教育課程部会 総則・評価特別部会(第6回) 議事録

1.日時

平成28年3月14日(月曜日) 13時00分~15時30分

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 論点整理を踏まえた総則の改善・充実及び今後の学習評価の在り方について
  2. その他

4.議事録

【羽入主査】  それでは定刻になりましたので、ただいまから中央教育審議会の総則・評価特別部会の第6回を開催いたします。御多用のところおいでいただきまして、誠にありがとうございます。
また、本日は、今回、それから今回を含めて2回にわたりまして、各ワーキンググループの検討状況を踏まえた意見交換を行いたいと思いまして、ワーキンググループ等の主査の先生、主査代理の先生方においでいただいております。大変お忙しい中おいでいただきまして、誠にありがとうございます。
まず最初に事務局から、ワーキンググループ等からの御出席の委員の紹介をお願いいたします。また、配布資料の確認も併せてお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  それでは初めに、お忙しい中、本日、各部会・ワーキンググループ等からお越し頂きました先生方を御紹介させていただきます。高等学校の地歴・公民科科目の在り方に関する特別チームの主査をお願いしております田中愛治委員でいらっしゃいます。
【田中地歴特別チーム主査】  田中でございます。よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  社会・地理歴史・公民ワーキンググループの主査をお願いしております土井真一委員でいらっしゃいます。
芸術ワーキンググループの主査代理でいらっしゃいます伊野義博委員でいらっしゃいます。
生活・総合的な学習の時間ワーキンググループの主査でいらっしゃいます見上一幸委員でいらっしゃいます。
【見上生活・総合WG主査】  よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  先生方には本日の意見交換に御参加いただきます。本当にありがとうございます。
続きまして配布資料の確認をさせていただきます。議事次第に記載しておりますとおり、資料の1-1から資料の9、参考資料の1-4、その他机上資料でございます。不足等ございましたら、お申し付けくださいませ。
資料の1-1、それから2-1でございますけれども、前回、総則・評価特別部会において御議論いただきましたアクティブ・ラーニングの視点と資質・能力の育成との関係について、及び学習評価の改善に関する今後の検討の方向性ということでございます。当日頂きました意見を反映して修正を行ったもので、適宜各教科ワーキングにつながせていただいておりますけれども、その後も表現ぶりでありますとか言葉の使い方、構造など、御意見も頂いておりますので、適宜反映させながら共有をさせていただきたいと存じます。本日は御紹介のみでございます。
それから参考資料の3でございますけれども、隔年で実施しております教育課程の編成・実施状況の調査の結果でございます。本日は詳細の御説明はいたしませんけれども、小・中学校の年間授業時数、短時間学習の取組状況、高校における卒業単位数や科目の開設状況や履修状況等を調べたものでございます。今後、審議の中で適宜触れさせていただきたいと思います。
それから参考資料の4でございます。中教審における学習指導要領改訂の議論と並行して、高大接続システム改革の議論が行われておりますけれども、年度内の最終報告ということに向けて取りまとめが行われております。先週3月11日の会議におきまして、案が示されたところでございます。
参考資料の4をおめくりいただきますと、9ページ目からは高等学校教育改革ということで、中教審における教育課程の改善・充実に向けた議論を反映していただいているところでございます。また、各教科等の議論も反映していただいているところでございまして、例えば11ページ目の下から二つ目のマルなど、歴史系科目や生物など、用語が膨大となっていることが学習上の課題となっている科目の在り方でありますとか、それから47ページ目からは大学入学希望者学力テストの具体像でございますけれども、例えば用語の在り方ということを踏まえたテストの出題の在り方、49ページ目の一つ目のマルでございますけれども、単なる知識の量や細かな知識の有無のみにより評価を行うことのないよう出題の仕方を工夫するということでありますとか、50ページ目でございますけれども、本日御紹介させていただきますが、新科目の歴史総合(仮称)で身に付けた力を活用しながら選択科目での学びということで深めていくということ、そういった科目の構造をしっかりと踏まえながら出題科目の在り方を検討していただきたいということでありますとか、数理探究の在り方など、各教科の御議論もつながせていただきながら最終報告をおまとめいただいているところですので、御紹介をさせていただきました。
また、本日でございますけれども、机上、二つ目の机の上に、各団体等から届けられました要望の一覧を、紙ファイルにおいて配布させていただいております。ファイルは2部構成になっておりまして、下の方は既に教育課程企画特別部会でお配りし、御覧を頂いているもの、上の方のファイルは、その後届きましたものを、分野別に分類させていただいて、目次も付けさせていただいておりますので、御参照いただければと存じます。また、机上のタブレット端末、関係答申等も入れさせていただいておりますので、是非御覧いただければと存じます。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。それでは本日の議事に入りたいと思います。先ほど申し上げましたが、今回、第6回と第7回で、ワーキンググループからの検討状況を伺うことにいたします。その後、第8回には、本特別部会としてのまとめの審議に入っていくという予定でおります。また、本日、報道関係の方から、会議の撮影及び録音の申出がございまして、これを許可しておりますので御承知おきください。
それでは事務局から、資料に基づいてワーキンググループの検討状況について説明を頂き、その後、ワーキンググループ関係の委員の先生から御発言をお願いいたします。ワーキンググループの説明が終わりまして、そして、その後で全体の意見交換をしたいと思いますが、ワーキング部の先生方は、きょう最後までおいでいただけるということでございますので、説明を一通り終わってから質問をして意見交換をしたいと思います。時間配分としては、全体の意見交換を大体1時間ぐらい取っておきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
では、まず事務局から御説明をお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは順に御説明をさせていただき、主査からの御発言を頂きまして次のワーキングの説明に移るという段取りでさせていただければと存じます。
それから本日、参考資料の1ということで、各チーム、ワーキング等の委員の名簿をお配りさせていただいております。1枚おめくりいただきますと検討体制の全体図がございまして、その後、各部会等の委員名簿が付いてございますので、是非御参照を頂ければと存じます。
それではまず、高校の地歴・公民の在り方特別チームと、それから社会・地歴・公民ワーキングの資料を併せて御説明をさせていただければと思います。資料の3になります。二つのチームの検討状況を併せて御紹介をさせていただきますが、この二つの組織については、綿密に議論の運営というのを図りながら、議論をこれまで進めていただいているところでございます。地歴・公民のワーキングにつきましては、これまで3回、そして社会・地歴・公民のワーキングにつきましては、これまで7回、開催をしていただいているところでございます。
資料の3、1枚おめくりいただきますと、ワーキングにおける検討事項ということで、これはワーキンググループ共通、他の教科とも共通でございますけれども、資質・能力の在り方、学び方、それから評価の在り方、必要な支援についてということで、順次御議論を頂いております。
それから2ページ目の方は、高校の地歴・公民の在り方特別チームでございますけれども、ここでは特に新科目の在り方、それから選択科目の在り方、そして今後、単位数の在り方も含めて科目間の相互の関係性ということ、そして系統性ということ、それからその他ということで、適切な指導に向けての様々な研修も含めた措置の在り方ということで、御議論を引き続き頂いているところでございます。
1ページおめくりいただきまして、3ページ目でございますけれども、社会科等で育成すべき資質・能力の整理ということでございます。これは全ての教科に共通でございますけれども、知識・技能、思考力・判断力・表現力、情意・態度に関わるものということで、三つの柱で御整理を頂いているところでございます。小学校社会科、中学校社会科のそれぞれの分野、これらが系統的につながってくるように御整理を頂いているところでございます。
そして御議論の中で、4ページ目にございますように、社会的事象の見方や考え方ということを軸に、思考力・判断力・表現力をどのように育成していくかというようなことで、小・中・高をつなぐ観点から御議論を頂いているところでございます。
特に今回、5ページ目のように、思考力・判断力・表現力の在り方を、マル1からマル4の力ということで、系統的に整理を頂いているということでございます。
また、そうした思考力・判断力・表現力を含め、三つの柱の資質・能力を育む学びの在り方ということで、6ページ目にございますように、社会的事象を、先ほど申し上げた見方・考え方ということを使いながら問いを追求していくことにより、概念的な知識を獲得していくということ。これの図自体は小・中ということになってございますけれども、小・中・高一貫した観点で、こういった考え方で整理を頂いているところでございます。
例えば小学校の部分でございますけれども、見方や考え方、位置や空間的な広がり等ということに着目しながら問いを追求していくということ。追求の方法としては、比較・分類したり関連付けたりしてということでございますけれども、それにより、事実的な知識のみならず、右側にございますような活用できるような概念的な知識が身に付いていくというイメージでございます。
こうしたことを具体的にしっかりと学習プロセスで考えていくということで、7ページ目でございます。課題把握、課題追及、課題解決、新たな課題ということで、動機付け、方向付け、情報収集、考察・構想、まとめ、振り返りということで整理を頂いておりますけれども、この中で主に育まれる能力との関係性ということも、その下の段で御整理を頂いているところでございます。これが評価の場面ということともつながってくるということでございます。
続きまして高校の地歴科の資質・能力ということでございまして、これも共通必履修科目、選択科目、いずれについても、この三つの柱ということで整理を頂いております。
そして9ページ目にございますように、必履修科目において、現代的な諸課題の背景にある歴史を、グローバル化につながる近現代の歴史の転換に着目して追求するということ。単元の基軸として大きな問いを設け、諸資料を活用しながら比較や因果関係を追及するなど、歴史的な見方や考え方を用いて考察する「歴史の学び方」を身に付けるということ。
そして、それぞれ世界史に関わる探究科目、日本史に関わる探究科目ということが選択科目となるわけでございますけれども、世界史の方は、諸地域世界の歴史の大きな枠組みと展開を広く深く考察するということ。そして日本史の方は、我が国の歴史の展開を広く深く総合的に考察するということ。このような中で、歴史総合(仮称)で習得した歴史の学び方を活用していくというイメージでございます。
10ページ目は、歴史総合(仮称)の具体的なイメージでございます。
11ページ目にございますように、基軸となる問いを追求するという学びを通じて歴史の学び方を身に付けていくということで、現在、構成イメージを検討していただいているところでございます。
12ページ目におきましては、同じ時代の事象を扱うに当たっても、歴史総合(仮称)のアプローチと、それから世界史に関わる選択科目、日本史に関わる選択科目、それぞれでどのような広がりや深まりということを考えていくかということで、この三つの科目の相互の関係性を整理頂いているところでございます。
13ページ目が、地理総合(仮称)のイメージでございます。地理的な見方や考え方を育てるということで、御覧のような構成イメージ。
ここにおきましても、14ページ目にございますように、問いということを基軸としながら授業展開できるようなイメージを考えていくということでございます。
そして15ページ目にございますように、選択科目との関係性。選択科目におきましては、地理総合(仮称)で習得したことを基に、世界の諸事象の規則性や傾向性などを系統的に、また世界の諸地域の構造や変容などを地誌的に考察した上で、必要な探究を行っていくというイメージでございます。
16ページ目は公民科でございます。これも共通必履修科目と選択科目、二つにつきまして、三つの柱で資質・能力の整理を頂いているところでございます。
そして17ページ目にございますように、現代社会の課題を捉え考察するための基軸となる概念や理論を古今東西の知的蓄積を通して習得するといった、公共(仮称)の構成ということ。そして、それを使いつつ更に学びを深めていくという倫理と政経の在り方ということでございます。
公共(仮称)については、具体的には18ページ目、19ページ目、20ページ目に科目構造をイメージしてございます。「公共の扉」ということで、その中で、社会に参画して他者と協働する倫理的主体として個人が判断するための手掛かりとなる考え方について理解させるということ。あるいは、社会における基本的な原理ということに焦点を当てて考えさせるということ。
そして、その上で19ページ目、(2)の部分で、社会的事象の見方や考え方を働かせながら、あるいは(1)の「公共の扉」のところで身に付けた考え方や基本原理等を活用して、現実の社会事象について考察・追及するという構造でございます。
そして20ページ目の(3)のところで、より主体的な探究を行うという構造をイメージしているところでございます。
そして21ページ目は、これが倫理のイメージでございますけれども、公共(仮称)で習得した考え方などを基盤としながら、より深く思索するための概念や理論を理解し、そして現代の倫理的諸課題を探究するなどということでございます。
そして22ページ目でございますけれども、政経のイメージでございます。公共(仮称)で身に付けた考え方などを基盤としながら、現代日本の政治・経済の諸課題や国際社会における日本の役割など、正解が一つに定まらない現実社会の諸課題を探究するなどということでございます。
現在、こうした御議論を頂いています。それではまず、田中先生の方から一言お願いできればと思います。
【田中地歴特別チーム主査】  ありがとうございます。地歴特別チーム主査の田中でございます。ただいま御説明いただきました資料3の8ページ目から御覧いただければと思いますが、8ページ目は全体像を示しておりますので、少し具体的には9ページ目にまいります。
8ページのところに既に出ておりますけれども、現在我々が議論させていただいているのは、かつての地理Aとか日本史A、世界史Aというものを作り変えていくということで、地理総合(仮称)、歴史総合(仮称)というものが提案されています。
歴史の方から御説明申し上げますので、9ページ目をおめくりいただきたいと思いますが、9ページ目では、新必修科目としての歴史総合(仮称)と考えております。これは日本史と世界史、両方を学ぶということで、これは全ての高校生に必ず学んでいただきたいということであります。先ほどの御説明にもありましたけれども、そこの冒頭にございますように、現代的な諸課題の背景にある歴史を、グローバル化につながる近現代の歴史の転換に着目して追求すると。その歴史の転換点というものに注目しております。単元の基軸となる本質的で大きな問いを設ける。それを資料を適切に活用しながら比較や因果関係を追及するなど、歴史的な見方や考え方を身に付けるということでございます。
これについては、次のページ、10ページ目を御覧いただきたいんですけれども、10ページ目の歴史総合(仮称)の根本的な考え方、育成すべき資質・能力でありますけれども、歴史を考察する手立て(視点や方法)を用いる、現代諸課題の歴史的背景を追求する力を育てる。諸資料を適切に活用する。資料を読み込める、解釈できる力。それをまたエビデンスとして使えるということだと思いますが、また、国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質。すなわち日本史、世界史とばらばらで見るのではなく、日本から見た世界の流れ、また世界から日本の歴史の流れというものをそれぞれ見る、そういった視点が必要であると。したがいまして、日本史と世界史を分けるのではなく、歴史総合(仮称)として、全ての高校生にこれを学んでもらいたいということであります。
分析の手法としては、比較、すなわち類似と差異、因果、原因と結果でありますが、相互作用、相互の関係などに注目するということでございまして、特に因果関係というものは、ものの見方が一つではなく、これは様々な見方があるという、様々な仮説が成り立つということを教えることも重要だろうということが、グループの中では御指摘されています。また、この後、地理の方にも出てまいりますので、そちらともつながりますが、歴史が縦軸で地理が横軸と言われておりますが、必ずしもそれだけでは済まないと考えております。
少し飛ばさせていただきまして、13ページに行っていただきます。13ページ、地理総合(仮称)でございますけれども、地理総合(仮称)は、実践的な社会的スキルとしてのGISの活用、地球規模の自然システム、社会・経済システムの知識と理解、空間概念を捉える力、地域、国家的及び国際的な課題解決を模索する献身的努力というものを育みたいと考えておりまして、三つの柱でそれを押さえていくということでございます。
今申し上げたのは資質でございますが、三つの柱というのは、地図と地理情報システムの活用でGISをしっかりと身に付けるということ、国際理解と国際協力、これはグローバル化に対応するということ、それから防災と持続可能な社会の構築ということで、サステイナブルな社会というものを防災という概念も使いながら理解していくということでございます。
地理の方が横軸、歴史が縦軸と考えられがちですが、それぞれが関連がある。地理の場合にも、時系列の変化、GISなどの、時代によってどのように町が変わってくるかということも、自然環境の変化も見るということも視野に入りますし、歴史の方でも、世界の地図がどのように歴史の状況で変わるかという、縦軸・横軸の関連が重要だと考えております。
これらのことが議論されてまいりました。以上でございます。公民の方は、主査代理の土井先生にお任せいたします。
【土井社会地歴公民WG主査】  それでは引き続き、土井から報告をさせていただきます。最初に新科目公共(仮称)の趣旨及び内容でございますが、資料3の18ページを御覧ください。
新科目公共(仮称)では、第一に各人の人間としての在り方・生き方、第二に各人が形作る社会の在り方、そして第三に各人の社会に対する関わり方、この三つにつきまして、個人の尊重や社会的協働などを基礎として考察し、それを通じて国家社会の形成者として必要な基本的知識の習得と、思考力・判断力・表現力及び主体的な社会参画に向けての意欲や態度等の育成を目指すことを考えております。そのために、科目を三つの柱で構成することとし、第一の「公共の扉」では、先人の取組や知恵を踏まえて、人間としての在り方・生き方や公共的な空間の在り方を考える上で基礎となる見方・考え方の習得を図ります。
次に19ページでございますが、第二の「自立した主体として社会に参画し、他者と協働するために」では、社会を形作る政治・経済・法などのシステムの基本を理解し、そうしたシステムを通じて、どのように社会に参画していくかを学びます。
そして次のページ、第三の「持続可能な社会作りの主体となるために」におきましては、(1)、(2)での学習を踏まえて、現代社会の諸課題について探究学習を行い、その解決に向けて、各人がどのようにして主体的に関わっていくかを考えるという構成を検討しているところでございます。
次に、育成すべき資質・能力に関する検討状況でございますが、こちらは資料3の4ページ、とりわけ図の中央の部分を御覧ください。社会科等におきましては、社会的事象の見方・考え方の育成が軸となります。社会的事象の見方・考え方とは、社会的事象の意義や仕組み等を考察する際の追究の視点や方法を意味し、例えば小学校では、位置や空間的な広がり、及び時期や時間の経過等の視点に着目して社会的事象の様子を捉え、比較・分類しながら、その仕組みや人々の生活との関連を考察することになります。こうした見方や考え方を習得させ、それを用いて社会的事象の仕組みや意義・機能などを多角的に分析する力、あるいは社会的事象をめぐる課題の解決に向けて選択・判断する力などを育成することが必要であると考えております。そうした考え方に基づきまして、現在、ワーキンググループでは、社会科・地理歴史科・公民科の系統性をどのように確保するか、また、各学校種あるいは学年でどのような水準の力を育成すべきかといった観点から、整理を進めているところでございます。
最後に今後の進め方ですが、ワーキンググループとしてのまとめに向けて、本日報告させていただきました点について更に検討を深めますとともに、総則・評価特別部会における御議論を踏まえて、社会科等における学習評価の在り方等について、引き続き検討を行う予定でございます。
私からは以上です。
【大杉教育課程企画室長】  それでは続きまして、芸術ワーキングでございます。資料の4を御覧いただければと存じます。芸術ワーキングにおきましては、音楽、図画工作、美術、工芸、そして書道ということについて、それぞれ共通する考え方と、それから、それぞれの特性ということを踏まえながら御議論を進めていただいているところでございます。現在までに6回開催をしていただいているところでございます。
1枚おめくりいただきまして、この検討事項ということについては、これは教科共通でございます。
2ページ目からが、これはまず音楽において育成すべき資質・能力のイメージでございますけれども、小学校音楽、そして3ページ目が中学校、4ページ目が高等学校ということで、小・中・高という発達の段階に応じて、どのような三つの柱の資質・能力を育成するかということを御議論を頂いております。そして音楽の学習における共通事項として働くものの部分に、下線の傍線を引いていただいているところでございます。
そして5ページ目が音楽・芸術科における学習のプロセスのイメージということでございますけれども、音や音楽との出合いということ、歌ったり楽器を演奏したり音を出して聴いたりしながら、音や音楽を形づくっている要素を聴き取ったり知覚したり、そしてそういった要素が生み出す面白さなどを感じ取ったり感受することということが、表現領域においても鑑賞領域においても重要になってくるという共通の部分でございます。
そして左側が表現領域の学習ということでございますけれども、思いや意図を生かして音楽表現に必要な技能を習得するということ、そして、試行錯誤しながら、どのように音楽で表現するかについて思いや意図を持つということ、これらが行ったり来たりすることによって、思いや意図を生かした音楽表現ができるとなっているということ。
また、右側の鑑賞領域でございますけれども、言葉で説明したり批評したりするなどしながら、楽曲の特徴や演奏の良さなどを考えたり、音楽を解釈したり、価値を考えたりするということ、そして、良さや美しさなどを味わって聴くということに向かうということ、こうしたことの中で、様々な知識や技能ということも関連付けたり組み合わされて、その中で理解したり使ったりするという関係性にあるということでございます。
6ページ目以降が、音楽科・芸術科に関する現状についてということでございます。例えば伝統音楽に親しみ、より生活や社会の中で生かしていけるように関心や理解を深めることが求められているということなどの課題があるところでございまして、こうした課題も含めながら、先ほどの資質・能力の整理を頂いているところでございます。
そして7ページ目は、先ほどの資質・能力も踏まえながら、幼児教育の基盤の上にということでございますけれども、小・中・高を通じてどのようなことができるようになるかということを、イメージを具体的に作っていただいているところでございます。その三つの柱が、およそ三つの資質・能力に相当するということで、例えばというところの中で、子供たちが具体的にどんなことができるようになるのかというイメージを、具体的に記していただいているところでございます。
続きまして8ページ目からが、美術、工芸でございます。構造は同様でございまして、三つの柱ということ、小・中・高を通じた系統性ということ、そしてその中で働く共通の事項ということに下線部を引いていただいているところでございます。11ページ目の高等学校の工芸までを見通して作っていただいています。
そして12ページ目が、学習のプロセスということでございます。三つのマルがございまして、発想や構想の能力ということと、作品の良さや美しさなどを感じ取り味わうということ、そして創造的な技能を働かせるということが、表現領域、鑑賞領域、この中での関係性を示していただいているところでございますけれども、真ん中に形や色、イメージなど、全ての学習活動に共通に働く資質・能力、これらとつなぎ合わせながら学習活動を進めていくということでございます。前回、少し印刷が見にくいということで、今回、少しコンディションを良くプリントさせていただきましたけれども、今後、白黒で使う場面もあろうということで、これにつきましてはグレースケールのものも別途用意をさせていただいておりますので、適宜使い分けをしながら進めていきたいと思います。
これらは様々な資質・能力の要素を示したものであると同時に、それぞれのマルの右側に活動の要素が入っているということで、これらを組み合わせながら、美術、工芸、図画工作における学習活動を進めていくことによって、資質・能力が高まっていく、こうしたことを少し分かりやすく見せていく必要があるということでございます。
そして、そうした学習活動を折り返し高めていくことによって、13ページ目の豊かな情操、形や色、イメージなどの視点を持ち、生活や社会と豊かに関わることができるということになっていくというわけでございます。
14ページ目には同様に、美術における課題ということでございます。今回、こうした現状も踏まえながら、資質・能力、学習プロセスの整理を頂いたところでございます。
また、15ページ目は、音楽と同様に、それぞれの段階でどのようなことができるようになるかということを、具体的なイメージとともに、それを社会の中でどのように生かせるかということも念頭に置きながら、整理を頂いているところでございます。これが今後、教育課程の目標の構造に生きてくるということでございます。
16ページ目は書道でございます。書道につきましては高等学校のみでございますけれども、これも小・中の義務教育の学びを意識しながら、高等学校における学びの資質・能力のイメージ、この三つの柱で整理を頂いているところでございます。
17ページ目は学習のプロセスのイメージでございます。書表現との出会いから、資質・能力の育成ということに、どのようにつなげていくかということ。左側が表現領域でございます。自らの思いや意図に基づいて表現を構想するということ。右側が鑑賞領域。書表現を創造的に味わう、作品の価値について考える、文字や芸術としての書の伝統と文化について幅広く理解する、こうしたことを通じて、書を構成する要素を関連させながら、自らの構想に基づき表現を工夫することができるようになったり、書に対する見方や考え方を広げることができるようになったりということ、その中で働く共通の要素でありますとか学習活動、知識・技能との関係性について整理を頂いているところでございます。
18ページ目が現状の課題ということでございますけれども、書道についても、こうした現状の課題に対する解決策ということを踏まえながら、先ほどの資質・能力、学びの在り方ということを整理をしていただいているところでございます。
19ページ目は、小・中・高を通じてということでございます。これも国語ワーキングや幼児教育部会との連携を引き続き図りながら整理をさせていただきたいと思いますけれども、幼児教育、それから義務教育の段階で培われたどのような能力が高等学校の芸術科としての書道に生きてくるかということもイメージしながら、また、高等学校における横のつながり、国語科とのつながりということも意識しながら、資質・能力の育成ということを進めていただくという方向で整理を頂いているところでございます。
それでは伊野先生の方からお願いいたします。
【伊野芸術WG主査代理】  伊野です。芸術ワーキングにおきましては、全体の意見交換を行うとともに、芸術のそれぞれの教科に分けて意見交換も行ってきました。これまでのワーキング6回までの意見交換から、大きく4点、お話をさせていただきます。
1点目は、芸術系科目を通じて育成すべき資質・能力に関してです。これにつきましては、芸術に関する教科・科目において育てることができる感性・情操は、他教科等の学びにも関わる全ての学びを貫く大切な資質・能力であるということ。将来、生活を豊かにしていく上で、創造性を発揮して豊かに表現することや、美しいものを見て美しいと感じる、美しい音楽を聴いて美しいと感じるということを芸術教育で培うことが重要であるという意見が出ております。また、子供たちに身に付けていくべき資質・能力を考え、それを子供たちも認識することが重要であると同時に、保護者や他教科の先生方に、芸術教育によってどのような力が身に付いて、それが社会との関わりの中でどのように生きていくのか、例えば人間にとっての芸術の必要性等を分かりやすく伝えられる学習指導要領にする必要があるなど、芸術教育が生活や社会と豊かに関わる態度を育成することについての意見が出され、検討を進めているところでございます。
2点目は、三つの柱に沿った育成すべき資質・能力の明確化に関してです。今回、芸術に関する教科・科目における個別の知識・技能、思考力・判断力・表現力等にはどのようなものが位置付けられるのかを、改めて考える必要がある。これは例えば、資料の8ページ、9ページ等の個別の知識や技能のところに、創造的な技能というのが一番左下のところにあり、こういうものが、それぞれ知識・技能、思考力・判断力と深く関わっているわけですけれども、その位置付けにつきまして検討の必要があるという意見が出ております。
また、それに関しまして、個別の知識・技能がどのように子供の思考力・判断力・表現力と関わるのか、どのように学びに向かう力を引き出すのかという点で、知識・技能を捉えることが大事である。また、思考力・判断力・表現力等には、性質の異なる表現の能力と鑑賞の能力とがあるので、慎重に位置付けていく必要がある。現行の評価の観点等では、4観点の中で表現の能力と鑑賞の能力とを分けているわけですけれども、それと今回の思考力・判断力との関係について、深く考えていきたいという意見が出ております。
芸術教科では、これまで評価の観点の中では、3本柱の一番左側の知識・技能の中の知識と関連する観点に関する内容を、思考力・判断力・表現力等の中で一体的に捉えてきたわけです。これは先ほどの3ページ以降の図の中でも、共通事項というところに下線がありまして、両方に下線が渡っていることでもお分かりになるかと思います。芸術教育における知識とは何かということや、学習評価の改善に関する今後の検討の方向性について示されている、知識を構造化された概念的な知識と捉えることや、芸術に関する教科・科目における技能などについて、他の二つの柱との関係を含め、検討を進めているところでございます。
3点目です。育成すべき資質・能力の系統性についてです。これについて、幼児教育、小学校との接続をしっかりする必要があること。それから現行学習指導要領で、図画工作科、美術科に共通事項が位置付けられたことで、小学校、中学校とのつながりが出てきた。また、現行学習指導要領に共通事項を位置付けたことにより、教員も児童生徒も音楽の特徴を捉えやすくなった。高等学校にも共通事項を位置付けてもいいのではないかと。現行の高等学校の中には明確な位置付けがございませんので、そういう意見が出ております。など、幼稚園から高等学校までの系統性、表現及び鑑賞の各活動について、共通に必要となる資質・能力である共通事項の扱いについての意見が出され、検討を進めているところであります。
最後に伝統文化教育との関連についてです。これにつきまして、日本の伝統文化・伝統技術の中には先端を行く技術につながることもたくさんあり、それらに目を向けていくことが大事である。また、感性を養うということが伝統文化を深く理解しようとすることにつながっており、将来の豊かな情操というところにつながっていくのではないか。そのためには、もっと子供の身近に感じる生活との関係、あるいは生活と伝統との関係、そして有効な体験との結び付きといった活動の充実が必要ではないかという意見が出ております。このような意見が出され、検討を進めているところです。今後は本ワーキングでは、学習評価等について、これからまた検討を進めていく予定でございます。
以上です。
【大杉教育課程企画室長】  それでは続きまして、資料の5でございます。生活・総合的な学習の時間ワーキングということで、小学校生活科の在り方、それから小・中・高の総合的な学習の時間の在り方について御議論を頂いております。これまで5回にわたって御議論を頂いております。
おめくりいただきますと1ページ目に検討事項ということがございますけれども、生活科における資質・能力の在り方、そして特に生活科におきましては、幼児教育との接続の在り方ということを、幼児教育部会と足並みをそろえながら御議論を頂いております。総合的な学習の時間につきましては、総合的な学習の時間を通じて育成すべき資質・能力の在り方、そして特に様々な教科で培われた見方や考え方、あるいは資質・能力ということを生かしながら、現実の実社会の課題に対応していくという観点から、そういった他教科との関連性、あるいはカリキュラム・マネジメントという中での位置付けということについて、御議論を頂いているところでございます。
3ページ目は、資質・能力の三つの柱に沿った整理、これは生活科でございます。そしてこれにつきましては、三つの柱で整理いただいているということは他教科と同様でございますけれども、表題の部分の括弧の中、赤字になってございますけれども、ここを、より小学校低学年の学びにふさわしいような形で書き直していただいているということでございます。これにつきましては、幼児教育部会におきましても、幼児教育の学びにふさわしい形でということで、少し補足的に書いていただいているところでございまして、幼児教育と生活科についてのみ、こういった少し整理のし直しをいうことをお願いをしていたところでございます。そしてその中で、御覧のような三つの柱というものを相互に関連付けながら、様々な事象への気付き、そしてそれに関わり、分類したり比較したりということで考えていくということ、あるいは伝えたり交流したりということで、身近な社会との関わり、自然との関わり、自分への自信ということにつなげていくというイメージでございます。
4ページ目は生活科の学び、これも幼児教育部会の議論を踏まえながら生活科の学びの在り方を議論させていただいておりますけれども、思いや願いを持つということ、あるいは活動や体験をするということ、感じる・考えるということ、表現する・行為するということ、必ずしも一方通行ではございませんで、一体的に行われながら繰り返されていくわけですけれども、その中で先ほどの資質・能力というものがどのように育っていくのかということを、少し、様々な教科の先生方にも、生活科の学びの意義ということを理解していただきやすいように整理を頂いているところでございます。
5ページ目は、そういった子供たちの具体的な気付きや感じ方、表現の中で、どんな気付きや資質・能力ということが子供たちに身に付いていくような過程なのかということを、少し三つぐらい例示をさせていただいているところでございます。自然への気付き、あるいは社会との関わりの気付きの中で、自分たちが関わって、存在感、自己肯定感ということにつながっていくようなこと、そういった学びのイメージの整理を頂いているところでございます。
6ページ目は、スタート・カリキュラムということにおける生活科の意義ということでございます。生活科というものが、低学年における学び、合科的な指導ということも含めて、幼児教育で培った見方や考え方、あるいは資質・能力ということを、更に各教科の特性に応じた学びということにつなげていくために大きな役割を果たしているということを、今後、更に分かりやすく整理をしていくという予定でございます。
特に7ページ目ございますけれども、幼児教育の部分で、幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿が、今後明確化される予定となってございます。これとスタート・カリキュラムの在り方、これも生活科と特定の科目だけということではなく、全ての教科等を念頭に置きながら、6年間を通した学びのスタート地点として、幼児期の学びをつないでいくという位置付けを、しっかりと行っていく必要があるのではないかという御議論を頂いているところでございます。
8ページ目につきましては、これは総合的な学習の時間についての三つの柱ということでございます。真ん中の柱、探究的な学習を通じて身に付ける課題解決の能力、課題設定、収集・分析、思考・判断、表現・省察ということで整理を頂いております。また、右側、学びに向かう力、人間性でございますけれども、一つ目が、主体的・協同的に課題を解決しようとする態度、そして二つ目が、自分の特徴を生かしながら、異なる考えを受け入れながらも、当事者意識と責任感を持って計画的にということ。そして三つ目が、生活を改善したり、課題の解決に向けて社会活動に当事者意識を持って参画したりするような態度ということ。こうしたことを、三つの柱に基づいて、発達の段階に応じて整理を頂いております。
一番左側、個別の知識・技能に関しましては、これは各学校において設定するテーマによっても変わってくる部分はあるわけでございますけれども、そうした各学校の特性に応じた部分と、一方で総合的な学習の時間を通じて共通に身に付けられる知識や技能というものもあるのではないかということで、御議論を頂いております。特に高等学校の段階では、少し学びを客観的に捉えて、学び方を学ぶということを更に重視していく必要があるのではないかという御議論も頂いているところでございます。
9ページ目は小学校のイメージですけれども、総合的な学習における探究のプロセスを経験して学習を進めていくということと、自分自身との関わり、その中で主体性や自己理解や内面化がどのように進んでいくのかということ、そして他者や社会との関わり、協同性や他者理解、社会参画、社会貢献ということが、それぞれ探究のプロセスということを軸にどのように深まっていくのかということを整理していく必要があるのではなかということで、下には知識・技能との関係性も整理されておりますけれども、小学校段階、そして10ページ目は中学校段階、11ページ目が高等学校段階ということで整理を頂いているところでございます。
特に高等学校におきましては、今後、現在検討されております数学と理科の見方・考え方を総合的に活用して探究に当たる、数理探究という教科との関係性ということも整理をしていく必要があるということでございます。
そして12ページ目はカリキュラム・マネジメントということでございますけれども、総合的な学習の時間の目標は、各学校が育てたいと願う児童・生徒像や育てようとする資質・能力、態度などを各学校が設定するということになっております。こういった総合的な学習の時間がイメージに置く資質・能力というものと、今後、資質・能力ベースのカリキュラムということで各学校が教育目標に掲げていく資質・能力というものは、一致していかなければいけないのではないかということで、そういう意味では、資質・能力ベースのカリキュラム・マネジメントの核に総合的な学習の時間がなってくるのではないかということ。各教科等との関係性、相互の深まりということを意識しながら、カリキュラム・マネジメントの中での総合的な学習の時間の充実ということを御議論を頂いているところでございます。
それでは見上先生の方からお願いいたします。
【見上生活・総合WG主査】  見上でございます。よろしくお願いいたします。今、大杉室長の方から御説明ございましたように、これまで5回の審議をいたしまして、その結果について御報告させていただきます。全体の議論の進捗等につきましては大杉室長より御説明いただきましたので、私の方からは、特に生活科については、スタート・カリキュラムの中核としての位置付け、それから総合的な学習の時間につきましては、総合的な学習の時間で育成すべき資質・能力、あるいはカリキュラム・マネジメントについてということについて、主に報告させていただきたいと存じます。
まず生活科についてでございますが、生活科はスタート・カリキュラムの中核になる教科と考えております。その中核たるゆえんというのは、まず遊びや生活を通じて5領域を総合的に学習するという幼児教育と、学習方法に共通性が見られるということでございます。資料ですと、6、7を御覧いただければと思います。それから生活をフィールドとして学んでいくということから、他教科とつながりやすいということの理由が考えられるのではないかと考えております。
ただ、実際の学校現場におきましては、その趣旨や意図が必ずしもしっかり伝わっていないと承知しております。また、スタート・カリキュラムは生活科のみで行うという誤解も招いているのではないかと伺っております。今後、生活科におきましては、スタート・カリキュラムの中核としての意義ですとか役割を明確にするとともに、それを分かりやすい形でお示しできるように、更に議論を深めてまいりたいと思います。
現在、幼児教育部会でも、幼児教育の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿などについて議論が行われていると承知しておりますので、他のワーキンググループでも資質・能力や見方や考え方の議論が行われているとも伺っておりますので、そういったことも、今後、議論の中に加えていきたいと思います。生活科は、幼児期との接続、また他教科との連携が強く求められている教科でもございますので、これらの部会やワーキングの議論の状況も把握しながら、更に検討を進めてまいります。
また、生活科については、これまで学習指導要領解説などにおいて、三つの視点や、それを細分化した11個の視点、15個の学習対象などを示してまいりましたけれども、これを今回、三つの柱に沿って整理し直す必要があるという御意見も頂いております。このような視点からも、更に検討を進めたいと思います。
続きまして、総合的な学習の時間についてでございます。総合的な学習の時間については、今後、さらに、総合的な学習の時間において育成すべき資質・能力を明確にするために、議論を深めていく必要があると考えております。特に横断的・総合的に学習するからこそ身に付く知識・技能は何なのか、それから思考力・判断力・表現力、これは何なのか、学びに向かう力、人間性など、これは何なのかということについて、ワーキングの中でも現在検討中でございますが、更に詰めてまいりたいと存じます。もしこの場においでになられます先生方の様々な御意見、おありかと思いますので、本ワーキンググループに御意見をお寄せいただければ、大変有り難く存じます。
また、総合的な学習の時間の総合的・横断的という意味は何なのか、さらに、今後、他教科等においても探究的な学習が行われるであろうと予想される中で、総合的な学習の時間の意義ですとか役割は何なのか、こういうことについても議論を深めたいと考えております。
例えば総合的な学習の時間の探究活動を進めていって、それが内面化されれば、その経験が自信、自己肯定感につながるものと考えます。様々な問題に直面した際にも、主体的に解決に向けて取り組もうとする学びに向かう態度が育成されるものと考えております。
また、実社会、実生活の問題に結び付けて探究活動を行う際に、他教科等において身に付けた資質・能力を発揮する場面も出てきます。このことによりまして、学ぶことの意義ですとか価値の理解も深まるだろうと思います。
さらに、小学校段階では、実社会、実生活の課題を文脈的に学習していったものが、高等学校段階にまでいくと、学びが脱文脈化して、学びが自覚化されていくのではないかという御議論も頂いております。
今申し上げたようなところに、総合的な学習の時間を学ぶ意義や役割があるのではないかと考えるところですけれども、今後、さらに、総合的な学習の時間の特質を踏まえ、構造化を分かっていくために、議論を深めてまいりたいと思います。
また、総合的な学習の時間は、学習指導要領上、第一の目標としては国で定めているところでございますが、これを踏まえて、学校において総合的な学習の時間の目標や内容、育てようとする資質や能力、態度を設定することになっております。これを踏まえれば、総合的な学習の時間が学校の教育目標などを直接受け止めることも可能であるため、カリキュラム・マネジメントの中核となるのではないかといった議論をさせていただいております。
それから、まだ生活・総合的な学習の時間ワーキンググループでは議論をしておりませんけれども、前回の総則・評価特別部会で示されました見方や考え方ということでいけば、総合的な学習の時間においては、実社会・実生活の課題について、教科・学問領域を越えた視点で事象を捉え、各教科における見方・考え方を総合的に活用しながら、自己の在り方・生き方について考察することと考えることができると思っております。今後、このようなことも議論できればと思います。
最後に、今後、総則・評価特別部会からお示しいただきました特別支援教育ですとかICTに関する内容につきましても、検討してまいりたいと思います。私どものワーキンググループでは、各教科を横に、あるいはスパイラルにつなぐ役割があると考えますと、他のワーキングの審議状況なども踏まえて議論を進めていく必要があろうかと考えております。本日お伺いさせていただく審議状況なども踏まえまして、さらに深掘りしてまいりたいと思います。
以上、簡単でございますが、生活・総合的な学習の時間ワーキンググループの審議状況の報告とさせていただきます。ありがとうございました。
【大杉教育課程企画室長】  それでは続きまして、体育・保健体育でございます。資料6を御覧いただければと思います。
体育・保健体育につきましては、これまで7回にわたり御議論を頂いているところでございます。議論の項目としましては、他教科と同様に、1ページ目にあるとおりでございます。
2ページ目のように、幼・小・中・高を見通した発達の段階ということでイメージを作っていただいておりますけれども、左側にスポーツとの関わり、右側に健康との関わりということで整理いただいております。小学校の初期の段階、各種の運動の基礎を培うということから、卒業後に少なくとも一つの運動やスポーツを継続することができるようにすることということに向かうということ。そして右側の端にございますような、小学校、身近な生活の健康について理解するということから、個人及び社会生活の健康について、より総合的に理解するということ。
すなわち、生涯にわたる豊かなスポーツライフを継続する資質・能力を養うとともに、健康な社会作りに参画する態度ということで、「する、見る、支える」などの多様なスポーツとの関わり方に関する指導でありますとか、運動の習慣化、それから今回、男女共習やアダプテッド・スポーツの体験の機会などといった視点も入れていただいているところでございます。
また、保健につきましては、情報活用能力という観点からも、健康課題に関する情報を捉えて、自分の意思決定や行動選択につなげる力ということを考えていただいているところでございます。
3ページ目からは、それぞれ三つの柱に沿って、小学校体育の運動領域・保健領域、それから4ページ目が中学校の体育分野・保健分野、5ページ目が高等学校の科目体育・科目保健、それぞれにおいてどのような資質・能力を系統的に育んでいくかということを、整理いただいているところでございます。
また6ページ目には、体育科・保健体育科において、子供たちがどのように課題を発見し解決していくかという学びのプロセスのイメージということ、そして、その中でどのような資質・能力が働き、育成されていくかということ、授業全体ということと、下には個別指導ということの行き来ということもございますけれども、この中で実社会や実生活に生きる子供たちの資質・能力を育んでいくというイメージでございます。
その上の部分には、見方や考え方の整理も頂いております。これはまだまだ御議論中でございまして、今後更に整理されていくかと存じますけれども、体育・保健体育の特性に応じた子供たちに育むべき見方や考え方は何かという御議論を頂きながら、こういうプロセスの在り方、あるいは8ページ目にございますように、体育・保健体育における深い学び、対話的な学び、主体的な学びというのは、どのような過程でどのような意義があるのかということも、併せて御議論いただいているところでございます。これは体育と保健ということで、それぞれイメージを作っていただいております。
10ページ目は、先ほどの見方や考え方、まだまだ御議論を頂いている最中でございます。
そして11ページ目、これは既に特別支援教育部会においても御紹介をさせていただいておりますけれども、体育・保健体育ワーキングにおきましては、かなり特別支援教育の観点から必要な点について厚めの御議論を頂いたところでございまして、御紹介を特別支援教育部会においてもさせていただきました。
必要な支援を行う上での重視すべき視点について、例えば共生社会ということを考えると、一緒にスポーツを楽しめるということが求められているということではないかということ。小・中・高という過程を踏まえながら、先生方が協力しながら滑らかにつながっていけるような学びの連続性ということも考えていく必要があるのではないかということでありますとか、12ページ目は真ん中ほどから、体育・保健体育で行うことによる意義についてということで、例えば知的障害のある子供たちに対する保健学習の意義でありますとか、あるいは健常者が障害者スポーツを経験する機会を増やしていくことの重要性ということ。それから体育における何を評価するのかということ。子供たちの伸びということをどのように考えて、資質・能力というものを考えていくべきであるかということも御議論を頂いております。
それから13ページ目は、具体的な支援の方策ということであります。子供たちの困難さというのは様々あるということも含めて、またICTの活用ということ。また、子供たちの記憶にしっかりと残るような運動の姿ということを、どんな工夫をして示していけばいいかということ。例えばその次でございますけれども、ルールの複雑性、運動の複雑性ということを、少し分かりやすく示していくということ。学習の方に子供たちを合わせるというよりは、子供たちに学習の内容の在り方が合わせられる部分もあるのではないかということ。
14ページ目は、教員の養成等、資質・能力等でございますけれども、若い時期に特別支援学校に行っている体育の専科の先生方いらっしゃいますけれども、そうした生き方を小・中・高に持ってくるといった取組が、うまくできていない部分があるのではないか。こういった連携の在り方ということも含めて議論する必要があるのではないかということ。また、支援を充実させるための連携ということ、特別支援学校の様々な指導の工夫ということ、サポート体制の在り方、それから先生方の間の交流ということを重視していく必要があるのではないか。
あるいは15ページ目でございますけれども、学習指導要領の改善・充実に当たって、どのような視点を示していくべきかということについても、様々な御議論を頂いているところでございます。
それから16ページ目、運動部活動の意義等についてということで、これは今後、中学校部会において主に御議論を頂くことになろうかと思いますけれども、運動部活動の学校教育の一環としての位置付けの重要性と併せて、様々な先生にとっての負担、あるいは子供たちにより多様な選択肢を与えるということの負担、先生方、授業の質が落ちてしまうということでは本末転倒であるということも含めて御意見を頂いておりますので、こういったことも含めながら、今後、中学校部会における運動部活動の意義等の議論につなげていくということであろうかと思います。
それでは野津先生の方からお願いいたします。
【野津委員】  主査代理の野津でございます。よろしくお願いします。
まず全体として、これまで7回の検討を行ってきたわけですが、それを通しまして、体育・保健体育という教科としての本来の意義・価値を再認識することになって、充実した議論が展開されたと思っております。例えば体育はどうか、保健はどうかというに留まるのではなくて、保健体育として一体的に捉えていくこと、また、他教科と歩調を合わせつつ改訂に向けた諸課題に当たることなどが重要であるという合意の下に、議論が進められたところでございます。
以下、各検討課題にそって、ポイントを報告させていただきます。まず教科の特性に根差した見方・考え方についてということで、資料6の10ページを御覧ください。先ほど大杉室長から、この課題につきましては、まだこれから議論を重ねていくということでしたが、体育では運動の特性という言葉を従来から使用してきておりますので、ここで教科の特性と言われると混同するということがありまして、教科の特質の方が分かりやすいという意見が出されております。それから二つ目の白マルの保健的な見方・考え方では、健康の保持増進という点はもちろんですが、心身の健康の回復を目指すという考え方も視野に入れることが重要になっているという見解が示されております。
育成すべき資質・能力につきましては3ページから5ページになるわけですが、3本柱の視点で議論が展開されてきております。保健では特に、これまでの学習指導要領では内容として示されてきていない技能について、体育や他教科の技能の捉え方を踏まえて検討されました。また、体育については、生涯にわたる豊かなスポーツライフの実現に向けて、共生社会の形成を含めた多様性の理解などの観点から資質・能力の議論がされております。
学びのプロセス及びアクティブ・ラーニングの議論では、6ページから9ページですけれども、児童・生徒が運動やスポーツの楽しさや喜びを見いだすとともに、運動やスポーツの多様な関わり方ができるようにするためには、思考力・判断力・表現力を効果的に育成することが重要であり、そのための学びの在り方ということなどで議論されております。また、保健の学びのプロセスでは、健康課題を解決する過程が重要であるということから、健康情報の適切な選択や、生活改善と関連させた学びの在り方などが示されました。
重視すべき内容につきましては、保健では今改訂において、具体的に、がん、精神保健、歯科保健などなど、様々指摘されてきておりますが、総じて言えば、生涯を通じて健康を保持増進していく資質や能力の基礎を培う観点から、子供たちの発達の段階を踏まえ、少子高齢化や疾病構造の変化による現代的な健康課題の解決や、自他の健康の保持増進に役立つ内容の充実を図る必要があることが示されました。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、健康のすばらしさや運動・スポーツの意義や価値などを国民全体で共有できるようにすることが重要であることから、体育・保健体育が果たす役割が非常に大きいという認識の下で、重視すべき内容の議論が交わされました。
評価についてですが、育成すべき三つの資質・能力に即した観点にすることは分かりやすくて良いという意見で一致しました。また、三つ目の主体的に学習に取り組む態度の観点については、体育・保健体育の指導内容である公正・協力・責任・参画・健康・安全に関する評価も含めた整理で進める必要があるとの意見が出されております。
特別支援教育の観点の議論におきましては、11ページから15ページの資料の下に、先ほど大杉室長より丁寧に報告されたとおりです。共生社会ということから、一人一人の子供たちに一層目を向けることが重要という方向性で、基本的に議論は展開されております。他の教科等にも参考になるような意見と思っております。
最後に運動部活動ということですが、学校教育の一環として行われる部活動の教育的意義を踏まえつつ、教員の負担軽減や効果的な指導体制等について議論されたということであります。
以上です。
【大杉教育課程企画室長】  それでは続きまして、特別支援教育部会、資料の7でございます。既に議論の一部は本部会でも御議論を頂きまして、各教科等ワーキングにつながせていただいているところでございますので、2ページ目、それから3ページ目、4ページ目、5ページ目については、御紹介を省略をさせていただきます。その後、議論いただきました、新たに追加していただいた部分、6ページ目から御説明をさせていただきたいと思います。
資料の7の6ページ目でございます。幼児・児童生徒の発達の段階に応じた自立活動の改善・充実ということでございます。障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な力を養い、もって心身の調和的発達の基盤を養うということを目的に、「自立活動の時間」を中心に、学校の教育活動全体で指導されているところでございます。
その中で、例えば高等部段階の生徒数の増加ということでありますとか、指導目標と到達状況の乖離があるのではないかということ。それから、この資料の12ページに自立活動についての説明がございますけれども、御覧のとおり、通級による指導等も含めて、あるいは特別支援学級における教育課程の中でも、自立活動というものが位置付けられておりますので、6ページ目に戻っていただきますと書かれておりますように、自立活動を行う場が拡大しているということでございます。
そうした中で、まず特別支援学校学習指導要領においては、子供たちの発達の段階を踏まえた自立活動の内容の改善・充実。あるいは、実態把握から具体的な指導内容の設定までのプロセスを分かりやすく記述していく必要があるのではないかということ。それから、到達状況ということにもつながるような多様な評価方法を分かりやすく記述していく必要があるのではないかということ。そして特別支援学校学習指導要領のみならず、通級による指導や特別支援学級ということも踏まえますと、小・中・高等学校の学習指導要領において、自立活動の目的・内容などを分かりやすく記述していくことが必要ではないかということでございます。
それから知的障害のある児童生徒のための各教科の改善・充実ということでございますけれども、これにつきましては、現状、知的障害のある子供たちの学習上の特性を踏まえた内容で構成ということでございまして、具体的には、28ページ目にございますような教科の構成ということになっているところでございます。これを段階別に、各教科の目標及び内容を、大綱的に現在示しているというところでございます。
7ページ目にございますように、現状の課題でございますけれども、各教科の目標を関連付けた指導及び評価の在り方が曖昧になりやすいのではないか、改善に十分生かしにくいのではないかという指摘があるということ。また、特に特別支援学級において、一部又は全部を特別支援学校の各教科に変えて指導する場合ということがあるわけでございますけれども、こうしたときに編成上の留意点が分かりにくいのではないかという指摘があるところでございます。
こうしたことを踏まえながら、知的障害のある子供たちのこうした教科の在り方ということと、小学校等の各教科の目標・内容との関連付けをしながら整理をしていく必要があるのではないかということ。また、具体的な内容について、社会の変化に対応した各教科の内容や構成の充実が必要ではないかということ。そして、教科で求められる資質・能力を育成するということと指導を行うということを、関連付けて明確化していく必要があるのではないかということ。また、質の高い深い学びを実現するために必要な指導方法の充実ということを考えていく必要があるのではないかということ。また、各教科の評価の観点による学習評価を導入していくPDCAサイクルの確立ということでございます。
こうしたことを御議論いただいておりますけれども、先ほどの28ページ目の前の27ページ目のところにもございますように、全体の資質・能力の方向性、三つの柱ということを意識しながら御議論いただいているということでございますので、これにより、様々な教育課程のつながりということは、かなり議論をしやすくなっているのではないかということでございます。
そして加えまして23ページ目に、高等学校における通級による指導の制度化及び充実方策ということがございます。現在、中学校で通級による指導を受けている生徒数が年々増加しているということ、また、インクルーシブ教育システムの理念も踏まえますと、高等学校においても障害に応じた特別の指導を行えるようにする必要があるのではないかということで、これは中教審と別途、現在、有識者会議が設けられておりますけれども、高等学校における通級の指導の制度化ということで御議論を頂いているところでございます。基本的な考え方は小・中学校の通級による指導の考え方と同様としつつ、高等学校の教育の特徴を十分に踏まえて制度を設計するということでございます。
この中の教育課程上の位置付けにつきましては、こうした大きな方向性のみ有識者会議では御議論いただいておりまして、この中の学習指導要領への具体的な位置付け、単位認定や学習評価の在り方、高等学校の共通性と多様性のバランスを踏まえた単位数の具体的な在り方については、中教審において、特別支援教育部会を中心に、更に御議論を頂くということになろうかと思います。
それでは宍戸先生の方からお願いいたします。
【宍戸委員】  それでは資料の7を御覧ください。今、大杉室長が説明していただいたところにつきましては、私の方はダブらないようにしたいと思います。
右下のページ数の1ページを御覧ください。これが特別支援教育部会における検討事項です。最初が特別支援教育におけるということで、社会に開かれた教育課程と書いてあります。これは、やはり幼・小・中・高の学習指導要領、特別支援学校の学習指導要領、それぞれの存在について理解していただくということと、関連性や連続性をそこに見付けていくということで、子供たちの学びの連続性を達成したいという視点で議論をしてまいりました。併せて育成すべき資質・能力、これにつきましても、小・中学校等での考え方を踏まえて、特別支援教育においても検討を進めてきたということです。
2番目に、そういう視点から、幼・小・中・高ということでまとめてあります。2番目の通級につきましては先ほど説明がありましたので省略しますが、最初、マル1のところですが、ここは2ページ、それから19ページから22ページの資料を御参照ください。
2ページにありますように、障害種別での配慮事項に留まらず、各教科等においても配慮の例を示すということで、検討を進めてまいりました。この案につきましては、各ワーキングにおいても検討をしていただいているところでございます。こういう意味で、特別支援教育に関わる子供たちの指導が、より一層充実することを期待したいと考えております。
通級につきましては、高校の通級のことが、一番の、今、課題になっております。ただ、小・中学校の方におきましても、通級や特別支援学級の教育課程については、現在、解説の方で示しているということで、できればそれを、教育課程の考え方、あるいは作成の仕方について、学習指導要領等に書き込めれば有り難いという意見も出ているところであります。
続いて、特別支援学校の方に行きたいと思います。自立活動については先ほど説明がありました。知的の各教科についても、7ページ、それから26ページの資料を御参照ください。
7ページにありますように、幾つか知的の教科については、今回、改善・充実を図る視点があるということで、主な意見が出ております。それから、系統項目の4番目、マル1になりますが、ここの点について触れておきたいと思います。キャリア教育や重複障害等に関する教育につきましては、次回に議論をする予定にしております。さらに7ページの一番下にありますけれども、幼稚園、小・中・高等学校、特別支援学校との間での学びの連続性を実現するための教育課程の円滑な接続の実現については、改めて特別支援教育部会で検討した上で、この総則・評価特別部会の方においても御検討をお願いしたいと考えております。
概要は以上です。
【大杉教育課程企画室長】  それでは最後でございます。言語能力の向上に関する特別チーム、資料の8でございます。
言語能力につきましては、これまで4回実施していただいております。特別チームということで、4回までという当初の予定でございますけれども、かなり白熱・充実した議論をしていただいておりまして、2回延長していただくということになってございまして、あと2回ほど開催を頂く予定でございます。
検討事項につきましては、資料の8の1ページ目でございます。国語科及び外国語科を通じて育成すべき言語能力の在り方、そして指導内容の系統性、相互の連携、効果的な指導の在り方について、順次御議論を頂きました。
そしてその中で、2ページ目でございます。言語に関する資質・能力ということで、三つの柱に沿って御議論を頂いております。個別の知識や技能、言葉の働き・役割に関する理解など、そして思考力・判断力・表現力の部分は、これまでの国語力答申でありますとか、前回改定時の言語能力に関する報告書などを踏まえて、三つの側面から整理をしていただいております。創造的思考とそれを支える論理的思考の側面、感性・情緒の側面、他者とのコミュニケーションの側面でございます。
1点目の創造的思考とそれを支える論理的思考の側面につきましては、当初、論理的思考の側面ということで御議論を頂いておりましたけれども、3ページ目、御覧いただくような、思考のプロセスというものを議論しながら整理していただく中で、やはり考えを形成していくということ、自分の考えを深めていくということ、そして表現していくということ、論理性ということは当然のことながら重要ということに加えて、自分の考えを形成し表現していくという創造性の側面ということもしっかり出していくべきであるということで、創造的思考とそれを支える論理的思考の側面ということでございます。また、その中に、論理の吟味・構築、あるいは精査、取捨選択ということがございまして、いわゆるクリティカル・シンキングということも、この中に含めて御議論を頂いたところでございます。
そして2ページ目の右側でございますけれども、学びに向かう力、人間性ということで、言葉の持つ力を信頼して、言葉によって困難を克服して、社会や文化を創造する力なども含めて、育成すべき人間性なり学びに向かう力の在り方を御議論を頂いております。
3ページ目が、テクストの理解、それから文章や発話による表現という中で、どのような資質・能力の要素が働いているかということを整理いただいたものでございます。今後、国語教育の指導事項の内容ということを整理していく中で、こういった資質・能力の要素ということと照らし合わせながら、指導内容・指導事項を整理していくということになってまいります。
そして4ページ目にございますように、言葉の働きと仕組みについてということでございますけれども、様々な機能に関する分類、あるいは先ほど申し上げた国語力答申、あるいは現行指導要領の内容等を含め、そして5ページ目には言葉の仕組みということで、それぞれの言語の普遍性ということと個別性ということを照らし合わせながら御議論を頂き、今後の学習において、言葉の働きに気付くことの重要性、そして言葉には共通の働きや仕組みの違いがあることを子供たちが認識しながら学習を進めていくことが重要ではないかという整理を頂いているところでございます。
6ページ目からは具体的な連携の在り方ということでございます。効果的な連携につなげるためにはどのような整理が必要かということでございますけれども、この中では、国語科と外国語科のカリキュラム・マネジメントをしっかりとやりやすくするように、それぞれの指導内容のつながりや関係性を可視化していく必要があるのではないかという御議論を頂いているところでございます。
例えば7ページ目にございますような、それぞれ音声への気付き、あるいは語句・単語・文字の表記、文や文章の構成、あるいは言語活動ということで、こういった、左側が国語科、右側が外国語科・外国語活動ということでございますけれども、こうした国語で学んだことを外国語で生かすということ、また、逆に外国語を学ぶことによって国語への興味も高まるということがございますけれども、こうしたカリキュラム構造をしっかりと先生方に分かりやすく示していくことによって、相乗効果を高めていくという工夫が必要ではないかということで、8ページ目にございますような今後の方向性ということでございますけれども、現在、実際に既に国語と英語の連携した指導の充実ということがされている実例がございますので、そういった実例も踏まえながら、カリキュラム・マネジメント上、公表できるような指導の順序性、言語活動の指導事例などを示していければということでございます。
9ページ目は、言語能力についてということで現在整理をしていただいている最中のペーパーでございます。これを膨らませるような形で、今後、言語能力の整理、あるいは様々な資質・能力の育成に言語能力というものがどのように働いているかということ、あるいは言語活動、体験活動との関係性ということを、整理を頂く予定でございます。
それでは髙木先生からお願いいたします。
【髙木委員】  ただいまの大杉室長さんからの御説明とも多少重なりますが、言語能力の向上に関する特別チームからの御報告をいたします。
この言語能力の向上に関する特別チームは、国語教育と英語教育の関係者を中心にいたしまして、更に脳科学や言語心理学など、言葉に関わる教育以外の様々な分野の先生方にお集まりいただきまして行っている画期的なチームでございます。
言語能力は、あらゆる教科を学習する上で必要な能力であります。また、情操や情感が発達していく中でも、言語が中心的な役割を果たしているために、言葉に関する教科である国語科と外国語科だけでなく、他教科におきましても、この言語能力の育成は非常に重要なことであると考えております。
この特別チームでは、文化審議会によるこれまでの国語力についての答申や、前回の改訂の際に行われました言語力の育成に関する教育者会議など、これまでの言語能力に関する議論を踏まえまして、言語能力に、創造的思考とそれを支える論理的思考の側面、二つに感性・情緒の側面、三つに他者とのコミュニケーションという側面を、三つ位置付けまして、資質・能力の三つの柱やプロセスを論議してまいりました。この言語に関する資質・能力の論議をつなぎといたしまして、国語ワーキングにおいては国語に関する資質・能力を、外国語ワーキングにおきましては外国語に関する資質・能力が議論されているところであります。
また、言語能力育成のためには、各教科等における言語活動の充実が重要となってまいります。言語活動の充実は、現行の学習指導要領におきましても行われているところでありますが、わけてもその評価におきましては、各教科において、思考・判断・表現における記録・要約・説明・論述という言語活動を通して評価することが、中央教育審議会より、児童生徒の学習評価の在り方について、報告として示されているところでもございます。
また、特別チームにおきましては、言語能力を向上させるための国語科と外国語活動・外国語科の効果的な連携の在り方につきましても討議をしておりますが、そのためには、教員同士の連携のみならず、指導内容の連携も含めましたカリキュラム・マネジメントが非常に重要であると議論されているところでございます。今後も国語ワーキング、外国語ワーキングとのキャッチボールをしながら、全体としての言語能力の育成とその向上について議論を深めてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
【羽入主査】  ありがとうございました。各主査の方々から御報告も頂きました。予定ではちょっと休憩しようかということもございましたが、せっかく委員の先生方、皆さんおそろいですので、少しでも多く意見を伺いたいと思いますので、続けて進行させていただきたいと思います。
それでは、ただいまの御説明、御報告を踏まえて意見交換を行います。この御報告いただいた順序に従ってということも考えられるかもしれませんが、少しランダムに御意見頂いて、そして関連する御意見をまとめてとも考えております。どなたからでも、どうぞお願いいたします。
どうぞ。
【田中地歴特別チーム主査】  地歴特別チームの田中でございます。先ほど申し上げ損なったこともありまして、それが全てのグループにも関連すると思いますので申し上げますが、高大接続に関しては各分野ともに重要であると思っておりますが、地歴においては、先ほど申し上げましたように、地理総合(仮称)、歴史総合(仮称)というものを必修としてもらいたいと考えておりますが、新科目では新世界史、新日本史というものができてきて、新地理というのもできます。恐らく2番目に来る高度なものは4単位になろうと思いますし、総合と呼ばれている歴史総合(仮称)、地理総合(仮称)は、それぞれ2単位になろうと思いますが、このことが、ともすれば進学校において大学受験を考える高校におかれては、やはり4単位の新日本史だとか新世界史を学べば、それで受験にこと足りると。かつてのAに対応するであろう歴史総合(仮称)とか地理総合(仮称)は無視してもよいということになってしまうと、非常に困るわけですね。
すなわち、総合で申し上げていることは、高校生にとって、社会に出ていってグローバルな人材に育つために必須の考え方というものを教えたいという。そのことは、実は高校だけでなく、大学にとっても大きな責任があると思います。入試問題の作り方にも関係があると思います。また、受験産業の教育の仕方も、そこは御理解いただく必要がある。御自分たちが準備していない問題を大学が出すから無視するということでは困るわけでありまして、各分野とも同じなんですが、非常に根本的な、このような考え方を子供たちに身に付けてもらいたいというところを、やはり大学の側も入学の選抜において問うていかないと、結局形骸化してしまう。で、昔どおりの難しい問題が出続けるということになると思いますので、先ほどそこに触れておりませんでしたが、そのことについても各分野で共通の問題として御検討いただければと思います。
【羽入主査】  ありがとうございます。大変貴重な御提案、御意見だと思います。高大接続、あるいは入試に関しましても議論すべきことではございますが、当面、今、御意見を承るということにして、今後、更に必要に応じて、また考えていくということにしたいと思います。
髙木委員、お願いします。
【髙木委員】  今、田中先生からの御発言を受けましてというか、御発言に啓発されているんですが、実は今回の教育課程の改訂というのは、かなり根本的に各教科の枠組み・構造を変えていく取組になっていると思うんです。それを例えば高等学校や中学、特に高等学校なんですが、授業の実践として生かしていただくためには、教科書が、かなりこの学習指導要領の内容に沿ったものでなければならないと考えております。
例えば今、田中先生のお話ですと、総合科目に社会、日本史、世界史になったとしますが、かつてこれは現行の国語総合にあったんですが、古典と現代文を教科書として分けてしまうんです。本当は国語総合としてやっていただきたいんだけれども、分けてしまった方が現実には高等学校で使われているという事例もたくさんあります。ですから今のお話を伺っていますと、日本史と世界史とを分けて、そして1冊合体にするとか、分冊で販売するとかという形になりますと、教育課程全体で分けても、カリキュラム・マネジメントとして教育内容を考えていくということが非常に薄くなってしまう。
したがいまして、今回、検定を厳しくするという、内容的にあれこれという形ではなくて、今回の教育課程で示される、学習指導要領に示される内容に沿って、きちんとした教科書検定というか、教科書の在り方を規定しておきませんと、高校の先生方の現状に使いやすい教科書が選ばれていってしまう。それは高校の内容の改革につながっていかないんだということで、是非強く、教科書検定の在り方を含めての教育課程、カリキュラム・マネジメントの検討が必要だと私は思っております。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。鈴木委員、荒瀬委員、お願いします。
【鈴木委員】  私、高校の地理と公民を教えておりますので、実態をよく知っている立場から。
今回、世界史B及び日本史Bに代わって、探究的な科目的な世界史を考えていらっしゃるようですが、もちろんそれは賛成なんですけれども、実態として探究的なものが行われるためには、単にやれと言っているだけではもちろんできませんので、やはりこれに対応した評価を考えないと駄目じゃないかなと思っております。そうするとどうしたらいいかということなんですが、とりあえずそういうものを評価できるシステムを入れないと、実際の学校では探究的にもならないと。
それからもう一つ、頂いた資料の5ページなんですけれども、これ、前回のこの会議でも話題になりましたけれども、発達段階のイメージ、小・中・高と矢印で示していただいて大変いいんですけれども、ちょっと心配なのは、探究的なものを入れていく場合に、資料の収集や資料の内容・価値の判断というのが大変重要になるんですけれども、このイメージ図の中に、そういう資料の収集とか、その資料の批判的な解釈・判断とか、そういうものがどうもないんじゃないかなと。この中のどれかなのかもしれませんけれども、そういうものも是非必要ではないか。
ただ、7ページには、情報収集というところで、今言ったようなことが一応学習プロセスの例としてたたき台の中には出ておりますので、情報局の方からも言われておりますけれども、資料の収集や、その批判的な解釈といいますか、そういうものが5ページにはないのが心配だと。もちろん7ページにはあるんですけれども、そこはもう少し考えていただいた方がいいのではないかと。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。田中先生、今、何か既に議論がなされているとかいうようなことがございましたら。
【田中地歴特別チーム主査】  御指摘のように、5ページの図に不十分なところがあると思います。御指摘のとおりだと思いますが、議論の方ではかなり意見交換がなされておりまして、資料が大事だ、その読み込み、それが仮説を裏付けるエビデンスとなるということで、相当の議論はされておりますので、問題意識は十分なんですが、済みません、まだ十分には表れていないかと思います。
【大杉教育課程企画室長】  失礼しました。資料の3ページのところを御覧いただくと、技能のところにかなり書き込んでありまして、この技能と思考力・判断力・表現力の関係性ということを整理していく中で是非検討したいと思います。失礼いたしました。
【羽入主査】  ありがとうございました。では、荒瀬委員。
【荒瀬委員】  ありがとうございます。今のこととも少し関わるのですけれども、総合的な学習の時間と生活科に関連しましても、よく似たことを思いましたので、申し上げたいと思います。
今の社会・地歴・公民ワーキンググループの方の資料の11ページとか12ページに、高等学校の新たな科目についての非常に分かりやすい御説明があります。たたき台(案)とありますけれども、この11ページで、例えば歴史の転換への関わりの深さというので、深いという部分で、そこに色が付けてあって、欧米と日本の工業化の進展にはどのような違いがあるか、その違いは世界の情勢にどのような影響を及ぼしたかとか、あるいは12ページにも、17世紀を前後して始まったイギリスの社会構造の変化が、ここでこのようなことで問いとして、なぜ世界初の工業化を達成したのかといったようなことが書かれています。
これは当然、現行の学習指導要領でもこういったことを学ぶのでしょうけれども、ここのところが現在十分になされているかどうかということを、改めて見てみる必要があろうかと思います。何が言いたいかといいますと、こういったことが、すなわち答えとして用意されているものがあって、そこへどうつないでいくのかと。問いがあって答えをどうつなぐのかということが、入試での一つの対応する、AならAが出てくる、BならBが出てくるということで、考えるとか疑問を持つとかいったような過程が余り重視されないで、そういうところの答えを見付けていくということが重視されてきてしまっているのではないかということをちょっと思いますので、申し上げます。
それでそのことは、実は生徒自身が、高校生自身がこういった問いを立てられることになるかどうかということが、多分大事ではないかと思うのです。それは論点整理で既に出ていますけれども、例えば知っていること、できることをどう使うかというときに、問題を発見し、その問題を定義し、解決の方向性を決定しというプロセスが、論点整理には描かれていまして、このことが大変重要な三つの柱のうちの一つとして表現されています。多分問題を発見するということは、まずは問題に気付くわけですけれども、その気付くということを生むような取組ということが、様々な教科とか科目とか活動の中で生まれなければならないのではないかなと思います。
そのことと関わって申し上げますと、総合的な学習の時間、生活科の方の8ページのところで、今、正に申しました、資質・能力の三つの柱に沿った、小・中・高を通じて総合的な学習の時間において育成すべき資質・能力の整理というところで、真ん中の思考力・判断力・表現力等のところで、これは小・中・高を通じて同じような書き方がしてあるわけですけれども、まず課題設定の力とあるんですが、この課題設定の力ということだけが出てきていると、まずはやっぱり問題に気付くということを飛び越してしまっているのではないかなと。疑問を持ってものを見るとか、いろいろなことに対してこれはどうしてだろうと考えるという、そういう力を育てることが、まずこの課題設定の前段にはあるのではないかなということを思うのです。
これは後からの議論にもなろうかと思いますが、深い学びというのは、多分そういうことをきちっと踏まえてやっていかなければ、深い学びには達しないのではないかと思っておりますので、ちょっと御説明がまどろっこしくて申し訳ありませんが、思いました次第です。以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。今の荒瀬先生のお話は、各教科共通するものだと思いますし、恐らく、きょうおいでいただいていらっしゃる先生方も、既にお気付きのことではないかと思います。
続けて、根津委員、藤田委員でお願いします。
【根津委員】  四つほどあるんですけれども、どのようにすればよろしいですか。
【羽入主査】  手短におっしゃっていただいて。全く違う事柄でしたら、一度切りましょうか。
【根津委員】  どちらでも。では短めにいきますので。努力します。
【羽入主査】  じゃ、お願いします。
【根津委員】  まず一つ目ですけれども、順番にですね。地歴・公民の方の特別チーム、ワーキンググループの方で、資料3の方ですけれども、こちらに公共という新しい仮の名称として出てくるものがあるわけですが、これは英語で言いますと具体的にどういうものを想定されて御議論されているのかというのが一つです。
続けて芸術ワーキンググループの方では、理数系の教科・科目等との関わりについて、例えばBということになりますと、あるいは音楽等を考えますと、物理でありますとか、あるいは数学でありますとか、そういったところとの兼ね合いも当然出てくるかとも思うんですが、教科の中、科目の中の系統性はもちろんなんですけれども、他教科・科目等との関連についてはどのように扱われてこられたのかということです。
続きまして生活・総合的な学習の時間ワーキンググループなんですが、特に高等学校の総合的な学習の時間については、全員が必ず学ぶという前提には立てないわけですので、課題研究等での代替等もございますし、そうなってきたときに、やはり小・中の総合的な学習の時間とは若干様相が違うであろうと。場合によっては、ややもすると、高等学校の場合には進路指導・キャリア教育に特化するという傾向もあるのではないかと思うんですけれども、その辺りをどう議論されたのか。
最後にですけれども、体育・保健体育・健康安全ワーキンググループの方へのお尋ねということになりますが、これもやはり他教科や、もう一つは他教諭といいますか、栄養教諭、養護教諭の先生方との連携状況についてはどのような御議論がなされているのかというところを、素朴にお尋ねしたいと思います。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。手短にしてくださって、ありがとうございます。ここで主査の先生方に全てお答えいただくということでなくても結構です。もし何か今お考えがありましたら、お話しいただければと思います。
多くの教科にわたりますので、藤田委員も併せて質問をしていただいて、御意見を頂いてから、もし主査の先生方、何かあればお答えいただくというので、根津委員、よろしいですか。お願いします。
【藤田委員】  それでは私の方から2点お尋ねというか、1点が意見です。もう1点がお尋ねになるかと思うんですけれども、まず意見の方ですけれども、資質・能力の示し方なんですが、例えばワーキングや部会によって、示し方の方向性というか、基本的な目指すところが、ちょっとずれ始めているのではないか。
例えば典型的なのは、これは資料3、社会・地理歴史・公民ワーキンググループの方から出されている16ページ、これが先ほど根津委員からも御指摘のあった公共(仮称)にも絡んでくるところなんですけれども、この示し方と、それから芸術ワーキンググループ資料4の7ページ、これが非常に対極的にコントラストがたまたま出てくるものかと思うんですけれども、例えば資料3の16ページですと、資質・能力のいわゆるカテゴリー、ラベルが書かれていると理解できるかもしれません。
逆に資料4の7ページですと、育成すべき具体的な力が、何々することができるという表現ぶりで書かれている。このような表現ぶりは資料3の中にももちろんございまして、前々回でしたか、その前でしたかも御説明がございました資料3の5ページなどは、具体的に何々することができるという書きぶりで書かれていると。こういったものをそろそろ足並みをそろえていくというか、各ワーキンググループや部会の先生方に御検討いただくときに、こういう表現ぶりでという方向性を示していくということも今後必要じゃないかなと思ったのが、これが1点目の感想でございます。
2点目、これは御質問というか、私自身が混乱をしているところなんですけれども、例えばきょう、生活・総合的な学習の時間ワーキンググループ資料5の8ページを拝見いたしますと、学びに向かう力、人間性等のところ、それぞれマルが三つずつ、高等学校、中学校、小学校と書かれています。この書き方と内容というのを視野に収めながら、先ほどの話題にもなりました、新しい仮称で公共となっているところで育成すべき力は一体何なのかなということを見てみると、どうも重なる部分ということが非常に強く見えてくるのではないか。
例えば資料3の19ページ辺りを見ますと、資料5の8ページのちょうど右側、学びに向かう力、人間性との重複ということが非常に鮮明に見えてまいりますし、特に資料3の21ページ、新選択科目(案)としての自己の課題と人間としての在り方・生き方などを見てまいりますと、やはり総合的な学習の時間との重なり具合といったことが非常に鮮明に見えてくる。そこに、きょうは御発表はなかったわけですが、特別活動の中の、例えば中学校の学級活動、あるいは高等学校のホームルーム活動の中における学業と進路、例えば学ぶことと働くことの意義の理解ですとか、それから主体的な進路選択や将来設計、望ましい勤労観や職業観といったところを考えたときに、キャリア教育の観点からすると中核となり得るところ、今回、新しい仮称で公共が、中核としての重要性を特に指摘されていますけれども、全体としてどういう役割分担が見えてくるのか、特にキャリア教育の視点から見た場合に、新しい、これから私たちが、先生方が構想なさろうとしているところの中で、全体としてどのような住み分けが可能なのかということについて、全体像が見えるものが必要かなと思った次第です。
特に探究的な学習を中核とする総合的な学習の時間と、それから自主的・実践的な活動を中心とする特別活動、そして教科・科目等の固有の知識・技能を学ぶことを中核とする教科、そういった特性を生かしながら、子供たちが主体的に社会に参画していくためにどういった力を付けていくのかということについての総括的な議論というのを、どこかすべきではないのかなということを感じました。現在のところ、そういった住み分けについて、どの程度までの構想があるのかということについて、教えていただけたらと思います。
以上でございます。
【羽入主査】  ありがとうございます。今、藤田委員からの御発言は、多く我々の部会として考えなければいけないこともあろうかと思います。そういう点で問題意識を御指摘いただいたんだと思います。
とりあえず根津委員、それから藤田委員の御提案に対して、きょうおいでいただいている先生方から、何か御意見、お考え。
じゃ、見上先生、お願いします。
【見上生活・総合WG主査】  御意見ありがとうございます。先ほど総合的な学習の時間、あるいは生活に関して、何人かの委員の方々から御質問頂きました。
先ほど荒瀬委員でいらしたか、どなたか、いきなり質問ということでも、子供たちが疑問といっても出てこないのではないかというお話がまずありました。これは私もワーキンググループで議論はしているんですが、ちょっと私見が入ってしまうかもしれませんが、資料3の8ページのところの表を見ていただいてもお分かりかと思いますが、基本的には小学校から高等学校まで、同じような形で内容が入っております。微妙に高等学校に進むに従って、学ぶことの意義や価値の理解とかというのが出てまいりますが、結局、例えば幼児教育での体験、あるいは小学校、生活でのいろいろな実体験といったことが生き生き、そういったそこの学習活動をベースに、小学校高学年あるいは中学校、高等学校へと進むんだと思うんですね。ですから、そこのところが、いきなり中学校で課題はないんですかと言っても出てこないかもしれませんが、そういう積み重ねが非常に大事なんだろうと思います。
それから根津委員の方から御意見かと思いましたが、高等学校での総合的学習の時間、確かに現在、非常に苦労されている。ただ、実際には成功されているところもあって、そういった成功事例が、今、ワーキンググループには挙げられております。そういったところの意見は非常に参考になるということで、それをうまく広めていくということはあるんだろうなと思いました。
それから最後の御質問は何でしたか。今お答えしているときに、ちょっと度忘れしてしまいましたけれども。
【羽入主査】  生活に関しては、ほぼ先生に伺いたいことはそのようなことだったと思います。
【見上生活・総合WG主査】  そうですか。以上でございます。
【羽入主査】  それぞれの科目の住み分けを我々は考えるべきではないかというお話だったと思います。
それでは恐縮ですが、先ほど根津委員からの質問に対して、何か御意見や御感想がございましたら。
【大杉教育課程企画室長】  先生、一言、事務局から状況を御説明させていただいてから補足いただければと思います。
公共(仮称)の科目名でございますけれども、現時点で英語名称を検討している段階ではございません。公共(仮称)という科目名についてどう考えるかという御意見も引き続き頂いているという状況でございます。
それから他教科との関連性、音楽が数学についてプロセスを検討しているのかという御質問でございましたけれども、現在、数学においても、資質・能力の在り方、プロセスの在り方の同時並行で議論していただいているところでございますので、それを俯瞰するのは、むしろこちら、若しくは小学校部会、中学校部会、高校部会になろうかと思いますけれども、横並びで見せていただいている感覚から申し上げますと、数学の方は問題解決というプロセスで御議論いただいているのに対しまして、音楽の方は、音や音楽との出合いということから、思いや意図をどのように表現していくか、あるいは鑑賞の中に生かしていくかというプロセスの違い。恐らく言語や記号ということで御提起いただいたかと思いますけれども、そういった学びのプロセスの違いということが出ていることかと思います。これもヒントなどを是非頂ければと思います。
それから高校の総合については、見上先生から御指摘いただいたとおりです。
それから横並びで同じような資質・能力を育まれる教科ということの全体像を整理していくべきではないかというのは、正に御指摘のとおりでして、今回、ヒアリングという形で、こういう形でさせていただいていることの目的も、そういったところにあろうかと思います。全体のカリキュラム・マネジメントという中で、単に資質・能力の種類を住み分けるということではなく、究極的には全体的に国家社会の形成者として人格の完成を目指すという共通の目標がございますので、その中で、どのような特性の中で育んでいくかという構造整理が、今後お願いするということになろうかと思います。
済みません、失礼いたしました。
【羽入主査】  ありがとうございます。全体的な状況を御説明いただきましたが。
どうぞ、伊野先生。
【伊野芸術WG主査代理】  ありがとうございます。今のお話のとおりなんですけれども、話の出発点が音や音楽とか造形とかというところから出ておりまして、他教科との関係といいますと、例えば国語の音声とか感情を伝える面、あるいは伝統的なものを学ぶときに様々な要素が関わり合ってくるので、そこの部分を全体的に学んでいく必要があるという意見が出ています。
ただ、理数系につきましては、直接的な意見は現在のところ出ておりませんで、御指摘のとおり、音楽と理数系というのは非常に密接に、これは私の個人的な意見ですが、関係があると思いますので、御意見あったことを伝えたいと思います。
別件で、後でよろしければ。
【羽入主査】  どうぞ、もしよろしければ続けて。
【伊野芸術WG主査代理】  よろしいですか。別件ですけれども、芸術の方の、先ほど知識・技能と思考力・表現力が一体化しているというようなお話をさせていただきました。例えば国語科の方の言語の方の2ページのところと、先ほどの創造的思考とある意味、深く関係するのかなと思って聞いておりました。つまり、考えを形成していくというのは、芸術教科の面から考えますと、手とか腕とか声とか体全体を使い対象と関わって、その上で「どうして表現しようか」ということを、子供たちは正にやりながら思考をし、知識や技能を獲得していくわけですね。
先ほどお話ししましたように、美術科の方の知識・技能のところに、創造的な技能というキーワードがございます。これは資料の方の、例えば8ページ、9ページの個別の知識や技能の一番左下の部分にございます。そこが深く関係しているわけです。そうした中で、知識・技能と思考力・判断力・表現力が極めて深いつながりがあるものですから、それをこれから評価に向けてどのように整理していくかということを真剣に考えていく必要があると。こうした中で、芸術の特質について御理解いただければと思います。
【羽入主査】  ありがとうございました。土井先生、田中先生。
【土井社会地歴公民WG主査】  まず公共の名称でございますが、日本語名がまだ仮称でございますので、英語名が確定しているわけではないというのは、先ほど事務局からの御説明のとおりです。ただ、イメージとしてどういうものを描いているかという御質問だとお受けしますと、政府、ガバメントよりは広い意味でのパブリック、あるいはシビル・ソサイエティ、あるいはシチズンシップといったようなものをイメージして議論しているというか、そういう御意見が出ているということでございます。
それから探究の問題でございますが、やはり最終的に探究学習に持っていきたいということは我々も考えております。ただ、地歴あるいは公民科の必修科目、恐らく設定されるとすると高校1年生ということもございまして、中学までの学習を前提にしたときに、それほど高度な問いをいきなり立てられるかというと、恐らくそれは難しいと言うことは理解しております。その意味では、いろいろな問いを立てて、それを解いていくというのがどういうことなのかということを学ぶことを通じて、見方・考え方をまず必修科目の段階で習得させて、その後の選択科目にどうつないでいくかということを検討する必要があるのかなと。これは個人的な意見ですが、思います。
それからキャリア教育とか総合的学習との関係ですが、かなり近い部分はございますし、総合的学習とも近い部分はございます。しかし、やはり地歴科、あるいは公民科という教科の中に置いているという観点からしますと、倫理についてはセンテンスの考え方等々の歴史がございますし、それからもう一つは、社会システムの問題、政治・法・経済というシステムがございます。社会に参画していく上においても、現代社会ではそういうシステムを通じて、どう参画していくかということを考えていかないといけないわけですので、そういうシステムがどのように機能しているか、あるいはどういう役割を担っているのか、それを通じて活動するというのはどういう意味なのかという辺りに、やはり公共あるいは公民科は重点を置くんじゃないかと理解しております。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。田中先生はよろしいですか。
【田中地歴特別チーム主査】  特に質問にお答えするところは、土井先生のお答えで十分だと思います。
【羽入主査】  ありがとうございます。それでは少しこちらの御意見も伺って行きたいと思います。市川委員、竹原委員、無藤委員、鈴木委員、野津委員でしょうか。その順序でお願いします。
【市川委員】  全教科に関わることではあるんですが、とりわけ総合的な学習の時間に関してなんですけれども、ページとしては資料5の8ページですか、に関わることです。
先にちょっと具体的に要望を申し上げて、その後、その趣旨を御説明したいと思うのですが、高等学校のマルの三つ目に、学ぶことの意義や価値の理解というところがあります。価値や意義、もちろん大切なんですが、是非それに加えて、学ぶことの仕組みや方法の理解というのを入れていただきたい。それから、それに対応して、学びに向かう力のところでも、そういう仕組みや方法とか意義について、単に知識として知っているというだけではなくて、それを活用して自分の学習の改善。学習というのは、何も探究的な学習だけに限りません。習得の学習も含めて、自分の学習を改善する。特に自分で計画を立てて、自分で方法を考えて、自分なりのやり方で主体的に学習を進めていくというようなことを入れていただきたいと思います。
その趣旨なんですが、まずこの学習の問題、中学・高校にもなりますと、とにかくふだんの学習がうまくいかない。これは探究だけではありません。教科の普通の習得の学習が非常にうまくいかなくなって悩むという子供たちは多いです。子供たちの悩みのベストの1位か2位に、大体勉強の仕方というのが出てきます。それはやっぱり小・中・高と進むにつれて、学習の仕方も一律ではなくて、だんだんある意味深まっていくというか、進歩していく、進化していくという面があります。そのことについて、どうもうまくそれに乗っていけないといいますか、適応できない子供たちが増えていく、しかもそれが非常に深刻な問題になっているということですね。
そのときに、教科横断的な面と教科特有な面がありますが、やっぱり私たちが子供たちを見ていると、教科横断的な面も実はかなりあると。英語ではこう勉強しなさい、数学ではこう勉強しなさいという教科ごとの勉強方法はもちろん大事ですが、その根っこにある学習するということの子供たちの捉えている学びというのは、どうも中学・高校に適応したような学び方になっていない。例えば何でも丸暗記すればいいのだと思っていると、なかなか深い学びにならない。
今回、とりわけ深い学びとか主体的な学びと言っているわけですから、じゃあ深い学びというのはどういうことなのか、浅い学びというのはどういうことなのかということを、子供たち自身に仕組みを知ってほしい。この委員会でも、かなりメタ認知という言葉が頻繁に会議でも出てきました。メタ認知ということがどういうことなのか、子供自身にやっぱり知ってほしいわけですね。そこで、高校でこれが出ているんですが、実は中学校・小学校にも、表現は違っても結構ですから、そういうことを入れていただければと思います。
これが子供にとっての重要性という面なんですが、もう一つは、総合というのが一体何をやる教科なのかというときに、今の指導要領をちょっと見ているんですが、改めて私は四つのことがあったと思います。一つは教科横断的な学びをするですね。一つの教科では収まり切れない。それから探究的な学びをすると。この時間が各教科では十分保証されていないので、探究的な学びをする。3番目に、これはさっき御質問もあった、自分の生活とか将来に向けての学びをする。これはキャリア教育とも関係あります。その4番目なんですけれども、実は今の指導要領でも、学び方やものの考え方、この学び方というのがかなりはっきりと出ています。特に育てようとする資質・能力、態度の中でも、例えばの1番に出てくるのが、学習方法に関することというのが出てくるんですね。次に出てくるのが自分自身に関すること。他者や社会と関わりに関すること。これ、道徳とも重なると思うんですが、この学び方に関することというのは、どうもほかのところでは、各教科では散りばめられていますが、全体的に学ぶことの仕組みや方法という、その根っこに当たる部分というのが、私は総合的な学習の時間にも期待されていると思います。そしてそれを軸にしながら、各教科の中で、各教科のそれぞれの特性に合った学び方を肉付けしていく。これは、言語力というのが、国語を核にしながらも、各教科の中でもやっていただきたいというのと、構造は似ていると思います。是非そういう学ぶことの仕組みと方法。
具体的な分野で言えば、例えば認知心理学であるとか認知科学であるとか学習科学であるということになると思いますけれども、そういうことの知見を子供なりに子供たちが自分で調べるのでもいいですし、先生から資料を提示するのでもいいと思いますが、高校では是非入れてほしい。それに向かって、中学でもある程度、小学校でもそれの種に当たるような部分を総合の中に入れていただけるといいと思った次第です。
【羽入主査】  ありがとうございました。それでは続けて御意見を伺っていくことにします。竹原先生。
【竹原委員】  ありがとうございました。私は地域の者として、御一緒に考えていきたいことを申し上げたいと思います。
子供の学びであるカリキュラムを検討していますが、子供が協働的に学ぶ時、その子供の学びを実現するために、大人が協働しなければできないだろうと思っています。学校内での情報共有やカリキュラム・マネジメントが大事になってきます。
もう一つ、社会総掛かりで教育に関わるということが教育振興基本計画に明記され、コミュニティ・スクールや学校地域協働本部の推進が今回提案されましたが、このような仕組みの中で、学校と地域が協働できると思います。既にキャリア教育や総合的な学習、生活科では、様々な連携・協働がありますが、そのことを視野に入れて議論を進めていただくと、更に現場で活かされるのではないかと思います。
【羽入主査】  ありがとうございます。では無藤委員、お願いします。
【無藤教育課程部会長】  それぞれ、きょう御発表聞いて、ちょっと思ったことなんですけれども、それぞれの教科等の見方・考え方というものは何だろうかなというのを聞きながらが考えました。
これは、きょうの資料の1-1、前回説明がありましたけれども、そこに見方・考え方というものが提示されて、それを受けてそれぞれで御議論いただいんだと思いますが、それぞれの資料で見方・考え方と明記されている場合と、目標とか内容とか思考力等々で書かれている場合がありましたけれども、見方・考え方というのは、資料1-1で言えば、各教科などにおいて特有の見方・考え方があって、それが成長するとともに、深い学びが可能になっていくようなものということなんだろうと思います。言い換えれば、見方・考え方というのが、その教科に固有の捉え方であるということになると思います。それは非常に大きく言えば、その教科などの目標・内容の総体となってしまうと思います。それはそのとおりだと思うんですけれども、それを少し区分けすると、幾つかの資質・能力になり、それを更にもっと中核部分を簡明に書くと、その教科の、例えば理科なら科学的なものの見方みたいになっていくんだということなのかなと思うんですね。
そういたしますと、一番簡単に言うということ、簡明・明快に言うということで、一つは押し出す必要があります。それはなぜかと言えば、今回、特に幼稚園から高校まで、非常に幅の広いところでの一つの中核となる柱として出そうとしているということと、もう一つは、それがいろいろな学校教育全体の中で、その教科の位置付けを考え、教科間の横断性を考える上でも重要だということだと思います。
そういたしますと、例えば理科なら科学と。科学というのは、それなりに設問がいろいろ、今は省きますけれども、あるわけですよね。例えば美術とか図工で言えば、イメージとか形ということに注目しながら美的な経験を豊かにするようなこと、もう少し丁寧に書いてありますけれども、なのかなと思うんですね。だからそういう、最もその教科の本質に関わる部分というものを明快に言っていただけると、なぜその教科が必要か、幼児教育の場合には領域でしょうけれども、なぜ必要かというのが見えてくるように思います。
例えば体育・保健体育には、たまたま見方・考え方というもののイメージが10ページに出ていましたけれども、これはそこにあるのはたまたまでしょうけれども、かなり完成形に近いものだと思うんですけれども、もっと簡明に言えば、人間というのは体を持っていて、それを動かして生きていくとか、体を通して関わっていくとか、自らの体を対象に、更にそこに働き掛けることができるとか、最も根本の根本を成す部分があると思うんですね。それを言っていただいた上で、高度な部分とのつなぎを考えていただいた方がいいのではないか。
なぜかというと、私は繰り返し考えて、まだいまだに個人的には分かりませんけれども、運動・スポーツと常に書いてあって、なぜスポーツというのは学校体育で必要なのかという解答というのは、余りよく分からないんですね。人間は体を持って運動するというのはいいけれども、スポーツというルールに基づいた高度な運動形態でしょうけれども、学校体育の時間に要るのかというのは私は納得しません。だからやめろと冷やしているんじゃないですよ、これは個人的にずっと考えるが分からないと言っているだけで、必要だと多分思うんですけどね。要するにそういう素朴な疑問に答えておかないと、教科の存続性に関わることなので、それが見方・考え方に期待される一つの重要な働きだと思ったわけです。
それは言い換えれば、学校教育終わって卒業した後に、一つぐらい運動やスポーツした方がいいよねというのがどこかにありましたけれども、正にそこは重要なところで、つまり学校を離れたときに、教科等で学んだことが独自の活動として生きる場合もあるし、生活や総合的な活動の中に埋め込まれて生きる場合もあると思うんですが、そういう見通しを、この見方・考え方が与えてくれるといいのかなと思いました。
それからもう一つは、総合的な学習と特別活動については、私、前回発言した気もするんですけれども、書き方によっては、確かに教科でしていることと極めて重なってしまいます。それは間違っていなくて、重なることに値打ちがあるんですけれども、やはり例えば総合的な学習というのは、私の表現で言えば、現実の社会を対象にして探究を組織化していく営みだと思っておりますけれども、例えばそういう本質的な教科とは違う特質を出す必要があると思いますし、特別活動で言えば、私の理解では、学校コミュニティにおける活動を通しての学びだと思うんですけれども、つまりそういうところをはっきりしていただけるといいなというのが思ったところです。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。今、無藤先生がおっしゃったことを踏まえて少しコメントをしたいんですけれども、ここの部会で目指そうとしてきたことは、それと関係すると思うんですが、分かりやすく伝えるということが一つございました。そういうことを踏まえて今後の議論を進めていただけると、大変有り難いと思います。先生たちに理解していただける、あるいは腑に落ちるというか、そういった現実の感覚を大切にして作っていきたいというのが基本的な考え方であったと思いますので、そのことも含めてお願いしたいと思います。
それでは鈴木委員と野津委員、お待たせしています。
【鈴木委員】  二つお願いします。まず一つは、先ほど申しました評価の在り方が、地歴・公民及び総合の意図が、特に高等学校教育で実現されるかに一番関わると思いますので、まずは地歴・公民ですけれども、やはり高大接続と関わりまして、この高大接続のテストで、そのような探究的な、すべ、とはいかないと思いますが、そのような問題が出されないと、こちらで学習指導要領を幾ら改訂して探究的にしてくれと言っても、実態としては大学入試で決まってしまうと。
そこで、例えばイギリスのGCSEやAレベル試験などは、例えばの問題ですけれども、19世紀中頃にありましたインドでのアムリットサルの虐殺という事件について、3人の実際その場に居合わせた者が報告を出しているんですけれども、全部内容が違うわけです。なぜその3人が同じ事件でも違う証言をしているか、その根拠を考えろというような問題が、イギリスのAレベルやGCSEでは出されているわけです。そのような問題を高大接続のテストでも出してくださいということを強く要望しないと、なかなかこれは実現しないのではないかと。
それからもう一つ、総合ですけれども、総合の問題は、高等学校に関しては、大学入試でほとんど評価されないと。それが実態として、総合的な学習の高等学校での、言ってはあれですけれども、現場を知っている者として空洞化を招いていると。やはりこれは総合的な学習の成果を高大接続で利用してもらうようなシステムを作らないと、幾ら叫んでも総合的な学習の目的は達成されない。という以前に、そもそも高校でまともな総合的な学習は行われないのではないかと。もちろん優れた学校を知っておりますから、全てではないことは認めますが、普通の学校ではそうはいかないと思います。
ここで、この会議で何回も申しておりますけれども、指導要録プラス、ポートフォリオ評価のようなものをやはり作って、大学入試には利用するシステムを作らないと、なかなか高等学校では、まともな総合的な学習は行われないんじゃないかなと。そういうことを強く言うべきではないかと、各部会として思います。
二つ目は芸術と保健体育に関することなんですけれども、これは評価の観点に関わることですが、前2回、ずっと悩んでおりまして、芸術と保健体育の観点ですけれども、発想や構想の能力と創造的な技能を分けておりますけれども、これ、やはりある程度の技能がないと、発想や構想を表現できないんじゃないかと。例えばサキソフォンの、私、サキソフォンやるものですから、サキソフォンの技能が下手では、創造的な表現もできないんじゃないかと。この観点が分かれているのが、いつも不思議でしようがないんですけれども、今後とも、これ、分けるんでしょうか。
それから先ほど、知識の置き場所という議論がありましたけれども、例えば日本の高校の音楽教育を見ておりますと、楽器を弾いて、歌を歌って終わりと。芸術の1、2も全くそのようで、イギリスの、先ほどからずっと言っておりますけれども、音楽教育を見ておりますと、バッハの変奏の仕方とか、それからベートーベンがどのように一定のテーマを変奏しているとか、そういうかなり音楽的な知識に関することも教えているんですけれども、どうも高校ではそういうものは全く教えないと。だからバッハの曲を聴いても、その変奏の仕方のすばらしさ、和声の組合せ方のすばらしさが、鑑賞の能力として出てこないんじゃないかなと思うんです。やはり鑑賞の能力にそういう知識を入れた方がいいのではないかと、私の私見です。
【羽入主査】  ありがとうございます。野津委員までお話しいただいて、もし御意見があれば、皆さん。その後、黒上委員、奈須委員と続けていきたいと思います。お願いします。
【野津委員】  それでは簡潔に。先ほど根津委員の方から御質問がありました、養護教諭、栄養教諭の関係の議論ということです。健康教育、食育のカリキュラム・マネジメントという議論の中で、個別指導と教科としての学習との連携をしっかりやっていくというようなところで、そうした栄養教諭、養護教諭の主として行う個別指導を効果的に生かすという指摘がされております。以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。では伊野委員、どうぞ。
【伊野芸術WG主査代理】  バッハのことについてですけれども、正にそのとおりだと思います。今のような音楽の構造について、それを理解して聴いていく、また、それを支えるものとして、共通事項というのが現行学習指導要領に位置付けられています。高校には、実は先ほど言いましたように、共通事項が設定されていないんですね。しかし音楽の仕組みなどをきちっと捉えながら、それらを心で受け止めながら、そして更に構造をしっかり把握していく、また自分なりの意見としてアウトプットしていくということは、現行の指導要領にも明確に書かれているわけです。
ご指摘の状況の背景には幾つか原因があるかと思います。一つは、学習指導要領の表記の仕方というものを、もう一度、今の共通事項も含めて検討していくこと。もう一つは、例えば高校等の音楽の授業において、今のような指導要領にある指導事項そのものを、きちっと学習内容として設定をしていくというようなことをが、もっともっと強めていく必要があるのかなと考えております。
それから前段の発想や構想のところ、これは美術科の方の図かと思いますけれども、創造的な技能を働かせる、もちろんこの図からも分かるように、行ったり来たりしている中で、今回の三つの柱をどのように書き分けるかというところを、今、検討しているところです。今の御意見を頂きながら、そこの部分を、先ほどの私の発言とも関係してくるのですが、芸術の能力というものをどのようにこれから考えて評価に結び付けていくかということを、また考えていきたいと思います。
【羽入主査】  田中先生。
【田中地歴特別チーム主査】  先ほどの竹原委員の御指摘と、それから鈴木委員の御指摘について、少しつなげてお答え申し上げます。
地歴・公民と総合的学習の時間との関連なんですけれども、総合的学習に関しては、子供が学ぶプロセスに関しては大人の協働が必要であるという竹原委員の御指摘で、例えば18歳への投票年齢の引き下げに関連して、模擬投票というのが、今、盛んに工夫されてきているわけですけれども、これに関しては、明るい選挙推進協議会、各都道府県と自治体にございますし、明るい選挙推進連盟は、総務省の外郭団体として全国まとめていらっしゃいますけれども、そちらでかなり具体的な試みが行われています。ただ、これだけでは不十分だと思っております。
例えば選挙について子供たちが仕組みを理解して関心を持っても、例えば社会に出て忙しくなって仕事に追われれば、また子育てに追われれば、選挙のときに何党に投票していいか分からないということになるわけですけれども、もう少し踏み込んで、政治の本質、これは公共そのものですけれども、政治の本質で、どのような仕組みで世の中の意思決定がなされて政策がなされるか、自治体においても国においてもなされるかということに踏み込む必要があると思っていまして、ですから例えば待機児童をゼロにするというような合意争点、誰が見ても反対のないような問題に対して、どういうような仕組みで、予算がどうなって、どういうときにこれが実現するのかというようなことまで教える必要があると思っています。正にそれが地歴・公民や総合的学習の時間との連携の非常に重要なところになると思うんですね。それを今後、もう少し我々の方の特別チームでも議論させていただきたいと思います。
それからもう1点、鈴木委員からの御指摘で、評価とのつながりがないと結局形骸化してしまうという御指摘、おっしゃるとおりだと思いまして、歴史総合(仮称)、地理総合(仮称)に関しても、地理総合(仮称)や歴史総合(仮称)で、今までない考え方を教えましょうという、グローバルなものの見方ですとか、時間と空間軸を組み合わせたようなものの見方を教えましょうと、様々な新しい概念が出てくるわけですが、それを分からなければ答えられないような問題が世界史にも日本史にも地理にも問われなければ、誰もそれを勉強しない。ですから教材の新しい地理、新しい日本史、新しい世界史の理解にも、総合の部分が必要になる。それから大学の入試においてもそこが必要だという議論はしております。
ただ、鈴木委員の最後の御指摘、非常に有り難いと思いましたのは、総合的学習とポートフォリオをしっかりとルーブリックのようにして評価へつなげるような仕組みも必要だという御指摘は、我々の特別チームでもまだ議論しておりませんでしたので、これについては学ばせていただいたと思っております。
以上でございます。
【羽入主査】  ありがとうございます。では、黒上委員、奈須委員の順でお願いします。
【黒上委員】  一つはポートフォリオの話で、とても大事だと思うんですね。ただ、高大システムの会議では、そういうことを話し合う仕組みには多分なっていなくて、調査書とかと一緒に、例えば生徒がA4、1枚のポートフォリオを作って、つまり凝縮ポートフォリオと言われるやつですよね、それを調査書と一緒に送るというような仕組みを作れば、やっていなければ書くことがないというようなことがあって、その内容を本当に大学の方でチェックするかどうかは別にして、そういうことがあれば多少はちょっとましになるかなという気がするので、そういう凝縮ポートフォリオを作るということを、総合の方の解説とか指導要領の中にごそっと入れておくというようなことを考えるというのが、一つ、手があるかなと、今、聞いていて思いました。
もう一つは、いわゆるこういう表ですよね。個別の知識や技能の、個別というのはどこから出てきたかというのを僕なりに理解していることは、それまであった汎用的な資質・能力という言葉がありましたよね。それに対して、汎用的というのは全ての教科、総合、特別活動などを含む中で求められる資質・能力というようなことに対して、それぞれ教科の知識はやっぱり大事だよねということがあるので、個別の個別というのは、各教科個別の知識や技能という意味だと僕は思っているんですけれども、それが間違っていたらこの話はどうにもならないんですけれども、それで、その横に思考力・判断力・表現力と、こうあるわけですよね。これは何だろうと考えたわけですよ。そのときに、いわゆる汎用的な思考スキルを全部の教科に共通する思考力・判断力・表現力と、その教科独自の思考力・判断力・表現力というのは、多分両方あって、汎用的な方については、2種類、多分書き方があって、一つは例えば比較関連付け思考スキルのような思考スキルという、そのレベルまで粒を細かくして書くパターンね。もう一つは、例えばクリティカル・シンキングのような、ちょっと粒の大きい感じで思考力・判断力・表現力を表現するというような形があって、それが混在している感じがするんですね。それが教科の内容とくっつく形で思考力・判断力・表現力が書かれていて、そうするとどうなるかというと、物すごく文章が長くなっていくんですよ。それがもう少しコンパクトな形で、汎用的なものはこれで、じゃあその汎用的なものに対して、教科固有の思考力・判断力・表現力というのはこれという、そのこれの部分が、余り具体的な内容を引きずらない形で書かれてくれると、読むのがすごく楽になりますよね。だからそのような組直しというのは、これからそれぞれの教科でやるのか、あるいはそれをここでやらなきゃいけないのかというようなことを考えながら聞いていました。
【羽入主査】  ありがとうございます。では奈須委員、お願いします。
【奈須委員】  今の黒上先生の話に結構近いと思うんですけれども、その前になかなか今、ずっと厳しい議論が続いているんですけれども、まずもって、きょう御報告を伺って、各教科のワーキンググループでとてもすばらしい創造的な議論がなされているということに、私は個人的にとても感動しています。在来、本当にコンテンツ基盤でやってきたものが変わろうとしているというのを、しかもとても独創的な形でそれぞれの教科で御報告を頂いたり、それぞれの教科ならではの味わいが出ていいなと。この味わいが多様性になっているので、それを整理し直さなきゃいけないんですけれども、この個々の教科ならではの味わいを減殺しない形でどう統合するかということが、全体の議論なんだろうなと思っています。
ただ、一つ思うことは、特に高等学校のことなんですけれども、小・中学校、あるいは幼稚園からずっと、今後、資質・能力ベースで変わってくる。すると高等学校に入学してきたときの、つまり高1の子たちの持っている思考とか学びの構えも随分変わってくるということを今度は前提にして高等学校を考えなきゃいけなくて、今、中学を卒業してきた、コンテンツの缶詰をやってきた子供たちは、あるいは考える力が弱いかもしれないんですけれども、今度作ったカリキュラムがうまくいって、6年なり9年を経たときの高校生というのは、もっとベースの力があるはずで、するともっとやれるはずだと、社会科なんかはとても思うというか、期待をしたいなと。
だから少し高度化する方向でお考えいただきたい。もちろん、このカリキュラムがせーので動き出した当初は、旧カリキュラムを中学で経験した子供が来るわけで、とてもできないんじゃないかという話になるから、その辺りがちょっと難しいと思うんですけれども、将来的には変わってくるんだということを少し含みながら作業を進めていきたい。探究するとか発表するとかということは、私見で言えば、小学校は割と先生方、画期的にやっている。中学・高校に行くと、現状ではやや弱い気がするんですけれども、そのイメージでやってしまうと、すごく力を持ってきた子供が高校で子供扱いをされるようなことも起こりかねないなと思って、少し高度化する方向のイメージをお持ちいただいたらいいかなと、特に高校については全体そう思いました。
それから次の方ですけれども、今、黒上先生おっしゃったことで、先ほど無藤先生がおっしゃったことと関連すると思うんですけれども、きょう見ていくと、例えば、比較する・関連付けるというようなことは、ほぼ全部の教科で出てきますね。これ、今後、算数、数学でも出るでしょうし、理科でも当然出てくると思うんですけれども、だから要らないとか、じゃあ住み分けをするという話じゃなくて、いろいろな教科領域やいろいろな対象やいろいろな認識方法の中で、比較や関連付けを子供たちが重なって経験するということが大事なんだろうなと。先ほど藤田先生が言われた分担・住み分けというのは一方で大事であると同時に、むしろ重なりを大事にしていく、つまり対象が異なるとか、活動が表面的に全く違うのに、やっていることは、これも比較なんだ、これも関連付けなんだという経験を子供がすることによって、いろいろな対象に対して、いろいろな方法での比較や関連付けが身に付いてくる、それが汎用性ということなんだろうと思うんですよね。
だから逆に言えば、今度、社会科の比較と理科の比較はどう違うのか、算数、数学の関連付けと、例えば社会科の関連付けというのは、それぞえれどういう特質があるのか。つまり比較する、関連付けると書いたら終わりではなくて、それぞれの教科における比較が、他教科との違いにおいて、対象の違いや方法論の違いにおいて、どういう特質を持つのかということを、今度詰めていく作業が出てくるだろうと思うんですね。
だから比較する、関連付ける、分類する、あと視点を変える。これ、社会科は多面的・多角的にって、正に視点を変えるんですけれども、この視点を変えるということが、社会科の視点を変えることと、国語科なんかの視点を変えるというのは、全く様相が違うと。でもそれが同じ視点を変えることなんだということを子供が体得していくということが、汎用性があることだし、新たなイノベーションや知識を生み出す足場になると思うんですよね。
だからそういう意味で、今回いろいろな重なりが出ているということを、一定程度の住み分け・分担をすると同時に、この重なりがどういう豊かさを子供に身に付けるということになるかということも、また考えていくということが大事なのかなと。
と同時に、やっぱり各教科独自のものもありますよね。芸術科で言う発想・構想なんかは芸術領域ならではの部分があって、もちろん実は自然科学や社会科学でも発想・構想はあるわけですけれども、やっぱり芸術教科ならではの発想・構想の重さというか、軽重が違ってきますよね。願わくば図工や音楽でやった大胆な発想・構想ということが、理科や社会科で実験を組んだり、いろいろな資料を吟味して議論するときにも使われるだろうか、使われるといいなとか思ったりするんですけれども、その辺りがどういうことでつながってきそうか、どんなメカニズムがありそうかというようなことを、また今後議論するのかなと思って伺っていました。だから重なってくるという事実が指し示している意味を、どう捉えるかということを、よく考えなきゃいけないんだろうと思っています。
と同時に、先ほど黒上先生が言われた、それぞれの教科ならではの、これはうちでしかないよとか、これはうちでとても重くやるよと。うちが出発点になってほかの教科に広げていくよというようなことと、どの教科でもやるようなことと、どの教科でもやるんだけれども、うちの教科ならではの特質があるよというようなことを、少し整理して見ていくと、また面白いのかなと思っていました。
だから先ほど根津先生がおっしゃった、音楽だって数学と関係があるじゃないかということ、これはむしろヨーロッパ的には正にそうで、そう考えたときに、やっぱり日本は文・理ということ、文系・理系というあの区別がとても邪魔をしているような気がします。文系、理系、あるいは芸術というような、何か領域があって、文系人間、理系人間とかと言っちゃったところから、いろいろなイノベーションが起こりにくくなっているんだと思うんですね。これもやっぱり乗り越えていきたいんだと思っています。
だから社会科は文系の教科だとか、理科は理系の教科だとかという思いを捨てて、越えて、それぞれの教科の背景にある学問や、その学問を学んだ人間が生きていくことの意味をやっぱり考えていくということに、また広がっていくといいなと思いました。以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。では天笠委員。
【天笠主査代理】  失礼いたします。もう時間もほとんどなくなりましたけれども、一つは、きょう、それぞれの委員の方の御発言を整理すると、この部会で議論しなければいけないおよその課題のリストが、ほぼできるんじゃないかなと。あるいは引き受けなければいけない、議論しなければいけないところが大体出たのかなという、そんな捉え方を私は聞かせていただきました。
そういうことで、二つ目というんでしょうか、各ワーキンググループの進行状況については折々に御報告いただいていたわけですけれども、きょうこういう場で、それぞれのワーキンググループのなさっていたこと、それの取組ということが、改めて大変よく受け止めることができました。その上で、そういう点では、狙いはある程度進んでいるかなと。一定の成果があるかなと思いました。
課題はそうすると、その上で何なのかということになると、整理してみたらこういう姿になった、捉えてみたらこういう姿になった。改めて、きょう途中であったんですけれども、それが一つの教科として存立するというんでしょうか、教育課程にという場合には、教科等ですけれども、どういう言葉を持つのか、説得力を持つのか、対社会に対して自らのそれが必要だというようなことについての、言葉を研ぎ澄ませていくということが必要になってきているんじゃないかと思います。
ですから要するに、あらかじめ指定席があって、それを前提にしてというつもりで審議を重ねているかもしれませんですけれども、それはそれとしまして、ここまでこういう形で出たときには、改めてそこからどういう構成、全体になっていくのかどうなのか、こういう視点からの議論というのは、やはりこの部会でやってもいいんじゃないかなと思いました。
そういう点では、それぞれの部会で、ある程度現在の教科を前提にした御議論というワーキンググループもあれば、一方においては、言語特別チームのような、そういう存在で進めたところで、今回の私、発表の中では、やはり言語特別チームの動きと発表というのが大変改めて関心を持たせていただいたというのは、融合とか教科横断とか、あるいはAの教科とBの教科をつなげていくと、どういうことになっていくのかどうなのか、そういう一端というか、あるいはそういう方向性というのを御報告いただいたんじゃないかと私は聞かせていただきました。
そういう点では、それぞれのワーキンググループで、そういう視点というのが必要になってきているんじゃないかと。言うなら教科横断という、こういう視点で見たときに、その教科というのがそういう存在になっていくというと、教育課程の中ではどういう化学反応を起こしていくのかどうなのか、あるいは、そのことが各教科との関連ということとどのようにつないだり発展させていくことになるのかの、そういう視点で、またそれぞれのワーキンググループが方向性等々示していただくとすると、きょうの言語特別チームのまとめというんでしょうか、方向性というのは、一つの私は参考になる点じゃないかと思いまして、それはそれで、また改めてこの部会等でも議論してよろしいのかなと、そんなように受け止めました。
以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。天笠先生がきょうはまとめていただきましたので、私のまとめはなしにさせていただきます。
一つ御報告をしておきたいのは、先ほどから議論になりました高大接続については、先日、大杉室長から高大接続システム改革会議で、ここでの議論を御報告をさせていただいております。
それから一つ、やはり基本的な考え方として、私たちがカリキュラム・マネジメントというのを重視してきたことは、それに尽きるかもしれないと思います。それは全体的な教育課程の在り方としてのカリキュラム・マネジメントで、それは教科を越え、それから学校、段階を越えてのマネジメントということが、再度重視すべきことではないかと思いました。
きょうおいでいただきましたワーキンググループの先生方、それから次回もそうですが、ここは先生方の御議論を伺うというだけではなくて、こういう場に、もっと部会としてここを筋を通せとか、そういう要望を出していただいても結構でございますので、もしございましたら事務局の方にお伝えいただければと思います。また、私どもの委員の間でも、十分な時間がございませんでしたので、お気付きの点は、どうぞいつものように事務局の方に御意見を頂ければと思います。
時間が少し超過してしまいましたけれども、きょう御参加いただきましたワーキンググループの先生方には心から感謝申し上げます。誠にありがとうございました。また委員の皆様、どうもありがとうございました。
では、今後の予定について、事務局の方からお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  御参加の先生方、ありがとうございました。一部、少し一問一答的になってしまいまして大変恐縮でしたけれども、今までにないやり方で、共に作り上げていく過程ということですので、また次回参加いただく先生方も、そのような形で是非よろしくお願いいたします。
次回、4月4日月曜日、13時から16時の開催でございます。同じ第二講堂でございます。本日の資料につきましては、机上に残しておいていただけましたら、後日郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
【羽入主査】  どうもありがとうございます。それでは本日の総則・評価特別部会を終了させていたします。長時間にわたり、ありがとうございました。

── 了 ──

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電話番号:03-5253-4111(内線2369、4732)