教育課程部会 総則・評価特別部会(第1回) 議事録

1.日時

平成27年11月2日(月曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館 文部科学省3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 論点整理を踏まえた総則の改善・充実及び今後の学習評価の在り方について
  2. その他

4.議事録

【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは,定刻となりましたので,ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会総則・評価特別部会を開催させていただきます。
 開会に当たりまして,文部科学省初等中等教育局長の小松より御挨拶申し上げます。
【小松初等中等教育局長】  中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会に新たに設置をされました総則・評価特別部会の第一回会議の開催に当たりまして,一言御挨拶を申し上げます。
 このたびは,まず,委員の皆様方には,御多用のところ,委員をお引き受けいただきまして,誠にありがとうございます。また,今日は第一回,足元のお悪い中を御参集いただきまして,誠にありがとうございます。
 御挨拶ということですけれども,簡潔にこの会議の位置付けを御紹介して御挨拶に代えさせていただきます。
 まず,中教審でございますけれども,昨年秋,11月に諮問が行われました初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について,これに関しまして,教育課程部会の下に,教育課程企画特別部会を設置いたしまして,御審議いただき,この夏,8月に論点整理として全体像はまとまったところでございます。そこで,その次の段階ということがこの秋でございまして,この論点整理を受けて,学校段階別,教科等別の専門的な検討を進めるという段階に入ったわけでございます。この8月の論点整理では,これは全体についての基本的な論点が整理されたものでございますが,その中で総則等に関する議論を行う専門部会が全学校段階,全教科等に関わる教育課程全体を見渡し,議論全体を統括する役割を担うというのがいいだろうということとされております。
 この総則につきましては,今,議論されております教育課程全体を通じて,子供たちがどのような資質・能力を身に付けるのかということを明らかにし,各学校が編成する教育課程において具体化をするとともに,新しい教育課程の在り方を広く社会と共有していくためには,総則が果たすべき役割がこれまで以上に重要になると,そういう位置付けになるとしております。それから,また,併せまして,子供たちにどういった力が身に付いたかという学習の成果を的確に捉えて,教員の指導の改善や子供たちが学んだことを振り返って次の学びにつなげることができるようにするためにという意味で学習評価の在り方,これも極めて重要になるわけでございます。
 この総則・評価特別部会におきましては,こうした観点,つまり,総則の位置付けと,それから,評価の重要性という観点から,この秋からの段階につきまして,御議論をいただきたいと思っているんですけれども,中教審の全体のこの件に関します,つまり,教育課程の今後の在り方に関します全体の答申が来年度,28年度いっぱいまでに予定されておりますことから,そのスケジュールを考えますと,この特別部会ではおおむね年度末ぐらい,年度内か年度ちょっと明けるか,大体そういうあたりをめどにして御検討を行っていただきたいと考えているわけでございます。
 そして,その御検討いただいた内容につきましては,先ほど申し上げましたように,教育課程部会での議論を更に踏まえて,最終的には中教審として,平成28年度中にお取りまとめいただく予定の答申に反映をされていくと,こういう段取りにいたしたいと考えております。
 委員の皆様方におかれましては,是非,それぞれの御知見や御経験を踏まえた様々な観点からの率直な忌憚のない御意見を頂ければ,大変幸いに存じます。
 私の方からの説明を挨拶に代えまして,以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  それでは,議事に先立ちまして,本部会の主査及び主査代理について御報告いたします。
 資料2,初等中等教育分科会教育課程部会運営規則に基づきまして,本部会は,教育課程部会の決定により設置されており,主査及び主査代理は教育課程部会長の指名となっております。教育課程企画特別部会と同じく,羽入佐和子委員を主査に,天笠茂委員を主査代理にお願いしております。よろしくお願いいたします。
 それでは,次に,委員の皆様を御紹介いたします。資料1として,本部会の名簿を配付させていただいておりますので,名簿順に御紹介をさせていただきます。
 まず,青木経委員でいらっしゃいます。
【青木委員】  よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  天笠茂委員でいらっしゃいます。
【天笠委員】  よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  荒瀬克己委員でいらっしゃいます。
【荒瀬委員】  よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  市川伸一委員でいらっしゃいます。
【市川委員】  よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  梶輝行委員でいらっしゃいます。
【梶委員】  よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  宍戸和成委員でいらっしゃいます。
【宍戸委員】  よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  鈴木秀幸委員でいらっしゃいます。
【鈴木委員】  よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  高岡信也委員でいらっしゃいます。
【高岡委員】  どうぞよろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  髙木展郎委員でいらっしゃいます。
【髙木委員】  どうぞよろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  竹原和泉委員でいらっしゃいます。
【竹原委員】  よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  野津有司委員でいらっしゃいます。
【野津委員】  よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  羽入佐和子委員でいらっしゃいます。
【羽入委員】  よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  無藤隆委員でいらっしゃいます。
【無藤委員】  よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  渡瀬恵一委員でいらっしゃいます。
【渡瀬委員】  よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  それから,本日,黒上晴夫委員はおそらく遅れて御参加となっております。
 それから,本日御欠席でいらっしゃいますけれども,今村久美委員,奈須正裕委員,根津朋実委員,藤田晃之委員が本特別部会の委員に就任されております。
 委員の御紹介は以上でございます。
 次に,文部科学省の関係者を御紹介させていただきます。
 御挨拶申し上げました初等中等教育局長小松でございます。
【小松初等中等教育局長】  どうぞよろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  初等中等教育局審議官の伯井でございます。
【伯井初等中等教育局審議官】  よろしくお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  教育課程課長の合田でございます。
【合田教育課程課長】  よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  主任視学官の清原でございます。
【清原主任視学官】  よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  特別支援教育課長の井上でございます。
【井上特別支援教育課長】  よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  スポーツ庁政策課長の澤川でございます。
【澤川スポーツ庁政策課長】  よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  教育改革調整官の平野でございます。
【平野教育改革調整官】  よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  教育課程企画室専門官の小野でございます。
【小野教育課程企画室専門官】  よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  それから,私,教育課程企画室長の大杉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,議事に入ります前に,羽入主査,それから,天笠主査代理から一言ずつ御挨拶を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
【羽入主査】  このたびから新たにまた特別部会が始まりますが,先ほど局長のお話にもございましたように,お手元にありますこの論点整理を作成するに当たって,企画特別部会では非常に熱心な議論がなされました。14回にわたる議論の中で,委員の皆様が大変に熱意のある御発言をされ,それがこちらの論点整理にまとめられたことを考えますと,先ほどの局長のお話にございましたが,ここでまた議論される事柄にその熱意が伝わるようにできれば大変うれしく思います。どうぞ皆様のお力を頂きたくよろしくお願い申し上げます。
【天笠主査代理】  引き続きまして,天笠です。よろしくお願いいたします。
 羽入主査を支え,また,皆さんの知見を引き出し,いいまとめ,そういう方向性を出していければと思っております。及ばずながら,皆様方と御一緒させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  ありがとうございました。
 それでは,本部会の進行は,これより羽入主査にお願いいたします。
【羽入主査】  改めまして,どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは,これから議事に入ります。
 まず初めに,本部会の審議等につきましては,初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第三条に基づきまして,原則公開により議事を進めさせていただきます。また,第六条に基づきまして,議事録を作成し,原則公開するといたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 また,本日,報道関係者から会議の撮影及び録音の申し出がございまして,これを許可しておりますので,御承知おきいただきますようにお願いいたします。
 それでは,まず,事務局から,配付資料の確認をお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  配付資料の確認をさせていただきます。本日は,議事次第に記載しておりますとおり,資料1から資料9,その他机上に参考資料を配付させていただいておりますので,不足等ございましたら,事務局までお申しつけください。
 なお,机上にタブレット端末を左手側に置かせていただいております。その中には,本特別部会の審議に当たり参考となる関係する審議会の答申でありますとか,関係資料をデータで入れさせていただいております。詳細はタブレット端末の下に置いております目次を御覧いただければと思いますけれども,操作上,何か御不便等ございましたら,お気軽に事務局までお声掛けください。
 なお,一部の資料につきましては,本日この場限りの資料となっております。目印として,本日色付き附箋が付いております資料が一枚ございますけれども,それにつきましては,お帰りの際,机上に置いたままにしておいていただければと存じます。
 また,本特別部会設置に係りまして,新たに中央教育審議会初等中等教育分科会の委員になられた先生方におかれましては,机上に辞令をお入れした封筒を置かせていただいております。御確認いただければと存じます。
 以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。
 先ほど附箋の付いたっておっしゃったのはどれでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】  資料9の後ろに一枚付いている資料がございます。また,お帰りの際に少し回らせいただきます。
【羽入主査】  わかりました。ありがとうございます。
 それでは,諮問されました教育課程企画特別部会の論点整理,改訂の検討体制,今後のスケジュールなどについて,事務局から御説明をお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。それでは,お手元にあります緑色の冊子,それから,まずは,資料5,資料6に基づきまして,御説明をさせていただければと存じます。
 まず,資料5でございますけれども,学校段階等別部会及び教科等別ワーキンググループ等の設置についてという紙でございます。一枚めくっていただきますと,体制図が付いてございまして,今後,教育課程部会,教育課程企画特別部会の下にこの22の専門部分を設置いたしまして,議論を進めさせていただく予定でございます。本総則・評価特別部会でございますけれども,この下の左にございますけれども,各教科等の議論をつないでいくというような役割が期待されているところでございます。
 それから,資料6でございますけれども,今後のスケジュールということでございます。先ほどございましたように,昨年11月の諮問を受けまして,緑色の冊子,論点整理が8月26日に取りまとめられたところでございますけれども,秋以降ということで,学校段階別・教科等別ワーキングが現在開始されているところでございます。それぞれの議論を27年度末から年度明けをめどに取りまとめていただき,28年というところにございますけれども,教育課程部会又は企画特別部会における議論を踏まえて,審議のまとめ,そして,28年度内に中教審として答申という段取りとなってございます。一部小学校の授業時数の在り方につきましては,年内から年明けのまとめということになりますけれども,これは主に小学校部会などを中心にお願いするということになろうかと思います。
 このようなスケジュールを踏まえた場合,幼稚園は平成30年から,小・中・高は,それぞれ教科書作成等を経まして,小学校は32年から,中学,高校と順次という形の実施ということが予定されているところでございます。
 それでは,お手元の緑色の冊子を御覧いただけばと存じます。一部ほかのワーキングと重なっておられる先生には少し繰り返しの説明となって恐縮ですけれども,初めての方もおられますので,この冊子の御説明をさせていただきたいと思います。
 緑色の冊子,お開きいただきますと,論点整理の目次がございまして,その後,本文が続きまして,これが53ページまでございます。53ページまでお開きいただきまして,次に,委員名簿という形で企画特別部会の委員名簿がございまして,次,緑色のページを繰っていただきますと,先ほど羽入主査からもお話がございましたとおり,14回にわたる企画特別部会の審議の経過でございます。それをめくっていただきますと,今回の審議に当たります諮問,大臣からの諮問とその理由ということでございます。
 理由の方を一枚おめくりいただきまして,御覧いただければと存じますけれども,今の子供たち,これからの子供たちが活躍する頃の社会の在り方,その中でどういった力が求められ,教育はどのような進化を遂げなければいけないのか。前回改訂,現行学習指導要領の様々な成果も踏まえつつ,一方で,課題でされている点を踏まえながら,次のページになりますけれども,一人一人の可能性をより一層伸ばし,新しい時代にふさわしい指導要領の在り方を考えていく必要があるということ。ESDなど様々な教育の成果なども踏まえながら,何を教えるかという知識の質や量の改善はもちろんのこと。どのように学ぶか,そして,どのような力が身に付いたかということを考えていく必要があるということ。具体的には,その下の方にございますけれども,第一に,教育目標・内容と学習・指導方法,学習評価の在り方を一体として捉え,新たな時代にふさわしい学習指導要領等の基本的な考え方,これが正にこの冊子としておまとめいただいた論点整理というふうに考えます。
 また,次のページに,第二とございますけれども,育成すべき資質・能力を踏まえ,教科・科目の在り方をどのように考えていくかということ。これが正にこれから各ワーキングで議論をするということでございます。
 それから,最後に,次のページの一番下にございますような,指導要領の理念を実現するための様々な方策,カリキュラム・マネジメントでありますとか,指導方法の改善,評価方法,様々な条件整備も含めまして,指導要領の在り方にとどまらず,幅広く議論する必要があるということでございます。
 それでは,冒頭お戻りいただきまして,冒頭1ページを御覧いただければと存じます。2030年の社会と子供たちの未来ということでございますけれども,先ほどスケジュールで御説明申し上げましたように,小学校では2020年からの新学習指導要領実施が見込まれる中,およそ10年程度のスパンでの改訂ということを考えますと,2030年ごろまで新しい学習指導要領がその役割を担うということでございまして,その頃の社会の在り方を踏まえながら,子供たちの未来を描いていくということでございます。
 本論点整理で教育課程全体で教科を超えて目指していくべき方向性としてお示しいただきましたのが,3ページ目にございます社会に開かれた教育課程ということでございます。社会に開かれた教育課程,次の点が重要になるということで,3ページ目の一番下でございますけれども,社会や世界の状況の変化などを幅広く視野に入れ,よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を社会と共有していくための教育課程,それから,4ページ目でございますけれども,社会に出ていく子供たちに必要な資質・能力をしっかり育んでいく教育課程,それから,学校教育を学校内に閉じずに,その目指すところを社会と共有しながら,地域の人的・物的資源など活用しながら,実現していく教育課程,この理念を教科を超えて実現していこうということでございます。
 5ページ目,前回改訂の成果と次期改訂に向けた課題ということでございますけれども,前回改訂,「生きる力」のバランスのとれた育成,「確かな学力」,学力の三要素ということで,また,教科を超えて言語活動ということをしっかり充実させていくということなど,これに基づく真摯な取組の成果として,学力調査の結果なども現れてきているということでございます。
 これを踏まえれば,現行学習指導要領において重視されております学力の三要素のバランスのとれた育成や,教科を貫く改善の視点としての言語活動,体験活動の重視等については,成果を受け継ぎ,引き続き充実を図ることが重要である。
 6ページ目でございますけれども,では,次期改訂に向けてということでございますけれども,様々指摘されております社会参画への意欲でありますとか,様々な判断の根拠や理由を示しながら自分の考えをしっかり述べていくということなど,子供たちが自らの力を育み,自ら能力を引き出し,主体的に判断し,行動するというところまで達しているのかどうか。そういう観点からは,「生きる力」という理念を更に教育課程,各教科の授業等へと浸透,具体化させていくということが求められるのではないかということでございます。6ページ目,一番下にございますように,現行学習指導要領の成果ということの,さらに,教育課程全体像を念頭に置いた教育活動の展開という観点から,一層や浸透や具体化を図っていくということ,そういう観点からの見直しを模索していくということでございます。
 7ページ目からは,新しい学習指導要領の姿ということでございまして,一番下にありますように,「何ができるようになるのか」という観点から,「何を学ぶのか」「どのように学ぶのか」,8ページ目の一番上にございますような,そういった姿を考えながら構成していく必要ということ。また,学びや知識等に関する科学的な知見の蓄積を生かした検討をしていくというような方向性でございます。
 そうした中で,育成すべき資質・能力についてでございますけれども,これにつきましては,12ページ,13ページ目にございますように,例えば予測困難な今後の社会,あるいはグローバル化が進展する社会の中で様々主体的に判断しながら生きていくための力,情報活用能力でありますとか,クリティカル・シンキング,グローバル化の中で言語や文化に対する理解を深めていくことなどなど,様々指摘されているところでございますけれども,こうしたあまたある資質・能力をしっかりと教育課程の中に落とし込んでいく,具体化,浸透化を図っていくためには,ある程度の構造化が必要ではないかということでお示ししていただきましたのが,この本冊子の後半が補足資料ということで,カラー刷りになっているパートでございますけれども,大体冊子の真ん中よりちょっと前ほどになりますけれども,27という番号が打ってあります補足資料のスライドになります。
 27という,育成すべき資質・能力の三つの柱ということでございます。育成すべき資質・能力の三つの柱ということで,何を知っているか,何ができるか,知っていること・できることをどう使うか,そして,どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか。この三つの柱を捉えながら,これから各教科のワーキングにおきましても,各教科におけるこの三つの柱の在り方ということを御議論いただき,全体をまとめていくということが考えられているところでございます。
 本文の方,14ページに戻っていただきますと,そういったことを,幼児教育から高等学校までを通じた見通しを持って育んでいくということが重要であるということ。また,15ページにございますように,各教科の文脈の中で育まれる力と,それらをしっかり実社会の中で生きる汎用的な力にしていくための教育課程の構造上の工夫という,双方が必要になるということ。16ページ目にございますように,各教科を学ぶ本質的な意義ということと,それらの間の関連付けや内容の体系化,資質・能力の全体像の整理ということが必要になるということでございます。また,そのためにどのように学ぶかという学習活動につきましても,17ページにございますように,アクティブ・ラーニングの意義ということで,18ページ目の真ん中あたりから下でございますけれども,習得・活用・探求というプロセスの中で,問題発見・解決を念頭に置いた深い学び,それから,他者との関係の中で自分の考えを広げ深める対話的な学び,また,この学習活動を振り返って粘り強く取り組む主体的な学び過程という,この三つを指導方法の見直しの視点として,手法ということではなくて,改善のための視点として御提示をいただいたところでございます。
 19ページ目からは,学習評価の在り方についておまとめいただいております。20ページ目,評価の三つの観点ということで,現行四観点ということでございますけれども,これを資質・能力の三つの柱や学力の三要素なども踏まえまして,「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の三観点に沿った整理を検討していく必要があるのではないかということであります。
 また,評価に当たっての留意点といたしまして,こういったことを実現していくための体制づくり,それから,「関心・意欲・態度」の評価についての現状の課題と方向性。特に,高等学校の評価の在り方,また,多様な評価の在り方,多様な学習活動にふさわしい多面的な評価の在り方などなどについて,御指摘を頂いているところでありまして,22ページにございますように,評価の在り方については,審議まとめに向けて,専門的な検討をということで,本総則・評価特別部会において御議論いただくことを予定しているところでございます。
 また,22ページ,指導要領の理念を実現するために必要な方策ということで,今回カリキュラム・マネジメントの重要性が指摘されております。三つの視点といたしまして,教科横断的な視点で組織的に配列していくということ,PDCAサイクルを確立していくということ,教育内容と様々な資源を,外部も含めて活用しながら組み合わせること。この三つの側面を御指摘いただき,これをしっかりとアクティブ・ラーニングの視点に基づく教育活動の改善と学校経営の改善ということで二本の柱として回していく必要があるのではないということ。それから,24ページ目に,上から二つ目の○にございますように,こういった改善を図っていくために様々な実施状況の定期的な把握ということも必要ではないかということでございます。
 また,理念の実現に向けて必要な支援方策ということで,教員への国際的評価,高い評価を受けている授業研究などの実績も踏まえながら,これからの指導要領の在り方にもふさわしい教員の養成・採用・研修の在り方,これにつきましては,中教審の教員養成部会とも足並みをそろえながら御議論をいただいているところでございます。
 また,環境の整備ということについて,また,26ページ目には,幅広く理念を共有していくことの必要性についても御指摘をいただいているところでございます。
 それから,五番といたしまして,ここまでの総論でございますけれども,五番からは,各教科,学校種の具体的な方向性ということでございます。26ページ目にございますように,いずれにしましても,学校間,教科等間の相互の連携ということを念頭に置きながら,縦のつながり,横のつながり,総論的な検討と各論的な検討をしっかりとつないでいくという必要があるわけでございまして,そのためにこの総則部会というものが結節点としての役目をお願いしているということでございます。
 27ページ,幼児教育,それから,28ページ目,小学校,それから,30ページ目,中学校,31ページ目,高校と,それぞれ学校段階に応じた検討の方向性をお示しいただいているところでございます。特に小学校につきましては,今後,外国語活動,外国語教科化ということも踏まえまして,時間数の関係で幅広な御提言をいただいているところでございます。
 それから,33ページ目,特別支援教育,これにつきましても,全ての学校に配慮が必要な子供たちが在籍する可能性があるということを前提にということですので,総則での特別支援に関する手厚目の記述ということも検討されてくるところでございます。
 34ページ目に,総則ということで,教科等の冒頭に総則の見直しの方向性が示されてございます。今後,教育課程全体を通じて子供たちがどのような資質・能力を身に付けるのかを明らかにし,各学校が編成する教育課程において具体化するとともに,新しい教育課程の在り方を広く社会と共有していくための総則の在り方,具体的には,資質・能力の基本的な考え方や構造化等々に関する考え方を総則においてどのように示せるのかといったこと,また,これまで学校の教育活動全体を通じて実施することが求められる事項ということで記載されております,既存の記載事項なども踏まえつつ,総則において,これらの活動と育成すべき資質・能力や各教科との関係性をより明確に示していくためにどのようにしたらいいかということも御議論いただく必要があると考えられます。
 また,後ほど論点ペーパーのところで詳しく御説明を申し上げたいと思いますが,いずれにしましても,48ページ目にございますように,教育課程企画特別部会の本論点整理を踏まえながら,教科等や学校段階に閉じた議論ではなく,カリキュラム全体としてどのような資質・能力を育成すべきかということを踏まえた検討が求められるということでございます。
 時間の関係で甚だ簡単ではございますけれども,論点整理につきましては以上でございます。
 次に,お手元に資料7ということで,総則・評価特別部会における検討事項(案)ということがございます。本部会において御議論を賜りたい事項でございます。これにつきまして,簡単に御説明を申し上げます。
 総則・評価特別部会における検討事項,資料7でございます。(1)から(4)までございますけれども,(1)学習指導要領等全体及び総則の構造に関する考え方ということでございます。論点整理で打ち出していただきました,社会に開かれた教育課程の実現に向けて,学習指導要領等全体や総則はどのような構造や表現とすべきかということでございます。
 これにつきまして,一度,総則本体を少し御覧いただければと存じますけれども,お手元左側のタブレットのおそらく下あたりになると思いますけれども,総則が幼稚園から小・中・高と抜粋させていただいて,束にしてクリップ留めしてあるものがございます。これを少し御覧いただければと存じますけれども,それは幼・小・中・高の総則部分のみを抜粋してコピーをさせていただいたものでございます。
 幼稚園を御覧いただきますと,幼稚園教育の基本,それから,教育課程の編成,そして,教育課程に関わる教育時間の終了後,預かり保育の教育活動などについて記載がされているということでございます。それから,小学校でございますけれども,小学校,教育課程編成の一般方針ということ,この中に学力の三要素でありますとか,学習習慣,道徳教育,それから,一枚おめくりいただきますと,体育・健康に関する指導ということで記載がなされております。また,内容等の取り扱いに関する事項ということ,続きまして,授業時数の取り扱いが3ページ目,そして,最後に,指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項ということで,この中に効果的な指導の在り方,言語活動・体験活動,特別支援教育,ICT,読書,地域との連携などなどについて記載がされていると,こういう構造になっているところでございます。中学校もほぼ同様でございますけれども,高校につきましては,少し単位数,教科の構成ということがこの中に入ってくるというような構造になっているところでございます。
 このような構造を踏まえまして,今後,どのようなことが考えられるかということでございますけれども,御参考といたしまして,お手元資料の8というのがございます。資料8,総則・評価に関する参考資料というカラー刷りの資料でございます。資料8を御覧いただければと存じますけれども,これにつきましては,頭からめくっていただきますと,指導要領の法制上の仕組みでありますとか,教育法令,関係法令との関係性,指導要領の構成,それから,論点整理でお示しいただいた9ページ目が社会に開かれた教育課程でございますし,10ページ目が三つ柱,それから,11ページ目がアクティブ・ラーニングの三つの視点,カリキュラム・マネジメントの三つの視点が12ページ,それから,13ページ目が今後目指していく教育課程の構造化ということでございますけれども,教科の学びと総合的な学習や特別活動,道徳教育など,これらを全体的にマネジメントしながら,また,何を知っているか,何ができるか,知っていること・できることをどう使うか,どのように社会・世界と関わるかと,この三つの柱を総合的に育成していくということ,これらを教科横断的,総合的な,また,一方で,その教科の意義ということも踏まえながら,編成していくというような必要があるという構造化のイメージでございますけれども,14ページ目からは,諸外国のナショナル・カリキュラムの例ということを少し挙げさせていただいております。例えばニュージーランドでございますと,Visionということで,子供たちに何を求めるのかということを示した上で,それにふさわしい能力の在り方,そして,編成の原則といった,このような示し方ということもあるところでございます。オーストラリアのナショナル・カリキュラムの構造という中でも,能力の示し方というのが,これはネット上の示し方でございますけれども,関連付けながら示されているということでございます。
 また,16ページ目は,イギリスになりますけれども,イギリスは,学習領域ということで,割と教科ごとの内容ベースの示し方を現在されているというようなところでございます。17ページ目は,バカロレアのカリキュラムガイドの構成ということでございますけれども,冒頭に目指す学習者像というようなことが示されておりまして,これが18ページ目になりますけれども,これが冒頭に示された上で,19ページ目のような各教科を学ぶ意義というようなものがそれぞれ整理されているというような構造もあるところでございます。
 以下,各自治体における資質・能力を踏まえた教育課程の編成に関する取組ということも,少し参考でお示しさせていただいておりますけれども,こういったことも踏まえながら,学習指導要領全体として育成すべき資質・能力でありますとか,教育課程全体として何を目指していくのかというようなことを総則で示すことがどのようにできるかというような御議論もいただきたいと考えております。
 具体的には,資料7にお戻りいただきまして,二つ目の丸になりますけれども,各学校段階の総則において,教育課程の意義でありますとか,関係法令との関係,育成すべき資質・能力の要素,知・徳・体の総合的な育成,教科の本質的な意義と総体的な構造,教科間の関係,カリキュラム・マネジメントの重要性,アクティブ・ラーニングの視点,それから,習得・活用・探求や言語活動なども含めた重視すべき学習活動,部活動なども含めて,これらをどのように示していけるかということでございます。
 また,(2)は,それを成長段階,成長の過程や発達の段階のつながりを踏まえたものにいかにしていけるかということでございまして,学校段階間の接続や,論点整理にも整理していただいております,18歳の段階や義務教育段階で身に付けておくべき力についての考え方の共有,インクルーシブ教育システムの理念を踏まえた多様な学びの場の確保,次のページをおめくりいただきまして,特別支援教育に関する通級等の位置付けや個別の教育支援計画等の位置付けなどなど,キャリア教育の視点,優れた才能や個性を有する子供たちの支援なども含めた,多様な子に応じた指導の在り方,生徒指導,進路指導の在り方などでございます。
 また,(3)は,社会とのつながりということで,家庭や地域社会とのつながり,また,障害ある幼児児童生徒との交流などなどにつきまして,指導要領においてどのように示していくべきかということでございます。
 最後の論点(4)でございますけれども,学習評価でございます。育成すべき資質・能力等を踏まえた学習評価の今後の方向性,観点別評価,多様な学習活動や成果の評価等々でございますけれども,これにつきましては,資料9を,それから,資料9の後ろに附箋付きの紙がございますけれども,これにつきましては,特に高等学校の多面的な評価につきまして,高大接続システム改革会議の決定を受けまして,ワーキングが設置されているところでございます。こちら,一枚おめくりいただきますと,高大接続システム改革会議中間まとめというのがございますけれども,高等学校で学ぶ子供たちの意欲の喚起などを踏まえてどのようにするか,多面的な評価,単に知識・技能のみを評価するだけではなく,生徒の多様な学習活動・成績・成果を適切に評価する仕組みを構築していくべきではないかということで,現在,別途こうしたワーキングチームにおける検討も行われているところでございますので,こちらの検討状況も適宜御紹介をさせていただきながら,議論をお進めいただければと存じます。
 後ろに委員机上限りと書いておりますペーパーが,こちらにおける現在議論されている内容でございますので,お目通しをいただければと存じます。
 大変長くなりましたが,諮問から論点整理までの経緯,それから,今後のスケジュール,論点整理の内容,それから,本日ご議論いただきたい,また,今後御議論いただきたい資料7の検討事項の(案)について御説明をさせていただきました。以上です。
【羽入委員】  ありがとうございます。大変簡潔に御説明いただきました。今回第一回でございますので,先生方それぞれのお立場から御発言を頂ければと思います。
 今,御説明いただきましたように,この部会に課せられている事柄は,基本的な論点整理でなされていたことをどのような形で指導要領に反映させるかということですが,そこで議論されたことの多く,あるいは基本的な考え方としては,各学校種,各教科の横断的な見通しが必要ではないか,それを総則に盛り込む必要があるというようなことでございました。そういう点から考えまして,全体としてどのような構造にするかということと,併せて,委員の皆様のそれぞれの御専門のお立場から,どのような点を盛り込むべきかというような御発言を頂ければと思います。
 おそらく後ほど事務局から御説明があるかと思いますが,今後の予定が,今年度中にまとめていくということになりますと,五回ぐらいあるのかと思います。今回,次回ぐらい,あるいはその次ぐらいに御自由な発言を多く出していただき,そして,まとめの方向にもっていくという形になろうかと思います。
 それでは,終了時間の10分前ぐらいまで,委員の先生方から御自由に御発言をいただきたいと思います。名札を立てていただくか,挙手をしていただければと思いますので,よろしくお願いいたします。どのようなことでも結構ですし,また,これまでお手元にどのような総則が書かれていたかということも参考になるかと思いますが,先ほど御説明ございましたように,新しい形での記述がなされればと思います。髙木委員,どうぞ,お願いします。
【髙木委員】  お願いいたします。今回のこの部会で是非考えていただくことを少し申し述べます。
 先ほど室長からも御説明がございましたが,論点整理の20ページに評価の観点三つが示されております。「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」,これを各教科等において,どのような内容,具体的な内容,それから,指導事項とするのかが今回の学習指導要領改訂においては,大変重要になると考えております。特に,今回の改訂におきましては,高等学校における観点別学習状況の評価と,高等学校にはまた様々な個性を持った高等学校がございます。その各高等学校での教育課程の編成,さらには,カリキュラム・マネジメントによる教育内容の充実が求められている。この点を是非総則の中にきちんと盛り込んでいかなければいけないと思っております。
 さらに,高大接続を考えたときに,現行の教科書は,既に時代の学力に合わなくなってきていると思いますので,その検討も大変大事だと思っています。
 さらに,高等学校の卒業時にどのような学力を身に付けているのかということから,学習指導要領の各教科等の内容については,高等学校三年生を到達点として,それを中学校,さらには,おろして小学校との系統性を図り,今回の評価の在り方と併せて考えていくことが大変重要になります。これまでは,小学校で学習指導要領の内容を決め,さらに,その次に中学校というふうに積み上げてきておりますので,教科によっては,中学校三年生の内容が大変難しい内容となっております。現行の評価規準,のり準ということでいいますと,B規準であるとはとても言えないような難しい内容にもなっておりますので,そこで高等学校での出口をまず決め,それが段階的に,系統的に育成し,そして,それを評価する方向というのが全体的な総則として考えていくということが大変重要だと今,思っております。
 以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。
 そのような議論が特別部会でもなされてまいりました。高校でどのような目標に達成していくべきかというのが一つの基準になるのではないかということでございました。ありがとうございます。
 どうぞ。では,鈴木委員,どうぞ。
【鈴木委員】  今,ちょうど評価のことが出ましたので,続けて発言させていただきます。
 四つありまして,今回この指導要領の検討の会議で評価についても初めて考えていただけることになったのは大変な進歩ではないかと思います。前回の指導要録,学習評価の会議では,指導要領が決まってから評価のことを決めてもできることは限られていると。ですから,指導要領の検討の段階で評価を入れていただきたいと申してきましたが,今回,指導要領の中で評価も検討していただけるのは大変な進歩ではないかと思います。
 それから,以下,髙木先生のおっしゃったことと関連いたしますが,今回は各教科の目標と教育課程全体の関わり,論点整理で言えば,横の関係及び,今,髙木先生がちょうどおっしゃいましたように,高等学校段階,中学校段階,小学校段階で育成すべき資質・能力の系統化を図るという,論点整理で言えば,縦の関係,もうちょっとしっかりするという点が非常に重要ではないかと思います。縦の観点を重視するという観点からは,発達段階に応じた評価をどう見込むかということが重要になるかと思います。
 三つ目に,今,前に言ったことと関連いたしますけれども,これまで我が国のカリキュラムは,どちらかと言えば,学習内容を中心にその内容を細かに決めるカリキュラムでしたけれども,今回の教育課程の論点整理によれば,言い方をおかりすれば,資質・能力の要素をもう少し教育課程ないしカリキュラムに入れていこうという転換が図られてきているんじゃないかと思います。
 そうしますと,ここから評価になるわけですけれども,評価の在り方は,これまで学習内容を中心としたカリキュラムに適合した評価のシステムを考えてまいりました。しかしながら,資質・能力を中心とした,又は世界の共通の言い方で言えば,高次の能力を育成することを目標として重視する場合には,やはり学習内容を中心に作られた評価のシステムでは不十分ではないかと。その点で評価の基本的な考え方を一部転換する。特に資質・能力に関する評価の在り方を一部転換する必要があるのではないかと思います。具体的には,この場で幾つか後に提案したいと思います。
 それから,髙木先生もおっしゃいましたように,四つ目の観点として,高大接続問題は非常に重要です。前回の学習評価のワーキンググループでも,高等学校は非常に問題が多いと指摘されましたが,しかしながら,高等学校の教育は大学入試に大きく影響されているので,その改革なしに高等学校だけを取り出して評価や学習指導をいわれても大変困ると申しましたが,今回,高大接続が正に今,この時点で議論になっている中で,そちらの方との関連を図って,どういうふうに改善を図るべきか,その点が非常に重要ではないかと思います。
 以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。
 では,荒瀬委員,どうぞ。
【荒瀬委員】  ありがとうございます。
 三点申し上げたいんですが,一点目は,髙木先生がおっしゃいましたことにも関わりまして,初等中等教育でこれまで主権者教育というのは当然重視されてきていたかとは思いますが,現実のものとしてなかなか見えなかったというのが実態ではなかろうかと思います。選挙権年齢が引き下げられることによって,高校三年生の全員ではありませんが,選挙権を得るということを考えますと,こういった大きな節目にあるときに変えようとしている学習指導要領の在り方,とりわけ,それを総則の中でどのように書いていくのかというのは非常に重要ではないかということを思います。これが地歴公民科とか,新しい社会科というんでしょうか,そういったところだけの話にならないようにしなければならないということを思っております。ですから,その意味でも,先ほど髙木先生がおっしゃいましたように,高等学校三年生の段階でどのような力を付けているのかというときに,主権者としての意識をどのように喚起していくのかというのは,これは,高等学校教育だけでは,当然のことながら不十分でありますとか,初等中等教育全体を踏まえて考えていかなければならないと思います。それが一点目です。
 二点目ですが,カリキュラム・マネジメントについて申し上げたいと思います。私の知っております,とりわけ高等学校とか,中学校でありますけれども,そんなに数はたくさんございませんが,知っているのがそんなにたくさんございませんが,その中でも本当に活性化しているといいましょうか,子供たちが意欲的に学び,かつまた,そういった場を提供する教職員が元気にやっているような学校というのは,実はカリキュラム・マネジメントという言葉のなかったといいますか,そこのところの意識が十分でなかった時代から,実はカリキュラム・マネジメントの内容を現実としてやってきたということが言えます。その際,非常に重要なのは,公立学校の場合,教育委員会との関係でありまして,今回その三つの側面ということで,三つ目にあります,様々な条件整備などをしていく,これは人事も含めてですね。それをやっていこうとすると,当然教育委員会との関わりなしには不可能であります。ですから,そういった点でどれほど具体的にそのことをこの総則に書けるのかというのも非常に重要な点ではないかということを思います。
 三点目ですが,この論点整理の24ページからの章のところで,最後,26ページ,新しい教育課程が目指す理念の共有という,数行にわたって書かれています。新しい教育課程が単に学校の中だけでとどまらなくって,社会全体で共有されているという状態が社会に開かれたという意味でもありましょうし,かつ,社会で生きていく上で必要な資質・能力を育てていくという点でも,また社会に開かれたということかと思うのですが,この理念を共有するためには,実体のないということでは意味がありませんが,やはり夢のあるものでなければならないと。だから,それぞれの学校が地域とともに本当こういった教育活動をやっていこうというときに,それを支えるような,それに制限を加えるという,もちろん問題のある行動は制限しなければならないですけれども,意欲的な行動を支える,後押しするような,そういった姿勢でもって書かれなければならないのではないかなということを思います。
 以上でございます。
【羽入主査】  ありがとうございます。
 教育委員会の在り方が重要であるというような御発言もありましたけれども,実際に実行するに当たっては非常に重要な役割を果たしていただけるだろうと思います。今,荒瀬先生がおっしゃったカリキュラム・マネジメントがよく理解している学校は活性化しているというような具体的な御説明いただけると。
【荒瀬委員】  ある一つの取組がそれで終わらなくって,そこで得た力がどのように次に展開していくかということを教職員が関心を持って見守っているというふうなことかと思います。それが児童生徒とともに共有されている,もっと言えば,保護者とともに共有されている。このような段階でこういった力が,全然具体的でありませんけど,こんな取組をしたことによって,このようにまた伸びましたとか,この部分がまだまだ不十分なので,こういった点をもう少し強化していきたいと思いますといったようなことがつながって関わって,共有されているという点かと思います。
【羽入主査】  ありがとうございます。
 では,市川委員,お願いいたします。
【市川委員】  じゃあ,私の方から三点ちょっと意見を申し述べたいと思うんですけれども,一つは,この総則の書きぶりといいますか,これまでの総則を見ていますと,どうも硬い感がするんですね。今回,論点整理の方では,最初にかなり今の社会の流れ,教育の流れのようなことが書いてあって,そのためにこういう方向の改訂をしていく必要があるのだということがかなり説得的に述べられていると思います。こういう改訂の趣旨とか,あるいは理念のようなものを学習指導要領の総則でもうたい上げるというとちょっと大げさですが,かなり表に出した方が,社会の方が見ても,それから,学校の先生方が読んでも,こういう流れにあるんだと。だからこそ,今回はこういうところに重点を置いて改訂がなされているんだということが示されると思いますし,是非そういうものが入ってくるといいのではないかと思います。そういうストーリー性があってもいいのではないかなと思います。
 それから,第二点ですけれども,指導要領とか,その前の中教審答申もありますが,書き方として,よほどバランスというようなことに注意しないと,ついつい読む方は自分の考えに合ったところだけ取り入れて,ほら,答申でこう言っているではないですかとか,あるいは指導要領にこう書いてあるじゃないですかという,悪い言い方をすると,つまみ食い的な読み方をされてしまうことがあると。前回の改訂においても,習得・活用・探究とか,そういうもののバランスということをしっかりとる。バランスとか,統合ということにかなり気を配った改訂になっていると思いますし,今回も,アクティブ・ラーニングというのは一つのトレンドではあるんですけれども,決して一つの型を普及させるものではないと。それから,教授活動,教師の教授活動ともバランスをとるというような,そういうことは盛り込まれていると思うんですね。論点整理でせっかくこういうバランスに配慮して,教育の方向を打ち出そうとしているということが指導要領の中でも生かされるといいのではないかと思いました。これは書き方の問題です。
 それから,三番目に評価のことなんですけれども,これは先ほど鈴木委員もおっしゃったこと,私,非常に前の改訂のときにも共感するところがありまして,これまでは指導要領を作り終わってから,それから,評価ということを議論していた。やはり指導要領ができるときに一緒に評価についてもセットにして議論していくべきであろうと思います。
 前の改訂の後の評価の議論で,非常に紛糾したといいますか,意見が割れたのは,四観点と三要素,学力の三要素,これをどう整合的につなぎ合わせるかということではなかったかと私は記憶しています。これまでずうっと取り組んできた四観点と,一方では,その四観点というのを崩してほしくないと。現場もせっかくこれに慣れようとしてきたときなのだからという声もあって,逆に言うと,もう20年くらいたっても,どうもこの四観点というのがつけにくい,しっくりこないという声もあったと。学校教育法でも,指導要領の中でも三要素ということがこれだけはっきりしてきたのであるから,簡素化ということも含めて,三要素の方に収れんさせていく方がいいのではないという意見もあった。結果的にどういうものができたかといいますと,最初は三要素の議論がずっとしてあるんですね。じゃあ,三要素になるのかなと思うと,途中から,いや,四観点ですというふうに変わっているのが,今のいき方で,これはそういうところに落ち着かざるを得ないのかなと思いました。それはその前の話です。
 今度は,それはもっとすっきりさせた方がいいのではないかと。こういう両方をつなぎ合わせたようなもので,ここのところやってきて,現行指導要領の下ではやってきたんですが,読んでも分かりやすく,また,学校の先生にとっても付けやすいと,そして,学校教育法とも整合的というふうにしていった方が,私は個人的には分かりやすいのではないかと思っておりますが,これについては,今回是非また御議論いただければと思います。
 以上です。
【羽入主査】  ありがとうございました。書きぶりのことをおっしゃっていただきましたが,これは制度的というか,法律的にどのような書き方でなければいけないというような制約はありますか。
【大杉教育課程企画室長】  告示という形式でございますので,何でもかんでもというわけにはいきませんけれども,そういう中でどのような表現ができるのかということを是非御相談をさせていただきながらと思います。
【羽入主査】  ありがとうございます。「すべきである」という言葉が割に多く使われますが,「すべき,べき」を使うべきなんでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】  そういった点も含めまして,検討させていただき,報告させていただき,御相談させていただきます。
【羽入主査】  ありがとうございます。
 それでは,渡瀬委員,そして,高岡委員の順でお願いいたします。
【渡瀬委員】  二点お願いいたします。
 一つ目は,「どのように学ぶのか」ということについて,どう記述していくかということです。今回「何ができるようになるのか」ということと,そのために「何を学ぶのか」ということ,そして,それを「どのように学ぶのか」ということを盛り込んでいくわけですけれども,この「どのように学ぶのか」についての書き方がとても大事だと思います。学校現場では,すでに,アクティブ・ラーニングという言葉がかなり独り歩きを始めています。「今度の学習指導要領で学び方はアクティブ・ラーニングにならなくてはいけないんだよね」のような話題が教員の中にもありますし,そういう名前で研究会のようなものをすれば人が集まる。授業を公開して,こういう形の授業がアクティブ・ラーニングですのようなことが話し合われている。もちろんそういう授業を見てアクティブ・ラーニングの在り方について学び合うことは大事だと思いますけれども,そういうイメージが固定化していかないように総則を記述しなくてはいけないと思います。
 ただ,一方で,言語活動だとか,思考スキルだとか,基本的で押さえなくてはいけない部分,みんなが共通して押さえておいた方がいい部分については,そのように記述する必要があると思います。基本的なことを押さえた上で,どうすれば個々の生徒・児童がアクティブに学べるかというふうなことを示唆するような記述ということがとても難しいですし,大事だと思います。
 二点目は,今の市川先生がおっしゃったことに同感なのですけれども,学習指導要領が変わるというだけで,学校現場は結構ばたばたします。今,もう既にそのばたばたは少し始まっていて,アクティブ・ラーニングみたいことに振り回され始めていると思います。その学習指導要領の総則を読んだときにポジティブではなく,教員が受け止めてしまうと,結局学習指導要領が変わっても,何ができるようになるか,どういうふうに学ばせるか,何を学ばせるかということについても,余り効果が出てこないと思いますので,これを読んだときに,教員が,将来社会で役に立つ子供を育てるためにこういう力を付けて,そのためにこういう内容を,そして,こういうふうに指導していけばいいんだということが前向きに受け取れるような書き方というのが必要です。また,学校も,先ほど荒瀬先生おっしゃいましたけど,カリキュラム・マネジメントということをしなくてはいけないんだということを,それを読んで無理やりやらされるというのではなくて,確かに学校はこういうふうに機能して,こういうふうにカリキュラムをマネジメントしていかなくてはいけないんだというふうに主体的に思えるような書き方ということがすごく大事ではないかと思います。
 【羽入主査】  ありがとうございます。では,高岡委員,お願いします。
【高岡委員】  ありがとうございます。私も,先ほど来,荒瀬先生,市川先生,それから,渡瀬先生の今の御意見に少し触発をされまして,新しい学習指導要領をイメージすると,これ,先生たち,相当大変だなというのは,まず第一感なんですね。どういう意味かというと,教師像というものを大まかにくくってみますと,21世紀,もう四半世紀たったんですから,こういうことは当たり前と言えば当たり前になっているのかもしれないけども,もともと教師という職業人,これは,端的な言葉を使えば,既知の伝達ということをまず職業の中心に置いていたんだと思うんですね。つまり,科学的な真理,正しいと認定されていることを子供たちにどう伝えていくか。そこの伝える中身と一部伝え方について学習指導要領というものが国の基準として決められている。その状況が少し変わってきて,何を知っているかということを超えて,何ができるかということが教育の目標であるという認識に今,立たなければいけない。そういう社会状況についての読み,科学や技術の進歩,グローバル化という,そういう新しい時代の中で未来の大人がどう生きていくのか,そこが学校教育の大きな目標になる。そこに,現に今,教師をやっている人たちがそこへ発想を転換させてどう思考を変え,行動を変えていくかということが重要なんだという,そのことがこの論点整理にたっぷり書かれているんだと思うんです。
 そうだとすれば,論点整理の22ページ以降のところ,この必要な方策というあたりがどんな形で総則編の中に盛り込まれていくのかということも,実は重要なような気がいたします。これまでの総則編では余りそのあたり十分に触れ込まれていないという感じがいたします。
 それは,具体的に先生方がもう既におっしゃっていらっしゃるようなカリキュラム・マネジメントというものをどう学校全体として検討する体制を作っていくのか。あるいはアクティブ・ラーニングという学習指導法の哲学といいますか,それをどのように学校全体として取り組んでいくのかということについての,ある種の組織マネジメントの問題だというふうに私には見えるんですね。したがって,何を教えるか,どう教えるか,目指すべき資質・能力というものを支えているのは,実は,もちろんカリキュラム・マネジメントという学校全体の取組であるということは,当然ですけれども,それを支えている,さらに,学校の組織のマネジメント,このことが相当大きな影響を,この成否に影響を及ぼすんじゃないかという気がいたします。つまり,教師の力量という問題を一人一人の教員がどう新しい学習指導要領を読み込める能力を持っているかという一人一人の力,それと,それを結集した学校の組織としての力量ということですね。何かそういうことを,こうしろ,ああしろという言い方ではなくて,期待されているのは,そこの組織のマネジメントなんですよということがどこかで表明されると,現場に対する社会の期待というものが少し伝わりやすくなるんじゃないかと,そんなふうに感じていました。
【羽入主査】  ありがとうございます。それでは,竹原委員,宍戸委員,野津委員の順でお願いします。
【竹原委員】  本日はじめて出席しますが,学校と地域を結ぶ現場におります。今までの委員の皆様と重なる発言になるかもしれませんが,社会に開かれた教育課程というのが新しく出されたときに,その理念の実現に向けて,その推進方策ととても親和性があるのが,地域とともにある学校,コミュニティ・スクールや学校支援地域本部だと思います。もう一つ議論として,組織マネジメントの話が今もありましたが,チーム学校という発想で学校を動かす,そして,教科を動かしていくということが必要だと思います。まず,学校内がチームになり,次には専門家,特別な立場の方,さらに地域とともにチームと担っていかなければ,この開かれた教育課程は実現しないだろうと思います。
 先生方が日々忙しい中で全てを担うというよりは,そこにコーディネート機能を間に加えて,学校内では地域連携担当教諭,学校の外,地域にはコーディネーターということで議論は進んでいますが必要になると思います。
 今までの学校と地域もは連携してきました。ただ,それはある先生がいたからとか,熱心な校長がいたから,たまたまこういうことがあったからということで,組織化,継続化はあまりされていないというのが現状だと思います。ある意味でイベント的だったり単発で継続性がなく,根を張るものではなかったと思います,ここで学習指導要領に明記されますと,日常的にその視野が必要になり,継続して子供の学びをどの学年でも,どの校種でも地域と連携するでしょうから,総則に方策として書く必要があるだろうと思います。
【羽入主査】  ありがとうございます。ちょっと教えていただきたいんですが,そういう場合,例えばコーディネート機能を備える,それはコーディネート機能が重要だというときに,先ほど高岡委員がおっしゃっていた,組織マネジメントの一つとしても考えることはできますか。
【竹原委員】  そうですね。組織をマネジメントするときに,学校内だけやるときもありますが,外とつながるというときにコーディネートという視点が必要だろうと思います。
【羽入主査】  ありがとうございます。
 では,宍戸委員,どうぞ。
【宍戸委員】  それでは,ちょっと立場が違うところから,三つほど話をさせてください。
 一つ目は,特別支援教育の立場からです。ここに総則が幼稚園,小学校,中学校,高等学校というふうにありますが,実は,特別支援学校にも三つの学習指導要領,つまり,幼稚部教育要領,小学部・中学部学習指導要領,高等部学習指導要領と三つありまして,それぞれにそれぞれの発達段階を踏まえて幼稚園を下敷きにしながら,幼稚部の教育要領を作ったりしています。つまり,総則が同じようにあるということも踏まえて,この部会で議論していただけると有り難いと思っています。繰り返しますと,特別支援学校にも学習指導要領が三つありまして,それぞれに総則があると。つまり,この総則・評価部会は,特別支援学校の総則も踏まえながら議論していただけると有り難い,そういうふうに思っております。それが一点目です。
 二点目ですが,現在,特別支援教育に平成19年に移行しまして,小中学校の子供たちは毎年減少しておりますが,特別支援学級に在籍する子供さんや通級による指導を受けているお子さんは年々増加しております。また,小中学校の通常の学級に在籍していて発達障害があるかなと思われるお子さんも顕在化しているところです。こうしたことから,今回の学習指導要領においては,特別支援学校に限らず,小中学校等の学習指導要領において,特別支援教育に関わる記述がどういうふうになされていくかということが一つ大きな関心事であろうかと思います。
 このことは,先ほど説明のありました(2)のところの論点の中の検討事項の中にも指摘されております。それで,総則に書くとか,あるいは解説書にお書きいただくということを考えた場合に,特別支援教育の内容をできるだけ分かりやすく,具体的に親御さんも含めて,読んで理解していただけるような形で今回記述できるといいと思っているところです。それが二点目,学習指導要領や解説を含めて考えていければいいかなということです。
 三点目ですが,検討事項の三番目にありますように,社会とのつながりということで,検討事項(案)が提示されておりますが,実は,我が国が障害者権利条約を批准し,あるいは来年の4月からは,障害者差別解消法が施行されるということで,おそらく小中学校でどういうふうに障害のあるお子さんに対して配慮して対応していけばいいかということが話題になると思います。これは,そこまで,我が国の特殊教育から始まって,小中学校との兼ね合いで進んできた特別支援教育が世界に誇れるまでには発展してきた結果ではないかなと思っています。そういうことで考えると,その条約にもあるように,障害者理解や共生社会の実現を目指すということを踏まえて,じゃあ,具体的に今,行われている学校現場での活動は何かというと,障害のある子と障害のない子が共に活動するような交流及び共同学習であるということができます。それをいかに行いやすくするか。先ほどもありましたように,先生方がそれの必要性なり,その意味というものを考えられるようなものを今回の総則の検討の中で一緒つくっていけると有り難いと思っています。
 三つほど思ったので述べさせていただきました。
【羽入主査】  ありがとうございます。一つ教えていただきたいんですが,先ほどおっしゃいましたように,幼・小・中・高というそれぞれの発達段階で考えたとき,髙木委員がおっしゃったかと思いますが,高校でどういう目標があるかということから下ろしていったら,という御意見がありましたが,それに対してはどういうふうに。
【宍戸委員】  障害のある子供さんの場合,かなり一人一人の実態が異なりますので,高等部といってもかなり個人差が生じています。子供に合った教育を行っているというのが実態ですので,そういう点で考えると,個別の指導計画とか,個別の教育支援計画というものが今,特別支援学校で模索されていて,それをどういうふうに活用するかということが大事なわけですけれども,その流れの中で発達段階に応じた教育の在り方を考えていくというのも一つの方策かなと思います。
【羽入主査】  ありがとうございます。
 それでは,野津委員,お願いします。
【野津委員】  総則の書きぶりに関して意見を述べたいと思います。
 先ほど市川委員から,ストーリー性のある書き方にという意見が出ましたが非常に私も賛同いたします。その上で,一つは,「生きる力」というキーワードに関しまして,これだけ変化の激しい社会,将来予測困難な社会という中で,もう少し生きるということに関して積極性のある書きぶりにできないものかと。これだけ豊かな国の中でこんなにたくさんの人たちが自殺に至るなんて,もう少し積極的に書けないか。生き抜く力という表現も出ていたようですけれども,あるいはレジリエンスというような概念も論点整理のところでもあったようですけれども,そんな書きぶりを一つ考えてみてはどうか。
 二つ目としましては,バランスという表現がよく出てくるんですが,もう少し現場の実践レベルでそのバランスが正しく引き取れるように丁寧に吟味して書き込むことはできないのか。例えば現行の中学校のところなどでも,知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスということなんですが,決して均等にそうしたことを教えろという趣旨ではないような気がします。内容によっても,そこの割合が違ったりもするでしょうし,ひょっとしたら,どちらをよりベースにしてというようなことがあろうかと思います。その辺の書きぶりが今,少し足りないのではないかと思います。
 それから,三つ目としましては,先ほど荒瀬委員から,主権教育ということで18歳以上のうんぬんのタイミングということを言われましたが,体育,スポーツ,安全ということにおきましても,今のこのタイミングで学習指導要領を改訂することを強く意識する必要があると思います。東京オリンピックの開催の時に新しい学習指導要領がスタートします。これからこの国はどういう体育,スポーツ教育をやろうとしているのかというのはそこに現れますので,よほどしっかり書き込んでよろしいんじゃないかと思います。また,安全に関しましても,3.11の大震災というのは,20年,21年の改訂の後の話ですので,このタイミングで,もっとその分を書き込む必要がある。現行のものを見ますと,私は,体育・スポーツ,体力,安全,健康教育について,量的にも,少ないと思います。もう少しそこのところ,充実した書きぶりができないのかな,すべきではないのかなという意見です。
【羽入主査】  ありがとうございます。では,天笠委員,お願いします。
【天笠主査代理】  失礼いたします。私も,書きぶりというんでしょうか,総則に関わっての書き方について,申し上げさせていただきます。
 それで,私は,この論点整理の検討に当たっても議論に加えさせていただきましたが,その中で発言した一つなんですけれども,それは学習指導要領をどう表現するかという,この表現の仕方についてなんですけれども,それは,もちろん正に学習指導要領というそれと,それから,今,皆さん手元にありますけれども,いわゆる解説書,かつては指導書というふうな,そういうふうに言われていたものがあって,それと,それから,あとは,更に実践的に書かれ,指導集というんでしょうか,事例集というんでしょうか,そういうものが出される場合もありますけれども,言うならば,この三点セットで学習指導要領を表現するという,ある意味で,私は,それが一つのこの国の学習指導要領に関わる歴史的な所産として,今,そういうところの形態をとっているんじゃないかということを思います。
 それで,その中で,先ほど来,御指摘がありますように,まず,一つの学習指導要領本体としての改善というんですか,修正というんでしょうか,これはどうしてもこの形式をとる限りにおいて限りあるものにならざるを得ないのかなと思っております。いろんな歴史があるという,その一つは,できるだけスリム化するとか,そういう時代も経てきたわけで,余り細々としたというんでしょうか,いろいろあるものはできるだけ整理して示そうというふうな,そういうふうなことのそれとして,今の表現の形式,形態があるのかなと思っております。ですけども,ただ,読み手からすると,先ほど既に御指摘がありましたように,非常に無味乾燥というんでしょうか,あえて無味乾燥にしてきたという,そういう経緯もあったわけでありますけれども,改めてそういう理念とか,考え方等を伝える場合の手法の在り方については,検討の余地というんでしょうか,見直しの余地が一つあるのかなと思っております。
 それから,私は,今,まず申し上げた,そういうところの改善点というのはあるかと思うんですけれども,一つは,解説,いわゆる解説書,このあたりのところについては,かなり見つめ直しというんでしょうか,抜本的な検討が加えられる素地があるところの一つかなと思っております。例えば手元にある小学校の,あるいは中学校,高等学校でもいいんですけれども,この解説書をぱらぱらと見ますと,これを読み通すときにはよほどの体力を必要とするということだったりですとか,あるいは一人の読み手が全体を読み通すということよりも,むしろ学習指導要領のそれぞれに沿って,それについての説明を加えるというふうなことを基本的なそれにしてきましたから,そういう意味でいうと,かなり細則になっているんですけど,でも,なかなか読みづらいという,そのあたりをどう修正していくのか,改善していくのかということがあるんじゃないかと思うんですけれども。
 そうしたときに,先ほど高岡先生の方から御指摘がありましたように,例えばカリキュラム・マネジメントについて,学校全体で検討していく体制を整える,正に私もそう思うわけなんですけれども,そういうことを進めようとか,取り組もうとするときに,この解説書がどれほど誘因を,あるいはヒントがこの中に盛られているかどうかということになったときには,ちょっと別の意味で足りないというふうな,こういうふうなことになって,その場合に別途また指導資料というのを作る場合もあるかもしれませんけれども,おおむねこちらの方で解説書でそれをやろうとすると,ちょっとそのあたりのところについてはやや距離があるとか,誘因としてのこれというのは,ややそういう点で乏しいところがあるということで,ある意味で,これは非常に中途半端なものとして,これがあるように思います。もちろん指導書とセットにするという考え方も一つあるかもしれませんけれども,これなんかもそういう点からすると,もう少し分厚くしてもいいのかもしれませんし,関係の事例等々も,情報に関わって,そういう関係の情報等々,ここに盛り込むというのも,また一つの在り方かもしれませんけれども,いずれにしましても,この解説書については検討を加える余地というんでしょうか,そういうことがあるというふうに捉えております。
 実際のところ,前のところには,例えば,市川先生の名前ですとか,無藤先生の名前ですとか,この解説書に中に既に収められておりますし,それぞれが前の,こちらの方の解説書にいろいろ関わった,そういうノウハウとか,それはそれぞれお持ちの委員も少なくないんじゃないかと思っておりますので,それをどういうふうな形で,今,申し上げましたような観点から,より次の展開にもっていくのかどうなのかという,こういうことというのが検討すべき余地としてあるのかなと思います。
 その上で,最後になりますけども,今の話とちょっと違いますけども,総則部会のこれからの議論の進め方というか,審議,検討の進め方というのをどうイメージしていったらいいのかどうなのか。で,この審議の過程そのものが,言うならば,各教科等をある意味で束ねていくという言い方になるのかどうか分かりませんですけども,各教科等の関連を図っていったりですとか,つないでいったりですとか,そういう役割をこの部会は持つというふうに考えるのか,それとも,どちらかというと,これまでの総則部会の在り方というのを基本的に踏襲して,そして,今申し上げたような形で,こういう形でまとめていくというふうなスタンスをとっていくのか。他教科等の関連をどういうふうに,この総則部会というのは位置付けながら展開していくのかどうなのか。これからのスケジュールとか,それぞれにおける何を検討の課題にするかどうかというふうな,そういうスケジュールの問題等々も,申し上げたことと合わさって,それが一つのまとまった文章という形になるのかどうか分かりませんですけども,この総則部会の,私は,一つの貴重なまとめの資料という方向につながっていくといいかなと,そんなふうに個人的には思っております。
 以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。今の点について少しコメントをお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。
 本日お配りさせていただきました資料の一番後ろになると思うんですけれども,総則・評価部会の今後の予定という一枚紙を付けさせていただいております。大変お忙しい中,恐縮なんですけれども,八回まで予定させていただいております。それで,特にこの終盤なんですけれども,各教科の資質・能力の整理でありますとか,そういった整理がまとまってきたものに対して,全体的な観点から少し御議論をいただいたり,逆にそれをフィードバックしていくという過程が必要になると思いますので,後半,しかるべきところで,これは全員は難しいと思うんですけれども,各ワーキングの主査,若しくは主査代理に当たる方に総則部会においでいただくというような段取りも少し考えているところでございます。本来であれば,全ての会についてそういった形でとれれば望ましいのではありますけれども,なかなか日程の都合上難しいところがございますので,それまでの間は,例えば次回総則部会の会合におきまして,私の方から,各ワーキングにおける一回目,若しくは二回目の議論の状況を御説明させていただいたり,そういった形でしっかりとつなぐ。若しくは今日の御議論もしっかりと各ワーキングの方で,私か,若しくは小野が全てのワーキングに出席いたしますので,そこでしっかりと御説明をさせていただくと,そんな段取りを考えておるところでございます。
【羽入主査】  ありがとうございます。
 それでは,無藤委員,お願いします。
【無藤教育課程部会長】  気付いたこと,既に各委員がおっしゃったことと重なりますけれども,一つは,総則に書くことと,各教科で書くことのつながりはやはり密接といいますか,読みやすくしていただきたいと思います。その際,重要なことは,私は,二つほどあると思います。一つは,論点整理の部分の中心的な考え方は,三つの柱ということと,それを具体化する指導として,三つの学びというのを提言しておりますので,それは当然総則には何らかの形で書くんだと思いますけれど,その部分を中心にそれが各教科,あるいは教科間,あるいは校種間のつながりとして現されるということが必要だと思います。
 その上で,もう一つは,総則に書かれていることが関連する教科などにおいて何らかの形で言及されていて,つまり,教科の部分を見たときに,対応する総則の方を読んだ方がいいよという感じに分かるようにするといいますかね,要するに,そういう書き方だと思います。各教科で総則と同じ文章をやたら羅列しても複雑になりますけれど,何らかの形でそういうふうにした方がいいと。結局,現場の先生方は各教科の専門を持っている方が多いので,自分の関係する専門しか読まないというケースも多いですから,何らかの形で総則の方にいく。それから,総則の本文から今度は解説書にいくというような読み方をなるべく誘導していただきたいと思います。
 それから,二番目でありますけれど,校種間の接続の部分についてです。これについては,各校種部会がありますけれども,そこでも議論されるんだとは思いますけれども,校種を超えて全体見渡すのはやはりこの総則部会ですので,かなり大事な部分になると思います。特に,各校種の接続っていろんなところに考えられると思うんですけど,特に今回新たに入ってきたのは義務教育学校ですので,小中というものをもう少し踏み込んで示していくと。義務教育学校の問題は,いわゆる法律上の義務教育学校ということともに,小中の連携とか,接続という形で,別々の小学校,中学校だけれど,つなぐという形は非常に多いと思いますので,そういう意味でも,義務教育学校という狭い定義の中のつなぎだけではなく,いろいろな形での接続というのがあると思うんですね。
 もう一つのところは,私は,幼児教育と小学校教育のつながりだと思います。これは枠組みが,認定こども園が入ったりして変わったということは少しありますけど,それ以上にこの10年近く,幼と小の間の連携,接続の検討が現場で進んだと思いますので,それを何らかの形で反映する方がいいと思います。そして,論点整理でも,小学校の各教科などにおいて,幼児教育をいろんな形で言及していただいています。そういたしますと,接続については,資質・能力というものの中核部分としてどうつなぐかということが中心になりながら,各教科等で,じゃあ,具体的にはもう少しどうやるかということまで含めながら,総則に書く部分と各教科に書く部分,両方あると思いますが,言及する必要があると思います。
 それから,三番目に申し上げたいのは,評価なんですけれども,お手元の机上資料の中に,白い表紙の冊子が幾つかありますが,その中に平成22年3月24日付の児童生徒の学習評価の在り方について報告というのがあります。これは,前回の改訂のときに,教育課程部会の下で学習評価について議論をした報告書です。最終的な通知は,その中で合意されたといいますか,すぐに実施すべきことは通知ですけれど,報告の方は,後でお読みいただくと分かるんですが,両論併記といいますか,いろんな議論があったよということまで含めて書いてあるんですね。そういう中で,先ほどその折の委員として,鈴木委員,市川委員も入っていましたから,触れていただいていますけれども,幾つかいろんな議論をしたけれども,一通りもちろん会議として決定はしましたけれども,意見がかなり分かれた部分もあったと思います。
 一つは,先ほども言及があった学力の三要素と四つの観点との関係をどうしていくか,一応整理されております。四つの観点というのは,簡単に言えば,学力の三要素のうちの一つの知識・技能を二つに分けたので四つになるんですけれど,それをもう少し新しく資質・能力という発展的な形で検討する必要があると思います。
 それから,二番目は,これも大議論になった記憶がありますけれど,四つの観点のうち,関心・意欲・態度,これが三要素で言えば,主体的に学習をする態度でありますけれど,この部分は大事であることは誰も反対しないわけですけれど,十分客観的な形で評価できるかということについていろいろな意見があったと思います。現場でそういう観点をもって授業することは大事だという意味で,残すべきだという意見とともに,なかなか客観的には評価しにくいのだから,むしろ,他の観点の中に織り交ぜた方がいいというような意見もあったと思いますので,その辺をどうするかということですね。主体的に学習する態度が今回,資質・能力の観点の考えの中で広げていますので,もう一度見直し,検討する必要があると思います。
 それから,三番目は,思考力等の部分でありますけれども,具体的にいいますと,お手元の在り方報告の36ページから37ページのところにかけて,この思考・判断・表現に関しての評価の問題に触れてあります。ここでは,要するに,思考力等について,例えば複数年を見通す必要があるんじゃないかとか,思考力にしても,関心・意欲・態度についてもなかなか評価方法が難しいんだとか,いろいろな意見がここに挙げてあるんですけれど,このときにはまだ研究,あるいは実践上の課題が多いので,言うなれば先送りということになっているわけですね。つまり,そういうことは大事だけれど,すぐに学校現場で使えるところまできていないということであります。しかしながら,この10年,随分研究も実践も進んだと思いますので,このあたりについて踏み込むことは可能かもしれません。
 そして,また,36ページの注の細かい字のところでは,パフォーマンス評価も重要であるということを簡単に触れてございます。パフォーマンス評価も,このときには研究としてもちろんありましたし,実践もあったんですが,まだまだ試行段階で,学校現場で広く使うまでには至ってなかったと思いますけれど,今,パフォーマンス評価もかなり日常的に使われるものになってきたと思うので,そのあたりをどうするかも検討課題だと思います。
 その上で,最後ですけれども,その評価に当たって,いろいろなところに書いてあるんですが,評価というものは,授業内,あるいは単元内で用いるような,かなり形成的な評価というものと,それを生徒の特定の教科,単元を通して形成される学力の総括的な評価,大ざっぱに言えば二つに分けられます。そして,総括的な部分が,例えば入試とか,あるいは内申書とか,いわゆる成績ですね。そういうものにまとめられる場合もあります。そういう意味で,指導と一体的に使われる部分の評価と,生徒自身にとって重大な結果をもたらし得るような総括的な評価の在り方とは,かなり性質が異なるかもしれないので,それを含めて是非御議論いただければと思います。
 以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。部会長からのこれまでの議論も踏まえたコメントだというふうに承りました。
 では,梶委員,お願いします。
【梶委員】  
それでは,第一回目ということで,論点整理を踏まえ,今後の部会での論議に向けて,二つの視点で意見を述べさせていただきます。
 まず,学校教育の視点です。教育行政の立場から,今回の論点整理の7ページの記載について,着目させていただいた。それは,これからの学校は,これまで以上に,学校として,編成した教育課程全体において,一体児童・生徒にどのような資質・能力を育むのか,そのために何をどのように学ぶのかを明確にしていく必要があります。これまで,私も長年,県立高校に勤務し,高校の教育課程を編成してきましたが,従前の個性化と多様化に対応したものとして,様々な学校設定教科・科目を設置し,また学校外の学習なども用意し,選択幅の広い状況になってきた経緯があります。そのため,各教員は自らの教科・科目の編成上の在り方や指導に注目して取り組んできたものの,学校の総体で見て,生徒にどのような資質・能力を育てるのかという教育課程の全体像とかそれに伴う教育活動の展開という観点からの見通しが,上手くできていない状況にあります。このことからも学校が教育課程全体の構造の中で,育成すべき資質・能力を考え,総体としての役割と意義,教育課程の存在を明確にするものとなるよう,総則が編まれればと考えます。
その上で次期の総則にとってもう一つ重要なのは,教育課程の編成とともに運用面,すなわち教育課程の運用にかかるカリキュラム・マネジメントということに注目しております。カリキュラム・マネジメントは,教育課程の編成においては科目等教育活動の内容が系統的・組織的に整理されているか,それを実施することでどのような効果を生徒にもたらしたかを評価し,そして課題解決に向けて改善していくことが一連のサイクルで行われていく必要があり,今回の検討で重視していきたいと考えます。このことが機能的に実施されるためには,教員研修の充実に加えて,指導教諭の役割が極めて重要になってくると推察しています。また,学校教育がどのように行われているのかを,生徒・保護者をはじめ地域の方々に理解してもらい,教育活動の充実に向けては地域の教育力の活用という観点から,尚更,学校教育の理解を深めてもらう工夫が求められます。今,学校評価を行っている中で,学校としては説明責任ということも出てきますので,そのことも含めてトータルで考えていくことが大切です。そこで,具体的な取組の一つとして,たとえば,学校のグランドデザイン,いわゆる基本構想図のようなものを作成して示していくということが,すでに幾つかの県や市町村の教育委員会での取り組みが見られますので,カリキュラム・マネジメントの一環として創意工夫していくことも指摘させていただきます。
 今回,もう一つ,総則の中で評価もということで,高等学校においては,指導要録上の記載,また,調査書上の記載ということ,今,他の委員からもいろんな御発言がございましたけども,この部分について非常に関心を抱いております。
 
次に,教育行政の視点からです。学校のカリキュラム・マネジメントを相談・支援していく体制づくりとして,すでに幾つかの県や市町村などの教育センター等に整備されてきたカリキュラムセンター機能に注目しております。
 神奈川県の場合を例にあげますと,平成13年に県立教育センターにカリキュラムセンター機能を設け,県内学校の教育課程の編成や運用,授業づくりや授業改善に,各教員の相談や支援に指導主事が対応しており,現在も取り組まれています。今後,総則にカリキュラム・マネジメントが位置づくと,益々その役割と効果が期待されることと考えます。
また,各学校が多様な地域の教育力を活用する点では,地域の大学や企業など関係機関と,教育行政機関が包括して協定を結ぶなど,学校の教育課程を支援する環境づくりに取り組むなど色々な仕掛けを考えて,生徒の学習機会の拡大にも努めていく必要があると考えています。
以上のような視点から,今後の会議で議論させていただければと思います。

【羽入主査】  ありがとうございます。
 では,青木委員,お願いします。
【青木委員】  やはり,まずは教員というのは,こういう総則なり,指導要領を読みこなすということ,これ,非常になかなか難しいところがございます,現場としては。現実に管理職といえども,これをどこまで捉えているかという問題になりますと,非常に疑問的なところが多いかと思います。そういった意味では,総則等はシンプルで分かりやすいものであるということが前提になると思うんですけれども,先ほど三点セットというお話ございましたけれども,その三セットの中で何に重点を置いて取り組むかというところも出てくるかと思います。
 チーム学校という発想の場合,教員の発想としては,やはり学校内という発想に周知してしまうところがございますので,その発想の場を広げるという意味での総則の内容が必要かと思っております。この義務教育学校という新しい制度ができたときに,私は,また指導要領もそれに付随したものができるのかなという,そういったことも考えていたんですけれども,実際には小学校,中学校という枠ととれてないわけでございますけれども,そういった新しい発想が出てきたわけですから,それに付随した内容の指導要領が必要かと思っております。
 つなぎという部分から言えば,小学校であるならば,幼稚園のところからの発想,そして,出口として,高校という話がございましたけれども,大きな教育改革という観点からすれば,おそらく社会に出てからというところまで到達するんじゃないかと思うんですが,その幅広い内容を盛り込むという意味で,私自身,この学習指導要領改訂の視点という,この図がもう一つのみ込めないというか,すとんと落ちないところがございます。この上の図と下の図の関連性でございますね。ここのところ,これが言葉として表現するならば,やはりもっとここのところを練っていかないと,教員はもちろん,一般の方にも分かるようなものを目指すとするならば,私は,いま一度ここのところをどのようにして言葉として表現していくか,そこが非常に重要な視点になるかと思います。
 以上です。
【羽入主査】  ありがとうございます。皆様からたくさんの御意見を頂きました。時間が少し迫っておりますので,簡単にまとめさせていただきますと,大きく分けて三つの内容のお話があったかと思います。一つは,今回のこの指導要領の総則については,教育課程という一つの構造と同時に,その運用の仕方が重要なのだという問題意識で論点整理がなされたかと思います。それについて考えますときに,他の教科,あるいは他の学校種との関係が,一つの視点になっていること。また,当時に,もう一つ,高岡委員がおっしゃっていたかと思いますけれども,組織マネジメントの問題が重要であると。それはカリキュラム・マネジメントという形で今回ここに記してあることだと思います。
 それから,もう一つ,評価ですが,二番目に評価のことについて考えますときに,最初の髙木委員がおっしゃいましたが,高校卒業,あるいは社会に出るときにどういう能力を備えておくべきかということが一つの基準になるのではないかというようなことがあったかと思います。また,同時に,特別支援学級などで考えた場合には,やはり個人個人の能力の達成度というものも考えていかなくてはいけないだろうということがあったかと思います。
 そして,大きく分けて三つ目は,書き方の問題が随分皆様の御意見の中にあったように思います。これに関しましては,個人的には,読める指導要領,分かる指導要領,伝わる指導要領といいますか,使える指導要領というか,何かそういう読み手を考えた指導要領であることが,私は個人的には好ましいと思っております。
 と同時に,最初に荒瀬委員がおっしゃっていたかもしれませんが,この総則を常に立ち戻れる場にしておくということが重要ではないかと思いました。天笠先生がおっしゃっていたように,三点セットというのがございますが,では,どこに戻ればいいかというときの何か目安になるようなものになれば良いのではないかというふうなことを考えながら,皆様の御意見を拝聴しておりました。
 それから,時代認識というか,オリンピックの話が先ほどございましたけれども,オリンピック・パラリンピック,あるいは震災があり,確かに教育の場において非常に多様なことが課せられていますが,多様なことができる状況なのかもしれないと思いますと,少し時間軸のことを考えて,長期的かつ短期的な在り方,教育の在り方を盛り込めたらとても充実したものになるのではないかと思います。
 と同時に,注意しなければいけないことは,一つは,バランスということがございました。非常にいろいろな意味でバランスが必要であるということと同時に,これまでの指導要領と全く違うものがここに記されているのではなく,一つの継続性を記すことも,現場の先生方の混乱を避けるために重要ではないかというふうな気がいたしました。
 皆様の貴重な御意見をいただきましたので,これをまた事務局で整理をいただいて,次回の会議に生かさせていただきたいと思います。
 また,今回時間も限られておりましたので,さらに,御意見,お気づきのことがございましたら,メールなどで事務局に御意見をお寄せいただければと思います。このような形で,また新しい,そして,読める総則ができると良いのではないかと思っております。
 本日の……。はい,どうぞ。
【市川委員】  先ほど天笠先生の方から御質問があって,本部会の役割なんですけれどもね,何かほかのワーキンググループを少し束ねるような役割というのがあるのかどうか。大杉室長さんの方からも御説明いただいたんですけれども,この検討体制という図がありますね。これを見ると,束ねているのは,教育課程企画特別部会やその上の教育課程部会のように見えるんですね。で,この関係なんですけど,この部会と,それから,企画特別部会,それから,教育課程部会,更にその上には初等中等教育分科会がありますね。そのあたりの関係というのをちょっと教えていただきたいんですけど,どこがどういうことを担うのかということについてちょっと教えていただけますか。
【羽入主査】  では,事務局に御説明をお願いします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。
 御指摘のように,最終的にお束ねいただくのは,教育課程部会であり,企画特別部会であると認識しておりますけれども,これらの部会は,頻度としては,それほど年度内は特に開催されるわけではございませんので,ある意味,実質的に議論を各ワーキングの状況にコメントいただいたり,逆に,各ワーキングの状況を集約,吸収して全体的な方向性をおまとめいただいたりというところは,実質的に総則・評価部会をお願いをし,その内容を最終的に企画特別部会に上げていくと。一方で,学校種別には,小学校部会,中学校部会等ございますので,それらの学校種別の議論も,ある意味,総則部会で全体を見渡していただきながらということで,少し縦横いろいろ,事務局も今回少し試行錯誤しながらさせていただいておりますけれども,少しやりやすい形を模索させていただきながらも,全体的な方向性としてはそのように考えているところでございます。
【羽入主査】  ありがとうございます。おそらく実際は他のワーキンググループでの議論をこちらにできる限り反映していただきというか,御報告いただき,そして,私どもも,それに対して少しお返しできるような議論をするというように,同時並行でせざるを得ないのではないかと思いますが,それらがある程度まとまった段階で,その後,企画特別部会で更にまた議論をするということになるという理解でよろしいでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】  はい,そのように考えております。
【羽入主査】  役割というのがすごく難しい質問でなかったかと思うんですけれども,市川先生,もう少し御質問いただくと,もう少し答えやすいのではないかと思いますが,不明な点を……。
【市川委員】  つまり,例えばね,これの上にある,もう表の外ですけど,初等中等分科会というのがありますよね。あれは下から上がってきたものに対して見ていただいて,何か御意見があれば聞くぐらいの感じでしたよね。今回は,教育課程部会というのがかなりそういう感じになるということですか。下から上がってきたものに対して意見を言う。で,前の改訂ですと,この教育課程部会というのは相当にけんけんがくがくの議論がいろいろある審議の場,討論の場だったように思うのですが,それはちょっとこの前と変わっているのかという,実質的な審議の場という点が一つと,それから,この前のときには,教育課程部会の方が,上にある部会として,どういう趣旨なのだということを各ワーキンググループにも結構伝えに回ったりというようなことも委員は少しやっていたと思うんですね。その趣旨を生かしてほしい,こういう趣旨ですよと。というようなことは,今回,もし,この総則・評価特別部会の委員がそれを担うとなると,何か並列的に横になっているところに出ていくような感じもするのですけれども,そういうふうに理解してよろしいのでしょうか。ちょっと具体的に言い過ぎてすいません。
【羽入主査】  いいえ。
【大杉教育課程企画室長】  まず,私の方からお答えさせていただいて,ちょっと十分でないところ,また課長からお答えを申し上げますけれども,今回,そのような前回のような形で各ワーキングに触れ回っていただく必要があるかどうかと申し上げますと,今回は論点整理という形で,もう明確にお出しをいただいておりますので,これがある意味,私どもで,若しくはもう各ワーキング,出ておりますと,もう十分にかなり読み込んでいただいて,趣旨は浸透しておるということでございます。そういう意味では,お束ねいただくという中での,じゃあ,実際それが議論するような形でまとめられるかという観点からのチェックをしていただく。で,その上で特別部会,課程部会は,年度明けからはかなり頻繁に御議論をいただく必要があると思うんですけれども,年度内は総則・評価部会で束ねていただき,年度明けからは,ある意味,それを前提に企画特別部会,課程部会で御議論いただくと。もし,各ワーキングに差し戻しをするような必要性があるものが出てくれば,また,そこでワーキングをもう一回開いて検討し直してくれということもあるかもしれませんけれども,基本的には,論点整理の方向に沿っておりますので,そういうことにはならないのではないかなというもくろみのもとに今,進めさせていただいておるところでございます。
【市川委員】  よくわかりました。ありがとうございます。
【羽入主査】  ありがとうございます。それぞれのところでの議論をできるだけこちらにもお伝えくださると,より効率的かと思いますので,よろしくお願いいたします。
 ほかに御質問などはよろしいでしょうか。
 それでは,本日の総則・評価特別部会は,これで終了とさせていただきますが,事務局の方から何か連絡事項など,お願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  それでは,次回の日程につきまして,12月2日水曜日の開催でございます。時間が変更がございまして,当初15時から17時とお知らせさせていただいておりますけれども,少しスケジュールの関係で30分後ろ倒しをさせていただきたいと思います。15時半から17時半とさせていただきます。場所は現在調整中ですので,追って御連絡申し上げます。内容といたしましては,論点ペーパーに頭ございます,学習指導要領の全体及び総則の構造の在り方についてということですので,12月2日までに開催されます各教科等別ワーキングの状況を御報告させていただきながら,御議論をいただければと考えております。また,メール,ファクス等で御意見等ございましたら,是非お寄せいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【羽入主査】  それでは,これで終了にいたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2369)