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度ということで、中学校までの学びとのつながりも意識しながら御議論をいただいております。
  また、三つの柱それぞれの分野、教科においては、3ページ目のように整理をできるのではないかということで、かなり共通する部分ございますけれども、各分野の特質も踏まえながら考えていただいているということ。
  そして4ページ目が、産業教育における課題発見的なプロセス、もう既に産業教育の中では一般的になってきている部分でございますけれども、こうした学びの中で資質・能力を育んでいくという、ここまでが総論部分でございます。
  5ページ目以降が、各教科の在り方についてということで整理をいただいております。この後半部分、14ページ目以降が現行の教科の目標でありますとか、科目構成について整理をいただいている部分であります。この14ページ目以降の部分を今後どのように改善を図っていくかということでおまとめいただいたのが6ページ目からでございます。
  例えば農業科におきましては、御覧いただくように育成する人材像、資質・能力、見方や考え方、産業教育におきましてはかなり専門的な視点になってまいりますので、見方や考え方が少し項目としては多くなっている部分もございますけれども、こういったもの、そして、こうした資質・能力の育成の方向性を踏まえて科目構成をどのようにしていくか、分野の見直し、例えば農業科であれば持続可能性、六次産業化、安全・安心ということを踏まえて見直していくポイント。
  そして7ページ目、工業科でございますけれども、同様に人材像、資質・能力を踏まえて、例えば環境問題、省エネ、ユニバーサルデザイン、組み込み技術の知識や技術、グローバルな視点といったことで見直しを図っていくという方向性であるということ。
  8ページ目は商業科でございますけれども、商業科につきましてもコミュニケーション、マネジメント、経済のグローバル化といったような視点で見直しを図っていくという方向性であるということ。
  9ページ目、水産科でございますけれども、こちらにつきましても技術革新への対応、海の多様な利用ということを踏まえた基準に対応した学び、セキュリティや食品の安全という観点。
  10ページ目は家庭科でございますけれども、これにつきましても食育、子供の発達や子育て支援、複雑化する社会や消費生活への対応、生活文化の継承・創造。
  11ページ目が看護科でございますけれども、他職種との連携・協働、医療安全に関する学習の充実など。
  12ページ目は情報科でございます。情報セキュリティ、コンテンツ、あるいはシステム設計・管理とコンテンツの一体化、情報メディアやデザイン、問題解決やプログラミング、統計的手法といったこと。
  13ページ目は福祉科でございますけれども、医療的ケアを安全に進めるための学習、あるいは介護従事者に求められるマネジメント能力、こういった現代的な課題に照らして改善の方向性を御議論いただいているところでございます。
  それでは、浦野先生、お願いいたします。
【浦野産業教育WG主査】    それでは、産業教育ワーキンググループの御報告を申し上げます。
  御承知のように、産業教育は、農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報、福祉の8教科がございます。各職業分野に従事することを希望する生徒を対象として、その職業分野に必要な基礎的・基本的な資質や能力を育むことを主たる目標としてきました。
  これまでのワーキングの中では、この8教科それぞれにおいて求められるもの、そして共通に求められるものといった視点からいろんな議論をしてまいりました。産業界から求められる資質や能力、あるいは、それぞれ個別の職業分野でどういった資質・能力が必要なのかということでヒアリングも行ってまいりました。各企業や大学・高校等を含めたヒアリングを交えながら議論をしてまいりました。
  そして、本日の資料7の2ページにイメージがございますけれども、上の三つは各分野に共通して求められる、育成すべき資質・能力というふうにお考えいただければと思います。これらの中には、従来から学習指導要領等において職業に関する教科の目標として明示してきた要素もございます。例えば、職業人としての倫理観、この倫理ということについては、昨今、産業界では社会問題化した例もございますので、「職業人としての」という文言を追加して、より強めた表現になってございます。
  それから、「合理的かつ創造的に解決」といった、この合理的という言葉でございますけれども、各産業においては、価格的原理に基づくこと、あるいは経済性を見ること、あるいは有限な社会資源、あるいは環境への影響等、そういったいろんな制約条件を考慮しなければなりません。そういったことから合理的といった言葉も付けております。
  一方で、今回改めて明確にしたいということで強調した視点もございます。それは主にマル3の中に書いてございますけれども、一つは、よりよい社会の構築を目指して自ら学ぶといったチャレンジ精神、やはり現在の日本全体、経済全体がそういうチャレンジ精神に欠けているのではないかといったことから、強調しております。それから社会貢献、これも自分たちが学んできた技術・技能を地域・社会の中で総合的に応用して活用していこうといった視点でございます。さらに、協働的に取り組むといったことは、チームで働く、そしてチームで知恵を出し合うことによってコミュニケーションを図りながら業務の進展を図っていくということで、日頃の学習においてもチーム学習を重視しながらやってまいりたいと思っております。
  産業教育におきましては、従来から産業界等と連携した実験・実習などの実践的・体験的な学習活動を重視してまいりましたけれども、こうした活動を通して、各職業分野の本質に根ざした見方や考え方を働かせながら、各職業分野で求められる資質や能力を獲得していくような深い学びの実現に向けて引き続き検討してまいりたいと思います。
  以上でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  申し訳ございませんが、冒頭、進め方について、途中で休憩等々というふうに申し上げましたけれども、大分時間も押しております。後の委員の方々の御意見等々の時間を確保したいと思いますので、休憩はなしで続けさせていただきたいと思います。
  続きまして、算数・数学ワーキンググループにつきまして、大杉室長、よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    資料8でございます。算数・数学ワーキンググループは、他教科と同様、三つの柱の整理、それから学習プロセスの在り方、資質・能力の育成について御議論をいただいております。
  1枚おめくりいただきまして2ページでございますけれども、三つの柱に沿った小・中・高それぞれの発達の段階に応じた育成のイメージでございます。
  1枚おめくりいただきまして3ページ目に、より教科目標の構造に近いものを書いていただいておりますけれども、小学校において、二重丸のところにございますように、数学的活動を通じて、数学的に考える資質・能力を育成するということ、そして、具体的にはマル1、知識・技能、マル2、思考力・判断力・表現力、マル3、人間性や学びに向かう力ということで、それを小・中・高見通したような形で、そして幼児教育におけるどのような学びがそういった資質・能力の育成につながるのかということも見通しながら整理をいただいております。それを少し具体的にしたものが、その前の2ページ目の整理でございます。
  そして4ページ目と5ページ目が、算数・数学における問題発見・解決のプロセスと思考力・判断力・表現力との関係を整理していただいたものでございます。
  4ページ目の下の紫色の部分にございますように、事象を数理的に捉え、数学の問題を見出し、問題を自立的、協働的に解決することができるということでございますけれども、左から来ている矢印の部分が、現実の世界の様々な事象を数学化して問題解決をしていくということ、そして右側の赤い矢印は、既に数や式に表されている数学の事象を統合的・発展的に考えて問題を解決していくことができるということ、算数・数学におきましてはこの双方の力をしっかりと総合的・統合的に育んでいくということが重要であるということでございます。
  より具体的には5ページ目にございますように、それぞれの段階においてどのような資質・能力の要素が働いているのかということを指導要領の内容の構造の中で意識しながら発達の段階に応じて育んでいくことが重要であるということ。
  また、見方や考え方の成長に関しましては、6ページ目のように、より発展的な問題発見・解決に取り組んでいくことによって見方や考え方がより洗練されていったり、領域・分野横断的なものとして獲得されていくのではないかという御議論もいただいているところでございます。
  それでは、小谷先生、よろしくお願いいたします。
【小谷算数・数学WG主査】    算数・数学ワーキンググループにおけるこれまでの議論の状況について報告させていただきます。
  小学校では算数、中学校・高等学校では数学と教科名が異なっておりますが、身に付けるべき知識・技能等は小・中・高と次第に高まっていくものでございます。これらを一体的な考え方により統一し認識し教育するということがとても大切でございますので、学校段階を分けるのではなく、全体を通した視点で改定に向けた議論を行っております。
  育成すべき資質・能力の整理についてでございますが、今、事務局から御説明いただきましたように資料8の2ページ目、3ページ目で議論をしてございます。これまでの学習指導要領では、発達に応じて知識・技能を確実に身に付け、数学的な思考力や表現力を育てることに重点を置かれておりました。しかしながら今回の議論では、これまで資質・能力の三本の柱の視点で検討を行いました。議論においては、各学校段階でどのような人を育成するのか、身に付けた知識・技能を活用してどのような力や態度を養うのかを明確にすべく、活発な議論を展開してきました。その結果、小・中・高を通じて算数・数学のイメージや三つの柱に沿った資質・能力についてワーキンググループとして一定の共通認識が得られたと認識してございます。
  例えば、2ページ目を御覧いただきますけれども、既習の内容を基にして数量や図形の性質を見出すなど、統合的・発展的に考える力や、問題解決において粘り強く考え抜き、その過程を振り返り、考察を深めたり評価・改善する態度を育成することなどです。そして、そのことにより、数学的な見方や考え方のよさ、数学の実用性を理解し、様々な事象の考察や問題解決に積極的に数学を活用するような人間を育てることを目指しております。
  アクティブ・ラーニングの視点を踏まえた学習のプロセスについては4ページ目、5ページ目で議論をしております。4ページ目でございますが、先ほど御説明ありましたように、算数・数学においては二つの異なるプロセスがございまして、これらが一体的に相互作用することは大変重要でございます。一つ目のプロセスは現実の世界、日常の生活や社会の現象をいかに数学的な問題として表現をし解決していくかという数学科のプロセスでございます。そして、もう一つのプロセスは算数・数学の世界で出てきた課題を数学の概念として総合的・発展的に考えて数学化し、数学的に解決していくということでございます。
  このことの具体的な例を申し上げますと、例えば日常生活や社会の現象と申しますのは、物質の運動を記述し、その速さを比べたり、日常生活・社会生活においては金利や保険について調べたりするなど、そういうことをイメージしております。また、数学の事象と申しますのは、例えば様々な図形の面積の出し方や連立方程式の解き方を考察するなど数学的な構造・概念を理解することを目的としています。
  この二つのプロセスを経て出てきた結果を実生活に生かしていくことや、学びのプロセスにおけるあらゆる場面で振り返り改善を図っていくことの重要性、学びのプロセスを振り返ることで新たな概念の獲得や数学的な見方の考えを広げていくことの重要性が議論されました。特に6ページ目を見ていただくとお分かりのように、素朴な数学の問題が、教科を横断するような問題解決のプロセスにつながるような問題発見の解決の広がりや汎用的な見方の考え方をこの過程を通じて獲得していき、統合的・体系的に捉えることができると、そのような人間を形成していくことを目的としております。
  最後でございますが、統計的な内容の充実についても議論いたしました。統計的な内容につきましては、教育課程企画特別部会の論点整理の中で議題として明言されております。現行の学習指導要領作成時においても内容の改善等が図られています。しかし、統計は日常生活や社会の活動の様々な場面で利用されるものであるにもかかわらず、統計活用能力の獲得という面では現在の指導要領では十分ではないという認識の下、限られた授業時間の中で小・中・高を通してどのように充実を図り、統計活用能力を育成していくのかを議論しているところです。今後、統計的な内容の充実のほか、評価の在り方、情報科などの他教科との関連について議論を進めていくことを目指しております。
  以上でございます。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  最後になりますけれども、数理探究特別チームにつきまして、室長からお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    資料9でございます。8月の論点整理で高等学校におきまして数学・理科にわたる探究的科目の在り方を検討するようにということを受けまして、御議論を重ねていただいてのこの特別チームでございます。後ろ2枚にスーパーサイエンスハイスクールの概要が10ページ、11ページ目にございますけれども、11ページ目にございますように、そういった課題研究の中で主体的な課題設定、そして探究の活動を充実させていただいているということ、そうした中で高等学校教育の深まり、そして、そういった学習の深まりと大学教育の在り方もしっかりと結んでいくべきではないかということも背景に提言をいただいた探究的科目でございます。
  戻っていただきまして2ページ目からが基本的な構造について御議論をいただいております。
  3ページ目にございますように、教科・科目を超えた総合性、そして、数学的な見方・考え方と科学的な見方・考え方を双方活用した融合性、また、探究的な学習を行うという手だて、そして新たな価値の創造に向かう粘り強さという挑戦性やアイデアの創発ということを基本原理としながら御議論をいただいております。
  4ページ目はその原理の図式化でございますけれども、5ページ目にございますような理科のプロセスも、それから先ほど御紹介いただいた数学的なプロセスも踏まえながら御議論をいただいております。
  6ページ目が数理探究の資質・能力の三つの柱ということでございます。特に探究的な活動に必要な知識・技能でありますとか、研究倫理に必要な理解、それから教科・科目を超えて探究していくために必要な課題解決の能力、それから科学的・数学的なものと向き合い、考え抜いて行動していく態度を御議論いただいておりまして、それを具体的にどのように育んでいくかという中では、二つのプロセスが必要になるのではないかということ。7ページ目にございますように、基礎的に様々な科学者が行ってきた探究活動を追体験するような基礎の習得段階のプロセス、そして、より主体的に課題を設定して探究していくような探究を深める段階が必要ではないかということでございます。
  8ページ目にございますように様々な条件整備、あるいは大学とのつながりを意識しながら科目の在り方を議論していく必要があるということで、引き続き御議論をいただいているところでございます。
  それでは、岡本先生、お願いいたします。
【岡本数理探究特別チーム主査】    これまでのスーパーサイエンスハイスクール等の取り組まれてきた課題研究のそういう取組を踏まえつつ、高等学校に数学と理科にわたる探究的な選択科目を新たに設置しようということで、仮称ですけど、数理探究という科目の検討をするために特別チームができております。私はその主査を務めております岡本と申します。
  この新しい科目を検討するために数学・理科のワーキンググループとは別に特別チームが設けられたわけですが、そこには高等学校の関係者に加えまして大学の先生方、研究者及び大学経営に関わっている方々の参画を得ております。もちろん理科や算数・数学のワーキンググループの方にも参加していただいているということで、これまで3回の審議をいたしましたので、その途中経過について御報告させていただきます。
  私どもは、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の成果や取組の状況、課題などを踏まえた上で、新しい科目の構造について検討を進めております。まず、数理探究という科目は新しい科目でありますので、科目固有の原理を明らかにすることが必要であろうということで、基本原理についてまず検討しております。
  具体的には、まず1番目として、教科・科目の枠にとらわれない自由な視点で事象を捉えるということ、2番目に、数学的な物の見方・考え方や科学的な物の見方・考え方を柔軟な発想で活用したり組み合わせたりするということ。以上のような取組の中で、3番目として探究的な学習を行い、それを通じて、4番目に新たな価値の創造に向けて粘り強く挑戦する力の基礎を培うという案を基に審議を進めております。
  この基本原理に関しましては、1の自由な視点で事象を捉えるということが重要であり、これをどのように評価するのかということを考えなければならないという御意見や、自由な視点や柔軟な発想などについて学校現場が十分理解できるように具体的に説明していくことが必要ではないかという意見がございました。
  また、新しい科目を通して培われる資質・能力につきましては、お手元の資料9の6ページを御覧いただければと思います。新しい科目で身に付けようとする知識・技能としては、探究を実践するために必要となる知識・技能としております。特に、生命倫理を含む研究倫理をしっかり身に付けておくことは、これから先、大学等で研究等に携わるためにも非常に意義があるという意見が強くありました。また、思考力・判断力・表現力としては、課題を設定する力、議論等を積極的に行い多面的に思考する力、課題解決を実現するための力を挙げております。また、最後にある情意、態度として、課題や事象に徹底的に向き合い、考え抜いて行動する態度や、新たな価値の創造に向けて積極的に挑戦しようとする態度を挙げております。
  科目の構造ですが、7ページを御覧ください。探究を実施するための基礎を学ぶ段階と、実際にみずから課題を見出して探究を実施する段階に分けて実施することが効果的ではないかと考えております。実際にSSHなどで行われている取組でもこのようなやり方で取り組んでいる学校がしばしばあるというところでございます。
  新しい科目の実施に当たりましては、大事なことですが、生徒たちが失敗を恐れず取り組むこと、また、探究した成果の質よりも探究の過程で試行錯誤したり失敗したりすること自体に意味があるという意見が出ております。特に新しい科目を実施するに当たりましては、実施の環境を整備することも重要であるという意見がございます、当然のことですが。探究的な活動を指導することができる教員の養成、効果的に指導できる教員の体制の確保、生徒が実施する探究に必要な経費の確保等がなされなければ、効果的な探究的な活動を実施することは難しいと当然考えられますので、SSH等の事例を踏まえながら必要とされる諸条件について検討を進めていきたいと考えております。
  以上が検討の状況です。今後はこれまで議論を踏まえながら、新科目の内容や必要と思われる諸条件について、より具体的な検討を行い、新しい科目の構造を構築していきたいと考えているところでございます。ありがとうございました。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  進め方でありますけれども、委員の皆さん、着席されてからほぼ2時間、一方的に情報を受け止めてきたということかと思いますので、ちょっとここで息継ぎをした方がよろしいんじゃないかという判断で、少し休みを入れさせていただきます。それで3時5分から再開をさせていただきたいと思いますので、若干息継ぎをしていただければと思います。後ほどよろしくお願いいたします。
(  休憩  )
【天笠主査】    それでは、再開させていただきたいと思います。
  再開に際しまして、事務局の方から、まず連絡事項等々含めてお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    文部科学省の人事異動について御報告をさせていただきます。伯井大臣官房審議官、独立行政法人の大学入試センター、理事兼副所長に4月1日付着任ということで、新たに浅田大臣官房審議官でございます。
【浅田大臣官房審議官】    浅田です。昨年8月から内閣官房の教育再生実行会議担当室長をやっておりますが、それは引き続きやる上で、初中局の審議官を兼務させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。
【天笠主査】    それでは、先ほど各ワーキンググループ等の御説明あるいは御報告をお願いしたわけですけれども、それらを踏まえながら意見交換の時間というふうにこれからさせていただきたいと思います。例によりまして御意見のある方は挙手いただくとともに名札を立てていただき、発言が終わりましたらそれを元に戻していただくというふうにお願いしたいと思います。
  それでは委員の方、どこからでも結構ですので、御意見等々をお願いできればと思います。
  野津委員、お願いします。
【野津委員】    家庭、技術・家庭のところになりますけれども、資料4の3ページを見ますと、「知識及び技能」という表現と「知識及び技術」という表現が混在しています。6ページにも「技能・技術」というラベルになったりしておりまして、何かワーキングで議論があって、背景があって、こうした使い分けをなさっているのかどうか。先ほどの産業教育の方でも「技術」という表現が見られたが、このあたり、教科特有ということでいくのかということがありますので、お聞きしたいと思います。
【天笠主査】    今の発言につきまして、関連しての御質問等ありましたらお願いできればと思いますし、あるいは、今、家庭、技術・家庭に関わってということでの御意見でありますから、その分野ワーキンググループで関わりのある御意見がありましたら、併せてお願いできればと思うんですけれども、いかがでありましょうか。
  それでは、橋本主査、今の点についてよろしくお願いいたします。
【橋本家庭、技術・家庭WG主査】    御質問ありがとうございました。実はその点が今後の評価のところとの関連でまだきちんと検討が進んでないところでございます。これまでは、小学校は知識と技能、高等学校が知識と技術、これは専門教科との関連もありますし、これまでずっとそういうふうに知識と技術ということ、中学校もこれまでは目標という点では知識と技術ということになっておりまして、二つ前の指導要領から家庭分野と技術分野の分野別の目標を定めて分けております。その段階では知識と技術ということで整理をしておりましたけれども、今回、技能と技術、習得ということはどういうことなのか、どこを目標として狙うのか、また、評価の観点としてはこれまでも育成すべき資質・能力としての技能で観点としては定めておりましたけれども、その辺をどう見るのか、もう少し様々な検討をして整理をしなければならないと考えております。
【天笠主査】    関連して、浦野主査、何か今の件についてありますでしょうか。
【浦野産業教育WG主査】    今、御回答があったのと同じでございまして、小・中学校までは技能という言葉を使っておりますけれども、専門教科におきましては知識・技術という形で、どちらがレベルが上という意味ではなくて、科学的・体系的に整理されたものを技術という形で整理してございます。
【天笠主査】    何か御意見ありますでしょうか。
【野津委員】    私、体育・保健体育ですが、今回のワーキングで議論されているわけではありませんけれども、ここにおいてもいろいろ技術と技能に関しての議論がありまして、その中の一つとして、客観的なものは技術と呼んで、それが人の能力として身に付いたときに技能と呼ぶというような捉え方もあるようです。いずれにしましても、その辺は今回整理をされていくのかどうか、それぞれの教科特有の考えでいいのかというあたりも詰めていく必要があろうかと思います。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  次、藤田委員、お願いします。
【藤田委員】    細かく分けますと四つございます。大きく見ると三つぐらいになるかと思うんですが、今、技術・家庭分野で御質問がありましたので、続けて私も2点ほどお伺いしたいと思います。
  1点目は家庭分野なんですけれども、技術・家庭、各中学校における裁量が非常に大きくて、それぞれ学校ごとに工夫されたカリキュラムで授業展開されているかと思うんですが、私、素人なりに、全くの感覚論ですが、先ほど主査が授業時間のバランスが非常に重要だということを最後にコメントなさったことから、現状での授業時間のバランスについてどのように把握されていて、今後、どういうふうな方向性を持っていらっしゃるのかということについてお尋ね申し上げたいと思います。
  なぜこのようなことを申し上げるかといいますと、今回の資料4、特に7ページ以降を見てまいりますと、関連する会議における提言、つまり、今後、家庭分野、家庭科等で追求しなくてはいけない課題というのが、いわゆる子供たちの、言葉を選ばなくては本当はいけないんですが、好きなというふうに言ってしまえば一番分かりやすいかもしれませんけれども、調理実習、被服実習とか、そういう実習系ではなくて、違った意味での座学を中心とした議論、討論、あるいは調べ物を中心としたアクティブ・ラーニング、そういったものを軸とした学びも当然これからより厚みをまずもって必要になってくるかというふうに理解いたします。
  ただ、ややもすると、実習に多くの時間が割かれているのではないかということを素人なりに感じることもありましたので、こういった現状の把握と今後の授業時間バランスについてのお考えについてお聞かせいただきたいということが技術・家庭分野の家庭分野についてまず第1点でございます。
  2点目もこの技術・家庭分野でございます。これはお願いに近いことなんですけれども、現在の学習指導要領でもそうですけれども、今後の学習指導要領の中で学びの系統性ということを考えたときに、技術・家庭分野、特に技術も含めて、産業教育の8教科とどのようにつながっていくのかということが具体的に分かるような、そういった教科書ないしは授業の展開が必要になってくるかと思います。例えば技術分野ですと、材料、加工、エネルギー変換、生物、それから情報と、大きく四つあるわけですけれども、この四つの学びが産業教育の中で豊かに展開していき、それがアクチュアルに私たちの生活を支えているという現実が、もちろん中学校、進路指導、キャリア教育の一環としても必要なわけですが、教科の学びの中でこの学びが高校の産業教育にこうつながっていくんだというような発想を持った授業が期待されるのではないか、こういったところを是非、今後の技術・家庭科の中で御議論いただき、確固たる位置付けを与えていただけるとうれしいなということを感じました。
  あと残された発言もございますけれども、とりあえず技術・家庭科については以上でございます。
【天笠主査】    ほかの委員の方で、今の御発言に関連してということがありましたらお願いできればと思います。
  奈須委員、お願いいたします。
【奈須委員】    詳しくないので教えていただきたいと思うんですけど、技術・家庭科の場合、小学校は家庭科で、中学校は技術・家庭科で、また高校は家庭科ですよね。中学校の技術・家庭というのは、過去のいろんな経緯、男女別学の時代からいろんな経緯があって、そういう教科構造の位置付けになっているんだろうと思うんですけれども、今のお話にもあったように、上下の関係とか、技術領域と家庭領域のそれぞれの任務とか、子供が市民として、あるいは職業人として生きていくときどんな意味が教育課程全体の中であるかと考えたときに、随分違う領域のように思えるんですけども、それが今、教科目としては同じ中の分野ということになっていますよね。
  今回はいいのかもしれませんけど、中長期的に展望したときに、教育課程の全体構造の中で、家庭分野と技術分野がほかの領域との関係でどういう位置付けになるのか、そう考えたときにそれが一つの教科目の2分野で大げさにいえばいいのかというような話はどうなんだろうなと今から思っていて、つまり、今回、全体の議論の中では、教育課程全体の構造、まさにそれが子供にとってどんな意味があるかという中で、各教科目がどんな役割を果たし、どんな意義があるかということを相互関係の中で議論していると思うんですけど、その中で一番、ある意味で釈然としないのが技術・家庭科だと思うんですね。上下横と考えた場合に。
  今、藤田先生からお話あったように、技術領域が、一つはもちろん産業領域にいくのでしょうけれども、あるいは職業高校ではない、つまり産業教育の方に行かない、普通科の方に行く子たちにとっても当然中学校の技術科というのはすごく意味があるんだろうと思うんですね、今の知識基盤社会における技術ということを考えたときに。また、家庭科とは違う意味がすごい大きくあるんだろうと思うんですけど、それの位置付けをどう考えるのか、あるいは情報教育との関係ですとか。そう考えたときに技術・家庭科という中学校の、ずっと過去の経緯があると思うんですけど、何か座りが悪いような気がして、そのことも含めて中学校の技術・家庭科をどういう教科の、全体としての特質、それぞれの二つの分野の構造は、僕、独自のものがあっていいと思うんですけど、で、その二つの分野がどんな関係構造で一つの教科として存立し得るのかということが、今すぐということではないかもしれませんけど、中長期的には議論する必要があるのかなと。
  それは今回の改訂内容に、それに向けての議論の中でどの程度の議論をして、また、それが二つの分野のそれぞれの領域編成や内容構成にも、即座に反映できるところがあれば反映をなさればいいかなと思いますし、また、そのことでいうと、家庭科と社会科の関係というのもずっと昔から議論になっておりますよね。だから、何かその辺が、技術・家庭科というのは、ある意味での豊さを持つと同時に曖昧性を持っている、その点をどんなふうに内部で御議論なさっているのか、それを今回できるところでどこまで反映できそうかなということが、可能なことでということでいいんですけども、またお考えいただければと思います。
  以上です。
【天笠主査】    完全にお答えということでなくて結構ですので、それぞれの委員の方の御意見に関わっての御感想という、そういう応答でよろしいかと思いますけども、ありましたらお願いできればと思います。
【橋本家庭、技術・家庭WG主査】    まず、奈須委員の御質問の方ですが、実は今回、主査を引き受けまして非常に悩みながら検討を、委員の方々もそれぞれに真摯に御意見を言っていただいているんですが、やはりその辺がちょっとありながらということで、御説明申しましたように、例えば見る範囲というものも今回、生活や社会というふうに捉えましたけど、基本的には物づくりを非常に大事にし、手の巧緻性とか、あるいは生活の土台、社会へつながる生活の土台の感性とか、そういうものを非常に大事にしてきた教科でありますので、そういうことは大事にしながらも社会の変化にどう対応して、全体の教科枠の中でどういうふうに技術・家庭という教科が位置付くのかということが、ちょっともう一度見直すということが今後必要なのかなと思いながら、全体枠はこれでという中で進めているのが現状でございます。
  それから、藤田委員のバランスのお話がありましたように、物づくりなどの実習以外に、調査とか観察とか交流活動とか大変多様な学習活動を通して課題に気付き、問題を捉え、そして、その問題を解決していくというところを重要視していこうということになりますと、時間的にも余裕が必要ということになります。また、外に出掛けるということになりますと、本当にたくさんの時間も必要になるということですので、例えば子供との触れ合いといいましても、お子さんを学校に来ていただくというのはなかなか難しいことですし、人数もいますので、近くの保育園とかに出掛けるということになりますと、他教科等との関連ということも図りながらやっていくわけですが。それにしてもどこまでできるかということは、その育成すべき資質・能力がきちんと育つようにということを考えながらの内容量ということになるというふうなことで、これも検討してまいりたいと考えております。
  また、学びの系統性につきましては、今後また技術分野の検討の中でも深めてまいりたいと考えております。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。
  ほかの点でも結構です。委員の方、いかがでしょうか。
  鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】    国語なんですけれども、特に高校なんですけれども、前からずっと申してますが、国語表現という科目が既にあるわけですが、実際やってる授業は国語の解釈がほとんどです。だから、今のまま国語表現という科目、今でもあるんですが、これをもう一度国語表現という新しい科目を作って、実際に書くこと、話すことを、特に高等学校にやってもらうためには相当の工夫が要るんじゃないかと。まあ、評価も関係はあると思うんですけれども。という意見です。
【天笠主査】    竹原委員、どうぞ。
【竹原委員】    各教科お聞きしまして、今後の検討になるかと思いますが、考慮していただきたいと思うことを申し上げたいと思います。
  「社会に開かれた教育課程」という大タイトルの下で、教育課程を介して社会と世界とつながるということがありますけれども、各教科の記述の中に、ではどうやったらそういう関連性を持たせられるか、具体的に例示したり活用例を入れていかなければ、現場はどうしたらいいか分からないのではないかと思います。
  きょうお聞きしながら外国語におけるICTの活用についてという最終ページのたたき台を見せていただきました。こういう形で各教科に地域との関連や社会とのつながりを、例えばこんな感じのものをいうんですということが1ページでもあれば、イメージが膨らみます。地域は様々な社会資源を持っていますので、そういうことができるのではないかと思います。
その場合に学校運営協議会や地域学校協働本部の仕組みを活用してということが書いてあれば、教育改革の流れと教育課程のこれからの新しい方向性が関連することが分かると思います。是非、現場の先生がこの新しい教育課程を見たときに分かるように、入れていただけたらと思っております。
【天笠主査】    どうもありがとうございます。
  先ほど、ちょっと戻りますけれども、鈴木委員の御発言は髙木委員に御質問という形でしょうか。御意見ということでよろしいでしょうか。
【鈴木委員】    はい。
【天笠主査】    どうもありがとうございます。
  竹原委員、どうもありがとうございました。
  続きまして、黒上委員、お願いいたします。
【黒上委員】    数学に関して、資料8の4ページに、ど真ん中に「焦点化」という単語があるんですね。これは焦点化だけだと何か対象がよく分からなくて、例えば指導事項への焦点化とか、何に対して焦点を当てるのかということがちょっと分かるような書き方をしてもらうと、もう少しイメージが持てるかなと思いました。
  今の社会に開かれたというところの関係で、その同じ絵の、日常生活、社会の事象というところに数学を当てはめるという多分イメージなんだろうと思うんですけど、僕がこれまで見てきた授業というのは、それはやるけど答えは一つなんですよね。でも、片方で答えが一つに定まらないというふうな話がいろいろあるんで、何か数学の知識、ちゃんと数学についてはできるようになったんだけど、それを例えば商店街に人がどれぐらい来るかということのシミュレーションに当てはめるときに、どうモデル化するかとか、どういうふうにシミュレーションするかによって答えは実はいろいろあって、そこに正解はないと、何かそういうようなイメージがここに見えてくると数学の多様性というのが楽しめるような感じがするなと思ったのが1点です。
  それをさらに評価という点で広げていくと、例えば個々の創作とか数理探究とかというところで、多分、ペーパーペンシルで測定できないようなことを要求するんだろうと思うんですね。それを評価しようと思ったときに、大学入試のところでの一発評価というよりも、むしろ大量の評価資料を担任の受け持っている先生がちゃんと評価をするということがもっと全面に出てきて、そのことが市民権を得るとかそのことの正当性が高まるというようなことがどこかで描かれてこないとあかんなと。もしかすると、それはここの評価の部会が最終的にまとめるところなのかもしれないんですけど、各教科でそれがどういうイメージなのかというようなことが見えてきてほしいなというのが一つあります。
  最後、非常に細かいことですけど、その評価に関して多面的な評価という言葉と多角的な評価という言葉が、具体的にどことは言いませんけど、混ざっているんですよね。社会科では多角的というのは一つのことがいろんな意味を持つという意味で使いますよね。そういうふうに使い分けしているのかどうか。もししてないんだったら、全部多面的でばーんとそろえてしまう方が話としては分かりやすいなと思いました。この3点です。
【天笠主査】    今の御発言に関連して。
  鈴木委員、どうぞ。
【鈴木委員】    私も数理探究の評価をどうするんだろうかと考えておりまして、今、黒上委員がおっしゃったとおり、これはポートフォリオみたいな、ほかの教科でも多少出ておりますけれども、そういう生徒の研究結果をまとめておくような評価の仕方をしないと、ペーパーテストみたいなのには載ってこないだろうと。
  それから、大学入試との関わりでそういうものが、例えば大学の選抜等にも生かされるということでないと、そもそもこの選択科目が選択されないというおそれが、今の数学の探究的な科目ありますけども、ほとんど選択されていないと。学校にも教科書はあるんですが、ほとんど出版社から送られてきていないという状況ですので、そういう点からも考えないと、せっかく作っても実際選択されないおそれがあります。
【天笠主査】    ほかにいかがでしょうか。
  先ほど委員の御意見の中に、算数・数学関係の発言がありましたので、ちょっと私も、御質問の一つかと思って、後ほどもしありましたらお願いできればと思うのは、この用意していただいた資料の最後のところに、発展的な問題発見という、そういうプロセスに、素朴の問題解決プロセスから次第に発展的にいって、そして、このシートの一番上のところに教科横断の問題解決プロセスというふうな、こういうことなんですけども、このあたりのところはどういう経緯、議論の中からこういう整理の仕方というか枠組みが出てきたのかどうかなのかという、こういうことなんですけども。
  で、それは、要するに教科横断ということというのも、今回、一つの大きな掲げられたテーマではないかと。そういう点からしたときにこの算数・数学のワーキンググループには、それについての一つの応答というんでしょうか、の痕跡をここのところに発見させていただいたという、そういうことであるわけなんですけども、そういうふうに申し上げたときに、ほかのワーキンググループは、他の教科との関連ということについてはどういう議論がなされたのかなされてないのか、あるいは、それはこれまでなされてないとするならばこれからそれについては展開していこうとされるのかどうなのか、それとも、あくまでも教科等々の枠を前提にしたそれというのがそれぞれのワーキンググループの使命というふうにお考えになっているのかどうなのか、他の教科と、先ほど家庭科の中にその一端が既に出てたかと思うんですけども、それぞれの教科等の枠の中での相互の関係というのもまたもちろんだと思いますし、一方においては、その教科等から他との関係、教科横断という、このあたりのところは、どういう視点で、どういうふうな議論の詰め方をしていくと一つの方向性とか在り方というのが出てくるのかどうなのか、そのあたりのところについての示唆等々というふうなことなんですけども、戻りますとこの算数・数学は一つの考え方というんでしょうか、見方というのが、この中から一つ示されてるのかなというふうに思ったし、こういう点についてはまた議論ができるところの素材を提供していただいたのかなというふうに、こんなふうにも理解させてもらっているという、こういうことであります。
  市川主査代理。
【市川主査代理】    二つなんですが、一つは今の、まさにほかの教科との関連ということで、数理探究なんですけれども、7ページに基礎の習得段階というのと探究を深める段階というのがあって、この基礎の習得というのが必要であるという話を出してくださっていることはすごくいいこと、大事なことだと思うんですね。
  ただ、この基礎の習得段階というのが、ほかの教科、例えば数学であるとか理科とどう関わっているのか、これはむしろ数学なり理科なりそれぞれの教科でこの基礎の習得段階ということをやるべきことなのか、数理探究という科目の中でこの基礎の習得段階というのもやることなのかというあたりをもう少し明確にしてくださるといいなと思いました。
  多分、私の推測ですけど、これは両方あるんだろうと思います。各教科の中でやるべき基礎的な知識・技能の習得ということと、特に、探究活動、数理探究という活動をするのにもうちょっと直結したような基礎、例えば実験計画を立てるとか、その結果をデータ解析するとか、こういう探究に直結したような基礎、これはもちろん大学でもあります、そういうことは数理探究という科目の中での基礎としてやりますよと。そして、それをもとに探究を深める段階というのに進んでいくと。
  それから、探究を深める段階でも、ここでも2番目の丸ポツで知識・技能というのが出てくるんですね。ただ、ここで、私もこれは非常にいい書き方だと思うんですけど、この課題をやるため、その内容に関する知識とか、その課題を解決するための技能、こうなるともっと課題に直結したスペシフィックな知識・技能、これは課題が決まってから、むしろ必要に応じてこういうことをやっていきますよと。これは順序性というよりはむしろ、課題を追求しながら必要に応じてこういう知識・技能を身に付けてくださいねと。ここでも知識・技能が入っていると。私はそういう構造なのかなと勝手に推測したのですが、それでよろしいかどうかということが一つ。
  あと、修得の修なんですけれども、学修の修も高等教育ではこの修めるになっていて、どこがどう違うのかという、これやっぱり疑問もあると思います。ここで修得の修も両方あり得ると思うんですが、あえて違う字を使われたことに意味があるのかどうか、違うとすればどういう点が違うのか、これは細かい点ですが、表記の点でちょっと気になりました。
  もう一つ、これも表現なんですけど、国語です。一番最後のページに「認知から思考へ」というのがあるんですね。この認知というのが非常に狭い意味から広い意味まで使われる言葉で、私も認知心理学とか認知科学の専門なんですけれども、今は広い意味で使われることが非常に多くて、思考とかあるいは表現も含んだ人間の知的活動全体を指して認知ということで認知心理学とか認知科学と呼んでいます。ですから、この「認知から思考へ」の右にある思考ですね。自分なりの整合性のとれた考えを形成するとか、これはまさに認知そのものなんですね。ところが、認知というのを狭い意味でとりますと、知識とか認識とか、もっと狭い意味でこれの表の左にあるようなもの、これを認知というのが狭い意味での認知です。ここで「認知から思考へ」と言ってしまうと、むしろ認知というのをもう狭い意味に限定したようにとられてしまうので、どちらかというと「知識から思考へ」とか「認識から思考へ」とかいうふうに限定された言葉を使っていただく方がいいかと思いました。
  以上です。
【天笠主査】    藤田委員、名札、立ってますけども、御発言お願いします。
【藤田委員】    先ほどから教科横断的な学びというお話がございましたけれども、私、キャリア教育の観点できょうお話をお伺いしていて、特活の資料を拝見して、11ページなんですが、キャリア教育が今回は特別活動の資料の中に綴じ込まれて、特に中核的な時間としての重要性があるというふうに貝ノ瀬主査も御説明いただきました。そのときに主査のお言葉の中には、全教科を通して行うべきものであるんだけれども、本来的には特活が中核的な役割も果たしている、その全教科を通して行うといったときに、こういった汎用性の高い力が各教科の中に多分散りばめられているんだろう。そういう中で、教科間の関連性やこういった特別活動、中核にある時間との往還関係というのか、そういった全体の構造をこれから視覚的にも各学校にお示ししていかないと、それぞれのよさが生きないのではないか。
  例えば、算数・数学のワーキンググループの御提示していただいた資料4ページなどを見ますと、やはり数学を学ぶにしたがっても、その活用、意味付けの中で現実の世界との接点というのが見えてくる。一方では、算数・数学の世界の中における特有の事象というものか統合・発展・体系化していかなくてはいけない。そういったそれぞれの教科・科目の見方・考え方に応じて、こういった往還関係、重複関係というものに関しながら、全体を整理するようなことが今後求められてくる。それがこの部会になるのか、あるいは違う部会になるのか、ちょっと私の創造を超えるところですが、そんなことをまず思ったということが1点でございます。
  マイクを持ったついでで、一つだけ全く無関係なことで思ったことを申し上げたいと思います。外国語の先生方から御提示いただいた資料を拝見して改めて思ったことなんですが、この三本柱と言われているもの、きょうの外国語のワーキンググループの一番最後のページに近いところ、43ページですけれども、「主体的に学習に取り組む態度」と書かれているところ、三本柱の3番目ですが、これから評価はかなり難しいなということを改めてこの資料を拝見して思いました。「図ろうとしている」という、この「ろうとしている」ものが最終的に体現化されたものが思考・判断・表現の「表現している」なので、見える行動というのは外に表れた行動しか見えませんから、そうした場合に見えないものをどう評価していくものか。そういったときにきょうの特別活動部会でも、また委員の先生方からも出されたポートフォリオなどをうまく活用していくということが一つのヒントになっていくのかな、そういった自己内評価をどうしていけばいいのかなということをこの外国語の資料を見ながら改めて思いました。CEFRなどを参照した評価基準というのは非常に明確ですし、そういったものは知識・技能、思考・判断・表現に応用できるにしても、この三本目の柱をどう評価していくのかというのが大きな課題だなということを改めて外国語のワーキンググループの資料を拝見して思った次第です。
  最後に、これは全然私の中で、素人なので教えていただきたいことなんですけれども、小学校の外国語、中学年から始まるということですが、現在の学習指導要領における高学年の実際の授業現場、年に数回しか私は拝見する機会がないので、本当に素人考えで大変失礼なんですけれども、どうも指導法と子供たちの発達の段階というのが合わないようなケースが、たまたま出くわしてしまう経験が多くございました。例えば、母語で英語を話している国では3歳、4歳の子供たちが楽しむような身体的なゲームを、思春期に差しかかった5年生や6年生がやっている。何か見ていて余り適切かなというふうには思えなかったり、それから日本語を、子音も母音も乏しい言語ですけれども、そういった子音・母音の基本というのは小学校で学ぶのかなと思うんですが、そういったものが日本語に換言されることがあえて問題とされなかったり、何かせっかくの一番の取っかかりの小学校英語のところが、これからどういくのかなということがちょっと不安になることもございました。そういったところを教員研修も含めて、あるいはアジア各国での実践の状況などを踏まえながら、どういった方向なのかということを、もしお聞かせできることがあればお聞かせいただきたいなと思いました。
  以上でございます。
【天笠主査】    続きまして、根津委員、お願いいたします。
【根津委員】    先ほど主査の方から横のことについて御議論があったかと思うんですけど、私の方から縦のことについて、中心となる議論ではないかもしれないのですが、どこか御留意いただければという点についてです。
  それは、今、藤田委員のお話にもありましたけれども、現行6・3・3制、あるいは幼からですね、幼・6・3・3というところが一つの枠組みになっているかと思うんですけれども、現実にはこの4月からの義務教育学校ということで9・3という仕組みもあるわけですし、あるいは、先だっての中等教育学校等を考えれば6・6ですか、ということもありますので、必ずしも現行の小学校、中学校、高等学校というところが区切りにならないケースがあり得る。そのときにきょうのお話でも出てこなかったかなというのが、義務教育というものはどういうふうに考えればいいのかというところですね。そのあたりが、小学校から中学校へのつなぎというところの御議論が今の外国語のところでもあったかと思うんですけれども、そこにつながる議論だと理解しているんですけれども、その点についてどこかお心に留めていただければと思います。
  以上です。
【天笠主査】    続きまして、鈴木委員。
【鈴木委員】    先ほど藤田委員が最初に言われたこと、全体的な構造を示す必要があるというのを私もずっと思っております。
  それから、英語に関してですけれども、英語のリスニングの教え方を見てますと、試験もそうなんですけど、日本人の誰かさんとアメリカ人の誰かさんが会話していて、きょうは勉強が大変だとかそういうのをリスニングしてるんですけど、私、NHKワールドの英語、NHKの外国語放送をテレビで見てますと、ニュークリアサミットでオバマさんが何を言ったとか、コルカタの道路が壊れてと。それを英語で聞いてた方が、日本語のニュースと合わさって、英語を一緒に聞くと大変おもしろく聞けるんで、高校生に与える教材が余りにも、そのトムと日本人の誰かさんが話してるのを聞いたのをリスニングしてるよりも、そういうコルカタの事件を、例えばですけどもNHKワールドのそういう番組を使って、今の事件と関連させて教えるというやり方をもっとやらないと、高校生段階では余り今のやり方ではおもしろくないんではないかなと。
  それから、外国語や英語に関して、前回からずっと観点のことを申しておりますが、外国語の評価の観点が表現の能力と理解の能力というふうになっていて、国語と大きくずれてるんですけども。国語は、話す、聞く、書く、読むになってるんですが、同じ言語でこのように違っていいのかどうか、ずっと不思議なんですけれども、本当によろしいんでしょうかと。
  もう一つだけ、これは全く別のお話ですけれども、ずっと各科目のいろんな目標や学習過程の話を聞いておりますと、問題発見、どうやって解決するか、調べる、結論をどう導くか、全ての科目で、今それを目指してるんですから当然なんですけれども、これだけ入ってきますと、先ほど一番最初に言ったことですけれども、思考・判断・表現という形で指導要領をまとめるのは結構ですけれども、実際の観点としては思考・判断・表現というのでは分かりにくい評価が出てくるなと。特に、私、専門は社会ですから、社会などは社会的な探究とか、理科も科学的な探究活動とか、そういう観点で表現した方がいいんではないかと今私は思っておりますが。これは意見です。
【天笠主査】    ほかの委員の方、よろしいでしょうか。
  ここまでのところで各主査の方々、応答していただけるところがありましたらお願いしたいと思います。その中で、先ほども委員の発言にありました、私どものこの評価部会等々の一つの役割というのは、全体的な枠組みを、あるいは全体的な構造というんでしょうか、そういうことについて役割を果たすということが求められているその一つかと思います。また、そういう点でそれぞれの主査の方々にとりましてはそれぞれのところから、それをある意味では固めたり深めていただいたりですとか、関係をつないでいただいたりですとか、そういうことはある意味で言うとキャッチボールが非常に必要になってくるわけなんですけども、そのキャッチボールという言い方を申し上げましたけども、そういう点について何かお考えになってることがありましたら、あるいは、それぞれのワーキンググループ等々でそのあたりのところについて、委員の皆さんから御意見等々がもし出てるとするならば、そのあたりのところについてのことをこの場においてまたお伝えいただけるとありがたいかと思うんですけども、それはともかくとしまして、これまでの委員の方々の意見の中で応答をお願いできるところがありましたらお願いできればと思うんですけども、小谷主査、お願いできますでしょうか。
【小谷算数・数学WG主査】    算数・数学について御意見、御質問ありましたのでお答えさせていただきたいと思います。
  資料8の4ページ目に算数・数学の世界と現実の世界というのがあり、数学的に表現した問題、焦点化された問題という流れになっております。算数・数学は、論理的に物を考えるという観点から答えが一つに定まるというふうに世間でよく言われておりますが、そうではないと、現実社会の問題や数学の事象それぞれに対して、それをいかに数学化するかというところで様々な解釈があり、それを数学的に表現する段階で様々な個性や独自性が出てくるし、ここは算数・数学にとって一番大切なところであるということを分かっていただくためにこの4ページ目を用意させていただきました。
  それを焦点化された問題にするというところで数学に表現し、また、それを具体的に算数・数学の技術に落とし込むということで、ここからロジックの話になります。それが二つの世界を相互作用的にやっていくことが算数・数学で大切であるということがまずこの絵で表されているということ。
  さらに、そのような数学・算数が一つに定まるものではなく数学化するということに関しては、その前のページ等で書かれていることですけれども、自分たちが算数・数学化したものをいかにして算数・数学の言葉を使って相手に分かってもらうかという説得力のところにかなり重点を置いてございます。必ずしも一つの答えではなく、ほかの人と違う答えを持ってきたときに、ロジックを用いてちゃんと説明できるというところが算数・数学のよさですので、そのことも書きたいと。
  最後に、6ページ目について御意見いただきましたこと、大変うれしく思っております。これは特に数学のよさ、数学の見方や考え方のよさ、そして実用化について積極的に算数・数学を活用していく人間を育てたいということが書かれておりますので、そのことを皆さんに分かっていただく、先生もしくは学生に分かってもらうために書かせていただきました。ただ、現場を見ますと教えなくてはいけない技能・技術・知識が多くて、なかなかそこまで取り組めないという時間的な制限もあるかと思います。それについてこういうことを具体化していく中では、算数・数学に閉じず、特に数学探究、隣に座っている岡本主査のところでそういうことに取り組んでいただければと思っております。岡本先生に振った方がよろしいでしょうか。よろしくお願いします。
【岡本数理探究特別チーム主査】    大体、先ほど市川委員がまとめられたことで尽きちゃっているんですけど、探究的な学問といっても数理、数学と理科なので、基礎って二つの意義があるわけですよね。つまり、ちゃんと数学や理科できっちり勉強するものを持ってないと何もできないよねという基礎と、それから探究活動というときの基礎って当然あるわけで、例えば情報のところの基礎の技能というところに情報のモラルに関することとか書いてありましたけど、同じように研究するときのモラルというのが一つあるだろうということと、それから今、数学の方で小谷委員から発言がありましたとおり、例えば数学というのは一つモデルを作ってその中でやっていく、そういう活動でやっていくのが数学なんだよというのはもちろん、教科書にもそういうことが書いてあるし、現場の指導ではやっているんだけど、明示的に教科の中ではそういうことはやっていないんだけれども、例えばそういうのは探究活動をやるときの基本になるだろうというようなことであろうと思います。
  御指摘いただいた評価の問題なんですけど、これはなかなか難しい問題で、たくさん失敗をするといいですねといって失敗を評価するってこれは難しいので、むしろ新しい、今までペーパーテストだけではない何らかの形の評価というのを考えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに我々も含めて思っています。個人的には、どういう教科書を書くのかなというので、毎日悩んでいるというのが現状です。
【天笠主査】    貝ノ瀬主査、お願いいたします。
【貝ノ瀬特別活動WG主査】    教科の専門的な話ではないんですけど、この間テレビを見てましたら、ミャンマーだったと思いましたけども、日本の教育について様々勉強した中で、清掃活動とか給食指導とか学級会とか、それはびっくりしちゃったということで、自分のところではやってないということで、いわば特別活動に類することだろうと思いますけど、そういう活動が子供たちの成長に非常に大きな影響を与えているというふうなことを学んだということで是非取り入れたいと、そういうふうな報道がありましたけど、私どものワーキンググループでも今委員をしてる杉田さんという人が、この方が、今ちょうどJICAの要請でエジプトへ行っているんですね。日本の教育を、教科というよりも、どちらかというと特別活動の分野に属することを向こうの学校にもっと取り入れたいし、また、学校自体を、日本的な学校を幾つか実験的に作って、それを核にしながらいいところは広めていきたいと、そういうふうな話を聞くにつれ、もちろんお勉強も大事なんですけれど、さっき藤田先生がおっしゃったように各教科との、往還という表現をなさいましたけれども、特別活動の問題を発見して、そしてみんなで協働して解決して図っていく、そして実践をしていくと。そういうようなプロセスというのは全ての教科に通用することじゃないかというふうに思います。鈴木先生もさっきおっしゃっていましたね。
  ですから、そういうふうな各教科と密接に関係ある、なおかつ世界的に評価の高いこの特別活動について、これをもっとアピールしていった方がいいんじゃないかなと思うんですよね。これは別に私が特別活動の主査をしているからとか、そういうけちくさいことを言っているんじゃなくて、日本の先生方も、何か自分たちのやっていることに自信が持てないというか、世間も何かあればすぐたたいて、尊敬の対象じゃなくするようなそういう雰囲気もなきにしもあらずで、そういう意味では、今まで先生方が取り組んできた私どもの取組というのは決して間違ってないということで、誇れるものもいっぱいあるんだということで、そういうものをアピールしていくというふうなことで、学習指導要領というか教育課程にしっかり位置付けていくということもあっていいんじゃなかいと思うんですね。
  例えば、総則でいえば、配慮事項などありますけど、19か20ぐらいありますけれど、あれは教育の内容に関わることだとか方法だとか、いっぱい中に入っているんですよね。ああいうのを少し構造化して、例えば、こういう特別活動を是非、世界に冠たるこういうものはきちんと位置付けてアピールしていくというようなこと。
  それから、先ほど竹原委員がおっしゃったような地域との連携での地域学校協働本部だとかコミュニティスクールとか、そういうことについても誇れることでありますので、そういうものも位置付けていくということはあっていいんじゃないかなと思いました。
  以上です。
【天笠主査】    そろそろ予定している時間も迫ってまいりましたけども、酒井先生、お願いしたいと思いますけど、ほかに委員で御発言をという方はいらっしゃいますでしょうか。それでしたら酒井委員の御発言ということで、きょうは終わりにさせていただきたいと思いますけども、酒井委員、どうぞよろしくお願いします。
【酒井外国語WG委員】    外国語ワーキングの報告について御意見、御質問ありがとうございました。
  まず、藤田委員の小学校の外国語活動についてですけれども、ワーキンググループの中では5・6年生の外国語活動、聞くこと、話すことを中心にして行っていますけれども、態度面、それからコミュニケーションに対する姿勢等、一定の成果があるという認識はありますが、一方で、先生が御指摘されたように発達段階の課題も多々あるということで、5・6年生に適した系統的な学習も必要になってくるであろうということで、5・6年生の教科化、書くこと、読むことを含めた教科化ということを議論しました。まさに今回御報告申し上げているのは、先生のおっしゃっていただいた課題意識に基づく審議の結果ということです。
  それから、鈴木委員がおっしゃってくださった高校のリスクニングの話ですけれども、我々は小・中・高等学校を通じて一貫した教育目標の設定についてというところの議論の中で、今まで目標が抽象的であると、これをより達成し、成果を上げていくためには明確にする必要があるということで、実際のコミュニケーションにおいて必要な4技能を具体的に指標形式で目標設定すること、これが指標形式の目標設定からCAN-DOの形の目標設定ということですが、これについて議論し、40ページから42ページにありますけれども、小・中・高一貫して段階的に発展するようにということで考えております。ですので、高校生にふさわしい内容が指標形式の目標に従ってまた具体化されるであろうということを期待して議論をしております。
  最後に、話すこと、読むこと、聞くこと、書くこと、表現と理解のことですが、国語との教科の特性の違いということはありますけれども、外国語では話すこと、書くことは発信技能ということで、指導の内容それから活動の点で、関連性がとても強いということで、発信ということを一つまとめて考える考え方があります。受信についても同様です。これについて、話すこと、聞くことをまとめて口頭によるコミュニケーションということも、小学校を考えるとその組み合わせ方はあるということも議論しましたけれども、小・中・高、4技能を扱うことや、さらには読んだことに基づいて話すとか、あるいは読んだことに基づいて書くといった技能の統合性というものについても考えたとき、4技能をそれぞれ位置付けることと、さらに4技能の統合を考えていくということを外国語ワーキングでは考えております。
  以上です。
【天笠主査】    どうもありがとうございました。本日はここまでということにさせていただきたいと思います。
  前回及び今回、2回ほど、各ワーキンググループの御報告を基にしながらやりとりをさせていただきましたけれども、資質・能力という観点から、それをどう受け止めてどう展開していくのかどうなのか、それぞれのワーキンググループが大変精力的に議論等々進めていただいたということを改めて実感させていただきました。もう一度、私どもの総則・評価特別部会でそれを整理して、さらに発展的に次につなげていければと思っておりますし、改めてそれぞれのワーキンググループと本部会とのキャッチボールというんでしょうか、そういうことの必要性も実感させていただいているというところであります。
  いずれにしましても、限られた時間でありますので、さらにお気付きの点、あるいは御意見等々があるのではないかと思います。是非、ペーパー等々にしていただいて、事務局の方にお伝えいただければと思います。
  改めまして、本日予定されていました議題はここまでということにさせていただきたいと思います。
  最後に、次回以降の日程等々につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    長時間にわたりまして、特にワーキングの御発表をいただきました先生方、本当にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
  次回日程でございますけれども現在調整中、決まり次第、御連絡をさせていただきます。また、御意見等ございましたらメール等でお寄せいただければと思います。
  本日の資料でございますけれども、机上に残していただきましたら後日郵送させていただきますのでよろしくお願いいたします。
  以上です。
【天笠主査】    それでは、長時間にわたりどうもありがとうございました。本日はここまでということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

――  了  ――

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