教育課程部会 理科ワーキンググループ(第8回) 議事録

1.日時

平成28年5月25日(水曜日) 16時00分~18時30分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 理科ワーキンググループにおけるとりまとめについて
  2. その他

4.議事録

【大島主査】    皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会理科ワーキンググループの第8回目の開催をいたします。本日は、お忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。
  まず初めに、事務局より配付資料について確認をお願いいたします。
【金城教育課程課課長補佐】    よろしくお願いいたします。
  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますように、資料1から資料3、参考資料1から9、そのほか机上に別途参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら事務局にお申し付けください。
  また、机上にタブレット端末を置いておりますけれども、この中には関連する資料等をデータで入れておりますので、詳細はタブレット端末の下に置いています目次をご覧ください。
  なお、政府全体といたしまして5月1日からクールビズということで軽装励行させていただいておりますので、その旨御了承ください。
  以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございました。
  では、これより議事に入ります。なお、本日は報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
  さて、本日はこれまでの御意見を踏まえ、本ワーキンググループとしての取りまとめ文案などについて意見交換を行いたいと考えております。議事の流れといたしましては、事務局から資料に基づき説明を頂いた後、議事の内容ごとに御意見を伺いたいと思います。
  まず、これに先立ち、事務局より各学校段階の総則の改善イメージなどについて本ワーキンググループにおける審議を深めるため、これらの状況について事務局よりご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【西川教育課程企画室専門官】    失礼します。それでは、お手元の参考資料の3から8までを用いまして、総則・評価特別部会、及び学校種段階別の小・中・高等学校別部会の審議の状況について御報告をさせていただければと思います。
  まず、お手元、参考資料3をご覧いただければと思います。アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善について、各ワーキングでの御議論等を踏まえまして、従前の論点整理での整理から若干ブラッシュアップをさせていただいております。参考資料3の上段に三つ、「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」と入っておりますのが論点整理の段階におけるアクティブ・ラーニングの視点でございましたが、これについて各ワーキング等での議論を踏まえまして、下の囲みにあるような再整理をさせていただきました。
  少し変更点を申し上げますと、まず「深い学び」については、それぞれのワーキングで御議論いただきました、見方や考え方を働かせるという要素を入れております。また、他「対話的な学び」については、先哲の考え方を手掛かりに考えると、自己内の対話ということでしょうか、そういったことも含めて入れております。また、「主体的な学び」ということについて、特に高等学校を意識してでございますが、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながらといった要素も入ってくるのではないかと、こういった形で「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点ということについて新たな整理をさせていただいております。
  それから、ちょっと飛んで恐縮でございますが、参考資料5についてご覧ください。参考資料の5については、学習指導要領改訂の方向性ということで企画特別部会における論点整理、さらにそれからの各教科におけるワーキングの御議論を踏まえまして、大きく今回の改訂の方向性を図解をすると、ということでお示しをさせていただいておるものでございます。何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶかということについて構造化を図っていくということでこれまで御議論いただいておりまして、その中で中心に社会に開かれた教育課程の実現、あるいはカリキュラム・マネジメントの実現ということを位置付けております。
  総則・評価特別部会、学校段階別の部会におきましては、この大きな三つの枠組を踏まえまして、総則の在り方ということについて御議論を頂いております。それについて参考資料6が小学校になっておりますので、それに基づいて御説明できればと思います。参考資料6、1ページ目が現在の総則の構造でございます。これについて右側にピンクなりオレンジなりで色が付いているところがございますが、これが総則・評価特別部会におきまして、こういう観点で総則についても改善を図っていきましょうということで整理を頂いたものでございます。これを踏まえまして、同じ資料の2ページ目になりますが、今後の総則の部分の方向性について現時点の案ということで御議論いただいたものでございます。先ほど申し上げました、何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶか、さらには評価という観点で、何が身に付いたか、個々の生徒の発達の状況をどのように支援するか、さらには条件的な部分で、実施するために何が必要か、こういったことを大きく総則についても構造が分かるような形で示していってはどうかということで御議論を頂いております。
  現在の総則からすると、大分大きな変更があるわけですけれども、まず第一として、小学校教育の基本ということで、小学校教育を通じて育成すべき資質・能力。現在、各教科で育成する資質・能力を検討いただいておりますが、それらを通じまして小学校教育全体としてということを示していってはどうかというのが第1の3でございます。さらに、第1の4として、それらを実現するカリキュラム・マネジメントの実現ということで、学校教育目標であったりとか、それに基づく資質・能力の設定といったことについてお示しをしていってはどうかと考えております。
  さらに第2として、教育課程の編成については、現在、もろもろ共通事項は示しておりますが、併せて学校段階の接続でありますとか、横断的に育成する資質・能力ということについて示していくことにしてはどうか。
  また、第3としまして、これは教育課程の実施、実際の指導であったりとか評価という部分でございますが、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点を生かした見方・考え方を働かせた学習指導の充実ですとか、評価についても目標に応じて評価を行う、いわゆる目標準拠型評価であること、さらには観点別に評価を行うことというのを総則の中に示していくようなことを考えております。また、現在もあるわけですけれども、特別な配慮を必要とする児童への指導、あるいは学習活動の充実のための基盤ということで学級経営だったりとかキャリア教育の充実、家庭、地域との連携等々について、少し網羅的になりますが総則の中に示すということを御議論いただいているところでございます。
  また、各教科と関連する部分としまして、別表と右下にございますが、ここに見方・考え方の一覧を付けてはどうかということで御議論を頂いています。各教科でまとめていただきました見方・考え方については総則の中においてもこのように反映できればと考えているところでございます。
  こういった総則の議論についても、横目で見ていただきながら、教科のまとめを詰めていただければと思います。
  以上でございます。よろしくお願いします。
【大島主査】    ありがとうございました。
  ただいまの御説明につきまして、何か御質問ございますでしょうか。全体の総則ということで方向性を御説明いただいたというふうに理解しております。何かございますでしょうか。
  よろしいでしょうか。多分、この方向性で今まで議論を深めていってきましたので、多分、問題ないかなと思いますけれども。よろしいですか。
【松浦委員】    参考資料5の「何を学ぶか」のところの学習内容の削減は行わないというのと、(注)の大学教育が暗記中心になっているというから、重要用語の整理を含めたという、これが一見矛盾しているわけですよね。少なくとも高校教育のある面に関してはね。これはどういう、この行わないということと、問題点がある内容という、それはどんなふうに整理されてきたのでしょうか。
【西川教育課程企画室専門官】    御指摘いただきました、参考資料5の左下の部分でございました。学習内容の削減は行わないというふうに言っている部分と、その下に小さな字でございますが、重要用語の整理を含めた、というふうに書かせていただいている部分ですね、ここについての関係ということで御指摘いただいた部分でございますが、まず、学習内容の削減を行わないということについては、特に先ほど紹介はしませんでしたけれども、参考資料9で、「教育の強靱(じん)化に向けて」という大臣のメッセージというものをお配りさせていただいておりますが、今回の学習指導要領改訂の方向性としまして、アクティブ・ラーニングの視点等々、提言を頂いているわけですけれども、その内容の削減を行ってそういうことをするのではなくて、質的な転換を果たしていくのだということを改めて申し上げております。これは教育課程企画特別部会の論点整理の趣旨を踏まえた考え方でございますし、その方向で各教科でも議論いただいておりますので、学習内容の削減は行わないというのが全体の方向性だろうと思っています。
  一方で、用語につきましては、社会の歴史だったりとか、本会でも御議論があったと承知をしておりますが、入学者選抜試験でいろいろな細かい用語が出ることによって教科書の内容が膨らんでいくというような御議論があったと承知をしています。これについては、単に内容を削減するという意味ではなくて、どういう用語が構造的に重要なのかという構造の重要性というのでしょうか、そういった部分をきちんと整理をしていく必要があるのではないかということが教科のワーキングの御議論、あるいは高大接続への御議論でもありましたので、そういった方向性を書かせていただいております。
【大島主査】    重要な御質問でしたけれども、よろしいでしょうか。
  では、もし特にございませんでしたら、早速、本題でございます本日の議論いただく内容に移りたいと思います。議題につきましては、事務局より御説明をお願いいたします。
【金城教育課程課課長補佐】    よろしくお願いいたします。
  それでは、資料1に基づきまして御説明いたします。理科ワーキンググループにおきます取りまとめのイメージ案というので配付させていただいております。また、この資料1の下に枝番で1-1から1-7まで資料を配付させていただいていますけれども、取りまとめ文案の添付資料ということでお付けしておりますので、また適宜こちらの方も御参照ください。前回からの変更点は赤字で付させていただいております。
  それでは、1から5まで五つの柱に沿って要点の方を説明させていただきます。まず1でございますけれども、「現行学習指導要領の成果と課題」というところでございます。こちらにつきましては、昨年8月の企画特別部会の論点整理や、これまで配付いたしました資料に基づきまして現状、それから成果、課題を整理させていただいております。2のところで成果のところにスーパーサイエンスハイスクールの指定、支援を行っており、こうした学校では課題研究などに取り組み、成果を上げているといった一文を追記させていただいております。
  引続きまして2でございますけれども、「育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標の評価の在り方について」の(1)でございます。教科等の特質に応じ育まれる見方・考え方でございます。これにつきましては前回、集中的に御議論いただいたわけでございますけれども、赤字で大きく追記させていただいております。まず、1ページ目の1ポツ、2ポツにつきましては、今年3月の総則評価特別部会の書きぶりなども参考にしながら書かせていただいておりますけれども、まず1ポツとしまして、資質・能力の育成のために中核的な役割を果たすのが各教科等の本質に根ざした「見方・考え方」であること。また、「見方・考え方」につきましては、「様々な事象を捉える各教科等ならではの視点」、また「各教科等ならではの思考の枠組み」であるというふうにされております。
  2ポツ目に行きまして、各教科等の本質に根ざした「見方・考え方」を働かせながら、知識構造化させていくこと、また、思考力・判断力・表現力等をより豊かなものにしていくこと等が求められているといったことを書かせていただいております。
  1枚おめくりいただきまして2ページ目でございます。この2ページ目の1ポツの関連でございますが、資料の1-2をご覧いただけますでしょうか。資料1-2の2枚目でございますけれども、横書きの資料でございます。こちらを適宜参照いただきながら御説明させていただきます。理科におきましては、従来示しております「科学的な見方や考え方」が教科目標として位置付けられておりまして、理科における「見方・考え方」、それから理科で育成する資質・能力の双方の意味を包括するものとして捉えられてきておりました。また、他教科における「見方・考え方」や資質・能力とも重複する部分がございました。それを表していますのが、1-2の2枚目にあります左上の部分でございます。今回、全教科を通しまして「見方・考え方」は資質・能力を育成する視点と思考の枠組ということで整理をさせていただいております。したがいまして、従来示してきた「科学的な見方や考え方」を視点と思考の枠組としての「理科における見方・考え方」と「理科で育成する資質・能力」とに分割して置き換えさせていただいております。そのイメージがこの資料の右下でございます。ただ、これまでの理科における学習指導要領の目標の中での「科学的な見方や考え方」とは整理を変えただけでございまして、齟齬をきたすものではないと考えております。こうした「理科における見方・考え方」を働かせて、他教科で育成する資質・能力も養うことができるとともに、他教科における見方・考え方を活用して、「理科で育成する資質・能力」も同時に養うことができるということなど、理科と他教科とも密接に関連しているということを右下の図で表しております。
  今の部分が2ページ目の1ポツ目でございます。
  2ポツ目に行きまして、この見方につきましては領域ごとに特徴を見出すことが可能であり、「エネルギー」領域でありますと量的・関係的な視点、また、「粒子」領域では質的・実体的な視点、また、「生命」領域では多様性・共通性の視点。また、「地球」領域では時間的・空間的な視点で捉えるといったことが各領域における特徴的な視点として整理がされております。この関係は資料の1-1でこれまで御議論いただきましたとおりでございます。
  ただ、3ポツ目にありますように、これらのお示しした特徴的な視点というのは、領域固有のものではございませんで、他の領域においても用いられる視点であるということでございます。また、全体と部分であったり、原因と結果の関係といった、これら以外の視点もあることに留意することもありますので、そういったことを踏まえて、理科という教科全体としての見方を簡潔に説明する観点からは、単にこれらを列挙するのではなく、自然の事物・現象を質的・量的な関係や、時間的・空間的な関係などの科学的な視点で捉えるといったように、科学的な視点の例示として主なものを掲げることが適当だと考えております。これらにつきましては、前回のワーキンググループにおきましても各委員の方から、バランスの観点からいかがかといった御意見もあったかと思いますので、このように整理をさせていただいております。
  また、次のポツでございますけれども、理科の学習における考え方につきましては、探究の過程を通じた学習活動の中で比較したり、関係付けたりするなど、科学的に探究する方法を用いて、事象の中に何らかの関連性や規則性、因果関係等が見出せるかなどについて多面的に考えることであると考えております。これは資料1-2に資料をお付けしております。こうした考え方は、試行の枠組でございますので、「~的に考えることができる力」であったり「~的に考えようとする態度」といった資質・能力としての思考力や態度とは異なることに留意が必要ということでございます。これは先ほどお示しした資料のとおりでございます。
  こういったことから、理科におきます「見方・考え方」については、これを働かせながら、知識・技能を習得したり、思考・判断・表現していくものであると同時に、理科における「見方・考え方」がさらに成長していくといったことが考えられます。また、「見方・考え方」は、まず「見方」があって次に「考え方」があるといった順序性があるものではなくて、逆もあるということで、こういったことも留意が必要だというふうに考えております。
  以上が「見方・考え方」についての記述でございます。
  次に(2)の「小・中・高を通じて育成すべき資質・能力の整理と、教科等目標の在り方」でございます。これにつきましては、1枚おめくりいただきまして3ページ目でございますけれども、これまで何回もワーキンググループのテーマ、複数回御議論いただきまして、資料1-3のような形で整理されておりますけれども、ここの小学校、中学校、高等学校というふうに書かせていただきましたのは、資料1-3をコピーして張り付けたものでございます。赤字の箇所が変更点でございますけれども、まず小学校の目標の部分、二重丸のところでございますけれども、「自然に親しみ」というのを書いております。前回は「自然の事物・現象について」と書かせていただきましたけれども、発達段階に応じて記述を書き分けた方がよいのではないかということで「自然に親しみ」とさせていただいております。また、「理科における見方・考え方を働かせて」というのは、小・中・高等学校いずれも記載しておりますけれども、これは教科の横並びでこのような記述にさせていただいております。また、見通しを持って学習することが大事じゃないかということで、「見通しをもって観察・実験などを行い」ということで、この辺りも書き加えさせていただいております。また、小学校におきましては、「探究」という言葉を使わずに「問題解決」といった形で整理しておりますので、これまでの整理にしたがいまして問題を科学的に解決するというふうに、中学校と高等学校の記述との書き分けをさせていただいております。また、目標の結びの部分で「必要な資質・能力を養う」とありますけれども、ここも教科間の横並びの観点からこのように整理をさせていただいております。このような形で一部修正しておりますけれども、基本的にはこれまでの御議論を踏まえた形で記述させていただいております。
  1枚おめくりいただきまして4ページ目でございます。一番上のポツでございますけれども、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力や人間性等」の三つの柱に沿った整理については、資料1-4のとおりワーキンググループの方でこれまで御議論いただいた形でまとめております。
  次の2ポツ目以下は、それぞれ「知識・技能」以下、三つの柱に沿った説明でございますけれども、「知識・技能」につきましては、具体的なところでは代表として中学校の項目を例示として挙げさせていただいております。また、「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力や人間性等」におきましても、中学校の力をそれぞれ例示として挙げさせていただいております。また御参照いただければと思います。
  また、この項目の最後のポツでございますけれども、高等学校におきましては、数学と理科にわたる教科として「理数」が設定されております。教科「理数」において育成すべき資質・能力につきましては、このワーキンググループ、また同時並行で算数・数学ワーキンググループにおける検討の状況を十分に踏まえつつ、検討が必要であるということを記載させていただいております。
  それから、4ページ目から5ページ目にかけまして、(3)の「資質・能力を育む学習過程の在り方」でございます。これにつきましては、資料1-5に、高等学校の例を添付させていただいておりますけれども、課題の把握・発見、また課題の探究・追及、課題の解決といった探究の過程を通じた学習活動を行い、その結果、1-5に掲げてあるような資質・能力が育成されると。そうした形で指導の改善を図ることが必要ではないかといったことを書かせていただいております。あとの記述は前回のとおり変更ございませんので割愛させていただきます。
  それから、(4)の「『目標に準拠した評価』に向けた評価の観点の在り方」でございます。この評価の書きぶりにつきましては、3月14日の総則・評価部会の記述などを参考にしながら5ページ目のポツを記載させていただいております。参考となる資料につきましては、資料1-6にその観点の整理がございます。こちらも適宜御参照いただきながらご覧いただければと思います。
  それから、1枚おめくりいただきまして6ページ目でございます。3でございますが「資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実」でございます。まず(1)として「科目構成の見直し」でございますけれども、今現在、別途、「高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チーム」におきまして、新科目「理数探究」について御議論がなされております。現行の理科におきます「理科課題研究」、それから数学科におきます「数学活用」、また理数科におきます「課題研究」の内容を踏まえ、発展的に新設される方向で議論されております。したがいまして、「理科課題研究」につきましては廃止することが適当というふうに整理しております。
  また、高等学校理科におきます他の科目につきましては、現状どおりとすることが適当と考えております。
  脚注につきましては、現在の小・中・高それぞれの履修の考え方を参考で整理させていただいておりますので、またお目通しください。
  それから(2)ございます。「資質・能力の整理と学習過程の在り方を踏まえた教育内容の構造化」でございます。この構造化につきましては、昨年8月の論点整理においても、次期学習指導要領改訂の中での資質・能力ベースで構造的に見直すといったことが打ち出されておりますことから、この部分につきましては前回の御議論を踏まえて書き加えた部分でございます。
  まず1ポツ目でございますけれども、学校段階ごとに育成すべき資質・能力、この三つの柱に沿って整理したものでございますが、その学習過程の例を学習指導要領の構造に適切に反映させることが必要ではないかと。
  また、2ポツ目といたしましては、学校段階ごとに育成すべき資質・能力については、教科の目標に反映させることが必要であること。また、各学校の目標や各分野の目標についても、その資質・能力を反映させることが適当ではないかといったこと。
  また、3点目といたしまして、「内容」に関しましては現行学習指導要領において「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」などの科学の基本的な見方や概念を柱として、小・中・高等学校を通じた内容の構造化が図られているといったこと。
  こうしたことを踏まえまして、7ページ目の1ポツ目でございますけれども、このような内容の構造や取り扱う内容項目については基本的に維持しつつ、育成すべき「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」等、及びそれらを育成するための学習過程の関連がより明確になるようにすることが必要ではないかといったことを整理しております。このため、各内容項目についてどのような学習の過程を通じて、どのような「見方・考え方」を働かせることにより、どのような「知識・技能」及び「思考力・判断力・表現力」等を身に付けさせるのかを示していくことが必要ではないかといったことを書かせていただいております。
  次のポツですが、「学びに向かう力や人間性等」につきましては、内容項目ごとに大きく異なるものではないといったことから、内容項目ごとに整理するのではなく、各学年や各分野の目標において整理されたものを全ての内容項目において共通的に扱うこととするのが適当ではないかといったことを書かせていただいております。
  また、次のポツでは、実際の指導の場面において留意すべき点等につきましては、「指導計画の作成と内容の取扱い」の項目において示していくことも必要ではないかといったことを書かせていただいております。
  7ページ目の下の方の小学校、中学校、また、次のページの高等学校につきましては、これは資料1-3の記述内容を書かせていただいております。
  1枚めくっていただきまして8ページ目でございます。(3)にあります「現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直し」でございます。1ポツ目につきましては、国際調査において理科が「役に立つ」「楽しい」といった回答をした日本の生徒は国際平均よりも低いといったこと、理科が好きな子供が少ないといった状況、こういった現状認識に立って、生徒自身が観察・実験を中心とした探究の過程を通じて課題を解決したり、新たな課題を発見したりする経験を可能な限り増加させていくのが重要であるといったこと。また、理科のおもしろさを感じたり、理科の有用性を認識したりすることにながっていくのではないかといったことを書かせていただいております。
  また、2ポツ目においては、世界的に見ても理数教育の充実や創造性の涵養が重要視されておりまして、アメリカやイギリスなどにおいてSTEM教育の推進が行われているところでございます。こういったSTEM教育におきましては、問題解決型の学習やプロジェクト型の学習が重視されておりまして、この方向性は我が国における探究的な学習の重視とも同じものであると考えております。したがいまして、観察・実験等を重視して学習を行う教科である理科がその中核となって探究的な学習の充実を図っていくことが重要であるということを書かせていただいております。
  続きまして四つ目の柱でございます「学習・指導の改善充実や教材の充実」でございます。(1)の「特別支援教育の充実、個に応じた学習の充実」につきましては、前段の辺りは横並びの観点から1ポツ目、2ポツ目の記載をさせていただいております。
  1枚おめくりいただきまして9ページ目でございますが、黒ポツで二つ挙げています例示につきましても、前回と同様の記載ですので飛ばしまして、一つ目のポツでございますが、個に応じた学習の充実のところで追記させていただいております。個に応じた学習の充実を図っていくことが重要であるということから、学校や児童生徒の実態に応じ、個別指導やグループ別指導、繰り返し指導、学習内容の習熟の程度に応じた指導等に引き続き取り組んでいくことが必要である。また、その際、ICTの効果的な活用についても考慮が必要ではないかといったことを書かせていただいております。
  それから、同じページの(2)「『深い学び』『対話的な学び』『主体的な学び』に向けた学習・指導の改善充実」でございます。ここにつきましても、前回の議論を受けて、この辺りは大幅に記述を増やしております。関連する資料は資料3でございます。まず1ポツ目でございますけれども、アクティブ・ラーニングの視点でございますが、「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」の三つの視点から、学習過程をさらに質的に改善していくことが必要である。この三つの視点については、それぞれ独立しているものではなく、「対話的な学び」や「主体的な学び」を通して「深い学び」が実現されるといったこともありますし、ここにはありませんが、逆の流れといいますか、「深い学び」があって、その上で「対話的な学び」や「主体的な学び」が充実するといったこともあるかと思います。この三つの観点については相互に関連し合うものであるといったことを書かせていただいております。
  その上で丸1から丸3にかけて、それぞれ三つの視点について具体例を挙げさせていただいております。まず「深い学び」でございますけれども、理科においての「深い学び」は何かということで、一つ目の黒ポツでございますが、自然の事物・現象について、理科における「見方・考え方」を働かせて、探究の過程を通して学ぶことにより、資質・能力を獲得するとともに、「見方・考え方」も成長するということ。また、次の学習や日常生活における問題発見・解決に活用することによって「深い学び」につながっていくものじゃないかといったこと。こういったことを踏まえまして、2ポツ目のように、例えば観察・実験などの学習の過程を振り返って変容を自覚したり、表現したりする学習場面を必要に応じて設けることなどが考えられるのではないかと書かせていただいております。
  1枚おめくりいただきまして2枚目では、「対話的な学び」について整理させていただいております。黒ポツの部分でございますが、課題の設定や検証計画の立案等の場面では、あらかじめ個人で考え、その後、互いに意見交換したり議論したりして、自分の考えをより妥当なものにする学習画面を設けることが考えられるのではないかといったことを例示させていただいております。
  また、3丸では、「主体的な学び」についての説明でございますが、黒ポツのところに、自然の事物・現象から問題を見出し、見通しを持って課題や仮説の設定や観察・実験の計画を立案したりする学習場面を設けること等を例示として掲げさせていただいております。
  次の白丸のポツでございますけれども、このような学習場面を通じて、児童生徒の「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」が実現できているかについて確認しつつ進めることが重要だということ。また、身に付けさせるべき資質・能力及びその評価の観点との関係も十分に踏まえた上で指導計画等を作成することが必要ではないかといったことを書かせていただいております。
  また、次のポツですが、その過程の中でICTを活用することも効果的ではないかということで、タブレットPCでの録画であったり動画の視聴といったこと、こういったことも通じまして学びがさらに充実していくということが考えられると記載させていただいております。
  次に(3)の「教材の在り方」でございますけれども、理科の教科書を含む教材につきましては、高校の生物をはじめ、細かい内容、あるいは高度な知識を身に付けさせるのではなく、生徒が問題の発見・解決に向けて主体的・協働的に学習を進めることができるものが適当ではないかということから、一定の配慮が望まれるといったことを書かせていただいております。
  最後のページでございます。11ページでございますが、5の「必要な条件整備等について」でございます。こちらも前回の議論を受けて記述を充実させていただいております。まず1ポツ目では、理科において指導体制の強化や教員研修の充実、実験器具等の整備の充実、ICT環境の整備などの条件整備が求められること。特に、理科の特色であります観察・実験の充実を図る観点からは、理科教育のための設備整備の支援や理科の観察・実験に使用する設備の準備・調整等を行う補助員の配置に引き続き取り組むことが重要であること。国において必要な予算を引き続き確保するといったことが求められるとともに、各学校設置者においても学校の実態の把握や整備のための計画の策定等に取り組むことが求められるといったこと。これらは前回の議論を踏まえて書かせていただいております。
  また、最後のポツでございますが、各教員が改訂の趣旨や狙いを十分に理解して指導計画等を作成できることがまずもって大事だと。さらに、観察・実験を中心とした探究的な学習を指導できる力が一層重要であるといったことから、教員研修の充実等を通じて、教育課程をデザインする力やマネジメントする力などを含めた指導力の向上を図るとともに、改訂の趣旨等について十分な周知を行っていくことが必要であるといったことを書かせていただいております。
  以上、ざっと概略の方を説明させていただきましたけれども、前回の、特に集中的に御議論いただきました1ページ目から2ページ目にかけての2の(1)の「見方・考え方」の部分、また9ページ目から10ページ目にかけてのアクティブ・ラーニングの視点からの学習指導の改善充実、この辺りについて熱心な御議論を頂ければと思います。
  以上でございます。
【大島主査】    ありがとうございました。
  それでは、これより意見交換の時間とさせていただきたいと思います。本日の議題として、理科ワーキンググループにおける取りまとめについて御意見、御議論を頂きたいと思います。その際に、先ほど御説明いただきました資料1の取りまとめ資料についてですけれども、そのうち、まずは1番目ですね。1の「現行学習指導要領の成果と課題」、そして2の「育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方について」、まず御意見、御議論を頂きたいと思います。
  まず、御意見のある方はあらかじめ名札を立てていただきますと、私の方で順次指名させていただきます。また、お手数でございますが、発言が終わりましたら元に戻していただくようにお願いいたします。御発言の際にはマイクのスイッチオン、発言後にはオフということでお願いいたします。
  では、早速ではございますが、ディスカッションを始めたいと思います。では、まず江崎委員、よろしくお願いいたします。
【江崎委員】    質問です。3ページのところの目標に関して、小学校のところは「見通しをもって観察・実験などを行い」と、これは現行のものと同じなのですけれども、中学校のところでは「観察・実験などを行い」と。現行だと「目的意識を持って」というのがあったのですが、これは取るということなのか、あるいはその前の「課題を設定し」のところに「見通しをもって」という言葉があるので、それがその次の「観察・実験など」の方にもつながるというふうな解釈でいくのですか。
  同様なことが高校の方でも「観察・実験などを行い」のところに、現行の方は「目的意識をもって」というのがあった。それがその下の丸2のところで「見通しをもって観察・実験などを行い」ということになってくると、ちょっとそこら辺、「目的意識をもって」と「見通しをもって」というのを、ちょっと整理してもいいのかなという部分を感じました。
  質問も兼ねてです。以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。
  いかがでしょうか。では、清原主任視学官。
【清原主任視学官】    今回、「見通しをもって」というふうに中学校、高校、変えましたけれども、どうもいろいろ意見も頂いたのですが、その中で「目的意識をもって」と言った場合に、本来は「目的意識をもって」というのは先々の見通しも含めて言っているわけですけれども、どうも一般の先生方で、わりと実験の目的と、そこに焦点化してしまう場合もかなり見られるということで、少し用語を変えて、少し遠い先までの見通しといいますか、そういうことを盛った上で取り組んでほしいという、本来の意味を適切に伝えるという意味でこの方が適切ではないかということでこういうふうに変えてみました。
【江崎委員】    ありがとうございます。
【大島主査】    ありがとうございます。よろしいでしょうか。
  では、ほかにも何かございますでしょうか。では、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】    小さいことなのですが、3ページの小学校の一番上、二重丸が付いているところの3行目なのですが、この資料1、今、机上にあるこの原稿に先立って添付ファイルでお送りいただいたものについては、3行目の「問題を科学的に解決するために」云々のところが、「自然の事物・現象を科学的に探究するために」になっていました。事前にお送りいただいたものは。今の表現でもよいとは思うのですが、あえて小学校の方で「探究」という用語を取った理由をもう少し説明していただけたらと思います。
【大島主査】    ありがとうございます。
  今の御質問に対して、よろしくお願いいたします。
【清原主任視学官】    この件につきましては、従前から小学校は問題解決ということで説明してまいりましたし、その過程を大切にするということを重視してきましたので、その流れ、いろいろ表現を変えるということもある意味、刺激はあるかもしれませんけれども、やっぱり従前から大切にしてきたことはそのまま伝えた方がちゃんと伝わるのではないかというようなこともありまして、そちらを問題解決、その形に近い形で伝えるのがよいのではないかということでこういうことにいたしました。
【小林委員】    分かりました。
【大島主査】    ありがとうございます。従前とのつながりですね。その整合性も考えた上で、小学校のところの表現を「解決する」ということで統一されたという御説明かと思います。
  ほかに何かございますでしょうか。一応、30分ほど取っておりますので、是非御意見がございましたら。三浦委員、お願いします。
【三浦委員】    私は、現場の意見を随分申し上げさせていただいてきたのですけれども、その中で、学習過程の在り方ですが、4ページのところに(3)でありまして、それを基にして5ページのところで、上から三つ目のポツなのですけれども、この学習過程が一方向じゃないのだと。一部分を取り上げてもよいのだということをこのように明記していただいたのは非常にありがたく、うれしいことなので、それを言わせていただきます。ありがとうございます。これで頑張れると思います。
【大島主査】    ありがとうございます。いろいろ御意見を頂きまして、その結果が反映されたということで、非常にうれしく思います。
  では、角屋委員、お願いいたします。
【角屋委員】    一つ気になりますのは、今、1番、2番のことですよね。議題になっているのは。
【大島主査】    そうですね。3、4はまた後でやりますので。
【角屋委員】    そうすると、1番が「現行の学習指導要領の成果と課題」なのですよね。2番が「育成すべき資質・能力を踏まえた教科等目標と評価の在り方」なのですね。ということは、これ、1番の課題のところで、育成すべき資質・能力という視点で整理しておかないと2番に持ってこれませんわね。つながりませんよね。思いませんか。  1番が、課題は困難ですよと、この課題は能力・資質と関係しているのですというふうな形に持ってこないと、2番の方につながらないと思いませんか。
  そうすると、何が必要になるかというと、例えば、丸4ですか、「小学校・中学校ともに、『観察・実験などの整理とか分析した上で、解釈・考察し、説明すること』に課題がみられる」ということが、というような能力とか資質が、というふうな形でつないでおかないと、この課題とこの2番目がつながらないような気がするのですね。だから、もしこれをやると、羅列的なのですね。だから、ある程度、資質・能力という言葉を1番のところでどこか放り込まなきゃいけないような気がするのですよね。つなげるためには。となると、一番、能力・資質と関係するのが、いわゆる実験・観察などの結果を整理・分析した上で解釈・考察し、説明することということが資質・能力と関係するのだから、そういうふうな資質・能力に課題があるので、以下のような資質・能力を育成するような、より向上させるような目標の設定とか評価の在り方に行ったという形にすれば、非常に私の頭としては論理的につながるのですけれども。これをつなげないと、何か羅列的になってしまうような気がします。皆さんがそれでお分かりなのだったら、それで構わないと思うのですけれども。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。おっしゃっている意味、分かります。課題ということなので、それがやはり2番目の資質・能力ということにつながるように、特に御指摘があったのは4番目ですよね。ここをもう少し補完してつながるようにした方がよろしいのではないかということですよね。という御理解でよろしいでしょうかね。特に丸5、今回の学習指導要領の改訂においては「これらの課題」と言っているので、これも含めて、前の丸4を少し、資質・能力という観点で具体的に、一応書いてはあるのですけれども、それがもうちょっと2を念頭において少しまとめ直すという感じでしょうかね。
【角屋委員】    代案としては、4番目の丸ですね、「説明することなどの資質や能力に課題がみられる」と一言入れれば。
【大島主査】    そうですね。
【角屋委員】    というふうに私は思ったのです。
【大島主査】    具体的な御指摘いただきましてありがとうございます。その方がクリアになるかと思います。
  ほかに何かございますでしょうか。では、古田委員、お願いいたします。
【古田委員】      分析・解釈・考察などで説明することに課題がみられ、観察・実験や探究的な活動が十分取り入れられていないなどの課題があるということは共通の認識があります。これまでも提案してきたことですが、「自然の事物・現象」に含まれる意味をもう少し丁寧に説明するべきだと考えています。そこには、生活の場面で起こる身近な現象も含まれているということには共通理解があり、理科の先生はそうしたことがすでに御承知のことと思います。しかしながら、そうした前提があってもなお、観察、実験、考察に課題が見られるという現実がございます。現行の学習指導要領において課題が認められているにもかかわらず、教員には周知のことであり、具体的な記載の必要がないという認識には、論理の整合性に欠けるのではないでしょうか。「自然の事物・現象」の中に、日常生活における身近な現象の継続的な観察、考察を包摂されることを明記した方が良いと思います。
【大島主査】    1ページ目の課題ですよね。で述べられていることです。何かございますでしょうか。
  これ、御指摘の内容としては、自然の事物・現象ということが書いてありますけれども、すみません、欠けていると言っている御指摘の部分は具体的にどこになるのですかね。
【古田委員】    何度かこれまでの過去の会議で、「自然の事物・現象」が含む意味として、生活の中で継続的に観察できる身近な現象ということを、もう少し暮らしの中にも、あるいは家の中にもあるのだよっていうようなことを何とか入れられないかというようなことを申し上げてきたと思うのですけれども、それが私は、現状の観察や探究的な活動が十分に取り入れられないことと関連があるのではないかと考えています。しかしながら、その課題が資料の1ページ目に認められているにもかかわらず、そういった自然の事物・現象ということの範囲をもう少しブレークダウンする必要があるのではないかということに対して、それは理科の先生は皆さん御存じだから、そこまで書く必要はないという判断がおありだということですが、その論理に整合性が感じられないので、説明を頂ければというお願いです。
【大島主査】    清原主任視学官から何かコメントございますでしょうか。
【清原主任視学官】    まず、現行指導要領でも、この部分については具体的に、例えば日常生活とか社会との関連ということで、むしろ指導要領上は非常にコンパクトな言葉で示していますけれども、それをどちらかというと解説レベルでお示ししております。実際、自然の事物・現象を、生活に密着した場合ですと、必ずしもそこから法則性が見える場合と見えない場合とか、いろいろ混在していますので、そこはかなり丁寧に説明しないと伝わらない、あるいは逆に誤解を与えてしまう場合もございますので、むしろ大枠で示すところは自然の事物・現象にしておいて、むしろ端的にその事象が観察しやすいような場面ですとか、そういったことはむしろ解説であったり、あるいはもっとさらにブレークダウンした指導資料とか、そういう形で生かしていく方が適切ではないかなと、私自身は感じております。
【大島主査】    よろしいでしょうか。ここで細かく説明するよりは、解説レベルで御指摘があったような生活や暮らしの中にある現象も含めてということで御説明が入るということなので、こちらの、これは本当に全体の取りまとめなので、その中では自然の事物・現象ということで、その意味での一貫性を持ってということだと御理解いただければと思います。よろしいですか。
【古田委員】    分かりました。ありがとうございます。
【大島主査】    ありがとうございます。
  よろしいでしょうか。まだほかにも3、4、5とございますので、もし何かございましたら、全体を見てから1、2に戻るということもできるかと思いますので、とりあえず1、2に関して……川村委員、よろしくお願いします。
【川村委員】    川村です。
  3ページのところの学校段階ごとの理科の教科目標について、中学校と高校の書き分けが、高等学校の方、二重丸のところを見ますと、3行目の事象というのは、中学校にならうと自然の事物・現象になろうかと思いますが、あと違うのは、高等学校の2行目に仮説が入っているだけで、あともうほとんど一緒ではないかと。あと、丸付き番号のところも、丸1、丸2は中学校、高校と同じように見えまして、中・高もほぼ同じ理科の目標でいくのか、あるいは発達段階に応じてもう少し書き分けできないのか。なかなか代案が出なくてずっと黙っていたのですけれども、ちょっと気になりましたのでコメントいたします。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。
  今の点に関しましては、表現のところかと思いますけれども、持ち帰ってまた検討させていただくということでもよろしいでしょうか。
【川村委員】    結構です。
【大島主査】    ありがとうございます。
【角屋委員】    それに関しまして、例えば、小学校、中学校、高等学校で使われている科学の言語に注目という形で、科学言語に注目すると、小学校は、いわゆる観察言語を使っているのですね。例えば、「重さ」という言葉を使いますね。中学校以上が「質量」という言葉を入れているのですね。ということは、どういうことかというと、中学校、高等学校は同じ理論言語を使っているのです。言語で言うならば、小学校と中学校以上に大きな差があるのですよね。つまり、観察言語と理論言語と言われるものの差があるわけですね。だから、無理やり高等学校と中学校を分ける必要があるかという、言語という側面から見たならば、そういう考え方が成り立つのですけれども、一つの考え方としてそういう考え方があるということだけお話ししました。
【大島主査】    ありがとうございます。
  川村委員がおっしゃったように、発達段階も含めて、小学校と中学校で言語として明確に、小学校が観察言語、中学校、高校が理論言語ということであるので、発達段階を含めて中学校、高校で差異を持たせているので、それであればもう少し整理をした方がよいのではないかというのが川村委員の御指摘かなというふうに思っております。
  よろしいでしょうか。もしかして後になってからまた3、4、5を見てから1、2ということもあるかと思いますので、ここで1、2に関しましては一旦終えさせていただいて、次の3ですね。取りまとめ資料1の3の「資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実」について御意見、議論を頂けるとありがたいと思います。30分ほどですけれども、無理に30分議論する必要はございませんので、何かございましたら是非御意見を頂ければと思います。では、川村委員、お願いいたします。
【川村委員】    質問、よろしいでしょうか。
【大島主査】    はい。
【川村委員】    8ページの中ほど(3)「現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直し」の2番目の項目のところで、STEM教育のことが取り上げられて、そのとおりだと思うのですが、ちょっと私、前の記憶がないのですけれども、このワーキンググループでSTEM教育のことが議論されたのでここに挙がったのでしょうか。それとも、事務局の方でこれは必要であるからということでSTEM教育のことがここに記載されているのでしょうか。ちょっと記憶があやふやで。すみません。余りSTEMの議論はなかったかなと思うのですけど。
【大島主査】    では、平野教育改革調整官、お願いいたします。
【平野教育改革調整官】    失礼いたします。理科ワーキンググループでは確かにSTEM教育については言及はなかったと思うのですけれども、ほかの、たしか学校種別の部会の方でSTEM教育の動きなんかもきちんと踏まえた議論がなされているのかというような御指摘がありまして、そういった御指摘も踏まえて少し入れさせていただいたというところでございます。
【川村委員】    ありがとうございました。
【大島主査】    ありがとうございます。ある意味、横断的なことも含めた枠組で入っているのかなというふうに思いますけれども、今のお答えでよろしいでしょうか。
【川村委員】    はい。ありがとうございました。
【大島主査】    ほかに何かございますでしょうか。なかなか量が多いので、一遍に御意見というのも難しいかなと思いますけれども。筒井委員、お願いいたします。
【筒井委員】    3の(2)のところの教育内容の構造化というところなのですけれども、最初のポツの文章で、いろいろ書いてあって、3行目ですかね、「上記2.(3)に掲げた学習過程の例を学習指導要領の構造に適切に反映させることが必要である」という文章は、非常に多分重要なことを述べている文章だと思うのですけれども、これは具体的には、学習指導要領そのものの中にどのようにこれを書くことを想定しているのかというのが、ちょっと分かりづらいのですね。資料の方の総則の方のイメージのたたき台案というところには、何か、学習指導要領の構成というところがあって、総則、各学科に共通する各教科というような、章立てがあるわけですけれども、これは現行のものだと思うのですが、今回、改訂していく場合にここに書かれているものがどのような具体的な書きぶりになって出てくるのかというものの見通しがあればお聞かせいただけると分かりやすいと思うのですけど。
【大島主査】    今の御質問に対しまして、何か事務局よりございますでしょうか。
【平野教育改革調整官】    実際、今の学習指導要領の構造の中のどの部分に書き込んでいくかというのは、まだ実際、事務局としても決めかねているところでございまして、これはこの後に実際、協力者の御意見を聞きながら具体的な作業を進めていきたいと思っております。その際、指導内容として取り上げる事項ごとにある程度書き込んでいくのか、あるいは算数・数学なんかですと、数学的活動というようなものを一つ、別に設けて書いているというような例もございますので、ちょっとそういうような方向の可能性も検討しながら今後、詰めていきたいと思います。
  ただ、せっかく御議論いただきました、このプロセスが指導要領の中に盛り込まれるようにはしていきたいと思っているところでございます。
【清原主任視学官】    書きぶりの具体化については、今、申し上げましたように、これからなのですけれども、例えば現行のもので申し上げますと、比較的、小学校、中学校に関しては内容のところに、例えば指導要領の解説をテーブルに用意してありますので、どれかご覧いただくと分かるのですけれども、例えば、今、私が手元に開いているのは、中学校の学習指導要領解説の理科編なのですけれども、例えば44ページのところで、運動の規則性のところで、(ア)「力のつり合い」ということなのですが、「物体に働く2力についての実験を行い」とあって、その後、「力がつり合うときの条件を見出すこと」とか、若干、小学校、中学校に関しましては学習の実際の観察・実験の状況、あるいはどういう視点で見るかというようなことがある程度書かれていますので、若干それを少し工夫・改善するとか、そういうことは考えられるのではないかなということはちょっと検討しておりますが、もし何かいろいろよい案がございましたら、何かヒントを頂けると助かります。
【大島主査】    ありがとうございます。具体的な文言に関して、内容というか形に関しては今後検討するということで、ただ、方向性としては、こちらに書いてあるような形で、現行を引き継ぎながら検討していくということでございますが、よろしいでしょうか。
  では、松浦先生、お願いいたします。
【松浦委員】    今の問題です。今、ここにいらっしゃる方は、実際の学習指導要領のところの書き込みのところにもかかわる方がかなりいると思うので、今、筒井先生がおっしゃった議論をここでしておくのはとても意味があると思います。私も清原先生の御意見と同じです。だから、高等学校の部分が内容だけ書いてあって、それをどうするかっていうのが書いてないので、やっぱりそれの解説の部分でもそうなっちゃっている。だから、教科書を作るときに、そこの部分に専ら答えようと思って教科書会社が作ってきていらっしゃるので、そこにどのぐらいきちんと構造化の話とか、その後あるアクティブ・ラーニング的な要素を内容のところにきちんとどれぐらい書き込めるかが、どういう教科書ができて、それを教える先生がそれをできるかというところにかかわる。だから、ほかのところに書いても、なかなか教科書に反映されにくいので、清原先生のおっしゃるとおりのことをどのぐらいうまくできるかというところに、高等学校の理科が今回の理念をどのように反映させるかにすごくかかわると思うので、それをどうやって工夫していくかというのがこれから考えていかなくちゃいけないことだと思います。
【大島主査】    貴重な御指摘、御意見、ありがとうございます。
  ほかに何か。ほかの先生。本日は皆さん、なかなかおとなしいですね。是非、御意見を頂ければと思います。
  よろしいですか。では、3番目の「資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実」という点では、一旦ここで議論をまとめさせていただきまして、最後ですね。資料1の取りまとめの資料のうちの最後の4番目と5番目ですね。4番目「学習・指導の改善充実や教材の充実」、5番目の「必要な条件整備等について」、御意見、御議論を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】    この4の(2)及び(3)が、こういうふうに具体的に書かれたというのはすごく画期的なことで、書き方はいろいろあるかもしれませんけれども、大事なことがきちんと書いてあるなと思います。先ほどのことに通じますが、この(2)及び(3)のこれをどう具現化していくのかというところが大事で、先ほど一番最初に質問したように、高等学校の理科においては、学習指導要領上は十分内容が重み付けされている。だから、もう増やす必要もないし減らす必要もないぐらいかと思うのです。一部、組み換えが必要ですけれども。にもかかわらず、教科書が知識偏重主義にすごく行っちゃっている。これは最低限の何とかっていう話がある。あと、幾らでも入れてくる方が現場が採用しやすいということで、競争で知識が増えていっちゃっている。生物なんか特にそうなのですけれども、それをそのまま、だから学習指導要領上の内容は何も削減する必要がないのだけれども、教科書が今の内容のまま削減しないということであると、この4の(2)とは両立しないというふうに私は考えるのですよね。
  だから、先ほど参考資料5でちょっと質問したところ、学習内容の削減は行わないということが、学習指導要領上、高校理科の学習内容は十分厳選されていると思うのですけれども、解説の部分を含めてね。ところが教科書はそうなっていないという、その辺が、やっぱりそこをいじらないと、この4の(2)がうまく入ることは普通無理ですよね。だから、そこを学習指導要領の本文と解説、しかもそれの内容のところでどう具現化していくのかというのが今後の知恵の絞りどころかなと思います。
【大島主査】    ありがとうございます。具体的にこれから指導要領を作成する際に、御指摘があったように、教科書ですね、なかなか知識偏重になりがちなところもあるので、やはりここで書いているところを具現化するために本文内容をどうやって考えていくかということですね。それが一つ大きな課題という御指摘かと思います。
  赤石委員、お願いいたします。
【赤石委員】    4の(1)の9ページ目の丸のところです。ここでいう全ての児童生徒は特別支援が必要な生徒や個に応じたレベルの生徒、両方が含まれていると思うのですが、「このため、学校や児童生徒の実態に応じ」と書かれていると、個に応じた学習の充実の部分が多く書かれているような気がします。「その際、ICTの効果的な活用についても考慮していくことが」とあり、これは書字障害の生徒とか、特別支援の必要な生徒に非常に有効であるということも含めて書かれていると読み取ったのですけれども、この流れからすると、少し弱い感じがします。特別支援ということが分かるような書き方にした方がよいのではないかなと思いました。具体的な代案はありません。
【大島主査】    ありがとうございます。御指摘は特に9ページの丸のところですかね。そこの部分を、御指摘があった特別支援教育ということも含めて、もう少し明確にした方がよいのではないかということでよろしいでしょうか。
【赤石委員】    はい。
【大島主査】    ありがとうございます。
  では、西原委員、お願いいたします。
【西原委員】    ちょっと今のと関連して、前回出席しなかったので、今の4の(1)の部分がちゃんと理解できていないのですが、特別支援と、それから個に応じた学習の充実というのはちょっと違う感じに思えて、ここに両方入れ込んでいること自身が何となく違和感があるのですが、今、赤石委員が指摘されたのは、特別支援の話ではなくて、個の資質に応じていろいろなプログラムを含もうという、そういうことだと思うのですね。これは非常に重要なことだと思うのですが、これを特別支援のところに入れることがちょっと気になると思いました。
【大島主査】    分かりました。ありがとうございます。きちんと明確に分けるところは分けた方がよいということだと思います。ありがとうございます。
  筒井委員、お願いいたします。
【筒井委員】    「教材の在り方」のところなのですけれども、確かに、ここに書かれているとおりで、教科書に細かなことまでが出てくるようになってしまうと、指導者の方がそれを全部扱わないといけないというふうな誤解だと思うのですけれども、それで授業内容とかそのものに影響が出ると。そういう支障のないようにということだろうとは思うのですけれども、やはりこれからの授業なりを考えていった場合に、デジタル教科書とかも言われていますけれども、かなり多くの情報量の中からいろいろな課題を見出していくなり、あるいはそれをヒントに思考をしていくというようなことは必要になっていくわけで、私、生物はよく分かりませんけれども、生徒たちが手にする教材にいろいろな情報が含まれているというのは一つ重要なことだと思うのですね。
  ただ、ここでいたずらに高度な知識を求めさせるのではないというのは、それは学習した後の評価の部分でそれが重要になってくるのではないということが言いたいということだと思うので、真に教材のあるべき姿ということと、それを学んだ結果、身に付くべきものがどうかというのが、どうも中途半端に混じってしまっているような気がするのですね。だから、本当に身に付けるべきものは何なのかということと、その学習を支援するための教材というのについての説明がもう少し分かりやすくなる方がよいのではないかというふうに思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。(3)の教材のところですね、御指摘いただきました。ありがとうございます。
  鮫島委員、お願いいたします。
【鮫島委員】    9ページの(2)「『深い学び』『対話的な学び』『主体的な学び』に向けた学習・指導の改善充実」という部分にかかわるかと思うのですけれども、今回、この8回の会議の中で最初からテーマになっていると思うのですけれども、三つの柱の中で、どのように社会、世界とかかわり、よりよい人生を送るかというキーワードがあったかと思い、それが多分、この学習指導要領改訂の中で一つの大きなテーマになっているかと思うのですけれども、その部分を実現するために理科の中で、いわゆる理科的な、科学的な知識、概念や実験や観察とか、そういうものを踏まえた上で、社会、世界とかかわり、よりよい人生をどう送るかという部分を対話的にとか主体的というふうに掘り下げていく部分というのが、多分おもしろい部分だと、あるいはここから変わっていく部分だと思うのですけれども、一方で、5ページのところで、「『目標に準拠した評価』に向けた評価の観点の在り方」という部分があり、今回のこの学習指導要領の改訂の中で、目標と指導と評価が一体型ですよという方向性があるかと思うのですけれども、どのように社会、世界とかかわり、よりよい人生を送るかというのは、答えのない問いに生徒たちは取り組んでいくことになる。その部分を授業で扱うのだけれども、それをどう評価していくかという部分の難しさを感じる。そこのガイドラインというか、方向性が示されると、正しい答えに向かっていくのではないと思うのですけれども、それをどう評価してあげるかという部分を考えられるとよいなと思います。すみません、まとまっていなくて意見を言って申し訳ないのですけれども、そういうふうに感じました。
【大島主査】    ありがとうございます。
  私、理科と数学の探究のところでも同じような、やはり答えのないものに対してどうやって評価も含めてやっていくかという話で、プロセスをどうやって評価していくかという議論は出てきているのですね。なので、ちょっと理科の中でそれをどういう形で入れるかというのは、探究という点で入ってくるのかなと思いますけれども、一応、理科・数学探究ではその議論が出ております。
  何か加える御説明、事務局からございますか。
【清原主任視学官】    現行の指導要領下で国立教育政策研究所の方で評価の参考資料というものを出していますけれども、その中で言いますと、中学校の事例ですと、例えば、消化のところでしたか、ちょっとうろ覚えなのであれなのですが、学習の単元の、かなり終盤のところで、いろいろ生徒の発想を生かした授業の展開をしながら、と同時に、自己評価といいますか、振り返るためにどんなことに興味を持ったとか、それを各場面を設けておいて、それを生かしながら授業を展開していくと、例えば実際の消化の働き、これがこういうことに関係している。では、それに関係する観察実験を次に行うというような展開になってくると、実際の日常生活と非常に密着した形で子供たちが腑に落ちた形で本当に理解していくということがあるので、そういったことをうまく指導と、実際の評価、それをうまくリンクさせていくというのが一つの重要な視点かなと思いますので、そういったことをどう示していくかというのは今後大事だと私自身も認識しております。
【大島主査】    ありがとうございます。
  江崎委員、お願いいたします。
【江崎委員】    「教材の在り方」のところなのですけれども、ここの部分は最初の「学習・指導の改善充実や教材の充実」ということで大きな柱立てになっていますが、実際、「教材の在り方」だと教科書の問題が前に議論されたので、教科書のことのみで、この間、ちょっと事務局もお疲れになってきたのかなと思うのですけれども、実際の実験とか観察で検証実験を計画するっていう、結構、中学の場合には非常に困難ですから、それにふさわしい教材とかの開発というのは結構重要になってくるのではないかと思うのですね。そういう点では、例えば、この前の調査で、キウイフルーツとゼラチンのような、あれは結構、子供にはおもしろいなと思ったのですけれども、何らか検証とか問題解決にふさわしい教材の開発なり選定が必要だということを少し入れておくと、やっぱり現場の先生が、既存の教材カタログから選んでそれをやればよいのだ、ではなく、本当に子供たちの課題に沿った教材を開発しようという、その意欲付けだとかも今後出てくるのではないかなと思いますので、もうちょっとその辺り、せっかく教材ということで大きな柱立てにしていますので、少し増やしていただけるとありがたいなと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。非常に貴重な御意見で、反映できるようにしたいと思います。ありがとうございます。
  角屋委員、お願いいたします。
【角屋委員】    二つほどちょっと提案をさせてもらいたいと思うのですけれども、10ページの「教材の在り方」ですね。これ、教材っていうのは教育的価値を付与したものだから、教育的価値っていうのは能力進出論なのですね、今回の場合ですね。となると、理科の教科書を含む教材については、いたずらにそういうのを全部取ってしまって、生徒が問題の発見とか解決に向けて主体的・協働的学習を進めることができるものが適当であるという形にしてしまった方が、はるかに、いわゆる新しい教材価値を、教材の定義をしたのだという形になって、私は非常に意味があるのではないかというふうに思います。これが一つです。
  それからもう一つ、9ページの特別支援とかそういう形の話になったのですけれども、前のところで「さらに、全ての生徒が」云々と書いてありますけれども、そこに、それぞれの長所や個性を伸長させていくことができるようにすることを基に、私は、ユニバーサルデザインの視点に基づいて学習の充実を図っていくことも重要であるというふうに書けば、全ての問題が解決できるのではないかというふうに思うのですね。つまり、ユニバーサルデザインという形の知見を入れることによって、ユニバーサルデザインの一番大きな目的は何かというと、一人一人の子供を最大限に生かすという形ですね。障害があろうがなかろうが、とにかく全ての子供たちを生かすという形ですね。だから、そういう一言を入れることによって、先ほど出たような議論が全部消化されるのではないかというふうに思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。2点、御指摘を頂きました。すみません、ユニバーサルデザインというのは、比較的、皆さん共通して認識された言葉であるのですか。私たちはよく使うのですけれども、教育でもそういう言葉を使うのですかね。
【角屋委員】    5年ぐらい前からかなり、いわゆるファッション的に今は使われております。それは先生御存じのように、特に工学系から出て、それで、外壁を全部取り去る、バリアを全部取り去るという一つの意図があって、そのことが教育の方に転移されてきた。特に湘南地区の実際、中学校で実践された方が、今、8冊ぐらい本を出しているのですね。かなり教育の世界にも根を張ってきていますので、片仮名を入れることがよいことかどうか分からないのですけれども、そういう視点を入れることによって、いわゆる障害児教育にも対応するし、それから、個に応じた教育にも対応する。そういうふうな全ての教育の視点に立って、一人一人生かしていくのだ、一人一人を大切にしていくのだという形で、そういうふうなものの提案なのではないかという意味で、ユニバーサルデザインというのを入れたのですけど、ちょっと分かりにくかったら、余り市民権を得ていなかったら、事務局の方で、これは削るというふうにしていただければと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。
  松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】    角屋委員から御指摘のあった「教材の在り方」に関してなのですけれども、何度か発言してきたように、特に生物はここのところ、新しい学問でどんどん新しいことが見つかっている。その中では、基礎的な、高校生でも大事だというふうに判断される、それぞれの分野の人は判断されるのですけど、そういうものが余りにも多くて、生徒にも教える方にも知識が余りにも過大になっている。そこを喫緊に改善していく必要がある状況だと、この文言をここで残していただけると、大変ありがたいという側面がございます。
【大島主査】    ありがとうございます。
  ほかに何か御意見ございますでしょうか。もし差し支えなければ、まだ御意見を頂いていない田代委員、小玉委員、飯田委員ももし何かございましたら是非頂ければ。もしあれでしたら、こうしましょうか。一旦、今、4、5に関して議論しておりますので、それに対して特に御意見がありましたら今、伺って、それでなければまた全体に戻って、一度御意見ということで、今、頂いていない委員の方々に関しましては、また1から戻ってきて、何かございましたら是非コメントを頂ければと思います。
  では、4、5です。4、5に関しては、ではよろしいでしょうか。では、また最初に戻って。飯田委員。
【飯田委員】    失礼します。5も含むということなので、5のところについてちょっとだけ感想めいたことをお話しします。
  この中で教員研修の充実ということを入れていただいているということで、私自身、研修所に勤めているものですから、ありがたいなと思います。といいますのは、理科の先生方に対する教員研修というのを、各都道府県、特に小学校の研修について非常に各都道府県真摯に取り組んでいて、ある一定の成果をそれぞれ挙げてきているのではないかと感じているところなのですが、1ページにも、課題のところに書いていただいておりますように、高等学校について観察・実験や探究活動を十分取り入れられていないというふうに指摘していただいているところに関係しまして、以前にもお話をしましたとおり、高等学校で3科目が必修というふうになっていった状況の中で、それぞれの教員が各都道府県で、物・化・生・地、それぞれの試験を受けて採用されていくという現状があるということを踏まえると、やはり異なった専門科目の授業をやらなければならないというようなことも、この観察・実験が十分でないということに関係しているというお話を前にさせていただいたところなのですが、それに関して、特に高等学校の教員に対しての研修の充実というのが重要ではないかなと感じておるところです。これにつきましては、是非、予算的な措置も含めてやっていただくと、現実味を帯びてくるのではないかと考えます。
  以上になります。
【大島主査】    ありがとうございました。
  では、田代委員、よろしいですか。4、5じゃなくて、今、全体ということで。あと、全体に関してもし言い残したことがございましたら是非伺いたいと思います。
【田代委員】    よく資料をまとめていただいたのかなと思っておりますが、2ページのところで、最初の丸のところに「視点と思考の枠組み」として全教科を通して整理した資料があります。これもすごく分かりやすい整理になっているのではないかと思うのですが、ただし、理科の場合で見ると、資料1-2では「自然の事物・現象を質的・量的な関係や時間的・空間的な関係などの科学的な視点で捉え」と書いてあるので、「視点」はすごくよく分かるのです。ですが、「思考の枠組み」の部分については、何となくちょっとぼやっとしています。恐らく「科学的に探究する方法を用いて」という句が間に入っているので、そこが、比較したり関係付けたりの修飾になっているのか、多面的に考えるにつながっているのかが辺りが分かりづらいと感じます。また2ページに戻ってもらうと、一応、4番目の丸のところにその辺りのことが説明されているのですが、でも、何か、ここを読んでも、「思考の枠組み」といったときに、例えば比較するとか関係付けるというのは「思考の枠組み」としてすとんと入るのですけれども、その後の「多面的に考えること」は「思考の枠組み」に入っているのかどうか、また、「科学的に探究する方法を用いて」がなぜここに挿入されているのかが、ちょっとその辺が若干分かりづらいなという気がします。
  それから、最初に小林委員の方から指摘があった、3ページ目のところの、小学校の二重丸の3行目のところの、やはり「問題を科学的に解決するため」というところがあるのですけれども、「科学的に問題解決するため」としてはいけないのでしょうか。問題解決というと、英語にするとプロブレム・ソルビングになって、本来は解決すべき課題とかがあって、それを工学的に処理したり改善したりというのが本来の内容なのですけど、理科の場合には、いわゆる科学的な問題解決のことを、科学的探究のことを小学校では問題解決と言っているので、だから科学的に問題解決というふうにした方が、この「問題」と「解決」の間に「科学的」と入れると、何となく小学校の先生方は違和感があるのではないかなという気がしたので、そこをもし直せるのなら直してみたらどうかと思ったところです。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございました。
  角屋委員、何か御指摘というか、コメントございますでしょうか。
【角屋委員】    例えば、「科学的に」というのを取ってしまって、「問題を解決するため」という形にしてしまうと何が起きてくるかというと、理科を理科たらしめているものはやっぱり観察・実験なのですよね。だから、問題を観察・実験という手法を用いて解決していくというふうな資質や能力という形で捉えれば、これは非常に生きるのだと思うのですね。それを今度は、「科学的に問題解決」というと、何か、いわゆる先に観察・実験があって、問題は後から出てくるという形になると、先に実験ありきなのですよね。今の小学校、中学校も同じだと思いますけれども、先に実験やらなければいけないという形ですね。そうじゃなくて、問題に対して予想とか見通しを立てて、それを満足するために観察・実験方法を編み出して、そして解決するというふうな流れですから、そういう意味ではこの表現というのは、私は何かよいような気がするのですけど、ほかの先生方の御意見をと思います。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。田代委員、よろしいですか。非常にクリアな発言をしていただきましてありがとうございます。
  小玉委員、是非コメントを頂ければと思います。
【小玉委員】    本日はおとなしく。
【大島主査】    本当によろしいですか。一応、本日が最後の委員会でございますけれども。
  では、川村委員、お願いいたします。
【川村委員】    先ほど発言いたしました3ページの理科の教科目標に戻るのですけれども、7ページをご覧ください。7ページの下半分の項目で、「それぞれの学校段階において、以下のような学習活動が充実されるよう、学習指導要領の記述について考慮していくことが必要である」とありまして、この中の中学校の一つ目の項目の2行目を見ますと、前の行からの続きで「予想・仮説の設定」というのが入っているのですね。3ページに戻りますと、理科の目標で仮説を設定するというのは中学校にはなくて、高校の方にあるので、これだけ見たら、中学校よりも高校で重視するのかなと思ったのですが、7ページの記述を見ますと、中学校でももう仮説を設定するということがあるので、事実上、中・高は同じ目標である。書き分けをするところがちょっとぼやけてしまうし、あるいは目標の解説を書くときにちょっと混乱を読み手の方がしないかなという心配がありますので、また重ねてのコメントでした。
  以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。やはり全体を通しての整合性というのが、個別に見ているとなかなか見落としがちなので、それの御指摘を頂きましてありがとうございます。
  ほかに何か、全体を見ましてございますでしょうか。では、片平委員も是非コメントを頂ければと思います。
【片平主査代理】    私も、本日のコメントはない、と言いたいところだったのですが、一つのことだけ言わせてください。最終的な報告書の中には、いろいろな文言が出てきますが、その文言の意味合いをもう一度再確認する必要があると考えます。また、今回のとりまとめは、理科ワーキンググループ全体の報告書なので、丸印が付いた項目で、第1回から7回までの議論が十分に反映されているのですが、内容の軽重や記載の順序性を再吟味するとよいと思いました。
  さらにその中の言葉遣いに関して、例えば、「探究」や「問題解決」などは、これまでの使い方を尊重しながら、更に新しい方向性を示さないといけないと思います。従来の規定とこれからのものが、どこが同じで、どこが違うのか、そして、その違いが分かるような最終報告書ができるとよいと思います。私も、大島先生と一緒に、少しでも構造化された報告書を作っていきたいと気持ちを新たにしました。
  短いですが、以上です。
【大島主査】    ありがとうございます。
  予定していた時間よりもかなり早いのですけれども、皆様8回にわたって様々な御意見を頂きまして本当にありがとうございました。取りまとめました資料については、皆様のおおよその合意を得られたのではないかというふうに思います。よろしいですか。ここでどうしても最後、言っておきたいことがあるということであれば、是非。では、どうぞ、松浦先生、お願いします。
【松浦委員】    今さらなのですけど、時間がありそうなので一つお聞きしたいのが、ちょっと本日、参考資料3の全体の中でも、「問題発見」という用語が「深い学び」の中から消えちゃっているのかなというのをちょっと感じて、あと、理科の取りまとめの中でも、ちょっと僕の気のせいかも分からないのですけど、場所によっては「課題発見」だったのが「課題把握(発見)」に、問題発見なり課題発見の部分が、ちょっとだけワーキンググループが始まった頃よりは弱くなったように感じたのですが、それはそんなことなくて、僕のきのせいなのですか。それとも、全体の流れでそういうことがあったのかどうかを、もしどなたか御存じだったら教えてほしいです。
【大島主査】    お願いします。
【平野教育改革調整官】    理科だけではないのですけれども、全体的に問題発見なのか課題発見なのか、問題解決なのか課題解決なのかとか、それは探究なのかどうかとか、ちょっと用語がかなり混在している部分がありまして、できるだけそこを統一できないかということで、例えば、理科の中では、今回はできるだけ小学校レベルでは「問題発見」「問題解決」というような用語で、中・高についてはできるだけ「探究」というような用語に置き換えられるところは置き換えていこうとした結果、確かに課題というような表現が少し置き換わってきているというところはあろうかと思います。
【松浦委員】    課題発見が課題把握で、既存の課題把握するようにちょっと変わってきちゃったところがあるかなと。でも、意図は、調整の上でそれが必要だったけど、内容的にはここで話し合ってきたような課題発見、問題発見が重視されているということで、アクティブ・ラーニングのところではその用語がそのまま今回も使われていますから、そういう理解でよいのかなとも思ったのですけれども、それでよろしいですか。
【平野教育改革調整官】    言葉の使い方はまだ完全に整合性がとれていないような部分もありますので、全体としてまた精査していただければと思っております。
【松浦委員】    どうもありがとうございました。
【大島主査】    ありがとうございます。フィロソフィーとしてはきちんと残っているのですけれども、やはり平野教育改革調整官からもございますように、全体との調整で多分、その文言も、あと整理も含めてなので、そのことも含めて最後、ちゃんとした段階で取りまとめさせていただければと思います。
  小林委員、お願いいたします。
【小林委員】    すみません、最後に一言。
  先ほど、川村委員がおっしゃったところなのですが、3ページの中学校の二重丸のところなのですが、「見通しをもって課題や仮説」、中学校にもこれ、入れていただきたいなというのを最後の一言で終わりたいと思います。ありがとうございました。
【大島主査】    ありがとうございます。それは、先ほど川村委員の御指摘があった……すみません、今、ページ数がすぐ出てこないのですけど、その後で出てきた部分ですよね。7ページでしたっけ。それとの整合性も含めてという御指摘かと思います。片平委員も申し上げていたように、やはりいろいろな意味での従前の枠組を含めて、あと、全体の総則も含めて整理しながら、きちんとやはり用語も整理して、きちんとした整合性を持った形での取りまとめにはしていきたいと思っております。
  多岐にわたる御指摘を頂きましてどうもありがとうございました。議論も尽くされたということでよろしいでしょうか。皆様、本当に8回にわたりまして様々な御意見を頂きました。本当にありがとうございました。ちょっと時間が早いですけれども、本日はここまでとさせていただきたいと思います。本日お出しいただきました御意見については、事務局でその趣旨を整理してまとめていくようお願いいたします。また、最終的ないろいろ御指摘いただきました表現、文言につきましては、各教科の議論ですね。あと、各学校段階別の議会の議論も踏まえまして、主査代理の片平先生、そして私と調整しながら、できましたら主査一任でまとめさせていただければと思います。よろしいでしょうか。
  それでは、皆様、本当にありがとうございました。
  あと、本日、どうしても言い尽くされなかったこととかお気付きの点がございましたら、また事務局にお送りいただけばと思います。その点についても主査代理の片平先生と調整させていただきたいと思います。
  では、少し予定した時間よりも早いですけれども、本日の審議はこれまでとさせていただきたいと思います。本日を含めてこれまで8回にわたりましていろいろな御議論を頂きましてありがとうございました。理科ワーキンググループとしての取りまとめについては今回で一応のめどをつけさせていただければと思います。
  では、今後については事務局より御説明を頂ければと思います。お願いいたします。
【金城教育課程課課長補佐】    失礼いたします。これまで8回にわたりまして貴重な御審議を頂きまして誠にありがとうございます。先ほど、主査からも御発言がございましたように、今回で理科ワーキンググループにおける取りまとめの議論につきましては、本日をもって一旦終了とさせていただきたいと考えております。今後、各教科等での横串を刺す観点や、各学校段階別の部会等の状況も踏まえつつ、全体をまとめる部会に上げていきたいと考えております。その状況に応じまして、本ワーキンググループでの調整が必要になった場合には御参集いただくこともございますので、その際には別途御連絡させていただければと考えております。
  また、主査からお話がありましたように、今回どうしても言い尽くされなかったことでありますとか、お気付きの点がありましたら事務局まで御意見を頂ければと思っております。頂きました御意見は、主査、主査代理とも御相談させていただきます。
  なお、本日の配付資料は封筒にお入れいただきまして机上に置いていただければ後ほど郵送いたします。
  以上でございます。
【大島主査】    それでは、第8回理科ワーキンググループを終了させていただきます。理科ワーキンググループ、これで最終回ということで、皆様本当にありがとうございました。

──  了  ──

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